ZENSHIN 2007/02/05(No2281 p08)
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週刊『前進』(2281号1面1)(2007/02/05 )
戦争・改憲・民営化の安倍打倒へ
国鉄・教労先頭に春闘勝利と階級的労働運動の前進開こう
国民投票法案・教育3法案粉砕を
革共同中央労働者組織委員会
07年を21世紀プロレタリア世界革命の歴史的出発点の年としなければならない。その情勢、条件は完全に熟している。帝国主義は、戦争、搾取・収奪、暴虐と略奪の限りを尽くし、最末期の凶暴で非人間的で腐敗した姿をさらしている。もはや帝国主義・資本主義には一刻の延命も許されない。帝国主義・資本主義を転覆し、労働者階級が取って代わるプロレタリア革命は、今や最も崇高な人類史的使命である。この偉大な事業は、全世界の労働者階級、被抑圧人民の怒りと決起のうねりの中から、不屈に立ち現れようとしているのだ。帝国主義本国プロレタリアートの組織された革命的行動こそ、その大道を切り開く。プロレタリア自己解放闘争を基軸に全世界人民の総決起をかちとる、壮大な「21世紀革命の時代」が今や訪れている。
全世界で成熟する革命情勢
こうした革命的激動を決定的に促進しているのが、唯一の超大国であり基軸国であるアメリカ帝国主義の歴史的没落だ。米帝は、イラク侵略戦争の敗北・敗勢にのたうちまわり、その絶望的な破産からの脱出をかけて、新たな帝国主義間争闘戦に打って出た。国際的な巨大独占体間の激烈な死闘は、帝国主義の侵略戦争−世界戦争に至る恐るべきプロセスを引き寄せている。
帝国主義の基本矛盾が爆発する中、日帝は帝国主義の最弱の環に転落し、危機と破産を突きつけられている。
これらの情勢を「革命的情勢の決定的成熟」ととらえることは、マルクス主義に立脚した最も正確でリアルな認識だ。この時代認識によってこそ、労働者階級の不撓(ふとう)不屈の実践は生き生きと貫かれ、階級的団結は培われる。革命的労働者党は、この階級の感性と実践、団結への希求に結びつき、「革命的情勢の成熟」を現実の革命に転じる闘いの最先頭に立たなければならない。そのための戦略的総路線こそ「革命をめざす労働運動」を実践する階級的労働運動路線である。
07年決戦においてわれわれは、打ち立てられたこの路線への一致をかちとり、鉄火の実践に突進しなければならない。何より当面の3月大行動を、07春闘の階級決戦を切り開き、階級的労働運動を全面的・本格的に実践するものとしてかちとろう。
米帝ブッシュは、1月10日の「イラク新戦略」公表に続き、23日には一般教書演説を行った。米帝はイラク侵略戦争に深々とのめり込み、そこでの絶望的敗勢にたたき込まれながら、そこから絶対に抜け出すことはできない。さらにブッシュは、朝鮮侵略戦争への後戻りできない道に突入した。
フォードが膨大な赤字決算に陥ったように、アメリカ自動車産業の没落・衰退はすさまじい。その中で、巨大独占体間の争奪戦、市場分割戦は一層激化し、企業合併・再編の嵐が巻き起こっている。
それは、帝国主義国の労働者階級へのすさまじいリストラと規制緩和の嵐となって吹き荒れている。全世界に失業、首切り、低賃金と貧困、極限的搾取や過労死が蔓延(まんえん)しているのだ。
安倍の施政方針演説に労働者の総反撃を
帝国主義の「最弱の環」に転落した日帝は、絶望的危機にあえぎながら、戦争・改憲と民営化(労組破壊)に体制の延命をかけて突き進んでいる。
1月26日、安倍は施政方針演説で改憲への突進をあらためて宣言した。そのために安倍は「教育再生」を叫び、改悪教育基本法下で、教育改革関連3法案、特に教員免許更新制法案を強行し、さらに公務員制度改革(大民営化)で日教組・自治労を徹底的に解体しようとしているのだ。とりわけ改憲国民投票法案の核心には、4大産別の労働組合を絶滅する狙いがある。
安倍の施政方針演説は、1・1御手洗ビジョンと完全に一体をなしている。安倍は、御手洗の言う「イノベーション」「成長戦略」を全力で進め、労働基本権解体を狙う「労働ビッグバン」を貫こうとしている。さらに、労働運動壊滅を意図した共謀罪新設を執拗(しつよう)に追求している。
安倍は、「日本人の命を守るために日米同盟を一層強化する」と言い、国家主義をむき出しにして、労働者を戦争に動員する攻撃を激化させている。
安倍の施政方針演説に貫かれているのは、改憲・戦争に向けて4大産別労組を始め徹底した労組絶滅攻撃を強行するということだ。その全構造は1・1御手洗ビジョンとまったく同じだ。
御手洗ビジョンの特徴は、「レーガン時代のアメリカ経済再生を、日本でも実現したい。その目標に向かって、ひるまず挑んでいく」(『御手洗冨士夫「強いニッポン」』)ということにある。安倍も、以前からのイギリス・サッチャーの信奉者だ。
レーガン、サッチャーは何をやったのか。「経済再生」を掲げて政府支出の削減と企業減税を行い、規制緩和・民営化と労働組合の徹底した絶滅攻撃をテコに「競争力強化」を推し進めたのだ。日本では中曽根が国鉄分割・民営化を強行した。だが、レーガンとサッチャーがもたらしたものは、階級対立の激化と取り返しのつかない経済破綻(はたん)であり、「最後の言葉」としての戦争だった。
こうした明白な事実を知ってなお、安倍・御手洗はレーガン、サッチャーの道を突き進もうとしている。御手洗は「経済成長を重視し、改革を加速すべきだ。改革を中断してまで格差を是正しようとすれば本末転倒になる」(1・25講演)と叫び、格差を拡大することが成長戦略・競争力強化だと吐き捨てている。
彼らは今や、帝国主義の凶暴性を一挙に噴出させている。だが、そこには本質的で根底的な危機がむき出しになっている。現実に安倍政権自体が、閣僚の事務所費問題のスキャンダルの噴出や、柳沢厚労相の「女性は子どもを産む機械」というとんでもない女性差別発言が示すように、今やボロボロである。ところが一方で安倍は、「労働者をなめきっている」からこんなむちゃくちゃな攻撃を仕掛けることができるのだ。これに対し、労働者の誇りにかけて怒りの反撃に打って出よう。
安倍・御手洗路線は、朝鮮侵略戦争前夜の日帝の存亡をかけた基本路線である。攻撃の最大の矛先は労働組合とその団結の解体に向いている。だが、労働者が圧倒的に団結し総決起すれば日帝に破綻と危機を強いることは絶対にできる。労働組合の団結を拡大し、安倍・御手洗路線を粉砕することによって、帝国主義打倒のプロレタリア革命の展望を切り開くことができるのだ。この闘いの有効性と勝利性を示すものこそ階級的労働運動路線である。
3月大行動での新たな挑戦
階級的労働運動路線とは、プロレタリア革命をかちとる立場から、職場闘争を基軸に労働者・労働組合の団結を強化・拡大し、労働組合権力を獲得して、第2、第3の動労千葉を無数につくり出すことである。このことが、朝鮮侵略戦争の切迫情勢下でプロレタリア革命に勝利する道である。
既成の労働運動指導部はおしなべて戦争推進勢力に転落し、団結破壊の攻撃に屈服している。その中で、既成の体制内労働運動指導部と決別し打倒して、動労千葉を先頭とする3労組共闘の陣形を拡大していくことである。それは激しい党派闘争を不可避とするが、ここにプロレタリア革命の勝利を確信し、より目的意識的に闘わなければならない。こうした観点から階級的労働運動を実践するものこそ、11月労働者集会の大運動である。
そこでは、マルクス主義によって決定的に武装された労働運動の実践が求められる。さらに、革命党が資本との現実の攻防の先頭に立ち、革命党が階級そのものとして、階級と一体となって闘うことが要求される。プロレタリア自己解放闘争は、政治闘争、経済闘争、理論闘争の「三つの側面」を持つが、それは労働組合運動の実践において完全に統一され一体なのである。
特に政治闘争について言えば、連合支配のもとにある体制内労働運動と決別し、11月集会のような3労組共闘の形式による政治経済闘争への総決起をかちとることこそが、その実践的・現実的前進を切り開くのだ。
階級的労働運動路線は、労働組合の革命的役割を徹底的に位置づける。労働組合は、労働者の階級的団結体であり、労働者階級の究極的解放、すなわち賃金制度の最終的廃止をかちとるための土台をなす。労働組合は権力奪取の過程において武装蜂起の基礎となり、社会主義建設を推し進める全過程で基軸的位置を占める。労働組合は、党やソビエトと同等の、革命にとって必須(ひっす)不可欠の存在として位置づけられる。また、労働組合権力と労働者代表ソビエトの形成は、労働者細胞建設と一体となって遂行され、そのことをとおして労働組合とソビエトは革命党に結合する。
当面の2〜3月決戦において、われわれは階級的労働運動路線を実践し、階級の怒りを自らの主体的怒りとして、6000万労働者の階級的団結の先頭に立って闘わなければならない。労働運動をめぐる攻防は、現在の改憲攻撃下で集中的にターゲットとされた4大産別が焦点となっている。ここでの勝敗が、労働運動の根絶か階級的労働運動の前進かを決するのである。
教基法決戦ひきつぐ「第2段階」の闘いへ
とりわけ重大なのは、「10・23通達」以来の不屈の「日の丸・君が代」不起立闘争と11・5労働者集会が切り開いた地平のもとで闘われた教基法攻防を引き継ぎ、07年の「日の丸・君が代」不起立闘争の爆発をとおして第2段階の教基法攻防を強力に発展させることである。現場教育労働者の決起に確信を持ち、勝利感と戦闘性に満ちて全国で「日の丸・君が代」強制拒否の不起立に決起しよう。
階級的労働運動路線のもとに、日教組権力の奪取と闘う日教組再生の展望をかけて、また教基法決戦の地平をさらに強力に発展させるものとして、不起立闘争を全力で巻き起こそう。改悪教基法をたたきつぶす決戦に立とう。
青年労働者と学生の決起は、この歴史的情勢をこじあける決定的な力である。07年3月決戦は、06年のすべてを引き継ぎ、発展させ、11月集会1万結集に再挑戦する闘いを開始するものでもある。国際連帯の闘いを圧倒的に前進させ、国際的なイラク反戦闘争を実現する闘いだ。これと同時に、国民投票法案との闘いをとおして改憲阻止決戦の本番に突入していこう。
07春闘で動労千葉は、館山運転区・木更津支区廃止阻止、3・18ダイ改に向けた3カ月の死闘に突入している。
1047名闘争をめぐる攻防は、動労千葉排除と1047名闘争そのものの解体を策す攻撃との闘いとして激しく進行している。国鉄分割・民営化への原点的怒りをかきたて、総屈服情勢を打ち破らなければならない。
4大産別の中央委員会をめぐる攻防を不屈に貫徹しよう。
国民投票法案との闘いは、改憲阻止決戦そのものである。
朝鮮侵略戦争突入前夜の三里塚・沖縄闘争、米軍再編との闘いを強化しよう。3・25三里塚現地への全国からの総結集をかちとろう。
07年決戦を本当に高揚・発展させるものは、階級性に立脚した路線的一致である。階級の大地にこそ、路線的一致をかちとる土台があり、労働者細胞の体内をくぐってこそ真の一致がかちとられるということである。
さらに、討議をとおして自己変革をかちとることが重要だ。討議における相互批判は、相互の自己変革を求める。こうした共通の基盤に立った討論によってこそ、07年階級決戦にかちぬく細胞性と団結は獲得される。今こそ「党の革命」を徹底的に推進しよう。
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週刊『前進』(2281号1面2)(2007/02/05 )
動労千葉 運転区廃止反対で駅頭宣伝
動労千葉と支援する会は2月1日、千葉駅前で「館山運転区・木更津支区廃止反対」を訴えて街頭宣伝に立った。
駅頭では、千葉県やJR千葉支社が中心となった観光誘致運動「ちばデスティネーションキャンペーン」のイベントで堂本暁子千葉県知事があいさつをしている。特別列車のSLを見ようと多くの人が詰めかけているところに組合員の怒りのアピールが響き渡った。
観光誘致の裏で「もうからないから」と内房線を切り捨て、運転職場の廃止を狙うJRのやり方に、誰もが驚きと怒りを隠さない。多くの人が組合員に事情を聞いてきた。JRの職制があわてて飛んできたが、まったく手出しできない。1000枚のビラがあっという間になくなった。
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週刊『前進』(2281号1面3)(2007/02/05 )
全米50万反戦集会
サンフランシスコ ILWUなど1万人
1月27日のアメリカの反戦デモは、ワシントンDCの数万人を始め全米50万人、イラク開戦以来最大の結集となった。
サンフランシスコ集会では、ILWU(国際港湾倉庫労組)ローカル10のクラレンス・トーマス元書記長が「港湾・陸運・航空労働者には国を停止させる力がある。戦争を即時停止させる力がある」と演説し、1万人の大歓声を浴びた。
「ブッシュの国内、海外の労働者への攻撃を止めよう」がこの集会の基調となった。中間選挙で議会の多数を取りながら、ブッシュ罷免、軍事予算削減も行わない民主党に怒りがたたきつけられた。戦争への怒りを民主党支持運動にすりかえてきた既成指導部が大きく突破されたのだ。
デモの目的地は第31〜33桟橋に設定された。ILWUへの破壊攻撃を仕掛けているフェリー会社に対し、労組がピケを張っている場所だ。弾劾行動でフェリーは乗客を取れなくなった。
ILWUは全米で最も戦闘的な労働組合だ。それへの組織破壊攻撃と対決することは反戦闘争と一体のものであり労働者階級全体の決戦課題だ。
(写真 「戦争に反対する労組/国内・海外の人民へのブッシュの戦争を止めよう」の横断幕とILWU船員部門の旗を先頭に労組がデモ(1月27日 サンフランシスコ))
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週刊『前進』(2281号2面1)(2007/02/05 )
郵政民営化絶対反対! 職場から反撃を
全逓中央委へアピール
全郵政と統合し改憲勢力化する 連合全逓中央を打倒しよう
2月15、16日に開催される全逓(JPU)第121回中央委に向けて、全国の職場から”本部方針反対”の声をたたきつけよう。安倍・御手洗は小泉・奥田による郵政民営化=全逓労働運動壊滅攻撃を引き継ぎ、より一層絶望的に労働者階級に襲いかかってきている。これに完全屈服し、改憲勢力化した連合全逓中央を現場からの闘いで打倒しよう。闘う全逓労働運動、階級的労働運動を今こそ職場からつくり出そう。
安倍・御手洗路線と正面対決の決戦
全逓中央委員会に向けて、全逓労働者は安倍・御手洗との正面決戦として郵政民営化との職場での闘いをやり抜こう。
安倍政権とは、帝国主義間争闘戦における敗勢的現実にあえぐ日本帝国主義の底知れぬ危機の中から生まれた政権である。労働運動の壊滅を自己の使命とし、安倍・御手洗路線として突っ走ろうとしている。「1・1日本経団連御手洗ビジョン」に示されるように、レーガン反革命を徹底的に賛美し、民営化による労組破壊と侵略戦争への突進の中に、帝国主義としての唯一の延命の道を求めているのだ。
郵政分割・民営化はこの安倍・御手洗路線の切り札である。そもそも郵政民営化とは小泉の「構造改革」攻撃の最大の柱であり、これ自体が改憲攻撃である。しかもこの攻撃が95年日経連プロジェクト報告路線として、6000万労働者階級全体に襲いかかってきた。
連合全逓は完全にこの攻撃に屈服し、その積極的推進のために粉骨砕身することをうたっている。郵政公社になって4年、多くの仲間たちを「自殺」や「勧奨退職」という名の首切りに追いやったのは誰か。「郵政民営化の成功のため」などと賃下げや減員を認め、戦後最悪の労働条件のもとで必死に働いているわれわれ労働者の誇りをズタズタに引き裂いている張本人は誰か。組合費でのうのうと生きている労働貴族=連合全逓本部ではないか。
だが、その郵政民営化は完全に破綻(はたん)的事態に直面している。鳴り物入りで導入されたJPS(郵政版トヨタ方式)は、現場労働者の職場からの反撃で完全に破産に追い込まれている。「逆に経費がかさむ」などの声が全国で相次いでいる。年賀状の遅配問題や、郵便局の統廃合をめぐる地方切り捨てなど、社会的指弾を受けている。現場労働者の反撃によって、郵政民営化をめぐる支配階級の分裂も新たに生み出されている。
連合全逓本部も「今年度末には多数の勧奨退職者が見込まれるなど……要員不足は否めず、早急な対策が求められています」(議案書)と言わざるをえない。JPU委員長の菰田は「事業が崩壊の道に入っていく危険性さえある」(『公益企業レポート』)と危機感をあらわにしている始末だ。
郵政民営化攻撃の破綻は、安倍・御手洗路線そのものの破綻であり、日本帝国主義の破綻である。それは同時に、体制内労働運動が労働者階級の怒りの決起を抑えつけてきたあり方がもはや成立しないということだ。
国鉄分割・民営化の教訓、動労千葉の闘いを見れば明らかなように、断固とした現場からの絶対反対の闘いがあるならば、郵政民営化は必ずや粉砕できる。6000万労働者階級全体の未来をかけ、全逓労働者が歴史を切り開く決定的チャンスがやってきたのだ。
(写真 昨年6月14日、全逓大会【横浜】で本部方針の否決を訴え、開場周辺をデモする全逓労働者)
78年反マル生越年闘争否定する本部
全逓中央委に向けて大きく3点を訴えたい。
第一に、全逓と全郵政の組織統合問題が「民間会社は1企業1組合で」なる論理で進められている。
そもそも全郵政とは、郵政当局によるマル生(生産性向上運動)攻撃の先兵として、全逓破壊のためにのみ作られた第2組合だ。全逓中央はこの全郵政に全面的に自己批判=屈服し、全逓労働運動を完全に否定・抹殺・清算しようとしている。ここに組織統合の最大の核心がある。
とりわけ78年の反マル生越年闘争(注)について、「労使対立と労労対立の長く不幸な時間を生みだし、『反マル生越年闘争』のように社会や事業に対し悪影響を及ぼしたこと、そして郵政関係者に精神的な苦痛を与えたこと等は、歴史的な教訓として自戒の念を禁じえません」(議案書)などと言っていることは絶対に許すことができない。社会や事業に影響を及ぼさずして、労働者はいかにして自らの権利を確保できるのか。郵政当局の「精神的苦痛」については思いを寄せるが、闘いの先頭に立った現場組合員は平気で切り捨てるというのか。
全逓と全郵政の統合とは、闘う全逓活動家の「排除」攻撃であり、徹底した党派闘争であり、組織攻防戦となる。とりわけ反マル生闘争の生き証人、闘う4・28被免職者の職場復帰を断固かちとらなければならない。
民営化による「1企業1組合」が何をもたらすかは、国鉄分割・民営化で何が起きたかを見れば明らかだ。JR総連・カクマル松崎のもとで、あるいはJR連合のもとで、無慈悲なまでの合理化と労働条件の切り捨てが行われ、外注化をはじめ安全保安部門の切り捨てが進行していった。労働組合は、もはや労働組合とは言えないものに変質した。労働者の権利を守り、資本の攻撃に歯止めをかける役割を完全に放棄した。資本の要請に全面的にこたえ、民営化推進の先兵となった。
その結果が、多くの乗客と労働者を死傷させたJR尼崎事故や羽越線事故であり、今も頻発する数々の事故なのだ。あの事故は、労働組合の屈服の結果起きたと言うべきであり、労働組合には大きな責任がある。郵政民営化による組織統合がもたらすものは、こういうことである。
労働ビッグバンの先取り絶対許すな
第二に、労働協約などの問題である。それは、今日の安倍・御手洗路線のもとに推進されようとしている「労働ビックバン」の攻撃と一体である。彼らは、徹底した民営化を推進し労組破壊を強行したレーガノミクスを手本とし、徹底した規制緩和によって労働3法に示される戦後的労働法制を解体し、すべての労働者に非正規雇用化・低賃金・首切り自由化をもって襲いかかっている。
議案の中では繰り返し「労使自治」という言葉が使われている。これは労働3法をはじめ、あらゆる規制や労働者保護規定を無視して、労使が合意すれば何でもOKということだ。それは資本が決めた就業規則をそのまま労働協約化することを意味する。郵政民営化で「労働ビックバン」の先鞭(せんべん)をつけようとしているのだ。
第三に、改憲問題である。組合統合をもテコにして、郵政労働運動をより一層露骨に連合・民主党路線、すなわち改憲推進路線に取り込もうとしている。とりわけ今国会で成立が狙われている国民投票法案は決定的な改憲推進法案である。しかも、郵政労働者から国家公務員身分を奪っておきながら、「公務員」とみなしてその政治活動を禁止するきわめて不当な労働者圧殺攻撃である。
全逓中央は運動方針の中で「憲法問題、安全保障問題……については、内部議論を進めつつ連合運動に収斂(しゅうれん)する方向で検討する。なお、組織方針や運動を逸脱した行動等については内部で整理する」としている。すなわち連合方針に反発し改憲反対運動を独自で展開した者は統制処分にかける、と脅しを加えているのだ。
連合全逓は、国民投票法案に賛成し、その推進者になろうとしているが、現場労働者は圧倒的に改憲に反対なのだ。ここにこそ連合全逓中央のアキレス腱(けん)がある。今こそ連合内から改憲反対闘争を巻き起こそう。
民営化攻撃ですべての矛盾が労働者にかけられ、次々と仲間が殺され、「勧奨退職」が強制されている。しかし労働者はいつまでもこんな攻撃に唯々諾々と奴隷のように付き従う存在ではない。「資本が生き延びるために犠牲になれ」という攻撃を闘う団結の力ではね返し、権力を資本家から奪うことができるのだ。自分たちこそが本当の社会の主人公なのだ。動労千葉はそういう労働運動を実践してきたのだ。
“労働組合運動で革命やろう”
民同指導部は、労働者の本当の力を見くびっている。「闘っても勝てない」と決めつけている。この民同指導部と徹底的に対決し、職場での激しい党派闘争を貫き、組合権力を奪い返そう。この闘いがプロレタリア独裁能力を獲得する唯一の戦場なのだ。体制内労働運動と決別し、階級的労働運動を実践しよう。
青年労働者の中には「革命やる以外に未来はない」の思いが渦巻いている。この青年労働者を階級的労働運動で獲得しよう。全逓委員会はマル青労同1000人建設を最先頭で担おう。
〔革共同全逓委員会〕
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●78年反マル生越年闘争
郵政当局による組合つぶしに反撃し、78年末から79年初めにかけて全逓運動史上初めて年賀取り扱いを拒否して4億3000万通の滞貨を実現した闘い。これに対し当局は79年4月28日、58人の懲戒免職を含む8000人を超える処分を発令。この処分の不当性を訴えた4・28裁判は、04年6月30日、高裁で逆転勝利判決をかちとり、現在最高裁係争中。
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週刊『前進』(2281号2面2)(2007/02/05 )
国労本部が1047名陣形を破壊
資本に屈し動労千葉排除策す
2・16集会ねじ曲げる大暴挙
国鉄1047名闘争は今、重大な危機に立っている。1月27日に開かれた国労第177回中央委員会と国鉄闘争共闘会議の臨時総会はこのことをまざまざと突き出した。1047名にJR不採用が宣告された87年2月16日から20年目の今、国鉄闘争の真価が問われるその時に、国労本部は、動労千葉を排除して1047名の統一陣形を破壊する裏切りに手を染めた。
今年の2・16集会は、国労本部の暴挙によって1047名連絡会主催から「4者・4団体」主催にねじ曲げられた。それは、JR資本に屈した国労本部が動労千葉排除に躍起となったからだ。
昨年末の1047名連絡会では、2・16集会を同連絡会が主催することは明確に決定されていた。ところが国労本部は、当事者である1047名を無視し、「2・16集会について4者・4団体の共同闘争となるよう取り組む」とした本部電送を勝手に垂れ流した上、それを既成事実にして動労千葉排除を強行したのだ。
こんな理不尽なやり方があるか! 国労本部は、被解雇者の団結を根本から破壊し、1047名闘争に敗北を強いようとしているのだ。
昨年の2・16集会を機に1047名連絡会が結成されたことは、多くの労働者に感動を与えた。1047名が解雇撤回の一点で共闘し、統一陣形を築いたことは、国鉄闘争が勝利に向けて新たな一歩を踏み出したことを意味していた。ところが、それから1年後の今、1047名の統一は国労本部の暴挙によって破壊され、1047名連絡会は事実上の解散状態に追い込まれている。
国鉄闘争を支えてきた多くの労働組合・労働者は、国労本部によるこうした横暴に激しい憤りを燃やしている。こんなでたらめは断じてまかり通らせてはならないのだ。
国労本部がこうした暴挙に走ったのは、彼らがJR資本に全面投降したからだ。JR資本に忠誠を誓った国労本部は、JR体制と真っ向から立ち向かう動労千葉を、なんとしても排除しなければならなくなった。
(写真 昨年6月14日、全逓大会(横浜)で本部方針の否決を訴え、開場周辺をデモする全逓労働者)
スト絶滅宣言が和解の帰結
国労中央委で本部委員長の佐藤勝雄は、「JR西日本・東海に続くJR東日本と国労の全面和解は、JR全体の労使関係を根底から変え、将来に向けた正常な労使関係を作り上げる大きな一歩を踏み出したことを意味します」とあいさつした。
国労東日本エリア本部による出向協定締結と包括和解調印は、国労本部−エリア本部がJRに最終的にひざを屈した歴史的事態だった。これにより国労本部は、分割・民営化以来の一切の合理化を認め、国労組合員に対する不当労働行為を容認し、資本の手先に純化することを資本に誓った。国労東日本エリア本部は、これに続きJRと「総合労働協約」を結ぶことさえ策している。
さらに許しがたいことに佐藤は、「安全安定輸送確立のためにも労使関係の正常化は不可欠」と発言した。そこには、重大事故を立て続けに発生させ、幾人もの労働者を死に追いやったJR資本への怒りはひとかけらもない。労組のこうしたJRへの屈従こそが、尼崎事故の引き金を引いたのだ。ところが佐藤は、「安全」を口にすることで組合員に一層の屈服を迫っている。
これに呼応したチャレンジ一派は、中央委でスト基金の徴収停止を叫び立てた。JRとの和解の行き着く先は「スト絶滅宣言」だ。こんな屈辱がほかにあるか!
裏切り本部を容認するのか
1047名闘争の勝利にとって、JR本体の闘いは絶対的な基礎をなしている。
ところが国労本部は、JRへの一層の屈服が「不採用問題の政治解決」を引き寄せるかのように言い立てている。国労中央委員会で佐藤は、「(JRとの)和解の及ぼす影響は政治的にも社会的にも非常に大きく、労働界は言うまでもなく、政財界からも感じることは『今度こそ解決に向かうのではないか』という期待と歓迎の動きです」と言い放った。
ありもしない「解決の動き」をデッチあげ、政財界にこびへつらって、JRとの屈辱的和解を居直る国労本部は、1047名闘争とJR本体の闘いをともども敗北の泥沼にたたき込もうとしているのだ。
この国労本部を内部に引き入れ、動労千葉を排除して、どうして国鉄闘争の勝利があるのか。国労本部は、12月5日の鉄道運輸機構を相手にした訴訟の提起にあたり、「和解解決のヘゲモニーを本部がとった」とうそぶいた。彼らの狙いはあくまで、4党合意以下の無残な「和解解決」を1047名全体に強制することにある。
鉄建公団訴訟を闘ってきた勢力は、国労本部と一緒になって「政治解決」路線に迷い込んではならない。安倍は施政方針演説で、「憲法を頂点とした戦後レジームを見直す」と公言し、改憲の野望をむき出しにした。御手洗・日本経団連と一体化した安倍政権は、労組絶滅にその攻撃の成否をかけている。
この時に、政治家や官僚の言動に一喜一憂し、国労本部と並んで安倍政権に頭(こうべ)を垂れるのは、味方の戦意をそぐことにしかならない。膨大な労働者が国鉄闘争を惜しみなく支援してきたのは、改憲が問題になる時代においてこそ、1047名が先頭に立って闘うことを期待していたからではないのか。その思いに背いてはならないのだ。
JRと対決し解雇撤回へ!
国鉄分割・民営化体制は破産をさらけ出している。大事故は続発し、極限的な合理化の結果、人員は不足し人員構成も歪んでいる。JRの資本=カクマル結託体制も崩壊寸前だ。そうした矛盾を突破するために打ち出された駅業務の外注化や「ライフサイクルの深度化」が、より一層の業務の混乱と安全の崩壊をもたらすことも明らかだ。
動労千葉はJR資本の攻撃に総力で立ち向かっている。JRが仕掛ける館山運転区・木更津支区廃止攻撃を阻止するため、ストライキを構えて闘いぬいている。JR資本と徹底的に対決して組合の団結を守り、逆に敵に矛盾を強いている。こうした闘いこそが、1047名の解雇撤回の道をも切り開くのだ。
国鉄分割・民営化に対する闘いとして貫かれてきた1047名闘争の本筋を見失ってはならない。分割・民営化体制=JR体制の破産が明らかになり、その矛盾を取り繕うための資本の攻撃はますますJR労働者の怒りをかき立てている。国労本部の屈服によって倍加された資本の攻撃に対して、労働者の怒りは激しく煮えたぎっている。その怒りを解き放ち、JR資本に対する職場からの反撃を組織してこそ、国鉄闘争の勝利は切り開けるのだ。
国労本部は、鉄建公団訴訟原告への統制処分に反対した組合員を5・27臨大闘争弾圧で公安警察に売り渡した。この弾圧を粉砕し、国労を再生させた時に1047名闘争の勝利はある。
今や国労本部は、JR本体の闘いを圧殺する敵対者としての姿を明白にした。国労本部を打倒し、職場からJR資本と立ち向かって国鉄闘争に勝利しよう。国家的不当労働行為を徹底弾劾する闘いとして鉄建公団訴訟を貫こう。1047名の団結を再度打ち固め、解雇撤回へ闘おう。
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週刊『前進』(2281号2面3)(2007/02/05 )
関生弾圧 武委員長に1年8ヵ月の実刑判決
連帯労組が怒りの抗議声明
1月22日、大阪地裁は全日建運輸連帯労組・関生支部の武委員長に対して、懲役1年8カ月の不当極まりない実刑判決を下した。これは関生支部が労働者の雇用と労働条件を守るために展開する労働運動への露骨な政治弾圧である。動労千葉や港合同とともに11月労働者集会を呼びかけ、戦闘的に闘う労働組合に対する不当弾圧を許すことはできない。連帯労組より出された抗議声明を転載します。(編集局)
武委員長に実刑判決を下した大阪地裁を怒りを込めて糾弾する!
〜関西地区生コン支部事件の不当判決に対する抗議声明〜
1.本日(22日)午後、大阪地方裁判所第12刑事部(川合昌幸裁判長)は、関西地区生コン支部事件(大谷生コン・旭光コンクリート事件)の判決公判で、武委員長に対する実刑を含む、次のような不当極まりない判決を下した。
武建一委員長/懲役1年8カ月(未決勾留日数中170日算入)
片山好史執行委員/懲役1年8カ月(執行猶予5年)
武谷新吾執行委員/懲役1年4カ月(執行猶予4年)
西山直洋執行委員/懲役1年4カ月(執行猶予4年)
福嶋聡執行委員/懲役8カ月(執行猶予4年)
なお、この事件で被告とされた執行委員1名は無罪判決だった。
判決言い渡しののち武委員長はそのまま収監されたが、弁護団が再保釈請求をして即座に保釈を実現した。
この判決は、本来は社会正義実現のために公正であるべき裁判所が、その立場を自ら放棄して、警察・検察の労働組合弾圧の意図を代弁することに終始した、お粗末な政治的作文というほかない。
連帯労組はまず、明日23日、全ての地方本部、支部、分会が、この不当判決を糾弾する全国統一行動に満腔の怒りを込めて立ち上がる決意を明らかにするものである。
2.この事件は、関西地区生コン支部がすすめる正当な労働組合活動が刑事事件に仕立て上げられたものである。
関西地区生コン支部は、ゼネコンの不当な買い叩きと欠陥生コンが横行する生コン業界の立て直しをめざしてきた。中小企業である個々の生コン業者が、法律で認められた協同組合の下に大同団結すれば、採算が取れる適正価格での販売が可能になる。そうなれば、中小企業の経営安定と労働者の雇用安定はもちろん、欠陥製品を追放して高品質な生コンの供給が実現できるようになり、消費者の信頼が得られる業界に変えることができる。こうした産業政策にもとづいて、他の生コン関連労組はもとより協同組合に参加する中小企業とも手を携えて、関西地区生コン支部は、いわゆるアウトサイダー業者に対し協同組合加入を働きかけてきたのである。
この運動に対する共感と支持は生コン業界にとどまらず、セメント輸送やコンクリート圧送といった関連の中小企業産業にも広がり、地域的にも関西一円から全国に広がっていた。
この運動の広がりを怖れた大阪府警と大阪地検が、大谷生コンと旭光コンクリートの2社に対して協同組合加入を働きかけた関西地区生コン支部の活動をとらえて、これが強要未遂及び威力業務妨害罪にあたると難癖をつけ、2005年1月以降立て続けに仕掛けたのがこの事件である。
産業別の労働組合が独自の政策を立案し、業界の安定と消費者の利益のために活動することのどこに犯罪性があるというのであろうか。
それにもかかわらず、警察と検察は、生コン業界の過当競争を利用してきたゼネコンとセメントメーカーという大企業の利害を代弁し、いわゆる国策捜査の手法を用いて事件をねつ造したのである。
大阪地裁の判決は、生コン業界の構造的特性や関西地区生コン支部がすすめた産業政策運動の意義を吟味することは全くせずに、警察と検察の言い分を丸飲みして書かれたものというほかない。
そればかりではない。武委員長に実刑判決を下すと同時に、他の執行委員にも極めて長期間の執行猶予を付けたことをみれば、裁判所は、関西地区生コン支部の活動を弱体化させることに執念を燃やしてきた警察や検察のお先棒を担ぐ役割を演じていると非難されても反論できないはずである。
3.われわれは激しい怒りに燃えている。
労働組合と中小企業が血みどろになってすすめてきた運動の成果を、国家権力がいかなる手段を用いて圧殺しようとしても、われわれを屈服させることはできない。
冒頭述べたとおり、われわれはまず、明日以降、全国いっせいに抗議行動に立ち上がる。
そして、この統一行動を皮切りに、この判決の不当性を徹底的に明らかにし、判決糾弾の声を全国各地に広めるべく奮闘する。昨年夏から秋に集約した公正裁判を求める署名は全国津津浦々から3,000団体、20万人に達している。その活動に応じて下さった各地の労働組合、市民団体、そして無数の市民の方々の力をいま一度お借りして、不当判決を糾弾し、正当な産業政策運動を支持する声をより大きな社会的世論に育て、控訴審で完全無罪判決を勝ち取るべく努力するものである。
同時に、われわれは、政治権力と大資本がいかなる弾圧を加えようとも、中小企業と労働組合の協力に基づく産業政策運動をこれまで以上に強力に、そして、より強い確信をもってすすめ、関西地方はもとより全国各地に広げていくものである。
2007年1月22日
全日本建設運輸連帯労働組合中央執行委員長/長谷川武久
全日本建設運輸連帯労働組合近畿地方本部執行委員長/戸田ひさよし
全日本建設運輸連帯労働組合関西地区生コン支部執行委員長/武建一
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週刊『前進』(2281号2面4)(2007/02/05 )
日程 国労5・27臨大闘争弾圧公判日程
第71回 2月14日(水)/第72回 3月6日(火)
第73回 3月28日(水)/第74回 4月18日(水)
※いずれも午後1時15分から、東京地裁
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週刊『前進』(2281号3面1)(2007/02/05 )
教育改悪3法案 成立阻止へ
改悪教基法の実体化と対決
「教育再生会議」報告に反撃を
教育再生会議が1月24日、第一次報告「社会総がかりで教育再生を〜公教育再生への第一歩」を発表した。安倍は報告を受けて今通常国会で関連3法(教員免許法、学校教育法、地方教育行政法)の改悪を成立させることを指示し、改悪教基法の実体化を進めようとしている。卒・入学式で「日の丸・君が代」不起立闘争を広げ、教基法改悪との闘いの第2ラウンドに躍り出よう。
『美しい国へ』の内容を盛る
まず報告が言う「公教育の再生」とは何のためのものなのかを見よう。
報告の冒頭「基本的考え方」は、「グローバルな知識基盤社会」が到来し「世界的な『知』の大競争時代に突入」する中で、「イノベーション(革新)を生み出す高度な専門人材や国際的に活躍できるリーダーの養成が急務」となっているという。そのため「我が国が永年培ってきた倫理観や規範意識を子どもたちが確実に身に付け」るとともに、「世界最高水準の教育を達成」しなければならない、そういう観点から「我が国の教育の在り方を根本から見直す」という。
要するに、帝国主義間の争闘戦がかつてなく激化する中で、国際帝国主義の最も弱い存在にたたき落とされた日本帝国主義が生きのびるための「教育改革」なのだ。
こんなものは労働者の子どもたちのための「教育」でもなんでもない。資本家が国際競争に勝ちぬくための「高度な専門人材」や「リーダー」づくりに力をそそぐ。他方、労働者の子どもたちには「基礎学力」と「規範意識」だけをたたき込んで、低賃金の不安定雇用に甘んじろ、しかしお国のために命は差し出せ、というものなのだ。
教基法第1条〈教育の目的〉にあった「個人の価値をたつとび」「自主的精神に充ちた」の言葉を改悪で削除したのは、教育を”国家が求める資質を備えた国民の育成”に一変させるためだ。この改悪と一体で、教育再生会議は、国のため・資本家のための「教育再生」を叫んでいるのだ。
■規範の徹底
報告は安倍の著書『美しい国へ』の内容をすべて盛り込んだものだ。
何度も繰り返されるのが「規範の徹底」。「すべての子どもに規範を教え、社会人としての基本を徹底する」という項目では、「自由には規律と責任が伴う」と言い、「国を愛し、豊かな人間性をそなえ」る人間の育成をうたう。
そのための取り組みは、「道徳の時間の十分な確保」「神話・おとぎ話、茶道・武道などを通じて、徳目や礼儀作法を身に付けさせる」「高校で奉仕活動を必修化」などである。60年前に大破産した教育勅語体制下の教育の復活そのものだ。
■授業10%増
「『ゆとり教育』を見直し、学力を向上する」という項目で、授業時数10%増加、「薄すぎる教科書の改善」を行うとし、学習指導要領の改訂を求めた。02年度から実施した学校週2日制の見直しも検討される。今年4月に行われる全国一斉学力テストにも触れ、国家の教育統制をますます強めようとしている。
「伸びる子は伸ばし、理解に時間のかかる子には丁寧にきめ細かな指導を行う」の項目では、「少人数指導」「習熟度別指導」拡充を求めた。その実態は、かつて三浦朱門(中教審教育課程審議会・元会長)が「(エリートは)百人に一人でいい。非才、無才には、せめて実直な精神だけを養ってもらえばいい」と語ったとおり、ほんの一部の「伸びる子」だけの能力主義教育に拍車をかけるものだ。残る99%には「実直な精神」、つまり戦場におもむき侵略戦争を担う愛国心だけをたたき込もうというのだ。
■体罰の復活
「学校を再生し、安心して学べる規律ある教室にする」の項目では、「いじめている子どもや暴力を振るう子どもには厳しく対処」するとして、出席停止制度の活用、警察等との連携などを打ち出した。
さらに「暴力など反社会的行動を繰り返す子どもに対する毅然(きぜん)たる指導」のため、 「『体罰の範囲等について』など関連する通知等を、06年度中に見直す」とした。「教室外退去」「廊下に立たせる」などを禁じた1948年の法務庁長官(当時)通達を見直し、体罰を公然と復活させようというのだ。
日教組つぶしの免許更新制
こうした「教育改革」の最大のネックとなるのは、教育労働者の闘いである。そのため同報告は、教育労働者への激しい攻撃を打ち出した。
■免許取り上げ
「真に意味のある教員免許更新制の導入」として、「10年ごとに30時間の講習受講のみで更新するのではなく、厳格な修了認定とともに、分限制度の活用により、不適格教員に厳しく対応する」「改善が図られない教員は……教員免許状を取り上げる」とした。
免許更新制については中教審が昨年7月に答申を出し、07年通常国会での成立が目指されてきた。しかし中教審答申の「10年ごとに30時間の講習受講」では不十分とクレームをつけ、「修了認定」を得られない者は免許を奪おうとしている。
「今後の検討課題」では、教員免許の「国家試験化」も盛り込んだ。免許取得の時から国家が一元的に管理し、「不適格」と判断した者は排除しようというのだ。
他方、「メリハリある給与体系、昇進面での優遇、優秀教員の表彰」も掲げた。わずかな涙金で国家のため・資本家のための教育を進んで担う「聖職教師」をつくろうとしているのだ。
学校教育法を改悪し、副校長、主幹等の管理職を新設することも盛り込んだ。上意下達の教育体制の確立が狙いだ。
なお学校教育法については、「愛国心」教育など改悪教基法にもとづく教育目標を盛り込む改悪も、今通常国会で狙われている。
■日教組つぶし
1月29日の衆院本会議では、安倍がより露骨に、日教組つぶしこそ狙いであると明言した。
自民党政調会長の中川昭一が「教職員組合などが関係した不適切な教育現場の実態がある。……入学式や卒業式の国旗掲揚、国歌斉唱を妨害する一部の教職員の行動は法令違反で、社会的通念を逸脱している」と発言。これに対して安倍が「教職員組合などの不適切な事例は、各教育委員会において法律にのっとり、その排除に毅然と対処する」と答弁したのだ。日教組の活動家、とりわけ「日の丸・君が代」強制と闘う教育労働者を排除するという宣言である。
教育再生会議が報告を発表した同日、「日本教育再生機構」(理事長は「新しい歴史教科書をつくる会」元会長の八木秀次)が談話を発表した。そこでは、「(報告は)不適格教員の排除を打ち出しているが、『不適格教員』とは指導力不足教員のみならず、教室に特定のイデオロギーを持ち込む一部教職員組合の活動家なども想定されるべき」と言った。「教え子を再び戦場に送るな」のスローガンのもとに団結する日教組組合員こそ、学校現場から排除すべき対象だと言うのだ。
■不起立拡大を
安倍や八木の発言は、彼らが恐れているものをはっきり示している。処分の脅しに屈せず「日の丸・君が代」強制と闘い続けることこそ、改悪教基法と教育再生会議への最大の反撃だ。
教基法を改悪しようとも、学校現場で子どもたちに相対しているのは教育労働者である。教育労働者の底力を発揮し、今春「日の丸・君が代」不起立闘争を広げよう。その力で、教育関連法改悪を阻止する通常国会闘争に攻めのぼろう。
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教育再生会議第一次報告
教育再生のための当面の取組
■7つの提言
《教育内容の改革》
@「ゆとり教育」見直し、学力を向上する
A学校を再生し、規律ある教室にする
B規範を教え、社会人としての基本を徹底
C魅力的で尊敬できる先生を育てる
《教育システムの改革》
D保護者や地域の信頼に真に応える学校に
E教育委員会の在り方を抜本的に問い直す
《「社会総がかり」での全国民的な参画》
F社会総がかりで子どもの教育にあたる
■4つの緊急対応
@反社会的行動をとる子どもに対する毅然たる指導のため、通知の見直し(06年度中)
A教育職員免許法の改定(教員免許更新制導入)(07年通常国会に提出)
B地教行法の改定(教育委員会制度の改革)(07年通常国会に提出)
C学校教育法の改定(学習指導要領の改訂及び学校の責任体制の確立のため)
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週刊『前進』(2281号3面2)(2007/02/05 )
Q&A 改憲投票法案 反対運動弾圧が狙い
安倍政権は07年の戦争・改憲と民営化攻撃の突破口として、今通常国会での国民投票法案の成立を最優先課題に掲げている。この法案の内容と狙いをQ&Aであばく。
Q 国民投票の手続きを定めるだけなら反対しなくてもいいのでは?
A 憲法96条は、憲法改正は衆・参各議院のそれぞれ3分の2以上の賛成によって国会が発議し、国民投票で過半数の賛成を得なければならないとしている。国民投票法案は、この投票の仕方を決めるだけだと言われるが、単なる手続き法案では断じてない。
実際に今、国会に提出されている法案は、国民投票を改憲賛成派に有利になるようにどう組織するか、という一点でつくられている。賛成派がマスメディアを牛耳ってバンバン宣伝を行える一方、反対運動にはあらゆる口実を設けて弾圧を可能にしている。国会提出前の原案段階では「これではまるで戒厳令だ」「言論統制法案だ」という批判も起こった。そのため条文は一見かなりの変更されたが、この本質は一貫して変わっていない。
政府・自民党は「5月3日の憲法記念日までに成立させる」と言っているが、それは9条改憲を急いでいるからだ。年頭に、朝鮮半島有事の際の日米による戦争計画の具体化がすでに始まっていると新聞で報道された。そこでは自衛隊が憲法9条を公然と破り、集団的自衛権を行使して、米軍と一体となって朝鮮侵略戦争に突入することが目指されている。この戦争準備との関係で、安倍政権は9条撤廃=改憲を一刻も早く実現したいと焦っているのである。
「9条改憲を阻止するには、逆に国民投票をやって勝てばいい」という意見もあるが、とんでもない。この法案自身が改憲攻撃そのものであり、この法案の成立を阻むことこそ改憲阻止の出発点だ。
Q 反対運動への規制は外されたと聞いていたけど?
A 「規制を外した」というのは大ペテンだ。確かに、原案で最大の物議をかもした新聞・雑誌への「虚偽報道」や「不正利用」の禁止といった条項は姿を消した。原案にあった外国人への規制もなくなった。しかし一番肝心の、公務員や教育労働者の運動を禁止する項目は残っている。
さらに、組織による多数者への買収や利害誘導罪、職権乱用による投票妨害罪、投票の秘密侵害罪など、新たな罰則が導入されている。この点では与党案も民主党案も違いはない。
とりわけ重大なのは、与党と民主党との間で行われてきた法案修正協議の中で、民主党が「公務員等・教育者の地位利用による国民投票運動の制限」という条項(別掲)を盛り込むことに同意したことだ。与党案には違反者に禁固刑などを科す罰則があったが、民主党はこの罰則を外すことを条件に、公務員労働者や教育労働者の改憲反対運動を事実上、全面禁止することを丸のみした。
これは何よりも、自治労や日教組などの労働組合が改憲阻止闘争に立ち上がることを徹底的に禁圧し、逆にこれをテコに大々的な労組破壊攻撃にのりだすことを意味する。罰則をなくしたのは刑事罰を適用しないというにすぎない。行政処分はいくらでも発動できる。「日の丸・君が代」で都教委がやったように理不尽な通達や職務命令を乱発して従わない者は片っ端から処分し、最終的にはクビにできる。
すでに、社会保険庁の労働者が休日に自分の住む地域で支持する政党のビラをまいたというだけで、国家公務員法の政治活動禁止条項違反で有罪判決を受けている。一市民としての当然の政治的権利の行使さえ、公務員労働者には許さないというわけだ。
さらに法案の「教育者」には、大学教員も含まれる。憲法学者が自分の意見を述べることも「学生に影響力を与える行為」として禁止の対象になってしまう。表現の自由、学問の自由さえ脅かすものだ。何がなんでも葬り去らなければならない。
Q 新聞や放送などメディアへの規制はどうなったの?
A 国民投票実施の14日前(当初案では7日前)から有料の広告放送を禁止する。これ以外に規制はないが、ここには重大な落とし穴がある。
ひとつは、広告放送禁止の期間中も、国会に議席をもつ政党とその指名する政治団体に限り、テレビ・ラジオでの宣伝ができるとしていることだ。しかもこれらの政党や団体の場合、広告料金を支払う必要はない(新聞広告も同じ)。
つまり、自民党など既成の大政党は無料で、また日本経団連など金のある連中は有料の広告によって、改憲賛成の宣伝をマスメディアを使って一方的に流すことができる。しかし巨額の資金を持たない労働組合や一般の市民団体は、反対広告を出せないばかりか、投票前2週間はテレビ・ラジオでの宣伝を一切禁止されることになる。
いまひとつは、この無料広告を取り仕切るのは国会が設置する「国民投票広報協議会」だが、その委員は各政党の所属国会議員数に応じて選任される。この協議会が国会が発議した改憲案の広報活動も行う。これでは改憲推進派が事実上、メディアを支配することになるのは明らかだ。
Q これが通ればすぐ、改憲案が国会に出てくるというのは本当?
A 原案にはなかった国会法の改悪がセットになっている点が重大だ。
これは、国会による改憲発議への手続き整備を行うものだ。衆参両院に「憲法審査会」を新たに設置して、そこに改憲案を作成する権限を与える。衆院で100人以上、参院で50人以上の議員の賛成があれば改憲案の原案を憲法審査会に提出でき、憲法審査会はその審議を国会の開会中だけでなく、閉会中も継続できる。
さらに、衆院と参院の憲法審査会は、必要なら合同審査会を設けて審議を行い、この合同審査会が改憲案について各院に「勧告」ができるとしている。ここには悪質な意図がある。自民・公明の与党は現在、衆院では改憲に必要な3分の2を超える圧倒的多数を占めているが、参院ではまだそこまでいっていない。この状況下でなおかつ改憲発議の強行を可能にするために、合同審査会を設けることで、参議院の独立性と衆院との対等性を否定しようとしているのだ。
今回の法案が成立すれば、国会での改憲審議本番の開始にただちに道を開くことになるのは明白だ。
Q 民主党の屈服は許せないけど、どう闘えばいいんだろう?
A 民主党はそもそも改憲には賛成だ。特に〈戦力不保持・交戦権否認〉を規定した憲法9条2項を撤廃して日本を戦争のできる国にするという点では、自民党とほとんど変わらない。国民投票法案についても、民主党の本音は早期制定だ。教育基本法改悪の時と同じで、自民党との対抗上、対案を出したが、その中身は与党案同様に反人民的なものである。しかも修正協議に応じて一層の大裏切りに走っている。
最大の問題は、この民主党を連合が支持していること、中でも自治労本部や日教組本部が今や率先して支持する側に回っていることだ。このこと自体が改憲勢力への完全な転落だ。
腐敗し裏切りに走る既成幹部を現場労働者の職場からの決起でぶっ飛ばし、自治労と日教組の階級的再生、全逓労働運動の再生を闘いとろう。安倍政権を打倒し、改憲を阻止する力はその中から生まれてくる。
改憲投票法案に示されるように、極めて強権的でクーデター的な、ブルジョア民主主義そのものも破壊するようなやり方なしには、日帝は改憲と戦争への攻撃を貫くことはできない。巨大与党の力をどんなに誇ろうと、労働者階級が団結して9条改憲阻止に立ち上がったら改憲攻撃を押し通すことなどできないことを、彼らはひしひしと感じている。昨年の教基法闘争は、その恐怖を安倍政権に突きつけた。
自治労や日教組を始めとする4大産別での階級的労働運動再生の闘いが、勝負のかぎを握っている。このことに確信を持って闘おう。
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公務員労働者・教育労働者の改憲阻止運動に対する弾圧条項(法案修正協議の結果、昨年12月14日に与党と民主党との間で合意した条文)
【公務員等・教育者の地位利用による国民投票運動の制限】 公務員等及び教育者は、その地位にあるために特に国民投票運動を効果的に行いうるような影響力(教育者にあっては、学校の児童、生徒及び学生に対する影響力)又は便益を利用して、国民投票運動をすることができないものとすること。ただし、違反した場合の罰則は設けないものとすること。
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週刊『前進』(2281号3面3)(2007/02/05 )
安倍施政方針は御手洗と一体
「改憲」と「教育」で攻防へ
1月26日、安倍首相は衆参両院で施政方針演説を行った。その中身は、日本経団連の御手洗ビジョン「希望の国、日本」と完全に一体のものだ。激化する帝国主義間争闘戦の中で日帝と独占的大企業が生き延びていくために、一切の犠牲を労働者階級人民に集中しようとしている。そのために改憲と日米同盟強化、「新成長戦略」、労働法制改悪、教員免許更新制などを真っ向から打ち出した。
@「はじめに」で、憲法など日本の基本的枠組みの多くが「21世紀の時代の大きな変化についていけなくなっている」と、帝国主義間争闘戦に日帝が立ち遅れていることに危機感を表明している。そして、「戦後レジーム(体制)を原点にさかのぼって大胆に見直し」「一つ一つスピード感をもって結果を出していくことが重要」と、攻撃を加速する反動的決意を表明している。その核心は改憲である。「憲法の改正についての議論を深めるべき」「(国民投票法案の)今国会での成立を強く期待する」と強調した。
A安倍は格差拡大問題には言及もせず、「新成長戦略を力強く推し進める」と表明した。これは、御手洗ビジョンが「成長重視の選択を提言する」と述べたことに全面的にこたえるものだ。
「新成長戦略」とは何か。それはトヨタやキヤノン、三菱グループなど、全世界に展開して労働者を搾取する独占的大資本の生き残りのために、日帝の国力、財政、施策を総動員するということだ。そのためには国内外の労働運動を暴力で押さえつけ、労働者階級に低賃金・長時間労働を強制し、農業・農民を切り捨て、「自立の精神を大切に」などと称して年金・医療・福祉などの社会保障を大幅に切り捨てるということである。「小泉改革」が進めた労働者階級の貧困化を、安倍はもっと激しく「スピード感をもって」強行すると宣言したのだ。
B具体的には、搾取の徹底的強化のために、正社員を低賃金・「使い捨て」の非正規雇用労働者に置き換えることである。それを「再チャレンジ支援総合プラン」「仕事と家庭生活の調和」などと称して進めようとしている。
Cまた「道州制」「公務員の総人件費を徹底して削減」「地方公務員の給与の引き下げ、規律の強化」を強調している。公務員200万人削減と4大産別労組の解体を狙う宣言だ。
D特に「教育再生は(安倍)内閣の最重要課題」として、改悪教基法関連法案の今国会提出、教育振興基本計画の早期策定を強調した。とりわけ「教員の質が教育再生の鍵を握っている」として「教員免許更新制の導入」を掲げた。これは、日教組を解体し教員を戦争教育の担い手にする攻撃だ。
E「世界とアジアのための日米同盟は、わが国外交の要」「日米同盟を一層強化」と述べた。日米共同でイラク侵略戦争の拡大、さらにイラン、北朝鮮―中国侵略戦争に突き進むということだ。それは米帝とともに、日帝が世界の労働者階級、被抑圧民族の打倒対象となることだ。
安倍を打倒する最大の力は、階級的労働運動の前進である。
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週刊『前進』(2281号3面4)(2007/02/05 )
死に体ブッシュ 一般教書演説
イラク増派と緊張激化策
1月23日、ブッシュ米大統領が一般教書演説を行った。演説の特徴はブッシュ政権の「死に体」化とそれゆえの凶暴化である。
演説の最大のポイントは、米軍2万人強のイラク増派を軸とする新戦略への支持を再度求めたことだ。ところが上院軍事委は早速、翌24日にイラク増派反対決議を採択した。世論も7割近くがブッシュと新戦略を支持していない。
ブッシュは「このコース(路線)を選択したのは成功の可能性が最も高いと判断したからだ」と強調、「新戦略を機能させるチャンスを与えてほしい。戦地の兵士を支援してほしい」と哀願した。
また早期撤退論に強く反対し、「バグダッドを確保する前に米軍が撤退すると、イラク政府は過激派によって転覆されてしまう。イランの現体制に支援されたシーア派過激派とアルカイダと旧体制支持者に支援されたスンニ派過激派との長期の戦闘になるだろう。国を越えて暴力が伝染する。それはアメリカにとって悪夢のシナリオだ」と警告した。
そしてこの「世代を超えた長期の対テロ戦争」をやるために「団結が重要だ」として、超党派の議会指導者からなる「対テロ戦争特別顧問会議」の設置を提案し、5年間で9万2千人の米兵の増員を議会が認めるよう求めた。
一般教書演説のもう一つのポイントは、「イラクのシーア派を支援している」と非難してイランへの軍事的対決姿勢、緊張を強めていることだ。演説は「対テロ戦争」を「兵器の衝突というよりも決定的なイデオロギー闘争だ」と規定した。この「イデオロギー闘争」の最大の相手こそイランだ。
現に米軍は、この間イラクでシーア派民兵組織への攻撃を激化させているばかりか、イラクでのイラン人拘束も始めている。26日にブッシュは、イラク内のイラン情報部員を殺害・拘束することを米軍に許可したという報道を事実上認めた。他方、米中央軍の新司令官には海軍提督をあてた。すでにペルシャ湾には空母機動部隊が追加配備されている。イスラエルもイランの核施設を爆撃する用意があることを公言している。
ロックフェラー米上院議員が「まるでイラク開戦前を思い起こさせる雰囲気」と言うほど、米・イスラエルのイラン空爆―侵略戦争は切迫しているのだ。ブッシュは対イランで戦争的緊張の激化策をとっているのだ。
ブッシュは演説の前半30分をエネルギーなど内政問題に費やしたが、イラク情勢に追いつめられての苦し紛れの提案で、うつろに響くばかりだった。▽国内のガソリン消費量をバイオエタノールなどで2年間に2割削減し、中東からの原油輸入量の4分の3を削減▽民間医療保険への加入のために家族で一律年1万5千j(約182万円)、単身で同7500jまで税控除を認める――などだが、リアリティーはまったくない。
1月27日、ワシントンで米軍増派反対・即時撤退を求める反戦デモに6万5千人が決起した。イラク開戦4年目の3月、全世界人民と連帯して反戦闘争に立とう。
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週刊『前進』(2281号4面1)(2007/02/05 )
戦争・改憲・愛国心と−大資本攻勢の安倍・御手洗路線に全面対決しよう
労働者の階級的団結解体と労働運動の絶滅を狙う日帝
1月26日、安倍首相は通常国会で施政方針演説を行い、「戦後レジーム(体制)を原点にさかのぼって大胆に見直す」「新たな国家像を描いていく」と、安倍の言う「美しい国」づくりに全力をあげることを宣言した。その内容は、日本経団連・御手洗が1・1ビジョンで打ち出したものと完全に重なっている。9条改憲と朝鮮侵略戦争に公然と突進し、「教育改革」や戦後労働法制の解体を突破口とする国家大改造攻撃を戦後階級関係の反革命的転覆をかけて推進するということである。その一切を、何よりもこの07年、4大産別の労組破壊を始めとする労働者階級の階級的団結の解体と労働運動絶滅にかけて、日帝ブルジョアジーの側から決戦を挑もうとしているのだ。本紙2278号4〜5面論文で暴露したように、アメリカ帝国主義の没落と帝国主義間争闘戦の死闘化が進み、新たな世界戦争かプロレタリア世界革命かが不可避となる時代に突入した中で、日本帝国主義は、帝国主義の「最弱の環」としての現実を突き付けられ、延命を求めて必死にあがいている。2278号論文での提起を引き継ぎ、以下、今日の日帝の危機の深さと、安倍・御手洗路線の意味するものをえぐり出していきたい。
〔T〕 ドル暴落や株式市場瓦解におびえる日帝
日帝が今日の帝国主義の最弱の環であるということは、帝国主義の経済的・財政的土台という点からみても明白である。日帝は戦後の特殊な国際的・国内的条件のもとで経済大国化の路線を突っ走ってきたが、これは、没落期の帝国主義が戦後の発展によってまるで新たな体制になりおおせたというようなものではけっしてない。
周知のように、日帝の戦後発展は高度成長期をとおして急激に進んだが、70年代中葉にひとつの限界にぶつかり、過剰資本・過剰生産力の重圧のもとにおかれるにいたった。その後、80年代とその末期のバブル期をとおして異常な経済的発展をみせたが、その結果行きついたものはバブルの大崩壊である。
日帝は一時「ジャパン・アズ・ナンバーワン」などと気どっていたが、バブル崩壊とその後の90年代から21世紀初頭に至る十数年間は、帝国主義の歴史上も特筆すべきすさまじい大不況時代となった。三つの過剰といわれた「生産設備の過剰、企業債務の過剰、雇用の過剰」の重圧が経済・社会を覆い、日帝はまさに帝国主義の矛盾の爆発のもとでのたうちまわった。
そしてこの過程で日帝政府が資本家階級の救済のために行った野放図きわまる財政政策の総結果こそが、今日、依然として日帝国家体制の屋台骨をぐらぐらに揺さぶっている巨大な財政赤字である。すなわち1000兆円をこえる公的借金であり、674兆9506億円(06年9月末現在)におよぶ国債残高なのである。
この巨額の財政赤字は他の帝国主義諸国に類例のないもので、まさに日帝の死重として働いているものである。小泉内閣の最後につくり、安倍政権が継承している「骨太の方針2006」が、この財政赤字への日帝の必死の対応であることは周知のことである。
安倍政権は、この間の日帝が一定のGDP(国内総生産)成長をとげ、05年・06年と税収の自然増加をもたらしていることをテコにして、いわゆる「成長戦略」なるものを展開していけばこの巨大国債残高の重圧から逃れることができるかのように言っている。だが、あまりに巨大な国債残高が国債の元利払いの圧力を強め、結局、返済しても返済しても国債残高が膨張し発散していってしまうことを阻止することは、事実上不可能な段階にすでに入っているのである。
労働者への低賃金化の攻撃で収益を回復
【表1】3つの期間の主要な経済指標 |
|
今回の02年2月〜の時期 |
いざなぎ期(65年〜70年) |
バブル期(86年〜91年) |
GDP(年平均) |
+2.4% |
+11.5% |
+5.4% |
設備投資 |
+6.5% |
+24.9% |
+12.2% |
個人消費 |
+1.7% |
+9.6% |
+4.4% |
定期給与 |
-0.85% |
+79.2% |
+12.1% |
パート労働比 |
21.5% |
|
11.1% |
失業率 |
4.0〜5.5% |
1.0〜1.6% |
2.0〜3.1% |
今日、日帝・安倍政権やブルジョアジーはかつての「いざなぎ景気」をこえる長期的成長が実現しているとはやしたて、あたかも日本経済が長期の低迷を脱して新しい発展過程に入りつつあるかのように宣伝している。しかしこれは、末期の、没落期の帝国主義としての日帝が、帝国主義の持つ矛盾のゆえに経済の停滞性の基調からぬけ出すことなど簡単にはできはしないということを、無視しているものにすぎない。
このことを端的に示すデータを示そう。これは今回の「02年以来のGDPのプラス成長期」と、65年11月から70年7月にいたる「いざなぎ景気」と、86年12月から91年2月にいたるバブル景気の、三つの期間の主要な経済指標を比較した表である。【表1】
この表をみれば、60年代の「いざなぎ景気」と今回が、およそ比較になるようなものでないことは明らかであろう。今回の02年2月以来の「長期成長」なるものは、きわめて停滞的で力強さを欠くものである。これは小泉政権下での次のような政策の結果によるものだ。
すなわち、小泉政権は、一方でゼロ金利やそれ以上の「量的緩和」と称する野放図な超低金利政策によって、日帝金融資本の金融システムの瓦解(がかい)を辛うじて防ぎ、あらゆる援助を行って大手銀行の不良債権処理を支援した。他方では95年日経連プロジェクト報告にそった労働法制改悪などのウルトラな階級性まるだしの規制緩和を行い、日帝独占ブルジョアジー、資本家どもによる失業・首切り・リストラを嵐のように推進した。そしてその恐怖のもとで、労働市場における非正規雇用の大々的な拡大が行われ、いわゆる総人件費の恐るべき圧縮が行われたことによって、若干のプラス成長が初めて可能となったのである。
要するに、戦後期の日帝の高度成長を支えた終身雇用制と年功序列賃金制を大々的に破壊し、資本の一方的利害のために労働者階級を雇用不安と超低賃金・長時間労働の地獄にたたきこむことで、ようやく日帝・資本家階級は企業収益を積み上げることができるようになったのである。
しかしながら正確にいえば、これだけによっては長期にわたる平均2%レベルのGDP成長などできなかったのである。実際にはアメリカの住宅バブル、経済全体のバブル化が進行したこと、それに牽引(けんいん)されつつ中国を始めとするBRICs諸国・アジア諸国などが、中国経済自身のバブル化をも伴いつつ、帝国主義にとってはかなり外部性の強い形でにわかに望外の大市場を形成してきたことによるのである。日帝はまさにこのバブル的成長をとげる米・中、特に中国への急激な大量の輸出を実現できたことで、初めてマイナス成長の水面下からプラス面に顔を出すことができたのだ。
この結果、この数年間、日帝の主要な大企業は軒並み史上最高の利益を得ることができたし、一定の設備投資の拡大などをすることができたのである。実はこの05年・06年的な増収増益ラッシュの税収的反映が、この間言いはやされている税の自然増ということなのである。
米・中バブルに依存した「長期不況脱却」
【表2】日本のGDP統計(06年7月〜9月、実質前期比)
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GDP |
+0.2% |
個人消費 |
-0.9% |
住宅投資
|
-0.3% |
設備投資 |
+1.5% |
在庫投資 |
+0.3% |
政府消費 |
+0.7% |
公共投資 |
-5.3% |
輸出 |
+2.5% |
輸入 |
-0.5% |
名目GDP |
-0.0% |
GDPデフレーター |
-0.8% |
GDP寄与度 内需 |
-0.2% |
外需 |
+0.4% |
要するに、日帝経済の長期不況からのようやくの脱却といわれてきたことの実態は、基本的にはやはり米バブル・中国バブルなどへの円安を武器にしての輸出ラッシュの展開だったのである。
日帝政府・ブルジョアジーはこの輸出景気が結局は内需による内発的な好況への転化を引き起こすと叫び続けてきたが、現実の経済統計は無慈悲にもそれを打ち砕いてきた。それを端的に示すものがGDP統計である。主要経済指標を見てみよう。【表2】
日帝・安倍政権はこの06年7〜9月期のGDP統計のデータに衝撃を受けている。すでに米の住宅バブルの大崩壊は進行しており、中国も地方政府による野放図な投資拡大が引き起こす大パニックの危険におののいて一定の引きしめ政策をとりつつあった。すなわち、日帝は輸出拡大への制約を受けることが必至な情勢の中で、いわゆる内需なるものが予想していたように高揚していかないことがはっきりしたのだ。決定的なことは、個人消費がプラスどころかマイナス0・9%となっていることだ。
最も重要な事柄は、一方でGDPがとにかく超長期のプラス成長を続け、大企業・大資本の増収増益の決算発表がマスコミ紙面におどりながら、本来なら当然プラス成長すべき個人消費が全然これに反応せず、低迷し悪化さえしているということである。実際に、家計消費支出は03年以降も一貫してマイナスを続けている。労働者への超低賃金の強制で、民間労働者の「年間給与総額」は97年をピークに8年連続で減少し、個人消費を抑え込んできたのである。
このような国内の個人消費の低迷や世界市場での変調の開始をうけて、設備投資もその拡大力を失い始めている。先行指標である機械受注が06年7〜9月期にはマイナス11・1%を記録した。これは現行の調査方式が始まった87年以降で最大のマイナス幅である。このような現実に直面して、「デフレ脱却」宣言を無理やりしても内実はグラグラである。日銀も将来の大不況の再来に向かって、利下げの余地を確保するため、現時点で政策金利をさらに引き上げておきたいところであるにもかかわらず、景気に打撃を与える危険の中で見送る以外にないという状況にある。また、日帝が超低金利政策から実質的に脱却できないでいるのは、今日のドルの不安定な状況にも規定されている。円が超低金利状態にあることで、日帝の貿易黒字は証券投資などの形態で米国内に流出し、ドル暴落の危機を防いでいる面があるのだ。さらに、超低金利のゆえに円がどんどん売られることで歴史的な円安状態がつくりだされていることが、自動車産業や電機産業の輸出の急拡大を可能とし、多大な利益をトヨタなどにもたらしつづけている。
したがって、日銀の利上げがひとつ間違えればドル暴落や日本の株式市場の瓦解のきっかけになる恐怖に、日帝ブルジョアジーは依然としておののいているのだ。
〔U〕 歴史的低賃金構造と個人消費低迷の意味
このように、日帝のGDP成長の構造そのものに重大なインパクトを与えている歴史的な低賃金構造とそれによる個人消費の低迷は、日本帝国主義論にとって、いや現代帝国主義論にとっても重要な事柄となっている。この点について、さらにいま少し踏み込んでみよう。
日帝の労働市場(または賃労働と資本の関係)において、帝国主義の歴史上でもまれにみる大変動がいま音をたてて進行しているということである。一言でいえば、95年日経連プロジェクト報告で打ち出された雇用形態の多様化が、労働者階級総体の不安定雇用化として90年代後半から21世紀初頭にかけて爆発的ともいえる勢いで進行したことである。
日本の労働者階級の大半が終身雇用制・年功序列賃金体系に組み込まれていた(もちろんいわゆる臨時工という存在は大きく存在していたが)状況が大々的に打ち壊され、膨大な非正規雇用労働者の大群が生みだされ、日本資本主義にとって大きな戦略上の柱の一つにすでになっている。06年1月〜3月の統計によれば、役員を除く被雇用者総数4965万人のうち、正規雇用が合計3319万人(66・8%)、非正規雇用が合計1646万人(33・2%)である。非正規雇用労働者の内訳は、
・パート 774万人
・アルバイト 335万人
・派遣労働者 121万人
・契約社員、嘱託 281万人
・その他 135万人
これらは、不況の長期化と国際競争の激化、グローバル化のもとで、日本の企業がすさまじいリストラ攻撃を繰り広げたことによる失業者の増大、他方での学卒の新規採用の制限が行われることによって一挙に進行した。新規学卒者の就職率は03年に過去最低の55・1%、04年と05年は59・7%、06年は63・7%であった。03年の場合、実に2人に1人は就職できなかったのだ。
こうした情勢ときびすを接して03年、04年と労働法制の改悪が続々と行われた。年1月には労働基準法改悪で有期雇用契約期間の上限が1年から3年となった。これで一挙に契約社員が増えた。03年6月には労働者派遣法の改悪が行われ、04年3月に施行された。この改悪で、対象事業分野が拡大し、派遣期間も1年から3年となった。さらに製造業でも原則解禁となった。
いうまでもなく、こうした非正規雇用労働者の拡大は資本にとってとてつもない総人件費の圧縮となる。
非正規雇用は各種のものがあるが、時給は800円から1000円前後、いやそれ以下の地域の最低賃金に張り付いているものも多い。月収に換算してもフル稼働で働いてせいぜい12〜13万円。仕事がなければ5〜6万円の時もある。非正規雇用労働者は一般的にいえば、同一の労働をしても正規社員の賃金の2分の1以下しかもらえない。しかも健康保険や厚生年金などの社会保険の保障は一切ない。また、残業を強制されてもその多くは残業代は不払いであるのが普通だ。「嫌ならやめてくれていい」の一言で終わりである。
こうした中で、必死に働いても生活保護費以下の賃金しか得られない労働者も多くなっている。ワーキングプアといわれる超貧困状態に苦しむ労働者が増大している。いわゆる「デジタル日雇い族」といわれる労働者の場合、時給は最低賃金法以下の700円、実質的手取りは時給500円という水準に苦しんでいる。家賃や宿泊代を払ったら何も残らないという状態である。また、財務総合政策研究所のレポートによると、学卒の正社員の生涯年収合計と非正規社員のそれとを比べると、後者は前者の20〜23%でしかない。
このように非正規雇用労働者が労働者階級全体の3分の1になっているが、その資本家的意義は明白である。それは総額人件費を大幅に圧縮し、人件費を固定費から変動費に事実上組み替えていくことである。つまり、仕入れコストや物流コストと同じように、非正規雇用労働者の採用・使用・採用打ち切りを変幻自在に行うということである。
基幹産業を支える非正規雇用の労働者
ここでおさえておくべきことは、今や非正規雇用はごく一部で行われていることではないということ、むしろ今日の日本を代表する典型的な戦略的大企業(戦略的産業部門)においてこそ、圧倒的に展開しているのだということである。スーパーなどの小売業も大きなシェアを占めるが、他方ではトヨタ・松下・キヤノン等々といった最大規模のグループ企業において、その子会社・関連会社を含めて、全面的に非正規雇用がすでに戦略的存在になっているのだ。
今日の雇用状況を図式化すれば次のようになっている。【図】
この間マスコミなどで暴露されたことからすると、松下プラズマディスプレイ、キヤノン(大分キヤノン)、トヨタ系光洋シーリングテクノなどにおいて全面的に行われてきたのが「偽装請負」という雇用方式である。
偽装請負とは、メーカーなどの企業が、人材会社から事実上、労働者の派遣を受けているのに、形式的に業務を請け負う「請負」と偽って、労働者の使用に伴うさまざまな責任を逃れようとする行為である。業務請負ならば作業指示を行うのは請負側でなければならないが、現実にはユーザー側企業の社員が指揮監督する場合が多い。だが、これは職業安定法や労働者派遣法違反である。
偽装請負のもとではユーザー企業側は、派遣労働者の場合必要な労働者派遣法に基づく一定期間後の直接雇用申し出義務がなくなる。さらに社会保険負担も回避できるし、労働安全上の義務もない。これによって大企業側の人件費負担は3分の1になると言われている。
これは労働者を徹底的に無権利化して、強搾取・強労働の地獄にたたき込み、資本が搾取率を極大化することにほかならない。しかも、この請負雇用労働者の数と正規雇用の労働者の数とがほとんど同じくらいになってきている大企業も多いという。
ここでさらに驚くべきことが暴露されている。松下プラズマディスプレイの場合、偽装請負が暴露されたのでいったん派遣労働者方式に切り替えたが、しばらくして今度は松下本社の正社員を請負会社に出向させ、そこから他の労働者とともに松下プラズマディスプレイの生産現場に入り、派遣労働者に指揮させたということである。
こんなことは電機連合中央の承認と関与抜きにはありえない。現に電機連合は偽装請負について、「一部新聞において『製造業における偽装請負』に関する報道がなされましたが、『違法行為はなかった』ことが確認されています」などと述べているのだ。
今や請負労働者の活用なしには今日の日本の大企業自体がなりたたないという。そしてその場合、自社の社員に指揮命令させない限り生産レベルが成立しないという。ここからキヤノン出身の日本経団連会長・御手洗はなんと、「現場で雇っている方が教えるのは当たり前。法律を遵守するのは当然だが、これ(請負元が指揮してはいけない)では請負法制に無理があり過ぎる。これを是非もう一回見直してほしい」という暴言を吐いている。すなわち、今や国際競争に勝つためには現状のあり方を続けるしかない。である以上、これを違法とすること自体を廃止してしまうべきだと主張しているのである。
実際、厚生労働省によると、05年における偽装請負などへの是正指導の件数は合計974件で、04年の1・5倍になっている。
正規雇用と非正規雇用労働者の連帯を
このような非正規雇用労働者の拡大・膨張は、正規雇用労働者(依然として全労働者の3分の2を占めている)の労働条件・対資本関係に重大なインパクトを与え、リストラと首切りの恫喝による支配をもたらし、労働者階級の団結権を侵害・破壊し、長時間・強労働を強制するものとなっている。そして現実には、正規雇用労働者と非正規雇用労働者は密接に関連し、混合する形で労働している。
いうまでもなく、正規雇用の労働者が自分自身のためにその権利・生活・職場を守る闘いを全力で繰り広げることが持つ、労働者階級全体に与える決定的意義は、いくら確認しても確認しすぎることはない。労働組合はその場合、必ず闘う武器となる契機を本質的に持っている。他方では、非正規雇用労働者のための闘いに非正規雇用労働者自身が立ち上がるとともに、正規雇用労働者の労働組合などがこれに連帯していくことの持つ意義もはかりしれない。
〔V〕 歴史的に大破産したレーガン路線が手本
ここで再び出発点にもどって、このような労働市場の大変動と労賃の激しい抑制、そして総額人件費の限界的削減が持っている帝国主義論的意義についてみてみよう。
日本帝国主義は、バブルの崩壊と未曽有の長期不況、国際争闘戦のかつてない激化の重圧の中で、既成野党や連合・全労連指導部などの裏切りにつけ込み、95年日経連プロジェクト報告の方向に沿って資本攻勢を強め、新しいレベルの利潤獲得・資本蓄積のあり方へと移行した。そしてそれは、世界的な米・中経済のバブル的展開と急激な輸出増大の機会のもとで、いわゆる「増収・増益」の決算ブームさえつくりだすにいたった。
しかしこれは、日帝が、そして一般的にいって帝国主義が、新たな発展軌道にのって万々歳であるということになるのか。そうではないのである。
実際には、すでに若干みたように、国内経済(国内市場)の根底的な低迷性・停滞性をつくりだし、不断に資本の過剰、生産力の過剰に陥るという帝国主義の持つ宿命的な病はむしろ深刻化するのだ。この結果、生じてくるのは帝国主義的な対外膨張へののめり込みである。これはすべての帝国主義に本来的に同時に起こってくることであるため、すさまじい国際争闘戦時代への突入となるのだ。
詳しくは本紙2278号4〜5面論文に展開されているが、超大国・米帝がその力にまかせて争闘戦的巻き返しに突入してくる中で、米・EU・日の帝国主義間の相互のつぶしあいは、金融・資本・商品の世界市場・各国市場をめぐる死闘となる。それはロシアや中国をも巻き込んだ国際争闘戦として、各国による勢力圏形成の動きを強め、さらには軍事力行使を伴ったものに転化していく。日帝はこの激動の嵐の中に、「帝国主義の最も弱い環」として、致命的な脆弱(ぜいじゃく)性を依然として本質的にのりこえることもできないままに、たたき込まれることになるのである。
これへの恐怖と危機感から、今日、日帝ブルジョアジーは、改憲と戦争の攻撃に全力をあげて突き進むと同時に、95年以来の資本攻勢をさらに決定的にエスカレートさせ、4大産別を始めとする労働組合・労働運動の根絶・一掃と戦後階級関係の暴力的な破壊・転覆にのりだしている。安倍政権の登場と日本経団連による御手洗ビジョンの発表は、そのことを示すものだ。だがこの安倍・御手洗路線は、その手本とする米帝の80年代レーガン反革命が今日すでに大破産し、逆に米帝の歴史的没落を呼び起こしているという中で、最初から破産を約束されたものでしかない。
要するに、サッチャー、レーガン以来のいわゆる保守革命を推進し、労働者階級からその歴史的獲得物を奪いとり、資本による労働者支配を19世紀に逆もどりするようなやり方で強めるというようなことで、すでに寿命のつきた資本主義・帝国主義を立て直すことなどできはしないのだ。こんなやり方(日帝は最後にこれに追いつこうとしてきた)がこの間、国際的にも通用したのは、ソ連スターリン主義の崩壊と既成の労働運動指導部の腐敗・堕落によって、国際労働者階級が組織だって反撃のできない状況に一時的に追い込まれてきたからにほかならない。この基盤の上に、米帝を軸に帝国主義が様々な形態で、バブル的経済による延命をともかく繰り返すことができていたからなのだ。
しかし、今やこんな形での帝国主義の延命的発展形態も行きづまってしまったのである。このことが06年において、米帝の全面的行きづまり、破綻(はたん)が一挙に現実化することによってはっきりしてきたのだ。
「戦後体制から脱却」と「大日本帝国」復活
しかし、ここまできた末期・没落期の帝国主義にとって、もはや新たな方向や出口などはありえない。あるのは帝国主義間の力ずくの死闘、資本による労働者への階級的本質むきだしの極限的な搾取・収奪・支配と弾圧(圧殺)の時代への回帰である。はっきりいえばラセン的な形をとるにせよ、帝国主義間の市場、資源、地域、世界の支配権・制圧権をめぐってのむきだしの死闘、つまり帝国主義侵略戦争へのまっさかさまな転落の道である。現代的ラセン的形態を一定まぶしたものになるかもしれないが、古典的な帝国主義とその思想の復古調の再来、それも絶望的で破産的な再来の道である。
帝国主義、そして列強的諸大国(中国・ロシアを含む)は、今や対内的発展を自ら疎外しながら、対外的な膨張における攻防に生死をかけるしかない。この中で日帝は、この間のあらゆる社会・経済・政治上の激変にもかかわらず、依然として敗戦帝国主義の持つ現実、帝国主義としての本質的脆弱性から根本的に脱却していない。
日帝・安倍政権がこれまでの自民党政権と異なる点は、安倍個人がどんなに軽薄な人物であろうと、日帝の基本政策として「戦後体制からの脱却」を公然と掲げた点にある。これは本質的にはナチスが掲げた「ベルサイユ体制の打破」のスローガンと同じである。安倍政権とその執行グループ、そのまわりに結集している人物や組織、エネルギーは、端的にいえば「大日本帝国」の復活派である。
日帝にとって致命的なことは、その戦後延命形態、中国・朝鮮・アジアとの戦後関係のあり方、国内政治体制のあり方として、結局、帝国主義の戦後体制が国際的に根底から揺れる時代に突入すれば、絶望的であろうとなかろうと、帝国主義的軍事力でアジアに再突入していく道しかないということである。この点は革共同が結党以来明確にしてきたことであるが、日帝の基本矛盾の爆発はこういう形態しかとりえない。日帝・安倍の攻撃はこれからこの方向で、暴力的なエネルギーのもとに進められていくことを明らかにし、これとの正面対決を全労働者階級に訴えていかなければならない。
〔W〕 朝鮮侵略戦争準備と改憲に突き進む安倍
日帝・安倍政権は昨年12月15日、ついに教育基本法の改悪を国会で強行突破し成立させた。同時に防衛庁の防衛省への昇格も強行した。この06年12月15日は戦後史の分水嶺(ぶんすいれい)をなす日付である。安倍はもちろん労働者階級の怒りと反撃におびえ、本質的にその動向をにらんで動いている。07年の参院選にこだわっているのも、労働者階級の怒りと反撃が参院選の背後にあるということを恐怖しているのである。その上で、12月15日をかろうじてのりきった安倍政権と日帝ブルジョアジーが今、狙っている階級的攻撃のプランは次のようなものである。
第一に、朝鮮侵略戦争前夜情勢の中で、侵略戦争を実際に遂行するための体制的準備に全力をあげることである。日帝がこれから行うすべての攻撃は、この戦争準備との本質的関連をもち、それをバネに進められる。今日のいわゆる6カ国協議は、様々な曲折を経るとしても、結局は米日帝による朝鮮侵略戦争発動への一過程にほかならない。
これに対して、〈日韓米3国労働者階級の国境をこえた団結で、米日帝の朝鮮侵略戦争を帝国主義打倒の国際的内乱に転化しよう〉という、昨年11・5集会が切り開いた地平を、21世紀初頭のプロレタリア世界革命達成に向けた戦略的総路線として、さらに断固として前進させよう。
特に沖縄を始めとする米軍再編攻撃との闘い、新たな安保・沖縄闘争は、この点で決定的に重大な位置を持ってくる。日帝は再び沖縄を「戦場の島」と化そうとしている。さらに朝鮮侵略戦争の具体的な日米共同作戦計画も、今秋までに作成するとしている。イラク反戦闘争と結合し、朝鮮侵略戦争絶対阻止を真正面から掲げて闘うことが決定的である。
第二に、日帝・安倍政権はこの戦争準備と一体で、改憲攻撃に全面的に打って出ている。教育基本法の改悪と防衛省発足は、改憲攻撃の先取りそのものである。その上で安倍は年頭記者会見で「憲法改正をぜひ私の内閣で目指していきたい」と決意表明し、安倍の任期中に9条改憲をやりぬくと宣言した。そして通常国会での改憲国民投票法案の成立を、当面する最重要課題として打ち出した。
改憲国民投票法案は、改憲攻撃本体と直結する決定的な攻撃だ。その最大の狙いは公務員労働者や教育労働者の運動禁止を始めとする、労働者階級人民の改憲阻止闘争への弾圧と圧殺にある。国民投票法案は民主党の屈服でやすやすと国会を通る危険があり、この法案が通過し、参院選でもし安倍が勝利すれば、情勢は一気に改憲に向かう。この流れを過小評価しては断じてならない。
さらに、教育改革関連法案、労働法制改悪法案、公務員制度改革法案など、通常国会に提出される全法案が改憲攻撃と完全に一体のものであり、その一部をなすものである。共謀罪新設攻撃も階級闘争圧殺法として、労働運動弾圧であると同時に戦争法案であり、改憲法案でもある。これは絶対に阻止しないと臍(ほぞ)をかむことになる。
第三に、この戦争と改憲攻撃の当面する一大焦点が、教育をめぐる攻防である。昨年12月の教育基本法改悪強行は、日帝ブルジョアジーと反動分子の側からの教育をめぐる反革命戦争の開始を告げるものである。
1月24日発表された教育再生会議の第1次報告は、「不適格教員」と「反社会的行動をとる子ども」の学校からの排除を、愛国心教育の強化などと一体で、敵階級のいう「教育再生」の最大課題として打ち出した。戦前型の戦争教育・愛国教育への復古的大反動の突破口として、日教組の解体にいよいよ死活をかけているのだ。安倍政権は07年の通常国会を「教育国会」と呼び、昨年に続く教基法決戦の第2ラウンドと位置づけ、教員免許更新制導入などの教育関連法案を提出してその成立を図るとしている。今春の卒業式・入学式をめぐる「日の丸・君が代」決戦はこれと真っ向から激突する闘いとなる。
第四に、日帝ブルジョアジーと安倍は、「戦後レジーム(体制)からの脱却」というスローガンを貫くためには労働組合と労働運動の解体・一掃が不可欠としている。「日教組と自治労の壊滅」を叫び、4大産別の労組破壊に全体重をかけてくると同時に、何よりも階級的労働運動の前進に恐怖して、動労千葉への組織破壊攻撃にのりだし、3労組や11月労働者集会陣形圧殺の策動を強めている。ここでの決戦がやはり07年の全体を決することを確認して進まなければならない。
労働者に「宣戦布告」する御手洗ビジョン
こうした中で、いまひとつ決定的に重視したいのは、「骨太の方針2006」を土台にした安倍の「成長戦略」の展開と、日本経団連・御手洗が打ち出した1・1ビジョンとの全面対決である。
御手洗ビジョン「希望の国、日本」は、今日の日帝ブルジョアジーの階級的な要求(希望)をむきだしに全面的に、労働者階級に対する一個の「宣戦布告」として打ち出したものである。重要なことは、これが安倍政権の計画と百パーセント一致していることである。安倍の掲げる「成長戦略」とは、「骨太の方針2006」での労働者階級の犠牲による財政再建プランの上に、争闘戦激化の時代における日帝ブルジョアジーへの国家をあげた階級的支援の大戦略を打ち出したものである。
そこでは「イノベーション」がキーワードとなっている。この「イノベーション」とは技術革新などの狭い意味にとどまらず、「経済や社会のシステム、そしてその根底にある教育や国・地方のあり方、憲法などの変革」(御手洗ビジョン)を指している。まさに改憲と戦争への国家大改造であり、その推進のために戦後階級関係の反革命的転覆、労働者階級への一大階級戦争に打って出るということだ。
御手洗ビジョンはその「序」で、80年代のレーガン反革命が「強いアメリカの復興」をなしとげたと賛美し、日本のブルジョア階級もこれに見習えと檄を発している。そして「(格差拡大などの)弊害重視より、成長重視の選択を提言する」と言い、「希望の国」の実現に向けた優先課題として、@「新しい成長エンジンに点火する」、A「アジアとともに世界を支える」、B「政府の役割を再定義する」、C「道州制の導入、労働市場改革により暮らしを変える」、D「教育を再生し、社会の絆(きずな)を固くする」の5点を掲げている。
@では狭義のイノベーション推進のかぎとして、「産学連携による高度人材の育成」が前面に打ち出されている。Aは「東アジア共同体」の建設(日帝による東アジアの勢力圏化)をめざすものである。Bは行財政改革・社会保障制度改革・税制改革の一層の推進である。Cの「労働市場改革」とはいわゆる「労働ビッグバン」のことだ。Dでは「愛国心に根ざす公徳心の涵養(かんよう)」を押し出し、「経団連は、2010年代初頭までに憲法改正の実現をめざす」と改憲を強烈に提起している。
このすべてが、すでに破産した米帝レーガンの政策を文字どおり手本として労働者階級に襲いかかる、恐るべき攻撃だ。ここで御手洗らは、”企業収益が拡大すれば経済は成長する。経済成長すれば格差など解決する。財政再建もできる。だから他はすべて犠牲にして企業収益の増大に一切をかけよ”と言っている。そうしないと「日本は最終的にデフォルト(破産)する」と言っている。労働者人民が野たれ死にしようが一切構うな、むしろ労働者階級は進んで資本家階級の犠牲になるべきだ、そうしなければ日帝は破滅すると叫んでいるのである。
そして「公正な競争の結果としての経済的な受益の違いは経済活力の源泉」と言い切っている。「成長戦略」とは、競争力の差を不断に創出することで独占体間・帝国主義国家間の弱肉強食の死闘に勝ちぬいていくということである。格差を是認するだけでなく、積極的に拡大していくことに意味があるのだ。それを「挑戦の機会」と言い、規制改革・民営化の一層全面的で大々的な推進を打ち出している。
とりわけ重要なことは、御手洗がCの道州制導入と労働市場改革を最も重視しなければならないと言っていることだ。道州制の導入とは、戦後地方自治制度の全面解体であると同時に、何よりも民営化による地方自治体の解体・切り捨てをとおした公務員労働者200万人の大量首切りである。100万自治労と日教組の壊滅を始めとする4大産別の労働組合解体の攻撃である。そしてこれと一体のものとして、「労働ビッグバン」による戦後労働法制の全面解体、労働基本権そのものの圧殺と戦後労働者支配の反革命的大転換を策動しているのだ。
御手洗ビジョンはさらに、財政問題の抜本解決のためにと言って、社会保障給付の徹底的な抑制を主張している。「自助・互助」を基本とし、公的制度による社会保障は最小限にせよと言っている。また「国家間競争に劣後しない税制を構築する」と言い、大企業への大幅減税(10%引き下げ)を求める一方、2011年度までに消費税率2%アップなどをぬけぬけと主張している。
そして最後に、教育政策の反動的大転換と9条改憲の実現を叫び、帝国主義軍隊の確立と侵略戦争への突進を安倍と一体となって推し進めようとしている。この間の経団連のアピールとしてはかつてなく政治性の強いものであり、改憲と戦争教育へのブルジョアジーの強烈な階級的意志を示している。
〔X〕 「労働ビッグバン」はとんでもない反革命
ここで特に、「労働ビッグバン」とはとんでもない大反革命であることを明確にしておきたい。昨年12月27日、厚労省・労働政策審議会の答申が提出され、政府・厚労省はこれをもとに通常国会に提出する労働法制改悪案の要綱を1月25日に労政審に諮問した。教育基本法改悪が日教組解体攻撃であるとすれば、この労働法制改悪は戦後労働法体系の全面的転覆であり、全労働組合への解体攻撃そのものだ。労働運動の根絶法にほかならない。07春闘と07年国会攻防の決戦的テーマである。
その焦点は、日本版の「ホワイトカラー・エグゼンプション(WE)」の導入と、労働契約法の制定にある。前者は「残業代ゼロ法案」「過労死促進法案」であるとして労働者階級の怒りが決定的に高まったため、安倍はいったん今国会提出見送りを表明した。だが御手洗を先頭にブルジョアジーがあくまで導入を要求し、厚労省も「自己管理型労働制」と名前を変えて労働基準法改悪案の中に盛り込むことを策動している。
この日本版WEは、「労働時間規制の適用除外(エグゼンプション)制度」といって、いわゆるホワイトカラー労働者に対して労働基準法で決められている労働時間規制を撤廃しようとするものである。8時間労働制の全面的破壊である。それと一体で労働時間で賃金を決める枠組みを修正し、仕事の成果を賃金基準に反映させるようにするというのである。この適用除外の対象を年収の額で決めるとし、日本経団連は年収400万円以上を対象にせよと主張している。しかしこれでは労働者の8割以上が入ってしまう。
要するにこれは、この間急速に増大しているホワイトカラー労働者の残業をさらに拡大強化し、しかも残業代は一切支払わなくてすむようにするというとんでもない法制なのだ。ホワイトカラー労働者は01年には月33時間・年396時間の残業をしていたのに、05年にはなんと月50時間・年600時間の残業をしている。労働基準法に基づく告示では実は残業は年360時間を上限とすると定めている。これに明白に違反することが平然と行われているのだ。
日帝ブルジョアジーが求めているのは「残業時間など気にする働き方では国際競争に勝てない」ということだ。つまり成果主義のもとでどこまでも密度の濃い労働を強制していこうというのである。そして「成果」にはキリがない。労働者が自己の評価を上げるためには、残業時間などおかまいなく働き続けるしかなくなる。その先にあるのは過労死だ。しかも資本は、この巨大な残業に対して代償を支払わない。
米国ではすでにこの制度が導入されているが、日帝は、労働生産性で日本はG7中最下位であり、これを引き上げるべきだとし、そのためにWEの導入を絶対必要だとしている。要するに、1日8時間労働制・週40時間労働制を解体し、労働者に残業させるためには労働組合との協定を結んだ上で、割増賃金を義務づけるという労働基準法の原則を根幹でひっくり返そうとしているのである。
労働法制大改悪の柱としての労働契約法
労働法制改悪のいまひとつの決定的な柱は「労働契約法」の制定である。その最も重大な内容は、「就業規則の役割強化」である。資本が賃金制度や勤務時間などの労働条件を労働者にとって不利益な形に変更しようとする時、資本が一方的に変更できる就業規則の変更に一定の「合理性」があればそれですむとしている。このように労働契約法は労働組合の存在を無視し、労働組合との団交を否定するものなのだ。一体全体これでは、労働組合はなんのためにあるのかということになってしまう。とんでもないことである。
これは、労働組合法や労働基準法という、戦後の労働法体系の全面否定にほかならない。そもそも戦後の労働法制は、戦後憲法の制定に先立つ45年制定の労働組合法で、労働者の団結権を初めて法的に認めたことを出発点にしている。憲法27、28条による労働基本権の確立も、労働基準法の制定も、労働組合の存在を絶対不可欠なものとして前提にした上に成立しているのだ。
このように労働基準法も、戦後革命に代表される労働者の闘いと革命の現実性への恐怖からくる国家の譲歩としての団結権の承認が一切の前提になっている。その上で、戦前の日本の労資関係が資本家側の一方的・絶対的権限と支配のもとにおかれてきた事実を踏まえ、資本家と労働者の関係は生産手段と資金を持つ者と労働力以外何ものも持たない者との関係であり、民法上の契約自由の原則にまかせたら決して労働者の権利は守れないという考え方が貫かれているのだ。
したがって、労働基準法は力関係上圧倒的に優位に立つ資本が好き勝手にふるまうことへの国家の規制法として制定されており、資本家が労働時間や解雇などの問題で法律を犯したときは懲役刑または罰金を課すとなっている。そして労働基準監督官には警察権に近い権限が与えられてきたのである。19世紀前半にイギリスで制定された工場法も、国家による資本への規制法として制定されたことで初めて一定の効果を発揮しえた。
ところが労働契約法は、「労組の組織率低下」を口実に、個々の労働者が個別に資本と労働契約を結ぶものとして制定し、労働組合の存在を無視しようとしている。従来の労働法制とはまったく異なり、民法の論理のもとに制定されるのである。団結権そのものの否定である。戦後労働法制・戦後憲法とはまったく異質な法体系を持ち込むものである。まさに、経団連が要求する「工場法以前」を法制的に実現しようとするものなのだ。
この労働契約法には、解雇の金銭解決制度の導入も画策されている。裁判で不当解雇が認められるようなケースでも、会社側が所定の金銭を支払えば職場復帰を拒めるという制度である。要するに、不当解雇もどんどんやっていい、解雇は原則自由化するというのに等しい。政府・自民党は労働者階級の怒りの爆発を恐れてこの部分は今回提出する法案からは外すとしているが、労政審の答申では「引き続き検討する」となっている。次の機会の再登場を狙うということにすぎない。
さらに日本経団連は、派遣・パートなどの非正規雇用についても一切の規制を取り払い、資本の無制限の搾取を野放しにすることを露骨に要求してきている。
結論的にいえば、07通常国会に提出される労働法制改悪は戦後労働法制の全面的転覆を狙っているものだ。憲法改悪=教育基本法改悪=労働法制改悪は、戦後体制全体を転覆する大反革命である。動労千葉への権力・資本の大攻撃や4大産別への全面的な労組破壊攻撃との闘いと結合して、労働法制改悪反対闘争に立ち上がろう。
労働者階級に対する日帝の一大階級戦争への突入は、帝国主義の最弱の環にあえぐ日帝ブルジョアジーの危機の絶望的な深さを示すものだ。日本経団連・御手洗自身が言うように、このままでは日帝は破滅するしかないのである。この日帝支配階級が、労働者階級の極限的犠牲と侵略戦争・世界戦争によってあくまでも生き延びようとすることを、もはや許してはならない。求められているのはプロレタリア革命による帝国主義の打倒だ。このことを徹底的にはっきりさせ、階級的労働運動路線の大前進を闘いとっていこう。
(写真 国民投票法案、教育3法改悪、共謀罪、労働法制大改悪の反動国会開会に怒りの拳【1月25日 国会前】)
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週刊『前進』(2281号5面1)(2007/02/05 )
コミューン 3月号
米中東支配の崩壊
イラク侵略戦争での米軍の敗勢が激しく進行するなかで、米帝の中東支配は総崩壊の画歴史的危機に直面している。イラクにおける民族解放闘争の爆発によって、軍事的制圧力の限界を全面的に露呈した米帝に対する、中東諸国人民の総反撃が開始されたのだ。
今号の特集は、イラク新政策の打ち出しをもって新たな段階に入ったイラク占領支配の危機の分析を中心にして、中東諸国における民族解放闘争の現状を明らかにしている。
第1章は、イラク新政策が米帝をさらに深い泥沼に引き込み、占領政策を最後的に崩壊させる結果をもたらすものでしかないことを暴露している。第2章は、アフガニスタンで完全に復活したタリバンの動向と、米・EUの軍事的支配の危機について明らかにした。第3章は、パレスチナとレバノンにおけるハマスやヒズボラなどのイスラム政治勢力の進出の意味と民族解放闘争の新段階について分析した。第4章は、イラク侵略戦争開戦後の中東諸国での民族解放闘争の爆発的発展情勢について明らかにした。
翻訳資料は、米イラク研究グループの報告書と、ブッシュの「イラク新政策」演説を翻訳、掲載した。米帝の中東支配の危機的現状を理解するためには必読の資料である。
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週刊『前進』(2281号6面1)(2007/02/05 )
07年決戦へ 革命軍の決意
青年労働者・学生とともに階級的労働運動推進する
泉川 翔太
革命的激動がやってきた。待ちに待った情勢の到来だ。革命軍はこの日のために生死をかけて戦いぬいてきた。全国の同志諸君、闘う労働者、学生、人民の皆さんとともに革命への情熱をたぎらせて、革命軍は断固闘いぬく。07年を、階級的労働運動の大前進、大躍進の革命的転換の年とすべく全力を尽くそう。年頭にあたり革命軍の決意を鮮明にアピールしたい。
搾取・戦争の根源=帝国主義の打倒を
帝国主義は、いつ自らが打倒されるかわからない恐怖に喘(あえ)ぎつづけている。それは米帝ブッシュの姿に一目瞭然だ。「イラク新政策」で2万人強の増派を決め、共和党内からも「反対」の声があがるほど国内階級支配は分裂しグラグラで、体制的危機が今までになく深まっている。ブッシュの支持率は激減している。それでも帝国主義である限り世界戦争へ突き進む凶暴な政策を放棄できない。実際今、朝鮮侵略戦争に向かって動きだしている。絶対阻止しなければならない。
このブッシュと同様に、日帝は最弱の帝国主義として、労働者階級に一切の犠牲を転嫁して生き延びるために必死である。日帝・安倍政権は格上げした防衛省のもとで、排外主義と愛国主義を巻き起こし、朝鮮侵略戦争への突入に向かって躍起になっている。そのため安倍は、「美しい国元年」などと言いなして戦争と改憲−民営化・労組絶滅の大攻撃に突っ込んできている。また日本経団連の御手洗は年頭ビジョンを打ち出し、愛国主義と「労働ビッグバン」をもって労働者の闘いをつぶそうとしている。この安倍・御手洗路線をズタズタに打ち破ろう!
帝国主義間争闘戦に追いつめられたブルジョアジーは、「このままでは国際競争に勝てない」と全世界で労働者階級に劣悪な労働条件と不安定雇用、低賃金、リストラ・首切りの攻撃をかけてきている。時代を2世紀も逆転させるような労働者への失業や貧困・飢餓の強制が、資本の生き残りのためには当然であるかのように語られている。史上空前の利益をあげる大企業のもとで、派遣や(偽装)請負の青年労働者が、使い捨てのモノのように扱われている。社会保障費はとことん切り縮められ、低賃金と長時間労働で、結婚・出産・子育てができない。貧富の差は拡大し続ける一方だ。労働者なくしてどんな大企業の工場も職場も1日も成り立たないのに、その労働者が人間として扱われず虐げられている。帝国主義のこんな非人間的社会など、もうまっぴら御免だ。
労働者階級は、戦争と一大資本攻勢が一体の攻撃であることをすでに見抜いている。打倒されるべきは帝国主義であり、彼らの体制がもはや終わっていることを強烈に自覚し始めている。搾取と戦争の根源を断つのは帝国主義打倒のプロレタリア革命の勝利だ。
階級の前進と一体の武装部隊として
職場闘争の復権と労働者の組織化、組合権力の奪取へ。「党の革命」のもとに動きだした労働者階級の革命への驀進(ばくしん)は、もはや止まることはない。もっと「大胆に!大胆に!大胆に!」闘い攻めていこう。
06年、革命的労働者は11月労働者集会の圧倒的成功を実現した。闘う三労組の呼びかけに韓米の戦闘的労働組合が合流し、4900人もの大結集をかちとった。われわれ革命軍は、この集会の息吹を全身で感じ、この集会の中に世界革命の現実性を見た。これを何よりも第一に確認したい。
ブルジョアジーよ! 民主労総キムチャンソプさんの「われわれ労働者は国境を廃止します」の発言を聞け! 労働者に国境はなく、世界中の労働者階級が一つに団結したなら、お前らの時代などすぐ終わることを覚悟しろ! 「11月集会派」は世界に向かって羽ばたき、労働者階級は全世界を獲得するのだ。11月労働者集会が示した「現代のコミンテルン」を今こそ発展させよう!
時代は、戦後革命期をはるかに超える規模と内容で、「戦争か革命か」の歴史的選択を問うている。この中で06年4大産別決戦は、動労千葉と教育労働者の闘いを先頭に前進し、改憲阻止闘争へ大きな地平を築いた。
今、労働者階級は闘わなければ永遠に資本の奴隷であり、侵略戦争へ動員され、労働者同士の殺し合いを強制される。この時に、既成指導部は闘えば活路と展望があるのに、諦(あきら)めと絶望ばかり組織して屈服と転向の道を歩んでいる。その典型的な例は、教育基本法国会決戦から逃亡し、テレビ番組でファシスト八木秀次に頭を垂れた日教組森越委員長だ。一方で、雨の日も風の日も国会闘争を敢然と闘いぬいている組合員と労働者・市民がいるのに、こんなふざけた労働組合のトップがあるのか! しかも、「日の丸・君が代」不起立闘争を闘いぬいた結果として「9・21判決」という勝利の地平を勝ち取っているのだ。さらに闘えば絶対に勝てる情勢にもかかわらずこの体たらくは許されない! 既成の労働組合指導部を吹っ飛ばして、闘う労働者が闘いの最前線に立とう。現場労働者の闘いで組合権力を奪還していけば、資本攻勢に喘いでいる労働者の共感と支持は絶対に得られる。
党の革命支持し自己を点検
第二に、06年の「党の革命」の決定的意義ということを確認したい。労働者党員の渾身の蜂起によって、革共同をプロレタリア革命から後退させ、闘えない党へと変質させようとする私党化グループを打ち破ったことをともに喜びたい。革命軍はこれを知るやいなや直ちに断固支持を表明し、「党の革命」の促進のために全力で闘った。それは同時に自らに労働者階級の地平に立った武装組織としての内的・主体的自己変革、思想的・路線的・組織的な自己点検を迫るものとしてあった。われわれは「党は階級そのものである」という立場に立つことをしっかり確認する。
第三に、こうした闘いと一体のものとして革命軍は敵権力に一指も触れさせることなく自らの防衛戦争に勝利し、非合法・非公然体制を強力に貫いた。それは権力による労働運動、大衆闘争への襲撃を封殺し、自由な政治空間を断固として守りぬくものでもあったと確信する。
階級的労働運動がグイグイと前進している一方で、非合法・非公然体制を維持し、武装し戦う部隊の存在として革共同と革命軍が存在し続けていることは決定的である。勝利をかちとるこの陣形がある限り、日帝・安倍政権が、戦争と改憲−労組破壊、労働法制改悪をもって朝鮮侵略戦争体制を構築することなど絶対に無理である。安倍よ! この日本には厳然たる内乱勢力が存在しているぞ。
第四に、反革命分子を粉砕し、そのファシスト的行動を阻止しただけでなく、常に彼らへの攻撃と圧力を貫いた。
第五に、日帝権力の治安弾圧攻撃を粉砕した闘いの意義を確認したい。権力は06年、全学連の拠点・法政大学での学生自治圧殺攻撃や東北大学・友朋寮つぶしをもって、勇猛果敢に闘った学生のべ41人を逮捕する暴挙を行った。また全国の革命派の拠点に不当家宅捜索攻撃を連続させた。しかし、この敵の弾圧は革命党の強靱(きょうじん)性を証明しただけにすぎない。すべての同志は完全黙秘・非転向を貫き意気軒昂と闘いぬいた。筋金入りの革命家が大量に創出されたのだ。
そして、わが革命軍は、デッチあげ指名手配を受けた同志を断固防衛し日々勝利しぬいた。
権力万能神話など労働者階級には通用しない。労働者階級の闘いと一体化することで勝利してきた革命軍のこれまでの歴史が、それを証明している。
黒田の恥多き死とカクマルの総破産
反革命カクマル中央派の衰滅の危機が進行している。06年、カクマル頭目・黒田寛一は、最後の瞬間まで革命軍の赤色テロルに怯(おび)え続けて心筋梗塞(こうそく)で死亡した。革命軍は労働者階級の怒りの炎が黒田に「恥多き死」を強制したことを確認するものである。
黒田は、01年革共同第6回大会において「黒田哲学の死」を宣告されながら、これに一言の反論もできなかった。黒田とカクマルの大破産の自認だ。また黒田は自らの「組織現実論」が、松崎の転向−JR総連との大分裂に行き着いたことを最後まで総括できないまま、自らも国粋愛国主義、反共民族主義に純化して死んでいったのだ。理論でも実践でも、動労千葉を軸に階級的労働運動をともに闘う革共同の姿とは全く正反対の破産しきった惨めな末路そのものである。
カクマル組織の混乱と周章狼狽(ろうばい)ぶりは際立っている。それは今後も続く。彼らに残されている唯一の道とは、亡き教祖黒田にカルト的忠誠を誓い合うことで自らを維持していくことしかない。革命軍は労働者階級と共にこのファシスト反革命の最後の一人までせん滅・一掃する戦いを貫徹する。
われわれは「死地に赴く決意」をもって、赤色テロルの鬼となってカクマルと戦いぬいてきたが、今、黒田への恥多き死の強制をもってこの内戦がひとつの歴史的決着点に到達したことを高らかに宣言する。カクマルとの戦いをともに担った幾多の労働者活動家、全党の同志、カクマルを踏みしだいて前進している青年労働者・学生の同志とともに、このことをガッチリと確認したい。
中央派と分裂したJR総連カクマルも、底知れぬ松崎の腐敗、嶋田派との再分裂として決定的危機にある。国鉄の分割・民営化以降20年、JR資本にとって、JR総連カクマルの存在自体が桎梏(しっこく)に転化している。この中でJR総連=カクマル・松崎は、さらに屈服と階級的裏切りに突進しているが、その命脈も尽きようとしている。
革命を目指す労働運動としていよいよ全世界を獲得する動労千葉の階級的労働運動の対極に、破産した姿をさらけ出すJR総連のファシスト労働運動があるのだ。最後的に打倒・解体しよう! 労働者階級の怒りで、松崎の頭上に革命的鉄槌を下ろそう!
非合法・非公然体制堅持し改憲阻止へ
07年を、革命軍は「党の革命」の第二段階を徹底的に推進し、階級的労働運動の爆発的発展を切り開く大転換の年とすべく闘う。これが第一の任務である。
革命軍は特殊な形態での「常任集団」と規定できる。労働者階級が自ら送り出し、形成し、また労働者階級に育てられ、励まされ、階級が求める革命の事業に必要な任務の遂行に全精力を注いで戦っている。労働者階級の闘いの前進と発展を一切の基準に自己の活動を展開していく。その規模や任務も階級的労働運動の前進の度合いに応じて変化していく。
革命軍は07年を、マル青労同第3回大会をかちとり1000人建設に向け進撃中の青年労働者や、織田委員長のもと改憲阻止決戦の先頭に立ち全国大学の拠点化をなし遂げようとする全学連−マル学同の同志と、心を一つにして、ともに闘いぬく。
第二の任務は、非合法−非公然体制を堅持し、防衛戦争での勝利を継続することである。体制打倒を目指す革命党は、本質的に非合法・非公然である。戦争前夜情勢の中では、ますますこの点をしっかり確認する必要がある。日帝・権力による襲撃的な革命党破壊を粉砕しよう。闘いの自由な空間を守り維持するためにも、決してこの地平を明け渡してはならない。
危機を深める敵権力は、階級的労働運動と固く結合した非合法・非公然の組織の解体に全力をあげてくるだろう。しかし、われわれは「労働者階級人民の海」の中で勝利し続け、縦横無尽に戦うあり方を創造する。
第三の任務は、帝国主義打倒の階級的労働運動と結合し、その勝利のために戦うことである。帝国主義者は支配の破綻(はたん)を暴力装置によっておしつぶし続けることはできない。「社会の主人公」である労働者階級人民は、どんな凶暴な支配の下でも必ず決起する。権力者や反革命勢力が、労働者に敵対して枕を高くして寝られると思ったら大間違いだ。
今労働者階級の怒りは沸騰点に達し、爆発寸前にある。いや、部分的には内乱が始まっている。内乱・内戦的な日帝との激突は不可避である。日本・世界革命−プロレタリアート独裁へ向けた決戦期は近い。革命軍は労働者階級とその党が求めるあらゆる武装決起の先頭に立つ。これまで培った武装闘争のすべてを注ぎ込み、労働者階級本体の決起と合流し、一斉武装蜂起を何としても勝利させるために闘う。
プロレタリア革命は、必要な闘争形態や闘う武器を階級自身が生み出すものである。問題は、必要になったからといって直ちにつくれるものではないことだ。歴史的戦いの経験と蓄積が必要とされる。革命軍は、民間反革命との内戦の歴史−権力との戦いを継承し、不敗の武装組織として存在している。強大に見える帝国主義の暴力装置も、労働者階級本体の組織された闘いを基礎として、帝国主義軍隊の革命的兵士、独自の階級的武装組織としての革命軍が一つに団結した時に、あっという間に解体できるのだ。さらに国際連帯は、この力を数十倍にする。
第四の任務は、反革命勢力の打倒・解体に全力をあげることだ。分裂したカクマル両派は、今でも労働者階級の闘いに敵対し続けている。また日帝の改憲攻撃と軌を一にして、右翼・ファシストのあらゆる潮流が日帝・安倍に育まれて跳梁跋扈(ちょうりょうばっこ)し始めている。われわれは、こうした民間反革命の動向をきっちり対象化し、彼らが労働者階級に敵対することがあれば、これに断固として対応して戦う。
第五の任務は、今日的条件下での建軍闘争を貫徹することである。
職場闘争を闘う労働者の苦闘に学びつつ、強力で精鋭的な革命軍をつくっていこう。「階級の軍隊」として、マルクス主義の学習を軸に、プロレタリア自己解放の思想・精神で武装しよう。「家族問題の革命的解決」を闘いぬく。
星野再審・奪還へ全力決起を
革命軍は、権力から最も憎むべき存在とされることに無類の喜びを感じて戦いぬく。70年決戦への反革命を受けてたち、獄中で身一つを武器に闘いぬく星野同志の存在と闘いに学び、星野再審・奪還闘争を全力で支援する。デッチあげ指名手配攻撃を受けている同志に学び闘う!
「革命をめざす労働運動」を掲げて闘う青年労働者・学生とともに固くスクラムを組んで、革命軍は闘いぬく。怒濤(どとう)のような労働者階級の決起が始まっている。輝く未来をわれとわが手でもぎり取ろう! 進攻精神を発揮して、とことん闘いぬこう!
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週刊『前進』(2281号6面2)(2007/02/05 )
1・28 革共同中四国集会が大成功
「労働運動で革命やろう」
“組合権力への挑戦”の熱気
1月28日、広島ワークピアホールで、革共同中四国政治集会が開催され、120人が結集した。集会は階級的労働運動路線で固く一致し、07年決戦勝利への決意と熱気あふれる集会としてかちとられた。
冒頭、動労千葉の訪韓報告ビデオが上映された。民主労総との国際連帯の息吹をリアルに伝える映像は深い感動を与え、われわれがめざす階級的労働運動のイメージを鮮明にさせた。中四国地方委員会議長の同志が開会あいさつに立ち、「革共同は労働者階級の党として生まれ変った。労働運動で革命をやろう」と宣言。全国被爆者青年同盟、部落解放同盟全国連合会、動労西日本、広島と徳島の星野さんを救う会から連帯のあいさつを受け、反戦被爆者の会の大槻泰生さんのメッセージが紹介された。
続いて地方委員会書記長の同志が基調報告を行った。同志は、革共同が結党以来50年の血と汗の闘いの上に階級的労働運動路線をうち立てて歴史的に登場したことの勝利性を確信をもって提起。革命の時代認識を鮮明にさせながら、体制内労働運動から根底的に決別し、マルクス主義の実践としての階級的労働運動の推進こそがプロレタリア革命勝利の唯一の道であることを強調した。
(写真 「労働者階級の党として生まれ変わった」と高らかに宣言【1月28日 広島ワークピアホール】)
本集会のメインは、革共同中央労働者組織委員会の中村孝夫同志の講演「動労千葉労働運動とは何か」だ。
中村同志は、「動労千葉労働運動とはマルクス主義、すなわちプロレタリア革命を労働運動でやるという強烈な立場を初めから貫いていた労働組合であり、体制内労働運動を打倒する労働運動である」ということを明らかにし、「革命運動と労働運動は限りなく一体」と言い切った。さらに「労働者の階級性を全面的に信頼し、引き出し、それに依拠して闘う」「プロレタリア自己解放の思想の学習運動が重要。階級的労働運動の半分はマルクス主義の学習だ」「動労千葉は時代認識、正しい路線−思想で団結する」などいくつかのポイントを提起した。
これらの提起をとおして体制内労働運動と決別した帝国主義を打倒する労働運動、革命をめざす労働運動の内容がきわめて鮮明になり、満場の拍手で講演の内容が確認された。
昨年の1・5倍以上の額が集まった会場カンパの後、本集会のハイライトである各産別の労働者、マル青労同、マル学同からのアピールに移った。
まず発言に立ったのは今春不起立闘争に決起する教育労働者委員会の同志たち。続いて全逓委員会、自治体労働者委員会、国鉄委員会、最後に民間から女性労働者がアピールした。全発言者が、組合権力奪取あるいは組合結成に向けた職場闘争の実践、階級的労働運動路線で07年決戦を闘いぬく決意を表明した。マル青労同の同志を代表して11人の青年労働者が壇上に並んだ。「食っていけない、生きていけない状況におかれた青年労働者の中に無数の闘いの芽がある。団結して革命をやろうと呼びかけ組織する」と11月1万人結集の先頭に立つ決意が表明された。
マル学同からは広大支部の女性同志が「革命を真正面から訴えて階級的労働運動路線を貫徹していく」と述べ、昨年新たに加盟した同志4人が決意表明した。41人の逮捕をはね返し、法大決戦と教基法決戦の闘いで不抜の学生革命家集団を形成している学生戦線の発言に、すべての参加者が奮い立った。総計16人の青年労働者と学生の発言は、07年決戦の大高揚と日本革命勝利の確信を抱かせた。
最後に司会の学生同志の音頭で団結ガンバローが行われた。革共同中四国政治集会は発言者と参加者が一体となって、階級的労働運動路線の貫徹で日本革命勝利の道を驀進する固い意志一致をかちとった。2〜3月の「日の丸・君が代」決戦から3月大行動、そしてすべての力を11月労働者集会1万人結集へと結実させて行く橋頭堡(きょうとうほ)が築かれた。いざ07年決戦へ。
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週刊『前進』(2281号6面3)(2007/02/05 )
1月24日〜30日
イラク増派反対50万人デモ
安倍「国民投票法案成立を」
●教育3法改悪案、国会に 政府の教育再生会議が総会を開き、安倍首相に第1次報告を提出した。これを受け、安倍は、教員免許更新制の導入や教育委員会改革などを実現するため、25日からの通常国会に教員免許法、地方教育行政法、学校教育法の教基法改悪の関連3法案を提出する考えを表明した。(24日)
●陸自射撃場建設に着手 06年10月末に米軍から返還され、自衛隊が継続使用している沖縄市の旧東恩納弾薬庫跡地(陸自沖縄訓練場)に陸上自衛隊の小銃射撃場が建設される件で、那覇市防衛施設局が建設工事に着手したことを明らかにした。沖縄市の東門市長が昨年の市長選で建設反対を訴えて当選。国に市有地の契約解除を伝達したが、12月に断念を表明、半分相当の土地の返還に要求を変更していた。(24日)
●イラク増派反対決議案を可決 米上院外交委員会は、イラクへの米軍増派に対する超党派の反対決議案を賛成多数で可決した。野党民主党が主導した決議案で、与党共和党からも賛成者が出た。(24日)
●名護市議会、沖合移動求め意見書 名護市議会が臨時議会で米軍普天間飛行場代替施設の沖合いへの移動を求める意見書案を与党の賛成多数で可決した。(24日)
●通常国会始まる 第166通常国会が召集された。会期は6月23日までの150日間。(25日)
●自民部会で共謀罪再検討 共謀罪法案について、自民党法務部会は、修正を視野に入れたプロジェクトチームを立ち上げ、議論をし直す方針を決めた。(25日)
●安倍が施政方針演説 安倍首相は衆参両院の本会議で施政方針演説を行った。冒頭で「戦後レジーム(体制)を大胆に見直し、新たな船出をすべきときが来ている」と表明、憲法の改正手続きを定めた国民投票法案の会期内成立に「強く期待する」と表明した。(26日)
●東ティモールPKO派遣を閣議決定 政府は閣議で、国連平和維持活動(PKO)の「国連東ティモール統合派遣団(UNMIT)に、文民警察官2人の派遣を決定した。PKO協力法に基づく文民警察官の派遣は93年の警視1人が死亡したカンボジアPKO、99年の東ティモールPKOに続き、8年ぶりの3回目。1月31日出発、秋ごろまでの派遣となる見込み。(26日)
●米軍が降下訓練強行 米空軍が嘉手納基地内で同基地所属の第18航空団の兵員6人によるパラシュート降下訓練を実施した。今回の訓練は8年ぶり3度目。これに関し那覇防衛施設局の佐藤局長は、「今回は例外的訓練」と強調しながらも、今後も嘉手納基地を使用したパラシュート訓練が実施されるという考えを示した。(26日)
●イラク増派反対で数十万人デモ イラク侵略戦争に反対し、米軍の増派阻止を目指す大規模な反戦集会が、米国の首都ワシントンの連邦議会議事堂周辺を初め全米で開かれた。03年3月の開戦以来、米国内で行われた反戦集会の中で最大規模とみられる。(27日)
●普天間のヘリもイラク派遣へ 普天間飛行場所属の在沖米海兵隊のCH46E中型輸送ヘリがイラク中西部のアンバル州にイラクでの作戦支援のために派遣されていたことが分かった。イラクでの襲撃作戦などが任務。(28日)
●第1混成団が米軍と訓練 那覇の陸上自衛隊第1混成団と在沖米海兵隊との初めての共同実働訓練が熊本の陸自大矢野原演習場で始まった。市街地訓練や夜間訓練、化学兵器攻撃などを日米で交互に実施した後、日米共同で占拠拠点の奪還作戦を実施する。(29日)
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週刊『前進』(2281号7面1)(2007/02/05 )
3・18闘争を21世紀革命の突破口に!
法大決戦勝利、改憲阻止・安倍打倒
全国300万学生ゼネストへ
革共同中央学生組織委員会
07年は、われわれ青年・学生が先頭に立ち、21世紀革命に向けた大進撃をかちとる年だ。マルクス主義を武器に06年11・5集会の地平をさらに発展させよう。3・18闘争(要項1面)を革命の突破口に! 法大決戦勝利、改憲阻止・安倍打倒、全国300万学生ゼネストにつき進もう!
プロレタリア世界革命の現実性
第一に訴えたいことは、21世紀初頭におけるプロレタリア世界革命の現実性が炎のように噴き出していることだ。全世界労働者階級の生きるための闘い自体が、帝国主義支配の危機と破綻(はたん)、分裂をついて帝国主義と真っ向から激突する時代に突入した。
この攻防の最先端に位置するのが06年11・5集会であり、動労千葉・関西地区生コン支部・港合同の3労組共闘、日韓米3カ国連帯だ。ここに世界革命の火柱がうち立てられたのだ。3・18国際反戦闘争で、この地平をさらに大発展させよう。法大決戦を先頭とする改憲阻止全国300万学生ゼネストを、国際労働者階級の階級的団結の強化・拡大と結合し、07年を一直線に世界革命につきすすむ年としよう。
米帝の没落は決定的だ。米帝が、体制の存立をかけて突入したイラク侵略戦争において敗北・敗勢を強いられている。これは米帝に01年「9・11反米ゲリラ」以来の戦争政策の全面的破綻と世界支配の後退、否、終焉(しゅうえん)すら突きつけている。
これと一体でドル暴落の危機が決定的に深まっている。住宅バブルは崩壊した。そもそも米帝は1985年以来、世界最大の債務国だ。しかし、基軸帝国主義としての地位、とりわけ帝国主義的軍事力を背景にした野放図なドル散布と経済のバブル化、そして労働者階級への矛盾の極限的集中で危機をくり延べてきたに過ぎない。ドル暴落=世界大恐慌と世界経済の分裂化・ブロック化の危機が深まっている。
米帝の没落は、米帝を基軸として成立してきた帝国主義戦後体制の破局の始まりだ。それがもたらすものは、帝国主義間の争闘戦の死闘化、侵略戦争の激化・拡大であり、労働者階級を階級として抹殺するほどの一大資本攻勢だ。巨大独占体間の死闘が全世界で展開され、イラク、ソマリア、パレスチナ、レバノン、イラン、北朝鮮などに次々と侵略戦争が拡大しようとしている。
同時に、これはプロレタリア世界革命の時代の本格的到来そのものだ。決定的なことは国際階級闘争の爆発的激化の時代に、反スターリン主義・革命的共産主義と結合し、民同、日共スターリン主義、カクマルの労働者階級への蔑視(べっし)や絶望の思想・路線と闘い、勝利し抜いてきた動労千葉が屹立(きつりつ)し、3労組共闘と日韓米3カ国連帯が国際階級闘争のかなめとなっていることだ。日韓米労働者の国境を越えた連帯は、アジアという戦後帝国主義体制の破綻点から日本革命・朝鮮革命の火柱をあげ、米帝という帝国主義世界支配の心臓部を打ち抜くアメリカ革命の展望を示している。プロレタリア世界革命の現実性はここにある。ここに自信と確信を持ち、07年決戦で21世紀革命の扉を押し開こう。
全世界一斉デモでブッシュ倒せ
第二に訴えたいことは、3・18闘争を、全世界の労働者階級の団結で帝国主義を打倒する革命の突破口にしようということだ。
1月10日、ブッシュはイラクに米兵2万1500人を増派するイラク新戦略を発表した。これはバグダッドを軍事的に制圧し、虐殺の拡大と植民地支配の維持を狙うものだ。イラク侵略戦争の泥沼化にのたうちまわりながら、侵略戦争の拡大と凶暴化で危機を突破しようというのだ。
さらにブッシュ演説は、イラク研究グループ(ISG)報告をも拒否し、イランやシリアなどのイラクへの影響力を排除することも強調した。すでに米中央軍司令官に現太平洋軍司令官が任命されている。陸軍や海兵隊ではなく海軍提督を司令官にあてた。これらは、1月末のペルシャ湾への空母追加配備と一体で、イランへの戦争体制をも強めるものだ。
ブッシュの支持率は3割をきり、大統領就任以来最低を記録した。米軍のイラク増派にも7割が反対、議会からも増派反対の決議があがった。にもかかわらずブッシュは「われわれはあの国を専制から解放したんだ」とイラク「民主化」論を振り回し、侵略戦争をさらに激化させようとしているのだ。
ふざけるな! もはやこんな現実は一刻たりとも放置できない。イラク侵略戦争は石油のための戦争であり、中東の帝国主義支配のための侵略戦争、まったく不正義の戦争だ。「大量破壊兵器の保持」や「フセイン政権とアルカイダとのつながり」が戦争の口実とされたが、今やすべてデッチあげであったことが明らかになっている。これほどのデタラメがあるか! 今日の「イラク内戦」という現実も、侵略戦争・植民地支配を合理化するために「民主化」の名のもとに傀儡(かいらい)政権づくりにつき進んだ結果ではないか。「民主化」論に唱和し、自衛隊を派兵して参戦し続ける安倍も同罪だ。
イラク開戦4年目を、米帝の侵略戦争政策が大破綻する中で迎えようとしていることは決定的だ。03年3月のイラク開戦を前に、全世界数千万人が地球を何周もウェーブするイラク反戦闘争に立ち上がった。その中心に青年・学生が立った。自らの現実とイラク人民の現実を一つのものとしてとらえ、帝国主義と真っ向から激突する決起だった。3カ国連帯の基礎もここでつくられた。
イラク開戦後の4年間で帝国主義がつくりだした現実は、イラク人民の大虐殺であり、侵略戦争の泥沼化と全中東への拡大だ。そして、全世界の帝国主義が戦争を継続しながら福祉や年金を削り、労働者の首を切っている。帝国主義に対する怒りは広がり、より根源的になっている。
3・18闘争は、帝国主義支配の枠内にこの怒りを押さえ込む既成勢力と対決し、今や支配者たる資格もないブッシュや安倍をこきおろし、労働者階級の自己解放的決起で打倒する闘いだ。全国学生は、動労千葉の春闘ストライキ、教基法改悪阻止決戦の第2ラウンドとしての「日の丸・君が代」不起立闘争と呼応し、3・18闘争への大結集をかちとろう。
青年・学生の大反乱まきおこそう
第三に訴えたいことは、法大を突破口に改憲阻止全国300万学生ゼネストで安倍・御手洗路線を粉砕することだ。
法大決戦は1年間の激闘をとおして、教基法改悪・改憲を先取りする立て看板・ビラまき規制を“一片の紙切れ”にする完全勝利をかちとった。勝利の核心は、攻撃を恐れず、むしろテコにして鉄の団結をつくりだしてきたことだ。
日帝の危機は深い。日本経団連の「御手洗ビジョン」は、「人口減少・少子高齢化の経済負荷が本格化するまでに残された時間は10年程度」と日本経済の破綻を表明している。しかも日帝は、戦後的階級関係をなんら転覆できないままに帝国主義間争闘戦の死闘の時代に突入してしまった。安倍が「戦後レジームからの脱却」というナチスと同じ主張で襲いかかってきているのも、敵の強さの現れではない。とてつもない危機の現れだ。
日帝は青年・学生の反乱に心底恐怖している。今や膨大な青年労働者が、まったく無権利状態で基幹産業の内部に存在している。学生もその予備軍として、ただただ帝国主義間争闘戦を担う人材にふるい分けられている。闘いの火の手があがらないわけがないのだ。だから支配階級が「愛国心」を必死に叫び立て、青年の制圧に全力をあげているのだ。「階級的労働運動で革命をやろう」という呼びかけが体制内労働運動を打ち破り、膨大な青年を獲得する決定的情勢が来ている。
安倍は「参院選の争点は改憲」と宣言し、中川秀直自民党幹事長は「5月3日までに国民投票法を成立させる」と改憲攻撃を前倒しにしている。この基底には、朝鮮侵略戦争の切迫がある。日帝は07年秋にも、日米共同作戦計画を策定しようとしている。これは日帝にとって絶望的飛躍だ。
安倍や御手洗はとことん追いつめられている。奴らが最も恐怖する青年・学生の巨大な反乱を今こそ叩きつけてやる時だ! 朝鮮侵略戦争・改憲攻撃との激突は、われわれの手で安倍・御手洗を打倒する決戦だ。全国300万学生ゼネストはその突破口だ。
第四に訴えたいことは、学生こそマルクス主義の復権の先頭に立とうということだ。
階級闘争の前進と一体で、プロレタリア自己解放の思想としてマルクス主義が復権する時代が始まった。現実の階級闘争が、マルクス主義の優位性をはっきり示している。動労千葉は、プロレタリアートへの蔑視や絶望の思想と対決し、その破産を突きつけ、労働者階級への無限の信頼をおいて闘い、勝ち抜いてきた。これこそ、マルクス主義の実践であり、その勝利性・優位性を実証している。ここから青年・学生が、マルクス主義を実践的に学び取る闘いも始まっている。
青年・学生こそマルクス主義を武器に未来を切り開こう。同時に、革命に勝利するためには、一つひとつの闘いをプロレタリア革命の観点からとらえ返し、意識的に組織していく革命家の組織が絶対に必要だ。それがマルクス主義学生同盟だ。すべての学生はマル学同に結集し、ともに21世紀革命を切り開こう。
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週刊『前進』(2281号7面2)(2007/02/05 )
米日帝国主義の侵略戦争切迫下 闘う韓国・民主労総
階級的団結を強化して 労働悪法・FTAと対決
07年、時代は戦争か革命かを問うている。ノムヒョン政権は昨年末、非正規職関連悪法に続き、労使関係先進化ロードマップを強行した。しかし、波状的なゼネストで労働法制改悪阻止を闘った民主労総傘下の怒れる現場組合員たちは、ただちにその場から新たな闘いを開始した。07年は冒頭から労働者の巨大なストライキが政権と資本に襲いかかった。ウルサン(蔚山)のヒョンデ(現代)自動車労組が未払い賃金の支払いを要求しストライキに立ち上がったのだ。
現代自動車ストライキ
1月17日、ウルサンのヒョンデ自動車労組が年末に支給されなかった成果賃金の支払いを要求し、15日の4時間ストライキに続いて6時間ストライキに入った。
もともと成果賃金は労組に分断を持ち込む攻撃だった。パクユギ委員長は、会社側の「1〜2月の生産目標を達成すれば支給する」という提示を「無条件・即時支給」しかないと拒否、同時に「労組に対する民事・刑事訴訟、損賠・仮差し押さえなどの労働弾圧を撤回し、原状回復が行われるまでストライキ闘争をやめない」と宣言した。
マスコミは一斉に「賃金も受け取れない人が多いのに利己的な満腹闘争」「20年間のストで現代自動車の損害は10兆5千億ウォン」などと歪曲報道を満展開した。しかし、パクユギ委員長は、「すでに矢は弓を離れた。民主労組を抹殺しようという資本の挑発に対し、けっして退くことなく闘うことが労働組合を生かす道だ」「ストに反対する組合員は1人もいない」と語り、「今回の闘いを韓米FTA(自由貿易協定)阻止闘争の先鋒(せんぽう)闘争の役割にまで拡大できれば、さらに何を望むことがあるだろうか」と断言した。
1月16日には、教員評価と差別成果給などに反対し全国教職員組合(全教組)が闘った昨年11月22日の年次休暇闘争に対し、ノムヒョン政権・教育人的資源部(教育部)は4回以上年休闘争に参加したと見なした430人を懲戒委員会に回付した。全教組は「89年の全教組結成以来、最大の大量懲戒事態だ」と弾劾、「教員の合法的労働基本権をじゅうりんし、不法大量懲戒を行う政府と闘う」と宣言し、1月16日からソウル市教育庁前で野宿座り込みに入った。
昨年、事務所閉鎖攻撃など激しい労組弾圧と闘いぬいた全国公務員労組は“あえて法外団体としてあくまで労働3権を要求し闘う”ことを宣言し、年金改悪阻止を始め、公共部門での非正規職拡大阻止を先頭で担っている。鉄道ストライキに決起したKTX非正規職女性乗務員たちも、外注・委託を拒否し直接雇用・正規職化を要求して闘い続けている。さらに全国各地に長期争議を闘う誇り高い労働者たちが生きている。
(写真 労災保険法の全面改革を要求する民主労総決意大会がソウルで開かれた。大会後に街頭宣伝【1月31日】)
悪法は闘って打ち破る
就任以来の懸案だった非正規悪法とロードマップを強行成立させたノムヒョン政権は、年度内にも韓米FTAを締結しようとしている。
そのために年末国会では韓国軍のイラク派兵延長と新たにレバノン派兵も決め、1月10日にブッシュ大統領が2万人余りのイラク増派を発表すると、ノムヒョン大統領はすぐに支持を表明した。
このようにノムヒョン政権は、米日帝国主義の戦争政策に積極的に呼応するとともに、韓米FTAを始めとする帝国主義資本の要求に沿った労使関係の構築、とりわけ闘う民主労総、民主労働組合の解体に全力をあげている。
しかし、非正規職関連法案とロードマップ立法化など労働法制改悪攻撃に民主労総は10万、20万ゼネストで立ち上がった。それは同時に韓米FTA交渉阻止のゼネストだった。労働者本隊の決起と怒りに燃えた農民を先頭とした全民衆の闘いががっちりと結合し、3次にわたる民衆総決起闘争を実現した。
結局のところ、“悪法は闘って打ち破る”のであり、“労働現場のすみずみから階級団結の力で反撃する”のだ。そうやって闘ってきたし、敗北にうちひしがれることこそ敵の思うつぼだ。
弾圧しても弾圧しても屈しない民主労総、民主労働組合に対し、この間、歴代の独裁政権以上の労働弾圧を繰り出したノムヒョン政権だったが、「城内平和」など望むべくもなかった。「労働者こそが社会の主人公」「世界を動かしているのは労働者だ」「ストライキで世の中を止めよう」――誇り高く宣言する労働者階級の前で打ち震えているのは、むしろ政権・資本の側だ。
この闘う労働者、現場組合員たちの闘いは、民主労総執行部をも突き抜けて進んだ。チョジュノ執行部は、12月過程のロードマップをめぐる攻防では、闘争戦術をダウン、民主労働党を媒介にした国会内での修正論議に望みをつなぐ体たらくだった。そもそも民主労総内外からの反対を押し切って、「労使関係先進化ロードマップ政府案を廃棄し、民主労総案を論議の中心にする」として参加した労使政代表者会議の結果こそ、9・11野合(韓国労総がロードマップ立法案を政府・資本と合意)だった。民主労総には会議日程すら知らされなかった。
11月30日、非正規法案が国会本会議で可決・成立(施行は07年7月1日)後、ただちにロードマップ立法案阻止の攻防が始まった。12月1日から波状的にゼネストが組まれたが、8日には環境労働委員会で委員長の秩序維持権発動をもって委員会採決が行われた。
この緊迫情勢に民主労総は全面スト突入方針で臨んだが、国会内の政党間の駆け引きに引きずられたチョジュノ執行部は12・15ゼネストも延期。結局、12月22日、国会前に集まった労働者たちが採決を阻止しようと国会に突撃する中、ロードマップ関連法案は可決・成立し、07年1月1日に施行された。
民主労総の執行部選挙
1月26日に開かれた代議員大会で民主労総の5期執行部選挙が行われ、現執行部の後継候補である国民派(全国会議と革新連帯)のイソッケン委員長(05年秋に首席副委員長の汚職逮捕で総辞職したイスホ執行部の事務総長)と、イヨンシク事務総長(やはり05年秋に不正選挙がらみで総辞職した民主労働党労働部最高委員)が選出された。
選挙戦は、国民派と中央派(平等社会に前進する活動家連帯)、現場派の三つどもえで闘われ、@労使政交渉、A民主労働党との関係、B産別労組建設、C役員・代議員直接選挙制実施についてなど激しい路線論議が交わされた。特に直接選挙制を求める組合員の声は圧倒的で、3者は1・26代議員大会の議案とすることで合意したが、当日は選挙後、代議員定数割れで大会は流会となり議決に至らなかった。
新たに15万人産別労組として出発した金属労組やソウル地域本部など、各組織で執行部の選挙戦がたけなわだ。金属労組では5チームが立候補、激しい路線論争が闘われている。朝鮮半島をめぐる緊張が高まる中、階級的労働運動の真価が問われている。
(室田順子)
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『俺たちは鉄路 に生きる2』 韓国語版が出た!
07年1月1日、動労千葉の中野洋前委員長著『俺たちは鉄路に生きる2』(労働者学習センター発行)の韓国語版が、04年7月の英語版発行に続き、ソウルで発行された。
民主労総ソウル地域本部はホームページで「韓国語版完成!」と告知し、動労千葉を「87年の国鉄分割・民営化に対して唯一『分割・民営化絶対反対』を掲げてストライキを闘い、40人の解雇者を出しながらも組織の団結を守り抜いた。今もJR資本のもとで闘いながら多くの勝利を得ている」と紹介。
韓国語版について「動労千葉の書記長と委員長を務めた中野洋が40年間の闘いとその教訓をつづった本だ。日本では、連合と全労連に代わる、闘う労働組合の全国ネットワークをつくろうと努力している労働者たちがこの本を学んで職場の実践に生かしている」と購読を薦めている。
韓国の民衆メディア「チャムセサン」でも「日本の鉄道民営化と闘った国鉄労働者の記録」「この本はソウル本部で販売している」と紹介された。
☆A5判275n/1万ウォン/1500円
☆注文先 千葉市中央区要町2−8DC会館動労千葉内 労働者学習センター(рO43−222−7207)
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週刊『前進』(2281号7面3)(2007/02/05 )
関西新空港 “朝鮮侵略に使わせぬ”
8月2期供用阻止へ集会
1月28日、泉佐野市りんくう公園で関西新空港反対集会が開かれた。主催は、泉州住民の会など大阪湾岸住民4団体と関西反戦共同行動委員会。120人が集まった。
日米両政府が朝鮮侵略戦争のための「共同作戦計画5055」づくりを昨年12月から始め、春から現地調査、秋にも戦争計画を完成しようとしていることが報道された。この日の闘いは、この攻撃に地元から即座に反撃する闘いとしてかちとられた。
司会の安藤真一淡路町反対同盟事務局長が冒頭、2期供用開始反対の8カ月決戦を宣言。
主催者あいさつで山本善偉東灘区住民の会代表が「戦争が目の前に迫っている。関空反対運動の最初からの一番大きな理由は軍事空港反対だ。われわれが核になり戦争反対の大きな運動をつくろう」と訴えた。
国賀祥司泉州住民の会事務局長は基調報告で、日米共同作戦計画の内容を詳しく取り上げ、「米軍から見れば関空は絶好の軍事空港だ。2本目の滑走路は『朝夕ラッシュ時、着陸のみ利用』でいつでも軍事使用できる。しかも4000bもある。兵舎や倉庫を建てる場所にも事欠かない。しかも、高度医療ができる市立病院がある。関空2期阻止は朝鮮侵略阻止の闘いそのもの。日米両政府が公然と軍事使用を要求してきた今こそ、闘いを圧倒的に拡大しよう」「『陸上を飛ばさない』という一番大事な約束を破り、着陸便まで陸上ルートにして住民犠牲を拡大することは許さない」「空港病院として建設した市立病院が破綻し、市長が病院を切り捨てようとしている。医者の退職が続出し、市民の命と健康まで犠牲にされている。全市民とともに闘う」と提起した。
カンパアピールを明石住民の会が行い、三里塚反対同盟事務局長の北原鉱治さんからの連帯のメッセージが読み上げられた。続いて決意表明を関西労組交流センター、泉州住民の会、東灘区住民の会、部落解放同盟全国連、全学連が行った。泉州住民の会の役員が決議文を読み上げ、決議文をもって国土交通省・大阪航空局、大阪府、関空会社などに申し入れに行くと表明した。
最後に、永井満淡路町空港反対同盟代表がまとめを行い、「68年に淡路ではじめた空港反対運動は軍事空港絶対反対を掲げていた。関空は絶対に軍事使用させてはならない」「40年間、国の無法と暴力と闘って負けない三里塚のような闘いが今こそ必要。パネル展や集会で訴え、三里塚闘争勝利のために全力を尽くそう」と訴えた。
最後に全員で対岸の関空に向かってシュプレヒコール、意気高く泉佐野駅前までデモ行進した。関空の軍事使用を絶対許さず、8月2日の2期供用開始を阻止しよう!
(写真 「関空から侵略機を飛ばさないぞ!」。青年の打ち鳴らす太鼓にあわせ意気高く行われたデモ行進に、沿道からの応援も【1月28日 泉佐野市】)
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週刊『前進』(2281号8面1)(2007/02/05 )
柳沢発言糾弾!革命やって社会変えよう 東京 大島けい
柳沢厚労相が「女性は子どもを生む機械」というとんでもない女性差別の暴言を吐きました。古い時代ならいざ知らず、これが今の世のれっきとした大臣の発言とは! もはや怒りを通りこしてあきれかえる。当人の辞任だけでおさまる問題ではありません。
こんな発言が飛び出してくる元凶は、安倍政権が掲げる「美しい国」という思想と路線そのものにあると言うべきです。「つくる会」教科書とまったく同じ、戦前の「大日本帝国」賛美の極右思想がそこに貫かれていることこそが、問題の核心だと思います。
この柳沢が、よりによって「少子化問題」を担当していたというのも、恐るべき話です。今、出産と子育ての現場はどうなっているか。非正規雇用と低賃金がますます拡大する中、子どもを生みたくても生めない若い夫婦がたくさんいます。それだけではない。実は最近、私に孫が生まれたことをきっかけに、出産そのものが困難化している現実を知って、つくづく考えさせられました。
まず、どこでお産するかが大問題。この間の規制緩和・民営化と「医療制度改革」により真っ先に矛盾が集中し、切り捨てられていっているのが産婦人科と小児科です。離島のような地域だけでなく、今や東京のど真ん中でも、お産のできる病院が近くにないという事態が起きています。昨年都内で、難産に直面した妊婦が陣痛が始まっているのに転送先の病院を探して次々と断られ、やっと見つかったところは40`メートル以上も離れていたという記事も、新聞に載りました。
「少子化」とはまさに末期を迎えた資本主義・帝国主義が自ら作り出しているものです。そして資本主義はこの矛盾を絶対に解決できません。だからこそ「子を産むのは女の責任」と、一切を女性の問題にすりかえる。柳沢の差別暴言を糾弾すると同時に、革命やって社会を変えること! これが私の結論です。
朝鮮侵略戦争切迫で強まる辺野古の攻防 関東 君野菜津
名護市辺野古での海上基地建設阻止の座り込みは2007年1月13日、「8年(2639日)の命を守る会の闘い」プラス「座り込み1000日」となりました。
1月19日には東京で普天間飛行場移設措置協議会の第3回会合が開かれ、政府からキャンプ・シュワブ沿岸部の新基地建設の工事スケジュールが初めて発表されました。今年12月ごろに辺野古にある米海兵隊キャンプ・シュワブ内の隊舎移設工事を始め、2014年に新基地を完成させるというのです。沖縄県も名護市も「現行のV字型滑走路を少し修正してほしい。それなら認められる」と泣きついていますが、振興策頼みを見透かした政府は取り合おうともしていません。
しかし、名護市議会では24日、「V字型滑走路・修正案・促進」決議が強行されました。傍聴席に詰めかけた命を守る会や二見以北十区の会を始め辺野古で座り込みを続けてきた人びとの怒りの声が聞こえてきます。
金城祐治さんは、「後世に悔いを残すことをしてはいかん! このような決議は無意味だ! V字型も修正案も拒否するのが筋でしょう!」と叫んだそうですが、まったくそのとおりです。
名護市民は一貫して、新基地建設には反対の姿勢を貫いてきました。その闘いが1000日を超えて続く座り込みです。
安倍政権になって、ついに防衛省が発足しました。米軍再編の強行は、日米政府による具体的な戦争準備そのものです。私もこれまで何度も辺野古の闘いに参加しましたが、県や名護市による政治的な駆け引きなど認められません。「新基地建設は絶対拒否、阻止あるのみ!」です。
重慶大爆撃賠償請求裁判をご存知ですか 広島 竹林かな
1月24日(水)、東京地裁で重慶大爆撃の裁判の第2回公判が行われ、中国・楽山市より3人の原告が来日し、意見陳述しました。広島からは8人が傍聴しました。
皆さん、重慶大爆撃をご存知ですか?
日本は世界に先駆けて戦略爆撃を行いました。ナチスによるスペインのゲルニカへの爆撃は史上初の無差別空爆として有名です。しかしそれは1日、1回限りのことでした。それに続いて日本軍が重慶と四川省に行った無差別空爆は5年半にもわたる戦略爆撃です。
1938年から42年にわたり、蒋介石率いる国民政府の臨時首都・重慶とその周辺の四川省地域を徹底的に壊滅して中国と中国人民の抗日戦争継続の意思をたたきつぶすことが狙いでした。重慶大爆撃(現重慶市と四川省をあわせています)の死傷者総数は10万人を超え、家屋や店舗を失った人は百万人の規模にのぼります。
日本軍が行ったこの戦略爆撃、無差別空爆は、国際慣習法に違反し、さらに日本への空襲、広島・長崎、さらにはベトナムから今日のイラクへとつながるものとなりました。家族を殺され、あるいは自らも重傷を負った方々40人が原告となり、加害国日本に、謝罪と賠償を求める裁判です。(重慶大爆撃は極東軍事裁判でもなんら裁かれていません)
今回は、羅保清さん(父、爆撃で死亡)、呉紹武さん(母と兄、爆撃で死亡)、趙樹信さん(父、爆撃で死亡)の3人が遠い楽山市より高齢をおして来日しました。
自らの人生、爆撃によってめちゃめちゃに破壊され苦労に苦労を重ねてきた人生、家族を奪われた悲しみ、苦しみを涙ながらに証言(原告側意見陳述)されました。
裁判の後、弁護士会館で報告会が行われた際、裁判では言い足りなかったことを一言ずつ述べていただきました。そこでは、「日本が再び軍事大国化しようとしていること、再度戦争をすることを許してはいけない」「日本の常任理事国入りに危惧(きぐ)を感じている」。こうした現在の日本が進もうとしている方向への危機感が訴えられました。
裁判支援はもとより、何よりも日本の朝鮮・中国−アジアへの新たな侵略戦争をとめていくことが私たちに課せられている、と痛感しました。
訂正
前号「伊丹基地に『ヤマサクラ51』の中止を要求」の投稿に「全日建運輸連帯労組近畿地本副委員長の川村賢一さん」とあるのは川村賢市さんの誤りでした。おわびし、訂正します。
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週刊『前進』(2281号8面2)(2007/02/05 )
PAC3入間配備阻止へ
自衛隊の侵略軍化を許すな
反戦自衛官 小多基実夫
「防衛省」昇格決定と同時に、自衛隊の海外派兵が本来任務化された。隊員にとって海外派兵が今までの「志願」から罰則を伴う「命令」(強制)へと変化し、軍法会議の発足へ一直線につながっていくことになる。まさに憲法改悪の先取りである。この自衛隊の侵略軍化と一体で朝鮮侵略戦争に向けて3月の入間基地を皮切りに、日本全土の自衛隊基地にパトリオットPAC3ミサイルが配備されようとしている。3月入間基地へのPAC3配備を阻止しよう。
朝鮮侵略戦争への態勢
昨年の北朝鮮による核実験と7〜10発のミサイル試射に対し、小泉政権時代の安倍、麻生、額賀の政府首脳、武部自民党幹事長らが、「敵基地の先制攻撃能力をもつべきだ」と先制攻撃論で世論を扇動し、その一環としてこのPAC3ミサイルの前倒し導入が進められることになった。
政府は日本全国がさも北朝鮮のミサイル攻撃によって、60年前の米国による全国無差別爆撃と同様の脅威を受けているかのようなデマを演出し、徹底的に排外主義を扇動している。杉並区などはその先頭に立って区内へのミサイル着弾やゲリラの潜入をあおり立て、「国民保護法」のもとで労働者人民の戦時統制体制の確立を行おうとしている。
昨年まで日本において直接戦争体制に組み込まれていたといえるのは、アフガン―イラク戦争に派兵された自衛官とその家族だけであった。しかし3月入間基地を皮切りに全国で実施されるPAC3ミサイルの地上配備(24時間警戒―発射態勢化)は、戦闘態勢としてPAC3部隊と周辺地域を常時結合させることになる。
例えば、入間基地のPAC3部隊が戦闘態勢に入るケースとしては、米軍情報に基づいて空自司令官が次のように判断した場合である。
まずPAC3の射程距離が20`メートル程度であることから考えて、「入間基地および、周辺20`以内に位置する目標(米軍横田基地、空自府中基地、陸自朝霞駐屯地、練馬駐屯地、立川駐屯地など)に向けて北朝鮮の弾道ミサイルが発射され、数分後に着弾する」という情報が出される。入間基地では非常サイレンが鳴らされ、戦闘配置につくPAC3部隊以外の隊員は避難施設に駆け込むという事態となる。
この時20`圏内にある入間市、狭山市、川越市、所沢市、朝霞市、立川市、八王子市、国立市、調布市、府中市、練馬区などの自治体は、「国民保護」の名のもとに防災無線を使って避難命令を出すことが想定される。
ではいかにしてこの情報の伝達が行われるのか。米軍および航空自衛隊の関係部署は常時24時間体制で対応しているが、そこから軍隊の下請け機関として位置付けられ、市民に伝えるのは「国民保護法」体制の地元自治体である。
市が、自衛隊と直結されるのか、それとも県を経由するのか。いずれにせよ昨年のように米軍が衛星情報などをもって「北朝鮮のミサイル発射の可能性」と判断すれば、その段階から職員の非常呼集・当直体制をもって、米軍、自衛隊の「防空警戒態勢」に連動させた市の「避難命令」伝達の待機体制が昼夜を問わず続けられることになる。
そして、年間を通じてそのための訓練が今までの「防災訓練」とは比較にならないレベルで自衛隊が前面に出て行われることになる。
日本中が最前線基地に
これが本年2月、3月の埼玉県入間基地配備を皮切りに順次全国の空自基地に展開されるのである。全国に6個高射群24個高射隊を擁するパトリオットミサイル部隊は、通常それぞれの高射群の各4個高射隊が1チームとなってローテーションを組み、各1個高射隊が臨戦態勢をとり、他の部隊はそのバックアップにつく。しかし先に見た射程距離との関係で、非常時には最大限の部隊を臨戦態勢に入れるとともに、全高射隊を「本当に守ろうとする地域」の近隣に移動展開させる場合が多いと考えられる。
この6個高射群24個高射隊は重点警戒地域として通常配備されているが、同部隊が米国から沖縄の嘉手納基地に移動展開してきたように、戦時ともなれば国内すべてが移動展開の対象地域となるのである。
その他に在日米軍基地では、昨年の嘉手納基地に続いて、本年は「日米合同司令部」の設置が決まっている横田基地を始め、関東圏の基地に、さらに引き続いて全国の米軍基地に配備され、自衛隊のPAC3ミサイルとの統一運用が計画されている。
今年は、日本列島全土がミサイル基地としても朝鮮戦争の文字どおり最前線基地と化して、先制攻撃態勢が動き出すのである。
自衛隊を天皇直結の皇軍に
『防衛省』昇格決定にあわせ12月14日午前、天皇はイラク―クエート、アフガン、インド洋に戦時派兵されていた自衛官160人(陸空90人、海70人)を在サマワ外務省連絡事務所員20人とともに皇居に招き、懇談・激励した。天皇は、「国際的な協力に参加し、力を尽くしてこられたことを、誠にご苦労に思います」「厳しい環境のもとでの任務の遂行には様々な苦労があったと察しています」とあいさつし、隊員一人ひとりに歩み寄って「事故等は大丈夫でしたか」「精神的に大変だったでしょう」と直々に声をかけたという。
ことは決定的に重大である。法的行政的な上からの指揮とは違ったレベルでの天皇による兵士への直接的な精神的支配の開始である。かつて皇后が出征部隊に「日の丸」を送ったのと同様に、兵士に「天皇に直結したという名誉」を与え、それと引き換えに「本格的な侵略軍としての魂」を注入する行為である。
もはや一刻の猶予もない。今年が正念場だ。新たな朝鮮侵略戦争を阻止するためには、労働者と自衛官の連帯した闘いが絶対に必要である。反軍闘争は、帝国主義打倒を目指す階級的労働運動の重要な課題であり、革命の成否を決する闘いだ。言うまでもなく、自衛官の圧倒的多数は労働者・農民の出身であり、反軍闘争は労働者自己解放の重要な一翼である。
闘う朝鮮人民との連帯をかけ、沖縄での米軍嘉手納基地へのPAC3搬入・配備阻止闘争に続き全国でPAC3配備阻止の闘いを爆発させよう。
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◆地対空誘導弾パトリオット(PAC3)
ミサイル防衛(MD)の主要装備で大気圏に再突入した弾道ミサイルを着弾前に地上から迎撃するミサイル。射程20q程度。政府はイージス艦から発射する海上配備型迎撃ミサイル(SM3)とPAC3による多層防衛システムの整備を計画。SM3が上層(大気圏外)で撃ち漏らしたミサイル弾頭をPAC3が撃つ2段構え。PAC3は目標に体当たりして破壊する。
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週刊『前進』(2281号8面3)(2007/02/05 )
共同行動 “さらば!共謀罪”
永久廃案めざして集会
1月26日夜、飯田橋の東京しごとセンターで「さらば!共謀罪」総決起集会が開かれた。「破防法・組対法に反対する共同行動」が主催し、210人が集まった。
昨年秋、労働者人民は、10度目の国会で1度の審議も入らせずに法案の成立を阻んだ。また法案の反人民性を暴き、政府答弁のウソを明らかにし、政府・与党を追いつめてきた。今年に入り、7月参院選を控え、与党内でも法案の扱いをめぐる動揺が激しい中で、安倍首相は1月19日に「今国会で成立を図るように」と法相に指示した。
これを絶対に許すな、法案を永久に廃案に追い込もうと、集会は熱気にあふれてかちとられた。
まず、共同行動事務局の石橋新一さんが基調報告を行った。必死に切り開いてきた闘いを豊かに総括し、政府・法務省を論理破綻(はたん)に追い込んできた地平をふまえ、今国会では「対峙から反転攻勢へ」うって出て、共謀罪を永久に廃案に追い込もうと呼びかけた。
そして2〜3月の学習会、署名運動、4月28日の「一億二千万、共謀の日W」行動の準備、さらに3月6日の国会行動への結集を訴えた。
続いて関東学院大学の足立昌勝教授が講演を行った。足立さんは「予備・未遂」が処罰されないで、その前段階の「共謀」が処罰されることになる例(建造物損壊罪など)をあげ、共謀罪がどれほど矛盾に満ち、現行刑法体系をも逸脱する悪法であるかを暴いた。
その後、都教委包囲・首都圏ネットの労働者と共謀罪反対を闘う弁護士らが連帯のあいさつを行った。さらに昨年、国会前で闘った労働者・市民や大阪・福岡・静岡の仲間が、生き生きと闘争報告と決意表明を行った。ミュージシャンのZAKIさんの歌と演奏が会場の雰囲気を盛り上げた。
共謀罪は、思想・言論を弾圧する「現代の治安維持法」だ。すでに法体系に共謀罪をもっているアメリカの公文書には「労働運動に効果的」と書かれているほどだ。共謀罪を今国会で永久に廃案へ追い込もう。
(写真 「11度目の国会で、今度こそ廃案に!」と国会決戦への全力決起を誓った【1月26日 東京・飯田橋】)
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週刊『前進』(2281号8面4)(2007/02/05 )
星野同志の執行停止を!
全国から署名を集中しよう
1月23日、星野再審弁護団は、星野文昭同志の無期懲役刑執行停止を求める申立書を、東京高等検察庁に提出した。同じ日、家族と親族は、1週間の外泊許可願いを徳島刑務所に提出した。
これは、昨年12月から入院中の星野同志の母、美智恵さんの病状が悪化したためである。
美智恵さんは89歳の高齢でありながら、昨年7月に北海道(小樽・札幌)で開かれた「星野さんをとり戻そう!全国再審連絡会議」の全国総会には元気な姿を見せ、参加者を前に「どうぞ文昭を助けて下さい」と切々と訴えた。しかし、11月以降体調を崩し、札幌市内の病院に入院している。
一日千秋の思いで文昭さんの出獄を待ちわびる美智恵さんに一目でも文昭さんと会わせたいという一心から、1月23日の二つの申し立ては行われた。同時に、その実現のために当面、千人を目標に署名を集めることが全国に呼びかけられた。
再審連絡会議の会員の一人が、「居ても立ってもいられない」と裁判所前に駆けつけ、23日からハンストを開始した。これを囲んで、連日、宣伝活動が行われた。その訴えを聞いた人は、「それはひどい。なんとか出してあげて」とすぐに署名に応じてくれた。署名はたちまち拡大、各地からも続々と寄せられ、スタートから1週間で700筆を超えた。その署名が毎日、検察庁に届けられた。
検察官の不当決定弾劾
しかし、検察庁から弁護団に「審査の結果、これを行わない」とする文書が29日(月)に郵送で届いた。決定の日付は26日(金)になっている。何が「審査の結果」だ! 申し立てからわずか4日しかたっていない。
われわれはこの不当な決定を満身の怒りで弾劾する。
無実でありながら星野文昭同志は、32年間も徳島刑務所にとらわれている。その文昭さんが病床にある母・美智恵さんを見舞いたいと思うのは、人間としてまったく当然の願いではないか。
1990年には、父・三郎さんが最後まで「文昭と枕を並べて寝たい」と言いながら逝去された。これを繰り返すわけにはいかない。今度こそ、文昭さんがお母さんのもとに駆けつけられるように全国の力を集中し、なんとしても執行停止をかちとろう。文昭さんとお母さんの再会を実現しよう。
弁護団は不当な決定と徹底的に闘う方針だ。再審連絡会議に結集する人びとも全力で反撃しようとしている。
今、最も必要なのは、さらに署名を集中することだ。あらゆる場で、あらゆる人に訴えよう。これまでの枠を大きく超えて、署名を拡大しよう。
そしてもう一つ、ぜひお願いしたいのは、獄中の星野同志に激励の手紙を書くことだ。われわれは獄壁を越えて闘いの息吹を伝えることができる。全国から連帯と激励の手紙を送ろう。
(写真 寒風ふきすさぶ東京高裁前で1月23日からハンストが闘われている【1月25日 霞が関】)
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星野文昭同志
71年沖縄返還協定批准阻止・渋谷闘争を闘い、デッチあげ殺人罪で無期懲役刑に。徳島刑務所で無実を叫び再審請求中。獄中32年。1946年4月27日生まれ、60歳。
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★抗議先 東京高等検察庁 北岡英男検事
東京都千代田区霞が関1−1−1
電話03−3592−5611
☆激励先 星野文昭様
徳島市入田町大久200−1
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