ZENSHIN 2006/07/03(No2252
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週刊『前進』(2252号1面1)(2006/07/03)
9条改憲絶対阻止へ大運動まき起こそう
排外主義と「愛国心」攻撃うち破り 7〜8月労働者の総決起を
6・15法政大 法大当局は学生証チェックの体制を敷いて集会圧殺を図ったが、それは法大生の怒りをかき立て、退学処分を受けた学生を先頭に1000人が当局を追及た。6・19不当逮捕は、この闘いに恐怖した法大当局・公安警察による報復弾圧だ(6月15日 市ケ谷キャンパス)
5〜6月国会闘争は重大な勝利を実現した。共謀罪反対闘争では世論全体が「共謀罪反対」に転化し、小泉は強行採決に踏み切ることができなかった。教育基本法改悪阻止闘争においても、北海道を始め全国から教育労働者が決起し、日教組本部の裏切りを突き破って闘い、これも廃案に追い込むには至らなかったが、継続審議−臨時国会へと押し返した。さらに6月15日、法政大で「退学処分撤回」「教育基本法改悪粉砕・改憲阻止」の1000人集会がかちとられたことは歴史的な情勢だ。全国大学における300万改憲阻止ゼネストの火柱がここに上がった。5〜6月の階級的大高揚の地平を継承し、7〜8月闘争と今秋−11月へと総決起していこう。
第1章 教基法改悪も共謀罪新設も改憲に直結
国会闘争と法政大決戦を先端として5〜6月闘争が切り開いた歴史的な前進の上で、この7〜8月闘争をどう闘うべきか。
まず何よりも、全国で9条改憲絶対阻止の大運動を巻き起こすことである。思い切って改憲阻止を軸に据えて闘うということだ。
改憲阻止闘争は戦後史を画する巨大な決戦である。共謀罪新設、教基法改悪、国民投票法案、米軍再編、防衛庁「省」昇格法案、労働法制改悪を始め、一切の攻撃が改憲に直結している。9条撤廃を核心とする改憲攻撃は、戦後体制を解体し、焼き払い、その廃虚の上に強権的な軍事大国・戦争国家を打ち立てようとする大攻撃なのだ。
自民党の新憲法草案は憲法の部分的手直しではなく「新憲法草案」である。それは戦後憲法の平和主義・基本的人権・主権在民の理念すら原理的に解体する巨大な反革命であり、国家のあり方を転換するクーデターだ。今日では自民党は、新憲法草案にはペテン的に残した9条1項「戦争放棄」をも、2項「戦力不保持・交戦権の否認」とともに解体・一掃することさえ狙っている。
現に共謀罪でたくらまれていることは、労働組合や革命政党などを壊滅するために、実行行為もなく、ただ話し合ったり「目配せ」しただけで、犯罪となり逮捕できるということだ。まさに究極の団結禁止法、現代の治安維持法であり、改憲の先取り攻撃そのものである。
教基法改悪案には、「愛国心」が盛り込まれている。自民党や民主党は「国民である以上、愛国心を持つのは当然だ」と言う。だが、それはペテンだ。「愛国心」は戦争と直結しており、帝国主義にとって戦争動員の武器なのだ。戦前の「教育勅語」のもとで、「愛国心」の刷り込みと天皇への忠誠心の強要が、いったい何をもたらしたか。あの言語に絶する侵略戦争・帝国主義戦争の惨禍と、無残な破滅ではなかったか。「愛国心」は労働者階級と人民が命にかけても拒否し粉砕すべきものだ。
教基法改悪案絶対阻止、共謀罪粉砕の闘いはまさに改憲阻止の闘いそのものだ。改憲阻止決戦は戦争か革命かを問う、日帝打倒への戦略的な闘いである。この7〜8月、4大産別を先頭に全国の労働者階級人民は、9条改憲絶対阻止の大運動に決起していこう。街頭で、職場で、キャンパスで、9条改憲阻止を訴えよう。署名活動を軸とした一大旋風をつくり出そう。
法政大では、学内でのビラ・看板の禁止、権力・当局が一体となった相次ぐ不当逮捕、退学処分の攻撃に、学生大衆の怒りの総決起が始まった。平林・安東独裁体制打倒の闘いが爆発している。これは60年、70年を超える大闘争の開始だ。法大の攻防に勝利し、改憲阻止の全国ゼネストへと突き進もう。
第2章 米軍再編と対北朝鮮侵略戦争切迫情勢
米軍再編も実質改憲の攻撃そのものだ。米帝ブッシュと日帝・小泉は日米枢軸のもとに、泥沼化・長期化するイラク侵略戦争を継続・拡大し、イランや北朝鮮への侵略戦争に突入していこうと狙っている。米軍再編こそ、米日帝が北朝鮮・中国侵略戦争を実際に発動し、さらに「不安定の弧」から全世界に戦争を拡大していくための軍事体制づくりである。
沖縄基地を始め座間、横田、横須賀、岩国などの米軍基地が、北朝鮮・中国侵略戦争−世界戦争の前線司令部、あるいは出撃基地とされ、日米の軍事的一体化と、陸・海・空・海兵隊の緊密な戦争ネットワークが機能していこうとしている。その上で有事には自衛隊基地も、成田を始めとした民間空港も、米軍の一大拠点と化すのだ。
米日帝はこの間、北朝鮮の「テポドン2」の発射実験が近いと騒ぎ立て、ミサイル防衛(MD)などの臨戦態勢に入っている。帝国主義の側が北朝鮮の体制転覆を狙って戦争を仕掛けようとしていることを棚に上げ、米日帝による侵略戦争の重圧にあえぐ北朝鮮スターリン主義の対抗的・反人民的政策につけ込み、逆にそれを絶好の口実にして、実際に北朝鮮侵略戦争を準備し発動しようとしているのだ。
北朝鮮への排外主義扇動と侵略戦争策動を打ち破り、米軍再編粉砕・改憲阻止の闘いを強化しよう。
第3章 4大産別での改憲勢力化阻止する闘い
こうした中で、4大産別決戦がきわめて重大な局面を迎えている。
何よりも改憲阻止決戦の最大の主力は4大産別の労働者だ。日教組、自治労などの改憲勢力化を絶対阻止する攻防に憲法闘争の成否もかかっている。
教育労働者は1〜3月「日の丸・君が代」不起立闘争を引きつぎ、教基法改悪阻止の国会闘争に決起した。北海道、広島、大分など各地で集会・デモを闘った。さらに8・6ヒロシマ−8・9ナガサキの反戦反核闘争に教育労働者の総決起をかちとり秋へ進もう。
国鉄では動労千葉が、反合・安全運転闘争の地平の上に、「幕張構内事故」への処分攻撃を粉砕する、実にすばらしい職場闘争を貫徹している。動労千葉に学び、国鉄闘争内部の和解路線を打ち破って、国労本部打倒−国労再生へと前進しなければならない。
6・14〜16の全逓(JPU)大会は、集配拠点の再編や改憲攻撃への現場の怒りがうず巻いた。これに対して闘う全逓労働者は、郵政民営化絶対反対とJPU菰田体制打倒を呼びかけて登場し闘った。
自治体労働者は8月埼玉大会に向け、自治労の改憲勢力化阻止を真っ向から掲げ、職場から決起していかなければならない。
夏の闘いから今秋臨時国会−11月総決起に向け、4大産別決戦と改憲阻止決戦を固く結合して闘おう。4大産別の労働者こそが改憲阻止の最先頭に立とう。
第4章 イラクから陸自も空自も即時撤退せよ
小泉はすでに日帝・小泉=奥田路線を継承するポスト小泉体制づくりに全力をあげ始めている。この中で6月20日、陸上自衛隊のイラクからの撤退を発表した。しかしこれはペテンだ。実際には陸自撤退と引き換えに、航空自衛隊はさらに一層、戦闘任務を拡大するのだ。バクダッドをも作戦範囲とし、米軍の軍事作戦支援を強化するイラク派兵の質的エスカレーションが図られるのである。
すでに額賀防衛庁長官が空自に増派命令を出し、ハドリー米大統領補佐官は「日本はイラク支援の任務を継続することを明確にしており、空輸活動を拡大する」と明言した。
イラク人民の戦いで米帝の侵略戦争は泥沼に追い込まれ、米軍の死者は2500人を超えた。5月20日に「イラク新政府」が成立したが、米帝の傀儡(かいらい)政権である。米帝はこれまで、暫定政権が発足すれば米軍は撤退すると説明し、米軍を中心とする多国籍軍の駐留期限は国連安保理決議により06年末と決められている。だが米軍は新たに陸軍・海兵隊2万1千人を増派すると発表した。合計11万3千人が今秋以降もイラクに駐留し占領を続けようとしているのだ。
日米枢軸によるイラク侵略戦争・軍事占領の継続と恒久化を絶対に許すな! 自衛隊は陸自も空自も直ちにイラクから撤退せよ!
この陸自イラク撤退決定の一方で、防衛庁「省」昇格法案が通常国会に提出され、自衛隊の海外派兵を本来任務とする自衛隊法改悪案も同時に出された。次期自民党総裁候補一番手の安倍は、早くも海外派兵の「恒久法」をと言っている。さらに米軍再編推進法案も今秋臨時国会に出そうとしている。
今回の陸自撤退は、イラク派兵の終わりではない。逆に自衛隊海外派兵の新段階への突入を意味する。空自を含めた全部隊のイラク即時撤退へ闘わなければならない。
今こそ9条改憲阻止の大運動をこの7〜8月に巻き起こそう。そのただ中で7・2三里塚現地全国集会に結集しよう。何よりも8月広島−長崎反戦反核闘争を大成功させよう。そして8・15靖国闘争の大爆発をかちとろう。
革命的情勢は急速に成熟しつつある。これに対応し革命党の新たな本格的建設が青年労働者と学生の決起を先頭に始まっている。
機関紙活動こそ党建設の要だ。『前進』は激しく闘われている階級闘争を映し出す鏡であり、羅針盤だ。機関紙拡大に全力で取り組もう。そして何よりも、夏期一時金カンパ決戦に死活的に決起しよう。このことを最後に心から訴えたい。
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週刊『前進』(2252号1面2)(2006/07/03)
「建造物進入」「公防」をデッチあげ 法大生4人をまたも逮捕
平林・安東独裁体制打倒へ
巨大な学生の闘いが始まっている法政大学で、またもや超不当弾圧が強行された。6月19日午前8時40分、警視庁の公安刑事20人余が市ケ谷キャンパスに突入、ビラまきの準備をしていた法大生4人を「建造物侵入」「公務執行妨害」をデッチあげて逮捕した。15日の4人不当逮捕(17日釈放)後、今度は被処分の当該の法大生逮捕を目的に襲いかかってきたのだ。
逮捕されたのは、退学処分撤回を闘う文学部生3人、自宅謹慎処分を受けている法学部生1人だ。公安刑事は、校舎1階にある学生ホール・ヘリオスまで踏み込み、学生4人を羽交い締めにして引きずり出して、キャンパスに乗り入れた車に押し込み連行した。
東京地裁は21日、「なぜ大学内での問題に警察が次々と導入されて逮捕されているのか、よく分からない」と言いつつ、不当にも10日間の勾留を決定した。
3月14日の弾圧以降、法大では3度にわたり、延べ37人もの学生が逮捕されている。この暴挙が許せるか! (関連記事5面)
(写真 法大正門前で直ちに不当逮捕弾劾のビラ配布。退学処分撤回署名がどんどん集まった【6月19日】)
「こいつも公妨で持ってけ!」
逮捕の理由は文学部生3人は「建造物侵入」、法学部生は「公務執行妨害罪」とされているが、絶対に許せない。
19日の朝、4人の学生は退学処分撤回を訴えるビラ配りの準備をしていた。自らに対する不当処分撤回を訴え、学生にビラを配って何が悪い。どうしてこれが「建造物侵入」なのか!
法学部の学生は、3人の仲間が逮捕される状況を携帯電話のカメラで撮影していた。すると、公安刑事・畠中某が突然肩をぶつけ、責任者の刑事が「こいつも公妨で持ってけ!」と叫んで連行していった。しかも取り調べの刑事は、「逮捕されたから退学だ。次は建造物侵入で逮捕する」と暴言を吐いている。
「知らない」とシラ切る当局
闘う法大生の「誰が110番通報したんだ!」という追及に、安東学生部長は「知らない」の一点張りでシラを切っている。学生を公安警察に突き出しておいて、本当にふざけきっている。公安刑事は取り調べで「110番通報があった」と明言している。当局が手引きしたことは明らかだ。
6・19弾圧は、6・15法大1000人集会に対する階級的報復そのものだ。6月26日の法学部教授会を前に当該学生を逮捕し、そのことを口実にして退学処分強行を狙っているのだ。この歴史的暴挙に、法大教授会は屈服・加担し、改憲勢力に転落するのか。
しかし、こんな不正義は絶対に通らない。当局・警察は、どんどん自らの墓穴を掘っているのだ。前代未聞の大弾圧に猛然と反撃し、平林・安東の独裁体制打倒へ進撃しよう。4人を直ちに取り戻そう。
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週刊『前進』(2252号1面3)(2006/07/03)
改憲阻止決戦を支える圧倒的カンパ訴えます
厚生労働省の02年調査によれば、20歳から34歳の正社員の男性は4割が結婚しているのに比して、非正規社員は1割に満たなかったとのこと。非正規労働者の4割が月収10万円以下という現状では、これは避けられないことと言えます。
資本家階級による失業、低賃金、増税、社会保障の切り捨てによって、労働者階級は文字どおり搾取と収奪の対象となっています。この生活破壊、貧困の現実に資本家階級は何と言っているのでしょうか。
「社会的に解決しないといけない大問題としての貧困はこの国にはない」と総務大臣の竹中平蔵は豪語しました。(6月16日付朝日新聞)
ふざけるんじゃない。労働者の怒りは沸騰し、あらゆる契機から決起が始まろうとしています。だからこそ、共謀罪の新設によって労働者の一挙手一投足を治安弾圧の対象にしようとしているのです。もはや帝国主義支配の破綻(はたん)は明らかです。
それを鮮やかに示したのがフランスの事態でした。4月、フランスの学生と青年労働者は、26歳未満の労働者を「理由なく解雇できる」法律=「初期雇用契約(CPE)」を300万人の街頭デモとストライキで廃止に追い込みました。同じく地元議員の長期ハンストが、地場産業を閉鎖に追い込む日本企業の進出を断念させました。
この事態をマスコミは「革命以外では改革できない国」(英紙)、「相次ぐ政治危機は現代風の内乱で、新たな政治が生まれる日は近い」(パリ第一大学教授)と論評しています。ドイツやイギリスのゼネスト、アメリカの50万人デモが続き、欺瞞(ぎまん)に満ちた議会制民主主義の支配を直接行動で覆す「革命」「内乱」の現実性が明らかになっています。これにブルジョアジーは恐れおののいているのです。
日本ではどうでしょうか。3分の2の議席を占める巨大与党に対して、国会前を「解放区」と化して共謀罪、教基法改悪案を継続審議に追いやった日本の労働者階級の直接行動。退学処分、ロックアウトの暴挙に対し、法政大学当局を包囲する1000人の学生決起の爆発。ついに始まったのは、搾取と収奪からの根底的な解放を求める労働者階級の決起であり、数百万規模へと発展する改憲阻止闘争=日本帝国主義打倒の闘いです。4大産別をめぐる攻防は、その最大の火点です。今秋こそ、1万を超える労働者の壮大な決起を実現しましょう。
夏期一時金カンパ闘争は、改憲阻止闘争の勝敗を決定する重大な闘いです。これは、労働者階級と労働者党との共同の闘争です。革共同は、この闘いに「党の革命」=自己変革をかけています。
私たちは、労働者仲間と支持者の皆さんを信頼し、決戦を闘いぬくための絶大なカンパを心から訴えます。
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週刊『前進』(2252号1面4)(2006/07/03)
来週から文字が大きくなります
前進編集局
次号(7月第1週号)から、本紙の本文の文字が大きくなります。このお知らせに使っている文字の大きさです。これまで1段12文字だったのが、1段11字となります(一部資料などは従来どおりの大きさで続けます)。本文の総量は減りますが、情報量は減らさず、できるだけ簡潔で読みやすく魅力的な紙面を心がけたいと思います。
これを機に、より一層紙面改革を進め、ひとりでも多くの労働者・学生・市民のみなさんに読んでいただけるように、努力していきたいと思います。読者のみなさんも、「団結ひろば」への投稿を始め、ともに良い紙面を作るためにご協力をお願いします。
紙面改革に読者のみなさんのご協力を
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週刊『前進』(2252号2面1)(2006/07/03)
“集配再編などのめるか”
全逓第62回全国大会 改憲阻止方針求める声も
本部方針の否決を訴え
6月14〜16日、神奈川県民ホールにおいて、全逓(JPU=日本郵政公社労働組合)第62回全国大会が開催された。革共同全逓委員会は、全国から結集した労組交流センター全逓労働者部会を始めとする闘う全逓労働者とともに、中央本部の郵政分割・民営化への完全な屈服と首切り推進を徹底弾劾して闘いぬいた。
第1日目、総勢百人におよぶ労働者が大会会場前に陣取り、代議員・傍聴者に次つぎとビラやパンフを手渡していった。現場で苦闘する活動家たちが一人ずつマイクを握り、現場組合員を裏切り、その首を郵政公社総裁・生田や新会社社長・西川に差し出す本部方針を激しく批判し、否決することを訴えた。
大会が始まると、会場前を出発する包囲デモに決起し、「民営化反対・改憲阻止」の声を横浜市中心街に響かせた。さらに昼休みには会場前でリレートークを継続するとともに、中央本部に対し、集配拠点再編の合理化と改憲に反対する申し入れ、そして4・28反処分闘争への裏切りを弾劾する申し入れを行った。
大会初日の菰田委員長のあいさつの特徴は、今最大の問題となっている集配拠点再編と改憲問題という2点についてあえて一言も触れないことだった。労組交流センター全逓部会の労働者は、このことを徹底的に問題にしたビラを準備し、2日目を闘った。
集配再編で郵便局が削減されることに、すでに地方自治体などでも不安と怒りがうず巻いている。国鉄分割・民営化が地方ローカル線の廃止による地方切り捨てであったように、郵政分割・民営化もまた徹底した地方切り捨てとなることは明らかだ。そして、それをとおして大量首切りを推進しようとしているのだ。
(写真 「郵政民営化粉砕」「大量首切りを許さないぞ」のシュプレヒコールをとどろかせ、大会会場を包囲するデモに出た闘う全逓労働者【6月14日 横浜】)
現場に渦巻く怒りの声続出
郵政民営化法には「公社職員が新会社へ継承される」と書いてあるから、新会社で「雇用は確保されている」などと本部は言うが、それは欺瞞(ぎまん)だ。来年10月の新会社スタート時点までに大規模な人減らし合理化が行われる。それが集配再編だ。
大会初日と2日目の討論では、北海道、東北、中国、四国、九州など地方の代議員から「集配再編などのめるか」という発言が相次いだ。「山間・離島を抱えている。50 の原付では山間を配達できない」(九州)、「配達距離30`。冬期は雪で配達できなくなる」(北海道)、「集配再編の職員計画は理解できない」(東京)
実際、集配再編によって早朝5時台始業を強いられ通勤・集配に片道何十`も走らされる。生活と労働をずたずたにし、「勧奨退職」という名の首切りに追い込もうとしているのだ。
沖縄の代議員を先頭に、改憲と米軍再編問題についても討論が相次いだ。「米軍再編反対の3万5千人集会を開いた。重要政治課題への取り組みを深めよ。憲法改悪についての本部見解を求める」(沖縄)、「岩国基地問題に取り組んできた。平和問題、反動立法への取り組みを強めよ。具体的な方針を」(中国)。もうこれ以上のごまかしは通用しない、明確な闘う方針を出せと迫る意見だ。
全逓部会は、国民投票法案(与党案)の国民投票運動禁止の項に「郵政公社職員」が追加され、郵政労働者の改憲反対運動が禁止されようとしていることを暴き、とりわけ改憲問題については「大会議案にもあえて一言も『改憲反対』と書いていないということは、改憲に賛成していることだ」と暴露し、「こんな方針で『本部一任』などできるか」と代議員に訴えた。
さらに2日目の中間答弁で、集配再編などについて本部が「誤りのない対応」「地方本部と連携し」などと開き直ったことを弾劾し、本部方針否決を訴えて3日目を闘った。本部の主張は要するに、公社や新会社と完全に一体となってなんとかうまく首切りを推進する、それを地方に強制していく、ということだ。
さらに九州など各地から、JPS(ジャパン・ポスト・システム=郵政版トヨタ方式)の導入こそ「ムリ、ムラ、ムダ」を生み出していると指摘し、あまりのでたらめさに対する怒り、廃止を求める発言が続出した。こうした討論を受け、全逓部会は、これが労働者の団結を破壊し奴隷化するための意識改革の攻撃であることを暴きぬいた。
本部方針案の採決の結果は、賛成295票、反対36票(無効1票)だった。2月臨時大会に続いて、中央本部の底知れぬ屈服と裏切り、現場組合員への圧力にもかかわらず、現場には闘う全逓労働者が確固として存在し、闘う意志が生き続けていることが示された。
JPU中央本部は来年2月の中央委員会において全郵政との組織統合問題を議題とするとしている。今年9月末日でどの新会社に行くかを決めるという「帰属決定」までの過程、そこから2月中央委員会の過程、そして実際に新会社をスタートさせるとしている10月1日までが、集配再編をめぐる首切り合理化攻撃との決戦となる。これは改憲阻止の大攻防とも重なる。
現場での攻防が決定的である。郵政民営化絶対反対を貫き、「自主退職」=首切り合理化を一歩も引かずに跳ね返す闘いを現場からつくりあげよう。それこそが連合JPU本部派を打倒する闘いである。職場の団結で非協力・超勤拒否から物ダメ・ストライキへ向かって闘おう。
(写真 昼休みのリレートークを終え、「本部案を否決しよう」と大会会場に向けてこぶしを上げた【6月14日 横浜】)
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週刊『前進』(2252号2面2)(2006/07/03)
教基法闘争 与党案を徹底批判
都教委包囲ネットが集会
6月18日、東京・飯田橋で「都教委包囲・首都圏ネット」が主催して、教育基本法改悪を徹底批判する集会が開かれた。「日の丸・君が代」不起立を闘い、不当処分と闘う教育労働者ら約80人が参加した。
(写真 三宅さんの講演に集中する参加者。教育基本法改悪案の批判点について学習を深めた【6月18日 東京】)
「教育基本法の改悪をとめよう! 全国連絡会」呼びかけ人の三宅晶子さん(千葉大学教員)が与党改悪案を逐条的に批判した。三宅さんは「国会会期末のこの日をどう迎えるか、ハラハラしていた」と率直な気持ちから語り始めた。そして「今まで走り続けてきたが、ここで息を整えて闘っていきましょう」と以下のような批判を展開した。
▽「愛国心はいいじゃないの?」と言う人もいるが、教基法の中に「愛国心」が書きこまれることは歴史と思想のありように大変な意味を持ってくる。
▽現行法前文の「真理と平和を希求する」を、与党改悪案は「真理と正義を希求する」と替えている。これは憲法9条との関係で重大な改悪である。
▽現行憲法では「弱い人たちをみんなで助ける」という意味を持っていた「公共」の概念を、与党案前文は「国家のため」というまったく違った意味で使い、「公共の精神を尊び」と規定している。与党案の全体が、国家と個人のあり方、理念を変える内容である。
▽第2条「教育の目標」の5項目は現行の「道徳」の学習指導要領と同じ内容である。道徳を法律で規定することは大問題だ。しかもそれが「教育の方針」ではなく「教育の目標」とされることによって「達成」が問題となる。
▽与党案が「自公の妥協の産物」「つぎはぎ」と言われるが、そうではなく、考え抜かれたものだ。侮れない。
以上の点を始め、重要なポイントが提起された。
続いて、都立高の教育労働者が批判した。「与党案は国家が国民道徳を法律で押しつけるものだ」「教員の立場からすれば、教育は目標とか目的とかに縛られるべきではない」「東京都では人事考課や主幹制などで教員が『目標・目的』によって動かされ、評価されるシステムができつつある。教基法が改悪されれば、都教委が持つ法律的武器が非常に強くなる。そうさせてはならない」と訴えた。
この後、討論が行われた。集会の後半では教育社労組の労働者が、34年間、組合破壊−解雇攻撃と闘ってきた歴史と教訓を語り、連帯を表明した。
分限免職の不当処分と闘う増田都子さんは、「私は社会科教員として、侵略と植民地支配の歴史の真実を教えただけ。それで処分され職を奪われた。絶対に許さない」と決意を語った。
「つくる会」教科書と闘う杉並教組の労働者は、区の指導室長が中学校校長に「採択された教科書を現場の教員が批判することがあってはならない」と指示したことを怒りをもって報告し、闘う決意を表明した。
最後に包囲ネットの代表が、「道理と力で闘おう」と訴え、今年で3回目になる8・30都庁包囲デモを呼びかけて閉会した。
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週刊『前進』(2252号2面3)(2006/07/03)
“「君が代」解雇させない”
6・15八王子 教組先頭に250人で集会
6月15日、「40秒で停職なんてとんでもない! 『君が代』解雇をさせない6・15集会」が、会場の八王子労政会館のホールを埋め尽くす250人以上の大盛況で行われた。「日の丸・君が代」強制を拒否して不起立闘争を貫き、石原・都教委によって不当にも停職3カ月、停職1カ月という重処分をかけられた二人の教育労働者を労働者・市民の力でなんとしても守り抜こう、教育基本法の改悪を絶対に許さないという思いが会場全体を包み、全参加者が一丸となって闘い抜くことを誓い合う場となった。
(写真 停職3カ月という重処分に屈せず「日の丸・君が代」不起立闘争を貫く教育労働者の力強いい発言に、「解雇を許さない」と固い決意【6月15日 八王子労政会館ホール】)
まず、多摩教組、都障労組の両組合が主催者あいさつを行い、「絶対に解雇させない!」「教え子を戦場に送らせない!」――この二つのことが教組として最も大切であると、きっぱりと訴えた。
そして停職処分と闘う二人からのアピール。まず養護学校教員の河原井純子さんは、「静かな不起立を4回行い、不当にも停職1カ月の処分を受けました。しかし闘いの中で、今まで出会えなかった人にも出会っています。教員であり続けるために、『10・23通達』は受け入れられない。自分らしく生きることが一番大切なことです。今ここにいる人たちとつながっていきたい」と訴えました。
次に停職3カ月の処分を受けた中学校教員の根津公子さんは、停職期間中に学校の門前に座り込みを続ける姿を教え子が見て、「理不尽なことに対しては立ち上がっていいんだということを学んだ。私もそうする」と言ってきたと話し、「今教員が行動しないことは、教え子を戦場に送ることになります。今は職責をかけて立ち上がる時です」と、確信を持って訴えた。
二人の停職処分の撤回を求めて新たな訴訟に立ち上がる弁護団が「絶対に勝たなければならない裁判」と訴え、「解雇させない会」がカンパを呼びかけると、114万円もの会場カンパが寄せられた。本当に感動的な協力だ。二人の闘いを勝利させるという熱い思いが一つになったのである。
連帯のアピールは、沖電気被解雇者の田中哲朗さんの歌で始まり、多忙の中で駆けつけた東大教授の小森陽一さんは「二人の闘いを他人事にしないで、自分の問題として闘おう」と呼びかけた。組合員11人の全員解雇と闘うT教職員組合も共闘のアピールを行った。
国労闘争団・鉄建公団訴訟団の6人の闘争団員が参加し、代表して酒井直昭団長が教育労働者と連帯して闘うことを表明した。「とめよう戦争への道! 八王子連絡会」の労働者が教育基本法改悪阻止の闘いを呼びかけ、最後に八王子教組の教育労働者が決議文を読み上げ、「君が代」解雇を絶対に許さない闘いを呼びかけた。
闘う教組を先頭とした、全参加者が一丸となった闘いが開始された。この陣形をさらに拡大して、二人の解雇を絶対許さない闘いを巻き起こそう。教育基本法改悪阻止へ、秋の臨時国会へと突き進んでいこう。
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週刊『前進』(2252号2面4)(2006/07/03)
都教委 「内心の自由」説明などで 7人に「厳重注意」
東京都教育委員会は6月8日、今春卒・入学式における「不適切な指導等」を理由に、都立高の教育労働者7人に厳重注意処分を決定した。強く弾劾する。
処分の対象とされたのは、3月卒業式の前日の予行の場で憲法第19条の「思想及び良心の自由」(内心の自由)を説明した教員1人。4月入学式前のホームルームで同じく説明した新入生の担任5人。さらに3月に前任校の卒業式に呼ばれた来賓席で不起立をした教員1人である。
生徒に対して「『君が代』を歌う自由も歌わない自由もある」などと言ったことだけで、厳重注意の対象とされたのである。また、これまでの卒・入学式処分は「校長の職務命令に違反した」として下されてきたが、今回前任校の卒業式において、職務命令もない中で不起立したことが厳重注意とされたことは、重大な踏み込みである。
この処分について、6月13日の都議会本会議で都知事・石原は「国旗・国歌の指導は違憲、違法なものでないとする都教育委員会の判断は妥当なもの」と表明。教育長・中村正彦も「国旗・国歌について指導することは、生徒の思想、良心の自由を侵すものではなく、あくまでも教育指導上の課題として行っているものであり、(10・23)通達を撤回する考えはありません」と言い放った。
03年「10・23都教委通達」から3年目の卒・入学式を終え、「日の丸・君が代」強制に反対する教育労働者の抵抗闘争は封じられていない。それどころか、より広く深く広がっている――この現実に対する焦りこそ、都教委の凶暴な処分の本性である。
教育基本法改悪のための国会審議の中では、「国を愛する態度を養うことは、法令等に基づく教員の職務上の責務になる」という答弁が繰り返されている。教育労働者の職場からの抵抗闘争・戦争協力拒否闘争こそ「日の丸・君が代」強制を打ち砕き、教育基本法改悪を阻む力だ。頑張ろう!
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週刊『前進』(2252号2面5)(2006/07/03)
[対角線] ここは大日本帝国議会?!
「君臣の意見に不一致がある。こんなことでいいのか!」。民主党衆院議員・岩国哲人が声を荒げた。その言葉を聞いて、与野党の議員が一緒になって笑う。
6月8日の衆院教育基本法特別委員会におけるやりとりである。
「君臣の意見不一致? 『君』って何? 天皇は君主なのか? 『臣』ってなんだ? あなたは天皇の臣民なのか?」――筆者の頭はぐるぐる回る。しかしそんなことはお構いなし、何の違和感もなく審議は続く……。
岩国の質問は「日本を『ニッポン』と呼ぶか? それとも『ニホン』と呼ぶか?」というもの。これに対して官房長官・安倍が「両方とも使うことがある」と答弁すると、岩国は「今上陛下は公式の場ですべて『ニホン』とおっしゃっている」と述べ、冒頭の言葉を続けたのである。「天皇陛下が『ニホン』とおっしゃっているのに、君臣の意見に不一致があっていいのか!」と。
さらに岩国は「憲法を公布した時、その名称は『日本國憲法』だった。しかし今は『日本国憲法』と変更されている。どのような手続きで変更したのか。天皇陛下に上奏して了解を得たのか。天皇陛下に話もせずに勝手に変更することは許されない」と食いついた。
「日本」の呼び方にしても、日本国憲法の「国」の字の表記にしても、天皇の判断・基準に従わないのは許せないというのである。60年前に公布された日本国憲法の「主権在民」という原理など、この人間の頭の中には存在しない。
民主党は教基法改悪について、与党案にはない「宗教的感性の涵養(かんよう)」を条文に盛り込んだことを誇っているが、この「宗教的感性」の意味が、天皇を「君主」としていただき、天皇のために命を投げ出す感性をたたき込むことだということを、岩国の言葉は示している。
これが民主党の実態だ。こんな連中に私たち労働者の未来を委ねることはできない。(蒼)
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週刊『前進』(2252号2面6)(2006/07/03)
6・2〜6・15
正社員と非正社員 生涯賃金1億8000万円差
労働契約法制で厚労省案/全逓と全郵政が統合へ
●小森教授ら、教基法民主党案を批判 「教育基本法の改悪をとめよう!全国連絡会」の呼びかけ人4氏は「教育基本法の基本理念を否定する民主党『日本国教育基本法案』」との声明を発表、教基法の民主党案を批判した。(2日)
●雇用増9割以上が非正社員 この1年で増えた雇用者のうち、9割以上が非正社員であることが総務省の調査でわかった。(3日)
●小泉が「社保庁職員労組をかばうな」発言 小泉首相は「野党は社会保険庁職員の労組をかばっちゃいけない。改革に抵抗しようとしているんだから」などと、労組批判を展開した。(5日)
●大手企業の賃上げ額5813円 日本経団連は06春闘の大手企業妥結結果を発表。平均妥結額は5813円、賃上げ率は1.76%。昨年比では額で309円、率で0.09ポイント高い。(7日)
●正規と非正規の賃金格差約4倍 第一生命経済研究所は「子育て負担と経済格差」と題するレポートを発表。正社員と非正社員との経済格差を分析。男性正社員の生涯平均賃金は2億4221万円、非正社員は6176万円とその差は1億8045万円。(8日)=要旨別掲
●通知表の「愛国心」13都府県、190校に 「愛国心」が通知表の評価項目に盛り込まれている公立小学校が少なくとも13都府県39市町村に190校あることが、朝日新聞の全国調査で分かった。6月10日付朝刊で発表。(10日)
●厚労省、「契約法制・時間法制の在り方(案)」を提示 厚生労働省の労働政策審議会労働条件分科会が開かれ、事務局から「労働契約法制」などの素案が示された。(13日)=3面参照
●御手洗経団連会長、自民首脳と懇談 日本経団連は自民党首脳と懇談会を開いた。御手洗会長は「これまで以上に政策提言を強化するとともに、政治との協力を推進したい」と述べた。(13日)
●全郵政とJPUが両大会で組織統合の検討へ 来年10月の郵政民営化をひかえ、「日本郵政公社労働組合」(旧全逓、JPU)と「全日本郵政労働組合」(全郵政)とが14〜16日に定期大会を開き、両組織の統合を検討する協議に入る方針を固めた。(14日)
●有期契約労働調査 厚労省は有期契約労働に関する実態調査結果を発表。有期契約で働く理由について、25.9%が「正社員として働きたいが、働ける職場がない」と回答。(14日)
●男女雇用機会均等法の改定 改定男女雇用機会均等法が衆議院本会議で可決、成立した。(15日)
●日本経団連、インドネシアとEPA要求 日本経団連は、日本・インドネシア経済連携協定(EPA)の早期実現を両国政府に求める提言をまとめた。(16日)
第一生命経済研究所「子育て負担と経済格差」要旨
・厚労省「人口動態統計」によれば、我が国の2005年の合計特殊出生率は1.25まで落ち込み、人口減少社会に突入した。
・少子化の要因として経済的側面を無視できない。労働市場の二極化が出生率低下をもたらした可能性あり。
・97年を契機に正社員の数は大きく減り人件費の安い非正社員が顕著に増加。
・男女平均の正社員の所定内賃金は31.9万円に対し、パートなど非正社員の賃金は正社員の6割程度。生涯賃金となると格差は拡大する。男性正社員の生涯平均賃金は2億4221万円であるのに対し、非正社員は6176万円とその差は1億8045万円にも及ぶ。
・子ども2人世帯の生涯平均子育て費は3126万円と、男性非正社員の生涯平均賃金の50.6%にも達する。
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週刊『前進』(2252号3面1)(2006/07/03)
反合・運転保安闘争こそ原点
動労千葉定期委 06年後半戦へ闘う態勢
職場闘争強化−組織拡大へ
動労千葉は6月18日、DC会館で第55回定期委員会を開催し、06春闘を始めとした今年前半戦を総括するとともに、後半戦に向けての方針と態勢を確立した。
06春闘を3波のストライキと安全運転闘争で闘いぬいた動労千葉は、今現在も幕張車両センター構内事故に対する処分策動との緊迫した攻防の渦中にある。さらにJR東日本は、木更津運輸区を新設するという提案を出してきている。そこには、大規模な基地統廃合によって動労千葉の組織破壊を狙う意図があることは明白だ。こうした情勢下に開かれた定期委員会は、動労千葉の原点をなす反合・運転保安闘争の意義をあらためて確認する場となった。
田中委員長が改憲阻止訴え
あいさつに立った田中康宏委員長は、まず改憲をめぐる攻防に触れ、「小泉政権は3分の2を超える議席を取っているが、共謀罪、教育基本法改悪、改憲のための国民投票法案を強行できなかった。労働組合の幹部をとことん変質させなければ改憲はできない。連合や全労連傘下の組合で、幹部の変質に現場労働者の怒りの声が上がり、状況を揺り動かした。決戦は秋に持ち越された。勝負はこれからだ」と切り出した。
(写真 反合・運転保安闘争の真価をかけて06年決戦後半戦へ。委員会参加者は君塚正治副委員長の音頭で、さらなる団結を誓いこぶしを上げた(【6月18日 DC会館】)
そして、「安全運転闘争に対して不当な処分が下された。JRは安全の確立ではなく、危険の隠ぺいに躍起となっている。これこそ第2の尼崎事故を引き起こすものだ」とJRを弾劾し、幕張事故処分策動との闘いについて次のように訴えた。「安全の危機は事故として労働者に襲いかかる。それに労働組合がどういう立場をとるのかが問われた。『事故は当局に責任がある』と言い切るのは簡単なことではない。しかしわれわれはストを構えて闘った。この闘いができたのは3年間の安全運転闘争があり、また幕張支部が365日、職場支配権をかけて闘ってきたからだ。それが当局の安全対策の放置を暴き、ATSの設置などを認めさせている。反合・運転保安闘争には、労働組合がいかにあるべきかがすべて含まれている。『闘いなしに安全なし』のスローガンをもう一度胸に刻もう」
田中委員長はさらに1047名闘争の危機を指摘、「1047名の団結した陣形が2・16で生まれたが、この間、再び全体が政治解決路線に埋没している。今の政治状況で自民党に解決を嘆願したら4党合意と同じ道に転落するのは明らかだ。1047名闘争は本来、改憲阻止闘争の中心軸に座る可能性を持つ闘いだ。動労千葉は1047名闘争の中心軸として乗り込んでいく」と呼びかけた。
また、「基地統廃合絶対反対の方針で闘う。これは反合・運転保安闘争を引き継ぐ闘いであり、本質は組織攻防戦だ」と声を強めた。そして、JR総連が分裂と混迷を深める中で、動労千葉の存亡をかけて組織拡大の闘いに打って出ることを訴えた。
繁沢敬一副委員長が経過報告を行い、長田敏之書記長が、@反合・運転保安確立、A1047名の解雇撤回、B改憲阻止、C不当労働行為根絶、DJR総連解体−組織強化・拡大を柱とする「当面する取り組み」を提起した。
基地統廃合、不当処分許さぬ
討論では、要員不足を放置するJRとの闘いを求める意見や、基地統廃合を許さない決意が語られた。また、「幕張事故への不当処分を許さない闘いは、動労千葉でなければできない闘いだ。この闘いを組織拡大につなげよう」という訴えがなされた。
総括答弁に立った田中委員長は、「尼崎事故に対して安全運転闘争を貫いたから、目の前で事故が起きた時に総力で闘えた。幕張支部が必死に闘い、職場支配権を握り返しているから、処分発令を押し返している。反合・運転保安闘争の原点は職場からの闘いだ。その中に改憲を跳ね返す力もある」と強調した。
こうして動労千葉はさらなる団結を打ち固め、歴史を決するこの夏〜秋の大決戦に躍り込む方針を確立した。
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週刊『前進』(2252号3面2)(2006/07/03)
政治解決の破産露呈
6・16集会 佐藤国労委員長に痛烈なヤジ
国鉄1047名闘争は重大な岐路に立たされている。6月16日に日比谷野外音楽堂で開かれた「今こそ解決を!共同の力で!1047名の争議解決を求める6・16集会」は、国会闘争とはまったく無縁に設定された。闘いの主導権を国労本部にゆだねたまま国鉄闘争に勝利することはできない。6・16集会は「政治解決」路線の破産をはっきりと突き出したのだ。
集会主催者としてあいさつした国労本部の佐藤勝雄委員長は、「政治的・人道的解決の早期実現」「解決の基本はあくまでも政治解決」と言い立てた。これは、4党合意受け入れにあたって国労本部が唱えた文句とまったく同じだ。そこには4党合意の総括もなく、それがもたらした鉄建公団訴訟原告への統制処分や5・27臨大闘争弾圧への謝罪や自己批判も一切ない。にもかかわらず佐藤委員長は、空席の目立つ会場を前に「本集会で勝利解決を求める総決起体制が確立した」とうそぶいた。
その恥知らずな態度に、闘争団を始めとする闘う国労組合員や「国労5・27臨大闘争弾圧を許さない会」の隊列から、「解雇撤回だ」「訴訟をやれ」「4党合意を総括しろ」という非難の声がわき起こった。やじは会場全体に広がり、佐藤発言はかき消された。これに押されて佐藤委員長は「早急に訴訟の最終準備に入る」と付け加えた。だが、それはあくまで「準備はする」ということであって「訴訟をやる」ということではない。
他方、鉄建公団訴訟原告団の酒井直昭団長は、「地位確認を含む訴訟に立つ決意を国労総体で固めていただきたい」と訴えた。
痛烈なやじに打ちのめされた国労本部は、集会後、全参加者とともにデモに出ようとした「許さない会」の隊列に立ちはだかり、排除を試みた。だがその策動も、周囲の労働者の抗議の声で一蹴された。
(写真 5・27臨大開争弾圧を粉砕して国労再生へ。国鉄闘争支援の労働者とともにデモする許さない会【6月16日 銀座】)
政治解決路線と決別しよう
小泉政権が改憲に突き進む中で、「政治解決」の現実性などおよそない。そもそも国家権力は国鉄分割・民営化以来、一貫して国鉄労働運動の壊滅を追い求めてきた存在だ。その国家権力にすがって「解決」を嘆願すれば、敵階級が無限の屈服を迫ってくることは明らかだ。再び「政治解決」路線にのめり込む国労本部は、1047名闘争を最終的な敗北と解体に導こうとしているのだ。
改憲情勢下で日教組中央や自治労中央、全逓(JPU)中央は、現場組合員の怒りの声を踏みにじり、改憲容認へとかじを切った。「政治解決」を追い求める限り、国労は連合傘下のどの労組にも増して、改憲勢力への露骨な転向を強制されてしまうのだ。
事実、国労西日本本部はJR連合・西労組との一体化を一層深め、尼崎事故以降、中断していた「イラク鉄道復興人道支援会議」を再開した。それは国労を侵略翼賛運動に限りなく変質させるたくらみだ。
「政治解決」路線のもとでは、JR資本との闘いはすべて圧殺される。国労本部は、重大事故を立て続けに発生させるJRとの闘いを投げ捨て、大合理化・外注化の攻撃をことごとく容認しているありさまだ。こんなことでどうして1047名の解雇撤回を実現できるのか。
こうした国労本部の姿勢こそ、敵をつけあがらせ、解決を遅らせている最大の原因だ。国労本部を打倒してこそ、解決は引き寄せられるのだ。
国鉄闘争は、JR内部からJRを撃つ闘いと結びついて初めて勝利することができる。動労千葉はこうした闘いを原則的に貫いている。06春闘で動労千葉は3波のストライキと安全運転闘争を貫徹した。
許しがたいことにJR東日本は、安全運転闘争に対して不当処分を発令した。そして、幕張車両センター構内で起きた事故を口実に、動労千葉組合員に対する重処分を策している。これに対して動労千葉は、職場からの決起で総力の反撃に立っている。「事故は当局の責任」と言い切り、一人の組合員を守るために全員が団結して立ち上がっている。動労千葉の反合・運転保安闘争は、一人ひとりの組合員がJR資本の専制と立ち向かう闘いだ。
この動労千葉の排除を狙う策動を許さず、2・16集会で生まれた1047名の団結を一層固めて闘おう。
国労本部倒し職場の闘いを
国労本部は、この期に及んでも鉄道運輸機構(旧国鉄清算事業団−鉄建公団)を相手とした訴訟に立つと明言しない。6・16集会の沈滞と方針の欠如を目の当たりにした鉄建公団訴訟原告らの間には、国労本部による訴訟提起に頼ることなく、「未提訴」闘争団員に働きかけ、闘いを自力で進める機運が生まれている。
だが、国鉄闘争勝利のためには、そこだけにとどまってはならない。現国労本部を打倒し、国労の階級的再生を実現して、職場からJR資本と対決する闘いを復権させることが必要だ。統制処分に屈せず闘いを貫いてきた鉄建公団訴訟原告団には、JR本体組合員に闘いを呼びかけ、国労総体を牽引(けんいん)しうる力が備わっているはずだ。
国労再生のカギは5・27臨大闘争弾圧を打ち破る闘いにある。国労本部は、鉄建公団訴訟原告への統制処分に反対した国労組合員を警察権力に平然と売り渡した。公安警察と一体化した現執行部を倒さなければ、国労の団結も国鉄闘争の勝利もない。5・27臨大闘争弾圧粉砕の闘いをすべての国労組合員の闘いとし、国労を現場組合員の手に取り戻そう。7月国労全国大会で闘う新たな執行部を打ち立てよう。そこに1047名闘争の勝利がある。
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週刊『前進』(2252号3面3)(2006/07/03)
残業代なしの労働者が激増 「金銭解決」で首切りも自由
「労働契約法」制定阻止へ
現在、厚生労働省は「労働契約法」という新たな法案を来年の通常国会に提出しようとしている。6月13日に厚労省が「労働契約法制及び労働時間法制の在り方について」の素案を発表、翌14日付朝日新聞の1面トップで大きく報道された。この聞きなれない名前の法律の成立を許せば、労働者は残業代なしで死ぬまで働かされ、涙金で違法な解雇を次々に強要される。こんなことが労働基準法を否定する別の法律として制定されようとしている。これは改憲攻撃そのものだ。労働契約法制の白紙撤回を掲げて闘おう。
労組の意義を抹殺する攻撃
6月13日に厚生労働省の「労働政策審議会」の労働条件分科会が発表した素案の中身は、労働者階級にとってけっして許すことのできない内容である。
第一に、素案は、「自律的労働時間制度」という名前でホワイトカラー・エグゼンプション制度の導入を強調している。
これこそ、日本経団連が8時間労働制解体の決め手として導入を一貫して強硬に主張してきたものだ。これが導入されれば、該当する労働者はいくら残業してもただ働きを強制され、過労死がますますまん延し、休日出勤も強要される。
しかも、この該当する労働者の範囲を日本経団連は昨年6月の提言で「年収400万円以上」にしろと主張している。これだとほとんどの正規雇用の労働者が当てはまることになる。まったく許しがたい。
第二に、素案には、解雇の金銭解決制度が入っている。これは03年の労基法改悪時に政府と財界が導入を画策しながら反対が強かったために断念したものだ。ところが、日本経団連はその後も導入を要求し続けている。
これが導入されれば、仮に解雇が不当だとして裁判に訴えて勝利しても、資本の側が金銭解決を要求すれば、涙金を受け取れるだけで、職場への復帰は不可能になる。その結果、安易な不当解雇が横行することになる。
第三に、素案では労働組合に取って代わろうという「労使委員会」はそれまでの提案と比べて相対的に後景化したが、代わりに「推定項」と呼ばれる、より一層労働組合の意義と役割を否定する内容が入った。
素案には、「就業規則の変更等の際に、就業規則の変更が合理的なものであるときには、……変更後の就業規則に定める労働条件による旨の合意があるものと推定する」とある。
つまり「合理的」とされれば、労組との団交による労働協約の変更抜きに、就業規則の改悪のみで労働条件の切り下げを個々の労働者も受け入れたと「推定」され強制されてしまう。反対するには裁判を起こして反証しなければならない。
過半数を組織する労働組合がある時は、組合が組合員の意見を聞いて就業規則の改悪を認めれば、改悪が全従業員に強制される。さらに組合が3分の2以上を組織している時には、ダラ幹と合意しさえすれば組合員の意見を聞く必要すらないとしている!
労組が過半数を組織していない時には、「労使委員会」の意見を聞きさえすればいいとなっている。これは少数労働組合の団交権の否定だ。こういう形で「労使委員会」は残った。
団結権を否定する契約法制
第四に、素案では、労基法のいくつかの条文を労働契約法制に移すとなっている。これは、戦後の労働法制とは異質な労働契約法制を創設することで、労働契約法制を労基法破壊の受け皿にしようとするものだ。
素案には資本と労組が締結する労働協約がまったく出てこない。資本が一方的に決定する就業規則のみがデカ映しにされている。
労基法を見ると、いたるところに「当該事業場の労働者の過半数で組織する労働組合がある場合においてはその労働組合、ない場合は……」という表現が出てくる。つまり労基法は、職場に支配的な労働組合があることを前提に一切の条文が書かれている。労基法は団結権を保証した労組法と一体なのだ。
これに対し、労働契約法制は職場に労組がないことを前提にし、労資の関係を労働組合抜きの単なる個人対個人の民事関係に解消しようとしている。
このようにして戦後憲法体系の中で重要な意味を持つ労働者の団結権などが否定され、労基法が今まさに解体されようとしているのだ。警鐘を乱打したい。
屈服する連合・全労連中央
素案の主張の底流にあるのは、「労働組合の組織率が20%を切っており、労働組合の力が圧倒的に低下している。その現実に対応するには、労組抜きの法制度が必要だ」という主張である。連合も全労連も全労協もこの主張に屈服し、「労働契約法制は必要」「解雇制限法は必要」として、法案の制定そのものに屈服・賛成している。その上で、個々の制度について反対するのみである。
彼らに共通しているのは「だからこそ闘う労働組合を復権させて、資本と闘おう。不当な労働条件切り下げや解雇と闘おう」という姿勢がみじんもないことだ。それどころか他者依存的に法律に頼っている。こんなことでは、裁判闘争をとおして判例を積み重ねてきた解雇を許さない地平すら否定されてしまう。
この攻撃を許せば、日本はまさしく日本経団連の主張する「工場法以前」の社会になってしまう。憲法が保障する労働三権は否定され、改憲にまで行き着く。労働契約法制は絶対に白紙撤回あるのみだ。
資本主義・帝国主義が労働者階級を食わせることができなくなった今こそ、戦後革命期のような荒々しい闘う労働運動の復権が求められている。またそれはまったく可能である。世界を見よ! 日本でも、今春の国会闘争はその可能性を垣間見せたではないか。
労働契約法制粉砕へ全労働者階級は総決起しよう。
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労働契約法のここが問題
@「自律的労働時間制度」の創設
大部分の労働者は残業代もなくこき使われる。
A「解雇の金銭解決制度」の創設
金さえ払えば違法な解雇でも労働者は職を失う。
B就業規則変更時の「推定項」導入
労組を無視して労働条件を一方的に切り下げ。
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労働契約法制関連年表
03年6月 労働基準法改悪
04年4月 厚労省「今後の労働契約法制の在り方に関する研究会」設置
05年4月 研究会「中間取りまとめ」発表
6月 日本経団連「提言」発表
9月 研究会最終「報告書」発表
9月 厚労相、労働政策審議会に労働契約法制諮問
06年1月 厚労省「今後の労働時間制度に関する研究会」報告書発表
4月 労働政策審議会の労働条件分科会が「視点」を発表
6月 分科会が「素案」を発表
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週刊『前進』(2252号3面4)(2006/07/03)
労働基準法解体する「労働契約法」に反対
合同労組の取り組み
この間の全国の合同労組の闘いと「労働契約法」反対の取り組みを報告します。
東京で全国交流会
関西合同労組を始めとした全国の未組織・合同労組運動を闘う仲間は、5月20日〜21日に東京で全国交流会を開き、若い仲間も含めて2月交流会を上回る参加を実現しました。さらにそこで9団体連名で労働契約法制反対の厚生労働省への申入書をつくり、翌日の申し入れ行動にのぞみました。
(写真 全国の合同労組活動家が一堂に会し、熱い討論(5月21日 都内)
5月22日の申し入れでは4月11日に厚生労働省事務局から提出された「検討の視点」の扱いに質問が集中しました。
厚生労働省の担当官は「検討の視点はあくまでもこれまで出された論点を事務局で整理したもの」「議論を誘導する意図はまったくない」「審議会の日程は委員のみなさんの自主的判断で行われており、今年の夏に中間まとめが出るなどの具体的スケジュールは決まっていない」「(労働契約法は)労働基準法や労組法がカバーしていないところを補うための法律なので、労働組合のみなさんの権利を侵害することはない」などの答弁を繰り返すばかりでした。
しかし、6月13日に厚生労働省はいきなり「労働契約法制及び労働時間法制の在り方について(案)」(以下、「厚労省素案」と略)を公表してきました。厚労省素案は、「現行の労働基準法第15条第2項(明示された労働条件と事実が異なる場合に労働者が即時に労働契約を解除することができること)及び現行の労働基準法第92条第1項・第93条(就業規則と法令、労働契約等との相互の関係、効力)は労働契約法に移行する」「現行の労働基準法第18条の2(解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効とする)の規定を労働契約法に移行する」などと労働基準法の解体を明示に文書化したとんでもないものです。
また厚労省の素案では、労組から強い反発を受けた「常設的労使委員会制度」は後景化させたものの、経営者が一定の手続きを踏めば「個別の労働者とその使用者との間に、就業規則に定める労働条件による旨の合意があるものと推定する」として、よりストレートに経営者による労働条件改悪の権限を広げています。
新聞報道では、厚生労働省は今年7月に「中間報告」、秋には「最終報告」をまとめ2007年通常国会に法案を提出しようとしているとのことです。
弁護士招き学習会
首都圏の合同労組の仲間は、6月17日に弁護士を招いて労働契約法制に関する学習会を行い、単組所属のセンター会員も含めて、活発な討論が行われました。
議論ではっきりしてきたことは、@労働契約法制の核心が労働基準法改悪にあること、Aしたがって労働基準法改悪における一種の「受け皿」となる労働契約法制は白紙撤回しかないこと、B労働契約法制は改憲攻撃の一環であること、などです。
この学習会では、「労働基準法改悪である労働契約法に反対する取り組みを強めよう」「共謀罪廃案の取り組みに学び、労働契約法を葬ろう」「改憲阻止闘争の一環として闘おう」「年収400万円以上の労働者には残業代なし、など厚生労働省素案と日本経団連案には労働者の怒りが絶対に爆発する。フランスでの闘いを日本で実現しよう」「われわれが労働者の怒りをまとめてこの秋に厚生労働省への闘いを強めよう」などの点が提起され、全体で今後の取り組みの強化を確認しました。
資本家階級の焦りに満ちた攻撃は、同時に好機でもあります。今後は単組所属の仲間にも呼びかけを広げて、労働契約法制に対する取り組みをすすめていきたいと考えています。
(投稿・司馬達朗)
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週刊『前進』(2252号4面1)(2006/07/03)
杉並 「国民保護計画」に反撃を
米軍再編・9条改憲と一体
住民の戦争動員狙う区長
図A(上左) 都内に「敵国」の部隊が侵攻・占領したなどという現実性のない想定をあたかも明日にでもあり得るかのように図示し、区民の避難する方向までも示して住民の恐怖心をあおり、住民を戦争に動員しようとしている(杉並区国民保護計画基礎調査報告書より)
図C(上右) 荻窪駅近くの繁華街に弾道ミサイルが着弾したという想定の図。大きな被害の出る攻撃が今にもありそうな形で描き上げるものだ。「北朝鮮からのミサイル攻撃」を騒ぎ立てて住民の恐怖をあおり、戦争へと動員することだけが狙いであることは明白だ。
北朝鮮侵略戦争が切迫
杉並区は5月30日、区民を戦争態勢に動員するための「杉並区国民保護計画骨子」「杉並区国民保護計画基礎調査報告書」を発表した。この「国民保護計画」は、杉並区が弾道ミサイルなどで武力攻撃されたという想定のもとで自治体労働者を始め労働者人民を戦争態勢に組み込もうとする攻撃である。杉並区は9月にも「計画原案」を策定し、東京都との協議を進めた上で、来年2月に決定しようとしている。
北朝鮮侵略戦争が切迫
重要なことは、この攻撃が米軍再編や改憲と完全に一体であることだ。しかも全国の自治体が一斉に「骨子」を出しているが、その狙いを突出して示しているのが杉並区なのである。
「計画骨子」は、武力攻撃事態法、国民保護法の国、都道府県、区市町村がそれぞれ「国民保護計画」をつくり、その訓練を実施するという規定に基づくものだが、その中身は驚くべきものだ。計画案では「都内複数区への侵攻・占領」(図A)、「弾道ミサイルが荻窪に着弾」(図C)、「地下通路での化学テロ」、「杉並公会堂に天然痘ウイルス・テロ」などをおどろおどろしく想定し、図示している。
そして住民の避難や医療、物資の輸送・供給などの大枠を示し、その戦争訓練に住民・子どもたちを強制的に動員しようとしている。しかし、こうした「日本が攻められる」という想定そのものが北朝鮮・中国「脅威」論の帝国主義的、排外主義的扇動である。
米日帝が北朝鮮・中国に対して侵略戦争を計画していることは米軍再編を見れば明らかだ。米日帝が圧倒的な軍事力で強行しようとしている侵略戦争に対する北朝鮮や中国などスターリン主義の反人民的な対抗政策をとらえて騒ぎ立て、逆にそれを口実として労働者人民を戦争動員し、北朝鮮・中国侵略戦争を本当にやろうとしているのである。
この間、北朝鮮がテポドン2ミサイルの発射実験を行おうとしていると日米が大問題にし、マスコミも大々的に取り上げている。米帝は、「発射実験が行われれば迎撃する」として戦闘態勢を整えているほどだ。北朝鮮の何百倍もの国力・軍事力を持つ米日帝が「ミサイル実験」でこれほど大騒ぎするのは、北朝鮮の反人民的対抗政策を絶好の口実として、侵略戦争を実際にやるためだ。
米帝のイラク侵略戦争はどのように行われたか。ありもしないイラクの「大量破壊兵器」問題を口実に、証拠までデッチあげて侵略戦争を強行した。ニジェールからウラン鉱石を購入したという政府間契約書類、移動式化学兵器製造装置の航空写真、どれもがウソだった。ブッシュは、03年1月一般教書演説でイラクと並んで北朝鮮、イランを「悪の枢軸」と名指しし、イラクに対する侵略戦争に突入した。米帝は、イラクと同様、北朝鮮、イランに対しても侵略戦争を強行しようとしている。
北朝鮮侵略戦争に向かって日帝は今、拉致問題やテポドン、独島(トクト、朝鮮領、日本名竹島)問題を使って北朝鮮との緊張を激化させ、敵意をあおる排外主義扇動を強めている。
実際に今回の計画は「都内への侵攻・占領」「テロリストの立てこもり」「弾道ミサイル攻撃」「都市中枢機能等への空爆」「化学テロ」「生物剤テロ」「学校占拠」など、おどろおどろしい想定が並べられている。しかも、こうした想定のもとで労働者人民が訓練に動員される。参加者は、まるであたかも北朝鮮が今すぐ攻めてくるかのように敵愾心(てきがいしん)をあおられるのである。
かつての朝鮮・中国・アジアに対しても、現在のイラクに対しても帝国主義者たちは「自衛のため」と言って侵略戦争を強行してきた。これが帝国主義の常套(じょうとう)手段だ。
日帝が北朝鮮侵略戦争から、再びアジアでの戦争に突入しようとしている背景には、経済危機、財政危機、さらには体制危機が解決不可能なところまで来ており、それを突破するために米帝と一体となって戦争に突入することを決断したことがある。米帝はイラク中東人民、国際的な労働者階級の闘いに追い詰められている。日帝もまた、「イラク陸自撤退」発表の裏で空自の全面参戦で一層イラク侵略戦争を担うとともに、改憲=米軍再編体制に突入しつつある。
職場で戦争協力拒否を
杉並区が進める国民保護計画は、労働者人民を戦争動員する以外の何ものでもない。杉並区では昨年、中学校の歴史教科書として戦争賛美の「つくる会」教科書を採択した。子どもたちを戦場に送る重大な攻撃だ。さらに10月13日に「生物テロの発生を想定した図上訓練」を実施しており、さらに9月4日には、「区立小中学校の児童・生徒、教職員は全員参加」させ「総合防災訓練」と称する戦争訓練が強行されている。今年4月からの杉並の全中学校への「つくる会」教科書導入はこうした攻撃と対応しているのだ。
また、警視庁が5月31日、都営大江戸線国立競技場駅を使ってNBC(核・生物・化学)テロを想定した訓練を行った。政府も8月から来年2月にかけて10都道府県と共同して実動訓練や図上訓練を行うことを計画している。この先頭に杉並区が立って戦争態勢を構築しようとしているのだ。
重大なことは、この国民保護計画による計画の決定、訓練全体が労働者の戦争動員計画そのものとして行われることである。計画決定に中心的な役割を果たしている「国民保護協議会」は、区長を本部長に都と区の官僚とともに自衛隊や警視庁が入っているのだ。このもとに指定公共機関、指定地方公共機関、医療関係機関なども入っている。
指定公共機関では郵政公社、NTT、電力、ガス、JR、京王、西武、地下鉄が入っており、指定地方公共機関では東京都トラック協会が入っている。自治体を始めこうした職場で働く労働者が、実際の戦争態勢に組み込まれていくことになるのだ。
すでに「杉並区国民保護計画骨子」「同調査報告書」では、危機管理対策課を先頭に、役所の全課が担い手となって「ボランティア」をも組織して、労働者・住民を日常的に動員しようとしている。
都政を革新する会は、6月杉並区議会で、戦争計画づくりを推進する山田区長を徹底追及している。
今こそ労働者が先頭に立って決起し、「杉並区国民保護計画」の決定とそれに基づく、訓練実施を阻止しよう。自治体労働者はかつて「赤紙」といわれた召集令状を配り、住民の戦争動員の先頭に立った負の歴史をくり返さないために、団結して戦争協力拒否の闘いを貫こう。「日の丸・君が代」の強制に反対して闘う教育労働者、反合・運転保安闘争を闘う動労千葉のように闘おう。
図A 都内に「敵国」の部隊が侵攻・占領したなどという現実性のない想定をあたかも明日にでもあり得るかのように図示し、区民の避難する方向までも示して住民の恐怖心をあおり、住民を戦争に動員しようとしている(杉並区国民保護計画基礎調査報告書より)
図C 荻窪駅近くの繁華街に弾道ミサイルが着弾したという想定の図。大きな被害の出る攻撃が今にもありそうな形で描き上げるものだ。「北朝鮮からのミサイル攻撃」を騒ぎ立てて住民の恐怖をあおり、戦争へと動員することだけが狙いであることは明白だ
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週刊『前進』(2252号4面2)(2006/07/03)
〈焦点〉
拉致問題で制裁発動狙う
「北朝鮮人権法」成立弾劾する
6月16日、自公民一致で強行した「拉致問題その他北朝鮮当局による人権侵害問題への対処に関する法律(北朝鮮人権法)」の成立を徹底的に弾劾する。
審議なしで成立
小泉政権は閉会前に駆け込みで、排外主義的北朝鮮政策で一致する民主党を取り込み、審議なしで北朝鮮人権法の成立を強行した。
自民党と民主党は、6月8日、それぞれが提出していた「北朝鮮人権法案」を一本化することで合意。政府による北朝鮮への経済制裁発動を主軸とする与党案に、民主党案の「脱北者」支援などの条項を加えた法案が急きょ起草された。
これが12日の衆院北朝鮮による拉致問題等に関する特別委員会(委員長・平沢勝栄)でわずか10分で委員会提出の法律案となり、翌13日に衆院本会議で可決。14日には参院北朝鮮拉致問題等に関する特別委で原案どおり可決。審議時間はわずか20分。そして16日に参議院本会議で賛成が自公民など217、社・共・無所属など反対15で可決・成立してしまった。ここには北朝鮮に対する戦争挑発、排外主義攻撃のためならすぐ一致する今日の翼賛国会の本質が示されている。
この法律は7月に施行され、以後、日帝の思うがままに「必要な措置」を北朝鮮・朝鮮民主主義人民共和国に対して発動することができる。そもそも法文には「北朝鮮当局」と書かれているだけで、「朝鮮民主主義人民共和国」の名前すらない。そこには北朝鮮の国家主権など認めないという日帝の主張が貫かれているのだ。
日本は「北朝鮮当局による国家的犯罪行為である日本国民の拉致問題を解決するため、最大限の努力をする」とし、「徹底した調査」「実態の解明に努める」が、「拉致問題その他北朝鮮当局による日本国民に対する重大な人権侵害状況について改善が図られていないと認めるとき」は、「特定船舶の入港の禁止に関する特別措置法」「外国為替及び外国貿易法」の規定による措置および「必要な措置を講ずる」ことができる。
すべてが日帝の裁量のまま、思いのまま。法文上も国会審議や採決など何の必要もないのだ。こんなデタラメな法律が起草から成立まで5日、審議時間1時間足らずで成立したのである。
「脱北者」を支援
さらに民主党がごり押しした「脱北者の保護及び支援に関し、施策を講ずるよう努める」という条項は、「脱北者」を「北朝鮮を脱出した者であって、人道的見地から保護及び支援が必要であると認められるもの」と規定、「支援等の活動を行う国内外の民間団体と密接な連携の確保に努める」とし、この民間団体に「財政上の配慮その他の支援を行う」ともいうのだ。何が人道的見地か! その言葉をそのまま法務省・出入国管理局に突きつけてやらなければならない。
難民排除を国策とする「難民鎖国」日本は、庇護(ひご)を求めて入国する難民を認めず強制送還を強行している。今国会で成立した改悪入管法は、すべての外国人をテロリストと見なし、入国時に指紋・顔写真などの生体情報を取得、戦時入管体制を確立しようとしているのだ。
その日帝が「脱北者保護」とはどういうことか。ここには北朝鮮スターリン主義の体制そのものの崩壊を促進しようとする意図が貫かれている。経済制裁が戦争発動に直結する戦争政策であることはイラクを見れば明らかだ。そして戦争こそが大量の難民を生み出すのだ。
今国会で共謀罪と教基法改悪を阻んだものこそ、国会に駆けつけた労働者人民の力だ。差別・排外主義と対決し、戦争協力拒否の闘いを貫こう。今ほど国境を越えた労働者の団結が求められている時はない。切迫する日米帝の北朝鮮侵略戦争を阻止しよう。
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週刊『前進』(2252号4面3)(2006/07/03)
〈焦点〉
横須賀市長が原子力空母容認
08年配備絶対阻止しよう
神奈川県横須賀市の蒲谷(かばや)亮一市長は6月14日、市議会全員協議会で「日本の安全、極東の安全を考えるうえで原子力空母の存在は重要。入港はやむを得ない」と述べ、米海軍横須賀基地への原子力空母配備を容認する考えを表明した。住民、地元労組の圧倒的な反対の声、50万筆もの署名を踏みにじるとんでもない暴挙だ。
これを受け日米両政府は15日、原子力空母の接岸に必要な12号バース(*)の浚渫(しゅんせつ)工事を日本政府が実施することで直ちに合意した。港湾法では市が港湾管理権を持っているため、横須賀市が反対したままでは日本政府は浚渫工事を行えず、特別措置法などで管理権を国に移す強行措置が必要であった。
麻生外相は12日、横須賀市役所を訪れ、「通常型空母の可能性はない」と強い圧力をかけ、蒲谷市長に屈服を迫った。今月末の小泉訪米を前になんとしても決着しようとしたのだ。
米軍再編の核心
原子力空母ジョージ・ワシントンの横須賀配備は、キャンプ座間への米陸軍第1軍団新司令部移転、名護市辺野古への新基地建設と一体であり、「米軍再編」の核心をなす攻撃だ。
原子力空母は、重い油の燃料を積む必要がないため、通常型空母に比べて1・5倍の航空燃料を積み、1・8倍の武器弾薬を積むことができる。また、原子力潜水艦以外は追いつくことができない速度を持っており、通常動力潜水艦を主に運用している中国に対して圧倒的な優位に立つことができる。
米軍は、アジア太平洋に空母6隻(うち西太平洋に2隻)を常駐配備することを狙っている。岩国基地(山口県)が、この空母艦載機部隊の拠点とされ、佐世保基地(長崎県)は、2隻目の空母の準母港化が狙われている。
横須賀に配備される原子力空母は、座間の新司令部が指揮する陸・海・空・海兵の米4軍、さらに自衛隊3軍が一体となった先制攻撃体制の中心となる。03年のイラク侵略戦争開戦時も、空母機動部隊による巡航ミサイル発射で戦端が開かれた。空母艦載機部隊は、イラク上空からの無差別爆撃をくり返し、数十万人のイラク人を殺傷した。
すでに事故続発
原子力空母配備は、東京湾に危険きわまりない原子炉を建設するのと同じだ。浦賀水道は世界有数の交通量で海難事故も多い。アメリカ政府は「原子力空母は、今まで事故を起こしたことがないから安全」などというデマをくり返し、日本政府はこの言葉をオウム返しにしてきた。
しかし、それは破滅的な原子炉事故のことであって、米国内の母港では、放射能漏れ事故、労働者や兵士の被曝(ひばく)事故を何度も起こしている。99年11月には、原子力空母ステニスが、サンディエゴ港内で座礁し、原子炉が2基とも緊急停止する大惨事寸前の事態にまで至ったのだ。
原子力空母は、@狭い船体内で炉心設計に余裕がなく、放射能防護のための格納容器も不十分、A絶えず振動・衝撃にさらされる、B海難事故の可能性、C軍事行動のための無理な出力調整、D交戦による原子炉破壊の可能性――などから、原発と比べてもはるかに危険性が高い。
日米両政府のデマ宣伝を許すな! 08年とされる横須賀への原子力空母配備を絶対に阻止しよう!
*12号バース延長工事 延長工事が完了し、5月15日に米軍側に引き渡された。12号バースは133b延び、全長410b、幅30b、釣り上げ重量150dと80dの2基のクレーン、屋外変電所などを備えた巨大岸壁に変わった。工費128億円は日本が「思いやり予算」で全額負担。
*12号バース浚渫工事 通常型空母よりも一回り大きい原子力空母の入港には水深15b以上が必要。12号バース周辺の現在の水深は12〜14bで、約40fの海域で浚渫工事が必要となる。費用はこれも日本政府が「思いやり予算」で負担。
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週刊『前進』(2252号4面4)(2006/07/03)
杉並・沖縄集会 基地と軍隊を許さない
桑江テル子さんが熱演
6・23沖縄戦「慰霊の日」を前に東京で開かれた沖縄集会(6月17日 杉並)
6月17日午後、杉並在住の沖縄出身者などが呼びかけた集会実行委員会の主催で開かれた「米軍再編に反対する6・17杉並・沖縄集会」に参加した。会場の杉並産業商工会館に150人が集まった。沖縄戦「慰霊の日」が近づく中、米軍再編でまたしても沖縄に差別的に基地が押しつけられていることに抗議する東京での集会として、大きな意義があると思う。
集会は沖縄戦ビデオの上映から始まり、呼びかけ人を代表して元ひめゆり学徒の上江田千代さんが辺野古の新基地を阻止するための一環としてこの集会を成功させたいとあいさつした。
この日のメインゲストの桑江テル子さん(うないネットコザ主宰)が、ひとり芝居「沖縄うない60年」と講演を行った。うないとは姉妹のことだそうだ。ひとり芝居では、沖縄の女性の戦後史のエポックを浮き彫りにし、基地と軍隊を許さない気持ちを情熱的に演じた(写真)。さらに講演で、アメリカと一体化して戦争への道を進んでいることを弾劾し、これ以上基地と共生させられることを拒否する決意を込めて呼びかけた。桑江さんの演技と講演は圧倒的迫力で私の胸に刺さった。
辺野古ビデオとして、海上のボーリング調査のためのやぐらをめぐる激しい攻防が映し出されたところで、現地の闘いの先頭に立つ平良夏芽さんと携帯電話でつながり、クリアな音声が会場に流れた。新基地に対して身を挺(てい)しても闘うこと、韓国・平沢(ピョンテク)やフィリピンの米軍基地強化との闘いに連帯することなどの決意に感動した。
カンパアピールが、沖縄民権の会の座覇光子さんから訴えられた。連帯発言が「つくる会」の教科書採択に反対する杉並・親の会、海上阻止行動を闘ってきたノーベース辺野古の若者、職場の青年労働者とともに5・15沖縄行動に参加した女性労働者から行われた。若者のがんばりが力強い。
「私たちは、今年の6・23の沖縄摩文仁の慰霊祭に小泉が出席することを認めません。小泉が訪米し、ブッシュ大統領と日米首脳会談を行って米軍再編の実行を約束することなど絶対に許しません」という集会宣言が提起され、満場の拍手で採択された。
最後に呼びかけ人の高田普次夫さんがまとめの発言を行った。「戦争は、『もうけはドルで、損失は命で勘定する』いかがわしい商売」と喝破し、再び戦争の道に引きずり込もうとする小泉に対して、腹を決めて闘うことを訴えた。
沖縄の痛みと怒りをわがものとし、沖縄人民と団結して、米軍基地強化を阻止し、憲法改悪と闘う決意を新たにした。
(投稿 山西新治)
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週刊『前進』(2252号4面5)(2006/07/03)
6月14日〜20日
陸自撤兵、空自は継続・強化
国会が対決法案継続で閉幕
●横須賀市長、原子力空母配備受け入れ 米海軍横須賀基地(神奈川県)への原子力空母配備問題で、蒲谷・横須賀市長が市議会全員協議会で「通常型空母の可能性がゼロになった今、原子力空母の配備はやむを得ないものと受けとめる」と述べ、配備計画容認の考えを明らかにした。(14日)
●上海協力機構が首脳共同宣言 中国、ロシア両国と中央アジア4カ国で作る上海協力機構(SCO)の創設5周年を記念する首脳会議が開かれ、対テロや経済分野での協力をうたった共同宣言を採択した。「政治・社会体制や価値観の違いが他国の内政に干渉する口実とされるべきではなく、社会発展のモデルは『輸出』できない」などとしている。(15日)
●国民投票法で各党意見表明 衆院憲法調査特別委員会は、与党と民主党がそれぞれ提出した国民投票法案に対する各党の意見表明を行い、改憲手続きを定めた法案が国会の委員会で初めて審議入りした。今国会の会期延長をしないため、与党と民主党などは両法案の継続審議を決定、本格論議を次期国会に先送りした。(15日)
●沖縄市長が共同使用に反対 東門美津子沖縄市長が沖縄市議会6月定例会で就任後初の施政方針演説を行い、嘉手納基地の自衛隊共同使用などを明記した在日米軍再編の最終報告に反対を表明した。(15日)
●靖国参拝問題で超党派議連が提言 自民、公明、民主3党の超党派議連「国立追悼施設を考える会」(会長・山崎拓前自民党副総裁)が国会内で総会を開き、政府への提言をまとめた。小泉首相の靖国神社参拝に対する中国、韓国の反発を念頭に、無宗教の国立追悼・平和祈念施設の設置を求め、首相の公式参拝について、憲法違反の疑いや第2次大戦のA級戦犯合祀(ごうし)などを問題点として挙げた。(15日)
●北朝鮮人権法案が参院で成立 政府に拉致問題の解決に向けた経済制裁などを促す「北朝鮮人権侵害問題対処法」が、参院本会議で自民、公明、民主3党などの賛成多数で可決、成立した。早ければ今月中に施行される。(16日)
●重要法案先送りで閉会 第164通常国会は、衆参両院の本会議で継続審議の手続きを行い、18日の会期末を前に事実上閉会した。小泉首相にとって最後となる国会で、構造改革の「総決算」と位置付けた行政改革推進法など内閣提出と議員立法を合わせて96本が成立したが、重要法案の多くが次期国会以降に先送りされた。(16日)
●テポドン2発射なら「安保理開催求める」と外相 麻生外相が、北朝鮮(朝鮮民主主義人民共和国)が長距離弾道ミサイル「テポドン2」を発射実験した場合の対応について、ミサイル発射凍結に合意した02年の日朝平壌宣言に違反するとの認識を示し、「直ちに国連安全保障理事会の開催を要求する」と述べた。(18日)
●北朝鮮書記が日米を強く非難 北朝鮮の崔泰福(チェテボク)書記が、労働党中央委員会の報告会で演説し「軍と人民はわれわれに対する侵略戦争を挑発する米国と、それに追従する日本などの策動に対し、軍事的抑止に最善を尽くす」と述べ、圧力を強める日米を強く非難した。(18日)
●イラク陸自に撤退命令 小泉首相が記者会見し、イラク南部のサマワに派遣している陸上自衛隊について、「サマワ地域の陸上自衛隊部隊を撤収させることを決めた」と述べ、撤退を正式に表明した。一方、首相は談話をつうじ、クウェートを拠点にした航空自衛隊の活動について国連や多国籍軍への支援を行うために活動を継続し、新たに首都バグダッドや北部のアルビルへの空輸を行う方針を明らかにした。(20日)
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週刊『前進』(2252号5面1)(2006/07/03)
法大から独裁者と警察たたき出せ
法学部生を処分させるな
法大3万の力で平林打倒を
マルクス主義学生同盟中核派 法政大学支部
全国の学友諸君! 6・15法政大キャンパス1000人集会と国会デモの大爆発は、本当に偉大な勝利だ。3・14法大弾圧から3カ月、日帝・国家権力の全体重をかけた学生運動絶滅の大攻撃をうち破って、ついに法政大キャンパスから、改憲阻止300万学生ゼネストへの巨大な火柱がうち立てられたのだ。
法大生の決起は、もはやいかなる暴力や脅しをもってしても押し止めることはできない。何より6・15法政大1000人決起の報は、巨大な衝撃となって全世界をかけめぐっている。「3・14法大弾圧を許さない法大生の会」のホームページには、連日5000件近いアクセスが殺到している。6・15の決起を聞いて、全国の学生が次々と法政大キャンパスを訪れ、法大生との圧倒的交流を開始している。「許可なき学外者の立入禁止」? 「不審者が学内を徘徊(はいかい)している」? 法政大学当局よ、笑わせるな! 6・15の闘いは、04年学生会館解体の大反動以降、日帝・国家権力と法大当局が行ってきた法大学生運動絶滅の策動のすべてを根本からたたき折ったのだ。
(写真 1千人集会の熱気そのままに戦闘的デモを打ち抜く全学連【6月15日】)
全学ストへの怒りのうねり
日帝・国家権力も法政大当局も、なぜ6・15に1000人もの法大生が決起したのか、まったく分かっていない。何が起きているのか理解できないまま、法大生1000人の決起に対して、やみくもに政治弾圧と処分攻撃を拡大するしかなくなってしまっている。
6月19日には、ついに3・14法大弾圧の当該中の当該である法大生4人を白昼公然と学内で不当逮捕するという暴挙に出てきた。6月26日法学部教授会での法学部生2人に対する「退学処分」決定を強行するために、日帝・国家権力と法大当局中枢が仕組んだ超政治弾圧だ。
だが、警視庁も法政大当局も、4人不当逮捕の事実を公表することすらできない。マスコミの取材も一切拒否している。はっきり言ってグラグラなのだ。その根底にあるのは、法大全学ストライキが現実のものになろうとしていることへの底なしの恐怖だ。
法大生5人に対する弾圧や処分は、3万法大生の怒りの炎にますます油を注いでいる。実際に、4人の不当逮捕に対して、連日100人近い法大生が、市ケ谷キャンパスで、思い思いのやり方で抗議の行動を展開している。6月26日の法学部教授会での退学処分強行を阻止しようと、再度のキャンパス大集会と抗議デモに決起しようとしている。法大全学ストライキへのうねりは、もはや誰も押し止めることはできない。
国家や資本の奴隷になるな
警視庁公安にせよ、平林総長・安東学生部長にせよ、奴らは、われわれ学生をあまりにもなめくさっている。ムチでたたけばおとなしく従う存在だと決めてかかっている。退学処分撤回や、改憲阻止や、教育基本法改悪阻止などは、一部の学生が呼号しているにすぎないと最初から思いこんでいる。その最たるものが「立て看板・ビラまき規制」であり、公安刑事の日常的なキャンパス監視であり、6月15日の全学生への学生証チェックの強行だ。「大学教育」などと言っても、実際には動物の調教と変わるところはない。学生から一切の自由を奪い、学生を国家の奴隷、資本の奴隷に仕立てあげていくことを競い合っているのだ。
6月15日の現場で、法学部教授の武藤博己は、学生証チェックを拒否しただけで職員に首をしめられている大学院生(自分の教え子だ)に、「大学の決めたことに従わないなら大学を辞めろ」と言い放った。安東は、「学生が職員に暴力を振るった」などと平然とウソを言ってのけた。多くの学生が「自分も授業で安東に罵倒(ばとう)された」と口々に怒りをあらわにした。
6・15の現場で、すべての法大生は、退学処分を認め、学生証チェックを認めたら、その先には必ず戦争が待っていることをひしひしと直感したのだ。6・15の法大生1000人決起は、そうした帝国主義・資本主義の支配と非人間性に対する根底的な怒りの爆発なのだ。
6・15は、大学の主人公が誰であるかをはっきりと突きつけた。大学の主人公は学生だ。3・14法大弾圧以降、わが物顔でキャンパスをのし歩き、王様のごとく振る舞ってきた安東学生部長や藤村副学生部長、学生部の一部反動職員は、いまや校舎の2階の窓から恐る恐るキャンパスの様子を眺めることしかできない。警察権力の暴力を唯一の頼みにしてきた平林独裁体制は、完全にグラグラだ。6・15を圧倒的に打ち抜いた今が、平林独裁体制にとどめを刺す最大のチャンスだ。3万法大生諸君、7月法大全学ストライキで平林独裁体制を完全打倒しよう! 全国学生は、6・15に続き6〜7月法政大決戦に総決起しよう! 改憲阻止300万学生ゼネストの号砲はうち鳴らされた!
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●警視庁と法政大学当局に抗議を!
▽警視庁公安一課 TEL 03-3581-4321
▽麹町警察署(代表)TEL 03-3234-0110
▽法政大学総長室 広報・広聴担当 TEL 03-3264-9420
▽学生部 TEL 03-3264-9471/FAX 03-3264-9598/MAIL gakusei@hosei.ac.jp
▽文学部長室 TEL 03-3263-8663
▽法学部長室 TEL 03-3263-8666
●法大生4人への救援カンパを!
▽送り先:3・14法大弾圧救援会
▽東京都港区新橋2-8-16石田ビル4F (救援連絡センター気付)
▽銀行振込:三菱東京UFJ銀行 錦糸町駅前支店 普通 3520695 法大弾圧救援会
▽郵便振替:口座番号 00160-0-585187 法大弾圧救援会
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週刊『前進』(2252号5面2)(2006/07/03)
公安と一体化した当局
これが6・15逮捕の真相だ
6月15日に不当逮捕された4人の学生は、17日夕方全員が釈放をかちとった。東京地検は勾留請求さえできず、逮捕の不法性・不正義性を自らさらけだしている。
早期に奪還をかちとったとはいえ、警察権力・法大当局のやりたい放題の弾圧は絶対に許せない。この間の弾圧の実態は、本当に怒りなしに語れない。警視庁・法大当局を包囲し、徹底弾劾しよう!
読売新聞の6月15日付夕刊は、学生が大学に侵入した上、大学職員に「暴行を加えた」と報じているがデタラメもいいところだ。真相はこうだ。
「お前も来い」で次々と連行
6月15日朝、法大当局が全学生に学生証提示の「検問」を強行している時、フリーパスで学内に入っている人間がいる。全学連の学生が、この人物の顔を覚えていた。「お前は公安じゃないか!」と鋭く摘発し、徹底弾劾を浴びせると、その人物はこそこそと学外に逃げた。
学生がさらに、「学生は検問しておいて公安は入れるのか!」と法大当局を激しく弾劾し始めると、職員は大動揺し、青ざめ、言葉もない状態になった。
その時、音もなく背後から近づいた警視庁本部の公安デカどもが「警告」の一言もなく、まずA君に襲いかかり逮捕し去った【写真A】。さらに、不当逮捕に抗議する他の学生3人も、手当たりしだいに逮捕し始めた。B君やC君に至っては、逮捕される時、逮捕の理由すら告げられず、「お前も来い!」と言われ警察車両に押し込まれた【写真B】。こんな「逮捕」があるか!
逮捕時には、取材に来ていたTBSカメラマン、写真を撮っていた朝日新聞記者などに対しても、公安刑事どもが「てめぇら何やってんだ!」と怒鳴り散らし、突き飛ばすなどの暴行を加えている。
逮捕のデタラメぶりは、公安刑事や東京地検公安部検事の取り調べで、一層明らかになっている。
公安刑事は、A君に対して「大学職員=菅野俊一の腕を振り払うなどの暴行」(?!)を働いたのが逮捕の理由だと言っている。しかし、【写真@】が唯物論的に示しているように、学生に暴力を振るっているのは法大職員=菅野だ。暴力職員の腕を振り払ったら、なんで「暴行」で逮捕されるのか! まさに白を黒と言いくるめるデッチあげだ。
逮捕の理由すらも二転三転
C君の場合は、公安刑事の初日の取り調べでは、「職員の制止を振り切り大学に侵入した上、職員を手で殴った」ことが逮捕の理由だった。しかし、3日目の東京地検・児島隆行検事の調べでは「…のぼり旗を持ったままの状態で2、3度胸を突くなどした」に変わっている。逮捕の理由すら二転三転している。言うまでもなく、実際にはどちらの事実もない。
児島検事はC君の取り調べの最後に、「僕は、昨日の夜寝る前、2時間かけてビデオを見たんだ」と言っている。その結論が、3日目の釈放だ。起訴したくてたまらない公安部の検事が、目を皿のようにして何度ビデオを見ても、「建造物侵入」や「暴行」の事実などどこにも無く、勾留請求すらできなかったというのが真相だ。警視庁の公安刑事どもは、手当たりしだいに学生を逮捕し、適当な逮捕理由を“後付け”しているだけなのだ。
暴力職員が公安刑事と談笑
しかも、である。【写真C】を見てほしい。4人の学生が不当逮捕された直後の実におぞましい写真だ。
「法政大学」の腕章を着けた暴力職員=菅野俊一が、警視庁公安一課の刑事(左=貞山明警部補、左から2人目=関正孝警部、3人目・後ろ姿=石沢剛警部補)らと、デッチあげ逮捕の“戦果”を確認しあい、談笑しているのだ! ここまで法大当局と警視庁公安は癒着しているのだ。
暴力職員=菅野は、学生証提示を拒否した法大院生に対しても、首を絞め、キャンパスから引きずり出そうとした張本人だ【写真D】。この現場の近くに居た院生の担当教員・武藤博己法学部教授は、「○○! 学生証を見せたくないなら大学をやめろ!」という度しがたい暴言を吐いている。性根から腐りきっているのだ。この大学院生は当然にも、最後まで学生証の提示拒否を貫きとおした。
警察を招き入れた法大当局を包囲し、責任を徹底追及しよう! 平林総長、安東学生部長、暴力職員を法大から追放しよう!
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週刊『前進』(2252号5面3)(2006/07/03)
不当弾圧に怒りの声
独裁者を追い落とそう!
平林と安東の黒い巨塔が必ず倒れることは自明の理だ。学生から追い出される前に、さっさと逃げ出したほうが身のためだと思うぞ。
学生は商品じゃないぞ!学生の自主性を尊重しない大学に誰が居たいと思う
か!! 大学拡張に血道を上げているが、学生の不満は日々高まっているぞ。今日(6月15日)の決起を口火に全大学、全学生の怒りの炎を呼び覚まして、独裁者をその座から追い落とそう。 (法大文学部 N)=「3・14法大弾圧を許さない会」のビラより
職員こそ立ち上がるべきだ
「こんな検問はおかしい。学生は別に暴力を振るっているわけじゃない。混乱を引き起こす原因を作っているのは公安警察と大学の側です。大学が警察を引き入れるのをやめ、学内秩序を元に戻せばこんな騒ぎにはならないんだ」
これは6月15日、警備に動員されていた法政大の職員がその場で私に語った言葉だ。学生の闘いを応援したくて久しぶりに母校を訪れた。その私の前に、何人もの職員が立ちふさがった。学外者は氏名・住所と用件を書いて許可を得なければ入れないという。押し問答をするうちに、その一人が「あなたの言われるとおりだ」と言って自ら大学当局を批判し始めたのだ。
「だったらどうして学生と一緒に抗議の声を上げないんですか!」。思わずどなってしまった。労働者である職員こそ、学生と連帯して立つべきだ。公安警察と結託した一部の暴力職員を除けば、弾圧と処分の不正義性はもはや誰もが認めている。平林独裁体制は倒せる。確信をもって闘おう。(法大OB Y・S)
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週刊『前進』(2252号5面4)(2006/07/03)
学生300人が国会デモ
6・15 処分反対に多くの声援
国会最終盤の6月15日は、自治労の労働者を始め、国会にむけて数多くのデモが行われた。デモが集中したため、相互の時間調整や、他のデモの「通過待ち」という現象までおこった。
こうした中、法大1千人集会を打ち抜いた全学連300人のデモ隊は、沿道からひときわ大きな注目を集めた。退学処分を受けた当該学生を先頭に、「不当逮捕弾劾、退学処分撤回!」「教基法改悪・共謀罪・改憲反対!」の大きな声をあげた。法大の処分撤回闘争は、沿道の多くの人が知っていた。あちこちのオフィスビルから手を振っての応援があり、共感が広がった。
デモ解散地の日比谷公園に到着した全学連のデモ隊は、60年安保を闘った人びとが結成した「9条改憲阻止の会」の国会請願デモに合流。新旧「全学連」が一つになり、さらに国会前までデモを打ち抜き、勝利の総括集会を行った。
(写真 1千人集会の熱気そのままに戦闘的デモを打ち抜く全学連【6月15日】)
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週刊『前進』(2252号5面5)(2006/07/03)
新旧全学連が合流した「6・15」国会デモに感動
〈投稿〉 佐藤路世
60年安保批准国会への「6・15」国会突入闘争の日から46年ぶりに、かつての学生、青年労働者と国会デモに行ってきました。
「戦後60年余の歴史、かつてない危険・破局・混沌(こんとん)の危機。切迫感や危機意識を行動への逆バネに、おそまきながら行動を開始すべきではないか」「改憲阻止をめざした行動参加、支援、賛同、共感などの関係性の構築を」という呼びかけに、約170人ほどのかつてのゼンガクレンが集まりました。平均70歳前後の「まだ若い」人びとです。出発前、「悔しいけど国会突入どころか、むかし非難していたお焼香デモです」「ほかのデモとの関係で出発が1時間遅らされました」と半世紀近い時代の変化への感概をこめたデモ手続きの苦労が語られました。
デモ出発前に日比谷公園の霞門で「改憲阻止!国民投票法反対!憲法の平和主義を守れ!」のスローガンで元気にシュプレヒコールをしました。許可をとるのが難しかった国会南通用門での樺美智子さんへの献花行動を確認しているころに、なんと現在の学生のデモ、法政大からの国会デモが公園に到着し、一瞬どよめきました。
46年目の「6・15」の日、法政大キャンパスをうめた1000人の集会から、「法大の弾圧許すな」「改憲阻止ゼネストへ」のデモが出発し、かつてのゼンガクレンと合流したのです。46年前の60年安保のデモに明け暮れた日々と、今の若者のハツラツとした姿が二重写しになり胸が熱くなりました。「今日のデモに参加してよかった」と心からの感動を覚えました。
デモは衆議院議面前で社民党の保坂議員、辻元議員、参議院議面前で社民党の福島議員への要請行動をしました。私たちから見ると若い国会議員たちはこもごも「6・15」国会突入闘争で権力に虐殺された樺美智子さんへの敬意、かつてのゼンガクレン闘士への敬意の言葉がありました。改憲阻止闘争の爆発は必至だ、絶対巨万の階級的決起を実現するぞと決意し、確信した世代を超えた大合流でした。
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週刊『前進』(2252号5面6)(2006/07/03)
7・9関西新空港闘争へ
7・9関西新空港闘争への参加が呼びかけられている。7・2三里塚現地闘争と一体で、大結集をかちとろう!(編集局)
◇
ご案内
全国の闘う仲間のみなさん、7・9関西新空港反対全国集会への参加を呼びかけます。
5月泉佐野市議選へのご支援ありがとうございました。私たちは泉州住民の会事務局長国賀氏の6選勝利をバネにますます闘いを盛り上げていく決意です。
6月11日、北側一雄国土交通相は関西空港2期供用開始を07年8月2日にすると発表しました。来年8月に開かれる世界陸上大阪大会に間に合わせるため、国交省が当初発表した07年10月を2カ月前倒しするというのです。許せません。関空2期阻止闘争は1年間決戦に突入しました。さらに三里塚闘争も今夏の暫定滑走路北延伸攻撃を阻止する闘いに立ち上がっています。7月には閣議決定40周年を勝利のうちに迎え、三里塚空港の廃港を勝ち取る決意を固めようとしています。
関空2期事業はまったく必要性がありません。便数は減り昨年度は11万2千回しかなく空港はガラガラです。累積赤字は2116億円にもなっており実質的に倒産しています。それにもかかわらず小泉政権は06年度予算に179億円も計上しました。何が何でも軍事空港を建設するというのです。
いよいよ軍事空港との闘いは決定的に重要です。昨年5月、自衛隊が公然と関空を軍事使用しました。自衛隊第6次イラク派兵部隊が関空から3回迷彩服で出兵しました。住民団体と反戦共同行動委は、関空会社に何度も抗議に行き、泉佐野現地で市民に宣伝しました。他方、小泉政権は在日米軍再編の実施方針を5月30日閣議決定しました。沖縄を最前線基地として強化・固定化し、米軍司令部を日本(座間、横田)に設置することなどを中心に、全国の民間空港を自由に軍事使用できるようにしようとしています。これに連動して関空会社は「国民保護業務計画」を作成しました。国民保護の名で米軍がいつでも関空を軍事使用できる法律を作ったのです。関空を米軍と自衛隊の軍事空港にしてはなりません。このたびの7・9闘争は、沖縄、三里塚と連帯した日米帝の侵略戦争を阻止する闘争です。
また関空によって地元・泉佐野市財政が破綻し、市民を犠牲にして乗り切ろうとする新田谷(にったや)市政に対する闘いが重要局面を迎えています。新田谷市政は福祉を切り捨て、公共料金を府内最高に上げ、職員給与を下げるなど市民と職員に犠牲を押しつけています。特に家庭ごみまで有料化したことに対し市民が怒り、反対運動が盛り上がっています。5月市議選の勝利を経て、「ごみ有料化の是非を問う住民投票」を求める直接請求署名は法定数の3倍を超える5059人分も集まり、7月臨時市議会の攻防に向かって住民が総決起しています。マスコミも全紙が取り上げ情勢は煮つまっています。地元住民と共に絶対に勝利しましょう。
改憲決戦も重要です。通常国会で国民投票法案、共謀罪、教育基本法改悪を阻止しましたが、決戦は続いています。
神戸空港に反対する闘いも重要です。多くの市民が反対する中、2月16日開港しました。村岡議員の汚職事件、市財政破綻など開港が元凶です。空港を廃港し、撤去させましょう。
反対同盟と連帯して三里塚闘争を闘いましょう。暫定滑走路北延伸の着工を許すな!
これらの課題を掲げ左記の要領で集会を開きますので、こぞって参加お願いします。
2006年6月
大阪湾岸住民4団体(泉州・淡路・明石・東灘)
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関空2期07年8月供用開始阻止! 米軍・自衛隊による軍事使用絶対反対! ごみ有料化反対闘争勝利!
7・9関西新空港反対全国集会
7月9日(日)午後1時半集合、2時開会
末広講演コミュニティー広場(泉佐野市羽倉崎駅下車2分)
主催 大阪湾岸住民4団体(泉州・淡路・明石・東灘)
関西反戦共同行動委員会
※集会後、りんくうタウン・マーブルビーチまでデモ
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週刊『前進』(2252号6面1)(2006/07/03)
反対同盟じゃがいもで夏秋に勝利しよう 三里塚をたたかう全群馬実行委員会 田島俊昭
三里塚の萩原進さん、市東孝雄さんが生産したじゃがいも産直の季節となりました。「現役」の人はもちろん、かつて三里塚に心を寄せたすべての人びとに、今年で40周年を迎える三里塚の不屈のパワーを団結じゃがいもとともに届けましょう。(じゃがいもの白い花の花言葉は「慈善」です。天神峰現地闘争本部裁判闘争を支援するカンパなどをお願いをするのにもふさわしいのではないでしょうか)
1箱2000円(送料込み)は、産直じゃがいもとしては格安です。今回は、男爵系一番人気の「北あかり」(ポテトサラダやベークドポテト、スープに最適)と、メークイン系の「トヨシロ」(煮くずれしにくいので、様々な料理に対応)の2種類を各5`グラムで、一箱10`グラムのお届けです。
南米・アンデス高原を原産地とするじゃがいもは、彼の地では紀元前600年には栽培されていました。今では世界の生産量は約3億d。かつてアイルランドの人口を半減させた1845年のじゃがいも飢饉(ききん))がマルクス『共産党宣言』と無関係ではないように、ヨーロッパやオセアニアでは「主食」で、「100ポンド袋買い」もされているようです。(100ポンドは約45キログラム。日本の米1俵60キログラムと似てますね)
じゃがいもの栄養は、大航海時代の壊血病対策が有名ですが、1日に必要なビタミンCはじゃがいも3個でとれます。これは酸っぱいレモン果汁3個分と同量。しかもじゃがいものビタミンCは加熱しても壊れません。
5〜6月の国会闘争を、小泉と照りつける紫外線に立ち向かって勝利した皆さん。秋の国会闘争はこの夏の闘いにかかっています。三里塚の「新じゃが」で食もすすみます。酷暑を征して06年に勝利しましょう。
発送日は7月8日と15日。1〜2日後に到着予定。配達時間指定も可能です。申し込みは三里塚現地闘争本部です。
めぐみさんの父への韓国議員からの手紙 東京 倉田詮子
5月に訪韓した拉致被害者・横田めぐみさんの父、横田滋氏にあてた一通の手紙を紹介したい。
「あなたの娘さんと家庭を襲った不幸について深い哀痛の意を表します」と始まる手紙は、拉致被害者を冷戦体制下の南北対立が生んだ犠牲者だと指摘し、「韓半島の分断克服と平和体制構築に非協調的な国家として知られる国が、まさにあなたとめぐみさんの祖国、日本」であると続けた。
朝鮮を植民地支配した日帝による数百万人に及んだ朝鮮人強制連行の歴史を振り返り、「韓国には数十万の『めぐみさん』がいます。……あなたが韓国国民たちがめぐみさんに関心を持つことを願うように、日帝によって強制連行された数十万の『朝鮮人めぐみさん』の家族たちも、日本国民がこの人たちに関心を持つことを願っています」。
「今回の訪韓中に、日帝の時代に強制動員された朝鮮人徴用者、従軍慰安婦とその遺族たちと会って抱きしめあい、ともに大声をあげて泣くことが、あなたが愛するめぐみさんの魂を本当になぐさめることになるのではないでしょうか」と呼びかけた。「この人たちとお会いになれるように私が誠意をもってとりもつ意志があります」と伝えた人は、韓国の与党国会議員、キムウォンウンさん。
めぐみさんの夫と判明したキムヨンナムさんに「死ぬ前に必ず会いたい」と語った82歳の母、チェゲウォルさんの願いは6月28日に実現することになった。00年6・15南北共同宣言6周年の南北離散家族特別再会行事として他の200家族とともに北朝鮮のクムガンサン(金剛山)で再会する。38度線で分断されたまま半世紀を生きてきた離散家族が朝鮮半島に1000万人という規模で存在している。
「北朝鮮には行くべきではない」と北朝鮮での母子の面会に反対する日本の「救う会」に対して、5月29日にチェゲウォルさんとともに衆院特別委で発言したチェソンヨン拉北者家族の会代表は、歴史認識や日本軍軍隊慰安婦問題に対する見方を指摘した上で「拉致問題を政治的に利用している」と、今後、同会とは協力しない考えを示した。
日本政府は拉致事件を政治利用し、北朝鮮を懲らしめようとしている。先ごろ、閉会ぎりぎりの国会で成立した北朝鮮人権法による経済制裁の発動は、次の戦争の始まりとなるものだ。
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安心メールより
6・15全学連の闘いに感動 名古屋市 会社員S・T
6・15の全学連の闘いに感動しました。
なんとか6・15に法政大学へ駆けつけようと考えておりましたが、調整がつかず、ホームページ上で闘いの様子を拝見しました。多くの写真が掲載されており、臨場感があり、あたかもその場にいるように感じ、熱気がムンムン伝わってきました。
あるサイトでもかなり話題になり、不当逮捕に抗議する書き込みをする人や、日記に抗議を表明する人が多くいました。
あらためて、一連の法大弾圧に怒りを持って見ている人たちが全国にいることを実感しました。
被逮捕者も、一度も勾留請求されずに釈放され、多くの人びとが安堵(あんど)しています。
今後も、今回の闘いのように多くの学生を巻き込んだ闘いを展開されることを心から願っています。そうすれば日本の学生運動の復権もすぐだと考えています。
1点お願いです。多くの写真を掲載され、それを見た多くの人たちはあたかも現場にいるかのように怒り、また喜びを共有できました。しかし、この世の中、映像のほうがより多くの人たちの心を揺さぶる説得力を持っています。できましたら、不当な弾圧を招かない範囲内で映像の公開をお願いします。
わずかながらカンパします。今回の闘いで不当逮捕された方への救援費用にあてていただければ幸いです。今後の健闘を祈ります。
6・15法大不当弾圧に憤り 名古屋市 会社員M・O
6・15法大弾圧に抗議します。目撃者の証言によれば、逮捕というより拉致だったということです。憤りと戦慄(せんりつ)を覚えました。
最近、公安警察は、中核派のみならず市民運動にも急速なペースで不当な弾圧を強行しています。これは、革共同が主張している戦争できる国家体制づくりが急速に進んでいる証拠だと思います。
このような時代、革共同を始めとした中核派の果たす役割は大きくなっていると考えます。陰ながら応援しています。ぜひ頑張って闘い抜いてください。
少しですが、カンパします。健闘を祈ります。
テポドン報道に反撃を期待 沖縄 シマナイチャー
安心メールの再開を記念して投稿します。
巷(ちまた)ではテポドンの発射準備うんぬんということで、人びとの耳目をなんとかして北朝鮮に向けさせて、それを口実とした憲法改悪がもくろまれています。
これに対して分かりやすく反撃する理論をぜひ貴紙で展開してほしいと思います。
1983年、大韓航空機がソ連のミグ戦闘機に撃墜される事件がありました。それに対する貴紙の論評(コラム)がとても素晴らしかったのを覚えています。現在、ウェブサイトではそのころの記事を読めませんが、過去の名作論文とかも読めるようになったらよいと思います。
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週刊『前進』(2252号6面2)(2006/07/03)
上海協力機構首脳会議 米帝の世界戦略に対抗
イラン大統領を招いて牽制 中ロが戦争危機を促進
6月15日、中国・上海で上海協力機構(SCO)の第5回首脳会議が開かれた。中ロと中央アジア4カ国の首脳に加え、イランなどオブザーバー5カ国の代表が出席する中、米帝の一極支配を強く牽制(けんせい)する共同宣言を採択した。中ロは、それぞれの利害からSCOによってユーラシア諸国間の関係を強化し、米帝の対中、対ロの軍事的転覆圧力、世界戦争戦略の発動に対抗し延命を図っている。しかし、これ自体が逆に米帝のイラン侵略戦争―世界戦争戦略の発動を促進する。プロレタリアートと被抑圧民族人民は、世界戦争を国際的内乱に転化し、帝国主義を打倒する以外に自らの解放をかちとることができない。反帝・反スターリン主義世界革命の実現へプロレタリアートと被抑圧民族人民は連帯して闘おう。
第1章 対米軍事同盟の性格
中ロを軸に中央アジア諸国を加えてSCOが創設されて5年、加盟6カ国にオブザーバー4カ国、ゲスト1カ国(アフガニスタン)を合わせ、米帝の重圧に対抗する巨大地域機構が生まれようとしている。6カ国だけで面積はユーラシア大陸の約60%を覆う。人口ではオブザーバーを含めると世界の44%を占める。
SCOの元は、ソ連スターリン主義の崩壊で独立国家となった中央アジア3カ国(カザフスタン、キルギス、タジキスタン)と中ロが国境紛争を防ぎ、「対テロ」の名でイスラム運動組織、民族解放闘争組織の出入りを封じ込めるために1996年に作られた上海ファイブだ。
2001年6月、これにウズベキスタンを加えて6カ国による政治・軍事・経済を含めた地域機構として上海協力機構が発足した。そして同年、9・11反米ゲリラ戦、10月アフガニスタン侵略戦争開始で中ロは「反テロ」で米帝に協力したが、2003年3月イラク侵略戦争とその泥沼化の過程でSCOは“反米連合”の性格を強めた。
特に中央アジアのイスラム運動、民族解放運動への弾圧・鎮圧は、米帝ブッシュ政権の求める「民主化」に逆行していると見なされ、SCO諸国は米帝に反発した。
その上で今回、SCOは首脳会議にイランのアフマディネジャド大統領を招き、巨大資源国で反米国家のイランとの結びつきを強めた。これは米帝のイラン侵略戦争策動、ユーラシア再分割戦、一極的世界支配を牽制(けんせい)する重大な行動である。
(写真 6月15日、上海協力機構首脳会議での胡錦涛・中国国家王席【左から3人目】ら加盟国と準加盟国、ゲスト国の首脳)
共同宣言
SCO首脳会議が発表した共同宣言は「テロ」対策や経済協力をうたったほか、「政治・社会体制や価値観の違いが他国の内政に干渉する口実とされるべきではない」「社会発展のモデルは『輸出』できない」と相互尊重や内政不干渉の重要性を強調し、名指しではないが事実上、米帝を強く牽制している。また「ダブルスタンダード(二重基準)を認めず、論争は相互理解を基礎に解決されるべきだ」とも述べている。
米帝は「民主化」を旗印に旧ソ連のグルジアやウクライナに介入して親米政権を打ち立てた。米帝は中国やイラン、中央アジアの一部に「民主化」圧力と軍事圧力を強くかける一方、カザフスタンやアゼルバイジャンなど、資源開発への協力を求める旧ソ連のボナパルティズム的な独裁国家には非常に寛容だ。
中ロは、米帝のこうした露骨な二重基準を突いて自国への米帝の圧力を回避すると同時に、米帝から「民主化」を求められている国々に自らの影響力を及ぼし、関係を強化しようとしている。その一つとして米帝から「テロ輸出の総元締め」「悪の枢軸」と呼ばれるイランが存在する。イランをめぐり中ロと米欧は対立を深めざるをえない。
また共同宣言は「加盟国の主権や領土の一体性を脅かすような形で領土を使用することを許さない」として、昨年のカザフスタンでの首脳会議に続いて中央アジアの米軍基地存続に異を唱えた。アフガニスタン侵略戦争のために米軍を駐留させてきたウズベキスタンとキルギスは、米帝との関係を冷却化させ、ロシアとの関係を修復している。
イランへの戦争切迫
米帝は「圧制に終止符を打ち、世界に自由と民主主義をもたらす」と宣言し、アフガニスタン、イラクに続いてイラン、中国、北朝鮮に侵略戦争をしかけようとしている。とりわけイランに対しては、英仏独の帝国主義が米帝とともに核開発問題を取り上げ、包括的見返り案を提案、イランがウラン濃縮を停止しなければ、共同して経済制裁から武力行使=侵略戦争へと突き進もうとしている。
イランのアフマディネジャド大統領は、首脳会議で欧米を暗に批判して中ロがイランの「後ろ盾」なることを期待するとともに、資源大国としてのイランをアピールした。同大統領は「核問題に関してイランとロシアの立場は非常に近い」と述べ、ロシアのプーチン大統領に両国の良好関係を強調した。
イランは安全保障上いかなる国とも同盟関係のない孤立国家である。イランは、欧米が主張する対イラン経済制裁に強く反対してイランを擁護する中ロに期待せざるをえない。
6月初めに米帝が条件付きでイランとの核交渉に加わる方針を打ち出した。これはイランにとって米帝がイラン敵視政策を見直したことを意味する。それを外交的に支えたのは中ロだ。
米帝に次ぐ核大国であり、国連安保理理事国であるロシアから支援を取り付けることは、イランにとって決定的だ。ロシアにとって、10年来、原発建設に協力し、巨額の武器を輸出してきた反米国家イランを取り込むことは、戦略的に重要だ。中国にとってもエネルギー資源確保のために石油供給国イランとの関係強化は重要だ。
だがこうして中ロがイランとの関係を強化することは、中ロ自身が米帝との抜き差しならない関係に入ることを意味する。だが、米国市場ぬきに中国経済はあり得ず、欧米資本の投資ぬきにロシア資本主義化はあり得ない。こうしてイランに国際的承認を与え、米帝との決定的な対立をもたらしかねないイランのSCO加盟は当面は見送られることになった。
07年に合同軍事演習
4月20日、北京で開かれたSCO国防相会議は共同コミュニケで、「07年にロシア領内で反テロ合同軍事演習を実施する」と発表した。SCOとしての初の合同軍事演習だ。すでに05年8月、中ロ両国は欧米の視察団を招き、中国の青島などで初の合同軍事演習を実施した。
SCOの軍事的協力体制づくりが実戦的に進んでいる。米欧はSCOが「東のNATO」「第2のワルシャワ条約機構」へと発展する可能性を警戒している。
SCOの張徳広事務局長は「SCOは軍事同盟だとの指摘はナンセンス。絶対に米国やNATOに照準を合わせていない」と強調する。だがSCOが反米の軍事同盟、集団安全保障体制としての性格を強めていることは否定できない。米帝が中ロとりわけ中国スターリン主義の体制転覆を究極目標としている以上、中国はそうせざるを得ない。
とはいうものの米帝とNATO、日米安保同盟の軍事力は、中ロを軸とするSCOの軍事力を圧倒している。NATOは東方へ大きく拡大している。NATO軍は域外派兵を中心任務とし、旧ユーゴスラビア地域を大きく越えてアフガニスタンに展開している。
NATOはカフカス地方にも進出しようとしている。米軍は、グルジアが親米派に転向する前から訓練部隊を派遣してきた。さらに石油資源の豊富なアゼルバイジャンへの駐留・基地建設を狙っている。
NATOは親米派のウクライナへの駐留をも狙っている。6月、ウクライナ領のクリミア半島に米軍が物資を運んだ。さびついて大幅縮小を余儀なくされているロシア軍は、近い将来、西と南西でNATO軍の脅威と直接対峙する時を迎えようとしている。
極東では、SCOオブザーバーのモンゴルで8月中旬、米軍300人とモンゴル軍600人を中心に8カ国合同平和維持軍事演習が行われる。「ハン・クエスト(王の遠征)」と名付けられた2週間の演習に日本もオブザーバー参加する。中ロは入っていない。
ロシアと中国は、東方拡大したNATOに加えて、活動範囲を極東から中東へ広げ軍事的一体化を深める日米安保同盟よって、東西南の3方から包囲されている。対抗するには中ロを軸とするSCOを反米・反NATOの軍事同盟として強化する以外にない。しかし中ロとも米帝―NATOと正面から軍事的に対決したくない。中国スターリン主義は体制転覆を避けたいし、ロシアは資本主義化を進めたいからだ。
資源で依存
カスピ海とその周辺、中央アジアは中東に次ぐ石油・天然ガス資源の宝庫だ。この地域とロシアとイランの両資源大国が結びつけば世界市場を動かす巨大な力となる。
中国は、石油・天然ガスの需要を飛躍的に増大させている。06年の石油の対外依存度は44%。輸入する石油の6割をペルシャ湾地域に依存する。今年1〜4月のイランからの石油輸入量は前年比25%増だ。近い将来、両国は石油・天然ガス分野で最大のパートナーとなる可能性がある。
だが中国は、戦争危機が高まるイランへの依存度を低め、中央アジアやカスピ海、ロシアの石油・天然ガスへの依存度を相対的に高めようとしている。ロシアのプーチン大統領は「SCOエネルギークラブ」設立を提唱し、「輸送分野でも協力できる」と述べ、中国の期待に付け込んだ。中国主導で20億jの共同事業が調印された。市場統合も着手され、SCOは経済圏として形成されようとしている。中ロは米帝の圧力に対抗するためにSCOの強化に命運をかけている。
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週刊『前進』(2252号6面3)(2006/07/03)
摘出年齢引き下げ
臓器移植法改悪案 廃案へ院内集会
6月1日、衆院第1議員会館で臓器移植法改悪に反対する緊急院内集会が脳死・臓器移植に反対する市民会議を始めとした各市民団体主催で開催され、50人が参加した。
(写真 臓器移植法改悪案の廃案をめざして開かれた緊急院内集会【6月1日 衆院第1議員会館】)
国会にはすでに改悪2案が議員立法で提出され、衆院厚労委員会に付託されている。生きている人から移植目的で心臓などを摘出する年齢を現行の15歳以上から0歳にまで引き下げ、禁止していた「本人の意思不明時」にも対象者を拡大しようとする河野・中山案(A案)と、「本人の承諾意思」を摘出条件とはするが、年齢を12歳(小学生)にまで引き下げた斎藤案(B案)だ。2案とも今国会では審議入りできず、継続審議となったが、本来は即刻廃案とならなければならない代物だ。継続審議を徹底的に弾劾し、秋の国会での成立を絶対に阻止しなければならない。
集会は、2案に加えC案と称する早川案が準備されていることが司会から報告されて始まった。臓器摘出を6歳から12歳までは本人の拒否がない限り可能とし、12歳以上を本人の意思承諾を条件にする案だ。いずれの案も蘇生力が強いといわれる小児をわざわざ殺害し、臓器摘出に道を開き、移植教育の普及で「臓器提供=人のために犠牲になるすばらしさ」を吹き込む滅私奉公強要のとんでもない改悪案だ。
冠木(かぶき)弁護士が講演した。これまでの「脳死」移植の実例からさまざまな人権侵害の横行を告発した。福岡では患者が脳死判定クリアーのためだけに4日間も放置され、咳(せき)反射が起こらないのを待ってから臓器提供に移った。大阪では救命期に脳の治療ではなく移植用臓器の鮮度保存を優先して脳への圧迫を人為的に加え続けることで脳死判定クリアーをねつ造した。
また全国肝臓病者連合会は「臓器移植ではごく一部の人だけが救われるかもしれないが、圧倒的多くはアフターフォローもなく患者が無視されるのが現実」「他人の死を期待する医療は倫理観を崩し、勝ち組、エリート養成に走り、一般患者は保険料・医療費自己負担増で苦しめられ、『終末期医療・尊厳死』に追いやられる」と改悪案の不平等拡大を批判した。
国会議員は「心臓が動いている人を死と見なすのは絶対におかしい。末期がんでも『死にゆく人』という言い方で切り捨てられる」「医療や年金のとともに闘う」などの意見を述べた。
討論では、車いす「障害者」が「自分も脳性まひで生まれた時、いったん死亡診断書を書かれる状態だったが、懸命な処置で蘇生した」と小児の死亡判定のいい加減さを指弾した。また市民会議の「障害者」は、救命治療でこれまで成果を挙げてきた脳低体温療法が診療報酬改悪で点数化から削除された事実を挙げ、実費負担に追い込む「脳死」・臓器移植誘導策を弾劾した。
臓器移植法改悪案を廃案にし、「尊厳死・安楽死」法制化を阻止しよう。
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週刊『前進』(2252号6面4)(2006/07/03)
星野さんに暑中見舞を
全国の『前進』読者の皆さん! 闘う労働者人民、同志の皆さん! 徳島刑務所で闘う無実の星野文昭さん(自画像)に暑中見舞いを送りましょう。
この5、6月、画期的な前進がかちとられました。5月に鈴木達夫弁護士が「看守の立ち会いなし」の面会を実現し、6月には19年ぶりに友人との面会が実現しました。また、友人たちが送ったはがきや手紙が星野さん本人に渡っていることも確認されました。(前号既報)
星野さんは1987年に徳島刑務所に移監されて以降、手紙・面会など、友人や支援者と交流する権利も奪われてきました。再審弁護人との面会にも看守の立ち会いが付いて、会話の内容が記録されてきました。再審闘争を進める上で不可欠の「秘密交通権」も奪われてきたのです。
それがついに打ち破られました。星野さんの闘いと全国の星野救援運動の力が結びついて大きな風穴を空けたのです。再審実現へ、今こそ星野さんとしっかりと結びついて前進していきましょう。
今年は、星野さんが闘った1971年11月の沖縄「返還」協定批准阻止の渋谷闘争から35年になります。星野さんはなぜ闘ったのか。当時の佐藤政権の沖縄「返還」政策が、米軍基地の全面撤去と現状の変革を求める沖縄人民の訴えを逆手にとって、逆に沖縄を「基地と戦争の島」として維持し続けようとするものだったからです。
国家権力は、沖縄闘争の先頭で闘った星野さんに階級的憎しみを集中し、「殺人罪」をデッチあげて事後逮捕・起訴し、「無期」判決で今日まで31年間も獄中に閉じ込めてきました。
今こそ星野さんを人民の手に奪い返しましょう。星野文昭さんに暑中見舞いを出しましょう。全国から星野さんへの思いや闘いの息吹をはがきで伝えましょう。
〈送り先〉
〒779−3133 徳島市入田町大久200−1 星野文昭様
(星野さんからの発信は制限されています)
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