ZENSHIN 2006/09/25(No2263
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週刊『前進』(2263号1面1)(2006/09/25)
教基法改悪阻止し日教組再生へ
現代の治安維持法=共謀罪は廃案に
9・26臨時国会闘争に結集を
(写真 雨を突き「農地強奪を許すなす」と干葉市内1周デモで市民に訴えた【9月14日】)
「つくる会」派であり「自虐史観」を攻撃する極右・国家主義者の安倍晋三が、改憲=「新憲法制定」と「教育改革」を真っ向から掲げて、政権につこうとしている。「戦後体制、戦後レジームからの脱却」「新たな国づくり」や日本版NSC(国家安全保障会議)の設置を叫び、戦後憲法体制という国家の統治形態を転覆して戦争国家体制をつくろうとしている。この安倍の登場を許せるか。労働者人民の怒りと危機感は、すでに政権成立を前にして、マグマのように噴出し始めた。戦後革命期以来の、戦争か革命かを問う、激動と階級的大決戦の情勢が到来した。9月26日開会の臨時国会は、冒頭から教育基本法改悪と共謀罪をめぐる大攻防になる。9・23改憲阻止労働者集会の大成功をかちとり、9・26国会前に労働者階級は職場から総決起しよう。国会闘争の爆発と運動のうねりを11・5労働者集会1万人大結集の実現に全力でつなげよう。
「改憲は先送りしない」と安倍
”安倍政権”の最大の政策的柱は改憲だ。9月1日の政権公約でも全国10カ所の自民党ブロック大会でも、冒頭から「憲法改正」を強調し、「新憲法制定を政治スケジュールにのせるリーダーシップを発揮する」「もう先送りは許されない」などと叫んで、改憲=9条改憲を政権の最大の任務と位置づけた。この公約と一体のものとして、改憲を待たずに憲法解釈の見直しで米軍との集団的自衛権の行使に道を開く大攻撃がある。
そもそも安倍は、「新しい歴史教科書をつくる会」や「北朝鮮拉致被害者を救う会」などの中心人物として政治的にのしてきた超右翼タカ派の政治家であり、日本の歴史・伝統・文化を尊重せよという札付きの天皇主義者だ。A級戦犯を裁いたがゆえに東京裁判も否定する。そして、日帝の侵略戦争と植民地支配の歴史を反省する立場を「自虐史観」と攻撃し、アジア・太平洋戦争は「アジア解放」「自存自衛の戦争」であったと正当化する。さらには特攻隊や靖国参拝を限りなく美化する。そういうとんでもない人物なのだ。
こうした政治家を、今や日帝ブルジョアジーは、”改憲突撃政権”として選択しようとしている。それ自体が、対米関係、対アジア関係などでの矛盾と緊張を激化させずにはおかない。しかしこの安倍を選択するしかないほどに、日帝は体制的危機にあり、帝国主義の「最弱の環」に転落しているのだ。
日帝の危機と安倍政権登場
今日、米帝を頂点として帝国主義は、その基本矛盾を全面的に爆発させ、帝国主義的侵略戦争―世界戦争に突き進んでいる。01年「9・11」 以降の「テロ撲滅」を掲げたアフガニスタン・イラク侵略戦争への突入をもって、米帝は世界戦争=第3次大戦の過程にのめり込んでいる。
ブッシュは「9・11」5周年の演説で、「この戦争はわれわれかイスラム過激派のいずれかが勝利するまで終わらない」「文明を守るための闘争だ」と宣言した。また米帝が9月5日に発表した新たな「テロと戦う国家戦略」では、イラン、シリア、スーダン、北朝鮮、キューバの5カ国を「テロ支援国家」と規定し、特にイランを「最も活発な国際テロ支援国家」と名指しした。イラク侵略戦争の絶望的泥沼化にあえぎつつ、米帝はイスラエルを先兵としたレバノン(パレスチナ)侵略戦争の強行から、さらにイラン―全世界へと侵略戦争を際限なく継続・拡大しようとしているのだ。
この米帝ブッシュと日米安保を強化し、日米枢軸を形成して、北朝鮮・中国侵略戦争―世界戦争に突き進もうとしているのが、日帝・小泉と安倍である。すでに日米は6月29日の「新世紀の日米同盟」なる共同文書で、「普遍的価値観と共通の利益に基づく日米同盟」 「世界の中の日米同盟」をうたい、日米軍事協力を地球的規模に拡大し、集団的自衛権を相互に行使することを宣言した。安倍は戦後憲法の制約をはるかに超えるこうした日米枢軸下の軍事協力に、全面的に踏み込もうとしているのだ。
日帝は、天文学的規模の財政危機、戦後憲法的な制約、東アジア勢力圏の未形成、4大産別を軸とした労組的団結の存在という、帝国主義としての戦略的弱点を打破できていない。それを突破するのが安倍の超反動的使命なのだ。ここに安倍政権の決定的な転換性がある。9条改憲とは戦争だ。日本版NSCの設置、官邸ホワイトハウス構想など、大統領型の統治形態への転換による戦争国家体制の構築という大変な攻撃だ。
しかし改憲は安倍自身が「5年以内に」と言っているように、簡単なことではない。労働者階級の怒りは必ず爆発する。06〜07年改憲阻止決戦の巨大な創造で、安倍政権打倒と日本プロレタリア革命の血路を切り開かなければならない。
教基法改悪が「最優先」課題
改憲攻撃と並ぶもう一つの政策的柱として安倍が打ち出してきているのが、「教育改革」と「教育の再生」である。
安倍は臨時国会での最優先課題に教基法改悪を位置づけている。教基法改悪は「愛国心」や「国民道徳」の導入・法制化を軸に、戦後教育を戦争教育、国民精神総動員の教育に改変することを狙う攻撃だ。しかし教育の主体は教育労働者である。教基法改悪は教員統制・聖職者教師づくりにより、日教組を根底から解体する大攻撃なのだ。
安倍はこの教基法改悪を突破口に、教員免許更新制、学校評価制度、教育バウチャー(利用券)制度の導入、さらに徴兵制を狙う国公立大学9月入学・奉仕活動義務づけの制度も画策している。教育を戦争動員、戦争協力に向けて全面的に改変しようとしているのだ。
臨時国会は9・26冒頭から、教基法改悪案阻止を軸に、共謀罪新設法案、国民投票法案、防衛庁「省」昇格法案の阻止をかけた大攻防となる。日教組30万組合員を先頭に、あらゆる職場から労働者は国会前に総結集して闘いぬこう。
「官のリストラ」めぐる大攻防
安倍の反労働者的政策の今ひとつの柱は、「官のリストラ」と称する4大産別への攻撃だ。この点ではすでに、与謝野経財相らとともに安倍の経済政策を推進する中川政調会長が、「最大の抵抗勢力は官公労」「次期総裁は官公労と対峙する気概が求められる」と許し難い発言をしている。
9月1日の政権公約では、「小さく効率的な政府の推進」を掲げ、「定員削減や能力主義導入といった公務員改革を断行」などと明記した。安倍は小泉改革が生み出した労働者の貧困化や格差拡大問題の深刻化に戦慄(せんりつ)し、「再チャレンジ推進」などと言いながら、実際は小泉=奥田の構造改革路線をより凶暴に推進しようとしているのだ。
具体的には7月7日決定の「骨太方針Y」だ。その核心は何か。第一に、「歳出・歳入一体改革」と称して5年後には最大14・3兆円の歳出削減を行うということであり、公務員人件費2・6兆円、社会保障費1・6兆円、公共事業費3・9〜5・6兆円が削減される。第二に、他方で2・2〜5・1兆円の歳入増を見込んでいるが、それは消費税の大増税などでまかなうのだ。
すでに国家公務員は5年間で5・7%以上純減すると決定されている。国家公務員・地方公務員の大リストラが安倍の反労働者的任務なのだ。社会保障費1・6兆円の削減も「社会保障をめったやたらに切らないと実現不可能だ」(財務省幹部)というほど大変な攻撃である。そして消費税の大増税だ。
これらは自治体を始めとする公務員労働者への大量首切りと賃下げの攻撃だ。同時に中川が「最大の抵抗勢力は官公労」と公言しているように、4大産別の労働組合への組織破壊の大攻撃としてある。4大産別の労働組合・労働運動をつぶさなかったら、改憲も戦争体制構築も不可能だ。日帝・小泉=安倍は改憲と不可分の攻撃として、公務員労働者と4大産別の労働者の闘いをつぶすことを最大の階級的使命としているのである。
4大産別が完全な決戦に
このように”安倍政権”と改憲阻止決戦、4大産別決戦が、がっぷり組んで闘う階級的構図が鮮明になってきている。
日帝の体制的危機は、もはや労働者階級が戦後革命期以来の社会の主人公として、帝国主義を打倒し、プロレタリア革命をやらなければ突破できないような歴史的段階に到達している。こうした極限的危機の中で安倍が登場した。
しかし安倍は、政治的思想的には凶暴だが、経歴的にも能力的にも極めて脆弱(ぜいじゃく)である。何よりも60年、70年のような階級的激突を経験していない。労働者階級が改憲阻止決戦と4大産別決戦を職場・生産点を基礎に固く結合して決起するならば、安倍は打倒できる。すでに職場でも街頭でも安倍への怒りと危機感が噴出している。安倍に「憲法改正」をやってくれという声は商業新聞の世論調査でもわずか2〜3%に過ぎない。9条改憲阻止の労働者人民の怒りとエネルギーは必ず大爆発する。
9・23改憲阻止労働者集会を青年労働者を先頭に大成功させよう。9・26臨時国会開会日の国会闘争に、職場から大挙駆けつけよう。臨時国会闘争の爆発を11・5労働者集会1万人大結集にすべて集約し勝利を開こう。
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週刊『前進』(2263号1面2)(2006/09/25)
三里塚闘争 「農地強奪」の決定に怒り
反対同盟 千葉県農業会議を追及
9月14日、千葉県農業会議は、成田空港会社(NAA)による三里塚芝山連合空港反対同盟・市東孝雄さんの農地の耕作権解除申請を全会一致で「相当」とし、堂本知事に答申した。市東さんに対し「暫定滑走路のへの字に曲がっている誘導路を直線化するため、畑を明け渡して出ていけ」と要求する、法も道理も踏みにじる暴挙だ。
(写真 傍聴した市東孝雄さんが「金で出ていけという話は絶対に許せない」と怒りのアピール)
反対同盟と支援は怒りをたぎらせて闘いぬき、市東さんの農地を全力で守りぬく決意を固めた。
午前9時、千葉市中央公園に雨の中130人が結集し、集会が行われた。市東さんを始め反対同盟が「答申を許さない」と明らかにし、千葉市内1周デモを行った。
午前10時、千葉自治会館で農業会議常任会議が開始された。反対同盟を先頭に20人が傍聴した。そこで見たものは、本来農業・農民を守るべき農業会議という機関がNAAの手先、農民の絞殺者に成り果てた姿だった。
審議では、300件にも及ぶ他の案件(農地転用)をスピード処理で認めた上で、市東さんの土地の問題に入った。県の農地課が「説明」と称して「への字解消を」「移転にあたっては十分な補償がされる」といったNAAの主張とうり二つの作文を読み上げた。そしてこの中で、「移転の補償額は1億数千万円だから、市東さんの年収からすれば150年分にあたる」と言い放った。これほど農民の心を踏みにじる暴言があるだろうか。会議は反対同盟の申し入れや現地調査要請を完全に無視抹殺し、たった20分の審議で採決に入り、全会一致で申請を「相当」と認めた。
反対同盟の怒りが爆発した。野次と怒号が会場を圧した。「会議は終了。退出してください」と叫ぶ農業会議に対し、 「一切認められない!」「撤回しろ!」「当事者の声を聞け!」という追及と抗議が30分間にわたり続けられた。市東さんが語気鋭く「私の顔を見てもう一度言ってみろ!」と追及した。
会場入口前で待機していた支援の人びとにこの結果が知らされると、その場が怒りのるつぼと化した。弾劾のシュプレヒコールが何度もたたきつけられた。
弁護士会館に場所を移して、記者会見と総括集会が行われた。反対同盟顧問弁護団の葉山岳夫弁護士が解説した。「農地課の説明と採決はすべてデタラメ、犯罪的違法だ。そもそも18年前の公団による買収が違法なもので成立しない。堂本知事が『答申』に許可を出せばこれ自体が違法だ」
反対同盟は、北原鉱治事務局長、萩原進事務局次長、本部役員の鈴木幸司さん、そして市東さん自身が発言し、心底から怒りを表明した。さらにともに傍聴に入り闘った関西の永井満さん、群馬の青柳晃玄さんが、この暴挙を目の当たりにしてあらためて三里塚と連帯し闘う決意を述べた。
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週刊『前進』(2263号1面3)(2006/09/25)
北延伸着工に反撃
9・15 市東さん 看板を一新
9月15日、三里塚反対同盟は天神峰の市東さんの畑に立つ看板を一新した。NAAがこの日、空港内で暫定滑走路「北延伸」着工式なるものをコソコソと強行したことへの反撃であり、農地死守の不屈の決意の表れだ。
正午過ぎから、支援の作業隊がこれまでの「自衛隊のイラク出兵阻止」の看板を取り外した。無論このスローガンは、成田空港からの派兵を許さなかった実績の上にこれからも反対同盟の闘いの中で生きぬく。そして新たなスローガンが書かれた板が、手際よく取り付けられていった。
「滑走路北延伸を阻止しよう」「農地取り上げを許さない」と大書された大看板がそそり立った。拍手と歓声が沸く。
午後1時半から市東さん宅の離れで反対同盟の記者会見が始まった。北延伸着工への「弾劾声明」と農業会議の前日の暴挙に対する「緊急抗議声明」、さらに東峰区住民のNAA・黒野社長宛ての新たな「公開質問状」が発表された。
北原さんが「力ずくで来るなら来い。農地破壊を許さず実力で闘う」と宣言し、萩原さんが「農業会議とは本来、市東さんのような農民を助ける機関ではないのか!」と強く糾弾した。集まったマスコミ各社記者は、闘う農民魂に圧倒され逐一メモを取った。
反対同盟は現在、堂本千葉県知事の許可決定を阻止するために闘っている。10・8現地集会は着工情勢下での一大決戦だ。全国から総結集し、北延伸を粉砕しよう。
(写真 決意固く看板を一新した反対同盟。左から市東さん、北原さん、萩原さん、鈴木さん【9月15日 天神峰】)
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週刊『前進』(2263号2面1)(2006/09/25)
国労5・27裁判
公安と結託した弾圧の張本人
酒田(国労前委員長)が次回法廷に
極めて重大証人
国鉄闘争が重大な岐路にある中で、国労再生に向けての大きな突破口が切り開かれた。国労5・27臨大闘争弾圧裁判の第63回公判で、酒田充・前国労本部委員長と笹原助雄・現国労東京地本書記長の証人採用が決定された。次回9月27日の第64回公判は、酒田証人への弁護側尋問が行われる。国労組合員を先頭に、公判傍聴に集まろう。
5・27臨大闘争弾圧は鉄建公団訴訟を起こした闘争団員への統制処分手続きが決定された02年5月27日の国労臨時大会に際し、本部の方針に抗議してビラまき・説得活動に立った国労組合員らの行動が「暴力行為」にデッチあげられた弾圧だ。
この臨大で酒田は大会準備本部本部長を務め、笹原は大会準備本部事務局長の任にあった。5・27臨大闘争弾圧裁判では、酒田が大会会場に向かう貸切バスの車内から公安刑事に携帯電話をかけ、ビラまき・説得活動を展開する被告たちを逮捕するよう要請していた事実が明らかになっている。「被害者」と称する本部派組合員に対して、「被害届」を警察に提出するように言い含めたのも酒田だった。彼は、刑事事件がねつ造された過程をつぶさに知る、きわめて重要な証人だ。
政治解決へ恭順
国労本部は今また、「1047名の政治解決」を叫んで1047名闘争の最後的解体を策している。国労本部には、権力・資本に頭を下げ、ひたすら恭順を誓う以外になんの方針もない。
支配階級は、公然と改憲を唱える安倍晋三を首相につけ、戦争・改憲と民営化−労組破壊の攻撃に本格的に乗り出そうとしている。この時に権力・資本にあからさまに投降する国労本部は、国労を改憲翼賛勢力に転落させようとしているのだ。これは4党合意の受諾を上回る裏切りだ。
00年5月、与党3党(自民、公明、保守)と社民党から4党合意を突きつけられ、「国鉄分割・民営化に伴う首切りの責任はJRにないことを臨時大会で決定せよ」と迫られた国労本部は、01年1月27日の大会でその受け入れ承認を強行した。00年7月1日の臨時大会以来、3回の大会を開いても採決することができなかった4党合意の受諾は、ひとえに1・27大会が1300人の機動隊の制圧下に置かれ、反対派組合員を徹底排除したから可能になった。
労働組合にあるまじきこうした異様な大会は、大会準備地本を担った東京地本執行部の反動的な決断によって現出した。この大会直前の00年12月、酒田委員長指導下の東京地本は、「大会破壊を意図的に策する外部からの動員者によって暴力行為が繰り返され、負傷者を出す事態は到底許されるものではない。これについて地方本部は、本部を含めた関係機関と協議し法的措置を含めて検討を進めている」「続開大会成功のため、妨害勢力に対して毅然(きぜん)たる態度をとり万全を期す」と述べ、警察権力に頼った強権的大会運営に突き進んだ。こうして1・27大会以来、国労大会は機動隊の制圧下で開かれるようになった。
国労本部と対決
その行き着いた先が5・27臨大闘争弾圧だ。JR資本と闘うことを放棄し、敵階級にすがって「1047名問題の政治解決」を図ろうとした国労本部は、自民党から鉄建公団訴訟原告を除名するよう強要されると直ちに統制処分手続きを発動し、これに反対した組合員を警察に売り渡した。
「政治解決」路線がもたらしたこの事態の根本的な総括が今また鋭く問われている。警察権力と結託するに至った国労本部との対決を放棄し、「政治解決」の幻想で道を誤ってはならない。
弾圧を打ち破るために全力を傾けてきた被告団と、それを献身的に支えてきた弁護団の奮闘は、ついに国労再生のまたとないチャンスをつかみ取った。この闘いを軸に、現場組合員と国労本部との対決軸を再形成し、現本部執行部を打ち倒して国労を階級的労働組合に再生させよう。弾圧と総力で闘い、11・5労働者集会への国労組合員の大結集を実現しよう。
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週刊『前進』(2263号2面2)(2006/09/25)
自治体労働者1000人決起を
現場の怒りを爆発させて11・5へ闘いと団結作ろう
革共同自治体労働者委員会
自治労8月さいたま大会で、大会を決戦として構えたわれわれの登場をとおして現場の怒りが噴出した。戦争と改憲・民営化―労組破壊の攻撃に対する現場組合員の怒りとやむにやまれぬ闘いは、連合―自治労本部による自治労の改憲勢力化の攻撃に歯止めをかけ、11・5全国労働者総決起集会1万人大結集と自治体労働者1千人決起の展望を大きく切り開いた。今や自治労本部が改憲勢力・戦争推進団体への転落を図る確信犯であることは明らかだ。帝国主義労働運動を推進する自治労本部を現場の力で打倒しない限り、自治労が改憲阻止闘争の先頭に立つことはあり得ない。自治労・自治体労働運動の再生もあり得ない。現場の怒りと力に圧倒的な確信を持ち、その闘いをひとつに結集し、11・5労働者集会へ駆け上ろう。
職場闘争の核心は仲間の組織化に!
11月自治体労働者1千人決起に向けて訴えたいことの第一、その核心中の核心は、職場からの闘いである。
「大失業時代や格差社会というのは、われわれの周りにある一般的な現実ではなく自分の職場にある。自治労だろうと全逓だろうと非正規職だろうと、労働者が食っていけない現実というのは自分の職場にある、つまり自分の職場の仲間を組織するということなんです」――動労千葉の田中康宏委員長は11月大結集に向けてこう呼びかけている(本紙前号1面)。
動労千葉は、95年日経連プロジェクト報告路線や小泉構造改革という日帝の階級戦争、そのJRでの貫徹形態である「ニューフロンティア21」に対して職場で闘い続け、日々団結を固め、そして勝利を重ねている。
職場闘争の核心は、つまるところオルグ(組織化)である。闘争方針の確立においても、役員選挙においても、職場での徹底討論や仲間の獲得が鍵(かぎ)である。田中委員長は「動労千葉は資本・当局と闘っているだけでなく、日々組合員と激しく『闘っている』」と語っている。動労千葉は、この春の安全運転闘争においても、運転台に当局の監視要員が2人も付くという大変な重圧の中で組合員から「勘弁してくれ」という声が出たことに対し、「尼崎事故を千葉で起こしていいのか!」と激論を交わし、組合全体の闘いとして安全運転闘争を貫徹した。
また、職場闘争は激しい党派闘争、権力闘争である。現場で原則的な労働運動を開始した途端、当局を始め民同や日本共産党がつぶしにかかってくる。これに勝ちぬくことなしに職場闘争を進めることはできない。この党派闘争においても、結局かぎはオルグである。自らの考えで仲間を獲得し固めることである。
自治労大会では、闘う方針を出さない本部に怒りが噴出した。現場組合員の自己解放能力、戦闘性に確信を持っていない本部は、組合員を獲得できていないのだ。自治労連も状況は同じだ。
これは、われわれにとって絶好の機会が到来していることを意味している。仲間を信じて訴え闘い続ければ、必ずや情勢は切り開かれる。
さらに、「闘いなくして団結なし」ということを訴えたい。団結は、それ自体を追求して実現するものではない。当局の不当な攻撃に対し、闘いを決断し、仲間に訴え、ともに闘う中から職場の団結が生まれ、組合活動が活性化してくる。
(写真 8月自治労大会の会場前で本部の改憲勢力化の策動を暴露する大情宣。大会代議員の怒りの噴出を促進した)
指定管理者制度との闘い
すでにわれわれの仲間の職場でも闘いが開始されている。
指定管理者制度の導入とそれに伴う大幅賃下げ・合理化攻撃に対し、利用者にも訴えながら原則的な反対闘争を貫き、賃下げ・合理化を阻止した福祉・医療職場の仲間。組合活動家を狙った不当な配転攻撃に対し、断固拒否の闘いを決断し、同僚にその不当性を訴え、逆に組合の団結を強化している若い仲間。民間委託攻撃によって職場そのものがなくなる危機にある中、分会内で徹底討論し、民営化絶対反対の総意をかちとった現業職場の仲間。執行部選挙に名乗りを上げ、闘いを求める同僚の糾合へ奮闘している仲間。皆、引くに引けないぎりぎりのところから闘いに立ち上がっている。この闘いの中で職場の団結、闘う団結がつくられている。
重要なことは、こうした闘いの中で、さらに広範な仲間とのつながりを求めて、昨年の11月集会や今年の8・6ヒロシマ大行動などへの職場からの参加がかちとられていることである。11月集会のメインスローガンである「闘う労働組合の全国ネットワークをつくろう」は、闘う労働者の心からの声なのである。
緒戦の勝利で安倍政権を打ちのめせ
11月に向けて訴えたいことの第二は、改憲阻止闘争を国会闘争として闘おうということである。
臨時国会の開会日は9月26日と迫っている。次期首相が確実視されている安倍晋三は、戦後歴代首相候補の中で初めて改憲を公約として掲げ、その突破口として教育基本法改悪を最優先で強行しようとしている。また、この中で中川秀直自民党政調会長が「次期政権への最大の抵抗勢力は官公労だ」と公言していることは重大である。
しかし安倍は、戦後労働者階級の荒々しい闘いを直接経験したことがなく、強硬な姿勢とは裏腹に本質的にきわめて脆弱(ぜいじゃく)だ。職場から臨時国会闘争に決起し、緒戦において安倍政権に労働者階級の強烈な反撃をたたきつけよう。
改憲絶対阻止の国会闘争を
改憲阻止・安倍政権打倒の闘いも、その土台は職場闘争である。
この間、国鉄1047名解雇撤回闘争が政府と闘わない「政治和解」路線にのめり込んでいる危機的状況の背景には、JR資本の民営化―合理化攻撃に対する国労本部の屈服がある。
動労千葉は、JR本体において業務の外注化=合理化攻撃と闘っているからこそ、被解雇者が誇りと勝利の展望を持って闘い、1047名闘争の原則を支え続けていられるのだ。1047名闘争こそ、改憲を目的とした中曽根の国鉄分割・民営化攻撃を今なお阻み続けているではないか。その中軸にあるのは、分割・民営化攻撃にストライキで対決し、小泉政権下の第2の分割・民営化攻撃と職場で闘い続けている動労千葉の存在だ。
さらに、国会闘争への決起もまた職場闘争がかぎである。労働者が平日に国会に駆けつけるのは大変なことである。職場闘争で団結を打ち固め、当局との力関係を一変させ、残業を拒否し、年休を断固行使して国会前に登場しよう。この場合も重要なことは、職場の仲間を組織して闘うことである。
自治労大会では多数の代議員が戦争と改憲の情勢に強い危機感を持ち、反戦・反基地闘争、改憲阻止闘争の具体的な全国闘争方針を求めた。
「戦争が来ようとしている大変な時期だ。やるのかやらないのかわけのわからない議論ではなく、憲法改悪に反対をして断固として闘いぬく決意を」(沖縄県本部代議員)
しかし、これらの声に対する本部の答弁は「受け止める」「しっかりやる」の繰り返しであり、組合員自身が担う具体的な闘争方針は一切出さない。もはや現場から主体的に立ち上がり、その力で今の本部を打倒しないかぎり、自治労は改憲阻止闘争を闘えないのだ。
日教組の仲間たちも、本部の制動と職場の多忙化をはねのけ、教育基本法改悪阻止の国会闘争に立ち上がろうとしている。それぞれの地域で日教組の仲間とも呼びかけあい、スクラムを組んで臨時国会決戦に立とう。
臨時国会決戦の地平を賃金確定闘争、民営化反対闘争、現業・公企(公営企業)全国統一闘争に波及させよう。職場闘争・大衆闘争の原則を貫き、自治体労働運動の戦闘的・階級的高揚をつくり出すために闘おう。
動労千葉労働運動実践し細胞建設を
11月に向けて訴えたいことの第三は、自治体労働者戦線における新指導路線の貫徹と党建設、職場細胞の建設である。
何よりも求められているのは、自治体労働者委員会の党派性の確立である。自治労本部の「質の高い公共サービス」路線も、民主党を押し立てての参院選も、資本主義救済の立場に立ってのものである。これに対するわれわれの党派性は、資本主義を打倒する立場、プロレタリア革命を実現する立場に立って政府・資本と非妥協的に闘うということである。そしてこの闘いにおいてわれわれが依拠するのは、唯一、現場労働者の自己解放的決起なのである。
「動労千葉のように闘おう、動労千葉とともに闘おう」というスローガンこそ、その内容を現実的かつ実践的に提起しているのだ。
自治体現場において動労千葉労働運動を貫徹し、職場において動労千葉派として登場し、党派闘争をやりぬく中で仲間を獲得し、強固な職場細胞を建設しよう。
職場細胞の建設においては地区党と産別委員会の役割が決定的に重要である。この間、地区党と産別委員会が一体となって、また現場と常任が密着して現場同志の決断を支え、奮闘している。
最後に熱烈に訴えたいことは、青年自治体労働者の獲得である。自治労大会決戦の過程でわれわれは、膨大な数の青年労働者が現状への怒りと闘いへの意欲をみなぎらせていることをあらためてつかんだ。この青年たちが「質の高い公共サービス」路線=「働こう・闘うな」運動で本部派に絡め取られることを許すことは、自治体労働運動、いや日本階級闘争の敗北に直結する。
現状変革を求める青年は、自らを解放する強烈なイデオロギー、勝利の路線を求めている。職場闘争の中でイデオロギー闘争・党派闘争をやり抜き、マルクス主義青年労働者同盟の同志たちとともに戦闘的・階級的な青年部運動を再生し、青年労働者を組織しよう。
すべての闘う自治体労働者の皆さん。革共同自治体労働者委員会に結集しよう。全国300万自治体労働者の怒りと闘いをひとつに結びつけ、動労千葉など3組合が呼びかける11・5全国労働者総決起集会に自治体労働者1千人の結集を実現しよう。
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週刊『前進』(2263号2面3)(2006/09/25)
東京「日の丸・君が代」処分
再発防止研修に反撃
3年間の闘いの勝利確信
9月11日、今春卒・入学式で「日の丸・君が代」斉唱時に不起立を貫いた東京の教育労働者に対する「再発防止研修・専門研修」が、文京区の都教職員研修センターで行われた。この日の対象は10人。「日の丸・君が代」不当処分撤回を求める被処分者の会の呼びかけにこたえて教育労働者や支援者が駆けつけ、研修に抗議の声を上げた。
専門研修は、03年度以降不起立を2回以上行い、減給以上の処分を受けた労働者が対象。「日の丸・君が代」被処分者は全員「再発防止研修・基礎研修」の対象とされるが、減給以上はさらに「課題レポート」の提出と「専門研修」受講が義務づけられたのだ。
研修では、被処分者が一人ひとり別の部屋に分けられ、都教委の講師、司会、記録係と校長の計4人に取り囲まれる。2時間40分の研修で、被処分者に二重・三重の苦痛を強いて、屈服と反省を迫ろうとするものだ。
しかし今回の専門研修との闘いは、03年「10・23都教委通達」以来の教育労働者の闘いの圧倒的な勝利を確信させる場となった。3年間の激突で都教委が完全に追い込まれ、今や闘いを封じるすべをまったく失ったことを示した。
研修では、被処分者が「1対4」の密室の中で自らの行動の正義性を堂々と主張し、都教委を圧倒した。冒頭に「抗議声明を出したい」と被処分者の会の抗議声明を読み上げた人。8月に提出した課題レポートの説明を求められ、「研修に納得できない。10・23通達は撤回すべき」と主張した人。何を言っても都教委職員はおとなしく聞くばかりだったという。
被処分者の研修を始めた2年前には、都教委は被処分者の発言を強権的に封じたが、今や質問などもみな認めざるをえなくなった。「不服審査を請求し、処分撤回を求めている。処分が撤回されたら、研修の扱いはどうなるのか」と問いただす人や、「この処分と教育基本法10条との関係は」と問いただす人。不起立3回で2回の処分を受けた被処分者が「なぜ1回は処分されていないのか」と問うと、都教委職員が窮して「赤信号で渡っても捕まる時と捕まらない時がある。それと同じだ」と答える場面も。研修中に「私たちもとにかく言われてやっているだけなんで……」とぼやく都教委職員までいた。
研修を終えると、会場前で待っていた仲間に被処分者が意気軒高と報告。「2時間にわたって1対1でやり合って、普段の鬱憤(うっぷん)を晴らしてきた」「都教委の対応が変わってきた。今までのみんなの闘いで、こうなってきた」など、勝利感にあふれる報告ばかりだった。
いよいよ教育基本法改悪をめぐる臨時国会決戦だ。「日の丸・君が代」闘争の勝利に確信を持ち、東京を始め全国の被処分者が教基法改悪阻止の闘いの先頭に立とう!
(写真 被処分者と連帯して「都教委は不当な研修をやめろ」とシュプレヒコール【9月11日 水道橋】)
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週刊『前進』(2263号2面4)(2006/09/25)
労働者学習センターが新刊
マンガ『俺たちは鉄路に生きる上』
動労千葉の闘いを広める武器 11月へ活用を
動労千葉の中野洋前委員長の著書『俺たちは鉄路に生きる2』がついにマンガになった! 動労千葉の指導者と現場組合員の闘い、その団結の力が生き生きと伝わってくる、画期的な作品だ。
すでに『俺たちは鉄路に生きる2』を読んだ人にはもちろん手にしてほしいが、まだ読んでいない人、動労千葉を知らない人にどんどん広めて、闘う労働運動のすばらしさを伝えよう。
11・5全国労働者総決起集会の組織化に活用しよう!
☆マンガ『俺たちは鉄路に生きる・上』/A5判208n
☆原作・中野洋著『俺たちは鉄路に生きる2/動労千葉の歴史と教訓』
☆作画・コマンド月形/監修・動労千葉/発行・労働者学習センター
☆頒価 1000円
☆注文先 千葉市中央区要町2―8DC会館/рO43―222―7207/ 043―224―7197/E-mail doro-chiba@doro-chiba.org
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週刊『前進』(2263号3面1)(2006/09/25)
郵政民営化絶対反対 職場で闘い11月へ
集配再編攻撃に怒り燃やし不当配転拒否・増員要求貫け
革共同全逓委員会
06年秋の闘いは、歴史的な階級決戦となった。戦後初めて改憲を政治公約とした安倍新政権は、教育基本法改悪をはじめ改憲諸法案をこの臨時国会で押し通そうとしている。郵政においても来年10月「民営化スタート」に向かう1年間決戦は、安倍との正面対決となった。民営化攻撃は随所でほころび、現場から怒りの反撃が始まっている。小泉「構造改革」に対する労働者階級の積もりに積もった怒りが噴出し始めている。全逓など旧官公労指導部は、行革・民営化攻撃や改憲攻撃に対して一切の闘いを放棄し、すべてを小沢民主党支持=07年参議院選挙へと流し込もうとしている。連合や全労連の既成指導部をぶっ飛ばし、階級的労働運動を再生する絶好のチャンスの到来である。職場生産点を軸に、秋の臨時国会決戦を爆発させ、11・5労働者集会1万人結集をかちとろう。この2カ月決戦を全逓、郵政労働者は最先頭で闘い抜こう!
「改憲」公約の安倍打倒へ
日帝は、日米同盟を基軸に、対中国・対北朝鮮・対中東と世界侵略戦争体制に向かって突き進みつつある。
(写真 現場の声を全国大会で叩きつけた【6月14日 横浜】)
自民党元幹事長の加藤紘一宅への放火事件は、まさに戦前の「2・26」「5・15」事件的な侵略戦争突入情勢を示している。この極右ファシストのテロルに、小泉、安倍らは一言も発言せず、容認したのである。
この日帝支配階級の分裂をともなう危機が、労働者階級人民の激しい分岐・流動と決定的行動を促進し、革命的情勢が一挙に成熟していくのである。
元A級戦犯であり、60年安保条約締結を強行した岸信介を祖父とし、自民党中枢を担った安倍晋太郎を父とする安倍晋三は、従来の保守本流とは隔絶した極右ナショナリストであり、憲法は「連合国へのわび証文」「占領時代の残滓(ざんし)」と罵倒するなど、戦後的価値にしがらみをもたない戦後世代の首相である。
9月1日に発表された「美しい国、日本」と題する安倍の政権公約は、新憲法制定と教育の抜本的改革による「戦後レジュームからの脱却」を掲げ、「文化、伝統、歴史」「家族の価値」など、帝国主義的ナショナリズムを強く押しだしている。
安倍はこれまでブルジョア的にももまれず、真の修羅場も経験していない。しかし日帝ブルジョアジーは、それがどのような激動と支配の危機をもたらそうとも、それ以外に日本帝国主義の延命はない、と安倍を選択したのだ。財政的危機にあえぎ、自己の勢力圏形成ができず、帝国主義戦争国家としての歴史的準備が立ち遅れている日本帝国主義。ここが敵の凶暴さと危機であり、また最大の弱点だ。
80年代の国鉄分割・民営化を強行した中曽根政権から、小泉の「構造改革」攻撃に至るまで、その最大の狙いは労働運動と労働組合の解体・一掃にあった。郵政民営化攻撃こそ小泉の「構造改革」攻撃の最大の柱であり、これ自体が改憲攻撃としてかけられてきた。しかもこの攻撃が郵政労働者のみならず、6000万労働者階級全体に襲いかかり、すさまじい貧困と「格差社会」という現実をつくり出したのだ。
日本労働者階級は、動労千葉を先頭とする全逓・国鉄・教労・自治体の4大産別の現場の闘いによって、ぎりぎりのところで勝ち抜いてきた。この闘いが支配階級の分裂をつくり出し、労働者支配の決定的な破綻(はたん)を引き出しているのである。中川秀直政調会長が「次期政権の最大の抵抗勢力は、官公労である」と危機感をあらわにしているのはそのためだ。
強搾取・収奪を受けた日本労働者階級6000万の怒りは、帝国主義への根源的怒りである。さらに、憲法9条2項改悪には8割〜9割の圧倒的に反対する労働者人民が存在する。
全逓、郵政労働者が先頭に立って猛然と職場から決起すれば、郵政民営化攻撃、さらには「小泉改革」攻撃の全体を、安倍新政権丸ごとぶっ飛ばすことができるのである。そこから、帝国主義打倒の燃えたぎる労働者階級の壮大な分岐と決起が始まることは間違いない。だから、全逓、郵政労働者の闘いは、労働者階級の未来にとって、決定的なカギを握っているのである。
この闘いは、帝国主義の労働者支配そのものである連合・全労連など既成労働組合幹部を打倒していく闘いとしてある。言い換えれば、職場生産点で闘い、総決起すれば、必ず資本・当局、既成指導部との党派間激突に直面するのだ。これを打ち破り、闘う団結を打ち固め、拡大し、これに勝ち抜くことが、11・5集会1万人決起の決定的な道となる。このことを実践的方針として貫徹しよう。
現場の反撃で全逓再生を
今こそ闘う全逓労働者は職場闘争を軸に闘い、教育基本法改悪・改憲阻止の国会闘争へ、全逓労働者の政治決起を断固つくりあげよう。
安倍は政権公約の中で「民間活力フル活用」「行政スリム化、民間主導の地方再生」など、民営化攻撃を一層激化させることを宣言している。それは改憲突破を狙う安部政権にとって、郵政民営化こそ最大のアキレス腱(けん)となることを意味する。郵政民営化に対する怒りと改憲攻撃への怒りを結合させて、職場から総反撃を開始するときである。
いまや全逓労働運動を再生する絶好のチャンスが到来していると言っても過言ではない。郵政民営化をめぐる攻防は何一つ決着などついていない。それどころか郵政民営化攻撃は労働現場で次々と破綻している。現場から次々と強制配転拒否の闘いが起こり、慢性的な欠員と超勤の連続に対する増員要求の闘いが始まっている。現場労働者の戦闘性と階級性は生き続けている。それが様々なかたちをとって敵に突き刺さっているのだ。
民営化を前提にして民営化のためにあったアクションプラン2の諸施策は次つぎと延期・中止・縮小になり、完全に行き詰まっている。2ネット方式の導入による集配合理化は延期に追い込まれている。集配拠点再編による強制配転など、徹底した人員削減合理化に対する全逓労働者の怒りが大きく渦巻いている。
民営化の骨格をなす集配拠点再編などは、全国4700局のうち3600の集配特定局を統括センターへ統合するものであるが、来年3月の1048局の無集配化も大きくずれ込む状況となっている。「郵便局がなくなる」という危機感が広がり、全国99の自治体が集配拠点の再編に反対の声をあげている。
また8月に出された郵政民営化へ向けた「実施計画の骨格」について、全逓(JPU)中央の書記長・難波すら「全職員の90%強が所属する予定の郵便2社は、国際物流進出などの方向が見えない(郵便事業会社)、手数料収入を確保できるか(郵便局会社)など、不安材料が多い」とし、「新規事業による収益確保の見通しが不透明」などと不安を吐露している始末だ。貯金会社や保険会社についても、資金の減少傾向は明らかで、郵政公社や全逓本部が描いた「民営郵政」は、出発前から矛盾と危機を決定的に拡大している。
全国で噴出する現場からの怒り
「深夜勤を即時中止しろ」
「非常勤が集まらず2ネット中止はあたりまえ」
「ただ働きや36協定違反、分単位の超勤発令が横行している」
「JPS(郵政版トヨタ方式)はやめるべき」
「休憩時間がとれないなど労働基準監督署に訴えるべき」
「時間外に局近辺の掃除や自主研をやらされている」
「集配局の再編で本人希望でない会社・局所を提示された。何のための要員協議だ」
「憲法9条改悪に反対すべき」
これは全国大会以降に開催されたある地方大会や支部大会で出された現場の声である。これでも、ほんの一部なのだ。
いまや連合全逓中央こそ郵政民営化攻撃の最大の弱点となっている。自ら民営化を積極的に推進することによって、自分たちが組合員の労働条件を切り捨てていった。この連合全逓本部派に、現場組合員の怒りがたたきつけられている。郵政分割・民営化の基本計画(案)への彼らの評価を見れば明らかなように、新会社への展望と確信など何もないのだ。
彼らは、憲法改悪に対して絶対に「反対」と言わない。それは改憲に賛成しているからだ。「連合方針に沿って慎重に」などという言いぐさにそれは示されている。だが全国には改憲絶対反対の全逓労働者が圧倒的に存在しているのだ。
当局が欠員を放置していたために「郵便物1万5千通遅配」と新聞にも報道された伊丹郵便局の事態が示すように、全国どの職場も、超勤を拒否した瞬間に、たちまち物が溜まる状態である。今こそ郵政事業を実際に動かしている職場の主人公が誰なのかを、たたきつけてやるときである。
まず職場での闘いを組織しよう。本人希望に反する帰属や不当な配転は断固拒否し撤回させよう。慢性的な欠員と超勤の連続に対して増員要求を現場から巻き起こそう。不当なことは不当だと、はっきり言うことだ。要求すべきことは、きっぱり要求することである。
動労千葉を手本に闘おう
11・5集会1万人決起と06年〜07年階級決戦に向け、あらためて動労千葉が闘うことによって実証している労働運動の戦闘性、原則性、階級性、労働者の真の団結を実践的に学ぼう。
動労千葉は、70年闘争の激動の中で誕生し、三里塚農民との連帯闘争と反合運転保安闘争を軸とする職場闘争により、その階級性を確立し、また動労カクマルとの熾烈な党派闘争と組織攻防戦に勝ち抜き、分離・独立をかちとった。
さらに労働組合としての全存在をかけて、戦後最大の攻撃であった国鉄分割・民営化攻撃に対して、2波のストライキなどの壮絶な闘いを貫徹した。また、この死闘から生き残るだけでなく、現在もストライキ闘争に決起し、改憲・戦争と民営化―労組破壊攻撃と闘い、1047名闘争を根底において守り抜いてきた。
この動労千葉の労働運動は、総評―民同労働運動の労働者階級蔑視と絶望の思想と路線を突き抜け、労働者階級への絶大な信頼のもとに闘われてきた。それは、マルクス主義の思想と路線の勝利性を歴史的に実証した。だからこそ、韓国・アメリカの労働者をはじめとして国際労働運動に強い感銘を与え、国際連帯の懸け橋にまでなっている。
『俺たちは鉄路に生きる2』のなかに生き生きと語られているように、動労千葉労働運動の核心には職場闘争がある。その日々の闘いによって、日常的に育まれた組合員の「信頼と団結」として体現され、その信頼と団結は一個の規範にまで高められている。
動労千葉の職場闘争は、職場支配権をめぐる闘いであり、激しい党派闘争である。そこにJR資本やそれと結託したJR総連カクマル、そして闘いを裏切る国労本部などへの日常的怒りと激しい職場生産点での闘いがある。
動労千葉の闘いの軌跡は、不屈に闘いぬくならば、団結をつくり、その団結で多数の労働者を獲得できることを示している。この時代に、幕張事故における処分攻撃を打ち破っている組織的底力が何よりもそのことを実証している。練り上げた路線と方針を打ちだせる階級的組合指導部の存在と徹底討論で打ち固められた団結の力が動労千葉労働運動の原点であり、それを実践的に学びつくそう。
さらに、11・5集会を動労千葉とともに主催する関西生コン支部と港合同の実践から学ぼう。
郵政民営化阻止決戦として、集配拠点局の再編やアクションプラン2合理化をはじめとする具体的な攻撃と対決しよう。公社当局や連合派との職場生産点での闘いをとおして、団結をつくり広め、職場支配権にまとめあげ、超勤拒否、物ダメ・ストライキで郵政民営化攻撃を阻止しよう。
青年労働者の組織化を軸に、現場から11・5労働者集会に総決起しよう。
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週刊『前進』(2263号3面2)(2006/09/25)
学生の東北キャラバン隊
7県の労組・街頭回る
“9条変えるな”に大反響
(写真 【左】キャラバン隊は行く先々で圧倒的な注目を浴び多くの署名が集まった【9月1日 上越市】 【右】中学・高校生の関心も高い【9月2日 長岡市】)
9条改憲に反対する百万人署名運動が「9月キャラバン」の取り組みを呼びかけている中で、僕たちは学生だけでキャラバン隊をつくり、9月1日から10日間かけて東北6県と新潟県をまわり、改憲反対の署名を集めて街頭宣伝や労組訪問をやってきました。10日間のキャラバンで署名は1004筆集まり、カンパも8万円ほど集めることができました。
街頭宣伝では、多くの若い人たちが非常に関心を持ってくれて、署名をしてくれたことが印象的でした。郡山市では、ある中学生が「生徒会を使って戦争反対の運動をしてみようかな」と積極的な姿勢で話をしてくれました。また、さまざまな場所で「戦争が起きたら自分たちが戦争に行かされる。だから反対します」と言って署名をしてくれたり、僕たちの訴えをしっかり聞いてビラも読んでから街宣が終わった後に署名をしてくれたことが結構ありました。若者の政治ばなれが進んでいると言われていますが、感じたのは圧倒的に若者・青年の中に戦争と改憲に反対の声があるということでした。街頭には戦争をとめる、この社会を変える力があると確信が持てました。
労組訪問では、学生が戦争反対の行動をしているということに感動して、署名に取り組む方向で話をしてくれる組合が多く、すぐに署名に取り組んでくれる組合もありました。さらに、山形県内の9条の会や青森県での狭山再審闘争を闘うお寺を訪問したのですが、戦争に向かう時代だからこそいろいろな違いを超えて一緒に闘っていかなくちゃいけないということで、署名に取り組んでくれたところが結構ありました。
キャラバンをとおして、次期首相として有力な安倍に対する怒りは街頭や労組など多くの人が抱いているということを感じました。巨万の労働者、学生、市民が立ち上がれば必ず安倍を倒して、戦争・改憲を阻止できるという確信を深めることができました。東北キャラバンの大成功を大きなバネに、今秋決戦を闘っていきたいと思います!
(投稿/東北大I)
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週刊『前進』(2263号3面3)(2006/09/25)
秋篠宮男児誕生キャンペーン
天皇制存続へ強まる攻撃
9月6日、皇太子の弟、秋篠宮夫妻に第3子が生まれ、マスコミは「41年ぶりの皇位継承者誕生」と大キャンペーンを張り、日帝はその祝賀ムードで天皇制・天皇制イデオロギー攻撃を新たに強化しようと図っている。この問題に日本の労働者階級はどのような態度をとるべきなのか。
そもそも特定の家系に生まれたがゆえに特別に尊いという天皇制のあり方そのものが、〈基本的人権〉や〈法の下の平等〉も踏みにじる制度だ。日帝は、この天皇制ボナパルティズム権力のもとで、労働者階級の階級性を解体し、帝国主義戦争に総動員したのだ。
この体制が今や「男系男子による継承」という皇室典範の規定のゆえに存亡の危機に陥っている。そして支配階級は、これをなんとか存続させるためにおぞましいあがきを繰り広げてきた。今回の紀子の出産も、皇太子夫妻に男子が生まれる展望がないことから急きょ仕組まれた政治的出産だ。
皇室典範の改正をめぐって、小泉のもとにつくられた有識者会議は昨年11月、女性・女系天皇を容認する答申を出した。これ自体、崩壊しかかった天皇制を、女性天皇を認めても維持しようという苦肉の策である。それは男女平等でも民主的でもなく、矛盾に満ちた延命策である。
だが、このような「女性・女系天皇」に断固反対する勢力が猛烈な反対運動を行った。「新しい歴史教科書をつくる会」にも連なる勢力だ。「日本は万世一系の天皇が治める神の国」という虚偽のイデオロギーを守るためには、男系男子でなければならず、それを維持するためには「側室制度の復活」や旧皇族の復帰などさえ提案する者たちである。
重大なことは、新首相になろうとしている安倍晋三が、「万世一系」論者であり、「男系男子」論者であり、極右天皇主義者であることだ。小泉が進めた皇室典範改正について、安倍は今日すでに首相になる前から有識者会議の答申の見直しを公言している。
『美しい国へ』で、安倍は、「百二十五代にわたって天皇を戴いてきたという歴史」「日本の歴史は、天皇を縦糸にして織られてきた長大なタペストリー」と、「天皇を中心とした国」であることの誇らしさを強調している。彼が「日本の美しい歴史と伝統と文化」と言う時、その中心には「万世一系」の天皇が存在するのだ。
このような露骨な復古主義者が日本の政治の中心に座り、天皇制・天皇制イデオロギーを強化し、愛国心教育を押し出した教育基本法改悪を強行し、憲法9条撤廃に向かって進もうとしているのだ。とんでもない事態である。
天皇制攻撃は、民主主義的権利と労働運動、革命運動の圧殺であり、戦争動員と民族排外主義と差別主義を激化する攻撃である。
安倍「改憲政権」のもとで、戦争に向かって再び前面に押し出されている天皇制攻撃を真っ向から粉砕しよう。これは、日帝と天皇制の強さの現れではなく、その弱点、矛盾点であり、根底的危機の表現である。天皇制打倒・日帝打倒のプロレタリア革命に向かっての革命的な情勢の接近である。
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週刊『前進』(2263号3面4)(2006/09/25)
再開された労働法制改悪審議
資本の搾取欲がむき出し
2カ月間中断していた厚生労働省労働政策審議会の労働条件分科会が8月31日から再開された。厚労省は中断のもととなった素案を撤回したが、あくまで来年の通常国会への法案提出を狙って審議を進めようとしている。
再開審議では、経営側が資本の論理をむき出しにしてきた。労働側が求めている時間外割増率の引き上げ(25%→50%)について「割増賃金などに関心はない」と切って捨て、「ホワイトカラーエグゼンプションを優先的に議論してほしい」と要求した。
ホワイトカラーエグゼンプションとは、ホワイトカラー労働者を労基法が定める労働時間の規制の適用外とする制度である。2年前、外食大手「すかいらーく」の店長がいくつもの店を任され、毎日午前9時から深夜2時まで働かされて過労死した。「店長」を名目に残業代も支払われず、労働時間の規制もはずされていた。問題の制度が導入されたら、大部分の正規雇用の労働者がこのような無制限の長時間労働に駆り立てられ、病気になったり、過労死に追い込まれるのだ。こんなものを資本家階級は「自律的労働時間制度」などというふざけた名称で導入しようと策動している。
分科会の経営側委員である紀陸孝(日本経団連専務理事)は、「時間に応じた処遇では競争に負けてしまう。アウトプットを出さないと国際競争には勝てない」と述べた。資本家階級は「アメリカでは全労働者の約40%がこうした規制の適用を除外されている」と主張している(規制改革・民間開放推進会議の7・21意見書)。”労働者の体がどうなろうと知ったことではない。企業が国際競争に勝ちぬくためには労働者は文句を言わずに、倒れるまで働け”と言っているに等しい。
また、金さえ払えば首切りが自由にできるようにする「解雇の金銭解決」制度の導入策動も絶対に許せない。規制改革・民間開放推進会議の同意見書では「正社員・非正社員間の均衡処遇を実現するためには、正社員の労働条件を一方で引き下げることが必要になる」などという暴論を吐いている。同会議の委員である八代尚宏(国際基督教大学教授)は、「解雇の規制強化は、正社員という身分を強め、正社員と非正社員との格差をさらに拡大させる」、だから格差是正のためには「正社員の身分保障のあり方こそ見直す必要がある」などと主張する。(日経新聞7月26日付)
資本家の要求は、「資本の活動に一切の縛りをかけるな。ほしいままに搾取させよ」ということだ。こんな資本家どもを、労働者階級は絶対に許さない。今、その怒りが大きく爆発し始めている。
労働法制改悪は改憲攻撃の一環だ。だが、凶暴な攻撃の背景には日帝の深刻な危機がある。「小泉政治の継承」を掲げた安倍改憲政権の登場は、逆に労働者階級がその危機をついて反転攻勢に転ずるチャンスである。資本家の手先=連合中央の制動をうち破り、職場闘争を基盤に団結を固めて闘うことこそ、勝利の道だ。
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週刊『前進』(2263号4面1)(2006/09/25)
10・8三里塚全国集会に大結集を
市東孝雄さんの耕作地を守れ
「北延伸」着工の暴挙弾劾
改憲攻撃下の攻防に勝ちぬこう
農家上空40bにジャンボ機 三里塚つぶしを狙う
政府・国交省は9月11日、成田暫定滑走路「北延伸」計画の認可を強行し、NAA(成田空港会社)はこれを受け、わずか4日後の15日に着工を強行すると発表した。申請から認可までわずか1カ月、工事業者の入札は着工前日の14日という異常さである。NAA社長の黒野は認可当日、「09年完成は厳守する」と宣言し、上空40bにジャンボ機を飛ばされる空港敷地内の反対農家はもとより、新たに騒音直下となる地区の住民対策すら無視して工事を進める意志をむき出しにした。
航空会社や自治体首長など空港利益関係者だけの「公聴会」(8・24)で「地元の合意は得られた」と発表するなど、空港会社の姿勢はあからさまだ。公式の場で大臣が「過去の一方的空港建設を反省する。今後は地元住民の合意なしに滑走路は造らない」(94年「円卓会議」)と確約してみせた数年前までの姿勢はもはやかけらもない。
この強引な着工の目的は、端的に“三里塚闘争つぶし”である。農家の上空40bにジェット機を飛ばし続ける国家犯罪の現実を消し去るためにも、NAAは反対農家の存在自体をたたきつぶすことに踏み出したのだ。天神峰の市東孝雄さんの耕作地(誘導路が「への字」に湾曲している場所、地図のB=天神峰現闘本部Aに隣接)を農地法を使って強制的に取り上げようとする驚くべき無法はその最大の柱だ。
開墾以来90年の営農実績を積んだ市東さんの耕作権を剥奪(はくだつ)するNAAの申請(7月3日)を受け、千葉県・堂本知事は着工前日の14日にこれを県農業会議に諮問し、農業会議は「耕作契約解除が相当」と答申した。本件は農地収用という農業会議にとって超ど級の問題だが、まともな審理はおろか、まだ現場調査すら行われていない状態だ。それを「諮問」一発で知事決定に持ち込もうとするとは尋常ではない。これは完全に政府レベルの意志、権力の意志である。彼らは、市東さんへの耕作権剥奪攻撃を三里塚闘争つぶしの中軸にすえてきたのである(後述)。
また暫定滑走路「北延伸」計画は、東峰地区の農家と農地を新設誘導路で取り囲み、陸の孤島に追い込む事態を生むが、これも農家の生存権を破壊する問題だ。基本的人権さえ踏みにじるこのような計画の認可自体がめちゃくちゃなのだ。新設誘導路は、戦後開拓以来の貴重な入会林となってきた“東峰の森”Fを地区住民全員の抗議を無視して一方的に伐採する計画として進んでいる。これも極めて重大である。
動労千葉・法政大学・三里塚 闘う拠点へ圧殺攻撃
日本の労働者人民は現在、自民党・安倍新体制による改憲を頂点とする巨大な政治反動と対峙している。改憲攻撃の実際は、数年内にも日本を本格的な戦時体制に突入させようとするもので、攻撃の主要な矛先は労働者階級の階級的な基盤や闘争拠点を根こそぎにすることに向けられている。それゆえ自民党・中川政調会長をして「次期政権の最大の抵抗勢力は官公労」と言わせ、4大産別を始めとする組織労働者をブルジョア政党支持に押し込め、改憲容認の総翼賛体制に組み敷こうとする攻撃が猛烈な勢いで進められているのだ。
その攻撃の先端部は、明らかに70年安保・沖縄闘争以来の強固な階級的抵抗拠点に向けられている。動労千葉を先頭とする階級的労働運動を直接破壊することを目指した攻撃(拠点運転区の廃止攻撃など)、時代に敏感な学生運動が数十年ぶりに本格的に台頭し始めた法政大学の学生に対する、まるで戦前のような弾圧(立て看板撤去に抗議しただけで29人を逮捕)など、支配階級の意図はむき出しである。
そしてこれらの攻撃とまさに同時に、三里塚闘争と反対同盟農民をたたきつぶすことをはっきりと目指した、一連の攻撃が始まったのである。
動労千葉、法政大学、三里塚闘争――これらの闘う拠点を許されない存在としてつぶそうと動き出した支配階級の意図はあまりにも明白だ。動労千葉は、70年安保・沖縄闘争の爆発以来、国鉄分割・民営化を頂点とする三十数年をかけた支配階級の労働運動破壊攻撃を、根本的な破綻(はたん)に追い込んでいる労働組合だ。法政大学は、これも70年闘争を先頭で牽引(けんいん)した学生運動の地平を、その後の全国的な弾圧と反革命カクマルの襲撃を受けて、中核派を除くすべての党派拠点大学が権力・当局に制圧される中、闘う学生の運動基盤である自治会権力を守りぬいてきた最強の拠点大学だ。
そして三里塚闘争は、40年の歳月をかけて国家権力の総力を投入した第一級の国策事業をいまだに阻止し続けている農民運動の拠点である。国の権力行使そのものである土地収用法による強制収用を真っ向から打ち破って勝利し続けている点で、三里塚闘争の階級的な意義は際だっている。農民と労働者の正義が国家の論理を打ち負かし、実体的にも軍事空港の完成を40年間阻み続けているのだ。「一介の農民がお上に逆らって国策を阻んでいる」(故・戸村委員長)現実の大きさは、きたるべきプロレタリア革命が現実のものであることを今日的に証明する闘いでもある。
これらの階級的な闘争拠点は、現在の日帝・支配階級にとって危険極まりない存在である。その理由は一点、この社会を支えている実体である労働者と農民の階級性を徹底的に守り抜いてきたことにある。階級性とは、支配階級を倒さなければ生きられないという本質的な闘いの立場だ。
改憲攻撃は、帝国主義である限り侵略戦争が不可避となったこと、そして一握りの支配階級、大ブルジョアと富裕層が労働者と農民を徹底的に犠牲にし、切り捨てる以外に生きられなくなった表現である。それゆえの首切り・賃下げであり、リストラと非正規雇用の拡大であり、格差社会の拡大であり、国軍の創設なのだ。まさにそれゆえの治安弾圧の強化、国民統制の強化、言論封殺なのである。もはや動労千葉や三里塚、法政大学のように闘わなければ人民は生きていけないことが急速に明らかになりつつある。まさに支配階級にとっては危険極まりない存在なのである。
「農業不要」公言する経団連 農民切り捨ての企て
労働者への資本攻勢と表裏一体の農民切り捨ては、改憲攻撃のもう一つの決定的な側面である。かつてのアジア侵略戦争と第2次大戦にいたる15年戦争に敗北した日帝・支配階級は、戦後革命の嵐の中で労働者と農民の反乱を突きつけられ、体制転覆(革命)の間際まで追いつめられた。この中で全国で数千件にも達した小作争議(農地の実力占拠を含む)を、GHQ主導の農地改革でかろうじて予防反革命的に乗り切り、これを逆に戦後の自民党支配の基盤にしていった歴史がある。
現在、小泉政権を支えて改憲攻撃の推進軸となっている日本経団連は「日本の農業は不要だ」とまで公言している。自らの政権基盤だったものを切り捨てる以外に延命できないほど支配階級の危機は深い。経団連が言う「農業不要」とは、食料を「コストの安い」輸入に完全に頼り、これを基礎に労働者の賃金を極限まで切り下げる構想だ。大資本が国際的な市場争いの中で自動車などの工業製品を海外に売るために、農業を捨ててしまうという意味だ。
このデタラメな農業政策は、日帝支配階級が国民統治の根本を放棄したに等しい問題である。あらゆる意味で農業のない社会は成立しない。現在、自民党から手のひらを返して「用済み」とされ、文字どおりの切り捨てに直面した農民たちの間に急速に怒りが充満している。「4町歩なければ自分の名前で米も売れない」小泉政権下の「新農政」は農民つぶしの序の口だ。もはや農民たちの反乱は避けられない情勢が接近している。
この問題も、改憲情勢で“三里塚つぶし”が全面化した大きな背景だ。三里塚は反権力闘争の拠点だが、戦後自民党農政への一貫した反乱を40年も続けてきた農民闘争という意味でも、随一の拠点なのである。三里塚における1971年の強制代執行阻止闘争が「日本農民の名において収用を拒む」というスローガンで闘われ、全国から米俵を担いだ農民たちが大挙して三里塚に駆けつけた歴史は現在も生きているのだ。
このように、支配階級は動労千葉や法政大学、三里塚を始めとする階級的な闘争拠点をたたきつぶすことなしに、改憲を頂点とする大政治反動を乗り切ることはできない。目前に迫った臨時国会の改憲4法案(教育基本法改悪、共謀罪新設、国民投票法案、防衛庁「省」昇格法案)制定の攻撃は、必然的にこれらの労働者と農民、学生の闘争拠点をめぐる激しい攻防となっている。
(写真 市東さんの耕作地-上の図のB-。この農地を農地法を使って強奪する暴挙を許すな)
違法な「農地法で農地収用」 弱点抱えた建設計画
市東孝雄さんの農地を、あろうことか農地法で取り上げるという「耕作権解除」攻撃は、法的には到底説明できない仕掛けであり、国家の意思と暴力がむきだしになった攻撃だ。後の裁判で国(県)が負けようがどうなろうが、とにかく反対同盟とそれを軸にした農民たちの闘争陣形をつぶすことが先決という考え方だ。この凶暴さこそが改憲攻撃なのである。
しかしここに敵の致命的な弱点もさらけ出されている。40年にわたる三里塚農民の不屈の闘いは土地収用法という敵の切り札を失効させてしまった。成田空港建設の「公共性」は法律的には消滅したのだ。そして政府・権力は「農地法による農地収用」というあからさまな違法行為に手を染める以外なくなったのだ。この実態が広く世に暴露された瞬間、日帝・権力と空港会社は日本中の農民と労働者を敵に回す以外になくなるだろう。
それは現在、東峰地区で起こっている「農家の上空40b飛行」など国家犯罪の数々が、一挙に社会に暴露されることでもある。国交省とNAAは「北延伸」計画の「09年完成は絶対」などと叫んでいるが、彼らは一つ間違えば、国家犯罪の現実が世の知るところとなり、暫定滑走路の運用自体が危うくなる危険を抱えているのだ。
02年の暫定滑走路開港は、開港の衝撃と殺人的な航空機騒音で東峰区の農民をたたき出すことが目的だった。それであえて欠陥滑走路のまま開港に踏み切った経緯がある。この政府・国交省とNAAのあくどい目算が、反対同盟の不屈の闘いによって崩され、今ついに完全に裏目に出ようとしているのである。
「北延伸」の危機はほかにもある。焦点の市東孝雄さんの畑は、誘導路を「への字」に湾曲させている場所だが、北延伸は「大型機を飛ばす」ことがうたい文句なので「への字」の直線化が必須(ひっす)項目となってしまった。しかしここは市東さんの農地に隣接した天神峰現闘本部がそびえ立つ土地でもある。NAAが撤去を求める不当提訴(04年3月)を行って現在裁判中だが、全国的な支援陣形に支えられた反対同盟側の地上権は揺るぎなく、NAAと国交省はここでも法を度外視した権力頼みの法廷運営を強いられている。まっとうな裁判官ならNAAに勝ち目はない。
「北延伸」の用地(進入灯設置区域)に直接かかる廃棄物処分場Cの廃止問題も深刻だ。ダイオキシンなど有害廃棄物の存在が明らかになり、法律を順守すれば廃止・転用に最低5年はかかることが明らかになった。この地域の地下水脈は空港北部地域の生活水の源流部で、処分場の違法な閉鎖は深刻な環境汚染問題を引き起こすこと必至だ。NAAはこの問題でも、違法を承知で工事を強行する以外に工期を守れないところに追い詰められた。
〈労農連帯〉の新たな地平を 現地結集運動今こそ
1988年に強制収用攻撃が襲いかかって以来、約20年ぶりの本格的な“三里塚つぶし”が、改憲攻撃と一体となって襲いかかっている。わが革共同は革命をめざす労働者階級の党として、この攻撃をまさに階級の組織された力を結集して、なんとしても粉砕するまで闘いぬく決意である。
反対同盟農民と交わした40年来の血盟は、71年の代執行阻止闘争以後の激しい対カクマル戦争や80年代の対権力戦争も含め、三里塚農民が生活と家族の命運を党と労働者階級の闘いに託すものとして成り立ってきた。とりわけ中曽根政権による大反動が吹き荒れた80年代、反対同盟農民が組織と地域の分裂をも受容してわが革共同とともに闘いぬいたことが、党と革命の死活的な生命線を守ったのである。
またこの過程で闘われた動労千葉のジェット燃料輸送阻止闘争(78年の開港阻止決戦前後)は、国策を揺るがす規模の労農連帯の地平を切り開き、それゆえに動労カクマルの「三里塚絶縁宣言」との激突に発展し、79年の動労千葉の分離独立〜80年代国鉄分割・民営化攻撃との壮絶な決戦を切り開く土台を築くものとなったのである。
今この三里塚農民が、改憲攻撃の本格化の中で、再び労働者階級の闘いとの大合流を訴えているのである。反対同盟は、労働者階級とともに進むことが三里塚闘争の究極の勝利の道であることを確信し、自ら11・5労働者集会1万人決起の一翼を全力で担うことも表明している。
いま三里塚に必要なことは現地への圧倒的な結集運動だ。とりわけ市東孝雄さんへの農地強奪をはね返す足がかりを、10・8三里塚全国集会で何としてもつくり出さなければならない。権力は法を無視した力勝負に出てきたのであり、闘いは物理的な結集力こそがものを言う局面なのだ。
「一人が必ず一人をオルグし連れて行く」という動員運動を復活させよう! 10・8三里塚に労農同盟の新しい旗を打ち立て、11・5労働者集会1万人決起を反対同盟農民とともに実現しよう! 市東孝雄さんへの激励行動を、10・8三里塚への結集運動として組織しよう!
(赤坂潤)
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週刊『前進』(2263号4面2)(2006/09/25)
9・24北富士闘争へ
米軍の実弾演習を許すな
闘う仲間のみなさん。青年労働者、学生のみなさん。忍草農民が呼びかける9・24北富士現地集会への結集を訴えます。(1面に要項)
自衛隊は陸自のイラク派兵に伴い、北富士演習場にイラク・サマワ宿営地模擬施設を建設し、3カ月ごとに派兵部隊の訓練をしてイラクに送り出してきました。「施設を建設する地域は廠舎(しょうしゃ)地区だから入会権は存在しない」と強弁し、忍草農民の反対の声を踏みつぶし、12fの土地を囲い込み問答無用とばかりに施設をつくり、訓練を強行してきました。
忍草農民は、県、国への申し入れ、3カ月ごとにくり返される訓練に対する反対闘争をねばり強く展開してきました。「サマワ宿営地模擬施設地域は入会地だ」「入会地無断使用を許すな」「北富士を中東につなぐな」「侵略演習反対」と声を大にして闘い抜いてきました。その中で自衛隊は、イラクへの陸自派兵の終了に伴い、ついにサマワ宿営地模擬施設の撤去を行いました。忍草農民の闘いと入会権を否定し続けることの困難さの中で、自衛隊は施設の撤去を余儀なくされたのです。重大な勝利です。
陸自の派兵は終わったが、イラク侵略戦争は終わっておらず、激化しています。空自はバグダッドなどへの空輸も受け持ち、任務を拡大しています。イラク派兵を弾劾し、自衛隊の全部隊の撤退をかちとろう。
忍草農民はこの勝利を確認し、入会地奪還・北富士演習場撤去まで闘う決意をうち固めています。
そうした中で、また新たな攻撃がかけられてきています。11月の米軍演習のエスカレーションです。在沖海兵隊の県道104号越え実弾演習の本土移転は、「沖縄の負担を軽減する」と称して強行されてきました。これは長距離砲のりゅう弾砲のみの演習としてなされてきました。ところが今回、小火器(機関銃など)演習を追加しようとしています。戦場地域制圧には小火器演習が不可欠です。単なる射撃訓練ではなくなるのです。まさに実戦演習へのエスカレーションです。
これは海兵隊の演習全般を本土の陸自5大演習場で実施していくことに道を開く大攻撃です。事態は重大です。米軍演習に伴って、海兵隊が陸自の大演習場で侵略演習を行って朝鮮半島に出撃していく準備そのものです。かつての朝鮮戦争の再来といわなければなりません。
山梨県と富士吉田恩賜林組合はこの演習をすでに認めています。北富士演習場は「米軍演習場としてもあり、小火器演習は従来から行っているので問題ない」としています。しかし、米軍は北富士を突破口にして、反対を表明している大分県日出生台などの地元住民を屈服させようとしているのです。演習のエスカレーションを許してはなりません。「富士を朝鮮につなぐな」の旗をますます高く掲げて闘わなければなりません。
安倍は、新しい憲法の制定と教育基本法の改悪を掲げて登場しようとしています。臨時国会は国民投票法案、教育基本法改悪案、共謀罪法案、防衛庁の省への格上げ法案をめぐる決戦場です。この決戦に私たちの未来がかかっています。連日の国会闘争、11・5労働者集会1万人決起で反撃しよう。9・23改憲阻止集会の成功をかちとり、連続して9・24北富士闘争に立とう。
(北富士現地闘争本部)
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週刊『前進』(2263号4面3)(2006/09/25)
9月5日〜12日
「5年以内に改憲を」と安倍
ブッシュが戦争継続を宣言
●「対テロ」国家戦略、戦争継続の必要性訴え ブッシュ米政権が「テロとの戦いに関する国家戦略」を発表した。「対テロ戦争」の継続の必要性を訴え、テロリストのネットワークによる攻撃を阻止することなどを最優先課題と強調した。(5日)
●皇室典範改正見送り方針 秋篠宮の妻が男児を出産した。これを受け、政府は女系・女性天皇容認を柱にした皇室典範改正を当面は見送る方針を固めた。(6日)
●「次の内閣では次の歴史認識」 安倍官房長官は、「植民地支配と侵略」を反省し、謝罪した95年の村山首相談話について、自らの政権で踏襲するかどうかについては「次の内閣では、その内閣において過去の戦争についての認識を示すべきではないかと思う」と述べた。(6日)
●ブッシュ、秘密収容施設の存在認める
ブッシュ米大統領は、これまで公にしなかった米中央情報局(CIA)のテロ容疑者拘束施設が海外に存在していることを初めて認めた。拘束してきた重要容疑者14人は、CIA管理から米軍が管轄するキューバ・グアンタナモ基地へ5日までに移送、今後、裁判に臨ませるという。(6日)
●シュワブで調査開始 名護市辺野古の米軍キャンプ・シュワブ内への普天間飛行場代替施設建設に向け、防衛施設庁は、兵舎などシュワブ内建造物の現況調査を開始、同飛行場移設に関連した現地の事前調査をスタートさせた。埋蔵文化財の調査も年内に着手し、これらの調査結果を年度内に策定するマスタープラン(建設計画)に反映させるという。(6日)
●在日米海軍司令官「集団自衛権議論を」 在日米海軍のケリー司令官は、神奈川県の横須賀基地で、ミサイル防衛(MD)で日米両国が協力して北朝鮮の弾道ミサイルに対応していくために「集団的自衛権を行使できるよう憲法改正の議論が深まっていくことを期待したい」と述べた。(7日)
●自民総裁選始まる 自民党総裁選が告示された。安倍官房長官、谷垣財務相、麻生外相の3人が立候補を届け出た。(8日)
●フセインとアルカイダの関係、完全否定
米上院情報特別委員会は、イラクのフセイン政権はアルカイダを体制にとって脅威とみなし、両者の関係は一切なかったとする報告書を発表した。(8日)
●安倍「改憲に5年近く」 安倍官房長官は公開討論会で改憲について「1、2年でできる話ではない。5年近くのスパンも考えなければならない」と表明した。また72年の日中国交正常化の際、日本の戦争責任について、中国が戦争指導者と一般国民を分けたことについて「それは中国側の理解かもしれないが、日本側はみんなが理解しているということではない」と述べ、容認しない考えを示した。(11日)
●ブッシュ「行く末決める戦争」 ブッシュ米大統領は、01年の9・11から5年を期してテレビ演説を行い、「戦いは終わっていない。われわれか過激主義者の側か、いずれかが勝利するまでそれは終わらない。われわれは、この新しい世紀の行く末を決める戦争の中にある」と訴え、「対テロ戦争」は長期にわたると述べた。(11日)
●情報収集衛星打ち上げ 宇宙航空研究開発機構は、政府の情報収集衛星光学2号機を搭載したH2Aロケット10号機を鹿児島県南種子町の種子島宇宙センターから打ち上げた。日本の情報収集衛星はこれで計3基。(11日)
●民主代表、小沢が無投票再選 民主党代表選が告示され、小沢代表だけが立候補を届け出て、無投票当選が決まった。25日の臨時党大会で正式に選出される。(12日)
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週刊『前進』(2263号5面1)(2006/09/25)
安倍打倒・改憲阻止の先頭に立つ
マル学同法大支部の戦闘宣言
10・20法大1万人決起から無期限ストライキ突入へ
マル学同中核派・法大支部は、10・20法大1万人集会と退学処分・停学処分を撤回するまで無期限ストライキに突入することを宣言する。法大キャンパスを、安倍改憲政権打倒の最先端の砦(とりで)へと転化させる。改憲阻止決戦に敵対する平林独裁体制を3万法大生の闘いで蹴散らし、退学処分・停学処分を実力で撤回させるのだ。法大キャンパスから安倍打倒・改憲阻止の火柱をあげ、日本階級闘争を圧倒的に揺り動かす決意だ。全国の労働者、学生のみなさん! 11・5労働者集会の1万人決起−学生1千人決起をかちとり、全国学生300万改憲阻止ゼネストに突き進もう!
特攻隊賛美の教育改革
極右国家主義者の安倍が登場したことで、改憲阻止決戦の圧倒的大爆発は不可避だ。3・14法大弾圧をくぐり抜け、6・15法大1千人決起をかちとったマル学同法大支部と3万法大生にとっては、安倍などまったく恐るるに足りない。安倍のような極悪国家主義者を階級闘争の中心に引きずり出し、6000万労働者階級と300万学生の闘いによって根底的に打倒する歴史的チャンスが到来したのだ。
安倍は、集団的自衛権の憲法解釈を変えて、改憲を待たずに侵略戦争に突入することを宣言している。そのために首相官邸に国家安全保障会議を設置し、防衛省格上げ法や自衛隊海外派兵「恒久化」法の成立を狙っている。安倍は、「拉致問題」で排外主義キャンペーンを行い、経済制裁−侵略戦争に突入しようとしているのだ。だが、日本帝国主義の強盗戦争など、4大産別を先頭とした6000万労働者階級と300万学生は絶対に許さない。朝鮮・中国−アジア人民は絶対に許さないのだ。
安倍は、憲法改悪と教育基本法改悪を政権公約として掲げている。すべてが、崩壊寸前の日本帝国主義が延命するためだ。安倍の言う教育改革や教育基本法改悪は、われわれ学生に国のために死ねという攻撃だ。安倍は、特攻隊での死を賛美している。だが、15年戦争は、三井や三菱などの巨大財閥の強盗的利益のための侵略戦争だった。労働者や学生は、特攻隊で戦争に駆り立てられ、消耗品のように犬死にさせられたのだ。
安倍は再び、トヨタやキヤノンなどの大企業の強盗的利益のために青年労働者や学生を使い捨て、あげくに侵略戦争に駆り出そうとしている。ふざけるんじゃない!
国のために命をささげるのが素晴らしいだと! 冗談ではない。労働者を搾取してぼろもうけしている大企業のための国家など滅びてしまえ。医療・年金、介護を切り捨て、増税する国家など倒して当然だ。戦争反対の立て看板の撤去に抗議したら逮捕する国家など打倒せよ。これが労働者と学生の声なのだ。
何が教育改革だ。結局、ブルジョアジーの金もうけのために一部のエリートを育成し、圧倒的多数の実直な使い捨ての労働力を確保して、あげくには侵略戦争に動員することが狙いじゃないか。何が、「大学を9月入学にして、その前に奉仕活動を義務化する」だ。冗談ではない。お前の本音は、徴兵制だろう。真っ向から言って見よ! こんな教育改革など、学生にはまったく通用しない。300万学生の根底的な怒りに火をつけるだけなのだ!
学徒出陣の道拒否する
今、3万法大生と全教職員は、再び戦争協力−学徒出陣の歴史を繰り返すのか否かが問われている。
日帝が15年戦争に突撃を開始する中で、法大では1930年に哲学科の三木清教授が治安維持法違反で逮捕され、法大から追放された。1937年には陸軍大将・荒木貞夫が修身の講義を開始した。1939年からは軍事教練が必修科目となり、中国侵略のための人材育成を行う大陸部が設置され、右翼の大川周明が学部長になった。1943年には超軍国主義・国本社の竹内賀久治が総長に就任し、学徒出陣が強行された。こんな歴史を断じて繰り返してはならない。侵略戦争に突き進む日本帝国主義を打倒しよう。
法大・平林独裁体制は、完全に同じ歴史を繰り返そうとしている。「開かれた法政21」などと称して、警察権力とブルジョアジーに開いた法大へと転換している。警察権力と結託して、29人の学生を不当逮捕した3・14法大弾圧を見よ。
平林独裁体制は、侵略戦争推進勢力へと転落した。日本商工会議所などのブルジョア経済団体と結託し、「就職支援」と称して、資本の役に立つ学生を育成するのが大学の役割だと言っている。退職した教職員の年金を切り捨て、大学業務の外注化を進め、職員を非正規雇用化して劣悪な労働にたたき込み、値上げした学費を使って巨大ビルをガンガン建設して、一部の理事だけが甘い汁を吸っているのだ。教職員や学生から、「今の理事会は金もうけしか考えていない」と怒りの声が上がっている。
そして、法大当局は、サークルの自主文化創造運動を否定し、サークルに対しては「ボランティア」「社会貢献」「地域町おこし」をやれなどと言っている。これは、法大の売名行為に役立つサークルになれと言うことであり、行き着く先は学徒出陣だ。
さらに、法大当局は自主法政祭の24時間開催や飲酒を否定し、体育系サークルが体育館を使用して活動することまで否定しようとしている。
こんなことまでやらざるを得ない法大当局は、完全に破産している。こんなことをやればやるほど、法大生の怒りを爆発させるだけだ。法大当局の最大の弱点は、学生の主体性をまったく無視していることだ。学生の人生などまったく考えていない。学生が大学で青春を謳歌(おうか)し、仲間と笑い、悩み、学生が団結する存在であることなど思いもよらない。学生を学費を払ってくれる「カネづる」であり、資本に売り込む「商品」であり、弾圧すれば沈黙する存在としてしか見ていないのだ。
学生の怒りに火をつけた!
だが、そのような法大当局のあり方が学生の怒りに火をつけた。警察権力と法大当局は、3・14法大弾圧で、闘う法大生をたたき出そうとしたが大破産し、逆に6・15法大1000人決起へと転化した。
6・15に行われた「学生証チェック」は、法大生であるか否かを確認するのではなく、法大当局に従うかどうかを確認するものであった。それは、学生を人間扱いしないということであり、法大生の怒りが爆発した。
法大生の闘いは、もはやいかなる脅しや暴力をもっても押しとどめることはできない。学生は、不当な弾圧に怒り、闘う主体なのだ。法大生は、3・14弾圧や退学処分・停学処分に激しく怒り、わがこととして考え、「明日はわが身」と考えている。5人がキャンパスからたたき出されたら、すべての学生の権利が奪われ、学生団体や自主法政祭がつぶされ、法大から学生自治が完全に一掃されると感じている。法大生は大学や教授に幻想を持たなくなった。自分たちの力で法大を変えなければならないと自覚し始め、今秋の闘いに立ち上がり始めている。
教職員の中からも、弾圧のための動員を拒否する教員が次々と生み出されている。総長選挙の廃止攻撃に対しても、教職員から怒りの声が上がっている。
今や法大当局は、警察権力やガードマンなどの外部権力を導入し、暴力的に弾圧する以外、術(すべ)を失ってしまったのだ。だが弾圧を行っても闘う法大生は絶対に屈服しない。むしろ法大生や教職員の怒りの闘いを促進させるだけなのだ。
まさに、平林独裁体制は、裸の王様であり、学内支持基盤などまったくなく、警察権力やブルジョアジーに依拠しなければ一日たりとも存在できないきわめて脆弱(ぜいじゃく)な存在だ。当局の凶暴な攻撃は、敵の恐怖と脆弱性の裏返しであり、学生が団結して闘えば平林独裁体制など一発で打倒できるのだ。すでに理事の柳沼は、「学生管理の問題は長期化を覚悟しなければならない」などと、3・14弾圧の狙いが大破産し、法大生の怒りの決起が爆発を開始したことに打ち震えているのだ。
まさに、腐敗し権力と結託するしか延命できない法大当局に、法大を運営する資格など1ミリもない。学生がストライキを闘って法大の主人公となり、法大を労働者階級と学生の手に取り戻す時が来たのだ。
5学生の処分は無効だ
3万法大生の闘いに追い詰められた法大当局は、退学処分を受けた3人の法大生の仮処分裁判において、「3月14日に逮捕されたことが退学処分の理由ではない。何度も大学の業務を妨害したからだ」などと言い出している。ふざけるんじゃない! 「3月14日に逮捕されたから処分を下す」と言っていたのは法大当局ではないか。
だが重要なことは、労働者や法大生の闘いに追い詰められて法大当局が、3・14で逮捕されたから退学処分だと主張できなくなったことだ。しかも大学の業務を妨害したという具体的事実をまったく述べることができないのだ。法大当局は完全にグラグラになっている。これは3人の退学処分、2人の停学処分は、百パーセント無効であることを法大当局が認めたに等しい。
平林よ! 3万法大生を甘く見るな! 警察と一体となった逮捕、処分など、法大生は誰も認めていない。いつまでもカネと暴力にまみれたキャンパス支配が通用するわけがない。今秋、3万法大生の怒りの決起で、独裁者=平林を恐怖のどん底にたたきこんでやる!
全国の労働者、学生のみなさん! 日帝の危機は激しく深い。勝利するのは労働者階級と学生だ。日帝が延命するための侵略戦争と改憲を粉砕し、日帝打倒に突き進もう!
法大生は、安倍改憲政権打倒の先頭に立つ。改憲阻止決戦に敵対する平林独裁体制を蹴散らし、全国の労働者が空気の入る闘いをバンバン切り開く。10・20法大1万人決起と無期限ストライキ闘争の大爆発をかちとり、11・5労働者集会への1万人決起から全国学生300万改憲阻止ゼネストに突き進もう!
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■法大弾圧と6・15闘争
法政大学当局が一方的に通告した「立て看板規制・ビラ規制」に反対して闘われた3月14日の抗議デモに対して、私服刑事200人がキャンパス構内に突入して襲撃し、学生29人を不当逮捕した。大学当局と公安警察の結託による前代未聞の弾圧だ。全員完黙非転向で不起訴釈放された。法大当局に対する抗議の闘いが続く中、6月15日には正門に検問体制を敷いた当局に怒りが爆発、法大生1000人が当局を追及する闘いに発展した。(写真上)
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週刊『前進』(2263号5面2)(2006/09/25)
沖縄地方選 名護 新基地反対で善戦
読谷 知花氏3選 北中城 宮城氏6選
(写真 「ふるさとは宝」と訴える乗恩納琢磨氏【9月9日 名護市瀬嵩】 宣伝カーで訴える知花昌一氏【8日 読谷村】)
(写真 反戦訴え20年の宮城盛光氏【8日 北中城村】)
9月10日投開票の沖縄統一地方選挙が闘いぬかれた。11月沖縄県知事選を控え、全国の米軍基地の75%が集中する沖縄から普天間基地即時閉鎖・辺野古新基地建設阻止、戦争反対・改憲阻止の力強い労働者人民の意志を示す結果となった。
読谷(よみたん)村議会選挙では反戦地主の知花昌一氏が704票(定数19人中18位)で3期目の当選をかちとり、北中城(きたなかぐすく)村議会選挙では宮城盛光氏が473票(14人中9位)で6期連続当選を果たした。地方行革の推進で議員定数が削減される中、少数激戦をかちぬいて勝利をかちとった。
さらに新基地建設を阻止し続けている名護市では、新たな沿岸案に対する絶対反対の市民の意志が鮮明に示された選挙結果となった。
大浦湾を挟んでキャンプ・シュワブと隣接する「二見以北10区の会」(地図参照)から東恩納琢磨(ひがしおんな・たくま)氏が「ふるさとは宝」「沿岸案反対」を訴えて初の挑戦。定数27議席を32人が争う激戦で大奮闘した。728票獲得したが、わずか1票差で次点という悔しい結果となった。
東恩納琢磨氏は1961年生まれの45歳、瀬嵩(せたけ)でふるさと起こしの自然塾「じゅごんの里」を開設しジュコン保護運動の先頭に立ってきた。辺野古沖への新基地建設計画が浮上してから10年、基地反対闘争の先頭に立ち、海上阻止行動では船長として奮戦してきた。
選挙戦中、東恩納氏は街頭で訴えた。「『ふるさとは宝』のたくまです。名護の未来に禍根を残すような基地建設にははっきりとノーと言いましょう。出来高払いの振興策に頼るのではなく、子どもたちにこの豊かな自然を残しましょう!」
若い力に対する支持の声は選挙戦をつうじて大きく膨らんだ。
投票日前々日の8日、防衛施設庁が定例記者会見で、普天間代替施設建設に向け、米軍キャンプ・シュワブ内で兵舎移転のための現況調査を6日から始めていることを明らかにした。名護市民の怒りは募った。あくまで地元無視で沿岸案を強行するのか!
昨年9月2日ボーリング調査用海上ヤグラは撤去に追い込まれ、辺野古沖案は破産。にもかかわらず日米政府は10月、米軍再編の中間報告で辺野古沿岸案を決定。3万5千人が集まった3・5県民大会で普天間即時閉鎖と辺野古沿岸案反対の県民の総意が示されたにもかかわらず、日米政府は今年5月、滑走路をV字形2本とし、大浦湾に原子力空母も接岸可能な軍港を建設する計画で合意したのだ。
改憲阻止へ前進
読谷村の知花昌一氏は反戦地主として契約を拒否し続けた「象のオリ」(米軍楚辺通信所)内の土地をこの8月1日に奪還したばかり。
「今、読谷から平和の発信を!」をスローガンに掲げ、5日間の選挙期間中、精力的に83回のスポット演説をした。「平和でなければ福祉も脅かされる」と強調し、「そのためにものを言う議員が必要。私は2期8年、言うべきことを言ってきた」と行動力を訴えた。定数3減の少数激戦を、地域と家族の奮闘が3期目の勝利を切り開いた。
北中城村議選も20議席から一気に6減の14議席となり、15人の有力候補がしのぎを削る激戦となった。宮城氏は連日朝立ちを行い、猛暑の中を自転車で駆けめぐった。その結果、前回選挙から120票余りを上乗せして堂々当選した。宮城氏は「組織戦の勝利、団結の勝利」ときっぱり。
戦争反対、基地反対とともに住民生活と直結する福祉、教育問題も声を大に訴えた。公立保育園の民営化反対を訴え、子育て世代の若い父母の支持を広げた。4年前、「慰霊の日」の式典に出席した小泉首相に「有事法許さんぞ!」とうちわをかざして抗議した宮城氏。当時高校生だった有権者が「あの盛光さんですか? 絶対に入れます」とエールを寄せた。
(本紙 室田順子)
読谷から平和の発信 読谷村議 知花昌一氏
「今だからこそ読谷から平和の発信を」と訴えた。自民党総裁選挙で安倍晋三が憲法9条を変える、教育基本法を変えると公言して出てきた。アメリカとともに集団自衛権を行使し、戦争ができる状態に一気に入っていこうとする中央政治に対して地方からどうするのか。僕は戦争体験をした沖縄からもっと声を上げることが必要だと訴えた。平和が脅かされる時、高齢者福祉など福祉も一緒に脅かされる。
だから議会にはものを言う議員が必要だ。いかに安田村政を支持しようと議会にチェック機能がないと権力は暴走するし曲がってくる。3期目もものを言う議員としての活動を貫いていく。
団結で築いた20年 北中城村議 宮城盛光氏
反戦、平和の尊さを訴えてきた5期20年の経験と実践が評価された。
それは同時にお年寄りや子どもたちが幸せに暮らせる地域社会をつくっていくことだ。保育園の民営化反対を訴えて、子どもを預けて働いている若い父母たちに支持を拡大した。
この20年、議会ごとに「議会だより」を発行し広報してきた。労働組合や地域でともに闘ってきた仲間たちと分担して全戸に配布している。今回の選挙もこの組織力、団結の勝利だ。
憲法9条や教育基本法の改悪などの動きに反対し、初心を貫いてガッツで頑張る。
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週刊『前進』(2263号6面1)(2006/09/25)
軍事優先と民営化で呉・江田島が断水に 広島 T・O
広島県呉市と江田島市の断水は怒りに堪えません。紛れもなくこれは「人災」です。
県民の生活に不可欠の上水道を「40年間に1度点検しただけ」とは恐れいりますが、何よりこの水道の管理を民間に丸投げし、その上で業務を下請けさせていたといいます。あの埼玉の「プール排水溝」問題と同じ構造であり、民営化の問題なのです。この意味から断水は120%人災にほかなりません。
呉市は「大和ミュージアム」で「町おこし」を成功させたとして注目を浴びています。江田島市は「海軍兵学校」を売り物にしています。その上で海上自衛隊との「共存共栄」「基地は観光資源」といってはばからない市政がまかり通っているのです。
その元凶は小笠原・前呉市長です。彼はつい先日、消防職員の不正採用問題で逮捕されました(幹部もほとんど関係していた)。「市政の私物化」そのものです。
呉市の水道は海軍が起工して造られ、現在も海自と旧海軍呉工廠(こうしょう)の流れをくむIHIや淀川製鋼など企業優先の供給体制(すでに配管が軍事優先敷)になっているのです。ですから民生では完全断水しているのに、工業用水は低く見積もっても50〜70%は確保されているといわれています(それも造船重機やパルプといった大企業のみで、中小零細は「自助努力」)。
その上で、「災害派遣」と称して海自や陸自が給水を行い、これをマスコミが「自衛隊の住民救援」と大宣伝しています(本来は住民にゆきわたるはずの基地の水が「恩恵」として配られている!)。本当に許しがたいことだと思います。
あらためて、基地は要らない!軍隊と住民は相いれない!ことを痛感しました。
戦争しなければいけない体制なら変革を 仏教徒
NHK「ワーキング・プア」は放送後、随分と話題になっていました。私は見ていなかったので残念に思っていましたが、思いがけずビデオを送っていただきすぐに見ました。NHKとしては精いっぱいがんばったなあと思います。この特集のあと、NHKの“健闘”が目立ちます。「劣化ウラン弾・米軍内部からの告発」も良い内容でしたし、「硫黄島の玉砕」も誠実な報道でした。
黒木和雄監督の「紙屋悦子の青春」を見ました。心にじっくりとしみいる反戦映画でした。この7〜8月に何かとりつかれたように映画に“はまった”のは、恐らく小泉から安倍へと、つまり一段とキナ臭い戦争の方向へと政権のカジが切られようとしていることと無縁ではない、と思います。
私の実家は2度の大阪大空襲で全焼しました。知人宅は一家6人が死亡しました。同郷のルポライター島本慈子さんが著した『戦争で死ぬ、ということ』(岩波新書)に大阪大空襲の悲劇の一端がとりあげられています。
戦争をしなければ維持できない体制なら、その体制は変革されなければなりません。
たたかいの秋、安倍政権の誕生に対して、反戦平和の意志を一段と固めて立ち向かいましょう。
合掌。
安倍の「改憲」公約で街頭情勢は一変した 東京 涌井圭介
9月9日、都内のJRの駅頭で街頭宣伝をやりました。マスコミが自民党総裁選に制圧され、そこで未来が決まるかのように宣伝されている中、街頭で安倍の登場を切り裂き、本当の未来を示したいという思いでマイクを握り、9条改憲反対の署名を訴えました。
初めは署名に応じる人もまだ少なく、こちらの気持ちも少し空転していたのですが、メガホンで「安倍は9条を変え、本気で戦争をやろうとしています。百万人の声で安倍新政権を包囲して9条改憲をとめよう」と訴え続ける中、駅頭の空気が変わりました。
子ども連れで駆けより、「この子どもたちを戦争に送ることなど絶対にできません」と家族全員の署名をしていった主婦。「安倍は右翼の親玉みたいなやつだ。何であんなのが人気あるのか」と怒りをぶつけ、署名して30人分の署名用紙を持って帰ったフリーターの若者。中学生・高校生の危機感も強い。
署名ボードを持ちながらマイクでしゃべっていると、次から次へと駆け寄り、署名していってくれるのです。一緒に署名活動した仲間は、2時間で57筆もの署名を集めました。
署名してくれた人には全員、署名用紙を返信用封筒に入れて渡しました。全員に署名活動家になってもらいたい思いからです。ほとんど誰もが封筒を持ち帰ってくれました。
9条改憲を公言する安倍の登場で街頭情勢は完全に一変しています。真っ向から安倍を批判し、「そこを歩いている人が署名運動の担い手」という感覚で登場した時、必ず労働者民衆の怒りと結びつくことができます。
“ボランティア”について私が思うこと 東北・学生 斎木由佳
最近、ボランティアという言葉をよく耳にします。流行でもありますよね。文科省や安倍もよく言ってますし。何かにつけてボランティア、ボランティア。夏祭りの後のごみ拾いボランティア、後片づけボランティアなど。
私は「障害児教育講座」に所属していますが、全員といっていいほど何かのボランティア活動に従事していて、やっていない学生を「悪」みたいに見る雰囲気があります。
公共広告機構のCMで車いすに乗っている人がエレベーターのボタンを押そうとして届かず、健常者がボタンを押し「あなただってできるボランティアがある」と言っていましたが、これってボランティアというのでしょうか
“ボランティア”という言葉なんてなかった時代、困っている人を助けることってごく自然にやっていたんじゃないかな。ボランティアということをこんなにも宣伝している世の中って、こんなにも宣伝(ボランティアすることがすばらしいことのように)しないと助け合うことができなくなっている、すさんだ世の中ってことじゃないのかな。
ボランティア、ボランティアと言わずとも自然に助け合える社会にしていきたい。
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週刊『前進』(2263号6面2)(2006/09/25)
激動の世界 台湾が政治的激動情勢へ
腐敗政権に怒り 陳水扁打倒で9万人決起
台湾民主化の期待を裏切った陳水扁
9月9日、台湾・台北市の総統府前で陳水扁総統の辞任を求める9万人のデモ行進が行われた。デモ隊は「腐敗反対」「陳水扁は辞めろ」のスローガンを掲げ、一部は座り込みを始めた。
行動を主導した施明徳・元民主進歩党(民進党)主席(2000年に離党)は、「腐った総統を辞めさせるのは人民の権利。これは新たな大衆運動だ」と訴えた。
施氏は、国民党独裁政権下で政治犯として約25年間投獄され、「台湾民主化の闘士」とされている。陳水扁も、台湾民主化闘争の弁護活動から政治運動に入り、6年間投獄された経験を持つ。その陳水扁が同じ民主化運動の「同志」から辞任要求を突きつけられた。
人口約2280万人(05年現在)、面積3万5千平方`の台湾で今、何が起こっているのか。台湾民衆はどこに向かおうとしているのか。
民進党・陳水扁政権の支持率が急落している。
昨年発覚した総統府前副秘書長の汚職事件に始まり、総統夫人の百貨店金券疑惑、娘婿のインサイダー疑惑などが相次いで明らかになった。
野党は陳水扁総統辞任を要求し、罷免賛成署名は167万人に達した。6月27日、台湾史上初めて総統罷免案が立法院に提案された。しかし、民進党立法委員が投票をボイコットした結果、賛成119、反対0、無効14で、採択に必要な全立法委員(225)の3分の2以上に達せず、罷免案は否決された。
今回の陳水扁辞任要求のデモの背景には、台湾民主化闘争で誕生した民進党が国民党と同じ腐敗にまみれていたことへの民衆の怒りがある。民進党と陳水扁に対する民衆の信頼や期待は大きく揺らいでいる。
国家統一綱領終了宣言で対中緊張へ
陳水扁は2000年の総統選に勝ち、国民党独裁支配の崩壊の中で政権を握ったが、民進党は少数与党にとどまり、陳水扁政権の基盤は脆弱(ぜいじゃく)である。
陳水扁は04年の総統選で、投票前日に陳水扁自身と呂秀蓮(副総統)が銃撃で負傷する中、辛勝した。民進党は04年の立法院選挙で、李登輝率いる台湾団結連盟(台連)と合わせても過半数に及ばず、陳水扁は民進党主席辞任に追い込まれた。
(写真 雨の中、台北市の総統府前で陳水扁退陣を要求し座り込む数千人の台湾民衆【9月10日】)
他方、台湾と中国の急激な経済の一体化は、台湾経済の空洞化をもたらし、「台湾独立」を掲げる民進党の政権基盤を揺るがしかねない事態をもたらしている。台湾にとって中国は最大の貿易相手である。台湾の05年の対中貿易総額は717億j(前年比16・3%増)、貿易黒字は318・45億j(同12・6%増)、貿易総額に占める対中貿易の比率は19・3%だ。
こうした中、陳水扁は中国に対する緊張をあおって政権の危機を突破しようとしてきた。2月27日の国家統一綱領の「運用終了」決定がそれだ。
陳水扁は2000年の総統就任演説の中で、中国が武力行使しないことを条件に、@独立を宣言せずA国名を変更せずB「二国論」を憲法に盛り込まずC統一か独立かを問う住民投票を行わずD国家統一綱領、国家統一委員会を廃止しない――という「四不一沒有(四つのノー、一つのない)」を表明していた。
「四不一沒有」表明は、「台湾独立」を掲げる民進党にとって認められないものだ。しかし当時、国家統一を掲げる国民党支配の崩壊、民進党政権の成立それ自身が中国スターリン主義との激しい緊張をもたらしていた。その上に独立を宣言すれば中台戦争へ発展しかねないとしてトーンダウンさせたのだ。
陳水扁は、2月の国家統一綱領の「運用終了」決定(事実上の国家統一綱領廃止宣言)は直接には、台湾への武力行使を辞さずとした中国スターリン主義の05年の「反国家分裂法」制定への対抗だ、としている。
国民党政権下で90年に国家統一委員会が設置され、91年に本土と台湾の統一への道筋を示す国家統一綱領が採択されたが、民進党政権下で国家統一綱領は形骸(けいがい)化していた。
しかしながら2月の国家統一綱領「運用終了」決定は、「四不一沒有」声明という陳水扁政権の対中国基本方針の変更を意味する重大な動きだ。中国スターリン主義は、これを台湾独立へ向けた「危険な動き」ととらえ激しく反発した。
さらに陳水扁は、5月に初めて「国家安全報告」を発表、7月には過去最大規模の軍事演習を実施した。「中国軍が台湾侵攻のため上陸を図った」との想定に基づいて陸海空3軍合同約1万3千人を動員した演習は、これ自身が中国との激しい緊張をもたらす。
階級的利害を貫く革命党登場が課題
米帝は、公式には「一つの中国」を支持する立場を表明していながら、「台湾関係法」に基づいて台湾に武器輸出を行うなどして台湾を支えてきた。しかし、イラク侵略戦争の泥沼化、中東危機の爆発、国内階級支配の危機の激化の中で、中台関係の軍事的対決を含む緊張激化を避けるべく、陳水扁に重圧をかけて国家統一綱領の「廃止」を「運用終了」という表現に和らげさせた。
他方、中国スターリン主義は、世界革命の放棄と一国社会主義建設(「改革・開放」「市場経済」)の自己目的化路線がもつ根本矛盾を爆発させざるを得ない。米帝の中国転覆を見すえた戦争重圧に対しパワーポリティクス的対抗・取引政策で延命を図るしかない。だがそれは逆に帝国主義の戦争重圧、経済侵略の餌食(えじき)とされ、一層の危機と激動にたたき込まれてしまう。
中台関係、台湾情勢もこうした米中関係に規定されている。したがって中国との緊張をあおって危機を突破しようとする陳水扁政権は、自らをより一層の危機へと追い込むことにならざるを得ないのである。今回の陳水扁辞任要求デモがそのことを鋭く示した。
07年立法院選挙、08年総統選挙は、陳水扁がもくろむ08年新憲法制定過程と完全に重なり合う。米(日)帝の激しい対中軍事重圧の中で、中国情勢と連動する台湾情勢がより一層激動することは必至である。
台湾民衆は2000年、国民党に替えて民進党を選択した。「われわれは台湾人だ」という自立意識を急速に強め、06年9月には民進党・陳水扁そのものへの怒りを噴出させた。2000年総統選以降の情勢を確実に一歩進めたのだ。問題は民進党をのりこえる革命的政治勢力の形成だ。
台湾労働者人民の新たな決起は、台湾と全中国のプロレタリアート人民の真の階級的利害を体現し、帝国主義とスターリン主義をともに打倒する革命的政治勢力を登場させる契機となるだろう。
11・5労働者集会は台湾―中国―アジアの階級情勢を革命的に促進する労働者階級の国際連帯闘争だ。1万人結集へ全力で闘おう。
(河北恵一)
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週刊『前進』(2263号6面3)(2006/09/25)
米帝ブッシュ 秘密収容所の存在認める
対テロ戦へ使用継続を公言
9月6日、米帝ブッシュ大統領は「対テロ戦」5周年に関する第3弾の演説を行い、米CIA(中央情報局)の海外の「テロ容疑者」拘束施設が存在することを初めて公に認めた。
特別軍事法廷
ブッシュはこの演説で、海外の秘密収容所を使ったCIAの活動が「新たなテロ攻撃を防ぐための情報入手に役立った」と強調し、秘密収容所の存在と使用を居直った。そして「CIAがテロリストを尋問する能力は不可欠だ」と述べ、秘密収容所を存続させ、そこで残虐な拷問・虐待・監禁・尋問(CIAプログラム)を続けると主張した。
ブッシュはさらに、秘密収容所に拘束してきた「重要テロ容疑者」14人をキューバの米海軍グアンタナモ基地へ6日までに移送したことを明らかにした。今後、14人を同基地内の特別軍事法廷にかける方針だ。
グアンタナモ基地では450人の被拘束者を「不法敵性戦闘員」と呼ぶ。だが本当は民族解放・革命戦争のゲリラ戦士たちである。またそれとは無関係の市民も多い。
彼らは米軍将兵が裁判長、検察官、弁護人を演じる特別軍事法廷で裁かれる。しかし大統領権限だけによる特別軍事法廷は、6月に米連邦最高裁判決で違憲と判断された。このためブッシュは法的根拠を求めて議会に特別軍事法廷設置法案を提出した。
また、国連人権委員会(現・人権理事会)の特別報告書はグアンタナモ基地のテロ容疑者収容所の閉鎖を求めた。被拘束者の一切の権利を奪い、拷問・虐待をしているからだ。
米帝は世界中でムスリムを「テロ容疑者」として拉致し、闇(やみ)から闇へたらい回しし、最後はこの世から抹殺しているのだ。
世界戦争宣言
ブッシュの一連の「対テロ戦」5周年演説は、米帝がイラク・アフガニスタン・パレスチナ侵略戦争を正当化し、継続・激化・拡大させる世界戦争宣言にほかならない。そのためには手段を選ばないということだ。
ブッシュは8月31日の演説第1弾で、対テロ戦を「21世紀の行方を決めるイデオロギー戦争」と意義づけ、「イスラム過激派」を「ファシストや共産主義者の後継者」とみなし、その思想を「全体主義」だと非難した。
9月11日当日の演説・会見では、対テロ戦は「イスラムのファシストから文明を守るための戦争だ」とか「第3次世界大戦だ」と主張した。そして、「われわれか(イスラム)過激派のいずれかが勝利するまでこの戦争は終わらない」「撤退さえすればテロリストがわれわれをほうっておいてくれると考えるのは最大の誤りだ」と、イラク侵略戦争の永続的拡大を宣言した。
さらには、連邦上院の情報特別委員会が9月8日にフセインとアルカイダの関係を完全否定する報告書を公表したことを意識し、イラク開戦の理由を「サダム・フセインが脅威だったからだ」と断言、フセイン政権除去の意義をアピールした。
だが、ブッシュ演説は間違いなく米国内外の闘うプロレタリアート・被抑圧民族人民とりわけムスリム人民の怒りの炎に油を注ぐことになる。
拷問伴う尋問
ブッシュは秘密収容所の重要性を押し出すために尋問内容を一部明らかにし、「テロ防止に効果があった」と強調した。
01年にアフガニスタンで拘束したアルカイダ訓練キャンプの運営者、アブ・ズベイダ「容疑者」をCIAが秘密施設に収容し、「従来とは違う」手法で取り調べたことが9・11ゲリラ戦の首謀者とされるハリド・シェイク・モハメド「容疑者」の拘束につながったという。
ところがブッシュは具体的な取り調べの手法、秘密収容所の場所を明らかにしない。「テロリストが報復するのを助けることになる」からだと言う。「CIAは拷問していない」とも言う。だがそれこそ多くの被拘束者が証言するように拷問・虐待の証明でしかない。
地球的移送網
CIAの秘密収容所の存在は、昨年11月の米ワシントン・ポスト紙で暴露された。これを受けて欧州会議(欧州46カ国でつくる人権擁護機関。本部・仏ストラスブール)は11月に疑惑調査を開始し、今年6月8日に報告書を公表した。
欧州会議の報告書によるとCIAはイラクやアフガニスタンなど中東諸国と欧州各地、グアンタナモ基地の間で「テロ容疑者」を移送した。「地球規模でクモの巣のような移送網を築いていた」のだ。報告書は航空管制記録、飛行経路の分析、衛星写真の分析、容疑者の弁護士からの聴取などに基づき、ポーランドとルーマニアで容疑者が降ろされ、両国に秘密収容所があると指摘する。
また報告書は、前記2国を始め欧州7カ国が移送に「協力」か「黙認」をしていたと言う。7カ国は正当な手続きを経ずにテロ容疑者を拘束して米当局に引き渡した。
7月6日にはEU(欧州連合)の欧州議会がCIAの不法拉致問題についてEU加盟国政府の関与を認める調査委員会の中間報告書を承認した。
米帝の無法を弾劾し、ブッシュの世界戦争宣言を国際的内乱―世界革命に転化しよう。
(藤沢明彦)
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週刊『前進』(2263号6面4)(2006/09/25)
『獄壁を越えて』第18号
星野同志の肉声伝わる
獄中へはがき・手紙を出そう
『獄壁を越えて』第18号が発行されました(発行「獄壁を越えて」編集委員会)。
今号は、今年5月の刑事施設における処遇法の改正以降の星野文昭同志と友人たちとの実際の面会の様子や手紙のやりとりが収められています。星野同志には、はがき・手紙が「怒涛(どとう)のように」届き、星野同志を確実に激励しています。獄中32年目に入ってなお星野同志の生き生きとした肉声がこの冊子からも伝わってきます。
ぜひ、この冊子を手にとって見てください。そして、星野同志にはがきや手紙を出してください。その質と量が星野同志を取り戻す闘いを左右するほど決定的なところに来ています。よろしくお願いします。前進社でも扱います。
1部300円(10部以上なら1部240円)
*
《手紙のあて先》
〒779―3133 徳島市入田町大久200―1 星野文昭様
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