ZENSHIN 2011/02/14(No2475 p06)
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週刊『前進』(2475号1面1)(2011/02/14 )
大失業・食糧高騰への怒り、「抑圧より自由を」の要求、ムバラク即時退陣!の非和解的決起
エジプト革命に連帯し続こう
青年労働者と学生を最先頭に2・16集会-3・20反戦大デモへ
国鉄全国運動の発展を今こそ
(写真 エジプトでの史上最大の100万人デモと同時刻に東京のエジプト大使館前で抗議行動【2月9日 代官山】)
「大恐慌をプロレタリア世界革命へ」の巨大なうねりが、チュニジア蜂起−エジプト革命で現実に始まった。動労千葉のライフサイクル配転粉砕のストライキと、当面する2・16国鉄大集会は、国鉄分割・民営化という日本における新自由主義攻撃との、24年間の闘いの新たな発展をかけた集会である。この国鉄闘争はチュニジア−エジプトの革命とひとつにつながっている。それは米帝の中東支配を最後的に粉砕する革命的決起であり、「闘っても勝てない」と労働者を裏切り続けてきた世界のすべての体制内派、既成労組幹部を震え上がらせている。今こそチュニジア−エジプト革命と連帯し、それに続いて2・16集会に総決起しよう。青年労働者と学生を先頭に、さらに3月闘争、3・20反戦大デモの爆発へと進もう。
スエズ運河の労働者がスト
チュニジア―エジプトで始まった革命は、青年労働者を始めとして全世界の労働者階級人民を激しく突き動かし、鼓舞激励し、一個の国際闘争のうねりとなって発展している。この間、大恐慌は大失業と戦争を生み出し、全世界的に革命情勢を押し開き、成熟させてきた。それは同時に、現実の革命をもついに生み出すに至った。大恐慌の激化、深化、発展のもとで、プロレタリア世界革命の火ぶたが、決定的突破口が、チュニジア−エジプトでいま現に切り開かれているのだ。
しかもこの革命の主体、原動力は、何よりも大恐慌のもとで20〜30%という高い失業率と物価高騰と貧困にあえぎ、長い政治的抑圧からの自由を求めて決起した青年労働者であり、官製組合の支配を打ち破って、自主的な闘う労働組合を組織し闘ってきた労働者たちである。ここにチュニジア―エジプト革命の歴史的意義と可能性が示されている。まさにチュニジアやエジプトの青年労働者と、動労千葉の平成採の労働者の闘いは、限りなくひとつの闘いとして結合しているのだ。
ストと動員で反革命に対抗
官製労組を打破し、エジプト革命の先頭に立っている青年労働者と労働組合は、「世界の仲間へ、ともに立ち上がろう。自分が何者であるかを試される瞬間だ」「人々を動かしているのはどこかの野党やイスラム主義者ではなく、権利を求める国内の青年たちによって組織された社会全体の行動(革命)だ」と、全世界に感動的に訴えている。
彼らは、ムバラクとムバラク派が即時退陣要求を拒否し、反革命襲撃をかけ、一部の野党を話し合いに抱き込み、米・欧帝国主義が革命鎮圧へとうごめく中で、不屈に粘り強く反撃・反攻、最大動員の闘いを組織し、労働組合がストに決起するよう訴えている。これに呼応して、ヨーロッパに石油を輸送する要衝であるスエズ運河の6千人の労働者がストに突入し、カイロを始めエジプト全土で労働者がストを決行し始めた。(5面参照)
この怒りと決起の根底性、ラジカルさは、日本の労働者階級の中にも完全にあり、職場生産点に充満している。動労千葉の北嶋琢磨君は、団結破壊と青年労働者の分断のためだけのライフサイクル強制配転を、「こんな制度を誰が考えたんだ!」と実力で弾劾し、団結の拡大の中にこそ、すべてのJR青年労働者の生きる道があると決起している。
この闘いは、JRはもとより全国の青年労働者を揺り動かしており、民営化と外注化の結果そのものである重大事故の頻発で、安全崩壊の淵(ふち)、民営化破産の極にあるJR資本を追いつめている。日本航空で、社保庁で、郵政現場で、あらゆる職場から反撃が始まり、連合の圧殺や日本共産党の屈服をのりこえて、怒りの反乱が起こっている。ムバラクと同様、菅やオバマに未来はない。未来は、団結し決起を開始した労働者のものだ!
体制内派との闘いの死活性
国鉄闘争全国運動こそ、闘う労働組合をよみがえらす国際的な共通の闘いだ。労働組合のもつ革命性、可能性、その根源性に確信をもって労働運動の最先端の攻防に勝ちきろう。日本のブルジョアジーは「労使一体でグローバル競争に打ち勝つ」(日本経団連「経労委報告」)と叫ぶ。これこそ昨年の4・9政治和解の反革命とひとつながりの資本の階級意思だ。こうした中で今年の4月1日は、JR東の検修全面外注化、国労闘争団の組合員権はく奪、新人事・賃金制度、総合労働協約など反労働者的な諸攻撃が集中している。
これに対し国労本部は1月29日の中央委員会で菅首相からの「お祝いのメッセージ」を受け、委員長、書記長らは「紛争和解の精神を一層深化させて、企業を健全に発展させる」とか、4月1日以降の闘争団の組合員権について「次期大会前に決着する」とうそぶき、全面的に転向・変質していっている。社会主義協会、日本共産党は大恐慌、戦争・大失業下で、完全に資本の先兵と化した。
体制内派は本当に許しがたい。エジプトの青年が言うように、まさに「社会のあらゆるレベルで腐敗が満ちている」。動労千葉の今春決戦と固く結合し、労働組合のもつ無限の可能性にかけ、運動内部の古い殻を打ち破り、国労本部打倒、闘う国労の再生へ一日一日の決戦を闘おう。平成採の労働者は外注化・非正規化に怒り、不屈に闘い始めている。
今こそ24年間の国鉄1047名解雇撤回、分割・民営化絶対反対の闘いと、外注化阻止決戦が、青年労働者と結びつく瞬間だ。国鉄全国運動の本格的発展をかちとり、それを軸に労働組合をラジカルによみがえらせよう。
TPP・大増税の菅打倒を
大恐慌は、世界革命情勢を日々促進する一方で、米帝の基軸国からの没落と米中対峙・対決情勢の進展が、<11・23〉の朝鮮侵略戦争を現実化させた。チュニジア−エジプト革命の衝撃は、米帝・国際帝国主義と残存スターリン主義をいよいよ危機に追いつめ、戦争と大失業の攻撃を一層激化させていく。
この根底には、資本主義・帝国主義そのものの危機と基本矛盾がある。世界中で激化する大失業と原油や食糧の再度の高騰は、底のない大恐慌が生み出している。米帝が進めるTPP(環太平洋パートナーシップ協定)への菅政権の参加策動は、輸出大企業とブルジョアジーが生き残るために、日本の農業と農村を壊滅させ、労働者階級には「国際競争」の激化のもとで、極限的なリストラ、大合理化を強制するとんでもない攻撃だ。
これと対になっているのが「新成長戦略」と「税と社会保障の一体改革」であり、消費大増税、社会保障制度の解体、労働者の9割を非正規化する攻撃だ。だがこの大恐慌下の「貧困大国化」の攻撃には、労働者の生きるための根底的怒りが、必ず爆発する。
2月冒頭、米国防総省は、昨年のQDR(4年ごとの戦略見直し)に基づく新軍事戦略を発表した。これは11・23と米日韓軍事体制による朝鮮侵略戦争に完全に対応したものだ。アジア太平洋地域を最重視し、日帝・自衛隊も徹底動員し、西太平洋の米空母2隻体制化なども含め、朝鮮侵略戦争への実戦攻撃である。菅政権は新防衛大綱で「動的防衛力」への転換を宣言し、「日米共通の戦略目標」のもと朝鮮侵略戦争に参戦し、沖縄辺野古新基地建設をも強行しようとしている。
朝鮮侵略戦争の本質は、北朝鮮の体制転覆と日米韓・日朝中の労働者階級の決起とプロレタリア革命の圧殺にある。だが戦争は巨万の労働者を覚醒させ革命に立ち上がらせる。ここで決定的なことは労働者自己解放を闘う党と労働組合の建設であり、闘う労働組合再生の闘いだ。
世界革命の時代が現実に
大恐慌と大失業・戦争の攻撃は、全世界で広く深い革命情勢をつくり出し、チュニジアやエジプトではついに現実の革命を生み出した。今や「労働者階級の解放は労働者自身の事業である」こと、「民族・国籍・国境を越えたプロレタリアートの階級的団結こそ、帝国主義による侵略戦争・世界戦争を実力で阻止し、プロレタリア世界革命を現実にたぐりよせる」(革共同・綱領草案)ことが、ここに鮮やかに指し示されている。
そして各国政府と資本の底なしの腐敗、既成政治勢力、労組幹部の無力性は、世紀をまたいで歴史を原点に引き戻し、名もない一人ひとりの労働者こそが革命の担い手であることが、荒々しく突き出された。今や20世紀に実現しえなかった世界革命を達成すべき時代が到来している。エジプト革命は、中東でのイスラエルを先兵とした米帝支配を根底から崩壊させる。同時に官製労組を打倒する新たな労働組合の闘いは、ムスリム勢力などをも支柱とした支配体制を崩壊させる根底性をもっている。労働者の根底的決起が開始された。
すべての闘う労働者、青年、学生のみなさん。2・16国鉄集会に総結集しよう。国鉄闘争全国運動の本格的発展をかちとり、労働者の団結を組織しよう。闘う労働者の新聞『前進』を同僚や友人に広めよう。危機を深め凶暴化する菅政権を労働組合の力で倒そう。そのために労働組合をよみがえらせよう。組合権力への挑戦、闘う拠点の拡大へ、職場から11春闘を闘おう。4月統一地方選に勝利しよう。
青年と学生はマル青労同、マル学同に加盟し、ともに革命の世紀を切り開こう。
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週刊『前進』(2475号1面2)(2011/02/14 )
2・9東京 “エジプト革命に連帯”
交流センターと全学連 大使館に抗議行動
2月9日、全学連と全国労組交流センターの呼びかけでエジプト革命と断固連帯するエジプト大使館抗議行動が闘いぬかれた。雪まじりの雨が上がり晴れ上がった正午、東京・代官山のエジプト大使館前に登場し、全学連国際部の松室しをりさんのリードで「エジプト革命に連帯して闘うぞ!」「国際連帯で闘うぞ!」「ムバラク打倒! 菅打倒! 世界革命へ闘うぞ!」とシュプレヒコールをたたきつけた。
同じ時間にエジプトでは青年労働者を軸に史上最大のデモが闘われている。カイロのタハリール広場では100万人集会が行われ、デモ隊は首相官邸や国会も包囲、スエズ運河は労働者のストライキで停止した。どのような弾圧をもはねのけ、エジプト革命は進んでいる。
旧山手通り沿いに移動し抗議集会を行った。東京労組交流センター、全学連、婦人民主クラブ全国協議会、なんぶユニオン、動労千葉を支援する会、百万人署名運動、闘う障害者など総勢15人が集まり、次々にアピールした。
冒頭、北島邦彦杉並区議がマイクを握り、「私は街頭でエジプトの青年労働者とともに闘おうと呼びかけている。ムバラク即時退陣を要求して闘うエジプト労働者に対する秘密警察の弾圧を怒りを込めて弾劾する。このエジプト革命と動労千葉のストライキはひとつだ。青年労働者を先頭に2・16国鉄集会に結集しよう。エジプト革命への連帯を込めて国鉄闘争全国運動で日本の労働組合をよみがえらせよう!」と熱烈に呼びかけた。
日本の地で、動労千葉を先頭に三里塚、法大などの不屈の闘いが起こっている。そのすべての思いを込めてエジプトの労働者に届けとばかり連帯のこぶしを突き上げた。
2・16国鉄集会から3・20イラク反戦8周年渋谷反戦デモへ、国際連帯の力で世界革命を実現しよう!(K)
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週刊『前進』(2475号1面3)(2011/02/14 )
在日エジプト人300人がデモ 2・5渋谷
「ムバラク大統領よ、出て行け」「パンを、自由を、尊厳を!」などのプラカードを掲げ、「ダウン、ダウン、ムバラク!」と叫んでデモする在日エジプト人(2月5日 東京・渋谷)=記事5面
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週刊『前進』(2475号1面4)(2011/02/14 )
前進速報版から
▼韓国・現代車非正規職支会が第2次ストヘ▼GM大宇で非正規職支会が解雇者全員復職の勝利▼三里塚現地と東京高裁前で同時決起
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週刊『前進』(2475号2面1)(2011/02/14 )
国鉄解雇撤回・外注化阻止2・16集会に大結集しよう
日本労働運動の階級的再生をかけて
国鉄全国運動が呼びかける「1047名解雇撤回2・16集会」は目前に迫った。国鉄闘争の勝利、外注化阻止決戦の爆発と日本労働運動の階級的再生をかけて、この集会に大結集しよう。
4・9反革命をうち破った国鉄全国運動
1987年2月16日は、JRへの採用・不採用の「振り分け」の結果が国鉄労働者に通告された日だ。当時の中曽根政権と国鉄当局は、国鉄労働運動の壊滅を目的に国鉄分割・民営化を強行し、20万人の労働者を職場から追放した。JR不採用となった国鉄労働者7628人は同年4月1日、「再就職を必要とする職員」として清算事業団に収容され、90年4月1日には、最終的に1047人が清算事業団から解雇された。
87年2月16日以来24年、1047名は解雇撤回・JR復帰を求めて闘ってきた。国鉄分割・民営化は日本における新自由主義攻撃の突破口であり、戦後最大の労働運動解体の攻撃であった。これと対決する1047名闘争は、日本における闘う労働運動の基軸をなしてきた。
この1047名闘争の最後的な解体をたくらんで強行されたのが、昨年4月9日の政治和解だ。
2月16日を闘いの日として迎え撃とうとしているのは、国鉄全国運動だけになった。国鉄全国運動が呼びかける2・16集会は、労働運動の行く末を決する位置にある。
4・9政治和解を前後して、日帝資本は国鉄分割・民営化型の首切り攻撃を連続的に強行した。2010年1月の社会保険庁の解体による525人の分限免職は、360万人公務員労働者首切りの切っ先にある攻撃だ。昨年12月末の日航による165人の解雇もまた、国家政策として行われた大量首切り攻撃である。これらはいずれも、労働組合の解体をその核心的な狙いとしている。
国鉄分割・民営化以来、労働者の権利はことごとく奪い去られ、大失業と非正規職化の攻撃はすさまじい勢いで進行した。今日の大恐慌と戦争情勢のただ中で、労働者はまさに生きていけない状態にたたき込まれている。
だが、これに対する根底的な反撃は開始されつつある。その闘いの結集軸・推進軸をなしているのが1047名解雇撤回をあくまで貫く国鉄全国運動だ。国鉄闘争を壊滅に追い込むことによって労働運動の総体を解体・一掃しようとした4・9反革命に、国鉄全国運動は真っ向から立ちはだかっている。
国鉄(JR)をめぐる決戦は激しく火を噴いている。動労千葉は、青年組合員に対するライフサイクル強制配転の攻撃に対し、当該の北嶋琢磨君の1月19日からの指名ストライキに続き、2月1〜2日、旅客関係の全運転士と駅への強制配転者を対象とした春闘第1波ストライキに決起した。
この闘いは、チュニジアの蜂起・エジプトの革命に通じている。中東における革命的激動は、青年を先頭とした労働者の決起が官製労働組合の暴圧を突き破った瞬間、数十年に及び続いてきた強権的支配体制を崩壊に追い込んだ。これと同じように、青年組合員によって牽引(けんいん)された動労千葉のストライキは、国鉄分割・民営化以来の24年にわたるJR体制を根底から揺り動かしている。
ここに勝利の展望がある。JR体制を下から突き破る青年労働者の反乱が始まった時、国鉄−JR戦線にとどまらず、全階級情勢が根本から塗り替えられる。国鉄決戦は、そうした基軸的位置にある。新自由主義と対決する階級的労働運動の復権は、国鉄決戦の勝利によって切り開かれる。
国鉄決戦は、今年4月1日を前にして過去最大の攻防に上り詰めようとしている。
国労本部打倒し国労を現場組合員の手に
国労本部ら4者4団体幹部は、今年度末までに雇用問題を解決するとうそぶいてきた。だが、4・9政治和解をのんだ以上、JRあるいはJR関連会社への雇用などないことは、もはや明らかだ。このことがごまかせなくなる中で、和解に応じた闘争団員の中から激しい怒りが噴き出しつつある。国労本部は、この闘争団を国労の外に追放することを狙っている。その証として、彼らは新賃金・人事制度を受け入れ、総合労働協約をJR東日本と締結しようとしているのだ。だが、この暴挙に対する現場組合員の怒りは必ず噴出する。
JR東日本の検修部門外注化をめぐっても、その阻止をかけた決戦の時が訪れている。JR東日本が打ち出した新人事・賃金制度4月1日実施阻止をかけた11春闘の決戦過程に突入した。資本と権力に屈しその手先となった国労本部を打倒して、国労を現場組合員の手に取り戻す壮大な攻防が始まったのだ。
今やJR体制は、安全の崩壊、3島と貨物の経営破綻、労務支配体制の崩壊という形で全面的に崩壊を露呈している。反合・運転保安闘争路線を実践し、JR体制を打倒する好機が訪れている。 国鉄闘争全国運動は、この攻防を先頭に、全産別・全職場において体制内指導部を打倒し、階級的労働運動をよみがえらせる闘いそのものだ。大失業と戦争の攻撃に突進する菅政権打倒の鍵もそこにある。
2・16集会への総結集をかちとろう。
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週刊『前進』(2475号2面2)(2011/02/14 )
勝利した動労千葉ストライキ
1人のために組合員全員が団結 強制配転への怒りが資本を圧倒
(写真 千葉運転区に対する抗議行動に組合員と支援200人が結集、門を固める職制に対して組合員が積年の怒りをたたきつけた【2月1日】)
動労千葉の春闘第1波闘争は2・1〜2ストを中心に画期的な闘いとして打ち抜かれた。労働組合とは資本と闘うための組織であり、武器だ。青年組合員を先頭に、このことを現実の闘いで示した。(本紙・日高隆)
「一生、おれはこのことを忘れない。『忘れた』なんて言わせないですよ!」――ライフサイクル強制配転を通告された千葉運転区の北嶋琢磨君は2月1日の抗議行動で思いのたけを爆発させた。千葉運転区長を始め居並ぶ約30人の職制は表情を凍りつかせて下を向いたままだ。
1月18日に配転の事前通知を受けた北嶋君は、翌19日から実に2週間に及ぶ指名ストを貫徹した。「何の説明もなしに事前通知を読み上げられ怒りしかわいてこない状態でした」。誇りを持っている電車乗務の仕事をあえて拒否し、同僚に連日訴え続けた。
「平成採のみなさんは不安や不満、怒りの声をあげていますか? その声は所属している組合の役員や幹部に届いていますか? 動労千葉は1人のために組合員全員が団結できる組合です。自分の生活を守るため、取り戻すために闘っているのです」(『日刊動労千葉』より)――この北嶋君の訴えは多くの青年労働者の心を揺さぶった。
JR東日本は、駅の労働者を次々と契約社員に置き換え、業務の穴埋めのために運転士を次々と駅に強制配転している。労働者は使い回しの機械じゃない! ライフサイクル制度や業務外注化をいいと思っている人間なんて誰もいない。北嶋君の決起は、職場の誰もが感じている当たり前の怒りを体現していた。
しかし、職制に面と向かって怒りをたたきつけることは、そんなに簡単なことではない。資本・当局は、解雇や処分、昇進差別の脅しで労働者を黙らせ、当局べったりの御用組合幹部が青年労働者を沈黙させる。多くの労働者が毎日、あらゆる職場で直面させられている現実だ。
資本と闘う武器
北嶋君も、それは同じだ。彼も「一人だったら何をどうしたらいいかも分からなかった。みんなの支えがあったから平静を保てた」とスト総決起集会で述べている。
千葉運転区支部の仲間を先頭に、動労千葉全体が北嶋君を支えた。他の青年組合員は「8人、9人と組織拡大することこそ、最大の攻撃であり防御だ」と決意を固め、最先頭で闘い抜いた。動労千葉争議団の中村仁さんは集会で「必ず解雇を撤回させ、千葉運転区に復帰して北嶋君とともに闘う」と決意を示した。
千葉運転区抗議行動では、国鉄分割・民営化から24年にもわたって駅に強制配転され続けている組合員が積年の怒りをたたきつけた。かつて10年、20年と同じように強制配転攻撃を受けた組合員が次々とマイクをとって訴えた。青年組合員を先頭に、全組合員が一丸となって決起した。
動労千葉の組合員を闘いに駆り立てているのは国鉄分割・民営化への原点的怒りであり、新自由主義攻撃の先頭を走ってきた極悪企業=JRへの怒りだ。そして、労働組合という闘いの武器を手にした時、労働者の自己解放のエネルギーは無限に解き放たれるのだ。
(写真 指名スト突入集会で訴える北嶋君【1月19日 千葉運転区】)
青年の決起がJR体制揺るがす
動労千葉の春闘第1波闘争は、組合権力を握っていない職場でも通用する普遍的な教訓に満ちている。
動労千葉の布施宇一顧問は「労働運動の核心は、職場で一人ひとりの組合員が職制に対してモノが言える状況をつくれるかどうかだ」(『俺たちは鉄路に生きる3』)と述べている。それは、組合員一人ひとりが方針に確信を持ち、腹を割った討論を繰り返すことで初めて可能になる。
いま問われているのは、労働者が当たり前に団結し、こうした当たり前の闘いをあらゆる産別、あらゆる職場で一からつくり出すことだ。
動労千葉の1月闘争の勝利は、激しい組織攻防戦に勝ち抜く中で切り開かれた。このことも非常に重要だ。
ギリギリの攻防
JR職場では、検修・構内業務全面外注化や、1047名闘争解体策動、新人事・賃金制度の提案、新小岩派出廃止など、超重大な攻撃が折り重なるように襲いかかってきている。ひとつ間違えば団結がバラバラになりかねないギリギリの攻防だ。なによりもJR資本は執拗(しつよう)なまでに動労千葉の組織破壊を狙っている。
田中康宏委員長はこの間の旗開きや集会で「絶対にあきらめないで攻撃に正面から立ち向かう」ことの大切さを何度も訴えてきた。ほとんどの労働組合は闘う前からあきらめている。攻撃の本質を必死に見据える中で、初めて敵の矛盾や弱点が浮かび上がってくる。動労千葉は、重畳する攻撃に正面から立ち向かい、激しい組織攻防戦に一つひとつ勝ち抜く中から闘う力と勝利の展望を生みだし、第1波闘争の勝利をこじ開けた。
国鉄分割・民営化から24年を経て、あらゆる側面から矛盾をさらけ出し、危機に陥っているのはJR資本の側だ。青年組合員を先頭とする動労千葉の11春闘の闘いは、JR総連・東労組の制動をついに突き破って決起を始めたJR青年労働者の決起を促進しながら、JR全体を揺るがしている。
闘いはまだ始まりにすぎない。強制配転された青年労働者を運転職場に取り戻し、ライフサイクル制度そのものを撤廃させるまで闘いは続く。なによりも4月検修全面外注化阻止の闘いこそ最大の決戦だ。
1047名解雇撤回2・16集会、2・20新小岩集会の圧倒的成功をかちとり、11春闘のさらなる爆発へ突き進もう。
(写真 スト貫徹! 動労千葉総決起集会【1月28日 千葉市民会館】)
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週刊『前進』(2475号2面3)(2011/02/14 )
「労使一体で国際競争に打ち勝つ」論に唱和する資本家の手先=連合
賃金闘争放棄するダラ幹打倒へ
大恐慌の進展と11・23朝鮮侵略戦争突入情勢の中で11春闘攻防が激しさを増している。日本経団連・ブルジョアジーは自らの延命の道を、経労委報告で打ち出した「労使一体となってグローバル競争に打ち勝つ」路線の貫徹に求め、なりふり構わぬ姿をさらしている。経労委報告に賛同する連合は春闘でも全面屈服の有様だ。国鉄全国運動で連合指導部を打倒し、11春闘の大爆発をかちとろう。
経労委報告に完全屈服し、春闘終焉論にも応じた連合
経団連は副会長・経営労働政策委員長を務める大橋洋治(全日空会長)が商業新聞各紙に登場し危機感をあらわにして、外に向かっての侵略・侵略戦争と、内に向かっての階級戦争の攻撃に突き進んでいる。大橋は経労委報告路線こそ日帝の生き残る道だと叫び、「新成長戦略の早期・着実な実施」を要求。「総額人件費の引き上げは、国際競争力に直ちに影響を及ぼす」と、春闘での賃上げも拒絶した。さらには「年齢や勤続年数を基軸とするのでなく、仕事や役割、貢献度によって処遇を決定するよう見直す」と成果主義賃金の導入を声高に叫んでいる。
春闘についても「闘う春闘から脱却し、今年の交渉が建設的な対話の積み重ねから新たな成長へと続く道が切り開かれる契機となることを大いに期待」と、ブルジョアジーの春闘解体・変質の階級意思を隠すことなく語っている。すべての主張が連合の屈服を見透かし、経労委報告をさらにエスカレートさせ露骨にしたものであり、断じて許すことはできない。
経団連の要求に連合は一層ひざまずき、春闘での賃上げも放棄して、ブルジョアジーの手先となることを誓っている。会長の古賀は「国際競争力を高めなくてはいけないことは理解する」と賛同を表明した。「ヒトというのは高付加価値を生み出す競争力の源泉だ」と、一層長時間で過酷な労働の強制を提示しているほどだ。春闘についても経団連の「春闘終焉(しゅうえん)論」を受け入れ、「春の労使パートナーシップ対話」に賛成している。これこそ4・9反革命の推進であり、ブルジョアジーとの階級和解そのものだ。
実際にも連合は昨年に続いて統一的なベア要求を見送った。各産別次元でも、電機連合も2年連続で統一ベア要求を放棄。大手自動車5労組も賃上げ要求を放棄し、連合が掲げる「1%を目安とした配分要求」さえ求めないことを決定した。完全な屈服だ。
首切り賃下げも認め、労働者の階級的立場を完全放棄
連合は1月18日「経労委報告に対する連合見解と反論」を発表した。これは「連合白書」に続いて経労委報告への完全な屈服と賛同を表明するものであり、労働者の階級的立場に真っ向から反するものだ。
第一に許せないことは、今回の「見解」で連合は「反論」と主張するが、反論でも何でもなく「労使一体」で一致していることだ。経労委報告に「危機感を共有化し」と応じ、「『労使一丸となった競争力向上への対応』……については労働組合として共有できる」「日本経団連との成長戦略、産業政策についての協議が進められることとなるが……今後の協議において、協力すべき点については積極的に力合わせをしていく」と資本家階級の”首切りと戦争のスローガン”への積極的な賛同と協力宣言をしている。
第二に許せないことは、連合が、大恐慌で危機にひんする資本主義を救うために「競争力向上」を叫んでいることである。「競争力向上」とは、本来全世界ひとつである労働者階級を国家で分断し、企業で分断し、隣の労働者とも競争させることだ。団結を破壊し極限的な労働に追いやることだ。さらには「総額人件費抑制」「コスト削減」と労働者の首を切り、大幅賃下げを強制し、非正規職にたたき落とすことに他ならない。
「国際競争」とはどちらの国のブルジョアジーがより労働者を搾取し酷使するかを争い、労働者同士を競わせることである。果ては「自国が生き残るため」として市場や資源を奪い合い、「領土」を主張し、戦争に突き進んで労働者同士を殺し合わせることだ。
労働者が生きぬくために必要なのは「競争」ではなく「団結」だ。
国鉄闘争全国運動を前進させ、春闘をストで闘おう!
連合見解で第三に許せないことは、「日本経済の歪みの大きな要因は労働者への配分不足であり……それが景気回復の足を引っ張っている」と主張していることである。「配分不足」とは搾取を容認する思想であり労働者をもっと搾取しろと要求することだ。賃金闘争の根本的否定だ。さらに連合は大恐慌の原因を「配分のゆがみ」にわい小化することで、それを是正すれば資本主義は再び経済発展するかのような幻想をあおり立てている。労働者をあくまでも資本主義の枠内につなぎとめ、資本主義の救済に動員しようと躍起になっているのだ。
そもそも連合が「賃上げ」を闘うつもりなどないことは明白だ。JR東日本や郵便事業会社の賃金制度の改悪・成果主義賃金導入を容認し、積極推進の立場に立っている。さらに連合は、08年に日本年金機構設立委員会に古賀(当時事務局長)を送り込み、元経団連会長・奥田らと一緒になって社保庁職員の選別・首切りを強行したのである。
労働者にとって必要なのは資本主義の救済ではなく打倒だ。世界は出口のない大恐慌に突入し、資本主義はもはや歴史的生命が尽き果てようとしている。プロレタリア革命の時代が到来しているのだ。チュニジアでエジプトで労働者階級の蜂起・革命が始まった。これに続き、資本主義の打倒に立ち上がろう。
連合中央のダラ幹は、資本による労働者支配の手先だ。国鉄全国運動の前進で現場から闘いを巻き起こし、打倒しよう。動労千葉のストに続き、11春闘をストライキで闘おう。青年労働者を先頭に現場から団結を組織し、闘う労働組合を復権しよう。
(北沢隆広)
資料
連合は資本家の手先だ 経労委報告に対する連合の見解
(経労委報告は)「守りの経営」から「攻めの経営に転じ」るため、「労使一丸となった競争力向上への対応」をしていかなければならないとしている。……こうした認識については労働組合としても共有できる。
今後、日本経団連との成長戦略、産業政策についての協議が進められることとなるが、……「グローバル競争に対応しうる人材の確保・育成」に関する記述については、一致する見解も多く、今後の協議において、協力すべき点については積極的に力合わせをしていく。
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週刊『前進』(2475号2面4)(2011/02/14 )
【要項】 2・20新小岩集会
俺たちの働く職場を奪うな!
新小岩貨物基地廃止絶対反対!
2・20新小岩集会
2月20日(日)正午から
JR貨物新小岩派出にて
主催/動労千葉新小岩支部
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週刊『前進』(2475号3面1)(2011/02/14 )
変革と飛躍かけて総会
交流センター “労働組合をラジカルに甦らせよう”の決意固く
全国労組交流センターの第18回定期全国総会が2月5〜6日、茨城県内で行われた。全国から集まった150人の代議員・傍聴者は、大恐慌と戦争、労働者大衆の反乱が渦巻く国際的な階級闘争の歴史的転換点としての2011年を、国鉄全国運動を基軸に階級的労働運動と労働組合をラジカルによみがえらせる決定的な飛躍の年とすることを誓い、その組織方針を確立するための2日間にわたる熱い討論を交わした。そして2・16労働者集会〜3・20イラク反戦闘争〜3・27三里塚闘争〜5・15沖縄闘争〜8・6―8・9広島・長崎反戦反核闘争の全過程を、民主党・菅政権打倒の一大階級決戦として闘い抜く方針を確認した。
(写真 2日間の議事を終え、全国の代議員は職場権力確立へ組織方針を打ち固めた【2月6日】)
“情勢の根底性を見よう”
冒頭、大会の議長に東京の医療労働者と大阪の金属労働者が選出された。そして交流センター代表運営委員の田中康宏・動労千葉委員長があいさつに立った。
田中委員長は、昨年の国鉄闘争の「4・9政治和解」の攻撃が「日本の労働組合運動全体が存在意義を失うほどの危機的状況を突きつけた」こと、そして6・13集会に始まる国鉄闘争全国運動の登場が、「この情勢を階級的労働運動の決定的飛躍のチャンスに転化した」意義を強調し、「本気で踏み出した瞬間、全国の歴戦の闘士、人士が同じ危機感を持って結集し、強力な階級的反撃の拠点を立ち上げることに成功した」と総括。その上で「昨年までの延長上には勝利はない」と言い切った。
「政府とブルジョアジー総体が『国鉄分割・民営化のスキーム』で全産別のあらゆる労働者を非正規職化と外注化の嵐に放り込む攻撃が進行している。そして連合中央は労働者の首を切る政府の委員会に参加した。まさに労働者階級全体が団結して反撃できる陣形が求められている」と、交流センター運動の飛躍を訴え、「国鉄全国運動がその可能性を開いた」と強調した。
大会議案の提起を事務局長の辻川慎一・動労水戸副委員長が行った。辻川さんは「エジプトやチュニジアなどのアフリカ・中東情勢の根底性を見るべき。アメリカ帝国主義の世界支配に対する労働者の積もりに積もった怒りがついに爆発している。この世界の情勢は日本階級闘争の現場の死闘と完全に一体の問題だ」と喝破した。そして「内乱とは労働者大衆の存在そのものの中にある。この時代に対する唯一の回答は、帝国主義とスターリン主義の戦後体制を終わらせること。その唯一の道は労働組合を真に根底的によみがえらせることだ」と訴えた。
また支配階級の存亡をかけた外注化攻撃にさらされているJRの現場で青年労働者の戦闘的な決起がついに始まったことを紹介、「労働組合をよみがえらせるとは労働者大衆の怒りを根底的に引き出すことだ。JR労働運動全体を動労千葉派が握るような闘いはまったく可能だと確信した。時代の根底性と青年労働者の根源的な怒りをとらえる。そして組織方針が具体的であることが大事だ」と力強く提起した。
議案提起を受けた討論では、2日間で38人の代議員が発言した。トップバッターは動労千葉新小岩の佐藤正和支部長。「3月のダイヤ改正でJR貨物は新小岩貨物基地を廃止すると通告してきた。貨物リストラで廃止になるのは新小岩だけ。動労千葉への露骨な組織破壊だ。2月20日に構内で集会を開き、断固たる反撃を開始します」と訴えた。
国鉄全国運動を推進軸に
千葉、東京中部、岡山、沖縄の各交流センター、ス労自主、広島、全逓労働者部会、教育労働者部会、愛知、東海合同労組、八尾北労組、動労水戸、合同・一般労組全国協議会、三浦半島教育労働者部会などが次々と発言した。
千葉の青年労働者は「青年共闘会議を立ち上げた。3ケタの青年組織化が当面の目標」と語った。広島の仲間は「今年の8・6広島闘争で1万人規模の労働者を集めるための議論を始めた」と報告。東京中部の労働者は「多くの青年は労基法の外に置かれ、”経営法曹”のような合同労組つぶしも広がっている。通用する運動かどうかが問われる」と訴えた。
岡山の仲間は「左翼少数派ではなく労働運動全体を獲得する構えが大切」と提起。仙台の全逓労働者は「郵政大リストラが始まっているが『資本が悪い、組合本部が悪い』というだけではダメ。具体的な組織方針が必要だ」と訴えた。
奈良の教育労働者は、「地べたをはう10年だったが、新自由主義と闘う本物の団結を職場につくる以外にないことが見えた。職場の仲間が私たちの主張に公然と賛成し、組合に復帰する動きが始まった。関西生コンなどと討議したが、国鉄全国運動とは全国の職場闘争を前進させること、その一言に尽きるという意見に賛成だ」と述べた。
東海の仲間は「組合活動とはこんなに楽しいものか」と報告。沖縄の労働者は「沖縄の反戦闘争は基地労働者の決起が軸だ。70年闘争の全軍労牧港支部青年部以来の闘いを今年こそ復権させる」と語り、八尾北労組の労働者は「労組が軸に座ることで地域ソビエトができると実感。一握りの反対派から労組丸ごと獲得への飛躍を」と訴えた。
動労水戸の石井真一委員長は「新賃金制度の導入などブルジョアジーの支配の転換は組織拡大のチャンス。県職では民営化反対で分会が決起し、1時間で300人の署名が集まった」と報告。
さらに東京西部ユニオンの労働者は「激しい組合つぶしをはねのけ、職場の36協定をめぐる選挙でわれわれを支持する労働者が出た。今年は職場支配権を取りに行く」と決意を述べた。三浦の教育労働者は「団結して闘うことで職場の仲間も飛躍した」と報告した。
2日目は冒頭、国労5・27臨大闘争弾圧裁判被告団の富田益行団長が「関西国鉄全国運動」の立ち上げを報告、「下から組織を掘り崩し体制内指導部を倒すのが全国運動だ」と訴えた。
組合権力を取る構えで闘う
東京三多摩、同南部、西部、東部、北部、みやぎ、福島、神奈川、北信越協議会、北陸、群馬、関西合同労組、動労西日本、愛媛、埼玉の自治体労働者、女性部、福岡などの代議員が発言した。
東京東部の労働者は「新小岩支部破壊の危機をチャンスに転化し、地区労の再建へ」と決意を述べた。福島の労働者は「新加入の青年が傍聴に来ている。国鉄闘争の賛同署名で、国労の職場から多数の労働者が署名に応じた」と報告した。
国労旭川闘争団の成田昭雄さんの「交流センター運動のすごさを感じる。ともに闘おう」とのメッセージが紹介され、神奈川の自治体労働者は「自治労の権力を取りに行く構えがなければ国鉄全国運動は勝利できない」と訴えた。関西合同労組は、本部執行委員会体制を再確立したと報告。青年の雇い止め攻撃を撤回させた東京北部の医療労働者は、「現場の仲間が労働組合の展望を感じている」と語った。
討論のまとめはセンター副代表運営委員の吉野元久さん(国労)、東京の全逓労働者、辻川事務局長が行った。吉野さんは、国労の連合加入が策動されている7月国労大会に向け、「1047名の雇用問題のゼロ回答が3月末に明らかになる。こんなことなら闘い続けた方が良かったとの声が噴き出している。国鉄闘争に決着をつける最大の攻防だ。全国運動3000人の会員獲得に全力を。国労青年部に国労共闘の旗を立てる」との強い決意を語った。さらに全逓労働者は「青年の獲得のために交流センターに青年部をつくろうという固い意志を共有できた」と総括。最後に辻川事務局長は「自分の職場や地域に徹底的にこだわって闘おう。国鉄を先頭に日本労働者階級の根底性を敵に思い知らせる時だ」と訴え、「今年は5・15沖縄闘争の現場で拡大全国運営委員会を行う」との方針と組織改革への着手を確認した。
来賓では杉並区議会議員の北島邦彦さんが4月統一地方選挙について「戦争協力の拒否、幼保一体化・民営化に絶対反対、非正規職化阻止、国鉄全国運動」を4本柱に選挙戦を闘いぬくと表明。全学連の学生は「チュニジアの1人の青年の命がけの決起が天下を揺るがす時代が来た。大恐慌と戦争に対し、平和ではなく内乱をたたきつけよう」と決意。星野暁子さんは星野再審署名のさらなる取り組みを要請した。(6面に発言)
最後に、総会は2本の特別決議「2011年沖縄・安保闘争の爆発と星野再審闘争の勝利を勝ち取ろう」「4月統一地方選勝利へ総決起しよう」を満場の拍手をもって採択した。
労働者の怒り臨界点超えた 団結して総反撃する陣形へ
全国労組交流センターは総評解散・連合結成が強行された1989年に、87年国鉄分割・民営化をめぐる攻防の総括をかけて結成された。中心綱領は「総評労働運動を真に乗り越える階級的労働運動の全国潮流形成を」(結成アピール)である。既成の労働運動指導部が雪崩を打って転向し、帝国主義的労働運動に「統一」される大反革命に抗して、階級的労働運動の新たな結集軸となる運動をめざしてきた。そして「労働者自己解放の思想と綱領を持つ労働者党」の建設を真っ向から提起し(94年)、動労千葉とともに新潮流運動の中心を担ってきた。
現在、大恐慌下で既成のあらゆる労働運動指導部が帝国主義の最後の延命策である新自由主義に屈服する状況が生まれている。また、一方で米帝の世界支配の危機が朝鮮侵略戦争として爆発的に進展し、日帝・菅政権が階級支配の危機=政治危機を深めつつ参戦体制にのめり込み、さらにエジプト革命をはじめ世界の青年労働者の根底的な決起が拡大するというすさまじい内外情勢が展開している。この中で、日本階級闘争の勝利は、この労組交流センター運動の全面的発展にかかっているといって過言ではない。
今年の総会では、全国的な労働組合権力への挑戦の闘いが、国鉄全国運動を担う実践的な組織方針とともに討議され、新たなスタートを切った。辻川事務局長がまとめの中で語ったように、その闘いは「ブルジョアジーの支配に対する根底的な決別と歴史的に蓄積された対決ゆえの死闘」である。
しかし全国の代議員の報告は、現場労働者の怒りがすでに臨界点を超えつつある事実を伝えた。「われわれが目の色を変え本気で臨めば、すべてを変革することは可能だ」(動労千葉・田中委員長)との確信を全参加者が獲得した今総会の地平は決定的である。全国の職場生産点から、交流センター運動の怒濤(どとう)の進撃が始まったのである。
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週刊『前進』(2475号3面2)(2011/02/14 )
三里塚 誘導路工事を連日弾劾
全学連が現地行動に全力
三里塚現地では、第3誘導路関連工事との闘いが連日繰り広げられている。三里塚芝山連合空港反対同盟と一心同体で、全学連が大奮闘している。
成田空港会社(NAA)は天神峰の市東孝雄さん宅の前を通る旧小見川県道をトンネル化するために、切り回し道路を造り、その切り替えを1月中にやると市東さんに一方的に通告していた。反対同盟はこれに怒り、「切り替え阻止」を打ち出して闘いぬき、ついに1月の切り替え強行を完全に粉砕した。
成田空港そのものが羽田との競争の中で存亡の危機を迎える中で、工事自体もずさんさと無計画性を露呈させている。
そして全学連現地行動隊が昼夜を分かたぬ奮闘で工事を弾劾・追及し、破綻に追い込んでいる。
学友たちは全国の大学から続々と現地に駆けつけ、援農、やぐら監視行動、現地パトロールなどを担い、キャンパスで鍛えた力を遺憾なく発揮している。「第3誘導路粉砕」の手作りののぼりを掲げて工事現場に迫り、NAA職員、作業員、警備員を糾弾している。若い学生たちはたとえ経験が乏しくても、農作業のこつをただちに習得し、反対同盟の闘いの援助となっている。農作業を通じて学生たちは、人間と自然の一体性、三里塚闘争45年の正義性、労農連帯の普遍性をあらためて実感し、TPP粉砕への原動力をはぐくんでいる。悪らつな攻撃をものともせず、泰然自若として農業を続ける市東孝雄さんの姿に、魂を揺さぶられている。
反対同盟の宣伝カーは作業員に対して、労働者階級の一員としてこの工事から手を引くようアピールを発している。
全学連の闘いが、反対同盟を限りなく激励し、徘徊(はいかい)する警察や警備会社を完全に圧倒しているのだ。
「切り替え強行、やるならやってみろ! 徹底的に粉砕してやるぞ!」という気概が三里塚に満ちあふれている。
萩原進事務局次長は2月4日の現地デモの発言で次のように述べた。
「空港は本来の予定地から限度なくはみ出して広げられてきた。そのために東峰の森とか横堀とか100町歩(100f)くらいの農地や山林が破壊された。100町歩と言えば、50戸くらいの農家の集落が一つできるという広さだ! 今また市東さん一人を追い出すために200億円もかけて第3誘導路を造るという。こんな空港を造らせていいのか!」
そして中東・アフリカの激動を語り、「日本での一点突破は三里塚であり動労千葉だ。ここで勝利すれば人民が雪崩を打って総決起する情勢が開ける」と訴えた。まさに三里塚闘争は世界の人民とつながっている。「農地死守」を貫く三里塚農民と連帯し、第3誘導路を必ず粉砕しよう。成田を廃港へたたき込もう。
(写真 反対同盟と全学連は切り回し道路工事現場に対し怒りの拳を突きつけた【2月4日 天神峰】)
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週刊『前進』(2475号3面3)(2011/02/14 )
現闘本部控訴審 結審強行に怒り爆発
“現地闘争で勝利する”
2月4日、東京高等裁判所で天神峰現闘本部裁判の控訴審第3回弁論が開かれた。井上繁規裁判長はこの日ついに、石橋恵美子証人ら重要証人の取り調べと建物の現場検証を一切行わぬまま審理を打ち切り、結審を強行した!
午前9時15分、日比谷公園霞門に反対同盟を先頭に労農学市民120人が結集し、裁判所を包囲するデモに出発した。先頭には北原鉱治事務局長が立ち、伊藤信晴さんが反対同盟旗を持ち、婦人行動隊の宮本麻子さんがデモコールをリードした。「現闘本部を守り抜くぞ!」の叫びが霞が関一帯に響き渡った。
午前11時開廷。冒頭に北原事務局長が立ち、「千葉地裁で22回の裁判が開かれたが、仲戸川裁判長は一度も現場を見ずに偏った判決を出した。現場を見なければ分からない」と現地検証を強く迫った。
続いて顧問弁護団が立ち、NAAが盗人猛々しくも「仮執行で建物撤去を」と付帯控訴状において求めたことについて、その違法・不当を徹底的に弾劾した。さらに一審で反対尋問をやらせずに石橋恵美子証人の陳述書を証拠採用した暴挙を全面的に批判し、石橋証人をあらためて喚問するよう求めた。
井上裁判長は最初から「聞く耳持たぬ」という態度でたびたび発言を遮ろうとするが、葉山岳夫弁護士を先頭に弁護団は1時間にわたり裁判長を追及し続けた。
唐突に裁判長は、理由も告げず早口で「請求を却下する」と言い放った。間髪を入れず弁護団は「忌避! 裁判官忌避を申し立てる」と一斉に立ち上がった。法廷は怒号で満たされた。北原さんも仁王立ちで裁判官をにらみつける。
裁判長は爆発した怒りに圧倒されながら、「弁論終結」を口にし、次回期日指定も閉廷宣言もできないまま一目散に法廷から逃亡した。
「逃げるな!」「これが裁判と言えるのか!」
抗議する傍聴人に裁判所職員が暴力的につかみかかった。このやり口に成田空港の凶暴性と破産が刻印されている。
一同は再び日比谷公園霞門に集合し、総括集会をもった。弁護団は「裁判長は却下と結審の二言を言うチャンスだけを狙っていた」と弾劾した。
北原事務局長は「弁護団はよく追い詰めた。あれが裁判官の現実だ。本当に腹が立つ。やはり現地闘争において勝利する以外にない」と45年の闘争史を踏まえて明快に断言し、決起を促した。
さらにこの日同時に闘われた三里塚現地でのデモで、工事を中止に追い込んだことが報告され、拍手が湧いた。
一審では完全に粉砕された仮執行による撤去が再び狙われている。まさに現地における実力攻防が焦点となっている。労働者人民の実力闘争で、現闘本部と市東さんの農地を守りぬこう!
(写真 開廷に先立ち反対同盟を先頭に120人の労農学が裁判所を包囲する霞が関デモ【2月4日】)
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週刊『前進』(2475号3面4)(2011/02/14 )
【三里塚裁判傍聴を】
◎市東さん行政訴訟
2月22日(火)午前10時30分 千葉地裁
◎市東さん農地法裁判
2月22日(火)午前11時10分 千葉地裁
(同日に同じ法廷で連続して開かれます)
※傍聴券抽選のため開廷1時間前に集合を
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週刊『前進』(2475号4面1)(2011/02/14 )
三里塚先頭に菅政権打倒しTPP参加粉砕を
輸出大企業が生き残るために農業と農村を壊滅させる攻撃
労働者には「国際競争」で大合理化
島崎光晴
菅政権は資本家階級の意に沿ってTPP(環太平洋パートナーシップ協定)参加にますますのめりこみつつある。菅は4月の統一地方選の後にTPP推進の大々的な攻撃に出ようと狙っている。TPPは、大恐慌下で存亡の危機に立つ米・日の両帝国主義が市場の再分割によって延命するために、労働者・農民をとことん犠牲にし、三里塚闘争の破壊をも狙うものだ。すでに全国各地で農民の大反対運動を中心に総反乱が始まっている。階級的労働運動を発展させ、労農連帯と国際連帯を強め、何よりも農民の最先頭に位置する三里塚闘争を高揚させよう。あらゆる面で
完全に行きづまっている菅政権を打倒し、TPP攻撃を粉砕しよう。
関税や規制を100%撤廃 医療・保険も崩壊する
TPPがひたすら輸出大企業など資本家階級のためのものであることがいよいよ鮮明になっている。菅は1月の施政方針演説で「第一の国づくりの理念」として「平成の開国」を挙げ、6月をめどにTPP交渉参加について結論を出すとあらためて意思表明した。TPPを新成長戦略の最大の柱として押し出した。
菅はこの中で「明治の開国」「戦後の開国」に次ぐ「第三の開国に挑む」と言っている。これは日本の資本家階級が10年以上言いつづけてきたことだ。典型は03年の日本経団連の新ビジョン「活力と魅力溢(あふ)れる日本をめざして」である。そこでは「東アジア自由経済圏」をつくるために「自らの意志による『第三の開国』を」とした。管は今回も経団連とまったく同じ言葉を使っているのだ。
さらに1月に日米がTPPで初の協議を行い、2月初めにはTPP交渉の情報について日本政府の報告書が出た。これらをとおして、TPPが物品の関税の全面撤廃だけでなく、全経済・全社会領域に及ぶものであることがはっきりした。
TPP交渉には24もの作業部会がある。医療を含むあらゆるサービスの自由化、公共事業の入札開放、郵政を含む金融・保険市場の開放、人の移動の自由化、商慣習や諸規制の撤廃・域内統一、食品・工業製品の安全基準の緩和・域内統一などがすべて交渉対象だ。
米通商代表部のカーク代表は昨年10月に“参加国の経済規制、非関税障壁などを「(わが国の)国境の中の問題」に取り込む必要がある”と露骨に言っている。“国境の中の問題に取り込む”というのは、参加国すべての規制などを取っ払って米資本・米帝に都合のいいものにするという意味だ。また米巨大企業100社が昨秋に「TPP15原則」を発表したが、そこで重視されているのも「規制の統一性」「法の支配」だ。
一方、日本経団連は昨年6月の「アジア太平洋地域の持続的成長を目指して」という提言で、TPP参加で「経済的に国境を感じさせないシームレスな(断続性がない)環境を実現する」としている。「国境措置、国内措置を問わず、聖域を設けることなく、制度・ルールを大胆に見直す必要がある」とも明言している。日本の資本家階級は自分の利益のためなら米帝・米資本のどんな要求だって受け入れる腹なのだ。
このように日帝のTPP参加は労働者・農民を犠牲にしながら日本社会のあり方を大転換させる攻撃だ。何よりも農業・農民そして漁民、農漁村・地方への「せん滅戦」的な攻撃であり、労働者階級への新自由主義攻撃の極限化である。
さらに食品や製品の安全性についても、「規制の統一」と称して米国基準に変更されると恐るべき事態になる。医療でも、あのとんでもない米国並み医療に転落させられてしまう。昨年12月には日本医師会が、TPP参加によって日本の医療に市場原理主義が持ち込まれ、国民皆保険制度の崩壊につながりかねないとする見解を発表した。それほどの危機感が全社会的にあふれている。
全国ですでに農民の大反乱
今や菅政権のTPP推進に対し、三里塚闘争に励まされつつ農民の大反乱が全国各地で数千人の集会として爆発している。「自民党もだめだが、民主党はもっとひどい。自分たちが行動するしかない」という声が満ちあふれている。それはチュニジア蜂起・エジプト革命に連帯する日本人民の歴史的な決起そのものだ。
大恐慌下で米・日・中が市場再分割かけ争闘戦
TPPの階級的本質は大恐慌下の帝国主義間争闘戦・大国間争闘戦である。日・米市場を含むアジア・太平洋市場の再分割をかけた日米中の相互絶滅的な激突だ。
米帝は09年のオバマのアジア歴訪以来、TPPを対日および対中の争闘戦の基軸にしている。何よりも日帝の「東アジア共同体」構想の具体化を粉砕するのが狙いだ。
リチャード・アーミテージ元米国務副長官は、鳩山が首相時代にニューヨークで中国首相と会って米国を排除した「東アジア共同体」について話し合い、小沢が民主党幹事長時代に最初の外遊地に中国・北京を選んだことをなじっている(『文藝春秋』2月号)。米帝は、日帝が独自に対米対抗的にアジア太平洋で展開することなど絶対に許さないということだ。
同時にTPPは米帝の中国との対峙・対決政策としてある。昨年11・23砲撃戦をもって米帝の朝鮮侵略戦争が始まったが、それは残存スターリン主義・中国に対する侵略戦争にも発展していくものだ。現に1月27日に米議会の政策諮問機関「米中経済安保調査委員会」が開いた公聴会は「米国と中国が全面戦争も含めて軍事衝突するシナリオが専門家たちにより繰り返し論じられる」ものとなった(2・4付産経)。
米帝は日帝に対し、経済面では体制解体的な要求を突きつけつつ、外交面では対米対抗的動きを封殺し、軍事的には中国との対峙・対決の戦略から日帝を補完的に徹底的に利用・動員しようとしているのだ。しかし、これはあまりにも自己矛盾的なものであり、日帝との争闘戦の一層の激化をも引き起こしかねない。
「対米協調」も日米危機促進
日帝は80年代後半以来、アジアを勢力圏にしようとしてきたが、米帝の対日争闘戦によって、また中国の対抗によって破産しつづけてきた。そして鳩山政権下で「東アジア共同体」構想を出したとたん、米帝からTPP推進というカウンター攻撃を浴びてしまった。日帝は、TPPから排除されるとアジア市場も米市場も失い、体制崩壊に陥ってしまう。そこで、本来は日帝をたたく米帝のブロック化政策であるTPPに入るしかなくなった。
「東アジア共同体」構想が米帝から激烈に攻撃されたため、今や日本の資本家階級は戦略を手直しし、米帝との協調にすがろうとしている。昨年6月の経団連提言では、米帝がTPPを軸にした今日、「わが国企業が競争上不利な状況に置かれないようにするためにも、また、わが国が資源の確保に支障を来さないようにするためにも、TPPはじめアジア太平洋地域にまたがる枠組みに積極的に参加すべきである」とした。
「アジア」ではなく「アジア太平洋」という用語は対米協調を意味する。しかし、こうした対米協調が成功するあてはなく、逆に米帝からつけこまれ、日帝危機が促進される可能性もある。
さらに日帝は11・23を契機に日米安保同盟の強化を通した朝鮮侵略戦争への参戦に踏みこんでいる。戦争が現実化した今、日帝はどう生き延びていくのかという存亡のかかった選択を迫られ、日米同盟の強化、米中の対峙・対決への関与に突っこんでいるのだ。12月の新防衛大綱でも、中国の国防費の継続的増加、軍事力の広範・急速な近代化、戦力の遠方投射能力の強化、周辺海域での活動の拡大・活発化を指摘し、「地域・国際社会の懸念事項」と対中対決姿勢を強めている。
この観点から日帝は経済的な整合性を棚に上げてでもTPPにのめりこもうとしている。現に1月に訪米した前原外相はTPPについて「日米関係強化の一環としても位置づけている」と言い放った。
コメ生産は9割が壊滅 農地利用を狙う大資本
このようにTPP参加による労働者・農民圧殺と日米同盟強化による日帝の参戦策動とが完全に一体となっている。内への階級戦争と外への侵略戦争を階級的労働運動と労農連帯、国際連帯で粉砕しよう。
TPP参加は日本の農業と農村社会を本当に壊滅させてしまう。農水省試算でも、主要19品目の関税を撤廃すると農業生産は4・1兆円減り、コメは新潟産コシヒカリなどを除いて9割が輸入品に置き換わり、牛肉や豚肉も銘柄級を除いて輸入品に置き換わるとしている(図1、図2)。
菅は「農地集約で大規模化」(施政方針演説)すれば農業が再生するかのように言うが、大うそだ。この数十年間の規模拡大路線の破綻は、農水省自身が認めている。しかもTPPに参加する米国の農業経営の平均規模は日本の100倍以上、豪州は1900倍にも及び、競争にもならない。
北海道の畜産・酪農は規模拡大の典型だが、輸入自由化や価格低落によって経営危機が広がっている。また大規模稲作経営であればあるほど、米価の暴落で打撃を受けた。20年前の「コメ開国」から農家の総所得も生産者米価も半分になり、コメ作りの時給は200円を下回っている。
「農地集約」と言うが、実は農地を資本の利益の場とするのが狙いだ。経団連は09年3月の提言で、農地法第1条の「農地はその耕作者みずからが所有することを最も適当であると認めて」という、いわゆる「自作農主義」規定をなくし、農地の所有と利用の分離を可能にし資本が参入しやくすしろ、と言っている。日本の農業・農民がどうなろうとかまわない、農地を資本のもうけの対象にできればそれでいいということだ。これこそ新自由主義だ! 三里塚反対同盟の市東孝雄さんの農地を農地法で取り上げる暴挙は、こうした攻撃の最先端をなす。
日本の農業・農民は新自由主義とグーロバリズムのもとで切り捨てられてきた。そのうえまた大恐慌と争闘戦激化の中で資本の延命のためにさらに破壊されようとしている。労働者階級が受けてきたのと同じ経緯・構図ではないか! 今や資本の延命のために農民もまた労働者階級と同じように生きていけなくなっている。資本家の利益のために“お前たちなんか死んでしまえ”という攻撃を受けているのは、労働者も農民も同じなのだ。
労農連帯と革命の勝利へ
新自由主義、大恐慌、争闘戦という三重の攻撃のもとで、今や労働者と農民は手を取り合って共通の敵である資本家階級に立ち向かう以外に生きられない。つまり「資本主義・帝国主義の打倒は今や、農民を始めとした勤労諸階級・諸階層の人民にとって、生き続けるためのきわめて切実な要求となっている」(綱領草案11項)。そもそも資本主義は農業・農民問題を解決できない。労農同盟とプロレタリア革命こそが唯一の根本的な解決にほかならない。菅政権のTPP推進は日帝の支配構造と体制の崩壊を自ら激烈に促進する。
だからこそ、三里塚闘争が持つ位置はますます巨大になっている。TPPは農業を破壊することで三里塚闘争と労農連帯を破壊し、プロレタリア革命を押しとどめようとするものだ。だからこそ、ほかならぬ三里塚闘争と労農連帯の中にこそ、TPPを打ち砕き、日帝を打倒する展望がある。
TPP推進は労働者階級に対しては新自由主義攻撃の極限化となる。11年版の経労委報告の表題は「労使一体となってグローバル競争に打ち勝つ」である。完全にTPPに参加して大競争に突進することを前提に書かれている。
経労委報告は「経営者は国際的な市場獲得競争に勝ち抜くという強い覚悟を持ちつつ、人材・設備・資金・情報(含むノウハウ)といった経営資源をグローバル市場の動向に適正に対応させ、自社の収益力向上へと結びつけていくことが求められている」と言う。“人材などをグローバル市場に対応させる”、つまりTPPという国際的な競争・争闘戦のために、労働者の首切り・賃下げ・合理化・非正規職化を一段と進めるということだ。ここでの「グローバル市場」がアジアを指すものであれば、それに対応した賃金、かつて経労委報告原案が掲げた「途上国並みの賃金」への切り下げを意味する。
TPP推進の連合打倒を
ところが、TPP推進がこれほど反労働者的であるにもかかわらず、連合会長の古賀は「円高への抵抗力を高めるためには、法人税引き下げ、TPP交渉への参加が必要」と公言してはばからない(年頭記者会見)。民主党・連合政権を絶対にぶっ飛ばそう!
このTPP推進の経労委報告は、すでに先取り的に実際の労働現場での攻撃として襲いかかっている。JR東日本の検修・構内業務外注化と新人事・賃金制度、郵政での成果主義賃金導入などは、いずれも歴史を画する攻撃である。特にJR東日本が提案した新人事・賃金制度では基本給表が廃止されて、制度だけをとれば何十%もの大幅賃下げが可能になる。NTTが“50歳定年”で子会社に飛ばして30%以上の賃下げを強行してきているが、それを制度的には全世代で可能にするものだ。
だからこそ、こうした攻撃を打ち砕いて階級的労働運動を発展させること、ここにこそ日帝のTPP攻撃を打ち破る道がある。何よりも国鉄闘争全国運動をもっと全力で推進し、もっと創造的に発展させよう。その前進に応じて大恐慌をプロレタリア革命に転化する道が切り開かれるのだ。2〜3月闘争を勝利させ、3・27三里塚現地闘争に総決起していこう。
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週刊『前進』(2475号4面2)(2011/02/14 )
TPP反対 農民の怒りが爆発
全国各地で数千人の大集会
「TPP参加阻止」を掲げた数千人規模の大集会が全国各地で次々と開かれている。
沖縄では1月29日、5400人が結集し「TPP交渉への参加反対」を決議した。この間では全国最大規模だ。集会では「離島県である沖縄は、サトウキビ、肉用牛、酪農、パイナップルが壊滅的打撃を受け、地域社会は崩壊する」「飯を食べるなと言っているのと同じだ」と菅政権への怒りの声が噴出した。
(写真 TPP反対沖縄県民大会に5400人が結集。この間で全国最大の集会となった【1月29日 那覇市】)
民主県連も反対
昨年11月からの3カ月間に開かれた1千人以上の集会を列挙するだけでもすごい数になる。
11月8日山形市で3千人、9日北海道岩見沢市で1千人、10日東京・日比谷野音で開かれた全国集会には3千人が集まった。12日札幌市で1700人、13日には鹿児島県内5カ所で集会を同時開催し、計2500人が参加。28日高松市で2千人、同日北海道十勝地域で4千人が集まった。
12月には、5日に宮崎市で3500人が集まりムシロ旗を掲げて繁華街をデモ。9日奈良県橿原市と10日盛岡市で各1千人、11日釧路市で1千人、15日仙台市で1500人、20日には北海道上川地区で1600人が集会を開いた。
1月に入り、29日に沖縄、31日には横浜市で1200人、宇都宮市で3千人が集会を開催。民主党栃木県連は2月に入り、TPP参加に反対する方針を固めた。TPP推進の党本部とは「ねじれ」状態だ。
中心は各県のJA中央会だが、生協や消費者団体、漁協、林業関係、医師会など参加は幅広い。
北海道経済壊滅
北海道庁は、TPP参加で北海道の全農家の7割を超える3万3千戸の営農が不可能となると試算している。道内各地の集会で「北海道の基幹産業である農林水産業は食品加工、流通、観光など多くの産業と結びついている。TPP参加は北海道経済を壊滅させる」という声が上がった。
他県の集会でも「ごく一部の輸出産業のために、農業などの一次産業が壊滅状態になることは絶対許せない」という声が相次いでいる。
まさに戦後の歴史を画する地殻変動が起こっている。農民を先頭とする「TPP阻止!」の声は根底的だ。この先頭に三里塚闘争が立っている。
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週刊『前進』(2475号4面3)(2011/02/14 )
2月2日〜8日
民主党、派兵恒久法策定へ/米軍が北東アジア重視へ戦略改定
●民主党が派兵恒久法策定に着手 民主党が国家安全保障会議の新設や、自衛隊の海外派遣を随時可能にする恒久法の制定など、外交・安保戦略の具体案づくりに着手。6月をメドに中間報告をまとめる方針。(3日)
●新日鉄と住金が合併構想 新日本製鉄と住友金属工業が「世界市場に攻勢をかける」と経営統合構想を発表。菅政権も「世界で戦える企業の創出になる」(経産相)と全面支援を表明。(3日)
●前原がエジプト情勢で発言 前原外相がエジプト情勢について、「エジプト国民の気持ちも分からないではないが、現実的な政権移行を冷静に考えるべきだ」と発言した。(4日)
●住基ネット離脱に「違法」判決 東京都国立市が住民基本台帳ネットワークとの接続を拒否していることで、防衛大教授など住民5人が市長を訴えた訴訟で、東京地裁は「住基ネット離脱は違法」の判決を下した。(4日)
●米が宇宙戦略指針 米国防総省と国家情報長官室が今後10年の宇宙戦略の指針となる「国家安全保障宇宙戦略」を発表した。中国の対宇宙能力開発を警戒、同盟国との協力体制を強化し、自衛のために報復する権利と能力を維持すると明記。(4日)
●日米が宇宙利用でも連携 日米両政府は新たな共通戦略目標に、宇宙空間の利用やサイバー攻撃対策での連携強化を盛り込む方向で調整に入った。米軍と自衛隊による情報通信衛星の共有化などを推進する。日米同盟に韓国やオーストラリアを加えた多国間の安保協力強化も明記する方針。(4日)
●新STARTが発効 米ロ両国が新戦略兵器削減条約(新START)の批准書を交換した。米国の欧州へのミサイル防衛(MD)配備計画を巡る対立は解けないまま、同条約がひとまず発効した(5日)
●米研究機関が朝鮮での軍事衝突シナリオを検討 米国の戦略国際問題研究所(CSIS)が、朝鮮半島の軍事バランスと南北軍事衝突・戦争のシナリオに関する検討報告を発表した。最も現実的な見通しとして、北朝鮮軍が通常戦力による韓国側への限定的な攻撃を仕掛ける可能性を指摘。さらに、限定された軍事衝突であっても米韓相手の全面戦争へと拡大する危険性も高いと指摘した。(7日)
●軍転協が普天間県外移設要請 米軍基地を抱える沖縄の市町村長らでつくる県軍用地転用促進・基地問題協議会(軍転協)が、日米合意の見直しと普天間基地の県外移設を求めて首相官邸への要請行動を行った。首相は「政府の方針として粛々と進めたい」と述べ、要請を拒否した。(8日)
●米軍が国家軍事戦略を改定 米統合参謀本部が米軍の運用指針となる「国家軍事戦略」を7年ぶりに改定、公表した。米国の国益にとってアジア太平洋地域の比重が高まるとし、米軍が「今後数十年、北東アジアで強力な軍事プレゼンスを維持する」と宣言。日本の自衛隊による域外活動拡大を支援し、日韓軍事協力強化も後押しする考えを示した。(8日)
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週刊『前進』(2475号5面1)(2011/02/14 )
エジプト革命 “後退せずに勝利まで闘う”
労働者が次々ストに突入
(写真 2月8日、100万人が結集したタハリール広場。中央のテントで宿泊し委員会の会合が行われる。横断幕は「人民は体制の打倒を求める」【2月9日 カイロ】)
極悪の警察国家エジプトで、ついに弾圧が突破された。恐怖の壁が破られた今、以前に戻ることはありえない。皆が解放感にあふれ、闘いが生き生きと展開されている。革命の中心となったカイロのタハリール広場では、テントに泊まり込んでいる若者を中心に防衛委員会、医療委員会、物資委員会などが組織され、広場を一つのコミュニティーとして自主的に運営している。労働者が闘いの中で団結をつくり、社会の主人公となっていく力を示している。
労働者の闘いが国家の基本機能をブロックした
2月2、3日、秘密警察と反革命勢力がカイロのタハリール広場に大襲撃をかけた。労働者人民は13人死亡、5千人の負傷という打撃を受けながらも反革命を撃退した。4日からは、大結集が再開された。「今、後退したら、われわれは皆、秘密警察に逮捕・拷問される。勝利まで闘うしかない」(集会参加者、米NBCテレビ)
2月8日、カイロではタハリール広場に100万人以上が結集しただけでなく、数十万人が首相邸を包囲し、シャフィク首相が首相府に行けなくなった。デモ隊の包囲で、議員たちは国会の出入りができなくなった。
エジプト第二の都市、アレクサンドリアでも100万人のデモが政府の主要施設を包囲した。
1月25日にエジプト革命が起こった時から、労働者はストや職場放棄で多くの工場、ショッピングセンターなどを休止に追い込み、デモと一体となって政権を追い詰めてきた。それから2週間を経て、職場の闘いはさらに広がっている。
2月8日には、スエズ運河の下請け5社の6千人の労働者が、職場の安全、運河当局に直接雇用されている労働者との同一賃金を要求し、無期限ストに突入し、会社前に座り込んだ。スエズ市では、1300人の鉄鋼労働者もストに突入した。
10日には、カイロで公営バス・地下鉄の労働者が最大規模のストに決起し、最大の病院で3千人の労働者がストに突入した。エジプト中部では電気、ガス、製薬会社の労働者がストに入った。
エジプト最大の新聞社アルアハラム(政府が最大株主)では、編集権を記者が奪い取る闘いが行われている。数百人の記者が本社ビルを包囲し、労働者が同社の会長と編集長の辞任を求めて実力闘争をしている。
8日付アルアハラム紙は「エジプト全土でデモとストライキ」という記事を掲載した。
「ルクソール(南部の古都)では、数千人の失業者と観光業の危機に影響を受けた労働者が職業紹介と失業補償を要求して労働局を包囲した」
「今朝、アスワン県(南部)では、5千人の失業青年が県知事解任を求めて県庁ビル内に突入しようとした」
(写真 国家公務員スト。賃上げ、危険手当てを要求【2月9日 カイロ】) 大恐慌・食糧投機 インフレ・弾圧への労働者の怒り
帝国主義の中東支配の柱であるエジプトでの革命に米帝は震え上がっている。中東支配崩壊は石油支配の崩壊=ドル体制崩壊だ。大恐慌のすさまじい激化だ。
だからオバマ政権は、スレイマン副大統領を軸にした再編を実現しようと必死になっている。スレイマンは先日まで秘密警察を指揮してきた情報庁長官であり、アメリカで弾圧の訓練を受けた人物だ。またブッシュ、オバマ政権の「特別拉致作戦」(CIAが世界各地で反米活動容疑者を拉致し、エジプトに送って拷問を下請けさせる)の拷問担当をやってきた人物だ。スレイマン支持こそ、革命を血の海に沈めようというオバマ政権の凶暴な意図の証拠だ。
だがエジプト労働者階級は、ムバラク、スレイマン、オバマと闘う決意を固めている。本紙前号で述べたように、エジプトの闘う労働運動は07年にサブプライムローンの破綻から始まった世界大恐慌下で大ストライキに勝利した。さらに08年4月6日にゼネラルストライキが設定され、その拠点、マハラ市などで巨万の食糧暴動が闘われた。
現在のエジプト革命は、この08年4月の闘いの経験を引き継いだ青年たち――既成野党に属さない青年労働者――の全国の労働者へのストの呼びかけから開始された。
1967年以来エジプトでは非常事態法が適用され、理由なしに逮捕し、接見禁止のまま無期限に拘束できる。労働組合は官製労組以外は禁止だ。ストライキやデモには直ちに警察と軍が介入し、逮捕・拷問がある。
このエジプトで04〜08年に140万人の労働者がストライキや他の形の労働争議に決起している。すでにこの時期に弾圧体制が大衆的な規模で打破されてきたのだ。
この闘いが生まれてきた基礎を確認し、今後の針路を展望するために、エジプトの戦後史を振り返ってみよう。紙幅の都合で、今回はエジプトの軍事支配の特質に関係することに絞る。
(写真 警察の虐殺に抗議する青年【2010年6月 アレクサンドリア】) ナセルの労働者弾圧・国有化政策と「非同盟」
エジプトでは軍が社会のすべてに利権を持っている。工業も不動産もショッピングモールも軍人が握っている。
その起源は1952年7月の青年将校団のクーデターで政権についたナセルの政策だ。
クーデター直後、北部カフルエルダワルの繊維工場で労働者たちがストライキに決起した。エジプト特産の綿花を使う製糸工場、紡績工場という国策事業の中で重搾取されてきた労働者たちが決起したのだ。その労働者たちの大デモに対して8月2日、ナセルは軍を派遣し、200人の労働者を投獄し、2人のスト指導者を「国家反逆罪」で絞首刑にした。新政権は労働組合への血の弾圧から出発したのだ。
ナセルは全エジプトの労働組合の役員を政府の任命制にし、国家管理下に置いた。エジプト共産党を非合法化し、大量投獄した。
その上で、ナセルは主要産業を次々に国営化し、国営企業の責任者に軍人を任命していった。
「アラブ社会主義」と称したが、資本主義を強権的手段で発達させようとしたにすぎない。
だがソ連スターリン主義は、ナセルを全面的に支持したのだ。ソ連は1956年に、エジプト共産党に解散を命じ、ナセル政権に全面協力させた。「ナセルのもとで社会主義が可能だ」と。
そしてナセルは「非同盟」を掲げ、帝国主義からもスターリン主義からも援助を引き出す政策をとる。
だが「非同盟諸国」が華々しく宣伝されて間もない60年代後半、エジプト、インドネシアなどの累積債務拡大・破産があらわになった。
こうした中で国有企業や準国有企業は帝国主義の対外投資・合弁化、政府開発援助(ODA)の対象となり、エジプトの軍人に対する帝国主義の買収工作が激化した。また帝国主義は、軍事援助、軍事訓練を「非同盟諸国」の軍に与え、それによって軍を直接に掌握していった。
(写真 1960年の非同盟諸国会議。インドのネルー【左端】、ナセル【中央】、ユーゴスラビアのチトー【右端】ら)
新自由主義転換の矛盾と労働者階級の大攻勢
こうした軍による労働組合弾圧・国有化政策が、軍の利権構造として固定化したのがナセル体制だ。それは経済的に破産しただけでない。政治的にも、1967年のイスラエルの侵略戦争に大敗北して、体制的危機を突きつけられた。
それを反動的に突破しようとしたのが、ナセル後のサダト政権だ。自由化政策を導入し、食糧価格は高騰し、77年1月から巨大な食糧暴動が続発した。
こうした中でサダトは77年11月イスラエルを電撃訪問し、カーター米大統領、ベギン・イスラエル首相との78年キャンプデービッド会談で「中東和平」を行った。
経済政策での初期的新自由主義政策の導入と外交政策での「非同盟」路線の最終的放棄を一体的に進めたのだ。親米政策への完全な転換だ。
79年イラン革命で危機に瀕(ひん)したアメリカ帝国主義にとって、親米政権に転換したエジプトこそが、決定的な支柱となったのだ。
この内外政策の露骨な裏切りに対するエジプト労働者人民の怒りに対して、サダトは大量逮捕・拷問で弾圧した。これが結局、81年のサダト射殺事件につながった。
ムバラク政権はサダトの親米反動政策をさらに推進した。
そして80年代、アフリカ四十数カ国がIMF(国際通貨基金)・世界銀行の管理下で構造調整計画(SAP)が施行される中で、エジプトでもSAPが導入された。
だが、SAPの軸であった民営化・規制緩和は遅々として進まなかった。ムバラク政権自体が国有企業=軍人利権を基盤にしていたからだ。
本格的にSAPが実行されるようになったのは、ムバラクの息子、ガマル・ムバラク(バンク・オブ・アメリカ出身)らが政権の中枢を握りだし、2004年にナジフが首相に就任した頃からだ。
04年から独禁法の改悪、鉄鋼独占の一層の進行、食糧補助金のカット、外資の自由化が次々に強行され、インフレ率が急上昇した。そして既成の軍部勢力との抗争も激しくなった。
その間隙(かんげき)をついて、治安警察と官製労組によるがんじがらめの弾圧体制を打ち破り、戦闘的な労働運動が台頭してきたのだ。
新自由主義の攻撃は一見、強大に見える。だがそれは、以前の支配体制の破綻によって登場したものにすぎない。矛盾に満ち、本質的に脆弱(ぜいじゃく)きわまりないものなのだ。
この敵の弱点を見抜き、断固として組織化を進めるならば、必ず勝利できる。エジプト革命とともに進もう。世界の新自由主義攻撃の突破口=国鉄分割・民営化体制の打倒こそ、その道だ。
〔村上和幸〕
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週刊『前進』(2475号5面2)(2011/02/14 )
“ムバラク即時退陣!”
2・5東京 在日エジプト人が立つ
エジプト革命が進行する中、2月5日午後、300人を超える在日エジプト人が全国から東京に集まり、恵比寿から渋谷までデモ行進を行った。「ムバラクは即時退陣しろ!」「ゴーアウト ムバラク!」などのシュプレヒコールを上げ、エジプト革命への支持・連帯を呼びかけた。
昼下がりの恵比寿公園には家族連れの在日エジプト人たちが続々集まってきた。全国各地から故国エジプトの革命決起にいてもたってもいられず駆けつけた人びとだ。口々に「エジプトにいたら自分もあのデモの一員だった」「すぐにも飛んで帰りたい」と興奮しながら語る。
プラカードには「パンを、自由を、尊厳を!」「ムバラク大統領よ、出て行け」「人民は現体制の廃止を要求する。腐敗・汚職に対して立ち上がろう」などのスローガンがアラビア語、英語、日本語で記されている。
集会では、人民議会の即時解散、戒厳令体制の即時解除、国際社会の監視下で自由な選挙の実施、大学の独立、暴力行為を調査する委員会の設立など8項目の要求が読み上げられ、全参加者が歓声で応えた。
集会後、「エジプトに自由を」と書かれたエジプト国旗を持った子どもたちを先頭にデモに出発。「ムバラクは出て行け!」などと沿道の人たちにアピールした。
宣伝カーからは「800万人のエジプト人が今、この瞬間に腐敗・汚職と弾圧に対し命をかけて闘っています。自ら立ち上がって社会正義と自由を手にいれようと革命を起こしています。日本の皆さん、私たちとともに闘ってください」と熱い呼びかけが続いた。
沿道の人びとも「ムバラク大統領は30年も独裁してたんでしょ。ひどいわね」などの共感を寄せた。エジプト革命と結合して闘おう!
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週刊『前進』(2475号5面3)(2011/02/14 )
法大入試情宣 弾圧破り3・20反戦訴え
“エジプトめざせ”と受験生
3・20渋谷反戦デモへの学生・青年の大結集をかちとるべく、全学連は2月前半の入試決戦を全力で闘い抜いています。
(写真 法大受験生が続々と3・20反戦デモに賛同! 熱い討論の輪が生まれた【2月8日 飯田橋駅前】) 駅前情宣禁圧を打破し解放
2月5日から始まった法大入試は、警視庁公安部による飯田橋駅前でのビラまき禁圧態勢を学生の怒りでもって粉砕し、受験生との感動的合流をかちとっています。
初日から飯田橋駅前でのビラまきの学生を数十人の公安警察が取り囲んで「逮捕するぞ」と襲いかかり、まったく正当な情宣活動を禁圧してきました。これは、大恐慌のもとで青年・学生が生きられない現実に対して立ち上がり始めていることへの恐怖の裏返しです。支配階級は、反戦と菅打倒を訴える1枚のビラが受験生に手渡されることにすら戦々恐々としているのです。
法大当局は「キャンパスから半径200b以内でのビラまき・演説・立ち入り禁止(違反すれば罰金100万円)」という不当な仮処分決定を裁判所に出させた上、駅前でのビラまきすら公安警察を使って禁止しようとしてきました。
もう我慢ならない! 8日朝、われわれは闘う弁護士とともに警視庁公安部への申入書をもって徹底追及・弾劾しました。「自由なビラまきへの弾圧こそが戦争・改憲への道じゃないか!」「エジプト・チュニジアのように力で押さえつけようとするなら、革命になるぞ! 青年・学生の未来を奪うな!」。公安警察はおろおろと逃げ回るばかり。飯田橋駅前は圧倒的に解放されました。完全勝利です!
法大当局は自らの悪行が白日のもとにさらされることに震撼(しんかん)し、「ビラを取るな。署名するな。法大とは関係ない」と入試会場で受験生を恫喝していますが、逆にそれが受験生の怒りに火をつけています。ビラが次々と受け取られ、「声を上げて変えよう」「エジプト・チュニジアめざせ」などの3・20賛同メッセージも集まっています。全国学生は入試決戦に総決起し、受験生の怒りと結合しよう!
怒り爆発させ菅政権打倒へ
3・20へ訴えたいことは第一に、日本においてもエジプトのように3・20渋谷で怒りを爆発させようということです。大恐慌と大失業、学生の就職難、戦争、そして労組活動家や学生運動を徹底的に弾圧してきた国家への激しい怒りがエジプトで爆発しました。この怒りは日本にも渦巻いている! 「エジプトのようにしたい!」「行動するなら今ですね」――受験生からこうした声を聞かない日はありません。しかしこの怒りを既成指導部や大学当局が抑え込み、学生の可能性を奪っています。この壁を突き破り、日本の学生は、3・20デモから怒りの行動を開始しよう。
第二に、学生・青年の力で菅政権は絶対に打倒できるということです。日本における「エジプト情勢」は動労千葉(JR)、三里塚、沖縄、そして法大にあります。ここに帝国主義支配を吹き飛ばすエネルギーが宿っています。動労千葉のように労働組合が団結して闘えば外注化・非正規職化を止められます。朝鮮侵略戦争体制構築のための軍事空港建設を阻止し続け、農地を死守して闘う三里塚闘争は、TPPをも粉砕する一大拠点です。沖縄闘争は日米安保と米軍基地という帝国主義戦争の根幹を打ち砕いています。「ビラまきで逮捕、集会で退学」という監獄体制と闘い、新たな処分を阻止している法大文化連盟と全学連。こうした闘いが菅政権をぐいぐいと押し込んでいます。
この2〜3月、拠点をめぐる組織攻防戦に勝利した時に必ず闘いは爆発する! 3・20大デモで菅を打倒しよう!
第三に、法大の監獄体制を打ち破ろうということです。戦争反対のビラまきを国家権力を使って弾圧する憲法停止の現実。大学が戦争体制に組み込まれているのです。
法大監獄体制を打ち破ろう
それだけではありません。全学連・文化連盟の闘いの前進に震え上がった法大当局と国際文化学部長・曽士才(そう・しさい)は卑劣にも、公安警察とも癒着し、闘う法大1年生への呼び出しや親を使った退学強要を行ってきました。これが大学のやることか! 絶対に許せない。
しかし、当該の1年生A君はこの攻撃をはね返し、仲間と団結し勝利しています。教育の破壊を許すな! 1年生を守ろう! 何よりも3・20反戦デモに法大生を立ち上がらせないことが敵の狙いです。3・20への法大生の大結集こそが最大の反撃です。闘う法大生の部隊をさらに拡大し4月新歓決戦に乗り込もう。
法大闘争は、新自由主義によって未来と人間性を奪われ、教育を破壊された学生の怒りを体現する闘いです。法大を突破口に、抑え込まれた学生の怒りの一切を解き放とう。3・20までの残り40日間を全力で駆け抜けよう!
(首都圏学生・A)
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週刊『前進』(2475号6面1)(2011/02/14 )
団結ひろば 投稿コーナー
星野絵画展で運動への参加希望者現れる 福島 大杉真一
1月29、30日に福島、2月5、6日に郡山で星野文昭絵画展を開催しました。
両会場合わせて110人の来場がありました。その中で星野文昭さんを取り戻す運動に参加したいという人も現れました。両会場とも地元マスコミが注目し取材に来て、新聞に取り上げられました。
来場者の感想は「やさしい絵を描く人ですね」「絵に透明感がある」「どの絵もいきいきしている」「暁子さんへの深い愛と絆(きずな)を感じる」「年を追うごとに色彩が明るくなってますね」などでした。
また意見としては「もっと無実の星野さんを強調した方が良かったのではないか」「妻の暁子さんが米沢出身であることの説明文がほしかった」などが出されました。
今回の絵画展は、新聞・ビラ・ポスター・インターネット、隣で絵画展を行っていた大学生やたまたま通りかかった人など、多種にわたる参加者がありました。
これも絵画展の力だと思います。今まで出会ったことのない人にも、星野さんが無実であることを知ってもらうことができたと思います。
星野さんを一刻も早く取り戻すことを皆、決意しました。
保育所民営化と対決する労働者とともに 豊中 奥野みどり
私は豊中に住む無職の労働者です。
豊中の闘いは本当にすばらしいものだと自負しております。
保育現場で深町加代子さんが、子どもをたたいたとして担任から降ろす、賃金をカットするという当局の攻撃に対し、職場で起こったことはすべて当局の責任として、公平委員会闘争などで豊中市当局と闘い続けています。
保育所の民営化などの合理化攻撃はすさまじいものです。当局に対し労働者が少しでもたてついたら即解雇ということです。これに対し、豊中の労働者である私たちは、けっしてひるむことなく闘い続けて来ました。
豊中の闘いは、すべての労働者の団結をくずしていく資本の側の新自由主義攻撃、つまり差別分断攻撃との闘い、国鉄全国闘争と質を同じくする闘いだと思っています。
私はソウ・ウツ病で療養中で、一人で会議に参加するのもダメだと医者に言われてしまいましたが、豊中の仲間が支えてくれることになり、安心しております。
今年になって豊中の情勢は変わり、公平審を当局は裏切ってきたのです。絶対に許すわけにはいきません。断固裁判で闘っていく決意です。同志諸君の圧倒的結集を訴えます。
いろんな病気で悩んでおられる皆さんと連帯していきたいと思っています。「障害者」解放戦線でともに闘っていこうではありませんか!
素直にすごいと思う『最前線』 電通労働者 如月有羽
少し前に『最前線』を読みました。一番印象に残っているのは「70年闘争勝利のために」と題された座談会の電通の労働者の発言です。
私は今、データ入力の仕事をしていて、休み時間も交代制、勤務もシフト制で土日も関係ありません。いかに効率よく1件当たりの作業を終わらせるかが求められる。多分、交換手の仕事もそうだったと思います。そういった点が彼女と似ていると思います。
そういった労働者が初めは策略を使いながらも、そのうち、けがや不当逮捕で職場の仲間に理解を求めないとどうしようもなくなって、真っ向から訴え、団結が広がっていく。そのことが素直にすごいと思いました。
私自身はと言えば、職場に8・6ヒロシマのお土産を持って行っても、私が言わなかったせいもありますが、誰も「8・6ヒロシマ」とは気付かない……、といった現状です。
でも、5・15オキナワや8・6ヒロシマのために毎年休みを取っていたら、誰かが「何しに行っているの?」と聞いてくれるのではないかと待っている状況です。
去年はオキナワに行けませんでしたが、今年は行って、「どこ見てきたの?」「観光?」と聞かれたら、はっきりと「ガマに行ってきた」とか「新基地を止めるために行ってきた」「観光じゃない」と言える「強さ」を持ちたいと思いました。
全学連三里塚援農記 2011年を三里塚・沖縄決戦として闘う 全学連書記長・京大 冨山小太郎
全学連で闘い始めて早5年。念願の三里塚現地調査に遂に参加することができました!
への字に曲がった誘導路、滑走路の内部にまで突き刺さる団結街道。こんな空港はありえません。何よりも市東孝雄さんの農地の存在が、成田空港の犯罪性を明らかにし、国家権力・NAAのどうしようもない破綻を暴露しています。反対同盟の45年間の闘いは、国家権力の総力を挙げたどんな攻撃でも絶対反対を貫くならばはね返すことができることを、日々示しきっています。
印象的だったのは北原鉱治事務局長の言葉です。「反対同盟の闘いは俺たちの農地を守ってくれというようなものではない。俺たちの農地が戦争に使われる。こんなことを許しては人類社会に未来などない。そう思うから闘うんだ」。この階級性は感動的です!
労農同盟と僕らはよく言います。その具体的基盤は、帝国主義の侵略戦争に対する怒りとしての反戦闘争がつくり上げていったのだということが、この言葉で本当によく分かりました。
反戦政治闘争というとき、防衛的に聞こえることがよくあります。しかし、三里塚の現地に行けば、反戦闘争の持っている攻撃的な意義、すなわち労農同盟という超積極的な可能性をつかむことができます。
全学連は、拡大中央委員会において、2011年を三里塚・沖縄決戦として闘い抜くことを宣言しました。これは絶対にいける! 今回の現調でそのことを確信しました。
今こそ全国の学生は三里塚に結集しよう。激動の2011年を三里塚決戦でぶち破ろう! 今度は大勢の仲間を組織して参加したいと思います。
全学連三里塚援農記 農民の生活に宿る軍事空港阻止の闘い 京大 K
三里塚の援農闘争に入るのは3回目でしたが、現地調査と併せて三里塚闘争の息吹に触れることができました。
朝鮮侵略戦争情勢の真っただ中で、成田空港が文字通り米軍の兵站(へいたん)拠点とされ、侵略戦争の軍事空港とされる情勢が日々現実化していく中で、45年の闘いを通して空港完成を阻止し続け、「大局で見れば勝利している」(萩原進事務局次長)とまで言い切れる地平を切り開いている三里塚闘争の持つ意義は計り知れません。
軍事空港阻止の闘いは、有事の際の実力闘争だけではなく、かの地に生きて農業を営む農民の生活の一つひとつに宿っています。と同時に、資本主義における農業・農民問題を根本から見据え、労農連帯の闘いを通して「働く者こそが主人公の社会」の建設の具体的な展望を指し示し続けている三里塚の闘いに、学生をも獲得しともに闘う強力な援軍として組織する力が満ち満ちていると考えます。
今回の現地調査の際、現闘の同志に「70年代の決戦期の三里塚は、朝キャンパスでビラをまき、昼までに学生を組織して、その日のうちに三里塚現地に直行していた」というお話をうかがい、具体的なイメージがわいてきました。現地での実力闘争で鍛えられた学生がキャンパスで仲間をガンガン組織し、5月沖縄闘争に巨万の隊列として登場する……。考えただけでもワクワクの2011年決戦に、いざ突入しましょう!!
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週刊『前進』(2475号6面2)(2011/02/14 )
無期の牢獄から解放を
星野暁子さんのアピール 全国労組交流センター総会
2月5〜6日、全国労組交流センター第18回定期総会において、沖縄・安保闘争の爆発と星野再審闘争の勝利をかちとるための「特別決議」が採択された。星野暁子さんが来賓としてあいさつし、労働者階級とともに闘い必ず星野文昭同志を取り戻すと決意を語った。
(写真 再審闘争への決起を訴える星野暁子さん【2月5日 茨城】)
昨年の労組交流センター総会での星野決議、本当にありがとうございます。あれに引き続き全国の労組や団体での決議を次々と得ることができました。そして今年正月、星野文昭には昨年を倍する400近くの年賀状が全国から寄せられました。ありがとうございました。お年玉はがきは7枚当選していました。
昨年の戸村共同代表に続き、2回目に私がこの総会に参加させていただいて、最も強く言いたいことは、星野文昭の獄中36年、上告棄却=無期確定以降24年の闘いは、反合・運転保安闘争を団結をつくり出しながら闘ってきた動労千葉の闘い、そして労組交流センターの闘いと一体のものとして闘ってきたということです。無期という一生出さないぞという攻撃に対して、孤立と分断を私との団結を強めることではね返し、心は常に闘う労働者人民とともにある生き方を貫いてきました。
星野の闘いが獲得しているもの
文昭は手紙でこんなことを書いてきています。「全世界の人民が立ちあがっている中で、充満する怒りが社会全体を揺り動かす決起にならないのは、連合・体制内派に労働組合、労働運動が抑えられているからで、その最たるものは『4・9』反動なわけで、それを突き破る動労千葉・国鉄運動を先頭とする『労働者の団結した力こそがこの攻撃を阻止し、社会を変え本物の人間社会を実現する』という運動が、この怒りと結びつき、それを解き放てば、労働者人民の決起があらゆるところで起こるのは間違いないし、その中でこそ星野への取り組みが爆発的に進む。星野の闘いが獲得しているものが運動全体と一体に取り組みを爆発的に発展させる」
星野の闘いが獲得しているものは何なのか。それは無期という極限的な弾圧の中で闘う中に人間的未来、希望、信頼をつくり出してきたことだと思います。人間が人間らしく生きるためには、すべての人間が人間らしく生きられなければならない。このコミュニズムの核心を星野の獄中36年の闘いは実体あるものとしてつくり出してきました。ですから、動労千葉の闘い、労組交流センターの闘いは、無期攻撃を豊かに打ち破った質を持った闘いとして、すでに出発していると思います。そのことを自覚的にとらえ返し、その地平を共有するとともに、星野を無期にし続ける菅民主党政権に対し、根底からの怒りの決起をともに実現していきましょう。
改めて十万人署名の取り組みを
4・9反動と一体に昨年は、星野文昭に対しても2度にわたる懲罰、7人の友人面会の拒否、結婚記念日の私の面会拒否、手紙の4度の一部削除といった攻撃が相次いでかけられました。全国からの抗議が集中する中で、一つひとつ打ち破ってきました。文昭に激励のはがきを送って下さることをお願いします。
今年1月31日に第2次再審請求補充書を提出しました。新たに見つかった写真を新証拠として提出し、文昭が手に持っていた鉄パイプは、事件現場手前と後では、全く同じ損傷のないものであることを立証しました。また供述心理学の実験と鑑定により、2カ月半もたってから異様に詳細になるKr供述は誘導によってつくられたものであることを立証しました。あらためて十万人再審署名の取り組みを訴えます。
今年は文昭たちが闘った1971年の沖縄返還協定批准阻止闘争から40周年を迎えます。沖縄の空も海も地上も米軍の戦場として使ったあげく、菅政権は辺野古基地建設を容認し、さらに米軍基地を強化しようとしています。自衛隊の沖縄配備も強化しようとしています。
安保粉砕、沖縄闘争の高揚を、5・15闘争の成功をかちとりましょう。労働運動の復権をかけて国鉄全国運動を闘い、2・16集会の成功をみんなの力でかちとりましょう。それと一体に3・20イラク反戦集会を新たな反戦運動を切り開く集会として圧倒的な成功をかちとっていきましょう。そして、すべての闘いを一体に闘う星野文昭を無期の牢獄から解放するため、はがき、手紙、学習会、集会、とり戻す会の結成など、全国22の救う会の仲間とともに、ともに立ちあがって下さることを訴えます。
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週刊『前進』(2475号6面3)(2011/02/14 )
全国労組交流センター総会・特別決議
2011年沖縄・安保闘争の爆発と星野再審闘争の勝利をかちとろう
昨年11・23延坪島砲撃戦をもって米帝の朝鮮侵略戦争が始まりました。
菅民主党政権は、新防衛大綱で「動的防衛力」「南西重視配備」に大転換し、新安保共同宣言で朝鮮侵略戦争に参戦しようとしています。辺野古新基地建設をあくまで強行し、沖縄を朝鮮侵略戦争の出撃基地として、文字通りの軍事監獄へと叩き込もうとしています。日米安保は沖縄と本土、日本と全世界の労働者階級の間に打ち込まれた分断のくさびです。「県外か、国外か」ではなく、「基地撤去、安保粉砕」こそ、沖縄の労働者階級の希求です。これを実現する力は、沖縄と本土を貫く階級的労働運動の発展、そして日米韓、日朝中の労働者の国際的団結の中にこそあります。
この闘いにとって、無実の星野文昭さんを取り戻す闘いは、決定的な位置を持っています。米軍基地の永久化のための71年沖縄「返還」返還協定批准に対して、反戦青年委員会と全学連は、沖縄全島ゼネストにこたえ、機動隊の戒厳体制を打ち破って、渋谷を解放区と化して闘いました。当時の青年労働者・学生の首をかけ、人生をかけた決起の先頭にたったのが、星野文昭さんでした。
国家権力は、70年安保・沖縄闘争のような闘いを二度とやらせないと、無実を百も承知で、35年間も星野さんを獄中に閉じこめています。死刑、無期懲役攻撃に非転向を貫き、獄中から労働者解放を熱く訴え続ける星野さんこそ、階級的労働運動の最も誇るべき戦士であり、労働者階級の勝利の証しです。
2011年、労組交流センターは、朝鮮侵略戦争阻止、新たな安保・沖縄闘争を職場生産点からつくりだすために、総力で闘います。そして、この闘いと一体で、無実の星野さんを取りもどす闘いを労働組合に拡げ、再審闘争の勝利を切り開きます。5・15沖縄闘争に「基地撤去、安保粉砕」を掲げる大隊列を登場させよう。沖縄現地で開催される拡大全国運営委員会を跳躍台として、沖縄と本土を貫く階級的労働運動の力強い発展をつくりだしていこう。
2011年を沖縄・安保闘争の爆発と星野再審闘争の勝利の年にしよう。
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週刊『前進』(2475号6面4)(2011/02/14 )
“団結破壊の共謀罪粉砕”
「絶対甦らせるな」と集会
2月8日夕刻、渋谷勤労福祉会館で、共謀罪新設反対国際共同署名運動などの呼びかけのもと、「一切の戦争・治安立法を許すな!」総決起集会がかちとられた。今国会で日帝は、極悪の団結破壊法=共謀罪法案の4度目の提出を狙っている。これまで3度の廃案をともに闘いとった仲間たちを中心に100人の労働者・市民が危機感と怒りを燃やして駆けつけた。
まず、足立昌勝さん(関東学院大教授)が「甦(よみがえ)る共謀罪の亡霊」と題して提起。「安全・安心」を掲げた警察国家化攻撃の実態を暴くと同時に、金融活動作業部会「対日相互審査報告書」をもテコとした国際的組織犯罪条約批准とその国内法としての共謀罪成立を執拗(しつよう)にあおる動きに警鐘を鳴らした。
日帝法務省は、これまで一括提出し廃案になった共謀罪とコンピューター監視法と強制執行妨害罪重罰化の3法案について、共謀罪だけ切り離して後者2法案を先行して通そうとしている。サイバー犯罪条約とその国内法としてのコンピューター監視法案は、共謀罪の陰に隠れてほとんど知られていない。
これについては山下幸夫弁護士が全面的に解き明かした。コンピューター監視法案は、コンピューターに関して警察が丸裸にし、捜査を何でもできるようにしようとするものと指摘。問題点として以下をあげた。@1枚の令状だけで、ネットにつながっているデータ、例えば東京の令状で北海道などのデータを呼び出し差し押さえる(リモート・アクセス)。A令状なしで、電子メールの通信履歴(送信元、送信先、通信日等)の3カ月間以内での保全をプロバイダーに要請(強制)できる。コンピューター監視法案は、話し合っただけで罪とされる共謀罪と一体の治安立法だ。
さらに同法案とともに提出が予定されている強制執行妨害罪重罰化法案について、職場占拠を軸に闘ってきた全国金属機械労組港合同が発言、「労働組合に倒産争議をさせないというこの法案を、コンピューター監視法案さらにその後ろにある共謀罪もろとも葬り去ろう」と訴えた。
また集会では、治安弾圧・治安立法と闘う諸団体が連帯あいさつ。星野文昭さんをとり戻そう全国再審連絡会議・共同代表の戸村裕実さんも登壇し、無実の星野さんへの不当な懲罰・面会妨害に対し「インターネットなどをとおして怒りを組織し抗議行動を展開してきた」と述べ、「第2次再審闘争勝利・無実釈放を実現する。共謀罪を絶対許さない」と、ともに闘う決意を語った。
チュニジア蜂起・エジプト革命では、階級的労働運動を基礎にインターネットが労働者人民の団結の決定的武器となった。大恐慌下で労働者階級人民の怒りの爆発、動労千葉ストを先頭とする日本労働者階級の大反乱の現実性。これに心底恐怖する日帝支配階級は究極の治安立法・共謀罪成立の衝動を募らせている。闘う労働組合の団結と力で菅政権を打倒し、共謀罪・コンピューター監視法をぶっ飛ばそう。3・4国会前抗議行動―座り込み・昼集会へ!
(写真 集会参加者は拳を上げ3・4国会前抗議行動に立つ決意を表した【2月8日 東京・渋谷】)
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週刊『前進』(2475号6面5)(2011/02/14 )
法大裁判、前進社不当捜索国賠訴訟
法大裁判に集まろう!
★5・28暴行デッチあげ控訴審(判決)
第8回公判 2月28日(月)午前10時
東京地裁429号法廷
9時30分に傍聴券配布所に集合
前進社不当捜索国賠訴訟
第5回弁論 2月18日(金)午後1時30分
東京地裁415号法廷
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