ZENSHIN 2008/11/03(No2366 p08)

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第2366号の目次

(写真 労働者集会をかちとり、新自由主義攻撃を打ち破って労働者の未来を開こうと「団結頑張ろう」の声をあげた【11月2日 東京・日比谷野外音楽堂】)

 
1面の画像
 
(1面)
新自由主義攻撃うち砕け 日米韓の闘う労働者が団結
11・2全国労働者集会 大反動に勝利し5700人
“生存権守れ”“生きさせろ”
青年労働者・学生を先頭に
厳戒を破り銀座大デモ
記事を読む  
おことわり 記事を読む  
(2面)
4者4団体10・24集会 機動隊導入し闘う組合員を排除!!
1047名解雇撤回の原則貫き国労5・27臨大闘争弾圧粉砕へ
12・14国鉄闘争勝利集会に結集を
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京品ホテル 労働者が自主営業
一方的解雇通告に怒り 職場は自分たちのもの(本紙・石井良久)
記事を読む  
タクシー労働者の団結と闘い
一律大幅賃上げを!
差別・分断の格差賃金と対決
規制緩和許さず安全輸送確立へ(投稿/交運グループ共闘会議・渡海進司)
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(3面)
労働運動絶滅狙う橋下倒せ
道州制=民営化・解雇粉砕へ
11・21大阪府庁前闘争に立とう
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関西国鉄集会 “絶対に解雇撤回を”
第2次国鉄決戦勝利誓う(10月24日)
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〈焦点〉 「テロ指定」解除と日米争闘戦
北朝鮮政策の根幹は不変
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〈焦点〉 危機の米帝の強い要求背景に
陸自アフガン派兵も狙う
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(4面)
大恐慌の唯一の出口は世界革命だ
29年大恐慌にもなかった全世界覆う信用収縮
実体経済に波及し大不況へ 島崎光晴
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コミューン 12月号
国鉄解雇の撤回を
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(5面)
「農地明け渡せ」とNAAが提訴
市東さん「実力で阻止」
三里塚 反対同盟、怒りの会見(10月29日)
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三里塚 反対同盟、怒りの会見 市東さんの談話(10月29日) 記事を読む  
『農地収奪を阻む』
三里塚反対同盟 萩原 進著
国家権力と絶対非和解で闘う反対同盟農民の思想
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狭山第3次再審へ各地で集会
“狭山・住宅を両軸に”
新たな解放共闘へ大きな一歩(10月26、27日)
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共謀ひろば3
共謀罪の粉砕へ
法大救援会が闘いを報告(10月18日)
記事を読む  
(6面)
星野さんを自由に 11・29全国集会へ
“生きさせろ”の闘いと結合し 第2次再審闘争勝利を
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市東さんに農地明け渡し請求
反対同盟が弾劾声明(10月29日)
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法大弾圧裁判(10月23、24日) 記事を読む  
富山大弾圧 武藤君に保釈決定
不当な保釈金400万円!(10月28日)
記事を読む  
日誌 2008年 10月22日〜28日
米軍がシリアに越境攻撃/最高裁長官に裁判員制度推進派
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日程 迎賓館・・横田爆取デッチあげ弾圧差し戻し審 記事を読む  
(7面)
さあ裁判員制度は廃止だ!
11月全国一斉行動へ
対談 佐藤和利弁護士 高島章弁護士
治安と戦争へ国民動員狙う 佐藤
高島 権力の一翼担えということ
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(8面)
新自由主義攻撃うち砕け 日米韓の闘う労働者が団結
4者4団体路線粉砕し 1047名解雇撤回へ
呼びかけ労組からのアピール
記事を読む  

週刊『前進』(2366号1面1)(2008/11/03 )

労働者集会をかちとり、新自由主義攻撃を打ち破って労働者の未来を開こうと「団結頑張ろう」の声をあげた(11月2日 東京・日比谷野外音楽堂)

 新自由主義攻撃うち砕け 日米韓の闘う労働者が団結

 11・2全国労働者集会 大反動に勝利し5700人

 “生存権守れ”“生きさせろ”

 青年労働者・学生を先頭に

 厳戒を破り銀座大デモ

 11月2日、日比谷野外音楽堂で開かれた全国労働者総決起集会に5700人が大結集した。全日本建設運輸連帯労働組合関西地区生コン支部、全国金属機械労働組合港合同、国鉄千葉動力車労働組合の3労組が呼びかけた。日米韓3国連帯闘争の階級的統一の地平と相まって、世界金融大恐慌下で新自由主義を打ち砕き、「労働者の力で世界を変えよう」と、固い団結を誓い合った。

 港合同から開会のあいさつ

 集会冒頭、港合同の中村吉政副委員長(写真)が開会あいさつ。金融大恐慌の中、全員解雇攻撃に立ち向かう京品ホテル労働者の闘いに「断固たる支援・連帯」を確認し、「非正規雇用労働者の闘いが大企業の足下で前進している」「国鉄1047名闘争は国家的不当労働行為と闘う争議団の神髄を問う闘いだ。安易な妥協を排し真の勝利へ」「3労組共闘の課題は、戦闘的労働運動の団結と国鉄闘争勝利の大道に立ち克服しよう」と提起した。
 連帯あいさつは、憲法と人権の日弁連をめざす会代表の高山俊吉弁護士、とめよう戦争への道!百万人署名運動の西川重則事務局長、三里塚芝山連合空港反対同盟の萩原進事務局次長と市東孝雄さんが登壇して、労働者との熱い連帯を表明した。

 米韓の代表団に熱烈な連帯

 韓国民主労総の労働者は四十数人の部隊で参加。金属労組ハイテックRCDコリア支会副支会長のチョンウンジュさんは「ハイテック資本との闘いは労働者の生存権の問題。不当解雇中のキムヘジン支会長は、現在40b上空の送電塔でハンストろう城闘争を行っている。動労千葉をはじめ同志たちの熱い連帯に応えたい」と熱烈なアピール。
 さらに民主労総ソウル地域本部のイジェヨン本部長は「イミョンバク政権は新自由主義を掲げ、公企業の民営化で労働者階級の抵抗を暴力でつぶそうとしている。今こそ全世界の労働者は改良主義を克服し、社会主義変革運動へ進もう」と力強く訴えた。
 アメリカからはILWU(国際港湾倉庫労働組合)ローカル10執行委員ジャック・ヘイマンさんが発言。5・1メーデーでのイラク港湾労働者の連帯行動を報告し、「階級協調派が世界の労働運動を支配している。国際的・革命的な労働者の党が必要。ILWUと動労千葉の絆の強化を表明します」と提起した。
 UTLA(ロサンゼルス統一教員組合)CAMS(校内の軍国主義に反対する連合)のグレゴリー・ソティアさんは「学校の軍事化が広がる中、学校現場で広島・長崎を語り、平和と正義のために努力している。ゼネストで職場を止めよう」と訴えた。
 5年目を迎えた日米韓3国連帯闘争の飛躍に、会場は大きな拍手と歓声でつつまれた。
 関西生コン支部の高英男副委員長と動労千葉の田中康宏委員長が集会の基調的なアピールを行った。高さんは3労組共闘の10年間が多くの成果を積み上げたことを総括し、「運動の進め方での意見の違いは、団結を深めるチャンスだ。活発に議論し互いを高めよう」と訴えた。これを受け、田中委員長は「労働運動の原点が問われている。だからこそ動労千葉は、国鉄1047名闘争で政府に詫び状を出した『4者・4団体』の屈服路線に絶対反対を貫く。ここに労働者が必ず勝利できる道がある」と呼びかけた。(8面にアピールを掲載)

 特別報告と決意表明に歓声

 特別報告では、1047名解雇撤回闘争を闘う国労闘争団と動労千葉争議団が渾身(こんしん)のアピールを行った。動労千葉争議団の中村仁さんは、「政府と資本に土下座した『4者・4団体』は絶対許せない」。国労北海道闘争団は「1047名の団結が新自由主義を破綻させた。労働者が立ち上がれば社会は止まる」。国労秋田闘争団・小玉忠憲さんは「改憲の民主党や、自民党の下僕・公明党に頭を下げるために22年間も闘ってきたのではない」と、怒りを込めて訴えた。
 「日の丸・君が代」不起立闘争被処分者が登壇、代表して根津公子さんが発言した。根津さんは「意見の違いもあり、今回は参加しないつもりだった。しかし、要求と闘いが一致すればともに闘おうというのが私の姿勢です。都教委が私を懲戒免職にできなかったのは全国の人びとの勝利。分限免職攻撃を阻止する」と述べた。広島教組の青年労働者が熱烈な決意を述べた。
 沖縄行動団から、うるまユニオンの富田晋さんが「辺野古の守る会事務局から『サミット反対デモ』での逮捕を理由に解雇された。腐った指導部をぶっ飛ばして基地建設を阻止する」と発言。
 決意表明では、医療福祉労働者、自治体労働者、雇い止め攻撃と闘うゆうメイトの青年労働者が決意を表明した。
 決意表明の最後に、法大文化連盟が登壇。委員長の斎藤郁真君が「本日学祭とぶつかったが、文連は労働者集会に来た。闘う相手が皆さんと同じだからです」と発言し、万雷の拍手を浴びた。
 動労水戸委員長・石井真一さんがデモの行動提起。関西生コン支部の武谷新吾さんが閉会のあいさつを行い、意気高くデモに出発した。銀座一帯を制圧し万余の労働者、市民と合流した。11・2集会は、まさにプロレタリア革命への大道を切り開く闘いとなった。

動労千葉など呼びかけ3労組を先頭にデモ。“労働者は団結して闘おう”とアピール(東京駅前)

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週刊『前進』(2366号1面2)(2008/11/03 )

 おことわり

 11・2全国労働者集会の報道のため、報道特別号として発行を遅らせました。

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週刊『前進』(2366号2面1)(2008/11/03 )

 4者4団体10・24集会 機動隊導入し闘う組合員を排除!!

 1047名解雇撤回の原則貫き国労5・27臨大闘争弾圧粉砕へ

 12・14国鉄闘争勝利集会に結集を

 国労5・27臨大闘争弾圧被告団と国労共闘は、1047名解雇撤回、国労5・27臨大闘争弾圧粉砕などのスローガンを掲げて12月14日に「すみだ産業会館」で開かれる国鉄闘争勝利集会への結集を呼びかけている。世界金融大恐慌が激しく進行し、大失業攻撃が労働者を襲う中で、1047名解雇撤回の闘いは資本主義に対する労働者の怒りを糾合すべき位置にある。11・2全国労働者総決起集会の勝利と熱気を引き継ぎ、第2次国鉄決戦勝利へさらなる進撃を続けよう。
国鉄1047名闘争の幕引きを図る10・24集会で、闘う国労組合員らは「解雇撤回の原則を貫け」と怒りの声を上げた(日比谷野音)

 解雇撤回を投げ捨てた裏切り者断じて許さぬ

 4者・4団体が国鉄闘争幕引きのために開いた10・24集会は、4者・4団体路線の反動性を完全にさらけ出した。在京闘争団幹部を始めとする4者・4団体路線推進派は、「解雇撤回の原則を貫け」と主張する国労組合員を「妨害勢力」と言い、排除するために阻止線を張るとともに、会場入り口に多数の機動隊と公安警察を導入した。
 きわめて重大な事態だ。在京闘争団一部幹部らは、国労本部が5・27臨大闘争弾圧を強行したのと同様、「解雇撤回の原則を貫け」と訴える国労組合員らを警察に売り渡した。その末路がブルジョア政党=民主党応援団への転落なのだ。
 だが、闘う国労組合員らはこれをはねのけ、会場内で「解雇撤回を貫け」と渾身(こんしん)の叫びを上げた。怒りの激しさに会場全体が一斉に注目する。集会の進行は一時、完全にストップした。この正義の訴えを抑え込もうと、在京闘争団一部幹部らは闘う国労組合員に襲いかかった。だがそれは、4者・4団体路線の不正義性を一層際立たせるものにしかならない。闘う国労組合員の行動は、裏切り者が誰なのかを暴ききった。
 10月26日の団結まつりでも、動労千葉や国労共闘、労組交流センターなどが排除された。これに対して動労千葉や国労共闘は、この暴挙を徹底弾劾するビラをくまなく配布した。
 5・27臨大闘争弾圧被告団の闘いは、国労本部と裏切り者たちを断罪し続ける位置にある。
 国労5・27臨大闘争弾圧とは、02年5月27日の国労臨時大会に際し、国労本部の方針に反対してビラまき・説得活動に立った国労組合員と国鉄闘争支援者の闘いが「集団的暴力行為」に仕立て上げられ、組合員らが国労本部によって警察権力に売り渡された弾圧だ。
 この大会で国労本部は、鉄建公団訴訟を起こした闘争団員を査問委員会にかけるという方針を押し通した。この国労本部の暴挙に対し、国労共闘に結集する国労組合員は全力で抗議を貫いた。その組合員を、国労本部は平然と警察権力に差し出したのだ。
 鉄建公団訴訟原告に対する統制処分と5・27臨大闘争弾圧は、ともに国鉄闘争を内部から破壊しようとした国労本部の暴挙によって引き起こされた。だから、1047名闘争勝利のためには、鉄建公団訴訟原告団が5・27臨大闘争弾圧被告団とともにこの弾圧と立ち向かうことが必要だ。
 ところが鉄建公団訴訟原告団の一部幹部は、国労本部と手を組んで4者・4団体路線を推進するために、5・27臨大闘争弾圧被告団に公然と背を向けたのだ。

 4者4団体と根底的に対決する5・27被告団

 5・27臨大における被告たちの闘いは、闘争団への統制処分に反対するとともに、JR資本と徹底対決する動労千葉のような闘いを国労内につくり出すことを目的とした主体的決起だった。だから被告団は今日も、裁判闘争を全力で闘いつつ、4者・4団体路線と対決し、国労内で最も原則的な闘いを貫いている。
 この被告団に対して、在京闘争団幹部らは、自らの裏切りをごまかすために、被告団が旧弁護団を解任したことを「非常識」だの「恩知らず」だのと非難し始めている。
 だが、被告団が旧弁護団を解任したのは、きわめて正当なことだった。被告団が旧弁護団を解任したのは、旧弁護団が被告の意志を尊重せず、被告の要求を拒否し続け、信頼関係を自ら破壊したからだ。旧弁護団は、「被告は弁護士の言うことを聞いていればいいのだ」として、被告の主体性を認めてこなかった。
 松崎被告との弁論分離も、松崎被告が国労本部による訴訟提起を賛美し、国労本部と非和解的に対決するという裁判闘争方針に背いて、7被告とまったく相反する態度をとった以上、当然のことだったのだ。
 弁護団という最も身近な存在と決別した被告団の決断は、けっして生やさしいものではなかった。だが、その決断こそが、今、激しく闘われている4者・4団体路線との白熱的攻防を先駆的に切り開いたのだ。

 9・15判決への屈服が分岐点

 今や松崎被告とその弁護団(旧弁護団)は、完全に4者・4団体路線擁護へと転落している。革命情勢の中では、情勢が求める飛躍を拒否した者はとことんまで反動化していくほかにない。「昨日の友が今日の敵」となる激烈な情勢の中で、一切のあいまいさなく原則を貫いてこそ、闘いは勝利に向かって進む。
 被告団は、旧弁護団の解任と松崎被告との弁論分離をやりぬくことをとおして、4者・4団体路線と根底的に対決する主体へと自らを打ち鍛え、動労千葉と並ぶ第2次国鉄決戦の主体に躍り出たのである。
 旧弁護団の4者・4団体路線への屈服は、05年9月15日の鉄建公団訴訟東京地裁判決の評価にさかのぼる。
 9・15判決は、国鉄清算事業団による90年解雇の撤回を求める国労闘争団員の訴えを退け、一人あたりわずか500万円の慰謝料しか認めなかった。しかも、国鉄時代に停職6カ月以上または2回以上の停職処分を受けた者は慰謝料支払いの対象からも除外した。
 これは、分割・民営化反対のストライキで不当に処分されJR不採用とされた動労千葉争議団を始め、停職処分で不採用となった本州闘争団員には一切の救済を与えないとする国家意志の表明だった。
 不当労働行為による解雇を容認し、1047名の中に分断を持ち込むこの判決を徹底弾劾する以外に、1047名全体の団結を維持する道はない。労働者階級にとって裁判闘争は、主体の団結を固めることを最も大切な基準として闘うべきものだ。だから被告団は、9・15判決を反動判決として強く弾劾した。
 ところが旧弁護団は、「国鉄分割・民営化に際しての国鉄の不当労働行為が司法の場で初めて認定された」と9・15判決を評価した。そこから、被告団と旧弁護団との対立が始まったのだ。
 他方、4者・4団体路線もまた9・15判決への屈服から生まれている。4者・4団体が06年9月14日に鉄道運輸機構に提出した「解決にあたっての具体的要求」には、「我々は、2003年12月22日の『最高裁判決』並びに昨年9月15日の『鉄建公団訴訟判決』、『ILO条約・勧告』を踏まえ、政府の決断により、解決を図ることを求める」と書かれている。
 03年12月の最高裁判決は、JRの不当労働行為責任を免罪し、1047名のJR復帰を全面的に否定した反動判決だ。この最高裁判決と9・15判決を前提とし、不当労働行為を不問に付した「解決」とは、1047名を分断し、解雇撤回・JR復帰の闘いを自らの手で圧殺することにほかならない。

 完全黙秘貫く階級的裁判に

 5・27臨大闘争弾圧被告団は新弁護団を編成し、松崎被告との弁論分離をかちとって、新たな裁判闘争に踏み出した。新たな裁判闘争は、「公判廷においても完全黙秘を貫く」という原則のもとに闘いぬかれている。
 旧弁護団の裁判闘争方針は、検察官が公訴提起した「実行行為」なるものについて、被告人質問の場で被告自身に弁解的な供述をさせ、それにより裁判長に「無罪の心証」を形成させようとするものだった。だが、それは権力への「自白路線」であり、「偽装転向」にまで必ず行き着く道でしかない。
 旧弁護団解任の直接のきっかけとなった裁判事務局員問題も、その核心は、完全黙秘・非転向の原則を否定する裁判事務局員Yを、あくまで裁判に関与させ続けようとした旧弁護団の態度から生じたものだ。
 現在行われている被告人質問で、各被告は「検察官・裁判官の一切の質問に対し黙秘する」と宣言し、それを完全に貫いている。この被告の闘いに検察官以上に大打撃を受けているのが旧弁護団と松崎被告だ。「検察官すら分離に理由なしとしている」などと臆面(おくめん)もなく主張して「統一公判」を要求し、7被告の弁解的供述を引き出すことが「無罪獲得の構図」「原則的証拠調べ」だとしてきた旧弁護団と松崎被告は、今や完全に方針を失い、右往左往しているありさまだ。
 ここにあるのは、まさに国家権力への総屈服の思想だ。

 動労千葉とともに職場からJR資本と闘おう

 国鉄分割・民営化は、日本における新自由主義の攻撃の先駆けをなすものとして強行された。これと対決する1047名闘争は、労働運動史上最大規模の解雇撤回闘争として闘われてきた。それはまた、連合による労働者支配の完成を阻み、支配階級の改憲の野望の前に大きく立ちはだかってきた闘いだ。
 今、新自由主義は完全に破産し、世界は金融大恐慌の中にたたき込まれている。資本主義はついに終わりの時を迎えたのだ。労働者階級が社会を支配する時代は目の前にある。危機にのたうつ資本主義は、金融資本に膨大な公的資金を投入し、労働者階級にすさまじい大失業攻撃をかける以外に延命できない。だが、これに対して全世界で労働者階級の怒りの決起が巻き起こっている。その一環として11・2労働者集会は、あふれる熱気のうちに闘いとられた。
 こうした闘いの先頭に1047名闘争が立ち、解雇撤回の原則をあくまで貫き通すならば、歴史的勝利を手にすることはできる。職場生産点で資本と対決し、強固な団結を打ち固めれば、労働者階級は勝てるのだ。
 分割・民営化以来の国鉄闘争の継続に追いつめられ、破産をあらわにしているのはJR資本の側だ。安全問題、要員問題、労務支配のすべてにおいて、JR体制は破綻している。動労千葉のように、職場で団結を固め、敵の矛盾を突いて闘えば、絶対に勝てる。JR体制の矛盾を背負わされた「平成採」の青年労働者の怒りの反乱も始まっている。
 だからこそ国家権力は、国労本部だけでなく在京闘争団幹部をも自己の手の内に取り込んで、1047名闘争を今ここで解体しようと躍起となっている。これと真っ向からぶつかり合っているのが被告団の闘いだ。
 今年4月26日の尼崎事故弾劾の現地闘争は、国鉄労働運動史を塗り替える闘いになった。05年4月25日の尼崎事故以来、被告団を中心とする関西の国労共闘は毎年、事故弾劾・JR資本追及の闘いを積み上げてきた。今年はその闘いと動労千葉の闘いが結合した。尼崎現地闘争は動労千葉を呼びかけ団体として開催され、全国から560人の労働者が結集した。
 反合・運転保安闘争路線のもと、JR資本の弾圧を打ち破って「安全運転闘争」を貫き、危険なレールを交換させた動労千葉と、保線労働者などの立場から事故現場の急カーブの問題を追及してきた被告たちの闘いが結合したことは、歴史的に大きな意味を持つ。
 JR資本との闘いにこそ、4者・4団体路線を打ち破り、国鉄闘争に勝利する鍵がある。
 4者・4団体が投げ捨てた1047名の解雇撤回闘争を、動労千葉とともに原則的に貫き通すものこそ、5・27臨大闘争弾圧粉砕の闘いだ。
 破産した「政治解決」にしがみつく4者・4団体路線のもとに闘争団員や現場組合員をいつまでも組み伏せ続けることなど不可能だ。現に5・27臨大闘争弾圧粉砕の闘いは、解雇撤回の原則をあくまで貫く闘争団員や、国労本部の抑圧をはねのけJR資本と職場で闘う現場組合員の結集軸になっている。
 12・14国鉄闘争勝利集会に結集し、1047名解雇撤回を貫いて第2次国鉄決戦に勝利しよう。

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週刊『前進』(2366号2面2)(2008/11/03 )

 京品ホテル 労働者が自主営業

 一方的解雇通告に怒り 職場は自分たちのもの

 東京・品川駅前で明治期から営業する「京品ホテル」の労働者の闘いが注目を集めている。
 ホテル本体とその飲食店4店の130人の従業員は、「経営悪化による廃業」により10月20日付けで全員解雇された。労働者と労働組合が選んだ道は、「自主営業」でホテルを続けることだった。長年携わった自分の仕事を、会社の一方的な都合でつぶされてたまるか――という怒りだ。
 記者は10月29日、同ホテルを訪ねた。JR品川駅高輪口改札の正面だ。建物前の歩道では厨房の仕事着姿などの労働者がビラを配り、ホテル存続の署名を呼びかけていた。壁には全国の労組からの檄布(げきふ)が掲げられている(写真)。組合員から話を聞いた。
 「組合を結成し5月の連休明けの最初の交渉で廃業を一方的に伝えられた。『昨日売買契約がまとまった。みなさんには10月20日でやめてもらう』と。リーマン・ブラザーズの日本の子会社サンライズ・ファイナンスが債権を買い集めて、ホテル廃業、従業員全員解雇、土地と建物だけにして寄こせ、という売買契約を結んだ。ホテルは昨年は経常利益1億円の黒字だが、社長が手を染めてきた事業の失敗で借金60億円。これで解雇など絶対に認められない」
 テレビニュースでは、その小林誠社長が組合との団体交渉で労働者を見下し自らの放漫経営を居直る姿が放映された。
 「実物も見たとおりのワンマンぶりですよ(笑)。自分で週に3回築地に行って使い切れない大量の食材を勝手に仕入れて、結局廃棄するしかなかったり。われわれが自主運営を決めて周りの業者さんらに理解を求めた時、電話をかけて妨害したのも社長だ」
 ホテルの自主運営方針は、「10月20日廃業」という期限が迫る中で組合での話し合いによって決められた。市場の仕入れ先など周囲の理解は欠かせなかった。21日から労働者自身の手でこれまでと同じホテル営業が続けられ、飲食店も開いている。遠くから支援として食べに来る人も多い。
 契約ではホテルを債権者のサンライズに引き渡す期限は10月末日。資金回収をあせるハゲタカ・ファンドによる土地・建物引き渡しの催促が強まることが予想され、緊張が高まっている。ホテル存続を求める署名はすでに3千筆以上が寄せられ、支援集会が何度もこの場所で開かれているが、「相手が強制執行でやってくる可能性も否定はできない」という。
 だが組合員からは「解雇には徹底抗戦」「職場は自分たちのもの」という気概と自負がひしひしと伝わってきた。
 「ここの仕事を回していたのは自分たちだから、社長がいなくても困りませんね」と笑った。
 そのとおりだ。労働者が職場を握り生産と流通を管理すれば、社長や資本家がいなくても社会を運営できる。小さくてもその生きた見本がここにあることを実感した。
 (本紙・石井良久)

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週刊『前進』(2366号2面3)(2008/11/03 )

 タクシー労働者の団結と闘い

 一律大幅賃上げを!

 差別・分断の格差賃金と対決

 規制緩和許さず安全輸送確立へ

 俺(おれ)らが車両を回しているんだ。タクシー労働者の生活危機と安全輸送の崩壊――。
 敵が労働者を殺す自由を謳歌(おうか)している。死ぬんじゃないぞ、仲間たちよ。
 小泉「構造改革」のひながたのタクシー産業は経営と労働者の利益が全面的に激突している。
 経営は、営業収入の減少に左右されずに利益を確保するために、賃下げ、賃金分配率引き下げ、累進歩合給制度など過酷な賃金制度の構築に躍起になった。そんな土壌が作られると、台数確保(増車)が権益になる。労働力を確保できれば、すぐ利益を生み出す。失業率増大がそれに拍車をかける。
 需給調整は、利益の追求という動機からは生じないので、多すぎるタクシーを減らせという現場の声を袖にする。
 タクシー労働者の現場は、賃金労働条件が極限的に悪化し、交通事故が激増し、安全輸送が破壊された。賃下げ合理化、最低賃金法違反、生活保護以下の賃金、権利侵害、生活破綻、家庭崩壊、過労死、自殺の日常化など深刻化の一途をたどる。タクシー労働者の生活危機は、涙と怒りなしには語れない。
 交運グループ共闘会議は、2001年春闘での経営の労働者殺戮(さつりく)宣言以来、長期闘争を貫徹してきた。昨年の和解条件と「労働者の労働条件改善を主目的にうたった運賃値上げ」などによって、08春闘では一部手直しが行われた。しかし、夏の一時金も大幅引き下げ、地域特性の燃料手当の回答は刺激的だった。
 以下は要求書。「大失業時代だから労働者は使い捨て、代わりはいつでもあるとの考えは許されない。生活と権利のために団結活動を行う。@一律20万円を支給する。厳しい北海道の冬を越す灯油は高騰し、諸物価の値上がりもすごい。生きるための糧が必要だ。月々の賃金は最低賃金だ。時間外労働も限界だ。飢餓賃金を補うため、暖かい冬を迎えるため、米をよこせ。灯油をよこせ。生きさせろ。A減車を行うこと。多すぎるタクシーと需給バランスの崩壊が安全輸送の崩壊、賃金・労働条件の悪化の原因だ。増車抑制にとどまらず、危急な減車に踏み込むこと。B現行の究極の格差賃金の是正を求める。08春闘で若干手直しがされたが、売り上げ激減、一時金の配分率改悪を考えると窮状は深刻だ。緊急措置が必要だ。未達成の際の格差支給を根本的に考え直すこと」
 これに対する回答は、強烈な格差支給と大幅切り下げで、世帯主2万円、独身者1万2千円である。これでは到底越冬できない。一月分の燃料代で終わりだ。
 経営は、労働者の怒りが「ひとつ」にならないように差別し分断する。それが究極の格差賃金である。
 タクシー運転者登録制度が発足した。それは、タクシー業界の危機が爆発することに恐怖し、矛盾の根本的解決から目をそらし、現場労働者に攻撃を集中する政策である。そのためのタクシー近代化センターの全国化を粉砕しよう。
 経営と労働者は非和解的だ。全世界で労働者、農民、漁民、民衆が激しく闘いを開始している。食糧暴動、ストライキ、革命。タクシー労働者の仲間たちよ! 卑劣な賃金政策と労務政策に断固として対決しよう。安全輸送を確立しよう。労働者が、お客を探し、車両を回し、売り上げを稼いでいるんだ。あいつらが責任を取らないならぶっ飛ばして、俺ら労働者がやってやろう。それを目指す団結と闘いを! 団結の究極の拡大が革命である。生きさせろ! 生きてやる!
 交運グループ共闘会議は08春闘で24時間ストを敢然と貫徹した。団結し、闘い、生き抜こう!
 労働者の団結でタクシー自由化、規制緩和、新自由主義をぶっ飛ばせ! 闘う労働者のネットワークを拡大しよう。
 (投稿/交運グループ共闘会議・渡海進司)

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週刊『前進』(2366号3面1)(2008/11/03 )

 労働運動絶滅狙う橋下倒せ

 道州制=民営化・解雇粉砕へ

 11・21大阪府庁前闘争に立とう

 「社長の方針に従えない部下はクビだ」と叫ぶ橋下徹大阪府知事と労働者階級は絶対に相いれない。橋下は、金融大恐慌の危機にあえぐ資本家階級の意を受け、道州制導入―自治体丸ごと民営化―公務員全員解雇攻撃による労働運動絶滅をめざしている。すべての労働者は団結して橋下打倒の闘いに総決起しよう。11・2全国労働者総決起集会の歴史的大高揚を引き継ぎ、ただちに11・21大阪府庁前闘争に総決起しよう。

 労働者を資本の食いものに橋下の凶暴さは危機の現れ

 10月26日の府民討論会における橋下の暴言こそ、橋下行革―「大阪維新」の正体を最も露骨に示している。
 「私は大阪の行政のトップで、教育に責任がある。ところがトップの方針に学校の先生が従わない。公務員の身分保障の中でぬくぬくとやってる。どこの会社に社長の方針に従わない部下がいますか。そんな部下がいたらクビになる」「9割の先生は一生懸命やっている。地域や家庭の皆さんが学校運営にかかわり、1割のどうしようもない先生を排除してください」「子どもたちをこんな先生に任せておけないですよ。中山大臣の発言は正しいじゃないですか。現場を見て下さいよ」。橋下の暴言は全労働者に対する挑戦状だ。こんな暴言を放置して労働者階級に未来はない。絶対に橋下を倒そう。
 「社長の方針に従わない部下はクビ」だと!? 大阪府を私物化し、資本家の食いものに差し出すお前こそクビだ! 「中山は正しい」だと!? だったらお前もすぐ辞めろ!
 10月23日、私学助成金をカットしないでと訴えた高校生に、橋下は「今の世の中、自己責任が原則。誰も救ってくれない」「(それがおかしいと言うなら)国を変えるか、日本から出るしかない」と言い放った。
 よくぞ言った。橋下よ! お前を打倒して、この国を労働者の国に変えてやる!
 橋下は大阪府労連幹部の奴隷のような屈服ぶりを見て、労働者の反撃を見くびっている。橋下は労働者の怒りの深さと団結した力のすごさが分かっていない。これは橋下の致命的な弱点だ。橋下への怒りを燃え立たせ、労働者の団結した力を見せつけよう!

 資本家階級の意思を体現

 橋下は「大阪府は破産会社なんだから、従業員は給料半分にカットして当たり前」と言い放ち、資本家階級の立場に立って労働者階級への敵意をむき出しにして登場した。橋下は知事就任以来、「財政非常事態宣言」「教育非常事態宣言」と「非常事態宣言」を乱発している。「非常事態」とは《憲法停止―戒厳令―クーデター》であり、知事の権限で勝手放題にやるということである。橋下はこの「改憲クーデター」という支配階級の本音で勝負する「頼もしい人物」だ。だから関西財界をはじめブルジョアジーが群がり寄っている。
 しかし、この橋下の凶暴さは支配階級の危機の現れだ。橋下は、金融大恐慌という資本主義の矛盾の爆発の中で登場した。関西ブルジョアジーから、この危機ののりきりを託されているのだ。したがって、倒産・解雇・失業という全労働者への攻撃が不可避なのである。だから《金融大恐慌への突入―「資本主義の終わり」の始まり》という時代認識で全労働者が一致することが決定的に大切なのだ。そこで一致したとき、初めて橋下行革の正体が見えてくるのである。

 「公務員85万人削減、126万人を民間に」と叫ぶ関西財界

 橋下の「改憲クーデター」の基本戦略こそ「道州制」導入である。道州制の内容を最も露骨に表現しているのが関西経済同友会が2006年4月24日に発表した「5年以内に『連邦的道州制』へ移行せよ」という提言である。
 関西経済同友会は、この道州制プランの実現を安倍政権に託したが、労働者階級の怒りによって安倍が倒れて頓挫し、今度は橋下に託したのだ。その核心は「公務員は全員解雇」攻撃にある。以下がその基本内容だ。
 「公務員は一旦(いったん)解雇、85万人を削減、教育公務員等126万人を民間に」
 「道州制の導入に伴い新たな人材を募るため、410万人の国・地方の公務員の内、自衛官・警察などを除く360万人弱を関係法を制定の上、一旦解雇する。85万人の定員を削減した上で、新しい時代に適した能力をもち、かつ公の意識をもつ人材を、幅広く国民から募り、新たなエリートとして中央・道州政府に登用する。旧公務員から、立法能力をもつ者や業務に精通した者は、中央・道州政府で再雇用する。新たな政府で働く人材は、『半分の人員で倍の仕事』をする気概と能力が必要である。教育公務員等126万人の現業公務員は、国立・公立学校を私学化するなど組織を公設民営化した上で再雇用の機会を与える」 
 「転換にあたっては、旧国鉄の改組に亘って実施したように、受け皿機関『公務員支援事業団(仮称)』をつくり、転換支援事業を実施し、事務能力や技能を生かした転職、派遣を行う。関西経済同友会のシミュレーションでは、国・地方合わせて少なくとも85万人の公務員が、『公務員支援事業団(仮称)』を通じて民間に開放されることになる」

 「国鉄民営化の公務員版」

 要するに《公務員は自衛官と警官以外は全員解雇。85万人は旧国鉄の清算事業団型の組織に送り込んで首切り。教員など126万人はそのまま公務員身分を剥奪(はくだつ)して民間へ》ということである。これほどまであからさまに《道州制とは国鉄分割・民営化の公務員版だ》といった提言は、これが初めてだ。
 関西経済同友会の提言は橋下によって急速に具体化されつつある。とりわけ「府と市の二重行政の解消こそ、道州制の呼び水」という考え方に基づいて、大阪府・市の水道事業の統合が進められつつある。10月16日、22日に大阪府下の市町村代表者を集めた意見交換会が行われた。施設統合は現場ではすでに開始されている。さらに次の目玉として、府庁舎を市の第3セクター「大阪ワールドトレードセンタービルディング」(WTC)へ移転する案が府議会に提案され、橋下は来年1月に決着しようとしている。また10月16日、門真市の保育園の畑を第2京阪道路建設のために行政代執行で強制収用した。問答無用の権力行使だ。
 この関西経済同友会提言をめぐって自治体労働者、教育労働者の怒りが最も集中するのが「半分の人員で倍の仕事」という部分である。今でさえ多忙化―残業、残業、残業で病気で倒れたり、休暇が取れずに苦しんだりしているのに、「半分の人員で倍の仕事」とは「死ね」ということだ。「去るも地獄、残るも地獄」ということだ。
 国と自治体の丸ごと民営化としての道州制攻撃は、地方自治・教育・医療・福祉などあらゆる産別の労働者にかかわる全社会的な攻撃である。「橋下という一知事の力でどうこうできるのか」という意見がある。しかし、1929年大恐慌を超える金融大恐慌が始まったのだ。支配階級はこの「資本主義崩壊の危機」を前にして急速に道州制推進に傾斜している。何よりも総務省は、国と地方の1100兆円の財政赤字の責任を公務員労働者に負わせるべく、全国自治体に「財政健全化」の圧力をかけ、自治体・教育・医療福祉労働運動解体の攻撃を開始している。全国のあらゆる産別、あらゆる職場で、この国家の総力をあげた道州制導入による労働運動解体攻撃のプランを全面的に暴露し、粉砕する闘いを開始することが急務となっている。

 金融大恐慌下、勝利の道は動労千葉のように闘うこと

 国鉄分割・民営化攻撃型の国家総がかりの道州制導入―労働運動解体攻撃に対して、労働者階級が勝利する道はあるのか。ある。それが動労千葉が23年間、「分割・民営化絶対反対」の闘いに次ぐ闘いによって培ってきた全組合員の団結である。
 自治体労働者、教育労働者は、今初めて国家総がかりの労働運動解体攻撃を受けたわけではない。労働者は産別を越えてひとつの階級である。労働者階級として勝利した経験をすでに動労千葉の切り開いた地平として持っている。われわれは、この間の4者・4団体路線との血みどろ汗みどろの闘いをつうじて、このことをあらためて自覚した。この立場から『新版 甦る労働組合』『俺たちは鉄路に生きる』1、2、3を徹底的に学習しよう。
 動労千葉はなぜ闘えたのか。それは、国鉄分割・民営化を前にして組織の存亡をかけた闘いを何度もやりぬき、血みどろの試練を何度もくぐりぬけてきたからだ。とりわけ動労カクマルとの激烈な党派闘争を分離・独立として決着させたことは決定的に大きい。体制内労働運動と最後的に決別して絶対反対で団結する組合権力を樹立したのだ。この闘いぬきに分割・民営化との闘いはありえなかった。
 さらに、1985―86年の2波のストライキを決行するに際して、当局から「飛んで火にいる夏の虫」と言われようが、国鉄分割・民営化攻撃を真っ向から見すえて「すり抜ける道はない」と闘って生きぬく道を選択したことだ。《闘うからには中途半端な闘いはやらない。全員解雇されるような激しい闘いをやる》と決断したこと、「自分たちが解雇されても全国の国鉄労働者は必ず決起する」と労働者階級を心から信頼して立ち上がったこと、これらをつうじて動労千葉は解雇されてもつぶされない団結――解雇を敗北としてではなく、勝利の証しとして誇れる団結をつくりだした。ここにこそ勝利の地平がある。
 動労千葉は、この「首をかけてつかんだ団結」によって、国鉄だけでなく日本の労働運動を丸ごと獲得できるという展望をもって闘った。これが今、11月労働者集会として、戦争・民営化・新自由主義と闘う全国・全世界の労働者の団結へと結実している。
 世界金融大恐慌に突入する中で、戦争か革命かが歴史的に問われる時代に突入した。あくまでも解雇撤回を貫いて、「どんどん恐慌深まれ」「資本主義はもっと没落しろ」という立場に立ちきって、資本主義を打倒してみせるという思想と路線を持つ者のみが、今のこの時代の中で本当に闘いを貫き勝利できる、そういう時代に入ったという時代認識でしっかり一致しよう。
 11・2全国労働者集会の大高揚を引き継ぎ、「生きさせろ」一律大幅賃上げゼネスト、麻生内閣―橋下大阪府政打倒の歴史的大反撃に立とう。資本主義に終わりを告げ、労働者の新しい時代を切り開こう。11・21大阪府庁前闘争に総決起しよう。

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週刊『前進』(2366号3面2)(2008/11/03 )

 関西国鉄集会 “絶対に解雇撤回を”

 第2次国鉄決戦勝利誓う

 10月24日の関西国鉄集会は、日本の株価が8000円を割り込むという、まさに恐慌、倒産、大失業の大攻撃が吹き荒れる情勢のただ中で開催された。
 集会には110人の労働者が結集し大成功をかちとった。解雇撤回と「4者・4団体による国鉄闘争の幕引き集会粉砕」を真っ向から掲げたこの集会は、労働者階級の進むべき道が11・2労働者集会1万人結集にあること、その勝利をとおして第2次国鉄決戦、国鉄闘争の新たな戦闘宣言を発する集会として開催された。
 また、この集会は同時刻に開催されている4者・4団体による国鉄闘争幕引きの10・24集会を粉砕するために、権力と4者・4団体との結託による弾圧体制を打ち破って決起した国労共闘を始め動労千葉派の闘いと完全にひとつのものとしてかちとることができた。
 その闘いの様子が集会参加者に報告され、闘いの正義牲、勝利性への確信を強固に打ち固めた。ス労自主、国労共闘の仲間が司会を行い、初めに、分割・民営化粉砕の動労千葉の「ストライキの記録」が上映された。いやがうえにも会場の雰囲気が盛り上り、労働者の団結した力が国家総力を挙げた国鉄労働運動解体の大攻撃を跳ね返した労働者の団結のすごさと、社会の主人公が誰なのかをあふれる熱気のなかで会場全体で力強く確認した。
 そのような中、動労千葉争議団の中村仁さんの訴えが行われた。動労千葉の組合員としての誇り、仲間を裏切らないで闘い勝利してきたことの確信が会場を圧倒した。さらに4者・4団体へのすさまじい怒りと弾劾は、労働者のあるべき姿を鮮明にさせた。
 次に、国労5・27被告の東元さん、原田隆司さんが公判闘争について戦闘的に報告し、動労千葉派として分割・民営化から今日まで闘い抜いてきたことの正義性を腹の底から訴えて感動を呼び起こした。さらに、カンパアピールで被告団家族会を代表して東理恵さんが発言し、11・2集会1万人結集へ力強い呼びかけを行った。
 そして、いよいよ待ちに待った基調報告だ。被告団長の富田益行さんが、日比谷野音での4者・4団体集会粉砕の国労共闘を先頭とする動労千葉派の闘いを報告し、戦闘意志は最高潮に達した。富田さんは、金融恐慌下の4者・4団体とは何かを明らかにし、それと真っ向から対決し粉砕する11・2集会の意義を鮮明に提起した。参加したすべての労働者が第2次国鉄決戦勝利の決意を確認しあった。その後、国労5・27被告の小泉伸さんが裁判支援を訴えた。
 集会は佳境に入り、各産別労働者の仲間の決意表明が行われた。八尾北医療センター労組、全国社会保険協会連合会労組(全社労)、自治労、日教組、全逓、関合労、ス労自主、全学連の発言が続いた。すべての発言者は4者・4団体への激しい怒りの弾劾を行い、11・2集会に労働者の未来がかかっていることを熱烈に訴えた。
 特に八尾北医療センター労組は、部落解放同盟全国連本部がデッチあげた第二組合による民営化反対闘争への破壊策動と戦闘的に闘い、勝利していることを報告した。参加者全員で二組打倒に総決起する決意を打ち固めた。
 関西合同労組の仲間は、塩川派との激烈な闘いに勝利し、11・2へ攻め上ろうと熱烈に訴えた。
 自治労の闘う仲間は、麻生、橋下による道州制導入をテコとした全員解雇の攻撃と徹底的に非妥協で闘い、11・2〜11・21橋下打倒闘争に決起することを訴えた。日教組の仲間からは、講師職への解雇攻撃と全面的に対決する熱烈な決意が表明された。全学連の仲間は、10・17法大闘争の勝利の報告を行い、団結のすごさを訴え、11・2集会1万人結集が労働者の勝利の歴史をつくりだすと鮮明に提起した。
 最後に国労5・27被告の橘日出夫さんが集会のまとめを行い、4者・4団体路線粉砕、11・2集会の1万人結集を訴えた。資本主義の終わりを自らの存在をかけて実現することを全参加者は力強く確認した。
(写真 4者・4団体を弾劾し、関西における国鉄闘争の新たな戦闘宣言を発した【10月24日 大阪】)

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週刊『前進』(2366号3面3)(2008/11/03 )

焦点 「テロ指定」解除と日米争闘戦

 北朝鮮政策の根幹は不変

 米帝ブッシュ政権は10月11日、北朝鮮に対する「テロ支援国家指定」なるものを解除した。ブッシュは6月段階ですでに指定解除の意向を米議会に通告しており、解除の方向自体は「既定路線」だった。だが実際の決定に踏み切ったことは日帝にとって突然の「頭越し」の事態であり、現在の日米関係(=日米同盟)の危機と空洞化、日米争闘戦の深刻さを象徴的に突き出している。
 イラク・アフガニスタン侵略戦争で泥沼の危機に追い詰められている米帝は、この間、対北朝鮮政策では一定の融和的対応をとることを余儀なくされてきた。6月の解除方針の表明に続く今回の決定は、直接的には政権末期のブッシュが、核再処理施設の再稼働などの動きも見せていた北朝鮮を引き止めながら6者協議の枠組みを維持し、任期中の「外交的成果」を優先した結果でもあった。
 しかし、現実には米帝は核や人権問題で北朝鮮に引き続き多くの制裁を加えており、今回の指定解除はあくまでも「象徴的」な意味合いが強いものでしかない。米帝は、残存スターリン主義としての北朝鮮の体制転覆と朝鮮侵略戦争の野望、「拡大戦略」とグローバリズム貫徹の政策を放棄したわけではまったくないのである。
 むしろ今回の決定にはらまれた大問題は、日米同盟の危機ということだ。解除決定を直前に連絡されて衝撃を受けた日帝は、中川財務・金融相や中曽根外相らが「拉致被害者の家族にショック」「認められない」などと米帝に抗議を表明したが、国務長官のライスは「解除は形式的な問題。まったく意味のないことだ」と、まともに取り合わない態度に終始した。
 米帝は今日、イラク・アフガニスタン侵略戦争の泥沼化に加え、世界金融大恐慌爆発の震源地として歴史的没落と資本主義体制崩壊の危機にあえいでいる。そこからの延命をかけて、国内での労働者階級人民に対する階級戦争と、資源や市場をめぐる帝国主義間・大国間の争闘戦を、より一層激化させてきている。その場合、日本の労働者人民の意思と闘いにより9条改憲もまだ展望のない日帝の無準備性を突いてきているのだ。
 米帝内では今や「日米同盟不要論」さえ台頭しており、ライスなどは米中関係を軸とした現在の6者協議を「北東アジア平和・安全保障機構」(NAPSM)に発展させ、それをNATO(北大西洋条約機構)的なものとしてはどうかといった発言さえ公然と行っている(「フォーリン・アフェアーズ」7〜8月号)。11月15日にワシントンで行う世界20カ国・地域による金融緊急サミットの方針も、G8サミット議長国・日帝などをらち外にして、ブッシュと仏大統領サルコジがアメリカで会談して発表したことであった。 
 こうした日米争闘戦の深刻化と日米同盟の危機にあえぐ日帝・麻生は今、給油新法延長やアフガニスタン本土への部隊派兵の策動に躍起となっている。世界金融大恐慌の爆発の中で分裂と対立を深め、階級戦争と侵略戦争・世界戦争で延命を狙う国際帝国主義を、今こそ万国の労働者の団結の力で打倒するために闘う時である。

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週刊『前進』(2366号3面4)(2008/11/03 )

焦点 米帝の強い要求背景に

 陸自アフガン派兵も狙う

 日帝・自衛隊がアフガニスタン侵略戦争への参戦を継続する給油新法延長法案が参議院に送られ、自公による衆院再議決で成立に向かう重大局面を迎えている。また他方では、当のアフガニスタン情勢が新たに緊迫してきている。
 10月28日にパキスタンのイスラマバードで、アフガニスタンとパキスタンのジルガ(部族会議)が開かれ、タリバンとの対話を呼びかけることで合意した。この会議はパキスタンのクレシ外相とアフガニスタンのアブドラ前外相が率いており、事実上の政府間合意である。米軍とNATO軍の侵略戦争が激しく展開されている中でこうした合意が行われること自体、米帝を軸としたアフガン侵略戦争の絶望的な危機を示している。
 要するにアフガニスタンのカイライ政権もパキスタン政府も、アフガン戦争の軍事的見通しに完全に絶望しているということだ。同じ28日には米紙ウォールストリート・ジャーナルが、ブッシュ政権も「タリバンとの対話を検討している」と報じた。01年9・11反米ゲリラ戦争を契機に米帝を先頭として帝国主義が「テロ絶滅」を叫んで開始した侵略戦争は、今や決定的な転機を迎えているのだ。
 アフガニスタン現地では10月27日、米軍のヘリコプター・ブッラクホークがタリバン兵の攻撃を受け墜落した。また同じ日に自爆攻撃によって2人の米兵が死亡している。タリバンの攻撃を受け米軍ヘリが頻繁に墜落するということ自体が、実に重大なことだ。
 10月27日の東京新聞では、米帝の要求で日本政府が検討してきたという陸自アフガン派兵の全容が報道されている。それによれば、米帝が日帝に求めているのはCH47大型ヘリ6機による補給や「負傷兵救出」が中心で、それは戦場での武器使用をも伴う「駆けつけ警護」に当たる。そのため福田政権時代に断念をブッシュ政権に伝えたが、米帝はあらためて再考を迫っているというのである。
 この事実も、米軍やNATO軍のアフガンでの絶望的な軍事的敗北と行き詰まりを示しており、米帝は今や、インド洋での給油活動の継続にとどまらず、陸自派兵による日帝・自衛隊の全面的な軍事的動員をも狙っているのだ。
 これに対し日帝・麻生政権は、今日の帝国主義間争闘戦の激化と日米同盟の危機の中で、米英や独仏帝国主義に伍(ご)して帝国主義的利害を貫くために、給油新法延長の強行と同時に、アフガニスタン本土への陸自派兵の衝動を明らかに強めているのである。
 米軍はこの間、イスラム神学校への空爆などパキスタンへの越境攻撃を繰り返している。またイラク侵略戦争の敗勢の中で、シリアへの越境攻撃も強行した。米帝は世界金融大恐慌の爆発に痛撃され、帝国主義間争闘戦と侵略戦争衝動をより強めている。これに対して日帝・麻生は、帝国主義間争闘戦に勝ち抜くために労働者への階級戦争と戦争・改憲攻撃をいよいよ激化させようと狙っている。
 プロレタリア世界革命でこの最末期の帝国主義を打倒するため、万国の労働者は団結し闘おう。

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週刊『前進』(2366号4面1)(2008/11/03 )

 大恐慌の唯一の出口は世界革命だ

 29年大恐慌にもなかった 全世界覆う信用収縮

  実体経済に波及し大不況へ 島崎 光晴  

 9月15日の米大手証券リーマン・ブラザーズの破綻を機に、世界金融大恐慌は本格的爆発の真っただ中にある。29年大恐慌の時にも起きなかった世界的な信用収縮によって、世界の株価が暴落を繰り返している。全帝国主義国が銀行への公的資金の投入策に踏み切ったが、なんの効果もない。しかも、米欧日だけでなく中国・アジアも含めて世界中で実体経済が急降下しはじめた。日本帝国主義は、輸出激減と円高、株価暴落で最も深刻な打撃を受けつつある。今や帝国主義の全問題、特に70年代以来の帝国主義の延命策の全矛盾が、29年をも上回る大恐慌となって爆発しつつある。破産した新自由主義に代わるものなどない。ついに世界革命の時がやってきたのだ。
「資本救済やめろ! 」と労働者が怒りのデモ(9月25日 ウォール街)

 リーマン破綻で株価が暴落 輸出の激減で大打撃の日帝

 労働者を搾取しつづけてきた資本主義が、今や音をたてて崩れている。この期に及んでも資本家階級とブルジョア・マスコミは、「恐慌」とは呼ばない。恐慌や大恐慌と言うと、資本主義の是非が全労働者の問題となるからだ。しかし、これが大恐慌でなくて何か!
 リーマン・ブラザーズの破綻は、世界金融大恐慌を本格的に爆発させる画期となった。リーマン・ブラザーズの創設は1850年で、29年大恐慌でも生き残ってきた巨大独占企業だ。このような大手の金融機関の破綻は世界史上初めてである。「リーマンだけでなく他の金融機関も米住宅ローン関連の巨額損失を抱えている」「他の金融機関も危ない」という疑心暗鬼が一挙に全世界に広がった。リーマン破綻を機に、金融機関同士の貸し渋りが全世界の金融市場に及んだ。米国内だけでなく世界中で銀行間取引がほぼ停止してしまったのだ。これほどの信用収縮は29年大恐慌の時も含めて例がない。
 10月に入ると、この世界的な信用収縮で、米国だけでなく欧州やアジアの巨大金融機関が資金繰り難で次々破綻しかねない状態となった。特に欧州の大銀行は、米国の住宅ローンを証券化した商品を多量に保有しており、その損失が巨額に上っている。また、イギリスやスペインなどは自身の住宅バブルが崩壊し、その損失も抱える。
 一方、国際金融市場の資産残高に占める欧州の銀行の比率は約73%にも上り、米・日よりもダントツに大きい。それほどの位置を持つ欧州の大銀行が、リーマン破綻後の信用収縮で破綻しかねない状況に入った。これはもう、狭い意味での〈世界金融恐慌>だ。29年大恐慌の際は欧州金融恐慌によってドイツなどの大銀行が破綻したが、今回のような世界金融恐慌はなかった。

 公的資金投入も効果はなく

 うろたえる帝国主義国はこれに対し一斉に、銀行に対する公的資金の大々的な投入策に転じた。10月8日の英政府を始めとして欧州諸国が相次いで、銀行の国有化、公的資金による金融機関への資本注入、銀行間取引への政府保証などを決めた。銀行間取引が凍りついているものだから、政府が保証をつけてなんとか取引を再開させようというのだ。欧州主要国の公的資金枠と政府保証の総額は約268兆円にも及ぶ。
 一方、米帝は10月初めに金融救済法を成立させ、金融機関の不良資産を買い取ることを決めた。最大7000億jの枠のうち、まず2500億jを拠出することとした。07年夏以後に投入を決めた公的資金の総額は1兆3640億j(約140兆円)にも達した。ところが、それでも株価暴落は収まらず、10月半ばにブッシュ政権は、銀行への資本注入策に踏み切った。金融機関が持っている証券化商品などの不良資産を公的に買い取るだけでなく、金融機関の自己資本不足を救済するために公的資金で資本注入するというものだ。直接には金融機関の株式を公的資金で買い取る。日本で98年、99年に行われた公的資金投入と同じやり方である。
 ところが、こうした公的資金の投入策でも株価の暴落は食い止められていない。効果がそれほどないからだ。米住宅価格はピークからまだ2割強しか下がっておらず、今後も延々と下落していく(図参照)。住宅価格下落→住宅ローンの焦げつき拡大→住宅ローン関連の証券化商品の損失(不良資産化)と住宅ローン自体の不良債権化、という流れが果てしなく続いていく。公的資金で処理しても、次々と新しい不良資産・不良債権が発生する。それでも米帝が公的資金を投入しつづけるというのであれば、米財政赤字をますます膨張させ、ドル大暴落を早めるだけだ。

 GMとトヨタが最大危機に

 さらに10月になって、米欧日だけでなく中国などBRICs諸国も含め、実体経済が急激に下降していることが明らかになった。この実体経済の下降こそ、世界金融大恐慌の本体だ。そして、実体経済の急降下が、世界的な株価暴落に拍車をかけている。
 米経済の9月の鉱工業生産は前月比2・8%低下し、74年12月以来の落ち込みとなった。74〜75年恐慌の時以来の急激な生産低下が始まったのだ。特に9月の米新車販売台数(年率換算)は前年比350万台も減少。日本のバブル崩壊では約20年間で250万台の減少だったのに比べ、急激な減少だ。GMの株価は暴落し、時価総額は10月半ばに27億j弱と29年当時の40億jを下回った。GMは来年には手元資金の枯渇で破産する可能性が強い。GEも利益の大半を金融業に依存しており、手元資金が危うい。
 米銀最大手のシティグループだけでなく、米資本主義を代表するGM、GEも経営破綻に突入しつつある。これが資本主義の、帝国主義の終わりでなくて何か! 資本家どもは「大変な経済危機だけど、それでもなんとかなる」と労働者をたぶらかそうとする。シティ、GM、GEがつぶれて「なんとかなる」わけがないではないか! 労働者階級が団結して権力を握るしかないのだ。
 現に日本経済も急降下している。8月の鉱工業生産は前月比3・5%の低下で、ITバブル崩壊後の01年1月以来の低下幅となった。日本経済の頼みの綱だった輸出が減少しているからだ。輸出減少・生産低下により、製造業では在庫が増え、設備が過剰になりはじめた。設備投資の先行指標とされる機械受注は、7〜9月期に10年ぶりの2ケタ減少となる見込み。さらに、4〜6月期の企業の経常利益は前年同期比10・5%と4半期連続でマイナスとなった。
 つまり、輸出減少→在庫増→生産低下→設備過剰化→利益減少、となっている。恐慌や不況の大元は、資本が過剰になることだ。具体的には〈生産能力の過剰を伴った生産物の過剰による利潤率の低落>である。日本経済はまさにこの過剰資本状態に入った。
 特に深刻なのは、利益の6割を北米市場に依存してきたトヨタだ。今後、米国での自動車販売の激減により、GMとともにトヨタも吹っ飛んでいく。自動車を頂点にした産業構造の日本経済全体も総崩れとなる。トヨタがダメになれば、日本の大企業すべてがダメになるのだ。
 こうした実体経済の急降下により、日本の株価は10月27日に7162円にまで暴落、バブル崩壊後の最安値を下回った。実に82年10月以来、26年ぶりの低水準に落ちこんだ。また、投資家が資金を引き揚げて円にする動きが加速し、円高が急進展している。この株安と急激な円高によって、日本の大手金融機関は株式含み損に転落したため、一挙に貸し渋りを強めている。企業も建設や不動産投資信託を始めとして破綻が増えはじめた。
 そして自動車・精密機械など輸出産業で、派遣社員−非正規雇用の切り捨てが急増している。「生きさせろ」のゼネストが切実に求められる情勢が、刻々と煮詰まっているのだ。
 さらに、世界的な信用収縮と実体経済の急降下のもとで、アイスランド、ハンガリー、ウクライナ、パキスタンなどが資金流出によって国家破綻に陥りはじめた。世界金融大恐慌はついに国家破綻の局面に入ったのだ。破綻した資本主義国家に対し労働者階級が団結して国家権力を奪うしかない、そういう時がやってきているのだ。

 70年代以来の全矛盾が爆発 サブプライム危機の重大性

 資本家どもは労働者に対し、「経済危機はそのうち回復する。だから今まで以上に資本家に従え」と言う。何を言っているんだ! 回復などあるものか! 29年大恐慌がそうだったように、世界金融大恐慌は20〜30%もの大失業を引き起こしながら、帝国主義が打倒されない限り続いていく。資本主義にそのような回復力などない。プロレタリア革命以外に出口はない。
 今の世界金融大恐慌の核心は何か。米住宅バブルは史上最大のバブルだった。米住宅ローン総額は10・6兆j(約1000兆円)にも及ぶ。しかも、返済のあてのないサブプライムローンが膨れあがり、住宅ローンの証券化商品が世界中にばらまかれた。サブプライムローンが組み込まれた証券化商品は約1兆j。それほど巨額で異様な借金が返せなくなり、貸し手である金融機関がパンク、経済全体が総崩れしはじめたのだ。いや、住宅ローンだけでなく、商業用不動産ローン、企業買収ローン、クレジットローンなどがすべてバブル化していた。
 しかも米帝だけではなく欧州も中国も、つまり世界中がバブル化していた。資本主義国14カ国の住宅資産の時価総額は計60兆jで、うち約20兆j(約2000兆円)が過大評価との試算もある(表参照)。20兆jは世界のGDPの3分の1に相当する。そのバブルがすべて吹っ飛びつつある。
 なぜこれほどバブル化したのか。もともと70年代初めから半ばまでで、帝国主義経済は終わっていた。74〜75年世界恐慌で世界経済は過剰資本状態、長期不況に陥った。製造業でのモノ作りは行きづまった。その後30年以上も、資本家階級はモノ作りではなく金融面での投資、投機によって生き延びてきた。カネの自己増殖で利益をかすめ取る、という腐り切った延命でしかなかった。
 そうした金融投機に湯水のようにマネーを供給する背景となったのが、71年の金ドル交換制の廃止だった。ドルは金と交換できない不換紙幣となった。本来なら保有している金の量に規定される通貨供給量が、これで自由になった。米帝は巨額の財政赤字・貿易赤字を生み出しながら、世界に大量のドルをまき散らした。しかも製造業での没落を巻き返そうと、ドルを基軸通貨として世界に押しつけて垂れ流した。その結果、帝国主義金融は実体経済とかけ離れて肥大化してきた。世界の金融資産総額は140兆j、1京4000兆円という驚くべき額に達した。
 そして、金融投機の歯止めを外したのが、80年代以来の新自由主義およびグローバリズムだ。29年大恐慌の後に大恐慌を防ぐために金融規制が作られたが、次々と撤廃された。資本家の好き放題に金融の自由化・国際化が繰り広げられた。
 モノ作りが歴史的に行き詰まり、ドルが大量に世界にばらまかれ、資本による金融操作が完全に自由となった。だからバブルの満展開となったのだ。80年代の日本のバブル、90年代後半の米ITバブル=株バブル、02年からの米住宅バブル・世界バブルと、バブルを繰り返してきたのだ。「ITで経済は生まれ変わった」と言われてきたが、全然違う。この30年間ずっと自動車・電機が基幹産業のままで、しかも過剰資本状態が基底にある。むしろITが一番多く導入されたのは金融界であり、大量で高速の金融投機を助長する手段となったにすぎない。今のような制御できない金融商品とその取引を生み出したのは、ほかならぬITと金融工学なのだ。
 このバブルを繰り返す中で、87年10月の株価の大暴落(ブラックマンデー)、00年からのITバブル崩壊と、何度も大恐慌寸前の危機が襲った。そこで29年大恐慌の再現となってもおかしくはなかった。しかし現代帝国主義は、それを無理に無理を重ねてのりきった。その結果、帝国主義経済が抱える矛盾はますます深まった。そしてついに、今のような29年恐慌を上回る世界金融大恐慌となって爆発するにいたったのだ。
 70年代以来の帝国主義の延命はこれで完全に終わった。新自由主義の破産のあとはもう何もない。それ以前の国家独占資本主義に舞い戻ることなどできはしない。帝国主義にはその場しのぎの小手先の対策しかない。

 「生きさせろ」ゼネストへ!

 

世界金融大恐慌とは世界革命の時だ。29年大恐慌の時もそうだった。世界中でプロレタリア革命が労働者の生活上の死活課題となる。何十%もの失業率のなかで、革命をやる以外に労働者は生きていけなくなるからだ。
しかし、30年代の革命は敗北した。労働者が巨万の規模で立ち上がったにもかかわらずだ。それは、当時のスターリン主義によって革命が圧殺されたからだ。最も恐慌が激しかった米帝では、スターリン主義のアメリカ共産党がルーズベルト大統領とそのニューディール(新規まき直し)政策を支持した。その結果、資本主義−帝国主義は生き延びた。大恐慌にもかかわらず延命した帝国主義は、世界経済のブロック化から世界戦争に向かっていった。
それを二度と繰り返してはならない。30年代の敗北は、スターリン主義といういわば労働者側での裏切りによってもたらされた。労働者階級が団結して真に闘えば、必ず勝利できるのだ。しかも、すでにスターリン主義が歴史的に破産している。いま世界中で起きているストライキや暴動は、反スターリン主義や非スターリン主義の潮流に主導されたものだ。だから、世界大恐慌から世界戦争に転落していくということは絶対にない。あっていいはずがない。今度こそ必ず世界革命に転化しなければならない。
すでに米欧で、大銀行への公的資金投入策に対し「刑務所行きだ、救済するな」というスローガンでデモがたたきつけられている。29年大恐慌の時には、「救済するな」と誰も叫ばなかったのだ。いや、アメリカ共産党のように資本家階級と一緒になって資本主義を救済しようとしたのだ。「救済するな」のスローガンとデモは、30年代の敗北をのりこえる歴史的意味を持つ。
終わりを迎えた資本主義など救済する必要はない。労働者と資本家は非和解だ。折り合う余地などみじんもない。少しでも資本家と和解しようとすると、果てしない屈服と転向の道が待っている。国鉄闘争での4者・4団体路線がそうだ。動労千葉のように階級的労働運動路線で闘うこと、それこそが世界金融大恐慌を世界革命に転化できる唯一の道だ。11・2の地平に立って、09春闘で「生きさせろ」のゼネストを実現しよう。
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表 バブルによる住宅資産の過大評価額(単位:億ドル)

国名 住宅資産時価総額 過大評価額
米国 233,022 49,010
フランス 84,346 31,706
英国 80,912 33,838
イタリア 67,566 14,346
スペイン 57,441 28,408
オーストラリア 30,143 13,073
カナダ 28,161 13,324
オランダ 9,795 3,465
スウェーデン 7,565 2,961
アイルランド 6,632 1,826
ニュージーランド 4,509 1,761
ノルエェー 3,405 1,366
デンマーク 2,417 978
フィンランド 2,148 735
合計 608,062 196,796
(住宅資産時価総額は07年末、もしくは06年末時点)

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週刊『前進』(2366号4面2)(2008/11/03 )

 コミューン 12月号

 国鉄解雇の撤回を

 現在の階級闘争の最大の激突点は国鉄労働運動だ。動労千葉のように国鉄分割・民営化絶対反対と解雇撤回を断固貫き、職場のJR体制打倒に向けた不抜の団結を形成して闘うのか、それとも4者・4団体のように解雇撤回を投げ捨て、国鉄・分割民営化攻撃を容認し、1047名闘争を最終的に解体し国労の解散・連合化への道を進むのか、決定的な分岐と対立が激化している。
 第1章は、国鉄1047名闘争において、動労千葉を排除し、解雇撤回を投げ捨てる4者・4団体路線を、7月東京高裁南裁判長の和解提案以後に絞って徹底的に批判。
 第2章は、国鉄闘争勝利のために、国労5・27臨大闘争弾圧との闘いの意義を全面的に明らかにしている。この闘いは、4者・4団体が投げ捨てた「1047名解雇撤回」を動労千葉とともに原則的に貫徹し、国労を再生する闘いである。
 第3章は、国鉄闘争20年の先頭に立ってきた動労千葉の歴史を振り返り、マルクス主義に基づく階級的労働運動路線の正しさを明らかにしている。全体をつうじて、4者・4団体路線に対するトータルな批判がなされている。
 翻訳資料は「米・金融救済策に反対する闘いの報道」。巨大金融機関に対する救済策に怒る労働者人民のデモをリアルに伝える。

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週刊『前進』(2366号5面1)(2008/11/03 )

 「農地明け渡せ」とNAAが提訴

 市東さん「実力で阻止」

 三里塚 反対同盟、怒りの会見

  成田空港会社(NAA)は10月17日、三里塚反対同盟の市東孝雄さんが親子3代90年間にわたって耕作してきた農地について、「明け渡して出ていけ」と要求する裁判を千葉地裁に起こした。(前号速報)
 成田空港の事業認定が失効し、強制収用の手段をなくした日帝権力・空港会社は、あろうことか農地と農民の権利を守るために制定された農地法を使って、市東さんの農地を奪おうとしているのだ。そもそもNAAの農地「取得」は、市東さんに無断で行われたものであり、一から十まで違法でデタラメだ。こんな暴挙は絶対に許せない。
 三里塚反対同盟は10月29日午後、市東さんの畑のすぐわきで記者会見を行った。空は青く澄みわたり、市東さんの畑ではピーマンやブロッコリー、大根、キャベツ、白菜などがすくすくと成長中だ。そのすぐ脇での青空記者会見に、多数の記者が集まった。
 会見は萩原進事務局次長の司会で進められた。まず北原鉱治事務局長が記者会見の趣旨を明らかにし、「この市東さんの畑は、祖父の代から90年間3代にわたって耕作してきた土地だ。それを空港会社が恫喝的に『耕作の期限が切れたから返せ』と言うのは絶対に許せない」と弾劾した。
 続いて鈴木謙太郎さんが反対同盟の声明(6面に掲載)を読み上げた。声明で反対同盟は、「この攻撃は……空港用地の強制収用攻撃である」と弾劾、「市東さんの農地と天神峰現闘本部建物を断固として守りぬき、42年間不屈の空港絶対反対闘争の勝利へ前進する」と表明した。
 時折、空港フェンスのすぐ向こうをジェット機が騒音を立てて走行する。市東さんの畑が暫定滑走路の誘導路を「へ」の字に曲げて、空港の完成を阻んでいる。
 市東さんは、満身の怒りを込めて今回の提訴を徹底弾劾し、「流血を辞さない闘いをやる覚悟だ」ときっぱりと表明した。(発言別掲)
 会見には浅野史生弁護士が同席し、提訴の不当性を図を示して弾劾した。反対同盟の農地死守、絶対勝利の確信と決意あふれた会見だった。
 畑は市東さんのものだ。現地攻防戦と裁判闘争に勝利しよう。労農連帯の力で、市東さんの農地を守り抜こう。
(写真 鈴木謙太郎さんが声明を読み上げる)
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週刊『前進』(2366号5面2)(2008/11/03 )

 市東さんの談話

 まず許せないことは、提訴したことを自分とか弁護士さんに一言も連絡なしに、報道機関にだけ言ったことです。
 空港公団と会社は、場当たり的なやり方を43年間も続けてきた。それで未だかつて空港は完成していない。
 私が守るのは自分の命に等しい農地だけです。そのために、ここで体を張って闘うしかない。向こうが裁判以外の違う方法をとってきたら、私は流血を辞さない闘いをやる覚悟です。
 私は農民です。畑を耕すことが生き甲斐ですから、それをずっと守って、これからも闘い続けていきたい。
「畑を守って闘う」と語る市東さん

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週刊『前進』(2366号5面3)(2008/11/03 )

 『農地収奪を阻む』

 三里塚反対同盟 萩原 進著

 国家権力と絶対非和解で闘う反対同盟農民の思想


発行/編集工房 朔
発売/星雲社
定価/本体11800円+税
四六判272n

 三里塚闘争の勝利に向かって、決定的な武器になる本が出版された。
 平行滑走路敷地内に農地を持つ萩原進さん(三里塚芝山連合空港反対同盟事務局次長)が著した本書は、国家権力が空港計画を突如ねじ込んできた時から43年間、不屈の闘いを貫いてきた農民の手になる三里塚闘争の記録である。同時に今日の農業・農民問題、労農同盟の問題に、闘う農民の側から切り込んだ意欲的な論考である。これまで三里塚闘争を闘ってきた人も、初めて三里塚に接する人も、本書によって闘う三里塚農民の魂に触れることができるであろう。
 本書は、3部に分かれている。
 まず第1部は、萩原さんによる闘いの回想と総括。開拓時代の生い立ちから、闘いに加わっていく過程、闘いの中で突きつけられた国家権力の暴力、闘う農民の内部での路線闘争、裏切りとの闘い、そして今日の市東孝雄さんの農地強奪攻撃との闘いに至るまで、縦横に語り尽くされている。「貧乏な開拓農民など札束でひっぱたけばたたき出せる」という帝国主義権力の傲慢(ごうまん)な攻撃を打ちのめしていることは痛快だ。
 「農地収奪を阻む」という書名に示されているように、43年間の懐旧談ではなく、今現在の敵の攻撃に勝ち抜く実践的な総括になっている。
 第2部は「崖(がけ)っぷちの食と農」と題する二つの農民座談会。最初の座談会に登場する坂本さんと小川さんは典型的な米作農家で、坂本さんは秋田県の八郎潟干拓で移住した大潟村の農民だ。座談会は、今日の日本の農業がトヨタなどの大企業のために徹底的に切り捨てられている現実を告発し、これとの闘いに三里塚闘争が光を与えていることを明らかにしている。ミニマムアクセス米をめぐる事件など、「食と農」の問題が帝国主義の農業・農民切り捨ての矛盾として爆発的に露呈している今日、これに対する階級的な解答を導き出すための問題提起がなされている。
 また、産直座談会は、今農地収奪の矢面に立たされている市東さん、芝山町菱田地区で孤軍奮闘している鈴木謙太郎さんと萩原さんの3人が、無農薬・有機栽培で産直運動を行っているわけについて語りあっている。闘いと生産と生活が一体となった3人の意見は、きわめて示唆的だ。
 第3部は、「労農連帯」がテーマとして据えられている。まず、動労千葉前委員長の中野洋さんと萩原さんの対談。そして萩原さん自身による労農同盟論の書き下ろし。
 中野さんは、革命的左翼が三里塚に登場するごく初期から、千葉県反戦青年委員会の議長として深くかかわってきた。ジェット燃料の貨車輸送の攻撃に対し、動労千葉は順法闘争とストライキで立ち上がった。三里塚空港の開港阻止のために首をかけて労働者が決起する、そして農民がこの闘争支援に大挙駆けつけるという、絵に描いたような労農連帯が実現した。
しかもそれは、反革命カクマルとの組織をかけた闘いだった。当時の動労千葉地本は、「三里塚と一線を画する」と言って統制処分の攻撃をかけてきたカクマルと闘い、分離独立をかちとって、今日の動労千葉の礎を築いたのだ。
 「反対同盟と動労千葉は車の両輪」と言われた。歴史家・羽仁五郎は「三里塚は現代のパリ・コミューンだ」とたたえたが、まさに反対同盟と動労千葉の連帯は、世界の革命運動史上にかつてない地平を切り開いている。対談では、この闘いの歴史とその意義が鮮明にさせられている。お互いに助っ人として闘ったのではなく、自分たちの闘争として闘ったという点で共鳴しあっている。
 最後の「労農同盟で世の中変えよう」という論考は、農地法を使って市東さんの農地を取り上げる攻撃の背景には政府・財界の農業つぶし政策があること、農民と資本家階級は非和解的関係で、労働者階級と連帯してこの社会を転覆しなければならないことを訴えている。
 本書は、三里塚闘争の真実を知り、近づくための不可欠の書だ。多くの労働者、特に青年労働者学生に読んでほしい。
 (坂上潤一)

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週刊『前進』(2366号5面4)(2008/11/03 )

 狭山第3次再審へ各地で集会

 “狭山・住宅を両軸に”

 新たな解放共闘へ大きな一歩

 「10・31寺尾差別判決34カ年糾弾! 狭山第3次再審勝利! 西郡住宅闘争に勝利しよう!」のスローガンを掲げて東京、西郡(大阪)、広島でそれぞれ10月26〜27日に狭山集会が開催され、熱気と感動あふれる素晴らしい集会がかちとられた。

 東京 “私たちこそ全国連”石川さんと団結し勝利を

   「狭山集会でこんなに感動したのは何年ぶりだろうか。胸が震える思いだ」「今、部落解放闘争は西郡と品川と杉並にしか組織的に存在していない。私たちこそ全国連だ」。融和主義に転落した全国連中央との激突にかちぬき、10・26狭山集会の成功を牽引(けんいん)した部落解放同盟全国連合会品川支部、杉並支部の両支部長の解放感と確信に満ちた言葉だ。
 “狭山勝利へ団結ガンバロー”(10月26日 品川)
 東京では部落解放東日本共闘会議が南部労政会館(品川区)で10・26狭山集会を開催した。全国連品川支部、杉並支部を先頭に労働者、学生など120人が結集した。
 主催者あいさつで井上長治東日本共闘事務局長は「世界金融大恐慌への突入の中で、あらゆる反動が密集して11月集会に襲いかかっている。本日の狭山集会は、これらと対決する意味を持つ」と提起した。井上さんを始め発言者全員が、「解雇撤回」を投げ捨て動労千葉を排除する4者・4団体路線と、「『広島差別事件糾弾』こそ狭山闘争」と言いなす全国連中央の「集会」を怒りを込めて弾劾した。そして、45年間非妥協・不屈に闘う石川一雄さんと階級的団結を固めて狭山闘争に勝利する決意、11・2集会の1万人結集を実現する決意を語った。
 オープニングで石川さんへの思いを込めて杉並支部の青年が歌とギター演奏。報告の一つめで西村豊行さんが、寺尾差別判決直後の「最後の血の一滴までも国家権力打倒にかけ」る石川さんのメッセージを紹介し「部落民との階級的共同性の獲得」をとおして狭山勝利―部落解放を、と訴えた。二つめの報告で西郡支部の岡邨洋さんが、全国連中央の支部青年部破壊策動、「二組」デッチあげによる八尾北労組破壊策動と闘い、民営化絶対反対を貫くと決意表明した。
 特別アピールで解放共闘議長の田中康宏動労千葉委員長は「全国連中央による政敵つぶしのための糾弾の政治的利用は敵の論理」と批判した。そして11・2集会への1万人結集にむけて「寝食を忘れて全力で組織化へ」と檄(げき)を飛ばした。
 決意表明が圧巻だった。品川支部は全国連中央の変質に怒り、「すべての運動の先頭に立っているのが動労千葉。地区に入り職場で闘う」。杉並支部は「中央が『階級的共同闘争』でなく『反差別統一戦線』と言い始めているが、階級闘争の大地の中で革命をめざす部落解放闘争を闘う」。動労水戸、千曲ユニオン、東京南部ユニオンに続き、全学連の織田陽介委員長は「11・2集会1万人結集の中に狭山と法大の勝利がある。最後まで組織化する」と鮮明に決意を語った。
 東京西部ユニオンのまとめと行動提起、品川支部の音頭による団結ガンバローで、世界金融大恐慌情勢を迎え撃ち新自由主義と対決する部落解放運動の開始を告げる歴史的集会がかちとられた。

 西郡 組織破壊攻撃と対決 支部・八尾北労組が共催

 西郡第3集会所で10月27日、狭山集会が開催され、地元西郡住民、労働者、学生など100人の参加で大成功した。集会は西郡支部と八尾北医療センター労組の共催。
 狭山差別裁判のビデオ上映の後、石川一雄さんのメッセージが読み上げられた。
西郡集会(10月27日 八尾市)  
 
基調報告を、末光道正西郡支部事務局長が行い「寺尾判決34カ年糾弾、狭山第3次再審闘争勝利! 不屈に闘う石川さんとともに、狭山・住宅を両軸に闘おう」と呼びかけた。末光さんは「部落民を始め被差別人民を、これ以上ない低賃金で劣悪な労働条件に突き落としてはい上がれないようにしておいて、労働者階級全体を分断して搾取するテコにした」「差別はボスの言葉」「闘う労働者の武器は団結だ。職場で差別と闘い、分断をのりこえて団結して闘う八尾北医療センター労組の存在と闘いが、”11月勢力”に勝利を見いだして闘う西郡支部の階級への信頼の大きな根拠なのだ」と明らかにし、11・2労働者集会1万人結集へ総決起を訴えた。
 住宅明け渡しと闘う辻西幸子書記長は「八尾市の供託降ろしをはね返して闘ってきた。裁判は勝ち負けではない。応能応益家賃制度は破産していることを裁判ではっきりさせる」と発言。差し押さえ裁判原告も「応能応益に勝つまで体がぼろぼろになるまで動きたおす」と語った。また前日の東京集会に参加した岡邨洋さんが集会の報告をし、八尾北労組の藤木好枝委員長が「この集会を労組は共催団体として担い、狭山と住宅を両軸に部落差別と徹底的に闘う」「民営化絶対反対で闘うことに対して『不当労働行為』をデッチあげた二組(河内合同労組)を解体する」と決意を語った。
 共闘からはス労自主、自治体の青年労働者、全学連が発言。会場からも次々と声が上がった。
 全国連本部の裏切りと敵対をはね返し、狭山闘争を住宅闘争と並ぶ車の両輪とする闘いが始まった。西郡支部と八尾北労組の団結を軸に、塩川一派や旧与田派によって解体された関西解放共闘再建の闘いの第一歩だ。

 広島 階級的団結の強化で 11月1万人結集を誓う

 広島では10月26日、部落解放広島共闘会議主催で広島県立生涯学習センターで狭山集会が開催され、広島の部落民、労働者、学生が集まった。
(写真 広島集会【10月26日 広島市】)
 
広島共闘会議議長の教育労働者が「階級的団結を拡大・強化し狭山闘争勝利へ。11・2労働者集会1万人結集へ総決起しよう」と題して基調提起を行い、国家権力と絶対非和解で闘う石川一雄さん、絶対反対の路線を貫く西郡住宅闘争との共闘を強く訴えた。続いて広島連帯ユニオンの仲間が、西郡支部の住宅闘争と八尾北医療センター労組の闘いについて報告を行い、八尾北で「二組」をデッチあげた解同全国連中央本部派の反動的・反階級的意図を怒りを込めて暴露した。広島大の学生は、7月テーゼをめぐる路線論議を「差別事件」にすり替えた全国連中央本部派の腐敗を弾劾し、階級的団結の拡大・強化こそ差別をなくし、革命に勝利する唯一の路線であることをはっきりさせようと訴えた。そして獄中非転向で闘う法大闘争被告の学生の姿と今の中央本部派の姿との対比ですべてが明らかだと断言した。
 決意表明では、まず解放研の全逓労働者が登壇した。「10・31は部落民にとって怒りの日。11・2集会1万人結集を実現し、世界を労働者の手に取り戻して、石川さんの再審無罪をかちとろう。今日集まったすべてのみなさんの11・2への結集を訴えます」と熱烈にアピールした。さらに八尾北労組とともに闘う高陽第一診療所労組の仲間、ゆうメイト雇い止めストと草津病院ストを貫徹した広島連帯ユニオンの仲間、婦人民主クラブ全国協広島支部の仲間が次々と決意を表明。
 07年7月テーゼで鮮明化されたマルクス主義の路線をあらためてはっきりさせ、11・2へ向かう広島の闘う部落民、労働者の団結をうち固める場となった。

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週刊『前進』(2366号5面5)(2008/11/03 )

 共謀ひろば3

 共謀罪の粉砕へ

 法大救援会が闘いを報告

 「共謀ひろば3」(共謀罪新設反対国際共同署名運動主催)が10月18日、東京の文京区民センターで開かれた。多くの労働者・学生が参加し、闘いの態勢を崩さず共謀罪粉砕を絶対にかちとる決意を固めた。
全体集会(写真)では冒頭、足立昌勝さん(関東学院大教授)が主催者あいさつに立ち、新たな装いの共謀罪出現の可能性に警戒をうながし、「粘り強い闘いを」と檄を発した。
宮本弘典さん(関東学院大教授)は「共謀罪にみる刑事法再編の論理と心理」と題して講演。新自由主義と治安法・共謀罪との不可分の関係を解き明かし、グローバル市場の形成―「脅威のグローバル化」が刑事法再編強化と警察司法での全面的な治安管理強化となって進行しており、事前規制を含めた警察の介入・権限の強化、警察の総合官庁化、「社会の警察化」をもたらしつつある現実をえぐり出した。安全保障政策と治安管理政策の一体化のもと、すべての社会正義が危険視され、国内刑法が「国内の敵」なるものに対する予防戦争の正当化・合法性根拠となる。「国際協調枠組み」の中で進められる人民の全面的・日常的な監視・管理・統制のための刑法大転換――それが共謀罪にほかならないと看破、労働者階級の団結破壊を目的とした共謀罪攻撃の背景を明らかにした。
特別報告では山際永三さん(人権と報道・連絡会)がロス事件と共謀罪に言及。実行行為がなくても無際限の逮捕を可能とする共謀罪の恐るべき本質が浮き彫りにされた。また国民保護訓練反対やNシステム反対、死刑廃止など、治安法・弾圧反対の各領域からの発言が行われた。
「刑事弾圧粉砕」では法大弾圧救援会が団結の力でかちとった10・17法大闘争の勝利感あふれる息吹をそのまま持ち込んで報告。「裁判員法粉砕」では、「憲法と人権の日弁連をめざす会」の武内更一弁護士が、徴兵制の露払いである裁判員制度と共謀罪の一体的阻止を力強くアピール。
分科会は、第1分科会がサミット弾圧体制のもとでの多機関連携、自衛隊の憲兵化、警察の行政警察化について。第2分科会が労働者人民を強制動員する「現代の赤紙」=裁判員制度の問題点について提起と討議。第3分科会では「星野さんをとり戻そう全国再審連絡会議」や「迎賓館・横田裁判の完全無罪をかちとる会」などが展示を行った。

【国会行動昼集会】

11月11日(火)
午前11時〜午後1時
衆院第2議員会館前

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週刊『前進』(2366号6面1)(2008/11/03 )

 星野さんを自由に 11・29全国集会へ

 “生きさせろ”の闘いと結合し 第2次再審闘争勝利を

 

今年の星野全国集会は、第2次再審闘争勝利に向けての一大決起集会として呼びかけられている。この集会は、「何がなんでも星野無期判決を維持する」という国家権力の意志をむき出しにした最高裁の特別抗告棄却決定を弾劾し、労働者人民の怒りをたたきつける総決起の闘いだ。「星野さんをとり戻そう! 全国再審連絡会議」の呼びかけに応え、全力で結集しよう。
 第2次再審の闘いを始めるにあたって、われわれはあらためて「星野無期」攻撃の理不尽さに腹の底からの怒りをたたきつける。
 星野文昭同志は無実だ。これは星野再審闘争の絶対の出発点である。大半が少年であったデモ参加者の「供述調書」以外の証拠は何ひとつ存在しない。だから、当然にもこの裁判においては「共犯者証言の信用性」が最大の問題になってきた。
 東京高裁の確定判決は「本件各検事調書相互間に、同一ないし同一に近い記載内容が見られる」ことを弾劾する被告・弁護側の主張に対して、「同一の事柄に対して、複数の共犯者に供述を求めた場合、通常、相互にほぼ同様の内容が供述されることは、当然の結果」であると居直った。デッチあげであるがゆえにストーリーが同じになってしまうことに対して、逆に、「それは真実である証拠だ」と180度反対の「有罪」の根拠にしたのだ。  
 さらに、「同一人の供述内容が変遷していること」については、それが「違法な捜査方法を推認する」ものとはならず、捜査官による脅迫と誘導の結果を「捜査官による説得」などと、黒を白と言いくるめるやり方で完全に開き直っている。
 東京高裁は、真っ当に審理すれば到底維持することが困難な「共犯者供述」に関する証拠調べを突如打ち切って結審させた。そして、相矛盾する「共犯者供述」の都合の良いところだけを得手勝手につまみ食いし、懲役20年の東京地裁判決を破棄して無期懲役を宣告したのだ。この判決を下した草場良八裁判長は、この判決を手土産にして最高裁に「栄転」し、後に長官に昇進している。まったく許せない。

 特別抗告棄却弾劾する

 今年7月14日の最高裁第3小法廷(那須弘平裁判長)による特別抗告棄却決定は、この不当な東京高裁判決を何がなんでも維持するための政治判決である。
 革共同は腹の底からの怒りを込めて弾劾する。そして、このような理不尽な政治裁判で星野同志を獄中に34年間も閉じ込めている国家権力を、労働者階級の怒りで打倒することを宣言する。
 無実を獄中から34年間不屈に訴え続けている星野同志の闘いは、今や「生きさせろ」と叫んで労働組合に結集し、自らの力で労働組合をつくり闘いを開始している青年労働者や、「監獄大学」化する大学と不屈に闘う学生とストレートに結合を開始している。
 100年に一度の歴史的事態といわれている金融大恐慌が全世界を覆っている今、「ウォール街の資本家どもを刑務所にたたき込め」と全世界でデモ、ストライキに立ち上がっている労働者階級の闘いと、星野同志の不屈の闘いとがひとつのものになる時代が始まっているのだ。

 沖縄と連帯し渋谷闘争

 この星野同志の不屈で非妥協の闘いは、最初から今日に至るまで労働者階級の解放をかけたプロレタリア革命そのものとしてある。
 1971年11月、沖縄100万の労働者人民は、日本帝国主義のペテン的沖縄返還政策に反対して、文字どおりの島ぐるみの決起で全島ゼネストを闘いぬいた。
 11月14日、この沖縄の闘いと一体のものとして渋谷暴動闘争に決起した青年労働者・学生は、全国から続々と結集し、戦闘的デモを闘いぬいた。
 星野同志の率いるデモ隊は途中で阻止する機動隊を撃破して見事に代々木八幡駅から渋谷の街に突入し、労働者人民と合流して渋谷暴動闘争を実現したのだ。
 この過程で一人の機動隊員が死亡するという決定的な敗北を喫した日帝・国家権力は、デモ隊のリーダーであった星野同志に「殺人罪」をデッチあげ、「無期懲役刑」の判決(1987年7月24日上告棄却−無期懲役確定)を下すという報復を行った。
 星野同志と家族・弁護団は、1996年4月17日、再審請求書を東京高等裁判所に提出した。この第1次再審請求が今年7月14日に特別抗告棄却決定をもって棄却されたのである。
 だが、星野同志は「真実は、われわれの側にあります。われわれが目指すものの大きさを権力が圧殺しようとするのは無理です。われわれの目指すものの『大きさ』と『正しさ』、その二つで再審実現を目指してたたかいます」と、直ちにメッセージを発している。
 星野同志とともに闘いぬいた70年安保・沖縄闘争は、「世界とアジアと日本の総体の根底的変革にむかっての巨大な歴史的選択の第一歩」(本多延嘉著作選第4巻190n)としてあったことを今あらためて明確にしよう。
 金融大恐慌は日に日に深度を深め、今や実体経済にも全面的に波及し、資本主義・帝国主義は中心部から崩壊を開始している。今や全体制が根底から揺らぎ、労働者階級の怒りと社会変革への熱烈な希求が広範に沸き起こっている。プロレタリア革命の現実性がついに姿を現したのだ。
 この闘いの中にこそ星野同志の奪還の現実性が明々と照らし出されている。星野同志奪還の闘いと労働者の団結の闘いはひとつのものである。
 11月29日、東京・四谷区民ホールに総結集しよう。

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週刊『前進』(2366号6面2)(2008/11/03 )

 市東さんに農地明け渡し請求

 反対同盟が弾劾声明

 空港会社の新たな提訴に対して、三里塚反対同盟が発した声明を紹介します(記事5面)。11・9緊急現地闘争に立とう。(編集局)
 ◇声明
 10月17日、成田空港会社は千葉地裁に対して市東孝雄さんの農地2カ所の明け渡し請求を不当に提訴した。この提訴は、欠陥空港の象徴である「へ」の字誘導路を直線化するために、農地法で農地を公用収用するという前代未聞の暴挙である。
 わが三里塚芝山連合空港反対同盟は、満身の怒りを込めて弾劾し、不屈の決意を明らかにした市東孝雄さんとともに、なにがなんでもこの攻撃を粉砕する決意である。
 明け渡し対象の農地は、いずれも市東家が親子代々耕作してきた農地である。戦後農地改革で解放されるべき農地でありながら、手続きが適正になされず、賃借地とされた。この農地を空港会社(旧・空港公団)は耕作者の市東東市さん(当時)に無断で取得(1988年)、数々の農地法違反を重ねた上に突然、解約を申し入れてきた。
 解約手続きにあたって千葉県知事は、空港会社の違法性と明け渡し対象地の位置の特定という前提的事実を精査することなく、不当にこれを許可したが、これが今回の不当提訴の根拠となった。
 この攻撃は、「賃貸借契約の解約」の形をとっているものの、紛れもなく空港用地の強制収用攻撃である。成田空港をめぐっては事業認定がとっくに失効しており、空港会社が用地を取得する道は闘いによって閉ざされた。用地取得の方途を失った空港会社は、農地と農民の権利を守るために制定された農地法を違法に使って、農地を取り上げる暴挙に踏みきったのである。
 こうした前代未聞の暴挙は、戦後の農地改革をひきつぎ農民の権利を保障するものとして制定された農地法の解体攻撃と一体である。農業切り捨て・農地破壊と改憲の先取り攻撃そのものであり、反対同盟は全国の農民・労働者・人民の最先頭で闘うものである。
 市東さんの農地とともに、天神峰現闘本部建物を断固として守り抜き、42年間不屈の空港絶対反対闘争の勝利へ前進する。
 以上、声明する。
2008年10月29日
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 市東さんの農地を守れ
 11・9三里塚緊急現地闘争
 11月9日(日)午後0時30分
 成田市東峰、市東さん宅の南側の開拓道路
 主催/三里塚闘争支援連絡会議

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週刊『前進』(2366号6面3)(2008/11/03 )

 法大弾圧裁判  法大弾圧裁判

 7・24弾圧裁判 監視映像を警察に 法大当局に怒りが集中

 10月23日、7・24法大弾圧の第2回公判が東京地裁刑事第21部(半田靖史裁判長)で行われた。
 裁判長が開廷を宣言して証人を呼ぼうとするや、内田晶理(てるまさ)君がすかさず発言を求めた。
 「数々の防御権の侵害や弾圧、ウソで塗り固められた法廷、何より保釈請求却下という暴挙に対し、このまま整然と裁判を進めることはできない」と述べ、不当な被告人席の配置によって被告団・弁護団一体となった防御権の行使を妨害していることを指摘した。
 さらに東拘による中島敦史君への懲罰、内田君がいったん保釈になる5月まで法廷で着用していたCAMS(校内の軍国主義に反対する連合)のTシャツの突然の禁止、デッチあげのための証拠調べなど、法廷そのものが政治弾圧のオンパレードになっていることを弾劾した。最後に、「増田とジャージ軍団こそ拘束されるべきであって、すべての仲間を今すぐ釈放しろ」と迫った。
 続いて、麹町署の警察官古屋寿和と高橋良の証人尋問が行われた。
 古屋は、正門と教室の実況見分調書を作成したやつだ。正門の状況に関する調書は、警視庁公安1課の警察官石沢剛らと暴力ガードマン星らとの合作によるデタラメなものであることが暴露された。
 教室内の状況についての調書も、法政大学務部次長菅野俊一と法政大嘱託職員(ジャージ軍団)伊地知力也及び公安1課の石沢らで作成しているが、菅野の内田君らに対する暴行を隠蔽(いんぺい)したデタラメな調書であることが暴露された。こんな実況見分調書を法廷に提出すること自体許されない。
 高橋は、法大職員小川某から4月以降、「かなりのDVDの任意提出を受けた」と証言した。これは、法大当局が公安警察と日常的に癒着し、全学連だけではなく文連の闘いやビラを受け取る学生たちを日常的に警察権力に売り渡しているということである。腐りきった法大当局は打倒するしかない。
 最後に、鈴木研也君が怒りに満ちた意見表明をたたきつけた。「ウォール街で労働者のデモが行われ、世界は革命情勢だ。私たちの闘いは世界の労働者と一体であり、その最先端を闘っている。建造物侵入容疑で裁こうなんてちゃんちゃらおかしい」と述べ始めると、半田裁判長は「関連性がない。閉廷する」と強引に鈴木君の意見を打ち切った。被告人の意見を聞こうとしない半田裁判長を絶対に許さない。
(絵 広島大学 鈴木研也【東拘在監】)
 次回公判は11月19日だ。傍聴に大結集しよう。

 5・28「暴行」デッチあげ “公判分離認めない” 「監獄大学」の実態暴く

 

10月24日、法大5・28暴行デッチあげ裁判の第4回公判が、東京地裁刑事第18部(福崎伸一郎裁判長)で行われた。
冒頭、新井拓君が、11月10日の公判期日に裁判所が4・27暴行デッチあげ(新井・友部博文被告)裁判を強行しようとしていることに反対する意見を述べた。
新井君は「友部君は、私の逮捕に抗議するためにキャンパスに突入して逮捕された。さらに、友部君が警察署で『新井さんがいるから闘える』と言っているのを聞いた。魂がふるえる思いをして、ここまで一緒に闘ってきた。5・28裁判と併合せよ。私と友部君の分離など絶対に認めない」と力強く訴えた。
さらに、中島宏明君も立ち上がった。「次回公判には、私も参加させろ。そして、今すぐ私たちを釈放せよ」と、これまで登場した検察側証人のデタラメさを具体的に指摘し、デッチあげ弾圧を弾劾した。事実、前回の公判で公安刑事高橋良の作成した「捜査報告書」は、肝心の捜査日時を変更するなどのデタラメが反対尋問で徹底追及され、裁判所によって証拠から排除された。検察立証はグラグラだ。
今回、証人として登場した上杉一は、外濠校舎出入り口に設置された監視カメラを操作して新井君や中島君の様子を撮影し、その映像を証拠物としてDVDに焼きつけたとされる人物だ。
法政大学には「エイチ・ユー」という名の子会社があり、清掃・建物管理・警備や、不動産業・旅行・貸衣装・イベント・建設などの事業を独占している。上杉は、そこで「総合管理事業部の課長」として警備や大学施設の保守管理のすべてを行っているという。
しかし、実際には「部下はいない。課もない」と証言し、肩書きに何の実体もないことが明らかになった。弁護人の追及を受け、「綜合警備保障の子会社の綜警ビルサービスの社員として10年以上働いている」と答えたが、経歴を詐称して学生弾圧の担い手としての正体を隠そうとしたのだ。同時に「エイチ・ユー」なる会社が法大当局による利権独占のためのペーパーカンパニーにすぎず、そこに外部資本が群がる新自由主義大学の構造が明らかとなった。
また、外濠校舎だけでも64台もの監視カメラを24時間動かし続けることのできる装置があることが暴露された。ボアソナードタワーや富士見坂校舎にも同様の装置が置かれている。キャンパス内にある防災センターは、これらの無数の監視カメラを一括して管理できる司令塔であり、ここで記録された映像が次々と公安警察に手渡されているのだ。許し難い監獄大学の実態だ。
「被告人が警備員に暴行を加えた場面は見ていない」と、上杉自身がはっきり認めたように、「証拠」とされたDVDに「暴行」の場面など映っていない。しかも、DVDを警察に提出した日が、事前の供述調書では4月13日と書かれているにもかかわらず、法廷では「4月16日までにDVDを作成した」と変更するデタラメぶりだ。
新井君と中島君も直接に尋問を行い、およそ1時間にわたって上杉を徹底的に追い詰めた。こんなものが証拠として扱われ、逮捕と6カ月もの長期勾留を正当化している現実を断じて許せない。新井君と中島君をただちに釈放しろ。
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法大裁判に集まろう!

★11月5日(水)5・29デモ弾圧裁判@グループ
第4回公判 午後1時15分開廷
★11月10日(月)5・28「暴行」デッチあげ裁判
第5回公判 午後1時30分開廷
★11月13日(木)5・29デモ弾圧裁判Aグループ
第3回公判 午後1時15分開廷
★11月19日(水)7・24法大弾圧裁判
第3回公判 午後1時30分開廷
★11月20日(木)5・29デモ弾圧裁判@グループ
第5回公判 午後1時15分開廷
★富山大ビラまき弾圧裁判(富山地裁)
第3回公判 11月11日(火)午前10時開廷

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週刊『前進』(2366号6面4)(2008/11/03 )

 富山大弾圧 武藤君に保釈決定

 不当な保釈金400万円!

 10月28日、富山地裁は、富山大学弾圧と闘う武藤(ぶとう)淳範君の保釈許可を決定した。すぐさま検事は抗告したが、翌29日、名古屋高裁金沢支部は検事の抗告を棄却した。7カ月間の不当長期勾留を打ち破った大勝利だ! 法大弾圧と闘う19人の学生全員奪還に向け、決定的突破口を切り開いた。
 武藤君は、4月15日に富大キャンパスでのビラまき・クラス討論を口実に、「建造物侵入」で不当逮捕された。富大当局と警察権力は、新自由主義の破綻的現実に対して青年労働者・学生の怒りが爆発することを恐れ、武藤君の逮捕を強行したのであり、富大学生運動の圧殺を狙った政治弾圧そのものだった。
 武藤君は、大学当局と国家権力への怒りをもって完黙・非転向の獄中闘争・裁判闘争を闘ってきた。法大弾圧被告とともに、革命情勢下で獄中20人の不抜の団結を形成した。若き革命家集団の力が国家権力をトコトン追い詰めた。さらには、富大学生運動の新たな決起、10・17法大決戦の爆発、11・2労働者集会1万人結集運動の力が武藤君の保釈許可決定をもぎとったのだ。
 しかし一方、富山地裁は、なんと保釈金400万円を要求してきた。これは、青年労働者の2年間分の賃金に相当する額であり、常軌を逸した不当な高額保釈金だ。徹底的に弾劾する。そもそも逮捕・起訴・勾留自体がまったく不当であり、本来なら保釈金など1円たりとも認めることはできない!
 この不当な高額保釈金を許さず、労働者人民と学生に訴えて保釈金カンパを集めよう。武藤君の早期奪還を!

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週刊『前進』(2366号6面5)(2008/11/03 )

日誌'08 2008年 10月22日〜28日

 米軍がシリアに越境攻撃/最高裁長官に裁判員制度推進派

●海自訓練死の中間報告 広島県江田島市の海上自衛隊第1術科学校で9月、特殊部隊「特別警備隊」の養成課程を辞めることになった3等海曹(25)が15人相手の徒手格闘訓練中に頭を打ち、死亡した問題で、参加した生徒が「(3曹が)やらないと言える雰囲気ではなかった」と話していることが、防衛省が公表した海自呉地方総監部の事故調査委員会の中間報告で明らかになった。(22日)
●駐留米兵の公務外犯罪の裁判権放棄の密約文書 日本に駐留する米兵らの公務外の犯罪について、日米間の協定では裁判権を日本に認めたにもかかわらず、実際には「日本側は重要事件以外の裁判権を放棄する」との「密約」が交わされていたことを示す文書が見つかった。文書は米国立公文書館に保管されていた。(23日)
●米軍軽飛行機が墜落 沖縄県名護市で小学校から約300b離れたサトウキビ畑に、米軍嘉手納基地所属の空軍兵4人が乗った軽飛行機が墜落、炎上した。同機は在沖米兵らの嘉手納エアロクラブの所属。名護署は、日米地位協定に基づき米軍の同意が必要な事故機の差し押さえを求めたが、米軍は拒否。また当初、嘉手納基地報道部は「乗員は奄美空港で燃料補給の後、同基地に戻るところだった」と発表したが、後日「給油しなかった」と説明。(24日)
●ASEM開会 アジアと欧州の43カ国首脳らが参加した第7回アジア欧州会議(ASEM)が北京で始まった。議長国の中国は金融危機への対応を最重要課題に据えた特別声明をまとめた。麻生首相も参加した。(24日)
●麻生が訪中、日中首脳会談 麻生首相は、北京で中国の胡錦涛国家主席、温家宝首相と個別に会談した。麻生は年内に日本で日中韓首脳会談を開く意向を伝え、中国側も応じる考えを表明した。(24日)
●米軍がシリアへ越境攻撃 イラク国境に近いシリア東部アブカマルで米軍がイラク側から越境攻撃し、民間人8人を殺害した。米軍がシリア領内を攻撃するのは極めて異例。米軍はヘリコプター4機で領空侵犯。着陸した2機から降りてきた米兵らが建設中の建物内を攻撃した。(26日)
●オスプレイ普天間配備、14年完了 米海兵隊が、次期主力機となる垂直離着陸機MV22オスプレイを12年10月以降、普天間飛行場のCH46E中型ヘリと入れ替え、14年6月までに配備を完了させる計画を決めたことが分かった。今月公表した「09年会計年度海兵隊航空機計画」で示している。1個部隊12機は12年10月〜13年12月の間に、もう1個の12機は13年4月―14年6月に配備する。(26日)
●給油を海賊対策に転用か アフガニスタンのテロ対策だとして外国艦船に給油活動中の海上自衛隊の補給艦が、米海軍が海賊対策を実施しているソマリア近海でも給油していたことが分かった。目的外使用の可能性がある。防衛省は「提供先艦船の主な目的がテロ対策であれば、海賊対策を兼務していても問題ない」と説明。(27日)
●秘密保護法で初の有罪 米国から提供された最高レベルの秘密情報「特別防衛秘密(特防秘)」にあたるイージス艦情報を漏らしたとして、日米相互防衛援助協定等に伴う秘密保護法違反の罪に問われた海上自衛隊の3等海佐(35)の判決公判で裁判長は特防秘の漏出を認定し、懲役2年6カ月執行猶予4年の有罪判決。(28日)
●最高裁長官に裁判員制度推進派 政府は次の最高裁長官に竹崎博允・東京高裁長官(64)を起用する方針を固めた。竹崎は来年5月実施予定の裁判員制度の導入を積極的にリードしてきた人物。現役の14人を飛び越す異例の人事。(28日)

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週刊『前進』(2366号6面6)(2008/11/03 )

 日程 迎賓館・・横田爆取デッチあげ弾圧差し戻し審

 第9回公判 11月12日(水)午後1時15分開廷
 ◎東京地方裁判所

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週刊『前進』(2366号7面1)(2008/11/03 )

 さあ裁判員制度は廃止だ!

 11月全国一斉行動へ

 対談 佐藤和利弁護士 高島章弁護士

 治安と戦争へ国民動員狙う 佐藤

 高島 権力の一翼担えということ

写真左 佐藤和利さん 1949年生まれ 28期 東京弁護士会 裁判員制度はいらない!大運動・事務局長
写真右 高島 章さん 1962年生まれ 45期 新潟県弁護士会 新潟水俣病患者の賠償請求や富山大学ビラまき弾圧裁判の弁護団

 裁判員制度を廃止する時が来た。最高裁は、裁判員候補者に通知書の送付を今月末から始める。だが、裁判員制度反対の労働者民衆の声は増すばかりだ。絶対廃止できる――「裁判員制度はいらない!大運動」は11月一斉行動を全国に呼びかけている。中心で闘う佐藤和利弁護士と高島章弁護士に、制度廃止へ意気込みを語ってもらった。(聞き手・編集局)

 廃止訴え11・22に集会・デモ 佐藤

――11月、裁判員候補者名簿に載ったという通知が始まります。「裁判員制度はいらない!大運動」は11月一斉行動を呼びかけていますね。
 佐藤 全国でいろいろな層の方がいろいろな形で取り組んでいます。ホームページやビラを見て私たちの事務所に連絡してきて、自分たちで企画するのが、この運動の特徴です。講演・学習会の依頼は多い。労働組合で昼休みの休憩時間を利用した学習会に呼ばれました。町内会でもやりました。
 街頭でビラをまいていますが、いろいろな方が怒っている。群馬や相模原のシール投票でも明確に反対の方が圧倒的に多い。事務所にも毎日電話がある。「裁判員は絶対にやらない」「力を合わせたい」。怒り、怒りです。裁判員制度廃止のチャンスです。11月一斉行動は全国約20カ所でやります。
 1500人が結集した6月13日の集会に続く大行動は、11月22日の東京大行動です。今回は集会後、銀座デモをやります。絶対廃止をデモでアピールすることに力点をおいています。
 高島 新潟でも11月29日にデモをやります。新潟は検察庁と地裁の間がちょうど繁華街なんですよ。東京でいうと新宿に相当する道を歩く。シュプレヒコールを裁判所と検察庁の前でやろうと思っています。
――裁判員の選定ですが、第1段階では裁判員候補者に選ばれると今年11月28日からその通知と調査票が最高裁から送られてきます。「親展」「重要」などという赤スタンプが押されたまさに最高裁発の赤紙です。第2段階では、裁判の6週間前に、事件ごとにくじで選ばれた裁判員候補者約50人に質問票と呼出状が届き裁判所に招集されます。第3段階では、裁判当日に選任手続きを経て6人の裁判員が選ばれることになります。
 佐藤 今年12月、裁判員候補者名簿搭載の通知が届いたら、とにかく「大運動」の事務局に知らせてほしい。勝手に候補者にしてしまったことへの抗議の意志表示を運動体としてまとめてやります。
――調査票提出を拒否したら罰則はありますか?
 佐藤 この段階ではないんですよ。何もありません。

 実施が迫っても8割が反対 高島

――裁判員裁判は、具体的にはどんなものになるのですか。
 佐藤 裁判開始6週間前になると、質問票と同時に裁判所に来てくれと呼び出しがかかる。そこで裁判官から、裁判当日3日間から4日間空けろと言われる。
 裁判初日の午前中、面談で裁判員になるかどうかということを聞かれ、午後には裁判が始まってしまう。次の日の丸1日と3日目の午前中審議して、午後は評議。有罪か無罪か。量刑をどうするか。死刑か無期懲役か。重罰事件対象の裁判ですから。結局、正味2日間の審議です。
 公判前整理手続きというのがありまして、裁判官、検察官、弁護士で争点を決め、法廷で調べる証拠も証人も決めてしまいます。それで判断せよと。テレビドラマで判断するようなものじゃないですか。
 高島 裁判員裁判はまさに3日間の儀式になるということです。公判前整理手続きの後に、公判で新たに証拠を出すことはできません。裁判というのは、例えば、ある証人が法廷でしゃべったことがウソじゃないか、と後になって調べて分かることもあるわけです。でもそういった証拠は出せなくなるんです。
 あと根本的に言うならば、一つは被告人が裁判員裁判を選択するかどうかの辞退権がない、もう一つは裁判員にも辞退権がない、とんでもない制度だということです。 
――裁判員制度をめぐる情勢は激しく動いていますね。
 佐藤 9月末ごろから制度推進派が激しいキャンペーンに入っています。法曹三者(裁判所、検察庁、日弁連)です。最高裁は宣伝費用に何十億円もかけてテレビ宣伝すると言っている。最高裁長官には裁判員制度推進の竹崎氏が就任する。竹崎氏は最高裁判事ではなく高裁長官なのですが、いきなり現役最高裁判事14人抜きの異例の人事です。日弁連の宮崎会長は、10月22日の日弁連代議員会で「日弁連として全政党に実施を遅らせないようにと回ってきた」と。その前も検事総長が経団連の御手洗会長と会ったりしている。この間、すごい動きですよ。
 高島 推進派は相当、危機感をもっていますね。総選挙にも影響が出てくる。来年5月21日の実施まであと7カ月を切ったにもかかわらず国民の8割以上が反対しているわけですから。
――政党の動向はどうですか。
 高島 政党は国会の全会一致で裁判員制度導入に賛成しました。いわゆる革新勢力と言われる人たちが裁判員制度に賛成したのは、官僚司法の打破、司法の民主化、冤罪防止という非常に口当たりのいい錦の御旗に巻き込まれた。全会一致というのは、要するに、よく議論しなかったということです。それでここ1年くらいで「なんでこんな悪法を通してしまったのだろう」と議員が驚いているわけです。
 裁判員制度をテーマにした「朝まで生テレビ」(6月放映)で福島瑞穂社民党党首が出演して(高島弁護士も出演)、矛盾を追及され、党内一致もないままその場で「制度を見直す」と表明するほどでした。それで8月に公式に社民党も共産党も制度延期を表明した。
 佐藤 それもこの9月でまた変わった。日弁連、連合、経団連、最高検などの圧力でしょう。
 司法の民主化と言われていますが、一番大事なことは被告人の防御権を制度的に保障しながら真実を明らかにすることです。「殺せ、殺せ」と、時代の気分で死刑判決を出すことじゃない。裁判員制度は9人のうち5人が「死刑」と言えば、死刑が決まる。多数決で魔女裁判になっちゃう。

 労働者と一緒に戦争阻止へ 佐藤

――裁判員制度導入の狙いは何ですか。
 高島 ひとつのキーワードは権力側、推進側が言うところの「統治主体意識」なる概念でしょう。要するに国家権力の一翼を担えということです。その点において徴兵制と一緒です。徴兵制と裁判員の共通点は、ひとつは国家権力の一翼を担わされるということ。その「神聖なる義務」と「光栄ある権利」を人民、国民に負担してもらう。二つ目は、国家権力の本質は暴力だということです。暴力の最たるものは、人殺しです。兵隊は人を殺すが、裁判員も人殺しをすると。国家権力の一番えぐいところを人民に担わせる。三つ目は殺されるかもしれない、ということです。兵隊は弾に当たって殺されますが、裁判員だって社会的な死がありえます。たとえばの話、証拠調べで悲惨な死体写真を見せられる。自分は無罪という意見を主張したのに多数決で死刑判決を言い渡す。そういった裁判の秘密を一生抱える。PTSD(心的外傷後ストレス障害)で裁判員は精神的社会的な死を迎えるかも知れない。結局、両者に共通しているものは、「お前たちは国家の一翼を担って奉仕しろ。その経験を生かして忠良なる国民になれ」ってことです。
 佐藤 私もまったく同じ意見です。滅私奉公なんですよ。今イラクに送られたアメリカの兵士は8割が戦場で銃を撃てない。日本の8割の人が、裁判員になって人を裁きたくない、と言っています。同じなんですよね。同じ人間同士なのに「殺す側」と「殺される側」に対立し、死刑台に送る、懲役に送る。本当に悪いことをしたかどうか分からない人間を裁くことはできない。
 じゃあアメリカはどうするかというと、2カ月間、徹底的に「KILL、KILL」と言いながら人を殺す訓練をして戦争マシーンに仕立て上げるんです。そうしてイラクへ行って1人殺すうちに、平気で何人も殺せるようになっちゃうんです。帰ってくるとPTSDで心に傷を負って、2人に1人は社会復帰できない。裁判員をやった後、一生悩みますよね。たとえば、死刑判決のあとに無実の証拠が出てきたら。
 高島 プロの検察官の話を聞いたら、夜中にがばっと飛び起きるんだそうですよ。天井を見ると死体の写真が映っているんです。それが3年間続いたそうです、プロの検事でも。そういう過酷な義務を裁判員は負わされます。
――裁判員制度が導入される時代背景と、また改憲攻撃との関係はどうですか。
 佐藤 中曽根首相が行政改革として国鉄分割・民営化を始めた時からの新自由主義政策の一環です。そして小泉が、その改革の最後の要として裁判員制度を柱とする司法改革を国家戦略として推し進めた。結局、教育、医療、福祉、ありとあらゆる国家の事業を民営化して効率化していく。アメリカなんかひどいですものね。医療費が高くて医療が受けられない。大企業は優遇税制にし、命や教育をビジネスにしています。兵隊は政府の兵隊より傭兵の方が多いぐらい。日本も一緒です、非正規労働で。
 まさに若者を搾取、収奪して貧困化し、これに対して若者の間から「生きさせろ!」という叫びが上げられる時代。そういった社会矛盾が広がることを想定して、政府は司法、治安が国家の最後の要だと位置づけたのです。だからそれを強化する。警察とか軍隊だけではまかないきれないから、国民自身によって治安を強化させる。それが裁判員制度だと、私は思います。
 小泉が引退し、安倍も福田も政権を投げ出した。もう1年間に二つの政権が投げ出された。新自由主義は破綻したじゃないですか。支配階級は市場、資源を取り合うために戦争に突き進むしかない。そのための裁判員制度だと。僕はこのように大きく見ないといけないと思います。まさに徴兵制、滅私奉公、国民が国民を隣組で監視し合うことをもう一度やらせる。憲法「改正」の先どりなんです。僕らは労働者と一緒に闘って、これをやめさせる。それ自体が戦争阻止の闘いだと思っています。
 だから裁判員制度は、延期論や見直し論で問題を解決できるような代物ではない。制度を廃止するしかありません。
 高島 改憲についてですが、10月に富山で行われた日弁連人権大会に行って来ました。そこでは結局、護憲の「ご」の字も言わない、改憲阻止の「そ」の字も言わない、9条2項の「に」の字も言わない。要するに「改憲の是非について、国民に情報を提供することが大事だ」と言っているだけでした。極右の弁護士が日弁連の決議に賛成していることに、決議の本質が示されています。

 青年弁護士や学生とともに 高島

――弁護士界でも新自由主義攻撃の矛盾が噴出していますね。
 高島 新自由主義の流れの中に司法改革がありますが、法曹増員3千人体制が大きな問題としてあります。これは本当に弁護士つぶしです。昔は貧乏人でも弁護士になれた。僕も貧乏階層の出身でしたが、両親が学費を捻出(ねんしゅつ)したり、自分もアルバイトしたりして、なんとか司法試験に合格しました。受験生仲間では、成田で援農をやっていたとか、暴走族出身で少年院に入っていたとか、在日朝鮮・韓国人の子どもとかそういう連中がたくさんいましたね。そういう人が弁護士になって活躍しています。でも今は法科大学院に行かないとなれない。大学院に行けるのは富裕層です。富裕層しか弁護士になれない。これから一層、階層の固定化が進んできますよね。
 それに弁護士内部でも格差が生じている。若手弁護士も国選弁護の仕事をもらうために列に並んでいる現状もあります。
 佐藤 たとえば、「弁護士って特権階級だから、増員反対と言ったら国民から支持されない」といまだに言っている人もいるけれども、全然、特権階級なんかじゃない。現実に、今年400名ぐらいの新しい弁護士が就職できなくて弁護士会の会費も払えない。会費は月5万円とか7万円ですから、それに対して収入は国選やっても多くて月10万円ぐらいにしかならない。それで会費を払ったらほとんど何も残らない。そういった弁護士が今年だけでも400名ぐらいは最低出るし、来年は700名とか、もっと増えていくでしょう。
 そういう状況で人権活動とか、まともな弁護士活動をやれるわけがない。自分が食べることに精一杯で、カップヌードルしか食べられないような。そういう話を公の席で若手の人から聞いています。
 高島 司法試験に受かり、研修所を卒業して弁護士会に入会資格のある人が、時給1000円とか1500円で事務員として雇ってくれと言っている。それほどの状況です。
 佐藤 若手弁護士の怒りが爆発しています。“生きさせろ”という怒りは、青年労働者と一緒ですよ。「弁護士は特権階級だ」なんて、とんでもない。
――今年2月の日弁連会長選挙では司法改革絶対反対・改憲阻止の高山俊吉弁護士が多くの支持を集め、勝利に迫りました。闘う日弁連の再生も始まっていますね。団結して闘えば勝てる情勢だと思います。裁判員制度廃止の展望をお願いします。
 高島 裁判員制度に反対している弁護士はたくさんいます。弁護士の中で9割はいると見ています。ただ、それを言えないだけだと思います。
 「弁護士として食わせろ」と特に若手弁護士から声が上がっています。司法改革に大いに異論を持っている弁護士は多いんです。日弁連会長選挙では、新潟では50対49の1票差まで高山さんが迫ったんですけど、それぐらい地殻変動が起きている。情勢が変わっているんです。
 要するに政治的な右左では、もはや語れなくなっている。社民党、共産党の既成左翼系の弁護士は司法改革推進の日弁連執行部に逆らえない。20年以上やって来たいわゆる「人権派」の弁護士はなんらかの形で執行部を支えてきたんです。逆に、保守派と言われている人、それから派閥のしがらみもない若手が「俺たちの生活を守ってくれ」と高山さんを支持しています。そういう意味で、再来年、逆転の目は十分にあります。
 佐藤 闘う日弁連の再生と、労働者との連帯ですよね。その意味で僕は11・2労働者集会がとても大事だと思います。弁護士自身が労働者に励まされて、一緒に闘うようになっていくことです。弁護士は、労働者と一緒にこの世の中を変える気概を持たないといけない。一緒にデモとストライキで、“自分たちが社会の主人公だ”という時代をつくりたいですね。
――高島先生は富山大学ビラまき弾圧の弁護団もやっていらっしゃいますね。
 高島 学生の皆さんはみな元気ですね。今の学生運動について、イメージが変わりました。1年生、2年生の19歳〜21歳が主体ですよ。僕は今46歳ですが、自分の子どもらの世代が元気よくやっているんですね。悲壮感がないんです。
 佐藤 法大もそうだと、みんな言っています。
 高島 法廷内の闘争はすごいですよ。裁判長は退廷命令の連発ですけど。いやあ、元気が出ますね。楽しくやっています。
――労働者・学生と弁護士が団結して、裁判員制度廃止に向けて11月一斉行動を闘いましょう。ありがとうございました。
(写真 東京・日比谷公会堂に全国から1500人が結集して開かれた6月13日の「裁判員制度はいらない!」全国集会)

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 裁判員制度

 裁判員は有権者からくじ引きで選ばれる。刑事裁判において6人の裁判員と3人の裁判官が評議し、有罪・無罪ばかりではなく刑の重さも決める。刑法など法律上に刑罰として死刑、無期が入っているような重大事件が対象。
 評決は多数決のため、9人中無罪を主張する人が4人いても有罪になる。
 密室で行われる「公判前整理手続き」によって公判の内容や進行はすべて決められ、ほとんどの事件が3日間くらいの法廷審理で終わる。迅速・重罪の裁判。被告は「裁判を受ける権利」を著しく侵害される。
 また、裁判員は原則として辞退できず、参加を強制される。評議内容を外部にもらしたり、出頭しなかったりすると罰せられる。
 裁判員制度実施は来年5月21日から予定。対象事件は年間約3000件と推測されている。対象事件のうち5月21日以降に被告が起訴された事件に適用される。

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週刊『前進』(2366号8面1)(2008/11/03 )

 新自由主義攻撃うち砕け 日米韓の闘う労働者が団結

 4者4団体路線粉砕し 1047名解雇撤回へ

 呼びかけ労組からのアピール

「国境を越えた労働者の団結をもっと広げよう」。米韓の労働者を先頭に道いっぱいに広がってデモ行進(東京駅八重洲口付近)

 11・2全国労働者総決起集会の呼びかけ労組の動労千葉と連帯労組関西生コン支部から発せられた基調的なアピールを掲載します。(一部割愛。見出しは編集局。その他の発言は次号に詳報)

 闘う労働組合が最前線に 国鉄千葉動力車労働組合委員長 田中康宏さん

 動労千葉からは、国鉄1047名解雇撤回闘争を中心に提起します。それはこの闘いが11月集会の原点であるとともに、これからの労働運動全体の帰趨(きすう)のかかった闘いだと考えるからです。
 新自由主義攻撃はこの20年余り、労働者の雇用や賃金・権利、社会保障制度や教育、地方自治、あらゆる社会的連帯や団結、農業や地球環境を破壊し、戦争を引き起こして吹き荒れ、そして破産しました。支配者たちは今、底知れぬ金融大恐慌の前に震え上がっています。起きていることは、資本主義体制の壊滅的な破綻です。
 この時代に回答を与えることができるのは、労働者の団結した力だけです。
 この社会のすべてを動かしているのは労働者です。労働者は歴史をつくり、社会を変革する力を持った存在です。「生きられるだけの賃金をよこせ!」――こうしたスローガンの中に、社会変革の火種が宿る時代が到来しました。
 1047名闘争が重大な岐路に立っています。私たちは、動労千葉を排除し、解雇撤回要求を引き下ろして進められている「4者・4団体」による政治解決運動に反対します。政府に「詫(わ)び状」を出し、JR資本と和解してストライキも投げ捨て、政府や連合、民主党にひざまずいて「救済」を求めるような運動は絶対に間違っています。
 さらに、われわれ動労千葉が解雇撤回を訴え続けていることをもって「団結まつり」への参加が拒否され、「動労千葉は永久闘争主義者だ、玉砕の道だ」という非難が組織されています。こんなことをしていたら、闘いは取り返しのつかない打撃を受け、1047名の誇りは打ち砕かれます。国労は連合派に転落し、一層激しい民営化・労組破壊攻撃が労働者を襲うことになります。22年間の闘いを自ら投げ捨てることは絶対にできません。
 問題は、労働者を信頼するかどうかということであり、指導部の構えにあります。
 今1047名闘争をめぐって起きていることは、労働運動がこの時代にいかなる道を進むのかをめぐる決定的な路線問題です。
 国鉄分割・民営化は戦後最大の労働運動解体攻撃であり、新自由主義政策を社会全体に貫徹する決定的な突破口でした。
 しかし、国鉄労働者は攻撃に屈したわけではありません。動労千葉は、首をかけて民営化反対の2波のストライキに立ち上がり、40人の不当解雇攻撃を受けながら団結を守りぬきました。そして1047名が、全国の支援の仲間たちとともに、今日まで20年を超える闘いを継続しました。それは、幹部たちの屈服にもかかわらず、長い闘いの中で培われてきた国鉄労働者の力、日本の労働者の力、戦後日本労働運動の全蓄積が凝縮して生み出した闘いでした。
 時代は変わり、後退を強いられてきた労働運動がいよいよ荒々しく復権しようとしています。JRでも、安全や技術継承、労務政策の破綻という形で民営化の矛盾が噴出しています。「平成採用」の若い労働者が動労千葉に結集し始めています。この矛盾を突いて闘えば、民営化体制を突き崩して力関係を逆転し、1047名闘争の勝利をかちとることができます。
 「4者・4団体」の最も犯罪的なところは、1047名闘争が20年間、必死で築き上げてきた地平を自ら投げ捨てようとしていることです。
 政府や鉄道運輸機構が1047名闘争に終止符を打とうと動き出した目的は明白です。危機に揺らぐ自公反動政権は、唯一の延命の道として、公務員労働者への200万人民営化―首切り攻撃をはじめ、さらに激しい階級戦争に訴えようとしています。そのために、国鉄分割・民営化攻撃に最終的な決着をつけなければいけないと判断したのです。
 1047名闘争がすべての労働者の怒りを結集する闘いの先頭に立てば、闘いは間違いなく爆発的に前進します。
 私たち3労組は、国労5・27臨大弾圧粉砕闘争めぐり、弁護団の解任にまでいたった分岐についての意見の違いを超えて、1047名闘争が日本のすべての労働者の未来と権利をかけた闘いであるという点で一致して、本日の集会を呼びかけました。8被告全員の無罪を獲得しなければなりません。私たちの責任は重大です。動労千葉は、1047名闘争の当該として、JR民営化体制を打ち破って解雇撤回の勝利をかちとる日まで闘いぬきます。
 われわれこそが、1047名闘争の勝利に責任を取りきる勢力として最前線に登場しましょう!
 最後に、当面する課題について訴えます。
 第一に、09春闘に向けて、大幅賃上げ獲得、最低賃金引き上げ、非正規職撤廃を求める怒りの声を結集することです。資本主義の断末魔のあがきが労働者への攻撃を激化させ、インフレが生活を破壊しようとしています。誰もが心の奥底で、「生きさせろ!」「ゼネストが必要だ!」と叫んでいます。
 われわれがなすべきことは、「できる! 団結すれば絶対にできる!」という声をそれぞれの職場、地域にとどろかせることです。
 第二に、憲法改悪阻止の大運動を組織することです。戦争を生み出す元凶は資本主義の危機です。それをとめられるのは労働者の団結した力です。ILWUの仲間たちは、イラク戦争に反対して米西海岸の全港湾をストップさせる歴史的なメーデーストに立ち上がりました。UTLAの仲間たちは、学校から募兵官をたたき出す闘いを続けています。日本でも、教育労働者、沖縄の仲間、三里塚の農民、弁護士戦線の同志たちがすばらしい闘いに立ち上がっています。この闘いに続き、反動麻生政権を倒そう。
 第三に、国境を越えた労働者の団結をもっと大きく広げることです。今日この場には、誇るべき民主労総の同志たちが多く駆けつけてくれました。韓国の100万人の決起は、全世界の労働者に、労働者はけっして打ち砕かれない力を持っていることを示してくれました。新自由主義政策は全世界に、自らの墓掘り人である膨大な労働者の闘いを生み出しました。
 「団結」の二文字が、労働者が生き抜くために絶対に必要なものになっています。マルクスは『共産党宣言』の最後に「万国の労働者、団結せよ!」と記しました。その深い意味が、今ほど切実に理解できる時代はありません。
 職場・地域から闘いを組織しよう。闘う労働組合の全国ネットワークをつくりあげよう。国境を越えた労働者の国際連帯闘争を発展させよう。闘う労働組合を歴史の最前線に登場させよう。

 団結を深めるチャンスだ 全日本建設運輸連帯労働組合関西地区生コン支部副委員長 高英男さん

 今回の集会を開催するにあたって3労組では、例年になく事務局会議を多く開催し議論を重ねてきました。当初多くのところから開催を危ぶむ声も聞こえるほど、労働戦線での闘い方の違い、意見の違いが見えてきたのです。
 だからこそ3労組は、「違いがあれば原則に立ち返り議論を進める」ことを基礎に置き、議論を進めました。すべての違いが埋まったわけではなく、歩み寄れない部分も残っていますが、この集会を何があっても開催することでは一致していました。
 10年前に始まった3労組による呼びかけ集会の当初の目的は、当時、国鉄闘争において圧倒的に少数で孤立しながらも原則的で戦闘的に闘っていた動労千葉を支援することでした。
 国鉄の分割・民営化攻撃が組合つぶしを目的として行われたことは、中曽根の発言でも明らかです。この国家的不当労働行為を許せば日本労働運動の根幹にかかわることであり、日本労働運動を再生させる意味でも国鉄1047名の解雇を許してはならないとして、3労組の呼びかけ集会が始まったのです。
 そして3労組がそれぞれ違った闘いの中で地平を切り開いてきたことを教訓に、多くの地域や職場で闘っている仲間が結集し「闘う労働組合のネットワークをつくりだそう」という集会に位置づけてきました。
 3労組も多くの違いを持っています。違いがなければ別々の労働組合でいる必要はないのです。この3労組集会の特色は、3労組がそれぞれ違う産業・職場で闘い成果を上げてきたことです。
 港合同は田中機械の大争議を勝利し、「連合・JAM」と決別し、大阪南の地域を拠点として地域の砦(とりで)の役割を果たす闘いを現在も進めています。
 動労千葉は、国鉄闘争において少数であってもストライキを背景に「分割・民営化」に反対して闘い抜き、千葉において拠点を築きました。
 関西地区生コン支部は、関西の地において生コン産業で産業政策を武器に産業別運動を闘い抜き地平を切り開き、現在も独占セメントメーカーを相手に闘っています。
 私たち3労組は、この3労組の闘いが少しでも全国の闘う仲間に勇気と元気を与える集会にしたいと考えています。この集会にはいろんな労組や市民団体が参加します。いろんな多様性を内包できる集会でなければなりません。大衆組織や大衆運動にとって「意見の違いや矛盾」は、発展の原動力として活発に議論を深めることが相互に高め合う運動につながるのです。
 3労組集会を始めて10年余りの間に多くの成果を積み上げてきました。一つには春闘時に共同の決起集会を東西で開催し、春闘を戦闘的に闘うことを誓い合いました。06年の春闘時には、3労組による春闘討論集会を関西で開催し、各地で労働学校や協同相談センターの開設を呼びかけ、各地で現在もその取り組みは継続されています。
 そして05年1月、私たち関西地区生コン支部にかけられた弾圧によって、武委員長以下6名の役員が逮捕・長期勾留されました。3労組共闘による戦線は、弾圧があった当日も一番に駆けつけ、私たち生コン支部への激励と家宅捜索を続ける警察権力へ抗議するなどの行動を真っ先に行ってくれました。
 このように、この10年余りの取り組みで積み上げた成果・深めた団結は計り知れないものがあります。3労組は、意見の違いを認め合いながら、いかに共闘戦線を広げていけるのかを真剣に議論しました。
 闘い方の違いや意見の違いが見えた時ほど、団結を深めるチャンスであり、現在の社会情勢は私たちに闘いの条件を与えています。この社会情勢に対して職場要求を基礎に果敢に闘う労働組合を全国各地でつくり出し、増大する非正規労働者を組織化し、官公労たたきを打ち破り、国鉄1047名の解雇撤回を求める闘いを進めることを、本集会参加者一人ひとりの課題としようではありませんか!
 全国の闘う労働者・労働組合との団結をかちとろう!

国鉄1047名解雇撤回、大幅賃上げゼネスト、麻生政権打倒へ力強く団結ガンバロー

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