ZENSHIN 2006/07/24(No2255
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週刊『前進』(2255号1面1)(2006/07/24)
日米帝国主義の北朝鮮への経済制裁・侵略戦争と対決を
8月広島−長崎反戦反核闘争へ
東西革共同集会に大結集を
関空2期許さぬ 07年8月の供用開始阻止へ全国集会に結集した135人がデモ(7月9日 泉佐野市)=記事4面
日本帝国主義の反動的突出によって恐るべき戦争の危機が生まれている。しかもそれは数百倍の軍事力、経済力を持つ米・日帝国主義による一方的な侵略戦争である。小泉や安倍らはミサイルの脅威を誇張し、北朝鮮・金正日政権への反発と敵意を組織して「先制攻撃」さえ主張している。日本社会を北朝鮮への排外主義とナショナリズム−戦争一色に染め上げようとしている。「ヒロシマ・ナガサキをくり返すな」「教え子を再び戦場に送らない」の誓いが真に問われる時だ。全国から8・6広島−8・9長崎反戦・反核闘争に結集しよう。米日帝の北朝鮮侵略戦争策動に9条改憲阻止の大運動と8・6−8・9闘争で決定的に反撃しよう。
第1章 「敵基地攻撃能力」狙う日帝
今夏8・6−8・9反戦反核闘争は、帝国主義の侵略戦争−核戦争の再発を絶対に許さない闘いとなった。
日本政府は7日、北朝鮮への制裁決議案を国連安全保障理事会に提出した。制裁や軍事行動の根拠になる国連憲章第7章にも言及している。7章は非軍事的措置で不十分な場合は軍事力の行使を正当化している。つまり北朝鮮が決議の要求を拒否すれば、03年3月に始まったイラク侵略戦争のように多国籍軍による武力攻撃=侵略戦争が起きかねない事態なのだ。それを日本政府が突出して主導しているのである。
さらに「北朝鮮がミサイルを撃つ前に発射基地を攻撃して破壊する。そのための先制攻撃能力を日本も持つべき」という安倍ら主要閣僚の発言が相次いでいる。
額賀防衛庁長官は「最低限のものを持つのは当然」と語り、麻生外相はテレビ番組で「被害を受けるまで何もしないわけにはいかない」と公言した。10日の記者会見では安倍官房長官が「今後、そういう能力を持つべきかどうか、議論を深めていく必要がある」と超反動的な発言をした。
米帝ブッシュと同様、「自衛のための先制攻撃が必要」と称して、日本から戦争を仕掛けることを、ポスト小泉と目される連中が扇動しているのだ。憲法9条が現実に解体される恐るべき事態なのである。
対北朝鮮の戦争を日米帝国主義が本当に行えば、朝鮮人民100万人の生命が失われ、みぞうの惨禍となる。
コードナンバー5027という米韓連合軍の対北朝鮮の軍事作戦計画は、それが実際に遂行されれば「核兵器を使用しなくても100万人以上の死傷者が出る」と、米軍は公言している。400万人の死傷者が出た1950年の朝鮮戦争を再現する恐るべき戦争計画なのだ。数年前には、米軍が大型水爆や核弾頭付き地中貫通バンカーバスターを使って先制攻撃するという秘密文書も暴露された。実際に投下訓練も行われている。
米軍や自衛隊は、自分はすでに何千発、何万発ものミサイルを持ち、演習ではミサイル発射を自由勝手に行う一方で、北朝鮮のミサイル実験(弾頭はついていない)に対しては「制裁」と大騒ぎしている。北朝鮮の「脅威」を、きわめて意図的、作為的にデッチあげている。しかしそもそも米帝も日本の外務省も、ミサイル発射実験自体は「国際法違反ではない」ことを自認しているのだ。ところが米日帝は、帝国主義からの金融制裁や侵略戦争重圧にあえぐ北朝鮮スターリン主義の反人民的な対抗的軍事政策を逆に絶好の口実にし、それにつけ込んで経済制裁や侵略戦争を発動しようとしているのだ。
そのためにこそ小泉、安倍、麻生ら日本政府は、明日にも核弾頭を搭載したミサイルが日本に飛来するかのように「脅威と危機」を扇動し、国連安保理への制裁決議案に突き進み、今や「自衛のための敵基地攻撃能力」や「先制攻撃」を公言した。対北朝鮮の排外主義とナショナリズムをあおり、9条改憲と戦争国家体制づくりを一気にやろうとしている。
この恐るべき歴史的事態に8・6広島−8・9長崎闘争で大反撃しなければならない。
第2章 戦争原因は帝国主義の側に
この間、米・日帝国主義は北朝鮮の体制転覆を狙う戦争重圧を極限的なまでに強めてきた。昨年2月に日米両政府が発表した「共通戦略目標」では、朝鮮半島の「平和的統一」や「テロ防止」などの目標を軍事、政治、経済などの包括的な手段で実現させると称し、北朝鮮の体制転覆とそのための侵略戦争を公然と宣言している。
米帝のQDR(4年ごとの戦力見直し)やこの「共通戦略目標」に基づいて在日米軍再編が行われ、6月29日の日米首脳会談では「新世紀の日米同盟」「普遍的価値観と共通の利益に基づく日米同盟」をうたう共同文書が発表され、米日帝の北朝鮮・中国侵略戦争が宣言された。米日帝のミサイル防衛(MD)も、日帝の9条改憲への激しい動きも、すべてが北朝鮮に対する戦争的脅威・重圧として存在している。
そもそも朝鮮半島に南北分断と対立、緊張と戦争の危機を生み出してきた最大の原因と責任は、帝国主義にこそある。
日本の敗戦で植民地支配から解放された朝鮮では、占領軍を待たずに建国準備委員会や地方の人民委員会が全土に生まれた。しかし、米帝はそれを徹底的に弾圧して南朝鮮に軍政を敷き、48年に李承晩政権をデッチあげた。対抗的にソ連が北に金日成政権をつくり、南北に分断されたのだ。
1950年に帝国主義とそれに対抗するスターリン主義が引き起こした朝鮮戦争で、朝鮮半島の8割は焦土と化した。軍民計400万人以上の死傷者と、南北総人口の5分の1に当たる1千万人の離散家族を生み出した。帝国主義の側の国連軍を指揮したマッカーサーは、中国やソ連への原爆攻撃さえ主張した。
53年の停戦後も講和条約は結ばれず、国際法上は、現在も「休戦」の状態なのだ。米国は朝鮮戦争後も、南朝鮮・韓国と沖縄−日本本土に巨大な駐留米軍を配置し、日米同盟で戦争に備え、北朝鮮に軍事重圧を加え続けてきた。ブッシュ政権は北朝鮮を「悪の枢軸」と決めつけ、体制転覆の侵略戦争を狙ってきた。
戦争の元凶は帝国主義である。米日帝は、追い詰められた北朝鮮スターリン主義の反人民的な対抗的軍事政策をも絶好の口実に侵略戦争を発動しようとしている。こうした国際情勢の中で日帝の9条改憲攻撃が一挙に激化しているのだ。米日帝の北朝鮮侵略戦争の切迫と対決する国際反戦闘争、8・6−8・9闘争を呼びかけよう。
第3章 朝鮮戦争反対5億人が署名
8・6ヒロシマの歴史的な闘いは、朝鮮戦争と対決して始まった。
朝鮮戦争が始まる3カ月前の50年3月、原爆反対の署名を全世界に訴えるストックホルム・アピールに、全世界で5億人が署名した。日本でも朝鮮戦争反対と結んで取り組まれ、645万筆もの署名が集まった。この署名運動が朝鮮戦争での米国の原爆使用を阻み、戦後の反戦運動の発展に重要な役割を果たした。原水爆禁止世界大会の開催へもつながった。
広島では朝鮮戦争が始まると、米占領軍の原爆反対運動への弾圧が激しくなり、8月6日には慰霊祭も禁止された。被爆5周年8月6日の広島は事実上の戒厳令下に置かれ、約3千人の警察官、機動隊が配置され、警察の広報車がサイレンを鳴らして走り回った。
しかし、トルーマン米大統領の「朝鮮での原爆使用もありうる」という声明を聞いた原爆詩人の峠三吉らは「朝鮮で原爆を使わせるな」と書いた2万枚のビラを準備、福屋デパートの屋上からばらまき、集会を開いた。これが広島で最初の大衆的反戦集会だった。
これらの闘いと連動して翌年の51年1月、日教組は初めて「教え子を再び戦場に送るな」のスローガンを採択。以後、日教組のメインスローガンとなった。同年の国労新潟大会では、平和4原則派(中立、全面講和、軍事基地撤去、再軍備反対)と愛国労働運動派が対決し、平和4原則派が圧倒的多数で勝利した。これが50年代以降の労働運動の高揚を切り開いた。GHQ(占領軍)の肝いりでつくられ、朝鮮戦争で国連軍(米軍)を支持した総評が「左」転換した重大局面だった。
今秋決戦勝利への跳躍台に
8・6−8・9の最大の課題は、北朝鮮侵略戦争の切迫と教育基本法改悪・9条改憲攻撃に対決し、「ヒロシマ・ナガサキをくり返すな」「教え子を再び戦場に送るな」という圧倒的な労働者隊列を登場させることだ。
日帝は今、憲法を変え再び戦争に突き進もうとしている。「戦争反対」「改憲反対」は、日本の労働者階級の階級的原則、階級的魂にかかわる問題だ。憲法9条は、15年戦争の無残な敗戦と戦後革命の高揚の中でこそ生み出されたものだ。
日教組や自治労、連合主要産別の改憲派への転向を阻止しよう。8月自治労大会で「改憲と民営化に反対」を全組合員に訴えよう。闘う教育労働者は最先頭に立ち、全国から8・6ヒロシマに結集しよう。
今春の「日の丸・君が代」不起立闘争、教基法改悪案・共謀罪新設・国民投票法案の改憲3法案の成立を阻んだ国会闘争の高揚を引き継ぎ、発展させよう。8・6広島−8・9長崎、8・15靖国闘争を跳躍台に、今秋の臨時国会闘争、11月労働者総結集へ全力で闘おう。9条改憲阻止の大運動を発展させよう。
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週刊『前進』(2255号1面2)(2006/07/24)
三里塚暫定路 NAAの変更申請弾劾
北延伸粉砕へ総決起しよう
成田空港会社(NAA)は7月10日、暫定滑走路の「北延伸」の施設変更許可を国土交通省に申請した。現在の2180bの暫定滑走路を北側に延長してジャンボ機が離発着できる2500bに仕立て上げ、反対派農家をたたき出す攻撃についに手をかけたのだ。
さらにNAAは同日、空港の敷地に食い込み暫定滑走路の誘導路を「へ」の字に曲げている天神峰の市東孝雄さんの畑について、成田市農業委員会に農地の耕作権解除を申請した。
三里塚芝山連合空港反対同盟はただちに「緊急抗議声明」を発し、「あらゆる闘争手段で阻止する」ことを宣言した。
NAAは「北延伸」になんらかの見通しがあるのか。いや全然ない。だから、やっていることはデタラメの極みだ。
計画では暫定滑走路を「北延伸」して年間発着回数を2万回多い22万回に増やすために、未買収地を迂回(うかい)する形で滑走路東側に誘導路を新設し(東峰の森を破壊!)、駐機場を整備するという。当然にも現地の農民・住民は誰ひとり同意していない。
また北部においては、広範囲の地域が新たに殺人的な騒音地獄にたたき込まれることになる。ここでの地元の同意もまったく得られていない。
要するに「今申請しないと09年の供用に間に合わない」という理由を振りかざし、不完全空港としての矛盾・欠陥をさらけ出しても「見切り発車」で工事に着手する、実際にジャンボ機を飛ばし、殺人的な騒音と排気ガスで反対派農民をたたき出す、ということだ。まさにやくざ顔負けの地上げの手口だ。
そして、米軍再編のもとで「民間空港」も有事=戦争の際には巨大兵站(へんたん)基地として軍事利用される。反対派農家を追い出して無人の荒野にした上で南側にも延ばして4000bにすれば、この滑走路を使って米軍や自衛隊の軍用機が離発着できる、というのが敵のもくろみだ。
だがそんな思惑は反対同盟ある限り永久に実現しない。われわれは「北延伸」を必ず粉砕する!
90年間3代にわたり耕しつづけてきた市東さんの畑から耕作権を奪い取るなど絶対に認めない。「東峰の森」の伐採を絶対に許さない。現闘本部や一坪共有地の強奪を断固阻止する。
追いつめられ焦っているのはNAA、国土交通省、日本帝国主義・支配階級の側であり、暫定滑走路は敵の弱点だ。今こそ三里塚に駆けつけよう。反対同盟との労農連帯のきずなを強め、この夏から秋、「北延伸」粉砕へ総決起しよう。
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週刊『前進』(2255号1面3)(2006/07/24)
法政大 法学部2学生に処分
「停学1年」など立ち入りも禁止 怒りの大反撃へ
7月14日、法政大学法学部教授会は、3月14日に不当逮捕され自宅謹慎処分を受けていた法学部生2人に対して、1人は「停学1年」、もう1人には「停学6カ月」という不当処分を強行した。しかも、処分通告書には「停学処分期間中の学内への立ち入りは禁止」「これに従わない場合には、より重い処分を行う」とまで書き込まれている。絶対に許せない。
処分理由は、一から十まで、まったくデタラメだ。当局は、2人の学生が「大学の業務を妨害する意図をもって、複数の学外者と学内に侵入するなどし、大学の業務を妨害した」という。「自宅謹慎を命じられたにもかからわらず、それに従っていない」ことも処分理由にあげている。
ふざけるのもいい加減にせよ。学生との話し合いすらなく問答無用で通告された「立て看板・ビラ規制」に対して、抗議・申し入れを行ったこと、一方的な立て看板撤去の強行に対して、あまりにも当然の抗議の声を上げたこと、なぜこれが停学の理由になるのか。法大当局は声を上げることすら禁ずるのか。
法学部教授会は、法大生3万の圧倒的な「処分反対」の声、全国から殺到している抗議の声を踏みにじり、恥知らずな処分に手を染めることで、日帝の改憲と戦争に向けた攻撃の手先に成り下がったのだ。
教授会当日、当該の法学部生、退学処分を受けた文学部生、法大弾圧救援会、OB会などが、早朝からビラまきとアピールを行った。全学連の学生は、「平林総長の独裁で大学が全部変えられようとしている。処分に抗議する学生は警察を使って弾圧する。OBすらキャンパスからたたき出す。総長選は廃止され、ビラもまけない、立て看板も出せない。こんなものが大学と言えるのか。今こそ闘って法大を変えよう。処分を絶対に阻止しよう」と訴えた。
処分され、追放されるべきは平林総長だ! 不当処分強行に猛然たる抗議を集中しよう。さらに闘いを広げ、処分撤回をかちとろう!
(写真 処分通告書を持ってきた安東学生部長らをメガホンで徹底追及する法大生【7月14日 法政大】)
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週刊『前進』(2255号2面1)(2006/07/24)
国労第74回大会に向け訴える
「政治解決」路線を打ち破り 改憲阻止へ闘う態勢築こう
革共同国鉄委員会
7月27、28日の国労第74回定期全国大会(静岡県伊東市)は、「政治解決」の名による国鉄1047名闘争の圧殺を許すのか否かをかけた重大な決戦になった。この大会は、戦争と改憲を阻む労働者の闘いの行方を左右する決定的な位置を持つ。国労本部は、1047名闘争を解体し、JR職場での組合員の闘いをことごとく押しつぶすことをとおして、国労を改憲攻撃と闘えない労働組合、改憲を認める労働組合に変質させようと策している。1047名の解雇撤回闘争は、本来、改憲を阻む労働者の闘いの中心軸に座るべき闘いだ。今こそ裏切りを深める国労本部を打倒し、1047名の解雇撤回闘争を不屈に押し貫く方針を確立しよう。JR体制を撃つ職場からの闘いを巻き起こし、国労の階級的再生をかちとろう。
国鉄闘争は改憲を阻む闘いの先頭に立つべき
小泉政権は、北朝鮮のミサイル発射実験を絶好の口実に、急速に戦争と改憲の攻撃を強めている。教育基本法改悪を突破口に、改憲を押し貫こうと総力を傾けている。
連合中央はすでに改憲容認へとかじを切った。全逓(JPU)や日教組、自治労の大会、中央委員会では、改憲に道を開こうとする本部方針に現場組合員の激しい怒りが噴出した。改憲阻止決戦の命運を握っているのは、労組の再生をかけた現場組合員の闘いだ。
今回の国労大会も、こうした情勢とけっして無関係ではない。国家権力とJR資本は、国鉄1047名闘争が改憲阻止闘争の主軸として立ち現れることに恐怖し、国鉄闘争の壊滅に向けてますます攻撃を強めている。その格好の導水路になっているのが、国労本部の唱える「JR不採用問題の政治解決」路線である。
敵階級は、国労本部に「政治解決を求めるのなら与党やJRに逆らうな」という圧力を徹底的に加え、どんな理不尽な要求も押し通そうと策している。それはつまるところ、国労を改憲容認へと決定的に変質させる攻撃だ。「政治解決」路線に代わる闘う路線を打ち立てることは、まさに急務なのである。
(写真 1047名の統一陣形は勝利の大前提だ。その破壊を許してはならない【4月4日 日比谷野音】)
中曽根発言に怒りの集中を
本来、国鉄闘争は改憲に真正面から立ちはだかる闘いだ。かつて中曽根康弘は、「行政改革でお座敷をきれいにして立派な憲法を安置する」と叫んで国鉄分割・民営化を強行した。ことあるごとに「国労崩壊を目的に国鉄改革をした」と公言してはばからない中曽根は、昨年11月のNHK番組でも次のように言い放った。「国鉄労働組合っていうのは総評の中心だから、いずれこれを崩壊させなきゃいかんと。それで総理大臣になった時に、今度は国鉄の民有化ということを真剣にやった。……国鉄の民有化ができたら、一番反対していた国鉄労働組合は崩壊したんですよ」。
”不当労働行為という犯罪行為の下手人は自分です”と言うに等しい発言が、自慢話としてまかり通っている現実は、絶対に我慢がならない。中曽根発言を徹底弾劾する大運動を巻き起こさなければならない。
だが、中曽根を先頭に遂行された国家的不当労働行為にもかかわらず、1047名闘争は今も不屈に闘いぬかれている。それが、改憲を阻む最大の力になってきたのだ。
今ほどこの闘いの真価が問われる時はない。小泉政権は、改憲を押し通すために公務員労働運動を解体し、改憲に対応した侵略戦争遂行体制をつくり出そうと全力を上げている。そのために大規模な公務員リストラに乗り出してきた。
国鉄1047名闘争は、今こそ民営化絶対反対の旗を押し立てて、この攻撃に立ち向かわなければならない。一大民営化と規制緩和に反撃する労働者の闘いの中心に座らなければならない。
JRに屈し佐藤委員長が当局に「わび状」提出
連合による労働者支配に抗し、闘う労働運動の結集軸となってきた国鉄1047名闘争は、労働運動の危機的現実を突破し、改憲阻止の大闘争の結集軸となる力を持った闘いだ。国鉄闘争の勝利もまた、1047名が改憲阻止の先頭に立つことによって実現できる。
その闘いをみすみす敵に売り渡そうとしているのが、国労本部にほかならない。
今大会の課題の第一は、1047名闘争の原点に返り、4党合意路線・和解路線を打ち破ることである。
昨年9・15の鉄建公団訴訟判決を機に生み出された1047名の大同団結の機運は、今年の2・16集会を経て、被解雇者1047名連絡会の結成に行き着いた。国労、全動労(建交労)、動労千葉の被解雇者が結束し、統一陣形をつくりだしたことは、国鉄闘争勝利の決定的な条件が生まれたことを意味している。
だが、一時期この動きを「容認」していた国労本部は、早くも本性を現して敵対姿勢をむき出しにした。国労闘争団がまとまって鉄道運輸機構(旧国鉄清算事業団−鉄建公団)に対する地位確認(解雇撤回)訴訟に立つことは、1047名の団結にとって不可欠の闘いだ。ところが国労本部は、「地位確認」訴訟をかたくなに拒み、仮に訴訟をするとしても「損害賠償」一本に絞り込もうと策している。
国労本部の吉田進書記長や国労弁護団の宮里邦雄弁護士らは、「訴訟はあくまで政治解決の手段」と言い張り、「『解雇撤回・JR復帰』が要求だと、政治解決の窓口のところで相手にしてもらえない」とか、「地位確認を求める訴訟は国鉄改革法の枠組みへの挑戦であり、政治解決と両立しない」などと唱えている。こうして彼らは、鉄建公団訴訟を逆うらみし露骨な敵対を開始した。
真面目に裁判闘争も構えない国労本部の方針は、控訴審を全力で闘う鉄建公団訴訟原告団や、東京地裁で訴訟を継続している第2次原告団の苦闘を足げにし、それを敵の集中砲火にさらす裏切りだ。鉄建公団訴訟原告団は、自らの力で原告を拡大するために闘おう。
そして、1047名闘争の勝利のためにも、国労5・27臨大闘争弾圧粉砕の闘いをすべての国労組合員のものにしよう。
鉄建公団訴訟を起こした闘争団員を統制処分に付すことに反対して、02年5月27日の臨大で抗議のビラまき・説得活動に立った組合員を、国労本部は公安警察に平然と差し出した。弾圧を主導した現執行部を打ち倒してこそ、国労の団結はよみがえり、国鉄闘争勝利の展望は開けてくる。資本や権力の支配介入・弾圧と闘うことは労働組合の原点だ。
政治解決路線の必然的結果
国労本部がまたも1047名闘争の敵対者として立ち現れたのは、彼らが唱える「政治解決」が、組合員の闘いに依拠せず、政府や与党に「解決」を哀願するものでしかないからだ。それは、結局は敵の言い分をすべてのみ込んでいくことにしかならない。
その必然的結果が、7月4日付の佐藤勝雄委員長によるJR東日本社長・清野智への「わび状」の提出だ。佐藤委員長は、鉄建公団訴訟原告団などが取り組んだ鉄道運輸機構本社への要求行動やJR東日本株主総会での行動などを国土交通省にとがめられ、「政治解決にとって重大なマイナスだ」としてJR東日本に「わび状」を差し出したのだ。国労本部は、4党合意や与党3党声明を受け入れた時とまったく同じ裏切りに激しくのめり込んでいる。
「わび状」提出の直接の契機は、JR東日本が「このままでは国労バッジ事件の中労委和解はない」と通告したことにある。これに屈した国労本部は、闘争団員だけでなくJR本体組合員をも敵に売り渡したのだ。
この間、国労東日本エリア本部が進めてきた配属差別事件や昇進差別事件の「和解」で、JRの不当労働行為はなくなったのか? 国労の屈服を見透かしたJRは、ますます安全を無視し、やみくもな合理化・外注化に突き進み、職場の専横支配を強めている。
これを許さず、職場からJR資本と対決する闘いを復権させることが必要だ。1047名の解雇撤回闘争も、職場からJR資本を攻め上げるJR本体の闘いと緊密に結びついて初めて、勝利を手にすることができるのだ。
安全解体させたJRに職場から闘い起こそう
今大会の課題の第二は、運転保安・安全輸送確立へ、職場から闘う方針を打ち立てることだ。
昨年4月の尼崎事故は、JR体制=分割・民営化体制の破産を根底から突き出した。羽越線事故や伯備線事故などの大事故を繰り返しながら、JRはそれへの反省もなく、ひたすら労働者への管理と抑圧を強めている。『週刊金曜日』の座談会で「レールが危ない」と告発した国労千葉の組合員に厳重注意の処分を出したことなどは、常軌を逸していると言うほかない。
JR体制下で進行した安全の危機に対し、動労千葉は昨年に続き今春闘でも安全運転闘争を貫いた。これに対してJRは2人の管理者を運転室に乗り込ませて闘いの圧殺を図り、執行部や当該の運転士に戒告・厳重注意の不当処分を発令した。さらにJR東日本は、4月6日に発生した幕張車両センター構内事故を口実に、動労千葉組合員に対する解雇を含む重処分をたくらんでいる。だが、動労千葉は全組合員が団結を固め、原則的な職場闘争を貫いて、今も処分発令を阻んでいる。
何よりも、動労千葉は「1047名の解雇撤回」を掲げ、毎年の春闘ストを貫いてきた組合だ。職場からの闘いこそが組合の団結を守り、労働者の権利を守っている。それは同時に、JR資本を追いつめ、1047名の解雇撤回・JR復帰の道筋をこじ開ける最も核心的な闘いだ。
日本共産党や全労連の一部幹部と呼応して、1047名陣形から動労千葉を排除しようと狙う国労本部の策動を許さず、1047名の統一陣形を守りぬこう。
戦争協力拒否の闘い貫こう
今大会の課題の第三は、改憲阻止闘争の先頭に国労が立ち、戦争協力拒否を貫く方針を確立することである。
「武力攻撃事態法」と「国民保護法」で「指定公共機関」とされたJR各社は、今年3月、「国民保護業務計画」を策定した。そこには、戦時における住民の避難輸送や緊急物資輸送を行うことが定められている。
ところが国労東日本エリア本部などは、JRの「国民保護業務計画」に真っ向から反対せず、「計画の運用に当たっては本人の同意を得ること」と確認しているだけだ。戦時こそ、労働組合が総力で団結を固めることが求められる。ところが国労本部は、一切を「本人まかせ」とし、戦争動員と排外主義の嵐の中に組合員をたたき込もうとしているのだ。
JR各社が「国民保護業務計画」を明らかにした今年3月、国労西日本エリア本部はJR連合・西労組と一体となって「イラク鉄道復興人道支援会議」を再開した。昨年4月の尼崎事故後、一時中断していた同会議を、九州エリアや四国エリアをも引き込んで再開した上村革同は、有事体制の先兵となることを資本と国家に誓ったのだ。
改憲・戦争との闘いは、言葉の上の確認だけでは絶対に済まない。日常的な職場攻防を貫き、職場支配権の奪還をかけて闘いを貫くことによってのみ、改憲を阻止し、戦争協力をきっぱりと拒否できるのだ。
国労を闘う労働組合に再生しよう。それは労働運動全体の命運を決める位置にある。改憲阻止の展望をかけ、国労大会決戦に勝利しよう。
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週刊『前進』(2255号2面2)(2006/07/24)
「骨太方針」の反動性暴く
公務員の賃下げと首切り 14兆円の歳出削減
5兆円の不足分 「目的税化」で消費税増税
「格差社会」をさらに徹底化
政府は7日の臨時閣議でポスト小泉の経済財政運営の指針となる「骨太方針2006」を決定し、今後の「財政再建」の道筋を示した改革目標を盛りこんだ。これは、労働者階級への新たな攻撃の宣言だ。
「方針」は第一に、第1章「日本経済の現状と今後の課題」で、今後10年を「新たな挑戦の10年」と位置づけ、「構造改革が『影』をもたらしたのではないかとの理由から、改革実行を遅らせてはならない」と言い放った。小泉改革、民営化と規制緩和が労働者の貧困化、「格差社会」をもたらしている。これへの批判が渦巻いているにもかかわらず、小泉は改革加速を絶叫している。
第二に、第2章を「成長力・競争力を強化する取り組み」と題し、その冒頭で真っ先に「国際競争力の強化」を挙げた。日帝の第一の関心事、最優先の国家方針は、激化する帝国主義間争闘戦にかちぬくこと、そのために一握りの大企業・大銀行の利益を徹底的に擁護し追求することにある。労働者人民を国家間競争、帝国主義間争闘戦に動員し、犠牲にすることを国家戦略としたのである。「民の力を引き出す制度とルールの改革」とは、大企業・大資本の利益のために、日本経団連などの要求に沿って、今後も労働法制の改悪、公務員の削減、企業減税などをとことん推し進めるということだ。
第三に、この点が決定的に重大であるが、大幅な歳出削減を打ち出したことである。第3章「財政健全化への取り組み」で「2011年度には国・地方の基礎的財政収支(注)を確実に黒字化する」とし、5年後の歳出削減総額を最大14・3兆円とする目標を打ち出した。これは公務員大リストラ、社会保障削減などで、労働者階級の生活を直撃する大攻撃だ。
第四に、実質的に消費税の大増税を打ち出したことである。来年7月の参院選を控えているので露骨な表現はとっていないが、「基礎的財政収支が黒字化しても、利払い費を含めた財政収支の赤字は依然として大幅なもの」「社会保障の効率化と持続可能性の確保も大きな課題」と称して、増税の必要性を強調している。政府の狙いは「社会保障目的税化」をテコとした消費税の大増税だ。
切り刻まれる社会保障費
ここでは特に第三の点について暴露したい。2011年度に基礎的財政収支を黒字化させるために歳出を最大14・3兆円削減するという内容は、とてつもない大攻撃だ。06年度政府予算の一般歳出額は46・4兆円。現行の制度・あり方のままでいけば、社会保障費の自然増(毎年約0・9兆円増)などで、数年後の一般歳出は50兆円を超える。これをなんと11兆〜14兆円も削減するというのである。
具体的に、骨太方針が示した削減目標は別掲の図のとおりだ。
これは、何を意味するか。労働者階級に対して尋常でない攻撃が襲いかかるということだ。
社会保障費1・6兆円の削減は「めったやたらに切らないと実現不可能だ」と財務省幹部ですら語っている(朝日新聞7・7付)。すでにこれまで5年間の小泉構造改革で、社会保障費はどんどん削られた。その上さらに削るというのである。約4千億円にのぼる雇用保険の国庫負担削減や生活保護費の削減が狙われている。
人件費の削減は、国と地方の公務員労働者(教員を含む)への大規模な首切り、賃下げ、民営化の攻撃である。
公共投資経費の削減は、地方の一層の荒廃・切り捨てであり、失業者の増加、賃下げの嵐となって襲いかかる。それはまた、建設・土木を始めとする労働者の労働条件の悪化となる。
そうした中で、防衛費(今年度予算で約5兆円)はまったく削減対象とならず、別枠の米軍再編の費用負担(総額3兆円)などは、増額すら狙われている。労働者階級の貧困化、困窮化が進む一方で、それを犠牲にして軍需産業は肥大化し、日帝はますます侵略戦争−世界戦争へとのめり込んでいく。外への侵略戦争と、内への階級戦争は一体の攻撃である。
政府が言う「歳出歳入の一体改革」とは、労働者階級に対する首切り、賃下げ、社会保障解体と消費税大増税などのすさまじい攻撃を意味する。
改憲と一体の階級戦争宣言
それはこれまでの戦後的な国家・社会のあり方、統治形態の大転換なしにはなしえない。この点からも改憲攻撃が日帝にとって絶対的に必要なのである。
日本経団連の御手洗冨士夫会長は、骨太方針06について、「痛みを伴う改革に与党が真正面から取り組んだのは画期的」と賛辞を送った。資本家は少しも痛まない。労働者人民は「痛み」どころか、生活・生命をとことん破壊されていくのだ。
さらに御手洗は「具体化には多くの困難と障害が予想される。後継首相の強い指導力と政府・与党の揺るがぬ姿勢が望まれる」と発破をかけている。小泉=奥田路線を引き継いだ、政府・財界が一体となっての、労働者階級に対する階級戦争の宣言だ。労働者階級の巨大な反撃をたたきつけよう。
4大産別決戦は、この日帝の帝国主義としての生き残りをかけた大攻撃との闘いである。それは日帝の延命を許すのかどうかをかけた決戦だ。4大産別決戦と改憲決戦を固く結びつけて闘おう。
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▼基礎的財政収支(プライマリーバランス)
借金の返済負担を除く政策的経費を、新たに借金することなく、その年の税収などでまかなえているかを示す指標、収支が均衡しても、過去の借金残高が減るわけではない。
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週刊『前進』(2255号2面3)(2006/07/24)
帝国主義の戦争策動に抗して圧倒的カンパを
『前進』読者の皆さん。夏季一時金の支給時期にあたり、圧倒的なカンパを訴えます。
北朝鮮のミサイル発射実験を口実に、日米帝国主義のすさまじい戦争策動が激化しています。小泉政権は直ちに制裁措置を決定し、国連安保理での制裁決議と経済制裁発動を必死に画策しています。
マスコミ報道はすべて北朝鮮に対する制裁を叫び、社会を排外主義で覆い尽くそうとしています。朝鮮学校の塀に誹謗(ひぼう)中傷のビラが張り付けられるなど、恐るべき事態が現出しています。日本共産党、社民党なども、いち早く北朝鮮非難に唱和し、戦争翼賛にくみしています。
「北朝鮮は何をするかわからない国だ」―こんなものはかつて「鬼畜米英」と言って戦争に突入したのと同じです。戦争をやろうとしているのは米日帝です。安倍晋三官房長官らは「敵の基地攻撃も検討の必要あり」と先制攻撃の意図をむき出しにしています。日帝はこの機に一気に改憲に突き進み、実際に侵略戦争を強行しようとしているのです。
しかし、いかに排外主義の暴風が吹き荒れようと、労働者階級の反戦の意思はけっして打ち破られてはいません。小泉政権は、衆院で3分の2の勢力を持ちながらも、共謀罪、教育基本法改悪などの戦争国家づくりの法案を採決できませんでした。労働者の怒りの爆発を恐れたからです。
小泉「構造改革」の5年間で、どれほど賃下げ、リストラ、不安定雇用化、労働強化、医療・福祉の切り捨てが進んだことか。その一方で、大銀行やトヨタなどの大企業が空前の利益を上げ、村上ファンドなどに巣くう資本家どもが富を占めてきたことか。労働者の怒りは爆発寸前です。
連合高木会長らは「ほえてかみつく連合」などと叫んで、労働者の怒りを来年参院選での小沢・民主党支持に流し込もうとしています。しかし、資本と闘わない連合中央は労働者から見放されています。
今春、動労千葉の反合・運転保安闘争、教育労働者の「日の丸・君が代」不起立闘争は、労働者階級の不退転の決意を示しました。この怒りと戦争への危機感は、帝国主義の打倒にまで行き着くものです。
革命情勢が急接近している今、必要なのは労働者階級にしっかりと根ざした革命党です。革共同は「党の革命」を推し進め、真の革命党に自己変革しつつあります。新指導路線のもと改憲決戦の巨大な風を巻き起こし、11月労働者1万人結集に総力を挙げます。
その勝利を保証する土台が財政です。生活が苦しい中での一時金がどれほど貴重なものかは重々わかります。その中から労働者の未来のために、ぜひ圧倒的なカンパを革共同に寄せて下さい。
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週刊『前進』(2255号3面1)(2006/07/24)
教員免許更新制を阻もう
教壇から闘う教員を排除 教育基本法の改悪と一体
教育労働者は8・6広島へ
中央教育審議会(鳥居泰彦会長)は7月11日、教員免許更新制の導入を柱とした最終答申「今後の教員養成・免許制度の在り方について」をまとめ、小坂憲次文部科学相に提出した。教員免許更新制とは、教育労働者を、愛国心教育を進んで担い「教え子を戦場に送る」教師につくり変えるための大攻撃である。全国の教育労働者の総反撃を巻き起こして、免許更新制導入を阻もう。8・5〜6ヒロシマに大挙駆けつけ、教育基本法改悪阻止へ闘いぬこう。
免許の失効で現職が失職
中教審の最終答申は、これから免許を取得する者のみならず、現職教員も含めて、教員免許を更新制とするとした。有効期限とされる10年ごとに「修了」という認定を受けなければ免許は失効し、現職の教育労働者は失職するという、大変な攻撃である。
中教審の最終答申を受けて、文科省は来年の通常国会で教育職員免許法など関係法令を改悪することを狙っており、早ければ08年度から導入されようとしている。闘う教育労働者を学校からたたき出すための教員免許更新制の導入をなんとしても阻もう。
教員免許はこれまで生涯有効であったが、更新制が導入されれば有効期限が10年とされ、期限が切れる前の2年の間に最低30時間の講習が義務づけられる。そこで、国が定めた基準にもとづいて「教員として必要な資質や能力」を保持しているかどうかが評価され、「修了」と認められない場合は免許は失効するというものだ。更新講習は、国が定める基準に基づいて、大学や都道府県教育委員会などが実施する。
更新制は、約110万人に上る幼稚園から高校の現職教員に加え、免許を取得しながら教壇に立っていない”ペーパーティーチャー”も対象とされる。
教員免許更新制の導入こそ、教育基本法の改悪と対をなす攻撃である。教育基本法を改悪して「教育の目的」「教育の目標」などの条文を全面的に書き換えて「国を愛する態度を養う」ことを教員の職務としても、それを学校現場で児童・生徒に教えるのは教育労働者だ。教育労働者の中から戦後的な価値観を一掃して戦争のため、国家のための人間を育成する「聖職教師」をつくり出さなければ、教基法改悪の狙いは貫徹されない。そのため、教基法改悪と一体で、愛国心教育を拒否する教育労働者から免許を奪い、二度と教壇に立つことができなくさせようというのだ。教育労働者版のレッドパージ、「血の入れ替え」の大攻撃なのである。
すでに「指導力不足教員」制度や「不適格教員」制度が導入されているが、これらだけでは「日の丸・君が代」強制に不屈に抵抗する教育労働者を排除しきれていない。それゆえ更新制によって、闘う教育労働者の大量首切りに踏み切ろうというのだ。
免許更新制そのものが許せないものだが、さらに現職の教員に適用することなど、絶対に認めることはできない。取得した時点では「終身免許」として取得した教員免許を、後の法改定により奪って、失職に追い込もうというとんでもない攻撃だ。
日教組解体の意図公言
自民党がホームページの中に設けた「教育基本法改正Q&A」というコーナーがある。その中で自民党は、教育基本法改悪の狙いが日教組の解体にあることを公言している。
〈不当な支配〉の項の問いで、「法改正により、北海道や山梨県のような一部の教職員団体による学校現場に対する不当な支配を排除できるのですか」と問いかけているのだ。
それに対する回答は、「今回の教育基本法の改正により、一部の教職員団体による『教育権は教師にのみあり、校長等の指示や指導は不当な支配である』という主張は根拠を失うこととなります。したがって、今回の改正を機に、国及び地方を通じて、教育の正常化の取組を強化していく必要があります」というものである。
現行教基法は、戦時中の教育勅語体制下の教育が国家の意を体現して侵略戦争遂行のための教育となっていったことへの反省から、10条「教育は、不当な支配に服することなく」と定めている。これは、”国家や教育行政が教育内容を支配してはならない”ことを明記したものだ。
それが改悪案では、現行法の「教育は、不当な支配に服することなく」という言葉は残ったものの、それに続けて「この法律及び他の法律の定めるところにより行われるべきもの」などの言葉が加えられた。そのことにより、国家や教育行政が教育を完全に支配することを宣言した条文とされたのだ。
そのことについて自民党Q&Aは、”条文の「不当な支配」という言葉が指すのは教育行政ではない、そうではなくて「一部の教職員団体」、つまり日教組である”と公言したのだ。そして、教基法改悪の目的は日教組による「不当な支配の排除」であると宣言したのだ。
政府・自民党は、改悪教基法を日教組つぶしの武器としようとしている。日教組絶滅の攻撃に対して、全国の教育労働者の総力を挙げた反撃が、待ったなしで求められている。
国鉄型の攻撃と全面対決を
国鉄労働運動を破壊することを狙った1980年代の国鉄分割・民営化攻撃においては、民営化による経営形態の変更をテコとして全員一旦解雇・選別再雇用が行われ、そこで動労千葉や国労組合員に対する組合差別による排除が強行された。全逓労働者に対しても今、郵政民営化で、まったく同じ攻撃が襲いかかろうとしている。
教育労働者において、この「全員一旦解雇・選別再雇用」と同じ意味を持つのが、教員免許更新制である。政府・文科省の狙いは明確に、組合活動家の排除にある。日教組運動が、いよいよ国鉄分割・民営化型の攻撃との対決という試練を迎えたのだ。
国鉄分割・民営化の時、国家の総力をあげた攻撃に対してあらゆる勢力が震え上がり、何一つ反撃ができなかった中で、動労千葉は、国鉄分割・民営化に真っ向から反対して唯一ストライキを闘いぬいた。その結果、合わせて40人もの大量の被解雇者を出しながらも、組合として団結を守り抜いて、JR体制下の闘いに躍り込んだ。さらに今、国鉄労働者1047名の解雇撤回闘争の中軸を担い、階級的労働運動の再生の闘いの先頭に立っている。
政府・文科省が教員免許更新制という日教組絶滅攻撃に打って出てきた今こそ、全国の教育労働者は動労千葉とともに闘いぬこう。
今こそ、「教師は労働者である」「教師は団結する」(日教組が1952年に決定した「教師の倫理綱領」より)という立場を鮮明にさせ、階級的団結の強化を総括軸として闘おう。
「日の丸・君が代」被処分者を先頭に8・5〜6ヒロシマに駆けつけ、全国の闘う教育労働者の強固な団結をつくり出し、その力で闘う日教組を再生させよう。
教育基本法改悪反対運動を巻き起こし、愛国主義教育を徹底するための教員免許更新制の導入を阻もう。
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8・6-8・9反戦反核闘争日程
主催 8・6広島―8・9長崎反戦反核闘争全国統一実行委員会
★8月6日(日)
◎祈念式典糾弾・小泉来広糾弾デモ
午前7時半/東千田町公園(広島市中区千田町、広電「日赤病院前」)
◎改憲と核武装阻止!被爆者解放総決起集会
午前9時半/アステールプラザ(広島市中区加古町4−17)
★8月8日(火)
◎長崎市内での反核宣伝行動(午後1時〜)
◎8・8反戦反核長崎集会
午後6時/長崎市民会館文化ホール第2第3会議室
(長崎市魚の町5−1 長崎電軌「公会堂前」)
講演「8・9ナガサキへの道――重慶大爆撃から日本の侵略戦争を
考える」 梶村晃(平和教育研究者)
★8月9日(水)
◎長崎原爆朝鮮人犠牲者追悼早朝集会へ参加
(主催/長崎朝鮮人の人権を守る会)
午前7時半/松山公園(長崎市松山町 長崎電軌「松山町」)
◎爆心地デモ
午前10時/城栄公園(長崎市城栄町 長崎電軌「松山町」)
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憲法の改悪をとめよう! ヒロシマの力で
―被爆61周年― 戦争をとめよう!
8・6ヒロシマ大行動
8月6日(日)12時30分(11時30分開場)
広島県立総合体育館小アリーナ(中区基町4)
▼ヒロシマの被爆者は訴える 栗原真理子さん他
▼憲法の改悪をとめよう!ヒロシマの力で!
北西允さん(広大名誉教授)
▼世界の反戦・反核運動との連帯 韓国・中国・イラクからの代表団
▼労働者は戦争動員と憲法の改悪を阻止する! 「日の丸・君が代」強制と教育基本法改悪とたたかう東京・広島の教育労働者/解雇撤回、安全運転闘争をたたかう国鉄労働者
▼米軍再編と基地撤去をたたかう沖縄と広島から
桑江テル子さん(うないネット・コザ主宰)
▼ヒロシマから世界へ 若者のアピール
デモ行進(15時〜17時)
◎8・5国際連帯集会
8月5日(土)13時
アステールプラザ大会議室(中区加古町4)
▼韓国/キムボンテさん(韓国被爆二世患友会顧問)カンジェスクさん(平和市民連帯)▼中国/趙茂蓉さん(重慶大爆撃損害賠償原告)弁護士・学者他▼イラク/ハナー・アルサドゥーンさん(バスラ産科小児科病院医師)
以上、主催 8・6ヒロシマ大行動実行委員会
◎8・5労働者産別交流集会
8月5日(土)18時 アステールプラザなど
主催/集会実行委員会
◎8・6青年労働者交流集会
8月6日(日)18時 アステールプラザ
主催/集会実行委員会
◎8・7学習フィールドワーク
8月7日(月)
▽平和公園碑巡りと資料館見学コース
▽軍港呉・大和ミュージアムコース
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週刊『前進』(2255号3面2)(2006/07/24)
村上ファンドと福井・宮内問題
小泉改革が腐敗の元凶だ
村上ファンド事件が示したことは、世界の帝国主義の最弱の環である日帝が土台から腐り、いよいよ崩壊し始めたということだ。
この事件は、小泉政権に最も近いところから発生した犯罪であり、「小泉改革」が不可避的にもたらしたものだ。小泉の民営化・規制緩和とは、労働者階級が働いてつくり出した社会的富を、大銀行・大資本がとことん搾取・収奪するための「改革」だった。それはまた、支配階級の底なしの腐敗と危機をもつくり出したのだ。
労働者人民の怒りは高まっている。小泉政権は、この危機を突破するために、北朝鮮・中国に対する排外主義と戦争に踏み出そうとしている。内への階級戦争と、外への侵略戦争は一つながりだ。
日銀総裁・福井は、村上ファンドに1000万円を投資し、1400万円超の利益を上げた。人民の預貯金には利子ゼロを強制してきた日銀総裁が、自分だけは年利23%にもなる私募ファンドで、元本を超える利益を得ていた。福井は、辞任もせずに開き直っている。こんなことが許されるか!
福井のほかに、宮内義彦・オリックス会長、牛尾治朗・ウシオ電機会長らが村上ファンドに投資して利益を上げていた。宮内は、規制改革・民間開放推進会議の議長である。宮内が96年に規制緩和小委員会の座長になって以降10年余、オリックスは保険、医療、雇用など、規制緩和で生まれたビジネス市場にすかさず参入し、巨額の利益を上げてきた。「規制緩和したところに、パックリと口をあけて待っているのがオリックス」と言われた。
その一方でこの5年間、労働者階級は大幅賃下げ、不安定雇用化、労働強化、生活破壊の地獄にたたき落とされた。貧富の格差は拡大し、地方は荒廃し、拝金主義、弱肉強食がはびこり、あらゆる痛みが労働者を襲っている。
しかも腐っているのは、ライブドア堀江や村上や、福井や宮内だけではない。トヨタ自動車の1兆3千億円の年間利益も、6大銀行グループの3兆円超の利益も、小泉改革―規制緩和のもとで可能になったものだ。トヨタは、数々の税の優遇措置によって、実質的にほとんど税金を納めていない。要するに、大資本家は小泉政権を「うまく使って」、国内外で労働者を搾取・収奪し、莫大な利益を上げているのだ。連合など既成労働運動指導部が、これに屈服し協力している。
トヨタはフィリピンで、キヤノンは中国・大連で、労働者を低賃金で長時間働かせ、激化する労働運動を暴力的に弾圧している。日本国内では到底許されない労基法違反を海外では平然と行い、植民地経営的なやり方で巨額の超過利潤を上げている。
「日本を代表する」大企業がこんなありさまだ。「健全な資本主義」など、もはやありえない。帝国主義資本は全世界で戦争をやり、人殺しをやらなければ延命できなくなっている。
国と地方の借金1000兆円の日帝に未来はない。この現実を覆すものこそ労働者階級であり、階級的な労働運動の再生と発展の力である。
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週刊『前進』(2255号3面3)(2006/07/24)
インドがミサイル発射実験
米帝は対中軍事包囲狙う
インドは7月9日、アグニ3ミサイルの発射実験をした。このミサイルは核弾頭搭載可能で、射程距離は3000〜5000`に達する。上海や北京まで届く。
インドが発射実験に踏み切ったのは、アメリカ帝国主義がゴーサインを出したからだ。これは、北朝鮮のミサイル実験に対して日米帝が経済制裁を強行し、国連制裁を狙っているのと一体の、中国・北朝鮮侵略戦争策動だ。
1カ月前の6月4日、米軍のピーター・ペース統合参謀本部議長がインドを訪問し、記者団の質問に次のように答えている。
――アグニ3の発射実験の準備がされているが、米国は実験に賛成しているのか?
「第一に、インドは主権国家であり、どの兵器を実験するか、どの兵器を実験しないかは、自分自身で決めることだ。第二に、この地域にはミサイルを実験している他の諸国がある」
――インドは中距離ミサイル発射実験を計画し、パキスタンはF―16戦闘機を購入しようとしているが、不安定化をもたらさないか?
「不安定化をもたらすとは思わない。諸国の安定は、自国の防衛能力に自信をもてば高まる」
米帝は、中国への戦争を構えている。そのために、インドに核軍拡をけしかけているのだ。
米帝の戦略文書、QDR(4年ごとの戦力見直し)06年版では、中国脅威論を叫んでいる。
「中国が、米国と軍事的に競争するもっとも大きな潜在力を持っている。中国は、もしも米国が対抗戦略を持たないならば長期的には米国の伝統的な軍事優位を無くしてしまいかねない妨害的軍事技術を配備する可能性がある」
そして、米帝にとって対中国戦争の困難性は、中国の国土が広大で、一方向だけからの攻撃では、全土を攻めきれないことだ。
だから、米帝は太平洋側の逆方向にあるアフガニスタンやインドを重視しているのだ。
「インドは、巨大な強国として、また枢要な戦略パートナーとして台頭してきている。2005年7月8日、米国大統領とインド首相は、米印関係をグローバルなパートナーシップへと転換する決意を宣言した」(06年QDR)
インドが「戦略パートナー」ということは、一緒に対中国の大戦争、核戦争もやるということだ。
今年3月1日、ブッシュのインド訪問の際、ボルトン米国連大使は「インドとパキスタンの核取得は、合法的・正当になされた」と発言している。ブッシュはインドで、核技術協力をさらに推進すると約束した。
米英仏ロ中の5大国とイスラエルの核独占体制を破ったインド、パキスタンの核保有は、核拡散の堰(せき)を切る大問題だ。それでもなお米帝は、中国との戦争を本気で構えているからこそ、あえてこれを認めている。
インドと北朝鮮の同時期のミサイル実験に、米・日帝国主義が正反対の対応をしているのは、こうした理由からである。侵略戦争をしなければ延命できない帝国主義を打倒しよう。
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週刊『前進』(2255号3面4)(2006/07/24)
(1)地方行革・民営化に反撃
指定管理者制度を阻む
現場の闘いで本部のりこえ
小泉政権は連日、北朝鮮スターリン主義のミサイル発射実験をとらえて国家主義・排外主義を扇動し、それをてこに北朝鮮・中国侵略戦争を発動しようとしている。また、6月国会で行政改革推進法、市場化テスト法を成立させた上に、秋の臨時国会で教育基本法改悪案、共謀罪法案、国民投票法案を強行成立させようとしている。この戦争・改憲、民営化・労組破壊の大攻撃に労働者階級とりわけ自治体労働者は黙っていない。本連載で自治体労働運動の今日的な諸課題を現場労働者の視点から提起し、自治労大会(8月24〜25日、さいたま市)決戦への一助としたい。(編集局)
委託先で新支部
地方行革は、地方分権の名のもとに社会保障制度を切り捨てて福祉を資本に委ねる民営化を進め、職員に首切り、住民に増税を迫るものだ。
(写真 流山市水道局おおたかの森浄水場)
千葉県流山市では、自治体業務・事業の民間委託、指定管理者制度(注1)、PFI(注2)導入の攻撃が続いている。2005年に約1100人いた人員を5年で2割削減し920人程度にする方針を行政改革推進室が発表し、推進している。2007年度に団塊世代が大量退職するので、欠員を補充しなければ自然退職で目標がほぼ達成されるという見通しだ。市は2004年度は専門職を除いて採用せず、2005年度、2006年度は正規職員をまったく採用しなかった。
これに対して組合は、民間委託反対の闘いを行いつつ、欠員補充の要求を突きつけ闘ってきた。
民間委託の攻撃としては、市当局は、組合の拠点職場であった水道局浄水場4職場の16人を3年がかりで削減した。初めに4人を削減して12人体制にし、次に夜間を委託して8人の日勤体制とした。2004年4月に千葉メンテ社に運転管理をすべて委託し、16人削減を完了した。
16人の組合員のうち退職者1人などを除き14人が清掃、福祉会館、学校用務、守衛、土木詰所に配置転換された。14人は配転後もそれぞれ現場で民間委託、指定管理者制度の導入と闘っている。
水道局の職場では、浄水場の民間委託化との闘いの過中で公営企業評議会を結成して、そのもとで検針・徴収業務部門の民間委託反対を闘った。結局は包括委託されたものの臨時職員を組合に組織し、その臨時職員が委託先に配属されて組合を維持している。委託先の会社に新しい組合ができたのである。
市庁舎前で集会
流山市は今年、指定管理者制度の導入によって、組合員が集中する現場である福祉会館8施設の労働者と用務の労働者8人から職場を奪い、現業労働組合運動の破壊を狙う提案を3月議会に出そうとした。しかし、組合が決起集会を構えてオルグに入る過程で、市側は3月議会への提出を見送り、次の6月議会への提出を図った。
この攻撃をはねのけるために組合は、4月20日に指定管理者制度導入反対を軸にした本庁前総決起集会を約100人の結集でかちとった。「職場を奪う福祉行政民営化反対」を掲げて闘い、民営化を2010年以降に延期させた。事実上5年間の凍結である。
集会に千葉7区衆院補選立候補者、自治労出身参院議員、自治労本部副委員長も参加する中、指定管理者制度反対の現場の声をたたきつけた。動揺した当局は強行できなかったのである。
市が施設のほとんどを指定管理者制度かPFIによって民間委託化できると行政改革指針に盛り込み、議会に答申し、報告事項的に承認されている中で、現業評議会職場でのこの勝利は大きい。
しかも連合、自治労中央本部が真っ向から民営化反対の路線・方針を打ち出さない現状を現場の闘いでのりこえた。
組合執行部は、この集会を決断するにあたって多少苦労した。現場からの動員力が低下しているからだ。しかし、それを挽回(ばんかい)するためにも集会を設定した。
〔なおすべての現場で指定管理者制度の導入が阻止できたわけではない。体育館は、保守系地域ボスの支配が可能な体育協会に委託され運営される。一茶双樹庵(博物館)には指定管理者制度が導入され、公民館は中央公民館を除き自治会などに委託された。〕
PFI阻止へ
組合は、この勝利に続き、PFI導入阻止の闘いを組織している。まずは学習会を行う。
流山市は、つくばエクスプレス(常磐新線)開通後、新線開発地区、特におおたかの森駅を中心にゾーンを設定し、PFIによる施設民営化を目指している。小山小学校をPFIに。美田保育所、十太夫福祉会館にある児童館、この二つを子育て支援の角度からPFIに。開発と一緒に民営化が推進される。
この新線地区開発事業は、「グリーン・チェーン戦略地区」と称してさも緑を大切にしたかのように言っているが、実は森林を伐採し、田畑をつぶして強行された人工的緑化である。これが市当局の「町づくり」だ。
市は新線に絡んで多額の起債=借金をした。そのしわ寄せを自治体労働者に負わせようとしている。税収が落ち込んでいるのになぜ起債かと怒りの声があがっている。
自治労中央本部が行政改革断固反対、改憲阻止の闘いをすると言わない今日、現場の闘いに本部を引きずり込んで運動を進めることの重要性を実感している。
秋の改憲阻止闘争と不可分の闘いとして職場で行革・民営化と闘おう。自治労の改憲勢力化を阻むために大会に総決起しよう。下からの闘いで自治体労働運動を変え強化しよう。 (小野伸一)
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注1 指定管理者制度
公の施設の管理委託を公的主体(自治体出資法人)に限定していた管理委託制度に代わり、NPO(非利益法人)や株式会社などの民間事業者も指定管理者として公の施設を管理できるとする新制度。指定管理者は施設の利用許可権限を持ち、利用料金を自らの収入にできる。自治体が造った公の施設は、資本の利潤獲得手段となり、住民福祉増進のための施設ではなくなる。
注2 PFI(Private Finance Initiative=民間資金活用)
公共施設の建設、維持管理、運営などを民間の資金、経営能力および技術力などを活用して行う手法。
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週刊『前進』(2255号4面1)(2006/07/24)
関空闘争 2期供用阻止1年間決戦へ
許すな!軍事使用
空港赤字でゴミ有料化 “怒りの住民投票を”
7月9日、大阪・泉佐野市で「関空2期07年8月供用開始阻止! 米軍・自衛隊による軍事使用絶対反対! ゴミ有料化反対闘争勝利!」関西新空港反対全国集会が開かれ、135人が参加した。6月11日に北側国土交通相が関空2期供用開始日を「来年8月2日」と正式発表する中、関空2期軍事使用との闘いを真っ向から宣言した。関西新空港闘争は2期供用開始を阻止する1年間決戦に入った。
(写真 関西新空港の対岸で「関空2期供用阻止!」【7月9日 泉佐野】)
大阪湾岸住民4団体と関西反戦共同行動委員会が主催した7・9集会は、台風も西にそれ真夏の暑さとなった。末広公園の会場中心には、今年5月の泉佐野市議選勝利の軸を担った地元泉州の労働者、住民40人が座り、集会を盛り上げた。
政府は5月末、在日米軍再編の実施方針を閣議決定し、3月には関空会社が有事法制に基づく「国民保護業務計画」を作成した。米軍や自衛隊が関空を自由に軍事使用できるようにしようとしている。関空2期こそ、日米の北朝鮮への新たな戦争策動の強まりの中で、軍事用の4000b滑走路を使用開始する大攻撃だ。
集会では、来年8月関空2期供用開始を阻止する「1年間決戦」を宣言し、米軍・自衛隊による軍事使用絶対反対を強く確認する決議を上げた。
集会は、安藤眞一淡路町反対同盟事務局長の司会で始まり、主催者を代表して森田恒一泉州住民の会代表、入江史郎関西反戦共同行動委代表があいさつした。続いて山本善偉東灘区住民の会代表があいさつした。89歳の森田さん、86歳の山本さんは、「命をかけて戦争反対を貫く」と決意を語った。
三里塚反対同盟の伊藤信晴さん、神戸空港工事の中止を求める市民の会代表の讃岐田訓さん(京都学園大教授)が連帯のあいさつを行った。伊藤さんは、敷地内の市東孝雄さんに対する農地強奪攻撃、「東峰の森」伐採攻撃の不当さを暴露し、「暫定滑走路北延伸阻止に決起する。東西で軍事空港を粉砕しよう」と訴えた。動労千葉と北富士忍草母の会からのメッセージが紹介された。
泉州住民の会事務局長である国賀祥司泉佐野市議が基調報告に立った。冒頭、5月市議選への支援にお礼を述べた国賀さんは、「関空2期は破産する。便数は11万回しかなく、累積赤字は2293億円。地盤沈下は止まらず、着工から平均12・4bも沈下している。場所によっては14・9bも沈んでいる。50年後の予測値まであと20a、浸水対策工事に310億円もかけている」と、開港12年目の破産的な現状を暴露し、2期は軍事空港化が目的であることをはっきりさせた。
また泉佐野市が1400億円もの空港関連事業の借金を抱え、市民と職員を犠牲にする攻撃を続ける中、ゴミ有料化に市民の怒りが爆発、「ゴミ有料化の是非を問う住民投票」を求める直接請求が成立し、7月27日と8月8日に臨時議会を開くことが決まったと報告した。
さらに昨年5月の自衛隊イラク派兵の軍事使用に続き、今年5月にも関空を使っていたこと、また5月末には神戸空港からの出発機と関空への着陸機が空中衝突寸前のニアミスを起こしていたことを暴露し、2期供用開始阻止、軍事空港化阻止、改憲阻止闘争、今秋国会決戦への総決起を訴えた。
明石住民の会のカンパアピールに続き、関西労組交流センター、泉州住民の会、東灘区住民の会、部落解放同盟全国連合会、婦人民主クラブ全国協議会、全学連が決意表明を行い、集会決議を採択した。
最後に淡路町空港反対同盟の永井満代表が「欲とか薄汚いものとは縁のない心洗われる集会だった。政府は北朝鮮への先制攻撃が必要と言い出しているが、こういうものと闘い、平和なよい国にするために力を合わせて状況を切り開いていこう」とまとめを行った。
集会後、多くの市民の注目と声援の中をデモ行進した。解散地のりんくう公園では、国賀さんの音頭で「関空を侵略拠点にさせないぞ」と団結ガンバローを三唱した。
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週刊『前進』(2255号4面2)(2006/07/24)
民主労総17万ゼネスト
韓米FTA交渉に実力反撃
“ノムヒョン政権は退陣せよ”と10万人
韓米FT阻止汎国民闘争本部の呼びかけでソウル市庁前に集まった10万人の労働者、農民、学生、貧民らが大統領府へデモ(7月12日 ソウル)
民主労総は7月12日、ソウルで開催中の韓米FTA(自由貿易協定)第2次交渉(7・10〜14)を直撃する17万ゼネストに立ち上がった。
韓米FTA阻止、労使関係先進化ロードマップ廃棄、公務員労組の労働基本権確保、特殊雇用労働者の労働3権戦取などの要求を掲げ、午前10時から6時間の一斉にストライキに入ったのだ。
全組合員投票をとおして産別転換を決めた金属産業連盟は、現代自動車労組、大宇自動車労組、金属労組などを含む10万3千人がストに突入した。公共連盟は「社会公共性強化、非正規職撤廃、労働基本権戦取」の3大要求を掲げて7・11〜13対政府総力闘争の中、3万人がゼネストに合流した。さらに建設連盟、病院労連、サービス連盟、言論労連、化学繊維連盟などが加わり、17万人規模のゼネストが実現したのである。
建設産業連盟では、7月1日に浦項(ポハン)建設プラント労組3500人がストに突入、6日には蔚山(ウルサン)プラント労組1500人が、10日には全南東部・慶南西部建設労組1500人が続いた。そして同日、タワークレーン技師労組1500人も全面ストに入ったことで全国の建設現場の60%が稼働停止に陥った。建設労働者の史上初の組織的な集中闘争が巨大な力を発揮したのだ。
◆「東亜日報」占拠
暴風雨の12日午前9時20分、非正規長期闘争共同闘争団の労働者41人がソウル光化門にある東亜日報社に突入し、屋上を占拠、「FTA阻止! 非正規職撤廃! 労働弾圧粉砕!」などの垂れ幕を下ろした。
昼すぎまでに新聞社前で警察部隊と対峙していた民主労総ソウル本部を始めとする労働者、学生ら137人が連行されるという大弾圧が繰り広げられたが、屋上での座り込みは続いている。
ソウルでは7月10日、「ピョンテク米軍基地の拡張と韓米FTAに反対するソウル地域労働者1000人宣言」が発せられた。「韓半島の心臓・ソウルから、軍事力で武装した新自由主義を粉砕し、民衆の生存権を守るために労働者が先頭で闘うことを決意する」と結ばれている。ソウル本部が中心となり、6月下旬から1人当たり1千ウォンの闘争カンパとともに宣言参加者を集めたものだ。
◆30万人結集を
7月12日午後2時、ソウル駅前広場で民主労総ゼネスト闘争決意大会が開かれ、6千人が集まった。下半期方針として今秋の力強いゼネスト実現へ、11・12全国労働者大会に30万人を集めることが提起された。
「第2の韓日併合である韓米FTAを阻止しよう!」「屈辱的な韓米FTAをこなごなに粉砕しよう!」と、汎国民大会会場のソウル市庁前までデモで進んだ。
同日午後4時、市庁前広場で始まった7・12汎国民大会には老若男女10万人が集まった。大会後、大統領府に進撃しようとするデモ隊と、それを阻む戦闘警察が激突、労働者たちの怒りはさらに燃え上がった。
アメリカからAFL−CIO所属の労働者も韓米FTA阻止闘争に駆けつけた。米軍再編とFTAを粉砕し、労働者階級の敵、日米帝国主義を国境を越えた労働者の団結で打ち倒そう。
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週刊『前進』(2255号4面3)(2006/07/24)
まず建物検証せよ
天神峰現闘本部裁判 NAAを断罪
7月6日、NAA(成田空港会社)が天神峰現闘本部の撤去を求めて起こした裁判の第12回口頭弁論が千葉地裁で開かれた。今回の公判で反対同盟・弁護団は新たな論点を提出した。
NAAは「登記された木造建物は解体されていたし、名義も代表者の戸村一作ではないから、反対同盟は空港会社に対抗できない」と主張してきた。しかし実際にはNAAは、反対同盟の登記物件が存在し、それが反対同盟の空港反対運動の拠点であることなどを重々知りながら土地を取得したのだ。「知らずに土地を買ったらそういうのが建っていた」ということでは全然ない。よってNAAは「背信的悪意者」(知っていながら嫌がらせ的にかかわってきた者)にあたる、ないしは「権利濫用・信義則違反」であり、登記による対抗性をうんぬんする資格がない。今回、この論点を新たに追加した。
また弁護団と反対同盟は、成田治安法で封鎖中の本部建物の現場検証に裁判所自身が消極的なことを批判し、証拠調べの冒頭にそれを行うよう促した。
公判終了後に記者会見が行われ、弁護団が論点を整理し説明した(写真)。また原告NAAが「地主である石橋元副委員長が脅されて土地を分筆した」という主張を始めたことに対し、北原鉱治事務局長は「石橋にも良心があり苦しみを抱えて出ていったのだ」とNAAのデッチあげに怒りを込めて反論した。
「会員拡大を」
その後、天神峰現闘本部裁判を支援する会の例会が開かれた。
市東孝雄さんが会計報告を行い、100万円の個人カンパが寄せられたことを報告すると会場にどよめきと拍手が起きた。また「北延伸」切迫情勢を報告、「耕作権解除」攻撃に対して農地を守り闘う決意を明らかにし、会員の拡大を訴えた。
代表世話人の戸村義弘さんがあいさつし、「鉄骨建物ができた時は敵の前で一夜にして鎧(よろい)をつけたようだった」と当時の感動を語り、まず封鎖中の現闘本部を検証すべきだと語った。
群馬の世話人の青柳晃玄さんがあいさつし、会員を拡大し「暫定滑走路閉鎖、空港廃港へ」と訴えた。さらに動労千葉の後藤俊哉さんが反合・安全運転闘争を報告し、反対同盟との労農連帯のきずなを強め闘うと発言した。
次回公判は10月19日。北延伸攻撃のまっただ中で、この裁判は重要な反撃の一環だ。こぞって傍聴に駆けつけよう。
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週刊『前進』(2255号4面4)(2006/07/24)
実戦の経験蓄積狙う
陸自サマワ駐留の核心点
赤城 一人
6月20日、日帝・小泉は、陸上自衛隊のイラク撤退を決定し、同日額賀防衛庁長官は、第10次イラク派遣隊に撤退命令を出した。しかし、その内容を見てみれば、実質は自衛隊のイラク情勢へのより激しい参入である。
空自は米軍支援をエスカレート
航空自衛隊は、その輸送地域をサマワ近郊のタリルから戦場そのもののバグダッドや北部のアルビルまで拡大すると言っている。これは、米軍の戦闘行動への直接の参加、その重要な1部隊として組み込まれ、空輸部隊として参加することを意味している。
これまで主に陸自の物資を輸送していたC130は、今後は米軍の物資を戦場のバグダッドやアルビルへ空輸することになる。これは、米軍のイラク侵略戦争におけるイラク人民虐殺の戦闘と完全に一体化するということであり、自衛隊にとっての戦争のエスカレーションである。絶対に許されないことである。
対テロ特措法の1年間延長が決定され、海上自衛隊はインド洋、アラビア海に展開し続ける。ますます米海軍への給油と海上警備が主要任務になってゆくだろう。
また陸上自衛隊の撤退作戦そのものがイラク人民との厳しい軍事的対峙関係の中で行われる。実際に100人の撤退支援部隊が派兵された。
サマワでは軍事的緊張が高まっている。この2年半の陸自によるサマワの軍事制圧=侵略・支配、米軍のイラク侵略戦争の一角を担ったことの成否が突きつけられている。われわれは、自衛隊のイラク侵略戦争参入をけっして許してはならない。日本帝国主義足下で生きる人間として労働者人民の階級的立場が問われているのだ。
反軍闘争を担ってきた立場で、特に陸上自衛隊600人(延べ5500人以上)の約2年半にわたるサマワ駐留の意味を考えてみたい。
全方面隊が陸戦への参戦を経験
今回の陸自のサマワ派兵は、自衛隊兵士の実戦教育と「国民」教育の側面を持っている。何よりも自衛隊に陸戦への参戦という実戦の経験を積ませることに狙いがあった。
5方面隊のすべてが参加し、ほぼ陸自の全駐屯地から部隊と兵員を選出し参加させているところに特徴がある。この参加兵員の選出過程は、明らかに他国の派兵のやり方とは違う。実戦教育をとおして次の段階を踏もうとしているのだ。
自衛隊の中枢部は 実戦が最大の教育であることを知り抜いている。今回のサマワ派兵を戦闘訓練の時によく聞く言葉「訓練は実戦のように、実戦は訓練のように」を地でゆく絶好のチャンスとしてとらえ、全陸自の部隊から兵員を選出し参加させている。自衛隊にとっての派兵の目的の半分はここにある。
特に陸自の派兵は決定的だった。
戦争は地上戦によって決着がつけられる。どんな戦争も地上の軍事的制圧が最終的な軍事目的になる。
地上戦ではイラク人民との直接の軍事的対峙関係に入り、殲滅(せんめつ)戦が誰にも分かる形で起こる。これが自衛隊をめぐる階級情勢の決定的転換点になる。日帝・自衛隊は派兵の当初からこのことを狙っていたのだ。それが兵士教育の最大の内容なのだ。
今後派兵期間中に戦死者が出たり、虐殺することがあるかどうか注目する必要があるが、自衛隊員が戦場に派兵されたことの意味は限りなく大きい。
自衛隊の陸海空3軍の共同作戦が、極東から中東にいたる広範な地域で、長期にわたって大規模に実施された意味は大きい。つまり自衛隊が日帝の軍隊としての内実(軍事体制、兵士の意識、ノウハウなど)を身に着け始めたということである。
統合幕僚監部の設置(06年3月27日、先崎一統幕長)、中央情報部、中央即応集団の設置、統合任務部隊の司令官の設置(大規模災害では陸自の方面隊総監、MD(ミサイル防衛)では空自の航空総隊司令)など自衛隊の3軍統合運用を、サマワ派兵は先取り的に実施した。
これはまた次の重要な大規模戦闘=戦争(対中国、北朝鮮)へのステップとして位置付けられたものであると言える。
兵士に階級闘争を持ち込んだ
サマワ派兵で自衛隊兵士の中に世界と日本の階級闘争が持ち込まれた。
自衛隊内外では、イラク侵略戦争突入で、自己の戦死、イラク人民の虐殺という点で、その人民的正義性をめぐる階級対立、日本の国益をめぐる階級対立が激化せざるを得ない。それは兵士とその家族、元兵士の「何のための戦争だ」「誰のための戦争だ」という兵士の階級意識を覚醒(かくせい)させ、兵士の内外からの決起をつくり出してゆかざるを得ない。それは日帝・自衛隊の思惑を大きくこえ、軍と侵略戦争の本質をさらけ出してゆく。
サマワ派兵情勢下=戦時下の自衛隊兵士の動揺の基底には隊内の階級闘争の激化がある。麻薬の蔓延(まんえん)などはそのことを端的に示している。防衛庁・自衛隊が放置できなくなっているが、本質的にはどんどん激化してゆくだろう。隊内での自殺者の急増、ノイローゼの増加、酒による「不祥事」、暴力事件、ケンカ、命令不服従、上官への反抗などが頻発している。こうした状況は、兵士の間に侵略派兵をめぐる不安と動揺が広がっていることを意味している。隊内における階級闘争の激化だ。兵士に闘う方向を示す反軍闘争の側から見れば、兵士の階級的自覚を促す絶好のチャンスを迎えているとも言える。
戦争めぐり革命と反革命が激突
以上の点を見てくると、「労働組合、元自衛官、家族」の闘いの意義は、決定的に重要であったと思う。隊内兵士の動揺に対し、隊内に階級分裂を持ち込み、兵士の進むべき道筋を示すというう点で革命的であり、決定的だったのだ。
サマワ派兵で動揺する自衛隊兵士に対する闘いとしては、唯一の闘いであり、効果的闘いだったと思う。全国で100波近い闘いが貫徹された。
元自衛官を先頭に家族、反戦の労働者は、全国で連日出兵基地に出かけ、基地を包囲し、申し入れ行動、ビラ入れ、スピーカーでの呼びかけ、デモを貫徹し、出兵する自衛官、見送る自衛官そして家族の心をグラグラに揺さぶったのだ。こっそりと「私もあなた方の意見に賛成だ」と言ってくる現役自衛官が何人も出てきた。今後のわれわれの対自衛隊闘争の闘い方の重要な柱を築いた闘いでもあった。
いわゆる「黄色いハンカチ運動」=在郷軍人会や国防婦人会のような運動を阻止した点も大きい。民衆=労働者人民の侵略戦争への取り込み策動を粉砕したのだ。
陸自のイラク派兵を受けてサマワ先遣隊隊長である佐藤1佐の講演会が全国各地で100回近く行われ、侵略軍を賛美する国民教育の突撃隊の役割を果たしている。
自衛隊の侵略戦争をめぐり革命と反革命が真っ正面から激突する情勢が到来している。
全党、全労働者人民、自衛隊兵士、元兵士、家族に訴える。「自衛隊の侵略派兵に断固反対して決起しよう」「戦うイラク人民、闘う全世界の労働者人民と連帯して日帝の軍事侵略を内乱に転化しよう」と。
日本革命−世界革命のチャンスが到来している。同志諸君、ともに頑張ろう。夏秋の決戦を闘おう。
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週刊『前進』(2255号4面5)(2006/07/24)
7月5日〜11日
安倍ら「敵基地攻撃能力」論
北朝鮮制裁決議へ日帝突出
●北朝鮮がミサイル発射 日本政府は、北朝鮮が計6発のミサイルを発射したと発表した。日米両政府によると、いずれも日本沿岸から数百`離れた日本海に着弾。3発目が長距離弾道ミサイル「テポドン2」だったが2段目に点火しなかった。安倍官房長官は「すべての制裁措置を検討する」と表明し、政府は北朝鮮の貨客船万景峰(マンギョンボン)号の入港を半年間禁止するなど9項目の制裁措置を決めた。北朝鮮は同日午後に7発目を発射した。(5日)
●北朝鮮「6者協議とは関係ない」 北朝鮮外務省報道官は、今回のミサイル発射実験を「成功した」と評価、「自衛的な国防力強化のため、わが軍隊が正常に行った軍事訓練の一環だ」と主張した。(6日)
●中国が議長声明案 北朝鮮のミサイル発射問題で日本の大島国連大使は、国連安全保障理事会の常任理事国5カ国大使と会談し、5日に安保理に提示した対北朝鮮制裁決議草案の修正案を示した。一方、この会談で中国は、制裁には触れない独自の議長声明案を提示した。(6日)
●制裁決議案を提出 北朝鮮のミサイル発射問題で、日米英仏4カ国は、北朝鮮を非難し、ミサイル技術の移転などを禁じる制裁決議案を国連安保理に提出した。制裁を含む強制行動の根拠となる国連憲章第7章に言及した厳しい内容。(7日)
●陸自、イラク撤収開始 イラク南部サマワの陸上自衛隊の撤収が始まった。第1波の約30人がクウェートに到着した。イラクには陸自第12旅団(群馬県)を中心に編成された第10次イラク復興支援群約500人と、多国籍軍などとの調整を行うイラク復興業務支援隊第5次隊約100人の計600人の隊員がいる。(7日)
●インドがミサイル実験 インドは東部オリッサ州で、核弾頭を搭載できる新型の中距離弾道ミサイル「アグニ3」の発射実験をした。インド政府は「発射に成功した」と発表したが、PTI通信によると、アグニ3は高度12`まで上昇したところで故障し、標的をとらえられないまま海に落下した。アグニ3は長さ16b、搭載量は1千`、射程は3500`。(9日)
●日本は騒ぎ過ぎと韓国 韓国大統領官邸は北朝鮮のミサイル発射問題に関する声明を発表、「無理に日本のように未明から大騒ぎする必要はない」と述べた。(9日)
●敵基地攻撃能力は必要と防衛長官 額賀防衛庁長官は、北朝鮮の弾道ミサイル連続発射を踏まえ、現在自衛隊が保有していない発射基地などへの敵基地攻撃能力について、記者団に「独立国家として、一定の枠組みの中で、最低限のものを持つという考え方は当然だ」と述べた。安倍官房長官も10日午前の記者会見で「議論を深めていく必要がある。日本の国民と国土、国家を守るために何をすべきかとの観点から常に検討、研究することが必要だ」と強調した。(9日)
●制裁決議案採決、当面先送りに 北朝鮮のミサイル発射問題で、日本が国連安全保障理事会に米英などと8カ国で共同提案した北朝鮮制裁決議案の採決が当面、先送りされることになった。日本政府は早期の採択を主張してきたが、米国との協議で、北朝鮮に働きかけている中国の動きを見守る必要があるとの認識で一致したため。日米は、中国の交渉が失敗した場合には制裁決議に踏み切る方針も確認した。(10日)
●盧大統領「事態悪化を憂慮」 安倍官房長官らの「敵基地攻撃」発言に対し、韓国の盧武鉉(ノムヒョン)大統領は「日本の政治指導者の先制攻撃発言などで新たな状況が生じ、事態を悪化させる憂慮がある」と批判した。(11日)
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週刊『前進』(2255号5面1)(2006/07/24)
戦争を仕掛けているのは米日帝だ
イラク戦争くり返すのか
安倍官房長官と麻生外相が 安保理制裁決議へ突出
経済制裁は“宣戦布告”
日帝・小泉政権は、北朝鮮のミサイル発射を絶好の口実としてとことん使い切り、米軍再編―日米同盟再編を一挙に進め、9条改憲にまで踏み出そうとしている。
額賀防衛庁長官は「敵基地攻撃能力の保持は当然」と叫び、安倍官房長官も「常に検討・研究を行うことは必要」と発言。麻生外相は「被害を受けるまで何もしないわけにいかない」と述べ、北朝鮮のミサイル基地を攻撃することは自衛権の範囲内だなどと言っている。これは、ブッシュ政権の先制攻撃戦略とまったく同じであり、自民党新憲法草案の内容すらはるかに超えるものだ。
また、マスコミ各社は「重大な挑戦」(読売)「自ら勝手に危機を高め、責任は他人に転嫁する恫喝外交」(朝日)と口をきわめて北朝鮮を非難している。日本共産党・志位委員長は「安保理の協議は当然。経済制裁もありうる」と、戦争が本当に差し迫った瞬間に戦争反対の看板を投げ捨てている。絶対に許せない。多くの市民運動・NGO団体も北朝鮮非難の声明を出し、「北朝鮮脅威」論を後押しする役割を果たしている。
アフガニスタン・イラク人民の頭上に無数のミサイルを撃ち込み、数十万人もの人びとを無差別に虐殺してきたのは米帝ブッシュではないか。この大虐殺を一貫して無条件で支持し、自らも参戦したのが日帝・小泉ではないか。今も連日、「テロリストの掃討」と称してイラクで無差別爆撃がくり返されている。米日政府に、北朝鮮を非難する資格など1ミリたりともないのだ。
「経済制裁」とは、数十万、数百万の北朝鮮人民を死に追いやる戦争行為であり、宣戦布告そのものだ。
しかも、日本政府が作成したとされる安保理決議案は「国連憲章7章に基づいて行動する」という文言を盛り込み武力行使さえ可能とするとんでもないものだ。国連憲章7章は第42条〔軍事的措置〕で、非軍事的措置で不十分なときは「国連安全保障理事会は……必要な空軍、海軍または陸軍の行動をとることができる」と明記している。「大量破壊兵器の脅威」をデッチあげ、イラクを無差別爆撃してフセイン政権を転覆したのと同じプロセスを進めようとしているのだ。
中国やロシアが、この「7章決議」に反対する中で、日本帝国主義は「安保理議長声明は意味がない」(安倍)、「遅れれば北朝鮮を増長させるだけだ」(13日付読売新聞社説)と、あくまで早期制裁発動を求めて突出した対応を続けている。
北朝鮮の体制転覆狙う
日本政府は、北朝鮮のミサイル発射について「日朝平壌(ピョンヤン)宣言に反する」などと非難し、一方的な被害者であるかのような顔をしているが、とんでもない話だ。圧倒的軍事力で北朝鮮を追いつめ、戦争を仕掛けているのは米日帝国主義の側だ。
米日政府は、この間の米国防総省の2006QDR(4年ごとの戦力見直し/06年2月)、米軍再編「最終合意」(5月)、日米首脳会談での「新世紀の日米同盟」宣言(6月)によって、中国と北朝鮮を戦略的な打倒対象としてはっきり据えている。そして、北朝鮮のミサイル発射をも口実とし、中国と北朝鮮に対する侵略戦争体制づくりを一挙に進めている。
米軍は6月19〜23日、グアム島周辺に三つの空母戦闘群を動員してベトナム戦争以来最大規模の演習(バリアント・シールド=勇敢な盾)を行った。イラク戦争型の先制攻撃を、いつでも北朝鮮・中国にむけることができることを示す威嚇そのものだ。海上自衛隊もリムパック2006(環太平洋合同演習)で7日、護衛艦3隻が対空誘導ミサイル発射演習を行っている。北朝鮮のミサイル監視をめぐる日米共同作戦は、集団的自衛権の発動そのものだ。
米軍のスパイ衛星は四六時中北朝鮮を監視し、横須賀の米海軍艦船は500基を超えるトマホーク巡航ミサイルの発射管を備えている。在韓米軍は核兵器を北朝鮮に向けていると言われている。米軍は、すでに深々と北朝鮮国内での情報活動を展開し毎月平均3千件余りの文書が平壌(ピョンヤン)市内からワシントンに送られているという。そして、北朝鮮軍を一挙に無力化させるために、北朝鮮国内3万6千カ所の攻撃目標を常時保持し、24時間体制で監視している。
しかも、アメリカ政府が昨年9月に発動した金融制裁で、北朝鮮は体制崩壊寸前の危機にあえいでいる。北朝鮮外務省は「米国による金融制裁は血の流れを断ちきり、わが力を窒息させようとする制度抹殺行為だ」と声明している。
(写真 米軍演習バリアント・シールド参加のためグアム沖に向かう3隻の米空母。手前からロナルド・レーガン、キティホーク、リンカーン【6月18日】)
脅威と違法性をデッチあげ
この全体がものすごい体制破壊的な重圧となって北朝鮮スターリン主義を締め上げている。7月5日のミサイル発射は、こうした帝国主義による包囲と軍事的緊張の中で、それ自身は反人民的な北朝鮮スターリン主義の対抗政策として起こったことだ。
そもそも米帝や日帝の巨大な軍事力に比べれば、北朝鮮が発射したとされる「テポドン2」は、80年代に旧ソ連が造ったミサイルを元にしたかなり旧式のもので、「第2次大戦のころの技術で脅しにもならない」とブッシュ政権高官はコメントしている。米紙ニューヨークタイムズ(7月5日付)社説も「(他国に)直接の脅威を与えていないし国際条約にも違反していない。アメリカやその他の国は、この発射実験によって北朝鮮を軍事攻撃する正当性ができたと考えることはできない」とし、英紙タイムズも7月6日付の論評で「ミサイル実験は世界中の軍隊がルーティーンでやっている。被害も違法性もないのになぜ騒ぐ?」と書いている。
日本の領海でもないロシア沖に落ちたミサイルに、日本政府が激しく反応し、意図的な扇動をしていることは明らかだ。
南北朝鮮人民と連帯を
米・日帝国主義は、たんに金正日体制の転覆を狙っているだけではない。これ自身を、中国スターリン主義体制を転覆する大戦争への突破口と位置づけている。
また、北朝鮮への攻撃は、現実には南朝鮮・韓国も含めた朝鮮半島全体への日米両軍の侵攻と占領として展開される。その本質は、帝国主義による新たな朝鮮侵略戦争と再植民地化そのものだ。日米帝は、朝鮮・中国・アジア勢力圏化をめぐる暗闘を水面下でくりひろげながら、北朝鮮・中国侵略戦争に現実に踏みこみ始めているのだ。
スターリン主義の反人民性
金融制裁が続く中で北朝鮮人民の生活は極度に悪化し、いつ人民反乱が起こってもおかしくない情勢に入っている。
米・日帝国主義の侵略戦争と体制転覆を狙う攻撃に対しては、イラク人民やパレスチナ人民のように帝国主義に対する国際的な反戦闘争、階級闘争を爆発させて闘うことが求められている。しかし、北朝鮮スターリン主義はそのように闘うのでなく、帝国主義の巨大な軍事力と戦争に対して反人民的なパワーポリティクスで対抗し、南北朝鮮人民と世界の労働者階級人民を裏切り、帝国主義の侵略戦争を逆に促進しているのだ。
南北朝鮮人民、日本、アメリカを始めとする労働者階級自身の決起と国際連帯闘争で、3度目の世界戦争に向かう米・日帝国主義を打倒し、世界革命に向かって総決起すべき時が来ている。米・日帝国主義こそが戦争の元凶であることを徹底的にはっきりさせよう。日本労働者階級の闘いが持つ位置は決定的に重要だ。北朝鮮への米日帝の制裁発動と侵略戦争を絶対に許すな! 米軍再編―日米同盟再編、9条改憲阻止の大きな闘いを巻き起こそう!
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週刊『前進』(2255号5面2)(2006/07/24)
制裁に賛成する日共
排外主義唱和の志位談話
日本共産党は7月5日、北朝鮮のミサイル発射について、志位委員長の談話を発表した。これは、「国際ルールと国際的取り決めを無視した、北朝鮮によるミサイル発射に厳しく抗議する」とする帝国主義の側に立った反動的立場の表明であり、断じて許されない。(全文別掲)
その上、志位は、談話発表後、記者の質問に答え、「国際ルールを北朝鮮に守らせるため、経済制裁を含む適切な措置をとることはありうることだ」「国連安保理事会で協議を行うことは当然だ」と述べ、日本政府が国連安保理での制裁決議の策動で突出していることを完全に支持した。
北朝鮮のミサイル発射直後から新潟、山形、山梨など多くの県議会が続々と北朝鮮非難決議を上げているが、日本共産党はこれにすべて賛成しており、まさに排外主義の大合唱の一員として、日帝の戦争政策の片棒を担いでいるのである。
志位は「国際ルール」とか「国際社会」と言うが、これは超階級的に存在するものではなく、アメリカ帝国主義が圧倒的な軍事力で制圧している国際社会であり、そのもとでのルールである。
そもそも北朝鮮をめぐる問題で最大の問題は、米日帝国主義が北朝鮮をイラク、イランなどとともに「悪の枢軸」と呼びその転覆を公然と掲げていること、そのもとで東アジアに10万もの兵力と核ミサイルの布陣を敷き、絶えず軍事重圧をかけていることにある。イラクに対してしたような侵略戦争をいつでも発動する体制をとっていることが一切の原因なのだ。この侵略戦争の切迫の中で、日本共産党は流れにさおさしているのだ。
米軍再編攻撃や、憲法9条改悪、教育基本法改悪、共謀罪新設攻撃、靖国神社参拝など、すべて日帝の北朝鮮に対する侵略戦争に向かっての体制づくりだ。それと無縁のところに今回のミサイル発射問題はない。
ところが、志位は完全に「国際社会」という名で、米日帝国主義の立場に立ち、その排外主義宣伝に唱和して、北朝鮮非難キャンペーンを張っているのだ。
もちろん、北朝鮮スターリン主義の軍事外交政策は、帝国主義の軍事重圧に核開発やミサイル開発で対抗しようとするものであり、反人民的である。何よりも帝国主義に対する全世界の労働者人民の革命的決起への敵対と裏切りとして階級的に弾劾されるべきだ。
しかし、志位談話の別掲全文に明らかなように、この中で日本共産党は米日帝国主義に対する批判は一言半句も言及していない。現にイラクで大量殺戮(さつりく)をやっている米帝(と日帝)が、どうして東アジアでは擁護されるのか。
額賀や安倍の北朝鮮基地先制攻撃論に対して、日本共産党の市田書記局長は、「あくまで外交的な努力によって問題を解決すべきだ」と「批判」しているが、米日帝の制裁を容認した上でのことであり、なんら批判でも弾劾でもない。
日本共産党は、北朝鮮への排外主義の嵐と侵略戦争の先兵になっているのだ。帝国主義に完全に屈服し、「私たちは北朝鮮の味方ではありません」と日帝に誓約しているということだ。
帝国主義が危機を深め、侵略戦争に向かって突進していることは、革命的情勢の接近を示しており、帝国主義を打倒する好機が訪れたことを意味している。ところが、綱領からも規約からも労働者階級の党であることを放逐してしまった日本共産党は、帝国主義の体制の枠内で活動することを権力に誓うまでに転落してしまった。戦争か革命かが問われている時に、戦争に加担することを選択したのだ。
日本共産党の米日帝への屈服と加担を許さず、改憲阻止闘争の爆発で、北朝鮮ミサイルを口実とした排外主義宣伝と戦争体制に反撃しよう。
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志位談話(全文)
一、日本政府は、五日早朝、北朝鮮から数発の弾道ミサイルあるいは何らかの飛翔(ひしょう)体が発射されたと発表した。
北朝鮮当局者は、ミサイル発射を「国の自主権に属する問題だ」とのべているが、この弁明は通用するものではない。
公海に達するミサイルやロケットの発射を、事前通告なしに行うことは、航空機や船舶に危険を及ぼすものであり、国際ルールに違反するものである。また、今回の行為は、「日朝平壌宣言」をはじめとするミサイル発射凍結の国際的合意にも違反するものである。これは北東アジアの平和と安定を脅かす行為である。
わが党は、国際ルールと国際的取り決めを無視した、北朝鮮によるミサイル発射にきびしく抗議するものである。
一、わが党は、北朝鮮が、こうした無法な行為をただちに中止し、国際ルールと「日朝平壌宣言」を順守することを、強くもとめる。
わが党が、かねてから主張してきたように、北朝鮮が国際社会の一員となるためには、国際的無法行為を清算し、国際ルールを守る立場を確立することが、不可欠の条件であることを、きびしく指摘しなければならない。
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週刊『前進』(2255号5面3)(2006/07/24)
“経済制裁に抗議する”
新潟労組交流センターが声明
小泉政権による7月5日の制裁発動に対して、新潟労組交流センターが即座に決起し抗議声明を発した。新潟交流センターは、内閣総理大臣と新潟県知事にこの抗議声明を送付した。排外主義の扇動と対決し、さらなる反撃に立ち上がろう。(編集局)
北朝鮮のミサイル発射にともなう万景峰号入港禁止をはじめとした経済制裁に抗議する声明
(1)7月5日、北朝鮮(朝鮮民主主義人民共和国)が7発のミサイルを発射した。これに対して小泉内閣は、直ちに万景峰(マンギョンボン)号の入港を半年間禁止するなどの経済制裁に踏み切った。泉田知事は、入港直前の万景峰号の接岸を人道措置として認めたが、経済制裁に賛成した。また新潟県議会も全会一致で経済制裁決議をあげた。われわれは、万景峰号入港禁止をはじめとした一切の経済制裁に反対し、その撤回を求める。
(2)もちろん、われわれは、北朝鮮のミサイル発射を認めることはできないし、アメリカの圧力には軍拡ではなく、国際反戦闘争、国際連帯闘争を強化すべきであると考える。
しかし、今回のミサイル発射をもって日本政府が経済制裁を発動し、万景峰号の入港を禁止し、在日朝鮮人と「祖国」、親族とのパイプを奪うことは許されない。「祖国」の政策を理由に、在日外国人の権利が圧殺されることを当然とすることは許されない。
(3)歴史上行われてきた経済制裁は、すべてが戦争につながっている。今回も日朝関係の悪化をもたらし、軍事的緊張を高めていくものにほかならない。
今回の背景には、アメリカ・ブッシュ政権の登場以来、イラク、イラン、北朝鮮を「悪の枢軸」「圧制の拠点」と呼び、イラク戦争に見られるように、その政権を軍事的に転覆してきたことにある。それのみならず北朝鮮への金融制裁、経済制裁を実施してきた。また小泉政権が、ブッシュ政権と一体で有事法制を成立させ、米軍再編など日米同盟を強化し、北朝鮮への軍事的圧力を強めてきた。日米による戦争挑発こそ問題である。
そもそも問題の根っ子には、アメリカ政府が戦後朝鮮の民族自決権を軍事力で圧殺し、南北分断を強いてきたことがある。それを日本政府が支持し、日米安保条約を結んで核兵器を含む巨大な軍事力で包囲してきたことがある。
マスコミは「ミサイルの脅威」を叫び、意図的に「不安」をあおっているが、この戦後の歴史と今も続くこの現実を省みることはほとんどない。しかも、7発のミサイル以上の兵器をもって、米日韓などが参加して現在行われている環太平洋軍事演習リムパック2006(艦艇40隻、航空機160機、潜水艦6隻)を報道しないのはどういうことなのか。
(4)われわれが、最も憂慮することは、今回の事態によって在日朝鮮人への脅迫・迫害が強まることである。またこの機会に乗じて北朝鮮脅威論が声高に叫ばれ、憲法9条の改悪や米軍再編の動きが加速化されることである。反動的な為政者たちが隣国の軍事的脅威を叫んで、それを口実に軍拡へと走り、その結果として二度の悲惨な世界大戦を招いたことを忘れてはならない。われわれは、この流れに抗して、在日朝鮮人との連帯、また日韓、日朝、日米の労働者・民衆の国際連帯を強化し、北朝鮮への侵略戦争を阻止することをあらためて誓う。
すべての日本の労働者・民衆のみなさんがこの道をともに歩まれることを心から訴える。
2006年7月6日
新潟県労働組合交流センター
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週刊『前進』(2255号5面4)(2006/07/24)
厚木爆音訴訟 国に40億円賠償命令
控訴審判決に300人立つ
7月13日午後、第3次厚木基地爆音訴訟の控訴審判決が東京高裁第10民事部で行われた。大内俊身裁判長は、航空機の爆音被害について、国に40億4076万円の損害賠償を命じた。
この訴訟は、米海軍と海上自衛隊が共同使用する神奈川県の厚木基地(綾瀬市、大和市)の周辺住民計4865人が、耐え難い爆音被害について国の責任を追及してきた裁判である。横浜地裁は02年、救済区域を初めてW値(うるささ指数)75以上に広げ、国に27億円の支払いを命じた。
控訴審判決は1審判決を継承し、過去の被害分(審理を終えた日まで)について賠償を認めたものの、それ以降の「将来の被害」については一審同様に賠償を認めなかった。また、「住宅地域」と同様の騒音被害にさらされていながら「準工業地域」と線引きされた11人の原告の救済も認めなかった。これらの点はまったく不当である。
この日、訴訟団はバス6台で判決公判に結集した。日教組、自治労など支援の労働者も合流し約300人が東京高裁正門前を埋めた。午後1時半過ぎ、弁護士が「住民勝訴」の垂れ幕をもって建物から出てきた。待ち受けていた原告団から大きな拍手が起こった。
判決後、原告団と弁護団は、永田町の社会文化会館で総括集会を開いた。厚木基地爆音防止期成同盟の鈴木保委員長は、判決について「住民の主張を大体聞いてもらえた」と一定評価しつつも、「私たちはもう30年間も裁判を続けている。だが、爆音の実態は少しも改善されていない」と怒りの表情で語った。
第3次訴訟原告団長の真屋求さんは、「一審判決そのままだ。それなら長い時間をかける必要もないだろう。腹の虫が治まらない」と、悔しさを語った。真屋さんは、脳梗塞(こうそく)、白内障などの病に侵されながら原告団の先頭で国の責任を追及してきた。さらに弁護団が、判決への思いをそれぞれ表明した。
厚木基地は、今も平均して1日に100回、米軍機と自衛隊機が爆音をまき散らして飛行している。周辺住民はその都度、会話を中断され、苦痛を強いられている。その中で、米軍と国の責任を追及し、基地包囲や政府・防衛施設庁への抗議行動などを不屈に闘っている。地元住民、労働者と連帯して、米軍再編粉砕、厚木基地撤去へ闘おう。
(写真 裁判所入りする原告団【7月13日 東京高裁】)
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週刊『前進』(2255号6面1)(2006/07/24)
北朝鮮制裁に反対する 外務省の対応は完全に破綻 東京 玉井 純
友人から「戦争の口実を作る国連決議について7月11日、外務省に電話(03・3580・3311)しました。その内容をお伝えします」というメールが転送されてきました。発信元はピーマガ実行委(以下P)さん。以下がメールです。
◇
P「北朝鮮のミサイル訓練はどの国際法に違反しているのですか?」
外務省「平壌宣言や6者協議での合意の精神に違反しているのです」
P「それは国際法ではないですね」
「厳密なものではなくて国際的な道義に違反しているということです」!P「北朝鮮の軍事演習ですが、日本やアメリカのやる軍事演習とどこが違うのですか?」
「程度が違う。今回発射したミサイルは射程が3500`から6000`でアラスカまで達する」
P「それは相手国まで到達する兵器を持つことは相手国に脅威を与えるということですか?」
「そういうことです」
P「射程でいえばアメリカのミサイルや、日本のイージス艦のミサイルは北朝鮮に届きますよね」
「届きますが…」
P「届くのなら同じ脅威じゃないですか?」
「わたしたちは訓練をする時には事前に通告をしています。韓国や台湾などには……」
P「北朝鮮にも事前通告してるんですか?」
「それは……北朝鮮には……そう近くで演習をしないと思いますが私は聞いたことありません」!
P「お互い通告しないんじゃ同じじゃないですか?」
「わたしたちは国際法を守っている」!
P「日本政府が提出している決議案について質問したいんですが」
「その内容については……一部報道はされてますが、内容も決まっていないので質問には一切答えられません」
P「さんざん騒いでいるのに内容を国民に公表しないんですか?」
「それは国際的に調整するものなので、国民に選ばれた政府が国益に則ってやっているので、国民の意見を聞かないということではありません」
P「報道では中国に賛成を迫っている外務省が出ているのに、肝心の決議案が国民に知らされないのはおかしいですね」
「そうですか」
P「マスコミ報道では国連憲章7章に基づく案を出していると言っていますが、この7章には武力行使ものってますね」
「それはのっていますがこう書かないと制裁の効力がなくなるのです」
P「それは経済制裁の加盟国への義務づけということですね。これは加盟国が守らなかったらその国にも制裁を下すということですか?」
「それは…普通はみんな守ると思いますが……」
P「守らない国への制裁の根拠にはなるわけですね」
「そうなります」
P「分かりました。このような決議はイラク戦争と同じことを北朝鮮にすることになります。中国に強要なんかしてないで取りやめて下さい」
「お聞きしておきます」 完全に論理破綻(はたん)してますね。こんな「根拠」で制裁を叫ぶなんて、どうかしてます。
北朝鮮制裁に反対する 9条改憲反対署名を今こそ 東京 Y・S
北朝鮮がミサイル発射実験をする前、「いますぐ発射の兆候は見られない」と言っていた日本政府が発射事件後は瞬く間に独自の「経済制裁」に踏み切り、戦争に突入していこうとしている。
偵察衛星による24時間の監視下に北朝鮮を置いてきた米日帝が燃料の注入時間や性能からミサイルの飛行距離を読めていないわけがないのであって、北朝鮮のミサイル発射を先制攻撃の口実に使っていく政治的意図は明らかなのである。
そもそも空母もなく軍事力・国力に圧倒的差異のある北朝鮮に対してリムパックを行いトランスフォーメーションで軍事的に追い込んでいるのは日米帝の側なのである。イラクでやったように朝鮮の民衆を殺戮(さつりく)し、焦土と化して帝国主義として生き延びようとしているのは日米の側なのである。
私はどこの国であろうが、核武装には絶対反対である。だからこそ、アメリカがやりたい放題に核を使い日本も核武装化を進めておきながらインドやパキスタン、イスラエルなど、利用できるとみた国の核には何も言わずイランや北朝鮮の動きをえじきにして、世界戦争すら引き起こそうとしている帝国主義こそが問題なのである。
情勢は新たな段階に入った。今、排外主義と対決して9条改憲反対署名で民衆を獲得していくチャンスなのである!「経済制裁反対!侵略基地撤去」の大運動を巻きおこそう。
北朝鮮制裁に反対する 経済制裁する政府に制裁を 千葉 西脇 葵
「テポドン騒動」を受けて、千葉県議会ではさっそく北朝鮮非難決議があげられた。内容はミサイル発射への弾劾と、日本政府への真相解明の二本立てである。
この決議に対して、日本共産党がどちらにも賛成、社民党が片方のみ賛成に回り、最後まで反対したのは市民ネットのみなのだ。さらに社民党系や共産党系の「市民団体」が「ミサイル弾劾」を公式に打ち出している事態を本当に弾劾しよう。「経済制裁反対・九条改憲阻止」「戦争挑発の小泉政権打倒!」をどしどし訴えよう!
「テポドン」はあすにでも日本上空に落下してくるかのようにあおられているが、日米演習で北朝鮮のすぐそばまで行って、戦争挑発を繰り返しているのはどこの国だ。H2ロケットに膨大な税金を投入しているのはどこの国だ。
「拉致問題」は連日あおられているが、そのなかでもとくに横田夫婦には正しい批判を加えなければならない。何よりもこの夫婦は経済制裁を要求している。石原慎太郎が「戦争してでも拉致被害者を取り戻す」と言っていることと同じだ。 冷静に考えれば戦争状態が激しくなれば、行方不明者を探すのは極めて困難になる。ここでいうべきことは「ただちに戦争挑発をやめろ」ということしかないのだ。
「拉致被害者を救う会」の運動は完全に逆立ちしているどころか、明白に北朝鮮侵略キャンペーン運動だ。
アメリカのピース・ママとよばれるシンディ・シーハンさんは「自分の息子はテロリストに殺されたのではない。ブッシュよ、息子の死の責任を取らせる」と、すわり込みに決起して全米50万人の支持を得ているのだ。
日本の労働者が労働組合を作り、在日・滞日の仲間を防衛しよう。これにより、日本の労働者は国際連帯の意味をもっと理解できるだろう。そして、経済制裁を発動する小泉・安倍らには人民の手で制裁を。
米軍再編シール投票 市民が圧倒的な反対 岡山 吉田尚子
6月25日、米軍再編への賛否を問う街頭シール投票を行いましたので、その様子をお知らせします。
市民団体「『米軍再編』を考える会」(野田隆三郎代表)が再編問題を市民に知ってもらおうと企画、商店街で買い物客にシール投票を訴えかけました。午後1時から2時間で467人が投票を行い、結果は米軍再編に「反対」が365人、「賛成」は38人、「わからない」が64人でした。
この結果は、私たちにとっても意外なものでした。シール投票をやるにあたって、「わからない」が多数を占め、「米軍再編」に対する危機感が薄いのではないかと思っていたのです。
しかし、多くの市民がビラを見ながら、立ち止まってしばらく真剣に考えながら、「反対」の欄にシールを貼っていくのです。
ある市民は「米軍再編と言っても軍隊の再編であって、戦争をやるための準備としか思えない。平和にはつながらない」と言ってました。
政府・与党が改憲によって戦争のできる国づくりを進めても、この市民の反戦意識を解体しない限り戦争なんてできない。だからこそ「共謀罪」を新設し、教育基本法の改悪を強行しようとしているのです。
8・6ヒロシマ―8・9ナガサキ、そして8・15の闘いは国民の反戦意識の原点を呼び覚ますものとして重要なものとなっています。被爆者の核に対する怒りを我がものとし、侵略戦争絶対反対の闘いを作り上げましょう。
三里塚新コミューン宣言は改憲うち砕く 東京 青井隆也
7・2三里塚全国集会。「私が天神峰で営農し抵抗している価値が出てきた」―きっぱりと言い切る市東孝雄さんの発言に北延伸着工阻止の展望をみた。
動労千葉の田中委員長は、羽仁五郎氏の名言を引いて、動労千葉が非妥協に国家権力やJR当局と攻防を続けている事にふまえ、「三里塚は、国家権力がいかに圧殺してもつぶされないパリ・コミューンだ」と、40年の闘争の意義を述べた。
次々と発言するこの日の反対同盟農民たちは、NAAによる北延伸計画の発表を前にして、ひときわ輝いていた。
私はスタートラインにあらためて立った三里塚闘争を感じた。
「三里塚こそ改憲阻止の砦(とりで)」という合言葉が何よりもそのことを示していた。そうだ。戦後の階級闘争の弱点をこえて、議会での取引ではなく、憲法を労働者・人民の闘う現場に引き戻すことだ。この40年、三里塚は、日々の警察権力・機動隊による生存権を脅かす現実と闘いながら、生活と農地を守ってきた。
三里塚はその実力抵抗闘争をとおして、憲法を実践してきたといえるだろう。紙に書かれた権利も、闘いによってしか守られない。闘いによる強制によってしか、国家権力・支配者は紙に書かない。
自らの運命と一体化して、職を賭して闘う動労千葉をはじめ、全国の労働者人民の生きざまが21世紀の今、この三里塚にある。
かくいう私も、66年三里塚への空港建設の閣議決定、翌67年の全学連・反戦青年委員会の三里塚への登場以来、反対同盟農民とともに闘いを重ね反戦の思想を高めてきた。
三里塚40年の歴史は、動労千葉との労農同盟を生み出し、日本の労働者階級の階級的前進を育んできた。その全総括をかけて北延伸阻止、改憲粉砕に立ち上がろう。
東峰の森の精気は、都会に住む労働者たちにとって、一抹の森林浴を与えてくれた。NAAのこれ以上の自然破壊を許すな。「日本のパリ・コミューンを守れ」
この闘いこそ、改憲攻撃を打ち砕く巨大なハンマーとなるだろう。新たな三里塚闘争を!
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週刊『前進』(2255号6面2)(2006/07/24)
特高警察の復活と対決を
強まる戦時下の治安弾圧
臨時国会で共謀罪を廃案に
勝岡 昌史
共謀罪は、労働者民衆の力によって通常国会での成立が阻止された。秋の臨時国会へ継続審議となったが、今度こそ必ず廃案にしよう。「共謀した」と権力が決めつけ好き勝手に弾圧できる共謀罪。この治安弾圧の究極的武器を絶対に政治警察に渡してはならない。特高警察の復活、監視・密告社会の到来を許すな。
「共謀罪」が警察の人民支配の武器に
戦前・戦中、朝鮮人の民族解放の闘いをはじめ、労働運動・農民運動・学生運動などに対し治安維持法を凶器として残虐な弾圧が行われた。
その推進主体となったのが内務省警保局とその直轄下の特別高等警察(特高)だ。内務省とは、1873年から第2次大戦直後の1947年までの75年間にわたって、治安弾圧から祝祭日の「日の丸」掲揚強制まで内政の全行政権を握った中央官庁で、軍部に次ぐ労働者人民支配の一大国家権力機関だった。警察をはじめ、地方行政、土木、建築、治山、治水、消防交通、著作権、選挙、神社、社会福祉、保険、出入国管理など、今で言えば、国家公安委員会・警察庁・公安調査庁、総務省、厚生労働省、農林水産省、国土交通省などが合わさった巨大な国家暴力装置・官僚機構である。隣組制度は内務省がつくり、そのもとで発動された。
第2次大戦後、戦後革命期の過程で内務省はGHQによって解体されたが、特高警察の旧体質は警察機構の中に温存された。その後、幾度もの警察法改悪を経て、1994年の朝鮮侵略戦争切迫情勢下、「地域警察」を掲げた警察庁「生活安全局」の新設を契機に、警察権力が人民を直接支配するかつての内務省型警察、戦時型治安体制へ大きく動き出した。
首切り・不安定雇用・低賃金・労働強化の大攻撃に対し、労働者階級の怒りは必ず爆発する。これに恐怖する日帝支配階級は、プロレタリアートの決起を事前に抑え込む予防反革命体制の確立に躍起となっている。
03年米帝のイラク侵略戦争への突入のなかで、自衛隊のイラク派兵が強行され、同時に、民営化・労組破壊攻撃が激化した。それと連動して日帝権力は、「治安強化に関する緊急提言」を皮切りに一連の治安戦略を矢継ぎ早にうち出した。03年を「治安回復元年」とし「5年で治安の危機的現状を脱する」と宣言して一大階級戦争にうって出てきた。
国家公務員と自治体労働者に対する大量の首切り・リストラ、自治労解体の攻撃。他方で警察など治安関係職員の削減計画「別枠」扱い、警察官・検察官や入管職員・刑務所職員の大幅増員、警察留置場(代用監獄)・刑務所・入管収容所の増強、共謀罪など治安弾圧関連法の新設・大改悪……。「総合的な治安対策の推進」と称して戦争国家づくりと表裏一体の戦時治安体制づくりが大がかりに開始されている。
3・14法政大弾圧や都立高校卒入学式時のビラまき弾圧のように、教育現場における特高体質むきだしの公安警察の政治弾圧は、「現代の治安維持法」=共謀罪の先取り攻撃だ。
(写真 共謀罪審議の山場、6月2日の国会前。大勢の労働者・学生が、集まり採決を阻止した)
相互監視と密告の社会の再来を狙う
同時に、警察による地域住民の反動的組織化が進行している。「安全で安心して暮らせる社会の実現」というふれこみで、現代版の隣組制度を全国に張りめぐらせようとしているのだ。
戦前の隣組制度とはどのようなものだったのか。
15年アジア・太平洋戦争の過程で、戦争への住民総動員末端機関として内務省のもとで120万の隣組と1万9000の町内会・部落会がつくられた。これらは、生活必需物資の配給、国債・貯金、勤労奉仕、防火・防空訓練、兵士・遺骨の送迎など、地域住民の生殺与奪権を握り、国家の戦争遂行政策を強制し、国家に住民を隷属させる組織だった。
日帝は憲兵と特高、治安維持法・国家保安法や隣組制度を駆使して反政府の言動を抑圧し、被抑圧民族人民や労働者階級人民を徹底的に弾圧した。「友達同士の間でしゃべったとしても、それは立派なスパイ行為になる」(元陸軍憲兵隊長・坂本俊馬 『機械化』21号、1942年8月)、「間諜(スパイ)は汽車に電車に井戸端に」(「防諜」標語)と、住民が互いに話し合うことさえも犯罪視し禁圧して、相互分断・監視、密告奨励の暗黒社会の中にたたき込んでいった。「日本は必ず負ける」などと真実を言っただけで密告され特高に逮捕・勾留された例は無数にある。共謀罪が成立すれば、この再現となることは明らかだ。
今日、国家権力は「住民みずからが参加する防犯システムの構築」を呼号し、警察庁生活安全局のもとで、自治体・自治会・企業・民間ボランティアなどを自警団として警察の末端機関に組織し警察活動に組み込むことを推し進めている(2004年末段階で8000団体、参加者52万人。警察OBらをリーダーに)。この自警団は、制服とヘルメットを着用し、塩ビ製パイプを持ち、拡声器や投光器を備えた白と黒のパトカーで地域巡回している。1923年の関東大震災時に朝鮮人虐殺の歴史的重大犯罪を犯したのが自警団であったことを絶対に忘れてはならない。
警察・防犯協会は、自治体を動かして「生活安全条例」を1500以上の都道府県市町村で制定させた。路上喫煙、つきまとい・勧誘、鉄パイプ・バット等所持……。これらを条例「違反」として「摘発」し行政罰を強制する。警察・自治体・自警団がぐるになって繁華街や駅や学校や路上などいたる所で目を光らせ警察活動を行う。現役警察・警察OBが主導する「防犯指導隊」をはじめ「買い物パトロール」など警察による地域住民の組織化が急速に広がっている。
住民を「警察の目と耳」に仕立て上げようとしているのだ。これらの動きは、労働者人民のビラまき・街頭宣伝・選挙活動など正当な政治行動に対する警察の弾圧体制を一層強めていく。北朝鮮・中国侵略戦争の急切迫のなかで、「国民保護計画」などをもとにした住民の戦争動員攻撃も激化している。
政治警察と対決し共謀罪絶対阻止へ
ハイテク技術を悪用した超管理・監視体系が全国に拡大している。
@今春国会成立の改悪入管法(07年施行)をとおした出入国時の指紋・顔写真・個人情報の獲得・データベース化。A監視カメラ・顔認証システム(5月に東京の地下鉄霞ケ関駅で実験が行われた)などを使った個人の識別・移動掌握。BNシステム・ETCを使った車両の識別・移動捕捉。C山口県美弥(みね)新設刑務所での受刑者へのICタグ強制着用をとおした集中監視実験。D住民基本台帳ネットワークの拡大および住基票カード常時携帯制導入の策動……。
実行行為がなくても話し合っただけで罪になる共謀罪は、警察による従来型尾行・張り込みの徹底的強化とともに、これらのハイテク監視システムの全面的取り込み・乱用をもたらすにちがいない。また、携帯電話・室内盗聴や電子メールの保全・リアルタイム盗聴を含む警察による盗聴が横行するだろう。共謀罪には「自首減免」規定がある。組織の一網打尽的弾圧を意図した警察のスパイ潜入策動は必至だ。「泳がせ捜査」「おとり捜査」「司法取引」などの導入にもつながっていく。共謀罪の成立は、すさまじい警察国家・監視社会・密告社会を到来させる。
だがこれらは腐朽し死滅しつつある帝国主義の末期的姿だ。危機にあえぐ帝国主義を打倒する革命的情勢が到来している。法大闘争は、政治警察の大弾圧をはねのけ、改憲阻止の大運動の最先頭に躍り出た。どんな弾圧も恐れず、闘いの先頭で闘い抜くならば、必ず勝利できる。改憲阻止決戦と一体で巨万の労働者階級民衆の決起を実現させ、共謀罪を絶対に廃案にしよう。
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週刊『前進』(2255号6面3)(2006/07/24)
獄中の星野文昭さんに暑中見舞を出そう
1971年の安保・沖縄闘争を闘った星野文昭さんがデッチあげ「殺人罪」で逮捕されて以来、31年間。「無期懲役」判決を受けた星野さんは今、徳島刑務所で再審をめざして闘っています。最近ようやく星野さんへの手紙が届くようになりました。ぜひ星野さんに、暑中見舞いや激励・連帯の手紙を送って下さい。
(送り先)〒779−3133 徳島市入田町大久200-1 星野文昭様(星野さんからの発信は制限されています。)
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週刊『前進』(2255号6面4)(2006/07/24)
安藤登志子さんが逝去
杉並 生前しのびお別れ会
生涯闘いを貫いた安藤さんとお別れする会には多くの人が、駆けつけた(7月9日 杉並)
介護と福祉を要求する杉並住民の会の運営委員で北富士闘争連絡会の安藤登志子さんが7月5日未明、急逝された。享年89歳。6月18日に杉並住民の会の地域懇談会に参加しての帰途、路上で転倒して骨折し、入院していた。手術も成功し、4日にリハビリを開始した矢先、未明に容体が急変し、肺塞栓(はいそくせん)で亡くなられた。
7月9日午後、杉並の堀之内斎場で安藤登志子さんとお別れする会がもたれた。約90人が故人を偲(しの)んで参列し、会場からあふれる状態になった。
途中、安藤さんの棺に遺族を先頭に参加者が次々と花を飾り、合掌して火葬を見送った。会場に戻ってあいさつや弔電の披露、思い出が語られた。最後に参列者全員が次々と遺骨を拾って、安藤さんに別れを告げた。
お別れする会では友人を代表し長谷川英憲さんが司会を務めた。最初に安藤さんの生家のある伊豆から参列した遺族の人たちが紹介され、杉並住民の会代表の八木ケ谷妙子さんがあいさつした。たくさんの人の参加に感謝を述べ、「楽になったでしょう。ご苦労様でした」と安藤さんをねぎらった。
安藤さんは後半生の中で北富士闘争に全力を傾けて闘ってきた。その北富士から忍草母の会事務局長の天野美恵さんが駆けつけた。安藤さんが最初に北富士の第一の小屋の座り込み現場に来た時の思い出を語り、「日本にこんな農民の闘いがあるのかととりこになって、北富士の本を3冊書いてくれました。北富士の闘いが歴史に残ったのは安藤さんのおかげ」と述べた。
沖縄民権の会代表の座覇光子さんは「安藤さんと会って、なぜヤマトンチュが沖縄のことにこんなに熱心に取り組んでいるのかと思った。安藤さんのように生きられたらいいなというのが今の心境」と語った。杉並住民の会の高田普次夫さんは「一生涯を通じてまっすぐ自分の道を歩いた人」とたたえた。
婦人民主クラブ全国協議会代表で相模原市議の西村綾子さん、『野火』編集・発行人の桜井善作さん、反戦共同行動委事務局長の三角忠さんらが次々と思い出や感謝の気持ちを述べた。
漢方診断室で一緒だった人たち、石油化学新聞でともに働いた人、配炭公団時代にともに闘った人、介護に携わった事業所の人などから、包容力があって優しかった安藤さんの思い出が語られた。
三里塚反対同盟などから弔電が寄せられ、北原鉱治事務局長の弔電が紹介された。
都政を革新する会の新城節子区議は、安藤さんが民衆の闘いこそ今の世の中を変える一番の原動力だという信念を持っていたことを紹介し、安藤さんの遺志を継いで闘うことを誓った。
遺族からは、「こんなにいい人たちに囲まれていたことを知り安心しました」とお礼の言葉が述べられた。
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