ZENSHIN 2011/05/30(No2489 p06)
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週刊『前進』(2489号1面1)(2011/05/30 )
全国から6・5国鉄大集会へ
1047名解雇撤回を貫き国鉄闘争全国運動の発展を
被災地・フクシマの怒りに続け
6・5国鉄大集会がいよいよ目前に迫った。全国から東京・日比谷公会堂に全力で総結集しよう。6・5は1047名解雇撤回と国鉄分割・民営化絶対反対を貫き、闘う労働組合・労働運動を再生させる決定的集会だ。それは同時に、大恐慌と大震災・原発大事故に真っ向から対決し、労働組合・労働運動の団結と決起で震災解雇・大失業に総反撃するとともに、反原発闘争の爆発的高揚・発展を切り開いていく大集会である。東北被災地とフクシマの労働者人民の根底的な怒りに連帯し、それに続いて決起しよう。労働者人民の反失業・反原発の激しい怒りの爆発に恐怖する日帝政府・国家権力の、関西生コン支部と三里塚闘争への理不尽な大弾圧に怒りを爆発させ、6・5国鉄大集会で決定的な弾劾と反撃をたたきつけよう。
大震災下の弾圧粉砕しよう
5月20日、東京高裁・井上繁規裁判長は、三里塚現闘本部裁判で仮執行つきの超反動判決を強行した。一人の証人調べも検証も行わず、天神峰現闘本部の仮執行=強制撤去を合法化したのだ。反対同盟と支援の労働者・学生は、当然にもこの暴挙を徹底弾劾し、異議を申し立てに高裁に詰めかけた。これ対して裁判所と警視庁は一体化し、不退去罪をデッチあげ、北原事務局長ら反対同盟8人を始め50人を大量逮捕するという常軌を逸した大弾圧を強行した。
そもそも現闘本部は1966年12月に建設されて以来、45年間にわたる反対同盟の闘いの拠点であり象徴であり続けた。空港公団は1990年1月に成田治安法を発動し、現闘本部の使用そのものを禁圧したが、本部の存在は市東さんの農地とともに、暫定滑走路の誘導路を「への字」に曲げて、成田空港の完成を阻み続けてきた。
NAA(成田空港会社=旧空港公団)は、底地を違法・不当に買収して、現闘本部を暴力的に破壊しようと7年前に反対同盟を相手に裁判を起こしたが、反対同盟はこれを許さず今日まで闘い抜いてきた。農地死守・空港粉砕の三里塚45年の闘いは、何よりも労農連帯で動労千葉と結びついており、今日、被災地を始め怒りの決起を開始した労働者、農民、漁民、全人民と固く結合して、日帝権力との闘いの最先頭に立っている。権力はこれに恐怖している。
関西生コン支部への5・11大弾圧も、産業ゼネストを闘い、動労千葉や港合同とともに3労組共闘を発展させ、国鉄闘争と階級的労働運動の前進を切り開いていることに対する、権力の大反動である。
5月12日に福島第一原発の1号機、2号機、3号機のメルトダウンが正式発表された。日帝は世界大恐慌の激化のただ中で、今や新自由主義が引き起こした大震災・原発大事故と「震災恐慌」に直撃され、しかも「絶対安全」と推進してきた原発事故の収拾の展望も見えず、主要帝国主義の戦列からずり落ちかねない危機にあえいでいる。
今日、日帝権力と菅政権が絶望的に振りおろしてきている大弾圧も、階級戦争攻撃も、敵の体制崩壊的危機にかられた恐怖の大反動としてある。労働者階級人民が弾圧粉砕へ総決起し、国鉄闘争、国鉄全国運動を軸に、闘う労働運動・労働組合を甦(よみがえ)らせ、反失業・反原発の闘いと国際連帯を大前進させるなら、プロレタリア世界革命勝利への道を切り開くことができる。6・5大集会こそ当面するその決定的な環だ。
反原発は現体制打倒の革命
5月24日にJR東海会長の葛西敬之は、産経新聞で「原発継続しか活路はない」などとうそぶいている。経団連会長・米倉弘昌もこの期に及んでまだマスコミインタビューで「原発は避けて通れない」などと発言している。
大恐慌下で、大震災・原発事故が日帝の原子力政策の破綻を突き出し、帝国主義と新自由主義が完全な崩壊へ、奈落の底へ向かっているこの時に、日帝ブルジョアジーはなおかつ原発推進政策にすがるしかない。原発推進に日帝の存立がかかっているからだ。すべての原発を即時停止し、廃炉にする道は、まさに現体制打倒の革命しかない。ここで今こそ、24年間闘い勝利してきた国鉄闘争が断固として真正面に躍り出なければならない。
葛西は、1987年の国鉄分割・民営化推進の中心人物で、中曽根の子飼いとして労組つぶしを指揮した張本人だ。この葛西が今、「稼働できるすべての原発をすみやかに稼働させろ。国の存亡がかかっている。挙国一致内閣をつくれ」「問題はリスク承知の上での国民的覚悟がなかったことだ」などとわめいている。その根底には、原発推進と国鉄分割・民営化が、ともに新自由主義の中心環だという階級的自覚と、しかしそれが今や破綻に瀕(ひん)していることへの危機感、労働者階級人民の決起への恐怖と憎悪がある。
動労千葉は、中曽根や葛西らが先頭で強行した国鉄分割・民営化に対し、ストライキで、組合の団結の維持・拡大で、不屈に闘い勝利してきた。その解雇撤回・民営化絶対反対、反合理化・運転保安の闘いは、今やJRの外注化攻撃を阻み、多くの平成採の労働者を獲得しつつある。国鉄分割・民営化の時、国鉄労働者の対極に葛西がいた。今また6・5国鉄大集会と反失業・反原発の対極に葛西が登場してきている。こんな連中を日帝・菅政権ともどもぶっ飛ばして、今こそ6・5集会への全国大結集と大成功を闘いとろう。
郵政労働者への大量雇い止めと一時金3割カット、人勧解体・憲法停止に等しい国家公務員への10%の賃下げ、大阪府知事・橋下の「君が代条例案」の提出など、大恐慌・大震災下の労働者への階級戦争攻撃に反撃し勝利する道は、連合など腐り切った体制内指導部を打倒して、労働運動・労働組合を再生する闘いだ。6・5集会への大結集・大成功こそ、その当面する最大の突破口である。
闘う労働組合の復権再生へ
日帝経済は4月、ついに貿易赤字に転落した。米欧帝国主義も大恐慌下の日本発の「震災恐慌」で、危機がより一層進行している。超金融緩和のもとで世界的にインフレが進み、中国など新興諸国のバブル崩壊の危機も切迫している。大恐慌下の大失業と戦争(帝国主義の中東侵略戦争、朝鮮侵略戦争)、賃下げ、インフレ、貧困、格差拡大などとの闘いは、全世界の労働者の差し迫った課題だ。
エジプト革命のように、いや本来それ以上に力を秘めた日本労働者階級、青年・学生の決起が可能なこの時に、これを抑圧しているのは、連合のダラ幹支配であり、新自由主義の大学支配だ。
葛西発言と同じ24日、連合会長・古賀は「国家的危機にはオールジャパンで対応し、破損した家屋や船舶などは私有財産制限せよ」と記者発表した。ブルジョアジーの手先であり腐敗の極みだ。連合や国労幹部など産業報国会化する体制内指導部をぶっ飛ばし闘おう。
今こそ国鉄1047名解雇撤回闘争と、新自由主義と対決する労働組合を復権する時だ。国労本部は昨年の4・9政治和解の上に、ついに雇用ゼロで闘争団を切り捨て、連合へ身売りを策している。外注化阻止・非正規職撤廃を掲げて前進する動労千葉と動労総連合、国労共闘の闘いを軸に、生み出されている巨大な階級的激動と大激突を、あくまでも職場生産点を土台にして団結を拡大することで労働者階級の勝利に転化していこう。
関西生コン支部と三里塚闘争への大弾圧を断固として粉砕しよう。闘う労働者、学生、農民、漁民、すべての人民は東北被災地・フクシマと連帯し、その決起に続いて全国から6・5国鉄大集会に総結集しよう。6・5の大成功にこそ労働組合を復権・再生し、震災解雇・大失業と闘い、全原発を即時停止し廃炉にする階級的な展望がある。
6・5の歴史的成功から6・11反原発100万人デモと6・19フクシマ大行動へ、そして8・6ヒロシマ−8・9ナガサキの国際的大闘争へと総決起していこう。
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週刊『前進』(2489号1面2)(2011/05/30 )
5・20現闘本部裁判
仮執行宣言つき超反動判決と50人不当逮捕を徹底弾劾する
三里塚反対同盟が怒りの声明
三里塚現闘本部裁判の控訴審判決裁判が5月20日、東京高裁第15民事部(井上繁規裁判長)で行われ、井上裁判長は天神峰現闘本部を破壊・撤去する仮執行宣言付きの超反動判決を下した(関連記事2面)。これと対決し三里塚反対同盟は怒りの大反撃に立ち上がった。追いつめられた東京高裁と警視庁公安部は、反対同盟員や支援50人を高裁での「不退去罪」をデッチあげて逮捕した。逮捕されたのは北原鉱治事務局長や市東孝雄さん、鈴木謙太郎さんなど反対同盟員の大半と、織田陽介全学連委員長、斎藤郁真法大文化連盟委員長などの学生や労働者だ。絶対に許せない! 反対同盟は直ちに弾劾声明を発した。22日に反対同盟員など12人を奪還。残る38人を即時奪還し、現闘本部撤去を阻止しよう。(編集局)
(写真 被災地と団結し霞が関に怒りの声とどろく 三里塚反対同盟の北原さん【左】、萩原さん【右】を先頭に「現闘本部を守ろう」と霞が関をデモ。被災地の怒りと結合し権力中枢を席巻する一日行動は日帝権力に大打撃を与えた【5月20日】) 5・20大量不当逮捕を弾劾する 三里塚芝山連合空港反対同盟
5月20日、東京高裁・井上繁規裁判長(第15民事部)は、天神峰現闘本部裁判の控訴審判決において、三里塚芝山連合空港反対同盟の控訴を棄却するのみならず、確定判決を待たずに、撤去執行を可能にする仮執行宣言まで付けた。しかも、強制執行停止を申し立てる弁護士といっしょに高裁第15民事部の前に集まった50人に対して、反対同盟員8人を含む全員を「不退去罪」なるでっち上げで不当逮捕した。
これは、三里塚闘争45年の歴史の中でも断じて許されない前代未聞の大弾圧である。われわれは50人全員の即時釈放を要求する。東京高裁と結託した警察権力がこの暴挙を強行した理由は何か。
第一に、天神峰現闘本部死守の闘いが実力闘争として爆発することへの恐怖である。1990年1月の成田治安法処分に対する反対同盟と労農学の闘いの威力に今なお圧倒され、その現闘本部破壊に対する闘いの爆発に恐れおののいているためだ。
第二に、現闘本部反動判決への怒りが国策裁判への弾劾へと発展し、今まさに爆発しつつある被災―福島原発事故への怒りと結びつくことへの恐怖だ。3・11大震災情勢によって日本の支配体制は大きく動揺している。福島の怒りは成田の怒りだ。国策と闘いつづけてきた三里塚45年の実力闘争の波及力におびえているのだ。
第三に、羽田国際線化という形もとった成田空港の地盤沈下―崩落という現実に追いつめられた、三里塚闘争への憎しみの噴出である。徹底弾劾あるのみだ。
そもそも、井上裁判長の判決には一片の正義も道理もない。天神峰現闘本部は反対同盟自身が1966年に建てた闘いのシンボルだ。厳然として反対同盟のものであり、底地には地上権、賃借権を保有している。井上裁判長は一審千葉地裁仲戸川裁判長と共に、何の根拠もなくこれを否定し去った。しかも、一度壊したら復元できない建物に対する「仮執行」を裁判史上初めて認めたのだ。
その上で、執行の停止の申し入れを行うために面会を要求した弁護団に対して、井上裁判長は会おうともしなかった。反対同盟・北原鉱治事務局長を先頭とする50人の労農学が、「申し入れ書」を受理せよと第15民事部に迫ったことは百パーセント正当な行動だ。
判決と仮執行宣言のあまりの反動性におびえた井上裁判長およびこれと結託した警視庁公安部は、あせりにかられた大量逮捕攻撃を強行した。われわれはこの弾圧に負けない。三里塚45年の歴史こそが、不当弾圧を糧にますます決意を打ち固める過程そのものだった。
5月29日の現地緊急闘争を皮切りに、われわれは断固として天神峰現闘本部を、体を張って守り抜く死守決戦に突入する。この闘いの爆発の中でこそ、東北、茨城の被災地農民・漁民・労働者・学生・市民との歴史的結合を果たすであろう。反原発闘争への決起という形で始まった数万、数十万の青年労働者学生との歴史的な合流を果たすであろう。
2011年5月21日
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週刊『前進』(2489号1面3)(2011/05/30 )
前進速報版から
▼関西生コン支部が5・11弾圧へ抗議声明▼内モンゴル自治区で学生先頭に2千人がデモ▼三里塚反対同盟への50人逮捕弾劾の動画
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週刊『前進』(2489号2面1)(2011/05/30 )
震災解雇・大幅賃下げと全面対決し6・5国鉄大集会へ
JP労組大会闘争アピール
一時金裏切り妥結の本部倒せ 職場生産点から反撃に立とう
「震災復興」を口実にした大量解雇や賃下げ攻撃が全社会を覆う中、JP労組の定期全国大会が、6月15日から川崎市で開かれる。一人平均約50万円減となる一時金の年額3・0カ月(昨年度4・3カ月)で妥結したJP労組中央本部に対する現場組合員の怒りが全国の職場で広がっている(前号既報)。そして非正規職に対する一方的な雇い止め=解雇や賃下げに対して、現場労働者の怒りが具体的な闘いに発展し、全国で職場全体を巻き込む闘いへの突破口が開かれている。この闘いを、郵政資本とこれに協力する御用組合=JP労組中央本部への根底的な怒りとして組織し、6・5国鉄集会への郵政職場からの総決起をつくりだすとともに、全国大会闘争へ解き放とう!
賃金から1千億円超を盗む
5月13日、JP労組中央は、一時金年間3・0カ月とする会社側回答を丸のみした(要求は4・4カ月。昨年は4・3カ月)。切実だった時給制契約社員の時給引き上げについても、「30円アップ」というあまりにささやかな要求額すら取り下げての妥結だ。これで郵政資本は総額1150億円を労働者の賃金から盗み取り、経営者の金庫に移し替えた。これはJPEX(日通ペリカン便と組んだ小包部門の子会社化)計画の失敗による赤字分の全額である。
そもそもJPEX計画は「郵政民営化の戦略事業」と称して日本郵政前社長・西川善文と現社長・斎藤次郎、郵便事業会社社長・鍋倉眞一らが、現場の猛反対を押し切って強行したものだ。飽和状態の宅配便市場に「8割の労働者を非正規職に置き換える」低賃金政策を頼みに参入する無謀な計画だった。
その結果、この計画はものの見事に失敗、JPEXは「1日50億円の赤字」をたれ流す空前の破綻事業と化し、総務省の認可すら得られないまま日本郵便(郵便事業会社)への「再統合」を余儀なくされた。この「再統合」も、中元繁忙期のピークに強行する(昨年7月)大失策で34万個もの遅配を出し、大口顧客が大量に流出する致命傷を招いた。これが「1000億円を超える赤字」の実態だ。まさに“経営陣による経営の失敗”なのだ。
経営陣がこの責任を一切とらず、全額を労働者の賃下げで埋め合わせるとは恥知らずな暴論の極みだ。これを受け入れたJP労組本部も言語道断だ。中央本部はそもそも民営化に反対せず、JPEX計画も当局と一体で推進してきた。彼らも今回の「大赤字」を生み出した共犯なのだ。
当局は今回の暴挙の先に、賃金を一律3割カットして「成果主義」分を現場労働者同士で競わせる「新人事・給与制度」導入まで公言している。すべての現場労働者にとって、民営化以来の労働組合のあり方が決定的に問われる局面なのだ。
今回のボーナス大幅削減は、民営化の破綻の責任を現場労働者に転嫁する「郵政大リストラ」の一環だ。3月末に、ゆうメイトの雇い止め・解雇、時給カットや労働時間短縮による賃下げ、それによる退職の強要などが全国で強行され社会問題にもなっている。
職場をあげた闘いが始まる
しかしついに現場労働者の本格的な反撃が始まった。会社からの「通告」に対し、きっぱりと「自分は辞めない」「不当な雇い止めは認められない」との意志を表明し、雇い止めその他の撤回を要求、あらゆる手段を駆使して闘いに立ち上がる非正規労働者の決起が各地でまき起こっているのである。
ある職場では、分会や支部執行部を現場労働者の積極的な行動によって突き動かし、雇用継続をかちとり、労働条件の一方的改悪を撤回に追い込む勝利がかちとられた。現場の仲間は「どんなに小さな闘いでも、具体的な行動を身をもって経験することで、職場全体が労働組合の力を再認識したことが大きい。現場の意識が大きく変わり、団結が下から具体的な形になり始めた」と語る。
また別の職場では、ゆうメイトの雇い止め解雇に反対する職場での本格的な署名運動が、既成の執行部との大衆的激突を通して始まった。まず正規職の仲間が公然と闘う意志を集団で表明して署名に参加、当局との攻防の前面に立った。攻撃を受けた非正規職の仲間への固い連帯のアピールだ。最終的には非正規職の仲間を含む分会の大半の労働者が署名に参加する闘いに発展し、それが隣の分会や支部にも拡大している。
こうした支援を受けて、雇い止めを受けた当該の労働者が意を決し、継続雇用を求める仮処分を申し立てる闘いを始めたのである。
またJP労組中央と反動的執行部が当局と一体化し、現場を「強力」に制圧しているような職場でも、雇い止め通告を受けたゆうメイトの仲間が地域の合同労組に結集して団体交渉を会社に要求し、職場を内外から揺るがして解雇撤回・雇用継続を実現する勝利もかちとられている。
不当な首切りや賃下げに屈せず、現場が積極的な行動を起こせば必ず勝利の突破口は開ける。このことを身をもって示す闘いが始まっているのだ。現場労働者の怒りが臨界点を超え、ついに具体的な行動になり始めたことに会社側は驚愕(きょうがく)している。
「雇い止め」阻止へ戦闘宣言
多くの職場で、雇い止め撤回を求める具体的な行動を通して、正規職と非正規職の分断を下からうち破る新たな団結が生まれていることは画期的な前進だ。3・11大震災情勢下の「挙国一致」や「春闘中断」攻撃が吹き荒れているにもかかわらず、現場の闘いが具体的に始まった瞬間、職場の雰囲気は一変し、「春闘中断」などの制動は突破されてしまった。
これは新自由主義との闘いの一方の柱だった郵政民営化攻撃に対する「絶対反対」の闘いの決定的な飛躍だ。
膨大な非正規職をつくり出し、階級的な労働組合を根絶しようとした新自由主義攻撃は、1987年国鉄分割・民営化を画期に始まった。その結果が「生産性向上運動」を掲げた連合中央の帝国主義的労働運動である。以来、この攻撃と最先端で切り結んできた国鉄労働者の闘いと連帯し、4大産別をはじめすべての労働組合を階級的に甦(よみがえ)らせることが日本労働者階級の中心課題となった。現在の東日本大震災の「震災復興」を口実とした大資本攻勢の中で、この階級的労働運動の再生があらためて問われている。
「郵政大リストラ」との闘いが、そうした階級的労働運動の一翼を担う闘いとして、全国の郵政職場で開始されたことはきわめて大きい。闘いは始まったばかりだ。6月末と9月末にも16万人の非正規職の仲間への雇い止め・解雇が連続的にたくらまれている。
しかし雇い止め撤回闘争を、現場労働者の全国的な反乱に転化することは可能だ。職場の怒りは充満し、闘いの契機は無数に存在する。これまで一切の闘いを抑え込んできたJP労組中央本部と、それに連なる反動的執行部をのりこえ、二十数万人の組合員自身が自らの力で闘う労働組合を再生させるために行動する決定的なチャンスだ。
全国労組交流センター全逓部会の仲間たちは6月全国大会に向けて、一時金大幅カットの妥結や非正規職雇い止めに対する現場労働者の怒りを徹底的に組織化する方針を固め、職場での新たな闘いを開始している。分会・支部を揺るがす行動を柔軟に組織し、「妥結は認めない」「撤回しろ」という要求を現場労働者自身の大衆的怒りとしてたたきつけよう!
6・5国鉄闘争大集会に全国の郵政職場から総結集しよう。産別の枠を超えた全国の労働者と団結し、JP労組6月全国大会闘争に全職場から進撃しよう。
〔革共同全逓委員会〕
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週刊『前進』(2489号2面2)(2011/05/30 )
5・20三里塚現闘本部裁判
実質審理もなく超反動判決
“現闘本部破壊許さない”
三里塚現闘本部裁判の控訴審判決が5月20日、東京高裁第15民事部(井上繁規裁判長)で行われた。
裁判に先立ち三里塚反対同盟と支援は11時半に日比谷公園霞門に結集し、東京高裁の反動判決策動を弾劾し抜くデモに立った。「反動判決阻止」を訴える連日の霞が関ビラまき行動に続き、この日は超反動判決と対決する一日行動が戦闘的に打ち抜かれた。三里塚反対同盟は、大震災・福島原発事故の被災地人民の怒りと結合し全力で決起した。そして権力中枢の霞が関を席巻する大闘争が爆発し、日帝権力・菅政権を震え上がらせた。50人逮捕の大弾圧は、この闘いに権力がどれほど打撃を受けたかを示すものだ。
デモ出発前には三里塚顧問弁護団の葉山岳夫弁護士から裁判長の忌避を申し立てたことが報告された。
裁判の傍聴には24人の傍聴枠に140人がつめかけた。裁判は法大弾圧裁判と同じ429号の警備法廷で行われ代表団が傍聴に入った。
法廷に現われた井上裁判長は冒頭、「忌避の申し立ては裁判を意図的に遅延させる目的であり、却下する」と言い放った。傍聴席からは怒号が飛ぶ。しかし、井上は間髪いれずに「控訴を棄却する。仮執行処分を付する。裁判費用は全額被告が負担する」と言い捨てて法廷から逃げ去った。
その間わずか1分。あっという間だ。「ふざけるな!」「こんなものは裁判じゃない!」。反対同盟と支援の仲間はこの裁判とすら呼べないような暴挙に対して徹底弾劾をたたきつけた。
このあと弁護士会館で報告集会が行われ、反対同盟と弁護団が次々と怒りを表明した。萩原進事務局次長は「反動判決になるとは思っていたが、実際になってみるとぶち壊したくなる思いだ。わずか3回の審理、しかも実質審理は行われていない。地上権に関しても『解体し滅失した』とか『今回の誘導路建設で被害を被る人はいない』など、とんでもないことを言っている。本当に畑に引きずって来て土をなめさせたいぐらいだ」と怒りで声を震わせた。そして「現地で闘おう。5・29緊急闘争に立ち上がろう!」と訴えた。
北原鉱治事務局長は「これまでにも裁判で同じようなことはあったが、今度くらいひどいことはない」と語った。弁護団は「国策を遅らせる」と言って反動判決を出すやり方を「これが原発事故を引き起こした元凶だ。こんな裁判所はつぶすしかない」と決意を語った。
(写真 デモ出発前に日比谷公園で集会。反対同盟の北原事務局長【中央】が「農民の生活を破壊する国策裁判を許すな」と決起を訴えた【20日】)
残る38人の仲間即時奪還しよう
直ちに一団は、弁護団を先頭に執行差し止めの申し入れ行動に立った。ところが、井上裁判長は正当な申し入れを受理するどころか面会すら拒否した。そして裁判所の通路に職員を並ばせて弁護士以外を排除し、あろうことか警察に通報した。そして、多数の警視庁公安刑事どもが、抗議する反対同盟員や支援の仲間に襲いかかり50人を逮捕したのだ。こんな弾圧がどうして許せるか!
これは現闘本部破壊にとどまらず、3・11大震災をもって有事体制に突入した日帝が、全日建運輸連帯労組関西地区生コン支部の破壊を狙った大弾圧(11日、13人を逮捕)に続いて三里塚闘争破壊を狙った歴史的な大弾圧だ。
しかし、その凶暴な攻撃の根底には、この日の闘いの大爆発への恐怖と、大恐慌と大震災・原発事故に追いつめられる日帝・菅政権のどうしようもない危機がある。怒りの火の玉となって仲間を直ちに取り戻そう! 天神峰現闘本部の破壊・撤去を絶対に阻止しよう。現地攻防に勝利しよう。国鉄闘争全国運動6・5大集会の爆発で労働者・農民・学生の大反撃をたたきつけよう!
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週刊『前進』(2489号2面3)(2011/05/30 )
市東さん農地裁判 21人の証人を申請
千葉県とNAAを圧倒
5・20大弾圧から最初の裁判である市東孝雄さんの二つの農地裁判(行政訴訟と農地法裁判)が24日、千葉地裁民事第3部(多見谷寿郎裁判長)で開かれた。怒りに燃えた70人が結集し、傍聴席を埋めて闘い抜いた。
午前10時30分に行政訴訟が始まった。市東さん側から北原鉱治事務局長、萩原進事務局次長、成田空港会社(NAA)前社長の黒野匡彦ら21人もの証人を申請し千葉県を圧倒。市東さん側はさらに、成田市農業委員会などの調査を要請する書面も提出し裁判長に実行を迫った。
多見谷裁判長が県側の意見を求めると、何と「まだ書類が届いていません]という答え。裁判長は「裁判所には届いていますよ」と指摘し、市東さん側代理人も「届いていないはずはない。見解を表明せよ」と迫った。県側代理人は「届いているかもう一度調査してみます」という無責任な応答を行った。傍聴席からも怒りの声が浴びせられた(法廷終了後に届いていたことが判明)。
11時10分からは農地法裁判の弁論が行われた。
前回の裁判は、「南台41−9」についてNAAは市東さんの耕作の事実がないことを認めざるをえなくなり「訴えの一部取り下げ」を申し出たが、市東さん側から「一部取り下げでは不十分、全部取り下げよ」と跳ね返された。そこでNAA代理人は「(41−9について)請求の放棄も検討します」と答えたところで終わった。
この日の弁論はその「検討結果」を聞く裁判だ。裁判長に促されるとNAA側は「まだ検討中です」と、またまた逃げの答え。市東さん側、傍聴席が一斉に弾劾の声を上げた。理由を問われたNAAは「前回、裁判所が作成した弁論調書に納得できない個所があったため」と今度は裁判長に責任転嫁する始末だ。これには裁判長もむっとした表情で「調書の訂正はしません」とつっぱね、書面による見解の提出を再度求めた。
市東さん側は農地法裁判でも21人の証人申請を行い、攻勢を続けた。
弁論終了後、記者会見と報告会が行われた。奪還された市東さんがまず「5・20弾圧はあれが権力の姿だ。絶対に許せない」と弾劾し、6月に3回予定されている裁判闘争への決起を訴えた。続いて葉山岳夫弁護士を始め弁護団から弾圧への怒り、権力側の焦りへの鋭い指摘とこの日の弁論の解説が行われた。
市東さんの農地取り上げに反対する会共同代表の井村弘子さんが「あんな人権侵害はない。裁判所を弾劾しよう」と怒りの発言。最後に萩原進事務局次長がまとめの発言を行った。最初に「5・20逮捕から奪還された同盟員は起立してほしい」と促すと7人が起立した。その中で「菅政権、東京高裁はこの震災情勢の中で爆発する怒りが、三里塚の45年の闘いに結びつくことを恐れている。だったら被災地と団結する闘いをさらに進めよう」と訴え報告会を終えた(萩原事務局次長の発言要旨別掲)。次回期日は8月30日。
(写真 裁判報告会で「5・20弾圧はあれが権力の姿だ。絶対に許せない」と弾劾する市東さん【5月24日 千葉】)
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週刊『前進』(2489号2面4)(2011/05/30 )
われわれこそが正義だ 不当判決ぶっ飛ばした
三里塚芝山連合空港反対同盟 事務局次長 萩原進さん
北原さんも逮捕されたが、われわれこそが正義だと完黙で闘った。反対同盟は元気に闘い抜く。残りの38人を奪還する。
あんな反動判決があるか。空港建設が40年遅れたから仮処分と言うが、破産しているんです。それをわれわれのせいにしている。とんでもない。現闘本部は全国の心のよりどころだ。
霞が関の状況を見て下さい。放射能問題で福島の婦人たちが文科省に来ている。三里塚が高裁を占拠して大問題になり、霞が関中で“三里塚みたいにやろう”となったらどうなるか。だから三里塚を弾圧した。
一つの裁判で50人逮捕は歴史的。やっぱり三里塚だ。あの判決をぶっ飛ばす闘いができた。50人逮捕だが1千人を寄せ集める闘いをやった。
市東さんの農地にも仮執行宣言を付けている。土地を更地にするということは、市東さんに死ねということ。こんなことを許していいのか。被災地、三里塚、沖縄の闘いが問われている。三里塚が確信を持って闘おう。
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週刊『前進』(2489号2面5)(2011/05/30 )
6・5集会実行委 “労働組合で勝負を”
大結集の実現へ決戦態勢
国鉄闘争全国運動6・5大集会の3回目の実行委員会が5月26日、都内で開催された。この間の実践をふまえた集中した討議が行われ、具体的な集会プログラムと集会体制などについても確認された。
ス労自主の入江史郎委員長の司会で議論が進められた。開会あいさつで動労千葉を支援する会の山本弘行事務局長は「今日は“あと9日間、全力で闘い抜こう”という会議。23日には福島の人たちを先頭に650人が文科省に押しかけた。60年安保闘争を上回る闘いで国会を包囲すべき時が来ている。そのためにもわれわれは労働組合で徹底的に勝負するということだ」と口火を切った。
問題提起を行った田中康宏動労千葉委員長はまず、震災以降の情勢の特徴として、@労働運動が深刻な危機を深め、階級的な見方そのものが崩壊させられようとしていること、A他方で、非和解的な怒りの声が激しく噴出していること、そのすべては資本主義のもとでは絶対に解決はつかないこと、Bそして菅政権を始めとして階級支配が根底から崩壊を始めていること――以上の3点を指摘した。そして「こういう情勢下だからこそ5・11関西生コン支部弾圧、5・20三里塚弾圧など歴史的とも言える弾圧がおこっている。噴出する怒りと11月集会派が結合することをなんとしても阻むためだ」と述べた。
さらに、7月国労大会をめぐる情勢や動労千葉鉄建公団訴訟結審策動など、この間、動きを強めている国鉄情勢の重大性についても注意を喚起し「支配階級は、この時に国鉄闘争、1047名解雇撤回闘争をなんとしても完全に終わらせてしまおうと一気に動きを強めている」と述べた。
そして最後に「階級的労働運動の復権、国鉄闘争全国運動が目指してきたものにすべてをかけきることが待ったなしに求められている。重要なことは、この確信を携えて職場・地域に打って出ることだ。そこでの反応、討議の中から一切が生まれる。全国、地域、職場へと入っていくにつれ、どんどん具体性が問われるはずだ。怒りの声を引き出し、それと結びついて具体的に運動に組織していく悪戦苦闘の中からすべては生まれる」と声を大にして訴えた。
提起を受けて活発な討議が展開された。郵政職場の青年労働者は「いまこそ4大産別の職場で組合権力を取っていく構えで闘う時だ」と述べ職場での闘いの前進を報告。合同・一般労組で闘う青年は「3・11震災以降、青年の意識は一変している。どんどん電話をかけ、職場で声をかけて6・5集会に連れてきたい」と語った。5・20弾圧で5人の仲間を奪われている全学連の闘争報告がなされ、23日の文科省行動に参加した仲間からは生き生きとした現場の息吹が伝えられた。
また、26日から始まった自治労中央委(奈良市)での徳永委員長あいさつで、国家公務員の賃下げ合意について「震災復興財源だから妥結した。震災下だから大衆行動を組まなかった。公務員連絡会の判断は正しい」と完全に居直っていることが報告され、参加者からは驚きと怒りの声があがった。
全国運動事務局からは「決定的な情勢が到来している。残り9日間、これまで11月集会に一度でも来たことがある人にはとにかくすべて当たりきろう」という提起がなされた。
最後に田中委員長が「やはり、今日まで国鉄闘争が闘い抜かれてきたことが、いよいよ決定的な意味を持ってきている。残された期間、全力で現場に飛び込もう」と討論をまとめた。
(写真 「この1年で培った確信を携え現場に飛び込もう」と提起する田中委員長【5月26日 東京都江東区】)
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週刊『前進』(2489号2面6)(2011/05/30 )
三里塚裁判傍聴を!
◎鈴木さん一坪裁判
6月9日(木)午前10時30分 千葉地裁
◎第3誘導路許可取消裁判
6月17日(金)午前10時30分 千葉地裁
◎市東さん耕作権裁判
6月27日(月)午前10時30分 千葉地裁
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週刊『前進』(2489号3面1)(2011/05/30 )
震災解雇・大幅賃下げと全面対決し6・5国鉄大集会へ
被災地先頭に6・5に総結集し「憲法停止」の大攻撃うち破ろう
革共同自治体労働者委員会
5月23日、連合・公務員連絡会幹部は片山善博総務相とのボス交で、「震災の復興財源に充てるならやむを得ない」として国家公務員の賃金を10〜5%、一時金を一律10%カットする空前の賃金削減案に合意した。一切の闘いもなく行われたこれが歴史的大裏切りでなくて何か。連合・公務員連絡会は、菅民主党政権による「震災非常時・憲法停止」の新自由主義攻撃に率先協力し、地方公務員を始め全労働者への際限のない大失業と賃下げ、労組解体の道を自ら開こうとしている。断じて許すな。全国の職場で反撃をまきおこし、6・5国鉄大集会へ総結集を!
(写真 青年らが被災地仙台でメーデー・デモ【1日】) 大失業・原発・戦争めぐる階級決戦だ
「震災復興」を口実に自治労や日教組、国公連合など公務員労組幹部が「パートナー」と称する日帝政府・当局と手を携えて、200万組合員に対する大幅賃下げや大量雇い止め解雇攻撃、さらに原発推進政策まで進めている。この恐るべき転向と翼賛勢力化が示すものは何か。現下の階級情勢、階級決戦攻防の核心問題として、徹底的に明らかにしよう。
まず大恐慌下の3・11大震災以降、何が起こっているかをはっきりさせなければならない。
大震災、大津波被害と福島原発の大惨事は、新自由主義・資本主義がもたらした未曽有の大災厄となって被災地を直撃し、同時に全国・全世界の労働者に震災解雇、震災恐慌として襲いかかった。日を追うごとに国家と資本による階級犯罪としての本質がむき出しとなり、政府当局者と東電資本、御用学者どもによって発せられる「想定外」という言葉が「責任逃れ」の同義語となり、怒りの対象となっていった。国と被災現地の県・市町村による2万人規模の「雇用創出」と称する半年契約・1年期限の低賃金・臨時雇用などではおよそ収拾不能の大失業が、労働者と廃業を余儀なくされる農漁民、中小零細業者に襲いかかっている。捨て置かれる被災地の現状、放射能被害の拡大の中で、「殺人国家」「殺人資本」に対する根底的怒りが押しとどめようもなく噴出しつつある。
他方で、誰が社会を動かしているのか、それは当局でも資本でもなく労働者であることが、被災地において、すさまじい震災の惨禍を団結の力でのり越えていく「生きぬく闘い」の中で明らかとなっていった。被災地、避難所において自治体労働者、教育労働者、医療・福祉労働者などが中心を担って奮闘し、労働者が本来持つ力が発揮され、その階級的誇りが取り戻されていった。
いまや、日本帝国主義の階級支配は未曽有の危機を迎えている。震災解雇との闘い、そしてフクシマから発せられる「原発とめろ! 職と生活を返せ! 住む土地と農地と海ときれいな大気を返せ! 子どもたちの未来を返せ!」の叫びと行動は、社会全体を揺るがしている。原発事故・放射能汚染の拡大の中で、歴代政府、資本、御用組合、大学と御用学者、裁判所とマスコミのすべてがグルで金にまみれ、すべてがウソだったという階級支配の腐りきった構造が隠しようもなく明らかとなった。「人々の命とひきかえの国家と資本の繁栄」でいいのか、資本主義のもとで生きられるのかという根本的な命題が多くの人々の心をとらえ、激しい分岐と激突が始まっている。
支配階級の側も、大恐慌下の大震災情勢の中で、このままではやっていけないことを最後的に自覚した。すでに大恐慌下の国鉄闘争解体の反革命攻撃としてあった「2010年4・9政治和解」を全社会的に拡大している。「挙国一致の震災復興」(運動)を押し立て、既成労組指導部の総転向のもとで「震災非常時・憲法停止」を断行し、一切の階級的闘いの一掃と新自由主義の極限的続行という歴史的大攻撃に打って出てきているのである。
まさに、戦後革命期を引き継ぎのりこえる空前の階級決戦情勢が到来している。大恐慌と大震災の情勢のもとで、帝国主義支配階級の側がどんなにあがいて関西生コン支部弾圧を始めとする労働弾圧や三里塚弾圧、学生弾圧に必死になろうと、最末期帝国主義の歴史的生命力はすでに消滅している。被災地を先頭とする反原発・反失業の巨大な怒りの噴出と行動の開始、その根底性、絶対的非和解性と全人民性は、「プロレタリア革命以外に出口なし」の情勢を日々深めている。労働組合の団結とロシア革命における「パンと平和」の問題、まさにその飛躍が党と階級に問われているのである。
4大産別と公務員労組が激突の戦場
4大産別が現下の階級決戦の最大の戦場だ。労働組合をめぐる「2010年4・9政治和解」攻撃の全社会化との闘いがすべてを規定している。
国鉄闘争100万闘争陣形としてあった公務員労組を最後的に解体する攻撃との激突が始まった。「震災復興」を口実とする公務員賃金1割カット攻撃と一体で打ち出されている人事院廃止・公務員庁設置、スト禁止の続行と中労委による裁定命令強制という公務員制度改革はきわめて重大な攻撃である。争議権(スト権)禁止下で公務員人件費大幅削減、無制限の賃下げ・首切り攻撃が「労使交渉による決着」をもって強制されていく事態は何を意味するか。それは労働者の権利をうたった憲法を停止して団結権・団体交渉権・争議権の労働三権を最後的に葬り去り、「国鉄型」=「社保庁型」全員解雇・選別採用攻撃を全面化し、道州制・民営化による公務員360万人と全労働者に対する首切り・賃下げ・総非正規職化を当局・資本のやりたい放題とする攻撃だ。
最大の問題は、そうした政府・当局の歴史的攻撃に対し、労働組合が最後的に変質して全面協力し、労働者の利害を体現すべき労働組合が自己解体していくことだ。労働者階級の反乱が始まりつつあるその対極で、結集軸としての労働組合そのものを変質・解体させる究極の階級戦争が激化している。労働組合の存否をめぐる死闘にすべてがかかっていると言って過言ではない。
すでに、全国の社保庁労働者の解雇撤回闘争に続き、民営化された年金機構事務所の職場や被災地の青年労働者を先頭に臨時・非常勤・再任用、委託・派遣労働者など非正規職労働者の雇い止め絶対反対の闘いが全国で始まった。「子ども・子育て新システム」による幼保労働者30万人首切り粉砕の闘いが全国の保育職場に広がっている。
大阪の泉佐野市においては「財政破綻」を理由とする市職員賃金2割カット攻撃が、市職労本部の屈服のもとで暴力的に進められ激突となっている。国家公務員賃金1割カットに続く地方公務員賃金大幅削減攻撃との闘いが、全国で始まろうとしている。
大阪橋下府政は、「日の丸・君が代」不起立者に対する懲戒解雇処分を定めた条例案の制定に突き進んでいる。まさに「憲法停止」攻撃との激突だ。さらに自治体当局と既成労組幹部の結託によって、闘う現場指導部に対する不当配転・団結破壊攻撃との闘いが火を噴いている。自治労共済の全労済への統合による大量の組合書記の選別解雇攻撃が迫っている。沖縄闘争と反原発闘争を契機に、全国の労組青年部再建が決定的闘いとなって発展している。
この情勢下で、連合・自治労本部は資本主義の延命と「財政再建」という同じ立場で菅民主党政権とすり合わせ作業を進めている。労働組合自らが「税と社会保障の一体改革」と称する大増税と年金・福祉・医療・介護・保育など社会保障制度解体、民営化・首切り=総非正規職化の新自由主義攻撃の先兵役を担おうとしている。この腐りきった労働組合幹部の支配を打ち倒し、労働組合青年部の再建を突破口に、職場生産点から闘いを巻き起こしていこう。これらの闘いの一つひとつが、闘う労働組合を作り出し、職場支配権を奪い返して労働組合権力を握り、拠点労働組合を打ち固めていく闘いだ。
動労千葉や関西生コン支部のストを先頭に、これまで抑えにおさえつけられてきた労働者の充満する怒りを根底から解き放つストライキ闘争復権の時代が始まろうとしている。ムバラク政権を打倒したエジプト革命は、青年労働者を先頭とする巨大デモと既成労組幹部の制動をはねのけた闘う労働組合のゼネストによって実現した。体制擁護を至上命題とする連合・自治労本部、全労連・自治労連本部の支配を打倒し、戦後革命期の2・1ゼネスト情勢をものりこえ、「生き抜くために闘う」労働組合の荒々しいストライキの時代を切り開こう。
国鉄基軸に階級的労働運動の復権へ
6・5国鉄集会3千人結集が新たな時代を切り開く。始まった階級決戦は4大産別を始め職場生産点における当局・資本との労働組合をめぐる死闘だ。この点で1047名解雇撤回の闘いとともに十年余にわたって闘いぬき、昨年、今年と2度にわたってJRの検修・構内業務全面外注化を阻止し、青年労働者を先頭に組織拡大をかちとってきた動労千葉の歴史的勝利の地平を確認しよう。
その勝利は、資本の側の総力を挙げた攻撃の前に敗退と分裂を重ねてきた戦後労働運動の歴史を塗り変える大きさをもつものである。労働組合はいかに闘いぬくべきか、勝利の路線を、現実の勝利と団結の強化をもって指し示した決定的な地平である。
動労千葉労働運動と動労千葉に続いて被災地を先頭とする反失業・反原発闘争の前進は何によってかちとられているのか。それは党と労働組合建設の一体的推進の闘いであり、革命の時代認識、資本との絶対非和解性の上に立つ階級的労働運動と反合理化・運転保安闘争の路線、「義理と人情」として表現される生きぬくための階級的団結と職場の全労働者の獲得にむけた実践に他ならない。労働組合をよみがえらせること、作り出すことがいかに決定的か。戦後革命期の激動過程がそうであったように、労働組合の団結は即行動であり闘いである。『綱領草案』の実践の立場から、労働組合運動に全身全霊を傾けよう。その跳躍台こそ、6・5大集会である。
国鉄闘争全国運動のよびかける6・5大集会は、被災地の闘いを先頭に、かつてなく感動的で歴史的な労働者総決起集会としてかちとられることは間違いない。4大産別の青年労働者を始め、連合・全労連支配をぶち破って全国の職場から結集する3千人の労働者の力で、決意みなぎる壮大な闘いの出発の日、新たな戦闘宣言集会としよう。自治体労働者はその最先頭で奮闘し、組織しよう。
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週刊『前進』(2489号3面2)(2011/05/30 )
公務員10%賃下げで労使合意
「震災復興」を口実に 連合が許せぬ大裏切り
5月23日、連合系・公務員連絡会(国公連合、自治労、日教組などで構成)は、菅民主党政権の震災復興財源確保を理由にした国家公務員賃金大幅引き下げ提案をのんだ。わずか10日で合意に至った。歴史的屈服であり、大裏切りだ。
当初の提案は一律10%減だったが、月給が課長以上10%減、課長補佐・係長8%減、係員5%減、ボーナスが一律10%減で決着した。とても譲歩をかちとったなどとはいえない。あらかじめ仕組まれた「妥協」だ。
人事院制度下に人事院勧告ぬきで、すなわち労働基本権剥奪(はくだつ)のまま、労使交渉によって賃下げを決める――「非常時」における憲法停止の大攻撃だ。この暴挙の前に公務員連絡会は完全に屈服し、労働者の権利を売り渡した。
これによって、民主党政権がマニフェストに掲げた公務員人件費2割削減への突破口が大きく切り開かれた。また地方公務員の大幅賃下げ攻撃にも道筋がつけられた。石原慎太郎東京都知事が即刻大歓迎している。震災下、民間の賃下げ・解雇、大失業も促進する。
公務員連絡会・棚村議長は、政府とともに「労使休戦・挙国一致」で「震災復興・日本再生」に全力を尽くすことを約束した。だがそもそも大震災と原発大事故、GDPの2倍の財政赤字の責任は歴代政府と大資本にある。彼らの責任を追及し、打倒する闘いに立つのが労働組合の役割だ。連合・公務員連絡会はまったく転倒している。
公務員連絡会は賃下げを受け入れる代わりに、菅民主党政権が給与改定の特例法案と国家公務員制度改革関連法案を今国会で同時に成立させるよう強く要求した。人事院・人事院勧告制度の廃止、労使交渉による賃金・労働条件の決定、協約締結権の付与などを盛り込んだ国家公務員改革法案が労働基本権回復への道であるかのごとく宣伝している。しかしその本質は争議権(スト権)剥奪、公務員身分保障剥奪なのだ。道州制=公務員360万人首切りの具体化だ。
連合・全労連の屈服を許さず、公務員賃下げ攻撃に絶対反対し、職場の団結を強めてストライキで闘おう。
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週刊『前進』(2489号3面3)(2011/05/30 )
医療福祉労働者は訴える
反合・増員闘争で職場が団結し 新自由主義の医療崩壊と対決を
6・5国鉄集会に総決起しよう
3・11大震災で階級情勢は今や一変した
大恐慌と3・11大震災は、新自由主義で荒廃した医療・介護現場を直撃した。被災3県では7公立病院を始め中小病院・老人施設が多数閉鎖された。原発事故現場では非正規労働者が殺人的被曝労働を強制されている。職と住を奪った津波被災、医療・福祉破壊、原発事故は、すべて資本と国家の犯罪だ。これ以上労働者・農民・漁民が殺されてたまるか!
関西生コン支部や三里塚闘争への大弾圧は、3・11情勢下で立ち上がる労働者、農・漁民と動労千葉派が結びつくことへの権力の恐怖の現れだ。「挙国一致・復興」イデオロギーを打ち破ろう。医療福祉労働者は震災解雇・賃下げを許さず、生きぬくための団結を組織して闘おう! 反合理化・増員闘争で、闘う労働組合を甦(よみがえ)らせよう!
人減らし合理化の極限状態で医療が崩壊
3・11以前から新自由主義の医療制度「改革」で医療・福祉現場は人員不足が極限化し、医療崩壊は深刻だった。
「病棟ではまともな看護ができない。安全を守ろうにも人手が足りない。今をこなすことで精一杯」「ものすごい残業で記録も終わらない。本当に必要なことより保険点数かせぎの仕事ばかり。苦痛です」
過労で団結が壊される現実。悲鳴をあげる労働者を分断して非正規職に置き換える。人の命を預かっている責任感に付け込んで、仕事が終わらないのは「自分のせい」と思い込ませる聖職意識の強要と階級性の解体攻撃。これを後押ししているのが日本共産党・医労連などの体制内勢力だ。
すべては医療・社会保障を解体し、医療を金もうけの「市場」に投げ出した政府・資本家の責任だ。この職場の現状は絶対変えられる。それは「頑張ろう(過労死)」運動でも、「経営を守ろう」運動でもない。それこそ政府と資本家の思うつぼだ。現実を変える力は、私たちが団結を取り戻し、あたり前の労働組合を甦らせる中にある。
医療現場では新自由主義の診療報酬改悪で、夜間勤務の「8時間労働3交代制」を「2交代と細切れシフト制」で賄い、人員が減らされた。勤務時間のやりくりで「賃下げと労働強化」が強行された。低賃金で「使い捨て」の非正規職に置き換えられた。ついには「有料ボランティア」だ。
労働者はどこまで安く買いたたかれるのか?
「合理化反対・人員増やせ!」の組織化で労働組合を甦らせる突破口を切り開こう。
反合増員闘争は職場に団結組織する闘い
3・11情勢下の「挙国一致・復興」イデオロギーと対決し、反合・増員闘争を開始しよう。
増員闘争の意義は、第一に、国鉄闘争を軸とした4大産別決戦と一体の闘いだ。道州制反対の自治体労働者とともに闘いぬこう。第二に、反合・安全闘争路線として、外注化阻止・非正規職撤廃の闘い。第三に、体制内労組幹部を打倒して職場権力奪取を展望する闘いだ。増員闘争で職場に闘う団結を拡大しよう。
@職場回りで現場の声を聞くことから始めよう
激しい合理化に「闘っても変わらない」という絶望感。「力量不足」と自分を責める労働者。疲れ果てて、怒るエネルギーも奪われる。違う職種の仲間に怒りが向けられたり、労働者個人の問題にすり替えられたりする。
資本・当局との談合を唯一の組合活動とする体制内組合執行部は現場に入ることを放棄している。私たちが職場の仲間一人ひとりと向き合って声を聞くことが組織化の大きな一歩だ。
そしてただ話を聞くだけでなく、3・11情勢で職場の状況も一変している中で、勝てる展望を示す具体的な行動提起が重要だ。労働者は説得だけで納得するのではなく、行動を通して真実を理解し、自分たち労働者の力のすごさに目覚める。「団結して闘えば勝てる」という確信は、行動を通してのみ獲得できるのである。
A人員不足を突いて反合・安全闘争を組織
現場の訴えに、資本の極限的合理化と搾取を暴露するすべてがある。
経営当局は「配置基準は満たしている」「人員不足は国のせいで、経営の責任じゃない」「募集はかけているが応募がない」「だから仕方ない」と常に問題をすり替える。当局は「診療報酬で金が入る最低限の人数配置」を言っているにすぎない。
休憩室はナースコールで飛び出す待機室と化している。始業時間前の情報収集から注射や薬の確認、前倒しサービス残業だ。「労基法も安全も守られていない。足りないものは足りない!」と声をあげよう。
日本看護協会の2年前の調査でも、2万人の看護師が過労死寸前とされていた。「安全」という資本・当局も表向き否定できない問題が深刻な危機に陥っているのに、体制内組合の「良心」に期待していては事態は解決しない。動労千葉の闘いが示しているように、安全は労働者の団結した闘いでかちとるものだ。
日本共産党傘下の医労連は、現場での闘いを放棄して「国への要請」に労働者の怒りをそらしてきた。しかし社会保障は労働組合が実力で闘って国と資本に強制した権利だ。これが組合幹部が新自由主義と闘わないことで奪われてきた。国の社会保障解体が「人員不足」の原因だとするなら、それと真正面から対決し、「反合理化・人員増やせ!」の実力闘争で奪い返そう。現場の怒りに立ちきり、当局の「仕方ない」デマ攻撃を打ち破り闘いを組織しよう。
B青年労働者を先頭に非正規職撤廃・賃上げを
増員・要員補充要求は、非正規化を許さず、職場に団結を組織する闘いだ。「募集しても応募がない」というのはウソだ。同じ仕事をしている低賃金・非正規雇用の仲間がいる。「全員を正規雇用に! あたり前に生活できる労働条件を出せ」と声をあげ、正規―非正規の分断を打ち破り団結を組織しよう。
青年を縛り付ける「自己責任」論を一緒に打ち破ろう。青年は未来そのものだ。彼らに「今を乗り切れば」という言い方は通用しない。青年の怒りが解き放たれ闘いが組織される時、人員不足の根本原因である資本主義の本質に迫り、根底的変革の闘いに発展する。
C反核・反原発と一体で闘おう
国と資本家は、停電ストなどを実力で闘った電産をつぶし、原発推進の電力総連に作り替え、労資一体で原発建設を推進してきた。国鉄分割・民営化の結果生まれた連合に支えられた菅政権は、「新成長戦略」で医療の産業化と原発輸出を推進してきた。福島原発事故はその一切の反労働者性をさらけ出し、新自由主義に対して労働組合がいかに闘うべきかをはっきりさせた。
核と人間社会は共存できない! 「安全な核政策」などない! 放射線治療に従事してきた医療労働者こそ声を大にして叫ぼう。労働者の被曝と無権利化(使い捨て労働)を前提にした原発など、絶対に認められない。即時廃止の闘いの先頭に立とう。「反原発」のうねりを、外注化反対・非正規職撤廃の労働組合を甦らせる闘いに発展させよう!
体制内勢力の支配破り闘う労組の再生へ
核心は、体制内勢力による労働者支配を打ち破りあたり前の労働組合を取り戻すことだ。
昨年4・9政治和解以降の労働運動の危機に、私たちは動労千葉を先頭に立ち向かい、国鉄闘争全国運動をスタートさせた。そして大恐慌と3・11大震災による階級情勢の大激変に間に合い、これをプロレタリア革命に転化する武器を握りしめ、労働者階級の巨大な革命的行動の中で飛躍する出発点に立っている。
すべての医療・福祉労働者のみなさん! 6・5国鉄集会に集まろう。反合理化・安全闘争、増員闘争を実力で闘える労働組合を職場に甦らせるための団結がここにある。そして、8・6ヒロシマ大行動と産別集会へ、全国の医療・福祉職場の団結を拡大しよう!
〔革共同医療福祉労働者委員会〕
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週刊『前進』(2489号4面1)(2011/05/30 )
5・22郡山 現地対策本部が街宣
原発停止と6・5集会訴え
福島第一原発から約50`のJR郡山駅前で5月22日、現地救援対策本部が大街宣を行った。6・5大集会と、6・19怒りのフクシマ大行動への参加を熱烈に訴えた。宮城からも多数の仲間が駆けつけ、30人を超える署名隊が駅頭を席巻した。
マイクをとった郡山で働く福祉労働者は「田植えをあきらめた農家、大切に育ててきた牛を殺処分に差し出した酪農家、住み慣れた家や思い出、子どもたちの夢や未来まで奪われた福島県民の悔しさを政府や東電は分かっているのか!」と怒りを爆発させた。そして「職場も家も田畑も、すべてを取り戻そう。労働者の団結、労働組合の持つ力、そしてすべての人が連帯することの中にこそ未来を開く力がある」と訴え署名への協力を求めた。
NTTで働く労働者は「すべてを奪った原発事故への回答は全国54基の原発、そして全世界の原発をすぐに止め廃炉にさせることだ。”おれたちの故郷(ふるさと)を返せ! 人間を返せ! 未来を返せ!”という声をこの福島の地からあげていこう」と呼びかけた。
JR郡山工場で働く労働者は「国鉄分割・民営化で『安全』を叫ぶ労働組合をつぶしてきたことが今のJRの不安全の体質をつくった。東京電力も同じだ。東電労組が現場労働者に被曝(ひばく)を強制し、会社と一緒に原発を推進してきた結果が今回の事故だ」と怒りを込めて語った。
駅頭を行く人が次々と立ち止まり議論の輪が広がった。「自分の彼が4月から原発に働きに行って連絡が取れない」という女性。「これから原発に働きに行く。若い者にやらせるわけにもいかないから」という60歳代の男性も全原発停止を求める署名に応じて「頑張ってくれ」と激励してくれた。文科省が学校現場に強制している「年間20_シーベルト」という被曝線量基準にも怒りの声が相次いだ。署名は2時間で340筆に達した。
当然にも福島現地の怒りはものすごく強い。他方で「原発は必要だ」と告げて署名を拒否する人も意外なほど多い。数人の高校生グループの中でも賛成、反対に分かれる。仙台から来た現地対策本部の仲間は「こんなにはっきり『原発賛成』と言う人は仙台ではいない」と感想を述べた。
福島県民の激しい怒りをなんとしても抑え込むために、地域反動や各地の教育委員会などが先頭に立って許しがたい重圧を加え大キャンペーンをしていることが街宣現場に立つことで肌身に迫ってくる。「原発政策の維持」とはこういうことなのだ。内乱的激突、階級戦争そのものだ。この反動を打ち破った時、怒りの爆発は間違いなくすさまじいものになる。
街宣を終えた参加者は駅前の会場に移動して現地救援対策本部会議を行った。初の福島県内での開催だ。それぞれの職場での前進や課題などが活発に出された。
神保美彦本部長は「福島の現地では原発をめぐる分岐がはっきりしている。しかし今の状況はまだまだ序の口。宮城でも福島でも、根底的なところで全労働者に生き方が問われる事態が本格的に始まるのはこれからだ。福島と宮城を始めとする被災地のわれわれが軸になって、さらに情勢を切り開こう。職場の仲間とともに6・5大集会に被災地から総力結集しよう」と討論をまとめた。
(写真 反原発署名の呼びかけに次々と討論の輪が広がった【5月22日 JR郡山駅前】)
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週刊『前進』(2489号4面2)(2011/05/30 )
放射能に未来を奪われてたまるか
6・19怒りの福島行動へ
福島の労働組合役員や農民による実行委員会が「6・19怒りのフクシマ大行動」への参加を呼びかけている。原発事故・放射能汚染と闘う仲間に連帯して、大挙駆けつけよう。(編集局)
放射能に未来を奪われてたまるか! すべての原発をとめよう!
6・19怒りのフクシマ大行動/参加と賛同を呼びかけます
福島第一原発の事故は、日を追うごとに深刻さを増し、危機的な状況が続いています。1号機のメルトダウンした核燃料が、圧力容器の底から溶け出していたばかりか、格納容器の損傷も明らかになりました。すさまじい量の放射能が大量の水とともに建屋の内外に流れ出しています。東電は、2、3号機についても同様の事態が想定されると発表しました。3号機は水温上昇が収まりません。収束のめどなど全く立たないのです。
原発から半径20`圏内が「警戒区域」として立ち入り禁止とされ、5万9000人が避難を強制されているなかで、飯舘村、川俣町からの「計画避難」が始まりました。
「種籾(たねもみ)に罪はないのに」と田植えをあきらめた農家。命よりも大事に育ててきた乳牛に「忘れないでね」と涙を流して別れを告げ処分に出す酪農家。「むなしくて悔しくて原発と東電が憎い」「この怒りをどこにぶつけたらいいか、東電と国が許せない。一揆ができたら」……。住み慣れた家も土地も思い出も、そして夢までも奪われた労働者、農民、漁民の悔しさ、怒りを政府と東電は本当にわかっているのか!
避難区域から外れた県北、県中の市町村でも放射能レベルは非常に高く、福島市内の中学校の校庭では、現在のチェルノブイリの3`圏内と同じ放射線量が検出されています。楽しみにしていた遠足も運動会も中止、部活動も廊下で。エアコンもない教室の窓を閉め切って授業をしろと通達を出しながら、「ただちに健康に影響はない」と無責任に言い放つ文科省や御用学者への生徒、親、教職員の怒りが沸騰しています。
これから半永久的に目に見えない放射能にさらされて暮らしていかなければならない不安と恐怖、そして将来の子どもたちに負の遺産を遺(のこ)してしまうことへの後悔に、私たちの心は激しく痛みます。
しかし、立ち止まっていることも、現実から逃げることも許されません。今こそ怒りを解き放ち、闘い前進すべきときです。
人類と核は絶対に共存できません。なんとしても世界中のすべての原発と核兵器を廃絶しなければ、子供たちの未来は失われてしまいます。「放射能に私たちの未来を奪われてたまるか!」「全ての原発を直ちに停止し、廃炉にしよう!」という大運動をまきおこしていかなくてはなりません。
「原発は安全でクリーンな未来のエネルギー」と宣伝してきた政府もマスコミも、大学教授も裁判所も、みんな大うそつきだったことが誰の目にも明らかになっています。行政を誰も信用しなくなっています。
求められているのは、社会のあり方を根本的に変えることです。社会を私たち労働者人民の手に取り戻すときです。絶望しているヒマなどありません。行動に次ぐ行動を、闘いに次ぐ闘いを組織していくときです。
利益最優先という資本主義の原理が、核兵器と原発という人類とは相容れないものを生み出しました。原発建設を国策として推進してきたのは、国鉄の分割・民営化を行った中曽根政権以来の新自由主義です。労働組合運動の後退とともに、「効率」と儲(もう)けだけを求めた外注化、非正規化が激しく進み、安全思想そのものが労働現場から一掃されていきました。その結果起こったJRの尼崎事故も今回の原発事故も根っこは同じです。
そもそも原発は、多くの非正規労働者による被曝(ひばく)労働で成り立ってきました。現在も、まともな安全対策もとられないまま過酷な労働条件のもとで、事故をとめるために動員され、ついに死者まで出ています。
原発を政府・資本と一体となって推進してきた労働組合(連合)の責任は重大です。被曝労働を労働組合が容認しなければ、そもそも原発は建設されなかったはずです。
原発をつくるのも、動かすのも、そして止めるのも労働者です。労働組合が本来の姿を取り戻すことが、現実に原発を止めることにつながります。労働組合が農民、漁民、すべての住民の怒りとむすびつき、ひとつの力となって闘う先頭に立つこと、これこそ、「フクシマ」を繰り返さない道です。
大震災で膨大な田畑と漁港が津波で流失し、空、海、土壌への放射性物質放出は農業漁業を壊滅の危機に追い込んでいます。東北の部品工場群の被災は主要産業を停止させ、大失業は全国に拡大しています。100万人になろうという震災解雇を絶対に許してはなりません。反原発と反失業の闘いは完全に一体です。労働者とすべての民衆の連帯と団結だけが未来を開く力です。
6月19日、私たちはすべての労働者、農民、漁民、学生、市民の怒りの総行動を福島現地でたたかいます。福島の怒り、全国の怒りをひとつに、東電現地対策本部、政府現地対策本部への怒りのデモを行います。全県、全国からの参加と賛同をよろしくお願いします。ともに闘いましょう!
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■主催 6・19フクシマ大行動実行委員会
■呼びかけ人 清野和彦(元福島県教職員組合委員長)/鈴木光一郎(酪農家、ネットワーク「ゆい」・福島)/市川潤子(ふくしま合同労働組合執行委員長)/橋本光一(国労郡山工場支部)/渡辺馨(福島県労働組合交流センター代表)/小関恭弘(置賜百姓交流会)/石田真弓(東北大学学生自治会委員長)
■連絡先 生きぬくために闘う!東日本大震災現地救援対策本部 福島市野田町6-12-26-303 090-2271-8514(事務局・遠藤) 仙台市青葉区藤松3−4 Kビル2F 022-276-1871
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週刊『前進』(2489号4面3)(2011/05/30 )
子どもをモルモットにするな
福島の怒り 文科省を直撃
20ミリシーベルト通知 撤回求め650人が交渉
「高木は出てこい」「20_シーベルト通知を撤回しろ」「子どもたちを守れ」――5月23日、文科省は母親・父親を先頭に福島から駆けつけた人びとの怒りに包囲された。「子どもたちを放射能から守る福島ネットワーク(子ども福島ネット)」が呼びかけた文科省行動に、福島からバス2台で70人、全体で650人以上が参加した。
4月19日に文科省が福島県教委に「20_シーベルト通知」を発して以降3回目の文科省交渉だ。
文科省の2階広場に福島から駆けつけた母親・父親・子どもたちが中心に陣取った。しかし、正面に用意された高木文科相の座席は空席。文科省科学技術・学術政策局次長の渡辺格に対して「私たちの声を聞く以上に大切な用事がどこにある」と怒りが噴き出し、「高木、出てこい」「高木、出てこい」と唱和する声が庁舎に響きわたった。
子ども福島ネットが高木文科相にあてて要請書を提出。「私たちの苦悩と悲しみがどれほどのものか、大臣はお分かりでしょうか。校庭には毎時数十〜数百マイクロシーベルトという恐ろしいほどの放射線を放つ場所が、何の管理もされずに放置されています。子どもたちは毎日毎日学校で被ばくさせられています。このような異常な状態を作りだしたのは大臣、貴省が出した”子ども20_シーベルト基準”によるのです。私たちの我慢ももう限界です」。幼い娘とともに参加した母親は、読みながらこらえきれずに涙を流した。
そのマイクを引き取って、小中学生の父親が「@20_シーベルト通知撤回、被曝低減策を行え、A授業停止や避難の実施、経済支援、B校庭削土などの除染作業、高放射線区域の隔離、C給食食材の配慮など内部被曝防護策の徹底、D全費用を国が負担し、東電に請求せよ」などの5項目を求めた。
怒りに包囲される中、文科省の渡辺は「文科省は20_シーベルトを安全基準としていない」などとペテン的に言いながら、肝心の通知撤回は絶対に認めない。「福島の子どもたちは毎日放射能を浴び続けているんだ」「福島の子どもたちをモルモットにするのか」。「撤回、撤回」と唱和する声が庁舎を揺さぶる。
渡辺が「できるだけ被曝を少なくする努力は必要」と言うと、「文科省は低減策を何一つやってないじゃないか」の声が飛ぶ。「独自に除染をした自治体もある。子どもを守るため自治体も親も必死なんだ。東電と国の責任じゃないか」
「『文科省が大丈夫と言っているから』と校長が運動会をやると言っている」「自分の子どもが放射線を浴びたらどうなんだ」。予定の1時間を過ぎても必死の訴えが続き、交渉は2時間を超えた。すると同席した民主党衆院議員・川内博史や同参院議員・森裕子が「『1_シーベルトを目指すのが文科省の方針』と認めたんだから大きな前進。交渉を終えよう」と制動をかけた。「だめだ、撤回しなきゃ帰れない」「撤回まで居座ろう」という声が上がる。
最後は子ども福島ネットの代表が「今日、決めて欲しかった。残念でしょうがない」と述べ、あらためて要求事項を確認し、ただちに実施するよう文科省に強く迫った。
その後、参院議員会館に会場を移して院内集会を行い、500人を超える参加者に、福島からの参加者が地元の深刻な現状を訴えた(別掲)。
福島から、とどまることのない根底的で巨大な怒りの決起が始まった。4・19通知撤回へさらに闘おう。国鉄闘争全国運動の6・5集会には福島からも大挙駆けつけてくる。福島の怒りとつながって、すべての原発の停止・廃止へ闘おう。
(写真上 福島の母親・父親を先頭に650人が駆けつけ、「子どもに被曝を強いる20ミリシーベルト通知を撤回しろ」と文科省に怒りをたたきつけた【5月23日】)
(写真下 「子どもたちは毎日放射能を浴びているんです。撤回を今すぐ決めてください」と迫った)
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週刊『前進』(2489号4面4)(2011/05/30 )
福島の親たちの訴え
●福島市の女性 娘が小5。福島は盆地で夏はすごく熱い。二本松市は全校を除染してエアコンを入れると決めた。福島市の教育委員会に「全校を除染してエアコンを入れて欲しい」と電話したら「国の援助がないと予算的に難しい」と言われた。それなのに今日の文科省はあんな回答で、残念で仕方ない。でもこれだけ支援してくれる人がいることがうれしい。
●郡山市の女性 4歳児と1歳児と4カ月の子どもを持つ同級生の手紙を預かった。「原発を造る時は巨額を注ぎ込めるのに、事故が起こった後始末にはお金をかけられない。一部の人間の欲や金もうけのために福島の子どもたちが被曝している悲劇を分かって欲しい。『国が子どもを殺した』と言われる前に目を覚まして欲しい」。彼女は子どもが3人いて身動きが取れず毎晩泣いている。避難すると言うと家族に「なぜそこまで?」と言われけんかが絶えない。人間関係すべてが壊れる前に、一刻も早く国で責任を取って欲しい。
●福島市の男性 娘が小1。市の教育委員会に「学校の線量は測ったのか」と質問したら、「測ってないけど入学式はやる」と言われ、泣く泣く入学式を迎えた。娘の学校は校庭が1・9マイクロシーベルト以下であれば屋外活動をやっている。先日は田植えも。この現実を止めたくて東京に来た。
●福島市の女性 子どもは高3と中2、小4の3人。通知の前は校庭の活動を自粛してもらっていたが、3・8マイクロシーベルトという通知が出たせいで3・1の校庭で体育の授業をさせられている。家では少しでも被曝しないよう県内の食材も食べさせていないのに、なぜ国によって人為的に被曝させられなければならないのか。5年後、10年後に子どもたちに「どうしてあの時、止めてくれなかったの」と泣かれた時に何と言ったらいいのか。「国がこう言ったから、あなたたちはがんになったのよ」と私は言いたくない。だから自分のできることをしたい。
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週刊『前進』(2489号4面5)(2011/05/30 )
「軽減」は口ばかり
文科省 表土除去も行わず
5月23日の文科省交渉で、渡辺は「できる限り放射線量を減らしていくことが適切」と繰り返した。しかし、文科省は放射線量を低減するために何もしていない。
焦点の一つが校庭の表土だ。4月27日には郡山市が独自に校庭の表土を削る作業を始めた。しかし除去した土を持っていく場所がなく、校庭の一角に積み上げブルーシートをかけて放置されている。翌28日には文科相・高木が「土や砂を入れ替えなくてもいい」と除去作業を非難した。
5月1日には福島市や郡山市の市長が高木を訪問し、校庭の土の除去費用を支援することや空調設備の整備、学校への放射線量測定器の配備などを求めたが、汚染土の行き先は決まっていない。
文科省は5月11日、「校庭・園庭における空間線量低減策について」という事務連絡を発し、校庭の表土について@表層を5a取り1カ所にまとめて地下に埋める、A表層10aと下層20aの土を入れ替える、という2方式を提示した。国は費用も負担せず、実施は各自治体の判断次第だ。汚染土を地中に残す危険性と並んで、原発事故がいまだ収束していない以上、上下を入れ替えても表土は再び汚染される。何の解決にもならない。
文科省は子どもの命のことなどひとかけらも考えていない。あるのは「一切金をかけない」という結論だけだ。最悪の原発推進省庁・文科省は全人民の敵だ。パートナー路線で闘いを裏切ってきた日教組本部も同罪だ。現場からの決起で日教組本部を打倒しよう。
(写真 郡山市立薫小学校の校庭に放置された汚染土)
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週刊『前進』(2489号4面6)(2011/05/30 )
5月17日〜23日
普天間の期限内移設を断念/オバマが新中東政策
●政府・東電が工程表 政府と東京電力が福島第一原発事故の収束や避難住民への支援策をまとめた工程表をそれぞれ発表した。東電は当初の工程表で示した6〜9カ月で収束という目標は変えず。政府は被災者への損害賠償を今秋をめどに開始するとし、警戒区域の解除時期は明示せず。(17日)
●菅首相が記者会見 菅首相が記者会見で、発送電の分離や原子力安全・保安院の独立など、エネルギー政策の見直しを表明した。他方で定期点検中の原発の再稼働も明言した。(18日)
●参院が憲法審査会規定を制定 憲法改正原案を審議する参院憲法審査会の規定が可決・成立した。衆院では09年に成立しており、衆参両院で改憲への制度が整った。(18日)
●米中が合同演習実施で合意 マレン米統合参謀本部議長と訪米中の陳炳徳中国軍総参謀長が共同記者会見し、災害支援や海賊対策の合同訓練実施で合意した。制服組トップ同士の電話によるホットラインも設ける。(18日)
●米軍機訓練地に馬毛島を検討 防衛省が米軍厚木基地から岩国基地へ移転する米空母艦載機の離発着訓練の候補地として、鹿児島県の馬毛島を検討していることが分かった。(19日)
●オバマ大統領が中東政策で演説 オバマ米大統領が中東・北アフリカ政策に関する包括演説を行い、エジプト、チュニジアへの経済支援を行うと発表した。またイスラエルとパレスチナとの2国家共存のため、67年第3次中東戦争以前の境界線を国境の基準として入植地から撤退するよう、イスラエル側に譲歩を求めた。(19日)
●普天間移設の14年期限先送り 北沢防衛相が記者会見で、2014年までに米軍普天間飛行場を名護市辺野古に移設するとした日米合意を「実効性がない」として、期限内移設の断念を正式に認めた。(19日)
●米軍が通告なしで降下訓練 米空軍嘉手納基地の第18航空団がパラシュート降下訓練を嘉手納基地上空で実施した。日本政府・沖縄県・周辺自治体への事前通告は一切なく、訓練の恒常化が懸念されている。(20日)
●米が新型核実験実施 米が昨年11月と今年2月の2回にわたり、プルトニウムを使い核兵器の性能を調べる新型の核実験を実施していたことが分かった。(21日)
●日中韓首脳会談、原子力・防災協力で合意 中国の温家宝首相と韓国の李明博大統領が来日、菅首相とともに福島を訪問した後に首脳会談を行い、原子力の安全や防災面で協力を強化する宣言を発した。(22日)
●米国務次官補が日米合意推進を再確認 キャンベル米国務次官補が来日し2プラス2に向け日本側と協議、米政府として、普天間を辺野古に移設するとした昨年5月の日米合意を引き続き推進すると明言した。(22日)
●下地島空港の有事利用を提案 北沢防衛相が国際的な大規模災害に対する緊急時の拠点として、下地島空港の利用を沖縄県知事に提案した。災害時に自衛隊や米軍が同空港を使用できるようにする。(23日)
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週刊『前進』(2489号4面7)(2011/05/30 )
日程 6・19怒りのフクシマ大行動
放射能に未来を奪われてたまるか!
すべての原発をとめよう!
6・19怒りのフクシマ大行動
日時 6月19日(日)午後1時〜 (午後3時デモ出発予定)
場所 福島市・街なか広場(JR福島駅東口徒歩5分、栄町交差点)
主催 6・19フクシマ大行動実行委員会
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週刊『前進』(2489号5面1)(2011/05/30 )
6・5国鉄集会から6・11反原発行動へ
5・20弾圧粉砕しプロレタリア革命勝利への大前進かちとろう
マルクス主義学生同盟中核派
5月20日の三里塚・天神峰現闘本部裁判控訴審における仮執行付き超反動判決、その後の抗議行動に対する50人逮捕という大弾圧を、われわれは徹底的に弾劾する! 学生戦線はその反撃戦の最先頭で決起する。5・29緊急現地闘争の高揚の上に、6・5国鉄大集会そして6・11反原発全国100万人行動への大結集をかちとろう。そしてその激闘のただ中で、4〜5月闘争の勝利の前進を踏まえ、強靭(きょうじん)な革命党と学生自治会の一体的な建設に挑戦しよう。
(写真 1万5000人が渋谷で5・7反原発デモ。次は6・11だ!)
反戦の砦=三里塚こそ階級の激突点
第一に、5・20大弾圧は、日本階級闘争がもはや抜き差しならない「革命と反革命」をめぐる大激突に突入したことを告げ知らせている。
その本質は一つに、日本帝国主義ブルジョアジーが「3・11情勢」(大震災−大失業−原発事故)の中で、根底的怒りをもって立ち上がる労働者・学生、農漁民と革命派が結合することに恐怖しているということだ。敵階級は大恐慌−原発事故に対して「もはや生きていけない」という怒りが広範に広がり、それは必ず現体制の変革にまで行き着くことを強烈に認識している。それゆえに、予防反革命的に三里塚勢力と三里塚闘争の暴力的解体に踏み出してきているのだ。
二つに、三里塚闘争が支配階級との最も激しい攻防点として押し上げられているということだ。重要証人への反証もなければ実地調査もなしでの仮執行付き判決など、もはやブルジョア的法規範すら敵の側から踏み破ってきているに等しい。しかし三里塚闘争と反対同盟は45年の歴史の中でこうした国家権力の全体重をかけた攻撃をはね返し、今なお「反戦・反核」であり絶対反対の実力闘争の砦(とりで)としてそびえ立っている。三里塚闘争は5・20弾圧を粉砕し、福島−沖縄の怒りと結合してさらに前進する。
三つに、われわれは三里塚闘争と一体で6・5国鉄大集会と6・11反原発行動の大爆発をかちとることによって、弾圧を粉砕して敵の意図をくじき、「3・11情勢」を一挙に革命情勢へと転化できるということだ。弾圧は敵の凶暴化であると同時に、それでしか闘いを抑えられない弱さの表れだ。起訴策動など絶対に許さない。「5・20」で日帝支配階級との関係がもう一つ転換したことを見据え、弾圧粉砕の大反撃戦を組織しつつ、6・5−6・11への一大組織戦を闘おう。
原発大事故=「政治休戦」と闘いぬこう
第二に、福島原発事故は「収束」どころか日々破滅的事態として進行し、われわれはこの情勢の一切を労働者・農民・学生の怒りの組織化と革命的大衆行動の形成に向かって絞り上げていかなければならない。
一つに、「フクシマの怒り」は菅政権と東電資本を焼き尽くしていく根底的なマグマとして爆発している。それは、「国家による殺人行為」に対する怒りだ。放射能汚染によって福島を人間が居住できないような汚染地帯へとたたき込んでいる上に、「20_シーベルト」基準によってさらなる被曝(ひばく)を子どもたちに強制している。現地からの抗議に対しても一切耳を貸さず、ひたすら「人体に影響はない」を繰り返す。「フクシマの怒り」は菅政権とは非和解であり、その中に日帝打倒にまで突き進むエネルギーが宿っている。
二つに、電力・原発労働者に強制されている被曝労働は深刻であり、ここに原発のみならず「賃労働と資本」の矛盾の一切が凝縮している。「原発過酷作業」(5月14日付毎日新聞)、「内部被曝検査わずか1割」(5月18日付読売新聞)
5月14日に下請け作業員が殺されたことを契機に、被曝労働の実態が次々と明らかになっている。原発は「平常」に運転されていても被曝は不可避であり、事故ともなればまさに殺人的な量の放射線を労働者に浴びせるのだ。とりわけ矛盾の集中点は非正規労働者だ。電力・原発労働者の怒りの反乱をこそ組織しなければならない。
三つに、福島原発1〜3号機のメルトダウン(炉心溶融)が明らかになったことで、事態はまったく新たな展開に入った。事故から2カ月以上たって東電が発表した分析結果によれば、1号機は地震発生から15時間、2号機は101時間、3号機は60時間後にメルトダウンし、溶け出した燃料は圧力容器のみならずその外側にある格納容器までも損傷させているという。そこから、高濃度汚染水が漏出してもはや処理不能なレベルの膨大な量になっている。菅政権の「6〜9カ月で収束」の大宣伝など破産してさらに事態は拡大していくということだ。
四つに、菅政権が大震災と原発事故という歴史的事態をも逆テコにして、開き直り的に大資本攻勢で労働者人民に襲いかかってきていることだ。そして、既成潮流はそれに完全屈服している。とりわけ、菅政権が大震災情勢に乗じて、人事院勧告なしの国家公務員給与の5〜10%削減に踏み出し、連合系労組は早々とそれをのんだ。
総じて、「復興」「政治休戦」イデオロギーと真正面から対決し、@帝国主義・資本主義の打倒の中にのみ事態の真の解決はあること、A労働者人民の団結こそが展望を切り開く力であることをはっきりさせ、不屈に組織戦を闘うことだ。この敵のイデオロギー攻撃に勝ち抜くことに、6・5−6・11の大爆発をかちとっていく環がある。
新自由主義攻撃を粉砕し日帝打倒へ
第三に、大恐慌の深化がますます「戦争と大失業」攻撃として現れていることだ。2011年冒頭からの革命情勢はいよいよ加速している。
一つに、米帝危機が深刻化していることだ。16日、米政府の総債務残高は法定上限の14兆1940億j(約1156兆円)に達し、国債デフォルト(債務不履行)の危機の中で公務員年金を取り崩して使い回すという綱渡りの状態に入った。
二つに、であるからこそオバマ政権は革命情勢の圧殺に全力でのり出していることだ。5月19日のオバマの「中東演説」の核心は、一方で、エジプト・チュニジアを先頭に中東・北アフリカを席巻するプロレタリア革命に向かっての蜂起の大波をブルジョア的枠内に取り込んでいこうとするものであるとともに、他方で、「第3次中東戦争(1967年)以前の国境線」をパレスチナ人民に強制することによってパレスチナ解放闘争の決定的な変質を迫るものだ。そこには、中東から始まった革命が軍事基地国家=イスラエル体制を粉砕し、帝国主義本国におけるプロレタリアートの決起と結びついて世界革命にまで発展することを何としてもたたきつぶそうという意図が貫かれている。
三つに、日帝・菅政権は「最弱の環」としてあえぎ、そして凶暴化していることだ。大震災と原発事故は日帝経済を直撃し、階級支配の危機と一体で甚大な経済危機を生み出している。とりわけ、サプライチェーンの崩壊で自動車製造が急降下することによって、4月貿易収支は31年ぶりの赤字(4637億円)に転落した。そこに加えて、帝国主義間争闘戦の激化が日帝ブルジョアジーを締め上げている。
四つに、繰り返し確認しなければならないことは、われわれはエジプト・チュニジアから始まったプロレタリア革命に向かっての奔流の中にいるということだ。帝国主義支配は絶対であるどころか脆弱(ぜいじゃく)であり、今こそ帝国主義本国における「反帝国主義・反スターリン主義世界革命」を掲げた労働者階級の決起が世界史を転換させていく歴史的情勢の中にあるのだ。
第四に、この激動情勢を革命に転化していく決定的方針としてわれわれは6・5国鉄大集会−6・11反原発大行動を提起している。あらためて、その歴史的意義をはっきりさせたい。
6・5−6・11は一つに、新自由主義の破産(大失業−原発事故)に対する日本労働者・学生・農民の巨大な反乱の開始であるということだ。「真の敵は資本主義である」、この真理が闘いと経験を通して急速に大衆的認識となりつつある。それはまた、「原発はいかにして廃絶できるのか」への回答でもある。危機にのたうつ菅政権がより一層の新自由主義の貫徹によって延命しようとしているからこそ、われわれは日帝ブルジョアジー批判を強め、5・20大弾圧を先端にしたあらゆる攻撃への怒りの表れの一切を6・5−6・11大結集へと束ねていかなければならない。
二つに、6・5−6・11の両闘争は完全に一体であるということだ。動労千葉を先頭にした6・5大結集の力を基盤にわれわれが独自の組織と運動をもって全力で6・11に登場していくことが、歴史的な反原発100万人行動を実現する。逆に日本の労働者・農民・学生が100万人規模で行動を開始しようとしている情勢をつかみきることで、その最も戦闘的階級的勢力の登場として6・5集会成功の絶対必要性が明らかになる。われわれはこの連続闘争を一つのものとして闘うことで、階級的労働運動潮流と革命的労働者党の大躍進を実現しよう。
三つに、昨年の「4・9政治和解」攻撃と対決し国鉄1047名解雇撤回闘争を前進させてきた動労千葉と国鉄闘争全国運動を軸にして、闘う労働組合を甦(よみがえ)らせていく闘いだということだ。「4・9政治和解」こそ「政治休戦」イデオロギーの原型だ。国鉄闘争の復権を中軸にしてこそ、4大産別−全産別−全労働者階級(全人民)の総決起をかちとることができる。
四つに、青年・学生こそがその主体だ。大失業−原発事故によって青年・学生は未来を奪われようとしている。職場における青年労働者、キャンパスにおける学生の団結をつくり出していくことが、6・5−6・11決戦の最大の獲得目標だ。
巨大な大衆行動で学生自治会建設を
第五に、われわれは6〜7月の激闘のただ中で、一方におけるマルクス主義学生同盟中核派の建設とともに、全国大学キャンパスに学生自治会を建設(復権)していく挑戦に打って出る。学生自治会建設方針こそが、「3・11情勢」のもとで闘う労働組合を甦らせる闘いと並んで、プロレタリア革命を実現していく決定的なテコとなる。
一つに、新自由主義攻撃と対決する学生自治会(もしくは労働組合)の復権とは、ストレートに帝国主義打倒と革命のテーマそのものだ。新自由主義攻撃の核心は団結破壊にあり、帝国主義は1974−75年世界同時恐慌と過剰資本・過剰生産力状態の露呈によって歴史的限界性を突きつけられて以来、自らの矛盾の一切を労働者民衆に転化し、その怒りを体制内勢力と一体となって抑え込むことによってかろうじて生き延びてきた。つまり、闘う団結体が破壊されているという一点において現代帝国主義の凶暴な支配は成り立っているのだ。よって、新自由主義への大衆的・原始的怒りを原点に建設される学生自治会は、「大学を帝国主義打倒の革命の砦に!」の実体そのものとなる。
二つに、学生自治会建設は国家権力・資本・大学当局との死闘のただ中でこそ実現されるということだ。かつての戦後直後の全学連結成(1948年)が、「大日本帝国」崩壊と食糧危機の中で2・1ゼネストにまで上りつめた労働者人民の決起と並行して進んでいったように、21世紀現代における学生自治会建設と全学連運動の復権は、階級的労働運動潮流と一体となって、目の前の資本の支配と徹底的に闘って闘って闘い抜く中から、とりわけ新自由主義大学による原発翼賛−学費による支配−団結破壊を打ち破る中から生み出されてくる。
三つに、学生自治会権力をキャンパスに打ち立てることは、ブルジョアジーや既成潮流との熾烈(しれつ)な党派闘争であるということだ。であるからこそ、権力樹立に向かっての指導部=リーダーの形成と、学生全体を獲得する多数派精神こそが求められている。
四つに、学生自治会建設に向かっての強烈な目的意識性はまさに「革命をこじ開ける執念」そのものであり、革命的労働者党の指導と路線こそがその中軸に確立されなければならない。強靭なマル学同建設、それを基礎にした戦闘的大衆行動の組織化こそが学生自治会建設を可能にしていくのであり、全国300万学生を組織する学生自治会建設に向かっての目的意識的営為の中でこそ学生共産主義者を獲得できる。
法大闘争5年の激闘の地平の上に、何よりもキャンパスにおける反原発闘争の嵐のような展開の中から学生自治会建設へ! 6・5−6・11をその突破口に!
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週刊『前進』(2489号5面2)(2011/05/30 )
福島1、2、3号機メルトダウン
津波の前に原発器機は損傷
福島原発事故で、原発と人間社会は共存できないという根本問題が日々明らかになっている。
1号機に続いて2、3号機でも完全な炉心溶融(メルトダウン)が起きていた衝撃の事実が判明。2000度以上の高温でどろどろに溶けた核燃料が炉心(圧力容器)の底を溶かして格納容器内に落下し「格納容器の破損も確実」(17日付朝日新聞)だ。コンクリート建屋はすでに水素爆発で吹き飛んでいる。大量の放射性物質が一挙に放出された。
東電が「6〜9カ月で収束させる」とした「工程表」は「砂上の収束計画」でしかない。東電のデータからだけでも「少なくとも10年以上の時間がかかる」(朝日新聞)と見られている。
さらに、1〜2号機の原子炉冷却に使う純水タンクの配管が、地震によって損傷していたことが判明した。津波が来る以前の段階で大事故が発生していたのだ。
「想定外」という弁明自体も大うそだった。経産省所轄の「原子力安全基盤機構」が07年度の報告書で「15b以上の津波がきた場合、ほぼ100%の確率で炉心損傷まで至る」と解析していた(15日付毎日新聞)。
ここまで危険を認識しながら原発の運転を続け、新たな原発建設を次々と進めてきたのだ。まさに国家犯罪である。
浜岡原発の運転停止など、意識的ペテン的な予防反革命だ。むしろ原発を推進する宣言だ。
浜岡原発付近には、過去に一度の地震で最大2・8bの断層隆起が起きていたことも判明した(23日付東京新聞)。帝国主義者はこんな場所に平気で原発をつくり続けてきたのだ。浜岡原発付近でこうした規模の地震が発生する確率は「むこう百年で87%」と認定されたが、即時廃炉以外にどんな「地震対策」も意味がないのである。炉が停止中でも原子炉全体が破壊されるという問題だ。
実際、浜岡原発の運転停止作業中に、5号機の破損で5dの海水が流入した。またその前には、4月7日の最大震度6を記録した余震で、六ケ所村再処理工場と東通原発、女川原発で電源喪失が起こり、非常用電源や予備電源への切り替え、冷却不能=大事故寸前という事態が起きていた。
5月9日には敦賀原発2号機で、放射性ガスが7時間にわたって漏れ、そのために運転停止しているところに17日火災が発生している。震度4以上の地震が起これば、大津波など来なくても、「第2、第3の大原発事故」が起こる危機があるのだ。
また原発労働者の被曝問題は深刻だ。すでに事故前の限界基準だった「100_シーベルト」を超えて働いている労働者が30人もいる。下請けや孫請け労働者は、いまだに放射線管理手帳への正確な記載もないという(20日付毎日新聞)。
内部被曝問題はさらに深刻だ。福島の現場に従事する労働者のうち検査を受けられた人はわずか1割だ。免震棟も含めて空気中の放射線量が高すぎ、内部被曝を計測する機材が機能しないという。別の原発(柏崎など)に出張させて計測できた労働者は、最も高い人で240・8_シーベルトに達し、うち39%は内部被曝だった。まさに国家的な殺人行為だ。
怒りを爆発させ、「全原発の即時停止・廃炉」を掲げて、6・5国鉄大集会〜6・11反原発百万人大行動へ!
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週刊『前進』(2489号5面3)(2011/05/30 )
「原発」で大動揺の日共
「原子力の平和利用」論は不変 反核運動に敵対し続けた歴史
日本共産党の志位委員長は5月1日の全労連メーデーで、それまでの「原発総点検、原発新増設の中止」などという主張を手直しし、「原発からの撤退を決断すること、原発をゼロにする期限を決めたプログラムを策定することを強く求める」という政策を打ち出した。
これまで、「今すぐ原発を止めろと言うのは無責任」(4月2日付朝日新聞)と言ってきた志位は、福島第一原発事故に対する労働者人民の怒りの爆発の前に、情勢からたたき落とされる危機を感じて、焦りに満ちた手直しを行ったのだ。路線転換の幻想を振りまき、反原発闘争の高揚に介入し、闘いを歪曲し抑圧することを狙っている。
だが、その正体は、依然として「安全最優先の原子力政策」の枠内であり、「安全」と「原子力」という絶対に相いれないものを結びつけるインチキなものだ。
「ソ連核実験は防衛的」と擁護
そもそも日本共産党は、スターリン主義として、第2次帝国主義世界戦争を「民主主義対ファシズムの戦争」と位置付け、広島・長崎に原爆を投下したアメリカ帝国主義を「解放軍」として歓迎し、また戦後のソ連の核開発、原発開発をもろ手を挙げて賛美してきた党派である。ソ連と中国の核実験を擁護して原水爆禁止運動を分裂させたのも日共である。
米帝が原爆という皆殺し兵器を開発し、使用したことは、帝国主義の非人間性の極致であり、もはや労働者階級の力で帝国主義を全世界的に打倒する以外にないことを教えている。ところが、プロレタリア世界革命を裏切ったソ連スターリン主義は、戦後のヤルタ・ジュネーブ体制の中で、帝国主義の世界支配の補完物に転落した。彼らが労働者の闘いを圧殺し、帝国主義と張り合う核開発に走ったために米ソの途方もない核開発競争が繰り広げられた。日共は「ソ連、中国の核実験は防衛的なもの」と言って擁護し、この核開発競争を推進したのだ。「防衛的な核」という思想は、帝国主義の「核抑止力」論と同一である。
日共は、09年4月のオバマ米大統領のプラハ演説「核のない世界」を絶賛し、核兵器廃絶が帝国主義者の手によってなされるかのような幻想を振りまき、現実には米帝の核独占と、北朝鮮やイランなどに対する核戦争挑発を擁護した。このように日共は、核に対する態度において戦後ジグザグの動揺を繰り返してきたが、一貫しているのは、労働者階級の闘いの中に世界を変える力があるということに徹底的に敵対してきたということだ。
「核を発見した人類史的意義」
原発に対して日共は、一貫して「原子力の平和利用」を積極的に容認する立場で認めてきた。現実の原発に反対する場合も「未熟」とか「危険」と言って反対したに過ぎず、原発絶対反対、全原発撤去・廃炉の立場に立ったことは一度もない。
最近も不破哲三(前議長)は、「核エネルギーの発見は、火の発見につぐ人類史的意義をもつものでしたが、人類にとって不幸なことは、その利用が戦争目的で始まったことでした」(5月10日)と語った。彼は一貫して「核エネルギーの平和利用に人類が英知を結集すれば、新しい展開が起こりうる」という立場で、核との共存を構想しているのだ。
日共は、日帝の原発推進政策(日帝の国策)が核武装の偽装形態であることを一度も問題にしたことがない。それ自体が原発の追認だ。彼らの原水禁運動でも、原発はテーマにならなかった。
また、日本の原発が、戦後の電産の戦闘的労働運動への弾圧、電力9分割(国鉄分割・民営化のモデルだ)を通して初めて可能となったという歴史の総括はまったくやらない。労働組合、闘う労働運動の圧殺の上に福島原発事故があるのだ。
「資本主義の枠内改革」に固執
問題は、日帝の新自由主義攻撃が大恐慌と大震災で完全に破綻し、帝国主義として成り立たない危機に直面しているこの情勢のもとで、日共が「資本主義の枠内の民主的改革」という綱領路線にしがみつき、沈みゆく資本主義と自らの運命をともにしようとしていることだ。「国難を突破する」という菅と共通の土俵で、あれこれの提案を行うことで、労働者階級の根底的な怒りの決起に敵対しているのである。
「原発の全廃は資本主義の原理を破棄することを意味する。3・11をくり返さないためには、利潤第一主義の資本主義のあり方を転覆し、廃棄するしかない」(本紙2483号無署名論文)
3・11を「国難」として政府とともに資本主義を守り、復興する立場で原発についても「提言」する日本共産党は、生き抜くために立ち上がっている労働者階級の敵だ。
反労働者性、反革命性を極めた日共を打倒して反原発闘争の爆発へ!
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週刊『前進』(2489号5面4)(2011/05/30 )
法大裁判に集まろう
★暴処法弾圧裁判
第24回公判 6月2日(木)午後1時30分
東京地裁429号法廷
12時30分に傍聴券配布所に集合
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週刊『前進』(2489号6面1)(2011/05/30 )
5・20日比谷 裁判員制度廃止へ820人
“原発も裁判員もいらない”
「5・20を裁判員制度廃止記念日に!全国集会 日比谷」が5月20日夕、日比谷野外音楽堂で開催され820人が集会・デモを闘った。主催は裁判員制度はいらない!大運動。開会直前、三里塚大量不当逮捕の報が飛び込んできた! 裁判員制度も原発容認の判決も大量逮捕も同じやつらのしわざだ! 怒りがみなぎる中、集会が始まった。
冒頭、司会の滝沢ロコさんから835口の賛同が集まっていることが報告され、5・20集会呼びかけ人から今井亮一さんと織田信夫弁護士が発言した。
交通ジャーナリストの今井さんは、3月30日に東京高裁で千葉地裁の裁判員裁判で出された無罪判決が逆転有罪となったことなどを報告、「『国民参加』の裁判員裁判がましだと言われたきたが、従来の壁はそのままで国民参加というカラフルなスポンジを張り付けただけ」だと、裁判員制度のからくりを暴いた。
仙台の織田弁護士は、3・11大震災で中断した裁判員裁判について「被災地だけでなく全国的に即時停止するという発想があるべき。危険な原発も裁判員制度も『廃炉』にするために大声を上げて行動していこう」と即時停止・廃止を主張した。
集会のメインは2人の裁判員候補者の登場だった。福岡の「市民のための刑事弁護をともに追求する会」の吉田さんは、昨年12月に裁判員候補者通知が届いた段階で「拒否する」と回答したが、今年3月2日に裁判員選任のための出頭命令が来たと報告。出頭当日は「裁判員拒否」「裁判員制度廃止」のゼッケンを着け、裁判所前で「裁判員拒否宣言」を配布するところから始めて、裁判所の中で裁判官の質問を受ける時もゼッケン着用をし続け、「辞退ではなく拒否です」と拒否宣言を堂々と読み上げた。「拒否の闘いを貫きました!」と発言し、拍手に包まれた。
茨城の丹羽さんは、2010年の裁判員候補者で自ら実名と呼び出し状を公開している。5・3日比谷公会堂の憲法集会でビラを配っていると、職場にばれたら職を失うのではないかと問われたが、彼は「裁判員になったら死刑判決に加担させられるかもしれない。人殺しになるより、職をなくそうと構わない」と毅然(きぜん)と答えたと語り、最後に「相撲で言えば敵の両足が俵にかかっている。あと一押しを浴びせて砂かぶりにたたき落とそうではありませんか」と呼びかけた。こうした闘いが裁判員制度をとうとう存続の危機まで追い詰めた。
また、裁判員制度スタートから2年間で組合員5人と家族1人が裁判員候補者になったという動労千葉からは川崎昌浩執行委員が発言し、「労働組合の団結を破壊する裁判員制度には絶対反対。人の命を奪うかもしれないと悩み、守秘義務でがんじがらめにされたら電車を運転中に事故を起こしかねない。裁判員制度も原発もやめさせよう!」と呼びかけた。
呼びかけ人の高山俊吉弁護士が「けさのNHKニュースで裁判員裁判に参加してよかったと思う人が増えているなんて言っていたが、みんなが裁判員になりたくないと辞退する中であえて参加した人びとへのアンケートだから、自民党に投票した人に自民党の支持率を聞いているようなものになっている。裁判員制度という国策。国策の原発。この国策を廃止する力を私たちは持っている。みんなの力で裁判員制度を廃止しましょう」と力強く訴えた。
全国各地で裁判員制度廃止を闘っている人びとが壇上に勢ぞろいし、長崎から北へとそれぞれ地元での取り組みを報告した。地道な闘いが運動の広がりとなっている。圧巻だった。
デモは東京電力本店前を通り、銀座へ! 「人を裁くより、被災地を救援しよう!」「裁判員制度も原発もいらない!」のシュプレヒコールに、沿道から一緒に拳を突き上げる若者たち。女性たちも笑顔で手をふり、拳を突き上げて声援。街の反応がビビッドだ。5・15沖縄闘争のデモのようだ。原発への怒りと裁判員制度廃止がピタッとくる。みんなの気持ちが一つになっていた!
次はいよいよ6・5国鉄集会だ。
(写真上 裁判所と東京電力を弾劾し銀座をデモ行進【5月20日 東京】)
(写真下 全国各地で闘うグループが舞台に並び長崎、福岡、北九州、広島、大阪、東海、神奈川、埼玉、松戸、千葉、茨城が活動報告)
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週刊『前進』(2489号6面2)(2011/05/30 )
大阪府警の不当逮捕弾劾
関生・三里塚弾圧に続く攻撃
5月24日、大阪府警公安3課は、関西地区生コン支部への弾圧、三里塚闘争への弾圧と連動して、関西の党と労働運動に対する弾圧を強行した。一斉家宅捜索とA同志不当逮捕を断じて許さない。
わざわざこの時期に、4年前の交通事故の補償の件を弾圧のための口実として描きあげ、革命闘争に介入、弾圧しようという反革命的意図に塗り固められた凶行だ。
大恐慌のもとで発生した3・11大震災と福島原発事故は資本主義体制を崩壊の危機にたたき込んでいる。その中で労働者階級は、「政治休戦」を打ち破って、原発の停止・廃炉を闘い、震災解雇、とりわけ公務員解雇―道州制攻撃の全面的な開始に対する怒りの決起を開始している。
今回の弾圧は、これに震撼(しんかん)した資本・権力の断末魔のあがきだ。国鉄全国運動6・5日比谷集会の爆発がもたらす階級関係の革命的激変に対する予防弾圧だ。6・5集会3千人結集へ闘い、弾圧を粉砕しよう。大阪府警はただちにA同志を釈放せよ!
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週刊『前進』(2489号6面3)(2011/05/30 )
5・23狭山 石川さんと連帯し決起
1963年に起こった狭山事件の犯人にデッチあげられた石川一雄さんの「不当逮捕48カ年糾弾!第3次再審闘争勝利!5・23狭山闘争」が5月21、22日の両日、東京、大阪、広島で闘われた。民主党・連合政権を内側から支える部落解放同盟本部派は、国家権力に対する差別徹底糾弾で闘う狭山闘争を解体させる3者協議路線に引きずり込み、ついに大震災情勢下で5・23闘争を投げ捨てた。八尾市議選に勝利した地平で新自由主義と対決する部落解放闘争の新たな組織建設が、狭山再審をこじ開ける力だ。狭山闘争を解体し部落解放闘争を融和主義へと変質させる攻撃を打ち破り、不屈に闘う石川さんと連帯して闘われた各地からの闘いの報告です。(編集局)
東京 高裁糾弾に立つ 杉並・品川支部先頭に
東京での狭山集会は5月21日、部落解放東日本共闘会議の主催で開催され、杉並区立産業商工会館に71人が参加した。
解放共闘は前日、東京高裁への要請行動に続き、天神峰現闘本部裁判闘争を闘った。会場は、5・11関西地区生コン支部への12人逮捕に続く三里塚への反動判決と50人逮捕という大弾圧への怒りのるつぼと化した。直ちに全員奪還へ総決起することを誓った。
冒頭、解放共闘議長の田中康宏動労千葉委員長が主催者あいさつに立った。田中さんは「大震災以降、労働運動を始めあらゆる既成の運動が階級性を自己崩壊させているが、それは具体的な闘いの課題の放棄から始まる。そのとき差別が蔓延(まんえん)する」と説き明かし、「すべてが国家・資本と非和解になっている中で、差別裁判徹底糾弾の狭山闘争を復権させよう」と訴えた。
ともに闘う部落解放同盟全国連西郡支部と部落解放広島共闘会議のメッセージが紹介され、全国連杉並支部の田中れい子支部長が基調報告を行った。田中さんはまず、三里塚闘争と関西生コン支部への弾圧を弾劾。狭山再審闘争をめぐる情勢と八尾市議選勝利の意義を明確にし、「5・23闘争を投げ捨てた既成解同に代わり新自由主義と闘う部落解放闘争を発展させよう。国鉄闘争全国運動6・5大集会に大結集しよう」と呼びかけた。続いて全国の支援者にあてた石川さんの5・23メッセージが紹介された。参加者は差別裁判への怒りをたぎらせ再審・無罪へと奮い立った。
杉並区議選を闘った東京西部ユニオン執行委員の北島邦彦さんが特別報告。決意表明は、まず全国連2支部から。品川支部は3者協議路線を批判し「一切の妥協を許さず狭山闘争の復権へ闘う」、杉並支部は「これまでの部落解放理論を新自由主義と闘う理論につくりかえよう」と発言。さらに東京労組交流センター、動労千葉、動労水戸、西部ユニオン、全学連が決意を述べた。
最後に、解放共闘事務局次長の大西文夫西部ユニオン書記長が、国家と資本に対して高まる怒りの一切を6・5集会に結集させるため、全身全霊を込めてまとめと行動提起を行った。
(T)
(写真 田中解放共闘議長が主催者あいさつ【21日 東京・杉並】)
大阪 支部1千建設へ 住民が村内デモに呼応
関西狭山集会は5月22日、八尾市・桂人権コミュニティセンターで開催。部落解放同盟全国連西郡支部、八尾北医療センター労組、関西労組交流センターが主催し、180人が大結集した。
末光道正八尾市議の特別報告に続いて、石川一雄さんのメッセージが読み上げられ、西郡支部の岡邨(おかむら)洋支部長が基調報告を行った。
岡邨さんはまず、「関西地区生コン支部と三里塚闘争への大弾圧は追いつめられた日帝・菅政権の危機の現れだ。怒りの火の玉となって仲間を直ちに取り戻そう。国鉄闘争全国運動6・5大集会に結集しよう」と訴えた。そして「市議選で民営化の手先=解同本部派との闘いに決着をつけた」と勝利の地平を確認。「西郡の廃村=更地化は西郡支部と八尾北労組の団結をつぶすことを狙った、被災地とまったく同じ新自由主義による極限的攻撃だ」と怒りを込めて暴き、「ムラをあげた絶対反対の新たな大闘争で迎え撃ち、阻止しよう」と呼びかけた。また「解同本部派は震災『自粛』で5・23闘争を放棄し、全国連本部は関西では『学習会』と称して旅館に引きこもった」と弾劾、「私たちは『自粛』を打ち破り、石川さんと固く連帯し闘いぬいている。支部1千人建設の力で狭山再審をかちとろう」と確信に満ちた戦闘宣言を発した。
八尾北労組、八尾北命と健康を守る会、関西労組交流センター、全学連が決意表明。続いて支部青年部が登壇、佃文弘青年部長が「青年部はあらゆる分断・差別を打ち破り、新自由主義と真っ向から闘う新しい部落解放運動を突き進む」と烈々たる決意表明を行った。
集会後の村内デモは、青年たちのドラムと鉦(かね)、支部青年部のシュプレヒコールがリードした。これまで解同本部派の嫌がらせや脅しで公然とは出てこれなかった住民たちが続々と外に出てきて、手を振り声をかけてきた。選挙戦さながらの熱気だ。本部派によるムラの支配は根本から打ち破られた! 6・5集会から7・24支部大会へ突き進もう。
(全国連西郡支部 植村清)
(写真 4月八尾市議選で解同本部派のムラ支配を打ち破った解放感に満ちあふれ、村内デモを岡邨支部長を先頭にやりぬく【22日 八尾市】)
広島 “差別分断破る” 石川さんに応え決意新た
広島狭山集会は5月22日、広島市西区福島町の「いきいきプラザ」(旧西隣保館)で開催、主催した部落解放広島共闘会議の仲間35人が結集した。
冒頭、三里塚反対同盟と支援者に対する5・20弾圧を参加者全体で徹底弾劾した。そして石川一雄さんが全国の狭山支援者に発したメッセージが紹介された。
「48年に及び『犯罪者』のレッテルを貼ってきた司法権力を満腔(まんこう)からの怒りを込めて弾劾しなければならないと思っています。泣くも笑うも今年の闘いにかかっている」というメッセージは、解同本部派の「政治休戦」―5・23闘争放棄を鋭く撃つものだ。参加者は石川さんとともに今こそ差別・分断を打ち破り、権力と闘い抜く決意を固めた。東日本解放共闘と全国連西郡支部からのメッセージも読み上げられた。
広島解放共闘の代表が基調報告を行った。代表は「3・11大震災情勢のもとで激化する新自由主義攻撃、労働者階級への団結破壊攻撃を打ち破る部落解放闘争、狭山闘争の新たな発展が今こそ必要だ」と課題を鮮明にし、「震災解雇との闘いも反原発の闘いも、差別と分断を打ち破り資本と闘う団結、闘う労働組合の再生にかかっている」と核心を提起した。そして「国鉄闘争全国運動6・5大集会の大爆発をかちとり、8・6ヒロシマで反戦反核反原発の世界大会を」と訴えた。
続く決意表明では、広島東郵便局部落解放研究会が職場で非正規職労働者への雇い止めを阻止した闘いを報告。広島連帯ユニオン草津病院支部からは、組合破壊を目的とした刑事事件デッチあげと闘う青年労働者が、弾圧に屈せず闘い抜くと決意を述べた。動労西日本の大江照己委員長、自治体労働者、婦人民主クラブ全国協広島支部、星野文昭さんを救う会、全学連が発言した。
広島県労組交流センターの植野定雄事務局長が行動提起を行い、6・5へ残る2週間、全力で組織化することを確認した。
(広島 T・N)
(写真 狭山闘争の新たな発展へ労組再生誓う【22日 広島市】)
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週刊『前進』(2489号6面4)(2011/05/30 )
団結ひろば 投稿コーナー
沖縄闘争を闘って ありのままを伝える社会を 法政大1年 M
この2日間の沖縄闘争は私の意識改革となりました。
反原発・反基地に賛同しながら、まだ知識を持たず、時勢を知らず、明確に目標も持たないまま沖縄へ出向き、そして集会や交流会(宴会)を通しながら、今の沖縄の現状を咀嚼(そしゃく)しながら理解していきました。過去に起きた大戦争、その中に見えてきた大日本帝国の意図。国のために弱者を切り捨てたという事実が存在したことを確認しました。
さらに今の沖縄基地建設の現状、アメリカ基地の中に眠っている武装、原発の本来の目的。今また、過去に起こった悲惨な事実が、さらに残酷な形で再現されようとしていることを感じ取りました。
私が今回の学生運動に参加したそもそもの動機とは、今までに事実がただひた隠しにされていたことからです。
真実を隠したり、議題をすり替えたりなどせず、ありのままの事実に対して意見をぶつけあえる場をつくること。自主的に知識を吸収していき、それを自分の利益のためだけでなく全体の向上のために満遍なく使っていくこと。
何も知らない人びとに、人びとが知りたいこと、人びとが知るべきこと、人びとに知らせたいことをありのまま伝えること。これが私の考える社会の理想であり、義務であります。
この社会が実現するまで私たちは声を上げ、今の社会を否定しなければならない。これが私の意志であります。
沖縄闘争を闘って ひめゆり学徒の事実を学ぶ 広島大1年 S・H
5・15沖縄闘争に参加し、ひめゆり学徒隊について学びました。
彼女たちは、みな戦争で早期に勝利し再び学校で学ぶことができると思って戦地へ行きました。しかし実際に戦地でやらされたことは、糞尿(ふんにょう)の悪臭が立ちこめ、兵士の傷口に繁殖したウジ虫が肉を食べ動くクチュクチュという音や兵士のうめき声が響きわたる洞窟(どうくつ)の中で、傷の治療や兵士の傷口にたまったウジ虫を取ったり、兵士の腕や足を切り落とす刃の細かいノコギリで骨を切ったりする作業でした。真っ暗で、懐中電灯で照らしてもまだ暗かったそうです。しかし「暗かったからやっていけた。明るかったら耐えられなかっただろう」と言っていたほど、状況はひどいものだったといいます。
敗色濃厚となって解散命令が出された後、ひめゆり学徒隊の死者数はそれまでよりも圧倒的に増えたこと、さらに、日本兵により自決を強制されたことは、見逃してはならない事実であると再確認しました。
最後に、沖縄でガイドをしている人が「みんな沖縄に来て、沖縄はかわいそうだとだけ思って帰ってしまう」と、少し怒って言っていました。
確かに思うだけでは十分ではなく、こういった戦争の悲惨さを伝えていくことが大事であり、今度伝えるのは自分でなくてはならないと思いました。
福島原発に職求めて来た60歳男性の署名 東京 栗原ゆり
「福島の人たちとつながりたい」という思いで、5月22日に郡山駅前で行われた駅頭宣伝に参加した。すべての原発の即時停止・廃止を求める署名を呼びかけると、すぐに立ち止まって署名をしてくれた男性の住所は神奈川。「なぜこちらに?」「これだよ、これ」。指差したのは署名用紙の「原発」の個所。「え?」「ここで働くために来たんだよ」
60歳。家族にはどこに行くのか言わずに来た。言えば反対されるとわかっているから。「命を削ることをわかってて?」「この年までタバコも酒も飲んで遊んで生きてきた。もう十分」と笑う。
「労働者を被曝(ひばく)させ続ける、その一点でも私は原発が許せない」「だけど今はもう事故が起きちゃった。だれかが働かなきゃ止められない。若いのにやらせるわけにもいかないんだから、俺みたいな年取ったの方がましだろ。どうせやつらにとっては、俺たち労働者なんて使い捨てなんだ」
「闘う労働組合をつくって、労働者が使い捨てにされるこの社会を変えたい」「わかるよ。山崎豊子のあれ、知ってるか? 日航の」。『沈まぬ太陽』のことだった。「労働組合がああやって負かされて、事故が起きたんだろ」
「○○さん、あなたと一緒に核も原発もない社会をつくりたい」「そのとおりだ。頑張って。応援しているからよ」。そう言う男性が、これから上限もない被曝を強いられる現場に行く。
「頑張れ」という言葉とともに笑顔を見せて男性は去った。
支援金携え被災した東北朝鮮学校を訪問 えはら・のはら
3・11大震災と福島原発事故で甚大な被害を受けた朝鮮学校(ウリハッキョ)を支援しようと、韓国の友人が日本のミュージシャンを招いて、ソウルなど3カ所でコンサートを開催して救援金を集め、私に託した。私は5月15日(日)、仙台市太白区にある東北朝鮮初中高級学校を訪ねた。
高台にある校舎は傾き、亀裂がいくつもあり、壁は倒れ、2階から上は危険で昇れない状態だった。校庭もひび割れしていて、被害の大きさに驚いた。
学校には、日本全国にいる同胞から救援物資が届けられていた。校長先生にお会いし、「少しでもお役に立てればと思って募金を呼びかけた」という熱いメッセージとともに救援金を渡した。校長先生はメッセージを聞きながら号泣されていた。
ところが、宮城県と仙台市はこの時とばかりに、震災を理由に東北朝鮮学校への補助金を打ち切った。東北朝鮮学校は近隣の日本人にも炊き出しなど救援活動を行っていたこともあって、これには多くの日本の人びとも怒っているという。
「高等学校無償化」からも朝鮮学校だけが排除されたままだ。1923年9月1日の関東大震災時の朝鮮人大虐殺から88年、日本政府の在日朝鮮人への差別と偏見、抑圧と弾圧は何ら変わらない!
しかし、こうした分断を許さない在日と日本人民との交流・連帯が確実に広まっているのも事実だ。
一方、郡山市にある福島朝鮮学校は、原発被害から自らを守るため、日本政府への糾弾と怒りを胸に深く刻みながら、5月16日、新潟の朝鮮学校へと移転して行った。
在日と日本労働者階級人民はいっそう連帯し団結して、原発廃止を実現しよう!
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