ZENSHIN 2006/10/30(No2268 p06)

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第2268号の目次

 
法大 59のスト決議-500人が集会
1面の画像
(1面)
11・5 全国から日比谷野音へ
経済制裁反対・北朝鮮侵略戦争阻止
闘う労働組合の大結集で安倍戦争突撃政権打倒を
記事を読む  
教基法改悪 27日の採決強行を阻め
連日の国会行動に総決起を
記事を読む  
法大 59のスト決議-500人が集会(10月20日) 記事を読む  
今週の国会行動(いずれも衆議院第2議員会館前) 記事を読む  
日程 (11・5労働者集会案内) 記事を読む  
(2面)
教基法改悪反対 国会前に闘いの拠点
ハンスト軸に決起広がる
被処分者らが訴え “戦争への道とめよう”(10月17〜19日)
記事を読む  
教育労働者の発言(10月17〜19日) 記事を読む  
繰り返さぬぞ絶対に ルポ 教育労働者の現場A
教育基本法の改悪阻止! 全国の職場から国会へ
業績評価との闘いA 職場支配権をめぐる攻防
「みんなで反撃」こそが大事(大西晶)
記事を読む  
1万人結集の総力戦へ
11・5集会 第2回実行委員会を開く(10月15日)
記事を読む  
神戸 国会審議を前に改悪阻止へ集会(10月8日) 記事を読む  
資本攻勢&日誌 2006 9・29〜10・13
偽装請負で初の事業停止命令
生活保護が過去最高に/連合と民主党が共同宣言
記事を読む  
日程 国労5・27裁判 記事を読む  
(3面)
連帯労組関生支部 武委員長への第4次弾圧弾劾
11・5労働者集会で大反撃を
記事を読む  
動労千葉冬季物販の訴え  11月1万人大結集のテコに 記事を読む  
経団連と一体の安倍政権
戦争政策を支持し労働者への犠牲要求する御手洗(湯村博則)
記事を読む  
〈焦点〉 北朝鮮の「核」が絶好の口実 戦争発動狙う米日帝 記事を読む  
(4面)
11・5東京日比谷野音に日米韓の労働者が集う
動労千葉に続け
戦争・民営化と闘う国際連帯で 安倍政権を打倒しよう
記事を読む  
川崎 「しもきた」入港に抗議  “軍事利用・動員許さぬ”(10月17日) 記事を読む  
ルポ パトリオットミサイル  PAC3を阻止した3日間
“沖縄の怒りを知れ”(投稿/佐和田由子)(10月8〜11日)
記事を読む  
2006年日誌 10月11日〜17日
国連安保理、北朝鮮制裁決議  米軍がPAC3を沖縄配備
記事を読む  
(5面)
11・5東京日比谷野音に日米韓の労働者が集う
米韓の最強労組が訪日
記事を読む  
労働者集会へ萩原反対同盟事務局次長が訴え
”農民も共通の敵と闘う”
労働者と農民が共に立てば革命が起きる
記事を読む  
現闘本部裁判 ”実地検証行え”  弁護団が裁判所を追及(10月19日) 記事を読む  
(6面)
団結ひろば 投稿コーナー
 「安倍打倒!」を掲げキャンパスで集会 弘前大 宮川正和
 「健全な社会人育成」へ大学が頭髪規制!? 仙台 桃井春奈
 11・5労働者集会で怒りたたきつけたい 愛媛・失業者 山下 徹
 戦争やれる国目指す安倍の『美しい国へ』 東京三多摩 中原一朗
記事を読む  
共謀罪 審議入り-採決許すな
与党、補選明けに強行の方針(10月18日)
記事を読む  
臨時国会での少年法改悪を阻止しよう!
少年を犯罪者扱い
審判に検察官が出席
保護・教育から刑事裁判へ(投稿/竹井あずさ)
記事を読む  
『共産主義者』第150号
装丁を大胆にリニューアル  大谷論文 憲法闘争の論点を考察
記事を読む  
日程 星野さんを取り戻そう 11.25集会 記事を読む  

週刊『前進』(2268号1面1)(2006/10/30)

 11・5 全国から日比谷野音へ

 経済制裁反対・北朝鮮侵略戦争阻止

 闘う労働組合の大結集で安倍戦争突撃政権打倒を

 日本の労働運動の中で今、最も階級的・戦闘的に闘っている3つの労働組合(全日建運輸連帯労組関西地区生コン支部、全国金属機械労組港合同、動労千葉)が呼びかけて11・5全国労働者集会が開催される。労働運動の新たな発展を切り開くため総結集しよう。全世界の帝国主義がますます戦争にのめり込み、労働者階級への搾取と抑圧を強めている情勢のもとで、今最も必要なことは、国境を越え、党派を越え、上部団体の違いを越えて労働者・労働組合が団結し、闘う労働運動を強力に発展させることだ。闘う3労組はそのための熱烈なアピールを発し、11・5集会への総結集を呼びかけている。革共同は、この集会の趣旨に心から賛同し、その成功のために全力で闘う。そして、全国の労働者の皆さんに総結集を呼びかける。

 戦争切迫下で労働者が決起

 北朝鮮の核実験発表とそれに対する国連安保理の制裁決議、そしてライス国務長官の訪日をもテコに日米共同の臨検−海上封鎖による戦争突入へと事態は急展開している。すさまじい排外主義の嵐が吹き荒れている。
 だが、同時に重要なことは、この戦争突入情勢下で労働者階級の巨大な決起が巻き起こっていることだ。沖縄では米軍のパトリオットミサイルの嘉手納基地配備を許すなと、数百人の労働者が港に座り込み、ミサイル機材の搬入を3日間にわたって阻止した。米軍や機動隊との激突の先頭に立ったのは、沖教組・沖縄高教組や自治労、全港湾などの労働組合だ。この決起が政府に衝撃を与えている。労働組合が闘えばすごい力を発揮することが、鮮やかに示された。
 さらに国会前では、教基法改悪と共謀罪に反対する座り込み、ハンガーストライキ、集会が連日闘われている。
 戦争突入情勢下で開かれる11・5全国労働者集会は、こうした全国の闘いをひとつに結びつけ、団結した強力な闘争力に転化する、かけがえのない集会である。ここに日本労働運動の未来がかかっている。
 11・5労働者集会の階級的歴史的意義を、革共同は次のように考える。
 第一に、11・5労働者集会は米日帝の北朝鮮への経済制裁・臨検に反対し、帝国主義の侵略戦争を阻止する総決起集会である。
 北朝鮮スターリン主義・金正日政権の核実験発表に対して一斉に北朝鮮非難の声が上げられ、国連でも制裁決議が採択された。そして日本共産党、社民党、連合などは、この決議を全面支持し、制裁発動に賛成している。
 こんなことは、絶対に見過ごせない。絶対に許せない。それは、米・日帝国主義による朝鮮侵略戦争策動への加担・協力であり、不正義の侵略戦争に労働者階級を屈服させ動員するものだ。
 もちろん核兵器は、どんなに小規模であってもおそるべき殺傷力を持つ無差別大量殺りく兵器であり、北朝鮮スターリン主義の核実験は、世界の労働者人民の反戦・反核の願いと闘いを踏みにじる行為だ。絶対に許されるものではない。
 だが、起きている事態の核心は何か。それは、北朝鮮とは比較にならないほどの数万倍の核兵器を持ち、数え切れないほどの核実験を強行してきた米帝と、核武装化の衝動を持つ日帝が、北朝鮮のそれ自身、反人民的な核実験発表−核武装化政策につけ込んで一挙に朝鮮半島に襲いかかり、金正日政権転覆のための侵略戦争を発動しようとしていることだ。米・日帝国主義の攻撃の矛先は、南北分断打破・革命的統一に向かって闘う南北朝鮮の労働者階級に向けられている。
 イラクへの経済制裁が戦争発動の第1段階であったように、経済制裁は日本共産党がいう「非軍事」などというものでは断じてない。実際、米・日帝国主義は共同で朝鮮海域(日本海)で臨検−海上封鎖を行い、戦争に踏み込もうとしているではないか。
 国連での制裁決議や、臨検、周辺事態法発動の動きに、多くの労働者が怒りをたぎらせている。この怒りを総結集し、巨大な反撃に転じる闘いが11・5集会だ。
 集会には、アメリカのILWU(国際港湾倉庫労働組合)ローカル10と、AMFA(航空整備士労組)の労働者、韓国・民主労総の労働者が多く参加する。まさに戦争情勢下で、当事国のそれぞれにおいて最も戦闘的に闘っている労働組合が一堂に会し、国際連帯で闘おうとしている。「労働者に国境はない」を実践するこれほど時宜にかなった闘いがほかにあるだろうか。

 核武装化を狙う中川や麻生

 第二に、11・5労働者集会は朝鮮侵略戦争にまっしぐらに突き進む安倍政権を打倒するための総決起集会だ。
 安倍政権は「戦後体制からの脱却」を掲げた極右戦争政権である。自民党の中川昭一政調会長や麻生外相の「核武装の議論はあっていい」という許しがたい発言は、日帝・安倍政権の核武装化への衝動を露わにした。
 また中川秀直幹事長の「安倍政権の最大の抵抗勢力は官公労だ」という発言は、安倍政権が労働組合・労働運動を最も憎悪し、全面解体攻撃に出てくる宣言だ。
 この労組つぶしの具体的攻撃が「骨太方針Y」であり、教基法改悪と「教育再生会議」の発足だ。教育再生会議は、日教組の解体を核心的狙いとする会議である。安倍は、教員免許の更新制を最優先の問題として強調している。日教組の組合員であるというだけで不適格とされ、免許が取り消される、そんな時代を到来させようとしているのだ。どうして許せるだろうか。
 教基法改悪は、「愛国心」を現場に強制し、実際に戦争になった時に、「お国のために命を捧げる」ことに教育のみならず全社会を動員しようというものだ。何よりも日教組を解体し、戦争への最大の抵抗勢力である4大産別の労働組合を根絶することを狙っている。
 これに対して日教組本部や自治労本部は、自らに加えられた攻撃の重大性を直視する勇気もなく民主党に頼ったら何とか延命できるのではないかと、とんでもない幻想を抱き、闘う方針を下ろさず、組合員を日帝の攻撃にさらしている。
 このような、闘わない労組幹部を打倒し、現場労働者の下からの”ランク&ファイル”運動で、労働組合を現場組合員の手に取り戻そう。それが11・5労働者集会だ
 しかし中川秀直の「最大の抵抗勢力は官公労」なる発言は、同時に安倍政権の弱点、彼らが何を最も恐れているかを示している。
 教基法改悪阻止に全労働者が総決起することで安倍を打倒できる。11・5労働者集会で、大反撃ののろしをあげよう。

 職場から団結し反撃しよう

 第三に、11・5労働者集会は全国の青年労働者が大結集し、戦争突入情勢下で一層激化する資本攻勢に怒りを結集し反撃していく集会である。
 請負・派遣などの非正規雇用化、格差拡大社会、働いても生活苦から抜け出せない「ワーキングプア」の現実。多くの青年が、このままでは未来に夢も希望も持てない現実だ。こんな社会はぶち壊し変えなければならない。そして、戦争も失業もない、労働者が主人公の社会をつくり出そう。それは絶対に可能だ。見よ、フランスや韓国、アメリカ、イギリスなど世界中で労働者が立ち上がっているではないか。
 第四に、11・5労働者集会はそれゆえ連合中央や全労連中央の労働者支配をうち破り、戦闘的階級的な3労組の闘いに学び連帯し、職場闘争を土台に団結を広げ、労働者階級の勝利に向かって前進していく集会である。
 連帯労組関生支部はこの2年間だけでも4次に及ぶ組合執行部の逮捕、刑事弾圧を受けながら生コン業界で組合員の権利と団結を守りぬく産業政策運動を展開してきた。港合同は幾度もの倒産攻撃にかちぬき、団結を守ってきた。動労千葉は国鉄分割・民営化にストで反撃して組合の団結を守りぬき、今も反合・安全運転闘争を闘って勝利している。そして、この3労組は国鉄1047名闘争の勝利のために階級的原則を堅持して奮闘している。今、これほど闘って職場の団結を維持し、大きな展望を持って闘っている労働組合がほかにあるだろうか。
 「闘う労働組合の全国ネットワークをつくろう」というスローガンは、労働者階級の解放のために闘う労働者、労組活動家、労働組合の切実な共同綱領である。

 国会闘争に立ち11・5へ

 北朝鮮の核実験発表を機に米日帝の朝鮮侵略戦争が切迫している。周辺事態法の発動、または米軍の臨検を後方支援する緊急法案が狙われ、アフガニスタン侵略戦争継続のための対テロ特措法延長が狙われている。まさに「戦争国会」だ。教基法改悪案、共謀罪法案は今週から衆院教基法特別委、法務委が相次いで開かれる。どちらも「十分審議した」として早期の審議打ち切り−強行採決が狙われている。
 全力で国会行動に立とう。そして、国会闘争の真っ只中で、11・5労働者集会への大結集運動を巻き起こそう。

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週刊『前進』(2268号1面2)(2006/10/30)

 教基法改悪 27日の採決強行を阻め

 連日の国会行動に総決起を

〔上左〕ハンスト3日目に突入/〔上右〕日教組が座り込み開始。ハンスト団と共にシュプレヒコール(19日)

 安倍政権が「今国会の最優先課題」に掲げる教育基本法改悪を阻むため、10月末の1週間が大きな山場となった。
 政府・自民党は、衆院教育基本法特別委員会の審議を10月23日からの週に再開しようと狙っている。伊吹文科相は「前の国会で50時間審議した。あと20〜30時間やれば十分」と公言。最短で27日(金)の特別委で採決を強行しかねない緊迫した状況にある。日教組は現場組合員の闘いに突き動かされて、26日(木)午後5時45分から日比谷野音で緊急1万人集会とデモを行うことを決めた。
 23日からの国会闘争が決定的だ。17日から、東京の教育労働者が国会前でリレーハンストと座り込みをスタートした(27日まで)。19日には日教組のブロック動員による座り込みも始まった(30日まで)。さらに連日夕方、東京教組の組合員が職場から駆けつけて座り込んでいる。(記事2面)
 反戦共同行動委は27日を国会集中行動日に設定した。総力で結集しよう。国会前の息吹を職場の仲間に伝え、11・5労働者集会―11・6国会闘争の連続行動に立とう。

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週刊『前進』(2268号1面3)(2006/10/30)

 法大 59のスト決議-500人が集会

 10月20日、警視庁−暴力ガードマンの超戒厳体制を打ち破って法大集会に500人が結集。平林総長に提出した公開質問状の回答を求め学生部追及行動に決起した。19日までに「処分撤回」を求めるストライキ決議は59クラス=5千人に達している(10月20日 法政大)=詳報次号

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週刊『前進』(2268号1面4)(2006/10/30)

 今週の国会行動(いずれも衆議院第2議員会館前)

▽教育労働者有志の国会前リレーハンスト
 10月27日(金)まで 午前9時〜午後6時
▽教育基本法改悪反対国会前座り込み
 10月30日(月)まで
 日教組/午後1時〜4時 東京教組/4時〜6時
▽10月23日(月)
 教育基本法の改悪をとめよう! 院内集会
 午後4時半 衆院第2議員会館第1会議室
 主催 教育基本法の改悪をとめよう!全国連絡会 
▽10月24日(火)
 組対法・破防法共同行動決起集会 午後4時
 反戦共同行動委の集会 午後5時
 教基法改悪をとめよう!全国連絡会集会 午後6時
▽10月27日(金)
 反戦共同行動委の国会集中行動 正午 集会
 共謀罪一日行動 午後1時半 集会。のち座り込み

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週刊『前進』(2268号1面5)(2006/10/30)

 日程

 

たたかう労働組合の全国ネットワークをつくろう!
 改憲・戦争と民営化―労組破壊にたち向かう労働者の国際的団結を!

 11・5全国労働者総決起集会

 11月5日(日) 正午開会 
 東京・日比谷野外音楽堂
●韓国 民主労総ソウル本部
●アメリカ ILWU(国際港湾倉庫労組)
      AMFA(航空整備士労組)
連帯あいさつ
 佐藤昭夫(国労5・27臨大闘争弾圧を許さない会)
 高山俊吉(憲法と人権の日弁連をめざす会)
 小田原紀雄(とめよう戦争への道!百万人署名運動)
 「日の丸・君が代」不起立被処分者/国鉄1047名解雇撤回闘争から/職場で闘う仲間から
呼びかけ 全日本建設運輸連帯労働組合関西地区生コン支部、全国金属機械労働組合港合同、国鉄千葉動力車労働組合

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週刊『前進』(2268号2面1)(2006/10/30)

 教基法改悪反対 国会前に闘いの拠点

 ハンスト軸に決起広がる

 被処分者らが訴え “戦争への道とめよう”

 国会前に、誰もが待ち望んでいた闘いの拠点ができた! この闘争拠点をフルに活用して、教育基本法改悪阻止の闘いが巻き起こっている。職場の闘いと国会前をつなげて、11・5全国労働者総決起集会−11・6国会闘争に決起しよう。
(写真 教育基本法の改悪をなんとしても阻もうと、東京の教育労働者を中心にリレーハンスト&座り込み行動がスタートした【10月17日 衆院第2議員会館前】)
 10月17日、「リレーハンスト&座り込み行動を実行する有志」の東京の教育労働者が呼びかけてリレーハンスト&座り込み行動が始まった(都教委包囲・首都圏ネットがサポート)。東京の「日の丸・君が代」被処分者が、「安倍内閣が教育基本法改悪法案を今臨時国会で通そうとしていることに危機感をもち、教育基本法を守りたいという『やむにやまれぬ』思いで行動に立ち上がりました」と呼びかけ、行動を起こしたのだ。
 17日は東京の被処分者3人と郵政労働者、大阪の元教育労働者の5人がハンストに突入。「日の丸・君が代」被解雇者や福岡の教育労働者も合流した。10日から独自行動を起こした大分県教組の組合員は15人が座り込んだ。座り込み参加者はのべ100人を超え、国会前の景色は一変した。
 午後6時から「教育基本法の改悪をとめよう!全国連絡会」の国会前集会が行われた。香川の教育労働者も参加、「ハンスト突入と聞いて駆けつけた。改悪を阻むため国会前と全国各地をつなげ闘おう」と呼びかけた。
●全国から上京し国会前に合流 18日
 18日は、前日からハンストを継続する2人に加えて、東京で不当な分限免職処分を受けて撤回闘争を闘う教育労働者と、その支援者の4人がハンストを行った。
 広島の教育労働者も駆けつけ「国会前行動に連帯して10月21日、原爆ドーム前でハンストを行います」と表明。京都大学の学生は「京都で大内裕和さんの講演会に参加し、『国会前で闘いが始まっている』と聞いて来ました」と訴えて、ともに闘いぬいた。
 国会見学に訪れた小・中・高校生に向けて、ハンスト者が次々マイクを握って「戦争への道をとめるため、教育基本法改悪に反対しています」と訴えた。熱い訴えに、多くの子どもたちが手を振ってこたえった。
●日教組の座り込みがスタート 19日
 19日は、東京の「日の丸・君が代」被処分者2人と大阪の元教育労働者の3人がハンストを継続した。新潟で集めた「9条を変えるな!百万人署名」の署名を持って駆けつけた新潟高教組の元役員が、教育労働者の後輩たちを力強く激励した。
 この日、ついに日教組本部の座り込み行動が始まった。午後1時からの座り込み行動に、九州・中国・四国の3ブロックの動員に加えて都高教組合員も参加した。日教組組合員とハンスト者ら100人を超える労働者が「『日の丸・君が代』の押しつけ反対」「最後の最後まで闘うぞ」と力を込めてシュプレヒコールをあげた。
 動労千葉・動労水戸ものぼり旗を掲げて駆けつけ、ハンスト団とともに座り込んだ。
 集約集会では、ハンストを3日間やりぬいた東京の被処分者が「日教組もやっと闘いを始めた。国会前から各地に闘いが広がっています。国会前を拠点に闘いを広げ、改悪案を廃案にしよう」と訴え、引き続きの奮闘を誓い合った。
(写真 教育基本法の改悪をとめよう!全国連絡会の国会前集会に400人が参加【10月17日】)

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週刊『前進』(2268号2面2)(2006/10/30)

 教育労働者の発言

◎東京の「日の丸・君が代」被処分者Fさん(都立高教員)
 「国会前に反対の思いを語れるベースキャンプをつくりたい」と思って、ハンストを呼びかけました。愛国心を法律に書き込んで強制することなど許せない。改悪を阻むため27日まで頑張ろう。(17日)

◎東京の被処分者Wさん(都立「障害児」学校教員)
 ハンストが国会包囲行動の重要な拠点になると確信しました。この闘いを大きく成長させ、改悪案の廃案へ一大闘争を起こそう。(17日)

◎東京教組の代表
 石原のもとでの教育行政は、職場に大変な混乱をもたらした。パワーハラスメントが職員に向けられ、新人が校長室で叱責(しっせき)を受け、病人が続出。教基法が改悪されたらもっと大変。なんとしても阻むため、19日からの座り込みに参加してください。(17日)

◎分限免職処分撤回へ闘う教育労働者Mさん
 子どもたちに戦争の真実を教えたら「不適格」とされた。他方、古賀都議は「日本は侵略などしたことはない」と都議会で公言。教基法が改悪されれば東京の現実が全国化する。絶対に改悪させてはならない。(18日)

◎大阪の被処分者Kさん(中学校元教員)
 「教え子を再び戦場に送るな」の日教組だからこそ組合員として頑張ってきた。11・5集会に参加し、教基法改悪阻止を全労働者の課題に押し上げ、国会前を数万の労働者で埋めよう。(19日)

◎東京の被処分者Oさん(都立高元教員)
 退職目前の04年卒業式をめぐり、職員会議で「10・23通達はおかしい」と訴えたら、式当日に会場に入るよう職務命令を出され、処分された。東京の現実は教基法10条違反。この現実を許さないために頑張ろう。(19日)

◎新潟高教組元役員Yさん
 戦時中は小学3年から軍事教練が義務づけられ教官の憲兵に歯向かえば軍刀で脅された。こんな教育は復活させない。私は管理職に「一番怖いのは職場闘争」と言われた。職場闘争は確信なしには闘えない。勇気と確信を持ち闘おう。(19日)

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週刊『前進』(2268号2面3)(2006/10/30)

 繰り返さぬぞ絶対に ルポ 教育労働者の現場A

 教育基本法の改悪阻止! 全国の職場から国会へ

 業績評価との闘いA 職場支配権をめぐる攻防

 「みんなで反撃」こそが大事

 怒りあふれる職場 大阪

 大阪府立高校で働く水沢孝則さんは「評価育成システムは、みんなの怒りの的です」と語る。大阪府では04年度から「評価育成システム」が本格実施された。一人ひとりが「学習指導、生活指導、学校運営」の三つの領域で目標を立てて自己申告票を提出、その結果を校長が「S・A・B・C・D」の5段階で評価する。
(写真 教基法改悪案の国会提出を弾劾しデモに立った関西の教育労働者【5月6日 大阪・扇町公園】 )
 07年度からは前年度の評価が賃金に反映されようとしている。小中学校教諭の場合、SとDの格差(42歳平均)は月給で約5千円、ボーナスで約24万円(年2回分の合計)、年間では計約30万円。しかも自己申告票を2年連続で提出しないと評価が「D」となり、それが賃金に直結するのだ。
 府教委が自己申告票の提出拒否を目の敵にするのは、それだけ拒否者が多いからだ。評価育成システムを試行実施した03年度は提出拒否者が1万人を超えた。本格実施から2年目の05年度でも、未提出者は2000人を超えている。
 大阪府は財政赤字を理由に教育財政を削減してきた。しかも府教委も校長も「自分がどう評価されるか」だけを気にして、上の指示を下に下ろすばかり。こんな府教委と管理職に「くだらないことばかりやるな。上の圧力に屈服するな」「人を出せ、カネを出せ」という怒りがあふれている。
 「労働の疎外は、教育現場においては典型的です」。無意味で形式的な書類の提出などに追われる毎日に、さらに加えて自己申告票の提出や評価の記入などに膨大な時間が割かれる。誰もが多忙化や無責任の体系に怒っている。しかしそれを話し合う時間と機会がない。「みんなで話し合う必要があるね」というのは共通の思いだ。
 大阪の高校の教職員組合は、複数に分裂しているが、同僚たちは職場のみんなで話し合う場を求めている。「組合の枠や組合員・非組の違いを取り払って、全員の職場会をやりたい。みんなで話を始めれば、抵抗の拠点になる」。
 以前は、学校の方針は何でも職員会議で話し合って決めたし、労働組合も職員会議とともに職場支配の要(かなめ)を握っていた。「民間会社なら管理職が決めることを職員会議で決めるんだから、教育労働者の職場支配そのもの。工場細胞が工場の実権を握っているようなものだったんです」。
 教育基本法改悪の核心的狙いは、教育労働者から職場支配権を完全に奪い去ることにある。その最大の実態は職員会議の解体だ。だからこそ、みんなが本音で話せる職場会をつくって、団結をつくり出したいと考えている。
 「自分だけ孤高を守るんじゃダメ」と水沢さんは強調する。「日の丸・君が代」などあらゆるテーマで頑張って闘ってきた。「それは大事だけど、あえて言えば『緩やかであってもみんなでやる方がいい』。当たり前だよね」。
 水沢さんも自己申告票の提出は拒否している。「でも自分が拒否して終わりではない。みんなで評価システムについて考えて、みんなで反撃していく。現場には『なんとかしたい』という気持ちが強いし、全然捨てたもんじゃないですよ」。この闘いは、教育行政による不当な支配を突き破る力を生み出すと確信を持っている。

 全員で団結し対決 奈良

 奈良では今年度から「自己申告評価制度」と「勤務状況評価制度」が実施された。全員にフロッピーを配って「自己申告シート」を提出させるシステムだ。それに対して、浦上亮一さんの働く小学校では「職場全体でまとまって反撃しよう」と取り組んでいる。
 年度始めに各人が記入して提出する「自己申告シート」は、低学年、中学年、高学年と学年ごとに、それぞれ同じ内容で提出した。夏休みに提出する「自己評価」にも同じことを記入。さらに、校長との個人面談については、学年ごとで一緒に面談した。
 昨年、職場で2回、評価制度の学習会を行った。日教組、全教、非組を問わず、みんなが参加した。そして、この制度は職場に分断を持ち込むものであり、「不適格教員」を辞めさせるためのものであり、ゆくゆくは「日の丸・君が代」に反対したらそれだけでC評価にさせられるものだ、と確認。「みんなで反対していこう」という気持ちがはっきりした。
 さらに3月卒業式で「日の丸・君が代」闘争を団結して闘いぬいたことで、「評価制度にも一緒に反対していこう」とまとまった。
 それでも、3月末には「自己申告シート」の提出をめぐって決断を迫られる。職場には「出さないのはちょっとかなわんなぁ」という人もいた。議論を重ね、「バラバラに対応するのはやめよう。個人攻撃を許さないために、まとまって闘っていこう」と決めた。職場に団結があれば、敵のさまざまな攻撃が、さらに団結を強めるチャンスになるのだ。
 同じ奈良の中学校で働く谷口政和さんは、校長と激突しながら自己申告シートの提出を拒否している。「谷口さんに圧力がかかったら、職場全体で反撃する」という仲間意識も強い。しかしほかの人は提出している。「そういう同僚とどうやって一緒に闘うのか。僕も職場で、この春を総括する場を持とうと思っています。『個人面談で何を言われた?』と聞きながら、なんでも言い合いたい。職場では校長への怒りが沸々とわいていて、ちょっと火をつけたら大火事になりそうなほどです」。提出拒否者も、同一内容で提出した人も、団結の強化・拡大を総括軸に闘うという基本は同じだ。
 (大西晶/文中の名前はすべて仮名)

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週刊『前進』(2268号2面4)(2006/10/30)

 1万人結集の総力戦へ

 11・5集会 第2回実行委員会を開く

 11・5労働者集会は目前に迫った。1万人結集に向けた闘いがラストスパートに入る中、同集会の第2回実行委員会が10月15日、東京都内で開かれた。
 呼びかけ3労組を代表して、まず全国金属機械労働組合港合同の辻岡尚執行委員が発言し、「北朝鮮への排外主義のあらしが吹き荒れている。労働者の国際連帯でこれに反撃する運動が必要だ」と訴えた。さらに、昨年11月に中曽根康弘元首相がNHKの番組で「国労をつぶすために国鉄分割・民営化をした」と放言したことを追及する労働委員会闘争に立つと宣言した。
 全日本建設運輸連帯労働組合関西地区生コン支部の高英男(コヨンナム)副委員長は、同労組に加えられた第4次弾圧を怒りを込めて弾劾し、「武建一委員長は『贈賄』容疑で逮捕されたが、そういう事実は一切ない。これは武委員長の長期勾留を目的とした弾圧だ」と断言した。そして、この間の弾圧で団結がより鍛えられたと自信をもって報告し、「国鉄1047名の問題と関生支部への弾圧は連動している。お互いの闘いを共有することが必要だ」と呼びかけた。
 動労千葉の田中康宏委員長は、安倍政権について「改憲を公約に登場した政権は戦後初めてだ。安倍政権を本当に労働者の力で倒さなければならない」と訴え、「北朝鮮への戦争となれば韓国の民主労総をたたきつぶす攻撃も始まる。日米韓の労働者国際連帯で戦争を止めよう」と強調した。
 また、「教育基本法改悪と改憲攻撃がエスカレートする中で、労働者の団結を破壊する攻撃が強まっている。だが、『日の丸・君が代』をめぐる9・21判決に現れたように、少数でも核心を突く闘いをすれば世の中を動かせる。社会の矛盾は若者に集中している。この社会を覆さなければ希望も未来もない。労働組合のあり方を変え、労働者が社会の主人公となる。そのために11・5の1万人結集に全力の取り組みを」と声を強めた。
 討論では、国鉄、教労、自治体、全逓、医療、合同労組などの労働者が発言した。それぞれの発言は、1万人結集を実現するための壁を見据えつつ、職場闘争の実践に踏み込んでいる自信を基礎に、なんとしてもこの壁を突破するという決意に満ちたものだった。仕事に追われ休みも取れない状況にある労働者をどう集会に結集させるかをめぐって真剣な討論が交わされた。労組役員を務める労働者からは、職場闘争に取り組む中で組合員が主体的に11・5に決起する機運が生まれてきたことが報告された。
 呼びかけ3労組からのまとめの提起を受けて、1万人結集へ賛同オルグとチケット販売運動を重点に最後の追い込みに入ることを全体で確認した。参加者は新たな決意を固め直し、さらなるオルグの貫徹に向けて各職場・地域に散った。

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週刊『前進』(2268号2面5)(2006/10/30)

 神戸 国会審議を前に改悪阻止へ集会

 10月8日、神戸市内で「教育基本法の改悪をとめよう!兵庫県集会&デモ」が、県内各地の教育労働者を先頭に195人で闘われました。6月の西宮での西原博史早稲田大教授を招いての集会を引き継ぎ、神戸で教育基本法改悪反対を掲げた初めてのデモとして行われました。(写真)
 10・8集会は、教育基本法の改悪に反対する27人の呼びかけで開催されました。その一人で兵庫の在日外国人教育研究団体代表の玉田勝郎関西大教授が、教育学を専攻する者として今回の改悪に怒りを表し、主催者としてあいさつしました。
 東京の被処分者の中学校教員が「君が代」不起立で休職処分に至る経過、休職中の闘い、9月21日の東京地裁判決の報告を行いました。それは「教師の生き方そのものが生徒にとっては生きた教育」であることを示す感銘深いものでした。
 メインは「教育基本法の改悪をとめよう!全国連絡会」の呼びかけ人で松山大学助教授の大内裕和さんです。大内さんの講演は聞く者を行動に駆り立てますが、今回はいつも以上に内容が深くクリアーでした。とりわけ格差社会攻撃と愛国心強要が一体となって襲いかかっている現状を縦横に展開し、11・12集会への総決起を訴えました。
 高・中・養護学校からの現場の闘いの報告と、国労闘争団の訴えが共感を呼びました。教科書ネットの仲間が「日教組・全教・独立系の3組合が一堂に会した意義」を強調しました。
 大内さん、玉田さん、呼びかけ人を先頭に力強くデモに出ました。デモは三宮センター街を元気よく進み、道行く若者にも「格差拡大と愛国心強要の教育基本法改悪を許すな!」と訴えました。
 10・8集会実行委員会は、今後も街頭宣伝行動や1万人規模の11・3兵庫憲法集会、11月の国会闘争・全国集会を闘い、排外主義をあおって憲法改悪・教基法改悪に突き進む安倍政権と立ち向かいます。
 (投稿/10・8集会実行委員会 M)

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週刊『前進』(2268号2面6)(2006/10/30)

資本攻勢&労働日誌 2006 9・29〜10・13

 偽装請負で初の事業停止命令

 生活保護が過去最高に/連合と民主党が共同宣言

電機連合が職種別賃金の要求方式を決定 電機連合は代表者会議を開き、来春闘から移行する職種別賃金要求方式の具体的方針を機関決定。(9月29日)=要旨別掲
残業100時間超は7社に1社 残業時間が月100時間を超える労働者がいる企業は7社に1社(13.4%)あることが、厚労省発表の05年労働安全衛生基本調査結果で分かった。(10月1日)
企業の9割が60歳超の再雇用制度を導入 改正高齢者雇用安定法に対応するため、92.7%の企業が60歳定年後の再雇用制度を導入したことが日本人材紹介事業協会の調べで分かった。(1日)
不払い残業支払いは1524社233億円 労基署から是正指導を受けて100万円以上の不払い残業代を支払った企業が、05年度は1524社で総額は232億9500万円に上ることを厚労省が発表。(2日)
偽装請負で事業停止命令 違法な「偽装請負」を繰り返したなどとして、大阪労働局は大手人材派遣「クリスタル」グループの製造業請負「コラボレート」に対し、労働者派遣法に基づき事業停止命令を出した。事業停止が命じられたのは全国で初めて。(3日)
連合が新国際組織加盟 連合は中央委員会を開き、11月1日に国際自由労連(ICFTU)と国際労連(WCL)がつくる「国際労働組合総連合」(ITUC:略称ユニオン・インターナショナル)への加盟を決定。(4日)
松下子会社が「偽装請負」 松下電器産業の子会社「パナソニック半導体オプトデバイス」が3月末まで違法な「偽装請負」の形でコラボレートの労働者を働かせていたことが分かった。(5日)
生活保護、100万世帯を突破 05年度の1カ月平均の生活保護世帯数は104万1508世帯で、初めて100万世帯を突破し過去最高となった。93年以降、13年連続で増加。厚生労働省発表の社会福祉行政業務報告で分かった。(6日)
日野自動車が出向を装い派遣 日野自動車が、実態は労働者派遣なのに出向を装って派遣会社から計約1100人の労働者を受け入れ、東京労働局から是正指導されていたことが分かった。「偽装請負」に代わる新たな手口。(6日)
御手洗が制裁協力発言 北朝鮮による「核実験」に関し、日本経団連の御手洗会長は記者会見で「許しがたい蛮行。今後、国連や日本がさらに厳しい態度で臨むのは当然」と、経済制裁に協力する考えを表明した。(10日)
連合と民主党が共同宣言 連合と民主党は共同宣言「ともに生きる社会をつくる」に調印。高木連合会長は「選挙での政策協定とは別の、その土台となる基本的な認識で共通の立場に立つためのもの」と連携強化を強調。(13日)
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 電機連合の新しい職種別賃金要求方式(要旨)

 電機連合が来春闘から移行する「職種基準による個別賃金要求方式」(職種別賃金要求方式)とは、職種基準による代表職種を、技術職は「開発・設計職(30歳相当)」、技能職は「製品組立職(35歳相当)」の二つの職種とするもの。
 これまでの要求方式は、@35歳技能職基幹労働者(4人世帯)A30歳技術職基幹労働者(3人世帯)だった。
 新方式は、これまでの要求方式に残っていた年齢や世帯構成などの属人的な要素を一層薄め、職種基準を前面に出しているのが特徴。登録する賃金水準も家族手当を含めた従来の基準内賃金から「基本賃金」に変更する。ただ当面「年齢」要素を第二義的基準として残す。
 この新制度は、終身雇用制と年功賃金制度をさらに破壊するものだ。

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週刊『前進』(2268号2面7)(2006/10/30)

 日程

 国労5・27臨大闘争弾圧公判日程
第66回 11月8日(水)/第67回 11月29日(水)
第68回 12月20日(水)/第69回 1月10日(水)
 ※いずれも午後1時15分から、東京地裁

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週刊『前進』(2268号3面1)(2006/10/30)

 連帯労組関生支部 武委員長への第4次弾圧弾劾

 11・5労働者集会で大反撃を

 組合組織破壊狙う不当弾圧うち破れ

 大阪府警は、9月22日、全日本建設運輸連帯労組関西地区生コン支部の武建一委員長を、贈賄のデッチあげ容疑で不当逮捕した。この弾圧は、武委員長に攻撃を集中して連帯労組関生支部の組織破壊を狙い、闘う労働運動を根絶して、改憲攻撃でもって戦時体制を築きあげようとする日本帝国主義・安倍政権による暴挙であり、絶対に許すことができない。
 関生支部と全国金属機械労組・港合同、動労千葉の3労組が呼びかける11・5労働者集会を大成功させ、安倍政権打倒の階級的うねりをつくり出すとともに、この不当弾圧をうち破ろう。
 大阪府警による連帯労組関生支部への弾圧は、昨年1月に始まった強要と威力業務妨害容疑による第1次弾圧(大谷事件)と、同じ罪名による同年3月の第2次弾圧(旭光事件)、そして政治資金規正法を口実とした門真市議・全日建運輸連帯労組近畿地本委員長である戸田ひさよし氏と武委員長への第3次弾圧に続いて4度目である。
 第1次、第2次の弾圧では、関生支部が取り組んできた中小企業の経営と労働者の生活を守るための生コン業界における産業政策を攻撃し、労働組合のストライキとピケットを刑事弾圧の対象としたものであり、闘う労働運動に対する戦時下の治安弾圧攻撃そのものであった。
 また、第3次弾圧は、すでに勾留期間が11カ月目となり、裁判での証拠調べも終わって保釈目前だった武委員長に対して、さらに理不尽な長期勾留を狙うと同時に、戸田議員の議員資格をはく奪し、その政治生命をも傷つけようとする悪辣(あくらつ)な政治弾圧であった。これを受けて、大阪地裁は、8月24日、罰金刑ながら公民権停止をともなう有罪判決を下している。当然のことながら、戸田議員らは控訴して闘い、旺盛(おうせい)に議員活動を続けながら反撃に立ち上がっている。
 以上の一連の不当弾圧に続いて加えられた今回の弾圧は、その悪辣さが際だっている。これまでの弾圧においても、「生コン業界のドン逮捕」などという仰々しいマスコミ報道が行われてきたが、事実関係をみれば労働運動として当たり前の実力行使であり、組合員らからのカンパ提供にすぎないものだった。

 “引退してもらう”うそぶく国家権力

 今回は、大阪拘置所内での暴力団関係者への便宜供与事件と結びつけてマスコミに大々的なキャンペーンを行わせ、関生支部と武委員長の社会的影響力を断ち切ろうとするものだ。しかし、武委員長は、逮捕直後に行われた9・25大谷・旭光事件公判の最終意見陳述の冒頭に、「贈賄の事実はない」「便宜供与を受けた事実もない」と言明して無実を主張し、不屈の獄中闘争を闘いぬいている。
 この弾圧の本質がまったく別の所にあることは、まず逮捕の時期に示されている。10・13関西国鉄集会(大阪市港区)で明らかにされた関生支部の報告では、今年3月に武委員長を保釈奪還した後、それまでの困難をのりこえて06春闘に立ち上がり、生コン業界に組織を持つ5労組の共闘の力で5ケタの有額回答を目指して非妥協に闘ってきた。ところが、賃上げゼロ回答と一部解決金のみという経営側の回答に対して、武委員長逮捕の翌日から動揺が始まったという。
 この弾圧は、まず第一に、関生支部の「会社をつぶすか業界を変えるか」をかけた産業政策と原則的な闘いに対する組織破壊と共闘つぶしを狙ったものだ。また、この9月から、11月労働者集会の成功に向けた組織活動が本格的に始まることも自明であって、港合同・動労千葉との共闘と「たたかう労働組合のネットワーク」運動をたたきつぶすための国家権力と大阪府警による不当弾圧なのだ。
 第二に、この弾圧は、第1次から3次までの弾圧によってもつぶせなかった関生支部が、果敢に社会的反撃にうって出て、国策捜査を弾劾するシンポジウムや署名運動を全国で展開し、大きな反響を組織してきたことに打撃を受けた国家権力が、必死に取り戻そうとするあがきにほかならない。
 そして第三に、日帝・安倍政権の発足と相前後した今回の弾圧は、教育基本法改悪と共謀罪成立策動から改憲へと突き進もうとする改憲内閣の反労働者性をむき出しにした政治弾圧、治安弾圧であるということだ。一連の弾圧のなかで取調官が言った次の言葉がもっとも雄弁にこのことを示している。「今回の事件で武委員長には引退してもらう。君たちの運動は今の時代にそぐわない」。この「今の時代」とは、新たな戦時下ということであり、改憲ということだ。

 国鉄決戦と一体で総反撃に立とう!

 鉄建公団訴訟原告団と国鉄闘争支援関西共闘会議(準)が共催した10・13関西国鉄集会において、関生支部の高副委員長は、「この弾圧によって関生支部内ではいっそう団結が固まり、組合員から『執行部はどんと構えとけ』と激励されている。これから正念場を迎える06春闘では越年となっても闘いぬく」と表明した。
 さらに、この弾圧が国鉄闘争と一体であることを強調し、「国労攻撃から総評解体、社会党解散となってやりたい放題の弾圧が行われるようになっている。国労攻撃を許してきた結果だ」として、単に関生支部への弾圧ではない、日本の全労働運動勢力が連帯して団結し、反撃していかなければならない、と訴えた。
 国鉄闘争と関生支部弾圧との闘いは一体であり、中曽根発言弾劾の闘いや5・27国労臨大闘争弾圧との闘いとも一つながりである。労働者階級の勝利の道は、国鉄決戦をはじめとする4大産別決戦と改憲阻止・安倍政権打倒の闘いをさらに大きくつなげて、闘う労働運動の総決起を実現していくことの中にある。
 獄中の武委員長の不屈の闘いを支え、連帯労組関生支部の闘いに連帯して反撃の闘いに立ちあがろう。11月労働者集会に総結集して労働者の怒りを安倍政権にたたきつけ、共謀罪と戦時治安弾圧の攻撃を教基法改悪・改憲攻撃もろともぶっ飛ばそう。

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週刊『前進』(2268号3面2)(2006/10/30)

 動労千葉冬季物販の訴え

 11月1万人大結集のテコに

 職場支配権かけた反合闘争

 06年冬季動労千葉物販は、これまでの物販闘争をはるかに超える重要な闘いとなった。憲法改悪を真っ向から掲げる安倍政権の登場に対して、4大産別を先頭とした全労働者の反撃を今ここでたたきつけなければ、動労千葉も闘う新潮流運動も一掃されてしまう。日本労働運動の命運をかけて11月労働者集会1万人結集を何がなんでも実現する。そのための最大の突破口が物販闘争だ。すべての労働者は闘う動労千葉の旗のもとに結集せよと訴えることが今期物販闘争に問われている。
 9月29日、JR千葉支社は、幕張構内脱線事故に関して、当該組合員に対して出勤停止15日の重処分を発令してきた。業務上発生した事故に対する処分としてはこれまでになくきわめて重い処分であり、絶対に許すことはできない。
 しかし同時に、JR当局の解雇処分策動を完全に跳ね返し、1人の仲間を守り抜くことに勝利したのだ。これは、動労千葉が反合・運転保安闘争路線という基本路線で団結し闘いぬいた結果の勝利である。
 反合・運転保安闘争路線の核心は、合理化絶対反対にある。反合理化闘争は資本の本質と最も鋭く衝突する闘いだ。それは職場支配権をかけた闘いであり、資本と労働者のどちらがその職場の主人なのか、支配者なのかをかけた闘いだ。
 合理化を受け入れるということは支配権を明け渡し奴隷になるということだ。組合幹部は首切りの手先になるということだ。だから、反合闘争は労働組合にとって試金石なのだ。
 事実、国鉄分割・民営化においてJR総連は首切りの最悪の先兵となったのである。

 合理化に屈服した国労本部

 そして国労本部は、1047名闘争において今日、政治解決路線を持ち込み闘争破壊の最悪の先兵となっている。動労千葉を除外した「4団体共闘」をもって、統一要求から解雇撤回を取り下げ、闘いの幕引きへ突っ走っているのだ。
 国労本部の屈服の分水嶺は、第2の分割・民営化攻撃の中で、業務外注化推進条項を盛り込んだシニア協定を締結したところにある。雇用延長を人質にして、労働組合を外注化=合理化の手先にするという卑劣な攻撃を国労は受け入れたのだ。その結果、尼崎事故が起こり、レール破断事故が続発しているにもかかわらず、国労本部は一切の闘争を組むことができなくなってしまった。
 合理化攻撃に屈服したがゆえに、職場・生産点で闘えなくなり、1047名闘争においても裏切りの道を転がり落ちているのだ。
 これに対して動労千葉は、シニア協定を拒否し、5年に及ぶ外注化阻止の闘いを貫き、外注化をストップさせ、ついにシニア制度そのものを粉砕してしまった。また幕張構内脱線事故でも当局の解雇処分策動を完全に跳ね返した。
 国鉄分割・民営化に対しストライキで闘い、民営化後の外注化攻撃を反合理化闘争で粉砕し勝利してきたのである。ここで学ぶべきことは、合理化は労働組合の協力なくしては不可能だということだ。なぜなら職場を動かしているのは労働者だからだ。動労千葉のように闘えば勝利できる根拠がここにある。
 資本の民営化攻撃、外注化攻撃、非正規化攻撃、あらゆる合理化攻撃によって労働者の生活は破壊され、職場は怒りに満ちあふれている。吹き荒れる資本の攻撃にどう立ち向かえば良いのか、労働者は勝利の路線を探し求めている。

 人生を変えるオルグが必要

 動労千葉のように闘えば絶対に勝利できる! 物販闘争をとおして動労千葉の勝利の路線をすべての職場に持ち込もう。それこそが11月1万人結集を実現する道だ。
 情勢を語るだけでは、巨万の労働者を動かすことはできない。人生を変えるオルグが必要だ。動労千葉の闘いの中にその力がある。何より、われわれ自身がその力に確信を持つことだ。
 労働者は団結して闘えば絶対に勝利できる、なぜなら社会を動かしているのは労働者だからだ。労働者こそが社会の主人公だ! 疑う者は動労千葉を見よ!
 絶対に11月1万人結集を実現し、労働者の未来を切り開こう! そのために自分のこれまでの人生のすべてをかけて物販闘争を闘おう!
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◇販売品目◇
天津甘栗
500
焼カシューナッツ
600
焼のしいか
650
北海道レアチーズケーキ
850
マンゴー
1000
さんまの佃煮
800
味付しじみ
1000
ゲド戦記カレンダー
1600
特選するめ
1000
10
グリコハムセット
3000
11
パスタとソースセット
3000
12
純米焼酎
2000
13
山梨ワイン
2900
14
落花生
2000
15
かき餅
1800
16
種なし干し梅
1000
17
もずくスープ
500
18
野菜たまごスープ
1200
19
即席みそ汁20食
1200
20
農協キムチ
500
21
ほたて貝柱
900
22
梅にんにく
1300
23
ポケットチーズ
700
24
ひじき炊き込みごはん
800
25
静岡茶
600
26
モカブレンド
1000
27
北信濃手折りそば
1600
28
讃岐うどん
1350
29
博多ラーメン
1000
30
喜多方ラーメン(生)
1000
31
寒干しラーメン
1200
32
アソートチョコレート
1300
33
丹波の黒豆
600
34
ひじき
600
35
天然だしパック
1200
36
根昆布しょうゆ
600
37
日高昆布
1000
38
ナガイ焼きのり5帖
1700
39
紀州南高梅
1800
40
ビーフカレー20食
3000

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週刊『前進』(2268号3面3)(2006/10/30)

 経団連と一体の安倍政権

 戦争政策を支持し労働者への犠牲要求する御手洗

 改憲と教基法改悪を全面支持

 9月26日に戦争と改憲の安倍内閣が発足した。
 これを受けて御手洗・経団連は、「新内閣への要望」と題する建議を行った。これは奥田前会長の小泉全面支持に続く全面支持表明だ。
 「要望」は次の5つの項目からなっている。
(1)イノベーションによる新しい日本型成長モデルの実現
(2)日米関係を基軸とし、アジア大洋州地域を重視した外交・通商戦略の展開
(3)歳出入一体改革の着実な実施、持続可能な社会保障制度の確立
(4)地域活性化に向けた道州制の導入
(5)教育再生、憲法改正に向けた取り組み 
 まず(5)に掲げる「教育再生、憲法改正に向けた取り組み」を見てみよう。そこでは以下のような驚くべきことが述べられている。
・教育基本法改正案の早期成立
・愛国心に根ざした公徳心の涵養(かんよう)
・国民投票法案の早期成立。憲法改正案の取りまとめ
 まさに日本経団連が、改憲とそのための国民投票法案の早期成立を真正面から要求している。それだけではなく、教育基本法改悪と愛国心の強制など戦争のための教育制度改革を露骨に主張しているのだ。本当にとんでもない事態である。

 小泉=奥田以上の資本攻勢要求

 その上で、全体を見てみると、御手洗経団連が安倍に小泉=奥田以上の資本攻勢を要求していることが分かる。
 偽装請負で青年労働者を月収10万円そこそこでこき使ってきた張本人こそキヤノンである。その会長・御手洗が主張する「イノベーションによる新しい日本型成長モデル」とは何か。
 それは、キヤノンのような偽装請負を合法化させて日本全体に満展開し、社会全体を不安定雇用にたたき込んで、労働者階級の血の犠牲の上に日本の資本主義の競争力を高めようということしか意味しない。
 また「日米関係を基軸とし、アジア大洋州地域を重視した外交・通商戦略」とは、日米枢軸を軸にした軍事・外交・戦争政策を展開し、北朝鮮侵略戦争策動と、アジアでの勢力圏形成の野望を語ったものだ。
 「歳出入一体改革の着実な実施、持続可能な社会保障制度の確立」とは、骨太方針Yに基づく公務員制度改革を始めとした4大産別への攻撃と消費税増税であり、社会保障制度解体攻撃だ。
 このように経団連の「要望」は文字どおり、安倍の所信表明演説の中身そのものである。事実、安倍は御手洗の「要望」に対して「私の公約とほとんど同じ内容だ」と答えているほどだ。

 ヒトラーに似た労組解体の攻撃

 安倍は、9月1日に発表した政権公約において、「戦後レジームからの脱却」を掲げた。
 これは、第1次大戦後の1919年に締結されたベルサイユ条約体制が30年代のドイツのすさまじい経済危機の原因だとして、「ベルサイユ体制打破」を掲げて台頭したナチス・ヒトラーを思わせる主張である。
 ヒトラーは、ドイツ財界の支持を受け、権力の座につき、35年にはベルサイユ条約を一方的に破棄して再軍備と徴兵制の復活に突き進み、ついには第2次世界大戦の放火者となり、全世界を戦争の惨禍にたたき込んだ。
 御手洗を先頭にした日帝ブルジョアジーは、当時のドイツ・ブルジョアジーと同様、世界戦争への道を歩もうとしている極右政治家・安倍を選択するしかないほどまでに深刻な体制的危機に追い詰められているのだ。
 だが、ドイツの労働者階級がヒトラーの登場を許したのは、ドイツ共産党とドイツ社民党の誤った指導により、白色テロを始めとしたナチスの労働組合解体攻撃に敗北したことにある。安倍の「戦後レジームからの脱却」もその狙いは4大産別を先頭にした労働者階級の組合的団結の解体にある。「最大の抵抗勢力は官公労」という中川幹事長の発言はそのことを鮮明に物語っている。
 しかし、今日日本の労働者階級人民は、怒りの反撃を開始している。
 動労千葉は、小泉「構造改革」そのものである「第2の分割・民営化」攻撃に対して、労働組合的団結を維持して、攻撃を跳ね返して闘いぬいている。さらに、教育労働者は「日の丸・君が代」攻撃に対して不起立で闘いぬき、9・21予防訴訟全面勝利判決をかちとった。
 まさに、4大産別を先頭にした労働組合をめぐる決戦に突入しているのだ。この4大産別決戦を軸に、「格差社会」の現実に怒る青年労働者・学生の根底からの決起が始まりつつある。
 11・5労働者集会への1万人結集を実現し、安倍=御手洗の戦争と労働者階級への資本攻勢を粉砕しよう。
 (湯村博則)

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週刊『前進』(2268号3面4)(2006/10/30)

焦点 北朝鮮の「核」が絶好の口実 戦争発動狙う米日帝

●安倍政権の戦争的な突出
 北朝鮮スターリン主義の「核実験」発表を絶好の口実とした米・日帝国主義による北朝鮮侵略戦争の危機が一気に高まっている。
 10月14日、国連安保理は米日帝が主導して北朝鮮に対する国連憲章第7章に基づく制裁決議を採択した。これは「貨物検査」という名の船舶検査=臨検が可能な強制力を持った制裁決議である。
 北朝鮮侵略戦争の現実化は、イラクやイランへの戦争発動を超える歴史的大きさをもっている。なぜならそれは、戦後世界体制の最大の矛盾点である南北分断体制を解体・変更するものであり、米帝ブッシュによる中国スターリン主義に対する体制転覆=侵略戦争発動を射程に入れて、世界戦争に連動していくものだからである。
 米日帝の北朝鮮侵略戦争と世界戦争への攻撃に、日米韓の労働者国際連帯を先頭に階級的大反撃をたたきつけなければならない。
 日帝・安倍政権の突出ぶりは戦後の歴史を画している。中国政府に対して国連憲章7章決議の必要性を迫ったのみならず、すでに北朝鮮への独自の経済制裁を先制的に発動した。さらに米政府の決議案に加え、北朝鮮と各国を結ぶ海路と空路を事実上遮断し、北朝鮮からの製品の輸入や政府高官の渡航禁止を求めたのだ。これは現実に戦争発動の第1段階である。
 安倍政権は、現実に北朝鮮侵略戦争政権である。すでに安保理決議をたてに周辺事態法(99年制定)を「日本の平和と安全に重要な影響を与える場合」と強弁して適用し、海上自衛隊による船舶検査(臨検)や米軍艦船への給油などの後方支援に踏み込もうとしているのだ。さらに臨検により強制力を持たせるための特別措置法の成立ももくろんでいる。
 また「個別的自衛権と集団的自衛権の間にあるものについて、個別的なケースを当てはめていく。…研究の結果、わが国が禁止する集団的自衛権の行使ではないという解釈を政府として出すことは十分にあり得る」(10月11日参院予算委員会での安倍首相答弁)と、集団的自衛権行使に決定的に道を開こうとしているのだ。
 これらは北朝鮮侵略戦争発動の攻撃そのものである。
●日帝の核武装化への衝動
 こうした中で、特に自民党政調会長の中川昭一が「日本の核兵器保有の論議は当然」と発言し、またそれを居直り、外相の麻生太郎も「論議は大事だ」と公言していることは超重大である。日帝の核武装への衝動が一気に噴出している。これを徹底弾劾し、安倍政権打倒へ闘わなければならない。
 安倍が真っ先にやろうとしている教育基本法改悪は、集団的自衛権行使の解釈改憲の攻撃と並んで、日米同盟(日米枢軸)のもと米軍と一体化して、北朝鮮侵略戦争に突入していくための攻撃だ。
 同時に安倍政権は、帝国主義間の競争に勝ち抜き、戦争のできる国家となるために、労働組合を解体し、労働者の団結を破壊し、“労働者はお国のために犠牲になれ”と強制している。
 米日帝の北朝鮮侵略戦争―世界戦争の攻撃の切迫に、労働者人民には国際反戦闘争と世界革命を対置し、“帝国主義戦争を内乱に転化する”ために闘うことが求められている。日米韓を始め、今や全世界で戦争と民営化(労組破壊)に対する労働者人民の闘いが始まっている。11・5労働者集会は、その最大の決戦場である。
●スターリン主義の反人民性
 北朝鮮スターリン主義・金正日政権による「核実験」は、もちろんきわめて反人民的・反プロレタリア的であり、怒りをもって弾劾されなければならない。
 米帝ブッシュは北朝鮮を、イラク、イランと並んで「悪の枢軸」と名指しし、侵略戦争発動と体制転覆を狙っている。すでに戦争重圧と金融制裁で、北朝鮮を体制崩壊の危機に追い込んでいる。この中での北朝鮮の対抗的で冒険主義的な延命策が「核実験」だ。
 しかし核による対抗は、全世界の労働者人民の闘いへの根底的な敵対であり、妨害である。スターリン主義は徹底して労働者の自己解放闘争を否定し、抑圧する存在だ。特に「核実験」は民主労総を始め朝鮮人民が階級的団結を打ち固め、資本攻勢に立ち向かい、帝国主義の侵略と対決し、南北分断体制の打破をかけて闘っていることへの根底的敵対と裏切りだ。
 そもそも核兵器と労働者階級人民とは、絶対に相入れない。核兵器とは帝国主義世界戦争が生み出した労働者人民大虐殺のための兵器であり、その存在そのものが労働者人民にとって絶対に非和解なのだ。労働者人民の団結した闘い、国際連帯の闘い、世界革命勝利の闘いの中にこそ、核(兵器)廃絶の道があるのである。
 すでに地球を何回も破壊できる膨大な核兵器を持っている米帝や、核武装の野望を抱き核爆弾5千発分のプルトニウムを所有する日帝に、北朝鮮の「核実験」を批判する資格など毛頭ない。
 その点では、日本共産党が北朝鮮制裁論の大合唱に加わり、「国連安保理決議を歓迎する」(志位委員長談話)と言っていることは許しがたい。
 米日帝による北朝鮮侵略戦争と世界戦争の切迫情勢に対決する道は、戦争と民営化(労組破壊)の攻撃の元凶である帝国主義を打倒する労働者人民の団結と、日米韓労働者の国際連帯闘争であり、世界革命に向けた闘いである。
 11・5労働者集会に1万人の労働者の大結集を実現することこそが、何よりも求められている。

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週刊『前進』(2268号4面1)(2006/10/30)

 11・5東京日比谷野音に日米韓の労働者が集う

 動労千葉に続け

 戦争・民営化と闘う国際連帯で 安倍政権を打倒しよう

 三つの労働組合が11・5労働者集会への結集を呼びかけた。この3労組=連帯労組関西地区生コン支部・港合同・動労千葉は、階級的労働運動を職場で闘い、団結を守っている。仲間を守り、団結を強化する闘いを全国の闘う労組のネットワークとして広げている。これが国際的に信頼され、03年から11月の労働者集会は国際連帯集会として開催されている。安倍改憲政権登場と北朝鮮核実験を機に日米帝国主義が朝鮮侵略戦争へ突進している。今年は、これと対決する日米韓の最も戦闘的階級的な労働運動が団結を固める集会となる。

 職場で団結して勝利!

 国鉄千葉動力車労働組合(動労千葉)は今年前半、JR東日本の総力をあげた闘争圧殺と対決して職場の団結を再強化し、反合・運転保安闘争に勝利した。幕張事故への処分攻撃に全組合員が対決しぬいた。安全問題として最も鋭く矛盾が現れる合理化攻撃に対して徹底的に闘い抜く動労千葉の路線の圧倒的な勝利だ。
 教育基本法改悪案など一連の超反動法案は、先の通常国会で阻止された。この闘いでも3労組は最もよく闘った。
 そして、3労組が連帯し、全力をかけてともに闘ってきた教育労働者の「日の丸・君が代」不起立闘争は、予防訴訟での9・21全面勝利判決という画期的な地平をもぎとった。
 この動労千葉の闘い、そして3労組共闘こそ、全労働者の勝利の道を示している。
 それは、次のことからも言える。
 動労千葉は、小泉構造改革の根幹と対決し、勝利してきた。これは、すべての労働者が直面している現実との闘いの方向を示している。この間の労組破壊攻撃、すさまじい生活破壊、「格差社会」といわれる現実は、小泉構造改革によってもたらされたものだからだ。
(写真 昨年の11・6国際連帯集会。日米韓の労働者が国境を越えて団結、集会終了後、都心を揺るがす大デモを行った【05年11月6日】)

 反民営化は世界の闘い

 ここで、小泉構造改革がなぜ生まれてきたのかを見てみよう。
 小泉構造改革は、1980年代のサッチャー・レーガン・中曽根政権を先頭に全世界で強行された民営化・規制緩和を、飛躍的に凶暴化して推進しようとしたものだ。
 80年代の民営化・規制緩和は、アメリカ帝国主義のベトナム侵略戦争敗北、民族解放闘争の大高揚と帝国主義諸国での階級闘争の巨大なうねり、そして73年オイルショックと74―75年恐慌という帝国主義の崩壊的危機からの脱出をかけて行われた攻撃だった。そして、91年のソ連スターリン主義崩壊によって、世界史は「帝国主義とスターリン主義の世界体制」の時代から、帝国主義間対立が基軸となり帝国主義間争闘戦が一挙に激烈化する時代に突入した。基本矛盾の爆発にあえぐ帝国主義は全世界で民営化・規制緩和を一層激烈化させて延命しようとした。
 日本では、80年代をとおして国家権力の総力をあげて強行された国鉄分割・民営化に動労千葉が首をかけ、組織をかけてストライキで反撃したことによって、この攻撃は貫徹しなかった。国労本部の屈服にもかかわらず、国労を壊滅させられず、90年代以降も1047名の解雇撤回闘争が継続した。国労をつぶし、総評・社会党をつぶし、新憲法を作るという中曽根路線は根本のところで粉砕されたのだ。
 この階級関係の中で日帝は、新たな帝国主義間争闘戦=91年「湾岸戦争」で55年体制の再編を迫られる。同時に、90年代はバブル崩壊後の長期不況という危機の際限ない進行の時代だった。
 ここから95年、日経連の「新時代の『日本的経営』」が出され、そして2001年に小泉構造改革が登場する。

 シニア協定・外注化に勝利

 JRは2001年完全民営化を大目標としていた。だが、分割・民営化後10年たっても、JRは労働者の闘う団結を破壊しきれないという根本問題に直面していた。そしてJR経営は、国鉄の赤字問題の解決とは程遠い状態だった。
 他方、社会保障構造改革の中で年金制度が大改悪された。年金満額受給年齢の引き上げで、定年になっても年金で生活できなくされた。JRはこれを利用して、定年退職者に「グループ会社等での再雇用」のあっせん(「シニア制度」)と業務外注化をワンセットにして組合にのませる攻撃をかけてきた。JR総連は真っ先にその先兵になり、国労もそれを受け入れた。
 こんな合理化攻撃は、動労千葉がのめるものではない。しかし定年間際の組合員の生活は深刻な問題だった。涙を流して脱退していく組合員と必死になって討論し、生活を確保し、団結を再強化する闘いを積み重ね、4年目にようやく脱退者が出なくなったという(『コミューン』10月号参照)。この闘いをとおして全国で千葉だけが検査・修繕職場の外注化を阻止する大勝利をかちとったのだ。
 これに対して、シニア協定と闘わず外注化を許した国労本部は屈服を深め、資本と国家権力に依存して延命する路線に一層のめりこんだ。1047名闘争への裏切り、切り捨てがこの時期からより露骨になっていった。
 動労千葉が国鉄分割・民営化と唯一ストで闘い、現在も第2の民営化攻撃と闘っていることは、世界の労働運動との信頼関係を強めている。民営化・規制緩和といかに闘うかが、世界のすべての労働運動が直面する厳しい課題だからだ。
 ここから、ILWU(国際港湾倉庫労働組合=西海岸の港の組合)のローカル10(第10支部)や韓国民主労総の動労千葉への信頼が生まれ、03年11月集会は、3労組共闘と3カ国の労働組合の連帯集会として行われることになった。

 戦時下に職場で闘う

 職場の闘いは、小泉構造改革との闘いだった。また、これは01年「9・11」以後の「対テロ」の名によるアフガニスタン・イラク侵略戦争、グローバルな大戦争の開始との闘いでもあった。
 日本帝国主義は、改憲と戦争に突き進まなければ延命できない。しかし、生産と交通を担う労働者が団結して闘っている状態を放置しておいては、改憲・戦争はできない。だから労働組合つぶしの攻撃が激化する。
 動労千葉は、03年の3・20イラク侵略戦争開戦の直後に72時間の春闘ストライキを打ち抜いた。この知らせは全世界をかけめぐり労働者の闘いを圧倒的に激励した。
 アメリカでは、「9・11」以後の排外主義のすさまじい重圧の中で労働運動は苦闘していた。ILWUの02年の労働協約更改闘争では、「港湾での労働争議はテロを利する」とリッジ国土安全保障長官がILWU委員長を直接恫喝するなど、政府があらゆる圧力をかけた。ILWUはこれまで全米で最も戦闘的階級的な闘いをしてきた組合だ。ベトナム戦争時に他の労組がほとんど戦争賛成ないし沈黙していた中で唯一反戦闘争をしている。このILWUさえ、この「対テロ戦争」下の重圧の中では、後退した新協約を締結してしまったのだ。
 この時、全世界3000万人の巨大デモの力を職場でいかに発揮していくかがが問われていた。労働者が職場支配権を確立し、貫徹すれば、帝国主義は戦争などできないと誰もが感じていた。この世界の労働者の希望を体現したのが動労千葉だった。

 動労千葉の団結の心棒

 日本の6000万人の労働者は、どんな職場にいても構造改革の攻撃を受けている。格差社会はその結果だ。
 民営化・規制緩和は公務員だけの問題ではない。ここに全労働者階級への攻撃の軸がある。労組破壊が民営化・規制緩和の核心だ。そして、社会保障の破壊などあらゆる生活破壊も、介護保険導入(介護の民営化)、医療制度・年金制度の改悪を始めとして〈民営化・規制緩和〉攻撃として貫かれるのだ。
 資本と国家は、こうした攻撃を「国際競争力のた強化」を振りかざして行う。また「国益」「祖国防衛」を振りかざす。
 しかし、アメリカの、韓国の、全世界の労働者がわれわれの仲間であり、ともに団結して闘っていることが実感された瞬間、「民営化・規制緩和」「国際競争力」「国益」「祖国防衛」のイデオロギーは一挙に吹き飛ばせる。労働者の力に圧倒的な自信がわいてくる。
 国際連帯は職場の仲間と団結する力だ。国際連帯は資本と闘うための心棒なのだ。動労千葉は職場で闘ってアメリカ、韓国の仲間に信頼され、国際的団結をつくった。
 職場で闘って11・5日比谷に結集しよう。民主労総の仲間、ILWUの仲間、AMFA(アメリカ航空整備士組合)の仲間と具体的に顔の見える団結をつくり、職場の力関係を変えていこう。

 11・5が戦争への回答

 全世界で資本主義、帝国主義への労働者の怒りが煮えたぎり、戦後以来の大闘争が爆発している。韓国民主労総は巨大な11月ゼネストに向かっている。アメリカの移民労働者は1000万人のデモと職場ボイコットに決起した。フランスの300万人の労働者・学生の決起はCPE(初期雇用契約)を粉砕した。
 新たな革命的激動が開始された今、日米帝国主義は北朝鮮侵略戦争策動を一挙に強めている。北朝鮮スターリン主義の反人民的・反プロレタリア的な核実験につけこんだ帝国主義の侵略戦争への突進に対する労働者階級の回答は、国際的に団結した闘いだ。
 帝国主義のものすごい軍事重圧、体制転覆の圧力に対して、”労働者が勝てるはずない。帝国主義に対抗するには核しかない”として国際プロレタリアート・被抑圧民族人民の反帝国主義の闘いを踏みにじるスターリン主義反革命を許してはならない。
 仲間との団結に確信をもった労働者は必ず勝利する。職場の仲間と一緒に11・5を闘おう。

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週刊『前進』(2268号4面2)(2006/10/30)

 川崎 「しもきた」入港に抗議

“軍事利用・動員許さぬ”

 10月17日、川崎市教育文化会館で、海上自衛隊の輸送艦「しもきた」の川崎港入港に反対する緊急集会が行われた。仕事を終えた地域の労働者や市民が多数かけつけた。
 司会の労働者が「今回の入港は、川崎港の軍事利用のための実績づくりだ」と防衛庁・自衛隊を弾劾した。続いて川崎市職労港湾支部の労働者が職場の闘いを報告、「労働組合が黙ってしまったらずるずる歯止めが無くなる。今後も発言を続けていく」と宣言した。
 全日本海員組合の藤丸徹さんが「軍隊は船員も市民も守らなかった」と題する講演で、第2次世界大戦下の船員の死亡率が陸海軍をはるかに上回ったことなど、事実の重みをもって「日本を戦争する国にさせない、憲法9条を変えさせない、有事法制を発動させない闘いを」と訴えた。
 地域の民間労組、百万人署名運動・川崎連絡会議などの発言が続き、11・5労働者集会への参加が呼びかけられた。集会後、参加者は川崎駅前までデモを行い、「川崎港の軍事利用を許さない! 『しもきた』は来るな!」と力強くアピールした。
 海自最大の軍艦「しもきた」(8900d)は国際的には「戦車揚陸艦」と呼ばれる。戦車16両、武装ヘリ2機、兵士350人を搭載可能で、敵前上陸を目的に造られた船だ。
 海自は20日に川崎港に入港させ、22日には横浜に入港、29日に相模湾での観艦式に参加しようとしている。これまでの「防災訓練」を口実とした入港は、まがりなりにも自治体の主導であった。しかし今回の入港は、完全に自衛隊が主体となった軍部主導の有事体制づくりそのものだ。
 この間、全国各地で米軍や自衛隊の艦船の民間港への入港が急増している。米軍再編、北朝鮮侵略戦争突入情勢下での日本全土基地化の攻撃そのものだ。空港・港湾の軍事利用反対、戦争協力拒否の闘いを全国でさらに強めよう。
(写真 川崎駅前の商店街で力強くアピールするデモ隊は市民の圧倒的注目を集めた【10月17日】)

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週刊『前進』(2268号4面3)(2006/10/30)

ルポ ルポ パトリオットミサイル

 PAC3を阻止した3日間

 “沖縄の怒りを知れ”

 10月11日早朝、パトリオットミサイル本体の搬出阻止闘争が米軍の天願桟橋前で闘われた。
 ミサイルは搬出されてしまったが、8日夜以来の天願桟橋前の闘いは楽しかった。団結と連帯で基地を人民の解放区にし、自己解放的決起がわき起こった日々だった。「勝てなかった」悔しさと闘った誇りを胸に刻み、さらに大きな闘いをつくる原動力にできることを学んだすばらしい闘いだった。
    ◇
 11日未明、緊急の電話連絡を受け、真っ暗な中を車で天願桟橋に向かう。機動隊バスが6台も止まっていて、仲間たちが2列の隊列でスクラムを組み、ミサイル配備弾劾の声を上げていた。
(写真 「安保の見える丘」から嘉手納基地に向かって抗議のシュプレヒコール【10月11日】)
 警察が「6時21分、退去の警告をする」とスピーカーで流し、「ここは提供施設内です」と書かれた紙を広げる。その直後から阻止団の前に機動隊がずらりと出てきた。取材していたマスコミのカメラマンを数人がかりで引っ張り出す。続いて一斉に阻止団に襲いかかり、強引に引きずり排除を始める。
 怒号の中、スクラムを一層固めて仲間と団結。何人もの警官が一人ひとりをよってたかって引っ張り、後ろから押す。そのうちに仲間のスクラムの手が離れる。離されてもまた数人が固まり、足を踏ん張って徹底的に抵抗。7時ころ歩道上に強制的に排除され、車道側には機動隊の壁ができたが、阻止団は沖縄の怒りと誇りを貫き、全員が力の限り闘った。
 阻止団の前の県道を迷彩服の米兵を乗せた車がどんどん天願軍港に入り、続いて沖縄の民間会社の大型トレーラー15台が次々軍港に入っていく。「沖縄は占領地じゃないぞ! 小禄運輸は帰れ! 県民を売るな!」とのシュプレヒコールがたたきつけられる。
 自治労沖縄県本部の宣伝カー上から沖縄平和運動センターの山城博治事務局長が日米政府への怒りあふれる大演説。三里塚闘争で農民放送塔が権力に倒された時の演説はこんなふうだったのかと思われた。
 「61年前に地獄の戦場となった沖縄がミサイル戦争の最前線・標的とされている。今日のこの屈辱、怒り、沖縄県民弾圧を忘れずに怒りの炎となって日米政府の前に立ちはだかることを宣言する。県民の怒りに震撼(しんかん)せよ! 県民の怒りを知れ! 県民をなめるな! われわれは勝利している。今、この輝かしい闘いを恐れているのは日米政府とその手先だ。県民の団結と総決起でミサイル配備を止める」。この力強い発言は参加者を奮い立たせ、「そうだ!」の声が阻止団から起こる。
 演説が続く中、桟橋に入ったトレーラーに船からコンテナが積み込まれるのが見えた。トレーラー運転士に向け、労働者として戦争協力拒否を求める渾身(こんしん)の訴えがなされる。「ミサイルを積むな! 運ぶな! トレーラーは戻れ! アジア人民を殺すな!」――サンフランシスコ湾の港湾労働者がイラクへの軍事物資積み出しを阻止した闘いを思い、阻止できなかった悔しさで涙が出る。
 トレーラー15台がそろってゲートから県道に出て行く。沖縄の運転士の横の助手席には迷彩服の武装米兵が乗り込んでいる。あらためて日米共同の戦争行動がこの沖縄で現実に進行していることを思い知らされる。海も空も地上も軍事に蹂躙(じゅうりん)された島――沖縄。しかしそこに住む人民は怒り、闘い、誇りを持ち、勝利を求めて最も人間らしく生きている。
    ◇
 座り込み阻止団は10月8日夜10時から57時間以上の座り込みを貫徹し、9日朝8時に入港した大型運搬船からのミサイル本体の搬出を阻止し続けた。寒さに震えながらの夜、30度近くの暑さと日照りに灼(や)かれながらの昼、24時間体制で続いた基地ゲート前座り込み闘争は、沖縄の労働運動、反戦運動でも全軍労闘争以来何十年ぶりかだ。
 辺野古の命を守る会の金城祐治代表も現場に駆けつけてともに闘った。労働組合運動と住民運動が共同し団結し信頼を固め、お互いの力を十二分に引き出した画期的な闘いだ。これは辺野古での闘いが基礎になり、それを引き継ぎ、発展させたものだと実感する。
 沖縄平和運動センターは長期戦に備えて簡易トイレを設置し、夜間の闘いに備え大型投光機を借り、3度の食事を全参加者やマスコミにも配った。暑さ対策に2日目からはテントを設置、組合の書記や専従が現場に張り付き、給水・ゴミ処理など黙々と動いた。労組から次々と差し入れが届いた。「一坪たりとも許すまじ」「沖縄を返せ」「インターナショナル」や「頑張ろう」を労働組合と住民運動団体が肩を組み歌った。
 労働者が戦争協力をしたらどうなるかを目の当たりにし、しかし同時に労働者が立ち上がれば世界を変革できると実感させられた日々だった。
 (投稿/佐和田由子)

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週刊『前進』(2268号4面4)(2006/10/30)

日誌'06 10月11日〜17日

 国連安保理、北朝鮮制裁決議

 米軍がPAC3を沖縄配備

●参院で非難決議 参院は本会議で、北朝鮮が公表した核実験に抗議する決議を全会一致で可決した。(11日)
●イラク死者「推計65万人」 03年3月の開戦から今年6月までのイラク人の死者数は約65万5千人に達する――米国とイラクの公衆衛生学研究グループが人口統計の手法を使った推定値を英医学誌ランセットに寄稿した論文で発表した。(11日)
●パトリオット24基を嘉手納に搬入 在日米軍再編合意に基づく米陸軍パトリオット・ミサイル(PAC3)の沖縄配備に伴い、米軍は、ミサイル24基を天願桟橋(うるま市)に陸揚げし、嘉手納弾薬庫に運び込んだ。配備に反対する五十数人を県警機動隊ら100人が強制排除した。(11日)
●米軍ヘリが着陸強行 フィリピンでの米比合同訓練派遣途中での給油を目的に、米軍普天間飛行場所属のCH46中型輸送ヘリなど9機が宮古島市の下地島空港に相次いで着陸を強行した。(11日)
●SM3導入を前倒し 日本政府は、北朝鮮の核実験発表を受け、ミサイル防衛(MD)の海上配備型ミサイル(SM3)の導入時期について、07年度末から07年中に前倒しする方針を決めた。(12日)
●日本独自の制裁を決定 日本政府は、首相官邸で安全保障会議を開き、北朝鮮の核実験実施発表に対して日本独自の追加制裁を決めた。北朝鮮籍船の入港全面禁止、北朝鮮からの輸入の全面禁止、北朝鮮の国籍を有する人の入国禁止などが柱。(13日)
●「拉致」番組、NHKへの命令検討 菅総務相は記者会見で「NHKには命令放送を行わせることができる。内閣が代わって、拉致問題が国の最重要事項になっていることは間違いない。そういうことを含めて検討したい」と述べ、NHKの短波ラジオ国際放送で、拉致問題を重点的に扱うよう命令することを検討する考えを示した。16日には総務事務次官が早期実施をめざす考えを示した。(13日)
●糸数氏「普天間協で反対表明」
11月19日投開票の沖縄県知事選に立候補する参院議員の糸数慶子氏が「当選した場合には、V字型案に反対という県民の支持と受け止める。新基地建設に反対する立場で県民の思いをしっかりと日米両政府に伝える」と述べ、普天間移設措置協議会に参加する考えを初めて示した。(13日)
●北朝鮮制裁を決議 国連安全保障理事会は、核実験実施を発表した北朝鮮に対し、強制措置を認める国連憲章第7章に基づく制裁を定めた決議1718を全会一致で採択した。安保理での北朝鮮に対する制裁決議は初めて。(14日)
●「周辺事態認定は可能」と麻生 麻生外相は、北朝鮮の核実験発表が「(周辺事態の)範疇(はんちゅう)に入る」と語り、周辺事態法に基づく「周辺事態」を認定することが可能との考えを示した。(15日)
●核保有の議論必要と中川 自民党の中川昭一政調会長は、日本の核保有について「核があることで攻められる可能性は低いという論理はあり得るわけだから、議論はあっていい」との認識を示した。(15日)
●北朝鮮の核実験確認、米が公式声明 ネグロポンテ米国家情報長官は、米国が北朝鮮の核実験発表後の11日に周辺地域で採取した大気を分析した結果として、「放射性物質が検出され、北朝鮮が9日に地下核爆発を起こしたことが確認された」との声明を出した。(16日)
●北朝鮮「宣戦布告だ」 北朝鮮外務省は、国連安保理が採択した制裁決議に対して「わが国への宣戦布告と見るしかない。決議を断固糾弾し、全面的に排撃する」との報道官声明を発表した。(17日)

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週刊『前進』(2268号5面1)(2006/10/30)

 11・5東京日比谷野音に日米韓の労働者が集う

 米韓の最強労組が訪日

 民主労総 結成11年で80万組合員 ”世の中を変えるゼネスト”

 ソウル地域本部から多数の組合員が参加

 11月5日、東京・日比谷野外音楽堂に今年も韓国から民主労総ソウル地域本部の労働者たちがやってくる。
 民主労総は、来る11月12日にソウルの光化門通りで開催される全国労働者大会に史上空前の20万人の結集を呼びかけている。その場で11・15無期限ゼネスト突入を宣言する計画だ。スローガンは「世の中を変えるゼネスト」。
 そのかつてない激闘の最中に民主労総ソウル地域本部から数十人が来日し、動労千葉、全日建運輸連帯関西地区生コン支部、全国金属機械港合同の呼びかける11・5労働者集会に参加する。アメリカからもILWUやAMFAという世界に冠たる闘う労働組合がやってくる。なぜか?
 日米韓の最も階級的な労働組合が合流する11・5の中に労働者階級の未来を開く力があるからだ。
 昨年11月6日、民主労総ソウル地域本部の19人の代表団とともに日比谷野音の壇上に立ったコジョンファン本部長は力強く宣言した。「超国籍資本の収奪が行われているすべての場所で労働者階級の国際的団結の旗をはためかせましょう」
 その1週間後、動労千葉の田中康宏委員長は日本から100人余の動労千葉派遣団とともにソウルを訪れた。民主労総の全国労働者大会前夜祭で「労働者が置かれた現実は日本でもまったく同じ」と訴え、民営化、非正規雇用化、組合つぶし、戦争と闘うことを宣言し、民主労総への熱い連帯を込めて派遣団全員で「鉄の労働者(チョレノドンジャ)」の律動を行った。
 世界では帝国主義による戦争と民営化攻撃が吹き荒れている。しかし、イラク侵略戦争はアメリカの思いどおりになったのか? ノー! 北朝鮮の核実験やミサイル発射を口実に朝鮮半島を戦場にしようと日米帝はしゃかりきになっているが、うまくいくのか? 絶対ノーだ。国境で分断された労働者階級がその分断を超えて合流し、ともにスクラムを組んだら圧倒的な軍勢になる。顔の見える同志たちとの力ある国際連帯こそ、労働者階級の最強の武器だ。

 チョンテイル烈士の遺志を継承して誕生

 民主労総(KCTU)は正式名称を全国民主労働組合総連盟という。今年4月に全国公務員労組14万人が民主労総に加盟した結果、組合員数80万人となり、名実ともに韓国第一の労働運動のナショナルセンターとなった。これまでは組合員数で御用労組である韓国労働組合総連盟(韓国労総)の方が多かったが、ここで逆転した。
 日帝の植民地支配からの解放をかちとった45年8月15日以降、朝鮮半島はアメリカ帝国主義とソ連スターリン主義を両軸とする戦後世界体制の矛盾の集中点となった。
 朝鮮半島は38度線で南北に分断された。50年に始まった朝鮮戦争は21世紀の今も「休戦中」なのだ。そして今、北朝鮮・朝鮮民主主義人民共和国をめぐる日米帝国主義の侵略戦争政策による軍事的緊張の真っただ中にあるのだ。
    *
 1970年11月13日、ソウルの平和市場(ピョンファシジャン)。
 裁断工として働いていた22歳のチョンテイル(全泰壱)は、自らの身を炎で焼きながら「われわれは機械ではない! 勤労基準法を守れ! 日曜日は休日にせよ!」と叫んで自死した。
 天井の低い屋根裏のような仕事場。ミシン工補助として1万2千人もの幼い少女たち(13〜17歳)が酷使されていた。1日13時間を超える労働、月平均28日働いて平均給料は3千ウォンという低賃金だった。
 チョンテイル烈士の遺志を継承し、脈々と闘いぬかれた自主的で民主的な労働組合運動は、87年労働者大闘争をターニングポイントに主流に躍り出る。
 そして95年11月11日、労働者こそが「生産の主役であり、社会変革と歴史発展の原動力である」と高らかにうたい、民主労総が創立された。
 しかし97年、アジア経済危機が韓国に波及、韓国経済はかつてない危機に直面する。12月の大統領選挙で勝利したかつての民主化闘争の旗手・キムデジュン(金大中)の初仕事こそ、IMF(国際通貨基金)信託統治の受け入れだった。このもとでIMF構造調整という名の一大資本攻勢が労働者人民を襲った。賃下げと整理解雇の嵐が吹き荒れ、街頭には数百万人の失業者があふれた。IMF管理体制は韓国社会を激変させ、1500万労働者の6割を超える大量の非正規職労働者を生み出した。
(写真 「資本・政権との密室野合」などを掲げ、ロードマップ合意を弾劾し、労働部長官解任を要求する民主労総ソウル本部の組合員ら【9月12日 ソウル】)

 非正規職労働者の闘いが情勢を動かす

 ノムヒョン(盧武鉉)政権は今年9月11日、韓国労総の裏切りをテコに労使関係法制度先進化方案(労使関係ロードマップ)を密室合意した。韓国労総が強く抵抗してきた「労組専従賃金支給禁止」の実施を3年猶予するのと引き換えに中小零細事業場で働く非正規労働者たちの悲願であった「複数労組許容」実施をも3年後に引き延ばすというのだ。昨年来の懸案である非正規職関連法案阻止とともにロードマップ阻止が緊迫した闘争課題となった。
 82日間に及んだポハン(浦項)地域建設労組のストライキ、3月1日以来、ストを続ける鉄道労組KTX乗務支部の闘いを始め、激烈な非正規職労働者の闘いが全情勢を動かしてきた。
 公共部門の民営化を進めるノムヒョン政権と全国公務員労組との攻防は激烈に進んでいる。
 ノムヒョン政権は、今年2月に施行された公務員特別法に従って設立申告をしない労組の事務室を閉鎖すると宣言し、9月22日未明から全国一斉に行政代執行に出た。公務員労組251支部のうち50支部の事務室を閉鎖、事務室に立てこもって抵抗した組合員を強制連行するという暴挙を働いたのである。
 ノムヒョン政権は原則的に闘いぬく全国公務員労組に対し「国家に挑戦する不純勢力」と公言、さらに「民主労総はガンのような存在」と言い放つに至った。もはやノムヒョン政権と、闘う民主労総の共存はない。
 民主労総は現在、80万全組合員によるゼネスト賛否投票を実施している。11・11〜12全国労働者大会をゼネスト総決起大会としてかちとり、11・15をもって全教組と鉄道労組を除いた全労組がゼネストに突入する。ゼネスト7日目の22日には全教組1万人が年次休暇闘争で合流、鉄道労組もゼネストに入り、40万ゼネストを実現するという方針だ。さらに22日から日曜ごとに民衆総決起闘争を開催、韓米FTA(自由貿易協定)阻止闘争とピョンテク米軍基地拡張阻止闘争、反戦平和闘争を結合し、ノムヒョン政権打倒に向かう。
 国境を超えた労働者の国際連帯が地球の未来を開く。11・5日比谷野音に集まった1万人の力で未来をつかもう。

 AMFA ストはすでに14カ月 半数解雇に団結して闘う

 米でもっとも戦闘的階級的な労組が参加

 アメリカからは二つの労働組合が参加して発言する。
 一つはILWU(国際港湾倉庫労働組合)ローカル10(第10支部)。
 ランク・アンド・ファイル(一般組合員)の討論と闘いを重視したアメリカで最も民主的で戦闘的階級的な組合だ。中でもローカル10はイラク侵略戦争の開戦直後の03年4月、サンフランシスコ湾のオークランド港の軍需物資輸送阻止闘争を闘った。
 そして、それへの警察の襲撃とジャック・ヘイマン執行委員らの逮捕・起訴を跳ね返したばかりか、今年3月には弾圧に対する損害賠償裁判で完全勝利している。
 現在は、フェリー路線の入札、海運会社の入れ替えによってILWU船員部門の組合員を丸ごと非組合員で置き換える攻撃と総力で闘っている。
(本紙第2262号)
 もう一つは、昨年の8月20日から14カ月にわたってストライキを継続しているAMFA(アメリカ航空整備士労組)だ。AMFAは、ユナイテッド、ノースウェストなど7つの航空会社の整備士を中心とした約1万4千人の組合だ。そのうちのノースウェストの組合員に大攻撃が襲っている。
 ノースウェスト航空は昨年8月に更改される労働協約交渉で、AMFA所属の整備士、清掃・用務員4400人の半数を解雇し、さらに賃金を25%カットし、医療・年金も破壊するという攻撃をかけてきた。
 これはAMFAを根こそぎ破壊するための意識的な労組破壊攻撃だ。資本は、用意周到にスト破り要員を雇い、1年前から訓練していたのだ。そして、会社側は9月11日、連邦破産法第11条の申請を行った。これは日本の会社更生法や民事再生法にあたる。
 IAM(国際機械工組合)など、航空産業の他の多くの労組は、「会社再建に協力しなかったら元も子もない」「こんな時にストライキをするのは間違いだ」とAMFAを攻撃した。
 会社の経営危機、倒産を前にし、資本と他労組の攻撃に直面する中でAMFAは、労資協調の屈服路線ではなく、労働者の団結と闘いを対置する道を選択した。
 「しばらく一緒に働いただけでも友人になる。何十年も一緒に働いたら家族同然だ。ノースウェスト航空が『家族』の過半数を解雇する提案を出してきた時、当然そんなことは受け入れられないし、われわれ全員の雇用を守るために闘いたいと思った」(スティーブ・マクファーレンAMFA本部副委員長)
 もし昨年8月の時点で半数解雇の会社側提案をのんでいたらどうなったか。組合の団結は完全に解体されていたに違いない。そして、かさにかかった攻撃にさらされていたはずだ。
 現に、IAM指導部がレイオフ(事実上の解雇)提案を受け入れたとたん、組合員は生活の困窮ばかりか見せしめ的な屈辱さえ味わわされた。会社はIAM組合員に「子どもの服はお下がりをもらえ」「ゴミの中から必要なものを取ることをためらうな」と書いたパンフレットを送りつけてきた。そうすればレイオフ手当だけで暮らせるはずだというのだ。
 またノースウェストは、倒産を理由にしてすべての労働組合との労働協約を破棄する攻撃に出てきている。

 業務丸ごとの外注化攻撃で安全切り捨て

 ノースウェストのハブ空港であるミネソタ州のミネアポリス・セントポール空港にAMFAローカル33がある。ここが今回のAMFAノースウェスト・ストライキの最大拠点だ。
 スト前から、この空港では、外注化にともなって事故が頻発していた。
 04年には、外注化反対と安全確保のためのピケット闘争を構えたことに対して、資本は処分の恫喝をし、ローカル33との激突が始まっていた。
 05年3月には、空港でブレーキの部品が爆発する事故が発生した。エンジンなどにぶつかれば大惨事だ。ところが会社側は、外注化が安全を害していることを外部に公表したら処分するという警告書を出したのである。
 これを振り切り、ローカル33のテッド・ルードウィッグ委員長は、50人の組合員とともに州議事堂で記者会見した。
 ルードウィッグ委員長は、整備の外注化によって旅客と乗務員の安全が脅かされているのに、ノースウェスト航空は05年に900人の整備士をレイオフして外注化をさらに進めようとしていると訴え、外注化には首をかけて闘うと決意を述べた。
 またAMFAローカル33は、ノースウェスト航空がいくつかの飛行機格納庫=検査・修繕工場を閉鎖し、業務を丸ごと外注化することに対して、空港拡張計画反対の闘いを貫いた。
 会見後、会社側はルードウィッグ委員長を60日間の停職処分にした。ローカル33と全国のAMFAの仲間は、この不当処分を弾劾して闘った。
 ノースウェストに限らず、現在、すべての航空会社の合理化は外注化を軸にして行われている。
 AMFAは、この外注化を航空労働者の命運がかかったものと位置づけ、外注化反対闘争を闘っているのだ。
 整備の外注化は必ず安全を犠牲にする。資本は、整備外注化でコストを徹底的に削って利潤をあげようとする。だが、旅客によって成り立つ企業である以上、安全問題は企業の死命を制する問題でもある。
 そして地上職の組合であるAMFAにとって安全問題は、乗務員の労働運動との連帯を形成する決定的ポイントでもある。だからAMFAのメインスローガンは「空の安全は、地上の質の高い整備から」なのだ。
(写真 誘導路に飛び散った部品を手に外注化による安全崩壊を指摘するAMFAローカル33のルードウィッグ委員長【05年3月18日】)

 資本主義の根本に迫り活路を切り開く

 1978年のカーター政権の航空規制緩和法は、アメリカの民営化・規制緩和の始まりだった。凶暴きわまる労組破壊を軸とした航空業界の嵐のような大再編の開始だった。連邦管制官労組(PATCO)が壊滅させられ、最大手の航空会社パンナムが破産した。
 だが、この四半世紀にわたる航空再編も結局は再び破綻(はたん)に行き着いた。現在、アメリカの大手航空会社7社のうち4社が連邦破産法11条を申請している。
 すさまじい航空産業の危機の中で、合理化・外注化が激化し、倒産攻撃が行われているのだ。
 アメリカ資本主義全体の危機の中で、企業の破産を居直り、むしろそれを武器にして労働者に襲い掛かる攻撃が激化している。航空、自動車、鉄鋼、IT関連などの多くの労働組合に工場丸ごとの大量解雇や賃金の20%、50%カット、労働協約の全面破棄、医療・年金の全面カットなど、従来の延長ではない大攻撃が襲っている。
 このような全米的な状況の中で、不屈のAMFAストが闘われているのだ。〈破産した資本など倒してしまえ〉という闘いの端緒的な開始を示している。
 企業防衛、祖国防衛の立場に立って仲間を売り渡し、際限なく生活と命を搾り取られるのか、それとも団結し資本主義を打倒する立場で仲間とともに生きる道を切り開くのかが問われる時代が始まったのだ。

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週刊『前進』(2268号5面2)(2006/10/30)

 労働者集会へ萩原反対同盟事務局次長が訴え

 ”農民も共通の敵と闘う”

 労働者と農民が共に立てば革命が起きる

 11・5労働者集会にかける三里塚芝山連合空港反対同盟の熱意を萩原進事務局次長に語ってもらった。(編集局)

 農地法逆手に耕作解約狙う

 市東孝雄さんの耕作地をあろうことか農地法で取り上げる攻撃を政府・国土交通省と成田空港会社が進めています。千葉県知事はこれを審理もしないで許可する決定を出しました。一体何が起こっているのか。
 第2次大戦の敗戦後、7割が小作だった農民が実力で決起して「農地は耕す者にこそ権利がある」という不文律を獲得しました。これが農地法という法律になった。この農地法を逆手にとって耕作権の解約を強制するという。これは到底成り立たない。めちゃくちゃとしか言いようがない。
 市東さんは怒りました。千葉県の農業会議で農民としての誇り、生きる決意をたたきつけました。彼の耕作地には大正期の開拓以来90年間の汗と血、涙がすきこまれている。これを奪うとはどういうことか。農民全体を愚弄(ぐろう)するものです。もはや個人の問題を超えています。
 こうした攻撃が始まった理由は、改憲と戦争に向かう情勢の中で、40年間も権力と闘ってきた三里塚を、理屈抜きにつぶそうということが一つ。

 農家つぶして低賃金化促進

 もう一つは、労働者にかけられているリストラ、低賃金、民営化、福祉切り捨てなどの背後にある、すさまじい百姓つぶしです。
 300万戸の農家を40万に減らす法律をつくり、農林水産省が農業法人の要件を緩和する方針も出した。農地は一般の人は買えません。農家だって2反歩以上を耕さないと買えない。ところがそれを企業が自由に買えるようにする。コメを始め農産物価格が暴落し、農業で食えなくなった農民を全国規模で低賃金の農業労働者として吸収し搾取する計画です。
 コメはこの10年で半値になった。価格暴落の原因は農産物の輸入と大資本の流通支配です。日本経団連は「日本に農業はいらない。全部輸入にすればいい」と言う。これが低賃金のからくりなんです。食い物は安ければいいと。食べ物ではなく庶民にはエサを食わせろという発想です。それで低賃金が可能になる。
 問題は、労働者と農民が分断されていることです。食い物は安ければいい、日本の農民は働きが悪いと宣伝される。そして極限まで低賃金が進む。みなさんに訴えたいのは、農業のない社会なんてあり得ないということです。今こそ分断された農民と労働者が連帯・団結し、共通の敵に対して闘う時です。
 動労千葉を先頭に全国の労働者が立ち上がっている。11月5日に1万人が東京に結集する。大変感動しています。労働者が団結すれば世の中は確実に変わるからです。労働者がいなければ鉄道もバスも動かないし、郵便も届かない。ビルも建たないし道路もできない。役場だって労働者がいなければ動かない。労働者が総決起すれば戦争だって止められる。
 だから政府は、労働者の団結を破壊することに全力をあげるわけです。動労千葉の拠点運転区を廃止する――実に「わかりやすい」攻撃だ。学校をものを言えない場にする。労働者が団結すれば犯罪になる法案(共謀罪)も出してきた。全国の自治体で国民保護実動訓練が始まった。
 安倍首相を先頭にした一握りの大金持ちが戦争を始めようとしている。ほとんどの若い夫婦は、家を持つどころか子どもをつくる金もない。それで戦場に駆り出されるのは貧しい労働者と農民です。戦前と同じです。改憲とはそういう問題なのです。これを阻めるのかどうかは、ひとえに労働者の闘いにかかっていると思います。
 みなさんに忘れないでもらいたいことがあります。命の源である食べ物をつくっているのは農民です。農民が労働者とともに立ち上がれば革命が起きる。歴史が証明しています。

 闘わなければ生きられない

 私の結論ははっきりしています。労働者と農民はともに団結して闘わなければ生きられない時代だということです。労働者と農民が団結して闘うことをあらためて呼びかけます。11月5日にはわれわれ三里塚反対同盟も、北総の農民を引き連れて参加します。
 三里塚もまさに正念場です。市東さんに空港会社がウソ八百を並べた耕作権解除の通告を送ってきた。何があろうと負けられない闘いです。みなさんのさらなる厚いご支援を心から訴えます。
 (10月13日)

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週刊『前進』(2268号5面3)(2006/10/30)

 現闘本部裁判 ”実地検証行え”

 弁護団が裁判所を追及

 千葉地裁で10月19日、天神峰現闘本部裁判の第13回口頭弁論が開かれた。成田空港暫定滑走路の誘導路を「へ」の字に曲げている現闘本部の建物をなんとかして取り除きたい原告の成田空港会社(NAA)は、三里塚芝山連合空港反対同盟による建物の地上権の主張に対し、またしてもケチをつけてきた。「被告(反対同盟)は地上権ではなく賃借権を主張していた」「増築によって建物の同一性が失われたことを認めている」
 これに対し反対同盟と弁護団は新たな準備書面を提出、「地上権も賃借権も借地権の種類であり効力に変わりない」「増築による外形上の変化を述べた箇所を引用して法的対抗力を否定するのはまったく言いがかり」と反論を突きつけた。
 さらに仲戸川裁判長が再三の申し入れにもかかわらず建物の実地検証を行おうとしないことに対して「まず検証しないことには先に進まない」と葉山岳夫弁護士が鋭く追及した。
 裁判長は「論点整理の中で不要となることもある」と言い逃れに追われた。一目瞭然、確固たる事実として木造建物の存在を確認してしまったらNAAの意に沿う判決が出せなくなる。だから「見なかったことにしよう」というわけだ。そんなことは許されない。
 口答弁論終了後に千葉県自治会館で反対同盟の記者会見が行われ、続けて現闘本部裁判を支援する会の例会が開かれた。
 事務局次長の萩原進さんが「国道51号付け替えという形で北延伸工事が始まった。NAAはかつての『お詫び』も投げ捨て12月にも東峰の森伐採に着手したいと言い出している。再び実力をもって闘う状況が訪れた。市東さんの耕作地を守る闘いと現闘本部裁判の勝利は一体のものだ」とさらなる取り組みを強く訴えた。関西から松原康彦さん、群馬から青柳晃玄さんが駆けつけ、反対同盟にこたえて闘う決意を明らかにした。
 次回裁判は12月14日、全力で結集しよう。

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週刊『前進』(2268号6面1)(2006/10/30)

団結ひろば 投稿コーナー

 「安倍打倒!」を掲げキャンパスで集会 弘前大 宮川正和

 弘前大学では、北朝鮮「核実験」に対する制裁発動=北朝鮮侵略戦争が迫る中、これと真っ向から対決し、「戦争反対」「安倍打倒」の声をあげよう!と学友に呼びかけ、10月18日、弘前大学で学内集会を行いました。(写真)
 昼休みの正午から、キャンパス中央の広場に約10人が集まり、集会を開始しました。司会から「安倍政権のもとで、私たちは戦争に動員されるのか、それともこれを拒否して闘うのかが問われている。法大で起きていることは戦時下の言論弾圧であり、教育基本法改悪の正体だ。10・20法大1万人集会の爆発から、学生の大行動で安倍を打倒しよう!」と基調提起がありました。
 次に学内で運動を担う参加者が発言しました。「9条のもとで日本は平和な国だった。それを変えようとするのは止めなくてはいけない!」「日本はアメリカの軍事行動をずっと支持してきた。戦争は人殺しだ。絶対許せない」
 急な呼びかけにもかかわらず、10人の学生が駆けつけたことに、極右・安倍政権への学生の危機感が表れています! そして法大のものすごい闘いへの注目度は非常に高いです。遠巻きに見ている学生もいました。やはり法大をはじめ全国の学生が不退転で闘っていることが情勢を動かしていると実感します。
 たとえ一人でも、主体が動じなければ必ず展望がつかめる! 自分もその一人として、11・5集会の爆発を実現したいと思います。

 「健全な社会人育成」へ大学が頭髪規制!? 仙台 桃井春奈

 何気にラジオを聞いていると「えっ」と耳を疑うニュースが!
 「秋田経済法科大学では規範を身につけるために茶髪、ピアスを禁止する、処分もする」という内容が流れた。そこでそこの大学のホームページを見たら「茶髪、ピアスをやめたら1万円」と書かれていた。
 以下、大学HPより。
    #
 読売新聞やヤフーのニュース欄に掲載されました「茶髪・ピアスやめたら1万円」の記事について補足いたします。
 今回の規則の基になっているのは「高等教育を通じて健全にして善良な社会人を育成する」という本学設置の趣旨であり、学則にも制定されている事項です。
 これをより徹底して実現するため、教育指導室を設置。在学中に社会人としてのマナーやモラルを身に付けさせ、社会人として通用する学生に教育しようという目標を掲げました。そしてより具体的な検討を重ねて、この度の「学生の頭髪及び装身具に関する要綱」の制定となりました。
 頭髪に関しては「清潔を旨とし、周囲に不快感を与える特異な髪形や染色及び脱色等は禁止」、装身具については「華美を避け、かつ品位を保つことを旨とし、ピアスは禁止」と規定しておりますが、それでは「どれぐらいの染色だと不快感を与えるのか」「どれぐらいだと華美なのか」「女性の耳ピアスもだめか」等の基準につきましては「別定め」としており、今後それらの細則を早急に検討していくところです。
 褒章制度につきましても「1万円が妥当なのか」「現金・図書券なのか」また、「茶髪ピアスの子が得をするようでおかしい」という声もあり、これもさらに検討が必要です。
     #
 「健全にして善良な社会人」って何ですか!? 髪が黒くてピアスをしていなければ「健全にして善良な社会人」ですか? 首都大学東京理事長が言う「学生は材料で加工して送り出す」ってこういうことなのですか?
 私が卒業した大学でも授業以外では教室を貸しません。学生運動の拠点である法政大学で今のような攻撃をしているということは、全国の私立大学ではもう行われているということです。だから法政大学の学生運動がつぶされたらもっともっと厳しい攻撃が行われると思います。学生はモノじゃない!! 今にみてろよ!

 11・5労働者集会で怒りたたきつけたい 愛媛・失業者 山下 徹

 建設関係の仕事をしていました。同僚たちと喧嘩(けんか)もしたりしたけれど、一緒に飲んだり、仕事の話や愚痴を言い合い、楽しい仲間でした。建設の仕事が減るなかで、社員だった仲間たちが請負親方を強いられていく過程で、仕事が出来る、出来ない、儲(もう)かる、儲からないという金銭関係が亀裂をつくりました。
 請負関係は労働者の団結の芽を奪い、功利的な金銭関係に人間関係を変えました。納得のいく仕事よりも、この仕事が幾らになるかという価値に変わっていきました。競争につけこんでの単価の低下は感情的な対立にまでなりました。対応できない自分が悔しかった。
 結局、会社そのものが立ち行かなくなり、失業の後に、今度は非正規の工場労働者になりました。誰もしゃべらず、汗だくになって体を動かして、朝から晩まで12時間。立ちっぱなしで、トイレもゆっくりできないで、機械の音だけが響く毎日でした。なにが楽しくてみんな、こんな仕事してるのかな……と思っていたけれど、2週間したら、同じ顔に見えていたのがいろいろ違って見えてきた。1カ月したら、不平や不満が聞こえてきた。2カ月したら、いろいろとかまってくれだした。あー、やっぱり同じ労働者だなと思ってうれしくて頑張ったけれど、体を壊して辞めました。現在、失業中。
 20年前の造船不況の大量解雇の時に、父や彼の同僚が苦しむ様を見て、あの職場に革共同があれば、動労千葉のように闘えるのに……と思って党に結集したけれど、すったもんだの振り出しです。階級と一体の党建設に一から挑戦していきます。11月労働者集会で労働者の怒りをたたきつけたい!

 戦争やれる国目指す安倍の『美しい国へ』 東京三多摩 中原一朗

 百万人署名運動をやっている人から「安倍政権について何か報告してくれ」と言われたので、新首相・安倍晋三の著書『美しい国へ』を買って読んでみた。
 よく読めば論理的な矛盾点があるのに、そこはファシスト特有の情緒に訴える書き方で迫ってくる、実に危険な本だ。この中で安倍は、「靖国参拝のどこが悪い」「自衛権は必要」「教育を再生する」とズケズケと言っている。
 安倍の国家論について。国は「人が生まれて成長して年をとっていくうえで決して切り離せないものとして存在している」のだという。国家を守るとは「その体制の基盤である自由と民主主義を守ることである」という。
 自由と民主主義? いまの日本にあるのは、資本家が労働者を自由に搾取し、自由に首を切る「民主主義」だけではないか。労働者には、フリーターやニートとして生きていく「自由」しかない。あるいは自殺する「自由」(年間3万人!)しかないのが現状ではないか。
 安倍は、このような資本家にとっての「自由」を、「他国の侵害」から守るために、北朝鮮のミサイル実験を例にとって、自衛権は必要だとアジるのだ。
 帝国主義国家とは、資本家による労働者支配のための暴力装置だ。安倍ら支配階級はこの階級対立を隠蔽(いんぺい)するために、国家に対する「共同体」幻想を読者の情緒に訴えるかたちで(オリンピックを例にして)ガンガンにアジってみせているのである。
 そして天皇主義だ。「日本は、天皇を縦糸として長大なタペストリーが織られてきた」と美化し、「日の丸・君が代」の強制に反対する教育労働者に対して「(「君が代」の)歌詞のどこに軍国主義の思想が感じられるのか」と毒づくのだ。天皇制を美化し、「日の丸・君が代」を敬えと言いながら、「自由と民主主義」を守るなんて、これこそ矛盾じゃないか。
 そして露骨な北朝鮮敵視論である。安倍の言いたいのは、日本を資本家天国の「美しい国」にして、これを守るために、北朝鮮の拉致問題やミサイル実験も口実にして戦争をやれる国にしようということだ。労働者の団結で安倍を打倒しよう。

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週刊『前進』(2268号6面2)(2006/10/30)

 共謀罪 審議入り-採決許すな

 与党、補選明けに強行の方針

 10月18日、弁護士会館講堂「クレオ」で日弁連が集会を開いた。

 日弁連が集会

 野党から平岡秀夫議員(民主)、保坂展人議員(社民)、仁比聡平議員(共産)が参加し、緊迫する国会情勢を報告した。3氏はいずれも「衆院補選が終わったら与党は教育基本法改悪・共謀罪で一気に攻めてくる」「国会は、来週大きく動く」と強く警鐘を鳴らした。司会の海渡雄一弁護士も、「共謀罪は審議入りしない、という報道が意図的に流されているが、まったく根拠がない」と危機感をもって訴えた。
 基調報告を行った山下幸夫弁護士は、この間、日弁連が進めてきた調査結果を紹介し、「日本のように619もの共謀罪を新設した国は世界のどこにも無い。しかも、ほとんどの国は、なにも新規の立法をすることなく国際組織犯罪防止条約を批准している」と、共謀罪の新設が条約上の義務であると説明してきた政府のウソを暴いた。そして「法務省・外務省は成立へ必死に動いている。日弁連は共謀罪の新設そのものに反対していく」と、これまでの修正案路線を撤回し、臨時国会へ臨む姿勢を明確にした。
 集会は、来年の通常国会への法案提出が狙われている「弁護士の警察に対する依頼者密告制度(ゲートキーパー制度)」をもうひとつのテーマとして開かれた。「ゲートキーパー制度」とは、不審な金のやり取りの相談を受けた弁護士や不動産業者らが、依頼者に相談を受けた段階で警察への通報義務が生じるというもので、弁護士らを警察の手先とするものだ。
 パネルディスカッションの中で、ジャーナリストの大谷昭宏さんは、「一番大事なのは仲間の間での信頼。共謀罪もゲートキーパー制度も、これを壊すもの」だと断じた。そして、北朝鮮の“核実験”を口実とした戦争への動きについて「今こそ共謀罪が必要だ、反対するやつは非国民だ、という議論が強まっている。危険な状況だ」と訴えた。
(写真 共謀罪・ゲートキーパー制度をめぐってパネルディスカッション【10月18日 弁護士会館】)

 連休前が山場

 今週から連休前が、教育基本法改悪・共謀罪をめぐる最初の大きな山場だ。自民党は、補選後の共謀罪審議入りを宣言している。審議入り、即強行採決をもくろんでいるのは間違いない。
 しかし、政府・法務省にも整合性のある方針などない。問答無用の暴力的強行以外になす術(すべ)はない。審議をまともにやったら、いつまでたっても成立しないからだ。この間、1999年に日本政府が「共謀罪は日本の法体系になじまない」と共謀罪を批判していたこと、共謀罪新設が条約上の義務だと言っていたことがウソだったことなど、共謀罪新設の根拠そのものが根本から瓦解(がかい)する事実が次々と飛び出してきている。
 反対の声をさらに広げ、国会闘争を強めて、共謀罪の審議入り―採決を絶対に阻止しよう。

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週刊『前進』(2268号6面3)(2006/10/30)

 臨時国会での少年法改悪を阻止しよう!

 少年を犯罪者扱い

 審判に検察官が出席

 保護・教育から刑事裁判へ

 犯罪を起こした19歳以下の人間を裁く際の理念を定めた「少年法」は01年4月に「改正」されましたが、その本質は少年審判制度への捜査機関の権限拡大でした。5年後の今年はその見直しの年です。2月24日には「少年法等の一部を改正する法律案」が法務省により国会提出され、5月11日から審議が家庭裁判所関係者を除く裁判所および検察庁関係者を交えて20回近く進められてきました。
 規範意識を子どもに教えよと言う安倍晋三は少年法改悪を臨時国会で押し通そうとしています。

 警察の権限強化

 少年法改悪案は、@14歳未満で刑罰法令に触れる行為をした少年及び将来犯罪を起こす虞(おそれ)のある少年に対する警察の調査権限を拡大・強化するA14歳未満の少年も少年院に入れるB保護観察中の遵守事項を守らない少年を少年院に入れ、少年院の長は保護者に対し「指導、助言その他の適切な措置」をとることができるC家庭裁判所は、殺人を犯した少年あるいは「死刑又は無期若しくは短期2年以上の懲役若しくは禁錮に当たる罪」を犯した少年の事件においては、職権で少年に弁護士(付添人)をつける――の四つから成ります。
 @は、触法少年や虞犯(ぐはん)少年を発見した警察官が事件の調査権を持つということです。01年の改悪の前でさえ無理違法な拷問や尋問で冤罪を繰り返し、事実認定を困難にしてきた警察に調査権を与えたら、警察の権限行使の歯止めは無くなります。
 子どもは誰でも過ちを繰り返しながら成長し、自立していく。これを子どもに特有の権利として政府、国家は保障しなければならないという児童福祉法や教育基本法に共通する視点が少年法には貫かれてきました。これが教育と保護に重点をおく少年法を刑法にしきれない理由であり、家裁が必要と認めた場合以外は捜査機関が少年審判手続きから排除されてきた理由です。“疑わしきは罰する”という警察官に少年審判を委ねることは、認められません。

 13歳で少年院へ

 Aの「14歳未満の少年も少年院に入れる」は、あってはならないことです。01年の改悪で、処罰年齢の引き下げについて法務省は「罪を犯せば罰せられるということを明示して、少年の規範意識を育てるとともに、社会生活における責任を自覚させる必要がある」と主張しました。しかし、子どもを信用しない大人を相手に、自己肯定感も居場所も奪われた少年がどうして心を開けるのか。
 Bの保護者に対する措置は、少年の一番の理解者であるはずの保護者までも、少年の敵にしてしまいかねないものです。国の望む少年像に反した子どもは、家庭や愛情すら奪われて当然という構図を社会に浸透させようとしています。
 Cの少年に国選で弁護士をつけることは、前提として少年審判を刑事裁判化するという問題です。これまでの保護措置を決めるための捜査機関を除く密室での審理が、公開された検察官による追及と裁きの場に変わります。犯罪に踏み切るほどの痛切な心の痛みを抱えた少年を、さらに社会から隔離するものです。
 少年法改悪は、少年のみならず、政府の意にそわないすべての人を弾圧することにつながります。今秋国会闘争に共謀罪新設反対、教育基本法改悪反対の旗とともに、「少年法改悪反対」の旗も持って臨みましょう。
 (投稿/竹井あずさ)

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週刊『前進』(2268号6面4)(2006/10/30)

 『共産主義者』第150号

 装丁を大胆にリニューアル

 大谷論文 憲法闘争の論点を考察

 本誌の創刊は1959年1月。47年目の今号で150号を迎えた。これを機に、「より使いやすく、持ち込みやすく」をめざして表紙などデザイン・装丁が一新され、価格も下げられた。しかし、それ以上に中身に注目してほしい。

 〈党の理論誌〉

 本号をもって〈党の理論誌〉としての性格づけが一層明確になった。革共同政治機関誌『共産主義者(通称イスト)』の存在意義はどこにあるか、読者が『イスト』に期待するものは何か――「党の革命」の中で、宣伝・扇動、機関紙誌改革の重要な一環としてリニューアル論議が進められた。本号はその成果の一端である。
 安倍政権の登場で、すべてがはっきりしてきた。憲法闘争一つをとっても、極右ファシストで固めた安倍改憲突撃内閣の攻撃には、生半可なイデオロギー(いわゆる護憲論的な立場)では太刀打ちできない。何よりもイデオロギー的徹底性が必要だ。今や、ラジカル(根底的)なことが最も現実的であり大衆的であるような革命的激動の時代が始まったのである。マルクス主義・レーニン主義の力が何よりも必要とされ、試される時がきたのだ。
 労働者人民が日々直面する政治・経済・社会・文化の諸問題に肉薄し、問題の根源をより深く、より明快な形で掘り下げてみせること、そこに『イスト』ならではの存在意義がある。週刊の『前進』と異なり、一定の長いスパンと広い紙幅で問題を追究できるのが季刊誌の強みである。その利点を生かした大胆な企画と内容の充実に挑み続けたい。
 改憲阻止決戦論においても、労働者人民の世界観・人生観を激しく揺さぶり戦闘意志をかき立てるような、マルクス主義の視点からの真に奥の深い分析や説明が求められている。その点で、大谷同志の巻頭論文は読者の期待を裏切らない。
 「憲法問題とは、国家の問題であり、体制の問題であり、権力の問題である」というその中身に鋭く踏み込んでいる。「近代憲法とはそもそも何か」を問い、自由権と社会権に関する歴史的考察をとおして「労働者階級はブルジョアジーの打倒に突き進むために、ブルジョア国家のタテマエをみずからの武器として利用」すべきことを具体的に明らかにしていく。この中で労働者にとっての団結権の意味も一段とはっきりする。さらに、戦後革命期との関連で「現憲法がもつ特異なエレメント」を探る部分、自民党新憲法草案の批判など、どれも説得力がある。

 新指導路線深化

 憲法闘争論ともかかわるもう一つの意欲作が、安倍政権で急浮上した道州制導入攻撃を批判した野沢論文である。斬新な切り口でタイムリーなテーマに迫る。またレーニンの労働組合論を扱った城戸論文は、ロシア革命におけるレーニンの闘いを検証しながら「党の革命」の地平に立って「労働組合の革命論的意義」をさらに掘り下げた力作であり、新指導路線をもう一歩深めている。
 室田論文は、韓国における非正規職撤廃闘争の激闘を生き生きと報告。中東問題の2論考は、スターリン主義批判とイスラエル・シオニズム批判にスポットを当てた新たな試みで、ブックレット『パレスチナの怒り』の補論にあたる。星野文昭同志奪還の野田論文も、獄中32年の星野同志に肉薄した地点から全面的に無罪を論証し勝利の展望を描く実践的論文である。最後の黒田批判・播野論文では、生命体としての死以前にすでに思想的・政治的な屍(しかばね)と成り果てていた黒田の惨状が存分に暴き出されている。打撃力あるカクマル批判だ。

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週刊『前進』(2268号6面5)(2006/10/30)

 星野文昭さんを取り戻そう 日程

 星野文昭さんを取り戻そう 35年目の渋谷で問う
 沖縄−星野11・25全国集会

 11月25日(土) 東京山手教会 
  午後1時開場
    2時開会
    5時閉会
  渋谷公園通り JR・地下鉄渋谷駅から300b
 ◎講演 知花昌一 反戦地主/読谷村議
  −1972年沖縄本土復帰の内実を問う−
  「星野文昭さんは何のために闘ったか」
 ◎朗読劇 イノセント
 ◎歌と語り
  ◇午前10時〜星野文昭獄中絵画など展示
   07星野カレンダーなど販売
 主催/11・25全国集会実行委員会

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広告画像 『共産主義者』第150号