ZENSHIN 2007/05/14(No2294 p06)

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第2294号の目次
(写真 本会議での成立阻止するぞ 11日夕、参院特別委の採決強行を500人が弾劾。14日の本会議採決を絶対に阻止すると誓った)
1面の画像
(1面)
改憲投票法案参院特別委の採決弾劾  戦争と改憲の日本帝国主義打倒へ
教育4法改悪を絶対粉砕しよう
記事を読む  
“労働者の力で改憲とめる”  国会前に怒りの渦  5・9反戦共同が断固決起(5月9日) 記事を読む  
“強行採決前提のペテン”  公聴会弾劾に立つ(5月10日) 記事を読む  
日程 6・9ワーカーズアクション in渋谷 記事を読む  
(2面)
教育4法改悪−狙いは日教組解体と戦争  衆院採決阻止に立とう
文科省が資料を提出 日教組を名指しで攻撃
「国旗・国歌」指導しなければ「是正要求」し「排除」を狙う
記事を読む  
東京卒業式被処分者 処分撤回へ審査請求  根津さんは連日“停職出勤”(4月27日) 記事を読む  
闘う私たちこそ日教組 学校現場からの報告
労使一体「神奈川方式」  闘う執行部確立へ奮闘(神奈川 竹上一朗)
記事を読む  
資本攻勢&労働日誌 2007  4・13〜5・1
国家公務員法改悪へ閣議決定
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(3面)
改憲投票法案 参院採決阻止へ  反戦共同行動委 青年・学生先頭にデモ
“こんな世の中ひっくり返せ”  沿道から手を振り声援も(4月27日)
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“9条を変えるな” シール投票全国で反響(5月3日) 記事を読む  
メーデー 現場労働者は怒っている  度し難い既成指導部の屈服 記事を読む  
〈焦点〉 安倍「中東5カ国歴訪」の意味  日帝の中東侵略の新段階 記事を読む  
〈焦点〉 仏大統領選でサルコジが勝利  階級闘争は内乱的激突へ(5月6日) 記事を読む  
(4面)
日米同盟は世界戦争の元凶  MD拡充と集団的自衛権行使狙う
弾劾!日米首脳会談&日米安保協(畑田治)
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石川一雄さん不当逮捕44カ年糾弾 5・20狭山中央闘争へ  第3次再審闘争の勝利を 記事を読む  
4・28沖縄 1000人がシュワブ基地包囲  “沿岸案を阻止するぞ”(4月28日) 記事を読む  
2007年日誌 4月25日〜5月8日
集団的自衛権で懇談会を設置  安倍、春季例大祭で靖国に供物
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(5面)
革命的議会主義の飛躍かけ杉並まるごと民営化と対決
東京・西部地区委員会の選挙総括
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4・30 北島勝利報告会に130人  “一緒に議会に乗り込もう”(4月30日) 記事を読む  
「労働運動で革命やろう」と現場労働者が感動的な決起  神奈川県委員会の選挙総括 記事を読む  
(6面)
団結ひろば 投稿コーナー
自民党・早川代議士に「共謀罪」で申し入れ 救援連絡センター事務局長 山中幸男
数十台の清掃車から西村候補に支持表明 神奈川 柿崎速男
路線がどこに向いているかで到着地違う T
空中給油機配備反対小牧基地に申し入れ 愛知 福留渓
滑走路延長誰のため市東さんの農地守れ 広島 高田次郎
「レーニン『帝国主義論』(上)」を読んで 山崎一義
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4・27法政大 逮捕に怒り500人集会
新入生がビラまき “この大学はおかしい”(法政大 N)(4月27日)
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不当捜索を弾劾する(5月9、10日) 記事を読む  
東京高検 執行停止を拒否  星野同志奪還へさらに(5月8日) 記事を読む  
星野さん誕生日ライブと詩画集発行に寄せて  東京・三多摩 神藤 猛雄(4月28日) 記事を読む  
訂正 記事を読む  

週刊『前進』(2294号1面1)(2007/05/14 )

 改憲投票法案参院特別委の採決弾劾

 戦争と改憲の日本帝国主義打倒へ

 教育4法改悪を絶対粉砕しよう

 

(写真 本会議での成立阻止するぞ 11日夕、参院特別委の採決強行を500人が弾劾。14日の本会議採決を絶対に阻止すると誓った)

日帝・安倍政権と自民・公明の与党は、5月11日、参院特別委員会で改憲投票法案の採決を強行した。戦争と9条改憲へのクーデター的暴挙を徹底弾劾する。安倍と与党はさらに5月14日にも、参院本会議で可決・成立させようとしている。自治労、日教組を始めとした労働者を先頭にして、激しい怒りを爆発させ、改憲投票法案粉砕、改憲阻止・日帝打倒に総決起しよう。

 現行憲法は戦後革命の産物

 改憲攻撃の核心問題は何か。日本の資本家階級がもはや戦後の体制ではやっていけないということである。労働者階級をさらなる奴隷状態に陥れ、侵略戦争を行おうとしている。そのために戦争放棄や基本的人権をうたった現行憲法を破棄しようとしているのだ。
 今や資本家階級は労働者を食わせることができない。青年労働者の状態は実にすさまじい。今晩どこで寝るか決まっていないネットカフェ難民。明日の仕事にありつけるかも分からない派遣労働者。製造業で働く労働者の半数以上を請負や派遣労働者が占める。汗水たらして働いても貧困のままであり、最低賃金ギリギリで不安定。これが生産現場の実態だ。
 正規雇用の労働者も同じだ。成果・能力で評価される過酷な競争。優劣の感情に支配される職場の人間関係。過労死や過労自殺になるほどの奴隷労働を強いられた揚げ句「自己責任」とされる。
 青年労働者の賃金や待遇と、その過酷な現実はまったくつりあっていない。まさに奴隷状態。これが青年労働者の置かれている状態だ。しかも資本家は、この奴隷労働から利益が得られないなら、労働者をただちにクビにする。これが資本家の仕打ちなのだ。
 そして戦争。日米両政府は、今秋を目標に朝鮮半島有事を想定した「概念計画5055」の抜本改定の作業を進めている。米軍による核兵器の使用をも想定する戦争で、米軍と自衛隊の役割分担を決めるのだ。これは民間空港や港湾を軍事使用し、警察や地方自治体、民間労働者を大動員する戦争計画である。
 安倍はイラク特措法延長、米軍再編推進法案、集団的自衛権見直しの懇談会、改憲投票法案などを「手土産」に訪米し、日米首脳会談を行った。ブッシュ大統領との間で確認された「強固で、揺るぎない、かけがえのない」日米同盟とは何か。それはイラクからイラン・朝鮮侵略戦争―世界戦争へ突き進む同盟だ。
 安倍政権の政治的攻撃は、改憲と集団的自衛権行使とミサイル防衛、つまり朝鮮侵略戦争突入体制の構築に集約されてきた。安倍は「戦後レジームからの脱却」「国のために命をかけることは美しい」と扇動し、労働者を愛国主義と侵略戦争に組織しようしている。
 だが労働者を奴隷のように酷使し、侵略戦争に突き進む資本家階級と労働者階級の間に共通の利害は何もない。労働者をもはや食わすこともできず、戦争しかない連中に、労働者を組織し動員することなど不可能だ。
 日本帝国主義はもはや労働者を体制内に支配し続けることはできない。われわれ労働者は、こんな政府に従う理由は何もない。労働者が自らの階級的利害を真っ向から掲げ闘う時がきた。
 改憲と戦争に突き進む帝国主義を打倒せよ! 労働運動の力で革命をやろう。

 労働者の嵐のような総決起

 現行憲法は、日帝敗戦後の革命と反革命の激しい階級闘争の渦中で制定された。それはまさに労働者が日本帝国主義打倒に迫る闘いに決起した戦後革命の時代だった。
 日帝支配階級は、米占領軍の暴力装置にすがって労働者の闘いを弾圧し、他方で平和・基本的人権・主権在民の憲法を戦後日本の普遍的価値として押し出し、労働者の闘いを圧殺しようとした。労働者階級はこの総体と対決して闘った。
 1945年の敗戦直後から、労働者は失業と飢餓状態の中から生きるために労働組合を続々結成し、闘いを開始した。新聞、国鉄、全逓、海員、炭鉱、電産などで大争議が相次ぎ、労働運動が大高揚した。
 敗戦から1年後の46年8月、ナショナルセンターである産別会議と総同盟が結成され、12月には260万人を組織する全官公庁共闘が「吉田内閣打倒国民大会」を開き、労働闘争による内閣打倒を公然と主張した。そして翌年1月、400万人を結集した全闘は無期限ストを政府に通告する。2・1ゼネストだ。
 日本の労働者階級はわずか1年半で、ゼネストまでのぼりつめた。これが実行されれば鉄道、電信、電話、郵便、学校はすべて停止。日帝に決定的ダメージを与えることは必至だった。だが、マッカーサーの中止命令とそれに屈服した日本共産党の裏切りによって、闘わずして敗北した。
 敗戦直後の日本には、中国、朝鮮とともに、まぎれもなく革命情勢が存在した。生産管理闘争やゼネストの実力闘争を通じて、日本の労働者階級は、社会の主人公として革命に決起したのだ。
 それから約60年。労働者は再び、帝国主義のもとでは生きていけなくなった。支配階級の側も労働者階級を体制内化させたはずの現行憲法をもはや維持できない。これが現在の日本社会だ。今再び、憲法と革命をめぐり公然と階級闘争が闘われる時代に突入したのだ。

 資本と既成指導部に反乱を

 労働者の階級的利益は現体制の維持ではない。労働者を奴隷化し、戦争を必要とする帝国主義を打倒する「革命」こそが労働者の階級的な利益である。安倍や御手洗、資本家がいなくても労働者は革命で新たな社会を建設・運営できるのだ。
 労働者階級とはどのような存在か。社会的生産を担っている階級である。しかし現実には一切を奪われ、抑圧され、資本家に支配され、競争によって分断されている。
 労働者の団結とは、労働者が資本の支配を打ち破って、社会の真の主人公として階級的力を奪還することだ。団結の究極の拡大が革命だ。労働者階級は闘いによって資本主義を転覆し、新たな社会を運営する革命の能力を取り戻すのである。
 改憲投票法案の公務員と教育者の運動禁止とは、労働者が帝国主義の体制を否定し、革命に決起することを圧殺する攻撃だ。ここに敵の狙いがある。それは、戦後革命期と地続きで存在する日教組・自治労など4大産別を解体する攻撃だ。
 労働組合は、労働者階級の基礎的な団結形態である。と同時にそれは「労働者階級の究極的解放」「賃金制度の究極的廃止」、つまり革命を目指して闘う。職場の労働条件改善や賃金闘争に限定されない。だからこそ政治活動の禁止など絶対に容認できないのだ。
 『共産党宣言』がいうように、労働者は公的社会を形成する上部構造全体を吹き飛ばさなければ自己を究極的に解放できない。そうした力を形成するのは、動労千葉のように、生産を担う労働者の力に依拠し、資本の支配を打ち破る闘いだ。労働者と労働組合こそが革命の決定的主体なのだ。
 改憲阻止闘争の基礎も労働者の階級的力だ。職場・生産点で闘って団結を拡大し、職場支配権を奪還することだ。ところが既成の労組指導部は労働者の階級的力を信用せず、労働者は資本と国家の奴隷としてしか生きていけないと思っている。この連中から組合を取り戻し、闘う組合を復権しなければならない。
 職場で自らが先頭に立ち、資本との闘いを組織しよう。その中で、資本家と折り合いをつける既成指導部との党派闘争を貫こう。労働者階級の解放は、何よりも自己の人間性を労働=生産の場で奪還することだ。動労千葉を軸に労働者国際連帯を発展させ、階級的労働運動を闘う潮流を職場・地域で形成しよう。
 この力を基礎に改憲阻止や教育4法改悪案粉砕の国会闘争、街頭闘争に立とう。60年、70年を超える巨万の労働者の階級意識を一挙に覚醒させる政治闘争を実現しよう。
 革共同は、日帝打倒と世界革命を公然と主張して、労働者の団結=革命能力の形成のために最先頭で闘う。革共同が2倍、3倍となり、千人、2千人の青年労働者が革命家としてマル青労同に結集し全国の職場で奮闘するなら、必ず階級的力関係は変えられる。
 改憲阻止は革命をかけた闘いだ。労働組合を拠点化し、党を建設し、帝国主義打倒への階級的攻防を不屈に闘おう。青年労働者が先頭で闘おう。

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週刊『前進』(2294号1面2)(2007/05/14 )

 “労働者の力で改憲とめる”

 国会前に怒りの渦

 5・9反戦共同が断固決起

 5月9日、国民投票法案の参院での採決情勢が緊迫する中、反戦共同行動委員会の主催する国会抗議闘争が闘われた。
 午後1時30分から行われた集会で、織田陽介全学連委員長が基調報告に立ち、「安倍は日米首脳会談と中東訪問で”戦争をやる”ということを内外に突きつけた。若者の間では改憲賛成と反対が真っ二つに分かれ”戦争か、革命か”と激論している。戦争は革命によって止められるんだ。何より自治体労働者や教育労働者にはその力がある。この社会を動かしているのは労働者なんだ。労働者のクビを切ってしか生きられない連中をぶっ飛ばし、労働者の力で世の中を変えていこう」と力強く宣言した。
 自治体労働者は「本当に危機にあるのは敵の側だ。労働者の将来は労働者自身が決めるんだ。今日も『国会に行く』と仲間に言って休みをとってきた。職場闘争を大きくして法案の息の根を止めよう」と訴えた。また動労千葉の後藤俊哉特別執行委員は「労働組合のくせに戦争に反対しない連合とは何だ! 現場からの決起で採決なんてさせない闘いをやろう」と怒りを込めて発言した。
 さらに相模原市議選に勝利した西村綾子議員、ゆうメイトの若者、関西からは反戦・福祉議員ネットなどの力強い発言が相次いだ。
 この日は朝から、破防法・組対法に反対する共同行動が国会前座り込みや集会を行った。集会で発言した関西の教育労働者は「日教組本部のていたらくは本当に許せない。現場から改悪教基法と対決して『日の丸・君が代』強制に対する不起立闘争も闘っている。この力が改憲を阻止する力だ。青年労働者が社会の根本的な変革を求めて闘っていることに連帯し、団結を打ち固め革命をやって戦争を阻止しよう」と確信をもって訴えた。
 国会前での闘いの高揚に恐怖した警視庁は、音量測定器などを持ち出して集会を妨害し、これに抗議する参加者に対して「検挙するぞ!」などと脅してきた。改憲をめぐる全面的な激突が、国会前を最大の焦点に始まっている。
(写真 警察の妨害を打ち破り「採決許さない!」の叫びがとどろいた【9日】)

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週刊『前進』(2294号1面3)(2007/05/14 )

 “強行採決前提のペテン”

 公聴会弾劾に立つ

(写真 5月10日、改憲投票法案採決強行へ向けて抜き打ちで開かれた公聴会に対し、急を聞いてかけつけた労働者人民の怒りの抗議行動がたたきつけられた。写真上は新横浜国際ホテル前、下は浦和東武ホテル前)

 5月8日夜の理事懇談会で9日の参院憲法調査特別委開催と10日の地方公聴会が突然決まった。会場が神奈川・横浜市、埼玉・浦和市のホテルだと分かったのは前夜。どうしてこれが公聴会と言えるのか! 
 緊急の抗議行動が取り組まれ、安倍政権への怒りをたたきつけた。
●横浜/20人が弾劾
 10日午後1時半、JR新横浜駅近くの新横浜国際ホテル前には、とめよう戦争への道!百万人署名運動、神奈川労組交流センター、婦人民主クラブ全国協など約20人が結集した。「9条改憲阻止!」赤いタスキをかけ、「公務員と教員の口をふさぐな!」「戦争へ一直線の改憲投票法案を廃案へ!」と訴えるビラをまきマイクを握った。
 午後1時50分すぎ、国会議員らを乗せたバスが着いた。全員がホテル前に進んで「ペテン的公聴会を許さないぞ!」とシュプレヒコールを浴びせた。マイクを貸してくれと駆け寄った男性が「重要な法案なので勉強しようと来たが傍聴は50人、しかも国会議員の筋で配付済みだと断られた。どこが民主主義なのか!」と怒りをぶつけた。
●浦和/抗議申し入れ
 同日、浦和市の浦和東武ホテル前には、止めよう戦争!埼玉県連絡会、部落解放同盟全国連合会狭山支部、埼玉労組交流センターを始め、市民団体有志ら十数人が集まり、「改憲手続き法案強行採決反対!」の横断幕を広げ、マイクで「強行採決のための公聴会弾劾!」を訴えた。
 さらに、特別委の国会議員に対し、「強行採決を前提にした公聴会は本末転倒だ。強行採決をやめろ」と申し入れた。駆けつけた市民は、傍聴もできず、公安に守られた公聴会の姿に「あまりにもひどい!」と怒りの声をあげた。

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週刊『前進』(2294号1面4)(2007/05/14 )

日程 6・9ワーカーズアクション in渋谷

改憲阻止 倒せ安倍! 倒せ御手洗!
労働者の団結で革命やろう
6・9ワーカーズアクション in渋谷
6月9日(土)午後 代々木公園
集会終了後渋谷の街をデモ 主催/実行委

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週刊『前進』(2294号2面1)(2007/05/14 )

 教育4法改悪−狙いは日教組解体と戦争

 衆院採決阻止に立とう

 文科省が資料を提出 日教組を名指しで攻撃

 「国旗・国歌」指導しなければ「是正要求」し「排除」を狙う

 改憲投票法案の成立強行という重大攻撃と並んで、改悪教育基本法を具体化するための教育関連4法(学校教育法、地方教育行政法、教員免許法、教育公務員特例法)改悪案の衆院採決が5月中旬にも狙われている。日教組つぶし・「日の丸・君が代」闘争つぶしを狙う4法改悪を阻止するため、職場から国会闘争に駆けつけよう。

 反動性の露呈恐れて早期の採決強行狙う

 教育4法改悪をめぐっては、4月13日に衆院本会議で「教育再生に関する特別委員会」設置を決定した。常設の文部科学委員会では審議が週2日に限られるが、特別委で定例日にとらわれず審議を進めて採決へ進もうという、教基法改悪と同じ手法だ。17日に本会議で趣旨説明を行い、18日に特別委で審議入りして以降、特別委の審議を重ね、5月8日の参考人質疑、9日の地方公聴会(山形市と福岡市)に続き、14日には富山市と松山市で地方公聴会を開くことを決定している。
 特別委の筆頭理事である大島理森元文相は5月6日、昨年の臨時国会で教基法を改悪した際の衆院審議時間の56時間程度に達すれば採決の環境が整うと表明した。改悪案の中身が広く暴かれる前に審議時間を稼いで、一挙に採決強行へ突き進もうとしているのだ。絶対に許してはならない。

 労働者の職場支配権めぐる攻防が核心に

 この間、4法改悪の重大性はますますはっきりしてきた。文科省が4月23日の教育再生会議に提出した「教育三法案の持つ意義」と題した資料は、政府の狙いを露骨に表現している。(別掲)
 (1)そこではまず学校教育法改悪の目的は「規範意識や公共の精神、伝統文化の尊重、郷土や国を愛する態度を養うなどの教育理念を具体化」することにあると明記した。戦後教育をたたきつぶし、戦争教育へ大転換しようとしているのだ。
 副校長や主幹などの新職設置についても、「教職員組合が、『民主的な学校づくり』の名のもとに、いじめ問題への対応などを、教育委員会や校長の指示ではなく、職員会議で処理」しているのが問題だと名指しで非難し、だから「『なべぶた』型組織を改め」なければならないと言う。日教組の現場組合員から職場支配権を奪いつくさなければ、戦争教育への転換など不可能だからだ。
 (2)さらに地教行法改悪で国が教育委員会に対し強制力を持つ「指示」や「是正要求」をできるようにすることに関して。これまで政府は「いじめ・自殺」「未履修」などを理由としてきた。しかしこの資料では、「教育委員会が……国旗・国歌を指導しないなどの著しく不適切な対応をとっている場合には、文部科学大臣が具体的な措置の内容を示し、『是正の要求』ができるよう法律上明記します」と記した。
 5月7日の衆院特別委でも、伊吹文科相は「国旗掲揚、国歌斉唱がいっさい行われない学校は、学習指導要領違反。『学習指導要領通りやってください』と是正要求しなければならない」「学習指導要領に反する事態を黙認する教育委員会は、子どもの学ぶ権利を侵害している」と述べた。
 東京都教委のように「日の丸・君が代」をごりごり強制することをすべての教育委員会に徹底するものであり、それを行わない教育委員会は「子どもの学ぶ権利を侵害」しているとして文科相が直接「是正要求」し従わせると言うのだ。
 (3)そして教員免許法と教特法の改悪で、10年ごとの教員免許更新制を導入するとともに、「『不適格教員』を教壇から確実に排除する」ことをごりごり強調している。「日の丸・君が代」闘争を闘う教育労働者こそ最大のターゲットである。
 4法改悪の目的が「日の丸・君が代」闘争つぶし・日教組つぶしによる愛国心教育・戦争教育への大転換であることが、ますますはっきりした。

 日教組本部の闘争放棄を粉砕し闘おう

  日教組本部は4法改悪に対して、一切の反対行動を放棄している。昨年の教基法改悪反対運動の大高揚が日教組本部・森越の大裏切りを暴き、「闘う日教組を再生しよう」といううねりを力強く登場させたことに、恐れおののいているのだ。
 5月9日に日教組本部が開催した集会も、名称は「教育関連三法案緊急集会」。なんと「反対集会」でもないのだ! 唯一の方針は「学校現場の実態をふまえた教育改革の必要性を訴える議員要請行動」。一切の反対運動を放棄して、組合員のエネルギーをすべて、参院選での日政連議員・神本美恵子(民主党議員だ!)再選運動に流し込もうとしているのだ。
 では民主党は教育4法改悪にどう対応しているのか? 民主党の対案は、修士学位を教員免許の条件とする、10年ごとの免許更新講習を政府案の30時間よりも長い100時間程度とする、「指導力不足教員」の教職からの排除を強調する、というものだ。政府・与党と教育労働者バッシングを競い合い、教育労働者を地獄の底にたたき落とそうとするものだ。
 こんな民主党にすがるばかりの日教組本部のもとでは、教育労働者は戦争教育の手先にさせられてしまう。しかし、現場では「日の丸・君が代」闘争を先頭に、闘う日教組の再生をめざす闘いが大きく広がっている。職場闘争を徹底的に闘いぬき、4法改悪阻止の国会闘争に駆けつけよう。
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 文部科学省提出資料 「教育三法案の持つ意義」(抜粋)

■学校教育法の改正
「教育新時代」に相応しい学力と規範意識を児童生徒に身につけさせます
○規範意識や公共の精神、伝統文化の尊重、郷土や国を愛する態度を養うなどの教育理念を具体化するべく、学校教育法を改正し、学習指導要領を改訂します。
組織としての学校の力を強化します
○教職員組合が、「民主的な学校づくり」の名のもとに、いじめ問題への対応などを、教育委員会や校長の指示ではなく、職員会議で処理してしまっています。
○副校長や主幹教諭、指導教諭といった新しい職を置くことにより、「なべぶた」型組織を改め、校長先生を中心に、保護者や地域社会の期待に応えられることを目指します。
■地方教育行政の組織及び運営に関する法律の改正
不適切な教育委員会や学校には国が責任を持って対応します
○教育委員会が未履修問題を放置したり、国旗・国歌を指導しないなどの著しく不適切な対応をとっている場合、文部科学大臣が「是正の要求」ができるよう法律上明記します。
○また、いじめ・自殺のように、子どもたちの生命に直接危険が及ぶような非常事態に際しては、文部科学大臣が対応を「指示」できるよう法律上明記します。
■教育職員免許法及び教育公務員特例法の改正
教員免許の更新制を導入します
○すべての先生が、人間的に児童生徒の信頼を得、最新の知識・技能を身に付け、社会の尊敬と信頼を得られるよう、10年に一度の「教員免許更新制」を導入します。
「不適格教員」には教壇から退場してもらいます
○「不適格教員」が教壇に立ちつづけることは、子どもたちには勿論、日本の将来にとって不幸なことです。
○この状態を解消するため、「不適格教員」を教壇から確実に排除するべく、不適格教員の人事管理を厳格に行います。

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週刊『前進』(2294号2面2)(2007/05/14 )

 東京卒業式被処分者 処分撤回へ審査請求

 根津さんは連日“停職出勤”

 

今年3月の都立校卒業式で「日の丸・君が代」強制を拒否して不起立・伴奏拒否を闘いぬいて処分された教育労働者30人が、4月27日、処分取り消しを求めて東京都人事委員会に対して不服審査請求を行った。
 不服審査を請求した後、「日の丸・君が代」不当処分撤回を求める被処分者の会が記者会見を行った。停職1カ月の処分を受けた都立養護学校の教育労働者と、都立高の4人の労働者が、それぞれ不当処分を弾劾し、処分撤回へ闘いぬく決意を述べた。(別掲)
 石原都知事と東京都教委による03年「10・23通達」から4年目を迎えた今年、卒業式に続いて4月入学式でも不起立闘争はさらに広がった。教育基本法改悪後初の卒・入学式で、昨年を上回る数の教育労働者が断固として抵抗闘争を闘いぬき、「改悪教育基本法には従わない」「戦争協力は絶対に拒否する」という戦闘宣言を発したのである。この闘いはもはや「10・23通達」を完全に打ち破っている。
 また、卒業式での不起立を理由に停職6カ月という前例のない重処分を受けた根津公子さんは、昨年の勤務校である町田市の中学校と、この4月から異動させられた都立南大沢学園養護学校に、「停職出勤」闘争を続けている。根津さんの解雇を阻むために、この1年間が決戦である。全力で支援しよう。
 今春の「日の丸・君が代」不起立闘争を引き継ぎ、職場の仲間とともに改憲投票法案阻止・教育関連4法案阻止の国会闘争に駆けつけよう。「日の丸・君が代」被処分者を先頭に、闘う日教組を再生させよう。
(写真 昨年を上回る「不起立闘争」勝利を実現した被処分者が誇り高く記者会見【4月27日 東京】)
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 処分撤回求める被処分者の発言

◆都立養護学校の教育労働者(停職1カ月) 40秒間の不服従で子どものそばから引きはがされるという過酷な処分に、本当に憤っています。自分の心や体も、子どもたちの心や体も、東京都や国家に奪われたくない。1カ月、門前に出勤しました。保護者は「ひどい」「おかしい」と声をかけてくれた。市民や保護者もおかしいと思っている。これからも不服従を続けます。
◆ピアノ伴奏を拒否した音楽専科の労働者(減給3カ月) 「いかなる処分もしてはならない」という判決が出た後も処分が重ねられることに、やりきれない思い。改憲手続き法で憲法を変え、戦争できる国へ突き進もうとしている今、本気でとめなければ、学校は戦争教育に手を染めることになる。あきらめず、都教委の強制を問い続ける。
◆2回目の不起立をした都立高の労働者(減給1カ月) 生徒に戦前と同じ忠君愛国の儀礼を強いることはできない。私の勤務する学校には朝鮮系、韓国系、琉球系、中国系などの生徒が多くいる。「日の丸・君が代」強制は、かつての皇民化政策、強制的同化政策を思い起こさせます。
◆定年退職を目前にして初めて不起立した都立高の労働者(戒告処分、嘱託採用取り消し) 不起立するかどうかさんざん悩んだが、結局不起立したのは、30年あまり夜間定時制高校の教員をしてきたから。今回の卒業式で3人の卒業生が「日の丸・君が代」を強制されたくないと欠席した。定時制という少数者のための教育機関が、少数者を排除してはならない。
◆初めて不起立した都立高の教員(戒告処分) 04年春の入学式で不起立しようと思っていたが、校長に「不起立するなら呼名させない」と恫喝されてひるみ、起立した。その後もずっと起立していた。今回の卒業式を前に、担任していた2人の卒業生が「立ちたくない。歌いたくない」と相談に来た。彼らが背中を押してくれ、勇気を持って不起立できました。今まで不起立していない人も、背中を押すものがあればみな同じように行動すると信じています。

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週刊『前進』(2294号2面3)(2007/05/14 )

 闘う私たちこそ日教組 学校現場からの報告

 労使一体「神奈川方式」

 闘う執行部確立へ奮闘

 神奈川では、かつての勤評闘争以来、当局との「話し合い」で諸課題を解決するという、いわゆる「神奈川方式」が行われています。しかし、帝国主義の危機のもと、神奈川においても当局から次々と、職場の団結や組合運動を破壊する攻撃がかけられています。
 2003年4月、「学校全体の教育力の向上」などを図るとして、それまでの勤務評定に替えて「教職員の人事評価システム」が導入されました。これは各自に自己目標を設定させるとともに、校長が5段階評価をするものです。この時、職場からの闘いで粉砕を求める組合員に対し、執行部は「賃金とリンクさせない等、交渉で一定の成果があった」との理由で、なんら具体的な闘いを組もうとはしませんでした。
 2006年4月には、「学校組織の活性化」を名目に「総括教諭」が導入されました。この時も執行部は、「中間管理職としての位置づけをさせないなど、一定毒を抜いた」と、まったく闘いませんでした。
 そして今回、「勤務成績の給与への反映」を内容とする「新たな昇級制度」を2009年1月から導入することについて、執行部は当局と妥結しました。今年4月からの「人事評価システムの結果」が賃金に「反映」されます。
 以上のことから明らかなことは、組合執行部の裏切りとその反労働者性です。

 口先だけの反対

 彼らは口先では「反対」を唱えます。しかし、その実、「闘っても勝てない」とする敗北主義から「断固粉砕で『白紙撤回』を求めれば、それは県当局に『白紙委任』を与えることになる」として、「制度導入を前提」とする自主交渉・自主決着(幹部による労使協議)に闘いを常に落とし込めます。そのために、一切の闘いを投げ捨てます。
 これこそが、戦争と改憲−民営化と労組解体の全面攻撃に屈服して、闘いらしい闘いを何ひとつ組織しない、連合労働運動(体制内労働運動)の「労使一体=労使協議」路線とその「神奈川方式」の行き着いた結果なのです。
 もはやするべきことは、はっきりしています。闘う方針を出さない体制内労働運動路線の既成執行部を打倒しましょう! 打倒しない限り、職場は差別・分断支配され、私たちは改悪教基法のもと愛国心教育を競わされ、子どもたちを戦場へ送り出す「死の手配師」になるのです。
 この間、現場に怒りは渦巻いています。その怒りに必死になってふたをしてまわっているのは誰なのか。昨年末の教基法改悪粉砕闘争からもわかるとおり、それは日教組中央であり、目の前の執行部なのです。
 今こそ、階級的労働運動路線のもと、賃金によって労働者を差別・分断支配し、教育の国家支配を狙う当局・権力の攻撃と対決し、攻撃の狙いをたたきつぶす職場の闘いと闘う執行部をつくりだすことが求められています。
 それを可能にするのは、職場労働者一人ひとりの主体的決起です。教育現場の主人公は、私たち教育労働者と生徒です。当局・権力でも既成執行部でもありません。彼らがいくらあがこうとも、現場を押さえている労働者が「こんなことは許せるか。なめるな!」と怒りのエネルギーをストレートにほとばしらせ決起すれば、職場の団結は強化され、既成執行部のダラ幹どもはぶっ飛ばされ、こんな腐った社会(教育における諸矛盾を生み出す張本人でありながら、一切の責任を現場に押しつけている日帝ブルジョアジーたちの社会)を打倒することができます。
 そのために、全国の闘う教育労働者は、改憲阻止、改悪教基法関連法案粉砕などの闘いとともに、職場細胞を軸としたフラクション活動の活性化と職場支配権の維持強化、そしてそれらと一体のものとしてある執行部権力を奪取する闘いに、全力で総決起しよう!
 (神奈川 竹上一朗)

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週刊『前進』(2294号2面4)(2007/05/14 )

資本攻勢&労働日誌 2007 4・13〜5・1

 国家公務員法改悪へ閣議決定

年金一元化法案を閣議決定 政府は公務員や私学教職員の共済年金を厚生年金に一元化する「厚生年金保険法等改正案」を閣議決定。(4月13日)
改悪パート労働法案が衆院通過 改悪パート労働法案が衆院本会議で、与党の賛成多数で可決され、参議院に送られた。(19日)
●改悪雇用保険法が成立 改悪雇用保険法が衆院本会議で可決、成立した。労使折半で1.6%の保険料率を、07年度から1.2%に引き下げる。(19日)
「指導力不足教員」の昇給を停止 広島県教委と広島市教委は19日に支給した教職員の給与で、「指導力不足教員」と認定した教員9人の定期昇給を停止した。(19日)
働く女性、3年連続増 06年の女性の労働力人口は前年比0.3%増の2759万人で、3年連続で増えたことが、厚労省の「働く女性の実情」(女性労働白書)でわかった。(20日)
国公法改悪案を閣議決定 政府は臨時閣議で、国家公務員法の改悪法案を閣議決定した。(24日)=要旨別掲
「内部告発後に解雇」、職場復帰認められず 「松下プラズマディスプレイ」で、雇用形態の違法性を訴えた結果、雇用契約を打ち切られたのは不当として、地位確認などを求めた訴訟の判決が大阪地裁であった。裁判官は「雇用契約を結んだことで偽装請負の違法な状態は一応解消された。期間の定めのない契約をする必要まではない」として訴えを却下した。(26日)
3月の完全失業率、4.0% 総務省統計局の労働力調査によると、3月の完全失業率は前月と横ばいの4.0%。厚労省の一般職業紹介状況によると、3月の有効求人倍率は1.03倍と前月を0.02ポイント下回った。(27日)
日本経団連、中東諸国にミッション派遣 日本経団連は、安倍首相の中東諸国訪問に同行するかたちで、5月3日まで「日本経団連中東ミッション」を派遣した。御手洗会長を団長とし、70社・総勢175人が参加。(28日)
各団体のメーデー 第78回メーデー中央集会を、連合系は4月28日に、全労連系は5月1日に、代々木公園で開催した。全労協系は5月1日に日比谷野音で開催。=記事3面
3月の現金給与総額、4カ月連続で減少 厚労省が発表した3月の毎月勤労統計調査によると現金給与総額は前年同月比0.4%減の28万1158円と4カ月連続で減少した。(5月1日)
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  国家公務員法改悪案概要

 安倍首相は、「今回の公務員制度改革は60年ぶりの大改革だ。成立に全力をつくす」「能力実績主義の導入により、年功序列を打開するとともに、官製談合や不正の元凶と指摘されてきた、各省による押し付け的再就職斡旋を根絶」と語っている。
@人事評価制度の導入等による能力・実績に基づく人事管理を徹底し、「I種」「II種」などの採用試験区分や年次にとらわれない昇進、昇給を義務付ける。
A再就職に関する規制、再就職等監視委員会による退職管理の適正化、「官民人材交流センター」の設置による官民人材交流を促進する。

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週刊『前進』(2294号3面1)(2007/05/14 )

 改憲投票法案 参院採決阻止へ

 反戦共同行動委 青年・学生先頭にデモ

 “こんな世の中ひっくり返せ”

 沿道から手を振り声援も

(写真 「安倍なんかゴミ箱にたたき込め!」都心を席巻するデモ隊に沿道から注目と共感が集まる。互いに手を振り合いエールを交換【4月27日 千代田区西神田】) 

4月27日夜、青年労働者と学生を先頭に、反戦共同行動委員会による改憲投票法案阻止の集会とデモが都内で闘われた。
 この日は連休に入る前の4月の国会最終日で、昼には国会前での行動が朝10時から夕方まで終日打ち抜かれた。反戦共同行動委員会とともに、リレーハンストを続ける60年・70年安保全学連OB、「憲法と人権の日弁連をめざす会」の闘う弁護士、労働法制改悪阻止のために全国から上京してきた合同労組の仲間たち、部落解放同盟全国連など、多彩な人びとが一体となって座り込み、代わる代わるマイクを握って訴えた。2人逮捕の弾圧をはねのけて法政大での集会・デモを闘い抜いた学生たちもかけつけ、全員が一丸となって、改憲投票法案絶対阻止の決意を込めたこぶしを国会に向けて突き上げた。
 午後6時半から文京区民センターで開かれた集会には、昼の国会行動を終えた仲間の多くが結集した。
 基調報告に立った全学連の織田陽介委員長は、「労働運動の力で革命をやろうという訴えが全労働者を獲得する時代が来た。安倍は日米首脳会談でますます戦争と改憲に加速度的に突き進もうとしている。あらゆる職場で首切り・リストラ、過労死、安全の崩壊が起こっている。これに対してはもう革命をやるしかない。この社会の主人公は労働者だ。資本主義の時代は終わった、労働者に権力をよこせ。これが私たちのスローガンだ」と提起した。
 そして「やはり労働組合の闘いが決定的だ。資本家と労働者が非和解の関係に入っているのに、折り合いをつけているところがある。それが連合や全労連の組合幹部たち。だが動労千葉の闘いは、労働者が動いた時に、この世の中をひっくり返せることを示している。今こそ動労千葉のように団結して闘えば勝てることをはっきりさせよう」と訴えた。
 統一地方選挙勝利の報告、とりわけ杉並の北島邦彦区議と相模原の西村あや子市議の登壇は、会場を沸き返らせた。北島区議は、たまたま乗ったバスの運転手さんから顔を見るなり「当選おめでとう」と握手されたエピソードを伝え、自分自身が労働運動の担い手となって、闘う労働組合とともに議会にのりこむ決意を語った。
 さらに、自治体労働者を先頭に各職場から、「改憲を阻止する闘いと民営化を阻止する闘いはひとつだ。自治労本部などの屈服を打ち破り、動労千葉のように労働者が現場から団結して闘えばどんな攻撃もぶっとばせる」という発言が相次いだ。青年労働者が「改憲投票法案は、公務員労働者や教育労働者だけでなく、すべての労働者に闘うことを禁止するものだ」と鋭く提起し、連休明けと同時に直ちに参院での成立絶対阻止の国会決戦に総決起することを誓い合った。
 集会終了後、150人が夜の都心デモに立った。水道橋から神田・神保町の書店街にかけての一帯を「戦争と首切りのための改憲を許すな!」「安倍なんかゴミ箱にたたき込め!」というシュプレヒコールが席巻した。「労働者は奴隷じゃない!」「こんな世の中ひっくり返せ!」「労働組合つくって闘おう! 闘わない労働組合は変えよう!」と叫んで行進するデモ隊に、帰宅途中の多くの労働者や学生が目を輝かせて注目した。ビルの窓や喫茶店の中からも、手を大きく振って連帯の意思が示された。
(写真 集会参加者は国会決戦への総決起を決意しこぶしを突き上げた【文京区民センター】)

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週刊『前進』(2294号3面2)(2007/05/14 )

 “9条を変えるな” シール投票全国で反響

(写真 「シール投票に参加しましょう」の呼びかけに1300人が次々と応じた【5月3日 新宿】)

 日本国憲法施行から60年目の5月3日憲法記念日。快晴の午後、JR新宿駅東南口で「とめよう戦争への道!百万人署名運動」のメンバーら30人が「憲法9条 守る? 変える? 全国投票」を実施しました。
 「安倍なんか大きらい!」「やりたいならブッシュが戦場に行けよ!」と、中学生、高校生も積極的に参加。外国人も「戦争反対は『守る』ですよね。(5月19日の)集会に私も参加します」。「私の祖父は戦犯として裁かれた」と語った高齢の女性は「戦争反対の1票ね」とシールを張りました。他方、無言のまま「変える」にシールを張る若い男性の姿も目立ちました。
 2時間の投票総数は1286人、9条を「守る」が987人、「変える」が227人、「わからない」が72人でした。昨年より400人も多く参加したとのことです。
 全国各地でもシール投票は大反響を呼んでいます。連休明け、参院での改憲投票法案絶対阻止の闘いに立ち上がりましょう。(投稿/笹井 彩)
 ◇    ◇
 5月19日、「とめよう戦争への道!百万人署名運動」の主催で全国集会が開かれる。集会後は、国会周辺をデモ行進する。全力で集まろう。
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 集会要項 5・19全国集会
いまこそ改憲阻止へ
5月19日(土)午後1時半
東京・社会文化会館(地下鉄「永田町」駅下車)
◆講演 梅田正巳さん(高文研代表)
◆国会報告 近藤正道さん(参院憲法調査特別委委員。社民党)
◆発言 上原公子さん(前国立市長)
◆提起 小田原紀雄さん、西川重則さん
主催 とめよう戦争への道!百万人署名運動

 

 

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週刊『前進』(2294号3面3)(2007/05/14 )

 メーデー 現場労働者は怒っている

 度し難い既成指導部の屈服

 今年のメーデーは、安倍政権が改憲投票法案を衆院通過させ、戦争に向けてかじを切る緊迫した情勢の中で闘われた。労働者を徹底的に搾取し、不安定雇用と貧困にたたき込む御手洗経団連の攻撃に対して、労働者の怒りは、もはや限界を超えている。メーデーに結集した労働者は、改憲や民営化、「格差社会」の現実に憤り、これと闘う意志を固めている。
 だが、現場労働者に背を向ける既成指導部の裏切りも突き出された。彼らは、労働者を自己解放の主体と認めず、労働者自身の団結と力に依拠して闘うことを根本から否定しさっている。すべてを参院選に流し込み、資本と闘うことを放棄して労働者に敗北を強いようとしているのだ。
 マル青労同や労組交流センターは各会場で「労働運動の力で革命を」と訴えるビラを配布し、労働者の圧倒的な共感を呼んだ。これに恐怖し敵対する連合指導部やスターリン主義、反革命カクマルの反労働者的正体もあらわになった。体制内労働運動を打倒し、革命をめざして闘ってこそ、労働者階級は勝利できる。
 ●連合系は、今年もメーデー中央大会を4月28日にずらして開催し、労働者の国際連帯に背を向けた。高木剛連合会長は「格差社会と二極化が最大の課題」と言いながら、「企業の付加価値配分の歪みを是正するため経営側と早急に議論したい」と資本への哀願を繰り返すのみで、なんら闘う方針を示さなかった。また、改憲についても、投票法案の与党単独採決という国会運営に苦言を述べるだけで、改憲容認の姿勢をあらわにした。
(写真 〔左〕 民営化反対のプラカードを手にした連合メーデー参加者【4月28日】)

 柳沢伯夫厚労相があいさつに立つと、会場からヤジと冷笑が浴びせられた。だが、「長時間労働緩和のために労基法改正案を国会提出した」とうそぶく厚労相に、高木会長は深々と頭を下げて安倍政権への屈服を表明した。
 ●東京地公労系は、4月28日早朝、明治公園で独自の集会を開いたのち、デモで連合メーデーに結集した。自治体労働者、教育労働者を中心とする参加者は、民営化反対、9条改憲反対のプラカード、横断幕を手にデモに出た。

日比谷野外音楽堂を埋めた全労協メーデー参加者(5月1日) 改憲反対などを訴えデモする全労連メーデー参加者(5月1日)

 ●全労協系が5月1日に開いた「日比谷メーデー」には1万2千人が結集した。会場には、改憲や自治体業務の民営化、労働法制改悪に反対するのぼりやプラカードが林立した。
 だが、主催者あいさつに立った国労東京地本の阿部力委員長は、闘いの軸になるべき国鉄闘争について、動労千葉を排除した4者・4団体の枠組みでの「政治解決」を強調するだけで、闘いの展望を一切示さなかった。
 集会後、参加者は「9条改憲反対」「国鉄闘争勝利」「労働法制改悪阻止」などのシュプレヒコールを響かせながら意気高く2方向に分かれてデモに出た。
 ●全労連系は5月1日、代々木公園で中央メーデーを開き、4万2千人が参加した。憲法改悪への怒りや、保育所、病院などの民営化に反対するプラカードが目立ち、闘いに立ちつつある労働者の熱気を示した。
 だが、坂内(ばんない)三夫全労連議長や日本共産党の志位和夫委員長は、帝国主義・資本主義への根底的怒りのかけらもなく、参院選での日本共産党への投票に流し込もうとする反動的主張に終始した。
 特に志位は、民放労連などの労働者が改憲投票法案への危機感と怒りを訴えているにもかかわらず、投票法案反対の闘いを一切提起しない抑圧者としての姿をあらわにした。

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週刊『前進』(2294号3面4)(2007/05/14 )

焦点 安倍「中東5カ国歴訪」の意味

 日帝の中東侵略の新段階

 4・27日米首脳会談で、「最大の目的はかけがえのない日米同盟を確立することだ」と表明し、「強固な日米同盟」(=日米枢軸)のもと米帝ブッシュと朝鮮侵略戦争―世界戦争に突き進むことを盟約した安倍首相は、その足で中東5カ国歴訪に向かった。今回の安倍の中東歴訪は、日帝のイラク・中東侵略と石油資源略奪外交の画期をなすものだった。
 第一に、安倍は4月29日、アラブ首長国連邦(UAE)の首都・アブダビで、対テロ特措法によりインド洋で米英艦などに補給支援活動を続ける海上自衛隊の派兵部隊を首相として初めて訪問し、「海上自衛隊の技術は世界トップクラスだ」と激励した。さらに5月1日、安倍はクウェート空軍基地をこれも首相として初めて訪れ、イラク特措法によりC130輸送機でイラク米軍への物資輸送活動を展開する航空自衛隊員に、訓示と激励を行った。きわめて重大な事態である。
 首相としてのこうした行動自体が、米帝と一体となった日帝のアフガニスタン・イラク侵略戦争へのさらなる歴史的な踏み込みであり、徹底的に弾劾されなければならない。
 第二に、日米欧と中国スターリン主義などによる中東石油争奪戦が激化している中で、安倍のサウジアラビアやクウェート訪問は、日帝の帝国主義としての石油略奪外交の画期をなした。サウジアラビアのアブドラ国王との会談で安倍は、沖縄の石油タンク群をサウジに提供し、商業用在庫の保管に利用してくれと提案、国王は検討を表明した。「エネルギー安保」の強化をうたったこうした行動は、イラク侵略戦争参戦と対応した、日帝の中東石油略奪政策の新たな段階を意味する。
 第三に、日帝の中東侵略政策は、石油資源略奪外交への踏み込みに止まらない。
 今回の安倍の中東歴訪には、日本経団連が御手洗会長以下、大企業や金融機関のトップからなる180人の大規模ミッションを派遣し、安倍を先頭に立て「日本の売り込み」に全力をあげた。狙いは膨大なオイルマネーを背景とした総投資額1兆ドル(120兆円)ともいう都市開発やプラント建設の大型プロジェクトへの参入、中東諸国の教育・環境・医療・情報を新たな「ビジネスチャンス」とした侵略投資の展開である。
 アラブ首長国連邦のドバイ市では今、50棟もの高層ビルが一斉に建設されており、海岸には人工島が造成中で、市街と島はモノレールで結ばれる。空港は拡張され、地下鉄や海底トンネルも造られる。これらの工事を日本の大手商社やゼネコンが次々と受注して、膨大な利益を上げつつある。 
 これが示すことは、今や日帝がアジアに続いて中東に、その経済・社会構造にまで深々と食い込む侵略政策を展開し始めているということだ。しかもそれが、米帝を全面的に軍事支援しての、イラク侵略戦争への参戦と完全に一体のものとして行われている。
 日本の労働者階級には、闘うイラク・中東人民と連帯し、イラク侵略戦争阻止、日米帝国主義打倒へ闘うことが求められている。

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週刊『前進』(2294号3面5)(2007/05/14 )

焦点 仏大統領選でサルコジが勝利

 階級闘争は内乱的激突へ

 5月6日、仏大統領選の決戦投票で、国民運動連合のファシスト的な極右政治家、ニコラ・サルコジ総裁が53・06%を獲得して、第5共和制下の6人目の仏大統領に選出された。このサルコジ大統領の登場は、フランス帝国主義の政治・経済・外交政策に歴史的な反革命的転換をもたらし、フランスのブルジョア支配階級とプロレタリアートの内乱的激突を一挙に激化させるものとなるであろう。
 サルコジは、「過去との断絶」をスローガンとして掲げ、これまでのフランスの特徴であった「福祉国家論」的なものを建て前とする伝統的な国家独占資本主義的な諸政策から、米英日帝がすでに先行している、市場原理や競争重視の独占金融資本の利害をむき出しにしたいわゆる新自由主義的政策へと、政府の路線を歴史的に転換する方針を打ち出している。
 これは、この間の仏産業の国際競争力の低下、国内産業の空洞化、8%を超える失業率(若者の場合20%超)、一人当たりGDPの世界12位から16位への後退などに示される、仏経済危機の深刻化とそれに伴う国内階級対立の激化、国際的争闘戦での敗勢の現実を、競争重視と規制緩和などのむき出しのブルジョア的、反労働者的政策で打開し、巻き返すことを狙ったものである。
 この目的を貫徹するために、サルコジは民営化の推進、法人税減税による景気刺激策、福祉・社会保障の大幅削減、「週35時間労働制」の廃止、解雇条件の緩和と雇用の流動化、企業の裁量権の拡大など、米英型のより反労働者的経済政策をとろうとしている。
 このような政策は、青年労働者の激しい抵抗闘争によって昨年の若者向けの初期雇用契約(CPE)導入が失敗し、首切り自由化や不安定な非正規労働の全面的導入など、労働者階級への犠牲の押しつけによる仏経済の再建策を貫徹できなかったシラク保守政権の限界を暴力的に突破しようとするものである。だからこそ危機にあえぐ仏ブルジョアジーは今回、旧ドゴール派などの伝統的保守ではなく極右政治家のサルコジを選択する決断を下したのである。
 しかもサルコジはこうした政策を、移民労働者の規制強化と「フランスに有用な」移民労働者のみの選択的受け入れ、「不法入国」や移民労働者の「犯罪」の取り締まり強化や、治安弾圧攻撃とセットで打ち出している。失業で苦しむフランス人労働者を排外主義と国家主義で組織し、労働者間の分断政策を強化し、フランス労働運動を解体しようというのだ。
 だがこのような政策は、5月6日夜から7日未明にかけて爆発した、パリ、マルセイユ、中部リヨン、北部のリールなど全国各地での暴動をもって直ちに反撃されている。
 サルコジの競争重視や市場原理なるものを軸とする政策が本格的に実施されれば、フランスの全労働者階級の怒りがさらに大爆発していくことは不可避である。サルコジの登場によって、フランス階級闘争も革命的情勢の成熟と内乱的激突の時代に突入したのだ。

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週刊『前進』(2294号4面1)(2007/05/14 )

 日米同盟は世界戦争の元凶

 MD拡充と集団的自衛権行使狙う

 弾劾!日米首脳会談&日米安保協

 日帝・安倍は4月26日に訪米し、27日にブッシュと日米首脳会談を行った。これに続き5月1日には日米の外務・国防担当相による日米安保協議委員会(2プラス2)が開かれた。二つの会談はイラク侵略戦争の継続と北朝鮮・中国侵略戦争に向かう帝国主義強盗同士の超反動的な会談となった。日米同盟こそ朝鮮・中国侵略戦争−世界戦争の元凶だ。労働者階級の闘いは重大な段階に突入した。帝国主義打倒をかけて、国際的団結と連帯闘争の発展で徹底反撃しよう。米軍再編法案、改憲投票法案など戦争と改憲のための反動諸法案を絶対に阻止しよう。

 「かけがえのない日米同盟」

 二つの会談・会議で日米帝は、石油資源略奪のためのイラク侵略戦争の継続と、残存スターリン主義である北朝鮮・中国を転覆するための侵略戦争の方向をあらためて確認し、「かけがえのない日米同盟」(安倍)を誓約したのである。
 安倍はイラク特措法の延長法案、米軍再編推進法案、改憲投票法案の国会提出やPAC3ミサイルの全国配備開始、集団的自衛権の懇談会設置など、実にきな臭い「ふんだんのお土産」(政府筋)を手にして訪米した。さらに、訪米直前に「拉致」事件を口実に朝鮮総連の関連団体を不当捜索し、北朝鮮に対するすさまじい排外主義をあおり立てたのである。
 首脳会談で安倍は、米帝のイラク侵略戦争に関して、「(ブッシュの)力強い決意を評価し、支持する」と表明した。米帝ブッシュによるイラク人民大虐殺戦争を全面的に擁護し、自衛隊の輸送支援などで全力で支えることを約束したのである。
 そして安倍は、「訪米の最大の目的は、かけがえのない日米同盟を確立することだ」と述べた。
 これに対してブッシュは、「日米の同盟関係がこれほど強かったことはかつてない」と日米同盟の価値を強調した。
 会談後の共同記者会見でブッシュは、北朝鮮の核施設の閉鎖・封印について、「(6カ国協議での)合意を履行しない場合、さらに制裁措置を行う用意がある。われわれの忍耐力には限界がある」と北朝鮮を戦争の言葉で恫喝した。
 安倍も「追加制裁措置」を公言している。
(写真 クウェートの空軍基地でイラク侵略戦争従軍中の空自部隊を慰問する安倍【5月1日】)

 「軍事機密保護」締結で合意

 この日米首脳会談を受けて5月1日、ワシントンで日米安全保障協議委員会(2プラス2)が開かれた。
 ここで日米の外務・国防担当相は、対北朝鮮・中国をにらんだMD(弾道ミサイル防衛)システムの拡充と推進、軍事機密情報の管理徹底、2014年までに沖縄・辺野古に米軍新基地を建設すること、北朝鮮・イラン核問題で日米が共同歩調をとることなどを、これまで以上に踏み込んで確認した。
 とりわけ「軍事情報包括保護協定(GSOMIA)」(注参照)の締結は、この間のイージス艦の機密漏洩(ろうえい)事件への危機感にかられた対応であると同時に、本格的な戦争準備そのものである。労働者人民に秘密にして帝国主義的な軍事活動、戦争準備、秘密外交をどんどん進めるということであり、労働者階級に対する決定的な攻撃である。
 戦前、「軍機保護」「国防保安」などの名目で、反戦の言論や運動が弾圧され、ウソを並べた「大本営発表」で労働者人民が侵略戦争に動員されていった歴史を思い起こそう。こんな歴史を繰り返してはならない。
 また日帝は、4月末〜5月上旬の過程で、日米軍事同盟を背景にして、別表のように政府・財界が一体となって激しい帝国主義的軍事外交を展開した。中東や西アジアでの米欧日帝国主義による資源略奪競争、原子力=核兵器材料をめぐる争奪戦に必死になっている。
 このような日米帝の軍事的、戦争的な動きを規定しているのは、帝国主義体制の激しい危機の深まりであり、世界的な帝国主義間争闘戦の激化である。何よりも基軸帝国主義・米帝の急速な没落が、全世界を危機と激動にたたき込んでいる。
 米帝は帝国主義間争闘戦の激化の中で、世界戦争に訴えても自己の帝国主義的利害を貫くために日米同盟を徹底的に活用しようとしている。それを示すものが、2月に出されたアーミテージ報告改訂版だ。(報告は「コミューン」5、6、7月号参照)

 「アーミテージ報告」と改憲

 これは、アーミテージ元国務副長官らアメリカの超党派の外交・軍事専門家による00年の報告書に続く第2弾である。2020年までの米帝の対アジア、対日戦略の概要を打ち出した。その中心テーマは、対中関係と対日関係に据えられている。朝鮮・中国侵略戦争とアジア支配の強化に向け、日帝に「力の分担」を強く求め、日米同盟を攻撃的に再編する狙いをもっている。またインドとの協力を進めて対中包囲戦略を強化し、将来の中国侵略の大戦争に向かうためのものである。
 報告書では日米同盟を「アジアにおけるわれわれの最大の戦略的資産」「アメリカのアジア戦略の核としてあり続ける」と位置づけている。
 こうした観点から報告は、日帝の改憲と海外派兵、集団的自衛権の恒久法制定、防衛費増大、武器輸出3原則の全面解除、MD装備の次期米艦船システム共同開発などを要請している。
 これらは、日帝の戦後的なあらゆる歴史的制約を取り払って、日帝を米帝の利害に沿う形で世界戦争に動員することを目的とするものである。したがって、これは日米同盟の強化であると同時に、他帝国主義を圧倒する軍事力や国際通貨ドルの力を使った米帝のすさまじい対日争闘戦の展開としてもあるのだ。
 これに対して帝国主義の「最弱の環」である日帝は、命がけの飛躍をかけて米帝の要求にこたえ、その中で日帝自身の独自的な帝国主義的利害を追求していく以外にない。日帝の絶望的な凶暴化は必至だ。

 労働者の国際連帯で反撃を

  帝国主義が戦争なしにはやっていけなくなっていることは、帝国主義の末期的な危機の現れだ。労働者の革命によって打倒できる情勢が確実に到来しつつあるのだ。中東・ムスリム人民の民族解放・革命戦争は、米帝を出口のない泥沼に引きずり込んでいる。ブッシュ新戦略は、早くも決定的な破綻(はたん)を見せ始めている。
 まさに世界と日本で革命的情勢が成熟しつつあり、世界の階級闘争は、新たな局面に突入した。米日韓を始めとする労働者の国際連帯の闘いは、決定的な世界革命的意義を獲得しつつある。
 日本の労働者階級は、革命的情勢の急速な成熟を見据え、帝国主義の危機をプロレタリア革命の勝利に転化するために奮闘しよう。民営化・労組破壊と徹底対決し、改憲投票法案など反動諸法案の制定阻止へ闘おう。
 (畑田治)
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 資料 安倍政権・財界の軍事外交の動き

4月27日 日米首脳会談。「揺るぎない日米同盟」を確認し、対北朝鮮の戦争政策で協調。
  28日 石油資源略奪のため、安倍の中東訪問に合わせて日本経団連の180人が中東5カ国訪問(5月3日まで)。
  29日 安倍がアラブ首長国連邦を訪れ、アフガニスタン侵略戦争参戦の海自隊員を激励。5月1日にはクウェートでイラク侵略戦争参戦の空自隊員を激励。
  30日 甘利経済産業相や原子力関連企業など官民150人がカザフスタン訪問。原子力発電の燃料ウランの日本の年間需要の3割超の権益を獲得。ウラン鉱山開発事業など24件の契約に調印。
5月1日 ワシントンで日米安保協議委員会(2プラス2)。MDの日米一体運用、軍事情報包括保護協定(GSOMIA)の締結で合意。共同発表文書「同盟の変革」を公表。
3〜4日 エジプトでイラク安定化国際会議。かいらいイラク政権へ支援強化の声明。日本から麻生外相が参加。
 ■軍事情報包括保護協定(GSOMIA=ジーソミア)
 アメリカが軍事秘密の漏洩防止のために北大西洋条約機構(NATO)加盟の欧州各国や韓国、イスラエルなど約60カ国と結んでいる協定。対象は共有する装備技術から、訓練、作戦など戦術・戦略情報まで広い分野におよび、文書、口頭、メモなどあらゆる形態の情報が含まれる。

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週刊『前進』(2294号4面2)(2007/05/14 )

 石川一雄さん不当逮捕44カ年糾弾 5・20狭山中央闘争へ

 第3次再審闘争の勝利を

 部落解放同盟全国連合会(全国連)より、「石川一雄さん不当逮捕44カ年糾弾!第3次再審闘争勝利!5・20狭山中央闘争」の呼びかけがなされた(要項別掲)。部落解放共闘会議は、これに断固としてこたえ、今一度、狭山闘争の完全勝利と部落完全解放、「よき日」の実現に向かって、全国連との固い血盟のもと、部落解放を労働者階級の自己解放の重要な課題としてとらえ直し、ともに闘いぬこう。
 全国連は5・20狭山中央闘争の集会と東京高裁糾弾デモを闘い、翌21日には石川さんの無実の証拠を開示するよう迫る東京高裁・高検要請行動に決起することを訴えている。2日間の闘いを全国連の仲間は、「第3次再審こそ勝利の血路を切り開く」という石川さんの壮絶な決意を共同の綱領として、国家権力による差別犯罪を糾弾する大衆的実力闘争として闘う決意を明らかにしている。ともに闘おう。
 狭山闘争は現在、許しがたい最高裁決定を受け、石川さんも弁護団も全国連も、第3次再審闘争に向かって全力で闘っている。しかし狭山差別裁判自体が、国家権力の総力をあげた差別犯罪である以上、生半可な闘いでは勝利できない。それは最高裁決定を見るまでもなく、この44年間、一度たりとも裁判所で事実調べが行われて来なかったことからもはっきりしているではないか。
(写真 昨年の5・21狭山中央闘争。東京高裁へ向けデモする解同全国連と解放共闘の隊列)

 部落差別による分断支配

 全国連が2回大会で明らかにしたように、「部落差別とは、帝国主義の階級支配の重要な一環としての身分的差別」である。そうである以上、日本帝国主義は帝国主義である限り、労働者階級に対する階級支配、その一環としての差別分断支配を絶対に手放すことはない。そのことを最も労働者人民に分かる形で突きつけたのが狭山事件であり、狭山差別裁判だと言えよう。部落大衆に過酷に加えられた差別攻撃、部落出身労働者も含めた日本の労働者階級に対する差別襲撃が狭山事件、狭山差別裁判である。
 狭山事件が起きた1963年とはどんな年であり、どんな時代だったのか。日本の階級闘争は60年安保を闘いぬき、その歴史の中から生まれた新しい革命的潮流が、勤評闘争から日韓闘争を闘いぬいていた。その中で70年の激動期に向かって、闘う労働者の闘いの指針(革共同の三全総路線)が示された年であった。
 労働運動の視点で見た時、その闘いの高揚を予防反革命的に鎮圧し、打ち砕くために、日帝の伝統的な階級支配=差別分断支配としての部落差別攻撃が、狭山事件を契機に発動されたということではないだろうか。
 日本の階級闘争は70年闘争の爆発で反撃し、基本的にその攻撃を粉砕したとはいえ、いまだに狭山裁判に勝利できていない。石川さんと部落大衆の、部落の労働者の差別糾弾と血叫びに、われわれはまだこたえきれていないのだ。断腸の思いである。しかしそれにこたえる展望を今、われわれは握りしめている。それが部落解放闘争と一体となった階級的労働運動路線である。

 「階級のきょうだい」として

 石川一雄さんは事件当時24歳の部落出身の青年労働者だった。しかも不安定雇用、半失業状態の労働者だった。かつて全国連が「階級のきょうだい」ということばで一般民労働者に呼びかけたが、石川さんこそわれわれの階級的きょうだいだったのだ。
 われわれの大切な階級的きょうだいが、われわれの闘いに対する鎮圧、圧殺と差別分断の攻撃のためのいけにえとされた。部落民であるがゆえに「無実の罪」と「殺人犯の汚名」が加えられた。権力・マスコミの部落差別キャンペーンにさらされた「階級的殉教者」なのである。
 狭山差別裁判徹底糾弾闘争はそういう意味で、われわれ労働者階級の、帝国主義の階級支配によって奪われた団結を取り戻す闘いであり、自己解放闘争そのものである。
 今日、安倍の戦争政治のもとで、すさまじい部落差別攻撃、解放運動に対する絶滅型攻撃が吹き荒れている。全国連とわが階級のきょうだいたちは全力でそれをはねのけ闘っている。そのような戦争と革命の時代を闘い、勝利に向かって突き進む唯一のスローガンは「労働運動の力で革命をやろう」である。労働者階級の力で日帝を打倒し、部落の完全解放を部落民労働者と一般民労働者の真の階級的団結の力で実現することだ。
 5・20狭山中央闘争は、狭山の勝利と石川さんの無念を晴らすのみならず、日帝・安倍の部落差別をもってする階級支配をぶち破り、部落民労働者と一般民労働者のさらなる階級的団結をうち固める闘いだ。「よき日」のために、労働者権力=プロ独樹立に向けて進撃する新たな闘いの日だ。全力で決起しよう。
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 5・20狭山中央闘争
5月20日(日)午後1時30分
東京・星陵会館(千代田区永田町2−16)
 集会後、東京高裁糾弾デモ
5月21日(月)狭山要請行動
 午後10時 弁護士会館(東京高裁隣り)
主催/部落解放同盟全国連合会

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週刊『前進』(2294号4面3)(2007/05/14 )

 4・28沖縄 1000人がシュワブ基地包囲

 “沿岸案を阻止するぞ”

(写真 〔左〕第1ゲート前でウェーブ〔右〕包囲行動後に基地前集会【4月28日 名護市辺野古】)

  4月28日午後2時、激しい雨が降りしきる中、沖縄・名護市辺野古の米海兵隊キャンプ・シュワブ第1ゲート前では約1000人の労働者、市民らが手をつなぎ、「新基地建設反対!」「違法な事前調査をやめろ!」と叫んだ。新基地阻止の座り込み行動が丸3年を超えたことを受け、ヘリ基地反対協議会が「米軍キャンプ・シュワブ包囲の人間の鎖」を呼びかけたものだ。

 日帝・防衛施設庁−那覇防衛施設局は4月24日、嵐の海で「現況調査」を強行するに及んだ。この暴挙を前に反対派は海上阻止船とカヌー隊による抗議行動を展開し、翌25日も海上攻防は続行。28日は、沖縄が米軍政に置かれた1952年4月28日から55年目の沖縄デーだった。「沖縄は今も基地の中だ、日本政府はどこまで沖縄に犠牲を強いるのか!」
 「V字形滑走路/新沿岸案阻止!」「環境アセス法違反の現況調査許さんぞ!」と書かれた反対協の真新しいのぼりが基地フェンスに立てられ、参加者が持ち寄った色とりどりのリボンがフェンスに結びつけられた。第1ゲート前正面にはオールを持ったカヌー隊の面々が並んだ。つないだ手と手を大きくウェーブ、「ジュゴンの海を守るぞ!」
 午後2時半、その場で集会が始まった。ヘリ基地反対協代表委員の安次富(あしとみ)浩さんは「海上案は阻止した。沿岸案も必ず阻止できる」と力強く宣言した。昨秋県知事選を闘った社会大衆党の糸数慶子代表も「新たな基地を造らせないために心を一つにしていこう」と呼びかけた。
 命を守る会を代表し、富田晋さんが「辺野古のおばあたちもこの場に参加しています! 辺野古の闘いは力勝負になっている。今こそ辺野古に結集を」と若い力で呼びかけた。沖縄平和運動センターの山城博治事務局長は「長い闘いになるかもしれないが、勇気と団結で闘おう」と、5・15平和行進と5・13嘉手納基地包囲への結集を呼びかけた。
 普天間爆音訴訟原告団長の島田善次さんは、宜野湾市長選での伊波洋一市長の再選勝利を報告、「もの言わぬ民は滅びる」と喝を入れた。
 二見以北10区の会の渡具知智佳子さんは、「地元のみんなの気持ちは基地反対なんです。地元を見捨てないでください」と切々と訴えた。
 最後に「V字形滑走路−辺野古新基地建設阻止を最後の闘い、3度目の勝利にするため粘り強く闘う」とする闘争宣言が決議され、団結ガンバローで締めくくった。

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週刊『前進』(2294号4面4)(2007/05/14 )

日誌'07 4月25日〜5月8日

 集団的自衛権で懇談会を設置

 安倍、春季例大祭で靖国に供物

●集団的自衛権「懇談会」 政府は、集団的自衛権について研究する首相の私的諮問機関の「安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会」を設置し、柳井俊二・前駐米大使を座長とする懇談会のメンバー13人を発表した。(25日)
●朝鮮総連団体を捜索 警視庁公安部は拉致事件の容疑で、朝鮮総連の関連団体の「朝鮮出版会館」(東京・文京区)にある「在日本朝鮮留学生同盟中央本部」「朝鮮問題研究所」など4カ所を家宅捜索した。(25日)
●安倍、解釈変更促す 安倍首相は、集団的自衛権を認めるための憲法解釈変更について「私の方針は随時述べている。所掌の部署において、私の方針にのっとって整理研究等をしているのは当然ではないか」と述べた。(26日)
●慰安婦問題で「謝罪」 訪米した安倍首相は、米下院でペロシ下院議長らと会談し、日本軍軍隊慰安婦問題について「申し訳ない気持ちでいっぱいだ」と述べた。ホワイトハウス前では在米韓国人らが抗議デモを展開した。(26日)
●日米首脳会談 安倍首相とブッシュ大統領が会談した。多くの時間が北朝鮮問題に割かれ、北朝鮮が6者協議での核廃棄に関する合意の履行を遅らせた場合、追加の制裁措置を行う可能性を示唆した。(27日)
●F22が日米訓練に初参加 米軍嘉手納基地に一時配備されている最新鋭戦闘機F22Aラプターが参加する初めての日米共同訓練が沖縄本島南方の太平洋上の訓練空域で行われた。(27日)
●サウジに沖縄の石油備蓄基地を提供 中東歴訪中の安倍首相は、サウジアラビアのアブドラ国王と会談し、沖縄本島中部の平安座島にある石油タンク群をサウジ側に提供し、商業用在庫の保管に利用してもらうように提案した。首相に同行した経団連の中東使節団は過去最大の約180人。団長は御手洗冨士夫会長。(28日)
●アブダビで海自部隊を激励 安倍首相がアラブ首長国連邦(UAE)で、インド洋上で米英両軍などの艦艇に洋上給油活動を続けている海上自衛隊の部隊を激励した。現職首相が海外で活動する海自部隊を視察したのは初めて。(29日)
●2プラス2、機密保護の協定 日米両国の外務・防衛担当閣僚による日米安全保障協議委員会(2プラス2)が米国務省で開かれた。弾道ミサイル防衛(MD)などで日米一体運用を推進するとともに、軍事情報共有の前提条件となる「軍事情報包括保護協定」の締結で合意した。(1日)
●ブッシュが拒否権行使 ブッシュ大統領は、上下両院が可決したイラク駐留米軍の来年3月末までの撤退期限を定めたイラク戦費予算案の成立に反対し、拒否権を行使した。(1日)
●米「普天間に300機」計画 米軍が1996年、朝鮮半島の有事などに備えて策定した米軍普天間飛行場の使用計画が米公文書から明らかになった。常駐のKC130空中給油機やCH53E輸送ヘリなど約70機に加え、約230機を順次増派。計300機で作戦を遂行する「青写真」が描かれていた。(3日)
●仏大統領にサルコジ フランス大統領選の決選投票の結果、右派の民衆運動連合のサルコジ前内相が、社会党のロワイヤル元環境相を破って初当選した。(6日)
●安倍が靖国に供物 安倍首相が4月21〜23日に行われた靖国神社の春季例大祭で、神前にささげる供え物を「内閣総理大臣」の肩書で奉納していたことが分かった。首相による奉納は中曽根元首相以来約20年ぶり。(7日)

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週刊『前進』(2294号5面1)(2007/05/14 )

 革命的議会主義の飛躍かけ杉並まるごと民営化と対決

 東京・西部地区委員会の選挙総括

 戦争と革命の時代、革命的情勢の急接近は、激烈な闘いにつぐ闘いの過程である。革命の前進は反動・反革命の密集を生み出す。とりわけ味方陣営からの転向・敵対に対して断固たる態度をとれない党は絶対に信用されない。わが地区委員会は、自己の総括と飛躍をかけて、改憲=戦争情勢こそがこの裏切り分子との闘いを不可避としたことに絶対たじろがず、階級的労働運動路線の道を進んだ。3・18日比谷の「労働運動の力で革命をやろう」のスローガンをわがものとした。そして4・22で勝った。それは新たな闘いの出発である。この道をとことん突き進むことをあらためて誓い、総括を提起する。

 「党の革命」の全面的な推進

 07年統一地方選闘争・杉並区議選は感動的な勝利を実現した。07年新年号路線による勝利であり、「党の革命」の実践としてもぎりとった勝利であることを圧倒的に確認する。
 今回の統一地方選挙に対して、われわれは革命的議会主義の真の貫徹をかけて総決起した。それはまったく新たな闘いへの挑戦であった。
 90年代における革命的議会主義の後退、変節を自己批判し、コミンテルン・テーゼとレーニン主義の立場から自覚的に闘い、勝利を切り開いた。中央の自己批判を先頭に、地区党の激しい真摯(しんし)な論議をとおしてかちとられた変革と創造の格闘であった。党員同士が自己の変革と飛躍をかけて討議し到達した転換であった。徹底的に地区党と指導部建設を貫くものであった。
 総括の決定的核心は、3・18に始まる「労働運動の力で革命をやろう」を、革命的議会主義の闘いに全面的に貫徹していく闘いに挑戦し勝ち抜いたことである。
 革命的議会主義とは階級的労働運動路線の前進をとおして、プロレタリア革命へとのぼりつめる闘いの決定的一環としてある。この立場から革命を真っ向から訴え、階級的団結を組織し、労働者階級が社会の主人公であることを宣言していった。3・18の闘いの地平を堅持し、この地平を選挙闘争をもって発展させていく闘いであった。そこにはプロレタリア自己解放のマルクス主義的実践が求められたし、革命的情勢の急接近のもとでの飛躍が問われた。
 ”革命”を真っ向から掲げる訴えは、労働者階級の切実な希求に完全に結びついた。このスローガンは現代の青年労働者の根源的怒りの発露である。世界革命の主体である労働者階級の階級的覚醒を水路として闘う団結形態の表現である。
(写真 北島邦彦の「民営化と対決しともに社会を変えよう」の訴えが響き渡った【4月21日 荻窪駅】)

 組織的団結がすべての前提

 新たな路線と方針のもとで、地区党の根底的変革をかけた闘いとして地区党の力で選挙闘争を切り開き、選挙闘争への決起をとおして地区党の団結を強固につくり出していくことが求められた。これを大前提にすえて闘った。全同志が選挙戦に決起し役割を担い、勝利に向けて懸命に闘い抜き、組織的団結を打ち固めた。ここでの画期的前進をかちとった。
 この過程で、転向した結柴・新城の2議員は討議から逃亡し、党の革命を拒否し、党の変革の闘いに敵対するだけでなく、革命を捨て階級移行した。この裏切りを断罪して全同志が総決起した。2議員は自らの階級的裏切りと逃亡を隠しつつ、「区民の心を離れた組織を辞めた」などと転向した自らを敵階級に売り込むという腐敗した姿をさらけ出した。われわれは自らの中から生み出した転向・敵対分子と徹底対決し、革命と階級の旗を守り抜いた。
 この闘いは今次区議選を日帝・安倍、御手洗との対決、戦争と改憲攻撃との激突、民営化絶対阻止の立場の貫徹としてあらためてすえ直す実践そのものであった。
 労働者大衆自身が街頭などで北島勝利への闘いをともに担いきったことも確認したい。存分にやりきった選挙であり、ここで北島当選を実現したのだ。

 民営化阻止へ本格的な闘い

 次に、杉並区「丸ごと民営化」反対の闘争の路線的、思想的大きさである。今次区議選の柱にこのテーマを掲げて闘ったことは決定的だった。同時に選挙闘争をとおして民営化阻止運動の出発点を切り開いた。
 民営化攻撃は帝国主義の全体重をかけた攻撃であり、首切り・労組破壊であるとともに、全労働者階級への攻撃である。改憲・戦争攻撃であり、生活破壊、生命を奪う攻撃であることを暴露しきる闘いとして開始した。運動員も真っ向から民営化反対を訴え、党派闘争的にも旗幟(きし)鮮明に登場した。その結果「丸ごと民営化」に反対する2568票をつくりだしたのだ。
 3・11集会で、西部ユニオンをはじめ地区の労働者が主体的に民営化阻止の闘いの実体として登場したことをも基礎に、民営化反対の署名を各所で集め、貴重な労働者の声が数多く集まっている。何よりも区職員(派遣、民託、パートなどを含め)職場に、不安と怒りが充満していることが今次区議選をとおして明らかになった。
 日帝・安倍、御手洗との対決の最基軸がこの民営化との闘いにあり、労働者自身が闘って社会を変えていこうという訴えは確実に浸透する。このことを選挙闘争の中で圧倒的につかみ取った。
 民営化攻撃は、改憲と一体で、今日の4大産別を先頭とする日帝の最大の攻撃の切っ先である。現に安倍、御手洗は、改憲とともに「道州制」という最大の民営化攻撃を真っ向から掲げている。「つくる会」教科書の導入がそうであるように、杉並を突破口に全国に拡大していく攻撃である。ここで対決して山田区政を打倒する闘いだ。 
 戦争・改憲は民営化攻撃をとおして、労働者階級の団結破壊として襲いかかってくる。だからこそ民営化阻止の闘いは帝国主義と真っ向から対決し、労働者階級による革命へとつながる闘いである。
 この闘いを貫くためには資本主義を根底的に否定する立場が必要であり、他方で労働者階級の分断支配を打破し本物の階級的団結をつかみ取る闘いである。また、現に闘っている動労千葉をはじめとする全世界の労働者の国際連帯のスローガンでもある。
 今回の選挙闘争は、この巨大な闘いの出発点をなす闘いとなった。 民営化阻止は、労働組合の再生を訴える「体制内労働運動」との決別と打倒の闘いそのものであり、6000万労働者全体を獲得する闘いである。

 階級的労働運動を前進させ

 さらに、2568票を獲得し、38位で当選したことの大きさである。当選すること、それは2人の転向分子を打倒する闘い抜きにはあり得なかった。2人の議員がここ数年間いかに腐敗し、階級の議員として堕落した存在であったか、党と労働者階級に敵対しこれを裏切る議員活動をいかに隠然と行っていたのかを暴露する過程でもあった。
 警察主導の条例に賛成し、民営化に賛成するという腐敗と思想的転向はすでに深々と進行していたのであり、その帰結が「党の革命」への敵対であった。議会・議員活動の徹底的な解明が開始されたとたんに逃げ出した根拠があったのだ。完全に「議会主義的歪み」に陥っていたのだ。
 党の自己批判と総括、ここからの脱皮と飛躍は、2人を徹底的に弾劾し、一切のあいまいさなく打倒しきることである。「党の革命」反対派や党からの脱落転向分子が、党の路線と党の候補を妨害するために集結してきた。これを真正面から引き寄せて、闘って北島勝利を実現したのだ。
 国家権力との連日の闘いに勝利し、当選をもぎとった。実に偉大な勝利である。これからの革共同の責任の重さを自覚しなければならない。闘いは始まったばかりだ。あくまでも階級的労働運動を圧倒的に前進させ、改憲決戦に勝利し、革命的議会主義のさらなる創造をかちとり、11月へ驀進(ばくしん)しよう。

 強固な地区党を建設しよう

 職場での闘いをとおして階級的団結をうち固めること、それは労働者の階級的・政治的決起の基礎中の基礎である。ここに地区党の一人ひとりがあらためて立ち返り、生まれ変わりをかけて決起した。組織的につかんだこの確信に立って、強固な地区党建設を実現しなければならない。
 何よりも開始した民営化阻止闘争を本格的に爆発させ、勝利させることである。今こそ地区党・議員が労働組合運動そのものを担い、動労千葉型労働運動の実践に総決起する。都委員会とともに全力で闘う。
 労働者細胞を中心としてまず党と党勢力自身が職場からの闘いに挑戦する。これを基軸に党の闘争委員会をはじめ、大衆闘争機関の強化、宣伝・扇動の強化・変革、大衆工作へと一層踏み込んでいくことである。
 いまこそ「労働者の新聞」をとおした労働者階級との結びつきをかちとること。機関紙拡大の圧倒的チャンスである。
 何より「党の革命」を推し進め、地区委員会・都委員会の強化をかちとり、11月1万結集への闘いを開始しよう。マル青労同の圧倒的強化が一切の核心である。激しく開始された裏切り・転向分子とのあらゆる闘いに勝利することを軸に断固新たな闘いに立ち上がる。

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週刊『前進』(2294号5面2)(2007/05/14 )

 4・30 北島勝利報告会に130人

 “一緒に議会に乗り込もう”

 4月30日、北島区議の選挙勝利報告会が開かれた。報告会は、西部ユニオンを始め区議選を先頭で担った労働者や福祉切り捨て攻撃と闘う高齢者など130人の支持者が参加し、自分たちがともに闘って切り開いた勝利の喜びにあふれた。
 北島邦彦とともに歩む会の労働者の司会と開会あいさつで第1部が始まった。主催者あいさつに立った都政を革新する会の長谷川英憲代表は、「時代が大きく変わり、労働者が世の中を変革しようとする時代、本当に闘うのか否かが問われる時代に結柴、新城の2人が裏切った。しかし、都革新は原点に立ってその旗を守り、北島さんが新しいリーダーとして登場した。北島さんとともに闘って行きましょう」と呼びかけた。
 続いて北島区議が発言に立った。最初に「みなさんと一緒に闘って勝利することができました。選対の仲間や地域の住民、労働者がこれほど一致団結して闘うことができた選挙はなかった」と振り返った。「それは山田区政と1ミリも妥協せず闘っていく、そのために北島と一緒に議会に乗り込もうという闘いが生み出した団結だ」と語った。
 さらに、「労働者が主人公の社会を一緒につくっていこう、根本的に今の階級社会を変えていこうと一致して闘えたことが勝利をもたらした。山田区長の丸ごと民営化をどんなことをしてでもつぶすという主張が広く受け入れられた。民営化が労働者の闘いを破壊することに狙いがあること、改憲を狙うものであるという主張を鮮明に提起したことが今回の勝利の柱だった」と総括した。
 また、「裏切った2人が『北島が労働者の闘いと言っているのは高齢者や自営業者を切り捨てていくということだ』と言っているが、労働者を中心として闘うことで高齢者や自営業者の闘いも勝てるし、突破していくことができる」と断言した。
 最後に「労働者とともに議会の内外で闘うことが議員の本当の姿だと思う。議会事務局にも『先生』とは呼ばせず、議員バッチも着けません」と宣言した。会場全体が、今回の選挙を自らの団結でかちとった確信にあふれ圧倒的拍手にわいた。
 区民の音頭で乾杯し、東京労組交流センターなど参加者から次々発言を受けた。
 第2部では憲法9条を変えるな!百万人署名運動事務局の川添順一さんから改憲投票法案阻止の国会闘争の、また東京西部ユニオンの山本敏昭委員長から杉並まるごと民営化阻止の訴えが行われた。北島邦彦とともに歩む会からまとめが提起され、いよいよ新たな闘いへ踏み出す決起集会としてかちとられた。
(写真 区民一人ひとりの闘いでつかみとった会心の勝利に乾杯!【4月30日 杉並】)

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週刊『前進』(2294号5面3)(2007/05/14 )

 「労働運動で革命やろう」と現場労働者が感動的な決起

 神奈川県委員会の選挙総括

 「労働者階級に社会を変える力がある」「闘う議員と労働者の団結で、この社会を変えよう」「労働運動の力で革命をやろう」という党と階級の熱い意思が、西村あやこ氏への3508票として実現された。革命的議会主義の原点に帰った選挙戦、階級的労働運動路線に転換した相模原市議選決戦は、戦争・改憲と民営化攻撃をめぐる激しい党派闘争にうち勝って勝利した。

 3・18集会の地平継承し青年労働者の決起実現

 感動的な勝利を実現した第一の要因は、07年新年号アピールの階級的労働運動路線を貫き、青年労働者・学生を先頭にした3・18大闘争と一体となった選挙戦を闘ったことである。
 相模原市は、一方における大規模な市町村合併と政令指定都市化、他方で米陸軍第一軍団司令部の移転という形で、安倍・御手洗による戦争と改憲の大攻撃下におかれている。この現実に直面している労働者民衆にとって、すべてのテーマが帝国主義と非和解的に対決し、革命する以外にいかなる「解決」もあり得ない。
 工業団地の労働現場は、労使協調の連合路線によって階級的団結がズタズタに引き裂かれ、リストラ・出向・派遣・請負で、青年労働者をはじめとして労働実態は一変している。
 こうした中で労働運動を再生する展望は、安倍・御手洗による4大産別における労組解体攻撃と全面的に対決し、連合を打倒して闘うことの中にある。それゆえ、動労水戸をはじめ関東・神奈川からの労組交流センターと動労千葉派の現場労働者の決起が勝利を切り開いたことが決定的に重要であった。
 選挙戦は、3期12年間、戦争と民営化に対し誰よりも闘ってきた西村あやこ氏の実績が土台であった。とりわけ西村あやこ氏は昨年の教基法改悪反対の国会闘争や、「日の丸・君が代」強制反対闘争、学力テスト反対を教育労働者とともに闘い、文教委員としての活動を精力的に担ってきた。多くの教育労働者は日教組中央の屈服を批判して、「国会闘争を全力で闘った。闘いはこれからだ」「『日の丸・君が代』不起立闘争を闘っている」「日教組はつぶれている」などと語って合流した。「教育の未来は現場の教育労働者が握っている」という確信が、西村あやこ氏支持への教育労働者の決起になった。
 また自治体労働者の決起も感動的だった。西村あやこ氏は、相模原市における3けたに及ぶ事業所への指定管理者制度の導入という民営化攻撃に唯一反対してきた。自治体労働者はこの実績を市議会のモニターテレビをとおして知っていて、現業職場の丸ごとの合流が次々とかちとられた。
 4大産別はじめ現役の労働者に加えて、さらに高齢者から次々と期待が寄せられた。東宝争議を体験した沖縄出身労働者が駅頭演説に登場したことなど、戦後階級闘争の生き証人との合流は感動的であった。
 とりわけ市の人口の平均年齢が40歳という中で、駅頭でも選挙事務所でも、連日青年労働者・学生との合流が実現された。3・18集会の基調報告を抜粋した青年労働者向けのチラシは、染み入るように広まった。
(写真 「労働者の力で戦争をとめよう」と力強く訴える西村あやこ氏【4月21日 相模大野駅】)

 米軍再編攻撃と対決し改憲阻止の突破口開く

 第二は、改憲と朝鮮侵略戦争阻止・新司令部受け入れ断固反対の選挙戦として勝利したことである。国民投票法案と米軍再編法案の衆院強行採決を弾劾し、”安倍を倒せ”と闘った4・13国会闘争と一体の闘いであった。
 米軍再編に対する反対の声は昨年は「市ぐるみ」だったが、米軍によるペテン的な「基地の一部返還」によってこれを容認する勢力も出てきている。さらに防衛議員連盟が発足するという状況の中で、基地強化に反対する西村あやこ氏の位置は決定的であった。しかも3月末、この統一地方選挙の渦中で、米軍第一軍団司令部移転の先遣隊とイラク侵略戦争で悪名高い装甲車両・ハンビー300両を、6月に配備することが新聞報道された。
 こうした中で西村あやこ氏に寄せられた3508票は、沖縄や韓国と連帯し、”革命をやって戦争を止めよう”という叫びであり、そのための夏秋の現地闘争の本格的大爆発を誓い合うものであった。

 地区党の団結を固めて1カ月の蜂起戦を闘う

 第三は、「党の革命」を自己のものとする討議を基礎に、地区党のかつてない団結を固めて選挙戦を闘ったことである。何よりも西村あやこ氏の4期目の挑戦の決意は、始まっている戦争と改憲攻撃ゆえに不抜であり、選挙戦の最大の牽引(けんいん)力であった。
 もちろん、限られた組織力の中での闘いは容易ではなかった。「労働講座などやっていて今から間に合うのか。集票活動の方が重要ではないか」という疑問や不安も出され、真剣な議論が交わされた。また国家権力による選挙統制も従来の比ではなかった。名前入りののぼりや看板が禁止され、何と従来の宣伝カーの看板は「広告灯だ」として禁止された。
 重要なことは日本共産党の、「有権者=単なる一票」という労働者蔑視(べっし)の選挙観を徹底的に打破したことである。戦争と改憲への怒りが大きく広がる中で、労働者が署名運動の担い手となり、選挙期間中に9条改悪反対署名を職場などで集め、寄せてきた。何よりも「労働者は職場で資本や連合支配と闘う主体」として根本的に据えなおした。
 労働講座では「社会保障制度とは、ロシア革命の勝利と1930年代の闘いで戦後実現されたものだが、帝国主義の最末期の危機ゆえに医療・福祉・介護は解体の危機にある。これは革命の問題だ」「労働法制の改悪で、労働3権が剥奪(はくだつ)されるときは、抵抗権・革命権を行使するときだ」という11月労働者集会の内容で討論が行われ、新たな労働者の決起がかちとられた。このことが地区党の同志の階級的労働運動路線での確信をさらに深めた。
 革命的時代認識と生きたマルクス主義を訴えた新パンフレットが力を発揮し、選挙戦の終盤の最大の武器となった。
 地区党は訪問行動から街頭宣伝、電話行動、総務にいたる1年間の活動を全員で担いぬいた。関東地方委員会の総力をあげた1カ月間の蜂起戦は、告示日から投票日にいたる勝利に必要なすべてをやりきった。
 「プロレタリア自己解放の共産主義的普遍性の内部に、民族解放闘争などの被抑圧人民との連帯・結合・一体化の論理を内包していくのだ」(新年号アピールの第1章3節)を実践的に開始して、単一の党=地区党の飛躍をかけた選挙戦を闘い抜いた。朝鮮総連と在日朝鮮人民への大弾圧を糾弾し、在日朝鮮人民との新たな合流がかちとられた。米軍再編を阻止する沖縄現地からの西村あやこ氏への連帯と期待はかつてなく熱いものであった。さらに「障害者」の存在をかけた自立支援法実施反対の市役所デモに西村あやこ議員の姿があった。婦人民主クラブ全国協議会の女性労働者・労働者家族は、常に闘いの先頭にたち牽引し抜いた。

 11月1万人へ決定的な前進

 西村市議当選は革命的議会主義の闘いの一部に過ぎない。選挙戦で切り開いた地平を出発点にして、革命的議員の活動と一体となって階級的労働運動の発展をかちとる闘いにその過半はかかっている。「労働運動の力で革命をやろう」という闘いは夏秋をいかに闘うかにかかっている。
 自衛隊隊友会員と元自衛官の立候補は、落選したとはいえ帝国主義の軍都の物質力を基礎としている。また共産党・社民党・ネット・大企業ぐるみの議員たちがことごとく議席を減らしたことは、戦争か革命かの時代への大変貌(へんぼう)を示している。
 選挙戦において、革命を訴えることにトコトンこだわった宣伝戦の最大の武器は、機関紙『前進』であった。『前進』で勝負することが、選挙戦に勝利する道であることを見事に実証した。
 党の革命を自己のものとすることで実現された3508票は、革命を求める労働者階級の勝利そのものである。この地平と路線に圧倒的な確信をもって、職場にこだわり職場闘争をつくり出すこと、細胞建設と労組権力獲得の闘いを決定的に強めることこそ、相模原市議選の歴史的な勝利から導き出される総括であり結論である。青年労働者の決起を先頭に11月労働者集会1万人決起を実現しよう。

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週刊『前進』(2294号6面1)(2007/05/14 )

団結ひろば 投稿コーナー

 自民党・早川代議士に「共謀罪」で申し入れ 救援連絡センター事務局長 山中幸男

 現代版の治安維持法案と言われている「共謀罪」法案が、内心の自由、思想・表現の自由、集会・結社の自由、団結権など憲法上の権利を大きく侵害するものであることは、本紙読者の皆さんなら十分すぎるほど承知だと思います。
 衆議院法務委員会自民党理事である早川忠孝代議士は、私の居住する朝霞市(他に和光市、新座市、志木市と合わせて埼玉4区)から選出されている国会議員です。私は仲間たちとともに、4月28日、早川忠孝氏の地元事務所に次のような申し入れ書を届けました(写真は、朝霞駅前の宣伝活動)
 自民党法務部会「条約刑法検討に関する小委員会」は、去る12月末に、「修正案要綱骨子(素案)」「検討結果(案)」と称して、その中身は、共謀罪の名称を「テロ等謀議罪」に変え、対象犯罪を絞るというものです。こんなものが修正案に値するものか私には疑問がありますが、早川忠孝氏は、自民党条約刑法検討に関する小委員会事務局長でもあり、条約には忠実であるべきだとのこれまでの主張を転換して、「従来の政府解釈に囚(とら)われない」与党の姿勢(?)を示した、と言うのです。
 早川忠孝氏は、東京弁護士会に所属する弁護士でもあり、政治家、法律家として、このようないい加減な対応は許されるものではありません。「圧倒的多数」を占める自民党衆院議員であっても、その選出選挙区、各議員の実情を見極め、「共謀罪」成立阻止のための行動の徹底を呼びかけます。
 今、安倍政権が改憲投票法案、イラク派兵法延長、少年法改悪、更生保護法案など、戦争と治安立法を次々と強行採決している中で、「共謀罪」も今国会で再び審議=採決に入ろうとする動きも十分にうかがえます。全力で「共謀罪」の成立を阻止しましょう。

 数十台の清掃車から西村候補に支持表明 神奈川 柿崎速男

 4月22日投開票の相模原市議選の告示期間中、選挙の応援に駆けつけ、西村あやこ候補とともに市内を回りました。
 昼休み中の清掃労働者がたくさんいる市の清掃工場前で、西村さんが感動的な演説をやりました。それが終わりに近づいたころ、労働者たちがゴミ収集車に乗って一斉に市内に出発し始めました。
 すると出てくる数十台の収集車が、どれもこれもみんな手を振ってくれるではないですか。クラクションを鳴らしていく人、ガッツポーズの人……なかなか言葉にできないのですが、思わず目頭が熱くなりました。
 西村さんはこの組合の正式な組織候補ではありません。にもかかわらずこれほど支持されているのはなぜか。それは彼女が市議会の中でただ一人、民営化反対を徹底的に貫いてきたことを労働者は良く知っているからです。
 さらに西村さんが駅頭で毎週行ってきた市政報告は1200回をゆうに超えるといいます。さまざまな集会やデモなど闘争の先頭に立ってきたことは、皆さんもご存知でしょう。普段は何もしないくせに、選挙の時だけゴマをするような候補は誰も信用しません。
 労働者と団結して社会を変えようとする革命的議員の姿を実感しました。

 路線がどこに向いているかで到着地違う T

 青年Kくんが「路線でオルグしよう!ってどういうこと?」。確かに、そう言われてみると……。また労組役員Bさんに「体制内労働運動と決別して、階級的労働運動路線で闘いましょう!」と城戸論文の話をしたら、「頑張っているつもりなんですけど……」との答え。確かにみんなを引っ張る蒸気機関車のようなBさん。「5時でみんなが帰るときから組合の書類づくり。日曜は集会動員。団交も深夜まで」
 階級的労働運動路線を職場の労働者と話すとき、労働運動に「路線があり、その選択」を訴えることはとても大切なのかもしれません。Kくんは、とりあえず『何をなすべきか』を読み始めました。以前は論争スタイルがわかりにくかったけど、いまメンシェビキとの路線論争としてみると痛快です。
 蒸気機関車は一生懸命モクモクとやる気に燃えている。だけど、路線がどこに向かっているかで、到着地がまったく違ってくる。山手線に乗ればぐるぐる回る、総武線に乗れば千葉か立川、みたいに。
 連合路線の目的地は、質の高いサービスで「資本主義体制内の、公正な競争の下での共生社会」。社民主義は、「資本主義体制内での護憲」。共産党は「確かな野党(どまり)」。それとも動労千葉のように「労働組合を刷新して、労働者の力で革命をやる」「国際的団結で、労働者が主人公の社会をつくる」ということなのか。
 今度は時代認識も含めて話していきたいと思っています。

 空中給油機配備反対小牧基地に申し入れ 愛知 福留渓

 4月29日、とめよう戦争への道・愛知連絡会と岐阜連絡会共同で小牧基地への申し入れ行動などを行いました。小牧基地からは今も空自輸送部隊がクウェートに派遣され、米軍の武器・弾薬・兵員を運んでいます。しかも今国会で派遣が2年延長されようとしています。地元の者として黙っているわけには行かないと、今年1月に第1回の行動を行いました。今回が2回目です。
 また、この小牧基地には空中給油機が配備される予定です。空中給油機は航空機の行動半径を飛躍的に向上させるばかりでなく、それ自身が巨大な輸送機にもなります。
 小牧基地を侵略戦争の拠点にさせない、基地機能の飛躍的強化を許さない、そんな思いで総勢20名がこの日の闘いに参加しました。基地前に集まり、闘いの意義を確認し、シュプレヒコールを行い、2つの連絡会からの申し入れ、さらに2名の参加者が隊員にマイクでアピールを行いました。その後、3隊に分かれて最寄り駅での宣伝活動、周辺への全戸ビラ配布、隊員官舎へのマイクアピールを行いました。
 小牧基地は以前は軍民共用空港でしたが、民間部門はほとんど新空港に移り、現在は軍用中心の空港になり、地元の反対を押し切る形で空中給油機が配備されようとしています。しかも数少ない自衛隊単独基地です。この闘いは重要な闘いであり、これからも定期的に取り組んでいくことと、空中給油機配備時には反対闘争を行うことなどを確認し解散しました。

 滑走路延長誰のため市東さんの農地守れ 広島 高田次郎

 朝日新聞5月2日の朝刊「『3年後に迫る航空ビッグバン』。2010年に成田空港の滑走路が延長され、羽田空港には第4滑走路が完成する。発着枠は、それぞれ10%と30%拡大し、年間では国内線で計8万回、国際線で計5万回増える」「地方空港サバイバル、航空会社不採算路線リストラ」
 おぞましい姿である! 誰のため、何のための「滑走路延長・滑走路増設」なのか。それを問え!
 地方空港「食うか、食われるか」の陰で労働者は切り捨てられ、使い捨てられていく。国際競争、物流、人流。ゆめゆめ、われら労働者人民の安全安心のためではない! 大資本、大企業の食うか食われるかの国際競争、新自由主義経済にのみこまれてたまるか!
 われらは今、成田・三里塚の市東さんの大地とりあげ断固阻止の闘いと強く結合し、この大資本、大企業と一体となったたくらみを葬り去らなければならない。
 三里塚・市東さんの闘いは、まさに総資本・大企業・帝国主義国家権力との闘いである。勝たねばならない。勝って戦争への道を阻止し、農地を守り、日本革命をやり遂げなければならない!

 「レーニン『帝国主義論』(上)」を読んで 山崎一義

 初めてお手紙を書きます。56歳の労働者です。広島大学1年生以来の『前進』読者です。
 『共産主義者』152号「レーニン『帝国主義論』(上)」を読んでの感想です。102n、排外主義の鼓吹と全面的な支配・抑圧・反動の@9行目とA10行目を、@内に対する弾圧、A外に対する侵略として定式化(明確化)し、「T帝国主義国の労働者階級・農民の自己解放闘争」と「U植民地民族・人民の民族解放・革命戦争」との連帯・革命闘争の課題として主体的に把握すべきだと思いました。
 つまり、星野さんを始めとする多くの革命派に対する数々の弾圧をはね返しつつ戦う日本の労働者階級・農民と、ムスリム解放戦争を戦うムスリム人民や、韓国・中国労働者階級・農民の連帯の問題としてです。
 党の革命、心から念願しています。

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週刊『前進』(2294号6面2)(2007/05/14 )

 4・27法政大 逮捕に怒り500人集会

 新入生がビラまき “この大学はおかしい”

 4月27日、法政大学で2人の不当逮捕に怒りを爆発させ500人集会がかちとられた。
 この日、5人の被処分者を始めとする法大生が「退学処分・停学処分を撤回しろ! 独裁者=平林総長打倒! 法大の主人公は法大生だ!」を掲げてキャンパス集会と法大包囲デモを呼びかけていた。闘いの爆発を恐れた法大当局は、正門以外のすべての門を閉鎖する入構制限を強行した。
 しかし、午前中から被退学処分者が次々とキャンパスに登場し、入構制限は破産。すると法大当局は、学生が少ない授業中に十数人の教職員を動員し、被退学処分者の腕や足をつかみ暴力的に学外に排除。これを見ていたA君は、教職員に猛烈に抗議した。
 これに対して安東学生部長は「業務妨害をするな。業務妨害をやっているお前も入構禁止だ」と言いがかりをつけ、A君を暴力的に正門から排除した。
 この時、被退学処分者に暴行を加えていた職員・佐藤が門前でわざとらしく転倒。これを合図に公安警察がA君に襲いかかり、車に押し込み逮捕したのだ。
 教職員はA君が持っていたメガホンやビラなどを「落とし物だ」と言って強奪。さらに、今年2月に退学処分を受けたB君につかみかかり、暴力的に裏門から排除して公安警察に差し出した。またも法大当局は、学生を警察に売り渡したのだ!
 昼休みになるや続々と学生がキャンパス中央に集まり、その数は500人に! この時点で勝負ありだ。法大当局は集会に圧倒され登場すらできない。キャンパスを学生が制圧し解放感あふれる中で集会が始まった。
 正門前で退学処分を受けた学生が「昨年の3・14法大弾圧以来、40人が逮捕された。27日で42人になった。しかし法大生は、不当逮捕に対しては団結を強化し、次々と新たな決起を生み出してきた。今年は3ケタの逮捕をめざす勢いで闘おう。世界は革命情勢だ。腐りきった帝国主義を打倒しよう。法大から革命をおこそう」と熱く訴えた。「がんばれー!」と声が飛ぶ。
 織田陽介全学連委員長は「たった5人の学生が集会を呼びかけただけで法大当局は正門以外のすべての門を閉鎖した。法大当局は脆弱(ぜいじゃく)だ。学生には力がある。当局は学生から自由を奪って、資本の奴隷にしようとしている。若者の半分は非正規雇用で食っていけない。われわれの世代は、こんな社会をぶっ飛ばさなければ生きていけない。社会を動かしている労働者とともに革命をやって、労働者・学生が主人公の社会をつくろう」と訴えた。
 不当逮捕の報を聞いてかけつけた法大生は「自分は、今の法大は絶対に許せない!」と発言し、デモの最先頭で決起した。新入生も続々と合流した。総長室前で平林総長打倒のシュプレヒコールをあげると青年労働者も手を振ってこたえた。
(写真 ゙また学生が逮捕された!'昼休みには学生が続々集まり500人にふくれあがった【4月27日 法政大】)

 続々と新たな学生が決起

 連休明けから、逮捕された2人の学友を奪還する闘いが本格的に始まった。被処分者の学生も、連日キャンパスに登場して闘っている。
 不当逮捕に怒る法大生が、新入生を先頭に続々と立ち上がっている。逮捕された学生の友人は、自分でビラを作ってまき、マイクを握って「彼が逮捕されるように追い込んだのは法政大学とその職員だ。法政大学を愛する一学生として、大学が誤った方向に進もうとしていれば苦言を呈する責任がある」と訴えた。地面に座り込んで演説を聞く学生がどんどん生まれ、ビラが次々と受け取られる。
 「Aさん、B君は元気ですか」「逮捕は許せない」と次々と知り合いが声をかけてくる。「Aさんが逮捕されたからには自分がやる」と決意する学生。「この大学はおかしい。自分たちの青春をめちゃくちゃにされてたまるか」と新入生もビラまきに立った。
 法大生の新たな決起を前に法大当局は、被退学処分者が堂々と演説していても排除できない。学生が見ている前では何もできないのだ。ガードマンが被処分者を排除しようとすると、すぐ人だかりができる。弾圧に屈せず闘えば、学生の団結は強まり、必ず新たな決起が生まれるのだ。
 学生を人間扱いしない法大当局に対して法大生の怒りは爆発している。学生会館の跡地に建てられた外壕(そとぼり)校舎は監獄のような建物で、サークルが選別され、空き部屋だらけだ。平林総長は、大手ゼネコンと癒着してキャンパス再開発に突き進んでいる。法大を私物化し、教職員の反対の声を無視して総長選挙も廃止した。文学部教授が文科省からの助成金を不正使用していたことが発覚するや、自らの減給処分でお茶を濁した。法大当局は腐りきっている。
 不当逮捕された学生2人の勾留満期は5月18日だ。5月16日の勾留理由開示公判(午後3時、東京地裁)、5・18第2波法大包囲デモを闘い、2人の学友を奪還しよう。
 (法政大 N)

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週刊『前進』(2294号6面3)(2007/05/14 )

 不当捜索を弾劾する

 警視庁公安部は4月27日の法政大での2学生不当逮捕(「暴行」容疑)を口実に、5月9日に東京の前進社本社、翌10日に杉並の都政を革新する会事務所にまったく不当な家宅捜索を強行した。
 この弾圧は、青年労働者と一体となって情勢を切り開いてきた学生運動を、なんとかして抑え込もうとする政治弾圧そのものだ。同時に、「労働運動の力で革命をやろう」を掲げた3・18全世界一斉デモの爆発、杉並・相模原を始めとする4月統一地方選での大躍進に追いつめられた警視庁公安部が、闘いの前進をなんとかして圧殺しようと出てきたのだ。
 しかし、不正義の政治弾圧に引き回されている現場捜査官の士気はきわめて低い。弾圧すればするほど、青年・学生の決起は拡大する。弾圧に対するわれわれの唯一の回答は、1〜4月をはるかに上回る闘いの爆発だ。

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週刊『前進』(2294号6面4)(2007/05/14 )

 東京高検 執行停止を拒否

 星野同志奪還へさらに

 5月8日、東京高等検察庁は、検察官北岡英男名による「通知」を送ってきた。これは、星野文昭同志と代理人(再審弁護団)が、4月26日に申し立てた星野同志の母・美智恵さんお見舞いのための「刑の執行停止」を拒否するものだ。
 決定の日付は7日。その7日昼、「星野さんをとり戻そう!全国再審連絡会議」の人たちが、裁判所前で星野同志の執行停止を求める上申書の署名を訴えて宣伝活動をしていた。まさにその時に検察官は「これを行わない」と決定したのだ。
 星野同志の母・星野美智恵さんは、4月6日に90歳の誕生日を迎え、懸命に病気と闘っている。昨年12月の入院以来、美智恵さんの病状は改善していない。札幌の遅い春を迎えても、退院のめどは立たず、いつ急変するか分からない状態が続いている。
 1月23日に第1回目の執行停止を申し立てて以降、3500通を超える上申書が寄せられた。その1枚1枚に星野さんをなんとかお母さんに会わせたいという思いが込められている。4月26日の申し立て時にも、3分冊、千人を超える署名簿が提出された。それら一切を踏みにじる決定を東京高検は強行したのだ。

 “労働組合の力で”

  星野同志と弁護団は、東京高裁に異議を申し立てる方針だ。東京高検の処分を取り消させ、星野同志を刑務所の外に出すには、これまで以上に大きな闘いが必要だ。
 星野闘争は、帝国主義最末期の危機を突き破り、革命に向かって労働者階級が決起する闘いと一体のものとしてこそ、その勝利が実現される。
 アメリカでは、再審−無罪を求める黒人ジャーナリストの死刑囚、ムミア・アブ=ジャマール氏の口頭弁論が5月17日にフィラデルフィアで開かれる。この闘いの中心に座っているのはILWU(国際港湾倉庫労組)などの労働組合だ。日本でも、松川事件の完全無罪をかちとった力は労働組合の闘いにあった。
 星野同志の執行停止から、再審−無罪へ、労働者階級の中に徹底的に闘いを広げよう。

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星野文昭同志
 71年沖縄返還協定批准阻止・渋谷闘争を闘い、デッチあげ殺人罪で無期懲役刑に。徳島刑務所で無実を叫び再審請求中。獄中32年。1946年4月27日生まれ、61歳。

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週刊『前進』(2294号6面5)(2007/05/14 )

 星野さん誕生日ライブと詩画集発行に寄せて

 東京・三多摩 神藤 猛雄

  4月28日、東京・練馬の「オープンスペース街」で「詩画集発行記念 星野文昭誕生日ライブ」が開かれた。星野同志の闘いにこたえようと多くの仲間が駆けつけ、大いに盛り上がった。
 星野同志は4月27日に満61歳の誕生日を迎えた。獄中32年間、デッチあげのために獄に捕らわれている。私たちは星野同志を1日も早く獄中から解放しなければならないと、この日のライブに駆けつけた。
 北海道の90歳になる重篤のお母さんに一目会わせてあげたいと、4月26日には、刑の一時執行停止を求めて東京高検に2回目の申し入れを行った。この新たな運動もバネとして、星野再審運動の前進を図っていこう。

  この日、星野同志と星野暁子さんの合作による詩画集が発行された。監獄の壁にさえぎられて一度も手を握り合ったことのないお二人が、心を通い合わせてきたその結晶が詩画集になった。
 この詩画集には、小嵐九八郎さん、白井佳夫さん、針生一郎さんが思いを寄せている。多くの人にじっくり味わってもらいたいと思う。
 誕生日ライブは、ぎっしりと埋まった会場で始まった。沖縄・辺野古では、政府が新たに造ろうとしている巨大な軍事基地のための調査を止めようと新たな闘いが始まっている。現地からの緊迫した報告は、星野闘争が今の沖縄闘争と結びついていることを肌で感じさせるものだった。
 「ヨッシーとジュゴンの家」のライブが始まった。今の格差社会に生きる労働者の思いや星野さんへの思いなどが熱く演奏され、会場と演奏者が一体となった。
 星野暁子さんの詩の朗読がギターの伴奏で始まった(写真上)。文昭さんに寄せる思い、1971年11・14闘争のこと、自分自身の生き方などが熱く語られ、聞く者の胸を強く打った。
 最後に、バースデーカードに録音して送ろうとみんなで声を合わせて「星野さん、誕生日おめでとう!」。獄中で合唱が聞けたかな。青年、学生、在日の人などが多数参加する画期的なライブだった。
 『FUMIAKIKO 詩画集』を購読しましょう。星野文昭同志の絵と星野暁子さんの詩が結びついた素晴らしい詩画集です。

(写真 『FumiAkiko詩画集 2001-2007』A4変形判、109n1800円。5冊以上1500円。前進社でも取り扱います。)

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週刊『前進』(2294号6面6)(2007/05/14 )

訂正

前号(春季特別号)第U部の坂本千秋論文に以下の誤りがありましたので訂正します。
 ▽10面5段目「47年春の済州島でのゼネスト・武装蜂起」→「48年春の……」▽同6段目「井伊弥四郎」→「伊井弥四郎」

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