ZENSHIN 2006/10/16(No2266
p06)
|
週刊『前進』(2266号1面1)(2006/10/16)
11・5労働者集会に1万人大結集を
安倍所信表明演説批判
教労を先頭に労働者の団結で 教基法改悪阻止・安倍打倒へ
9月26日に極右改憲の安倍政権が発足し、29日に国会で所信表明演説を行った。安倍は「美しい国づくり内閣」をうたい、「戦後体制からの脱却」を掲げて戦争と改憲に突き進もうとしている。とりわけ今臨時国会で、教育基本法改悪案の成立を最大目標にし、対テロ特措法の延長や共謀罪新設法案、国民投票法案、防衛庁の省昇格法案などの強行を狙っている。9条改憲を待たずに集団的自衛権の行使に道を開こうとしている。しかし安倍政権は、あらゆる意味で脆弱(ぜいじゃく)であり危機的だ。労働者階級人民の怒りと団結で必ず打倒できる。教育労働者と動労千葉を先頭に国会闘争に立ち、教基法改悪阻止・安倍政権打倒へ。11・5労働者集会1万人大結集に向け全力で闘いぬこう。
教基法改悪と集団的自衛権で突破を狙う
安倍の所信表明演説には、極右・国家主義者の本性からすれば封印したり、あいまいにした部分が明らかに存在する。だが「教育改革」と「憲法改正」を始め、政権の反革命的正体、政策は基本的には全部出ている。
(1)改憲。「新しい時代にふさわしい憲法」をと表明し、改憲強行のための国民投票法の早期成立をうたった。
(2)「教育改革」。教基法改悪案の早期成立。これが安倍の当面最大の狙いだ。内閣に「教育再生会議」を設置する。
(3)官邸機能の強化。特に外交・安全保障に関する官邸の司令塔機能の再編・強化。首相補佐官5人の任命。日本版NSC(国家安全保障会議)の設置も狙う。
(4)集団的自衛権の行使に道を開くため、個別、具体的に研究を開始。
(5)中国、韓国との「未来志向」の関係構築。しかし対北朝鮮の「拉致問題対策会議」の設置が象徴するように、北朝鮮・中国侵略戦争の路線は露骨に貫かれている。
(6)「再チャレンジ支 援」を掲げつつ、「筋肉質の政府」「歳出削減を徹底」「公務員純減の実行」などを強調。これは骨太方針Yに基づく4大産別への攻撃、社会保障制度解体、消費税増税の路線ということだ。
以上のような所信表明演説での安倍の政策・攻撃の中で、当面する現実の最大の攻防点は、教基法改悪と集団的自衛権である。安倍は日米枢軸のもとで、実際の戦争突入に向けここで必死に突破しようとしているのだ。
臨時国会決戦の爆発と11・5労働者集会の1万人結集で、安倍政権打倒を絶対に切り開こう。
帝国主義は、米帝の住宅バブルが崩壊し、ドル暴落と29年恐慌再来情勢に入っている。この中で米帝はすでにイラク侵略戦争を突破口に世界戦争過程に突入している。
こうした中で、日帝は1千兆円以上の赤字を抱え、国家財政は破綻(はたん)している。大恐慌再来への対応力を失っている。アジア外交は靖国問題で行き詰まり、「東アジア自由経済圏」構想もまったく展望がみえていない。そして国内階級支配においても、動労千葉を先頭に4大産別を軸とする戦後労働運動の組合的団結が継承されており、戦後的階級関係は一掃されていないのだ。
脆弱で危機的な安倍政権は打倒できる!
この絶望的危機にある日帝は、戦後史の大転換をかけて、改憲攻撃を振りかざす極右の安倍を選択した。しかし安倍はイデオロギー的に凶暴ではあるが、階級的激動にもまれたことがない、未熟で、脆弱な政治家だ。
しかも安倍の極右・大反動は、必ず労働者階級の反転攻勢を呼び起こす。現に9条改憲阻止へ青年労働者と学生を先頭に、安倍打倒の怒りの決起が始まっている。
国家安全保障担当の首相補佐官に任命された小池百合子が10月3日に訪米し、ハドリー米大統領補佐官らと会談した。安倍は日米同盟を「血を流す同盟」に変革するために、首相官邸とホワイトハウスを直結させようとしているのだ。
10月3日の北朝鮮の「核実験」予告声明を絶好の口実に、日帝は米帝とともに国連安保理における北朝鮮制裁決議、「国連憲章7章決議」に向け動き出した。米帝と一体化し、イラクに続き北朝鮮・中国侵略戦争に突き進もうとしている。そのために今、安倍は集団的自衛権の行使に道を開こうとしているのだ。
だが議会を限りなく無力化し、現行の議院内閣制も実質的に解体して、戦争国家体制を構築しようとしている安倍に、労働者人民の怒りは、嵐のように爆発していく。
「日の丸・君が代」強制に対する予防訴訟での9・21判決の全面勝利は決定的であった。これは何よりも3年間にわたる不屈の不起立闘争が生み出した勝利である。
安倍はこの判決に痛撃されつつ「東京都は適切に対処している。全国の学校で国旗・国歌に関する指導が適切に行われるよう取り組んでいく」と居直った。許し難い。
教基法改悪は愛国心=戦争教育であると同時に、日教組破壊の攻撃だ。全国の教育労働者は9・21判決の勝利に高揚し、闘いに確信を深めている。これをバネに、職場から国会闘争に決起しよう。教基法改悪を阻止し、日教組を再生しよう。安倍打倒の展望をもここで切り開くのだ。
教育担当の首相補佐官の山谷えり子が担当する「教育再生会議」は、これまで文科省―中央教育審議会のルートで行われてきた教育行政を官邸主導に移行させ、「つくる会」式の戦争教育・天皇制教育へと大改編しようとするものだ。
学校評価制度、教員免許更新制、教育バウチャー制度、そして勤労動員と徴兵制を狙う国公立大学9月入学・奉仕活動の義務づけも、ここで決めようとしている。安倍の狙いは教育の戦争化だ。粉砕あるのみである。
集団的自衛権の行使の事例研究なるものの狙いも、北朝鮮侵略戦争突入に向け、9条改憲を待たずに、米軍との一体的な武力行使を可能にしようとすることにある。
だがこうした安倍の戦争への突進は、日本の労働者人民、アジアの人民の怒りに火をつける。
安倍は「日本がアジアと世界の架け橋となる『アジア・ゲートウェイ構想』を促進する」などと言い、アジアの盟主然として登場しようとしている。しかし小泉の靖国参拝で、中国・韓国との首脳会談が断絶し、アジア外交は破産してきた。
この絶望的危機の中で安倍は8日に中国、9日に韓国を訪問し、首脳会談をやろうとしている。しかし、靖国問題や歴史認識問題での極右・国家主義者たる安倍の立場は、日帝のかつての侵略戦争と植民地支配を正当化し、再び戦争をやるという立場であり、中国・韓国の立場、とりわけ労働者人民の立場とは、絶対に相入れない。
しかも安倍は、北朝鮮スターリン主義の核・ミサイル問題、拉致問題での対抗的・反人民的行動を格好の口実として、排外主義を扇動し、国連安保理制裁決議問題で突出している。日米枢軸のもと米帝と一体で北朝鮮への侵略戦争をやろうとしているのが安倍だ。
さらに「再チャレンジ支援」などとペテン的に言いながら、安倍は、一方で経済成長や技術革新の「長期戦略」なるより一層の合理化攻撃を強化しようとしており、他方で骨太方針Yで打ち出した「官のリストラ」、すなわち公務員労働者と官公労への攻撃を激化させようとしている。
しかもこれは社会保障制度の解体、年金・医療・介護・福祉の徹底的な切り捨て、「逃げず、逃げ込まず」という来年参院選以降の消費税大増税の攻撃と一体なのだ。
だが安倍政権はけっして盤石ではない。きわめて脆弱である。安倍なんかに負けるものかと、多くの労働者が思っている。絶対に打倒してやると決意を固めている。
動労千葉と教労を先頭に情勢を開こう
沖縄で(11月県知事選勝利が決定的だ)、三里塚で、北富士で、そして法政大学を先頭とする全国の大学で、安倍打倒の国会決戦、何よりも11・5労働者集会の1万人結集へと総決起しよう。
特に、安倍の戦争と改憲、民営化と労組破壊の戦後史を画する攻撃との対決の中軸は、動労千葉と教労の闘いだ。
動労千葉は反合・運転保安闘争路線のもとに団結し、原則的な職場闘争と階級的労働運動を実践し、11月労働者集会の文字どおり先頭に立っている。教労戦線の教育労働者は教基法改悪との対決の最大の主体であり、安倍の「教育改革」攻撃を粉砕する最前線だ。動労千葉と教労を先頭に、安倍政権打倒へ闘おう。
職場から国会闘争に全力で決起し、教基法改悪案と共謀罪を粉砕せよ。
11・5労働者集会の1万人大結集の実現へすべての活動を集中しよう。
---------------------------------------------------
週刊『前進』(2266号1面2)(2006/10/16)
教基法闘争 衆院特別委の採決阻め
全国連絡会が院内で集会
|
衆院第2議員会館で開かれた院内集会。「日の丸・君が代」不起立を闘う教育労働者も数多く参加し、教基法改悪阻止へ団結を固めた(10月3日) |
10月3日夕、「教育基本法改悪をとめよう!全国連絡会」の呼びかけで、衆院第2議員会館内で院内集会が開かれた。150人が参加し、会場は絶対阻止の熱気に包まれた。いすに座りきれない人も多く出た。
連絡会呼びかけ人の三宅晶子さん(千葉大学教員)が「通常国会では、国会にたくさんの人が詰めかけて、共謀罪闘争の人たちとも一緒に闘い、それが成立を止める大きな力になった。でも今回は教基法改悪を最重要課題に掲げた安倍内閣との対決であり、10倍、20倍の結集が必要だ」と呼びかけた。そして、予防訴訟の勝利判決と750人が大結集した9・26国会前集会の意義を語り、全力決起を訴えた。
三宅さんは政府案の批判を行い、政府案は「公の秩序」を強調する新憲法草案とタイアップし、「個人と国家の関係を大きく変えるもの」「教育を中央権力による上意下達の支配に変えるもの」と厳しく批判した。
日本共産党と社民党の国会議員7人が参加し発言、ともに闘おうと訴えた。保坂展人衆院議員(社民)は、「45人の衆院教基法特別委で反対を鮮明にしているのは2人だけ。与党は『50時間も審議した。あと3〜4日審議すれば採決だ』と言ってくるだろう。大変、厳しいところに来ている」と警鐘を鳴らした。
「日の丸・君が代」予防訴訟の原告で、被処分者の会の教育労働者は、「今日は20人を超える仲間が結集している」と語り、9・21東京地裁判決の勝利の意義を明快に語り、「この判決を武器に全国で『日の丸・君が代』強制と対決し、教基法改悪を絶対に阻もう」と呼びかけた。
「時間来れば採決」と中川
衆院の教基法特別委は9月28日に開かれ、森山真弓委員長(自民、元文相)の再任を決めた。自民党の中川秀直幹事長は1日のNHK番組で「歩み寄れるものは歩み寄ったらいいが、時間が来れば採決するのは当然だ」と語り、与党単独でも採決に踏み切る構えを示している。重大情勢だ。
教基法改悪の最大の狙いは日教組の解体だ。安倍は所信表明演説で「教育基本法改正の早期成立を期す」と述べ、さらに「教員の質の向上」が問題だとして、「教員免許更新制の導入」「外部評価の導入」などを挙げている。また、首相直属の「教育再生会議」を発足させ攻撃を強めようとしている。現場の教育労働者の抵抗と闘いを打ち砕くことなしには、戦争教育への転換も、9条改憲もできないからだ。
日教組本部の屈服うち破れ
日教組中央は、驚くべき屈服と腐敗を深めている。10月18日に開く第147回日教組中央委の議案からは、国会闘争の方針は完全に消えてしまった。一切を来春の統一地方選と7月参院選での小沢・民主党支持運動に流し込み、組合員を動員しようとしている。とんでもないことだ。小沢・民主党の教育・安保・財政・労働政策などは、自民党と反動性を競い合うものばかりではないか。
教育労働者の闘う団結こそ、教基法改悪・改憲を阻む最大の力だ。全国で教基法改悪反対の集会とデモは熱気を帯びてきている。教育労働者は職場で団結し、闘わない日教組本部をぶっ飛ばして全国的な闘争を組織し、国会に押しかけよう。
闘う労働者人民は教育労働者と連帯して闘おう。全国連絡会が呼びかける10、17日の国会前集会、10・22新宿デモに決起しよう。
---------------------------------------------------
週刊『前進』(2266号1面3)(2006/10/16)
共謀罪 “今国会で廃案に”
緊迫情勢下で集会開く
10月3日、東京・星陵会館で、共謀罪新設反対国際共同署名運動が主催する「さらば!共謀罪 10・3集会」が開催され、260人が参加した。衆議院法務委員会での審議が再開する10月下旬にも採決強行が狙われる緊迫した状況のもと、臨時国会での安倍政権との全面的対決に向かう力強い集会としてかちとられた。
集会の冒頭、よびかけ人を代表して足立昌勝さん(関東学院大学教授)が、「共謀罪で私たちの心の自由をしばることはできない。今国会での廃案めざして闘おう」と訴えた。
国会報告として民主党から平岡秀夫議員、高山智司議員、社民党から保坂展人議員が発言した。いずれも衆院の法務委員会に所属しており、臨時国会での採決強行を許さない決意を表明した。
続いて、入管法改悪と闘う旗手明さん、関西生コン弾圧の被告で門真市議会議員の戸田ひさよしさん、都教委包囲・首都圏ネットの見城赳樹さん、日本弁護士連合会を代表して中村順英さんがあいさつを述べた。
戸田さんは「政治弾圧を許さず、ここから逆に安倍政権の鼻っ柱を砕こう。国会に駆けつけよう」と訴えた。また見城さんは「9・21判決は不起立の被処分者を始め全国の闘いがかちとった歴史的勝利。これを追い風に共謀罪と教基法改悪を阻もう」と提起した。
講演では、まずルポライターの鎌田慧さんが「今の警察の弾圧は、戦前と同じで拷問や盗聴を当たり前とするものだ。この警察が共謀罪を手にする怖さをアピールしていこう」と訴えた。
また反差別国際運動副会長の武者小路公秀さんは「与党は国際組織犯罪防止条約の批准のために共謀罪が必要、などと言っているがこの国際条約はブッシュの対テロ戦争と一体のものでこれ自体が問題だ。ナチスばりの監視社会を許してはならない」と確信をもって提起した。
その後、リレートークや決議文の採択を行い、国会に対する行動方針を全体で確認して、熱気あふれる集会をかちとった。
(写真 歌も交えた集会は熱気にあふれ、参加者は“共謀罪を葬り去ろう”と決意した【10月3日 星陵会館】)
10月下旬から審議再開狙う
共謀罪法案は10月下旬から衆院法務委員会で審議が再開されようとしている。共謀罪は、実行行為のはるか前の段階で思想・言論を弾圧し、労働者が団結すること自体を犯罪と見なす「現代の治安維持法」「団結禁止法」だ。重大な改憲攻撃の先取りである。
政府・与党は法案の行方に危機感を強めて、「強行採決を視野に置いて」(日経新聞9・19付)攻撃をかけようとしている。他方、労働者人民の怒りと危機感、反対の声は大きく広がっている。追い詰められているのは安倍政権の側である。闘えば絶対に粉砕できる。情勢は重大だ。職場・地域で闘いの輪を大きく広げ、仲間とともに国会闘争に決起しよう。教基法改悪案など反動諸法案もろとも、絶対に廃案に追い込もう。
---------------------------------------------------
週刊『前進』(2266号1面4)(2006/10/16)
日程
今週の国会行動
▽教育基本法の改悪をとめよう!
10・10国会前集会
10月10日(火)午後6時〜7時 衆議院第2議員会館前
主催 教育基本法の改悪をとめよう!全国連絡会
▽共謀罪阻止1日行動
10月13日(金)午前10時〜 座り込み 衆議院第2議員会館前
呼びかけ 破防法・組対法に反対する共同行動
★正午〜院内集会 衆議院第1議員会館第4会議室 主催 日弁連
------------------------------------
やめろ!教育基本法改悪 つぶせ!共謀罪
10・22新宿ジョイントデモ
10月22日(日)午後5時集合、6時から新宿デモ
新宿・柏木公園(新宿区西新宿7―14)
共催 都教委包囲首都圏ネット/破防法・組対法に反対する共同行動
---------------------------------------------------
週刊『前進』(2266号1面5)(2006/10/16)
日程
たたかう労働組合の全国ネットワークをつくろう!
改憲・戦争と民営化―労組破壊にたち向かう労働者の国際的団結を!
11・5全国労働者総決起集会
11月5日(日)正午開会
東京・日比谷野外音楽堂
呼びかけ 全日本建設運輸連帯労働組合関西地区生コン支部/全国金属機械労働組合港合同/国鉄千葉動力車労働組合
---------------------------------------------------
週刊『前進』(2266号2面1)(2006/10/16)
沖縄 全国で教基法改悪阻止の闘い
県庁前埋め緊急集会
国会開会日に“廃案”訴え
安倍改憲政権に対して、沖縄県教組、沖縄県高教組を先頭に沖縄の労働者階級の決起が始まった。両教組を軸とする「『教育基本法改悪ストップ!』沖縄県集会実行委員会」は23日から27日までのアピール行動を展開した。26日の臨時国会開会日には、県庁前の県民広場に教育労働者を始め600人の沖縄の労働者が結集して、教基法改悪阻止・米軍再編粉砕・県知事選勝利を掲げた集会が開かれた。
(写真 教基法改悪阻止へ教育労働者を先頭に600人が国際通りをデモ【9月26日 那覇】)
23日には約50人の教育労働者ら実行委員会の関係者が県民広場に集まった。大浜敏夫沖教組委員長が「教え子を戦場に送らない」と決意を示した。全員そろいのTシャツをまとい、ビラと黒糖を配りながら国際通りを牧志ウガンまで往復してアピール行動をした。
県民広場での集約集会で松田寛高教組委員長は、安倍が「教育改革」と沖縄県知事選挙に言及したことを指摘し、教育基本法改悪阻止と県知事選絶対勝利をかちとろうと呼びかけた。
25、26、27日は連日の交差点アピール行動。高教組・沖教組は那覇だけでなく各支部単位でそれぞれの地域で交差点アピール行動を行った。
26日夕、県民広場で「臨時国会における教育基本法改悪をゆるさない教職員緊急集会」が開かれた。教育労働者を先頭に県庁前は埋め尽くされ高教組は多くの分会旗をたなびかせて参加した。
高教組の松田委員長が、教基法改悪・米軍再編・県知事選を課題に掲げて安倍内閣発足の日に集会を行っていることの意義を強調し、教基法改悪の政府案・民主党案はともに廃案にするしかないと訴えた。
両教組の青年部長がそれぞれ発言し、多忙化する職場の現実に抗して教基法改悪阻止へ粘り強く闘う決意や、生徒の間で格差が広がり、就職先がなく自衛隊に入隊する生徒の現実などを語った。
集会後、国際通りのデモに出た。デモの先頭で教育労働者が大太鼓やタンバリンなどでリズムよくデモコールを行い、国際通りを教育労働者の長蛇の列が続いた。歩道で見ていた高校生が「しに(すごく)長いデモ」と声を上げるほど迫力のあるデモだった。
高教組は、評議員会から各分会での討議学習を行ってこの集会に結集した。各分会10人動員の方針を受けて、各分会では「今ここで立ち上がらないと」という危機感と怒りがあふれ、集会への結集に結びついた。集会の発言は青年労働者が中心となり、参加者も青年労働者を始め家族連れの姿が目立った。沖教組・高教組組合員の闘いへの意欲が満ち、自信と解放感にあふれる集会だった。
この間の連日の行動に百万人署名運動・沖縄の会も参加した。26日の集会では沖縄労働組合交流センターが「教え子を再び戦場に送るな」というリーフレットを配布した。組合員が「職場で配るからもうちょっと下さい」と声をかけてくるなど大きな反響があった。
沖縄の教育労働者は、安倍政権と全面対決し、不退転の決意で教基法改悪阻止に立ち上がった。87年沖縄国体での「日の丸・君が代」をめぐる攻防以来の歴史的な闘いが始まった。教基法改悪阻止へ全力で闘おう。名護新基地建設阻止闘争への不当な逮捕攻撃をはね返し、県知事選に勝利しよう。11・5労働者集会の大結集を実現しよう。
広島 原爆ドーム前で集会 さらに国会前行動に上京
私たちは9月23日、原爆ドーム前で改憲反対・教育基本法改悪反対の集会を広教組有志で呼びかけ、100人が集まって座り込みやリレートーク、シール投票・デモを行いました。
(写真 広教組有志が呼びかけ、100人が原爆ドーム前での行動に立った【9月23日 広島】)
25日夜に広島をたち、国会開会日の26日の朝9時から終日、国会の真ん前で座り込みをしました。「教え子を戦場に送る」ことを私たちに強制する教育基本法「改正」案を絶対に通してはならない! この一念でのぼり旗と横断幕を持ち、丸1日以上の休みを取って立ち上がり、お昼からひどくなった雨と風の中で座り込みやビラまき・集会をやりぬきました。朝9時すぎには40人くらいでしたが、お昼には100人、「全国連絡会」主催の集会が始まる午後6時過ぎには750人以上が車道にまであふれ、首都圏の教育労働者もどんどん集まってきました。国会開会日にです。
今国会を改憲国会そのものとして構えている安倍内閣に対し、連日、国会前で座り込みを行いましょう。できることは何でもやりましょう。60年安保闘争を上回る国会包囲を! 教基法改悪案を廃案に! 今国会の闘いで改憲を断念させよう!
安倍内閣を退陣に追い込み、世の中を変える労働者の底力を見せてやる時が来たのです。この歴史的な闘いの真っただ中で11月5日、日比谷野音を労働者であふれかえらせましょう。全国の教育労働者の隊列は、動労千葉に続いて闘い、階級の怒りに火をつけ、近い将来、日本革命の夢を現実のものにするでしょう。
(投稿/広島・教育労働者 M・N)
---------------------------------------------------
週刊『前進』(2266号2面2)(2006/10/16)
政治解決路線と決別し解雇撤回の原点堅持を
駅業務委託化との対決へ
革共同国鉄委員会
安倍政権は、教基法改悪と集団的自衛権の行使を最優先とする改憲突撃政権だ。4党合意の中心人物である甘利明が経済産業相に就任し、「次期政権最大の抵抗勢力は官公労」と公言する中川秀直前自民党政調会長が幹事長に収まった。まさに安倍政権は4大産別解体政権として登場した。だが、その本質はきわめて脆弱(ぜいじゃく)であり破産的だ。今こそ国鉄闘争を土台とした4大産別決戦に勇躍決起しよう。11・5労働者集会への1万人結集こそが、その勝敗を決する。国会闘争の先頭に国鉄戦線が立ち、職場における動労千葉労働運動の具体的な実践で、安倍改憲内閣を打ち倒そう。
安倍改憲政権打倒の先頭に立つ
都教委「10・23通達」の取り消しを求めた「予防訴訟」で9月21日、東京地裁の画期的な勝利判決がかちとられた。教育労働者の首をかけた不起立決起は、10・23通達を紙くず同然の状態に追い込んだ。改憲阻止の具体的な職場決起こそ、安倍政権の死命を制するものとなるのである。
さらに9月23日、東西で改憲阻止を掲げた集会が開かれ、青年・学生を先頭に労働者階級のエネルギーが解き放たれた。11・5労働者集会1万人結集に向けた劇的で若々しい胎動が始まった。
それは、国家主義と排外主義、天皇制イデオロギーを旗印とし勝共連合と「つくる会」をブレーンとする極右・安倍政権の登場を迎え撃った。安倍が叫ぶ「戦後レジームからの脱却」の核心は労働運動の解体にある。だがそれは、労働者階級の積もりに積もった怒りにおびえる安倍の危機を示すものにほかならない。
国鉄分割・民営化攻撃は、戦後労働運動を解体し、改憲攻撃を貫徹するための突破口として強行された。だが、動労千葉の分割・民営化反対のストライキを先頭に切り開かれた国鉄1047名闘争は、戦争と民営化攻撃に立ちはだかり、改憲攻撃の前に「巨大な階級の壁」を築いてきた。安倍政権の登場に対し、国鉄闘争は、いよいよ改憲攻撃と真っ向から対決する闘いの軸にならなければならない。
(写真 鉄道運輸機構・国鉄清算事業本部にこぶしを上げる国労闘争団員ら。その思いはあくまで解雇撤回だ【9月15日 東京・新橋】)
第1節 国鉄闘争は重大な危機に
9・21判決を戦取した教育労働者とともに、国鉄労働者は戦後最大の階級決戦に突入する。国鉄戦線は、教基法改悪阻止・改憲阻止の最先頭に立って闘いぬく。
だが、こうした決戦局面のただ中で、1047名闘争は重大な危機に陥っている。9月15日に開かれた鉄建公団訴訟判決1周年集会は、このことをまざまざと示した。
集会では国労本部の吉田進書記長が「年内解決を妨害する勢力を許さない」と述べ、建交労の佐藤陵一委員長は「テロ支援を許さない」と発言した。国鉄闘争共闘会議の二瓶久勝議長も「国労本部とともに年内政治解決を」とあいさつした。
敵にどこまでもはいつくばって4党合意の復活をこいねがう国労本部と手を組んで、従来の4党合意反対派もが1047名の名で1047名闘争を踏みにじる大変な屈服に踏み込んでいる。
これは、「4団体共闘」の名で動労千葉を排除し、「解雇撤回・JR復帰」の原則を投げ出す行為である。9月14日、国労、建交労、国鉄闘争支援中央共闘、国鉄闘争共闘会議の4団体は、鉄道運輸機構に申し入れをした。それへの鉄道運輸機構の回答は、「交渉テーブルを設ける意思はない」というものだった。政治解決の現実性などおよそないことは明らかだ。だが、より重大なことは、4団体が鉄道運輸機構に提出した「解決要求」には、同機構やJR各社・JR関連会社での雇用確保や年金回復の要求はあるが、「解雇撤回」の4文字は完全に消し去られているということだ。
「解雇撤回」の放棄説く小野寺氏
こうした動きと連動して、9月15日付『労働情報』に国鉄闘争共闘会議アドバイザーの小野寺忠昭氏による「解決局面における要求決まる/総力戦とその陣形」と題する文章が掲載された。
その内容を要約すると、次のとおりだ。
@動労千葉を除く4者(国労闘争団全国連絡会議、国労鉄建公団訴訟原告団、国労第2次原告団、全動労原告団)は「解決にあたっての具体的要求」をまとめたが、1047名連絡会の会議で動労千葉争議団が「解雇撤回を原則的な要求として堅持する」と主張し、「この要求とは一致しなかった」。しかしそれは「争議解決にとって大きな問題とはならない」。A「解決局面においては原則的要求部分と具体的要求部分に争議団員は分岐する」。B「具体的に問題解決を図る上で」は「間口が広い柔軟な要求」が「争議解決の定石」だ。C「9・15判決を契機に、国労方針はより良い方向に変化した」。D国鉄闘争は「いよいよ主体的に最終的な解決局面に入った」「争議の解決をつける総力戦に入った」。E4党合意は当事者の意思を無視したから問題だった。
この小野寺氏の主張は「解雇撤回」を堅持しようが投げ捨てようが大差はないという、とんでもない暴論だ。むしろ彼は「柔軟な要求こそ争議解決の定石」と言い切ることで原則放棄を奨励し、”解雇撤回の原則を貫く動労千葉は解決の妨害者だ”と言っているのだ。
小野寺氏は、「解雇撤回」は単なる原則で「具体的要求」は別だと言うが、「解雇撤回」がどうして具体的要求ではないのか。「解雇撤回」こそ1047名闘争の原則であり、それ自体きわめて具体的な要求だ。それを捨て去ってもよいと言う小野寺氏は、結局「不当労働行為による解雇」を認めているのだ。
また小野寺氏は「総力戦」と言うが、総力戦はJRの現場組合員の怒りを基盤に日常的な職場闘争を巻き起こし、闘う団結を発展させ、それを1047名闘争と緊密に結合してこそ実現できる。JRと闘わない1047名闘争は成り立たない。ところが小野寺氏の「総力戦」には、肝心かなめのJR本隊組合員の闘いが完全に抜け落ちている。それは、全国の支援が総力で国鉄闘争に結集する道を閉ざすものだ。
小野寺氏の主張は、4党合意は当事者に話がなかったから問題だと言うだけで、4党合意が「人道的解決」の名で解雇撤回を最終的に放棄するものだったことをなんら批判しない。その主張は、国労本部の「政治解決」路線と本質的に変わりがない。だから彼は、鉄建公団訴訟原告への統制処分や組合員の警察への売り渡しを居直り続ける国労本部を「良い方向に変化してきた」と持ち上げることができるのだ。
小野寺氏は「解決局面に入った」と言うが、 改憲に突き進む安倍政権は、あくまで国鉄1047名闘争の破壊を策している。その安倍政権を相手に「政治解決」を図ろうとすれば、4党合意と同様、自民党や政府への無限の屈服を強いられることは明らかだ。
1047名は何のために20年間も解雇撤回・JR復帰を求めて闘ってきたのか! JR不採用という国家的不当労働行為への怒りに燃え、労働者としての誇りを奪い返すためではないか。
1047名の当該は、こんな和解路線を絶対に認めない。すでに闘争団内部にも、小野寺氏らの主張に対し「”本部との和解”に本能的なうさん臭さを感じた。4党合意の時と同じだ」という声が上がっている。
合理化と闘う路線を打ち立てよ
国鉄1047名闘争勝利の道は、現場労働者の怒りと誇りに依拠し、反合・運転保安闘争を基礎にJR体制を日々食い破っている動労千葉に続くことにこそある。
JR本隊をめぐり、再び大激突の時が到来した。JR東日本は、「ニューフロンティア2008における駅の在り方について」とした駅業務の大規模な委託計画を打ち出した。それは、首都圏の「乗車人員2万人以下の比較的小規模な駅を一括委託する」というもので、07年4月1日実施、1000人規模の大合理化となる。JR東日本は、駅業務の委託を「定年後の社員の再雇用の場を確保するため」とうそぶくが、現役社員を委託先に出向させることを策している。さらに、駅業務に有期雇用の契約社員2000人を導入することも提案された。これらは明らかに、国労の組織破壊を意図するものだ。
「設備メンテナンス」「車両メンテナンス」の全面委託に続く大攻撃が始まったのだ。これに対して国労東日本エリア本部は、「シニア社員協定」への全面屈服に続き、この提案も丸のみしようと策している。
この攻撃は、明らかに1047名闘争の危機を突いて出されたものだ。1047名の闘いで屈服すれば攻撃はJR本隊に襲いかかるし、JR本隊が屈服すれば攻撃は1047名に向かう。JR本隊への攻撃と闘わずに、国鉄闘争の「総力戦」などあろうはずがない。しかも、JR資本との闘いを貫き、これらの攻撃を唯一阻んできたのは動労千葉なのだ。その動労千葉を排除して国鉄闘争を敗北の道に引き込むことなど絶対に許せない。
問われているのは、JR本隊の闘いを立て直し、職場からJR資本と闘う路線を打ち立てることだ。「政治解決」路線は、根本的にはJR本隊組合員が持つ力を信頼していないことから出てきたのだ。それが国鉄1047名闘争の主体の危機をつくり出している。
JR体制下で強行された極限的な合理化と人員削減で、現場労働者は絶えず事故の危険にさらされている。しかも、こうした事態を進行させたのは、国労本部のJR資本への屈服と闘争放棄だった。これへのJR本隊組合員の怒りも激しく噴出しようとしているのだ。
現に動労千葉は、反合・運転保安確立を掲げてストライキや安全運転闘争を闘い、職場における日常的な闘争でJRに矛盾を強いている。もとよりそれは、容易に実現できた闘いではない。だが、組合指導部が現場組合員の力を信頼し、真剣に闘いを提起し、闘いの中で組合の団結を固めれば、JR体制を揺るがすことはできるのだ。
国鉄闘争の危機の中で国労5・27臨大闘争弾圧裁判は国労再生への重大な勝利を切り開いた。ついに酒田充・前国労本部委員長が証人として法廷に引きずり出された。
5・27臨大闘争弾圧被告団は、不屈の闘いで国労再生の血路をこじ開けた。これに続き、公判闘争と「許さない会」会員獲得を武器に国労再生のうねりをつくり出そう。
動労千葉労働運動の実践へ
革共同国鉄委員会は、新指導路線と「党の革命」の要に位置する動労千葉労働運動を国鉄戦線で実践する。動労千葉の闘いと一体となって、国鉄1047名闘争を闘い、JRの大合理化と立ち向かう。国鉄1047名闘争の危機を打ち破るために何よりも必要なことは、われわれ自身が動労千葉労働運動で一致し、その職場での実践に立ち上がることである。
本当に確信をもった不屈の反撃がひとつでも起これば、それはたちまち燃え広がる情勢だ。安全を根本的に解体させ、JR総連との結託体制も崩壊の時を迎えたJRの危機を徹底的に見据え、職場からの反撃を階級的団結の強化・拡大に結実させて闘えば、国鉄闘争の発展と勝利は確実だ。
職場闘争はプロレタリア自己解放闘争である。賃労働と資本の関係が再生産される職場生産点においてこそ、帝国主義の危機と矛盾は凝縮される。そこでの資本との力関係の転換こそが、帝国主義打倒の最も根本的な力になる。職場闘争は、まさにプロレタリア独裁に向けた闘いだ。
あくまで解雇撤回・JR復帰を貫き、国鉄1047名闘争に勝利しよう。5・27臨大闘争弾圧を粉砕し、駅業務の全面委託化を打ち破る反合理化闘争の路線を今こそ確立しよう。
革共同国鉄委員会は、その路線のもとで職場闘争を思い切って推進し、職場の階級的団結を打ち固め、職場細胞を建設して、11・5労働者集会1万人結集の先頭に立つ。
---------------------------------------------------
週刊『前進』(2266号2面3)(2006/10/16)
9・13〜9・29
日本経団連 教基法改悪を安倍に要求
予防訴訟で勝利判決/民間平均賃金8年連続減少
●団塊世代の77%が60歳以降も就労予定 電通は07年に60歳を迎える全国の労働者の調査結果を発表。77%が引き続き組織で働くことを選択。75%は今の会社で働くことを選んでいる。(13日)
●アスベスト被害者らが退職者労働組合を結成 「ニチアス」の退職者や遺族がアスベストによる健康障害に対する企業補償を求め、「ニチアス・関連企業退職者労働組合」を結成する。(17日)
●トヨタ系、労災隠し告発者を採用から除外 労災隠しと偽装請負が発覚したトヨタ自動車グループの部品会社「トヨタ車体精工」が、派遣労働者を直接雇用に切り替える際、内部告発した男性らに採用面接の機会を与えなかったことが分かった。(19日)
●労政審が就業規則による労働条件改悪を検討 労働政策審議会労働条件分科会の第62回会合が開かれ、会社が一方的に定める就業規則で労働条件の切り下げを容易にすることを検討した。(19日)
●「日の丸・君が代」強制で画期的判決 東京都教育委員会の03年10・23「日の丸・君が代」強制通達は違憲・違法だとして、都立学校の教職員401人が都教委と都を訴えていた予防訴訟で、東京地裁は原告側の主張を全面的に認める判決を言い渡した。(21日)
●昨年の労働争議708件 厚労省は05年労働争議統計調査の結果を発表。争議の総件数は708件、総参加人員は64万6千人で前年比29件、6万4千人減少。(25日)
●日本経団連が安倍新内閣に教基法と憲法の改悪などを要望 日本経団連は安倍新内閣の発足にあたって教基法の早期改悪や国民投票法の早期成立などを求めた「新内閣への要望」と題する建議を行った。(26日)=要旨別掲
●民間企業の平均給与は8年連続で減少 国税庁は05年の民間給与実態統計調査の結果を発表。1人当たりの平均給与は436万8千円(前年比0.5%減)で8年連続で前年の水準を下回った。(28日)
●夕張市が観光関連29施設を休止・売却へ 財政再建団体移行を決めた夕張市は第三セクター2社に委託している観光関連31施設のうち29施設を休止・売却を軸に整理する方針を明らかに。(28日)
●経財諮問会議が新しい民間メンバーを発表 塩崎官房長官は、経済財政諮問会議の新しい民間メンバー4人を発表した。伊藤隆敏・東大教授、丹羽宇一郎・伊藤忠商事会長、御手洗冨士夫・日本経団連会長、八代尚宏・国際基督教大教授。(29日)
●8月の完全失業率は4.1% 総務省発表の8月の完全失業率は4.1%で前月と同じ。厚労省が発表した一般職業紹介状況によると8月の有効求人倍率は1.08倍で、前月を0.01ポイント下回った。(29日)
予防訴訟で勝利判決/民間平均賃金8年連続減少
日 本経団連教基法改悪を安倍に要求
日本経団連の「新内閣への要望」(要旨)
新内閣においては、……国際競争力を強化するため、長期にわたる改革を。
同時に、日米の同盟関係を基軸としつつ、アジア大洋州諸国との関係強化を。
◆具体的要望項目
@イノベーションによる新しい日本型成長モデルの実現
A日米関係を基軸とし、アジア大洋州地域を重視した外交・通商戦略の展開
B歳出入一体改革の着実な実施、持続可能な社会保障制度の確立、雇用・少子化対策の強化
C地域活性化に向けた道州制の導入
D教育再生、憲法改正に向けた取り組み
・教育基本法改正案の早期成立
・愛国心に根ざした公徳心の涵養
・国民投票法案の早期成立。憲法改正案の取りまとめ
---------------------------------------------------
週刊『前進』(2266号3面1)(2006/10/16)
動労千葉定期大会 「第2の分割・民営化」と対決
安倍政権と闘い11月へ
反合・運転保安闘争路線で団結
10月1、2日、動労千葉の第35回定期大会が千葉市のDC会館で開かれた。この1年間の激闘を総括して反合・運転保安闘争の路線を再確認し、「第二の分割・民営化」の大攻撃に立ち向かい、安倍政権登場の重大情勢下において打って出る新たな闘いの方針を確立した。
(写真 定期大会で長田敏之書記長は、反合・運転保安闘争路線のもとに団結を固め、組織拡大に打って出ようと運動方針を提起した【10月1日 DC会館】)
大会直前の9月29日に幕張車両センター構内事故に関して重処分が発令された。大会では、館山運転区・木更津支区廃止、業務の大規模な外注化などの大攻撃に立ち向かう厳しい緊張感の中で、反合・運転保安闘争路線のもとに全組合員が団結を打ち固めた。また大会の今一つの柱として、安倍政権の改憲攻撃と動労千葉が最先頭で闘うことが確認された。
君塚正治副委員長の開会あいさつに続いて、田中康宏委員長が大会の課題を全面的に提起した。
「幕張事故への重処分を徹底弾劾する。しかし当局は半年間処分を出せなかった。この過程で動労千葉の団結もあらためて固まった。当局の側に問題があったことを認めさせ仲間を守りぬいた」
「動労千葉の原点である反合・運転保安闘争路線について確信を今一度打ち固めることが大会の第一の課題だ。合理化は徹底的な労働強化であり安全を破壊するものだ。そして常に労働組合と団結を破壊する攻撃だ。合理化と闘うということは資本主義を否定するに等しい。だからほとんどの組合が闘いきれなかった。しかし、安全問題は資本の最大のアキレス腱(けん)だ。事故問題・安全問題を闘いの方針とし、職場の怒りと結合して、逆に奪われた労働条件を奪い返す反合理化闘争を実現してきた。この路線があったから、いざという時に一人の仲間を守りぬく闘いが実現できた。激しい攻撃の中で中途半端なものは通用しない。今必要なことは、反合・運転保安闘争路線のもとに団結することだ」
さらに田中委員長は、臨時国会決戦、吹き荒れる資本攻勢、三里塚をめぐる決戦について提起、1047名闘争の危機の中で動労千葉はあくまでも解雇撤回の原則を貫くと強調した。最後に、大会の最大の方針として、JR総連が崩壊しつつある中、組織拡大に大胆に打って出ようと訴えた。
幕張支部が発言に立ち「処分に対して直ちに庁舎前弾劾集会を行った」「安全対策があれば事故は無かった。安全運転闘争への処分だ」とJR千葉支社を弾劾した。
繁沢敬一副委員長が1年間の闘いの経過と総括を提起。続いて長田敏之書記長が内外情勢とJRをめぐる動き、闘いの方針を提起した。
長田書記長は、@政治解決路線への埋没を打破し、1047名闘争勝利へ闘いぬくA館山運転区・木更津支区廃止反対闘争を当面の焦点として反合・運転保安闘争をさらに発展させるB11月労働者集会への1万人結集を軸に、闘う労働運動の新潮流を本格的に建設するCJRをめぐる激動情勢と対決し、動労千葉の命運をかけて本格的な組織拡大を実現する――という4点を強調した。
職場闘争で攻撃的に闘う
大会2日目には、運転区廃止や業務の全面的外注化にどう立ち向かうのか、極限的な要員削減の中での職場での矛盾の噴出などをめぐって活発な討論が行われた。また、多くの支部から11・5集会への全力の取り組み、平成採獲得―組織拡大への決意が語られた。
田中委員長は「館山・木更津をめぐる闘いは、つぶすかつぶされるかの組織攻防戦。戦争だ。当局の理不尽なやり方に対し、どんな細かいことも全部職場闘争に持ち込み、攻撃的に闘いぬこう。この先、動労千葉つぶしの激しい攻撃の中で成果があがらなくてもおかしくない。その時、本当に団結が守れるのか。その中心軸が反合・運転保安闘争路線だ。安倍政権は絶対に打倒せねばならない。そうしなければ改憲・戦争だ。他方で、こういう時代だからこそ想像もつかない可能性が出てきている。11月集会への1万人結集をなんとしても実現しよう。平成採の大結集をかちとり組織拡大を」と答弁した。
最後に1票投票でスト権を確立。基地廃止攻撃の焦点である館山支部から本部特別執行委員を補充して、新たな闘争体制を打ち固めた。
大会では、三里塚芝山連合空港反対同盟の北原鉱治事務局長、顧問弁護団長の葉山岳夫弁護士、動労水戸の国分勝之委員長、さらに動労千葉議員団の水野正美勝浦市議、中村俊六郎御宿町議、家族会などから来賓あいさつが行われた。
---------------------------------------------------
週刊『前進』(2266号3面2)(2006/10/16)
幕張事故への重処分弾劾する
9月29日、JR東日本千葉支社は、4月6日に起きた幕張車両センター構内事故を理由に、当該の動労千葉組合員に出勤停止15日の重処分を発令した。業務上の事故に対する処分としては重い処分であり、断じて許せない。
この事故は、かねてから危険が指摘されていた個所で発生した。ところがJRは、電車区構内にはATS(自動列車停止装置)も設置せず、危険を放置し続けてきた。この間の団交で、JRがATS設置の要求を握りつぶしていた事実が明らかになり、当局はATS設置を確約せざるを得なくなった。それは、当局自身が安全対策の不備を認めたに等しい。にもかかわらず、JRは事故の責任を運転士に押しつけて重処分を下したのだ。
当初、JRは当該組合員を懲戒解雇にすることさえ狙っていた。だが、動労千葉の職場における粘り強い反撃は、この策動を根底から打ち破り、事故発生から約6カ月にわたって処分発令を阻みぬいた。反合・運転保安闘争路線で団結を打ち固めたことによる勝利だ。
動労千葉は今回の処分を徹底弾劾し、定期大会で反合・運転保安闘争路線を再確立して、運転区廃止などの組織破壊攻撃に立ち向かっている。動労千葉と連帯し、職場から資本と闘おう。
---------------------------------------------------
週刊『前進』(2266号3面3)(2006/10/16)
9・24館山 “地域の足を守れ”
運転区廃止に反対し集会
9月24日、動労千葉は安房地区労働者福祉協議会の後援を得て「地域の足を守れ!JR館山運転区廃止−内房線切り捨てに反対する館山地域集会」を館山商工会議所で130人で開催した。
(写真 130人の参加者を前に田中康宏委員長がローカル線の切り捨てを許すなと訴えた【9月24日 館山】)
JR東日本は、来年3月のダイヤ改定で館山運転区廃止を強行しようとしている。これは、動労千葉の拠点をなす館山支部への組織破壊攻撃であるとともに、ローカル線の切り捨てにつながる重大な問題だ。この間、館山支部は地域で運転区廃止反対を訴え、大きな反響を呼んできた。29日には館山市議会が館山運転区廃止・移転計画に反対する決議を採択した。運転区廃止反対の闘いは、地域を巻き込む大きな運動として広がっている。
開会のあいさつに立った館山支部の堀江秀明支部長は、「職場の廃止は地域の問題だと訴えて、地元の自治体、商工会など30数カ所に訴えたら予想外の反響があった。廃止反対で最後まであきらめずに闘う」と決意を述べた。
田中康宏委員長が主催者として報告し、JRは館山運転区の廃止にとどまらず内房線の列車本数の削減や駅業務の民間委託化をもくろんでいることを明らかにして、「三位一体改革で地方がさびれ、さらに採算が合わないからと鉄道を切り捨てたら、地方の住民は生きていけなくなる」と訴えた。また、この問題は安全の解体に直結していることを強調して、「尼崎事故のようなことを二度と起こしてはならない。安全を守るためには、運転士も駅員も保線も皆、必要だ。皆さんと一緒に運転区廃止反対へ頑張りたい」と発言した。
内房線はここ数年、列車本数が減らされ、今年3月のダイ改以降、平日は昼間帯の特急列車の運行も廃止されている。これに加え、JR千葉支社は動労千葉との団体交渉で、君津以南の内房線について「少子高齢化等による環境の変化を踏まえた中で、お客様のご利用実態にあわせた効率的な輸送体系の構築も併せて検討していく」と回答した。要は、「内房線は赤字だ」「将来も乗客が増えることはない」、だから今後さらに列車本数を削減するということだ。70人近い労働者が働く館山運転区の廃止が地元の経済や社会に与える影響も甚大だ。
JRのこうした施策が地域の衰退をもたらすことへの地元の怒りと危機感は強い。集会では、内房線沿線の自治体首長や地方議会議員、観光協会の代表が地域の行政・産業に責任を持つ者として、ともに運転区廃止反対の運動を展開することを表明した。
動労千葉顧問で勝浦市議の水野正美さんは、勝浦運転区廃止以降、勝浦を訪れる観光客が激減した事実を指摘し、「運転区廃止を許してはならない」と熱弁を振るった。
動労千葉館山支部のOBが「JRの線路はもともとは国鉄時代に国民がつくったものだ。それを廃止していいのか」と訴え、国労の保線労働者が運転区廃止は安全性を脅かすと発言した。
集会のまとめを長田敏之書記長が行い、「今日は画期的な集会になった。地域と連帯した大きな反対運動を巻き起こし、JRの地域切り捨てにストップをかけよう」と力強く呼びかけた。
---------------------------------------------------
週刊『前進』(2266号3面4)(2006/10/16)
動労水戸 結成20周年パーティー
新たな10年闘争へ
11・5の1万人結集を誓う
9月24日、動労水戸の結成20周年パーティーが茨城県ひたちなか市で開かれた。動労水戸の幅広い共闘関係を反映して、広範な支援・共闘の人びとや組合員・家族が80人参加し、大盛況だった。
最初に国分勝之委員長が主催者を代表して動労水戸の闘いの歴史を振り返りつつ開会のあいさつを行った。
来賓あいさつでは三里塚芝山連合空港反対同盟の鈴木幸司さんが「動労水戸とは労農連帯で闘ってきた。今の権力を倒すしかない。勝つことが使命だ」と力強く語った。その後、部落解放同盟全国連合会茨城県連の代表、全国労組交流センターの入江史郎代表があいさつ。
動労千葉を代表して繁沢敬一副委員長が、「動労水戸が結成された時はうれしかった。仲間ができたと思った。20年間の闘いが成果を発揮してきている。JR東労組を打倒して組織拡大を。11月5日の労働者集会への結集を」と熱烈に訴えた。
(写真 20年間の勝利を確認し、新たな10年の闘いへの挑戦を誓い団結ガンバロー【9月24日 ひたちなか市】)
辻川副委員長が総括を提起
その後、辻川慎一副委員長が「動労水戸20年の総括」と題して熱烈な講演を行った。
「今年の初めに中央労働委員会で、動労水戸の組合員が運転士から排除されているのは不当労働行為だとし、全員運転士に戻せという命令が出た。20年闘いぬいて、JR労働運動だけでなく、日本の労働運動全体の決定的な勝利者としてこの20年目を迎えたことをはっきりさせたい。これから新たな10年闘争に断固として立ち上がる」
「今の時代は20年前とまったく違う。日本の労働者は、労働組合をつくって闘わなければ、まともに食うことができない状態に入っている。安倍政権が登場した今こそ闘う時ではないか」
「会社に中労委命令の履行を求めて今春、24時間ストライキを敢行した。JRは20年間の隔離を解かざるをえなくなってきている。JR東労組の松崎明が組合費を流用していたことが全部明らかになり、彼らの大瓦解(だいがかい)を目前にしている。20年間の闘いの全成果を引っさげて勝利者として現場に戻って新たな闘いを開始する」
「9・26から国会が始まる。教育基本法が変えられると一切が根本から変えられる。改憲阻止闘争を闘いながら11・5に1万人集会を実現しよう。あと10年間徹底的に闘いぬくことをあらためて宣言したい」
動労千葉OBの山口敏雄さんの音頭で乾杯の後、スライド上映と交流会に移り、全金本山労組の中野七郎さん、常南交通労組など地域の労組、「障害者」差別と闘う諸団体、入管問題と闘う団体、国労小倉地区闘争団NIPPO事業部の羽廣憲さん、革共同の代表、動労千葉OBの布施宇一さんなど広範な支援・共闘団体の人びとが次々にあいさつを行った。
動労水戸の組合員3人が登壇して闘う決意を表明、まとめを木村郁夫書記長が行った。
最後に国分委員長の音頭で団結ガンバローを行って動労水戸の発展をともに誓い合った。
動労水戸結成の闘いとその意義
動労水戸は国鉄分割・民営化との闘いの中から生まれた。
87年4月の国鉄分割・民営化を前に国鉄労働運動への攻撃の嵐が吹き荒れた。国労は闘う方針を出せず、組合員を激減させ、動労カクマルは松崎を先頭に分割・民営化攻撃に屈服し、国鉄労働運動破壊の先兵に転落していた。戦後労働運動の最も戦闘的な翼だった国鉄労働運動は壊滅の危機に直面していた。
これに対し、動労千葉は85年と86年に分割・民営化反対の2波にわたるストライキを闘いぬき、28人の解雇攻撃を受けながら、大反動を根底のところで打ち破った。
この動労千葉の闘いに呼応して、動労内部でカクマルの白色テロ支配に抗して営々として闘いぬいてきた動労水戸地本青年部の戦闘的労働者は、国労の青年労働者の自殺を契機に、86年11月19日についに分離・独立に踏み切った。
そしてその直後の11月30日に、同様にして分離独立した動労連帯高崎、動労西日本とともに、動労千葉を中心とした動労総連合を結成、87年4月の国鉄分割・民営化を迎え撃ったのだ。
この動労総連合の闘いこそがJR総連=カクマルと権力・当局一体となった国鉄労働運動破壊攻撃を労働者階級の誇りをかけて打ち破り、今日まで続く国鉄1047名闘争の血路を切り開いた。
動労水戸の結成は戦後労働運動の画期をなす闘いであり、その意義は4大産別決戦が激しく闘われている今日ますます明らかになってきている。
---------------------------------------------------
週刊『前進』(2266号3面5)(2006/10/16)
「対テロ特措法」3度延長策動
米艦などへ補給を永続化
11月1日に期限切れとなるテロ対策特別措置法を、政府はまたも1年間延長しようとしている。10月6日に延長法案を閣議決定し、月内の成立を狙っている。
安倍は9月29日の国会での所信表明演説で「テロ特措法の期限の延長など、国際社会と協力してテロや国際組織犯罪の防止・根絶に取り組みます」と表明した。これは反帝国主義・民族解放闘争に対する全面的な敵対宣言だ。
テロ対策特措法は01年9・11反米ゲリラ戦の直後の10月、米帝ブッシュのアフガニスタン侵略戦争に自衛隊が参戦するために作られた。すでに03年、05年と2度延長され、今回が3度目の延長で、派兵は6年目に入る。
同法の延長は、日帝・安倍新政権が「テロ対策」と称して、米欧帝国主義のアフガニスタン侵略戦争への共同参戦を継続し、アフガニスタン人民を大虐殺し、そうして中東の石油・天然ガス資源の略奪に加わろうとするものである。
しかも重大なことは、極右・安倍政権がこのテロ対策特措法の期限延長を防衛庁「省」昇格法案、集団的自衛権行使、海外派兵恒久法作り、9条改憲の突破口にしようとしていることだ。
現在、海上自衛隊は護衛艦「さざなみ」、補給艦「ましゅう」からなる第20次隊600人をインド洋に派遣している。6年間で海自は艦艇燃料を678回、水を77回、ヘリ燃料を49回、他国の軍隊に洋上補給した。補給先は米・英・仏・独・伊・カナダなど11カ国に及ぶ。米軍への支援が最大である。航空自衛隊も同法に基づき米軍の輸送支援を国内・国外で300回以上行っている。
今、アフガニスタンでは激しい戦闘が続いている。この時、許せないことに日本の自衛隊は、アフガニスタン人民に激しい空爆・地上戦を行っている米軍などに油を提供し、輸送を支援し、その侵略戦争を全面的に支えているのだ。
しかも、テロ対策特措法に基づいて派兵された海自補給艦は、03年3月のイラク侵略戦争開戦時にペルシャ湾にまで入り、米空母機動部隊に給油を行うなど、同法の枠を踏み越えてイラク侵略戦争にも参戦したのである。このようにテロ対策特措法は、その後作られたイラク派兵特措法とともに、日帝の中東侵略戦争の決定的な推進軸になっている。
中国・アジアに対する「15年戦争」がそうだったように、いったん侵略出兵が始まるとそれは永続化し、泥沼化していく。「引くに引けなくなる」のである。それは世界戦争への道である。日帝はアフガニスタン、イラクに続きレバノン派兵すら狙っている。
だが、帝国主義の世界支配・侵略戦争は全世界で打ち破られつつある。アフガニスタン人民は歴史的な反転攻勢に立ち上がり、イラク・パレスチナ・レバノン・中東人民は、米帝とその手先イスラエルを破滅の泥沼に引き込んでいる。反帝国主義・民族解放闘争は、「防止・根絶」どころか一層激化・発展しつつある。まさに世界革命の時代が到来している。勝利のカギを握るのは、帝国主義国内の労働者階級の壮大な階級的決起だ。
---------------------------------------------------
週刊『前進』(2266号3面6)(2006/10/16)
日共・志位委員長 訪韓の反階級性
日帝の侵略と戦争を補完
日本共産党の志位和夫委員長が9月に韓国とパキスタンを訪問し、これを「野党外交の前進」と自賛している。ここに、日本共産党スターリン主義が今日、帝国主義と闘う労働者階級とはまったく無縁な存在に転落しており、それどころか日帝の戦争と民営化攻撃に迎合し補完する役割を果たしていることが鋭く現れている。
志位は、ソウルで行われた第4回アジア政党国際会議に出席するとして訪韓したが、その際に、「韓国の政界、国民各階の方々との交流」を行った。「国会に議席を持つすべての政党にごあいさつ」したという。国会議長や首相に歓待された、メディアが殺到して大きく報道してくれた、と喜んでいる。これはパキスタン訪問についても同様である。
まるで韓国には階級対立も闘争もないかのようであるが、ノムヒョン政権とブルジョアジーの戦争・民営化攻撃のもとで、民主労総の労働者は命がけの闘いを日々闘いぬいている。ノムヒョン政権は平澤(ピョンテク)の米軍基地拡張やイラクへの韓国軍派兵で、帝国主義の戦争政策の実行者となっている。民主労総を始めとする労働者階級の立場に立つのか、それとも“全与野党とつきあう”と言ってノムヒョン政権を容認するのか、という二者択一なのだ。
志位は西大門刑務所歴史館を訪問し見学と献花を行った、行く先々で朝鮮の植民地支配と侵略の歴史認識について韓国側と共通の理解を確認した、と言っている。靖国神社の問題についても、日本政府の行っていることと日本共産党は違うと強調している。
また志位は「日韓の間にあるどんな懸案事項を解決する上でも、歴史問題で日本が誠実な態度をとることが冷静な話し合いを成り立たせる基礎になることを痛感」したと言う(9・26報告集会)。しかしこれは、日共が日帝支配階級の立場に立って対韓政策のためには歴史問題をクリアせよ、と「進言」するものでしかない。
例えば、朝鮮領・独島(竹島)について、志位は「日本領土」だと従来どおり日帝と同じ主張をしつつ、「竹島の日本への編入が、1905年という韓国の植民地化の過程で行われたこと」を考慮しなければいけない、などと言って、「両国の共同研究」を提案している。「平和的解決」の名で日本帝国主義を擁護しているのだ。
北朝鮮についても、志位は日共がいかに金正日政権と関係ないかを力説し、「冷静な平和的・外交的努力」を強調したと言っている。これも、戦争の根源である米帝と日帝の北朝鮮侵略戦争策動と闘うことに敵対するものである。
アジア政党国際会議において志位は「平和のアジア共同体をめざして」というテーマで発言した、「国連憲章を中心に、平和の国際秩序をつくりあげる」という立場を表明したと言うが、これは日本経団連の奥田ビジョン「東アジア自由経済圏」構想を後押しするということだ。
日共の立場は結局、自国帝国主義の戦争と民営化・労組破壊攻撃への迎合・屈服そのものである。
---------------------------------------------------
週刊『前進』(2266号4面1)(2006/10/16)
全逓 加古川分会
関トラ分会が合流し総会
分断打破し解雇撤回へ
全逓(JPU)加古川分会の第19回分会総会が9月11日、近くの勤労会館で42人の結集で成功裏にかちとられました。この日は小泉の郵政解散−与党圧勝の総選挙からちょうど1年です。
今回の総会は、関西合同労組・関西トランスポート分会の組合員4人全員も結集して、加古川分会との合同の総会としてもたれました。関トラ分会は加古川局の小包請負会社(株)関西トランスポートで働いていた小包請負の労働者です。あまりの劣悪な労働条件を少しでも良くしようと昨年3月に組合を立ち上げて会社と交渉をし始めた途端、昨年6月いっぱいで「請負契約解除」という全員解雇攻撃を受けた労働者たちです。加古川局は今も彼らの立ち入りを管理者総出で排除し続けています。
(写真 関トラ分会の仲間も合流して分会総会が大盛況。全逓歌を合唱した【9月11日 加古川勤労会館】)
留守なら0円の請負労働者
彼らの賃金は完全歩合制でした。小包を1個配達完了して105円、留守なら何回行っても0円というものです。時間給という概念すらありません。朝8時から夜10時、11時まで働いても4〜5千円という日がざらでした。最低賃金法にも違反しています。12月になると休みもありません。
こんな違法・脱法がまかり通ったのも彼らが個人事業主とされていたからです。一人ひとりが関西トランスポートと請負契約を結んでいる事業主という形式を強制されていたのです。会社のマーク入りの車で配達しながら、個人事業主とされ、あらゆる労働者保護法制のらち外に置かれていました。こんなひどい話はありません。
郵政公社は、小包部門を高収益部門と位置づけ、04年秋から「ターゲット10」(市場シェア10%)を掲げて特に力を入れていました。だから関トラ分会の立ち上げは公社の根幹を揺るがす事態だったのです。支社主導で関西トランスポートとの契約をうち切り、かわりの会社(福栄物流)を入れ、組合つぶしの全員解雇攻撃をごり押ししてきました。
関トラ分会は裏切りと脱落を乗り越え2波のストライキで闘い、全員解雇に屈せず、地位保全の仮処分裁判、解雇撤回の裁判闘争、不当労働行為弾劾の労働委員会闘争を闘い続けています。仮処分裁判では昨年の11月、「組合嫌悪の違法行為」と勝利命令が出ました。
関トラ分会の闘いは、私たち本務労働者、また郵政現場で働くすべての労働者に重い課題を突きつけるものでした。郵政の現場は今、本務者、非常勤職員、短時間職員、高齢者再任用職員、そして小包請負労働者と差別待遇がまかり通り分断されています。そして小包請負労働者は最底辺に位置づけられています。
今でこそマスコミも「偽装請負」を社会問題化し始めていますが、小包労働者の現実はもっとひどいものです。分断をうち破り、ともに闘う仲間として関トラ分会との連帯をかけて、第19回分会総会はもたれました。
加古川分会の関トラ分会支援は、解雇撤回要求の署名の取り組みや支援カンパも行いました。ストライキの時には私が局前での支援集会に加わり、市内で開かれた支援集会に役員が参加しました。また県労働委員会の審問では組合つぶしを弾劾する証言を私が分会長として行いました。
しかし、今回の総会ではさらに踏み込んで関トラ分会支援を打ち出しました。総会議案書11nのうち3n分を関トラ分会の闘いの現状報告にあてました。そして審問が終わった県労働委員会への勝利命令を求める団体署名と個人署名を分会としても支援していくことを総会で決定しました。また分会内で恒常的な支援カンパ網もつくっていくことも決めました。関トラ分会の闘いは加古川分会の闘いが生み出した闘いそのものだからです。総会では関トラ分会と和気あいあいと最後まで交流を深めました。
現場の闘いで展望は開ける
分会は今、〈5人組班会議−職場委員会−役員会議−全体集会〉とオーソドックスなやり方で要員要求に取り組んでいますが、だんだん追いつめられた当局は最近、「加古川局処分標準」の改悪=むき出しの処分恫喝で臨んできました。
近畿支社は、関トラ分会の闘いと、全逓阪神東支部の元支部長が昨年8月の人事交流で支部外(大阪西局)に飛ばされた不当労働行為を弾劾する民事裁判闘争の2つの闘いを抱えている。支社は、これを2大争議と位置づけて、民営化前の解体に躍起となっています。
しかし、肝心の民営化も伊丹局の業務破綻(はたん)、2ネットの事実上の凍結、集配拠点再編への自治体の相次ぐ反対と風向きが変わり始めました。JR尼崎事故を見るまでもなく民営化には一片の正義性もありません。現場の怒りが敵の破綻点で燃え上がるならば、大きく展望が切り開かれる局面が必ず来ると確信しています。その日をたぐりよせるために加古川分会は明るく、元気にこれからも闘い続けます。
(全逓加古川分会長 江渡績)
---------------------------------------------------
週刊『前進』(2266号4面2)(2006/10/16)
関西実行委
”全国の力で農地守る”
反対同盟招き三里塚集会
大阪市中央区の「エルおおさか」で9月28日、三里塚決戦勝利関西実行委員会と三里塚芝山連合空港反対同盟の主催で「三里塚全関西集会」が開催された。150人の労働者や学生、市民が集まり、暫定滑走路の北延伸阻止と農地強奪粉砕へ10・8全国集会への総決起を誓った。
(写真 暫定滑走路の北延伸阻止へ総決起を誓った【9月28日 大阪市】)
冒頭で新作の三里塚ビデオ『大地の乱』が上映された。世話人の森田恒一さんが「何があっても現地に駆けつける」と鮮烈な決意を示して集会の開会を宣言。この間、現地闘争に関西から参加してきた事務局の松原康彦さんが反対同盟の勝利感あふれる様子や国家権力やNAA(成田空港会社)を相手に闘う姿を報告した。
関西反戦共同行動委員会代表の入江史郎さん、部落解放同盟全国連が連帯のあいさつを行った。
青年労働者が7月に初めて行った現地視察と援農を報告。「凄惨(せいさん)な闘いというイメージがあり躊躇(ちゅうちょ)してきた。初めて行って、現地の人と交流し、援農作業をして考えが一変した」と感想を語り、帰って職場で話したら同僚が「高校生の時に三里塚に参加した。黄金爆弾も投げた」と言って、この集会に一緒に参加したことを紹介した。
闘いと農作業に多忙をきわめる反対同盟から市東孝雄さんと萩原進さんが参加、現地からの熱烈な訴えを行った。
市東さんは、千葉県の農業会議の無法ぶりを徹底的に断罪し、「農家の権利を法が守らないなら自分で守る。彼らは金で人は動くと思っているが動かない人間もいる。自分はこの地で農業を続けていきたいだけ。絶対我慢できない。自分は腹を決めた」と熱烈に呼びかけた。
萩原さんは「農業会議に示されている事態は、”空港”という国策の前には不法無法がまかり通り、農民が農民として生きていくことも許さないということ。これは日帝の農業破壊−農民抹殺そのものであり、農民の問題だけでなく、労働者自身の問題だ」と指摘、農民と労働者が大合流して闘う必要性を訴えた。
代表世話人の永井満さんが基調報告を行った。まず冒頭で会場で参加者が寄せ書きした檄布(げきふ)を市東さんに贈った。
永井さんは、農業会議を2回傍聴して闘ったことを踏まえ、農業委員が、NAAの主張を代弁した県農地課の説明を誰一人として質問もしないで受け入れ、審議らしい審議もないまま採決を行ったこと、また、反対同盟の抗議に対してはうつむいたまま一言も答えず、反対同盟の申入書への対応も採決後に回すというふざけ切った対応を怒りを込めて断罪した。
「2回の農業会議だけでも、まともな審議もないまま500件の農地転用を認めた。これは農地破壊そのものであり、日本の農業をつぶすということだ。三里塚の闘いは日本の農業を守っていく闘いでもある。全国の闘いで支えていかねばならない。総力で現地に結集しよう」と呼びかけた。
関西労組交流センターと全学連が10・8三里塚現地の総力結集と11・5労働者集会への決意を述べ、世話人の山本善偉さんの音頭で団結ガンバローを行い集会をしめくくった。
---------------------------------------------------
週刊『前進』(2266号4面3)(2006/10/16)
三里塚ビデオ『大地の乱』完成
待望の映像作品『三里塚・大地の乱』が完成した。第1部は「反対同盟40年の闘い」、第2部は「北延伸と闘う三里塚の現在(いま)」、そして新アレンジで復刻の「反対同盟の歌」が続き、さらに特典映像がついて全編約1時間10分。三里塚40年の闘いの歴史と現在が凝縮され、映像から一瞬も目が離せないドキュメントだ。特に農地強奪攻撃に立ち向かう反対同盟の訴えは、見るものすべての胸を熱く打つ。三里塚組織化の武器として活用しよう。DVD、VHSとも1500円。制作委員会発行。前進社でも扱います。
---------------------------------------------------
週刊『前進』(2266号4面4)(2006/10/16)
アスベスト被害問題最大の加害者は国
責任否定のアスベスト新法
問題解決どころか被害抹殺
尼崎市の旧神崎工場跡地周辺を歩くと、この町内で1人、この団地では2人、とアスベストによる死者が出ていることが分かる。工場と密集した住宅街が押し合うように隣接している。クボタからもらってきた不良品のアスベストを敷き詰めて簡易舗装した路地もある。
アスベストによる被害とは、微細な繊維であるアスベスト(石綿)が空中に飛散しそれを吸入することによる主に呼吸器系の疾患である。クボタによるアスベストばく露はこうした環境で発生した。
生産が資本によって私的に行われる今の社会では、労働者も周辺住民も生産に関する危険を知ることができない。ただ一方的にアスベストの被害を受けているのだ。この関係はクボタだけではなく水俣のチッソ、新潟の昭和電工、四日市公害なども同じであり、労災−公害は資本主義に根ざしたものである。
死者合計203人、内訳は退職者を含む工場労働者104人、周辺住民99人。これが6月末現在のクボタ旧神崎工場関連アスベスト被害者の数である。工場周辺の疫学調査をした車谷典男・奈良県立医大教授は「尼崎では2010年まで死亡者が増え、その後も続くだろう」と述べている。
昨05年6月29日にクボタは自社の労働者と周辺住民にアスベスト被害が出ていること発表した。クボタ・ショックである。その後続々と患者の発掘が進んでいるが、政府は正確な被害者数を公表していない。早稲田大学の村山教授は39年までに中皮腫(ちゅうひしゅ)による死者が10万人にのぼると予測する。
医学的統計から中皮腫の2倍のアスベスト肺がんが発生すると考えられるので合計30万人がアスベストによる悪性腫瘍(がん)になる。この被害の大きさはいくら強調しても足りない。
(図 石綿粉じんのばく露量、潜伏期間および合併症)
1千万dが現在も累積
アスベストを扱うとその一部が必ず空中に飛散する。アスベストの吸入量が多い場合はアスベスト肺(アスベストによるじん肺)になる。時間を経て肺がんを発症することも多い。肺がんも比較的吸入量が多いといわれ、これらは職業的ばく露によることが多い。
さらに問題になっている中皮腫がある。中皮腫は胸膜(以前は肋膜と言った)にできるガンで、原因のほとんどがアスベストによるものだ。
これはごく微量のばく露によっても発病する。クボタ周辺での被害に中皮腫が多いのは工場からのアスベスト繊維が風で広範囲に広がったからである。吹きつけアスベスト、学校や公共的建物などのアスベストが問題となっているのもこのためである。
アスベストは採掘から廃棄まですべての過程で労働者の直接ばく露(労災)と環境ばく露(公害)の2面からの被害を引き起こす。採掘に続き、海運、陸運など移動に関係する労働者と周辺に被害が出る。
次に製品化の過程である。クボタの被害はこの典型である。アスベストの70%は建材だが、建築作業や断熱工事など一次製品の使用による建築労働者のばく露が大量にある。さらに、建物や自動車の使用(日常生活そのもの)、機器のメンテナンス作業によってばく露が起きる。建築物、機械の解体と処分においてもばく露が起きる。
また震災などの自然災害によって建築物に使用されているアスベストが飛散する。阪神・淡路大震災の時、新潟地震の時にすでにアスベストの大量飛散が確認されている。新たなばく露=被害の拡大を防ぐことは今も切迫した課題である。
日本は世界最大のアスベスト輸入国だった。現在も1千万dの累積アスベストが建築物を始め生活と密接な形で存在している。使用されたアスベストは、ギリシア語の語源どおり「永遠不滅」に存在し、新たなばく露の危険も続く。
しかし、現状は処理費用が高額なため、ヤミ解体、ヤミ投棄が後をたたない。このようにアスベスト問題はその巨大さに比してまだほとんど対策が取られていない。アスベストの使用禁止にとどまらず実態の調査、医療、補償など全面的に取り組まれる必要がある。その核心は、まずアスベスト問題での国の責任を明確にすることにある。
利益最優先と自己保身
クボタ・ショックのあと政府は関係閣僚会議を開催したが1カ月も経ずに政府責任はないと結論し、救済法としてのアスベスト新法の方針を打ち出した。アスベスト新法は06年2月3日成立、3月27日施行となった。政府はこの対応を「異例の早さ」と自賛し、あたかもアスベスト問題がすべて解決したかのように宣伝している。
しかし、これまでの政府の対応とアスベスト新法の具体的な内容をみればこれは完全なうそだ。ここにはこれまでの政府の資本優先・人命軽視のアスベスト政策があくどく貫かれている。
アスベストが人体に有害であり労働者に被害が出ることは、第2次大戦以前からわかっていた。中皮腫でさえ1960年代半ばにはアスベストが原因と確定している。72年にはアスベストの発がん性をILOとWHOが確認している。日本政府もアスベストの有害性を認めて特定化学物質等取扱規則などを定めた。
国も企業も2000年を超えてからアスベスト被害が爆発的に増加することは完全に予測していた。政府はそれを知った上でぎりぎりまでアスベストを使う政策を続けたのである。国の基本政策は公式には「アスベストは有用だから管理して使用する」というものであったが、これは「被害が大きくなって社会問題化するまでは資本の利益を最優先する」ということだ。86年のILO総会で日本政府が最大の輸出国のカナダと組んでアスベスト規制反対国の中心になったのもその一環だ。
政府のアスベスト政策には、労働者の命を軽視する国の本質と、自己保身のために無策を決め込んだ官僚の底なしの腐敗が結びついている。被害者が要求しているのは国の責任を認め、その上で最低限労災並みの補償をすることである。この要求の正当性は石綿対策全国連絡会議が提起した署名運動のものすごい勢いが示している。署名はわずか3カ月で187万1473筆に達した。
アスベスト新法を具体的に見てみよう。まず、国の責任を全面的に否定している。とんでもない。国がアスベストの使用を許可してきたのだ。建築ではアスベスト吹き付けなしには建築許可を出さないことで直接的にも強制してきた。政府は周辺被害例の研究資料を所持し、国内における被害の実例も掌握していた。深刻な事態を知りながら徹底的に放任政策を推進し、露見するや完全な居直りを決め込んだ。
次はその内容である。新法は大きく二つの部分からなる。ひとつは労災の対象外の被害者に対する救済金の支給である。他のひとつはアスベストの労災申請の時効に対する特別立法である。労災の時効を取り消したのではなく特別法にして労災制度全体を維持した。この制度は被害者からの申請となっているが、これは逆転している。加害側が調べるべきである。
アスベスト使用企業の労働者と家族全員の健康診断が必要であり、地域住民全体を対象にした疫学調査が必要である。水俣では疫学調査をしなかったために潜在患者が十数万人放置されている。また被害側の申請とすることで被害を隠蔽(いんぺい)してきた。被害者の困難につけこんで申請数を減らし、被害を少なく見せ、被害者を抹殺するのは国の常套(じょうとう)手段だ。
さらに新法は対象疾患の違い、労災対象者と対象外の患者との差別と分断、申請の時間的制限など救済法としてもまったく不十分である。医学的には肺がんの問題が残ったままである。アスベスト新法は空前の規模となったアスベスト問題の解決ではなく、問題を被害者もろとも抹殺しようとするものである。
アスベスト被害をとおして労災−公害への階級的怒りがあらためて巨大な規模で噴き出している。被害を受けた労働者と家族にとって補償で済む問題ではない。金で命を買うことはできない。
労災保険制度は労働者のためのものではなく、労働災害によって企業が倒産することを防ぐための資本の互助制度である。資本にとってはコストの一部分にすぎない。労働者に必要なのは労災を根絶することである。労働災害の根底には資本の利潤のために労働者が傷つき殺されているということがある。
187万人の怒りはここに深く根ざしている。被害者にとって補償それ自体がどうしようもない苦しみを伴うものなのだ。水俣病患者が加害者のチッソ幹部に向かって「補償金はいらないから工場排水を飲め」と言ったのはこの怒りなのである。労災並みの補償要求と同時に、労災保険制度そのものが最終的には廃止されなくてはならないことが自覚されている。
労災への階級的怒り
その最深部には階級社会に対する根源的な怒りを含んでいる。アスベスト被害との闘いは全造船の伝統を受け継ぐ横須賀の労働者の闘いから始まり、関西労働者安全センターの闘いと合流した。関西では63年の三池炭鉱事故に対し「安全なくして労働なし」「抵抗なくして安全なし」をスローガンとして闘いが始められ、国労トンネルじん肺闘争など地域と結びついて営々と闘われてきた。
この力がクボタ、ニチアスを追い詰めている。一方、被害者の闘いから吹き飛ばされた日本共産党は患者の分断と囲い込みに走っている。本格的なアスベスト被害の顕在化を迎える中でこの闘いを労災−公害闘争として闘おう。労災・職業病との闘いは職場での団結をつくりだす闘いである。ここに確信を持ってアスベスト闘争を全労働者の闘いにしよう。これまでの先進的な闘いに学び、連帯して、ともに闘おう。
(大井雅隆)
---------------------------------------------------
週刊『前進』(2266号4面5)(2006/10/16)
9月26日〜10月3日
パトリオット部品、嘉手納へ
安倍「集団的自衛権を研究」
●「イラク戦がテロ危険拡大」 ブッシュ米大統領は、イラク戦争がテロの危険性を増大させたとする国家情報評価(NIE)の機密文書の一部を公開した。これまでブッシュ政権は、イラク戦争など「テロとの戦い」によってテロの脅威は減少したと主張していた。27日、国連もイラク戦争に関する同趣旨の報告書を公表。(26日)
●米原潜から放射性物資か 文部科学省は、米国の原子力潜水艦ホノルルが9月14日に神奈川県横須賀市の米海軍横須賀基地を出港した際の海水から、自然界に存在しない放射性物質のコバルト58とコバルト60がごく微量検出された、と発表した。同省は1964年から国内3カ所の米海軍基地で放射能調査を行っているが、海水から両物質が検出されたのは初めて。(27日)
●特別軍事法廷法案、上院を通過 米ブッシュ政権が対テロ戦争に不可欠だと主張する特別軍事法廷の設置法案が連邦議会の上院を賛成多数で通過した。下院もほぼ同様の法案が通過しており、近く大統領が署名し、発効する。無制限・無期限の拘束につながると反対も多かった。(28日)
●集団的自衛権を研究 安倍首相が衆参両院の本会議で就任後初の所信表明演説を行った。憲法解釈上、政府が禁じている集団的自衛権の行使について具体例を研究する考えを表明。現行憲法について「日本が占領されている時代に制定され、すでに60年近くたった」と改正の必要性を指摘、国民投票法案の早期成立をうたった。(29日)
●予防訴訟で都側が控訴 東京都立高校などの教職員ら401人が都と都教委を相手取り、入学式や卒業式で「日の丸」への起立や「君が代」斉唱、ピアノ伴奏の義務がないことの確認を求めた訴訟で、都と都教委は、10・23通達や職務命令は違憲とした東京地裁判決を不服とし東京高裁に控訴した。(29日)
●公明、太田代表を選出 公明党が第6回党大会を開き、太田昭宏幹事長代行を代表に選出した。(30日)
●パトリオット、嘉手納へ 在日米軍再編の日米合意に基づく米陸軍地対空誘導弾パトリオットミサイル(PAC3)の沖縄配備に伴い、米国から海上輸送してきたミサイル関連装備を搭載した米軍車両が、那覇軍港に入港した大型貨物船から上陸した。国道58号線を経由して嘉手納基地に搬入された。(30日)
●沖縄知事選、野党統一候補の糸数参院議員が出馬表明 沖縄県知事選(11月2日告示、19日投開票)で、民主、社民、共産など野党各党が統一候補として擁立する糸数慶子参院議員(58)が那覇市内で会見し、正式に知事選出馬を表明した。(1日)
●共謀罪「法原則に合わぬ」と99年に政府
犯罪を話し合っただけで罰せられる「共謀罪」を新設するため「国際組織犯罪防止条約を批准するためには共謀罪が必要」と主張している政府が、7年前、国連の同条約起草の会議では「共謀罪は日本の法原則になじまない」と主張していたことが分かった。(1日)
●安倍、A級戦犯責任、明言せず 衆院本会議で、安倍首相の所信表明演説に対する各党代表質問が行われた。安倍は、A級戦犯の国家指導者としての責任について「責任の主体はさまざまな議論があり、政府として具体的に断定することは適当ではない」と明言を避けた。(2日)
●北朝鮮「核実験行う」 北朝鮮外務省は、「今後、安全性が徹底的に保証された核実験を行うことになる」との声明を出した。05年2月に北朝鮮が核保有を宣言して以来、核実験の実施に言及したのは初めて。実験の実施時期や場所、方法には触れていない。(3日)
---------------------------------------------------
週刊『前進』(2266号5面1)(2006/10/16)
沖縄の運命決める県知事選
改憲阻止決戦への突入と安保・沖縄闘争の任務
11・5一万人結集から糸数慶子氏の必勝へ
革共同沖縄県委員会
安倍政権の成立と改憲阻止決戦への突入、11月沖縄県知事選挙のまっただ中で、これと切り結んだ階級の底からの決起をかちとり1万人結集を実現しよう。改憲阻止決戦は党と階級が生きるか死ぬかの戦後最大最高の決戦だ。安保・沖縄闘争はこれと一体である。情勢の核心は、憲法成立時の階級情勢すなわち戦後革命期へとラセン的に回帰するというところにある。
安倍政権との階級決戦
改憲攻撃をめぐる闘いの歴史的な意味と大きさをしっかり認識し一切の土台にすえることが決定的である。
現憲法は、第2次世界大戦での敗北をもっていったん国家が瓦解(がかい)するという未曽有(みぞう)の危機に直面した日本帝国主義が、わき起こる労働者人民の闘いが革命に転化することをなんとしても阻止するために、軍事力と戦争の放棄と民主主義という人民への「大胆な譲歩」(同時に対外政策でもあった)をし、戦後革命をかろうじて抑え込むことの結果として成立した。
以後、憲法は戦後60年の日帝支配階級と労働者階級人民の階級的力関係、対立・衝突、均衡の上にあった。支配階級にとっては、自らの手足を縛る(戦争ができないということ)「帝国主義にあらざる憲法」を変えることが、戦後一貫した悲願であった。
一方、労働者階級人民にとっては、戦後革命期を革命に転化することができず敗北しながらも、階級的決起の力を土台に、条文そのものは支配階級政治委員会が起草したものであるにもかかわらず、その「平和主義、主権在民、基本的人権」の文言に階級の命を吹き込み、戦後階級闘争の武器に転化してきた。
日帝の悲願である改憲は、60年たってもかなえることができずにきた。別な言い方をすれば日本労働者階級人民の階級的力、あるいはこの階級関係を基本的には破壊できずに今日に至ったということである。日帝・安倍が改憲に突っ込んできた最も核心的な根拠は、その絶望的危機にある。
解釈改憲、ペテン的手法で今日世界有数の軍事力・自衛隊を持ち、イラク派兵にまで突き進みつつも、米帝ブッシュをして「第3次世界大戦への突入」と言わしめるほどの戦後帝国主義世界体制の危機と世界戦争過程への突入の中、日帝にとって現憲法(憲法を憲法たらしめている日本労働者階級の力)は、死に至るほどの桎梏(しっこく)となっているのである。
憲法とは国家のあり方と階級関係そのものであるということから、労働者階級人民の階級的団結の破壊、あらゆる意味での階級性の絶滅なくして改憲はありえないということだ。改憲阻止決戦が、党と階級の存立をかけた決戦であるというゆえんである。
(写真 普天間基地の頭越し沿岸案に反対する沖縄県民総決起大会に3万5千人【3月5日 宜野湾】)
4大産別への日帝の攻撃
9月26日、安倍政権の成立と臨時国会開会をもって改憲阻止決戦は具体的火ぶたを切った。
確かに安倍政権は、安倍自身を始め「新しい歴史教科書をつくる会」派の思想と国粋主義の閣僚・補佐官を要所に配置した凶暴な内閣である。だが、小泉政権がそうであったように、愛国主義・排外主義、国粋主義とはしょせん、労働者階級人民全体が、国家権力に恐怖し敗北主義に取り付かれて「闘わずの敗北」に陥ることを大前提として初めて成り立つ、本質的にもろいものでしかない。
連合本部、各産別の本部を牛耳る連合派の屈服にもかかわらず、その傘下の圧倒的な労働者は、確固とした階級的立場に立ちきっている。改憲阻止決戦の最前線、決戦の天王山は自治労、日教組、全逓、国鉄の4大産別にある。沖縄においては、教育労働者と基地労働者がこの闘いの中軸を担っている。
4大産別において労組的実体と運動そのものが壊滅的に破壊されるか、百パーセントの帝国主義的労働運動に変質しないかぎり改憲など成り立ち得ないのだ。
敵は「安倍政権の最大の抵抗勢力は官公労だ」との言葉どおり全力を4大産別の労働者に集中している。教基法改悪は改憲攻撃そのものであり、イコール日教組の壊滅である。
重要なことは日帝が戦後60年たっても現憲法に表される日本労働者階級人民の階級的な力、4大産別の労働者を先頭とする団結を破壊できないまま、改憲に手をつけてきたことだ。すなわち日帝・安倍の改憲攻撃の本質とは、戦後日帝の階級支配の破綻(はたん)としてあるということだ。
4大産別を全階級の運命のかかった決戦場として階級自身の闘いとして守り抜き、逆にここを拠点に改憲=戦争への突入に対する全人民の歴史的な怒りを結集して改憲攻撃阻止・日帝打倒への歴史的大道が切り開かれる情勢に入ったのだ。
11・5労働者集会の大成功をもってわれわれが切り開こうとする道とは、この革命情勢を革命に転化することである。ここに労働者階級のみならずあらゆる階級・階層人民の未来はある。
沖縄の圧殺と表裏一体
改憲阻止決戦とは戦後革命期へのラセン的回帰であることを確認した上で、今ひとつ決定的に重要なことは、憲法は沖縄を日本(階級闘争)から切り離すということを絶対的土台として初めて成り立つものであったということだ。
確かに憲法は戦力不保持と交戦権の否認を掲げてきたが、それでも日帝が帝国主義であるかぎり、現実には軍隊と戦争を否定する絶対的平和と民主主義の国家として一日たりとも存立するなどありえない。現憲法を表とするならその裏側は日米安保体制であり、沖縄の米帝への売り渡しだったのである。
この立体構造をもって戦後の日本帝国主義は労働者階級を抑え込み、延命、存続してきたのである。沖縄を切り離すという日帝の積極的政策には二つの意味があった。
一つは、帝国主義であるかぎり不可欠の支柱である軍事・戦争の面で、沖縄を戦後帝国主義体制の盟主となったアメリカに提供し、沖縄を決定的な拠点とする米帝の世界支配、アジア支配の軍事力の傘の下に入ることでクリアしてきたということである。
いま一つは、沖縄を切り離しその統治をアメリカのもとに委ねることが、沖縄戦を体験して帝国主義戦争の極限的な非人間的な本質と現実をつかんだ沖縄人民の根底的怒りが、日本労働者階級と大合流し戦争責任の追及↓天皇制と日本帝国主義の否定・打倒にまで行き着くことを阻止するために決定的なものがあったということだ。日帝が労働者階級の中から沖縄の労働者を暴力的に分断したのだ。
改憲攻撃とは階級の絶滅攻撃であり、それは労働組合を軸とする労働者階級の抵抗の手段、自己解放の武器の一切を破壊しさることを絶対的条件とする。同時にそれは、戦後憲法=戦後日帝の国家的存立の土台をなす日米安保(安保・沖縄)体制における階級関係の根底的転覆、すなわち沖縄闘争の絶滅なしにはありえない。
「つくる会」派が沖縄に体重
日帝は、「新しい歴史教科書をつくる会」派の主張を帝国主義の綱領としつつある。沖縄県民の沖縄戦への怒り、否定、「反戦・平和」への希求を絶滅させるために「つくる会」派そのものの蠢動(しゅんどう)だけでなく産経新聞などブルジョア反動マスコミなども含め国家総ぐるみの体制を築こうとしている。
この間の彼らの主張を端的に言えば「集団自決に命令などなかった。県民、老若男女自ら『生きて虜囚の辱めを受けず』『軍の足手まといとならず』の崇高な精神で国のためにすすんで命をささげた。これこそ国民のかがみ、沖縄の誇り。こういう誇りを、教職員組合の間違った(マルクス主義)思想教育が破壊した。だから沖縄はいつまでたっても『自立』できず、頼る思想、甘えに毒されている。今こそ新しい沖縄の歴史観を取り戻し、沖縄の誇りをうち立てよう」というような扇動である。これが昨年から急速に強まっている。
二つのことを確認しなければならない。一つは、いかにも荒唐無稽(こうとうむけい)だが敵は本気であること、安倍と安倍内閣中枢の心根はまったくこのとおりなのだということ、そして、特に教組、自治労を始め労働組合的団結の武器を階級が奪われた時、この思想は物質力を伴って社会を制圧するのだ、そういう歴史事実があるということである。
二つにそれ以上に重要なことは、敗北主義を排した階級への絶対的信頼に基づく労働者の渾身(こんしん)の決起があるならば、むしろこの敵の攻撃は、「日本革命の火薬庫」としての沖縄(人民)の根底的怒りに必ず火をつけることになるということである。
県政奪還で安倍打倒へ
米軍基地再編を最大の争点とする11月沖縄県知事選挙は、ずばり沖縄人民の21世紀百年の運命を決する政治決戦である。それは日本労働者階級の命運かけた改憲阻止決戦の一環、第一幕でもある。同時に安倍内閣の存亡をも規定する。
現稲嶺(自・公)県政の後継、前沖縄商工会会長・仲井真(なかいま)に対し、「革新統一候補」として糸数慶子・現参議院議員がギリギリのところで候補者と決まった。糸数氏候補決定の経過は今日の沖縄の階級動向そのものを示していると同時に、県知事選勝利への展望を示している。
社民党、社会大衆党、共産党、民主党、自由連合、下地幹郎(現衆院議員・自民党除名)の政治集団「そうぞう」の6者協による候補者一本化の長い論議が破産し6者協は解散した。その後、社民・共産が推す大田県政時代の出納長(元読谷村長、高教組出身)山内徳信と下地の両氏が立候補を譲らず、時間だけが過ぎていった。しかし野党が二つに分裂した選挙は、あらかじめ敗北が確定している。
ここまで統一候補論議が収拾不能となったのは、民主党(連合本部)それと陰に陽に結びつく下地=「そうぞう」が、敵階級の回し者的に人民の団結を攪乱(かくらん)しまくったことも大きな要因の一つだった。
この動きも含めて、基本的に帝国主義の攻撃に屈服し、労働者人民に依拠せず自己保身と延命にきゅうきゅうとする駆け引きで闘う統一戦線を組む力までも失ってしまった既成左翼の反動性を下から突き破って、「なんとしても現県政を倒し米軍基地再編を粉砕したい、政府の沖縄への差別的仕打ちに一矢も二矢もむくいたい」という人民の強い意志が、選挙まで2カ月と迫るぎりぎりの地点で、統一候補・糸数を押し出した。
11月19日投開票の県知事選挙勝利に向かって完全に人民的な闘いの胎動が始まっている。
米軍再編攻撃を打ち砕こう
11月県知事選挙は米軍基地再編攻撃との攻防に直結する。県知事選挙の勝利は、米軍基地再編攻撃の突撃内閣でもある安倍政権を痛撃し、辺野古・新基地建設の根幹をたたき折り、日本全土に及ぶ米軍基地再編攻撃全体の計画をも総破産させる政治的意味を持つ。
もし仲井真が県知事に座ればすぐさま、現稲嶺知事の辺野古・新基地建設に対するペテン的態度を破棄し、政府「沿岸案」の全面的承認へとかじを切ることは間違いない。稲嶺が「政府沿岸案反対」の態度をとっているのは、県知事選挙のためでもあるのだ。
日帝は知事選に敗北すれば大打撃を受けるが、結局は「政府沿岸案」で強行突破する以外の選択肢はない。9月14、15日、新基地建設のための「遺跡調査」強行=キャンプ・シュワブのゲート前激突、25日の平良夏芽牧師逮捕はその意志表明である。しかしその場合、「大田知事の抵抗」時を上回る、「知事の罷免」も含むような日帝対沖縄労働者人民の総対決の事態となる。
県知事選挙をなんとしても勝ち抜き、米軍再編粉砕・辺野古新基地建設阻止へ情勢を動かすのは労働者階級である。沖縄闘争勝利と4大産別決戦=改憲阻止決戦勝利は、立体構造をなした完全に一個の階級決戦であり、11・5の勝利、爆発的成功が必須不可欠なのだ。
全労働者は11・5労働者集会への1万人結集を実現し、11月県知事選挙の勝利を切り開こう。
---------------------------------------------------
週刊『前進』(2266号5面2)(2006/10/16)
米軍基地拡張阻む ピョンテクの闘い
2万人が平和大行進
住宅強制撤去を迎え撃つ
「人に!人権を!」「韓半島に!平和を!」「米軍基地拡張!阻止しよう!」。9月24日午後、第4次平和大行進には労働者、農民、学生、市民ら2万人が駆けつけ、「ピョンテク(平澤)基地拡張反対!」を軸に反米反戦、韓米FTA(自由貿易協定)反対の大衆的な熱気に包まれた。
(写真上 9・24平和大行進【ソウル市庁前広場】)
これに先立つ9月13日、ノムヒョン(盧武鉉)政権は、ピョンテク基地拡張予定地内の住民家屋の強制撤去に及び、空き家のみならず、住民が現に生活している家屋を家財ごと破壊した。
民主労総はこの場で「11・15無期限ゼネストで平和のための闘いに総進軍する」と宣言。全参加者は、「ノムヒョン大統領は今、アメリカの戦争基地建設のお先棒を担ぎ、21世紀の民主国家では到底容認できない犯罪行為をほしいままにしている」と弾劾した。
最後にピョンテクの住民たちが登壇し、「私たちの闘いは正当だ。国民の皆さん、私たちと一緒に闘おう。私たちは死んでもこの地にとどまる」と決意を語った。
9月13日午前3時半、戦闘警察、用役(作業員)ら1万8千人を前夜から徹夜で座り込んでいた数百人の住民、支援が迎え撃った。
今もテチュ里、トドゥ里には200人の住民が暮らしており、さらに空き家には、米軍基地拡張を阻止するためのピョンテク守り人(チキミ)たちが住み着いている。
午前7時すぎ、住宅撤去作業が始まった。テチュ里ではチキミたちが屋根に登り、体を縛りつけて抵抗、「国防部は野蛮な強制撤去を中断しろ!」と叫んだ。
午前10時半、テチュ里のキムヘジュンさん(65)の家が破壊された。外出中だったキムさんは、「どこの泥棒の仕業なのか!」と怒った。(写真 下)
ほかにもまだ引っ越していない住民の家2軒、チキミが居住している1軒が半壊させられた。
この日、国防部は90軒の空き家を破壊したと発表したが、汎対策委と住民たちは10軒余りを「屋根占拠座り込み」で守り抜いた。「家は壊されても、私たちの意志はけっして壊されることはない!」「不安と恐怖をつくり出し住民を追い出そうとした国防部の意図は徹底的に失敗した」
9・24大行進から戻った農民たちは、たわわに実った稲の収穫に忙しい。 (室田順子)
---------------------------------------------------
週刊『前進』(2266号5面3)(2006/10/16)
JCO臨界事故から7年
“核と原発なくそう”
JCO臨界被曝(ひばく)事故から7年目の9月30日、東京・霞が関の経済産業省原子力安全・保安院前で、実行委員会主催のもと追悼・抗議行動が行われました。8・6広島−8・9長崎反戦反核闘争全国統一実行委員会も参加し、ともに闘いました。
東海村臨界事故(注1)で命を奪われたJCO労働者の大内久さん、篠原理人(まさと)さんを始め、美浜原発事故など原子力事故で犠牲になった多くの人びとに対し、参加者全員で献花台に花をささげました。そして、臨界事故を起こした沈殿槽の実物大の模型とステンレス製バケツを使って、白いつなぎを着た参加者が事故を再現。「青い光」(中性子線)が発生した瞬間に路上に倒れ、動かなくなった姿を目の当たりにして、「東海村臨界事故を絶対に忘れないぞ」という決意を新たにしました。
続く集会では社民党・福島瑞穂議員秘書の発言に続いて、劣化ウラン研究会の山崎久隆さんが「臨界事故では、モニタリングポスト(注2)が高い数値を示した。ヨウ素を含んだ雨が直後に降ったからだ」と指摘。いろりばた会議からは「沈殿槽になぜ臨界安全規制値を7倍も超える40gもの硝酸ウラニル溶液を入れたのか、ここに臨界事故の原因がある。これを指示した当時の動燃(現核燃料サイクル開発機構)と政府の責任を今後も粘り強く追及していきたい」という発言がありました。
茨城の被曝住民の民事訴訟裁判にかかわってきた関係者からは、「地元の人は、事故の恐怖とむなしさをけっして忘れてはいません。毛や歯が抜けるという厳しい症状がありました。7年たっても終わってはいません。ぜひ裁判の支援を」という真剣な訴えがありました。
最後に、事故原因を「作業者の逸脱行為」として現場労働者に責任を転嫁した政府の「事故調査最終報告書」の訂正を求める要請書が読み上げられたあと、参加者全員で「原子力事故を繰り返すな」「核と原発のない社会をつくろう」とシュプレヒコールを原子力安全・保安院にたたきつけました。
この日夕、文京区民センターで高千穂大学講師の槌田敦さんを招いて臨界事故7周年東京圏集会が行われ、200人が参加しました。槌田さんは高速増殖炉もんじゅの事故を弾劾し、「高速増殖炉の目的は核兵器製造のためのプルトニウム濃縮にある。日本の核武装に反対しよう」と訴えられました。
(投稿 脇坂純一)
(写真 「JCO事故の労働者への責任転嫁を許さない」経産省前で抗議行動【9月30日 東京・霞が関】)
-------------------------------
注1 JCO臨界事故
99年9月30日、茨城県東海村にある核燃料製造会社JCOが起こした国内初の臨界事故。核燃サイクル機構の高速増殖炉「常陽」向けの燃料加工中にウラン溶液が臨界に達し、JCO労働者2人が大量の中性子線を浴びて死亡。労働者・住民約700人が被曝、31万人が屋内退避させられた。
注2 モニタリングポスト
放射能を監視・測定するために原子力発電所周辺に設置された装置
---------------------------------------------------
週刊『前進』(2266号6面1)(2006/10/16)
バッジに宿る国労魂現場の闘志は健在だ 東京 堀河 裕
わずか1a四方の国労バッジ。それを職場で着けているだけで、国労組合員は過酷な処分にさらされている。JR東日本は02年3月、「バッジ着用者には厳正に対処する」という警告文を張り出し、その後、処分は格段に重くなった。
その中でも、JR東日本でただ一人、バッジ着用を続ける国労横浜支部のTさんが、9月14日、都労委での証言に立った。この問題で、国労は組織としての闘いを組んでいない。そこでTさんは、組合員有志が救済を申し立てていた労働委員会闘争に合流した。
JRはTさんに出勤停止3日の処分を年に4回も発令し、それによる賃金減額は年間42万円以上にもなるという。それでもバッジを外さないのは、国鉄分割・民営化に際して職場の同僚がJR不採用となった悔しさを忘れられないからだ、とTさんは語った。
バッジ処分に対して国労横浜支部はこれまで4次の救済申し立てをし、そのすべてで勝利命令をかちとっている。にもかかわらず、支部は警告文以降は処分を黙認し、逆にTさんに暗にバッジを外すよう求めてきたという。4党合意を受け入れてから、国労はJRとの和解を求める方針に転じたからだ。国労東エリア本部はバッジ事件もJRとの和解の対象にのせている。Tさんは「執行部はせっかくかちとった勝利命令を生かしていない」と和解協議に危惧(きぐ)を表明した。
闘争団を始め多くの国労組合員が詰めかける中で行われたこの証言を傍聴し、私は現場の国労組合員の闘う意思は健在だと強く思った。国労幹部の誤った指導を突き破り、闘争団とJR組合員の闘いがしっかり結びつけば、国労は再生できるし国鉄闘争勝利の展望も開けてくると確信した。
埼玉のプール事故が突き付けているもの 東京 遠藤保人
7月31日に埼玉・ふじみ野市営プールで子どもが吸排水口に吸い込まれて死亡した。この事故の根本原因はプール管理・運営が競争入札によって民間会社に委託されてきたことにある。小泉政権が自治体の経費節減・合理化を強制的に進める中、市管財課―市教委―受託業者―下請け受託業者という系列で業務と安全管理が次々と丸投げされ、現場では安全を守りようがない状態だった。
ふじみ野市は「民間活力の活用、競争入札」を掲げ、人件費・経費の削減ばかりを追求していた。そのため直営の経費に比べても低い委託契約額は01年1890万円、02年1750万円、03年・04年1350万円、05年・06年1100万円と減り続けた。採算に合わないため入札が成立しない中で、太陽管財だけが「交渉」によって契約を結んだ。市に内緒で下請けに出せばピンハネで利益を得られるからだ。
安全に関する意識が低くなるのは必然だ。市は吸水口のふたを二重にしボルトで固定するという国・県の通知を守らず、合併前に大井町が行っていた連日の巡回も隔日になった。下請け業者は事故後の8月5日に2年分の安全講習修了証を市に出す始末だ。下請け業者が集めた監視員13人の内11人が日給5600円の高校生アルバイトだ。安全管理マニュアルは配られず、簡単な口頭での指示だけだ。マニュアルには吸水口への注意はほとんどない。
事故後、自治労埼玉県本部は調査に入り、安ければよいとする入札・委託制度の問題点を指摘した。自治労連系ふじみ野市職労は行政や民間委託をチェックできていなかったと認めた。民営化は安全を守らない。民営化絶対反対で闘う労働組合がなければ労働条件も住民の命も守れないことをつきつけた事故だった。
自分のあり方変えた闘う仲間との出会い 非常勤郵政労働者 坂田陽一
非常勤職員(ゆうメイト)として郵便局に勤めて1年9カ月。すぐに局内の掲示板を見て労働組合に入ったが、これといった組合活動に参加することもなく、反戦デモなどをしていた。
しかし、郵政労働者としての立場から〒マークを高く掲げて参加した8・6ヒロシマ闘争で、多くの仲間から激励され、仲間の決意を聞けたことで思いが変わった。全逓(郵政)労働者交流集会では組合権力奪取の決意を訴える非常勤職員に出会い、青年労働者交流集会では各戦線で先頭に立って闘っている仲間と出会えた。
私はまず自分自身が職場生産点から組合活動・労働運動の先頭に立とうと決意して、9月の支部役員選挙で執行委員に立候補し、信任を得ることができた。さっそくJPS(郵政版トヨタ方式)への現場の怒りを支部紙に投稿し、それをもってオルグに回っている。
広島で仲間と出会い、またその後の交流を続けることができなかったならば、今も自分は何もできていなかっただろう。9・23労働者集会には友人を誘って参加することができた。11月集会には職場の仲間、組合の仲間にも声をかけて一緒に参加していきたい。
安倍の排外主義煽動を労働者は許さない 物理重久
マンギョンボン号に対する入港禁止は、在日朝鮮民族に対する排外主義を国家公認で煽動(せんどう)することです。
人間の往来と交流を遮断することによって、排外主義をつくり固めてしまうのが《経済制裁》の目的です。
「北朝鮮による拉致問題等に関する特別委員会」で、安倍晋三は次のように答弁しました。
「(経済制裁としての効果を狙うのならば)すべての北朝鮮船舶をとめる方がいい」という趣旨の質問に対し、「万景峰92号は、我が国と北朝鮮との間に就航している唯一の貨客船であり、北朝鮮籍を有し、これまで我が国と北朝鮮との間の人的、物的及び資金的な往来において重要かつ象徴的な役割を果たしてきた、ある意味でのシンボルにもなっているわけであります」(7月10日)
朝鮮民主主義人民共和国と日本との間を往来する在日朝鮮民族が乗っている船だから、排外主義の対象としてたたくには手ごろな「シンボル」だと言っているわけです!
これを弾劾せずに平気で聞き過ごした野党の議員も同罪です。ファシストを撃滅し、在日マイノリティを防衛することは、労働組合および労働者政党にとって、一切の言い訳が許されない任務だと思います。
団結を求めて処分を恐れず―大会で実感 広島大学 安藤麻穂路
「僕は法政大生が大好きだ。その僕に対する停学処分、つまり学校に来るなということは、僕の最大の喜びを奪うということだ。知り合いの法大生は、停学中は休んだ方がいい、あんたは法大からいなくなってほしくない、と言ってくれた。しかし自分は不当な処分の脅しに対して首を引っ込めていることはできない。分割・民営化と首をかけて闘った動労千葉のように、僕は闘いたい」
1年間の停学処分と入構禁止、それを破ったらさらに重処分という攻撃をかけられた法大の学生が、全学連大会でそのように語ってくれました。法大決戦の中で、私たち全学連が打ち鍛えてきた戦闘精神の最高の表現だと思います。「団結を求めて処分を恐れず」とでも言いましょうか。こうしてかちとられた団結は、敵のいかなる攻撃にも耐えうるものです。
今回全学連大会に参加したある学生は、「みんなの団結ぶりに一番感動した」と語ってくれました。私がうれしいのは、新しい仲間が積極的に大会で発言できたこと、そういう解放空間を大会の場につくれたことです。誰の発言も、自分の大学から自分の闘いとして300万ゼネストを切り開くんだ、という主体性にあふれていました。
今回参加できなかった学生には、大会の報告をかねて大会議案書を読んでもらっていますが、大変好評です。さあ、秋の決戦にむけて、がんばっていきまっしょい!!
三里塚が闘いの原点若い人に教えられた 兵庫 恒川るい
9月28日、三里塚決戦勝利関西実行委員会の主催で、市東孝雄さんと萩原進さんをお招きして集会がもたれました。150名、立ち見も出るほど会場いっぱいの参加でした。
『大地の乱U』を観(み)て集会開始。数ある発言の中でも、やっぱり若い人の発言、サイコー! 援農の体験の楽しかった事、草引きをしているその頭上を、爆音を立ててギリギリに飛ぶジャンボ機。その体験を若いみんなに話し、三里塚に行こうと誘っている、と言ってました。また、職場で三里塚の話をしたら、「高校生の時に行った事あるよ」という人がいて、すっかり親しくなり、集会にも一緒に来ていたとか。
かくいう私も、17〜18年前、消費税に持っていかれるくらいならってんで、貯金全部プラスちょっぴりで100万円にして、現地闘争のカンパ袋に入れた「プチブル娘」です。もちろん職場の友達のオルグも三里塚。若いって、いろんな可能性を持っているんですよね。若者よがんばれ!
市東さんが農業委員会のでたらめ性を弾劾し、札束で頬(ほお)をはたかれる屈辱がまたしても行われた事に怒りを表明、その迫力がすごかった。萩原さんは、コメの単価が今、90年ごろの半値の1`グラムたったの200円である事を具体的に示し、日本経団連の「農業つぶし」を批判されました。その上で「三里塚は、誰もが参加できる闘い。ほかでは反目している者同士でも三里塚では一緒に闘える、そんな闘いなんだ」と話された。
だって、これほどの国家権力の暴力が集中しているところは、ほかにないです! 365日24時間の国家権力の暴力を受け、それと来る日も来る日も40年間闘い続けている反対同盟の皆さんに、感動しない人は国家権力だけ。
『大地の乱U』では動労千葉の田中委員長が「三理塚がなかったら今の動労千葉はない」と断言しておられました。三里塚で、すべての闘いの原点を学ぶんだ! 若い人が職場で三里塚をさらっと語る、この当たり前さに学ぼう! 労働運動も同じ!
--------------------------------
〈投稿規定〉 原稿は600字以内。紙面の都合で短くする場合があります。原稿は返却しません。都道府県名または地方名、職業、所属組織・団体、希望のペンネームを添えてください。 あて先は、〒132−0025 東京都江戸川区松江1−12−7 前進編集局「団結ひろば」係
『前進』ホームページの「安心メール」でも受け付けます。
---------------------------------------------------
週刊『前進』(2266号6面2)(2006/10/16)
11・25星野全国集会へ
沖縄万人の力で星野さんを取り戻す会 知花盛康さんに聞く
星野さんと沖縄の思い一つ
反基地の力で取り戻そう
11・25星野全国集会を前に、「沖縄万人(ウマンチュ)の力で星野さんを取り戻す会」の先頭に立つ知花盛康さんに、獄中32年、無実の星野文昭さんへの思いを語っていただいた。知花さんは読谷村の農民、87年沖縄国体で「日の丸」を焼き捨てた知花昌一さん(読谷村議)とともに闘ってきた。(編集局)
私が小学6年の時、宮森小学校に戦闘機が墜落しました。現場近くまで行って、校舎の2階に戦闘機が突っ込んでいる生々しい現場を見た。基地というのは大変なものだなあと思いました。この墜落事故で17名が亡くなっている。(注1)
(写真 3・5県民大会での知花盛康さん)
復帰間際までは、読谷村もほとんど米軍の演習場にされていて、常に身近で米軍の演習が行われていた。例えば私が中学の時には米兵が中学校のグラウンドを横切って鉄砲かついで訓練をしているわけさ。米軍基地がある沖縄は危ないと小さいころから感じてきた。
特に、米軍政下では米軍の事件、事故はたとえ裁判になってもすべて米軍優先のやり方だった。学校の帰り道、青信号の横断歩道を渡っていた国場君は米軍の大型トラックにひかれて死んだけれど、軍事裁判で米兵は無罪になった。(注2)
そういう中で生きているものだから、常日ごろから基地をなくしていきたいと多くの人びとが感じていた。そういう思いが、70年12月のコザ暴動になった。あのコザ暴動の中に県民の怒りがしっかりと表されていた。
その流れの中で72年の5月15日に沖縄が返還されていく。施政権だけは返されるが、米軍基地はそのままだと、そんなペテン的な返還があるかっていう怒りが沖縄のみんなにあったと思う。
◇
私は、71年当時は東京で働いていて、反戦運動にも参加していた。沖縄返還協定批准阻止闘争にはみんな逮捕を覚悟して取り組んでいた。ところが星野さんが闘った11・14渋谷闘争の時には私は病気で入院していて、テレビを見ていました。思いとしては、なんとしてもペテン的な沖縄返還をつぶさんといかんと。
仮に私が闘いの場にいたならば、星野さんと同じ状況になっていたかもしれないと、常に思っているわけです。
星野さんは私より一つ上ですよ。彼が拘束されたのは75年の夏、それから32年拘束されているわけ。その32年間を私に当てはめてみると果たしてどうなのか。
これはもう一日も早く取り戻さんといかん。星野さんの人生そのものが失われていく。これ以上、星野さんを獄の中に閉じ込めておくわけにはいかんという、切羽詰まった思いを私自身持っています。あらゆる手を使ってでもまず星野さんを獄の外に出す。そういう運動に全力を注ぐべきだと思っているわけです。
◇
あの(70年安保・沖縄闘争)時、みんなが沖縄から基地をなくそうと闘ったけれど、現実には今日においても沖縄の米軍基地は撤去されるには至っていない。延々と闘いは続いている。
朝鮮戦争の時も沖縄から出撃して行っているし、ベトナム戦争の時も、湾岸戦争もそう。常に米軍の戦争が起こる時に沖縄もかかわっている。
5年前の9・11の後に米軍は、沖縄の米軍基地を守ろうとゲートを封鎖した。ああいうことが起こる度に沖縄自身が戒厳令を敷かれている状態になる。
今ある沖縄のこの基地、それを三十数年前になくそうとした星野さんが獄中におる。ペテン的な沖縄返還協定の批准阻止を闘った人ですから、本来なら沖縄の人たちが星野さんを取り戻すまでやるべきだった。
確かに私たちも星野救援運動だけではなく、いろんな取り組みをしてます。だからといって私たちは星野の闘いを緩めるわけにはいかんということです。むしろ星野を前面に押し出して強化すべきだ。沖縄では反基地闘争というのはみんな当たり前にやっている。その上で星野さんの取り組みは強化されなければいかんということですよ。
ヤマトのいろんな闘いをやっている人にも、いろんな戦線で闘っている中でも、星野救援運動についてはしっかりと取り組んでほしいなという思いはありますよ。
70年当時闘った人たち、そして今の若い人たちを含めて、今一度、沖縄の人びとの願いである基地の撤去と、それと一つにして星野さんを取り戻していくという闘いを全国に広げていけたらいいなと思います。
◇
今年5月、星野さんとの友人面会や手紙のやりとりができるようになった。両方がお互い生身の人間として知りあえる新たな状況が開けたわけです。これは星野さんを取り戻すためには大きな力になる。人びとの知恵を集めて、新たな運動をつくり出していくことも必要じゃないかなと思っています。
今、沖縄では、米軍基地の再編という形で新たな基地を押し付けようとしています。なんとしても新たな基地建設を阻止せんといかんし、星野さんを一日も一刻も早く取り戻さんといかん、と。この闘いを一つに、反基地闘争の力で星野さんも取り戻していこうという気持ちです。
---------------------------------------------------
週刊『前進』(2266号6面3)(2006/10/16)
『パレスチナの怒り』
丹沢望著 前進社刊
世界を揺るがすパレスチナ
不屈の闘いの原動力が鮮明
この7−8月、33日間にわたる中東戦争がパレスチナのガザとレバノンを戦場にして激しく戦われ、イスラエルが中東戦争史上初めて敗北した。1次から4次までの中東戦争は国が相手の戦争だったが、今回はパレスチナのハマスとレバノンのヒズボラ民兵が相手で、レバノン国軍はまったく参加していない。
(写真 10月4日、ガザ地区ラプアで2人のイスラム聖戦活動家がイスラエルのミサイル攻撃で殺された。写真は2人の車の周りに翌日集まった人びと)
こんなことがなぜ起きたのか。この疑問に答えてくれるのが前進社発行の『パレスチナの怒り』だ。丹沢望同志がパレスチナ問題を真っ向から見据え、その歴史を説き明かしている。最高のタイミングで発行されたブックレットを一人でも多くの人に読んで欲しい。イスラエルとは何か、パレスチナの怒りとは何か、歴史をふまえて具体的にわかる。
「イスラエルは、中東のアラブ民族解放闘争を圧殺するためにアラブのど真ん中にアメリカがうちこんだクサビ」(20n)「一つの民族の追放・抹殺というあまりに理不尽な方法によって、戦後中東における新植民地主義体制が確立されていった。まさにここに、パレスチナ・中東人民の現在にいたる苦しみと怒りと闘いの根源がある」(21n)
ここに核心問題がある。パレスチナ人民600万人の半分300万人が国外に分散し、アラブ諸国、ヨーロッパ、アメリカなど全世界で暮らすようになったが、故郷を奪われた怒りは消えていない。残った300万人にもなお追い立ての攻撃は続いているが、劇的な反撃も始まっている。
今年1月のパレスチナ自治議会選挙でイスラエルとの武装闘争を続けるハマスが圧勝、議席の6割を獲得し、ハニヤ首相が政権を確立した。しかしイスラエルはそれを認めず、パレスチナ西岸で閣僚と議員20余人を拘束し、ガザでは閣僚暗殺を狙って爆撃を行った。
7月、ハマスとヒズボラはイスラエル兵をガザで1人、レバノン国境で2人捕虜とし、イスラエルに捕虜交換を申し出た。それを拒否したイスラエルは、空爆と戦車突入で軍事的決着を狙ったが、抵抗が強く泥沼にはまってしまった。
イスラエル軍は、ガザからのロケット弾もレバノン南部からのロケット弾も毎日100発以上も撃ち込まれるのに、その発射地点を制圧できない。イスラエル軍の精鋭5千は「ヒズボラの首都」といわれるレバノン国境の町ビントジュベイルを包囲し、800人のヒズボラ民兵と交戦したが、破壊された戦車20両を放置して敗退した。織田信長が桶狭間で圧倒的多数の今川軍を破った戦史を超える歴史的敗北をイスラエルは喫した。(この詳細は小野正春のパンフレット『戦争下のパレスチナ、レバノン』参照)
停戦直前にレバノン南部にイスラエル軍がばらまいたクラスター爆弾の子爆弾が百万発あるという。アメリカ製で赤や黄色、銀色に塗られ、子どもが好奇心で拾ったら爆発する。クラスター爆弾は、40%が不発弾になるように設定されている。アフガン、イラクに続いて“ばらまき地雷”が使用されたのである。その除去に少なくとも3年はかかる。すでに子どもたちがそれに触れて30人以上が死傷しているという報道に、私は怒りを新たにした。
(小野正春)
---------------------------------------------------
週刊『前進』(2266号6面4)(2006/10/16)
厚労省行動 「自立支援法」本格実施反対
顔写真貼付義務に怒り
「処遇困難者専門病棟」新設阻止共闘会議は9月27日、保安処分新法である医療観察法の撤廃と障害者自立支援法の10月1日本格実施に反対して厚労省前でマイクアピールとビラまき情宣を行った。
(写真 大雨の中、阻止共闘は障害者自立支援法の10月本格実施を阻もうと厚生労働省前に立ちアピールした【9月27日】)
豪雨をついて「精神障害者」の仲間たちが次々とマイクを握り、安倍政権下で強まる厚労省の「精神障害者」差別と拘禁、福祉切り捨て、保安処分拡大の攻撃を徹底的に弾劾した。
とりわけ10月1日から始まる「精神保健福祉手帳」への顔写真貼付(てんぷ)の攻撃は重大だ。厚労省は「『精神障害者』は医療で見なければならないから福祉とは別」と言い張り、あくまでも精神保健福祉法(精福法)による強制入院や通報制度を護持し、また医療法の特例などによる精神医療の「看護師数など資源貧困化」を温存した上で「精神障害者」を管理・抑圧してきた。
その「精神障害者」に11年前に手帳所持を強要したものの、「新たな治安管理だ」と反対の声が続出、現在でも所持はわずか17%だ。「精神障害者」手帳は他の「障害者」の福祉手帳とは異なり、保健所の発行であり、また5年ごとの更新で足りていた年金証書の提示で受けられた福祉手続きが2年ごとの更新となり、煩雑(はんざつ)化する。どう見ても反対は当然であった。
ところが今度は障害者自立支援法の10月実施に合わせて顔写真貼付を強要してきたのだ。「写真をはればJR運賃割引などの福祉が受けられる」と吹聴するものの、手帳を所持しない「精神障害者」や「精神病」を明らかにできない人への分断が強まり、ますます「精神障害者」全体への福祉は遠のく。何よりも医療観察法の施行によって「精神障害者は何をするか分からない者」という予断とレッテル張りをあおった政府・厚労省の責任は重い。
さらに「精神科救急の一環」という口実で強制入院の攻撃も強められる。最大で72時間の入退院時の強制拘束は、5年研修必須(ひっす)の「精神保健指定医」に限っていたが、その内12時間は臨床経験2年で足りる「特定医」に認めたのだ。イージーな予防的拘禁が精福法改悪として強められようとしている。
「精神障害者」への保安処分である医療観察法強行の上に、今度は「性犯罪者・薬物依存者」を名目とした刑法改悪=保安処分新設について、法相が7月26日、法制審議会に諮問した。「断種・去勢」処分に至りかねない戦時「障害者」抹殺攻撃が激化しているのだ。
さらに厚労省の打ち出す「退院支援施設」なる精神科病院敷地内施設のペテン的「福祉施策」に怒りがたたきつけられた。グループホームなどへの地域的支援をあくまで拒否し、かつて宇都宮病院のような悪徳病院資本が数々強要した院内ただ働きや体罰が「自立への道」と説かれ励行されようとしている。
「応益負担推進や自立切り捨てのための障害認定区分を開始する障害者自立支援法撤廃! 保安処分粉砕!」を掲げ、さらに闘いぬこう。
---------------------------------------------------