ZENSHIN 2011/04/11(No2483 p06)
|
週刊『前進』(2483号1面1)(2011/04/11 )
4月選挙闘争勝利・菅打倒
(写真 高山俊吉弁護士が西村候補を応援【4月7日 相模大野】)
(写真 反原発デモの先頭に立つ北島区議【3月31日 千代田区】)
(写真 八尾北医療センターで決起を訴える末光市議【4月2日】)
原発事故と大失業は国家犯罪
4月選挙闘争勝利・菅打倒へ
労働者の闘う団結で震災解雇と治安弾圧・有事体制を粉砕しよう
原発推進の超反動体制
東北・仙台の現地対策本部のアピールは、激しい怒りを込めて次のように訴えています。
「3月11日に襲った大震災と津波は、数万人の死者・行方不明者、数十万人の避難民という大惨事を労働者階級人民にもたらした。壊滅的被害を受けた沿岸部で目に飛び込んでくる現実は、誰もが一度は打ちのめされ、無力感・絶望感に襲われるほどすさまじいものだ。この現実に向き合えば向き合うほど、死線を越えて被災地の労働者、農民、漁民、住民が、この3週間必死に生きぬいてきたことがいかにすごいことなのかを実感する。そしてわれわれも全国の仲間の支援を受けて生きぬいてきた」
3・11が明らかにしたものこそ、大震災と福島原発事故は、まさに国家と資本による大犯罪であり、それは何よりも新自由主義によってもたらされたものであり、連合などの組合指導部が国鉄分割・民営化以来、新自由主義と闘わず、原発推進で協力してきた屈服と裏切りの全歴史の帰結だということです。
大震災と原発事故に対し、「東電の対応に遅れはなかった」(東電会長・勝俣)、「震災で復興ニューディールが生まれる」(首相・菅)、「復興にあたって規制緩和・改革をもっと進めるべき」(経団連会長・米倉)とうそぶくブルジョアジーとその政治委員会。また自ら率先して春闘を取り止め、メーデーを中止し、沖縄闘争からもいち早く召還し、職場から巻き起こる反原発の怒りの声を圧殺する、連合指導部を始めとしたすべての体制内派。断じて許せません。
大震災、とりわけ原発大事故を引き起こしたものこそ、「絶対安全」「クリーン」と強弁して原発を推進してきた歴代の日帝・政府(通産省−経産省、エネルギー庁)と東京電力、日立・東芝など原発企業、御用学者、マスコミ、裁判所、そして連合・電力総連・東電労組の労資協調という利権と腐敗の構造、反労働者的反人民的な癒着と結託の全構造です。
30bを超える大津波が歴史的にも現実的にも完全にあり得るにもかかわらず、そのことを意図的に想定せず、その対策要求もごう然と拒否してきたばかりか、今また「想定外」を振り回して居直るこの体制は、新自由主義=資本主義・帝国主義の腐敗の極致であり、労働者階級と労働組合の団結の力で、根本的に打倒し、革命によってつくり変えなければならないものです。そこにこそ労働者階級の生きる展望があります。
核心は資本主義の打倒
大恐慌、大失業・戦争、そして大震災と原発事故に、労働者人民の怒りが全面的に爆発する情勢に恐怖し、日帝政府・権力は、一方で朝鮮侵略戦争をにらみ日米共同で有事体制に突入し、他方では被災地への自衛隊と警察による制圧を強めています。
そしてこの中で、3月31日の東京電力抗議デモに対し、不当にも3人の全学連学生を逮捕したばかりか(翌日奪還)、統一地方選挙闘争弾圧として、4月6日、杉並で4人を不当逮捕しました。この有事体制と治安弾圧激化に、労働者の怒りを爆発させ闘いましょう。
しかし菅政権も日帝権力も、今や統治能力を喪失し、本質的にも現実的にもグラグラです。「挙国一致」や「政治休戦」の強制など職場生産点から破綻し始めています。大恐慌と大震災・原発事故に怒る労働者が、有事体制や治安弾圧に黙って従うことなど、断じてあり得ません。反原発、大失業・震災解雇粉砕、被災地支援、菅政権打倒へ、職場、大学、地域から総決起しましょう。
3・11の大震災・原発事故が日々もたらしている激烈な階級決戦情勢は、私たちすべてに労働者階級として生き抜き、闘い抜く原点的飛躍を根本から求めています。すでに被災現地の仲間は、これと真正面から対決し、一切の悲しみと苦しみをのりこえて、この現実を根本から覆す労働者階級としての最大限の怒りの決起を開始しています。
新自由主義の全面的な破綻は、大恐慌、大失業・戦争をもたらしました。その上での今回の大震災と原発事故は、新自由主義=資本主義・帝国主義がこの30年間でつくってきたものの帰結であり、総決算であり、現実そのものです。すでに3・11の前から労働者の怒りは爆発寸前でした。3・11はこの怒りに根底的で決定的な火をつけ、それは労働者階級にとっていかなる意味でも非和解的な新自由主義=資本主義・帝国主義との対決、その根本的打倒に向けた壮大な闘いの始まりを告げています。
今や全事態は、資本主義の打倒=プロレタリア革命によってしか突破できません。大恐慌・大震災に立ち向かい、すべての階級・階層を率いて立ち上がる壮大な任務が、日本と世界の労働者階級に求められています。
今こそ「大恐慌をプロレタリア革命へ、反帝・反スターリン主義世界革命へ」の旗を高く掲げ、被災地支援、反失業、反原発の大闘争に立とうではありませんか。そして4月統一地方選勝利へ全力決起し、4〜5月決戦貫徹から6・5国鉄大集会へ、国鉄闘争全国運動の職場実践へと突き進みましょう。
歴史的なエジプト革命
エジプト2月革命の勝利は、大恐慌と大失業が世界革命を現実化し、大恐慌による新自由主義の破産・崩壊の中で、労働組合の力、青年労働者の闘いが世界革命を切り開く時代が、ついに始まったことを示しました。大恐慌下の大失業、賃下げ、物価高騰、貧困に対し、労働者の根底的怒りが爆発して、革命は始まりました。労働者は青年を先頭に、官製労組の規制を打ち破り、労組を軸に嵐のようにストとデモへ蜂起したのです。
その社会的階級的条件は、北アフリカ・中東のあらゆる地域で同じだから、たちまち革命の波、うねりが広がっていきました。まさにこの革命の原動力は労働者階級であり、職場生産点の労働組合をめぐる闘いでした。これはプロレタリア革命そのものです。
この階級闘争の生きた現実は、動労千葉の1〜3月闘争の激烈な前進を先頭に、日本の階級闘争がつくりだしている現実です。エジプト革命は日本階級闘争と一体です。
動労千葉は外注化・非正規職化、新人事・賃金制度粉砕へ、ストと組織拡大で闘い抜き、平成採の青年労働者を先頭とする闘いでその4月実施を阻止しました。この動労千葉の闘いは、3・11情勢の中で力関係の本質的転換をつくり出すことがまったく可能であることを示しています。
それは、まだ小なりと言えども、職場生産点の労働組合をめぐる闘いで労働者がヘゲモニーを取って闘うなら、あらゆることが可能となる、そういう根源的力を労働者階級と労働組合は持っているということです。今、被災現地で非正規職の青年労働者を先頭に、日々闘い取られている飛躍の核心もそこにあります。
3・11大震災下での首切り、賃下げ、非正規職化、労働強化、そして内定取り消しと対決し、青年労働者と労働組合を軸に、今こそ反転攻勢に打って出ましょう。
6・5国鉄大集会成功へ
菅政権打倒の闘いの先頭に立ち、原発推進の連合支配を打ち破ることができるのは、階級的労働運動路線のみです。闘う労働組合をよみがえらせる動労千葉派の全面的登場、国鉄闘争全国運動の職場での実践と発展こそが、労働者の未来を切り開く唯一の展望です。
今、連合から国労、全労連を始め、すべての労働運動潮流が国家と資本のもとでの被災地救援=資本救済・復興運動に絡め取られ、率先協力する中で、労働者の力で被災地支援・反原発大運動を発展させ、労働組合をよみがえらせようではありませんか。
連日発行される「救援対策本部ニュース」を読み、職場に届けよう。ここに集約されている被災現地の闘いと自分の職場を直結させ、新自由主義と闘い抜く労働運動の力強い発展を日々闘い取ること自身が、国鉄全国運動です。
救援対策本部が呼びかける支援物資とカンパを全国から集中しましょう! またこれと一体の闘いとして、10億円救援カンパ闘争を断固推進することを訴えます。
学生戦線はこの間、被災地支援や反原発、菅政権打倒の闘いの先頭に立ち、今また新歓闘争を闘い、法政大学を始めとして学生運動の大高揚へ前進しています。
白熱的展開の真っただ中の4月選挙闘争に、絶対に勝利しましょう。国家と資本の「震災復興」運動との路線的、実践的、イデオロギー的対決をやり抜き、6・5国鉄大集会の大結集、大成功に向けて進撃しましょう。
---------------------------------------------------
週刊『前進』(2483号1面2)(2011/04/11 )
統一地方選 西村候補(相模原)、勝利へ
「反原発」に熱烈な反響と支持
杉並・八尾必勝めざし全力決起
4月統一地方選の勝利へ、各地で全力をあげた闘いが展開されている。
三里塚の婦行が応援に相模原
4月1日告示以降、相模原市議選は西村綾子候補を先頭に神奈川労組交流センター、婦人民主クラブ全国協相模原支部を始め、地域の労働者が、熱い闘いを繰り広げている。初日には勝浦市長選を闘った動労千葉の水野正美さんが駆けつけた。
3日には三里塚反対同盟婦人行動隊の鈴木加代子さん、宮本麻子さん、木内敦子さんがそろって駆けつけ、街頭宣伝に立った。「私たちは安全な野菜を作りたい。危険な原発を止めるためにも西村さんを市議会に送りましょう」と訴えた。
政令指定都市になって初めての選挙は、全市1区だった選挙区が3分割され、西村候補の南区は定数19人のところに29人が立候補し、最激戦区となった。西村さんは原発即時停止と被災地救援、震災解雇許すなを真正面から訴える唯一の候補として立ち、「生きぬくために労働組合をよみがえらせよう!」と精力的に訴えている。
7日には、「裁判員制度はいらない!大運動」 の呼びかけ人である高山俊吉弁護士が応援演説に立った。「原発はノー、すぐに廃止せよと言っているのはただ一人、西村さんだけ。原発も裁判員裁判も一日も早くやめろと運動している西村さん。みんなで肩を組み、心を合わせて総大将の西村さんを押し出そう!」
高山さんの圧倒的な説得力と声量に、仕事帰りの労働者が足を止め、注目した。
北島区議、街頭の怒りと結合
17日告示、24日投票の杉並区議会選挙まで2週間。北島邦彦区議の再選へ、東京西部ユニオンを先頭に「被災地救援」「反原発」「震災解雇反対」の大旋風を巻き起こしている。広島から呼びかけられている原発廃止の1千万署名が、街頭で続々と集まっている。
そもそも杉並は原水爆禁止運動の発祥の地だ。その矜持(きょうじ)にかけた闘いでもある。
北島区議のみが「全原発の即時停止・廃止」を訴えている。日本共産党はなんと「今すぐ原発を止めろと言うのは無責任」(志位和夫委員長)と原発賛成なのだ。
だが街頭では原発を推進する政府・東電・御用学者への怒りが渦巻いている。「政治休戦」はぶち破られ、ビラがどんどん受け取られる。3日のJR荻窪駅頭の宣伝には労組交流センターなどの労働者45人が参加、署名256筆が集まり、ビラ1800枚が配られた。福島第一原発周辺から避難したという労働者も「絶対に原発はいらない。今こそ言わなければ」と駆け寄ってきた。
原発利権の腐敗構造の一角をなす連合や東電労組をぶっとばし、闘う労働運動をつくりだす挑戦が始まっている。
末光市議、市役所職員に訴え
「八尾北の明け渡し、住宅追い出しも団結があれば必ず止められる。ラストスパートをかけよう」。2日、八尾北医療センター患者交流会に参加した250人を前に、末光道正議員は、ともに立ち上がることを訴えた。これに応え八尾北労組、部落解放同盟全国連西郡支部、八尾北命と健康を守る会と労組交流センターは一体となって選挙戦に突入している。
3月19日の桂老人センター総会では、末光議員は、4月1日からの指定管理者の受け皿となった解同本部派議員を徹底批判した。「老人センターを私物化し、食い物にするな」と村中に巻き起こる怒りは、末光支持の渦をつくり出している。
3月27日、4月3日にはスーパー・アリオ前で震災救援の街宣の先頭に立った。7日には八尾市役所前に登場。「震災を口実にして民営化と非正規化・労組破壊を進める田中市政を打倒しよう」という訴えは、自治体労働者の中に共感と団結を広げている。
革命の炎を八尾中に広げ、市議選勝利をかちとろう。
---------------------------------------------------
週刊『前進』(2483号1面3)(2011/04/11 )
全学連 警察・当局の妨害打ち破り
新入生と続々合流
2011年度新入生を迎え、全国の大学で全学連の新歓闘争が開始された。法政大学を始めとする首都圏の大学では、当局と御用学生団体が震災を口実に新歓行事を中止・禁止しようとする中で、全学連・文化連盟の仲間たちが「原発を今すぐ停止・廃止しよう」のノボリと署名を持って堂々登場、新入生と合流をかちとっている。
何より福島原発事故を徹底弾劾し、これを引き起こした菅政権と電力資本、そして原発を「学問」の名で後押ししてきた大学の腐敗を突く怒りのアジテーションが圧倒的注目を集めている。被災地救援活動の写真展にも多くの新入生が集まり、「自分も何かしたいと思っていた」「菅政権による人災だ、許せない」と感想を寄せている。
こうした中で、法大当局は暴力職員と教授を動員し、全学連・文化連盟だけでなくすべてのサークルの新歓活動に数々の不当な規制をかけている。御用団体=新歓実は完全に当局の手先と化して全学生に敵対し、当局と一緒になって「歩道で勧誘するな」「新入生は早く帰れ」などとわめきちらした。多くのサークル員が心から怒っている。全学連と文連は法大生とともに元気に勧誘活動を展開し、規制を無力化して新入生と合流した。(写真)
また、首都圏のある大学では、入学式会場に登場して原発廃止を訴えた全学連に対し、大学当局から通報を受けた警察が「通行妨害だ」などとデッチあげて、力ずくで排除しようとした。3・31東電本社前での学友3人の不当逮捕に続き、デタラメ極まりない弾圧を狙ってきた。これが菅政権のやり方だ。だがどちらに正義があるかは、誰の目にも明らかだ。全学連は権力の妨害を粉砕し、情宣活動を貫徹して新入生との合流をかちとった。
この春、全国大学の新入生とともに、4・22法大デモ・東電抗議闘争へ、そして5月沖縄現地闘争へ、新歓破壊攻撃を打ち破って攻め上ろう!
---------------------------------------------------
週刊『前進』(2483号1面4)(2011/04/11 )
前進速報版から
▼3・27三里塚動画▼3・31東電デモ動画(英語版)▼九州電力とJR本社へ抗議行動▼仲間の解雇に対し新潟市役所前で緊急街宣
---------------------------------------------------
週刊『前進』(2483号2面1)(2011/04/11 )
4・23尼崎現地闘争に結集を
事故弾劾・JR体制打倒は反原発闘争と一体の闘い
大震災情勢の中で闘われる今年の尼崎闘争は、全原発即時停止、被災地救援の闘いと完全に一体だ。05年4月の尼崎事故は、国鉄分割・民営化と新自由主義の破産を衝撃的に突き出した。にもかかわらず国家権力と資本は、破産した新自由主義にしがみつき、とてつもない震災と福島第一原発の大事故を引き起こした。今こそ新自由主義を葬り去らなければならない。「政治休戦」を労働者の実力で引き裂いて、被災地の闘う労働者と固く連帯し4・23尼崎闘争を闘おう。
新自由主義の破産突きつけた大事故
福島第一原発の大事故は、チェルノブイリをも超える最悪の事態に至る危機をはらみながら日々進行している。「原発は絶対安全」とうそぶきつつ、日本全土に54基もの原発建設を強行してきた政府と電力資本の方策は今や完全に破綻した。
大地震と津波によって肉親や仲間を失い、住居と生活を奪われた何十万人もの労働者人民が、被曝の恐怖にさらされ、また現に被曝(ひばく)させられている。放射能汚染により帰る故郷を失った労働者、田畑や漁場を汚され生活の手だてを奪われた農民・漁民の怒りと憎しみは一点、菅政権と東京電力資本に集中している。
にもかかわらず、なおも原発政策にしがみついているのが菅政権と日帝資本だ。彼らは資本の延命しか考えていない。すでに資本は、すさまじい勢いで解雇攻撃に手を染めている。未曽有の苦難を克服し、労働者人民が生き抜く道は、資本主義を打倒し、労働者の権力を打ち立てることだ。
被災地の労働者は、新自由主義によって破壊された団結を自らの力で取り戻し、その中で懸命に生きかつ闘い抜いている。そこには、プロレタリア権力=ソビエトの萌芽がはらまれている。
被災地の闘う労働者を全力で支援しよう。全国で激化する震災解雇と闘おう。全世界の原発即時停止へ、壮大な闘いを巻き起こそう。4・23尼崎現地闘争は、その重要な一環をなす闘いだ。
国鉄分割・民営化の原型は電力9分割
労働者・農民・漁民・全人民の激しい怒りの的となっている東電資本は、どのように生まれたのか。そして、労資一体で原発を推進してきた電力資本と電力総連の結託体制は、どのように形づくられたのか。
電力産業の労働者は、戦後革命期、電産労組に結集し、生産管理闘争や数波に及ぶ停電ストを闘い抜いた輝かしい伝統を持っている。それは、資本主義的生産の基盤をなす電力を、労働組合が掌握していたということだ。だから、当時の国家権力と資本は、電産労組の解体に全力を挙げた。
そのために強行されたのが1951年の電力9分割だ。だが、電産労組は電力9分割で直ちに解体されたわけではない。電産は1952年秋にも、激しい賃上げ闘争を闘っている。
電産のこの闘いに、資本はレッドパージによる活動家の排除と御用労組の結成という形で報復した。「電産なんかでは極めて巧妙にやります。大会でストライキ方針をめぐって対立する。そうすると民同は記名投票でやろうと言い出す。そして、記名でストに賛成した者をレッドパージの対象にするなどということを実際にやっています」(中野洋著『戦後労働運動の軌跡と国鉄闘争』)
こうした国家権力と資本の攻撃に乗っかり、1949年、関東配電労組が結成され、電産から分裂する。これが後に東京電力労組−電力総連になった。戦後革命期の攻防を先頭で担った電産労組をたたき伏せることによって、電力資本と電力総連は形成されたのだ。
さらに、50年代半ばから60年代にかけて、電機や造船・重機において労組解体と御用組合育成の攻撃が激しく展開された。これらの資本が原発建設に参入するためには階級的労働運動の解体が絶対的な前提だった。逆に言えば、原発即時廃止とは、階級的労働運動をよみがえらせることそのものを意味している。
日本の原発=核武装政策の中心的推進者だった中曽根は、電力9分割をモデルに国鉄分割・民営化を強行した。だからJR資本と電力資本は相似形をなしている。徹底した安全無視と極限的な外注化・非正規職化の強行、それによる事故の頻発と事故隠し、これらに抗議はもとより危惧の声すら上げさせまいとする暴力的な労働者支配。これらの行き着いた先が、尼崎事故であり福島原発事故だ。
福島原発事故で暴露されたのは、起きている事態を把握する能力も、被害を最小限に食い止める対策を立てる能力も、東電自身にはまるでないということだ。それは、重層的下請け体制のもとで、最も危険な現場の作業を非正規職労働者に行わせ、使い捨てにしてきたことの必然的な結果だ。これも今日のJRとまったく同じだ。
反合・運転保安闘争路線を貫き闘おう
尼崎事故に際して、JR西日本は被害者遺族から「JRは労資ともども腐っている」と痛烈に弾劾された。尼崎事故は、民営化と新自由主義の根底的破産を告げるとともに、JR連合やJR総連などの御用労組とJR資本との結託体制の犯罪性を満天下に暴き出した。
資本と御用労組との結託体制を打ち砕かなければ、労働者人民の生命は守れない。これは、尼崎事故の時点ですでに明白になっていた。「国鉄改革成功」神話は根本から崩れ、JR資本への全労働者の怒りは噴出した。だが、階級的労働運動がその怒りを全面的に糾合し、一気に力を獲得して新自由主義を葬り去るには至らなかった。これは本当に痛苦なことだ。
これを規定したのは、1047名闘争をめぐる4者4団体路線の登場だった。06年2月16日、国労闘争団、全動労争議団、動労千葉争議団は1047名全体を網羅した「1047連絡会」を結成した。そこには、尼崎事故の衝撃を受け、JR体制打倒闘争の切っ先に1047名闘争を位置づける志向が明確にはらまれていた。その土台には、レール破断や尼崎事故、羽越線事故など分割・民営化の矛盾が安全の崩壊となって噴出する中での動労千葉の反合・運転保安闘争の復権をかけた壮絶な闘いがあった。JR本体の闘いと1047名の闘いが緊密に統一され、その闘いが一直線に発展していれば、JR体制を打倒し、連合による労働者支配を覆せる可能性はあったのだ。
だが、4者4団体路線の登場がそれを阻んだ。4者4団体は動労千葉を排除し、解雇撤回の原則を投げ捨てた。その行き着いた先が、昨年4月9日の政治和解だ。JR体制と連合支配、民営化と新自由主義を、最後の一線で支えたのが4者4団体路線だったのだ。これが、尼崎事故を数千倍する福島原発事故につながったのだ。
これに対して動労千葉は、反合理化・運転保安闘争路線を貫き、JRの大攻撃と立ち向かいつつ、1047名解雇撤回を掲げて闘ってきた。とりわけ検修外注化を阻止した09年秋以来の闘いは、JR総連傘下の青年労働者の激しい怒りをも引き出しつつ、JR体制を根本から揺るがした。
その地平の上に、動労千葉は4・9政治和解という大反革命に対して国鉄闘争全国運動を立ち上げた。国鉄闘争全国運動は、1047名解雇撤回を結集軸に、あらゆる職場で階級的労働運動をよみがえらせる闘いだ。
その闘いの絶対的な必要性を、福島原発事故は突きつけている。尼崎事故以来の闘いの全成果、未達成の課題の大きさへの悔しさ、この間の攻防の正負の教訓の一切を踏まえ、全産別・全社会的規模で階級的労働運動を復権させなければならない。まさにそれは待ったなしの課題だ。
JRの内部からJR体制打倒の火の手を上げる尼崎闘争は、不屈に生きかつ闘う被災地の労働者と固く団結する闘いであるとともに、東電とその下請けで働くすべての労働者に対する、原発即時停止の闘いへの決起の呼びかけでもある。国鉄(JR)の全労働者、とりわけ青年労働者は、尼崎闘争に結集して怒りを具体的行動に転じよう。
尼崎闘争を跳躍台に、国鉄労働者は先頭に立って被災地の闘う労働者支援の運動を一層発展させよう。その一切を国鉄全国運動が呼びかける6・5集会に集約しよう。
---------------------------------------------------
週刊『前進』(2483号2面2)(2011/04/11 )
原発推進する連合の大罪
古賀会長声明を徹底弾劾する
菅政権と歴代自民党政府、電力資本と並び、原発を推進してきた最大の実体は連合だ。連合元会長の笹森清と現事務局長の南雲弘行は電力総連(いずれも東京電力労組)出身、現会長の古賀伸明は電機連合(松下電器産業労組)出身で、労組の名で原発推進の先頭に立ってきた。
連合は昨年9月、エネルギー政策に関する基本方針を策定し、原子力発電所の新増設を「着実に進める」という立場を鮮明にした。連合は08年秋に自治労も含めた産別労組代表で「エネルギープロジェクトチーム」を発足させ、09年9月には「原発の新増設容認」を明記した同チームの報告書を作成していた。
つまり、電力総連や電機連合はもとより、自治労も含む連合幹部は一体となって原発を推進してきたのだ。原発の海外輸出に資本の延命策を求める菅政権の新成長戦略は、この連合方針に支えられてぶち上げられた。
その結果が、今回の福島第一原発の大事故になったのだ。これは、国家と資本はもとより、連合幹部による犯罪だ。
挙国一致を賛美
連合は3月14日、震災に対する会長声明を出した。そこでは原発事故について、「なお、今回の地震による一部の原子力発電所の事故も国民に不安を生じさせている。政府には万全の対策を講じるとともに、改めて情報公開の徹底を求めたい」と述べているだけだ。
それどころか連合声明は、「政府は、地震発生直後に菅総理を本部長とする『緊急災害対策本部』を設置し、激甚災害地域の指定や大規模な自衛隊の災害出動などをはじめ、被災者救援の施策を展開している。連合として、まず、こうした迅速・的確な対応に敬意を表する」として、菅にひざまずき、自衛隊の治安出動も全面賛美した。
さらに連合は、「『国難』ともいえる事態である今こそ……一致結束して救援・復旧活動に取り組むことを決意し、行動を呼びかける」と、労働者に「挙国一致」体制への総屈服を強いている。
被曝強制居直る
電力総連が3月16日に出した声明に至っては、原発事故について「原子力発電所の安全確保やライフラインの復旧に向け、現在、昼夜分かたず全力で取り組んでおります」と言うだけだ。今回の原発事故が突き出したのは、安全な原発などありえないということではないか! 通常に運転されている時でさえ、原発は非正規職労働者を被曝させ、使い捨てにしなければ成り立たない。そんなことは百も承知で原発を推進してきたのが、電力総連幹部ではないか。
これら御用労組幹部を打倒しなければ、労働者人民の生命はどこまでも破壊される。国鉄闘争全国運動を基軸に階級的労働運動をよみがえらせることのみが、労働者人民が生きぬく唯一の道だ。
---------------------------------------------------
週刊『前進』(2483号2面3)(2011/04/11 )
福岡 九電とJRに抗議
“原発を止めろ、解雇撤回”
玄海・川内原発を停止・廃炉に
福岡県労働組合交流センターと合同労組レイバーユニオン福岡、百万人署名運動福岡県連絡会は4月1日、福島第一原発事故を徹底弾劾し、玄海原発(佐賀県)と川内原発(せんだい・鹿児島県)の永久停止・廃炉を要求する九州電力抗議行動を行った。
九州電力前に集まった労働者たちは「原発即時停止! 被災地を支援しよう!」というシュプレヒコールをあげ、九州電力を代表して出てきた広報部長に「福島第一原発事故糾弾! 玄海原発、川内原発を永久停止・廃炉にせよ!」「玄海原発2、3号機の5月再開を中止せよ!」という抗議文をたたきつけた。
九州電力は「今回のような事故が起きた時のために電源車を新たに設置します」などと福島原発のような事故が起きることを前提に玄海、川内原発を維持し続けることを公言した。怒りが爆発し一斉に「“安全”はデマではないか」「原発は即時停止だ」「眞部九電社長は地元と話し合って5月に再開すると言っている。地元とはどこまでだ」「福島第一原発でプルサーマル発電の危険性は証明された。再開はやめろ」と、あくまで原発稼働再開を進める九電を徹底弾劾した。広報部長らは抗議団の気迫に押され慌ててビル内に逃げ帰った。抗議団の怒りはおさまらず「原発を止めるまで何度でも抗議に来るぞ!」と決意を明らかにし、怒りのシュプレヒコールをたたきつけた。
(写真 九州電力に「玄海原発、川内原発を停止・廃炉にせよ」と抗議文をたたきつける【4月1日 福岡市】)
分割・民営化こそ出発点だ
九州電力抗議行動を終えた後、博多駅前のJR九州本社前に移動し、国鉄全国運動・九州が呼びかけたJR九州本社抗議行動を闘い抜いた。
「4月1日」は1990年に1047名の国鉄労働者が国鉄清算事業団から首を切られた日だ。羽廣憲さん(国労小倉地区闘争団)、石崎義徳さん(国労鳥栖闘争団)を先頭にJR九州本社に「解雇撤回・原職復帰」を求め、同時に、外注化を始めとした合理化攻撃を弾劾し、JR労働者に決起を訴えた。
JR九州本社前に登場すると、多数のJR職員が入り口を封鎖し、「福岡地所」という不動産会社社員を前面に立て「抗議申し入れは受けられない」「ここは私有地。敷地内に入るな!」「マイクは使うな!」「ビラまきはやめろ!」などと妨害してきた。
ふざけるな! 抗議団20人は横断幕を広げ、一斉にビラをまき、何度もシュプレヒコールをたたきつけ、「JR九州は解雇の責任をとり、羽廣さん、石崎さんら国鉄1047名を職場に戻せ!」と訴えて闘い抜いた。
「何ごとか」と多くの人が注目する中、国鉄全国運動・九州の呼びかけ人代表の竹内良夫さんが最初にマイクを握り「あの1047名の首切りから大失業と非正規職化、そして貧困をもたらす新自由主義攻撃が始まった。そして尼崎事故、ついには東日本大震災被害と福島原発事故にまで至った。JRには重大な責任がある。不法不当な首切りを撤回せよ」と発言した。また当該の羽廣さん、石崎さんはそれぞれ「最後まで解雇撤回を要求する。不当な首切りには屈しない」「JR九州は25年たっても株上場もできない民間ならざる民間会社だ。国鉄分割・民営化の破産は誰の目にも明らかだ」と訴えた。
羽廣さん、石崎さんら国鉄解雇者の闘いは、まさに被災地の労働者の闘いと一体だ。新自由主義と対決し、帝国主義を打倒し、労働者自己解放をめざす闘いの中にこそ、被災地での闘い、国鉄労働運動の勝利の展望がある。4月1日の一日行動は、そういう闘いとしてかちとられた。
(九州 H)
(写真 JR九州本社前で当該の石崎義徳さん、羽廣憲さんらが「解雇撤回・原職復帰」を訴えた【4月1日】)
---------------------------------------------------
週刊『前進』(2483号2面4)(2011/04/11 )
世界から続々支援
「被災地救援」の訴えに応え
国際連帯の闘いが一挙に拡大
動労千葉と全国労組交流センターによる「被災地救援」「全原発を廃止せよ」というアピールに応え、全世界の労働組合や労働者から連帯の手紙を添えた支援のカンパや物資が続々と送られてきている。
UTLA(ロサンゼルス統一教組)のアーリーン・イノウエさんがUTLAや校内での募兵に反対するCAMSなどの各集会や会議で呼びかけ、集められた多額の救援カンパも次々と送られている。この間11月集会や8・6広島―8・9長崎に参加したドイツの労働者や学生からも、支援連帯の熱烈な手紙とともに多額のカンパが送られた。ゼルツァーさんたちが軸になっている米TWSC(運輸労働者連帯委員会)も数万円単位のカンパを続々と寄せている。
ILWU(国際港湾倉庫労組)からも11月労働者集会に参加した労働者から次々と連帯の手紙とカンパが届けられた。11月集会に参加したシカゴの鉄道労働者のポール・ジャンセンさんからは、動労千葉への熱い連帯を込めて救援活動に必要な物資が2回にわたって大量に送られてきた。国際連帯の闘いは、質的な転換を含めて圧倒的に全世界に拡大した。
(写真 シカゴの労働者から届いた物資を動労千葉の田中委員長から受け取る東北大学学生自治会の石田委員長【3月27日 成田市】)
世界の労働組合マスコミが注目
イギリスと世界の労働運動の戦闘的潮流の闘いを紹介するイギリス・レイバーネットには、動労千葉および動労千葉国際連帯委員会のアピールや記事など4本が掲載されている。ドイツのレイバーネットにもドイツ語に翻訳された動労千葉のアピールやニューズレターが多数掲載されている。ブラジルの労組連合・コンルータスのホームページにも動労千葉のアピールが掲載された。
個人の連帯の手紙も、アメリカのシンディー・シーハンさんやカリフォルニア大学ロサンゼルス校の学生、ブラジルのサンジョゼ・ドスカンポスの金属労組組合員を始め、ペルー、ドイツ、フィリピン、トルコの労働者などから動労千葉に届けられた。
動労千葉と労組交流センターの闘いに全世界が注目し、米ワシントンポストやタイム、仏ルモンドなどの有力紙誌が3・20闘争や3・31東電抗議闘争の様子を詳しく報じている。諸集会の様子はスペインのカタロニアテレビ、ドイツARDテレビ(国営第一放送)でも報道された。
また各国のマスコミから動労千葉へのインタビュー要請が相次いだ。他の政党や党派、労働組合が自粛ムードの中でこの重大な事態に際して何も行動を起こさない中、動労千葉と労組交流センターの闘いは圧倒的な注目と共感を集めたのだ。
国鉄闘争全国運動を軸に労働運動を革命的に再建し、その闘いを通して被災地救援・全原発廃止へ攻め上る階級的労働運動路線は、全世界の労働者を圧倒的に獲得している。動労千葉を先頭とするこの闘いは、国際連帯を一挙的に強化し、世界革命の展望を大きく押し開いている。確信を持ってこの闘いの勝利的前進をかちとろう。
(海外に送られた英文の『動労千葉ニューズレター』は次のブログで見ることができます。大部分は動労千葉ホームページと東日本大震災救援対策本部のブログに発表されたものの英訳です。http://dorochibanewsletter.wordpress.com/)
---------------------------------------------------
週刊『前進』(2483号2面5)(2011/04/11 )
日程 尼崎事故弾劾!4・23集会、鉄道運輸機構訴訟控訴審
尼崎事故弾劾!4・23全国総決起集会
●尼崎事故弾劾! 反合理化・運転保安確立●尼崎事故弾劾! 反合理化・運転保安確立●国鉄闘争全国運動で労働運動を甦らせよう!
4月23日(土)午後1時 JR尼崎駅北口広場
主催 国鉄千葉動力車労働組合/国鉄闘争全国運動・関西準備会
---------------------
鉄道運輸機構訴訟 控訴審
再開第3回口頭弁論 4月26日(火)午後1時半
東京高裁104号法廷 ※午後1時から傍聴券交付
---------------------------------------------------
週刊『前進』(2483号3面1)(2011/04/11 )
全原発を直ちに止めろ!震災解雇許すな!非正規労働者を正規に!
現地救援対策本部からの報告と決意
はじめに
全国の仲間たち! 被災地から現況を報告します。
3月11日に襲った大震災と津波は、数万人の死者・行方不明者、数十万人の避難民という大惨事を労働者階級人民にもたらした。壊滅的被害を受けた沿岸部で目に飛び込んでくる現実は、誰もが一度は打ちのめされ、無力感、絶望感に襲われるほど、すさまじいものだ。高さ10bを超える濁流が、瞬く間にすべての工業施設、船舶、自動車、家屋を破壊し尽くし、次々と凶器となって人びとを飲み込んでいった。海まで見渡す限りのがれきの山。道路や田んぼに横たわる無数の船舶。コンビニや家屋に突き刺さった流木。延々と続くおびただしい自動車の残骸(ざんがい)。まさに戦場そのものだ。
この現実に向き合えば向き合うほど、死線を越えた被災地の労働者、農民、漁民、住民がこの3週間必死に生き抜いてきたことが、いかにすごいことなのか実感する。そして、われわれも全国の仲間の支援を受け、生き抜いてきた。
しかし、われわれが被災地で生き抜く中で目の当たりにしたものは、大震災がもたらした大惨事だけではなく、新自由主義によって徹底的に破壊され、切り捨てられてきた社会の生々しい姿だった。新自由主義が徹底的に破壊した社会に、大震災と津波が襲いかかった。新自由主義が被害を数倍、数十倍にしたのだ。
3・11大震災は、労働者、農民、漁民の新自由主義に対する根底的怒り、無為無策の菅政権に対する根底的怒りを生み出している。そして、被災地では、過酷な状況の中から、多くの仲間が団結し助け合い、生き抜く闘いに立ち上がっている。とりわけ、労働者は組合活動の中止を指令した体制内指導部と対決し、執行委員会を招集し、闘う団結をよみがえらせる格闘を開始した。
新自由主義と地方切り捨てが元凶だ
何よりも、震災と津波で亡くなった人びとの6割以上が60歳以上のお年寄りという事実だ。新自由主義は北海道、東北など多くの地方を切り捨て、助成金を打ち切り、医療、教育、福祉をことごとく破壊してきた。青年は生活と仕事を求め遠隔地へ通勤するか、古里を離れる以外なかった。お年寄りを先導する青年労働者がいれば、多くの命を救うことができた。とりわけ、「平成の大合併」によって2000年には71あった市町村が2009年には35まで削減されてきた。地方自治の切り捨てと自治労破壊を目的とした「平成の大合併」は、自治体労働者を削減すると同時に広域に配転し、自治体と地元住民を切断してきたのだ。
震災直後、誰もが水、食料、燃料がまったく手に入らないという現実にぶつかった。それは、東北自動車道が震災によってズタズタに寸断されたためではなかった。菅政権が救助・救援よりも治安を最優先し、直ちに東北自動車道をはじめとした幹線道路を完全に封鎖して支援物資とボランティアの協力を断ち切り、自衛隊10万人の軍事車両、警察の緊急車両の専用道路としたことがもたらしたものだった。
大手スーパーとコンビニエンスストアが閉店した瞬間に、労働者、とりわけ青年労働者は水、食料を直ちに奪われた。新自由主義は地元商店街を一掃し、労働者は郊外型大型スーパーと市街地のコンビニエンスストアに依存する以外なくなっていた。とりわけ、低賃金の青年労働者、年金生活のお年寄りは、コンビニエンスストアで日々の食料を得る以外なかった。アパートに炊飯器を持たない青年労働者は携帯のみでほうり出された。これは震災が引き起こしたのか?
多くの避難所となった学校でも、直ちに水、食料、燃料、毛布がまったく手に入らない。ある小学校では、一日一食、それも2年前に消費期限の切れた乾パンが配布されただけだった。ある小学校では、やはり一日一食、わかめ入りのα米おにぎり一つが配布されただけだった。これは震災がもたらしたものなのか? 徹底した切り捨てがもたらした現実ではないのか! なぜ学校で炊き出しができないのか?給食センター方式で、学校給食を民営化・外注化した教育の民営化、新自由主義がもたらした現実ではないのか! すべては、「震災は百パーセント起きる」と防災訓練を繰り返しながら、新自由主義のもとで地方を切り捨て、労働組合や地域住民のあらゆる共同性を解体してきたからではないのか!
水道の復旧作業にあたった水道労働者は、震災以前に強行されてきた水道事業の合理化と徹底した要員不足の現実にぶつかった。以前は複数の系統があり、1カ所が破損しても別の系統を通して復旧することが可能だった。しかし、水道局は水道の系統を一系統に集約・合理化すると同時に、要員を徹底的に削減してきた。この一系統が破壊された時、すべての水供給は直ちにストップしてしまったのだ。
労働者住民が団結 避難所自治を組織
数百人から1千人を超える被災者が避難した避難所でも、古くからの町内会自治が残っている地区と新自由主義によって町内会自治をバラバラにされた地区では、避難所自治の建設をめぐって歴然とした違いが現れた。
古くからの町内会が維持され自治が残っていた地区では、労働者住民自身が1千人を超える被災者を町内会ごとに組織図をつくり、物資班、食料班などの任務分担を決め、避難所自治を立ち上げていった。被災した労働者住民自身が避難所自治を担ったことによって、避難所となった学校の教育労働者の労働時間は8時間勤務が維持され、泊まり勤務の交替制によって運営された。
だが、新自由主義によって町内会的団結が奪われ、バラバラに切断された地区では、避難した学校で避難所自治を建設することが困難を極めた。教育労働者の労働時間も12時間を超え、これに泊まり勤務が重なる激務となった。
しかし、このような過酷な状況の中から、すべての避難所で教育労働者、自治体労働者、そして、労働者住民は話し合いを組織し、団結し、助け合いながら規律をつくり、避難所自治をつくり出していった。ある避難所では、街ごと津波に流され行政機構が崩壊する中、住民自身が数千人の名簿を復活させて安否を確認し合った。労働者住民が団結すれば、資本家や資本家のための行政機構なしで社会を運営できることを示した。
労働組合が先頭に立って闘い抜こう
3・11大震災に対して、菅政権は「国難」「政治休戦」をキャンペーンし、労働組合の闘いを圧殺することに全力を挙げた。
津波発生時には絶対行ってはならない沿岸部の学校を避難所に指定するなど、市防災本部当局の指令は大混乱を極めた。食事をとる時間すらない! 仲間に対する必死の思いと当局に対する怒り! 多くの組合員は市防災本部のデタラメな指示と激突しながら、被災者支援とライフラインの復旧に全力を挙げ、不眠不休の闘いに突入していた。この中で、多くの組合員たちは「労働組合は何をなすべきか? 組合員は何をなすべきか? 何より組合員の安否を確認しなければ!」と真剣に悩んでいた。組合の方針を切実に求めていた。
しかし、体制内労働組合指導部は労働組合の会議・行事・催事を中止するなど、組合活動の停止を指令した。「いてもたってもいられない。何かしなければ!」という多くの組合員の思いを逆手にとって、資本・当局の「国難」「政治休戦」に率先協力し、資本主義の復興にむけた挙国一致体制に組合員を組み込もうとした。
3月末から4月にかけて、生き残った数十万、数百万の労働者に対し、震災を口実にした全員解雇・雇い止めが無慈悲に襲いかかっている。県・市当局は、復旧最優先などと言って、一方で、全国から自治体労働者を大動員しながら、他方で、3月31日をもって大量の非正規労働者の雇い止め解雇を強行した。市の外郭団体では入札ができないためという理由で、メール一本で非正規労働者に対する雇い止め解雇が通告された。3・11震災以後、自治体の非正規労働者は正規職員と同じように、日常業務に加えて避難所の泊まり勤務に就き、市当局のデタラメな対応に対する住民の苦情の矢面に立ちながら、住民が避難所自治を建設し運営していく格闘をともに担ってきた。職場の誰もが日常業務に加えた震災業務に忙殺される中で、今なぜ雇い止めなのか! そもそも非正規とはどういうことなのか?という根本的疑問と怒りを持ち始めている。
このような事態の中で、現地対策本部に結集する仲間は、体制内執行部の政治休戦を打ち破って、執行委員会の招集をかちとり、労働組合の旗を打ち立てる闘いを開始した。労働組合が「すべての原発を直ちに止めろ! すべての非正規労働者を正規労働者にしろ! 震災解雇を許さず、すべての労働者の雇用を保障しろ!」を掲げて登場する闘いを開始した。大恐慌下の大震災・原発大事故に立ち向かい、大震災・原発大事故を口実にした解雇自由、労働条件の暴力的破壊を策す当局・資本と闘い、労働組合をよみがえらせる闘いを開始した。その先頭には青年労働者が立っている。
震災解雇、労働条件をめぐる激変、原発事故との闘いは、これからが本番です。東日本震災救援対策本部、現地対策本部に結集し、団結してともに闘おう!
(現地救援対策本部/仙台市青葉区藤松3-4Kビル/TEL022-276-1871〔宅配便は当面直送しないで下さい〕)
---------------------------------------------------
週刊『前進』(2483号3面2)(2011/04/11 )
現地救援対策本部を結成
仙台 闘い生きるための団結体
4月3日、みやぎ労組交流センターは仙台事務所で第20回総会を開催し、それに引き続き東日本大震災現地救援対策本部結成会議を45人の結集でかちとりました。
(写真 宮城・福島などから45人が参加し現地対策本部を結成。闘いの先頭に立つ決意を固めた【4月3日 仙台市】)
3週間の激闘を生き抜いてきた仲間が結集
現地本部は動労千葉と全国労組交流センターが立ち上げた東京の救援対策本部と固く団結し、被災現地の労働者が闘って生き抜くための団結体です。
結成会議には、宮城・福島などから地震発生以来の激動の3週間を生き抜いてきた仲間が結集し、動労千葉特別執行委員の滝口誠さんが支援物資とカンパを持参して、わざわざ駆けつけてくれました。
現地本部長に就任した神保美彦仙台市職労副委員長は 「まずは私たち自身が団結して3週間を生き抜きこの場に集まったことが決定的です。被災現地の私たちが『原発即時停止! すべての労働者を正規職に! 政府は生活を保障しろ!』の闘いの先頭に立とう。第2の動労千葉を建設し、労働者の力で社会を運営しよう」と基調提起しました。
私たちが闘いの先頭に!
会場からは「勤務している小学校では住民と教育労働者が協力して避難所を運営してきました。災害復旧を担い社会を運営する力は労働者にこそあります」(教育労働者)、「仙台市の臨時職員として働き、震災後は避難所の運営にも当たってきました。人手は全然足りないのに3月31日で雇い止めになりました。資本や当局にとっては復旧よりも1年雇いの非正規職制度を守ることのほうが大事ということです。非正規職撤廃で闘う」(仙台市役所・動労千葉を支援する会の青年)、「自分の職場では5人の仲間に解雇通告がなされた。震災解雇と非和解で闘う」(みやぎ連帯ユニオンの仲間)、「自分たち配送の労働者は6カ月間の自宅待機を言い渡されました。雇い止め解雇も始まっています」(あいコープ労組の仲間)、「県知事がプルサーマルを認可した矢先に原発爆発が引き起こされた。福島の反原発署名街宣に圧倒的な支持と世界の注目が集まっている。俺たちは原発から逃げずに現地で闘う」(福島の労働者)と怒りの発言が相次ぎました。
被災現地先頭に闘う労働運動をつくり出す
動労千葉の滝口さんは「動労千葉と労組交流センターで3月14日に救援対策本部を立ち上げた。第一に被災現地の労働者民衆の怒りと直接に結びつく組織者集団になること。第二にわれわれがやるのは救援一般ではなく被災現地における闘う労働運動をつくりだすこと」と力強く提起。
東北大の学生は「東電抗議デモで警察権力が学生3人を逮捕した。警察が東電資本のガードマンであることがはっきりした。絶対に打倒してやる」と決意表明。会場に集まった全員が、全原発廃止・震災解雇絶対反対の闘う決意を打ち固めました。
私たちは被災現地で世界の労働者の最先頭で闘います。全国からの連帯・ご支援をお願いします!!
(現地救援対策本部・田村昌也/「救援対策本部ニュース」より転載)
---------------------------------------------------
週刊『前進』(2483号3面3)(2011/04/11 )
「まずさ感じない」と居直り
勝俣東電会長会見を弾劾する
福島第一原発で史上最大の原発事故を引き起こした東京電力は、東日本大震災の発生に伴う事故発生から3週間近くもたった3月30日、ようやく経営トップの記者会見を開いた。だが清水正孝社長が「体調不良」で病院に逃げ込む中、会見に応じた会長・勝俣恒久は、空前の規模の原発災害に発展している「今回の事故への対応が人災ではないか」との記者団の指摘に対して、なんと「私自身は(事故対応に)まずさを感じない」と言い放ち、事故の責任を完全に開き直った。そして勝俣は一方的に会見を打ち切り、記者たちの怒号を浴びながら逃げ去った。
勝俣会見がまず怒りを買ったのは、この期に及んで福島第一原発の「1〜6号機は一応の安定を見ることができた」との発言だ。断片的に伝えられる報道によってすら、すでに膨大な量の放射性物質を海中や空気中に放出し続け、溶融を始めた炉心や貯蔵燃料棒を冷却するめども立たないという深刻な状況が目の前にあるというのに、これを「安定」と評価したのだ。「一応の安定とは何か?」と記者に突っ込まれると、勝俣は「炉が変なふうにならない(?)とりあえずの安定」としどろもどろになり、ついには炉の状態を「正確に把握するのは難しい」と、事態の全容を把握できない惨状を認めてしまった。そして「数週間で収束するのは難しい」とのあいまいな表現で、事態の長期化は避けられないことも認めた。
すでに広範囲で膨大な人数の避難民が生じ、半永久的に人が住めない地域が相当規模で発生する可能性すら出てきた。さらに農作物や水産物などの放射能汚染が、地元福島県はもとより、南は茨城県から千葉県の一部にまで広範囲に及び、東京電力には空前の賠償責任が生じている。それについて勝俣会長は「原子力損害賠償法は、免責についても(賠償費用の負担をめぐる)スキームもはっきりしていない。政府の対応による」などとして、自らは責任を取らない姿勢を露骨に打ち出した。都内の豪邸など個人資産を補償の一部として提供するか否かを質問されても、逃げの一手である。
結局、今や全世界を震撼(しんかん)させている福島原発事故の最高責任者たる東電勝俣会長の会見趣旨は、”会社として落ち度はなかった”という責任逃れの一点だったのだ。この期に及んで「免責」うんぬんと口走り、補償は不可能だと事実上開き直っているのである。
高い放射線量を事前に知りながら現場に知らせず、3号機建屋内の水たまりで3人の作業員が深刻な被曝(ひばく)を強いられた事故まで発生しているのに「事故対応にまずさは感じない」と言い放つ東電資本・勝俣。そしてこの背後にいる日帝政府・菅政権。「直ちに人体への影響はない」と破廉恥な解説を連日流し続ける腐敗した御用学者たち。これを許す連合、電力総連。この腐りきった姿は、すべての労働者人民の怒りを逆なでしている。
この事態の中で「震災大増税」を早くも準備し、国債の日銀引き受けという戦時財政的な非常手段まで公言する日帝・菅政権と労働者人民とはもはや一点の妥協の余地もない。全原発を直ちに止め廃棄せよ! 東電資本と政府に全責任を取らせよ! これは日本帝国主義の打倒によって初めて決着する闘いの全面的な開始である。
---------------------------------------------------
週刊『前進』(2483号3面4)(2011/04/11 )
50万人が反原発デモ
ドイツ “全原発の即時停止を”
(写真上 「フクシマは警告する。すべての原発を停止せよ!」をメインスローガンにデモ【3月26日 ベルリン】)
3月26日、ドイツで史上最大の反原発デモが闘われた。首都ベルリンで12万人、北部のハンブルクで5万人、中部のケルンで4万人、南部のミュンヘンで5万人、4都市合わせて25万人以上の人びとが決起した。また地元で集会を開催したところもあり、それらを合わせると実に50万人以上が行動に参加した。
原発問題をめぐる集会・デモでこれほど多くの人びとが一度に決起したのは、ドイツでは初めてのことだ。メインスローガンはどこでも「フクシマは警告する。すべての原発を停止せよ!」と「全原発の即時停止!」だ。参加者は、繰り返し「停止!」「停止!」のシュプレヒコールをあげ、その圧倒的などよめきは町中をこだました。
色とりどりの旗や横断幕が掲げられたが、その中には「フクシマはどこでも起きる」「スリーマイル、チェルノブイリ、フクシマ――もうたくさんだ!」「17の時限爆弾を止めよう(ドイツの原発は17基)」「恐怖を勇気に変えて闘おう」などがあり、日本語で「原子力? おことわり」というものもあった。
ベルリンのある青年活動家は「こういう集会を成功させるためには何カ月も必要なのに、今回は2週間そこそこしかなかった。でも、これだけ参加者が多いということは、今こそ声を上げようという、闘う機運がみんなの中でものすごく高まっているからだ」と語っている。
ドイツでは東日本大震災翌日の12日、早くもシュトゥットガルトで6万人の反原発「人間の鎖」行動が行われた。この行動をはじめとして、3月14日までにベルリン、ケルン、デュッセルドルフなど450以上の都市・地域で総計11万人の人びとが集会やデモに参加した。その一連のうねりを引き継ぎ、それを大きく超える闘いが爆発したのだ。次は4月25日にチェルノブイリ25周年行動として再び大規模な闘いに決起しようとしている。
この中で行われた翌3月27日のラインラント・プファルツ州とバーデン・ビュルテンベルク州の州議会選挙では、既成大政党の保守党であるキリスト教民主同盟(CDU)、社会民主党(SPD)、自由民主党(FDP)が大敗した。とくにこれまで保守が60年近くにわたって一貫して政権を握ってきた保守の牙城(がじょう)であるバーデン・ビュルテンベルク州で野に下ることとなった。マスコミが「ドイツの政治的大地震」と呼ぶほどの大きな事態だ。
動労千葉や全学連と連帯して闘うドイツKRD(レーテデモクラシーのための委員会)も、地元の集会に参加して、動労千葉の緊急声明を読み上げ、日本語の団結ハチマキとこの日のために作った赤い救援バッジを売って、2万円以上のカンパを獲得したと連絡してきている。
今や世界は日本の反原発闘争をかたずを飲んで注目している。世界の労働者階級人民と固く連帯し猛然と怒りを爆発させ、「被災地救援」「全原発の即時停止」を掲げて闘おう!
(写真下 「ハリスバーグ【スリーマイル島原発事故発生の地】、チェルノブイリ、フクシマ――もうたくさんだ!」)
---------------------------------------------------
週刊『前進』(2483号4面1)(2011/04/11 )
10億円救援カンパ推進を
被災地の労働者と心を一つに反失業・反原発闘争を闘おう
全国の反失業・反原発闘争を闘おう
「天災」なんかじゃない!
同志の皆さん。支持者をはじめ闘う労働者の皆さん。
「被災地支援10億円カンパ闘争」を全力で推進し、「被災地支援・反原発闘争」を全国の職場からつくり出すために総決起することを訴える。
3・11東日本大地震から1カ月、新聞発表でも死者は1万2千人、行方不明者は1万8千人を超え、まだ20万人近くの人々が避難所生活を強いられている。ガレキの下にどれだけの人が放置されたままになっているか、その全容さえ分からない状態だ。
これに追い打ちをかけ深刻化しているのが福島第一原発事故だ。福島原発は、炉心溶融(メルトダウン)をきたし、放射能が全日本、全世界に拡散する最悪の事態を招いている。山と川、海と大地、そして農産物や漁獲類から飲料水まで放射能に汚染され、原発周辺の土壌からは猛毒のプルトニウムが検出されるなど、チェルノブイリ級の放射能汚染が広がっている。
被災地のど真ん中では、全国労組交流センターや毎年11月労働者集会に参加する自治体労働者や教育労働者はじめ仲間たちが、まさに不眠不休で闘い抜いている。
福島県では、全国労組交流センターを先頭に、原発事故糾弾の闘いが開始され、福島現地と広島を結ぶ「すべての原発の即時中止を求める1000万人署名」が提起され、8・6―8・9反戦反核闘争と結合した闘いが大きく進められている。
こうした闘いの中心に立つ被災地の仲間たちの闘いを支え、共に闘いぬくために「被災地支援10億円カンパ闘争」に決起しよう。
家族を奪い、友を奪い、家と仕事を奪い、田畑を押し流し、命と生活、健康までを奪い続ける今回の大災害を考えれば考えるほど、怒りが噴き出してくるのをおさえることができない。
これは一体誰の責任なのか? 断じてあらがい難い天災なんかじゃない! 国鉄分割・民営化から25年、そこから始まった新自由主義は資本の利益だけを優先し、労働者を虫けらのように扱い、戦争と大失業をもたらしてきた。その新自由主義がJR尼崎事故を生み出し、大恐慌をもたらし、そして今や大震災と大津波、そして原発事故による大災害までもたらしたのだ。
政府が、原発を造るためにつぎ込んできた巨費の何分の一かでも津波対策にあてていれば、これほどの大災害は起こらなかった。資本家どもは、自分が生き残るために地方などどうでもいいのだ。それどころか、「明治三陸大津波」の教訓や、危険を訴え続ける科学者たちや反原発の声を無視し、足蹴にさえしてきた。新自由主義のもとでは、労働者の命と健康、安全は無視され、使い捨てにされる道具でしかない。その延々たる積み重ねの上に今回の大災害が襲った。
原発推進する連合を倒せ
原発は、戦争に使う核兵器をつくるために必要なプルトニウム製造装置である。日本帝国主義はいつでも核武装できるように「原発は安全」「CO010を出さないクリーンエネルギー」などというデマ宣伝を用い、補助金まで出して原発を稼働・維持してきた。だが今回の原発事故で、そうした日帝の原発推進・核武装政策そのもの、エネルギー政策そのものが大破産した。ドイツでは直ちに原発廃止の50万人デモが起こり、州議会選挙でメルケル首相派は大敗した。全国的な反原発闘争の大爆発と8・6―8・9反戦反核闘争を結合し、原発政策まるごと菅政権をぶっ飛ばす情勢が始まっている。
菅民主党政権が大震災対策として真っ先にやったことを見れば、新自由主義、帝国主義が労働者民衆の命をどれほど二の次にしているかが明らかになる。大震災が起こるや菅政権は報道管制を敷いた。有事体制を発動して自衛隊で被災地を押さえ、対北朝鮮の侵略戦争を準備していた米軍まで投入し、治安管理を一切に優先させた。そのため人民的な被災地支援は遮断され、救い出せる命は後回しにされた。
また120兆円もの巨費を投入して資本を救済し、震災2日後には「これで復興ニューディールともいうべき需要が生まれる」などと発言した。日本経団連会長・米倉に至っては「原発が千年に一度の津波に耐えているのはすばらしい。原子力行政は胸を張るべきだ」などと言い放った。
そうした菅政権と日本経団連の対応に真っ先に抗議の声をあげるべき連合は、何と「敬意を表する」と菅政権を賛美、原発事故への弾劾の言葉すら発しなかった。電力労連の組合員たちが殺され、被曝(ひばく)覚悟で下請け作業員や自衛隊兵士が命がけの作業を強いられている現実を抹殺したのだ。原発輸出を「成長戦略」の目玉とする菅民主党政権を支え、「原発は安全です」と自ら宣伝してきたからだ。
さらに春闘賃金交渉もメーデーも5・15沖縄闘争も中止し、「頑張ろうニッポン!」大合唱の先頭に立ち、ブルジョアジーとともに資本主義体制の崩壊を押しとどめようとあがいている。まさに連合はブルジョアジーにひれ伏す労働代官、産業報国会そのものだ。
新自由主義と徹底対決を
菅民主党政権は、危機を逆手にとって「国難」を叫び、自民党を屈服させて「大連立の救国政権」をつくろうとあがいている。「政治休戦」とは、ブルジョアジーの労働者階級に対する階級戦争宣言だ。
菅政権は「復興増税」なる消費増税を宣言し、震災を口実にした解雇攻撃を非正規職を中心に激化させている。今後、震災解雇はますます強まる。大恐慌情勢の進展と「二番底」到来は必至だ。国家財政は最後的に破綻する。それら一切の矛盾を労働者階級に転嫁することなど断じて許してはならない。
こうした情勢に対決する道は何か。それは被災地人民が手を取り合って生き、闘う姿の中にある。被災地の労働者たちは団結することで急速に生きる力を取り戻しつつある。この団結こそが労働者・家族を守り、被災した人たちを守り、生きていく武器だ。菅政権と新自由主義を打ち倒す根底的力がここにある。
「殺されてたまるか! 生きさせろ」の声と闘いを被災地から無数につくりだそう。その団結を核に、労働者が先頭になって被災者、農漁民を組織し、労働組合、協同組合、被災者組合をつくりだそう。そして被災地の労働者の怒りとひとつになって、全国の職場での「被災地支援・反原発」の闘いを燃え上がらせるならエジプト革命のように闘うことができる。
帝国主義にとって代わってプロレタリアートが権力を握らないかぎり根本的解決の道は一切ない。被災地の闘いと国鉄闘争全国運動を結合させよう。国鉄1047名闘争を柱に、被災地から「反失業」「新自由主義打倒」の新たな労働運動をつくりだそう。被災地救援の「10億円カンパ闘争」はそのためのものだ。
「被災地支援10億円カンパ闘争」は、単なる支援や救済運動ではない。大災害をつくりだし、原発の大事故を引き起こした日帝政府・資本家階級の責任を徹底追及し、打倒する闘いだ。労働者は自分の力で新しい社会、労働者が主人公の社会をつくりだすことができる。そのために団結して闘うことだ。ここを強化し発展させるための闘いが「被災地支援10億円カンパ闘争」である。全国の労働者一人ひとりが、被災地で闘う労働者と心を一つにして闘おう。その闘いをつくるためには10億円の資金が必要だ。
被災地における全国労組交流センターの仲間、11月労働者集会に結集する仲間、国鉄闘争全国運動を進める仲間、すなわち動労千葉派の存在と闘いは、被災地から新自由主義を打倒し新たな労働運動をつくりだす中心部隊だ。ここから闘いを再構築していくことが大震災後の日本労働運動に新たな希望をつくりだす。
「被災地支援10億円カンパ闘争」は、ここを強化し、ここに力を与える闘いである。同時にこの闘いが全国の職場での「被災地支援・反原発闘争」の組織化と革命的労働者党建設の土台だ。
全国の同志諸君、そして支持者、闘う労働者の皆さん。
今こそ全国の職場で「被災地支援・反原発」の闘いを巻き起こそう。仁王立ちになって被災地で奮闘する仲間たちを守り、力を与え、破産しつくした新自由主義を打倒する新たな労働運動をつくりだすために「被災地支援10億円カンパ闘争」を推し進めよう。
---------------------------------------------------
週刊『前進』(2483号4面2)(2011/04/11 )
全原発を即時停止・廃絶せよ〈下〉
原発労働は被曝不可避
非正規労働者使い捨て
3月24日、福島第一原子力発電所3号機で作業していた3人の労働者が被曝(ひばく)した。これは“非常時の混乱したなかでのやむを得ざる事故”などではない。東京電力資本(そして原発を稼働させているすべての電力資本)は被曝労働を当然のこととして原発を運転している。福島第一原発の事故対応でも労働者の被曝防止を考えていないことが新聞報道から明らかとなっている。多くの労働者の自己犠牲的な闘いの陰で、労働者の命がどこまでも踏みにじられているのだ。
3人は外部被曝のみならず内部被曝もしていたにもかかわらず、28日には退院させられた。労働者殺しそのものだ。到底許すことはできない。
(図 国内原発 運転26基、定期点検などで停止18基、震災で停止10基、計画14基 ※政府は昨年6月、2020年までに9基、2030年までに14基以上の原発を新増設するエネルギー基本計画を閣議決定している) 「安全運転」論は完全なウソ
原発は労働者を被曝させなければ一日たりとも動かない。労働者を白血病などの病に追いやり、死に至らせることで動いているのだ。「安全運転すれば大丈夫」という考えは帝国主義や電力資本のデマであり、完全な誤りだ。原発に「安全運転」はありえず、福島第一原発事故のように大事故は避けられない。
本稿で最も訴えたい点は、原発は被曝労働を絶えず膨大に生みだすということだ。原発が人間の力で制御できないものであることが、原理的に示されている。原発は絶対に廃絶以外にない。
原発の労働とはどのようなものか。建設工事が終了し、稼働を始めた原発には大別すると二つの労働がある。運転業務と定期検査(定検)業務だ。原発のPR映像では、コンピューターや制御盤が並んだきれいなコントロールルームが映し出される。だが、そんな所には原発労働の真の姿はない。その裏で多くの労働者が日々放射性物質や放射線にさらされている。労働者の被曝や、空中や海中への放射性物質の流出という深刻な問題が存在する。
特に深刻なのは、運転を停止して原子炉などの検査や補修をする定検だ。これは法で定められており、以前は最長13カ月間隔だったが、現在は最長24カ月間隔に延長された。期間は一般的には約3カ月とされているが、1カ月程度に短縮されている原発もある(すさまじい安全破壊だ)。1日千人もの労働者を動員する。作業は、原子炉内外での放射性物質の除去、原子炉直下での配管やバルブの点検・交換など多種多様にわたる。放射性物質や高いレベルの放射線にさらされる極めて危険な作業となる。
白血病で死亡 例外ではない
1991年10月、中部電力の孫請け会社・協立プラントコンストラクトで働いていた嶋橋伸之さんが、原発労働での被曝が原因の慢性骨髄性白血病で29歳で亡くなった。嶋橋さんは高校卒業と同時に同社に就職し、ただちに静岡県にある浜岡原発に勤務するようになった。嶋橋さんが行っていた業務は、原子炉内の中性子の密度を監視する計測装置の保守点検だった。
嶋橋さんは定検時、原子炉の下にもぐり、装置を取り外して調べる仕事をしていた。原子炉の直下は、核燃料が外に取り出されていたとしても膨大な放射線にさらされる所だ。とくに88年9月の第1回定検時には嶋橋さんは、定検2日目、まだ核燃料が原子炉の中にあるその直下で作業をさせられていた。激しい放射線を浴びる。にわかには信じられない程の被曝労働だ。
嶋橋さんは1989年9月頃、激しい高熱と全身の出血斑を発症、壮絶な闘病ののち、91年10月20日に亡くなった。中部電力資本は遺族による労災申請を妨害したが、裁判で争った末、磐田労働基準監督署に労災を認めさせた。
嶋橋さんの被曝死は例外ではない。全国の原発で、何十万人もの労働者が被曝労働を強制されているのが現実だ。そのなかで数多くの労働者が数年〜十数年後にがんや「原発ブラブラ病」と呼ばれる極度の倦怠(けんたい)感を発症し、何の補償もなく死亡している。人知れず野垂れ死にに追い込まれた労働者も多数いる。
定検労働の非人間的実態
原発で働くことになると、まず「教育訓練」が実施されることになっている。だが、福島第一原発など3カ所の原発で働いた経験があり、『原発ジプシー』の著者である堀江邦夫氏は「教育訓練については一度も受けたことがない」と証言している。またたとえ行われたとしても、それは「原発は安全」を徹底的に刷り込むための洗脳教育そのものである。20年間、配管の現場監督として原発で働いた平井憲夫氏は「教育の最大の目的は、不安の解消のため。原発が危険だとは一切教えない」と批判している。
放射線は見ることもできず、臭いもない。したがって労働者は安全意識が働かなくなる。だが他方で労働者は漠然とした不安感にさいなまれ、絶えず苦しむことになる。
防護服やマスクの着用の指導も皆無に等しいため、労働者は自己流で着ける。そのために、放射能に汚染された現場で作業中にマスクがはずれてしまうこともある。また、40度〜50度もの高温下での労働となるため息苦しくなり、あるいは眼鏡が曇って仕事にならないため、全面マスクをはずしてしまう労働者も出てくる。
防護服も放射線が突き抜けてしまう。そのため、労働者は、浴びた放射線の量をはかるための線量計や警告を発するアラームメーターを体に装着して作業をする。原発では、労働者の1日あたりの許容量を定めている(これ自身インチキそのもの。人体にとってこれ以下なら安全という放射線量はありえない)。放射線レベルの高いところでは、すぐに規定の量に達してしまうために数分、あるいは数十秒単位の仕事しかできない。だが、交代していたのでは仕事がはかどらないために会社が許容量を増やしてしまうこともある。また、線量計を着けさせずに作業させることさえある。
原発労働では熟練の蓄積は不可能だ。被曝する原発労働者は必ず使い捨てにされるからだ。また、原発の危険性を徹底的に隠す「教育」をしているがゆえに、原発についての本当の知識や技術は知らされない。巨大で複雑な装置の稼働がもっぱら未熟練労働者によって支えられ、危険な原発がますます危険になる。労働者自身にとっても、全世界にとっても恐るべき現実があるのだ。
(写真 嶋橋さんが作業していた浜岡原発2号機の原子炉直下。配管やパイプが林立し、まともな作業ができず膨大な被曝を強いられる) 資本主義の腐敗の極致だ
さらに原発労働の最大の特徴は下請け労働者、特に定検時だけ働かされる非正規労働者の圧倒的多さだ。彼らは全国から集められる。それは新自由主義のもとで切り捨てられた原発周辺の農漁民であり、失業した労働者である。高校卒業後すぐ非正規労働者として原発で働く青年労働者も増大している。
大恐慌と大失業下で多くの青年労働者が非正規労働を強制され、社会の3分の1を占めるまでになっているが、原発は9割を超える労働者が下請け・非正規という飛び抜けた多さだ。極限的な非正規労働こそ原発だ。
原発こそ、労働者を使い捨て、殺し、ずたずたにし、人間の尊厳まで奪い去る資本主義の腐敗の極致であり、資本主義の最末期の姿だ。労働者が生きるためには原発は廃絶する以外ない。大震災で虐殺された数万の労働者人民、原発によって命を奪われ、病におかされた幾多の労働者の無念をはらし、連合、電力総連の裏切りを粉砕し、被災地で闘う仲間とともに労働者階級の団結で帝国主義を打倒しよう。
---------------------------------------------------
週刊『前進』(2483号4面3)(2011/04/11 )
2001年日誌 3月28日〜4月4日
原発事故で日米共同対処が始動/仏が西アフリカに軍事介入
●「オバマ・ドクトリン」表明 オバマ米大統領がリビア問題で演説。米国の国益と価値観を守るためには直接の脅威がなくても軍事行動を辞さないとした上で、単独介入ではなく同盟国の集団行動で対処するという「オバマ・ドクトリン」を打ち出した。(28日)
●外相会議がリビア攻撃継続決定 35カ国の外相と国連の代表などがロンドンで会議を開き、リビアへの軍事行動継続を支持する議長声明を採択した。米英仏は反体制派への武器供与も検討する考えを表明した。(29日)
●米韓が北朝鮮の核に対抗する演習を計画 米韓両国が、北朝鮮による核攻撃などを想定し、これへの対抗手段を探る初の机上演習を今年後半にも実施することで合意した。(29日)
●福島第一原発、廃炉へ 東京電力の勝俣恒久会長が福島第一原発の1〜4号機の廃炉を認めた。枝野官房長官は5、6号機の廃炉にも言及。(30日)
●「竹島は固有の領土」全教科書に記述 来春から使用する中学の全教科書に竹島(独島)を「日本固有の領土」とする記述が明記された。(30日)
●米がCBIRF部隊派遣 日米両政府は大規模な放射能漏れなどの緊急事態発生に備え、日米共同対処計画を策定する方針を固めた。米国防長官は化学・生物・核兵器事態への対応を専門とする米軍CBIRF(シーバーフ)部隊の日本派遣を承認した。(31日)
●仏大統領が訪日 サルコジ仏大統領が原子力産業幹部とともに訪日、菅政権への協力を約束した。(31日)
●国会が「思いやり予算」承認 在日米軍駐留経費の日本側負担に関する新協定が国会で承認された。(31日)
●中国が国防白書発表 中国政府が国防白書を発表。米のアジア戦略に対抗し「海洋権益保護」を掲げて海軍強化を図るとともに、「社会の安定維持」を国防の重要任務とした。(31日)
●菅首相が「復興」へ記者会見 菅首相が記者会見で東日本大震災の「復興構想会議」発足へ与野党の協力を求めた。震災担当相も新設する。民主党の特別立法チームは復興対策基本法案の原案を作成し、復興財源として特別消費税の創設、震災国債の発行と日銀引き受け、集団移転後の土地の国有化なども検討項目に盛り込んだ。(1日)
●アフガンで国連事務所襲撃 米国でコーランが焼かれた事件に抗議し、アフガニスタン北部でデモ隊が国連事務所を襲撃した(1日)。アフガン駐留米軍司令官は「治安面で深刻な問題が新たに生じた」と語った。(3日)
●福島原発の汚染水を海に放出 東京電力は福島第一原発の汚染水1万1500dを海に放出した。(4日)
●放射性物質の拡散予測公表せず 気象庁が連日行っている、福島第一原発から出た放射性物質の拡散予測を政府が公開していないことが判明した。日本気象学会も研究者らに情報公開の自粛を求めていた。(4日)
●仏が西アフリカに軍事介入 西アフリカのコートジボワールでの内戦に、現地に駐留するフランス軍が軍事介入を開始した。国連平和維持活動(PKO)部隊との共同作戦。(4日)
---------------------------------------------------
週刊『前進』(2483号5面1)(2011/04/11 )
〈3・11〉への労働者の回答は何か
国家と資本の犯罪を徹底弾劾しプロレタリア権力樹立へ闘おう
大失業粉砕・全原発廃棄へ総決起を
大震災と原発大事故は新自由主義の腐敗の極
3月11日の大地震・大津波による大災害(α)と原発制御不能化・放射性物質大流出による大災害(β)は、二つのことではなく一体のものとしてある。3・11は断じて天災ではない。階級的災害である。
3・11大震災をどう把握し、これにどう対処すべきかを明確にしようとするとき、これら3・11の全体(α×β)はすべて階級的大災害であり、国家と資本による犯罪であることをまずはっきりさせよう。真の許すことのできない大罪人は、歴史的寿命のつきた、腐りきった、延命のための延命にあけ暮れている新自由主義=資本主義・帝国主義そのものである。
これは地球規模の、日本帝国主義を始めとする資本家階級による最大利益追求一辺倒の新自由主義のもとで生じたことだ。彼らによる「安全問題」の軽視・無視、反合理化・運転保安闘争圧殺の攻撃が行き着いた究極の姿である。その全矛盾の最高・最大規模の爆発が生じたのである。
このことを示す最も明白な事実は、「想定外の大津波」のために原発の電気系統がすべて働かなくなった、などと弁解していることにある。しかしこれは百パーセント、うそなのだ。
歴史的な事例からして、三陸沖では津波の高さは20〜30b、それ以上になった例が確認されている。直近でも、スマトラ沖地震では20bクラスの津波が繰り返し押し寄せたではないか。今回のマグニチュード(M)9・0という地震の大きさについても、政府・東京電力・ブルジョアジーは学者どもも含め、「あらゆる想定をはるかに超えた」などと口をそろえている。なんという欺瞞(ぎまん)、なんという腐敗。直近のスマトラ沖地震を始めM9・0を超えたのは世界では4カ所ある。M9・0はまったく信じられない数字ではない。
電気系統がすべてダメなどというのもあまりにふざけている。水をかぶったらすべてダメということで通るような、オモチャのようなシステムの上に全人類の運命を懸けていいのか!
「原発はきわめて堅固にできているのだ」などというのはうそっぱちそのものだった。炉心溶融(部分的と言っているが)にまであっという間に行き着き、水素爆発で建屋が吹っ飛んだ。放射能の大流出が次々と始まり、膨大な周辺住民が住むところを失い、農業・漁業が破壊され、すさまじい被曝(ひばく)下での労働が東電とその関連労働者(とりわけ下請け・孫請け)に強制されている。
原発は核兵器とともに、徹頭徹尾、反階級的で非人間的で、全労働者・全人民・全人類に敵対し、害悪をなすものである。巨大原発事故の多発化時代を断じて現実化させてはならない。
実際には、大恐慌下の大不況の危機から逃れるために、帝国主義諸国、各大国はどんどん原発促進、原発再開へと突進中だ。日帝も新成長戦略(輸出戦略)の強力な環として位置づけている。今回の事故によっても、その勢いにはせいぜい若干のブレーキが一時的にかかるだけだ。むしろこれからますます原発推進に拍車がかかっていく。
その背後にあるのは、労働者や周辺住民の被曝を徹底的に無視し、「国家・公共」のため(実は資本家階級の利益のため)に生命を懸けるのは当然だといった、度しがたい反人民的イデオロギーと労務政策である。
資本家階級は利潤の極大化にすべての心を奪われ、かつ、それを人類普遍のあり方だなどという虚偽のイデオロギーを振り回し、労働者を搾取材料としてしか見ず、被曝地獄で働かせることでコストダウンを図っていくことを当然としているのだ。逆に、産業上・社会上の「運転保安」のためには自らはビタ一文、本当は出したくない。しかもこの原発産業をぬきに世界で資本家としてやっていくことはできない。それが資本主義時代というものだ。
「原発がなかったらエネルギーがなくなる」という恫喝に屈してはならない。原発なしに日本資本主義は成り立たない、世界の資本主義も成り立たないから原発を容認しろというのは、まったく転倒している。話は逆だ。労働者を被曝下で働かせて早死にさせる、こんな産業が存立していいはずがない。人間がコントロールもできず、人類を滅ぼすことが必至の原発など、断固有無を言わさず、直ちに全面的に廃棄すべきである。
(写真 「すべての原発をただちに止めよ」と、3・31東京電力本社弾劾デモ)
資本主義社会の全面的転覆が求められている
原発をなくし、巨大な大津波への社会的対策も強力に行う――こういうことを、社会が社会として存立するための前提と考えることが必要だ。3・11は、資本家階級にはその能力も、意志も思想もないことをはっきりさせた。
3・11と本当に正対し、のりこえるには、資本家とはまったく別の階級的立場に立つ必要がある。原発の全廃は資本主義の原理を破棄することを意味する。3・11をくり返さないためには利潤第一主義の資本主義のあり方を転覆し、廃棄するしかない。現在の社会の枠組みを根本からひっくり返す、別の原理を打ち立てることだ。労働者階級の登場による社会の根本的組み替えが必要なのだ。これはプロレタリア革命以外にない。
革共同綱領草案が提起しているように、労働者階級が団結して全生産と分配を掌握し、社会生活の主人公となり、社会の全面的な組み替えに踏み出すことで、3・11の本当ののりこえが可能となる。そうしてこそ社会全体の利益と個々人の労働者の利益を正しく結合させることができる。このことを今こそ鮮明にしよう。
このように言えば、「そんなことは夢物語だ」と言う者がいるだろう。何よりブルジョアジーは絶叫するだろ う。確かに資本家と資本主義の金もうけ主義を前提とする限り、それは夢物語だ。しかし、無力化し腐敗し反人間化した資本主義など破棄して、資本家階級から生産手段を奪取してそれを団結した労働者の手に移し、労働者と農民が働く人民のために必要なものを生産し、プロレタリアートの原則にのっとって配分する新たな社会をつくりだすなら、原発の破棄など一瞬のうちに可能だ。そして、すべての産業で合理的で不可欠な「運転保安」の体制を産業的にも、インフラなどの社会的土台についても正しい分割比で、社会的財政的措置をとって進んでいくことができる。
これはマルクス、エンゲルス、レーニンも言っているように、最初はぎこちないところがあるかもしれないが、経験の進行とともに急速に社会的前進をあらゆる面でつくりだせるのだ。
われわれはこの視点から、3・11の被災下で苦しむ労働者階級や農民・漁民・全人民の職場と生活の諸問題をめぐって、資本の無策や労働者人民に犠牲を押しつける攻撃を打ち破って、労働者階級人民の生活・雇用・権利を防衛する闘いの先頭に立って闘わなければならない。
その場合の一番のポイントは、3・11からの「復興・支援」の名のもとにあらゆる攻撃が合理化されて襲いかかることと闘うことだ。国家財政・地方財政の赤字の巨大化の責任を公務員労働者などに押しつけて、全労働者階級に対するより激しい搾取や収奪、合理化・リストラや安全無視の強労働の強制に出てくることに断固反対し、労働者階級の利益の防衛と拡大のために全力をあげよう。
資本家階級は絶対に「運転保安」や「社会の災害防止」などに金をまわしはしない。JRを始め全資本家階級は結局のところ、「復興のため」と言って国鉄の第2次分割・民営化、公務員360万人首切りへと進み、国際的進出を押し出して争闘戦を激化させ、ついには戦争を引き起こす。これが資本家階級の、そして菅内閣の本質だ。
3・11を名目にしようとしまいと労働者階級は大増税に絶対反対である。公務員360万人の「いったん解雇・選別再採用」という新自由主義攻撃には絶対反対だ。また、こうした国内矛盾を世界への侵略戦争によって排外主義的にのりきる帝国主義のあり方を、断じて許さない。
すでに、1〜3月の動労千葉ストや青年労働者・学生の闘い、三里塚反対同盟などを先頭にした闘いが圧倒的な勝利を切り開いている。この闘いと3・11への怒りの爆発とを百パーセント一体化させて闘いぬこう。
政府とマスコミは日本危機論、社会危機論をあおり、「公のために命をかけることの美しさ」といった、戦前にはやった国粋主義的、国家主義的なイデオロギーを一挙に強めようとしている。災害の現場での人民大衆同士の心豊かな協力・共助を悪質なたくらみをもってもてはやし、「挙国一致」のイデオロギーによる階級的イデオロギー抹殺の絶好の機会にしようとしている。これは3・11を期して、日本史を反革命に向かって一回転させるチャンスとして見ていることを示す。
われわれは労働者階級として、自らの共同性にふさわしい行動を今こそ断固としてとろう。同時に、ブルジョアジーとブルジョア政府が災害対策と称して行う政策のすべてが資本家階級の利害とエゴに満ち満ちていることをはっきりさせ、3・11を真にのりこえるには資本主義・帝国主義を倒す以外にないことをあらゆる方法で染み通らせるために、粘り強く闘おう。
大恐慌の一層の激化と世界革命情勢の深まり
07年8月パリバ・ショックに始まる世界金融大恐慌によって、新自由主義はその大破産をさらけ出すと同時に、大恐慌はエジプト革命をもたらした。戦後世界体制のもとで蓄積された全矛盾が大恐慌として爆発し、戦後体制の解体が音を立てて進行している。この中で、プロレタリア世界革命の現実性、実体的普遍性がすさまじいまでに明らかになっている。
エジプト2月革命はその、ひとつの決定的メルクマールである。それは、大恐慌のもとで起きた中東・北アフリカ情勢の革命的展開の基軸(機関車)として、さらにプロレタリア権力の樹立へ向かうか否かをめぐってますます重大な情勢へと突き進んでいる。
今や、大恐慌はもっと深まり、一層の大爆発へと向かっている。革命情勢の進展が大恐慌をさらに激化させ、大恐慌・大失業の激化が世界革命情勢をより激烈に発展させていく過程が始まったのだ。労働者階級の決起、蜂起が一切を決する時代に突入した。
今日、米国が一定の「回復」水準になれば大不況から抜け出すことはできるといったことが、視野の狭いブルジョア・エコノミストによって繰り返し言われている。ブルジョアジー自身が07年8月以前のバブルの「夢をもう一度」の願望に必死にすがりついている。彼らは、財政の大動員によって需給ギャップをある程度埋めるという公的支援の展開、そのもとでの「回復」が事態の本質だということを、どうしても認めたくないのだ。
だが、今日の一定の「回復」なるものはあらゆるところに破綻や穴があって、本当にボロボロな「成長」にすぎない。根本的には、大恐慌は本格的な大失業をもたらすのであって、この大失業の問題は、財政支援で経済が一定回復すれば再び雇用が昔に戻るというような問題ではない。
大恐慌とは結局、一定の労働者層を労働市場から追い出して産業予備軍化したり、労働者の古い技能を無力化して超低賃金労働者に入れ替えることである。これこそが恐慌の恐慌論的本質なのだ。したがって、大恐慌下の労働市場は失業問題がすさまじい危機的性格をもって永続化する傾向をもつ。今、大恐慌が依然として激烈に進行中ということは、大失業の実態(公式統計は本当に欺瞞的にできており、実際の失業者数ははるかに多い)の中に示されている。大恐慌は、この巨大な大失業を絶対に解決できない。
そのことを別の形で示すのが住宅市場である。3月下旬発表のアメリカの住宅価格は依然下落を続け、11年2月の新築一戸建住宅販売はなんと25万戸という驚くべき史上最低値(1963年以来の過去最低)を示している。その背後には、米の金融機関のますます深まる危機がある。銀行の不良債権を米政府が抱え込むことによって危機の進行が隠蔽(いんぺい)されているにすぎない。
米帝の輸出戦略も、自動車を始めとしてけっして順調な展開などしていない。米国内(自国内)で敗北し外国市場で勝利するなどということは、長くは続かない。
さらに、エジプト−リビア情勢の激動的展開は、原油市場を揺るがしており、米帝経済はこの面からもきわめてもろい状態になっている。
インド、中国なども、インフレが爆発して不動産不況に突入しようとしている。欧州では、ポルトガル国会で財政再建案が否決されたのを契機にポルトガルの国債相場が急落した。ポルトガル、ギリシャ、アイルランドなどが債務不履行に陥る危険が高まり、EU全体の新たな危機爆発が迫っている。
そして米帝を軸としたこの大恐慌の爆発過程において決定的に重要なことは、エジプト−リビア革命の進展はそれ自体大恐慌情勢の一側面であるが、これが米帝の世界支配を揺るがし、さらにはドル体制を揺るがすということだ。
こうした中で、日本の3・11情勢の爆発は、今や大恐慌情勢を根底的に、急速かつ激烈に深化させる決定的契機となりつつある。3・11は純自然災害ではなく、日本資本主義の矛盾の爆発としての政治経済的事態だ。ここから不可避となる日本の震災恐慌は、世界資本主義の連鎖に超ど級の大打撃を与え、全世界を一気にどん底まで突き落としていく恐るべき大恐慌の新たな引き金を引くものになる。これから復興需要をうたった「ブーム」が一時的に起きるかもしれないが、そんなものはいずれはじき飛ばされる。
まさに今次大恐慌こそ資本主義の最後的な大恐慌である。そしてそのもとで、戦後世界体制=ドル体制がついに総崩壊していく時を迎えたのだ。世界市場の再分割と自らの生き残りをかけた帝国主義国・大国間の分裂抗争−争闘戦−戦争の時代への突入がすでに、完全に始まった。この大恐慌と戦争をプロレタリア世界革命に転化するために、全力で闘う時が来たのである。
帝国主義によるリビア侵略戦争強行を許すな
次に、日本の3・11大震災と時を同じくして開始された、米欧帝国主義によるリビア軍事介入(日帝は直ちにこれを支持した)について確認しておきたい。
まず確認したいことは、大恐慌下で労働者階級の新自由主義への怒りが爆発し、階級矛盾が極大化して、中東・北アフリカでの一連の革命的情勢が爆発的に進行したことのもつ世界史的意義と、その大きさである。
この世界史的激動の原動力は、新自由主義下で搾取と抑圧に苦しみ抜いてきた労働者階級、プロレタリアートそのものの怒りと闘い、決起であった。これがエジプトのムバラク体制という米帝(国際帝国主義)の最大級の支柱をついに打ち倒したということだ。しかもそれは、体制内派の官製の労働組合および警察権力との激しい闘いを、労働者階級のストライキで培った団結力で吹き飛ばすことを基礎として遂行された。すなわち、1917年のロシア革命で言えば「2月革命」を、プロレタリアートの力でやってのけたのだと言っていい。
その上で、ロシアで17年2月革命以降進行したことは、労働者階級が自己権力を形成し獲得するためのすさまじいまでの組織戦であり、内乱的死闘であった。レーニン暗殺の危機が常にあった。エジプトでもそうなることは必至である。だがエジプトの青年労働者と学生は、プロレタリア権力樹立へ向けた「10月への道」をギリギリと創意工夫をもって闘いぬき、駆け上っていくであろう。これに全面的に連帯して闘おう! ということである。
問題は、真の連帯は自国政府との闘いをまともにやりぬくか否かにある。この意味で、国鉄決戦を軸とする2011年の決戦、その3・11情勢下での大発展は、エジプトの青年労働者・学生との革命的連帯をかけた闘いとしての意義をもつ。
労働者階級は団結を通してその力を強め、深める。その意味でインターナショナルな真の階級的団結こそが、それぞれの国の、それぞれの組合の、それぞれの労働者一人ひとりの力を、階級の力のレベルへと引き上げ、飛躍させる鍵となる。真の闘う国際連帯は、階級意識の最高形態をつくりだすのだ。まさに国境も何もかものりこえる力をもたらす!
その一切は、革共同が綱領草案と2011年1・1アピールで打ち出した路線のもと、動労千葉労働運動が最先端で切り開いている闘いに学びつつ、日本のプロレタリアートが階級として自己を組織し、日帝打倒・プロレタリア独裁樹立へと前進するか否かにかかっている。
米欧によるリビア軍事介入は、石油のための侵略戦争であるとともにエジプト革命とその波及に対する国際帝国主義の反革命的対応である。帝国主義のリビア侵略戦争阻止の闘いに断固として立ち上がろう。
リビアのカダフィ政権は、エジプトのムバラク体制以上に超独裁的な支配を行い、腐敗を深めてきた。カダフィ政権はエジプト2月革命の勝利後、一時的にかなり追いつめられたが、独特の権力支配構造を背景に反撃し盛り返して、反体制派に制圧されたベンガジの陥落をも狙うところまでいった。
このカダフィの「強さと力」の背景には、カダフィが米欧帝国主義と一定、長期にわたって「対決」してきた歴史と経験がある。そしてサウジアラビア、バーレーンなどの超反動政権やイラクの現政権にとって、民衆蜂起の大嵐に耐えぬく反動の柱としての「存在価値」を実証したのである。
実は米帝も、結局はサウジアラビアが安定するうえでカダフィの存在はあった方がよい(民衆に妥協しない反動の権化がいた方がよい)という判断である。したがって米帝は、反カダフィの合唱隊の一員のふりをし、飛行禁止空域設定のための数日間の戦闘には中心的役割を果たしたが、その後直ちにNATO軍に指揮権を移譲しようとしている。また米帝は、「カダフィの身柄には何の興味もない」とあけすけに言い放っている。
要するに米帝は、中東・アフリカの革命の波がカダフィのところで失速するのはいいことだと考えている。その上で、反政府派が万一盛り返したときに備えて、反政府派とも秘密ルートをつくる努力をしている。つまり米帝の中東石油支配の最後の砦(とりで)であるサウジアラビアとイスラエルの防衛を、一切の基準において行動している。これが米帝の行動の核心だ。
他方、英仏は、カダフィ政権を打倒して反政府側の権力樹立を促し、そのことによって石油利権の最大化を図ろうとしている。カダフィ政権の危機を石油市場分割・分捕り合戦への好機として、リビア石油の露骨な略奪にのりだしたのである。日帝もまた、直ちに空爆支持を打ち出し、この石油争奪戦からはじき飛ばされまいと必死である。
結局、帝国主義は、石油支配のための中東・アフリカ侵略戦争へとついに突入したのだ。こうした情勢下で、エジプト2月革命がプロレタリア権力樹立に向かうかどうか、リビアでは労働者階級の蜂起によってカダフィ打倒をやりぬけるかどうかが問われている。カダフィ完全打倒・プロレタリア革命のために闘うリビア労働者人民と連帯して、米欧日のリビア侵略戦争絶対阻止のために、全世界の労働者は決起しよう。
国鉄決戦を基軸にして闘う労働組合の再生へ
3・11大震災をめぐる攻防、エジプト・リビア情勢、さらに米日帝による朝鮮侵略戦争情勢、総じて大恐慌と戦争をめぐる攻防に対応して、新自由主義・資本主義・帝国主義への怒りを底の底から大爆発させていこう。今こそ資本主義の打倒、プロレタリア世界革命の達成が焦眉(しょうび)の課題となっていることを、全日本・全世界の労働者階級に徹底的に訴えて、階級的一致と団結を強めよう。
「世界大恐慌をプロレタリア世界革命へ」「国鉄解雇撤回・外注化絶対阻止、大恐慌―大失業・戦争を世界革命へ」――この路線を、いよいよ白熱的に実践しよう。国鉄決戦を基軸に、闘う労働組合をよみがえらせよう。被災地支援、震災解雇粉砕、非正規労働者防衛の闘いをやりぬき、6千万労働者の団結と労農同盟の大発展をかちとろう。国鉄闘争全国運動が呼びかける6・5集会を「新自由主義と闘う反失業大集会」として、国鉄決戦の巨大な発展形態として大成功させていこう。
反原発闘争は、日本と世界の労働者階級にとって最も重視しなければならない闘いだ。とりわけ青年労働者と学生は、大失業と原発問題を青年の未来と命をかけた大闘争として立ち上がろう。全原発即時停止・廃止の1千万署名運動を推し進め、今夏の8・6―8・9闘争を、ヒロシマ・ナガサキとフクシマの再現を絶対許さない世界的闘争として大爆発させよう。
リビア侵略戦争、朝鮮侵略戦争絶対阻止を掲げ、5・15闘争を当面の焦点に安保・沖縄決戦の新たな血路を切り開こう。3・11情勢下での三里塚闘争の大爆発の時代を押し開こう。
菅政権は、3・11をむしろチャンスとして強引に延命し、資本家階級の支持をとりつけ、自衛隊をフル動員した有事体制の一挙的構築による東日本全土の制圧をもテコに、菅式の強権的なボナパルティズム政権の形成を狙っている。しかし菅は、連合という労働組合の力に片足をかけることによって力をもつ。ここを打ち破る力は闘う労働者階級にある。
今こそ日帝・菅政権とそれを支える連合の労働貴族に対する全労働者階級、全人民の積もりに積もった怒りを解き放ち、菅政権を実力で打倒する闘いに総決起しよう! 菅政権打倒から日帝打倒、プロレタリア日本革命の実現へ攻め上ろう!
---------------------------------------------------
週刊『前進』(2483号6面1)(2011/04/11 )
団結ひろば 投稿コーナー
避難所で暮らす日々 余震続く中での活動 仙台 如月有羽
今回の震災に仙台で遭いました。
発生当日は自宅にいました。余震が続く中で日が暮れ、住んでいる団地の人の車で夜を明かしました。
翌日行った避難所の小学校は広い体育館に石油ストーブが四つか五つ。床にはブルーシートが敷いてあるだけでした。早く来た人や体調の悪い人は体育用のマットを使っていました。他の人は、探してきたダンボールや借りた毛布を敷きましたが、私を含めて寒さや不安で寝付けない様子の人が沢山いました。また、配られる食事だけをもらい、車に戻る人たちもいました。天井の鉄筋は余震が重なるうちに緩み、垂れ下がっていました。
震災後、数日たって職場から連絡があり、聞いてみると、再開するには引っ越すしかないとのこと。しかし現時点での引っ越し先の候補は、今までの半分の規模の広さ。当然働ける人数は半分。きっと仕事に慣れた人から戻ることになるでしょう。つまり、昨年4月から働き始め、「障害者求人」で他の人たちよりも短時間勤務のために仕事に慣れていない私が戻れるのは、いつになるかわからないということです。震災解雇の可能性もあります。
全国の同志の支援にはとても感謝しています。特に単1電池が大量に届き、「これは街宣をしろということだな」と受け止めています。現在も余震は続いていますが(この文章を書いている間にも揺れました)、震災解雇を許さず、この世の中をひっくり返すために打って出ようと思います。
東京電力の人類史的大犯罪を追及しよう 東京 馬込史夫
3月31日の東京電力抗議デモに大きな怒りをもって参加した。全学連の若い諸君が17日、20日に続いてイニシアチブをとってデモをリードしたことに敬意を表したい。
東電のこれまでやってきたこと、そして現在進行形の人類史的大犯罪を絶対に許すことはできない。前日記者会見した東電会長の勝俣は「ご不安とご心配、ご迷惑をおかけし、おわび申し上げます」と言った。こんなマニュアル通りの「おわび」がどこの世界で通用すると思っているのか。不安や心配、迷惑というレベルの話ではないだろう。何十万、何百万人の人びとの生活をずたずたに破壊しているのだ。「万死に値する罪」と言うが、その2乗、3乗の罪ではないか。
デモは、われわれの怒りの大きさに比べたら、まだまだおとなしいくらいだった。東電本社前で学生3人を逮捕! これが権力の正体だ。世界中の労働者人民から弾劾されている東電資本を守るための権力。しかも、トラメガまで押収し、以後のデモは肉声でしかできない。なんと低劣なデモ妨害だ。銀座デモに恐怖し、東電弾劾、全原発廃止の闘いが広がることをなんとしても阻もうとしているのだ。だが、われわれは怒りと興奮で、声を限りに東電と権力を弾劾しまくり、銀座デモを戦闘的にやり抜いた。
翌日3君は奪還されたが、怒りは収まらない。権力には何倍ものお返しをしてやる。権力はやがて、3・31の不当逮捕はとんでもない失敗だったと思い知ることになるだろう。
雇い止めに対し新潟市役所前で抗議街宣 「救援対策本部ニュース」より
3月31日、新潟市長は、元新潟市職労副委員長で新潟県労組交流センター代表の斎藤実さんに対して不当な解雇辞令を発しました。人事評価への協力を拒否したことで、65歳まで雇用義務のある再任用公務員労働者を解雇するなんて、とんでもないことです。まして3月11日の大震災・大津波・原発事故後のこの時期にです。
震災解雇許すな
この過程で日々明らかになっていることは、新自由主義のもとで行われてきた地方切り捨てと「財政再建」を口実とする「市町村合併」合理化、公務員削減の外注化・非正規化が被害を極大化させた(させ続けている)ということです。
こういうときに頼りとすべき公務員も最小限度以下にまで減らされ、避難所とすべき公共施設も足りません。そのため、残された公務員を中心に地域の人びとが必死になって奮闘しているにもかかわらず、いまだに被災した多くの人びとにまともな救援の手が行き届かない状況が続いているのです。
そうであるにもかかわらず、3月31日をもってする雇い止めが被災地をはじめ全国で横行し、震災被害にともなう解雇と同時に、震災や停電にかこつけた整理解雇と大幅賃下げが数十万人、数百万人単位で吹き荒れようとしています。
本来ならこういうときに大量の失業者・失職者を雇い入れるべき行政が、「人事評価への協力拒否」を理由に61歳の再任用公務員労働者の首を切るというのです。こんなことは絶対に許されません。
翌4月1日、新潟労組交流センターの仲間たち十数人は、新潟市役所前で抗議の緊急街宣を行いました(写真)。被災地をはじめ全国の労働者の先頭で徹底して闘う戦闘宣言が発せられたのです。首切り絶対反対で、断固ともに闘っていきましょう。
斎藤実さんの訴え
私は、昨年3月31日で定年を迎え、4月1日より再任用職員として1年間働いてきました。定年前とは全く違う業務でしたが、これまでの経験を生かそうと精いっぱい勤めてきました。そもそも新潟市長は昨年2月の再任用採用通知で「3回の任期更新を予定している」と約束しました。
ところが今年の任期更新時期の2月になって、人事当局は「人事評価の自己申告をしなければ任期更新しない」と言い始めました。私が「自己申告は提出しない」と拒否したら、2月23日付で解雇予告を行いました。そして昨日、新潟市長・篠田昭の名で退職辞令書を職場で手渡されたのです。健康保険証まで取り上げる仕打ち、これが首切りでなくて何なんでしょうか。私はこれを絶対にあいまいにしない! 不当解雇撤回を求めて、市当局とあらゆる手段で争っていきます。
解雇絶対反対で闘うべき労働組合はどうなのか。市職労本部の一部幹部は、私の再任用拒否=首切りに対し、市長とグルになって加担した。組合幹部の組合私物化を許さず、職場の労働者の手に組合を取り戻しましょう!
---------------------------------------------------
週刊『前進』(2483号6面2)(2011/04/11 )
警察が証拠物を“紛失”
星野同志と弁護団 国家賠償請求を提訴
星野文昭同志と再審弁護団は4月4日、星野同志の無実を証明する重要な証拠である「ビデオテープ」2巻を警視庁公安部が「紛失」したことに関して、国(東京高等裁判所)と東京都(警視庁)に対する国家賠償請求を東京地裁民事部に提訴した。
東京高裁は、1971年11・14沖縄返還協定批准阻止闘争を伝えるテレビニュースを録画したビデオテープ2巻を証拠として押収し、その保管を警視庁公安部公安総務課長に委託していた。ところが2008年3月、東京高裁が保管状況の調査を警視庁に依頼したところ、警視庁公安部総務課長は「所在が確認できなかった」旨回答してきた。つまり、紛失したと言うのである。
このビデオテープは、過去の刑事事件における取り調べ済みの証拠ではない。現在も裁判が進行中の生きている事件の証拠であり、星野同志の無実を示す証拠である。それを「紛失した」とは何事か。これは警視庁公安部による意図的な証拠隠滅である。権力犯罪だ。
東京高裁はなぜ警視庁公安部にビデオテープの保管を委託したのかを明らかにせよ。警視庁公安部は誰が、いつから、どのような状態でビデオテープを保管していたか具体的に明らかにせよ。
ビデオテープには、神山交番前で「学生が押し寄せてくる場面」から、梅沢米店前で「機動隊員が道路上に横になって炎に包まれている場面、その脇をデモ隊が走っている状況」「交差点でのデモ隊の様子」までが写っていた。これらは他の証拠で裏付けられている。
この映像は、星野同志が主張している「私は20〜30名に遅れる形で阻止線に向かった。阻止線は一瞬で崩れ、路上に機動隊の盾が転がり、炎と煙が立ち込め視界がきかず、仲間と機動隊員で混乱するなかを一直線に進んだ。(中略)そして、左手に2〜3名が1人の機動隊員をとらえている状況を見つつ、一直線に進み、その先に誰もいないことを確認してそこに止まった。そこが十字路(神山東交差点)だった」(第2次再審請求において提出した陳述書)という状況そのものである。ビデオテープは星野同志の主張を裏付ける非常に重要な証拠なのだ。
Krは殴打者の服の色を「きつね色」と供述し、「そのような服の人は星野さんしかいないから、殴打者は星野さんだと思う」としていた。しかし、星野同志の服の色は「薄青色」であった。最高裁は2008年7月の特別抗告棄却決定においてそれを認め、星野同志の服の色に関するKr供述を誤りとした。
第2次再審請求書は、この地平の上に、「きつね色」系統の服を着たデモ隊員が複数人居たことを新証拠の写真で示すとともに、Krはけっして殴打者の服の色に関する供述を誤ったのではなく、実際に「きつね色」の服を着た殴打者を見たことを明らかにした。
ビデオテープの証拠はこれらを証明し、星野同志の無実を一層明らかにする可能性が高かった。
警視庁公安部による証拠隠滅を許すな! 損害を金銭では評価できないが、本訴訟では最低限1千万円を下回ることはないとして1千万円を請求している。近く第1回期日が開かれる。法廷に結集して東京高裁と警視庁公安部を徹底的に追及し真実を明らかにしよう。
星野再審を開始し、無実の星野同志を直ちに釈放せよ!
(写真 71年11月14日の沖縄闘争で、渋谷警察署神山派出所前で機動隊の阻止線を突破し、進撃するデモ隊)
------------------
◆連載「星野第2次再審闘争勝利へ」は休みました。
---------------------------------------------------
週刊『前進』(2483号6面3)(2011/04/11 )
3君逮捕は権力犯罪弾圧
弾劾記者会見 “東電の手先を許さない”
3・31東電抗議デモに対する警視庁の弾圧、違法逮捕を弾劾する記者会見が4月6日午後、東京・霞が関の弁護士会館で行われた。逮捕され翌日奪還された織田陽介全学連委員長ら3君が弁護団とともに記者会見に臨んだ。逮捕にいたる経過と「取り調べ」の状況を具体的に暴露し、その違法不当を徹底弾劾した。今後、弾圧責任を追及するとともに、何よりも反核・反原発、「全原発即時停止」の闘いの大爆発をもって日帝権力に反撃する決意を表明した。
会見には織田君のほか、同時に逮捕された斎藤郁真法大文化連盟委員長、坂野陽平全学連委員長代行と、森川文人弁護士ら弁護団が参加した。
まず3君が逮捕にいたる事実経過と「取り調べ」状況、自分の思い・決意を語った。警察は逮捕理由を「デモを停滞させたから東京都公安条例違反だ」と言ったが、そんな事実はまったくない。逮捕は初めから仕組まれていた。デモ出発点の日比谷公園に100人を超える私服公安刑事どもが集まり、デモ参加者の写真とビデオを撮っていた。抗議してもやめなかった。デモのときはデモ隊のすぐ横について監視・弾圧を続け、内幸町の東京電力本社前まで来たときに襲いかかったのである。あらかじめ「警告看板」を準備し、それをもった警官2人がデモ隊の前に立ちふさがり、自らデモを止めておきながら、その「停滞」を理由に3君を逮捕したのだ。正当な抗議デモを恐れる警視庁があらかじめ仕組んだ権力犯罪だ。
直ちに起きた人民的憤激、弁護団・救対の反撃と3君の完全黙秘・非転向の闘いに警察・検察は追い詰められ、当初の弾圧の意図を貫けず、翌日、3君を釈放せざるをえなかった。とはいえ、もしもこんなでたらめがまかり通るなら、警察はまったく正当なデモにいつでも襲いかかり、誰でも逮捕できることになる。「絶対に許されない」と、3君と弁護団は怒りを込めて弾劾した。
テレビ・新聞記者からは、「取り調べ」時の具体的やりとり、今後の責任追及の方針、署名運動と4・22闘争の方針などに関する質問が行われた。3君と弁護団はこれに答えるとともに、警視庁の違法不当な弾圧の手口・実態を広く報道するよう要請した。
今回の弾圧は、警視庁が完全に日帝資本、東電資本の手先であることをさらけ出した。公安刑事は「取り調べ」と称して3君に「こんな運動は誰も支持しない。やめろ」と言ってきた。彼らがどれほど反原発闘争、東電追及の闘いを恐れているかを示している。反原発運動を弾圧してきた警察は、福島原発事故の共犯者だ。怒りに堪えない。
どのような弾圧も、原発事故に対する労働者人民の怒りの爆発を押しとどめることはできない。全原発の即時停止を求める1千万人署名運動を水路に被災地支援・反原発の闘いを推し進めよう。
(写真 3君と弁護団は違法逮捕を弾劾し民衆の権利のために闘う決意を表明【4月6日 東京】)
---------------------------------------------------
週刊『前進』(2483号6面4)(2011/04/11 )
救援連絡センターが総会
“被災地救援に立とう”
完黙・非転向の堅持を確認
救援連絡センター第7回総会が3月19日、東京で行われた。東日本大地震を口実とした「自粛」攻撃を打ち破って80人の参加でかちとられた。
代表弁護士の葉山岳夫さんが主催者あいさつ。「大震災は新自由主義の安全無視と地方切り捨てに最大の原因がある。菅政権は、自衛隊を差し向けて幹線道路を封鎖し、ボランティアの立ち入りを妨害するが、人民の救済には無為無策である。全国労組交流センターと動労千葉は東日本大震災救援対策本部を設置して被災地の救援を始めた。救援連絡センターも被災地の救援に決起しよう」と訴えた。また、3・20渋谷デモ、国鉄1047名解雇撤回の全国運動、5・20裁判員制度粉砕の全国集会、星野奪還闘争への決起を呼びかけた。
続いて山中幸男事務局長が活動報告と運動方針を提起した。山中事務局長は裁判員制度反対の闘い、獄中処遇改善の闘い、組対法との闘い、三里塚闘争、共謀罪攻撃との闘い、保安処分との闘いなどを報告し、今後も救援連絡センターは完全黙秘・非転向の闘いを堅持して闘おうと訴えた。
第U部としてシンポジウム「獄中者の権利と司法改革」が行われた。パネリストの青木理(ジャーナリスト)、川村理(弁護士)、安田好弘(弁護士)の3氏が報告した。青木さんは記者としての経験から、公安警察によるデッチあげ逮捕の実態、警察や検察が証拠を独占して無実の証拠を隠し、裁判所も被告・弁護人の防御権を侵害している現状について怒りをもって弾劾した。
川村さんは裁判員制度が破綻している現状を報告し、「裁判員制度を吹き飛ばすしかない。5・20裁判員制度粉砕集会に結集しよう」と訴えた。
安田さんも「被告人の利益を守るべき弁護士に被害者への配慮義務を強制された裁判では、弁護活動は成り立たない。裁判員裁判では被告の支援も成り立たない」と裁判員制度を弾劾した。
活発な討論が行われた。星野暁子さんは、星野文昭さんが94人もの友人面会を実現してきたこと、その後の面会妨害や手紙の墨塗り攻撃にもひるむことなく闘って打ち破っていることを報告した。そして、4月の星野絵画展と4月3日の獄中弾圧・獄中医療放棄と闘う共同集会への結集を訴えた。最後に大逆事件の研究報告と組対法弾圧との闘いの報告を受けた。
日帝・菅政権は、大震災を口実とした「政治休戦」と労働組合圧殺で、首切り・賃下げ・大増税攻撃を激化させ、治安弾圧に突き進もうとしている。被災地救援、全原発即時停止の闘いに総決起しよう。完黙・非転向の闘いを堅持する救援連絡センターの強化・発展をかちとろう。
---------------------------------------------------
週刊『前進』(2483号6面5)(2011/04/11 )
日程 三里塚裁判、法大裁判、前進社不当捜索国賠訴訟
-------------------------
三里塚裁判傍聴を!
◎市東さん行政訴訟
4月12日(火)午前10時30分 千葉地裁
◎市東さん農地法裁判
4月12日(火)午前11時10分 千葉地裁(同日に同じ法廷で連続して開かれます)
◎市東さん耕作権裁判
4月18日(月)午前10時30分 千葉地裁
◎団結街道裁判
4月19日(火)午前11時 千葉地裁
傍聴券抽選のため開廷1時間前に集合を
-------------------------
法大裁判に集まろう!
★暴処法弾圧裁判(被告人質問)
第22回公判 4月28日(木)午後1時30分 東京地裁429号法廷
12時30分に傍聴券配布所に集合
-------------------------
前進社不当捜索国賠訴訟
東京地裁415法廷第6回弁論 4月15日(金)午後1時30分
---------------------------------------------------