ZENSHIN 2006/11/13(No2270
p08)
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週刊『前進』(2270号1面1)(2006/11/13)
国境を越え4900人が団結
11・5日比谷 労働者自己解放の旗ひるがえる
北朝鮮侵略戦争前夜に闘い誓う
闘う3労組が集会主催
11・5労働者集会、4900人が階級的労働運動の再生へ「団結がんばろう」とこぶしを上げた(東京・日比谷野外音楽堂)
「労働者の時代、ここに始まる!」「世界の労働者は必ず勝利する!」
――このことを確信させる熱気と、力と、躍動感あふれる国際連帯集会が11月5日、東京・日比谷野外音楽堂で開かれた。
(8面にも集会速報。全体は次号に詳報します)
闘いを呼びかけたのは、全日本建設運輸連帯労組関西地区生コン支部、全国金属機械労組港合同、国鉄千葉動力車労組の闘う3労組。呼びかけにこたえ、全国全世界から昨年の集会をも超える4900人が大結集した。吹き荒れる戦争・民営化攻撃と対決し、北朝鮮への侵略戦争を絶対に許さず、労働者の自己解放闘争の勝利に向かって、国境を越えて団結し闘うことを誓いあった。
好天にも恵まれ、会場には早くから続々と労働者・農民・学生・市民が結集した。団結を呼びかける3労組の訴えが確実に闘いの輪を広げているあかしだ。
開会に先立ち、民主労総とともに闘う文化宣伝隊「丹風(タンプン)」の学生が律動を披露し戦闘的熱気を盛り上げた。
集会は正午から開始された。港合同の中村吉政副委員長の開会あいさつ、闘う弁護士・人士の連帯あいさつに続き、韓米日の労働者が次々と発言した。20人が参加した民主労総ソウル本部は、戦争・労組破壊と対決して80万組合員が15日からゼネストに突入する決意を表明した。
アメリカからはILWU(国際港湾倉庫労組)と、この日でストライキ443日目のAMFA(航空整備士労組)が参加し、「ピケットラインを死守して闘う」と述べた。
集会アピールを動労千葉の長田敏之書記長が行った。「職場からの闘いで、怒りと団結を取り戻そう」「労働者階級こそ社会を変革する主体だ。闘う労組の全国ネットワークを。労働者の国際的団結を」と呼びかけた。
教労と国鉄が最先頭で
また国鉄1047名の解雇撤回に向けて、動労千葉争議団と国労闘争団が決意を表明。続いて国労5・27臨大闘争弾圧被告団が裁判勝利へ断固闘うと表明した。港合同は、中曽根元首相の団結権否定発言を徹底追及する訴えを行った。
全国で闘う数十人の教育労働者が登壇し大きな拍手で迎えられた。代表して「日の丸・君が代」不起立闘争を闘った2人の被処分者が発言、今後も処分を恐れず闘い、教育基本法改悪絶対阻止へ、国会闘争をともに闘おうと呼びかけた。
ミサイル搬入を実力阻止し、11・19県知事選−糸数候補当選へ闘う沖縄の労働者30人が登壇し、代表が決意表明した。
4大産別と民間労働者の決意表明は圧巻だった。連帯労組関西生コン支部の代表は4度にわたる大弾圧をはね返して闘う決意を表明、全金本山労組は1万2000日の闘いで解雇を撤回させた勝利を報告し、「労働戦線のあちこちから闘いの火の手を」と呼びかけた。全逓(JPU)、自治労、地域合同労組の労働者が力強く発言した。
6人の青年労働者・学生がリレートーク、「労働組合を現場組合員の手に」などと訴えた。閉会あいさつを関西生コン支部の柳充副委員長が行って締めくくった。集会後、銀座〜東京駅前を通ってデモした。
集会の大高揚を力にして職場闘争を闘い、教基法改悪阻止・共謀罪粉砕の国会決戦に立とう。
日米韓の闘う労働組合が合流。集会後、呼びかけ3労組とILWU、AMFA、民主労総を先頭にデモに出発した(日比谷公園わき)
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週刊『前進』(2270号1面2)(2006/11/13)
11・5 集会発言から(あいさつ、11・5アピール)
開会あいさつ
労働者は闘って連帯する
全国金属機械労働組合港合同 副委員長 中村吉政さん
全国各地から、韓国・アメリカからご参加の闘う仲間の皆さん。主催者を代表して開会のあいさつを申し上げます。
今、日本社会は、朝鮮民主主義人民共和国の核実験をめぐって戦争前夜のような状況がつくり出されています。最大の核保有国であるアメリカを始めとして、大国が核を武器にして侵略の脅威をつくり出している現状の中で、共和国の核実験を批判し、国連における制裁決議を発動するのは、勝手な論理です。アメリカは朝鮮民族の悲願である祖国の統一を破壊しようとしているのです。
私たちの願いは世界中から「核の脅威」を取り除くことです。しかし現実には、アフガニスタンやイラクで、アメリカの劣化ウラン弾が民衆を殺戮(さつりく)し、イラク戦争は泥沼化しています。アメリカの利益にかなう国なら何をしても許し、意に反する国は徹底的に攻撃するというブッシュ政権の世界戦略と闘いましょう。
一方、国内ではこの5年間、「聖域なき構造改革」として郵政の民営化を始め規制緩和によって労働者・国民は生活を破壊され続けています。年間3万人を超える自殺者、年収200万円に満たない労働者。一方、大企業や投資会社は、べらぼうな利益を上げています。貧富の格差が目に見えて拡大している中で、労働組合の原点である労働者の「生活と権利を守る」という運動の柱を今一度確認しあおうではありませんか。
安倍政権は小泉政策を継承し、憲法や教育基本法の改悪に向けた政策を発表しました。「美しい国・日本」というキャッチフレーズに隠された安倍総理の本質を見抜き、労働者が社会の主人公になるために全力を挙げましょう。
関西地区生コン支部は国策弾圧のもと、4度にわたる逮捕攻撃を受け闘っています。「闘いは人びとを鍛える」との言葉のごとく、生コン労働者の権利を守り、国民の安全を守る政策闘争は、国を越え、国際連帯が大きな実となっています。
動労千葉は「闘いなくして安全なし」をスローガンに闘っています。反合理化・運転保安の闘いは、対当局・資本の関係で、労働者階級の闘いの原点と位置づけられる闘いです。
これらの闘いをわが身のものとして共闘し、いかなる弾圧や攻撃にも、労働者が闘いで連帯することを確認しようではありませんか。
1年間の闘いを共有し、これからの1年間、職場・地域で奮闘することを願い、主催者あいさつとします。
閉会あいさつ
弾圧は敵側の危機の現れ
全日本建設運輸連帯労組関西地区生コン支部 副委員長 柳充さん
閉会のあいさつをしたいと思います。
この集会の参加人数は、13時現在で4900名で、昨年より300名ほど上回っています。年々、集会はどんどん大きくなっています。
今日は、多くの皆さんに、それぞれの立場でアピールをしていただきました。時代状況がどんどん分かりやすくなって、時代認識が共有化されてきたと思います。多くのアピールにあったように、戦争国家への道をまっしぐらに突き進んでいるということです。数々の反動法案や憲法改正に向けた動きもそうです。私たちの職場や暮らしにも、ひしひしとそのことが伝わってきています。
アメリカや韓国の仲間、関生支部から報告がありましたが、相手側は闘う者に対して徹底的に弾圧し、組織を破壊しようとする。このような攻撃は、一面、敵側は強そうに見えるけれども実は弱り切っている、これは相手側の危機の現れだということも、本集会で確認されました。
民主主義が崩壊し、国家が暴走することに断固として反対するという提起もされています。国家が起こす戦争はすべて正しいとされ、それを批判し反対する者を徹底的に弾圧し組織をつぶしていく時代が、今すぐそこに来ています。
今こそ、私たち労働者が志を高く、国境を越えて団結し闘うことを、本集会のまとめとしたいと思います。ともに皆さん頑張りましょう。
11・5アピール
闘う労組の全国ネットを
国鉄千葉動力車労働組合 書記長 長田敏之さん
戦後はじめて憲法改悪を公約に掲げて登場した安倍政権は、内閣や官邸を極右・国家主義者で固め、「戦後体制からの脱却」を掲げて改憲につき進もうとしています。そのために「教育改革」を最優先課題とすると宣言し、国会では来週、教育基本法をめぐる審議が重大な決戦局面を迎えます。共謀罪新設、改憲国民投票法制定、防衛庁の「省」昇格法案をめぐる攻防も予断を許さない状況です。全(すべ)ての参加者の皆さんに、直ちに教基法改悪阻止の新たな闘いに立ち上がることを訴えます。
改憲とは社会の在り方を根本から覆すということだ。改憲とは戦争への道だ。改憲とは労働者の団結や権利を全て打ち砕くということです。
◇
イラクで、レバノンで、帝国主義者による侵略と殺戮が続くなか、日米安保―沖縄を始めとした在日米軍基地の飛躍的強化が進められ、日本は全世界への戦争の戦略基地になろうとしています。北朝鮮の核実験問題を利用して世論が意図的に改憲と戦争に誘導されようとしています。国会では全政党が「北朝鮮弾劾」を合唱し、安倍政権は再びアジアへの侵略戦争にふみだそうとしています。
攻撃の矛先は、労働者の団結を解体し、労働組合を改憲と民営化の手先にすること、国家主義、差別・排外主義の洪水によって、労働者の意識を「国家」のもとにからめとることに向けられています。教育基本法改悪も、その狙いは日教組を解体し、教育を支配の道具とすることにあります。森元首相は「参院選の争点は日教組、自治労を壊滅できるかどうかだ」と言い放ちました。改憲攻撃との闘いの焦点は労働組合をめぐる攻防です。今こそ闘う労働運動の復権が求められています。
治安弾圧体制が強化され、連帯労組関西地区生コン支部への大弾圧をはじめ、闘う労働組合や反戦運動への弾圧が激化しています。反権力の砦(とりで)として40年間にわたる非妥協の闘いを貫いてきた三里塚闘争への圧殺攻撃が激化しています。
◇
われわれは歴史の分かれ目に立っています。今こそ力の限り闘いに立ち上がらなければなりません。
戦後、焼け野原のなかから立ち上がった日本の労働者は、わずか1年半のうちに、1947年2・1ゼネストに登りつめました。260万の官公労労働者が、吉田内閣打倒を掲げてゼネストに突入しようとしたその時、この闘いはGHQの銃剣によって挫折させられました。現在の憲法はこうした嵐のような闘いの渦中で制定されました。闘いの革命的な高揚が9条に象徴される規定を憲法に強制する一方、怒りの声は中間的に収拾されたのです。改憲が問題となる情勢とは、時代が回りめぐって、再び労働者階級と支配者階級が決着を求めて真正面から衝突する時代が到来したことを示しています。
◇
全てを市場原理に委ねたこの10年余りにわたる攻撃によって、労働者の貧困化が激しく進行しています。OECDの報告では、日本は加盟国中第二位の貧困大国となり、働いても働いても生活保護以下の収入しか得られない世帯が推定400万世帯・1割に達しています。年収200万円以下の世帯が5軒に1軒。この10年で460万人の正規雇用が失われ、それにとってかわったのは620万人の非正規職労働者です。
市場化テスト法等の成立によって、社会全体を覆うような民営化攻撃が吹き荒れ、8時間労働制や労働者の団結権を否定する労働契約法の制定が画策されています。年金や医療制度をはじめ社会保障制度が解体され、大増税が画策され、闘わなければ生きていくことができない時代が到来しています。
◇
その背後にあるのは、労働者を食わしていくこともできず、戦争をする以外に延命できなくなった支配の危機です。しかし政府・自民党は、改憲や労働者への全面攻撃が、ひとつ間違えば政権が吹き飛びかねない問題であることに怯(おび)えています。「格差社会」への我慢のならない怒りの声と、改憲への危機感が結びついたとき、労働者が急速に階級性を回復し、自らの力を自覚して爆発的に闘いに立ち上がることは避けられません。支配階級の側はそれを恐怖しています。
◇
一点の火花が情勢を動かす時代が到来しています。「日の丸・君が代」強制に対する教育労働者の不起立闘争は、世論を二分する状況をつくりだし、強制を「違憲」とする画期的な9・21判決をかちとりました。国鉄1047名の解雇撤回闘争が様々な困難をのり越えて20年に及ぶ闘いを継続し、動労千葉の反合・運転保安闘争も大きな波紋を広げています。年金・医療制度改悪、障害者自立支援法等によって生命すら奪われようとしている現実への怒りの声が爆発しています。辺野古の新基地建設反対闘争が不屈に闘われています。最も原則的に闘うことが、最も大衆的な支持を集める時代が到来しています。社会全体に怒りの声が渦巻いているからです。
全世界で怒りの声が噴出し、労働者の大反乱が始まっています。韓国・民主労総の仲間たちはこの15日から、労働運動の解体を狙う「労使関係ロードマップ」や韓米FTA阻止のゼネストに立ち上がろうとしています。アメリカではAMFAの仲間たちが400日をこえるストライキを継続しています。フランスの労働者・学生は、300万人のゼネストとデモで初期雇用契約法を粉砕しました。今、全世界の労働者はひとつの敵に向け、団結して闘いを開始しています。
◇
こうした現状に声をあげ、闘うべき労働組合の総屈服が進んでいます。今こそこの現実を変革しなければならない。労働者が胸を張って生きるために団結し闘う、それが労働組合であったはずだ。それがどうしたことか、労働組合の幹部たちが資本や政府と同じ口をきいて労働者の団結を破壊し、労働者を支配しています。
こんな現状にはもう我慢がならない。職場からの闘いで労働組合を民主化し、怒りと団結を取り戻さなければならない。今何よりも求められているのは、自らのもつ力と可能性を自覚し、社会の全てを動かしているのは労働者であるという誇りを取り戻すことです。われわれ労働者階級こそ、歴史をつくり、社会を変革する主体であると真っ向から宣言しなければなりません。
不一致点は留保し一致点を拡大して、闘う労働組合の全国ネットワークをつくりあげよう。憲法−教育基本法改悪を阻止しよう。全ての職場から新たな闘いを開始しよう。労働者の団結で、安倍改憲政権を倒そう。格差拡大社会をぶっとばそう! 国境をこえた労働者の国際的団結を発展させよう!
(写真 呼びかけ3労組を最先頭にデモに出た【日比谷】)
2006年11月5日
改憲・戦争と民営化−労組破壊にたち向かう労働者の国際的団結を!
たたかう労働組合の全国ネットワークをつくろう!
11・5全国労働者総決起集会
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週刊『前進』(2270号1面3)(2006/11/13)
おことわり
11・5労働者集会の報道特別号として、発行を遅らせました。
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週刊『前進』(2270号2面1)(2006/11/13)
教基法改悪案“衆院通過させるな”
国会前 教育労働者が続々立つ
ハンストと座り込みを継続
教育基本法の改悪に反対して10月17日から国会前座り込みを始めた「リレーハンスト&座り込み行動を実行する有志」が、第1弾の27日までの行動に続いてリレーハンストを継続している。「非常事態宣言」を発しながらも闘う方針を出さない日教組本部の大裏切りを突き破り、東京の「日の丸・君が代」被処分者が闘いを牽引(けんいん)。その闘いが教育労働者の自己解放的な決起をつくり出している。
(写真 「教育基本法を改悪するな」「衆院:採決を阻止するぞ」。リレーハンストと座 り込み参加者の声がう連日、国会内まで響き渡っている【11月2日 国会前】)
焦点は国会前だ。体を張って改悪を阻止する教育労働者の決起だ。
10月30日から11月2日までの4日間、衆院教基法特別委員会の審議が行われた。この審議を直撃して連日、教育労働者を先頭に「教育基本法を変えるな」「衆院採決を阻止するぞ」の声が、国会前に響き渡った。
●10月30日(月)
前日の「ハンスト継続」決定を受け、9時に2人がハンストをスタート。都高教組合員Iさんは「昨日は文化祭で、今日が代休。『30日にハンストに行く』と言ってあったので、続行が決まってうれしい」。ハンスト者は5人、座り込み参加者は約50人に増えた。
午後の日教組座り込みでは、特別委を傍聴した組合員が「民主党は『政府案より民主党案の方が優れている』と競うばかり」「『教基法改正は民主党にとっても悲願』という発言は許せない」と怒りをぶつけた。民主党を尻押しする日教組本部に憤りがあふれる。
16時からの東京教組の座り込みは、職場から駆けつける人が後を絶たず、80人近くになった。
●31日(火)
東京の「日の丸・君が代」被処分者・被解雇者と千葉の高校で働く教育労働者の3人がハンスト突入。日比谷公園で行われた「障害者自立支援法」撤廃を求める集会に参加した1万5000人が国会前をデモし、エールを交換した。
18時からは、教育基本法の改悪をとめよう!全国連絡会が主催する国会前集会に400人が参加した。神奈川や東京の教育労働者が、「改悪を必ず阻もう」と熱い決意を表明した。
●11月1日(水)
ハンスト者2人を囲み、朝9時から座り込みを開始した。
この日、重大事実が発覚した。9月2日に青森県八戸市で行われた「教育改革タウンミーティング」で、内閣府が教基法改悪に賛成する「やらせ質問」を指示していたのだ。とんでもない世論操作だ。交替で傍聴に入る日教組組合員は、怒りに震えて戻ってくる。
16時からの東京教組座り込みでは「国会の現実を大衆運動の力で覆そう」「職場からもっと大勢の人を組織しよう」との発言が続いた。
●11月2日(木)
またも国会前は1000人近い労働者に包囲された。昼過ぎには全教などの集会が行われ、国会前の歩道を埋めつくした。リレーハンストの座り込みをはさんで反対側では、13時から日教組の座り込みが始まる。総勢1000人近い結集だ。
この日、新聞が「教基法改正案/成立の公算」と報じた。やむにやまれぬ思いで駆けつけてくる労働者が後を絶たない。
東京の「日の丸・君が代」被処分者は、定時制に勤務する労働者は午前、全日制に勤務する労働者は午後からと次々合流。「君が代」不起立処分を理由に再任用を拒否され裁判闘争を闘う仲間や退職教員の姿も。
ハンスト団は東京教組とともに18時まで座り込みをやりぬき、「採決阻止へ、来週の国会闘争を広げよう」と誓った。
(写真 全国連絡会の集会には400人が集まり、首相官邸に向かって拳をあげた【10月31日】)
◇ ◇
11月8日の地方公聴会は宮城・仙台市、栃木・宇都宮市、三重・津市、愛知・名古屋市の4カ所に決まった。採決強行のための公聴会に、全国で弾劾行動を起こそう。
6日以降も、国会闘争は連日続く。国会前に駆けつけ、衆院採決をなんとしても阻もう。
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週刊『前進』(2270号2面2)(2006/11/13)
いじめや自殺なぜ起きる “安倍は現場見ろ”
●東京の予防訴訟原告・被処分者の会Kさん 9月21日の勝利判決は本当にうれしくて、みな涙を流して喜んだ。石原は「日の丸・君が代」強制を「東京から全国に広げる」と豪語していた。それに負けず闘って、勝利判決をかちとった。この力で改悪を阻みましょう。(30日)
●東京「日の丸・君が代」被処分者の会Kさん
「学校の特色化」と称して格差を助長・拡大してきた文科省や都教委こそ、履修漏れを引き起こした元凶だ。教基法改悪は日本を必ず「戦争をする国」にする。「教え子を再び戦場に送るな」の決意も固く闘おう。今、「日の丸・君が代」被処分者がハンストの先頭に立っていることを、誇りに思います。(30日)
●千葉の高校で働くWさん 安倍首相は現場をよく見ろ! 1クラス40人学級、教育予算の削減、日本の教育行政は恥ずかしい限りだ。学校では紙やボールペンも不足。授業料が払えない家庭も多い。その中で子どもたちは苦しみ、バラバラにされ、いじめや自殺も起きている。この現実を見て見ぬ振りして何が「美しい国」だ。恥ずかしい国じゃないか。(31日)
●都高教組合員Uさん
必修科目の履修漏れ問題を受け、都教委は「過去4年間の時間割と、今年4月からの総合学習・情報の週案を提出せよ」と一斉調査に乗り出した。これを機に、教育委員会の権限を強化し、文科省が現場にさらに介入しようとしている。許せない。「日の丸・君が代」被処分者を中心とした大衆運動の力で、改悪を阻もう。(2日)
●退職女性教職員の会Tさん 91歳の先輩から「国会前にぜひ私の声も届けてほしい」とメッセージを預かってきた。この先輩は戦時中、教え子を戦場に送り、夫も沖縄に出征して戦死。この体験が体に刻まれているから、「絶対に繰り返さない」は不動の決意だし、精神的支えは憲法と教育基本法だったという。安倍に教育を任せたら、子どもたちが戦場に送られてしまう。絶対にとめましょう。(2日)
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週刊『前進』(2270号2面3)(2006/11/13)
C
教育基本法の改悪阻止! 全国の職場から国会へ
新たな主任制攻撃=「新職・新級」設置との闘い
管理職の横暴に広がる怒り
日教組本部が10月26日に発した「非常事態宣言」は、1975年の主任制反対闘争以来31年ぶりのものだ。主任制攻撃とは、教育委員会―校長―教頭―主任という上意下達の管理システムをつくることを狙ったものだった。これに対して日教組は組織の総力を挙げて闘い、主任を「中間管理職」とすることを阻んだ。管理職は校長・教頭だけ、それ以外は全員同格、賃金も同額というあり方は、30年たつ今も続いている。
東京の「主幹」が皮切り
この現実を突き崩すために、東京では、石原が都知事に就任して以降、新たな中間管理職の設置へ動き出した。都教委は学校現場の現状を「横並び意識」「鍋蓋(なべぶた)型組織」と罵倒(ばとう)した。教育労働者の中に命令と服従の管理体制をつくらなければ、愛国心をたたき込む「兵営」のような学校につくり変えることはできないからである。
そして03年度、全国に先駆けて「主幹」職を設置。主幹は他の教員に対する監督権限を持ち、教委の選考試験に合格した者が就く。賃金は教頭と一般教員(教諭)との間に新たな級が設置された。
(写真 日教組の国会前座り込み【10月30日】)
屈服方針で大混乱 神奈川
以降、全国で「新職」設置が相次いでいる。06年度には大阪府で「首席」「指導教諭」、神奈川県で「総括教諭」が新設された。
神奈川の「総括教諭」の職務は「校長の監督を受け、@校長及び教頭の学校運営の補佐。Aグループの統括。B教諭等の職務遂行能力の向上」を行うものと定められた。賃金は、これまで4級制(1級=助教諭、2級=教諭、3級=教頭、4級=校長)だった給料表を改定し、2級と3級の間に新たな級(新2級)を創設した。今後3年がかりで、大規模校には5人を配置するという。
神奈川県の小学校で働く藤田佳恵さんは、「最大の問題は組合本部の屈服です」と語る。「主任制闘争の時のように、組合が『絶対反対』で闘っていれば、強行されても『じゃあ実動化させないぞ』と団結して闘える。しかし今回、組合はまったく闘わなかった。昨秋、導入が決定されて以降も方針を出さずに分会まかせ。その結果、現場は大混乱で、組合員が迷走しています」
中学校で働く水沢真弓さんもうなずく。「組合本部は『民主的な総括教諭にするために組合員がなろう』と言う。総括教諭になると退職金や年金が上乗せされるので、『給与問題をこれで解決しよう』とまで言い出しました」
組合本部の屈服姿勢に業を煮やした組合員が「毒まんじゅうを食うのか!」と問いただした。すると答弁は「食いますよ」。組合本部への不信と絶望が広がった。
総括教諭の導入とともに、校長、教頭、総括教諭による「企画会議」が設置された。職員会議を無力化して、現場労働者から職場支配権を奪おうというのだ。「今までは職員会議で自由に話し合うことができたのに、企画会議で確認されたこと以外は議論ができなくなった」と藤田さん。
しかし、総括教諭や企画会議の「効果」は、職場によってまちまちだという。藤田さんは「私は今年異動したばかりの職場で、悔しいけれど、総括教諭も企画会議も上から言われるがままに幅をきかせている」と言うが、水沢さんは「私の分会はそれなりに力があるので、総括教諭が導入されても名前だけ。職場の実態はほとんど変わっていません」。
総括教諭が「昼休みに生徒が遊んでいる間、安全パトロールをやる」と言い出して、職員に学校周辺を巡回させる学校もある。「総括教諭らしい仕事をした」と胸を張って、「次は教頭、校長をめざすぞ」という魂胆が見え見えだ。ただでさえ多忙化に追われる現場には、怒りがあふれている。
「最近ますます校長の横暴ぶりに拍車がかかった」と藤田さんは怒りをあらわにする。担任する子どもの校外見学を計画した時の話だ。校長が突如「委員会活動の時間までに戻ってきなさい」と命じた。約2時間を予定した見学に、1時間もとれなくなる。「委員会活動はほかの職員に頼んであるから大丈夫」と言っても、「私の知らないところで決めたのが悪い」の一点ばり。「本当にくだらないし、何の合理性もありません」
同僚の多くが「このままではみんなで協力して働く雰囲気もなくなる」と感じている。しかしますますひどくなる多忙化は、考える時間も、管理職に文句を言うエネルギーも吸い取ってしまう勢いだ。「みんなで一枚岩になって反撃していかないと、本当に危ない。職場の仲間とつながりをつくって反撃していきますよ」と藤田さんの決意は固い。闘いはやはり職場からだ。(大西晶/文中の名前はすべて仮名)
●主任制反対闘争
75年11月11日の臨時大会で「主任制度化に反対する非常事態宣言」を発した日教組は、12月10日の半日ストを皮切りに全国で闘いを展開。国労・動労・全電通などの公労協が11月26日から8日間のスト権ストを闘った時である。主任制闘争に対する行政処分は、5万4215人に及んだ。
75年12月26日、国会で学校教育法施行規則が改悪され、主任制は制度化された。しかしそれ以降も、各地での規則制定阻止闘争や各学校での主任任命・報告阻止闘争は続き、職場支配権が強化され、主任制導入の意図は打ち砕かれた。主任手当拠出闘争は90年代末までほぼ全国で行われ、数億円の拠出金を机上に積み上げての返上闘争が繰り返された。
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週刊『前進』(2270号2面4)(2006/11/13)
10・31那覇 県庁前埋める熱気
教労先頭に労組が大結集
(写真 沖縄全島から1500人の労働者が結集、「平和教育守ろう」「沖教組は闘うぞ」「高教組は闘うぞ」の声を上げ国際通りをデモ【10月31日 那覇】)
10月31日、沖縄県庁前は沖縄全島から結集した1500人の労働者の熱気で埋め尽くされた。沖縄平和運動センター主催、沖教組・高教組共催で「国に心をしばられないために 教育基本法の改悪を許さない! 沖縄県集会」が、沖教組・高教組を先頭に、自治労、全駐労、全港湾、全水道、マスコミ、私鉄、全逓(JPU)などの参加で戦闘的にかちとられた。
集会開始前、主催者からデモコールを依頼された「ジュゴンの家」の青年が、大太鼓をたたく沖教組組合員と一緒にコール練習で盛り上げる。冒頭、司会の福元勇司高教組書記長が北は国頭、南は宮古・八重山からも結集していると報告。
主催者あいさつは平和運動センター事務局長の山城博治さん。「戦争ができる国づくりに沖縄から大きな反対の声を上げていこう。基地強化反対・米軍再編反対の大きな県民世論をつくり出していこう。沖縄戦の学徒隊動員が、軍・行政・教育現場一体で行われたことが明らかになった。少年を戦場に送り出した歴史を再び繰り返すのか、正念場を迎えている」と熱烈に訴えた。
情勢報告は高橋睦子日教組副委員長が予定されていたが、国会情勢の緊迫化という中で森越康雄日教組委員長のメッセージを司会が代読した。
連帯あいさつとして高作正博琉球大学助教授、普天間進国公労委員長、糸数けいこ知事選予定候補の3人が紹介された。宮古遊説中の糸数さんに代わって選対本部長の島袋宗康元参議院議員が「県知事選に勝利を」と呼びかけた。
大浜敏夫沖教組委員長が「教基法が変えられたら国家・国益のための戦争が行われ、戦争ができる国民が育成され、愛国心強制の教育が行われる。沖縄戦の歴史を忘れてはならない。沖教組はまなじりを決して立ち上がる」と決意表明。松田寛高教組委員長は、多忙化する教育労働者と競争に駆り立てられる子どもたち、厳しい生活を余儀なくされている保護者、談合・汚職を繰り返す大企業や政治家の現実を指摘し、「きれい事ばかり言われている状況を子どもたちはしっかり見ている。私たちは差別・選別をするために教師をしているのではない。教育現場を抜きに教基法改悪を論議することは許しがたい」と発言した。
集会決議を自治労の平良さんが読み上げ、閉会あいさつとガンバロウ三唱を山城さんが行った。
集会終了後は、国際通りを牧志ウガンまでデモ行進。「ジュゴンの家」の青年と沖教組組合員が先頭でコールを行い、高教組、沖教組、自治労などが続く。デモを見ていた若い女性が「すごい、全部の高校の旗があるよ」と声を上げたように、最北端の辺土名高校分会から宮古・八重山の支部・分会旗、最南端の八重山商工分会まで40ほどの分会旗をたなびかせた高教組の隊列がこの日の闘いを牽引した。
9・26緊急教職員集会―10・8〜11天願桟橋前でのパトリオット阻止闘争―10・21県民大会、そしてこの日の集会と、沖縄の労働組合は連日の闘争に立っている。「復帰」闘争を彷彿(ほうふつ)とさせる沖縄労働者階級の歴史的決起が始まった。安倍改憲政権との闘いは沖縄の21世紀を決する。11・19県知事選がその最大の政治決戦だ。11・5労働者集会の地平から、教基法改悪阻止・憲法改悪阻止、米軍再編粉砕、県知事選での糸数けいこ氏必勝へ、全国の労働者はともに立とう!
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週刊『前進』(2270号2面5)(2006/11/13)
10・13〜10・26
中川が「教員免許はく奪」発言/派遣受け入れ倍増
御手洗「請負法制に無理ある」
●御手洗、偽装請負で“法律が悪い”と発言 安倍内閣が発足後初の経済財政諮問会議が開かれ、御手洗・日本経団連会長が請負法制について「無理がありすぎる」と発言した。(13日)=要旨別掲
●高齢者の「継続雇用制度」、希望者全員対象は4割 厚労省は改正高年齢者雇用安定法に基づく雇用確保措置の実施状況を発表。「継続雇用制度」を導入している企業は86%だが、希望者全員対象は約4割。(13日)
●経団連提言、EPA推進を要求 日本経団連は、東アジアに重点を置いた経済連携協定(EPA)の推進を政府に求める提言をまとめた。韓国との交渉再開などを行うよう求めている。(16日)
●派遣受け入れ企業ほぼ倍増 厚労省は06年の就労条件総合調査の結果を発表。派遣労働者受け入れ企業の割合は36.7%で、98年の前回調査に比べ16.4ポイント上昇とほぼ倍増。300人以上の規模だと6割を超えている。(16日)
●連合が07春闘「基本構想」 連合は中央執行委員会を開き、「07春季生活闘争基本構想」を決定した。(19日)
●募集時平均時給、派遣は減少、請負は増加 「アイデム人と仕事研究所」は06年上半期の派遣社員などのデータを発表。派遣社員の募集時平均時給は関東で前年同期比23円減の1220円。業務請負業は関東で7円増の1031円。(19日)
●4都府県でマイナス、人事委員会勧告 23日の大阪府を最後に政令市と都道府県人事委員会の勧告が出そろった。都道府県では、東京と大阪、宮城、山梨でマイナス勧告。それ以外は「改定なし」。宮城県は−0.2%、東京都は平均で−1.1%(較差は−0.31%)、大阪府は−1.46%、山梨県は−0.05%改定の勧告内容。(23日)
●中川政調会長が「デモ教員は免許はく奪」発言 自民党の中川昭一政調会長は10月23日付毎日新聞のインタビューで「デモで騒音をまき散らす教員に児童・生徒の尊敬を受ける資格はない。免許はく奪だろう」と述べた。(23日)
●連合と経団連首脳懇談会 連合の高木会長と日本経団連の御手洗会長らが御手洗の会長就任後初の首脳懇談会。経団連は、春闘について「賃上げ一辺倒ではなく多様な働き方について意見交換すべきだ」と主張。(24日)
●過労死遺族ら自律的労働時間制度に反対の申し入れ 過労死した労働者の遺族らが、厚労省が導入を検討している自律的労働時間制度について、同省や連合に反対の申し入れを行った。(24日)
●日教組が「非常事態宣言」 日教組は教基法改悪反対の「非常事態宣言」を発表し、日比谷野外音楽堂で8500人の集会を開いたが、今後の方針は出さず。(26日)
資料 経済財政諮問会議での「御手洗発言」要旨
労働の多様化の中身として、派遣社員と請負社員がある。結論から言うと、このおかげで、日本の産業の空洞化がかなりとめられている。
どんな工場に行っても、何か突発的な事故があったり、難しいことがあったりすると、その現場で雇っている方が教えるのは当たり前。法律を遵守するのは当然だが、これ(請負元が指揮はいけない)では請負法制に無理があり過ぎる。これを是非もう一回見直してほしい。
今、派遣社員が正社員に代わるようになっているが……職務給に変わらないうちに、年功序列型の給料で、今の派遣法のように3年経ったら正社員にしろと硬直的にすると、たちまち日本のコストは硬直的になってしまう。それは空洞化に結びつく。
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週刊『前進』(2270号3面1)(2006/11/13)
出向協定と包括和解は最悪の裏切り
1047名闘争の解体策す国労東日本本部を打倒し前進を
教育基本法改悪と改憲に突き進む安倍政権のもと、国鉄闘争は重大な決戦局面に入った。国労東日本本部は10月11日、JR東日本と「出向協定」を締結し、24日には国労バッジ事件などの紛争案件を取り下げる「包括和解」を受諾した。「政治解決」と称する1047名闘争解体の策動とあいまって、国労幹部は安倍政権の労組絶滅攻撃の手先に転じる国鉄闘争史上最悪の裏切りに踏み込んだ。この策動と徹底対決し、国鉄闘争と国労の根底的な再生へ闘う時が来た。11・5労働者集会は、労働者階級が闘う労働運動を取り戻す歴史的な出発点を築いた。その地平の上に、新たな国鉄決戦に躍り出よう。
労組の絶滅狙う合理化を容認
森元首相は「日教組、自治労の壊滅」を公言し、中川自民党政調会長は「デモで騒音をまき散らす教員は免許はく奪」とうそぶいている。安倍政権がたくらむ教基法改悪と改憲は、何よりも労組解体を第一の目的とし、その上に初めて成り立つものなのだ。
今や日米帝は、北朝鮮に対する侵略戦争を決断している。安倍政権は「核実験」発表を絶好の口実に対北朝鮮制裁に踏み込み、国連安保理は軍事力行使に道を開く制裁決議を採択した。北朝鮮に対する海上封鎖は、全面戦争を招きかねない武力行使そのものである。
帝国主義の侵略戦争は労働者を動員しなければ成り立たない。だから安倍政権は、特に国家権力機構の中にある4大産別の労働組合を解体し、全労働者を資本の制圧下に組み敷こうと躍起になっている。その矢面に国鉄闘争は立っている。
4党合意以下の「解決」迫る策動
その一つは、1047名闘争圧殺の策動だ。国労本部が唱える「1047名問題の政治解決」とは、1047名闘争を最終的に敗北のうちに終息させるということだ。
動労千葉を排除してつくられた「4者・4団体」の「解決に向けた具体的要求」からは「解雇撤回」が消し去られた。国労本部が言う「新たな訴訟」も、鉄道運輸機構(旧国鉄清算事業団)に地位確認(=解雇撤回)を求めず、損害賠償請求一本に絞られた。
国労本部の佐藤勝雄委員長は「4党合意を受け止められず関係者にご迷惑をかけたことをおわびする」と国土交通省の官僚に頭を下げた。国労本部が「政治解決の窓口」とする民主党は、「4党合意破綻の道を繰り返すな」と叫んで、どんな低水準の「解決案」でも文句を言わずに受け入れろと迫っている。これに呼応し、国労本部は「解決を妨害する勢力には毅然(きぜん)たる態度をとる」と叫び始めた。
さらに重大なことは、鉄建公団訴訟を支えてきた勢力の一部までもが、「解雇撤回」を捨て去った「統一要求」を是認し、国労本部と手を組んで「政治解決」を唱えていることにある。
こうした主体の動揺につけ込んで、JR東日本は「ニューフロンティア2008における今後の駅のあり方について」を提案した。それは、首都圏の乗降客2万人以下の「比較的小規模な」駅の業務を一括委託し、1000人規模の大合理化を図るというものだ。そこでは、現役社員を委託先に出向させることが前提とされている。駅業務に有期雇用の契約社員を5年間で2000人導入することも提案された。
これが安全の崩壊に拍車をかけることは明らかだ。そもそも駅は安全輸送の拠点だ。安全を守る駅の機能が損なわれた時、何が起きるのかは羽越線事故に明らかだ。駅が無人化され、気象状況を見て列車の運行の可否を判断する要員がいなくなったことが、この事故の重大な原因になった。
さらにJR東日本は、「ライフサイクルの深度化」と称して、首都圏7支社の40歳以下の運転士全員を5年間、駅に強制異動する計画を打ち出した。JRのプランでは、駅に出された後、再び運転士に戻れるのは6〜8割とされている。
これも、安全破壊に直結する。そもそも運転士の技術は、継続的に運転業務に携わる中で培われ、維持されるものだ。
昨年4月の尼崎事故は分割・民営化の矛盾が安全の崩壊として噴き出したことを衝撃的に突きつけた。これにとどまらず、今や分割・民営化の矛盾は要員問題として鋭く現れてきたのである。
さらに千葉支社管内での館山運転区や千葉運転区木更津支区廃止など、大規模な基地統廃合計画もたくらまれている。
これらの攻撃の核心的狙いは、職場の一切を資本の直接支配下に置き、労働組合を絶滅することにある。国労や動労千葉はもとより、JR総連でさえ今までのあり方では許さないとして、JRは本格的な攻撃に乗り出してきた。こうしてJRは運転士を完全に資本の掌握下に置くとともに、それ以外の職種はことごとく外注化することによって、95年の日経連プロジェクト報告路線をJRにおいて全面的に貫徹しようとしているのだ。
出向を強制するJR資本の手先
こうした攻撃を労組の名で推進するものこそ、国労東日本本部による出向協定の締結と包括和解の受諾だ。
「不採用問題の政治解決」路線が、こうしたJR本体の闘いの圧殺策動に行き着いたのだ。またそれは、1047名闘争解体の攻撃をさらに激化させるものとなる。
10月11日に締結された出向協定の内容は、出向には本人の同意を必要とせず、期間は原則3年だが延長もあり得るというものだ。現場組合員に押し隠してこんな協定を結んだ東日本本部は、まさに資本の手先となって組合員に出向を強いようとしているのだ。
これに続く10月24日、国労東日本本部は、出向・配転事件や国労バッジ事件などについて中労委が提示した和解勧告を受け入れた。このJR東日本との「包括和解」は、現場組合員には伏せられたまま強行された。
和解の中身は、中労委で係争中の43事件と各都県の労働委員会で係争中の18事件、計61件を取り下げるというものだ。和解勧告の中には、不当労働行為によって組合員が受けた実損の回復や、JRによる謝罪の項目はまったくない。
「包括和解」でJR東日本が国労に払う解決金はわずか「1億円」と言われている。しかもそれは、不当労働行為によって現実の被害を受けた個々の組合員にではなく、国労東日本本部に支払われる。こんなことと引き換えに、国労幹部は組合員の団結と闘いと誇りを売り渡したのだ。国労バッジ事件では、国労勝利の最高裁判決も出されている。不当労働行為を徹底追及すれば勝てるのに、東日本本部は実に安易に組合員の利益を投げ捨てたのだ。
だが、こうしたたくらみは現場組合員が不屈の抵抗を貫けば必ず崩壊する。11月6日には、関係する地本・支部・分会の代表者を集めての和解調印が予定されているが、現場組合員からは「調印は認めない」「何のために国労の誇りをかけてバッジを着けてきたのか」「不当労働行為根絶の闘いを放棄することは許せない」という声が激しく噴き出している。
国労はまさに非常事態にある。安倍政権下で、JRへの屈服は国労の改憲勢力化を一挙に進行させかねない。だからこそ、なんとしても現執行部を打ち倒さなければならないのだ。
安全破壊追及しJRと対決を
JR体制が危機に陥っている今、闘えば勝てる情勢は訪れている。職場の団結を維持しぬき、安全破壊を徹底的に追及すれば、窮地に追い込まれるのはJRの側だ。その闘いを1047名の解雇撤回闘争と結合させれば、必ず勝利の展望は切り開かれるのだ。
それを果敢に実践しているのが動労千葉だ。
動労千葉と共に反撃に転じよう
動労千葉は、定年後の組合員を関連会社に再雇用しないという攻撃と対決し、合理化推進条項と抱き合わせのシニア協定を拒否しぬいた。その結果、JRは外注会社に人員を確保できなくなり、千葉支社管内での検修・構内外注化計画は頓挫した。また、レール破断が相次ぐ中で、動労千葉は安全運転闘争を展開し、JRに50`メートル以上のレール交換を強制した。組合の総力を挙げた闘いで、事故を起こした組合員に対するJRの懲戒解雇策動を粉砕した。
動労千葉は、こうした反合・運転保安闘争を貫いてJRと対決しつつ、解雇撤回の原則を堅持して1047名闘争を闘っている。こうした闘いが民営化と闘う米韓の労働者の共感を呼び、日本の労働者に希望を与え、11・5労働者集会の大高揚を切り開いたのだ。
JR資本とJR総連の結託体制も崩壊の時を迎えている。JR総連はもはや、JR体制への平成採の怒りを抑える力を失った。現に、勇気ある青年労働者が国労や動労千葉に加入し始めている。「ライフサイクルの深度化」が平成採の決起を促すことも明らかだ。「平成採の反乱」は刻一刻と近づいている。この流れを誰にも押しとどめられない奔流とするために必要なのは、裏切り執行部を打倒し、JR資本と対決するJR本体の闘いを打ち立てることだ。
国労5・27臨大闘争弾圧を打ち破る闘いは、弾圧の首謀者を法廷に引き出し、国労再生の血路をこじ開けている。
時代は今、労働者階級の反転攻勢の時へと転じつつある。11・5労働者集会はそれをはっきりと示した。国会前では連日、教基法改悪阻止の闘いが繰り広げられている。教基法改悪を阻止すれば、安倍政権は崩れるのだ。この闘いは、国鉄闘争の行方をも決する。
11・5労働者集会の地平の上に、第2の国鉄決戦に打って出よう。裏切り執行部を打倒し、国労を現場の手に取り戻して、JR体制に立ち向かおう。1047名の解雇撤回をかちとろう。
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週刊『前進』(2270号3面2)(2006/11/13)
10・29 東京
解雇撤回へ思い新た
秋空のもと団結祭り開く
10月29日、亀戸中央公園で「国鉄労働者1047名の解雇撤回!労働法制全面改悪阻止!」を掲げ、団結まつりが開かれた。前日からの雨も上がり、さわやかな秋空が広がる中、延べ1万人が参加し、それぞれの出店もにぎわった。
国鉄闘争は今、重大な決戦局面に入っている。国労本部は「政治解決」の名で1047名闘争の最終的な圧殺を図り、JR東日本との出向協定締結や包括和解でJR本体の国労組合員の闘いをも押しつぶそうと策している。こうした裏切りを打ち砕き、JR資本と対決して解雇撤回を闘いとる路線を打ち立てることが、国鉄闘争に今、鋭く求められている。
まつりの終盤、国労鉄建公団訴訟原告団、国労鉄道運輸機構訴訟原告団、全動労争議団、動労千葉争議団、国労闘争団全国連絡会議の被解雇者が壇上に並んだ。鉄建公団訴訟原告団の酒井直昭団長は「相手ののど元にやいばを突きつけるような闘いを」と述べて裁判闘争と大衆闘争の強化を訴え、鉄道運輸機構訴訟原告団の川端一男団長は、証人調べの山場を迎えた同訴訟を闘う決意を語った。動労千葉争議団の中村俊六郎さんは、反合・運転保安闘争を貫く動労千葉の闘いを報告し、「解雇撤回の原則は譲れない」と強調した上で、1047名の結束を訴えた。
この間、1047名闘争は、鉄建公団訴訟を支えてきた勢力の一部までもが国労本部と手を組んで、民主党に依存した「政治解決」を唱えている危機にある。だが、国労本部の裏切りを許して国鉄闘争に勝利することはできない。
まつりの中盤には、国労5・27臨大闘争弾圧を許さない会事務局長で弁護団長を務める佐藤昭夫早大名誉教授が発言した。5・27臨大闘争弾圧裁判は歴代の国労委員長への証人尋問が行われる重要局面にあることを報告した。被告で九州の闘争団員の羽廣憲さんは、解雇撤回と無罪獲得へ全力で闘いぬく決意を意気高く表明した。
教育基本法改悪と闘う教育労働者も次々と発言に立った。予防訴訟原告の労働者は「教基法改悪を許したら9・21判決は無になる」と声を強め、国会前でリレーハンストを闘う労働者は「自民党の中川は『シュプレヒコールをする教員からは免許を取り上げる』と言った。私たちの闘いは大きな圧力になっている」と強調して国会闘争の強化を訴えた。
日本資本による工場閉鎖・全員解雇の攻撃に対し、日本への遠征団を組んで闘争を展開中の韓国山本労組が闘いへの支援を呼びかけた。
国鉄闘争は大きな分岐と流動の渦中にある。だが被解雇者1047名の根本的な思いは解雇撤回だ。裏切りを深める国労本部への現場の国労組合員の怒りも深い。会場のあちこちで、国鉄闘争勝利の路線をめぐり熱い討論が交わされた。
こうして参加者は交流を深め、国鉄闘争勝利の決意を固めあった。
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週刊『前進』(2270号3面3)(2006/11/13)
都労連賃金闘争
ストで反撃を
マイナス勧告許さず団結を固めて闘おう
第1章 公民比較方法変更で賃下げ
10月23日までに東京都と特別区を始め全国の都道府県・政令指定都市の人事委員会の勧告が出そろった。ストライキでマイナス勧告・賃下げ攻撃を跳ね返そう。
いずれの人事委員会も、小泉―安倍政権・総務省の「指導」と人事院勧告にならい、比較する企業の従業員の規模を100人以上から50人以上に引き下げた。その結果、都人事委は都職員賃金が民間より高いとし、例月給マイナス0・31%(1357円削減)、特別給(期末・勤勉手当)据え置きの勧告を出した(例年どおりに公民比較を行えばプラス0・97%、4179円の勧告となる)。
都人事委は8月人事院勧告と同じく、民間の春闘結果を無視し、政府の骨太方針Yに沿って国と都の人件費削減、人員削減、合理化攻撃を後押ししているのだ。国・自治体当局の側は人勧制度をつうじた労働組合支配のやり方を破壊してきている。自治体労働運動は原点に立ち戻って自らの実力で当局と対決する以外なくなっている。
他の自治体もマイナス勧告
都道府県のうち大阪府が最大の削減で、例月給マイナス1・46%(6000円以上削減)という勧告が出された。政令指定都市でもマイナス勧告が相次いだ。大阪市は、例月給マイナス1・66%(7017円削減)の勧告だ。25道府県・4政令指定都市では民間賃金より公務員賃金の方が低くなった。北海道など多くの自治体は、財政難を理由に人事委勧告とは別に独自の給与削減の攻撃をかけてきている。
また都人事委は、昨年見送った給料表水準引き下げ・地域手当支給割合変更を今年勧告した。国に準じた地域手当の導入だ(地域手当支給割合を現行12%から13%にする。さらに段階的に引き上げ、2012年までに国に準じて18%にし、本給水準を引き下げる)。
例月給引き下げに加えて、昨年に続く昇給カーブのフラット化(若年層マイナス0・9%、高齢層マイナス1・3%)の実施で、平均収入はマイナス1・1%(2万2000円削減)となる。
さらに都は職責・能力・業績に応じたポイント方式で退職手当を算定する制度を提案した。能力・実績主義だ。
公務員賃金引き下げは労働者階級全体の賃金引き下げを促進する。
都の労働者は石原都政のもとで毎年賃金が下げられ、引き下げ額は年収で110万円を超える。もう我慢がならない。
都バス運転手に10%賃下げ
石原都政は、行財政改革実行プログラムにおいて3年間で4000人の首切りを宣言し、東京都版市場化テストの本格導入を開始した。都バス運転手の給料表を10%も引き下げた。現業を差別・分断し、東交―都労連の団結を破壊する大攻撃だ。絶対に許せない。東京清掃には区移管に続き、民間委託化の大攻撃をかけている。都に続いて区にも時間内組合活動禁圧を始めとする攻撃を強めている。
都労連本部は「今秋季年末闘争は昨年にも増して厳しい情勢のもとでの闘い」と言うが、敵の攻撃は危機の現れだ。現場には怒りが満ちている。11月16日の1時間ストを貫徹し、団結を固め、賃下げ攻撃を打ち砕こう。石原都政と安倍政権の改憲と戦争、民営化と労組破壊攻撃を跳ね返そう。
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週刊『前進』(2270号3面4)(2006/11/13)
中川や麻生が「核武装」発言 噴出する核武装衝動
自民党の中川昭一政調会長や麻生外相が「核武装」発言をますますエスカレートさせている。
中川は訪米中の10月27日、シュワブ米通商代表部(USTR)代表、アーミテージ元国務副長官らと会談し、日本の核兵器保有の是非を議論すべきだとあらためて主張、30日の静岡講演でも「憲法上保有できる必要最小限の武力の中に、核兵器は含まれるというのが政府の解釈だ」などと発言した。
麻生は、「核保有の議論はあっていい」という中川発言を「タイミングのいい発言だった」と支持(17日)、国会でも「言論を封殺するという考え方にはくみしない」(19日、衆院テロ防止・イラク支援特別委員会)、「(将来も非核3原則を堅持するかどうかについては)20年後のことは誰も分からない」(27日、衆院外務委員会)と言い放っている。外相更迭に値する大暴言だ。
さらに重大なのは、自民党が党として核武装論議を公然と容認したことだ。自民党の中川秀直幹事長は30日、「政治家が個人として意見を研鑽(けんさん)することまで封殺することがあってはならない」と発言した。安部首相も27日の講演で「議論を封殺することはできない」と一連の中川発言を全面的に容認する考えを示した。
●防衛庁「省」昇格法案と一体
安倍は、現時点では「政府や自民党の機関で議論する考えはない」としながら、「(日本が核保有を放棄しているのは)政策上の判断だ」と強調している。“政策上必要だと判断したら日本はいつでも核武装に踏み切る”と言っているのだ。安倍は、「憲法上は原子爆弾だって問題ない。小型であれば」(2002年5月、早稲田大学での講演)と中川とまったく同じ発言を繰り返してきた根っからの核武装論者だ。
一方、防衛庁「省」格上げ法案の審議が10月27日から衆院で強行されている。この法案は、「庁」から「省」へ看板を掛け替えるだけの代物ではまったくない。海外への侵略派兵を自衛隊の「本来の任務」と位置づけ、自衛隊を丸ごと侵略軍隊に変貌(へんぼう)させようとするものだ。かつて国家を制した「陸軍省」「海軍省」の復活だ。そしてこの法案も、一連の「核武装」発言と一体でとらえていく必要がある。
安倍は「主張する外交」「戦後レジームからの脱却」を政権公約にして登場した。その最大テーマの一つが核武装の問題だ。
アメリカ帝国主義は戦後、自らが圧倒的・絶対的な軍事力(核軍事力)を独占することで植民地を支配し他帝国主義を制してきた。日独など他の帝国主義国には補完的軍事力しか持たせないことが、戦後世界体制を成り立たせるための条件をなしてきた。
安倍政権は、この核心問題に手をかけたのだ。すでにライス米国務長官が「あらゆる抑止力で日本に対する安全保障を約束する」と中川や麻生の発言を繰り返し牽制(けんせい)しているように、日本帝国主義の核武装への踏み出しは、対米関係を激変させ、アジアと全世界に激震をもたらす。
1954年のアメリカのビキニ水爆実験の翌日、「原子炉築造のための基礎研究費及び調査費」と称する核開発関連予算が決定されて以降、日帝・支配階級は一貫して核武装を追求してきた。政府発表によれば2005年末で、日本は43・8d、核爆弾5500発分に相当するプルトニウムを備蓄しており、世界の五指に入る“核大国”だ。大陸間弾道弾(ICBM)級のロケットも保有し、90日以内に核爆弾を製造してミサイルに搭載できる技術力がある。
●北朝鮮侵略戦争発動のために
安倍や麻生、中川昭一らは「北朝鮮や中国の核兵器に対する抑止力としての核武装」と強調しているが、逆だ。北朝鮮−中国侵略戦争を本気でやろうとしているからこそ、日帝は核武装に踏み込んできているのだ。
けた違いの軍事力・核兵器で北朝鮮を包囲し、政権転覆を公言して戦争を仕掛けているのは米日帝国主義の側だ。日帝・安倍政権は、北朝鮮スターリン主義の反人民的な核実験発表を口実として使いきって、「一方的に殺しつくし、焼きつくし、奪いつくす権利をよこせ!」と言っているのだ。
この間、安倍のブレーンである中西輝政(京都大学大学院教授)編著の『「日本核武装」の論点』という本が出版された。中西は、核武装問題を「21世紀における日本の『最大テーマ』」とし「核には核を」と日本の核武装をあからさまに主張している。同書には「核兵器が大国として行動するために不可欠」「日本は原子力潜水艦と原子爆弾を持つと宣言せよ」などの主張が躍っている。
何より許せないのは、中西が著書で「私たちの国に『第3の被爆地』を作らないために」と、ヒロシマ・ナガサキを引き合いに出して核武装を主張していることだ。中西は「『過ちは繰り返さない』と記念碑に書き、何十回慰霊祭をやっても、反核集会を開いても現実的解決とはなりえない。国家というものの本質、人間というものの本質を見据えれば、核問題に対する解決は『抑止』という一つの道しかない」などと言い放っている。本当に怒りなしに読めない。これこそ安倍政権の本音だ。
極限的搾取と民営化―労組破壊と対決し、世界革命への荒々しい胎動を開始した全世界の労働者の闘い、被抑圧民族人民の闘いの中にこそ帝国主義打倒と核廃絶の力が宿っている。末期的危機の中で世界戦争へ突き進む米日帝国主義を今こそ打倒するときだ。
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週刊『前進』(2270号4面1)(2006/11/13)
教基法改悪粉砕へ11月上旬衆院採決を阻止しよう
「いじめ」「未履修」の責任は文科省と小泉や安倍にある
衆院特別委審議の暴露と批判
安倍政権は11月10日にも教育基本法改悪の衆議院での強行採決を狙っている。9・21予防訴訟判決の勝利をもぎりとった教育労働者の闘いと怒りを押しつぶし、教育を戦争の道具につくりかえ、格差社会をより一層拡大しようとしている。いま闘わないでいつ闘うのか! 日教組本部の裏切り方針と全面的に対決し、現場からの総力決起で採決強行を阻止しよう。
「日の丸・君が代」の強制居直る自民党
10月30日から衆議院教基法特別委員会で、教基法改悪のための審議が連日強行されている。安倍政権は11月8日に全国4カ所で地方公聴会を開催、以降一気に採決を強行しようとしている。
第一に訴えたいことは、9・21判決で追い詰められた安倍政権が、不起立闘争の壊滅を叫んで教基法の改悪に踏み込んでいることだ。
自民党議員が9・21判決を引き合いに出し、現行法10条の「不当な支配」を問題にしたことに対し、伊吹文部科学相は「(国旗・国歌の実施を定めた)学習指導要領は法律の一部だ。これに従って学校の管理・指導をしていただくのは当然のこと」(10・31特別委)と判決を頭から否定した。そして「政府の改定案では教育委員会の命令や指導は『不当な支配』でないことが明確になっている」(田中生涯学習政策局長)と宣言した。
教育基本法改悪の重大な狙いは、「教育は、不当な支配に服することなく」として国家・教育行政による教育への支配・介入を禁じた現行法第10条を解体することだ。この10条を根拠にして職場の支配権を握り、「教え子を再び戦場に送るな」と闘ってきた日教組運動をたたきつぶすことなのだ。「日の丸・君が代」強制と闘う教育労働者の不起立の闘いはその最先端にある。これに安倍政権は恐怖しその根絶を宣言しているのだ。
この攻撃に民主党は完全に屈服し、むしろ手先となっている。「公立学校の教職員は法律や告示に従い、義務を果たすことが求められている」(民主党・藤村修)と発言し、「日の丸・君が代」強制と闘う教育労働者に屈服を迫ったのだ。
愛国心をめぐる論議はどうか。安倍は「志ある国民を育て、品格ある国家を作っていくことが改正の目的だ」(10・30特別委)と公言し、愛国心の強制を隠そうともしない。侵略戦争突入を具体的に想定し、「国のために死ねる」子どもたちをつくるために教基法を変えようとしているのだ。
これに対して、民主党は自民党よりも右の側から議論を展開している。
自民党議員が「民主党案には『日本を愛する心を涵養(かんよう)する』とあるが、日教組の組合員は愛国心に反対し、教育基本法の改定に反対している。どうしてそれで愛国心が『涵養』されていくのか」と迫ったことに対し、「教基法を見直す必要はない、という意見をもっている日教組の組合員に対しては民主党として説明していく」(笠浩史)などと応じている。
民主党が先頭に立って教育労働者の「戦争反対」の声を押しつぶし、愛国心教育をやれと強制するというのだ。日教組本部はこの民主党を支持せよというのだ。こんな裏切りをどうして許せるだろうか。
(写真 国会見学の中学生たちにハンスト決起の教育労働者がアピール【10月31日 国会前】)
「いじめ」「自殺」の元凶は資本主義だ
第二に訴えたいことは、「いじめ自殺」問題と履修不足のキャンペーンをもって教育基本法の改悪を強行することなど、いかなる意味でも許せないということだ。
特別委員会の審議の大半がこの問題に費やされ、「教師の規範意識の欠如」(安倍)、「現場に責任感がない。精神論でいかない場合は制度を変えるしかない」(10・30伊吹文科相)などと言って、責任を教育労働者になすりつけている。
しかしこの間、学校現場で「いじめ」がひき起こされている最大の責任はどこにあるのか。憲法も教基法も踏みにじって、学校現場に「日の丸・君が代」を強制し、これに従わない教職員への処分を乱発してきた小泉や石原、安倍らの「国家がらみのいじめ」こそその元凶ではないか。政府・文科省こそが、労働者の組合的団結を破壊して教職員の中に差別と分断を持ち込み、人の痛みに鈍感な学校現場にしてきたのだ。
今やすべての労働者が貧困と生活苦、長時間労働や管理職のパワハラにさらされ、年間3万人もの労働者人民が自殺に追い込まれている。青年労働者の半分が非正規雇用に追い込まれ、社会全体が「いじめ」を当たり前とする構造になっている。まさに資本主義社会の日々の現実こそが、学校現場でのいじめの根本的な原因ではないか。
自治体による学力テストの実施と成績による学校の序列化など、すさまじい競争主義が子どもたちを襲っている。教基法改悪に盛り込まれている教育振興基本計画は、「いじめ半減」といった数値目標を設定させ、その達成度によって学校を序列化し、予算を傾斜配分する仕組みだ。
これらはすべていじめを隠蔽する装置をより整えるだけで、逆にいじめを極限的に激化させる。
未履修問題こそ、こうした競争主義が生み出した現実である。「進学校の受験対策校化」は文科省が意図的に推し進めてきた。問題になった高校のひとつ八王子東高校は、前校長の時に「進学重点校」となり、進学実績を上げるためにカリキュラムを変えた学校だ。この前校長は現在、私立高校で組合つぶしをやっている有名な人物だ。
教育労働者の団結と闘い今こそ必要
いじめ自殺や未履修問題、これを引き起こした連中がその責任をすべて開き直り、さらにこれに輪をかける教育基本法の改悪に突き進もうとしているのだ。こんなことが許せるか!
安倍がやろうとしている教基法改悪と「教育再生」とは、教育労働者の団結を徹底的に破壊して教育を市場原理と競争原理の中にたたき込み、弱肉強食の格差社会を極限的に拡大するものだ。そして侵略戦争に教育労働者を動員し、「お国のために死ねる」子どもをつくり出そうとしている。
しかし教育労働者が戦争協力を拒否し、団結して闘うならばこんな攻撃は必ずはね返せる。教基法改悪阻止の闘いの核心は、被処分者をはじめ「日の丸・君が代」強制と闘う現場労働者を先頭に、日教組本部の裏切りと全面的に対決して闘う中にある。職場闘争を闘い、労働者の団結を取り戻し、日教組を戦闘的に再生しよう。それが教育の現状を突破する道だ。
国会前の攻防が安倍政権を追い詰めている。9・21判決の勝利に確信をもち、11・5大結集の総力を国会決戦にたたきつけよう。
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週刊『前進』(2270号4面2)(2006/11/13)
自民党幹部の暴言許すな
「デモで騒音出す教員は免許はく奪」(中川昭)「日教組、自治労壊滅が参院選の争点だ」(森)
戦争へ労組の解体狙う安倍
安倍政権の「教育改革」攻撃は、教育労働運動の圧殺、日教組の解体に核心的な狙いがある。
自民党の中川昭一政調会長は「日教組の一部活動家は、自分が納得できないことは何をしてもいい、断固拒否する、では教師の資格はない」「デモで騒音をまき散らす教員に児童・生徒の尊敬を受ける資格はない。免許はく奪だろう」とまったく許しがたい発言を行った(毎日新聞10月23日付)。デモをすることは組合員の当然の権利だ。中川発言は、免許更新制で、すべての日教組組合員から教員免許を奪うと言ったに等しい。
これに続き森喜朗・元首相は産経新聞10月31日付で「日教組、自治労を壊滅できるかどうかが次の参院選の争点だ」「教育改革とは社会構造全体を変えること」などと暴論を吐いた。
また、下村博文内閣官房副長官は教員免許更新制の導入について、「中教審の答申では30時間講習を受ければ、ほぼ自動的に更新される、という非常に生ぬるい内容になっているが、適性のない教師を排除できる実効性のある制度を検討したい。……教職員組合を中心にかなりの反対があるだろうが、それでもやりきる覚悟が求められる」と語った(中央公論11月号)。
「最大の抵抗勢力は官公労」と語ってきた中川秀直幹事長は、自民党内に「官公労・自治労・日教組プロジェクトチーム」をつくって、労組解体に総力をあげている。
このように、自民党・安倍政権は、「自治労・日教組の壊滅」を公言し攻撃を決定的に強めている。絶対に許せない。
極右「新しい歴史教科書をつくる会」元会長の八木秀次は、『Voice』11月号に「日教組排除論」を書き、「左翼系の組合を崩壊に追い込むでもして、その影響力を教育界から排除しない限り、本当の意味での教育正常化はできない」と主張。教育再生会議の発足にあわせ、民間運動団体として「日本教育再生機構」を発足させた。
「教育再生会議」は、反動的な人物をずらりとそろえた。とりわけ葛西敬之JR東海会長を加えたことは重大だ。葛西こそ、1980年代に中曽根が強行した国鉄の分割・民営化を、国鉄本社内「改革3人組」の一人として先頭で推し進めた人物だ。国鉄労働者20万人の首切りと国労・動労千葉破壊攻撃の張本人だ。
極右「つくる会」派の山谷えり子が「教育再生」担当の首相補佐官となった。そのもとで反動的な連中を集めた教育再生会議が、どのような結論・方向性を出すかは、明らかだ。教育労働者の団結と闘いを押しつぶし、学校を兵営に変え、子どもたちを帝国主義戦争と争闘戦に動員しようとしている。
日教組の再生かけた決戦へ
労働者階級は、この攻撃と真っ向から対決することが迫られている。ところが、この歴史的な階級決戦を前にして、連合中央や自治労本部は、攻撃の激しさを真正面から見据えようとせず、「子どものけんかにつきあう必要はない」(産経新聞10月31日付)などと言って激突を回避しているありさまだ。支配階級の総力あげた組合破壊攻撃が、どうして「子どものけんか」なのか。労働者階級がかちとってきた団結権を守りぬけるかどうかの歴史的決戦なのだ。
日教組本部も「非常事態」を宣言しながら、組織の存亡をかけた決戦方針を何一つ提起せず、本気で闘おうとしていない。教育労働者は学校で多忙化、分断と管理強化の重圧にさらされ、過労死や自死も相次いでいる。労働者の団結を破壊し、命を奪う攻撃が吹き荒れている時に、労働組合が体を張って立ち向かわないでどうするのか!
国家権力との激突を恐れていては、組合の団結を守り抜くことはできない。動労千葉は国鉄分割・民営化攻撃に対して全組合員が総決起して2波のストライキで反撃し、組合の団結を守り抜いた。そうした闘いが今、日教組にも自治労にも求められているのだ。
「教え子を再び戦場に送るな」と闘ってきた日教組運動の決戦の時だ。執行部が断固闘う方針を出せば、組合員の間には決戦を闘いぬく決意と気概はある。日教組30万が総決起すれば、この攻撃をうち破ることは絶対にできる! 日教組組合員の皆さん! 闘わない日教組執行部を打倒し、教基法改悪を絶対阻止し、闘う日教組を下からの決起でつくろう。
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週刊『前進』(2270号4面3)(2006/11/13)
“停職処分取り消しを”
「君が代」不起立 根津さん、河原井さん提訴
10月30日、「君が代斉唱」時の不起立で停職処分を受けた町田市立鶴川二中の根津公子さんと八王子東養護学校の河原井純子さんが都教委による処分の取り消しと慰謝料の支払いを要求して東京地裁に提訴し、午後4時30分から、司法記者クラブで記者会見を行った。(写真)
原告の根津さんは提訴した理由を「君が代不起立で免職がまかり通ったら、教基法が改悪されたのと同じ状態ができるから。それをどうしても止めたい」と語った。また免職が予想される中でも不起立を貫く理由として、「私が教育活動の中で一番大事にしてきたことは、物事をいろんな角度から資料を提供し、子どもたちと考え合うということ。それを抜かしたら戦前の軍国主義教育になってしまう。それに触れることが今起こっている。日の丸・君が代の強制は一つの価値観を押し付けるということ。私にも迷いがあって、2005年の卒業式では免職は避けようと思って君が代の始めの部分少しだけ立ったが、とても苦しかった。そして自分にうそをつくのはやめようと思った」と不起立を貫く思いを語った。また、今の教育の中で子どもたちがすでに「少国民になりつつある」と危機感を明らかにした。
また河原井さんは不起立を貫く思いを「私が障害児と向き合って大切にしてきたことが二つある。一つはイエス、ノーをはっきり言い合おうということ。もう一点は、女らしくとか男らしくとかではなく、自分らしく生きようということです。この2点をもってしても2003年の10・23通達は全身でノーでした。どうしても立つことができませんでした」と語った。
さらに「4回の不起立で停職1カ月という重たい処分を受けたが、これは何を意味しているのか、裁判をとおして社会に問いたい」と提訴した意味を明らかにし、決意をこめて「現在を問い、未来をはらみたい」という自作の詩を朗読した。
弁護人からは提訴の主要な主張として、「日の丸・君が代」で起立や斉唱の義務はなく、10・23通達や校長の職務命令は違憲、違法であること、さらに不起立の回を重ねるごとに加重して処分を加えることは違法であることを弾劾して、処分の取り消しと都に停職期間の賃金と慰謝料の支払いを求めたものであることを説明した。
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週刊『前進』(2270号4面4)(2006/11/13)
コミューン12月号
切迫する戦争危機
北朝鮮の核実験発表に対する国連安保理の制裁決議を盾に、米日帝の北朝鮮侵略戦争の策動が一挙に高まっている。こうした情勢下での北朝鮮スターリン主義の深刻な危機を明らかにし、労働者の国際連帯の力で反帝国主義・反スターリン主義の世界革命を実現しようと訴えている。
第1章は、北朝鮮に対する国連制裁決議の急先鋒となり、排外主義をあおり、戦争を促進する日帝・安倍を徹底的に弾劾している。さらに、ソ連が崩壊した90年代以降、北朝鮮スターリン主義が唯一の延命策としてしがみついた核武装化路線の国際階級闘争に対する敵対を暴いている。
第2章は、慢性的な食糧危機にあえぐ北朝鮮経済について、朝鮮南北分断体制下の、米帝の軍事重圧にさらされた構造的危機を明らかにする。
第3章は、なぜ朝鮮半島が南北に分断されたのかについて、第2次世界大戦の性格から始め、戦後世界体制の成立、スターリン主義による朝鮮民族解放闘争の裏切り、そして朝鮮戦争、南北分断の固定化までを歴史的に明確にした。
翻訳資料は「米国家安全保障戦略」(下)。「世界の他の主要勢力との共同行動のための計画」が主内容。世界の各地域戦略(西半球、アフリカ、中東、ヨーロッパ、南・中央アジア、東アジア)を展開している。
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週刊『前進』(2270号5面1)(2006/11/13)
教基法改悪粉砕へ11月上旬衆院採決を阻止しよう
教労と国鉄を先頭に11月闘争に総決起を
教基法決戦が最大の正念場
11・5労働者集会は関西生コン支部、港合同、動労千葉という日本の闘う3労組が呼びかけ、民主労総ソウル本部を始めとした韓国とアメリカの最も戦闘的な労組が結集・合流した。階級的労働運動と労働者国際連帯の大集会として決定的な意義をもった闘いとなった。その高揚と勝利の地平から直ちに、戦争と改憲に突き進む安倍政権の打倒へ、労働者人民の怒りを職場・学園・地域で、さらに徹底的に組織しなければならない。とりわけ教育基本法改悪案の強行採決情勢が切迫している。闘う教育労働者を先頭に、国会に全力で駆けつけ、日帝・安倍政権の採決強行を絶対に阻止しよう。教基法改悪をなんとしても阻止し、北朝鮮侵略戦争阻止・安倍政権打倒、9条改憲阻止決戦の歴史的高揚を切り開こう。
全国の職場から国会包囲大闘争へ
当面する最大の任務は、教育基本法の改悪絶対阻止へ、徹底的に闘いぬくことである。教育基本法改悪粉砕は、教育労働者だけの闘いではない。4大産別を始め全労働者人民の闘いである。安倍は11月上旬―11月10日にも衆院通過を狙っているが、労働者は断じて負けてはいない。今こそ全国の職場から国会へ、学園から国会へと、日教組組合員を先頭に闘いのうねりを爆発的につくり出していこう。
教育基本法を全面改悪する目的、狙いは何か。愛国心教育を教育内容の中心に据え、教育の国家支配・権力統制を基本法に明記することである。安倍はそうした改悪目的を推進するため、所信表明演説の中で「教員免許更新制度の導入」「外部評価制度の導入」「教育再生会議の発足」という具体策を掲げた。つまり、闘う教育労働者の首をどんどん切り、日教組を解体するということだ。それらの施策を文科省をも飛び越えて、安倍主導の「教育再生会議」でどんどん作るというのである。これが教基法全面改悪攻撃の狙いだ。
これに対し、10月中旬からわずか2週間で、教育基本法改悪反対の闘いは全国に加速度的に広まった。その中心は、「日の丸・君が代」被処分者と日教組現場組合員の自主的決起であった。特に連日の国会前リレーハンストと座り込みは、全体の闘いを引っ張り、全国の教育労働者を鼓舞激励した。国会前に連日動員している大分県教組、大量動員で国会前に駆けつけている北海道教組、独自で国会前座り込み集会を連日続けている東京教組など、日教組本部の屈服と制動をのりこえる闘いが展開されている。
大分での6500人集会を始め、北海道、仙台、埼玉、神奈川、関西など全国各地で千人から数千人の闘いが高揚している。また沖縄では31日に県庁前で1500人集会が開催された。その場で高教組委員長は「現場の労働者こそが政府から差し向けられる”戦争教育”の強制を絶対に拒否して闘おう。それこそが真の教育現場をつくり上げる私たちの仕事だ!」と檄を飛ばした。
日帝・安倍の攻撃の激化と現場組合員の決起の中で、屈服と裏切りの日教組本部も「非常事態宣言」を出さざるをえなくなり、26日には日比谷野音に8500人が集まった。ところが現場組合員の怒りと闘う意欲の対極で、日教組本部には闘う方針がまったくない。しかし現場の怒りの中で、30日までだった日教組の国会前動員は、いったん11月10日まで拡大された。
今こそ国会周辺が労働者人民の闘いで連日埋まり、臨時国会と安倍を大包囲する激動的情勢をつくり出そうではないか。それが教基法改悪を絶対に阻止する道だ。
東京における3年間の不起立闘争が9・21予防訴訟勝利判決をもぎとり、全国の教育労働者の決起を一気に加速させ、教基法改悪阻止闘争をここまで押し上げてきた。被処分者を先頭とする不屈の闘いが「10・23通達」を無力化させてしまったように、日教組30万組合員が団結して処分や逮捕も辞さずに総決起すれば、教育基本法改悪を粉砕することはまったく可能だ。まさに今はそうしても闘うべき歴史的局面である。
教基法改悪の先取りが進行する教育現場で、毎日のように生徒、教職員、校長の自殺が報道されている。こうした事態を生み出した責任は、一切が小泉や石原や安倍にある。政府・文科省にある。この上に教育基本法が改悪され、「学校評価」「教職員評価」「数値目標」などが強制されていくなら、教育現場での「いじめ」などはさらに深刻化し、格差も拡大する。安倍の教育改革は絶対に粉砕されなければならない。
国会闘争を軸に教基法改悪阻止の歴史的大闘争に立とう。11月上旬の衆院採決強行を絶対に阻止しよう。その闘いの一環として「教育基本法の改悪をとめよう全国連絡会」が呼びかける11・12全国集会(午後1時、日比谷野音)に総結集しよう。
共謀罪強行を断固阻もう!
さらに臨時国会では、共謀罪を始めとする諸反動法案との攻防が激化している。共謀罪はすでにいつ採決強行が行われてもおかしくない状態にあるが、何よりも教基法改悪阻止闘争がどれだけ爆発するかに、その採決を阻止して廃案に追い込む展望もある。
通常国会から継続審議になっていた改憲のための国民投票法案の審議が10月25日から再開された。これは公務員労働者などの反対運動を徹底的に禁止・弾圧する一方で、財力のある大政党や改憲勢力はマスコミで大キャンペーンでき、改憲攻撃を押し通すことを可能とするための攻撃であり、こんな反動法案の成立など絶対に阻止しなければならない。
また防衛庁「省」昇格法案も11月7日からの審議入りが予定されており、11月中旬の衆院通過が狙われている。この法案は、海外派兵を「本来任務」とし、北朝鮮侵略戦争突入を準備し、9条改憲を実質的に先取りする内容を持つ悪法である。
教基法改悪阻止の闘いの大爆発を最先端の力として、そのただ中で、なんとしてもこれら反動法案の成立を粉砕しよう。
国労本部の総屈服と第2次国鉄闘争
教基法決戦とともに、11月からの闘いの基軸的課題として、国鉄闘争が完全に決戦となっている。国鉄労働運動をめぐる国労本部の歴史的裏切りの進行を打ち破り、動労千葉労働運動を先頭に、分割・民営化粉砕の闘い以来の第2次国鉄闘争に猛然と突入しよう。
日帝・JR資本と中労委は、4月以降、「包括的解決」なるものをもって、国労本部の裏切りを迫ってきた。昨年の昇進差別をめぐる裁判闘争での屈服的和解の上で、今回の大裏切りがある。それは、「バッジ着用」裁判を始め中労委で係争中の43件と地方労働委員会で係争中の18件、合計61件をJR東との間で一括和解するというもの。
「和解」内容は、@健全で良好な労使関係確立に双方が努力する、AJR東日本は公平で公正な人事労務管理をする、BJRは解決金を払い、国労が係争中の申し立てを取り下げる、ということが柱だとされている。
しかしこれは、国労が1047名闘争を切り捨て、JR総連と同じ道を歩むことである。すでに国労本部執行部は、先を争って昇進試験を受けているという。何という腐敗、卑劣な裏切りか。
これと一体のものとして、第2の分割・民営化の総決算ともいうべき「ニューフロンティア2008」「ライフサイクルの深度化」の攻撃がかけられている。「ニューフロンティア2008」の柱は、駅業務の委託の拡大、契約社員導入、びゅうプラザ廃止・統合、などの大合理化攻撃だ。「ライフサイクルの深度化」は40歳までに運転士全員が駅に移動する、駅で5年間勤務した後、6〜8割が運転士に復帰し、2〜4割を駅などに配置するという内容。
この攻撃の本質は、JR総連の底知れぬ危機、その労働者支配・平成採支配が完全に崩壊しつつある中で、JR資本が前面に出てきたということだ。しかもこれは米日帝の北朝鮮侵略戦争切迫情勢のもとでの大攻撃であり、国労の総屈服の中で動労千葉への組織破壊攻撃そのものでもある。
国労本部の総転向・総屈服を全力で打ち破り、動労千葉を先頭に、国鉄1047名闘争勝利と国労5・27臨大闘争弾圧粉砕の闘いを軸として、歴史的な第2次国鉄闘争ともいうべき闘いに、11・5労働者集会から今こそ総決起していこう。
臨検=北朝鮮侵略戦争を阻止しよう
さらに、北朝鮮の「核実験」をめぐる激動情勢について確認し、米帝ブッシュと日帝・安倍の北朝鮮侵略戦争の攻撃を阻止する闘いを強化していくことを訴えたい。
この間、「6者協議」の再開が「合意」に至ったと報道されている。これは、中国政府が独自に制裁圧力を強め、北朝鮮スターリン主義・金正日政権の一定の譲歩を引き出した結果によるものと思われる。
しかし「6者協議」の再開によって戦争の危機が本質的に遠のくわけではない。米日帝とも、北朝鮮のスターリン主義政権が核開発を完全に放棄するまで制裁強化で追いつめ、最後は政権転覆=侵略戦争を発動しようと狙っているからだ。一方で制裁を発動して締め上げながら、他方で強引に交渉のテーブルにつかせて戦争突入への時間稼ぎをするというやり方である。
重要なことは、北朝鮮制裁の安保理決議をもって、北朝鮮侵略戦争に向かって歴史の歯車が回り始めたことである。この情勢認識にしっかり立って闘おう。
北朝鮮をめぐる戦争危機を生み出している元凶は、米日帝国主義とその侵略戦争政策にある。もちろん体制護持のために「核実験」という瀬戸際政策をとる金正日政権は根底的に弾劾されねばならない。だが、そこに追いつめているのは米帝・ブッシュ政権であり、その米帝と一体化して戦争的に突出し、ついには北朝鮮侵略戦争に踏み込もうとしている日帝・安倍政権なのである。
実際に、北朝鮮が7月「ミサイル発射実験」から10月「核実験実施発表」に進んだ背景には、昨年9月15日に米帝が発動した金融制裁がある。それが北朝鮮の体制崩壊的危機を促進している。米政府はマカオのバンコ・デルタ・アジア銀行にある北朝鮮政府の預金約2400万jを凍結したが、この額は金正日政権の国家予算の数%に相当するとも言われており、金正日政権に大きなダメージを与えていることは明白である。
米帝(そして日帝)は、イラクに対して行ったのと同じように、「悪の枢軸」と名指しする北朝鮮への侵略戦争の歴史的発動に向け、米帝の都合の良いタイミングとテンポで動き出す”国際的な合法性”の口実を、国連憲章7章に基づく今回の安保理決議によって得たと言える。
こうした中で10月30〜31日に、中東のペルシャ湾内で、米帝主導の有志国連合の枠組み「大量破壊兵器拡散阻止構想(PSI)」による船舶臨検訓練が実施された。訓練には米・英・仏・伊・豪などに日本や韓国も加わって、25カ国が参加した。米帝は対北朝鮮の船舶検査をこのPSIをモデルに行う方針である。
確かにイラク侵略戦争の泥沼に規定され、米帝は直ちに全面的な海上封鎖、強度の臨検作戦に踏み切ってはいない。しかし今後、徐々にではあれ日本海や黄海などで有志国連合による船舶検査が実施されていくことを考えれば、それが日本の社会的・階級的情勢に戦時下のすさまじい変化をもたらすことは明白だ。
安倍政権は世界に先駆けた独自の経済制裁を続けるとともに、米軍主導の臨検作戦に参加していく構えである。日本政府が臨検を支援したり実施するためには事前に「周辺事態」の認定↓周辺事態法の発動が必要だが、実際は単純ではない。また、現行の周辺事態法では警告射撃や強行乗船ができないため、自衛隊の活動に強制力を持たせる特措法を制定することも狙っている。麻生外相は「当面は現行法で対処し、その間に特措法をやる」と言っている。
経済制裁は実質的に戦争だ。北朝鮮の人民の生活と命を奪う攻撃である。有志国連合軍が展開することになれば、補給や寄港への労働者動員も問題になっていく。排外主義をうち破り、沖縄の闘いに学び、経済制裁反対、臨検協力拒否の闘いを構築していこう。
11・5労働者集会の歴史的地平から、教基法改悪絶対阻止・安倍政権打倒の臨時国会決戦に総決起しよう。日教組組合員の決起を先頭に労働者階級の底力で、11月上旬衆院採決強行を断固阻止しよう。教基法闘争の爆発と一体の闘いで、共謀罪を永遠に葬り去ろう。
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週刊『前進』(2270号5面2)(2006/11/13)
沖縄知事選=糸数勝利で安倍戦争政権打倒しよう
革共同沖縄県委員会
11月19日投開票の沖縄県知事選挙(11月2日告示)は、沖縄百年の命運を決する一大決戦である。われわれはこの沖縄県知事選挙を米日帝国主義の朝鮮侵略戦争突入攻撃と真っ向から切り結び、米軍再編・改憲攻撃と対決する闘いとして何としても勝利しなければならない。
情勢はまさに戦争切迫下にある。北朝鮮による核実験発表を口実に国連による制裁決議の採択がなされ、それをテコに米日帝国主義は経済制裁に踏み切り、海上封鎖・臨検をも狙っている。それは事実上の軍事力行使であり、戦争そのものだ。
日帝・安倍政権は、今国会で教育基本法の改悪を強行し、集団的自衛権の実施に踏み切ろうとしている。周辺事態法の適用も検討されている。
安倍政権は、改憲を掲げて登場した戦争突撃内閣である。現憲法に規定された日本帝国主義の戦後的あり方を根底から覆そうというのだ。その核心は労働者階級との戦後的力関係の転換にある。
また改憲を掲げた安倍政権は、同時に沖縄圧殺政権でもある。現憲法の裏面として、沖縄は日米安保体制のもと、米軍支配による本土労働者人民との分断と圧政下におかれてきた。沖縄の労働者人民は、それをうち破り、72年「復帰」以降も日帝に対する反乱と闘いをたえまなく続けてきた。日帝は、これを圧殺することなくして戦争も改憲もたち行かないのだ。安倍政権の行き着く先はまぎれもなく沖縄戦の再来なのだ。安倍政権の打倒は沖縄の労働者人民の未来のかかった闘いである。沖縄県知事選挙での糸数けいこ氏の当選・勝利は、まさに戦争と改憲に突き進む安倍政権を痛撃するのだ。
“新たな基地は造らせない”
選挙戦は、11月2日に告示され、すでに終盤戦に入り、かつてない激しい攻防が展開されている。
最大の焦点は米軍再編だ。安倍政権をバックにする仲井真陣営は、稲嶺県政の継続と称して、現案である辺野古基地建設=「V字型滑走路案」にペテン的に「反対」と言っている。「賛成」と言おうものならたちまち県民の総反発を受け選挙に負けるからだ。だが、これは選挙のための方便でしかない。本音は、選挙後直ちに掌を返して、賛成に突っ走る以外ないのだ。
一方、糸数氏は、「沖縄に新たな基地は造らせない、そして日本国憲法をしっかり守る、教育基本法を改悪させない、この点でしっかり闘いぬいてまいります。50年、100年先まで基地の負の遺産を引き継いでいくのか、本当の意味での平和を沖縄から発信していけるかどうか。みなさまといっしょに心をひとつにして選挙を勝ち抜き、県政を奪還しましょう」と心の底から訴えている。
勝利のカギは労働組合・労働者の渾身(こんしん)の決起である。沖縄の労働者は今、米日帝国主義の北朝鮮への侵略戦争策動と改憲攻撃に真っ向から立ち向かい、闘っている。
10月8日から丸3日間にわたって天願桟橋前に座り込んだパトリオットミサイル(PAC3)配備阻止闘争は、自治労や教労を先頭に沖縄労働運動の力強さをいかんなく示した。特に10・21PAC3配備に反対する県民大会は、沖縄の労働運動・労働組合の底力を感じさせる闘いだった。1200人の労働組合員・市民が結集し、戦争絶対反対・PAC3配備阻止を渾身の力でたたきつけた。北朝鮮の核実験をテコにした排外主義攻撃の激しさにひるむことなく、徹底して日米両政府の戦争政策と対決しきったのだ。この沖縄の怒りを前に久間防衛庁長官は、なんと「幸い沖縄には米軍がPAC3を置いてくれた。沖縄の人は喜んでもらいたい」と言い放ったのだ。絶対に許せない。怒りの火に油を注ぐとはこのことだ。
また、教育労働者も教育基本法改悪反対・改憲阻止、米軍基地再編を阻む闘いに総力決起を開始している。9月23〜27日まで闘われた教育基本法反対の連続街宣闘争、9・26国会開会日には教労600人が集会・デモ(高教組・沖教組主催)を闘いぬいた。そして、10・31教育基本法改悪反対の県民集会は国会攻防を直撃、宮古、八重山を含む1500人の教育労働者が県庁前広場に大結集し、国際通りを力強くデモ行進した。
4大産別を先頭に沖縄の労働者階級は「復帰」後最大の決戦に突入した。この労働者階級の力で県知事選を闘いぬけば必ず勝てる。労働者階級の闘いこそ県知事選挙の最大の勝利の根源なのだ。糸数けいこ氏の当選へ全力で闘おう。
友人・知人への支持拡大を
全国の同志、支持者のみなさんに訴えます。糸数けいこ氏の当選・勝利に向かって、沖縄在住(有権者)の友人・知人に糸数けいこ氏への支持を訴え、投票を呼びかけてほしい。電話で、私信で、メールで、あらゆる手段で糸数けいこ氏への投票を呼びかけよう。
沖縄県知事選挙に勝利し、米軍再編と米日帝による北朝鮮侵略戦争を阻止し、安倍政権打倒を闘いとろう!
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週刊『前進』(2270号5面3)(2006/11/13)
“PAC3配備喜べ” 久間発言弾劾する
「幸いなことに沖縄には米軍がPAC3を置いてくれた。わが国の予算の中で追いつかない点を先にやってくれたわけだから、むしろ沖縄の人は喜んでもらいたい」
強行されたパトリオットミサイル(PAC3)の米空軍嘉手納基地への配備について久間章生防衛庁長官が10月26日、国会(参院外交防衛委員会)でこう言い放った。PAC3は、大気圏に再突入した弾道ミサイルを地上から迎撃する地対空ミサイル。これはきわめて攻撃的なものだ。米日帝がミサイル攻撃をするための「盾」が「迎撃」ミサイルなのだ。北朝鮮侵略戦争に踏み込もうという米日帝国主義が、そのための出撃基地として沖縄を再編・強化しようとしているからこそのPAC3配備だ。
「喜んでミサイルの標的になれ」という沖縄差別政策など絶対に容認できない。沖縄に住む老若男女136万8137人(06年10月1日現在)に何を喜べというのか!
嘉手納基地に隣接する地元市町村を始め全県から一斉に怒りが噴出した。糸数けいこ氏も「県民の不安を理解しておらず、許せない。軍事基地をより強力な武器で守ろうというのは、軍拡競争の発想だ」と怒った。
久間は「わが国の予算で追いつかない」と嘆いた。では基地の維持から新基地建設まで税金を惜しみなく投入する「思いやり予算」はどう説明するのか。
1979年以来、日本政府が支出した在日米軍駐留経費負担は00年度まで22年間で1兆6千億円。今年度の防衛施設庁の全予算の44%超、2326億円が「思いやり予算」だ。普天間基地移設に伴う新基地建設には1兆円もの税金を投入するというのだ。
県知事選で戦争と新基地建設は絶対ノーの回答を突きつけよう。
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週刊『前進』(2270号6面1)(2006/11/13)
戦後労働運動における職場闘争の経験と教訓
労働運動の戦闘的再生へ
11・5労働者集会は闘う3労組共闘と日米韓3国連帯のもと、歴史的意義をもった重大な闘いとなった。この地平を踏まえ、いよいよ階級的労働運動の具体的実践として、4大産別を先頭に職場闘争に本格的に取り組んでいこう。職場闘争は労働者が資本と闘う基本的な闘争形態である。労働運動の高揚局面においては職場闘争が活発に闘われ、逆に退潮局面においてはそれは後退している。職場で何を訴え、何を実践すべきか。この観点から戦後労働運動史を
再検証し、職場闘争の実践を軸に、労働運動の戦闘的階級的再生の手がかりをつかんでいこう。葉月 翠
戦後革命期の労働者の闘い
敗戦直後から日本の労働者階級は、食糧危機と飢餓賃金を突破するための闘争に死活をかけて立ち上がった。この闘争は日帝ブルジョアジーの生産サボタージュに対する生産管理闘争を生みだし、これらが混然一体となって文字どおりの〈戦後革命情勢〉に突入していったのである。
戦後革命は日本共産党スターリン主義による47年2・1ゼネスト中止という大裏切りによって決定的な好機を逸し、労働運動は大きなダメージをこうむった。しかし労働者階級は翌48年には戦列を立て直し、米占領軍のスト禁止命令をはね返して、3月闘争に決起した。この闘争には全逓を先頭に官公労働者、電産、炭労を始めとする民間労働者が続々とストライキに突入した。そして当時もっとも遅れていた全繊同盟までも巻き込んで、2・1ストを上回る大闘争となった。
こうした労働者階級のたたかいに激しい危機感を抱いた米占領軍司令官マッカーサーは芦田首相(当時)に官公労働者からスト権・争議権をはく奪するよう命令し、これにもとづいて政令201号が交付(48年7月)された。さらに同年12月にはドッジ・プラン(緊縮財政策)が発表され、「経済安定化」の名の下に大量首切りが強行された。これは労働省の調査でも49年1年間の解雇者数が43万5466人というすさまじいものであった。49年5月には定員法によって官公労働者は、国鉄9万5千人、全逓3万6千人を始め26万7300人が「人員整理」の対象とされた。
このドッジ・プラン発表直後に行われた総選挙では社会党が143議席から48議席へと大後退する一方で、日共は4議席から35議席へと躍進した。これは大首切り攻撃に対して断固たたかうという大衆の決意を示すものであった。ところが選挙結果にうかれた日共は「9月に人民政府を樹立する」(9月革命説)と唱えて、首切り反対闘争を放棄し、ストライキにも反対した。
また日共はその指導下にあった左派のナショナルセンターである産別会議に「産業防衛闘争」をおしつけた。これは「民族資本と提携して革命をやる」というとんでもない内容であり、ストライキに対して「ものとり」「経済主義」と悪罵(あくば)を投げかけた。
日共の「産業防衛闘争」や「9月革命説」の本質は戦後革命に対する米日支配階級の密集した反動への全面的屈服であった。したがってそれは組合内に深刻な左右の対立を生みだし(民主化同盟の登場)、首切り反対闘争を構築できないままに敗北を余儀なくされた。
これにたたみかけるように、50年朝鮮戦争勃発の直後から共産党員およびその同調者と見なされた民間1万1000人、官公庁1200人の労働者が職場から追放された。このレッド・パージによる打撃は大きく、労働運動はとめどない後退を強いられていた。
これを最後の一線でくい止めたのが全学連の大学教職員に対するレッド・パージ粉砕闘争であった。全学連は「大学の自治圧殺・日本の再軍備と不退転の決意でたたかう」と宣言し、10月5日全国11校3万6千人がストライキに突入した。この闘争は武装警官隊との流血の激突をひきおこした。しかし学生たちはこれにひるむことなく闘争を貫徹し、大学教職員へのレッド・パージを完全に粉砕したのである。
総評の結成と職場闘争展開
レッド・パージと前後して総評(日本労働組合総評議会、17単産65万人)が7月11日に結成された。朝鮮戦争下で国内の一切の集会・デモが禁止される中、唯一行われた集会が総評結成大会であった。このとき総評は朝鮮戦争に対して「北鮮(ママ)の武力侵攻反対」「国連軍の警察行動支持」という反動的な態度を表明したが、大会の様子は「葬式のような雰囲気」であったという。
しかし翌51年3月の第2回大会では、一転して「平和4原則(全面講和、中立堅持、軍事基地提供反対、再軍備反対)」を採択し、その後民同左派がヘゲモニーを握って戦闘化を遂げていった。こうした総評の左旋回を突き動かしていたのは、ドッジ・プランやレッドパージに屈服した組合指導部たいする労働者の憤激であった。さらに戦時体制下で軍事監獄と化した過酷な労働現場に対する労働者の怒りの高まりであった。
52年には破壊活動防止法と労働法改悪に反対して、のべ600万人の労働者が3波の統一ストを行った。半年間にわたるこの労闘(労働法規改悪反対闘争委員会)ストは破防法を阻止することはできなかったが、これに参加した膨大な大衆をきたえあげていった。総評指導部は高まる幹部批判の中で軒並み自己批判をせざるを得ないところに追い込まれていった。
53年7月の朝鮮戦争の休戦協定よる不況の中で、企業整理の嵐が労働者に襲いかかった。53年には日産自動車労組が敗退、翌54年には尼崎製鋼と日本製鋼室蘭製作所で長期の大争議がたたかわれた。この2つの大争議を総評事務局長の高野実は「家ぐるみ・町ぐるみ闘争」として高く評価した。しかしそれは日共51年綱領にもとづく「民族資本とたたかわずに、その背後にある金融資本(買弁資本)とたたかうべきだ」というものであり、これでは首切りを阻止することも、組織破壊攻撃をくい止めることもできもできず、組合は惨敗を喫した。
こうした一連の敗北の結果、55年の総評大会で岩井章が高野を破って事務局長に就任し、太田・岩井体制がスタートした。55年は保守合同による自由民主党の発足、また社会党の左右両派の再統一、日共スターリン主義の6全協開催=宮本体制の確立など戦後史の重大な転換点となった(55年体制)。日本生産性本部が発足し、日帝ブルジョアジーによる産業構造の転換をかけた合理化攻撃が本格的に開始されたのもこの55年であった。
56年に入ると総評は激化する資本攻勢から組織を防衛するために組織綱領委員会を発足させた。その問題意識は「会社や当局が本気で組合をブッつぶそうとかかってもつぶれない組合になるためには、はたまた先進的な組合を長期にわたって敵の矢面さらさないために」は何をなすべきかということであったが、すでにそうしたたたかいを実践している組合が全国にいくつもあった。
北陸鉄道労組は53年6月と7月に石川県内灘村の米軍試射場に反対して米軍向け軍需物資輸送拒否のストライキを行い、反基地闘争を全国的に発展させるほどの強固な職場組織を作り上げていた。また三池労組は53年の1815人の大量指名解雇にたいして113日間にわたってたたかいぬき、全員の職場復帰をかちとった。この闘争は保安(職場安全)を軸とする職場闘争と、何百、何千人という組合員とその家族による連日の抗議デモがたたかわれたため、「英雄なき113日間のたたかい」と呼ばれた。
日本の労働者は敗戦後10年を経ずして、部分的とはいえ、ここまで階級的な成長を遂げていたのだ。組織綱領委員会は彼らのたたかいの現場に足を運んで調査・研究し、職場闘争を基調とする組織綱領草案を発表した。ところがこの組織綱領は正式に採択されることはなかったのである。
職場支配権を巡る三池闘争
50年代後半は勤務評定反対闘争と警職法改悪反対闘争がかつてない高揚を見せた。
そして59年8月三井資本による4580人の合理化案提示によって、日本労働運動史上最大の争議となった三池闘争の火ぶたが切られた。三池闘争は60年安保闘争と並行してたたかわれたが、労使双方が三池に投入した物量は60年安保を数倍するものであった。
なぜ三池闘争がかくも激しい攻防となったのか。その最大の焦点は職場支配権をめぐる労使の争いにあった。三池労組の職場闘争は「闘いなくして安全なし、安全なくして労働なし」というスローガンに象徴される保安闘争であった。しかし、会社の機械化・人員整理攻撃との闘いの中で、輪番制と生産コントロールを中心とするものへと発展していった。
輪番制とは組合の分会長が個々の労働者の作業を指示することによって、労働者間の作業条件と賃金を平準化するというもの。また生産コントロールとは職場分会が1日の労働者の作業量を決定するというもので、三池の採炭現場では労働者が自らの手で労働の強度を規制していた。
このように輪番制と生産コントロールとは労働者による生産手段の管理であり、まさに私有財産制度を侵害するものにほかならない。こうしたことから職場支配権をめぐる闘争は、資本主義的秩序の貫徹か、その転覆かをかけた根底的かつ非和解的な激突へと必然的に発展していかざるを得ないのである。
実際に三池労組は闘争の最終局面でホッパー(貯炭槽)を封鎖し、会社側の操業をストップさせて決戦に突入していった(写真)。ホッパー決戦では2万人の武装した労働者と1万2千人の武装警官隊が対峙し、一触即発の状態にあった。しかし炭労が中労委あっせんに白紙委任することに同意して、激突はその直前で「回避」され闘争は終息していった。このホッパー決戦に震え上がったのはほかならぬ総評の幹部たちだった。彼らは「流血の大惨事を回避せよ」というマスコミの大合唱に唱和して、炭労に屈服を強要した。
安保闘争の敗北に続く三池の敗北は、その後の労働運動を沈滞させていった。総評指導部は「政策転換闘争」を唱えて職場闘争を否定し、その後の労働運動の反転攻勢をより困難にしていった。
三池闘争の主体的な総括
さてここで、三池闘争の総括の視点を提起しておきたい。三池労組が職場で実践していた輪番制や生産コントロールが私有財産制度を部分的に侵害し、資本主義的秩序を土台から揺るがし始めるものであったことはすでに述べたとおりであるが、その意義をさらに主体的積極的にとらえ返す必要がある。
戦後革命期、こうした職場闘争の先駆的実践の中に尼崎製鋼労組のたたかいがあった。尼鋼職場のリーダーであった鈴木栄一は現場活動家として貴重な記録を残している。当時、尼鋼の鋼管工場2百人の労働者たちのたたかいは労働時間や生産を自主的にコントロールするまでになっていた。そこには会社の職制も組合の規制も及ばなかった。それどころか会社と組合の「協定」という聖域さえもふっ飛ばして、現場の労働者たちの直接民主主義で一切を決していたのであった。
鈴木は鋼管工場に生み出されたこの状況を「前段階的解放区」と名付けた。それは「資本、組合共に自分達の支配の行き届き得ない真空の地帯、治外法権、反乱の側から言えば解放区、生産物が自分達のものでないことと、明確な目的意識の欠如とによって前段階的である」(鈴木)というのだ。まさにこれは労働者が全世界の獲得に着手したということである。部分的局所的であるが世界と自らとが一体となった解放区をしっかりとその手につかんだということである。これは三池労組の三川鉱の労働者たちがつかんでいた感覚と同じものであり、またホッパー決戦で武装してピケを張った2万人の労働者たちがつかんだ感覚であった。このように職場闘争の大衆闘争的発展は共産主義的意識に覚醒した大量の労働者を生み出していくのである。またこうした労働者群の存在と闘いが、労働者階級を支配階級へと高めていくのである。
たしかに三池闘争の最終局面におけるホッパー決戦は不発に終わったが、それが持っていた革命的な意義はきわめて大きかった。三池闘争の総括は、それによって引き起こされる結果の苛烈(かれつ)さにひるむことなく、職場闘争の大衆闘争的発展を追求していくということに尽きる。この任務を引き受けるのは革命的左翼をおいてほかにはあり得なかった。
反戦青年委と70年代の闘い
三池闘争以降の労働運動の危機を吹き飛ばしたのは、67年10・8羽田闘争からはじまる「激動の7カ月」を全学連とともに闘いぬいた全国反戦青年委員会の若き労働者隊列の登場であった。69年11月決戦では反戦派労働者は武装して決起した。彼らは「労働者こそが自己解放の主体であり、歴史の担い手である」という自覚と誇りを持って立ち上がったのだ。労働者が歴史的な階級闘争の主力を担ったのは三池闘争以来のことであった。
この反戦派労働運動は、革共同が62年に開催した第3回拡大全国委員総会以来、目的意識的に組織してきたものであった。3全総は「わが同盟が、階級協調主義や街頭主義に抗して、職場闘争の防衛と戦闘的労働運動のためにたたかう戦闘的労働者大衆の先頭に立たねばならない」(3全総宣言)として職場闘争に突入していったのである。まさにそれは60年安保闘争以前から職場において営々と積み上げられてきた闘争の蓄積が結実したものであった。
70年代労働運動は反戦派労働者がけん引して、職場闘争の戦闘的発展をつぎつぎと実現した。国鉄における反マル生闘争の勝利によって国鉄労働者はかつてないほどの職場の権利を獲得した。こうしたなかで動労千葉が実践した反合運転保安闘争や三里塚ジェット燃料輸送阻止闘争は戦後労働運動の精華というべき闘いであった。また全逓労働者は78年に反マル生越年闘争に決起し、史上初めて「聖域」といわれた年賀をブッ止める大闘争を貫徹して日帝支配階級を震え上がらせた。
80年代に入るや、日帝支配階級は国鉄分割・民営化攻撃を開始し、職場闘争の圧殺に全力を傾注してきたのである。
89年に総評を解散して発足した連合は、職場闘争を完全に否定したことによって、いまやその力を失っている。今日の連合は職場における労働者の団結が解体されていることによって、かろうじてナショナルセンターとしての体面を保っているに過ぎない。
したがって、たたかう労働者の当面する課題は職場の労働者の団結を形成することにある。職場の団結は95年日経連報告路線以降、非正規雇用の拡大の中で寸断されてきた。雇用形態をこえた労働者の団結形成をめざした職場のたたかいを意識的に追求していかなければならない。4大産別(国鉄、全逓、教労、自治体)においては分会運動をとくに重視しよう。連合支配を打倒するカギは分会運動の活性化である。組合のないところでは組合づくりから着手しなければならない。
いずれも青年労働者が闘いの主人公となる。マル青労同の躍進を実現しよう。動労千葉の先進的な闘いと3労組共闘、さらに合同労組運動の教訓に学び、一人ひとりが職場で創意工夫をこらして闘いを進めよう。一人ひとりの実践が歴史を作るのだ。「職場闘争を復権し、労働運動の戦闘的再生を!」を合言葉に、11・5の地平から前進しよう。
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【参考文献】
神子高人『全逓労働運動史』/斉藤一郎『戦後賃金闘争史』/斉藤弘平『労働運動史』/清水慎三『戦後革新の半日陰』/鈴木栄一『尼鋼の職場闘争』/中野 洋『俺たちは鉄路に生きる2』
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週刊『前進』(2270号6面2)(2006/11/13)
米海兵隊実弾演習阻止
11・26北富士へ招請状
忍草国有入会地守る会と北富士忍草母の会が、11・26北富士現地闘争の呼びかけを発した。米海兵隊の実弾演習を許してはならない。沖縄闘争と連帯して全力で結集しよう。(編集局)
11・26北富士現地闘争の呼びかけ
すべての皆さん。青年労働者、学生の皆さん。
「戦後体制からの脱却」を叫び、憲法改悪を公約とする安倍内閣が登場しました。安倍内閣はアメリカのブッシュ政権とともに、北朝鮮の「核実験」への制裁という名目で、北朝鮮が今にも核攻撃を日本にかけてくるかのような嘘(うそ)をついて、北朝鮮への船舶検査・海上封鎖を実施しようとしています。そのために、戦時態勢の認定と周辺事態法の発動に踏み切ろうとしています。イラクに続いて、北朝鮮への侵略戦争が切迫しているのです。
このような情勢の中で、北富士では、11月25日から米第3海兵隊の実弾演習が行われようとしています。北富士での米軍実弾演習を阻止し、北朝鮮への侵略戦争を阻止するため、11・26北富士闘争への結集を呼びかけるものです。
日本の敗戦で米軍が北富士を占領・接収して以来今日まで60年間、北富士は米軍の演習場として使用されてきました。北富士演習場とされている富士山麓は「梨ケ原」と言って、私たち地元農民が草を刈り、桑を植え、燃料のソダを採って生活の8割を依存してきた入会地です。
入会地から閉め出された忍草の農民は、「入会地を返せ」と演習場に突入した1955年の闘い以来、「梨ケ原入会地無断使用反対、北富士演習場撤去、入会地奪還」のスローガンのもと、米軍、政府・防衛庁と不屈・非妥協に闘ってきました。その結果、1970年には、東京地方裁判所から「梨ケ原に忍草入会組合の入会権がある」という判決をかちとったのです。
追い詰められた政府・防衛庁は、警察力の強化で私たちの演習反対の実力闘争を弾圧するとともに、「忍草入会組合幹部による背任横領事件」をでっち上げ、入会組合員に買収攻撃をかけて組合を分裂させ、演習場賛成の第2組合を作らせました。そして入会権を放棄した第2組合が多数派になったことをもって彼らを正当な入会組合と裁判所に認定させ、私たちを弾圧し、北富士演習場を維持してきたのです。
しかし弾圧で闘いをつぶすことは絶対にできません。私たちは、全国の闘う皆さんの支援を受けながら、「梨ケ原入会地を返せ」「北富士を朝鮮、中東につなぐな」と叫んで北富士闘争を闘ってきました。
米第3海兵隊が富士山麓から沖縄に本拠を移転した1950年代以降も、海兵隊は北富士・東富士で演習を継続していましたが、1997年からは「沖縄県民の負担を軽減する」という名目で、長距離砲の実弾演習を自衛隊の他の3つの大演習場にも拡大して実施してきました。そして本年の演習からは、長距離砲だけに限定せず、小火器の実弾演習も実施しようとしています。これは、「沖縄県民の負担を軽減する」という名目で長距離砲に限定して実施してきた本土での海兵隊演習を、限定をはずし、海兵隊の演習全般を沖縄、本土限らず実施していくという重大なエスカレーションです。この攻撃は、現在進められている米軍再編の一環であり、かつて米軍が本土・沖縄から朝鮮半島に出撃していった朝鮮戦争の再来に道を開くものです。
安倍内閣の改憲攻撃は、労働者には賃金切り下げや労働強化、三里塚や沖縄の人民には土地とりあげ、空港拡大、新基地の建設、北富士では演習のエスカレーションと入会権の抹殺として襲いかかっています。
しかし労働者と農民、すべての人民が団結し、安倍内閣の改憲・戦争と生活破壊に対決して闘うならば、必ず勝利することができます。北富士はこれからも、政府・防衛庁や米軍と対決し、初志を貫徹する決意を固めています。
11・26北富士闘争へのすべての皆さんの結集をお願いいたします。
2006年10月20日
忍草国有入会地守る会
北富士忍草母の会
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要項
米軍の北富士での実弾演習粉砕、梨ケ原国有入会地奪還、北富士演習場撤去
11・26北富士総決起集会
11月26日(日)正午
忍野村忍草・自衛隊北富士駐屯地隣
※集会後、演習場正門までデモ行進
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週刊『前進』(2270号6面3)(2006/11/13)
10月24日〜31日
安倍「任期中に憲法を改正」
「PAC3配備喜べ」と久間
●「第2次大戦型の力ずくの戦い」 ペース米統合参謀本部議長が国防総省で記者会見し、仮に北朝鮮と戦争になっても米軍には勝利する力があると強調した。一方で、イラクなどに精密誘導兵器を優先的に配備しているため、別の地域での新たな戦争は「非戦闘員の損害が出やすい第2次大戦型になる」との見通しを示した。(24日)
●国民投票法案課題別に小委員会 衆院憲法調査特別委員会は、先の通常国会で自民、公明両党と民主党がそれぞれ提出、継続審議となっていた憲法改正の具体的な手続きを定める国民投票法案の審議を再開した。テーマごとに集中審議するための小委員会設置を自民、公明、民主などの賛成多数で決めた。(26日)
●PAC3「沖縄の人は喜んでほしい」
久間防衛庁長官は参院外交防衛委員会で、米軍パトリオットミサイル(PAC3)の沖縄配備について「幸い沖縄については米軍がPAC3を置いてくれた。沖縄の方までは今のわが国の予算の中で追いつかない点を先にやってくれた。むしろ沖縄の人は喜んでもらいたいと私は思っている」などと述べた。(26日)
●米でも核論議発言 訪米中の中川昭一政調会長が記者会見し、アーミテージ前国務副長官らとの会談の中で、核実験発表後の北朝鮮と日本の関係を「核を保有しようとしたキューバと米国の関係というように理解してほしい」と62年のキューバ危機になぞらえ、日本も核保有の是非を議論すべきだとした自身の発言について理解を求めたことを明らかにした。(27日)
●核議論「封殺できぬ」と安倍 安倍首相は東京都内での講演で、核兵器保有の議論について「私の責任ある範囲としての政府、あるいは(自民)党の正式機関として(の議論)はないということははっきりしている。それ以外の議論は、自由な国であるので封殺することはできないのは明らかだ」と述べた。(27日)
●特措法1年延長が成立 アフガニスタンで対テロ作戦を行う米英艦などを自衛隊が後方支援するためのテロ対策特別措置法を1年間延長する改悪案が参院本会議で自民、公明両党の賛成多数で可決、成立した。期限は来年11月1日まで。(27日)
●核実験「蓋然性高い」と日本政府 塩崎官房長官は記者会見で「北朝鮮が核実験を行った蓋然(がいぜん)性が極めて高いものと判断するに至った」と述べた。根拠として米韓が核実験を確認したことなどをあげたが、日本独自の調査で放射性物質が検出されておらず、断定を避けた。この結論に基づく追加制裁はしない方針。(27日)
●ペルシャ湾で臨検訓練 米国が主導する大量破壊兵器の拡散防止構想(PSI)に基づき、核兵器の密輸防止を想定した米英などによる海上臨検訓練がバーレーン沖のペルシャ湾で始まった。(29日)
●6者協議近く再開 中国外務省は、中国、米国、北朝鮮の3カ国が北朝鮮の核問題をめぐる6者協議を近く再開することで合意したと発表した。ヒル米国務次官補も早ければ11月中にも再開できるとの見通しを明らかにした。米国は北朝鮮が解除を求めている金融制裁問題について、6者協議に「作業部会」を設置する用意を表明。北朝鮮は「朝鮮半島の非核化」をうたった昨年9月の6者協議の共同声明を履行する意思があることを確認した。(31日)
●「9条は時代にそぐわない」 安倍首相が米CNNテレビなどのインタビューに相次いで応じ、改憲について「自民党総裁としての自分の任期は3年で、2期(6年)までしか務められない。自分の任期中に憲法改正を目指したい」と述べた。(31日)
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週刊『前進』(2270号6面4)(2006/11/13)
訂正
2269号4面2006年日誌で、教員免許剥奪発言の「中川秀直幹事長」は、「中川昭一政調会長」の誤りでした。
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週刊『前進』(2270号7面1)(2006/11/13)
いじめの根源は日本帝国主義の差別主義 東京・三多摩 野口博
北海道滝川市と福岡県筑前町で、「いじめ」を苦にした小・中学生が自殺するという痛ましい事件が起こった。滝川市では、自殺児童の遺書が市教委によって1年間も放置された。筑前町では、担任の教師がいじめの先頭に立っていたという。
滝川市の女子児童は、小学3年の時から「きもい」と言われ、仲間はずれにされた。筑前町の男子中学生の場合は、担任の教師に「豚」と呼ばれ、差別されていた。元「いじめられっ子」として本当に悲しくやるせない気持ちでいっぱいだ。
「いじめ問題」を子ども同士または教師と子どもの関係にだけ切り縮めて論ずることはできない。日本という資本主義社会における能力主義・差別主義の蔓延(まんえん)が子どもたちの心を蝕(むしば)んでいるのだ。ドラマ「女王の教室」で主人公の「鬼教師」は「クラスの中で幸せになれるのはたった6人だけ」と言い放った。子どもたちはそういう社会の現実の中で、大人に対して「助けて」のサインを出しているのだ。
安倍内閣や文科省は教育委員会の強化を叫びだしている。「いじめ問題」を口実に教育委員会が学校現場に入り込み、教育の実態を全面的に把握しろと言っている。やつらには「いじめ」から子どもたちを救う気などさらさらない。すべてを日教組と「戦後民主教育」のせいにし、教育労働運動を解体しようとしている。日帝こそが子どもたちに「殺せ」「差別しろ」と日々「教育」している。「いじめ問題」の解決は差別の根源、日帝の打倒にしかない。
カウンセラーになるのをやめ体制と闘う 学生 佐々木裕子
私はスクールカウンセラーになりたくて大学に行きました。大学で心理学を勉強していたのですが、自分には合わないと思い、心理学の勉強を途中でやめました。
心理学は戦争とともに発展してきました。最初は第1次世界大戦のとき。アメリカで徴兵された人に知能テストをやって、低い者は最前線に、高い者は知能班に振り分けるために。今でも知能テストは振り分けのために使われています。普通学級か障害児学級かなどに。次の発展はベトナム戦争のときです。帰還した兵士にカウンセリングが必要だったからです。
そして現在もさまざまなところで心理学が利用されていますよね。「心のノート」や不適格教員のレッテルばり、カウンセリングにも。事件があった学校にすぐにカウンセラーを配置しましたとか、すべての学校にカウンセラーを置きましたとかよく聞くけど、100万人カウンセラーがいたら子どもは癒(いや)されますか? 職場にカウンセラーがいたら労働者の心は楽になりますか? カウンセラーで今の現状は打破できますか? 今の体制を変えない限り人びとの心は癒されないと思います。
カウンセラーになることはやめたけど、私はみんなが生き生きと暮らせる社会を作っていきたいと思うようになりました。
小学生に反動参考書を押しつける京都市 京都・学生 雉本一
先日、京都で教基法改悪反対集会に参加、勉強しました。そこで京都市政は超反動的だと確信しました。もとより河合隼雄や中西輝政や佐伯啓思など右翼教官を京大は多く輩出してきた。今度は、「歴史都市・京都から学ぶジュニア日本文化教室」の美名で、「つくる会教科書」型の参考書を京都の全小学生、4・5・6年生全員に売りつけようとしている。
何が問題か? 第一に、この参考書は、「京都は天皇を中心とした文化であり、日本の中心を成した」など、非歴史・非現実・非階級の国粋主義的内容を子どもに植えつけることになる。それも学習資料だけでなく試験までするというのだ。愛国心を強制する「つくる会教科書」型の攻撃をしかけている。
第二に、参考書は各現場の教師が選択するものだが、この参考書は現場が介入する余地なく強制される。市が教育の自由を奪おうというのだ。実際、市長桝本(最近、部落差別発言をした)もこの参考書に大賛同している。
第三に、この参考書の末尾にNTTドコモの広告をはりつけている。また京都全体にばらまいて、旺文社やベネッセがリベートをせしめることが分かっている。資本家に侵された現教育体制の氷山の一角を暴露した。
これらは教育基本法改悪の先取りだ。許してはならない。京都を右翼の拠点にさせないため闘いたい。そして今、何かせねばと思い、今国会へ座り込みに立ち上がっています。現場の教育労働者の体を張る姿に感動して、労働者階級の勝利の展望を確信しました。
北朝鮮の「核実験」についての被爆者の声 広島 横川町子
10月9日の北朝鮮の核実験発表直後から被爆者団体や知事・市長の「抗議」が相次いでいますが、まるで「制裁決議」を後押ししているかのようです。
反戦被爆者の会の方に意見を聞きました。被爆者のSさんは開口一番、「アメリカと日本政府が一番悪いのに!」と事の本質を明確に話されました。
世界一強力な核兵器を持ち、1千回以上も核実験をくり返しているアメリカに日本政府は一度も抗議していない。閣僚から「日本も核武装を」発言まで出る始末です。彼らは北朝鮮の核実験を非難しているが、「原爆」が悪いとは考えてはいない。核実験が悪いというなら、最大の核武装国家アメリカをはじめ世界の核をなくすべきです。
日本は36年間の植民地支配で非常に多くの朝鮮人を強制連行し、広島や長崎でも多くの朝鮮人が原爆の犠牲になった。この問題の解決もしないまま、まるで被害国のように北朝鮮を攻撃しているのはまったく許せない。
北朝鮮は、世界中から非難されていて、まるでアメリカと戦争を始める直前の日本のようだ。でも、その時は日本は中国などアジアをメチャクチャに侵略していた。北朝鮮はどこも侵略などしていない。安倍首相は「臨検」「周辺事態」と言ってアメリカと一緒に戦争を始めようとしている。
日米新安保ガイドライン締結の時以来「戦争法反対」と言ってきたが、いよいよ憲法が大問題となった。ここで阻止しなければまた同じ過ちをくり返す。日米の朝鮮侵略戦争阻止!を実現する道は11・5労働者集会だ。
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週刊『前進』(2270号7面2)(2006/11/13)
11・25星野全国集会 東京山手教会へ
今こそ星野同志を取り戻そう
すべての労働者、学生、市民の皆さん! 『前進』読者の皆さん! 11月25日(土)、渋谷の東京山手教会で星野文昭同志を取り戻すための集会が開かれる。この集会は、「星野さんをとり戻そう!全国再審連絡会議」に参加する首都圏の七つの救う会が実行委員会をつくって呼びかけている集会だ。革共同は、この呼びかけに賛同し、その成功のためにともに闘う。すべての皆さん! 11・25集会に集まろう。星野同志を取り戻すために、今こそ立ち上がろう。
獄中32年、無期懲役と闘う
星野同志の獄中闘争は32年目に入っている。今年、60歳の誕生日を徳島刑務所で迎えた。
星野同志は、1946年4月27日、札幌市に生まれた。66年に高崎経済大学に入学し、不正入学阻止闘争に決起した。その後、学生運動に参加、71年には三里塚現地に常駐して7月仮処分阻止闘争、9月第2次強制代執行阻止闘争を闘い、指名手配を受けた。
これを突破して11・14沖縄「返還」協定批准阻止・渋谷闘争に決起し、機動隊員1人死亡に関する「殺人罪」で指名手配され、75年8月6日、不当にも逮捕された。
国家権力は星野同志に憎しみを集中し、79年2月、死刑を求刑した。1審判決は懲役20年だったが、83年7月、2審の東京高裁・草場良八裁判長は無期懲役を宣告した。87年の上告棄却によって、これが確定判決となり、星野同志は徳島刑務所に送られた。
星野同志は、あくまでも無罪を求め、96年に再審を請求した。2000年の再審請求棄却決定、04年の異議申し立て棄却決定に対して特別抗告し、現在、最高裁で闘っている。
星野同志は裁判闘争をとおして知り合った暁子さんと86年9月17日、結婚した。今年2人は結婚20年目を迎えた。2人は星野同志が言うように「星野=暁子闘争」として一心同体で闘っている。
今年、獄中の星野同志に肉薄する大きな前進がかちとられた。親族や弁護士以外の人との面会、文通が可能になったのだ。この夏には暑中見舞いが「怒濤(どとう)のように」届いたそうだ。10月までに400通を超える手紙が届いている。星野同志は「古い友人から来るのも嬉(うれ)しいが、知らない人の手紙も嬉しい。どの手紙にも、直接、交流できる感激があふれている」と感想を述べている。
また、毎月、友人面会が行われている。22年ぶりに再会した人も、初めて会った支援者もいる。面会した人は誰もが星野同志のにこやかで強靱(きょうじん)な姿勢に感銘を受け、一日も早く取り戻さなければと決意を新たにしている。
71年11・14沖縄奪還闘争とは
今年は、星野同志を先頭とする労働者・学生が渋谷で闘ってから35年になる。
71年秋、沖縄「返還」協定批准をめぐる国会審議が大詰めを迎えていた。当時の佐藤内閣が進めた沖縄「返還」政策とは何だったのか? それは、「本土復帰」によって米軍の沖縄支配を終わらせ、沖縄の現実を根底から変えたいという願いをかなえるかのようなポーズをとりながら、実はそれを踏みにじり、基地と戦争の島としてのあり方を永続化しようとするものだった。
これを見抜いた沖縄の人びとは、71年11・10ゼネストで怒りの意思を示した。このゼネストに何らかの形でかかわった人は、総計70万人に達すると言われる。
佐藤内閣の回答は、国会での強行採決と機動隊の暴力だった。11月14日には、1万2千人の機動隊が渋谷の街を制圧し、一切の集会・デモを禁止した。労働者・学生が闘いの意思を表明するには、この機動隊の壁を実力で突き破る以外に道はなかった。
特に労働者は、逮捕に伴う処分を覚悟し、人生をかけて決起した。関西から上京した教育労働者・永田典子同志は、池袋駅で機動隊の襲撃を受けて虐殺された。労働者・学生は、313人の逮捕をはねのけ、渋谷を闘いの街に変えて深夜まで闘いぬいた。人民の前に立ちはだかった機動隊は、各所で打ち破られ、1人が死亡した。
星野同志は無実の「政治犯」
星野同志は、機動隊員死亡の「実行犯」であるとされ、無期懲役の判決を受けた。しかし、これは完全なデッチあげだ。彼はデモ隊全体のリーダーだったが、機動隊員死亡には一切関係していない。
星野同志の任務は、決起した労働者・学生を率いて渋谷に突入し、そこで待ち受ける大衆とともに闘うことだった。死亡した中村巡査が倒れた時、彼は十数b離れた十字路にいた。NHK方向に別の機動隊が集結し、いつ攻撃してくるか分からない緊迫した状況になっていた。星野同志は、機動隊員攻撃に加わるゆとりなどまったく無かったし、攻撃をしに行ってもいない。これが真実だ。
星野同志を有罪とする物的証拠は一つもない。あるのは、未成年を含むデモ参加者の「供述」だけだ。そのうちの5人は「取り調べでウソの供述を強制された」と法廷で証言した。別の1人は法廷で異様な証言拒否を繰り返した。彼らの「供述」は法廷での検証に耐えられなかったのだ。
確定判決が最も重視するK「供述」は、結局のところ、「服装の色」による間接的認識にすぎない。K「供述」の構造は、a「きつね色の背広上下」の男が中村巡査を殴っているのを見た、bそのような服装の人は星野さんしかいなかった、cしたがって殴っていたのは星野さんだ――という独特の三段論法になっている。
星野同志が実際に着ていた服装は「薄い青のブレザーにグレーのズボン」だ。これは、デモ参加者はもちろん、警察官の証言によっても明らかだ。K証人が見たのは別の人物であり、それが星野同志であるとデッチあげられたのだ。
また、中村巡査への攻撃時間は、どう計算しても1分以内だ。ところが、各自の「供述」どおりに実行したら、とても1分では収まらない。ここにも大きな破綻(はたん)がある。
その時、星野同志は十字路にいた――この真実こそ最大の武器だ。
最高裁における特別抗告審を全力で闘い、再審開始決定をなんとしてもかちとろう。
11・5高揚に勝利の展望が
国家権力がデッチあげで星野同志に無期懲役の攻撃を加え、32年間という長い年月、獄中に閉じ込めていることに心底からの怒りがわく。
71年11・14沖縄奪還闘争は、労働者階級人民が70年代の階級闘争の激動を切り開いた実力闘争だった。この闘いの爆発に恐怖した国家権力は、革共同に破壊活動防止法の適用による革命党破壊の攻撃をかけ、カクマルは革共同に反革命的武装襲撃を加えてきた。星野同志への無期攻撃は、これらと一体であり、階級的報復としての政治的デッチあげ以外の何ものでもない。こんな理不尽で残酷な国家暴力が許されるのか。32年間も一切の自由を奪い、厚い獄壁の中に閉じ込めているのだ。革共同は星野同志を何がなんでも奪還する。
星野同志は、32年もの間、国家権力の極限的な弾圧に屈することなく生きかつ闘いぬいている。革共同と労働者階級の力で解放されることを確信して闘いぬいている。この星野同志の闘いに絶対にこたえよう。
3労組(全日建運輸連帯労組関西生コン支部、全国金属機械港合同、動労千葉)が呼びかけた11・5労働者集会は、戦争・改憲と民営化=労組破壊の攻撃と対決する日米韓労働者階級の国際連帯を力強く前進させている。この闘いの中にこそ星野奪還の展望が示されている。これこそが星野奪還の土台だ。
その上でさらに、あゆる人びとの中に星野奪還の闘いを拡大しよう。「無期懲役の獄中から沖縄闘争戦士・星野さんを解放しよう。無実の政治犯、星野さんを32年の獄中から取り戻そう」の声は、思想的・政治的な立場の違いを超えて人間的な魂を揺り動かす。職場、学園、街頭で星野奪還10万人署名を集め、11・25全国集会(午後2時、渋谷・東京山手教会)への結集を訴えよう。
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集会要項
星野文昭さんを取り戻そう
35年目の渋谷で問う
沖縄―星野11・25全国集会
11月25日(土) 東京山手教会 渋谷公園通りJR・地下鉄渋谷駅から300b
午後1時開場
2時開会
5時閉会
◎講演 知花昌一 反戦地主/読谷村議
−1972年沖縄本土復帰の内実を問う−
「星野文昭さんは何のために闘ったか」
◎朗読劇 イノセント
◎歌と語り
◎パフォーマンス「KAKOと今」
◇07星野カレンダーなど販売
主催/11・25全国集会実行委員会
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週刊『前進』(2270号7面3)(2006/11/13)
浅田光輝氏の逝去を悼む
破防法裁判・元被告 藤原慶久
浅田光輝氏が去る10月10日午後4時に自宅で逝去されました。享年88歳でした。謹んで哀悼の意を表します。
浅田先生は生涯、マルクス主義者として、労働者階級の解放を目指し、理論戦線で活動するとともに、三里塚闘争や動労千葉の闘いを支援し、救援連絡センターの代表世話人として救援運動を支えました。また戦前慶応大学在学中の治安維持法による弾圧の体験に基づき、現代の治安維持法である破防法攻撃との闘いの先頭に立ち、破防法裁判闘争を全力で闘いぬかれました。
70年安保・沖縄決戦は、全学連・全共闘に結集する全国の学生の闘いを先頭にして、全国各地の職場から決起した反戦派労働者の闘いを軸に、万余の労働者人民の沖縄奪還、安保粉砕・日帝打倒を目指す闘いとして爆発しました。
70年決戦の爆発に恐怖する日帝権力・佐藤内閣は、69年4・28沖縄闘争に破防法せん動罪を発動し、本多延嘉革共同書記長(当時)を始めとする革共同と共産同の指導部を逮捕・起訴しました。破防法は、共謀罪と同じく、集会、結社、表現を事前規制する違憲の治安法であり、破防法発動は、本質的には革命党を破壊し、労働者階級の団結を根底から破壊しようとする攻撃です。破防法裁判闘争は、これをめぐる歴史的大裁判闘争として闘われました。
浅田先生は、70年7月20日の第1回公判から85年3月4日の第163回東京地裁判決公判までの14年8カ月にわたった1審公判の全審理を筆記者として記録しました。浅田先生はこの公判メモをもとに、あらゆる困難をのりこえ21年余にわたって「公判傍聴記」を執筆し、雑誌『破防法研究』に掲載し続けられました。その労苦は筆舌に尽くせぬものがあったと思われます。
「公判傍聴記」は、浅田先生自身の破防法裁判闘争とも言うべき力作です。その労作は『破防法公判傍聴記』(全5巻・御茶の水書房)として集大成されました。
浅田先生は「破防法裁判闘争を支える会」の代表世話人として、支える会運動の先頭に立たれました。また浅田先生は、自らも重傷を負いながら、74年1月14日のファシスト・カクマルによる破防法弁護団会議襲撃、75年3月14日の本多書記長・破防法被告団長の虐殺を厳しく弾劾し、破防法裁判闘争の勝利に向かって闘いぬかれました。浅田先生の存在と「公判傍聴記」を抜きに、破防法裁判闘争を語ることはできません。
浅田先生の破防法裁判闘争に注がれた情熱と労働者階級解放への階級的信念は、今日、米日帝の北朝鮮侵略戦争が切迫する情勢下で、これと真っ向から対決する動労千葉を先頭とする闘う労働者人民に引き継がれています。闘いへの決意を新たにし、浅田先生への感謝とお別れの言葉とします。
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●浅田光輝氏の略歴
1918年5月5日、福島県に生まれる。40年11月慶応義塾大学在学中、治安維持法違反で逮捕・起訴、懲役2年・執行猶予3年有罪判決。43年9月、慶応義塾大学経済学部卒業。46年、実枝子夫人と結婚。49年、中央労働学園大学講師。51年、静岡大学文理学部教授(〜67年)。52年、中央労働学院講師。67年、立正大学教授(〜88年)。立正大学名誉教授。専攻は日本近・現代経済史。
●主な著書 日本帝国主義史全3巻(共著、青木書店58―61年)、天皇制国家論争(共著、三一書房71年)、市民社会と国家(三一書房75年)、破防法裁判傍聴記(れんが書房73年)、破防法公判傍聴記(御茶の水書房93年)、破防法を裁く―沖縄闘争破防法裁判二〇年の記録(共編著、御茶の水書房93年)
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週刊『前進』(2270号7面4)(2006/11/13)
狭山要請行動
“事実調べ・再審を行え”
10・31寺尾判決32カ年糾弾
高検に全証拠開示を要求
10月31日、部落解放同盟全国連合会と解放共闘は、狭山第3次再審闘争の一環として、74年10・31東京高裁・寺尾判決(有罪・無期懲役=確定判決)が32年間維持されていることを糾弾し、東京高裁・東京高検への要請行動に立ち上がった。
10・31闘争は狭山闘争週間・全国統一行動の集約として闘われた。要請行動後も全国連と解放共闘は、教育基本法改悪を始め反動諸法案に反対する国会闘争に決起した。障害者自立支援法廃止を求める「障害者」の大行動とも連帯して闘った。
午前の集会で全国連中央本部の楠木吉秀事務局長は「寺尾裁判長が事実調べを打ち切り、不当判決を下して以来32年間、事実審理が行われていない。今度こそ事実調べと再審をかちとろう」と訴え、「警察・検察の差別的集中捜査・取り調べ、部落=悪の巣とする扇動を問い直そう」と差別糾弾の原則を強調した。また大阪、京都、奈良などでの部落解放運動解体攻撃を糾弾、部落解放同盟本部派の腐敗・堕落、融和団体への転向を断罪し、全国連の手で部落解放運動を再生させ統一しようと呼びかけた。
全国連の各県連・支部、解放共闘は、この間の狭山闘争の取り組みを報告、決意を表明した。
午後、霞が関一周デモを行い、闘う「障害者」とエールを交換した。
東京高裁の狭山事件担当は仙波厚裁判長から大野市太郎裁判長に代わった。要請団は「東京高裁は狭山事件の事実調べ・再審を行え、検察に証拠開示命令を出せ」と強く要請、猪原訟廷管理官に迫った。猪原管理官は、前回(7月13日)と同じく「要請文は裁判官がいつでも見られるように保管してある」と答えるのみで、要請文を渡したはずの主任書記官の名前すら明らかにせず、彼らが読んだかどうかも確かめていない。不誠実な態度に要請団の怒りが沸騰した。
東京高検では、要請団は「東京高検は狭山事件の全証拠を開示せよ」と強く要請した。前回出席した矢野検事は出てこず、事務官の山口係長が対応。矢野検事が来ない理由を明らかにしようとしない。山口係長は昨年9月、「自分で証拠を並べてみたら2―3bもなかった」と述べ、99年3月の會田検事の「2―3bある」発言を否定した。山口係長は「『2―3bというのは他の事件のこと。弁護団がひとり歩きさせた』と會田検事が言った」と言う。要請団は、矛盾した発言が起きるのは検察の証拠隠しのためだと追及した。
(寺尾判決糾弾、事実審理・再審行え、証拠開示命令出せと東京高裁にシュプレヒコール【10月31日】)
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週刊『前進』(2270号8面1)(2006/11/13)
教基法改悪阻止・共謀罪粉砕!国会決戦へ
日米韓の国際連帯さらに固く
(写真 デモの先頭に立つ米韓日の労働者。国境を越えた団結を固め、戦争と民営化の攻撃に立ち向かう労働者の隊列が力強く都心を進んだ【銀座】)
11・5労働者集会には韓国・アメリカから昨年を上回る代表団が参加し、日米韓の国際連帯がさらに強くうち固められた。今回は米韓代表の発言要旨を紹介します。いよいよこれから、教基法改悪阻止・共謀罪粉砕へ最大の山場だ。まなじりを決して国会決戦に総決起しよう!
韓国・民主労総から
(写真 発言者に共感し、笑みをこぼす韓国の労働者たち)
11・15ゼネストに決起する 民主労総ソウル地域本部副本部長/キムチャンソプさん
ソウル地域本部20万組合員を代表し「トゥジェン(闘争)!」であいさつします。
私たちは三里塚闘争を現場で直接見て、感じてこの場に来ました。歴史的闘争の現場、おじいさんから孫へ引きついで勝利に向かっている闘いに熱い拍手を送り、今後私たち民主労総もともに闘うことを申し上げます。
同志の皆さんの戦争に反対する闘い、非正規職労働者を正規職労働者に転換する闘い、労働者の生存権を死守する闘いを全面的に支持します。
韓国では、皆さんと同じ理由で労働者たちが闘っています。ノムヒョン政権は、生存権を守ろうという労働者農民の闘いを公権力を導入して圧殺しています。民主労総は新自由主義の手先となったノムヒョン政権に退陣を迫り、労組弾圧を粉砕し、非正規職労働者の拡大を阻止し、韓米FTAを阻止し、ピョンテクの米軍基地建設を阻止し、民主的労使関係立法を作るために11月15日、ゼネストを行います。
私はこの場で宣言します。われわれ労働者は国境を廃止します。戦争に反対し平和を守る労働者の闘いに国境は存在しません。新自由主義に反対し、労働者農民の生存権をかちとるために国境を廃止します。国境をこえる連帯闘争で労働者・農民が主人となる真の世界を作っていきましょう。
この闘いの先頭に民主労総が立ちます。再び闘いの現場で同志たちとお会いしましょう。
韓国・民主労総から 事務所閉鎖の大攻撃と対決 全国公務員労組ソウル地域本部副本部長/ソウォンソンさん
私たち全国公務員労働組合は半世紀の間、政権の下手人にさせられ、言われるがままに生きてきた屈従の歳月をやめ、4年前に自主的な労働組合を設立しました。
しかし韓国政府は、公務員労働者の労働3権を認めていません。全国公務員労組を破壊するために、9月22日、警察権力とヤクザを動員して暴力的に襲いかかり、全国170に達する労組の事務所を強制閉鎖しました。政府の構造調整路線の最も大きな障害になっている公務員労組を完全に破壊してしまうために、この4年の中でも最も激しい弾圧を展開しています。
しかし、全国公務員労組14万組合員は、2月の民主労総への加入賛否投票を圧倒的多数で可決、固く民主労総を死守し、全国労働者大会とゼネストに全組織の力を結集しています。
韓国で進められている構造調整、特に公務員労働者に対する構造調整は、日本では「改革」の名で行われています。政権と資本は、互いに国境を越えて労働者に対する攻撃を強化する政策を交流しあっています。日本と韓国の労働者の要求と利害は同じです。
資本の世界化、いや労働者への攻撃の世界化、貧困の世界化―新自由主義を全世界労働者の名で、韓国・日本の労働者の名で阻みましょう。公共部門の民営化、公務員労働者の構造調整を阻止しましょう。アメリカの東アジア覇権戦略に起因する朝鮮半島戦争策動に対し、韓米同盟、日米同盟をすべての労働者の団結で粉砕しましょう。
アメリカAMFAILWUから
一人の痛みはみんなの痛み AMFA(航空整備士労働組合)ローカル9/ジョセフ・プリスコさん
雇い主たちは至る所で労働者の権利を奪い、組合を破壊するという共通の目的で動いています。日本でもそうですしアメリカでも至る所でこの攻撃に直面しています。
世界中の労働者は、使用者の組合破壊の試みを打ち砕くため「一つの握りこぶし」となって立ち上がらねばなりません。団結して勝利のため闘わねばなりません。反転攻勢に立ちましょう。さもなくば、より一層の後退と敗北を喫します。
すべての闘いとストライキを自分たちの問題としてとらえ、支持していきましょう。
政府と企業は、労働し社会の富を作り出す労働者人民の直接的統制のもとに置かれなければなりません。さもなければ労働者はいつも雇用主の攻撃にさらされ、守勢に回ることとなります。
労働者がストライキに入る時はいつでも、私たちは国際的な連帯と団結を実践しなければばなりません。「一人の痛みは、みんなの痛み」は、基本的な価値の問題です。団結して反撃を開始しましょう。
誇り高く1年超すスト貫く AMFAローカル33委員長/テッド・ルードウィックさん
ノースウエスト航空に対する私たちのストライキは本日で443日目となりました。
ノースウエストは01年「9・11」以来、私たち組合員の半数を削減し、そして今、こともあろうにさらに53%の削減を強要し、残る労働者には26%もの賃金カットを押し付けてきたのです。
わが組合は、これ以上一歩も譲らないという道を選択し、05年8月19日をもって止むに止まれぬストライキに突入しました。他労組は、私たちのストライキを絶望的まなざしで傍観しました。
現在までに組合員の10%がピケラインを越えて職場に帰りました。しかし、自己破産や離婚などの多くの困難を抱えながら90%のAMFAの組合員は誇り高くノースウエストと対峙してきました。ストが始まって以来、パイロットと客室乗務員は、経験がわずか、あるいは皆無のスト破り・ピケ破りによって整備されている航空機で飛ぶことに危険を感じています。他労組は今や、AMFAのピケラインを尊重せずそれを越えたために、全労働者の賃金と社会保障の削減を許してしまったのは大きな間違いだったと率直に認めています。ノースウエストが唯一攻撃できないのは協約交渉の再開のみをスト収拾の条件とするAMFAの固い団結と決意です。AMFAは世界中の労働者の闘いを支持し、ともに闘います。
イラクから即時撤兵せよ ILWU(国際港湾倉庫労組)ローカル34/キース・シャンクリンさん
私たちは今、世界中で連帯の鎖を形成し、民衆の利益に向けた変革を宣言し、各地の政府にそのメッセージを突きつけるべく立ち上がりました。
自らの政府に対し直ちにイラクからの撤兵を強制していかねばなりません。バラバラの死体、親を亡くした子どもたち、相手を失った夫婦やアブグレイブ刑務所の捕虜虐待など、多くの犠牲者を耳にすることはもはや耐えがたい。住む家を失った多くの人たちが街頭で生活している一方、労働者に課せられた税金がデッチあげの理由で始めた戦争に使われていくことに、耐えがたいものを感じます。
ブッシュ大統領は、何の根拠もないまま人びとを逮捕できる反テロ法案にサインしました。日本では共謀罪と呼ばれる同様な法案が上程されています。これらの法案・法律の撤廃までともに闘わなければなりません。
闘いがどれほど長く厳しくても、われわれは何事も恐れない。闘わず立ち去ることなどありえない。世界の労働者が団結すれば、変革を実現し、世界をより良いものに変えていくことは可能です。ともに闘おう!
ランク&ファイルの反撃を ILWUローカル10/クラレンス・トーマスさん
ハリケーン・カトリーナは、アメリカ式民主主義のもとで労働者階級、アフリカン・アメリカン、そして「有色」の民衆が直面する現実を暴き出しました。これは、国際的なパワーを結集し、人種差別主義と抑圧的立法措置と対決することがいかに切迫しているかを提起するものです。
全米に湧き上がるラティーノ労働者の闘いは、ランク&ファイルの労働者の反撃を創りだすために、きわめて重要な事態です。移民の権利運動と2006年メーデー・ボイコットは、近年アメリカ史において最も成功したゼネストの一つとなりました。移民トラック運転手の職場離脱の結果、ロサンゼルス港とロングビーチ港では船荷の90%が立ち往生し、いくつかの大企業は、その日の操業を断念しました。
今や労働者は、ランク&ファイルの世界的反撃の闘いを求めています。黄色、赤、黒、褐色、白色の労働者が、さらなる前進に向け戦闘的な国際部隊として団結していくために、ランク&ファイルの陣形を形成せねばなりません。労働者はいかなる国に移動しても、集団的労働協約を結び労組を組織する力を持たなければなりません。
(写真 全参加者でインターナショナルを歌う。発言者全員が壇上に並び、互いに肩を組んで労働者階級の国際連帯を誓いあった)
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週刊『前進』(2270号8面2)(2006/11/13)
闘う教育労働者が登壇
集会のクライマックスは被処分者を始めとする教育労働者の登壇。2人の被処分者が、教基法改悪絶対阻止の国会決戦へ、勝利の確信に満ちた発言をした
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