ZENSHIN 2010/10/11(No2459 p06)

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第2459号の目次

右翼と対峙し渋谷駅前で大街宣(10月2日午後、東京・渋谷駅前)

1面の画像
(1面)
11・7国際連帯で戦争阻止へ  解雇撤回・非正規職撤廃・外注化阻止!
職場で国鉄全国運動拡大を  4・9反革命推進の菅政権倒せ
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9・29欧州行動の日  スペインで1000万人ゼネスト
大恐慌下に大陸全体が激動(9月29日)
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右翼と対峙し渋谷駅前で大街宣(10月2日) 記事を読む  
前進速報版から 記事を読む  
【集会要項】 11・7全国労働者総決起集会 記事を読む  
(2面)
釣魚台問題 労働者階級には国境はなく「固有の領土」も存在しない
国際的団結で侵略戦争と闘う
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東京三多摩 解雇撤回求め社前闘争
“私の闘いは国鉄と一体”(三多摩労働者・H)(9月18日)
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首都圏青年集会 “未来は青年のものだ”
闘う労働組合にこそ展望  国鉄先頭に青年労働者が結集(10月3日)
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新潟 国鉄集会 青年の熱気  4・9政治和解に怒り(新潟・N)(10月3日) 記事を読む  
(3面)
動労千葉冬季物販アピール
物販で「支援する会」を組織し国鉄全国運動と11月大結集へ
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日米教育労働者が熱い交流 訪米報告
戦争・民営化と闘うUTLA  労組再生へ共同の闘い誓う
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『希望は団結』 訪米報告活用を 記事を読む  
(4面)
11・7労働者集会の画期的成功かちとり大恐慌を世界革命へ転化するため闘おう
国鉄全国運動の大爆発で4・9反革命と菅政権を打倒し、不抜の階級的労働運動拠点を建設しよう
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(5面)
全国学生は10月反戦行動から11月1万結集の先頭に立とう
侵略戦争へ突き進む菅を倒せ(マルクス主義学生同盟中核派)
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(6面)
団結ひろば 投稿コーナー 記事を読む  
星野再審 新証拠を添え補充書提出  “供述調書の信用性全くない”(9月30日) 記事を読む  
星野再審実現する運動が奥深山さんの命を守る
奥深山さんの免訴を実現する会 橋爪利夫
記事を読む  
西郡住宅明渡裁判が結審
応能応益許さぬ  八尾市弾劾を宣言(10月1日)
記事を読む  
暴処法裁判 研究者が証言に  “画像粗く識別不可能”(10月1日) 記事を読む  
日誌 2010年 9月29日〜10月5日
データ改ざんで前特捜部長ら逮捕/日本共産党「尖閣領有は正当」
記事を読む  

週刊『前進』(2459号1面1)(2010/10/11 )

 11・7国際連帯で戦争阻止へ

 解雇撤回・非正規職撤廃・外注化阻止!

 職場で国鉄全国運動拡大を

 4・9反革命推進の菅政権倒せ

 11・7労働者集会へ1万人大結集の大きなうねりが始まった。その勝利の展望を示すものこそ、9月26〜27日の動労千葉定期大会と9・28鉄道運輸機構控訴審闘争の圧倒的貫徹であり、10・3首都圏青年労働者集会330人の結集が示した、職場での苦闘を踏まえた青年労働者の団結と決起の拡大だ。4・9政治和解の反革命をはね返して前進する国鉄決戦の画期的飛躍が、この全体を牽引している。今や職場、街頭で、戦争への危機感と「このままでは生きていけない」という資本や菅政権への怒りが渦巻いている。これをプロレタリア革命派が組織するのか、右翼とファシズムが組織するのか。問われているのは労働組合とその闘いだ。今こそ国鉄闘争全国運動の全面的な爆発をかちとるとともに、革共同の綱領草案を持って階級的激突の戦場に躍り込もう。10・10三里塚闘争の高揚を引き継ぎ11・7へ、オルグ戦、組織戦に全力で取り組もう。

 大恐慌激化の重大情勢

 11・7の組織化へ、今日の内外情勢・階級情勢を根本で規定しているものは何か。
 第一は、今日爆発している大恐慌が1929年の大恐慌を超える歴史的大恐慌だということだ。帝国主義ブルジョアジーは歴史の教訓と称し、野放図な財政投入をすれば大恐慌は阻止できると、07年8月のパリバ・ショックから08年9月のリーマン・ショックの爆発の中で、米帝を先頭に初めから惜しげもなく膨大な財政投入に踏み切った。米帝の場合、その額たるや08年秋の7000億jの金融支援策(ブッシュ政権で法案化)、さらにオバマ政権での総額7820億jの景気対策など、実に巨大な規模である。
 しかし今やその財政投入の「効能」は無惨に破産、無力化し、財政万能論でのりきれると思ってきたブルジョアジーの思惑はグラグラに揺さぶられ、崩壊している。
 ここで決定的なのは、プロレタリアートとブルジョアジーの階級闘争・階級情勢によって大恐慌は根底から規定されているということだ。なぜなら、財政には絶対的限界があり、巨大金融機関の延命や産業的独占体の維持のための無限の財政投入などできないからだ。しかも財政が膨張すれば、財政破綻やドル暴落に直結する。また財政投入は不可避的に大増税をもたらし、大恐慌下で首切りと生活破壊に対するプロレタリアートの生きんがための根底的決起を必ず生み出す。そもそも帝国主義とはいえ、どの国のブルジョアジーにも無限に自由になる財政などないのだ。
 さらに今次大恐慌には74〜75年恐慌以来の過剰資本・過剰生産力の問題が厳然と根底に横たわっている。景気循環的な恐慌や不況なら、これだけの財政投入をすれば雇用は一定増える。しかし今日、雇用はまったく増えていない。圧倒的な過剰資本・過剰生産力の問題は何ひとつ解決されてはいないのだ。結局、財政投入とは、ひと握りの巨大金融機関の崩壊をくいとめ、事実上破綻した産業的独占体を救済し抱え込むということでしかなかったのだ。
 他方でブルジョアジーは、一切の犠牲を労働者に転嫁し、大リストラ・大量首切りを強行し、膨大な労働者を大失業と非正規化にたたき込む。その一方で景気対策の資金を食い物にして巨額の利益を得ている。これは日米でも全世界でも共通だ。これほど露骨な資本主義の腐敗・腐朽が、かつてあっただろうか。

 世界の闘いの最先端で

 第二は、大恐慌下で、全世界いたるところで歴史的なストライキやデモが爆発し、その先頭、路線的中軸に今や日本の階級闘争、労働運動が立っていることだ。この巨大な力をプロレタリア世界革命に転化する道はただひとつ、国鉄全国運動を強力に推進し、動労千葉と動労千葉型労働運動を爆発的に発展させることであり、国鉄分割・民営化絶対反対、1047名解雇撤回、外注化阻止の新たな国鉄闘争の壮大な爆発を闘いとることだ。
 11・7労働者集会は、まさにその一点で世界の闘う労働者の心をとらえ、階級的な唯一の勝利の展望を与えるものとなっている。
 帝国主義の最弱の環・日帝は、大恐慌にまったく手が打てていない。ブルジョアジーと菅民主党政権は身動きできず、まったく解決策がない。しかも今や大恐慌は、財政破綻から輸出戦争、為替戦争、争闘戦の段階へと突入している。米帝を先頭にEUも中国もアジア諸国も、輸出戦争に躍起となり、通貨切り下げ競争に奔走している。日帝・菅政権は徹底的に追いつめられ、切羽つまって単独で為替介入に訴え、さらには危機的な実質ゼロ金利や長期国債買い入れ策に踏み切った。
 しかし戦争的迫力のない日帝は、まったく勝てる展望がない。軍事力を含めた帝国主義の実力がむき出しで問われる時代、資源・海洋権益・領土などをめぐる帝国主義的な争奪戦・争闘戦と戦争の時代がついに始まった。まさにこれとリンクして、今日の朝鮮情勢があり、釣魚台(尖閣諸島)情勢があるのだ。
 北朝鮮スターリン主義体制の絶望的・自滅的な危機が進行し、北朝鮮自身が帝国主義の重圧の中で崩壊しようとしている。さらに米帝と中国間の経済的・政治的・軍事的緊張の激化が朝鮮情勢の危機を促進し、この中で沖縄情勢が激突的に発展している。
 こうした大激動下で菅政権は、日帝ブルジョアジーと一体化し、釣魚台侵略が示す外への帝国主義的戦争政策を強化し、内に向けては4・9政治和解の反革命に訴え、動労千葉と革共同の破壊にのめり込んでいる。階級闘争は究極的に煮詰まってきている。
 4・9反革命は国鉄決戦を戦略上の環に決定的に浮かび上がらせた。それは動労千葉を破壊し、国労を解体しきる攻撃との正面激突としてある。だから、国鉄決戦と国鉄全国運動の全面的な爆発・発展へ、すべてを投入して闘い抜くこと、ここにこそ労働者階級の全命運がかかっている。

 JR青年労働者が決起

 第三は、階級闘争の決定的煮詰まりの中で、ついにJR−国鉄決戦の戦場から、青年労働者を先頭とする新たな不屈の闘いが、白熱的に開始されたことだ。
 9・28鉄運機構訴訟控訴審の再開第1回における原告・小玉忠憲さんの冒頭意見陳述は、「解雇撤回まで闘い抜く」という、全国鉄労働者=全労働者の魂を根底から揺さぶるものだった。
 そして、これに先立つ動労千葉定期大会で掲げられた四つの課題こそは、この大恐慌情勢に立ち向かって新自由主義に勝利する道を明々と照らし出し、全労働者に総決起を呼びかけるものだ。
 そこでは第一に、「1047名問題の政治解決」で国鉄闘争の火が消されようとしている重大情勢に立ち向かい、解雇撤回闘争の勝利と労働運動の再生をかけて「国鉄全国運動」の発展をかちとること、第二に、反合・運転保安闘争をさらに発展させ、分割・民営化から25年、再び大激動の渦中に入ったJRをめぐる情勢と対決し、正念場を迎えた外注化阻止闘争へ全組合員の総決起をかちとることを、真っ向から打ち出している。
 さらに第三に、公務員制度大改悪、改憲と安保強化を焦点とした「内への階級戦争、外への侵略戦争」政策と対決し、全世界の労働者と連帯して11月労働者集会1万人結集を実現し、10〜11年を日本労働運動の階級的再生への展望をこじ開ける年とすること、第四に、最大の課題として動労千葉の命運をかけて、組織拡大闘争への全組合員の総決起を実現することを、真正面から提起している。
 4・9反革命に屈服し、菅政権の「新成長戦略」のお先棒をかつぐまでに転落した4者4団体と国労本部は、来春6月をもって闘争団員の組合員資格をはく奪し、闘争団員のみならず解雇撤回を闘うすべての労働者と勢力を、国労からたたき出そうとしている。しかしこんな歴史的暴挙が黙ってこのまま進行すると思ったら大間違いだ。
 JRの平成採用の青年労働者の怒りのすさまじさは、JR資本のみならず、これとまったく闘わない労働組合のあり方を根本から撃つものだ。今こそ一切の中心軸に国鉄決戦を据え切り、全力をあげて外注化阻止決戦を闘おう。JR総連=カクマルこそ、外注化攻撃の先兵であることをはっきりさせ、12月ダイ改阻止から検修業務の全面外注化阻止、年明けにも予想されるライフサイクル第4次配転阻止へ、今こそストライキで闘おう。
 動労千葉決戦、国鉄決戦の前進と国鉄全国運動の爆発的推進こそが、11・7労働者集会1万人大結集の道だ。11・7へ、オルグ戦と組織化にすべての活動をしぼり上げ、日本と世界の階級闘争の歴史を決する1カ月の激闘に立とう。

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週刊『前進』(2459号1面2)(2010/10/11 )

 9・29欧州行動の日

 スペインで1000万人ゼネスト

 大恐慌下に大陸全体が激動

(写真左 解雇・非正規化を促進する労働市場改革に反対し1千万人がゼネスト【9月29日 スペイン】)
(写真右 緊縮財政政策に反対して欧州30カ国の労働組合派遣団が10万人のデモ【9月29日 ベルギー】)

 9月29日、スペインで24時間ゼネストが行われた。欧州連合(EU)諸機関の集中するベルギーの首都ブリュッセルをはじめ欧州各地では緊縮政策に抗議する大規模なストやデモが行われた。欧州労組連合(ETUC)が呼びかけた「欧州行動の日」の闘いだ。11・7大結集で連帯しよう。
 スペインのゼネストは2大労組全国組織、労働者委員会(CCOO)と労働総同盟(UGT)が呼びかけた。ゼネストは02年以来8年ぶり、04年成立の社会労働党サパテロ政権下では初めてだ。1千万人以上がスト・デモに参加した。

 首切り・賃下げに激しい怒り

 全国の空港が機能を停止した。国営のイベリア航空は35%しか運航できず、格安航空最大のライアンエアはほとんど運休した。マドリード市内のバスもほぼ運休し、高速鉄道は80%が運休、中距離列車は全面運休、都市間交通は75%が運休した。ごみ収集も行われず、鉄鋼や自動車工場は操業を停止し、バルセロナのタクシー運転手の9割が乗務を停止した。
 全国80以上の諸都市でデモが行われた。首都マドリードやバルセロナではデモの労働者・学生が終日、警察と衝突し、ゴム弾で攻撃する警察部隊にバリケードで対抗、警察車両を燃やした。またピケ隊が未明、卸売市場を封鎖、食品輸送トラックの出発を阻止した。
 マドリードでは早朝、ピケ隊が市バス基地前に座り込み、スト破りを阻止した。昼はメインストリートの商店のシャッターを下ろさせた。
 2大労組はサパテロ政権の支持母体で、ゼネスト前に政府と公共輸送など基本的公共業務をスト中も最低限保証する協定を結んだ。実際、地下鉄などが動いた。労相は労組を称賛した。
 労組幹部は口先では「サパテロ政権は緊縮政策で10万人も失業者を増やし、市場原理と自由競争を強める右派政権になった」と批判するが、緊縮政策の見直しを求め政府との協議に入った。
 サパテロ首相は緊縮政策と労働市場改革を押し通すことを宣言した。公務員賃金削減や年金支給年齢引き上げなど政府支出削減で、昨年対GDP比11%に達した財政赤字を13年にEU規定の3%以内にする計画だ。労働市場改革で正規労働者の解雇を容易にし、非正規雇用をさらに増やそうとしている。スペインの失業率は20%で欧州平均の倍。若者の4割は職がない。政府は非正規の拡大によるワークシェアで失業率を低くし、失業手当負担を減らそうとしている。こんなぺてんが通用するわけがない!

 EU本部へ10万人がデモ

 ベルギーのブリュッセルでは30カ国の労組派遣団、10万人がEU機関の並ぶ大通りをデモした。
 同日の欧州委員会は、国家の借金が対GDP比60%を上回る「過剰不均衡国」に制裁を科す法案をまとめ、各国政府に緊縮政策の強化を求めた。
 デモの労働者は「政府は銀行や大資本を救済するが、労働者には首切り、賃下げ、年金カット、増税で犠牲を強いている」と怒りの声を上げた。ベルギーの航空管制官は山猫ストを行った。
 このほかギリシャ、ポルトガル、ポーランド、スロベニア、アイルランド、リトアニア、イタリア、チェコでもストやデモが行われた。
 ギリシャのアテネでは1千人がデモに出た。バス、路面電車、地下鉄など交通機関が数時間の、国鉄、病院医師が全日のスト。トラック運転手は3週間ストを続けている。ポーランドのワルシャワでは鉱山労働者や造船労働者5千人がデモ。ポルトガルの首都リスボンでは5万人、ポルトでは2万人がデモした。
 スロベニアでは公共部門労働者の半数が賃金凍結に反対し3日間スト。フランスでは年金制度改悪に反対して300万人が9月23日に全国ストとデモ、10月2日にも全国デモに立ち上がった。
 EUと欧州各国は緊縮政策で危機突破を図っているが、破産は必至だ。他方、体制内労組は「雇用と成長」を掲げて闘いを資本主義救済にねじ曲げようとしている。だが労働者階級は必ず自らの階級的利害を貫いて決起する。欧州の闘いに続き11・7に総決起しよう。

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週刊『前進』(2459号1面3)(2010/10/11 )

 右翼と対峙し渋谷駅前で大街宣

 2日午後、東京・渋谷駅前で国鉄闘争勝利と11・7集会への結集を訴える街頭宣伝を行った。30人が参加し、90人の賛同署名が寄せられ、17枚のチケットを販売した(写真)
 同時刻に、田母神俊雄が会長をつとめる右翼団体が、「中国の尖閣諸島侵略糾弾」を掲げて反動的集会と渋谷でのデモを行った。これと断固対決し、「領土をめぐる勢力圏争いは戦争だ!」「釣魚台は日清戦争の過程で日帝が略奪したもの」「労働者に国境はない。国際連帯で侵略戦争・排外主義と闘おう」と訴え、労働者の支持と共感が寄せられた。 
 連合や日共など他の一切の勢力が排外主義・国家主義に転落する中、11月集会派が唯一これと対決して街頭に登場したことはきわめて重要だ。街には、大失業と戦争に労働者・学生の怒りがあふれている。11・7への街宣に打って出よう。

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週刊『前進』(2459号1面4)(2010/10/11 )

前進速報版から 前進速報版から

▼法大門前で反戦ビラが空前の受け取り
▼住宅裁判最終弁論で被告が八尾市を弾劾
▼10・3国鉄新潟集会、闘う労働運動づくりを宣言

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週刊『前進』(2459号1面5)(2010/10/11 )

【集会要項】 11・7全国労働者総決起集会

 国鉄1047名解雇撤回! 民営化・非正規職化を許すな!/沖縄米軍基地撤去! 改憲と戦争をとめよう!/改憲・戦争と民営化・労組破壊にたち向かう労働者の国際的団結を!
 11・7全国労働者総決起集会
 東京・日比谷野外大音楽堂/11月7日(日)正午
 呼びかけ ▽全日本建設運輸連帯労働組合・関西地区生コン支部
      ▽全国金属機械労働組合・港合同 ▽国鉄千葉動力車労働組合
      ▽国鉄分割・民営化に反対し、1047名解雇撤回闘争を支援する全国運動

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週刊『前進』(2459号2面1)(2010/10/11 )

 釣魚台問題 労働者階級には国境はなく「固有の領土」も存在しない

 国際的団結で侵略戦争と闘う

 米・日・中の領土めぐる争闘戦

 大恐慌の激化・深化・発展と、北朝鮮侵略戦争切迫情勢のもとで、日帝の領土略奪、侵略戦争挑発への歴史的踏み切りが行われている。すでに釣魚台(ちょうぎょだい、「尖閣諸島」)周辺は、日帝・海上保安庁が実効支配を強め、数百隻の中国漁船、漁業監視艇との間で、洋上での一触即発的な「日中接触」が日常的な現実となっている。
 政府は海上警備行動として自衛隊が対応すること、海上自衛隊の護衛艦を出動させることも、完全に想定している。中国漁船の拿捕(だほ)と漁船長の逮捕・勾留と起訴策動も、こうした中でまさに起こるべくして起こったのだ。
 これに対する中国スターリン主義の、日帝側の「予測」を超えた強硬な対応と報復的措置の発動のもとで、船長の起訴処分保留と釈放を契機にして、日本国内で対中国の排外主義・国家主義の大洪水が巻き起こった。日本共産党やカクマルを含む全勢力とマスコミが例外なくこれに唱和し、あおりたてている。階級的立場でこれに原則的に対決している政党・政治勢力は、革共同を除いて皆無という状況である。
 そこでは釣魚台が「日本固有の領土」であると、何の疑問も批判もなく大前提とされている。しかし、そもそも釣魚台は日本が日清戦争で略奪したものであることは明白な事実ではないか。
 その上で、労働者階級は領土問題に対してどういう態度をとるべきかという根本問題がある。世界単一の革命的階級である労働者階級にとって、祖国も、国境も、さらに「固有の領土」などというものもまったく前提ではないし、そもそもそんなものは存在しない。
 労働者は国際的に団結して、帝国主義とスターリン主義を打倒し、プロレタリア世界革命の勝利と共産主義の実現のために闘うのだ。そのことによって階級支配を廃絶し、国家・民族間の分断と対立も止揚し、領土問題なども解決するのだ。
 要するに、マルクス主義、共産主義、世界革命の立場で領土問題に対応することが必要なのだ。
 大恐慌下で、すでに東中国海や南中国海で激化する日米帝と残存スターリン主義中国による領土、資源、海洋権益をめぐる争奪戦(略奪戦)、政治的・軍事的争闘戦と対決し、今こそ日米帝打倒、中国スターリン主義打倒をかけて徹底的に闘わなければならない。
 首相の諮問機関である新安保懇が8月27日に提出した報告書は、菅政権の新成長戦略を軍事的に支える「能動的な平和創造国家」を提言し、「静的抑止」から「動的抑止」への転換をうたっている。自衛隊を圧倒的に強化し、臨戦態勢に置くということだ。
 これに関連して、「陸自の海兵隊化」が進められている。米海兵隊をモデルに、「占拠された離島に近づいて奪回したり、後続部隊のための陣地を確保したりする機能」を持った部隊に再編するというのだ。すでに06年に米カリフォルニアの演習場で、「離島防衛」を想定した米海兵隊と陸上自衛隊の共同訓練を行っている。
 11月から12月には大分県の日出生台演習場や南西諸島を舞台として、日米共同の「尖閣奪還作戦」演習が行われようとしている。これは明白に釣魚台侵略、対中国の戦争そのものである。

 排外主義競う日共とカクマル

 この日帝の釣魚台侵略と排外主義キャンペーンに呼応し、先頭に立って「尖閣諸島は日本領土」と宣伝しているのが日共スターリン主義だ。
 彼らは、「尖閣諸島は日本に帰属する」「日本の領有は国際法上も正当」と叫び、「日清戦争で日本が不当に奪取した中国の領土に尖閣列島は含まれない」と言っている。「下関条約にその記述はない」「日清戦争とは関係ない」と言うのだが、これこそ帝国主義的強盗の論理だ。
 日共も認めるように、釣魚台を日本領土に編入したのは1895年1月である。つまり、前年94年8月に日清両国が宣戦布告し、95年4月に下関条約が締結された。この戦争の真っただ中で奪取したことは明白なのだ。日清戦争と台湾植民地化にとっての不可欠の戦略拠点の確保として釣魚台略奪が行われたのだ。これを「何も国際法上問題はない」と開き直っているのは、明白な帝国主義の論理だ。このような論理は、結局、日帝の帝国主義的中国侵略全体を擁護するものだ。
 日共は、領土問題において超階級的真理があるかのように言い、政府と共同の立場に立つことが当然であるかのように振る舞っているが、それ自身がとんでもない反労働者的・反革命的立場である。労働者階級に領土・国益の問題で帝国主義と共同の立場はない。
 日共は「領海は、国際法上、その国が排他的に主権を行使する領域です。尖閣諸島付近の日本の領海で、中国など外国漁船の違法な操業を海上保安庁が取り締まるのは、当然です」と言う。領海に入ってきたら、どしどし逮捕・勾留せよ、ということだ。これは現に海保という形で行われた日帝の軍事行動=侵略を支持するものであり、究極的にはどこまでも戦争を支持していくことに行き着く議論だ。
 4日に委員長の志位が記者会見し、「日本の領有は歴史的にも国際法上も正当」とする文書を発表した。これを国際的に発信するという。まさに日帝の代弁者となって、労働者階級の国際連帯に敵対しているのだ。
 カクマルは、これに輪をかけた排外主義だ。カクマル『解放』(10・4付)はなんと、「米・日の対中対抗の軍事演習反対」「尖閣『領有』企(たくら)む中国の対日制裁弾劾」を1面トップの大見出しに掲げた。
 そこでは、中国が「傲岸(ごうがん)な攻撃」を仕掛けてきて、米日はそれに対抗している、と描かれている。
 菅政権に対して、「中国政府の恫喝に屈服し、政治的大失態」と非難しつつ(対中屈辱外交だという愛国主義だ)、「今回の事態が……胡錦濤政権が意図的に仕組み仕掛けた攻撃」と中国政府に対する感情的とも言える非難が繰り出されている。また、米帝の黄海での軍事演習に対して「尖閣列島問題で日本帝国主義・菅政権をガタガタに揺さぶり、いよいよ図にのり増長している胡錦濤政権は、二たび三たび対抗的軍事演習を強行するにちがいない」と先回りした非難までしている。
 彼らはこれまで、ソ連崩壊以降は中国が悪の根源であるという「中国起動力論」を満展開してきた。今度はそこからもさらに踏み込んでいる。彼らの中国非難は、スターリン主義批判でも何でもない。ひたすら日帝の国益の側に立って攻撃しているのだ。
 彼らはこの問題で日共「批判」を展開するが、その内容は「中国政府の犯罪的言動と東アジアの危機の高まりを見て見ぬふりをしている日共官僚の犯罪性」などと非難するものだ。まさに、排外主義宣伝の競演である。
 日共もカクマルも、今日の帝国主義世界が大恐慌に陥り、労働者階級が取って代わるほかなくなっていることを否定し、徹底的に帝国主義にひれ伏しているのだ。
 彼らはもともと、国鉄分割・民営化攻撃の最先兵(カクマル)であり、4・9反革命の最大の実体(日共)である。ともに労働者階級の闘いを圧殺する反革命であったものが、領土問題、戦争問題でいよいよその本性を現したということだ。
 この釣魚台問題の状況を突き破る鍵は、労働運動を一掃しようとする4・9反革命と対決し、国鉄全国運動で階級的労働運動をよみがえらせる闘いにかかっている。11・7労働者集会の成功で日帝の戦争と排外主義の攻撃を打ち破ろう。

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週刊『前進』(2459号2面2)(2010/10/11 )

 東京三多摩 解雇撤回求め社前闘争

 “私の闘いは国鉄と一体”

 9月18日、Tバス会社を不当解雇されたNさんの解雇撤回を求め、合同労組八王子と三多摩労組交流センターが主催して社前抗議行動を行った。
 早朝4時半から、出勤する労働者へのビラまきを行った後、9時から当該職場前に20人が結集し、怒りの抗議をたたきつけた。
 Nさんは2007年1月4日、試用期間の最終日に解雇された。Tバス会社は、車内事故や些細(ささい)なミスをあげつらい、「将来重大事故を起こすおそれがある」などと決めつけて解雇を強行した。事故やミスについての会社の責任を棚上げし、運転手個人に責任を押しつけることは断じて認められない。解雇撤回を求める裁判闘争の中でも、会社の悪辣(あくらつ)な労務政策が浮き彫りにされてきた。
 Tバス会社は、親会社から分社化し、勤務時間や賃金など劣悪な労働条件を現場に強制してきた。労働者の不満や怒りは職場に充満している。会社は労働者の団結を破壊するために、見せしめ的にNさんを解雇し、労務支配に利用してきた。分社化後に採用した400人のうち180人以上の労働者に「私はバス運転手に向いていません」などと退職願いを書かせ、自主退職に追い込んできたのだ。労働者を機械の部品のように扱い、会社の都合だけが優先される労務政策の悪辣さは明白だ。会社は、Nさんが“会社の意に沿わない”から解雇したのだ。
 当該の合同労組八王子を始め金属、自治体、医療などの労働者が次々にNさんの解雇撤回を訴え、会社に対し怒りのシュプレヒコールをたたきつけた。解雇撤回の申入書を提出したが、会社は受け取りを拒否して逃げ回るのみだ。いつものように会社は権力を導入して弾圧を試みたが、即座にはね返して抗議行動を貫徹した。
 Tバス会社に続いて、JR八王子支社前で国鉄1047名解雇撤回の抗議行動を行った。「1047名解雇撤回闘争の解体を狙う4・9政治和解をもって労働者の団結する権利や労働運動を根絶やしにする攻撃を仕掛けるなど許さない」と、断固として闘い続けることを訴えて抗議集会を貫徹し、シュプレヒコールをたたきつけた。
 最後に、Tバス会社本社で、Nさんの解雇撤回を求める申入書の提出行動を行い、1日の行動を締めくくった。
 今回の行動で、当該のNさんは「私の解雇撤回の闘いと、国鉄1047名解雇撤回闘争とは一体だ。解雇撤回まで仲間とともに闘う」と決意表明。参加者は、職場の解雇撤回闘争と国鉄全国運動が結びついていることを実感した。
 国鉄全国運動の推進で職場・地域の団結を組織し、11・7労働者集会1万人結集へ突き進もう。
 (三多摩労働者・H)

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週刊『前進』(2459号2面3)(2010/10/11 )

 首都圏青年集会 “未来は青年のものだ”

 闘う労働組合にこそ展望

 国鉄先頭に青年労働者が結集

 首都圏青年労働者集会が10月3日、千葉市で開催され330人が結集した。集会のスローガンは「非正規雇用・派遣法を撤廃しよう」「あらゆる産別で民営化・外注化攻撃と闘おう」「国鉄闘争の火を消すな―国鉄全国運動を広げよう」「闘う労働組合青年部をよみがえらせよう」である。正規・非正規、公務員・民間の分断を打ち破り、職場、地域、産別を越えて、闘う労働組合をよみがえらせようと青年労働者が結集し、団結を打ち固めた。集会は国鉄全国運動と労働組合の再生にこそ青年の未来があることを指し示した。11・7労働者集会の1万人結集へ青年労働者の力強い前進が始まっている。
 「労組青年部をつくる闘いを今日から始めよう!」という千葉合同労組の青年労働者のあいさつで集会は始まった。
 集会冒頭、国鉄全国運動のよびかけ人である元安芸労働基準監督署長の大野義文さんと動労千葉の田中康宏委員長が特別アピールを行った。大野さんは「もう国は労働者に最低限度の生活をも保障できなくなった。みなさんなら、職場の団結と地域の連帯でこの国を変えることができる」と期待を込めた。田中委員長は、青年労働者が国鉄1047名解雇撤回を闘っていることに限りない敬意を表し、「青年の置かれている困難な状況をつくったのは国鉄分割・民営化だ。僕らは間違った世の中のあり方をひっくり返すために闘い続ける。11月労働者集会に1万人の怒りの声を結集させよう」と呼びかけた。
 郵政民営化絶対反対で闘う全逓労働者が基調報告を行った。「国家財政が破綻し、一国の主たるものが労働者の面倒をみられず、排外主義をあおり戦争をやろうとしている。国鉄分割・民営化以来、一部の資本家だけが私腹を肥やし青年労働者が非正規職を強制された。子どもの将来の夢が正社員とは、夢も希望もない現実だ」と政府・資本家を断罪、国鉄全国運動にこそ打開の道があると訴えた。さらに「一握りの労組幹部が現場組合員を無視して勝手に合理化を受け入れている。絶対に許してはならない。職場に労働組合を取り戻そう」「労働組合は数が勝負だ。11月労働者集会に1万人を結集し、闘う労働運動の復権へ労組青年部運動をよみがえらせよう」とアピールした。
 国鉄分割・民営化攻撃と闘い抜く国鉄・JRの青年労働者が登壇し、集会は最高に高揚した。動労千葉の青年労働者は「外注化の4月1日実施を5波のストライキで阻止した。自分たちが立ち上がったからこそ止められた。攻撃は続くが、義理と人情で青年を獲得する」と発言し、万雷の拍手が応えた。
 各産別・労組の発言では、職場での労働運動の実践が次々と語られた。
 都営地下鉄で働く東京交通労働組合の青年労働者が職場の仲間とともに登壇し、「駅の半分以上が低賃金の非正規労働者だ。組合本部が外注化を進めてきた。民営化して東京メトロと合併しようとしている今こそ闘う時だ」と決意を語った。
(写真 国鉄を先頭に各産別から青年労働者が結集し、階級的な怒りと闘いのエネルギーがあふれる発言が続いた【10月3日 千葉市】)

 青年部建設が闘いの王道だ

 自治体職場から、青年部建設と自治体民営化攻撃との闘いが報告された。「青年部の仲間が組合の執行部を担い形骸化していた組合を立て直した。青年部建設こそ王道だ」(Aさん)。「多くの仲間に集会参加を訴えた。手応え十分。みんな思いは同じ。それをみんなで言うのが青年部」(Bさん)。「当局は指定管理者制度、民営化を容赦なく進め、正規職員を減らし非正規職を増やしてくる。組合は次の職場を紹介する程度で、闘いを抑えつけている。行政の職場でも非正規雇用撤廃、外注化・民営化反対だ」(Cさん)。
 学校現場の多忙化に立ち向かう教育労働者は、「今、公務員はいつクビを切られてもおかしくない。民間と同じ。各産別、各世代で労働者としてつながっていきたい」と語った。
 医療職場で働くDさんたちは、当局・組合幹部が一体となった労働基準法違反の残業強制に、「一人ひとりが声を出し合う当たり前の労働組合活動」で職場に労働組合を取り戻す闘いに挑戦している。また別の医療職場の労組青年部のEさんは、非正規職労働者の雇い止めを撤回させた勝利を報告し、青年部の力に確信を深めている。
 民間金属の職場では、書記長専従廃止の組合破壊攻撃に勝利し、合理化攻撃と闘うべく秋闘の学習会が組合全体で行われている。
 また2年半におよぶ活動でついに職場に仲間ができたという東京北部ユニオンの青年労働者、「今の時代、職場の労働者を組織する困難さに負けない闘いをやろう」と決意を固める民間交通の仲間、「組合権力を奪取する」というバス労働者など、生き生きとした職場闘争の実践の報告が会場をひとつにした。
 ストライキで闘う非正規職労働者Fさんは、「今集会のスローガンは非正規職撤廃、派遣法廃止です。こんな不安定な働き方が世の中にあってはいけない。希望も夢も持てません。裁判、門前、組合の拡大、支援の拡大などあらゆる闘いを続けます」と怒りを語った。

 団結は仲間を守る行動から

 解雇された千葉合同労組の青年労働者は「始めは労働運動なんてまったく知らなかった。労働学校で資本と労働者が非和解で労働者が団結すれば勝てると学んだ。この社会はおかしいと言ってもいいことを知った。団結は、大切な仲間を守るために行動を起こすことから始まる」と誇りと自信に満ちて発言した。
 青年弁護士も集会にかけつけた。「現場を知らない裁判官になんか裁かれたくない。現場の団結で闘いに勝つ。これが一番大事だ」と青年労働者の発言に応えた。学生の仲間も参加し、反戦政治闘争の先頭に立つ強い決意を語った。
 医療労働者が集会をまとめた。「国鉄分割・民営化、4・9政治和解情勢と新成長戦略こそ青年の未来を奪っている元凶だ。おれたち青年労働者の唯一の展望は労働組合をよみがえらせ、新自由主義と徹底的に闘うことだ。闘えば勝てる。11月労働者集会に職場の仲間とともに青年部の旗を掲げて集まろう。あらゆる職場で1047名解雇撤回、派遣法・非正規職撤廃を掲げた闘う労働組合、青年部をつくりだそう! 未来は自分たちの手で取り戻そう!」
 国鉄全国運動を武器に日本の労働運動再生への歴史的うねりが始まった。このうねりを11・7労働者集会1万人結集へと結びつけ闘おう!

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週刊『前進』(2459号2面4)(2010/10/11 )

 新潟 国鉄集会 青年の熱気

 4・9政治和解に怒り

 10月3日、新潟市で「1047名解雇撤回・国鉄闘争全国運動を!大恐慌・新自由主義と闘う労働運動をつくろう!新潟集会」が開かれた。街宣で知り合った非正規職の青年労働者も2人の仲間を連れて参加、集会は熱気に満ちあふれた。
 国労新潟県支部執行委員の星野文男さんが主催者あいさつに立ち、4・9政治和解は労働運動壊滅を狙う大攻撃だったと暴露、国鉄全国運動を軸に闘う労働運動をつくると宣言し、11・7労働者集会への決起を訴えた。
 とめよう戦争への道!百万人署名運動新潟県推進委員会と新潟・星野文昭さんに連帯する会が特別アピールを行った。
 国労旭川闘争団の成田昭雄さんが闘争報告を行い、「闘争団の家族が一番大変だった」と24年間の闘いを振り返り、家族の苦労を思うと絶対に和解できなかったと述べ、全国で青年労働者が立ち上がっていることに勇気づけられると発言した。
 動労千葉労働学校講師の増田明生さんが「戦後労働運動と船橋事故闘争」と題して講演、「動労千葉は三池闘争をのりこえようと船橋事故闘争を闘う中から反合理化・運転保安闘争路線を生みだした」と提起した。
 これを受け、JP労組の支部大会で「現場の声を聞け」と組合幹部を弾劾した青年労働者が、まったく知らない組合員から握手を求められたりする中で「現場は死んでいない」と感じたと報告。JR関連会社で働く青年は「JRの20%コストダウンに現場は怒っている。闘わない組合幹部と対決し、闘う組合に変えていく」と発言。JR貨物の青年は「分割・民営化の矛盾は貨物に集中している。国労幹部をぶっ倒し本当の労働組合にする」と述べた。自治体労働者は公立病院の民営化による分限免職を弾劾、医労連の加担を暴露した。建設会社で働く女性労働者は、同僚への配転攻撃を跳ね返したと報告した。就職5日目で解雇された合同労組の青年は「解雇予告手当を突き返し、あくまで解雇撤回まで闘う」と宣言した。
 最後に、動労千葉を支援する会・新潟代表の坂場信雄さんの音頭で団結ガンバローを行い、決意を固めた。
 (新潟・N)
(写真 1047名解雇撤回の国鉄全国運動を軸に闘う労働運動をつくろうと誓った【10月3日 新潟】)

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週刊『前進』(2459号3面1)(2010/10/11 )

 動労千葉冬季物販アピール

 物販で「支援する会」を組織し国鉄全国運動と11月大結集へ

 職場闘争の格好の武器

 国鉄不当解雇撤回をめざし、動労千葉の2010年冬季物販闘争に総決起することを訴えたい。
 この闘いは4・9政治和解と真っ向から対決し国鉄闘争全国運動の発展を切り開く決定的な武器であり、同時に11・7大結集の組織化の武器である。さらに、連合の制動を打ち破り、大恐慌下に労働者階級の怒りの総決起をつくり出す闘いそのものである。
 動労千葉の中野洋前委員長は、国鉄闘争1047名の存在を「日本の労働運動の宝だ」と評価し次のように語っていた。「鍛えぬかれた一千名の専従オルグを擁する労組になったと位置づけ、全国に闘争団の仲間たちを配置し闘いを組織すれば、国労は間違いなく戦後最強の労働組合になるし、労働運動全体の否定すべき現状を塗り変えることも不可能ではない」
 そして、「物販で夏秋に千名いれば相当のことができる。全国のあらゆる職場にオルグに入ることは可能だ。それをやったら大変なことになる。千名のオルグ団が日本列島を席巻する」と述べて物販闘争を位置づけた。
 国鉄闘争全国運動は、物販闘争をとおして労働運動全体の否定すべき現状を塗り変える闘いに、われわれ動労千葉派が全面的に打って出るということだ。
 1047名闘争は動労千葉が生み出し、動労千葉を基軸にして闘われてきた。動労千葉を国鉄闘争全国運動の基軸に据えきろう。それが公務員労働者360万人いったん全員解雇・選別再雇用攻撃に勝利する決定的カギでもある。

 物販から闘いが広がった!

 反合・運転保安闘争路線の職場実践と言っても、職場闘争の条件がきわめて困難で、孤立している状況は少なくない。そもそも職場に労働組合がない。あっても御用組合であったり、少数組合であったりだ。職場闘争をいったい何から始めればいいのか? それは物販闘争を職場闘争として闘うことだ。
 物販闘争を職場闘争として闘いぬくことで、動労千葉を支援する会の結成に成功した典型的な例が報告されている。
 全労連に属する自治体職場でA同志たちは、日共系組合幹部による悪質な過激派キャンペーンに屈せず、動労千葉物販を職場で取り組み続けてきた。
 その職場で昨年、学校給食の「受取調理員」を、現在の臨時的任用職員をいったん雇い止めにして、日々雇いに転換する攻撃が始まった。「受取調理員」とは、給食センター発足に伴い各学校の調理員を合理化する過程で、調理員を配膳係として各学校に1人ずつ残すことで雇用を保障したものだ。当初は全員正規職員だったが、徐々に非正規に置き換えられ、現在では全員が臨時的任用職員になっている。それでも臨時的任用職員は月給制で一時金や有休など一定の保障がある。これをさらに文字どおり何の保障もない日々雇いに置き換えようというのだ。
 給食の配膳は受取調理員1人では無理なため、現実には学校用務員たちが手伝うことで成り立っていた。ところが市当局は「用務員は汚れているから衛生上問題だ」と言い放ち、受取調理員を全員いったん雇い止めにし、何の保障もない日々雇いにして人件費を削り、要員を各学校2人に増やそうとしたのだ。
 「用務員は汚れている」――こんな侮辱があるだろうか? これに対して学校用務員労働者たちは「俺たちをダシにして受取調理員さんたちを雇い止めにするとは何ごとだ!」と怒りの声をあげた。だが日共の組合幹部は何もやらない。「受取調理員は臨時職員で組合員ではないから」と。そこで長年物販に取り組み有名になっていたA同志たちに、組合員である用務員労働者たちがこの話を持ち込んだ。

 「支援する会」をこれで組織

 こうしてA同志たちと学校用務員と受取調理員が一体となった職場闘争が開始された。正規、非正規一体となった闘いであった。この過程で同時に、職場で動労千葉を支援する会がつくられた。
 闘いの結果、ついに受取調理員に対する雇い止めを撤回させ、今までと同じ条件の雇用先を保障させる勝利をかちとった。今では「物販のAさんたち」のもとに、様々な職場の諸問題が持ち込まれるようになっている。A同志たちと支援する会が、闘わない組合幹部に代わって労働組合の機能を果たしている。
 重要なことは、A同志たちが動労千葉物販を職場での旗印としたことだ。日共も協会派もすべての党派が、たとえ偽りの旗であっても、旗は立てている。だから一目瞭然で自分が何者であるかを示す旗印が必要だ。それが1047名解雇撤回の旗印であり、その職場闘争としての実践が物販闘争だ。
 A同志たちの闘いこそ、1047名が本来目指した闘いの姿を示している。1047名解雇撤回闘争は、国労本部と4者4団体幹部の誤った路線のもと、職場・生産点から切り離され裁判闘争に切り縮められてきた。本来1047名解雇撤回闘争は、物販闘争として職場・生産点でこそ闘われるべきものだ。
 もう一つ重要なことは、A同志たちの闘いが職場に支援する会をつくり出したことだ。ここに勝利の核心がある。
 4・9政治和解のもとで、すべての労働組合が解雇との闘いを投げ捨てようとしている。だから、われわれ自身の手で一から闘いと団結をつくり出す以外に道はない。その時、動労千葉を支援する会が、闘わない組合執行部に代わるもう一つの労働組合としての役割を果たす。
 支援する会こそ労働組合結成のため、あるいは組合執行部を握っていくための職場フラクションだ。「組織! 組織! 組織!」のカギは、支援する会の組織化だ。支援する会の組織化なくして、国鉄闘争全国運動の本格的発展はない。
 動労千葉物販闘争を切り口に全国の職場に「動労千葉を支援する会」を組織しよう。11・7労働者集会1万人結集の実現へ全力で闘おう。

 解雇と闘う労働運動を

 そもそも4・9政治和解の核心は、労働運動から解雇との闘いを根絶することにあった。国鉄労働運動根絶を狙った分割・民営化は、同時に解雇と闘う労働運動の根絶攻撃でもあった。それは職場・生産点の団結を破壊し、労働組合を首切り−民営化−外注化攻撃の先兵にする攻撃だ。
 国鉄分割・民営化は「20万人首切り」攻撃だった。しかし実際に「ナマクビを切る」形で解雇になったのはストライキで公労法解雇になった動労千葉の28人と、国鉄清算事業団から整理解雇された1047人だけだ。残りの約20万人の労働者は「依願退職」だった。解雇撤回を闘う法的資格すらあらかじめ奪われた上でたたき出された。
 動労本部・カクマルは首切りの先兵になり、国労本部は解雇恫喝に屈服し、一度も闘うことなく組合員を見殺しにした。
 だが「解雇」を恐れていたのは、実は敵の側だった。動労千葉の2波のストライキに対し、国鉄当局は「スト参加者は全員解雇」とまで叫んだが、実際に解雇できたのは28人であった。ここに敵の弱点がある。
 1987年4月1日にJR各社が発足し、7630人の国鉄労働者が清算事業団に送られた。清算事業団労働者は、「再就職斡旋」の名で劣悪な環境のもとで、来る日も来る日もまったく仕事のない状況に放置された。それでも88年4月段階で4773人が清算事業団にとどまっていた。
 これに対し89年に入りJR当局は、広域採用で清算事業団労働者を切り崩しにかかった。国労本部はこの時、「全面一括解決要求」路線で広域採用に協力していく。
 こうして再就職促進法の90年3月期限切れを前に焦点化したのが、本州150人の清算事業団労働者問題だった。本州で国鉄清算事業団に送られた労働者は、その多くが協会派や共産党・革同の活動家であり、政府もJR当局もこの切り崩しに全力を挙げた。バリバリの協会派や日本共産党の活動家が、国家公務員の試験を受けて合格し再就職していった。

 国鉄不当解雇撤回の勝利へ

 ここに敵の矛盾と危機がいかに大きかったかが現れている。JR採用から排除した活動家を、国家公務員として政府の方針でドンドン採用せざるを得なかった。清算事業団の闘いが解雇撤回闘争に発展することを、敵は心底恐れていたのだ。
 清算事業団闘争の終結策動に対して動労千葉は再就職促進法の期限が切れる90年3月をにらんで89年12月と90年1月に24時間ストを打ちぬいた。これにより国労本部も3月19日にストライキを構えざるを得なくなった。動労千葉は、国鉄闘争の成否をかけ3月18日、半日前倒しで84時間ストに突入した。
 国労本部はスト中止を考えていたが、半日早く始まった動労千葉のストライキは、国労の現場組合員の決起を引き起こし、国労に72時間ストライキを打ちぬかせた。これで、国労本部による3月内の闘争終結策動は完全に粉砕された。
 この時、間違いなく1047名の国鉄労働者は、国労本部ではなく動労千葉の方針を選択したのだ。動労千葉の闘いを基軸にして1047名闘争は生まれ、今日まで闘われてきたのである。その勝利をかけて冬季物販闘争に総決起しよう。
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 ◇販売品目◇ (円)
1 天津甘栗  500
2 焼カシューナッツ  650
3 豆菓子  450
4 すだちのど飴  650
5 プルーン  900
6 ポケットチーズ  900
7 丹波種の黒豆  650
8 にしん昆布巻  700
9 松前漬  750
10 カレンダー  1650
11 北海道レアチーズケーキ 950
12 甘味詰め合せ  1500
13 ケーキ詰め合せ  2000
14 丸大ハム  3000
15 タジン鍋  2900
16 落花生  1500
17 アソートチョコレート 1500
18 おこし  900
19 どんこ  1000
20 即席みそ汁 1300
21 野菜たまごスープ 1300
22 黒ウーロン茶 1200
23 あさりの佃煮 1300
24 食べるらー油 550
25 手作り佃煮 500
26 もずくスープ 550
27 ブレンドコーヒー 750
28 静岡茶 650
29 寒干し味噌ラーメン 1300
30 博多ラーメン 1200
31 さぬきうどん 1100
32 北信濃手折りそば 1700
33 お惣菜三種 1100
34 さんま丼 650
35 梅にんにく 1300
36 日高昆布 1000
37 ひじき 650
38 根昆布しょうゆ 600
39 天然だしパック 1300
40 ナガイの焼のり 1700
41 紀州南高梅 1700
42 ビーフカレー 3000
申込先/動労千葉協販部 TEL043(227)7833 FAX043(227)8125

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週刊『前進』(2459号3面2)(2010/10/11 )

 日米教育労働者が熱い交流 訪米報告

 戦争・民営化と闘うUTLA

 労組再生へ共同の闘い誓う

(写真左 訪米団とUTLAの仲間) (写真右 日本の教育システム分科会)

(写真 ロサンゼルスタイムズ社に抗議行動)

 ロサンゼルス統一教組(UTLA)は、組合員から情報を隠して当局と屈服交渉するにいたった旧執行部を倒して05年に生まれ変わった組合だ。今も全米の労働組合再生の軸になっている。この8月、全国労組交流センター教育労働者部会が訪米してUTLAと交流し、ともに日米の職場の仲間を圧倒的に組織して、闘う労働組合をよみがえらせようと誓いあった。

 動労千葉の闘いに絶大な共感が

 UTLA(4万5千人、全米第2の巨大教組)は、大恐慌の震源地アメリカで、民営化・賃下げ、大量解雇の大攻撃を受けて、必死の反撃をしている。
 09年には2500人の教育労働者が解雇され、さらに250校の民営化計画に直面している。この大攻撃に対してUTLAは、絶えず職場を組織し、テストボイコット、ストライキ、実力座り込み、保護者・地域の獲得、街頭デモなどで必死に反撃している。
 このUTLAが、年間最大のイベントであるリーダーシップコンファレンス(分会長を始めとする活動家が集まる会議)に、全国労組交流センター教育労働者部会を正式に招待した。組合の存亡がかかった闘いの方針討議の場で、日本の民営化との闘いをプレゼンテーションして欲しいと言ってきたのだ。
 またUTLA本部での米、カナダ、メキシコの教育労働者国際交流会議にも招待された。
 この信頼関係は、動労千葉と11月集会、そしてそれとともに闘ってきた「日の丸・君が代」闘争にUTLAの活動家が触れる中で築かれてきた。国鉄分割・民営化は、アメリカの航空管制官労組破壊、イギリスの炭鉱労組破壊とともに“世界の新自由主義の3大突破口”の一つだった。
 UTLAは自分自身の闘いの経験から、動労千葉を軸にした労働運動に圧倒的な信頼を寄せ、その闘いの経験を共有したいと切望している。だから日本で闘っている教育労働者を招待したのだ。

 組合活動者会議に招待され報告

 訪米日程の中心は、8月20〜22日のUTLAのリーダーシップコンファレンスだった。
 UTLAは全員加盟制の大組合だから、全体で討論を組織しまとめていくことは容易ではない。全活動家が一堂に会して、2泊3日にわたり交流する機会は貴重だ。新年度の戦略の議論の場、分会長の研修の場であり、交流・親睦(しんぼく)の場でもある。
 昨年来日して11月労働者集会に参加したUTLA西部地域議長のセシリー・マイアトクルスさんがリーダーシップコンファレンス実行委員会の共同議長で、立案、運営の最高責任者だ。
 彼女は、民営化と闘い続ける動労千葉が中心になって、他の産別の労働者も全国から結集して団結している姿に感動して、リーダーシップコンファレンスの計画を練り直し、動労千葉とともに闘う日本の教育労働者の報告発表の分科会を柱にすることにしたという。
 訪米団は到着してただちに、彼女や07、08年の11月集会参加者、アーリーン・イノウエさん、グレゴリー・ソティアさんとともに何度も討論を重ねた。そして大恐慌、既成労働組合幹部の歴史的な裏切り、国鉄闘争全国運動の現状やアメリカの民営化攻撃について、UTLA組合員の問題意識に合わせて分科会で提起する内容を準備した。
 22日に行われた「日本の教育システム分科会」には、リーダーシップコンファレンスに参加した組合員300人のうち100人以上が参加した。まずセシリーさんやアーリーンさん、グレゴリーさんが、日本の国鉄分割・民営化との闘いについて語り、25年たっても民営化攻撃を貫徹できていない新自由主義の破産と、動労千葉労働運動の勝利の展望を強調した。
 続いて訪米団が、日本の教育労働者の労働条件、教育条件を具体的に語った。この発言は、アメリカでよく語られる「日本の教師は模範的。それに比べアメリカの教師がダメだから国際競争に勝てない」という教師たたきを粉砕する力を与えるものになった。また訪米団自身がUTLA組合員の反応を見て、あらためて日本の教育労働者に対する多忙化の攻撃性への自覚を強めた。
 また、屈服した労組幹部から次々に労働組合権力を奪取しているUTLAを始めとしたランク&ファイル(現場組合員)運動のように、職場の多数を組織し、裏切りを深める日教組本部を打倒する決意を固めた。

 “組合員の組合”

 リーダーシップコンファレンスでは、「UTLAの戦略提起」をジュリー・ワシントン副委員長が提起した。
 「UTLAが受けている大量解雇、賃下げ、民営化攻撃は、あらゆるレベルの政治権力――オバマ政権、州政府、ロサンゼルス学区当局など――からの攻撃であり、また世界最大の資本家ビル・ゲイツや劣悪な労働条件で有名なウォルマートの社主ウォルトン一族などの巨大な資金投入によるチャータースクール(公設民営校)化です。まずUTLAの分会の政治教育・指導力強化が必要です。立ち上がろう、職場のピケットや学区当局前の実力座り込み闘争、3・4カリフォルニア教育ゼネストのような闘いをさらに広げよう」
 「ULTAはアメリカで最も強力な教組です。『幹部の組合』ではなく『組合員の組合』です。だから国家の総力を挙げた攻撃を受けています。UTLAが後退を強いられることもありますが、闘って押し返しています。彼らはけっして目的を達成できません」
 まさに1980年代の国鉄分割・民営化と同じような国家的レベルの攻撃を集中的に受けていると自覚し、それへの反撃を呼びかけているのだ。だからこそ、民営化と闘って勝利の展望を示している動労千葉や労組交流センター教育労働者部会の闘いの経験を共有したいとUTLA全体が熱望しているのだ。

 全米最強の教組つぶしに大反撃

 世界大恐慌下でどこでも教組への攻撃はエスカレートしているが、UTLAに対する攻撃はとりわけ激しい。
 アメリカ全体では、AFT(アメリカ教員連盟、90万人)本部は屈服の域を越え、完全にオバマ政権の先兵になっている。オバマの成績給推進を先回りして、それを積極提案している。NEA(全米教員連盟、320万人)本部も動揺を深め、闘いを抑圧している。その中で、4万5千人のUTLAが大都市教組としては唯一、実力で反撃している。連邦政府を始めとする重層的な攻撃がかけられている中でUTLAは包囲され、力関係は厳しい。
 UTLAがリーダーシップコンファレンスの「戦略提起」で強調したことは、この重包囲を直視し、突破するということだった。そのためには、資本主義の破綻を本質とする新自由主義の攻撃について、組合員の政治教育を強化し、リーダーを育てていくことが決定的だということだ。そしてグローバルな攻撃にはグローバルな反撃を組織することが必要だということだ。
 すでにUTLAは、闘いを大きく広げている。UTLAの学校でのピケットラインには、必ず保護者や地域の他労組の参加を働きかけている。またチャータースクール化に対しては、地域での署名活動や小討論会を積み重ね、チャーター化を阻んでいる。
 そしてグローバルな反撃は動労千葉、11月集会との国際連帯の中でかちとられるのだ。

 3・4百万人スト

 カリフォルニア州では今年3月4日、大学から幼稚園まで含む100万人の教育ゼネストがかちとられた。巨大だと思われていた新自由主義の支配が、金融危機と労働者の怒りでぐらぐらになり、教育労働者・学生の解放感あふれる巨大なデモに沿道の労働者、住民も歓喜の声をあげた。力関係は一変した。
 「誰の学校か? われわれの学校だ!」「トップの首を切れ!」「団結した労働者は絶対に分断されないぞ!」「教育の私物化(民営化)許すな!」
 UTLAが08年6月の半日スト、09年1月のテストボイコットと1万6千人の巨大デモ、数波の教育委員会闘争、5月の実力座り込み(執行部3人を含む39人が逮捕)を闘って労働者に勇気を与えたからこそ、3・4ゼネストが可能になった。そしてUTLAが3・4実行委員会の軸に座ったからこそ、それが全カリフォルニア州の労組、学生を吸引したのだ。

 シカゴでの勝利

 ブッシュ以上に教育の民営化と労組破壊を強行しているオバマやダンカン教育長官の地元で、全米第3の巨大教組・シカゴ教組でも、ついに今年6月、パートナー路線の旧執行部を打倒して闘う執行部が確立された。
 4月にはカリフォルニア州北部のリッチモンドでも闘うランク&ファイルが執行部を奪取した。
 みな、05年のUTLAのランク&ファイルの権力奪取とそれ以後の闘いに鼓舞されたのだ。そして実際のランク&ファイル運動の組織化の過程でも、密接にUTLAと協力している。
 体制内労組幹部の屈服によって一見、孤立したかに見えたUTLAが、それを恐れず、職場の団結を強化して闘い続けて、ついに労働組合の地図を塗り替えつつある。

 教師叩きと対決

 UTLAは9月14日、マスコミによる教師バッシングに大反撃をたたきつけた。ロサンゼルスタイムズが生徒のテストの点数で3年、5年担当の教師6000人全員のランク付けをして実名報道し、「無能力教師」呼ばわりしたことに対して、UTLAは同新聞社前で「ロサンゼルスタイムズを査定しろ」と怒りの大集会を行った。
 大恐慌下で、ゲイツやウォルトンら巨大資本への労働者の怒りは満ちている。「彼らこそ公立教師バッシング=民営化攻撃の主犯だ」というUTLAの弾劾は、教師たたき=労働者分断策を破産させ、階級全体の団結をつくり出している。競争、特に国際競争が新自由主義の柱だ。11月集会で労働者の国際的団結を前進させることこそ、新自由主義打倒の展望だ。

 11・7集会へ来日

 11・7集会にはUTLA小学校委員会議長のイングリッド・ガネルさんが参加する。イングリッドさんは来年初めの執行部選挙に立候補するUTLAの若きリーダーだ。新たな社会をつくるため11・7に結集しよう。
 (相良直樹)

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週刊『前進』(2459号3面3)(2010/10/11 )

 『希望は団結』 訪米報告活用を

 全国労組交流センター教育労働者部会の訪米と、UTLAとの交流を生き生きと報告したリーフレットが完成した。11・7集会へ向けて活用しよう。
◎注文 全国労組交流センター教育労働者部会/住所 台東区元浅草2-4-10五宝堂・伊藤ビル5F/電話 03‐3845‐7461/FAX 03‐3845‐7463/ E-mail centergo@nifty.com
(A4判16ページ/頒価100円)

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週刊『前進』(2459号4面1)(2010/10/11 )

 11・7労働者集会の画期的成功かちとり大恐慌を世界革命へ転化するため闘おう

 国鉄全国運動の大爆発で4・9反革命と菅政権を打倒し、不抜の階級的労働運動拠点を建設しよう

 世界金融大恐慌の進展が大失業と戦争を生みだすことがますます明白になっている。帝国主義は大恐慌からの出口をどうにも見いだせず、逆に財政的大破綻とブルジョア的国家支配の根底的動揺のふちにたたき込まれている。そして徹底的に行きづまった資本家階級は、分裂と混迷を深めながらも、労働者階級に犠牲を強いることに必死になり、さらに労働運動そのものの解体と帝国主義的・産業報国会的労働運動への変質に全力をあげている。これに対して世界の労働者階級はストライキやデモ、工場占拠の闘いに決起している。階級的戦争の爆発は必至の情勢だ。この中で帝国主義ブルジョアジーは今や国際的な市場や資源・勢力圏の分捕り合いに唯一の活路を求め、また労働者階級の革命的決起をたたきつぶすために侵略戦争、帝国主義戦争へと突き進んでいる。11・7の大爆発をかちとるために、現在直面している情勢の歴史的重大性を明らかにしたい。

 T 大恐慌の本格的な爆発―財政破綻・ドル暴落と大失業と戦争

 財政危機の重圧と階級攻防の激化、大恐慌は二番底へ

 世界金融大恐慌は、さらに本格的全面的に展開する方向に向かって突き進んでいる。空前の財政投入によって大恐慌は回避され、新たな回復過程が始まっているという帝国主義ブルジョアジーの願望は、現実の前に容赦なく粉砕されつつある。
 この間もてはやされてきた「経済の回復」なるものは、実は膨大な財政支出によって支えられて初めて成立したものであった。そして、政府・金融当局による景気対策なるものの効果が薄れたり、景気対策が打ち切られていくや否や、たちまち行きづまってしまうものでしかなかった。この事実を突きつけられて、オバマ政権をはじめ帝国主義ブルジョアジーは根底から衝撃を受け、動揺してしまっている。
 周知のように、帝国主義の戦後発展の全矛盾は歴史的な1974〜75年恐慌として爆発した。この74〜75年恐慌は「過剰資本・過剰生産力」の恐るべき壁を突き出し、米帝基軸の世界経済の統一性が根底的に崩れ始めたことを示すものだった。この帝国主義の危機をのりきるものとして登場したのが新自由主義である。この新自由主義のもとで絶望的投機的な金融バブルが促進された。そして、歴史的なITバブルの大崩壊に直面した中で、新自由主義的金融自由化の極致として、サブプライムローンを軸とする巨大金融バブルが全世界を巻き込んで進行したのだ。これが07年8月のパリバ・ショックを契機に崩壊し、08年9月のリーマン・ショックを経て、ついに世界金融大恐慌は空前の本格的な大爆発を遂げるにいたったのである。
 今次大恐慌のこうした歴史的本質的性格からして、帝国主義の根本問題としての「過剰資本・過剰生産力」の問題があらためて根底的に突き出されたのだ。また、ドルの世界支配力がバブル的に延長・拡大されていたが、その全面的崩壊の危機が突き出されたのである。
 このように今次大恐慌を把握するならば、29年大恐慌の教訓なるものを振り回して、巨大な財政投入を機先を制して行えば大恐慌は回避され、新しい自律的回復過程に入っていけるとした米帝オバマ政権や各国の帝国主義者どもの考え方、政策がいかに薄っぺらなものだったかは明白である。
 実際に米帝がこの間やったことは、ひとつは、巨大な財政支出によって金融機関の不良債権を買い取り、資金を注入し、破綻した大銀行を丸抱えにしてひとまず延命させたことである。今ひとつは、同じく事実上破綻した産業的独占体を金融的に抱え込むことであった。さらに、急激に収縮した市場に対して大規模な生産調整(=大量の首切り)をもって対応することを助け、膨大な在庫の消化と積み増しを促進するため、需要創出の景気刺激策を展開することであった。
 この財政投入政策はその大きさによって、ひとまず巨大金融機関を延命させ、産業的独占体をかろうじて維持することになったのだ。そしてこの景気対策資金が流れる限り、それを食いものとする大資本にはかつてないぼろもうけのチャンスを与えるものだ。
 しかし重要なことは、こうした救済メカニズムは、大恐慌の根底にある過剰資本・過剰生産力の独占的温存に手を貸すものであったということである。したがって企業はどんなに増益となっても、設備投資などには本格的には向かわない。雇用は伸びないのである。また金融システム的に言っても、新自由主義的な金融バブルの中で発展した巨大金融機関は、経済のバブル化以外の新しい金融システムなどつくりようもないのだ。
 かくて巨大金融機関と独占的大企業は生き残っても、大失業、住宅不況は永続化し、個人消費はけっして伸長しない。経済が設備投資などでどんどん拡大することは不可能なのである。こうした状況のもとでは、政府財政支出の投入が細り、途切れれば、経済が再び二番底に向かって動き出すのは当然のことなのである。
 ここで今ひとつ押さえておきたいことは、大恐慌は「基軸通貨体制と世界経済の統一性」の危機の爆発でもあるということである。この問題は帝国主義の放漫な財政赤字政策を規制する問題である。今日、米帝オバマ政権は、財政的刺激策が切れれば二番底の危機という恐怖にかられつつ、新たな追加景気対策を打ち出そうとしている。しかし実際には、膨大な赤字財政問題は経済問題であると同時に政治的階級的問題である。
 この問題は、帝国主義経済の問題としては国際通貨体制=ドル体制の崩壊的危機の問題である。労働者階級の側からいえば、財政再建=大増税という問題、公務員(=労働者)の大リストラの問題、社会保障費の大幅な削減の問題としてある。したがって財政出動は、不況で必要ならいくらでもすればいいということにはならない。帝国主義ブルジョアジーは不況の長期化、激化に引きずられてずるずると財政拡大にはまり込むが、そのプロセスはドル暴落問題や階級的激突という現実の重圧を受けて、危機的なきりきり舞いの過程となるということだ。
 この意味では、今日の米帝(帝国主義)はさらなる追加的刺激政策なしにはすまないところに来ているが、財政危機の爆発の重圧のもとで、また階級的攻防の嵐の中で、十分な体制などけっしてとれない。バタバタしながら泥沼にますますはまり込む。その過程で大恐慌の二番底、三番底は不可避である。国際間の貿易・為替戦争や利害対立の激化、戦争化はいよいよ不可避となっていく。

 帝国主義では解決できない基本的矛盾が爆発している

 とりわけ米帝の危機は深刻である。
 米経済はGDPの上では09年10〜12月期からプラス成長を続けているが、民間の雇用が拡大しない。08年から10年にかけて失職した労働者は840万人だが、10年1〜7月で増加した就業者数は65万人でしかない。1500万人もの失業者が存在し続けており、平均失業期間は34カ月にもなる。しかもこれは公式統計の数字だ。現実には今日の米国には1929年大恐慌時に匹敵する失業者があふれ、かつ社会的に滞留する状況が生み出されている。
 このように膨大な失業者が存在し続け、社会全体を覆っている中で、就業している労働者もその重圧を受ける。また住宅価格の下落もあって住宅ローンの返済は厳しく、差し押さえも増加している。この結果は逆に住宅不況を激化させている。住宅着工件数はバブル期の05年の3分の1以下に落ち込んでいる。そしてそれは、米GDPの7割を占める個人消費の長期低迷を生む大きな要因となっている。
 大恐慌の生みだす大失業はとてつもない大問題であって、財政出動で景気回復などということを許さない重さをもっているのだ。その根底には、74〜75年恐慌によって暴露された帝国主義経済における過剰資本・過剰生産力の問題が、新自由主義下の大バブルの崩壊であらためて突き出されてきていることがある。過剰資本・過剰生産力の重圧の中で独占的大企業は不断にリストラへの動きを続け、いったん解雇した労働者をけっしてストレートに復職させたりはしない。失業者数は大きいまま停滞することになるのだ。帝国主義では解決できない基本的矛盾が大恐慌を通して大爆発しているのだ。

 不良債権の重圧から脱却不能の金融機関

 さらに深刻なのは、金融機関の現状である。
 まず何よりも連邦住宅抵当金庫(ファニーメイ)と連邦住宅貸付抵当公社(フレディマック)の危機的現状を指摘しなければならない。この間米5大銀行などが決算の黒字化を発表し「回復」を宣伝しているが、この2社は一貫して膨大な赤字決算を続けている。
 この2社を中心とするGSE(政府系住宅公社3社)の抱え込んでいる住宅ローン関連資産は、合計5兆7千億jというとてつもない巨額であり、市場全体の5割を占める。住宅不況が依然、熾烈(しれつ)を極める中で、この5兆7千億jは不良債権の固まりなのである。米巨大金融機関を揺さぶったサブプライムローン問題のしわ寄せがここに集中してためこまれ、政府保証という名目で危機が隠蔽(いんぺい)されているのである。しかしこのままでは2社とも完全に破産する。
 今日、米帝オバマ政権は2社を完全国有化するか、逆に完全民営化とするか迷っている。国有化すれば、GSEの発行しているMBS(不動産担保証券)・社債は事実上の準国債として全米・全世界に膨大に売られているので、米国債自体の格下げをもたらし大問題となる。しかし完全民営化すれば、政府保証を失って、ストレートにMBSの投げ売りをもたらす危険に満ちている。これは米国債の投げ売りと同じことで、ドルの暴落を引き起こす可能性が大きい。
 民間の銀行についても、大恐慌のもとで積み上がった不良債権の重圧はなんらクリアなどされていない。重大なのは商業用不動産ローンの焦げ付き問題である。これは地方の拠点銀行を破綻させ、中小企業への貸し渋りなどを激化させて地方経済を疲弊させ、州政府を財政破綻に追い込んでいる。2010年に入ってもすでに百数十行の中小銀行が破綻している。恐慌は依然、荒々しい破壊を続けているのである。
 さらに、そもそも米巨大金融機関自身が大恐慌と不良債権の重圧から根本的に脱却などできてはいない。5大銀行のすべてが黒字決算になったなどとされているが、これは政府・FRB(米連邦準備制度理事会)が金融機関の負債を公的財政の負債(赤字)へと転化したことを基礎としている。さらに巨大金融機関は多くの不良債権を粉飾して自行内に抱え込んできた。そのバランスシートの実態は依然として明らかにされていない。
 巨大金融機関のこの間の大きな利益源泉は、証券取引業務の分野だった。要するにこれは、政府・FRBが無限に超低利で貸し出す資金を使って証券・債券の売買を行い、ぼろもうけをすることだった。また、国債を買い込んで利ざやを大々的に取ることであった。一言でいえば、政府の景気対策の財政に金融機関がたかって甘い汁を吸いたいだけ吸ってきたということなのである。そして、銀行の本業といわれる企業への貸し出しや設備投資への融資については、実体経済の低迷のもとでは一向に本格的な改善などないのである。一定あるとすれば、BRICsなどへの資本輸出、商品輸出の動きに乗っていくことなのである。
 さらに決定的なことは、そもそも金融自由化による野放図な投機とその破綻として大恐慌が開始されたことからして、今後どういう金融のあり方をつくっていくのかがなんら定まっていないことである。むしろ実際に進行することは帝国主義内の分裂と抗争による相互のつぶし合いであり、そこでの勝利のためには新自由主義のむきだしの資本家的エゴイズムの好き勝手な展開が、ルールといえばルールとなるしかない。このことは支配階級の大分裂を引き起こし、大恐慌がはまり込んだ巨大な不況と金融資本の内的危機をさらに激化させていく。

 財政膨張で大増税とドル暴落が不可避に

 オバマは、ブッシュ政権以来の巨額の財政投入に加えて、自己の政権の景気対策として総額7820億jの大規模な財政投入、財政金融政策を展開してきた。これによって経済は自律的成長に入っていくと言ってきた。しかし現実はオバマ政権のこの思惑を打ち砕いてしまった。
 財政出動が切れるとともに再び経済は失速する――こうした現実が明確になってきた。しかし、9月8日に発表されたオバマ政権の「追加的景気対策」の内容は、驚くほど貧弱なものでしかなかった。新対策の総額は3500億jとされ、09年のオバマ登場時の7820億jの半分に見せかけるものだったが、実際の政府の財政出動は1800億jにとどまる。
 しかも、すでに09年度の米財政赤字は1兆4127億j、10年度は1兆5556億j、11年度の財政赤字も1兆2667億jとされており、このまま進行するだけでもどんな事態が発生するか分からないという現状がある。
 大恐慌の激化と不況重圧の厳しさの中では、帝国主義ブルジョアジーは何がなんでも財政膨張に走る。しかしこれは絶望的政策であり、見境のない大増税、大衆収奪に直結する。他方ではドル暴落を不可避とする。結局、ブルジョア政権は大恐慌の重圧の中で身動きできず、危機を深め、一層凶暴な攻撃に絶望的に突入する。労働者階級はまさにここでこそ帝国主義そのものの打倒へと自己の闘いを飛躍させ、階級決戦へと突き進まなければならない。

 南欧危機―ユーロ危機深化で欧州恐慌情勢は新段階に

 この春のギリシャの国家財政破綻の危機の露呈から、欧州の恐慌情勢は明らかに新段階に突入している。その後のギリシャ支援体制の形成やEU的な安定化基金の成立、欧州諸銀行91行へのストレステスト実施により、危機情勢はのりこえられたかのようなキャンペーンが行われた。
 しかし、この8〜9月の過程で、こうした公式の「回復」論のデタラメさが次々と暴露されている。現在はユーロ安などでドイツの輸出が急増し、ドイツ経済の好転などによって隠蔽されているが、南欧諸国を中心にユーロ諸国のいくつかは、とてつもない危機に向かって進んでいる。
 この間の動きとして大きいのは、アイルランドの銀行破綻のもたらす財政赤字の一挙的拡大が不可避となったことだ。アイルランドは9月上旬、アングロ・アイリッシュ銀行を分割・清算すると発表した。この銀行の不良債権は大きく、この処理に財政を投入するとGDPの1〜2割になる。
 この間アイルランドは、EUの中では模範的に財政赤字を減らしてきた、社会保障費の削減や賃銀の削減などを労働者を犠牲にしてやっていると、ギリシャと対比して褒めそやされてきた。ところが実態はこういうことだったのである。
 さらにポルトガルも、財政赤字を減らすどころか拡大している。またポルトガルはその資金繰りにおいて市場からは調達できず、ECB(欧州中央銀行)に全面的に依存していることも判明した。ポルトガル国債の上乗せ金利が高止まりしているからである。第二のギリシャ化にストレートに向かっていると言っていい。
 ギリシャについても、労働者を犠牲にして財政赤字削減が進んでいるとされているが、攻撃の急激な強行への労働者の怒りは激しくなっている。ギリシャ救済のプランは一時的に延命状態を長引かすだけで、早晩ギリシャ国債の破綻(国としての債務破綻)は不可避とみられている。このためギリシャ国債の利回りは8月11・9%、9月9%といったレベルで超高止まりしている。これでは国債利払いはとてつもない大きさとなってくる。
 スペインについても、EU主要国としては唯一、10年のGDP予測がマイナスとされている。スペインの矛盾は隠蔽されているが、いずれ大爆発することは必至である。
 EUの恐慌情勢については、今ひとつ重大なことが提起されている。先に行われた91銀行へのストレステストがとてつもない粉飾に満ちたものだということだ。欧州の諸銀行は、大恐慌下で突きつけられた巨大な不良債権を依然としてあらゆる形で持ち越しているとともに、南欧危機、ユーロ危機の中で発生した巨大な評価損をやはり隠蔽して決算を粉飾しているのだ。南欧諸国の財政破綻の危機は、さらに第二、第三のギリシャを生んで、必ず大火に発展する。
 世界は今とてつもない大恐慌と社会的・経済的危機、つまり階級的危機に突入していること、世界は革命情勢だということをはっきりさせて、不動の認識として打ち固めていこう。

 U 帝国主義間・大国間の争闘戦の激化が戦争へと転化していく

 大恐慌の進行・深化・発展が引き起こす情勢展開の中で、この間決定的に重要な事象は、帝国主義間(大国間)争闘戦の激化である。これが個々の資本家的企業、金融グループのレベルだけでなく、まさに帝国主義の時代そのものとして、帝国主義国家の国をあげての争闘戦が展開されている。各国の政府当局が資本家階級の先頭に立って血相を変えて市場争奪、資源争奪、勢力圏の争奪(再分割・再編)の争闘に突入している。まさに新自由主義丸だしの、むきだしの階級的利害、国家的利害を平然と振り回している。
 特に顕著なのは、貿易戦争、すなわち輸出戦争の展開である。そしてそれと一体となった通貨安競争、すなわち古典的な為替戦争が公々然と今爆発している。保護主義の強化、ブロック化の動きも、口先では保護主義反対を唱えつつ、現実には強烈に遂行されている。
 こうした展開はある意味で必然的なことである。大恐慌下で膨大な財政出動が突きつけられ、財政的限界に突入したが、財政出動によって国内経済が不況から脱出することなどできない。巨大な財政赤字の重圧から逃れようと財政再建へ動けば、国内階級矛盾の激化、国内市場の圧縮に直面する。国内では結局「資本過剰・生産力過剰」の現実が根を張っている。ここで財政出動のバルブが少しでも締められたら、残るは対外膨張あるのみである。つまりは他国を輸出で出し抜くことだけが自国の発展への道となる。
 今次大恐慌においては、まさにこうしたことが一斉に全世界のすべての諸国において発生したのである。文字通り帝国主義(大国)の国家的延命をかけた相互絶滅戦的な争闘時代への突入なのである。
 こうした動きの中でも、やはり最も激烈な動きをしているのは米帝とその政府当局である。オバマが09年に登場して最初に行ったことが7820億jの景気対策法の国会通過であるが、オバマは同時にその時期に、5年間で米帝の輸出2倍化計画という通商戦争政策を提起、実施したのである。
 さらにゲーツ国防長官は、武器輸出の増加を狙って、武器的商品類の3割について規制緩和をするとした。要するにダーティーな武器商人になりきっていくということである。
 また米帝は明らかに為替戦争を開始している。米帝は、膨大な財政支出をしても二番底の危機の恐怖から逃れられないため、財政的膨張も続けているが、FRBによる低金利政策や量的緩和の措置をとってもいる。この動きは、日本の低金利水準と巧みにバランスさせて、円高ドル安をつくりだしてもいる。米帝の不況の深刻さから金融緩和策が不可避化しているが、日本が孤立して身動きできないワナにはまっていることを明確に勘定に入れて、ドル安を巧みに誘導していることも間違いない。ドル安政策を輸出の武器にすることは、「基軸通貨」ドルの自己崩壊の危険をはらむが、ユーロ安が同時に進行すれば、ひとまずはドルは安泰だということを措定している。
 他方では米帝は、中国の元が元安化して中国の輸出力となってきたことに対して、中国元は不当に安くさせられていると言って中国政府に切り上げを激しく迫っている。ガイトナー財務長官は、11月のG20で中国元の元安是正を問題にすると公言している。これには中国も激烈に反応しているが、中国の米国への輸出の拡大を阻止する動きとして、米商務省は反ダンピング法の適用措置の強化を打ち出している。
 こうした通商戦争・為替戦争はしかし、拡大しない世界市場を分割し、再分割する争闘戦でしかなく、ますます激化・深化していく以外にない。これは必ず国家間の激しい対応へと発展し、ついには軍事力、軍事的支配力にものをいわせてくる。いや、すでにそれは始まっている。この帝国主義間争闘戦・大国間争闘戦は、今や米帝を軸としながら、世界の再編と再分割をかけたすさまじい軍事的対立と戦争の開始へと突き進んでいる。

 米帝とともに北朝鮮侵略戦争に進む日帝

 米帝は大恐慌のもとでじりじりと後退し打撃を受けている。このままでは確実にドル暴落へと突き進み、基軸国としての存在から転落しかねない土壇場に立っている。米帝・為政者はこの意識をもって動き始めている。
 この観点からみるとき今日最も恐るべきことは、米帝が残存スターリン主義・中国の大国化をこのまま許しておけないとして、かつてソ連を突き崩したように、明らかに中国の突き崩しに動いていることである。米帝は「中国の軍事力」についての白書を公表し、中国が軍事力を外交武器として意識的に使用するために強化していると激しい攻撃を開始し、中国への軍事的牽制(けんせい)を行っている。
 この巨大な動きの中で北朝鮮情勢が大きくクローズアップされてきている。北朝鮮スターリン主義の後継体制への移行など、とてつもない危機が今進行している。北朝鮮は体制的に完全に行きづまっている。この北朝鮮をどうするか、誰が結局、北朝鮮も自らの手に掌握するのかが問題となり、米帝は帝国主義としての死活をかけて、北朝鮮の崩壊過程と危機の戦争的爆発の過程を自らのヘゲモニーのもとで推移させようとしている。
 そのためには朝鮮半島での戦争を措定し、中国を押さえつけていく展望を獲得しなければならない。今日の米中の経済的な利害の矛盾は一定の段階で大きな力勝負へと発展せざるをえない。この過程で中国自身がプロレタリア反乱に直面することも不可避である。米帝のぎりぎりの帝間争闘戦は、長い間の「基軸国」が全面的に崩れさる過程がけっして平和的に推移するものではないことを突きつけている。大恐慌下で完全に行きづまっている米帝が、凶暴化せずに世界史的撤退をとげることはない。この意味で、中国スターリン主義の存在のもとでの朝鮮危機の爆発に対し、米帝が崩壊する北朝鮮を自己の支配圏に組み入れるのか否かは大変な問題である。
 米帝は、日帝がこの過程で米帝に追随するか否かを安保同盟問題、沖縄問題として迫ってくる。日帝にとっては帝国主義体制の存否をかける問題となる。菅政権は大きくは米帝との同盟にかけていこうとしており、米帝とともに朝鮮侵略戦争を戦うコースをとるとみていい。日帝ブルジョアジーの主流派にとってもそれしかない。
 11月のAPEC(横浜)とG20(ソウル)は、こうした脈絡のもとで開かれる。テーマは本質的には通商戦争、為替戦争、ブロック形成戦争であり、軍事的戦争的には朝鮮侵略戦争への対応である。そしてそれは不可避に国内階級戦争に転化してくる。日帝的には第1次につぐ第2次の国鉄分割・民営化攻撃の完遂を、動労千葉を先頭とする階級的労働運動の破壊をめざして強行してくる。この階級的労働運動解体=動労千葉解体の大攻撃をはね返していく闘いを土台としてしっかり押さえ、そこでの勝利をテコとして、帝国主義の朝鮮侵略戦争への動きに日韓米・全世界の労働者は団結して立ち向かわなければならない。

 V 4・9反革命と戦争政策推進する日帝・菅政権を打倒しよう

 こうした情勢の中で、日帝は帝国主義の「最弱の環」としていよいよ体制的に破綻し、あらゆる面で国家的崩壊の危機へとのめり込んでいる。そして、この間労働者階級にとって重要な三つの大きな動きが進行し、11月労働者大集会に向かう労働者階級に対して反革命的な階級決戦を挑むものとなってきている。
 ひとつは、日帝と大恐慌に対する労働者階級の闘いをせん滅することを最大の任務とする菅民主党政権が、動労千葉と動労千葉型の階級的労働運動を壊滅するための反革命攻撃を全力をあげて強めていることである。
 今ひとつは、米日帝による朝鮮侵略戦争の危機が今日きわめて切迫していることである。
 さらに今ひとつは、この二つの動きを一体化したものとして、米帝および日帝による沖縄・辺野古新基地建設強行の攻撃が決定的に強化されようとしていることである。

 革共同と動労千葉労働運動のせん滅狙う

 まずわれわれは、9月14日の民主党代表選挙で菅が小沢を打倒することを通して菅政権が再構築されたことについて押さえなければならない。菅は日帝主流と一体化し、「政治と金」問題をもって小沢を打倒し、菅政権の帝国主義救済政権としての本質をいよいよ明確化した。菅政権は依然として、09年8・30での戦後自民党支配の崩壊の上に成り立つボナパルティズム的政権としてあるが、この過程を通して日帝ブルジョアジーへのすりよりを徹底化している。
 菅は7月参院選敗北で決定的打撃を受けたが、9・14小沢打倒劇を通して再浮上し、今や6月に打ち出した「所信表明」の路線に完全に舞い戻り、日帝ブルジョアジーとともに日帝救済政策を強行しようとしている。
 すなわち菅は「戦後行政の大掃除」なるものを大前提として、さらに@財政再建(消費税)A新成長戦略B日米安保堅持と沖縄・辺野古新基地建設――の三つの攻撃を全力をあげて遂行しようとたくらんでいる。しかしながら菅政権のこうした政策は、実際には現在の大恐慌の進行や日帝の危機と議会制的政治支配の崩壊的現実の中で決定的に破産し、その無力性を暴露することは明らかである。とりわけ経済政策・財政政策で今日の日帝の危機を救済することなど不可能である。ほとんど出発即破産として進行する。
 そうした破滅的な現実の中で、菅政権のプロレタリア革命(労働者階級の闘い)に対する激烈な反革命という本質がむきだしになる。このことは菅の9・14後の内閣・党人事をみてもはっきりする。仙谷が政権全体の重心となり、内閣には片山、蓮鉉、玄葉、前原などが配置され、党には幹事長の岡田のもとに副幹事長に枝野が配置されている。この姿の示すものはあまりにも明らかだ。
 要するに、4・9反革命を通して動労千葉を解体し、階級的労働運動の火を4大産別から、そして全戦線から一掃する一大反革命を遂行しようということである。そしてそのもとで、道州制攻撃、公務員総人件費2割削減、公務員360万人のいったん解雇・選別再雇用の攻撃などを全面的に遂行しようということである。
 菅内閣は、この攻撃の究極的核心が革共同と動労千葉労働運動の運動的組織的なせん滅にあることをきわめて明確につかんでいる。そしてこうした攻撃においては、帝国主義化し変質・転向した元社民・元市民運動家などという彼らの経歴はけっして無視できない。革共同と動労千葉労働運動のもつプロレタリア革命への恐るべき執念、継続性、組織性、そしてその闘いの爆発を通しての階級的大衆的な結集力に、それこそ自己の実存的危機を感じた経歴をもった者どもが、権力の座につき、ブルジョア独裁の力を背景に労働者階級や闘う党組織、メンバーに襲いかかることについて、過小評価することはきわめて危険である。
 われわれは、かつての第1次世界大戦時のドイツ革命において、勝利できる力をもっていたドイツ・プロレタリアートが、帝国主義的社民政府の反革命テロルによって血の海に沈められたことを断じて忘れてはならない。

 朝鮮・中国侵略戦争へ沖縄闘争解体を策す

 そして、この菅政権の反革命的労働運動攻撃の問題と完全に一体のものとして、朝鮮侵略戦争情勢、沖縄新基地建設攻撃の情勢があることについて押さえておかなければならない。釣魚台への日帝の侵略行動の激化は、この情勢をさらに激化させるものである。
 大恐慌が激化の一途をたどることは明白である。その中で帝国主義(大国)間争闘戦がこれまでとは画然と異なる質と量をもって進行し、世界を軍事的に支配する力が決定的に浮上してきている。米帝は明らかに中国に力勝負で重圧をかける方向を強めている。そして、アジア=世界を支配していく枢要点として、北朝鮮スターリン主義の崩壊を自己の主導で推進し、朝鮮における内乱や戦争の危機をにらんで、朝鮮侵略戦争の態勢を具体的に強めている。
 米韓合同演習なども例年とは異なってきている。韓国のイミョンバク政権は軍事的対立への体制をとり、崩壊した北朝鮮の吸収の仕方などについて政府として準備を開始している。それは韓国の労働運動解体攻撃や治安攻撃の熾烈化として現に進行している。
 また、こうした文脈を背景として、日帝・菅政権は前原外相のもと、釣魚台をめぐる船舶の衝突問題をきわめて激しい帝国主義的侵略戦争政策として進めている。この動きは明らかに朝鮮情勢の展開と結合している。米帝はこれについて、「尖閣列島」(日帝が日清戦争で略奪した釣魚台)は日米安保同盟の守備領域などとわざわざ言っている。朝鮮情勢と日米安保の活用をにらんでそう言っているのだ。
 菅政権は沖縄問題についても、6月の「所信表明」の路線をもって臨もうとしている。要するに、「青年に対して言いたい。国のために覚悟はできているのか!」と言った、あの路線である。朝鮮情勢、中国情勢などにからんで、沖縄海兵隊が「抑止力」であることを小沢打倒の際に突きつけている。菅政権は、朝鮮情勢などと関連させつつきわめて組織的計画的に、一定の時間をかけても沖縄県民を分裂させ、辺野古新基地容認へとひっくり返すことを狙っている。沖縄闘争は今こそ再度の革命的決起をかちとり、米軍基地撤去=沖縄奪還、安保粉砕・日帝打倒への飛躍を実現しなければならない。
 釣魚台問題を反革命的テコにして排外主義・国家主義をあおる菅政権に対し、日帝の朝鮮・中国侵略戦争のために日米安保があり、そのための「不沈空母」として沖縄があることを暴露し、沖縄闘争に全力で決起しよう。

 W 動労千葉型の労働運動をどこまでも発展させる展望をもって

 4・9反革命と徹底対決しその粉砕へ総力決起しよう

 この中で労働者階級はどのようにして現実の階級攻撃に勝利し、敵階級を打倒していく闘いを推し進めるべきか。その回答はどこまでも現実の階級闘争の中に、階級的現実の中にある。
 この情勢を階級的に切り開き、大恐慌を本当にプロレタリア世界革命に転化していく道は、敵階級が一切の根幹として全力をあげてやろうとしていること、すなわち4・9反革命を真っ向からみすえ、4・9反革命を粉砕するために総決起していくことである。
 4・9反革命は、動労千葉とともに闘ってきた1047人の国鉄労働者の闘いとその100万人支援陣形を、帝国主義的、権力的な重圧によって解体し一掃する攻撃である。動労千葉と1047人の闘いを分断し、動労千葉を圧倒的に孤立させてついに圧殺しようという恐るべき攻撃である。菅民主党政権はまさに、労働者階級に半ば足をかけたボナパルティズム政権としての反革命的特質をフルに利用して、体制内派の反革命的取り込みを通して4・9反革命を実行したのである。そしてその完遂のために、国鉄分割・民営化攻撃の完遂をめざして必死になっているのだ。この意味で、4・9は始まりであって、分割・民営化攻撃の完遂かその粉砕・転覆かをかけた、すさまじい階級決戦が今まさに現在的に進行しているのである。
 闘う労働者はまさに動労千葉と階級的労働運動の圧殺のドスを突きつけられたのである。4・9反革命との対決はいわばひとつの戦争である。労働者階級のかけがえのない前衛的部隊を階級的に抹殺するための攻撃であり、革命運動の絶滅攻撃である。革共同にとってはその戦略的基軸を粉砕する攻撃だ。闘う労働者は今こそ、階級的怒りの一切と自己解放を求めてやまぬ全身のエネルギーのすべてをかけ、顔面蒼白(そうはく)になり、危機感をむきだしに総決起しなければならない。
 しかし、革共同も動労千葉も絶対に絶望などする必要はまったくない。よくよく考えてみれば、まだまだ運動的組織的にも不十分な勢力であるわれわれに、日帝権力、菅民主党政権そして4者4団体派的全勢力(全体制内派)が血相を変えて襲いかかってくるということは、実は彼らこそ本当は行きづまっており、危機に陥っているということなのだ。
 大恐慌が大失業と戦争を生みだす時代、帝国主義がその歴史的生命を終わらせ、反動と暗黒の政治の中でしか延命できない時代において、一切は労働者階級の自己解放闘争=革命の勝利にかかっていること、すなわち階級的労働運動の発展と前進にあることは明白である。体制崩壊の危機と混乱に陥っているのは敵階級である。労働者階級が本当に社会の主人公として立ち上がり団結すれば、労働者階級の圧倒的勝利となる情勢なのである。圧倒的に多くの労働者が怒りに満ちて決起したいと思っている情勢が来ている。そうした革命的情勢はどんどんつくられ、成熟してきているのである。
 今ここで必要なことは、革共同が全党をあげて動労千葉の労働者と一体となり、そして本当に現実に実践的に職場労働者と結びつき、つながっていくために、どんな変革もいとわず断固として立ち上がっていくことである。動労千葉の田中委員長が繰り返し強調していることの核心はここにある。
 そのためには、労働組合のもつ可能性、革命性を本当に確信し、動労千葉を先頭に動労千葉型の階級的労働運動をどこまでも発展させていくという展望をもつことである。そのために、三井三池、日鋼室蘭、東宝争議、王子製紙、日産争議などの戦後労働運動史を飾る大闘争に匹敵するものを国鉄決戦の中でつくろうということを腹の底から確認することである。
 もちろんわれわれは、例えば、あの大ストライキを闘った三井三池の組合が権力との全面激突に直面して、最後は組合の命令一下、闘争を終結し、その後解体されたような歴史を絶対に繰り返さない。そのためにも、われわれ自身が血みどろ汗みどろになって現場との結合のために闘い、われわれの階級的労働組合をつくるしかないということである。
 この闘いをやり抜くには、全世界の帝国主義、日帝とその権力、資本、全体制内派の総がかりの重圧を自らの力で断固としてはねのけるという階級的意志を固め、時代認識と路線をもって武装することだ。革共同の綱領草案のすべてを背負い貫く革命精神で武装し、武装し続けなければならない。
 そして、こうした闘いの決定的な階級的武器となるものとして、動労千葉が血みどろの闘いの中で切り開いてきた「反合・運転保安闘争」の路線があることを強烈に確認し、たくましく前進していくことである。

 体制内労働運動のりこえる本物の階級的労働運動を

 4・9反革命をのりこえ、動労千葉と動労千葉型労働運動を全国的に階級的労働運動の陣形としてつくりあげていく闘いの今日的なテコとして、決定的な武器として、6・13大集会をもって提起されたのが国鉄闘争全国運動である。この全国運動の目的をきわめて端的に、正確に提起している全国運動要綱(パンフ『国鉄闘争の火を消すな――新たな全国運動をよびかけます』に掲載)の次の文言に注目したい。
 「本会は、新自由主義攻撃への対抗軸となる新しい労働運動をつくりあげることを展望し、国鉄分割・民営化反対、1047名解雇撤回に向けた全国的な運動を呼びかけることを目的とする」
 ここにはきわめて深い意義内容が含まれている。この全国運動はまず、国鉄決戦を全労働者階級の闘いとして確認し、これを徹底的に闘うことを提起している。そしてその闘いは、新自由主義と対決する新しい労働運動をつくるという巨大な革命的目標に向かって進むものとして提起されている。すなわち、4・9反革命ののりこえという問題を、破産した旧来の体制内化した労働運動を根底からのりこえるまったく新しい本物の階級的労働運動を本気でつくりだすこととして提起している。闘う労働者自身の力で本来の階級的労働組合運動を全国すみずみからつくりあげていこう、そのために4・9反革命との徹底対決を全労働者の階級決戦としてやりぬこう、必要な組織をつくり、基金体制もつくろうと提起しているのである。
 しかもこれは一般的な階級的労働運動の呼びかけではない。さらにいえば一般的な現場重視の呼びかけでもない。この運動の決定的なところは、階級的労働運動をいかにつくるのか、現場がいかに闘うのかについて、動労千葉と動労千葉を先頭とする国鉄決戦の切り開いた革命的地平と現実的成果を徹底的に生かしきろうとしているところにある。現場で創造的に職場闘争を組織し、生きた現実の労働者と具体的に結合していくテコとして、動労千葉労働運動の地平を生かしきろうという提起がされているのである。
 革共同は、この提起を真っ向から受け止めて、革命的共産主義運動がともすれば現場と切り離されて展開されたり議論されたりする否定的現実を徹底的に打ち破ろうという、党と運動の根底的な体質変革を今こそなしとげなくてはならない。「党の革命」はまさに現実にこうして、現場を基準に、そこで組織と運動をつくる闘いを党が本気でやりぬくこととして初めて貫徹されるのだ。
 国鉄全国運動に全力で取り組み、その成果をもって11月労働者集会への1万人結集をなんとしてもかちとるために、この10月総決起しよう。そしてさらに猛然と全国各地で白熱的な闘いを拡大していこう。

 国鉄決戦を基軸に新自由主義と対決を

 今ひとつ重要な点を確認しよう。全国運動が掲げる「新自由主義との対決」について。日帝の新自由主義攻撃は国鉄の分割・民営化として開始されたが、この新自由主義は今日、大恐慌としてその破綻を露呈した。しかし資本主義・帝国主義にとっては新自由主義は絶望的究極形態であって、破綻すればするほど、よりむきだしの絶望的な新自由主義的攻撃に進むしかなくなってくる。今日のJRでの検修全面外注化やライフサイクル攻撃は、鉄道産業的には末期的でぼろぼろの延命策でしかない。しかしJRはこの攻撃をなおも強行しようとしている。要するに、国鉄分割・民営化攻撃は第1次で完結などせず、第2次のとてつもない分割・民営化をさらに進めるしかないのである。
 こうして国鉄攻撃は依然として日帝の新自由主義攻撃の基軸にあるということだ。この意味で今日、国鉄決戦を基軸に徹底的に闘うことは、日帝の新自由主義攻撃の基軸と激突することなのである。
 菅政権は、公務員労働者360万人首切り攻撃や道州制攻撃に日帝ブルジョアジー救済の基本軸を置こうとしているが、そのためにも、動労千葉を先頭に全労働者の力を結集して闘われる国鉄決戦をなんとしても今のうちに圧殺しようとしているのだ。他の民間の場合も、階級的労働運動の圧殺のテコに動労千葉圧殺を据えている関係は同じである。国鉄決戦を基軸に4大産別の闘いを進める路線のもとで国鉄闘争を全国運動として闘いぬくことは、敵の攻撃の体系性をその根幹から打ち砕く点で正しく的を射ているということである。

 11月1万人結集からAPEC−G20粉砕へ

 すでに提起したように、労働者階級はこの秋から冬にかけて、@4・9反革命A朝鮮侵略戦争の切迫B沖縄闘争の重大段階――という激動する内外情勢と真っ向から全面的に対決して闘うことを迫られている。結論的に言えば、階級的労働運動を本格的に形成していくという、目下の火点の最も死活的で決定的な課題を基軸的総括軸にして闘いぬく。その軸を柱に、階級的運動の現実的前進の戦取の立場から、朝鮮侵略戦争阻止闘争、沖縄闘争の革命的推進を闘いとっていくことだ。
 このとき大きく押さえておきたいことは、帝国主義の行う侵略戦争の究極の階級的本質は、帝国主義の体制的崩壊の危機の中でプロレタリア革命に向かって決起する労働者階級を国内的=国際的に一挙に圧殺・せん滅する反革命攻撃としてあるということである。つまり、この情勢下の階級闘争推進の原則は、プロレタリア革命に向かって現実的で死活的な闘いで圧倒的に前進することが全体の闘いを統一していく基軸となるということである。
 国鉄決戦を基軸として、国鉄決戦の前進と、朝鮮侵略戦争反対闘争、沖縄闘争を独自の反戦政治闘争として闘いぬくこととを、革命的に統一して闘おう。三里塚闘争を反戦政治闘争の決定的な一環として位置づけて闘おう。戦闘的学生運動を復権させ、諸戦線の闘いを前進させよう。
 11月労働者集会1万人大結集の力で菅政権を打倒しよう! 11月APECとG20は国際帝国主義の労働運動破壊と朝鮮侵略戦争のための強盗会議だ。11月1万人決起と国際連帯の力で粉砕しよう! 沖縄・辺野古新基地建設阻止! 沖縄を朝鮮・中国・アジアへの侵略拠点にするな! 米軍基地撤去=沖縄奪還、安保粉砕・日帝打倒! これら一切の勝利をかけて、国鉄全国運動の全面的爆発で4・9反革命を粉砕し、不抜の階級的労働運動拠点を構築しよう!

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週刊『前進』(2459号5面1)(2010/10/11 )

 全国学生は10月反戦行動から11月1万結集の先頭に立とう

 侵略戦争へ突き進む菅を倒せ

 11・7労働者集会への1万人結集で、日本帝国主義・菅政権の侵略戦争への突進を粉砕しよう! 今、支配階級は釣魚台問題をも契機に愛国主義・排外主義をまき散らし、朝鮮・中国侵略戦争衝動を噴出させている。そして沖縄・辺野古新基地建設を強行しようとしている。国境を越えた労働者・学生の団結した大集会と大デモこそが戦争を止める力だ。1万人の大隊列が必要だ。それは絶対にできる! 大恐慌の深まりの中で、歴史を分かつ大反戦行動として11・7を爆発させよう。

 大恐慌-戦争・大失業

 11・7への1万人結集は第一に、世界大恐慌の深まりの中で、侵略戦争へと突き進んで延命しようとする日帝・菅政権を打倒する闘いだ。大恐慌は今や、日米欧帝国主義の国家財政を破綻させ、労働者階級に対する大失業攻撃として襲いかかってきている。他方では、米帝オバマ政権の「5年間で輸出2倍化」宣言をも大きな引き金としながら、保護主義(ブロック化)の激化、輸出先・市場をめぐる激突、為替・通貨戦争として帝国主義と大国間の争闘戦を爆発的に激化させている。かつての29年大恐慌−30年代−第2次世界大戦をはるかに上回るかたちで、最末期帝国主義の領土略奪、侵略欲求が現実の侵略戦争に転化しているのだ。
 その中でも、最も危機なのは日帝だ。帝国主義中最悪の国債残高や解決不能の財政赤字と敗戦帝国主義としての軍事的・政治的制約に追いつめられている。その突破へのあがきが、「新成長戦略」(6月18日)での「東アジア共同体」構想と「新安保懇」報告(新たな時代の安全保障と防衛力に関する懇談会、8月27日)だ。同報告は「日本版海兵隊創設」や「静的抑止から動的抑止へ」の転換、「受動的な平和国家から能動的な『平和創造国家』へ」など侵略戦争国家への飛躍を宣言している。
 米日帝国主義による北朝鮮侵略戦争が切迫している。すでに米帝は、北朝鮮と中国を対象に日本海、黄海などで米韓合同軍事演習を戦争挑発的に行っている。米帝は、イラク・アフガン侵略戦争の泥沼から抜け出せないまま、アジアにおいても日帝と共同・競合して侵略戦争に突き進まざるをえない。その環に沖縄・辺野古新基地建設の強行がある。大恐慌と「過剰資本・過剰生産力」の重圧下での帝国主義間の争闘がスターリン主義をも巻き込む世界大的戦争へと発展しようとしている。
 戦争と大失業の帝国主義・資本主義に何の未来もない。今こそ労働者・学生の断固たる反戦闘争を帝国主義者どもにたたきつけよう。

 戦争に加担する大学

 11・7への1万人結集は第二に、「教育の民営化」と戦争協力へ突き進む新自由主義大学に対し、学生が「戦争絶対反対!」を掲げて立ち上がり、法大闘争の不抜の地平をふまえて、全学連運動の歴史的な再興をかちとる闘いだ。
 新安保懇の委員には、前統合幕僚長や資本家とともに京大法学部教授・中西寛をはじめとした大学教授どもが名を連ね、侵略戦争国家への転換のイデオロギー的支柱になっている。また、大学に対してこの間、研究・技術の軍事的応用を狙って米軍による研究助成が増加している(東京工業大5万j、大阪大9万5千j、東京大7万5千j、京都大5千j、東北大2万5千jなど)。身分が不安定な任期付き助教授が研究を続けるために、「どんな助成チャンスにもすがりたい」と軍事マネーを受け入れている(9月8日付朝日新聞)。
 さらに『法政大學新聞』(9月21日号)での「就職特集」では「国民の安らぎのために」と銘打って自衛隊への就職を大々的に宣伝している。腐敗した大学当局とそれに密着する学生団体が学生を戦争に駆り立てているのだ。法大決戦の勝利的地平は、ここまで革命的分岐をつくり出した。「奨学金・学資ローンの返済のために軍隊・戦場へ」というアメリカで起きている事態が日本でも現実化している。
 「教育の民営化」は大学の戦争動員と一体だ。資本に屈服した「教育者」どもが戦争協力の先兵となる。絶望の未来しか描けないやからに大学・教育を語る資格はない。自らの生き方をかけて侵略戦争絶対阻止の嵐のような行動をキャンパスから巻き起こそう。

 反戦と国際連帯訴え

 11・7への1万人結集は第三に、大失業と戦争に対し、既成政治勢力の屈服を打ち破り、反戦と国際連帯を対置し社会を変革する労働者階級の団結を取り戻す闘いだ。
 国鉄闘争における4・9政治和解への屈服を選択した日本共産党が日本帝国主義の利害を体現する戦争翼賛勢力として登場している。共産党の10・4声明「尖閣諸島問題 日本の領有は歴史的にも国際法上も正当――日本政府は堂々とその大義を主張すべき」では、菅政権を右から突き上げる右翼ファシストと見間違うばかりの主張を展開している。ブルジョア支配階級へのすりよりであり、労働者国際主義の破壊であり、共産党こそが戦争政策に真っ先に賛成し反対勢力をたたきつぶしていくという宣言だ。
 特に、釣魚台問題の本質は、朝鮮情勢とも関連させて沖縄県民を分裂させ、辺野古新基地建設を強行することにある。その最先兵に日本共産党が登場したということだ。
 11・7労働者集会は、戦争に絶対反対し、国境を越えた団結をつくり出す。反戦と国際連帯の旗のもとに1万人が結集すれば、大恐慌の現実に怒る膨大な労働者・学生を獲得し階級情勢を一変させることができる。
 戦後階級闘争が示しているように、学生の行動と選択が歴史を決していく。11・7への全国学生の大結集で日比谷を埋め尽くそう。動労千葉をはじめとした世界の闘う労働者民衆と結合しよう。10・21国際反戦デーを全国学生統一行動としてかちとり、全国キャンパスを60年、70年を超える勢いで席巻し、学生は11月大結集の最先頭に!
 〔マルクス主義学生同盟中核派〕

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週刊『前進』(2459号6面1)(2010/10/11 )

団結ひろば 投稿コーナー 団結ひろば 投稿コーナー

 法大門前で反戦ビラが次々受け取られた 法政大学 倉岡雅美

 今週の門前展開では「釣魚台略奪弾劾」「学生は今こそ戦争反対で立ち上がろう」と訴える演説が今までにない注目を集め、開講日をはるかに上回る空前の枚数のビラが受け取られました。
 「反戦ビラが待ち望まれていた!」「学生は反戦闘争でこそエネルギーを爆発させることができる」と確信できました! 議論や結合も活発に行われています。
 10月5日には中国人留学生が友人の分までビラを受け取りに来ました。「部室でビラが名物になっている」と声をかけてくるサークル員もいました。
 課題は学生が誰しも感じている「反戦」や現状に対する怒りから11月集会への決起をつくり出していくことです。11月労働者集会まで残り1カ月、1万人実現に向けて驀進(ばくしん)しましょう!

 10・2渋谷街宣で激しい分岐と獲得戦 東京 十字賛

 10月2日、11・7集会への結集を呼びかけようと国鉄全国運動主催の渋谷駅前街宣に参加しました。この日は、同じ渋谷で田母神俊雄が会長をつとめる「頑張れ日本! 全国行動委員会」が「中国の尖閣諸島侵略糾弾!」を掲げ、集会と渋谷・原宿デモを呼びかけており、何らかの「激突」もあり得るという緊張をもって臨みました。
 街宣が終わりにさしかかったころ、その「中国弾劾」デモが私たちの目の前を通過していきました。6梯団で約2千人はいたでしょうか。最初の梯団は、ほぼ全員が「日の丸」を掲げる異様なものでしたが、デモに参加していたのは、いわゆる(戦闘服を着ているような)右翼ではなく、20代、30代の普通の青年労働者・学生です。横断幕には「菅ファシズム政権打倒」と書かれ、「戦争やめろ」というコールも聞こえてきます。彼らも「ファシズム反対」「戦争反対」ということなのです!
 そして街頭で出会う労働者の現実はすさまじい。「10月いっぱいでクビだと言われた。ストライキをやりたいよ」という外国人の青年労働者、「慶応を目指して受験勉強をしているけど、競争はもういやだ」という高校生など。明日生きられるかも見えない現実の中で、生き方を探し求める労働者が、労働組合への絶望と排外主義の扇動に獲得されるのか、労働運動とプロレタリア革命の側に獲得されるのか。激しい分岐と獲得戦が街頭で繰り広げられたということです。
 ハッキリさせなければならないことは、労働者にとって必要なのは田母神らがまき散らすデマゴギーではなく、「労働者は国境などもたないひとつの存在だ」という真実です。この真実と「力」をもって登場するなら、この日の「右翼」デモ隊の4分の1、いや半分ぐらいは獲得できるのではないか。そう思いました。
 その「力」こそ11・7の1万人結集です。別の街宣では中国人留学生が「戦争なんかやりたくない」と11・7に賛同してくれています。
 今本当に労働組合が問われていると思います。労働組合としてどんどん街頭に登場し、戦争絶対反対、国際連帯の11・7集会へ組織、組織の闘いをやり抜きましょう。

 もんじゅで落下事故 経産省に緊急抗議 東京 W

 9月28日夕刻、国鉄闘争一日行動の合間をぬって、首都圏の8・6広島―8・9長崎反戦反核闘争全国統一実行委員会は、霞が関の経済産業省―原子力安全・保安院に対し、もんじゅ中継装置炉内落下事故弾劾の緊急行動に決起した。
 今回の事故は、高速炉の技術的難点だけでなく、大恐慌下における帝国主義としての生き残りをかけた日帝の新たなアジア侵略への踏み出し、原発輸出とワンセットの核武装への支配階級の激しい衝動が引き起こしたものだ。経産省こそ、もんじゅの立地・建設・稼働に最終許可を与え、5月6日の運転再開にゴーサインを出し、事故を発生させた最高戦犯ではないか。菅改造内閣の経産相は、日立製作所労働組合(電機連合)専従役員と原発プラント設計担当の経歴を表看板とする大畠章宏。資本家階級救済のため、階級的労働運動・反戦反核闘争つぶし攻撃の最も悪質な先兵と化した民主党・連合を絶対に許せない!
 大畠経産相、寺坂保安院長あての抗議文を応対の保安院企画調整課・加畑晶規係官につきつけ、「事故の真相をすべて明らかにせよ」と迫った。「ホームページを見てください」の繰り返しに怒りが倍加、一丸となった抗議で回答を約束させた。「もんじゅの運転再開をただちにやめろ!」「もんじゅを廃炉にせよ!」のシュプレヒコールを庁舎に向かって参加者全員がたたきつけた。もんじゅ炉内落下事故と菅政権に対する弾劾のビラは、通行・退勤の労働者に次から次へと受け取られていった。
 10月1日、日本原子力研究開発機構は、今回の事故の中間報告書を公表した。報告書は巨大事故の真相を徹底して押し隠し、運転再再開へ悪あがきする許しがたい内容だ。今、もんじゅ・六ケ所再処理工場・核燃サイクル解体、日帝核武装阻止の勝利の展望は、われわれのもとに引き寄せられた。この流れを11・7労働者1万人集会に合流させていこう。

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週刊『前進』(2459号6面2)(2010/10/11 )

 星野再審 新証拠を添え補充書提出

 “供述調書の信用性全くない”

 9月30日、星野文昭同志と再審弁護団は、第2次再審請求補充書(その1)を、新証拠「星野文昭氏に関する3人の供述人の供述の正確さに関する心理学鑑定書(1)」(厳島鑑定書)を添えて、東京高裁第11刑事部に提出した。
 無実の星野同志に無期懲役刑を下した確定判決(1983年、東京高裁・草場良八裁判長)は、物的証拠がまったくない中でデッチあげられた6人の「供述調書」を唯一の証拠とするものである。この「供述調書」の信用性を徹底的に弾劾することで確定判決を根底から覆すことができる。
 今回提出された「厳島鑑定書(1)」は確定判決の証拠構造上、3人の供述分析に絞られている。「記憶に関する一般的理論編」であり、心理学的知見に基づき3人の「供述調書」の信用性がまったくないことを科学的かつ決定的に証明している。
 記憶に関する心理学研究は、70年代以降、大きく発展した。それは、記憶が「知覚」「保持」「検索」の三つの段階から成っていることや、これら各段階での記憶を阻害する要因を明らかにしている。目撃時間が短ければ十分な知覚は得られないこと、怒り、恐怖など「情動」性の喚起は知覚を阻害すること、また目撃から思い出すまでの期間が長くなれば、知覚した出来事も忘却されることなどなどである。
 71年11・14沖縄返還協定批准阻止闘争当日の機動隊員のせん滅は、1万2千人の機動隊で制圧された首都東京で、闘争圧殺を図り阻止線を張る機動隊と、星野同志が率いるデモ隊との激突の中で生じた出来事である。それはデモ隊員の情動性が極度に喚起されていた中での、「捕捉」から「現場離脱」までたった40秒未満の出来事であった。「供述調書」は、こうした条件下での「知覚」に基づく、2カ月半も経過した後の想起(「検索」)の内容である。真実の記憶に基づけば詳しい供述などあり得ない。
 だが3人の「供述調書」は、ビデオテープを再生したように、当日の現場の出来事をこまごまとしたことまで、時間の経過に従って詳細に述べている。「厳島鑑定書(1)」では、このような記憶の想起など断じてあり得ないことが科学的に明らかにされたのである。最近の検事犯罪が示すように、取調官のデッチあげストーリーに合った供述が強いられ、ねつ造されたのである。
 11・7全国労働者総決起集会の成功を、星野同志奪還の観点からも渾身(こんしん)の決起でかちとろう。
 そして連続して11・27星野奪還全国集会に突き進もう。
(写真 東京高裁への補充書提出に集まった弁護団、星野暁子さんとともに【9月30日】)

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週刊『前進』(2459号6面3)(2010/10/11 )

 星野再審実現する運動が奥深山さんの命を守る

 奥深山さんの免訴を実現する会 橋爪利夫

 8月10日付けの朝日新聞に“勾留17年以上被告が自殺か”という記事があった。公判停止中の男性被告が千葉刑務所内で死亡と報じられている。統合失調症による「心神喪失」との鑑定が出され、公判停止が決まったが治療もないまま16年間も拘置施設内に放置された結果の獄死である。
 この被告の元弁護人は「裁判所や地検は『被告の訴訟能力回復を待つ』と説明していたが、医療機関への入院など適切な治療を受けさせなかった。自殺という重大な結果を招いた責任は重い」と指摘している。
 裁判で勾留中に発病した被告を直ちに医療機関で治療を行う責任が、裁判所や地検、それにも増して千葉刑務所当局にあることは明らかである。にもかかわらず何の治療も行わずに無責任に獄中に放置して獄死させたのだ。許すことができない。
 ☆
 今回報道された男性被告と同様、奥深山幸男さんは71年渋谷闘争の一審裁判過程で発病し、79年10月の判決直後に保釈されて病院で治療を続けてきた。81年7月には公判手続停止となった。
 その後、長期にわたる治療の中で94年12月、奥深山さんの免訴を実現する会は31人の弁護団をもって「公訴棄却・免訴申立」を行った。94年6月に弁護団は、奥深山さんの訴訟能力に関する西山鑑定書を提出し、東京高裁刑事第11部に「公訴棄却・免訴」の決定を早急に行うことを迫ってきた。
 ところが東京高裁は千葉地裁同様に無責任に判断を引き延ばし、病気で裁判の継続が不可能である奥深山さんを被告の席に縛り付けているのだ。
 今回、奥深山さんの精神鑑定で訴訟能力ありとした村松太郎医師(慶応大学病院)は、今年5月の鑑定人尋問で、奥深山さんの訴訟能力についての弁護団の質問に「そこは結論には至らなかった」と答え、鑑定書で「訴訟能力あり」の結論を出したことを「それは私の意見であり、削除していただいて結構です」などと開き直った。
 一人の人間の運命がかかった鑑定においてなんという無責任な態度なのか。本当に許し難い。このような無責任な鑑定書をもとに東京高裁刑事第11部が裁判を再開することを絶対に許してはならない。
 ☆
 奥深山さんは公判手続停止後の28年間、生きる力を多くの人びととのつながりの中で獲得し、それに支えられて治療生活を生き抜いてきた。苦しくなれば、支援者や友人に電話をかけ、手紙を出す。誰だって自分への関心や支持が集まれば、気持ちも楽になるし、積極性も出てくる。生命力が活性化するのだ。
 この夏も多くの暑中見舞いをいただいたことが大きな力になっている。そういう支えの中で、常に誰かとつながりたいという欲求も満たされて、心の安定も得てきたのである。
 今回の村松鑑定は、「奥深山さんの免訴を実現する会」の人たちが奥深山さんを支えてきた関係もすべてぶち壊し、奥深山さんの存在をまるごと破壊するような環境にたたき込もうとするものである。
 奥深山さんの治療環境を守り抜くことは命を守り抜く闘いであり、それはまた星野再審闘争とも一体である。星野再審闘争は奥深山さんの闘病と一体の闘いなのだ。権力をして星野さんを拘束しておくことに耐えられないところまで星野再審の運動を組織していくことは、奥深山さんの命を守ることにつながっていくものと私は考える。
 村松鑑定を粉砕して「公訴棄却・免訴」を実現し、奥深山さんの自由を絶対に実現しよう。

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週刊『前進』(2459号6面4)(2010/10/11 )

 西郡住宅明渡裁判が結審

 応能応益許さぬ

 八尾市弾劾を宣言

 10月1日、大阪地裁第11民事部(田中健治裁判長)で西郡住宅明け渡し弾劾裁判が開かれ、3年間の裁判の結審にあたり被告3人が気迫に満ちた最終意見陳述を行った。
 最初に陳述に立った辻西幸子さんは、9月3日の年金・貯金差し押さえ弾劾裁判の反動判決を弾劾。「催告期限を延期する」という八尾市の橋本建築長の発言を認定しながら住民の訴えを却下した司法は腐っている。「応能応益家賃制度を認めた最高裁判決はすでに現実の前に崩れている」と裁判所に突きつけた。
 続いて法廷に立った田中由加さんは、若者が西郡から出て行かざるをえなくしている応能応益制度の問題性を暴き、「西郡をむちゃくちゃにしているのは、解放同盟本部派と住宅管理課だ」「私たちには西郡に生まれ、住み、生きていく権利がある」と弾劾した。
 最後に部落解放同盟全国連西郡支部長の岡邨洋さんが陳述。岡邨さんは「応能応益制度は新自由主義攻撃」「府営住宅を今後半分にする(橋下大阪府知事)」「大震災の被災者3500世帯を市営住宅から追い出す(神戸市)」など、菅政権が進める新成長戦略は「公的部門を民営化し、医療や教育、福祉、住宅、人間の命までも食い物にしていく攻撃だ」「八尾市は保育所や窓口など800事業を民営化し、八尾北医療センターを売り飛ばし、あらゆる物を金次第にしようとしている。許したら生きていけなくなる」と断罪した。
 そして、動労千葉に続き、「自分と家族、西郡の住民、全国の労働者の生き死にをかけ、13年間、応能応益制度絶対反対・供託堅持で闘い住宅の民営化を阻止している」「西郡支部は、08年からの住宅裁判と昨年の花屋の森本政二さんへの住宅追い出し強制執行阻止を八尾北労組のスト決起とともに闘った。階級的労働運動のもと、新自由主義と対決し勝利する部落解放闘争が始まった」と確信を込めた。
 「八尾市は住宅闘争の解体や労組の団結を破壊をできないまま八尾北明け渡しに手をかけざるをえなかった」「支部は八尾北労組、八尾北命と健康を守る会、地域の労働者と固く団結し、住宅闘争と八尾北明け渡し阻止闘争に勝利する」と戦闘宣言を発した。
 判決は来年1月28日午前11時。国鉄闘争全国運動を職場と地域、八尾市の労働者に持ち込み11・7集会1万人結集の先頭に立つ。これと一体で11月10日午後2時、大阪地裁大法廷での八尾北医療センター明け渡し弾劾裁判闘争を闘い、住宅明け渡し裁判勝利へ攻勢的に闘おう。
(投稿/ 全国連西郡支部 植村清)
(写真 裁判後、来年1月の判決に向けて八尾市と攻勢的に闘う決意を固めた【10月1日 大阪地裁】)

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週刊『前進』(2459号6面5)(2010/10/11 )

 暴処法裁判 研究者が証言に

 “画像粗く識別不可能”

 10月1日、法大暴処法弾圧裁判の第18回公判が東京地裁刑事第1部で行われた。
 冒頭、新井拓君が「検察官全員に対して意見がある」と立ち、「証拠ねつ造問題について検察官はすべての法廷で土下座せよ。『二度とデッチあげはしません』と誓え! 検察庁は解体・一掃されるべきだ」と怒りをたたきつけた。傍聴席から共感の喝采が上がる。検察官たちは押し黙ったままだ。
 弁護側証人の1人目として小川進さんが登場した。小川証人は画像分析の第一線の研究者だ。1枚の衛星写真などから、肉眼ではわからないような河川の支流や資源の有無、生物の分布などさまざまな情報を引き出す専門的な知識と技術を持っている。
 小川証人は、法大の監視カメラ画像を使ったデッチあげ立証を明快に批判した。
 「こんな粗い画像で個人識別などできない。研究者のレベルでは論外だ」「連続画像ならわかる、ということも絶対にない」「画像を見て被告人を特定した証言は、明らかに検察官の誘導と事前の学習によるものであり、客観的で科学的な裏付けなどない」
 当初、検察官は「証人は画像の専門家ではないから、証人採用すべきではない」などと傲慢(ごうまん)な態度だった。しかし、小川証人の提出した鑑定書と証言に追い詰められ、必死に反対尋問でケチをつけようとした。
 小川証人は「立証責任のある検察官があまりに適当すぎる立証をやっていることこそが問題だ。個人識別のデタラメさは十分に反証されている」と、食い下がる検察官を一蹴した。
 検察官は「日を改めて反対尋問を続行したい」と異例の要求を行い、裁判所はこれを認めた。しかし人物特定の破産はもはや明白だ。デッチあげ立証は、その根幹で打ち破られた。
 次回公判(11月1日午後1時30分開廷)は、「団結」そのものを犯罪の要件とする暴処法のデタラメさを刑法学者が暴く。法大裁判で腐敗した司法を食い破り、暴処法弾圧を粉砕しよう!

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週刊『前進』(2459号6面6)(2010/10/11 )

日誌'10 2010年 9月29日〜10月5日

 データ改ざんで前特捜部長ら逮捕/日本共産党「尖閣領有は正当」

●イラン油田、日本撤退へ イラン・アザデガン油田の開発権益を持つ国際石油開発帝石は、同油田から完全撤退する方針を固めた。政府関係者が明らかにした。イランへの制裁措置を強めるため、米政府が日本に対し権益の放棄を要請していた。同社株式の約3割は経済産業相が持ち、筆頭株主の立場にある。(30日)
●3日本人を釈放 中国河北省の軍事管理区域に侵入しビデオを撮影したとして日本の準大手ゼネコン、フジタの社員ら日本人が拘束された事件で、4人のうち3人が釈放された。(30日)
●海兵隊計画、移設頓挫を想定 米海兵隊が11会計年度の航空機配備計画を公表した。普天間飛行場移設計画の遅れや頓挫を想定し、普天間の新たな建設事業を盛り込んだ。米軍が名護市辺野古移設の実現に懐疑的な見方を示すのは初めて。12年10月から普天間に配備される次期主力輸送機MV22オスプレイの部隊名も明記した。(30日)
●前特捜部長ら逮捕 大阪地検特捜部が押収したフロッピーディスク(FD)のデータ改ざん容疑事件に関連して、最高検は、大坪前部長と佐賀前副部長を犯人隠避の容疑で逮捕した。2人の部下だった主任検事がFDのデータを改ざんしたと知りながら隠した疑い。(1日)
●菅が所信表明演説 臨時国会が始まり、菅首相が所信表明演説を行った。米軍普天間飛行場移設問題について「5月の日米合意を踏まえて取り組むと同時に、沖縄に集中した基地負担の軽減に取り組む」と述べた。釣魚台について「歴史的にも国際法的にもわが国固有の領土であり、領土問題は存在しない」と強調した。(1日)
●菅がASEMで演説 菅首相はブリュッセルのアジア欧州会議(ASEM)に出席し、全体会議で中国を念頭に「国際社会の共通のルールを相互に順守を」と発言した。(4日)
●小沢、強制起訴へ 民主党の小沢元代表の資金管理団体「陸山会」の土地取引事件で、東京第五検察審査会は、小沢を04、05年分の政治資金規正法違反(虚偽記載)の罪で強制的に起訴すべきだとする「起訴議決」を公表した。裁判所が指定した弁護士が検察官の代わりに起訴する。(4日)
●日本共産党「尖閣領有は正当」 日本共産党の志位委員長が首相官邸で仙谷官房長官に会い、「尖閣諸島(釣魚台)の日本の領有は歴史的にも国際法上も正当だ」などとする党の考えをまとめた文書を手渡した。(4日)
●菅、中国・温首相と会談 菅首相はブリュッセルで中国の温家宝首相と会談し、釣魚台沖の衝突事件で悪化した日中関係について、双方が戦略的互恵関係の原点に立ち返り、政府間のハイレベル協議を進めることで合意した。(5日)
●普天間に嘉手納F15 米空軍嘉手納基地の滑走路修復工事が本格的に始まり、同基地所属のF15戦闘機が2度にわたって米軍普天間飛行場で滑走路の地面すれすれまで降下するローアプローチ飛行をしているのが確認された。(5日)

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 幕引きの秋 裁判員制度 10・20集会

10月20日(水)午後6時〜8時
東京・弁護士会館2階講堂 クレオ(東京メトロ・霞ケ関駅B1出口)
●講演 池田浩士さん(京都大学名誉教授)
 「ファシズムは市民参加で!――ボランティアから裁判員まで」
●報告 高山俊吉さん(呼びかけ人・弁護士)
 「ここまできた!破綻」
●ビデオメッセージ 高橋伴明さん(映画監督)
 「国のタクラミが気にくわない」
●各地の取り組みと報告
主催 憲法と人権の日弁連をめざす会
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 前進社不当捜索国賠訴訟

 第3回弁論 10月15日(金)午後1時30分
 東京地裁415号法廷

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 法大裁判に集まろう!
 ★5・28暴行デッチあげ裁判(控訴審)
  第3回公判 10月21日(木)午後1時30分
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