ZENSHIN 2010/08/23(No2452 p06)
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週刊『前進』(2452号1面1)(2010/08/23 )
国鉄全国運動を軸に公務員制度改革粉砕へ
11月労働者総決起へ進撃を
非正規職・派遣法撤廃めざし青年労働者を先頭に闘おう
労組青年部運動の前進かちとれ
黄海への米原子力空母派兵許すな 5面
(写真 右翼の敵対はねのけ靖国デモやり抜く 「改憲にむかう菅政権打倒!」。猛暑をふきとばし元気よくシュプレヒコール【8月15日 飯田橋駅前】)
大恐慌をプロレタリア世界革命へ転化せよ! 全世界で青年労働者・学生が怒りを爆発させ、勝利の路線とそれを実現する組織、党と労働組合の一体的推進を求めている。11月労働者集会1万人結集こそこれに応える道だ。国鉄1047名解雇撤回、非正規職・派遣法撤廃の大反撃をたたきつけよう。沖縄米軍基地撤去と改憲・戦争策動粉砕を闘い、国際連帯闘争を発展させよう。職場生産点で闘い、労働組合権力を奪取しよう。労組青年部運動の前進をかちとろう。この力で11月労働者集会の巨万の結集へ上りつめ、11月にソウルで開かれるG20(20カ国・地域首脳会議)と横浜で開かれるAPEC(アジア太平洋経済協力)首脳会議を労働者の国際連帯で粉砕しよう!
「新成長戦略」粉砕しよう
いまや日帝ブルジョアジー、菅政権、連合が一体となって「新成長戦略で国家の危機を救え」と叫んでいる。「新成長戦略」とは、6千万労働者、2千万青年労働者から血の一滴まで極限的に搾取し、「東アジア共同体」という現代の「大東亜共栄圏」を掲げて侵略と戦争へ打って出る大攻撃だ。
ところが連合は、この新成長戦略を「2020年までに123兆円の需要と500万人の雇用を創出する数値目標を高く評価する」と絶賛している。では雇用や社会保障は強化されるのか。まったく逆だ。
新成長戦略の一環としてある「地域主権戦略、新しい公共」の狙いは、2012年の人勧(人事院勧告)体制解体をとおして道州制攻撃、360万人公務員の首切り、労働者階級の非正規職化、外注化による「雇用創出」やボランティア化を強行することである。それによって労働者階級の組織的な抵抗と団結の解体、分断を狙っている。青年労働者はこの新成長戦略を菅政権もろとも粉砕しなければ、生きることさえできない。
多くの青年労働者がどこに展望を見いだしたらいいか分からず悩み、もがき、苦闘している。体制内労組の幹部が「闘っても勝てない」という敗北主義を振りまき、資本主義を救済する側に回って青年労働者を抑えつけているからだ。
だが、資本主義は終わりを迎えている。「リーマン・ショックとギリシャ危機は、なんとか財政出動で需要を支え、破滅的な危機に陥ることは避けられた。だが、次の危機が襲った時には、それを救う財政的余裕は先進国にもはやない」――これは週刊『エコノミスト』の最近の論説だ。ブルジョアジー自身が「次の危機が来たら破滅だ」「ギリシャのようになる」と恐怖している。
労働者階級の立場は「ギリシャの労働者のように立ち上がろう」「資本主義の危機を労働者の闘いで促進し、打倒しよう」ということであり、「労働者階級の党をつくって最後の勝利を手にしよう」ということだ。大恐慌時代こそ、プロレタリア世界革命の現実性に満ちあふれている。
連合幹部や体制内勢力は「労働者は闘っても勝てない」という。闘ってもいないくせに、ふざけるな!
動労千葉は、JR資本の総力をあげた大合理化攻撃をストライキと青年労働者の組織拡大で粉砕した。全日建運輸連帯労組関西地区生コン支部は大手ゼネコンを相手に「産業的ゼネスト」闘争で勝利している。11月集会派の闘いは、労働者階級が本気で団結すれば新自由主義に勝利できることを示している。
全職場に国鉄全国運動を
7月末に開かれた国労第79回定期全国大会は国労が「流れ解散」へ向かう歴史的な反動的大会となった。闘争団の切り捨てを決め、全国単一組織の解体へ突き進み、ついにストライキ基金の取り崩しまで決めたのだ。前原国交相の「国鉄改革の完遂」に完全屈服し、「国鉄改革25年問題」というJR大再編攻撃、すべての労働者の非正規職化、全面外注化・子会社化を認めたに等しい。それは、同時に公務員労働運動の解体攻撃の道を開くことでもある。
国鉄全国運動を4大産別(国鉄、自治体、教労、全逓)に持ち込むことが決定的に重要である。国労本部や4者4団体による大裏切りと非妥協的に闘いぬこう。職場に「動労千葉を支援する会」を組織しよう。
拠点攻防に勝ちぬこう。動労千葉は、繰り返される組合破壊攻撃と外注化攻撃に対して反合・運転保安闘争路線で真っ向から対決している。そして青年・学生とともに大失業と民営化・労組破壊、改憲・戦争に反対する闘いの先頭に立っている。全国全職場から「国鉄1047名解雇撤回、民営化・非正規職化を許すな」の声を上げ、新自由主義と対決する労働組合、労組青年部運動の大前進をかちとろう。
北朝鮮侵略戦争を許すな
菅政権は8月10日、「韓国併合100年首相談話」を閣議決定した。その内容は「歴史に対して誠実に向き合いたい」などと言いながら、言語に絶するような36年間の残虐な植民地支配の歴史を完全に開き直っている。その上で「東アジア共同体の構築をも念頭に置いたこの地域の平和と安定……に協力してリーダーシップを発揮する」を結論としている。これは「新たな大東亜共栄圏」宣言であり、侵略と戦争の宣言である。怒りを込めて弾劾する。
大恐慌は大失業とともに戦争である。自衛隊も参加した7月末の米韓合同軍事演習は「演習ではなく戦争と思え」と自衛隊制服組幹部が本音を漏らしているように、まさに北朝鮮に対する戦争そのものであった。
さらに現在も16日から26日にかけて米韓合同軍事演習が行われ、9月上旬には黄海で原子力空母ジョージ・ワシントンをも投入した軍事演習が行われようとしている。これは北朝鮮と中国への戦争挑発・戦争行為、核戦争宣言に等しい。菅の広島での「核抑止力は必要」発言はこれと一体である。何よりも沖縄は、1960〜70年代のベトナム侵略戦争時を想起させるような戦争体制へ突入している。
7月末に首相の私的諮問機関「新たな時代の安全保障と防衛力に関する懇談会」がまとめた報告書は重大である。そこでは「基盤的防衛力構想は過去のもの、実効性を有するものに」「ミサイル防衛は防御だけでなく打撃力を」「新たな部隊配置を(南西拠点化)」「PKO参加5原則をやめ恒久派兵を可能にせよ」「武器禁輸政策を見直せ」「非核3原則を見直し、核持ち込みを自由にせよ」「憲法論からではなく、政治的意思から何をすべきか決めよ」などと、まさに侵略戦争国家への衝動がむきだしである。
ここからも明らかなように、菅民主党・連合政権こそ、改憲と戦争へ向けた帝国主義政権そのものである。日帝が帝国主義の「最弱の環」として絶望的危機にあえいでいる中で、自民党政権のもとではやりきれなかった戦後階級支配の反動的転換を、体制内労働運動=連合を政権内に取り込んで強行しようとしているのだ。絶対に打倒しなければならない。
日帝ブルジョアジーの労働者支配の手先として帝国主義労働運動の連合が果たしている犯罪的な役割を怒りをもって弾劾し、菅民主党・連合政権打倒へ突き進もう。
8月広島・長崎反戦闘争―8・15闘争の高揚は、国鉄闘争の解体とともに反戦闘争の解体を狙う日帝資本・権力の攻撃を、動労千葉を始め労働組合が先頭に立って階級的団結と国際連帯ではね返した決定的勝利である。この地平をさらに発展させよう。
今秋11月に至る闘いは、国鉄全国運動をとことん爆発させて、沖縄・辺野古新基地建設絶対阻止を基軸に、APEC首脳会議とG20を労働者国際連帯で粉砕する決定的な闘いだ。職場生産点における職場闘争、首切り・民営化反対、労組破壊反対の闘いを全力で闘おう。国鉄全国運動を発展させ、革命的反戦闘争を爆発させよう。
青年労働者の団結と闘いを
今週の自治労徳島大会を始め、連合=帝国主義労働運動や日共スターリン主義との激しい対決、職場生産点での必死の闘いは、岩盤のように見えた体制内労働運動の壁を根底から揺るがし、穴をうがち始めている。
帝国主義資本も体制内勢力も「強い人材」がいない。労働者の団結した闘いにこそ無限の可能性がある。資本主義によって未来を奪われた青年労働者・学生が、階級的団結を取り戻したとき、無限の発展可能性を爆発させる。現に、未来を担う若き階級的指導部が次々と生まれている。
資本主義は労働者を食わせていけなくなった。こんな社会はもう終わっている。労働者階級による政治権力奪取と資本主義の根底的打倒のプロレタリア革命にしか未来はない。労働組合と労働運動をよみがえらせ、すべての人民の希望と運動を結集させる党と労働組合をつくり上げよう。労組青年部を革命的に復権させ、激動期の実力闘争に打って出よう。
すべての青年労働者は動労千葉労働運動を実践して闘うマルクス主義青年労働者同盟に結集しよう。すべての学生は、教育の民営化と闘い国際連帯闘争の先頭に立つ全学連とマル学同に結集しよう。9月9〜10日、全学連大会の歴史的成功をかちとり、11月労働者集会1万人結集の大運動へ総決起しよう。
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週刊『前進』(2452号1面2)(2010/08/23 )
靖国神社弾劾デモに260人
8・15東京 戦争・改憲阻止の意気高く
日帝の敗戦から65年を迎えた8月15日朝、「閣僚の参拝を許すな!靖国神社参拝阻止デモ」が労働者・学生ら約260人が参加して闘われた。主催は反戦共同行動委員会。
民主党・連合政権が「北朝鮮の核の脅威」を口実に侵略戦争と改憲の攻撃を強めている重大情勢のもと、”戦争・改憲を絶対に許さない!”という決意を固く打ち固める闘いとして打ち抜かれた。
朝8時過ぎ、靖国神社にほど近い法大キャンパス正門前の外濠公園に労働者・学生が続々と結集した。決起集会をかちとり、8時半にデモに出発した。
宣伝カーを先頭に、戦争賛美の靖国神社を徹底弾劾してデモ隊は進んだ。途中、飯田橋駅付近で天皇制右翼分子が挑発・敵対してきたが、デモ隊は断固これをはねのけて進撃した。「改憲と戦争に向かう菅政権打倒」「靖国神社は戦争神社だ」「侵略と差別の天皇制を打倒するぞ」「国際連帯で闘おう」のシュプレヒコールをとどろかせ、飯田橋駅前を通り外濠公園に戻る約40分間のデモをかちとった。
デモに先立ち、外濠公園で集会を開いた。反戦共同行動委事務局長の北島邦彦・杉並区議が司会を行った。動労千葉の滝口誠さんのあいさつの後、韓国から参加した民主労総ソウル本部の2人の労働者が紹介された。ペギナム副本部長は「日帝の30年を超える植民地支配の中で、私の母は紡績工場で強制労働させられた。このような日が再びあってはならない。一緒に日本の軍国主義に反対しよう」と呼びかけた。
続いて、この間全学連の学生とともに8・6広島―8・9長崎闘争などを闘ってきたドイツの3人の女子学生が紹介された。元気に「広島・長崎に続き、今日のデモを戦闘的に闘う」と決意表明した。
基調報告を東京労組交流センターの小泉義秀さんが行った。小泉さんは「日米韓軍事演習を弾劾し労働運動の力で北朝鮮侵略戦争を絶対に阻止しよう」と呼びかけた。
法大当局による不当な無期停学処分の撤回を求めて闘う洞口朋子さんは「このキャンパスで今年前半を闘ってきた。仲間と討論し団結を拡大してきた私への無期停学処分は絶対に許せない。青年の未来が奪われている。学生の力、国際連帯の力で戦争を止め社会を変えよう」と元気はつらつと発言した。最後に東京反戦共同行動委の三角忠さんが「右翼の敵対を断固はねのけデモをやり抜こう」と呼びかけてデモに出発した。
引き続き午後1時から「8・15労働者・市民のつどい」が560人の結集で開かれ、反戦と菅政権打倒の誓いを新たにした。(記事6面)
この日、労働者人民の怒りの爆発を恐れ、菅内閣の閣僚は一人も参拝できなかった。一方で民主党11人を含む超党派41人の国会議員が靖国神社を集団参拝した。
この日の闘いを引き継ぎ、階級的労働運動と一体で反戦闘争の発展をかちとろう。
(写真 デモ出発前の集会で、民主労総ソウル本部とドイツの学生も反戦アピールを行った【法政大学正門前】)
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週刊『前進』(2452号1面3)(2010/08/23 )
前進速報版から
▼8・15集会、戦争阻止へ国際的団結▼右翼・警察の妨害はねのけ、靖国神社弾劾デモ▼社保庁分限免職撤回へ、公開審理開催される
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週刊『前進』(2452号2面1)(2010/08/23 )
国鉄全国運動で労働運動の再生を
「雇用ゼロ」で闘争団を放逐 連合合流へ露骨な踏み切り
4・9和解と国労大会の転落
国鉄1047名解雇撤回闘争をめぐって国労本部など4者4団体が応じた4・9政治和解は、国鉄―日本の労働運動全体を壊滅の危機に陥れる一大反革命だった。動労千葉は6・13大集会で「国鉄分割・民営化に反対し、1047名解雇撤回闘争を支援する全国運動」をスタートさせ、4・9大反革命を跳ね返し、大恐慌下に新自由主義攻撃と対決する新たな階級的労働運動の構築に乗り出した。他方、4・9和解に応じた国労本部は連合合流路線に踏み切り、民営化・首切り推進へと転落し始めた。JR総連カクマルは第2次分割・民営化の先兵となった。階級闘争の勝利は国鉄全国運動にかかっている。国鉄全国運動で労働運動を革命的に再生させ、労働者階級の未来を切り開こう。
(写真 国労大会1日目の7月28日夕、「共に闘う国労の会」が主催した国鉄闘争勝利総決起集会。「今こそ国労の主流派になろう」と誓い合った)
菅政権賛美し大首切り推進
7月28−29日に開かれた国労第79回定期全国大会は、1047名解雇撤回闘争の圧殺の上に、国労が連合合流路線に激しく傾斜する歴史を画する大会になった。他方、動労千葉を先頭に国鉄全国運動が力強く始まり、この闘いを国労内で貫くものとして「国鉄分割・民営化に反対し、1047名解雇撤回を共に闘う国労の会」が結成された。国鉄全国運動を軸にこの闘いに全力を注ごう。
国労本部は今回の大会で菅政権をあからさまに賛美した。高橋伸二委員長はあいさつで「政権公約の実行が滞ることがあってはなりません。『強い経済、強い財政、強い社会保障の実現』という国民的課題について与野党が胸襟を開いて具体策を積極的に協議し、国民本位の政治に徹することが今参議院選挙に示された民意である」と言い放った。時の政権にここまでおもねる大会など国労の歴史上かつてない。
菅の掲げる「強い経済、強い財政、強い社会保障の実現」とは、公務員労働者への大首切りと大幅賃下げ、消費税の大増税ということだ。国労本部は、これを資本と労働者とが一体となって実現すべき超階級的課題であるかのように描き出し、その攻撃の先兵になることを誓ったのだ。
これこそ1047名闘争「政治和解」の帰結にほかならない。1047名は、国鉄分割・民営化によって首を切られた当事者だ。その1047名に幾ばくかの金銭で解雇撤回を断念させるにとどまらず、国労と闘争団員をして、菅政権が強行しようとしている一大民営化と公務員首切りの攻撃の先兵に仕立てるというどす黒い狙いが、政治和解には込められていた。
菅政権は、公共部門の民営化と公務員労働者の大リストラを突破口に、全産別にわたって一層の非正規職化・不安定雇用化を強行しようとしている。国労本部は、この攻撃を積極的に担うことを表明して、全労働者階級、とりわけ2千万青年労働者の敵対者に完全に転落したのである。
「JR攻めしない」と総屈服
国労本部はこの大会で、闘争団の切り捨てに向けてさらなる踏み込みを行った。大会では、闘争団員を「特別組合員」とし、組合費徴収の対象から外すとともに、選挙権と被選挙権を剥奪(はくだつ)することが決められた。
4・9政治解決案の受け入れを決定した4月26日の臨時大会では、闘争団に対する生活援助金の支給停止が決められた。これに続く今回の決定は、闘争団を国労外に放逐し、国労を「企業内組合」に反動的に純化させ、連合との合流を図ることが目的だ。
その狙いは、今大会で全国単位で組織されていた職能別協議会をエリア別とする規約改定が押し通されたことにはっきりと示されている。全国単一体としての国労の解体へあからさまにかじを切ったのだ。
討論では、チャレンジ一派の代議員が国労の連合加入をあけすけに要求した。国労本部は「ナショナルセンターの問題は中央執行委員会として議論していない」とごまかしつつも、政治解決に当たり連合の助力を得たことを強調し、「ナショナルセンターの違いをのりこえ……可能な運動の発展に努力する」(委員長あいさつ)として、連合加入の願望を露骨ににじませた。
国労本部は、この大恐慌下、闘争団を路頭にたたき出そうとしている。和解に応じた闘争団員に払われる解決金は、仮に全額が分配されたとしても「わずか10年で食いつぶしてしまうような金額でしかない」(濱中保彦書記長中間答弁)。このことへの怒りを抑えるために、国労本部は「雇用の確保なくして、本当の意味で国鉄分割・民営化の負の遺産と言われた、不採用問題の全面解決は実現したとはいえません。中央執行委員会は関係者が心の底からの笑顔を取り戻すその日まで全力を挙げる決意を表明します」(委員長あいさつ)と言い立てた。
闘争団に対しては、まだJR復帰の道が残っているかのようなペテンを弄(ろう)して、屈辱的和解への屈服を強要し続けているのである。
もとよりこれは、闘争団員の雇用確保を求めてJRと闘うということではまったくない。高橋は「JR各社においても過去に遭遇した労使間における幾つかの不幸な出来事を巡るこれまでの行きがかりにとらわれることなく、また、法的責任の有無の次元を超えて、旧国鉄の事業を継承した企業として、政府の要請に真摯(しんし)に応じていただき雇用確保、採用を決断される事を心から要請するものであります」とJR資本に平身低頭した。
4・9和解案で、民主党、国民新党、社民党、公明党は「政府はJRへの雇用について努力する」と表明した。これ自体、その直後に「ただし、JRによる採用を強制することはできないことから、人数等が希望どおり採用されることは保証できない」との文言が続くことに明らかなように、1047名の解雇を徹底的に居直るものでしかない。それに加え、民主党ら4党は、今日に至るまでJRへの雇用要請など何ひとつ行っていない。ここでも国労本部は支配階級によって完全に手玉に取られている。
こうした事態に直面した国労本部は、濱中書記長の中間答弁で、国土交通大臣がJRに雇用要請することの見極めがつかないうちは「JR攻めはやらない」と明言した。これは、JRと対立するようなことは永遠にしないということだ。
スト絶滅を狙い基金を流用
大会はまた、スト対策基金を「解決報告集会」の開催費用に流用することも決定した。スト基金を飲み食いで使い果たすこの方針は、今後一切ストはやらないとJRに誓約したに等しい。国労本部がどんなに言い逃れしようとも、これはスト絶滅を狙う「労使共同宣言」の道だ。
96年の春闘スト以降、国労は十数年にわたり一発もストライキを打っていない。この年の8月30日、国労本部はJR各社に申し入れを行い、国鉄改革法を承認してJRの発展に寄与すると表明した。こうしたJRへの屈服の集大成が、4・9政治和解だったのだ。4・9政治和解は、JR本体においても資本との一切の闘いを放棄し、組合員のJRへの一切の抵抗を根絶やしにするということにほかならない。
国鉄分割・民営化から25年目を迎える2012年を前にして、菅政権とJR資本は「国鉄改革の完遂」を叫び、JRにおける一層の外注化・合理化の強行に突き進もうとしている。国労本部は、この攻撃に抵抗しないばかりか、自らそれを率先して担うと資本に表明したのである。
外注化絶対阻止 国労本部打倒へ
大恐慌下、三島JRとJR貨物の経営はもはや成り立たないことは明白になった。2012年には、5年ごとに更新されてきた三島JRとJR貨物に対する固定資産税の減免措置が期限切れを迎える。この中で、三島JRとJR貨物の本州JRとの経営統合さえ俎上(そじょう)に上っている。こうした危機を突きつけられたJR資本は、国鉄分割・民営化をも超える大合理化に打って出る以外に生き残りの道を失った。
動労千葉を先頭とする現場労働者の闘いは、JR東日本がたくらんだ検修・構内業務の4月1日外注化実施を阻んだ。JR資本は、この取り戻しをかけて動労千葉への組織破壊攻撃を強めるとともに、JR総連・東労組の一層の屈服を取り付けて、新たな構えで外注化を強行しようとしている。だが、すでに開始された青年を始めとする現場労働者の闘いを抑え込むことなど不可能だ。
JR体制はすさまじい破綻に直面している。三島・貨物の経営破綻と安全の根本的な崩壊、そして労務支配の破産という形で、矛盾は至るところで火を噴いている。今日すでに、JRは膨大な下請け・孫請けの労働者に強労働を強いなければ成り立たない状態だ。これは鉄道の安全をとことん崩壊させている。
このJR体制と徹底的に対決するものこそ、国鉄全国運動の闘いだ。この闘いの一環として、国労組合員による「共に闘う国労の会」の運動も始まった。現場の国労組合員はJR体制に対する怒りをけっして失ってはいない。この怒りを掘り起こし、「共に闘う国労の会」300人の組織化になんとしても結実させよう。今こそ職場から反合・運転保安闘争路線を実践しよう。「共に闘う国労の会」を先頭に、国労本部を打倒して、今こそ国労を闘う労働組合につくりかえよう。
屈辱的和解を拒否し、動労千葉と連帯して解雇撤回を貫く4人の闘争団員の不屈の決起は、国鉄分割・民営化と真っ向から立ち向かう1047名闘争の本来のあり方を創造的につくり出しつつある。鉄道運輸機構訴訟控訴審は9月28日に再開される。
日本労働運動の再生をかけ、今夏−今秋の大決戦に突入しよう。
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週刊『前進』(2452号2面2)(2010/08/23 )
民主党に潜り込み延命を図るJR総連カクマルの悪あがき
第2次分割・民営化攻撃の先兵
4・9政治和解の大反革命とそれに対する動労千葉を先頭とする労働者人民の反撃。6・13大集会を突破口とする国鉄全国運動の始まり。日帝の労働運動圧殺の攻撃に対する対決の構図は、全労働者階級の前に鮮明に示された。この対極で、国鉄分割・民営化の最悪の先兵JR総連カクマルが絶望的危機を深め、再び第2次分割・民営化の先兵として登場している。断じて許すな。
(写真 国労大会1日目の7月28日夕、「共に闘う国労の会」が主催した国鉄闘争勝利総決起集会。「今こそ国労の主流派になろう」と誓い合った)
「JR25年問題」と国鉄民営化の破綻
JRは今日、JR労資結託体制(JR資本とJR総連の結託)の破綻、安全輸送の崩壊に加えて三島会社と貨物会社の経営危機が表面化し、87年以来の国鉄分割・民営化そのものの破産性が全面的に露呈している。JR発足25年目の2012年をどう迎えるかといういわゆる「JR25年問題」だ。前原国交相が言う「国鉄改革の完遂」とは、JR体制が維持できるかどうかをかけた攻撃であり、その中心に動労千葉の抹殺と1047名闘争の解体攻撃が据えられている。そしてこの攻防の中でJR総連カクマルの存亡をかけた絶望的なあがきが重大な段階にきているのだ。
まず今日のJRを追い詰めている三つの危機について見てみよう。第一に、JR25年問題だ。
6月28日「1047名問題の政治和解」に際しての前原国交相談話の中に次の一節がある。
「国土交通省としては、今後とも、いまだ完全民営化を果たしていないJR三島会社(JR北海道・四国・九州)やJR貨物の経営自立を始め、国鉄改革に関する未解決の課題への取り組みを強化し、その完遂に全力を挙げてまいります」
東日本、東海、西日本の3社は完全民営化し株の上場も行ったが、残りの4社はまったく経営が成り立たず、赤字状態が続いて、日帝にとって解決不能の重荷になってしまっている。
鳴り物入りで強行された分割・民営化が、四半世紀を経た今も、その7分の4が実質的に民営化されていない現状は、国鉄分割・民営化の破綻以外の何ものでもない。
国家財政の破綻が問題になっている時に、経営が自立せず、財政投入しなければ成り立たない現状では株上場など問題にもならない。しかしその解決策は困難を極めている。国交省は「JALの問題が終わったので次はJR貨物の番だ」と表明している。貨物会社社長は「苦い水を飲んでもらう」と言い、人件費40億円削減など、労働者に徹底的に犠牲を払わせようとしている。
4・9政治和解は、日帝にとって「国鉄改革の完遂」に向かっての新たな大攻撃の合図だった。 したがって、国鉄闘争全国運動は、この「国鉄改革の完遂」攻撃に敢然と立ちはだかる闘いそのものとしてもある。
第二に、JRの相次ぐ事故の問題である。これは、民営化=外注化のもたらしたものだ。
7月22日の新幹線須磨トンネル内で起こった保守用車両同士の衝突事故は、全面外注化がもたらした事故だ。元請け−下請け−孫請けが混然一体となって一つの業務を遂行している。しかもその指揮命令系統がバラバラで、保守ダイヤの確認もされていない。まさに起こるべくして起きた事故だ。
JRの現場では安全が無視され、労働者の団結が破壊されている。「闘いなくして安全なし」は、動労千葉が72年船橋事故闘争以来の営々たる反合・運転保安闘争を闘い抜く中でつかみとった階級的真理だ。
国鉄全国運動は、JR内に分割・民営化絶対反対派、反合・運転保安闘争を闘い抜く主体をつくり出す闘いでもある。
結託体制が崩壊し政権与党に急接近
第三に、JR労資結託体制の破産である。
JR資本は、動労(現JR総連)カクマルの裏切りと全面協力によって国鉄分割・民営化を強行し、その後の労働者支配もカクマルに依拠して行ってきたが、一定の段階でそれはJR資本にとって桎梏(しっこく)に転化してきた。2002年の「浦和事件」でのカクマル7人の逮捕や、松崎の組合費横領問題は、JR資本の労務政策の転換に対応している。
ここであいまいにしてはならないことは、JR総連カクマルは、そもそも頭目・松崎明(カクマル副議長・JR総連元顧問)を先頭に「国労をつぶし総評をつぶすために」(中曽根)強行された国鉄分割・民営化攻撃の最悪の先兵だということだ。カクマルはいったい何をやったのか。
彼らは分割・民営化攻撃に対し、「闘っても勝てない」からと自分たちだけの生き残りを図り、すでに「冬の時代」論を掲げて「貨物安定輸送宣言」や「働こう運動」で屈服していたが、それでも生き残ることは困難と判断し、決定的にそれまでのあり方を自己批判し、土下座して謝罪して回り、権力・資本の軍門に下った。
そして「国鉄改革の先頭に立つ」と宣言し、国労や動労千葉に攻撃を集中した。北海道や九州から動労の運転士を広域配転で東京に送り込み、玉突きで国労の組合員を「余剰人員」として「人材活用センター」に収容させ、労働現場から排斥した。動労の組合員にも出向や派遣や一時帰休、さらには退職を強要した。このような松崎カクマルの全面協力抜きには、分割・民営化は貫徹できなかった。
そのカクマルが今日、日帝・JR資本から用済みとなり、「走狗(そうく)煮らる」運命に陥りあがき回っているのだ。
「枝野幹事長が交わした『魔の契約』」という暴露記事が出た(『新潮45』8月号)。民主党幹事長・枝野幸男とJR総連カクマルとが1996年の衆議院選挙の際に選挙協力の「覚書」を交わしたというものだ。この覚書に枝野とともに署名したのが後に「浦和事件」で逮捕・起訴・有罪判決を受けた東労組カクマル梁次邦夫である。
この浦和事件についてカクマルは、「冤罪だ」「不当弾圧だ」と言っているが、笑止千万だ。
はっきりしていることは、カクマルがJR労資結託体制のもとで、現場の労働者に「国鉄改革」への協力を強要するためにファシスト的恫喝と支配をやってきたこと、それが権力・資本の放置できないレベルに達したということだ。
これまでどれほど多くの国鉄労働者が、資本の容認のもとでのカクマルの恫喝、暴力、嫌がらせ、脅迫に苦しめられてきたことか。JR東労組の労働者支配は、そのようなカクマルの組織的暴力によってかろうじて成り立ってきたのだ。
8月3日の衆院予算委員会では、自民党の平沢勝栄が前出の『新潮45』も使って「JR総連、JR東会社には革マルが相当浸透している」という認識を振りかざし、政府を追及している。
さらに大問題は、7月の参院選でJR総連の組織内候補である田城郁(たしろ・かおる)を民主党が公認し、比例代表の14位で当選したことである。田城は松崎の運転手も務めたことがある側近中の側近で、れっきとしたカクマル分子である。田城当選で、カクマルは政権政党の一角に議員としての座を占めたということである。
JR総連カクマル松崎は、支配階級の分裂・抗争の間隙を突いて、政権与党の一角に潜り込むことで延命しようした。特に民主党政権が新成長戦略の中で、水道や原発や新幹線をアジアや他の諸国に輸出しようとしていることにつけ込み、自分たちが役に立つ存在であると売り込んできた。
自分たちが「国鉄改革」にどれほど全力で取り組んできたかを訴え、JR内での地位を確保しようとしているのだ。民主党と連合に自らを売り込み、その「有用性」をアピールし、取り入ろうとしてきたのだ。
それは、JR総連カクマルが完全に大恐慌下の資本主義の防衛のために、資本家階級の立場に立って労働者を動員する存在として生きていくということである。それは4・9和解攻撃による動労千葉圧殺、1047名闘争解体の攻撃に呼応した策動である。
また、民主党の側も、ファシスト・カクマルのあまりに悪質な行状とそれに対する労働者の怒りの激しさの前に動揺しつつも、分割・民営化で果たしたカクマルの役割を評価し、現在のJR危機突破のために使える駒として位置づけたのである。しかし、カクマルを取り込むことは民主党が大きなリスクを抱えることでもある。われわれは、分割・民営化のファシスト先兵であるカクマルが、菅民主党政権に潜り込み、再び凶悪な先兵となっていることを絶対に許さない。まったく腐敗しきった野合だ!
「国鉄改革完遂」へ「労使協力」を誓約
「1047名問題」について、6月JR東労組大会で千葉委員長は次のように触れている。
「『1047名問題の和解』は、『人道的立場』からの解決については理解を示す。しかし、改革の経緯と精神をないがしろにすることや努力したものが馬鹿(ママ)をみることがあってはならない。国鉄改革25周年問題も同じだ。東労組が、身をもって担い抜き苦しい議論と取り組みによって、今日を築き上げてきたことは絶対に忘れてはならない」
つまり、4・9和解について、動労千葉をつぶし階級的労働運動を一掃するために加えられたことは理解する(1047名闘争圧殺なしに国鉄改革の完遂はないことは分かる)が、一方で1047名解雇に手を貸し協力してきたJR総連の立場も理解してくれということである。「国鉄改革の精神」を最も強くつかんで協力してきたJR総連カクマルを見捨てないでくれということだ。
だから彼らの実践的結論は、「国鉄闘争の火を消すな」の国鉄全国運動に全力で襲いかかることであり、「国鉄改革25年目」の新たな攻撃に全面協力することである。
東労組大会では、吉川書記長が「『JR25年問題』が大きな問題として浮上してくることは間違いありません。JRの再編も検討されている……だからこそ私たちは『たしろかおる』を何としても国政に送り出す」と述べている。
また、カクマルが牛耳るJR貨物労組の「資料室報」(6・15)「未曽有の危機をのりこえて仕事と職場と生活を守るために」と題する文書で、貨物会社の経営危機について、自分たちの力で打開すると叫んでいる。
「ピンチを自分で打開する熱意と気力と責任感に裏打ちされた企業活動の強化によって、収益力は具体的となる」「赤字から脱却するために相当の努力をしなければならない」
そのためには、「労使協力型労働運動」で頑張ってきたことを認めてほしい、「労使の信頼を基礎とした協力関係を尊重」してほしい、と貨物会社に哀願している。
したがって、現実に起こることは、国鉄全国運動に対するカクマルの反革命的敵対であり、第2次分割・民営化攻撃への彼らの全面協力である。
国鉄全国運動は、帝国主義の労働運動解体攻撃と真っ向から対決し、労働運動の階級的再生と創造をかちとる闘いであり、360万公務員労働者の「いったん全員解雇・選別再雇用」を始めとする国家的なリストラ攻撃との大決戦だ。
民営化推進か、絶対反対か。新自由主義との非和解的闘いは、世界共通の闘いであり、カクマルとの対決は国際的対決になっている。
民主党に潜り込んで延命を図るJR総連カクマルの反革命的あがきを粉砕せよ!
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週刊『前進』(2452号3面1)(2010/08/23 )
社保庁全員解雇の手口暴く
8・10〜12広島 初の公開審理闘争に決起
平口さん“1047名闘争のように闘う”
社会保険庁廃止による分限免職処分(解雇)に対する反撃がたたきつけられた。8月10日から12日、広島合同庁舎において3日間連続の人事院公平委員会公開審理闘争がかちとられた。全国75件の審理のうち公開で審理が行われるのは今回が初めてだ。請求者である平口雅明さんとともに、傍聴に駆けつけた広島の仲間、労組交流センター自治体労働者部会の全国の労働者が闘い抜いた。決定的なことに、関西や四国でこれから人事院闘争を始める分限免職者が初日から合流した。
公開審理は、社保庁廃止に全面協力した実績を買われて日本年金機構(以下、機構)や厚生労働省幹部に転身した処分者側証人の証言で始まった。責任逃れと居直りに終始する証人に、平口さんはもちろん、傍聴者も弾劾の声をたたきつけた。処分者代理人が「これでは次の証人を出せない」と泣き言をつぶやくほどの怒りが爆発した。
請求者代理人は責任ある証言を求めて、社保庁廃止の責任者である鳩山由紀夫首相(当時)や長妻昭厚生労働大臣、不採用決定者である奥田碩機構設立委員長(当時)らの証人を追加申請した。
2日目には、請求者側証人である動労西日本の大江照己委員長、広島市職員の福井利明さんの証言が行われた。大江証人は国鉄分割・民営化攻撃の暴露と社保庁民営化批判を展開するとともに、利益優先によるJRでの事故多発は「年金問題」の予想もつかない大混乱の可能性を示していることを指摘した。そして平口さんの「誓約書」署名拒否について「労働者として当然」と明言した。
福井証人は「年金問題」「財政赤字」について現場労働者には一切責任がないことを明らかにし、公務員バッシングを怒りを込めて批判した。さらに公務員労働者の職場の過酷な実態を明らかにし、公的社会保障の民営化は「百害あって一利なし」と訴えた。居並ぶ処分者代理人は2人の証言に圧倒され、一言の反対尋問もできなかった。2人の証言で社保庁闘争と国鉄闘争の一体性はますます明白になった。
最終日は、当事者尋問として平口さんが証言に立った。被爆地広島で生まれ育ち、反戦・反核闘争と労働者としての闘いに決起してきたことを述べ、今回の分限免職処分の不当性、不法性を訴えた。そして社保庁当局、厚生労働省を弾劾し、国鉄1047名闘争のようにこの解雇撤回闘争を闘うと宣言した。
初日終了後、広島市内で全国労働者交流集会が開催され70人が集まった。証人として登場した元社保庁幹部に対する怒りとともに、発言者全員が職場での奮闘を報告し、社保庁闘争・職場闘争・国鉄全国運動を一体で取り組み、11月労働者集会の成功を実現する決意を表明した。
(写真 不当解雇への怒りが爆発した公開審理闘争。多くの仲間が傍聴に駆けつけた【8月10日 広島市】)
「法律違反なし」とうその誓約書強制
今回の公開審理を通して「社保庁廃止」が公務員の全員解雇攻撃の始まりであることが、あらためて鮮明になった。
社保庁の廃止=機構設立は、採用申請書に添付を義務づけた「エントリーシート」「職員調査票」「誓約書」によって職員を選別し、公務員大量解雇に手をつけることが目的であった。当初から「公的年金業務に対する国民の信頼を損ねたような者が、漫然と機構の職員に採用されることがあってはならない」(基本計画)と首切りが宣言されていた。
「エントリーシート」には「どのような実績をあげてきましたか」「責任感や倫理観などの仕事や生き方に対する姿勢」「どのように組織に貢献したいと考えているのか」を記入させた。
採否名簿登載の1万1118人に対し、採用審査委員会推薦の民間人20〜30人による書類審査によって2600人が振り分けられ、審査委員会推薦の商工会議所の関係者(民間人)330人による面接審査で1159人が不採用とされた。首切り選別自体が民間への外注によって行われた。
「誓約書」には、これまで「服務違反行為(法律に抵触する行為)」を行っていないことを誓約させ、もし行っていたことが明らかになったら「採用内定を取り消されても異存はありません」という文面に署名・捺印(なついん)させた。だが社会保険の現場では、法律の規定を超えた現実的対処なしには通常の業務が回らない現実があった。今回、処分者側も「法律通りにはできていない」と認めざるをえなかった。現場職員の誰もが機構採用のためにあえてうそをつく形で「誓約書」に署名・捺印させられたのだ。
2009年1月20日には機構設立委員会が「職員による違反行為を黙認したことはありません」という一文を追加した。仲間を売り渡すことが雇用継続の条件とされた。こうした「誓約書」を書かせることで、機構は社保庁時代の「違反行為」を口実に、いつでも首切りができる「権利」を手にした。
公開審理では、平口さん不採用の理由はこの「誓約書」の不備だけであることがはっきりした。首をかけて「誓約書」を拒否した平口さんの決起は圧倒的正義だ。「労働者としての良心にかけて提出しなかった」という平口さんの証言は、全労働者の気持ちを代弁するものである。
社保庁解体は、国鉄分割・民営化をめぐる攻防を総括し、新たな1047名闘争を生み出さないことを最大の狙いにしてなされた。それが「誓約書」と「組合解散」だ。
公務員バッシングを背景に「年金問題」で処分を乱発し、「ヤミ専従」攻撃で組合幹部の屈服をさらに引き出し、採用添付書類で労働者一人ひとりを分断・対立させて支配しようとした。そして全国社保労組幹部は、これに全面的に屈服・協力して社保庁民営化を推進するばかりか、自ら組合を解散して被解雇者を闇に葬り去ろうとした。
年金機構設立委員会には連合の古賀事務局長(当時)も参加していた。自治労本部も含めた連合本部の承認・加担のもとで大量分限免職が強行されたのだ。民主党・連合政権だからこそ可能となった解雇攻撃だ。菅民主党政権打倒なくして社保庁解雇撤回闘争の勝利はない。自治労徳島大会はその最大の戦場となる。全力で決起しよう。
(写真 初日の審理終了後、広島市内で開催された全国労働者交流集会【8月10日】)
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週刊『前進』(2452号3面2)(2010/08/23 )
自治労徳島大会決戦へ
公務員360万人首切り推進案
「グランドデザイン」粉砕を
8月26〜27日に徳島市で開かれる自治労第82回定期大会は、菅民主党政権を全面的に支える自治労本部と、闘う自治体労働者との歴史的決戦の場になろうとしている。最大の激突点は第2号議案「持続可能な日本社会のグランドデザイン構想(討議案)」だ。「運動の総括」と「当面の闘争方針」にもこの「グランドデザイン構想」の基本線が貫かれている。自治労の新たな総路線「グランドデザイン」を闘う自治体労働者の怒りの総決起で粉砕しよう。
“日帝救済路線”への「転換」を許すな
自治労本部の「グランドデザイン構想」は、日本帝国主義が今次世界大恐慌をのりきり、帝国主義間・大国間争闘戦に勝ちぬき、資本主義としての日本社会を再編・維持するための提言だ。政府諮問機関や日本経団連の提言と見まがうばかりだ。自治労本部は労働組合の本来の役割を投げ捨てて国家救済の立場に立った。昨年熊本大会で宣言した、労働組合であることをやめる「転換」の実践だ。
第2号議案「グランドデザイン構想」は冒頭、菅民主党政権が「第三の道」として打ち出した「強い経済、強い財政、強い社会保障」と「基本的方向性において一致する」と述べ、菅政権の新自由主義攻撃、公務員攻撃を労働組合側から推進することを申し出ている。また菅政権による「税財政制度の抜本改革」「年金・社会保障制度の抜本見直し」「地域主権」改革などに対する「自治労の基本的指針として、『グランドデザイン』を位置づけ」ている。自治労本部は菅民主党政権や日本経団連と連携し「新成長戦略」、戦争・改憲、アジア侵略、大増税・社会保障解体、公務員制度改革、道州制(地域主権)、民営化・外注化・非正規職化、公務員360万人首切り攻撃を推進し、労組解体と階級闘争圧殺に突き進もうとしているのだ。
「グランドデザイン」はもはや労働組合の提言や方針ではない。労働組合ならば、帝国主義救済のための新自由主義攻撃・公務員攻撃に対してギリシャの官民労組のように敢然とゼネストで反撃しなければならない。そうでなければ労働者の生活と権利を守ることはできない。しかも現在、1929年を超える世界大恐慌の中、失業者が街頭にあふれ、国家財政と議会制的階級支配が破綻し、ドル大暴落と世界戦争勃発(ぼっぱつ)の危機が切迫している。この革命情勢を実際のプロレタリア革命に転化することが歴史の要請なのだ。
革命の最大の水路が国鉄全国運動だ。動労千葉はストライキを繰り返して検修外注化4月実施を阻止し、国鉄1047名解雇撤回闘争と日本の労働運動全体の解体を狙った大反革命「4・9政治和解」を跳ね返す全国運動を開始した。国鉄闘争の火を絶やさず、労働運動の歴史的危機を逆に革命的再生―歴史的大高揚に転化する闘いだ。
闘う自治労組合員は、菅民主党政権の最大・最弱の支柱=連合・自治労本部を打倒し、労働組合をよみがえらせ、帝国主義打倒・プロレタリア革命の道を切り開こう。
新自由主義攻撃に屈した30年正当化
「グランドデザイン構想」は「総論」で「『新自由主義の30年』を再検証する」と称しながら、80年代前半から始まった国鉄分割・民営化攻撃と総評解散・連合結成に至る労働運動再編問題をはずし、自分たちの裏切りと転向を隠蔽(いんぺい)している。しかも「90年代に導入された新自由主義」がこの間の「世界金融危機と歴史的政権交代によって全面的な見直しへ」入ったとする。その間、連合と自治労は規制緩和・民営化・行革・非正規職化の新自由主義と闘ってきたとまで強弁する。
こんなものは大うそだ。自治労は「21世紀宣言」(03年10月採択)で民営化推進の連合路線への転向を正式に表明し、実践してきたのだ(「21世紀宣言」が03年8月横浜大会で否決されたことも隠す)。
「各論」では菅の「第三の道」=「新成長戦略」と歩調を合わせた諸政策を提言している。「新しい公共」「医療・福祉分野など新たな雇用創出策へ」「NPOや協働組合などとの連携」「多様な雇用形態」「労働市場の弾力化」「ワークシェアリング」「解雇・離職に手厚い手当」「セーフティネット」などなど新自由主義の用語のオンパレードである。
極め付きは「給付と負担」の項で「国民の納得を前提に消費税引き上げを検討すべき」としたことだ。さらに「総人件費削減」についても「職員の納得感の確保」が必要と説いている。そのために、争議権を奪ったままでの人事院・人事委員会制度廃止、公務員制度改革を進め、「交渉による妥結」で賃下げと首切りを当局の思うままにやらせるということだ。労働者をなめるのもいい加減にしろ!
最後に「公共サービス労働組合」として自治労を自己規定し、民営化・外注化・非正規職化、賃下げ・人員削減と闘うことなく、現場組合員を「組合員の取り組み実践によって豊かなサービス実現」の“働こう運動”に動員し、「市民との協働」をはかる担い手になることを号令している。
自治労本部は社保分限免職の下手人
大会の「運動の総括」の第1章は「持続可能な日本社会のグランドデザイン構想と3つの重点課題」だ。「グランドデザイン」はすでに自治労の総路線となっている。
「日本年金機構の発足にともなう社会保険庁職員の雇用確保の取り組みについて」の項では、「分限免職回避に向けた懸命の取り組み」を行ったと、えんえんと言い訳を展開する。しかし、広島での人事院公開審理で、連合・古賀事務局長(当時、現連合会長)も加わる年金機構設立委員会による社保庁解体・民営化・首切りの許しがたい手口が白日のもとになった。この設立委員会のもとで自治労本部は、当局とともに、不採用となった1159人の労働者に対して分限免職の恫喝で自主退職を迫った。それを拒否した525人が分限免職処分を受けた。自治労・社保労組幹部は組合として解雇撤回に取り組まないどころか、525人に闘争の拠点を与えないために労組解散まで強行したのだ。このような労組は前代未聞だ。国鉄分割・民営化以上に悪質な社保庁解体、全員解雇・選別採用の攻撃は自治労本部の承認と協力のもとで行われたのだ。
今や自治労は、産業報国会化し戦争動員機関に転落する寸前にまでいたっている。
闘う自治体労働者は自治労本部を打倒し、自治労を現場組合員に取り戻そう。職場生産点から国鉄全国運動と反合・運転保安闘争路線で闘おう。自治労徳島大会決戦に全国から総決起し未来を切り開こう。
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自治労定期大会第2号議案
「持続可能な日本社会のグランドデザイン構想(討議案)」
■総論
「民主党政権は……『強い経済、強い財政、強い社会保障』を『第三の道』として打ち出しています。……この考え方は自治労が目指すものと一致する」
■各論
▽「新しい公共」「医療・福祉分野など新たな雇用創出策へ」「NPOや協働組合などとの連携」
▽「多様な雇用形態」「労働市場の弾力化」「ワークシェアリング」「解雇・離職に手厚い手当」「セーフティネット」
▽「国民の納得を前提に消費税引き上げを検討すべき」
▽「総人件費削減」について「職員の納得感の確保」が必要
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週刊『前進』(2452号3面3)(2010/08/23 )
現場労働者からの報告 ゆうパック遅配“その後”
当局が無様な「取り戻し」 失態のツケ現場に回すな
8月3日(火)。この日は調整早出で、朝の7時半から夕方の6時半までの長時間拘束の日である。出勤すると8時からの結束(注1)のために大型郵便の区分。最低でも私信は結束しなければならない。個人間で送った郵便が届かないと問題になるからだ。それから割引・特割と割引率の低い郵便から区分していく。8時になると転送郵便、還付郵便の処理。大きく五つに分けてトラック便で新東京(集配拠点局)に送る。そして9時から9時半までが休憩と休息となる。
異変に気付いたのは休憩・休息が終わった時だ。到着した大量のパレットの中に、あて名が書かれていない(!)大量の郵便物があったのだ。初めての事態だ。
これにはからくりがあった。大量遅配の大失態を演じた当局が、ゆうパックの取り扱いを「増やす」ために、なりふり構わぬ小細工をしたのだ。大手取引先に、今までゆうメール(注2)で扱っていた郵便物を無理やりゆうパックに変えてもらったのだ。料金の差額は“サービス”だ。
値段が目に入った。350円。ゆうパックの運賃は小型でも最低で600円(都内。遠方はさらに高い)なのに、そのゆうパックは遠方でも350円だった。「数字」を上げるためのむちゃくちゃな出血サービスだ。このツケは現場に回る!
別の形の“サービス”も行われた。「あて名の無い」ゆうパックにあて名ラベルを張る作業を郵便局社員にただで大量に肩代わりさせたのだ(通常は差出人が自分で張って郵便局に持ち込む)。それも、ゆうパックのラベルを張って、その上に日通の番号シールを張る統合以来の二重作業だ。膨大な仕事量である。
これは誰のためのサービスか? 事業統合に失敗した経営陣の汚名を晴らすためだ。どこまで労働者をなめているのか。社長が遅配の責任は現場にあると記者会見をやった件では、普段おとなしい人たちも爆発していた。職場の組合新聞にも鍋倉社長発言に怒りの言葉がのっていたほどだ。
その日は午後になっても「あて名の無い」郵便が大量に届き、本当にうんざりした。ゆうメイトに超勤を4時間もさせていた。職場は足の踏み場もない状態だ。ひどい時はパレットの台数が60台を超えた。見ているだけで本当に気分が悪くなった。失敗のツケを現場に押しつけるな! 数字を上げるためのインチキはやめよ! 現場に迷惑をかけるな!
そして4日。この日は夜勤(昼12時半〜夜9時半)で、またまたけた違いの物量だった。私は一人で6地域ごとにパレットに積み込み、ある程度、仕事が進んだところで課長が一言。「○○さん。数が1個あわないから戻してくれ」と。「えっ」と思った。個数確認は引き受け時にちゃんとやってくれ! 私は心の中で叫んだ。それでも嫌な顔をせず、積み込んだパレットから黙々と元に戻して課長に渡した。そこで課長が一言。「分かったから区分してくれ」と……。私は「コノヤロー!」と心の中で叫んだ。ショックのあまり、後ろに倒れてしばらく起きあがれず、ぼう然と天井を見ていた。私が課長と同じことをやったらどんなに責められるか。ひどい罵声(ばせい)を浴びせられ、厳しく責任を追及されるだろう。今年5月、ゆうゆう窓口(不在荷物をお客さんが受け取る所)で担当者が間違って他人の書留を渡した時、課長がミーティングで何度もその担当者を責めた。課長! あなたの単純ミスで、1時間もかけて区分した荷物をもう一度回収し、そして「分かったからもう一回区分しろ」という事態になったのだ。ふざけるな! この日一日、仕事をやる気持ちは完全にうせた。
7月からのゆうパック統合の混乱以来、ミーティングが無くなった。時間の余裕がまったく無いからだ。大事な問題が伝わらなくてミスが出た時に、管理者は責任を取るのか。郵便事業は資本家の金もうけの道具ではなく、労働者人民の一人ひとりの大切な財産だと思う。民営化絶対反対!
将来は“国営”に戻してすべての人びとが平等に利用できる社会になるべきだと私は強く確信するのである。
(東京・全逓労働者/森内一郎)
(注1)結束 配達先ごとに複数の郵便物をひとつの束にまとめる作業。
(注2)ゆうメール 旧冊子小包。通常のゆうパックより運賃が安い。
(写真 統合による混乱で遅配となった大量の小包にこの付箋【ふせん】が張られた。一件でも社長みずから謝罪して現場を回ってみろ!)
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週刊『前進』(2452号4面1)(2010/08/23 )
自治寮廃寮攻撃を打ち破れ
全国学生は全学連大会に結集しようA
新自由主義と闘い勝利を
マル学同中核派・東北大学支部
全国300万学生、とりわけ寮生に訴えたい。世界史的大激動の時代と対決し、自治寮の死守・拡大のために全学連大会に結集しよう! 新自由主義の破産としての世界大恐慌は、「国家財政の破綻」としてその矛盾を噴出させている。いかなる解決手段も存在しない。そして、全世界で労働者・学生の闘いが、資本主義社会への巨大な反撃としてわきおこっている。「戦争と大失業」の帝国主義を今こそ打倒しよう。誇り高き自治寮生は、その先頭に立とう。全学連大会で全国寮生の団結をさらにうち固めよう。
(写真 東北大日就寮の食堂廃止に反対し70人を超える学生・労働者の参加で闘われた3・14行動。右奥が寮食堂)
菅民主党政権との対決
世界大恐慌のもとでのわれわれの寮闘争の意義は、菅民主党政権との対決の中でますます鮮明になってきている。
菅政権は7月27日、「財政運営戦略」(6月22日閣議決定)の「中期財政フレーム」に沿って来年度の概算要求基準を閣議決定し、大学予算の基盤である運営費交付金(約1・2兆円)を来年度に10%削減する方向性を示した。
すでに、2004年の法人化以降の7年間で830億円の運営費交付金が削減され、それは大学現場においては学費値上げ、自治寮廃寮、サークル切り捨て、そして非正規職(講師)の激増として襲いかかってきた。菅政権はわずか1年間でその総額を上回る1000億円を削減する大反動攻撃を開始しようというのだ。しかも、「国家財政が破綻する」「ギリシャのようになりたいのか」という支配階級のイデオロギーでもって。
法人化を前後して自治寮廃寮攻撃が激化したが、いよいよ今年が、学生の戦闘性・革命性のとりでとしてあった自治寮防衛の闘いの正念場だ。
国際競争-戦争に大学を動員
国立大学法人化は、大学版の国鉄分割・民営化攻撃だった。支配階級は、「目標・計画の設定や定期的な業績評価といった仕組みを通じて国の意思を法人運営に反映させうる法人制度」(2000年5月、自民党文教部会報告、主査は麻生太郎)と、徹底的な国家統制の意図で法人化を強行した。各大学当局はこれに屈服・追従し、自ら自治と教育を資本家と権力に明け渡していった。
今回の大幅予算削減策動に対し、国立大学当局は、「中国やインドなどの新興国との競争の中で、資源の少ないわが国は科学技術により国際競争力を高めていかなくてはなりません」(国立大学53工学系部長会議の緊急宣言)、「菅内閣…が目指す『強い経済』『強い財政』『強い社会保障』は、わが国が置かれている経済・財政の危機的状況に照らし、当然実現されるべきものです」(東北地区国立大学長の共同声明)などと、菅政権の「国家の危機」イデオロギーと「新成長戦略」(6月18日閣議決定)に全面賛同した上で、これまでよりむき出しの「戦争と民営化」攻撃を学内において貫徹しようとしている。もはや大学当局は、菅政権による排外主義扇動、アジアの帝国主義的勢力圏化、および大学・学生の戦争動員の最悪の先兵だ。
「平和を希求する精神」を掲げる広島大学では、なんと日本最大の兵器産業である三菱重工業の会長を経営協議会メンバーとし、広島・長崎型原爆を開発し、今なお世界最大の核兵器開発拠点である米ロスアラモス国立研究所との提携まで始めた。これを広大当局と浅原学長は「広島大学の発展のために決定した」と完全に開き直っている。これが新自由主義攻撃に屈した自称「教育者」の腐りきった姿だ。
予算を削減し軍事研究推進
世界大恐慌の深化はむき出しの新自由主義攻撃を激化させ、菅政権は歴代自民党政権や鳩山以上に凶暴化し、一方で大失業攻撃へ、他方で侵略戦争へ突き進もうとしている。菅の私的諮問機関「新たな時代の安全保障と防衛力に関する懇談会」は「非核3原則」「武器輸出3原則」「PKO参加5原則」の見直しをうち出した。北朝鮮侵略戦争を想定する近年最大規模の米韓合同軍事演習に自衛隊も合流し、中国と北朝鮮のスターリン主義はそれに軍事的に激しく反発している。
菅政権の「財政運営戦略」は、大学予算削減と軍事研究の推進によって徹底的に帝国主義大学へと再編する攻撃であり、絶対に認められない。自治寮がつぶされ、その上に自らの研究が戦争に動員されていく、それでしか資本主義は延命できないというのならば、そんな体制など倒してしまって当然だ。われわれ学生・寮生は、アジア侵略や「国際競争力強化」の道具ではない。「改憲・戦争」と「民営化・学生自治破壊(団結破壊)」と対決し、全学連大会で自治寮生は団結しよう。
青年の怒りの最先頭で
自治寮廃寮攻撃を打ち破る展望は一つに、寮生こそが菅政権打倒の最先頭に立つことだ! 自治寮は菅民主党政権とも新自由主義とも根本的に非和解だ。攻撃に屈服していく勢力は、「菅政権との対決を打ち出すと大衆運動にならない」「闘って勝てるのか」などと、どこまでも敵をあいまいにし、学生の可能性を低め絶望をあおる。そして行き着く先は「寮生が闘わないから」「自治意識の低下」と学生に責任転嫁し、寮全体を泥沼に引きずり込んでいくのだ。
しかし、学生の我慢はもはや限界だ。「今春の大学卒業者の就職率が60・8%であり、逆に4人に1人が卒業後の失業状態、もしくは就職留年」(朝日新聞8・6付)という現実ひとつとってもそうだ。そもそも、この大失業時代に「国家の救済」を掲げて厚生施設である寮をつぶすこと自体が本末転倒のきわみだ。今こそ寮生が時代を変革する主人公となろう。寮生の中に確信をもって飛び込み、ラジカルな怒りと結合しよう。今次全学連大会を全国学寮闘争の爆発の出発点としよう。
新樹寮決戦へ総力で決起を
自治寮廃寮攻撃を打ち破る展望は二つに、富山大学新樹寮への攻撃に全国寮生の力でもって対決し、闘う新樹寮生と勝利を目指してどこまでも連帯・団結することだ。
新樹寮の自治と団結をめぐる激突は「教育の民営化」粉砕の最前線であり、ここに全国自治寮の未来がかかっている。学生の生活に銀行・資本家が群がって食い物にする「教育の民営化」を絶対に許さない。
富山大学新樹寮では、誰も望んでいない「改修」工事が行われてきた。「改修」後の寄宿料は月額700円から1万3000円以上にはね上がる。この過程で、寮の主人公である寮生は徹底的に無視されてきた。
この「改修」という名の自治寮破壊に対し、「改修絶対反対!」を掲げて寮生がB棟に立てこもる闘いに感動的に立ち上がった。富山大学当局は、電気・ガス・水道などのライフラインを止め、停学処分をちらつかせて恫喝を加え、最後は親を使って屈服を迫ってきた。それでも絶対に屈せず闘い続けたことに対して、7月26日、富大当局はこの寮生をたたき出して寮封鎖を強行した。
闘いは終わったのか?
断じて否! 「寮生のための改修」という幻想を吹き飛ばした今こそ、反撃を組織できるときだ! 廃寮阻止署名は全国から集まり、寮生の処分に対して8人の富大生が連名で当局に抗議文を提出した。いくら御用執行部を寮内につくろうとしても、生き方をかけて決起した寮生は敵を圧倒し、闘う勢力は必ず多数派に飛躍する。追い詰められたのは富山大学当局だ。新樹寮闘争を、新自由主義大学と闘う法大闘争と一体で闘おう。新樹寮生と法大生は、全国学生運動の主役として全学連大会に結集しよう。
(写真 富山大新樹寮の廃寮阻止へ、昨年6月に闘われた西頭学長弾劾のデモ。新樹寮から富山大キャンパスへ進撃)
寮生の誇り取り戻そう
自治寮廃寮攻撃を打ち破る展望は三つに、寮生が全学連運動を復権し、キャンパスに学生運動をよみがえらせる闘いの最先頭に立つことだ。寮生こそが、闘って奪われたものをすべて奪い返す展望を示そう。とりわけ、新樹寮、京都大学熊野寮・吉田寮、東北大学日就寮を中心軸に全国の学生寮・自治寮を結集させ、全世界での学生ストライキと連帯し、新自由主義に対する学生反乱の火柱を上げよう。
新樹寮、熊野寮・吉田寮、日就寮の歴史は、常に大学資本・日帝国家権力による廃寮攻撃にさらされながらも、それらを団結の力で打ち砕いてきた誇り高いものだ。
一つひとつの攻撃が、寮自治を「寮運営のための業務」に、学生寮を単なる「安アパート」へとおとしめ、寮生同士の結びつきを断ち切り、寮自治というかたちで確立された寮生の支配権を奪い取るものとしてあった。しかし四寮は、寮内の団結を固め反撃してきた。寮自治の中で、寮生は自らも大学と社会の決定的な主人公であることを学び、積極的な共同性をつくり上げ、寮運動をさらに強固にし、内容豊かな人間関係を育んできた。
寮自治と団結を全キャンパス・全社会に拡大し、やつらを打ち倒す不抜の拠点をキャンパスにつくり出そう! われわれ寮生にはその力がある。全国自治寮決戦の爆発へ、すべての寮生は全学連大会に集まろう!
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週刊『前進』(2452号4面2)(2010/08/23 )
ILO報告 青年の失業率最悪に
世界で13%、8070万人
国際労働機関(ILO)は8月12日、世界の若者の失業率が過去最悪を記録したことを発表した。この報告によれば、09年末時点で、世界の15歳から24歳までの若年層6億2千万人のうち8070万人が失業中である。世界金融恐慌前の07年と比べ780万人の増加だ。失業率は07年の11・9%から13・0%に悪化した。
さらに世界の若年労働者の約28%にあたる1億5200万人は、働いているにもかかわらず、1人当たりの生活費が08年現在で1・25米jに満たない極度の貧困世帯に属しているとした。
これらはILOが統計を取り始めてから最悪の数字である。特にヨーロッパでの若者の失業問題の深刻化が指摘されている。
実際に、イタリアの失業者は昨年10月に200万人を超え、全体の失業率が8・7%で、15歳から24歳の失業率は29・2%に上る。フランスでは今年1月に全体の失業率が10%を超える中、25歳以下の失業率は23・3%と、ここでも突出している。スペインでは25歳以下の若者の失業率は、09年11月に43・8%と報告されている。とてつもない数字だ!
アメリカでは09年10月に軍人をのぞく全体の失業率は10・2%に悪化。その中で15歳から24歳の若年層は16・7%とやはり際だっている。失業した青年たちが、売血で生活の当座をしのぐ姿も報じられている。
日本では完全失業率が今年の6月で5・3%と悪化の一途をたどる中で、15〜24歳の完全失業率は10・7%とやはり2倍だ。これは働く意思があるとされる者の数字だから、実際に職につけない労働者・若者の割合は数字をはるかに上回っている。特に09年の中学・高校卒業の若者の完全失業率は14・2%と数字上も過去最悪だ。多くの高校生が、家計の事情で今現在の学校生活さえ維持することが困難になっている。アルバイトで家計を必死に支え勉強の時間も奪われ、結局学校をやめざるをえないケースが後を絶たない。
今春4年制大学を卒業した学生の就職率がわずか60・8%(前年比7・6%下落)というのも衝撃的だ。大学を出ても10人のうち4人は就職できないのだ。
もとより失業に関するこれらの数字は、実際に働いている労働者への低賃金・長時間労働、不当労働行為の横行、解雇の乱発などの攻撃として激しく襲いかかっている。
まさに資本主義社会は最末期を迎えた。全世界的な帝国主義の体制的危機、新自由主義政策の破綻、大恐慌が、もっとも若い青年たちを直撃し、仕事を奪い生活を破壊しているのだ。
ILOは「若者に仕事を与えないことは経済の損失を意味し、社会も不安定になる恐れがある」などと危機感をあらわにして各国に対策を呼びかけているが(革命情勢への恐怖)、帝国主義各国のなにがしかの政策で事態が改善することはもはやあり得ない。
今多くの青年は自分の進むべき道を閉ざされ、この社会の将来に絶望し、自信と誇りをも奪われて、怒り苦しみもだえている。そこにうまずたゆまず働きかけ、怒りを闘いに組織し、プロレタリア革命、共産主義社会の実現にこそ希望があることを示さなくてはならない。
闘う労働組合をつくり、職場から国鉄全国運動を全力で推進・拡大しよう。全世界で爆発する青年の怒りの最先頭で闘おう。11月労働者集会1万人結集を、反撃の決定的な合図としよう。
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週刊『前進』(2452号4面3)(2010/08/23 )
「韓国併合100年」 菅首相談話を弾劾する
朝鮮植民地支配を居直り
根底に新たな侵略戦争策動
菅政権は8月10日、「韓国併合100年首相談話」を閣議決定した。朝鮮植民地支配を謝罪したものであるかのように報じられているが、事実はまったく逆だ。日帝の侵略と戦争の歴史を徹底的に居直り、世界大恐慌の時代において北朝鮮侵略戦争と東アジア共同体形成に突き進むための談話にほかならない。徹底的に弾劾する。
暴虐の史実抹消
菅談話が何よりも許せないのは、日帝の植民地支配が朝鮮人民に何をもたらしたのかをけっして語らないことである。「国と文化を奪われ、民族の誇りを深く傷付けられました」と客観的に語るが、いったい誰が強制したものなのか! 事実に向き合うことすらしないからこそ、軽々しく「未来志向の日韓関係を構築していきます」という言葉が出てくるのだ!
日本帝国主義は1910年8月22日、軍事力を背景に韓国政府に韓国併合条約を押しつけた。以降、1945年8月15日の敗戦まで36年間、朝鮮半島を植民地支配した。
朝鮮人民から主権を奪い、土地を奪い、食糧・資源を奪い、生活を破壊した。「天皇に忠誠を誓う皇国臣民になれ」という皇民化政策で神社参拝や「宮城遥拝(皇居への最敬礼)」を強い、朝鮮語を禁じて日本語を常用させ、「創氏改名」で固有の姓名を奪って日本式の名前を押しつけた。日本への強制連行、軍人・軍属の戦地動員、数万人の女性を「日本軍軍隊慰安婦」として戦場に駆り出すなど、暴虐の限りを尽くした。
戦後65年を経た今も、日帝は朝鮮植民地支配に謝罪したこともなければ、賠償・戦後補償に取り組んだこともない。
1965年に結ばれた日韓条約は「1910年8月22日以前に大日本帝国と大韓帝国との間で締結されたすべての条約および協定は、もはや無効」とした。この言葉をもって日本政府は「併合自体は合法的であり、併合に関する条約は有効だったが、本条約で無効化された」とし、植民地支配は合法・正当なものだと開き直った。
しかも同条約は北朝鮮を始めから除外し、韓国政府を「朝鮮にある唯一の合法的な政府」として、南北朝鮮の分断を固定化した。さらに日韓請求権協定で戦後賠償・補償について「完全かつ最終的に解決した」とし、対日請求権をすべて放棄させた。しかもそれを「経済協力」の名による無償・有償援助と民間借款にすり替えた。しかもそれは韓国への新たな侵略の導水路となった。
日韓条約を踏襲
菅談話は日韓条約の立場を踏襲したものだ。そのことは公務員制度改革担当相の玄葉が「賠償、補償は日韓基本条約で解決済み。賠償、補償の話が蒸し返されることは絶対あってはならない」と繰り返すなど、閣僚自身が露骨に語っている。
日帝が植民地支配時代に強奪した朝鮮王朝時代の王室儀式の記録「朝鮮王室儀軌(ぎき)」についても、けっして「返還」と言わずに「これらをお渡ししたい」という言葉を選んで、植民地支配責任を回避したのだ。
さらに重大なのは、菅談話自身が、新たな侵略と戦争の意図を露骨に語ったことだ。「将来の東アジア共同体の構築をも念頭に置いたこの地域の平和と安定、……核軍縮……のために協力してリーダーシップを発揮する」とは、アジアを再び勢力圏化していく宣言そのものだ。しかも「核軍縮」という言葉で北朝鮮への排外主義と戦争をあおり立てているのだ。
戦争・改憲に突進
菅政権は今、@米韓軍事演習に自衛隊を参加させ、A沖縄・辺野古への新基地建設を宣言し、B「核抑止力は必要」と明言して、新たな朝鮮侵略戦争、朝鮮・アジアの勢力圏化に突進している。そんな菅が口先では「反省」「おわび」を語る。ふざけるな! これこそ帝国主義者の言葉だ!
菅政権は帝国主義の「最弱の環」として危機にあえぎ、新たな戦争に突進している。しかも連合の労働貴族を引き入れ労働者の抵抗を封じ込めてそれを貫徹しようとしている。ここに自民党政権にもできなかったあくどさがある。
菅民主党政権による戦争と改憲の攻撃に対して、職場から闘いを巻き起こして反撃しよう!
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週刊『前進』(2452号4面4)(2010/08/23 )
2010年 8月11日〜17日
米海兵隊、「抜本見直し」へ/超党派41議員が靖国神社参拝
●夜間・早朝飛行禁止求め上告 米軍普天間飛行場の周辺住民396人が国を相手に米軍機の夜間、早朝の飛行差し止めや騒音被害の損害賠償などを求めた普天間爆音訴訟の控訴審判決で、福岡高裁那覇支部が下した判決を不服として、棄却された飛行差し止めと騒音測定を求めて原告10人が最高裁へ上告した。控訴審判決では、米軍機の飛行は国の支配が及ばない第三者(米軍)行為であるとして差し止め請求を棄却した。(11日)
●辺野古移設「県民納得程遠い」 米軍普天間飛行場の返還・移設問題で、福山、滝野の両官房副長官が沖縄県庁内で仲井真知事と会談した。政府側は経緯を説明した上で、5月28日の日米共同声明への協力を求めた。仲井真知事は「県民、そして私が納得いく説明には程遠い」と述べ、移設受け入れは困難との考えを重ねて強調した。(11日)
●米海兵隊、抜本見直しへ ゲーツ米国防長官がサンフランシスコで講演し、海兵隊のあり方を抜本的に見直すようメイバス海軍長官らに指示したことを明らかにした。海兵隊は陸海空軍と並ぶ4軍の一つ。主に最前線で海などから上陸し、後から来る陸軍部隊などのために拠点を築く部隊。ゲーツは、対艦ミサイルの長距離化や高精度化が進んだことで、「海兵隊は100`以上離れた艦船から上陸する必要があるかもしれない」と説明。(12日)
●外来機飛来中止求め抗議決議 米空軍嘉手納基地に米海兵隊岩国基地からFA18戦闘攻撃機などの外来機が多数飛来している問題で、嘉手納町議会は臨時議会を開き、外来機の飛来中止などを求める抗議決議・意見書を全会一致で可決した。(12日)
●沖国大ヘリ墜落から6年 米海兵隊のCH53D大型輸送ヘリコプターが宜野湾市の沖縄国際大学に墜落してから6年を迎えた。(13日)
●アフガン戦、兵士の死者2000人
民間団体「アイカジュアルティーズ」によると、アフガニスタンに展開する米軍や北大西洋条約機構(NATO)主導の国際治安支援部隊(ISAF)兵士の戦闘などによる死者数が、01年10月の戦争開始以降の累計で2千人を超えた。国別では米軍が1226人、英軍の331人、カナダ軍の151人と続いている。(14日)
●超党派41議員が靖国参拝 超党派でつくる「みんなで靖国神社に参拝する国会議員の会」の所属議員が靖国神社に集団参拝した。同会によると、参加者は政党別では自民26人、民主11人、たちあがれ日本2人、みんなの党1人、国民新1人。菅首相をはじめ菅内閣の閣僚は一人も参拝しなかった。(15日)
●韓国で有事想定の米韓合同演習 朝鮮半島有事を想定した米韓連合軍の年次合同軍事演習「乙支フリーダムガーディアン」が始まった。26日までの予定。演習は08年から韓国軍が主導、米軍が支援する形だったが、今年は再び米軍主導に変更。米軍は在日部隊を含めて計約3万人が参加し、韓国軍は約5万6千人が投入された。(16日)
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週刊『前進』(2452号4面5)(2010/08/23 )
日程 全学連第71回定期全国大会
9月9日(木)〜10日(金)
東京・文京区民センター
地下鉄大江戸線・三田線春日駅、丸の内線・南北線後楽園駅、JR水道橋駅/文京区本郷4-15-14
参加費/1000円(資料代など。宿泊費は除く)
連絡先/電話 050−3036−6464
mail cn001@zengakuren.jp http://www.zengakuren180.jp
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週刊『前進』(2452号5面1)(2010/08/23 )
米韓合同軍事演習と一触即発の戦争危機
日米韓労働者の国際連帯で北朝鮮侵略戦争阻止しよう
反戦政治闘争の復権と発展へ
7月25日から4日間、米韓合同軍事演習が韓国東側の日本海(東海)で強行された。さらに米韓連合軍による指揮所演習が8月16日から26日まで行われる。米軍は約3万人、韓国軍は約5万6千人が参加する大作戦である。9月上旬には中国に近接する黄海で米韓の対潜水艦訓練を行うことも決定されている。米帝は黄海に原子力空母ジョージ・ワシントンをも投入することを狙っている。この米韓に日帝・自衛隊を加えた北朝鮮侵略戦争発動の危機が、3月の韓国哨戒艦沈没事件を契機に、まさに「一触即発」の緊迫情勢に突入している。米日韓による北朝鮮侵略戦争の危機切迫に対決して、労働者階級の反戦政治闘争と11月総決起をかちとろう。日米韓3国労働者の国際連帯で北朝鮮侵略戦争を阻止しよう。
(写真 7月21日、米韓合同軍事演習への参加のため韓国・釜山に入港した米空母ジョージ・ワシントンとE2C早期警戒機)
中国スターリン主義の対抗的軍事行動もエスカレート
一連の米韓合同軍事演習こそ、北朝鮮スターリン主義に対する新たな金融制裁と合わせ、金正日政権の転覆―北朝鮮侵略戦争を現実に狙ったものだ。しかも北朝鮮侵略戦争は、中国スターリン主義との緊張激化、激突=戦争にも一気に直結するような世界史的な重大事態である。
それゆえ中国スターリン主義はこの間、北朝鮮情勢に自らのヘゲモニーを貫徹することを狙い、東中国海や南中国海での軍事的行動をエスカレートさせており、米中の軍事的対決情勢も極めて重大化している。
北朝鮮スタの体制崩壊の切迫
朝鮮半島は、一貫して帝国主義とスターリン主義の戦後体制の全矛盾の集中点であった。
現在、とりわけ世界大恐慌下で北朝鮮スターリン主義の体制崩壊の危機が激化している。デノミの失敗による経済危機、それに伴う金正日体制への人民の不満、怒りは爆発寸前になっている。金正日の健康問題と後継問題の切迫の中で、反人民的・冒険主義的な瀬戸際政策を取っているが危機は深まるばかりだ。この北朝鮮の体制崩壊が生み出す衝撃は巨大だ。
米帝はこれまで一貫して北朝鮮侵略戦争を構えてきた。1994年の北朝鮮核問題の時には戦争計画「5027」の発動寸前までいった。米軍50万人、艦艇200隻、航空機1600機を動員する一大侵略戦争を仕掛けようとしていた。
現在、米帝は重大な危機にある。世界大恐慌による底なしの経済危機と財政危機、そしてイラク侵略戦争8年、アフガニスタン侵略戦争10年の長期泥沼戦争に敗北し、米軍が疲弊しきっている。唯一の超大国米帝の世界支配を支える米軍の権威は今や地に落ちている。
北朝鮮の崩壊は、その米軍に北朝鮮侵略戦争というもうひとつの戦争的対応を迫る事態だ。これは今の米軍体制を崩壊させかねないものだ。それでも米帝はQDR(4年ごとの防衛見直し)で打ち出したように、北朝鮮の体制崩壊がもたらす地殻変動の中で、どんなに絶望的でも対中軍事制圧と朝鮮半島軍事制圧を一体的にやりきっていかざるをえない。今現在、そのプロセスが発動されたということなのだ。それがどのような階級的激突をもたらすのか。真っ向から問題をみすえなければならない。
作戦計画「5029」と米韓軍
90年代後半に米韓連合軍は、北朝鮮の体制崩壊に備えた緊急対応策として「概念計画5029」をつくった。その内容は、@金正日が暗殺された場合、A北朝鮮国内で暴動が起きた場合、B北朝鮮との間での戦闘になった場合、C内戦に発展した場合、D北朝鮮の大量破壊兵器の拡散をどう阻止するのか、E大量難民が発生した場合どう対応するのか、というものだ。北朝鮮の韓国侵攻に備えるものから北朝鮮の内部崩壊に備えるものに変化したのだ。
韓国の金大中大統領(98年〜03年)は労働者への首切りリストラを遂行する一方で、「太陽政策」をとり北朝鮮宥和(ゆうわ)政策を展開した。ノムヒョン大統領(03年〜08年)も、新自由主義政策をとり労働者弾圧を強化する一方で「太陽政策」を継承し、自主国防(韓国は韓国軍が守る)を掲げ、米韓連合軍の指揮統制権委譲を米帝に要求した。これは、北朝鮮への侵略戦争の発動権を米軍から韓国軍に委譲させるというものであり、米軍の勝手にはさせないというメッセージだった。米韓同盟もこの時大きく動揺したのだ。
04年、米韓連合軍司令部は「概念計画5029」を改定し、より詳細で具体的な作戦計画「5029−05」に格上げしようとしたが、ノムヒョン政権がこの作戦計画を突き返した。07年冒頭、米帝の巻き返しのもとで米韓の国防長官が「概念計画5029」の具体化で合意した。同時に日米両政府も米軍の北朝鮮侵略戦争に備える日本政府の「概念計画5055」を「実効性のある作戦計画5055」に格上げする作業に入った。米韓連合軍は、この作戦計画「5029」を発動しようとしている。
オバマの「核なき世界」論は侵略戦争発動の正当化狙う
北朝鮮侵略戦争計画は、イラク侵略戦争やアフガニスタン侵略戦争をはるかに上回る大規模戦争計画だ。米軍が90年代に作成した世界戦争計画の中で、二つの大規模戦争に同時に備えるとしていた。そのひとつが北朝鮮侵略戦争だった。
この戦争は、1950年の朝鮮戦争を引き継ぐ戦争だ。50年の朝鮮戦争は、死者が北朝鮮250万人、韓国市民100万人、韓国軍人50万人、米軍5万4000人、中国軍人18万人。離散家族1000万人と言われる。北朝鮮侵略戦争はこうした規模の戦争となるのだ。
1994年の朝鮮核危機の時は、米元大統領カーターの訪朝、金日成−カーター会談で米帝の朝鮮侵略戦争計画「5027」の発動は回避されたとされている。しかしこの戦争が回避された本当の理由は、当時の韓国大統領・金泳三(キムヨンサム)が「米国が北朝鮮を軍事攻撃すればソウルは『火の海』になる」「その場合、韓国65万軍隊の一人も戦闘に送らない」と猛然と反対したことだった。
米軍が北朝鮮を攻撃すれば、直ちに北朝鮮軍は、38度線の軍事境界線付近に配置した多数の砲台から30`メートルの至近距離にあるソウルめがけて砲弾やロケット弾を発射する態勢をとっている。ソウルは「火の海」になることは必至だ。米軍は「100万人の死者が出る」と言っている。
こうした南北朝鮮人民の大量殺戮(さつりく)をもたらす北朝鮮侵略戦争を正当化するためにオバマが持ち出してきたのが「核なき世界」論だ。「QDR2010」では次のように言っている。「最大の悩みは大量破壊兵器保有国の不安定化または崩壊であろう」。これはまさに北朝鮮を指している。
「これは大量破壊兵器の材料、兵器、及び技術の急速な拡散を招く可能性があり、直ちに合衆国と他のすべての国家に直接の現実的な脅威をもたらす」。だから北朝鮮崩壊の際にその核兵器を米帝が管理するのだ、そのために北朝鮮の体制崩壊に際しては戦争もやむをえないとしているのだ。「政権が崩壊した時には、北朝鮮にある核を押さえることが海兵隊の目的である」と沖縄海兵隊の役割を米海兵隊司令官が正直に語っている。
オバマの「核なき世界」論の狙いは、世界の反戦反核闘争解体と同時に、北朝鮮侵略戦争を正当化するためのデマゴギーだ。「核兵器拡散阻止」を口実とする北朝鮮侵略戦争を狙っているのだ。そのために数百万人もの朝鮮人民が殺されても構わないとしているのだ。
労働者と労働組合の闘いが侵略戦争阻止する最大の力
米軍は8月までにイラクから戦闘部隊を撤退させるとしている。アフガニスタンでも来年7月から米軍の撤退を開始するとしている。米国内階級闘争がこれ以上の戦争継続を許さないからだ。
01年9・11反米ゲリラ戦闘は全世界に巨大な衝撃を与えた。中東支配の危機に追い詰められた米帝・ブッシュは「対テロ戦争に賛成するのか反対するのか」と世界各国を恫喝してこれに従わせ、アフガニスタン侵略戦争に突入し、イラク侵略戦争へと拡大していった。
イラク・アフガニスタン侵略戦争の敗勢に直面し、オバマは「核なき世界」を叫んで人気回復を図り、他方で「核保有国」の北朝鮮とイランへの排外主義をあおって国内階級支配の安定を組織しようと狙った。しかしアフガニスタン侵略戦争の撤退戦略の不透明さなどからオバマの人気は落ちるばかりだ。11月の中間選挙ではオバマ民主党の大敗は避けられないとされている。任期途中の大統領交替までも言われている。
そのオバマがアフガニスタン、イラク侵略戦争で疲弊しつくしている米兵をさらに北朝鮮侵略戦争の過酷な戦場に投入できるのか。米帝の北朝鮮侵略戦争は、米帝の命取りになりかねない。アメリカの労働運動が北朝鮮侵略戦争に猛然と反対すれば、米帝はこの戦争に突入できない。アメリカ革命を覚悟しなければ北朝鮮侵略戦争はできないようなギリギリの問題としてあるのだ。
6月2日の韓国地方選挙で与党ハンナラ党が惨敗した。対北朝鮮強硬策を主張するイミョンバク政権へ「ノー」がたたきつけられた。イミョンバクは哨戒艦の沈没事件で「北の脅威」をあおり勝利を確信していたが歴史的惨敗をとげた。韓国の労働者階級人民は、「北の脅威」論が北朝鮮侵略戦争にいきつくことを知り尽くしている。もし米帝とイミョンバクが北朝鮮侵略戦争を強行するなら、それは韓国革命を覚悟しなければならない。韓国労働者階級のゼネストと韓国軍の反乱だ。キムデジュンもノムヒョンもそれを恐れていたのだ。
中国は北朝鮮情勢に自らの体制的危機を重ね合わせている。北朝鮮の崩壊は中国スターリン主義体制の崩壊に直結すると中国スターリン主義指導部は察知している。北朝鮮「社会主義」の崩壊は、その「社会主義」の全ペテンを一挙に暴き出させることになる。一部スターリン主義の特権階級による労働者支配のデタラメさすべてが明るみに出る。
中国スターリン主義に対するうっ積した怒りが、新たにわき起こる青年労働者を先頭に爆発し、スターリン主義打倒にまで突き進むのは必至だ。中国スターリン主義指導部は戦々恐々としている。そのために北朝鮮の崩壊を防ごうと、今回の哨戒艦沈没事件では、北朝鮮を名指しての国連決議阻止に全力をあげた。
中国は、米韓合同演習における黄海での原子力空母ジョージ・ワシントンの演習に反対している。東アジアの軍事大国として登場している中国は、国内支配を強化するためにも、北朝鮮を自らのコントロールのもとに置くためにも黄海を米軍の思うがままにはさせないという姿勢をとる必要があるのだ。
北朝鮮侵略戦争は米韓連合軍を日帝自衛隊が後方支援する形で遂行することになっている。ところが日帝の側の共同作戦遂行の体制は、米側から見てもきわめて不十分なのだ。日韓関係には強い緊張が走っている。韓国領土独島(トクト)の領有権を日本が主張しており、韓国人民の怒りは激しい。日米同盟と米韓同盟はあるが、日韓同盟形成などは問題にもならない関係だ。
菅首相の「韓国併合100年首相談話」は、日帝にとってのこの政治的な限界の突破を狙って行われたものである。自民党ではできなかった、形を変えた新たな日韓同盟関係の構築宣言である。新たな北朝鮮侵略戦争宣言だ。
沖縄基地撤去・日米安保粉砕へ
沖縄米軍基地移設問題は、にっちもさっちも行かない。普天間基地撤去、名護移設阻止、全沖縄の米軍基地撤去はまったく当然の声だ。民主党政権のもとで沖縄人民の米軍基地に対する65年間の積もりに積もった怒りが爆発している。朝鮮侵略戦争のために沖縄の米軍基地がフル稼働することなど断じて許されない。沖縄の労働者人民の怒りは米軍基地撤去・日米安保粉砕へさらに爆発・発展する。北朝鮮侵略戦争のための軍需物資輸送、基地、港湾、空港、道路の軍事使用を断固阻止しよう。
闘いの最大の主力は、労働者階級と労働組合だ。職場闘争と同時に反戦政治闘争を闘う労働組合、労働組合運動をよみがえらせよう。これは日本革命勝利に直結する闘いだ。11月労働者集会1万人結集へ日米韓の労働者国際連帯を発展させ、北朝鮮侵略戦争を阻止しよう。
〔宇和島洋〕
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週刊『前進』(2452号5面2)(2010/08/23 )
改憲狙う「新安保懇」報告
日帝の軍事戦略の大転換
菅首相の私的諮問機関「新たな時代の安全保障と防衛力に関する懇談会」(新安保懇)が首相に提出する報告書案が7月26日、明らかになった。
この懇談会は、前首相・鳩山のもとで今年2月に発足し、月2回のペースで会合を行ってきた。座長に佐藤茂雄・京阪電鉄最高経営責任者がおさまり、伊藤康成・元防衛事務次官、齋藤隆・前統合幕僚長が専門委員として連なるなど、民主党・ブルジョアジー・軍部中枢が一体となったものだ。
初会合に出席した鳩山は「タブーのない議論をして欲しい」と、”安保・防衛問題での戦後的な枠を取っ払う”よう檄を飛ばした。報告書は8月中にも首相に提出され、今年末に民主党政権下で初めて策定される「防衛計画の大綱」のたたき台となる。
「新安保懇報告」は、民主党政権下で日帝の軍事戦略を一八〇度転換する恐るべき大攻撃だ。
その攻撃性は第一に、「日本に対する限定的な侵略を拒否する役割に特化した『基盤的防衛力』概念が有効でないと確認し」と、「専守防衛」を取り払い、北朝鮮―中国侵略戦争態勢構築へと一気に踏み込もうとしていることだ。その突破口として「離島へ自衛隊配備」せよと、南西諸島への自衛隊配備を要求している。
戦後の日帝は労働者階級との関係、アジア人民との関係に規定される中で「専守防衛」を掲げ、それを隠れみのに軍事大国へと飛躍してきた。実態はイラク・中東などへの派兵やPKO派兵をとおして外洋型軍隊・侵略軍隊へと変貌(へんぼう)を遂げている。
今報告書の攻撃性はこの実態を開き直り的に認めたうえで、さらに自衛隊をこれまでの「北方重視」から北朝鮮、中国と正面対峙する編成・態勢へ根本的転換を図ろうとしていることだ。実際にもすでに防衛省が宮古島や石垣島に陸上自衛隊を数百人規模で配備する計画を検討していることが明らかとなっている。これに対して、沖縄本島や宮古島、石垣島の住民は猛然と反対の声を上げている。
攻撃性の第二は、「非核3原則」「武器輸出3原則」「集団的自衛権」を「賢明でない」「見直しが必要」などとして、一挙に取り払おうとしていることだ。
すでに「非核3原則」を踏みにじって沖縄などに核兵器が持ち込まれ、「武器輸出3原則」も空洞化の現実があり、絶対に許すことはできない。また、これらの「原則」は日米安保のアジア・中東侵略戦争のための展開と日帝の軍事大国化攻撃から労働者階級の目をそらすためのものでもあった。だが他方で、これらは日本の労働者階級の反戦・反核の広範な意志と闘いが日帝に強制してきたものであり、日帝は敗戦帝国主義からの脱却をなしえずにきた。
今回の報告書はこれらすべてをたたきつぶし、労働者階級を排外主義と戦争の担い手へと動員することを狙うものだ。4・9国鉄闘争政治和解と同じ階級的意図を持った攻撃だ。そのうえに戦後的な制約を打ち壊し、改憲と、日帝自身の核武装も含めて、北朝鮮・中国侵略戦争態勢構築に急速に突き進むことを狙っている。
労働者階級の反戦政治闘争を復権させ、管政権を打倒しよう。
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週刊『前進』(2452号5面3)(2010/08/23 )
日帝経済マイナス成長に
「2番底」から国債暴落へ
日本の4〜6月期の名目GDPの伸びが前期比0・9%減、年率3・7%減となり、3期ぶりのマイナスに転じた。実質の伸び率は前期比0・1%増とほぼゼロに近い。このGDP成長率から見ると日本経済は、再び下降し始めた。また、鉱工業生産指数も6月に前月比1・5%低下しており、7〜9月期に1年半ぶりにマイナスに転じる可能性が強い。大恐慌下で今や日本経済は、「2番底」への転落が現実化しつつあるのだ。
日本経済は08年9月の「リーマン・ショック」後、帝国主義国の中で最大・最速の生産低下に陥った。それを大規模な首切り・賃下げ、恐慌対策の発動、さらに中国・アジアや米欧への輸出の持ち直しという3要因によりかろうじて乗り切り、09年3月を底にひとまず若干の回復を示してきた。
しかし、恐慌対策の政策効果は今や消えつつあり、特に自動車への最大25万円の「エコカー補助金」が9月に終了し、需要の反動減が避けられない。また、輸出数量は5月に、15カ月ぶりに前月比マイナスに転じている。中国・アジアへの輸出が2月から急減速しているためだ。中国バブルの崩壊もすでに確実に始まりつつある。
日本経済が「2番底」に落ちていく中で、再び失業者が増加している。6月の失業率は5・3%と、4カ月連続で悪化し、特に4〜6月期の完全失業者349万人(月平均)のうち、失業期間が1年以上の長期失業者は118万人と、7四半期連続で増加した。また、4〜6月期の正社員は前年同期比81万人減の3339万人、非正規社員は同58万人増の1743万人で、非正規労働者が占める割合は34%強となっている。
一方、「2番底」が現実化すれば、日本国債の暴落の危機がいよいよ切迫する。現在はそれとは逆に、円高の進行によって国債バブルが一段と膨らんでいる。8月に入ってドル・ユーロから円に資金がシフトし、日本国債が比較的安全と見なされて消去法的に買われ、長期金利は約7年ぶりに1%を割った。円は8月半ばには1j=84円台と15年ぶりの高値をつけた。この円高ドル安は、米経済の減速懸念によるドルの急落であるとともに、米帝によるドル安誘導・通貨切り下げという争闘戦の反映でもある。こうしたより一層の日本国債のバブルは、むしろ国債暴落のエネルギーを充填(じゅうてん)しつつあると言える。
さらに6月末の国の借金は904兆円に達し、11年度中には1000兆円の大台に入る見通しだ。10年度予算では税収37・4兆円に対し44・3兆円の国債発行が予定されており、これで国債への信認が維持されるはずがない。日本国債はゆうちょ銀行(160兆円保有)など国内機関投資家への依存度が95%と高く、閉鎖性が強い。これが国債保有を安定させているように見えるが、いったん逆回転すると、機関投資家による一斉投げ売り、国際的な孤立化という形で弱さに転化する。実際、銀行などはすでに「いつでも売りに転じられる半身の投資スタンスを取っている」(8・12日経)のだ。
大恐慌下の日帝経済危機は、菅民主党・連合政権を痛撃している。国鉄全国運動の発展を軸に菅政権打倒、11月総決起へ闘おう。
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週刊『前進』(2452号6面1)(2010/08/23 )
改憲・戦争の菅政権に反撃始まる
第16回8・15労働者・市民のつどい
朝鮮侵略戦争挑発を弾劾
国鉄全国運動を闘いの基軸に
8月15日、「朝鮮戦争反対!改憲阻止!菅政権打倒!民権2010 8・15労働者・市民のつどい」が東京新宿区の牛込箪笥区民ホールで行われた。早朝の靖国デモを引き継ぎ、560人の労働者・学生・市民が参加した。菅民主党政権の改憲・戦争攻撃への広範な反撃が始まった。
(写真 集会の最後に発言者全員が登壇。労働者の国際連帯で改憲・戦争を阻止する決意がみなぎった)
戦後50年の95年に始まった「8・15のつどい」は今年16回め。冒頭、主催者あいさつで葉山岳夫弁護士は「改憲論者が中枢を握る菅政権を打倒し、国鉄全国運動の成功を」と呼びかけた。
これを受けて来日中のドイツの学生が発言、「ドイツでも第1次、第2次大戦の記憶がナショナリズム・排外主義に利用されている」「排外主義、愛国主義との闘いは世界共通の労働者と学生の課題だ」と訴えた。
さらに全学連委員長代行の坂野陽平君が早朝の靖国デモを報告した。「体制内派は反戦も労働運動も投げ出した。わが全学連と戦争絶対反対派がデモで登場した意義は大きい」
続いて動労千葉新小岩支部長の佐藤正和さんが7月のブラジル訪問闘争を報告。「ブラジルは近いと感じた。労働者の闘いは俺たちと同じだ。彼らも社会主義を掲げ200万人を組織している。俺たちもその一歩手前の壁を越えよう。11月には1万人結集を」と訴え、大きな拍手を浴びた。
沖縄民権の会・座覇光子さんは「沖縄戦を忘れてはならない。軍は弱い住民を『スパイ』だと電柱に縛り、朝鮮人軍隊慰安婦に『腹を刺せ』と殺させた。この責任は天皇に行き着く。天皇がマッカーサーに命ごいし、沖縄を売り渡した。沖縄は普天間で新たな戦争にたたき込まれた。この沖縄から必ず歴史は変わる」と訴えた。
集会の基調報告は森川文人弁護士が行った。森川さんは、菅首相が韓国併合100年の談話で「謝罪の言葉」を並べる一方で、米韓合同軍事演習に自衛隊を参加させ、朝鮮侵略戦争の挑発に加わっている現実を弾劾、「民衆による戦争責任の追及とは人民が政治と社会を運営する“民権”を実現することだ」と訴えた。
カンパアピールを受けて、松本ヒロさんのコント「NO WE 菅(CAN)」。菅政権と日本の政治への鋭い風刺と円熟の演技に会場は爆笑の渦に包まれた。
韓国・民主労総と動労千葉・田中康宏委員長がそれぞれ特別報告。民主労総ソウル地域本部副本部長のペギナムさんと組織次長チャンジニョンさんが登壇し、ペギナムさんが「日韓労働者の連帯で戦争を止めよう」と訴え、「11月にソウルで開かれるG20首脳会議に立ち向かう労働組合の国際連帯闘争」を呼びかけた。田中委員長は「大勢の訪韓団を組織して参加する」と応えた。
とめよう戦争への道!百万人署名運動の事務局長で平和遺族会全国連絡会代表の西川重則さんは「戦争と改憲に絶対反対」の報告。昭和天皇が中国侵略戦争の末にポツダム宣言受諾を拒否、広島・長崎への原爆投下に至った歴史を振り返り、「あの時なぜ私たちは戦争反対を言えなかったか? 侵略と加害の歴史を知らずに本当の国際連帯はない。天皇の戦争責任を忘れてはならない。改憲に動き出した菅政権に不断の警告を」と訴えた。
さらに憲法と人権の日弁連をめざす会の山本志都弁護士は「社会の敵」を市民に裁かせる裁判員制度は「人民の治安・統治意識を高め、改憲に導く」と指摘、「現代の赤紙=裁判員制度を葬り去ろう」とアピールした。
決意表明を青年労働者・学生が行った。「管理者を打倒した。現場に労働組合をつくるとすごい力になると実感」(千葉の青年労働者)、「反戦闘争、排外主義との闘いは学生運動の正面課題。『死んで靖国で会おう』と最初に学徒動員に応じたのが法政大学。カリフォルニア大学バークレー校は原爆開発の拠点となった。学生が商品とされる現実を突破し、世界を変革する学生運動の力を取り戻そう」(全学連・織田陽介委員長)、「民営化と闘うために動労千葉を支援する会を職場に拡大しよう」(国鉄全国運動・東京東部の会)との決意に大きな拍手と歓声がわいた。
最後にス労自主委員長の入江史郎さんが「労働者がストライキで社会を止めれば軍艦も戦闘機もただの金属片だ」とまとめの発言を行い、「団結ガンバロー!」の声が会場を包んだ。
(写真 菅民主党・連合政権打倒へ560人が怒りの団結【8月15日 東京・新宿区】)
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週刊『前進』(2452号6面2)(2010/08/23 )
第16回8・15労働者・市民のつどい 基調、特別報告
基調報告 居直り菅政権倒し民権を実現しよう 弁護士 森川文人さん
先日、日本海(朝鮮名で東海)において米韓合同軍事演習が陸海空8千人の参加で行われ、日本の自衛隊も参加している。日米韓による北朝鮮への戦争挑発だ。韓国与党のハンナラ党はこの中での地方選挙で大敗した。韓国の労働者人民は戦争を望んでいない。菅首相は韓国併合100年の談話で「過去の謝罪」の言葉を発表したが、一方で露骨な戦争挑発の軍事演習をやっておきながら「謝罪」とは何のつもりか。
100年前のあの時代は戦争と革命の時代だった。1910年韓国併合、14年第1次世界大戦勃発(ぼっぱつ)、そして23年に関東大震災で朝鮮人虐殺事件が起こり、25年治安維持法成立、31年満州事変から侵略戦争の時代になだれ込んだ。
一方で17年にロシア革命が起こり、18年に日本で米騒動、19年に朝鮮の3・1独立運動、中国では反日帝の5・4運動が起き、日帝の植民地支配に反対するアジアの民衆の闘いが爆発した。20年には日本でも第1回メーデー闘争が闘い取られたが、関東大震災のあった23年のメーデーには社会主義者と朝鮮人の参加が禁止されるという大反動も起きた。まさに戦争と革命の時代だった。
そして日本帝国主義の敗戦から65年が経過し、いま菅政権のもとで再び改憲が日程に上っている。何が問われているのか? 民衆による戦争責任追及とは何か? われわれの世界の実現、民権の実現だ。労働者人民による政治と社会の運営をかちとることだ。
いま菅政権が「戦後行政の大掃除」などと言って360万人の公務員の首を切り、労働運動を全社会的に根絶し、憲法改悪と強権的支配体制の実現をめざして動き出した。菅政権を打倒して“民権”を実現することが私たちの運動の目標となった。
労働組合運動の根絶を狙った国鉄闘争の「4・9政治和解」に対して、動労千葉を中心に国鉄全国運動が始まった。分断には団結を! 民営化には労働組合を! 改憲には反戦・安保闘争と改憲阻止を! この闘いの基軸が国鉄全国運動だ。
改憲阻止の大課題である司法制度改悪―裁判員制度との闘いも、この夏が正念場だ。裁判員裁判の2千件の起訴のうち、判決はわずか600件。検事総長は「この夏以降地検の現場は火事場になる」というが、われわれの闘いで火葬場にしてやろう。民権を実現するために11月労働者集会の1万人結集を成し遂げましょう。
特別報告 危機の時代だからこそ展望ひらける 動労千葉委員長 田中康宏さん
65年前の敗戦は、1910年韓国併合から100年の日帝のアジア侵略史を抜きに語れません。しかし菅首相の「韓国併合100年談話」はウソとペテンに満ちている。国会の憲法調査会を動かそうとするなど改憲への動きを強めているからです。かつて村山首相談話(95年)の直後から、周辺事態法に始まる戦時立法と治安弾圧立法のラッシュが始まった。しかしこの危機の時代こそ闘いの展望も開けるというのが私の確信です。
戦後六十数年、日本の労働運動の中心課題として反戦闘争が闘われてきたことはすばらしい伝統です。警職法反対闘争や破防法制定反対を闘った50年代の闘いを経て、60年安保闘争では数十万人の労働者学生が国会に突入して闘った。「教え子を戦場に送るな」という日教組のスローガンは今日なおも生きています。
これがどこで変わってしまったのか? いまでは労働組合が「日米関係が大事だ」とか、軍事同盟に反対もできなくなってしまった。その転機は87年の国鉄分割・民営化だった。大反動が吹き荒れ、労働組合は反戦も闘えなくなった。
そのあげくの4・9政治和解です。この社会から労働運動と名の付くものをなくしてしまおうというのが政府の意図です。かつて最強と言われた国鉄闘争の指導部がこれに屈服した。その結果が、生きられない非正規職が社会に蔓延(まんえん)する現実なのです。振り返れば、軍事費のGNP1%枠突破も改憲攻撃も、あの国鉄分割・民営化から始まった。
動労千葉はこの現実の中で、すべての闘う労働者を結集し、階級的労働運動につくり変えるセンターを育てるために、新たな国鉄全国運動を提起しました。この時代だからこそ展望があると確信します。民主労総の同志からG20と対決する国際的闘いへの招請を受けました。大勢の訪韓団を組織して参加します。ともに闘いましょう!
特別報告 日韓労働者の連帯で戦争を止める 韓国・民主労総ソウル地域本部副本部長 ペギナムさん
今この時間、韓国でも「哨戒艦天安真相究明と韓半島の平和実現に向けた光復65年労働者自主統一決意大会と汎国民大会」が行われています。イミョンバク政権下で悪化した南北関係は最大の戦争の危機に立ち至っています。
情報統制にもかかわらず、哨戒艦「天安」に関する数多くの事実は、魚雷による沈没ではないことを明らかにしています。しかしアメリカと韓国政府は戦争準備に熱を上げています。韓国では天安事件について「国政調査」を要求する広範な署名運動が展開され、市民団体やネット社会、海外の大学教授らが政府の調査に反論する意見を連日提起しています。
明日16日からは韓米両国軍を含め40万人が参加する大規模軍事訓練が始まります。この戦争危機で利益を得たのは米日韓の軍事複合体と右翼であり、被害を受けたのは戦争の脅威に苦しむ韓半島の民衆と血税を軍事費にささげた日本とアメリカの国民です。しかし帝国主義の戦争と安保の論理は、イミョンバク政府と鳩山政府の選挙敗北が示したように、もはや労働者民衆を惑わすことはできません。
11月11日からソウルでG20首脳会議が開催されます。彼らの合言葉は金融世界化と帝国主義の軍事政策です。彼らの言う繁栄には労働者民衆は存在しません。G20の首脳たちに世界の労働者の怒りを突きつけてやる必要があります。
ソウル地域本部はこの場を借りてG20首脳会議に立ち向かう国際連帯闘争に動労千葉を公式に招請します。11月ソウルでG20各国の労働組合代表者、南半球の労働組合代表者と肩を組んで下さるようお願いします。動労千葉の「国鉄解雇撤回に向けた全国運動」の呼びかけ人の一人として、韓国の鉄道労組ソウル本部に代わって「頑張って下さい」とお伝えします。トゥジェン(闘争)!
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週刊『前進』(2452号6面3)(2010/08/23 )
団結ひろば 投稿コーナー
展望ない青年部総会 闘う青年部作りたい 自治体労働者 真壁久美子
8月7〜8日に東京で開催された自治労青年部総会を傍聴しました。聞いていて苦痛でイライラしました。「民主党にお願い」路線でアリバイ的に職場闘争をやっているのが見え見え。労働組合の顔をした労働者管理体制を目の前にして心底気分が悪くなりました。
議事は冒頭が執行部や江崎孝参院議員のあいさつ。来賓の社青同委員長は私鉄出身らしく「保守部門全面子会社化で職場は分断され事故が相次いでいる」と発言。動労千葉を見ろ!! 嘆いている場合じゃないだろ!!
各県代議員からの発言は統制されているかのよう。「手帳付け」「職場点検」「青年部独自要求」「単組オルグ」「夏季交はよかった」「学習・交流・実践」……。「政治闘争は重要です」とは「選挙運動」のこと。揚げ句の果ては「民主党に政策要望を出そう」とか。自治労本部には文句のひとつもない。
各発言者の背景に多忙化と賃下げ、超過勤務と職場の分断に苦しむ青年の姿が想像できるが、それがストレートに表現されないし、させないことがもどかしくて仕方なかった。
自分が青年部として登場できないのは本当にくやしい。こんな展望のない方針案は全部修正しないといけない。自治労青年部が現場の青年を獲得できるわけがないし、非正規や民間の労働者とも団結できない。動労千葉派の青年部が登場した時にひっくり返せる。こんなのに労働組合を名乗らせてたまるか! 闘う青年部を建設してやる!と決意を新たにしました。
米・日・韓のきな臭い策動が見えてくる! えはら・のはら
「8・15労働者・市民のつどい」に参加し感動し勇気がわいてきた。8月15日は日本では「終戦」または「敗戦」記念日だが、韓国・朝鮮では日本帝国主義の植民地支配から解放された「光復節」「解放記念日」だ。
菅首相は韓国強制併合100年の節目にあたり「談話」を発表した。しかし韓国併合があたかも合法的だったかの含みを残し、朝鮮半島から略奪した文化財を「お渡しする」とは言うものの、言い知れぬ不幸と苦痛・犠牲を朝鮮民族に強いたことへの心からの反省はつゆぞ感じとれない。また中国の軍事力の増強を強調し「安保体制の整備」のために自衛隊幹部を官邸に呼んで意見を聞いたという。武器輸出も狙っている。菅は「市民運動家」の仮面をかなぐり捨てた資本家の番人でしかない。「日韓の未来志向」が聞いてあきれる。
一方、韓国の李明博大統領は菅の談話に呼応する形で「未来志向の関係強化」と言い、特に南北統一問題に言及したが絵に描いた餅、人気取りの演説でしかない。北朝鮮の体制崩壊が前提だ。3月に起きた韓国海軍哨戒艦の沈没事件を契機に意図した韓米日の画策が国際的にも支持を得られなかったので、今度は「平和共同体で統一」と言うことで国内世論を味方につけようというのだ。
しかし、こうした「対話のポーズ」を取りながら実際にやっていることは何か!? 日本の自衛隊も参加した米韓軍事演習を繰り広げ戦争を挑発しているではないか! 今こそ労働者の団結とエネルギーを大きく燃え上がらせ、米日韓の策動を見抜き、帝国主義を打ちのめすまでガンバロウ!
闘いはこれからだ。
綱領草案の内容語り 『前進』を街頭で販売 東京 須藤康史
この間、党と労働者の生きた交通をつくるべく、JR新小岩駅前で『前進』を販売する街頭宣伝を行っています。今回は「国鉄分割・民営化に反対し、1047名解雇撤回を共に闘う国労の会」の署名をしてくれた労働者に『前進』の購読を提起しました。
50代後半の男性労働者に署名をお願いしたところ「中核派は嫌いだ。お前は国鉄のビラなんかまいてるが、働く者の苦労を本当にわかってるのか?」と厳しい口調で言われました。話を進めていくと日本赤軍の元シンパの方だったようで、社会への怒りと敗北主義が入り混じった考えを持っていることがわかりました。
そこで私は「カクマルとの戦争に勝ちきって本格的に労働運動ができるようになったから、中核派は国鉄解雇撤回の署名を提起できるんです」「労働者階級の利害を貫く党をつくれば勝てるのではないか」「あなたに通用しない『前進』は間違っていると思うので、読んで、同封してあるアンケートを郵送してくれないか」と、革共同の綱領草案の内容で相手を獲得しようと試みました。彼にはそれが新鮮だったようで、「おお、そうか」と笑顔で『前進』と私の名刺を受け取ってくれました。
労働者・大衆の検証を受けて機関紙・指導部・党はつくられていきます。労働者の党になるということをひとつ実践した一日でした。
これからも「労働者が納得しない方針は間違っている」という立場を貫いて、『前進』街宣をやっていきたいと思います。
青年は闘いの理論的武器を求めている 前進社出版部 本田祐二
今夏、8・6−8・9を始め反戦反核闘争で前進社の書籍が歴史的な売り上げを記録しました。
初めて闘いに立った青年労働者・学生が『共産党宣言』や『反戦派労働運動』などに出あい、感動をもって読んでいます。職場やキャンパスの仲間とのフラクション建設や学習会を組織する武器に、前進社の本をまとめ買いする青年が増えています。闘う団結、闘う仲間を求めると同時に闘うための理論・イデオロギーを求めています。
11月へ向けてぜひ読んでほしい本は『反戦派労働運動』です。今夏、新たに決起した青年労働者が「青年労働者が体制内労働運動の支配を打ち破り、数千・数万の規模で世代として決起した時代があったのか!」「たとえ職場で少数でも時代を動かすことはできる!」と「反戦派」の歴史を新鮮に受け止めています。
故中野洋動労千葉顧問は『反戦派労働運動』についてこう語りました。「反戦青年委員会運動が果たした役割について今日的に正しく総括することが、青年労働者の闘いをこれから大きく切り開いていく上で非常に大切」「階級的労働運動というのは、本質的には資本主義を否定する運動です。それが60年代の反戦青年委員会の闘いには明確に貫かれていた。そのことをこの本の中からつかみ取ってほしい」「僕なんかも反戦青年委員会運動の中で育った。動労千葉の闘いの源流は60年代の反戦青年委員会運動にあるんです」
前進社出版部は党の理論闘争の最前線で、新たな出版物の発行のために日々闘っています。ともに闘いましょう!
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週刊『前進』(2452号6面4)(2010/08/23 )
法大裁判に集まろう!
★暴処法裁判
第17回公判 9月16日(木)午後1時30分
★5・28暴行デッチあげ裁判(控訴審)
第2回公判 9月22日(水)午後1時30分
いずれも、東京地裁429号法廷 12時30分に傍聴券配布所に集合
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