ZENSHIN 2006/10/09(No2265
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週刊『前進』(2265号1面1)(2006/10/09)
安倍政権打倒・11月総決起へ
10・8三里塚に全国から大結集を
青年労働者の決戦アピール
「あらゆる職場から闘いを起こし、9条改憲阻止! 11月労働者集会へ! 1万人の労働者のデモと国会闘争で安倍政権を打ち倒そう!」「安倍政権をぶっ飛ばそう! 革命やるから覚悟しろ!」――9月26日の国会闘争で私たちの怒りを安倍にたたきつけました。安倍の登場と同時に労働者の闘いが真っ向から激突しています。9月21日、「日の丸・君が代」強制に対して、強制は違憲、違法であるという画期的判決が出ました。教育労働者の不起立闘争が安倍の教育基本法改悪の狙いを阻んでいます。また、9・23改憲阻止労働者集会は460人が結集し、右翼、公安警察・機動隊と対決して「安倍政権打倒」を訴えました。これからが労働者階級と改憲攻撃との全面的激突です。10・8三里塚闘争に青年労働者は立とう。そして何よりも6千万労働者の怒りを11・5の1万人労働者集会として集めよう。1万人の労働者の実力デモを安倍にたたきつけてやろう。11・5集会に1万人の労働者が集まったときに必ず情勢は変わり歴史は動くのです。
歴史を動かすのは青年労働者の決起
11・5労働者集会の力で歴史を動かすことができます。それは闘いの先頭に青年労働者が立つからです。私たち青年労働者こそ「改憲阻止・安倍政権打倒」の決定的存在です。
私たちは革命をやる以外に奴隷のような状態から人間性を取り戻すことはできません。「日雇いで派遣され、正社員とほぼ同じ仕事をさせられているのに、時給はたった700円。『安過ぎる』と文句を言っても取り合ってくれない」「日雇い派遣で週5日・1年間働いたが、雇用保険も社会保険もない。有給休暇を請求したら、即日解雇された」――このように今、違法な低賃金で私たちをこき使う日雇い派遣労働が横行しています。
一方、トヨタをはじめ大企業は03年〜05年度と、3年続けて過去最高の利益を更新しています。売上高が20%減っても各社が過去最高の利益をあげているのは、労働者の首を切り、賃金をトコトン削り、物のように使い捨ててきたからであり、正規雇用を削減し、低賃金・無権利の非正規雇用に置き換えてきたからです。
「国際競争」の名のもとで、小泉=奥田の民営化・規制緩和がさらにこれを加速させてきました。「寮費の4万2千円は相場より高い。光熱費も水増しされている気がする」「給料日前、金がなくて水とパンでしのぐこともある」――キヤノンのデジタルカメラ工場で偽装請負で働かされる青年労働者の声です。実態はもっとすさまじい。自分自身、友人、隣にいる仲間の労働者がこうした状況に落としこめられています。また、職を奪われた労働者も大勢います。たとえ社会全体の失業率が5%であっても失業した自分や仲間一人ひとりにとってみれば失業率は100%であり、そのことへの怒りも悔しさも100%なのです。
政府やマスコミの「景気回復」という宣伝とはまったく逆に、これからますます青年労働者の怒りは高まり、行動を始めます。「偽装請負」の現実は、ちょっと法律を破ったという問題ではありません。「国際競争力」で危機に立つ日本の大企業がそうする以外に生き残れないところに来ているのです。低賃金でこき使われ、社会を支える私たち青年労働者が職場で立ち上がることが、歴史を変える決定的存在になり、社会を変える決定的位置を持つのです。資本家よ、百倍にして仕返しするから覚悟しろ!
今、資本主義社会全体が労働者を食わせることができなくなっています。膨大な財政赤字を抱えるアメリカのブッシュ政権は、資本家への大減税の一方で公的年金、公的医療保険制度の解体、規制緩和、民営化を徹底して行い、非正規雇用を増大させてきました。また、米帝経済の崩壊を引き伸ばしてきた「住宅バブル」もついに崩壊過程に突入しています。アメリカの労働者は、住宅価格の上昇分を担保に金を借り、消費に充ててきました。消費の冷え込みは米バブルを崩壊させ、労働者には返済不可能な借金と大恐慌が襲いかかろうとしています。また、こうした恐慌防止策の行き詰まりはドル暴落と世界戦争を不可避とさせています。中東の石油支配をかけたイラク侵略戦争は泥沼化し、イスラエル政府を全面的に支援して開始したレバノンへの軍事侵攻も大破産しています。
日本の支配階級もこれと無縁ではありません。1千兆円という公的借金を抱え、アメリカやヨーロッパとの「国際競争」の中で、東アジアでの独自の勢力圏も形成できていません。このような危機を突破するために、安倍は帝国主義として戦争ができる国家へ飛躍するために9条改憲に突進しようとしているのです。
民営化・規制緩和、戦争への動きは世界共通であり、労働者の怒りは万国共通です。労働者には国境はない。日本の労働者が全世界の労働者の闘いと一緒になった時に世界が一気に変わる、そういう情勢が訪れています。
動労千葉の闘いに勝利の展望がある
だからこそ11・5は決定的なのです。関西地区生コン支部、港合同、動労千葉が呼びかける1万人の集会だというところに展望があります。職場で3労組のように原則的に闘う1万人の労働者が結集するということです。
確かに安倍の登場は小泉の延長ではありません。日本の資本家たちは戦後の「平和と民主主義」という価値観を暴力的に破壊することになんのしがらみもない政治家を選択したのです。
しかし、安倍は次のようにも言っています。「貧しい労働者が増えれば、怨嗟(えんさ)の声は日増しに大きくなり、やがてそれは国家に向かう。社会の不安定化は暴動を誘発し、革命にまで発展することもありうる」と(安倍晋三著『美しい国へ』)。安倍が最も恐れているのは労働者の団結し組織された行動です。既成労働運動の指導部はここに対する確信がありません。私たち労働者をめぐる問題の核心は、「労働者は闘っても勝てない」「労働者には世の中を変える力はない」という思想との対決です。連合本部が「格差社会」や「改憲と戦争」に対する労働者の怒りを感じとり、一切の闘いを来年夏の参議院選−民主党支持に流し込もうとしています。民主党に政権交代することが労働者の唯一の展望だと言って一切の職場闘争、国会闘争を押さえ込もうとしているのです。それは連合全体を改憲勢力へと引きずり込むことです。06−07年は労働運動をめぐって本当に勝負の時です。
今、労働者が団結して闘えば何ができるのか。動労千葉の職場闘争にはその展望があります。動労千葉は合理化という資本の弱点をとらえ、資本主義の根幹を揺るがし、これを打ち倒していく職場闘争を日常的に展開し、JR東日本の労働者支配をガタガタに揺るがしているのです。
あらゆる職場で労働条件が切り下げられ、安全が切り捨てられ、資本による合理化の矛盾がすべて労働者に転嫁されている現実があります。合理化と闘わない限り、自分の命も仲間の命も守ることはできません。つまり、動労千葉の反合理化・運転保安闘争とは、資本と労働者の絶対的な非和解性をはっきりさせて闘う路線です。安全は利潤を生まないから切り捨てる。しかし資本にとっても安全問題は軽視できない。ここに矛盾があり、資本と闘う労働者が勝利する道があるのです。
「動労千葉はすごい。しかし私の職場では動労千葉のような闘いはできない」という人がいるかもしれません。絶対にそんなことはありません。動労千葉の核心は、組合員をどれだけ信頼し、その力を引き出し、団結させるかということです。動労千葉も組合員と本音でぶつかることを通じて闘いの路線を築き、団結を固めているのです。
その動労千葉が1万人の集会を呼びかけ、世の中を変えようと訴えています。その核心は何か。「動労千葉の闘いとは実は簡単なこと。労働者としての誇り、節を曲げないから信頼して団結できる。譲れないものをはっきりさせ、仲間を裏切らなければ必ず展望は開ける」。実際に社会を動かしている一人ひとりの労働者の中に社会を変える力がある。労働組合を通じて自分たちの力に目覚め、団結し組織された力になったときに労働者は無限の力を発揮できるのです。動労千葉はそのことを日々実践しているのです。
動労千葉は「労働者の勝利は団結がいかに強まり、広がったか」ということで総括します。11月集会が「闘う労働運動の全国ネットワークをつくろう」と呼びかけている意味がここにあります。正規・非正規、民間・公務員などあらゆる形で分断されている私たち労働者はどんな形態であっても〈労働力を売って人間性を蹂躙(じゅうりん)されてしか生きられない階級〉としてひとつです。労働者は階級として団結して闘えば、世界を変え、獲得する存在になるのです。闘う労働組合の団結を基礎に「一人は万人のために、万人は一人のために」成り立つ社会がつくられるのです。11月集会はそういう闘う労働者の階級的団結の場です。
4大産別と民間・未組織の闘い結び
安倍政権を成立と同時に根底から揺るがしているのは労働者階級の団結です。とりわけ国鉄、教労、自治体、全逓という4大産別の団結と戦闘性を支配階級の側は解体できていません。
中川自民党幹事長が「安倍政権の最大の抵抗勢力は官公労」だと言いました。逆に青年労働者の側からすれば、〈4大産別決戦〉とはこれまで個々分断されてきたあり方から「階級としてひとつ」に団結する重要な闘いです。4大産別の労働者が、自分にかけられた攻撃を、「6千万労働者への攻撃」としてとらえて闘った時に、民間労働者・未組織労働者は必ず団結して闘います。一方で民間・未組織労働者の闘いは資本主義のあり方を根本から問うすさまじい怒りの闘いです。徹底した規制緩和、合理化に立ち向かい、労働法制も無視した資本の攻撃に対して闘う姿は絶対に4大産別の労働者の魂に響きます。安倍を打倒し、労働者が主人公の社会をつくるという共通の目的に向かって4大産別と結合して闘ってこそ、その力は百倍になるのです。
各地で4大産別と民間・未組織の闘いが相互に結合し、団結と闘いの輪が広がっています。これからが勝負です。職場闘争を連合中央や全労連本部を打倒して現場からつくりかえる闘いとしてやりぬこう。連合の改憲勢力化を阻止しよう。すべての青年労働者の闘いとして4大産別決戦を闘おう。
(写真 「安倍を打倒するぞ」 9・23労働者集会後、青年労働者を先頭に都心デモ=記事2面)
職場支配権取り戻す
労働者が職場で本当に団結し行動すれば、資本家は太刀打ちできません。
職場闘争をやろうとは、単なる「物とり闘争」のことではありません。資本主義の世の中では、職場は賃金奴隷としての自己を日々再生産していく場なのです。この資本の支配から労働者の自己解放をかちとる職場闘争をやろうということです。職場支配権を労働者の手に取り戻し、「おもしろくない職場」を「行くのが楽しい職場」にしようということです。
まず職場で資本や当局に対し「『おかしいこと』をおかしいと言う」「『間違ったこと』は間違っていると言う」ことが大事です。労働者の側には圧倒的正義があり、資本の職場支配にはなんの正義性もありません。隣の仲間に「こんなことを言ってもわかってくれるかな」という躊躇(ちゅうちょ)もあるかもしれません。しかし、資本と労働者は絶対に非和解です。逆に私たち労働者同士は腹を割って話せば絶対にわかります。
職場闘争は、隣で働く仲間を獲得する闘いです。それをめぐって資本や既成労組指導部と激しい党派闘争になります。涙を流すこともあるだろう。泣き、笑い、怒る、これこそ本来の人間の姿であり人間の解放だと思うのです。労働者は闘う労働組合を通じてあらゆる分断をのりこえ、階級的に団結することで社会の主人公へと飛躍することができます。そのことに確信をもって隣の仲間に一歩を踏みだそう。
最後にもう一点。国会闘争が重要です。教育基本法改悪案、共謀罪新設法案、国民投票法案、防衛庁「省」昇格法案の粉砕を柱とする今秋臨時国会決戦に立とう。
これまで国会闘争が職場闘争と結合して闘われてきませんでした。だから国会闘争がおもしろくない。国会闘争とは職場闘争と結合してこそおもしろいのです。郵政民営化法は国会で成立しました。しかし、それは職場の闘いで打ち破れるのです。労働者にとって職場闘争と国会闘争は支配階級の権力を打ち倒し労働者の権力を打ち立て、労働者が主人公の社会をつくるということにおいて一体です。こうした国会闘争をこの秋の過程、私たちの力で復権させよう。職場・街頭・国会で荒々しい労働運動を復権させよう。
これらの闘いの一切を11月1万人結集に結びつけよう。11月1万のデモで6千万労働者の心を揺さぶるような闘いをやって情勢を変えよう!
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週刊『前進』(2265号1面2)(2006/10/09)
教基法改悪阻止・共謀罪廃案
9・26国会前 安倍登場に終日怒り
(写真 政権の中枢を「つくる会」派で固めた極右・安倍改憲内閣の発足に対して、「絶対に打倒するぞ! 覚悟しろ!」と怒りのこぶし。青年労働者と学生が闘いを牽引した。夕方の教基法改悪反対集会には全国から750人が大結集し、国会前は終日、怒りが渦巻いた【9月26日昼】)
臨時国会開会日の9月26日、国会は朝から夜まで1日中、労働者人民の怒りと熱気に包まれた。国会内では「改憲」を真っ向から掲げた極右の安倍内閣が発足したが、国会の外では安倍政権打倒へ、労働者の怒りが終日渦巻き、秋の決戦の大爆発へ、闘いの火ぶたが切られた。
早朝から国会周辺では共謀罪法案と教基法改悪に反対するビラまきが開始され、この日の闘いに突入した。衆院本会議が開かれる午前10時前には、労働者人民が続々と衆議院議員会館前に座り込んだ。広島県教組の労働者有志は年休を取って駆けつけ、独自のビラをまいた。
正午から破防法・組対法に反対する共同行動の共謀罪反対集会が開かれた。共謀罪法案は、これで10回目の国会にかかる危機的状況だ。だからこそ政府・与党はあせり、10月第2週から始まる法務委員会の審議冒頭で強行採決を狙っている。この情勢を見据えて絶対廃案へ闘おうと、怒りの発言が続いた。
午後1時から反戦共同行動委員会の決起集会が開かれた。東北大の学生が司会をし、冒頭、滝口誠事務局長が「安倍は日本資本主義に終止符を打つ政権だ。われわれは絶対に勝利できる」と開会あいさつした。
織田陽介全学連委員長は、「安倍が言うボランティアは、戦争に行って国のために死ねということだ。やつらは自分たちで法律も憲法も守れなくなって、だから変えてしまえなんて言っている。こんな政権はぶっつぶすしかない。労働者が権力をとろう」と元気に訴えた。
広島県教組の組合員は「殺人的な多忙化の中で、私たちは『教え子を再び戦場に送らない』と必死で闘っている。60年安保闘争をも超える国会闘争で、教基法改悪・共謀罪法案を阻止しよう」と呼びかけた。関西の教育労働者も訴えた。
午後1時半すぎ、国会で首相指名選挙が行われた時には、青年労働者の音頭で「労働者をなめるな」「安倍をぶっ飛ばすぞ」と怒りのシュプレヒコールをたたきつけた。
夜6時からは「教基法の改悪をとめよう!全国連絡会」の主催で国会前集会が開かれた。土砂降りの雨をついて750人が大結集した。北海道や東北、関西、広島、九州などからも参加した。
全国連絡会呼びかけ人の小森陽一さん、三宅晶子さんらが発言、中でも大内裕和さんは「改悪阻止は私たちの闘いで絶対に可能だ。1日1日が勝負」と訴えた。
東京地裁で勝利判決をかちとった予防訴訟原告団や「日の丸・君が代」不当処分撤回を求める被処分者の会の発言に大きな拍手が送られた。被処分者の会の労働者は「判決を武器に、教基法改悪阻止の運動を全国に広げていこう。私たち東京の教職員は闘いの先頭に立つ」と力強く語った。
参加者は集会後、近くの首相官邸前まで進み、安倍弾劾の声をあげた。
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週刊『前進』(2265号2面1)(2006/10/09)
国労弾圧公判 責任逃れの酒田国労前委員長を追及
“闘争団は妨害勢力”に怒り
9月27日、東京地裁刑事第10部(青柳勤裁判長)で開かれた国労5・27臨大闘争弾圧裁判の第64回公判は、弁護側立証の最初の証人として酒田充・国労本部前委員長に対する尋問が行われた。
この弾圧は、鉄建公団訴訟を起こした闘争団員への統制処分手続きが決定された02年5月27日の国労臨時大会で、本部に抗議してビラまき・説得活動に立った国労組合員らの行動が「暴力行為」にデッチあげられたものだ。5・27臨大当時、東京地本委員長で、この大会の準備本部委員長でもあった酒田は、組合員を警察に売り渡した首謀者の一人だ。
佐藤昭夫弁護団長が尋問に立ち、00年12月の東京地本6項目見解について問いただした。この見解には、「大会破壊を意識的に策する外部からの動員者によって暴力行為が繰り返され、負傷者を出す事態は到底許されるものではない」「続開大会成功のため、妨害勢力に対して毅然(きぜん)たる態度をとり万全を期す」と書かれていた。
そして、東京地本を準備地本として開かれた01年1月27日の国労大会は、1300人もの機動隊の制圧下に置かれた。こうして国労本部は、反対派組合員を徹底排除した上で4党合意の受け入れ承認を強行採決した。
佐藤弁護人は、東京地本見解に言う「妨害勢力」には00年7月1日の臨時大会で演壇に駆け上がった人は含まれるのか、と問いただした。酒田は悪びれもせず「そうですね」と返答した。
7・1臨大は、4党合意の受け入れ承認を強行しようとした国労本部に対し、闘争団を先頭とする現場組合員の怒りが噴出し、演壇が占拠される中で休会になった。闘争団員らの怒りの発露だった演壇占拠は、酒田にとっては「妨害勢力による大会破壊」でしかない。
(写真 公判終了後の報告集会【9月27日 弁護士会館】)
“承知しません”と白々しいうそ
佐藤弁護人はまた、東京地本見解が「毅然たる態度をとる」としていることの中には、警察に大会警備を要請したことも含まれるのか、と問いつめた。酒田は「それは一般的に暴力はいけないという意味」などと、はぐらかした答えを続けた。だが佐藤弁護人は追及の手を緩めない。答えに窮した証人は「大会招集は中央本部の権限。私は承知していません」と言い張った。その後も酒田は「警備要請をしたのは本部」「傍聴を制限したのも本部の判断」という証言を繰り返した。だが、大会準備本部委員長だった酒田が、大会への機動隊導入に関与していないことなどあり得ない。責任逃れのために平然とうそを重ねる酒田に、法廷の怒りは高まった。
「4党合意を受け入れてJR不採用問題の解決は図られたのか」と質問されると、証人は「自民党や国土交通省との信頼関係が回復した。連合などの信任も得た」と得意げにしゃべり出した。そこで佐藤弁護人は「具体的な解決案は出たのか」とたたみかけた。酒田は小声になって「出ませんでした」と返答した。
「本件ではどうして警察に被害届を出したのか。組合内部で解決しようと思わなかったのか」と問いただす佐藤弁護人に、酒田は「相手が組合員とは承知していなかった」と言ってのけた。
続いて尋問に立った大口昭彦弁護人が、「被疑者が組合員と知ったのはいつか」とさらにこの問題を追及した。「記憶がない」としらを切る酒田に、大口弁護人は「被害者」として出廷した石井勝幸・本部会計監査員の証言を突きつけた。石井は5・27臨大の翌々日に酒田と会い、被害届を出すように説得された。その時、石井は「そうは言っても組合員やしな」と答えている。「その時点で相手は組合員と分かったはずだ」と詰め寄る弁護人に、酒田は「はい」と答えるほかなかった。
警察に電話し逮捕を求める
大口弁護人の尋問は5・27当日のことに移った。その中で酒田は、大会会場行きの貸切バスの中で「110番しろ」と笹原助雄・東京地本財政部長(当時)に指示したことや、自ら携帯電話で警察に連絡を取り、反対派の逮捕を要請していた事実も認めた。
一瀬敬一郎主任弁護人は、国労本部派が3列縦隊をつくり、ビラを受け取らず、話を聞こうともせずに貸切バスに強引に乗り込んだ経過について問いただした。これは、本件のもみ合いがどうして生じたのかを明らかにする重要な質問だ。一瀬弁護人は、「なぜ一団となってバスに乗るように指示したのか」と問いつめた。酒田は「(被告たちが)ビラまきに来ているとは思わなかった」「何が起こるか分からないから整然とバスに乗った」と居直った。
尊大な態度で質問をはぐらかす酒田の証言態度に裁判長もいらだって、何度も「端的に答えて」とたしなめた。
酒田への尋問終了後、裁判長は検察側の異議を棄却し、高嶋昭一元委員長、高橋義則元委員長らの証人採用を決定した。
次回公判は笹原助雄・現東京地本書記長への尋問だ。傍聴に集まろう。
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週刊『前進』(2265号2面2)(2006/10/09)
改憲阻止へ労働者集会
9・23東京 安倍の登場迎え撃つ
青年先頭にあふれる熱気
勝利判決に高揚
国会開会を3日後に控えた9月23日、青年労働者を先頭に、改憲阻止、安倍打倒の熱気を帯びたデモ隊が都心を切り裂いた。改憲を掲げた極右・国家主義者の安倍の登場を、労働者は根底からの怒りに燃えて迎え撃った。この秋の国会闘争と11・5労働者集会1万人結集へ、闘いはうなりを上げて開始された。
(写真 開会前に会場は満席となり青年労働者らが壇上にも座った。11・5集会の1万人結集実現にむけ、集会は闘う意欲にあふれた【9月23日 東京】)
9月23日、動労千葉の呼びかけのもと、集会実行委員会主催で「改憲阻止!戦争と民営化−労組破壊攻撃に立ち向かう9・23労働者集会」が東京・文京区民センターで開かれた。510人の参加者が、この秋を総力で闘う決意で詰めかけた。
安倍と真っ向から対決するこの集会に恐怖した天皇制右翼は、会場前に街宣車を止めて集会妨害を試みた。参加者は右翼の敵対を一蹴し、怒りを倍加させて続々と結集した。開会前に会場は満席となり、集会途中からは青年を中心に壇上に座る参加者も出て、熱気はかつてなく高まった。
この集会に先立つ21日、東京地裁は「日の丸・君が代」強制の03年10・23都教委通達は「違憲・違法」とする画期的判決を出していた。この秋が労働者の反転攻勢の時となることを予兆させる大きな勝利だ。
主催者あいさつに立ったスタンダード・ヴァキューム石油自主労組の中村和憲執行委員は、「21日の東京地裁の判決は、『日の丸・君が代』被処分者が断固不起立を堅持したからかちとられた。この勝利を確固たるものにするためには、われわれが各職場で闘い、11・5労働者集会に多くの労働者を登場させることが必要だ」「安倍は、5年かけて改憲をし、この秋に教基法改悪を通すという。今日はわれわれが安倍と対決する最初の闘いになった」と宣言した。
連帯あいさつとして三里塚芝山連合空港反対同盟の萩原進さんが登壇し、敷地内農家の市東孝雄さんに対する農地取り上げの攻撃、成田空港の北延伸強行の攻撃を強く弾劾した。そして、政府・資本による農業破壊政策に対抗するためには労農連帯で闘うほかはないと断言した。
「とめよう戦争への道!百万人署名運動」呼びかけ人で静岡県労働組合共闘会議代表幹事を務める鈴木卓馬さんは、教基法改悪案、改憲国民投票法案、共謀罪法案、防衛庁「省」昇格法案など改憲法案との対決となる今秋臨時国会の闘いを強調し、9条改憲阻止の闘いの中軸となるのは労働者だと訴えた。
田中委員長が檄
動労千葉の田中康宏委員長が基調提起に立ち、「この集会は自民党総裁選と臨時国会の開催に合わせ設定した。この時こそ怒りの声を上げなければいけない」と切り出し「社会の矛盾が積もりに積もり、いつ噴き出してもおかしくない状況が来た。おとといの『日の丸・君が代』の判決は、闘えば勝てる確信を労働者にもたらしている。その闘いの中心にわれわれが座らなければならない」と提起した。
さらに、この間の動労千葉の闘いを総括して、「反合・運転保安闘争は動労千葉の原点をなす路線だ。その路線のもとに団結しているから、幕張車両センターの事故に対して当局はいまだに処分が出せない。改憲情勢の中で労働者が団結するためには、労働運動の原則・原点に立って組合員と議論し、悪戦苦闘しつつ資本と真正面から闘うこと以外にない」と述べ、「労働者が団結すれば無限の力を持っている。11・5労働者集会は改憲と真正面からぶつかる闘いだ。その成否はここに結集した一人ひとりの奮闘にかかっている」と檄を飛ばした。
青年が次々発言
4大産別の労働者がアピールし、教育労働者が口火を切った。彼は「職場で処分を恐れず不起立で闘ったから21日の勝利判決があった」と述べ、「教基法改悪が迫っている。この勝利判決を武器に現場労働者が立ち上がれば、闘いは勝てる」と熱烈に訴えた(別掲)。
国鉄労働者は、1047名闘争の危機を職場における動労千葉労働運動の実践で突破すると発言した。自治体労働者は、今秋決戦を自己変革をかけて貫くため、組合の役員選挙に打って出たことを自信に満ちて報告した。全逓労働者は、裏切りを深める既存の労組幹部と激突しつつ職場から闘いを巻き起こしていることを報告し、郵政民営化を打ち破る闘いはこれからだと宣言した。
動労千葉争議団の高石正博さんは、1047名闘争の危機的状況を指摘し、あくまで解雇撤回を貫く決意を述べた。
自治体による業務の競争入札制度導入により職場を奪われた交通労働者は、この攻撃との闘いの中で組合の団結を固めた教訓を報告した。
さらに、職場での闘いを開始した青年労働者が、仲間の声援を得て次々と発言に立った。都市交の労働者が賃下げを容認する既成指導部に怒りを表し、医療労働者は業務の委託化を阻止した闘争の勝利を語った。もう一人の医療労働者は、日共系組合幹部の弾圧に抗して、職場で動労千葉と連帯する労働運動を実践していることを生き生きと報告した。新たに労働組合を結成して闘う青年の発言などが続いた。不当な退学・停学処分と闘う法政大学の学生は、開講日から始まった当局との激しい攻防に触れ、不屈の意思を表した。
それらの発言は、動労千葉の闘いが青年の心をとらえ、青年労働者の恐れを知らない清新な決起が労働運動の新たな高揚を確実に切り開いていることを印象づけた。
動労水戸の辻川慎一副委員長が集会のまとめを提起し、「安倍は労働者を屈服させようとしているが、屈服を拒否して闘えばもろさを露呈する」「11・5の1万人結集へ一人ひとりが徹底的に闘おう」と呼びかけた。
集会の熱気もそのままに参加者は西神田公園までのデモに出た。安倍打倒を真っ向から掲げるデモ隊に沿道から手を振る人びとの姿も目立った。
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教育労働者の集会発言 闘って勝ちとった判決
これっぽっちも裁判で勝てるとは思っていませんでした。しかも裁判長は、あの難波です。なぜ難波ですら都教委の主張をひとつも取り入れず、都教委をボッコボコにたたく判決を書いたのか。それは、私たちの闘いが正義だからです。現場の教職員が、処分を恐れず、自らの血を流して「こんな命令はうそっぱちだ」「こんなものは法律違反だ」と言って、職務命令を紙くずにしたからこの判決の勝利がかちとれたんだと思います。
教育基本法改悪が目の前に迫っています。私はこの闘いは絶対に勝てると信じています。なぜか。もし教基法が改悪されたとしても、そんなものは紙切れだからです。生徒たちの心を縛る、愛国心を無理矢理押しつける――こんなものは教育ではありません。こんなものは教育基本法じゃないんです。現場労働者が、徹底的に「こんなものは認めない!」と闘えば、こんな法律は通らないですよ。圧倒的に国会前を埋め、現場の闘いで、こんな法律改悪は絶対に許さないんだ、血を流しても認めないんだという闘いをすれば、こんなものは必ずふっ飛びます。紙切れにすらならないんです。
9・21判決も、このままではただの紙切れです。石原は控訴すると言っています。まだまだ不当な職務命令も出されてくるでしょう。しかし、職務命令は無効なんだから。こんなものに従う人はいないでしょう。都高教の中でも被処分者、予防訴訟を闘っている人間は少数者です。全部の都立高校教員が、この判決を受けてガンガン不起立していく、みんながそれを表明すれば都教委は控訴すらできなくなるでしょう。
闘うってことはうれしいことですね。裁判で勝たなくても、現場で断固闘っていくと考えてきましたけれども、最初で勝つなんて縁起がいいじゃないですか。この勢いで、教基法の改悪を粉砕していきましょう。
私たちに対する最大の支援は、みなさん一人ひとりが「当該」になることです。一人ひとりが自らの現場で、不当な職務命令を紙くずにしてしまう。11月には、みんなが主人公になり「俺にぜひ演壇に立たせろ」というふうに集会を作っていきましょうよ。そういう日は、そう遠くありません。憲法改悪なんて絶対に認めない。実力で改憲を阻止していく。そういう闘いを作っていきましょう。(拍手)
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週刊『前進』(2265号2面3)(2006/10/09)
9条変えるな関西集会 臨時国会決戦を誓う
キャラバン隊報告に高揚
9月23日、大阪北区民センターで「9条を変えるな!関西集会&デモ」が285人の参加で開かれました。
(写真 「憲法・教育基本法の改悪許すな!」と訴え大阪市内をデモ【9月23日】)
関西では、9月9日から、「9条を変えるな!全関西キャラバン」活動を展開してきました。大阪2隊(奈良・和歌山を含む)、兵庫、京都(滋賀)の4つのキャラバン隊を組織して、街頭宣伝、労組・市民団体や地域で闘う議員らへの署名運動の協力要請などを活発に行い、改憲阻止闘争の本格的高揚を切り開いてきました。
9・23関西集会は、このキャラバン行動の報告集会として、キャラバンでつかんだ労働者人民の闘いへの要求と息吹があふれる集会となりました。
同時に、安倍晋三が「教育基本法改悪・憲法改悪」を公約にして自民党総裁になった中で、完全に決戦となった臨時国会闘争への総決起、なによりも11・5労働者集会1万人結集実現を切り開く集会になりました。
集会は、歌手のおーまきちまきさんの歌から始まりました。
その後、弁護士の大野町子さんが「憲法を変えてはならない」というタイトルで講演。
大野さんは、冒頭、9月21日の「日の丸・君が代」判決にふれ、「教基法10条を守らなければならない」と訴えました。
そして小泉も安倍も「国民と闘う政治家」であり、「アメリカと一体となって、仮想敵国と闘う政治家」でしかないと改憲攻撃の本質を提起しました。
大野さんはさらに、現憲法の意義を憲法前文から引用し「平和主義・基本的人権があり、とくに労働者の団結権があること」と強調したうえで、安倍政権の改憲のポイントとして、「改正ではなく新憲法の制定」「1条天皇の機能の拡大」「憲法9条改悪」「司法での基本的人権の制限」「改正手続き96条改悪」とわかりやすく展開しました。そして改憲との闘いとして、「恐ろしいのは教基法と国民投票法案であり、絶対成立させてはならない」と訴えました。
大野さんの講演は具体的でわかりやすく聞くことができました。
さらに特別アピールを3本受けました。
「みんなでとめよう! 教育基本法改悪/全関西の集い実行委員会」は、「『日の丸・君が代』判決は教育労働者に勇気を与えた。処分を恐れず戦争教育を拒否する。臨時国会決戦を日教組の再生をかけて全力で闘う」と訴えました。
部落解放同盟全国連合会の阪口克己東大阪市議会議員は、「臨時国会は決戦、全国連はこの決戦に立つ。今始まっている部落解放運動つぶしの大攻撃は改憲の先取りだ。拡大中央委員会は国会決戦、11月労働者集会全力決起を決定した」と決意表明した。
青年からのアピールとして「A&U大阪」が、「政権を打ち倒す闘いをやろう」と元気にアピールしました。
寸劇や律動で会場を沸かせたあとで、キャラバン隊からのアピールとして、全関西各地でキャラバンをやり抜いた仲間が登壇し、各地のキャラバン活動の報告を受けました。奈良、兵庫、泉州(南河内・和歌山を含む)、中河内、北河内、大阪市内、豊能(とよの)、北摂の各キャラバン隊は、各地で新しい出会いがあったこと、労働組合への署名のお願いにも、多くの労働組合が応じてくれたことなどを報告しました。それぞれの闘いの報告をとおして、労働者階級人民の闘いの気運と息吹が新鮮に伝わってきました。この報告一つひとつが、改憲決戦を労働者階級の決起でぶち抜いていけるという確信があふれるものでした。この手ごたえと確信こそ、最大の成果です。和歌山・大阪・兵庫・京都・滋賀・奈良6府県でのキャラバン活動が9条改憲阻止署名運動の風をまきおこし始めたのです。
9・23集会は、安倍政権の教基法改悪・改憲攻撃を絶対に打ち砕くことを決意し、やれるという実感あふれる集会としてかちとられました。関西の労働者人民は、国会決戦を闘い、この高揚から11・5労働者集会1万人結集へ全力で闘います。
(投稿/関西RJ)
(写真 参加者全員が臨時国会決戦への決意固める)
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週刊『前進』(2265号3面1)(2006/10/09)
「日の丸・君が代」 予防訴訟で全面勝利判決
10・23通達−職務命令は違法
この力を教基法改悪阻止へ!
教育基本法改悪阻止と「日の丸・君が代」不起立闘争の勝利に向かって重大な勝利が切り開かれた。9月21日の「日の丸・君が代」強制に対する予防訴訟の判決公判で東京地裁民事36部(難波裁判長)は、都立校の教育労働者ら原告401人の全面勝利の判決を出した。(前号第一報)
(写真 「勝訴」の知らせに、地裁前に詰めかけた被処分者・被解雇者を始めとする教育労働者が歓喜にわき上がった【9月21日 東京地裁前】)
正午前から東京地裁前には「日の丸・君が代」強制反対予防訴訟をすすめる会の会員を始め教育労働者や支援者数百人が続々と詰めかけた。1時半過ぎ傍聴にあふれた大勢の人たちが固唾(かたず)をのんで待ちかまえる中、3人の弁護人が「勝訴」「国歌斉唱義務なし」「画期的判決」と書いた垂れ幕を掲げて走ってきた。「よし」「やった」と歓声が上がり、拍手がわき起こった。ガッツポーズが何度も繰り返され、画期的な勝利の喜びをかみしめた。
判決は、卒・入学式等における起立・斉唱・ピアノ伴奏の義務がないことを確認し、不起立・不伴奏を理由にいかなる処分もしてはならないとした。また10・23通達による原告の精神的苦痛に対し都に1人あたり3万円の慰謝料の支払いを命じた。「日の丸・君が代」が「皇国思想や軍国主義思想の精神的支柱として用いられてきたことは否定しがたい事実」とし、卒・入学式などで「国旗に向かって起立し、国歌を斉唱することを拒否する者、ピアノ伴奏をすることを拒否する者が少なからずいるのであって」と不起立者が存在することを理由にあげて、「義務を課すことは、思想・良心の自由に対する制約になる」と判示した。
10・23通達とそれに基づく校長への指導についても「教育基本法10条1項所定の不当な支配に該当する」ため違法だと述べ、違法な通達や職務命令に対して「義務を負うことはない」とした。
「日の丸・君が代」強制に対し、3年間で約350人もの労働者が、あらゆる恫喝と不利益処分をはねのけ、停職3カ月という重処分にも屈せず不起立・不伴奏で闘い抜いた結果かちとられた勝利である。石原・都教委に対する決定的痛打であり、安倍政権の登場への痛烈な先制攻撃だ。
興奮さめやらぬ中、弁護士会館で記者会見が行われた。弁護団が判決の内容を報告すると、内容の一つひとつに拍手がわき起こった。尾山宏弁護団長は発言の最後に「明日から都教委攻勢を強め、10・23通達を撤回させる闘いを展開しよう」と訴えた。
予防訴訟をすすめる会の共同代表は「処分を受け、管理職に抑圧されながら一人ひとりが一生懸命闘ってきた。それが認められた」と、判決が不屈に貫かれた闘いの成果であることを語った。原告の女性労働者は「ここで教育基本法が変えられてしまったら、本当に自由にものが言えない、歴史の真実を教えることができない教育になってしまう。この判決が今の流れに大きなくさびを打つことになる」と勝利の意義を提起した。
記者会見では国内の報道関係者だけでなく、各国の報道からも熱心な質問が出され、反響の大きさを示した。
報告集会 労働者に熱気と確信
午後6時から星陵会館で報告集会が開かれた。判決には来られなかった人たちも勝利判決の知らせを聞いて詰めかけ、会場は満杯になった。
まず予防訴訟の会の共同代表が、「今日の報告集会を輝かしい勝利で迎えることができたことをほんとにうれしく思います」と勝利の喜びを語り、「この勝利をどう生かしていくのか、都教委と闘い、現場の中でどう闘っていくのか、それが必要だ」と呼びかけた。
弁護人が判決の内容やその意義を説明した後、教育労働者の発言が続いた。被処分者の会の労働者は「11月の周年行事で職務命令を打破していくことが問われる。校長に職務命令は出すな、出すのは間違っていると追及していく」と決意を述べ、「26日の国会開会日に、教育基本法の改悪をとめよう全国連絡会が国会前集会を開く。国会に押しかけ、教育基本法改悪反対の闘いを現場からつくろう」と訴えた。
後半は被処分者の会、被解雇者の会、不採用者の会の労働者が決意を語った。また都高教、都障教組、都障労組が連帯あいさつを述べた。
都知事石原と都教委の暴力的な「日の丸・君が代」の強制に対して、現場の労働者が不起立闘争に決起した力がこの全面勝訴という勝利を切り開いた。この勝利をテコに、職場から闘いを巻き起こし、教育基本法改悪を絶対に阻止しよう。
(写真 勝利の報告集会では、教育労働者がこの勝利をテコに職場で闘うことを熱烈に訴えた【星陵会館】)
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週刊『前進』(2265号3面2)(2006/10/09)
『教育基本法改悪と戦争国家』 購読と学習のすすめ
「君が代」不起立闘争こそ勝利判決をかちとった力
元教育労働者 石崎 彰彦
『教育基本法改悪と戦争国家』が、3人の現場の教育労働者によって書かれました。今臨時国会で教育基本法改悪を阻止するための絶好の武器として、教育労働者を始め多くの労働者が読まれることを強く薦めます。本稿ではこの本の意義を以下3点にわたって提起します。
教基法改悪の凶暴性に敵の危機と弱点を見抜く
この本の第一の意義は、教育基本法改悪が日本帝国主義の未曽有(みぞう)の危機に規定された攻撃であることをはっきりさせたことです。
教基法改悪とは実に凶暴な攻撃です。教育労働者が掲げてきた戦後の「平和と民主主義」教育を根本からたたき壊し、子どもたちに愛国心をたたき込み、進んで戦場におもむく青年をつくり出す教育につくり変えようとするものです。
しかし大事なことは、攻撃の凶暴性だけを見て震え上がるのではなく、その凶暴性の中に帝国主義の危機を見抜くことです。日本帝国主義は今、戦後体制をいまだうち破ることができていない現実に直面しあえいでいます。安倍が「戦後体制からの脱却」を叫ぶのは、世界戦争の時代に、いまだに戦争体制を確立することができていない強烈な危機意識の表れです。
教基法改悪は帝国主義の危機に規定された攻撃であるがゆえに、凶暴であると同時に、矛盾に満ちた、破綻(はたん)的な攻撃です。だから労働者には圧倒的に展望があるし、闘えば勝てる。このことが重要です。
そのことを象徴的に示したものが、東京の予防訴訟の9・21全面勝利判決でした。弁護団長の尾山弁護士が「教育裁判の歴史上、最も優れた判決の一つだ」と語ったとおり、原告の教育労働者の訴えを全面的に認めた画期的な大勝利です。
石原は都知事就任以来、「東京から日本を変える」「教育基本法・憲法を否定する」と豪語して、戦争国家づくりの先頭を走ってきました。「日の丸・君が代」強制はその攻撃の中心でした。しかし03年「10・23通達」による「日の丸・君が代」強制は、力ずくで従わせる以外に徹底できないというところに、決定的な弱点があります。9・21判決は、「10
・23通達」こそ石原都政の矛盾の集中点であり、最弱点であることを示したのです。
ここで何よりも重要なことは、処分を恐れない不起立闘争こそ、裁判官にあの判決を強制したものだということです。
東京の教育労働者は、「10・23通達」以来3年間、不起立を継続してきました。戒告、減給、そして停職処分までかけられても屈せず闘い続け、ついには「クビをかけて闘う」という労働者を生み出しました。「労働者として譲れないものは絶対に譲らない」という信念を貫いた偉大な闘いです。この力が、徹底的に敵を追い詰めたのです。
教育労働者が不起立で闘わずに予防訴訟を唯一の「反撃」としていたならば、勝利判決はあり得ませんでした。職場から反撃をたたきつけ、しかもそれを毎年やむことなく継続し、さらに全国に大きく広げる――この力が、9・21判決をかちとったのです。
危機にあえぐ帝国主義の攻撃は、けっして整合性や展望のあるものではありません。矛盾に満ちたものであるし、労働者の反乱を呼び起こさざるをえず、危機をますます深めて、労働者によって打倒されるしかないところに帝国主義を追い込むものなのです。
民同・社民や日本共産党スターリン主義は、攻撃の凶暴性だけを見て震え上がります。しかし激動情勢においては、階級的な見方を貫き、敵の弱点を見抜き、その弱点を突いて闘うならば、労働者は勝利することができるのです。
動労千葉は、敵の矛盾点・弱点を突いて闘っているがゆえに反合・運転保安闘争に勝利し、民営化攻撃を粉砕できる展望を開いています。
9・21判決も、闘えば労働者は勝利できること、そして今国会で教基法改悪を阻止することは可能だということを示しました。勝利判決を教基法改悪阻止の力として、「日の丸・君が代」被処分者を先頭にすべての教育労働者が国会闘争に立ち上がりましょう。
被処分者・教育労働者が改悪阻止闘争の先頭に
第二に、教育労働者が先頭に立って闘わなければ、教基法改悪を阻止することはできないということです。別言すれば、教基法改悪との闘いを教育労働者の自己解放闘争として闘うことが決定的に重要です。
こんなことを言うと「当たり前じゃないか」と思うかもしれませんが、実は自明のことでもなんでもありません。それどころか、このことこそ一貫して日教組運動の争点だったのです。戦後、勤務評定反対闘争や学力テスト反対闘争、主任制反対闘争など多くの闘いがありますが、いずれも教育労働者の自己解放闘争ということが否定されてきた歴史でした。
56〜59年の勤評闘争は、教育労働者が全国で職場からの実力闘争に立ち上がった偉大な闘いでした。教育労働者が決起したことによって、総評傘下の他産別の労働者や全学連、部落解放同盟なども含めた闘いとなって広がりました。その闘いの結果、勤評を賃金体系に反映することを、それ以降実に50年間にわたって阻止してきました。
しかし日教組指導部は勤評闘争を敗北主義的に総括して「これからは教室で教える内容で勝負する」と言い出しました。そして「教育実践主義」や「国民教育論」に向かいました。
こうした考え方の最たるものが、「教師は労働者である」ことを否定する日本共産党の「教師=聖職者」論です。
これは過去の話ではありません。今も日本共産党は教育労働者の職場からの実力闘争を否定しています。日教組本部が掲げる「教基法を読み生かす運動」も「国民の関心が薄いから『教基法を読み生かす運動』をやろう」というものです。いずれも教育労働者が中心になって教基法改悪阻止を闘うことを否定しています。
こうした中、この本が教育労働者の自己解放闘争として改悪阻止闘争を提起したことが重要なのです。
「日教組解体法」
第三に、改悪教基法の最大の狙いを「日教組解体法」として断罪したところです。
教基法改悪の攻撃とは、教育労働者が戦争教育を担う帝国主義の先兵にならない限り貫徹できません。安倍は、教基法改悪と一体で、教員免許更新制を導入することを公言しています。「上」の言いなりにならない教育労働者は免許を奪うということです。教基法改悪の狙いが日教組解体であることを、敵の側から宣言したものです。
教基法改悪は改憲に直結する攻撃ですが、それは二つの側面から言えます。教基法改悪の中身が改憲に直結していることはもちろんです。しかしそれだけではなく、日教組を改憲勢力にすることによって初めて憲法改悪も押し通せるということでもあります。日教組の解体を許すのかどうか、日教組が改憲推進勢力になることを許すのかどうかという闘いです。
安倍は「次期政権の最大の抵抗勢力は官公労だ」と公言した中川秀直を幹事長に任命しました。安倍政権の最大テーマに自治労と日教組の解体攻撃を据えたのです。この日教組解体攻撃と激突して教基法改悪阻止決戦を闘おうということを、この本は鮮明にさせたわけです。
闘う日教組再生
さらにこの本は、教基法改悪反対闘争を「闘う日教組」を再生する闘いとして提起しています。
日教組解体の攻撃には闘っても勝てないのか。社民も日共も「闘っても勝てない」論を振りまいています。しかしこの本は「闘えば絶対に勝てる」と提起しました。なぜそう断言できるのか。東京を先頭に全国で「日の丸・君が代」不起立闘争を闘う教育労働者が、闘う日教組の再生へ向けて闘っているからです。
日教組本部は臨時国会をめぐる方針を何も出していません。9月14日の全国代表者会議で打ち出されたのは、日程もさだかではない「4日間程度の国会座り込み」だけ。春の国会座り込みも、本気で阻止する気など毛頭なく、組合員のガス抜きを狙ったものでした。しかし本部はアリバイのつもりでも、現場組合員には怒りがあり、本気の闘いが広がってしまう。このことに日教組本部は恐怖しているのです。
全国の教育労働者がこの屈服方針に怒っています。全国代表者会議の内容が各単組に伝わるや、「日教組が方針を出さないなら、独自に国会闘争を闘おう」という声が噴き出しています。
9・21判決は全国の教育労働者を鼓舞激励しています。この力をバネに、教基法改悪を阻み、闘う日教組を再生する闘いに立とう。
11・5日比谷こそ、教基法改悪阻止へ闘う労働者が結集する場です。教育労働者がすべての労働者を牽引(けんいん)して、11・5労働者集会1万人結集へ闘おう。その絶好の武器として、『教育基本法改悪と戦争国家』を活用することを心から訴えます。
☆鈴木一久・二本柳実・松田勲 共著
☆発行 労働者学習センター
☆頒価 500円
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週刊『前進』(2265号3面3)(2006/10/09)
安倍新内閣の超反動性 改憲突撃の極右政権
9月26日、国会の首相指名選挙で自民党新総裁の安倍晋三が選出され、安倍新内閣が発足した。安倍内閣は、総裁選で安倍勝利に奔走した議員が中心の「論功行賞」で、「身内」の気心の知れた、右翼的な閣僚が並んだ。きわめて単色の極右・改憲突撃内閣である。
この組閣に先立って、安倍は25日、自民党の新三役を決定した。幹事長にこの間安倍の後見人として動いてきた中川秀直政調会長、政調会長に安倍の盟友、「日本の前途と歴史教育を考える若手議員の会」の中川昭一農水相、総務会長に丹羽雄哉元厚相、幹事長代理に石原伸晃前国交相を起用した。これは小泉「構造改革」路線を引き継ぐと同時に、改憲・教基法改悪に向かって自民党を引っ張っていこうとする意思表示である。
新内閣の顔ぶれは、安倍がその公約にした改憲と教基法改悪にかける凶暴な決意を示している。
●NSC設置に具体的着手
第一に、安倍は今回の組閣に際して、総裁選過程から言っていた「日本版NSC(国家安全保障会議)」設置に向かっての具体的な措置を真っ先にとった。
これは、首相官邸をホワイトハウスのようなあり方に変え、首相権限を大統領的に強化し、直属のスタッフによって独裁的に政治を動かすことを狙うものである。戦争国家体制に向けて統治形態を実質的に変えようとしているのだ。その第一歩として、官房副長官をこれまでの2人から3人にし、首相補佐官をこれまでの2人から一挙に5人にした。その上首相秘書官を5人起用、さらに省庁からの公募で10人のスタッフを集めた。
首相補佐官は、国家安全保障問題担当で小池百合子、経済財政担当で根本匠(たくみ)、拉致問題担当で中山恭子、教育再生担当で山谷えり子、広報担当で世耕弘成の5人。いずれも安倍の意を体して働く、右翼的・国家主義的イデオロギーを共有する人物である。安倍はこの首相補佐官を閣僚並みに位置づけるとしており、その法制化もたくらんでいる。
第二に、戦争と改憲に向かって全力で進もうとしている。
安倍は総裁選の中で言っていた「現憲法の枠内でも集団的自衛権は行使できる」ということを首相就任後も「検討課題だ」と言い続けており、外相に留任した麻生太郎も基本的にその考え方である。この主張を押し貫いたら、日帝自衛隊はイラクで米軍に対する攻撃に対し米軍と共同して武力行使ができるようになる。
さらに安倍は、26日の記者会見でも、「憲法改正については政治スケジュールに乗せるべく、リーダーシップを発揮する」と明言し、この内閣でそれをスタートさせることを宣言した。
第三に、とりわけ北朝鮮に対する制裁と侵略戦争に突き進む布陣である。今回、「拉致問題担当大臣」を置き(塩崎恭久官房長官が兼任)、対策本部を設けた。さらに中山恭子を首相補佐官として加え、具体的な行動を起こそうとしている。
麻生を外相にしたのも、7月5日の北朝鮮のミサイルを口実に国連安保理で制裁決議を上げようと(戦後史上初めての日本外交の突出)画策した際に、安倍と麻生が連携したことを続けようとしているからだ。「拉致問題」で右翼的排外主義の際立った言動によって脚光を浴びた安倍は、いよいよ対北朝鮮政策で侵略戦争発動に踏み切ろうとしているのだ。
●「教育再生」の攻撃
第四に、安倍新内閣が改憲強行に向けて何よりも優先する課題としている教育基本法改悪と「教育改革」の攻撃である。
文部科学大臣に根っからの教基法改悪論者である伊吹文明を任命し、官房副長官に「若手議員の会」の下村博文を据えた。
さらに重大なのは、首相補佐官に入れた山谷えり子である。国会質問で「行き過ぎた性教育」に対するバッシングの先頭に立ち、「ジェンダーフリー教育」を攻撃し、侵略戦争の歴史を教えることを「自虐史観」と言って排斥する、安倍と完全に一体の教育観をもった人物である。この山谷が取り仕切る形で安倍の諮問機関として「教育再生会議」がつくられ、そこに「新しい歴史教科書をつくる会」を中心とする右翼学者などを集めようとしているのだ。
安倍政権が教基法改悪を突破口に、「教育再生」と称して愛国心教育と差別選別教育を推し進めてくることは明らかだ。
●経団連の要求に応じ
第五に、安倍新内閣は資本家階級の代表機関である日本経団連の要求に沿った陣容であり、幹事長の中川を先頭に「官公労」=4大産別の労働者と労働組合にリストラ攻撃を集中する体制である。
日本経団連会長の御手洗は22日、安倍新総裁と会談し、「@イノベーション(革新)による新しい日本型成長モデルの実現、A日米関係を基軸とし、アジア大洋州地域を重視した外交・通商戦略の展開、B歳出入一体改革の着実な実施、持続可能な社会保障制度の確立、雇用・少子化対策の強化、C地域活性化に向けた道州制の導入、D教育再生、憲法改正に向けた取り組み」の5項目を新内閣に要求している。安倍は、基本的にこの要求に従おうとしている。
具体的には、「骨太方針Y」に基づいて「歳入・歳出一体改革」を掲げ、公務員労働者に対する徹底的な賃下げと首切り、労組破壊、さらに社会保障制度の極限的な解体と消費税の大増税をやろうとしているのだ。
以上みてきたように、安倍新政権は戦争と改憲、民営化・労組破壊に向かって、小泉以上の意識性をもって突進しようとしている。しかし、安倍政権は実にもろく、危機的な体制でしかない。こんなに極右・国家主義的でブルジョア的な本性をあらわにした内閣の登場で、階級対立がすべての労働者の前に鮮明になった。
階級的反転攻勢の絶好のチャンス到来である。9・21予防訴訟判決は、安倍新政権の登場の出はなをくじく労働者人民の闘いの結晶である。臨時国会闘争の爆発と11・5労働者集会の1万人結集の力で安倍政権打倒へ進もう。
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週刊『前進』(2265号4面1)(2006/10/09)
青年労働者が立ち上がればこの資本主義は転覆できる
強まる労働者の搾取と使い捨て
いまや2人に1人が非正規雇用 正社員も休みなしの過密労働
資本の支配を破り自己解放へ
職場の主人公はいったい誰か 力関係をどう変えるかが問題
日本の青年労働者の状態はどうなっているか。闘いとその展望を交えて報告したい。資本家による労働力の過酷な搾取にこそ根本問題がある。1人ひとりの青年労働者こそ社会変革=革命の主体だ。(片瀬涼/文中の名前はすべて仮名)
働いてもなぜ貧しいのか
剰余労働の搾取が資本の利潤の正体
資本家の利潤はどこから生まれるのか。資本家は、利潤は彼らの「努力」や「才覚」で稼いだもので、自分の活動に対する報酬であるかのように言う。最近では、小泉政権下で進んだ規制緩和やIT系企業の株式売却益に対する大幅減税などで「新富裕層」が生まれたため、特にそうした風潮が強い。
昨年のトヨタ自動車の経常利益は1兆円を超えた。だが、この利益は、それに見合うだけの経営陣の「努力」や「労働」によって得られたものでは断じてない。
賃下げと強労働を狙う資本
他方で労働者の賃金はどうか。労働者が日々の労働を通じて獲得するのはぎりぎりの生活を続けるのにやっと足りる分にすぎない。労働者は賃金と引きかえに自らの労働する能力を売っている。そして資本の指揮・命令に従って労働する(そういう契約だ)。このようにして資本家は労働者の活動と成果のすべてを自分のものとするのだ。
だから労働者に賃金として実際に支払われているのは、労働者の労働の一部だけである。残りの部分は不払い労働として資本家のものとなっている。この不払い労働、つまり剰余労働こそが資本の利潤の正体だ。労働者は自分たちがかつかつで生きていくための賃金だけを「支払われ」、残りすべては資本家に「不払い労働」として奪われているのだ。
資本の利潤の源泉は労働力の搾取にしかない。この社会では資本にとって利潤がすべてで、利潤の獲得という「衝動」しか持たない。どこまでも剰余労働を拡大して、利潤を増やすことができるかどうかだけが問題となるのだ。だから、可能な限り賃金を下げ、労働時間を長くし、密度の濃い労働を労働者に強要するのである。
現実の社会に目を向けてみよう。大企業が空前の利益を得る一方で、大手製造業の工場で違法な偽装請負が広がり、要らなくなったら簡単にクビを切られる何十万人もの請負労働者。時給300円で酷使される外国人実習生。正社員並みに働くフリーター。食事や休息も満足にできず、リストラの恐怖に脅かされる。ノルマと競争、過労の殺伐とした職場で急増する「心の病」……。
資本は、労働者を「品物」「商品」と同じように扱う。商品だから安価で濃密に長時間働く労働力が良い商品なのだ。資本にとって労働者の健康や寿命など問題ではないのだ。資本の関心はただひとつ、労働者からいかに搾取するかだけだ。
エンゲルスは『イギリスにおける労働者階級の状態』で、産業革命が生み出した大量のプロレタリアートの悲惨な状況とそれに抗する労働運動の姿を描き出した。そこでは労働者階級が絶滅の危機に瀕(ひん)し、資本主義が崩壊しかねない過酷な搾取の現実があった。われわれが生きる21世紀の資本主義世界の現実は、この資本主義の創生期にまさるとも劣らない過酷な搾取の現実ではないか。まさに末期の資本主義の危機が生み出す「賃労働と資本」である。
10年後、20年後の将来を展望できる青年労働者がどれほどいるだろうか。5年10年で働けなくなるほどの「生命力の消耗」を伴う労働。自分の自由にできる時間がまったくない生活。企業の業績が上がれば上がるほど、労働者の労働が苦役となり、暮らしが悪くなる「賃労働と資本」の関係。
闘うことこそ自己解放の道
最近、生活保護をうち切られたり、病院に行けない労働者(家族)を描いた報道も多い。まだ一部の人かもしれない。だが多くの労働者にとって明日の自分の姿とならない「保証」がどこにあるのか。大半の青年労働者にとって、これが自分や友人、隣の仲間に起きている現実だ。労働者は自分を破壊するために働いているのではない。
マルクスは『賃金・価格・利潤』で「労働者は、もし完全に闘う力を失って資本の言いなりになるなら、古代の奴隷よりもはるかに不安定でみじめな状態を強制されるだろう」と言っている。
青年労働者の状態の根幹にはこの「賃労働と資本」があるのだ。ここを覆さなければ、もはや生きてゆけない。闘いなくして奴隷のような状態から人間性を取り戻すことはけっしてできない。賃金と労働条件をめぐる職場闘争は「賃労働と資本」を覆す基礎的な闘いであり、人間性を取り戻す闘いなのだ。
青年労働者の過酷な状態 名前も呼ばれず「人材さん」 平均在社年数は5年/自腹購入で給料がゼロに
派遣労働者
古庄寛和(28)は製造メーカーで働く派遣労働者だ。時給は600円。派遣会社は1500円を受け取っている。
「欠員が出た」。電話1本で2時間前に呼び出され、23時から翌日の15時まで16時間ぶっ通しで勤務したこともある。「携帯電話は本当に嫌ですね」
隣のラインは請負会社が受注している。請負はどうしても生産効率が落ちる。だがノルマは同じ。週休2日だがノルマが達成できず土日も賃金なしで働く。
成嶋大輔(32)が初めて工場に入って驚いたのが朝のあいさつがないことだ。派遣労働者は「人材さん」と呼ばれ、名前で呼ばれない。数あわせで手配される。
「機械の扱いは素人のまま。何年働いても熟練工になれないですね」。最初に簡単な機械の操作を教わるだけだから、機械がトラブると対応できない。ノルマが職場を支配し、「安全第一」は建前だ。若い労働者は、上司の指示を真に受け、調子の悪い機械を無理に回し、事故や不良品を出す。
この間の製造業などの「復調」の背景は、技術革新などよりも、90年代以降のリストラで正規雇用を非正規雇用に置き換え、低賃金でいつでもクビにできる生産体制を構築したことが断然大きい。
財務省の統計によると、05年度の全産業の経常利益は約52兆円と01年度の約28兆円に比べ83%も伸びた。その間の売上高の伸びは12%、人件費の伸びは2%にとどまる。賃下げと非正規雇用化が企業収益を支えているのだ。
偽装請負
以前は、生産現場への労働者派遣はできなかった。しかし、小泉政権下の03年、労働者派遣法が改悪され、04年3月以降、原則解禁(港湾、警備、建設、医療を除く全業種)となった。
派遣労働者の割合は00年の0・7%(33万人)から06年の2・4%(121万人)まで一気に上昇した。製造業での請負労働者は約87万人。ここ数年、失業率が下がり、全体の雇用者数は増加しているが、その実態は正規雇用の減少を非正規雇用の大幅な増加が補っているにすぎない。
この5年間で非正規雇用は300万人増え、06年には1663万人。労働者の3人に1人が非正規雇用だ。15〜24歳の労働者は、2人に1人が非正規雇用だ。
企業が非正規雇用を増やすのは賃金が抑えやすいからだ。大半の非正規雇用労働者は時給千円、年収200万円程度だ。同世代の正社員の半分の水準。仕事の内容は正社員とほぼ同じである。企業側には厚生年金などの社会保険の負担を避けようという思惑もある。正社員を雇えば厚生年金や雇用保険の保険料の半分を企業側が負担しなくてはならない。
最近、問題化している偽装請負は、請負会社が労働者をユーザー企業に送り込むだけで作業指示はユーザー企業に任すなど、実態は労働者派遣だが、形式的に業務請負と偽っているものをいう。
派遣労働者には、正社員と同じく労働基準法や労働安全衛生法などが適用されるが、請負ならユーザー企業は労働安全上の義務を負わない。
よりコストが安く、安全責任があいまいで、しかも、いくら使っても直接雇用の責任が発生しない業務請負の形をとりながら、実際の生産現場では、自社の正社員に指揮命令をさせるのだ。
企業は請負労働者を人件費ではなく、外注加工費として扱う。企業や株主が空前の利益を得る中で労働者は「品物」のように扱われている。
こういう過酷な搾取を行っているのがトヨタやキヤノン、日立、松下などの日本資本主義を代表する大企業である。青年労働者の将来や希望をすべて奪うような搾取でしか成り立たない資本に未来があるはずがない。青年労働者の反乱が始まった時、日本資本主義が転覆されることは間違いない。
残業代なし
堀本誠(29)は24時間営業の大手コンビニの正社員。
「心が休まる時がないですよ」
会社に持たされた携帯電話に頻繁に指示が来る。深夜に呼び出されることもある。休日はひたすら寝る。食事や映画を見る暇もない。同僚も「なんのために仕事をしているのか」とこぼす。誰も1年後が想像できない。
(写真 製造現場で働く労働者。低賃金で無権利で「使い捨て」にされる派遣・請負労働者が急増している)
正社員は、全員が管理職扱いで残業代もない。多くの社員が朝7時に出勤し、夜9時すぎまで仕事をしている。社員に配布されるスケジュール表は土日休みになっているが土曜に休むと上司が怒る。
社員の平均在社年数は約5年。大半は20代のうちに離職する。30代になると体が持たない。資本もそれは折り込み済み、5年の間にいかに搾取できるかがすべてだ。労働者の健康や人生にはまったく興味がない。
最近、売り上げが落ちている。上司は会議で「お前たちが仕事しないからだ」と締め上げる。堀本は言う。「売り上げを増やすのは簡単。労働者を尊重し、働きやすい環境をつくればいい。ところが忠誠だけを求め、無理なノルマを押しつける。資本は極限的に搾取するしか能がない」
破壊的な「競争」が強制力として資本に作用するのでこの簡単なことができないのだ。JRの安全問題やさまざまな企業不祥事なども背景は同じなのだろう。ここに資本主義の危機がある。
ノルマを達成するため自腹で商品を買う。給料は一円も残らない。マイナスになる時もある。ノルマが達成できないと、全員の前で立たされ、罵倒される。「人間性が奪われる感じです」
過労死、過労自殺も多い。今年に入ってすでに4人が在職死亡した。会社側は仕事との因果関係はないと強弁している。
最近、年収が一定以上のホワイトカラーを、「1日8時間、1週40時間」の法定労働時間から除外するホワイトカラーエグゼンプションが論議されている。この制度が導入されれば、事務系、技術系労働者などホワイトカラーの大半が「残業」という概念もなくなり、無制限の長時間労働を強いられることになる。
「8時間労働」は1886年に米国で38万人の労働者が要求してストライキを行い、射殺や死刑をも恐れず闘い、第2インター(国際労働者協会)の呼びかけで世界中の労働者が要求し(メーデーの始まり)、1917年のロシア革命によって初めて、社会的な「規範」として形成された。
この労働者階級の血で書かれた歴史をすべて覆し、労働者階級が歴史的にかちとってきたあらゆる権利をブルジョアジーは奪おうとしているのだ。
規制緩和
11年前の95年に日経連が出した「新時代の『日本的経営』」報告は、終身雇用制、年功序列賃金、企業別労働組合を変える必要があると強く主張した。特に「人件費が高くて競争力が失われた」として徹底的なリストラを要求した。
そして01年春に小泉政権が登場し、構造改革路線として、労働法制の徹底的な規制緩和を進め、派遣労働の原則解禁、解雇のルール化、労働時間の規制緩和などを進めてきた。それを容認してきたのが既成の労働組合幹部だ。
その結果がこのような労働者の現実を生み出したのだ。そして今日の最大の焦点が〈国鉄・教労・自治体・全逓〉の職場だ。激しい民営化や合理化、労働強化の攻撃にさらされているが、そこには「労働者が闘ってかちとってきた権利」が厳然と存在する。4大産別にかけられた攻撃を6千万労働者への攻撃としてうち破り、「階級としてひとつ」に団結することが重要だ。
職場闘争 その教訓と展望 課長追及「職場おもしろい」 超勤はサービス残業/皆で管理職に抗議
年休権侵害
全逓組合員の柳橋和也(30)の職場で、ある日、約30人の組合員が課長を取り囲んだ。発端は、課長が勝手に勤務指定に年休を割り振ったことだ。この課長はJPS(トヨタ生産方式)責任者だ。人員を減らした配置でも仕事は回せることを「証明」するために勝手なシフトを作り、職場を混乱に陥れてきた。労働者の怒りは我慢の限界に達していた。
(写真 配達用バイクの数が減らされ共同使用に。憤りの声が上がっている)
昼休み、5人の組合員が課長を取り囲んで抗議した。休憩時間には作戦会議をした。5人が10人に増え、ついに30人になった。
年休権は労働者の権利だ。年休を取らせないのも違法なら、勝手に「取れ」というのも違法だ。
若い組合員は「毎日、職場がおもしろい」「お祭りみたい。明日もやってやる」と明るく語る。柳橋は「職場の本当の主人公が誰なのか、それをはっきりさせるのが職場闘争」と言う。
浪岡拓也(26)の職場でもJPSが始まった。今まで座って行ってきた4時間の作業を立ってやらせる。わずかな回数の「立つ・座る」の動作が無駄だというのだ。
当局は経費削減のため配達用のバイクを減らす方針だ。浪岡が使用していたバイクが取り上げられそうだ。排気量も90tから50tに下がる。「50tじゃ坂は登れない。一軒ごとにエンジンが止まる。こんなの効率化じゃない。労働者の負担」と憤りを隠さない。
郵便内務の労働者も徹夜の「深夜勤」や「16時間勤務」で休息もほとんど取れない。いつ誰が倒れ過労死するかも分からない。
そうした結果、遅配・誤配が続き、郵便局に苦情が殺到している。浪岡の職場でも、誤配した非常勤の青年が課長に文句を言われた。青年は「おれは悪くない。絶対に謝らない」と譲らず、仲間みんなで課長を追及した。
浪岡は「みんな明るく自信を持つようになった。労働者は救済の対象じゃなく、闘う主体」「職場で資本や当局に対し、間違っていることには『間違っている』ということが大事」と語る。労働者の側に圧倒的正義があるのであり、資本の職場支配にはなんの正義性もないのだ。
彼らは闘いからつかみとった教訓を述べている。「職場の仲間から話を丁寧に聞く、メモをとる習慣をつける。その際に問題点を組合員と討論する。仲間の話を聞いていれば必ず『発見』がある。どんな労働者の話の中にも、怒りや闘う理由がある。組合員が全員参加できる形の闘争をつうじて団結を強化していくことが大切だ」
「職場闘争の総括軸は『団結がいかに強まり、広がったか』だ。行動や直接の『成果』を自己目的化するのは良くない。仲間とどれだけ討論して、一緒に方針を練り、闘うかだ。そして団結の強化を軸に総括することが重要だ」
5時退勤は権利
森永岬(31)は小学校で働く教育労働者だ。教員は4%の教職調整手当が支給される代わり超過勤務手当がない。逆に調整手当が支給されているから、超勤は当たり前という態度の管理職も多い。
文部科学省が4月に実施した教職員勤務実態調査でも、超過勤務の1週間の平均時間は15時間を超える。持ち帰り残業も約5時間に上り、1週間で60時間を超える教員もいるなど、深刻だ。
「超勤手当がないから、超勤はすべてサービス残業になる。だから、どうしても労働者という意識が弱くなる。8時間労働という考えが職場にない感じ」
近年の多忙化で定時に帰宅することはほとんどない。毎日深夜まで職員室の明かりがつく。土日も働く。
社会見学の時、バスの出発が8時で、いつもより30分早く出勤した。しかし、30分早く仕事を終わろうとはなかなか言い出せない。定時の退勤時間の5時が近づき、思い切って「5時に帰ります」と言うと管理職が大慌て。「ちょっと……待って下さい……」。みんながクスクス笑った。本当はみんなが言いたいことなのだ。
森永は職場に団結をどうつくるか考えていた。「これを闘争化しよう」。5時退勤は本来まったく正当な権利だ。「これは順法闘争。教育労働者は労働時間という意識が弱いけど、みんなが一番不満を持っているのが多忙化。実際に超勤を拒否できるかどうかという問題もある。でもそれ以上に、みんなで一緒になって管理職に不満が言えたら成功。職場闘争は職場の力関係を変える。そこを総括軸にやっていきたい」
徹底討論
動労千葉の中野洋前委員長は著書『俺たちは鉄路に生きる2』で職場闘争についてまとめている。
@職場闘争は職場支配権をめぐる闘いであり、党派闘争。一番は資本との党派闘争。資本が日常不断にまき散らす思想とどう闘うか。これが一番の闘争。
A資本や当局に対する怒り、組合の堕落した幹部に対する怒りと組合権力を取ってやろうという意識性があれば、職場闘争のテーマはいくらでもある。
Bすべての職場闘争は、敵の弱点をつき、味方の団結を強化・拡大する闘い。
C核心は、労働運動に人生をかけるという活動家の量と質によって決まる。
D職場闘争は、将来組合指導部になるための能力形成の戦場。
動労千葉労働運動の核心は、組合員をどれだけ信頼し、その力を引き出し、団結させるかにある。動労千葉も、組合員とものすごい討論をして闘いの路線を構築し、闘う団結を固めている。
田中康宏委員長は、動労千葉のシニア制度―業務外注化との闘いについて語っている。
「結論は『こんな協定のめるか』で、はっきりしていた。しかし悩みました。拒否すれば、うちの組合員は、動労千葉であるというだけで全員60歳で首になる」
「『こんなものは絶対にのめないんだ』という議論をくり返しやりました。実際、定年を間近にして泣く泣く脱退していく人も出た。しかし『どういう思いで分割・民営化と首をかけて闘ってきたのか』『労働者の誇りはどこに行ったんだ』という激しい議論を重ねて、それから4年目、5年目には1人も脱退者が出なくなった。労働者を信頼するというのはそういうことです」
「始めた時は気が重かった。すぐに展望なんか出ない中でとにかく必死になって議論する。だけどその結果、千葉だけ業務外注化を止めた」
実際に鉄道を動かしている労働者の中にこそ職場を動かし、社会を変革する力がある。労働者が自分たちの持っている力に目覚め、団結し組織された力になった時に労働者は無限の力を発揮する。動労千葉の闘いは、労働者が怒りと誇りを持った時、絶対に負けないことを示している。
資本主義社会の中で職場は、資本が労働者を賃金奴隷として働かせる場だ。この資本の支配から労働者が自己解放をかちとる基礎的な闘争が職場闘争だ。労働者が職場支配権を自らの手に取り戻し、闘いをつうじて階級としてひとつになった時、労働者階級は世界を獲得し、変革する存在になる。
弾圧、党派闘争
民間職場で働く今津真琴(30)は「労働者は勝てると思わない限り、闘わないし、続かない」と考えている。労働者は働かないと食っていけない。だけど、食っていけない世の中だから闘わないと生きていけない。どんな労働者にも怒りはあり、闘う「きっかけ」はある。「闘う仲間の存在を知り、体を動かして一緒に闘う経験をして初めて労働者は勝てると思うようになる」と言う。
今津は、資本や既成労組幹部の弾圧、敗北主義との闘いを強調する。「『労働者は勝てない』という思想は労働者の中から出てくる。敗北主義や弾圧と闘わなければ、『労働者を信じる』という言葉は口先だけに終わる」
連合や全労連など既成労組指導部は「闘うな」「黙れ」と労働者を弾圧する。今津は「連合・全労連の敗北主義者たちは、闘えばさらに大きな弾圧が来ることに恐怖して、労働者の闘いを抑圧する。このことを見抜くことが必要」と言葉をかみしめるように訴える。
日本の労働者は、資本の過酷な搾取の現実の中で、低賃金で劣悪な労働条件、失業の恐怖にさらされている。人間性を破壊され、将来の希望も奪われている。しかも、既成の政党や労組指導部のもとで、その怒りを集約して政治的に表現することも難しい状況にある。既成労組指導部の抑圧を打ち破り、労働者の人間的感性に訴え、その怒りを呼び覚まし、団結し、社会変革の主体として闘うことを呼びかけなければならない。
職場闘争は労組役員が労働者の代理となって解決する闘いではない。労働者が闘いの主体となり、階級的に団結して、職場の力関係を変え、資本の労働者支配を打ち破っていく自己解放闘争なのだ。
11・5へ動労千葉に学ぶ 労働者の階級性に依拠し闘って勝利
今日の資本家階級による労働者への攻撃は、労資関係を19世紀の工場法以前の状態に戻す攻撃だ。しかも、同じ現象が世界中に広がっている。個々の資本の特殊性や悪意の問題ではない。資本は「国際的競争」という強制から逃れられない。資本家階級には「極限的な搾取と収奪」以外に選択肢がないのだ。だから労働者は、生きるためには資本と闘うしかない。労働者階級の歴史的な反乱は不可避なのだ。
これに対して資本家階級の労働者支配の基本政策は、労働者階級の上層を買収し、労働者の闘う層を弾圧し、労働者を分裂させ、階級として団結できないようにすることに尽きる。では労働者階級は資本にいつもいいように分断され、支配されてしまう存在なのか。闘っても必ず負けるのか。
(写真 「事故責任の転嫁は許さない」と仲間への処分策動に反対し てJ R干葉支社に押しかけた動労干葉組合員【5月16日】)
敵の矛盾点を見抜いて闘う
日本の戦後史は文字どおり階級闘争の歴史だ。
戦争直後の労働組合の結成と生産管理闘争、600万人の労働者を組織した47年2・1ゼネストとその挫折、レッドパージと50年朝鮮戦争、60年安保闘争と三井三池闘争、70年安保・沖縄闘争、スト権スト、国鉄分割・民営化……。階級闘争の歴史の中では、労働者階級の敗北もあり、後退や裏切りもあった。だが、日本の労働者階級の階級性や闘いが絶滅したことがあるだろうか。
ノーである。何よりも1980年代に中曽根政権が「戦後政治の総決算」をかけて仕掛けた国鉄の分割・民営化に対し、動労千葉は唯一、2波のストライキを闘い抜き、現在も団結と組織を守り通している。
確かに支配階級は、総評を解散させ、連合結成を実現した。今日、労働者が民営化・リストラ・賃下げ、非正規雇用化の攻撃のもとで困難な状況にたたきこまれているのは、既成労組(連合)幹部が攻撃に屈服し闘うことを放棄したからだ。
しかし、国鉄闘争と国鉄労働運動が資本・国家に対する対抗軸、労働運動の結集軸として残り、その根幹には動労千葉が存在する。それと並んで自治労や日教組、全逓などの労働者が現場レベルで連合指導部の転向を打ち破って戦闘性を維持してきた。連合は日本の労働者階級をまったく制圧できていないのである。
どうして動労千葉は国家権力の攻撃を打ち破りストライキに決起できたのか。動労千葉は、組合員に依拠して、その力で情勢を切り開いていく労働組合観で闘った。そして危機にかられた敵の攻撃に対し、敵の矛盾点を見抜き、労働者が団結して闘えば敵を揺るがすことができる、チャンスだと考えて闘ったからだ。
動労千葉の存在と闘いは、日本労働者階級の階級闘争の歴史の凝縮であり、支配階級の労働者支配の破綻(はたん)の象徴なのだ。労働者が本来持っている階級性に依拠して闘うならば、国家の総力をかけた攻撃でも団結を破壊することはできない。動労千葉はこれを生身で証明している。
労働組合を基に階級形成を
労働組合は、労働者が賃金や労働条件をめぐって抵抗し、要求し、闘うための基本組織だ。労働組合が団結の最も基礎的形態となって、労働者は資本と闘い、団結を発展させ、階級となる。労働者階級は労働組合を母体に、資本主義社会を転覆して支配階級となり階級社会を廃絶する能力を形成するのだ。
正規雇用と非正規雇用、民間と公務員などの分断をのりこえ、あるいは職場で資本に強いられる労働者同士の「競争」を打ち破って、労働者が階級として団結した時、資本家階級の支配は崩れる。労働者が自ら持つ力を自覚し、団結した時、労働者は無限の能力を発揮するのだ。
連帯労組関西生コン支部、港合同、動労千葉が「闘う労働組合の全国ネットワークをつくろう」と呼びかける11・5全国労働者総決起集会こそ、労働者が階級的に団結することをオーソドックスに訴える集会だ。動労千葉のように原則的に職場で闘う全国の労働者・労働組合が1万人結集し、呼びかけ3労組と連帯して闘うならば、日本の労働運動、階級闘争の発展が展望できる。
日本の青年労働者の状態にこそ、労働者が闘いに立ち上がる根拠がある。労働者は意思を持ち、血と肉でできた人間なのだ。労働者の反撃は不可避である。職場の隣の仲間に闘いを呼びかけよう。職場闘争とその展望を動労千葉労働運動と結びつけ、11・5労働者集会への結集を心から呼びかけよう。
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週刊『前進』(2265号4面2)(2006/10/09)
コミューン 11月号
決壊した階級支配
資本家階級による労働者支配は、全世界で崩壊を開始した。これまで労働者の決起をせき止めてきた堤防が全世界で決壊しつつある。
帝国主義の世界的軍事支配は、中南米、イラク、パレスチナ、レバノンの人民の闘いの前に敗北している。世界の労働者人民は自信と解放感を持っている。
労働者階級の団結を破壊し、歪曲してきた既成労組官僚の支配力も崩壊を開始した。世界の帝国主義的労働運動の中心だったアメリカのAFL−CIOの分裂は、世界の労働運動に巨大な解放的なインパクトを与えている。
特集の第1章では、この時代に、動労千葉が職場の団結を強めて勝利していることが、全日本、全世界の労働者の結集軸になっていることを明らかにしている。
第2章は、米帝支配、AFL−CIO支配の崩壊的現実のインパクトの大きさを述べている。
第3章は、イラク戦争参戦国=米韓英の体内から、階級的労働運動が台頭し、世界的な労働者の団結が求められていることを明らかにしている。
翻訳資料は、『米国家安全保障戦略』の(中)で、イランと北朝鮮への「大量破壊兵器」拡散を口実とした先制攻撃論、そして安全保障の観点からの自由貿易・自由貿易協定の徹底的拡大論などが述べられている。
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週刊『前進』(2265号6面1)(2006/10/09)
全国から10・8三里塚現地集会へ
農民圧殺の北延伸粉砕を 市東さんの耕作地を守れ
斉田 猛
9月15日、成田空港会社(NAA)は暫定滑走路の北延伸工事に着工した。9月21日には、市東孝雄さんの耕作地について堂本暁子千葉県知事が法を無視した耕作権の解約許可を決定した。騒音下の農民・住民の激しい反対の声を踏みにじっての農地強奪攻撃を許すな。10・8現地総決起集会への全力決起は反撃の決定的な突破口だ。
反対運動つぶしを狙う滑走路延長と農業破壊
北延伸工事とは、現在でも「頭上40bのジェット機飛行」という耐えがたい騒音にさらされている空港用地内の天神峰・東峰部落の農民の上に、今度は騒音のパワーレベルで百倍も高いと言われるジャンボ機を飛ばして、文字どおり力ずくでたたき出す暴挙である。
(写真 北延伸着工に断固反撃【9月17日】)
4年前、暫定滑走路を開業した空港会社は、飛行機を飛ばしても空港反対農民を屈服させることができなかったが、今度は、大型機を飛ばして追い出そうというのである。まるで騒音の人体実験を行うに等しい国家犯罪だ。
この北延伸は、ただ空港反対農民を暴力的に追い出すことだけが目的なのである。北延伸しても便数はほとんど増えない。「へ」の字誘導路や2カ所も信号をつけなければ運行できない東側誘導路、2500bに延長しても米東海岸までは飛べないなど、依然として欠陥は解消されない。黒野社長自身、早くも「本音は南側へ伸ばしたい」と語っている。
つまり、造っても便数が増えない北延伸計画の目的はただ一点、三里塚闘争つぶしなのである。反対運動をつぶして敷地内農家を追い出し、東峰区を更地にして本来計画の南側に延伸する(3300b化)、これが国交省・空港会社の狙いである。
こうした北延伸攻撃の最大の柱が天神峰・市東孝雄さんへの耕作権取り上げ攻撃だ。9月21日、堂本暁子知事は千葉県農業会議の答申どおり、耕作権の解約を許可した。
しかし、耕作権解約攻撃はどの角度から見ても違法だらけの暴挙である。そもそも当該の畑は市東さん宅が3代90年にもわたって耕してきた、かけがえのない農地である。戦後農地改革を受けた農民保護法=農地法のもとで、所有権に等しい権利として農民の耕作権は保障されてきた。それをあろうことか、農地法を「適用」して取り上げようというのだ。こんな行為は法律的におよそ成り立たない。
しかも1989年に収用法の事業認定が失効した。これは法的な意味での事業(空港)の「公共性」が消滅したことを意味する。市東さんの土地を含め敷地内の土地は、いかなる意味でも強制的な取得手段がなくなったということだ。国策でありながら法律を使って用地を取得するすべを失ってしまったのである。
そのあげくに出された今回の農地法を悪用した耕作権解約は、法的にはまったく成り立たない。すなわち@1988年の売買自体の無効(農地法3条違反)、Aその後15年間も市東さんに隠しつづけ、旧地主に地代を詐取させつづけてきた信義則違反、B買収した農地を15年間も転用しなかった違法(農地法5条違反)、C耕作権の解約を請求する権利が時効消滅していた(98年)のに、解約を請求した違法(民法167条違反)等々、農地法違反、民法違反のオンパレードだ。
今回の耕作権取り上げは、こうした明々白々の違法を自覚した上で強行しているきわめて凶暴な攻撃だ。「後の裁判で負けても当該農家をつぶしてしまえばいい」というのが空港会社の考えだ。
その背後には、40年間、国家権力に抵抗してきた農民たちを暴力的にたたきつぶそうという、国家権力の激しい階級意思がある。三里塚は1988年収用委審議再開阻止闘争以来の決戦を迎えたのだ。反対同盟が今求めているのは労働者階級の組織的な力である。日本の民衆運動史上、最大最高の砦(とりで)である三里塚を守りぬくため、今こそ80年代以来の結集を実現しよう。
権力と闘う拠点を守り改憲阻止へ打って出る
今回の三里塚破壊攻撃が、館山運転区の統廃合による動労千葉破壊や法政大学生運動の破壊と同時にかけられているのには、理由がある。教育基本法改悪、共謀罪、自衛隊の海外派兵恒久法や防衛省法案、集団的自衛権行使の容認などをはじめとして、安倍新政権による改憲攻撃は従来と一線を画した激しさで進められている。
そして、改憲攻撃の最大の焦点として浮上してくるのは、権利や拠点をめぐる抵抗と闘いの実体の破壊である。「日の丸・君が代」強制反対闘争の例が典型的だが、東京都教育委員会が03年10・23通達で、現場に強制するという攻撃に出ても、200人、300人の単位で強制を拒否する闘いが巻き起こると、通達そのものが実効性を失ってしまうのだ。その結果、「日の丸・君が代」予防訴訟で勝利判決も出た。
だから、動労千葉、法政大学、三里塚闘争という3大闘争拠点に破壊攻撃が集中してきている。ありとあらゆる弾圧にも買収にも屈しなかった農民たちが現に存在している。三里塚闘争はその点で、最大級の国策とそのもとでくり出される国家暴力の全面的な発動と対決しぬいて勝利し、拠点を守りぬいてきた闘いである。だから、改憲攻撃の中でこそ三里塚の抵抗闘争が輝くのだ。
また、今回の市東さんへの耕作権取り上げ攻撃は、農民総体にかけられた憲法改悪攻撃という意味を持っている。
改憲攻撃は最後的な農民切り捨てである。今年6月14日、いわゆる「担い手新法」(注)が成立した。その目的は現在300万戸といわれる農家を、40万戸に減少させるところにある。営農のための補助金と融資は40万戸に集中して、残り260万戸を切り捨てる政策である。そのために農地法そのものを抹殺する攻撃が、経団連を先頭に本格化している。今回の市東さんへの攻撃はその一環である。市東さんの問題は農民層全体の存立がかかる闘いとなったのだ。
「数こそ力」だ大結集運動を
三里塚闘争は20年ぶりに力勝負の決戦に突入した。反対同盟を支える力とは何か。階級的な結集力である。10・8全国集会をなんとしても大成功させなければならない。反対同盟は労働者階級とともに進むことが三里塚闘争の究極の勝利の道であることを確信し、自ら11・5労働者集会1万人決起の一翼を担うことを宣言している。
いま三里塚に必要なことは、現地への圧倒的な結集運動だ。とりわけ市東孝雄さんへの農地強奪攻撃を跳ね返す足がかりを10・8全国集会で作り出さなければならない。権力は法を無視した暴力の発動に出てきたのであり、闘いは物理的な結集力がカギとなる局面に突入した。「1人が必ず1人を連れて行く」という動員運動を復活させよう。
改憲攻撃を阻止するためには労働者と農民の連帯した力が必要だ。10・8三里塚に労農同盟の新たな旗を打ちたてよう。11・5労働者集会1万人決起の成功を反対同盟農民とともに実現しよう。
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(注)「担い手新法」
(農業の担い手に対する経営安定のための交付金の交付に関する法律)
零細農家への援助を打ち切る農業切り捨て政策の一環。今まで全農家に対し農産物の品目別(米、麦、大豆など)に支給していた一律支援をやめ、国が認めた一定の経営面積を持つ「担い手」(認定農業者は4f以上、「集落営農組織」は20f以上)に限定する法律。07年4月施行。
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週刊『前進』(2265号6面2)(2006/10/09)
大結集を訴えます
権力の違法許さない 事務局長 北原 鉱治さん
法律を作った者が法律を守っていない、闘うわれわれの側が権力の側の違法、脱法を許さず、厳しく糾し、法を順守することを求めている、それが今の三里塚をめぐる現状だ。
千葉県の農業会議での採決を傍聴席から目の当たりにして、本当に憤りに堪えなかった。反対同盟は、農業・農民を保護し農地を守るべき農業会議が法と道理に則って審議を尽くし職務を果たすことを訴える申し入れを行ってきたが、それをきちんと読んだ者がいたのだろうか。
千葉県の農地課の事務局がNAAの主張そのものの作文を棒読みして、採決した。事前に「共謀」が成立していて、まともな審議もなかった。あれでは誰が見ても納得できない。私たちもやむにやまれぬ気持ちで弾劾の声を発した。
市東さんの耕作地は祖父の代から90年も耕作が続いている。当然のことながら、地代は地主にきちんきちんと払ってきた。ところが18年前に当時の空港公団、現在のNAAはこっそり土地を買収し、市東さんに対してはそれを隠していた。そして今になって、「へ」の字に曲がった誘導路を直線化するのにじゃまだから、出て行けと。こんなことでかけがえのない農地が左右され、農民の手から奪われるとしたら、あまりにもひどい。
肥沃な農地を取り上げる横暴が大手を振ってまかり通ったら、農業の将来、日本の将来は閉ざされる。絶対に認めるわけにはいかない。こんなやり方でしか進められない「北延伸」を絶対に粉砕しよう。
三里塚は40年の闘いの歴史をかけて決起する。10・8現地総決起集会へ全力で結集されることを強く訴えます。
農民として胸を張り 事務局次長 萩原 進さん
農業会議とか農業委員会というのは、農業を守る、農業を育成する、農業技術を高める、そういう機関のはずだ。戦後の食糧難や農地解放という状況の中で、農地は守るべきものとされてきた。
本当なら「知らないうちに空港会社に耕作地を買収された。この土地を返してくれ」と、そういう市東さんの救済の申し出を受け付けるべき機関だ。それを逆に、収用法で取れない土地を農地法で取り上げる、それに農業会議がお墨付きを与える、そんな信じられないデタラメなやり口が実際に行われた。
最近、法人化農業、企業傘下の農業ということがしきりと言われている。家族的農業形態が否定されながら。農政が切り替わってきた。9月13日の農水省の発表を見ると、農業法人の要件緩和が検討されている。企業は今までは休耕農地しか手に入れられなかったけど、大々的に農地そのものをも買い受けて、農業部門に進出してくると、そういうことに踏み込んできたわけだ。
次に来るのは工場農業というか、まるで工業製品のように作物を生産することだろう。われわれに言わせれば食べ物ではなくエサを作る、そういう農業の形態に移行しようとしている。そのためには今の300万戸の農家を40万に減らしてしまおうという大きな流れの中にある。
そして食糧自給率を高めるために、大規模農家に土地を集約すると言っている。だけどもそういう形の農業は先進国といわれるところも含めソ連のコルホーズ、ソフホーズやアメリカでも、全部失敗してきた。日本の農村形態から言ってもそういうのは相入れない。そこを大資本と権力が、無理矢理介入して日本の農業のあり方を破壊・変質しようとしている。
空港と市東さんの土地の問題は同じ位置にあるわけだ。市東さんのやってるのは、今日本でこういうやり方で農業をやれば成り立つんだと、農民として胸を張って受け継いでいくと言えるものなんだ。それを空港にじゃまだから出て行けと。まさに日本の農業の岐路が訪れている。
千葉県農地課が、「1億8千万円やるから補償は十分だろう、換算すれば150年分だ、これで出ていけ」と言い放った。これは農業とか農民とか口にする以前の人間性をも問われる暴言だ。
こんなのに勝たなかったらどうなるのか! 主役である市東さんが断固闘うと表明している。10・8全国集会は着工情勢まっただ中で闘われる。この畑を守るんだという気構えで、圧倒的な結集で現地に臨んでほしい。
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週刊『前進』(2265号6面3)(2006/10/09)
北富士 サマワ模擬施設跡で集会
11月実弾演習阻止を誓う
9月24日、北富士演習場のサマワ宿営地模擬施設跡地で忍草国有入会地守る会と忍草母の会主催の北富士総決起集会が開かれ、関東各地から百人が結集した。
(写真 「入会地を取り戻すぞ」とシュプレヒコール。中央右が天野正子さん、左が大森ふじえさん、その左が鈴木いとさん【9月24日 北富士】)
正午からの集会ではまず、母の会事務局長の天野美恵さんが、「ここがサマワの模擬施設をつくっていたとこです。入会組合が演習反対の闘いでテントを張ったりしたとこです。自衛隊の土地だと言っていますが、ここは忍草の入会地です。宿営地模擬施設が撤去されたのは、毎回みなさんが来て申し入れをしたおかげと思っています」と闘いの成果を確認した。
主催者あいさつに立った国有入会地守る会の天野豊徳さんは「米軍再編の中で沖縄海兵隊の一個大隊が本土に移駐してくる。北富士を始め海兵隊の本土移転演習の五つの演習場で小火器の演習を迫っている。北富士の地元自治体は演習を認めている。そうなれば機関銃やロケット砲の演習が頻繁に行われる。入会地を守るために今まで以上に闘おう」と訴えた。
連帯のあいさつでは、三里塚芝山連合空港反対同盟婦人行動隊の鈴木いとさんが登壇した。鈴木さんは、「三里塚も今決定的闘いに入っています。市東孝雄さんの農地を守る闘いです」「私の家も暫定滑走路の騒音直下にあって、毎日騒音と私服刑事の監視の下で生活しています。嫌がらせには絶対負けないで闘います」と決意を語った。
動労千葉のメッセージが読み上げられた後、反戦共同行動委員会を代表して在本土沖縄青年が発言。「辺野古の海上基地建設はキャンプシュワブ内の埋蔵文化財の発掘調査をめぐって命を守る会を始め現地の人びとが防衛施設局との実力攻防を繰り広げている。ともに闘おう」と呼びかけた。
反戦兵士と連帯する会の小多基実夫さんは、「陸上自衛隊はサマワの人びとに感謝状をお願いしたが、きっぱりと断られた。イラクの人びとから石を投げられて、陸路では帰れず、米軍ヘリで輸送してもらった。これはイラク戦争反対の闘いがかちとった地平」と北富士闘争が切り開いた成果を明らかにした。
全学連の織田陽介委員長は、「安倍が登場してついに革命の時が来た。街宣をやっても安倍への怒りはものすごい。こいつは本当に戦争をやろうとしていると。改憲なんて絶対許さないという怒りが充満している。法政大学の開講日に学生百人が学生部長を取り囲んで追及する闘いがまき起こっています。この秋にも無期限のストライキに突入したい」と決意を明らかにした。
集会宣言を婦人民主クラブ全国協の丹治孝子さんが読み上げ、富士山に向かって力強くシュプレヒコールをあげ、11月実弾演習阻止を誓った。
集会後、参加者は車で演習場中央の高台に上がり、第一の小屋のあった場所やゲリラで入った場所の説明を受けた。広大なススキの原を見て、参加者は、あらためてここが忍草農民の命の山であったことを実感した。
その後、場所を移して交流会がもたれた。写真パネルを見ながら忍草の人たちのゲリラの説明を受けた。母の会の闘いが愉快に語られ、「信念は貫きたい」との決意が語られた。ご馳走に舌鼓を打ちながら、忍草農民とともに北富士闘争勝利の決意を新たにした。
(写真 高台で天野美恵事務局長から説明を受ける参加者)
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週刊『前進』(2265号6面4)(2006/10/09)
9月20日〜26日
極右改憲の安倍政権が発足
「都教委通達は違憲」の判決
●タイ軍「権力掌握」発表 タイで19日夜にクーデターを起こしたソンティ陸軍司令官をリーダーとする「民主改革評議会」が憲法を停止して全土に戒厳令を布告、「権力を掌握した」と発表した。(20日)
●安倍新総裁を選出 自民党総裁選の投開票が行われ、安倍晋三官房長官が第21代総裁に選ばれた。各候補の得票数(得票率)は、安倍晋三267(66%)、麻生太郎136(19%)、谷垣禎一102(15%)だった。(20日)
●「教基法改正は最重要」 安倍官房長官は総裁就任後の記者会見で、通常国会で継続審議となった教育基本法改正案について「最重要法案として取り組んでいきたい」と述べた。(20日)
●「日の丸・君が代」強要は違憲 入学式や卒業式で「日の丸」に向かっての起立や「君が代」の斉唱を強要するのは不当だとして、東京都立の高校や養護学校などの教職員が都教委を相手に、起立や斉唱義務がないことの確認などを求めた予防訴訟の判決公判で、東京地裁の難波孝一裁判長が、違反者を処分するとした都教委の通達や職務命令は「少数者の思想・良心の自由を侵害する」として違憲・違法と判断、起立・斉唱義務がないことを確認し、違反者の処分を禁止した。さらに、401人の原告全員に1人3万円の慰謝料を払うよう都に命じた。(21日)
●都知事、「控訴は当然」 「日の丸・君が代」の強要は違憲だとする東京地裁判決について、石原都知事は記者会見で「控訴するのは当然」と語り、都立学校の教職員に起立や斉唱を指示する方針を見直す考えはないと述べた。都教委は、臨時の校長連絡会を開き、都立学校長約250人に対し、「これまでどおり通達に従ってほしい」とあらためて指示した。(22日)
●自民幹事長に中川秀直政調会長
安倍自民党新総裁は、幹事長に森派の中川秀直政調会長、政調会長に伊吹派の中川昭一農水相、総務会長に丹羽・古賀派の丹羽雄哉元厚相の起用を決めた。党総務会で正式決定した。幹事長代理には石原伸晃元国交相を起用した。(25日)
●民主・小沢代表が入院 民主党は東京都内で臨時党大会を開き、小沢代表の再選を承認した。小沢代表は、菅直人代表代行、鳩山由紀夫幹事長を再任した。しかし、大会直後に小沢代表は体調不良で都内の病院に検査入院した。26日の首相指名の国会には出席したが、代表質問には出られないことになった。(25日)
●シュワブ調査、阻止行動1人逮捕 普天間飛行場代替施設建設に伴う埋蔵文化財調査で、名護市教育委員会はキャンプ・シュワブ内の兵舎移転先となる地点の埋蔵文化財調査に着手。新基地建設に反対する住民らが阻止行動を展開したが、警察は平和市民連絡会の平良夏芽共同代表を不当逮捕した。阻止行動では初の逮捕者。平良牧師は名護警察署で抗議のハンスト。27日釈放。(25日)
●安倍内閣が発足 衆参両院の首相指名投票で自民党の安倍晋三総裁が第90代首相に選ばれ、自民、公明両党による連立内閣を発足させた。自民党総裁選で功績があった派閥やグループに配慮しつつ、保守色の強いメンバーを閣僚やスタッフに積極的に起用した。特に、政策立案のために新たに配置した首相補佐官5人は首相の側近で固め、官邸主導で安倍カラーを出していく布陣をとっている。(26日)
●拉致問題に対策本部 安倍内閣は初閣議で、北朝鮮の拉致問題について「対策本部を設け、専任の事務局を置き、総合的な対策を推進する」ことを決めた。(26日)
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週刊『前進』(2265号7面1)(2006/10/09)
11・5学生千人結集を実現し安倍打倒・日本革命へ進撃を
革共同中央学生組織委員会
戦闘宣言
全国の学友の皆さん。3・14法大弾圧を跳ね返して06年前半戦に勝利したわれわれは、全学連大会を経て300万学生の総決起を本当に実現する全学連へ大飛躍をかちとった。「世界戦争か世界革命かの歴史選択を実現するのは、われわれ自身の闘いだ」という革命的気概こそ、その核心だ。
この全学連大会の地平を踏まえ、今秋、安倍政権打倒へ進撃しよう。9・26臨時国会開会日決戦は大爆発した。法政大学では開講日から大攻勢を開始している。予防訴訟勝利判決を受け、「日の丸・君が代」強制と闘う被処分者を先頭に教育労働者が国会闘争への総決起を開始している。共謀罪法案を永久に廃案にする闘いも始まっている。米軍再編の大攻撃の中で三里塚・沖縄をめぐる大決戦が実力闘争として開始されている。10・8三里塚全国集会を始め、これらのやり合いをとことん闘い、勝ち抜いて、そのすべてを11・5全国労働者総決起集会への学生1千人結集として大爆発させよう。
11・5集会は「たたかう労働組合の全国ネットワークをつくろう!」「改憲・戦争と民営化―労組破壊にたち向かう労働者の国際的団結を!」を合言葉に、闘う3労組の呼び掛けで開かれる。職場で資本と非和解的に対決し、戦争と民営化を打ち破る労働者の階級的団結にこそ、安倍改憲内閣を根底から吹き飛ばす力がある。11月集会へ全国学生の大合流を実現し、日本革命―世界革命の火ぶたを切ろう。
10・20法大1万人集会→スト突入へ
11・5労働者集会への学生1千人決起が可能である第一の根拠は、法大決戦の大勝利をわれわれが確信している点にある。10・20法政大学1万人集会の爆発と無期限ストライキへの突入をもって、全学連は階級情勢を一変させる。「安倍政権など学生の大行動で打ち倒して当然」「300万学生にはその力がある」と誰もが確信する情勢を法大決戦の勝利を突破口に実現する。
法大で始まっている処分を始めとした大攻撃は、安倍が政権公約に掲げた改憲と教育基本法改悪の発動そのものだ。300万学生に「規範意識」をたたき込むとは、安倍とその手先に従わない存在は大学から処分・放逐するということなのだ。何より9条改憲を成し遂げるためには改憲に反対する学生を大学から一掃する以外ないのだ。
しかし、平林・安東・安倍に従う学生などいない。やつらの階級的意図を示しているのが次の二つの発言である。
「人間というのは、ほったらかしにすると野性化する、野獣化する、そ れをどう飼い慣らすか……その重要な文化装置の一つが宗教だったわけです。それから学校です。軍隊、スポーツもそうでしょう。……徹底的にその場でしごくわけです。『飼い馴らし』と言ってもいいかもしれません。そういう役割を本来の学校は果たしていた」(山折哲雄・京都造形芸術大学大学院長――教育改革国民会議にて)
「大学の役割は民間の会社と同じだ。原材料(学生)を仕入れ、加工して製品に仕上げ、卒業証書という保証書をつけ企業へ出す」(高橋宏・首都大学東京理事長)
これが資本家の手先どもの大学観なのだ。しかし、法政大学の現実は安倍が根底的に破産していることを日本中に明らかにしている。3・14弾圧の29人名逮捕は法大1千人の決起をつくり出した。3万法大生は誰ひとり平林を支持しない。それどころか法大生は無期限ストに向けて続々と立ち上がっている。学生から表現の自由、政治行動の自由、サークル活動の自由を奪い取ることなど不可能なのだ。学生は資本家の奴隷ではない。自分の意志と希望をもって行動する、大学の主人公だ。
われわれは法大闘争を全力で闘い、必ず勝利する。処分撤回、平林・安東・安倍を打倒する10・20法大1万人集会の大爆発を実現しよう。「学生が団結すれば、国家権力も大学当局も軽々とたたきのめすことができる」ことを全国・全世界に示そう。法大の大勝利を突破口に、11月に向かって学生が怒濤(どとう)のように決起する情勢をつくり出そう。
教基法改悪・改憲阻止-300万ストを
11・5労働者集会への学生1千人決起が可能である第二の根拠は、自らの大学を砦(とりで)にして、教育基本法改悪・改憲阻止、安倍政権打倒のゼネストに攻め上る巨大な大衆運動の実現をわれわれが決断している点にある。
教基法改悪・改憲攻撃は全国学生に襲いかかっている。とりわけ東北大学・有朋寮への最高裁上告受理申し立て棄却は重大な攻撃だ。われわれは強制執行を断固として粉砕する。
安倍は臨時国会での教基法改悪に全力を挙げている。国家権力による教育への支配・介入を排した現行教育基本法第10条を作り替え、「(教育は)この法律及び他の法律の定めるところにより行われるべきもの」(第16条)として、教育を国家が支配する。さらに第2条(教育の目標)を新設し、教育の目標として「公共の精神」「我が国と郷土を愛する」ことを盛り込むことを狙っている。
その階級的核心は日教組運動の解体・一掃にある。大学に引きつければ、大学自治の一掃と国家・資本による大学の独裁的支配、大学の帝国主義戦争への動員だ。
実際、安倍は大学の9月入学を導入し、「(入学まで)4月から9月の間にボランティア活動をやってもらうことも考える必要がある」と述べ、奉仕活動を義務づけようとしている。徴兵制(兵役義務制)への布石だ。教基法改悪を許せば、大学は、学生に「規範意識」「愛国心」をたたき込み国際競争を推進する資本家の道具に作り変えられ、学生は侵略と戦争の先兵に仕立て上げられるのだ。
これは改憲と完全に一体の攻撃だ。憲法第9条2項の改悪による自衛軍の新設は、敗戦帝国主義から戦争をやりぬく帝国主義への大転換である。改憲とは、戦後革命以来の階級闘争をつうじてつくられてきた階級関係を支配階級の側から転覆するクーデターそのものである。4大産別(国鉄、全逓、教労、自治体)労働組合運動の解体なしには、逆にプロレタリア革命の爆発をもたらすのだ。
法大決戦と教基法改悪阻止・改憲阻止の闘いを結びつけ、国会闘争を波状的に爆発させよう。この激突の中で、安倍政権を打倒する300万学生ゼネストを、拠点大学を先頭に全国あらゆる大学で実現しよう。敵の支配を日々打ち破り、キャンパス丸ごとを解き放つ大衆決起を実現しよう。この大高揚の中から11月労働者集会への大結集を実現しよう。
動労千葉と合流し安倍を打倒しよう
11・5労働者集会への学生1千人決起を実現できる第三の根拠は、学生運動の階級的労働運動への合流が持つ展望のあまりのでかさだ。こんなに価値ある行動に立ち上がらない学生はいない。
世界を見ればこのことは明らかだ。フランスのCPE(初期雇用契約=若者向け雇用制度)粉砕はどうやってかちとられたか。韓国の労学はどう闘っているのか。何より改憲攻撃を繰り返し粉砕してきた日本の階級闘争はどう実現されてきたのか。常に学生が階級的労働運動に大合流し、労働者とスクラムを組んでともに闘ってきたのだ。日帝のもとでなんら未来がない300万学生にとって、動労千葉労働運動は体制変革の生きた展望そのものだ。この闘いに感動しない学生はいない。この大合流を実現すれば、安倍政権など粉々に打倒できるのだ。
確かに安倍は「戦後レジーム(戦後体制)からの脱却」=全面的改憲を掲げ、「教基法改正案は最重要法案として取り組む」と宣言している。「ともに汗を流す安保」を呼号し、敗戦帝国主義から戦争を行う帝国主義への転換へ、きわめて凶暴に突進している。
しかし、日帝は帝国主義の「最弱の環」に没落しきっており、安倍政権は登場の時点ですでに破産している。
第一に、米帝バブルの大崩壊を、日帝は1051兆円(予算の13倍)もの公的債務に示される財政破綻(はたん)の中で迎えている。日帝はこの一点をとっても労働者階級人民を生かすことすらできず、ひたすら4大産別労働運動への大攻撃と社会保障の切り捨て、大増税を強行し、9条改憲を突破口とする展望なき帝国主義戦争に米帝とともに突き進む以外ない。
第二に、帝国主義戦争がすでに開始された時代にあってアジア勢力圏化に致命的に立ち遅れている。日帝は日米欧の中で唯一、勢力圏といえるFTA(自由貿易協定)圏を持ちえていない。
第三に、しかし、日帝はこれらの危機を打開できる階級支配の展望をまったく打ち立てることができていない。6千万労働者階級は窮乏にたたき込まれ、改憲・戦争への怒りと危機感を蓄積し、行動を開始している。その軸心に、戦後階級闘争の地平を体現した動労千葉が立ち、4大産別労働運動が敵の攻撃を跳ね返して立っている。小泉政権が破綻を重ねた5年間、日本の労働者階級は階級的団結を一歩ずつ発展させ、06年前半国会闘争で総反撃に立ち上がり、今、安倍政権を迎え撃っているのだ。
300万学生が階級的労働運動に大合流した時、現体制を粉々に打ち砕く行動に奔流のように立ち上がることは不可避だ。その突破口を11・5集会学生1千人決起で実現しよう。
11月大結集で世界革命への扉を開く
国際的な革命情勢が音を立てて接近している。11月労働者集会の爆発は、この情勢を世界革命の実現へ推し進める突破口だ。全国学生はその先頭で闘おう。
アメリカにおける住宅バブルの崩壊は、帝国主義者たちを恐怖と絶望にたたき込んでいる。米家計は年間6千億j(約69兆円)もの住宅ローンに依存して消費を拡大してきた。米家計の負債総額は11兆1420億j(約1280兆円)に膨らんでいる。史上空前の米住宅バブル崩壊はドル暴落を不可避とする。米帝への輸出でかろうじて成り立ってきた帝国主義世界経済を劇的に吹き飛ばす。すでにアメリカではヘッジファンドが巨額の損失を出して破産する事態が続発している。
恐慌情勢の中で世界最大の基軸帝国主義・米帝は自ら率先して戦後世界体制を破壊する帝国主義戦争を発動し、世界支配を軍事的に再確立しようとしている。米帝ブッシュはこの戦争を「長期の戦争」と宣言し、残存スターリン主義・中国の転覆を戦略に組み込んでとことん拡大している。EU諸国はこれに対抗して自ら軍事力行使と再分割戦に乗り出している。日本の資本家どもは、あまりの危機の深さと戦後階級闘争の地平の前に追いつめられ、極右・安倍に支配を託す以外なくなっている。
資本主義はもう終わっているのだ。やつらに未来などない。その対極で労働者階級と被抑圧民族人民の希望あふれる闘いが世界革命の実現に向かって日々前進している。ここにこそ未来がある。米帝を破滅に追い込んだイラク人民の闘いを見よよ。アメリカの移民労働者の巨万の決起を見よ。フランスでCPEを打ち砕いた労働者・学生の闘いを見よ。ゼネストに繰り返し立ち上がっている韓国・民主労総の闘いを見よ。まさに国際革命が急速に接近している。
11月労働者集会は、資本主義時代を歴史のくずかごにほうり込み、労働者の時代を打ち立てる国際革命の幕開けだ。安倍政権を打倒し、日本革命を突破口に反帝国主義・反スターリン主義世界革命へ勝利の進撃を開始しよう。学生戦線はその先頭に立とうではないか。
最後に、すべての学友にマルクス主義学生同盟中核派に結集することを熱烈に呼び掛けます。改憲阻止決戦を自らのキャンパスで闘い、この社会に貫かれている階級対立をつかみとり、労働者階級の自己解放にこそ社会変革の展望を見いだそう。そのための団結がマル学同だ。青年労働者と学生の力で時代を丸ごと動かそうではないか。
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週刊『前進』(2265号7面2)(2006/10/09)
暴力ガードマンたたき出せ
法政大の被処分者の学生は、大学からの排除を狙う暴力ガードマンとの激戦激闘を連日闘い抜いている(写真=9月27日)。「東京警備保障」の暴力ガードマンは、被処分者の学生を羽交い締めにして道路にほうり出す、地面に押し倒すなど蛮行をくり返している。
しかし闘う法大生は、スクラムを組んでキャンパスに踏みとどまり、逆にガードマンを徹底追及する闘いに決起している。ガードマンはこの追及の前に完全に逃げ腰だ。処分撤回を求めるストライキ決議もクラスで続々と挙がり、学生の怒りも日々高まっている。
安東学生部長らは法大生の闘いに追い詰められ、開講日以降は姿を見せることもできなくなっている。警察と暴力ガードマンに頼ることなしに平林総長の独裁体制など一日も成り立たないのだ。平林体制総瓦解(がかい)の日は近い。たたき出されるべきは暴力ガードマンであり、平林、安東だ!
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週刊『前進』(2265号7面3)(2006/10/09)
辺野古闘争 遺跡調査(新基地着工)に怒り
不当逮捕に全国から抗議
9月25日、日帝・那覇防衛施設局と名護市教育委員会は、辺野古・新沿岸案への事実上の着工であるキャンプ・シュワブ内の「遺跡発掘調査」を強行した。
15日に続いて再度機動隊を導入し、先頭で阻止行動を指揮していた平和市民連絡会共同代表・平良夏芽牧師を見せしめ的に不当逮捕した。3日後の27日、「処分保留」で釈放・奪還したものの辺野古闘争が始まって約10年、初めての県民の逮捕であり、絶対に許すことはできない。日帝・安倍政権は米軍再編=辺野古新沿岸案を貫徹するために国家暴力をむき出しにして襲いかかってきた。辺野古闘争への支援を強化しよう。
正門前で激突
25日、早朝から「抜き打ち的に調査があるようだ」との連絡が飛び、急きょキャンプ・シュワブのゲート前に約20人が集まった。15日に機動隊が導入された際、調査主体である市教委は「学術調査のためにけが人や逮捕者が出るのは避けたい」と調査の延期と反対運動側の話し合いを重視すると言明していた。今回の市教委の抜き打ち調査強行は明らかに裏切りであり、新基地建設をごり押しする防衛施設局の片棒をかつぐことを宣言するに等しい暴挙だ。
反対派の抗議を恐れた防衛施設局職員はすでに早朝、逃げるように基地内に入っていた。午前10時すぎにはゲート前には制服や私服の警官約50人が恫喝的に「車道に出るな」と規制を始めた。ほどなく市教育委員を乗せたワゴン車が猛スピードで突っ込んできた。一斉に阻止行動参加者が路上に出て車両を止めようとするが、警察・機動隊がタックルをかましたり、羽交い締めにするなど乱暴狼藉(ろうぜき)を働き、現場には怒りの声と悲鳴が飛んだ。
そんな中、陣頭指揮をとっていた平良夏芽牧師が話し合いを求め、車両を止めようと前に立ちはだかった。しかし車両はスピードを緩めず、平良牧師は危うく引き倒される危険にさらされ、さらに警察官によってアスファルトの路上を引きずり回されて、顔や腕などを負傷した。結局、市教委は数を頼みに強引に基地内に入って行き、「遺跡調査」を強行したのだ。
その後、平良牧師ら数人が警察に抗議する中、公安刑事が平良牧師を「けがをした状況を事情聴取したい」と連れ出し、そのまま警察車両に監禁、「公務執行妨害で逮捕する」と告げて名護警察署に連行したのだ!
阻止行動参加者はただちに名護署前に直行して抗議。やがて急を聞きつけて、市内はもとより県内各地からも続々と名護署前に集まり、抗議の声を上げた。平良牧師も留置場で抗議のハンストに入った。
それから3日間、午前と夕方、抗議集会が警察の規制を突破して名護署前で続けられた。毎回、金城祐治代表を先頭に「命を守る会」のおばあたちが最前列に陣取り、抗議を続けた。名護署には全国から抗議電話が殺到、ファックスもパンク状態になったという。
新基地阻止へ
27日、ついに権力は平良牧師を釈放せざるを得なかった。釈放後、ただちに名護署前で奪還勝利集会がもたれ、平良さんは「取り調べで『あなたはこれからも実力阻止を続けるつもりですか?』と質問された。完全黙秘していて答えられなかったから今答えます。人殺しの基地建設を止めるために何度でも体を張りたい。今まで以上に力を尽くしますよ」と語り、歓声と拍手に包まれた。
今回の弾圧は、新基地建設実力阻止という立場を貫いて闘うすべての沖縄人民への弾圧だ。安倍政権は登場と同時に「改憲・米軍再編=沖縄圧殺を暴力的に強行する」と宣言、実行したのだ。怒りを燃やし、改憲阻止の大運動と一体の闘いとして名護新基地建設を阻止しよう!
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週刊『前進』(2265号7面4)(2006/10/09)
11・15ゼネストへ進む民主労総
公務員労組に事務室閉鎖の攻撃
9月11日、ノムヒョン(盧武鉉)政権は、韓国労総を取り込み、経営者総協会、大韓商工会議所、労働部、労使政委員会の5者による労使関係先進化ロードマップ合意を強行した。民主労総も参加した労使政代表者会議で議論をしてきたが、土壇場では民主労総は招集すらされなかった。ノムヒョン政権の「社会的合意」が戦闘的労働運動の解体(=民主労総の取り込み、解体)でしかないことが暴かれた。
(写真 「公務員も労働者だ。労働3権を保障せよ」と訴える全国公務員労組ソウル地域本部の組合員(9月17日 ソウル】)
民主労総ソウル地域本部は12日、全国非正規職労組連帯会議、新自由主義粉砕とノムヒョン政権退陣のための共同闘争本部(準)とともに声明を発した。「特に複数労組許容は、数十万中小零細の非正規職労働者たちには『民主労組、連帯労組』を掘り起こす唯一の希望だった。これを正規職中心の一部既得権勢力の支持のために3年も縛っておくとは、『労働運動の後退だ』」と激しく弾劾した。9・11密室野合によりロードマップ立法化=労働法改悪攻撃との攻防の日程は確実に繰り上がった。
続く19日、民主労総は38次代議員大会を開き、韓国労総との連帯を破棄、ノムヒョン政権退陣闘争を宣言した。11月下旬とも言われたゼネスト方針を繰り上げ、11・11、12全国労働者大会をゼネスト前夜大会としてかちとり、11月15日に無期限ゼネストに突入することを決めた。
民主労総は創立11年目となる今年の全国労働者大会を11月11、12日にソウルで開催、30万人の大結集をめざす。11日には各産別連盟が主催する産業別労働者大会、12日には総連盟次元の全国労働者大会が開催される。
(写真 〔上左〕公務員労組鐘路区役所支部事務室を閉鎖【9月22日】〔上右〕警察がK T X乗務支部組合員を襲撃【26日 ソウル】)
◆労働3権を要求
韓米FTA締結に向け、ノムヒョン政権の労働弾圧は、過去の軍事独裁政権時をも超えるものとなっている。
今最大の攻防点が、全国公務員労組に対する労組事務室閉鎖攻撃だ。ノムヒョン政権は「公務員労組特別法」(今年1月28日施行)により団体行動権を奪ったまま、「この法のもとに労組設立申告を行え」と要求してきた。しかし、公務員労組は「労働3権を保障しない特別法は認められない。あえて法外団体の道を行く」と宣言、251支部14万組合員が民主労総に加盟した。
今春、刑事弾圧との攻防を闘ってきた公務員労組に8月末、労組事務室閉鎖攻撃が始まり、9月22日未明には全国一斉に事務室強制閉鎖が襲いかかった。前夜から事務室を死守して立てこもった組合員らとの激しい攻防の末、100人もの組合員が連行された。25日現在、251支部中、地方自治体にある約170支部の事務室のうち約80カ所が強制閉鎖された。
すでに9月12日から抗議のハンストを続けているクォンスンボク公務員労組委員長は、「事務室は閉鎖されても、民衆とともに公務員の生存権を死守しようとする14万組合員の情熱を閉鎖することはできない」と語り、ノムヒョン政権退陣闘争の先頭に公務員労組が立つことを明らかにした。
◆非正規職撤廃!
今年3月1日から鉄道公社に正規雇用を要求してストライキを続けているKTX(韓国高速鉄道)乗務支部の女性労働者たちが25日、「ソウル地方労働庁は鉄道公社の外圧に屈するのか」と、ソウル地方労働庁ロビーに座り込んだ。7月に提出した不法派遣再調査関連陳情が握りつぶされたままなのだ。しかし翌朝、座り込み現場に警察権力が投入され、スクラムで抵抗する組合員50人余が強制連行された。
弾圧直後、髪を剃(そ)り、ハンストに突入、「非正規職撤廃」のハチマキをまいたソウルKTX乗務支部のミンセウォン支部長は、「一人の人間が別の人間を支配し、奴隷として働かせることはできない。私たちの団体行動が違法だと言うなら、彼らの不法行為はなぜ保護されるのか」と叫んだ。
(室田順子)
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週刊『前進』(2265号8面1)(2006/10/09)
山田杉並区長による天皇賛美強制と闘う 東京・杉並 飯野依子
「つくる会」教科書を採択した天皇賛美の山田区長が、今度は9月6日〜8日までの3日間、区役所とその出先施設で「日の丸」掲揚を強制する通知を発した。秋篠宮夫妻に男子が誕生したことを「祝え」というのだ。
この通知を受け、区教委が区立学校での「日の丸」掲揚を強制した。このような通知は、皇太子夫妻に女子が誕生したときにも行われておらず、都内では杉並だけだ。憲法に保証される基本的人権、思想信条の自由や男女平等を無視し、教育基本法10条の行政の不当な介入にあたる暴挙だ。
また8日〜12日、宮内庁ですら設けていない記帳所を区役所ロビーに設けた。区総務部によれば、「国や都からの指示ではなく、杉並区独自の判断で」「詳しく調べたわけではありませんが、東京では杉並だけ」「時間がなく、会議で決めたものではございません。職員にはメールで連絡しました」。山田区長の独断専横でやったのだ。
この異常な祝賀の強制に区内二つの教職員組合をはじめ、市民団体や個人から抗議の声が起こっている。都政を革新する会も区教委に申し入れを行い、9月13日朝、区役所にビラ入れを行った。
「つくる会」教科書の採択撤回運動を続けている市民団体の抗議ビラにはこう書かれている。「今の天皇が誕生したときに『お祝いの歌』が作られ、子どもは皆歌わされたそうです。『その歌、今でも覚えてる。そうやって、戦争に行かされたのよね。竹槍の訓練もしたけど、全然役に立たなかったわ。山田区長なんて戦争も知らないくせに!』と戦争を体験された方が語っています」
これに先立つ9月3日、杉並区総合防災訓練では、中学生を動員し、自衛隊のヘリコプターにけが人を搬送させる訓練まで行った。教育基本法の改悪反対、9条改憲反対の大きなたたかいをつくり、山田区長のすすめる戦争教育をなんとしてもとめよう!
文科省主催の「教育フォーラム」に抗議 岡山・民間労働者 宇野左以志
9月17日、岡山市内で文部科学省主催の「教育改革フォーラム」が開かれました。私たち百万人署名岡山は、「有事法制・海外派兵・憲法改悪反対共同行動連絡会」(代表 矢山有作元衆院議員)の仲間と共に抗議行動に立ちました。
このフォーラムは国民的な関心を高める狙いで行われるということだが、全国で2カ所、岡山市と宇都宮市(10日に開催済み)のみで、市民の意見を一応聞いたという形式を整えるものに過ぎない。事実、主催者側の説明に続いて行われたディスカッションでは「教育基本法改正」に賛成の立場からの発言ばかりで、なぜ教育基本法を変えなければならないのか納得のいく説明もないし、10条の「教育に対する不当な支配」については何ら議論されなかった。
日教組はこのフォーラムに対して、参加して意見を言う方針で臨み(宇都宮のフォーラムでは会場からの質疑応答で2名の組合員が発言した)、岡山では質疑応答の時間が10分しかなく(意図的に時間を短縮した?)、参加者250人中50人の組合員らからは一人も発言を得ることができず、文科省のフォーラムに協力してしまうという事態になった。
私たちはこのフォーラムは「教育基本法の改悪」をすすめる目的で行われる攻撃であるという確認のもと、会場前で参加者に対して「教育基本法改悪反対」の横断幕を広げ、抗議のビラまきとマイク情宣を行いました。
その後、私たちは岡山市の表町商店街に移動し、約1時間、教育基本法改悪反対の情宣活動を行いました。矢山代表は「今の教育基本法で、家庭教育や社会教育、地域と学校の連携もできる。改正の必要はない。改憲のための教育基本法の改悪には絶対反対」と訴えました。
正規・非正規の格差は言葉の問題じゃない 東北地方 木野 望
リクルートワークス大久保を徹底弾劾!――9月25日NHKラジオで放送された「働く環境は変わっていますか」の中でのリクルートワークス研究所所長・大久保幸夫の発言に怒りが煮えたぎった。大久保は「海外では正社員という考え方がない。正規、非正規って分けることが失礼ですよね。言葉で格差を作っている」と言った。
ふざけるのもいい加減にしろ! 何が言葉で格差を作っているだ。現実に今の社会は格差社会じゃないか! しかも正規と非正規では職場の待遇が全く違うじゃないか。また、海外では正社員という考え方はないと言っているがアメリカや韓国を見てみろ! 非正規労働者がたくさんいて立ち上がっているではないか。
そして大久保はこうも言っている。「正規、非正規、フリーターに関係なく誇りを持って働こう」と。これまたふざけるな! 誇りを持って働きたくても働けない環境を作っているのはお前らだろうが!
私の友人でもやっと見つけた職場では非正規雇用。やっと見つけたからと必死で働いて朝の8時30分から夜中の2時まで働かされ、17時以降はサービス残業。休みもなく働いた結果、病気になり働けなくなる。「誇りを持って働け」だの「再チャレンジ」だのよく言うわ。病気になるような労働環境を作っているやつらが。労働者が生き生きと働ける社会に青年・学生がしていこう!
法政大キャンパスを安倍打倒の拠点に! 学生 T
開講日以降、法政大学では「処分撤回をさせるため法政大でストライキをやろう!」と訴えて闘っています。毎日ガードマンの暴力的排除と対決し、勝ち抜いています!
学生からは、このガードマンの暴力に対する驚きと怒りの声が上がっています。昼休み、ガードマンによる排除を見た学生が当局に対して「どうして出ていかなければならないのか?」と問いただし、当局がしどろもどろで全く答えられないと、「大学とはこんなに情けないものなのか」と怒りを表明。また、ビラまきをしている私たちに「頑張ってください!」と握手を求めて、行動に参加する学生も。
ストライキをやるクラス決議も続々と上がっています。クラスからは「平林総長は倒した方がいいです」「いつストライキをやるんですか?」「自分はサークルをやっているが、大学祭への規制など、学生への規制が強まっていて本当に困っているしおかしいと思う。応援しています」などいろんな声が出ています。
法政大学を、ガードマンと公安刑事が徘徊(はいかい)する暴力支配の大学にするのか、それとも、学生がストライキで自由を取りもどし安倍打倒に立ち上がる拠点にするか、それが法大決戦にかかっています。法政大学では、さらに闘いを進めてストライキ−安倍打倒に突き進みます!
不屈のピアニストが共謀罪反対の前線に メール 40代 女性
9月23日の改憲阻止労働者集会で配られたビラに「共謀罪新設反対 秋のピアノの夕べ」(10月23日 都営新宿線瑞江駅そばの東部フレンドホール)があり、ピアニストの舘野泉がゲストというのにビックリしました。
60年に東京芸大を首席で卒業した舘野泉は今日までに国内外で受賞。海外コンサートだけで3000回、リリースしたLP・CDは100枚を超えます。日本屈指のピアニストです。シューベルト生誕200年の98年の連続7夜演奏会や、01年1月にフィンランドでの演奏会で演奏直後に脳出血で倒れ、しかし04年5月に左手だけで復帰コンサートを行った不屈のピアニストです。
23日の集会で「情勢は変わった、今こそ闘いの時」といわれましたが、「舘野泉が共謀罪反対の前線に飛び出した」、このビラを読んでそれを確信しました。
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週刊『前進』(2265号8面2)(2006/10/09)
獄中32年目の真実
星野さんを一日も早く
杉並 東京連絡会が5周年集会
9月17日、全国に15ある星野救援会の一つ、「星野文昭さんを取り戻そう!東京連絡会」の5周年集会が杉並で開かれました。この日は星野文昭さん、暁子さんが獄中結婚してから20周年の日でもあります。
(写真 岩井弁護士の講演に聞き入る参加者【9月17日 杉並】)
集会のタイトルは「獄中32年目の真実」。この企画は、11月25日に東京渋谷で開かれる星野全国集会のプレ企画とも聞いていたので、大いに期待して集会に臨みました。
何より、星野文昭同志は1975年に不当逮捕されてから獄中32年目に入っており、デッチあげ無期懲役判決を受け、徳島刑務所で無実を訴え再審を請求して不屈に闘っています。星野同志を一日も早く取り戻そうとあらためて決意を固めることができた集会でした。
最初に、星野暁子さんたち2人による朗読劇「イノセント」があり、星野同志の肉声を直に聞く思いがしました。獄中で、星野同志は無期懲役と向き合う闘いをあらん限りの力を振り絞ってやり抜いています。
また、今年5月から、二十数年ぶりに友人や支援者らと面会・文通ができるようになりました。その喜びが参加者に伝わって来ました。これは星野同志の不屈の闘いと暁子さんを始めとした家族の闘い、支援者らの闘いがこのような劇的で感動的な再会を実現させ得たのだと思います。
そして今、星野同志自らデッチあげ無期懲役と対峙し、真実をえぐりだす闘いをあらためて開始していることが劇中で明らかになりました。
二番目に、岩井信弁護士から「星野再審をたたかうということ」と題して講演がありました。岩井弁護士はこの星野裁判では、証拠も量刑もつくられているものだということを、今、星野同志が獄中から訴えていることも踏まえながら懇切丁寧に説明してくれました。
1971年の沖縄返還協定にまつわる密約にいまだしらを切り続けている日本政府は、この星野裁判でも同じことをしていると弾劾し、これは典型的な冤罪事件であることが強調されました。闘うことでこの現実を覆していくべきだと訴えました。それは、私たちに星野再審を闘う決意を促すものでした。
三番目に、元ひめゆり学徒の上江田千代さんから沖縄戦証言があり、沖縄戦の生々しい実相が浮かび上がりました。24時間、米軍の艦砲射撃の中を累々とした屍(しかばね)を踏み越えて南へ南へと下って行った時の様子は想像を絶するものでした。私たちは、星野同志を取り戻す闘いを同時に反戦平和の闘いとしても貫いていかなければならないと思います。
11月25日に開かれる「星野文昭さんを取り戻そう/35年目の渋谷で問う、沖縄―星野/11・25全国集会」を大成功させ、星野同志を取り戻す運動を大きくつくり上げていきましょう。
9月6日、全国15番目の救う会として「三多摩・星野文昭さんを救う会」が発足し、私が代表になりました。頑張ります。
(神藤猛雄)
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週刊『前進』(2265号8面3)(2006/10/09)
☆星野文昭さんの9・17集会へのアピール
今年で、獄中31年、暁子との結婚20年を迎えました。私を取り戻すために、そしてそのために心血を注ぐ暁子と家族を支えるために、多忙の中、様々な形で力を注いでくださっている皆さんに、まず、暁子・家族と共に心からの感謝の気持ちを伝えたいと思います。
とりわけ、この20年、心身の限度を越えるほど頑張ってきた暁子が、一時、体調を崩したことに、様々に気を使い、心を配ってくださり、体調回復を支えてくださったことに、どれほど感謝の気持ちを伝えたらいいかわかりません。
私自身にとっては、無期の現実をはじめとした全現実、その現実を覆し解放をかちとっていく運動における人間関係をはじめとした様々な問題、家族問題、特に暁子と私が分断をのりこえて一緒に生きていく、という暁子が抱えている全てと、私自身のこととして向き合い、暁子と一緒に、また皆さんと共にのりこえていくことでの弱点こそ、暁子へ大きな困難を強いていた、この点の克服こそ、問われていると思っています。私自身が、暁子と一緒にこの弱点をのりこえて、抱えている全てを、さらに皆さんと共にのりこえていくことによって、暁子の体調の回復・保持と共に、無期と全現実を覆し、人間的解放をかちとっていく絆と力を豊かに養い、解き放っていくことができることを心から願っています。
私からの便りは、いまだ大幅に制約されていますが、皆さんからのお便りが届くようになって、私と暁子が皆さんとの交流を深め、無期と全現実を覆し、人間的解放をかちとっていく絆と力を豊かに創造していくことができることを楽しみにしています。
何より、「無期で31年の現実を前に、もう取り戻さなければ。暁子さん(家族)の元に取り戻さなくては」という思いが伝わってきて、大きな励ましになっています。
私たちにかけられている無期という過酷な弾圧は、私や家族にのみかけられているわけではありません。多くの人々が、戦争−沖縄基地に反対し、人間的解放を求めて立ち上がった「70年」のたたかいと、それを継承する今日の、より現実的になっている改憲−戦争・沖縄新基地と人民犠牲の道に対するたたかいを圧殺しようとするものです。
その意味では、私と暁子・家族の未来と共に、全ての人民の人間的解放の成否のかかったものとして、全ての人民の総力によって覆していく課題であると思います。改めてそのことをはっきりさせ、再審・早期釈放の運動を、あらゆる人々とつながり、広げ、その力で、必ず、再審・早期釈放をかちとりましょう。
そして、そうすることで、全ての人民にとって、たたかい生きることそのものを、真に飛躍させていくことができるのだと思います。
供述で、殴っていたとされる「きつね色上下の人物」と、当日、薄い青の上衣、グレーのズボンの私とは別人です。終始、十字路上にいて、NHK方向から襲いかかろうとしていた機動隊を見守り、渋谷へ一秒でも早く出発することをリーダーとしての役割としていた私にとって、殴打・投てき命令は、その役割から外れた、あり得ない行為です。それら無実の全体像は、本集会での朗読劇「32年目の真実」で詳しく触れられると思います。
これら無実を、物的証拠として一つ一つ固め、全ての人々の再審・早期釈放の声と力で必ず勝利しましょう。
友人との面会・通信が可能になったことはじめ、とりわけ、暁子(家族)との立会い・アクリル板なしの面会が、再審・早期釈放へ生きたたかう絆・力を養うものとして、その実現の取り組みを共に強めていくことをお願いします。
絆・力を強めつつ、共に頑張りましょう。
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週刊『前進』(2265号8面4)(2006/10/09)
中国農民の闘い
土地めぐる紛争激発
開発で「失地農民」が膨大に
中国での暴動・衝突事件は04年7万4千件から昨年、8万7千件に増加した(94年から7・4倍となった)。その中で農民の闘いが大規模化し、武装警察との衝突へと発展している。(表参照)
その特徴の一つは土地収用をめぐって激突していることだ。中国社会科学院発展研究センターの調査では、04年1〜6月に農村で起きた突発的な集団的事件130件のうち87件は土地をめぐる紛争に絡んでいた。それは税金や負担をめぐる紛争に代わって、「農民の権利を守る抗争の焦点」になったとしている。(「瞭望東方週刊」05年9月6日号)
さらに重要なことは、税金や負担をめぐる抗争が農業を主力とする中国各省を中心に発生したのと違って、農民の土地をめぐる抗争が、浙江、山東、江蘇、広東など経済が発展した沿海地域で多発していることだ。農民の税金、負担をめぐる争議では陳情、宣伝、徴収阻止が主要な抗争形式だったのに比して、土地紛争は衝突の程度が激烈になっている(同報告)。
なぜ沿海地域で多発するのか?
沿海地域は「改革・開放」路線を象徴する地域だ。外資導入による「改革・開放」路線は経済のバブル化をもたらした。特に02年後半からの開発区建設(特に沿海部)がそれを促進した。
その結果何が起こったのか。地方政府幹部と開発業者が癒着し、特に沿海地域で土地(農地)を取り上げ(ほんのわずかの補償金さえ払わない!)、開発し数十倍から数百倍の価格で売り払い、巨額の富を得るという腐敗した現実だ。
今年4月、国土資源省の担当者は、99年から05年に全国で100万件余りの土地に絡んだ違法行為があり、地方政府(市、県)が主導する事件が目立ち、「ほとんどすべての悪質な違法行為は地方政府が関係している」と認めた。中央政府が認めざるを得ないほどの腐敗・癒着構造だ。
こうした腐敗・汚職構造による土地収用によって犠牲を強制されているのはほかならない農民なのだ。中国で「失地農民」は公式には約4千万人とされている。しかし違法な収用による農地の喪失や一人っ子政策で「黒戸」と呼ばれる戸籍を持たない農民の数を加えれば6千万人となり、10年後には失地農民は1億人に達するという見通しも出されている。(「中国失地農民研究」05年11月)
「改革・開放」路線の全矛盾が露呈
危機を深める中国スターリン主義・胡錦涛政権は、「3農問題」(農業の振興、農村の経済成長、農民の所得増と負担減)を最重要課題と位置づけ、農業税撤廃、農村への資金投入(今年前半期には362億元)などで危機を突破しようとしている。
しかしこれらの諸方策は根本的解決にならない。「改革・開放」路線そのものが、経済的社会的格差を日々拡大再生産しているからだ。毛沢東時代の「計画経済」体制で温存された官僚機構権力は強大化し、とう小平による「改革・開放」路線は、その特権を利用して暴利をむさぼり続けることを可能としてきた。
このことは労働者農民にさらなる搾取と収奪が強制されることを意味する。たしかに農民の闘いはまだ地方政府幹部や悪質開発業者に向けられている。しかしそれは必ず胡錦涛政権そのものへの怒りとして爆発していくだろう。中国の労働者農民はスターリン主義打倒の第2革命に向かう以外に生きられない情勢に完全に突入した。
韓国ではピョンテク(平澤)の農民が、日本では三里塚農民が、不当な土地収用に実力で闘いぬいている。中国農民の闘いもこうした国際的闘いと本質的に完全に連動した闘いなのである。
(河北恵一)
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●主な土地収用をめぐる農民の闘い
05年12月 [広東省汕尾市]発電所の環境汚染や補償に対する不満から抗議活動。武装警察が住民に発砲し、死傷者多数
06年1月 [広東省中山市]土地収用に抗議する農民数千人が武装警察に鎮圧される
2月 [広東省呉川市]住民同士数百人が銃撃戦を交える衝突事件
3月 [北京]陳情に来ていた農民、失業者ら2000人、天安門へ向けデモ行進。武装警察が鎮圧し、数十人が負傷
4月 [広東省仏山市]水門建設をめぐり数千人の農民と武装警察が衝突、死傷者(→6〜7月にも農民と警察が激突)。地元政府が農地を無断で転売したとして会計帳簿の公開を求めて1500人が抗議デモ。
4月 [広東省開平市]農民1500人が市庁舎前で抗議デモ。警察と衝突、数十人が負傷
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週刊『前進』(2265号8面5)(2006/10/09)
解同全国連 狭山支部が大会
“第3次再審闘争担う”
9月22日、狭山市内で部落解放同盟全国連合会狭山支部の第2回大会が開かれ、25人が参加した(写真)。昨年2月の狭山支部結成大会以来の闘いで築いた土台の上に、06年度は母屋づくりを進め、狭山第3次再審闘争を基軸に闘い、埼玉の部落解放運動に全責任をとる決意を固めた。
樋口泰博狭山支部長の主催者あいさつで始まり、山田幸助茨城県連書記次長、山川博康東日本解放共闘事務局長の来賓あいさつを受けた後、井田一郎狭山支部書記長が05年度活動報告と06年度運動方針を提案した。
井田書記長は、昨年の支部結成大会、全国連第14回大会での支部結成報告、最高裁による狭山再審棄却決定に対する3・17糾弾闘争への支部の登場を振り返り、「狭山支部は第3次再審闘争を闘うために結成されたといえる」と支部結成の歴史的意義を明らかにした。実際に狭山支部は、昨年9月からの新たな対東京高検・東京高裁要請行動や狭山闘争の学習会や訴えの先頭に立ち、生活要求闘争、労働者階級との共同闘争を行ってきた。
総括の上に06年度方針として、狭山再審闘争を基軸に狭山支部強化と埼玉での全国連5万人組織建設の闘いに着手すると提起。本部派埼玉県連が大きく崩れる中で差別の洪水の中に投げ出された部落大衆に全国連がこたえようと訴えた。
狭山再審闘争について、石川一雄さんの第3次再審請求書をふまえ、石川さんの無実、国家権力の差別犯罪を暴き、差別糾弾闘争として闘う方針が確認された。自白と客観的証拠の矛盾の追及にとどまらず、警察が石川さんににせの「自白」を強制したことを徹底糾弾しようと強調した。
10月下旬の全国狭山統一行動と要請行動、11・5労働者集会への参加方針、300万部落民と6000万プロレタリアートの団結が訴えられた。
活発な自由討論の後、樋口支部長が「新役員は打って一丸となって闘う」とあいさつした。
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