ZENSHIN 2007/02/19(No2283 p06)
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週刊『前進』(2283号1面1)(2007/02/19 )
改悪教基法と全面対決し 卒業式で不起立を
職場から戦争協力拒否して 3・18日比谷に駆けつけよう
3・25三里塚に全国結集を
“こんな本部方針で殺されてたまるか”全逓中央委員会で、被免職者とともに参加者にビラをまく労組交流センター全逓部会の労働者【2月15日 東京・水道橋】=記事次号
9条改憲阻止、米日帝の朝鮮侵略戦争阻止へ、いよいよ歴史を決する巨大な闘いの時がやってきた。その闘いの火蓋(ひぶた)を切るのは教育労働者だ。全国の教育労働者は、改悪教育基本法下で迎える初の卒・入学式において、空前の規模で「日の丸・君が代」不起立闘争を巻き起こそう。すべての労働者が職場から戦争協力拒否闘争の闘いを貫こう。そして春闘勝利・イラク戦争反対・改憲投票法案阻止を高々と掲げて3・18全世界一斉デモに立ち上がろう。
“労働者の力が戦争止める”
3・18全世界一斉デモまであと1カ月。職場から闘いを巻き起こし、東京・日比谷野外音楽堂に全国から総結集することを、心から訴えたい。
「港湾労働者・陸運・航空労働者はこの国を停止させる力、戦争を即時停止させる力を持っている」(ILWUローカル10のクラレンス・トーマス氏)。そうだ! 労働者が団結して戦争動員を拒否すれば、戦争をとめることができる。
動労千葉は、館山運転区・木更津支区廃止と激突して07春闘にストライキで立とうとしている。この闘いに連帯して07春闘に立ち上がろう。動労千葉が呼びかける3・4春闘集会に、職場の仲間とともに参加しよう。
3月17日のアメリカを始め全世界の労働者がイラク反戦デモに立つ。連帯して闘い、米軍と自衛隊をイラクから撤退させよう。改憲投票法案の成立を絶対に阻止しよう。
卒業式の不起立闘争を闘いぬき、3・18日比谷野音に教育労働者の大隊列を登場させることが、とりわけ決定的である。
反戦・反基地闘争の砦=三里塚への攻撃が激化している。3・25現地闘争に駆けつけよう。
さらに4月統一地方選の勝利へ全力で闘おう。
改憲投票法案粉砕は大決戦
自民・公明両党は、改憲投票法案を5月3日の憲法記念日までに、与党の単独採決を辞さず成立させようとしている。3月と4月が重大な攻防となる。改憲阻止決戦の本番突入の闘いとして、4大産別を先頭に労働者の階級的決起を巻き起こさなければならない。
改憲投票法案の第一番の狙いは、公務員労働者と教育労働者の反対運動の禁止・弾圧である。条文でわざわざ「公務員・教育者」を名指ししたのは改憲を阻む最大の力は自治労・日教組・全逓にあると見ているからだ。反対運動の禁止に批判も反対もしない日教組本部・自治労本部の屈服を弾劾し、日教組と自治労の組合員が改憲投票法案阻止の先頭で闘おう。
「美しい国」づくりを掲げる安倍政権の攻撃の核心が「教育再生」だ。「戦争は学校から始まる」――かつて日帝が中国・アジア侵略戦争に突っ込んだ時も、教育が戦時体制をつくった。労働者がかちとってきた団結、階級意識、戦後憲法のもとでの「平和と民主主義」意識をすべてたたきつぶさなければ、日本は戦争国家には変わらない。安倍はこの現実を「教育再生」で突破しようとしているのだ。
安倍の「美しい国」許さない
「教育再生」は安倍と御手洗の共通スローガンだ。御手洗ビジョンは「愛国心は、改革を徹底していく前提でもある。これからわれわれが進む道は……石くれやいばらも多く、痛みも覚悟しなければならない」と言う。日帝が「労働者を食べさせていけない」ほどの体制的危機に直面する今、貧困の淵(ふち)にたたき落とされても「痛み」に耐えて従順に働く労働力をつくり出すために、愛国心が不可欠というのだ。そして果ては、国のために命を投げ出せということだ。
いじめや自殺が起きれば「道徳教育を行わず国会前に座り込む日教組のせいだ」と言い、給食費滞納が激増すれば「原因は親のモラル低下。規範意識をたたき込め」と言う安倍や御手洗。いい加減にしろ! 働いても働いても食べていくこともできない状況をつくったのは誰だ! 労働者の生き血を吸って肥え太り、「史上空前の利益」を上げているのは誰だ!
こんな「希望の国」「美しい国」を私たちは断固拒否する! こんな体制を革命によって打ち倒すことこそ、労働者が生きる唯一の道だ。
教員免許更新制導入阻止を
改悪教基法を教育現場に貫徹するため、安倍は関連3法の改悪案を今国会に提出するよう指示した。教員免許法(教員免許更新制の導入)、学校教育法(改悪教基法にもとづく教育目標の書き換え、副校長や主幹の新設)、地方教育行政法(教育委員会制度の解体と国家統制)である。
最大の要は教員免許更新制の導入だ。これは国鉄分割・民営化時のいったん解雇・選別再雇用も超えるとんでもない攻撃だ。中教審が答申した「10年ごとの免許更新」では生ぬるいと、「3年の試用期間、5年ごとの免許更新」案も浮上している。採用から3年間はいつでも自由にクビ、その後は5年ごとにいつクビになる分からない不安定雇用ということだ。
自民党政調会長の中川昭一が「デモで騒音をまき散らす教員は免許はく奪」と述べたとおり、狙いは闘う教育労働者の排除だ。“日教組組合員の首を切り日教組をたたきつぶさなければ戦争教育に転換できない”と悲鳴を上げるほど、日教組の闘いを恐れているのだ。
教基法決戦の第2ラウンド
昨年の教基法改悪反対闘争は「70年闘争以来」と言われる高揚を実現した。東京の「日の丸・君が代」被処分者を中心としたリレーハンスト、独自方針で駆けつけた日教組組合員の座り込みは、最終盤には連日数千人の怒りの決起となった。
重要なことは、改悪が強行されてもなお、教育労働者の闘いがまったくつぶされていないことであり、「教基法改悪反対闘争」がますます大きく激しく発展していこうとしていることだ。
改悪教基法の参院採決の直前に教基法特別委で行われた中央公聴会で、公述人が「もっと時間をかけて審議を」と求めたところ、自民党議員が「20年もかけたんだ」とヤジを飛ばしたという。
なるほどそのとおりだ。国鉄分割・民営化反対闘争が支配階級に「20年」を強いてきたのだ。確かに国鉄は87年に分割・民営化された。総評も社会党も解散した。しかし分割・民営化から20年たつ今も、国鉄分割・民営化反対闘争が国鉄1047名の解雇撤回闘争として継続されている。日教組は連合に加盟し本部は転落を遂げたが、結集する30万組合員はけっして屈していない。
教基法改悪を前に「日の丸・君が代」闘争をたたきつぶすために「国旗・国歌法」を制定しても、広島や東京を先頭に全国の教育労働者が不起立闘争を闘い、それが教基法改悪反対闘争の起爆剤となってきた。ようやく教基法を改悪したと言っても、その反対運動は「本部打倒・闘う日教組の再生を」という闘いへの飛躍点になった。12・8日教組集会で組合員が掲げた「森越はクビだ」の横断幕への圧倒的な共感は、日教組本部への怒りが沸点に達したことを示した。
20年かかっても支配階級の狙いはまったく貫徹できていない。この現実をつくり出したのは、分割・民営化に対して二波のストに決起し、1047名闘争を牽引(けんいん)してきた動労千葉の闘いであり、国鉄闘争を支援してきた全国数百万の労働者の闘いだ。
現場労働者の力に自信と誇りを持って、教基法闘争の第2ラウンドに躍り出ようではないか。
30万組合員が不起立しよう
教基法改悪を受け、「日の丸・君が代」闘争は新段階に突入した。今春の不起立闘争は「改悪教基法には従わない」ことを突きつける闘いだ。文科省や教育委員会が何を言おうと、教育現場の一切を決するのは教育労働者の闘いだ。現場の闘いで改悪教基法を無力化し、改憲阻止闘争の突破口を切り開こう。
3年間の不起立闘争の地平を超えて、今年こそ教基法決戦を闘ったすべての組合員が全国で不起立しよう。30万組合員が不起立すれば、30万人から教員免許を奪うことなど絶対にできない。そうやって職場で団結して闘ってこそ教員免許法の改悪も打ち破れるのだ。
「職務命令が出たら従え」と妨害する各教組の既成指導部をぶっ飛ばし、現場組合員の力で闘う日教組を再生しよう。
東京では停職処分を受けた教育労働者が「クビをかけて不起立を貫く」と宣言している。労働者の生きざまをかけた闘いこそ、改悪教基法も、教員免許更新制も、安倍・御手洗の「教育再生」も吹き飛ばすことができる。どんな弾圧にも屈せず戦争協力拒否を貫く教育労働者の「労働者魂」を示そう。
「闘う労働組合」を取り戻すため、教育労働者を先頭にして職場から闘いを起こし、3・18日比谷野音に駆けつけよう。
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週刊『前進』(2283号1面2)(2007/02/19 )
3・18日比谷野音へ
全世界一斉デモ メッセージ A
労働者の団結の力示そう
全逓労働者 横井達也
私たち全逓労働者の民営化攻撃との闘いは、郵政民営化法が05年10月に国会を通過した後、「郵政民営化絶対反対」を掲げた職場生産点での攻防をとおしてさらに本格的な闘いとなった。
郵政民営化攻撃はイラク戦争―自衛隊イラク派兵と一体で進みました。「経済や社会が危機的な状況に陥っているにもかかわらず、一方で既得権益に守られた、安定した小さな幸せが今も厳然と存在し、それがあたかも未来永劫続くように誤解している人々がいる」(2003年・日本経団連新ビジョン)などと言って民営化攻撃がかけられました。国内においては政財界が一体となって「聖域なき構造改革」に進み、外に向かっては侵略戦争ができる国へと突き進んでいます。しかし、改革で解決できるほど日本の財政赤字は半端な額ではありません。1000兆円という借金は国家財政の破綻(はたん)にほかなりません。
この借金をどう解決しようとしているのか。それは公務員の削減、徹底した増税、社会保障の解体によってです。すべての矛盾を労働者に押しつけています。しかしそれでも解決なんてできない。激化する「国際競争」に生き残る唯一の道は戦争しかない、と改憲に突き進んでいます。それが安倍政権です。
郵政民営化法が国会を通過して以降、JPU本部はもちろん、あらゆる勢力が「国会で通ったから勝てない」という立場をとりました。
しかし民営化の姿が最も現れるのは職場においてです。市場の競争の中で企業の生き残りをかけて激しい合理化、労働強化が行われます。労働者がモノのように扱われ、いらなくなればクビにするという露骨な攻撃もあります。それでもJPU本部は、組合員の怒りを押さえつけて、文句を言う者に対しては脅して屈服させる強権的な組合支配をしてきたのです。
この中で現場労働者の主体的決起が奪われていきました。しかし「これが労働組合か!」というのが現場の多くの声でした。私たちはこの現場の怒りと共に郵政当局と闘い、反動化した既成指導部との闘いをとおして様々なことを学びました。闘いは少数から、一人の決起から始まるということ。闘いの総括はどれだけ現場の労働者の団結が深まったのかにあること。現場の労働者が持っている階級性に依拠すれば勝てるということ。だから民営化の決着はまだついていないんだ!
安倍政権のもと、改憲攻撃が強まる中で労働者の団結した力が今ほど重要な時はありません。危機を迎えているのはこの資本主義社会の支配階級だけです。公務員と民間、正規と非正規などと分断をあおって団結させないことに対して、日本の6000万人労働者が階級として、ひとつにつながり団結して闘えば必ず勝てます。
イラク開戦から4年、ブッシュはこのイラク戦争の泥沼化から逃れることはできません。安倍は支持率の急落の中で危機のどん底にいます。労働者の上にあぐらをかいて生き残ろうとしている、こんな支配階級を労働者の団結した力で倒してしまおうではありませんか。労働者は世の中を動かす力を持っているんだ。
あらゆる産別の労働者の皆さん。心にしまっている怒りを吐き出そう。職場に労働者の誇りを取り戻そう。そして闘う団結を取り戻そう。分断攻撃をはね返し、ひとつにつながろう。3月18日、日比谷野外音楽堂から世の中を変えよう。
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週刊『前進』(2283号1面3)(2007/02/19 )
自公が5月3日までの成立狙う
改憲投票法案阻止へ
これは労働者への“戒厳令”
改憲投票法案(国民投票法案)について、2月11日に自民党の二階国対委員長が与党の単独採決もあると主張したのに続き、13日の記者会見で自民党の中川幹事長が、同じ主張を展開した。
さらには14日に自民・公明両党の幹事長らが、与党単独でも採決し、5月3日の憲法記念日までに成立させる方針を確認した。
改憲阻止決戦は極めて重大な情勢を迎えた。4大産別を先頭に、改憲投票法案阻止の闘いを早急に強めよう。3・18デモの大爆発で反撃しよう。
改憲投票法案とは「国民投票」による過半数で改憲案を成立させ、現行憲法を大改悪するための法案だ。民主党との協議で、政府案の幾つかの修正が行われてきたが、法案の超反動的本質はまったく変わっていない。
第一に、国会法の「改正」とセットで法案が出されていることだ。衆参両院に改憲案の原案を審議し作成するための「憲法審査会」を設けて国会の休会中も審議を行い、また必要なら「合同審査会」も設けて、各院に改憲案を勧告できるようにする。これで参院の独立性は否定・解体され、与党が3分の2を占める衆院の圧倒的な力をもって、両院で改憲案の発議ができるようにしようとしているのだ。
第二に「地位利用による国民投票運動の制限」の条項で、「公務員」と「教育者」が「その地位にあるために特に国民投票運動を効果的に行いうるような影響力(教育者にあっては、学校の児童生徒及び学生に対する影響力)又は便益を利用して、国民投票運動をすることができない」としていることだ。
要するにこれは、自治労・日教組を始めとした公務員労働者、教育労働者の改憲反対運動を禁止するという、とんでもない攻撃である。その対象となる500万人もの労働者が、政治活動や表現の自由を奪われる。まさに改憲と戦争への戒厳令が敷かれるに等しい。
「罰則は設けない」としているが、教員免許更新制の導入や公務員制度改革と一体でこの攻撃はかけられているばかりか、改憲反対運動の「禁止」規定は絶大な強制力をもって、労働組合をがんじがらめに縛りつける。その上で懲戒処分が乱発されていくことは不可避である。
別条項の「罰則」規定の「組織的多数人買収」や「利害誘導罪」で、労働組合や団体の組織的な反対運動を禁止・弾圧しようとしていることも、極めて重大である。
第三に、マスコミが完全に改憲賛成一色となり改憲世論が誘導されていくということだ。特に投票日前の14日間は、一切の改憲反対の有料広告が禁止される一方、政党とその指定する政治団体は無料でマスメディアを使った宣伝ができる。
また15日以前の有料広告は、財力のある大政党や財界の宣伝・広告がメディアを制圧し、改憲賛成一色になっていく。
まさに“改憲戒厳令”ともいうべき状況だ。法案賛成の民主党、改憲勢力化を深める連合指導部を打倒し、改憲阻止決戦の本番の闘いとして、改憲投票法案阻止に総決起しよう。
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週刊『前進』(2283号1面4)(2007/02/19 )
全逓4・28裁判
“被免職者を職場に戻せ”
勝利判決が確定
13日、最高裁は78年反マル生越年闘争での郵政省(当時)による免職処分の取り消しを求めた訴訟(4・28裁判)において、郵政公社の上告を退ける決定を下した。これで被免職者の処分を取り消した04年東京高裁の勝利判決が確定した。
78年反マル生越年闘争は合理化攻撃への反撃として巨大な物ダメで当局を決定的に追い詰めた。だからこそ79年4月28日、58人の懲戒免職を含む8000人を超える処分を加えてきた。
闘えば必ず勝てる!
しかし連合全逓中央はこの攻撃の前に完全屈服し、被免職者を切り捨ててきた。「78年のようなことは二度とやりません」と誓い、全郵政との組織統合にのめり込む全逓中央を打倒しよう。被免職者の職場復帰をかちとり、現場からの反撃をたたきつけよう。
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週刊『前進』(2283号2面1)(2007/02/19 )
3・4春闘国鉄集会に結集を
基地統廃合-労組破壊粉砕!
動労千葉スト支援へ
いま、JRのすべての労働者を例外なく対象にした大攻撃が始まっている。@大規模な基地統廃合、A駅業務の全面的外注化の開始、Bライフサイクル問題、C動労千葉解体、1047名闘争解体を焦点とする労働組合根絶の攻撃だ。動労千葉は、この大攻撃と真っ向から対決し「館山運転区・木更津支区廃止絶対反対!」「ライフサイクル提案白紙撤回! 業務の全面的な外注化攻撃粉砕! 第2の分割・民営化攻撃を打ち砕こう」のスローガンを掲げて渾身(こんしん)のストライキに立とうとしている。動労千葉の春闘スト支援・連帯行動に、職場の仲間を組織しよう。動労千葉が呼びかけている3・4春闘総決起集会に集まろう。
“ライフサイクル撤回”
JR資本による大合理化攻撃の根底にあるのは、4月1日で20年を迎えるJR体制の深刻な破綻(はたん)だ。JR資本は「安全の崩壊」「要員不足」「技術継承の断絶」「当局・カクマル結託体制の危機、その底知れぬ腐敗露呈」など、あらゆる側面から噴き出す矛盾に直面している。これを、さらなる大合理化と労組根絶攻撃で突破しようというのだ。この攻撃に対して、すべてのJR労働者は激しい怒りを煮えたぎらせている。
ここでは「ライフサイクル」問題を切り口に、JR体制の破綻と、大合理化攻撃粉砕の展望について見ていきたい。
要員問題の爆発
JR東日本は昨年秋、「『ライフサイクル』の深度化について」という提案を行った。これまでの〈駅→車掌→運転士〉というライフサイクルを見直し、@運転士職についた者は全員が33〜40歳までに駅に強制異動し、A駅で5年間勤務後、6〜8割の者が運転士職に復帰、2〜4割は運転士に戻れず駅などに残る、B07年10月1日から首都圏7支社(東京、横浜、八王子、大宮、高崎、水戸、千葉)で実施する、というものだ(図1参照)。これについてJR東日本当局は、千葉↓高崎、水戸↓八王子などの支社間の異動もある、すべて会社の都合で勝手に決めると公言している。
この提案の直接の背景にあるのは駅要員の不足だ。国鉄分割・民営化以降、JR資本はひたすら極限的な人員削減を追求してきた。首都圏7支社の駅要員は、東北地方からの大量の広域異動でかろうじて補われてきた。これからしばらく大量退職期が続く中で「要員不足」問題が深刻化しているのだ(図2参照)。
しかも、今年4月から駅業務の全面外注化が始まる。これも破綻は必至だ。グリーン車担当車掌は昨年から外注化され、契約社員に置き換えられてきたが、頻発する輸送混乱時に乗客対応の矢面に立たされ、将来の身分保障もない中で、辞める人、契約更新を拒否する人が続出している。現場管理者ですら「駅業務まで外注化したら大変なことになる」「駅のシャッターを閉めるしかなくなる」と悲鳴をあげているのが現実だ。
「ライフサイクル」とは運転士を将棋のコマのようにタライ回しして当局の失敗のしりぬぐいをさせようというものだ。
だが、運転職場にも余裕などまったくない。休日勤務でやっと回っているのが現状だ。運転士の技術は、継続的に運転業務に携わる中で培われ維持される。駅で5年働き、すぐ復帰できるほど簡単なものではない。極限的なスピードアップや長時間労働の中で、運転士の少しのミスが大事故に直結する現実は、尼崎事故以降も何も変わっていない。「ライフサイクル」実行は、さらなる安全崩壊に直結する。
団結破壊が核心
何よりも「ライフサイクル」提案の核心は、団結破壊にある。その実施過程は必ず”誰が運転職場に戻り、誰が駅に残るのか”といった選別プロセスになる。当局は、こうした過程もテコに使って職場の団結をバラバラに解体し、当局に文句も言わず従う運転士を育成して運転職場を支配しようとしているのだ。
安倍・御手洗路線と激突
JR東日本が開始した大合理化攻撃との対決は、安倍・御手洗路線との激突の焦点だ。
〈9割の労働者を非正規雇用にする〉という95年日経連プロジェクト報告を受け、JR東日本は01年に「ニューフロンティア21」という中期経営計画をスタートさせた。徹底した「市場原理」「競争原理」を打ち出し、「1万人削減」を掲げて設備部門と検修の外注化、極限的人減らしを進めた。01年完全民営化をにらみながら「民営化攻撃」の本性をむき出しにした資本攻勢に出てきたのだ。
東労組の裏切り
これは、JR総連カクマルの裏切りなしに成り立たない攻撃だった。
01年6月の定期大会で東労組が打ち出した「組織*労働生活ビジョン21」では「ニューフロンティア21は時宜を得た発表」「厳しい経営環境に対する新しい協力体制が必要」などと合理化に率先協力すると表明し、その中味として「駅↓車掌↓運転士のライフサイクルのあり方を検討し、多様なニーズに応えられる制度を実現します」「駅の将来像を主体的に創造し、雇用形態のあるべき姿を確立します」と書いている。なんと01年段階で、ライフサイクルや駅業務外注化を、組合から逆提案していたのだ。本当に、骨の髄まで腐りきったやつらだ! この事実を知った平成採の青年労働者は、激しい怒りを爆発させている。
国労本部の屈服
政府とJR資本はこの過程で、本州3会社(東日本、東海、西日本)の完全民営化をなしとげ、国家の全体重をかけた国鉄分割・民営化攻撃の「完成」「成功」をうたいあげるためにも、動労千葉解体に全力をあげ、1047名闘争解体を画策した。そのために仕組まれたのが4党合意(00年5月)だった。
国労本部の4党合意受け入れ―1047名闘争の危機と、外注化攻撃への屈服は一体で進んだ。国労本部は、政府とJR資本への現場組合員の怒りを抑え込んで合理化を容認し、国労の主力であった保線部門の外注化と出向強制に対する闘いまで放棄した。
JRの安全は崩壊し、多数の乗客やJR労働者、下請け労働者が殺され続けている。尼崎事故、羽越線事故、伯備線事故は、大合理化と組合の屈服が生みだした必然的結果なのだ。しかし国労本部は、一切の闘いを放棄するばかりか、昨秋には出向協定を締結し、労働委員会で係争中の全事件を取り下げる包括和解を受け入れ、総合労働協約まで結ぼうとしている。ついに合理化の手先にまで成り果てたのだ。
合理化反対は組合の命
動労千葉は、「ニューフロンティア21」を”第2の分割・民営化攻撃”ととらえ、組織の存亡をかけて闘い、団結を守ってきた。とりわけ、シニア協定締結を拒否し抜くことで、検修・構内業務外注化を阻止した闘いの教訓は重要だ。
JR東日本は、組合が外注化・合理化条項を飲まなければ、その組合に所属する労働者は60歳定年以降の再雇用をしない(事実上クビ)というシニア協定を突きつけ、動労千葉に外注化容認を迫った。しかし動労千葉は「合理化絶対反対の闘いは組合の命だ」「絶対に職場を明け渡すわけにはいかない」という立場を貫き、組合員との厳しい討論を積み重ねて、シニア協定の締結拒否という困難な道を選んだ。
東労組カクマルは率先してシニア協定を結び、国労本部もこの協定を飲んだ。その結果、検修・構内業務、保線・電力・信号通信業務が外注化され、東労組や国労の組合員は強制出向で外注先会社に追いやられた。
しかし千葉支社管内だけは、動労千葉がシニア協定を拒否したことで外注先会社の検修要員が確保できず、外注化にまったく手がつけられなかった。それどころか、ついに検修職場の日常業務も十分回らなくなり、04年には売店などに強制配転されていた動労千葉組合員14人の検修職場復帰まで実現したのだ。
闘えば勝てる!
極限的な人員削減で、JRの職場はどこもぎりぎりの状態で回っているのが現実だ。外注化するといっても、技術継承の問題もあり、さしあたり外注先にJR職員を強制出向させたり、定年を迎えたベテラン労働者を再雇用する以外にない。JR資本によるむちゃくちゃな大合理化攻撃は、労働組合の屈服・協力を前提にして初めて成り立つものでしかない。
実際に列車を動かし、職場を回しているのは現場労働者だ。職場の団結を基礎に、資本と原則的に対決するならば、逆に敵の側の矛盾があらわとなり、闘いの展望は必ず開ける。このことを動労千葉は、現実の闘いをとおして実証してきた。ここに階級的労働運動路線の生きた実践がある。
いま、改憲と戦争に突き進む安倍・御手洗体制のもとで、郵政民営化の強行、自治体労働者の200万人首切り、免許更新制の導入をとおした教育労働者の全員首切り=選別再雇用といった「国鉄分割・民営化型」の大民営化攻撃が始まっている。こうした中で、国鉄闘争の位置はいよいよ決定的となっている。
本当に危機なのは、政府とJR資本の側だ。敵は「結局、国鉄分割・民営化は失敗だった」ということになりかねない崖っぷちに立たされている。職場・生産点から闘いをまきおこし、国鉄分割・民営化攻撃に労働者階級の側から決着をつけてやるべき時が来た。 腐りきった既成労組幹部を打倒し、職場からJR労働者の反乱をまきおこそう。動労千葉のように闘おう。分割・民営化体制=JR体制を打倒しよう。動労千葉が呼びかけている3・4春闘総決起集会に集まろう。
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週刊『前進』(2283号2面2)(2007/02/19 )
関西合同労組弾圧許すな
デッチあげ逮捕に直ちに反撃
2月7日、兵庫県警は関西合同労組日本管検工業分会の5人を不当逮捕し、9カ所を不当捜索した。これに対する同労組の抗議声明を紹介します。不当弾圧を必ず粉砕しょう。(編集局)
関西合同労働組合日本管検工業分会に対する不当弾圧への抗議声明
関西合同労働組合執行委員長 石田勝啓
本日(2月7日)朝、兵庫県警公安三課は、「詐欺・雇用保険法違反」容疑で、関西合同労働組合日本管検工業分会の組合員5名の仲間を不当逮捕し、兵庫県内9カ所の不当家宅捜索をおこなった。この「詐欺・雇用保険法違反」容疑の逮捕・捜索は、100%労働組合に対するでっち上げ弾圧であり、われわれは満腔(まんこう)の怒りをこめて兵庫県警・公安三課を弾劾する。関西合同労働組合は、全国の闘う労働組合の仲間とともに、逮捕された仲間の即時釈放を実現し、大弾圧をはねかえすために全力で闘うことを宣言する。
日本管検分会の5名の仲間は、倒産・争議にかかわる雇用保険の条件付給付を伊丹職業安定所と相談しながら、全く正当に受けていた(最後本給付に切り替えた)ものであり、雇用保険の不正受給・詐欺などということは100%でっち上げの刑事弾圧であり、労働運動への悪辣(あくらつ)な不当弾圧である。兵庫県警は2003年にも成友印刷分会の分会長を全く同じ容疑で不当逮捕したが、検察は起訴すらできずに釈放せざるをえなかった。このことが、県警によるでっち上げ弾圧である事を明白に証明している。
警察権力は、労働運動弾圧目的で、これ以外にも、免状不実記載(免許証の住所が住んでいる住所と違うことが罪というのだ)でのべ6名の仲間を不当逮捕し、組合事務所を不当家宅捜索で踏み荒らした。この件については、兵庫県弁護士会人権擁護委員会が「捜査の必要限度を超える」「公安調査活動目的によるもの」であり「令状主義の潜脱行為」として兵庫県警本部に警告書を出している。
日本管検工業分会の仲間は、職場・生活を守るために倒産争議を全力で闘いながら、伊丹自衛隊基地真横にある事務所において、イラク侵略戦争への自衛隊派兵(日本の戦争協力)に反対する運動の最先頭で闘ってきた。
仲間の一人は、人工透析を受けて闘病しながらの命を懸けた闘いをおこなっている。この仲間の命を危機にさらす事は許されない。5名全員を一日もはやく一刻も早く取り戻さねばならない。5名は、一人ずつすべて違う警察署に留置されている。警察の不正義性が丸見えである。
このたびの兵庫県警の関西合同労組への弾圧は、全日建連帯労組関西生コン支部への弾圧や国労5・27臨時大会弾圧はじめ、戦争に反対し、安倍政権の新自由主義の弱肉強食の政策(労働組合破壊)と真剣に闘う労働運動への弾圧である。
関西合同労組は、これらでっち上げ弾圧と全力で闘い、憲法を改悪し戦争国家に突き進む安倍政権と全力で闘うものである。
マスコミ各位にあっては、物事の背景・本質を掘り下げず、警察情報を垂れ流しして、団結権侵害に手を貸さぬようお願いしたい。 以上
2007年2月7日
(写真 2月7日の逮捕日夕方、兵庫県警本部に抗議する関西合同労組と支援の労働者。9日、人工透析中の労働者を含め全員に勾留がついた。14日には勾留理由開示公判が行われ100人の労働者が駆けつけた)
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*日本管検工業争議 03年12月25日に日本管検工業株式会社は、自己破産を申し立て、全従業員を解雇してきた。組合嫌悪の偽装倒産・解雇の攻撃だった。これに対して日本管検工業分会は職場保全活動を闘い、05年2〜3月に裁判所と労働委員会の場で会社・破産管財人・組合との間で勝利的和解をかちとり、今も職場を守って闘っている。今回の弾圧は、倒産争議での保全活動中の雇用保険仮給付を「詐欺・雇用保険法違反」とするデッチあげ弾圧だ。
*雇用保険の仮給付 不当に解雇された労働者が解雇無効・従業員地位を争いながらその間の生活確保のために雇用保険を仮に受け取る制度。求職活動をしなくてもよい。戦後倒産争議が闘い取ってきた権利。
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週刊『前進』(2283号2面3)(2007/02/19 )
1・27米反戦デモの新局面
“労働者には国を止める力がある”
「11月の連帯」が切り開く
1月27日に全米で行われた反戦闘争は、労働者が主体となり、歴史を画する闘いとなった。
ワシントン50万人、サンフランシスコ1万人を始め全米各地で03年のイラク開戦以来の巨大な結集になった。この間、反戦デモを無視してきたマスコミも、右派系『ワシントンポスト』を含めて1面で大きく報道した。
またAFL―CIO(労働総同盟産業別組合会議)スウィーニー会長もメッセージを送った。
スウィーニーは、ブッシュのイラク開戦に際して支持声明を出し、その後も反戦運動を抑圧してきた。その彼が反戦を語ったのは、なぜか。
かつて第1次大戦に協力してきたドイツ社民党右派のエーベルトと同じだ。戦争への怒りの高まりとロシア革命を受けてドイツ革命が始まった。彼は、津波のように結集した労働者に「戦闘的」大演説を行った。こうして革命運動を内側から抑え、ローザ・ルクセンブルクやカール・リープクネヒト虐殺の道を開いた。スウィーニーもエーベルトと同様、革命の恐怖を感じているのだ。
ワシントン集会でイギリス反戦連合代表として発言したアンドリュー・マーレー氏は帰国報告で「潮目が変わった」「開戦以来最大のデモ」「労組の動員が非常に多い」「退役軍人や軍人家族の隊列が際立っていた」と述べている。
アメリカ階級闘争の力関係の激変は明らかだ。
(写真 労組破壊企業=ホーンブローアー社の桟橋前で集会をするデモ隊【1月27日 サンフランシスコ】)
体制内労働運動の抑圧うち破る
昨年までは、大きな壁をなかなか突破できなかった。米帝の侵略戦争の敗勢、泥沼化、不正義性が隠しようもなく明白になり、ブッシュ政権と戦争に対する支持率がますます落下してきたにもかかわらず、反戦闘争は伸び悩んだ。
原因は、労働者階級が反戦運動の主役になることを否定する既成労組指導部の路線だ。生産と交通を止めることができる労働者の団結した力を否定して、どうして反戦運動に展望が見出せるのか。「全世界2000万人のデモをしても戦争を止められなかった。デモをしてもだめ」という悪宣伝をどうやって打ち破れるのか。
04年の大統領選挙で、AFL―CIO中央はケリー支持運動を展開した。「民主党に反対するのはブッシュを助ける利敵行為」という論法で、ブルジョア政党=民主党支持を押し付けた。ケリーは、ブッシュを右から批判し、もっとイラクに増派せよと主張した。治安強化、労働法制、国民皆保険制度問題でもケリーは労働者の敵だ。
04年、ILWU(国際港湾倉庫労組)ローカル10が始めたMWM(百万人労働者行進運動)は、労働者階級の独自勢力の形成を主張し、35万人の組合員を代表する労組の賛同を集めた。
だが、「左派」労組を中心とするUSLAW(全米反戦労組連合)の代表世話人会は、AFL−CIO中央との対決を恐れ、MWM賛同を否決してしまった。アメリカ最大の反戦統一戦線、UFPJ(「平和と正義のための連合」)指導部も、民主党・AFL−CIO中央との協調を必死に追求した。
階級的労働運動潮流はこうした抑圧を突破するために必死で闘った。
その先頭に立ったのがILWUローカル10であり、AFL−CIO指導部の支援否定指令によって困難を強いられながらも団結を守り、444日間のストを闘い抜いたAMFA(航空整備士組合)だ。こうした潮流が体制内労働運動・民主党を断罪し続けてきた。
昨年の中間選挙で民主党多数の議会が誕生したものの、広範な労働者は初めから疑惑の目で見ていた。民主党は、数の上ではブッシュ罷免手続きも、戦争予算否決も可能になったのに絶対にやらない。裏切りは、大衆的に明々白々となった。
3・18日比谷から世界一斉デモへ
サンフランシスコでは階級的労働運動に反戦運動の一切がかかっていることを鮮明にした集会・デモがかちとられた。民主党支持運動は、全体集会後に別集会として開かれたにすぎない。力関係は完全に逆転した。
本集会には、労働組合を中心に1万人が結集した。壇上からは、昨年、日本の11月労働者集会に参加したクラレンス・トーマスILWUローカル10元書記長が「港湾・陸運・航空労働者には、この国を停止させる力がある。戦争を即時停止させる力がある」と宣言した。
デモの到着地は港の第31〜第33桟橋、ILWU破壊攻撃との対決の焦点だ。今、開戦前の02年に強行されたILWU破壊攻撃以上の攻撃が、イランへの戦争拡大情勢下で狙われている。
サンフランシスコ1万人デモは、階級的労働運動によってこそ反戦闘争の展望が開かれることを鮮やかに示した。11月日韓米国際連帯集会でILWUローカル10、AMFAの労働者が路線的確信と団結を強めてきたことが、この決定的な転換の力になっている。この闘いと連帯し、3・18全世界一斉デモの先頭を日比谷野音から切り開こう。
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週刊『前進』(2283号2面4)(2007/02/19 )
日程 国労5・27臨大闘争弾圧公判日程
第72回 3月6日(火)/第73回 3月28日(水)
第74回 4月18日(水)/第75回 5月9日(水)
※いずれも午後1時15分から、東京地裁
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週刊『前進』(2283号3面1)(2007/02/19 )
「日の丸・君が代」に反撃開始 大阪 130人超える不起立宣言
“できる!”と確かな手応え
1999年の「国旗国歌法」制定を機に、大阪における闘いにも処分攻撃がかけられました。処分攻撃を受けた教育労働者が組合所属の違いを超えて集まりました。
この後、「教育基本法」闘争などの重要な課題に、被処分者を軸とした取り組みが始まります。また、実行委員会というかたちで教育労働者の結集が始まります。
この数年間は闘いの連続でした。討論を積み重ねて闘いの方針をつくりあげていくことに徹した数年間でした。この中から、府教委抗議行動、人事委員会闘争、街頭宣伝、集会・デモなどが取り組まれました。
03年の「10・23都教委通達」とそれに続く大量処分、それをはね返す東京の教育労働者の闘いにどう連帯していくのかが大阪でも問われました。じつに2カ月近く討論を重ねて、「不起立宣言」を集めよう、関西からも闘いの意志と連帯の気持ちを伝えよう、ということになりました。これは同時に大阪で労働者の連帯を広げることにもなりました。それからは、「不起立宣言」を集めて集会を開き、東京の集会に参加するようになりました。
昨年から、大阪府教育委員会への申し入れ・交渉を始めました。これは各職場での取り組みにとって武器となることが分かりました。
今年は1月24日に「すわって示そう戦争反対!」実行委など22団体共同で取り組み、時間休で参加した現場の教育労働者十数人が先頭に立って府教委を徹底追及しました。その中で、教基法改悪を絶対に許さないことを突きつけるとともに、昨年までの卒業式で実際に行われた理不尽な起立の強制を取りあげ、徹底弾劾しました。
交渉に参加した堺市の保護者の方は、式場の保護者席で座っていると、管理職がそばまで来て「あなたが座っているから式が始められない」と起立を強制されたという事実を突きつけ、「保護者にはお願いしているだけだ」という言い逃れを許さず、徹底弾劾しました。
また、竹内教育長が昨年の府立高校卒業式に来賓であいさつした際、ほとんどの卒業生が着席したことを取りあげ、叱責(しっせき)した事実を追及しました。その卒業生の一人が新聞に投書し「しかられたような気持ちになった」と抗議しているのです。府教委は「掌握していない」「起立させたわけではない」と言ってごまかそうとするばかりで、この報告・抗議にまともに答えることができませんでした。
(写真 285人が”「日の丸・君が代」強制を許すな”と怒りの声をあげた【2月12日 大阪】) 集会が大成功
今年も「不起立宣言」運動に取り組み、すでに130人を超える宣言と連帯表明が集まり、大阪市内の天王寺区民センターで「『日の丸・君が代』強制反対・改憲を許すな!2・12集会」を285人の参加で成功をかちとっています。
集会の第1部では「不起立で阻もう戦争への道」をテーマに「教育基本法改悪反対運動を闘って」「都教委包囲ネット2・3集会報告」「府教委交渉の報告」、さらに参加者からの「不起立宣言」が行われました。なかでも、奈良で「君が代」実施を阻止してきた教育労働者と中学卒業予定の生徒の不起立宣言と、京都の高校生の不起立宣言が大きな拍手を呼びました。参加した教育労働者から組合の違いを超えて「評価システム」と闘おう、という呼びかけも行われました。
全国に先駆けて2月23日から府立高校の卒業式が始まります。集会では式当日の生徒・保護者へのビラまき、分会への「不起立宣言」の呼びかけ・状況報告の依頼などの具体的取り組みを参加者全体で相談し、闘いの準備が進められました。
今、大阪で最も重要な課題は、職場で苦闘する一人ひとりの労働者とどう連帯していくか、ということだと思います。教育をめぐる課題は山積しています。職場の仲間が討論しあって、討論の中から闘いをつくり上げていくことがほんとうに必要になっています。そして、まだまだ小さな前進ですが、この数年間の職場での取り組みと昨秋の教基法決戦の闘いをとおして、「できる!」という確かな手応えを感じています。
改悪教基法下の「日の丸・君が代」強制攻撃や評価システムの賃金反映の攻撃について職場の仲間とねばり強く話しあい、職場に闘う分会をつくり出し、全国の力で闘う日教組を再生していこうと思います。
(投稿/大阪T・K)
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週刊『前進』(2283号3面2)(2007/02/19 )
広島 広教組組合員が決意
根津さんが不起立闘争を訴え
2月11日、広島市のYMCA国際文化ホールで「改悪教育基本法にたち向かおう!2・11ヒロシマ集会」が開催され、県内各地から200人が参加しました。旧「紀元節」の日に毎年集会を開いてきた「教育基本法改悪反対!ヒロシマ実行委員会」の主催。
今年は卒入学式で「君が代」不起立を貫いてきた東京の中学教員・根津公子さんの講演を中心に改悪教基法への労働者、学生、市民の新たな闘争宣言の場となりました。
元参議院議員の栗原君子さんが開会あいさつで教育基本法改悪との闘いは関連法案阻止を始めこれからだと訴えました。
医療労働者の実行委メンバーが主催者からの提案を行った後に、ビデオ「『君が代』不起立」を15分間上映。停職処分期間中に職場の正門前に立ち、子どもたちに明るくあいさつする根津さんの姿が映し出されました。
「”改悪”教基法撤回は『君が代』不起立から」と題した根津さんの講演は、改悪教基法を阻止するのは現場の闘いだという揺るぎない確信に満ちていました。
「子どもたちになんの理由も説明できない『日の丸・君が代』強制は教育ではない」と、03年10・23通達後も3年連続で不起立を貫き、免職までも覚悟した根津さん。「東京の教職員は4万人。不起立者が、10人、15人とか2ケタだったら免職になったであろう。しかしそうさせなかったのは、3ケタの数の人々が不起立したから」。教育労働者が団結して闘えば絶対に勝てるという事実がここに示されています。「(日の丸・君が代という)ひとつの踏み絵を踏むと、なんの意味もない『週案』を強制でもないのに自ら残業してまで出すとか、そういうものがどんどん広がっていく」―「日の丸・君が代」強制をめぐる攻防は、職場支配権をめぐる闘いそのものだということがよくわかります。
根津さんは「戦後の日教組のスローガンは『教え子を再び戦場に送るな』。しかし、現状はもう送り始めている」と今日の情勢をみすえ、「教基法改悪反対の人は全員不起立すべきだ」と真正面から提起しました。最後に「広島でもさらに教職員に呼びかけ、不起立の風を巻き起こしてほしい」と呼びかけました。
根津さんの提起にこたえ、3人の広教組組合員が決意とアピールを述べました。「安倍政権が恐れているのは現場からの反乱。改悪教基法との闘いは職場支配権をめぐる闘いであり、その中軸は不起立闘争」「職場の怒りは臨界点に達している。分会会議で校長交渉を全員で持とうと決定した。職場の力関係を逆転させ不起立で闘う」「3月で退職だが最後まで不起立を貫く。現場が従わなければ改悪教基法は阻止できる」―職場で団結して闘えば勝てるという確信を持った教育労働者に「悲壮感」はありません。闘う誇りに満ちた表情で「不起立宣言」が続きました。
さらに広島大学の教職員、在日3世のオモニ、若者を代表して教員志望の学生が発言。学生が「自分たちも後から続くから、現場の教育労働者のみなさんは心ゆくまで闘ってください」と発言すると明るい笑い声が広がりました。集会アピール採択後、集会実行委員長の由木栄司さんが閉会あいさつに立ち、実行委は、卒業式シーズンにあわせて今月20日から3月20日まで「卒業式ホットライン」を設け、教職員や保護者らからの相談を受け付けることを発表しました。
集会後、市街中心部を通って原爆ドーム前までデモ行進し、注目を集めました。
(投稿/広島K・A)
(写真 不屈に闘う根津公子さんの講演に、参加した労働者は闘う決意を固めた【2月11日 広島】)
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週刊『前進』(2283号3面3)(2007/02/19 )
東京 処分撤回求め提訴
173人が大原告団結成
改悪教育基本法に真っ向から立ち向かって、東京の教育労働者が新たな闘いに突入した。2月9日、東京「日の丸・君が代」処分取消訴訟原告団が、東京地裁に処分取り消しと損害賠償を求めて提訴したのである。
今回提訴したのは、2003年度の創立記念行事、04年3月卒業式・04年入学式で、起立やピアノ伴奏、会場への入場を拒否したなどとして、戒告や減給処分とされた都立学校の教育労働者、総勢173人の大原告団。「日の丸・君が代」処分をめぐって、過去最大の裁判闘争となる。
被処分者は04年の処分発令以降、東京都人事委員会に処分の取り消しを求めて、人事委審理を行ってきた。しかし都人事委が横山洋吉元教育長(現副知事)の証人尋問を拒否し、審理の打ち切りを通告してきたことを受けて、人事委の裁定を待たずに東京地裁への提訴に踏み切った。
この日、原告となった被処分者50人余が集まり、提訴のために弁護士会館から東京地裁まで行進した。(写真)
続いて行われた報告集会では、尾山宏弁護団長が「日本経団連は御手洗ビジョンで『教育現場のみならず、官公庁や企業、スポーツイベントなど、社会のさまざまな場面で日常的に国旗を掲げ、国歌を斉唱』と表明した。『日の丸・君が代』強制との闘いは学校現場だけの問題ではない。この訴訟はすべての人にとって負けられない闘いだ」と述べた。
被処分者の会の事務局長は「今年度末に定年退職を迎える被処分者が、またも嘱託不採用とされた。都教育庁は昨日、校長連絡会を開催し、卒業式に向けてこれまでと同じく職務命令を出せと命じた。職場で徹底的に闘おう。被処分者の会は、今年も卒業式の不起立・不伴奏者を支援して闘う」と述べた。
東京の被処分者は卒・入学式を前にして、「あくまでも徹底抗戦で闘う」という不屈の意志をたたきつけた。この闘いに続き、東京と全国で「日の丸・君が代」不起立闘争を巻き起こそう。
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週刊『前進』(2283号3面4)(2007/02/19 )
「6者協議合意」の本質は何か
朝鮮戦争発動へ時間稼ぎ
北朝鮮の核問題をめぐり開催されてきた6者協議は、2月13日、 「朝鮮半島の非核化」に向けて各国がとるべき初期段階の措置を決めた合意文書を採択した。
合意の骨子は、初期段階で、北朝鮮が60日以内に寧辺(ヨンビョン)の核施設の稼働を停止することなどを条件に、重油5万d相当のエネルギー支援をする。次の段階では北朝鮮が核再処理施設の解体を始め核施設を無能力化し、その見返りに100万dの重油を供給する。日本は「拉致問題」を理由に当面の重油支援からは外れ、他の4カ国が負担する、などだ。合意文書にはさらに、朝鮮半島の非核化、米朝国交正常化、日朝国交正常化など、五つの作業部会の設置が盛り込まれた。
だが、今回の6者協議の合意によって朝鮮半島をめぐる戦争的緊張が緩和し、米日帝の朝鮮侵略戦争策動が後景化したわけではけっしてない。合意の根底には、米帝のイラク侵略戦争の完全な泥沼化と敗勢がある。米帝がイラクでの危機にあえぎ、今は朝鮮侵略戦争を発動する余裕がない中で、徹底的に時間稼ぎをすること、それが米帝が合意にかけた動機である。
米帝はあくまでも北朝鮮への侵略戦争と体制転覆を狙っている。そのために北朝鮮の核開発を停止させ、北朝鮮を武装解除し、米帝がもっとも都合のいい時期を選んで、日帝とともに朝鮮侵略戦争を発動しようとしているのだ。米軍と自衛隊が02年に作成した日米共同の朝鮮侵略戦争作戦計画である「概念計画5055」が、何よりもそのことをよく示している。
北朝鮮は、米日帝の侵略戦争重圧に対し、核開発・ミサイル開発で反人民的に対抗しようとしてきた。だがそれが逆に米日双方の経済制裁を引き起こし、国内経済の崩壊と残存スターリン主義体制の危機をますます進行させた。こうした中で北朝鮮は、核施設の稼働停止や施設の解体と引き換えに、重油支援と経済制裁の解除を手にする道を選択したのである。
しかし、6者協議の合意過程はけっして順調に進むわけではない。なぜなら、米帝はすでにアフガニスタン・イラク侵略戦争に突入した段階から世界戦争路線にのめり込んでおり、次はイラン、北朝鮮への侵略戦争発動の決断をしているからだ。6者協議はそのための時間稼ぎ、本質的に朝鮮侵略戦争に向けた国際体制構築のための作業でしかないのである。
この間、対北朝鮮包囲網形成を狙って最強硬路線を突っ走ってきた日帝・安倍は、今回の6者協議で「拉致問題」をごり押しした。だが拉致問題は事実上、棚上げされ、合意文書に日朝国交正常化協議の開始が盛り込まれたが、これは拉致問題を議題として約束したものではない。安倍は「拉致の問題があるので、エネルギーの支援や援助はできない。日本の立場は他の国々も十分に理解している」と強弁した。しかし1月に米朝ベルリン協議が開催されたことを含め、最強硬派の日帝が「はしごを外された」ことは明白である。
われわれは、6者協議の合意のいかんにかかわらず、9条改憲阻止、米日帝の朝鮮侵略戦争阻止へと闘わなければならない。
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週刊『前進』(2283号3面5)(2007/02/19 )
米軍再編特措法案が国会提出
金で自治体に屈服を迫る
政府は9日、「米軍再編特別措置法案」を閣議決定し国会に提出した。今国会での成立を狙っている。法案の内容は次のようなきわめて反動的なものだ。
▽再編の進ちょく状況に応じて関係市町村に交付金を支出。@政府案の受け入れA環境影響評価の着手B事業着手C事業完了の各段階に応じて、@10%A30%B60%C100%を交付
▽負担の大きな市町村の公共事業には、国の補助率を引き上げ
▽在沖縄海兵隊のグアム移転費用のため、国際協力銀行(JBIC、政府系金融機関)が融資や出資をできるようにする
▽2017年3月末までの10年間の時限立法とする
米軍再編特措法案は、防衛省の発足に続き、安倍政権が日米同盟を侵略戦争の軍事同盟として一層強化し、とりわけ朝鮮・中国侵略戦争に突き進んでいくための決定的な攻撃である。労働者人民に首切り、賃下げ、生活破壊を押しつけておいて、人民から搾り取った血税を米軍再編と戦争のために使い込もうとしている。そのカネは、一握りの独占的大資本のふところに入っていくのだ。
たとえばグアム米軍基地の新たな兵舎・家族住宅建設のために、日本側はなんと7000億円も負担する。そのうちの半分は直接の政府支出であり、残りの半分は返済期限も定めない出資や融資だ。
米軍再編はまた、沖縄、横須賀、厚木、座間・相模原、岩国、佐世保などの住民に一層の基地強化を押しつけ、戦争の犠牲となることを強制する。
しかも、自治体の財政危機につけ込み、カネで基地を押しつける卑劣なやり方をしている。再編交付金とは、「カネをやるから、政府案を丸ごと受け入れよ」と迫る、卑劣な買収策にほかならない。これまで基地を抱える自治体に、自治体の態度とはかかわりなく交付してきた公共施設整備費や防音工事費や移転補償費などとは決定的に性格が異なるものだ。
早速、防衛省首脳は、名護新基地建設に基本合意しながら政府案の修正を求めている名護市に対して、「今のままでは出せない。ゼロだ」と語った。厚木からの空母艦載機の移転に反対する岩国市に対しては、交付金のみならず新市庁舎建設のための補助金も凍結している。地元市民は「差別的な兵糧攻めだ」と怒っている。これが日帝・安倍政権の正体なのだ。
安倍政権はまた、イラク特措法が7月末に4年間の期限切れとなるのを前に、同法を2年間延長する改定案を3月下旬に閣議決定しようとしている。これは、米帝のイラク侵略戦争がイラク人民の不屈の抵抗によって危機を深めている中で、日帝が米軍を全面的に支えようとするものである。断じて許されない。
米軍再編特措法案は、全国の労働者人民の怒りと闘いに、必ず火をつけるだろう。全国で米軍再編に反対する闘いを爆発させよう。名護新基地建設を絶対阻止するために、沖縄労働運動の前進を必死でつくりだそう。何よりも3・18闘争の大爆発が決定的だ。
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週刊『前進』(2283号3面6)(2007/02/19 )
「夕張問題」を考える
日帝の破産と国家の責任
問われている団結と革命
夕張市の財政破綻(はたん)の問題は、市当局の資金繰りの失敗であるとか、「旧産炭地の悲劇」であるとか言われている。だが、直接の最大の責任は、国家の財政破綻をのりきるために地方経済−北海道経済を切り捨て、また戦争国家づくりのために地方自治体と自治労を破壊しようとしてきた、日帝とその政府の攻撃にこそあるのだ。
さらに、より根本的に言えば、日本資本主義・帝国主義の戦後発展の歴史と国の政策によって「旧産炭地の悲劇」が生み出されたという意味で、日帝の体制そのものに原因と責任がある。この体制的に破産した帝国主義の打倒こそが問われているのである。
夕張市について安倍政権は「国に責任はない」と繰り返している。しかし歴史的にも今日的にも国には重大な責任がある。632億円と言われる夕張市の負債総額の大半の責任を負う逃亡した北炭―炭鉱資本はもちろん、北海道庁も金融資本も責任は同じである。
石炭から石油への政策転換
1960年、国の資源・エネルギー政策は、石炭から石油へ大転換を開始した。それ以来、全国で炭鉱の閉山が強行されていった。これは総評傘下で有力な戦闘的民間産別であった炭労(日本炭鉱労働組合)への解体攻撃でもあった。産炭地の自治体は存亡の危機に直面した。
夕張市の場合、上水道も病院もすべて炭鉱資本のものだった。これらを買収して維持しようとすれば、別の産業を誘致できない以上、自治体の力で新たな産業を起こすしかない。同市は市の事業として観光開発を展開、「石炭の歴史村」「石炭博物館」といった特殊な観光施設を29カ所も造った。だがバブル崩壊に加えて、北海道経済切り捨ての打撃が襲い、経営は危機を深めていった。
市は、借金財政で観光会社に補填(ほてん)する政策を繰り返した。その結果が雪ダルマ式に膨らんだ累積債務だ。だが、財政危機を迎えているのは夕張市だけではない。道内自治体の3分の1がこれに続いている。
「夕張問題」は、全国の自治体破綻の始まりに過ぎない。800兆円を超える国債と借入金を抱える国は、地方への財政支出の削減で、矛盾を地方に転嫁する。だが自治体はそうはいかない。住民の生活と権利は切り捨てられない。自治体の財政破綻は不可避なのだ。
安倍政権は、戦争国家への大再編を道州制と称して狙っている。国の戦争政策に反旗を翻すかもしれない自治体はなくなれ、戦争遂行体制の末端部の自治体に労働組合はあってはならないと思っている。
そこに夕張市の財政破綻が表面化したので、安倍政権は自治体と自治労の解体攻撃のモデルに夕張市を選んだ。
昨年夏以降、国と道は一切の責任を夕張市に押しつけた。赤字再建団体入りの条件として、名前は「再建計画」だが事実上の自己崩壊計画の策定を強制した。最大の狙いはリストラと賃下げ、市職員組合の解体だった。
「全国最低の生活水準」と「全国最高の住民負担」の強制で医療も文化も教育も水道もなくなり、「再建計画」最終年とされる20年後にはゴーストタウンと化すことが明らかになった。それにつれて、血も涙もない国や道のやり方への怒りが全国的に高まった。
安倍政権と高橋知事はこの事態に焦り、批判をかわすために昨年末以降、再建条件の緩和、救済措置の繰り出しに転換したがもはや手遅れだ。救急救命士は補填のめどが立たず、水道管理もやれる者がいなくなる。
自治体崩壊にどう闘うか?
夕張市の財政破綻は、帝国主義支配の崩壊の始まりである。今後、膨大な自治体の崩壊に労働者階級と住民がどう立ち向かうのか、労働組合はどう闘うのか。国や道が強制する「再建案」では労働者も住民も、もはや生きていけない。本質的にも現実的にも、日本帝国主義打倒のプロレタリア革命が問われている。
夕張市の幹部はほとんど退職するが、一般職を中心にして市職員の半数が残る。夕張市には自治労を始め、4大産別の労働者が全部いる。しかし屈服と裏切りの連合既成指導部によっては、これまでがそうであったように、団結し闘って労働者と住民が生きていくことは絶対にできない。問題は階級的労働運動の旗のもとに、プロレタリア革命の立場から体制内の既成指導部を打倒して、労働者と住民が団結し、日帝と政府、道、資本=金融機関と闘いぬくことができるかどうかである。
今、全国で「第二の夕張市になるな」と、自治体労働者に対する攻撃が激化している。しかし、地方自治体の財政危機の原因と責任は、明らかに帝国主義の体制そのものと国=政府にある。だから帝国主義の打倒=プロレタリア革命しかないのだ。このことを断固として言い切り、自治労中央を始めとした連合既成指導部をのりこえ、打倒して、労働者が団結し、日帝・政府と資本に徹底対決して闘うことこそが、労働者と住民が生きていく唯一の道なのだ。
(北海道 三原忠雄)
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週刊『前進』(2283号4面1)(2007/02/19 )
解同全国連第16回大会の成功へ
労働者との階級的団結固め解放運動絶滅攻撃うち砕け
全国部落青年戦闘同志会
きたる3月3〜4日、東大阪市の荒本人権文化センターで、部落解放同盟全国連合会の第16回大会が開催される。本大会は、初めて代議員制で行われる。安倍政権による改憲攻撃のもとで、大阪、京都、奈良などにおいて部落解放運動絶滅攻撃が吹き荒れている。これと全力で対決し、「闘う全国連」の飛躍をかけ、部落解放運動を根本から再生するため、大会の歴史的成功へ向け立ち上がろう。大会自身をこの間の差別扇動に対する一個の糾弾闘争としてかちとろう。
相次ぐ差別扇動の狙いは全国連解体
今日、大阪、京都、奈良をはじめとする地域で進行している事態は、戦時下における部落差別攻撃の本格的始まりと言うべきものである。
国家暴力による部落解放運動絶滅の攻撃、それをテコとする労働運動解体の攻撃である。日帝は、この両者を軸にした部落差別攻撃による人民分断支配をもって、侵略戦争体制をつくろうとしているのだ。
関・大阪市長は「(部落を)特別扱いしたことがそもそも間違い。今後は一切特別扱いしない」と主張、経済界や警察などによって構成される市長直属の諮問機関を設置し、そこで決まった方針を暴力的に実行するという形で、同和事業の全廃を強行している。桝本・京都市長にいたっては、「(市職員の不正問題は)現業に同和地区から甘い基準で採用したことが原因」だと主張、現業の大リストラ(50%の民営化)を暴力的に強行しようとしている。これは、「部落=悪の巣窟(そうくつ)」という恐るべき部落差別扇動そのものである。
これらは、これまでの「地対協」のもとで行われてきた同和政策と180度異なる、きわめて露骨な「部落差別は当然、文句を言わせない」という差別主義的主張、専制主義的支配の考え方にほかならない。1965年の「同和対策審議会答申」に基づいて開始された「同和対策」自体が誤りだったという主張であり、部落解放運動の存在そのものの否定である。いまや、これが日帝権力、ブルジョアジー、行政の基本方針として座ったということだ。
だがこれは、日帝による部落解放運動解体の政策の破産の自認であり、その結果としての硬直化でしかない。
そもそも同和事業は、行政が一生懸命に部落差別の解消のために取り組んできたというようなものでは断じてない。それは、一貫して部落大衆の差別糾弾闘争の力を抑え込み、部落解放運動を懐柔し、解体しようとする政策のもとで行われてきたのである。
権力、行政が問題にした大阪の「飛鳥会」にせよ、奈良の中川にせよ、八尾の丸尾にせよ、いずれも、部落大衆を抑え込む目的で行政が便宜(利権)を与えて育成してきた地域ボスそのものだった。彼らに対する摘発、逮捕、切り捨ては、こういうやり方では部落解放運動をつぶせなかったという破産的結果にほかならないのだ。
その核心こそ、全国連の存在にある。全国連による狭山闘争、住宅(家賃)闘争をはじめとした闘いが最後の砦(とりで)となって、本部派総体の屈服・転向にもかかわらず、部落大衆の団結と戦闘力が生き残ってきた。そして、本部派をのりこえて再び巨大な団結となって日帝の前に立ちはだかることに、日帝支配階級が震え上がっている。
ここにこそ、今日の部落解放運動絶滅攻撃の核心的な動機があるのである。
本部派は、この大攻撃に対して、活動停止宣言や「提言」方針なるものを出して、全面降伏に等しい態度をとっている。
融和主義化を深める本部派を打ち倒そう
「提言」とは、ブルジョアジーや権力の言うことを聞いて、「それに従います」という奴隷の宣誓に等しいぶざまな屈服宣言そのものである。
同時に、このなかで、きわめて自覚的な本部派の融和団体化が進行している。本部派の一定の権威とされている大賀正行氏などは、マスコミに再三登場し、部落解放運動とは「部落のマイナスイメージを払拭(ふっしょく)する運動」などというデタラメな主張をふりまいている。これは、「差別されないようにしよう」という帝国主義的融和主義のもっとも基本的な主張とうり二つだ。いまや本部派は、帝国主義的融和運動の旗手として、支配階級への自覚的、積極的な売り込みによって生き延びようとしているのだ。
だが、こうした部落解放運動絶滅攻撃とそれに対する本部派の屈服は、本部派のもとにあった部落大衆や、本部派との共闘という形で部落解放運動を闘ってきた労働者のに、ある種の「価値観」の崩壊を引き起こしている。反撃のための必死の格闘が本部派をのりこえて始まっている。現に大阪では、同和事業全廃に対する抗議行動に、本部派の統制を超えて、各支部300〜600人の規模で大衆決起が起こっている。水平社創立前夜、戦後解放運動の高揚期を思わせる歴史的な出来事である。
全国連の真価が問われている。いまこそ本部派を打倒し、部落大衆や労働者の怒りと結びつき、あらゆる形をとった差別糾弾闘争を組織し、階級的労働運動と結合した部落解放運動の新たな道筋を切り開いていかなくてはならない。
もっとも重要なことは、現下の攻撃の核心が全国連の解体、絶滅にこそあるということだ。
いまや全国連は、創立以来の最大の勝負のときを迎えていると言わなくてはならない。存亡の危機であると同時に、主流派として部落大衆の全体を獲得していくチャンスでもある、そういう勝負どころに立っているのである。
今日の部落解放運動絶滅攻撃のもとで部落大衆に求められていることは、実力で権力・行政を糾弾し、実力で人間的権利を闘いとるということである。全国連自身が、「闘う全国連」として、帝国主義の全反動を相手にして、住宅闘争、狭山闘争などの攻防の焦点において大衆的な実力闘争をもって血みどろ、汗みどろになって勝ち抜き、この道を全部落大衆の前に示していかなくてはならない。
たたき出し許さず住宅闘争の爆発を
この日帝による部落解放運動絶滅攻撃との最大の正面戦は、住宅(家賃)闘争である。同和住宅家賃値上げに対して、旧来家賃を供託して闘うという実力反対闘争は、全国連が創立以来の独自の闘いによって、部落の本部派支配を食い破ってつくりだした新たな部落大衆の団結の砦であり、もっとも全国連らしい大衆的土台をもった闘いである。だからこそ今日の部落解放運動絶滅攻撃とのもっとも激しい攻防の焦点となっているのだ。
昨年12月、大阪府の八尾市は、西郡の供託者に対する給料の差し押さえに踏み切った。この差し押さえ攻撃は、住宅組合と行政との交渉のさなかに、行政の側から問答無用の形で行われたものであった。住宅闘争は、この攻撃をもって、まったく新たな次元の攻防に突入したと言わなくてはならない。敵の側から実力行使に踏み切ってきたということであり、「明け渡し」を含んだ実力攻防の過程に完全に入ったということである。
実際にこうした動きは、奈良、西宮、神戸に連動している。奈良では、供託して闘っている市職員に対する差し押さえが市の方針として公然と表明され、西宮では「明け渡し」訴訟を行うことが市の方針として公然と表明されている。いまや個々の行政のレベルを超えて、住宅闘争は、日帝による部落解放運動絶滅攻撃の最大の焦点になっているのだ。
この日帝・行政の動きは、実に重大である。同和住宅から部落大衆をたたき出すという行為は、日帝による部落差別の歴史においても、最大級の極悪の差別攻撃にほかならない。彼らは、部落大衆が同和住宅に住むということをとおして地域的な団結を維持し、これが部落解放運動の震源地となっている現実そのものの解体、つまり「ムラ」そのものの解体に踏み込もうとしているのである。敵の側から部落と部落解放運動に対する反革命戦争に踏み切ってきたということだ。またこの攻撃は、自治体労働者をそれに動員し手先にしていくことをとおして、自治体労働運動を解体・撲滅しようとするものでもある。
住宅闘争は、いまや3大闘争(差別糾弾闘争、生活要求闘争、階級的共同闘争)のひとつの闘いというようなものではない。敵の側からも、部落大衆の側からも、部落解放運動の存亡をかけた、部落大衆が地域に住み団結することそのものをかけた、いかなる妥協の余地もない絶対に譲れない闘いだということである。
では、どのように闘うのか。その根幹は非妥協・不屈の実力闘争を貫くということである。いわば「三里塚反対同盟のように闘う」ということだ。
三里塚のように徹底非妥協の原則貫こう
反対同盟の「三里塚軍事空港絶対反対、一切の話し合い拒否、農地死守」の原則とその非妥協的貫徹こそ、日帝の国策としての成田空港建設攻撃をはねのけ、暴力的な農地強奪と対決して闘いを守り抜き、動労千葉との共闘を軸にした労農連帯の巨大な闘いに発展させてきた原動力であった。日帝の総力をあげた攻撃を受けながら、実に40年以上にわたって敵の攻撃を粉砕し、ついには日本におけるプロレタリア革命の一個の根拠地ともいうべき団結をつくり出してきた。
こういう闘いを部落(部落解放運動)においてやるんだという強烈な戦闘意志を打ち立て、このもとに団結を「新たに」打ち固めること、反対同盟のように、「非妥協の実力闘争をもって、何十年にもわたって(日帝打倒まで)闘いぬき、敵に一泡も二泡もふかせてやる」という気概、戦闘意志を闘いの心棒に打ち立て直すということである。
部落大衆に対する根本的信頼こそが重要である。住宅からのたたき出しなどという超ド級の部落差別攻撃が、部落大衆の逆鱗(げきりん)にふれないわけは絶対にない。家賃値上げに対する積もり積もった怒りは必ず大糾弾闘争となって爆発する。それは、部落差別と生活破壊に対する怒りと結びついて、旧来の供託の枠をはるかに越えて、同和住宅全戸の反乱となって爆発することは不可避である。
そもそも供託という闘いは、単に法的権利に基づいた救済措置の行使というようなものではなかった。それは、一律低家賃という同和住宅の基本原則の集団的実力行使の闘いであり、応能応益制導入に対する実力糾弾闘争だったのである。
実際に、住宅闘争に立ち上がった部落大衆は、どこの部落においても、「村のために、自分たちの家や土地を提供して建てた住宅だ」「住宅は役所のもんやない」「約束を破って値上げするなら、元の家や土地を返せ」と主張し、これらを大衆自身のスローガンとしてきた。これは、いまなお不動の大衆的確信でもある。またこれは、日帝の全重圧をはね返して、何十年にもわたって実力で闘いつづけることができる大衆的な共同綱領にほかならない。
いまひとつ重要なことは、この闘いを、同和住宅がある部落の、あるいは全国連の闘いに限定せず、労働者階級による共同闘争の新たな柱として打ち立て、狭山闘争と並ぶ全国的な大闘争にしようということである。
自治労、教労などの労働者を先頭にして、解放共闘などを軸にした一大支援運動を組織していかなければならない。自治労、教労をはじめとして、これを労働者自身の闘いとして取り組むとともに、部落解放運動の劇的再編情勢にこれをもってかみこみ、本部派のもとから部落大衆、知識人、労働組合をもぎりとるテコとしようということだ。全国連と解放共闘の力で、住宅闘争を、部落解放運動をめぐる現下の情勢を根本からひっくり返す大闘争として打ち立てよう。
分断越え労働者が差別撤廃の主体に
全国連大会の代議員制への移行は、今日の部落解放運動絶滅攻撃と対決し、300万部落大衆を本当に獲得していくために、全国連自身がひとつの「闘争団」「オルグ団」となっていこうとするものであり、全国連が中央本部を先頭にして旧来の殻をぶち破る自己変革の闘いに突入するという意味を持っている。
だが、この闘いの本当の成就のためには、労働者階級が部落差別撤廃の主人公として立ち上がることが絶対に必要である。今日の部落解放運動絶滅攻撃のなかで問題になっている最大の核心こそ、自治労、教労をはじめとした労働者が部落差別の手先になるのか、階級的団結をもってそれをはねのけ、部落解放運動の主人公、推進者として登場するのかということだ。
部落民は、実体的には労働者である。身分的分断によって、その全体が身分的差別を受けているが、実体はその大半が不安定雇用を中心とした労働者である。また、戦後の同和政策のもとで現業職への多くの採用が実現され、この層が部落の有力層をなしている。さらに、解放教育運動をとおして教育労働者が部落のなかに育っている。部落差別のもつもっとも重要な意味は、部落大衆が実体的には労働者でありながら、その階級的団結から排除され、階級的団結を阻害されているということにあるのだ。ここにこそ、帝国主義の部落差別=分断支配の核心がある。
だからこそ、この身分的分断をのりこえて、「部落民労働者」の階級的団結、「部落民労働者」と「一般民労働者」との階級的団結をつくり出していくことこそが部落解放運動の土台とならなくてはならない。これを軸にして、労働者階級が部落大衆とともに帝国主義による部落差別扇動を糾弾し、プロレタリア革命の勝利とプロレタリア独裁の樹立によって、帝国主義権力が再編的に組織した身分的分断を打ち砕き、部落差別の歴史的撤廃=人民の真の融合を実現していくのだ。部落解放運動とはその根本においてこういう闘いなのである。
動労千葉は今日、東日本解放共闘の中心に座り、狭山第3次再審闘争の牽引(けんいん)車となっている。部落差別との闘いを労働者階級自身の闘いとして位置づけ、実践し、そのことをとおして階級的労働運動を力強く発展させている。
狭山闘争は差別糾弾闘争の基軸である。不屈の闘志を燃やす石川一雄さんの無実の叫びにこたえ、狭山第3次再審の扉を絶対に押し開こう。
全国連の闘いと固く連帯し、狭山闘争、住宅闘争をともに担い、階級的労働運動を軸にした解放共闘を全国に打ち立て、部落解放運動絶滅攻撃を打ち砕こう。戦時下における部落解放運動の道筋を労働者階級自身の手で切り開こう。
3・3〜4全国連大会に結集し、大成功させよう。主体的な傍聴参加をかちとろう。
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週刊『前進』(2283号4面2)(2007/02/19 )
“革命で社会ひっくり返せ”
全学連 街宣で3・18デモ訴え
「ブッシュと安倍たおせ! 3・18全世界一斉デモ」に向けて、学生は駅頭や大学で連日怒濤(どとう)の街頭宣伝を敢行し、その中ですばらしい出会いと交流が始まっています。あらためて感じたことは、やっぱり街宣はすばらしい!最高に楽しい!ということです。
法大をはじめ学生や受験生が「3・18に行きます」と言って署名に応じ賛同しています。「ぜひ協力したい」と申し出てきた青年、「革命で社会をひっくり返そう」というビラをじっくり読んで「友だちにも広めます」と連絡をくれた若い主婦、また、「日本はどこでやるのですか?」と問いかける外国人の大学教員も。
若い人たちの反応が多いことにうれしくなります。そしてなんと言っても「こんな社会は革命やってひっくり返そう」「労働者が立ち上がれば戦争なんて止められる!」と真正面から主張するのが一番反応がいい。本当に世界革命の時が来た、いやもう始まっている、ということを掛け値なしに訴えることです。
道行く労働者や学生が立ち止まって私たちの演説を聞いているのは、必ず革命の話をしている時です。「僕らにはやつらを倒す力がある!」という主張こそ労働者や若者の魂に響くのです。
同時に敵の破綻(はたん)ぶりをはっきりさせます。イラク人民の大反撃の前になすすべを失い、国内の支持基盤さえ崩壊しつつあるブッシュ。「日本資本主義はあと10年しかもたない」「先の見えない闇(やみ)の時代だ」と泣き言をたれる安倍や御手洗。こいつらをとことんこきおろしていく。そして、いまや世界中の労働者人民が怒濤の勢いで決起していることをガンガン宣伝します。
さらに、動労千葉が3月春闘ストを宣言したことです。動労千葉を語るということは「労働者階級こそ、歴史をつくり、社会を変革する主体である」ということを具体的にはっきりさせることでもあります。労働者階級による社会そのものの革命ということのデカさで、すべての人を獲得するつもりで話すのがずっと大衆的だということです。
当たり前のことですが、自分が本気で訴えたいことは、多くの人の前で自分の言葉で語らなくてはなりません。自分が怒りを感じることにきっとみんなも怒っているはずだと確信をもって、どんどん街頭へ出ていきましょう。まだ自分が出会ったことのない仲間がこの街にどれだけいるか、わくわくするじゃないですか。そういう人たちと直接顔をつき合わして議論することをつうじて、自分自身が鍛えられ、いっそう自分の闘いに確信を持つことになります。
逆に言えば、街頭で訴えず、何か別の方法で「興味をもってもらおう」とするようなおずおずとしたやり方は、他人を信頼しきれていないし、本当の意味で自分の闘いに確信を持てていないということでもあります。そういう姿勢では、本当の意味で広い闘いはつくれないと思います。
3・18を正面から掲げ、のぼり旗とマイクを持って街頭に出かけましょう!
(全学連M・A)
(写真 「安倍倒そう!」との真剣な訴えに多くの人が足をとめ署名した【2月7日 JR御茶ノ水駅前】)
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週刊『前進』(2283号4面3)(2007/02/19 )
隣の労働者を3・18に
反戦共同全活 3月大行動へ白熱討論
2月12日、反戦共同行動委員会の全国活動者会議が開かれた。冒頭、新たに代表となった動労千葉の田中康宏委員長が「もはやこれまでのあり方や闘い方では通用しない。革命をはっきりと問題にして職場で隣の労働者を獲得する、そこで勝負するということだ。動労千葉は一部の活動家の闘いではなく、1000人の決起が情勢を揺り動かすという闘いをやってきた。3月の闘いに互いの飛躍をかけて挑戦しよう」と力強く提起した。
続いて入江史郎代表が「どれだけ運動の実体を職場につくり出せるかが勝負。それぞれが失敗を恐れずに挑戦し、11月の成功を何としても実現しよう」と檄(げき)を発した。さらに三角忠代表も「労働者階級に依拠した反戦運動、この原点に立ち返って闘おう」と訴えた。
討論では、まず東灘区住民の会の松原康彦さんが、関西合同労組にかけられた不当弾圧との闘いを報告した。全学連の織田陽介委員長は3・18日比谷集会に向けて「政府をぶっ飛ばす以外にどんな未来があるのか、そのことをあいまいさなく提起することが核心だ。労働者には革命をやり、次の社会をつくる力があるんだ、と真っ向から訴えよう」とアピール。また三里塚現闘員から「市東さんへの農地強奪はすべての農民にかけられた切り捨て攻撃だ。3・25への大結集から新たな労農同盟をつくっていこう」と呼びかけられた。
都政を革新する会事務局長の北島邦彦さんは、「労働者の闘いを軸に据えた闘いで4月杉並区議選に勝利する」と決意を述べた。九州、広島からの発言に続き、部落解放同盟全国連、反戦自衛官、沖縄青年委員会、婦人民主クラブ全国協、青年アジア研究会などが3月大行動と07年の闘いへの熱い思いを語った。
最後に滝口誠事務局長が「当面する最大の闘いとして3・18集会の成功をかちとり、改憲投票法案粉砕の国会決戦に打って出よう」とまとめを提起した。
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週刊『前進』(2283号4面4)(2007/02/19 )
2月6日〜13日
「君が代」処分で都に賠償請求
米軍再編特措法案を閣議決定
●「増援最大3000人」 ゲーツ米国防長官は、上院軍事委員会の08会計年度国防予算案に関する公聴会で証言し、イラクへの米軍2万人超の増派について「10〜15%増えることがあり得る」と述べ、支援部隊としてさらに最大3000人程度を増援する可能性を明らかにした。(6日)
●米、アフリカ軍を新設 ゲーツ国防長官は、米軍で世界を担当地域ごとに統括する統合軍の区割りとして、新たに「アフリカ軍」を創設する方針を発表した。地域統合軍は5から6へ再編される。(6日)
●米軍が掃討作戦を開始 イラク駐留米軍のコールドウェル報道官は、バグダッドの治安回復と武装勢力・民兵組織の掃討を目指す米・イラク軍の合同作戦がすでに開始されていることを明らかにした。AP通信は、投入される米軍とイラク軍の総兵力が最終的に最大約9万人に上ると報道した。(7日)
●普天間移設、環境アセスの入札公示 防衛省は、在日米軍再編に伴い沖縄県の普天間飛行場(宜野湾市)の移設先となる名護市辺野古崎周辺海域の環境影響評価(環境アセスメント)を実施する業者を選ぶ入札を官報で公示した。沖縄県の仲井真知事はまだアセス実施を容認していない。官報によると調査対象は辺野古崎と大浦湾、辺野古湾で、サンゴ類や海草藻類、騒音などの調査を行う。指名競争入札で3月28日に実施される。(8日)
●日本版NSC、補佐官を常設 日本版国家安全保障会議(JNSC)を目指す「国家安全保障に関する官邸機能強化会議」(議長・安倍首相)が首相官邸で開かれ、外交・安全保障担当の首相補佐官の常設を決めた。政府は今国会に関連法案を提出し、来年4月にJNSCを立ち上げる方針。(8日)
●NATO、アフガン増派へ 北大西洋条約機構(NATO)がスペインのセビリアで非公式国防相理事会を開き、アフガニスタンでの兵力増強を申し合わせた。タリバンの抵抗が続く南部での増強が目的。(8日)
●米軍再編法案を閣議決定 政府は、在日米軍再編に伴い、米軍基地や訓練を受け入れる市町村に対し、再編計画の進み具合に応じて「再編交付金」を配分する新制度を盛り込んだ米軍再編特別措置法案を閣議決定した。防衛相が交付先の自治体を指定するほか、振興計画などを決める「再編関連振興会議」を防衛省に設置することも決めた。同会議は防衛相が議長となる初の閣僚会議。防衛施設庁を廃止し、防衛省に統合するための防衛省設置法等改正案も閣議決定した。(9日)
●教職員173人が都を提訴 「君が代」斉唱時に起立しなかったなどとして東京都教委から懲戒処分を受けた都立学校の教職員ら173人が「『日の丸・君が代』の強制により思想、良心の自由が侵害された」として、都を相手取り、処分の取り消しと原告1人当たり55万円の損害賠償を求める訴えを東京地裁に起こした。(9日)
●イラク特措法延長へ 政府は航空自衛隊のイラク輸送活動の根拠となっているイラク復興支援特別措置法が7月末で期限切れとなるのを前に、同法を2年延長する改正案を今国会に提出する方針を固めた。3月下旬にも閣議決定する。(10日)
●6者協議、合意文書を採択 北朝鮮の核問題をめぐる6者協議は、朝鮮半島の非核化に向けて各国がとるべき初期段階の措置を決めた合意文書を採択した。北朝鮮が60日以内に寧辺(ヨンビョン)の核施設の稼働を停止することなどの見返りに、重油5万d相当のエネルギー支援をすることが盛り込まれた。(13日)
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週刊『前進』(2283号5面1)(2007/02/19 )
労働者に企業減税のツケ
御手洗路線貫く政府予算案
安倍政権が策定した07年度政府予算案は、日本経団連の御手洗ビジョンを国家政策として貫こうとするものだ。御手洗ビジョンは「イノベーション」「成長重視」を絶叫するが、それは資本の取り分をもっとよこせということだ。日帝は、もはや整合性ある成長戦略など描けない。経団連は、資本の生き残りのために、とにかく労働者を徹底的に搾取・収奪し、資本の利潤を膨らませる以外にないと叫んでいる。この攻撃を財政面で押し貫くことこそ政府予算案の本質だ。
累積赤字773兆円
安倍は、07年度政府予算案で新規国債発行額の減額を過去最大の規模としたことを自分の手柄であるかのように吹聴している。確かに、07年度予算案の新規国債発行額は、06年度予算と比べて4・5兆円減る。
だが、新規国債発行額は25・4兆円で、歳入の31%を借金に頼る構造だ。巨大な財政赤字は、何ひとつ解消されていない。その結果、07年度末の国と地方自治体を合わせた長期債務残高は773兆円に達する見通しだ。それは日本のGDPの148%に相当する。
GDPを超える政府長期債務を抱える国は、帝国主義国では日本とイタリアだけだ。イタリアでもその水準は120%程度だ。財政面でも日帝は、最も脆弱(ぜいじゃく)な帝国主義であることをさらけ出している。
これだけの財政赤字を生み出したのは、バブル崩壊以降、膨大な資本救済費が投入されると同時に、法人税率の引き下げや投資減税などの資本への大減税が繰り返されてきたからだ。
ところが安倍政権は、財政赤字の負担を労働者階級に押しつけて危機をのりきるために「歳出・歳入一体改革」に突進しようとしているのだ。
今年1月から所得税の定率減税が全廃され、労働者に課せられる税金は一気に増えた。所得税の定率減税は、98年から99年にかけて行われた法人税減税とセットでなされたものだ。この時、法人税率は37・5%から30%に引き下げられた。法人税率は低く据え置かれたまま、所得税は増税となったのだ。
小泉政権下の02年から06年にかけて、企業に対して総額1・4兆円の減税がなされる一方、個人所得に対しては3・9兆円もの増税がなされた。財務省の法人企業統計調査によれば、労働者の年間の平均「従業員給与」は、97年度には391万円だったが05年度には351万円に減少した。他方、企業の株主配当は01年度の4・5兆円から05年度の12・5兆円へ約3倍に跳ね上がった。企業の内部留保は、同期間で5・5兆円の赤字から9・1兆円もの黒字に転じた。膨大な収益を上げる資本には大減税が施され、賃金低下にあえぐ労働者には大増税が強いられてきたのである。
07年度政府予算案は、こうした攻撃をさらに推し進めるものになった。今年4月から、資本の減価償却費のうち損金算入できる部分が拡大される。これによる資本減税は国と地方自治体を合わせ7000億円に上る。
また、07年度内に期限切れとなる予定だった証券優遇税制は延長された。これは、株式投機などによる収益には本来より低い税金しか課されないということだ。証券優遇税制で減税の利益を受ける者の6割は、年間所得5千万円以上の層に属するという試算もある。徹底した金持ち優遇だ。
もくろまれている資本減税は、これだけにとどまらない。
消費税増税狙う
御手洗ビジョンは「国際競争力強化」を強調し、地方税と合わせて現在40%程度の法人税の実効税率を30%に下げろと叫んでいる。安倍政権もこれに呼応し、参院選後、法人税の大幅引き下げに着手する構えだ。政府税制調査会は昨年末の答申に「経済活性化を目指して」という表題を掲げ、法人税率引き下げを検討すると明記した。
これによる税収減の穴を埋めるためにたくらまれているのが消費税の大増税だ。御手洗ビジョンは「2011年度までに2%程度の消費税率の引き上げはやむをえない」と述べている。消費税率を2%引き上げれば4・4兆円の税収増が見込まれるが、それは法人税率の10%引き下げによる税収減にほぼ等しい。
89年度から06年度までに徴収された消費税の総額は、この期間になされた法人税の減税額を上回る。法人税減税は消費税増税によってまかなわれた。御手洗は、それを今後さらに徹底的にやれと言っているのだ。
生存権否定する日帝
歳出面から見た予算案の特徴は、一つに徹底した公務員賃金の削減だ。
昨年7月、小泉政権下で策定された骨太方針Yは、国家公務員の定員を5年間で5・7%以上純減すると叫んでいる。これを受けた予算案は、07年度中に国家公務員定数を2129人純減するとしている。しかも「給与構造改革」と称して公務員賃金は引き下げられる。これらの施策で、国家公務員の人件費を総額で1940億円削減するというのだ。
これに伴い、自治体労働者への人員削減・賃金切り下げの攻撃も激化する。国が自治体財政の大枠を決める地方財政計画は、地方公務員定数を3万4千人純減し、賃金を総計4000億円削減する前提で組まれている。
社会保障の解体
07年度予算案はまた、社会保障制度解体の攻撃を激しく推し進めるものになっている。骨太方針Yは、2011年度の社会保障費は06年に比して8・8兆円の自然増が見込まれるが、それを1・6兆円削減すると述べている。これを実現するためには、社会保障制度の抜本的な解体に着手するほかにない。
そのため07年度予算案は、生活保護費の削減に踏み込んだ。1人親家庭を対象とした生活保護の母子加算を3年間で段階的に廃止し、これに代えて「就労支援措置」を講じるというのだ。これは、生活保護の支給停止を恫喝に、生活保護世帯を低賃金労働に強制的に駆り立てるものになる。実際、安倍政権は母子加算廃止の口実として、“生活保護世帯が「ワーキングプア」より多くの収入を得ているのは不公平だ”と叫び立てている。生活保護世帯が100万世帯を超える現実の中で、その給付水準を引き下げ、母子家庭にさらなる貧困を強いようとしているのだ。それは労働者階級全体を一層の低賃金にたたき落とす「労働ビッグバン」などの攻撃と一体をなすものだ。
さらに予算案は、持ち家を持つ高齢者への生活保護の支給を停止し、持ち家を担保とした生活資金の融資に切り替えるとしている。すでに生活保護の老齢加算は04年度から段階的に削減され、06年度に全廃された。安倍政権は生存権そのものを奪おうとしているのだ。
道州制に道開く
安倍は、07年度予算案で地方自治の解体にさらに歩を進めている。
国から地方自治体に回される地方交付税交付金は、前年度と比べて7045億円、4・4%削減された。すでに昨年度までの段階で、「三位一体改革」の名のもとに補助金の削減と税源移譲が行われ、その結果、国から自治体に回る金は差し引き1・7兆円の減額になっている。
こうした地方財政の徹底的な縮減は、自治体の「市場化テスト」による大規模な民営化・民託化の強行と自治体労働者の首切りのテコとなる。またそれは、夕張市の事態に見られるような自治体破産を頻出させかねない。これを見越して総務省は、昨年度から「自治体破産法制」の検討に着手している。結局それは、〈自治体破産→自治体の国家管理〉という過程をとおして、道州制導入に道を開くのだ。
こうした攻撃とともに、予算案は改憲・戦争への国家改造を推し進めるものになった。ミサイル防衛関連経費に1826億円が充てられ、海上保安庁の巡視船・航空機の整備に395億円が盛り込まれた。また、拉致対策本部の予算として約5億円が計上された。さらに、改悪教育基本法下で実施されようとしている全国学力テストのための費用が新設され、66億円が充てられる。警察官の3000人増員計画にも予算が付いた。
国債の暴落は不可避
骨太方針Yは、2011年度までに基礎的財政収支(プライマリー・バランス)を黒字化するとして、同年度までに14・3〜11・4兆円程度の歳出削減と、2〜3兆円程度の増税を行うプランを打ち出した。
その背後にあるのは、基礎的財政収支の赤字を続ければ国債残高の対GDP比は増大し続け、いずれ国債の大暴落に見舞われるという支配階級の激しい危機感だ。基礎的財政収支の黒字化は、日帝にとって絶対にクリアしなければならない最低限の条件だ。
だが、それを達成したとしても国債残高は増え続ける。国債暴落を避けられる保障は何もない。もはや帝国主義には、巨大な財政赤字を解決することなど不可能だ。
現在530兆円を超える普通国債の3割以上は銀行などの民間金融機関によって保有されている。日帝は財政赤字を「国民の危機」のように描き出すが、膨大な国債残高の累積は、それと表裏一体のものとして、銀行などが国債という資産をあふれるばかりに蓄積しているということだ。それだけの資産は、資本が労働者を徹底的に搾取することによって形づくられたのだ。資本は、国債暴落によって自己の資産が一挙に滅失することを恐れている。それを避けるために、資本は一切の負担を労働者に転嫁しようとしているのだ。
だがそれは資本にとってぎりぎりの綱渡りでしかない。労働者階級の怒りが激しく噴出することは不可避だ。予算案への怒りをたぎらせ、3・18大闘争に総決起しよう。帝国主義打倒のプロレタリア革命に向け闘おう。
〔岩谷芳之〕
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週刊『前進』(2283号5面2)(2007/02/19 )
沖縄・嘉手納
F22A配備を実力阻止
労働者軸に集会でゲート封鎖
2月10日、沖縄で米軍嘉手納基地へのF22A戦闘機(注)12機の配備に対する抗議闘争が闘われ、飛来―配備が阻止された。
午後2時から嘉手納基地第1ゲート(砂辺ゲート)前で平和運動センター、嘉手納基地爆音訴訟原告団、中部地区労など5団体主催で開かれた「嘉手納基地へのF22ステルス戦闘機の配備に反対する県民集会」に本島中部の労働者を軸に500人以上が結集し、2時間にわたり第1ゲートを完全に封鎖状態においた。
山城博治平和運動センター事務局長が司会、主催者あいさつ・崎山嗣幸(平和運動センター)、決意表明・仲村清勇(新嘉手納基地爆音訴訟原告団)、平良夏芽(平和市民連絡会)、激励あいさつ・伊波洋一宜野湾市長、新垣邦男北中城村長、東門美津子沖縄市長(メッセージ)、政党あいさつの後、集会決議とスローガンの採択、団結ガンバローで締めくくった。
発言者は、政府の言う米軍再編に伴う「沖縄の基地の整理縮小」がうそであり、沖縄基地の強化とそれが県民に耐え難い犠牲を強いていることを弾劾した。命を守る会の金城祐治会長を先頭に辺野古から参加した住民が紹介された。
当初米軍は「F22A12機は米バージニア州ラングレー空軍基地を飛び立ち、2月10日に嘉手納基地に到着する」と発表したが、10日は「天候」を、翌日は「運用上」を理由に飛来しなかった。沖縄人民の実力闘争が飛来を阻止したのだ。
米軍再編、沖縄基地の大規模な再編強化は、辺野古における実力阻止闘争を先頭に全県民的な基地の県内移設反対の意思と闘争により、昨年名護市長選、県知事選における保守の勝利にもかかわらず一向に進まない。
こうした政治状況に米帝はいらだち、日帝との一定のあつれきをも引き起こしながら「見切り発車」的行動にも入っている。迎撃ミサイルPAC3とF22Aの嘉手納基地配備は、軍事能力、戦闘態勢としては対北朝鮮戦争をにらんだ強烈な踏み切りである。在沖縄米軍の傍若無人な行動は、県民の怒りをかき立てている。パラシュート降下訓練場所を伊江島補助飛行場に設定していたSACO合意を足蹴にし、嘉手納基地、キャンプシュワブ・辺野古沖海域などで次々と訓練を強行している。現象的には基地が静かになる「逆転現象」だが、普天間基地の海兵隊航空部隊のヘリがイラクへの米軍増派の一環などとして全機出動した。
米軍再編は朝鮮侵略戦争への戦闘態勢突入として姿を現している。重要なことは、ここにおいて攻防のヘゲモニーを握っているのは、依然として辺野古の闘いを先頭とする沖縄労働者人民の側である、ということだ。
改憲阻止決戦と米軍再編粉砕、安保・沖縄闘争を07年決戦の一対の戦略的課題として階級的労働運動を基軸に闘おう。
(写真 嘉手納基地第一ゲートを実力封鎖し、朝鮮侵略戦争のためのF22Aステルス戦闘機の配備を阻止した沖縄の労働者人民の県民集会)
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F22戦闘機 F15後継の最新鋭ステルス戦闘機。レーダーに映りにくいステルス機能やF15クラスの戦闘機8機を同時に相手にして勝てるという高度の戦闘能力を持つ。米国外への配備は沖縄が初(韓国にも1月、F117ステルス戦闘機が配備された)。
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週刊『前進』(2283号5面3)(2007/02/19 )
新沿岸案=V字案が破綻
異論続出、ぐらぐらの安倍政権
昨年4月に政府と島袋名護市長との間で合意された辺野古・新沿岸案は、日米帝国主義間はもとより国と県そして地元で、修正案か原案継続かをめぐって矛盾と破綻(はたん)を激化させている。ここ2カ月、安倍政権は新基地建設をめぐってぐらぐらだ。
久間防衛相は「I字案」「L字案」など主張を変えた揚げ句、「県の意見を聞きながら移設を進めなければならないことを米国はわかっていない」と発言し、米帝から「合意違反」と強い抗議を浴びた。高市沖縄担当相は「名護市長の修正案を受け入れるべきだ」と、安倍政権の「日米合意堅持」路線に「異議を申し立て」た。そうかと思えば防衛省は、島袋市長が沖合への移動修正案を提出したことを「抵抗」扱いし、「米軍再編交付金、名護にはゼロ」「名護は振興策がいらないんじゃないか」(沖縄タイムス2月10日朝刊)と露骨な恫喝を開始した。“このまま修正案にこだわるなら振興策は没収! 黙って現行案を受け入れろ!”と札束を振りかざして名護市民に屈服を迫っているのだ。
なぜここまで新沿岸案が混迷と破綻を深めているのか?
「住宅地の上空を飛行」と米側
一つは、米帝側の昨年末における「住宅地上空飛行」発言である。「基本的に住宅地上空を飛ばさないが、必要なら訓練や有事の際に滑走路の双方向から離着陸する権利がある」と明言した。
この米帝側の発言は重要だ。なぜなら、これまで政府と島袋名護市長がV字案で合意した最大の根拠、「住宅地域を飛ばないために離着陸を風向きによって変更する。そのために2本の滑走路が必要だ」という説明が根底から覆るからだ。
これに加えて米帝は、普天間基地からの移設ヘリだけでなく、空中給油機や大型輸送機なども辺野古を使用することを通告している。要は“軍事上必要であれば、住宅地域であろうと、どこであろうと自由に飛行するし、使用機種も限定されない”と宣言しているのだ。名護市側からすると、基本合意の重要条件であった「騒音被害を出さないために基地の使用協定をしっかりと結ぶ」という公約も、米軍側から「そんなものを守るつもりはない」とはねつけられた形だ。
島袋名護市長は完全に日帝の「傀儡(かいらい)市長」であり、新基地受け入れ容認派だが、修正案を出さざるを得ないほど追いつめられている。仲井真知事は今も「県防衛協会会長」を兼任しているほどの確信犯的な「日米軍事同盟大賛成」の政治家だが、いまだに沿岸案を容認できないでいる。それは、辺野古新沿岸案=V字案が実現すれば騒音地獄や事件・事故、環境破壊は不可避だからであり、自らに責任問題が発生することを恐れるからだ。
新沿岸案は「砂上の楼閣」
二つには、新沿岸案が旧SACO路線=旧辺野古沖案の大破産のうえに無理やり構築しようとする「砂上の楼閣」であるという本質に最大の矛盾がある。
日帝は、米帝との外交決定を一度は沖縄―全国人民の実力阻止行動・辺野古闘争によって頓挫(とんざ)を強いられた。日帝にとってこれは「異常事態」であり、60年近く続く日米安保体制の根幹を揺さぶった。
今回、米帝との間で摩擦を生じながら(米帝は当初、浅瀬案を主張)、基地建設予定地を米軍キャンプシュワブ内にすることに日帝がこだわった最大の理由は「米軍基地の中なら反対運動も入って来られない」ということにあった。つまり沿岸案は何よりもまず、辺野古闘争に対する階級的憎悪と対抗手段として成立したものだったのだ。反対運動に追いつめられた政府が苦し紛れにひねり出した産物であり、内容もむちゃくちゃだ。実際、地元住民に対するアリバイ的な騒音対策や環境保護という面からしても、旧辺野古沖案よりもっとひどく、常識から言っても問題にもならない。それゆえに名護市民、沖縄人民の怒りは許容範囲を超えつつある。
実力阻止の「悪夢」再来恐れる
今や新沿岸案には県民の86%が反対を表明している。昨年の知事選において仲井真知事に投票した70%が「辺野古・新沿岸案には反対」だと言われている。基地建設に関してまったく展望をもてないのは日帝・安倍政権の側だ。一歩でも基地建設に踏み込めば総反撃が始まり、再び「実力阻止行動の悪夢」が再来しかねない。しかし、もはや米軍再編とのかねあいから一刻の猶予もない。
名護市民そして沖縄人民総体を敵に回し、激突しても基地建設を強行しようという安倍政権の攻撃は、今までの沖縄差別政策と次元を異にする凶暴性がある。まさに戦後60年余り続く沖縄差別政策の総決算が米軍再編であり、新沿岸案なのだ。私たちの沖縄闘争の真価が今再び問われている。
(大津五郎)
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週刊『前進』(2283号5面4)(2007/02/19 )
東京反戦共同行動委 “ミサイルいらぬ”
空自入間基地PAC3配備 反対申し入れ
2月10日、東京反戦共同行動委員会は、元自衛官と家族の会、埼玉市民行動委員会、百万人署名三多摩連絡会、全学連とともに埼玉県入間市と狭山市にまたがる航空自衛隊入間基地に対して、パトリオットミサイルPAC3配備に反対する申し入れを行った。
申し入れ行動には地元狭山市の部落解放同盟全国連狭山支部や08年以降に配備が予定されている浜松基地のある静岡県浜松市の仲間も加わり、3月中旬と言われている入間基地へのPAC3配備に反対する決定的な闘いとなった。
昨年の北朝鮮による核実験とミサイル試射に対し、安倍首相らは「敵基地への先制攻撃能力を持つべきだ」と扇動し、入間基地へのPAC3の前倒し導入を決定した。PAC3は北朝鮮の軍事的反撃力を無力化させ、米日による先制攻撃をしやすくする。またこのPAC3は射程距離が20―30`メートルと短く、半径30`メートル内にある狭山市、入間市、所沢市などは、ミサイルが発射されたら間違いなく核戦争に巻き込まれるという反人民的兵器だ。
入間基地へのPAC3配備反対・阻止行動は、元自衛官と家族の会、全国連狭山支部も参加した地元有志の呼びかけによる昨年12月23日の「平和の声行動」、1月17日の元自衛官と家族の会主催の申し入れ行動、1月25日の東京反戦共同行動委の対防衛省申し入れ行動として、連続して闘われている。
狭山市、入間市ではさらに広範な市民、労働者が「ミサイルはいらない」「労働者のきょうだいである自衛隊員はPAC3配備反対の声を上げよう」「入間基地を核戦争の引き金にするな」「沖縄の闘いに続け」と叫び、行動に立ち上がりつつある。朝鮮侵略戦争の危機は激化している。2・10行動参加者は3月配備阻止行動への決起を呼びかけている。
(写真 核戦争の引き金、PAC3配備阻止!東京反戦共同委が抗議【2月10日 入間基地】)
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週刊『前進』(2283号6面1)(2007/02/19 )
言い逃れようのない保安処分が行われた G・T
「心神喪失等医療観察法」施設で保安処分事例が生じています。
もちろん医療観察法自体が「再犯予測はできない」のに「再犯予測にもとづく入院をさせる」という保安処分です。その論理矛盾をごまかすために「社会復帰のための治療をする」という装いをとっています。建前上「治療可能性のある人だけを入院させる」という言い訳もされています。
今回、保安処分をされている人は、「知的障害」と「精神障害」との重複障害の人と言われています。「性犯罪」を何回か繰り返しているそうです。退院させれば「再犯をするおそれが高い」、しかし医学的には「治療できることはない」というなかで収容のための入院が続いています。
「再犯予測」のみを根拠とした予防拘禁・不定期刑であり、言い逃れようのない保安処分です。医療の対象でもない人が、医療施設と称しながら文房具も自分で所持できないという刑務所以上にハードな隔離施設のなかに永遠に近く収容され続ける。さほどの想像力のない人でも、その悲劇性は明らかでしょう。
法務省・検察にしてみれば、保安施設は「罪を犯した精神障害者」を社会から隔離するための場所としてつくったのです。その思惑からすれば、今後の医療観察法施設が「治療可能性のない人」であふれかえることが予測されます。今は200人近くの入院者の内の1人ですが、それが公認されるのであれば10人、20人と増えていくことは必然です。
それは医術を施すという建前と、医学では対応できない実態の乖離(かいり)をもたらすことは疑いがありません。「罪の意識」「しょく罪意識」を持てという保安施設で行われている”医療ならざる医療”でもってさえ対応できない人を、医療者はどう処遇するのでしょうか。この事実は、「知的障害者」のみならず、「処遇困難者」といわれる人が保安施設に収容され、たまっていくことをも予想させるものです。
映画「それでもボクはやってない」を見る 東京 南原不二夫
周防正行監督の映画「それでもボクはやってない」を見た。痴漢冤罪事件の裁判の被告を主人公に、日本の裁判は問題ありと告発した映画だ。
監督は、現実の裁判所の公判を何百回も傍聴し、「有罪率99%」という日本の裁判の実態がどんなにひどいものであるかを知り、その驚きと怒りをストレートな裁判劇にまとめ上げた。世界の「裁判映画」の中でも屈指の、きわめてまっとうな作品だと思う。
星野同志や富山同志の再審闘争、迎賓館・横田や水嶋同志の裁判闘争を進めていくためにも、冤罪裁判をまじめに問いかけているこの映画は、大きな示唆に富んでいるし、一見に値する。
確かに切り口は痴漢事件といういわば「破廉恥罪」にかかわるものであるが、冤罪という権力犯罪という点で共通性を持っている。「疑わしきは被告人に有利に」という原則が踏みにじられていくストーリーは、国家権力によるデッチあげ逮捕を追認する裁判所の姿と重なっている。
ところで、この映画を宣伝する新聞の全面広告の中で、こういう裁判を改めるためにも、国民が裁判に参加する裁判員制度が必要と言われていた。しかしこれは絶対におかしい。裁判員制度とは、裁判の民主化などとは正反対の、司法反動への国民総動員の攻撃ではないのか。
ともあれ、裁判員制度に対する闘いにとっても、この映画は大きな論議を起こしていくきっかけとなるに違いない。
秋田闘争団小玉さんの証言に感銘受けた 東京 大友 信
国鉄1047名の解雇撤回を求める鉄建公団訴訟・鉄道運輸機構訴訟は、熾烈(しれつ)な攻防が続いています。鉄建公団は、不当労働行為の一部を認めた05年9・15東京地裁判決を全面否定し、「国策に従わなかった労働者は首を切られて当然。不当労働行為はなかった」という姿勢をむき出しにしています。まさに労働運動の生き死にをかけた「せん滅戦」(加藤晋介弁護士)です。
1月25日の鉄道運輸機構訴訟では、3名の国労闘争団員(原告)が分割民営化当時の組合つぶし攻撃をありのままに証言しました。私は秋田闘争団の小玉忠憲さん(当時、秋田電力区分会書記長)の証言に衝撃と感銘を受けました。
秋田ではJRへの採用希望者が定員に達せず、新聞でも「全員採用」と報道されましたが、小玉さんだけが不採用になりました。停職処分を2度受けたので、採用基準に満たないとされたのです。これは動労千葉を含む本州での組合活動家排除・首切りの典型です。
処分理由は管理職への「暴言」や「雪で遅刻」などですが、およそ停職処分になるはずもない口実です。小玉さんはその実態を淡々と、かつ生々しく語りました。
当局のいう「暴言」とは、朝の点呼で管理職が「点検摘発手帳を外せ。意識改革をしないと新会社に行けない」などと言うのに対して、小玉さんが当然の抗議をしたことだったのです。
千葉で動労千葉つぶしをやり、秋田に異動してきて「国労をつぶす」と公言した管理職を先頭に行われた国労分裂工作に対し、小玉さんはいち早くこれを弾劾し、分会として動労千葉との交流もしていました。それへの見せしめとして停職処分が出されたのです。
鉄建公団側の弁護士は「点呼を妨害したのは勤務時間中の組合活動ですね」と反対尋問をしましたが、小玉さんは「雇用不安をあおるのは危険な仕事に悪影響を及ぼすので、分会書記長としてやめてくれと言った」と真実を語り、跳ね返しました。本当は「不当労働行為と闘ってどこが悪い」と怒鳴りたかったのかもしれません。
小玉さんは1047名の一員ですが、国労本部派に抑圧されてきたなどの事情があり、不採用を労働委員会で争うことができませんでした。この日の証言は、闘い続けた小玉さんの人生の華でもあったと思います。証言や証拠の準備にあたった関係者の苦労もひとしおだったということです。
1047名闘争は多くの苦難をのりこえてきました。闘いを妨害する国労本部派を跳ね返し、団結を固め勝利ヘという思いを新たにしました。
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〈投稿規定〉
原稿は600字以内。紙面の都合で短くする場合があります。原稿は返却しません。都道府県名または地方名、職業、所属組織・団体、希望のペンネームを添えてください。
あて先は、〒132−0025 東京都江戸川区松江1−12−7 前進編集局「団結ひろば」係
『前進』ホームページの「安心メール」でも受け付けます。
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週刊『前進』(2283号6面2)(2007/02/19 )
星野さんを札幌の母のもとへ
ただちに“執行停止”を
異議棄却に即時抗告
全国から怒りの署名続々
2月13日、東京高等裁判所第11刑事部(池田耕平裁判長)は、星野文昭同志の再審弁護団が提出していた「異議申立」を棄却した。断じて許すことができない。
昨年末から星野同志の母・美智恵さん(89)が入院しており、病床から文昭さんと会いたいと訴えていることにこたえ、弁護団は東京高等検察庁に「刑の執行停止」を申し立てた。これは、札幌にいる美智恵さんを見舞うために、星野同志を一時的に徳島刑務所から出所させてほしいという要求である。この当然の要求を東京高検は「これを行わない」と通告してきた。「異議申立」はこの不当決定を覆すために出されていた。
星野同志は、1971年安保・沖縄闘争を闘い、無期懲役の攻撃が加えられ、32年間も獄に捕らえられているのである。星野同志は無実であり、即時・無条件に釈放されて当然なのだ。32年もの間、一切の自由を奪われ獄に拘禁されるいわれなどまったくない。
ところが、病気の母を見舞うために、一定期間だけでも刑務所から出所させてほしいという要求すらも認めないというのだ。どこまで国家は非人間的で理不尽なのだ。
弁護団は、違法・不当な異議申立棄却決定に対して、即時抗告して徹底的に闘う。東京高裁の不当決定に対する激しい怒りを爆発させ、星野同志の釈放を要求して全力で闘おう。
高裁前での「星野さんをとり戻そう!全国再審連絡会議」のリレーハンストと座り込みは4週間になった。労働争議中の労働者、権力の人権侵害や冤罪と闘う人たち、警察や裁判所に怒る人たち、弁護士たちが「上申書」の署名に協力してくれる。すごい反響だ。
全国からも署名が続々と寄せられており、1800通を超えた。全国金属機械労働組合港合同から、沖縄の辺野古や宜野湾から多くの署名が届いた。日本基督教団北海道教区からも続々と寄せられている。国会議員7人の「要望書」も東京高裁に提出された。
(写真 ハンスト座り込みは4週間目に【13日】)
刑務所の門開こう
無実の星野同志をなんとしても取り戻したいと、再審運動の先頭で闘いぬいてこられた美智恵さんは、文昭さんが出て来るまでは絶対に元気で頑張ると言っていた。そのお母さんが病床に倒れているのである。だから一刻も早く会わせてあげたい。その思いが多くの人の心を動かし、「星野さんの刑の執行を停止せよ」という上申書への署名となって東京高検を弾劾し、揺り動かす力となっている。
病気の母を見舞うことを禁止する権利など、高検にも裁判所にもない。全国の闘いで、徳島刑務所の門を開こう。
あらゆる場に署名用紙を持ち込み、上申書への署名を訴えよう。集まった署名をただちに集中しよう。
星野同志の釈放を絶対にかちとろう。
☆星野文昭さんに激励の手紙を送ろう!
激励先 星野 文昭様
徳島市入田町大久200−1
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□執行停止申し立てをめぐる経過□
06年12月6日 母・美智恵さん、入院
07年1月23日 東京高等検察庁に無期懲役刑執行停止を申し立てる
執行停止を求める上申書51通提出
暁子さんと兄弟、親族らが連名で徳島刑務所に対し「1週間の外出・外泊請求」を提出
支援者が東京高裁前でハンストに入り、座り込み・宣伝活動を開始
25日 東京高検に上申書 145通提出
26日 東京高検に上申書 117通提出
29日 東京高検に上申書 296通提出
東京高検から26日付「執行停止を行わない」決定が弁護人に届く
2月5日 東京高等裁判所第11刑事部に対し東京高検の不当処分に対する「異議の申立」を行う
6日 弁護団、高裁第11刑事部と折衝東京高検に上申書 453通を提出(提出した上申書は合計1062通に)
9日 国会議員の要望書7通と星野文昭さんの上申書を東京高裁へ提出
13日 異議申立への棄却決定(9日付)が弁護人のもとに特別送達される
16日 東京高裁に即時抗告を申し立て提出した上申書の総数は1809通
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週刊『前進』(2283号6面3)(2007/02/19 )
知花昌一さんが面会
”初めて会った気がしない”
「初めて会った気がしない。元気で血色もよくて若く見える」。2月13日、徳島刑務所で星野文昭さんと面会した沖縄万人(ウマンチュ)の力で星野さんを取り戻す会の知花昌一さん(反戦地主、読谷村議)。
面会後、暁子さんや徳島の救う会とともに徳島刑務所に執行停止や処遇改善の申し入れを行った知花さんは、「対応した用度課長が『再審をやっているから仮釈はだめだ』と言うから狭山もあるじゃないかと。事実をどんどん突きつけることが重要だ」。
知花さんは15日、東京高裁前に駆けつけ、ビラをまき、署名をとり、執行停止を訴えた。
「星野さんはどんどん沖縄のことを話すんだ。特に辺野古で勝ったことが日本の運動に大きな勇気を与えた。自分が三里塚にいた時も全軍労牧港のすごい闘いに勇気を得て三里塚や11・14渋谷闘争をやったんだと」。
「沖縄に行きたいねと言うから、出たらいの一番に沖縄に来てよと話した」と知花さん。星野さんが沖縄の地に立つ日を実現する、今が頑張り時だと誓い合った。
(写真 東京高裁前で訴える知花さん【2月15日】)---------------------------------------------------
週刊『前進』(2283号6面4)(2007/02/19 )
”一目会い、母に報いたい”
上申書 星野文昭
私の実母、美智恵は、現在入院中ですが、病状が重く、危険な状況にあります。母の生前に、一目会えるように上申するものです。
母、美智恵は、主治医の診断によると、病名は「慢性心不全」と、全身の身体状況の悪化を意味する「急性増悪(ぞうあく)」であり、いつ危険な状態に入ってもおかしくない状況が続いています。
私は、1983年7月13日、東京高裁第11刑事部が殺人等被告事件につき言い渡した判決によって、現在、徳島刑務所において無期懲役刑服役中ですが、私は、問われている「中村巡査殺害」についてやっていませんし、それを裁判において一貫して主張し、現在、再審による無罪決定を求め申請中です。
私にかけられている冤罪による逮捕―長期拘留、無期判決と服役は、一市民として生活していた父母にとっての辛苦は計りしれなく、父、三郎は、私の無実を信じ、足が弱って以降も、会える日までと杖をつきつつ散歩を続け、「文昭と枕を並べて寝たい」と最後まで言いながら、1990年9月17日亡くなりました。
母、美智恵もまた、父と同様、私の無実を信じ、「文昭のことを考えると苦しい。でも、朝起きる時には、頑張るぞ、頑張るぞ、と気合いを入れて起きる」と言い、一日も早く私が外に出て会えることを念じ、私を励ましつつ、妻・暁子、兄弟、叔父叔母、いとこ達と共に、広く社会に訴え続けてきました。
その母にとって、今の病状はどれほど無念かわかりません。
本年1月10日に、妻が見舞いに行った際には、妻に「こんなことになってしまって」と言い、その落胆は大きく、さらに、その翌日、見舞いに行き、看護師さんに「皆さんが来てくれましたよ」と言われた母は、半分もうろうとした中にあって、子豚の人形をマイクだと思って握りしめ、「みなさん、こんにちわ。星野美智恵です。文昭のことをよろしくお願いします」と言っていたといいます。
これまで頑張り続け、今も、自身が危険な状態にある中にあっても、私のことを訴え、生き抜くために頑張り続けている母に、このまま会えないまま永別することは耐えられません。
一目会い、母のこれまでの辛苦、身を削るような苦労、努力に報いてあげ、少しでも心を満たしてあげることは、決して、大それたことではないと思います。
私たち家族、兄弟のために、戦後の物資が不足するなかにあって、衣食住のすべてにおいてあらゆる工夫をして育て、北海道の厳しい朝、朝早く起きてストーブを燃やし、子どもたちに寒い思いをさせないように育ててくれた母が、私の冤罪と無期にどれほど心を痛め、そこから私を救い出すために、妻を支えつつ、自らも頑張り続けてきた、その母に一目会わせて下さい。
2007年2月4日
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週刊『前進』(2283号6面5)(2007/02/19 )
日本原駐屯地デモ
”日米共同演習許さない”
岡山県奈義町の日本原には、中四国地方最大の陸上自衛隊実弾演習場があります。戦後、地元農民を中心に基地撤去の運動が起こり、地元農民らの反対運動の中で、恒常的な基地の全面使用ができない状態に追い込んでいます。
2・11日本原集会は「紀元節粉砕!基地撤去!」を掲げ、基地反対闘争の中心的な闘いとして、毎年行われてきました。昨年は日本原での「日米共同演習」が計画され、「共同演習」に反対する闘いとして、「2・11日本原闘争」が自治労・教組を中心に、1200人の集会がかちとられ、共同演習反対の陣形が労組を中心につくられました。共同演習に対してさまざまな抗議闘争を展開しました。その結果、当初年間6週間の予定の共同演習が5日間しか実施できませんでした。
昨年の闘いの勝利の上で今年も労組を中心にして百万人署名運動など200人が結集し、集会が行われたのです。
今年は、防衛庁が「省」に昇格し、自衛隊の増強が狙われる中で、共同演習を絶対に許さない闘いとしてかちとられました。
地元農民を代表して、内藤秀之さんが「夜間の実弾演習など危険な演習が規模を拡大して行われようとしている。絶対に許せません」と、日米共同演習反対の決意を述べました。
集会後、日本原駐屯地までの約3`のデモ行進がかちとられました。労組を中心に地元農民との共同闘争が、安倍政権の狙う改憲=戦争策動に対する闘いとして始まりつつあるのです。
(投稿/岡山・久志本佐以志)
(写真 日米共同演習反対を呼びかけ日本原駐屯地へ200人がデモ【2月11日 岡山・日本原】)
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週刊『前進』(2283号6面6)(2007/02/19 )
高裁と高検を追及
解放同盟全国連・解放共闘
狭山再審勝利へ要請行動
2月7日、部落解放同盟全国連合会と部落解放共闘会議は、東京高裁と東京高検に対して、無実で無期懲役とされた石川一雄さんの狭山第3次再審を求める要請糾弾行動を行った。
2月7日は、狭山差別裁判の第1次再審棄却27カ年にあたる。第3次再審請求審において、証拠の開示、事実調べを実現して再審をかちとる決意に燃えて闘いぬかれた。
午前中に開かれた前段集会では、全国連本部が部落解放運動解体攻撃と全力で対決し、全国連第16回大会の成功と狭山第3次再審闘争勝利に向かって闘おうと提起した。それを受けて茨城県連と広島、狭山、東京の各支部が決意を述べた。
この日は「北方領土返還運動の日」として全国から集まった右翼が宣伝カーを連ねてデモをする中で、霞が関一帯は厳戒態勢が敷かれていたが、全国連と解放共闘は警察権力の弾圧を打ち破り、右翼の妨害を許さず、東京高裁に対するデモを貫徹した。
東京高裁前では無実の星野文昭さんの執行停止を求める救う会の仲間が座り込みをしていた。この仲間たちと連帯し、高裁に怒りのシュプレヒコールをたたきつけた。
東京高裁での要請行動では、かつては狭山担当裁判官の書記官が対応したのに、今は事務官しか出て来ないことについて抗議し、また要請文の取り扱いや、要請行動の中身、一人ひとりの要請の趣旨をまちがいなく裁判官に伝えること、そして、部落青年120人の筆跡を集めたメモ、石川一雄さん逮捕の決め手とされた筆跡に関する「中間報告」の開示命令を出し、事実調べを行うことを重ねて要請した。
東京高検では、昨年10月の要請から4カ月足らずの間に狭山担当の検事が高崎検事に代わっていた。要請団はまずこの人事の説明を求めた。また証拠の開示をかたくなに拒否している検察を強く弾劾し、狭山事件当時の部落大衆への差別的取り調べの証拠を開示すること、そして次回には担当検事が出席することを要求した。
(写真 「狭山差別裁判糾弾!事実調べを行え!」東京高裁にシュプレヒコール【2月7日】)
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