ZENSHIN 2006/10/23(No2267
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週刊『前進』(2267号1面1)(2006/10/23)
教基法改悪阻止-国会闘争に立ち11・5労働者集会1万人大結集へ
「核実験」発表を口実とした北朝鮮侵略戦争策動弾劾する
(写真 教基法の改悪をとめよう!全国連絡会の国会前集会に結集した4000人の労働者・市民が国会に向けてシュプレヒコール【10月10日】)=記事2面
11・5労働者集会は日帝・安倍政権と対決する一大決戦の日となった。日本最大の右翼組織「日本会議」とその「国会議員懇談会」に所属する極右政治家らを最大の実体とする安倍政権は、戦後史を画する改憲突撃内閣だ。同時に、今や北朝鮮侵略戦争への突入内閣そのものである。安倍は日米同盟(日米枢軸)のもと、北朝鮮スターリン主義の「核実験予告声明」や「地下核実験成功」発表をとらえ、それを絶好の口実として、日米一体で国連安保理での制裁決議を主導し、北朝鮮への帝国主義的侵略戦争の発動に突き進もうとしている。国会決議やマスコミを総動員し、「北朝鮮制裁」の排外主義的大合唱を組織している。今、日本の労働者階級人民はこの攻撃と全面対決して闘う秋(とき)だ。教育基本法改悪阻止・改憲阻止を軸に国会闘争に決起しよう。北朝鮮侵略戦争阻止・安倍政権打倒へ、11・5労働者集会の1万人大結集をかちとろう。
日米枢軸で戦争へと進む安倍
11・5労働者集会の1万人総決起の実現に向け、今何が必要か。まず何よりも、10月9日の北朝鮮による「地下核実験」発表を絶好の口実とした米・日帝国主義の北朝鮮侵略戦争策動を徹底弾劾して闘うことだ。
米帝ブッシュは現在、国連安保理に船舶臨検を始めとする国連憲章第7章に基づく決議を提出し、北朝鮮への軍事力行使に道を開こうと全力をあげている。また安保理議長国である日帝・安倍はこの米帝案に一層輪をかけた追加制裁提案を行い、米帝と一体となり、戦争的に突出している。
さらに安倍は、世界に先駆けて日帝独自の北朝鮮制裁措置を、14日から発動した。貨客船「万景峰92」を始め北朝鮮の全船舶の入港、全産品の輸入、北朝鮮籍の人の入国を全面禁止したのだ。これは北朝鮮の体制転覆を狙い人民を死に追いやるとんでもない攻撃だ。
日米帝が主導するこれらの北朝鮮制裁は、文字どおり「宣戦布告」だ。船舶臨検とは侵略的軍事行動である。「核実験」発表につけ込み、イラク侵略戦争発動と同じプロセスで、米日帝が北朝鮮の体制転覆と朝鮮人民大虐殺の侵略戦争へと突進しているのだ。今こそ労働者人民の根底からの怒りを爆発させ、北朝鮮侵略戦争阻止・安倍打倒に総決起しよう。
資本主義・帝国主義こそ戦争の元凶だ。北朝鮮の「核実験」をめぐる戦争危機も、米・日帝国主義にその根源がある。
もちろん、北朝鮮スターリン主義の「核実験」は、反人民的・反プロレタリア的で、絶対に容認できない。それは南北朝鮮人民の闘いへの根底的な敵対であり、帝国主義と闘う国際階級闘争の妨害物だ。同時に、米日帝の絶好の口実とされて侵略戦争を誘発する冒険主義的な極限的瀬戸際政策であり、断固弾劾されなければならない。
だが、そもそも北朝鮮スターリン主義に戦争重圧を加え、体制崩壊の危機と「核実験」にまで追い込んだのは米日帝なのだ。米帝はすでにアフガニスタン・イラク侵略戦争をもって世界戦争過程に突入している。イラクに続きイラン、北朝鮮への侵略戦争と体制転覆の攻撃を狙っている。こうした中での北朝鮮の必死の対抗的延命策が、「核実験」である。だからそもそも、米帝や日帝に北朝鮮を非難する資格などはまったくない。
現実にも、今回の「核実験」は小規模で、成功したか失敗したかもはっきりしないレベルのものだ(米政府当局者は「失敗」と言っている)。まして小型化にも兵器化にもほど遠い。核実験があったかどうかの「確認」さえできていない。
それを、すでに地球を何回も破壊できる核兵器を持ち、今も地下核実験を行い、イラクでは劣化ウラン弾で大虐殺をやっている米帝が、安保理で日帝ともども軍事的制裁が可能な「7章決議」に奔走している。国力や通常兵力が北朝鮮の何十倍、何百倍もあり、核武装化の野望さえもつ帝国主義国・日本では、マスコミや自民党から日本共産党まで全勢力が、今にも核ミサイルが飛んでくるかのごとく騒ぎ立て、「北朝鮮制裁」を大合唱している。
そもそも安倍は、拉致問題と対北朝鮮最強硬路線で政治的に台頭した極右政治家だ。そして安倍は日米枢軸で北朝鮮侵略戦争をやるために政権についたのだ。そのためにこそ、安倍は教基法改悪と集団的自衛権行使の解釈改憲を最優先課題としているのである。
日本の労働者階級人民は、今こそ「核実験」を口実とした北朝鮮制裁=侵略戦争策動の全面激化と対決し、韓国・民主労総を始めとした日米韓の国際連帯闘争で、北朝鮮侵略戦争阻止・安倍政権打倒に立とう。11・5労働者集会が、その最大の決戦場だ。
教労と国鉄を軸に勝利開こう
安倍が最優先で法案成立に全力をあげている教基法改悪は、「愛国心」教育=戦争教育への転換と日教組の解体を狙った改憲攻撃そのものだ。安倍はここで突破し、一気に戦争体制構築をはかろうとしている。またそのためにこそ「官公労」を「抵抗勢力」と敵視し、4大産別の労働組合を解体しようとしている。
9条改憲を待たずに集団的自衛権行使に道を開く策動も、教基法改悪と一体の大攻撃なのだ。
しかし安倍政権は決して盤石ではない。労働者支配を始め、その体制はむしろ脆弱で危機的である。労働者と労働組合が団結して決起すれば打倒できる。とりわけ安倍が生命線とする教基法改悪案を粉砕すれば、政権はガタガタとなる。闘いはすでに始まっている。
9月21日の予防訴訟での「日の丸・君が代」強制は違憲・違法だという判決は、3年間の不起立闘争が切り開いた決定的な勝利だった。これは階級闘争全体にものすごいインパクトを与え、教育労働者の勝利感と高揚感は、確実に追い風となり、大流動情勢が生まれている。国会前での教育労働者の連日の座り込み闘争も、日教組指導部の屈服をのりこえて闘われようとしている。
9・21判決勝利の勢いに乗り、安倍政権と対決し、職場から国会に駆けつけ、教基法改悪案を、共謀罪や国民投票法案を、絶対に阻止しよう。
沖縄では、米軍天願桟橋ゲート前に労組や市民団体が座り込み、10月8日から3日間にわたってパトリオットミサイル(PAC3)の搬入を阻止した。北朝鮮の「核実験」情勢の真っただ中でのこの行動は、侵略戦争阻止をかけた素晴らしい闘いだ。安倍の戦争と改憲の攻撃に対する、労働者人民の命がけの決起がすでに始まっている。
労働者階級には今、二つの決定的な闘いの武器がある。一つは教労決戦だ。10・23通達以来の「日の丸・君が代」強制拒否を始めとする教育労働者の不屈の決起には、戦争協力拒否の質を持った無限の可能性がある。これを全面的に発展させ、教基法改悪阻止と07年「日の丸・君が代」決戦に攻めのぼろう。
もう一つは、動労千葉労働運動と国鉄決戦だ。とりわけ動労千葉を軸とした1047名闘争と5・27国労臨大闘争弾圧粉砕の闘いが決定的である。裏切りと転向の政治解決路線と決別し、解雇撤回の原則堅持と反合・運転保安闘争を貫徹して、国鉄労働運動の階級的再生を切り開こう。
この教労と国鉄(動労千葉)を軸に闘うことこそ、今日的な4大産別決戦の環をなす。動労千葉労働運動と「日の丸・君が代」闘争の階級的質と主体的拠点をもって、安倍政権打倒、教基法改悪粉砕・改憲阻止の大決戦に進撃していこう。
関西地区生コン支部、港合同、動労千葉の闘う3組合が呼びかける11・5労働者集会は歴史的な闘いとなった。革命の未来は11・5への1万人結集に一切かかっている。職場で、キャンパスで、地域で、街頭で、11・5日比谷野音への総結集を必死に訴え組織しよう。
11・5の1万人決起で、教基法改悪・改憲と北朝鮮侵略戦争に突き進む安倍政権を打倒せよ。
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週刊『前進』(2267号1面2)(2006/10/23)
教基法 特別委での採決強行阻止へ
国会前に連日座り込もう
教育基本法改悪を阻むために、国会闘争が正念場を迎えている。
伊吹文科相は、春の通常国会の衆院特別委員会で49時間審議したことをもって「あと20〜30時間やれば十分」と公言し、自民党の中川幹事長は「与党単独採決も辞さない」と言っている。
6日には、今国会で教育基本法改悪が成立することを前提に、来年の通常国会に学校教育法改悪案を提出する政府方針を決定した。10日の閣議で設置が決定された「教育再生会議」には、トヨタ会長の張富士夫やJR東海会長の葛西敬之ら、根っからの改憲論者の財界人を並べた。
改悪案の成立を阻むために、この10月、衆院特別委員会の審議―採決を阻止することができるかどうかが最大の焦点だ。
全国の日教組組合員が、「今この時に行動しなければ」と必死の思いで国会前に駆けつけてきている。広島県教組の有志は26日の国会開会日に国会闘争に決起した。続いて10月10日から独自の国会闘争に決起した大分県教組の労働者は「特別委員会が開かれたら一気に採決が強行されかねない。委員会を開かせないために、今、国会行動が必要だ」と訴えている。
現場組合員の危機感に突き動かされて、日教組本部は19日から30日まで土日を除く連日、13時から16時までの国会前座り込み方針を決めた。しかしその動員人数は、各ブロックわずか20人だ。
日教組本部の動員枠をはるかに超える大結集で国会前を埋めつくそう。東京教組は、日教組方針に加えて同じ期間、連日16時から18時まで座り込みを継続することを決定した。さらに都教委包囲ネットの有志による17日からのリレーハンストも呼びかけられている。
国会前に駆けつけて、「教育基本法改悪絶対阻止」の声をあげよう。
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週刊『前進』(2267号1面3)(2006/10/23)
パトリオット搬入阻む
沖縄 座り込み闘争で3日間
米軍嘉手納基地に配備されるパトリオットミサイル(PAC3)の搬入を阻止する沖縄人民の闘いが爆発した。ミサイル本体を陸揚げしようとしたうるま市(旧具志川市)の米軍天願桟橋ゲート前で、10月8日夜から11日朝まで3日間にわたる座り込み闘争が貫徹された。米軍再編攻撃に対する最前線の実力闘争だ。
(写真 「パトリオット配備阻止!」の横断幕を掲げ米軍天願桟橋前に結集【10月8日夜 沖縄・うるま市】)=記事5面
10月11日早朝、8日夜から米軍天願桟橋ゲート前を封鎖していた沖縄平和運動センター傘下の労働組合、反基地住民団体の座り込み阻止部隊に対し、ついに国家権力は機動隊をさし向けて強制排除の弾圧に出た。前夜から徹夜で座り込んでいた人たち、夜中に「機動隊導入」の情報を聞き急きょ駆けつけた人たち、約50人は一歩も引かずスクラムを組んで最後まで闘った。沖縄労組交流センターの労働者もともに闘った。
8日夜に250人が集まって陸揚げ阻止の座り込み封鎖態勢に入ってからまる3日間、ミサイルを積み込んだ輸送船が桟橋に接岸してから2日間、世の中は北朝鮮の核実験のニュースがタガが外れたように流され、排外主義の嵐となって吹き荒れていた。天願桟橋PAC3搬入阻止闘争は、この嵐を真っ向から切り裂いて闘いぬかれた。
闘いは完全に全県的支持と共感を集め、日米間の政治問題に発展していった。日本の責任で排除しろという米帝に対し、体を張って闘う労働者人民に警察権力をもって弾圧することがどれほど県民の怒りを買い反撃を食らうか、それが県知事選挙にどんな事態を結果するかを知りぬいている日帝は、完全に追いつめられた。
夜となく昼となく、24時間いつ警察権力、米軍が襲いかかってくるか分からない緊張の中にありながら、実に意気軒高と闘いぬかれた。労働組合の組織性は遺憾なく発揮された。食料、飲料水など、次々と差し入れが届き、ニュースを聞いて多くの人が激励に駆けつけ、また自ら闘いに参加した。
日帝権力は、”この闘いは全県的怒りの爆発の導火線になりかねない。時間がたてばたつほど、この火は消せなくなる”ことを完全に自覚するに至り恐怖した。そこから11日の強権弾圧に打って出てきたのだ。機動隊の数にものを言わせて座り込みを強制排除し、11日昼までにはミサイルを嘉手納弾薬庫に運び込んだが、この3日間の阻止闘争を闘った労働者人民に敗北感はまったくない。
現場で開かれた総括集会で、現場責任者として指揮した沖縄平和運動センターの山城博治事務局長は、高らかに勝利宣言を出し、全体が圧倒的な拍手でこたえた。それはこの体を張った闘いを担った人びと全員の実感であった。すなわち、自分たちの闘いが圧倒的な数の人民の熱い支持と共感に支えられていること、実は米軍と政府こそが人民の怒りで包囲されていることを体でつかんだのだ。
全体は、搬入トラックを嘉手納基地まで追いかけ、最後に嘉手納の「安保の見える丘」で総括集会を行い、闘争を締めくくった。
この闘いの真っ最中の11日、宮古・下地島空港に、またしても米軍ヘリ8機などが飛来、宮古の労働組合によって抗議闘争が闘われた。沖縄は「沖縄戦前夜」の様相を呈してきている。
11・5労働者集会の圧倒的成功をかちとり、糸数慶子統一候補を押し立てた11月沖縄県知事選挙に絶対勝利しよう。
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週刊『前進』(2267号1面4)(2006/10/23)
今週の国会行動
▽教育基本法の改悪をとめよう!
10・17国会前集会
10月17日(火)午後6時〜7時 衆議院第2議員会館前
主催 教育基本法の改悪をとめよう!全国連絡会
▽共謀罪・ゲートキーパー法反対集会
10月18日(水)午後6時半〜 弁護士会館クレオ 主催 日弁連
▽教育基本法改悪反対国会前座り込み(日教組)
10月19日(木)〜30日(月)午後1時〜4時 衆議院第2議員会館前
▽教育基本法の改悪をとめよう!
10・23院内集会 10月23日(月)午後4時半〜5時半
衆院第2議員会館第1会議室
主催 教育基本法の改悪をとめよう!全国連絡会
やめろ!教育基本法改悪 つぶせ!共謀罪
10・22新宿ジョイントデモ
10月22日(日)午後5時集合、6時から新宿デモ
新宿・柏木公園(新宿区西新宿7―14)
共催 都教委包囲首都圏ネット/破防法・組対法に反対する共同行動
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週刊『前進』(2267号1面5)(2006/10/23)
日程
たたかう労働組合の全国ネットワークをつくろう!改憲・戦争と民営化―労組破壊にたち向かう労働者の国際的団結を!
11・5全国労働者総決起集会
11月5日(日)正午開会
東京・日比谷野外音楽堂
呼びかけ 全日本建設運輸連帯労働組合関西地区生コン支部/全国金属機械労働組合港合同/国鉄千葉動力車労働組合
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週刊『前進』(2267号2面1)(2006/10/23)
教基法闘争 全国で反撃のうねり
10・10国会前に400人の熱気
勤め帰りの労働者続々結集
「教育基本法の改悪阻止! 絶対に廃案にするぞ!」。10月10日夕、教育労働者の音頭で、力強いシュプレヒコールが国会前に響き渡った。
(写真 全国連絡会主催の国会行勤に参加した400人は首相官邸前に移勤し、安倍政権への恕りをたたきつけた【10月10日】)
教育基本法の改悪をとめよう!全国連絡会が主催した国会前集会には、400人の労働者・市民が集まった。勤務を終えて職場から大急ぎで駆けつけてきた東京・首都圏の教育労働者がその中心を占めた。
冒頭、東京の「日の丸・君が代」被処分者が、9月21日の予防訴訟判決の勝利を高らかに報告し、「17日から国会前でリレーハンストに立ち上がります。国会前に闘う拠点をつくり、全国の運動とつないで、改悪を阻もう」と呼びかけた。
全国連絡会呼びかけ人の三宅晶子さん(千葉大学教員)は「日本は核武装すべき」という声が噴き出していることに警鐘を乱打し、「教育は平和の砦(とりで)です。教育基本法の改悪をとめることが戦争をとめることです。通常国会の時の5倍、10倍の力を、国会に集めましょう」と呼びかけた。
神奈川・三浦半島地区教組の代表は、地元での取り組みを報告し、「政府案のみならず、民主党案も通してはならない」と訴えた。東京教組の代表は「教育基本法の改悪は憲法を変えることだと、多くの人びとが気づき始めている。改悪をとめるため、東京教組は来週から連日の座り込みで闘います」と述べた。
遠く香川から飛行機で駆けつけた教育労働者が「先週も国会前に来ました。来週も来ます。教育基本法改悪を止めましょう!」と述べると、大きな拍手がわいた。
都立高の音楽専科の教育労働者は、前任校の卒業式で述べた一言で処分を受けたことを弾劾し、「『天皇のために死ね』と教えた歌を私たちは教えられない」と述べた。「日の丸・君が代」不当解雇撤回を求める被解雇者の会の代表は「9・21判決に続く勝利をかちとりたい。そのためにも、教育基本法の改悪を阻止しよう」と訴えた。
教育基本法「改正」情報センターの若手研究者は、日本教育学会歴代会長の「見解と要望」への賛同署名を呼びかけた。
集会後は首相官邸前に移動して、安倍に届けと大きな声でシュプレヒコールを行った。
反戦共同行動委は、全国連絡会集会に先だって独自集会を開催し闘いを牽引(けんいん)した。
(写真 全国連絡会主催の国会行動に参加した400人は首相官邸前に移勤し、安倍政権への怒りをたたきつけた【10月10日】)
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週刊『前進』(2267号2面2)(2006/10/23)
繰り返さぬぞ絶対に ルポ教育労働者の現場 @
教育基本法の改悪阻止! 全国の職場から国会へ
業績評価との闘い@ 自己申告による教員統制
勝利判決で力関係変わった
教育現場では今、教育基本法改悪の先取りの攻撃が教育労働者を襲っている。その実態を報告するとともに、職場でこの現実と闘いながら教育基本法改悪阻止へ立ち上がる教育労働者の訴えを伝える。(大西晶/文中の名前はすべて仮名)
朝の職場に拍手わく
9月21日。都教委による「日の丸・君が代」強制の不当性を訴えた予防訴訟の全面勝利判決の報は、全国を駆けめぐり教育労働者を鼓舞激励した。
9月22日の朝。広島の中学校で働く山中義郎さんが職場に行くと、同僚が拍手で迎えた。「その瞬間、なぜ拍手されたのかわからなかった」という山中さんに、同僚が「やっぱりあなたがやってきたことは正しかったね」と語りかけた。山中さんは、1999年の「国旗・国歌法」制定以来、卒・入学式の「君が代」斉唱のたびに不起立し、処分は10回を超えた。
同じく広島の中学校で働く吉川聡さんも、同僚に次々と「よかったね」と声をかけられた。吉川さんも処分を受けながら不起立を続けている。
「不起立していない人にとっても他人事じゃない。みんな、ものすごい怒りを感じているから。あの判決で、職場の力関係が明らかに変わりました」
広島は1998年から文部省による「是正指導」が行われ、今年で9年めとなる。最大の理由は「日の丸・君が代」実施率が低かったことだ。それ以来、大変な重圧の中で頑張ってきただけに、勝利判決の感慨は大きかった。
国会開会日の9月26日は朝から、広島から7人で国会前に駆けつけた。その一人、後藤麻美さんは小学校で働く。「先輩には、平和学習で教壇に立つだけで涙で言葉にならない、という被爆教師がいっぱいいて、その方たちに『絶対に繰り返すな』と聞かされて育てられた。教育基本法改悪だけは体を張って阻みます」。そう語る後藤さんの目にも涙が光った。
(写真 広島から国会前に駆けつけた【9月26日】)
昇給延伸に反撃 東京
今、全国の教育現場に業績評価システムが広がっている。その口火を切ったのは東京だ。
2000年度から始まった人事考課制度は、毎年すべての教育労働者を「S・A・B・C・D」の5段階にランク付けする。05年度から業績評価の賃金への反映も始まった。評価がCまたはDの教員は、翌年度の定期昇給が3カ月延伸される。例えば32歳の労働者が昇給を1回延伸されると、退職までの生涯賃金で70万円程度のマイナスになる。
さらに07年度から4段階の査定給を導入しようとしている。一律の賃金体系を壊し、労働者に分断を持ち込み、団結を破壊することが狙いだ。
これに対し、05年度に昇給延伸とされた労働者が、撤回を求めて人事委員会への措置要求に立ち上がった。組合を巻き込んだ支援陣形が広がり、恣意(しい)的な評価の不当性が暴かれ、人事考課制度を直撃する闘いとなっている。
組合の屈服に怒り 広島
人事考課をめぐる全国各地の攻防を見てみよう。
広島では「教職員の自己申告による目標管理」が2003年にスタートした。@年度当初に学校経営目標を踏まえて自己目標を設定し、管理職との面談を経て目標を決定。A管理職は職員の職務遂行状況を観察、指導・助言。B職員は年度の中間期に進捗状況を自己評価して中間申告。管理職が面談し指導・助言。C年度末に目標の達成状況を自己評価し最終申告。校長・教頭が指導・助言を申告書に記載する。要は、校長の「学校経営方針」に沿った教育を教育労働者に強制するものだ。
後藤さんは言う。「個別面談で校長が『あなたの子どもはまだ小学生ですよね』と言ってくる。”配転されたくなければ言うことを聞け”という脅しです」。ここ数年、「日の丸・君が代」に不起立した人や組合の活動家などが次々と強制配転され、管理職に少しでも意見すると配転の対象とされる。「しかも校長も、教育委員会の言いなりにならなければ、通勤時間が2時間もかかるところに飛ばされるから、現場労働者をますます締め付けてくるんです」。
自己申告制度と多忙化は一体だ。何月何日は何の授業という一覧表や、授業時数の毎月の集計など、とにかく意味のない書類ばかり提出させられる。毎日授業時間ごとに「1時間目の授業は何人、誰が早退した。2時間目は何人、誰がいなかった」という報告書を提出させられる地区もある。
「しかし、より重大なのは組合本部の対応です」と吉川さんが語気を強めた。初年度、組合本部は自己申告書の提出拒否方針を掲げ、組合員は一斉に提出を拒否した。しかし年度途中で組合本部はこの方針をとり下げた。現場では、組合の提出拒否方針撤回と同時に退職を決めた人も多かった。吉川さんは「急増する若年退職は、攻撃の激しさだけが原因ではない。闘わない組合本部への絶望が大きい。団結して闘う方針があれば、みんな辞めずに頑張れるのに」と悔しさをにじませる。
そんな中でも、自己申告書の提出を拒否する吉川さんや後藤さんの職場は、まだまだ元気だ。「おかしいことはおかしい」ときっぱり言う労働者がいれば、仲間も声をあげる。後藤さんは「不満があふれているから、管理職にもがんがん言ってる。けっして負けてませんよ」と語った。 (つづく)
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週刊『前進』(2267号2面3)(2006/10/23)
広島 9・21勝利判決を武器に不当処分の撤回迫る
広教組と広高教組の「日の丸・君が代」被処分者9名が、10月2日、市と県の教育委員会に乗り込み、「処分は違法・違憲だ、撤回せよ」と申し入れを行いました(写真)。私たちの追及に市教委・県教委はただうなだれるのみ。正義がどちらにあるのか、もはや完全に明らかです。
この日の申し入れは9・21判決後初めてということもあり、マスコミが圧倒的に注目。NHK広島のニュースは、仲間へのインタビューを含め大きく取り上げました。
同日、東京での日教組主催の請願行動の事前集会に参加した仲間は、「明確な闘う方針を出せ」と会場から日教組本部を弾劾しました。
今、私たちは9月23日の行動に続いて「10・22ヒロシマアピール行動」を企画しています。現在、分会・個人・諸団体合わせて50を超える賛同を得ています。最終的には100の賛同を集めようと、毎日各分会をかけ回っています。また国会前でのハンストに連帯し、21日午前からは私たちも原爆ドーム前でハンストに入ります。
この現場の力、ランク・アンド・ファイル運動で日教組を再生させよう。私たちは必ず安倍政権の教育基本法改悪にとどめをさします。
(投稿/広島・教育労働者 M・T)
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週刊『前進』(2267号2面4)(2006/10/23)
仙台 改悪阻止へ4千人
「愛国心」の強制に怒り
9月30日、仙台で「憲法・教育基本法を守りいかす9・30宮城のつどい」が開かれ、宮教組・宮高教組の教育労働者をはじめ3800人の労働者・市民・学生が集まった。教基法改悪を臨時国会の最重要課題とする安倍の登場に対して、怒りみなぎる闘いとなった。
集会では、はじめに「教育基本法の改悪を止めよう!全国連絡会」事務局から9月21日の東京の「日の丸・君が代」裁判の歴史的勝利や26日の国会前闘争の高揚ぶりが報告され、11・12全国集会への結集が強く呼びかけられた。
リレートークでは高教組青年部の女性が発言し、「愛国心を強制する教育は絶対にしたくない」とアピール。集会の中心を担った若手弁護士は「私は戦争で子どもたちに血を流させないために、汗を流します」と熱烈に訴えた。
実行委員会の一員として東北大学学生自治会委員長も発言。法政大や東北大有朋寮の処分攻撃とそれに対する闘いを報告し、「安倍首相など一部の権力者たちが戦争をしようというなら、私たち労働者・学生がそんな政権は倒して戦争を止めましょう」と訴え、会場からは大きな拍手がまきおこった。
会場では百万人署名運動・宮城県連絡会が260筆の署名を集め、中には一人で120筆もの署名を集めて持ってきてくれた保育士もいた。第三次強制執行阻止決戦を闘う有朋寮生も1000枚を超えるビラをまき、強制執行阻止を訴えた。
労働者民衆は、改憲・戦争に突っ走る安倍に対する危機感、怒りを煮えたぎらせている。教基法改悪阻止―安倍打倒へ、11・5労働者集会に仙台からも大結集を実現する。(東北大・TM)
(写真 集会後“教育基本法を変えるな”と仙台市内をデモ行進【9月30日】)
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週刊『前進』(2267号2面5)(2006/10/23)
NTT大合理化攻撃と闘い職場の団結を11・5結集へ
革共同電通委員会
労働者を襲う賃下げ・首切り
電通労働者は、NTT労組の裏切りの中で85年の民営化後のこの20年間、合理化につぐ合理化の嵐の中を闘い抜き、生き抜いてきました。いよいよ日帝の断末魔のあがきの中で電通労働者の魂を示すときを迎えています。IP化の促進のためメタル系労働者(後述)を一掃し、労使一体で経営の効率化を叫ぶ「中期経営戦略」を粉砕する職場からの反乱を組織しよう。11・5労働者集会の大成功をかちとろう!
電通の職場はこの間、すさまじい合理化攻撃の中におかれてきました。情報・通信産業は現代帝国主義の基幹産業であり、帝国主義間争闘戦の大きな焦点です。日帝はここで敗勢に陥っており、NTT資本による連合指導部を使った激しい資本攻勢はこのことを背景にしています。
00年には「IP型への転換のために」として、「中期事業計画」が強行されました。「IP型」とは、百年かかって築きあげて来た「電話網」を破壊し、インターネットの技術を使った通信に置き換えることです。
電話の通信は発信した電話から着信する電話機まで、電話機−ケーブル−交換機−ケーブル−電話機と一本の銅線で結ばれています。電話通信はケーブルや交換機の保守、故障の受け付けから注文を受け付ける部門まで様々な職種の電通労働者の手によって確保されています。電話に使われる多くのケーブルが銅線でできているので電話系のことを「メタル系」と呼んでいます。
この「中期事業計画」では、「一県一拠点」化が強行されました。県庁所在地にある事業所以外はすべて廃止されたのです。この合理化は「人員流動」という名で進められ、広域に及ぶ集約が行われました。その結果、通勤不可能な事業所の労働者は家族ぐるみで転勤するか、単身赴任するかの選択を迫られました。通勤可能といっても、新幹線通勤や高速バス通勤の超長距離通勤を含んでいました。
この「中期事業計画」では同時に「希望退職」も募集され、多くの労働者が職場を去るかどうかを迫られました。とりわけ、離島の事業所は全員が転勤するのか辞めるのかの選択を迫られたのです。残念ながら「希望退職」という首切りで多くの仲間たちが職場を去ることになりました。
これが「中期事業計画」です。「IP型への転換」とは、メタル系労働者を全面的に切り捨てることだったのです。
この「中期」の翌年の01年には成果給が導入されました。労働者をABCDにランク付けし、賃金格差を付けていったのです。
さらに02年には、「新3カ年計画」=「構造改革」の合理化が強行されました。この合理化は、50歳以上の労働者に「自主的」に「退職願」を提出させ、新たに作った新地域会社に賃金30%カットで再雇用するというおそるべき攻撃です。「自主的」という形式をとったことで「高齢者雇用安定法」「転籍」にかかわる法律の網の目をすり抜けたのです。会社と組合が一緒になって、退職しない労働者を「全国流動社員」として広域配転をするぞと恫喝し、「辞表」を出させました。「一旦退職」した労働者は「転籍」と違って退職金が支払われ、再雇用にあたっては誓約書の提出を求められます。雇用は継続しないのです。
この攻撃は今も続いています。毎年、50歳を迎えた労働者は「自主退職」を迫られ、30%の賃金カットが待っているのです。
さらに今年4月からは、年齢給を一切無くした「全面的成果給」が導入されました。
資本に総屈服のNTT労組
こうした合理化のすべてがNTT労組中央の裏切りの上に成り立っています。「雇用の確保のため」というペテンを使ったNTT労組の協力なしには、これらの大合理化はけっして貫徹できなかったのです。
現在NTT資本は「中期経営戦略」を推し進めています。これは、加入電話数の約半分に当たる電話をIP電話(光電話)に置き換えるなど、完全にメタル系労働者を切り捨てる大合理化攻撃です。
しかしNTT労組中央は「激しい市場競争に打ち勝つために」などと、資本とまったく同じ立場からこの「中期経営戦略」を積極的に推進し、合理化攻撃の先兵になり果てています。
こうしたNTT労組中央の資本への屈服は「改憲推進派」への転落と一体です。05年のNTT労組沖縄大会で森嶋委員長は「現憲法を未来永劫(えいごう)一切ふれてはいけないなどと言うつもりはない」と述べました。この委員長見解でNTT労組は完全に改憲派へ転落したと断じざるを得ません。
現在、様々な破綻(はたん)がNTT資本を襲っています。9月29日には「構造改革」で「一旦退職を拒否した労働者の強制配転は違法」の札幌地裁判決が下りました。今年の1月には「退職者の企業年金の減額を認めない」という判決も下りています。職場には「もう我慢ならない」「闘わなければ生きていけない」という電通労働者の怒りが湧きあがっています。
今、闘う労働組合・労働運動をよみがえらせる歴史的チャンスを迎えています。職場で連合派との党派闘争を徹底的に闘い抜き、職場闘争を改憲阻止闘争そのものとして闘えば、広範な労働者と結びつき、本物の階級的団結を取り戻すことはまったく可能です。
職場支配権の確立へ闘おう
わが電通委員会は、この間くり広げられた「構造改革」攻撃に対し、「一旦退職」を拒否し大きな勝利をかちとってきました。この地平を発展させ、職場の怒りの最先頭に立つ決意です。
安倍政権の登場は戦後史の大転換期が到来したことを告げ知らせています。中川自民党幹事長は「安倍政権の最大の抵抗勢力は官公労」と、闘う労働運動の解体を叫んでいます。私たちは「改憲」を真正面から掲げた安倍政権のこの凶暴さの中に、敵の側の危機を見てとらなければなりません。
小泉構造改革で労働者の生活は徹底的に破壊されました。無数の労働者が団結や雇用を破壊され、無権利の非正規職に突き落とされています。
電通の職場も例外ではありません。ここ数年で派遣社員、パート労働者が正社員の人数を上回ると言われています。一方でNTT資本はトヨタと並びここ数年、巨大な利益を上げています。極限的合理化と非正規雇用の労働者の大量導入で総人件費を抑制してきた結果です。労働者の犠牲の上にNTT資本のもうけは成り立っているのです。
安倍政権の最大の弱点は、戦後革命期や60〜70年安保闘争などで示した労働者階級の底力を知らないことです。労働者の怒りと真に結び付き、団結を強化する職場闘争を無数に実現したとき、安倍政権の弱点が暴き出せるのです。
重要なことは青年労働者の獲得です。青年労働者のみずみずしい感性と行動力が社会を変える最大の力です。マルクス主義で武装された大量の青年労働者の隊列を電通の職場に作り出そう!
動労千葉の闘いは、私たち電通労働者の進むべき道を明々と照らしています。労働者の団結の力が職場支配権を確立することを実践し、勝利し続けているのが動労千葉です。この動労千葉の闘いに学び、安倍反動政権打倒の電通労働者の隊列を11・5労働者集会に登場させよう!
労働者の決起に無限の信頼を置く党へと生まれ変わる「党の革命」を担い切り、いざ11・5へ突き進もう!
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週刊『前進』(2267号2面6)(2006/10/23)
国労5・27臨大闘争弾圧裁判公判日程
第65回 10月18日(水)
第66回 11月8日(水)
第67回 11月29日(水)
午後1時15分 東京地裁
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週刊『前進』(2267号3面1)(2006/10/23)
10・8三里塚
労農連帯で「農地死守」宣言
市東さんが不退転の決意
「北延伸」粉砕へ怒りのデモ
全国から1350人の労働者・農民・学生が決戦の地に
反対同盟の熱烈な決意にこたえ、農地強奪攻撃の粉砕を力強く宣言した(10月8日 成田市東峰)
10月8日、成田市東峰の畑を会場に快晴のもと、三里塚芝山連合空港反対同盟主催の現地総決起集会が開かれた。成田空港会社(NAA)による暫定滑走路「北延伸」着工強行下で、全国から1350人の労働者、学生が結集した。農地強奪の攻撃に対し、労働者と農民との合流・総決起で粉砕することを力強く宣言する、40年の闘争史上でも画期的な闘いとなった。
萩原進さん「労働者と合流」
オープニング企画として闘う音楽集団「ヨッシー&ジュゴンの家」が壇上で2曲演奏し、安倍打倒へ闘う雰囲気を盛り上げ、伊藤信晴さんの司会で集会が始まった。
本部役員の鈴木幸司さんが開会宣言を行い、「市東さんの農地を略奪することを許さない。代執行時の闘いを今一度やるつもりで頑張ろう」と檄(げき)を発した。
続いて事務局長の北原鉱治さんが主催者あいさつを行った。「市東さんは『億の金をもらうより、この地で1本100円の大根を作っていく』と宣言している。40年の闘いの正義を確信し、再び流血を恐れず北延伸攻撃を迎え撃とう」と奮起を促した。
基調報告に事務局次長の萩原進さんが立った。「25日から暫定滑走路北延伸工事として国道51号トンネル付け替え工事が始まった。この攻撃は市東さんをつぶし、反対同盟を屈服させて、闘う陣形を破壊しようとするものだ。しかし40年たってあの危険でグロテスクな空港のありさまを見てほしい。三里塚には安倍の言う『美しい日本』はない。権力は闘いの爆発を恐れている。
農政の大転換が図られようとしている。法人化、企業化のもとでの大規模化が進められようとしている。中小の農家はつぶされ、企業の下に農業労働者として吸収される。これが21世紀農政の中身だ。そうした中で、農地法を使って市東さんの農地を強奪するという攻撃がかけられてきた。今こそ分断されてきた労働者と農民が団結して同じ敵に向かって立ち上がろう。その大合流の場所が三里塚だ。市東さんの戦闘宣言を受けとめ、十重二十重に市東さんを守る陣形をつくろう」
闘う農民から発せられた労農連帯の熱烈な呼びかけを、参加した労働者は歓呼の声で迎えた。
動労千葉の田中康宏委員長が特別報告に立った。「三里塚をめぐって歴史がせめぎ合っている。動労千葉は労農連帯の原点に返ることを確認した。労働者の怒りはマグマのように地底によどんでいる。この怒りを11・5労働者集会の1万人結集で解き放とう」
葉山岳夫弁護士を先頭に反対同盟顧問弁護団の4人が登壇した。葉山さんは農地法を適用しての市東さんの農地取り上げが、いかにデタラメで違法かを例証し、現闘本部裁判、一坪共有地裁判での勝利を訴えた。
ここでいよいよ、「3代90年の農地を守る決意」として市東孝雄さんが発言に立った。マスコミのカメラが壇上に集中し、参加者すべてが市東さんの発言を一言も聞き漏らすまいと耳を傾けた。緊張感が集会場を覆った。
市東さんは言葉を選びながら、しかしきっぱりとこの農地強奪攻撃と闘い、軍事空港廃港への決意を表明した(発言別掲)。この市東さんの闘魂に胸打たれ、参加者は鳴りやまない拍手でこたえた。
07年3・25全国集会を提起
全関西実行委員会代表世話人の永井満さんが、9月14日の千葉県農業会議傍聴闘争を報告した。
(写真 敷地内デモの最先頭に立つ市東さん、萩原さん、北原さんら反対同盟)
「市東さんの農地の転用の問題で、一人が質問をしただけで全員一致での了承、会議終わり。直ちに私たち傍聴者全員が糾弾の叫びを上げた。国がやりたい放題の違法を行って、何が『美しい国』か!」と生々しい報告を怒りを込めて行った。
続いて、秋田県の農民からの、「民を殺すは国を殺すなり」という、足尾鉱毒事件を闘った田中正造の演説を引きながら、農民闘争としての三里塚に熱烈な共感を表明するメッセージが紹介された。
菱田の鈴木謙太郎さんが、成田用水による菱田廃村化攻撃、警察の日常的な監視・尾行を怒りをこめて弾劾し、「改憲阻止・成田軍事空港化阻止」を市東さんとともに闘うと語った。
野戦病院が現闘本部裁判、一坪共有地裁判の取り組みを訴えた。さらに婦人行動隊の鈴木加代子さんが、市東さんの農地を守るための熱烈なカンパアピールを行った。
ここで司会を宮本麻子さんに交代。宮本さんが反対同盟が推薦する三里塚闘争のビデオ作品『大地の乱』が完成し発売されたことを告知すると、販売所に並べられていたDVDはたちまち売り切れてしまった。
関西新空港反対闘争の住民団体から3人が登壇し、代表して泉佐野市議の国賀祥司さんが「9月28日に関西の地で市東さん、萩原さんを迎えて集会を行った。金と権力の脅しに屈せず闘う三里塚に熱い共感が広がった。ビデオ『大地の乱』を活用してさらに支持を広げる運動を」と訴えた。
北富士忍草母の会から事務局長の天野美恵さんと天野正子さんが登壇。美恵さんは「米軍の演習が行われようとしている。11月26日の北富士現地集会に全力で集まってほしい。市東さんの土地の強奪を許さず、私も体を張って演習を止める覚悟だ」とますます盛んな闘志を表明した。
部落解放同盟全国連合会、婦人民主クラブ全国協議会、闘う「障害者」などの連帯と決意の表明が続いた。全学連の織田陽介委員長は、「弾圧も受けながらこの1年間やってきて、自分は三里塚のように闘う、動労千葉のように闘うということが完全に分かってしまった。法大決戦の爆発から11・5労働者集会の1万人結集で安倍政権打倒を実現する」といつにも増してパワフルな決意表明で満場をわかせた。
最後に野平聰一さんが「闘争宣言」を読み上げて農地死守、「東峰の森」防衛の反対同盟の不屈の意志を明らかにし、来春3・25三里塚現地での全国総決起集会を提起した。太郎良陽一さんが行動方針の提起と団結ガンバローを行った。
白熱の攻防点をデモで縦断
反対同盟を先頭に、長蛇のデモが東峰の集会場から出発した。市東さん宅前から団結街道を暫定滑走路の「へ」の字に曲がった誘導路に沿って進んだ。反対同盟現闘本部と市東さんの畑にさしかかるとすぐ右横を巨大な旅客機が「へ」の字にそって走行する。まさにここが攻防の熱い現場なのだ。デモ隊の叫びがひときわ高くとどろいた。
さらに国道51号トンネル工事現場を見つつ、違法転用がたくらまれている廃棄物処分場クリーンパークまでのデモ行進を貫徹した。
市東さんの決意、反対同盟の決意、集会参加者の決意が「農地死守」の一点で結合した。そして労働者の総決起と呼応して、日本農民が40年の実力闘争を誇る三里塚を先頭に立ち上がる出発点がここに確かに築かれたのである。
11月5日の日比谷野音労働者1万人総決起へ、この10・8三里塚現地闘争の熱気を持ち込もう。
(写真 動労千葉を先頭とする反戦共同行動委のデモ隊。「労農連帯」の旗がはためいた)
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週刊『前進』(2267号3面2)(2006/10/23)
市東さんの発言
「金がすべて」に怒り心頭
9月14日の千葉県農業会議で、県の農地課事務局が「補償額が1億8千万円だ」と、そして私の耕作地について「あのくらいの農地の1年間の収益に換算すると、150年分の年収だ、だから金をもらって出ていけばいい」と、そういうことを農業を守るべき立場の人が言ったわけです。そのとき傍聴に入っていた全員が激怒しました。人の気持ちを踏みにじり、お金で何でもできるという今の風潮そのものだ。
確かに今、お金がなければ医者にもかかれない。私も介護が必要な母親を抱えて、本当にお金がかかるようになっています。労働者のみなさんも、低賃金、首切り、非正規雇用といった問題に悩まされていると思います。私たち農民に対しても、家族的経営はどんどんつぶされ、その一方で法人化を進める新農政で攻撃が厳しくなっています。なんで農地課とか農業会議の人たちは、そういう攻撃から農家を守らないのか。
この間「への字」誘導路を直線化するのにうちの畑がじゃまだと、それで私が出ていかないのは反対のための反対をしてると、そういう書かれ方をしてますが、この問題も農地と農業の問題だと思います。私が現にここで農業をやっていこうとしているのに、金さえ出せばいいだろう、金を受け取ってどこへでも行けと、そういう空港会社のやり方には本当に怒り心頭です。千葉県の農業会議の日は、お酒のまずいことと言ったらなかった。うまい酒を飲むにはやはりこの「北延伸」攻撃をぶっつぶすしかありません。国や法が守ってくれないなら自分で自分を守るしかない。
小泉政権が残した貧富の格差、これを安倍が引き継ぐと言っている。そういう政治も崩さなくてはいけない。今の空港を見ているとやはりジャンボを飛ばすというだけでなく、軍事空港づくりのための北延伸です。皆さんの力をお借りして、軍事空港阻止の闘いと農地を守る闘いにますます頑張っていきます。一日も早く成田空港を廃港へ追い込みましょう。
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週刊『前進』(2267号3面3)(2006/10/23)
横須賀基地
原潜から放射能漏れ
事故隠す米軍と日本政府
文部科学省は9月27日、米海軍横須賀基地から原子力潜水艦が出港した際、コバルト60などの放射性物質を検出したと発表した。
この事件に関して在日米軍が10月5日、「艦長の報告では、同艦から放射性物質が漏れるなどのトラブルはなく、意図的に放出したこともない」などとする独自の調査結果を公表。これを受けて日本政府は、「安全上問題はなく調査は打ち切る」と発表し、横須賀市の蒲谷(かばや)亮一市長もこれを了承した。
放射性物質が、攻撃型原潜「ホノルル」の後方百b以内の海水から検出されたこと、基地内の他の測定器には異常がないことから、「ホノルル」が漏洩(ろうえい)の元凶であることはほぼ間違いない。検出されたのはごく微量だが、「サンプル採取までに海中で拡散して濃度は低下しているはず。実際には、より高濃度の物質が漏れている」という専門家の指摘もある。うやむやな幕引きなど絶対に許されない。
なぜ、このような重大事故の調査が、米軍の一方的報告をもって、原因も特定されないまま打ち切られるのか。
北朝鮮・中国侵略戦争にむけた米軍再編、その重要な柱である米原子力空母の横須賀配備を強行するために、日米政府が一体となり、力ずくで事態を塗り隠したのだ。
安倍首相は、米軍の調査結果が公表される前の10月3日、衆院本会議で「わが国の平和と安定に重要な役割を果たす米原子力艦船の運用が中断されるべきではない」とし、米軍に寄港中止は求めないと答弁している。横須賀・佐世保・沖縄を拠点とする原子力潜水艦、米空母部隊こそ、北朝鮮・中国侵略戦争体制の中心部隊なのだ。
重要なことは、軍事機密や日米地位協定の壁で、米軍艦船の調査にはまったく手を出せないことだ。
検出されたコバルト58、60は天然には存在せず、原子炉内で構造材として使われる金属に核燃料から出る中性子が反応すると生成され、冷却水中に含まれる。しかし、米原子力艦船に関しては、原子炉の構造や部材すら隠されているため、日本側は事故の検証ができず、原因を推測するしかないのが現状だ。
(写真 原子力潜水艦「ホノルル」)
原子力空母の配備撤回せよ
米政府は今年4月、原子力空母の08年横須賀配備を認めさせるために、原子力空母の安全性に関する文書(ファクト・シート)を公表し、「米海軍の艦船が放射能漏れ事故を起こしたことはない」「仮に事故が起きても放射能は基地の外に出ない」などという説明を繰り返してきた。これ自身が完全なデマ文書だ。米軍の原子力艦船は、過去に何度も冷却水の海中への放出や、炉心溶融寸前の座礁事故などの重大事故を起こしている。
今回の放射性物質漏れ事故は、あらためてこのファクト・シートが主張する”原子炉の安全性”がウソであることをあからさまに示した。この事故と米軍の対応の中に、労働者人民の生命や安全など毛の先ほども考慮しない帝国主義軍隊の本質が貫かれている。
08年に迫る原子力空母の横須賀配備は、絶対阻止あるのみだ。沖縄でのパトリオット配備実力阻止の闘いに続き、闘いを強めよう。
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週刊『前進』(2267号3面4)(2006/10/23)
安倍の中韓歴訪靖国参拝すれば破産へ
極右国家主義者である安倍は、首相就任後最初の外国訪問先に中国と韓国を選び、10月8日中国、9日韓国をそれぞれ訪問した。
従来の自民党政府では、首相に就任するとまず最初に訪米し、日米安保同盟の重要性を確認するのを常としてきた。これに対して安倍は、小泉に引き続いて日米枢軸関係の強化を進めることを前提としつつ、中国と韓国との関係を決定的に重視しているとアピールすることで、破産した関係の「修復」を図ろうとしたのだ。
中国は胡錦濤国家主席、温家宝首相らが「厚くもてなし」、韓国もノムヒョン大統領が迎えて、それぞれ訪日の要請も受け入れたと報道されている。
今回の訪中、訪韓は二つの面で重大な意味をもっていた。一つは、小泉の就任以来6年連続の靖国神社参拝で中国と韓国との外交関係が断絶的に破壊されてきたことを修復するという意図をもって行われたことである。そこでは、安倍の靖国神社訪問に対する態度、そして安倍自身の「歴史認識」、つまりかつての戦争に対してどのような態度表明を中国、韓国で行うかが焦点だった。
もう一つは、核実験を行うという北朝鮮スターリン主義・外務省の声明(10月3日)が出て、それに対する米日帝の制裁策動が進められているさなかの訪問であり、それが会談の大きなテーマとなったことである。
そして9日、安倍の韓国訪問の途中で北朝鮮政府の核実験強行が発表される事態となった。まさに北朝鮮スターリン主義の反人民的な核実験強行を口実に日帝・安倍が侵略戦争策動を一気に強めるまっただ中での訪問だったのだ。
靖国「あいまい戦術」
第一の靖国問題では、安倍は自身の靖国参拝の有無について明らかにしない「あいまい戦術」をとり、のりきりを図った。中国スターリン主義政権も韓国ノムヒョン政権も、この「明らかにしない」ことを落としどころとして容認し、「関係修復」を進めた。
遊就館や「新しい歴史教科書をつくる会」と歴史観(皇国史観と「自存自衛の戦争」論)を同じくし、首相は靖国神社に参拝しなければならないと説いてきたのが安倍である。その安倍がこのような「あいまい」戦術を採らざるを得なかったこと、さらに終戦50年の「村山談話」や、軍隊慰安婦問題での「河野談話」を政府として踏襲すると表明せざるを得なかったことは、安倍政権の矛盾と脆弱(ぜいじゃく)性と危機性を自己暴露するものである。極右国家主義者としての求心力をも失いかねない危機としてそれはある。しかも安倍が今後一回でも靖国参拝したら今回築いたかに見える関係は一瞬にして崩壊するものでしかないのだ。
安倍は中国や韓国からの靖国参拝批判を受け入れたわけでも、考えを変えたわけでもない。安倍は「双方が政治的困難を克服し、両国の健全な発展を促進する観点から適切に処理していきたい」と述べ、中国や韓国が靖国参拝を騒ぎ立てるから「困難」が生じているという転倒した角度から発言している。
謝罪と自己批判が必要であるのに、それはまったく無視し、中国政府や韓国政府もそれを承認したのだ。中国でも韓国でも表面上、労働者人民の怒りの決起は押さえ込まれたが、安倍に代表される戦争賛美と排外主義に対する怒りは渦巻いており、安倍を歓迎するものはひとかけらもなかった。
朝鮮の植民地支配と中国・アジア侵略戦争に対する一切の反省も謝罪もなく、中国と韓国に対する排外主義的非難の合唱をしてきた勢力に加担してきた安倍の本性は、これからますます明るみに出ざるを得ない。何よりも教育基本法を改悪し、9条改憲に突進して北朝鮮・中国侵略戦争を準備している安倍は、朝鮮・中国人民の敵であり、打倒対象である。日本の労働者人民は、闘う朝鮮・中国人民と連帯し、安倍政権打倒に突き進まなければならない。
北朝鮮侵略戦争の準備
第二の北朝鮮の核実験について、安倍は、中国でも韓国でも「深い憂慮の念」を確認し、共同歩調をとるとしている。しかし、安倍は中国と韓国が北朝鮮への軍事力行使と体制転覆に反対している中で、米帝とともに国連憲章「第7章」決議=武力行使の発動をも含む制裁に向かって突進しているのである。
ノムヒョンとの会談では、安倍が日韓共同で北朝鮮への抗議声明を出そうと提起したところ、ノムヒョンが靖国神社参拝など歴史認識問題を40分間にわたって論じ、共同声明も見送りになった。
韓国の中では、民主労総の労働者を始め、米日帝の軍事的包囲と圧力が戦争の一切の根源であるということは常識化しており、特に安倍の「現憲法のもとでも集団的自衛権を行使できる」という策動や、「日本も核武装できる」という言動に対する強い怒りと警戒感が広がっている。北朝鮮に対する武力制裁が発動されたら、韓国の労働者人民も軍事的戒厳令状態にたたき込まれ、侵略され、じゅうりんされることになるのだ。
今回の安倍の訪中・訪韓は、日帝として東アジアに勢力圏を築いていくための不可欠の道として「関係修復」をもくろんで行われた。それが日本ブルジョアジーの要求でもあった。だが、それは根本的には、米帝の世界戦争戦略に連動した、北朝鮮・中国侵略戦争の第一歩でもある。朝鮮・中国人民と連帯し、日帝の侵略戦争を粉砕しなければならない。
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週刊『前進』(2267号4面1)(2006/10/23)
日米帝の侵略下の韓国経済
貧困層が総人口の18%に
日本より激しい「両極化」
機械・部品を日本が支配
米欧は大企業の株式取得
島崎光晴
(写真 ソウル地方労働庁前で正規雇用化を要求するKTX女性乗務員【9月26日 ソウル】)
韓国民主労総は11月ゼネストに向けて進撃している。韓国の労働者階級は今、どのような状態に置かれているのか。日本帝国主義とアメリカ帝国主義による侵略は、韓国経済と労働者に何をもたらしているのか。韓国と日本の労働者の国際連帯をどのように深めていくべきか。このような問題意識から、韓国経済・社会の現状に肉薄してみたい。なお、以下の統計資料のほとんどは韓国の東亜日報、中央日報の日本語版ホームページによる。(『共産主義者』150号の室田論文を参照)
56%を非正規職にし搾取
下位20%層で全所得の2%
韓国では今、貧富の格差が大きな社会問題となっている。韓国社会では「両極化」と言われる。2月にノムヒョン大統領は、任期残りの2年の最優先課題として、韓米FTA(自由貿易協定)締結とともに国内の「両極化」問題をあげたほどだ。
昨年の韓国の貧困層(円に換算した月平均所得が16万円弱)は284万2千世帯、人口数で869万3千人に増えた。総人口の18%にも及ぶ。前年から新たに60万6千人が貧困層に転じた。一方、韓国の「百万長者」の増加率は世界一だ。居住用住宅などを除いた金融資産が100万j(1億2千万円)以上の富裕層は8万6千人で、伸び率は21・3%と世界最大となった(05年)。
所得を比較すると、最下層の所得は95年時点で平均所得の41%だったが、03年には34%に落ち込んだ。上位20%の層が所得全体の70%を占めているのに対し、下位20%の層はわずか1・9%にとどまる(05年)。
このような「両極化」の最大の原因は、非正規職が激増してきたことにある。労働界の推算では非正規職は850万人で、1500万労働者の56%にも及ぶ(2・28中央日報。グラフは非正規職780万人とする統計から作成)。従来は終身雇用が基本だったが、97年通貨危機の後に整理解雇制や派遣労働制が導入された。わずか5〜6年の間に非正規職が500万人も増えた。類例のない増加ぶりだ。
フルタイムの有期雇用が軸
今や女性労働者の7割が非正規職だ。大学進学率は7割という高学歴化の中で、4年制大学を卒業した女性の3〜4割が非正規職を強いられている。
非正規職の雇用形態は四つある。@期間制使用=有期雇用(臨時雇用・日雇い・契約社員)A派遣労働B短時間労働C特殊雇用(委託・請負契約)。日本で非正規の7割を占める短時間労働=パートは1割程度と少ない。最も多いのが@の有期雇用で、非正規職の大半を占める。有期雇用は01年の180万人から04年の360万人に倍増した。明確な期間を決めないで長期間働かせたり、契約を何度も更新したりするケースが多い。日本と比べても、フルタイムの非正規職が圧倒的に多いという、とんでもない状態なのだ。
非正規職では食っていくこともできない。昨年の非正規職労働者の平均月額賃金は116万ウォン(14万3千円)、正規職の185万ウォン(22万9千円)の3分の2の水準だ。賃金格差は69万ウォン(8万6千円)もある。ウォン高により円換算した額がふくらんでいるが、非正規職は月額十数万円という実状だろう。特に、女性労働者の42%までもが平均賃金(時間給6332ウォン=785円)の3分の2(523円)以下の低賃金労働者だ(05年)。低賃金の非正規職におとしこめる形で資本による搾取が格段に強められているのだ。
非正規職の激増のほかにも、資産格差の拡大が「両極化」を加速させている。ノムヒョン政権3年間で公示地価は計61・8%も上昇、キムデジュン政権下での上昇率4・9%の10倍以上になった。政府の野放図な開発計画と不動産対策の結果だ。ソウルの高級住宅地の不動産価格は4倍に跳ね上がる一方で、貧困地域の価格は横ばい、あるいは下落した。このため、「賃金格差以上に資産格差が深刻だ」との指摘もある(ニューズウィーク誌1月25日号)。
正規職化求め闘う民主労総
このような非正規職増加に対し、民主労総は「非正規職の撤廃」「雇用形態を理由にした差別の廃止」を掲げて闘っている(『コミューン』8月号参照)。
正規職化を求めて闘う鉄道労組KTX(高速鉄道)乗務支部の女性労働者は、9月の闘いの中で次のように叫んでいる。「自負心と誇りを持って働きたかった、世間知らずの私たちは、この2年間で労働権と人権がいかに踏みにじられるのかを一つずつ知る過程を味わった」と。まさにこの闘いは、労働者の自己解放闘争そのものだ。
韓国の非正規職の激増による「両極化」と、日本の非正規雇用の増加による「格差社会」。韓国の方が日本よりも進展のスピードが速く、格差もはるかに大きい。とはいえ、本質的にはまったく同じだ。こんな搾取にがまんできるか。日韓労働者の連帯で吹っ飛ばさなければならない。
労働運動圧殺するFTA
韓国の非正規職化と「両極化」は、何も韓国一国的に起きていることではない。97年通貨危機以降、帝国主義国は韓国に対する侵略を強め、再植民地化を図ってきた。これこそ最大の原因だ。
通貨危機下で帝国主義国は、自分の利益になるような要求を韓国に押しつけた。当時のキムデジュン政権はこれに屈し、「金融・財閥・公共部門・労働市場の4大改革」を強行した。この「労働市場の改革」が、今に至る非正規職化と「両極化」を引き起こしてきたのだ(以上の点は前進社『現代帝国主義論U』149n以下を参照)。〈帝国主義による支配〉を抜きに韓国の経済・政治をとらえることはできない。
帝国主義による支配という場合、何よりも日本帝国主義である。
輸出するほど対日赤字増加
韓国経済は、生産して輸出すればするほど日本から資本財(機械など)・部品を輸入せざるをえない構造にある。韓国のIT(情報技術)産業の輸出は輸出全体の30%を占める。10大輸出品目には1位半導体、3位携帯電話、9位家電、10位パソコンと4品目が入っている(05年)。ところが、その半導体製造装置はキヤノンやニコン、液晶用ガラス基板は旭硝子、液晶用カラーフィルターは大日本印刷、カラー高細微液晶はセイコーエプソンなど、ことごとく日本企業に依存している。
要するに韓国経済の先端的機械と中核的部品を日本資本が握っているのだ。そういう形で日本帝国主義が韓国経済に影響力を持ち、支配を強めているわけである。
昨年の韓国の対日貿易赤字は243億jで、過去最高水準となった。71年に対日貿易赤字に転じて以来、05年までの累積赤字は2500億j(約30兆円)を超えた。韓国の労働者を徹底搾取して生産し、それを輸出して得たもうけはどこに行っているのか。その生産に必要な高価な資本財・部品を日本から買うことで、もうけは結局のところ日本に回っている。これこそ〈植民地主義的な収奪〉ではないか。
日帝は、このように韓国を貿易面で従属させてきた上に、韓国とのFTA−EPA(経済連携協定)を締結しようとしている。日帝の狙いは、貿易面だけでなく、産業、金融、サービス、労資関係など全面にわたって韓国経済を組み敷くことにある。
アメリカ帝国主義(米帝)も、日帝と争いながら韓国への侵略を強めている。
米欧資本は通貨危機以降、韓国企業・銀行の株式を買いあさってきた。全上場企業の株式のうち外国人が保有する割合は42%、サムスン電子、現代自動車、ポスコなど財閥企業では軒並み50%を超えた(04年末)。株式時価総額で上位20社のうち18社で、外国人の持ち分が国内筆頭株主の持ち分を上回っている(今年3月)。
また、外換銀行、韓美銀行、第一銀行では外資が株式の過半を握り、取締役会でも多数を占めて経営権を奪い取った。資産総額トップの国民銀行は、経営権は奪われていないものの、株式の外国人所有比率は70%を上回る(日本評論社『現代韓国経済』67n)。日帝が貿易面で韓国経済を従属化させているのに対し、米欧資本は韓国企業・銀行の株式取得という形で侵略しているのだ。
韓国大企業の弱体化を狙う
その上に、米欧帝国主義は韓国とのFTA締結に動いている。韓米FTA交渉は6月から始まった。すでに、交渉過程で交換した各種文書、最終合意文書を協定発効後3年間は非公開にすることで合意している。協定内容を秘密にしようというのだ。
米帝は、通信・金融などのサービス分野の市場開放、輸出支援策の廃止、農産物市場の開放、労使関係の改革などを要求している。さらに9月の交渉では、「韓国企業に対し公正取引法などを厳しく適用することを協定文に明記せよ」と迫った。「韓国企業の競争力を弱くさせろ」という米財界の要求を受けたものだ。「韓国企業全般の支配構造と経営問題が韓米FTA交渉の新しい争点として浮上した」(9・7東亜日報)
FTA粉砕は労働者の課題
日帝も米帝も、韓国に一層の市場開放と規制緩和・民営化を迫り、帝国主義への従属をのませようとしているのだ。特に重大なのは、日帝と米帝が労資関係で要求している内容が、ノムヒョン政府の「労使関係ロードマップ」=労使関係法制と同じであることだ。例えば整理解雇の要件の緩和(事前通報期間を60日から30日に短縮)、不当行為に対する使用者処罰の緩和、争議行為の賛否投票に対する介入など。
日帝・米帝の侵略と再植民地化策動、ノムヒョン政権・財界の資本攻勢――この両者が重なり、韓国労働運動の圧殺として襲いかかっているのだ。ここでは、韓国、日本、米国の労働者すべてが“当該”だ。日韓FTA・韓米FTAの粉砕は、日韓米労働者の共同の課題にほかならない。
しかも、日韓FTAにしろ韓米FTAにしろ、協定締結の確固としたメドがたっているわけではない。特に日韓FTAは、04年11月から交渉が中断しており、絶望的な状況にある。日韓米労働者の連帯で必ず粉砕し、逆に帝国主義を破滅に突き落としてやらなければならない。
対中輸出停滞で再び危機に
ノムヒョン政権の政策は、帝国主義に屈従しつつ、韓国資本=財閥の利害に沿うものである。通貨危機以降、「財閥改革」が行われたが、財閥支配の基本は変わらない。500人以上の大企業が占める位置は若干低下したものの出荷額全体の40%台半ば、付加価値額全体の40%台前半を維持している。サムスン電子だけで韓国の株式時価総額の4分の1を占める。
しかし、財閥と韓国経済は、97年通貨危機以上の危機に陥りつつある。@まずウォン高によって輸出価格競争力が急低下している。4月には1j=950ウォン台を割り、97年以来のウォン高・ドル安となった。GDP(国内総生産)に占める輸出の割合は38%で、日本の3倍以上(04年)。ウォン高による輸出停滞は即、韓国経済の瓦解(がかい)につながる。
A03年以降、中国が最大の輸出先になっているが、電機・通信などでの中国との競争力格差が縮小、あるいは同水準になりつつある。昨年の対中貿易収支は234億jもの黒字だ。しかし今後、対日貿易赤字を対中・対米貿易黒字で賄う構造は崩れていかざるをえない。もともと97年通貨危機は、「日本など帝国主義国自体の生産力と、中国などでの外資の生産力という二重の圧力を受けて、韓国の輸出構造が立ちいかなくなってしまった」(『現代帝国主義論U』148n)ことによる。再びそうした避けることのできない構造的問題に直面しつつある。
すでに昨年の50大企業の純利益は2けた減、中小企業の生産はマイナスに転じた。いずれも97年危機以来のことだ。韓国経済は再び根本的な危機に見舞われつつある。だからこそますます、財閥資本とノムヒョン政権は労働運動の圧殺に死活をかけて突っ込んでいるのだ。
11・15ゼネストへ向けて闘う民主労総と連帯し、11・5労働者集会に大結集しよう。労働者が勝利する時代が来ていることに確信を持って闘おう。
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週刊『前進』(2267号4面2)(2006/10/23)
“職場の仲間 みんなで守れ”
全逓集配職場 非常勤雇い止めに反撃
管理者「退職届を書いて明日までに出すように。あなたは誤配が多く、みんなに迷惑をかけている」
(写真 JPSと集配再編で職場には矛盾と怒りが渦巻く【写真は仙台中央郵便局】)
分会「絶対出すな。自分から辞職することはない」
管理者「退職届を今日中に。いつ出すんだ」
分会「用紙は組合で預かっている。支部書記長に行っている」
管理者「彼は組合に入っていないだろう」
分会「職場の問題は組合で取り上げるし、彼はこれから組合に入る予定だ」
管理者「今まで誤配が多く、私や班長にずいぶん迷惑をかけた。何かあって局全体に迷惑、補償問題などになったらどう責任を取るんだ。組合が補償をするのか」
こうした集配管理者と分会とのやり取りの中、まだ3カ月働いただけのA君に9月29日、当局は一方的に解雇予告通知を行った。
まさに非常勤労働者に対する不当な退職強要だ。また1カ月前に解雇予告をして解雇することを当局はまったくあきらめていない。この問題にどのような方針と行動をとるかは分会の団結をつくり出すための重要な課題であり、安易な妥協やあいまいな対応はできない。
結論から言うと、支部が当局総務課長と話をし、「少し様子を見る」というあいまいな形で、撤回ではないが何事もなければ10月以降も雇用する、となった。この過程でA君を始め非常勤職員4人が組合に加入した。
同じような非常勤労働者の雇い止め問題は、以前にも集配であった。しかし、それを問題にせず反撃ができないできた。
非常勤労働者A君の雇い止めをどういう視点でとらえ、労働組合としてみんなに何を訴え、みんなで何をすべきなのか。支部・分会で議論した。個人の問題ではない。みんなの問題だ。
高校を卒業しても就職先がない。あるいはリストラされて生活のためにやむなくこの仕事に就いた。就職先がないから郵便局の集配に来た。
さまざまな理由で非常勤労働者となった彼らは、職場では最も矛盾の集中した存在だ。現場の正規労働者が非正規労働者とどのような人間関係をつくるのかが問われている。
闘う中でこそ団結拡大する
一部の組合役員は「なぜ組合に入れたのか」「局長のはんこをついた辞令は裁判でもしない限り覆せない」「この問題はあまり公にしないでくれ。分会役員止まりにしてくれ」と言う。組合として闘う団結をつくり出すのではなく、闘わないでボス交ですべてを処理するやり方が見えてきた。
役員がなんでも問題を解決する。そんなことはできることではない。現場労働者をまったく信頼せず、モノとして扱い、労働者は勝てっこないという考え方だ。
雇い止めはまだ決着がついていないが、今回の非常勤労働者の雇い止めをめぐる現場攻防から分会が学んだことは、現場組合員が問題にすれば事態は変えられること、自主退職・退職強要は打ち破ることができること、不当な攻撃に真正面から闘う中でこそ組合的団結を拡大できることであった。団結して闘えば勝てることを実感した。
いま職場では、2ネット導入による本務者削減・非常勤化、小包の委託廃止・本務者戻しの中で、毎日の業務運行は綱渡りのように危うくなっている。現場の労働者が自主的に仕事の段取りを考え、組合的団結で仲間意識を持って全体が協力しているから、なんとか維持されているのが現状だ。
集配課のイスを撤去して立ち作業を強制し、「私たちの生きる糧は、私たち自らの手で生み出さなければなりません。だからいまJPSなのです」というスローガンを掲げて当局がやっていることは、経費削減のみ。東北支社の指導で集配のバイクは、走行距離10万`、軽4は16〜18万`を超えても更新されない。経費削減は安全の切り捨てにつながっている。生産性向上の裏側で労働者が日々破壊されていくのをこれ以上許してはならない。
民営化攻防は、1年間の現場をめぐる決戦として始まった。職場の問題も生活の問題も、そして政治の問題もみんな根っこはひとつだ。民営化に負けない労働組合の団結をつくり出すぞ。
(東北・全逓労働者K)
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週刊『前進』(2267号4面3)(2006/10/23)
10月4日〜10日
北朝鮮「核実験成功」と発表
安倍が中韓歴訪し首脳会談
●伊江島で米兵が畑に着地 沖縄県の米軍伊江島補助飛行場上空でパラシュート降下訓練中の米兵1人が同飛行場の最も西側の滑走路南のサトウキビ畑に降下した。付近に人はいなかった。(4日)
●村山・河野談話を踏襲 安倍首相は衆院予算委で、アジア諸国への「植民地支配と侵略」を認め謝罪した村山首相談話について「国として示したとおりであると私は考えている」と述べた。日本軍軍隊慰安婦問題で軍当局の関与と「強制性」を認めた河野官房長官談話に関しても「私を含め政府として受け継いでいる」と答弁。(5日)
●遊就館の記述を修正 靖国神社の最高意思決定機関である崇敬者総代会が開かれ、神社内の戦史博物館「遊就館」の展示のうち、米国から批判が出ていた第2次世界大戦の米国関係の記述を見直すことを決めた。(5日)
●テロ特措法「3度目延長」決定へ 政府は、11月1日に期限切れとなるテロ対策特別措置法を1年間延長する同法改正案を閣議決定した。成立すれば3度目の延長となり、活動は6年目に突入する。(6日)
●A級戦犯「犯罪人ではない」と安倍 安倍首相は衆院予算委で、極東国際軍事裁判(東京裁判)について「国内法においては犯罪人でない。罪刑法定主義上も犯罪人というのはおかしい」と述べ、戦犯との認定に疑問を呈した。(6日)
●イラン油田の開発主導権手放す 中東最大級のイラン・アザデガン油田の開発をめぐる交渉で、日本側当事者の国際石油開発は、現在持っている75%の権益のうち、約65%をイラン国営石油公社に譲渡し、日本側は10%まで縮小すると発表した。イラン核疑惑をめぐり米に呼応したもの。(6日)
●F35嘉手納配備を検討 米空軍は、F16戦闘機の後継機となる次世代戦闘攻撃機F35Aを、米国外基地では唯一嘉手納基地に配備することを検討していることを明らかにした。今後配備に向け約2年をかけて環境調査を実施する。米軍準機関紙「星条旗」によれば、空軍報道官は今後10年以内に嘉手納基地に2飛行中隊の少なくとも54機が配備される見通しを示した。(7日)
●日中首脳会談 安倍首相が中国を訪問、胡錦涛国家主席らと相次いで会談した。北朝鮮や環境・エネルギー問題で共通の戦略的利益を共有する「戦略的互恵関係の構築」で合意し、「共同プレス発表」を出した。日本の首相が北京を訪れたのは、01年10月の小泉前首相以来5年ぶり。靖国問題については明言しなかった。(8日)
●北朝鮮が核実験 北朝鮮の朝鮮中央通信は、同国が核実験を成功裏に実施したと発表した。(9日)
●日韓首脳会談 安倍首相が韓国を訪問し、ノムヒョン大統領と初めて会談した。北朝鮮が核実験実施を発表したことを受け、国連安保理で制裁決議を採択するため、緊密に連携することで合意した。日韓首脳会談は昨年11月以来。(9日)
●パトリオットミサイル搬入できず 米国の地対空誘導弾パトリオット(PAC3)のミサイル本体24基などを積載した輸送船が沖縄県うるま市の天願桟橋に入港したが、桟橋ゲート前に座り込んだ人びとが軍車両の進入を阻止。輸送船はミサイル本体の荷降ろし作業に着手できないまま、天願桟橋で丸1日以上停泊を続けた。(9日)
●衆院が非難決議 衆院は本会議で北朝鮮の核実験に抗議する決議を全会一致で採択した。軍事面での強制行動につながる国連憲章第7章に基づく措置にも言及し、これまでよりも踏み込んだ対応を政府に求めた。(10日)
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週刊『前進』(2267号5面1)(2006/10/23)
10・20法大1万人集会実現を
法大全学スト-全国学生300万ゼネストで改憲阻止しよう
11・5全国学生1千人結集へ
マルクス主義学生同盟中核派・法大支部
法大決戦は、極右安倍政権による新たな侵略戦争に向けた教育基本法改悪と改憲、そのための学生運動圧殺攻撃を粉砕し、プロレタリア革命へと転じる天王山の決戦だ。全国300万学生の総決起の展望は、法大決戦の爆発にかかっている。300万学友のみなさん! 10・20法大1万人集会に大結集しよう! 11・5全国労働者総決起集会へ全国学生1千人で登場しよう! 法大全学ストライキを先頭に、300万学生の改憲阻止ゼネストに突き進もう!
処分撤回求めるスト決議が続々
法大決戦は、安倍政権の意を受けた警視庁公安部と独裁者=平林総長の大弾圧体制を打ち破り圧倒的前進をかちとっている。9・20後期開講以来被退学・停学処分者を先頭に、法大キャンパスで安東学生部長や暴力ガードマンを徹底追及する闘いに決起し、「処分撤回を求めるストライキ決議」を闘いとってきた。
ストライキ決議の爆発に恐怖した法大当局は、授業開始前や授業時間内でのビラまき・演説を「授業妨害」「業務妨害」と決めつけ、学生部や教授室に通報しろという「告示」を全教室に張り付けた(10月4日)。被退学・停学処分者のキャンパス大宣伝に対しては、「ビラまき行為や演説などの違法行為を中止し、退去しろ」という構内放送を必死に繰り返している。
10月10日には、ボアソナードタワーの各入り口や生協門などを封鎖した。開いている正門、裏門、富士見坂門の各門には、公安警察の車両が終日張り付き、暴力ガードマンが学内を徘徊(はいかい)し、被退学・停学処分者の入構を阻止する体制をとっている。まさに監獄のような大学だ。
安倍政権と法大当局は、このままいけば法大生が根底から決起することになると心底恐怖している。法大決戦の爆発は300万学生の怒りに火をつける。だから、なりふり構わず暴力的に弾圧するしか手段がなくなっているのだ。
だが、大学でビラをまき、演説し、クラス討論を行うことを「違法行為」などと言う法大当局は大破産している。逆に法大生の決起を呼び起こしている。実際、警察権力と暴力ガードマンの治安弾圧体制を打ち破って、10月10日の1日だけで6クラスでストライキ決議が上がり、10月11日現在、総計31クラスでスト決議が上がっている。暴力ガードマンとの激突を見ていた学生が被処分者とともに決起するなど、新たな決起が次々と始まった。法大当局の「悪あがき」は、逆に法大生の決起を生み出すだけだ。教育労働者が「日の丸・君が代」不起立闘争を貫いて9・21勝利判決をかちとったように、被退学・停学処分者が断固として闘う中で法大生の団結はますます強化され、平林総長打倒の勝利をかちとる情勢がきたのだ。
(写真 暴力ガードマンの妨害を跳ね返し、連日法大構内で1万人集会結集を訴える被処分者【10月10日】)
資本家と結託し学生をモノ扱い
法大当局が被退学・停学処分者に対して行ってきたことは、「人間扱いしない」ということだ。法大当局が行ってきたことは何か。
@「立て看板・ビラまき禁止ルール」を学生との合意もなく一方的に発表・強行し、Aそれに抗議すれば警察権力を使って不当逮捕させ、B無実で釈放されても自宅謹慎を命じ、C学生部に抗議に行ったことを「大学の業務妨害」をデッチあげて退学・停学処分を強行し、D「退学処分者の入構禁止」を決定して名前を各門に張り出し、E被退学・停学処分者がビラまきや演説を行えば、警察に通報して再逮捕させるか暴力ガードマンを使って排除しようとする。
法大当局は、学生の声を踏みにじり、人格を否定し、法大当局のやることに反対したら暴力をもって弾圧しているのだ。これは、すべての法大生に対する法大当局の姿勢を鋭く示している。
当局は04年の学生会館解体も学生無視で一方的に強行した。平林総長は「学生会館は非知性」と言い放った。今年度の自主法政祭の夜間開催禁止を通告し、来年度からは4日間の学祭を3日間にしろと言っている。新施設については、「サークル部室はつくらない」と言い、サークル団体に対しては「社会貢献」「ボランティア」を行えと言っている。他方で、起業家の学生団体は絶賛し、支援しているのだ。
まさに法大当局は、サークル活動は、「規範意識」を身につけるものであるか、資本の金もうけになるようなもの以外は認めないと言い出しているのだ。それだけではない。
「大学の役割は民間の会社と同じだ。原材料(学生)を仕入れ、加工して製品に仕上げ、卒業証書という保証書をつけ企業へ出す」(高橋宏・首都大学東京理事長)。
これこそ、平林総長の本音であり、法大キャンパスで行われていることだ。
今日、資本は青年労働者に対して、低賃金・長時間労働を強制し、無権利状態に置き、「モノ」のように扱い、空前の利益を上げている。法大当局は、青年労働者に対する許し難い攻撃と対決するのではなく、日本商工会議所などの資本家団体と結託し、「就職支援」などと称して、資本の金もうけに役立つ人間を卒業させ、どんな過酷な労働であっても黙って実直に働く労働者を膨大に送り出すことが大学の役割だとぬかしているのだ。
資本と法大当局は、3年生の夏から就職活動へと追い立て、就職活動についていけない人間を「脱落者」「負け組」であるかのように精神的に追いつめている。就職活動の中で、資本に人格を否定され、就職のために自分を偽り、ボロボロにさせられる。こんなことが許されるのか! こんなものは教育ではない!
今、全国の大学が教育基本法改悪を先取りしている。法律の名をもって国家への忠誠と、社会貢献と称する資本の役に立つ人材育成を強制しようという安倍政権の政策を大学が率先して実行しているのだ。
日帝安倍打倒が学生の生きる道
しかも安倍政権は、青年や学生が特攻隊で死ぬことができる国を「美しい国」などと言っている。安倍政権は、米帝ブッシュ政権とともに北朝鮮侵略戦争に突入するために改憲を待たずに集団的自衛権を行使できるようにしようとしている。
安倍政権による新たな侵略戦争を阻止することは、300万学生の未来がかかった闘いだ。なぜなら、安倍政権は、教育基本法改悪や「教育再生」と称して、学生を資本の奴隷とするだけではなく、奉仕活動によって「規範意識」をたたき込み、学生を国家に暴力的に従わせ、国家のために死ぬことを強制しようとしているのだ。
法大キャンパスにおける警察権力と法大当局による暴力的弾圧を見よ。これが安倍政権の正体であり、安倍が「教育再生」でやろうとしていることの本質だ。だから、法大決戦−退学・停学処分撤回の闘いに絶対に勝つことが必要なのだ。
要するに、安倍政権も、資本も、大学当局も、学生や青年労働者を人間と見ていないのだ。資本の利潤を拡大するための手段、あるいは戦争で国のために死ぬための消耗品としか見ていないのだ。こいつらは、300万学生の憎むべき敵=打倒対象だ。
ここまで労働者や学生の人格を否定し、「モノ」のように扱ってしか、社会を維持できない帝国主義など打倒して当然だ。逆に言えば、青年労働者と学生が闘いに立ち上がれば、帝国主義は絶対に打倒できる。安倍政権による改憲と戦争への突撃を打ち砕き、教育基本法改悪を阻止し、腐りきった帝国主義を根本から打倒しようではないか!
10・20法大1万人決起で300万学生の怒りを安倍政権にたたきつけよう! 動労千葉など3労組が呼びかける11・5労働者集会に学生1千人で登場しよう!
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週刊『前進』(2267号5面2)(2006/10/23)
東北大有朋寮
強制執行阻止せよ
決戦突入へ緊急集会開く
第3次強制執行阻止決戦を闘う東北大学有朋寮から「上告受理申し立て棄却弾劾! 第三次強制執行阻止決戦に勝利しよう! 9・28緊急集会」の報告をします。
集会には激しく処分撤回闘争を闘う法政大の被処分者当該の学友もかけつけ、発言しました。全金本山労働組合を始めとする地域の支援の方々、東北大の仲間からも発言を受けました。街頭宣伝でのビラや有朋寮のブログを見て来られた方々の参加もありました。
9月14日の上告棄却決定を受けて東北大当局は「決定の趣旨を踏まえ、速やかに退去せよ」という「退去通告」を20日付けで出してきました。
話し合いなしの廃寮決定の上に、古郡・有朋寮委員長へ3年8カ月の無期停学処分をかけ続け、今回も一片の紙切れで事を済まそうとするのか! 60人の参加者全員(と集会メッセージを寄せてくださった方々)でこの東北大当局を徹底弾劾し、「団結して強制執行を阻止しよう」と決意する集会として大成功しました。(写真)
生活・権利破壊を許さない私たちの闘いは「寮生に人権はない」(現東北大理事)と言い放つ東北大当局のみならず、「教育改革」を進める安倍政権との対決です。
廃寮決定から5年、実力居住から3年半の闘いで有朋寮を今も守りぬいています。勝利の核心は、闘うことで団結が広がり、固くなるということです。勝利の展望は圧倒的にあります。
夏休み中の強制執行を阻止し、後期開講冒頭からキャンパスですべての東北大生に訴え、団結をつくっていく闘いを開始しています。
全国の学友は有朋寮・法大決戦に合流し勝利しよう! 有朋寮は、11・5全国学生総決起の先頭に立つ。(東北大・F)
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週刊『前進』(2267号5面3)(2006/10/23)
核武装狙う安倍政権
核爆弾5000発のプルトニウム
90日以内に核1ミサイル造る力持つ
日帝・安倍政権は、北朝鮮・金正日政権による反人民的な10・9「地下核実験」強行を口実にアメリカ帝国主義と一体になって制裁措置を発動し、公然たる北朝鮮侵略戦争策動を一気に激化させている。
安倍首相は他の帝国主義とともに、「危険な新たな核の時代に入った」「絶対に容認できない」などと言って北朝鮮の「核実験」を一方的に非難している。もちろん北朝鮮の「核実験」は反人民的だ。だが、何万発もの原水爆で満身武装し、劣化ウラン弾という名の核兵器でイラク・アフガニスタン人民を虐殺し続けてきたアメリカ帝国主義は言うに及ばず、戦後一貫して核武装を追求してきた日本帝国主義に、北朝鮮の「核実験」を非難する資格はない。
(写真 大事故を起こした高速増殖炉「もんじゅ」)
「原爆も合憲」と安倍は主張
安倍は、官房副長官だった2002年5月13日に早稲田大学の講演において「憲法上は原子爆弾だって問題ではないですからね、小型であれば」と現憲法のもとでも核武装が可能だと主張した。
周知のように安倍は、元A級戦犯容疑者であり東条内閣の商工大臣として朝鮮人強制連行の犯罪に手を染めた祖父の岸信介を崇拝している。1957年に首相になった岸はアメリカ政府あてに「防衛上、核武装の必要が迫られれば日本は核武装する」と非公式に伝達し、アメリカは大きな衝撃を受けたと言われている。さらに岸は、「自衛権の範囲内であれば核保有も可能である」と国会で発言している。安倍の早稲田大学での発言は、この岸の国会答弁を受けたものだと主張している。
また中曽根康弘元首相は、防衛庁長官だった1970年に核武装について「日本の能力を試算」し、「当時の金で2千億円、5年以内で核武装できるが、実験場を確保できないために現実には不可能」との結論に達したことを自著(『自省録−歴史法廷の被告として−』)において明らかにしている。
実際、日帝は「原子力平和利用」という名で核武装政策を推し進めてきた。
核燃サイクルは核推進の要
1954年3月2日、アメリカ帝国主義のビキニ環礁での水爆実験の翌日に突然、「原子炉築造のための基礎研究費及び調査費」と称する原子力予算案が修正予算案として合意し翌日国会に提出され、ほとんど審議されないまま国会を通過した。これをしかけたものこそ中曽根である。
この後、科学技術庁が発足し、そのもとに日本原子力研究所(原研)、原子燃料公社(原燃公社)がつくられ、日本の原子力政策が本格化していく。この原燃公社は動力炉・核燃料開発事業団(動燃)に再編され、高速増殖炉を基軸にしたプルトニウム政策に突進していく。今日両者が合体して日本原子力研究開発機構になっている。
1995年の高速増殖炉「もんじゅ」のナトリウム火災の大事故にもかかわらず、また高速増殖炉からの全世界的な相次ぐ撤退にもかかわらず、日帝がプルトニウム政策にこだわりつづけるのは、高速増殖炉が核兵器用の高純度プルトニウム生産設備であるからだ。まさに、核燃サイクルこそ日帝の核武装政策の要そのものなのだ。
日帝は、すでに40d以上のプルトニウムを備蓄している。核爆弾5千発を製造できる分量だ。北朝鮮が備蓄していると言われる数発分などとは比べものにならない。さらに日帝はH2型などの大陸間弾道弾(ICBM)級のロケットを保有している。「日本はその気になれば90日以内に核爆弾を製造し、ミサイルに搭載できる技術的能力を持っている」と言われているほどなのだ。
安倍は、9月29日の所信表明演説で、現憲法を真っ向から否定する「集団的自衛権行使の研究」に言及した。北朝鮮への排外主義をあおり、一気に集団的自衛権の行使と独自の核武装へ突き進もうとしているのだ。
同じ日、茨城県東海村で「原発テロ」を想定した国民保護実動訓練が強行された。“国籍不明のテログループが日本原子力発電東海第2原子力発電所を攻撃し、放射性物質が外部に漏れ始めた”という想定だ。
しかし、危険きわまりないプルトニウムや「死の灰」を生産する原発などの核燃サイクル施設こそが、民衆の「安全・安心」を根本から脅かしている。1999年の東海村臨界事故を引き起こしJCO労働者の大内さん、篠原さんを虐殺し、六ケ所再処理工場で空や海へ放射能を大量にたれ流し始め、すでに2人の労働者を内部被曝(ひばく)させた張本人どもこそが「原発・核テロリスト」ではないのか。
中曽根が核武装国化発言
9月5日、中曽根元首相は、「核兵器問題も研究しておく必要がある」と、日本の核武装国化を公然とぶちあげた。北朝鮮スターリン主義の「核実験」を口実にした日帝の北朝鮮侵略戦争策動と核武装策動を絶対に許すな。朝鮮の労働者階級人民、アメリカの労働者階級人民と連帯し、米・日帝国主義の北朝鮮侵略戦争策動を絶対に阻止しよう。11・5労働者国際連帯集会の大成功こそが、北朝鮮の「核実験」への回答だ。
(山並信一)
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週刊『前進』(2267号5面4)(2006/10/23)
パトリオット
天願桟橋に怒りの渦
8日 徹夜の搬入阻止に突入
10月8日午後10時、うるま市の米軍・天願桟橋前のゲート前に夜中にもかかわらず250人が結集し、米軍が表明していた9日からのミサイル本体搬入の阻止態勢に入った。
(写真 9日朝、PAC3本体を積んだ大型貨物船が天願桟橋に着岸したが、労働者・市民はゲート前で座り込みを続け陸揚げを終日阻止【うるま市】)
この日、沖縄平和運動センターの呼びかけにこたえ、自治労、沖縄県教組・高教組、マスコミ、全港湾、地区労などの労働組合が、本部、支部、分会の旗を林立させてゲート前に座り込み、完全に封鎖した。労働組合以外からも嘉手納基地爆音共闘、普天間基地爆音共闘などさまざまな団体が一緒に座り込んだ。
平和運動センターの山城博治事務局長の司会で、午後11時から12時前まで集会が開かれた。主催者の平和運動センター、嘉手納爆音共闘、普天間爆音共闘、ヘリ基地反対協、平和市民連絡会、八重山地区労、山内徳信氏など、発言者は異口同音にPAC3の沖縄配備が米軍基地再編の一環であり、沖縄の基地の再編強化であることを弾劾し、絶対に阻止しようと呼びかけた。
とりわけこのPAC3沖縄配備に関してメア在沖縄米総領事が「これは沖縄を守るためであり、反対するのは理解できない」と発言していることを徹底弾劾した。この発言は、沖縄戦、戦後米軍支配の歴史から多大な犠牲と引き替えに沖縄県民がつかんだ真理、〈軍隊は人民を守らない〉〈基地と軍隊のいる所が戦場になる〉、そこからくる強固な「反戦平和」への思いを、真正面から愚弄(ぐろう)するものとして、人民の怒りを買っていた。
この集会には、10月7日、沖縄マスコミ労協主催「2006反戦ティーチイン」を協賛し20人余で来沖した日本マスコミ文化情報労組会議(MIC)も合流し、代表が連帯のあいさつをした。
集会の終わりに、全員肩を組んで「一坪たりとも渡すまい」を歌って決意を固め合った。この場所(うるま市昆布)は、米軍基地(天願桟橋地区)の拡張・土地取り上げに反対し、地域、全島の労働者人民が立ち上がり激しい闘いを展開し勝利した1966年「昆布土地闘争」の現場に隣接している。この歌はその闘争の中で生まれ、「沖縄を返せ」とともに沖縄闘争を象徴する歌である。真夜中に響き渡る歌声は感動的で、みんなの決意を高めていった。そしてそのまま徹夜の座り込み阻止態勢に入った。
軍用車の大隊列
米軍は嘉手納基地・嘉手納弾薬庫にPAC2を含むパトリオット24基の配備(陸軍砲兵大隊の兵員600人、家族900人)を宣言、嘉手納基地の地元、嘉手納町・北谷町・沖縄市始め全県的反対の声を一顧だにすることなく、9月29日から搬入を強行した。
ミサイル本体を除く付属品、部隊所有の車両などを那覇軍港に陸揚げし、車両四、五百台で10月1日深夜から連日那覇軍港から国道58号線を北上し、嘉手納基地に運び込んだ。真夜中、国道を大型軍用トレーラーの隊列を組んで移動する様は、県民に復帰前、ベトナム戦争時に舞い戻ったかのような思いを与えた。その様を地元新聞は見出しで「闇夜(やみよ)突く『大行軍』」「『戦争前夜』不安視」と記している。
炎天下阻止続く
10月9日午前8時過ぎ、ミサイルを積み込んだ貨物船が天願桟橋に横付けされたが、徹夜の阻止体制は、炎天下のこの日も終日貫徹された。県知事選立候補予定の糸数慶子参院議員、照屋寛徳衆院議員も駆けつけた。
続く10日も搬入を阻止し続けた。辺野古から命を守る会の金城祐治代表も座り込みに参加、「皆さんの行動は正しい。子や孫に戦争を押し付けないための行動だ。ともに頑張りましょう!」と檄(げき)を飛ばした。
米軍基地再編は、基地の縮小、沖縄の負担軽減どころか再編強化、否、戦闘態勢突入であることが、今沖縄で急速に現実化しつつある。日・米帝国主義は、沖縄県知事選挙が終わってからというような余裕もなく急激に突っ込んできている。辺野古新基地建設のための「遺跡調査」強行、平良夏芽牧師不当逮捕、PAC3配備強行、嘉手納基地の米空軍F15戦闘機の後継機F35の配備表明、先島地方への自衛隊配備(宮古への陸上自衛隊配備)、10月11日宮古・下地島空港米軍強行使用通告など。
まさに今の沖縄は日に日に戦争前夜の様相を呈してきている。米軍再編粉砕、PAC配備を阻止し、県知事選勝利をかちとろう。
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週刊『前進』(2267号6面1)(2006/10/23)
天願桟橋で労組先頭にパトリオット阻む 沖縄 仲村渠(なかんだかり)真彦
私が現地(うるま市・天願桟橋)に着いたのは10月9日の午後2時ころであった。すでに前夜(8日午後10時)からの泊まり込みも含めて総勢150人ほどの労組員や平和市民のメンバーが駆けつけていた。
この地は、ベトナム戦争時に膨大な爆薬を積み降ろしした憎むべき米軍施設である。この米軍施設群の建設時(1960年代)には強制土地収用との闘いが「昆布土地闘争」として激烈に闘われた場所である。
現場では、平和運動センターの労組員がハチマキをしめ、組合旗をはためかして座り込んでいる。平和運動センター・労働組合がこのような阻止行動を取り組むのは二十数年ぶりである。沖縄労働運動がよみがえった感動の瞬間であった。
それも単なるアリバイ闘争やカンパニア闘争ではない。その証拠に、投光機(2基)、仮説トイレ(2基)、夜食用の炊き出しまで準備されている。パトリオットミサイル配備をなんとしても阻止するという強烈な決意が伝わる。
午後4時30分ころ、防衛施設局の交渉担当が抗議団の前に現れる。平和運動センターの山城事務局長は、「ミサイルを積んだ艦船を直ちにアメリカ本国に持ち帰るならばこの場所を即座に開放する。そうでなければ搬入を阻止するまで闘う。ミサイル搬入を前提としたオペレーター要員の入場は認められない」と毅然(きぜん)と対応した。
午後5時を過ぎると、オペレーター要員と港湾の荷役労働者は全員が引き上げた。いったんの勝利ではあるが、いつ強行突破を図るかも知れない。全員が気を引き締めて、まずは午前0時までの座り込み続行を確認する。座り込み要員は70〜80人。前夜からの泊まり込み部隊はさすがに疲労の色は隠せないが、それでも帰ろうとはしない。まるで闘争を楽しんでいるかのようである。
私は、この日の闘いがアメリカILWU(国際港湾倉庫労組)の労働者に伝わることを願い、帰路に着いた。寝たのは午前2時ころであったが、高揚感と軽い疲労感で熟睡することができた。
動労千葉と4大産別民間労働者が大合流 東京・東部 山口秀夫
11・5労働者集会に向けて、「労働者はたたかって元気になろう!06秋 東京東部労働者交流集会」が10月5日に亀戸で開催されました。
ビデオ「ワーキングプア」の上映後、教育労働者の司会で集会は始まりました。メイン講演は、鈴木達夫弁護士の「憲法と労働者階級」です。
鈴木弁護士は、そもそもは資本家の自由を守るための憲法であるが、天皇制を守るために軍隊を持たない、労働者の権利を無条件に認めた特殊な戦後憲法になった、安倍の「新憲法」とは自衛の名で戦争する、基本的人権を制限するクーデターだと、労働者の決起を訴えました。
続く都高教被処分者の9・21全面勝訴判決の報告と教基法改悪阻止への訴えは、勝利感に満ちた迫力あるもので参加者を鼓舞するものでした。「この判決は原告の闘いが勝ち取った勝利であり、結果ではなく出発点だ。これを武器にさらに闘い続ける。組合がどう闘うかだ。安倍と闘い、教基法改悪を阻止しよう」と訴えました。
そして動労千葉新小岩支部がこの間の闘いを生き生きと勝利感をもって報告しました。
ハイライトは、リストラと格差社会の中で必死に闘っている民間労働者の訴えでした。ビデオの現実と合わせて怒りが噴き出しました。
その彼が教育労働者の闘いの報告に最も感動したと言っていました。集会後、ともに11月に結集することを確認し合いました。
秋闘で石原と闘う都労連労働者と青年の発言、そして共謀罪と闘う仲間の訴えが続き、最後に民同や共産党の執行部との決別をかけて三役選に決起した自治体労働者が勝利感をもって11・5への決意をのべました。それぞれの発言が熱気にあふれ終了時間を大幅にオーバーしてしまいました。
動労千葉と4大産別の闘い、苦闘する民間労働者がこうして合流すれば1万人結集は絶対可能だと確信できる集会になりました。
安全無視の民間委託が招いたプール事故 関東・ビルメン労働者 M・T
この夏、埼玉で起きたプールでの少女死亡事故について、意見を述べます。
現在ビルメンテナンスで働く労働者は、70万人とも100万人とも言われるが、その約3割が国・自治体の建物や施設で民間業者に委託された公共サービスに従事している。ビルメンは、清掃や監視業務など、建物や施設の環境保全、安全の確保を目的としており、今回のプール監視業務なども含まれる。
これらの業務の委託は入札によって決まるが、公共サービスと言われるその内容は人的サービスであり、入札で争われるのは人件費、すなわち労働者の賃金そのものである。入札の現場では、毎年賃金の切り下げ競争が行われているのだ。
労働者にとって、入札制度は、低賃金と雇用不安(業者入れ替えは、雇い止め)を意味する。
また、切り下げられるのは労働者の賃金だけではない。安全性をどこまで落とせるか、落とすのか、このことも争われる。今回の事故では、安全研修すら受けていない監視員を配置していたといわれるが、こうしたことは私たちの現場では当たり前にされている。
公共サービスの安全を確保し、労働者の生活を守るためには、労働組合を各現場・職場に作る以外にはない。また、行政は入札参加の条件に「労働組合があること」とすべきである。真に安全を確保するには、現場労働者が社会の主人公になる以外にはありえない。
事故のあとの各地のプールの様子は異様であった。安全のためと称して、柵(さく)代わりに炎天下のプールに立たされる労働者。民間委託された公共サービスがたどり着いた先は、安全を無視し、その責任をすべて労働者に転嫁し、こうして人々の目を欺き、乗り切ろうとすることであった。埼玉のプール事故はビルメンテナンスの現場で働く仲間に、改めて、今現在置かれている状況を思い知らせるところとなった。
「労働組合を作ろう!」。これ以外に生きる道はない。
『パレスチナの怒り』を受け取りました 欧州在住 小川有
きょう、丹沢望さんの書かれた『パレスチナの怒り』を受け取りました。本当にうれしかったです。ありがとう。
こちらでたまに買う朝日新聞にはレバノンのことなどほとんど出ていないし、『前進』にも小さな記事しかなく、実は怒っていました。
ドイツ・オーストリアでは、ナチのお陰で反イスラエル、反シオニズムの闘いは、今なお本当に困難なのです。例えばフランスなどではTシャツに「▽△(ダビデの星)=
(ハーケンクロイツ)」などと書いて売っても何ともありませんが、両国では即弾圧。ユダヤ人の反戦団体が、ダビデの星の中央にハーケンクロイツを書き込んだデザインのステッカーを配ろうとしたところ、見回りの警察官に没収されそうになってしまいました。
シオニストはナチスと秘密裏に取り引きしてイスラエル入植者と、強制収容所行きの弱者の選別をしたというのに、その当のユダヤ人がシオニズムに抗議するのが許されないのです。
日本にとっては北朝鮮の問題が危機ですが、世界的に見ると、やはり中東情勢の的確な把握なしには米帝やEUの動きを語ることはできません。
ポスト・オスマン・シンドロームというか、例のサイクス・ピコ協定によって英仏帝国主義に分割され、半植民地化されたこの地の歴史の複雑さ、多重性を理解するのには忍耐がいりますが、この本はその良い助けになると思います。
社会保障削減を宣言した安倍の所信表明 兵庫 吉村隆生
安倍は所信表明演説(9・29)で、「自立の精神を大切に……持続可能な『日本型の社会保障制度』を構築すべく、制度の一体的な改革を進めます」「医療や介護につきましては政策の重点を予防へと移し、健康寿命を延ばす『新健康フロンティア戦略』を推進します」と述べています。
新しい介護保険制度で高齢者に筋肉トレーニングを強制している「介護予防」策のように、社会保障の対象者を削減することが「日本型の社会保障制度」だ、ということです。高齢者・「障害者」の年金や介助費用や医療費、失業保険などの支給を削減するのが狙いです。
「障害者」福祉切りすての「障害者自立支援法」が10月から全面施行されます。これからの数年の間に「障害者」介助は解体されようとしています。地域自立生活を困難にされて施設収容され、その上に施設での介助や医療も削減されます。病院から介護施設に移すことで医療費を削減することも行われます。
厚労省は、精神病院の病棟をそのまま利用しながらも、「退院支援施設」という名前にするだけで医師や看護師の配置の必要をなくし、医療費を大幅削減しようとしています。
医療費と介護費用の削減は高齢者を本丸として進められています。病床削減、介護ベッドの大幅削減が進められています。
さらに、安倍は9月4日、福岡市内で開いた自民党九州ブロック大会で、社会保障関係費の抑制に関連して、「終末期医療は見直していかないといけない」と述べました。
死亡前1カ月の終末期医療は総額約9000億円とされています。その廃止を表明したものです。終末期とされたら病院から放り出されるという意味です。資本家の家族は高額な医療をしてもらえるが、労働者家族は終末期とされれば医療から捨て去られるのです。
「障害者」と福祉労働者は9・15関西集会で、闘って障害者の権利を守ると声を上げました。労働者の決起が何より求められています。
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週刊『前進』(2267号6面2)(2006/10/23)
水嶋裁判
10・24控訴審初公判へ
一審無罪!デッチあげ明白
水嶋裁判(1988年9・21千葉県収用委会長せん滅戦闘デッチあげ弾圧裁判)の控訴審第1回公判(東京高裁第12刑事部・河辺義正裁判長)が10月24日に開かれます。
水嶋秀樹同志は無実であり、9・21戦闘には一切関与していません。水嶋同志と弁護団はデッチあげへの怒りに燃えて一審を全力で闘いぬき、04年3月17日に東京地裁で完全無罪判決をかちとりました。
この勝利は、8日後の迎賓館・横田爆取デッチあげ裁判の一審無罪判決とともに、戦時司法への転換を狙う日帝国家権力に大打撃を与え、闘う人民を限りなく激励しました。検察官はあくまでもデッチあげを貫こうと控訴を強行したのです。
水嶋同志へのデッチあげ弾圧は、9・21戦闘への関与を「自供」した正井利明が、戦闘の総責任者(「A」と記号で供述)として水嶋同志の写真を「特定」したことを唯一の根拠に強行されました。ところが正井は一審法廷で、水嶋同志を間近に観察して「A」とは別人であることを繰り返し証言したのです。
▲弁護人「(Aと被告人とは)違うと思うということでしょう」
正井「そうです。違うと思うということです」(第5回公判)
▲正井「私が申し述べた特徴ですね、その特徴に関してはことごとく違うということから言えば、Aと水嶋が同一人であるということは考えにくい」(同)
▲正井「(水嶋さんはAと)イメージが非常に異なる」(第9回公判)
この証言に驚愕(きょうがく)した検察官は、正井が水嶋同志を「A」だと断定できなかったのは、「A」が正井と別れてから13年の間に「著しく容貌(ようぼう)が変化したから」だと主張しました。しかしこれはまったくのウソです。「親しかった人物は、たとえ20年、30年別れていても、会えば必ず分かる」ものです。
このリアリズムに行き詰まった検察官は、控訴趣意書においては、なんと「法廷で水嶋を見た正井は『A』だと確信したが、報復を恐れてそうだと断言できなかったのだ」との主張を展開し始めたのです。しかし、正井が報復を恐れて真実を述べられなかったなどという検察官の主張はまったくのウソです。
真実は、正井は水嶋同志を見て「A」とは別人であることを確信したのです。一審法廷での証言のとおりです。
検察官は9月26日に「事実の取り調べ請求書」を提出しましたが、正井を証人申請していません。正井の「心理」を勝手に推測するのなら、なぜ正井自身にそれを聞こうとしないのか。
証人申請された根塚英樹(警察官)と高田憲一(元検事)は強制と誘導で正井に写真特定させた取調官です。彼らに誘導はなかった、取り調べは信用できるものだったと証言させるのです。デッチあげた張本人が「強制した」「誘導した」と言うわけがありません。
瀧澤佳雄(検事)は、逮捕後の水嶋同志をマジックミラー越しに正井に見せて、「Aと同一人であるとは言えませんでした」との供述を調書化した取調官です。この瀧澤が、「正井の真意は供述内容と違う」と証言するというのです。デッチあげの破産の取りつくろいのための詭弁(きべん)であり、絶対に許せません。
88年9・21戦闘は千葉県収用委員会を解体し、三里塚農民の農地強奪と、軍事空港としての完成をいまだ阻んでいる偉大な戦闘でした。この勝利の地平を覆そうとする水嶋裁判控訴の攻撃を、9条改憲阻止闘争の全人民的高揚をかちとる中で粉砕しましょう。
水嶋同志と弁護団は、検察官のデタラメな主張をことごとく粉砕する客観的で動かしがたい証拠をいくつも、しっかりと準備しています。控訴審を徹底的に闘いぬき、必ず勝利をもぎり取る決意に燃えています。
10月24日(火)午前10時、東京高裁に総力で結集し、検察官の控訴を怒りの声で弾劾しよう。高裁・河辺裁判長は控訴を直ちに棄却せよ。
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週刊『前進』(2267号6面3)(2006/10/23)
共謀罪 審議入り阻止へ1日行動
シール投票、大差で“廃案”に
衆議院法務委員会が始まった10月13日、国会前で共謀罪阻止一日行動が闘われ、参加者は審議入り絶対反対を訴えた。国会前のシール投票では反対247、賛成11の圧倒的多数で共謀罪は否決! 多くの国会議員も反対票を投じた。昼休みには日弁連主催の院内集会が開かれた。与党はいつでも強行採決できる体制を強めている。今国会で絶対に廃案にしよう!
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週刊『前進』(2267号6面4)(2006/10/23)
11・25星野全国集会に参加を
71年沖縄「返還」協定批准阻止闘争から35年目の11月25日、その闘いの現場だった渋谷で「星野文昭さんを取り戻そう/35年目の渋谷で問う、沖縄−星野 11・25全国集会」が開かれます。
「星野さんをとり戻そう!全国再審連絡会議」に参加する七つの救う会が実行委員会をつくり、「無実で獄中32年、星野文昭さんに自由を!」と、広く労働者・学生・市民に参加を呼びかけている集会です。
1971年11月14日、星野同志たち多くの労働者・学生は、目前に迫った沖縄「返還」協定批准の強行採決を阻止するために立ち上がりました。
日帝・国家権力は、デモの先頭に立った星野同志に憎しみを集中しました。激突の中で起きた機動隊員死亡事件の「実行犯」に星野同志をデッチあげたのです。
星野同志は無実です。彼が機動隊員を殴打し、火炎ビン投てきを命令したというのはデッチあげです。物証は何一つありません。あるのは権力に強制された虚偽の「供述調書」だけです。にもかかわらず星野同志は32年間、無期懲役として獄中に閉じ込められています。こんな人権侵害は許すことはできません。なんとしても再審開始を実現し、無実の星野同志を奪還しましょう。
今春、刑務所内外の闘いによって家族以外でも星野同志との面会・通信ができるようになりました。星野同志のもとにはすでに400通を超える手紙が届いており、友人面会も次々実現されています。笑顔で友人たちと会話する星野同志はいきいきと輝いています。この星野同志を一刻も早く獄中から解放しなければなりません。
11・5労働者集会への1万人結集を実現しましょう。安倍改憲政権と対決し、教育基本法改悪阻止を闘う労働者人民1万人の力が星野同志を奪い返す力です。パトリオットミサイル配備阻止を闘い、新たな米軍基地建設を阻止する沖縄闘争こそ、星野同志とともにあります。戦争と民営化に反対する労働者人民のその闘いが、星野同志を奪い返す力です。
11月25日午後2時、渋谷の東京山手教会へ!
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星野文昭さんを取り戻そう 35年目の渋谷で問う、沖縄−星野11・25全国集会
11月25日(土) 東京山手教会
午後1時開場渋谷公園通り
2時開会JR・地下鉄渋谷駅
5時閉会から300b
◎講演 知花昌一 反戦地主/読谷村議
−1972年沖縄本土復帰の内実を問う−
「星野文昭さんは何のために闘ったか」
◎朗読劇 イノセント
◎歌と語り
◇午前10時〜星野文昭獄中絵画など展示
07星野カレンダーなど販売
主催/11・25全国集会実行委員会
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