ZENSHIN 2007/06/11(No2298 p06)

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第2298号の目次

“労働者は奴隷じゃない!”と道いっぱいにひろがった青年労働者と学生のデモ。渋谷の街は解放区になった(6月9日)

1面の画像

(1面)

改憲阻止!倒せ安倍 倒せ御手洗! 社会の主人公はオレたちだ
6/9 WORKERS ACTION in渋谷
青年・学生を先頭に怒りの大デモ  団結と革命にこそ労働者の未来(6月9日)

記事を読む  
“共謀罪・教育3法改悪阻止”  怒りの声渋谷に響く(6月9日) 記事を読む  
日程 6・15第3波法大包囲デモ、6・16三里塚緊急現地闘争 記事を読む  
(2面)
日教組つぶしと戦争動員の教育4法改悪案 参院採決阻止を
階級的労働運動路線の全面的な推進で、戦争・改憲攻撃をプロレタリア革命に転化しよう
記事を読む  
反戦共同 “教育4法改悪許すな”  国会前で終日の座り込み(6月5、7日) 記事を読む  
「つくる会」教科書 扶桑社が撤退  八木一派が藤岡と分裂 記事を読む  
労働運動の力で革命実現へ  闘う革共同に夏期カンパを 記事を読む  
資本攻勢&労働日誌 2007 5・20〜6・1
教育再生会議が「第2次報告」
記事を読む  
日程 教育4法改悪阻止国会闘争 記事を読む  
(3面)
”和解路線に未来はない”  国鉄闘争勝利訴え集会
国労再生へ闘いぬくと宣言(6月3日)
記事を読む  
国労5・27弾圧裁判 被告人質問始まる  “国労綱領が私の原点” 橘被告が陳述(5月30日) 記事を読む  
日程 国労5・27臨大闘争弾圧公判日 記事を読む  
9条改憲を阻止しよう  6・15共同行動(日比谷野音)へ 記事を読む  
規制改革会議の「提言」に労働者階級の怒りを  「労働ビッグバン」の本音
首切りの全面的な自由化と派遣の完全解禁を狙う奇弁
記事を読む  
〈焦点〉 「消えた年金」は国家的詐欺だ  労組への責任転嫁許さぬ 記事を読む  
〈焦点〉 「クラスター弾有効」と空幕長  人民を犠牲に「国家防衛」 記事を読む  
(4面)
自治労中央委 本部打倒訴え情宣
200万首切り、改憲と闘おう  3単産統合は自治労解体だ  職場から労働運動で革命を
記事を読む  
伊吹文明文部科学大臣殿
高校教科書からの「集団自決」強要記述の抹殺に強く抗議し、撤回を求める
沖縄民権の会
記事を読む  

6・15へ全国の大学で激闘 富山大 右翼の襲撃を弾劾 東北大 弾圧うち破り決起

記事を読む  
2007年日誌 5月30日〜6月5日
扶桑社、「つくる会」教科書拒否  安倍内閣の支持率30%に急落
記事を読む  
(5面)
イラクで危機深め戦争を拡大  新段階のパレスチナ・レバノン情勢
闘いの圧殺に躍起の米帝   丹沢 望
記事を読む  
新誘導路の建設阻止を  反対同盟が6・16闘争呼びかけ 記事を読む  
激動の世界  ロシアと米欧の対立激化 (下)
新協定 協議に入れず  デモ規制めぐり非難の応酬(藤沢明彦)
記事を読む  
(6面)

団結ひろば 投稿コーナー

自治体労働者交流会で若者に勝利の展望 京都 柄本鈴音
「被爆地から改憲を問う」集会に参加 長崎 水口 耕
同志星野文昭を思い 8月に広島で絵画展 広島 高田次郎
6・1京大で大宣伝巻き起こる論議の輪 京都大学 H
「闘いなくして安全なし」身をもって感じた 東北・学生 河北まりも
街頭の空気を変えるのは革命の訴えだ! 東京 H・T
初めての沖縄で人々の苦悩と怒りを実感 東北大学 M

記事を読む  
警察を信用しない人や死刑に反対する人は排除される
裁判員制度の反人民性は明らか(保科俊介)
記事を読む  
水嶋裁判控訴審 “裁判長は控訴棄却を”  水嶋同志が証人採用を弾劾(5月31日) 記事を読む  
「裁判員制度はいらない!大運動」  6・29に反対集会開催 記事を読む  

週刊『前進』(2298号1面1)(2007/06/11 )

 改憲阻止!倒せ安倍 倒せ御手洗!

 社会の主人公はオレたちだ

 6/9 WORKERS ACTION in渋谷

 青年・学生を先頭に怒りの大デモ

 団結と革命にこそ労働者の未来

 

“労働者は奴隷じゃない!”と道いっぱいにひろがった青年労働者と学生のデモ。渋谷の街は解放区になった(6月9日)

6月9日、実行委員会が呼びかけた「改憲阻止! 倒せ安倍 倒せ御手洗! 労働者の団結で革命やろう! ワーカーズアクション 渋谷」が大成功した。職場やキャンパスで「革命をやろう」と訴えて闘う労働者や学生など1860人が結集した。
 「私たちは3・18で宣言した。あらゆる職場で資本と徹底的に闘い抜く、と。自分が組合の執行部になる、と。そしてそのとおりに闘って、今ここに結集した」
 開会宣言をした青年労働者のこの言葉に、集会のすべてが凝縮されている。すべての発言が職場での実践を踏まえ、「労働運動の力で革命をやろう」という決意と執念に満ちあふれていた。
 「当局は『局の方針に反対の人は排除する』などと平然と言ってくるが、ここまで言わせているのはJPU本部の責任だ。正規・非正規なんて資本家が勝手につくったもので、本来労働者はひとつ。職場で衝突することを恐れず仲間と議論し、革命をやって労働者と資本の関係をうち砕こう」(全逓労働者)
 「当局の合理化攻撃で現職死亡が相次いでいます。彼らをここまで追いこんだのは闘う方針を出さない組合執行部。その怒りを込めて執行委員に立候補し、9割の信任で当選した。真に闘う者が求められる時代になった。まさに革命情勢です」(交通労働者)
 「自分が病気休職していた2年間、体制内労働運動は何の希望も与えてくれなかった。“労働運動の力で革命をやろう”という訴えが生きる希望を与えてくれた。そしてすべての労働者の闘いのために入学式で不起立した」(教育労働者)
 「今同じ時間に、沖縄では県民大会が闘われている。沖縄の地に動労千葉のような労働組合をつくるために、職場で労働者こそ主人公だ、という闘いをやろう」(沖縄の青年労働者)
 「昨日、職場で部落民宣言をした。下を向いて生きるより、堂々と部落民労働者として生きていく。一般民労働者と部落民労働者の団結をつくり出すこと、それが糾弾闘争だ。敵はひとつだ。全国の部落青年よ、団結しよう」(派遣労働者)
 「大学当局の頭ごなしの暴力的やり方は通用しない。獄中の2人の完全黙秘の闘いがはね返している。闘う学生が100人、1000人と増えれば全員処分できるか。できない! それが団結の力だ」(法大の新入生)
 青年労働者や学生が、様々な壁をぶち破って団結を取りもどし闘う姿に、会場全体が革命勝利の確信をつかんだ。
 まとめと行動提起を行った自治体の青年労働者は「組合の委員長は『うちは役人の組合だ。お上に逆らったことなど一度もない。もうすぐうちの組合はなくなるよ』などと言っている。しかしこんな指導部が打倒される日もカウントダウン。団結が職場を変え、世の中を変える。このことを信じて闘おう。自治労や日教組の労働者が安倍や御手洗の改憲攻撃に対して本気で闘おう」と力強く訴え、渋谷デモに出た。
 「資本家なんかゴミ箱行きだ!」「世界を動かしているのは労働者だ!」「労働者は今こそ革命起こすぞ!」
 若者があふれる週末の渋谷の街に、鮮烈なシュプレヒコールが響き渡った。圧倒的な注目だ。ともに怒りのこぶしをあげ、そのままデモに合流する人が続々と生まれた。「オレも労働組合つくりたい」「労働者の権利って重要なんだね」、そんな会話があちこちから聞こえてきた。
(写真 熱気あふれる集会の最後に参加者全員でインターナショナルを斉唱した【6月9日 代々木公園】)

 職場から闘いと反乱を

 代々木公園のNHK横の大通りが、全国から結集した労働者・学生で埋め尽くされた。青年層が圧倒的に多い。オープニングで、ZAKIさんの力強いメッセージソングが参加者を鼓舞した。
 集会は学生の司会で午後2時から始まった。特別アピールの最初に、動労千葉の田中康宏委員長が立った。
 「動労千葉は9カ月にわたって館山運転区・木更津支区廃止攻撃と闘い、勝利した。労働者としての誇りをもって生きるため、この世の中を根本的に変えよう。その力が労働者にはある。腐りきった労働組合の幹部を打ち倒し、団結を取りもどして闘おう」
 次にアピールに立ったのは「日の丸・君が代」強制に不起立で闘う教育労働者だ。「職務命令だから従えという日教組本部・森越を許さない。引きずり降ろし、私がやる! 組合を現場から再生させ、闘う日教組にしよう。若者の未来はこの闘いの中にある」と宣言した。
 さらに7人で駆けつけた三里塚芝山連合空港反対同盟からは、北原鉱治事務局長と市東孝雄さんが発言。北原さんは「若者は闘わなければ自由も希望もかなえられない世の中になった。勇気あるものは勇気を、力あるものは力を出し切って闘おう」とアピールし、市東さんは「政府は、自動車さえ売れれば農業はいらない、と考えている。今なら労働者と農民がひとつになれる」と訴えた。
 自治労の青年労働者が基調報告を行った。「改革ではなく、革命こそが労働者の生きる道だ。労働者は救済の対象ではない。資本家や国家権力と闘って自らの力で資本主義の鎖を引きちぎる、誇り高き労働者だ。敵の最大の攻撃は、自治労と日教組の解体にある。自治労、日教組の闘いこそ戦争阻止の最大の力だ。革命の最大の力だ。連合、全労連指導部を打ち倒し、現場労働者の手に労働組合を取り戻そう。自分たちが仲間を組織し、指導部になろう。今日の闘いから11月1万人決起へ突き進もう。労働監獄の職場を革命の拠点につくり変えよう」という確信に満ちた訴えだ。
 さらに織田陽介全学連委員長が「大学の主人公は学生だ。起訴された2人の法大生を、学生の団結で取り戻そう。星野文昭さんを労働者の団結で取り戻そう。団結すれば絶対に勝てる! 皆の手にある見えない手錠を断ちきって闘おう」と熱烈にアピールした。
 青年労働者と学生を先頭とした力強い進撃が始まった。6月国会決戦から8月へ、11月へ、猛然と突き進もう。
(写真 全国から結集した労働者が組合旗やのぼりを林立させて渋谷の街へデモにうって出た【6月9日】)

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週刊『前進』(2298号1面2)(2007/06/11 )

 “共謀罪・教育3法改悪阻止”

 怒りの声渋谷に響く

都教委包囲・首都圏ネットと組対法反対共同行動が渋谷デモで労働者に訴え(9日昼)

 ワーカーズアクションに先立ち、9日昼、渋谷・宮下公園で、「教育関連3法の改悪に反対しよう! 国民投票法の成立に抗議する! 共謀罪を許すな!」のスローガンを掲げてジョイント・アクションが行われ、250人が集まった。組対法反対共同行動と都教委包囲・首都圏ネットワークの共催。
 集会では組対法反対共同行動の石橋新一さんが「一切の弾圧を許さず、改憲を阻止しよう」と訴えた。また、少年法改悪や刑事裁判への被害者参加制度の成立を弾劾し、こうした反動の中で共謀罪の新設を阻止している勝利的地平を確認して廃案に向けてさらなる奮闘を訴えた。
 首都圏ネットの見城赳樹さんは、教育関連3法改悪との闘いは教育の国家支配を許さない闘いだと強調し、「日の丸・君が代」不起立の闘いは、格差社会と対決する全労働者との連帯をかけた闘いだと訴えた。
 渋谷一周のデモに出た参加者は、教育関連3法改悪阻止、「日の丸・君が代」処分許すな、共謀罪新設阻止の力強いシュプレヒコールを繁華街にとどろかせた。

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週刊『前進』(2298号1面3)(2007/06/11 )

 日程 6・15第3波法大包囲デモ、6・16三里塚緊急現地闘争

2人の法大生を取り戻そう! 平林独裁打倒!
6・15第3波法大包囲デモ
6月15日(金)
12時40分 法政大学市谷キャンパス
午後1時25分 デモ出発
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「東峰の森」伐採弾劾! 新誘導路建設阻止
6・16三里塚緊急現地闘争
6月16日(土)午後1時30分
成田市東峰・萩原進さん方畑主催
 三里塚芝山連合空港反対同盟
(集会終了後に現地情勢報告会 午後3時から天神峰・市東さん方)

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週刊『前進』(2298号2面1)(2007/06/11 )

 日教組つぶしと戦争動員の教育4法改悪案 参院採決阻止を

 階級的労働運動路線の全面的な推進で、戦争・改憲攻撃をプロレタリア革命に転化しよう

 「改憲阻止! 倒せ安倍 倒せ御手洗!」を真っ向から掲げて闘われた6・9大デモは、日帝・安倍=御手洗に対する労働者階級の積もりに積もった怒りの大爆発となった。改憲クーデター攻撃に突き進み、不明年金問題の爆発で政治危機を深める安倍政権を、労働者の力で打倒する展望が切り開かれた。3・18闘争で青年労働者が鮮烈に提起した「労働運動の力で革命をやろう」を、職場の実践をとおして必死に拡大してきた地平が、さらに発展させられた。教育4法改悪案を始め社会保険庁解体法案、年金時効特例法案、公務員制度改悪法案など、国会は完全に激突情勢だ。6・9の大高揚を引き継ぎ、とりわけ教育4法改悪案の参院採決絶対阻止へ闘おう。全国の教育労働者の職場からの決起を先頭に、国会決戦に立とう。

 危機に突入した安倍政権を今こそ倒せ!

 日帝・安倍政権は完全な危機に突入した。改憲攻撃への突進、現職閣僚・松岡農水相の自殺が突き出した底なしの金権腐敗、不明年金問題の爆発、貧困と格差の拡大への労働者人民の怒りは、支持率急落へと転化し、一気に政治危機を激化させている。この根底には安倍の戦争・改憲と民営化・労組破壊の攻撃への根底的な怒りがある。
 安倍はこの間、「戦後レジームからの脱却」を唱え、改憲攻撃を全面化してきた。昨年末には教育基本法改悪を、また5月には改憲投票法案を強行成立させた。さらに米軍再編法やイラク特措法延長など、戦争と改憲へのむきだしの攻撃をごり押ししてきた。そして今、集団的自衛権の行使へ憲法解釈の見直しにも踏み込もうとしている。すべてが戦争と「大日本帝国」復活を狙う極右・安倍の超反動攻撃だ。
 しかしこれは、断じて安倍の強さではない。最末期の帝国主義の危機、国際帝国主義の「最弱の環」たる日帝の、八方ふさがりの危機が突き動かしているものだ。安倍は全労働者を敵に回して、焦りに焦っている。
 労働者階級が3・18や6・9のような「労働運動の力で革命をやろう」という鮮烈な方針を掲げて闘い、団結を強め、階級的労働運動をつくり出していくなら、絶対に安倍を打倒できる。日帝の危機を激化させ、革命的情勢を促進して、プロレタリア革命を切り開くことができるのだ。

 屈服と腐敗の日教組本部を打倒し闘おう

 教育4法改悪案について、政府・与党は11日に水戸、横浜で、12日にいわき、名古屋で地方公聴会開催の後、15日に中央公聴会を開き、その後、締めくくりの総括質疑を行って審議を打ち切り、採決に持ち込む方針だ。今週〜来週が教育4法絶対阻止の決戦になった。全力で国会決戦に決起しよう。
 国会情勢が緊迫する中、5日、反戦共同行動委員会は終日座り込み闘争を闘った。杉並区議会議員の北島邦彦氏らが教育4法改悪案を徹底的に弾劾した。またこの日は、日教組組合員も北海道教組、石川高教組、大分県教組など約100人が国会前で座り込みを行った。日教組本部が教育4法改悪を容認して闘争放棄を決め込む中で、日教組組合員の下からの怒りの決起が始まった。
 7日も反戦共同行動委員会は、国会前で座り込み闘争を闘い抜いた。
 教育4法改悪案は、改悪された教育基本法の具体化法案である。その狙いは教育労働者を分断し、団結を破壊し、日教組をつぶすこと、それをテコに子どもたちを戦争動員することにある。
 @教員免許法改悪 これは、従来は終身免許であった教員免許を10年毎の更新とし、30時間の講習を義務づけ、修了認定した上で更新するというもの(更新しない場合は免許取り上げ)。教員は事実上10年の有期雇用となる。闘う教育労働者の排除こそが狙いだ。
 A教育公務員特例法改悪 「指導が不適切な教員」を認定し、研修を受けさせる。研修修了時に「不適切」と認定されたら免職にし、教員免許も剥奪(はくだつ)する。@の教員免許更新制とセットで、国に従わない教育労働者からは教員免許を取り上げると脅し、屈服を迫り、それでも従わない教育労働者を排除する攻撃だ。
 B学校教育法改悪 学校教育法に「義務教育」という章を新設し、その教育目標に「愛国心」をすえる。これは直接には「日の丸・君が代」不起立闘争の解体が狙いだ。さらに学習指導要領を全面改訂し、小・中学校の全教科を「愛国心」で塗り替え、戦争教育、天皇制教育に一変させる。
 さらに副校長、主幹教諭、指導教諭を新設し、校長を頂点とする上意下達、絶対服従の職場支配体制の確立を狙っている。これによって、すでに激化している多忙化と管理強化、分断と競争の人事・賃金制度、組合活動の締めつけなどをさらに極限的に進行させ、日教組を解体しようとしている。
 C地方教育行政法改悪
 国家(文部科学大臣)が各教育委員会に対して「指示」「是正要求」を出せるようにする。具体例として「日の丸・君が代」を指導しない場合などをあげている。国家が自治体の教育行政に直接介入する攻撃だ。
 まさに日教組つぶしの法案だ。ところが日教組本部はこれらの法案を容認し、反対して闘わず、全面屈服しているのだ。
 この日教組本部を、今こそ現場組合員の力で打倒し、闘う日教組を再生する時だ。職場から闘いを起こし、今週の国会闘争に断固として全国から結集し、教育4法改悪案を絶対に阻止しよう。

 職場・生産点の闘い基礎にした階級決戦

 3・18集会で全国にとどろいた「労働運動の力で革命をやろう」の訴えは、鮮烈な衝撃を与えた。まず権力や資本、そして体制内労働運動指導部が激甚に反応し、首切りや解任や処分の攻撃をかけてきた。しかし青年労働者の闘いは、これらの逆風をはねとばして、あらゆる方面から猛然とわき起こっている。
 今日、日本の労働者階級は恐るべき労働地獄、労働監獄とも言える状態にたたきこまれている。95年日経連プロジェクト報告以来の大規模なリストラ・失業を含む労働市場再編(労働者の圧倒的部分の非正規雇用化)の資本攻勢が、嵐のように吹き荒れ、今日では実に2000万人におよぶ青年労働者が「ロストジェネレーション」といわれて、「生きていく」ことも困難な状態にある。
 そして、資本主義・帝国主義の危機と、そこから来る戦争・改憲、民営化=労組破壊の攻撃の激化は、革命的情勢を急接近させている。
 この情勢下で2000万人の青年労働者の中から、現状への怒りを資本主義・帝国主義の打倒に発展させるために「労働運動の力で革命をやろう」のスローガンが生まれた。それがたちまち全国に波及し、今や職場・生産点と大学キャンパスの中から、現状の打破と帝国主義打倒の革命を求める、若いエネルギーと闘いが起こっている。
 そもそも安倍の戦争・改憲、民営化=労組破壊の一連の巨大な政治攻撃は、労働者階級の団結の決定的解体をぬきには絶対に不可能である。労働者には階級的に決起すれば、これらの一大攻撃を一挙に吹き飛ばし、日帝打倒の革命に転化していくことができる根源的な力があるのだ。
 それを日帝は支配者階級として百も承知だから、教基法改悪と教育4法改悪で日教組解体を狙い、国民投票法と公務員制度改革で自治労・日教組を始め官公労系組合と4大産別を破壊しようとしているのだ。
 労働者階級は、生産点で資本・権力に抑え込まれ戦闘力を引き裂かれたままでは、資本・権力との階級決戦に勝利していくことはできない。だから当面する階級決戦に勝利するためには、職場・生産点において闘う労働組合運動をつくり出し、強大な労働者細胞をつくり出すことに全力をあげなければならない。動労千葉労働運動こそは、そういうものとしてつくり出されてきたのである。
 階級的労働運動路線は職場・生産点の闘いを基礎に、巨大な階級決戦を闘う路線でもある。
 革共同は、開始された改憲阻止決戦を、「階級的労働運動路線の全面的な推進で、戦争・改憲攻撃をプロレタリア革命に転化しよう!」の戦略的スローガンのもと、全力で闘い、巨大に創造していく決意だ。3・18―6・9の地平を、青年労働者と学生を先頭に改憲阻止、安倍=御手洗打倒と11月労働者総決起に向け全力で発展させよう。
 この闘いと一体のものとして、夏期一時金カンパ決戦に総決起しよう。

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週刊『前進』(2298号2面2)(2007/06/11 )

 反戦共同 “教育4法改悪許すな”

 国会前で終日の座り込み

(写真 都教委包囲・首都圏ネットの集会では教育労働者が次々と教育4法改悪審議を弾劾しシュプレヒコールをあげた【6月7日 国会前】)

 反戦共同行動委は参院文教科学委員会の審議が行われた6月5日、7日に国会前に陣取り、教育関連4法改悪絶対反対を掲げて闘いぬいた。
 5日の終日の座り込み闘争では中学生・高校生が続々と国会見学に訪れる中、マイクでのアピールをリレーで行った。安倍政権の腐敗と横暴を弾劾する訴えに多くの中高生が手を振り「頑張って」と声援を送った。
 7日も午前中から座り込み闘争が闘われた。教育4法の審議情勢に加え、公務員制度改悪法案が衆院本会議で採決されるという中で、参加者は怒りをあらわにして反動安倍政権の打倒と6・9ワーカーズアクション・イン渋谷への結集を全力で訴え続けた。
 この過程では、大挙上京した北海道教組、石川高教組、大分県教組、山形県教組などの組合員とともに、国会前を抗議の場として連帯し闘った。
(写真 国会見学の修学旅行生に向け「安倍政権倒そう」と熱く呼びかけた【6月5日 国会前】)

 首都圏ネットの集会に合流

 7日夕刻には都教委包囲・首都圏ネットの国会前集会に合流した。
 冒頭に首都圏ネットが発言し、中央公聴会が6月15日に開かれることが判明して採決は翌々週にもつれ込んだことが報告された。数にものを言わせて反動法案の採決をごり押ししてきた安倍政権の危機とあせりが、今や目に見える形で表れたのだ。
 教育労働者が次々とマイクを握り、闘いの報告と決意表明を行った。
 東京東部の教育労働者は、「教育4法の改悪は、上からの統制に唯々諾々と従う教員しか認めず、国会に行って座り込みをやるような教育労働者を首にするものだ。日教組つぶし攻撃と闘う中で、組合を再生しよう」と提起した。
 杉並区の教育労働者は山田区長が小中学校の副校長を「2人制」にすると発表したことを「校長命令を実行する管理者を増やすもの」と弾劾し、さらに扶桑社が「つくる会」教科書発行を拒絶した事態を取り上げ「こんな教科書を中学校で使わせる山田区長を徹底追及しよう」と訴えた。
 最後に夕闇迫る中、国会に向けシュプレヒコールをあげ、安倍政権への怒りをたたきつけた。

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週刊『前進』(2298号2面3)(2007/06/11 )

 「つくる会」教科書 扶桑社が撤退

 八木一派が藤岡と分裂

 ファシスト運動団体「新しい歴史教科書をつくる会」は、これまで同会の歴史・公民教科書を発行してきた扶桑(ふそう)社が、今後の発行を拒否すると伝えてきたことを5月31日明らかにした。今後は別の出版社を公募するとしている。
 これまで「つくる会」と一心同体だった扶桑社が、ここにきて発行を拒否した理由は何か。扶桑社が同会に送付した文書などによれば、「つくる会の組織内に混乱が生じ、事実上分裂状況になっている」「各地の教育委員会の評価は低く、内容が右寄り過ぎて採択が取れない」「(今後も)幅広い推薦をいただける状況にない」からだとしている。
 ここに示されているように、侵略戦争賛美の「つくる会」教科書採択に反対する全国の労働者人民、とりわけ教育労働者の粘り強い闘いが、ファシスト陣営を決定的な危機と分裂にたたき込んだのである。「つくる会」教科書の完全粉砕へ闘いを強めよう。
 同時に、扶桑社と「日本教育再生機構」の新たな動きと断固対決しよう。扶桑社は今後、元「つくる会」会長で、安倍首相のブレーンである八木秀次が設立した「日本教育再生機構」と協力し、別会社をつくって別の歴史教科書を発行する意向であるという。
 日本教育再生機構には八木のほかにも仲西輝政、西岡力、島田洋一ら安倍ブレーンの極右分子が加わっている。大蔵雄之助(杉並区教育委員)や米長邦雄(東京都教育委員)も代表委員に名を連ねている。昨年10月の設立総会には、山谷えり子(総理大臣補佐官=教育再生担当)が祝辞を寄せた。つまり日本教育再生機構は、安倍政権の教育改革の民間反革命運動の先兵である。彼らの狙いは、何よりも日教組の解体である。断固対決しなければならない。
 それにしても、いい加減で無責任で、歴史の偽造を並べ立てた「つくる会」教科書を、都内の区市教委で唯一採択した杉並区教委と山田区長の責任は重大だ。「つくる会」教科書の撤回へさらに粘り強く闘おう。

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週刊『前進』(2298号2面4)(2007/06/11 )

 労働運動の力で革命実現へ

 闘う革共同に夏期カンパを

 すべての『前進』読者および支持者の皆さんに圧倒的なカンパを訴えます。
 すでに本紙だけでなく、多くのマスコミの報道等を通じて、今の社会がすさまじい矛盾をかかえて崩壊しつつあることは、万人の知るところとなっています。労働者をまともに食わせていけなくなっただけではない。高齢者から年金・介護・医療を奪い、子どもたちから教育を受ける権利を奪い、青年から職場を奪い、資本が労働者階級に対する極限的搾取を競い合う最末期の資本主義の腐敗したあり方。本当に許せません!
 06年の総務庁の統計によれば、雇用労働者5300万人中で年収200万円未満の労働者は約30%、1570万人。そのうち約8割、1250万人がいわゆる非正規雇用労働者です。この年収200万円以下の非正規雇用労働者に失業者を加えた1500万人以上が、ワーキングプアといわれる新自由主義経済下の不安定な雇用・労働状況にいる非正規雇用労働者および失業者たちです。今こうした労働者の中から、沸々と怒りの決起が始まっています。「労働運動の力で革命を」という青年の叫びが団結をよみがえらせ、闘いを前進させています。
 しかし、安倍政権と御手洗日本経団連は、こうしたことをまともに見すえることすらできなくなっています。
 5月21日、規制改革会議の再チャレンジワーキンググループ労働タスクフォースが「脱格差と活力をもたらす労働市場へ−労働法制の抜本的見直しを」と題する意見書を公表しました。
 この意見書は、労働者保護の必要を「神話」であると言って全面否定し、「解雇規制の緩和」「派遣労働の自由化」などを主張するだけでなく、この立場から労働政策審議会や裁判所(と労働判例)、労働法・労働経済研究者に対して「初歩の公共政策に関する原理すら理解しない」と最大限の言葉で攻撃しています。ここに労働者の権利をとことん奪い尽くし搾取を徹底的に強化しようとする凶暴な攻撃であるという側面とともに、危機に追いつめられた断末魔の乱調をみることができます。
 労働者階級が本気でこの資本の攻撃と対決すれば勝てる。労働組合の破壊をとおした9条改憲・戦争への道と、労働者階級は真っ向から対決して勝利すること。労働運動の力で革命をやること。そのことが労働者階級と私たち革共同の歴史的使命です。
 この歴史的決戦に勝利するための圧倒的なカンパをお願いします。

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週刊『前進』(2298号2面5)(2007/06/11 )

資本攻勢&労働日誌 2007

 5・20〜6・1

 教育再生会議が「第2次報告」

東京の全国青年集会に3300人 全労連傘下の労働組合などが主催した青年集会(明治公園)に青年労働者を中心に3300人が参加した。(5月20日)
再チャレンジWGが労働法制解体を要求 規制改革会議の再チャレンジワーキンググループが「脱格差と活力をもたらす労働市場へ−労働法制の抜本的見直しを」と題する意見書を発表した。(21日)=3面参照
日本経団連が総会 日本経団連は定時総会を開いた。御手洗会長は「道州制は究極の行政改革だ」と述べ、07年度に重点的に取り組んでいく考えを示した。また、道州制推進委員会の新設を発表した。(23日)
JC春闘最終集計 IMF・JC(金属労協)が07年闘争の最終集計を発表。平均賃上げは、単純平均で4583円(昨年比135円増)。(24日)
米、10年ぶりに最賃引き上げ 米国の連邦最低賃金が現行の時給5.15j(約620円)から、2年間かけて7.25ドル(約870円)に引き上げられることになった。(25日)
改悪パート労働法が成立 改悪パート労働法が参院本会議で与党の賛成多数で可決、成立した。施行期日は08年4月1日。(25日)
自治労が中央委 自治労の中央委員会が30日まで京都市で開かれた。全水道、都市交など地公3単産は9月に「地域公共サービス労働組合連合会」を結成、連合本部加盟を一本化、10年秋の新産別結成をめざす。(29日)
4月の完全失業率、9年ぶりの3%台 総務省公表の労働力調査だと4月の完全失業率は3.8%で、前月より0.2ポイント改善。3%台となったのは、98年3月以来9年1カ月ぶり。厚労省公表の一般職業紹介状況によると、4月の有効求人倍率は1.05倍で、前月を0.02ポイント上回った。(29日)
規制改革会議が第1次答申 規制改革会議が第1次答申を決定、公表。21日に公表した労働規制の大幅緩和を求める提言は削除した。(30日)
連合が中央委員会 連合が中央委員会を開催。向こう1年間の政策課題で「最賃制度」に力を入れる考え。高木会長は、格差是正は「不十分な結果だった」と指摘した。(31日)
教育再生会議が第2次報告 政府の教育再生会議が第2次報告「公教育再生に向けた更なる一歩と『教育新時代』のための基盤の再構築」を正式決定した。(6月1日)=要旨別掲
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 教育再生会議 第2次報告のポイント

・差別的賃金体系の導入 来年4月をめどに教員給与を一般公務員より優遇する人材確保法を改正し、優秀と認めた教員を優遇する賃金体系を導入。
・全国学力テスト成績不振校に改善計画書提出を強要
・土曜授業 「授業時間数10%増」確保のために土曜日授業を復活。07年度中に学習指導要領を改定。
・道徳教育に代わり「徳育」 「新たな教科」として創設。07年度中に学習指導要領を改定。
・小学校で集団体験、中学校で職場体験活動を各1週間実施
・全国立大で9月入学導入 今年度中に関係法令を改正。

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週刊『前進』(2298号2面6)(2007/06/11 )

 日程 教育4法改悪阻止国会闘争

●6月12日(火)国会前
 反戦共同行動委員会 午前10時〜午後5時
 東京4単組   午後4時半〜午後5時半
●14日(木)国会前
 反戦共同行動委員会 午前10時〜午後5時
 都教委包囲ネット&東京教組 午後5時〜午後7時
●15日(金)中央公聴会闘争 国会前

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週刊『前進』(2298号3面1)(2007/06/11 )

 ”和解路線に未来はない”

 国鉄闘争勝利訴え集会

 国労再生へ闘いぬくと宣言

 6月3日、東京都内で国鉄闘争勝利6・3集会が開かれ、闘う国労組合員を始め100人が集まった。「1047名解雇撤回、5・27弾圧粉砕、バッジ闘争勝利、職場から闘おう」をスローガンに掲げたこの集会は、国労5・27臨大闘争弾圧被告団、バッジ都労委提訴団、鉄建公団訴訟原告団有志の3者が主催、動労千葉争議団の高石正博さんが協賛に、国労5・27臨大闘争弾圧を許さない会が賛同に加わった。
 参加者は、国鉄闘争と国労の再生へ、職場から闘いを巻き起こすことを誓いあった。特に、JR本体の国労組合員が、闘いの主体として自信に満ちて登場したことが、この集会を特徴づけた。
 主催者からの提起として発言した国労品川事業所分会分会長の吉野元久さんは、安倍政権の改憲攻撃に対し国鉄闘争の真価が問われると強調し、JR体制の破産を暴いて「職場から反撃を組織しよう」と呼びかけた。
 また、4党合意を受け入れ、5・27臨大闘争弾圧に手を染めた国労本部の打倒を訴え、「5・27臨大闘争弾圧との闘いは戦後労働運動に染みついた古い汚物をぬぐい去り、闘う国労の誇りを取り戻す闘いだ」「資本と折り合う和解路線に未来はない」と断罪した。
 5・27臨大闘争弾圧被告団長の富田益行さんが、裁判闘争の現局面に触れ、「被告人質問で一番言いたいことは、被告は20年、闘争団と一体となって闘ってきたということだ」と発言した。
 都労委で国労バッジ・服務規律違反処分の撤回を求めて争ってきた組合員は、5日に最終陳述書を提出すると報告し、不当処分を撤回させるため早期救済命令を求める署名への協力を訴えた。
 さらに、5・27臨大闘争弾圧被告でもある鉄建公団訴訟原告の羽廣憲さんが発言。「解雇撤回を掲げたはずの原告団が、それを掲げない国労本部と一緒にやるのは矛盾している。原則を貫くかどうかが原告団にも問われている」と述べ、政治解決路線を鋭く批判した。
 鉄道運輸機構訴訟原告の小玉忠憲さんは、「国労の伝統は4党合意と5・27弾圧で完全に終わった。国労本部と警視庁は一体だ。昔の国労をよみがえらせるのではなく、職場で筋を貫き闘う中で、闘う国労をつくり出そう」と声を強めた。
 動労千葉の長田敏之書記長が、館山運転区−木更津支区廃止攻撃との攻防について報告し、絶対反対を貫いて団結を打ち固めた勝利の教訓を明らかにした。
 これらの提起を受け、会場からの発言が続いた。品川事業所分会の組合員は、ベンディング職場の国労組合員に対して理由もなく乱発される服務規律違反処分への怒りを語った。新潟地本の組合員は、5・27臨大闘争弾圧の首謀者である吉田進・国労本部書記長の出身地の長野で、新たに「許さない会」が結成されたことを報告した。5・27臨大闘争弾圧被告の原田隆司さんは、今も続くJR西日本の安全無視の姿勢を弾劾した。
 動労水戸の組合員は、「青年労働者を主体とした闘いをつくらなければ、資本とJR総連の現場支配を変えられない」と訴えた。職場での要員不足や労働強化、安全無視、遠隔地への強制配転攻撃に対し、職場を挙げて闘っている報告もなされた。動労千葉の佐藤正和さんが8月広島−長崎闘争と11月労働者集会への総決起を訴え、青年労働者が6・9ワーカーズアクションへの結集を呼びかけた。
 佐藤昭夫弁護士が集会の感想を述べ、「国鉄分割・民営化は闘う労働者をなくすために行われた。職場で闘う運動をつくり、それを妨害する国労本部を取り替えなければ、国鉄闘争の本来の意味はない」と断言した。
 国労OBの飯島幸雄さんの音頭で団結頑張ろうのこぶしを上げ、新たな闘いへの決意を固めた。
(写真 「1047名闘争勝利」「5・27裁判勝利」「職場闘争の本格的な再構築を」などの行動提起を確認し、全参加者がこぶしを上げた【6月3日 東京】)

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週刊『前進』(2298号3面2)(2007/06/11 )

 国労5・27弾圧裁判 被告人質問始まる

 “国労綱領が私の原点” 橘被告が陳述

 国労5・27臨大闘争弾圧裁判は、5月30日の第76回公判から被告人質問に入った。これまでの公判闘争で、検察側が主張する「共謀」や「暴行」なるものがデッチあげであることは明白となっている。被告人質問は、その地平の上に、被告が自らの言葉で、02年5月27日の国労臨時大会当日に展開されたビラまき・説得活動の正当性を立証するものになる。
 この日は、橘日出夫被告が佐藤昭夫弁護団長の質問に答え、自らの生い立ちを「両親は農業を営んでいたが、田畑は小さく父親は病気がち。母親が日雇いの仕事で私を育ててくれた」と語った。
 橘被告が国鉄に入社したのは1974年、配属された大阪環状線の桃谷駅には鉄道労働組合しかなかったので、そこに加入したという。職場では管理者が威張り散らし、労働者はものも言えない状態だった。
 そこで橘被告は、職場の仲間と語り合い、鉄労脱退を決意する。その時知り合った国労組合員から国労綱領を見せられ、「われわれは、労働者階級の解放をめざして闘う」と書かれていることに胸を熱くした、と橘被告は当時を振り返った。
 こうして橘被告は職場の仲間とともに鉄労を脱退し国労に加入、城東運輸分会桃谷駅班を結成し、分会執行委員にも選ばれた。
 76年には森ノ宮電車区に移り、そこでも執行委員として活動した。しかし、執行部が当局となれ合っている姿を見て、原点に立った運動の必要性を痛感し、青年部の仲間と三里塚闘争に参加したり、動労千葉と交流したりしてきたという。
 国鉄分割・民営化に向けた攻撃が激化する中、86年7月、人材活用センターに強制配転された。これに対し橘被告は、約8人の仲間とともに配転撤回を求める裁判を起こした。この闘いが全国に広がり、人活センター全国連絡会が結成され、それが86年10月の修善寺大会の闘いを勝利に導く原動力になったという。
 修善寺大会の後、分会青年部は、昼休みに分割・民営化反対の構内座り込み闘争を続けた。
 他方、87年1月、分会執行部は多数の組合員を引き連れて国労を脱退し、鉄産労に走った。国労分会の再建を担ったのは、橘被告ら当時の青年部だった。分会再建大会の議長を小泉伸被告が務め、橘被告が分会長に、東元(はじめ)被告が執行委員に選ばれた。
 分割・民営化の直前に新執行部の大半は電車区から配転された。
 橘被告は「国労綱領が私の原点」と強調した。
 橘被告に先立ち、「動労千葉を支援する会」の山崎沢さんが証言に立った。山崎さんは、78〜79反マル生越年闘争を闘った元全逓労働者として、やむにやまれず被告らのビラまき活動への支援に駆けつけたこと、現場では検察側が主張する「暴行」など一切なかったことを証言した。
 橘被告への質問はさらに続く。無罪獲得の正念場に差し掛かった公判の傍聴に集まろう。

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週刊『前進』(2298号3面3)(2007/06/11 )

 日程 国労5・27臨大闘争弾圧公判日

 第77回 6月13日(水)/第78回 6月27日(水)
 第79回 7月11日(水)/第80回 7月25日(水)
※いずれも午後1時15分から、東京地裁 

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週刊『前進』(2298号3面4)(2007/06/11 )

 9条改憲を阻止しよう

 6・15共同行動(日比谷野音)へ

 6月15日夕、東京・日比谷野外音楽堂で「9条改憲を許さない6・15共同行動」が行われる(開場17時30分、開会18時15分)。集会後、デモ行進する。主催は共同行動実行委員会。9条改憲と国民投票法に反対して2カ月あまり、国会前座り込み行動を続けてきた「9条改憲阻止の会」のメンバーが中心の実行委員会だ。
 集会では、開会宣言、経過報告、集会宣言のほかに斎藤貴男さん(評論家)、雨宮処凛さん(作家、『生きさせろ!難民化する若者たち』著者)、国会議員、沖縄代表、青年、学生、女性の発言が予定されている。また新たな運動をめざして北海道、関西、九州の参加者、国会前リレーハンスト・座り込み参加者が発言する。
 実行委員会は、「いま私たちは歴史の正面に立たされている。やるべきことはただひとつ。9条改憲を阻止すること、もはや、逡巡(しゅんじゅん)の時ではない」と6・15行動への全力結集を呼びかけている。呼びかけにこたえ、多くの仲間とともに参加しよう。

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週刊『前進』(2298号3面5)(2007/06/11 )

 規制改革会議の「提言」に労働者階級の怒りを

 「労働ビッグバン」の本音

 首切りの全面的な自由化と派遣の完全解禁を狙う奇弁

 5月21日に政府の規制改革会議の「再チャレンジワーキンググループ(専門委員会)」が発表した提言は、そのあまりに露骨な労働者敵視のために労働者階級の怒りが爆発した。それを見て支配階級は動揺し、報告は撤回された。だが、この報告こそ安倍・御手洗の本音だ。

 むき出しの憎悪

 「規制改革会議」は、小泉政権時代に経済財政諮問会議と一体となって規制緩和と民営化=労組破壊攻撃を推進してきた「規制改革・民間開放推進会議」が今年の1月25日に終了し、その後継組織として草刈隆郎・日本郵船会長を議長として発足したものだ。
 「脱格差社会と活力をもたらす労働市場へ」と題する専門委員会の報告は、副題に「労働法制の抜本的見直しを」とあるように、労働者階級が戦後革命の成果としてかちとってきた労働法制の全面解体を狙う「労働ビッグバン」の本音をあけすけに述べたものだ。
 「労働者の権利を強めれば、その労働者の保護が図られるという考え方は誤っている」
 なんという言い草か。労働者の権利を剥奪することが労働者の保護になる(?!)。白を黒と言いくるめる暴論こそ、この報告書の基調をなしている。労働者の権利など、ひとかけらも認めないと言い放っているのだ。
 戦後革命の死闘をとおして国家権力と資本に強制してきた団結権を始めとした労働3権、8時間労働制を筆頭にした労働者保護制度、営々とした闘いの積み上げによって資本に強制してきた終身雇用制と解雇規制、それら全体を憎しみの対象として丸ごと解体・粉砕しようというのだ。
 報告は最初に「労働者保護の色彩が強い現在の労働法制は、逆に、企業の正規雇用を敬遠させ……保護の弱い非正規社員……の増大につながっている」と述べている。労働者保護を掲げた労働法制が非正規雇用増大の原因だというのだ。
 冗談ではない。非正規雇用が激増したのは、バブル崩壊以降の経済危機の中で日帝が95年に日経連の「新時代の『日本的経営』」を発表し、日本の労働者階級の9割を非正規雇用にすると宣言し、正規雇用の労働者を非正規雇用に置き換えてきたからではないのか。そしてそれに既成の労働運動が屈服・加担してきたからだ。
 それを解雇規制が原因だなどと言い立てて、労働法制の解体と労働者の権利を奪う口実にしようとしている。そして、その脈絡から、「最賃を引き上げると失業が増える」「女性が権利を主張するから就職差別をされる」「労働時間規制があるからサービス残業が横行する」というまったく許しがたい暴言の数々が出てきている。

 判例法理を否定

 こうした攻撃を貫くため、報告は判例として形成されてきた解雇規制にも矛先を向けている。
 司法は、全金本山闘争や国鉄1047名闘争に示されるように、階級攻防の先端にある闘いに対しては、労働者の権利を否定する反動判決を繰り返してきた。だが、労働者の闘いの蓄積は、判例という形で、好き勝手な首切りを許さない規制を資本に強いてきた。
 それは今や、激烈な国際競争を展開する資本にとって全面的に踏みにじるべきものとなった。
 だから報告は、次のようにあけすけに言う。
 「解雇規制を中心として裁判例の積み重ねで厳しい要件が課され、社会情勢・経営環境の変化に伴って雇用と需要のミスマッチが起きた状況においても、人的資源の機動的な効率化・適正化を困難にしている」
 「判例が作り出した現状が政策的基準から見て望ましくない場合には、それ以上の判例への依存は断ち切り、迅速適切な立法により今後のより妥当な司法判断が導かれるよう措置されるべき」
 これは、解雇の自由を法律で保障し、労働者の闘いが資本に強いた判例法理を丸ごと押しつぶせという踏み込みだ。まさに、労働者を解雇するのは当たり前。煮て食おうが、焼いて食おうが自由ということだ。

 違法を開き直り

 第2章では、「労働者派遣法の見直し」を主張している。
 そこでは、「一定期間派遣労働を継続したら雇用の申し込みを使用者に義務づけることは……派遣労働者の期限前の派遣取りやめを誘発し、派遣労働者の地位を危うくする」(?!)という奇弁をろうしている。
 この奇弁を前提に「派遣期間の制限、派遣業種の限定を完全に撤廃」「請負との区別も実情に適合したものにすべき」と主張している。
 会議議長の草刈は、新聞インタビューで「正社員になることがハッピーかどうか分からない。正社員にすればいいというのは乱暴だ」と発言している。違法派遣を弾劾された御手洗は「法律を現状に合わせろ」と主張している。開き直りそのものであり、全労働者階級を不安定雇用化しようとする攻撃なのだ。
 この報告は、@解雇規制の撤廃、A派遣労働の全面解禁、B労働時間規制の撤廃を最も露骨な形で主張し、「労働ビッグバン」の狙いを誰にも明らかにした。
 あまりに露骨な内容が報道されるや労働者階級の怒りが爆発し、政府・与党は参院選挙が闘えないと真っ青になった。
 柳沢厚労相は「政府の一部門の末端の組織といえども、方向性において(政府方針と)まったく違うような意見表明をするのは適切さを欠いている」と述べざるを得なかった。その結果、規制改革会議の本報告では、専門委の報告内容は全文削除されてしまった。
 だが、この報告書こそ安倍・御手洗の本音である。「労働ビッグバン」を絶対に粉砕しよう。
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 規制改革会議の暴論
・労働者の権利を強めれば、その労働者の保護が図られるという考え方は誤っている。
・不用意に最低賃金を引き上げることは、その賃金に見合う生産性を発揮出来ない労働者の失業をもたらし、そのような人々の生活をかえって困窮させる。
・過度に女性労働者の権利を強化すると、かえって最初から雇用を手控える結果となる。
・長時間労働に問題があるからといって、画一的な労働時間上限規制を導入することは、脱法行為を誘発する。

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週刊『前進』(2298号3面6)(2007/06/11 )

焦点 「消えた年金」は国家的詐欺だ

 労組への責任転嫁許さぬ

 5000万件もの「消えた年金」に労働者人民の怒りが沸騰している。その大部分は、97年に基礎年金番号制を導入した際に、複数の年金手帳(番号)を持つ人の記録を統合したが、しきれないまま残っているものだ。さらに新たに厚生年金1430万件の記載漏れも明らかになった。信じられないほどの多数だ。払った側から言えば、賃金の一部から保険料を納めたのに、それが記録されず未納扱いになっているのだ。その分だけ、年金受取額は削減される。
 55〜59歳は780万件、50代前半は460万件、40代でも550万件もの年金記録が宙に浮いている。さらにかなり多くの人が「気付いていないだけ」とも言われる。すでに給付を受けている人については「本来もらえるはずの年金が”ピンハネ”されている人が3人に2人はいるのでは」とも言われる。
 この間、民間生保の保険金未払いが問題とされてきたが、実は政府そのものがはるかに大規模に国家的詐欺を行ってきたということだ。不払い年金の総額はいくらになるのか? 政府は公表していない。1件あたり6カ月分の納付として、実に19兆円に達するという試算もある。
 こうしたこともあって政府は、宙に浮いた5000万件の未統合をこれまで放置し続け、不払いを訴え出た人の請求のほとんどを「納入の証明がなければ払えない」と却下してきたのだ。ついにここに来て労働者人民の怒りが爆発し、安倍政権を決定的危機にたたき込んでいるのである。
 この事態が示すことは、日帝権力・支配階級の許し難い反人民性であり、危機、体制的行き詰まりである。支配階級は支配する能力を失っているのだ。労働者階級から搾れるだけ搾り取り、あとは無責任に平然と放り出す。”金のないやつは早く死ね”というのが支配階級のやり方なのだ。
 しかも安倍・自民党は、この問題を自治労攻撃や参院選の選挙対策に利用している。どこまで卑劣なのか。中川秀直幹事長は、「国民無視の闘争をやって来た社保庁の自治労国費評議会の国民不在の反合理化闘争の結果だ」(5・8)とか、「そういう人たちは全員ハローワークに行ってもらう」(6・3)と、一切の責任を労働者に押しつけている。読売新聞も「(労組が)コンピューター導入に際して、『労働強化が生じないよう十分配慮する』『1人1日のキータッチは平均5000タッチ以内』など、仕事量が増えないように、さまざまな確認事項を取り交わしていた」ことが大問題だなどと非難している(5日付)。
 労働者が労働強化に反対し、労働者の権利と労働条件の確保のために闘うことは当然のことではないか。仕事の遂行に必要な人員を確保することは国の責任である。人員も増やさず、逆にリストラにリストラを重ねて処理能力を超える膨大な仕事量を労働者に押しつけてきた政府・自民党にこそ、一切の責任があるのだ。
 医療保険も介護保険も年金も削られる。このままでは労働者の未来はない。日帝打倒のプロレタリア革命こそが求められている。

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週刊『前進』(2298号3面7)(2007/06/11 )

焦点 「クラスター弾有効」と空幕長

 人民を犠牲に「国家防衛」

 労働者人民を無差別大量に殺傷するクラスター爆弾について、航空自衛隊の田母神(たもがみ)俊雄幕僚長は5月25日の定例記者会見で「島国を守るのに大変有効」と賛美し、「クラスター爆弾で被害を受けるのは日本国民。国民が爆弾で被害を受けるか、敵国に日本が占領されるか、どちらがいいかを考えたとき、防衛手段を持っておくべきだ」と発言した。これは「自衛隊は、国家体制を守るためには国民を殺すことも辞さない。国民は国家防衛の犠牲となれ」と宣言したものである。絶対に許せない。
 田母神は2時間後に再会見して「国民の頭の上に落とすということではない」などと釈明したが、再び「不発弾の被害は非常に小さい。国を守れなければ、大変な被害が出る」と開き直った。
 23日からペルーで「クラスター爆弾禁止リマ会議」が開かれていたが、即時禁止に反対する日本代表への批判と合わせて、田母神発言に怒りの声が相次いだ。
 クラスター爆弾は、大型爆弾の中に子爆弾が数百個詰められ、発射後ふたが開いて子爆弾が広範囲に飛び散り、大量の鉄片で人びとを殺傷する爆弾である。米軍がベトナム戦争(1960〜70年代)やコソボ戦争(1999年)、アフガニスタン戦争(01年〜)、イラク戦争(03年〜)で使用し多くの労働者人民が殺された。
 国際NGO「ハンディキャップ・インターナショナル」の調査報告(06年11月)では過去30年間で、24カ国で少なくとも3億6千万個の子爆弾が使用された。死傷者の98%が民間人で、27%が子どもだった。また子爆弾はかなりの割合(10〜40%)が不発弾となって残り、事実上の地雷となって戦闘終了後も多くの人民を殺傷し続けている。
 この残虐な攻撃用兵器を、自衛隊は87年以来16年間で148億円分も購入し、現在も数千個を保有している。米軍と同様に、朝鮮・中国−アジア侵略戦争のために自衛隊は保有しているのだ。
 それにしても田母神発言は、自衛隊の反人民的正体をはっきりと示した。かつて旧日本軍は天皇制国家(本土)を守るために沖縄全島を戦場として米軍を迎え撃ち、沖縄人民をついたてにして戦い、多くの沖縄人民を犠牲にした。日本軍自ら沖縄人民を虐殺し、軍隊が生き残るために「集団自決」を命じた。今、自衛隊は、この旧日本軍、「天皇の軍隊」へと変ぼうしようとしている。自衛隊は人民を守るためのものではない。資本家による賃金奴隷制を守るものであり、帝国主義の傭兵(ようへい)だ。
 連合中央は、労働者人民に牙(きば)をむける自衛隊を「独立国家の固有の権利」と美化している。そして9条改憲に賛成し、自衛隊の一層の侵略軍隊化に賛成している。こんな連合中央はけっして労働者階級の味方ではない。
 日帝・安倍の9条改憲攻撃を絶対に許すな。連合中央を打倒し、階級的労働運動の爆発の中で自衛隊兵士を人民の側に獲得し、自衛隊解体・日帝打倒をかちとろう。

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週刊『前進』(2298号4面1)(2007/06/11 )

 自治労中央委 本部打倒訴え情宣

 200万首切り、改憲と闘おう

 3単産統合は自治労解体だ

 職場から労働運動で革命を

 全国労組交流センター自治体労働者部会を先頭とする闘う労働者は、5月29―30日に京都市で行われた自治労第134回中央委員会に「労働者の力で9条改憲阻止しよう」「裏切り本部は総退陣せよ」と大書した横断幕を掲げて登場、情宣活動を行った。自治労本部は一切の議論を7月参院選で民主党比例代表・組織内候補の相原久美子を当選させることに絞り込み、闘う方針が皆無の「当面の闘争方針」、自治労自己解体の「地公3単産の組織統合」など全議案を採択した。今次自治労中央委は、日帝・安倍―御手洗の攻撃に「絶対反対」を貫く職場闘争をつくり出し、現場組合員の怒りで本部を打倒し自治労を階級的に再生させる課題が緊要であることを示した。

 「相原選挙」への動員に躍起

 全国労組交流センター自治体労働者部会の労働者は代わる代わるアジテーションに立ち、中央委員会に集まる組合員に訴えた。
 「職場は怒りに満ちている。公務員バッシングなどふざけるな。財政赤字を作り出したのは政府と財界だ。民営化、社保庁解体、公務員制度改革、道州制導入は戦争国家化、自治体労働者200万人首切り、自治労破壊の大攻撃だ。自治労つぶしとの闘いは現場から始まっている。ところが本部は職場闘争の方針も国会闘争の方針も一切出さない。改憲投票法案には一度も国会闘争を闘わなかった。改憲・戦争・民営化の民主党・連合路線を歩む裏切り本部は総退陣せよ! 私がとって代わる。これから3年間が勝負。自治労100万の総決起で戦争・改憲・民営化・自治労解体攻撃を粉砕しよう。現場にはその力がある。自治労を階級的に再生させよう」
 熱烈な訴えは組合員の心に確実に響いた。「200万自治体労働者の首切りと対決しよう。100万自治労の決起で改憲をぶっとばそう。平和基本法制定方針を撤回せよ!」と題するビラと「自治労本部の『公共サービス』運動許すな! 市場化テスト・民営化絶対反対の現場からの闘いを!」と題するパンフレットは次々と中央委員、傍聴者に渡った。
 これに対して、冒頭の岡部謙治委員長の本部執行部あいさつは、第3号議案で告白する「組織崩壊の危機」を突破できる何の確信もなく、ただただ闘いの機運をねじ曲げ
圧殺するという点でより反動的なものであった。岡部はまず、相原選挙の勝利のために中央委に六つの課題、@今春闘総括A労働基本権回復B公共サービスの必要性アピールC地公3単産組織統合D憲法の平和理念E政権交代――の推進を提起した。
 「最大の課題は7月22日の政治決戦すなわち参院選だ」として組織内候補・相原の選挙戦を訴えた。そして「小泉―安倍政権の6年間の『小さな政府』論による構造改革で日本社会は2極化と格差の不安定な、不安な社会になった」と言いつつ、その根底的打破、変革ではなく、驚くべきことに「日本社会の破局的危機を回避できるのが公共サービス」と述べた。“日帝救済、祖国防衛のための公共サービス論”だ!
 また岡部は、この祖国防衛の立場と改憲投票法成立を受けて、改憲阻止闘争方針抜きの「憲法の平和理念を国民的合意に」なる平和基本法制定運動を呼号した。平和基本法(仮称)は「最小限防御力」「自衛隊の解体・縮小」を規定して自衛隊と戦争を認め、9条改憲への道を開くものだ。連合の安保基本法(仮称)方針とまったく同じだ。岡部は自治労の改憲・戦争勢力化を安倍・御手洗に約束したのだ。
 そして地公3単産(自治労、全水道、都市交)の組織統合がこの事態と完全に一体となった方針であることが鮮明になった。
 本部は今夏・秋に地域公共サービス労働組合連合会を結成、連合に加盟する方針を打ち出し、「新しい質の労働組合運動への飛躍をめざす」とぶち上げた。8月の第79回定期大会(盛岡市)で3単産共通議案を決定しようとしている。これこそ自治労自己解体の道だ。単に「自治労」の名が無くなるという問題ではない。「新組織結成に向けた共通の理念」には「革命」はおろか労働者の「団結」も、当局・資本との「対決」も盛り込まれていない。あるのはひたすら「公共サービスの提供」だ。
(写真 自治労中央委2日目、前日の討議を受け「改憲阻止!声を上げよう!」と訴える労組交流センター自治体労働者部会【5月30日 京都市】)

 拠点職場構築し8月大会へ

 討論では、リストラ・民営化に伴う大量首切りとの現場での闘いの報告、国民投票法成立と改憲策動への怒り、改憲阻止闘争を自治労独自で取り組もうという訴え、職群別ではなく全国一律賃金闘争をという提案など、批判的な意見も出された。沖縄県本部は、在沖米軍の臨戦態勢強化や米軍再編の進行、5月の2プラス2、集団的自衛権行使承認による改憲に先行する戦争策動など、迫り来る戦争の危機を訴え、平和フォーラムに頼らず自治労全体で戦争・改憲と対決する決意を固め、方針を出すよう求めた。しかし、過去数年の大会、中央委員会と比しても社民党支持県本部の本部への追従・屈服が進行している。
 その姿勢を見越した本部は「しっかり受け止める」などおざなりの答弁で済ませ、自治労壊滅攻撃には民主党・相原が「圧倒的な形で勝つことだ」と居直り的に民主党選挙への動員を強要した。
 今次自治労中央委は、「労働運動の力で革命をやろう」と訴えたわれわれの必死の飛躍を待ったなしに突きつけている。戦争・改憲への道を進む連合・自治労本部を打倒し、自治労を階級的労働運動へと再生させるために職場から闘いをつくり出さなければならない。戦争・改憲・民営化絶対反対の路線、「労働者こそ社会お主人公だ」の立場を貫いて闘おう。
 8月盛岡大会に向かう3カ月の闘いがすべてを決める。革共同自治体労働者委員会の拠点職場を全国各地に強固につくり出し、その力で大会を揺るがす闘いをやろう。6・9の勝利に続き、8・4―6ヒロシマ大行動に決起し、8・28―31盛岡大会に集まろう! 11月1万人大結集―自治体産別1500人結集をめざし、体制内労働運動打破、階級的労働運動形成のために闘おう。

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週刊『前進』(2298号4面2)(2007/06/11 )

 伊吹文明文部科学大臣殿

 高校教科書からの「集団自決」強要記述の抹殺に強く抗議し、撤回を求める

 沖縄民権の会

 沖縄民権の会(座覇光子代表)は5月30日、文部科学省による高校教科書からの沖縄戦における日本軍の「集団自決」強要の記述削除に抗議し、削除の撤回を求める抗議声明を発した。沖縄民権の会は、全国から文部科学省への抗議を集中することを呼びかけている。沖縄では6月9日に抗議の県民大会が開かれ、「沖縄戦を繰り返すのか!」「歴史の抹殺を許さない!」と全県的な怒りが噴出している。沖縄の怒りをわがものとし、全国各地から怒りの声をあげよう。(編集局)
 08年度から使用の高校教科書検定において、沖縄戦における「集団自決」の日本軍強要の記述が削除されたことを、私たちは満腔(まんこう)の怒りをもって抗議する。
 言葉に尽くせぬほどの悲憤のるつぼに陥落させた「集団自決」は、正に皇民化教育によって、「生きて虜囚の辱(はずかし)めを受けず」と徹底的に叩(たた)き込み死に追いやった責任を果たさず、なおも軍命はなかったと居直る。もはや教育は死んだと言わざるを得ない。
 渡嘉敷での「集団自決」はもとより、読谷のチビチリガマの83人の「集団自決」の実相は長い間、語るに忍びないほど深い傷を関係者に残した。50年経てこの悲惨を繰り返さぬよう口を開いた。本部、伊江島と後日事実が判明してきた。
 なぜこのようなことが行なわれたか、考えてもみよ!世界に類をみないというこの事実を…。教育によって洗脳され、それも長年月にわたり叩き込まれてもみよ!
 誰でもそのような状態に陥ることは明らかである。人間教育ではなく戦争教育!恐ろしく強制的なものであったからである。昨年末、文部科学省は教育基本法の改悪を主導し、今また教育4法の改悪を企(たくら)み、再び三度、沖縄戦を繰り返そうとしているのだ。あなた方の子弟にそのような悲劇を、死を望むのだろうか。少子化が叫ばれる中、戦争で若い命が散らされるなら、早晩日本は滅亡する。
 「沖縄戦」は、沖縄を天皇と「国体」を守るための捨て石とした唯一の地上戦であり、最大の差別意識に基づいて敢行された。老人、子ども、「障害者」、女性を、沖縄住民を、日本軍は守ったか!断じて否である。沖縄の言葉を使えばスパイ容疑で殺された。言葉さえ奪われた。女性を軍隊の性奴隷にし、泣き叫ぶ子どもを母親の手に掛けさせた。避難民を壕(ごう)から追い出し、戦火にさらし、自分たちが壕を占拠した。「日本人の証(あかし)として先頭に立て」と言われた。「死ぬも生きるも地獄」を強制された。
 そして、今もなお在日米軍基地の75%が沖縄に集中していることは、最大の犯罪を犯しているのだ。そのために県民は苦渋の生活を強いられている。日本政府がこれらの現実を許容するのみならず、沖縄差別政策を続けている。辺野古における新基地はその極致である。しかも自衛艦を出動させてまでの強行であり、絶対に許せるものではない。
 大江健三郎氏の『沖縄ノート』(岩波書店)に「集団自決」の実相が語られ、欺瞞(ぎまん)に満ちた沖縄の本土「復帰」に怒りの声が高まっていたとき、これに反論するがごとく著わされたのが曾野綾子の『ある神話の背景』である。
 著者は実に沖縄県民を侮辱(ぶじょく)し、罵倒(ばとう)するところから始める。そもそも赤松大尉を弁護することが目的の現地取材をなし、事実を目茶苦茶(めちゃくちゃ)にねじ曲げ、散々言葉を、事件を、愚弄(ぐろう)した表現をしている。軍が命令した証拠はないとか、戦争責任は天皇に及ばず、軍が裁かれるというなら、「人は神ではないから人が人を裁くことはできない。裁けるのは神だけだ」と言い逃れて、天皇と軍の戦争責任を回避させた。戦争の過去を反省しないものは再び繰り返す、ということを知っているだろうか。著者の自ら信仰するというカトリックへの歪曲であり、裏切り行為でさえある。著者はまた、沖縄の文化、自然までも否定する。「沖縄では何かといえば黒糖だ」「四季を知らぬかのように一年中ベタベタと花が咲いている」と。無知と偏見にはあきれて失笑さえ禁じ得ない。
 この最悪の沖縄差別本が出版されてまもなく、一人の沖縄の人が自殺した。また、沖縄青年たちが自宅に抗議に行った。どれほど人を傷つければ気が済むのか。何度、沖縄の人びとを殺せばよいのか。
 それからこの本に同調し、自信を得た梅沢氏が名誉毀損(めいよきそん)で訴訟を起こした。その一方的な「軍命はなかった」と訴えた原告側の意見陳述だけを根拠にすることは、公正と客観性を求めている教科書検定基準に反する。戦争へかりだされるのはあなた方の子弟をはじめ、圧倒的多数の労働者階級の若者たちである。阿鼻叫喚(あびきょうかん)の地獄へと追い立てた軍命令の「集団自決」を率直に認め、二度と戦争は起こしてはならぬという教育をすることが教育の使命ではないか。
 このたびの教科書からの「集団自決」強要削除を撤回し、真実を高校生に教えるようここに強く申し入れる。
 撤回しない限り、私たちは文部科学省に抗議し闘い続けることをここに宣言する。
 2007年5月30日
 沖縄民権の会

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週刊『前進』(2298号4面3)(2007/06/11 )

 6・15へ全国の大学で激闘

 富山大 右翼の襲撃を弾劾

 富山大学で5月31日、6・9決戦を最先頭で闘う学友N君が右翼・ファシストの襲撃に遭い、眼底骨折(全治1カ月)の重傷を負った。その日、大学当局が学内に保管してあった自治会の物品を強奪する弾圧があり、当局とやり合っている中で公然とファシスト学生が襲撃に現れた。完全に当局の容認の上での襲撃だ。絶対に許せない!
 この襲撃は全労働者と学生に対してかけられた襲撃である。安倍政権が戦争と改憲、民営化、4大産別への労組解体攻撃に突進している中で、支配階級と労働者階級の激突の最前線で起こった襲撃である。全労働者階級の名で弾劾しよう!
 なぜN君が重傷を負ったのか。彼が大学という階級支配の核心的な部分で、帝国主義の支配をひっくり返す闘いの先頭に立っているからだ。大学当局を圧倒して自治会室明け渡しを阻止し続けているからだ。安倍政権をぶっとばす闘いをやっていたからこそ、支配階級の憎悪を一身に受け、卑劣な襲撃を受けたのだ。彼への暴力は、すべての青年と学生を賃労働と資本の奴隷の鎖に縛り付け続けるための暴力だ。
 大学では「スキルアップしろ」「資格をとれ」と学生同士がとことん競争に駆り立てられている。それはすべて大学の評価のためだ。富大当局は「(自治会を非公認にしたのは)大学間競争の中、大学の評価のために学生を管理して、政治活動に熱中させずに勉強に専念させるためだ」とあけすけに語っている。
 しかし安倍政権の攻撃は、青年労働者や学生が団結して、奴隷のようなあり方、服従をもう終わらせよう!という力ある運動を巻き起こせば一瞬にして崩れ去るのだ。
(写真 3・18全世界一斉デモで右翼の妨害を打ち破り前進する全学連のデモ隊列【東京・銀座】)

 居直る当局追及

 襲撃の事実が新樹寮に伝えられると「右とか左とかいう問題ではない。許せない」「何かできることはないか」と怒りの声が広がった。「治療費に」と自主的にカンパを持ってくる寮生もいた。
 学生たちが6月1日、襲撃を容認する大学当局への抗議行動に立ち上がった。当局はふざけきった対応をしてきた。
 ▼「骨折したと言っても証拠がないじゃないか」▼「原因は君たちにもあるんじゃないか」▼「自治会室を明け渡さないからトラブルが起こるんだ」▼「自治会室に中核派の活動家が出入りしていることが原因だ」▼(暴力学生を処分すべきじゃないかという声に対して)「処分の対象は自治会室明け渡しを拒否している委員長のT君だ」
 暴言の数々に学友たちの怒りが爆発、学生支援課前の窓口には怒号が響き渡った。「闘う学生を人間として見ていない」「学生支援課をぶっつぶそう」
 当局の言い分こそ階級支配の現実ではないか。大学当局は、闘う学生を暴力で黙らせようとする右翼・ファシストに利用価値を感じている。
 闘う学生を「人間扱いしない」弾圧は、安倍政権の意志そのものだ。自治会非公認による自治会室取り上げはまさにそれだ。マルクス主義研究会は「部員が『学生規則反対』を訴えているから」という理由で非公認だ。大学祭実行委員会には「闘う学生が実行委員の中にいるから大学祭をやらせない」と学生支援課の課長は言っている。
 だが、当局の攻撃はついに当局と右翼の暴力支配から大学を解放しようという学生の激しい怒りの決起を生み出した。6月4日昼休み、ファシスト学生の出席する授業の教室に弾劾ビラをまき、さらにその周辺でビラをまいた。ビラまきの目の前にファシストどもも現れ、接近戦となった。
 支配階級は、闘う学生に過酷な弾圧や暴力を振るい、青年・学生全体の怒りを抑えつけ階級支配を強めている。階級支配を根本から覆すためには団結が決定的だ。6・15闘争へ学生と労働者の団結でファシストとの激突にうち勝ち、革命をめざす労働運動と連帯した学生運動を爆発させよう。

 東北大 弾圧うち破り決起

 われわれは3・18集会で「労働運動の力で革命をやろう」と宣言した。そして、東北大から革命のうねりを開始する闘いに対して、権力・当局の弾圧と激突し、それをめぐって学生の分岐と決起が開始されている。
 5月30日、昼休みにサークル規制反対を訴えているA君に対して、学生係長が「やめろ、誰の許可を取っているんだ。こんなことやっていいと思っているのか。出て行け」と妨害してきた。これに対してA君は「サークルを規制して、学生の自由をすべて奪って、学生をがんじがらめに縛りつける。学生は、お前の奴隷じゃない。お前なんかの言うことをきいて黙って従う存在だと思うな」と激しく反論した。
 この当局の妨害、そしてわれわれの毅然(きぜん)とした反撃を見ていた1年生が、学生係長の正面で「オレ、署名しますよ!」と登場。周りでは100人の学生が学生係長を取り囲むように注目し、講義棟の2階の窓から身を乗り出している学生もいる。さらにA君が追及するや、学生係長は差別的暴言を吐き捨てながらコソコソと逃亡した。
 それを見て学生は拍手やガッツポーズ! 学生が団結して大学の支配をぶっ飛ばした瞬間だ。まさに革命だ。それからは署名が続々と集まった。団体署名をしたサークル代表が「サークルで個人署名も集めます」と署名用紙をまとめて集めてきてくれるなど、一気に学生の行動化が始まっている。

 団結し革命を

 この勝利の地平に立ち、われわれは「学生が団結すれば、安倍も大学当局もぶっとばせる」とさらに訴えている。「今の世の中、絶望じゃない。革命やろう」「希望は戦争ではなく革命だ」という訴えは、学生の中にさまざまな分岐をつくり出している。
 昼休みに学生自治会の仲間がアジっていると「がんばれ!」とガッツポーズしたり、クラス討論でも拍手でこたえたりする学生が次々と出てきている。一方では、「そんなこと言っても革命なんかできるのか」「革命したらどうなるのか」と言ってくる学生もいる。今やキャンパスが〈革命>をめぐって大流動し始め、その中から団結がつくり出されつつある。
 この腐りきった世の中、大学の支配に対して、学生の怒りは頂点に達している。これをぶち破るのは、われわれの〈革命>の訴えだ。資本・権力、そして大学当局と真正面から激突し、徹底的に粉砕したときに、学生の怒りは解き放たれ、爆発するのだ。問題になっていることは、サークルの自由を守るかどうかではない。今の学生が置かれている奴隷のようなあり方を自ら引きちぎり、学生が大学の主人公になっていくかどうかということだ。
 安倍政権は、年金問題、松岡問題で労働者階級の怒りが爆発し、政権維持すらできないほどグラグラの危機だ。まさに打倒のチャンス到来だ。何よりも全国の大学で法大型の闘いが始まり、日帝ブルジョアジーの大学支配、そして大学当局による学生支配なんか完全にぶち壊している。
 学生と労働者が団結すれば、安倍・資本・大学の支配などぶっとばせる。300万学生ゼネストはもう目の前まできている。今こそ学生は団結してゼネストへ! 労働者と一緒に革命をやって安倍を倒そう! 6・15第3波法大包囲デモに集まろう。

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週刊『前進』(2298号4面4)(2007/06/11 )

日誌'07 5月30日〜6月5日

 扶桑社、「つくる会」教科書拒否

 安倍内閣の支持率30%に急落

●「つくる会」教科書、扶桑社が発行拒否
 扶桑社が発行する中学校社会科教科書を執筆した「新しい歴史教科書をつくる会」は、扶桑社が同会執筆の教科書の継続発行を拒否したと発表した。つくる会は「会の理念を守る」として新たに発行する出版社を公募するという。(31日)
●施設庁廃止へ 防衛施設庁の廃止など組織を一部改編する改定防衛省設置法と改定自衛隊法が参院本会議で、自民、公明、民主3党などの賛成多数で可決され、成立した。官製談合事件の舞台となった防衛施設庁を廃止して防衛省に統合することや、防衛相直属の防衛監察本部を新設することなどが柱。9月に組織改編する。(1日)
●サンゴの損傷「大規模でない」 米軍普天間飛行場代替施設建設予定地の名護市辺野古で環境現況調査(事前調査)の機器を設置した際にサンゴが損傷したことに関し、政府は閣議で、生きたサンゴが大規模に破壊・損傷されているとは考えていないとの答弁書を決定した。(1日)
●「脱北者」4人が青森へ 青森県深浦町の深浦港に小型船で4人が入港。青森県警に保護された。調べに対し「北朝鮮清津(チョンジン)付近から新潟に向けて出港した」と朝鮮語で説明し、「韓国に行きたい」と話した。脱北者が船で直接日本に着いたケースは極めて珍しい。(2日)
●内閣支持率30%に 参院選に向けた朝日新聞の第4回連続世論調査で、内閣支持率は30%で前回(5月26、27日)の36%からさらに下落し、政権発足後最低を更新した。不支持率は前回の42%から49%に上昇した。(2、3日)
●MDで米「中国を標的とせず」
ゲーツ米国防長官がアジア安全保障会議に出席中のシンガポールで記者会見し、ミサイル防衛(MD)計画について「われわれが計画するミサイル防衛網は米本土でもアジアでも、中国の核抑止力を弱体化させることを目的としていない」と述べた。(3日)
●軍命削除、沖縄自民が「撤回」同意せず 教科書検定で沖縄戦の「集団自決」に日本軍の強制・命令があったとする記述が修正・削除された問題で、沖縄県議会の自民党は、教科書検定の撤回を求める意見書案に同意しないことを決めた。会期中の可決は困難な情勢。(3日)
●嘉手納で燃料漏れドラム缶百本分 5月25日に米空軍嘉手納基地内の北側格納庫で約2万g(ドラム缶百本分)の航空機燃料漏れ事故が起きていたことが分かった。那覇防衛施設局が県や市町村に事故を報告したのは発生から7日後。(4日)
●宇宙基本法案、今国会提出へ 自民、公明両党は、高性能の偵察衛星などの情報を防衛目的で利用できるようにする「宇宙基本法案」(仮称)を今国会に議員立法で提出する方針を固めた。慎重だった公明党が「純粋に防御的な利用に限る趣旨の文言を入れる」などの条件つきで法案を容認することになったため。(5日)
●「慰安婦なんか問題にならない」 安倍首相の外交ブレーンの岡崎久彦・元駐タイ大使が講演で「20世紀は中国では何千万殺している。スターリンの粛清も何百万、米国も原爆やドレスデン(空爆)をやっている。日本の慰安婦なんか問題にならない」と語った。安倍首相が4月の訪米時に「20世紀は人権があらゆる地域で侵害された時代」として軍隊慰安婦問題での日本の責任に言及した背景を解説したもの。(5日)
●改憲2010年発議、自民が選挙公約
自民党が7月の参院選に向けた公約を発表した。安倍首相が争点に掲げる改憲を冒頭にあげ、「2010年の改正案発議」を打ち出した。(5日)

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週刊『前進』(2298号5面1)(2007/06/11 )

 イラクで危機深め戦争を拡大

 新段階のパレスチナ・レバノン情勢

 闘いの圧殺に躍起の米帝

 丹沢 望

 アメリカ帝国主義は中東・アラブ人民の民族解放闘争に敵対する二つの重大な犯罪行為を拡大している。一つは、パレスチナのハマス勢力への攻撃のエスカレートであり、もう一つはレバノンのシーア派勢力ヒズボラへの攻撃とそれと一体のパレスチナ難民キャンプ解体策動だ。こうした攻撃が行われたのは、イラク人民の民族解放戦争によってイラクと中東の支配体制を根底から揺さぶられている米帝が、イラク人民の闘いとパレスチナ人民の闘いが結合することで、米帝の中東支配が完全に崩壊させられることを恐怖しているからにほかならない。以下、この二つの米帝の策動を暴露するとともに、パレスチナ人民の不屈の闘いの前進について明らかにする。

 分断と内戦を「組織」 パレスチナ

 米帝は、パレスチナ人民の不屈の闘争精神に押し上げられて政権についたハマスと、ファタハとの内戦を引き起こそうと卑劣極まりない策動を展開している。
(写真 イスラエル軍の空爆で4人が殺された現場で復讐を叫ぶパレスチナ人民【5月26日 ガザ】)

 ファタハを米が全面支援

 米帝は06年1月のパレスチナ評議会選挙に当たって、米帝に協力的なファタハを勝たせるために大量の選挙資金を供与した。にもかかわらずファタハが選挙で敗北すると、今度はファタハ武装勢力への軍事援助を行った。06年6月には、ファタハはイスラエルの承認の下で、米帝から3000丁のM16ライフルと300万発の弾丸を供与された(ヨルダン経由)。さらに06年12月にはエジプト政府にもガザのファタハに2000丁のAK47自動小銃と弾薬を提供させ、ファタハ武装部隊の訓練も実施させた。エジプトからの武器輸送はイスラエルとファタハの合意の上で行われ、ガザとエジプトの間の検問所での検査は行われなかった。こうした取引はイスラエル自身によってリークされ、ファタハとハマスの対立を激化させる材料に使われた。
 財政面でも、米議会は4月10日、ファタハ指導部でパレスチナ政府議長のアッバスの直属警備隊への支援金5900万jの供与を承認した。イスラエルも06年12月、ハマス自治政府に対しては凍結した代理徴税金6億jのうち1億jをファタハ武装部隊に渡すことに合意した。米帝は、ハマス自治政府に対して経済援助を停止したばかりか、昨年行った経済援助の返還さえ求めている。これは自治政府の財政を破壊し、給料の欠配で生活苦にあえぐ公務員を始めとするパレスチナ人民のハマス政権への不満を拡大する意図で行われた。

 ファタハとハマスが激突

 これらはファタハ指導部の反自治政府活動を促進し、ファタハとハマスの対立を激化させ、ファタハに有利な形で内戦を引き起こそうとする卑劣極まりない策動だ。
 このような米帝・イスラエルの策動の結果、両者の衝突は06年1月以降頻発し、双方に多数の死者が出ている。06年12月、アッバスがファタハによる政権奪回のために強引なパレスチナ評議会選挙の前倒し実施を呼びかけると、ハマス政権成立以降最悪の衝突が発生し、一回の衝突で十数人が死亡する危機的な事態に発展した。このような解放闘争勢力内部の不毛な衝突を回避しようとする両派内の動きもあり、両派の連立政権交渉が行われ、07年3月17日に挙国一致内閣が成立した。
 だが米帝とイスラエルは、連立政権の1カ月半をファタハ支援強化期間として利用し、軍事的・財政的援助を水面下でさらに強化した。ファタハ指導部も、この1カ月半をそういうものとして位置づけた。
 5月、十分な体制を整えたファタハ指導部がハマスの拠点のガザに部隊を投入したため、両者の激突が始まった。この作戦にはエジプトで訓練された新鋭のファタハ部隊450人も投入された(5月15日)。両派は各地で交戦し、5月12日から19日までの8日間に50人以上が死亡した。今年だけで、5月25日までの両派の交戦での死者は150人に達した。

 イスラエルがハマスを攻撃 

 イスラエルはこれに呼応し、ファタハを支援する形で5月15日以降、ガザ侵攻とハマス壊滅作戦を始めた。イスラエル軍は、ハマスの軍事拠点や指導部宅を激しく空爆、さらに地上軍投入や政治部門幹部への攻撃へと進もうとしている。5月以前にハマスの議員数十人がテロに関与したとして拘束されているが、これに加えて5月24日、イスラエル軍はハマスに所属する自治政府の閣僚や評議会議員(国会議員)、西岸地区のナブルスやカルキリヤの市長、村長ら33人を逮捕・拘束した。政府内ハマス勢力一掃を軍事力で実施したのだ。
 この攻撃でガザの市街は激しく破壊され、ハマスを支持したパレスチナ人民はすさまじい困難を強いられている。
 だが、パレスチナ人民は、米帝・イスラエルの植民地主義的手口そのものの卑劣な分断・分裂策動にけっして屈していない。何よりも米帝とイスラエルのこうした卑劣で凶暴な策動が、米帝・イスラエルの中東支配のどんづまり的危機への焦りに駆られた絶望的なものであることを、パレスチナ人民は確信している。
 西岸地区のイスラエル入植地を全面的に認めたままイスラエルを承認し、米帝やイスラエルと手を組んでパレスチナ解放闘争を圧殺しようとするアッバスらファタハ指導部に対する怒りは沸点に達している。ファタハ内の若い指導部や活動家も、このような旧世代のファタハ指導部への怒りを隠さない。パレスチナ人民は必ずやこの苦難を乗り越え、パレスチナ解放運動の栄光の歴史を継承し闘い続けるだろう。

 難民キャンプへの砲撃 レバノン

 レバノンでは、米帝とそれに連携するレバノン・ブルジョアジー、キリスト教極右勢力によるパレスチナ難民キャンプ解体攻撃と、シーア派のヒズボラへの攻撃が一体的に展開されている。
 5月20日、レバノン北部のトリポリ近郊のナハルバレド難民キャンプに対して突如レバノン政府軍による激しい砲撃が行われた。22日には1平方`に4万人のパレスチナ難民が密集して居住するキャンプに対し、午前4時半から10時までの間に、1分間10〜18発のペースで戦車砲弾などが撃ち込まれた。この攻撃によって22日までに80人以上が死亡したと発表されているが、けっしてこんな数の死者ですむわけがない。
 この攻撃が中断された23日までにパレスチナ難民2万人近くがキャンプから再び難民となって着の身着のままで付近の難民キャンプや学校などに避難した。だが6月3日、まだ2万人の難民が避難できずにいる中、レバノン軍がナハルバレド難民キャンプに対する砲撃を再開した。
 大虐殺とキャンプの破壊、大部分の難民の追い出しとキャンプへの帰還の拒否は難民キャンプ解体の攻撃以外の何ものでもない。
(写真 ナハルバレドへの帰還を求める難民【5月29日 避難先のベダウィ難民キャンプで】)

 米帝のこそくな策動が破産

 なぜこんな悪らつな攻撃が行われたのか。レバノン政府は、シリアから流入してきた「ファタハ・イスラム」という「アルカイダ系テロ集団」が難民キャンプに巣くい、銀行強盗などを働いたからだと説明したが真実はまったく違う。
 ファタハ・イスラムというスンニ派武装組織は、イスラエルが06年にレバノンに侵攻しヒズボラの武装勢力に敗退した直後の9月ころから、ナハルバレド難民キャンプに公然と移動してきた集団だ。それは、シーア派武装組織のヒズボラと対抗する勢力として、米政府のライス国務長官の補佐官であるデービッド・ウエルチ国務次官補の指導下で組織され、レバノンを代表する大ブルジョアジーで現政権を牛耳るサード・ハリリ(05年2月に爆殺されたラフィーク・ハリリ首相の息子)によって資金と武器を提供された傭兵(ようへい)部隊以外の何ものでもない。
 米帝は、レバノン政治・経済界を牛耳るハリリ一族やキリスト教極右勢力などの親米勢力と連携して、イスラエルのレバノン侵攻をはね返して勢力を拡大するシーア派のヒズボラ勢力に対抗しうるスンニ派武装勢力を確立・強化しようとしたのである。
 だが、このもくろみがアメリカの左翼的ジャーナリストらによって暴露され、ヒズボラが対抗措置をとったため、米帝とハリリから傭兵部隊の活動の一時停止が通告された。ところがファタハ・イスラムがこの通告に反発し、離反の動きを開始した。このため、ハリリ派の民兵が鎮圧作戦に乗り出したが失敗し、レバノン政府軍を出動させたことから今回の難民キャンプ攻撃が行われた。
 つまり、ヒズボラとの力関係を転換するためにスンニ派武装勢力を創設し、レバノンを再度内乱情勢にたたき込むことによって帝国主義的支配を再建しようとする米帝のこそくな試みが失敗したことからこの事件が引き起こされたのだ。

 米軍・NATO軍基地の建設

 米帝は、こうした計画が失敗したことから、ナハルバレド難民キャンプから4`南のクレイアートに数十億jを投じて大規模な米・NATO軍基地の建設に向けて急速に動きだしている。
 この基地は米・NATO軍の中東地域への緊急展開部隊の基地でもあり、レバノン情勢への介入の拠点ともなる。米帝は「レバノンにおけるアルカイダの脅威に対抗するためにこの基地が必要だ」と主張している。そのためこの基地には「レバノン軍および治安部隊訓練センター」という名称が付けられている。
 米帝の中東・石油支配にとって軍事基地国家イスラエルがやはり要(かなめ)をなしているのだ。しかし今や、その全体がイラク侵略戦争の泥沼化によって全面的危機に陥っている。
 中東支配の根底的危機の下で激しい焦りに駆られた米帝による、パレスチナ、レバノンでのなりふりかまわぬ侵略戦争の拡大にパレスチナ人民は新たな怒りを燃やして立ち上がっている。イラク、パレスチナ、中東人民との連帯をかけ、ブッシュと安倍を打倒しよう。

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週刊『前進』(2298号5面2)(2007/06/11 )

 新誘導路の建設阻止を

 反対同盟が6・16闘争呼びかけ

 三里塚芝山連合空港反対同盟の6・16現地闘争(要項1面)への呼びかけ文を紹介します。東峰の森伐採を許さず、新誘導路建設阻止にむけて全力で結集しよう。(編集局)

「東峰の森」伐採弾劾! 新誘導路建設阻止
6・16現地闘争を呼びかけます 
三里塚芝山連合空港反対同盟

 闘う仲間のみなさん!
 NAA(成田空港会社)は、暫定滑走路北延伸にかかわる新誘導路建設のために、東峰地区の営農を支えてきた「東峰の森」の伐採工事を4月から強行しています。
 入植以来、東峰の森は地区住民の営農と生活に密着した森であり、空港会社が地区の入会権を確認した経緯もあります。今回の東峰の森伐採はこの「確約」を破るものであり、断じて許せるものではありません。
 伐採と新誘導路建設の強行は何を意味するか。現に住民が居住している東峰地区を西は第2ターミナル、東は新誘導路、北は暫定滑走路、南はB滑走路の一部という形で四方を空港施設で取り巻こうということです。同じ空港敷地内に存在する天神峰地区と東峰地区を「陸の孤島化」する地上げ屋まがいの人権侵害です。
 生身の人間家族が生活している家の真上40メートルにジェット機を飛ばす行為は、憲法で保障された基本的人権を一方的に踏みにじる国家犯罪です。滑走路の「北延伸」と新誘導路建設は、政府とNAAが犯罪行為をひた隠しにし、住民をむりやり追い出そうとするものです。NAAは「北延伸のあと、南延伸で3500m化」と公言しています。東峰地区を力ずくで消滅させることを意味します。
 反対同盟は、市東さんの耕作地取り上げ攻撃を含む「北延伸」や「南延伸3500m化」を絶対許さず、殺人的な環境破壊を日々生み出している暫定滑走路の閉鎖を闘い取る決意です。
 きたる6月16日(土)に「伐採弾劾・新誘導路建設阻止」の現地闘争を行います。改憲決戦の渦中、お忙しい中とは思いますが、大勢の皆さんのご参加を心から訴えます。
 2007年5月31日
(写真 東峰の森伐採を弾劾し緊急現地闘争を闘う【5月12日 成田市東峰】)

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週刊『前進』(2298号5面3)(2007/06/11 )

激動の世界

 ロシアと米欧の対立激化 (下)

 新協定 協議に入れず

 デモ規制めぐり非難の応酬

 ロシアとEUも関係冷却化

 米ロ関係の悪化に続き、欧ロ関係も「冷戦後最悪」と言われるまで冷え切っている。
 5月18日、ロシアのプーチン大統領とEUのバローゾ議長、EU議長国ドイツのメルケル首相らがロシアのサマラ近郊でロシア・EU首脳会談を行った。しかし何の合意文書も採択できず、記者会見は人権・民主主義をめぐる独ロ首脳の応酬の場となった。
 メルケルがプーチン政権による一連の政府批判デモ弾圧を批判すると、プーチンがメルケル政権によるドイツ・ハイリゲンダムでの大規模な反G8サミット・デモ規制を引き合いに自己正当化を図った。
 プーチン政権は、4月14日と15日にモスクワとサンクトペテルブルクで政治グループ「もう一つのロシア」が行った「不同意の行進」デモを「政府批判」を理由に許可せず、それぞれ1万人近い警察・治安部隊を動員して暴力的に鎮圧、両市で400人以上を拘束した。欧米政府の懸念表明に、プーチン政権は「ロシアは『主権民主主義』国家だ」と反論した。
 「もう一つのロシア」は5月18日のサマラ・デモでも当局からの妨害を受けた。指導者がモスクワの空港で拘束されて現地に行けなかったのだ。
 ドイツのG8サミット警備もすさまじいものだった。サミット会場のホテルを囲んで長さ12`、高さ2・5b、有刺鉄線、監視カメラつきのフェンスが立てられた。4月30日、反サミットデモ関係者の立ち入りが禁止された。だが6月2日、サミット会場近くのロストクで反グローバル化を掲げて8万人がデモを行い警官隊と衝突。双方合わせて千人以上が負傷、100人以上が逮捕・拘束された。サミット期間中、対テロ特殊部隊「GSG9」を含む1万6千人が警備に投入され、ドイツ連邦軍も1100人が動員されたが、連日抗議デモが闘われた。
(写真 MD用レーダー基地をチェコに配備しようとしているブッシュ米大統領のチェコ訪問に抗議する男性【6月4日 プラハ】)

 対ロ強硬姿勢のバルト諸国

 EU議長国のドイツは当初、この12月に期限切れとなるEUとロシアの「パートナーシップ協力協定」に代わる新協定の協議を始める予定だった。ところが、ポーランドがエネルギー供給のロシア依存からの脱却を主張して、昨年11月からロシアに食肉禁輸措置を受けていることを理由に協議開始を拒否したため、交渉に入れなかった。
 さらに、ロシアからのパイプライン送油が昨年7月から止まっているリトアニアがポーランドに同調した。エストニアが第2次大戦戦勝記念ソ連兵像の移設を強行すると、ロシアはエストニア製品不買など事実上の経済封鎖を強行した。エストニアは政府系ネットサーバーへの妨害攻撃にロシア政府が関与した可能性を指摘している。
 旧ソ連を構成していたバルト諸国が対ロ強硬姿勢の先頭に立っていることは、大国ソ連の崩壊を惜しみ「強いロシアの復活」をめざすプーチン政権をいらだたせている。

 ロシアが新旧欧州分断政策

 ロシアにとってEUは対外貿易高の50%以上を占める最重要のパートナーだ。石油・天然ガスの対EU輸出はロシア経済の高成長を支える最大の要因である。ロシアは、EUがエネルギー調達先をロシア以外に拡大する動きを強めていることに追いつめられている。
 EUは現在、天然ガス消費の25%を、石油消費の約3割をロシアに依存している。バルト・東欧諸国は100%近くロシアに依存している。ドイツ、イタリアの対ロ依存度も高い。EUにとってもロシアは重要なパートナーだ。
 ロシアは近隣国を回避して比較的親ロ的な西欧諸国に直接エネルギーを供給することを目指している。天然ガスでは、ロシア北部からバルト海底を通ってドイツ北部に至る「北欧パイプライン」を建設中だ。2010年にも運用を開始する。この計画に対してポーランドやバルト3国は、1939年の独ソ不可侵条約の秘密議定書と同じく「再び欧州を分断するものだ」と強く非難した。リトアニアは環境問題を理由に計画を阻止する動きも見せた。しかし他のEU諸国はポーランドやバルト諸国に同調する様子はない。ロシアの新旧欧州分断政策が成功している。
 ポーランドは5月11、12日に旧ソ連の産油国アゼルバイジャンやパイプライン通過国グルジアの首脳を自国に招き、ロシアを経由しないエネルギー輸入ルートについて協議した。同時期、プーチンは旧ソ連の天然ガス産出国トルクメニスタン、カザフスタンを訪問、ロシア経由の天然ガス・パイプライン増強で合意した。ロシアを通らない天然ガス供給ルートを追求する欧州諸国の動きにくさびを打った。
 ロシアと欧米帝国主義が欧州市場・勢力圏の再分割戦、争闘戦を展開し、危機的なまでに対立と緊張を高めている。労働者を搾取し支配する度合いと方法をめぐる争いが戦争を引き寄せているのである。
 労働者階級はMD(ミサイル防衛)計画反対デモ、反サミット・デモ、反合理化ストなど、国境を越えて団結し闘っている。これに連帯し、世界革命を切り開こう。
 (藤沢明彦)

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週刊『前進』(2298号6面1)(2007/06/11 )

団結ひろば 投稿コーナー

 自治体労働者交流会で若者に勝利の展望 京都 柄本鈴音

 5月29、30日、自治労中央委員会が水平社結成の地、京都・岡崎で開催された夜、「民営化首切り絶対阻止・『平和基本法』反対・憲法改悪阻止・戦争への道を許さない自治体労働者交流会」が、中央委に参加した仲間の報告も交えて持たれました。
 公務員バッシングの中、現場からの部落差別と現業差別・民営化攻撃と闘う現業労働者の闘い、評価制度やすさまじい人件費と人員の削減との闘い、教育労働者や沖縄の基地反対の闘いに連帯したとりくみ、女性部役員として団体交渉を終え仲間とともに駆け付けた保育労働者の発言などに励まされ勇気をもらいました。
 中でも自治体労働者になりたての若者の「労働者自己解放のため学習会を職場で組織し、仲間と団結して労働運動で革命やろう!」との呼びかけは感動的で、勝利の展望を見いだすことができました。
 一方自治労中央委は、本部への批判といえる発言も沖縄・新潟ぐらいで、各地の首切り解雇の報告などに方針すら提起されないスケジュール消化試合でした。
 今中央委は、現場の怒りと闘いの要求を、本部と各県本部が一体となって圧殺しつつあることを痛感させるものでした。
 教基法や憲法改悪のための国民投票法などが次々と強行採決される情勢の中、連合・民主党路線で安倍政権に屈服する自治労本部方針に対し、私たち労組交流センター自治体労働者部会は部落解放同盟全国連、怒りネットの仲間とともに怒りのビラを自治労の仲間たちに手渡し、「9条改憲阻止」の署名を訴えました。
 今こそ、自治労そして自治労連の既成指導部を打倒しのりこえよう。自治体職場の怒りと不満と絶望からさえも闘いを組織して、自治体労働運動を再生しよう。6000万労働者の中軸として4大産別を担う数百万自治体労働者の力を集め、断固として社会を変える主体となろう!

 「被爆地から改憲を問う」集会に参加 長崎 水口 耕

 5月26日、長崎県勤労福祉会館で、「被爆地から改憲を問う」という憲法集会が開催されました。講演は広島弁護士会の本田兆司さん。
 講演に先立って、辺野古の闘いのビデオが上映されました。5月19日に亡くなった「命を守る会」代表の金城祐治さんの在りし日の姿が生きいきと描かれています。今再び始まった海上での闘いや、憲法9条の改悪を許さない闘いは、沖縄の闘いや米軍再編の闘いに反対する闘いと一体なんだと実感。
 本田弁護士は、国民投票法が「国民をだまして改憲というクーデターをするための法律」と提起。9条改憲を進める背景には軍事大国化があり、「経済のグローバル化の中で、軍隊が海外に出て行って武力で外国に有無を言わせないようにしないと財界はやっていけなくなっている」と指摘しました。さらに司法改革にも言及し、「司法は、国家にとっては生産性のない、金のかかるだけのもの。裁判をなるべく短くし、人権を尊重した慎重な審理などどうでもよいものにしようとしている」と裁判員制度を厳しく批判しました。
 講演後の質疑応答の中で、刑務所の民営化についての質問も出ました。本田弁護士は「民営化されれば、機械化で経費が削減されるといわれています。刑法の改悪で有期懲役の最高は30年となり、40代で刑務所に入れば事実上一生出て来れない。どうせ獄死するのだから機械で安上がりに管理するということです。非人間的な、貧富の差の存在する社会の現実が、絶えず逆に犯罪を生み出しているのではなかろうか」と答えました。
 改憲問題をつうじて法律や社会のあり方を根本まで問う講演となり、絶対に憲法改悪を許してはならないという決意を再度固めました。

 同志星野文昭を思い 8月に広島で絵画展 広島 高田次郎

 「無罪を叫び、非転向を貫く」同志星野文昭を獄中より解放せよ!
 同志に告ぐ!
 同志星野文昭の「絵」に向き合う。「色がきれい」とか、そういうものではなく、彼が幼き頃より体全体で体のしんの奥深くにきざみ込んだ、その山、川、木、森、水、空気、野菜、花、光が描かれている。私はそこに、彼の生きんとする、彼の生きた姿、彼の生きたい心根の根源を見る! ものごとに対峙し、その表面ではなく、その物事の根幹に自分の生をかさねて、深く想(おも)うのである。それが彼のすべての行動への根源のエネルギーとなっている。
 三里塚闘争の先頭に立つ彼の姿、ベトナム人民の痛み、悲しみ、苦しみ、そして解放への光かがやく希望の色が、彼の中に同化する。沖縄の労働者人民の基地撤去の闘いに同化し、沖縄闘争のその先頭に立つ。
 それは、ベトナムの大地、沖縄の大地、ベトナムの人民、沖縄の人々に彼が同化、共生、共有するその厚く深い想いからである。
 我々は今、日本帝国主義どもの労働者人民をハカイ、支配、サクシュするその姿、再び子どもを戦場に送らんとするその姿に、人間的怒りをもって闘う時である!
 「同志星野展を全国でやろう」と私は全国の同志によびかける。
 広島は再び8月1日〜5日まで、「無実・非転向」をスローガンに「星野文昭絵画展」を行う。

 6・1京大で大宣伝巻き起こる論議の輪 京都大学 H

 京大では、6・9ワーカーズアクションに向けて、連日のビラまき、街頭宣伝に決起しています。6月1日(金)昼休み、マル学同京大支部で京大吉田キャンパスでの大宣伝を行いました。これがすさまじい反響でした。
 今回の宣伝では、「革命を徹底的に訴える」ことにこだわり、中核派の旗を出し、のぼりを大量に立てて、「搾取と戦争の現実を、資本家の階級支配の問題として徹底断罪し、労働者階級と団結して革命でぶっとばせ」とアジりまくりました。ビラも「革命でぶっとばせ」を見出しに大書したものを準備して登場。
 まずアジテーションへの反応がすごい。渡り廊下では学生が鈴なりになって聞いている。ビラもメチャクチャまける。ビラまき隊と学生の論議が次々始まりました。
 「置きビラで何度も6・9のことを読んでるけど、革命しかないというのは本当なのか?」という人と、30分ぐらい論議になる。次に論議になった1回生とは、「根本から変えるしかないのは分かるけど、具体的に何をやればいいのか」で大論議。すぐに『前進』を広げて話し込みになりました。アメリカ経済の崩壊、織田君のアピールを提起し、“労働者が団結すれば資本家の支配をぶっ壊せる、資本家の支配をぶっ壊す革命をやる以外ない、6・9に一緒に立とう!”と呼びかけました。「まだ決断できないけど、また話したい」と『前進』を購入しました。
 イラク戦争の破綻(はたん)と安倍の改憲攻撃は、資本家の支配を労働者がぶっ倒す以外にない現実を突きつけている。その中で、学生は本当に怒っており、体制を根本から変える方針と労働者階級との団結を求めている。マルクス主義の思想を求めている。安倍や御手洗の扇動を吹き飛ばし、資本家どもの支配をバキバキにこき下ろして断罪し、革命と団結を訴えれば学生の決起は間違いなく起きる。このことを本当に実感しました。

 「闘いなくして安全なし」身をもって感じた 東北・学生 河北まりも

 今、格安高速バスがたくさんでていますよね。私もよく利用している一人です。
 つい先日、乗ったバスで軽い接触事故が起きたんです。運転手さんからは「代車が来ます」と言われたんですが、結局来ることはなく事故処理後、同じバス、同じ運転手で発車しました。処理のため1時間以上止まっていたのにもかかわらず、到着時間は同じでした。回復運転というやつですね。
 尼崎事故、あずみの観光バスの事故と、命を運ぶ交通の事故は絶えることはありません。格安バスの運転手さんは請負で1日1万円の稼ぎにもならない労働者。また、そのバスを利用する乗客も格安バスしか利用することしかできない労働者です。同じ労働者が危険な状況にさらされている。何という状況だろう!! 今こそ労働者階級が一つとなって立ち上がろう! 6・9ワーカーズアクションに参加しよう!

 街頭の空気を変えるのは革命の訴えだ! 東京 H・T

 5月末、陸上自衛隊習志野駐屯地の最寄り駅、新京成電鉄・習志野駅で6・9ワーカーズアクション・イン渋谷への結集と、迎撃ミサイルPAC3の習志野基地配備反対を訴えました。
 「やりにくそうな場所」という最初の印象でしたが、青年労働者がアジテーションを始めると雰囲気が変わりました。「青年労働者が生きていけない社会、憲法9条を変えて戦争に送り出そうという安倍や御手洗。こんな資本主義社会はぶっとばそう。労働者は革命をやろう。PAC3は住民を守りません。資本家のための戦争に反対しよう。動労千葉のように闘おう」
 署名をしたり、公園で聴き入ったり、ビラを読みながら歩く自衛官もいる。「6・9に行きます」という高校生。ある女性は「近くに住んでいるが、PAC3のこと何も聞いていない」。「私は75歳だが、革命という言葉に青春時代がよみがえった。9条は変えてはいけない」という男性。
 かつて「帝都防衛」の「軍郷(ぐんごう)習志野」。今や陸自版グリーンベレー・特殊作戦群が配属され、イラクに秘密裏に派兵。侵略戦争への住民の危機感がひしひしと伝わってきました。
 この人たちとともにPAC3配備を阻止しよう。街頭の空気を変えるのは労働者の革命の訴えだ。6・9結集の手ごたえを感じた。

 初めての沖縄で人々の苦悩と怒りを実感 東北大学 M

 今年、私は生まれて初めて沖縄の地を訪れたのですが、沖縄の人々の苦悩と怒りをじかに感じることができました。
 年配の方が自らの戦争体験を多くの人に伝えるために、忘れてしまいたいことを思い出しながら語る様子と戦争の現実に、大きなショックを受けました。「戦争は人間を人間でなくす」
 また、戦争の真実が歪曲されないようにと、ひめゆり平和祈念資料館が公営ではなく県民自らの手で運営されていることが印象的でした。その後に、県立の沖縄県平和祈念資料館の展示が歪曲された話を聞いたので、国家権力の姑息(こそく)さをリアルに感じました。
 しかし同じ場所に、戦後の沖縄闘争の展示が、沖縄戦展示と同じくらいの規模であったのには驚きました。ここに「沖縄に戦後はない」と言われることの一端が表れているのかと感じました。
 辺野古では抗議集会と座り込みが、雨の中打ち抜かれました。辺野古でも国際連帯が生まれていることに感動しました。また、平良さんの「辺野古に“支援者”はいないと思っている」という発言が一番印象的でした。 自らのキャンパスや職場で団結をつくり資本主義打倒の陣形を拡大していくことが、うちなんちゅに対する最大の連帯なのだと感じました。

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週刊『前進』(2298号6面2)(2007/06/11 )

 警察を信用しない人や死刑に反対する人は排除される

 裁判員制度の反人民性は明らか

 思想調査を行い重罰化狙う

 裁判員制度の反人民性を本紙前号で明らかにしたが、裁判員を選ぶ際、「質問」という思想調査によって警察の捜査を信用できない人や死刑廃止を求める人はあらかじめ排除される、という重大な問題が新たに明らかになった。5月23日、最高裁刑事規則制定諮問委員会が規則の要綱案を最高裁に答申した。
 裁判員制度では、くじ引きで選ばれ呼び出された裁判員候補者に対して、検察官か弁護人の要求に応じて裁判長が質問を行う。その質問の具体案が今回示されたが、殺人や放火など「死刑の適用が問題となる事件」については、次のような質問を行うとされている。
 「証拠によってどのような事実が明らかになったとしても、絶対に死刑を選択しないと決めていますか」
 さらに警察官の証人が予定されている事件では次のような質問もある。
 「警察の捜査は特に信用できると思うような事情、あるいは逆に、特に信用できないと思うような事情がありますか」
 これに対し「はい」と答えた人に対しては、「それはどのような事情ですか」と畳みかける。
 裁判員制度では、弁護人と検察官がそれぞれ4人まで裁判員から外すこと(忌避)ができ、忌避理由は明らかにされない。(専断的忌避)
 右のような質問に対し「死刑制度には納得できない」とか、「デッチあげで逮捕することを聞いたことがあるから警察は信用できない」などと答えた場合は、検察官によって忌避されるのだ。
 無実の人を警察がデッチあげることはいくらでもあることだ。「うその自白を強制された」と被告人が法廷で真実を語る裁判も少なくない。ところが警察官が証人として出廷する裁判で、その警察官の捜査・証言を全面的に信用する人だけが裁判員となる。こんなものはおよそ「公平な裁判」などと絶対に言えない。裁判員制度の推進派は「冤罪がなくなる」と宣伝しているが、これはまったくのデマゴギーだ。
 さらに検察側が死刑を求刑する裁判において、死刑に積極的な人だけが裁判員になるのだ。これによって重罰化が進み、死刑が乱発されていくのは間違いない。
 また、「警察を信用しているかどうか」「死刑制度に反対か賛成か」など個人の思想・信条にかかわることを、国家権力が把握し管理することは重大な人権侵害だ。
 実はこの裁判員候補者への質問事項の問題にこそ、「刑事手続きに国民の健全な社会常識を反映させる」という裁判員制度導入の狙いがはっきりと表れている。国家権力の治安強化に異を唱える人、死刑制度に反対・疑問の人は「国民として不健全だ」ということであり、さらに「国家が危機のときに被告人の権利などを主張するものは国賊だ」ということだ。

 最高裁が“死刑を”とあおる

 6月1日、「犯罪被害者参加制度」を盛り込んだ刑事訴訟法の改悪案が衆院の本会議で可決され、参院に送られた。
 この制度では、被害者や被害者の遺族らが「被害者参加人」として検察官の横に着席できる。被告人や情状証人に質問したり、検察側の論告と同じように事実関係や量刑について意見を述べることができる。被害者の“復讐(ふくしゅう)心”をそのまま裁判に動員し、重罰化させるのが狙いだ。そして被告人の防御権・弁護権を否定した「迅速」裁判によって、裁判は“見せしめの儀式”とされる。そもそも初めから被告は「犯人」扱いされ、被害者(家族)の憎しみの対象となり、無実を主張して争うことはきわめて困難になる。まさに「刑事裁判の構造を根底から覆す」(日弁連の声明)重大な問題だ。
 この動きに拍車をかけているのが、山口県光市で起きた「母子殺害事件」をめぐる「被告人を死刑にしろ」という大キャンペーンである。
 この事件の裁判は、00年に山口地裁が無期懲役判決、2審の広島高裁も1審の無期懲役を支持した。死刑を求刑していた検察官が上告し、最高裁が昨年の6月に広島高裁の判決を破棄し、審理を高裁に差し戻した。最高裁は「死刑の選択をするほかない」と明言した。
 これに対し21人の弁護士が危機感をもち、被告人の弁護を引き受けている。この弁護士たちに対して今、マスコミが一斉にキャンペーンを張り、「光市裁判に集結した政治運動屋21人の弁護士資格を剥奪(はくだつ)せよ」(週刊新潮6月7日)などと叫んでいる。5月29日には、この事件の主任弁護人を務める安田好弘弁護士の名前を挙げた脅迫状が銃弾入りで日弁連に届けられる、という事件が発生した。
 こうした一連の動きの震源地は前述の最高裁決定だ。国家権力が死刑にしろと扇動し、そのもとで弁護士への右翼テロルが巻き起こっている。
 これらは、4月に起きた長崎市長銃撃事件と本質的に一体の動きだ。すなわち、小泉―安倍と続いてきた戦争と改憲、民営化の攻撃や、「つくる会」教科書採択と国家主義・愛国主義の極右的な政治潮流の激化がある。帝国主義の危機が極限まで深まり、「(司法改革の)成功なくして21世紀社会の展望を開くことが困難である」(司法制度審議会の意見書)という戦争と革命の時代に身構える支配階級の姿がそこにある。このすさまじい危機感こそが、死刑を乱発し裁判員制度導入をもくろむ安倍政権を突き動かしている。
 安倍政権は裁判員制度を09年5月に施行しようとしているが、それはきわめて危機的だ。
 05年に内閣府が実施した世論調査では、「裁判員に選ばれた場合にはやることが義務になります」ということを前置きした設問に対して、「参加したい」はわずか4%、「参加したくない」「あまり参加したくない」が70%にも及んだ。最高裁やマスコミが「選ばれれば、社会正義に貢献できる権利を得る」(朝日新聞)などという美辞麗句を重ねてキャンペーンしているが、それでもこの数字である。
 さらに実施を前にして制度の矛盾が明らかとなり、一層の改悪を狙って部分修正の法案(いわゆる「部分判決制度」)が今国会に提出された。

 制度の実施を全力で阻もう

 これに対し弁護士が「司法改革」攻撃に危機感をもち、行動を開始している。だが日本共産党は「『お上のなさること』に国民も参加させよ」と叫び、裁判員制度の積極的推進派に転落している。そうした中で弁護士の闘いは、既成政党や日弁連中央の屈服を突き破り、改憲と戦争に突き進む安倍政権を揺さぶる根底的な決起だ。
 労働運動がこの裁判員制度との闘いを自らの課題として、これを打ち砕く大運動を巻き起こそう。「裁判員制度はいらない!大運動」が呼びかける6・29集会に結集しよう。
 (保科俊介)

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週刊『前進』(2298号6面3)(2007/06/11 )

 水嶋裁判控訴審 “裁判長は控訴棄却を”

 水嶋同志が証人採用を弾劾

 5月31日(木)午後1時半から東京高裁第12刑事部(長岡哲次裁判長)において、1988年9・21千葉県収用委会長せん滅戦闘デッチあげ裁判の控訴審第3回公判が行われた。
 公判に先立ち、裁判所前で無実の水嶋秀樹同志を先頭に「直ちに控訴を棄却せよ」と訴え、街頭宣伝を行った。公安刑事6人がデッチあげ弾圧の大衆的暴露に戦々恐々としつつ、不当な監視行動を行っている。水嶋同志はマイクを握り「私は三里塚闘争でデッチあげられ、1審で無罪をかちとった水嶋です。ここにいる公安刑事どもがデッチあげの張本人です」と怒りを込めて弾劾した。また、「1審で無罪になったら、検事は控訴できないのが世界の常識だ。日本には人権がない」と、基本的人権よりも国家・治安を優先させる司法を弾劾した。
 水嶋同志の訴えに道行く人々は耳を傾け、ビラを次々と受け取った。裁判は圧倒的に注目されている。通りかかった老夫婦が「デッチあげ弾圧の実態を知りたい」と、傍聴闘争にも参加した。
 公判は、裁判官1人の交代に伴い弁護側の更新意見陳述から始まった。傍聴席は満杯だ。水嶋同志の古い友人たちも多数駆けつけている。
 前回の公判で、裁判長は検察官による6人の証人申請のうち、東京歯科大学の御用学者・水口清の採用を決定した。この日はその主尋問も行われる。弁護人の更新意見は水口の証人採用を弾劾する内容から始まった。

 “私は無実です。事件と無関係”

 水嶋同志は、9・21戦闘のメンバーだったと自認する転向・裏切り分子の正井利明が、取調官の強制と誘導のもとで、水嶋同志の26歳時の写真を戦闘の統括責任者「A」だと特定したことで、不当にも逮捕・起訴された。ところが正井は、1審公判廷で水嶋同志を間近にじっくりと観察し、「別人」であることを明確に何度も証言した。1審川口宰護裁判長は、写真ではなく実物を見た上での正井証言を正しく評価し、無罪判決を下したのである。
 ところが検察官は、「正井が水嶋同志を見ても『A』だと分からなかったのは、水嶋同志の容貌(ようぼう)が著しく変化したからだ」と主張し、水口にそれを「立証」させようというのだ。
 だが、水口は原審ですでに尋問されている。今さら尋問の必要はない。弁護人はこの点を指摘し、原審判決の「水口鑑定は、必ずしも客観的で信用性の高い研究結果に基づくものではない」との部分をも引用して、「顔貌の加齢変化に関しては、専門的知見はまったく有せず、ただただ検察官の意に添うように供述しているだけなのである」と厳しく弾劾した。
 水嶋同志の更新意見は弁護人が代読した。
 初めに「私は無実です。事件と一切、全く無関係です」と、あらためてきっぱりと宣言し、検察官のデッチあげを弾劾した。また「裁判でも正井がはっきり『被告人はAではない』と言っている。それだけですべて決まりだ」「裁判官は、無実だと叫ぶ私の懸命な声に真摯(しんし)に向き合ってほしい」と訴えた。さらに「私は33歳の段階で今と同じ8本しか歯が無かった。これは真実だ」「私の歯を見たこともない水口が、勝手な推測を述べても何の意味があるのか」と、裁判所の証人採用を弾劾した。そして最後に、「直ちに検察の不当な控訴を棄却して下さい」と心から訴えた。

 御用学者水口の証拠能力はゼロ

 更新意見の手続きが終わり水口の証人尋問に移った。水口は経歴を問われ、警察庁、海上保安庁、警視庁での捜査に協力し感謝状をもらったことがあると、恥ずかしげもなく御用学者であることを自認した。
 また水口は、知人の歯科医による統計なるものを持ち出し、水嶋同志の歯が33歳当時のまま59歳の現在まで8本残っているというのは、「統計的にも納得いかない」と証言。だがこれは伝聞証言であり、証拠能力は一切ない。その「統計」なるものの信用性にも何の担保もない。水口の証言には一切科学的根拠はなく、検察官の都合に合わせた単なる推測に過ぎない。次回の反対尋問で、水口証言を粉砕する。
 問題は「容貌の変化」論にあるのではない。一度同じ生活をした人間は会えば分かるのだ。水嶋同志と30〜35年ぶりに再会した友人たちは全員、本人だと分かったことからもそれは明らかだ。正井は「A」と別れてからたったの13年。水嶋同志を見て「A」だと分からなかったのは、水嶋同志が「A」とは別人だからだ。水嶋同志の無実は鮮明だ。長岡裁判長は直ちに控訴を棄却せよ。
 次回裁判は8月21日。水口への反対尋問を闘いとり、水嶋同志の無実・無罪を確定させよう。

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週刊『前進』(2298号6面4)(2007/06/11 )

 「裁判員制度はいらない!大運動」

 6・29に反対集会開催

 「裁判員制度はいらない!大運動」が主催する「裁判員制度はいらない!6・29集会」が以下の要領で行われる。
    ◇
●よびかけ人
足立昌勝(関東学院大学教授・刑事法)/嵐山光三郎(作家)/今井亮一(ジャーナリスト)/蛭子能収(漫画家)/織田信夫(弁護士)/崔洋一(映画監督)/斎藤貴男(ジャーナリスト)/新藤宗幸(千葉大学教授・行政学)/高山俊吉(弁護士)/西野瑠美子(ルポライター)/山口孝(明治大学教授・経営学)
●6月29日(金)午後6時
●四谷区民ホール(地下鉄丸の内線「新宿御苑前」下車)
●講演/「裁判員制度は市民のものか」 小田中聰樹さん(東北大学名誉教授・刑事法)
    ◇
 6・29集会は09年5月の裁判員制度の実施をもくろむ安倍政権と対決し、大運動の力で実施を阻止する新たな出発点だ。
 主催者は「この制度のスタートをやめさせるために『裁判員制度はいやだ』というあなたの声を大きなうねりに発展させましょう」と呼びかけている。

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