ZENSHIN 2006/06/05(No2248
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週刊『前進』(2248号1面1)(2006/06/05)
共謀罪を廃案にし改憲阻止決戦へ
「愛国心」認めることは戦争の道 教育基本法改悪絶対阻止しよう
行革推進法に労働者の反撃を
“戦争する人づくりはしない”
「教基法改悪廃案へこの3週間が勝負」と「教育基本法の改悪をとめよう!全国連絡会」が国会前で集会。北教組120人を始め北海道から沖縄まで全国各地の教育労働者が集まった。東京の「日の丸・君が代」被処分者の会が、この日発令された入学式処分への抗議闘争から国会前にかけつけた(5月26日夕)=関連記事2面
国会前は連日、共謀罪廃案・教育基本法改悪阻止の労働者人民の怒りで埋めつくされている。関西生コン支部、港合同、動労千葉の闘う3労組の決起を始め、日教組の各ブロック、単組の組合員の集会、座り込みなどが闘われている。「破防法・組対法に反対する共同行動」を軸とした共謀罪粉砕の不屈の隊列が国会に怒りをたたきつけている。この闘いの中で5月19日、衆院法務委員会での共謀罪法案の採決強行は阻止された。労働者人民の広範な根底からの怒りの噴出に恐怖した小泉は、河野衆院議長に調整を依頼、採決を強行できなかった。フランスの労働者・学生のゼネストと300万人デモが初期雇用契約(CPE)を撤回させたのに匹敵する闘いの高揚が生み出されている。4大産別の労働者を先頭に5〜7月国会決戦に総決起し、反動法案粉砕、改憲阻止決戦の勝利を開こう。
第1章 公務員労働者への一大攻撃
共謀罪法案の委員会採決ができなかった小泉は今、当面の最優先課題である医療制度改悪法案と行革推進法案を先行させ、成立に全力をあげている。
医療制度改悪法案は高齢者の負担増と入院日数の短縮を軸とした攻撃だ。与党は23日に民主・社民が欠席のまま参院厚労委での趣旨説明と質疑を強行した。
行革推進法案と市場化テスト法案などの関連法案は26日に参院で一括して成立した。これは公務員労働者3人に1人の首切りと、大幅賃下げ、民営化・労組破壊の攻撃だ。ポスト小泉も縛る。自治労を先頭に本格的な反撃を組織していかなければならない。
その上で、当面する最大の決戦攻防が共謀罪新設と教基法改悪を阻止する闘いである。共謀罪は「現代の治安維持法」だ。実行行為がなくても話し合っただけで罪になる究極の思想弾圧法、団結破壊法である。狙いは労働組合の解体、革命運動の圧殺であり、監視・密告が横行する戦争国家体制をつくることにある。いくら「修正」しても本質はまったく変わらない。今やこれへの全人民的な怒りが噴出している。杉浦法相や自民党は「今国会中に一日も早く可決を」となおも必死にあがいている。これからが最大の決戦だ。共同行動を軸に労働者がどんどん国会に駆けつけて闘い、絶対に廃案に追い込もう。
教基法改悪法案は、5月24日に衆院特別委で総括質疑が行われ、実質審議に入った。小泉は「与野党で対立法案になる法律ではない。(政府案と民主党案は)相違点より共通点がある」と答弁した。民主党は許しがたいことに「愛国心」や「宗教的感性」で政府案と反動性を競い合っている。闘う日教組組合員を先頭に、労働者の総決起で政府案、民主党案をともに粉砕しなければならない。
第2章 政府案と反動競う民主党案
日帝・小泉はなぜ「伝統と文化を尊重し」「我が国と郷土を愛する態度を養う」と「愛国心」をあおるのか。「公共の精神」を尊び「道徳心」を培うことを強調するのか。
戦争をするためである。若者を、青年労働者と学生を、再び戦争に動員するためである。帝国主義国家への「愛国心」とは戦争だ。日本の戦前の歴史が、米帝のイラク侵略戦争の現実が、痛いほどよくそれを示している。日帝は「個人の尊厳」や「真理と平和を希求する人間の育成」をうたった現行教基法を解体し、愛国心教育に転換することで、子どもたちを再び北朝鮮・中国―アジアへの侵略戦争に駆り立てることを狙っているのだ。
戦前、「陛下の赤子」とおだてられ「一銭五厘のはがき一枚」で駆り出されて「地獄を見た」という、82歳の男性が訴えている。「あえて若者に問う。『はがき一枚で召集され、戦争で散ってよいのか』と」(5月23日付朝日新聞)。否だ。再び戦争に動員されて絶対に死んではならない。死すべきは帝国主義だ。戦争で死なないために、青年労働者と学生は教基法改悪・改憲阻止へ最先頭で決起しよう。教育労働者と連帯して闘おう。
民主党案は政界で最も右翼の「日本会議国会議員懇談会」顧問の元文相・西岡武夫が原案を作った。政府案に輪をかけて反動的な内容だ。前文に「日本を愛する心を涵養(かんよう)」と「愛国心」を露骨に表記し、「祖先を敬い、子孫に想いをいたし、伝統、文化、芸術を尊び」とうたう。これは「つくる会」の元会長・八木やファシスト石原の「縦軸の哲学」そのものだ。政府案が書かなかった「宗教的感性の涵養」も入れている。天皇制の尊重やナショナリズムをむき出しにした犯罪的な内容と言うしかない。
しかもこれを日教組系議員や森越日教組委員長も容認した。断じて許されない。森越は5・16の集会あいさつで「私たちは国を愛する心を否定したことはありません」とも発言している。だが教基法改悪と「愛国心」は、戦後日教組運動の原点である「教え子を再び戦場に送るな!」のスローガンと真っ向から対立する。その否定である。
教基法改悪はまさに日教組解体を狙った攻撃だ。教基法が改悪されれば「愛国心」は「職務上の責務」(小泉)として強制されるのだ。民主党案自身がこの攻撃を促進している。しかも「教育は不当な支配に服することなく」と教育権の独立を定めた教基法第10条も削除して、教職員組合の活動を圧殺・排除することに手を貸してさえいる。
すべての教育労働者は今こそ国会決戦に立とう。日教組組合員は本部の裏切りを突き破り、ブロック、単組、職場から闘いを起こして国会に駆けつけよう。10割年休闘争で闘おう。日教組史上最大の決戦の時だ。日教組の存亡と再生がかかっている。30万組合員の力で国会前を埋め、教基法改悪を絶対に阻み、改憲阻止決戦を切り開こう。「教育基本法の改悪をとめよう!全国連絡会」が呼びかける6・2全国集会&国会デモに総結集しよう。
第3章 国民投票法案は希代の悪法だ
5月26日、与党はついに国民投票法案を国会に提出した(犯罪的なことに民主党も独自案を出した)。これは単なる「手続き法」ではない。改憲への決定的な一里塚をなす攻撃だ。メディア規制と外国人への規制を削除し「修正」と言っているが、全体はとんでもない内容である。
第一に最大の問題は、公務員と「教育者」への運動規制を、罰則を含め全部残したことだ。公務員や教育労働者は改憲反対で闘うことができず、違反すれば弾圧される。これに関連して自民党の船田元が公務員・教員に「地位利用威迫罪」を設ける私案を出していることも重大である。
第二に「投票の自由・平穏を害する罪」を設けていることだ。これは改憲反対のビラまき、街宣、署名活動への弾圧を狙うということである。
第三に、国会に設置されるという「憲法改正案広報協議会」は、その構成が政党の勢力状況に規定されるため、自公民の改憲キャンペーン、情報操作の機関と化すことは必至だ。
第四に、新聞・テレビを利用した無料広告ができるのは「政党等」のみであり、マスコミは改憲政党・政治家の宣伝のオンパレードとなる。
第五に、「国会法改正案」が併せて出され、国会閉会中も改憲案の審議を継続できる常設機関が設置される。改憲攻撃は休みなく進むということだ。
第六に、こうして反対運動が禁圧され、マスコミが改憲一色と化す中で、「有効投票数」の2分の1以上で改憲が可能となる。実に大変な攻撃である。
国民投票法案提出をもって、ついに改憲阻止決戦は火ぶたを切った。最初から本番だ。こんな法案が成立したら改憲へと堤防が決壊する。共謀罪、教基法改悪をめぐる攻防も改憲阻止決戦そのものだ。共謀罪廃案、教基法改悪阻止をかちとり、国民投票法案粉砕・改憲阻止へ突き進もう。
勝負は4大産別である。職場からの闘いと組織化だ。自治体、教労を先頭に改憲反対運動を大々的に巻き起こそう。街頭とキャンパスにうって出よう。
3・14弾圧以来の法政大をめぐる攻防は、改憲阻止決戦の開始そのものだった。弾圧と退学処分をあらゆる闘いで粉砕し、全国学生ゼネストへ進撃しよう。
9条改憲を許し、帝国主義の「自衛権」や「自衛軍」を認めたら、再び戦争であり、徴兵制だ。学徒出陣や特攻隊の道だ。アジア人民2000万人を虐殺し、310万の日本人が犠牲となったあの戦争の惨禍を、また繰り返すのか。再び侵略と戦争に突き進むしか延命できない帝国主義こそ打倒されなければならない。改憲阻止の闘いは戦争か革命かを問う、戦後最大の階級決戦である。
憲法9条には戦後革命期以来の労働者階級の闘いの血と汗がしみ込んでいる。改憲阻止の闘いは必ず革命的内乱に発展し、プロレタリア革命を準備する。階級的確信をもって闘おう。
帝国主義はすでにアフガニスタン・イラク侵略戦争をもって、米帝を先頭に世界戦争の過程に突入している。帝国主義はその基本矛盾が爆発し、体制的に破産し、世界戦争でしか延命できなくなっている。こうした中で帝国主義の「最弱の環」たる日帝は、小泉政権のもとイラク多国籍軍に派兵し、米帝ブッシュと日米枢軸を結び、北朝鮮・中国侵略戦争―世界戦争に突き進んでいる。米軍再編は、そのために沖縄と本土を米日帝の前線司令部とし出撃基地とする大攻撃だ。
沖縄を先頭に新たな安保・沖縄闘争を闘おう。座間・横須賀・岩国や三里塚・北富士を始めとする全国反戦反基地闘争を爆発させよう。改憲(9条改憲)は今や日帝にとっては待ったなしの攻撃だ。世界戦争の道か、改憲阻止・日帝打倒か。4大産別の労働者を軸に、憲法闘争の本格的爆発を切り開こう。
第4章 4大産別決戦の前進開こう
5〜7月闘争の階級的土台に4大産別決戦がある。
体制的破産の象徴として国と地方で1059兆円もの公的債務残高にあえぐ日帝・小泉は、6月「骨太方針」閣議決定に向け、「経済成長戦略」と「歳出・歳入一体改革」を「財政再建」の両輪として、労働者への大攻撃を強めようとしている。一方でより極限的な民営化・規制緩和やリストラを激化させ、他方で公務員労働者への首切り・賃下げ、社会保障削減や、消費税の大増税を打ち出そうとしているのだ。
こうした中で自治体労働者は、5・25〜26自治労中央委(長岡)での「自衛権」を承認する「平和基本法」制定=改憲勢力化と「質の高い公共サービス」論による民営化・戦争協力という反労働者的本部方針への徹底対決の闘いから、国民投票法案粉砕・改憲阻止へと先頭で決起していかなければならない。
全逓は6・14〜16神奈川大会に向け、JPU本部の民営化への全面屈服、帰属方針交渉の本部一任を拒否し、郵政民営化絶対反対、JPU本部打倒の闘いに決起しよう。日帝・小泉や竹中は民営化の展望を見いだせていない。民営化による集配拠点の再編に労働者の怒りが拡大している。職場からの反撃で民営化阻止・物ダメ闘争と改憲阻止決戦の展望を開こう。
教労は「日の丸・君が代」不起立闘争の地平を発展させ、日教組組合員の教基法改悪阻止への総決起を突破口に、日教組再生と憲法闘争の爆発へ進もう。
国鉄は、一方で動労千葉の4・6幕張事故への重処分策動粉砕と夏季物販闘争を、他方で7月国労大会に向け「和解路線」への傾斜や動労千葉排除策動との対決を、6月過程の重要課題として闘おう。
今こそ新指導路線を圧倒的に発揚して5〜7月闘争を全力で闘いぬき、今秋11月の階級的大高揚に向け進撃しよう。
(写真 5・21狭山闘争に400人が決起。第3次再審闘争の勝利へ東京高裁に向け都心をデモ=記事6面)
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週刊『前進』(2248号1面2)(2006/06/05)
法政大 “安東答えろ”コール 500人が当局に詰め寄る
文学部3学生の退学処分撤回求めて 安東学生部長(右端)を取り囲んで抗議する法大生(5月26日 法政大)
5月26日、法政大学で、独裁者=平林総長打倒を掲げた500人の画期的な当局追及行動とデモがかちとられた。(関連記事4面)
昼休みの開始と同時に、キャンパス中央で退学処分を受けた3人の法大生を先頭に、横断幕を広げ、マイクでの訴えが始まった。目の前では3・14弾圧の当事者たる安東学生部長ら法大職員十数人が規制のために動員され突っ立っている。彼らに対し弾劾の声がたたきつけられた。
「大学が警察とぐるになって引き起こした弾圧事件で、なぜ私たちが退学処分を受けるのか。こんなデタラメは認められない!」
職員らはまったく答えない。マイクを持った学生たちが「では安東学生部長に直接聞いてみよう」と職員らに歩み寄った。10b以上の距離をおいての「にらみ合い」が一気に「接近戦」になった。このようすを最初は遠巻きに見ていた法大生500人がその場に集中し、キャンパス中央に学生の包囲の輪ができた。
「3・14弾圧の現場になぜあらかじめテレビ局が来ていたのか」「当局が警察に通報するやいなや200人の私服刑事がキャンパスに突撃してきた。これは仕組まれた弾圧ではないのか」とマイクを突きつける。この追及に、安東学生部長は青ざめた表情で貝のように口を閉ざしている。被処分者以外の学生もマイクを取り、当局を次々弾劾した。周囲を取り囲んだ500人の学生から「安東答えろ!」「なぜ黙っているのだ!」という野次が次々と起きた。ついには「安東!安東!」というコールになってキャンパス全体に響き渡った。大衆団交だ。
闘う法大生は「不当処分を絶対に認めない。撤回まで闘う」と宣言し、拍手と歓声がわき起こる中、法大包囲・市ケ谷一周のデモに出発した。デモは初めての法大生を含めてデモ隊はみな勝利感にあふれる笑顔、笑顔。「処分撤回!」「平林総長こそ首だ!」と元気いっぱいデモをした。
サークル団体が質問状提出
不当な退学処分への怒りが法大キャンパスに満ちている。5月19日の被処分学生たたき出し粉砕に続く大勝利だ。
退学処分を受けた文学部生3人は、平林総長に対して25日付で異議申し立てと再審査請求を断固としてたたき付けた。さらに同日、第一文化連盟委員長、第二文化連盟委員長、学生団体連合委員長の連名で、安東学生部長に対して「文学部教授会での退学処分に関する質問状」が提出された。
総長選挙を廃止=平林独裁体制確立に対する教職員の怒り、学生会館破壊・サークル活動破壊への怒り、そして何よりも退学処分決定と被処分者のたたき出しに対する法大3万学生の怒りは、法大全キャンパスに渦巻いているのだ。
独裁者=平林総長追放は全法大生・法大教職員の声だ。ビラ・立て看板規制を絶対に粉砕しよう! 学生を戦場に駆りたてる教育基本法改悪を阻止しよう! 戦争の手先と化した平林総長、安東学生部長を全学ストライキで打倒し、法大を「戦争反対・改憲阻止」の拠点にしよう!
6月15日、法政大学から反動国会にむけた大デモにともに立ち上がろう。
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週刊『前進』(2248号2面1)(2006/06/05)
教育基本法改悪阻止へ 戦争教育の復活は許さない “すべての改悪案を廃案に”
日教組組合員 国会前で連日の闘い展開
教育基本法改悪案の国会審議が本格的に始まった。衆院特別委員会では24日から審議が開始され、町村信孝、河村建夫ら歴代の文部大臣経験者が与党の質疑者として「教育基本法改正」の必要不可欠性を述べ立て、これに小泉や小坂文科相が賛同するなどの許せない議論が行われている。これに対して国会前には連日、教育労働者を始めとする労働者人民が詰めかけ、座り込み闘争を展開している。国会前が闘いの戦場だ。続々と国会前に集まり、闘いを広げよう。国のため、侵略戦争のために命を投げ出す子どもを育成することを狙って教育基本法に「愛国心」を盛り込もうとするたくらみに大反撃しよう。
日教組は連日国会前の座り込み闘争を全国各ブロックに指令し、日替わりで闘いを組んでいる。衆院教育基本法特別委員会で本格審議入りした5月24日は、日教組近畿ブロックの組合員を始め約70人が衆議院第2議員会館前の歩道に並んで座り、午後1時から4時までの座り込みを貫徹した。
その間、シュプレヒコールや各県の取り組みの報告などが行われた。「教育基本法の改悪反対!」「愛国心の押しつけをやめろ!」「法案の国会審議をやめろ!」「全国の教職員は改悪を許さないぞ!」。怒りのこぶしを国会に向けて繰り返し、振り上げた。
「教員以外は『教基法って何?』とまったく知らない。こんな中で改悪することには絶対反対」「大雨の中で宣伝したら『頑張ってや、子どもを戦場に送りたくない』と激励された」などの発言が続いた。
この日、特別委員会では9時から午後1時まで4時間の審議が行われた。審議終了後、傍聴者が報告を行い、「政府側の答弁では『優秀な人材育成』『我が国の発展のため』『国家に寄与する』ということが繰り返し語られた。いったい誰のための教育なのか」と弾劾した。
(写真 教基法政悪妻の審議入りに危機感を燃やした教育労働者を先頭に約350人が駆けつけ、「教育基本法を改悪するな!」のシュプレヒコール【5月25日 衆院第2議員会館前】)
北海道から120人の上京団
25日は、日教組北陸ブロックの組合員50人に加えて、北海道から北教組組合員120人が大挙上京した。国労闘争団・鉄建公団訴訟原告団や全労協の労働者など、合わせて約350人が午後1時から5時まで衆院第2議員会館前で座り込み行動を闘いぬいた。
北教組の代表が日教組北陸ブロックの座り込み行動の集会で連帯あいさつを行い、続いて北陸ブロックの代表が北教組の座り込み部隊のところに来て発言、200人余がともにシュプレヒコールをあげてエールを交歓する場面もあった。
北教組の代表の「私たちは民主党の改悪案も撤回を求めます」という発言や、北陸ブロックの代表の「私たちの闘いで日教組を突き上げよう」という発言に、とりわけ大きな拍手と声援が沸いた。
日教組本部に対する組合員の怒りが噴き出している。当初日教組本部がシュプレヒコールの内容としていた「衆参両院に教育基本法調査会を設置しろ」という言葉は、現場の怒りで吹き飛ばされた。それに代わって、「すべての改悪案を廃案にするぞ!」と、民主党案を容認した日教組本部への怒りを込めたシュプレヒコールがたたきつけられている。当たり前だ。組合員の思いは「すべての改悪に絶対反対」なのだ。
共謀罪をめぐっては、地道な反対運動の力が衆院法務委の強行採決を阻止する大勝利をかちとった。この闘いに続き、教基法改悪阻止へ国会に駆けつけよう。
“愛国心教育は責務に” 小泉首相
教育基本法改悪の本質は国会審議の中でますます明らかになっている。
衆院で審議が開始された5月16日、小泉首相は「国を愛する態度を養うことは教員の職務上の責務になる」と言い放った。
「愛国心教育」とは、侵略戦争で「国のために命を捨てる」ことを子どもたちに強制するものにほかならない。日教組が掲げ続けてきた「教え子を戦場に送るな」の誓いは、真っ向からたたきつぶされるのだ。
また小坂文科相は、「教育は、不当な支配に服することなく」とした現行教基法10条の意味は「国民全体の意思とは言えない一部の勢力」を排除することにある、と言ってのけた。ここで狙われているのは日教組と教育労働運動の解体だ。
現行教基法第10条は、戦前の軍国主義教育への反省から、国家権力による教育への支配を禁じたものだ。それは完全に逆転させられている。しかも小坂は、教基法改悪案の成立を待つことなく、現行教基法第10条から引き出される当然の結論であるかのような言い方で、挑戦的にこうした姿勢を打ち出したのだ。
小坂は、学力テスト事件の最高裁反動判決を引き合いに出して、「国は教育内容についてもこれを決定する権能を有する」と強弁し、今回の改悪は「教育は法律に定めるところにより行われるべき」ことを明確にすることが目的だ、と述べている。国家こそが教育の主体だと言うのである。
また小坂は、24日の審議で「(子どもたちが)わが国の将来の発展のために何ができるかを追求しているかどうか」は評価の対象になると明言した。一方、小泉は「愛国心の評価は難しい」とごまかしの答弁を重ねたが、それは「評価しない」ということでは断じてない。すでに02年度実施の学習指導要領の改悪に伴い、福岡市内の小学校で通知票に「愛国心」を評価する項目が設けられた事実がある。埼玉県内の3市2町の小学校でも「愛国心通知票」が作成されていたことが同県の調査で明らかになった。同様のことは、全国至る所にあると見て間違いない。教基法改悪を許せば、教育労働者は子どもたちを「愛国心」で序列づけるように強制されるのだ。
さらに24日の審議では、「日本を愛する心の涵養(かんよう)」をうたう民主党案を、小泉が「よくできている」と持ち上げる一幕もあった。
こんな審議が続いていること自体、我慢がならない。さらに大きな力を集めて国会前を埋め尽くし、改悪案を廃案に追い込もう。
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いたたまれない思いで国会に駆けつけました 大阪 退職教員 Kさん
教育基本法改悪案の国会審議が始まり、いたたまれない思いで大阪から駆けつけました。私も「戦争だけは繰り返させない」という思いで30年余、日教組に所属して闘ってきました。
なのに、教基法改悪案を見て、これでは学校からすべての自由が奪われ、愛国心が押しつけられてしまうと思った。上の言うことだけに従う教育をつくろうとしている。行き着く先は戦場に子どもたちを連れていくことだし、教員をその道具にするということです。
今日も多くの子どもたちが国会見学に来てます。その国会で、子どもたちの未来を戦争に持っていく教基法改悪や共謀罪が審議されている。さらに憲法9条も変えられようとしている。なんとしても止めたい。
労働組合の闘いこそ翼賛国会を打ち砕く力です。明るい未来を子どもたちとすべての人たちに保障するために闘っていきます。
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週刊『前進』(2248号2面2)(2006/06/05)
「愛国心」を前文に盛り込んだ 民主党案に激しい怒り
“政府案よりもっとひどい”
民主党は5月23日、政府案に対抗して「日本国教育基本法」案を国会に提出した。その内容は、戦争のための「愛国心」教育と日教組解体の狙いを、政府案以上に露骨に打ち出したものだ。徹底的に弾劾し、粉砕しよう。
民主党は対案提出の理由を「政府案では今の教育の抱えている困難を解決できないから」と説明している。だが、「日本国教育基本法」という名前からも明らかなように、その内容は、これまでの「平和と民主主義、個人の尊厳」を基調とする戦後教育を敵視・憎悪し、「国家による国家のための教育」を前面化させたものである。
子どもたちに「日本を愛する心」「公共の精神を大切にする」(前文)ことを教え込み、戦争に動員する教育をめざしているのである。この点で、政府案となにひとつ変わるものではない。むしろ、政府案が公明党の同意を取り付けるためにあいまいにした本音を、露骨に表現している。その思想は、右翼団体「新しい歴史教科書をつくる会」のファシスト・イデオロギーである。戦前戦中に「滅私奉公」「忠君愛国」を掲げて、若者を戦争に動員していったあの忌まわしい戦争教育、軍国主義教育を、帝国主義の危機と争闘戦の時代に復活させようとしているのだ。
今回の民主党案をまとめた検討会座長の西岡武夫元文相は、超党派の「教基法改正促進委員会」の最高顧問である。同促進委の設立総会(04年2月)では、西村真悟衆院議員(当時民主党)の「お国のために命を投げ出す日本人を生み出す」という発言まで飛び出した。今回の民主党案は、この超反動的な促進委が04年6月にまとめた国家主義的な「新教育基本法大綱」をベースにしている。
「国家のための人材」を育成
民主党案の反動的内容は以下のとおりだ。怒りを込めて弾劾しよう。
(1)自民党案以上にストレートな表現で前文に「日本を愛する心を涵養し、祖先を敬い、子孫に想いをいたし、伝統、文化、芸術を尊び」と規定した。
「愛国心」とは戦争教育の代名詞だ。前文に「愛国心」教育を盛りこんだことは、それが教基法全体−日本の教育のあり方全体を強力に規定するものとなる。そして「涵養」という言葉は、より根底的な思想教育の根拠となるのである。
(2)第1条「教育の目的」で、現行法の重要な理念である「個人の価値をたっとび」を削除し、これに代えて「民主的で文化的な国家、社会及び家庭の形成者たるに必要な資質を備え」ることを掲げた。個人として尊重するのではなく、国家・社会のために(実は資本家階級の利益のために)、国家間競争−戦争に勝ちぬくための「人材(人的資源、人間材料)の育成」という考え方への転換である。
(3)「宗教的感性の涵養」(16条)を明記したことは、非合理なもの、その極致としての天皇制・天皇制イデオロギーの強制に道を開くものである。これを(1)とドッキングして、「天皇のために命を捧げること、戦争で死ぬこと」を価値あることとして、子どもたちに吹き込もうとしている。
(4)第18条(教育行政)で、「地方公共団体が行う教育行政は、その施策に民意を反映させるものとし、その長が行わなければならない」という新たな規定を設けた。そして、公立校は保護者、地域住民、教員らが参画する「学校理事会」が「主体的・自律的運営を行う」としている。
これは現行の教育委員会制度の否定である。教育委員会を解体し、反動的な地域ボスを学校に介入させ、官民一体で教育労働者の声と闘いを抑えつける体制をつくろうとしている。教育労働運動の解体攻撃だ。
(5)教育労働者が国家権力の介入と対決する根拠となってきた教基法第10条の「教育は、不当な支配に服することなく」という文言を削除した。その上で政府案と同様に、第19条(教育振興に関する計画)を盛りこみ、政府と地方公共団体が教育の内容に踏み込んで統制・支配できる仕組みをつくり出そうとしている。
政府案もろとも絶対廃案へ
このような超反動的な民主党案を、あろうことか日教組中央は全面的に容認している。森越委員長は、「(大事なのは)政府案成立阻止ということだ」として、民主党案の国会提出を黙認した。
5・15「日教組書記長談話」は、民主党案について、「学ぶ権利の保障をきちんと位置づけたと主張する」と、きわめてペテン的で無責任な言い回しで肯定的に紹介している。そして「日本を愛する心を涵養し」という文言を一言も批判せず、「(民主党は)『強制するものではない』『押しつけにならないように配慮した』としている」などと、民主党を弁護している始末である。
現場組合員の激しい怒りと批判が高まっている。「政府案よりひどい」「撤回せよ」という要求が民主党に対して突きつけられている。国会闘争に総決起し、政府案もろともに廃案にしよう。
(表)反動を競いあう政府案と民主党案
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政府案
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民主党案
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(愛国心) |
伝統と文化を尊重し、それらをはぐくんできた我が国と郷土を愛する態度を養う(第2条) |
日本を愛する心を涵養(かんよう)し、祖先を敬い、子孫に想いをいたし、伝統、文化、芸術を尊ぶ(前文) |
(宗教教育) |
宗教に関する寛容の態度、宗教に関する一般的な教養及び宗教の社会生活における地位は、教育上尊重されなければならい(第15条) |
宗教的感性の涵養および宗教に対する寛容の態度を養うことは、教育上尊重されなければならい(第16条) |
(教育行政) |
教育は、不当な支配に服することなく、この法律及び他の法律の定めるところにより行こなわれるべきものである(第16条)
※「不当な支配」の解釈替えで、国家を縛る規定から、日教組や教育労働運動を弾圧する根拠規定へ改悪 |
(現行法第10条の「不当な支配に服することなく」を削除)
地方公共団体が行う教育行政は、その施策に民意を反映させるものとし、その長が行わなければならない(第18条) |
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週刊『前進』(2248号2面3)(2006/06/05)
日教組 森越委員長が「愛国心」容認
組合員の思いを踏みにじり
民主党改悪案に森越が同意
教育基本法改悪法案の国会審議が始まり、全国から日教組組合員が改悪を阻むために国会前に駆けつけ連日の座り込み闘争を闘っている。この時、組合員の思いを真っ向から踏みにじり、教基法改悪をしり押ししているのが、日教組の森越康雄委員長だ。森越委員長の重大な裏切りを徹底的に弾劾し、現場組合員の総決起で、なんとしても教育基本法改悪を阻もう!
民主党は5月23日、「日本国教育基本法案」を国会に提出した。「日本を愛する心を涵養する」ことを明記するなど、その内容はまさに、政府案をはるかに超える極悪の改悪案である。
何よりも重大なのは、この民主党案が、森越委員長および日教組の組織内議員=日政連議員の全面協力によりまとめられたという事実である。民主党が法案要綱をまとめた5月12日、民主党の検討会に先だって日政連議員約10人と森越委員長が対応を協議した。そこで、森越委員長は「(大事なのは)政府案成立阻止ということだ」と言って、民主党案に完全に同意したのである。
「愛国心の涵養」を目的とする教基法改悪案に同意するとは、森越委員長が日教組組合員に「愛国心教育」を強制するということではないか! 絶対に許せない。
「国を愛する心は否定しない」
それだけではない。全国の日教組組合員が国会前座り込み闘争を開始した5月16日、日教組は「5・16教育基本法『政府法案』反対!全国意思統一集会」を開催した。そこであいさつに立った森越委員長は、なんと「わたしたちは国を愛する心を否定したことはありません」とあいさつしたというのだ(日教組ホームページより)。
なんということだろうか! 日教組組合員は今、「教え子を戦場に送る愛国心教育の復活を許さない」ためにこそ、国会前に駆けつけて闘っているのだ。この時に、平然と「愛国心は否定したことはない」などと言い放つ日教組委員長を、組合員の怒りの総決起でぶっ飛ばさなければならない。
改悪の狙いは日教組の解体
日帝・小泉政権にとって、教基法改悪の最大の狙いは日教組の解体である。教基法改悪をめぐって開始された国会論戦の中でも、そのことがますますはっきりしてきた。
小坂文科相は5月16日の衆院本会議で、現行教基法10条の「教育は、不当な支配に服することなく」という条文を残したことについて、「国民全体の意思とは言えない一部の勢力」の介入を排除するものだと述べた。教基法を改悪したら、日教組の闘いを”一部の勢力の不当な介入”とし、「教基法違反」で罰すると言っているのだ。
教基法改悪と一体で進められている国民投票法案で教育者の改憲反対運動を禁じようとしているのも、また教員免許更新制の導入によって愛国心教育を行わない教育労働者から教員免許を奪おうとしているのも、すべてひと連なりの問題である。
「日の丸・君が代」強制に対して、処分を恐れずに不起立で抵抗を続ける教育労働者がいる。停職処分を受け、免職の脅しを突きつけられても、けっして屈しない教育労働者がいる。日帝・小泉はこの現実に震え上がっているのだ。”日教組の闘いをたたきつぶして、戦争を賛美し子どもたちを進んで戦場に送る教師集団に学校を制圧させないかぎり、愛国心教育は貫徹できないし、戦争体制は確立できない”と悲鳴をあげているのだ。
今こそ「教え子を再び戦場に送るな」のスローガンの本領を発揮する時だ。日教組が組織の総力を挙げて闘えば、教育基本法改悪は必ず阻止できる。
日教組本部の裏切りを突き破る現場組合員の総決起をつくり出そう。10割年休闘争で国会前を数万・数十万の教育労働者で埋めつくし、改悪を阻止しよう。
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週刊『前進』(2248号2面4)(2006/06/05)
5・1〜5・19
有識者会議 国家公務員2万人削減案
都銀の正社員3割に/郵政公社が事業案を提示
●主要人材派遣会社の年収入高、前年度比15.4%増 帝国データバンクは「主要人材派遣会社の動向調査」の結果を発表。調査対象60社の04年度の年収入高合計は1兆2311億円で03年度に比べ15.4%増加。(1日)
●都銀、正社員が全体の3割台に 金融労働者で構成される銀行労働研究会が各行の有価証券報告書をまとめたところ、銀行本体の正社員数が2000年からの5年間でおよそ5割から3割台にまで下がっていることが分かった。(1日)
●労働審判の申し立て93件 4月1日に各地裁で始まった労働審判制度への申し立て件数が1カ月間に全国で93件あったことが最高裁のまとめで分かった。(2日)
●阪神電鉄労組、村上ファンドの経営参画に反対 阪神電気鉄道労働組合は、村上ファンドの阪神電鉄への経営参画に反対を発表。和田委員長は、「ストライキなども考えられる」と述べた。11日には私鉄総連も反対を表明。(4日)
●政府の懇談会、今後の社会保障のあり方で最終報告案 政府の「社会保障の在り方に関する懇談会」は、将来の社会保障財源に関連して消費税率引き上げの必要性を提起するなどした報告書の座長案を提示した。(9日)
●米軍基地スト延期 高年齢者雇用安定法にもとづく米軍基地従業員の継続雇用問題で、全駐留軍労働組合(全駐労)と防衛施設庁が合意に達した。5月18日に横須賀基地で予定していた拠点ストはいったん延期する。(10日)
●経済同友会、社会保障制度改革提言 経済同友会は公的年金制度は消費税を財源とする基礎年金だけとし、厚生年金は廃止するなどとした社会保障制度の抜本改革に向けた提言を発表。(10日)
●郵政民営化後の事業概要提示 郵政民営化後の関係会社の事業概要が明らかに。日本郵政公社は、全郵政とJPUにも事業概要を提示。民営化後に職員がどの会社に所属するかを決定する工程などの話し合いを進める。(16日)
●政府、公務員制度改革法案の今国会提出を断念 政府・与党は、人事・給与面での能力主義導入を柱とする公務員制度改革関連法案の今国会提出を断念。(18日)
●経財諮問会議、「グローバル戦略」を了承 政府の経済財政諮問会議が開かれ、「東アジア経済圏の構築」などを内容とする「グローバル戦略」を了承した。(18日)=要旨別掲
●有識者会議が1万9531人削減案 「行政減量・効率化有識者会議」は、国家公務員5%以上純減の具体案として国家公務員33万2000人の5%相当分を約2900人上回る1万9531人の純減計画をまとめた。6月閣議決定の「骨太の方針」へ反映を目指す。(19日)
グローバル戦略(概要)
T策定の背景と基本的な考え方
中国やインドをはじめとするBRICsの台頭は、アジアの経済地図を大きく変えようとしている。……このままでは、将来、急速に成長する国々の狭間で埋没してしまうであろう。
W戦略的に取り組むべき施策と目標
1.外国人人材の受け入れ拡大と在留管理の強化
2.産業の国際競争力の強化
成田空港は09年度内に約1割、羽田空港は09年内に約4割の能力増強。
3.地域の国際競争力の強化
4.対外政策のあり方と国際社会への貢献
・EPA工程表に沿って東アジアとのEPA締結を加速化する
・東アジア経済圏の構築 東アジア共同体のあり方について…政府内で十分論議
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週刊『前進』(2248号3面1)(2006/06/05)
郵政民営化絶対反対貫こう
JPU大会議案を批判する
密室で組合員の命運決める「本部一任」は認められない
6月14〜16日にJPU(全逓)第62回全国大会が横浜で開かれる。中央本部から提案されている大会議案に対し、いったいこれが労働組合の方針と言えるのかという現場組合員の怒りが渦巻いている。その内容は、郵政公社総裁の生田や郵政株式会社社長の西川から提示されたものを、そのままたれ流しているだけだ。とうてい怒りなしには読めない代物だ。本部議案を6月全国大会で否決に追い込み、民営化推進に転じた中央本部を覆そう。民営化絶対反対の旗を掲げぬき、郵政公社の攻撃と対決しよう。
民営化推進に転換した本部の打倒を
郵政民営化との闘いは4大産別決戦の基軸であり、日本の労働者階級の命運を決める位置を持っている。
5〜7月国会闘争は、共謀罪や教育基本法改悪、改憲のための国民投票法案などをめぐってますます緊迫の度を増している。改憲に集約されるこれらの攻撃は、何よりも労働者の階級的団結の破壊に矛先が向けられている。小泉政権が行革推進法案の成立を一切に優先させているのは、公務員労働運動を破壊しなければ、改憲を押し通すことも戦争国家を形成することもできないからだ。4大産別をめぐる攻防は本格的な決戦に突入した。労組破壊を許さず、吹き荒れる公務員労働者への攻撃と立ち向かってこそ、改憲を阻むことができる。その最先頭に、郵政民営化と対決する全逓労働者の闘いがある。
ところが今や、JPU中央は労働組合としてのJPUを自ら解体するに等しい大裏切りへと踏み込み始めた。その端的な表れが、第62回全国大会への本部議案である。
それは、分割・民営化に単に屈服しているという水準をはるかに超えて、JPUという労働組合を、郵政公社・生田や日本郵政株式会社・西川以上の積極的民営化推進者に成り果てさせようとするものだ。何もかも「本部一任」とすることで現場労働者の声を一切封じ、国家公務員の身分を剥奪(はくだつ)した上で、大量首切りを強制するものである。そしてついに御用第二組合=全郵政との「組織統合」を具体的な日程に上せるに至った。
2月臨時大会で中央本部は、見せ掛けだけだったにせよそれまで掲げていた「郵政民営化反対」の旗を最終的に下ろし、民営化推進に「転換」した。今度の6月定期大会議案は、日本郵政株式会社がその「実施計画」を策定してもいない段階で、これを組合の側から早急に進めることを要求するものになっている。
2月臨大で、あらゆる勢力が郵政民営化攻撃に屈し一切の方針を見失う中で、唯一、革共同全逓委員会や労組交流センター全逓労働者部会が民営化絶対反対派として登場し、この攻撃と徹底的に闘いぬくことを宣言した。今や分割・民営化を先取りする「集配拠点の再編と貯保外務員の集約化」をめぐって、また2ネット方式の強行導入やJPS方式に対して、「もう我慢ならない」という現場の怒りが渦巻いている。中央本部はこの怒りを封殺し、生田や西川との密室での「労使交渉」によって労働者の首を彼らに差し出そうとしているのだ。この中央本部に対して、6月定期全国大会をとおして、現場からの反撃をたたきつけなければならない。
相次ぐ人員削減と欠員の放置の中で、全国どこの職場でも毎日2〜3時間の超勤が「当たり前」になっている。こんなことは絶対に認められない。今こそ闘う全逓労働者の魂をよみがえらせ、非協力・超勤拒否の闘いから物ダメ・ストライキへ向けて突き進む時だ。連合JPU中央本部・菰田−難波体制を打倒し、本部議案を否決に追い込もう。
「雇用と労働条件は担保された」とウソ
大会本部議案を徹底的に批判し、弾劾しなければならない。
第一に、郵政民営化法によって「雇用と労働条件は担保された」とし、まるで分割・民営化が「良いこと」「前進」であるかのように百八十度転倒させていることである。
「T 提案にあたって」では、まず第59回大会(旭川・04年6月)で「私たちの未来づくり宣言」を決定し、三つの「マニフェスト(宣言)」を明らかにしたことを自分たちJPU(日本郵政公社労働組合)の「スタート」として描き出す。そして「郵政民営化法案の可決・成立という事態に直面したものの、マニフェストに掲げた方針は……着実に前進してきた」と言う。郵政民営化攻撃への全面屈服を“マニフェスト方針の前進”であると、今になって徹底的に居直っているのだ。これによって「民営化反対」が口先だけのうそっぱちであり、JPUのスタートも「マニフェスト」と称する本部方針も、実は民営化を前提とし、民営化を推進するものでしかなかったことを自己暴露しているのだ。
本部の言う“マニフェスト方針の前進”とは、法案可決までの「運動展開や国会審議を通じ、全職員の雇用承継や労働条件への配慮を法的に担保したこと」だとされている。だが、そもそも法案可決は、小泉が郵政労働者を悪玉としてやり玉にあげ、クーデター的に衆院解散−総選挙に打って出たことによって行われたのだ。ところが本部は、ここで郵政労働者が受けた屈辱と怒りをもみ消して、“それまでの運動によって雇用や労働条件の担保を得た”と言い放っている。労働組合として、これほど労働者を冒涜(ぼうとく)した居直りがあろうか。
今後の「雇用承継」や「労働条件」は何ひとつ保障されてはいない。公務員身分を剥奪し「首切り自由」の状態にたたき込むことに郵政民営化の核心がある。それを徹底的にごまかし開き直っている。それどころか民営化は、本部が労働者の雇用や労働条件を売り渡すことによって強行されようとしているのだ。
現場組合員に屈従をせまる
第二に、今後の労使交渉の一切について「本部一任」とすることで、現場組合員に“一切文句を言うな、黙って従え”と屈従を迫っていることである。すべてを中央本部・菰田と西川・生田との密室で取り決めようとしているのであり、「本部一任」など絶対に許してはならない。
JPU本部は民営化法成立以降、昨年10・28に「政労協議」を開催し、11・7に「民営化に関する労使懇話会」を設置した上で、今後の交渉展開と妥結判断については今年2月の臨大で「本部一任」が了承されたとして、3月30日に「大綱整理」=妥結した。その上で今大会では、「今後の労使交渉や運動の進め方等を決定する」として「集配拠点の再編と貯保外務員の集約化を含めた職員の帰属について、交渉の大綱整理内容を確認・決定する」というのだ。
大会で、今後どういう交渉を行うのか、その大雑把な内容だけを「決定」し、その一切は「本部一任」だというのだ。組合員一人ひとりの命運がJPU本部と小泉・竹中・生田・西川らとの「密室交渉」によって決まってしまうのだ。郵政民営化に見るも無残に屈服したJPU本部に、また自らの延命のために郵政労働者を悪玉に仕立て上げた小泉らに、われわれの生活と生存、運命を握られてたまるか。
展望も示せず破産をさらす
第三に、だが重要なのは、これらの“交渉”について「未確定部分も流動的な要素が残されています」として、定期大会では本来2年間の方針提案となるが、今回は07年までは展望できず、「06年の単年度方針を提案する」しかない、と言っていることである。
「現時点で民営化後も含めた運動の組み立ては困難」などとしているが、要するに“確たるものは何もない、先の見通しが立たない”ということだ。分割・民営化とは、かくもでたらめで展望のないものなのだ。ここに敵の最大の弱点がある。国鉄では1047名闘争が今なお営々と闘われ、JR体制は完全に破綻(はたん)している。日帝・小泉−竹中は、国鉄分割・民営化の二の舞いを恐れて、確たる民営化の展望を見い出せないのだ。
一部の諸君は、本部派と口をそろえて、民営移行においては「雇用と労働条件は確保された」などと言い、「問題は民営化後にくるNTTのような子会社化やリストラ・合理化とどう闘うかだ」として、「今は闘う時ではない」と言っている。これは、あらゆる意味で間違っている。民営化に向かって現に大量首切り・合理化が行われている時、これと闘わずに、民営化後にどう闘えるのか。
9月「帰属決定」を迎え撃つ大決戦に
6月全国大会から9月1日の帰属決定までのこの過程、そして来年10月1日の民営化移行に至る過程が勝負なのである。ここで、本部の屈服方針を現場からひっくり返す闘いを巻き起こそう。公社の攻撃の一つひとつに一歩も退かずに闘うことだ。ここに、民営化攻撃を破綻に追い込み、本当の意味で雇用と労働条件を守りぬく道がある。また、そうしてこそ、07年10月以降の闘う全逓労働者の展望も切り開かれる。闘って自らの運命を切り開こう。
5〜7月国会決戦は重大な改憲決戦であり、4大産別決戦そのものでもある。郵政民営化阻止決戦は、小泉との階級攻防の基軸をなしている。その成否は、労働者階級を主軸にした改憲阻止決戦の歴史的高揚にかかっている。改憲阻止闘争は民営化阻止の闘いそのものなのだ。職場から改憲阻止の闘いを巻き起こし、署名運動に取り組もう。国会闘争に決起しよう。そのうねりの中で、6月全国大会闘争を闘いぬこう。
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週刊『前進』(2248号3面2)(2006/06/05)
幕張事故の責任はJRにある
JR東日本は、4月6日に幕張車両センターで発生した脱線事故を口実に、動労千葉組合員に対する重処分を今月末にも発令しようと策している。これは、動労千葉の組織破壊を狙う許すことのできない攻撃だ。
動労千葉はこの策動に対し、総力を挙げた反撃に立っている。5月16日の「幕張車両センター構内事故への不当処分粉砕!運転保安確立緊急抗議行動」には、140人を超える動労千葉の組合員がまなじりを決して結集し、集会とJR千葉支社への抗議行動、千葉駅前での宣伝行動をやりぬいた。(前号既報)
事故と無縁な鉄道労働者は誰もいない。事故を起こした運転士に全責任を転嫁するJRの策動は、動労千葉組合員の心の底からの怒りを呼び起こしている。この闘いは、1972年の船橋事故闘争以来の反合・運転保安闘争の神髄を貫くもとして闘いぬかれている。
こうした中でJR東日本千葉支社は、5月16日の動労千葉との団交で、幕張車両センター構内の主要個所にATS(列車自動停止装置)を設置することを確認せざるを得なくなった。これは、ATSも設置せず危険を放置してきたJR自身の責任を認めたということだ。それでもなお、当該運転士への重処分を強行することは断じて許されない。
そもそも幕張車両センターなどの車両基地構内は、複雑な入換作業、出入区作業が行われる場所であり、本線にも増して事故の起こりやすい職場だ。今回の事故は、入換信号機の先にある列車洗浄機の始動ランプの点灯につり込まれ、信号が変わる前に電車を動かしたことによって発生したということだが、こうした事故が起きる危険性は何度も指摘されてきた。だから会社も、そこを「要注意個所」と認識していたのだ。ところがJRは、事故防止のためにATSの設置を求める労働者の切実な要求を、「費用がかかる」と拒んできた。
160人の死者を出した1963年の鶴見事故以降、本線上にはATSが設けられた。だが、それから40年以上たった今も、電車区構内は危険が放置されたままなのだ。それが事故の真の原因だ。
事故が起きた時、当該の労働者を守り抜けるか否かは労働組合の試金石をなす。動労千葉は、全組合員が団結を固め、仲間を守りぬくために闘っている。
一方、東労組カクマルはこの事故に対して“マル体質=なれ合いをなくせ”“職場風土改善が必要”と叫び、JRに重処分をけしかけている。資本に対する事故責任の追及は絶対に認めないということだ。だがこんな暴言は労働者の憤激を買うだけだ。
JR東日本は、動労千葉が06春闘で展開した安全運転闘争に対しても、戒告や厳重注意の不当処分を発令した。これへの怒りは、今回の事故への重処分策動に対する怒りと一体となって、動労千葉の根底的な決起を生み出している。この動労千葉を全力で支えよう。そこから国鉄闘争勝利の血路を切り開こう。
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週刊『前進』(2248号3面3)(2006/06/05)
動労千葉夏季物販に全力を 1047名闘争の勝利訴え
旗が立った。1047名の旗が。すべての労働者が念願してやまない国鉄1047名の大同団結がついに実現した。この時を境に、日本階級闘争は、けっして後戻りすることのない高揚と再生の過程に突入した。動労千葉の06年夏季物販闘争は、1047名闘争の旗を掲げての物販闘争になったのだ。
3月26日、DC会館で全国物販担当者会議が開催された。動労千葉協販部から、05年冬季物販の実績が04年冬を上回ったことが報告された。
特徴的なことは、今までつながりのある組合・個人の1件あたりの注文額が上がっていることだ。これは、動労千葉への支援と連帯が予想を超えて広がっていることを示している。一人ひとりの労働者が、熱く動労千葉への協力、支援、連帯、共闘を求めている。
具体的報告と討論でも、「今まで付き合いのあった労組役員が動労千葉との共闘を決断した」「物販を職場に持ち込んだら大昔からの動労千葉の支持者が実は多数いたことが分かった」などの意見が出された。踏み込んだところでは踏み込んだだけ動労千葉への支持が深まっている。05年夏季物販担当者会議で、「物販オルグは闘う労働運動の再生にとって最高の武器になる」と確認されたが、この1年で早くも実を結び始めたのだ。
この前進は、1047名闘争の前進と一体のものだ。国鉄被解雇者1047名の大同団結を、どれだけの労働者がどれほど待ち望んできただろう。「感動しました」「今までは国労本部との関係で表立って支援できなかったが、これで大手を振って支援できます」「1047名闘争のほかに、われわれには何もないんです」。多くの労働組合が、1047名闘争の旗がついに立ったことへの心からの賛辞を寄せている。
このように、きわめて広範な動労千葉派、1047名派の労働者が実は存在していたのだ。それをなぜ組織できなかったのか? それは、物販への取り組みを訴える側自身が、真の意味で動労千葉派になっていなかったからだ。まず、自分自身が動労千葉派になろう。動労千葉の現実の闘いを熱く語ること――これこそが広範な労働者を組織する最高の言葉だ。
06春闘で動労千葉は、反合・運転保安確立を掲げ、3月10日から18日まで最高速度を10`ダウンする安全運転闘争と13日の第1波スト、16日から18日までの3日にわたる第2波スト、23日の貨物第3波ストに立ち上がった。また05年には、50日に及ぶ安全運転闘争で、JR東日本に30・8`のレール交換を行わせた。
この動労千葉の闘いに、4月12日、不当処分が強行された。本部執行部に「戒告」、現場組合員に「厳重注意」というものだ。
さらにJR東日本は、4月6日の幕張車両センター構内での事故に対して、動労千葉組合員である当該運転士に事故の責任のすべてを押しつけ、重処分を強行しようとしている。しかしこの事故は、構内における安全対策が放置され続けてきた結果にほかならない。すべての責任はJR東日本会社にある。
JR当局は、重処分攻撃で本格的な動労千葉破壊攻撃を狙っている。これは同時に1047名闘争への破壊攻撃だ。すべての労働者・労働組合に動労千葉防衛のために立ち上がることを訴えよう。
民営化と合理化、そして労働強化の結果、世界中のあらゆる職場で事故・労災が頻発している。事故と処分の問題は、すべての労働者・労働組合の共通の課題だ。問題は、事故が起きた時、労働組合が事故を起こした労働者を守って闘うことができるか否かだ。仲間を守って闘い続ける動労千葉に、今まで以上の共感と支援が寄せられることは間違いない。
この流れを、11月に向かっての新潮流運動の巨大な渦へと発展させよう。動労千葉物販を武器に、ここに断固として挑戦すべき情勢が到来しているのだ。
国鉄1047名闘争の大義を掲げ、あらゆる職場に動労千葉物販を持ち込もう。重処分攻撃を跳ね返し、仲間を守って闘い続ける動労千葉の闘いを熱く、熱く、熱く訴えよう。
|
販売品目 |
(円)
|
1
|
天津甘栗 |
500
|
2
|
茎わかめ |
650
|
3
|
焼カシューナッツ |
600
|
4
|
イカづくし |
600
|
5
|
豆倶楽部 |
500
|
6
|
アロエフルーツゼリー |
720
|
7
|
くずきり甘夏 |
1300
|
8
|
リラックマタオルセット |
1800
|
9
|
じゃがバターパイ |
850
|
10
|
ひじき炊き込みごはん |
800
|
11
|
純米焼酎 |
2000
|
12
|
山梨ワイン |
2900
|
13
|
夕張メロンゼリー |
3000
|
14
|
かりんとう詰合わせ |
2000
|
15
|
SL組立セット |
4000
|
16
|
グンゼソックス |
1000
|
17
|
静岡茶 |
600
|
18
|
モカブレンド |
1000
|
19
|
アイスコーヒー(粉) |
800
|
20
|
もりおか冷麺(生) |
1000
|
21
|
冷し中華(生) |
1000
|
22
|
寒干しラーメン |
1200
|
23
|
ポケットチーズ |
700
|
24
|
スモークドチキン |
1300
|
25
|
もずくスープ |
500
|
26
|
即席みそ汁 |
1200
|
27
|
野菜たまごスープ |
1200
|
28
|
りんごジュース |
2600
|
29
|
キャロット&フルーツジュース |
1500
|
30
|
島原てのべそうめん |
1300
|
31
|
稲庭うどん |
2000
|
32
|
北信濃手折りそば |
1600
|
33
|
ほたて貝柱 |
900
|
34
|
梅にんにく |
1300
|
35
|
ひじき |
600
|
36
|
根昆布しょうゆ |
600
|
37
|
天然だしパック |
1200
|
38
|
ナガイの焼のり |
1700
|
39
|
紀州南高梅 |
1800
|
40
|
ビーフカレー20食 |
3000
|
申込先/動労千葉協販部 TEL043(227)7833 FAX043(227)8125
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週刊『前進』(2248号3面4)(2006/06/05)
“署名運動で風おこそう”
5・20全国集会 参院選前 百万筆目標に
憲法9条を変えるな!
9条改憲反対の署名運動の開始を宣言した全国集会。改憲反対を訴える永井貫一さんの講演に会場から盛んな拍手が送られた(5月20日 東京・千代田公会堂)
東京の千代田区公会堂で5月20日、「憲法9条を変えるな!/署名運動で風をおこそう! 5・20全国集会」が開催された。「とめよう戦争への道!百万人署名運動」が呼びかけ、各地の連絡会を中心に630人が参加した。
百万人署名運動は、この集会をもって憲法改悪に反対する署名運動を立ち上げ、全国で9条改憲反対の風を起こそうと活動している。集会では、呼びかけ人を代表して、梶村晃さんが「9条の一点で一致する人を幅広く結集しよう。来年の参院選までに百万筆が目標」と訴えた。事務局次長の小田原紀雄さんは、国民投票法案反対も一体で取り組むことを訴えた。第1次集約日は今年の11月3日。
法政大学名誉教授の永井憲一さんが「いま、なぜ、憲法改悪か」と題して講演。永井さんは憲法と教育基本法の専門家で教員生活50年。「近代立憲主義は一人ひとりの人権を守るための政治だ。憲法には人民の権利が書いてあれば良い」として、自民党の新憲法草案を批判した。
戦死した兄の遺骨を受け取った母の涙を見て、戦争だけはいけないと思った話など、ときには参加者をしんみりさせ、「憲法は改正してはならない」と熱弁を振るい、共感を呼んだ。
美術史家の若桑みどりさんは「戦争とジェンダー」と題して講演。ジェンダーフリー教育への攻撃を明らかにし、「戦争ができる国になるための文化を準備している」と断罪。日本会議や「つくる会」など右翼・ファシスト勢力が市町村議会や教育委員会にメンバーを送り、法的意思決定を左右し、恐怖によって右旋回させようとしている、と指摘した。
“小異を残して大同につく”
集会は、栗原君子・元参院議員が開会のあいさつ。「改憲で国の形が変わる。狙いは9条です。絶対に守らなければならない」と危機感をあらわにした。来年の参院選では全議席の3分の1を護憲派で占めようと提案。さらに8・6ヒロシマ大行動の参加を訴えた。
「教育基本法の改悪をとめよう!全国連絡会」事務局の渡部秀清さんがアピール。正念場を迎えた教育基本法改悪反対の闘いを臨場感をもって報告し、「教育基本法の改悪をとめよう!6・2全国集会&国会デモ」への参加を促した。
全国港湾の玉田雅也事務局次長は、「東京湾が軍事優先になれば都民の生活はパニック。労働者の誇りをもって職場から改憲反対を闘う」と語った。今後の陸海空港湾労組20団体の闘いへの連帯を訴えた。
都立高校の教員が「今年も数十人が不服従の意思を示した。抵抗は続いている」と今後の展望を示した。「破防法・組対法に反対する共同行動」の安藤裕子さんが、共謀罪法案をめぐり、ハンストや国会行動などで「国会を揺るがす闘いをしてきた」と報告、廃案の決意を力強く示した。
沖縄からは呼びかけ人でうないネットコザ主宰の桑江テル子さんが参加した。「核抜き本土並み」と称して実際には基地を残した72年の本土復帰と憲法への思いを語り、「在日米軍再編は、古くて狭い基地のリニューアル。普天間飛行場を返す代わりに辺野古崎に新しい基地を日本の金でつくる」と怒りを示した。
呼びかけ人の野田隆三郎・岡山大学名誉教授が、全国72都市で行った9条改憲の賛否を問うシール投票で77%が反対したと報告。
事務局長の西川重則さんは、新しい署名運動を始めるにあたって、「小異を残して大同につく――これなくして運動はできない。自信と確信をもって闘いましょう」と提起した。
改憲阻止の大運動を広げるため、瞬発力と持続力が必要だ。この1、2年が正念場だ。まず来年参院選までの百万筆達成へ、集会、学習会、街頭宣伝など、知恵を絞って、どんどん行動を開始をしよう。
(投稿/北村茉莉雄)
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改憲国民投票法の制定に反対する5・31緊急講演会
5月31日(水)午後6時半〜8時半
渋谷勤労福祉会館2階(渋谷区神南1−19−8)
講師 井口秀作さん(大東文化大学助教授)
主催/とめよう戦争への道!百万人署名運動
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週刊『前進』(2248号4面1)(2006/06/05)
法大 退学処分に怒り爆発 学生300人が当局包囲
文学部被処分者排除攻撃許さず 法学部は再び阻む
法政大学当局は、5月18日付で3・14弾圧で不当逮捕され釈放された学生のうち、文学部生3人に対する退学処分を下した。絶対に許せない!
(写真 被処分者の学生をたたき出そうとする安東学生部長らを学生が包囲【5月19日】)
処分決定に対して、法大生を始めとする激しい怒りが爆発している。19日には学生300人が法大当局を包囲し、被処分学生のキャンパスからのたたき出しを阻止する闘いが爆発した。「はらわたが煮えくりかえる思いだ。恥を知れ!」「追放されるべきは無実の学生ではなく平林総長、安東学生部長だ」(法大弾圧救援会へのメールより)と、怒りと抗議の声が全国から殺到している。
退学処分は、戦前の三木清事件の再来だ。法政大学教授だった三木清は、1930年治安維持法違反でデッチあげ逮捕され、最後には法大から追放された。法大当局は、この恥ずべき侵略戦争加担の歴史をくり返そうとしているのだ。
小泉政権はいま、共謀罪を制定し、教育基本法を改悪して「愛国心」強制を義務づけ、憲法9条を破棄して侵略戦争に突き進もうとしているのだ。平林総長らはこれと一体となって、改憲阻止を訴える学生を大学から追放し、「学生は国の決定に従え。黙って戦場に行って死ね」と言っているのだ。闘う学生を大学から追放し、学生運動・大学自治を圧殺して、大学を自由にものも言えない「絶対服従」の場に変えてしまおうとしているのだ。これは戦争と改憲の先取りだ。こんな事がどうして認められるか。断固粉砕あるのみだ。
ハンスト6日間貫く
文学部教授会で処分が決定された17日、被逮捕者の一人である法学部生A君は、ただちに怒りのハンガーストライキに決起した。
5月19日午前11時頃、安東学生部長が学生部や学務部の職員十数人をひきつれて「退学通知書」のコピーを手渡しに現れた。「昨日付で処分は発令されているので君たちはすでに学外者だ。荷物をまとめて正午までに退去するように」と言い放ってきた。退学になった瞬間に暴力的に大学から叩き出す。こんなふざけた話があるか!
処分決定の内容は実にデタラメだ。「通知書」は言う。「貴君は、大学の業務を妨害する意図を持って、複数の学外者と学内に侵入し、再三に及ぶ大学の警告を無視して、数日間にわたって大学の業務を妨害した。貴君を含む同集団による業務妨害は、3月2日、3月8日、3月13日、3月14日にわたって繰り返し行われた。その結果、3月14日に大学からの通報を受けた警察官によって他の文学部学生2名、法学部学生2名、学外者24名とともに学内で逮捕される事態に至った」と。
この理由ならざる「理由」は処分の不当性を示してあまりある。デタラメさゆえ、3月14日当日の「立て看板撤去妨害」にもまともに言及することができない。そしてこれまで問題にしてこなかった3・14以前の正当な学生部への申し入れ行動すら、突如「業務妨害」と言いなしている。数日間の行為の結果として「逮捕されるに至った」などと警察権力による「逮捕容疑」さえ歪曲している。しかもこの他人事のような言い草はなんだ!
(写真 処分された学生を排除するためだけに新たに当局が雇ったガードマン【右】)
弾劾から逃げ回る教員たち
当該の学生は、直ちにキャンパスに出て怒りの大アジテーションを行った。
その直後、文学部教授会執行部の奥田教授が通りかかった。「どういうことだ」と弾劾をたたきつけると、奥田は一言も発することもできないまま学生部教職員に守られて足早に逃げ去った。通りがかる文学部の教員は誰もが「いや、自分はちがう」「知らない」などなど卑劣な言い逃れをするばかりだ。
昼休み、「退学処分」の当該学生がキャンパス中央に堂々と登場、マイクで宣伝を始めた。安東ら学生部教職員が集まってきて排除をねらう。
弾圧を記録しようとハンスト中のA君がカメラを向ける。浅見学生部事務次長が「やめろ」と襲い掛かりカメラを奪った。「返せ」と手を伸ばす学生を激しく振り払い「バシッ!」という音が周囲に響いた。「暴力を振るうな!」と弾劾をたたき付けると、それまで遠くで見ていた安東学生部長がにじり寄ってきた。安東が「学外者は出て行け」と叫ぶのを合図に職員が総出で当該学生の追い出しにかかってきた。
別の学生が「学生部が学生をたたき出そうとしている。また3月14日を繰り返すのか! もうすぐ警察が導入される!」と激しい弾劾を浴びせる。瞬く間に150人もの学生が集まってきた。「学外者だと?! 退学処分などここにいる誰も認めていない。処分撤回署名が1200も集まっているではないか」と訴える。職員の妨害に一歩も引かず学生がビラを取りにくる。通りすぎようとするビラまきの肩を引き止めてビラを求めたり、「がんばってくれ」と声をかけてくる学生もいる。
その間にも、被処分者が門の方に押し出されようとしている。この光景を初めて目の当たりにして、怒りをぶちまけ、友人に止められつつも安東につかみかかろうとする学友もいる。
トラメガを持った学生がさらに激しく訴える。「改憲反対を訴える彼のような学生がなぜたたき出されなければならないのか? 平林・安東こそたたき出されるべきだ。彼を守ろう! 写真を撮ってこの状況をみなに伝えてくれ」と訴えると学友は一挙に学生部教職員につめ寄り、携帯で写真を撮りはじめた。邪魔する職員をかわして安東学生部長の顔写真を至近距離で撮って抗議する学友。一挙に怒りのるつぼと化した。
再びデッチあげを狙う安東
追いつめられた安東は、被処分学生にみずから体当たりして「暴力を振るうな」などとのたまい、学友の失笑を浴びた。被処分者の学生は抗議しながら座り込んで徹底抗戦。いつのまにかキャンパスに集まった学友は300人に達している。排除をねらう学生部の周囲を数百人の学友が取り囲みたたき出しなどできない状況になった。学生部はついに排除を断念した!
法学部生A君のハンストは、6日間132時間に及んだ。極限的な状況ながらもみずからビラを作って配り、署名をよびかけ、マイクで訴えた。彼の決起に突き動かされた多くの学生が次々と集まり、激励と処分への怒りをあらわにした。
22日に開かれた法学部教授会では処分決定を行うことはできなかった。決死のハンストがかちとった勝利だ。法学部教授会は「刑事手続きの終了後にあらためて事情を聞きたい」と言ってきており、「慎重に」審議を進めようとしていると伝えられている。文学部教授会の「まず退学処分ありき」のやり方が、あまりにもデタラメなのだ。
全国から6・15国会へ
被処分者の学生は、連日キャンパスに登場して処分撤回を訴えている。学生部は、新たに3人のガードマンを雇ってキャンパスからの叩き出しを狙っている。5月24日には、なんと掲示板裏に収納してあった5・26デモを呼びかける立て看板が強奪された。「設置」すらされていないのにである。しかし、これらの暴挙は、学友の怒りに火をつけるばかりだ。
300人の決起でたたき出しを阻止した闘いをさらに発展させ、6・15全国学生総決起集会の爆発へ突き進もう! 反動国会に対して怒りのデモをたたきつけよう! 法大3万学生、全国の学生・労働者の怒りと闘いで文学部生3人への退学処分を撤回させよう! 法学部生への処分決定を絶対に阻止しよう!
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週刊『前進』(2248号4面2)(2006/06/05)
東北大から報告 不退転の闘いで寮守った!
この力で改憲阻止ストへ
全国の学生、労働者のみなさん。
われわれは5月9日、国家権力・東北大学当局の暴力的廃寮策動を打ち破り、有朋寮への「強制執行停止」決定をもぎり取った。不退転の決意と行動で4月25日の仙台高裁反動「明け渡し」判決と対決し、昨年9月に続いて有朋寮を守り抜いたのだ。
息つく間もなく直ちに法政大学からも荒々しい闘いが火を噴き始めた。5月19日の法大生300人の決起、この中にこそ全国学生運動爆発の展望がある。法大決戦、有朋寮決戦を導火線に、今こそ全国学生改憲阻止ストライキに突入するときだ! そのためにも有朋寮闘争の中でつかみ取った教訓を共有したい。
(写真 有朋寮食堂で勝利報告集会、勝利の爽快感を共有した【5月13日】)
法大決戦こそ闘いの天王山
法政大学の「退学」処分粉砕の闘いこそ、全国学生運動の天王山の闘いだ。
法大キャンパスはまさに動と反動のうずまく決戦場だ。3月14日の29人逮捕という大反革命に対し、われわれが不起訴釈放をかちとるや、法大・平林執行部は「自宅謹慎処分」攻撃に出てきた。それが4・28法大包囲デモを頂点に破産しかかるや、ついに「退学」処分に手を染めた。
しかしそれも、5月19日に当該学生のキャンパスからの叩き出しが300人の学生の包囲で粉砕され、法学部教授会での「退学」処分決定も粉砕された。法大当局は、決定的に追い詰められている。日々刻々、一秒ごとに情勢は右に左に激しく動いている。毎日が大決戦だ。キャンパスで改憲反対を訴えたら逮捕、退学! こんなことを絶対に許してはならない! 全国学生は万難を排して法大にかけつけよう!
敵との力関係転換して勝利
有朋寮の5年におよぶ廃寮阻止の闘いは、法大決戦と同じように、国家権力・大学当局との階級的力関係に一切がかかっており、一歩も退かぬ決意と団結によって情勢を揺さぶり、敵を追い詰めることができることを証明してきた。
有朋寮から全キャンパス・全国に闘いの火が燃え広がることを恐れた吉本執行部は、強制執行を決断できなかった。「日の丸・君が代」不起立闘争と同様に、われわれの決意が固まれば、攻防のヘゲモニーはこちらが握りしめることができる。敵は意外なほどに脆(もろ)い姿をさらけ出さざるをえない。
日本帝国主義が改憲によって再びの侵略戦争に突き進もうとしているとき、改憲阻止決戦は平和裏に発展していくものではけっしてない。むしろ大学キャンパスや職場で、民衆が命がけでかちとってきた権利や自由、団結を暴力的に剥奪(はくだつ)しようとする国家権力との死闘に勝ち抜く中で、改憲阻止闘争は階級闘争として本格的に発展していく。このやり合いの中でこそ、学生は戦争と暗黒の時代の切迫を肌で感じとり、腹の底からの怒りをもって決起する。
有朋寮の存亡をめぐってはこういう攻防が闘われてきた。寮生無視の一方的廃寮決定に始まり、一切の話し合いは拒絶され、署名は受け取り拒否、極めつけは有朋寮委員長・古郡陸(ふるこおり・ひとし)君への3年以上もの「無期停学」だ。このようにファシズム的なキャンパス制圧の先にあるのが戦争だ。
有朋寮は寮を守り抜くにとどまらず、生活権、言論の自由、大学自治、教育を受ける権利という根本のレベルで対決してきた。
これこそが改憲攻撃との巨大な対決点なのだ。自民党が新憲法案でやろうとしていることは、政府や与党の「決定」がすべてであり、人民には「公の秩序に反しない」範囲でしか権利を認めない、いや、「公の秩序」を振りかざしてすべての闘いを押しつぶしていくということだ。ブルジョア民主主義の擬制もかなぐり捨て、むき出しのブルジョア独裁と暴力支配形態をとらざるをえないほどに敵の危機は深まっている。
支配階級が労働者階級の階級意識を解体しつくして戦争を実際にやることは、とてつもなく大変なことなのだ。それは、資本主義社会そのものの是非を問い、「戦争か革命か」を問う。そうした激しい攻撃を現場で大衆的にぶち破っている法大決戦、有朋寮決戦を徹底的に闘い抜いて勝利する中にこそ、全国学生改憲阻止ゼネスト突入のリアルな展望がある。
ストこそ学生の力解き放つ
有朋寮決戦はいよいよ正念場に入る。上告棄却を許さない全国的包囲陣形を強めながら、何よりも学生自身の力によって古郡君への「無期停学」処分を撤回させなければならない。二度の強制執行策動が破産し、「廃寮決定」そのものが揺らぎ始めている今、処分を粉砕していくことによって東北大・吉本執行部に最後的にとどめをさそう! 法政大における「退学」処分、東北大における「無期停学」処分撤回闘争を全国学生は闘おう!
同時に、有朋寮決戦は長期の闘いを支える財政決戦でもある。心あるみなさんの闘争カンパを訴える。
法大決戦・有朋寮決戦の前進をバネに、06〜07年、織田全学連のもとに団結し全国学生は改憲攻撃と真っ向から対決するゼネスト闘争に決起しよう! ただちに拠点大学はスト貫徹の準備に入ろう!
フランスを見てほしい。ストライキ闘争こそ、学生の主体性と力を解き放ち、敵権力を揺さぶる闘いだ。ストライキ闘争をとおして、学生もまた自らに世界を変革する力があることを実感する。改憲と侵略戦争突入、「退学」処分と一切の権利剥奪――もはやわれわれはストライキで回答する以外にない! 追い詰められているのは小泉と反動大学執行部だ。6月15日、法大から反動国会へのデモに学生1000人の決起をかちとろう! 闘う学友はマルクス主義学生同盟に結集しよう!
(マルクス主義学生同盟中核派・東北大学支部)
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週刊『前進』(2248号4面3)(2006/06/05)
米軍再編と闘う最前線 韓国ピョンテクの闘い
農地強奪−基地拡張と対決 労農連帯し軍隊と激突
米軍再編下、ソウルにあるヨンサン(龍山)基地を約80`南方のキョンギ(京畿)道ピョンテク(平沢)市に移転・統合する計画が08年完成を狙って進められている。
(写真 破壊されるテチュ分校。窓には闘う住民の似顔絵、「ピョンテクに平和を」の黄色い旗【5月4日】)
現在ピョンテクにはオサン(烏山)飛行場を含む米第7空軍司令部とキャンプハンフリー(ペンソン基地)、米軍射撃場、弾薬庫など455万坪もの基地が存在する。
韓国国防部は3月6日、基地拡張予定地の強制収用に踏み込み、4月にも農民の実力農耕を阻止しようと農道・農地を破壊した。
しかし全国的支援陣形の中で必死の抵抗を続ける住民たちを前に、国防部は実質的な成果を得られずにいた。焦ったノムヒョン政権は、80年光州蜂起鎮圧以来「封印」してきた韓国軍投入に踏み切った。
◇
4月26日、ピョンテク米軍基地拡張阻止汎国民対策委員会(汎対委)が軍事力投入の切迫を訴えた。「戒厳令でもないのに軍隊を投入するのか!」――激しい怒りが噴出し、国防部前には抗議の波が押し寄せた。民主労総も27日、ピョンテク現地緊急結集指針を発した。非正規職法案をめぐる4月国会攻防が予断を許さない中での決断だった。
昨年9月、国防部は基地拡張予定地のうち未買収地120万坪の強制収用を申請。中央土地委員会は11月23日、農地90万坪の強制収用を決定した。ペンソンのテチュ里、トドゥ里の農民300人余りが協議買収に応じず、基地拡張反対を貫いているのだ。
しかも3〜4月「営農遮断」に失敗した国防部は強制収用と同時に農地を鉄条網で囲い、軍施設物と見なして、テチュ里一帯の285万坪の拡張予定地を「軍事施設保護区域」に指定するという前例のない暴挙を画策していた。
5月3日夜、「抵抗のシンボル」であるテチュ分校(廃校になった小学校)に全国から労働者、学生、市民が駆けつけた。その数は明け方には千人を超えた。
◇
5月4日午前6時、迷彩服姿で完全武装した韓国軍がアンソン川に浮き橋を設置してテチュ里に侵入。午前7時、戦闘警察がテチュ小学校を完全包囲した。
ムンジョンヒョン神父と司祭団らは屋根の上に登った。民主労働党の国会議員もこれに合流し、侵入を図る戦闘警察との流血の攻防となった。鎮圧部隊の無差別暴行に労働者、学生は竹竿で抵抗したが、次々と連行された。
同じころ、軍用ヘリが鉄条網を空輸、トドゥ里では住民が鉄条網を阻んで立ちはだかった。各地での激突は陽が落ちるまで続いた。
この日、1万3千人の戦闘警察、韓国軍が3千人、作業員を含め1万7千人余りが投入され、524人が連行され、重軽傷者は560人にのぼった。
翌5日、テチュ里で「生命と平和の土地を死守する汎国民大会」が警察の妨害をはねのけて開催された。集会後、2000人の参加者は「駐留米軍撤退歌」を歌いながら前日鉄条網で囲い込まれたファンセウル野原に向かった。警察の阻止線を突破し、鉄条網のバリケードをズタズタに切断して「軍事施設保護区域」に突入。軍兵力と衝突し、100人が連行された。
民主労総も4、5両日で全教組、起亜自動車労組、金属労組、保健医療労組を始め多数の組合員が連行され、統一委員長、女性局長ら18人が拘束された。
民主労総は5月6日、「(イラクのように)米国の国益によって韓国で戦争が起きるかも知れないという仮定がピョンテク軍事基地建設で現実化する可能性がある」と弾劾の声明を発し、5・18光州記念行事を変更、13日にソウルで全国労働者大会を、翌14日はピョンテク・テチュ里の汎国民大会に合流することを決めた。
(室田順子)
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週刊『前進』(2248号4面4)(2006/06/05)
5月17日〜23日
民主党が教基法改悪の対案
イラク撤兵は「総合的判断」
●民団と総連が共同声明 在日本大韓民国民団(民団)のハビョンオク団長と、在日本朝鮮人総連合会(総連)のソマンスル議長が両団体として初のトップ会談を行い、共同声明を発表した。会談を「歴史的な出会い」とし、00年6月の南北共同宣言の理念に従い、「反目と対立を和解と和合に転換させる」とした。(17日)
●入管法を改悪 日本に入国する16歳以上の外国人から、強制的に指紋や顔写真を採る出入国管理法改正案が参院本会議で採決され、自民、公明などの賛成多数で可決・成立した。こうした制度を導入するのは米国に次いで2番目。年間700万人が指紋を採られる見通し。(17日)
●空自の輸送支援を検討 小泉首相がアナン国連事務総長と会談した。「イラクの復興支援」をめぐり、国連職員や物資の移動などの空輸支援の要請に対し、小泉は「前向きに対応したい」と答え、航空自衛隊による輸送を行う考えを示した。(17日)
●読谷飛行場の75%返還決定 日米合同委員会は、沖縄県の読谷補助飛行場(約191f)の75%にあたる140fを7月末までに返還することで合意した。(18日)
●共謀罪採決見送り 自民、公明両党は、共謀罪を創設する組織犯罪処罰法改正案について、当初目指した衆院法務委員会での採決を見送り、次週以降に持ち越した。民主党が、採決が強行された場合は衆参両院ですべての審議を拒否する方針を決めたため、終盤国会での混乱回避を優先させた。(19日)
●国民投票法案、与党が大綱 憲法改正の具体的な手続きを定める国民投票法案について、自民、公明両党は、幹事長らでつくる与党協議会を開き、与党単独で法案を国会提出する方針を正式に決めて与党案の大綱をまとめた。メディア規制は撤廃した。(19日)
●イラク「正式政府」 イラクで憲法制定と選挙実施を主な任務としていた移行政府に代わり、独自の憲法に基づく議会と政府を持つ「正式政府」が発足した。03年のイラク侵略戦争でフセイン政権が崩壊してから3年1カ月。米軍を中心とする多国籍軍のイラク駐留期限は、国連安保理決議により06年末までと決められている。(20日)
●小泉「自衛隊撤退後も(イラク支援)」
小泉首相は、イラクの正式政府発足を受け、サマワに派遣している陸上自衛隊の撤退について「(時期は)総合的に判断しなきゃいけない」とし、「これからも人道支援、復興支援は続けていく。仮にサマワの自衛隊の諸君が引きあげたとしても、他の分野でも日本の支援はある」と語った。(21日)
●米軍再編、閣議決定は島サミット後に
防衛庁の守屋事務次官は、在日米軍再編の最終合意を受け近く行う方針の閣議決定について、沖縄県の稲嶺知事の意向を尊重し、26、27両日に同県で開かれる第4回日本・太平洋諸島フォーラム首脳会議(太平洋・島サミット)の終了後に先送りする考えを明らかにした。(22日)
●民主党が教育基本法改悪案 民主党は、教育基本法改正案の対案となる「日本国教育基本法案」を衆院に提出した。教育を「国政の中心」と位置づけ、前文に「日本を愛する心を涵養(かんよう)」することを盛り込み、宗教教育も「宗教的感性の涵養」を尊重することとしている。(23日)
●米が中国軍事力の年次報告 米国防総省が中国の軍事力に関する年次報告書を発表した。台湾海峡危機を超えて、領土や資源をめぐる地域紛争に中国が軍事力を投入する能力について注目し、シナリオを詳細に検討している。(23日)
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週刊『前進』(2248号5面1)(2006/06/05)
迎賓館・横田爆取弾圧裁判控訴審 事実審理もなく「証拠」評価逆転させた「差戻し」判決
東京高裁・中川裁判長を弾劾する
東京高等裁判所第3刑事部(中川武隆裁判長)は5月19日、迎賓館・横田爆取デッチあげ裁判の控訴審で「原判決(無罪)破棄。東京地裁へ差し戻す」というデタラメな超反動判決を下した。断じて許すことができない。心底からの怒りを込め、徹底弾劾する。
3同志の無実は証明されている
須賀武敏同志、十亀弘史同志、板垣宏同志は、無実である。1986年の迎賓館と米軍横田基地へのロケット弾戦闘に一切関与していない。3同志への逮捕・起訴は、時の首相・中曽根が号令をかけ、警察権力が総力あげて行った「犯人捏造(ねつぞう)」であり、あくらつな政治的デッチあげ弾圧だった。
東京地裁は04年3月25日、無罪判決を出した。あまりにも当然の判決であった。しかし、この判決をかちとるまでには16年という長い年月を要した。
3同志は、ロケット弾発射(爆発物取締罰則1条違反)の「共謀共同正犯」とされた。しかし、そもそも「実行犯」が不明であり、「共謀」した相手もいないのだから、もとより「共謀」など成り立たない。窮した検事は「3人はロケット弾の信管の開発・製造を行った」とデッチあげた。ところが「いつ、どこで、どのように製造したのか」「3人のそれぞれが具体的に何を行ったのか」という基本的な「事実」さえ、検事は明らかにできないのだ。したがって当然にも「証拠」がない。
検察官は立証計画すら立てられず、さみだれ的な証拠請求を繰り返し、迷走に迷走を重ねた。裁判所がこのデタラメな検事側立証を認めたため、関連性がなく意味のない「証拠」が次々と裁判に持ち出された。
これに対し、3同志は毎回の裁判でデッチあげを弾劾し、「私たちは無実だ」と叫び続けてきた。デッチあげ立証と全面的に対決し徹底的に争いぬいた。その間、16年も東京拘置所に未決勾留され続けながら、デッチあげへの怒りを満身にたぎらせて闘い、検事側立証を完全な破綻(はたん)に追い込んだのだ。そうしてかちとった無罪判決だった。長年にわたる審理の上で、すべての「証拠」が厳密に精査されて「証明がない」とされたのである。
検事の不当な控訴により、本年1月16日に控訴審第1回公判が行われた。東京高裁の中川裁判長は、検察官の請求した証拠をすべて却下し、この第1回公判のみで結審した。検事は、判決直前の5月10日に弁論再開請求を申し立てたが、中川裁判長はそれをも却下した。このように、東京高裁は何も審理していないのだ。にもかかわらず、中川裁判長は、検察官の控訴趣意書の主張を丸のみして、一審無罪判決を破棄し、東京地裁に差し戻したのだ。
中川裁判長は「一審は証拠の価値を十分評価せず、被告が信管の開発や製造を行ったと認められないと即断している。証拠の評価に誤りがある」と言う。ふざけるな。中川裁判長は、デッチあげられた3同志の無実の叫びを一声でも聞いたのか。当事者本人の訴えも聞かないで、なんの判断ができるというのだ。検事側「証人」「証言」のうそやデタラメが、被告・弁護人の反対尋問によって、胸のすくように明かされていく法廷が何回もあったことも知らないではないか。
(写真 【上】不当な高裁判決を弾劾する記者会見右から、藤沢弁護士、須賀同志、十亀同志、板垣同志
【下】弁護士会館では緊急弾劾集会が行われた。発言するのは桜井善作さん【ともに5月19日】)
法廷で争う権利そのものを奪う
法廷は、被告・弁護団と裁判所・検察官との命がけの攻防の場である。3同志と弁護団は、裁判長であろうと違法・不当な訴訟指揮やデッチあげへの加担は断じて許さず、激しく弾劾してきた。中川裁判長は、被告・弁護団の追及から卑劣にも逃れ、審理も一切行わず、3同志が法廷で争う権利そのものを奪った上で、無罪破棄の判決を下したのだ。こんな暴挙を断じて認めることができない。
さらに許しがたいことには、一審で厳密な審理の末に排斥された「証拠」評価を全部ひっくりかえしたことだ。一例をあげれば、ロケット弾戦闘の3カ月後に設置された「岩手借家」から押収された「物品」について、一審は「本件当時の保管・管理状態は不明」と正しく認定した。ところが中川裁判長は「本件当時から3被告人が保管・管理していた」となんの根拠もなく変更した。こんなものは裁判でも判決でもない。3同志を「有罪」にするために、中核派だから「共謀している」と最初から決めつけた極悪判決である。
帝国主義の危機が深化し、改憲攻撃が激化している。共謀罪制定を頂点に治安体制の戦時型への転換が恐るべき勢いで進んでいる。刑事裁判の超反動化はその最先端である。基本的人権の保障や戦後司法の原理・原則を全面的に一掃させ、国家主義的強権を前面化させる裁判への転換が強力に進められている。中川裁判長の5・19判決こそ、戦時型司法そのものであり、3同志への憎悪をあらわにした国家暴力だ。
デッチあげ逮捕から19年が経過している。中川裁判長は、無実の3同志にこの先何年も被告人であることを強制し、裁判を強制しようというのだ。断じて許すことができない。
被告・弁護団は、直ちに上告した。5・19判決を必ず覆し、無罪を確定させる決意に燃えている。どこまでも勝利めざし、3同志とともに闘おう。
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週刊『前進』(2248号5面2)(2006/06/05)
“こんなの裁判じゃない” 法廷内外に憤激うず巻く
誰もが耳を疑う判決主文だった。「原判決を破棄し東京地方裁判所に差し戻す」。被告団も弁護団も、傍聴席もみな絶句した後、激しい怒りの声を上げた。「こんなもののどこが裁判なんだ!」と叫んだ十亀同志を指差し、中川裁判長は退廷を命じた。傍聴席からもごうごうたる怒りの声が上がった。1人の支援者が退廷・拘束を命じられた。
被告を欠いた中で、中川は淡々と判決要旨を早口で読み上げた。人民の怒りの声を恐れて追いつめられた表情だ。16年間の公判で審理を尽くし、到達した一審判決に対し、事実を調べもせずに、有罪の心証を持って臨んだ、デタラメきわまりない内容だ。結局、中核派だから「共謀が推認される」という以上のものではない。絶対に許せない。
傍聴できなかった人も含めて、弁護士会館で約70人が集まって弾劾の集会が行われた。足立昌勝関東学院大学教授は、「証拠調べを却下して、反論できなくして、ひっくり返す違法な裁判。刑訴法学者がこぞって支援するでしょう」と怒りを表明した。被告の家族や支援者が次々と反撃の闘いへの決意を述べた。完全無罪をかちとる会の桜井善作さん、西山勲さん、東海林勤さんらが、絶対許さないという決意を表明した。
福嶋昌男同志が、「私の3・3有罪判決があって3人が差し戻しになった。デタラメな判決だ」と弾劾し、3同志とともにデッチあげをはね返す決意を明らかにした。
革共同の天田三紀夫書記長が発言に立ち、「改憲、共謀罪などの今日の攻撃の中でのこの判決は、帝国主義がいかに追いつめられているかを示している」と述べ、革共同として裁判闘争を全力で闘うと誓った。
一方、裁判所の記者クラブでは、被告と弁護団の記者会見が行われた。藤沢抱一主任弁護人は、第1回公判と今回の判決の間には大きな溝があることを突き、証拠調べ請求の却下と「審理不尽」と強弁していることの矛盾を明らかにした。続いて3被告がそれぞれ高裁判決に対する憤激をたたきつけた。
板垣同志「逆転有罪判決に等しい不当判決で絶対に許せない。一審でようやく無罪判決をかちとったのにそれを無責任な判決でひっくり返すとは何ごとか」
十亀同志「政治的な卑劣な判決だ。中核派に所属していればすべて有罪だという判断だ。共謀罪を通そうとする流れに裁判所が従属している」
須賀同志「冤罪は裁判官がつくるという叫びは本当であると実感した。この判決で、『金沢借家』について触れているが、一審で事実審理していないものを持ち出している。生涯許せない。こんな認定を許したら裁判は成り立たない」
被告団と弁護団は、直ちに上告して必ず粉砕することを誓った。
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週刊『前進』(2248号5面3)(2006/06/05)
“本気でつぶしに行く闘いを” 共謀罪 廃案へシンポジウム
5月25日、共謀罪新設反対・国際共同署名運動の主催で「共謀罪に反対するシンポジウム&リレートーク」が東京・南部労政会館で開かれた。国会前の座り込みで顔見知りになった仲間、新たに反対運動に加わった仲間など130人が集まり、緊張感の中にも、共謀罪法案廃案への展望と確信に満ちた集会になった。
(写真 19日強行採決を阻止し、緊張感の中にも廃棄への展望がみなきる【5月25日 東京・南部労政会館】)
第1部は、関東学院大学教授・足立昌勝さんの司会でシンポジウムが行われた。関東学院大学教授・宮本弘典さん、ジャーナリストの寺沢有さん、全日建運輸連帯労組(連帯ユニオン)近畿地本委員長であり大阪・門真市議の戸田ひさよしさんの3人のパネリストから問題提起を受け、参加者を交えた討論が行われた。
宮本さんは、@そもそも「共謀」とは何か、A共謀そのものを処罰することの意味、B法務省と御用学者が流布するデマについて、C与党の修正によって共謀罪法案の問題点はクリアできるのか、という4点について問題提起し、「どれほど字句を修正しても、共謀罪の持つ危険性は消せない。絶対に廃案にするしかない」と訴えた。
戸田さんは、労働運動や市議としての取り組み、また自ら不当弾圧で3カ月にわたる身柄拘束を受けた経験を語り、「すべては警察の決めつけで決まる。市民運動や住民運動すらやったことがない人にも分かりやすい例示をもっと出していこう。もちろん共謀罪と労働組合は絶対に相入れない」と訴えた。
寺沢さんは、「危ないと言われた4月28日、5月19日になぜ採決できなかったのか。国会前に200人も300人も抗議が押し寄せていること、さらにインターネット上での動きも大きかった。この間のビラまき逮捕のように、警察もどのような手段をとってくるか分からないが、ここまで来たらなんとしても廃案にしよう」と訴えた。
第2部は、会場からのリレートーク。共謀罪に反対する表現者の会、心神喪失者等医療観察法と闘う精神科医、救援連絡センター事務局、日本山妙法寺、合同労組、反原発運動を闘う仲間、学生、さらにパネリストも交えて活発な意見が交わされた。誰もが、本当に廃案に追い込むために、どうやって運動をさらに広げていくかという観点から、この間の取り組みを報告し、課題を出しあった。
「とにかく一人ひとりが今晩できること考えて、明日の朝から始める。始めれば絶対に広がっていく」「急速に広がっているけど、まだまだ知らない人が多い。とくに『私は悪いことしないから関係ないよ』という人にどう伝えていくかを工夫しないと」「『共謀罪の歌』のインパクトはすごい」「これまでのように守りに入ったような運動では勝てない。できることはなんでもやろう」。発言した誰もが、この間の運動の広がりの確かな手ごたえを感じている。絶対に廃案に追い込みたいという意欲に満ちた発言が続き、様々なアイデアが出された。
共謀罪を永久に葬り去ろう
緊迫する国会情勢を報告した破防法・組対法に反対する共同行動は、「あくまで与党は強行採決をしてくるだろう。しかし、廃案に追い込める可能性が十二分に出てきた。あとは本気でつぶしに行く闘いをやるだけだ。最後まで全力で闘おう」と熱烈に訴えた。
最後に、司会の足立さんから行動提起として、@強行採決を絶対に阻止するための6月2日(金)の国会行動への全力結集、A6月10日の「1億2千万、共謀の日」の大成功へむけた取り組み(要項別掲)、B6月13日の「超党派国会議員と市民の集い」(午後6時、日本教育会館)への参加がよびかけられた。
あくまで強行採決狙う与党
現在の国会情勢は、いまだまったく予断を許さない状況だ。6月上旬の攻防で一切が決まる。
24日に民主党から与野党協議のたたき台となる「論点メモ」が出されたが、衆院法務委員会の与党側理事は「受け入れられない」と同日これを拒否。現在もギリギリとした攻防が展開されている。
政府・与党は、今国会で成立させなければ共謀罪法案が永久に葬り去られてしまうという危機感をつのらせ、終盤国会の情勢をにらみながらあくまで強行採決のチャンスを狙っている。
現代版・治安維持法を絶対に作らせてはならない。共謀罪法案を廃案に追い込み、改憲阻止決戦の巨大な突破口を開こう。この一週間が、本当の勝負だ。労働組合や学生自治会で反対決議をあげ、国会行動に決起しよう!
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週刊『前進』(2248号5面4)(2006/06/05)
二人以上の団体の企画を 1億2千万、共謀の日
共謀罪新設反対・国際共同署名運動が共謀罪反対キャンペーン「1億2千万、共謀の日」を呼びかけています。
国会審議のまっただ中の6月10日、全国津々浦々で共謀し、共謀罪反対の行動を起こそう。二人以上の団体(この法案では夫婦でも恋人どうしでも団体)で企画と行動を立ち上げよう。集会・デモ、学習会、街頭宣伝やストリートミュージック、組合の徹底団交や会議での検討などなど、あくまで一人ではなく複数の人による行動です。行動以前の話し合いだけでも参加OK。企画と参加の呼びかけを下記連絡先まで送り、同時に、それぞれのホームページや紙誌などに掲載しよう。現代版・治安維持法の制定を止めるために大いに共謀しよう。
*
日時 6月10日(土)
企画連絡先 東京都港区新橋2−8−16石田ビル4F 電話03(3591)1301 FAX03(3591)3583 メール info@kyoubouzai-hantai.org
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週刊『前進』(2248号5面5)(2006/06/05)
米軍再編「最終報告」撤回せよ 横浜防衛施設局に抗議
5月22、23の両日、神奈川平和運動センターと「基地のない神奈川をめざす県央共闘会議」などの主催で、在日米軍再編「最終報告」の撤回を求めて、横浜防衛施設局に対する抗議と要請行動が行われた。22日は50人、23日には100人が参加した。
(写真 横浜防衛施設局への抗議行動に決起した厚木爆同を始めとする抗議団【5月23日 横老】)
神奈川県は、沖縄に次いで米軍基地が集中する県である。今回の「最終報告」でも、座間基地への米陸軍第1軍団司令部の移駐を始めとして県内の基地を戦時体制に再編・強化する方向が打ち出されている。自衛隊の基地機能も決定的に強化される。
これは長年の県民の基地撤去の願いに何一つこたえるものではなく、まったく逆に基地の固定化・永久化をもたらすものである。県民の怒りと危機感はかつてなく高まっている。
このような米軍再編は断じて認められないと、県内の闘う団体、労働組合が結集して、県内米軍基地を所管する横浜防衛施設局への抗議と要請が行われた。
22日の抗議行動では、座間基地への米陸軍第1軍団司令部の移駐、陸自中央即応集団司令部の配置、相模総合補給廠(しょう)への戦闘指揮訓練センター新設、横須賀への原子力空母配備などを取り上げ、計画の中止を強く要求した。
23日の抗議行動は、厚木基地での米軍機・自衛隊機の飛行訓練の中止を求める厚木基地爆音防止期成同盟が大挙結集し、抗議行動の中心となって闘った。
2日間の防衛施設局の対応は、県民が直面している騒音被害の苦しみや米軍再編への不安、危機感にまったくこたえようとしない、不誠実なものであった。県民の怒りの追及に追い詰められながらも「防衛は国の専管事項」などと居直り、米軍再編−基地機能強化を貫こうとする対応でしかなかった。それは、「国策のため、戦争のためには、住民は犠牲になって当然だ」という姿勢である。
厚木基地の爆音問題では飛行コース直下にある藤沢市の住民が訴えた。「再三の抗議・要請でも訓練飛行の爆音は改善されないどころか、最近は一層ひどくなっている。私のマンションの上を低空飛行し、ひどい時には1時間に二十数回も飛ぶ。家の中で夫が横にいても話し声が聞こえない。近所のぜんそくに苦しむ乳幼児は爆音で眠れず、母親はノイローゼ気味だ。ここはアメリカではない」と怒りをぶちまけた。
この糾弾に防衛施設局職員はこう回答した。
「米軍は配慮に配慮を重ねて訓練しているとの返事なので、防衛施設庁はこれ以上は言えない」
防衛施設局のこのような理不尽な対応に、抗議団の怒りがたたきつけられた。
また、厚木と岩国の交換(米軍・自衛隊)でも爆音は減らず、逆に自衛隊機の移駐・ジェット化で爆音はひどくなり、厚木基地が恒久基地として強化されるおそれのあることを、怒りをもって弾劾した。
抗議団は、2日間の抗議行動を意気高く闘った。今後、団結して県内の反基地闘争を一層強め、米軍再編−日米安保強化と徹底対決することを誓いあった。
陸海空の実戦司令部が神奈川に集中
解説
米軍再編による基地強化は、北朝鮮・中国侵略戦争の臨戦態勢づくりだ。陸(座間)・海(横須賀)・空(横田)の日米の実戦司令部が同じ場所に共存し、日米共同で侵略戦争を行う体制が強化される。神奈川県内の基地および横田(東京)について、日米が合意した主な計画は以下のとおり。
▲キャンプ座間
米陸軍第1軍団(ワシントン州)の改編司令部を08米会計年度までに移転。また朝霞に新設する陸自・中央即応集団司令部を12年度までに座間に移転。
▲厚木基地
米空母艦載機57機を岩国に移駐し、岩国の海自機17機を厚木に移駐。米軍は「移転後も厚木の重要性は不変」と強調。
▲相模総合補給廠
物資・資材の備蓄のほかに、米陸軍司令部の改編に伴い、戦闘指揮訓練センターを設置。
▲横須賀基地
在日米海軍司令部。第7艦隊の母港。08年に原子力空母ジョージ・ワシントンを配備。海自の自衛艦隊司令部もある。
▲横田基地(東京)
在日米軍、第5空軍司令部がある。10年度に空自・航空総隊司令部を移転。
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週刊『前進』(2248号6面1)(2006/06/05)
5・15沖縄闘争 初めての沖縄真実を知った 千葉 丸山怜子
初めて沖縄に行って、今まで知ることのできなかった真実を知ることができました。
チビチリガマの入り口付近に少し入って、あのくらやみの中で、どれだけの人が尊い命を失わされ、差別されてきたのか。
二度と繰り返してはいけない戦争を、今教基法を改悪し、沖縄に基地をつくり、またやろうとしている。絶対に許してはいけないことだと、沖縄に行ってさらに思いました。
私たち青年労働者が先頭に立ち、全国労働者が立ち上がり、本土で、もっと大きい闘いをしていかなければならないと決意しました。
5・15沖縄闘争 労働者は団結し戦争とめる 青年労働者 N
全国青年労働者交流集会に2回目の参加をしました。
憲法改悪、国民投票法案、共謀罪、教基法改悪など確実に戦争にむかっている中、労働者が団結して戦争をとめなくてはいけない、絶対にとめられると思えた集会でした。
自分の職場で闘い、沖縄の闘いにつなげていきたいと思います。
5・15沖縄闘争 教基法改悪を絶対阻止する 京大 野上 鉄
沖縄ツアーに参加して思ったことが二つあります。一つはチビチリガマの話を知花さんにお聞きして、教育が曲がりだした時にまさに戦争というものが起こってくるということがよくわかりました。だから絶対に教育基本法の改悪を阻止するんだという気持ちが固まりました。
もう一つは、辺野古で闘う青年の話を聞いて思ったことです。沖縄に基地があって、沖縄県民は基地の騒音とかレイプ事件とかすごい被害を被っている。いろんなしわよせが沖縄に来ると同時に、その沖縄から「人殺し」を発進させるという面もあるんだとあらためて確認しました。だから絶対に沖縄に基地をつくらせてはならないし、沖縄にも日本にも基地はいらないんだと。辺野古にはまた来たいと思います。
5・15沖縄闘争 非国民の共謀で団結しよう 関東 山本菜緒
沖縄で決心しました。徹底的に非国民に、徹底的に過激に、徹底的に共謀の首謀者になってやる!と。
あの沖縄戦で米軍が上陸した時、読谷村のシムクガマとチビチリガマに村民は避難しました。シムクガマでは全員が生きてたすかり、チビチリガマでは多くの人たちが集団で殺し合い亡くなりました。シムクガマには、非国民と言われていたおじいがいたのですが、チビチリガマのリーダーは、日本の中国侵略に従軍した看護婦だったのです。
この話を聞いて、私は、今の私の職場での闘いが、まだまだ腹をくくり切れていなかったと気付きました。職場で呼びかけなきゃいけないことを言い訳して呼びかけなかったり、誘いたい職場の仲間を、「タイミングがなー」なんて言いながら誘えなかったり、こんなんじゃ、戦争協力者になっちまうっていうような弱さを乗り越えられないでいたのです。
そこには、職場で浮くことへの恐怖があったんです。だけど、侵略戦争につき進み、労働者を分断し、弾圧するこの国家の中で、非国民が過激に共謀しないと、戦争なんか止められないし、うばわれし団結をとりもどすことなんかできないじゃないかと、パーッと光がさすようにわかったのです。だから私は、浮こうが沈もうが徹底的に左側にむかって闘うぞ!
未組織労働者を大切に大切に組織したい 兵庫 恒川るい
約1年前から『前進』読者になったAさん(女性)の身に色々なことが起こりました。久しぶりに始めた仕事に、「やっぱり私にはこの仕事が天職だ」と喜んだのもつかの間、委託元から次々と仕事を詰め込まれ「弱い立場」を利用されて疲れ果てる毎日。委託された先での「お客さん」への差別を目の当たりにして苦しむ毎日。「自分は差別したくない」と上司のやり方に沿わずに自分流をつらぬき、いじめられる日々……。その他にも人間関係や家族問題で苦しみが重なり、次から次へと人間不信に陥るような事態が起き、しかし「お客さん」のために仕事に穴を開けたくないと、どんなに心身ともにボロボロでも働き続ける姿、その責任感と労働者性に、私は心から感動しました。
「委託」という「いつでも仕事を干すことはできるんだぞ」という資本の圧力から何とかAさんを「守る」手段はないかと考え、Aさんと何度も話し合いました。Aさんも「労働組合が必要だ」という点では同じです。しかし、他の委託労働者と一度も顔を合わせたことがないというすさまじい分断政策もあり、過去に激烈な労組運動をした時、共に労組を結成した仲間のえげつない裏切りを経験しているAさんは、労組結成の表も裏も知り尽くし、また、介入してくる「党派」の裏切り性に強い不信も根深くありました。
昨年の11月労働者集会に参加したAさんは、発言をひとつ残らず聞こうと食い入るように神経を集中させていました。全員で肩を組みインターナショナルを唄ったあと、Aさんは私の手をぎゅっとにぎりしめ「恒ちゃん、連れてきてくれてありがとう! 私にはこんなにたくさんの仲間がいてる。うれしい。また明日から頑張れる」と涙ながらに言ってくれました。
労組結成はできなくても「仲間」を感じながらガンバってる人がいます。今年も11月労働者集会まで5カ月となりました。すべての活動を11月集会に結合させていく、その気持ちを忘れず、大切な闘いを大切に闘っていきたいと思います。
日本精神神経学会でビラまき闘争に参加 京都 赤星真弓
5月11日から13日まで福岡国際会議場で行われた日本精神神経学会で医療観察法と自立支援法撤廃のビラまき街宣闘争に参加しました。私自身3回目の学会闘争参加ですが、今回ほど象徴的な学会はなかったと思います。
何よりも、70年代から80年代にかけて、「精神病院解体・保安処分阻止」「無実の赤堀政夫さん奪還」を掲げ、「病者」と共に闘った医者が影を潜め、マスコミ等あらゆる場所で「人格障害」なる概念を持ち出して保安処分推進を主張して回る山上皓や福島章といった反動医師が表面に出てきていることです。
そして当事者団体もほとんどといってよいくらい登場してきていません。当事者を抜きにして本当の医療なんてあり得ません。
10月には自立支援法の全面実施が迫っています。この問題は「障害者」だけの問題ではありません。もしかすれば貴方も明日は当事者になるかもしれないのです。まずは現実を知ることから始めてください。10月障害者自立支援法全面施行を共に阻止しましょう。
事実審理ぬきの判決など断じて認めない 被告家族 須賀陽子
「主文。原判決を破棄し地裁に差し戻す」。5月19日、迎賓館・横田裁判の控訴審判決のその日、裁判長の口から出たこの言葉に一瞬凍りつきました。
控訴審の第1回公判で、検察側証拠をすべて却下して即日結審したのは、一審無罪判決を覆すものは何もないと判断したからではなかったのか。それを今になって、何の事実調べもしないまま、突如として結論だけをひっくり返した。被告・弁護団に法廷で事実を争う権利すら奪い、一切の審理ぬきで事実上の「逆転有罪」判決を下したに等しいのです。こんなことがあっていいのか! これが「裁判」と言えるのか。
1987年のデッチあげ逮捕以来19年、被告団と私たち家族はその間、16年もの長期未決勾留と必死に闘い、やっとのことで一審無罪を手にしました。それをまたも踏みにじる国家権力のこの暴挙。もう絶対に許しません。
思い返せばこの裁判は最初から異様でした。88年の東京地裁での初公判で検事は、被告3人の容疑とされた「事前共謀」を直接立証する証拠はないことを認めました。3人がいつどこで誰と、どのように「共謀」したというのか、その説明も一切ありませんでした。私たちが法廷内の廊下で検事にそのことを問いただした時、彼は「起訴状の行間を読めば分かる」という暴言さえ吐いたのです。
これはつまり、被告が中核派の構成員であることを「事前共謀」の唯一・最大の証拠として起訴したということです。小泉政権が今国会でもくろんでいる共謀罪の新設は、まさにこの裁判と同様のデッチあげ弾圧を警察・検察のやりたい放題にしていくものです。東京高裁・中川裁判長の今回の反動判決は、そのお先棒をかつぐものでした。
こんな腐った司法、腐った国家はもはや労働者階級の手で丸ごと打ち倒す以外にありません。ともに闘いましょう。
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週刊『前進』(2248号6面2)(2006/06/05)
不当逮捕43カ年狭山中央闘争 “再審の門 必ず開ける”
石川さんと連帯し勝利誓う
差別裁判を徹底糾弾
解同全国連と部落解放共闘の400人が集まった(5月21日 東京・星陵会館)
5月21日、部落解放同盟全国連合会(解同全国連)の主催のもと全国の闘う部落大衆、労働者、学生ら400人が「石川一雄さん不当逮捕43カ年糾弾! 第3次再審闘争勝利!」を掲げて狭山中央闘争に決起した。東京・星陵会館で集会を開き、東京高裁に向けてデモ行進した。
この日の闘いは、23日に石川さんと狭山弁護団が東京高裁に第3次再審請求書を提出することに合わせ、第3次再審闘争の突破口ととして取り組まれた。
「差別裁判うちくだこう」を全員で歌って集会を開始、解同全国連中央本部の村上久義副委員長が主催者あいさつに立ち、「第2次再審請求棄却に屈服せず、挑戦状をたたきつけよう。『鬼人となって闘う』という石川さんの戦闘宣言を出発点に必ず再審を実現しよう」と訴えた。
連帯のあいさつを部落解放東日本共闘会議の山川博康事務局長と動労千葉の繁沢敬一副委員長、奈良の教育労働者、三里塚全関西実行委員会の山本善偉世話人、学生部落解放研究会(京大、法大)が行った。
石川一雄さんの「生死を賭(と)した闘いの火蓋(ひぶた)が切られました……真実を追究し、完全無罪が勝ち取れるまで不屈に闘い抜きます」という全国の支援に向けた5・23メッセージ(別掲)が紹介され、連帯して闘う決意を新たにした。
狭山闘争報告を解同全国連狭山闘争本部の小森勝重事務局長が行い、「狭山事件は単なる冤罪事件ではない。国家権力による部落差別犯罪だ。この全貌(ぜんぼう)を徹底的に暴き、差別糾弾闘争の嵐を巻き起こそう。自白と客観的事実の矛盾を突くだけでは勝てない。国家権力との闘いだ。また石川さん、部落大衆が闘いの主人公だ。長谷部警視、関巡査部長らデッチあげの張本人や一審で差別論告を行った原検事、死刑判決を出した内田裁判長らを法廷に引きずり出して闘おう」と熱烈に訴えた。
基調報告を解同全国連中央本部の中田潔書記長が提起した。まず「5月23日、石川さんと弁護団が東京高裁に第3次再審を請求する。全国連の総力で第3次再審闘争を闘おう」と呼びかけ、「部落解放運動として差別糾弾を掲げて闘うのは全国連だけ」と23日、部落解放、差別糾弾ぬきの「狭山事件の再審を求める市民集会」を開く解同本部派を弾劾した。そして第3次再審闘争の方針を提起。「自白をデッチあげた差別捜査の全貌を暴き、差別糾弾闘争として闘おう。闘う全国連に未来をかけて播州赤穂支部、西郡支部が結集した。70年代のような狭山闘争のうねりをつくり出し、5万人組織建設と結びつけて闘おう。解放運動は戦後民主主義、憲法をも支えにしてきた。改憲は人権無視、差別容認、解放運動壊滅の攻撃だ。改憲阻止闘争、教基法改悪阻止闘争、5―6月国会闘争に全力を挙げよう」と訴えた。
阪口克己東大阪市議(全国連荒本支部書記長)の力強いカンパアピールに続き、全国連西郡支部(大阪・八尾市)と同和住宅家賃値上げ反対全国連絡協議会(同住連)が特別報告を行った。
西郡支部は4月30日の支部結成大会で5・21狭山中央闘争の取り組みを決定し、多数参加した。登壇した長崎幸治支部長ら支部員が万雷の拍手で迎えられた。長崎支部長が320人を超えた支部結成大会について報告し、「差別で奪われたものを取り返し、人間らしい生活を取り戻す。権利を売り渡す本部派は許せない。八尾北医療センターの民営売り渡しを阻み、自主運営をかちとった。差別発言を糾弾闘争で打ち返し、闘う団結を生み出してきた。西郡は全国連ときょうだいとなった。石川さんの無罪をかちとろう」と断固たる決意を述べた。
同住連の東口博代表世話人は「昨今の応能応益家賃を認める判決は不当だ」と弾劾、「払える家賃にせよ」という運動を続けると力強く決意表明した。
さらに夏の全国青年交流集会、全国婦人部大会への結集、教基法改悪反対・改憲反対がアピールされ、決意表明に移った。狭山支部が現地調査の闘いを報告し、奈良、寝屋川、長野、広島、東京など各地の狭山闘争委員会の取り組みが報告され、決意表明された。
デモは霞が関を通り、東京高裁に「差別裁判糾弾! 再審を行え!」と怒りのシュプレヒコールをとどろかせた。
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週刊『前進』(2248号6面3)(2006/06/05)
5・23 第3次再審を請求
1963年の「狭山事件」(埼玉県狭山市で起きた女子高校生殺害事件)で部落差別によって「犯人」にデッチあげられ、無期懲役の判決を受けた無実の部落民、石川一雄さんは、不当逮捕から43年目の5月23日、東京高裁に断固として第3次再審を申し立てた。昨年3月に最高裁が特別抗告申立を棄却して第2次再審請求が退けられて以来1年余、いよいよ「生死を賭した闘いの火ぶた」(石川さん)が切られたのだ。
再審請求にあたり石川さんと狭山弁護団(中山武敏主任弁護人)は、74年の東京高裁・寺尾の「無期懲役」判決(確定判決)を覆す新証拠として、「脅迫状を書いたのは石川さんではない」ことを明らかにした半沢英一・金沢大学大学院助教授(数学者)の鑑定書などを提出した。
狭山差別裁判では寺尾判決以来30年以上、一度の事実調べも行われていない。19年近くの第2次再審請求でも、数多くの新証拠が提出され、「事実調べを行え」の要求が突きつけられたにもかかわらず、裁判所は一度の事実調べも行わなかった。
この悔しさを今こそ爆発させ、第3次再審でこそ事実調べを実現しよう。そして、石川さんの無実と、国家権力の部落差別に基づく「犯人」デッチあげの事実を全面的に明らかにし、再審の扉をこじ開けよう。絶対に石川さんの無罪をかちとろう。
再審をこじ開ける力は、部落大衆と労働者階級の巨大な決起である。石川さんの呼びかけにこたえて、第2次再審闘争をはるかに超える闘いを爆発させよう。
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週刊『前進』(2248号6面4)(2006/06/05)
石川一雄さんの5・23メッセージ
いよいよ生死賭した第3次再審の火ぶた
無実の石川一雄さんが全国の支援者に向けた5・23メッセージを紹介します。石川さんと連帯して第3次再審勝利へ決起しよう。(編集局)
不当逮捕43カ年糾弾、第3次再審実現の決起集会にご参集各位に心から感謝の意を表す一筆をお届けいたします。先年の司法の府が下した不当極まる棄却に対し、良識ある民の怒りと共に、狭山の風が怒濤(どとう)の如(ごと)く巻き起こっている中で、第3次再審請求が申し立てられ、いよいよ生死を賭した闘いの火蓋が切られました。
皆さんもご承知の様に「狭山事件」は政治的要素が強いだけに、今後の闘いに於(お)いても「狭山」が国家方針の中で、どの様に位置付けられているか、常に身構えつつ、大胆、且(か)つ緻密(ちみつ)に司法の良心に訴え、裁判官の自己決定を促す方向性を模索して参る所存です。確かに皆さんのお骨折りに依(よ)って社会に出して頂いて10余年間に、多くの人との出会いや、美しい物を見て感動したり、様々な知識を得ることもできました。夢や希望を持ち続けられて現在に至っているのも事実ながら、43年間、闘い継いで来た狭山闘争を振り返った時、果たして「正鵠(【せいこく】物事の急所・要点)を射るものを蓄積してきただろうか!」と自問自答すると甚(はなは)だ疑問符する面を否定できません。故に今度こそ此(こ)の3次再審に勝利する為(ため)には今迄(まで)以上に性根を据えて、更に世論の喚起が不可欠と自分に言い聞かせつつ、原点に立って懸命に訴え活動を展開しているのであります。
何(いず)れにせよ、支援者皆さん共々の願いである「今迄の判決・判断などに予断を抱く事なく、十分に司法的抑制の理念に立って、弁護団提出事実を虚心に、そして真摯(しんし)に精査され、大極的見地に立って検討されるように」を無視し、「精査・探求」どころか、特別抗告審もまた、机上論の荒唐無稽(こうとうむけい)な暴論を持って大鉈(おおなた)を打ち振るった此の現実と、正義が断罪される今の司法の姿を思うと再審裁判の実現に容易ならぬ危機感が横たわっている訳ですが、でも私は幾多の困難を乗り越えてきたので、これからも何処(どこ)までも真実を追究し、完全無罪が勝ち取れるまで不屈に闘い抜きます。
こうした狭山差別裁判を闘う中で、先般検察当局が「…裁判員制度に参加する裁判員に自白の任意性を解ってもらう為に、録画・録音をする」との発表でした。元より日弁連でもこれまで取り調べの「録画・録音」を強力に提唱しておりますし、またこの様な取り調べの可視化は今や世界的な潮流となっていますが、「録画」などは検察官の裁量に委ねられるとあってみれば、一歩前進とはいうものの、憲法が形骸化(けいがいか)されていっている状況の中に「狭山事件」があるだけに、「警察・検察」の全過程で可視化の義務化と証拠開示実現、代用監獄の廃止なくして、えん罪は根絶しないことから、こうした訴えも、私は狭山裁判闘争を通して全国民にご理解を求めて参るつもりです。
頭書にも申し述べましたように第3次再審申し立てに依って、皆さんにも一層のご協力を賜らねばなりませんが、特に、新100万人署名もお願いするものと思いますので、何卒(なにとぞ)一人でも多くの獲得に力をお貸し下さいますよう切願いたす次第であります。
それでは日頃の尽力に対し、衷心より感謝し、同時に第3次にも更なるご支援をお願い申し上げて私のご挨拶(あいさつ)といたします。今日は本当に有難うございました。
2006年5月23日 石川一雄
不当逮捕43カ年糾弾、第3次再審実現総決起集会参加ご一同様
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週刊『前進』(2248号6面5)(2006/06/05)
阻止共闘 武蔵病院にデモ 保安処分協力拒否訴え
「処遇困難者専門病棟」新設阻止共闘会議は5月14日、東京・小平市の小平中央公民館で「医療観察法を許すな! 5・14武蔵・保安処分施設弾劾集会」を50人の結集でかちとった。集会後、宣伝カーを先頭に「国立武蔵病院弾劾! 保安処分協力を拒否しよう! 入所者は弾圧をはね返してがんばろう!」と抗議と激励のデモに出発した。
(写真 「医療観察法を許すな!国立武蔵病院弾劾!」と訴えてデモする阻止共闘【5月14日 東京・小平市】)
医療観察法は「精神障害者」の「再犯のおそれ」を見立て、地裁裁判官が期限無しの入院決定=保安処分施設収容や強制通院決定=保護観察を言い渡す制度である。その適用実態は「重大犯罪」とはまったくかけ離れている。「全治1週間や5日のケガを負わせた」「4年前にさかのぼっての事件適用」など検察官の一方的な「犯罪認定」を根拠にして、被疑者が「精神障害者」であるというだけで半永久的に隔離し、医療と無縁の電気ショックや「矯正」、体罰と同等の強制治療を多用する。そして、「再犯のおそれのない人物」に生まれ変わらない限り隔離も監視も終わらないという差別・偏見・虐待を強いる悪法だ。直ちに撤廃に追い込まなければならない。
集会は「病者」の基調報告から始まった。「法が施行された昨年7月から3月末までに検察から239件の保安処分申し立てがあり96件の入院決定、40件の強制通院決定が行われた。しかし却下や医療観察法処遇以外決定も30件あり、『精神病者』なら誰もがたやすく保安処分申請され、無条件に最大3カ月の鑑定入院という強制収容が行われる」と、隔離拘禁の実態を弾劾した。
また保安処分病棟収容者数は、東京・武蔵30人、岩手・花巻28人、富山・北陸14人、愛知・東尾張14人、佐賀・肥前10人となり、さらに今年4月から規模を半分の15床に減らして急造した神奈川・久里浜、新潟・さい潟病院での受け入れも始まったと報告された。
最後に「治安優先と表裏一体の精神科特例(医師・看護師の定数以下を認めた制度)を撤廃し、改憲、共謀罪新設など戦争体制に抗し差別分断のりこえて医療観察法撤廃をかちとろう」と檄(げき)を発した。
各地アピールでは、奈良・松籟荘病院で住民自治会の建設反対運動が大きく進み、当局が4月工事入札を強行したものの3万人の署名や立て看板、病院へのデモが行われるなど、地元合意抜きで進められる建設への激しい怒りの取り組みについて報告された。
また討論では、医療観察法の入り口である鑑定入院の引き受けが一般の精神科救急より1・44倍の優遇報酬が出ていると暴露された。また武蔵病院では司法精神医学研究部が新設され、「5年後の見直しに向けて」と称して対象者モニタリング調査が行われた。その報告で「医療観察法は少年を対象としていない。通常の非行と異なる反社会性人格障害や注意欠陥・多動性障害を精神医学の概念として適用し関与させることが必要」などと保安処分対象者の拡大が公言されている事実も判明した。
最後に集会決議を採択し、7月12日の法務省・厚労省弾劾行動への結集が呼びかけられた。さらに各地で保安処分病棟新設阻止を闘おう。
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