ZENSHIN 2007/05/28(No2296 p06)

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第2296号の目次

いまこそ改憲阻止へ! 職場・学園・地域から運動を 「とめよう戦争への道!百万人署名運動」が開いた全国集会に540人が集まった。集会後、参加者は“9条を変えるな!”の横断幕を掲げ元気にデモに出発(5月19日 千代田区)=記事2面

1面の画像
(1面)
安倍ぶっ飛ばし改憲を阻止しよう
全国の労働者は職場から決起し6・9代々木公園に総力結集を
青年労働者は熱烈に訴えます
記事を読む  
自治体労働者は6・9に立つ
200万首切り許すな 怒りの反撃に立とう
記事を読む  
「3・18」超える闘いへ  6・9集会へ実行委開く(5月21日) 記事を読む  
(2面)
教育関連4法改悪案阻止 6月上旬参院決戦へ
日教組本部の屈服許さない  闘って職場の団結守れ
記事を読む  
包囲ネットが国会行動(5月24日) 記事を読む  
”100万目標の達成を”
とめよう戦争への道百万人署名運動 全国集会に540人(投稿/大地耕介)(5月19日)
記事を読む  
闘う私たちこそ日教組 学校現場からの報告
教員つぶす「研修制度」  闘わぬ執行部を倒す時(宮城 加賀由梨子)
記事を読む  
資本攻勢&労働日誌 2007  5・9〜5・16
派遣労働者の労働災害が急増
記事を読む  
日程 国労5・27臨大闘争弾圧公判日程 記事を読む  
(3面)
民営化絶対反対で闘おう  全逓第63回大会に向け訴える
職場からの反撃を組織して労働運動の力で革命やろう
記事を読む  
教育労働者がスト貫徹 アメリカ  大幅賃上げかちとる 記事を読む  
合同労組全国交流会開く
11月集会へ本格始動(投稿/非正規雇用労働者 司馬達朗)(4月27、28日)
記事を読む  
〈焦点〉 安倍「有識者懇談会」が初会合  結論は集団的自衛権行使 記事を読む  
〈焦点〉 格差の固定化と労働者の分断  パート労働法改悪許すな 記事を読む  
(4面)
米帝の没落とバブル経済の崩壊
新自由主義の延命策も破綻<戦争か革命か〉の大激動へ
今こそ帝国主義打倒へ闘う時
記事を読む  
2007年日誌 5月16日〜22日
辺野古の現況調査に海自出動  集団的自衛権行使研究を指示
記事を読む  
(5面)
法大弾圧に反撃始まる
学生は固く団結して危機の平林体制倒せ  全学連委員長 織田 陽介
記事を読む  
辺野古 海自投入に怒りの激突  “この闘いで歴史を変える”(5月18〜20日) 記事を読む  
辺野古からの報告  東恩納琢磨(ひがしおんな たくま)さんに聞く(続)
事前調査などデタラメ
記事を読む  
(6面)
団結ひろば 投稿コーナー
「9条改憲阻止4・28沖縄集会」に参加して 福岡 諸見将友
 “耕して生きる”と語る市東さんの農民魂 千葉 村井正鋭
 青年労働者とともに訪れた沖縄での思い 東京 羽根利男
 ヤマト・ウチナー一体のゼネストをやろう 東京・ダブルワーカー 本田ヒトシ
 『Solidarity』3号を読んでつかんだこと 東京 村上進一
 今こそ決意の時だと思い革共同に加盟 K・M
 ドイツ・イデオロギー学習会をやり抜いた 兵庫・医療労働者 広畑かなめ
記事を読む  
5・20東京 石川さん不当逮捕44カ年糾弾
狭山再審求めデモ  差別・分断支配に怒り新た(5月23日)
記事を読む  
高裁、異議申立を棄却
“星野同志の執行停止を” 弁護団が即時抗告
記事を読む  
生命の輝き描いた絵画  暁子さん囲んで交流の輪
三多摩・星野文昭さんを救う会 加納敏弘(5月15、16日)
記事を読む  

週刊『前進』(2296号1面1)(2007/05/28 )

 安倍ぶっ飛ばし改憲を阻止しよう

 全国の労働者は職場から決起し6・9代々木公園に総力結集を

 青年労働者は熱烈に訴えます

 労働者の団結した力で革命をやろう。資本主義社会を根本からひっくり返して新しい社会をつくろう。貧困と戦争の拡大が世界の労働者を階級として一つにしています。労働者の団結で世界を変えられます。私たちは資本主義を打倒しない限り解放されない階級として一つです。青年労働者の2人に1人は一生フリーター。このままでは絶対に貧困から抜け出せません。正社員になっても労働強化で過労死・過労自殺する仲間が増えています。安倍・御手洗が1円でも多く儲(もう)けるために首切り・賃下げを競い、私たちを貧困のどん底にたたき込んでいます。同時に石油資源やより安い労働力を争って世界中で戦争を始めています。これが安倍の言う「戦後体制からの脱却」であり改憲です。労働者を食わせられず、戦争をやる以外に延命できない資本主義社会はもはや終わりです。「労働者の団結した力で革命をやろう」――これこそ私たちの生きる道です。青年・学生を軸にした実行委員会が6千万労働者に呼びかけている6・9大集会に全国から集まろう!

 資本主義に未来はない

 安倍にも日本経団連・御手洗にも、戦後体制をぶっ壊してその先に展望があるのかと言えばまったくありません。貧困と戦争をどんどん拡大していく以外にないのです。
 イラク侵略戦争でのアメリカ帝国主義の敗勢が世界情勢を決定づけています。石油資源と中東の勢力圏化を争う米欧日の帝国主義によって、すでに60万人ものイラク人民が虐殺されました。
 このイラク侵略戦争以降、世界は市場と勢力圏をめぐる帝国主義同士の激しい激突に入っています。だから安倍は必死なのです。日米首脳会談で集団的自衛権行使への踏みきりを約束し、秋までに朝鮮侵略戦争のできる体制を整えようとしています。そして、沖縄・辺野古新基地建設のための調査に、なんと海上自衛隊まで投入しました。
 そこには戦争をやって改憲をやるという暴力性があります。安倍は、改憲投票法の採決強行に続いて教育関連4法改悪、公務員制度改革を強行する構えです。改憲にむけて3年間で自治労、日教組をつぶし、戦争をやろうとしています。
 職場で資本と徹底的に闘い、その中で団結をつくれば絶対に勝てます。安倍・御手洗に対する青年労働者の反乱が全国で始まっています。「生活できる賃金をよこせ」「住む場所をよこせ」「生きさせろ」――私たちは安倍や御手洗に「法律をつくってください」とお願いはしない。賃金も生活も、闘って実力でかちとる。闘うために団結し、組合をつくり、ストライキをやる。私たちの要求は、奴隷の条件の改善ではありません。奴隷のような状態からの解放です。一方で、トヨタが2兆円という空前の利益を上げ、他方で私たち労働者は労働すればするほど貧しくなり、資本家が儲けるためだけに生かされる――こんな転倒した社会のあり方を根本から覆した時に労働者は人間性を取り戻すことができる。団結して闘えば労働者にはそれができる。この社会を動かしているのは労働者だからです。

 職場の団結に勝利の道

 職場で動労千葉のように闘おう。資本や当局と徹底的に闘って職場に団結を形成することが重要です。労働者がモノやカネに支配されないということ、そうした支配からの根底的自由を切り開くための武器が労働組合です。「資本家がいなくても労働者が団結すれば鉄道を動かせる」――これが国鉄分割・民営化に立ち向かい、団結を守り抜いた動労千葉の誇りです。これが労働組合の本当の力です。
 自治体で働く青年労働者が、この間の職場闘争の中でつかみ取った教訓は重要です。
 @安全の崩壊や労働強化につながる合理化はきっぱりと拒否する。A組合員の怒りに立脚する。多くの組合員は、これ以上の賃金カットや合理化は白紙撤回の立場である。B現場の団結を破壊する査定昇給の導入、正規・非正規の労働者差別には絶対反対する。大切なことは職場に団結を生みだすこと。C方針は組合員と徹底討論して決める。D現場組合員の団結した力で労働組合は変えられる。職場を動かしているのは労働者だという誇りが持てないような労働組合は変える。自分自身がその先頭に立つ。
 「経営を発展させることが労働者の雇用と生活を守る」などと言っている労組指導部と激突し、「私たちが執行部になる」と決意したことで仲間が変わり始めています。「革命をやろう」と職場の仲間に本気で訴え、まず自分が仲間を信頼して闘うことです。
 3・18で「革命勢力」が登場したことに安倍・御手洗が震撼(しんかん)しています。3・18集会の呼びかけ人になって闘った仲間に不当配転、雇い止め、不当処分が出ています。一人の革命家に資本、当局が揺らいでいるのです。
 また「労働運動の力で革命をやろう」と言えば反発する仲間も出てきています。そんな仲間を見て「これ以上言うと仲間が離れてしまうのではないか」と考えてしまう人も出ています。
 しかし、あえて言いたい。この時こそ勝負なんだと。もはや後に引くことはできないのです。「労働運動の力で革命をやろう」――断固この道を進もう!
 いま革命家の本気さが試されます。これまで資本主義社会の中で蓄積されてきた考え方やあり方を打ち破って人をオルグするためには、本物のマルクス主義が必要です。相手の生き方を変え、自分自身も大きく変わっていくためには言行一致で全身全霊をかけなければできません。困難を打ち破って次に向かうためには「マルクス主義を学ぶこと」「職場で動労千葉労働運動を実践すること」です。革命をめぐって仲間と本気でぶつかり合うことです。「革命運動に人生をかける」と腹を決めることです。

 革命めざす労働運動を

 既成労組指導部の屈服は単なる屈服ではありません。侵略戦争に協力し労働者を戦争に動員する側に回ったということです。私たちもこれとけっして無縁ではありません。資本と国家権力が、全労働者に屈服を迫っています。「労働運動の力で革命をやろう」の立場でなければ、私たちもそこに行き着く危機を常にはらんでいます。
 死の危機に瀕(ひん)する帝国主義は、腐りきった体制内労働運動の存在を条件にして始めて成り立っているにすぎません。体制内労働運動との徹底的決別を組織することが決定的なのです。
 労働者がダメになったのではありません。「社会の主人公は労働者だ」というマルクス主義の核心を掲げた「革命を目指す労働運動」の登場が求められているのです。これは資本や国家権力、資本主義を守るために労働者の革命への決起を徹底的に抑えつけ、資本家からおこぼれをもらってきた「体制内労働運動」の指導部との激突になります。徹底的に非妥協で闘わなければこうした敵とは闘えません。「民主労総の労働運動が、日本の連合みたいにダメにならないように」と動労千葉から必死に学ぼうとした民主労総ソウル地域本部の必死さに本当に学ばなければなりません。
 青年労働者の多くが昨年の11月労働者集会をもって、革命家でなければ労働運動を本当に勝利させることはできないということをハッキリさせ、「組合活動家」から「革命家」への飛躍を決意しました。そして、この立場で日本の労働運動をよみがえらせるためには共産党や連合指導部に代わる、労働運動の力で革命をやろうという組織が必要だということです。それが革命的共産主義者同盟です。
 本当に仲間の労働者を信じて闘えるか。これまでの労組指導部や既成政党の指導部は、この仲間との格闘の困難さから逃げ、労働者の持っている可能性を引きだして革命に向けて組織する困難さから逃げてきました。私たち労働者階級こそ、団結を力にして資本主義を打ち倒し、階級支配のない新たな社会を建設できる階級です。資本家の支配なしに自分たちで考え、計画し、生産し、社会を建設していくのです。その団結は、資本家と体制内労働運動と徹底的に闘うことなしに形成できません。団結をめぐる格闘の中にこそ革命があります。
 私たちが職場で闘い始めたことで、職場の仲間が闘わない労働運動に怒りをもって決別し始めています。革命を目指して闘う労働運動に魅力を感じ、自分の生き方として選択をし始めています。
 そして私たちにはアメリカ、韓国、全世界に同志がいます。日本の労働者階級の力は、国際連帯によって数十倍、数百倍にもなります。
 「労働運動の力で革命をやろう」――革共同はその先頭で闘おう。実行委員会の呼びかける6・9集会・デモに全国から集まろう。改憲を阻止しよう! 安倍・御手洗を倒そう!

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週刊『前進』(2296号1面2)(2007/05/28 )

 自治体労働者は6・9に立つ

 200万首切り許すな 怒りの反撃に立とう

 全国の労働者のみなさん! われわれ自治体労働者は6月9日のデモに組合旗を持って集まり、積もりに積もった怒りを爆発させる決意です。
 ある地方自治体で働く青年労働者は「公務員バッシングは絶対許せない。財政破綻(はたん)の一切の責任は政府と財界にある。財政破綻したっていいじゃないか。生活保護もどんどん出せばいい。自分たちが組合の権力を取ればいいんだ」と沖縄の集会で熱烈に訴えました。私たちは今こそ、職場から改憲阻止、安倍・御手洗打倒を掲げて国家権力そのものを揺るがす闘いをやるぞと奮い立っています。
 今始まっている攻撃は、自治体労働者200万人の首切りという国鉄分割・民営化とまったく同じ攻撃であることをはっきりさせなければなりません。あらゆる業務が民間資本に切り売りされ、問答無用の賃金カットと定数削減、退職不補充、非正規雇用労働者への置き換えなどが、当然のように強行されていくことに我慢がなりません。破綻に瀕(ひん)する北海道新十津川村では今年3月、正規職の保育士7人の分限免職が強行されました。
 しかも「去るも地獄、残るも地獄」の攻撃が現場職員にすさまじい労働強化として襲いかかっています。増税、福祉切り捨て、生活保護打ち切りなど住民の生活破壊の矢面に立たされ、能力・実績主義と競争原理が導入される中で、どこの職場でも精神疾患や早期退職が激増しています。職員に疑心暗鬼と分断を持ち込み、公務員バッシングと息もできないような監視の中で、職場の団結をズタズタにするやり方は本当に許せません。
 資本家どもは「50兆円産業の到来」(月刊『パブリックビジネス・リポート』(日経BP社)「新たなビジネスチャンス」などと言って、市場化テストによる民営化に群がっています。冗談ではありません。
 国と地方の1000兆円を超える途方もない借金を作ったのは政府・財界ではありませんか。その張本人が自らの破綻を居直り、すべてのツケを労働者に回しているのです。公務員バッシングは政府・財界による大陰謀そのものです。
 「自治労を壊滅する」と自民党に名指しされて震え上がった自治労本部は毎月、渡辺喜美行革相と行革推進本部専門調査会でひざを突き合わせ、闘う前から安倍政権に屈しています。戦争と改憲、団結破壊、民営化の最悪の手先になり果てています。自治労本部の掲げる「質の高い公共サービス」「民間事業者・NPOなど多様な担い手によるベストミックスの構築」などの方針は、組合員を「働こう運動」、国家への忠誠運動に組織するものです。そして「平和基本法」制定を掲げて憲法9条解体に加担し、民主党支持運動に一切を流しこんでいます。
 既成の労組指導部を打倒し、現場から労働運動を作りかえない限り、私たち自治体労働者は殺されてしまいます。裏切り自治労本部打倒! 100万自治労の決起で改憲をぶっ飛ばそう! 
 「自治体破綻」とは帝国主義の支配の破産そのものです。こんな腐り果てた社会は、労働者の団結した力で徹底的にぶち壊せばいいのです。この立場を貫いて「民営化絶対反対」の路線で団結しよう。現場労働者の力なくして職場は1ミリも回りません。職場支配権を取り戻そう。
 6月9日、全国から代々木公園に集まり、ともに腹の底から怒りの声をあげよう。
 (NK)

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週刊『前進』(2296号1面3)(2007/05/28 )

 「3・18」超える闘いへ

 6・9集会へ実行委開く

 

5月21日、東京都内で「6・9ワーカーズ・アクション実行委員会」が開催され、青年労働者や学生を中心に活発な議論が交わされた。(写真)
 冒頭、実行委員会事務局の青年が「安倍や御手洗、法大当局の方が現状をぶち壊して来ている。これに対する激しい怒りを6・9にぶつけよう」と提起。そして「『労働運動の力で革命をやろう』と労働者にいきなり言っても通用しないのでは」という意見が出ていることを紹介し「賃金も生活も労働者が闘って実力でかちとる、そういう本来の労働運動を青年労働者が復権している。団結し人間性を取り戻すことが勝利なんだと。3・18集会を闘った青年労働者が職場で反乱を始めていることに自信と確信をもち闘おう」と訴えた。
 動労千葉の田中康宏委員長は「資本家階級に本気で挑んだ時、本物の団結が生まれる。“ここに来たら希望がわいてくる”――6・9でそんな闘いを思い切ってやろう」と檄(げき)を飛ばした。
 学生や青年労働者が次々と発言。「法大当局は『反社会的集団』というが、労働者を食わせていくこともできないこんな社会なんか、ぶっ飛ばして当たり前だ」「この世の中を変えること抜きに基地反対だけじゃ通用しない」「郵政民営化攻撃の中で定員割れが続出している。組合が闘いを抑えつけている中で、自分が闘うかどうかが一切の土台だ」「資本や当局と折り合いをつけた瞬間に仲間を裏切ることになる。路線の違いでやり合い、そこでぶっ飛ばすこと抜きに職場では闘えない」「労働運動から切り離されてきたこれまでの部落解放闘争のあり方を青年がぶちこわしたい」――どの発言も実践に裏打ちされ説得力がある。
 織田全学連委員長は「僕らの運動の特徴は、“団結”を呼びかけること。『学生も労働者も団結しよう。団結したら革命だ』とあいまいさなく訴えよう」とアピール。
 3・18運動を引き継ぎ、のりこえる青年労働者と学生の闘いがうなりをあげて始まった。

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週刊『前進』(2296号2面1)(2007/05/28 )

 教育関連4法改悪案阻止 6月上旬参院決戦へ

 日教組本部の屈服許さない

 闘って職場の団結守れ

 (写真 終日国会前で闘った反戦共同行動)

安倍政権は、民主党など野党の屈服を突いて教育関連4法改悪案の参院審議を強行し、6月上旬に成立させようとしている。改悪案の狙いは、教育労働者の団結と闘いを解体し、日教組をつぶし、教育労働者に「日の丸・君が代」を強制して戦争教育の担い手に仕立てていくことだ。職場の団結を打ち固め、国会闘争に総決起し、成立を絶対に阻止しよう。

 教員を制圧し戦争教育狙う

 教育4法改悪案の内容は別表のとおりである。その全体をとおして、教育労働者の分断と管理・支配を強め、闘いと団結を解体する意図が貫かれている。免許更新制や職員会議の否定は、労働組合の職場支配権を奪い、戦前のような上意下達、絶対服従の学校支配をつくり出し、児童・生徒を侵略戦争に動員していこうとするものである。
 文部科学省が4月に発表した資料「教育3法案の持つ意義」には、その狙いがストレートに語られている。
 「教職員組合が、『民主的な学校づくり』の名のもとに……学校にとって大切な事柄を、教育委員会や校長の指示ではなく、職員会議で処理してしまっています。リーダーシップを発揮すべき校長先生が、逆に孤立させられるといった不適切な学校現場の実態は正さねばなりません」
 「法律違反状態にある教育や不適切な教育に、国がしっかりと責任を持って対応できるようにします」「『不適格教員』を教壇から確実に排除(します)」
 これは、日帝・安倍政権が教育労働者の闘いと団結を憎悪し、恐れていることの告白である。
 全世界的な帝国主義の危機の深まりの中で、労働者の怒りと不満はちまたに渦巻いている。その中で教育労働者、自治体労働者の闘いはますます決定的な位置と役割を占めて来ている。
 だからこそ安倍・自民党は「最大の抵抗勢力は官公労」(中川秀直・幹事長)、「参院選の最大の争点は日教組、自治労の壊滅」(森喜朗・元首相)と叫んで総力を投入してきている。教育4法改悪の核心的狙いもまた、ここにあるのだ。

 職場の団結で攻撃はね返せ

 ところが、これに対して日教組本部は、改憲投票法への屈服に続き、教育4法改悪に対してもまったく闘っていない。驚くべきことに、日教組本部は免許更新制に対して、「さまざまな勤務形態の教職員に対応できる更新制になっていません」「画一的な『研修』を増やすにすぎません」(5.14付NEWS・FLASH)と言っている。更新制が国鉄分割・民営化型の首切り攻撃としてある本質を覆い隠し、更新制を容認しているありさまだ。こんな腐りきった日教組本部を打倒して、真に闘う執行部をつくろう。
 動労千葉は、日帝・JR東日本当局による拠点破壊攻撃に対して、組合員の団結を固めて総反撃に立ち、見事、敵の狙いを打ち砕いた。その闘いは、職場の団結こそ敵の攻撃をはね返す最大の力であることを示している。
 教育労働者の闘いも同じだ。職場の団結と抵抗がある限り、改悪教基法も無力にしてしまうことができる。
 現場では、「日の丸・君が代」反対闘争を先頭に、日教組の再生をめざす闘いが続いている。職場闘争を徹底的に闘い、4法案改悪阻止の6月上旬参院決戦に立とう。
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 改悪法案の超反動的な内容
−すべてが日教組解体、教育労働者の団結破壊だ−
◆教員免許法・教育公務員特例法の改悪
・10年ごとの「教員免許更新制」を導入し講習を義務づける
・「不適格教員」を教壇から排除する
  →「日の丸・君が代」不起立を始めとする、闘う教育労働者の排除を狙う
◆学校教育法の改悪
・義務教育の目標に「規範意識」「公共の精神」「伝統文化の尊重」「郷土や国を愛する態度」などを盛りこむ。そのために学習指導要領を改定する
  →戦争教育・愛国心教育を現場に強制
・副校長、主幹教諭、指導教諭を新たに設置する
・「なべぶた」型組織を改め、校長中心にする
  →教員の序列化。上意下達の職場支配体制づくり。組合活動を制限、職員会議(労働者の職場支配権)を否定
◆地方教育行政法の改悪
・国旗・国歌を指導しない、全国一斉学力テストに参加しないなどの教育委員会に対して、文科大臣が「是正の要求」「指示」をできるようにする
  →自治体の教育行政に国家が直接介入。教育委員会の独立性、役割をこれまで以上に奪う。強い力を持つ教職員組合の闘いと団結の解体を狙う

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週刊『前進』(2296号2面2)(2007/05/28 )

 包囲ネットが国会行動

 5月24日午後5時から、毎週行動として取り組まれている都教委包囲ネットの国会前行動が闘いぬかれた。
 この日、参院文教科学委員会では午前10時から教育4法改悪案の審議が進められており、5月31日には参考人質疑に入ることが与野党で了承されている。危機感を募らせた教育労働者たちが職場から駆けつける中で、午後6時すぎ、「安倍政権に対して言いたいことを言いましょう」と司会の教育労働者が提起し、国会前集会が始まった。
 東京の教育労働者が発言し、「教員免許更新制は世論の4割が賛成だとか、改憲投票法案が通ったとか、日教組中央は完全に負けている。闘う日教組を取り戻すために全国の仲間とともに闘おう」と呼びかけた。
 「君が代」不起立で停職処分を受けた1カ月間、校門に立ち続けた教育労働者は「私が立ち続けたことで都教委の暴力が目の前に見えた」と語った。
 集会中も参加者はさらに増え、終了予定の7時を超えて集会は続いた。最後に国会へ「教育4法改悪を許さないぞ!」とシュプレヒコールをたたきつけた。
 反戦共同行動委員会は朝10時から国会前で座り込みを続け、夜の包囲ネットの集会に合流した。
(写真 5月24日夕刻、都教委包囲ネットが国会行動

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週刊『前進』(2296号2面3)(2007/05/28 )

 ”100万目標の達成を”

 とめよう戦争への道百万人署名運動 全国集会に540人

 「とめよう戦争への道!百万人署名運動」が主催した全国集会が、5月19日、東京の社会文化会館で行われました。「いまこそ改憲阻止へ! 職場や学園で闘い、地域から運動をおこそう!」とうちだされたこの集会には、全国各地で9条改憲阻止の署名運動を担う人たちが540人結集しました。
 開会あいさつを行った牧師の岩井健作さんは、沖縄・辺野古への自衛艦投入を弾劾し、「暴力装置を使う憲法への転換を許してはならない。ピープルだけが戦争を止めることができる」とアピールしました。また連帯のあいさつで「9条改憲阻止の会」の蔵田計成さんが、国会前での44日間にわたるハンスト・座り込みの報告を行い、「行動こそが最高のプロパガンダだ」と確信をもって発言。
 続いて参議院議員の近藤正道さんが「国民投票法は欠陥だらけ。改憲阻止の闘いはこれからが本番」と国会報告を行いました。
 この3月まで国立市の市長を務め、国民保護計画を作らなかった上原公子さんが「街に戦争がやってくる」と題して発言しました。上原さんは、埼玉での地方公聴会で元県議が改憲で戦前型天皇制国家を復活させるという右派の本音を語ったことを暴露しつつ、「向こうは防災訓練や交番の民間への開放など、いろいろなソフトをもって戦争準備を進めている」と警鐘を乱打しました。
 出版社「高文研」代表でジャーナリストの梅田正己さんは講演で、「北朝鮮脅威」キャンペーンを事実に基づいて批判。「米と北朝鮮は50年来の潜在的戦争状態にある。ミサイル発射実験や核実験もそのリアルさを踏まえなければならない。自衛隊は『北の脅威』を利用して、米軍なみの軍隊になろうとしている。すべては9条2項を撤去するか、守り抜くかにかかっている」と語りました。
 佐藤和利弁護士は「戦争阻止と”裁判員制度はいらない!大運動”は一体」とアピール。そして神奈川の女性は百万人署名運動の魅力を語ってカンパの訴え。また沖縄・辺野古から富田晋さんの「『ぶんご』の投入は闘いがそこまで敵を追い詰めているということ。金城祐治さんが私につないだ思いをもって逮捕覚悟で闘う」というメッセージが紹介されました。
 続いて事務局次長の小田原紀雄さんが「9条改憲阻止への再出発の機会にしよう」と題して基調報告を行いました。「改憲策動の『3年間凍結』はまったくのごまかし。この3年間は百万人署名運動にとって熾烈(しれつ)な攻防だ。目標を達成しつつある連絡会に学んで再出発しよう。守りに入らず攻勢に出よう。格差社会に怒り、労働者の団結と闘いを発展させよう。100万人目標を達成しよう」と檄(げき)を飛ばしました。
 基調報告を受け、五つの連絡会から闘いの報告とアピールが行われました。新潟県推進委員会からは中国人強制連行をめぐる裁判闘争の報告。埼玉県連絡会からは入間基地へのPAC3配備阻止闘争の報告。兵庫県連絡会の男性は「9条を変えさせないためには、社会を根底的に変える必要がある」とアピール。広島県連絡会の女性は「街頭と労組回りを結合し、連合支配を打ち破ろう」と提起しました。東京・北部からは、連絡会を新たに立ち上げる報告がありました。
 最後に事務局長の西川重則さんが「議会ではなく、民衆のみが戦争を止めることができる。リーダーシップをとれる連絡会へと全力投球しよう」とまとめを行いました。
 集会には、国民投票法案の採決強行や、辺野古への自衛隊の投入、さらには法大での学生弾圧などに対する激しい怒りが渦巻いていました。三里塚芝山連合空港反対同盟の北原鉱治事務局長や鈴木謙太郎さんの姿もありました。
 集会終了後、自民党本部や米大使館を弾劾し、国会へと進撃するデモ行進。9条改憲阻止へ、いよいよ百万人署名運動の真価が問われる、待ったなしの決戦本番に突入です。
 (投稿/大地耕介)
(写真 国民投票法案の採決強行に怒る集会参加者は、百万署名の目標達成を決意した【5月19日 社会文化会館】)

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週刊『前進』(2296号2面4)(2007/05/28 )

 闘う私たちこそ日教組 学校現場からの報告

 教員つぶす「研修制度」

 闘わぬ執行部を倒す時

 宮城県では2000年から「長期特別研修制度」が、仙台市では04年から「課題のある教員の制度」が施行されています。仙台市では、毎年4人ずつ教員が認定され、市教委は「学校現場への復帰を目的とする制度である」としながら、今年まで1人しか現場に復帰させていません。審査会から「教職員として職務は困難である」と決定が下されると、後は@市職員としての採用試験を受けるA依願退職B分限免職――の三つの道しかなく、採用試験のハードルの高さを考えると首を切るための制度であることは明らかです。宮城県の方は、昨年は2人が現場に戻りましたが、2人は退職に追い込まれました。
 教育関連4法の改悪案が衆議院を通過し、教育公務員特別法により「指導が不適切」と認定されれば、免職されるという法律がつくられようとしていますが、宮城の現場では、すでに先取り実施されていたのです。
 憲法9条を変えて「軍隊を持って戦争をする国」にするためには、戦前の皇民化教育のように愛国心を植えつけ、進んで国家のために命をささげる子どもを育てる必要がありました。そのために政府自民党はまず、教育基本法を変えました。しかし実際には、国家が定めた教育内容を唯々諾々と教える教員が必要なのです。「不適格教員」とは、教育基本法の改悪に反対して国会前に座り込んだり、「日の丸・君が代」の強制に対して不起立する教員を指すということが国会答弁で明らかになっています。そのような教員を許している教育委員会も、文科省が「是正要求」という管理統制をするというのが今国会で成立しようとしている法律です。
 政府の狙いが日教組つぶし、闘う日教組組合員つぶしであることは、はっきりしているのです。
(写真 教育4法改悪案の衆院通過に怒りのシュプレヒコール【5月18日 国会前】)

 支援求め修正案

 宮教組も仙教組も、この制度の狙いは「物を言う教員つぶし」であるとして、反対の立場をとってきました。しかし、反対を言うだけで、具体的方針がないのです。昨年の宮教組大会の議案書には、とうとう総括の項目がなくなり、方針で「交渉と協議」を求めるだけでした。また仙教組は、「不当な認定を許さない取り組みを分会とともに進めます」とし、分会の要請をハードルにして、実際には闘いを放棄しています。
 実際昨年1人の中学校教員が、「校長から制度について何の説明がないまま研修を受けさせられた」として人事委員会に申し立てをしました。しかし組合員である本人の要請にもかかわらず、組合は支援を表明しませんでした。とんでもない執行部です。しかし多くの組合員は、この制度がいかにひどい状況の中で本人を追いつめ、辞めさせていったのかという実態を知りません。
 仙教組大会では、修正案を出し、「支援すべき」と討論をしました。宮教組大会でも修正案が提案されました。残念ながら、否決されましたが、闘いは、教育関連4法改悪案が成立したとしてもまだまだ続きます。
 仙台市教委は市長の一声で、8千万円の費用をかけて小2から中3までの学力テストを実施し、突然小3と小5に「家庭学習ノート」という親と一緒に学習するドリル帳を配りました。「学力低下」を口実にした上意下達の政策が次々に施行され、現場は対応に振り回されています。教職員評価制度が本格的に実施され、多忙化で病気になる人も増えてきました。
 あまりのひどさに現場は「黙っていたら自分が生きていけなくなる」と声を上げ始め、怒りがうずまいています。
 職場の仲間と団結を強め、何もしない宮教組や仙教組の執行部を倒し、県教委や市教委と対決しない限り、今の現状を打破できません。
 昨年12月8日の日教組集会で掲げられた「森越はクビだ」の横断幕は、宮城の現場労働者たちにも圧倒的に支持されました。「日の丸・君が代」強制に不起立を貫く、東京を始め全国の教育労働者の仲間たちに学び、ともに連帯して闘います。
 (宮城 加賀由梨子)

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週刊『前進』(2296号2面5)(2007/05/28 )

資本攻勢&労働日誌 2007 5・9〜5・16

 派遣労働者の労働災害が急増

ハローワーク業務を民間委託 経済財政諮問会議は、ハローワーク(公共職業安定所)の職業紹介業務に「市場化テスト」を導入し、都内の2カ所で民間業者への委託を決定。(9日)
トヨタ、営業利益2兆円 トヨタ自動車が発表した07年3月期の連結決算は、営業利益が前期比19%増の2兆2386億円と日本企業として初めて2兆円を超えた。(9日)
最低賃金引き上げ、生活保護との逆転解消へ 厚労省は東京都など11都道府県に対し、最低賃金の引き上げを要請する方針を決めた。これらの自治体では生活保護の支給額が最低賃金を上回っているため。(11日)
重大労災の件数、最悪 厚労省発表の06年の死亡災害・重大災害発生状況によると、一度に3人以上の労働者が被災する「重大災害」は前年比53件増の318件で74年以降最多。建設業や製造業で増加している。(11日)
派遣労働者の労災急増 派遣労働者の労災事故が急増していることが、東京労働局の06年の調査で明らかに。前年に比べ5割近い増加。毎日新聞が報道。急増の背景に、日々派遣先が変わる「日雇い派遣」が増え、仕事に不慣れなことがあると見られる。(12日)
郵政2労組、統合へ 全日本郵政労働組合と日本郵政公社労働組合(JPU)が10月22日に統合する方針を固めたことが分かった。(11日)
全国初の「民間」刑務所が発足 警備や職業訓練、清掃といった運営の大半を民間に委託する全国初の刑務所「美祢社会復帰促進センター」の開庁式が山口県美祢市であった。(13日)
就職率96年度以降最高 厚労省と文科省は、今春の大卒の就職率は96.3%で両省が共同で調査を始めた96年度以降、最も高くなったと発表。高校生の就職内定率も厚労省調べで96.7%となり前年を上回った。(15日)
日本経団連、規制改革と賃金制度について提言 日本経団連は、「規制改革の意義と今後の重点分野・課題」と「今後の賃金制度における基本的な考え方」と題する提言を相次いで発表した。(15日)=要旨別掲
「心の病」労災1.6倍 厚労省は06年度の「脳・心臓疾患及び精神障害等に係る労災補償状況」を発表。過労で「精神障害」になった人の労災認定件数は205件(前年度比61.4%増)と急増した。また、「過労自殺」も同1.6倍の66人で、過去最多。(16日)
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 日本経団連の提言概要

・「規制改革の意義と今後の重点分野・課題」
 雇用・労働分野では「自律的な働き方にふさわしい制度の整備や、裁量労働制の対象業務拡大など、労働時間法制の見直しに重点的に取り組むべき」と強調。有期労働契約の規制や解雇規制、労働者派遣法等の見直しも要求。
・「今後の賃金制度における基本的な考え方 従業員のモチベーションを高める賃金制度の構築に向けて」
 今後の賃金制度は「年齢や勤続年数に偏重した賃金制度」から、「仕事・役割・貢献度を基軸とする賃金制度」とすることが望ましいと指摘。年功型賃金の見直しを求めた。

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週刊『前進』(2296号2面6)(2007/05/28 )

 日程 国労5・27臨大闘争弾圧公判日程

第76回 5月30日(水)/第77回 6月13日(水)
第78回 6月27日(水)/第79回 7月11日(水)
※いずれも午後1時15分から、東京地裁 

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週刊『前進』(2296号3面1)(2007/05/28 )

 民営化絶対反対で闘おう

 全逓第63回大会に向け訴える

 職場からの反撃を組織して労働運動の力で革命やろう

 全逓(JPU)第63回定期全国大会が6月19日〜21日に那覇市民会館で開催される。改憲阻止決戦のまっただ中での今大会は、歴史を画する重大な大会だ。郵政民営化攻撃に完全に屈服し、改憲勢力に転落した連合全逓中央は、今や安倍=御手洗の先兵となり職場的団結を破壊する張本人だ。職場生産点での闘いを巻き起こし、体制内労働運動と対決し労働運動の力で職場と腐りきったこの社会を変えよう。戦争を阻止し、労働者が人間らしく生きるために労働運動の力で革命をやろう。大会を現場の労働者の怒りの声で圧倒し、闘う全逓労働運動の再出発点としよう。

 全郵政との組織統合など闘う全逓労働運動の死だ

 連合全逓中央は、大会の焦点でもある全郵政との組織統合をもって、現場の全逓労働運動の解体と12万全逓組合員、24万郵政労働者を侵略戦争を担う労働運動に引きずり込もうとしている。労使協調=企業防衛主義と戦争協力=愛国主義は同根であり、その行き着く先は、戦前の侵略戦争を担った産業報国会への道だ。労働条件を切り捨てる労働運動は戦争・改憲にも反対できない。
 核心は、現場の労働者の意識と闘いにある。指導部は腐っているが、現場の労働者は今の連合路線・指導部を信任していない。その裏切りに対して怒りが充満している。職場生産点から反撃して団結を打ち固め、体制内労働運動と対決して闘おう。労働者の持っている自己解放的な力を引き出し、職場支配権にまとめあげるために職場闘争を闘うことが、連合支配を打ち破る決定的な道だ。
(写真 2月15日に東京の全逓会館で開かれたJPU中央委員会に“郵政民営化絶対粉砕”を掲げデモ)

 郵政民営化こそ敵の弱点

 安倍政権は、郵政民営化攻撃を突破口に全公務員労働者を非公務員化する攻撃、戦後労働運動を担ってきた全逓、自治労、日教組など国家機構内の労働運動を解体する攻撃に打って出てきた。徹底した競争原理の導入によって職場の団結を解体し、組合本部を改憲勢力に取り込み、すべての労働運動を戦争翼賛勢力と化すことを狙っている。これとの対決は、まさに日帝・支配階級と労働者階級との一大階級決戦であり、その最先端に郵政民営化攻撃との激突がある。
 この郵政事業の分割・民営化攻撃は、日帝のすさまじい危機の現れであり矛盾に満ちた階級攻撃だ。現に郵政民営化をめぐって支配階級は大分裂をきたし泥仕合を演じている。
 すでに人員削減・非常勤化による慢性的な労働力不足は、郵政事業の根幹を揺るがしはじめている。サービス残業や超勤を拒否すればすぐにでも物ダメとなる状況だ。ここに敵の矛盾が集中している。現場労働者の怒りをたたきつけ職場の闘いに転化することはまったく可能だ。
 また巨大な郵貯・簡保資金の再編は、今日の日帝の危機の最大の矛盾点でもある。日本経済の「デフレ重圧」=恐慌の重圧は際限のない国債発行によって支えられ、しかもそれは日銀引き受けという完全な破滅の道に突入している。今日、郵貯・簡保は140兆円もの国債を吸収しており、国債発行残高の4分の1にも達する。完全民営化を10年もの年月をかけてやるというが、この大量の国債を保有し続けても、逆に吐き出しても、日本経済の危機を爆発させる。時限爆弾を抱えたままの民営化に未来などない。
 今、この時点でこそ“民営化絶対反対”を真っ向から掲げ、原則を貫いて闘うことが決定的だ。攻防焦点が職場生産点にあることをはっきりさせ、労働者の決起に確信をもって10月民営化に立ち向かおう。

 体制内労働運動と決別し改憲阻止闘争の最先頭に

 安倍政権の改憲攻撃の本質は、日本の支配階級による全労働者階級への反革命クーデターである。安倍は「戦後レジーム(体制)からの脱却」を掲げ、戦後に制定された現憲法とそのもとでの国家と社会のあり方を全面的に破壊してきている。
 今日、戦後体制は完全に命脈つき、日帝はもはやこれまでどおりには労働者階級を支配していけなくなった。トヨタやキヤノンに代表される日帝資本家階級は、自らの戦後の延命と発展を支えた戦後体制を転覆し、再び戦前型の強権的・独裁的な国家体制をつくり出そうとしている。帝国主義の最後的危機が深まる中で、一握りの独占資本家階級が生き延びるためなら侵略戦争はもとより世界戦争でも何でもやる、それができる国に変えていくということだ。
 敗戦直後、日本の労働者階級はまぎれもなく革命権力をその手につかみかけていた。生産管理闘争や2・1ゼネストを頂点として、巨大な革命情勢がこの日本にも存在していた。しかし、日本共産党の指導によって労働組合運動が体制内労働運動として取り込まれ、歴史的な敗北を喫してしまった。それは「日本の労働者には革命をやる力がない」という、労働運動に対する絶望と敗北の思想をまきちらしてきた。
 しかし体制内労働運動と対決し決別して闘うことで、労働者階級が本来持っている戦闘的な力と結びつくことができるのだ。60年前と同様の階級的激突情勢の中で、21世紀革命をやり抜くのか、あるいは再び侵略戦争へ動員されるのか、という問題が日本の労働者階級に突きつけられている。改憲攻撃が本格化した今こそ、戦後革命期の日本の労働者階級の闘いを復権させよう。

 連合全逓中央を打倒して職場支配権を確立しよう

 連合全逓中央は、資本の求める「1企業1組合」方針のもとで全郵政との組織統合を行い、10月にも「日本郵政グループ労働組合」を立ち上げようとしている。全郵政は「組織統合という考え方ではなく、生産性運動に理解できる人、自由にして民主的な労働運動を推進する人が大同団結した新しい組織をつくる」(全郵政書記長)と宣言し、全逓に対して生産性向上運動の御用組織になりきれ、と要求している。組織統合決定とは、この全郵政の軍門に下り、自ら全逓労働運動を解体することだ。
 JPU大会議案書によれば「日本郵政グループ経営協議会」なる機関を新たに設置するとしている。これは全郵政が公社側に設置を求めているもので、経営戦略などを労使間で協議していく機関だ。組合の側から経営戦略を積極的に提案し、その下に組合を従属させるのだ。これは団体交渉を否定し、労働組合の存在を否定することに等しい。これが全郵政との組織統合の動きの中で進んでいる実態である。
 さらに議案書では「経営上の必要性による事由」による解雇を認めるとしている。また、「本人同意」も「期限」もない出向を認め、別会社・子会社への転籍も認めるとしている。これらは、解雇や出向・転籍の攻撃を労働組合が率先して進めるという宣言にほかならない。絶対認め難い。
 そもそも「郵政民営化の成功のために」などと賃下げ・減員を認め、職場をズタズタにして、多くの仲間を「自殺」や「勧奨退職」という名の首切りに追いやったのは誰なのか。戦後最悪の労働条件のなかで必死に働いている労働者の誇りを引き裂き、組合費でのうのうと生きている労働貴族=連合全逓本部だ。職場からの闘いで、断固本部方針を否決し、菰田―難波執行部を総罷免し、現場の労働者の利益を守り抜く全逓労働運動を職場からつくり上げよう。

 動労千葉労働運動の実践を

 78越年反マル生闘争は、年賀取扱を拒否し4億3000万通の滞貨を実現した全逓労働運動史上最大の闘いだ。この闘いへの処分攻撃を完全に打ち破った4・28闘争の大勝利を引き継ぎ、物ダメ・ストライキ闘争を復権させて闘おう。これこそが民営化攻撃と全郵政との組織統合方針を打ち砕く最も有効な闘いだ。
 国鉄分割・民営化攻撃は、20万人もの大量首切りを狙う大合理化攻撃だった。動労カクマルを先兵として、分割・民営化に反対する国労・動労千葉などに対して「雇用安定協約の破棄」を突きつけ首切りの恫喝をやり、「余剰人員」とした労働者を職場から追い出して「人材活用センター」に隔離した。この「国家的不当労働行為」というべき大攻撃に対して、動労千葉が分割・民営化絶対反対をあくまで掲げて組織の存亡をかけて闘ったことが、JR体制のみならず日帝支配階級を決定的に追い詰めてきた。
 郵政民営化攻撃に対して、この動労千葉労働運動を実践し、職場からの反撃で全逓中央を打倒することが決定的だ。この闘いは11月労働者集会への1万人結集運動の先頭に全逓労働者が立つことと完全に一体である。
 3・18集会で実践的につかみとった「労働運動の力で革命をやろう」という青年労働者の闘いを先頭に、郵政民営化攻撃に一歩も引かずに闘おう。マル青労同1000人建設をこの決戦のど真ん中でやり遂げよう。
 〔革共同全逓委員会〕

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週刊『前進』(2296号3面2)(2007/05/28 )

 教育労働者がスト貫徹 アメリカ

 大幅賃上げかちとる

 米サンフランシスコ近郊のヘイワード市で、ヘイワード教育協会(HEA、全米教育協会=NEAに加盟)の組合員が、4月5日から10日間のストライキを貫徹し、勝利した。

 幹部に高給、現場に賃下げ

 06年からヘイワード市統一学区(教育委員会)に対して行ってきた労働協約交渉での回答は、初年度3%(昇給ではなくボーナスでの支払い)というもので、生活費上昇にはるかに及ばない。
 だが、「財政難だから賃上げは出来ない」と言いながら、教育長の年俸は23万j(約2800万円)だ。しかも、06年7月に学区の幹部たちだけには、16・84%の昇給を与えた。
 HEA組合員の怒りに火がついた。
 「学区幹部が生徒を教育しているのか。教員と学校スタッフが教育しているのだ。われわれこそ16・84%にふさわしい」
 3月初旬、カリフォルニア州のNEA加盟労組の代表者会議で、「HEAがストに突入する場合には全力で支援する」という決議が上げられた。
 4月5日、ストの初日、学区側もHEA組合員の98%がストに参加したことを認めざるをえなかった。学区に雇われたスト破りは、ほとんどがピケ隊に追い返された。非常勤教員は、AFT(アメリカ教員連盟)という別労組に組織されているが、ヘイワードのAFTはピケを越えないことを決めた。生徒も、処分の脅しを跳ね返して4分の3が登校を拒否した。
 HEAは、保護者や地域の労働者にともにスト集会やピケに参加するように呼びかけた。
(写真 ストライキ集会・デモに多数の保護者、生徒、住民が参加し、教育労働者とともに闘った)

 保護者・生徒がピケに立つ

 スト2日目の集会には、ドロレス・ウエルタ統一農場労働者労組名誉副委員長が特別ゲストとして参加した。彼女は60年代、22回逮捕されながら大農場主や権力の弾圧を跳ね返し、フィリピン系やメキシコ系移民たちを組織して農場労働者組合を設立した伝説的指導者だ。
 教育労働者が全労働者階級とともに賃金闘争を闘っていることが彼女の参加ではっきりと示された。
 アメリカの労働者階級の賃金は、80年代から次々に押し下げられてきた。そしてこの強搾取によって、資本家は度外れた利益を上げてきた。
 一方で、労働者の平均実質賃金は統計上は横ばいだが、生活水準は大幅に低下した。民営化・規制緩和で公共サービスの自己負担は大幅増だ。医療・年金給付などがカットされ、病気・事故・高齢化などで直ちにホームレスになるリスクを負っている。他方で、企業のCEO(最高経営責任者)の年収は、1978年には平均的労働者の38倍だったが、2000年には300倍、現在は400倍になった。
 そして、イラク侵略戦争には膨大な予算を使いながら、教育予算はカットしている。少なくなった教育予算も、02年に施行された「落ちこぼれ防止法」によって、全米統一学力テストや軍の兵員募集官への生徒の個人情報の提出によって、学校への配分が決められてしまう。学校の設備・資材は荒廃し、教員がポケットマネーで資材を買うという状態になっている。
 この現状への全労働者階級、全教育労働者の怒りをヘイワードのストは体現しているのだ。

 スト停止命令出させず勝利

 当局は、ストライキ差し止めの命令を裁判所から引き出そうとした。だが、組合員のほぼ全員がピケに参加し、地域の労働者もともに闘うという団結の力によって、裁判所も差し止め命令を出せなかった。
 ストは10日目で、11%の賃上げをかちとった。アメリカ労働者階級全体の大きな勝利だ。

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週刊『前進』(2296号3面3)(2007/05/28 )

 合同労組全国交流会開く

 11月集会へ本格始動

 「たたかう合同労組全国交流会」は、さる4月27日〜28日、東京において12団体、23人の参加で全国交流会を開催しました。
●国会前行動に合流
 4月27日朝10時に国会前に登場し、改憲投票法案反対のハンスト団との交歓の後、労働契約法制とパート法「改正」法案に反対する国会議員回りを行いました。
 昼から午後にかけては反戦共同行動委員会の国会前行動に合流し、広島連帯ユニオン、関西合同労組、ユニオン自立、茨城県地域連帯労組が改憲投票法案反対・労働契約法制反対の発言をしました。
●準備会の仲間も参加
 夕方から第1日目の会議を行い、翌日午後4時半まで密度の濃い論議が行われました。
 まず、06年2月の全国交流会以来の取り組みの前進を全体で確認し、今後この交流会をさらに組織的に発展させることで一致しました。続いて結成1年目の仲間や準備会の仲間を中心とした討論は白熱しました。
 「合同労組運動をやろうとしているのだけど、その条件が自分のところであるのか悩んでいる」との意見に対しては、「まず、始めることが大事」という点で全体が一致しました。
 最後に、広島連帯ユニオンの提起を受け、8・6広島行動を11月への結節点として最大に重視し、11月1万人結集にむけ組織倍増に取り組むことを確認しました。
●地域労働運動の核に
 今回の交流会では、労働相談の量的拡大だけにとどまらず、地域の労働運動、反戦運動、反差別運動とどう結びついていくかも重要なテーマになりました。
 特に中四国の仲間からの発言が印象的でした。
 「反戦運動でつきあってきた人びとを対象にアンケートを行った。結果、今の格差社会と女性の置かれている立場にがく然とした。アンケート用紙には娘の就職とか、抱えている悩みがいっぱい並んでいた。だがこれまでは、『この人たちは反戦運動の人だから言っても分からないだろう』という感じで向こうも相談しなかった。これらをまとめて3・8広島集会で報告したが、みな感心していた」
 労働運動を基軸に、「労働運動と反戦運動、反差別運動は別」のような、われわれの内側の壁を越えていくのは今や待ったなしです。広島を始めとした先進的取り組みに学んでいきましょう。
●青年労働者と共に
 今、青年労働者が「労働運動で革命やろう!」と立ち上がり始めています。特に、非正規雇用の青年労働者が労働運動に立ち上がっていることを正面から受け止めて、全国の合同労組の仲間は闘いの先頭に立とう。
 (投稿/非正規雇用労働者 司馬達朗)
(写真 全国結集した闘う合同労組の労働者が改憲投票法反対の国会闘争に決起【4月27日 国会前】)

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週刊『前進』(2296号3面4)(2007/05/28 )

焦点 安倍「有識者懇談会」が初会合

 結論は集団的自衛権行使

 安倍首相が集団的自衛権行使の検討のために設置した私的諮問機関である「安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会」の初会合が、5月18日に開かれた。日帝・安倍は今や、9条改憲を待たずに朝鮮侵略戦争―世界戦争に突入していくことを狙い、集団的自衛権の行使に踏み込もうと全力をあげている。また同時に集団的自衛権の行使で、明文改憲も既成事実化しようとしているのである。
 この懇談会のメンバーは、安倍が個人的に学者、財界人、元統幕議長などから選んだもので、座長の前駐米大使・柳井俊二を始め、今まで集団的自衛権行使を主張してきた札付きの人物たちだ。その結論は初めから決まっている。
 これまで政府は、集団的自衛権の行使はできないとの結論を公式見解としてきており、日帝はそれに縛られてきた。安倍はその制約を突破し、集団的自衛権行使に踏み込むために「何を行うか」を示せと懇談会に要請している。
 安倍が検討を求めた集団的自衛権行使の4類型は、@日米が公海上で共同訓練中などに米艦船が攻撃を受けた場合に自衛隊艦船が反撃する、A米国に向かう可能性がある弾道ミサイルを、日本のミサイル防衛システム(MD)で迎撃する、B国連平和維持活動(PKO)などで他国部隊が攻撃された際に自衛隊が駆けつけ反撃する、C武力行使と一体化しないが、外国軍隊への補給、輸送などの後方支援を拡大する、という内容。
 @は、米軍艦船が攻撃を受けた場合には直ちに自衛隊も戦争に突入するということだ。例えば米軍が北朝鮮に先制攻撃を仕掛けて北朝鮮が反撃した場合も、自衛隊が反撃に加わって戦争に突入していくことになる。Aはさらに重大で「米国に向かう可能性がある」と判断すれば直ちに日帝が迎撃ミサイルで攻撃するという内容だ。弾道ミサイルは、発射段階でなければ撃ち落とせない。したがって衛星実験のロケットであっても「米国に向かうミサイル」と見なし、先制攻撃を可能にする内容だ。
 Bは米軍や多国籍軍が攻撃された場合に、自衛隊が反撃の戦闘に突入するということである。「駆けつけ反撃する」というのであるから、直接そこに自衛隊がいなくても反撃の戦闘に入るということであり、無際限の侵略戦争に突入する道を開く。Cは海外派兵された自衛隊が補給・輸送など、広範囲の戦闘任務に就くということであり、海外での侵略戦争行為は一挙に拡大するということだ。
 こうした重大なことが“政府の憲法解釈を変える”ことでなし崩しに強行されようとしている。安倍の暴走を許してはならない。
 米帝のイラク侵略戦争への突入で、今や帝国主義各国がロシアや中国をも巻き込み、資源や勢力圏の争奪のための戦争に訴える時代に突入した。敗戦帝国主義としての制約を抱え、労働者階級の闘いを壊滅し切れていない日帝は、帝国主義の「最弱の環」として、死の苦悶(くもん)にあえいでいる。そこからの延命のために安倍は、戦争・改憲・労組破壊の攻撃を激化させているのだ。
 有識者懇談会を徹底弾劾し、日帝・安倍政権打倒へ闘おう。

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週刊『前進』(2296号3面5)(2007/05/28 )

焦点 格差の固定化と労働者の分断

 パート労働法改悪許すな

 参議院は5月8日から短時間労働者の雇用管理の改善等に関する法律(パート労働法)改悪案の審議を開始し、委員会審議も始まった。すでに同法案は4月19日、与党の賛成で衆院を通過している。
 この法案は、「再チャレンジ」を掲げる安倍政権が、「パート労働者の適正な労働条件の確保」「正社員との均衡待遇」を名目に打ち出したものだ。だが、その中身は安倍のうたい文句とはおよそかけ離れたものでしかない。
 法案は「通常の労働者と同視すべき短時間労働者に対する差別的取り扱いの禁止」を掲げるが、その対象となるパート労働者はごくごく限られている。しかもその条件は、@業務内容と責任がその事業所の正社員と同程度で、A有期雇用ではなく、B雇用関係が終了するまでの全期間をとおして職務内容・配置の変更の範囲が正社員の職務内容・配置の変更の範囲と同一と見込まれるもの――という内容だ。さらに、正社員と労働時間が同じフルタイムパートも、その対象から外されている。
 そもそも、パート労働者の大半は、パートであるというだけで数カ月や1年未満の有期雇用契約を強いられているのが現実だ。「有期雇用ではない」などの条件にあてはまるパート労働者は、1%にも満たないと言われている。法案を提案した柳沢厚労相自身、対象となるパート労働者は「全体の4〜5%」と認めているほどだ。
 さらに、「差別的取り扱いの禁止」と言いつつ、それに違反した資本を罰する規定もない。資本にとっては、「業務内容・責任は正社員とパートで異なる」と言い逃れることはいくらでもできる。
 むしろこの法案の狙いは、低賃金の有期雇用労働者としてパートを固定し、労働者を分断してその全体を低賃金と無権利状態にたたき込むことにある。安倍政権のもとで現に進行している事態はそういうことだ。規制改革会議の「再チャレンジワーキンググループ」は、「労働者の権利を強めればその労働者の保護が図られるという考えは誤っている」と真っ向から言い放っている。
 9割の労働者を時間給・有期雇用の不安定雇用労働にたたき込むと宣言した95年の日経連プロジェクト報告以来の10数年で、3割を超える労働者が非正規雇用に追い込まれた。パート労働者の年収は平均で正社員の約7割、幾つもの仕事をかけ持ちしなければ生活できない労働者が膨大にいる。
 職場で基幹的業務を担いながら、こんな非人間的扱いを受けているパート労働者の怒りは当然だ。だが、連合や民主党は「均等待遇」の基準を決めることが最大の課題であるかのように問題をずらしている。資本との闘いを放棄した上でのこうした立場は、「容認できる格差」の基準を求めることにしかならない。
 パート・正社員を問わず労働者への強搾取を貫きつつ「再チャレンジ」を呼号する安倍政権や、生活できる賃金も払わない資本への怒りを燃やし、階級的団結を取り戻して資本主義打倒へ闘うことが労働者階級の回答だ。

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週刊『前進』(2296号4面1)(2007/05/28 )

 米帝の没落とバブル経済の崩壊

 新自由主義の延命策も破綻<戦争か革命か〉の大激動へ

 今こそ帝国主義打倒へ闘う時

 今日、アメリカ帝国主義はイラク侵略戦争の泥沼化と、バブル経済の崩壊の危機に直面して決定的な危機を深めている。ブッシュは、米帝の延命をかけて帝国主義間争闘戦をかつてなく激化させている。本稿では、米帝が直面しているバブル経済崩壊の危機を分析し、全世界の労働者階級が今こそ帝国主義打倒の闘いに総決起することを訴える。

 ドル暴落と世界大恐慌の危機が切迫している

 アメリカ帝国主義は急速な没落を遂げている。それが帝国主義体制、世界体制全体を危機的動揺にたたき込んでいる。二つの決定的なメルクマールは、〈イラク侵略戦争の破綻(はたん)−敗勢の激化〉と〈住宅バブルの破綻を軸にした米経済全体のバブル的延命が崩壊しつつあること〉である。
 これがブッシュ政権の内外政策の全面的破綻・全般的危機として表面化している。
 戦後世界体制の基軸国・米帝の没落は、帝国主義間争闘戦(大国間争闘戦)を画歴史的に激化させている。それは、アフガニスタン―イラク侵略戦争として、すでに戦争に転化し始めている。帝国主義の侵略戦争−第3次世界大戦が、ついにこうした形で火を噴き始めたのである。
 その中で、日本帝国主義は「帝国主義の最弱の環」として危機を深めており、日帝支配階級・安倍政権は〈戦争・改憲・民営化〉の攻撃を絶望的に推し進めている。
 この中で全世界と日本で革命的情勢が急速に成熟しつつあり、労働者階級の闘いは、新たな歴史的高揚の過程に入っている。毎年の11月労働者集会の発展と、青年労働者の怒りを結集した今春の3・18闘争は、その重要なメルクマールである。
 冒頭に、以上のことをしっかりと確認したい。

 新自由主義の歴史的な意味

 住宅バブル崩壊は米帝のバブル経済全体の崩壊であり、ドル暴落と世界大恐慌の危機はますます切迫してきている。
 本年2月27日〜3月上旬の世界同時株暴落(本紙2292号参照)は、帝国主義経済ひいては世界経済全体の大崩壊過程の始まりである。1カ月余りでの急速な回復は矛盾をさらに拡大し、より巨大な危機の爆発を準備するものでしかない。
 今日の帝国主義世界経済は、巨大な過剰流動性(不断に流動する大量の短期資金・マネー)のもとで流動性・不安定性がかつてなく強まっている。この根っこにあるものは、帝国主義経済における「過剰資本・過剰生産力」という厳然たる現実である。
 レーガニズム、サッチャリズム以来の新保守主義(新自由主義)、グローバリズムなどの帝国主義政治・経済体制の変容は、歴史的にみればどのような意味を持っているのであろうか。
 二つの帝国主義世界戦争、ロシア革命、30年代階級闘争、戦後革命の危機、スターリン主義の裏切りによる帝国主義とスターリン主義の戦後体制の形成という中で、戦後帝国主義は労働組合運動の諸権利の一定の容認、社会福祉政策による労働者階級の体制内化(典型はアメリカのニューディール政策)などの階級支配政策、革命予防策をとってきた。だが、そうした延命策が、1974〜75年世界同時恐慌を転換点にして決定的に行きづまり、もはやこれまでのようにはやっていけなくなった。
 すなわち、新自由主義、グローバリズムは、最末期の帝国主義が、米帝・英帝を先頭になりふりかまわぬ労働組合圧殺、民営化、リストラと非正規雇用の拡大、総じて無権利化と低賃金構造(格差拡大・貧困化)の形成によって、体制的に延命しようとしたあがきの所産であった。反動的で腐敗・腐朽した最末期の帝国主義が、スターリン主義の崩壊(過程)を歴史的なテコとして、労働者階級に対する搾取・収奪構造の転換を、資本の利潤の極大化を至上目的に、新自由主義を標榜(ひょうぼう)して追求しようとしたのである。
 グローバリズムはこの国際版である。とりわけ米帝は、帝国主義的な力量を武器に、また情報通信技術の”革命”をテコに、巨大な金融資本が世界的規模で金融市場(資本市場)、商品市場の再分割、生産拠点の形成などを自由に展開していった。そして新植民地主義体制諸国に対しては、資源の略奪・収奪と一体で、巨大金融資本の世界戦略に基づき、膨大な超過利潤を求めて生産拠点を得手勝手に形成し、かつ撤去して、新植民地主義的な搾取・収奪・略奪の構造を形成していった。

 ドルをまき散らしバブル化

 この米帝の基軸的展開につき動かされて他の帝国主義諸国もまた、これに対応して一斉に新自由主義、グローバル化と言われる展開に向かった。
 これは労働者階級に相対的貧困化どころか絶対的貧困化をも強制するものであった。また、本質的に帝国主義の戦後発展の行きづまり、停滞性を基底に置いたものであり、国内市場的発展に大きな制約をもつものであった。だから80年代以降の帝国主義経済は、米帝を軸とする経済の投機化、投機的浮揚、バブル化を不断に繰り返すことによって、かろうじて成り立ってきたのである。
その一方で、全世界で労働者階級、被抑圧人民の巨大な怒りの決起をつくり出してきたのである。
 米帝は貿易収支・経常収支・財政収支の赤字の天文学的巨大化をなすすべもなく放置し、巨額のドルを世界中にばらまき、滞留・蓄積してきた。このことを基底として、経済のバブル化は90年代の株式・不動産バブル―ITバブル、21世紀に入ってからの(とりわけ03年以降の)住宅バブルと不断に続いてきた。住宅バブルは、ITバブル崩壊が29年型世界大恐慌の再来の危機をつくりだしたことへの、米帝ブッシュ政権の空前の恐慌対策が生みだしたものである。すなわち、超低金利政策と、野放図な大規模減税(金持ち優遇減税)が展開される中で、強引に引き延ばされたバブルとして形成・発展し、やがて全経済をバブル化していった。
 しかし以下に見るように、この住宅バブルも大崩壊過程に突入した。今や金融市場自体が投機の舞台になっている。全世界の各国の為替・株・商品・不動産・保険・年金・投資信託などあらゆるものが金融商品化され、利益を求めて各種の投資信託が全盛を極めている。そのシンボルが、アメリカを中心に発展した巨大なヘッジファンド(注)である。

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(表)米GDP(国内総生産)の伸び率

 04年     3.9%
 05年     3.2%
 06年(通年) 3.3%
    I Q   5.6%
    UQ   2.6%
    UQ   2.0%
    WQ   2.5%
 07年I Q  1.3%
 ※I Q=1〜3月期

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 ヘッジファンド 少数の投資家から大口資金を集め、先物などの金融派生商品(デリパティブ)や融資を使い、純資産の何倍もの取引を世界的規模で行って、高い利益を狙う投機集団

 米住宅バブルの崩壊が経済全体に連鎖的波及

 世界同時株暴落は、中国・上海株式市場の大暴落から始まった。これは重大な意味をもっていた。米帝のバブル経済が独特の形で中国の経済発展の異常な展開と結合し、中国経済自体をバブル化してきたのである。中国は〈残存スターリン主義のもとでの資本主義化政策の爆発的推進〉というアクロバット的な存在と政策のゆえに、バブルの矛盾が極限にまで進行している。
 この中で政府高官の金融引き締め発言を引き金に2月27日、一挙に株価の大暴落が生じた。そして、米−中のバブル構造にいま全世界の帝国主義(大国)がのっかっているがゆえに、上海株暴落は一挙に世界化した。
 そして、世界を一周した暴落の連鎖の中で3月上旬、大暴落の第2ラウンドが米国発で生じた。ここで一挙に表面化したのが「サブプライム・ローン」の問題である。
(写真 ローンが返済できなくなって住民が立ち退いた家【3月 ミネソタ州】)

 サブプライム・ローンの延滞

 「サブプライム・ローン」とは、信用力の低い人(低所得層)向けの住宅ローンである。04年あたりから急拡大していった。住宅ローン全体の中のサブプライム・ローンの割合は、03年には3%だったが、06年末には約14%になった。かつては低所得層向け住宅ローンはFHA(連邦住宅局)が扱っていたが、90年代後半から民間金融機関の貸し出しが増大した。これも一種の規制緩和・民営化である。
 日本でもそうだったが、バブル経済は末期になるほど、より低所得の階層をも巻き込み、食い物にする。サブプライム・ローンはきわめて甘い仕掛けを使って増大した。ローンを組むにあたって「年収の証明不要」「頭金なし」と言われ、しかも当初は固定金利で返済額も小さい。ところが数年後(大体2年後)から金利が上がり、しかも変動金利が適用される。たとえば始めは年6%強の一般金利に1〜2%を上乗せしたローンが多いが、4年後には実に17%にまではね上がる事例がある。まさに高利貸し的な金利だ。
 06年から大量のサブプライム・ローンの返済期に入っている。07年には100万世帯、08年には80万世帯が非常に高い金利で月々の返済を迫られる。これが今や膨大な労働者階級、貧困層を直撃し始めている。

 労働者階級の生活を直撃

 ある労働者は一時解雇されて収入が3分の1となったが、そのとき住宅ローン代として月1200j(約14万円)を請求されて支払い不能になった。そして、3カ月間延滞したら、住宅が競売に付されてしまった。
 また、月額1700j(約20万円)を支給されているある年金生活者はローンがこの間月700jから1100jにはね上がり、ガス・電気・税金を滞納せざるをえなくなった。
 こうしたことから、サブプライム・ローンの返済の延滞が増加している。延滞率は06年10〜12月期に13・33%にのぼる(住宅ローン全体の延滞率は4・95%)。また延滞総額は1900億j(22兆円)に達する。サブプライム・ローンの残高は総計1兆2千億j(142兆円)である。
 住宅バブルが長い間にわたって米帝経済全体をバブル化して引っぱってきたことが逆回転し始めたのであり、これからさらに問題が拡大していくことは明白だ。
 4月24日現在で、住宅ローン専門機関の60社近くが破綻か買収、活動停止に追い込まれている。
 米上院銀行住宅委員会によれば、延滞・差し押さえで住宅を失う者は約220万世帯にのぼる可能性がある。中古住宅在庫は増大し、すでに300万戸を超えている。
 こうした中で1968年以来初めて住宅価格が低下した。3月の中古住宅価格はマイナス8・4%となった。このため住宅の担保価値が低くなり、「借り換え」なども困難になっている。
 また、銀行の住宅ローン貸し出しは16年ぶりの厳しさに引き締められた。これは信用収縮をもたらす危険がある。
 こうした理由から、住宅投資は06年総計で20%のマイナスとなった。07年の1〜3月期もマイナス17・0%である。住宅投資の減退は当然ながら住宅関連会社の利益を減少させている。
 以上のことをまとめれば、米住宅バブル崩壊の重大な意味は、米経済全体のバブル的な引き延ばしを牽引(けんいん)してきた最大の力が崩壊したということである。住宅バブルの進行−住宅価格の高騰−担保価値増大・ローン借り換え収益の増大−ローン下での個人消費の拡大−自動車を始め全産業的活性化−設備投資の拡大−バブル景気の持続として、この間の米経済は「好調」を続けてきた。そして住宅バブルは、最後まであおられ続けた。しかし、これが米経済の一層深刻な危機をつくり出してきたのである。それが2月末〜3月の世界同時株暴落で暴露されたのだ。
 「逆資産効果」の問題は自動車産業の売り上げ不振として、すでに巨大な影を落としている。
 また、米の住宅ローン債券には大銀行も深々とかんでいる。住宅ローン専門機関の破綻が拡大すれば、信用危機の連鎖的波及や、巨額の不良債権の発生など、経済の全領域に波及していくことは必至だ。

 米金融政策のジレンマ深刻

 米帝経済の「減速」はすでに進行している。米住宅バブルの崩壊−米経済全体のバブルの崩壊過程は、GDP統計にも現れてきた。(右下の表参照)
 アメリカの潜在成長率は3%とされているが、06年4〜6月期以降、ずっと3%以下(水面下)のままである。今年1〜3月期の1・3%成長は劇的な下向である。この期間、住宅投資はマイナス17・0%の大幅減少で、GDP成長率を1%近く押し下げた。
 住宅バブル崩壊をも一因として自動車販売も不振に陥っている。
 ブッシュ政権やFRB(米連邦準備制度理事会)議長バーナンキらはこの住宅バブル崩壊下でのGDPの「減速」の重大性を明白に認識しているからこそ、なんとしてもバブル経済を継続するために全力を挙げている。
 この間、米FF金利(銀行間取引の短期金利。金融政策の目標金利)は04年から06年6月まで0・25%きざみで上げられ、5・25%にまで上昇してきた。FRBがそのFF金利を0・25
%ずつ引き上げる政策を06年6月の5・25%をもって中断し「据え置き」を続けているのは、相対的に金利を低く抑えようとしているからだ。
 またブッシュ政権は赤字拡大を無視して放漫な財政運営を続けている。米帝・FRBは立ち往生しているのである。住宅バブル崩壊の中で金利を上げれば急激な崩れを引き起こす危険があり、逆に金利を低めに据え置き続ければインフレがコントロールを超えて発展してしまう危険がある。今年3月の消費者物価指数は前年同月比2・8%上昇で7カ月ぶりの高水準にある。
 しかも、金利問題はドル暴落の危機をどう防ぐかという問題ともリンクしている。米帝の金利が日・欧とりわけ日帝の金利より大幅に高いこと、この金利差を利用して日帝からの資金が「円借り取引」をとおして膨大に米帝の金融市場(債券・株式など)になだれ込んでいる。それがドル暴落を防ぎ、ひいては米バブル経済の引き延ばしをも支える重要な意味をもっているのである。

 ドル離れ・ユーロ台頭で帝国主義の争闘戦激化

 「円借り取引」が危機の震源

 前章の結論を見方を変えて言えば、今日の米帝バブル−中国バブルなどを牽引軸とする世界経済の「成長過程」は、米帝の超放漫な三つの巨大赤字の垂れ流しと、世界大のスケールでの「円借り取引」などによって不安定な短期資金が世界金融市場に流れ込んでいること、すなわち過剰流動性の大濁流によってかろうじて支えられているのである。しかもその規模はこの間、さらに急増中である。
 市中に出回る資金の量を示すマネーサプライは昨06年、「先進30カ国」だけでも前年比約7%も増えた。そのもとで株式のバブル的浮揚が進み、世界の株価の時価総額は06年1年間で実に23%も増大した。いまや米国を中心とするヘッジファンドが金融市場の寵児(ちょうじ)となり、その運用資金は1兆4200億j(約168兆円)にも達している。
 この過剰流動性の主要な震源地のひとつは、「円借り取引」をとおして日本から全世界に流出しているマネーである。日本は、異常な超低金利政策を超長期間、続けている。この日本でゼロ金利に近い円を借り、この資金で高利回りの外国の資産を買って運用し利益を上げるのが「円借り取引」である。その規模は最大1兆j(約118兆円)に達しているといわれる。世界の為替市場で1日に取引される金額(2・5兆j)の4割に相当する。

 今こそ階級的労働運動を!

 しかし、米帝経済バブルの引き延ばしを軸とした世界経済のバブル的成長は、いまや限界にきている。それはインフレを警戒する金利引き上げの動きや、超低金利政策のゆがみから必死の脱却を狙う日帝の動きなどに表れている。こうした世界的な金利引き上げの動きが、帝国主義世界経済(世界経済全体)の危機を爆発させる危険が、かつてなく増大している。4月10日にIMF(国際通貨基金)が発表した「世界金融安定リポート」は、きわめて重大な内容である。そこでは、以下のようなことが指摘されている。
 @今後、世界的な金利上昇に伴って、金融市場が不安定になるおそれがある。日本や欧州の金融引き締めを背景に不安定さが増す可能性があり、急な資産運用の調整や巻き戻しを招きかねない。
 A円借り取引にからみ、日本の銀行による非居住者向けの融資などが06年は1700億jにのぼり、アジア経済危機前の97年の資金流出額に匹敵する。
 これは何を示すか。IMFという形をとった米帝ひいては帝国主義全体の恐怖の表明である。世界的な金利の上昇が、今日の危機的なドル体制−国際金融体制のきわどいバランスを根底から突き崩しかねないことへの恐怖の表明である。
 情勢は確実に帝国主義間争闘戦の激化と、各国金融政策の矛盾・葛藤が結びつき、帝国主義間の金利引き上げをめぐる利害の衝突が国際金融市場を大混乱、大動乱にたたき込む危険が増大している。
 この情勢は、”ドル離れ”が国際的にますます現実化していることを見ても、その重大性が確認できる。
 米帝の三つの赤字問題はいよいよ重大化してきており、ドルは昨年、通貨ユーロに対して10%、対英ポンドでも12%も安くなった。06年12月に、ついにユーロが市中に出回る額がドルを追い越した。アラブ首長国連邦(UAE)、カタール、ロシア、スウェーデン、イタリアなどが外貨準備に占めるドル比率の引き下げに動いている。外貨準備が1兆jを超えた中国も、米国債に偏っている資産運用先を多様化させようとしている。
 拡大するEUと共通通貨ユーロの台頭は、戦後世界のドル基軸体制を根底から揺るがし、米帝の世界支配の危機・破綻をつくり出す潜在的要因となっている。
 まさにドル暴落−世界金融恐慌−世界大恐慌の爆発の寸前情勢が到来しているのである。
 闘う労働者階級と革命党は、こうした帝国主義世界体制の危機の深まり、革命的情勢の急速な成熟をはっきりと見据え、レーニンの「革命的情勢に対応した革命党の3大義務」の全面的推進のために闘おう。戦争・改憲・民営化(労組破壊)と闘い、階級的労働運動の大前進をかちとろう。

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週刊『前進』(2296号4面2)(2007/05/28 )

日誌'07 5月16日〜22日

 辺野古の現況調査に海自出動

 集団的自衛権行使研究を指示

●NSC法案、今国会成立断念 政府・与党は、国家安全保障会議(JNSC)を創設するための安全保障会議設置法改定案の今国会での成立を断念する方針を固めた。(16日)
●辺野古に海自艦「あらゆる事態を想定」
 米軍普天間飛行場の代替施設建設予定地の名護市辺野古で始まった環境現況調査(事前調査)に関連して、海上自衛隊の掃海母艦「ぶんご」が出港した問題について、久間防衛相は参院外交防衛委員会で、「ぶんご」が現況調査に直接かかわる可能性について「ないとは言い切れない」「かつての調査で混乱、妨害があった。あらゆる事態が想定されるから、万全の態勢をとっている」と語り、派遣を公式に認め、民間業者に代わって海自隊員が調査を行う可能性を示唆した。(17日)
●教育3法案、衆院通過 政府の教育関連3法案が前日17日の衆院の教育再生特別委員会に続き、自民、公明の賛成多数で衆院本会議を通過、参院に送られた。学校教育法改悪案は、教育基本法改悪を受け、「我が国と郷土を愛する態度」などを義務教育の目標に盛り込み、副校長や主幹教諭などの職を新設する。地方教育行政法改悪案では、非常事態に限り、文部科学相の教育委員会に対する指示権限を認める。教員免許法等改悪案では、教員免許に有効期間10年の更新制を導入する。(18日)
●集団的自衛権の行使研究を指示 集団的自衛権の研究を掲げる安倍首相の私的諮問機関「安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会」の初会合が首相官邸で開かれた。安倍首相は、米国向け弾道ミサイルの迎撃など四つの類型を挙げて「新たな時代状況を踏まえた、新たな安全保障政策の構築」の検討を指示。集団的自衛権の禁止など政府の憲法9条解釈も含めて、安全保障に関する法的な制約を見直すことを諮問した。(18日)
●もんじゅ、ナトリウム再注入へ
 ナトリウム漏れ事故で95年以来運転を停止している高速増殖原型炉「もんじゅ」(福井県敦賀市)で、日本原子力研究開発機構が23日からナトリウムの再注入を始める、と発表した。来年5月の原子炉再起動を目指すという。(18日)
●辺野古崎の調査に着手 防衛省は、名護市辺野古崎で、サンゴ着床板などの機材を海中に設置する作業を始め、本格的に環境現況調査に着手した。海上自衛隊の掃海母艦「ぶんご」が近海に待機し、海自の潜水士も民間業者とともに作業している。(18日)
●民間業者146人が「戦死」 米紙ニューヨーク・タイムズは、イラクで米軍の契約業者として働く民間人死者が急増、米労働省が把握しただけで今年1〜3月は146人に達し、米軍増派作戦の「もう一つの犠牲者」になっていると報道した。同省の統計では開戦から約4年間で少なくとも917人が死亡、1万2千人以上が負傷したという。(19日)
●着床板の設置終了 名護市辺野古周辺海域での環境現況調査(事前調査)で、那覇防衛施設局はサンゴの産卵状況を調べる着床板すべてと、そのほか調査に必要な関係機器の設置を一通り終えた。ジュゴンネットワーク沖縄とジュゴン保護基金委員会は、機器が生きたサンゴを傷つけたとして写真を公開した。(21日)
●参院委で米軍再編法案を可決 在日米軍再編への協力度合いに応じて地方自治体に交付金を支給することを柱とした「米軍再編推進法案」が参院外交防衛委員会で自民、公明の与党などの賛成多数で可決した。(22日)

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週刊『前進』(2296号5面1)(2007/05/28 )

 法大弾圧に反撃始まる

 学生は固く団結して危機の平林体制倒せ

 全学連委員長 織田 陽介

 裁かれるべきは法大当局だ

 5月18日、2人の法大生が起訴された。はっきりさせよう。こんな起訴は百パーセント無効だ。労働者・学生の怒りと団結で焼き滅ぼす以外にない!
 16日の勾留理由開示公判で明らかになったことはただひとつ、検事にも裁判官にも2人の自由を奪う資格など1ミリもないということだ。何が「暴行容疑」だ。冗談も休み休み言え! 4月27日当日、安東学生部長はじめ数十人の学生部職員とガードマンが学生に襲いかかり、抵抗する彼らの手足をつかみ、問答無用でたたきだした。「暴行」したのはむしろ安東学生部長ではないか! こうした事実を公判では裁判長先頭にひた隠しにした。
 T君の逮捕に至っては、職員が取り押さえて警察に売り渡した事実を隠すために、逮捕時間、場所、逮捕状況の一切について、裁判長は「関係がない」として答えなかった。そして「暴行」の内容すらはっきりしない。A君に対してはなんと、起訴段階になって安東学生部長への暴行容疑が加えられた。これでは検事自ら「暴行などなかった」と言っているようなものだ。現場を目撃していた学生は「どう考えても警察が悪い」と語り、逮捕後に安東学生部長がガッツポーズをしていたという目撃情報まである。学生をなめるのもいい加減にしろ!
 また、取り調べ内容は露骨な転向強要だ。検事は「起訴は決定だ。これは君が運動をやめるかどうかの問題だ」などと語り、警察は戦前の教育勅語を取り出して「汝臣民…」などと言い聞かせた。これのどこが取り調べだ! こんな逮捕に正当性など1ミリもない!
 結局一般的な「暴力行為」が問題になっているのではない。むき出しの階級激突が開始された革命情勢だからこそ、革命の側が「暴力」として罪にされ、反革命の側が免罪される。これが「暴行容疑」の真実だ。裁かれるべきは法大当局だ。
(写真 キャンパス中央封鎖の大暴挙、2学生不当弾圧を弾劾し、平林総長打倒を呼びかける被処分者の演説を多くの学生が座り込んで聞く【5月18日 法政大】)

 法大生は起訴を受けて立つ

 法大生は勝利感でいっぱいだ。5月18日集会当日のキャンパス中央広場封鎖の暴挙に対して「大学の主人公は学生だ! 平林は勝手に門を閉めんじゃねぇ!」のアジテーションに呼応し、学生は「自分たちこそ主人公だ」と確信を深めている。意識的な学生が次々と集会に参加し、前回のデモでは沿道を歩いていた1年生が、学生部の圧力をはねのけ、起訴への怒りでデモ隊列の中に入った。
 昨年は40人の逮捕を不起訴ではね返しながら、そのたびに学生は団結を固め、法大当局を追いつめてきた。教員の弾圧動員拒否が広がり、ガードマンが導入された。6・15の1000人集会は職員・ガードマン一体の学生証チェック体制を粉砕した。ビデオカメラをかざして学生を弾圧してきたガードマン・ルンゲは、学生の怒りによって追い詰められ、今やスーツをやめて制服とマスクで目立たないように仕事を続けるのみだ。
 学生の団結した闘いが当局の新たな攻撃を引き出し、これと闘う中で学生の団結はさらに強化され、攻撃を破綻(はたん)させてきた。学生はますます自らの力に気づき、怒りを高めている。まさに法大は革命の学校なのだ。
 “42人目にしてついに起訴を引き出した”−確信をもってこう言い切ることができる。総長・平林はデモのたびに総長室から逃亡している。法大や検察は堂々と起訴したのではない。学生の団結した闘いにガタガタ震えながら、追いつめられて起訴したにすぎない。そして安東学生部長を法廷に差し出しての裁判を開始せざるを得なくなった。追いつめているのは学生だ。大裁判闘争はさらなる勝利に向かっての新たな出発点にほかならない。われわれは法大当局の起訴攻撃を真っ正面から受けて立つ!

 労働者とともに革命やろう

 「2人に1人が一生フリーター」と言われる格差社会の現実の中で、こうした学生の現実につけ込んで金もうけしているのが法大・平林総長だ。「今なら公務員になるチャンス」「資格をとって差をつけよう」などと、まさに仲間を蹴落とせという扇動が大学を挙げてなされている。あげくはゼミを名乗って靖国神社にいく教員までいる。法政大学理事会は今年、入学枠より1500人も多く学生を採り、その収入は総額60億円と言われている。この金であくどい授業やガードマンの費用が支払われている。大学が資本主義の奴隷の鎖に学生をつなぎ止める役割を果たしている。学生は60億円の資金とともに大学の権力そのものを奪い取る権利がある。大学を学生のために、資本主義を転覆するためにこそ運営する権利がある。
 今こそ学生は団結しよう。学生が蹴落とし合ってもなんの展望もない。こうした状態に学生を落とし込めている安倍や御手洗など資本家階級に一切の責任があるのだ。逮捕・退学は学生を奴隷の鎖につなぐための見せしめだ。団結とは仲間の逮捕・退学を許さず闘うことだ。学内の闘いが起訴された2人の闘志をさらに燃え上がらせ、その闘志が学生の団結をさらに強化する。死の競争で金もうけをする大学など、学生が団結すればひっくり返せる。それが革命だ。労働者や学生に死の競争を強制しなければ成り立たない資本主義など労働者・学生が団結すれば終わりだ。改憲情勢とは法大のような革命情勢が全社会的に進むことだ。団結の拡大こそが学生の勝利だ。学生は労働者とともに革命をやろう!

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週刊『前進』(2296号5面2)(2007/05/28 )

 辺野古 海自投入に怒りの激突

 “この闘いで歴史を変える”

 日帝・防衛省=那覇防衛施設局は、5・15闘争の余韻さめやらぬ5月18日、新基地建設に伴う海域の事前調査の機材設置に強行着手した。なんと防衛省は掃海母艦「ぶんご」(基準排水量5700d)を沖縄に派兵、設置作業に現役の自衛官を参加させるという暴挙に出た。「現代の琉球処分」そのものであり、ついに自衛隊が沖縄県民に銃口を向けるという戦慄(せんりつ)すべき事態が起こったのだ。
 しかし、地元住民を先頭にして、労働者人民の怒りの実力闘争が海上と陸上で炸裂(さくれつ)し、果敢な反撃がたたきつけられている。
 「5月18日に自衛隊が導入される!」の報に辺野古現地は緊迫。さらに前夜、辺野古漁港内に防衛施設局が資材置き場を強行設置に来るという情報が飛び込んできた。ヘリ基地反対協は漁港ゲート前に続く湾岸道路を封鎖すべく、辺野古への緊急集合を呼びかけた。午前0時前には急を聞いて約100人が結集し、湾岸道路に座り込んだ。  安次富(あしとみ)浩代表委員から「今晩の闘いで沖縄の歴史を変えよう。警察権力の弾圧も闘いの正義性を信じるなら恐くはない。徹夜を覚悟してください」と檄(げき)が飛ぶ。
 仮眠を取りつつ夜通し交替で、施設局の襲撃を警戒。辺野古部落内を巡回する「人民パトロール」が組織される。午前4時、「機動隊の指揮官車とバスが辺野古に迫っている」との報が流れ、参加者はスクラムを組み、機動隊導入に身構えた。結局、機動隊は隣の宜野座村で待機、徹夜の警戒態勢の前に近づくことができなかった。
 午前6時すぎ、施設局の作業船団が接近しているとの報が届いた。急きょ、海上行動隊が海上に出撃した。
(写真 那覇防衛施設局の作業船に殺到する海上阻止行動隊のカヌー【5月18日午前10時15分 名護市辺野古沖】)

 海保が「臨検」!

 しかし、漁港には海上保安庁の職員20人が待ち構え、「臨検」=立ち入り検査を1時間半にわたって強要し、船舶を拘束したのだ! 施設局の作業船はフリーパス。まさに狙い打ちの「選別警備」だ。
 怒りに燃えて海に飛び出した海上行動隊の目の前には海保の巨大な巡視船4隻と15隻の警備艇、さらに作業船団が雲霞のごとく大浦湾から辺野古沖に展開している。それに立ち向かう阻止船団は船7隻と10艇のカヌー。海保の警備艇がカヌー隊に突っ込み荒波をぶつけてカヌーを転覆させるなど、乱暴狼藉(ろうぜき)を繰り返した。その間をぬってカヌー隊は挑みかかり、作業船に必死でしがみついた。荒波の中で船にしがみつき続けるが、腕がもげるほどの激痛が走る。これを何度も繰り返し、何度か作業中止に追い込んだ。
 阻止行動隊のダイバーたちは、機材設置のために潜った作業側ダイバーの目の前に身を投げ出し作業中止を訴えた。これに海保黙認の暴力が振るわれ負傷者が続出した。
 午後5時ころ、ようやく作業が終了したが、海保の弾圧は執拗(しつよう)かつ徹底的だった。海から上がった阻止隊の船とメンバーを拘束しようとした。だが、作業中に一方的に暴力を振るったのは施設局が雇った業者側だ。
 湾岸道路で座り込んでいた人びとが駆けつけ、「いいかげんな施設局側の証言だけで逮捕するつもりか!」「不当な弾圧をやめて仲間を解放しろ!」と怒りの抗議。海保職員をじりじりと包囲し、追い詰める。最初は居丈高だった海保の職員も次第に顔面蒼白(そうはく)となり、弾圧をあきらめて撤退した。

 金城祐治さんの逝去を悼み

 19日も作業が強行された。早朝から海と陸で阻止行動が始まった。そこに「辺野古・命を守る会」の金城祐治代表(72)逝去の悲報が届けられた。入院先の病院で闘病の末、亡くなったのだ。
 「祐治さんが永眠した日に辺野古の海を壊すことは許さない!」と、涙と怒りが入り交じり、新たな決意のもと、施設局の圧倒的な物量を跳ね返て闘いが貫かれた。
 翌20日、金城祐治さんの告別式が行われた。海上阻止行動のメンバーもあえて海には出ず、事務所前を通る霊きゅう車に黙祷(もくとう)をささげた。夕刻からの告別式にもご遺族や地元住民とともに参列した。沖縄中の闘う人びとが深い悲しみとともに、「祐治さんの無念を基地建設阻止ではらす」とあらためて決意を固めた。

 危機なのは日帝

 今回の事前調査には、海上自衛隊・海上保安庁・警察機動隊という国家暴力3組織が総力を挙げて辺野古闘争に襲いかかった。まさに歴史的暴挙! 海自の潜水士が機材の海底への設置作業を民間業者とともに担ったと報道されている。
 日帝は沖縄5・15体制の破綻に続くSACO(沖縄に関する日米特別行動委員会)路線=旧辺野古海上案の空中分解に大打撃を受け、沖縄闘争の爆発をなんとしても阻止しようと、焦りに焦っているのだ。
 戦争国家化を狙う安倍政権にとって辺野古闘争が1ミリも容認できない存在であり、米軍再編の破産、日米軍事同盟の崩壊さえもたらしかねない脅威であることが暴露された。攻撃の凶暴さは敵の強さの現れではない。辺野古の闘いが日米安保をぐらぐらに揺さぶっている証(あかし)だ。
 人民のささやかなカヌーと素手での闘いに軍艦で襲いかかってくる国家など、労働者人民の力で倒すしかない。求められているのは革命だ。
 故金城祐治さんは常々、「なぜ沖縄はここまで差別されねばならんのか。政府は弱い者いじめもたいがいにせい!」と怒っていた。この怒りにこたえるために辺野古闘争への広範な参加と支援を呼びかけよう。辺野古現地へ駆けつけよう!

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週刊『前進』(2296号5面3)(2007/05/28 )

 辺野古からの報告

 東恩納琢磨(ひがしおんな たくま)さんに聞く(続)

 事前調査などデタラメ

 ――事前調査の強行に対し、琢磨さんも船を繰り出し、阻止行動に参加されましたが。
 出航する前に海保(海上保安庁の巡視船)に臨検された。作業船の方はフリーパスなのに、誰が見ても不公平でしょう。環境アセスとの関係も不明、目的も不明、設置した場所も非公開、これは何なんだということです。
 また、1カ所のサンゴの着床板設置場所ではずさんな取り付けによってサンゴが壊されている。
 何のための調査なのか。たぶん政府は「基地建設は着々と進行しています」というイメージをつくりたがっているんだろうけど、やっていることはデタラメの極みだね。そこまで国は追い詰められているということ。裏を返せば、私たちの反対運動がそこまで政府の政策に影響を与えているということだね。
 ――今回の作業では海上自衛隊が投入されました。異常な事態ですね。
 (海自が)来たかどうか僕にはわからない。新聞では作業に参加したと報道されているけど…。
 なんでこんな作業に軍隊が出てくるのか? 政府は「自衛隊はそこまで出動できるんだ」という政治宣伝に辺野古問題を利用している。だって憲法とかで厳密に検討すれば違法だし、そこまで自衛隊ができないのは明らかでしょう。だから初の自衛隊出動だというのに、来たのか来ないのかわからないような出方しかできない。
 僕は最初はもっとはでに登場しようとしてたんじゃないかと思う。だけど沖縄の闘い、抗議の声に恐れをなして最後は「来れなかった」と解釈すべきだと思う。こういうあり方自体、今回の自衛隊投入が違法であり、間違っていることを政府自身が自認していることを証明している。
 ――つまり沖縄人民の怒りで自衛隊が堂々と登場できない状況を強制した。政府の意図を事実上跳ね返したということですね。
    ☆
 ――今後の新基地建設阻止の展望について。
 114カ所への調査用機材設置が終わったと言うが、具体的なことがまったく明らかにされていない。これを赤裸々にさせていく。もともと事前調査自体が違法でデタラメ。今回の機材設置もデタラメに違いないよ。
 6月には米国で闘っているジュゴン訴訟の弁護団も視察に来る。“日本の常識は世界の非常識”であることを世界中にアピールしていくチャンスだ。
 4月24日に防衛省に事前調査中止の要請に東京に行ってきた。その際、今回の事前調査と環境アセスの関係、調査資料は今後の環境アセスで使用されるのか、どうか聞いてみた。防衛省の担当者は「使いものになるかどうかは、データが上がってきてから決める」「あくまで省庁内でのデータ収集なので、広範に調査データを開示する必要がない」と言う。あきれましたよ。巨額の税金を使って調査やっているわけでしょう。何をやっているのか市民に説明義務があるでしょう。
 ――地域での取り組みを紹介してください。
 今年行われた区長選挙で10区の会代表が立候補して容認派の現職に10票差に迫るところまで来た。僕たちの闘いがきちんと地元で評価されているんだなあと元気が出ました。
 もう一つは4月に環境省の担当者を地元に招いてジュゴンの説明会を開催したこと。反対集会には来ない住民や子どもたちもたくさん参加してくれた。海を守るためにはまずこの海に住んでいるジュゴンのことを知ってほしいからね。その第一歩になったと思います。
 10年間もこの新基地問題でかき回されて、なかなか地域づくりに踏み込めないで来たんだけど、逆に基地問題をテコにして地域づくりの踏み台にできればと思います。この基地問題が持ち上がったから、ふる里の良さやすばらしさも見えてきた部分もある。
 二見以北10区の過疎化の問題、小学校の統廃合の問題、給食センター廃止の問題と課題はいっぱいあります。
    ☆
 ――「辺野古・命を守る会」代表の金城祐治さんが永眠されました。
 本当に残念。だけど祐治さんがやってきたことがちゃんと実っている。辺野古問題を担う若者も増えている。そういう意味では祐治さんも悔いはないんじゃないかな。
 後は祐治さんの墓標に「基地建設を断念させましたよ」とタバコと泡盛持って報告するだけです。何年後になるかはわからないけど。
 だから今は悲しんではいられないよ。祐治さんの遺志を引き継いで、守る会と10区の会の闘う絆(きずな)をますます深めていこうと思います。
 (聞き手/大津五郎)

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週刊『前進』(2296号6面1)(2007/05/28 )

団結ひろば 投稿コーナー

 「9条改憲阻止4・28沖縄集会」に参加して 福岡 諸見将友

 4月28日に福岡で開かれた「9条改憲阻止4・28沖縄集会」に参加しました。会場は満杯、100人を超える人たちが集まった元気の出る集会でした。学生や市民だけではなく、労働組合からの参加も多かったようでした。特に若い人たちが多いのに驚きました。
 参議院で国民投票法案が「5月13日にも強行採決か」と報道され、5月7日には福岡でその公聴会が開かれるという緊迫した中での集会でしたから、どの参加者の顔も真剣でした。
 「改憲投票法案を廃案にしよう」「これを許せば憲法改悪まで一直線だ」と訴えた福岡大学名誉教授の石村善治さんの話に、私も「そうだ!」と思い、憲法9条を変えて日本を戦争のできる国につくり変えようとする安倍政権の野望を本当に許せないと思います。
 また琉球新報論説委員の前泊博盛さんの講演は、沖縄基地の強化が進められていること、とりわけ辺野古の新基地をめぐる攻防が重大な段階に来ているということを知らされました。「沖縄県知事選挙の敗北は基地問題を争点にしないとした時点で決まっていた」という指摘には考えさせられました。
 沖縄の歌を歌った宮村みつおさんの音頭で団結ガンバローをやった時には、私も力いっぱい、こぶしを振り上げていました。
 集会後、天神の繁華街をデモ行進しました。「9条を変えさせるな!」「辺野古に新基地をつくらせるな!」と道行く人に訴えました。
(写真 9条改憲を許さない4・28沖縄集会【4月28日 福岡】)

 “耕して生きる”と語る市東さんの農民魂 千葉 村井正鋭

 5月20日、三里塚現地で市東さんの農地取り上げ問題について考える勉強会がありました。
 講演として近隣で米作を営む農家のお話がありましたが、驚きました。30町歩(東京ドーム六つ半の広さ)の広い田んぼを耕作する農家なのに、貯えを取り崩しながらようやく生活しているというのです。コメ農家に限らず、みんな農産物の価格が下がって経営が圧迫され、農業ができなくなる。つぶれた農家の土地は遠慮なく競売で取り上げられるそうです。
 車を輸出するためには、農業なんか切り捨ててもよい、食料はアジアから持ってくればよい、財界は本気でそう考えていると語られました。
 市東さんの農地取り上げの背景にはこのすさまじい”農業つぶし”の実態があるのだと、よくわかりました。こうなったら全国農民は反乱するしかないですよね。
 でも、このお話をうけてあいさつされた市東さんの言葉が感激でした。「農地は耕作者のものなんだ。ここを耕し、この地で農業をやるのが自分の生き方なんだ」と。素朴な言葉の中にどっしりと大地に根を張る農民魂を感じました。
 勉強会の後、現地調査で市東さんの畑を訪れ、懇親会でさまざまな立場からのお話を伺って、「やっぱりこんな農地取り上げは絶対に許せない」という思いを新たにしました。
 勉強会でのお話、東峰神社の真上を飛ぶジェット機、何もかも驚きの連続でしたが、一番驚いたのは懇親会でいただいた有機野菜のおいしかったこと! これですね。

 青年労働者とともに訪れた沖縄での思い 東京 羽根利男

 沖縄へ行ったのは初めてです。南部戦跡。チビチリガマ。嘉手納基地包囲の「人間の鎖」行動。辺野古新基地建設阻止の現地緊急集会。どこでも感じたのは「米軍再編による新基地建設、改憲と戦争への道を許さない」という沖縄の労働者の熱い思いでした。
 沖縄から帰る日の朝、首里城へ行きました。首里城へ向かう坂道のわきにアカギという木で樹齢300年の大木がありました。がけを背にしたちょっとした空間にアカギが木陰をつくっていました。後で聞くと那覇には「大木」というのはほとんどないということでした。「樹齢60年なら、ある」。首里城を含めてほとんどが戦争で焼けたからです。
 「今回、『人間の鎖』がつながらなくて、悔しくて悔しくて」という80歳の元名護市長の発言を辺野古で聞きました。戦後62年、沖縄労働者階級の闘いをアカギの木陰で思い返してみました。
 1971〜72年のゼネストと全軍労のストライキ闘争。そして今、マル青労同の若者が「労働運動の力で革命をやろう」と立ち上がっている。沖縄・本土の労働者階級の革命的な合流がかちとられる時がついに訪れたのではないかと思います。
 沖縄についてもっと学んで、今度は私も仲間を連れて行こうと思います。

 ヤマト・ウチナー一体のゼネストをやろう 東京・ダブルワーカー 本田ヒトシ

 全国の青年労働者とともに5・15闘争に参加した。侵略基地の島・沖縄をどうやって奪(と)り還(もど)すのか。それはヤマトとウチナーの労働者が一つの階級となってゼネストをやることだ。戦後のヤマトとウチナーの階級闘争の頂点はそれぞれ47年2・1ゼネストと69年2・4ゼネスト(ともに未貫徹)、71年5・19、11・11ゼネスト(ともに貫徹)だった。
 それを超えるヤマト・ウチナー一体のゼネストに向けた闘いが、沖縄の地で、日本帝国主義の歴史的な差別・分断を打ち破ってヤマトンチュとウチナーンチュの青年労働者の共同の闘いとしてかちとられた。
 復帰後も一貫して基地監獄の軍事的植民地であり、全国最下位の賃金所得・労働条件である沖縄の現実をヤマトの青年労働者は自らの現実と重ね合わせ、こんな社会は革命しかないと確信した。
 もう安倍や御手洗に勝利はない。わたしたちはゼネストにまで行き着く団結を創(つく)り出す闘いを開始したから。この団結を奪うことは誰にもできないから。
 自衛隊が辺野古に登場しようが、安倍政権が沖縄戦での日本軍の住民への集団死強制の記述を抹殺しようが、本土−東京で闘ってぶっ潰(つぶ)してやる。動労千葉の持つ鋼鉄の団結をヤマト・ウチナーの間で創り出し、勝利しよう。

 『Solidarity』3号を読んでつかんだこと 東京 村上進一

 青年労働者と学生が主催した「労働運動の力で革命やろう」と訴えた3月18日の集会が大成功した。なぜ、あのような感動的な集会が実現できたのか。それを知りたいと思って『Solidarity(ソリダリティ)』3号を読んだ。これはマルクス主義青年労働者同盟(マル青労同)の機関誌だ。
 「マル青労同の仲間がいるから、職場で1人でも闘えた」「職場で一緒に闘う仲間がほしい」と書かれている。マル青労同に労働者の団結がある。だから、「同じ職場に仲間がほしい」となる。
 しかし、職場の仲間に訴えても浮くだけ、あるいは過激派キャンペーンが襲いかかる。その格闘の中で、ついに仲間を獲得し確信をつかんだ。「仲間は必ず立ち上がるという絶対的確信です」。これを、”自分自身の中にある壁を打ち破り、本音で討論することでつかんだ。同時に、革命の現実性をつかんだ”ということだと思う。
 また、マル青労同には、動労千葉という生きた見本がある。さらに、韓国の労働者やアメリカの労働者と触れ合って、国際連帯を肌でつかみ取ってきた。
 「戦後革命期」の学習ノートには、「労働運動と革命運動を区別する必要はない。どちらも、労働者階級の自己解放への欲求こそが一切の原因だ。革命を実現できる労働運動を築き上げよう。その道筋は動労千葉の労働運動にある」と書かれている。
 私は、党は労働組合の上にあって指導するものであり、また労働運動と革命運動は違うと思ってきた。しかし、そもそも革命とは労働者階級の事業なのだから、労働者階級の団結形態としての労働組合が革命をめざすものである、マルクスもそう言っていたなあと思い起こした。レーニンも、どんなに反動的な労働組合であっても、そこに大半の労働者が組織されているならそこでがんばれ、と言っていた。
 党が労働者階級そのものであることが大事だ。「労働運動の力で革命をやろう」に確信をもたせるのが『Solidarity』3号だと思う。

 今こそ決意の時だと思い革共同に加盟 K・M

 私は元○○市教職員組合書記長です。最近の日教組は、全国一斉学力テストに真っ向から反対しないばかりか、教育委員会の言いなり、あるいは先取りです。日本共産党系の全教のほうがまだましにみえるくらいです。
 私は、今こそ決意のときだと思い、革命的共産主義者同盟に加盟しました。憲法改悪に先立つ、教育関連4法案を断固阻止するため、死力を尽くすつもりです。

 ドイツ・イデオロギー学習会をやり抜いた 兵庫・医療労働者 広畑かなめ

 私たちは、『ドイツ・イデオロギー』学習会を1年間じっくりと続け、ついに完了しました。4人からスタートしたメンバーは9人にと倍増しました。老若男女、20代4名から70代までの幅広い年齢層の、学生・労働者・部落民・「障害者」・古参活動家と多様なメンバーが集まっています。
 学習会はチューターの提議をもとに、参加者が自由に意見を交わして進んでいきます。討論の内容は、理論的なものから現在の政治課題や自分たちの体験と多様であり、ときには即席の歌や寸劇も混じり、いつも盛り上がっています。夕食もともにします。
 私たちは、どんな意見もかけがえのない大切なものとして互いに尊重しあっています。若い人たちの疑問には古くからの活動家が説明し、それを吸収して若い人たちは急速に成長しています。逆に活動家は、若い人たちの純粋な意見によって古い皮を脱ぎ捨て、また一歩革命家として成長していきます。
 この学習会は小さな一歩ではあるけれど、観念だけの大言壮語ではない、現実の一歩であることに誇りを持っています。私たちは、重力の思想を頭から追い払うことによって水の上を歩こうとしているのではなく、大地を踏みしめて歩き出しているのです。
 革命はこうした一歩から始まるのではないでしょうか。

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週刊『前進』(2296号6面2)(2007/05/28 )

 5・20東京 石川さん不当逮捕44カ年糾弾

 狭山再審求めデモ

 差別・分断支配に怒り新た

 1963年5月23日に無実の部落民、石川一雄さんが不当逮捕されて以来44年の5月20日、東京で部落解放同盟全国連合会の主催による狭山中央闘争が300人の結集で闘われた。千代田区の星陵会館で集会を開き、その後、東京高裁糾弾のデモを行った。参加者は「5・23を忘れるな」という狭山闘争の原点に返り、狭山差別裁判徹底糾弾闘争を、労働者階級自己解放の決定的闘いとしてとらえ返し、第3次再審闘争に勝利する決意をうち固めた。
 主催者あいさつに立った狭山闘争本部の小森勝重事務局長は、解同本部派が「石川さんが自白したからこんなに長くなっている」と言っていることを弾劾し、鹿児島や富山の自白強要−デッチあげ事件を例に挙げ、「警察の自白強要は、どこでもやられている」と断罪し、再審勝利を訴えた。
 連帯のあいさつに立った部落解放東日本共闘会議事務局長の井上長治さんは、「とくに共闘の労働者に訴えたい」として「石川さん無罪奪還のためにどう闘うか。70年代の狭山闘争は、現場、職場から闘いを積み上げた。第3次再審闘争をこのようにつくろう」「部落民労働者と一般民労働者の真の連帯をつくり出そう」と語った。
 動労千葉の清水匠執行委員は「狭山の攻撃は、労働者の中に部落差別を持ち込み、その団結を破壊する攻撃としてあった」「狭山闘争を全力で闘い、差別分断攻撃を打ち砕く」と述べた。
 石川一雄さんの「今年は裁判所の判断が出されるかもしれない正念場。全力挙げた闘いを」と訴えるメッセージが紹介され、参加者は石川さんとどこまでも連帯して闘う決意を打ち固めた。
 大阪・西郡支部から3人が登壇した。4月の八尾市議選で本部派候補を圧倒して初当選した末光道正事務局長は、選挙戦の勝利を部落大衆・住民・労働者の団結の勝利として感動をもって報告し、「自分には毎日が革命だ」と実感を語った。
 奈良の労働者は「差し押さえ」攻撃を撤回させた住宅家賃闘争での画期的勝利とその後の大攻防を報告した。東京・品川支部は、前日ついに支部の結成集会をかちとったことを報告した。
 こうした発言を受け基調報告に立った中央本部の中田潔書記長は、「狭山再審をかちとるためには、差別捜査を暴き尽くすことであり、証拠開示要求は決定的だ。全力をあげよう」と訴えた。そして、安倍政権の戦争国家づくり、部落解放運動つぶしと対決し、9月東大阪市議選に必勝することを呼びかけた。
 続いて井橋昌夫中執が証拠開示の要請について提起した。全国連の組織内候補として9月東大阪市議選を闘う荒本支部の阪口克己議員は、断固として闘う決意を表明した。さらに兵庫、広島の代表、各地の青年が決意表明し、金平通雄共闘部長の「憲法改悪・教育4法改悪粉砕」のアピール、村上久義副委員長のまとめで集会を終えた。

 高裁、高検に証拠開示要求

 集会での証拠開示決議を武器に、翌21日、全国連と解放共闘は東京高裁と東京高検に要請・糾弾行動を行った。
 要請に先立つ集会で、全国連中央本部の楠木吉秀事務局長が、「いつ決定が出されるかもしれない緊迫した情勢だ。裁判所も悪く、検事もころころ代わる」「差別犯罪を解明しなくてはいけない。不当捜査を暴き、隠している証拠を全部出させる」と提起した。
 高裁要請行動では、「名張毒ぶどう酒事件」で逆転有罪判決を出した門野博裁判長が担当裁判長となったことについて「断じて認められない」と解任要求をたたきつけた。昼のデモをはさんで午後の東京高検への要請行動では、頻繁に代わる人事について断固として抗議し、証拠開示決議と各支部、団体からの要請文をたたきつけた。
(写真 集会後、「差別徹底糾弾、第3次再審闘争勝利」の声をあげて東京高裁に向かってデモ【5月20日 赤坂見附】)

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週刊『前進』(2296号6面3)(2007/05/28 )

 高裁、異議申立を棄却

 “星野同志の執行停止を” 弁護団が即時抗告

 星野文昭同志と弁護団は、5月11日、刑の執行停止を行わないとする検察官の不当な措置の取り消しを求めて東京高裁第11刑事部に異議を申し立てた。
 14日と21日には、「星野さんをとり戻そう!全国再審連絡会議(星野・再審連絡会議)」が霞が関の裁判所前で宣伝活動を行った。訴えは裁判所前を通る人びとに確実に届いている。以前に署名をした人が、「えっ、まだ出ないのですか」と驚く。
 5月21日、高裁第11刑事部(池田耕平裁判長)は、「検察官の措置に違法不当の点は存在しない」として、異議の申し立てを棄却した。申し立てには「刑の執行停止事由」がないと言うのだ。
 星野同志と弁護団は24日、東京高裁に対して即時抗告を申し立てた。今度こそ、全国の思いを突きつけ、刑の執行停止をかちとろう。

 全国の力で再審勝利へ

 今年90歳になった星野同志の母・美智恵さんは、「文昭に会うまでは」と病気と闘っている。星野同志も「一目会いたい」と、必死の思いで訴えている。これがどうして「刑の執行停止事由」にならないのか。人間としてあまりにも当然の要求ではないか。
 「文昭さんを北海道に行かせたい、お母さんと会わせたい」と、全国で3800通を超える上申書が集まっている。この願いを国家権力は真っ向から踏みにじろうとしているのだ。絶対に許せない。
 戦争と改憲に突き進む安倍政権と対決し、刑の執行停止を認めさせ、さらに再審−無罪をかちとるには、もっともっと大きな闘いが必要だ。労働組合を始め、あらゆる場で星野同志の無実を訴え、執行停止の署名を呼びかけよう。労働者階級の闘いの前進と総決起の中でこそ、再審と星野同志奪還の展望が切り開かれる。星野同志を実際に取り戻すために全力で闘おう。

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週刊『前進』(2296号6面4)(2007/05/28 )

 生命の輝き描いた絵画

 暁子さん囲んで交流の輪

 三多摩・星野文昭さんを救う会 加納敏弘

 5月15日と16日の両日、東京・小平市中央公民館で「獄中32年、無実の政治犯・星野文昭絵画展」が開催されました。会場には、星野さんが獄中で描いた絵画45点が展示されました。絵を見てくださった人の数は、1日目が約70人、2日目が約90人で大成功でした。星野さんの刑の執行停止を求める上申書の署名も、20通集まりました。
 サークル活動が目的で公民館に来た人も、その多くが星野さんの絵に足を止めてじっと見入ります。誰もが「冤罪で獄中32年、いまも勾留されている」ことに驚きの声をあげます。「71年の沖縄闘争でしょ? 政治闘争に無期懲役なんて信じられない」と感想を述べてくれた人もいました。
 星野さんの絵は、誰もがひかれずにはいられない魅力を持っています。どの絵も明るいのです。果物や飲み物を描いた絵も、星野さんの故郷である北海道の大地を描いた絵も、連れ合いの暁子さんの故郷・米沢の田園風景も、そのどれもがまばゆい光を放っています。
 星野さんは、果物や自然の風景を描きながら、生きとし生けるものの生命の輝きを描いているのです。星野さんにとって絵を描くことは、権力によってすべてを奪われた者が、すべてを奪い返すための表現なのだと思います。「こんな絵を描く人が人を殺せるわけがない」と感想を述べた人もいました。
 それは現在、安倍政権が沖縄・辺野古に対してやっていることを考えるとはっきりします。米日の帝国主義が、自衛隊までも動員して、ジュゴンの棲(す)む海を押しつぶし、侵略戦争のための新基地を建設しようとしている。星野さんは、安保粉砕・沖縄奪還を命をかけて闘い、今も自らと労働者階級の解放をかけて闘っている。そのどちらが人間的なのか。
 15日夕方、連れ合いの星野暁子さんを囲む会が25人の参加で開かれました。暁子さんは、生ギターの伴奏にのって自作の詩を朗読し、文昭さんとともに闘ったこの20年間について語りました。
 みんなの力で、必ず星野さんを取り戻そう。
(写真 星野暁子さんが自作の詩を朗読しながら文昭さんとの20年を語った 【5月15日 東京・小平】)


『FumiAkiko詩画集 2001-2007』A4変形判、本文109n1800円。5冊以上1500円。前進社でも取り扱います。

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