ZENSHIN 2006/07/31(No2256
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週刊『前進』(2256号1面1)(2006/07/31)
小泉の8・15靖国参拝 させるな
北朝鮮・中国侵略戦争のため「国に命をささげよ」とあおる
7・30東西革共同集会へ
7・15国連安保理決議をもって米・日帝国主義による北朝鮮への経済制裁と侵略戦争の攻撃がますます加速している。サンクトペテルブルク・サミットも北朝鮮への非難決議を採択した。日帝・小泉政権は安倍や麻生を先頭に安保理「7章決議」に向け反動的に突出し、日米枢軸のもとで北朝鮮侵略戦争を本当にやろうとしている。これは改憲と戦争への恐るべき歴史的踏み切りである。敗戦から61年目を迎えるこの8月が、労働者階級にとって決定的な闘いの時となった。8・6広島―8・9長崎反戦反核闘争に全国から総結集しよう。小泉の8・15靖国参拝を絶対にさせるな。怒りの反撃をたたきつけよう。9条改憲阻止・戦争阻止の大運動に今こそ全力で踏み出そう。(関連記事4面)
侵略戦争動員狙う小泉
今年の8・15闘争は、例年にもまして重要な闘いとなった。小泉は9月の任期切れを前に、8月15日の靖国神社参拝を今度は実際に強行しようとしている。首相による公式参拝をここで正面突破的に正当化し、以後完全に定着させることを狙っている。
小泉はなぜ靖国参拝にこだわるのか。イラク侵略戦争に続いて、北朝鮮や中国への侵略戦争に本気で突き進むことを考えているからだ。出兵した自衛隊員が実際に米軍と一体となって戦闘を行い、他国の人民を虐殺し、自らも戦死者となって帰ってくる事態を想定しているからだ。そのためには1945年以前のように、兵士の死を「国のための死」「英霊」として、大々的にたたえる装置の復活がぜひとも必要になっているからだ。
イラクへの陸自派兵もその最大の目的は陸上自衛隊に戦場の実体験を積ませることだった。陸自撤収と引き換えに、今度は空自が米軍物資の輸送を戦火の中心であるバグダッドまで拡大する。6月29日の日米首脳会談では「新世紀の日米同盟」が宣言された。米帝と日帝が公然と軍事ブロックを形成して、世界の資源・市場・勢力圏略奪のための新たな侵略戦争・世界戦争に突き進むことを宣言したものだ。そしてミサイル問題を口実に北朝鮮への制裁=侵略戦争発動へと突っ込み、その既成事実化の中で9条改憲をも強行しようとしているのだ。
小泉は、「戦没者に哀悼の意をささげるのは当然」「これは心の問題だ」などと言っている。だが重要なのは次のことだ。靖国神社に「英霊」としてまつられている人びとは、何のために、誰によって死に追いやられたのか。天皇を頂点とする日帝支配階級、当時の財閥や大地主の利益のために、朝鮮・中国・アジア人民に対する残虐極まりない不正義の侵略戦争に動員されて死んだのだ。あげくの果てに第2次大戦で「最後の一兵まで戦え」と玉砕を強いられ、地獄の苦しみの中で犬死にに追い込まれたのだ。
靖国神社はこの歴史の真実を百八十度歪曲し、かつての侵略戦争を「聖戦」として美化してきた。しかもA級戦犯を合祀して、天皇と日帝の戦争責任を真っ向から否定し居直っている。小泉はこれを支持し、「国家に命をささげるのは素晴らしいことだ」とあおるために8月15日に靖国に行こうとしている。侵略戦争へのこの美化と居直り自体、断じて許せない。
しかもこれは過去の歴史の問題ではない。小泉と日帝は、60年前にやったのと同じ帝国主義戦争の道に今日、再びのりだしている。トヨタやキヤノンなど日帝の大資本や金融資本の利益のために、労働者階級をとことん搾取し収奪するだけでなく、新たな戦争に駆り立てることが狙いなのだ。これが小泉靖国参拝の目的だ。
それは同時に憲法改悪(9条改憲)と一体の攻撃であり、また「わが国と郷土を愛する態度を養う」と愛国心を導入する教育基本法改悪の攻撃と一体である。
戦争責任の徹底追及を
そもそも靖国神社は、宗教施設の装いをとっているが、その本質は軍事施設だ。戦前は陸海軍が直接管理していた。その目的は戦死者の「慰霊・追悼」ではなく、国家によるその死の「顕彰」にある。すなわち、生きている人びとに対し、戦場で死ぬことこそ「最高の価値」であり、“彼らに続いて天皇の国に命をささげよ”と扇動し、強要していくための国家的装置が靖国神社である。
その役割は戦死者を「英霊」化しただけではない。天皇の軍隊が朝鮮・台湾や中国全土、アジア各地で繰り広げた〈殺しつくし、焼きつくし、奪いつくす〉という残虐行為のすべてを塗り隠し、「洗い清める」ことで戦争犯罪を逆に美化し居直るという意味をもったのだ。
まさに靖国神社こそ、かつての侵略戦争を支えた最大の支柱だ。こんなものは敗戦とともに打ち壊され、労働者階級の手で怒りを込めて廃止・解体されるべきだった。これが一宗教法人に姿を変えて今日まで生き延びることを許したのは、戦後革命の敗北の結果である。日本の労働者人民自身の手による戦争責任の追及がきわめて不徹底にしか行われず、東京裁判によるそのすりかえと、何よりも最大の戦犯である天皇ヒロヒトの免罪を許したことが大きい。
A級戦犯合祀に関する昭和天皇の発言メモが報じられているが、それは「A級戦犯合祀」をめぐる支配階級の分裂の深まりを示している。同時に天皇制をテコにこの危機をのりきろうとする動きである。靖国問題は同時に日帝の弱点である。労働者階級が「二度と侵略戦争の歴史を繰り返させない」という決意をもって立ち上がる時、靖国闘争は改憲阻止決戦の突破口を開くものとなる。
アジア人民との連帯を
小泉の靖国参拝は、朝鮮・中国人民への排外主義を露骨にあおり立てるものとなっている。小泉や、安倍、麻生ら次期首相候補と目されている閣僚が、靖国参拝への韓国や中国の抗議を「内政干渉」と非難し、国内での批判を「中国の言い分に従えというのか」と恫喝している。
日帝のアジア・太平洋戦争は2千万人にのぼるアジア人民を虐殺した。とりわけ朝鮮・中国人民は、日帝の植民地支配と侵略戦争によって最大の犠牲と苦しみを負わされた。その償いは今なおなされていない。そして今、小泉や安倍や麻生のような連中(彼らの父や祖父はかつての戦争指導者だ)が、侵略と虐殺の歴史を公然と美化し、靖国神社を再び新たな侵略戦争の道具として復活させようとしている。これに対して、朝鮮・中国人民には誰よりも真っ先に糾弾し、阻止する権利がある! 靖国神社が彼らの怒りの火で焼き討ちされたとしても、日帝には文句を言う資格はない。
問題はA級戦犯合祀だけではない。日帝は植民地支配していた朝鮮・台湾からも人民を日本軍に徴兵・徴用し、その死者を一方的に靖国神社に合祀してきた。日本政府は一片の補償も行わず、逆に彼らの民族的尊厳を戦後も一貫して奪い続けてきたのだ。すでに韓国と台湾から、遺族を先頭に合祀取り下げの闘いが起こされている。台湾原住民族の代表は昨年、日帝権力・右翼の妨害をはねのけ、「祖先の霊を返せ」と要求して靖国神社への実力糾弾闘争に決起した。この闘いに連帯し、日本の労働者階級が今こそ8・15靖国闘争に立ち上がろう。
小泉らが「北朝鮮の脅威」をあおり、「日本も敵基地攻撃能力を持つべきだ」と叫んで大軍拡と9条改憲に突き進むことを断じて許してはならない。戦争をしかけているのは日米帝の側だ。北朝鮮スターリン主義の反人民的な軍事的対抗政策は、帝国主義に侵略戦争の引き金を引く口実を提供している。
日帝・小泉政権は今や本気で改憲と北朝鮮・中国侵略戦争をやろうとしている。絶対に阻止しよう。8・6―8・9、8・15闘争をその突破口としよう。4大産別決戦・改憲阻止決戦に勝利しよう。今秋11月労働者大決起を実現しよう。
すべての闘う労働者は、7・30東西革共同政治集会に結集し、夏秋決戦をともに闘おう。
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週刊『前進』(2256号1面2)(2006/07/31)
戦争の元凶は日米帝国主義だ “制裁やめろ”と決起
渋谷デモに注目と共感
排外主義攻撃と対決
織田全学連委員長を先頭にしたデモは注目を集め、とび入り参加者も多数あった(7月15日 渋谷)
「経済制裁やめろ!」「戦争を止めよう!」「小泉とブッシュを倒そう!」−鮮明なシュプレヒコールが夜の渋谷を突き抜けた。街中の視線がデモ隊に集中した。その瞬間、若者の街は一つの解放区となった。
7月15日、学生が中心となった渋谷デモ実行委員会の呼びかけで経済制裁に反対する緊急行動が行われた。日本政府が北朝鮮への「先制攻撃」を叫び、国連での非難決議を突出してやろうとしているまさにその時、首都のど真ん中でこれを切り裂くデモが闘われたのである。
午後7時半、宮下公園から出発した約80人のデモ隊が週末でにぎわう渋谷の街に登場。鳴り物を先頭にした元気いっぱいのデモがやってくると、道ゆく若者が足を止め、写真を撮り、ビラを受け取った。途中から若者や外国人らがデモに合流し、ともにこぶしを突き上げた。「戦争をとめよう!」という訴えは渋谷全体の叫びとなった。デモは多くの若者の共感をつくり出したのだ。デモの解散地点までついてきた青年労働者は、「経済制裁には絶対反対です。戦争では問題は解決しないから」と述べた。
あまりの周囲の注目ぶりに危機感をもった公安刑事がビラまきへの不当な妨害に出てきたが、デモ隊の抗議の前に一瞬にして粉砕された。
デモに先立って開かれた集会では、織田陽介全学連委員長が緊急行動の意義を次のように鮮明に訴えた。
「経済制裁で行われようとしているのは軍事力の発動そのものだ。北朝鮮を挑発する軍事演習を繰り返し、ミサイルを撃ち続けてきたのは日本であり、アメリカではないか。ブッシュがイラクでやってきたことは、ミサイル実験どころか大虐殺そのものだ。この帝国主義こそが戦争の元凶なんだ。北朝鮮への経済制裁で苦しめられるのは北朝鮮の人民だ。そして改憲を許せば自分たちもこの戦争に動員されていく。こんなことを許すことはできない。
とんでもない排外主義の宣伝が行われ、経済制裁に反対する者は非国民であるかのようにあおられている。この流れをぶっ飛ばそう。学生と労働者の大デモ、ゼネストこそがこの戦争を止めることができる。今日の渋谷デモを歴史的な第一歩として、改憲攻撃を打ち砕こう」
続いて当局による不当処分と闘う法大生、全国沖縄青年委員会、婦人民主クラブ全国協、首都圏の学生が次々と日本政府の突出した経済制裁−侵略戦争策動を弾劾して発言した。
渋谷デモの大きな反響は、多くの労働者人民が政府の対応に激しい怒りと危機感をもっていること、闘う勢力が鮮明な主張を掲げて登場するならば、この怒りと結びつき北朝鮮・中国侵略戦争を阻止し、改憲攻撃を粉砕できることを示した。この夏、職場で街頭で行動に立とう。9条改憲阻止の大署名運動をもって夏秋決戦の大爆発をかちとろう!
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週刊『前進』(2256号1面3)(2006/07/31)
改憲阻止決戦の勝利へ 闘う革共同にカンパを
すべての同志と支持者、『前進』読者のみなさん! 重大な情勢と階級的大激動期の到来に際し、闘う革共同への絶大なカンパを訴えます。
北朝鮮のミサイル実験をとらえて、日本帝国主義が激しい侵略戦争と憲法改悪の衝動を募らせています。今こそ闘う労働者階級人民が排外主義の洪水に真っ向から立ち向かい、職場で、街頭で、地域で、「北朝鮮制裁絶対反対・改憲阻止!」を掲げて総決起すべき時です。革共同は、ここでこそ労働者階級の革命党として立ち上がります。
戦争を仕掛けているのは米日の帝国主義です。対北朝鮮の戦争体制と挑発的な大規模軍事演習、そのうえ臨戦態勢をとって待ちかまえ、米軍と自衛隊が連携・共同してミサイル追尾・迎撃の実戦システムを発動したという事実はきわめて重大です。また、「経済制裁」大合唱の中で先制攻撃論が政権中枢から飛び出すなど、尋常ではありません。街頭では「憲法第9条がなくなったら、このまま日本が戦争をしかけてしまうのですね」という労働者人民の強い危機感をもった声が寄せられています。9条改憲攻撃が、戦争の危機そのものをつくりだしています。「一発の銃声」を口実に侵略戦争を始めるのが帝国主義です。
重大な問題は、スターリン主義・日本共産党を始めとして、すべての党派が、北朝鮮非難の戦争翼賛と排外主義を競い合っているという現実です。没落帝国主義の断末魔の暴力性におびえて白旗を掲げた彼らに、改憲阻止闘争ができるはずがありません。日帝の危機は深い。戦争の危機は一切のまやかしの仮面をはぎ取って真実をあばきだし、敵と味方を労働者に教えます。だから危機は好機なのです。革共同は、断じてひるみません。
労働者階級の目の前にある「格差社会」とは、ブルジョアジーとプロレタリアートの非和解的な階級対立の激化です。労働者の生き血を吸って生きているようなやからを生かしておいてはいけない。
内乱期だからこそ職場生産点での闘いが死活的です。今こそ労働者階級に根を張って共産主義革命をやり抜く生き生きとした党が必要です。国家権力を打倒してプロレタリア独裁をうち立てる労働者階級の党が必要です。革共同は「党の革命」をやりぬいて、そういう党になります。
獄中31年の星野文昭同志と固く連帯し、ヒロシマ・ナガサキ、靖国の8月反戦闘争から11月1万人決起へ、全力で闘います。7・30革共同政治集会を、日帝国家権力を圧倒する革命党と労働者人民の総決起集会としてかちとります。
ついに始まった歴史的な階級決戦のために圧倒的な資金のカンパをお願いします。皆さんは余分な金など持っていないと思います。だからこそ強くお願いします。労働者の敵との階級戦争に勝ち抜くための不可欠の資金です。カンパを持って7・30革共同集会に結集してください。
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週刊『前進』(2256号2面1)(2006/07/31)
郵政民営化絶対阻止 闘いはこれからだ
大量首切りの集配再編反対、民営化粉砕・改憲阻止決戦へ
革共同全逓委員会
はじめに
革共同全逓委員会は、全逓(JPU)2月臨時大会に続き、6月第62回定期大会(横浜)を、郵政民営化絶対反対を掲げ、集配拠点の再編を焦点とする「本部一任」方針に反対を貫き、教育基本法改悪と共謀罪新設を阻止する国会闘争とともに闘い抜いた。
大会では、アクションプランや集配の2ネット方式など極限的な人減らし合理化に対する現場組合員の不満が噴出した。業務運行すら無視した人減らしによって、あらゆる職場で超過勤務が常態化し、過労死や過酷な営業ノルマが横行しているのだ。集配の2ネット方式は破産して中止せざるをえない状態になっている。全逓中央が民営化に向けて推進する集配拠点の再編は、国鉄式の大量首切り攻撃だ。生活を破壊する集配拠点の再編は組合員の怒りをかきたて不満が爆発している。
この組合員の怒りを、職場のさまざまな破綻(はたん)に対する具体的要求として職場闘争に組織して、職場闘争の爆発から改憲阻止の政治決起―大デモを実現しよう。改憲派に転落した連合全逓・菰田―難波中央執行部を改憲もろとも打倒しよう。
(写真 「郵政民営化絶対反対」「死ぬな、辞めるな、闘おう!」の横断幕を掲げ、全逓大会会場を包囲するデモに立つ闘う全逓労働者【6月14日 横浜】)
本部の屈服方針に怒り渦巻いた大会
菰田委員長は大会初日のあいさつで、今大会の最大の問題である集配拠点再編合理化と2月臨大で各代議員が次々と問題にした改憲問題や米軍再編や民主党支持問題について、あえて一言もふれないことで、問題を焦点化させずに押し通そうとした。
しかし、各地の代議員からは、「本部方針を補強する立場」などと言いながら、本部のこれまでの方針に対する不満と怒りの発言が相次いだ。集配拠点再編については、北海道、東北、九州などから「こんなもの飲めるか」という怒りに燃える組合員の切実な声がたたきつけられた。
JPS(トヨタ方式の郵政版)は、組合員の労働者意識を一掃するマル生=思想攻撃である。このJPSが、あらゆるところで組合員の抵抗にあって進んでいないことが暴かれた。JPSを許しているのが本部の結んだ交渉ルール「事後対処方式」だ。当局施策にフリーパスを与えたことによって組合そのものが無視されていることへの不満と怒りが爆発した。
本部案採決の結果は、反対票が2月臨大の23票を超えて36票となった。だが、この票数以上に、組合員の不満と怒りに背中を押された代議員の発言があった。
全逓組合員の本当の怒りの爆発はこれから始まる。通勤や業務運行など一切無視した集配拠点の再編によって生活を破壊される組合員の怒りが、民営化を推進し「本部一任」をもって組合員を西川(日本郵政株式会社初代社長)・生田(日本郵政公社総裁)に売り渡す菰田・難波執行部へ向かうことは明らかだ。この怒りをばねに、集配拠点の再編大合理化の破綻を突きまくれば、郵政分割・民営化の破産は現実のものになる。
9条改憲を容認のJPU中央打倒を
日帝・小泉は、通常国会で共謀罪や教育基本法改悪、改憲のための国民投票法案などの反動諸法案の成立を狙っていた。しかし、共謀罪闘争の大衆的盛り上がりと、日教組本部の屈服をのりこえて国会前に続々とかけつけた全国の教育労働者の怒りでうち破られた。労働者の団結した力が、今国会での戦争法案の強行採決を阻止したのだ。
国民投票法案は第104条で、公務員労働者が改憲反対の運動を行うことを「地位利用」の名で禁止している。違反者は禁固2年というきわめて重い罰則になっている。今回与党案には、国と地方公務員だけでなく「日本郵政公社の職員」が新たに付け加えられた。来年10月をもって公社職員を民間会社社員にするという郵政民営化法を強行しておきながら、こうした規定をもちだすことは、郵政労働者から政治活動の自由を奪うものだ。民営化後も、スト権を始め労働者としての権利に制限を加えられ続ける。このような理不尽がどうして許せるのか。
1・19連合中執会議に出席し国民投票法案推進の方針に賛成した菰田・難波執行部は、大会議案の中で「改憲反対」とは、あえて一言も言っていない。「連合方針に沿って慎重に」ということで改憲派に転落していることを自ら暴露している。教育基本法改悪、共謀罪、国民投票法案など改憲と戦争体制づくりに向けた反動諸法案が9月末から始まる臨時国会で継続審議されることになんら反対を表明しようとしていない。これは憲法9条の改悪を認め、日帝小泉の戦争国家づくりに屈服することだ。改憲勢力に転落したJPU中央を打倒し、臨時国会での諸反動法案の継続審議を許さず、国会への巨万の労働者のデモと物ダメ・ストライキで改憲反対の大運動をまき起こそう。
職場から連合支配打ち破って闘おう
小泉政権は、国・地方合わせて1千兆円を超える破局的な財政危機にあえぎながら、国益をかけて米帝ブッシュの米軍再編(トランスフォーメーション)とともに、世界戦争を推進する決断をした。そのために、戦後の階級関係を一掃しようと改憲と一体の反動諸法案の成立を狙っている。その最大のターゲットは全逓、日教組、自治労と国鉄労働運動の4大産別であり、連合の産業報国会化である。国鉄の分割・民営化に続く郵政の分割・民営化の狙いもここにある。
郵政民営化について、前首相の森は、「民主党を支えている連合傘下の全逓、自治労、教労などの組合をつぶすこと」が狙いであると公言しているのだ。(『文芸春秋』05年12月号)
今こそ、連合支配を打ち破る新たな闘う労働運動の潮流を、職場生産点を基礎につくりあげよう。学ぶべきは、国鉄の分割・民営化に唯一ストライキで闘い、今なお組合の団結を堅持して鉄路を武器に闘いぬき、国鉄1047名闘争のかなめとなっている国鉄千葉動力車労働組合だ。
企業防衛主義と愛国主義は同根であり、それを路線とする連合労働運動には展望がない。民営化に反対できない労働運動は、戦争にも改憲にも反対できない。連合JPU中央・菰田―難波は、労働者の生命と生活を破壊する帝国主義を支える労働運動の推進者だ。国鉄労働運動とともに、戦後労働運動を牽引(けんいん)してきた全逓労働者の誇りにかけて、郵政民営化攻撃のただ中で、本部派の支配を打ち破る闘いをつくりあげよう。
青年労働者先頭に11月1万人決起へ
各国帝国主義の「内に向かっての階級戦争、外に向かっての侵略戦争」の攻撃に対して、世界中の労働者が闘いに立ち上がっている。イギリスの民営化に反対するゼネストやフランスの解雇法に対する300万人の大デモなど労働者の反転攻勢の狼煙(のろし)があがっている。世界戦争が切迫し、革命の時代が近づいているのだ。
米帝の没落とドル支配の危機は、世界戦争政策として中東から北朝鮮、中国、アジア侵略として火を噴いている。7月5日、北朝鮮スターリン主義は、テポドンなどのミサイル発射実験を強行した。それ自体は許しがたい反労働者的行為だが、米日帝によるすさまじい戦争重圧、軍事挑発によって引き起こされていることを何よりも徹底弾劾しなければならない。日帝・小泉はこれを口実に北朝鮮に経済制裁を発動し北朝鮮の船の入港を禁止した。経済制裁の発動とは明らかに戦争行為だ。日本共産党は非難声明とともに経済制裁を要求している始末だ。
世界戦争の危機が差し迫っている。資本主義−帝国主義が歴史的に完全に行きづまったということだ。多くの若い労働者が非正規雇用できわめて低い賃金でこき使われ、あるいは失業に追い込まれている。この末期的状況においては、マルクスが言うように革命によって労働者の世界へとつくり変える以外にいかなる道もない。マルクス主義を武器に青年労働者こそ立ち上がる時だ。今こそ青年労働者はマルクス主義青年労働者同盟に結集しよう。
小泉の改憲、民営化・規制緩和=労組破壊の攻撃に、職場生産点から12万全逓労働者の怒りを闘いに組織して、78年マル生越年闘争を上回る反撃を開始しよう。4・28反処分闘争を闘い、被免職者の職場復帰をかちとろう。郵政民営化攻撃に屈服し、集配拠点再編大合理化を始めアクションプラン2合理化による首切りを推し進める連合JPU中央・菰田―難波執行部を打倒しよう。
郵政民営化絶対反対、超勤拒否−物ダメ・ストライキ方針を掲げ、現場から増員・増区など具体的要求をまとめ闘いを組織し、階級的労働運動を切り開こう。その力で全逓労働者こそが、職場闘争の爆発の力をもって改憲阻止決戦への労働者の決起を生み出し、巨万の大デモで国会を包囲しよう。8・6広島−8・9長崎、8・15靖国闘争に決起しよう。11月労働者1万人決起の実現にむかって闘いをすすめよう。青年労働者は先頭で闘おう。
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週刊『前進』(2256号2面2)(2006/07/31)
「中闘一任」拒否を
和解路線粉砕の国労大会に
7月27、28日の国労第74回定期全国大会は、「政治解決」の名による国鉄闘争の解体を許すのか否かをかけた決戦だ。
国労本部がようやく明らかにした大会議案の最重要部分には、JR採用差別をめぐる「新たな訴訟」について、次のように書かれている。「最終的な訴訟内容、提訴時期の決定については……中央執行委員会が判断するものとする」。つまり、すべてを「中闘に一任しろ」ということだ。
こんなことを認めてはならない。権力・資本にがんじがらめにされた国労本部は、「一任」をいいことに、訴訟もしないことさえあり得るのだ。
仮に国労本部が訴訟を起こしたとしても、それは「地位確認」なき「損害賠償請求」だ。国労本部は、「『解雇撤回・JR復帰』が要求だと、政治解決の窓口のところで相手にしてもらえない」とか、「地位確認を求める訴訟は国鉄改革法の枠組みへの挑戦であり、政治解決と両立しない」と公言している。ついに国労本部は、闘争団に”解雇撤回を投げ捨てろ”と言い始めたのだ。
佐藤委員長がJRに「わび状」
7月4日、国労本部の佐藤勝雄委員長はJR東日本に「わび状」を差し出した。
鉄建公団訴訟原告団などが取り組んだ鉄道運輸機構本社への要求行動やJR東日本株主総会での行動を口実に、国土交通省は国労本部による同省への要請行動を拒否した。JR東日本も「国労バッジ事件の中労委和解はない」と通告するに至って、国労本部はそそくさと会社に「わび状」を出したのだ。こうした屈服を経て、国労本部はあらためて国交省への要請行動を認めてもらった。
大会を前に「政治解決」が進んでいるかのようなポーズをとりたい一心で、本部はこんな恥ずべき行動をとったのだ。
これこそ「政治解決」路線の結果だ。敵に「政治解決」を哀願する限り、相手の言うがままに国鉄闘争を自ら解体することにしかならない。
今回、権力と資本は国労本部に”鉄建公団訴訟原告団を抑え込め”と指示を出し、国労本部はそれをやすやすと受け入れた。これは、自民党らが「鉄建公団訴訟原告を除名しろ」と迫った02年の与党3党声明に匹敵する、すさまじい支配介入だ。国鉄闘争はまさに危急存亡の危機にある。
こうした動きの背後には、改憲情勢の中で国鉄闘争の最終的解体を決断した国家権力の意志がある。大事故続発で窮地に立つJRも、延命のために国労解体の衝動をかつてなく強めている。これに呼応して、国労本部は鉄建公団訴訟原告団への「融和」姿勢をかなぐり捨て、闘争圧殺者としての本性をあらわにした。
原告団ののしるチャレンジ文書
吉田進書記長が作成したと言われる「裁判闘争の位置づけについて」と題する文書と、チャレンジ一派による「『大同団結』を妨害しているのは誰か?−『一部原告団』による闘争破壊を糾弾する−」と題する文書は、その証拠だ。
そこでは、鉄建公団訴訟原告団はことさらに「一部闘争団」「一部原告団」と呼ばれている。これは、鉄建公団訴訟原告を統制処分にかけた時と完全に同じ言い方だ。吉田書記長の文書は、「国労は反対派をまとめる力を持っていることを、早急に、内外に示さなければならない」として、再度の統制処分さえにおわせている。
彼らは、国鉄闘争共闘会議も侮蔑的に「二瓶共闘会議」と呼称し、原告団の闘いを「暴挙」「ファッショ」「手段を選ばないセクト集団」と決めつけた末、原告団や国鉄闘争共闘会議との「大同団結はありえない」と言い切っているのだ。
鉄建公団訴訟原告団は、統制処分を受けても不屈に闘い、9・15判決で「不当労働行為はあった」と認めさせた。国労本部はその地平を解体しようと必死なのだ。
こんな執行部のもとで国鉄闘争の勝利はない。「中闘一任」を拒否し、今こそ佐藤・吉田執行部打倒へ立ち上がろう。
動労千葉は、安全を崩壊させたJRに対し、職場からの闘いを果敢に貫いている。1047名の解雇撤回は、JR本体の闘いと結合してこそかちとられる。国労大会を決戦として闘い、「政治解決」路線を葬り去ろう。
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週刊『前進』(2256号2面3)(2006/07/31)
『奴隷の道を拒否せよ!』 盛大に出版祝う
弁護士立証へ思い一つに
国鉄闘争勝利の原動力はここにある。7月12日、日比谷グリーンサロンで『奴隷の道を拒否せよ−5・27事件と国鉄闘争』の出版記念パーティーが開かれた。
5・27臨大闘争弾圧裁判は8月からいよいよ弁護側立証に入る。その時をとらえて開かれた出版記念パーティーには、この日の公判を闘いぬいた被告団・弁護団・傍聴者など91人が集まり、裁判闘争と国鉄闘争の勝利へ熱い思いを語りあった。
同書は、「国労5・27臨大闘争弾圧を許さない会」の発起人・呼びかけ人を中心に執筆され、4月に出版された。国労闘争団員への統制処分手続きが決定された02年5・27臨大をめぐる国労内の対立に警察・検察が介入した弾圧の不当性と、国労本部が弾圧に加担した驚くべき実態が、同書には余すところなく暴かれている。発起人・呼びかけ人は、国鉄闘争を支えてきた立場から、被告の無罪を訴え筆をとった。
(写真 被告の無罪獲得を誓い杯を上げた【7月12日 日比谷グリーンサロン】)
記念講演をした戸塚秀夫さん(東京大学名誉教授)は、「刑法や暴力行為等処罰法を労働運動に適用させてはならないというのが戦後労働法制の出発点。戦前に戻してはならない」「国労の役員がこともあろうにこの弾圧に手を貸した」と弾圧への怒りを語った後、「この運動は、国労再生にとどまらず、日本社会の世直しに事実上、踏み出している」と提起した。改憲情勢の中で、許さない会の運動が持つ意味をあらためて考えさせられる、示唆に富む講演だった。
司会を山川博康さん(ス労自主書記長)が務め、開会を花輪不二男さん(世田谷地区労元議長)が宣言し、手嶋浩一さん(国労九州本部元書記長)が乾杯の音頭をとった。芹澤壽良さん(高知短期大学名誉教授)、師岡武男さん(新聞労連元書記長)、針生一郎さん(美術評論家)、塚本健さん(東京大学名誉教授)、藤田勝久さん(板橋高校元教員)、田中康宏さん(動労千葉委員長)、吉野元久さん(国労品川事業所分会副分会長)、小田原紀雄さん(日本基督教団牧師)がこもごも、この弾圧を打ち破ることを訴えた。退学処分と闘う法政大生のアピールが続いた。
一瀬敬一郎主任弁護人が弁護側立証で無罪獲得への全面展開に入ると訴え、壇上に並んだ被告団に熱い拍手が送られた。
許さない会事務局長の佐藤昭夫さん(早稲田大学名誉教授)は、「団結権は一人ひとりの組合員に保障されたもの。執行部の誤りを組合員が正すのは当然だ」と強調した上で、共謀罪新設や改憲との闘いを呼びかけた。
下山房雄さん(九州大学名誉教授)の音頭で団結がんばろうを三唱し、参加者は固いきずなを確かめあった。
この本の主だった執筆者は、昨年の7・15国鉄集会や今年の2・16国鉄集会の呼びかけ人とも重なっている。4党合意以来の国鉄闘争の混迷を突き破るため、鉄建公団訴訟を軸とした1047名の統一陣形の形成に心血を注いできた人びとだ。国鉄闘争が今また大きな岐路に差し掛かる中で、5・27臨大闘争弾圧との闘いと許さない会の運動に、国鉄闘争と労働運動の再生、そして改憲阻止の展望を託している。その思いを力にし、何としてもこの闘いに勝利したい。(投稿/柳原昇)
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『奴隷の道を拒否せよ!−5・27事件と国鉄闘争』
「国労5・27臨大闘争弾圧を許さない会」編
定価/1300円+税
発行/アール企画
発売/星雲社
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週刊『前進』(2256号2面4)(2006/07/31)
7・5〜7・14
市場化テストへ「管理委員会」
電機連合、職種賃金要求へ/骨太方針を閣議決定
●北朝鮮非難に唱和 北朝鮮のミサイル発射実験に関し、連合と全労連はそれぞれ北朝鮮を非難する談話を出した。(7月5日)
●石綿被害で基地労働者が労災申請 米海軍横須賀基地の労働者がアスベストで中皮腫を発症したとして労災申請。全駐労によると現役従業員の発症は初めて。(5日)
●電機連合大会で職種別賃金要求を提案 電機連合は広島市内で定期大会を開き、来春闘から職種別賃金要求に移行すると提案した。従来の30歳または35歳ポイントでの要求を改め、「製品組立」「開発設計」などの職種から2つに絞り込んで要求する。(6日)
●全日空で不払い残業 全日空は、不払い残業をさせ、労使協定で定めた残業時間も守らなかったとして、労基署から是正勧告を受けたことを公表した。(6日)
●骨太方針2006を閣議決定 骨太の方針2006が閣議決定され、日本経団連の御手洗会長は「痛みを伴う改革に与党が真正面から取り組んだのは画期的」「後継首相の強い指導力と政府・与党の揺るがぬ姿勢が望まれる」と評価。(7日)
●公共サービス改革法が施行 市場化テストの実施手続きを定めた「公共サービス改革法」の施行に伴い、入札対象事業の選定や実施状況の監視を行う「官民競争入札等監理委員会」が初会合。(7日)
●トンネルじん肺訴訟で東京地裁判決 国が発注したトンネル工事でじん肺を患った元作業員らが国に損害賠償を求めた訴訟で、東京地裁は国に規制権限行使義務違反があったとして、原告への慰謝料支払いを命じた。13日には熊本地裁でも同様の判決。(7日)
●教員免許更新制の導入へ 中教審は、教員免許更新制の導入を柱とした答申を出した。(11日)
●郵政4会社の社長発表 竹中総務相は、郵政民営化で発足する4事業会社の最高経営責任者(CEO)人事を発表した。(11日)
●郵貯、保険は2011年度に株式上場 日本郵政株式会社は、郵便貯金銀行と郵便保険会社について、2011年度を目標に株式上場させる方向で検討に入った。(12日)
●私鉄総連が大会 私鉄総連は13日まで定期大会を開き、設楽利夫委員長は「国民投票法案に反対する」とあいさつした。(12日)
●経済同友会が夏季セミナー 経済同友会の夏季セミナーが14日まで長野県軽井沢町で開かれ、北城代表幹事は、政府の骨太方針について「まだまだ歳出削減の余地はある」と述べた。公務員削減に関して「5%のリストラはゆるすぎる」などの意見が続出。(13日)
●正社員の4割超が不払い残業 正社員の42%超が不払い残業を強いられ、平均で月約35時間に上ることが、労働政策研究・研修機構の調査で判明。(14日)=要旨別掲
正社員の4割超が不払い残業(労働政策研究・研修機構の調査結果)
●不払い残業時間の有無
あり 42・0%
なし 46・5%
●不払い残業の平均時間
男性 女性
20歳代 36・0時間 31・9時間
30歳代 38・2時間 35・7時間
40歳代 40・0時間 23・6時間
50歳代 27・2時間 15・7時間
●月40時間以上の不払い残業を強いられた労働者の割合
男性 女性
20歳代 12・4% 15・7%
30歳代 16・3% 11・4%
40歳代 18・8% 8・9%
50歳代 8・1% 2・2%
※20〜59歳の正規雇用労働者2000人を対象に05年6月の労働時間を調査
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週刊『前進』(2256号3面1)(2006/07/31)
教基法改悪阻止!この夏が勝負
広島の教育労働者は訴えます
8・5交流集会−8・6大行動へ
全分会回って参加を訴える
全国の教育労働者が動き始めています。北海道教組の3千人の街頭デモと国会前座り込み、大分県教組の交替での座り込みの闘い……。
広教組(広島県教職員組合)では、5・6全支区代表者会議、6・10定期大会に続いて、6・11教育基本法改悪反対集会を県庁前で開き、「与党案・民主党案も廃案へ」を掲げて2千人がデモを行いました。「教基法改悪廃案の闘いはこの夏が勝負だ。街頭へうって出よう」と全県下で街宣行動が開始されています。
ヒロシマの闘う教育労働者は今、熱く燃えています。「全組合員へ5点セットを渡そう」と6月末から猛然とアタックをしています。5点セットとは@8・5教育労働者全国交流集会の呼びかけ・賛同用紙、A8・6ヒロシマ大行動のパンフレット、B同ビラ、C同振り込み用紙、D同チケットです。
すべての分会を訪問して、分会長に直接会い、賛同・参加を呼びかけ、5点セットをすべての分会員に手渡してもらうというものです。
年休を取って職場を訪問します。ある分会を訪ねたところ、ある教職員が案内してくれ、職員室には姿が見えないので校舎内を探してくれました。ちょうど分会会議をやっていました。分会長に趣旨を説明すると「今から話して下さい」と時間をくれました。10分ほどでしたが組合員は耳を傾けてくれました。後で分かったのですが、案内してくれた人は組合未加入者でした。
組合の集会でも5点セットを執行部や参加者にどんどん配っています。すぐに賛同用紙と賛同金を持参してくれた組合員もいました。配っていたメンバーは顔を見合わせニコッとしました。こんなことに勇気づけられながら、分会回りをやりきろうと思っています。
夏休みに入ったら県内全域を対象に「街宣キャラバン」をやろうと張り切っています。これは青年を中心に老若男女が知恵と金と労力をふりしぼって宣伝カーを回し、分会訪問をしようという初めての挑戦です。
“ノーモア・ヒロシマ”誓い
61年前の1945年8月6日午前8時15分、1発の原子爆弾で広島の人と街が壊滅しました。爆発点の温度はセ氏100万度、火球280b。火球から放出された熱線で爆心地付近の地表面はセ氏3千〜4千度。「住民はほとんど蒸発的即死に近く、地表は死体も骨片もあまりみあたらないほど焼き尽くされており、すべてのものは原型をとどめず粉砕されて白い灰に埋まっていた」(『広島原爆戦災史』)
軍都広島。広島は日清戦争(1894〜95)、日露戦争(1904〜05)以来、巨大な軍都であり、アジア侵略の拠点でした。宇品港は侵略出兵と戦勝凱旋(がいせん)の軍港でした。天皇制のもと、「日の丸」を振り、「君が代」を歌って、国家総動員体制のもとで推し進められた侵略戦争を止めることが出来なかった結果が原爆投下だったのです。
「大き骨は先生ならむ そのそばに小さき頭の骨あつまれり」――原子爆弾による動員学徒の死亡者は7196人、引率教職員の死者は265人。これ以外にたくさんの子どもたちや教職員が亡くなっています。「学徒戦時動員体制確立要綱」により、8月6日には、建物疎開作業に2万6千人(国民学校高等科・旧制中学校・高等女学校)が動員されていました。
侵略戦争を阻止できず、戦争教育を積極的に担っていた教育労働者の責任は、計り知れないほど重いものがあります。「過ちを繰り返しませぬから」というヒロシマの誓い。二度と8・6をくり返すな! 再び侵略戦争をくり返さないぞ! 教え子を再び戦場に送るな! これがヒロシマの教育労働者の誓いです。
被爆61周年の今年、愛国心を強制する教育に変えられようとしています。愛国心が要求された時、それはまさしく侵略戦争だったのです。ヒロシマはけっして許さない、教育基本法改悪案、国民投票法案、共謀罪新設法案、憲法の改悪を。小泉の靖国神社参拝、「つくる会」教科書を許さず、反対の声を大きく、強く、幅広くあげよう。被爆者と固く連帯して「9条を変えるな」の声をあげよう。
与党案も民主党案も粉砕!
この夏が勝負! 「秋の臨時国会で闘おう」では遅すぎる。この夏にこそ労働者階級人民の怒りの炎を熱く燃えたぎらせ、団結を固め、与党の教基法改悪案も民主党案も廃案にしよう。戦争教育・戦争協力を断固拒否して闘おう。「日の丸・君が代」強制に対する不起立・不服従の闘いを広げていこう。
北朝鮮のミサイル発射を契機に、北朝鮮バッシングの排外主義が吹き荒れています。「敵基地への先制攻撃」論が閣僚から出ています。朝鮮学校の先生が「生徒たちへの攻撃が頻繁に起こりだした。電車やバスの中で友だちの名前を呼べなくて困っている」と訴えていました。排外主義を絶対に許してはなりません。
北朝鮮への侵略戦争=核戦争の現実性がきわめて切迫しています。8・6ヒロシマは直接これと対決する闘いです。
「日の丸・君が代」強制と闘う教育労働者こそ教基法改悪阻止の最先頭に立とう。東京・広島を始め全国の「日の丸・君が代」被処分者が呼びかける8・5教育労働者全国交流集会に全国から集まろう。
「闘う日教組」再生のために闘う現場組合員の力で今秋臨時国会における教基法改悪を阻止しよう。
(川口 梓)
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憲法の改悪をとめよう! ヒロシマの力で
―被爆61周年― 戦争をとめよう!
8・6ヒロシマ大行動
8月6日(日)12時30分(11時30分開場)
広島県立総合体育館小アリーナ(中区基町4−1)
▼ヒロシマの被爆者は訴える 栗原真理子さん他
▼憲法の改悪をとめよう!ヒロシマの力で!
北西允さん(広大名誉教授)
▼世界の反戦・反核運動との連帯 韓国・中国・イラクからの代表団
▼労働者は戦争動員と憲法の改悪を阻止する! 「日の丸・君が代」強制と教育基本法改悪とたたかう東京・広島の教育労働者/解雇撤回、安全運転闘争をたたかう国鉄労働者
▼米軍再編と基地撤去をたたかう沖縄と広島から
桑江テル子さん(うないネット・コザ主宰)
▼ヒロシマから世界へ 若者のアピール
デモ行進(15時〜17時)
◎8・5国際連帯集会
8月5日(土)13時
アステールプラザ大会議室(中区加古町4−17)
▼韓国/キムボンテさん(韓国被爆二世患友会顧問)カンジェスクさん(平和市民連帯)▼中国/趙茂蓉さん(重慶大爆撃損害賠償原告)弁護士・学者他▼イラク/ハナー・アルサドゥーンさん(バスラ産科小児科病院医師)
以上、主催 8・6ヒロシマ大行動実行委員会
◎8・5労働者産別交流集会
8月5日(土)18時 アステールプラザなど
主催/集会実行委員会
◎8・6青年労働者交流集会
8月6日(日)18時 アステールプラザ
主催/集会実行委員会
◎8・7学習フィールドワーク
8月7日(月)
▽平和公園碑巡りと資料館見学コース
▽軍港呉・大和ミュージアムコース
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8・6-8・9反戦反核闘争日程
主催 8・6広島―8・9長崎反戦反核闘争全国統一実行委員会
★8月6日(日)
◎祈念式典糾弾・小泉来広糾弾デモ
午前7時半/東千田町公園(広島市中区東千田町、広電「日赤病院前」)
◎改憲と核武装阻止!被爆者解放総決起集会
午前9時半/アステールプラザ(広島市中区加古町4−17)
★8月8日(火)
◎長崎市内での反核宣伝行動(午後1時〜)
◎8・8反戦反核長崎集会
午後6時/長崎市民会館文化ホール第2第3会議室
(長崎市魚の町5−1 長崎電軌「公会堂前」)
講演「8・9ナガサキへの道――重慶大爆撃から日本の侵略戦争を
考える」 梶村晃(平和教育研究者)
★8月9日(水)
◎長崎原爆朝鮮人犠牲者追悼早朝集会へ参加
(主催/長崎朝鮮人の人権を守る会)
午前7時半/松山公園(長崎市松山町 長崎電軌「松山町」)
◎爆心地デモ
午前10時/城栄公園(長崎市城栄町 長崎電軌「大橋」)
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週刊『前進』(2256号3面2)(2006/07/31)
“核の「平和利用」は虚構”
東京反核集会開く
広島−長崎への結集を誓う
7月17日、8・6広島−8・9長崎反戦反核闘争全国統一実行委員会主催の「新たな核戦争をとめよう!/7・17反戦反核東京集会」が、東京・杉並のセシオン杉並で開かれ、160人を超える労働者や区民が会場を満員に埋めた。
特別編集された「核の『平和利用』はこうして始まった」を最初に放映し、相模女子大教授の吉田義久さんが解説し、1954年のビキニ被爆を契機に原発導入が図られた歴史を明らかにした。
特別報告を原子力空母の母港化に反対し基地のない神奈川をめざす県央共闘会議代表が「東京湾に原子力空母がやってくる」と題して発言。「軍事優先で私たちの声が届いていない」と怒りを示した。
パネルディスカッションが「核燃料サイクル施設の本格稼働が始まった/『平和利用』が生み出す放射能はどこに?」というテーマで行われた。コーディネーターは昨年に続いて映画監督の鎌仲ひとみさん。京都大学原子炉実験所の小出裕章さんは、日本が「非核保有国」としては唯一「濃縮・原子炉・再処理」という核開発を平和利用の名で行っていることの重大性を説いた。第五福竜丸の元乗組員の大石又七さんはビキニ被爆が9カ月で政治決着させられ、「平和利用」に変えられたことを告発し、ビキニ事件をもう一度見直してほしいと訴えた。豊かな三陸の海を守る会の田村剛一さんは、六ケ所村再処理工場が放射能を岩手県の海にまで流すことを前提に稼働されることに対して漁民として闘っていることを報告した。
この後、とめよう戦争!隊員家族と元自衛官連絡会の小多基実夫さん、動労千葉の繁沢敬一副委員長、「日の丸・君が代」被処分者の教育労働者が発言した。公的部門の労働運動をつぶす攻撃に対して、労働者の団結が必要と強調した。
最後に全国統一実行委員会中央事務局長の三角忠さんがまとめの発言を行い、8・6広島、8・9長崎の反戦反核闘争に結集することを訴えた。「原発なくせ、再処理工場なくせ」の闘いを戦争反対と結びつけていくことを誓い合った集会だった。
(投稿 U・N)
(写真 会場を満杯にする参加者が熱心に発言者の問題提起こ耳を傾けた【7月17日 杉並】)
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週刊『前進』(2256号3面3)(2006/07/31)
世界危機促進したG8サミット
中東問題で米欧間に亀裂
7月16〜17日にロシアのサンクトペテルブルクで行われた主要国首脳会議(G8サミット)は、米帝危機、帝国主義間争闘戦、世界戦争危機をますます促進する場となった。
ロシア大統領が初めて議長を務めた今回のG8サミットの最大の議題は、当初のエネルギー安全保障問題から、イスラエルのガザ・レバノン侵攻を焦点とする中東情勢に変わり、その次に大量破壊兵器不拡散問題(イラン、北朝鮮問題)、コソボ問題となった。政治討議の時間は中東問題が45分、北朝鮮問題とコソボ問題がそれぞれ20分だった。
G8サミットで日米欧ロは、それぞれ自己の立場と利害を激しく主張して譲らず、互いに対立・衝突し、争闘戦を展開した。採択された各声明は形式的・表面的に国際協調を語っているにすぎず、本質的な帝国主義間対立を隠すことができなかった。
G8サミットは、イラク侵略戦争、イスラエルのレバノン爆撃・ガザ侵攻、イラン・北朝鮮の核開発問題、国際エネルギー安全保障・価格安定策、WTO(世界貿易機関)ドーハ・ラウンドなど、いずれの課題においても解決・突破の道筋・方針を示すことができず、危機と混迷、対立と戦争を拡大・激化させるだけとなった。
イスラエルを擁護
第一に、中東情勢をめぐって米帝を始め帝国主義諸国がイスラエルを擁護する一方で米欧対立もあらわとなった。中東和平に関する声明は、ヒズボラとハマスに「イスラエル兵(計3人)の帰還」と「イスラエルへの砲撃の終了」を求めた上で、イスラエルに「軍事行動の終了とガザからの早期撤退」と「パレスチナ閣僚・議員の解放」を求めた。基本的に英仏独ロの主張に沿った内容だ。この声明の上に、ブレア英首相がアナン国連事務総長と会談し、レバノン戦争介入のための国際部隊の派兵を提案したが、米帝は賛成しなかった。
ブッシュ米大統領は、ひとり「イスラエルには自衛権を行使する権利がある」と公式に発言し、事実上イスラエルのレバノン・ガザ侵攻を擁護した。また逆にヒズボラをシリア、イランが支援していると決めつけて非難し、両国と関係の深い仏独ロを牽制(けんせい)した。ブッシュはブレアとの休憩中の会話で、アナン国連事務総長とその停戦案をののしり、ヒズボラをさげすみ、イラン、シリアへの敵対意識をあらわにした。米帝は、英仏独ロとの対立・亀裂を辞さず、イスラエルを先兵に中東危機―世界危機を一層激化・深刻化させている。
英仏独ロは、対米対抗的にイスラエルのレバノン侵攻をいさめ、即時停戦を求めた。プーチンはイラン、シリアのヒズボラ支援の証拠はないと断言し、ブッシュを一蹴して見せた。
ところで米帝は長年、イスラエルに侵略行動の自由と毎年数十億jの戦略援助を与え、ミサイルを搭載したF16や戦闘ヘリコプター、バンカーバスター、戦艦などの武器を供与し、核兵器保有を容認してきた。イスラエルとヒズボラ・ハマスとでは戦力に雲泥の差があるのだ。
イラン・北朝鮮に圧力
第二に、イラン・北朝鮮問題ではG8はかろうじて一致を演出して見せた。声明は、イランの核開発は核拡散につながると懸念を表明した。プーチンは議長総括で、6月に示された対イラン包括提案とイラン核問題の安保理協議を支持した。声明はまた、北朝鮮のミサイル発射凍結、核開発計画放棄を求めた。しかし、イラン、北朝鮮がこれらを拒否しているため、基本的な趨勢(すうせい)はイラン、北朝鮮に対する経済制裁から侵略戦争へと向かっている。
イランに対する巨額の利権を持っているロシアは、イラン制裁に反対してきたが、サミットではイランに対する強硬姿勢に転じた。それは、15日の米ロ首脳会談で使用済み核燃料の保管・再処理事業へのロシアの参入を認める交渉を開始することで合意し、これが取引材料となったからだ。
また中国を武器・エネルギー輸出での巨大市場としているロシアは、北朝鮮制裁に反対する中国に同調してきたが、サミットでの孤立を逃れるために英仏提案の北朝鮮非難決議案に譲歩し同意した。
エネルギー問題で対立
第三に、G8が合意したエネルギー安全保障の行動計画は、透明性の高い市場を重視した中長期的な対策を打ち出したが、効果的な石油価格安定策を示せなかった。世界経済は原油高によるインフレ―ドル危機―大恐慌の影におびえることになった。
サミット議長国、ロシアのプーチンは、エネルギー安全保障問題をG8サミットの第一の議題に設定し、最大の石油・ガス生産・輸出国としての地位を内外にアピールしようとした。しかし事前協議で、ロシアは欧州市場への天然ガス独占供給の姿勢を崩さず、供給源の多様化をめざす欧州と対立したままとなった。自国の利益に固執するロシアへの欧州諸国の不信感は一掃されなかった。
WTO(世界貿易機関)問題では、ドーハ・ラウンドに関して欧米が非難の応酬をした。ロシアは米帝の妨害にあってWTO加盟を阻止されたが、サミット終了後にプーチンは「成長著しい中国やインドを抜きに経済やエネルギーの問題を解決することは難しい」と述べ、中印ロ3カ国首脳会議を持ち、米欧日7カ国を牽制した。
G8サミットは、帝国主義とロシアが中東情勢を最大の焦点に争闘戦を展開し、世界戦争危機を促進する場となった。世界戦争を不可避とする帝国主義を打倒し、世界革命を実現しよう。
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週刊『前進』(2256号3面4)(2006/07/31)
(2)指定管理者制度との闘い
闘ってこそ雇用守れる 「サービス向上」は奴隷の道
小泉構造改革の「官から民へ」を全国の自治体で進めるための仕組み、「指定管理者制度」によって自治体施設の民営化が急速に進んでいる。民営化との闘いは、公務員労働運動を守り、再生させ、改憲と戦争を阻む決定的な闘いだ。
2003年の地方自治法244条2の「改正」で、自治体は「公の施設」の管理運営を直営でやるか指定管理者に委ねるかを2006年9月までに決めなければならない。自治体が外郭団体や民間業者、NPO(非営利団体)などから指定管理者を選ぶ。
「効率化」「サービス向上」が指定管理者制度の2大目的とされる。しかし現実は、管理運営経費の削減、管理の自治体責任の投げ捨てだ。
「効率化」の実体は、労働者の賃金・労働条件の徹底的切り下げ、施設管理運営の市場原理化である。福祉や環境、スポーツ、文化などの施設の本来の目的や住民の意見や利便性は「効率性」の名で切り捨てられる。「サービス向上」のため労働が一層強化される。
最大の問題は、指定管理者が労働者に対して、数年ごとの雇い止め、臨時・非常勤・パートタイムなどの不安定・非正規雇用や劣悪・過酷な労働条件を押しつけ、経費を徹底的に節減し、利潤を得ようとすることだ。
指定管理者から外された場合も深刻だ、神奈川県鎌倉市で指定管理者から外された外郭団体の理事は、プロパー職員首切りの先頭に立たされ、それを苦に今年3月31日、自ら命を絶った。指定管理者制度は労働者の首切りを前提として成り立っているのだ。
解雇許さぬ
A市では、公園、スポーツ施設、児童館、市民センターなどについて指定管理者の選定が始まっている。多くの労働者の首と生活のかかった重大な局面の到来である。
A市の外郭団体の市職労B支部は、来年4月の雇い止め・労働条件切り下げを許さないため、雇用主の財団に「雇用保障を求める要求書」を提出し、回答を求めて団体交渉に臨んだ。B支部は、安心して働き続けられ、行政サービス切り捨てを許さないために、「1人の雇い止めも許さない」闘いを進めている。
指定管理者となる期間は1年、3年など施設によって違う。指定を受けた団体は、運営を続けたければ期間経過後にまた公募に応じ、他の団体と競い合って選定を受けなければならない。
A市の児童館は昨年、新規開館全部が指定管理の対象となり、既成財団が指定から外され、すべてNPO団体が指定を受けた。労働組合は事態に衝撃を受け、本気で闘おうという機運が起きた。以降、学習や話し合いを積み重ねた。現場は危機感をもち、地道に闘っているが、自治労本部の方針はどうなのか。
7月7―8日の自治労・公共サービス民間労組評議会総会・全国交流集会で「一時金・退職金を削る」「人員不足の補充はせずにサービス残業をする」「アルバイトや非常勤職員で雇用を調整して(雇い止め――筆者)自分たちの雇用を守るしかない」と報告された。
自治労本部は、自治体業務を民間に明け渡し、賃金・労働条件を切り下げる指定管理者制度に反対とは言わない。「職域拡大」「サービス向上」「自己改革」で指定管理者に選定されようと言う。「質の高い公共サービス」論を実践して生き残ろうということだ。
権利を売り渡し、同じ職場の仲間の首を差し出すことで自分の「雇用を守ろう」というとんでもない方針だ。「生き残る」ことすらできない。
団交で自信
A市の外郭団体職員はフルタイムでも年収200万円しかなく、それ以上に低賃金で劣悪な労働条件におかれた非常勤職員も多い。いずれも「正規職員」とかけ離れた差別的な待遇を受けている。もともと市の非常勤職員として雇用され、行財政改革で業務が外郭団体に移される中、闘いによって常勤化をかちとってきた。この数年、賃上げを始め労働条件の改善を求めて粘り強く闘ってきた。そこへ指定管理者制度が導入された。
指定管理者制度の重大な攻撃性は雇用責任のあいまいさにある。財団は指定を受けている3年間しか雇用を守れない。しかし指定管理者を決めるのは自治体当局だから、市に雇用責任がある。
山場の団体交渉には組合員が多数結集、全員が腕章・鉢巻を着けて集会をもち、執行部が「一致団結することで、私たちの雇用に手をつけると大変なことになるぞ、と財団・市に思わせよう。一丸となってがんばろう!」と呼びかけた。財団当局に対する追及と大衆傍聴で緊張する中、交渉を打ち抜いた。
そして、@雇用問題について最大限努力するA施設管理者(市)に対して職員の雇用に関する働きかけを引き続き進めるB指定管理者の選定は非公募とするよう市に働きかける――という回答を引き出した。組合は「誇りをもって仕事ができるのも安定した職場があってこそ。1人も欠けることなく新年度を迎えたい」と強く訴えた。
組合員は「団結して闘うことによってのみ雇用は守られる。組合の団結こそ勝利の道」という確信をつかみ、闘い続けている。指定管理者制度や小泉構造改革などの問題を学習し、地域の労働組合と共闘を結び、労働組合未組織の外郭団体の仲間に働きかけている。
「私たちの虐げられた待遇と雇用不安は、NPOだろうが外郭団体だろうが民間だろうが、どの団体が指定されようと同じように引き継がれ、場合によっては激しいコスト競争の中でさらに悪化する。すべての現場の労働者の労働条件を引き上げるために闘おう」
この仲間の声に指定管理者制度との闘いの勝利の展望を見いだすことができる。闘ってこそ雇用は守られる。すべての労働者が力を合わせる中に勝利の道がある。自分だけの雇用を守る運動ではなく、仲間が結びつき、団結を強め、広げることで展望が切り開かれる。
指定管理者制度で雇用を奪われようとしている仲間のみなさん。「1人の雇い止めも許さない」闘いを具体的に展開しよう。全国の闘いをつなぎ、不安定雇用、劣悪な労働条件を改めよう。指定管理者制度を廃止しよう。民営化=労組破壊と対決し、改憲と戦争への道を阻止しよう。
(山下 均)
(写真 亀戸児童館【東京都】。本文とは関係ありません)
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週刊『前進』(2256号4面1)(2006/07/31)
侵略戦争へ突出する日本政府
国連安保理 北朝鮮非難決議は戦争の道具
国連安全保障理事会は7月15日午後(日本時間16日未明)、北朝鮮のミサイル発射をめぐって日米などが提案した決議案を、中国・ロシアを含む全会一致で採択した。
安保理決議は、米・日帝国主義が「ミサイルの脅威」をデッチあげ、侵略戦争に突入するための道具だ。北朝鮮の体制転覆を狙い、圧倒的軍事力で包囲し、挑発的な演習をくり返して戦争を仕掛けているのは米日帝の側だ。何が「平和と安全を維持する」(決議文)だ! 「大量破壊兵器の脅威」をデッチあげ、イラクに数限りないミサイルを撃ち込み、数十万人を虐殺したのはブッシュと小泉ではないか。
北朝鮮に対する安保理決議は93年5月の核拡散防止条約(NPT)脱退をめぐる決議以来、北朝鮮のミサイルに関する決議採択は初めてだ。
93年安保理決議は、94年アメリカによる侵略戦争発動寸前の状況まで行きついた。ボルトン米国連大使は、安保理決議採決の後「北朝鮮が従わなければ追加措置をとる」と警告している。今や米・日帝国主義は、北朝鮮のミサイル発射を絶好の口実にして、実際の戦争発動に踏みこんでいこうとしているのだ。
安倍・麻生らは「制裁決議」求め
とりわけ重大なことは、安倍官房長官、麻生外相らが軍事制裁の根拠となる「国連憲章7章」を振りかざし、その文言に最後までこだわって戦争への道を開こうとしたことだ(最後は削除)。国連の制裁論議の先頭に日本政府が立つこと自体が、日本の外交史上初めての事態だ。また、この過程で、「制裁に反対する中国や韓国との激突辞さず」という排外主義が激しく扇動された。日本帝国主義は、北朝鮮スターリン主義のそれ自体は反人民的なミサイル発射や拉致問題を使い切り、最も好戦的で凶暴な帝国主義として登場しようとしているのだ。
安倍は16日、北朝鮮が安保理決議受け入れを拒否したとして、追加的な金融制裁の実施を決めた。5日の万景峰(マンギョンボン)号の入港禁止などに続き、外為法を適用して、@北朝鮮への送金停止、A資産凍結、B輸出入停止などの措置をとるとしている。8月上旬の発動に向けて、すでに具体的検討が始まっている。
こうした経済制裁の発動は、北朝鮮を体制崩壊の危機に追いこむ戦争行為そのものだ。御用評論家・岡崎久彦(元駐タイ大使)は、「日米は決議で国連から制裁の“お墨付き”を得た。北朝鮮が再びミサイルを撃ったら、日米はさらに強い制裁措置に入ることができる」と発言している。制裁を次々と発動して北朝鮮を追いつめ、北朝鮮が暴発するのをとらえて実際に武力行使=侵略戦争に突入することを狙っているのだ。
北朝鮮ミサイル発射を口実とする米日帝の激しい動き、とりわけ額賀防衛庁長官、安倍、麻生らの「敵基地攻撃能力の保持は当然」論の噴出は、すべての労働者人民に戦争の切迫とリアリズムを突きつけた。9条改憲や米軍再編―日米同盟再編が、いったいどこに向かうものなのかが一挙に明らかになりつつある。
排外主義と対決し街頭に出よう
「二度と戦争を許さない」「9条改憲を許さない」――これが労働者階級の戦後の原点だ。政府が本気で戦争をやろうとしていることがはっきりした時、労働者は必ず立ち上がる。「制裁絶対反対」「戦争を仕掛けているのは米・日帝国主義だ」というスローガンを鮮明にして闘う勢力が登場することが決定的だ。
連合と全労連は5日、それぞれ北朝鮮非難声明(事務局長談話)を出している。連合の改憲勢力化阻止、労働組合の階級的再生をめぐって、「北朝鮮侵略戦争を許すのか、どうか」「戦争の9条改憲、米軍再編を許すのか、どうか」が、決定的な激突点となる。
今こそ街頭にうって出よう。闘う南北朝鮮人民と連帯し、8・6ヒロシマ―8・9ナガサキ反戦闘争、8・15靖国闘争で大反撃に立とう。今秋国会闘争から11月労働者1万人決起へ突き進もう。
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●安保理決議(骨子)
▽(国連安保理は)国際平和と安全を維持する特別な責任の下で行動。
▽北朝鮮の弾道ミサイル発射を非難。
▽北朝鮮に弾道ミサイル開発中止、発射凍結の公約の再確認を要求。
▽ミサイル関連物資・技術の北朝鮮への移転、同国からのミサイル関連物資の調達禁止を国連加盟国に要請。
▽北朝鮮に6カ国協議への即時復帰を強く要請。
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週刊『前進』(2256号4面2)(2006/07/31)
これが靖国神社の実態だ
靖国神社とは何か、その反人民性はどこにあるか――その本質を知る上で欠かすことのできない問題として、「驚くべき遊就館の実態」と「朝鮮人・台湾人合祀問題」にスポットライトを当ててみよう。(1面に8・15アピール)
写真 【上左】ロケット特攻機「桜花」 【上右】人間魚雷「回天」 【下】陸軍少佐・藤井一の遺筆。藤井は妻子があり特攻への志願が認められなかったため妻と二人の子が入水自殺その結果特攻に任命され戦死した【遊就館の展示より)
青年を戦場に送るため特攻隊の死をたたえる
遊就館が描く歴史
日帝・小泉があくまでも靖国参拝にこだわるのは、今に生きる子どもたちに「国のため、天皇のために戦争を担い、命を捧(ささ)げる生きざま」をたたき込むためである。そのことを端的に象徴しているのが「遊就館」だ。
遊就館は、靖国神社の拝殿のすぐ北側(法政大学に接する側)にある。1882年に「軍事博物館」として開館した遊就館は、敗戦直後の1945年12月に閉館したが、中曽根康弘が首相として靖国神社に公式参拝した85年の翌86年に再び開館された。そして「靖国神社創立130周年記念事業」で全面改装工事が行われ、小泉が靖国に参拝した2001年の翌02年に「新遊就館」として開館、今にいたっている。戦後の日帝の戦争国家体制づくりとともに歩んできた施設と言える。
遊就館はその目的を、ホームページで以下のように記している。「我が国の自存自衛のため、更に世界史的に視(み)れば、皮膚の色とは関係のない自由で平等な世界を達成するため、避け得なかった戦いに尊い命を捧げられたのが英霊」「英霊が歩まれた近代史の真実を明らかにするのが遊就館のもつ使命」
「近代史の真実を明らかにする」とは、“これまで語られてきた近代史は「日本はひどい戦争をやった」という誤った歴史観だった”という意味だ。それに対して、“日本の戦争は自存自衛のため、自由で平等な世界を達成するためのすばらしい戦争だった。そのために命を捨てた英霊たちの生きざまを受け継ごう”と描くのが、靖国の「近代史の真実」なのだ。
これは「新しい歴史教科書をつくる会」の教科書の中身と軌を一にするものである。小泉の靖国神社参拝は、首相としてこのような歴史観を身をもって示そうとするものである。
戦争被害を抹消
靖国神社には日本帝国主義の明治以来のアジア侵略戦争―帝国主義間戦争による戦死者246万6000人余が「英霊」として祭られている。遊就館では、この明治以来の侵略と戦争の歴史を、さまざまな展示品とともにたどっている。
何よりも特徴的なことは、日本の侵略戦争によって虐殺されたアジア民衆のことが一片も存在しないことだ。あたかも、日本軍はただの一人殺さなかったがごとく、である。また、沖縄―広島―長崎を始め、日本の労働者民衆が受けた戦争被害にもまったく触れない。
館内で上映している映画「私たちは忘れない」のサブタイトルは「あなたは考えたことがありますか? 国のために生命を捧げた多くの人々の上に、私たちの“今”があることを」である。ここでも、日本の戦争の歴史を描きながら、戦争による被害の実相はまったく登場しない。そして“祖国を守るために死んだ英霊に感謝と祈りと誇りを持て”と誘導するのである。
20ある展示室の最後の四つは「靖国の神々」。壁を埋めるのは靖国に祭られている戦死者の数千枚の顔写真だ。そして彼らが家族に書いた遺書や手紙を陳列し、どれほど真剣に祖国と家族のことを思い、どれほど純粋な気持ちで死んでいったのか――と描いている。
「英霊受け継ぎ」
大展示室には、特攻隊の兵器が並ぶ。胴体下に250`グラムの爆弾を装着して敵艦船に突っ込んだゼロ戦、1・2dの爆弾を搭載した人間ロケット「桜花」、1・55dの爆薬を装着して敵艦船に体当たりする人間魚雷「回天」などである。
一度出撃すれば生還はありえず、5000人近い死者を出した特攻作戦は、帝国主義戦争の非人間性の極致である。その死は、天皇制国家を護持するための死であり、戦争を長引かせるための捨て駒であった。この特攻隊を大絶賛し、「このすばらしい死に方を受け継ごう」というのが、遊就館の目的なのだ。
02年の遊就館新装開館に合わせて「遊就館友の会」が設立された。同会は25歳までの青少年を対象にしており、「英霊が、祖国のために大切な命を捧げられた、尊い『みこころ』を受け継ぐ」とうたっている。
なぜ25歳までの青少年なのか? これから戦争に行く世代だからである。その世代の青少年に特攻隊の生き方を受け継がせ、アジア侵略戦争のために再び命を投げ出せと言っているのだ。国のため、天皇のために命を捧げる若者を二度と生み出してはならない。
(写真 人間魚雷「回天」出撃直前、満開の桜を手にした搭乗員。再び青年を戦場に送ってはならない)
朝鮮人・台湾原住民からの合祀削除要求を拒否
植民地支配居直り
靖国神社には、246万人余の兵士が「英霊」として祭られている。その95%が1931年柳条湖事件以後の「15年戦争」の死者である。そのうち朝鮮人、台湾人計5万人余が遺族の意志を無視して合祀されている。靖国神社自身が2001年10月現在として次の数字を挙げている。
台湾出身28863柱
朝鮮出身21181柱
靖国神社とは、天皇の軍隊の戦死者を「神」として祭るところだが、それはあくまでも「天皇のため(日本帝国主義のため)」の戦争での戦死者であって、明治維新での官軍の兵士以外は賊軍として祭られていない。
そして、日帝のアジア侵略戦争でアジアの民衆を殺し、その中で死んだ兵士が祭られている。1874年の台湾出兵以来の台湾侵略と植民地支配(1895年〜1945年)、1875年の江華島事件以来の朝鮮侵略と植民地支配(1910年〜1945年)の中での民族解放闘争を鎮圧する戦争、侵略戦争での死者を祭っている。靖国神社は「アジアの独立をもたらした戦争」などと言うが、日本帝国主義自身が朝鮮と台湾の人民の民族独立の闘いを武力で押さえつけてきた歴史がそこに示されているのだ。
写真 【左】台湾原住民の先頭で靖国神社と闘う高金素梅(チワス・アリ)さん 【右】父親の合祀取り下げを要求して闘う李煕子(イヒジャ)さん
先頭に立つ人々
台湾では、植民地支配下で原住民(先住民族)に対する徹底した皇民化教育が行われた。「高砂義勇隊」として戦争に動員され、最前線に立たされた。その3分の2が戦死した。台湾立法院の議員である高金素梅(チワス・アリ)さん(タイヤル族)は、自分の祖先が靖国に合祀されて「われわれを殺した人と一緒に祭られている」ことは「最大の侮辱」であるとして、03年2月に大阪地裁に合祀取り下げを求める訴訟を起こした。同時に、靖国神社に対する糾弾行動を行っている。映画「出草之歌」は、チワス・アリさんらの民族の尊厳をかけた数年間の闘いを記録している。
また、1歳の時に父親を軍隊にとられ、中国で戦死、靖国神社に合祀されていることを知って、01年6月に韓国人遺族代表として、東京地裁に靖国合祀取り下げを提訴した李煕子(イヒジャ)さんは陳述書で次のように言っている。
「父親が靖国神社に合祀されているということは、いまだに父親の霊魂が植民地支配を受けていることだと思います」
映画「あんにょん・サヨナラ」は、イヒジャさんの闘いを中心に描いた記録である。
対立は非和解的
靖国神社は、この当然の要求をかたくなに拒み続けている。「台湾ご出身の英霊の方々は、まったく日本人と同じようにまつられたのであり、今後とも靖国神社の姿勢は変わらない」。これが靖国神社の基本的態度だ。
朝鮮人・台湾人戦死者の合祀を取り下げないということは、いわゆるA級戦犯合祀の取り下げを拒否していることと表裏一体の関係にある。
A級戦犯を靖国神社は「昭和殉難者」すなわち「不当な東京裁判によって殺された戦争犠牲者」として合祀している。これを取り下げることは「聖戦」ではなく不正義の戦争だったことを認めることになるから、拒否しているのだ。
同様に、朝鮮人・台湾人の合祀取り下げは、台湾と朝鮮の植民地支配が不当なものであり、「日本兵」として駆り出し、死地に追い込んだことを謝罪しなければいけないことになるから、絶対認められないのだ。
いずれも、靖国神社の存立にかかわる問題だ。対立は非和解的だ。「聖戦」だったと賛美し、植民地支配のもとで「日本人として命をささげた」と美化して居直ろうとする靖国神社の態度は、中国や韓国にどれほど非難されても靖国参拝をやめない小泉の態度と同様、新しい戦争のために譲れない一線なのだ。したがって、合祀取り下げ要求の闘いと連帯することは、9条改憲阻止の闘いと一体の課題である。
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●靖国合祀取り下げを要求する闘いを取材した2本の映画
「出草之歌(しゅっそうのうた)―台湾原住民の吶喊(とっかん)背山一戦(ぺいさんいつぁん)」企画/制作 NDU(日本ドキュメンタリスト・ユニオン)
「あんにょん・サヨナラ」共同制作 情報工房スピリトン・在韓軍人軍属裁判を支援する会・民族問題研究所・太平洋戦争被害者補償推進協議会 監督 キムテイル 共同監督 加藤久美子
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週刊『前進』(2256号4面3)(2006/07/31)
“北延伸着工阻止する”
三里塚反対同盟が抗議声明
成田空港会社が北延伸工事のための計画変更を申請したことと、市東孝雄さんの耕作権の解除を申請したことに対し、三里塚芝山連合空港反対同盟が7月11日に出した緊急抗議声明を紹介します。(編集局)
緊急抗議声明
NAA(成田空港会社)黒野社長は7月10日、成田空港の暫定滑走路を「北延伸」して2500bにする計画変更申請を、敷地内農家と騒音下住民の反対を無視して強行した。北延伸とは、東峰区の農家上空40bに大型のジャンボ機を飛ばし、農家を殺人的騒音に晒(さら)してたたき出そうとする国家犯罪である。神社の立木を伐採し、いままた「東峰の森」を破壊し、農地と家屋、人までも空港内に取り込む暴挙は断じて許さない。身勝手な計画変更で空港北部の久住地区や高倉地区に騒音地獄を強制する暴挙は許されない。NAAは北延伸計画を全面的に撤回せよ! 9月にも強行といわれる北延伸「着工」を、あらゆる闘争手段で阻止するために闘い抜くことを宣言する。
今回NAAは、北部住民の声を無視して「申請」を見切り発車させた。そして「地域振興」の言葉でごまかそうとしている。だが、大騒音とともにやってくる「地域振興」とは何だったか? 滑走路南側の芝山町菱田地区で進行する廃村化の現実を見よ! 地価は下がり、里山は荒れ、集落は分断され、生活破壊だけが残された。空港の拡張は百害あって一利なしだった。これが現実である。「市民派」を名乗る堂本知事が、NAAと同じ立場で騒音下住民の声を押しつぶす政治に加担していることも到底認めがたい。
黒野社長は記者会見の場で「(北延伸後の)さらなる延長」を公言した。ジャンボ機を飛ばして南側・東峰地区の農家をたたき出し、滑走路を軍用機も飛べる「4000b級」にする計画なのだ。北側の久住地区をはじめ、周辺地域を丸ごと無人化し、押しつぶす計画なのだ。これはさる5月の「米軍再編に関する日米合意」で、成田空港を米軍に提供すると決めたことと関係している。以前から成田空港は、有事の際に米軍に提供するといわれてきた。まさに暴挙としか言いようがない。
さらにNAAは今回、「北延伸」で大型機を飛ばすために、「へ」の字誘導路の中にある天神峰地区・市東孝雄さんの農地を強権的に取り上げようと画策、成田市農業委員会に「耕作権解除」を申請した。この農地は市東さんの祖父が開墾し、以後90年に渡って耕してきた耕作地で、農地法を濫用(らんよう)し「耕作権解除」を強制するなどあり得ない土地だ。政府・NAAは「二度と強制的手段を使わない」とした93年の確約をも反故(ほご)にしたのだ。市東さんは弁護団とともに、直ちに同申請を却下するよう農業委に申し入れた。不法な農地強奪は許さないとの強い意思表示である。
北延伸工事の「09年完成」というNAAの身勝手な主張を、私たち反対同盟は絶対に許さない。東峰・天神峰地区で国家犯罪を告発する住民たちとともに、空港北側で理不尽な騒音に苦しむ住民たちとともに、そして全国で三里塚に心を寄せる仲間たちとともに、北延伸着工攻撃を真っ向から迎え撃つ覚悟である。以上、北延伸への「変更申請」に対する緊急抗議声明とする。
2006年7月11日
三里塚芝山連合空港反対同盟
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週刊『前進』(2256号4面4)(2006/07/31)
7月12日〜18日
国連安保理、北朝鮮非難決議
イスライエルがレバノン侵攻
●日イスラエル首脳会談 イスラエルを訪問中の小泉首相がオルメルト首相と約1時間会談した。小泉は中東和平推進に向け、イスラエルとパレスチナの「共存・共栄」に貢献する方針を表明。ヨルダンと日本を加えた4者による協議機関の設置を提唱した。(12日)
●レバノンの空港空爆 イスラエル軍は、レバノンの首都ベイルートの国際空港空爆に続き、レバノン軍やイスラム教シーア派組織ヒズボラの関連施設、橋や主要道路などを攻撃した。レバノン沖に艦船を展開して、海上封鎖も始めた。12日に起きたヒズボラによるイスラエル兵拉致への報復としている。(13日)
●厚木基地騒音、国に40億円賠償命令 神奈川県の厚木基地の周辺住民が航空機騒音被害について国に損害賠償を求めた第3次厚木基地騒音訴訟の控訴審判決で、東京高裁・大内裁判長は、過去の被害分として計40億4千万円の賠償を命じた。(13日)
●ガザ侵攻非難決議で米が拒否権 イスラエルのパレスチナ自治区ガザ侵攻を非難する決議案が国連安全保障理事会で採決され、15理事国のうち10カ国が賛成したが、常任理事国の米国が拒否権を行使して否決された。(13日)
●航空機墜落想定し、米軍と合同訓練 ニライ消防本部や米空軍嘉手納基地消防本部などによる「危険物災害対応合同訓練」が嘉手納基地軍消防訓練場で行われた。航空機が民間地域に墜落し炎上、付近の建物に延焼、事故に伴い危険物を積んだ車両が横転したという想定で訓練した。(14日)
●7章削除し、北朝鮮非難決議採択
国連安保理は、日米などが提案した北朝鮮のミサイル発射を非難する決議1695を全会一致で採択した。日米が強制行動につながる「国連憲章第7章」の文言削除に同意したため中ロが賛成に回った。北朝鮮外務省は受け入れを拒否する声明。(15日)
●陸自が感謝状を要求 イラク南部サマワで陸上自衛隊が地元ムサンナ州評議会の議長らに対し、撤収する陸自に感謝の手紙を書くよう求める書簡を送っていたことが分かった。(15日)
●サミット開く 主要国首脳会議(G8)がロシアのサンクトペテルブルクで開幕した。ロシアのプーチン大統領が議長総括を発表。北朝鮮のミサイル発射に「深い懸念」を示すとともに、核開発放棄と拉致問題の早期解決を求めた。(15〜17日)
●7章なくても「拘束力」 政府が、国連安全保障理事会で採択された北朝鮮非難決議に強制措置を定めた国連憲章第7章が明記されなかったものの、同決議は「拘束力がある」との見解を示した。(16日)
●陸自、イラク撤収完了 イラク南部サマワで活動してきた陸上自衛隊の最終部隊約220人が空路でクウェートに到着。04年1月から活動を始めた陸自部隊の撤収が完了したことになる。(17日)
●額賀「海外派遣恒久法を」 撤収する陸自を出迎えるためクウェートを訪問した額賀防衛庁長官は、自衛隊の海外派遣恒久法整備に関し「機敏に対応できるように一般法を作り、自衛隊活動が広がることが望ましい」と必要性を強調した。(17日)
●北朝鮮制裁、自民が金融制裁法案提出へ
自民党「対北朝鮮経済制裁シミュレーションチーム」が、国連安保理決議を受け、金融制裁法案の骨子案を今月中にまとめる方針を決めた。(18日)
●在日米軍、都の防災訓練参加へ 東京都が9月に実施する総合防災訓練に、在日米軍が参加する方向で大筋合意した。米軍の艦船やヘリコプターで、帰宅困難者や物資を搬送するなどの訓練を想定。(18日)
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週刊『前進』(2256号5面1)(2006/07/31)
崩壊し始めた米住宅バブル
島崎 光晴
米経済での住宅バブルの崩壊がついに始まりつつある。00年以降に米経済が恐慌を回避できた最大要因は、住宅バブルだった。以来5年間、住宅バブルは膨らみ続け、日本の80年代後半のバブルを上回るまでになった。だから、その崩壊は米経済と世界経済を大恐慌に引きずりこまずにはおかない。全世界で革命的情勢がいよいよ近づいてくるのだ。今や、新しい時代が始まりつつある。
最大の恐慌防止策が決壊 住宅売れ残りは過去最高 1千兆円超す家計の借金
もともと米経済は00年から恐慌に陥りつつあった(『現代帝国主義論U』第T部第2章参照)。90年代末のIT(情報通信)とハイテクを中心にしたバブル経済は、00年から崩壊した。02年までに株式時価総額は8兆jも減り、GDP比では29年大恐慌を上回る大暴落となった。実体経済も急降下し、鉱工業生産は01年、02年と2年連続でマイナスとなった。主要500社の利益は01年に17%減となり、02年の上場企業の破綻(はたん)は総資産で3680億jと過去最大となった。
株価の大暴落、生産の急減、利益率の低下、大企業の倒産続出と、まさに恐慌そのものに突っ込みつつあった。しかも、29年大恐慌を上回り始めていた。
これに対し国家と企業が総がかりで、恐慌を防ぐための様々な対策をとった。@まず01年から金融が緩和された。実質金利(名目金利から消費者物価上昇率を差し引いたもの)はマイナスとなった。A自動車販売のローン金利をゼロにし、従業員向け割引を一般客にも適用し、値引き販売を増やした。B富裕層への大規模な減税も繰り返された。C金利低下で住宅ローン金利も低下したため、ローンによる住宅購入ブームが起こった。
日本のバブル並みの急上昇
この住宅ブームは02〜03年からバブル化していった。何よりも第一に、住宅価格の上昇が日本のバブル期並みの急激なものとなった。全米平均の住宅価格は00年から05年の5年間で55%上昇したが、主要都市では2倍以上になった。日本のバブル期である85〜90年に、首都圏のマンション平均価格は約2・3倍に上がった。これにほぼ匹敵する。値上がりは実際の需要によるものではない。購入と転売を繰り返してもうけを得るやり方、つまり投機の結果だ。日本のバブルでは「土地転がし」と言われたが、米国ではそれが住宅でやられてきたのだ。
しかも第二に、住宅ローンの増え方がすさまじい。近年は、元本返済はすえ置いて利子だけを払う金利限定型の住宅ローンが横行してきた。05年上半期のカリフォルニア州では金利限定型が5割に迫る。また頭金ゼロの住宅ローンも増加し、04年に住宅を初めて購入した人の42%が頭金ゼロだった。こうした野放図なローンの結果、個人負債11・9兆jのうち住宅ローン残高が8・7兆j(約957兆円)と、負債全体の7割を占めるまでになった(05年末)。住宅ローン残高だけで米国債など公的債務残高をも上回っている。
第三に、家計が住宅ローンで手にしたカネは消費に使われてきた。低利のローンに借り換える際に、月々の返済額はそのまま維持して借入額を増やす。あるいは、住宅価格上昇に伴って担保価値も上がっているため、その分を借り増しする。いずれも借入残高を積み増して現金を入手し、それを消費に回す。実質は住宅担保の消費者ローンだ。こうした住宅ローン借り換えで家計が手にしたカネは、04年だけで6000億j(約66兆円)。うち3分の2が消費に回ったとすると、消費を3・56%押し上げた計算になる。実際の消費の伸びは3・9%だったから、ほとんど住宅の資産効果だったことになる。
米経済で最もバブル化しているのはここだ。通常、米経済での消費ブームは3年、長くて5年とされてきたが、今回は9年以上も続いている。05年の米国の個人消費は8・7兆jで、95年の1・75倍だ。米経済史上も例のない長期かつ大規模な消費ブームだ。こうした消費増加分を含めると、01〜05年の経済成長における住宅の寄与度は64%にも上る。
住宅関連統計すべてが減少
こんなのが長く続くはずがない。すでに住宅バブルは崩れはじめている。きっかけはインフレ圧力の高まりと金融引き締めだ。消費者物価は原油価格の高騰を背景に、昨秋から上昇傾向にある。インフレは放置しておくと2ケタインフレに悪化してコントロールできなくなる。このためFRB(米連邦準備制度理事会)は、04年春から今年6月まで政策金利を引き上げてきた。
これに伴って、春先から住宅ローン金利も上昇し、ついに住宅関連の統計が下向きはじめた。@中古住宅販売件数は3月をピークに4月、5月と2カ月連続で減少。5月の中古住宅の売れ残り=在庫は前年同月比41%増で、販売実績の6カ月分を超える過去最高水準になっている。また新築住宅の在庫も5・5カ月分と過去最高水準。A住宅着工件数は2月から4月まで3カ月連続で減少。B新築住宅の価格は2月にピークをうって下げ始めた。つまり、住宅ローン金利の上昇→住宅購入に慎重に→販売減少と在庫増加→住宅着工の減少→住宅価格上昇の鈍化・下落という事態である。
昨年に住宅関連の個々の月間統計がマイナスになることはあったが、今回のように全体が持続してマイナスになるのは初めてだ。住宅バブルの崩壊が始まったとみてまちがいない。住宅価格が下がっていけば、消費の激減と生産の低下は避けられない。ガソリン価格の高騰と金利上昇も消費を下押しする。
(写真 販売減少で「[For Sale」 (売り出し中)のままの住宅が目立ちはじめた)
住宅公社等で金融危機にも
さらに重大なのは、住宅ローンの借り手と貸し手の両方から米経済が大瓦解(がかい)しかねないことだ。
借り手側では、米家計が限度を超えた借金漬けになっている。米国の貯蓄率(可処分所得に対する貯蓄の割合)は昨年、マイナスに転落した。所得以上に支出しているということだ。マイナスは29年大恐慌の後の32年、33年以来。住宅価格が低下すると家計は甚大な打撃を受ける。家計の負債総額は1000兆円以上もある。90年代に日本の銀行の不良債権は実質100兆円と言われたが、ケタが違う。家計の利払い負担は最低でも、年間1000億j(11兆円)も増えている。日本のバブル崩壊よりもっと破滅的な事態になるだろう。
貸し手側では、住宅バブルが崩壊すると、住宅ローン債権の貸し倒れから米金融市場がパンクする可能性が強い。この鍵(かぎ)を握っているのが、住宅公社(ファニーメイ=連邦住宅貸付抵当金庫とフレディマック=連邦住宅貸付抵当公社)である。両者は住宅ローン債権を金融機関から買い取り、住宅ローンを担保に証券を発行してその買い取り資金を調達している。住宅ローン担保証券(注)は国内外の金融機関に売られているが、両公社がこれに信用保証をつけている。住宅ローンが焦げついた場合、両公社は住宅ローン担保証券の支払いを求められる。つまり貸し倒れリスクが両公社に集中する構図だ。住宅価格が低下していくと、貸し倒れ懸念から連鎖破綻(はたん)、さらには金融恐慌に進みかねない。
米経済はついに大恐慌に向かい始めたのだ。90年代末の株式バブルとその崩壊、その後の住宅バブルとその崩壊の始まり。製造業および非製造業で資本が過剰となっている中では、株や住宅などの資産の価格を投機的につり上げ、その資産効果で景気を浮揚させるしかない。こういう腐朽しきった方法でしか現代帝国主義は延命できなくなっているのだ。その腐朽したやり方すら、ついに限界を迎えようとしている。このような最末期の帝国主義は打倒する以外にない。
(注)住宅ローン担保証券。住宅ローンの債権を担保にして発行する証券。証券化して債権を売却し、債権のリスクを分散するのが狙い。一般に「債権の証券化」と言われる。証券を売買する流通市場も発達しており、もともとの債権が証券として流通する。
ドル暴落と世界大恐慌へ 財政・貿易赤字は限界に 住宅担保保証券投げ売りも
3経路で日本経済に大打撃
米住宅バブルの崩壊は世界を大恐慌に引きずりこむものとなる。最も打撃を受けるのは、ほかならぬ日本経済である。
何よりも、米住宅バブル崩壊によって全世界的に生産が縮小せざるをえない。米国の個人消費は8・7兆jで、世界全体の消費の3分の1に当たる。その最大の消費市場が、住宅バブル崩壊で吹き飛んでいくのだ。当然にも世界的な需要の減少から生産も縮小していかざるをえない。米国発の世界恐慌である。
特に深刻な影響を受けるのは日本経済だ。日本の最大の輸出相手国は依然として米国であり、対米輸出は輸出全体の22・6%を占める(05年)。しかも、日本資本は中国の日系工場で生産して対米輸出しており、これも含めると米市場依存度はさらに高まる。さらに日本の第2の輸出相手国は中国で、輸出全体の13・4%を占める。その中国もまた米国が最大の輸出相手国であり、米バブル崩壊に直撃される。つまり日本経済は、対米輸出、中国経由の対米輸出、対中輸出の3つのルートすべてで大ダメージを受けることになるのだ。これだけで日本経済は恐慌が再激化せざるをえないだろう。
世界同時株安で揺れ始めた
また、ドルの急落や暴落ともあいまって世界金融恐慌の危機が強まっていかざるをえない。
第一に、米の膨大な財政赤字・経常赤字(貿易赤字など)がもはや限界に達しつつある。06会計年度(05年10月〜06年9月)の財政赤字は4230億jと過去最大級になる見込みだ。特に戦費の増大が財政赤字を膨張させている。07会計年度を含むとイラク・アフガニスタン駐留費は総額4400億jと、ベトナム戦争の戦費(現在価格で5000〜6000億j)に迫りつつある。一方、05年の経常赤字は8049億jと過去最大である。ハイテク貿易でも02年以降は赤字に転落しており、貿易赤字は増えるしかない。しかも、企業の業務をインターネットで国外に移転しているため、サービス貿易の黒字も縮小している。
このような財政赤字・経常赤字にもかかわらず米経済が維持できているのは、国外からの資金流入が続き、それによって赤字が補てんされているからだ。米国債残高のうち実に43%が外国人の保有である(3月)。しかし、05年の対米資金流入は主にオイルマネー(産油国からの投資)と中国からに偏っている。こうした危うい構図では、資金流入が細まるとたちまちドルは急落する。
第二に、米住宅バブルの崩壊とドル暴落が一体で進む可能性がある。住宅公社が発行している住宅ローン担保証券は国外の金融機関にも買われている。しかも規模にして、住宅ローン担保証券の発行残高は5・7兆jで、米国債の発行残高4兆j強よりも多い(05年9月末)。住宅バブル崩壊につれて住宅ローン担保証券の信用が低下していくと、国外金融機関が一斉に売却に動く可能性もある。それは即、ドル暴落を意味する。
第三に、米国内で保護主義が高まっており、それが国外からの資金の引き揚げを招きかねない。4月にトーマス下院歳入委員長(共和党)はWTO(世界貿易機関)の交渉について「米・EU間に折り合えない差がある。一番の打開策は中止することだ」と指摘、二国間交渉に集中すべきだと提言した。“多角的通商交渉をやめて二国間交渉だけにすべきだ”という保護主義が公然化しているのだ。4月のIMF(国際通貨基金)の報告書「金融の安定性」では、世界経済の重大な脅威は米国の保護主義にあるとし、“保護主義→国外からの資金の引き揚げ→ドル暴落と米国債の暴落(金利の急上昇)”という最悪のシナリオに警鐘を鳴らした。
第四に、原油高とインフレ圧力の中で米欧日が一斉に金融引き締めに動いており、国際金融市場が動揺しはじめている。すでに5〜6月に世界同時株安が起き、00年の米ITバブル崩壊以来、最大の下げとなった。直接の要因は、米住宅バブルの崩壊への恐怖と、米欧日の金融引き締めによる過剰流動性の解消への懸念である。世界的に資金が株式や商品から引き揚げられ、リスクの低い債券・現金に移動した。この世界同時株安は後から振り返ってみれば、世界大恐慌の発端だったということになるかもしれない。
このように米住宅バブル崩壊を機に世界大恐慌がいよいよ現実になろうとしている。アメリカ帝国主義はこの過程で一段と没落していく。そうであればあるほど、米帝は世界を暴力的に再編してでも生き残ろうと、ますます世界戦争にのめりこんでいくしかない。世界の労働者人民にとっては、世界革命の情勢がいよいよ接近することを意味する。
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週刊『前進』(2256号5面2)(2006/07/31)
拡大するイスラエル軍の侵攻
レバノン、ガザ地区で虐殺
7月19日、イスラエル軍が南レバノンに侵攻し、レバノンとパレスチナのガザ地区における戦闘は一段とエスカレートしている。イスラエル軍は、前日18日にはガザ地区中部にあるムガジ難民キャンプに戦車部隊を突入させた。イスラエルによるレバノン空爆やミサイル攻撃による死者はすでに300人を超えている。また、6月末のイスラエル軍ガザ侵攻以来のパレスチナ人の死者も90人を超えている。イスラエルによるパレスチナ人民、レバノン人民虐殺を怒りを込めて弾劾する。
(写真 イスラエルの爆撃で煙が上がるレバノン南部の町ティール【7月19日】)
イスラエルは、住民の住むビルや民家を爆撃する一方、ベイルート空港や港湾、シリアへの幹線道路を爆撃し、物資の輸送、外からの支援をストップさせる作戦を展開してきた。これに対してレバノンのイスラム政治勢力ヒズボラは、レバノン南部からイスラエルのハイファなどにミサイルを次々と撃ち込み、ベイルート沖に展開していたイスラエルの軍艦を大破させ、爆撃機を撃墜するなど、激しい戦闘の応酬が続いている。
イスラエルのガザ侵攻に対して国連安保理で非難決議を上げようとする動きも、米帝が拒否権を発動してつぶした。米帝は、アラブ諸国が求めた議長声明によるレバノンの停戦の呼びかけも不成立に追い込んだ。ブッシュは、「イスラエルには自衛の権利がある。国際社会は問題の根源について言うべきだ。問題の根源はヒズボラだ」と主張し、イスラエルのレバノン無差別爆撃を全面擁護し、ヒズボラに打撃を与えるためにイスラエルがレバノンに侵攻することにゴーサインを出した。
問題の根源がヒズボラにあるというのは許しがたいすり替えと米帝犯罪の居直りである。米帝が中東支配のためにシオニスト国家イスラエルをデッチあげ、パレスチナ人民を始め中東人民を虐殺し続けてきたことこそ問題の根源なのだ。
今年1月25日のパレスチナ評議会(国会)選挙でのイスラム政治勢力・ハマスの勝利とハマス政権成立以来、イスラエルはガザ地区をはじめパレスチナ人民抹殺の攻撃を激化させてきた。
こうした中で6月25日、ハマスの武装勢力がイスラエル軍基地を攻撃し、兵士2人を殺し、1人を捕虜にとった。そして28日にイスラエルがガザに侵攻し、パレスチナ人への無差別虐殺を強める中、7月12日にヒズボラがイスラエル北部の基地を攻撃し、イスラエル兵2人を人質にした。それ自身は捕虜交換の取引を狙ったものだが、イスラエルは現在も6千人近くのパレスチナ人を収監しているのだ。
今回の事態の根底には帝国主義の中東支配の危機がある。米帝のイラク侵略戦争に中東、ムスリム人民の激しい憤激が燃え上がっている。米帝の侵略戦争はイラクでもアフガニスタンでも完全な泥沼に陥っている。イスラエルは、帝国主義の中東支配の破滅的危機に追いつめられているのだ。
今こそ闘う中東、ムスリム人民と連帯し、帝国主義を打倒しよう。改憲攻撃を進める日帝・小泉政権を打倒しよう。
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週刊『前進』(2256号5面3)(2006/07/31)
法政大 「停学」決定に反撃
質問や抗議したら処分か
7月14日、法政大学法学部教授会は、法学部生2人にそれぞれ1年、6カ月の停学処分を決定した。さらに、2人が今後キャンパスに入っただけで、さらに「重い処分を加える」という条件まで付いている。これは事実上の「退学処分」だ!(前号既報)
要するに、法大当局は何がなんでも5人の被処分学生をキャンパスからたたき出し、全学生の諸権利や団結を根こそぎ奪おうとしているのだ! 絶対に許せない!
そもそも3月14日、法大当局が立て看板・ビラ規制を一方的に決定し、撤去を強行したことに対して、抗議の声を上げたり写真を撮ったりしただけの学生が、なぜ逮捕され、停学処分にされなければならないのか。
学生の声は、圧倒的に「処分なし」だ。7月14日の法学部教授会に先立って行われた「全学シール投票」には、わずか4日の期間で500人の学友が参加、法学部生2人については8割の学生が「処分なし」を選択した。他方で、7割の学生が平林総長に対して「処分を下すべき」と意思表明している。(写真)
法大キャンパスでは、誰もが今回の5人の事件が完全にデッチあげであり、平林の独裁体制の中で起きていることだと知っている。法学部教授会の処分決定はこうしたキャンパス世論を真っ向から踏みにじって下された反動的な決定なのだ。
しかも法学部教授会は、学生部に対する「立て看板・ビラ規制」への質問や抗議の行動まで持ち出して処分の理由としている。一方的な「立て看板・ビラ規制」に、サークル員が学生部に行って説明を求めたり、一方的なやり方に抗議するのは当たり前ではないか! 学生部も、その必要性を認め、時間を区切ってやりとりを行った。なんら業務妨害など行っていないのだ。しかも法学部教授会は、この事実経過について事情聴取や弁明の機会を何も与えていない。「法大当局の把握した事実」だけで決定した百パーセント違法な処分決定である。まさに、まず「停学処分」ありきの決定なのだ。
さらに当局の処分通告書は、「自宅謹慎を命じられたにもかかわらず、それに従っていないことは遺憾である」などとほざいている。ふざけるな! 自宅謹慎処分とは、学則にも何もないデタラメな処分じゃないか。しかも法学部は、「自宅謹慎」中の講義の履修や出席を認めていたのだ。もはや法学部としての「法」すら投げ捨てたデタラメな処分決定だということだ。
今回の処分決定によっても、大学当局の側も何の展望も持っていない。法大当局よ! 5人をキャンパスから排除すれば、問題は解決すると思ったら大間違いだ! 今回の停学処分で、平林総長はもとより、教授たちへの幻想は完全に打ち砕かれた。ほとんどの法大生が、5人の行動を支持し、今の法大の現状に対し疑問や怒りを持ち、学生の力で法大を変えなければならないと本気で思っている。法大生の本格的決起はこれから始まるのだ。
処分決定の直後、キャンパスでは、何人もの法大生が抗議のアジテーションに立ち、抗議の座り込みが終日行われた。学生団体の反撃も始まっている。第二文化連盟は、19日に「法学部教授会での停学処分に関する質問状」を提出した。学生の怒りはマグマのように沸騰している。
秋の処分撤回の大決戦に向けての新たな法大生の決起はすでに開始された。6・15法大1000人集会をこえる大決戦で、平林総長を打倒し、処分を撤回させよう!
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週刊『前進』(2256号6面1)(2006/07/31)
北朝鮮制裁に反対する 排外主義の洪水に負けない 岡山 福田英未子
北朝鮮のミサイル発射実験に対して、「国連安保理制裁決議」「先制攻撃能力を持つべし」という主張をマスコミが一日中流し続けるという異常事態に危機感を持って、百万人署名運動・岡山県連絡会が呼びかけた緊急の街頭宣伝(7月11日)に参加しました。
右翼の妨害も予想され、緊張感に包まれて始めた街宣でしたが、用意した300枚のビラはたちまちなくなり、好意的な反応が多かったことが印象的でした。クレームをつけてくる人がいなかったことも意外でした。
翌日、新聞に掲載されたこの街宣についての小さな記事を読んで、ある在日朝鮮人の方からメールが送られてきました。「連絡会の活動を新聞紙上で知り、深い感銘を受けました。可能な限り活動に参加したいので、連絡を下さい」とのことでした。別の在日の方からは「(連絡会代表の)野田隆三郎先生のファンです。頑張ってください」とカンパが寄せられました。2日後にも街頭宣伝をしたところ、メールを下さった方がわざわざ立ち寄って下さり、固い握手を交わすことができました。
マスコミを使った洪水のような排外主義扇動によって、朝鮮学校の子どもたちへの襲撃や嫌がらせが相次いで発生しています。こうした扇動の物量に負けてしまうことはできません。街頭で職場で地域で、あらゆる機会・手段を使って、人から人へ、手から手へ問いかけてゆきましょう。
8・6−8・9、8・15の闘いの真価が本当に問われています。『前進』2255号の巻頭のアピールに「8・6ヒロシマの歴史的な闘いは、朝鮮戦争と対決して始まった」と述べられています。1950年の8月6日、「朝鮮で原爆を使わせるな」と、峠三吉らが命がけで訴えた8・6の原点にもう一度立つということです。今、この情勢と真正面から対決して、新たな朝鮮侵略戦争と対決する8・6−8・9、8・15をつくり出してゆきましょう。
北朝鮮制裁に反対する Xバンドレーダー配備反対 青森 小比類巻賢治
6月23日深夜、青森県つがる市にある航空自衛隊車力分屯基地C地区ゲート前で、米軍の移動式早期警戒レーダー(Xバンド・レーダー)配備に反対する抗議集会が行われました。主催は社民党県連で、県内の労働組合が組合旗を掲げて結集しました。とめよう戦争への道!百万人署名運動・青森県連絡会も参加し、総勢50人の集会となりました。
すでに前日午後10時すぎ、レーダーを積んだ車列が米軍三沢基地を出発しこちらに向かっています。刻一刻と迫るレーダー搬入を全参加者が緊張した面持ちで待ち構えています。午前1時から始まった集会では主催者や各参加者からレーダー配備反対の発言が繰り返されます。そこに突然の激しい雨と地鳴りのような雷、一時車に避難する事態となりました。
20分ほど待機していると、レーダーを積んだ車列がつがる市に入ったとの連絡が届き、私たちは再びゲート前に陣取ります。降り続く雨の中、私たちはシュプレヒコールを繰り返します。道路の向かいに待機している機動隊に動きが。すると道のカーブから車列のライトが向かってきて、機動隊が私たちを道路に出させないために規制に入ります。
あれがXバンド・レーダーか! 写真で見た物体が巨大トレーラーに積まれて目の前に姿を現しました。何とも言えない怒りが込み上げてきます。すべての参加者が同様の思いでこのレーダーを目撃し、怒りのシュプレヒコールを上げていたに違いありません。Xバンド・レーダーは午前2時半すぎゲートに入っていきました。
7月5日、北朝鮮のミサイル発射実験に対して、このレーダーが最新兵器として稼働しました。米軍再編のトップを切る配備と実動。そして北朝鮮攻撃の拠点である三沢基地。青森県は対北朝鮮・中国の最前線になろうとしています。朝鮮侵略戦争絶対阻止を掲げ闘いましょう!
「北朝鮮非難」の本質見抜く 勤労学生 Y・S
朝鮮人と金正日体制はわけて考えなければならない。マスコミがナショナリズムと恐怖感をあおり過ぎだし、右翼シンパが関東大震災時の自警団のようになっている。
朝鮮人を非難するということは、本来朝鮮人民と日本人民が連合し、金正日体制を粉砕するべきなのに、朝鮮人すべてを敵にし、金正日体制をさらに強化させることになるのです。マスコミと極右どもが朝鮮非難をプロパガンダしたところで、われわれは洗脳されはしないし、大衆が本質を見抜きます。
絵を見て星野さんとつながった気がした 東京 川野浩子
銀座のギャラリーに星野さんの絵を見に行ってきました。「言いたい事をもっと言おうよ」展で、9条改憲反対や戦争反対やいろいろな思いの絵や展示があり、その一角に星野さんの3枚の絵がありました。
私は星野さんの絵を印刷物でなくナマでこんなに間近で見るのは初めてで、ずっと見ていたら何か胸に迫ってくるものがありました。この鉛筆の線1本1本が星野さんが描いたものなんだ、色はこんなふうに塗っていたのか、この”残雪のうさぎ”を描く時はどんな事を思っていたのかなあ、とか想像しながらながめているうちに、星野さんとつながった気がしました。
友人は「淡い色調の本当にきれいな、心に染みいるような絵。暁子さんの誕生日にという果物などが描かれた絵に暁子さんへの思いがあふれていて、見ているこちらにも伝わってくるね」と感想を述べていました。
私たちは「絵の感想を書いて必ず星野さんに手紙を出そう!」と話し合いました。
ギャラリーはあふれるほどの人ではないけれど、常に人が見に来ているみたいでした。私が行った時も若い女性が2人来ていて、星野さんの絵の前では座り込んで絵を見ていました。
私は星野さんの事を思う時、同時に星野さんの家族の闘いについて考えます。会える時のうれしい気持ちや、大切な人を無実で獄中にとらえられている悔しさなどを想像します。そういう思いをできるだけ共有しようと思うし、星野さんを取り戻すためにできることをやろうと思います。
“星野救援”を労働者階級のスローガンに 東京・三多摩 加納敏弘
7月8日、札幌で行われた「星野さんを取り戻そう!全国再審連絡会議」の全国総会に参加しました。私は、東京・三多摩で星野さんの救援運動を始めようとしています。この間の取り組みと総会をつうじて感じたことを記します。
一つには、「星野救援」を労働者階級のスローガンにしたいということです。韓国では死刑を宣告された詩人・金芝河の救援が民主化闘争の一大テーマになりました。アメリカでもブラックパンサーの政治犯救援が反戦闘争の中心課題になったのです。
星野さんも同じです。70年沖縄闘争の過程で「沖縄を植民地にした」(平良修さん)日本政府に対する労働者人民の実力抵抗への日帝権力の報復として、「星野=無期」はあります。だから私たちは「星野救援」を労働者の闘いの中心テーマの一つとして掲げる必要があると思います。
二つには、渋谷闘争を学び直し、「冤罪で獄中31年」という国家犯罪への怒りを新たにすることです。私は渋谷闘争の現地調査に参加し、「冤罪」であることをあらためて確信しました。あんな道幅の狭い道を100名のデモ隊が駆けている中で70b先の人物の顔を識別できるわけがない! 権力は、人民の実力闘争の弾圧のためなら、どんなへ理屈もこじつけて冤罪をでっち上げる。このことをすべての人に暴露することです。
先日、初めて「星野救援」の駅頭街宣を行いました。署名してくれた人はみんな「冤罪で獄中31年」の事実に驚き、怒りを表明しました。
今年の連合・全労連メーデーでは50名以上の労働者が「星野再審署名」に応じてくれました。不屈・非転向の星野さんの闘いが労働者の階級的魂に必ず響き、感動を呼び起こします。それは資本攻勢と日々闘っている労働者にとって大きな励みとなると思います。
星救全国総会が星野さんの出獄歓迎集会となる日のために、私も頑張ります。
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週刊『前進』(2256号6面2)(2006/07/31)
星野同志を取り戻そう
11月渋谷で全国集会 決まる
7月7〜8日、「星野さんをとり戻そう!全国再審連絡会議」の全国総会が北海道で開かれた。熱心な討議が行われ、再審闘争を強力に推進すること、大衆運動の全国的な発展をかちとること、星野さんを実際に釈放させる闘いを進めることが、3大方針として確認された。11月には星野再審闘争始まって以来、最大の全国集会を東京・渋谷で開くことが決まった。沖縄「返還」協定批准阻止の71年11・14渋谷闘争から35年の今年、「救う会」運動の全国的な拡大と11月東京集会の大結集へともに闘おう。無実の星野文昭同志の釈放をかちとろう。
今年5月、星野文昭同志とわれわれを隔てる壁に風穴が空いた。
全国の友人や同志から送られた手紙や葉書が続々と徳島刑務所の星野文昭同志のもとに届いている。闘いの息吹や星野同志への思いがさまざまな形で手紙に載せられている。
さらに、6、7月と連続して友人面会が実現された。面会室は感動あふれる再会の場になった。刑務所のコンクリートを溶かすような、熱い交流が始まった。この熱気を拡大し、星野同志をわが手に取り戻す闘いを一気に推し進めよう。
星野文昭同志の闘いを労働者階級の中に持ち込もう。無実でありながら、沖縄闘争を闘った政治犯として無期懲役を強制され、31年間も監獄に閉じ込められていることを、あらゆる機会に訴え、闘いの輪を広げよう。
11月に東京・渋谷で開かれる星野全国集会への大結集を始め、7・7−8星野全国総会で決められたすべての方針を尊重し、その実現のために熱烈に闘うことが求められている。
8月6日、星野文昭同志は、1975年の不当逮捕から丸31年を迎える。この現実を絶対に許すことはできない。06年は星野闘争の勝負の年だ。
11月労働者集会と星野集会の成功を一体のものとしてかちとろう。
獄中の星野文昭同志に全国から暑中見舞いを送ろう。
お母さんが待つ北海道で 文昭さん釈放へ全国総会
写真 〔左〕7月7日、小樽運河プラザで母・美智恵さんら家族・親族を囲んで全国総会開始 〔右〕2日目は札幌で。再審について熱弁を振るう和久田弁護士(8日)
7月7、8日の両日、北海道で「星野さんをとり戻そう!全国再審連絡会」の全国総会が開かれました。星野文昭さんが高校卒業まで育った地、そして89歳の母・美智恵さんが一日千秋の思いで待ちわびている地、札幌での初めての開催です。沖縄から北海道まで全国13の星野救援会と東京南部と三多摩の二つの準備会の人たちが北海道で一堂に会したのです。
5日からは小樽運河プラザで、弟の星野修三さんの版画と埼玉・星野ネットワークの松永優さんの藍(あい)染め、文昭さんのカレンダーの原画が展示された「版画と染めによるコラボ+α」が始まっていました。
7日午後、その会場に全国から約50人が集まりお母さんとおつれあいの暁子さん、ご家族・親族を囲んでの交流会が始まりました。「文昭はやさしい子です。皆さん、出てこれるようにお願いします」と美智恵さん。
冒頭、北海道星野文昭さんを救う会の柴田作治郎さんが「小樽港に停泊していた米空母キティホークが『テポドン』騒ぎの中を出航していった」と報告、北海道での開催の意義を強調しました。
全国の救援会の活動報告が行われた後、修三さんがパフォーマンス。頭上には文昭さんをイメージして描いたという黄色の「キジムナーな犬」がかかっていました。
8日、会場を札幌に移した総会2日目、星野暁子さんが文昭さんのメッセージを代読しました。文昭さんは「星野無期を覆すことは、アジアと日本、沖縄と本土の人民が連帯し、あらゆる差別・分断をのりこえて、補い合い、助け合って人間的に生きる未来をめざすたたかいの成否がかかったもの」と述べ、「すべての人民の力を結集して、必ず星野無期を覆す再審と早期釈放をかちとり、そのことですべてのたたかいを一層強め、豊かに発展させていきましょう」と結んでいました。「どうすれば星野の運動を本格的な広がりのある運動としてつくれるか」と語った暁子さんの問題提起も、文昭さんのメッセージと重なり合うものでした。
午後からは地元北海道から新たな参加者も加わって70人になりました。ビデオ『ある冤罪』を上映、再審弁護団の和久田修主任弁護人が再審闘争について講演しました。
検察のデッチあげを事実で突き崩す地道な作業の成果として、当日の星野さんが「きつね色の服」ではなく青色の服を着ていたこと、中村巡査攻撃の時間に矛盾があることなどが分かりやすく解き明かされました。
さらに沖縄からの特別報告として、平良修牧師がビデオ『海にすわる−辺野古反基地600日の闘い』上映後に講演。「(沖縄への差別に対する)先駆的な正当な行為を行った星野さんが31年の苦しみの中にある。星野救援は、冤罪からの人間救出であることをもっと強調することが必要だ」と訴えました。
今後の闘いについて活発に論議されました。星野文昭さんを取り戻すための3大方針〈@再審闘争、A全国的な大衆闘争の発展、B実際に星野さんを釈放させるための運動〉を大きく進めることを確認し、カレンダーを始めとする星野グッズの活用、集会もビデオや歌などで創意工夫していくことなどを話し合いました。そして運動の成果を11月渋谷大集会に結実させようと誓い合いました。
最後に松永優さんが、「文昭さんはこの風土、風景の中で育ったんだと実感した。よそ行きの自分ではなく、ありのままの自分で星野救援運動にかかわっていこう」と閉会あいさつで呼びかけました。次は必ず文昭さんを囲んで札幌に集いたいとの思いを強くしました。
(Y)
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週刊『前進』(2256号6面3)(2006/07/31)
医療観察法施行1年 保安処分を弾劾
阻止共闘がデモ
7月12日、「精神障害者」に対する保安処分としての医療観察法施行1年を弾劾して「処遇困難者専門病棟」新設阻止共闘会議主催による厚労省・法務省抗議行動が「精神障害者」先頭に45人で闘われた。
(写真 厚労省・法務省に糾弾デモ【7月12日 東京】)
厚労省前で昼からビラまき情宣、午後1時半からデモに出発。「厚労省は保安処分施設を設置するな!」「法務省は保安処分決定を取り消せ!」の声が霞が関一帯に響き渡り、医療観察法の即時廃止をアピールした。
すでに地検による保安処分申し立ては300件(5月末)に上る。その中で刑事裁判を経なくても「再犯のおそれ」という見込みだけで128人(6月末)もの「精神障害者」が保安処分施設収容を言い渡されている。残りの人も「鑑定入院」として各地精神病院に収容中だ。「憲法・刑法の手続きすらも一切踏みはずした保安処分を一日も許すな!」と激しい弾劾のシュプレヒコールがたたきつけられた。
さらに障害者自立支援法と一体となって改悪が進む精神保健福祉法をめぐっても、精神保健福祉手帳への顔写真貼付(てんぷ)が10月から強行されようとしている。また精神保健福祉法での入院・退院時に、臨床経験2年で新設した「特定医」による12時間拘束を認め、よりイージーに強制入院を行える改悪も実施されようとしている。
その上に医療観察法が登場した。これは「他人とトラブルを起こした『精神障害者』」は、医者の判断ではなく司法権力である裁判官の命令で、「二度と外に出さない」か「二度と犯罪を起こさない人格に生まれ変わるまで強制治療を続ける」という「精神病者」抹殺と予防検束(留置)を強引に押し広げるものだった。当初掲げた「重大な犯罪に限る」という国会答弁も真っ赤なうそで、大半は「全治1週間」の傷害罪適用や未遂であり、千葉刑務所では「看守に全治5日のけがを負わせた」として5年も前の事件にさかのぼった適用例もある。身内親族間のけんかが多く、最初から「微罪適用」の乱発というでたらめぶりだ。
「精神病者」を「危険犯」「遺伝病」として抹殺したナチスの戦時「障害者」政策、戦後も戦争政策を支えた欧米の保安処分政策に日帝もついに追いつき踏み込んだのだ。「精神障害者」との差別・分断をのりこえ、帝国主義の戦争政策を推し進める医療観察法=保安処分粉砕をかちとろう。
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