ZENSHIN 2007/09/10(No2310 p06)
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週刊『前進』(2310号1面1)(2007/09/10 )
職場の怒りに火をつけ11月大結集を
資本家の時代は終わった労働者階級に権力よこせ
青年・学生先頭に9・29行動へ
(写真 9月2日、仙台で行われた『ワーカーズアクションin仙台』が大成功 【記事3面】)
ついに始まったアメリカ帝国主義の支配の崩壊がプロレタリア世界革命の情勢を成熟させている。アメリカ発の金融危機の爆発とイラク侵略戦争の敗勢が世界の労働者の根底からの決起をつくり出しているのだ。「闘う労働組合の全国ネットワークをつくろう」と呼びかける11・4全国労働者集会は、この革命情勢を現実の革命へと転化する世界史的位置を持った行動だ。11・4集会1万人結集に向け残り2カ月、労働者の怒りの反乱を組織しよう。労働者の誇りを取り戻し、闘う労働運動を再生するために職場で闘い抜こう。安倍改造内閣は閣僚の不祥事が次々噴き出し、すでにガタガタだ。9月10日から始まる臨時国会を弾劾し、安倍も小沢もぶっ飛ばす国会闘争に立とう。闘う仲間を集め、9・29ワーカーズアクションに総決起しよう。青年労働者を先頭に労働者、農民、学生の怒りのデモで安倍・御手洗に一泡ふかせてやろう!
改革ではなく革命が必要だ
この社会を実際に動かしているのは私たち労働者階級だ。もはや社会の発展の桎梏(しっこく)となった資本家や政治家をぶっ飛ばして私たちが社会の主人公になろう。
ブッシュも安倍も御手洗も労働者に何の未来も展望も与えることはできない。それどころか、ますます労働者に犠牲を強制し、命を奪い、自分だけは生き残ろうとしている。こんな腐りきった帝国主義支配階級は、労働者の怒りと闘いで打ち倒す以外にない。
資本家たちが「貧困層をターゲットにしたビジネス戦略」を語り始めている。1日2j未満で暮らす貧困層は世界に40億人いると言われ、「この貧困層を新市場に変えることに成功すれば世界経済は最大の成長の機会を手に入れることになる」と言うのだ。ふざけるんじゃない!
全世界の労働者階級の貧困は、帝国主義の危機が生み出したものだ。1974―75年恐慌以降、労働者を資本主義の枠内に抱え込んでおく余裕もなくなった支配階級は、規制緩和・民営化・労働組合破壊によってリストラ・非正規雇用の拡大を強行し、総額人件費を極小化し、社会保障を切り捨ててきた。そのことによって労働者の貧困化が進んだのだ。
それが今度は貧困をも食い物にしようというのだ。その先頭に立っているのが米帝ブッシュ政権だ。世界のブルジョアジーを震撼(しんかん)させたサブプライムローンとは、無職、無収入、無資産の労働者に高利の住宅ローンを貸し付けてもうけようとしたものだ。それが当然にも破産した。無職、無収入の労働者がローンを返せるはずがない。もっと巨大な破産がわかっているにもかかわらず、帝国主義支配階級はそこに突入する以外にないのだ。
もう一つの破産は戦争で延命しようとしていることだ。日米英は、石油利権に直結するイラクから絶対に撤退できない。アメリカでは青年労働者を軍隊に入隊させるため「ボーナスで応募者をおびき寄せる」ことにしたと報道された。定職を持たなかったり借金を抱えたりして将来に不安のある若者が軍隊に応募しているという。労働者から搾り取ったカネで今度は貧困にあえぐ青年労働者の命を買い、侵略戦争に動員しようというのだ。
これほど全世界で貧困が問題になり、戦争への怒りが高まっているにもかかわらず、帝国主義支配階級はそれを解決することができない。それどころか、労働者からますます搾り取り、戦争に動員して、怒りを組織する以外にない。これこそが帝国主義の末期的危機の姿だ。
労働者の力で安倍を倒そう
アメリカ帝国主義の延命を自己の延命の条件にしてきた日本帝国主義も悲鳴を上げている。米帝の世界支配の崩壊は、安倍・御手洗をますます改憲・戦争と民営化・労働組合破壊の絶望的攻撃に向かわせている。
安倍・御手洗は「骨太方針Z」で「労働生産性の向上」「生産性阻害要因の除去」を掲げ、労働組合や労働者の階級的団結の解体を宣言した。リストラや労働強化で会社の利益を上げることこそが国際競争に勝ち抜く決め手だとして、そのためとりわけ公務職場で徹底した民営化を強行しようとしている。
しかしこれもまったくデタラメだ。資本家が生み出した1000兆円の借金を公務員労働者の責任だとして200万人の自治体労働者の首切りと労働強化が強行されようとしている。郵政では民営化に反対して闘う全逓労働者の職場からのたたき出しと全逓労働運動の解体が狙われている。これらはみな、自治体、全逓、日教組、国鉄という4大産別の労働運動を解体し、日本の9割の労働者を非正規雇用にたたき込む攻撃だ。
同時に、石油資源や市場、労働力をめぐる他帝国主義との争闘戦は、日帝支配階級を、アフガニスタン、イラクから北朝鮮への侵略戦争へと激しく突き動かしている。
こういう時代だからこそ労働者・労働組合が真の力を発揮することが必要だ。闘う組合員を処分し、資本・当局と一体となって合理化と戦争協力を進める体制内労働運動指導部を現場からたたき出そう。そして「資本家の時代は終わった。労働者が革命を起こしてお前たちに引導を渡してやる。労働者に権力をよこせ」――こういう立場で闘う労働運動を新しくつくり出そう。
「『改革』ではなく、労働運動の力で革命をやろう」というスローガンが青年労働者の心をつかんでいる。この社会を労働者の手で根本的につくり変えよう。革命は私たち青年労働者のものだ。
処分を恐れぬ闘いで団結を
「労働者に権力をよこせ」――この闘いの土台は職場支配権をめぐる闘いだ。「この職場はおれたちが仕切っている」と胸を張って言えない労働者は、誇りを持つことはできない。誇りを持たない労働者は団結できるはずがない。職場闘争の原動力は労働者を搾取する資本への激しい怒りだ。日々搾取され、資本の言いなりにさせられている現実を覆すために闘う中で、職場に団結をつくり出すことができる。
どの職場にもその条件はある。何より7・29参院選で示された怒りは、職場の、隣の仲間の怒りだ。職場の怒りを組織するために徹底的に開き直って闘おう。
しかも私たちは、07年前半の闘いを経て、ついに「弾圧こそ団結のチャンスだ」と言えるところまで来た。実際、資本や当局、会社擁護にまわった組合本部に弾圧された仲間の職場でこそ団結は広がり強化されている。
それは、弾圧を受けた時に「資本と非和解である」ということをますますはっきりさせて闘ったからだ。弾圧こそ資本家と労働者の関係を明らかにすることができるチャンスだ。闘わない組合執行部のくだらない本性をあいまいさなく暴露するチャンスだ。そしてそれは、仲間に「資本家につくのか、労働者の団結に生きるのか」という選択を迫ることになる。
「弾圧を受けたり、処分されたりする方がいい」。そこまで自分たちの主張をはっきりさせることだ。弾圧や処分の狙いは、労働者を震え上がらせて屈服させることだ。しかし資本や組合本部の弾圧に絶対に屈せず「闘う労働運動をつくろう」と呼びかける一人がいれば、弾圧は職場に団結をつくり出す決定的チャンスにできるのだ。
なぜなら、資本家の攻撃に仲間の労働者は絶対に怒るからだ。資本家と一体となって合理化を推進し、そのために闘う仲間を排除し、売り渡すような組合本部に絶対に怒りを燃やすからだ。
9・29に向けて職場に分岐をつくり出すこと、波風を立てることだ。こんなことを言うと、結構議論になる。例えば「教育労働者の中にもいろんな事情で不起立をやれない人もいる。不起立をやろうと言って組織したら私たちの運動から離れる人が出てくる」「激しいデモをやったら付いてこれない人も出てくる」。確かにそういう人もいる。しかし課題は、私たちの側が「労働者とはそんなものだ」と、自分たちの力を過小評価してしまっているんじゃないかということなのだ。
動労千葉から学んで闘おう
だから、9・29―11・4の成功のための最大の方針は、『俺たちは鉄路に生きる3』(労働者学習センター発行)を学び、職場で動労千葉のように闘うことだ。
動労千葉の田中康宏委員長は、『俺たちは鉄路に生きる3』において、次のように言っている。
「何よりも重要なことは、『労働者と資本の関係は絶対的な対立関係にある』という立場にあいまいさなく立ちきることです。『労働者は社会の主人公であり、歴史の主人公である。団結した労働者の力は社会を変える力を持っている』という誇りと思想を取り戻すこと、つまり階級的立場、マルクス主義を労働者が自らの手に取り戻すということです」(87n)
動労千葉はこうした階級的立場に立っているからこそ、どんな激しい攻撃に対しても「団結の拡大」を総括軸に闘いぬくことができるのだ。
4大産別の労働者こそ実力で職場をぶっ止める闘いをやろう。4大産別の労働者が今直面しているのは、国鉄分割・民営化で動労千葉が直面したことと同じテーマだ。これはチャンスだ。
「闘わない労働運動を変えよう」と口で言うのは簡単だ。しかし、具体的攻撃を目の前にした時に、動労千葉がクビをかけ仲間を信じてストライキで闘ったように闘えるかどうか。ここに今の労働運動をのりこえる闘いがある。
今、組合本部の命令を拒み、社会保険庁の労働者1000人がボーナス返納を拒否して闘っている。「自分たちが汗水流して得た賃金をどうして返さなければならないのか」という、労働者として当然の怒りだ。日教組組合員は組合本部の屈服方針を打ち破って「日の丸・君が代」不起立で闘っている。「返納しないと新会社には採用しない」「愛国心のない教師は免許を更新しない」と言われる中で、クビをかけた根底的決起だ。
「処分できるものならやってみろ! 労働者がいなかったら、職場も社会も1秒も動かない」。この立場で闘い、職場の主人公は労働者であることを資本・当局に実力で示してやろう。
職場に本物の団結をつくり出すということは、資本と非和解であるということを徹底的に貫くということだ。そして「資本家がいなくても労働者が団結すれば職場や社会を動かすことができる」というマルクス主義の立場を実践に貫いてこそ、資本と非和解で闘いぬくこともできるのだ。
労働者は私たちの訴えや行動提起に必ずこたえて立ち上がる。労働者が持つその力に確信を持てるかどうかということが、決定的なのだ。
マル青労同を共につくろう
青年労働者が動労千葉の労働運動に学んで職場で闘いを始めた途端に、既成の労組幹部は猛然と敵対し、弾圧してきた。連合、全労連、社会主義協会派などの体制内労働運動指導部が最も恐れているのが動労千葉労働運動なのだ。
彼らの弾圧にはまったく内容がない。「動労千葉は過激派だ」「動労千葉は中核派だ、マルクス主義青年労働者同盟と一体だ」。こんな弾圧で青年労働者が闘いをやめると思っているのか?
しかし、弾圧のおかげで、『俺たちは鉄路に生きる3』が青年労働者に猛然と読まれている。「それほど言われる動労千葉ってどんな組合?」という興味がそうさせているのだ。しかも動労千葉には、青年を獲得する圧倒的内容がある。読んだ青年は「動労千葉もおれたちも過激派じゃなく革命家だ」と述べた。
そうだ、動労千葉の労働運動には世の中を変える展望がある。職場で動労千葉のように闘い、11・4集会に1万人の動労千葉派を集めよう。そうした時、絶対にこの社会を変えられるのだ。
11・4集会1万人結集方針とマル青労同1000人建設は完全に一体だ。動労千葉労働運動を職場で先頭に立って闘う青年労働者の団結組織がマル青労同だからである。『俺たちは鉄路に生きる3』を読んで「動労千葉のように闘いたい」と思った青年労働者は、マル青労同に加盟して闘おう! 労働運動の力で革命をやろう!
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週刊『前進』(2310号1面2)(2007/09/10 )
対テロ特措法 給油の85%はイラク戦争で使用
延長阻止し海自撤退を
臨時国会での対テロ特措法延長を許すな。海上自衛隊の給油の85%がイラク戦争に使われていることが明らかになった。対テロ特措法延長阻止は、ストレートにイラク侵略戦争を阻止する闘いだ。労働者への攻撃と侵略戦争以外に道がない安倍政権を今こそ倒せ!
01年から07年まで自衛隊が米補給艦に補給した燃料の85%、30万`リットル以上が「イラクの自由作戦」に使われた――中東を主な責任地域とする米海軍第5艦隊のウェブサイトにこういう記述が掲載された(現在はアクセス不能)。
陸上自衛隊のイラク南部サマワ駐留、航空自衛隊による米軍支援だけでなく、海上自衛隊もイラク侵略戦争に深々と関与していることが暴かれた。明らかに集団的自衛権の行使である。「後方支援」や「復興支援」などと言い訳できるレベルではなく、まぎれもない軍事作戦への参加である。
しかも、海自の給油規模は、なくなれば米軍の戦争継続に重大な支障をきたすほどだと言う。米軍の要求を満たす水準の給油能力を持つ軍隊は、ほかには英軍しかない。それほどまで自衛隊は米軍と一体化し、戦争遂行にあたって重要なポジションを占めて侵略戦争に加わってきたのだ。
イラク侵略戦争の泥沼化と長期化に苦しむ米帝ブッシュ政権にとって、イラクからの自衛隊の脱落は戦争継続のかかった死活的問題だ。ブッシュはAPEC中の日米首脳会談で直接、対テロ特措法の延長を安倍に要求すると言われている。
そもそも対テロ特措法は、アフガニスタンでの「対テロ作戦」の後方支援に限定されている。それ自体が容認できないものだが、その趣旨から言えばイラク作戦への給油は絶対できない。それが公然と行われてきたのだ。歴代の防衛相や防衛省がこの事実を知っていること、政府として了解を与えていることは間違いない。このような脱法・違法をはたらき、卑劣なトリックを使って侵略戦争に参戦する――これが小泉政権や安倍政権の正体なのだ。
他方、民主党の小沢代表は、北大西洋条約機構(NATO)主導の国際治安支援部隊に積極的に参加すべき、と主張している。民主党が政権を取ったら、国連の名において堂々と参戦すべしとうそぶいている。
参院選の自民党の歴史的大敗が示したものは、支配者たちが延命するために労働者を切り捨て、改憲と戦争の道をひた走る日本帝国主義に対する、労働者階級の根底からの怒りだ。労働者の要求は、民主党の対案や国連ではない。対テロ特措法の即時廃止だ。
臨時国会において対テロ特措法を粉砕し、海自艦隊を今すぐ日本に撤退させよう。米英日帝国主義をイラク戦争で敗北させよう!
社会の真の主人公である労働者の存在にこそ革命の現実性がある。職場闘争と臨時国会闘争を闘い抜き、11・4労働者集会の1万人結集を全力で組織しよう。
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週刊『前進』(2310号2面1)(2007/09/10 )
9・29ワーカーズアクションin池袋 怒りを行動で示そう
“職場を越えた団結で革命を”
実行委が大結集を呼びかけ
「9・29ワーカーズアクションIN池袋」に向けて、実行委員会から発せられたよびかけ文を掲載します。熱烈な呼びかけにこたえて、全力での参加を訴えます。(見出しは編集局)
みなさん! いよいよ私たち労働者が団結し、安倍・御手洗をぶっ倒して、労働者が主人公の社会をつくる時がやってきました。労働者の怒りを行動で示そう!
来る9月29日(土)、「ワーカーズアクションIN池袋」(豊島公会堂/13時30分開始)を開催します。職場・学園の仲間とともにぜひ集まってください。
“労働者に権力をよこせ!。
7・29参議院選挙で安倍・自民党を歴史的大敗に追い込んだのは私たち労働者の積もりに積もった怒りです。
小泉構造改革、安倍・御手洗の「美しい国」路線の中で、私たちは、「ワーキングプア」、サービス残業、過労死と、正規・非正規、公務員・民間にかかわらず、「このままでは生きていけない」現実を強いられてきました。「改革」で労働者は貧しくなり、資本家は肥え太る。こうした現実に対して「ふざけるな」という怒りです。
しかし、私たちの怒りはこんなもんじゃない。そもそも労働者は民主党も支持していないし、民主党じゃ何も変わらない。いま、情勢の決定権を握っているのは本当の社会の主人公である私たち労働者です。
民営化・規制緩和の中で、福祉や医療、教育といった社会の基本的機能が全部崩壊しています。福祉を民営化して金儲(もう)けの道具にする。人間がもう生きていけなくなっている。一握りの資本家が生き残るために、労働者からむしり取ってきたこの資本主義社会の末期症状です。
「こんな世の中かえなきゃならない!」――投票に行った人も行かなかった人も(行けなかった人も)怒りは同じです。いま必要なのは、資本主義の「改革」ではなく、革命です。だからこそ、世の中を変えることが出来るのは労働者の団結した行動です!
「労働者に権力をよこせ!」――これこそ9・29集会の核心です。
改憲とは革命のチャンスだ
9 ・29集会は、臨時国会を弾劾し、居直る安倍・御手洗を本当にぶっ倒す行動にしたい。
アメリカ発の世界同時株暴落は、安倍・御手洗をますます危機におとしいれ、改憲・戦争へと向かわせています。
臨時国会で安倍は、泥沼のイラク侵略戦争を継続する「テロ対策特措法」の延長、9条改憲・朝鮮侵略戦争のための憲法審査会の設置を狙っています。安倍は、危機に立てばたつほど労働者から徹底的に搾り取り、戦争をやる以外にありません。改憲に向かう臨時国会を弾劾し、労働者の闘いで安倍政権をぶっ倒そう!
改憲とは私たちにとって革命のチャンスです。
社会福祉、年金、終身雇用……安倍のいう「戦後レジーム」は、労働者に革命をおこさせないための支配者側の必死の譲歩でした。しかしいま、それを解体しようというのだから、私たち労働者は怒って立ち上がって、労働者としてひとつになって当然です。
私たち労働者ひとりひとりが闘う以外に生きていけなくなっている。安倍・御手洗の改憲攻撃はそういう条件を生み出しています。これは公務員だろうと、民間だろうと、どこの職場でも同じです。だから壁をこえて団結できる!
職場をこえて団結したら、労働者は資本家や国家なしでも自分たちの力で社会を運営できるんです。
仲間を信頼し闘う労組を!
そのためにも、9・29集会で闘う労働運動を甦(よみがえ)らせよう。私たち青年労働者がその先頭に立とう。
資本家や当局を守るために、闘う組合員を弾圧するような連合・全労連本部はもういらない。
私たちに必要なのは資本・当局、国家権力と非和解で闘い、ひとりひとりの組合員のことを考え、労働者として当然の要求をして、デモもする、ストライキをやりきれる、その団結力をもった労働組合です。デモやストライキなどを通して、隣の労働者を信頼し、連帯しうる組合運動――これこそが今求められています。
こうした労働運動の原則を守って闘い抜いているのが動労千葉(国鉄千葉動力車労働組合)です。動労千葉は、「国鉄分割・民営化絶対反対」を掲げてストライキを闘い抜いた唯一の組合です。40人の大量不当解雇をはね返し、今も反合理化・安全運転闘争を掲げ、利益優先のJR資本と真っ向から闘い、団結している組合です。
この動労千葉に学べば、組合のないところに組合は出来る。闘わない組合は現場から変えることはできます!
闘う団結固め11・4総決起へ
何より職場で闘い、労働者が資本の言いなりにさせられている現実を覆そう。職場の怒りを組織するために徹底的に開き直って闘おう! 労働者の生き方をめぐって職場に分岐をつくろう!
いま、組合本部の命令を拒否し、社会保険庁の労働者1000人がボーナス返納を拒否し、日教組の教育労働者が「日の丸・君が代」不起立で闘っています。
「返納しないと再雇用しない」「愛国心のない教師はクビ」なんてふざけるんじゃない! やれるもんならやってみろ。労働者がいなかったら、職場は、社会は一秒も動かない! 処分を恐れず職場で闘い、団結すれば労働者は勝てるんです!
社会に怒りはあふれている。ひとりの決起でも原則を貫けば全体を獲得する時代です。
アメリカ、韓国の労働者も同じように、民営化と戦争、労働組合破壊と闘っています。職場の闘いが国境を越え、一夜にして全世界の労働者の闘いがつながる。これこそ革命の時代です。
労働者の闘いの成果は団結が広がることです。
全日本建設運輸連帯労働組合関西地区生コン支部、全国金属機械労働組合港合同、国鉄千葉動力車労働組合が11・4全国労働者総決起集会(日比谷野音)を呼びかけています。3労組の呼びかけは、「改憲・戦争と民営化−労組破壊攻撃に立ち向かう共同行動をつくり出そう。闘う労働組合の全国ネットワークをつくろう」ということです。
9・29ワーカーズアクションを大成功させ、11・4には1万人の労働者で日比谷を埋め尽くし、首都を揺るがすデモをやろう!
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週刊『前進』(2310号2面2)(2007/09/10 )
日程 9・28全逓・郵政労働者総決起集会
労働組合を組合員の手に取り戻そう!
郵政民営化絶対反対!
9・28全逓・郵政労働者総決起集会
9月28日(金)午後6時開場 6時30分開会
文京区民センター
※集会後、デモ行進
主催 9・28集会実行委員会
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週刊『前進』(2310号2面3)(2007/09/10 )
闘う全逓の再生へ 全国の職場からの報告(3)
10・1民営化-10・22全逓解体に反撃しよう
福島
「集配拠点再編」で大混乱 民営化は完全に破産した
要員不足に職場の怒り噴出
東北地方の「集配拠点再編」は、109局の集配局を無集配化し、85の統括センター、427の配達センターを設置してスタートしました。配達センターとされた局では外務員が窓口以外の(差し立て等々)郵便内務業務もしなくてはならず、業務上の混乱だけではなく、担当する郵便外務職員一人ひとりが「分からない」仕事をしなくてはならず、そのプレッシャーは深刻です。
また、当初言われていた統括センターと配達センターでの混乱や問題点が今、少しずつ浮き彫りになってきました。
たとえば、ゆうパックなどの「再配コール」問題です。統括センターに設置されている「コールセンター」から配達センターへファックスが送られ、そこから外務員の携帯電話に連絡が行きます。しかし、電波が届かず外務員に携帯電話がつながらない地域が結構あり、局に戻ってからようやく「再配コール」があったことが分かり、再度配達に行く、といった大変なロスがあります。「現場を知らない机上の論理」が問題を生み、山間部地域の人たちや現場労働者に怒りをひき起こしています。
また、配達センターでは土・日・祝日や午後5時以降も局を開けていますが、要員不足で郵便窓口は閉めています。そのためわざわざ持ちこんだ小包を持ち帰らざるを得ない人が不満を爆発させています。「民営化になると何で不便になるのか!」「2年前に小泉政権は山間部であろうがへき地であろうが、民営化になってもサービスは変わりませんと言った。あの公約はウソだったのか!」
一切の問題の根源は要員不足の慢性化にあります。現在、東北では1050人にも及ぶ欠員が出ています。人がいない、休みが取れない、非常勤職員が見つからない…。このような現状は、どこの局にも当てはまると思います。
正規・非正規の分断のりこえ
私たちは2年前、小泉政権による郵政民営化攻撃において、今の社会保険庁の労働者のように、「社会の敵」「世の中を悪くしているのは郵政労働者だ」と言わんばかりのバッシングを受けました。「おれらが何か悪い事をしたのか」と、労働者としての誇りを深く傷つけられたのです。労働組合も、民営化法案が通った途端に闘いを放棄して会社の代弁者になり下がりました。
しかし今、状況は一変しました。JPSの失敗、深刻な要員不足、地方の郵便局の切り捨てなど、民営化は完全に破綻(はたん)しています。誰も民営化に希望を見いだすことなどできません。民営化に対する怒りは職場、社会全体に渦巻いています。
今、労働者の3人に1人が非常勤労働者です。いくら働いても豊かになれない、生きていけない若者が急増しています。私たちの職場はその典型です。何年も働いているのに非常勤のままで、ズーッと賃金はギリギリの水準。しかし営業活動は脅しのように結果を求められる。
労働者の生活や生存すら会社にとってはどうでもいいということです。そんな会社・資本家に対して、今、多くの青年労働者が「生きさせろ!」と闘いを開始しています。自らの生存をかけて、資本・当局へ怒りを行動で表しています。
正規職も非正規職も同じ仕事をしています。労働者は本来ひとつなのに、勝手に正規・非正規で区別し、賃金や権利、能力などで私たちの団結を分断しています。労働者同士に壁をつくって団結させないのが一番会社にとって都合がいいのです。しかし、このまま当局の思惑どおりにさせておくわけにはいきません。敵は会社・資本家です。今こそ分断をのりこえてともに闘おう!
行動起こして闘えば勝てる
公務員職場の民営化は1987年の国鉄分割・民営化から始まりました。労働者の3人に1人は首というこの攻撃に対して、動労千葉は85年11月、86年2月と2波のストライキに立ち上がりました。
「資本主義体制下で、敵が体制の生き残りをかけて攻撃を仕掛けてくる時に、職場・生産点からの必死になった抵抗闘争を背景にしない政治闘争なんか成り立つわけがないし、職場での闘いがどうなるかで『政治闘争』の帰趨(きすう)も決まってくる。マル生闘争もそうだったし、古今東西の労働争議、階級闘争と言われるものの勝敗は、そうやって決まってきたんだ」(『俺たちは鉄路に生きる3』布施前副委員長)
このストライキが、国家権力・資本一体となった民営化という労働者・労働組合の階級的なものの絶滅・一掃を狙った攻撃を打ち破ったのです。
郵政民営化に対して、JPU本部、全郵政本部も「組合員の幸せのために」と賛成し、「生産性向上」を労働組合の方針に掲げています。就業規則を労働組合の協約内容とし、すべての労働条件は「労使経営協議会」なる組織で決定しようとしています。さらに本人同意なしの出向・転籍も強制される。また、ゆうメイトはいったん全員解雇、その上でより細分化されますます分断されます。「いつでも解雇自由」となる現実が今以上に襲いかかります。
今こそ闘わない組合をのりこえ、所属課も所属組合も越えた現場からの総反乱を起こす時です。デタラメで資本家や当局の都合のみの民営化なんて成功するわけがない。にもかかわらず強行せざるをえないのは会社・資本が危機だからです。いま闘えば絶対に民営化を打ち破ることができる。
民営化に反対なら「郵政民営化絶対反対!」「こんなデタラメな民営化は認められない!」と堂々と声を上げて、行動を起こそう! 私たちが団結した力で行動を起こして闘えば絶対に勝てる。郵政労働者の怒りの総反乱で社会を変えよう! 団結して闘おう!
(川本 徹)
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週刊『前進』(2310号2面4)(2007/09/10 )
さかぐち候補必勝へ
9・2 熱気の東大阪大行動
東大阪市議選の勝利をめざして、現地では全力をあげた闘いが続けられている。9月2日、「いまこそ悪政にとどめを! 9・2東大阪大行動」が布施・三の瀬公園で、250人の労働者・市民の結集で闘いとられた。
集会の前半は、部落解放同盟全国連合会を始めとした仲間たちによるアトラクションが行われた。全国連・番町(神戸)支部準備会に参加する青年によるギター演奏、奈良の全国連同盟員によるマジックショー、労働者有志でつくられた劇団「ほうき星」による寸劇が披露され、会場は残暑をふっ飛ばす笑いに包まれ、団結を固めた。
後半の一言アピールでは、「国保と健康を守る会」の高齢者、全国連荒本支部、「反戦・反核、平和と暮らしを守る東大阪市民の会」、関西の反戦・福祉議員団、民営化と闘う労働組合の仲間たち、「さかぐち克己と育つ会」の青年が次々と立って、丸ごとの民営化を推し進める長尾・共産党市政への怒りと、市議選勝利への決意を述べた。
そして、満場の拍手と注目の中で登壇したさかぐち克己議員は、「もう黙っている時ではない。安倍政権と長尾市政をくし刺しにする闘いとして、9月市議選に絶対に勝利しよう。東大阪から革命を起こそう」と熱烈に訴えた。
集会終了後、参加者はさかぐち議員を先頭に東大阪市最大の繁華街、布施駅までパレード。解散地点では、創価学会員を動員した公明党の街宣が行われていたが、参加者は「民営化絶対反対」のさまざまなプラカードを掲げ、堂々たる隊列でこれを圧倒して、最後までパレードを貫徹した。
選挙は9月16日告示、23日投票で闘われる。定数46(前回から4減)に59人が立候補する予定であり、大変な激戦だ。勝敗の一切は、あと2週間にかかっている。全国から支援・激励を集中し、絶対に勝利しよう。
(写真 さかぐち克己議員を先頭に民営化反対のパレード【9月2日 東大阪市】)
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週刊『前進』(2310号2面5)(2007/09/10 )
俺たちは鉄路に生きる3 私はこう読んだ
団結を総括軸にした館山の闘いに感動!
私が読んでいちばん感動したのは、館山支部の闘いです。職場を丸ごとつぶす、組合の拠点をつぶすというすさまじい攻撃に対して、絶対反対の立場を貫き、地域の人たちとの連帯した闘いをつくり上げ、職場はなくなっても団結を守り抜いた、ということに本当に感動しました。
私の職場は郵便局ですが、この間現場を襲っている民営化攻撃に、今のJPU(全逓)本部はまったく闘おうとしません。労使協調路線で、なんとかうまいことやって生き残ろうというやり方を昔からやってきたのが、本部−地本、そして支部執行部です。しかし、当局が団結を破壊しようとやってくる攻撃に対しては、そんなやり方は無力です。実際に、そういう攻撃を受けて、現場労働者がバラバラにされて、崩れ去っていった社・共の拠点職場というのを多く見てきました。
しかし、それでは現場労働者はどうすればいいのでしょうか? 希望もなくただ働いているだけという職場ほど、無味乾燥なものはありません。労働者は労働運動の中に生きる展望を見いだすのです。だから労働組合を組織していくのではないでしょうか。労働組合はそういうものでなければならない。館山支部の闘いは、そのことを如実に示してくれました。
さらに言えば、団結を守り抜いた、いや強化されたということを勝利の総括軸にしたということも、すごいことだと思います。
これまでのモノ取り運動的な運動では、絶対にできないことです。そういう運動をやってきた総評労働運動、あえていうならば体制内的な労働運動がおしなべて衰退していく中で、そんな運動は間違っていると言い切って、なおかつ闘い抜いてきたことが今の勝利的情勢を切り開いたのだと思います。モノ取り運動では、今の安倍−御手洗の労働運動絶滅攻撃には勝てないことがはっきりしている今、本当に労働者が闘う方針、生きる方針はこれだ、と確信させてくれました。
今、郵政職場では現場に嫌気がさして、やめていく労働者がどんどん出ています。これに対して立ち向かうには、動労千葉のような「仲間をけっして裏切らない」という現場労働者の立場に立った労働運動しかないと思います。どんな攻撃にもひるむことなく、私は動労千葉のように闘っていきたい。
(仙台・全逓労働者/青山孝一)
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週刊『前進』(2310号2面6)(2007/09/10 )
資本攻勢&労働日誌2007 8・19〜8・31
日雇い派遣、35歳未満が7割
●経団連、250人の使節団 日本経団連は25日まで安倍首相のインドネシア、インド、マレーシア公式訪問に同行。御手洗会長を団長とする経済使節団は総勢約250人で過去最大。20日に日本、インドネシア両国政府が経済連携協定(EPA)に署名。(19日)
●6.4%の事業場で最賃法違反 厚労省は今年6月に全国で実施した最低賃金の一斉監督の結果を公表。違反率は6.4%。過半数がパート労働者やアルバイトで7割は女性。(22日)
●社保庁職員再雇用の採用基準9月に策定 「年金業務・組織再生会議」は社会保険庁職員の日本年金機構への再雇用の基準を9月末までにつくると決定。座長の本田・日本たばこ産業相談役は「社保庁職員すべてが新機構にいけるわけではない」と発言。(23日)
●連合の運動方針素案 連合は中央執行委員会を開き、2008〜09年度運動方針の素案を確認。10月11〜12日に開く定期大会で決定する予定。(24日)
●日教組大会 日教組は29日まで3日間、東京で定期大会を開き、2年間の運動方針を決めた。(27日)
●「ネットカフェ難民」と「日雇い派遣」の実態調査公表 厚労省は「住居喪失不安定就労者」と「日雇い派遣労働者」の実態に関する調査の結果を発表した。(28日)=要旨別掲
●自治労が大会 自治労は31日まで4日間、定期大会を開き、向こう2年間の運動方針を決めた。自治体現業の「直営堅持」と3単産統合をめぐり本部方針への批判が噴出した。(28日)
●キヤノンが「偽装請負」内部告発者らを短期直接雇用 キヤノン宇都宮光学機器事業所で働く請負労働者ら82人に対し、キヤノンは期間工としての直接雇用を申し入れる方針を明らかに。最長2年11カ月で職を失う可能性に、労働者側からは「根本的な悩みは解決していない」との怒りの声。(29日)
●JAM大会 JAMは30日まで大会を開き、向こう2年間の運動方針を決めた。(29日)
●製造業派遣の労災急増 製造現場で、経験に乏しい派遣労働者の労災が急増していることが、大阪労働局の分析でわかった。(29日)
●7月の失業率3.6% 総務省発表の労働力調査によると7月の完全失業率は3.6%で前月比0.1ポイント改善。1998年2月以来9年5カ月ぶりの低水準。厚労省発表の7月の有効求人倍率は前月と同じ1.07倍だった。(31日)
資料
「ネットカフェ難民」と「日雇い派遣労働者」の実態調査
●「ネットカフェ難民」
・数(推計) 5400人
・年齢構成
20〜29歳 26.5%
50〜59歳 23.1%
●日雇い派遣労働者
・年齢構成
19歳未満 7.0%
20〜24歳 25.4%
25〜29歳 20.5%
30〜34歳 15.9%
合計 68.8%
・1カ月未満の雇用形態のうち
日雇い派遣 84.0%
有期雇用(2日〜1カ月) 6.6%
・平均就業日数14日、月収13.3万円
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週刊『前進』(2310号3面1)(2007/09/10 )
3単産統合に2割が反対 自治労岩手大会
“自治労解散許さない”
職場闘争の実践から11・4へ
自治労第79回定期大会が8月28―31日、岩手・滝沢村の岩手産業文化センターで行われた。全国労組交流センター自治体労働者部会は、議場内外一体となった闘いで自治労本部の地公3単産組織統合=自治労解散方針を暴き、代議員・組合員の怒りの決起を引き出した。90万自治労を動かした力で11月労働者集会への自治体労働者数千人結集を実現しよう。
(写真 労組交流センターは「社保庁解体・職員解雇をぶっ飛ばせ」と訴えた【8月28日 岩手・滝沢村】)
大会で自治労本部は、自治労解散を意味する地公3単産(自治労、全水道、都市交)の組織統合=「地域公共サービス労働組合連合会」結成・加盟方針を第2号議案―2として提案した。採決の結果は、投票総数914票、賛成724票、反対182票、無効・白票8票。実に5人に1人の代議員が反対票を投じた。
労組交流センターは大会3日目の朝、結集する代議員・傍聴者に「『直営堅持』削除、「平和基本法」運動、200万首切りと闘わない→自治労解散が『地公3単産統合』の狙いだ」「本部不信任の怒りの一票を『2号議案―2』への×で示そう」と大扇動した(別掲写真)。
本部の笠見副委員長は「現業・公企統一闘争における『直営堅持』方針を維持する」と口先だけで強調(他方で「直営堅持」と矛盾する「職の確立」論を維持)し、「直営堅持」の文言を運動方針案に盛り込むことを求める補強修正案を取り下げさせた。
それでもなお反対を貫く”絶対反対派”が出現した。これは、自治労本部が安倍の改憲・戦争、民営化=労組解体の攻撃に屈服し、組合員に強制していることへの根底的な怒りの決起だ。
岩手大会での自治労本部の狙いは「社会的責任を果たし、次代を担う自治労運動の発展を」という大会メインスローガンに示される。すなわち、@政府の社保庁解体・職員全員解雇攻撃に組合員を屈服させ、A「直営堅持」方針を取り下げて「職の確立」論を承認させ、A平和基本法制定運動の方針を確立して改憲阻止の大衆闘争を解体し、その結論としてC地公3単産組織統合で地域公共サービス労組連合会を結成し、自治労を解散させる、ということだ。当局・資本との闘いをやめて自治労を解散することを大会で決定しようとしたのだ。
自治労解散スケジュールは決まっている。岩手大会で自治労として地公3単産組織統合=地域公共サービス労働組合連合会の理念と枠組みを承認し、9月に新組織を結成し、10月に連合に加盟、2010年には完全統一体を発足させる。
なくなるのは自治労の名前だけではない。新組織の理念・路線には資本・当局と闘う立場がまったくない。「質の高い公共サービス」商品を市場で販売競争する団体に成り下がるのだ。
182人の代議員は、この自治労解散方針に痛烈なNOを突きつけた。自治労本部は4日目、労組交流センターの宣伝隊を強硬に排除しようとした。本部は182票の反対に大打撃を受け、背後にいる90万自治労組合員に恐怖を感じている。
青年部定期総会、女性部定期総会、現業評議会総会でも、労組交流センター自治体労働者部会は、6・9で大爆発した青年デモの息吹を伝え、「労働運動で革命を」「社保庁解体・全員解雇攻撃粉砕」「『直営堅持』破棄を許すな」と訴え、共感と支持を得た。
「直営堅持」抹殺に反対続出
労組交流センター自治体労働者部会は第一に、「安倍政権の社会保険庁解体・全職員解雇方針は絶対認められない。社会保険庁労働者に責任はない」と訴え、屈服する自治労本部への怒りを爆発させようと呼びかけた。現場労働者の階級的な怒りを解き放つことが労働運動の原点だ。
実際、大会の討論で長野、岡山、秋田、高知、静岡、愛媛、兵庫などの県本部の代議員は、本部が政府・自民党の社保庁労働者バッシングに屈服し、なんら反論せず、労働者に責任があると認めてしまっていることを厳しく追及した。
ところが、本部の笠見副委員長は「職員は大反省すべきだ」と答弁し、岡部委員長は「自治労組合員は意識改革し、仕事に向き合う姿勢を見直すべきだ」と総括答弁で説教した。本部はどちら側に立っているのか!
社保庁6分割・民営化は、正規・非正規を合わせて2万1千人の職員全員をいったん解雇し、選別雇用する攻撃だ。労組的団結を破壊する攻撃だ。自治労本部、社保労組は、これに屈服し、雇用を守るためと称して組織移行に協力することを運動方針としている。職員労働者は、土日休日出勤、時間外無償労働と一時金返納、非常勤職員の超低賃金労働を組合からも強制されている。こんな労組指導部は打倒する以外にない。
27日の現業評議会総会ですでに、現業の「直営堅持」方針が総括で否定され、運動方針案と当面の闘争方針案では文言が抹殺されていることが大問題となった。
本大会でも、宮城、新潟、宮崎、愛媛の4県本部が連名で補強修正案を提出し、大会議案に「直営堅持」を盛り込み、「職の確立」を削除するよう要求した。大半の代議員が「『直営堅持』降ろしでは闘えない。ストライキを配置せよ」と要求し、本部を追及、修正案への支持・賛成を表明した。民営化を前提にした「職の確立」なる文言にも疑問を突きつけ、怒りを噴出させた。
本部派の福岡、北海道の代議員は「本部原案を支持し、修正案にも賛同する」と述べ、本部擁護、反対派取り込みに躍起となった。追いつめられた本部は、笠見副委員長の最終答弁で「おわび」を口にし、逃げ切りを図った。「自治労は公共サービスの質を守る立場から直営堅持で闘う」
こんなものは民営化容認、働こう運動でしかない。しかも本部は議案の修正を一切しない。闘いを求める代議員は、本部に妥協・屈服して自治労を闘わない組合に導く反対派に怒りと失望を感じた。それが第2号議案―2への反対182票として表現されたのだ。
さらに運動方針案に「平和基本法制定運動」が、当面の闘争方針案に「平和基本法案要綱策定」が盛り込まれている。
平和基本法でも居直る本部
東京の代議員が平和基本法への反対意見を述べた。本部は、05年の鹿児島大会で君島副委員長が「憲法9条は1項2項とも死守する。平和基本法問題は一から議論をやり直す」と明言した。これをなんの説明もせずに覆してきたのだ。そして「平和基本法の必要性は高まっている」(金田書記長)と強弁した。
静岡、沖縄、愛媛の代議員は「自衛隊容認だ」「鹿児島大会答弁に反する」「解釈改憲でしかない」と激しく怒りをたたきつけた。「十分な議論の場を設ける」として平和基本法制定運動方針を引っ込めない本部への怒りは募るばかりだ。
自治労岩手大会は11月労働者集会への自治体労働者の決起の展望を圧倒的に開いた。労組交流センターは「11月集会に結集して闘いの展望を開こう」と訴えて11月集会の賛同を集め、チケットを販売し、多くの代議員・傍聴者がそれに応じた。
職場には当局・資本、自治労本部に対する労働者の怒りが満ち満ちている。この怒りを解き放ち、団結して闘えば、どんな反動攻撃も跳ね返せる。この実践は各職場で実際に始まっている。大会でも現場の怒りを解き放ち、本部を追いつめた。怒りの決起を11月総結集で一層拡大しよう。
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週刊『前進』(2310号3面2)(2007/09/10 )
“職場で壁ぶっ壊そう”
9・2ワーカーズアクションin仙台 11・4集会に向け高揚感
仙台市内で9月2日、「ワーカーズアクションin仙台」を開催し、青年労働者や学生ら70人の参加で大成功しました。
私はこの間、職場での闘いをなんとかつくろうと朝ビラを自分でつくってまき、職場の仲間に「9・2に行こう」と訴えてきました。
その行動が職場の中でさまざまな反響を呼び、私自身がすごい高揚感を得ることができました。その思いを集会の基調提起として次のように爆発させました。
「革命をやらなきゃ今の状況は解決されない。自分の中にある怒りを押し込めていないでストレートに出していく。出しづらい環境や壁が周りや自分の中にもある。そういうのをぶっ壊すことが本当に求められている。それができた時に初めて自己解放的になる。私も職場でやって本当に良かった。だからそういう闘いを、みなさんが自分の職場・地域で明日からやってほしい」
首都圏の医療労働者が駆け付け、特別アピールを行いました。
「革命ということは重い、この人に言っても仕方がないと以前は思っていた。でもそれは、労働者を信頼していないということだ。みんなと議論していく中で団結ができる。自分たちはひとりじゃない、みんなが仲間だと思うことで立ち上がって闘える。そういう闘いをやっていきたいし、みなさんもやってほしい」
教育労働者は次のように訴えました。
「職場はもう教育労働者=聖職者って感じで、組織率が9割以上あるのに組合活動は全然ないも同然。でも今の教育現場の置かれた状況は、絶対おかしい。なんとかしたい。ひとりで不起立をするのは勇気がいる。この場で不起立やります、と宣言できない自分がいるが、根津さんを目標に、来年こういう場で『不起立やりました』と言える自分になりたい」
自治体労働者、全逓労働者、学生が発言しました。全逓は全員が登壇、「民営化に対して断固闘う」と決意を示しました。最後に団結ガンバローを三唱、インターナショナルを歌い、仙台市内デモに出発しました。
デモはこれまでになく戦闘的に行われました。
「安倍なんかクビだ」「革命やって戦争とめるぞ」「非常勤にもボーナス払え」「局長、お前が配達やれ。できもしないのに命令すんな」
労働者の怒りの叫びが中心街にこだまし、道行く人の圧倒的な注目を集めました。参加者全員が「明日からやるぞ」「すごく楽しかった」と高揚感を得ることができました。めざせ、11・4日比谷野音に労働者1万人!
(投稿/吉井淳)
(写真 11・4労働者集会1万人結集を誓い団結ガンバローを三唱した【9月2日 仙台】)
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週刊『前進』(2310号3面3)(2007/09/10 )
9・1東京 自衛隊参加「防災訓練」
“戦時動員許すな”
反戦共同が抗議デモ
「戦争動員訓練を許さないぞ」「労働者は戦争協力を拒否するぞ」――関東大震災から84年の9月1日、東京都合同防災訓練のメイン会場となったJR昭島駅周辺で、反戦共同行動委の抗議デモが60人で行われ、昭島市街にシュプレヒコールが響き渡った。
東京都の「防災訓練」は、石原都知事のもと自衛隊や米軍が投入される軍事演習として年々強化されてきた。今年は「外国からの支援隊との連携訓練」を盛り込み、横田基地の米軍と一体化して労働者や住民を大量動員した日米軍事演習として行われた。米軍再編のもと、横田基地に司令部を移転した航空自衛隊など陸海空自衛隊230人が投入された。
動員対象となったのは警視庁・消防庁・港湾・水道など東京都関係や、横田基地周辺の4市1町の自治体・自主防災組織、保育園や小中高校・看護学校など総計約2万3千人。車両910両、航空機14機、船艇8隻という大演習だ。小学校が訓練会場とされ、トリアージ(負傷者の選別)訓練に児童・生徒が動員された。現場指揮はすべて自衛隊が担ったのだ。
朝8時から三多摩労組交流センターが陸上自衛隊立川駐屯地に「防災訓練」の中止を求める申し入れを行った。また同じ時刻にメイン会場となった昭島駅北口で、警察権力の妨害をはね返して街頭宣伝が行われた。
昭島市勤労商工市民センターで集会が開かれた。東京反戦共同行動委の三角忠代表のあいさつの後、とめよう戦争への道!百万人署名運動三多摩連絡会代表の西山勲さんや、大分から駆けつけた益永スミコさんが連帯のあいさつを述べた。
横田基地飛行差し止め訴訟団の福本道夫さんからのメッセージが紹介され、三多摩労組交流センターの労働者が基調報告を力強く提起した。
「02年、当時の防衛庁長官の石破茂は『自衛隊はどうやって敵をせん滅するかに専念する必要がある。そのためにはこれまで自衛隊がやっていたことを警察・消防がやる、警察・消防がやっていたことを民間防衛組織がやるべき』と国会答弁した。さし迫る朝鮮侵略戦争の中で、自治体労働者・教育労働者・医療労働者をはじめとした労働者の戦争動員を団結の力で阻止しよう」
続いて、自治体労働者や反戦自衛官の小多基実夫さん、婦人民主クラブ全国協、都政を革新する会の北島邦彦・杉並区議、内海祐一全学連副委員長が闘いの決意を表明し、デモにうって出た。
(写真左 「戦争動員訓練を許さない」と防災訓練会場に向かって怒りのデモ【9月1日 昭島市】)
(写真右 住民の救出訓練を行う航空自衛隊)
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週刊『前進』(2310号3面4)(2007/09/10 )
安倍が「日米豪印連携」を提唱
対中国の戦争体制を狙う
参院選で大敗した安倍は、恥ずべき政治的な居直りを決め込みつつ、8月19日から25日までインドネシア、インド、マレーシアを歴訪した。しかもこれには会長の御手洗以下、日本経団連の経済使節団が250人も同行し、各国で地元経済界と交流した。帝国主義間(大国間)争闘戦の激化の中で、日帝がアジアを独自の勢力圏に取り込むための露骨な侵略外交を、安倍は展開したのである。
本来、日帝のアジアへの経済侵略は、軍事侵略―戦争準備と一体である。まさに「商船の後に軍艦が続く」のであり、それ以外に帝国主義は延命できない。この間、安倍は「価値観外交」なるものを提唱してきた。それは「自由と民主主義」を始めとするブルジョア的・帝国主義的な価値観を共有する国が連携し、同盟を結んで、残存スターリン主義の中国や北朝鮮と対決し、包囲するという、日帝・安倍の侵略戦争外交である。
その具体策として安倍は、インド国会で行った演説で「日米豪印の連携」と「拡大アジア」なる構想を提唱した。ここで安倍は、日本とインドの関係を「戦略的グローバル・パートナーシップ」と呼び、「このパートナーシップは……基本的価値と、戦略的利益とを共有する結合」であり、「日本外交は今、ユーラシア大陸の外延に沿って『自由と繁栄の弧』と呼べる一円ができるよう、随所でいろいろな構想を進めている」「日本とインドが結びつくことによって、『拡大アジア』は米国や豪州を巻き込み、太平洋全域にまで及ぶ広大なネットワークへと成長するだろう」と述べたのである。
「価値観外交」「日米豪印の連携による拡大アジア」構想の核心的狙いは、中国包囲網の形成であり、対北朝鮮・中国の侵略戦争である。ユーラシア大陸の外延に沿って「自由と繁栄の弧」をつくるとは、対中国の軍事的包囲網づくりそのものにほかならない。
安倍がインドを訪問したのと同時に、小池防衛相(当時)がパキスタンを訪問し、ムシャラフ大統領と会談した。そして両者は「対テロ」という口実で、反帝国主義の闘いの圧殺のために連携していくことに合意している。ムシャラフはとりわけ「対テロ特措法」の延長を強く要請した。
イラク・アフガニスタン(インド洋)派兵、防衛庁「省」昇格、中央即応集団の発足とゴラン高原派兵、大型ヘリ空母の進水や北朝鮮空爆を想定した訓練など、日帝の戦争体制づくりが、この間どんどんと進められている。そうした現実の軍事動向と一体のものとして、安倍の「拡大アジア構想」なるものは提唱されているのだ。
安倍に同行した250人という過去最大の経済使節団は、特にインドが「将来に向けて計り知れない可能性を秘める巨大市場」であることをにらんだ、日帝ブルジョアジーの貪欲(どんよく)な侵略的野望を背景にしたものである。
日米同盟下で朝鮮・中国侵略戦争の戦争準備を進める日帝を打倒できるのは、労働者階級の団結と決起だけである。「対テロ特措法」延長を阻止し、泥沼的危機の安倍改造内閣を絶対に打倒しよう。
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週刊『前進』(2310号3面5)(2007/09/10 )
民主党小沢と一体化する連合
体制内労働運動と対決へ
7月29日に行われた参議院選挙の結果、自民党が惨敗し、民主党が参議院での多数派となった。
日本の労働者階級人民が小泉・安倍の戦争と改憲、民営化と労組破壊、労働者の貧困化の攻撃に怒りのノーをたたきつけた結果だ。
連合の高木会長はこの結果を受けて、「いよいよ悲願である政権交代が見えてきた」と大はしゃぎし、月刊『連合』9月号で民主党の小沢代表と「つぎで獲る!」などと題して対談を行っている。小沢も「連合の力は大きかった」などと述べて互いにエールを交換している。参院選の結果、連合と民主党は権力の座を求めてますます一体化を深め、反動化していく。
日本経団連の御手洗会長は民主党の勝利を受け、「責任政党としての姿をみせてほしい」と、民主党に要求を突きつけた。このブルジョアジーの要求を前に小沢は、労組との決別を主張してきたゴリゴリの改憲派である前原前代表を副代表につけた。対テロ特措法延長問題でも小沢は、「国連にオーソライズされた活動には積極的に参加すべきで、インド洋の活動もそういう観点から考えるべきだ」などと、国連の承認さえあればインド洋での米軍への給油を継続してもいいと主張するなど、第2自民党的本質を暴露している。
今回の選挙でも民主党は、社会保険庁を解体する歳入庁設置法案を5月に国会提出し、自民党と社保庁解体を競い合った。さらに民主党の前政調会長・松本剛は7月7日の民放テレビ番組で、社会保険庁廃止後の社保庁職員の採用について、「これだけ問題があるわけだから(全員採用されなくても)やむを得ない」と首切りを容認し、さらに「上も下も組織も組合も一回、解体して出直してもらいたい」と述べて、社保労組解体まで主張している。
そもそも小沢は新保守主義を掲げ、自民党の幹事長までも務めた田中派出身の帝国主義的なブルジョア政治家だ。その小沢が1993年に自民党の党内闘争に敗北した結果、新生党を結成した。そして連合と社会党をも取り込んで細川連立政権を樹立した。支配階級が分裂する中で、権力を握るために連合に接近し社会党をとりこもうとしたのだ。これに社会党は屈服して解体され、小沢主導での民主党の結成にいたる。
1989年の総評解散・連合結成こそ、日帝・中曽根の国鉄分割・民営化を頂点とした戦後労働運動解体策動に呼応した帝国主義的労働運動化の攻撃だった。連合は社会党解体、民主党結成を小沢とともに推進してきたのだ。
参院選での連合候補の総得票数は7人で182万票。前回の8人で173万に比して微増にとどまった。高木会長自身、「率直に言って、もうひとつ票が出なかったという思いはある」などと述べている。実際、高木の出身母体であるUIゼンセン同盟の推薦候補は得票を減らしている。
連合傘下の労働者はけっして民主党を支持していない。体制内労働運動を打倒し、11・4労働者集会に全力で決起し、階級的労働運動の新しい潮流をつくり出そう。
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週刊『前進』(2310号4面1)(2007/09/10 )
10・7三里塚全国集会へ
反対同盟が招請状
三里塚芝山連合空港反対同盟が、10・7全国総決起集会の招請状を発した。激烈な現地攻防のただ中、11月1万人決起と一体の闘いとして労農連帯をかけて全国から現地に総結集しよう。(編集局)
招請状
全国の労働者・農民、闘う仲間のみなさん。三里塚芝山連合空港反対同盟は、十月七日に三里塚現地で全国総決起集会を開催します。この集会は市東孝雄同盟員の農地をなんとしても守りぬくための決起集会です。そして、参院選で惨敗しながらも、改憲と民営化、戦争への道をひた走る安倍内閣と対決する総決起集会です。反対同盟はあらためて、三里塚闘争が果たすべき役割の大きさを強く感じています。動労千葉をはじめとする全国の労働者、農民、学生、市民が守りぬいてきた反戦・反権力の砦に、いま安倍内閣が牙をむいて襲いかかっています。十・七全国集会はこの現実を跳ね返す新たな出発点を築く集会です。
今年五月、安倍内閣は劣勢にあるアジア市場の巻き返しをかけて、新たな侵略のための「アジア・ゲートウェイ構想」を発表しました。FTA(自由貿易協定)やEPA(経済連携協定)による大資本の生き残りに全力をあげると表明しました。その中心的政策として「航空自由化と成田空港の拡張」を真っ向から打ち出しました。政府・NAA(成田空港株式会社)は、早くも暫定滑走路の「3500b化」を公言しています。
他方で、安倍内閣は「攻めの農業」を掲げています。自由化の推進で食料を海外に求め、国内農業を切り捨てる政策(食料自給率12%=農水省試算)です。そしてついに「農地は耕作者のものである」という戦後の農地制度(農地法)の大原則を放棄する方針を決定し、農地優遇税制の廃止でこれを強引に進める構えです。
「農地法で農地を取り上げる」という市東さんの農地取り上げ攻撃は、農地から農民を引き剥がす農業つぶしの先取りでした。三百万農家切り捨ての象徴といえる事態です。
さらに改憲攻撃と一体で、成田空港は朝鮮有事に五十万米兵の受け入れ拠点とされています。この成田空港の防衛のために、米軍再編の一環として、核先制攻撃のためのミサイル防衛システムが陸上自衛隊習志野基地に配備されようとしています。
三里塚闘争は、四十一年闘い続け、ふたたび国策のための農地取り上げ攻撃と真っ向から闘う新たな段階を迎えました。失効した土地収用法に代えて、農地法で農地を事実上収用することはあからさまな憲法違反です。市東孝雄さんはその違憲性を真っ向から問う行政訴訟を提起して不屈の決意を示しました。
攻防は激しさを増しています。国交省・NAAは、暫定滑走路北延伸完成予定の〇九年から逆規定して、工事をなりふり構わず推し進めています。地区住民の声を押しきって、入会地である「東峰の森」を破壊しました。延伸に係わる裁判(天神峰現闘本部裁判、市東さんの耕作権裁判、一坪共有地裁判)の早期結審路線との闘いが激しさを増しています。
全国のみなさん。市東さんの農地の取り上げは形を変えた代執行攻撃です。これを打ち破る数千数万の陣形をうち立てるために、反対同盟は一歩も引かずに闘います。参院選における自民党の惨敗は、地方と農業・農民切り捨てに対する農民の大反乱であり、労働者の怒りそのものです。沖縄や北海道で、農業つぶしに対する大規模な反対行動も始まりました。働きたくても職のない青年労働者、医療も介護も奪われる高齢者、政治とカネをめぐる底なしの腐敗。労働者、農民、人民の怒りは地を覆っています。反対同盟は、闘う労働者との連帯を強く呼びかけます。この北総台地から全国の農民に闘いへの決起を促し、先頭で闘う決意です。
十・七全国集会はその画期を記す集会です。全国のみなさんの大結集を呼びかけます。
二〇〇七年九月二日
三里塚芝山連合空港反対同盟
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週刊『前進』(2310号4面2)(2007/09/10 )
農民殺しの北延伸許すな
暫定滑走路3500b化絶対阻止を
三里塚闘争は、日帝・安倍政権が「アジア・ゲートウェイ構想」として出してきたアジア勢力圏化政策と対決し、農業切り捨て攻撃を粉砕する新たな段階に入っている。反対同盟が呼びかける10・7全国総決起集会に全力でかけつけ、市東さんの農地を守る闘いに立とう。(斉田 猛)
政府・国土交通省、成田空港会社(NAA)は、暫定滑走路の現在の北延伸工事によって、三里塚闘争を破壊し、空港反対農民を追放して東峰地区をさら地にし、滑走路を3500bにする意図を打ち出してきた。
成田空港と羽田空港とのすみ分けや国交省官僚の空港会社への天下りなどの旧来の利権構造を打ち壊し(黒野社長解任)、「成田・羽田の一体的運用」なる首都圏国際空港拡大戦略をかかげ、その中軸として、内閣の名において「成田の拡充」を明記するにいたったのだ。そして「航空自由化」をとおして国内産業のさらなる民営化・規制緩和を強行し、トヨタなど巨大資本の生き残り戦略であるFTA(自由貿易協定)、EPA(経済連携協定)締結のための国内農業切り捨てをはっきり政策化した(「攻めの農業」)。三里塚闘争は今や、日帝・安倍政権との正面からの対決が不可避となったのだ。
(写真 「北延伸粉砕!」デモの先頭に立つ反対同盟【6月16日】)
「命の森」破壊した新誘導路
空港に隣接する敷地内天神峰・東峰地区には、今日も朝の6時から夜中の11時まで、大騒音、ジェット噴射をまき散らしながら巨大ジェット機の運航が強行されている。「頭上40bに110 の轟音をたてるジェット機を飛行させる」――このような究極の国家犯罪が、連日強行されている。しかし空港反対農民は負けてはいない。「理不尽な攻撃には屈しない」と国家犯罪を告発し闘い続けている。
写真@は昨年10・8集会を行い、今度の10・7集会の会場にもなる萩原進さんの通称「清水(しみず)の畑」から、北側方面を望んだ写真だ。2台のダンプカーが土砂を運んでいる。その向こう側の東峰十字路付近でユンボやブルドーザが動き回っている。
写真Aは、伐採された現在の東峰の森だ。全面積12fのうち約半分が無残に伐採された。すでに整地が終了している。ここに幅30bの新誘導路が造られようとしている。
東峰部落は東西に分断され、西側部分は完全に空港の中に取り込まれてしまい、部落の生活道路がずたずたに破壊されようとしている。
「清水の畑」に至る農道は、すでに3月15日に閉鎖された。さらに通称「竹やり街道」と呼ばれた道路も閉鎖された。
旧小見川県道は今後、新誘導路が横切るため地下にもぐらされ、トンネル化される。空港の都合で天神峰・東峰部落は、まるで模型をいじるように、勝手に環境を変更・破壊されているのだ。
東峰地区はそもそも、「峰」という地名に示されるように利根川方向と九十九里浜方向を分ける分水嶺に位置しており、この地域で最も標高が高い。したがって生活用水や農業用水の確保に昔から苦労してきた場所だ。そこへ「水源」である東峰の森の半分が伐採されたらどうなるのか。保水力が極端に落ちることは明らかだ。
すでに1000fもの空港面積がコンクリートに覆われ、雨水が地下にしみこまなくなっている。その上に“命の森”である東峰の森が伐採されたのだ。
法規制無視の突貫工事続く
北延伸工事は、北側でも激しく行われている。まず、国道51号線のトンネル化工事だ。06年9月25日に着工され、航空機の発着しない夜11時から朝の6時の夜間工事を中心に遂行されている。
天神峰団結街道をめぐっても7月19日、51号線と交差する十字路が西側に約100b移動させられ、団結街道もう回させられた。
北延伸滑走路の北端部における航空機の交互通行用の誘導路を新設するための道路う回だ。
滑走路の北伸部分の工事も成田クリーンパークのすぐ南側で4月17日からフェンス張りとダンプ搬入道工事が始まり、連日強行されている。成田クリーンパークをめぐっても、5月から覆土工事が強行されている。
このように、北延伸工事は暫定滑走路南側と北側の両方で全面的に展開されており、2009年10月31日工事完成、2010年4月開業にむけて、法的規制などを度外視した突貫工事が続いている。
「欠陥空港」の矛盾あらわに
しかし、これらの「北延伸」工事も、破たんした欠陥計画であるという事実から逃れられない。そもそも暫定滑走路の段階から、無理に無理をかさねた「つぎはぎ」空港であったが、この構図はまったく変わっていないからだ。空港敷地のど真ん中に東峰・天神峰地区が存在し、滑走路や誘導路を寸断している。
その結果、「北延伸」で延長しても、2500bという地方空港並みの長さの滑走路しか確保できず、誘導路は「へ」の字に湾曲して片側通行を強いられ、およそ「国際空港」の役割を果たせない。韓国、中国、タイ、シンガポール、マレーシアなどの複数の4000b滑走路を持つ巨大空港との競争に勝てない。
日帝・国土交通省とNAAは「北延伸」工事で三里塚闘争を破壊し、空港反対農民を追放した上での「3500b化」を達成しようとあせりにあせっている。
だが、天神峰・東峰を中心に不屈の三里塚反対同盟が存在する限り、成田はどこまでも欠陥空港のままなのだ。
「ゲートウェイ構想」はアジア勢力圏化が狙い
安倍首相を議長とする政府の「アジア・ゲートウェイ戦略会議」が5月中旬に最終報告書をまとめた。このアジア・ゲートウェイ構想は、アジア市場での敗勢を巻き返すために、日帝がアジア諸国とFTAやEPAを積極的に締結し、アジア総体を日本の影響下に置こうとする、新たなアジア勢力圏化政策だ。
生き残りかけ「航空自由化」
その要に位置づけられているのが「航空政策の大転換」だ。「はじめに」で「航空の分野が、アジア・ゲートウェイ構想実現の最大の焦点」「地域経済の活性化、産業競争力の強化といった国益のために、スピード感を持って航空自由化など政策の大きな転換を図る」と重視している。
その理由は、航空部門で大競争が巻き起こっており、日帝はここでも敗退の危機にたたき込まれているからだ。1985年に1800万人だったアジア全体の航空旅客数は2000年には5000万人にまで膨れ上がっている。東アジアへの航空貨物の輸出は、1990年に750億円だったものが、2000年には6000億円と実に8倍の増加だ。
つまり、FTAやEPAの締結によって、アジア市場での遅れを取り戻すためにも、そのインフラ(産業基盤)となる航空ネットワーク争いで優勢を占めることが死活的な要請になっている。
そのため「航空自由化による戦略的な国際航空ネットワークの構築」「首都圏空港(成田空港・羽田空港)の容量拡大に向けて、可能なかぎりの施策を検討する」と言い切っている。
この30年間、三里塚闘争の存在によって遅れに遅れてきた空港建設政策について、あらためて、内閣をあげて巻き返そうとの宣言だ。アジア・ゲートウェイ戦略は「2007骨太方針」(内閣の半年間の基本方針)にも明記された。
このアジア・ゲートウェイ戦略が三里塚にもたらすものは、「北延伸」計画による闘争破壊、農民追放とその上に立った3500b化攻撃だ。
究極の民営化労働者に強制
アジア・ゲートウェイ戦略は、日本の労働者にとって、「究極の民営化・規制緩和・資本攻勢」をもたらす〈内にむかっての階級戦争>である。
「航空自由化」の直接の目的は、戦略産業である航空運輸産業の生き残りをかけた市場争奪戦だが、これは空陸が一体となった物流体制の再編、生産・販売など全産業の市場再編と大競争を意図的に拡大していく。アメリカの規制緩和と民営化が、1978年カーター大統領による「オープンスカイ」政策によって、火ぶたが切られたことを想起しなくてはならない。
例えば、JRや高速トラック・バスを始めとする運輸産業全体の大競争と関連労働者の労働条件切り下げ・低賃金化を決定的に促進する。
こうして「究極の民営化・規制緩和」を推進し、「競争の強化」すなわち労働者への徹底した賃下げと諸権利のはく奪をもってアジア市場争奪=アジア勢力圏化にうって出ようとしている。
「攻めの農業」は農業つぶし
そしてアジア・ゲートウェイ戦略では、同じ意図をもって「攻めの農業」と称する国内農業の撲滅を公言している。巨大資本の生き残り戦略のために、国内農業を破壊しつくし「日本が(農地のない)シンガポールのようになって何が悪い」(本間正義・経済財政諮問会議ワーキンググループ主査)とばかり、食料自給率目標を投げ捨て、文字どおり田や畑のまったくない荒れ果てた日本を現出させてまで、FTA、EPAの締結をとおしたアジア勢力圏化を急ごうとしている。
これらは憲法改悪・戦争国家づくりの攻撃と完全に一体である。
成田空港会社の新社長に就任した森中小三郎は「アジア・ゲートウェイ構想の中心は成田空港です」(7月28日)と述べ、安倍戦略の先兵を担う意欲を明らかにした。三里塚が、このアジア・ゲートウェイ戦略の成否を決める位置に座っていることが決定的だ。
10・7全国集会の成功をなんとしてもかちとろう。反対同盟の全力での呼びかけに応え、10・7集会に3000人の大結集を実現しよう。そして11・4の1万人結集へ前進しよう。
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週刊『前進』(2310号4面3)(2007/09/10 )
共謀罪 鳩山法相「サミットまでに」
臨時国会で永久廃案へ
安倍改造内閣で法務大臣に就任した鳩山邦夫は就任インタビューで「共謀罪は臨時国会か(来春の)通常国会前半に成立」「来年7月のサミットまでに」と明言、治安政策の重要課題として共謀罪の成立を期すことを表明した(9月3日東京新聞)。この鳩山の反動発言を満腔(まんこう)の怒りを込めて弾劾する。
鳩山はここでさらに、死刑執行の推進、裁判員制度の実施、外国人労働者への入管行政の強化を表明している。断崖絶壁に立つ安倍政権であるがゆえに、治安強化を柱に据えて登場したのだ。
共謀罪は2003年に国会に提出されて以来2度の廃案を経てこの秋の臨時国会で13回目の国会を迎える。特に、昨年春の通常国会では成立の方途を失って見境のない「民主党案丸呑み」までして強行しようとした。そのもくろみが打ち破られたあと、「死んだふり作戦」を展開し、反対の声が弱まったらいつでも突破しようとしてきた。だが、反対の声が高まる中で衆院での審議には入れずに、一方で少年法改悪や更生保護法改悪、被害者裁判参加法などの治安法を強行成立させながら、今年2月に自民党は「テロ等謀議罪」と名称を変え、対象犯罪類型を少なくするなど多少の手直しをして野党を修正協議に引きずり込んで成立させようとして、臨時国会に共謀罪法案を継続させている。この修正案は、治安法や労働法に特徴的な「小さく生んで大きく育てる」ものにほかならない。
「反テロ」キャンペーンを背景に、本来「テロ」と無関係な国際的(越境)組織犯罪条約の主旨をねじ曲げても成立を強行しようとしている共謀罪だが、手直しの内容は見え透いており、思想・信条を侵害し、労働者の団結を破壊しようという「現代の治安維持法」であることがますますはっきりした。戦争下の国家統治と改憲・民営化に向かって労働者人民の決起を事前に弾圧する予防反革命立法、それが共謀罪である。
共謀罪は実行行為以前の話し合いだけで最高5年の懲役・禁錮刑に処すことができるとんでもない悪法である。「話し合い」を立証するために、野放図な盗聴やスパイ潜入捜査などの「武器」を警察にもたらし、警察国家を現出させることにつながる。先日は立川で警察官が携帯する拳銃で女性を殺害する事件を引き起こしたが、このような警察に労働者階級の思想や信条、さらには団結を破壊する「武器」を絶対に与えてはならない。
9月10日から開会される秋の臨時国会冒頭から、「破防法・組対法に反対する共同行動」は廃案に向けて立ち上がる。また、今国会は対テロ特措法延長阻止、改憲に向けた憲法審査会の設置を阻止し、郵政民営化を阻止する決定的な国会になろうとしている。共謀罪粉砕は、青年労働者・学生の処分・解雇・弾圧を恐れず団結をつくり出す闘いを先頭とする9・29ワーカーズアクションの爆発、そして11月労働者集会1万人結集の実現と一体の課題である。
来年7月のサミット厳戒態勢と一体となって成立を強行しようという共謀罪を安倍政権もろともぶっ飛ばそう。臨時国会でこそ永久に廃案に持ってゆこう。国会闘争に全力で決起しよう。
【当面する闘い】
9月24日(月=休日)午後1時〜5時 共謀の広場・寸劇「共謀罪が廃案になる日―200X年衆院法務委員会」ほか
東京・文京区民センター3F全室
主催 共謀罪新設反対国際共同署名運動
9月25日(火)午前8時30分〜午後5時
国会前行動
主催 破防法・組対法に反対する共同行動
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週刊『前進』(2310号4面4)(2007/09/10 )
8月29日〜9月4日
小沢「国連決議があれば派遣」
PAC3ミサイル「公園などに展開」
●柏崎原発、地盤10a隆起 新潟県中越沖地震で、東京電力柏崎刈羽原発付近から柏崎市街地までの地盤が、幅約2`、長さ約10`にわたり10a程度隆起していたことが東洋大、名古屋大、広島工業大グループの解析でわかった。(29日)
●教科書検定、日教組が撤回決議 日教組が定期大会で、文部科学省の高校歴史教科書検定で沖縄戦の「集団自決」から日本軍の強制の記述が修正・削除された問題に抗議し、検定撤回と記述の復活を求める特別決議を採択した。日教組が個別案件で特別決議をするのは初めて。(29日)
●小沢「国連決議あれば派遣」 民主党の小沢代表は、ドイツのメルケル首相と会談した。小沢はドイツが参加している北大西洋条約機構(NATO)主導の国際治安支援部隊(ISAF)に言及し、「ISAFのようなものには、政権を取っていれば積極的に参加すべきだと思う」と述べた。(30日)
●国、騒音を過小算定 国が嘉手納基地(沖縄県)周辺で実施している騒音の自動測定に基づくW値(うるささ指数)の算定について、防衛施設庁が軍事空港周辺での騒音を正確に示すために定めた算定方式に従わずに算定したW値を「近似値」としていたことが分かった。読谷村内の測定点では国のW値が県の値より8・9ポイント(00年)、うるま市石川では5・5ポイント(02年)低いなど、国がW値を過小に算定していた。(30日)
●原子力機構に停止命令 日本原子力研究開発機構原子力科学研究所(茨城県東海村)の施設で、法令の手続きを守らず核燃料物質を取り扱っていたとして、文部科学省は同機構に対し、3施設の使用停止を命令した。高速炉臨界実験装置で国の認可と検査を受けていなかったり、一時貯蔵に使う容器に、核燃料物質を約10年間入れたままにしていたという。(31日)
●再編交付金、米軍運用制限するなら減額 米軍再編特別措置法の施行を受けて那覇防衛施設局が県と14市町村を対象に説明会を開いた。米軍の運用が制限される使用協定が締結された場合には、「再編の目的が達成されないことになる」として交付金が減額されるなどの方針を説明した。(31日)
●防災訓練、米軍が輸送支援 関東大震災から84年で、政府は官邸や静岡県伊豆市などを会場に総合防災訓練を実施した。37都道府県で計約63万人が参加した。東京都の総合防災訓練は、昭島、福生など多摩地域の4市1町と合同で行われた。2万3千人規模の訓練を展開し、在日米軍も出動した。(1日)
●核施設の年内無力化で米朝合意 北朝鮮の核問題をめぐる6者協議の米朝国交正常化作業部会は、北朝鮮が今年末までにすべての核開発計画を申告し、国内の核施設無能力化を行うことで合意した。(2日)
●駐イラク兵削減「作戦成功なら可能」 隠密行動でイラク入りし、西部アンバル州の空軍基地を訪問したブッシュ米大統領は、「現在起きつつある作戦の成功がこれから続けば、より少ない米軍の兵力で治安水準を保つことは可能だろう」と述べ、将来の兵力削減に含みを持たせた。(3日)
●PAC3展開先に公園を検討 高村防衛相は、航空自衛隊入間基地(埼玉県)に配備した弾道ミサイル防衛(BMD)のための地対空誘導弾パトリオット3(PAC3)の部隊の展開先として「(都心の)枢要な施設、設備を守るためには、ある程度、展開しなければならない。公有地を使う場合もありうる」と述べ、自衛隊の駐屯地のほか、緑地公園などの使用を検討していることを認めた。(4日)
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週刊『前進』(2310号5面1)(2007/09/10 )
医療・福祉の解体許すな
一切が資本のえじきにされる
労働者の生存をかけて闘う時
公的年金への不信を口実とする社会保険庁の分割・民営化=自治労破壊攻撃は、安倍・御手洗の戦争・改憲と民営化攻撃の焦点となっている。この社会保険庁解体・年金民営化攻撃と密接につながっているのが、医療・介護・社会保障の解体・民営化攻撃である。年金記録不明問題、在宅介護コムスンの大規模不正、夕張市立病院廃業と売却には、その矛盾が鋭く現れている。医療・介護の民営化を阻む闘いは、労働者人民の重大な決戦課題になっている。
公立病院の民営化 中小・公立は存立の危機
「診療報酬の3・16%引き下げ」など、06年4月の医療制度改悪によって中小病院、とりわけ公立病院は財政面から締め上げられて存立の危機にある。診療報酬の政策的な配分による病院間格差拡大により、中小病院とりわけ地方の公立病院では深刻な医師・看護師不足が起きている。看護師は24時間を2交代で勤務する当直制度などを強いられ、超過重労働が広がっている。今、戦後の地域医療を担ってきた約2000の公立病院には、合理化・業務外注化、統廃合・民営化の嵐が吹き荒れている。自治体病院民営化によって、民間の医療労働者にも非正規・低賃金化の波が押し寄せようとしている。
政府・厚労省は04年の医療制度改悪で、「自治体病院の93%が赤字経営(税収で補てん)」というあたりまえの事実に焦点をあてた。厚労省は、「公立病院の累積赤字は07年までに2兆円を超える。赤字の原因は職員給与が民間比で2〜3割高いことにある」「病院だけでなく、公務員給与体系が年功序列賃金であること、終身雇用であること、勤務年数が長いほど高給になることに問題がある。ここにメスを入れる」と攻撃を開始した。
医療制度改悪前の04年4月に国立大学付属病院は「国立大学法人」に、国立病院は独立行政法人国立病院機構に移行した。これによる解雇・再雇用で正規労働者の賃金は5〜20%も削減された。民営化で、賃金引き下げ、就業規則の不利益変更、公務パートの雇い止め解雇、定員外「賃金職員」のパート・非正規雇用化が襲いかかった。正規雇用(定員外職員)准看護師が民営化でパート化され、賃金が半減した例が報道されている。国立病院労組はこれに対して今も裁判闘争を続けている。
国立病院の独立行政法人化に先立つ04年3月、社保庁関係の厚生年金病院と社会保険病院が独立行政法人「整備機構」に移管された。さらに社保庁の分割・民営化によって、病院の売却=完全民営化が予告されている。
06年度までに、すでに全国で38の地方自治体病院が公設民営化された。完全民営化は16病院。さらに今年4月には夕張市立総合病院、宮城県立深谷病院、愛知県国保東栄病院、福岡県立嘉穂病院、福岡県立柳川病院の5病院が民営化された。さらに自治体病院の民営化が推進されようとしている。
自民党幹事長だった中川秀直は、「改革のかぎは自治労、社保庁労組、日教組対策」と挑戦的に語った。これに対し自治労本部は、国による「夕張市のように財政破綻(はたん)した自治体の住民は見捨てる」という見せしめ攻撃と公務員たたきの嵐に身を縮め、階級決戦として仕掛けられた安倍=御手洗の道州制導入と民営化(=労組破壊)攻撃に屈している。
自治体労働者自身が、体制内労働運動と決別し、闘う労働組合運動を職場から再生させるしか活路はない。労働者階級の団結の組織=労働組合を民営化攻撃で解体し、労働条件を引き下げ、公的部門を資本のもうけのエジキに投げ出すこの攻撃との闘いは、全労働者の階級的利益のかかった階級戦争である。
(写真 売却=完全民営化が予告されている厚生年金病院【写真は東京厚生年金病院】)
「混合診療」の解禁 病院経営が市場競争に
今や日本帝国主義は、医療の全面民営化を狙っている。
06年医療制度改悪で、厚労省は「混合診療」と「診療報酬の包括払い」に道を開いた。混合診療とは、保険診療と保険適用外診療の混合を認め、高度医療を自費負担にすることで公的医療給付を最低限度に抑えようとするものだ。まさに医療内容は「金次第」になる。包括払いとは、病気ごとに医療費を一律に決めることにより、安い薬、手抜き、短期退院などを促すものだ。これにより医療の中身は限りなく劣悪化される。
この二つは、病院経営を市場競争に投げ込み、利潤追求へと駆り立てる制度である。日本経団連は今年年頭に出された御手洗ビジョン「希望の国、日本」で、「混合診療の全面的解禁」と「診療報酬の包括払い化の一層の推進」を主張している。病院経営にうまみがない限り、病院経営本体への株式会社参入、本格的民営化はできないからだ。06年医療制度改悪は、戦後医療制度の根幹にある「皆保険制度と(医療内容の)平等原則、(病院経営の)非営利主義」を解体し、医療の格差化・営利化・民営化に道を開いたのだ。
そのためには、医療労働者の労組破壊・団結破壊が不可欠である。自治体病院の民営化攻撃は、その狙いをもって強行されている。これは年金民営化のための社保庁解体攻撃と同じだ。こうした攻撃との闘いでカギを握るのは、当該の労組を先頭にした階級的労働運動、労働組合の闘いだ。
介護保険が突破口 不正・破綻・廃業が続発
2000年の介護保険制度発足は社会保障民営化の突破口だった。介護保険制度で、国は「措置から契約へ」と唱えて高齢者福祉・介護の公的責任を放棄した。「家族介護から介護の社会化」を掲げて発足した介護保険制度は、その表看板とは裏腹に公的福祉を「自己責任論」「世代採算論」で解体し、介護を民間資本・株式会社のエジキに投げ出した。さらに、介護・福祉労働者を典型的な「官製ワーキングプア」とし、非正規雇用労働者を大量に創出した。今年6月のコムスン問題の発覚は、介護保険制度の必然的な結果である。
厚労省は6月6日、コムスンの介護報酬不正請求で、コムスンに対し今後4年半、新規事業所指定と認可更新を認めないことを決定をした。コムスン自身の申告では149事業所で約1億2400万円を不正請求したとなっているが、厚労省の6月15日までの調査では、202事業所で約4億3000万円の不正請求が判明している。
問題はコムスンだけではない。制度発足以後の7年間で、介護保険事業所指定取り消し処分は実に459事業所、介護報酬の不正請求額は05年までに計55億円を超えている。介護保険事業では、常に新規開業と撤退、倒産と廃業が繰り返されている。介護保険事業に群がるコムスン・グッドウィルのような資本家にとっては、介護はもうけの対象にすぎない。
06年4月から介護保険の在宅家事援助は原則廃止された。その上、介護保険報酬の切り下げによって在宅介護事業はおしなべて約20%の収入減になっているという。06年の介護労働者の賃金は、施設事業労働者も含めて約20%引き下げられた。経営者団体である日本在宅介護協会は、「コムスン問題は介護保険制度の崩壊の始まりだ」とコメントし、危機感を表明している。制度として成り立たない介護保険によって高齢者介護は「自己責任」「予防重視」「健康増進の義務」の名のもとに切り捨てられ、福祉労働者は生活できない賃金、過重労働を強いられている。「個人請負」制や自宅から利用者宅への「直行・直帰ヘルパー」など、違法状態ぎりぎりの労働条件を強いられるパートの介護ヘルパーが大量に生み出された。
介護保険発足と同時期に労働者派遣法が改悪され、製造業現場への派遣が合法化された。グッドウィルなど労働者派遣業は、職業安定法違反の「二重の派遣」「違法請負」、派遣法違反の「建設業・港湾業への派遣」、日雇い派遣労働者からのピンハネなど、あらゆる違法行為で成り立っている。ワーキングプアといわれる労働者への貧困の強制は、小泉政権以来、このような悪らつな資本を先頭に行われてきたのである。
国が生存権を侵害 最末期帝国主義を倒せ
最末期の危機にある帝国主義は、労働者を徹底的に搾取し、社会保障を全面的に解体することによってしか生き延びられなくなっている。日本経団連の「希望の国、日本」は、「社会保障制度改革」と称して「自助・互助で対応する部分と公的制度で対応する部分の役割分担を見直し、公的制度の関わる範囲を大幅に縮減する」と言い放った。憲法25条(国民の生存権、国の社会保障義務)からくる国の公的責任を否定し、「老後の生計、傷病などのリスクに対する備え」をするのは“国民一人ひとりの義務だ”と言うのだ。
もとはといえば社会保障制度は、プロレタリア革命の現実性に直面した帝国主義が、階級支配を維持するために必要としてきたものだ。だが今や支配階級は、年金・医療・介護などの社会保障を自ら解体する以外に延命策を持たない。そうである以上、労働者人民は生きていくために階級的に団結し、自らの闘いによって帝国主義を打倒するほかない。
08年4月には、75歳以上を対象とする後期高齢者医療保険制度が発足する。これで約1300万人の高齢者は例外なく医療保険料を取り立てられることになる。その額は全国平均で月6200円。日帝は「高齢者の医療費負担と給付関係を明確にする」「後期高齢者の入院は長期化するため別建てにする」という「世代勘定」論を叫んで、高齢者から生存を奪おうとしているのだ。
後期高齢者医療保険制度は、国保と違って市町村単位ではなく都道府県単位の広域連合運営となる。これと連動するのが療養型病床の劇的削減である。現在ある37万床の療養型病床を半分以下の15万床に削減することが、06年医療制度改悪で医療費削減の決定打として打ち出された。高齢者を病院からたたき出す政策だ。文字どおり国による生存権侵害の攻撃だ。
ドイツの医療制度の大改悪が伝えられている。アメリカでは医療保険から排除された労働者の拡大と医療保険をめぐる労働組合の闘いが拡大している。
社会保障を解体することによってしか延命できない帝国主義を階級的労働運動の力で打倒しよう。11・4労働者集会に結集しよう。
〔林佐和子〕
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週刊『前進』(2310号5面2)(2007/09/10 )
『前進』デジタル縮刷版の刊行に際して
――原点から学び、到達地平を確認し、新たな決意で先頭に立つ
革命的共産主義者同盟議長 清水丈夫
●時代の大きな変貌――革共同が担うべき重責
革共同が創設され、『前進』が刊行されはじめたころ、つまり1960年代には帝国主義とスターリン主義はまだまだ牢固(ろうこ)としているかに見えました。しかし、それはその後の歴史をとおして大きく変貌(へんぼう)しています。すでにスターリン主義・ソ連は崩壊し、帝国主義も今や末期帝国主義の死の苦悶(くもん)にあえいでいます。世界金融大恐慌の現実化、アメリカ帝国主義のイラク侵略戦争の敗北・敗勢の深まりのなかで、アメリカ帝国主義の没落は一挙に進行し、帝国主義間の争闘戦は激化し、世界戦争の危機はいよいよ切迫してきています。
凶暴化した帝国主義による労働者階級への資本攻勢・政治攻勢はますます激しくなっていますが、これにたいする労働者階級の怒りや憤りはかつてなく強まっており、そのなかで、労働者階級の自己解放闘争としての革命的共産主義運動の躍動的な闘いが力強く前進を開始しています。資本と権力による搾取と収奪、支配と抑圧にたいする労働者階級の怒りと闘いは、もはやどんな力をもってしても押しとどめることはできません。
このことは、反スターリン主義・革命的共産主義の党としての革共同の任務がかつてなく大きく、決定的なものとなってきていることを示すものだと確信します。
●70年安保・沖縄闘争を切り開き、動労千葉の闘いに結実した3全総路線
まさにこの時点で、『前進』のデジタル縮刷版が、第1巻(1959〜63年)を皮切りに発刊されます。
この第1巻の中に収録されている論文・記事をとおして、革共同が創成期の苦闘をとおして、その歴史的出発点を確立していく過程とその内容をつかみとることができると思います。
そこには、労働者階級の主体的・革命的決起を死のように恐れ、労働者階級の自己解放闘争とそのプロレタリア革命としての成就に徹底的に敵対し、妨害し、弾圧してきたスターリン主義からの全面的決別を遂行しようとする革共同の決意を見てとることができます。また、あくまで労働者階級自身の階級的決起を基軸にすえて闘いぬこうとする革共同の基本路線が、すでに原理的・原型的に提起されていることを見い出すことができると思います。
そのひとつの到達点を示すのが、いわゆる3全総報告(62年9月に開催された革共同第3回拡大全国委員総会での政治局報告)です。
もちろん、この原点的確立過程は、激烈きわまる党派闘争に満ちたものでした。大きく言えば――
まず当然にも、スターリン主義・日本共産党との激烈な党派闘争です。
そして、ブント(共産主義者同盟)との党派闘争。ブントは60年安保闘争を実体的に主導しましたが、思想的には中間主義であり、その左翼スターリン主義・小ブル急進主義のゆえに分裂・崩壊し、革共同によって解体的に吸収・止揚されたのでした。
また、60年安保闘争を経て、日本の革命的左翼の闘いは革共同によって革命的に統一されましたが、本多延嘉書記長を先頭に3全総路線を驀進(ばくしん)し、労働者階級の党として本格的に労働組合運動の中での闘いの組織化へと突き進むことが始まるやいなや、黒田・松崎らカクマル派は革共同から逃亡し、さらには革共同への白色テロル集団へと転落していきました。
しかし、こうした党派闘争をかちぬき、3全総路線を確立・堅持して、革共同が労働者階級の自己解放闘争としての共産主義=マルクス主義で武装し、労働者階級の党として、労働組合運動にがっちりと根をはっていく路線を実践していったことが、その後のいっさいの歴史を決定したと言えます。
この基盤の上に立つことで、革共同第3回大会(66年9月)をかちとり、70年安保・沖縄闘争をほとんど独力で大爆発させていくことができました。
また、権力と連合した反革命カクマルによる革共同絶滅攻撃にたいして、20年におよぶ二重対峙・対カクマル戦を闘いぬき、勝利することができました。
そしてなによりも決定的なことは、3全総とそれを基盤とするその後の全歴史をとおして、動労千葉の闘いが革命的・戦闘的に闘い抜かれ、日本帝国主義が総力をあげた国鉄分割・民営化攻撃を核心においてうち破ったことです。さらに、JR総連カクマルの反労働者的策動を根底的に打倒する地平を戦取してきたことです。
そしてそれが、ある意味では3全総路線をも超えて、労働者階級の自己解放的決起がどれだけの階級的力をもっているものか、また労働組合が真にマルクス主義的指導部のもとで、その団結をうち固めたならば、どれほどのことができるものかをはっきりと指し示すものとなったということです。
●革共同の原点と到達地平、そして新たな決意
最後に革共同としては、この『前進』デジタル縮刷版の刊行をとおして、みずからの歴史的原点をしっかりと学びとるとともに、その後の四十有余年の激闘の歴史をとおして何を切り開き何を確立することができたのか、逆にどんな誤りや偏向を犯してきたのかを、今こそ指導部を先頭に全力で明らかにしていかなければならないと考えます。
ほかならぬ筆者自身、その先頭に立たなければなりません。
そうした作業を含めて、今回の『前進』デジタル縮刷版刊行開始の意義は非常に大きなものがあります。
07年11月集会を前に、この第1巻が刊行されたこともとても重要です。ぜひとも積極的に活用・利用してほしいと思います。
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週刊『前進』(2310号5面3)(2007/09/10 )
コムスン問題厚労省交渉
“介護保険廃止しろ”
福祉破壊居直りを弾劾
9月4日、コムスンの介護報酬不正請求問題で厚生労働省の責任を追及し、介護保険制度廃止を要求する厚労省交渉が闘われた。
交渉には介護と福祉を要求する杉並住民の会や介護保険に反対!人として生きられる福祉・介護を求める神奈川県民の会を始め高齢者や「障害者」、西部ユニオン、福祉労働者連帯ユニオン、労組交流センター医療福祉部会の労働者など23人が参加した。介護保険制度破綻の責任を居直る厚労省を厳しく追及した。
まず厚労省が人数を15人に制限したことに対し、参加者が激しく詰め寄って全員が会場に入ることを認めさせた。最初に要求項目への厚労省の回答を求めた。厚労省はコムスン問題や介護保険をめぐる状況を説明するのみで、介護や労働者の労働条件に対して責任をとる姿勢はまったく示さない。厚労省の回答に参加者から激しい怒りの声がたたきつけられた。
コムスンの問題に絡んで厚労省は「適正化の指導をしている」と居直ったが、参加した労働者が「その適正化計画は介護を受ける権利を奪うものだ」と現場から実態を暴露した。「保険化したことによって保険料を取られても利用料の1割負担ができないから介護を受けられなくなった。それが問題なんだ」という追及に、厚労省は「1割負担の上限をこえる分は払い戻しする制度が来年からスタートします」などと言う。厚労省は、今1割の負担ができなくて介護を受けられない人が、年間の上限額を超える分が翌年返還されれば介護を受けられると思っているのか。収入の少ない高齢者から介護を奪った責任をまったくとろうとしていないのだ。
2日前の新聞広告でワタミの会長が「福祉ではない、サービス業としての介護」と言っていることについてどう思うのか問いただしたことに対して、厚労省は「顧客満足というところを考えての発言じゃないか」などと弁明して「介護は福祉ではない」という考え方を擁護したのだ。この回答に怒りが噴出した。「これを読んで許せないと思う感覚を持ってないところが問題なんだ」と激しい弾劾。「憲法25条違反だ。絶対に許せない」「介護保険には福祉の理念がないんだ。それを全然反省していない。国の財政が厳しいといって介護を切り捨て、労働者をワーキングプアにおとしいれたんだ」と激しく弾劾した。
「登録ヘルパーは、平均年収220万と言ったけど、それ以下の賃金で働いている人がいっぱいいる。それについて厚労省はどうするつもりなのか」という質問に、「介護労働者が将来展望をもてるようなキャリアアップの仕組みを作っていく」と現実を無視した空論を平然と語った。「年収220万で何がキャリアアップだ」「この制度がある限りだめなんだ。この制度は廃止すべきだ」と怒りがたたきつけられた。
交渉終了後、厚労省前で街頭宣伝を行った。昼休みで出てきた厚労省や社会保険庁など官庁街の労働者が積極的にビラを受け取っていく。介護保険や年金の破綻を労働者の責任にしようとする安倍政権を怒りを込めて弾劾し、労働者の決起を呼びかける訴えが大きな反響を呼んだ。この日の行動は、労働組合と高齢者、「障害者」が一体となった行動で厚労省を決定的に追いつめた。
(写真 「介護を奪う介護保険制度は廃止しろ」と厚労省を追及する参加者【9月4日 霞が関】)
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週刊『前進』(2310号6面1)(2007/09/10 )
連日の攻防と切り合ったビラが威力発揮 東京 植田喜和子
岩手の滝沢村で開かれた自治労大会で、労組交流センター・自治体労働者部会は連日の攻防と切り合ったビラをまき、マイクで訴えました。
大会4日目、8月31日のビラは、前日30日に地公3単産組織統合方針(第2号議案−U)の採決で投票総数914票のうち182票が反対票だったことを「本部不信任!怒りの182票」と大見出しにし、「職場に戻って闘おう! 自分たちの闘いに自信を持とう!」と訴えたものでした。
雨の中、宿舎から大型バスで会場に着いた代議員、組合員にもれなくビラを差し出します。うれしそうにビラを受け取り、「毎日ごくろうさん!」「隅から隅まで読んでるよ!」と声をかけてくれる組合員もいました。他方、絶対に受け取らないと渋い顔で通りすぎる一団もいて、反応はみごとに分かれました。
大会3日目の30日にまいたビラの大見出しは「本部が『地公3単産統合』で狙っていることはこれだ!」。社保庁一時金返納や「直営堅持」削除、平和基本法運動−改憲闘争放棄、自治体労働者200万人首切り容認などの本部方針はすべて「資本、当局との闘いをやめる」ことであり、自治労解散が「地公3単産統合」の狙いだと暴いて、「暴走する本部を許すな! 本部不信任の怒りの1票を『2号議案−2』への×で示そう」とアピールしたのです。この訴えが182票の反対票に結実したと実感しました。
物販・日刊・労働学校が労働者組織する道 労働者 久喜 啓
A労組青年部のB君のマルクス主義青年労働者同盟結集がかちとられました。
約1年近くB君をオルグしてきましたが、彼に対して私は、動労千葉オルグだけをやり続けました。具体的には、物販・『日刊動労千葉』・労働学校です。そしてB君はマル青に結集しました。
まずB君は、もらった『日刊動労千葉』をコピーして仲間の労働者に配り始めました。そして「動労千葉の組合員は、夏冬の物販闘争で2万円ずつ物販を買う」と聞くと、仲間の間で2万円の物販注文を組織しました。次には、労働学校に仲間を組織しようと今頑張っています。
つまりB君は、物販・日刊・労働学校の組織者に自分を組織することで、自分で自分自身をマル青に組織したのです。
党の中には、「動労千葉は労働組合だ。労働組合で党はつくれない。党のオルグと動労千葉オルグは別ものだ」という考えが根深く存在しています。そして、この理屈の下で、実際には、動労千葉とも階級的労働運動ともまったく異質なモノがオルグに持ち込まれています。これでは労働者を組織できません。
これは党派性とは何かという問題です。党派性とは、階級性のことです。ならば動労千葉こそ最も階級的な存在です。むしろわれわれは動労千葉の階級性から学ぶべきです。そして、階級的労働運動の実践の中で、階級性に基づかない誤った「党派性」を削(そ)ぎ落とし、真に階級の党へと階級移行をやりとげなければならない。
物販・日刊・労働学校。この三つが労働者を組織する道です。労働者の党に結集するということは、動労千葉労働運動を労働者の中に広める組織者になるということです。11月1万人結集とは、物販・日刊・労働学校の組織者を1万人つくるということです。
動労千葉の闘いを徹底的に語り切る。これが階級的労働運動路線下の新しいオルグのあり方です。『俺たちは鉄路に生きる3』は、そのための武器として決定的です。そして11月1万人結集を実現しよう。
丸ごとの宋神道さんが迫ってくる映画 東京 住田麻美
在日朝鮮人「慰安婦」宋神道(ソンシンド)さんの映画が完成し、8月25日に中野ゼロ小ホールで上映会が開催されました。「オレの心は負けてない」、宋さんの声が聞こえてくるような題名の映画は、丸ごと宋さんの存在そのものが迫ってくるものでした。あらためて宋さんの過酷な人生と、その中で懸命に生きる姿にうたれ、心の奥深いところで揺さぶられるものでした。
同時に、宋さんと一緒に裁判を闘ってきた「在日の慰安婦裁判を支える会」を担う人びととの魂の触れ合いともいうべき記録でもあります。映画の中で、支える会の梁澄子(ヤンジンジャ)さんが「針の穴の隙(すき)もないほどの鎧(よろい)を身に着けている人」と初対面の印象を語っていますが、おそらく出会った当時の宋さんを最も的確に表現した言葉なのでしょう。まさに宋さんの人生が、いかに苦難の連続であったかを示していると思います。不信と疑念で他人に対して鎧をまとっていた宋さんが支える会の面々に出会って、裁判を進めていく中で、少しずつその鎧を脱いでいく、そのことが映画の中でもさまざまな場面で感じられます。
宋さんの体に刻まれた源氏名や刀傷、そして慰安所で軍人に殴られて以来の難聴、その一つひとつが軍隊慰安婦としての歴史を物語っています。慰安婦に強制はなかったと言って開き直る安倍に突き付けてやりたい。
「戦争を絶対にやっちゃいけないってオレの口から言っても、あんたたちの口から言っても、戦争は国のためじゃなくて、しないのは自分のためなんだから」と宋さん。この映画は、この日を皮切りに自主上映されていきます。ぜひ、地域や職場、学園で声をかけあって上映会を行いましょう。
訂正
前号本欄「『小林一夫同志をしのぶ会』に参加して」の小林同志の名前は「小林一男同志」の誤りでした。おわびし、訂正します。
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週刊『前進』(2310号6面2)(2007/09/10 )
9・29沖縄県民大会へ
史実歪曲に10万人の怒りを
9月29日、沖縄・宜野湾市の海浜公園で「教科書検定意見撤回を求める県民大会」が開催される。沖縄戦での「集団自決(=強制集団死)」が軍の強要によるものだという史実を歪曲し、教科書を書き換えさせた文部科学省の暴挙が、どれほど不当極まるものであるか。9・29は沖縄全県民を挙げてそれを正そうとする闘いだ。沖縄と本土の一体となった闘いで大成功させよう。
(写真 「沖縄の人びとのお気持ちにそぐわないこともあるが決まったことだ」と居直った文部科学省に、怒りのシュプレヒコール 【8月30日 東京・丸の内】)
全県民的決起
沖縄県議会での2度の決議、41市町村議会全部での決議、県民大会への出席の県議会全会一致決議、検定撤回を求める署名44万人突破――文字どおり沖縄県民の総意として、安倍政権・文科省に対する抗議・撤回要求が燃え上がっている。仲井真知事といえども、県民大会に出席すると言わざるを得ないほどだ。
それは沖縄だけの問題ではない。教科書は日本全国の高校で使われるのだ。また安倍政権のもとでの戦争と改憲の攻撃の一環である。沖縄の教育労働者を先頭にした闘いに連帯し、日本の労働者階級全体の課題として闘おう。検定意見を絶対に撤回させよう。
同じ日に本土で闘われる9・29ワーカーズアクション 池袋は、沖縄県民大会と呼応した一層意義深い闘いとなった。全力で成功させよう。
沖縄戦の本質
そもそも沖縄戦とは、日本の敗戦が決定的となっている中で、「国体護持」の時間稼ぎを狙った「捨て石作戦」として強行されたものであり、住民を丸ごと巻き込み、できるだけ長期に米軍を釘付けにすることを最初から目的として強行された戦争だった。そこでは住民にも投降を許さず、「軍官民共生共死」のスローガンのもと、軍と生死をともにすることが強制された。「玉砕」は自己目的化されていた。
軍による「集団自決」の強要は、沖縄戦の体験者の証言からも明らかであり、疑う余地はまったくない。何のためにこの厳然たる史実をねじ曲げようとするのか。
アジア侵略の歴史を否定し、日帝の15年戦争全体を賛美する運動を展開してきた「新しい歴史教科書をつくる会」の藤岡らは、「次は沖縄だ」と照準を定めて、沖縄戦の歴史の書き換えを追求してきた。この中で、渡嘉敷島、座間味島の「集団自決」について「軍命があった」とするのは「名誉棄損だ」として、大江健三郎氏と岩波書店を相手取り訴訟を起こした。そして、この裁判が行われていることを「理由」にして、文科省は「軍命があった」という記述を書き換えさせたのだ。
この一連の攻撃の狙いは何か。それは「集団自決」の強制を、沖縄戦の本質を集中的に示す、二度と繰り返してはならない歴史としてではなく、「国のために自ら命をささげた崇高な犠牲」「国民の模範」とする価値観へと逆転を図り、再び戦争に動員していこうということにある。
だが、これは言語に絶する悲惨をこうむり、戦後も米軍基地の島として差別的に犠牲を強いられてきた沖縄県民の根底的な怒りに火を付けた。
居直る文科相
安倍政権は、この怒りの決起にたじろぎながら、居直ろうとしている。伊吹文科相は、沖縄選出国会議員に対し、「すべてで『軍命』があったわけではない。『軍の関与』という表現であれば、次回の検定で問題とならないだろう。出版会社にお願いしてはどうか」と「提案」したという(8月24日)。沖縄県民は、来年のことではなく、この秋に印刷される教科書を元に戻せ、と言っているのだ。先送りにしてごまかすことなど絶対に許せない。
安倍改造内閣でこの伊吹が再任されたことは、沖縄から何を言われようと教科書は元に戻さないことを安倍自身が意思表示したものだ。怒りを爆発させて反撃しよう。
同時に、この沖縄戦の記述書き換え問題は、朝鮮・中国・アジアに対する侵略戦争の歴史の書き換えとともに、日帝の攻撃であるだけでなく最大の弱点でもある。アジア人民の怒りも不可避である。教科書検定意見撤回を求める闘いは、安倍の戦争と改憲の攻撃を粉砕する重大な突破口でもあるのだ。
日教組が決議
日教組は、定期大会最終日の8月29日、日本軍関与を削除した検定意見を「歴史を歪曲するもので断じて容認できない」として、検定撤回と史実に基づく記述を求める特別決議を全会一致で採択した。これは「日の丸・君が代」強制の攻撃になんら闘わないばかりか、「君が代」に不起立・不伴奏で闘う教育労働者を抑圧する森越執行部が、闘わないことの免罪符として持ち出したという側面が確かにある。
しかし、沖教組・高教組などの闘いに突き動かされ、決議せざるを得なかったことが重要だ。
教育労働者は、沖教組・高教組と連帯し、日教組の再生をかけ、それぞれの職場で地域で、沖縄戦史実歪曲に対する闘いの先頭に立とう。
大会の成功へ
今、沖縄では、辺野古新基地建設問題を始め、米軍再編に伴う攻撃が一斉に吹き荒れている。
この軍隊と基地をめぐる攻撃は、朝鮮・中国に対する侵略戦争体制づくりの攻撃であり、再び沖縄戦を準備する攻撃だ。それは沖縄戦の史実歪曲の攻撃と一体である。
9・29県民大会は、新たな沖縄闘争の幕開け、米軍再編攻撃に対する闘いの高揚に直結している。日本のすべての労働者階級は、沖縄の労働者人民の闘いに連帯し、9・29県民大会の成功に向かって闘いぬこう。
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週刊『前進』(2310号6面3)(2007/09/10 )
沖縄戦「集団自決」 “教科書検定撤回を”
労組など17団体 文科省抗議
8月30日午後、6・23呼びかけ団体(沖縄民権の会、なんぶユニオン、東京西部ユニオン、福祉労働者連帯ユニオン)は、都政を革新する会、婦人民主クラブ全国協議会など17団体30人で高校歴史教科書からの沖縄戦「集団自決」強要記述削除の撤回を求める要請・申し入れ行動を文部科学省に対して行った。この行動は、6・23集会決議を集会参加者とともに実践するものだ。
東京・丸の内にある文部科学省ビル前でビラをまき、丸の内界隈(かいわい)にとどろく怒りの声を上げた。その後、1階面会室で文科省の担当者に11団体が要請・申入書を手渡した。代表して西部ユニオンが申入書を読み上げた。
質疑応答は、「文科省の布村審議官は6月15日の沖縄行動団との交渉の席で集団自決に関して軍の隊長の命令があったかどうか学問的、学術的に見て断定できないと発言しているが、学問的・学術的見解の根拠は何か」という質問から始まった。文科省の担当者は、「検定意見は集団自決への日本軍の関与を否定するものではないが、学術的な観点から審議が行われたところ、すべてが軍の命令のもとで行われたのかどうか断定できない」「さまざまな学説の蓄積があって、その時の全体的な学術状況を総合的に判断して」などと居直り、果ては「沖縄の人びとのお気持ちにそぐわないこともありますが、決まったことなので」と、平然と言い放った。
それには参加者から「生き証人の体験を無視するのか!」「沖縄全市町村の決議を黙殺するのか!」と怒りの声が集中。また、「82年の住民虐殺削除の時は記述を復活させたではないか。なぜ、今回は撤回できないのか」という参加者の声には「審議会には文科省から意見を言うことはない」とうそを言う。文科省職員である教科書調査官が審議会に出した日本軍の関与を示す記述の削除を求める調査意見書が、文言までそのまま審議会の検定意見になったことが判明している。
30分の交渉時間が過ぎたからと逃げるように退席する担当者に在本土沖縄青年が「自分の母親も含め、集団自決が行われた沖縄戦の中を生き抜いてきた体験を沖縄県民はもっている。その体験を無視することを沖縄−本土を結ぶ労働者は絶対に許さない」と宣言。すぐさま交渉を抗議に切り換え、参加者全員が文科省前で抗議の声を上げた。
「集団自決」強要記述削除撤回闘争は沖縄だけの闘争ではない。改憲・侵略に突き進む安倍政権の戦闘的教育労働者・労働組合破壊の攻撃であり、沖縄戦の中で強制された「集団自決」を国のために自ら死ぬ行為として「美化」し、労働者を侵略戦争に加担させる攻撃だ。さらに海上自衛隊と自衛艦まで投入した辺野古新基地建設の攻撃と一体のものだ。この闘いこそ、改憲・戦争を阻止する闘いだ。
全国の仲間に訴える。「集団自決」強要記述削除撤回を戦闘的に闘う沖縄労働者階級、とりわけ沖教組・高教組、自治労を激励し、文科省に抗議文をたたきつけよう。文科省・防衛省への抗議行動を組織して9・29沖縄県民大会−ワーカーズアクションから11・4労働者総決起集会に進撃しよう!
(投稿/西里通利)
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週刊『前進』(2310号6面4)(2007/09/10 )
9・18柳条湖事件76周年記念アピール
星火団よ!革命勝利を
在日台僑元日本兵 林 歳徳
1931年9・18柳条湖事件=「満州事変」とは、梟きゅう(きょうきょう)日帝(注1)の71カ年連続10回にわたる中国侵略戦争過程での第7回目の中国侵略戦争のことである。梟きゅう日帝は、1868年1月京都鳥羽伏見の戦、薩長藩士の倒幕クーデター(明治維新革命)で誕生した。
明治維新以後、梟きゅう日帝は中国侵略法と世界支配法の教科書「宇内混同秘策」(注2)に基づき中国侵略を開始した。その手順は第1回台湾侵略(1874年4月4日)、第2回日清(甲午)戦争(1894年8月1日)、第3回8カ国軍北京侵攻(1900年8月14日)、第4回21カ条条約(売国条約)強要承認(1915年5月9日)、第5回山東出兵(1927年5月20日)、第6回中国東北地方満州支配者張作霖爆殺(1928年6月4日)、第7回9・18柳条湖事件=「満州事変」(1931年9月18日)、第8回7・7盧溝橋事件(1937年7月7日)、第9回首都南京大虐殺(1937年12月13日)、第10回武漢三鎮重慶無差別大爆殺(1938年10月27日)などを行った。
それから第2次世界大戦(1939年9月3日)、大東亜戦争=真珠湾奇襲=対米英宣戦(1941年12月8日)の結果、因果応報で米帝の原爆を受け敗戦(1945年8月15日)、中露米英連合国に無条件降伏した。かくて明治維新以来77年間、中国・世界支配の野望ははかない夢に終わった。
しかし敗戦後の新日帝は、過去を反省しないばかりか、一蓮托生(いちれんたくしょう)の「日米同盟」を結び、米帝の猟犬として、朝鮮戦争とベトナム戦争協力の大もうけで世界第2位の経済大国・軍備大国となった。さらに1955年右翼化帝国主義大合同の「55年体制」変革の時、児玉誉士夫が中国から奪ったミカン箱2箱分の「ダイヤと白金」で現自由民主党をつくった。その反動で社会党や諸野党は衰滅した。
自民党が独裁政権の多数決国会をつくるため、殺生厳禁の掟(おきて)を犯した釈尊の獅子身中の虫=公明党を与党に付属させ、再び中国・世界支配の野望のため、中国侵略法(有事3法)と国家総動員法(有事7法)および全国民を皇軍化する教育基本法・反体制者弾圧法などの諸法律・制度を自民・公明与党単独の国会で簡易に決定した。
この自民党の私有物となっている野蛮国会を打破し、「上官の命令は朕の命令、朕は神聖不可侵」など、あくまで侵略立国を国是とする天皇制日本帝国も打倒して、新鮮で平和的な「日本人民共和国」を建立するため、日本全国に散在して闘う日本人民(星火団)の星火が燃えている。
星火団よ、頑張れ! 天は星火団の革命勝利を護(まも)っている!
2007年9月18日
在日台僑元日本兵 林歳徳89歳記
◎林歳徳さん 1918年5月23日に日帝植民地下の台湾・嘉義県で生まれる。37年10月、日本軍に強制徴用。38年1月、日本軍の南京大虐殺を目撃し反戦逃亡。著書『私の抗日天命』(社会評論社)
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◆注1/梟きょう日帝 梟(きょう)は母を食う禽(とり)、(きょう)は父を食う獣(けだもの)。故に、梟きょうとは、凶悪忘恩背義人のこと。梟きょう日帝とは、「凶悪忘恩背義日本帝国」の略称。
◆注2/宇内混同秘策 1823年秋田の国学者佐藤信淵著作の中国侵略法・世界支配法の教科書、日本陸軍将校の必読書。本書の初めの一節に「皇大国(スメラオオミクニ)は、世界万国の本(もと)……万国の君主はすべて日本の家来……皇国が他国を攻めるには、まず支那を併呑(へいどん)すること……支那を併呑するには、まず満州をとれば支那全国が衰弱して、朝鮮も支那も日本領土になる。……西域・印度等の野蛮の国々は日本の家来になり、皇国が世界を統一するのは、難しいことではない」とある。(「支那」は中国をばらばらの国だとする蔑称)
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