ZENSHIN 2008/04/28(No2341 p10)
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週刊『前進』(2341号1面1)(2008/04/28 )
弾圧・処分はチャンス。資本と非和解で闘おう
職場を団結と革命の拠点に
今こそ闘う労働運動つくろう 5・15沖縄からサミット決戦へ
08年メーデー/青年労働者のアピール
「廃局を許さない! 超勤拒否で闘うぞ」 怒りのシュプレヒコールを東京中郵にたたきつけた。当局の反動をうち破って決起し、勝利感にあふれて「絶対反対」で闘いぬく決意を固めた(4月21日)=記事へ
労働運動の力で革命をやろう! 全世界で始まった労働者の総反乱とともにメーデーを闘いぬこう。ILWU(国際港湾倉庫労働組合)ローカル10は5月1日のメーデーの日に、「職場・生産点で労働者を組織し、ストライキでアメリカの経済を停止させ、戦争を止めよう」と訴え、アメリカ西海岸全港湾封鎖に決起します。全米で1千万人の移民労働者がボイコットとデモに立った06年メーデーをも超える闘いが、世界中で起きています。労働者は革命を欲しています。こんな腐りきった社会は労働者の手で変えてやろう。労働者であることに誇りを持ち、胸を張り堂々と歴史を歩んでいける、そういう世の中をつくろう!
労働者の力を資本家と福田政権に思い知らせてやろう
労働者の闘いで資本主義社会を終わらせてやる! アメリカ発の世界金融大恐慌が始まり、帝国主義の世界支配が崩れ去ろうとしている。「競争によってこそすばらしい社会ができる」という幻想もぶっ飛ばした。
貧困層の労働者を食い物にしてきたサブプライムローンの破綻(はたん)は、住宅からたたき出された労働者の「テント村」をアメリカ各地に出現させています。学校では、ネズミが天井を走り回り、グラウンドに汚水があふれ出しています。アメリカの青年労働者や学生は、学費免除や医療保険のために軍隊に入り、イラク戦争で命を奪われています。この腐り果てた資本主義社会の現状、これが「新自由主義」の生み出した現実ではないか!
「共産主義」を語って革命を抑圧してきた中国でも、労働者・農民の反乱が始まっている。食えるだけの賃金よこせ! 労働者に権力をよこせ! どの国の労働者も同じ要求、同じ思いで闘い、その顔は確信に満ちている。
資本家どもにたたきつけてやろう! 「お前たちは労働者がいなければ生きていけないが、労働者は資本家なしにやっていける!」と。
今こそストライキだ! 戦争と貧困を労働者に強制する帝国主義への回答はこれだ。ストライキをやって経営者に一泡吹かせてやりたい。職場は誰が動かしているのかを示してやりたい。ゼニやカネのためじゃない、革命家を生み出すストライキだ!
アメリカでは、住宅からたたき出された労働者が、立ち退き拒否の実力闘争に立った。自動車部品工場の労働者は「経営破綻のツケを労働者に押しつけるな」とストライキに突入した。日本の私たちも米軍基地で、学校で、鉄道で、ストライキを闘った!
労働者は奴隷じゃない。資本家と国家権力に、労働者の力を嫌と言うほど思い知らせてやろう。ストライキとデモで東京を万余の労働者で埋め尽くし、帝国主義者の強盗会議=7月サミット粉砕決戦に攻めのぼろう!
「仲間は絶対に裏切らない」団結した労働者は必ず勝つ
私たちは革命がやりたい!
ただ一点、「団結した労働者は必ず勝利する」ということにかけきって、あらゆる体制内的なものをぶっ飛ばして進んでいく。それは職場に国鉄千葉動力車労働組合(動労千葉)のような団結をつくり出すことです。
「競争によってこそすばらしい社会が生まれる」というのは、労働組合と労働者の団結を破壊することによって成り立つ虚偽の思想だ。資本主義社会は、労働者が団結を破壊され資本家の言うとおりに働かされている限りにおいて成立しているにすぎない。隣の仲間との競争をやめ、団結した瞬間に、資本主義社会は崩壊します。職場を越え、国境を越えて労働者の団結が拡大していくことが革命です。
職場を革命の拠点にしよう! それは、革命の立場から資本と非和解で闘い、絶対に裏切れない仲間をつくることです。そうすれば労働者は絶対負けないことを、動労千葉が示しています。
動労千葉が国鉄分割・民営化との闘いの中でもっとも重視したのが労働者の団結、人間同士の連帯、つながりです。徹底した競争は、仲間を裏切って当局にすり寄り、自分は生き残ろうとする労働者を生み出す。それは「人間として骨が折れることだ」と動労千葉は徹底的に弾劾したのです。
誰でも他人を蹴(け)落として生きたくはない。動労千葉は「クビになっても、仲間は裏切らない。それを実現するのが労働組合だ」と、指導部全員がクビを覚悟して国鉄分割・民営化と対決しぬきました。それは「この仲間たちがいれば人間らしく生きていくことができる」という誇りです。
だから動労千葉の組合員はものすごく明るい。絶対反対で闘って「クビ」と引き換えに得たものは、かけがえのない仲間たちとの「団結」です。
「資本・国家権力、体制内組合執行部から処分・弾圧されるような闘いで団結しよう」――これが私たちの職場闘争だ。その闘いをとおして、JR・教育・郵政・自治体という資本主義を支える4大産別の職場にゼネストができる団結ができると確信しています。
4大産別決戦がカギ
当局は、民営化の矛盾を4大産別の労働者に押しつけるのをやめろ! すさまじい合理化で、業務は破綻している。まともに電車が動かない。郵便が配達されない。自治体現場での事故、教育労働者の病気休職が多発している。その中で「業務を破綻させないように」と超過勤務までして必死に支えているのは現場労働者です。
何より許せないのは、労組幹部の屈服です。連合や全労連の幹部は「教師聖職」論、「国民のための郵政事業」論、「自治体は公共サービス」論などの論理で4大産別の労働者の階級性・戦闘性を奪おうとしている。
民営化がどんなに破綻しても、労働者の団結を解体し、労働組合を解体する――これが民営化の本質です。こんな職場支配をぶっ壊し、労働者の真の団結をつくり出そう。4大産別で、資本と折り合いをつけない職場闘争をガンガンやっていこう!
私たちは資本家を肥え太らせるために働いているんじゃない! 「経営が厳しいからお互い協力しましょう」なんて冗談じゃない。資本家も組合幹部も業務を正常に回そうと考えてもいない。だったら労働者がやってやる。団結した闘いで、やつらに一回わからせてやろうじゃないか。
JRの反合理化・運転保安闘争、郵政労働者の超勤拒否闘争、教育労働者の「君が代」不起立闘争、自治体労働者の人事評価反対の闘い。当局と非和解で闘い、労働者の誇りを取り戻そう。事故や業務破綻の責任は一切当局にあることを突きつけてやろう!
今の組合執行部は、口では「反合理化」と言っても、反合理化闘争ができない。人減らしや非正規雇用化などの合理化を否定することは、合理化を推進して生き延びようとする資本主義を否定することだからです。だからカネや条件闘争にすり替えてきたのです。
資本と体制内執行部が一体となって「経営が厳しいから、合理化を飲まなければ会社がつぶれる」と言ってきたら、チャンスです。〈絶対反対>で闘う労働者が一人いれば、必ず資本をグラグラに揺さぶる闘いができます。
処分も弾圧も見せしめにすぎない。こちらから「処分される闘い」をやれば、何の意味もない。〈絶対反対>の闘う方針を出し、資本と労組幹部を串刺しにし、闘う労組をつくろう。そして職場支配権を労働者が握ろう。
体制内労組幹部は、「絶対反対と言っても何も取れない」と言って屈服していった。ふざけるんじゃない。「絶対反対」の闘いは、職場に革命家を生み出すのです。そして階級的団結をつくり出すのです。これが私たちの4大産別決戦だ。
「4大産別がつぶれる時は資本主義が倒れる時だ」「会社がつぶれると言うなら、俺たち労働者に権力をよこせ」と言いきって攻勢に出よう。会社も闘わない労組幹部も、あいまいさなくぶっ壊そう! その闘いの中から労働者の固い固い団結を生み出そう。
国境を越えた労働者の団結で沖縄から米軍基地撤去を
資本と非和解で闘うことで生み出されるこの団結で、世界革命をやろう!
5・15沖縄闘争(5・18県民大会)に全国から結集し、ILWUの米西海岸全港湾封鎖行動に続こう。職場闘争を闘い、アメリカ―本土―沖縄労働者の国境を越えた団結をつくろう。その力で、6〜7月洞爺湖サミット粉砕闘争、11月全国労働者集会の1万人結集へ突き進もう。
日本帝国主義の戦後の再出発は、日米安保と沖縄の売り渡し=米軍基地の押しつけでした。基地を強制し、沖縄の労働者を低賃金・強労働で食い物にすることで本土の労働者にも賃金奴隷であり続けることを強制したのです。ブッシュや福田は、本土と沖縄の労働者を分断することで革命を圧殺し、ようやく生き延びているにすぎません。
沖縄闘争を、階級的労働運動として闘おう。資本と非和解に闘い、職場に団結をつくり出そう。
何より米軍基地で働く労働者と団結したい。全軍労が掲げた「死すべきは基地であり、労働者は死んではならない」「解雇撤回・基地撤去」のスローガンを、今を生きる本土―沖縄の青年労働者がよみがえらせよう。
そして、辺野古で基地建設に動員されている労働者と団結したい。敵は労働者ではありません。彼らを雇っている資本家です。労働者が職場に労働組合をつくって一緒に闘えば、必ず基地は撤去できます!
革共同に結集しよう
最後に、青年労働者に訴えます! 革命的共産主義者同盟(革共同)とマルクス主義青年労働者同盟(マル青労同)に結集して、革命家になろう!
職場に団結をつくろうと闘い始めた瞬間に、資本や組合執行部が「あいつは革共同だ」「過激派だ」と言い出した。だったら過激派で結構だ。私たちはもっと過激に労働運動をやります。現場で資本と非和解で闘い、労働者が「商品」とされてきた資本主義社会に怒りを燃やし、労働者の団結をつくり出すために必死になって闘います。共産党にも社民党にもどの党派にもできないことをやる、口先だけの党じゃない、それが革共同です。だから労働者階級の党なのです。
職場で闘うみなさん、革共同とマル青労同に加盟し、本物の革命党を一緒につくろう!
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週刊『前進』(2341号1面2)(2008/04/28 )
中郵廃局阻止へ怒りのデモ
4・21 超勤拒否し現場から決起
4月21日午後6時半から東京中央区で「たたかう俺たちが全逓だ! 職場組合員の団結をつくり中郵廃局をぶっとばそう4・21集会」とデモが120人の結集で闘いぬかれた。
この日の闘いは早朝から始まった。中郵の労働者と労組交流センターの仲間が中郵前に集合し、「本日、俺たちは超勤拒否で闘う!」と宣言したビラを配布した。
いよいよ決戦だ。多数の管理者が一人の労働者を取り囲み、30年ぶりの「超勤命令」を発してきた。しかしそれは時間の指定もないでたらめなもので、集会妨害が目的であることは明白だ。彼は「業務命令」を断固拒否し、集会に結集した。
集会は中郵労働者の司会で始まった。底抜けに明るく終始集会を盛り上げる。まず動労千葉の滝口誠特別執行委員が連帯の発言。「絶好の反撃の時がきた」と、ともに闘う決意を語った。
基調報告を中郵の労働者が行った。冒頭、「本日、超勤拒否を断固貫徹し、ここに立っている」と勝利者として登場していることを宣言した。「中郵廃局攻撃は、職場の団結を破壊する攻撃だが、今日の超勤拒否によって敵の意図は粉砕された」ときっぱりと表明。「今日集まった中郵の仲間が一致団結して、軸となって闘う団結を拡大すれば、必ず勝利できる」「その団結の中で生み出される新たな指導部こそが『たたかう俺たちこそが全逓だ』ということです。私はその先頭で闘う」。決意あふれる基調報告に、全員が大きな拍手でこたえた。
カンパアピールに続いて全逓労働者が発言した。東京北部の労働者は「当局と組合幹部がグルになって嫌がらせをしている」と弾劾し、「ここにいる仲間に元気をもらっている」と発言。埼玉のゆうメイトの女性労働者は自らの労災について報告し、「黙っていたら殺される。行き着く先は尼崎」と闘う決意を表明。続いて東京中部地区の女性労働者が発言。
集会が最高潮に達し、中郵の労働者全員が並んだ。「今日の闘いをうちぬいて、『勝ったな』と自信を持っている」「明日からブツをためる」「日逓の仲間をオルグする」と次々に発言した。超勤拒否を貫き「絶対反対の団結」をつくり出して闘う明るさに満ちた顔、顔、顔だ。
神奈川の全逓労働者、全学連の織田陽介委員長、3・9―3・16で逮捕された二人の青年労働者の発言が続いた。
「団結ガンバロー」で集会を終え、中郵までデモ。3本の全逓旗が都心の夜空に翻る。中郵前ではシュプレヒコールが力強く響きわたった。
翌朝、労組交流センターは再び中郵前でビラを配った。「今日の団結した力をもって明日からの職場闘争を闘う」という基調報告を掲載したビラが、次々と手渡された。すごい注目だ。
今回の超勤拒否は、昨年10・1民営化の直前や年末繁忙期の闘いを超える質でうちぬかれた。代替要員がいない中での超勤拒否は、業務をパンクさせる、すさまじい闘いだった。だが、その重圧をのりこえて超勤拒否をやりぬいた。「欠員の穴埋めをしない当局に一切の責任がある」ことを突きつけ、「労働者と資本は非和解」「『超勤拒否』は合理化を否定することであり、革命こそが必要なのだ」と中郵労働者に闘う方針を提起し、新たな組合指導部として登場することをかけた闘いだった。
この勝利は、「郵政民営化絶対反対」の路線と、超勤拒否を始めとする職場実力闘争を、職場(細胞)の団結強化を総括軸として闘いぬいた勝利だ。同時に、国鉄分割・民営化に反対して動労千葉がうちぬいたストライキに続く、全逓における超勤拒否=ストライキとして闘いぬいた勝利だ。
集会の大成功は青年労働者が切り開いた。さらに東京中郵という一つの職場の問題を、東京中部地区の労働者を始め、産別・地域を越えて一つになってかちとったことが決定的に重要だった。
郵政民営化絶対反対、中郵廃局=銀座移転阻止へ、断固闘いぬこう。
(写真 集会の大成功で笑顔があふれるデモ。「明日からやってやるぞ」とみんなの気持ちが一つに【東京駅前】)
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週刊『前進』(2341号1面3)(2008/04/28 )
おことわり
本紙は、本号を春季特別号(10n)として発行し、5月5日付号は休刊します。次号は5月12日に発行します。
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週刊『前進』(2341号1面4)(2008/04/28 )
〈春季特別号〉 目次
プロレタリア世界革命勝利へ 万国の労働者は団結して闘おう
革共同の6〜7月サミット決戦宣言 7〜9面
総力あげ階級的労働運動の実践へ
革共同中央労働者組織委員会 2面
■職場の団結拡大へ不起立貫く/青年の報告 3面
■旧与田派の策動を粉砕せよ 4面
■3・9-3・16弾圧粉砕 勝利の教訓 5面
■外登法・入管法と民族差別を撃つ関西集会 6面
革命的左翼と労働組合
元日放労長崎分会委員長 鈴木達夫弁護士に聞く 10面
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週刊『前進』(2341号2面1)(2008/04/28 )
総力あげ階級的労働運動の実践へ
今春の勝利開いた階級的団結論 よみがえるマルクスの革命思想
革共同中央労働者組織委員会
3・16全世界一斉デモ(代々木公園)
マルクス主義はあいまいさを許さぬ階級闘争の実践の中にこそある。われわれは、革命的情勢の到来を全身でうけとめた昨年来の激闘の勝利的前進の中で、この揺るぎない確信をつかみとった。またそれは、国鉄分割・民営化攻撃反対闘争を始めとした動労千葉の三十数年にわたる苦闘が切り開いた画期的な地平を全身で吸収することによってつかみとった確信でもある。腐り果てた帝国主義の新自由主義攻撃に怒りを爆発させ、帝国主義を打倒する時が来た。階級的労働運動路線の白熱的実践に、今こそ総力をあげて突入しよう。
“非和解の闘い”が団結つくった
3・16イラク反戦闘争は画期的な地平を切り開いた。闘いの組織化の先頭を担った青年は次のように訴えている。
「革命は誰かがやることではない。私たち労働者階級が、職場闘争・階級闘争をとおして階級的団結を現場でつくり、資本主義体制をぶっ壊し、労働者階級の団結によって立つ本当の解放を手に入れること。本物の労働を資本家から奪い返すこと。07年、私たちは『革命をする』という答えをもって、今の闘いを変えよう!と訴えた。労働運動の力で革命を!と。現場で資本と非和解の闘いを開始するや、御用組合が資本と一体で襲いかかってきた。これをチャンスにする闘いをやりぬいてきた。この闘いは、自分たちで闘争方針を出し『闘うわれわれこそ労働組合だ!』という闘いにまで進んできた。この闘いで一人ひとりが主体になり、責任をとり、自分自身を階級に高めている。私が革命を訴えるのは、今の社会に対する答えが革命しかないからだけではない。私はこんな社会で生きたくない。革命をしたい!ということです。職場・生産点で資本との非和解的な闘いが進めば進むほどそのことがはっきりし、革命欲が高まっている」
また、この闘いの過程で不当逮捕された仲間は多くが初逮捕だったが、釈放後、「自分と国家、自分の中にあるあいまいなものが吹き飛んだ。この闘いをとおして私は完全に国家の外に立った。楽しかった。どうみても私たちは勝てる!ということがはっきりした」と述べている。
ここには、革命運動そのものの現実の発展過程が、闘いの渦中での自らの変革をとおして見事に語られている。
革命は困難な事業だ。このことから、それは普通の労働者にはとてもできないことであり、革命運動は少数の特別な人間がやることだという奇妙な常識が長い間支配していた。だがここには、「プロレタリアの運動は、圧倒的多数者の利益のための、圧倒的多数者による、自立的な運動である。……プロレタリアートは、公的社会を形成しているいくつもの層の上部構造全体を空中に吹きとばさなければ、起きあがることも、身をのばすこともできない」(『共産党宣言』)というマルクスの主張が豊かに脈打っている。
事実、歴史上すべての労働者の闘いは、改良の要求のために血を流し、職を失い、生命まで失うという、英雄的自己犠牲によって貫かれてきた。改良闘争がすべて改良主義であったわけではない。そして革命闘争がすべて革命的に闘われたわけでもない。小ブルインテリの知識としてしか歴史を知らない塩川らは、労働者階級への絶望を組織し、民同以下の改良主義に血債主義と空疎な「革命的」言辞を接ぎ木して、マルクス主義の革命的核心を破壊する。
だが3・16闘争を頂点とする闘いの中には、こうした卑劣な階級闘争からの逃亡と鮮明な対比をなして、労働者階級が本来もつ革命的精神があふれている。ここには、資本や国家権力との非和解的闘いを貫くことをとおして労働者階級としての団結・共同性を取り戻し、自らのもつ力を自覚することの決定的な意味が鮮明に示されている。
最後的破局が進む帝国主義
資本主義の最後的な破局が激しく進行している。帝国主義の死の苦悶(くもん)が、全世界で何十億人という労働者や農民を虫けらのように犠牲にし、戦争を引き起こしている。1917年のロシア革命によって、共産主義か資本主義かをめぐって全世界が政治的に衝突する世界史的過渡期の時代が始まったが、それはスターリン主義によって裏切られた。そして帝国主義とスターリン主義の世界体制は、全世界に無数の悲劇をもたらしながら延命した。
残存スターリン主義国をものみ込んで展開された新自由主義政策は、帝国主義の最後の延命策であった。今、その破綻(はたん)が資本主義の時代が終わろうとしていることを告げ知らせている。世界金融大恐慌が始まっている。貪欲(どんよく)な資本家どもは、全世界の労働者を貧困にたたき落とし、年金や医療、家を奪い、穀物や原油、金属の値をつり上げて食物を奪い、そして戦争に突進している。
アメリカ帝国主義の世界支配が崩れ落ちようとしている。底知れぬサブプライムローン問題−ドル暴落の危機、イラク戦争−中東支配の完全な破綻、社会的崩壊の激しい進行、南米支配の崩壊、国内外で燃え上がるアメリカ帝国主義への労働者・人民の大反乱。中国の途方もないバブル経済が崩壊を始め、それがスターリン主義支配の危機を決定的に促進している。もはやアメリカ帝国主義の世界支配は現実に崩壊している。日本帝国主義は、支配・統治能力を喪失して帝国主義の最弱の環としての姿をさらしている。
一方、新自由主義攻撃は、階級対立の歴史的な先鋭化を生み出し、国際階級闘争の地殻変動的な変化をもたらしている。何よりも新自由主義攻撃は、全世界に「資本主義の墓掘り人」たる膨大な労働者とその闘いを生み出した。生きぬくためのストライキ、デモ、「暴動」、民族解放・革命戦争が、時代の最前線に躍り出ている。闘いは激しい路線的分岐と衝突を生みながら、その中からマルクスの革命思想が復権しようとしている。
新自由主義攻撃は、全世界の労働者を「最底辺へ落ちてゆく泥沼の競争」に駆りたてた。しかしその現実そのものが、マルクスが「労働組合―その過去、現在、未来」で述べた、労働組合は「避けることのできない労働者の仲間同士の競争」によってつくり出される「労働者の分裂を阻止する企てから生まれた」という原点に世界の労働者を引き戻した。階級的団結の思想がものすごい生命力を帯びてよみがえろうとしている。
われわれが地をはうような努力の中で、日々自らの変革をかけて、資本や体制内労組幹部たちからの激しい攻撃と非和解的に対決し、階級的団結と職場細胞(地区党−産別委員会建設)をつくり上げる闘いを確信をもって推し進めることができるのは、全世界の労働者の燃えるような息吹とひとつのものとして自らが存在していることを知っているからである。われわれは、11月労働者集会によって、労働者の国際主義的団結を自らの階級性の発現としてつくり出したことに不動の確信を持ったのだ。
階級的団結と共同性を取り戻せ
われわれが党の変革・革命の渦中で確立した階級的団結論は、プロレタリア革命論の本質にかかわる決定的地平だ。
「万国のプロレタリア、団結せよ!」――ヨーロッパに革命の嵐がとどろいている最中、マルクスがどれほど万感の思いを込めて『共産党宣言』の最後に、一見何の変哲もないこの言葉を記したのか。そして、第一インターナショナル規約の「労働者の解放は労働者自身の事業である」というあの力強い洞察をなしえたのか。今われわれは、明確にその意味を理解することができる。
「労働力の商品化」――労働という人間社会を成立させている最も基本的な行為が「疎外された労働」として労働者に強制され、人間の共同性を破壊し、資本を生かし増殖させている。これが資本主義であり、その矛盾の当事者たる労働者は、それゆえ革命の担い手なのである。
われわれが求めるのは「貧困」に対する「豊かさ」、「不平等」に対する「平等」ではない。「労働力の商品化」=賃金奴隷制そのものを廃絶することだ。それは、国家権力を打倒してプロレタリア独裁を樹立し、資本家的私有財産を積極的に止揚するという自らの革命的飛躍の過程である。全世界を獲得する根源的エネルギーは、打ち砕かれた階級的団結と共同性を取り戻すことによって生み出されるのだ。
本多延嘉革共同前書記長は、この点を次のように提起している。「われわれはブルジョアジーの政治的暴力をぶちやぶって、はじめて前進していくことができる。……しかしわれわれは、こういう手段性においてのみ、暴力革命を理解しているのではない。……そういうたたかいをやることによって、プロレタリアートは、自分自身の革命的な共同性、ブルジョアジーを打倒し、社会の主人公となっていくたたかいの力を、がっちりとつかみとることができるのです」「ブルジョアジーにたいする革命的暴力として、階級を一歩一歩団結させ、その力によってブルジョアジーを打倒し、そうしてプロレタリア独裁を樹立するというかたちをとって、資本家的私有財産の積極的止揚のための第一歩は、しるされる」(「革命的共産主義運動の歴史について」本多延嘉著作選5巻)。
革命のスターリン主義的変質は、革命後の困難に負けて、一国社会主義論をもって世界の労働者との連帯・団結を断ち切ったところに生まれた。それは、帝国主義との「平和共存政策」となって世界の労働者の闘いを圧殺した。そしてそれは、その必然的結果として党の官僚的疎外とスターリン主義的圧政をもたらした。階級的団結論はわれわれの綱領的立場にとっても決定的な意味をもつ地平なのである。
職場・生産点での勝利土台に
この間われわれは、職場・生産点での勝利の上に階級闘争全体を推進する立場をあいまいさなく鮮明にさせてきた。それは、マルクス主義を現実の階級関係、生きた運動の中で鍛え上げ、何よりも革命の主体そのものの創造(階級的団結の形成と階級そのものとしての党・労働者細胞の建設)に全力を傾注することで革命の現実性をたぐり寄せる決断であった。
激しい諸事件のうねりとしぶきを浴びる革命の経過の中では、どんなに整備された理論も木っ端のように浮き沈みする。ここで、本当の革命家と革命に酔う「革命主義者」とが分かれる。われわれは、現実の政治と資本の支配の中で苦しんでいる労働者の姿をけっして忘れない。絶対に信頼し、ここで勝負する。そうした決断でもあった。
それは、新自由主義攻撃と真正面から対決し、固い団結を守って勝利し続けてきた動労千葉労働運動という画期的な経験と地平から学ぶことによって実現されたものであった。同時にわれわれは、レーニン労働組合論を革命論的にとらえ返すことで、革命の全過程において労働組合が果たす決定的な役割を明らかにしてきた。レーニンは「解党主義」や「召還主義」との闘いをとおして「組合と党との緊密な接近」に全力をあげ、全工場に非合法の社会民主党細胞をつくり、党が労働組合と「共働」して労働運動の巨大な高揚期に対応した。こうした努力なしにロシア革命の勝利はなかったのだ。
階級的労働運動路線の白熱的な実践の一歩を踏み出すことによって、革命党としてのわれわれ自身の飛躍と変革が始まったのである。時代の精神を最も敏感に感じとった青年たちがその先頭を担っている。われわれは断固たる確信をもってこの道を進む。
階級の指導部としての党の建設
さらに、階級的団結論は党建設論の核心にかかわる問題でもある。階級的労働運動路線は、革命的労働者党を創造するための闘いの決定的一環として打ち出されたものでもあるのだ。その根底には、「貧困と格差」の急速な拡大という労働者が置かれた現実のもとで、すべての日常的スローガンのなかに革命の火種が弁証法的に内在しているという確信がある。それは、マルクス主義を学び、職場で資本との闘いを開始した青年労働者が、たちまち「労働運動の力で革命をやろう」という画期的スローガンを生み出したことによって証明された。
またわれわれは、極限まで腐り果て、資本の手先、帝国主義の手先に転落した一切の体制内的勢力やスターリン主義のイデオロギーから、労働者を思想的、政治的、組織的に解き放つという困難な闘いと結合することによってのみ、革命的労働者党を創造できる。われわれが労働者階級から「独立」した革命的共産主義者の党を創造しようとしているのは、階級に代位して階級の利益のために闘おうとしているからではない。それどころか、われわれの究極の目標は、先にも述べた「労働者の解放は労働者自身の事業である」を実現する点にある。「共産主義者は、プロレタリア階級全体の利益から切り離された利益をもたない。……共産主義者が他のプロレタリア党と違う点は、一つは、プロレタリアのさまざまの国民的な闘争において、国籍と無関係な、プロレタリア階級全体の共通の利益を強調し貫徹すること、もう一つは、プロレタリアートとブルジョアジーのたたかいが経過していくさまざまな発展段階で、つねに運動全体の利益を代表すること」(『共産党宣言』なのだ。
その場合、党と階級の弁証法的関係を確認するだけでなく、何よりも党の路線をマルクス主義で徹底的に鍛え上げること、労働者階級の最高の団結体として党をつくりあげていくこと、一切の犠牲を恐れず労働者階級とともにその先頭に立って闘うことこそが求められる。労働者階級の闘いの歴史は、階級自身が自らの指導部を生み出すことによって団結してきた歴史である。実践から学び、検証されることをとおして、われわれ自身が階級の指導部として屹立(きつりつ)しなければならない。
われわれがこの間、強力に推し進めてきたマル青労同・マル学同建設、産別委員会の建設も、階級的労働運動路線とその前進を土台にして初めて実現することのできた組織的前進であった。われわれは、階級的労働運動路線の白熱的実践の渦中で、マル青労同・マル学同、産別委員会と地区党建設を有機的、相互発展的に結びつけていかなければならない。中央労働者組織委員会はその最先頭に立つ決意である。
われわれの決意は鮮明だ。第2次国鉄決戦を中心とした4大産別決戦を、党の総力をあげてさらに前進させよう。4大産別こそ階級攻防の焦点であると同時に、体制内労働運動の最後の牙城でもある。ここでの革命派の前進は、間違いなく全労働者の革命的決起を生み出す。それだけに闘いは困難だ。そのことは、1047名闘争の現状や「日の丸・君が代」不起立闘争を見てもわかる。革命的精神で断固として非和解(絶対反対)の闘いを貫徹し、階級的団結をつくり上げよう。
第節 7月サミット粉砕し11月へ
7月洞爺湖サミット粉砕闘争が、当面する最大の政治決戦だ。全世界の労働者と固く団結して、5・18沖縄現地闘争から、6〜7月、東京―北海道現地を席巻する大デモでサミットを迎え撃とう。危機に揺らぐ福田反動政権を打倒しよう。サミット闘争を突破口に、11月労働者集会への1万人結集をかちとろう。
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週刊『前進』(2341号2面2)(2008/04/28 )
5・15沖縄闘争(5月18日県民大会)に立とう
本土と沖縄の労働者階級は一つに団結して革命やろう
すべての青年労働者のみなさん。5・15沖縄闘争(5月18日沖縄県民大会)に駆けつけよう。
沖縄の労働者の非和解の闘いは、日帝・福田政権を徹底的に追い詰めています。沖縄の仲間と固くスクラムを組み、米軍基地全面撤去・辺野古新基地建設阻止の闘いに立ち上がろう。
(写真 昨年の5・15沖縄県民大会)
辺野古新基地建設阻止を!
沖縄防衛局は、辺野古新基地建設に向けた環境アセスメント調査を3月17日から開始しました。日米帝国主義は、今後幾世紀にもわたって沖縄を侵略と民族抑圧のための出撃基地として固定化し、沖縄の労働者をそのもとに組み敷こうとしています。
辺野古の青年労働者はこう訴えています。
「『死すべきは基地であり、労働者は死んではならない』『解雇撤回・基地撤去』――沖縄が語り継いできた全軍労の闘いの教訓は、今まさに私たち青年労働者の魂を揺さぶっています。すべては労働者の団結にかかっています。仲間を蹴落として基地建設の労働に手を貸すのか、基地建設に伴う労働にストライキで闘い、この世界を労働者が獲得するのかが問われているのです」
本土以上の低賃金と不安定雇用。「振興策」に依存する職場で強制される無権利状態。職場での資本の専制と基地の存在は、完全に一体です。
9・29-3・23、3・16の地平
昨年9月29日の12万人県民大会の中心には、沖高教組・沖教組や自治労が座りました。全駐労の基地労働者は16年ぶりの全国ストライキに立ち上がりました。
95年10万人決起以降、大田県政の屈服、選挙のたびの既成政党の引き回しなどによって、沖縄闘争は辺野古での実力闘争に支えられながらも苦闘を強いられてきました。
しかし9・29をもって、復帰闘争以来、再び労働者階級が中心に屹立(きつりつ)したのです。労働者は資本とも安保体制とも非和解です。沖縄闘争は体制内的な「超党派」の限界性をのりこえる闘いに大きく発展しようとしています。
2月10日の少女暴行事件は、72年5・15のペテン的「返還」以降、まったく変わらない沖縄の現実と、イラク戦争によってさらに激化している基地被害を余すことなく暴露しました。日帝は、これへの怒りが日米安保体制を揺るがす闘いに発展することを恐れ、仲井真知事は「島ぐるみ闘争」への発展を妨害しました。
しかし沖縄の労働者は9・29の地平を守り抜き、3・23県民大会をかちとりました。沖縄闘争の発展における労働組合の基軸性を鮮明に突き出し、仲井真県政を始めとする沖縄ブルジョアジーの正体を満天下に暴き出しました。
さらに決定的なのが、沖縄の仲間たちが3月16日に那覇で全世界一斉行動in沖縄に立ち上がったことです。
青年労働者が中軸に座って、「労働運動の力で基地を撤去しよう。労働運動の力で革命をやろう」「労働者の団結とストライキで基地を撤去し新基地建設をぶっとめよう」と、主流派として登場したのです。それは3・23県民大会と呼応しながら、沖縄階級闘争を勝利に導く路線を提起しきった闘いでした。
沖縄の仲間は職場で闘い、地域で労働組合を立ち上げ、体制内指導部と真っ向から対決しぬいています。この闘いが体制内的なものを一切吹き飛ばすがゆえに、激しい分岐と党派闘争が始まっています。ここで非和解で激突して闘いぬくことにこそ、沖縄の労働者の勝利があります。
今年の5・15沖縄闘争は、この闘いのさらなる発展をかけた闘いです。
体制内指導部をぶっ飛ばせ
世界恐慌を前に、全国の青年の職場は資本・当局によって労働監獄とされています。しかし、「資本あっての労働者」なのか。断じて否です。全軍労が掲げた「解雇撤回・基地撤去」のスローガンは、全国の青年労働者のスローガンです。
沖縄も全国の青年労働者も、突破すべき課題は同じです。私たちが職場で「労働運動の力で革命をやろう」を貫いて実践を始めた途端、真っ先に襲いかかってくるのは体制内指導部です。そして4大産別を先頭に、あらゆる職場で処分・弾圧を恐れず対決し、勝利してきました。
核心は、資本と絶対非和解で闘いぬくことで隣の仲間とつながり、職場に階級的な団結をつくり、闘う労働組合運動をつくり出すことです。
私たちが沖縄闘争において奪還するのは、本土労働者と沖縄労働者との階級としての団結です。
日帝は一貫して沖縄と本土の労働者の闘いを分断してきました。「本土と沖縄の労働者が分断を打ち破って階級としてひとつに団結した時、革命が現実になる」――このことに最も恐怖しているのが日帝です。この分断を打ち砕いた時、日米安保体制を粉砕し、階級としての解放をかちとる展望は開けます。
体制内労組指導部はこの分断攻撃に屈服し、その先兵となってきました。連合による労働者支配をぶっ飛ばし、今こそ本土労働者と沖縄労働者のプロレタリア革命に向けた団結をかちとろう。
私たちは3・16を労働者の解放を掲げて闘い抜きました。沖縄の仲間は「沖縄の解放とプロレタリア自己解放は一体のものだ」と宣言しました。一点の火花が燎原(りょうげん)を焼き尽くすように、そして一点の火花なくして大地は燃え上がらぬように、その意味は限りなく大きい。
全国のみなさん! 自らが「階級の指導部」となって職場闘争を徹底的に闘い、本土と沖縄の労働者の階級的団結をつくり出そう。「労働運動の力で基地を撤去しよう。労働運動の力で革命やろう」「沖縄と本土の労働者はひとつの階級として団結して闘おう」――沖縄闘争の勝利を自ら切り開く決定的存在として、5・15沖縄闘争に登場しよう。
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週刊『前進』(2341号3面1)(2008/04/28 )
職場の団結拡大へ不起立貫く
青年教育労働者から闘いの報告
春の卒業式・入学式で「日の丸・君が代」強制に対し、全国の闘う教育労働者は不起立を貫きました。2人の青年教育労働者からその闘いの報告とアピールが寄せられました。(編集局)
根津さん解雇を阻止した! 不当な命令には従わない
広教組青年部 川久保真希人
3月31日、根津公子さんの解雇を阻止した。うれしかった。本当に本当に。
根津さんが校長に向かって言った「子どもたちを政治利用するのはおかしい」という意見に「そう思います」と声を上げる同僚が現れたこと、処分発令に立ち会って免職でないことを喜び合う同僚がいることなど、職場に連帯や団結の輪が広がっていることもうれしかった。
根津さんは報復人事で異動となった。これは職場でさらに団結が広がっていくことを恐れたからだろう。1年でまた異動とは本当に不当だ。
ですが、もう一度、根津さんの解雇阻止! やったー!!
それは、何より根津さん自身の連日の都教委追及行動、さまざまな集会での「原則的に、自分らしく生きるため闘おう」「解雇されても闘いをやめない。私らしく生きる」という呼びかけなどのすごい決起によりかちとったものだ。
そして労働者・学生の連帯・団結と国際連帯。市民の声、意見広告、現場マスコミ労働者の根津さんへの支援ととれる記事の掲載――そうした連帯・団結の力でかちとられたものだ。
もちろん根津さん・河原井さんへの6カ月停職処分は絶対に許さない!
でも、私にとって処分は労働者性を取り戻す契機だったし、団結のチャンスだ。もっとこれを生かして職場や組合の論議にしていきたい。「不起立で闘おう」「自分の思いのまま不起立したっていいんだよ」「不起立して団結しようよ」と。
(写真 「解雇を阻止したぞ!」と勝ちどきをあげる根津さんと支援の人びと【3月31日 南大沢学園養護学校前】)
不起立したらすっきりする
私は不当な命令にはこれっぽっちも従いたくない。「君が代を歌え。起立して敬え」「君が代を子どもたちに歌わせろ」という命令や処分に屈しない。おびえない。それが教育労働者としての誇りと闘う団結を奪おうという処分の狙いを粉砕するものだから。そうすれば勝てることを、根津さんは証明してくれた。
本当に「処分がなんや!」と思っちゃう。原則的に闘う仲間とつながれるなら、処分上等! 不起立してようやく、「管理職・当局とは最初から非和解だったんだ」ということにはっきり気づいた。と同時に、どんどん自分の中に抑えていた怒りがあふれてくる。彼らとやり合ってやるって覚悟ができてくる。やり合えばやり合うほど、非和解性ははっきりするし、さらに自分が元気に解放されていく。
経済的な都合最優先の学校統廃合、資本家の思いどおりに働く労働者をつくろうとするキャリア教育や道徳教育、日々続く超過勤務、労働者を競争させる査定給の導入、差別賃金、職の複雑化・多様化・非正規化、自己申告書、学力テスト――現場には腹の立つことがあふれている。
「このままにしたくない!」って思いが沸々とわいてくる。けっして「何をしたってムダ」とあきらめたくない。「不起立」のように現場からどんどん怒りの声を上げ、行動し闘いたい。
不起立闘争は、動労千葉の運動のおかげで、アメリカ・韓国の教育労働者との国際連帯も生んだ。そのことが今回の根津さんの解雇阻止にも間違いなくつながった。
国際連帯こそ、まさに戦争を止める力だし、間違ったことがまかりとおる世の中を変える世界革命の現実性だ。世界で労働者・学生の怒りが爆発しているこの革命情勢。不起立闘争。わくわくする、なんてすてきな時代、闘いなんだ!
不起立を広げ、改悪教育基本法を紙切れにしよう! 日教組つぶしの免許更新制をぶっ飛ばそう! 一人の解雇も許さない労働組合らしい闘いをしよう! 改憲阻止! 戦争につながる教育絶対反対で闘おう! そこにこそ団結しよう!
まだ不起立を迷っている人へ。不起立したら、すっきりします。日々の実践も、子どもたちも、闘う労働者の仲間も裏切らずにすみます。「自分」を生きられます。闘いたいという思いをガマンする必要はない。解き放ちましょう。そしてともに闘いましょう。固い固い団結のもとに!
「処分」恐れず原則的に闘う
私の3月卒業式不起立への処分は文書訓告でした。入学式も不起立したので、次は戒告かもしれません。でも処分などまったく恐れていません。
文書訓告は、市教委の教育長室で、校長と教育委員会職員2人同席のもとで教育指導課長から渡されました。処分書には「職務命令に反し、君が代斉唱時不起立したことが公務員としての自覚が欠如し、公教育への地域等の信頼を損ねた」と書かれていました。
私が「どうして公務員としての自覚が欠如していると言えるのか」とただすと、「職務命令を聞かなかった」と答え、「地域の信頼をどう損ねたのか」と問うと、答えず「ここに書いてあるとおり」。校長は横で小さな声で「(指導がいたらず)申し訳ありません」と言いました。
校長は教育長室を出ると封筒を渡し、「処分書は人に見せるものじゃないから」とすぐに封筒に入れさせました。校長は「君が代」で論議が起きることをとても恐れています。「論議すれば不起立が拡大する」と感じているからです。だったらもっともっと職場や組合・地域で論議してやろうと思っています。
子どもたちに「自分で判断できる人になろう」「安心・安全・元気な学校をつくろう」と言っている人が、人の心を傷つけ、ある一つの態度を強制する「職務命令」を出す。口では「早く帰ってください」と言っても実際には超勤解消の行動はまったくしない。私は、必要だと思えば、教材研究も家庭訪問も時間外であってもしています。新自由主義教育を浸透させていくための文書・計画・報告文書こそがムダな仕事です。どっちが直接「国民」に責任をとる公務員としての自覚が欠如し、公教育への地域の信頼を損ねているんだ!
私は「不起立から始めよう!」と訴えてきました。不起立は、私自身を解き放つ闘いであり、血の通った心のつうじた信頼し合える仲間とつながるために必要なものでもありました。
不起立の闘いに出会えてよかった。原則的に不起立を続けてきた教育労働者に出会えたことに感謝しています。これからもずっと原則的に闘っていきたいと思います。教え子を戦場にもうこれ以上送らないために。
戦争協力拒否! 国際連帯! そして世界革命に向かって!
闘う組合の再生をめざし卒入学式で初めて不起立
採用5年目の教育労働者 大橋麻衣
今年の卒・入学式で不起立をやったことで、職場で闘っていこうという決意が固まった。それは、どんな時も何があっても仲間を裏切らないという決意だ。
3月の卒業式では初めての「君が代」不起立をやった。座った時「ついにやった!」と思った。
ここにいたるまで、ずいぶん迷った。処分が怖いとかではなく、職場の仲間からの批判や、職場で浮くことが怖かった。「不起立やりたい!」と思いながらも、闘わない理由ばかり探していた時期もあった。
でもこのままではいけない。学校を戦争動員の場や、「負け組になるな」と人をけ落とすことばかり教える場にしてはいけない。そう思って、組合で声を上げ始めたのが07年度だった。
私のいる教職員組合は組織率こそ高いけれど、「友愛=労使協調(=なれ合い)」をスローガンに掲げる闘わない組合。組合は飲み会のための機関のようになっていて、その飲み会でさえ管理職も来るのが当たり前。
闘おうとすると「お前は暇なんだな」「デモに行く暇があったら、土日も部活に来い」と組合の仲間から言われる。
でもだからといって、闘うことを後ろめたいことだと思ってコソコソしたり、組合の仲間を「どうせ闘わない」とあきらめたりするのではなくて、闘う組合を再生していこうと決めた。
ぶつかり合うこと恐れない
2月に行われた組合の中央委員会では、本部の議案書に修正案を出すために分会会議を呼びかけた。議案書には「国旗・国歌法を理由とした日の丸・君が代の強制に反対」とは書いてあるが、行動提起がなかった。2年前には「日の丸・君が代が歴史的に果たしてきた役割について知らせる取り組みを行う」といった行動提起があったが、回を重ねるごとに行動提起がなくなる。
そんなことは許せない。だから「国旗・国歌法を理由とした強制だけでなく、改悪教育基本法を理由とした強制にも反対」「この春にも解雇されそうな仲間がいる中、それを阻止するための全国的闘いが必要」という観点で修正案を書いた。
分会会議では、全国教研で日教組本部が「日の丸・君が代」関連レポートの提出を拒み、それに抗議したビラまきを警察に排除させたこと、仲間を解雇しようとする張本人である都教委・中村教育長にあいさつさせようとしたことなども隠さずに話した。結果は否決。不起立を呼びかけたことで「ちょっとそこまでは……」と躊躇(ちゅうちょ)した仲間が反対に回ったためだった。
でも、厳しい情勢を隠さずに訴えて賛成者が出たことは、大きな力だと感じた。当たり障りのないことを言えば賛成者は増えたかもしれないが、中途半端なものを可決しても意味がない。
しかも、修正案に反対した仲間から「そんなに思いがあるなら、あなたが中央委員会に行ってくるといい。そうやって組合を変えていくことも重要なことだ」という意見が出た。
そうして参加した中央委員会で、本部は「レポート提出拒否の件は把握していない」「元号の強制反対が議案書になかったのは印刷ミス」などと答弁した。しかし分会の仲間と討議した修正案を私の意見として読み上げた時には、「君が代」強制に関して、「改悪教育基本法を理由としての強制にももちろん反対」「全国の仲間とともに闘うという意見についても、署名などには取り組みたい」という答弁を引き出すことができた。
3月の卒業式では、職場の仲間は私が「君が代」にどうするのかを注目していた。「僕は居眠りするかどうか注目されているから、注目されている同士で近くの席にしますか」と言って隣に来た仲間もいた。職場の仲間が見ている。全国に闘う仲間がいる。逃げるわけにはいかない。私が闘うから分会の仲間も一緒に闘えるというふうにしたいと思った。
座った時、口で言うだけじゃなくてちゃんと行動できる自分がいることが実感できた。けれど卒業式での不起立は無視されてしまい、処分も仲間からの批判もなかった。無視されたことにほっとしている自分もいた。
それが大きく変わったのは入学式での不起立だった。前日に「頑張ってね」と言ってくれた仲間もいる。終わった後に「もっと目立つ場所にいなきゃ」と言ってきた仲間もいる。「保護者に失礼」「国旗・国歌に礼を払うのは当然」と言って批判してきた仲間もいるが、今後もしっかりと本気でぶつかり合っていきたい。卒業式の時は、まだ何か言われることを恐れていたけれど、もうぶつかり合うことを恐れないでいこうと思う。
私は変わった仲間も変わる
教育委員会は「指導指針」という文書で「国旗・国歌を拒否する場合、生徒への処分もありうる」「教育基本法は教師を律する法律」などと書き、教育労働者を戦争動員の手先にしようという動きを強めている。
同僚たちは多忙化で追い立てられ、毎年のように病休者が出るほど心も体も余裕がない。
でも、だからこそ闘う。「こんな状況を変えるために、革命やって人間らしく生きよう」と呼びかけていきたい。
職場の仲間は必ず立ち上がる。私自身が仲間との団結の中で変わることができたから、そしてこれからももっと変わっていけると思うから、職場の仲間が変わっていくはずだと信じられる。仲間と一緒に、職場から行動したい。
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週刊『前進』(2341号3面2)(2008/04/28 )
〈焦点〉 食糧暴動・賃上げストが激発
食糧価格の高騰への怒り
全世界で食糧価格が高騰し、労働者人民の生活を直撃している。アフリカを始めとした新植民地主義体制諸国では、食糧暴動や賃上げ要求のストライキが相次いでいる。代表的な国際穀物価格は、小麦が2年前の3・8倍、トウモロコシが2・6倍、大豆が2・6倍、コメもこの1年で2・5倍となっている。かつてない急騰だ。
この食糧価格高騰の要因としては、中国・インドを始め需要が世界的に増大している中での、地球温暖化による干ばつの頻発、米帝のバイオ・エタノール戦略、サブプライム危機を発端とする投機マネーの穀物市場への大量流入や原油価格の高騰などがある。
地球温暖化に関連した背景としては、この2年、小麦輸出国のオーストラリアで干ばつが続き、それが小麦価格を押し上げる要因となった。さらには、すでに温暖化の影響で、2000年、01年、02年とオーストラリアやアメリカで干ばつが発生し、穀物生産量が減収に陥り、生産量が消費量を下回り、繰り越し在庫量が過去30年の最低水準まで落ち込んだ。これがそれまで下落傾向にあった食糧価格を上昇傾向に転換させた。
その上で、直接のより大きな要因は、05年春に米帝ブッシュ政権が地球温暖化対策と称してバイオ・エタノール戦略を打ち出し、補助金をつけてエタノール燃料車の開発を推進したことだ(新エネルギー法)。このエタノール製造のためにトウモロコシが大量に使われて価格が高騰し、同時にトウモロコシへの作付け転換も広がり、他の穀物価格も押し上げる結果となった。このためメキシコなど中米の人びとは主食であるトウモロコシが買えなくなり、飢えるという非常事態が発生している。
米帝のバイオ・エタノール戦略は製造過程で二酸化炭素を排出し、温暖化対策としては逆効果であると指摘されている。だが、ブッシュ政権は温暖化対策を押し出すことで、バイオ燃料自動車の開発を進めているGMやフォードなどの自動車産業の国際競争での勝利をもくろんでいるのだ。また、イラク戦争の泥沼化の中で世界最大の食糧輸出国としての米帝が、食糧価格をつり上げることにより帝国主義間争闘戦に勝利しようという狙いがある。
ブッシュは4月16日、「地球温暖化防止に向けた新目標」なるものを発表し、2025年までに温暖化ガス排出量の伸び率をゼロにすると表明した。これは、25年までは温室効果ガスの排出量を増やし続けるという宣言であり、米帝は「温暖化対策」などまったくやる気がないという表明だ。
さらに重大なことは、米住宅バブル崩壊で危機に陥っている金融資本と投資マネーが、投機の対象として価格上昇が続く穀物市場に狙いを付け、流れ込んでいることである。今日、世界金融大恐慌情勢の中で、巨大金融資本は空前の危機に陥っており、住宅バブル崩壊での巨額損失を穀物市場で穴埋めしようとしているのだ。
労働者人民が生きるために絶対に必要な食糧の価格をつり上げ、ぼろもうけをたくらむ資本主義・帝国主義。これをプロレタリア世界革命で打倒するために闘おう。
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週刊『前進』(2341号3面3)(2008/04/28 )
武装米兵輸送に「違憲」の判決
空自はイラク即時撤退を
自衛隊のイラク派兵は「武力行使の放棄」などを定める憲法9条に違反するとして、市民団体約1400人が国に派兵の差し止めなどを求めた裁判の控訴審判決で、名古屋高裁は4月17日、差し止め請求そのものは主文で棄却したが、判決文で、米軍など多国籍軍の武装兵士を空輸する航空自衛隊の活動は「憲法に違反する」と断定した。またバグダッドは明白に戦争状態にあり、「派遣は非戦闘地域に限る」と定めたイラク特措法にも違反すると明言した。
憲法9条をめぐる裁判で違憲判断が出たのは73年の「長沼ナイキ訴訟(自衛隊の対空ミサイル設置に反対した訴訟)」以来30数年ぶりという「異例の事態」である。
政府はこれまで空輸の中身を公表せず「人道復興支援が中心」とし、バグダッドの戦場化が進んでも「飛行場と経路は非戦闘地域」なので活動は合法・合憲と強弁してきた。今回の高裁判決は、これら政府の説明を覆したのである。
開戦から5年、自衛隊はイラクで何をやってきたか。サマワに展開していた陸自を除く空自部隊だけでのべ3000人。C130輸送機3機を投入し、クウェートの空軍基地からイラク南部のアリ、首都バグダッド、北部のアルビルの3カ所へ計694回の空輸作戦を実施した。空輸の8割以上は武装米兵と米軍物資で、いわゆる「復興支援」関連の国連空輸は週1回だけだった。
米軍によるイラク人民への虐殺はすでに「少なくとも10万人」を超えている(ジョンズ・ホプキンス大学、コロンビア大学の調査研究=ANSWERの発表)。これがいま現在も続く帝国主義による石油資源略奪戦争の実態だ。この歴史的な犯罪に、日帝・自衛隊は帝国主義の軍隊として深々と加担しているのである。
首相の福田は即座に「判決は派遣に影響しない」と、イラク派兵継続を表明。航空幕僚長の田母神(たもがみ)俊雄は、なんと「そんなの関係ねえ」(!)と言い放った。そして自民党は判決直前の10日、イラク特措法と補給支援特措法、国連平和維持活動(PKO)協力法の3法を統合した、いわゆる「自衛隊派兵恒久法」制定を目指すプロジェクトチーム(座長・山崎拓)を発足させた。イラク派兵が「違憲」だと突きつけられた日帝支配階級は、危機感をむき出しにして違憲状態の「解消」、すなわち恒久法制定―改憲へと向かっているのである。
今回の違憲判決は、労働者人民の抵抗と闘いによって、9条を中心とする明文改憲が今なお阻まれている現実と、帝国主義として変更しようのない戦争国家化政策との矛盾が極点に達したことの司法的表現だ。訴訟団と労働者人民のイラク戦争への怒りの声が、この日帝の危機を突き出した。
イラクの労働者人民は、帝国主義による殺りくと略奪に非和解的に立ち向かっている。3・16イラク反戦世界一斉デモは、世界の労働者の団結と連帯が大きな勢いで広がっていることを示した。労働運動の力でイラク派兵粉砕、改憲阻止・日帝打倒へ進撃しよう!
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週刊『前進』(2341号3面4)(2008/04/28 )
「沖縄奪還パンフ」を発刊
5・15闘争へ活用しよう
今年の5・15沖縄闘争に向けて絶好のパンフレットが発行された。革共同沖縄県委員会による『労働者の力で沖縄を奪還しよう』だ。まず裏表紙まで続く表紙写真が、昨年の9・29沖縄県民大会の12万人結集のすごさを表している。沖縄労働者階級人民の島ぐるみの総決起の迫力を感じる。
この9・29はどのように実現されたのか。沖縄労働者人民の怒りに火をつけた政府による「集団自決における『軍命』を削除した教科書検定」とは何だったのか。9・29のあと沖縄―本土を貫いて闘われた全駐労ストの意義は何か。なぜ今沖縄で米軍犯罪が頻発しているのか。そして、沖縄闘争はどう闘えば勝てるのか。沖縄奪還論の正しさがわかる。
今年の5・15沖縄闘争を闘う上でどうしても知りたいすべてが詰まっている。写真・表・図なども多く読みやすい88ページだ。頒価300円。
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週刊『前進』(2341号4面1)(2008/04/28 )
「差別なき糾弾闘争」に突進する旧与田派の策動を粉砕せよ
全国連大会で歴史的な転向宣言
「党の革命」によって打倒された旧与田派残党=八木、石嶺らのもとで4月12〜13日に行われた解同全国連第17回大会は歴史的な転向大会となった。それはデッチあげの「広島差別事件」をもって「革共同との断絶」を宣言し、部落解放運動史上に類例のない「差別なき差別糾弾闘争」を運動方針として決定したのである。しかも彼らが言う「新たな共闘関係の構築」とは、自民党や解同本部派とも手を組むという最悪の方針だ。日帝権力への完全な屈服・転向であり、解同全国連の体制内融和主義への変質・転換である。革共同は旧与田派指導部のプロレタリア革命運動、部落解放闘争への敵対を絶対に許さない。転向分子の腐った反階級的正体を全労働者人民の前に暴き出し、階級的労働運動の大前進と部落解放闘争の革命的再生をもって、彼らの策動を徹底的に粉砕することを宣言する。
「広島事件」デッチあげデマで部落大衆を動員
旧与田派指導部の反動的なもくろみは完全に破産している。空疎で超反動的な「差別なき糾弾闘争」方針を決定した全国連第17回大会は、参加者激減の中で強行された。激しい住宅闘争を闘っている全国連西郡支部や東京の杉並支部、品川支部は、中央本部のあまりの変質、路線転換に怒りを表明し、参加を拒否した。西郡支部は大会議案の全面撤回を要求した。昨年秋以降、全国連中執会議の議案書が支部にまったく送られなくなったなど、旧与田派指導部による全国連の私物化、得手勝手な組織運営、引き回しの実態も、この間明らかになっている。
全国連大会の運動方針では、広島を始め各地で「広島差別事件の真相報告集会」を行い、革共同への糾弾決議をあげていくなどと言っている。とんでもない反動的・反階級的な運動方針だ。
まず第一に訴えたいことは、革共同による「広島差別事件」などというものは、まったくのデッチあげだということである。このウソとデマで塗り固めた「差別事件」なるものをもって、部落解放運動史上にも類例のない、前代未聞の「差別なき糾弾闘争」に全国連の部落大衆を引きずり込もうとしているのだ。
彼らのデッチあげは、8月末に広島で行われたマルクス主義学生同盟の合宿の中で、「全国連は物取り主義だ」「住宅闘争がそうだ」という差別発言が行われたというものである。だが、そのような事実自体が一切存在しない。その後の合宿参加者への聞き取り調査でも、そのような発言は一切なかったことが確認されている。しかも、これが事実に基づかないデッチあげであることは、八木自身が昨年末の同志会総会基調報告で「残念ながら、このことについては『証拠』はない」と認めているのだ(この間の事実経過については『共産主義者』156号の水樹豊同志の論文をぜひ読んでいただきたい)。
マル学同の同志たちは、プロレタリア革命論の一層の深化としてある07年「7月テーゼ」をめぐって真剣に討論していたのだ。ところが許せないことに、石嶺ら旧与田派指導部はこの7月テーゼの論議そのものを憎悪し、「党の革命」を転覆するという政治的目的をもって差別事件をねつ造し、攻撃してきたのだ。こんなことを許し屈服するならば、部落解放闘争や差別糾弾闘争は反動的に解体されてしまう。
「自民党にも呼びかけ」これが彼らの本音だ!
「革共同との断絶」をアピール
第二に訴えたいことは、旧与田派指導部が革共同から脱落・逃亡し、自民党とも手を結ぶ体制内融和主義路線に解同全国連全体を引きずり込もうとしていることだ。
そのことは、全国大会へ向けて開かれた1月12日の拡大中央委員会での小森中執の次の発言にはっきり示されている。
「革共同への糾弾闘争を、自民党や解放派などさまざまな党派、解放同盟(本部派)にも呼びかける」
この重大な発言を批判した委員に対しては、旧与田派から「殺したろか」という驚くべき野次や罵声(ばせい)が浴びせられたという。
なんということか。恐るべき転向、腐敗である。差別の元凶である自民党や、融和主義の腐敗をきわめる解同本部派とも手を結ぶということは、部落大衆の根底的な利益を裏切り、部落解放の道を閉ざすものである。それは部落解放同盟全国連合会の結成の原点をも捨て去るものだ。ところが底なしの転落と腐敗を深める旧与田派指導部は今や、「革共同と断絶」をアピールして、権力・自民党の懐に飛び込もうとしているのだ。これが、反マルクス主義そのものの「糾弾主義」が行き着いた破産的末路だ。
「党の革命」の転覆が狙い
第三に訴えたいことは、この差別事件のねつ造は、八木、石嶺ら旧与田派指導部が自らの腐敗を開き直り、「党の革命」を転覆し、革共同からの脱落・逃亡を合理化するために政治的に行ったものだということである。全事態の核心は、まさにここにあるのだ。
八木、石嶺ら同志会指導部は、06年3・14の「党の革命」で打倒された与田の金権的腐敗、共産主義者としての小ブル的堕落を長い間身近に見て、それに接しながら容認してきた。それどころか与田の小ブル的腐敗を共有し、与田の党内官僚支配にのっかってきたのだ。そして労働者同志の決起によって与田が打倒されてもなお彼らは自己をえぐり出す根底的な自己批判を行わず、態度を鮮明にせず、「党の革命」から自分をらち外に置き、面従腹背を決め込んできたのであった。
だが「党の革命」がその後も中央と全国で積極的に進められ「7月テーゼ」が出されるに至ってもはや面従腹背的にとどまることもできなくなり、塩川一派と軌を一にして党から脱落・逃亡したのである。
その脱落・逃亡をごまかすために「広島差別事件」をねつ造し、「差別なき糾弾闘争」に全国連を引き込み、全国連の部落大衆を革共同敵対運動に動員しようとしているのだ。そして、あわよくば、打倒・追放された与田の復権すら狙っているのだ。まさに「広島差別事件」のねつ造は、血債主義・糾弾主義を使って強権的・官僚主義的に党組織を抑えつけてきた与田のやり方そのものであり、無惨な残骸なのだ。
そこに貫かれているのは階級的労働運動路線=プロレタリア革命運動への憎悪と敵対であり、反マルクス主義と7月テーゼの全面拒否である。
西郡住宅闘争に勝利し部落解放闘争の再生を
全国連17回全国大会は、このように異様な「差別なき糾弾闘争」路線を柱にして歴史的な転向大会となったが、そのことは大会議案の中に全面的に明らかである。
議案では、@「広島差別事件」糾弾、A荒本(東大阪)選挙の敗因は「ひとえに」革共同にある、B中田書記長の完全黙秘の放棄・略式起訴受け入れは「全面的に外の方針」であり、これも責任は革共同にある――という、あきれるほど非主体的な責任転嫁、開き直りの総括をしている。そして結論として「革共同は差別者集団」「全国連にとって最悪の害毒」だから「革共同と断絶する」というのである。
そして自民党や解同本部派とも手を結ぶ「新たな共闘関係」のために、部落解放の闘いから帝国主義打倒―プロレタリア革命を完全に追放するにいたったのだ。
まったくアリバイ的に「危機に立つ帝国主義を打倒します」の一言が情勢分析の中に書かれてはいる。だが、プロレタリア革命の内容展開も、情熱もまったくない。帝国主義打倒の立場を完全に放棄し、融和主義、体制内改良運動への転落、転向路線を進んでいる。
さらに次のように労働者階級への絶望と不信をあおり立てている。
「現状は、人々の怒りが支配階級に向かって組織されるたたかいはまだまだ小さく、その矛先は権力やマスコミの操作によって……『同和バッシング』として現れています」
このように「人々=労働者階級」の怒りは弱く、権力やマスコミの操作によって部落差別に動員され、むしろ「同和バッシング」の手先になっている、というのである。連合などの体制内労働運動に対する批判や、階級的労働運動の意義については一言もない。
いったい、どこを見てものを言っているのだ。今や1000万人を超える労働者が年収200万円以下のワーキングプアにたたき落とされ、その中で「もうこのままでは生きられない。自分たちの力で帝国主義をうち倒し、新しい労働者の社会をつくろう」という闘いが青年労働者を先頭に力強く始まっているではないか。この時、旧与田派指導部は、反マルクス主義の極致である糾弾主義、「部落の解放なくして労働者の解放なし」という「部落民第一主義」を振りかざし、自民党や本部派と手を結んでプロレタリア革命運動に敵対しようとしているのだ。
最末期帝国主義の新自由主義攻撃のもとで、部落解放闘争の戦線でも徹頭徹尾プロレタリア革命の立場に立ちきって階級性を鮮明にさせ、差別・分断をのりこえて階級的団結を固めていく、そのような部落解放闘争の理論的・運動的な飛躍が求められているのだ。
実際、国境や民族やあらゆる社会的な分断をうち破って、労働者階級がひとつの軍勢として団結し帝国主義を打倒する闘いが、動労千葉を中軸とする11月労働者集会として大きく前進してきたのである。これに解同全国連も参加して、ともに闘ってきたのだ。
ところが大会議案には、動労千葉の闘いや11月労働者集会の高揚、その階級的意義など、一言もない。青年労働者が職場・生産点で資本や体制内勢力と激しく闘いぬき、展望を切り開いていることもまったく触れられていない。イラク・中東人民および抽象的な「世界の人民」は闘っているが、足元の日本の労働者階級は差別に加担していてどうしようもないというわけである。
さらに許せないことには、全国連のもとで闘う西郡支部の住宅闘争も、八尾市議選の勝利も無視・抹殺している。西郡支部は、供託者28人の預貯金差し押さえの大攻撃を受けながらも「応能応益絶対反対」を貫き、供託闘争を不屈に闘っている。それなのに大会議案ではこの闘いに一切言及していない。西郡の闘いを黙殺した上で、逆に「(分納の)奈良の闘いを教訓化しよう」「分納においても、団結しだいでたたかいの武器に転化できます」と屈服方針を打ち出している。帝国主義と闘わない体制内改良運動そのものだ。
(写真 住宅闘争の先頭で闘う解同全国連西郡支部【2月24日 八尾市】)
マルクス主義で団結しよう
最末期帝国主義の危機が大爆発し、全世界で労働者階級、被抑圧人民が生きるための闘いに立ち上がっている。差別の中で団結してきた部落民労働者は、今こそ日帝打倒のプロレタリア革命の先頭に立とう。西郡の部落大衆の心意気をみよ。「西郡には世界革命の炎があかあかと燃えている」と誇らしく宣言し、不屈に闘っている。ここにこそ、部落解放闘争の勝利の道がある。
全国連の部落大衆と労働者の皆さん。旧与田派指導部の変質と転向を断じて許さず、部落解放・日帝打倒、プロレタリア革命の勝利をめざし、階級的労働運動路線と7月テーゼのもとマルクス主義で団結し前進しよう。西郡住宅闘争の勝利をかちとろう! 5・23狭山闘争に総決起しよう。
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週刊『前進』(2341号4面2)(2008/04/28 )
帝国主義強盗会議粉砕へ サミットのテーマを斬る @
アフリカ資源争奪戦
石油とレアメタル狙う
「構造調整」で再植民地化
7月洞爺湖サミットを世界の労働者の団結の力で粉砕しよう。世界の帝国主義強盗の頭目どもにプロレタリア世界革命の宣言をたたきつけてやろう。サミットは、帝国主義間の争闘戦の場だ。表向きは話し合いだが、その裏にあるのは世界の資源・市場・勢力圏をめぐる主導権争いである。それは究極的には世界戦争に行き着く。世界を貧困と飢餓に陥れながら世界戦争に転落していく帝国主義を打倒しよう。
今回の洞爺湖サミットの議題とされているのは、米住宅バブル崩壊に伴う世界金融危機=世界金融大恐慌への対策、「温暖化ガス対策」、イラクを始めとする戦争問題、アフリカ問題、世界食糧危機への対策などである。今号からこれらを徹底批判していきたい。
まずアフリカ問題をとりあげる。アフリカ人民は「構造調整」という新自由主義攻撃によって飢餓と貧困にさらされている。日本の職場で団結して新自由主義と闘うこと、それはアフリカを始め世界の労働者人民の帝国主義打倒の闘いとつながっている。
00年の九州・沖縄サミットで初めて日本がアフリカ代表を呼んで以来、アフリカ問題がサミットの議題となってきた。アフリカの石油や稀少金属(レアメタル)を強奪するのが狙いだ。サミットはその主導権争いの場となっている。
帝国主義はサミットのたびに「最貧国の債務帳消し案」を宣伝する。これは大嘘(うそ)だ。実際はアフリカ諸国の対外債務は増え続けている。
そもそも80年代に帝国主義は、「構造調整」という外資への規制の撤廃、規制緩和・民営化を強制した。アフリカ48カ国中36カ国で「構造調整」が強行された。その本質は、帝国主義による再植民地化だ。新自由主義のアフリカ版だ。その結果、生活できなくなった人びとは自給用穀物の生産にすがるしかなくなった。それが劣等地での耕作の拡大、土地生産性の一層の低下、穀物不足を引き起こした。「構造調整」という新自由主義こそ、アフリカの飢餓と貧困の元凶だ。
帝国主義はこういう再植民地化の上に、資源を奪おうとしている。過去10年で発見された原油埋蔵量のうち27%をアフリカが占めている。埋蔵量は世界の10%にも上る。ナイジェリア、リビアなど従来の産油国に加え、赤道ギニア、チャド、スーダン、アンゴラなどで原油採掘が増大している。また、稀少金属も、兵器だけでなく近年はハイテク製品に欠かせない素材になっている(図参照)。こうした資源に帝国主義国と中ロが殺到しているのだ。
ブッシュは、この2月にアフリカ5カ国を歴訪した。ベネズエラなど南米産油国が反米化しており、しかもあてにしていたロシアも国内油田開発で外資排除の動きを強めている。肝心の中東原油も、イラク侵略戦争の泥沼化で万全ではなくなった。そこで米帝はアフリカ産原油を奪おうとしているのだ。「米国の原油輸入に占めるアフリカ産の比率は15年には25%に達し、サウジアラビアを抜く」との予測すらある。
米帝はアフリカへの軍事介入を強めている。「アフリカの角」の戦略拠点であるエチオピアには米軍事顧問団が派遣されており、エチオピアの米大使館は世界最大級の米大使館になる見通しだ。そのほかの国々も含めて、10年までにアフリカ諸国の軍兵士計4万人を訓練する計画を実施中である。また、今年9月には6番目の地域統合軍であるアフリカ軍を発足させる。
欧州帝国主義諸国はもともとアフリカの宗主国である。英「アングロ・アメリカン社」は、20世紀初頭から現在に至るまで、南アのダイヤモンド・金を独占的に支配し続けてきた。EU15カ国の天然ガスの21%強がアルジェリア産である。天然ガス輸入先ではロシア、ノルウェーに次いで多い。欧州帝国主義も、ロシア産天然ガスへの依存から脱却しようとしており、アフリカの原油・天然ガスの獲得にしゃにむになっている。
昨年末にEUは、AU(アフリカ連合)と7年ぶりの首脳会議を開き、FTA(自由貿易協定)を追求し始めた。また、06年には、内乱の続くコンゴにEU軍部隊を派兵することを決めた。
アフリカ原油の争奪戦で突出しているのは中国だ。中国が95年以降にアフリカで得た油田権益は15カ国29件に上る。中国が輸入する原油の3割はアフリカ産になっている。中国もまた、スーダンのダルフールに展開する国連のPKOに工兵部隊を派遣している。
ロシアも05年からアフリカ外交を復活させ、06年にはプーチンが南アを訪問している。
資源国家戦略の体なさない日帝
日帝は、05年の国連安保理改革で常任理事国になることを狙い、アフリカ諸国を買収しようとしたが、ものの見事に失敗した。日帝は、エネルギー政策でもアフリカ政策でも国家戦略が体をなさない「最弱の環」だ。
しかも日本経済は、ハイテク部品・製品を主力にしてきており、レアメタルが必須不可欠になっている。現在はレアメタルを中国に依存しており、今や「日本産業のアキレス腱」だ。福田首相は昨秋の就任に際し資源外交を「最重要課題」と強調し、11月には甘利経産相が南アとボツワナを訪問した。狙いは、南アのプラチナなどレアメタルにある。しかし、どんなにあがいても日帝が資源を確保できるほど甘くはない。
19世紀末の帝国主義によるアフリカの分割と植民地化からすでに百年以上がたつ。独立が相い次ぎ「アフリカの年」と言われた1960年から50年近くにもなる。そして今、またしても帝国主義はアフリカに襲いかかっている。帝国主義の世界支配を転覆しないかぎり、こうした実質的な植民地支配が世紀を超えて続くのだ。帝国主義を打倒するしかない。
帝国主義によるアフリカの資源略奪を許すな!アフリカ・世界人民を一層の貧困と飢餓に陥れるサミットを粉砕しよう!
(島崎光晴)
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週刊『前進』(2341号4面3)(2008/04/28 )
日誌 2008年4月16日〜22日
空自のイラク派兵に違憲判決/福田内閣支持率が25%に急落
●鳥島射爆場を再開 4月9日に在沖米海兵隊ハリアー攻撃機が沖縄県の久米島北方にある鳥島射爆場区域外の海に爆弾2発を誤って投下した問題で、米海兵隊報道部は「9日から16日まで鳥島射爆場での訓練は休止したが、17日から再開した」と明らかにした。(17日)
●イラク空自9条違反 自衛隊イラク派遣差し止めなどを求める集団訴訟の控訴審判決の中で、名古屋高裁は、航空自衛隊が首都バグダッドに多国籍軍を空輸していることについて「憲法9条1項に違反する活動を含んでいる」との判断を示した。ただし、結論は原告側の敗訴とした。各地で提起された同種訴訟で違憲判決が示されたのは初めて。「実質的な勝訴判決」と受け止めた原告側は上告しない方針を表明。勝訴した被告の国側は上告できないため、今回の高裁判決が確定する見通し。(17日)
●米韓首脳会談 2月の就任後、初めて訪米した韓国の李明博(イミョンバク)大統領とブッシュ大統領が会談。米韓同盟の再定義で合意。在韓米軍の削減や基地移転問題など安全保障をめぐる既存の合意はそのまま履行する。同時に米韓連合軍の防衛能力の維持強化に努めるとした。(19日)
●防衛大綱、抜本改定へ 政府は、日本の防衛政策の基本指針となる「防衛計画の大綱」を5年ぶりに抜本的に改定する方針を固めた。10年後までを視野に入れた新大綱で、中国軍の軍拡に対応した防衛力整備を明記する必要があると判断したという。(19日)
●サドル師「掃討やめねば全面戦争布告」
イラクのイスラム教シーア派の指導者サドル師は、自派の民兵組織マフディ軍に対する掃討作戦の停止をマリキ政権に要求、応じない場合は全面戦争に突入するとの声明を発表した。(19日)
●嘉手納基地で戦闘機、滑走路外れる 米軍嘉手納基地で米民間会社が所有する英国製のMK58戦闘機一機が着陸後、滑走路に隣接する緑地帯に機首部分から突っ込んで停止した。事故現場は県道74号から数十bの場所。目撃者らによると、同機は米軍機が訓練で使用する標的をけん引して離陸するなど、米軍機の訓練に協力する機体。何らかの訓練後に着陸し、事故を起こしたとみられる。(19日)
●内閣支持率急落25% 朝日新聞社が実施した全国世論調査によると、福田内閣の支持率は25%で、3月29、30日の前回調査の31%を大きく下回り、内閣発足以来、最低だった。不支持率は60%(前回53%)。内閣支持率が20%代に落ち込んだのは、07年7月に自民党が参院選で大敗した直後の調査で、安倍内閣の支持率が同内閣で最低の26%となって以来のこと。(20日)
●在沖海兵隊一部のハワイ移転を検討 米海軍省が在日米軍再編で、グアムへの移転が日米合意された在沖米海兵隊の第3海兵師団と第12海兵連隊の司令部や訓練場などを、米ハワイ州の海兵隊基地に移転させる方向で検討していることが分かった。防衛省は「そういう事実は承知しておらず、日米間で協議している事実もない」と否定的な見解を示した。(20日)
●日韓首脳会談 福田首相と韓国のイミョンバク大統領が会談した。04年11月以降3年以上中断している経済連携協定(EPA)交渉について、再開に向けた実務協議を6月中に開くことで合意した。(21日)
●日本のタンカー被弾 イエメン南沖のアデン湾で、日本郵船の大型原油タンカー「高山」(15万d)が発砲を受けた。左舷後方の燃料タンク内壁に直径約20_の銃弾とみられる穴があき、油が漏れた。現場は多くの海賊被害が報告されている海域という。(21日)
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週刊『前進』(2341号5面1)(2008/04/28 )
3・9-16弾圧粉砕 勝利の教訓
6人逮捕に怒りが爆発し職場と地域で団結を拡大
高尾 都
【左】青年労働者2人の逮捕を跳ね返して闘われた池袋での3・9国際婦人デー集会後のデモ
【右】3・16イラク反戦・全世界一斉渋谷デモでの4人の青年労働者の逮捕に怒りの総括集会
3月9日の国際婦人デー集会後のデモ(池袋)、そして3・16イラク反戦・全世界一斉デモ(渋谷)において、それぞれ2人、4人の青年労働者が不当逮捕された。この大弾圧に対して、私たちは怒りをバネに反撃に立ち、地域と職場の団結を圧倒的に強化・拡大し、反弾圧闘争の画期的な飛躍をかちとった。その大勝利の教訓と総括を、以下提起したい。
仲間の力は私の力 私の力は仲間の力
世界中の労働者があらゆる地で闘いを開始している。彼らは全員、欲している。「世界中の労働者とあらゆる分断の壁をもぶっ壊してつながりたい、団結したい、労働者階級としてひとつになりたい!」と。世界は革命情勢だ! そのことを11月集会が体現している。
闘いを開始し、仲間ができ、団結すればすぐさま分かる。仲間の力は私の力、私の力は仲間の力、団結して得た力(奪い返した力)は百万馬力だ、と。08年3月イラク反戦で全世界の労働者が一斉にデモとストで闘って団結した。だからますます団結したいと欲する。団結欲が高まる。
資本家どもは恐怖する。弾圧せざるを得ない。資本家自らが「減給処分だ、停職だ、解雇だ」と弾圧する。御用組合を使って「組合員権停止だ、組合除名だ」と弾圧する。警察権力を使って「武装機動隊だ、逮捕だ」と弾圧する。国家権力(裁判)を使って「反動判決だ、無期懲役だ、死刑だ!」と弾圧する。
残念だったな、資本家諸君! われわれ労働者は、弾圧のお陰で団結を拡大した! 団結はガンガンに強まった! 自分たちの切り開いている闘いの大きさを自覚して、ますます階級的に路線を純化した! 「弾圧は団結の糧でしかない」とはっきりさせる闘いをやり抜いた!
これが6人の不当逮捕を出した3・9―3・16弾圧に対する闘いで切り開いた地平だ! しかも08年前半の前半で!
「労働運動の力で革命を」への恐怖
資本家どもは、昨年11・4労働者集会における解放的なデモに、そして「労働運動の力で革命をやろう」という世界の労働者が切り開いた地平に恐怖したのだ。
新自由主義攻撃の始まりの国鉄分割・民営化攻撃において、いまだに国家は負け続けている。動労千葉が路線を曲げずに闘い続けているからだ。いや、闘い続けているどころではない。1047名解雇撤回を唯一貫き、現場で実力闘争をやりとおして団結を固め、組織拡大を実現し、あらゆるところ(世界規模!)で「動労千葉のように闘おう!」という労働者、労働組合が出現して闘いを爆発させているのだ!
そして「動労千葉のように闘おう」という青年労働者が3・9池袋では先頭に立ち、3・16渋谷ではスクラムを組んでデモをした。国家権力に対して非妥協・非和解の労働者の団結を示した。資本家・国家権力は、この青年労働者の組織性、団結で奪い返した力の発揮(暴力性)に震え上がったのだ。サミット厳戒態勢の目的は労働運動つぶしであることがはっきりした。
労働者見くびるな弾圧は団結の糧だ
不当逮捕でビビって闘いをやめるとでも思っているのか!? なめるな! 私たちは「クビにするぞ」「組合除名にするぞ」の恫喝に、「やれるものならやってみろ、私は闘いをやめない!」と言い切って闘いを貫ける団結をつくってきた労働者たちだ。だからこそ団結を拡大し、強化してきた革命家だ。逮捕であろうと、裁判であろうと、職場での階級的労働運動への処分に対する闘いの教訓と同様だ。弾圧を団結の糧にする核心は、「処分回避を目的化しない」ことだ。
3・9―3・16弾圧粉砕闘争は、不当逮捕された仲間の奪還を目的化しない奪還闘争だった。団結のためだけに弾圧を利用し尽くすという立場にみじんの揺らぎなく立ちきる闘争だったのだ。
何のために利用しつくしたか。
一つは、職場闘争の路線を階級的に純化するために弾圧を利用し尽くした。資本と非和解で闘う路線が、どれだけ資本家を追い詰める強さを持っているかをはっきりさせた。
どれだけ不当な逮捕か、警察がどれだけデッチあげて「罪」をつくったかを職場ではっきりさせても、労働者は大して空気は入らない。逮捕された労働者の罪は「公務執行妨害」「公安条例違反」などというちゃちな罪ではなく、「革命扇動罪」であり、「団結組織罪」という立派な罪だということに空気が入る。しかも、逮捕された労働者が元気に完黙・非転向で闘っていたら、職場の労働者が弱気になるわけがない。
二つは、細胞建設のために弾圧を利用し尽くした。革命家が生まれる闘いだ。この闘いで立ち上がった労働者は、不当逮捕直後から、ただちに職場の枠を越えて労働者・革命家とともに闘いを組織した。党と階級が一体で闘った。党の存在抜きにこの闘いの爆発はないことが自然であたり前であるという闘争に立ち上がったのだ。
職場の仲間の逮捕に対して、逮捕直後には「私を逮捕せずに残したことを警察に後悔させてやる!」と言った労働者が、逮捕から数日後には、この闘いをとおして完全に革命家としてぶっ立ち、「悪いけどもう少し捕まっていて欲しい。そしたらもっとこの弾圧で職場闘争ができるし、もっとたくさんの人が立ち上がる!」と言い出した。完全に弾圧の意図を粉砕しきった。
三つは、地区党建設のために弾圧を利用し尽くした。「革命扇動罪」逮捕を職場闘争で跳ね返す闘いは、地区党が労働者党として、革命党としての路線を純化して団結していなければやりきれない。地区党が団結していなくて、どうして職場に革命家として登場できようか! どうして処分を恐れず、「6人のように闘おう」とみんなで腹をくくれるか!
この弾圧を、現場での資本・国家との非和解を貫く闘いとして必死に実践した労働者が、真に階級的労働運動路線で武装し団結した地区党を欲し、細胞自らが地区党を再建・建設したのだ。
地区党の団結なしに職場で勝負できないし、革命家がどれだけ生まれるかによって闘いの爆発の大きさも決まる。職場闘争の階級性、細胞建設、地区党建設は、弾圧を糧に完全に一体のものとして強化・純化された。
力の均衡ぶち壊し革命へ次の一歩を
弾圧はこれからますます起きるだろう。あらゆるところで弾圧がある。つまり「あらゆるところにチャンスが起きる」ということだ。ありとあらゆる場所で動労千葉のような闘いを激化させているからだ。
こんな弾圧を糧にして、団結を強化し、路線をはっきりさせ、さらに大きな一歩を進める。さらに大きな一歩とは、「さらに資本家どもが黙って見ていられなくなる闘い」ということだ。
弾圧に対して、資本家が「今日のところはこれくらいにしておいてやろう」という感じになった時に、こちらも一瞬「つぶす―つぶれない」の関係で均衡を取りそうになってしまう。そこをさらに大きく左に一歩、革命側に一歩進む。これが私たちの闘いだ。
だから弾圧に対する闘いは、「さらに弾圧せざるを得ない」くらい革命的に一歩踏み出すということだ!
逆に、弾圧されないように資本家・国家権力と折り合いをつける体制内労働組合は、新自由主義政策のもとで産業報国会化しているではないか!今や資本・国家と折り合いをつけない「非和解・非妥協」の闘いで団結を拡大・強化しているのは、革共同の階級的労働運動の路線だけだ。
産業報国会化した御用組合をぶっ飛ばして、労働者が権力をとる動労千葉型労働運動を爆発させて、国家権力も黙って見ていられなくなる闘いを日本中で、世界中で巻き起こそう!
6人のように、法大弾圧の内田君のように、富山大のA君のように、星野文昭さんのように闘おう!
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週刊『前進』(2341号5面2)(2008/04/28 )
弁護士激増・裁判員制度と対決
4・18集会感動と成功 “さあ日弁連再建だ”
「弁護士激増・裁判員制度・改憲に対決する4・18弁護士・市民集会」(主催・憲法と人権の日弁連をめざす会)が18日、東京・霞が関の弁護士会館で開催され、弁護士、労働者、学生ら520人が参加した。弁護士と労働者人民の団結が固められ、日帝の新自由主義政策の一環としての司法制度改革を打ち破っていく強固な土台が築かれ、弁護士激増・裁判員制度・改憲粉砕の総決起集会となった。
(写真 2月の日弁連会長選挙での高山俊吉弁護士奮闘の余韻が冷めやらない中、日弁連の再建を目指す集会が開かれ、多数の弁護士や労働者らが参加した【4月18日 東京・弁護士会館】)
7年半前を再現
今から7年半前の2000年、弁護士激増政策の導入を決定した日弁連臨時総会が、まさにこの会場で開かれていた。冒頭、そのビデオが上映された。全国から集まった弁護士で会場が埋めつくされ、執行部の弁護士激増方針への弾劾が次々とたたきつけられる場面だ。約70人の発言通告者を切り捨て、ロースクール導入の議論もまったくないまま、執行部は採決を強行する。十数人が壇上に駆け上がり議長団に猛抗議する様子が、スクリーンに映し出された。
「7年半ぶりにこの壇上に上がることになりました」。開会のあいさつに立ったのは、この時、懲戒請求を受けた4人の弁護士の一人、藤田正人さんだ。「その懲戒請求の不当性を500人の弁護団で確定させた。さらに今年2月の日弁連会長選挙で、2000年臨時総会の決議が間違いであったことが明らかになった」「今日の集会は、その臨時総会の続会です!」。会長選挙の高揚を引き継ぎ、司法改革絶対反対の確信に燃えたあいさつが満場の拍手で確認された。
「さあ日弁連の再建だ」と題して集会の基調を提起したのは、2月の日弁連会長選挙で7000票余り、得票率実に43%を獲得した高山俊吉弁護士だ。弁護士激増・裁判員制度・改憲に絶対反対を掲げ、司法改革推進派の候補を圧倒した。
高山弁護士は語った。
「時代のベースが一層明らかになってきた。(イラク派兵反対の)ビラ配りでのどうしようもない判決。イラク空自派兵の違憲判決。裁判所の中でもすさまじい嵐が吹き荒れている。それは私たちの闘いがあるからだ。昨年秋の11月4日には、多くの労働者が日比谷野外音楽堂に集まった。そこに弁護士も参加した。その流れの中で日弁連の会長選挙も闘われた。そして3・16イラク反戦集会。そういう勢いに私たちは乗っている」
さらに、弁護士激増政策については「弁護士を食えなくすることによって人権の根底的破壊を狙うもの」と喝破し、裁判員制度については「必ずつぶれる。一人ひとりがよしと言わない限り実施できない」と断言。「本当の日弁連をつくる」と決起宣言を発した。
若手が集会牽引
集会全体を牽引(けんいん)したのは、弁護士になって10年以下の若手弁護士たちだ。司会を務め、集会発言の半分を担った。発言では弁護士激増政策への怒りが噴出。「知り合いの弁護士は月収が8万円。そこから弁護士会費用に3万円。弁護士としてやっていけない」「2人に1人が就職できない。1〜2名の募集枠に百数十名も殺到する」「生きさせろ! が実感だ」「弁護士を増やしたら質が悪くなったと非難されるが、司法修習所の期間を2年間から1年半にしておいて、責任を押しつけるな」「こんな状況に誰がした」
また、この攻撃が新自由主義政策の一環であることを明らかにし、「新自由主義に対してあちこちでおかしいという声があがっている。戦争と貧困の流れを変えるために、こういう闘いと共闘していきたい」と労働者階級と団結して新自由主義攻撃と全面対決する意気込みが次々と語られた。この時代を変えたいというほとばしる思いは、青年労働者・学生とまったく同じなのだ。しかも、2月の会長選挙を先頭で闘いぬき、誇りと自信に満ちあふれていた。「若手自身が立ち上がらないといけない。いつまでも高山に頼っちゃだめだ」との決意表明や、発言者全員が、壇上でがっちり握手を交わす一幕もあった。
労働者と結合し
後半は、今年の卒業式で「日の丸・君が代」不起立で闘い、戒告処分を受け、非常勤教員の合格を取り消されて職を奪われた東京教組の組合員の発言で始まった。根津さん解雇を阻止した勝利の教訓が、根津さんの不起立を貫く断固たる決意と闘魂、そして支援者全員の一歩も譲らぬ闘いが都教委を追いつめ団結が広がったことにあると総括し、「私は不起立の拡大で団結し根津さんの解雇を止めようと処分覚悟で闘った。不当な処分をテコに新たな団結を拡大していく」と意気軒高と語った。今春の教育労働者の勝利の闘いが会場全体で共有され、労働者と弁護士が一致団結し改憲阻止へむかって闘うことが確認された。
さらに千葉大学教授の新藤宗幸さん、ジャーナリストの斎藤貴男さん、山口、神奈川、千葉の市民からの発言も続いた。
裁判員制度粉砕へ、次は6・13日比谷公会堂だ。大結集しよう!
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週刊『前進』(2341号5面3)(2008/04/28 )
新刊紹介 「コミューン6月号
ドイツは連日スト
米帝のサブプライムローン破綻(はたん)に発する世界金融大恐慌が現実化し、EU諸国を深々と巻き込んでいる。この渦中で、ヨーロッパでは労働者階級のストライキが荒々しく発展している。世界金融大恐慌は帝国主義の断末魔の悲鳴であり、これに最後的に決着をつけるのはプロレタリア世界革命だ。
第1章は、世界金融大恐慌情勢下のEU経済とヨーロッパ諸国の実態を暴いている。巨大な損失を抱えたEU主要金融機関の危機がついに実体経済の危機に及んでいる。
第2章は、世界金融大恐慌の最中で激烈に進行する米・EU・ロシア間の争闘戦を分析している。市場と資源、核・軍事・防衛をめぐって激しい対立が起きている。
第3章は、07年から08年にかけて巨大なストライキの波がドイツを覆っていることを感動的に伝える。闘いの中軸は機関士労組、テレコム、公共サービス労組、郵便労組など4大産別の労働者だ。世界革命の波がここからも噴き出している。
翻訳資料は、フランスの高校生のデモ。フランス全土で巨大な規模の高校生のストライキ、デモが闘われている。これは06年の300万人のデモを超える勢いを持っている。@商業新聞ルモンド紙の記事、Aリヨン市の闘争団体「レベル・リヨン」の記事、B高校生の闘争記事を翻訳した。
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週刊『前進』(2341号6面1)(2008/04/28 )
労働者の団結で分断破ろう
外登法・入管法と民族差別を撃つ関西集会
民主労総と動労千葉を迎え新たな入管闘争スタート
「皆さん、いよいよ世界は革命情勢です! 今こそ万国のプロレタリアートが団結し、世界のすべてを労働者が奪い返す時がついにやって来ました!」――力強い全国実行委員会の基調報告に、全参加者が新たな、そして本来の入管闘争の始まりを実感した。4月20日、京都大学文学部新館で開かれた「第17回入管法・外登法と民族差別を撃つ関西研究交流集会」は韓国・民主労総ソウル本部のイジェヨン本部長を迎え、300人の熱気でかちとられた。(本紙・室田順子)
「打ち破ろう分断! 取り戻そう団結! 民族差別・排外主義と入管体制を打ち破り、全世界の労働者は団結しよう!」をメインスローガンに掲げた集会は、新たな入管闘争、国際連帯闘争のスタートにふさわしい熱気に満ちていた。
「民族差別が労働者の団結にくさびを打ち込むものならば、私たちは労働者は一つなんだという実践として職場で団結を求め、国境を越えて闘っていこう」と司会の青年労働者が開会を宣言。呼びかけ人あいさつに立った国賀祥司泉佐野市議も、「これまで16回続いてきた関西研究交流集会の成果を受け継ぎつつ、新たな画期的な国際連帯闘争をつくっていこう」と自信を込めて訴えた。
全国実からの基調報告は圧巻だった。
(写真 “万国のプロレタリア団結せよ” イジェヨン本部長の講演に全参加者が集中【4月20日 京都大学】)
この道を進み11月集会へ!
「革命という2文字が何度ここに登場した発言者から語られたことでしょうか。昨年の全国集会で『11月労働者集会に結集し、階級的共同闘争の道を進もう』と呼びかけました。この場に動労千葉と民主労総ソウル本部が参加し、在日・滞日外国人労働者と合流していることこそが、私たちの進むべき道をはっきりと明るく照らし出しています。皆さん、この道を進みましょう!」「支配階級によって築かれた分断の壁を打ち砕き、民族・国籍・国境を越えた労働者階級の団結を固めていくのが新たな、本来の入管闘争です」
こう訴えた上で、1922年に設立された水平社と日帝支配下の朝鮮半島で24年に設立された衡平社との交流を紹介し、「80年前にも日本と朝鮮で連帯し団結して差別と闘った歴史があることを踏まえ、私たちは新たな入管闘争にきょう突入しました」と高らかに宣言し、「労働者の武器は信頼と団結です。仲間を信じてともに頑張りましょう!」と結んだ。会場は感動に包まれ、一つに団結した。
牛久入管収容所問題を考える会の田中喜美子さんが滞日外国人とともに登壇し、収容所の人権侵害の実態を暴くとともに、全世界で2000万人もの難民がいるのに日本で難民認定されたのは昨年わずか41人のみ。この現実を打ち破る国際連帯の重要性を訴えた。
民主労総ソウル本部のイジェヨン本部長が「労働者は国境を越える」と題して講演。「われわれは知っています。移住労働者がその国の労働者の雇用を奪うのではない。むしろ韓国や日本の政府が、移住労働者への差別をとおして韓国と日本の労働者の全般的な雇用不安と賃金下落を誘導していることを! こうした差別が労働者の間の連帯と団結を阻んでいる」「真の労働者は労働者が一つであることをつかみ、実践する労働者です。万国の労働者よ団結せよ!」と熱烈に訴えた。
関西集会に初参加した動労千葉の田中康宏委員長は、1970年7月7日に華僑青年闘争委員会から突きつけられた告発は日本の労働者がいかに闘うのかということだったと指摘、「どんなに困難でも自らの職場や地域で闘って団結を回復し、解放の主体としての労働者階級を取り戻そう」と訴え、民族差別を撃つ新たな闘いを呼びかけた。
さらに三つの特別報告が行われた。
“西郡で燃える世界革命の火”
大挙参加した部落解放同盟全国連合会西郡支部から怒りを込めた発言が続いた。応能応益家賃拒否を闘ってきた住民に対し、住宅明け渡し攻撃に加えて2月には供託者28人の郵便貯金差し押さえが強行されたのだ。
「国や行政の極悪な弾圧に負けてたまるか。腹を固めて闘っていく」「勝利するまで闘う」「西郡だけの問題ではない。新自由主義は労働者住民を互いに競い合わせ、差別をあおっている。だから労働者と団結し一丸となって闘うことが勝利を切り開く」
これを受け、集会呼びかけ人で八尾市議の末光道正さんが「西郡には世界革命の火が燃え続けている」と闘う部落の歴史を押さえた上で「敵が同和地域から住宅と医療の民営化を始めるのであれば、西郡から日本を変えよう。サブライムローンでの住宅追い出しと闘うアメリカの労働者と連帯し、世界革命で戦争と民営化、貧困と差別の資本主義を打倒しよう」と呼びかけた。
憲法と人権の日弁連をめざす会の西村正治弁護士は、高山俊吉弁護士を先頭に闘った日弁連会長選挙で9402票対7043票にまで迫った闘いを報告し、「青年弁護士の決起が高山支持を拡大した。この力で司法改革攻撃を粉砕する」と表明した。
外国人への差別を許すな川崎連絡会議の事務局からは、川崎市の阿部市長が掲げる「共生」が日本人労働者と在日を分断する新自由主義攻撃そのものであること、日立就職差別裁判に勝利して就職した朴鐘碩(パクチョンソク)さんの30年にわたる闘いが今若い人たちに共感を呼んでいることが報告された。
不起立を闘う教育労働者、8・6ヒロシマ大行動の訴え、不当解雇撤回を闘う青年労働者、4・26尼崎闘争を呼びかけた国鉄労働者、自治体労働者、サミット粉砕の檄(げき)を発した全学連など、すべての発言が新たな闘いを自ら切り開く決意にあふれていた。
最後に司会の京大生が「この集会を開いていること自身が革命情勢です」とまとめ、団結ガンバロー。スクラムを組んでインターナショナルを歌った。5月11日には横浜市教育会館ホールで全国集会が開かれる。
(写真 「殺されてたまるか!団結の力ではねかえそう」の横断幕を広げて登壇した解同全国連西郡支部)
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発言
労働者国際主義を土台に 民主労総ソウル本部イジェヨン本部長
今日、アメリカ主導の新自由主義世界化と、イラク、アフガニスタン占領など対テロ侵略戦争に対して反戦運動を広げ、平和を守る国際的連帯をさらに強化しなければなりません。移住労働者の権利確保に向け、国際連帯は不可欠であり、移住労働者との連帯なしに階級的団結は実現できないし、新自由主義をのりこえることはできません。
真の労働者は、労働者が一つであることをつかみ、実践する労働者です。万国の労働者よ団結せよ! 新自由主義を超えて、労働解放、人間解放の世の中をかちとるために、労働者国際主義を土台に強固に連帯しましょう。今日を契機に労働者国際連帯にいっそう邁進(まいしん)できればと思います。
マルクス主義の核心は団結 動労千葉田中康宏委員長
1970年7月7日の華青闘の糾弾は、日本の労働者がいかに闘うのかということだったはず。しかし私たちはこの間、自らの闘いを抜きにして在日の方々に戦争と侵略の歴史を謝罪する傾向があった。その誤りを気付かせてくれたのが民主労総ソウル本部だった。
自らの職場で、地域で、どんなに困難でも資本や国家権力と闘い、仲間との団結を回復する。それは必ず全世界の労働者とつながる。
『共産党宣言』の「万国の労働者団結せよ」――ここにマルクス主義の核心がある。労働者同士で競い合うのはやめ、この社会を根底から変革しよう。
4・26尼崎闘争に結集し、7月G8サミットを粉砕しよう。11月労働者集会1万人の結集を実現しよう。
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週刊『前進』(2341号6面2)(2008/04/28 )
4・27法大裁判
“裁判自体がおかしい”
被退学処分者が堂々の証言
4月22日、法大4・27弾圧裁判の第15回公判が東京地裁で行われた。
冒頭、前回の公判で証言を行った内山佳久君に対して検察官からの反対尋問が行われた。検察官の「新井君や友部君とはどういう付き合いをしてきたのか」などという質問に、内山君は「ともに革命運動をしてきた仲間だ」と堂々と答え、検察官を圧倒した。
続いて、退学処分になった内海佑一君が証言に立った。内海君はこの日、法大キャンパスで警備員からタックルされて転倒し、両腕やひざにすり傷を負って出廷した事実を裁判所に突きつけた。
内海君は人定質問に答え、法大入学以来の経歴を生き生きと証言した。全学連副委員長の内海君は、2004年の非公認化攻撃を受けるまで、第二教養部自治会副委員長を務めてきた。また、学生のサークル活動と団結の拠点であった学生会館の学生連盟理事として、04年の学生会館解体攻撃と先頭で闘ってきた。
サークル活動の場でも、社会科学研究会などに参加し、大学の授業ではけっして教えられることのない社会の階級的真実を明らかにする活動を担ってきた。
内海君の証言で明らかになったのは、法大当局による学生の自治と団結への破壊攻撃に対して、法大生の先頭で内海君や全学連の学生が闘ってきたことだ。資本主義に迎合し、学生を金もうけの手段として管理・抑圧する法大当局に対し「学生こそが大学の主人公だ」と声を上げ、誰よりも学生らしく、人間らしく闘ってきた姿だ。
06年の3・14弾圧の際に、法大当局は「学外団体だから」と真っ先に全学連の立て看板を撤去した。しかし、そのほとんどの看板は内海君自らが書いたものだ。「全学連=学外団体」などというのは真っ赤なうそだ。内海君は「法大当局の狙いは、全学連を攻撃して学生に分断を持ち込むことだ。全学連こそ、学生自治や自主活動を先頭で発展させてきた学生の団結体だ。すべての学生は全学連に入って革命をやろう」と宣言した。
4・27弾圧当日、安東前学生部長を先頭とする二十数人の職員に無言のまま排除された内海君は、その後、新井君に対してデッチあげられた二つの「暴行」場面を目撃した。
新井君と内山君が安東らによって暴力的に排除される場面が、内海君の携帯電話のカメラで正面から撮影されていた。安東の背後から出された新井君の右手は、安東の右肩をつかんでいるにすぎない。「首絞め」など完全なデッチあげであることがはっきりした。
また、学生部事務次長・浅見や総務部次長・佐藤らが新井君を正門の外に何度も手で押し出した事実や、佐藤が新井君に向かって突進したあげく正門の外で自ら転倒した事実も証言した。
最後に内海君は立ち上がり、「こんな裁判をやっていること自体がおかしい」と強く弾劾の声を上げた。呼応する傍聴席の学生に退廷命令が連発され、1人が不当拘束された。裁判自体が法大当局の暴力とデッチあげへの加担であることは、もはや明白だ。裁判所は、拘束した学生を即日釈放せざるをえなかった。
次回証人は警視庁公安1課刑事の川島勇二だ。圧倒的な傍聴を訴える。
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4・27法大弾圧裁判
第16回公判 5月13日(火)午後1時半開廷
第17回公判 6月3日(火)午後1時半開廷
10・17クラス討論弾圧裁判
第5回公判 5月15日(木)午後1時半開廷
第6回公判 6月4日(水)午後1時半開廷
◎ともに東京地裁。傍聴は1時間前に集合
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週刊『前進』(2341号6面3)(2008/04/28 )
派遣なんてない社会に―春闘行動に参加 関東・民間労働者 B
偽装請負を告発して、正社員としての雇用を求めて闘っている金属労働者の春闘・工場門前行動に参加してきました。
夕方5時過ぎ、昼勤者が次々と工場から出てくる一方、夜勤の労働者が入っていきます。いくらかこざっぱりした正社員らしい労働者と並んで、ヨレヨレの服で借り上げ寮から自転車で通ってきた労働者。慣れると派遣・請負とひと目で分かるそうです。20〜30代の若い女性も多い。NHK「フリーター漂流」で描かれた製造現場の現実だ、と思いました。
「偽装請負」が発覚し、労働局の指導で「期間工」に変わったのですが、その契約も4月末までという中で、組合の委員長がマイクで直接雇用の継続、正社員化を訴えます。職制が「近所迷惑だからマイクの音を下げろ」と食ってかかってきましたが、周りは殺風景な工場だけ。労働者を使い捨てにしておいて、何が迷惑か!
行動後の報告会で、長期夜勤で体を壊し休養中の当該組合員が「派遣なんてない社会にしたい」と述べる笑顔がとても印象的でした。この10年間でつくり出され、今やどこの工場にもいる年収200万円以下の膨大な青年労働者たち。偽装請負を容認してきた体制内労組への幻想を抱くことなく、自ら声を上げはじめた闘いが、金もうけむき出しの社会を変えるのは、きっと遠くない。
「労働者に経営権をよこせ」の声あげる時 東京 生田正治
あなたは自分の手元に届く郵便物がどれだけの人びとの手を経たものか知ってますか?
「郵政選挙」の結果として民営化が断行され、正職員が急減した郵政現場の大半は、アルバイトの手に負わされている。無理な人減らしで仕事がきつくなる一方、給料は安く、従業員の入れ替わりが激しい。研修制度がなくなり、今日初めて郵便物に触れる学生が郵便物を扱っている始末。不安定な雇用は職場の人材確保も不安定にする。
従業員が粗末に扱われる場所では商品(郵便物)も粗末に扱われる。仕事中に負傷したアルバイトにはまともな補償すらされていない。
惨めな待遇では働く者の誇りなど持てず、命じられた作業を機械的に反復する日々では職業人としての責任感など芽生えない。
勤勉に働くほど仕事を押しつけられ、人手不足のツケを払わされる。生産性向上の名目で行われているコスト削減と、それと矛盾する郵便サービスの維持という建前のために、アルバイトは効率よく使い回されている。この中で、すでに毎月50件もの郵便物の紛失・盗難が起きている。
信頼性の低下は運送業にとって致命的だが、経営陣のお偉方は郵便局に足を踏み入れたことすらないのだろうし、実はこの業界でメシを食っていくつもりもない。彼らの仕事はこの不採算部門を「片づける」ことなのだろう。
本当に郵政を「改革」できるのは、現場を知っている郵政労働者だけだ。「労働者に経営権をよこせ」の声を上げる時だ。
ロシア革命が分かる「オルフェウスの窓」 東京・三多摩 水川 繭
法大クラス討論弾圧被告の内田晶理君の獄中通信パンフ「しゃにむにGO!」に「『オルフェウスの窓』というマンガにはまった」という感想があり、読んでみました。
通勤電車の中で毎日読んで、没頭して乗り過ごしたこともあったくらい、通勤ラッシュが「続きを読める時間」として待ち遠しくなるくらい、おもしろかった。
同じ作者の「ベルサイユのばら」は有名なので読んだことがあり、フランス革命がよく分かると評判でしたが、こちらはロシア革命ものです。「ベルばら」が好きな方なら絶対おすすめです。最初のうちはそれほど革命は前面に出てきませんが、実に感じの悪い「資本家の息子」などがお金の力で何でも思いどおりにしようとする姿には、主人公に感情移入して憤慨します。内田君が獄中通信に絵を描いているのもそのあたりなので、ああここで内田君もグッときたのかなと思いながら読みました。
途中からケレンスキーやラスプーチンとかも登場しますが、顔入りなので混乱せず、ロシア革命がすいすい頭に入ってきます。革命にかかわる人びとの内面の葛藤(かっとう)や飛躍、弾圧との闘い、階級移行の話などもリアルで深みがあり、読み応えがあります。
「冬のソナタ」を華麗にしたような悲恋ものとロシア革命が同居している――こんなマンガがあったのかとびっくりしました。図書館で借りました。皆さんもどうぞ。
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週刊『前進』(2341号7面1)(2008/04/28 )
洞爺湖サミット粉砕を
プロレタリア世界革命の勝利へ万国の労働者は団結して闘おう
革共同の6〜7月サミット決戦宣言
イラク反戦5周年で青年労働者を先頭に渋谷をデモ(3月16日 東京)
世界革命の時代が始まっている。世界を貧困と戦争にたたき込んできた帝国主義を、労働者階級の国際的階級的団結の力で根底から打ち倒す時代がやってきた。7月洞爺湖サミットを粉砕し、日本の地からプロレタリア世界革命への道をこじあけよう! 全世界での決起と連帯し、6〜7月サミット決戦に総決起しよう。闘う全労働者の職場からの総決起と全国学生ゼネストをぶちぬき、首都を揺るがす万余の大デモを実現しよう。
T 全世界で労働者階級人民のストや暴動が激発している
時代は完全に世界革命情勢に突入した。帝国主義世界経済は今や、1929年大恐慌をも上回る世界金融大恐慌の爆発に向かって、破局への坂をまっさかさまに転げ落ちている。帝国主義にはもはやこの危機をのりきる力も、その手段も一切ない。
この世界金融大恐慌は、資本主義・帝国主義の最後の延命策としてあった1980年代以来の新自由主義の全面破産がもたらしたものだ。それは、20世紀の戦争と革命の時代をくぐりぬけて21世紀へと生き延びてきた帝国主義の、積もりに積もった矛盾の全面的で最終的な爆発だ。資本主義社会そのものが、すでに根幹から腐り果て、社会として崩壊を始めている。
だがこの資本主義・帝国主義は、プロレタリア革命によって打倒されないかぎり、どこまでも腐臭を放ちながら全世界を飢餓と貧困と戦争の奈落の底に引きずり込んでいく。もう一刻のがまんもならない。労働者階級がその団結した力によって資本家階級から直ちに一切の権力を奪い取り、生産手段を掌握して全社会を根底から再組織することが必要だ。この闘いにおいて労働者階級には鉄鎖以外に失うものは何もない。獲得するのは全世界だ!
(写真 動労千葉の春闘スト【3月14日 京葉車両センター前】)
史上3度目の革命期
今始まっているのは、史上三度目の世界革命情勢の到来である。一番目は第1次大戦末期、1917年のロシア革命の勝利を頂点として、全世界を覆いつくした革命の嵐。二番目は、1930年代から第2次大戦を経て戦後革命期に至る、革命と反革命との世界史的な大激突。そして戦後革命の敗北から半世紀以上を経てついに今日、プロレタリア世界革命がみたび歴史の正面舞台にのぼる時が来たのである。
1917年ロシア革命の偉大な挑戦を引き継ぎ、第2次大戦後の戦後革命の敗北をのりこえて、今度こそ世界革命を最後まで完遂する闘いをやりぬこう。革命を裏切り変質させ、帝国主義の世界支配の補完物となってきたスターリン主義をも帝国主義とともに打倒しよう。この反帝国主義・反スターリン主義プロレタリア世界革命の実現に唯一、労働者階級はもとより、農民、被抑圧民族を始め全世界人民の解放がかかっている。
今日の情勢の特徴は、このプロレタリア革命の主体である労働者階級のまったく新たな、巨大な決起が全世界いたるところで爆発的に始まっていることだ。
世界金融大恐慌突入下で、「労働運動の力で革命を」という日本の闘う青年労働者のスローガンが、全世界の闘う労働者の魂をつかむ時がやってきている。「生きさせろ!」の叫びは今や世界中にとどろいている。帝国主義国であると新植民地体制諸国であるとを問わず、労働者のストライキとデモがすべての国で起こっているではないか。さらに食糧暴動が激発し、市街戦への発展も始まっている。
労働者階級を国際的にも国内的にも徹底的に分断してその階級的決起を抑え込んできた、帝国主義の戦後支配の大崩壊が始まったのだ。体制内改良主義のもとでのあらゆる幻想が打ち破られ、資本・権力に対する労働者階級の絶対非和解の決起がせきを切って噴出し始めた。
体制内突き破る決起
何よりも、ストライキ! ストライキ! ストライキ! このうねりが世界を覆っていることは決定的である。しかもそれが、とりわけ帝国主義国において、大衆的怒りの激しさのもとで既成の体制内労働運動の壁を下から突き破って闘われていることである。
アメリカでは、AFL―CIO(米労働総同盟・産別会議)の基軸組合であり、典型的な体制内労働運動であるUAW(全米自動車労組)の中から、アメリカン・アクスル社の労働者3600人が2カ月を超える長期ストに決起している。010同社はGM(ゼネラルモーターズ)の子会社で、ストで部品供給が止まりGMの全工場が操業停止に追い込まれた。多くのGM労働者がレイオフされたが、しかしその労働者は圧倒的にアメリカン・アクスルのストを支持して、ともにピケットラインに立っているのだ。UAWは昨年、年金と医療制度の全面破壊攻撃に対してGMで形だけの全国ストを打ったが、わずか2日で中止した。これへの怒りが組合員の中にあふれている。
05年にAFL―CIOから分裂したCTW(勝利のための変革)の中心組合であるSEIU(サービス従業員国際労組)でも、体制内化した執行部を打倒する現場組合員の決起が始まっている。「新潮流」を名乗りながら実際には資本と癒着したSEIU本部に、カリフォルニア州の医療・福祉労働者の組合UHW(15万人)が公然と反旗をひるがえした。
さらに、サブプライムローンの破綻(はたん)で住宅を差し押さえられた労働者が、立ち退き命令を実力で拒否する闘いに全米で続々と立ち上がっている。
この中で、ILWU(国際港湾倉庫労組)はイラクとアフガニスタンからの即時撤兵を要求し、5月1日のメーデーで米西海岸の全港湾を封鎖する闘いに立つことを決定した。ILWUローカル10のジャック・ヘイマン氏は、昨年動労千葉が参加した国際会議での決定に基づき、戦争を止めるには労働者は「自らの生産点で力を行使しなければならない」と宣言し、全米の労働者に決起を呼びかけている。これがアメリカ階級闘争をさらに決定的な段階に押し上げることは確実だ。
世界を覆うストの波
ドイツでは、鉄道労働者が昨年夏から半年間にわたり、ドイツ労働総同盟本部の制止を突き破って、ドイツ全土を揺るがす長期ストに決起した。この闘いは、今年に入って総同盟の最大の中心労組である統一サービス労組(組合員230万人)に波及、ベルリンを始めとする公共部門労働者の大規模な闘いに発展した。
2月以降、ベルリンのバス・地下鉄労働者を先頭に、各地の都市交通、空港、病院、学校、保育園、清掃部門などの労働者が「警告スト」に繰り返し突入。都市機能がストップする事態となった。4月下旬にはさらに、郵便労働者13万人が全面的な物ダメストに突入する。これらの闘いは、統一サービス労組本部との激突を貫きつつ、山猫ストも含めて進められている。
イギリスでは、PCS(国家公務員と民営化された公共企業の労働者、約35万人)が波状的なストを続けてきたが、ドイツと同様、今やゼネスト情勢を迎えている。決定的な突破口を開いたのはNUT(全英教職員組合)だ。NUTは大幅賃上げを要求し、サッチャー政権下で解体攻撃にさらされて以来21年ぶりの全国ストに突入した。
フランスでは、青年労働者の使い捨てをもくろむ新規雇用契約を撤回させた06年の闘いを引き継ぎ、サルコジ政権の新自由主義攻撃との闘いが激化している。昨秋の公務員・公共企業労働者の大規模ストに続き、この4月、高校生を先頭に4万人がサルコジ「教育改革」反対のデモに立ち上がった。
「生きさせろ」の闘い
韓国でも、労働争議の圧殺を最大課題として登場したイミョンバク(李明博)新政権との一大激突が始まっている。3月11日には、コスコム非正規労働者の座り込みを大量の警官隊が襲撃し、殴るけるの暴行を加えて強制排除した。19日には政府が「不法集団行動の根絶」を掲げた。民主労総へのこの宣戦布告に対し、ソウル地域本部を始めとする闘う労働者はこれを、労働者の団結に対する敵の恐怖の現れとして真っ向から対決して闘いぬいている。
さらに、欧州各地で、中東で、全世界で、数え切れないほどの大規模なスト、デモ、食糧暴動が次々と発生している。ロシアでは鉱山労働者が、ルーマニアでは自動車工場の労働者が無期限ストに入った。スイスの鉄道労働者はストで民営化を阻止。エジプトでは警察によるスト圧殺の工場占拠と対決して労働者数千人が市街戦に決起。バングラデシュでは女性労働者2万人が食料品価格高騰に抗議して街頭にくりだし、警官隊と衝突した。ハイチでは流血の食糧暴動が全土に拡大した。
そしてついに、中国でもスターリン主義政権への歴史的な大反乱が始まった。010チベット人民の決起は、中国スターリン主義の民族抑圧に対する怒りの爆発にとどまらず、中国の労働者と農民のスターリン主義体制打倒へ向けた全土にわたる革命的決起の弁を開くものだ。13億中国人民の本格的大決起と国際プロレタリアートの闘いとの結合は、世界革命の現実性を一挙にたぐりよせるものになる。
階級闘争の新時代へ
そして最も重要なことは、これら全世界の労働者階級の闘いの先頭に、その牽引(けんいん)車として、11月労働者集会に結集する日韓米の闘う労働者・労働組合が立っているということだ。とりわけ3・16イラク反戦5周年全世界一斉デモの爆発は、職場と街頭を結びつける青年労働者の闘いをとおして、「革命をめざす労働運動」を時代の前面に公然と登場させた。国際階級闘争の勝利の新時代がここに決定的に切り開かれたのだ。
闘いはいよいよこれからだ。7月サミットに向かって、帝国主義の危機はさらに進行する。サミット厳戒体制を打ち破り、3・16で切り開いた闘いの地平をさらに強力に発展させよう。革命を正面から掲げて闘う労働運動が、今こそ最前線に躍り出よう。世界の労働者とひとつになって闘おう!
【左】1月23日からストに入ったアリアンツ生命労組(ソウル)【右】住宅差し押さえに対する実力闘争(1月23日 米ボストン)
U 新自由主義の完全な破産と世界金融大恐慌への突入
資本主義・帝国主義の体制崩壊の危機はあらゆる予測をこえて進行している。われわれの眼前に広がっている、この革命的情勢の広さと深さをはっきりさせよう。
危機が底無しに拡大
アメリカ経済の住宅バブルの崩壊とサブプライムローンの破綻は、帝国主義世界経済をついに、1929年の大恐慌をも超える新たな世界金融大恐慌へと引きずり込んでいる。
米欧日の金融機関の損失は昨年夏のサブプライム危機発生以来、拡大に次ぐ拡大を続けている。IMF(国際通貨基金)は4月に入って、世界の金融機関の損失総額が最大で9450億j(約95兆円)に達すると発表した。それすら現時点での予測にすぎず、この先どこまで膨張するか分からない。
決定的なのは、3月中旬に起きた米の大手証券会社ベアー・スターンズの経営破綻だ。財務面では問題のない十分な資本金をもっていたにもかかわらず、急激な信用収縮により資金繰りが一気に行きづまり、わずか3日で手元資金が底をつく事態に陥った。FRB(米連邦準備制度理事会)が異例の介入をして連鎖倒産の発生を食い止めたが、米金融恐慌が完全に本格化した。
欧州や日本の金融機関も、米の住宅ローン担保証券などを大量に購入し、米のバブルに依拠して巨額の利益を上げてきた。それがすべて逆転し、恐慌対策に各国が必死となっている。日欧からの大量の資金流入が米の巨額の経常赤字を補てんしていた関係が崩壊し、ドルの大暴落が現実化している。
さらに今や、信用収縮に続いて実体経済の収縮が始まっている。米の住宅バブルの崩壊は、その極限的なバブルの上に成り立ってきた世界経済の全体を失速させ、株価の下落が世界的に止まらない状態だ。米経済のバブルと一体で進行してきた中国経済のバブルも実際には崩壊寸前である。
ドルの大暴落と中国経済の破綻は、世界経済崩壊の最後の引き金となる。帝国主義世界経済におけるドルの基軸通貨としての機能の喪失は、米帝の戦後世界支配の崩壊だ。だが米帝にとって代われる帝国主義など存在しない。世界経済は分裂し、収縮し、奈落の底まで落ち込んでいく以外ない。
この情勢下で、これまでをはるかに超える大量首切りの嵐が労働者階級の頭上に襲いかかってきている。アメリカでは金融・自動車・航空・流通・ハイテク部門などの全産業で、昨年を上回るリストラ計画が次々と発表されている。大恐慌下で独占資本が生き残りをかけた巨大合併に走っていることがこれを促進している。1930年代のような、膨大な労働者が職を失い、住宅からも追い出され、路上やテント村での生活を強いられる光景がすでに全米いたるところに現出しているのだ。
インフレと食糧危機
そして決定的に重大なことは、全世界で原油や食糧価格が高騰し、インフレが急速に爆発し始めていることだ。
各国が恐慌対策として行った市場への巨額の資金供給は、信用収縮をおしとどめるのではなく、投機マネーとなって原油・穀物など商品市場に流入し暴走を始めている。原油価格は1バーレル=100jをはるかに突破し、いまや120jに迫っている。石炭価格は昨年の2・3倍、鉄鉱石は3倍に引き上げられた。小麦やコメなど主要穀物の価格はこの半年で1・5〜2倍に高騰し、さらに上昇する勢いだ。
これらは全産業に巨大な影響を与えると同時に、何よりも労働者人民の生活を恐るべき勢いで直撃するものとなりつつある。とりわけ深刻なのは食糧危機だ。一方で大失業・リストラの嵐がますます吹き荒れ、賃金が大幅に切り下げられていっている中で、労働者家族のいのちをつなぐ食糧が2倍、3倍に値上がりしていったらどうなるのか! すでにアフリカ・中東・中南米やアジア諸国を中心に、世界各地で大量の人民が飢餓状態にたたき込まれ、怒りの暴動的決起が続発している。
この穀物価格の高騰は、農民には一切還元されない。すべて資本の野放図な投機とバイオ燃料戦略などによるもので、逆に農業と農村をも破壊する。世界の帝国主義ブルジョアジーが、ハイパーインフレによる全世界の人民からのすさまじい大衆収奪によって生き延びようとするところに、その正体がある。
最末期の帝国主義が、貧しい労働者に詐欺同然の手口で高利の住宅ローンをおしつけ、暴利をむさぼってきた上に、それが破綻(はたん)するや今度は食糧という、人民の生命と生活を成り立たせている土台を食い物にしている。本当におぞましい限りだ。腐敗の極にある帝国主義を、一刻も早く打倒しなければならない。
帝国主義の死の苦悶
重要なことは、今日の世界金融大恐慌への突入は、第2次大戦後の帝国主義が過去に何度か直面した危機とはその性格がまったく異なることである。
戦後の帝国主義は、1974〜75年恐慌の爆発でその戦後発展の実質的な終末を迎えた。世界的な過剰資本・過剰生産力状態に突入した帝国主義は、その矛盾をバブル経済を何度も繰り返すことで必死にのりきり、危機を拡大させながら延命してきた。ソ連崩壊後の旧スターリン主義圏や中国経済の世界市場への組み込みもそれを促進した。しかしこのバブルに次ぐバブルはその過程で膨大な矛盾をつくり出し、とりわけ「金融帝国」と化した米帝の主導のもとで、金融を実体経済とはかけ離れた巨大な化け物のような存在に仕立て上げてきた。
全世界をまきこみ、もはやブルジョアジー自身もコントロール不能なものに成長したこの末期的なバブルが、ついにその中心部で破裂した。これは世界の金融資本を土台から存立の危機にたたき込んでいる。もはやどんな逃げ道も、のりきり策もない。
その根底には、帝国主義の最後の延命策としてあった、新自由主義そのものの破産がある。
新自由主義とは何か。その核心は、労働者階級に対するむきだしの階級戦争にある。74〜75年恐慌でいったん体制崩壊の危機に直面した帝国主義は、そこからの脱出のために戦後の国家独占資本主義的政策を大転換し、規制緩和・民営化の大攻撃にうって出た。帝国主義がそれまで労働者階級の反乱を防ぐために支配の安定装置としてきたはずの戦後的諸制度を、自ら全面的に解体し、資本に無制限の搾取の自由を与える体制へと転換したのである。
1980年代の米帝・レーガン、英帝・サッチャー、日帝・中曽根政権のもとで本格的に始まったこの攻撃は、労働組合の破壊と労働運動の圧殺によって広範な労働者の極端な低賃金化・非正規職化・無権利化を生み出した。この労働者階級への徹底した強搾取と貧困の強制が資本にもたらした利益はばく大である。他方で新自由主義は、金融独占資本に対しては、もうけるためには何をやってもよいという自由を与え、経済の投機化・バブル化を果てしなく推し進めるものとなっていった。その結果がサブプライムローンを生み、今日の世界金融大恐慌をたぐり寄せたのだ。
今や帝国主義は、恐慌対策と称して新自由主義攻撃をこれまで以上に満展開し、一切の矛盾と犠牲を労働者階級に押しつける以外ない。そして帝国主義同士が世界の資源・市場・勢力圏の支配をめぐって激突し、争い、究極的には新たな世界戦争に絶望的に突き進んでいく以外ない。
だがこんな攻撃がやすやすと通ると思ったら大間違いだ。80年代以来の新自由主義攻撃のもとで蓄積された労働者階級の怒りは、今や全世界で体制内指導部をぶっとばして大爆発していく情勢に突入しつつある。内への階級戦争と外への侵略戦争は一体であり、すべて資本家階級の利益を守るためにほかならない。世界の労働者が「単一の階級」として今こそひとつに団結し、本当にひとつの軍勢となって、プロレタリア世界革命へ向け進撃する時代がやってきたのである。
世界再分割戦に突入
1929年を上回る世界大恐慌の爆発は同時に世界経済の分裂化・ブロック化への突入である。それは第一に、世界各地での資源の争奪戦としてすでに激しく進行している。第二にFTA(自由貿易協定)締結をテコとした、世界の大国による市場の囲い込みと勢力圏化の攻撃として激化している。第三に、この資源・市場の争奪戦は不可避に、帝国主義による侵略戦争の拡大と結びついて進行する。
第四に、それは帝国主義同士の激しいつぶし合いを伴う。そこに旧スターリン主義国のロシアや、残存スターリン主義の大国である中国をもまきこんで、各国の生き残りをかけた文字どおりの死闘が繰り広げられることになる。結局は世界の再分割をかけた新たな帝国主義戦争、世界戦争に行き着く以外ない。軍事力が他の何よりもモノを言う時代に突入するのだ。米帝を始め各国はすでにそれを想定し、大軍拡へと走り出している。イラク戦争のイランへの拡大や北朝鮮・中国への侵略戦争策動も、この脈絡の中にある。
7月サミットは、その歴史的な転換点になるだろう。そして帝国主義のこれらの動きの一切が、労働者階級への階級戦争を最大の軸におき、それと一体で進行するのだ。
イラク情勢の重大化
とりわけイラク情勢は重大である。
米帝はイラク・中東の石油資源の強奪と再支配のためにイラク侵略戦争に突入した。だが今日、イラク人民の不屈の民族解放闘争の継続によって、米軍のイラク占領はそれ自身が米帝にとって新たな危機を生み出している。米帝は弱体なマリキかいらい政権を支えるためにシーア派を利用し、クルド人を利用し、ついには一部のスンニ派部族に武器を与えて利用してきたが、それらはイラクの内戦を激化し、一切の元凶である米軍への怒りと憎しみをますますかき立てている。
さらにイラク侵略戦争の泥沼化は、米帝の国内支配の危機にはね返り、アメリカ労働者階級の階級的目覚めと即時撤兵を求める怒りの決起を呼び起こしている。増大するイラク戦費の重圧は米の国家財政を直撃している。それでも米帝はイラクから絶対に撤退できない。引き揚げればイラクだけでなく米帝の中東支配全体が崩壊する。
世界経済における米帝の基軸国としての地位が今、グラグラに揺れている中で、米帝はその世界最強の軍事力にとことんしがみつき、侵略戦争の絶望的激化・拡大にひたすらのめり込んでいくしかない。これが帝国主義間の石油強奪戦、世界再分割戦に一層火をつける。他方で闘うイラク人民を始めとする全世界の労働者階級人民の帝国主義打倒の怒りの決起を促進する。まさに「戦争と革命の時代」の到来だ。
日帝は「最弱の環」だ
この中で、最も深刻な危機に追いつめられているのがほかならぬ日本帝国主義である。
そもそも日帝経済は、90年代の長期不況、97〜98年恐慌を根本的にはまったく脱却できていない。この間一時的に経済が上向くように見えたのは、90年代半ばからの非正規職化・低賃金化による労働者階級への極限的な搾取強化と、米・中経済のバブルに乗じた輸出の拡大によるものでしかない。逆に1000兆円もの天文学的な財政赤字は、国家破産の現実そのものだ。米のバブル崩壊と世界金融大恐慌への突入は、この日帝を一気に奈落の底にたたきこむ。
しかも日帝は、帝国主義間の争闘戦が激化し、世界経済のブロック化が進み、世界が新たな戦争の時代へと急速に突入する中で、これに対応する戦争体制と帝国主義的・強権的な国内支配の体制をいまだに確立できていない。憲法9条の戦争放棄条項の公然たる撤廃を掲げながら、そこにまっしぐらに突き進むこともできず、逆に改憲攻撃それ自身が政治支配の重大な危機をつくり出している。日帝・福田政権はもはや、統治能力の喪失をさらけ出すに至っている。
だが日帝には、そうであればあるほど、80年代国鉄分割・民営化以来の新自由主義攻撃をますます貫き、戦争・改憲と民営化・労組破壊の道を突き進む以外にどんな道もないのだ。福田政権が6月に閣議決定しようとしている「骨太方針08」は、日本経団連・御手洗の掲げる「生産性向上」をスローガンに、労働者階級への一層の搾取と収奪に突っ走ろうとしている。
これこそ決定的なチャンスである。すでにこの間の「構造改革」攻撃が労働者階級にワーキングプア化を強制する中で、最も矛盾をしわ寄せされる2000万青年労働者と学生の中から「生きさせろ!」の叫びがふつふつと沸き起こっている。この叫びは「こんな資本主義はぶっ倒せ!」という怒りの決起に必ずなる。現にその闘いは3・16で本格的に始まっている。
さらに、自治体丸ごとの民営化、社会保障制度の全面解体、首切り・リストラ、大増税と物価高騰、そして労働者階級と農民の犠牲の上に推し進められる戦争政策への怒りは、これからますます全社会に広がっていく。まさに革命情勢だ。これへの恐怖が日帝ブルジョアジーをしめつけている。
ここにおいて日帝は、動労千葉を先頭とする階級的労働運動の前進を阻むこと、「動労千葉派」の闘いを押しつぶすことにあらためて現体制の存亡をかける決断をして臨んでいる。4大産別がその焦点だ。ここでの攻防が一切を決する情勢に突入した。
【左】ドイツでは鉄道職員労組や郵便、空港、病院など公務員労働者が大規模なストを波状的に闘っている(3月4日)
【右】イギリスの教育労働者は4月24日、24時間の全国ストを21年ぶりに敢行。4万人が参加し3割以上の学校が閉鎖に
V 階級的労働運動の大前進で職場を団結の砦に変えよう
3・16イラク反戦5周年闘争を頂点とする本年1〜3月の闘い、それを引き継ぐ4月の闘いは、階級的労働運動路線の白熱的実践として決定的な前進を切り開いた。あらゆる体制内的な思想や運動と決別し、「労働運動の力で革命をやろう!」と真っ向から提起して闘う青年労働者の隊列が、職場と街頭で公然と登場したのである。これと一体でかちとられた動労千葉の春闘24時間ストは、「闘う春闘」をよみがえらせる先頭に立つものとなった。さらに、闘う教育労働者の「君が代」不起立の絶対非和解の決起は、その団結の力で根津公子さんの解雇を実力阻止するという偉大な勝利を実現した。
今や労働運動の内部で、体制内的なものと革命的なものとの鋭い分岐が生み出され、階級闘争全体の大流動化が始まっている。既成の体制内指導部は反動化と変質をますます深め、資本・当局と完全に一体化して、闘う労働者を圧殺する側に回った。これに対して青年労働者を先頭に、体制内指導部と激突して職場に労働者の団結を奪い返し、労働組合を再生していく闘いが全国各地で実際に始まったのである。
職場に本物の団結を
その最大の核心は、労働者が本来もっている階級的自己解放の力を全面的に解き放って闘うことにある。そのことは資本によるあらゆる分断を徹底的に打ち破り、職場に本物の階級的団結を形成して闘う中で可能になる。
資本家階級とその手先である連合中央の労働貴族は、現に自分の前にいる労働者の中に世界を変える力があるなどとは思っていない。この点では日本共産党=スターリン主義者も、社会民主主義者も、さらに塩川一派などの血債主義者も実はまったく同じだ。しかしこれは根本的な誤りだ。社会の真の主人公は労働者だ。労働者階級はその自覚と誇りに目覚め、団結して闘うことを知ったとき、賃金奴隷の鎖を自らの手で引きちぎり、全社会を変革する力を急速に獲得していくのだ。
賃労働と資本は絶対非和解である以上、労働者はどんな困難な状況に置かれていても必ず資本との闘いに立ち上がる。労働者が闘えないでいるとすれば、それは労働者に闘う力がないからではなく、団結が奪われ、破壊しつくされているからだ。
現に今、資本の支配とそれに屈服した体制内指導部のもとで労働者は徹底的に分断されている。正規と非正規の分断を始め、同じ職場の中でも雇用形態の別や性別・出身・国籍等々、あらゆる口実を設けて無数の差別分断支配がまかりとおっている。しかしそこにおいて、資本との非和解的闘いが実際に開始されていった時、すべての分断はぶち破られ、労働者階級として一つに団結していくことが可能になる。
この階級的団結の形成は同時に、資本主義社会=階級社会のもとで破壊され奪われてきた人間的共同性の全面的な奪還である。そこでは一人ひとりの労働者の中に個々人の能力をも超えたまったく新しい巨大な力が呼び起こされてくる。労働者階級のこの団結した力こそが階級社会を転覆し、差別も抑圧もない社会を本当につくりだしていくことのできる原動力なのだ。ここにプロレタリア革命とプロレタリア独裁の核心がある。
労働者階級への信頼とは、この力をとことん信頼することだ。塩川一派はこれを拒否し、否定したことによって今日、完全な反マルクス主義に転落し変質したのである。
資本との非和解貫け
階級的団結は、資本・権力との絶対非和解の対決を貫く中で形成される。一切は、職場生産点を資本家と労働者のどちらが支配していくのかをめぐる激突から始まる。ここでの非和解的・内乱的激突とそれをとおした労働者階級の団結の拡大こそが決定的なのだ。この団結の究極的拡大が革命だ。
ストライキがなぜ重要か。労働者のストライキの意義は、ストをやってどれだけの成果をかちとったかという点にあるのではない。そのストライキをとおして労働者の団結が飛躍的に強化され、拡大される点にある。なぜならストライキは、この職場は誰が動かしているのかということ、職場の主役は資本家ではなく労働者であることを、敵階級の眼前に突きつける闘いだ。労働者は虫けらではない、誇り高い人間でありこの社会の真の主人公だということを、実力をもって全ブルジョア社会に知らしめる闘いだからである。
体制内労働運動は、単に闘わないからダメなのではない。たとえストをやったとしても、ストは要求を通すための単なる圧力手段でしかなく、労働者を自己解放の主体ではなく救済の対象としか見ていないからだ。これに対して動労千葉は、闘っても1円もとれないストライキを、労働組合の団結を守りぬくことを最大の目的に闘い続け、そのことによって20年にわたる国鉄分割・民営化との闘いに唯一勝利してきた。それは労働者の自己解放性を信頼し、そこに徹底して依拠して闘ってきたからだ。
1人の決起が決定的
したがって、この団結は資本・権力との直接対決だけでなく、ブルジョア社会が流すあらゆる反動的価値観との徹底対決とその粉砕を日々闘いとっていく中でこそかちとられる。それは資本の支配を日々打ち破る闘いであり、そのことをとおして、労働者階級が資本主義社会を転覆し新たな社会を形成する力を日々自らの内に育て上げていく闘いだ。資本の命令には従わない職場の団結をつくり出すこと。そして団結した労働者が職場を支配することそのものが革命であり、プロレタリア独裁樹立への闘いなのである。
プロレタリア革命の勝利は、こうした職場を全国いたるところに、とりわけ4大産別と基幹産業の中に無数につくりだし、労働者階級が社会的生産を掌握しつくす中でこそ切り開かれる。
何よりも、資本とどこまでも絶対非和解で闘いぬく労働者を職場に1人、つくり出すことだ。自分自身がその1人になることだ。この1人が2人になり、5人、10人になっていく時、職場の中に事実上の二重権力状態が生み出される。3・16闘争は、そうした闘いの上にかちとられた。この闘いの継続こそが世界革命につながるのだ。
生きたマルクス主義
こうした闘いは、マルクス主義の実践そのものである。階級的労働運動とは、労働者自己解放の思想であるマルクス主義を、労働者階級の現実の闘いに貫き通す運動だ。動労千葉労働運動の中には、まさに生きたマルクス主義が体現されている。
国鉄分割・民営化攻撃=新自由主義攻撃に真っ向からストライキで闘いを挑み、しかもつぶされることなく団結を守りぬいて生き残ってきた組合は、世界に唯一、動労千葉しかない。それを可能にしたのは、労働組合運動を目先の利益ではなく労働者階級の根底的解放=革命を闘いとる立場から位置づけ、団結を一切の総括軸にして闘ってきたからだ。
「資本がつねに言う『会社あっての労働者だ』という言い方に対して、『じゃあ労働者を食わしていけないようなやつはやめりゃいいんだ』『俺たちがやってやる』、そういう気概を持たない限り、労働組合運動も成り立たない」(中野洋著『甦(よみがえ)る労働組合』)
労働者は日々生きるために闘うだけでなく、賃金奴隷制からの解放を求めて自ら立ち上がることができ、そのためにどんな困難をもはねのけて団結できる。この確信に立ち切って闘ったからこそ動労千葉は、新自由主義攻撃に絶対反対を貫き、勝利してきたのだ。逆にここで絶対反対を貫いて闘えなかった者はすべて、屈服と敗北への道を突き進んだのだ。
「動労千葉のように闘えば世界を変えられる」――このことを今こそ全労働者に訴え、闘う労働者を圧倒的に動労千葉派に獲得しよう。全国・全産別で、自らの職場を革命の根拠地に変えて闘おう。
【左】教職員ポストが次々と削減されているフランスで、高校生を先頭に4万人が教育改革反対のデモ(4月10日)
【右】イラクの石油労働者は、米帝の侵略・虐殺と石油資源強奪に抗議、くり返しストに決起している(06年のスト)
W プロレタリア革命の展望は4大産別決戦の勝利にある
階級的労働運動の実践が死活をかけて問われているのは、国鉄・教労・全逓・自治体の4大産別の労働運動である。5〜6月の闘いで、ここでの地殻変動的情勢をこじあけよう。
階級的団結論の実践
革命的情勢が急接近する情勢において何よりも問題となるのは、闘う主体の側における革命への強烈な意志と、そのもとでの団結の形成である。この「革命への意志と団結」が不屈に発揮されるならば、革命的情勢は現実の革命に向かってぐいぐいと引き寄せられる。4大産別こそ、プロレタリア革命をかちとる階級的労働運動路線の真価を最も発揮すべき、階級決戦の最大の戦場である。
だからこそ日帝ブルジョアジーは、4大産別の壊滅、とりわけその階級的団結の解体に総力をあげている。新自由主義攻撃は、その破綻がどんなに深まっても、執拗(しつよう)な民営化・労組破壊攻撃を4大産別に集中している。4大産別の労働運動が、国家権力機構の内在的一角に労働者の団結を形成するものとして、依然として全国津々浦々に存在している以上、そこに革命への恐怖を見いだすからだ。実際に4大産別こそ、プロレタリア独裁樹立の母体となる位置にあるのだ。
帝国主義が最末期の危機であればあるほど、4大産別決戦はプロレタリア革命戦略にとって死活的であり、その革命論的意義は巨大になっていく。
まさに今日の階級攻防は、4大産別の階級的団結をめぐる攻防を最大の激突点としている。しかもそこには体制内労働運動が強固に存在し、革命への最後の防波堤としての役割を果たそうとしている。いやむしろ4大産別の存在そのものが丸ごと体制内労働運動であると言ってもいい。この中に、体制内的な思想と運動を根底から食い破る、革命の意志をもった不抜の階級的団結をつくり出すことが一大決戦となっているのだ。その成否をもって、革命の展望そのものが押し開かれると言っていい。
今日、政権末期の危機にあえぐ福田政権と日帝支配階級は、統治能力の喪失に七転八倒しながら、それゆえにこそ4大産別の労働運動圧殺にますます自らの死活をかけている。この貫徹ぬきに、小泉以来の「構造改革」攻撃のさらなる継続も、恐慌対策も、9条改憲も、何ひとつ進みはしない。小沢・民主党も、その本質は自民党と同じ穴のむじなだ。実際には自民党以上の新自由主義攻撃推進派でさえある。
この4大産別をめぐる決戦においてこそ、階級的団結論が圧倒的に打ち立てられなければならない。そもそも新自由主義攻撃は、労働者階級のあらゆる団結形態を徹底的に破壊し分断する攻撃だ。非正規職化の攻撃も、ここに最も重要な核心がある。民営化はこの攻撃をきわめて大規模に、強力に、職場丸ごと推し進める大攻撃だ。だが、そこに絶対反対で不屈に非和解に闘う労働者が存在するなら、敵の攻撃は逆に、職場に労働者の団結を新たに形成する決定的なチャンスに転化する。
3・9―3・16弾圧を打ち破った青年労働者の闘いは、まさにその典型を示した。権力の不当逮捕は、労働者の中から新たな革命家を続々と生み出す契機となった。この間の法政大闘争での度重なる学生への弾圧も同じだ。闘う団結の拡大こそが日帝権力を追いつめ、大敗北にたたき込んでいる。
4大産別における階級的団結論の実践とは、このような闘いを4大産別の中に圧倒的につくり出すことである。何よりも4大産別の青年労働者を獲得していく闘いである。ここに一切があると言っても過言ではない。そしてこの青年労働者から、続々と階級の指導部を形成していくことである。今や、4大産別の全路線、運動、組織上の全政策に、青年労働者の獲得の一点が貫かれなければならない。
JR本体での決起を
国鉄戦線は、その最大の主戦場である。
JRの第二の分割・民営化攻撃は、87年以来の国鉄分割・民営化の大破綻の上に、それと重なり合うようにして進行している。尼崎事故を始め、労働者の生命を奪う安全問題の爆発。日々すさまじい労働強化を生み出す要員問題の破綻。そしてJR総連解体による労働者支配の新たな大転換という危機と矛盾が、平成採の青年労働者を中心に襲いかかっている。しかし、この一切を職場生産点の階級的団結に転じ、青年労働者の獲得を推し進め、国鉄労働運動の圧倒的展望を押し開いているのが、動労千葉の存在と闘いである。
1047名闘争の勝利は、この動労千葉のようなJR本体の職場闘争と一体化することによってのみ、洋々と切り開かれるのだ。それは限りなく、平成採の青年労働者とともにかちとる闘いとしてある。国労5・27臨大闘争弾圧裁判を、階級裁判として、まさに分割・民営化攻撃を過去・現在・未来にわたって徹底的に弾劾し、平成採労働者と団結する闘いとしてやりぬこう。
不起立の団結拡大へ
教労戦線では、教育労働運動が、全労働者の階級的団結を打ち固める闘いとして大きく発展しようとしている。根津さんの解雇を粉砕した闘いは、教育労働者への団結破壊攻撃を打ち破ったことにその決定的な勝利の地平がある。新採用世代を始めとして、生き地獄さながらの学校現場を根底から団結の力でつくり変える闘いが勝利的に始まったのである。北海道教組のストと一大処分粉砕闘争の開始も重要だ。
教育をめぐる新自由主義攻撃はこれからますます激化する。教育労働者の手に職場の団結を取り戻す闘いを、不起立闘争を始めとするあらゆる創造的闘いをとおしてかちとっていこう。闘う日教組の奪還へ、職場権力をもぎとる無数の闘いを開始しよう。
郵政民営化に反撃を
全逓戦線では、郵政民営化絶対反対をいよいよ高々と掲げて、職場からの総反撃の炎を拡大して闘う時が来た。
郵政民営化の破綻は、泥沼的に深まり拡大している。職場の怒りは充満している。JP労組の体制内的裏切りは破天荒なものである。しかし闘って団結しなければ、破綻は破綻とならず、怒りは怒りとして爆発せず、裏切りを裏切りとして暴くことはできない。
まさに闘う団結こそが職場の分断と絶望を一挙に食いちぎり、職場をあっという間にぬりかえるのだ。
超勤拒否は、まさに一点の花火が燎原(りょうげん)の火のごとく拡大していく闘いなのだ。それは正規・非正規の分断を打ち破り、青年労働者を先頭に階級の指導部を職場からつくり出す。「労働者に権力をよこせ」という革命への希求を、職場の日常的要求としてかちとる闘いとなる。
東京中郵廃局(移転)阻止の闘いは、こうした「階級的団結」の闘いへの限りない確信をかちとっている。
自治体は最大の戦場
自治体戦線の闘いは、新自由主義攻撃との激突の最前線として、4大産別の先頭に躍り出なければならない。
道州制導入攻撃のもとでの自治体の丸ごとの民営化は、全国にまたがる自治体労働者を分断し、その団結を解体して国家の官吏として動員し、戦争国家への改造に直結する大攻撃である。公務員制度改革のもとでの人事評価制度の導入は、賃金をめぐる職場の差別・分断を強化し、民営化による非正規雇用を促進し、「官製ワーキングプア」をつくり出し、公務員労働者200万人首切りを推進する攻撃である。民営化絶対反対こそ、自治体労働者の階級的団結をかちとる柱だ。それはまた、自治体に圧倒的に存在する青年労働者を膨大に獲得する闘いである。
何よりも自治体労働者の階級的団結は、そのままプロレタリア革命とプロレタリア独裁国家樹立の実体として発展していくのである。
医療産別と合同労組
4大産別決戦と完全に一体で、医療・福祉産別と合同労組の闘いが重要である。
医療・福祉産別は、4大産別と並んで全国津々浦々に存在し、プロレタリア独裁の拠点となる位置をもっている。医療・福祉労働者は、聖職論や奉仕論をのりこえ、資本や体制内労働運動と非和解的に対決して闘おう。
合同・一般労組はけっして特殊な産別ではなく、動労千葉型のマルクス主義を実践する労働運動として、階級的団結論を総括軸に原則的に闘いぬこう。そのことが2000万青年労働者の獲得を押し開くことは間違いない。
【左】年間6000人が事故死している中国の炭坑で、労働者のストが続発。写真は警察と激突した湖南省の炭坑(07年8月)
【右】エジプトでは食料品高騰と賃上げ要求ストに決起した2万5000人の労働者が街頭で警官隊と衝突(4月6日 マハラ)
ホンジュラスで労働組合を先頭に食糧価格暴騰に抗議し、道路封鎖の実力闘争(4月17日 首都テグシガルパ)
X 労働者階級の国際的団結で7月洞爺湖サミット粉砕へ
米欧日の国際帝国主義は、年1回の首脳会議=サミットを今年は日本で開催する。7月7日〜9日、北海道の洞爺湖で開かれるサミットは、アメリカ・イギリス・日本・ドイツ・フランス・イタリア・カナダの各国にロシアを加えた「G8」と呼ばれる世界の大国が、世界支配の権益を争い、分け合うための帝国主義強盗の会議だ。これを粉砕することは、帝国主義打倒への突破口だ。プロレタリア世界革命の現実性を示す国際連帯の闘いだ。
サミット粉砕の闘いの核心は、帝国主義者が最も恐れていることをやることだ。すなわち、労働者階級が「死ぬべきは帝国主義だ。労働者に権力をよこせ」と叫んで全職場で資本との絶対非和解の闘いに決起し、その団結を拡大することだ。その中心に4大産別の労働者が立つことだ。この職場闘争を徹底的に闘うと同時に、街頭に進出し、闘う農民や帝国主義への怒りをもつあらゆる人民の力をも結集して、首都を揺るがす万余の大デモをぶちぬくことだ。闘う学生はその最先頭で全国学生ゼネストに総決起しよう!
全世界を貧困と戦争にたたきこんできた帝国主義(およびその補完物であるスターリン主義)が、この上さらに一切の矛盾を世界の労働者と農民に押しつけて生き延びようとあがくならば、これへの回答はただ一つしかない。帝国主義打倒! スターリン主義打倒! のプロレタリア世界革命を真っ向からたたきつけることだ。この革命に向けた労働者階級の国際的=階級的団結を圧倒的につくり出して闘おう。それが6〜7月サミット決戦だ。
帝国主義強盗の会議
今次サミットは間違いなく、帝国主義によるむきだしの世界再分割戦と、新たな世界戦争(第3次世界大戦)への攻撃を促進するものとなる。
サミットのテーマは、「恐慌対策」「地球環境問題」「食糧問題」「アフリカ問題」「治安問題」等々である。いまひとつの重要議題としてイラクを始めとした「戦争問題」がある。
第一にはっきりさせたいことは、これらはすべて資本主義・帝国主義が自ら生み出した矛盾であり、資本主義の枠内で「解決」することなど絶対にできないということだ。恐慌も食糧危機もアフリカの貧困問題も、その原因は帝国主義にあり、金もうけのためなら何でもするという資本の強欲で野放図な活動にある。それがもたらす一切の矛盾を労働者階級人民に押しつけ、社会が崩壊し人類が滅びるとしてもおかまいなし、とするのが資本主義・帝国主義の本質だ。
地球温暖化の原因とされる二酸化炭素の排出量は現在、全世界で年間約72億炭素d。森林や海洋の吸収可能量は約31億炭素d。自然の吸収量の2倍以上が排出されている。この恐るべき現実に対して帝国主義者は実際には何の関心も「解決策」ももってはいない。ブッシュはサミットを前に、「2025年までに米国の温室効果ガスの排出量の伸びをゼロにする」との「目標」を打ち出した。これは実際には、25年までの17年間は資本の経済活動を一切に優先させ、排出量も増やし続けるという宣言である。
日帝やEUが掲げる政策も、原子力発電の拡大や、「排出量取引」を商品化して新たな金もうけの手段にするものでしかない。プロレタリア世界革命によって資本主義・帝国主義を打倒する以外に地球温暖化問題の根本的な解決はありえない。
第二に、サミットで実際に行われることは、帝国主義による資源と市場の奪い合いだ。「アフリカ開発」とはアフリカの石油や鉱物資源の争奪戦だ。食糧問題も、その本質は世界の穀物を誰が支配するかという問題だ。各国の金融資本が農産物市場を支配する巨大アグリビジネスなどと一体となって、コメや小麦やトウモロコシを先を争って大量に買い占め、それらを帝国主義間争闘戦の戦略物資に変えていることこそが価格騰貴の原因である。
彼らがやっていることは、農民からは徹底的に安く買いたたき、小農民をつぶしてその土地を奪い、他方で労働者階級を中心とする消費者には独占価格による高い食糧を押しつけるというものだ。また飢餓地域への「援助」と称して食糧を買収の手段に使い、帝国主義による勢力圏化を推し進めるものだ。つまり労働者と農民の犠牲の上に資本が新たなボロもうけをする仕組みである。食糧問題とは農業問題であり、資本主義はここでの矛盾をけっして解決することができない。この点でも、もはや革命以外にない。
イラク人民との連帯
サミットは第三に、帝国主義による侵略戦争の一層の激化・拡大への扉を開くものだ。
イラク駐留米軍のペトレイアス司令官は4月8日、米軍の撤退を中断し、約13万人規模の兵力をイラクに長期に維持し続けるよう提言した。ブッシュはこの提案を入れ、さらに戦争のイランへの拡大を狙い、アフガニスタンでの敗勢をも立て直そうと躍起になっている。民主党が政権を握っても、米帝が帝国主義である限りブッシュと同じ道を行くしかない。現にクリントンは、イランがイスラエルを攻撃すればイランに対して「大規模報復攻撃を行う」と発言した(4月16日)。
洞爺湖サミットが、イラク・イラン・アフガニスタンへの侵略戦争推進をめぐる帝国主義強盗どもの協議の場となることは明白だ。サミット粉砕はイラク反戦闘争そのものでもある。さらに北朝鮮や中国スターリン主義の体制的危機の深まりを受け、米日帝による東アジアでの新たな侵略戦争への策動も強まっている。
今、全世界で高まっている労働者階級のストライキは、資本の強搾取に対する反撃であると同時に、帝国主義の行う侵略戦争を実力阻止する闘いだ。イラクでも、米軍を絶望的な袋小路に追いつめている民族解放・革命戦争の発展を根底で支えているのは、実はイラクの石油労働者の闘いだ。帝国主義国のプロレタリアートと被抑圧民族のプロレタリアートが、帝国主義打倒のプロレタリア世界革命の同志となってともに総決起する時、その団結の力こそが戦争を止める。そして帝国主義を実際にぶっ倒すことを可能にする。
米帝を始めとした国際帝国主義がイラク侵略戦争の泥沼にますますのめり込んでいることは、逆に世界革命への情勢の巨大な成熟だ。この戦争を帝国主義打倒の国際的内乱に転化して闘おう。何よりもまず帝国主義国のプロレタリアートが本気で決起し、自国帝国主義を打倒し、プロレタリア独裁を実現する闘いをやりぬこう。そしてイラクの労働者階級に呼びかけ、帝国主義に対するイラク人民の民族解放・革命戦争を、プロレタリア世界革命の一環として勝利させるためにともに闘いぬくことを訴えよう。
4月20日に京都で開かれた「第17回入管法・外登法と民族差別を撃つ関西研究交流集会」は、韓国民主労総のソウル本部長と動労千葉の委員長が参加する中、民族・国籍・国境を越えた労働者階級の団結を呼びかけ、国際連帯の新たな地平を開いた。この道を断固として突き進もう。
沖縄と三里塚の闘い
沖縄闘争と三里塚闘争の発展は、帝国主義戦争を内乱に転化し、革命に勝利する闘いの重要な柱だ。5・15沖縄闘争(5月18日沖縄県民大会)、6・8三里塚現地闘争をサミット粉砕決戦の一環として闘おう。
沖縄では、昨年の9・29県民大会12万人決起に対する政府・自民党と仲井真知事の必死の巻き返し策動をはね返し、青年労働者の3・16闘争と3・23県民大会が沖縄闘争の新たな激動をたぐり寄せる闘いとしてかちとられた。
沖縄に基地を強制して侵略戦争の出撃拠点とし、「戦場の島」の現実を日々押しつけているのは日米の帝国主義ブルジョアジーだ。基地撤去と労働者階級の解放は完全に一体だ。沖縄と本土の労働者が分断を打破し、団結して立ち上がるならば日米安保体制は根底から吹っ飛ぶ。それは日帝打倒に直結し、米帝の世界支配を重大な危機にたたき込む。この意味で沖縄はまさに世界革命の火薬庫だ。
三里塚闘争は08年、市東孝雄さんの農地強奪攻撃との激突をめぐって最大の正念場を迎えている。三里塚は動労千葉の闘いと車の両輪を形成することによって発展してきた労農同盟の歴史的な拠点であり、反戦・反権力の闘いの砦だ。その42年の不屈の闘いは全世界にとどろいている。日帝はこの三里塚闘争圧殺を、4大産別の労働運動圧殺と並ぶ第一級の「国策」として、必死の反革命攻撃をしかけている。
これを真っ向から打ち破るかぎは、日帝打倒=プロレタリア革命勝利に向けた労農同盟の圧倒的な強化をつくり出して闘うことだ。資本・権力との非和解の激突を開始した大量の青年労働者・学生と反対同盟農民との結合をかちとり、階級的労働運動の発展と三里塚闘争の勝利をともに切り開こう。
さらにこの5〜6月、西郡住宅闘争や狭山闘争など革命的部落解放闘争の新たな前進、裁判員制度導入など司法改革攻撃粉砕の闘い、9条改憲阻止の闘いをますます発展させ、その一切をサミット決戦の爆発につなげよう。
全国学生ゼネストと首都大デモで闘おう
7月洞爺湖サミット粉砕の決戦は、労働者階級の国際的=階級的団結の力を全世界に示す闘いとなった。サミット粉砕の最大の戦場は首都東京だ。危機にあえぐ日帝・福田政権は必死の厳戒体制をしき、闘う学生や労働者の弾圧に躍起になっている。弾圧は労働者階級の総決起へのチャンスだ! 6〜7月、全国学生ゼネストと首都を揺るがす万余の大デモ、札幌現地闘争でサミット決戦の勝利を実力でもぎとり、今秋11月へ総進撃しよう。
その突破口を切り開くのが、6〜7月全国学生ゼネストに向けた学生戦線の闘いだ。学生は今や、その大半が卒業しても就職できず、競争と分断とワーキングプア化の攻撃に日々さらされている、労働者階級の一員そのものだ。全国300万学生が競争と分断を拒否し、団結してストライキに決起し、大学の支配権を握れば帝国主義の階級支配は崩壊する。
サミット厳戒体制の頂点として、法政大学では4月入学式以来、日帝権力、当局・ガードマンとの死闘が展開されている。アジテーション、ビラまき、クラス討論があらゆる反動を食い破って闘いぬかれ、その白熱的るつぼの中から革命的ストライキへと進撃している。全世界の労働者と連帯して、法政大を先頭にストライキに立とう。
Y 革命に敵対し団結破壊する血債主義―塩川一派打倒を
革命的情勢を現実の革命に転化するために求められているのは、党の大変革である。階級的団結の形成は、その中心に革命党の細胞的団結が座ることによってこそかちとられる。
この団結は、資本・権力・ブルジョア社会全体との全面的・根底的で非和解的な対決を貫く闘いをとおして初めて形成される。何よりも職場生産点で資本の労働者支配と徹底的に闘い、資本への屈服と妥協の上に成り立つ体制内労働運動との対決をとことんやりぬくことが一切の土台である。
3・16闘争で青年労働者が切り開いた闘いの地平が示したことは、そうした階級的労働運動の白熱的実践のないところでは、プロレタリアートの党の団結も、階級の団結も、けっして生み出されないということだ。形だけの団結はあってもそれは本物ではない。そして党の団結がかちとられないところでは、階級の団結もかちとれない。なぜなら党は階級そのものであり、階級的団結の最高形態だからである。
今や、闘う青年労働者は、革命を心の底から求め、革命に勝利するためのプロレタリアートの党を熱烈に求めている。この青年労働者を党に獲得する闘いは、労働者階級の党、革命党としての革共同が、階級的労働運動の全面的白熱的実践をとおして階級とひとつに結合し、本物の党的・階級的団結を形成していく闘いと一体だ。革共同を丸ごと生まれ変わらせるような闘いとして、党の大変革をかちとろう。
7月テーゼの実践を
党の歴史的大変革をかちとるこの闘いは、7月テーゼを徹底的に実践していく闘いである。7月テーゼとは、マルクス主義の核心である労働者階級自己解放の思想の今日的再確立である。すなわち、労働者階級の解放は労働者階級自身の事業であり、プロレタリア革命とは労働者階級が自己の権力を打ち立てていく闘いであることを明確にさせたのである。階級的労働運動の実践とは、プロレタリア独裁を職場生産点における階級的団結の形成として今日的・場所的に形成・確立し、それを全社会に押し広げていく闘いだ。
ここにおいて、血債主義・糾弾主義との闘いが決定的である。
血債主義とは、帝国主義国、とりわけ日本の労働者階級は排外主義・差別主義に侵され堕落させられていて、そのままでは革命の主体になれないという思想である。これは、プロレタリアートの階級的本質を完全に否定する思想であり、マルクス主義とはまったく無縁なものだ。逆に資本による労働者階級への差別分断支配に屈服し、この分断を「簡単には打ち破れないもの」であるかのように描き出す。そのことによって労働者階級への不信と絶望をばらまき、階級的団結の形成を妨害し、逆に破壊していくのだ。
それはまた、戦前・戦後の日本の階級闘争をひたすら「敗北の歴史」としてのみ総括し、そこから「日本の労働者は闘っても勝てない」という結論を引き出してくることと一体である。度し難い敗北主義・日和見主義であり、恐るべき労働者蔑視(べっし)だ。
革共同から脱落・逃亡した塩川一派や、06年の「党の革命」で打倒された与田とその残党は、この血債主義・糾弾主義に唯一すがって、革命運動からの自らの逃亡を合理化してきた。彼らは今やあらゆる体制内勢力と一体となって、階級的労働運動への露骨な敵対と革共同破壊の策動を強めている。
その根底にあるのは、日帝ブルジョアジーとまったく同じ、内乱と革命への恐怖である。プロレタリア世界革命が現実になる時代がついにやってきた瞬間に、恐れおののき、あからさまな転向と権力への投降に走ったのだ。
与田残党分子が部落解放同盟全国連を私物化して強行した全国連第17回大会は、彼らの恥知らずな転向を示す画期となった。大会は「広島差別事件」のデッチあげをテコに「差別なき糾弾闘争」にのめり込み、「革共同との断絶」を権力に公然とアピールし、戦前水平社の転向にも比すべき融和主義への変質と転落を遂げた。塩川一派はこれを美化し、全面的に賛同した。
塩川一派や与田残党分子の反革命的敵対を怒りを込めて徹底的に粉砕し、血債主義・糾弾主義を根底から克服・一掃して闘おう。
不抜の地区党建設へ
プロレタリア革命への最も重要な実践的方針は、マルクス主義青年労働者同盟1000人建設とマルクス主義学生同盟1000人建設である。これと地区党建設、産別委員会の建設を全一体で推し進めることである。
とりわけ今日、階級的労働運動の実践に最先頭で決起した青年労働者同志を先頭に、地区党建設の新たな発展が爆発的に始まっている。それは職場生産点で資本・権力と闘い階級的労働運動の拠点建設にまい進する労働者同志が、常任同志とともに地区党の中心に立ち、地区党を変革し、徹底討論とあいまいさのない一致をとおして党の再団結を形成し、階級の指導部を無数につくり出していく闘いである。職場生産点での具体的な実践と密接に結びついた路線討議・政治討議を白熱的にかちとり、党の団結のもとで一人ひとりの力が何倍にも引き出されてくるような地区党建設を実現しよう。
地区党とは〈党・労働組合・ソビエト>によるプロレタリア独裁建設の決定的な柱だ。この間の闘いは、各職場での団結形成の上に、地区の全労働者を対象とした団結形態としての地区労建設の展望をも生み出している。それはソビエトの母体となり、労働者権力の中心となっていくものだ。地区党建設と階級の指導部建設、プロ独建設が一体でかちとられていくことこそが、革命を現実にたぐり寄せるのだ。
この闘いは、会議・機関紙・財政という党三原則の生き生きとした貫徹と必ずや結合する。とりわけ革命をもぎとるために不可欠な、非公然・非合法体制の新たな確立と革命的財政闘争の勝利を実現するものとなる。
青年労働者の獲得と、職場の階級的団結形成に党建設の一切をかけて闘おう。闘う青年労働者と学生は革共同とマル青労同・マル学同に結集し、プロレタリア革命勝利へともに進もう!
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週刊『前進』(2341号10面1)(2008/04/28 )
陶山健一『反戦派労働運動』刊行に寄せて
革命的左翼と労働組合
元日放労長崎分会委員長鈴木達夫弁護士に聞く
搾取と支配の場である生産点での闘いの意義
60年代の闘いが今日の動労千葉の登場を準備
陶山健一著『反戦派労働運動』上・下巻がそろった。下巻では、1960年代の全逓東京空港支部、三菱長崎造船社研とともに、日放労長崎分会の闘いが紹介されている。日放労長崎分会の元委員長・鈴木達夫さん(動労千葉顧問弁護団)に、当時の闘いの様子と本書の意義について語っていただいた。(聞き手=本紙・高田隆志)
鈴木達夫(すずきたつお)弁護士略歴
1940年生まれ。東京都立新宿高校生徒会で原水禁運動に取り組む。61年日本共産党東大細胞から離党(党から除名)。64年NHK入局。66年日放労長崎分会教宣部長。春闘妥結を批判して解任される。67年6月、同分会委員長選挙に立候補して勝利。委員長として、68年1月の原子力空母エンタープライズ佐世保寄港阻止闘争に全力で取り組む。同年8月、東京への不当配転反対闘争で分会挙げて100日闘争を闘う。この配転攻撃の最中、委員長選挙に再度立候補。前年選挙より票差を7票差から13票差に広げて当選。配転阻止の団交を要求する局長室突入で機動隊が導入され、鈴木委員長以下13人の分会員が逮捕。起訴休職となる。全国反戦青年委員会代表世話人。罰金1万円の判決確定後、NHKを懲戒免職。91年に弁護士登録。動労千葉顧問弁護団、「憲法と人権の日弁連をめざす会」などで活躍中。
「すべての不満を組合へ!」
――この本に出てくる革共同の3全総や3回大会(注1)のころは、どうされていましたか?
3全総についてはまったく知りません。67年6月に日放労長崎分会委員長になる。その前後に、学生時代からつきあいのあったドキュメンタリー作家の石田郁夫さんが時々長崎に来ていたんです。彼から、「新左翼の労働運動をどうするかという、なかなか見るべき路線が出たよ」という話を聞いて、それで3回大会のたしかガリ版刷りのかなり長い文書を読んだ覚えがありますね。
60年安保の時は東大の日共細胞でした。翌年、民族民主革命という綱領に反対して脱党したけれど、しばらく何をやったらいいのか分からない状態でした。何らかの闘いの指針を求めていました。新左翼が職場で労働運動を真っ向から闘うんだという路線を正面から出しているのを知ったのは、衝撃でしたね。
100人の分会で青年部がなかったから、分会そのものを握ろうと、三役、執行委員全部若手でそろえ、「すべての不満を組合へ」というスローガンのもとで選挙で勝って分会長になりました。
だけど、分会長になってどうしていいか、誰も教えてくれる人はいない。そういう状況の中で、石田さんを通じて知ったガリ版刷りのものを一生懸命読んだ。陶山さんがこの本で書いている「失敗を恐れない活動家が新しい時代を切り開く」という言葉はそのとおりと思います。原則的に闘うことで、自分たちで道を開こうと。そういうことで必死に勉強会もやった。本当に手探りでした。
今考えてみると、日本の革命的左翼の闘いにとって、60年代の闘いは非常に大事だったなと思います。
そのころ、陶山さんの言っている「70年を決戦としてやろう」という暗黙の合意が青年労働者の中に少なからずできていたことが大きいですね。
――特に長崎分会の労働者は左翼的な人が多かったんですか?
いや、普通ですよ。特別何かがあるということはまったくなかったです。
まず始めたのが、自分たちは労働者なんだという確認です。これは大いに議論しましたね。例えば、アナウンサーというのは一種のスターなんです。だけど労働者なんだと。放送職の現場を拠点化するために、お互いに労働者なんだ、労働力を売ってしか生きることができない賃金労働者だと。それが基盤になった。その確認がないと、放送局などという分断だらけの職場から闘いは起こらない。
――当時の長船社研(注2)との関係は、どうだったんでしょうか?
長船の65年の大分裂があった後に、長船社研の西村卓司さんたちと知り合いました。
長船社研との間でも、そういう労働者としての確認という点で学ぶことは大きかったですね。僕たちは最初は言われました。平気で夜中まで議論して、それから酒を飲む。「あれは工場労働者にとってはきつい話なんだよ」と。つまり、工場は朝早い。特に造船所は早いから、ろくに眠りもしないで行ったら命にかかわる。われわれの方がホワイトカラーの気楽な面があります。長船の労働者のあり方が普通なんだ、と勉強になったですね。
そういう中で長船の活動家の労働運動にかけるひたむきさにびっくりしました。ゴリゴリ勉強している。それを基礎にして党派闘争にもまれている。長船というのは民社あり、社会党あり、共産党ありで、その中で長船社研という革命的左翼の旗を公然と掲げていく。それは脱帽するくらい驚いたし、学びましたね。
「10・8羽田を支持」
67年10・8羽田闘争(佐藤首相の南ベトナム訪問阻止の実力闘争)があって、私たち長崎分会は分会として決議して「羽田闘争支持」を出した。「暴徒・全学連を支持するとは何ごとか」と大騒ぎになった。私はその時、分会長としての立場を賭けました。これは譲れないところだ。その代わり議論はていねいにやりました、連日連夜。ちゃんと議論していくと分会の労働者の中で多数派なんです。その当時、まだ戦後革命を闘いぬいた人たちもいました。「血のメーデー」を知っている人は、「全学連のこのくらいの闘いは当たり前だ」という。
階級的労働運動の原型
陶山さんは、70年安保を反戦青年委員会が担うんだという、あのころ労働者にみなぎっていた気運を一番リアルにつかんでいたと思います。
――この本との関係で、どの辺が重要だと思われましたか?
エンタープライズ闘争(注3)をやり抜いて、長崎分会は革命的左翼の拠点として、一応形成された。今から考えると右往左往しているけど、やはりこの本の中で「搾取と支配の場であるこの生産点で闘うことなしには何ごとも始まらない」と強調しているのは本当にそうだと思います。
資本との小競り合い
資本・当局と現場で小競り合いを、時に激突を続けながら、職場の支配権を事実上自分たちの手にしていく。労働者が労働者としての誇りを獲得し、生き生きしてくる。それを基礎にした政治闘争、街頭闘争なんですね。この本で提起されているのは、今日的に言うと階級的労働運動路線ですが、その出発点、原型です。
また、この本が指摘している「闘争の場においては『民同左派』として行動し、それと別個に学習会を組織すれば革共同の独自活動だ、というような自己分裂した活動の合理化こそ、克服されねばならない」(下巻22n)。
これは職場活動家として、きついところですね。レーニンが「95%は革命を語れ、改良は5%でいい」と言うんだけれど、やっぱり実際にはほとんど逆転しちゃう。そこを悪戦苦闘した。
「特に生産点闘争の回避の底にスターリン主義による『解放』のすりかえ・簒奪(さんだつ)があることをあばき、労働者階級の解放は自己の人間性をその本質である労働=生産の場で奪還するものであり、革命は資本家階級を打倒し、官僚の支配でなく労働者自身の意志にもとづく共同体(コミューン)を建設するものであることを示さねばならない」(同42n)
私はこの辺を読んで運動をやっていたわけではないんだけれど、自分のやっていたこと、その中で悩み格闘していたことが、実感として今読んで重なりますね。
――反戦青年委員会の活動と職場闘争の関係はどうでしたか?
長崎でも反戦青年委員会を作ろうと、分会でまず作って、さらに長船社研に呼びかけて、さらに自治労、全逓などにも呼びかけて、長崎地区反戦青年委員会を結成した。そこで佐世保闘争をやっていく。
問題はそういう反戦青年委員会が、職場でどう闘っていくか。分会執行委員会は正式には十数名ですが、いろいろな職種がある、その職種から1人ずつ選んで、闘争委員会を30人くらいの規模でやっていく。100人の内の30人だから、強いです。討議には時間がかかるし、集約も大変だけど、そこで決定したことはどんどん実践できた。
第4章「帝国主義と対決する労働運動」で、プロレタリアートに対する無限の信頼、改良闘争と改良主義の違いなど、大事なことが書かれています。要求で闘うこと自体が間違いではない、ただしそれで、労働者を一時的に釣って、そこで何を獲得したかに総括軸を求めるのが改良主義者なんだと指摘しています。
団結はこういう資本・当局との闘いの中で、小競り合いもあり激突もありますが、そういう中で具体的に形成されていくものだと。
「体制的な自分との対決」
――この本全体がそうですが、陶山さん自身が長船社研や日放労長崎の闘いに学んで書いたと言えますね。
あのころ、陶山さんと新宿の駅頭で待ち合わせたことがあるんです。ちょっと遅れていったら、立ったまま鉛筆を走らせて原稿書いているんですね。「『前進』の締め切りが今晩だから」と。
陶山さんの書いたものは分かりやすいというのが、われわれ労働者の中でも評判になっていました。本当に染みこむようにみんな読んでいた。
――この本の今日的な意義は?
この本に表れている60年代の闘い、全逓空港支部、長船社研、日放労長崎の闘いが動労千葉の登場を歴史的に準備したと言える。今日に向かう過程のひとつの踏み石的な闘いです。
国鉄の分割・民営化に動労千葉以外全部、闘えなかったでしょう。 今から考えてみると、新自由主義攻撃という世界史的な大攻撃なんですね。労働組合をつぶすという。それに真っ向から闘えた動労千葉は、こういう闘いの中で準備されてきた。
階級的労働運動路線は、今になって誰かの思いつきで出てきたものではない。3全総、3回大会で基本的に言っているんだし、労働者が革命の主体だということから当然でてくるあたり前の路線だと。これが40年前に書かれて、今でも新しいし教訓的だというのはそういうことだと思います。何も特異なことを言っているのではない。陶山さんの本を見てあらためて、そう思いましたね。
佐世保闘争を実力で闘いぬいた当時27歳の日放労の労働者が、分会ニュースで次のようなことを書いています。
「問題は体制的な自分と、本質的な自分(捨てきることのできない自分)との矛盾をはっきりと対決させる必要があるのではないか。体制下の個々の力は小さく貧しい。個々の殻を厚く閉ざして、体制のなすがままに転がされ消滅していくことを否定するならば、殻から大きく脱皮しなければならない。脱皮して初めて私たちの目が、耳が、鼻が、手足が、すなわち自分が生き生きと活動するのではなかろうか」
まさしく「誇り高きプロレタリアート」(この言葉は、当時の分会で大流行でした)の誕生です。
配転闘争百日の教訓
――長崎分会つぶしの最大の攻撃が鈴木分会長への配転攻撃でしたね。
佐世保闘争の年の8月13日に、私に東京に行けと配転攻撃が来た。だけど現職の分会長が配転されるのを認めるようでは組合じゃないということで、地区労、県評挙げて配転阻止で立ち上がった。そこから不当配転阻止の100日闘争が始まるわけです。
この配転闘争の中で発見したものがその後の自分を規定しています。2度目の分会長の立候補では、落ちたらそれっきりです。すでに座る席もないし、長崎局の籍もない。しかし、立候補して前年の7票差から13票差とさらに水をあけて当選した。当局が送り込んできた元自衛官などを全部獲得した。自分の人生はここで決まったと思いました。
この長崎分会の不当配転闘争の中で分会の労働者に教えられたこと、そして地区の労働者に教えられたことが、この本に路線化して埋め込まれていると言えます。労働者に対する限りない信頼を欠いた時に活動家なんてあり得ないんだ、と。
――闘う組合に対してよく「あそこは特別だ」「うちはそうはいかない」という声が聞かれますが、そうではないということですね。
そうです。長崎分会も、一見したところでは「文化集団」といえなくもない存在だけど、そういうところでも、原則的な労働運動ができる。だからあそこは特別で、自分の所ではできないとか言うのは自分に対する敗北宣言です。
動労千葉は最も厳しい職場でしょう。鉄道というのは国家の中枢機能です。そこで反旗を翻していくというのは大変なことです。それでも団結の力で困難を切り開いている。国労は逆に、骨が折れているじゃないですか。
(写真 不当配転に抗議し熊本放送局に座りこんだ日放労長崎分会員【1968年】)
司法改革と憲法闘争
――4月18日の集会は、若手の弁護士が決起して、内容的にも非常にいい集会だったと思います。
「司法改革反対」と言えたことが重要で、これも動労千葉の影響なんです。司法改革は90年前後、日弁連の中で言われ出す。国鉄分割・民営化があって、そして政治改革という名で小選挙区制が出てくる。次は司法だろうと思っていたら、中坊執行部のもとで進められた。
必ず「改革」という名で来る。現状はよくない、だからよくしよう、改革なんだ、そのためには自分たちは変わるんだ、と。この理屈を打ち破っていくのは簡単ではない。司法はひどい現実だし、いいはずがない。
だけどこれを見破って絶対反対で行くのだと言えたのは、動労千葉が国鉄改革に絶対反対でストライキを打って、何十人とクビになってずっと闘っている。司法改革反対の立場に立てたのは明らかにその影響なんです。「改革」こそ今日の階級攻防の焦点なんだと気がついた。
中坊公平執行部のもと、第1次司法改革宣言が90年5月に出される。私が弁護士になる直前です。その時は満場一致なんです。日弁連には共産党の影響力が強い。彼らが司法改革賛成に回ったのが大きい。左翼と言われ、人権擁護を日ごろ言っていた人たちが政府と一緒になって推進する。
戦前、1930年代の初期、弁護士が食えなくなる。29年恐慌をはさんで、あの前後で弁護士数は2倍になる。食えなくなって社会的に一番困窮し一番不安定化した層になっちゃう。そこで、政府が責任を持って自分たちの生活を保障せよと。「満州国」の法務官は弁護士に独占させろと要求するところまで行くんです。経済的に追いつめられ、戦争翼賛に雪崩を打っていく。
私たちはある意味では当時以上にすさまじい状況に来ている。新人弁護士の半分が就職できない。だけど、その弁護士激増に絶対反対する多くの弁護士が、改憲阻止、戦争反対と結合させて十数年闘っている。このことの中に戦前を超える闘いが始まっている。それは確信をもちますね。戦前戦後を通じた日本の階級闘争の新しい地平だと思います。また、動労千葉を始めとする労働者と連帯して闘っていることが決定的に重要なことだと思います。
待機主義で闘えない
――あと、「攻めの改憲阻止闘争」ということが言われていますが。
いくつか見えてきたのは、一つは、改憲攻撃は日本の支配階級として避けて通れない大攻撃だということ。全社会的な攻撃の集約点として、戦後の最大の階級決戦として、改憲がテーマにならざるを得ない。
その中で「攻めの改憲阻止闘争」とはまず、自公民が合意して改憲案が出てきたら国民投票で勝てばいいという待機主義ではない。今が、闘いの決定的な時、司法改革もそうだし、第2の国鉄決戦もそうです。今、先行的に改憲に向かう動きにわれわれが攻め込んで、革命の準備をその中でしていく。
2番目には内容的な点で、護憲ではなく、攻撃的積極的に展開していく。
今までの体制を守ろうとすること自体が、一種の観念論に陥っている。雨宮処凛(かりん)さんが「憲法を守れといったら現状固定だ」と鋭く問題を提起している。戦後民主主義や相対的安定期は終わったわけです。日本の資本主義が激動の中にたたき込まれている。最末期帝国主義ですね。その中で、戦後はよかった、これを守ろうという物質的基盤がすでに崩壊している。
3番目に、2番目と直結する問題として主体の問題。向こうがやろうとしているのは反革命クーデターです。それに対置できるものは、今の社会は資本主義ですから、労働者の運動、プロレタリア革命なんですね。
その主体を作らないことには、改憲攻撃には勝てない。労働運動の展開で圧倒的な闘う労働者が生まれてくることが改憲阻止の陣形を生み出す。その中に国際連帯も入る。11月労働者集会の圧倒的強化が「攻めの改憲阻止闘争」の前進です。いろいろな集会が、学者を呼んで憲法の話を聞いて散っていく。その繰り返しでは階級決戦に勝てない。
――3・16集会で青年労働者の力が全体をリードしていますが。
新自由主義の攻撃で若者が生きていけない現実があります。小林多喜二の「蟹(かに)工船」が過去のことではない。そうした中で、「隣の労働者と団結する」新しい運動が起きている。新しい言葉、語りかけで青年労働者が困難に挑戦している。多くのことを学ばされます。「革命をやりたいんだ!」と基調報告でありました。革命家の執念が革命の現実性を手繰り寄せます。
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注1
3全総・3回大会 3全総は62年9月の革共同第3回全国委員会総会。「戦闘的労働運動の防衛と地区党建設」を決定。3回大会は66年の革共同第3回大会。安保粉砕・日帝打倒の基本路線を打ち出した。
注2
長船社研 三菱長崎造船社会主義研究会。日本共産党長崎造船細胞から集団離党した人びとによって1960年に結成された反スターリン主義・革命的共産主義者の団体。全造船三菱支部長崎造船分会の中で大きな位置を占めるが、65年に三菱資本による第2組合攻撃で少数組合になる。
注3
エンタープライズ闘争 1968年1月、米海軍原子力空母エンタープライズが佐世保に寄港。全学連、反戦青年委員会が「佐世保を第3の羽田に」と掲げ、全国から結集して機動隊と大激突、5万人の市民が決起した。
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