ZENSHIN 2006/07/17(No2254
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週刊『前進』(2254号1面1)(2006/07/17)
憲法9条を絶対変えるな
職場・街頭で大運動を
改憲は戦争と徴兵制の道
7・30革共同集会に結集しよう
三里塚闘争40年、北延伸絶対阻止へ熱気
集会をかちとり、こぶLを上げる910人の参加者(7月2日 成田市)=記事4面
戦争・改憲と民営化(労組破壊)の攻撃に総反撃する今秋11月の労働者大結集に向け、本格的に闘いをスタートさせることを訴えたい。その軸をなす当面最重要の闘いは、憲法闘争としての憲法闘争に全力で着手し、職場・街頭で署名を中心に9条改憲阻止の大運動を巻き起こすことだ。改憲阻止闘争を教労、自治体、全逓、国鉄の4大産別決戦の前進と固く結合して、大胆に創造することだ。それが11月の大高揚と今秋臨時国会闘争の勝利を押し開く。このただ中で、8・6広島―8・9長崎反戦反核闘争と8・15靖国闘争の勝利のために総決起しよう。7・30革共同集会を成功させ夏秋決戦に進もう。
第1章 日帝の統治形態を転換
憲法闘争の中心スローガンは9条改憲阻止(憲法9条を変えるな!)だ。これは労働者階級人民が日本帝国主義の侵略と戦争への道を再び絶対に許さないという、きわめて階級的で大衆的なスローガンである。
9条改憲の攻撃には、日帝が改憲=新憲法制定にかける意図と狙いが集約されている。日帝は今、戦争放棄と戦力不保持・交戦権否認を宣言した9条を解体して、敗戦帝国主義から侵略帝国主義へと国家の統治形態を転換し、再び帝国主義侵略戦争―世界戦争の道に突き進もうと、攻撃を本格化させている。9条改憲とは戦争だ。日帝が「普通の国」=戦争国家となり、徴兵制や学徒出陣の世の中が、またやってくるという攻撃だ。
具体的に見てみよう。05年10月28日発表の自民党新憲法草案は、現行憲法第2章「戦争の放棄」を「安全保障」に変え、第9条2項の「陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権はこれを認めない」を撤廃し、「自衛軍の保持」を規定している。この「自衛軍」こそは「我が国の平和と独立並びに国及び国民の安全を確保する」「国際社会の平和と安全を確保するために国際的に協調して行われる活動及び緊急事態における公の秩序を維持」するなどと称して、実際に戦争をやる軍隊なのだ。
戦前も戦後も、これまで帝国主義のすべての戦争は「自衛」の名によって行われてきた。1928年に締結されたパリ不戦条約が「自衛のための戦争」を禁止対象から外し、帝国主義国が競って軍拡に走り、「自衛権」「生存権」を振りかざして第2次世界大戦に突き進んだことは、歴史の痛切な教訓だ。それゆえ憲法9条が第1項で「国際紛争を解決する手段としては」戦争を永久に放棄すると規定しているだけでなく、第2項で戦力の不保持と交戦権の否認を宣言していることは重大な意味があるのだ。
ところが自民党は新憲法草案で2項を撤廃し「自衛軍の保持」を規定した。これは日帝が「我が国の平和と独立」とか「国民の安全」とか「国際社会の平和と安全」を口実に、再び北朝鮮・中国―アジア、イラク・中東、そして全世界で帝国主義的侵略戦争をやるための攻撃である。
すでに日帝・自衛隊は01年9・11反米ゲリラ戦争以降、米帝国主義の「対テロ戦争」の名による帝国主義的侵略戦争に参戦し、アフガニスタン―インド洋に海自艦隊を、イラク多国籍軍に陸自と空自を大規模に派兵し、米軍との共同作戦(後方支援)を積み重ねてきた。それはすでに憲法9条の規定を実質的に完全にはみ出している。
すでに自民党は、船田憲法調査会長や石破元防衛庁長官が、9条1項「戦争の放棄」が残っていては集団的自衛権は行使できないとの憲法解釈が維持される恐れがあるとして、第1項の見直しをも公言している。現実と憲法の矛盾を反革命的に突破するため、9条を完全に撤廃し、「戦争条項」に変えるのが日帝・自民党の狙いなのだ。
第2章 労働者の闘いの血と汗
現行憲法は帝国主義の軍事力保持とその行使を全面否認している点で、世界のブルジョア憲法の中でも特異な存在だ。そこには労働者階級の「戦争は絶対に嫌だ」「2度と繰り返してはならない」という意志と、戦後革命以来の闘いの血と汗が凝縮している。
日帝はアジア人民2000万人を虐殺し、日本人310万人を犠牲にした第2次大戦―アジア・太平洋戦争に惨敗し、国家として一度は崩壊した。この危機をついて日本の労働者階級はアジア人民の民族解放闘争と連帯しつつ、戦後革命に猛然と決起した。生産管理闘争を軸とした労働者の革命的決起は、46年4〜5月の政治危機(1カ月の政治空白)の過程と、47年2・1ゼネストへの高揚の過程という、二つの決定的山場があった。あと一歩で労働者が権力を掌握するところまで闘いは激発した。
しかし米占領軍を「解放軍」と規定した日本共産党スターリン主義の屈服・裏切りによって2・1ゼネストは挫折し、戦後革命は敗北するにいたる。だが日帝はよほど徹底した譲歩をしない限り、革命の波を圧殺して延命することは不可能だった。その産物がGHQ・米占領軍と吉田茂ら日帝ブルジョアジーの主導による現行憲法(とりわけ第9条)であり、天皇制ボナパルティズムから議会制民主主義への統治形態の転換だった。この意味で憲法9条こそは戦後革命とその敗北が生み出したものなのだ。
労働者の戦後革命の空前の高揚は、9条と並ぶ憲法のもう一つの柱である基本的人権の諸条項にも体現されている。さまざまな自由と権利によって構成される基本的人権は、実に「侵すことのできない永久の権利」(11条、97条)と宣言され、特に25条では人民の生存権と国家の社会保障の義務が、28条では団結権・団体交渉権・団体行動権という労働3権の保障が、何の留保もつけずに規定されている。これも憲法の歴史的に特殊な地平を示して余りある。
米占領軍の武力を背景に、戦後革命をなんとか圧殺し延命した日帝は、憲法体制と日米安保と高度成長政策でブルジョア的復興・発展の過程をたどった。しかしそのもとで労働者は、日帝の執拗(しつよう)な改憲策動との闘いを続けてきた。
敗戦から10年、憲法改悪を公言して首相となった鳩山一郎の改憲攻撃に対する大反対運動を始め、60年安保も、70年安保も、その闘いの根底には、改憲と戦争への道を阻止するという労働者人民の強い意志とエネルギーの爆発があった。
そして74〜75年恐慌を転機に日帝の戦後発展が基本的に終焉(しゅうえん)し、体制的危機に突入する中で、80年代の半ば、日帝・中曽根政権は第2臨調(土光臨調)を押し立て、行政改革―国鉄分割・民営化の大攻撃を強行してきた。
中曽根はその攻撃の目的を「国労が崩壊すれば総評も社会党も崩壊する」「行政改革で大掃除をして、お座敷をきれいにし、立派な憲法を安置する」と公言した。まさに国鉄分割・民営化との闘いも、根底に改憲攻撃との対決があったのだ。
国鉄分割・民営化に対し、動労千葉は2波のストライキでこれと闘い、組合を守った。そして今も国鉄1047名闘争の最先頭で闘い、反合・運転保安闘争での新たな地平を切り開いている。
第3章 連合の改憲勢力化阻止
帝国主義の体制的危機と破産が深まる中で、ブルジョアジー(財界)の総本山である日本経団連は、05年1月に「わが国の基本問題を考える」と「これからの教育の方向性に関する提言」で、憲法9条撤廃と教育基本法改悪を公然と要求した。ここに小泉政権のもとで改憲攻撃は完全に本格化した。そして総評解体により成立した連合は、日本経団連に屈服・対応する形で06年1・19の中執見解を出し、「質の高い公共サービス」論で公務員制度改革攻撃を容認すると同時に、改憲のための国民投票法案に賛成した。これは連合と自治労、日教組を改憲勢力化するための許しがたい策動である。
日帝は小泉=奥田の構造改革路線のもと、5年間にわたり戦争と民営化・規制緩和、労組破壊の攻撃を激化させてきた。トヨタを始めとする大銀行・大企業、すなわち金融独占ブルジョアジーが空前の利益をむさぼる一方で、労働者は無慈悲にリストラされ、不安定雇用化や賃下げ、極限的な格差拡大、社会保障削減にあえぎ、食べられない、生活できない状態を広範に強いられている。まさに帝国主義の外への侵略戦争、内への階級戦争の攻撃が小泉政権のもとで吹き荒れた。
ブッシュと小泉は今や日米枢軸を形成し、米軍再編で「地球規模の軍事協力」をうたい、北朝鮮・中国侵略戦争と世界戦争に突き進んでいる。
憲法9条には労働者階級の戦後革命以来の闘いの血と汗が結晶している。だから労働者階級は改憲攻撃と戦争(戦争動員)を絶対に許さない存在である。改憲阻止決戦は、戦争か革命かをかけた闘いだ。体制的に破産している日帝の打倒=プロレタリア革命を、現実に切り開く闘いだ。その主力は労働者である。特に4大産別の労働者だ。闘いの勝敗は連合をめぐる攻防、とりわけ自治労、日教組の改憲勢力化阻止にかかっている。
9条改憲阻止を訴えないで「平和基本法」の制定を要求する連合・平和フォーラムでは、戦争や徴兵制と絶対に闘えない。改憲を準備する国民投票法案に反対せず、日帝の「自衛権」を容認するスターリン主義の日本共産党は、9条改憲阻止での広範な統一戦線の要求に敵対し、労働者人民を裏切っている。
小沢・民主党や高木・連合中央は、改憲や教基法改悪の反動的内容を日帝・自民党と競い合っている。それらの敵対をぶっ飛ばし、今こそ職場・生産点で9条改憲反対の大運動を巻き起こす時だ。職場ごと、組合ごとの決起をぜひともかちとろう。さらに街頭とキャンパスにどんどん打って出よう。学生は法政大を先頭に、改憲阻止の全国ゼネストに突き進もう。9条改憲阻止の大運動を前進させ、今秋臨時国会闘争の勝利と11月大結集の展望を押し開こう。
8・6広島―8・9長崎反戦反核闘争、8・15靖国闘争は、9条改憲阻止と一体をなす最重要の闘いだ。全力で大爆発をかちとろう。
最後に、7・30革共同集会に大結集し、一時金カンパ闘争に勝利して、夏秋決戦に圧倒的に進撃することを訴えたい。
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週刊『前進』(2254号1面2)(2006/07/17)
北朝鮮のミサイル実験を口実とした 米日帝の経済制裁発動と侵略戦争策動を弾劾する
北朝鮮の体制転覆狙う米日
北朝鮮スターリン主義・金正日政権は7月5、6日、ミサイル発射実験を強行した。
これに対して日帝・小泉政権は激しく反応し、5日早朝から安全保障会議を開き、万景峰(マンギョンボン)号の半年間入港禁止など12項目の制裁措置を決めた。さらに国連安保理の開催を要請し、北朝鮮に対する非難決議と経済制裁の発動に向け、米英帝と組んで中心的に策動している。
この問題で、われわれがまず何よりもはっきりさせるべきことは、北朝鮮・金正日政権に戦争重圧を強め、軍事的に挑発し、侵略戦争と体制転覆をやろうとしているのは米・日帝国主義の側だということである。
そして、北朝鮮スターリン主義のそれ自身は反人民的なミサイル実験を絶好の口実とした、米日帝の経済制裁発動と侵略戦争策動を徹底弾劾して、今こそ闘わなければならないということだ。
そもそも米帝は02年の大統領一般教書以来、北朝鮮をイラク・イランなどとともに「悪の枢軸」と呼び、体制転覆を準備してきた。すでに北朝鮮の関係する銀行と米金融機関との取引を停止し、北朝鮮を経済的に締め上げている。日本政府は食料援助を停止し、北朝鮮を圧迫し、人民を飢餓で苦しめている。
米軍は6月19〜22日にグアム島沖で、北朝鮮と中国をにらみ、この10年間で最大規模の大演習を行った。実に三つの空母機動部隊が参加した。これ自体がすさまじい戦争挑発ではないか。
そして6・29日米首脳会談では「21世紀の新しい日米同盟」「地球的規模の軍事協力」をうたい、米軍再編の推進を合意し、北朝鮮については特に時間を割いて協議し圧力強化で一致した。
このような、北朝鮮への米日帝のすさまじい重圧と侵略戦争策動こそが、北朝鮮をぎりぎりと追い詰めている。そこからの反人民的な対抗策がミサイル発射だった。しかし米日帝はそれをも絶好の口実に、いま実際に北朝鮮侵略戦争を発動しようとしているのだ。
考えてもみよ。北朝鮮の経済力はGDP(国内総生産)でアメリカの600分の1、日本の300分の1だ。軍事費ではアメリカの200分の1、日本の20分の1だ。そもそも米帝は、何千発、何万発ものミサイルや核兵器を持っている。
また、近代の歴史を見れば、日清・日露戦争を始めとして、侵略戦争を仕掛け、植民地支配を行ってきたのは常に日本帝国主義の側だ。しかも日帝は今日に至るまで数十万人の朝鮮人民の虐殺、強制連行、強制労働、資源と土地の強奪、軍隊慰安婦問題などの国家的大犯罪に対する謝罪も賠償も行っていない。
このような米日帝が声高に叫ぶ「北朝鮮の脅威」など、再び侵略戦争を発動するための排外主義的な口実でしかない。
確かに「拉致」問題にせよ、ミサイル発射実験にせよ、北朝鮮スターリン主義が行っていることはまったく反人民的であり、許されない。
労働者の国際連帯で闘おう
しかし、だからと言って帝国主義による経済制裁や戦争が許されるか。断じて否だ。それでは何も解決しない。問題は何よりも、米日帝による北朝鮮への体制転覆と侵略戦争の策動にある。それを阻止するために闘うことこそが、日米を始めとした国際労働者階級の差し迫った任務である。
「圧制者フセインの打倒、イラクの解放」を声高に叫んでイラクに攻め込んだアメリカがやってきたことは何か。女性や子どもを含むイラク人民の大虐殺であり、石油資源の略奪ではないか。米日帝はイラクでやったことを、今度は朝鮮でやろうとしているのだ。
「拉致」問題も解決どころか、日帝はこれを絶好の口実に、9条改憲や侵略戦争体制を構築しようとしているのだ。
反人民的な金正日のスターリン主義体制を打倒するのは、帝国主義では断じてなく、南北朝鮮人民自身の決起である。
日本の労働者階級の課題は、闘う朝鮮人民と連帯して、米日帝の朝鮮侵略戦争阻止、戦争の元凶である日米帝国主義の打倒へ闘うことだ。
在日朝鮮人民に対する襲撃・迫害を絶対に許すな。北朝鮮への排外主義の嵐を粉砕せよ。今こそ9条改憲阻止、米軍再編粉砕・朝鮮侵略戦争阻止へ闘おう。8月広島―長崎、8・15小泉靖国参拝阻止に決起しよう。
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週刊『前進』(2254号2面1)(2006/07/17)
教育基本法改悪阻止 全国で反対運動広げよう
「君が代」被処分者先頭に8・6ヒロシマに大結集を
革共同教育労働者委員会
教育基本法改悪案は政府案・民主党案ともに継続審議となり、勝負は今秋臨時国会に持ち越された。通常国会終盤に教基法改悪案、国民投票法案、防衛庁「省」昇格法案が立て続けに国会に提出されたことにより、今秋臨時国会は、共謀罪を加えて「4大改憲法案」と言うべき重大法案をめぐる改憲阻止の正念場となった。教育基本法改悪反対運動の到達点と課題を踏まえて、現下の階級情勢を直視し、臨時国会に向けて教基法改悪阻止の展望と路線を明確にしていこう。
現場組合員の危機感と怒りが本部を突き上げ
改憲攻撃の本丸と言うべき4大改憲法案の国会提出、米軍再編と日米安保の世界戦争枢軸化、郵政に続いて公務部門を襲う民営化攻撃、労基法を形骸(けいがい)化し労働組合を解体する労働契約法制――政府・自民党は今まさに国家と社会のあり方を大転換させようとしている。
(写真 全国連絡会主催の5・26国会前集会で、東京の被処分者と全国の日教組組合員が大合流した)
帝国主義間争闘戦の激化は、軍事力を行使できる帝国主義への大転換を日帝に迫っている。非正規雇用化と社会保障の解体は、労働者階級を〈闘わなければ生きられない〉状態に追いやっている。対外侵略戦争に向けた国民精神総動員のためにも、階級対立を鎮圧して国民統合を図る国内治安政策としても、教基法改悪は日本帝国主義の延命をかけた死活的課題である。改憲攻撃は、それら一切合切の攻撃の総集約として、体制選択=革命の問題を労働者階級に突きつけている。
他方、階級闘争は、歴史的な高揚局面に突入している。共謀罪反対闘争は、60年安保の導水路となった警職法闘争を彷彿(ほうふつ)とさせる高揚を示した。法政大大弾圧と退学処分が学生運動爆発の引き金となって、全国学生ゼネストを引き寄せている。動労千葉は、労働運動の戦闘的・階級的再生の道を切り開く反合・運転保安闘争を闘いぬいた。
そして教基法改悪に対して、全国各地の教育労働者が反撃に立った。日教組の国会前座り込みは、北海道教組の自主動員によって本部の思惑を超えて戦闘化し、全国各地で数千人規模の教基法改悪反対集会がかちとられている。4大産別を先頭とする改憲阻止決戦は、ここにその火蓋(ひぶた)を切ったのだ。
4月までは「調査会設置」「慎重審議」を要求するだけだった日教組本部をして、まがりなりにも「政府案廃案」を掲げた国会闘争に立たせたものは、愛国心教育を強制する教基法改悪案に対する現場組合員の根底的な怒りと危機感だった。
「日の丸・君が代」不起立闘争と「教基法の改悪をとめよう!全国連絡会」の運動こそ、教基法改悪反対闘争の高揚を生み出す原動力となった。
東京の処分覚悟の「日の丸・君が代」不起立闘争は、全国の組合員の日教組魂を呼び覚まし、巨大な共感と連帯の輪を生み出した。3年間にわたる不起立闘争は、本部の屈服指示を突き破り、のべ345人の大量処分を受けながら発展してきた。組合大会で処分撤回闘争を組合の課題に押し上げ、役員選挙で執行部に被処分者を送り込み、闘う日教組再生に向けた拠点をつくり出してきた。その先頭で首をも賭けて闘い続ける被処分者が戦列を鼓舞している。
被処分者たちは、都教委・横山洋吉前教育長を始めとする「日の丸・君が代」強制と処分の下手人を法廷に引きずりだし、教基法・憲法違反を徹底追及してきた。自ら全国連絡会運動の中軸を担い、都高教・東京教組を結集させてきた。そして国会前に駆けつけ、北教組とともに座り込み闘争を闘ってきた。
また、「日の丸・君が代」闘争を「教基法改悪の先取りへの抵抗闘争であり、教基法改悪阻止の闘いそのもの」と位置づけてきた全国連絡会が、改悪反対運動を大きく広げてきた。その運動の広がりにより、日教組本部は、アリバイ的にも「ストップ!教育基本法改悪実行委」運動を展開せざるをえなくなり、5・27全国集会には本部の動員を上回る組合員が結集して5000人集会が実現された。こうして日教組本部が教基法闘争に引きずり込まれてきたのだ。
民主改悪案を容認した日教組本部の大裏切り
小泉「改革」が生み出した階級対立の激化に、労働者の怒りが噴き出している。ライブドアや村上ファンドなど小泉「改革」で私腹をこやす者たちの正体が暴かれ、政治危機に発展しかねない事態となっている。この巨大な階級的怒りが、与党が衆院の3分の2議席を独占する翼賛国会の運営をも左右し、小泉は通常国会で行革推進法・市場化テスト法を成立させたものの、教基法改悪や共謀罪、国民投票法は先送りせざるを得なかった。
小泉は、靖国神社参拝やミサイル・拉致問題を通じて中国や北朝鮮に対する緊張と排外主義をあおり立て、そのことによって危機をのりきろうとしている。小泉の度重なる靖国参拝は、国のために命を投げ出させるという狙いにおいて、教基法改悪の核心と完全に重なっている。愛国主義的世論をあおり、臨時国会での教基法改悪案などの改憲法案を強行突破しようとしているのだ。
これに対して小沢・民主党は、〈格差社会〉の現実に噴き出す労働者の怒りを取り込むことを狙って、小泉・自民党への徹底対決姿勢を強めた。そして連合中央は小沢と歩調を合わせ、「格差是正の反転攻勢」などと称して、構造改革への労働者の怒りを「政権交代」=参院選での民主党支援へと流し込もうとしている。労働運動を資本家政党の尻尾に結びつけ、丸ごと改憲勢力化しようとする連合を断じて許すわけにはいかない。連合中央と日教組本部の大裏切りを徹底弾劾して闘うことが死活的テーマである。
日教組本部の方針は、民主党案批判を「禁句」としつつ、「政府案反対・慎重審議で一致する野党共闘」で臨時国会を闘い、日政連議員・神本美恵子の参院選再選に全力をあげるというとんでもないものである。
民主党の改悪案は、与党改悪案の「不十分さ」に不満を抱く日本会議や超党派の教育基本法改正促進委員会の3点の修正要求――「愛国心」と「宗教的情操の涵養(かんよう)」の明記、現行法10条の「教育は、不当な支配に服することなく」の削除――を取り入れて、促進委員会の最高顧問(つまり改悪運動の中心人物)の西岡武夫がまとめたものだ。「慎重審議」の出口は、政府案に民主党案を取り入れた、さらにひどい改悪案の修正成立しか意味しない。日教組の存立基盤とも言える教育基本法が改悪されるという超重大事態に対して反対運動を投げ捨てているこの現実こそ、日教組の改憲推進勢力への大転落を意味する。
組合員はこんなペテンをけっして許さない。6月22日の日教組中央委員会では、北教組や都高教を始め10県から民主党案撤回や反対の修正案、 「調査会設置要求ではなく改悪反対署名に取り組め」という修正案などが出された。民主党案は連合の最弱点であり、「政府案も民主党案も廃案に」という闘いは、連合・民主党路線をぶっ飛ばしていく突破口だ。
この分岐を徹底的に促進・拡大し、「日の丸・君が代」闘争を軸に〈対決・阻止・抵抗〉の闘いを復権し、教育の権力支配と闘う日教組運動を再生しよう。人事評価制度や主幹制度などの管理強化に対する職場抵抗闘争を構築し、これと結合して政治闘争、国会闘争への決起をつくり出した時、教基法闘争のさらに巨大な発展が始まる。教育基本法改悪を阻止することこそ、9条改憲を阻止する最大の力である。
職場闘争を巻き起こし今秋臨時国会へ!
改憲翼賛体制づくりの攻撃をうち破っていく道は、4大産別決戦と改憲阻止決戦の一体的爆発であり、戦争と民営化と闘う労働運動の再生だ。
動労千葉は外注化攻撃をJR東日本管内で唯一阻止し、「闘いなくして安全なし」を貫く安全運転闘争を展開し、事故の責任を組合員に転嫁することを許さず、処分をはね返している。この闘いは、規制緩和・民営化攻撃と闘う道を指し示している。「動労千葉の労働運動」を4大産別の職場生産点において創造し、この闘いと結合して臨時国会を包囲する改憲阻止闘争をつくり出していくことこそ、連合の改憲勢力化を打ち破る道だ。
職場と国会を結んで臨時国会闘争を闘い、労働組合が主体となった改憲阻止闘争の跳躍台として11月労働者1万人総決起をかちとろう。
動労千葉の闘いに連なる職場からの戦争協力拒否闘争こそ「日の丸・君が代」闘争だ。この闘いは、改悪教基法への不服従闘争の先駆でもある。「日の丸・君が代」強制と体を張って闘う被処分者は、教基法闘争に魂を吹き込み、勝利の道をさし示す歴史的使命を負っている。被処分者こそ、職場で改悪反対を訴え、職場から国会闘争への決起をつくり出そう。
教基法改悪を阻止するカギは、「日の丸・君が代」闘争と教基法闘争の本格的合流の実現だ。それは、07年卒・入学式闘争での不起立闘争のさらなる全国的拡大を準備する闘いでもある。北九州、広島、東京に続いて新潟県教委が不起立処分に踏み出し、全国で初めて自己申告書不提出者を処分する暴挙を行った埼玉県教委は「日の丸・君が代」でも不起立者への「処分を視野に入れた対応」を公言している。07年卒・入学式闘争は掛け値なしの大決戦である。
被爆61周年の8・6ヒロシマは教基法改悪・改憲切迫下の闘いとなった。連合・核禁会議が共催する原水禁大会の憲法問題のスローガンは「平和基本法をつくろう」である。原水禁運動の翼賛化を突き破る反戦・反核・反侵略の新潮流運動として「8・6ヒロシマ大行動」に結集しよう。
一昨年来、現場組合員による「日の丸・君が代」全国統一闘争の起点となってきたのが、東京と広島の被処分者が呼びかけた教育労働者全国交流集会だ。「日の丸・君が代」強制と闘う教育労働者こそ、闘う日教組再生の主人公だ。今年の8・5交流集会を、教基法改悪を阻止する臨時国会決戦へ向けた総決起集会としてかちとろう。
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週刊『前進』(2254号2面2)(2006/07/17)
国家公務員「5.7%純減」計画
大量首切りに反撃を
6月30日、小泉内閣は国家公務員定数を今後5年間で5・7%純減する計画を閣議決定した。先の通常国会で成立した行革推進法は、今後5年間で国家公務員の定数を5%以上、地方公務員の定数を4・6%以上純減すると定めている。小泉は、ポスト小泉をも縛る計画として、その具体化に踏み込んできたのだ。
先の国会で小泉は、労働者の怒りに押され、共謀罪や教育基本法改悪案、改憲のための国民投票法案などを押し通せなかった。そうした危機に追いつめられながらも、小泉政権は「経済・財政一体改革」を叫び立て、ひたすら公務員労働者に攻撃を集中させている。
そして、ミサイル発射を口実に北朝鮮への制裁発動に踏み切り、米帝とともに侵略戦争に突き進もうとしているのだ。ますます強まる戦争・改憲攻撃のただ中で打ち出された公務員削減計画は、首切りの恫喝で公務員労働運動を解体し、国家のあり方を侵略戦争遂行を主軸とするものにつくりかえる攻撃だ。公務員削減との闘いは、改憲を阻む闘いそのものなのだ。
閣議決定された計画は、05年度末に33万2034人だった国の行政機関の定員を、2010年度までの5年間に1万8936人以上純減すると定めている。そのために新規採用を34%抑制し、2908人を配置転換するというのである。
閣議決定を受けて開かれた「国家公務員雇用調整本部」の初会合では、07年度中に728人を配置転換することが決められた。その対象は農水省の農林統計や食糧管理業務、国土交通省の北海道開発業務に携わっている職員だ。計画では、これらの職員を徴税、刑務所、入管などの部局に重点的に配転させることになっている。公務員総数を削減する一方で、治安管理にかかわる部門はかえって増強しようというのである。また、キャリア官僚は配転対象から完全に除かれた。
3000人近い労働者を強制的に配転するという計画自体、実質的な首切り攻撃への踏み込みだ。小泉政権は、意に反する配転を強いることで労働者を「自発的退職」に追い込もうと狙っている。ついに始まった公務員への大量首切り攻撃に本格的な反撃をたたきつけなければならない。
無抵抗きめ込む連合・全労連中央
この公務員削減計画について、中馬弘毅行政改革担当相は「労働組合の協力は得られる」とうそぶいた。連合や全労連の幹部の屈服と無抵抗は完全に見透かされている。
小泉内閣は6月16日、行革推進本部のもとに公務員の労働基本権に関する「専門調査会」を設置すると決定した。連合や全労連の指導部は、これと引き換えに公務員削減を容認する腹づもりだ。
だが、公務員労働者に襲いかかる首切り攻撃と全力で闘わずに、どうして労働基本権を奪い返せるのか。労働基本権とは、資本や当局と闘うための権利ではないか。
小泉の民営化・規制緩和の攻撃のもとで公務員労働者はいわれのない非難を浴びせられ、連年の賃下げを強いられてきた。にもかかわらず小泉政権は、地方公務員給与について「過去の実績をさらに一層上回る縮減が必要」(財政制度審議会建議)と叫んでいる。市場化テストや指定管理者制度などの手法を使った首切り・リストラの攻撃はさらに激化しつつある。これへの怒りを解き放ち、職場から反撃の闘いに立つ時が来たのだ。
連合中央は、「格差社会に怒りを」とか「反転攻勢」などと叫びながら、労働者の闘いを民主党支持にねじ曲げようと策している。それは、労働者階級総体を改憲勢力に引き込もうとする許しがたいたくらみだ。
連合・全労連中央の屈服を打ち砕き、公務員削減の攻撃と真正面から対決しよう。その中から改憲阻止の大闘争をつくり出そう。
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週刊『前進』(2254号2面3)(2006/07/17)
東京「日の丸・君が代」処分 「再発防止研修」抗議へ
7・21 被処分者と共に闘おう
都教委は7月21日、今春卒・入学式で「日の丸・君が代」不起立・伴奏拒否などを貫き処分された教育労働者を対象に「再発防止研修」を行おうとしている。被処分者に「再発防止」の名で反省を促すという、まったく許しがたいものだ。
同研修は03年「10・23都教委通達」以降毎年行われ、今年が3年目。もちろん、被処分者はまったく負けてない。昨年・一昨年とも研修を都教委を徹底弾劾する「被処分者の総決起集会」(被処分者の言葉)として闘ってきた。反省文を書いた者など一人もいない。
とりわけ昨年7月の研修では、被処分者が都教委を徹底追及して闘ったため、なんと都教委は「再発防止研修への抗議闘争に対する処分と再発防止研修」を行うという事態に追い込まれた。
7月21日は都高教の定期大会の日である。この2年間の都高教大会では被処分者らが提出した修正案が次々可決され、処分撤回闘争を組合としての課題に押し上げ、闘う都高教再生の大きな力となってきた。都教委はこの現実を恐れ、大会当日を研修日にしたのだ。こんな卑劣な設定に負けるわけにはいかない。
7月21日午前9時、東京都教職員研修センター前(JR水道橋駅そば)に集まり、被処分者とともに抗議行動に立とう。
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週刊『前進』(2254号2面4)(2006/07/17)
6・20〜6・30
郵便集配1048局を廃止に
国家公務員5.7%削減を決定/労政審の審議が中断
●夕張市が財政再建団体へ 北海道夕張市の後藤市長は市議会で、国に自治体としての「倒産」に当たる財政再建団体の指定を申請する考えを正式に表明。(20日)
●経団連が規制改革要望書 日本経団連は06年度の規制改革に関する要望をまとめた。ホワイトカラーエグゼンプション制度の早期導入などを求めている。また、現在の「規制改革・民間開放推進会議」が2007年3月末に設置期限を迎えるため、同年4月以降に同様の権限を持つ機関を設置すべきだと指摘。(20日)=要旨別掲
●ケンタッキーにも初労組 日本ケンタッキー・フライド・チキン(KFC)の店長らが同社で初となる労働組合を結成。外食業界では先月、日本マクドナルドに初の労組ができたばかり。(22日)
●労働弁護団、労政審「素案」批判のシンポ 日本労働弁護団は、東京でシンポジウム「人間らしく働くための契約法・時間法を! 労政審の『素案』を斬る」を開いた。連合系、全労連系、全労協系の各組合が結集した。(26日)
●行革推進本部、5年間で5.7%以上の国家公務員純減を決定 政府の行政改革推進本部と政策金融改革推進本部の合同会議が開かれ「国の行政機関の定員の純減」などを決定した。2006〜10年度の5年間で1万8900人(5.7%)以上を純減し、このために必要な配置転換を行う。(27日)
●労働条件分科会、審議中断 労働契約法の制定と労働時間法制の見直しについて審議している厚労省の労働政策審議会労働条件分科会が開かれ、労使委員の双方が7月の「中間とりまとめ」に反対を表明した。審議は秋口まで再開されない見通し。(27日)
●郵便集配、全国の2割・1048局を廃止 日本郵政公社は来年10月の郵政民営化に向けた郵便局再編計画を正式に発表。郵便物の集配業務を行っている全国の郵便局の約2割にあたる1048局について、集配業務を近隣局に移して窓口業務だけを行う「無集配局」に転換するのが柱。来年3月にかけて順次実施する。(28日)
●ビラ配布に有罪判決 社会保険庁職員の堀越明男さんが休日に政党機関紙号外などのビラを自宅周辺で配布したことが、国家公務員の政治的行為を禁止した国家公務員法に違反するとして起訴された裁判で、東京地裁は、罰金10万円、執行猶予2年の有罪判決を言い渡した。(29日)
●5月の完全失業率、4.0%に低下 総務省統計局が発表した労働力調査によると、5月の完全失業率は4.0%で、前月と比べ0.1ポイント低下した。厚生労働省が発表した一般職業紹介状況によると、5月の有効求人倍率は1.07倍で、前月より0.03ポイント上昇した。(30日)
2006年度日本経団連規制改革要望(雇用・労働分野)要旨
〈基本的考え方〉
わが国産業の国際的競争力を強化する視点から労働基準法の見直しを行うことが必要である。
〈具体的規制緩和課題〉
・有期労働契約雇用期間の上限の延長
・1年単位の変形労働時間制の規制緩和
・企画型裁量労働制対象業務の早期拡大
・企画型裁量労働制手続きの簡素化の早期実施
・管理監督者に対する割増賃金支払い義務の見直しの早期実施
・解雇の金銭解決制度の早期導入
・ホワイトカラーエグゼンプション制度の早期導入
・派遣禁止業務の解禁
・労働者派遣法上の26業種の見直し
・外国人研修・技能実習制度の見直し
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週刊『前進』(2254号2面5)(2006/07/17)
憲法闘争勝利のために絶大なカンパ訴えます
全国の支持者のみなさん、すべての『前進』読者のみなさん!
夏期一時金支給期にあたり、革共同よりあらためて熱烈なカンパを訴えます。
戦争と労働者圧殺以外に延命できない資本主義体制と、自らが人間らしく生きるために自己解放をかけて根底的に決起しつつある労働者階級との、階級的激突が始まりました。
アメリカ帝国主義は経済危機とイラク戦争の泥沼化で末期的状態を呈し、日本帝国主義は第2次大戦下の財政危機を上回る国家的破産状態(1千兆円の借金!)にあります。もはや労働者階級によって打倒される以外に解決の道はありません。
小泉―奥田の「構造改革」によって「格差」がますます広がり、誰にでもわかる資本と資本家のための社会となりました。トヨタや大銀行ばかりが肥え太り、ライブドア、村上ファンドらを生み出しました。しかし多くの労働者人民は低賃金と劣悪な労働条件のもとで苦しみ、介護、医療、教育さえ奪われ、最低限の生活が強いられています。今や労働者階級の怒りは極点に達しています。
こうした中で、06年前半は「日の丸・君が代」拒否を貫く教育労働者の不屈の闘い、国鉄闘争を牽引(けんいん)する動労千葉の安全運転闘争が、連合路線を突き破って労働者階級の戦闘的決起をつくり出しました。
また学生不当逮捕と退学処分に真っ向対決する法政大学の闘争は1千人の学生決起と共感を呼び起こし、学生運動の新たな胎動を告げ知らせています。
さらに4〜6月の国会闘争には、連帯ユニオン関西地区生コン支部、動労千葉、教育労働者など全国から労働者人民が結集し、共謀罪、教育基本法改悪、国民投票法の成立を阻止しました。
さらに世界各地では、フランスとヨーロッパ、アメリカ、韓国で労働者人民がストライキに決起し、勝利的前進をかちとっています。イラク―イスラム人民は帝国主義の侵略戦争と日夜不屈に戦いぬいています。帝国主義と労働者人民の荒々しい激突の時代がついに到来したのです。
06年前半の日本の闘いは、労働者階級と日帝の対決の焦点が憲法改悪を許すのか阻止するのかにあることを鮮明にしました。06〜07年の9条改憲阻止闘争は「戦争か革命か」を問う戦後最大の階級決戦です。今こそ帝国主義を根底的に転覆し、労働者人民が主人公となる社会を実現するために闘いましょう。
革共同は、全世界の労働者人民、日本の労働者階級の先頭に立って、帝国主義打倒=プロレタリア革命のために全身全霊かけて闘います。闘う革共同に限りないご支援をよろしくお願いします。
今次夏期一時金カンパはかつてなく重大です。十万円を単位とするカンパをぜひともお願いいたします。
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週刊『前進』(2254号3面1)(2006/07/17)
動労千葉に米英韓労働者が共鳴
NY150万労組評議会も賛同
世界に通じる反合・運転保安
国鉄分割・民営化と闘い、反合・運転保安闘争を貫く動労千葉に米・英・韓から賛同の声が続々寄せられている。全世界で民営化、労組破壊の攻撃が吹き荒れ、安全破壊が進行している。動労千葉の闘いこそ、この攻撃を打ち破る道なのだ。世界の労働者階級は動労千葉の闘いに心から共鳴している。動労千葉労働運動を全職場で貫き、11月労働者総決起を実現しよう。
“事故の責任は資本に”
昨年のJR尼崎事故は国鉄分割・民営化の結果、必然的に起きた。労働組合つぶし優先、利益優先の分割・民営化体制のもとで、鉄道業務の基本である安全を崩壊させてきたことが原因だ。
無謀なスピードアップと「日勤教育」を始めとする労務政策を行ってきたJR西日本の責任は、あまりにも明らかだ。
だが、本来は資本と闘って労働者を守るべき労働組合が、JR西日本の責任を追及せず、運転士に責任を転嫁している。JR総連やJR連合だけでない。国労西日本も次のように言う。
「事故を起こした場合のいわゆる『日勤教育』について国労は否定をしません。……私たちの仕事は国民・利用者の命と財産を安全に運ぶことである以上、ミス・事故を起こした事実に基づき再発防止のために教育を行う必要があるからです」
そして、亡くなった高見運転士を除外し、今も「106人の犠牲者」と言い続けている。動労千葉は、この裏切りを弾劾して必死に闘っている。
事故があれば、電車の先頭に乗っている運転士は真っ先に危険にさらされる。そして乗客は同じ労働者の仲間だ。事故を起こしたくて起こす運転士などひとりもいない。
事故の責任は、利潤のために安全を犠牲にする経営側にある。動労千葉は、事故の責任が百パーセント経営側にあると言い切って闘っている。
尼崎事故は西日本だけの問題ではない。JR東日本も安全を無視してきた。
05年、尼崎事故を受けて動労千葉は、あらためてこれまでのレール破断、異常磨耗などの重大な危険に対する闘いをとらえ返し、「尼崎事故を繰り返すな」をスローガンに必死になって安全運転行動を闘いぬいた。
JR東日本は、「運行管理権の侵害」として処分を振りかざして闘いを圧殺しようとしてきた。そして、運転台に管理職2人を乗り込ませて運転士を監視するというプレッシャーをかけた。運転への集中を妨害する殺人的な行為であり、尼崎事故への反省のかけらもない。この圧力の中で動労千葉組合員がたったひとりでの運転席で安全運転行動を貫くことができたことは、組合の団結の強さを示している。
この闘いに対し、執行部への不当処分がかけられたが、こうして闘って安全を守り、仲間を守ることによって、動労千葉は労働組合の団結を強化してきたのだ。JR東労組の組合員の中にも動労千葉への共感が圧倒的に広がっていった。
闘って安全と仲間を守る!
動労千葉は、昨年に続き、今年も安全を要求してストを打ち、3月10日から18日までの安全運転闘争を行った。これは、昨年闘いぬいたからこそ、単なる昨年の連続ではなく、容易ではない闘いだった。JR東日本は危機感を募らせ、昨年以上の処分を振りかざして恫喝してきた。2人の背面監視を受けながら運転する闘いを再び行うことは、徹底的な討論をつうじて初めて決定された闘いだった。
4月6日には、幕張車両センターで列車脱線事故が発生した。動労千葉組合員である構内運転士に全責任を押しつける圧力が高まった。動労千葉の反合・運転保安闘争の真価が再び問われた。
4月12日、JR東日本は、不当にも安全運転闘争への処分を強行した。動労千葉は、処分にはストも辞さず職場で闘う体制をつくるとともに、広く署名活動を呼びかけた。この断固たる闘いの結果、動労千葉が以前から要求してきたATS(自動列車停止装置)の設置が行われなかったことの責任を当局に事実上認めさせ、ATS設置を確認させるなどの大きな成果がかちとられた。処分策動を押し返し、現在まで構内運転士への処分は許していない。
安全を守り、仲間を守る闘いは、労働組合として当たり前の闘いだ。しかし、当たり前を貫くためには、「事故は労働運動の課題ではない」としてきた既成労働運動の「常識」と必死で対決することが不可欠だった。1972年の船橋事故の時、動労千葉地本の中で厳しい討論を貫き、動労本部の闘争圧殺を跳ね返して全力で高石運転士を守りきったことが動労千葉の反合・運転保安闘争の土台を築いたのだ。この闘いによって動労千葉は仲間を守る組合だという確信が組合員一人ひとりのものとなり、強固な団結をつくり出した。
処分撤回署名が広がる
動労千葉は、労働運動の最も原則的な闘いを、圧殺・抑圧を跳ねのけて貫いている。この動労千葉の闘いには労働者をとらえてやまない普遍性がある。だから多くの労働組合、労働者に動労千葉への共感が広がっている。
(写真 I LWUローカル10のメーデー隊列。移民労働者の権利を要求し対テロ戦争反対を掲げた【5月1日 サンフランシスコ】)
動労千葉は「安全確立に向けた不当処分撤回、安全確立に向けた闘いの禁圧を許さない署名運動へのご協力のお願い」を、広く呼びかけた。日刊動労千葉によれば、7月4日現在、311の労働組合(団体)が賛同し、取り組んでいる。海外からの賛同も圧倒的に広がっている。
現在、全世界の労働者が民営化、規制緩和の攻撃に直面している。その中で安全の崩壊が進行している。それといかに闘うかは切実な問題だ。動労千葉が懸命に切り開いてきた闘いは、最も不屈で最も鮮明だ。だから、全世界の労働者が共感しているのである。
ニューヨーク市の中央労組評議会は、国鉄分割・民営化の犯罪を弾劾している(別掲)。約150万人を組織する全米最大の労組評議会が動労千葉の安全運転闘争、処分反対闘争に正式に賛同したのだ。昨年歴史的なストを行ったTWU(都市交通労組)ローカル100もこれに所属している。
TWUローカル100は、当局の攻撃によって今も労働協約を結べていない。今年6月末、勤務中に心臓発作を起こしながら、電車を安全な所まで移動して停車させた地下鉄運転士がその後に亡くなった。通常なら家族に支払われる死亡手当も、協約がないために支払われない状態だ。組合つぶしのためなら安全対策も家族の生活の保障も、すべて崩壊させてよいとする当局への怒りは高まっている。
こうした中で、TWUローカル100が所属するニューヨーク市中央労組評議会は、動労千葉の安全闘争に圧倒的な共感を寄せているのだ。
TWSC(運輸労働者連帯委員会)には、ILWUローカル10(国際港湾倉庫労働組合第10支部)の労働者を始め、さまざまな交通運輸部門の労働運動が結集している。その最も切実な課題に動労千葉が鮮明な闘う路線で取り組んでいるからこそ、深い信頼を寄せているのだ。TWSCは、03年以来、東京・日比谷野音の11月労働者集会に参加している。
AMFAローカル9は、5月30日の組合員総会での討論と決議を経て、JR東日本に直接に抗議文を送った(別掲)。AMFAは空の安全を掲げて闘っている組合だ。
韓国の民主労総の鉄道労組からはすぐに「同志たちの闘いに積極的支持と連帯の心を送ります。連帯と闘争で必ず勝利しましょう」という賛同メッセージが届いた。韓国でも民営化攻撃に直面しており、安全は切実な課題だ。さらに日刊動労千葉によると6月24日には、組合員全員投票によって産別労組転換を決めた金属産業連盟傘下の組合を始め、さまざまな産別の13の組合から署名が寄せられた。
イギリスからは、最大の鉄道労組、RMT(鉄道・海運・交通労組)が公式の支援を表明した。RMTは、民営化後の「折れたレール」による大事故を経験しており、現在、ブレア労働党と対決し、鉄道の再国有化のために闘っている。
国際労働運動に地殻変動
動労千葉に多くの賛同が寄せられたもうひとつの理由は、全世界の労働者階級の闘いが地殻変動を起こしていることだ。
フランスのCPE(若者の首切り自由制度)反対の300万人デモ、アメリカでは移民労働者を中心に全米で数百万人がデモをし、1000万人がボイコットに参加するというメーデーが復活した。AMFAの300日を超える不屈の長期スト、韓国・民主労総の非正規職法改悪案粉砕の闘い、イギリスやドイツの地方公務員の大ストなど、大高揚が始まっている。
帝国主義、資本に屈服する既成指導部への怒りは沸点に達している。
労働者階級に国境はない。闘って仲間を守り抜く労働運動は国境を超えて連帯できる。
動労千葉労働運動を全国の職場に持ち込もう。この中にこそ勝利のカギがある。今秋の国会決戦を闘い、11月労働者1万人決起に突き進もう。
〔村上和幸〕
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動労千葉への連帯メッセージ --日刊動労千葉より--
◎ニューヨーク150万労働者から連帯声明
親愛なる田中委員長
私たちニューヨーク労働者評議会のすべての労働者は、動労千葉が直面する問題に注目すると共に尼崎事故で犠牲になられた方々に深く弔意を表明します。政府の「国鉄分割・民営化、規制緩和と20万鉄道労働者の解雇という犯罪的政策」によって引き起こされた107人の死は、皆さんの必死に働く労働者魂と労働組合主義の核心に触れるものになりました。
労働者の国際的コミュニティーが「労働者記念日」の4月28日に、労働で傷つき、病に倒れ、殺されていったすべての兄弟姉妹を記念するのは、貴方が述べているような死のためであります。
会社が、安全を回復するための全ての努力を「違法」と言いなすのは、驚くべきことではありません。
約400の独立した地区加盟組合に代表されるニューヨーク市150万組織労働者は、貴方の決意をこめた闘いへの支持と連帯の意をここにお送りします。
ご健闘をお祈りします。
心から友愛をこめて、
2006年5月1日
AFL-CIO・ニューヨーク市中央労働組合
評議会 書記長 テッド・H・ジャコブセン
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◎不当処分撤回、事故責任転嫁許すな
JR東日本社長 清野 智 殿
我々アメリカのカリフォルニア・サンフランシスコに所在する航空整備士友愛組合(AMFA)ローカル9は、独立の航空整備士の労働組合です。そのような存在として我々は、民間航空機の安全な運行と整備に最も重点を置いて活動しています。(中略)
従って我々は貴方に以下の事項を要求します。
*日本の鉄道において安全確保のために闘う動労千葉の組合員に対する如何なる不当処分も直ちに撤回すること。
*動労千葉やその他の団体による鉄道の安全確保のためのどのような行動に対しても、不当な弾圧を直ちに中止すること。
*事故の責任を運転士にのみ転嫁するのではなく、日本の鉄道の安全のための抜本的対策を実施すること。(中略)
安全運転が回復され、日本の鉄道が利益だけではなく、安全に焦点を据えた価値観に復帰することを期待しています。
<06年5月29日、アメリカ、カリフォルニア、サンフランシスコAMFAローカル9の組合役員・組合員による投票で、本文を発送する動議が全会一致で可決された〉
――空の安全は、地上の整備の質から――
航空整備士友愛組合(AMFA)ローカル9
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週刊『前進』(2254号3面2)(2006/07/17)
〈焦点〉 8・15靖国参拝強行を狙う小泉
中国への敵意と排外主義
小泉首相は6月27日夕、日米首脳会談を前に訪問中のカナダで靖国神社参拝について「何回行こうが問題にならない。個人の自由だ」と言い放ち、8・15参拝の意思を表明した。
9月の自民党総裁選の争点を同行記者団に聞かれ、小泉は「アジア外交は靖国だけではない。靖国参拝すれば、時の首相と首脳会談に応じないというのがいいのか。突き詰めれば『中国の言い分に従いなさい』というのが、靖国参拝はいけないという人たちだ」と中国への排外主義的な敵意と愛国主義・ナショナリズムをあおったのである。
01年4月、「8月15日終戦記念日の靖国神社参拝」を公約として自民党総裁となった小泉は、以来5度、毎年の靖国参拝を繰り返してきた。しかし中国・朝鮮人民や日本の労働者人民から巻き起こる弾劾の嵐の前に「8月15日」当日の参拝には踏み込むことができなかった。小泉は9月の自民党総裁任期切れを前に「最後の8月15日」の参拝を狙っているのだ。
そもそも小泉はなぜ靖国神社参拝にこだわるのか。天皇の国のために戦い、戦死した兵士を「英霊」として祭る靖国神社と靖国思想を政府が公認し、再び日本を戦争のできる国にするためだ。
日帝のアジア・太平洋戦争では2千万人にものぼるアジア人民が虐殺された。労働者や農民を実体とする日本人兵士は侵略戦争に動員され、アジア人民を虐殺し、自らも230万人が殺された。「天皇の赤子」として「特攻作戦」の自爆戦士となり、「玉砕」を強いられた。その約6割は餓死・戦病死だった。これは帝国主義による犬死にではないのか。
靖国神社は「A級戦犯合祀」を頑として取り下げない。あの侵略戦争、帝国主義戦争を「聖戦」として美化したたえているからだ。小泉は、「靖国参拝は侵略戦争を肯定し美化するものだ」と中国人民、南北朝鮮人民から繰り返し弾劾されても態度を改めない。それは、小泉が再び北朝鮮・中国侵略戦争をやろうとしているからだ。
6月23日、最高裁第2小法廷は、01年8月13日に「内閣総理大臣小泉純一郎」と記帳した小泉の靖国参拝の違憲性を問う裁判で、日韓の戦没者遺族ら原告の上告を棄却する反動判決に及んだ。
憲法判断には踏み込まず、「人が神社に参拝する行為自体は、他人の信仰生活に圧迫・干渉を加える性質のものではない」(!)というのだ。問われたのは現職の総理大臣の参拝であり、このようなペテンで小泉の靖国参拝を容認し、尻押しする最高裁を徹底的に弾劾しなければならない。
北朝鮮の「ミサイル発射」をとらえて経済制裁に踏み切った今、小泉は本格的な北朝鮮・中国侵略戦争への突入のテコとして8・15靖国神社参拝を強行しようとしている。
昨年8月15日、全学連は靖国神社に突入し、右翼・ファシストが集まる真っただ中で「靖国神社参拝糾弾!」「侵略戦争阻止!」と叫び、実力闘争に立った。闘う朝鮮・中国人民、韓国民主労総と連帯し、8・15小泉靖国参拝を阻止するために闘おう。
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週刊『前進』(2254号3面3)(2006/07/17)
〈焦点〉 米で7人を共謀罪により起訴
実行行為なし「会話」が罪
6月23日、米国フロリダ州マイアミで7人が共謀罪で起訴された。
適用された二つの共謀罪は、ともに最高刑が懲役70年という重罪だ。犯罪が発生していないのに、録音された会話内容が共謀罪に当たるとされ、物証もないまま、無実の人びとが逮捕・起訴・勾留され、併せて140年もの刑罰が科せられようとしている。共謀罪の恐ろしさと不当性を示して余りある。不当逮捕・起訴弾劾、共謀罪粉砕の国際連帯行動を巻き起こし、無実の7人を取り戻さなければならない。
6月22日夜、警察当局がマイアミのリバティーシティー区にある倉庫を急襲し、7人の青年を逮捕した。容疑は「シカゴにある超高層ビル・シアーズタワーと5都市の米連邦捜査局(FBI)の建物を破壊しようと共謀した」「米国に対する全面戦争を起こそうと共謀した」という二つの共謀罪だ。7人は22歳から32歳。5人は米国籍市民で、他の2人はハイチ出身の合法滞在者と非合法滞在者だ。
当局は、FBIのおとり捜査官がアルカイダの代表を装ってグループに近づき、武器や資金の提供を申し出、会合を録音していた、と公然と認めている。
ゴンザレス弁護士によれば、家族と地元の仲間は、「7人の逮捕にショックを受けた」と表明しているが、「7人は祈りのグループにすぎない」「7人のもとから武器や爆弾、アルカイダと結びつく文書類は何も発見されていない」と指摘し、怒りをもって抗議している。
会話だけが罪に問われているのだ。それもFBIおとり捜査官らとの会話だ。事件はFBIによるねつ造だ。しかし共謀罪のもとではこれらは合法とされる。
米FBIは、この5年で1千人テロ分析官を増やし、イスラムのグループや集会に接近し、潜り込み、「不審な行為」をFBIに通報させてきた。日本の共謀罪法案も密告を奨励している。事実上おとり捜査も可能だ。
米国では5月、「20人目の9・11ゲリラ戦士」と言われるザカリアス・ムサウィー氏(9・11当日勾留されていた)が「9・11戦闘を共謀した」罪で終身刑という極刑判決を受けた。
帝国主義諸国は労働者階級、被抑圧民族人民の反戦闘争、労働運動、市民運動を予防反革命的に抑え込むために共謀罪や反テロ法を適用している。
共謀罪は、実行行為のみを処罰の対象にする近代刑法の原則をふみにじり、話し合い、会話、合図、目配せまでも犯罪行為として取り締まり、重罰を科す、治安維持法以上の弾圧法規だ。革命党、労働組合、市民団体、クラブ、サークルを始めあらゆる組織・団体が弾圧対象だ。
継続審議となった共謀罪新設法案が秋の臨時国会で可決・成立すれば、警察権力がどのような凶暴な弾圧に出てくるのかを米マイアミ事件は予告している。
今秋闘争の爆発で共謀罪法案を廃案にし、金輪際、国会提出ができない力関係をつくり出そう。
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週刊『前進』(2254号3面4)(2006/07/17)
大連キヤノンの闘い
「トヨタ方式」導入による労働強化に6000人がスト
05年9月、中国東北部遼寧省大連の日系企業十数社で次々とストが爆発した。中でも日本経団連の現会長・御手洗冨士夫の企業であるキヤノンでは実に6千人の労働者が立ち上がる大ストライキに発展した。その様子が『鳳凰週刊』05年第34期に掲載されたルポで詳しく描かれている。ネット上で紹介されたその翻訳の要点を紹介する。
女性は23歳解雇
ストの連鎖は東芝から始まった。東芝大連有限公司が残業を減らすためにラインのスピードを上げ、20秒かかる工程を14秒に圧縮した。これは当然にも労働者に過酷な労働強化を強い、生産ラインで製品を滞留させ、残業なしには成り立たない労働者の賃金を減らした。
7月27日、モーター生産ラインの労働者がストに入ると、日本人管理者が参加者に解雇を通告。そこからストは拡大し、3時間後にすべてのラインが停止した。これに地元政府と総工会(御用労組)が仲介に入り、150元の賃上げと工場記念日の1千元の一時金支給で合意した。
この闘いはキヤノンに波及した。キヤノン大連公司では労働者の間で「ストライキ」と書いたメモが回され、あるいはトイレの壁に「ストライキへ!」という落書きが大書された。サボタージュ、職場放棄が次第に拡大していった。
近年、日本企業では「トヨタ方式」が導入されている。徹底した生産効率追求で、労働者の立ち位置、手の位置、視線、頭の向き、部品の持ち方、姿勢などすべてが細かく決められ、これらの動作を忠実に行わなくてはならない。特にキヤノンは労働者に午前8分、午後7分の休憩以外立ちっぱなしの作業を強制していた。
日系企業は、医療保険や年金などの責任を回避するために大量の臨時工を雇う。臨時工の最低賃金は契約労働者の半分程度である。キヤノンでは臨時工から契約労働者に採用される者は1千人中わずか2〜3人にすぎない。
しかもキヤノンには驚くべきことに「女性は23歳になると自動的に解雇される」という差別的な規定が残っていた。
日系企業に波及
9月9日のキヤノン工場記念日、朝8時にB班(早番)の労働者1600人が会社の体育館前に集まり、ストに突入した。これにA班(遅番)の労働者も加わり、参加者は6千人以上に膨れ上がった。参加者はすべて17歳から22歳の青年労働者でスト貫徹の決意も固く、30歳以上の労働者は失職を恐れて工場から出なかったという。
スト参加者は経営側に200元賃上げ、女性23歳解雇規定の廃止、暖房補助費支給など12項目を要求した。そこに大連市政府が介入し「ストは違法」と宣言、「仕事に戻らないと解雇」という警告を張り出した。
会社は全力でストつぶしに乗り出した。決意の固いB班を「休暇」扱いにし、A班の労働者に対して政府の関連部門や総工会、会社の中国人管理者などが職場復帰の「説得」を行った。労働者の宿舎に押しかけ、「仕事に戻らないとクビだ。大連ではどこでも雇ってくれない」と職場復帰誓約の署名を求めたのだ。
労働者たちはサインを拒否し、宿舎に隣接する大通りに集合して、政府のストつぶしに抗議の大集会を開いた。座り込みは道路いっぱいに広がり、多くの参加者が食事もとらずに道路上で一夜を明かした。
この闘いが他の企業の労働者の怒りをかき立てた。9月12日には日本電産の9千人が連帯ストに突入。1週間のうちにストは三菱、東芝、日新工機、旭染織など日系企業十数社に及び、参加者は3万人以上に達した。
地方政府が介入
ストの爆発に慌てふためいた地方政府は、会社と労働者の「間に立って」交渉をセットした。9月14日の「3者協議」で103元の賃上げで合意し、労働者は徐々にラインに戻っていった。
今回の政府の介入は比較的「公正中立」に行われた方だという。一部の地域では完全に企業側の代弁者として、警察などを動員する例もある。だが「中立」を装いながら現実にはこの大連開発区の政府担当者の関心は、労働者のコストを一定程度の低さに抑え、「投資環境」を整え、日系企業をつなぎ止めておくことに重点がある。キヤノンは今回のストで「資本撤退」もちらつかせて政府にスト収拾を要請した。
ストに参加したのは、主要には日系企業の生産ラインの労働者たちだった。彼らの多くは短期契約か臨時雇用で、待遇は悪く、年金や保険などの保障もない。そして実際にスト参加者への報復的な解雇や報奨金カットなどがその後に行われた。
そして日系企業の労働者は軒並み100元程度の賃上げをかちとったが、それだけでは残業を重ねることでしか生活が成り立たない労働者の現況は変わっていない。
◇
このルポからわれわれは中国労働者の置かれた現実のごく一端を知ることができる。中国スターリン主義の「改革・開放」路線のもとで地方政府と結託した日系企業のあくどい搾取・収奪の実態を、さらに徹底的に暴露し追及しなければならない。
(石井良久)
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週刊『前進』(2254号4面1)(2006/07/17)
7・2三里塚 北延伸着工阻止を宣言
「国家犯罪に負けない」
閣議決定40年 新たな闘いへ
三里塚芝山連合空港反対同盟は7月2日、成田空港の暫定滑走路「北延伸」の着工情勢が切迫する中で、この時期としては10数年ぶりの全国規模の総決起集会を開いた。9月にも予想される着工阻止決戦に向けた闘争宣言を発した。
(写真 「東峰の森」脇を行進する全国労組交流センター【7月2日 成田市東峰】)
1966年7月4日の空港設置の閣議決定から40年。三里塚闘争は暫定滑走路の北延伸の着工をめぐる新たな決戦に突入した。国土交通省とNAA(成田空港会社)はこの夏にも工事を強行する構えだ。NAAの黒野社長が7月上旬にも国交省に空港計画の「変更許可申請」をする緊迫した状況での集会となった。
さらにNAAは6月12日、同盟員の市東孝雄さんに対し耕作地の「解約要求」を文書で送りつけた。集会は、反対同盟の着工阻止決戦の戦闘宣言の場となった。
雨や晴れが断続する不安定な梅雨空のもと、集会会場となった成田市東峰の萩原進事務局次長の畑には全国から910人が集まった。
同盟員の宮本麻子さんと伊藤信晴さんが司会。北原鉱治事務局長が主催者あいさつに立った。「三里塚闘争の新たな戦闘宣言の場だ。NAAは『謝罪』の舌の根も乾かぬうちに北延伸を決めた。怒り心頭に発する。三里塚は40年間、一切の話し合い拒否で闘ってきた。日本の将来を決める新たな闘いに決起する」
萩原進さんが基調報告を行った。市東さんの農地取り上げ策動、一坪共有地の明け渡しを命ずる反動判決、「東峰の森」破壊の誘導路計画などについて「敵も必死だ。法律や常識を無視した攻撃だ」と指摘。決戦態勢の構築を強く訴えた。「市東さんの畑は90年耕し、やっと無農薬・有機農業で作物が作れるようになった。誘導路が曲がっているのはわれわれの責任ではない。最初から分かっていて大臣が認可し、造った。こんな理屈がまかり通って良いのか」。また一坪共有地裁判については「土地収用法がダメなら民法で取り上げる、これを国家犯罪と言わずしてなんと言うのか」と弾劾。現闘本部裁判の勝利を訴え、三里塚派があらゆる闘いの先頭に立とうと呼びかけた。
「憲法闘争と三里塚」と題して、反対同盟顧問弁護団の葉山岳夫弁護士がマイクを握り、「9条改憲と北延伸は一体の攻撃」と強調した。
動労千葉の田中康宏委員長が労農連帯アピール。「三里塚は、国家権力がいかに圧殺してもつぶされない労働者・農民のコミューンだ」と三里塚闘争の意義を語った。三里塚のような非妥協の闘いにこそ歴史を作る力があるとして、幕張構内事故の不当処分を許さないと、この間のJR会社との闘いを報告した。
天神峰の市東孝雄さんが「NAAや権力の弾圧が強くなると、私の存在価値が出てきたなと感じます。黒野社長から耕作権の解約の要求が来ましたが断固拒否しました。絶対に解約しません」と力強い決意を示した。
続いて中郷の鈴木謙太郎さんが訴えた。「北延伸はジャンボ機を飛ばして反対同盟を追い出す攻撃です。菱田もジャンボ機の騒音が直撃する。若い労働者、学生のみなさん、ぜひ現地調査、援農に来て下さい」
現闘本部裁判を支援する会代表世話人の戸村義弘さんは、根拠のないウソや奇弁ばかりの原告NAAを批判し「原告の資格ない」と断罪。裁判に勝利して市東さんの土地を守ろうと訴えた。三里塚野戦病院が「一坪共有地強奪の不当判決を徹底弾劾する」との反対同盟の声明を読み上げた。
本部役員の鈴木幸司さんが「着工阻止闘争宣言」を読み上げた。夏の攻防から09年に至る3年間を決戦として闘うことを提起、10月8日に全国集会を行うと発表した。
関西から東灘区住民の会代表の山本善偉さん、泉州住民の会事務局長の国賀祥司泉佐野市議が登壇した。国有入会地守る会の天野豊徳会長と忍草母の会の天野美恵事務局長が入会地奪還の決意。部落解放同盟全国連合会、都政を革新する会、婦人民主クラブ全国協、全学連の織田陽介委員長の決意表明が続いた。
東峰の森回り敷地内をデモ
敷地内デモに出発。会場から「東峰の森」の南にある一坪共有地(北原さん名義)前を通り「東峰の森」を一周する初めてのコース。東峰十字路から続いて東峰地区を周回、市東さん宅前から団結街道を北上して、現闘本部前を通過し、市東さんの畑までデモした。薄暗くうっそうとした森林は一度破壊すれば数十年は再生できない。「『東峰の森』の破壊を許すな」の声に力が入った。
デモ後、反対同盟は記者会見を行い、3代90年の耕作地の強奪は、耕作者の権利保護を目的とする農地法の精神からも認められない、と語った。
(写真 北原事務局長、現闘本部裁判を支援する会の戸村義弘代表世話人を先頭にデモ行進)
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週刊『前進』(2254号4面2)(2006/07/17)
正しさ貫く闘い学ぶ
7・1 現地調査と交流会
全国集会に先立ち前日の1日、現地調査と交流会が行われた。参加者は青年労働者と学生が中心。約5分の1が初めて三里塚を訪れた人だ。
市東さん畑にある監視台からスタート。現闘本部、成田クリーンパーク、東峰神社、東峰墓地、「東峰の森」、岩山記念館などを見学した。
夜は反対同盟との交流会。「忌憚(きたん)のない意見や質問を聞きたい」との北原さんの提起に、以下の感想が出た。
(写真 天神峰の市東さん畑から暫定滑走路のジェット機を監視行動【7月1日】)
◎自治体労働者
三里塚は昔の闘いのイメージだった。いま現在の闘いとして40年間の闘いがある。現地を知ると感覚がまた違う。
◎東京の青年労働者
初めて来た。戦争態勢づくりが進んでいる。歯向かえばひどい目に遭ううぞ、と。三里塚が屈したら、それを認めることになる。人間の力はそんなに弱くない。正しいと思うことを貫きたい。
◎関西の青年労働者
初めて来ました。血まみれのせい惨な闘争を想像したが希望を感じた。国が完全に負けている。自分も最低40年間はがんばれると励まされた。
◎尼崎の労働者
閣議決定の時は高校生でビートルズの来日でテレビに釘付けだった。駒井野の鉄塔のニュースを大学の食堂で見て、三里塚の闘いに導かれた。
◎首都圏の学生
三里塚は革命の学校です。今の体制はぶっこわすしかない。この地に国家をひっくり返す闘いがある。これを言わないのは自分自身の否定だ。
◎A地方の学生
初めて来た。図書館で三里塚の写真を見た。みんな成田空港は知っているけど三里塚闘争を知らない。農民のわがままというが、誰が好きこのんで爆音の下で暮らしているのか。自分の正しさを貫くことを少し感じた。◎法大生
現地調査は初めて。岩山でジャンボ機を体感した。これをB滑走路でやるのか。切実に阻止しなければならない。今は当たり前のことが守られない。三里塚は当たり前の原点を守る闘い。知れば知るほど共感できる。
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週刊『前進』(2254号4面3)(2006/07/17)
法政大 3学生奪還に歓呼
“処分策動にトドメを”
7月3日の昼休み、6月19日に「建造物侵入」でデッチあげ逮捕された文学部生3人が、法政大キャンパスに登場し、圧倒的な歓呼の声に迎えられた。法大弾圧救援会や法大統一OB会なども正門前に結集した。
3人は次々とマイクをとってアピール。3万法大生の力で退学処分を撤回させ、改憲阻止ゼネストへと徹底的に闘うことを宣言した。法大当局も公安刑事もまったく手出しできない。
法大生4人全員の奪還は実に決定的な勝利だ。弾圧と処分で、全国300万学生の改憲阻止ゼネストを圧殺しようとする大攻撃は完全にうち破られた。逆に、延べ37人ものデッチあげ逮捕や退学処分に対して、一歩も引かず闘いぬく法大生の存在が大衆決起の圧倒的求心力を作り出している。弾圧や処分は、今や巨大な決起の水路に転化しているのだ。
7月決戦の最大の焦点は、2人の法学部生に対する法学部教授会での「退学処分」決定を絶対に阻止することだ。平林総長や法大理事は、どんなに強引な形であっても「退学処分」決定を強行しようとしている。法学部教授会の日程を隠し、秘密裏に決定することさえ狙っている。3万法大生と全国学生の力で、2人の法学部生への「退学処分」を粉砕しよう!
(写真 「退学処分を撤回せよ」。奪還された文学部生がキャンパス中央でアピール【7月3日 法政大学・市ヶ谷】)
■改憲・戦争と一体の言論弾圧
パンフレット『2007大学案内』で平林総長は「法政大学は…自ら培った知的能力をもって21世紀の国際社会及び日本社会に貢献する」と言っている。帝国主義・資本主義に貢献する法政大学にしますということだ。
学生部は「北朝鮮拉致被害者の救出」ポスターをキャンパスの掲示板に張り出し、「北朝鮮への経済制裁」―戦争発動をあおり立てている。これが平林のいう「社会貢献」の実態だ。他方で、学生の改憲反対の看板やビラは暴力的に禁圧する。ここに「立て看板・ビラ規制」の階級的性格が鋭く示されている。
言論統制・思想統制は際限なく拡大している。安東学生部長は、法大新聞会に対してなんと6・15法大1千人集会の報道写真を別のものに差し替えるよう「自主規制」させた。戦中さながらの言論統制だ。応援団には、平林総長が「キャンパスで大声を出すな」「駆け足するな」「汚れた学生服を着るな」という「通達」を出した。自由に記事も書けない新聞会、キャンパスで声も出せない応援団!
なぜここまでやるのか。日帝の新たな侵略戦争に「貢献する」という反動的意思があるからだ。こういう形で、平林や安東は、全学生に対して「国を愛する態度」や「国防の義務」、日帝の戦争動員に従うのか否かを突きつけているのだ。
6月15日、法大生の怒りによって学生証チェックを粉砕された法大当局は、今度は、ボアソナードタワーから正門前に向けて設置した監視カメラで学生や教職員の誰がビラを配り、誰が受け取っているかを常時見張ることまでやっている。この監視カメラの設置は、一部の教職員以外には知らされてもいない。
法政大が反動の砦(とりで)と化すのか、改憲阻止の砦となるのか、一切は7月法学部教授会決戦にかかっている。6・15の1千人集会をこえる7月大集会をかちとり、法学部教授会での「退学処分」決定を粉砕しよう。さらに7月4日から、文学部生3人の地位保全を求める仮処分裁判が始まった。退学処分撤回・平林独裁体制打倒へ法政大学当局を徹底的に追いつめていこう!
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週刊『前進』(2254号4面4)(2006/07/17)
8月広島・長崎反戦反核闘争へ
全国統一実行委が呼びかけ
被爆61年8・6広島−8・9長崎反戦反核闘争全国統一実行委員会から広島・長崎反戦反核闘争への参加の呼びかけが発せられた。全力でこたえよう。(編集局)
*
被爆六一周年の夏を迎えました。
今、世界は核戦争の危機を加速させています。
米ブッシュ政権が、「湾岸戦争」以来の劣化ウラン弾攻撃によるイラク侵略戦争を強行し、なお戦術核兵器の開発、弾道ミサイル防衛構想の拡充によって核による世界支配をもくろんでいるからです。
この背景には、「核開発疑惑」をイランに向け、アメリカの核による世界支配の口実とするために「不安定の弧」をつくり出し「2+2」(日米安全保障協議会)によって米軍再編を推し進め、その中間報告では朝鮮・中国を名指しで先制的核攻撃の対象に挙げているのです。
こうしたブッシュ政権の核によるアジア侵略は、日本の小泉政権を深々と取り込んで在日米軍基地の再編・統合に乗り出し、沖縄辺野古基地新設、神奈川の横須賀海軍基地への二〇〇八年新造原子力空母の配備・母港化、座間キャンプでの第一軍団司令部の移設など沖縄−本土を貫く侵略出撃基地化を着々と推し進めようとすることに現れています。
小泉政権はこうした米軍再編計画に協調しながらも、朝鮮・中国を明確に想定した独自のアジア侵略に突き進もうとしています。そのために、すでに保有している四三dのプルトニウム(長崎型原爆二〇〇〇発分)に加えて、本年度春本格稼働を開始した青森県六ケ所村再処理工場でのプルトニウム抽出を強行し、三陸沿岸に甚大な放射能汚染をまき散らした上で核武装を本格的に準備しているのです。
今こそ「核と人類は共存できない」という究極の反核運動の目標の実現のためにうち立てた「くり返すな! アジア侵略−ヒロシマ、ナガサキ、オキナワ、ビキニを!」というスローガンを高々と掲げ、今夏の反戦反核の闘いを闘わなければなりません。
そうした闘いが、「人間を返せ!」と叫んだ峠三吉以来の被爆者解放の原点を発展させ、チェルノブイリ事故二〇周年にあたる本年、あらたな被爆(曝)者の国際連帯運動を強化することに必ずつながると確信します。
時あたかも、通常国会に次々と上程された共謀罪新設、教基法改悪など憲法九条を「戦争の放棄→安全保障」へと変える自民党新憲法草案と一体となった改憲と戦争攻撃が激化しています。
反戦反核の今夏の闘いでこうした改憲と戦争攻撃を打ち破っていきましょう。(8・6広島−8・9長崎反戦反核闘争全国統一実行委員会)
〈呼びかけ人〉
入江史郎(ス労自主委員長) 大石又七(第五福竜丸元乗組員) けしば誠一(杉並区議) 坂井留吉(核燃から漁場を守る会) 桜井善作(月刊小新聞『野火』編集人) 下田禮子(反戦被爆者の会) 高山俊吉(弁護士) 田中康宏(動労千葉委員長) 知花昌一(読谷村議) 土本典昭(映画監督) 三角忠(出版労働者連帯会議) 本島等(元長崎市長) 吉田義久(相模女子大学教授)
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★7月17日(月)
◎あらたな核戦争をくいとめよう7・17反戦反核東京集会(要項1面)
★8月6日(日)
◎祈念式典糾弾・小泉来広糾弾デモ
午前7時半/東千田町公園(広島市中区千田町、広電「日赤病院前」)
◎改憲と核武装阻止!被爆者解放総決起集会
午前9時半/アステールプラザ(広島市中区加古町4−17)
★8月8日(火)
◎長崎市内での反核宣伝行動(午後1時〜)
◎8・8反戦反核長崎集会
午後6時/長崎市民会館文化ホール第2第3会議室
(長崎市魚の町5−1 長崎電軌「公会堂前」)
講演「8・9ナガサキへの道――重慶大爆撃から日本の侵略戦争を
考える」 梶村晃(平和教育研究者)
★8月9日(水)
◎長崎原爆朝鮮人犠牲者追悼早朝集会へ参加
(主催/長崎朝鮮人の人権を守る会)
午前7時半/松山公園(長崎市松山町 長崎電軌「松山町」)
◎爆心地デモ
午前10時/城栄公園(長崎市城栄町 長崎電軌「松山町」)
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憲法の改悪をとめよう! ヒロシマの力で
−被爆61周年−戦争をとめよう!
◎8・6ヒロシマ大行動
集会 8月6日(日)午後0時30分
広島県立総合体育館小アリーナ
(広島市中区基町4−1)
デモ 午後3時〜5時(平和公園解散)
◎8・5国際連帯集会
8月5日(土)午後1時
アステールプラザ(広島市中区加古町4−17)
主催/8・6ヒロシマ大行動実行委員会
〈関連企画〉
◎8・5労働者産別交流集会
8月5日(土)午後6時
アステールプラザなど
主催/集会実行委員会
◎8・6青年労働者交流集会
8月6日(日)午後6時
アステールプラザ
主催/集会実行委員会
◎8・7学習フィールドワーク
8月7日(月)
▽碑巡りと資料館見学(午前9時〜正午)
▽軍港呉・大和ミュージアム
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週刊『前進』(2254号4面5)(2006/07/17)
6月27日〜7月4日
パトリオットは事前協議外
小泉とブッシュが戦争会談
●イスラエルがガザ侵攻 イスラエル軍がパレスチナ自治区ガザへの本格的な攻撃を始め、空爆に続いて戦車や装甲車で侵攻した。本格的な侵攻は、昨年9月にガザから撤退してから初めて。(27日)
●靖国神社「何回行こうが自由」 カナダを訪問した小泉首相は、靖国神社参拝について「何回行こうが問題にならない。個人の自由だ」などと語った。(27日)
●陸自射撃場を旧東恩納弾薬庫に年内に着工 沖縄市の嘉手納弾薬庫地区に含まれる旧東恩納弾薬庫地区に建設が予定される陸上自衛隊の覆道式小銃(ライフル)射撃場について、那覇防衛施設局は、全体の敷地面積が約58fになると明らかにした。東門美津子沖縄市長は射撃場建設に反対している。(28日)
●日米首脳会談「新世紀の同盟」 小泉首相とブッシュ米大統領がワシントンのホワイトハウスで会談。共同文書「新世紀の日米同盟」を発表した。共通の価値観と利益に基づく「世界の中の日米同盟」を発展させる考えで合意した。(29日)
●「テポドン2号警戒長期化」でイージス艦交代 防衛庁は北朝鮮が長距離弾道ミサイル「テポドン2号」の発射準備と見られる動きをめぐる問題が長期化しそうだとして、警戒監視にあたるイージス艦の交代の必要性があると判断、ハワイ沖の環太平洋合同演習(リムパック)に参加中の「きりしま」の途中帰国を決めた。(29日)
●米軍再編総括部会を新設 日米両政府が日米合同委員会を開き米軍再編計画の効率的な実施に向け「在日米軍再編総括部会」を新設することを決めた。(29日)
●与那国での陸自パラシュート降下中止 陸上自衛隊第1混成団(那覇市)は7月16日に沖縄県与那国町で開く防災展示会で予定していた第1空挺団(千葉県)によるパラシュート降下を中止することを明らかにした。陸自のパラシュート降下が実施されれば県内初のケースだった。(29日)
●対テロ軍事法廷、違法判決 米連邦最高裁は、対テロ戦争の「敵性戦闘員」として拘束した容疑者を特別軍事法廷にかけることは、捕虜の取り扱いを定めたジュネーブ条約に反すると同時に大統領権限を逸脱しており、違法だとする判決を出した。キューバのグアンタナモ米海軍基地に収容所と特別軍事法廷を設けたブッシュ政権に司法がストップをかけた形となった。(29日)
●教育勅語、幼稚園で暗唱 大阪市の私立塚本幼稚園(淀川区、約230人)と私立南港さくら幼稚園(住之江区、約180人)が、年長組の園児約120人に教育勅語を暗唱させていることが分かった。園側は「幼児期から愛国心、公共心、道徳心をはぐくむためにも教育勅語の精神が必要と確信している」と説明している。(1日)
●パトリオット配備は事前協議の対象外
額賀防衛庁長官が米軍地対空誘導弾パトリオット(PAC3)の日本国内への配備が、日米安全保障条約上の事前協議の対象にならないとの考えを明言した。(4日)
●小沢と胡主席が会談 中国を訪問した民主党の小沢代表が北京の人民大会堂で胡錦濤国家主席と会談した。胡主席は現在の日中関係について「歴史認識の問題で停滞している」とし、双方とも小泉首相の靖国神社参拝には直接言及しなかった。(4日)
●陸自射撃場、年170日7千人 米軍嘉手納弾薬庫地区内の旧東恩納弾薬庫の陸上自衛隊小銃射撃場建設計画で、射撃場の使用日数が年間170日、延べ射撃人数は約7千人を想定していることが明らかになった。沖縄市議会一般質問で那覇防衛施設局の計画概要が報告された。(4日)
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週刊『前進』(2254号5面1)(2006/07/17)
ブッシュ&小泉 日米枢軸と世界戦争の会談
米軍再編推進を合意
「地球的規模の軍事協力」へ
ブッシュ米大統領と小泉首相は6月29日、ワシントンで会談し、共同文書「新世紀の日米同盟」を発表した。ブッシュ―小泉が、このような共同文書を発表したのは2001年6月の初会談以来2回目であり、3度目の世界戦争へとつき進む日米枢軸の宣言ともいえるとんでもない文書だ。全力で対決し、米軍再編粉砕、改憲阻止・日帝打倒の闘いに立ち上がろう。
(写真 歓迎式典に臨む小泉【7月29日 ワシントン】)
「新世紀の日米同盟」うたう
第一に、米軍再編―日米同盟再編の迅速かつ徹底的な推進をあらためて国家間の合意として確認したことが重大だ。
共同文書は冒頭で、今の日米関係が「歴史上最も成熟した2国間関係の一つ」だとし、「より広範でより強化された協力関係が達成されたことを大いなる満足の意をもって振り返り、21世紀の地球的規模での協力のための新しい日米同盟を宣言した」としている。
小泉が首相になって以来の5年間に米日帝が強行した侵略戦争と軍事協力のエスカレーションをすべて肯定し、小泉後継政権においても強化・拡大し、日米関係を地球的規模の軍事同盟に飛躍させると言っているのだ。
共同文書は続いて、弾道ミサイル防衛(MD)や有事法制整備を始めとする日米軍事協力の「著しい進展を歓迎した」と述べた上で、この間の米軍再編をめぐる合意を「米軍及び自衛隊の過去数十年間で最も重要な再編」「歴史的な前進」と評価、その「完全かつ迅速な実施」を強く確認している。
米軍再編「最終合意」ロードマップは、@朝鮮半島や台湾海峡、中東をにらむ前線司令部として米陸軍第1軍団新司令部を08米会計年までにキャンプ座間(神奈川県)に移転すること、A名護市キャンプ・シュワブ沿岸部への新基地建設を始めとして沖縄米軍基地を戦争体制の「要石」としてあらためて位置づけ返すこと、B横田基地(東京都)と米海軍横須賀基地(神奈川県)を軸とした対北朝鮮・対中国のミサイル防衛網づくりなど、沖縄・神奈川―日本全土を最前線の出撃・兵たん基地とすることを確認した。Cまた、ロードマップには書かれていないが、横須賀基地への原子力空母移駐も強行しようとしている。
この中で、米軍と自衛隊は「一緒に訓練し、一緒に出兵し、一緒に生活する」(元在沖米海兵隊司令官の言葉)までに融合・一体化し、日本全国の空港・港湾・鉄道・道路、あらゆる職種の労働者を戦争動員し、米軍と自衛隊が共同作戦を展開すると明記している。
このとてつもない規模の再編について、日米の首脳が国家間の約束事として改めて確認した意味は大きい。
1996年「日米安保共同宣言」は、日米安保をアジア太平洋地域に拡大し、周辺事態法、有事関連7法の制定などに道を開いた。「新世紀の日米同盟」宣言が求めるものは「地球規模の協力=日米安保の世界安保化」「日米の一体化」だ。それは、9条改憲と集団的自衛権の全面解禁に直結している。小泉は、イギリスと並ぶアメリカの同盟国として、世界戦争に全面的に参入しようとしているのだ。
北朝鮮と中国への戦争体制
第二に、この日米反動枢軸が、何よりも中国と北朝鮮に対する侵略戦争体制づくりとして確認され、すでにどんどん物質化されていることだ。
共同文書は、日米が「アジアの歴史的変革を共に形作る」と宣言し、とりわけ「個人の自由の促進、政治・経済・軍事分野での透明性と信頼性の向上、人間の尊厳の保護、拉致問題を含む人道・人権問題の解決といった(アジア)地域における共通の課題に対処していく」などの表現で中国と北朝鮮をはっきり戦略対象に置いている。そして、強力な日米同盟を土台にしてこそ「中国の活力を生かす」ことができると、巨大な中国市場の奪い合いに勝利することを目的に据えている。小泉は記者会見で、「日米関係が良ければ良いほど中国、韓国との関係も良くなる」「日米関係と同等の重要性を持つ2国間関係は世界の中で一つもない」と、ことさらにくり返し、靖国参拝をめぐる中国政府・韓国政府の批判など相手にもしない姿勢をあらわにした。
要するに、「新世紀の日米同盟」とは、北朝鮮や中国を軍事的に組み伏せ、究極的には体制転覆することを射程に入れているのだ。現実に米日帝は、北朝鮮への金融制裁や軍事重圧を徹底的に強め、北朝鮮スターリン主義を絶望的な軍事対抗へ追い込み、それをも絶好の口実にして北朝鮮・中国侵略戦争に踏み込もうとしているではないか。
米欧対立と日米関係強化
第三に、帝国主義間の対立、とりわけ米欧対立(米対独仏)が非和解的な様相を深める中で、「成長のための日米経済パートナーシップ」をうたい、政治・軍事・経済の全面にわたる同盟(帝国主義的ブロック形成)として日米同盟を強化しようとしていることだ。
共同文書は具体的に、@一層の市場開放の推進、物・サービス・投資の効率的移動、A地球規模でのエネルギー安全保障、BAPEC(アジア太平洋経済協力)の強化などをあげている。ブッシュ政権は、日帝に一層の市場開放と小泉「構造改革」路線の継続を求め、中東石油の独占的確保を狙い、米帝の主導でアジア市場の争奪に勝利することを狙っている。
もちろん、中国・アジア市場の支配権をめぐる日米間の激突もますます非和解化している。しかし、日帝はその帝国主義的脆弱(ぜいじゃく)性ゆえに、さしあたり米帝の軍事戦略と一体化しつつアジア・世界の再分割戦に参入していくしかない。「日米経済パートナーシップ」とは日米の軍事的一体化と表裏一体であり、欧州帝国主義をはじき飛ばし、中国市場・アジア市場の分割と再植民地化を狙うという帝国主義的・強盗的本質に貫かれたものだ。
改憲阻止・日帝打倒を
「新世紀の日米同盟」という反動枢軸の形成は資本主義・帝国主義の末期的危機が生み出したものだ。いよいよ、アメリカ帝国主義と日本帝国主義を打倒すべき時が来たということだ。
米バブル崩壊とドル暴落の危機、世界支配の重大な危機に直面する中で、ブッシュ政権はさらに戦争を拡大し、核兵器の実戦使用にすら道を開こうとしている。3度目の世界戦争のプロセスはすでに始まっているのだ。この中で、日本政府がアメリカと新軍事同盟を締結する意味はあまりにも重大だ。第2次世界大戦は”持たざる帝国主義”(日独伊)が、イギリスなどの基軸帝国主義に挑戦する形で始まった。しかし今や、日米という世界1位、2位の帝国主義が世界反動枢軸を形成し世界戦争に火を付けようとしているのだ。
いったい、ブッシュ―小泉の5年間に何が強行されてきたのか。ブッシュ政権は”脅威が現実となる前に先制攻撃する”という先制攻撃戦略をもって01年アフガニスタン侵略戦争を発動し、03年3月には「大量破壊兵器の脅威」をデッチあげてイラク侵略戦争を強行、今もイラク人民に対する残虐な掃討作戦を続けている。小泉政権は、インド洋に海自艦隊を派兵し、イラク開戦時にはいち早く支持を表明、陸自地上部隊の戦時派兵まで強行した。イラク・中東人民の民族解放闘争、全世界数千万人のイラク反戦闘争が爆発し、「有志連合」の国々が次々と撤退していく中でなお、小泉政権はブッシュ政権を支持し続け、今も空自派兵を拡大している。
同時に、この5年間の小泉「構造改革」で、どれほど賃下げ、不安定雇用化、労働強化が進められ、他方で、ほんの一握りの資本家どもに富が集中する構造が作られてきたのか。「格差社会」と言われるように、いまの世の中が階級社会そのものであることが誰の目にも明らかとなりつつある。そして、日本、韓国、アメリカでの階級的労働運動の台頭を始め、全世界の労働者階級と被抑圧民族が帝国主義打倒の反乱に立ち上がっている。ブッシュ―小泉の5年とは、全世界人民の打倒対象として米日帝国主義が引き据えられてきた過程そのものだ。
日帝支配階級は、内外の危機の中で、戦後に形作られてきた国家と社会の全体をうち壊し、戦争のできる国へと作り変えなければ帝国主義国家として直ちにはじき飛ばされてしまうという危機感を極限的に強めている。そして、日本帝国主義の側からも米軍再編に積極的に対応し、米帝・米軍とどこまでも一体化することで「戦争のできる国」へと大飛躍しようとしているのだ。
米軍再編粉砕、改憲阻止・日帝打倒の闘いこそ「新世紀の日米同盟」に対する労働者階級人民の回答だ。国際帝国主義の最弱の環=日本帝国主義の打倒へつき進もう。
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「新世紀の日米同盟」(骨子)
▽日米関係は歴史上最も成熟した2国間関係
▽強化された日米同盟関係をもとに、21世紀の地球規模での新しい日米同盟を宣言
▽日米同盟の基盤は「人権」「テロとの闘い」などの共通の価値観と利益
▽米軍及び自衛隊の、過去数十年で最も重要な再編合意を完全かつ迅速に実施
▽強固な日米協力こそ中国の活力を生かし、北東アジアの平和に資する
▽北朝鮮にミサイル実験凍結順守を求める
▽「日米経済パートナーシップ」をより強化
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日米の軍事的一体化
91年 ソ連スターリン主義の崩壊
94年 朝鮮侵略戦争の超切迫情勢
95年10・21 沖縄で10万人集会
96年 日米安保協同宣言
97年 日米新安保ガイドライン
99年 周辺事態法の制定
01年9・11 反米ゲリラ戦争
01年9・30 米QRD(4年ごとの兵力見直し)先制攻撃戦略
01年10・8 アフガニスタン侵略戦争開始(→海自艦隊のインド洋派兵)
02年1月 ブッシュ「悪の枢軸」演説
02年12月 米軍再編協議を開始
03年3・20 イラク侵略戦争
6月 日米首脳会談「世界の中の日米同盟」を宣言
04年1月 陸自のイラク派兵開始
04年6月 有事関連7法成立
04年6月 新防衛計画大綱
05年2・19 米軍再編「日米共通の戦略目標」(戦略的打倒対象として中国明記)
05年10・29 米軍再編「中間報告」
06年5・1 米軍再編「最終合意」・ロードマップ
6・29 「新世紀の日米同盟宣言」
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週刊『前進』(2254号5面2)(2006/07/17)
政治的破産とげたカクマル
「中国起動力」「米中新対決」を叫んで中国脅威論の最先兵に
今春闘争の総括もできず
反革命カクマルは、今春の闘いの中で、アリバイ的な「闘う姿勢」を示すこともできず、政治党派として大破産した。彼らの今春闘争の頂点というべき「6・18反戦反安保労学統一行動」にそれは如実に現れている。そこには4〜6月国会闘争の総括もなく、改憲・教育基本法改悪・共謀罪・国民投票法案などの攻撃との闘う方針もなく、夏から秋への闘いの展望もまったく示せない、惨たんたるありさまだった。
カクマルはこの数年、彼らの頭目である黒田寛一を「教祖」としてあがめ奉ることがすべてというカルト集団のような存在に純化してきたが、それだけでは「政治党派」としては成り立たないので、最近は精いっぱい「反帝国主義」を装ってきた。だが、それらはまったくインチキなしろものだ。
何よりも、彼らは帝国主義の体制的危機を正面から問題にすることができない。そして、労働者階級人民の帝国主義への激しい怒りの爆発と全世界的な階級的激突の開始を語ることができない。小泉が国会内の3分の2の与党勢力を持ちながらなぜ、共謀罪や教基法改悪を強行できないのか。闘いの場に身を置いていないカクマルには、まったく分からないのだ。
闘う教育労働者の最も先進的な戦争協力拒否闘争である「日の丸・君が代」強制拒否の闘いにも「フキリツ、フキリツ」とののしって敵対した。
動労千葉の反合・運転保安闘争については、もともと国鉄の分割・民営化に率先協力した裏切り者であるカクマルはそもそも敵対勢力だ。このように闘いの最前線と無縁で、もともと敵対的なポジションにいるカクマルに、まともな方針や闘いをつくり出せるわけがない。彼らにできるのは、小泉を日本の国益を裏切るアメリカの手先として、右翼ナショナリストと同じ立場で非難することだけだ。
「米−中・露の角逐が震源」
カクマルは今日、次のような諸点で、完全な破産と反動性を自己暴露している。
第一は、「米中新対決」時代論の反革命性である。中国の対米包囲網に追いつめられたアメリカが「ポチ公」小泉を率いて中国に対抗していることからすべてを説明する中国起動力論となっている。「中国によるロシアと結託しての反米包囲網の構築」がデカ写しにされ、そこから「中国軍の台湾侵攻に対する軍事作戦の遂行」「台湾海峡のみならず朝鮮半島においても、米−中・露の角逐を震源とする熱戦勃発の危機」(『解放』6月26日付)と、中国が戦争の危機をつくり出していると叫んでいる。
つい最近まで、「朝鮮侵略戦争などというのは中核派の妄想」と言って否定してきたカクマルが、今日戦争の危機を叫んでいるかのように見えるが、これも米日帝の中国・北朝鮮侵略戦争として帝国主義の危機を根源とするものとして正しくとらえられているわけではなく、「米−中・露の角逐を震源とする」として、中国脅威論(中国起動力論)を前面に出しているのだ。
「左翼」党派を装う手前、カクマルは米帝に反対している体裁をとろうとする。「(熱い戦争に至らなかった)旧東西冷戦の時代とは異なって、アメリカが核の圧倒的優位を誇り・しかも先制攻撃の権利を留保しているがゆえに、アメリカを起動力とし、中・露の対抗によって、世界的規模の大戦争に発展する可能性をも孕(はら)んでいるのである」(『解放』6月12日付)
しかし、そう言ったそばからカクマルは、中・露の軍事力増強を列挙し「中国もまた、米国防報告が危機感にみちて暴露しているように(!)台湾海峡だけでなく複数の地域戦争に十分対応できる軍事力を着々と確立しつつある」(同)と言って、米帝や日本の支配階級とともに中国こそが戦争的危機の根源とわめいているのだ。
「戦争の根源は帝国主義である」「戦争に訴える以外に延命できなくなっている帝国主義を今こそ打倒し、世界革命をなし遂げよう」と労働者人民に訴えることが、カクマルには絶対にできないのだ。
米日帝は帝国主義の危機からくるすべての矛盾を労働者階級にしわ寄せし、北朝鮮・中国に対する軍事重圧を強め、米軍再編と改憲をもって労働者人民を戦争に動員しようとしているのだ。ところが、カクマルは、「中国の台湾侵攻」や「北朝鮮のテポドン」を挙げ、こちらに原因があるという話に絶えず持っていこうとしているのだ。
イラク新政権も反米戦線?
この中国起動力論は、とりわけイラク情勢論において極端化している。これが第二の問題だ。
カクマルは、これまでイラクにおいては、シーア派のシスターニ師の思惑どおりに事態が進んでいる、その「熟柿戦略」によってシーア派主導の政権が樹立される、それによってアメリカはイラクからたたき出されると主張してきた。したがって彼らは、そのような解釈に反する事態、イラク人民、ムスリム人民の反米ゲリラ戦争とカイライ政権に対する戦いの激化・拡大に対して「謀略」論で説明してきた。イラク人民と政府は一体であって、アメリカのCIAがゲリラ戦争を装って攻撃しているのだというデマ宣伝をしてきた。
その「謀略論」の破産の極めつけは、「ザルカウィはCIAの隠れみの、幻の存在」という「主張」だ。「そもそもザルカウィなどという人物はいなかったのだ、アメリカがデッチあげた虚像だ」というわけだ。
カクマルによると、イラクのマリキ新政権も「反米・反シオニズムの共同戦線の一翼」ということになる。
「中国およびロシアとの結束を基礎にして(イランの)アフマディネジャド政権は、新たな”イスラームの星”として、イラクのマリキ新政権やシリアのアサド政権、パレスチナのハマス政権やレバノンのヒズボラとともに〈反米・反シオニズム〉の共同戦線を構築」(『解放』6月19日付)
イランやシリアやハマス政権のみならずイラク新政権も、その後ろ盾になっているのは中・露だと主張し、イラクのマリキ政権(米帝のカイライ)は実は中国の全世界的な反米戦線の最先端にあるものだと言うのだ。
ここでカクマルは、イラクの新政権が米帝占領軍をたたき出そうとしていると描いている。イラク情勢の核心は、米帝とそのカイライ政権の対立にあるとしている。これは完全に事実に反する。イラク人民の米帝占領軍とその手先であるイラク政府軍に対する闘いは、シーア派、スンニ派の内戦的激突の形もとりつつ、激化・拡大している。ザルカウィ殺害後事態はさらに拡大している。
現実に米帝は陸軍・海兵隊の増派を決め、日帝自衛隊も空自の戦闘地域への空輸拡大などイラク派兵を継続強化している。このままでは「平和的撤退」の展望などないのだ。カクマルは、米帝と日帝が泥沼的な侵略戦争をどこまでも拡大・激化させようとしていることを認めないのだ。
「属国化完成」は日帝激励論
第三に、日本の労働者階級の直接の打倒対象である日本帝国主義についての言説のデタラメさだ。「アメリカ属国化の完成」を叫び、日帝が帝国主義として生き延びるための絶望的な選択として日米同盟強化があることを否定し、ただただ小泉が「忠犬ポチ公」としてブッシュに追随しているとわめき立てている。
これでは日本共産党の「異常なアメリカ言いなり政治」という規定とほとんど一緒である。いやそれどころか、カクマルの場合は、黒田の日本民族主義が濃厚であり、日共とも異質の右翼ナショナリズムなのである。
日帝・小泉は「安保同盟の鎖にしばりあげられた忠犬」にすぎないのか。帝国主義的な意思を持たない植民地的従属国なのか。とんでもない。日帝は、米帝との帝国主義間の対立を激化させながら、当面米帝との政治的軍事的同盟関係をとことん強化する形でしか延命できない。問題は日帝が米帝に対して「自立していないこと」なのではなく、戦争に向かって絶望的に凶暴化するしかない日帝を打倒するために闘うことにあるのだ。カクマルの主張は日帝に対する愛国主義的な激励でしかない。
日本の大独占ブルジョアジーの代表である日本経団連と小泉政権が一体でないどころか、全面的に対立しているというのがカクマルの主張だ。「日本をブッシュ帝国の属国たらしめていることをいさぎよしとせぬ日本独占ブルジョアジー主流」(同6月12日付)というたぐいの言葉が繰り返し出てくる。
だが、小泉と奥田のこの5年間ほど、日本の資本家階級とその政府が一心同体でやってきた歴史はない。小泉の「構造改革」「民営化」は、ブルジョアジーの要求そのものである。
カクマルは「日本経団連をはじめとする独占ブルジョアジー主流の意向を追い風にして権謀術数を駆使している……小沢の対自民党工作」「小沢のどす黒い野望」という。
カクマルは小沢を含めて誰が小泉の後の政権を引き継ごうとも、日帝が改憲・日米同盟強化・反中国のコースを突き進むしかないことを見すえられないのだ。
いよいよ9条改憲に向かって日帝が絶望的な攻撃に出ようとしていること、階級的大激突が始まったということを、カクマルはまったく提起することができない。自国帝国主義の外への侵略戦争と、内への階級戦争の激化に対し、労働者階級は4大産別決戦を軸に全力で階級的に立ち上がらなければならない。このような階級的大激動期に、反革命的正体を露呈するカクマルを打倒し一掃しよう。
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カクマルの主張のポイント
★中国によるロシアと結託しての反米包囲網が構築されている
★イラク新政権は、反米反シオニズムの共同戦線の一翼
★「ザルカウィ」はCIAの謀略の隠れみの、幻の存在
★中・露を後ろ盾としたイランの挑戦の奏功
★小泉政権は、安保同盟の鎖にしばりあげられた忠犬
★日本経団連をはじめとする日本独占ブルジョアジー主流は小沢民主党を後押ししている
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週刊『前進』(2254号6面1)(2006/07/17)
沖縄から郵政民営化に徹底抗戦しよう 沖縄 仲村渠 真彦
郵政が全国4696の郵便局のうち約22%に相当する1048局の集配業務を廃止する、とマスコミは報道している。その特徴は、北海道(160)や新潟(55)が多く、東京(5)や大阪(3)などの都市部が極端に少ないことである。郵政公社は、「人員配置の効率化」と称して、年間100億円のコスト削減を目指すとしている。しかし、なぜ今の段階で集配業務の廃止なのか。それは、2007年10月の民営化をにらんだものであることは明らかだ。
沖縄の例を見ると、今年9月実施が9局、来年3月実施が全離島を含む21局となっている。集配業務を廃止した郵便局が担当してきた地域は、「比較的近くにある郵便局が集配を引き継ぐ」としているが、陸続きならまだしも、離島や二次離島はどうなるのか。公共性の強い郵便事業は、ユニバーサル(全国一律)サービスが義務付けられている。集配業務の廃止は、これを根底から破壊するものである。
NTTでは、2000年から2001年に“地域の顔”としてあった全営業窓口が廃止された。これは競合他社とのイコールフッティング(同一の条件での公正競争)の理由でなされたのである。この結果、116などの電話以外では申し込みや相談ができなくなり、利用者に大変な不便を与えることになった。
また、離島営業所の廃止は、そこで働く労働者を強制的に沖縄本島に異動させたのである。離島におけるメンテナンス業務は、一人当たり年収200万〜250万円でアウトソーシングされた。
民営化とは、そもそも国有財産である郵政公社や電電公社などの財産を、独占資本が分捕ることである。したがって、採算の合わない地域や離島・僻地(へきち)は切り捨てられる。都市部に集配業務が集中するのは、そこにクリームスキミング(いいとこ取り)のうまみがあるからである。
来年の10月までまだ時間は残されている。ここで徹底抗戦しなければ“第二のNTT”になりかねない。全逓労働者の奮闘に期待する。
憲法違反の政治家を労働者の力で辞任へ 愛媛 宮本絵美
日本国政府は長年にわたって改憲をたくらみ、あわせて1952年に破防法(破壊活動防止法)を出し、自衛隊の前身である警察予備隊を保安隊に改組して以来、次々と違憲の法令を制定し、その罰則で民衆の自由と権利を奪ってきました。今国会で、その成立をいったん阻止した共謀罪も完全に違憲の法案です。
日本国憲法第10章【最高法規】の第97条【基本的人権の本質】には次のように明記されています。
「この憲法が日本国民に保障する基本的人権は、人類の多年にわたる自由獲得の努力の成果であって、これらの権利は、過去幾多の試練に堪え、現在及び将来の国民に対し、侵すことのできない永久の権利として信託されたものである」。
続いて第98条【憲法の最高法規性、条約及び国際法規の遵守】で、「この憲法は国の最高法規であって、その条規に反する法律、命令、詔勅及び国務に関するその他の行為の全部又は一部は、その効力を有しない。A日本国が締結した条約及び確立された国際法規は、これを誠実に遵守することを必要とする」と言い、第99条【憲法尊重擁護の義務】で「天皇又は摂政及び国務大臣、国会議員、裁判官その他の公務員は、この憲法を尊重し擁護する義務を負う」と書いています。
しかし現実はどうでしょうか? 民衆は違憲の法令や規則で罰せられていますが、憲法は、これを護(まも)らなければならないとされた人たちが護らなかった場合の罰則を設けていませんし、それに関連した法令もありません。こんなこと、このままで許せますか!?
民衆の信託にこたえない議員や大臣は、彼らを処罰する法律がないとすれば、民衆の力でこれを辞めさせるほかないと思います。労働者民衆が力を結集して対抗しなければ、私たちの権利と人権はどこまでも侵害されていくでしょう。
ひとりで改憲反対の街頭署名に立ち60筆 東京・三多摩 中島文幸
6月最後の1週間に4回、「憲法9条を変えることに反対」百万人署名運動に1人で街頭に立ってみた結果を報告します。2時間、2時間、40分、1時間と場所も時間帯も異なるなかでの結果は、それぞれ20人、24人、2人、14人、合計60人の人が署名に応じてくれました。
やってみての結論は、まず1人でも署名運動はできる!ということです。次に、署名に一番応じてくれるのは待ち合わせや休憩などで立ち止まっている人です。「憲法9条が変えられようとしている。反対しよう」という超簡単なメッセージが伝わると、圧倒的に署名に応じてくれる。逆に歩いている人にはそれが簡単には伝わらず、そこに「1人署名」の限界があるようです。だから、やはり繰り返し立つこと、派手なデコレーションが有効だと思います。そしてそれ以上に複数での署名活動、空間全体の雰囲気を変えることが絶対に有効です。
しかし、1人署名活動でもほぼ一定の確率で署名が必ず集まります。というよりも「署名をさせてください」と言って相手からこちらを「見つけて」署名する人がほとんどです。
今回署名してくれた合計60人のうち、最低でも3分の2から半分の20〜30人は「この署名用紙をコピーをしてまわりで署名を集めてください」という呼びかけに応じてくれる。そこで渡すパンフやリーフレットは必ず読まれるという感触をもちます。要するに署名運動の拡大運動なのであり、地域や労働組合などの意識的な人びととの結合運動なのだ、と強く感じました。
ともかく署名用紙を持って街頭に出よう! 署名をとおして圧倒的に多くの「署名活動家」と結び付こう!
韓国・平澤の団体招き反基地に正義を確信 相模原 佐伯まどか
〔写真上左〕7月2日、ピョンテク基地拡張への強制収用をめぐる軍隊・警察との5・4攻防で拘束された6人が釈放され、670日目のロウソク集会が盛り上がった
〔写真上右〕遅れている農作業に精を出す援農の学生たち(6月28日 ピョンテク)
みなさん、「米軍再編」で米陸軍第1軍団司令部が来るというキャンプ座間の73%が相模原市にあるというのをご存じでしょうか?
私は、日米政府による相模原の再軍都化をとめたいと思って活動を続けています。
先日、地元の共闘団体で韓国の平澤(ピョンテク)で米軍基地拡張と闘う市民団体の方を招き、集会をもちました。「平澤平和抗争」と呼ばれる5月の警察暴力による農地取り上げとの闘いが写真展示され、血を流しながら闘う農民らの姿に、土地取り上げの不正義を確信しました。
お話では、「(韓米同盟は)対北防御同盟から対中国封鎖同盟へ再編することになった」「韓米日三角軍事同盟として東北アジアで陣営間対決の構図の強化と対中国包囲戦線の構築を狙う米国の戦略がいっそう強化された」と、再編の核心問題が侵略体制づくりにあることが提起されました。だからこそ平澤基地拡張阻止闘争は「農民の生存権闘争であると同時に、米軍の新軍事戦略を破綻(はたん)させる重要な闘争である」と。
相模原での「再編」は新たな土地取り上げを伴いません。しかし合併や医療・税制改悪が少なからぬ市民に「生存」の危機をもたらしている今、この「生存」と「平和」を貫いて闘えるのは、労働者をおいてほかにないと信じています。
「国際連帯闘争の強化で全世界の平和を守る闘争に力強く立ち上がろう」という言葉にぜひこたえたいと思います。
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週刊『前進』(2254号6面2)(2006/07/17)
イラン核問題 6ヵ国提案で屈服迫る
米帝は核先制攻撃も狙う
米欧対立につけ込むイラン
秋原 義明
7月15日からロシアのサンクトペテルブルクで開かれるG8(主要国首脳会議)でイランの核開発問題が重要な議題となる。米帝はG8で各国の合意を取り付け、イランへの軍事重圧をさらに強め、イラン侵略戦争に向かって決定的に踏み込もうとしている。戦術核兵器を含む大規模な空爆強行を許してはならない。改憲阻止闘争への全力決起を中心とした反戦・反核闘争の爆発で米帝のイラン侵略戦争を絶対に阻止しよう。
「さらなる措置」と恫喝
国連安保理常任理事国5カ国(米英仏ロ中)とドイツの6カ国が6月1日、ウィーンで外相会議を開き、イランに対して包括的な見返りと制裁措置をセットにした「包括提案」を行った。イランがウラン濃縮活動を停止した場合には、軽水炉技術や核燃料を提供するというもの。その一方でイランが提案を受け入れない場合には、「さらなる措置」としてイラン政府要人の外国渡航制限や国外資産の凍結、武器の輸出入制限などを行うというものである。
(写真 ブシェールに建設中の原発)
この提案について米帝ブッシュは、「数カ月でなく数週間でイランは回答しなくてはならない」と述べて圧力を強めている。一方、イランのアハマディネジャド大統領は当初「詐欺的だ」としていたが、6月16日に訪問先の中国で「一歩前進だ」と述べ、「時期が来たら回答する」と語った。6月29日にはモッタキ外相が「8月に回答する」としてサミットでの決着をはずして先送りにする態度を明らかにした。
イランのウラン濃縮をめぐっては、この間、米帝が激しい戦争重圧をかけてきた。特にイランが1月に核施設の一つを再稼働させ、4月には原子力発電用に使える約3%濃度の濃縮ウランを精製したと発表したことから、急激に緊張が高まっていた。米帝がイランの数十カ所の核施設・軍事施設を含む数百カ所に軍事攻撃を行い、その際戦術核兵器を使用することが計画されていることが明らかになったのだ。
4月8日付米誌『ニューヨーカー』(電子版)が、米帝がイランを戦術核兵器で先制攻撃する計画を策定していることを報じた。さらに米帝は、CONPLAN8022―02というイランや北朝鮮に対する戦術核兵器を使った先制攻撃作戦計画を策定しているといわれている。米帝のイランへの先制核攻撃は、10万人もの死者が出るだろうと予測されるような人民大虐殺だ。
これに対して国際的に労働者人民の批判が巻き起こる一方、米国内でも軍関係者や退役将軍などが「軍事攻撃は成功しない」「アメリカの利益を損なう」として反対する動きが広がった。しかし米帝は再びイラン核攻撃の策動を強めている。
その一方で今回、6カ国の包括提案に米帝が加わったことは、米帝のイラン政策の一定の転換を意味している。米帝は、1979年イラン革命以来、イラン政府とは直接的な話し合いを一切持たない政策をとってきた。イランがウラン濃縮を停止すれば6カ国対イランという形で話し合うということは、30年近くにわたるこの政策の転換である。しかし、明白なことは、米帝はイランが核開発能力を持つことをけっして容認せず、戦争政策を基本的に維持しているということである。
国際プロレタリアートは帝国主義の核もそれに対抗するイランの核も絶対に許さない。核と人類は相いれないからだ。
イラク危機で政策転換
米帝の政策転換の根底には、イラク侵略戦争が完全な泥沼に陥っている中で、イラク占領支配を維持するためになんとかしてシーア派を取り込む以外にないという現実がある。イラク占領支配の現状を打開できるのかどうかは、米帝の死命を制する問題なのだ。
米帝は、イラク正式政府発足の過程でイランと結びついたイラクのシーア派に圧力をかけてきた。だが、あらためてはっきりしたことは、イラクの武装解放勢力を軍事的に鎮圧する以外に占領・植民地支配は成り立たないということだ。そして現在イラクでは、シーア派はカイライ政権デッチあげの政治過程に加わることで権力を握ろうとしており、それをめぐって武装解放勢力との激しい内戦になっている。米帝にとってこのシーア派を利用する以外に占領支配を貫く方策はまったくないのが現実だ。
こうした中でイランの核開発をめぐってイランに対して先制核攻撃を加えることは、イラクにおいて米軍支配が総崩壊することになりかねない。先述の米軍幹部らのイラン攻撃計画への反対もこれが大きな理由だ。
一方で、イラク国内においてはシーア派住民も米軍占領支配への怒りを深めており、シーア派の中からゲリラ戦争を闘う勢力が公然と登場している。正式政府樹立をめぐって政治過程に加わったサドル派が分裂し、内部での武力衝突が起きるなど、シーア派宗教指導者の政治的影響力が減退してきている。
アフガニスタンでもタリバン勢力が増強し、米軍戦力の増派が必要になるなど、追いつめられた米帝は、イラン核問題の交渉の領域にも積極的に介入してイラン政権を屈服させ、取り込んでいく道を模索し始めているのである。
争闘戦激化が危機促進
米帝が6カ国包括提案という形でイランとの直接交渉を追求し始めたもう一つの理由は、イランの核開発をめぐる交渉でEUやロシア、中国がイランを取り込むことを阻止し、米帝が世界支配のヘゲモニーを握り続けようとしていることである。
米帝のイラク侵略戦争で中東・石油支配から完全にはじき出される危機にある独仏帝国主義は、イランの核武装そのものは阻止したい一方で、核開発にからむ交渉によってイランを取り込んで中東石油を確保しようと追求している。一方、ロシアは95年の契約以来、ブシェールの原子力発電所建設を進めており、ナタンズなどの地下核施設建設にもかかわっている。イランの原子力発電でロシアは数十億jの利益を見込んでいる。中国も石油需要が高まっており、6月21日にはイラン国営石油会社と中国石油化工がギャルムサール油田の石油・ガス探鉱・開発契約に調印した。
米帝はEUやロシア、中国がイランを取り込むのを阻止するためにも、イランへの戦争恫喝を強めることで核開発問題をめぐるイランとの交渉のハードルを高くしてヘゲモニーを握ろうとしている。直接交渉をとおしてイランを屈服させ取り込もうと狙っているのだ。
他方で、イランも米帝と独仏などの対立につけ込む形で交渉を有利に進め、原子力発電所建設を貫こうとしている。イラン最高指導者ハメネイ師は6月27日、「米国との協議はイランに何の利益ももたらさない」と発言し、米帝との交渉を拒否する姿勢を示した。
もともとイランは、外国の投資を呼び込んで経済建設の危機を打開するためにも米帝との直接交渉を望んできた。ロシアやドイツ、日本などとの開発協定なども中断や破棄が繰り返されてきた。米帝がさまざまな理由を付けてそれらの国のイランとの契約を中止するよう圧力をかけてきたからだ。
ところが、米帝が直接交渉への転換を示した段階になって、イランがEU、ロシア、中国と米帝との分断を図る政策を持ち出した。米欧対立にさおさし、イラン自身によるウラン濃縮を貫くことでウラン濃縮技術を発展させようとするものだ。こうしたイランの策動が帝国主義間対立を促進するものになっている。
イラク侵略戦争の絶望的危機で米帝は凶暴化を深めており、米帝のイランへの先制核攻撃の一触即発的状況は、本質的にはむしろ強まっているのだ。危機に立つアメリカ帝国主義のイラン先制核攻撃、米日帝の北朝鮮・中国侵略戦争を絶対に阻止しよう。改憲阻止決戦への全力決起で日帝・小泉政権を打倒しよう。
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週刊『前進』(2254号6面3)(2006/07/17)
解同全国連 茨城県連大会開く
“差別への怒りもち闘う”
7月2日、部落解放同盟全国連合会(全国連)茨城県連合会の第15回定期大会が茨城県古河市で開かれ、茨城県連を先頭に関東各地の全国連支部員、東日本部落解放共闘会議の労働者・学生、茨城県の自治体関係者ら320人が参加し、盛大にかちとられた。
(写真 3大闘争、改憲阻止、反戦闘争への決意を固めた全国連茨城県連15回大会【7月2日 古河市】)
初めに茨城県連の石川辰衛委員長が主催者としてあいさつした。「小泉内閣による改憲、民営化、労組破壊の中、全国で部落差別が激増している。屈服することなく部落大衆の生活と権利を守るために闘おう。石川一雄さんと連帯し狭山第3次再審闘争に取り組もう。差別糾弾闘争をやる。狭山―差別糾弾闘争、生活要求闘争、労働者との共同闘争の3大闘争への総決起の大会にしよう」と力強く訴えた。同時に差別撤廃、人権尊重の行政施策を実施するよう自治体に求めた。
来賓として茨城県知事、茨城県教育長、古河市長、東日本解放共闘の山川博康事務局長、朝鮮総連茨城県本部の代表があいさつした。山川さんは「小泉政権の5年間、労働者民衆にとっていいことはひとつもなかった。差別され抑圧され虐げられた者が手を携えてともに立ち上がる以外にない。東京高裁・高検要請行動を始め狭山第3次再審闘争を全国連とともに闘う」と誓った。
「部落の現状と解放運動の課題」と題して記念講演を全国連中央本部の中田潔書記長が行った。「全国連のアンケート調査によると部落差別は無くなっていない。弁護士や税理士を使った身元調査による結婚差別などが激増している。法がなくなり、公然と差別する風潮がある。解同本部派は利権腐敗にまみれているが、全国連は部落民的自覚をエネルギーとし、差別への怒りを引き出して闘う」と決意を述べた。
次に茨城県連の大会議案として経過報告を井橋昌夫事務局長が提起。3大闘争を闘ったことを確認し、県連のアンケート調査で差別を受けた経験があるという人が6割を占めたと報告、全国連のもとで闘おうと訴えた。
運動方針を高橋昭一書記長が提起。「改憲と戦争の動きが強まり、差別が激化している。村の大衆の意識に沿った運動をやろう。部落民としての自覚を再生し、部落差別に対する怒り、人間としての誇りをもって闘い、解放運動を再び大きくしよう」と呼びかけた。改憲阻止闘争、狭山闘争、生活要求闘争、反戦闘争、共同闘争の強化を訴え、「来年度から県の補助金が打ち切られる。自主財源による組織と運動をつくろう。日常活動を強め組織建設を進めよう」と締めくくった。
両報告を受けた自由討論で茨城県連各支部、青年部、婦人部、同住連、東京・江戸川支部、法大解放研、「障害者」解放運動団体、動労水戸が活発に意見を交わした。
新役員を代表して石川辰衛委員長が「差別との闘いは権力との闘い。解放運動は自分のための運動。自ら一歩踏み出して闘おう」とあいさつ。最後に大会宣言を採択、団結がんばろうを行った。
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週刊『前進』(2254号6面4)(2006/07/17)
公務員のビラまきに有罪
国民投票法を先取り
政治活動禁止条項を適用
6月29日、東京地裁は03年に日本共産党機関紙号外などのビラを配布したとして起訴された社会保険庁職員に対して、罰金10万円、執行猶予2年の有罪判決を言い渡した。国家公務員の政治活動を、国家公務員法102条1項を適用して有罪としたのは実に約30年ぶりの暴挙である。
これは、国民投票法案の中で公務員や教員の政治活動を罰則つきで禁止していることと一体の政治的判決である。
公判で明らかとなったのは、公安警察が約1カ月にわたってこの職員を尾行し、ビデオ撮影を行い、弾圧の機会を狙っていたということだ。そして職員が休日を利用して自宅周辺でビラを配布したことに対し逮捕・起訴に踏み込んだのである。
判決では「公務員の政治的行為が自由に放任されると、公務員の政治的中立性が損なわれ、公務の運営に党派的偏向を招くおそれがあり、行政の中立に対する国民の信頼が損なわれかねない」として、政治的行為の禁止には「利益」があると断定した。その一方で、「政治的行為禁止で失われる利益は、国民の一部にすぎない公務員の自由な政治活動」であり、これを制限するためには「予防的規制が合理的」として「政治的行為の禁止は憲法21条(集会・結社および表現の自由)に違反しない」と開き直っている。
要するに、「公務員の政治活動を禁止するのは当然だ。公務員には活動の自由、表現の自由など一切認めない」「国家の忠実な下僕になれ。戦争政策の担い手となれ」という判決だ。
そもそも国家公務員への「政治的行為の禁止」規定は、戦後革命の圧殺のために生まれてきた。47年2・1ゼネストなど戦後労働運動の主力を担った官公労労働運動を弾圧するために、48年にマッカーサーのもとで公務員の争議行為・団体交渉を全面禁止する政令201号が出され、これに基づいて国公法が全面改悪されたのだ。
それでもこの悪法は労働者の闘いによって適用が阻止されてきた。
だが今、日帝は自己の延命をかけて、改憲と戦争に向けて自治労、日教組など官公労労働運動、4大産別労働運動をたたきつぶすために、この国公法による政治弾圧に踏み込んできたのだ。「一市民としての政治活動を有罪としたことはきわめて時代錯誤」(日本共産党・市田書記局長談話)などというものでは断じてない。
小泉政権は、米軍再編、日米軍事一体化、入管法改悪、行革―公務員制度改革、共謀罪新設法案、国民投票法案、教育基本法改悪案など改憲と戦争、民営化・労組破壊の攻撃に突き進んでいる。それは支配階級の強さの表れではなく、労働者の闘いと団結の力を心底から恐れていることの表れだ。怒りも新たに、公務員労働者の政治活動への弾圧を打ち破ろう。4大産別を先頭に改憲阻止決戦に立とう!
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共謀罪を完全廃案に!
7・21「共同行動」総決起集会
7月21日(金)午後6時開会
東京しごとセンター(旧シニアワーク東京)
東京都千代田区飯田橋3丁目10番3号
JR飯田橋東口下車南500b
主催 破防法・組対法に反対する共同行動
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