ZENSHIN 2006/05/29(No2247 p06)

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第2247号の目次
 
1面の画像
(1面)
共謀罪粉砕・教基法改悪阻止  国会決戦に立とう
改憲阻止・4大産別決戦勝利へ  米軍再編に全国で大反撃を
記事を読む  
共謀罪 採決強行を阻む(5月19日) 記事を読む  
“新基地阻む”と気勢  青年労働者が大挙立つ 記事を読む  
迎賓館・横田爆取弾圧裁判  高裁が無罪破棄の逆転判決(5月19日) 記事を読む  
泉佐野で国賀氏当選(5月14日) 記事を読む  
(2面)
教基法闘争 国会前に労働者の怒り
日教組組合員が連日立つ  本部の屈服つき破る気迫
記事を読む  
大阪で弾劾のデモ  改悪案閣議決定に反撃(5月6日) 記事を読む  
不起立処分人事委闘争
7団体が合同審理  前教育庁幹部に追及の矢(5月17日)
記事を読む  
動労千葉 “事故責任の転嫁は許さない”
処分粉砕へ緊急行動(5月16日)
記事を読む  
共謀罪廃案へ白熱戦  労組先頭に総力の国会闘争(5月14〜17日) 記事を読む  
“絶対に阻止しよう”  国会前の怒りの声 記事を読む  
(3面)
5・15沖縄 “連帯して沿岸案葬ろう”
新基地阻止へ怒りと決意  5・13 青年労働者が全国集会(5月13日)
記事を読む  
瀬嵩・辺野古を訪問  不屈の闘いに共闘誓う(5月15日) 記事を読む  
沖縄の現実学び闘う  学生は那覇で交流集会(投稿/T・O)(5月13日) 記事を読む  
泉佐野市議選 国賀氏激戦制し6選
「ごみ有料化撤回」で旋風(5月14日)
記事を読む  
医療制度改悪法案 衆院強行採決弾劾
高齢者から医療奪うな(5月18日)
記事を読む  
(4面)
革命的情勢の接近に対応し『前進』を職場に拡大しよう
05年後期 機関誌活動の教訓  前進経営局
記事を読む  
米軍再編「最終報告」  日米同盟「新段階」に 9条改憲攻撃と一体
座間に世界戦争の前線司令部  辺野古新基地建設阻止を
記事を読む  
2006年日誌 5月10日〜16日
「愛国心指導は職務」と小泉  稲嶺知事が政府案に「合意」
記事を読む  
(5面)
全国学生は6・15国会デモへ
共謀罪・教基法改悪粉砕に立ち改憲阻止闘争爆発へ進撃しよう
法政大退学処分に怒りの反撃を  革共同中央学生組織委員会
記事を読む  
新潟・新発田 “壮行会”を直撃
イラク10次派兵許すな(投稿/新潟 T・F)(4月29日)
記事を読む  
天神峰本部裁判 “提訴取り下げよ”  更新手続きでNAA弾劾(5月11日) 記事を読む  
(6面)
団結ひろば 投稿コーナー
5・15沖縄闘争 今年は職場の仲間と沖縄へ 関東 奥村理恵
5・15沖縄闘争 皇民化教育の結果に衝撃 東北大学 I
5・15沖縄闘争 闘う仲間に「距離」はない 千葉 土田研吾
正念場の国鉄闘争へ「許さない会」が集会 東京・西部 井坂仁
「国を愛せ」と主張する人を哀れに思う 千葉 Y・S
映画「白バラの祈り」抵抗を語り継ぐこと 東京 浪暮明日香
記事を読む  
指紋強制で治安強化狙う  改悪入管法粉砕へ 記事を読む  
外登法・入管法と民族差別を撃つ(4月23日、5月7日) 記事を読む  
“許すな憲法改悪”  5・3関西 闘う労組・潮流が集う(5月3日) 記事を読む  

週刊『前進』(2247号1面1)(2006/05/29)

 共謀罪粉砕・教基法改悪阻止 国会決戦に立とう

 改憲阻止・4大産別決戦勝利へ

  米軍再編に全国で大反撃を

5・14沖縄県民大会に3500人 (5月14日 宜野湾市海浜公園野外劇場)=記事3面関連記事

 小泉政権による米軍再編攻撃との対決と並んで、国会攻防が重大化している。5〜6月国会闘争に4大産別の労働者を先頭に総決起することを訴えたい。
 今国会での教育基本法改悪、共謀罪新設、入管法改悪、改憲への国民投票法案提出策動、さらに行政改革推進法案や医療制度改悪などの攻撃は、その一つひとつが戦争と改憲に直結する大攻撃だ。労働者階級の団結を破壊し、戦後的諸権利を奪って、国家と社会の戦時体制への転換をあらゆる側面から推し進めて、改憲への外堀を完全に埋めることを狙う攻撃だ。
 政府・与党はすでに4月20日に行革推進法案や市場化テスト法案を衆院通過させ、5月17日には入管法改悪案の参院可決・成立を強行した(6面参照)。18日には医療制度改悪案の衆院通過を強行。続いて共謀罪の衆院通過と今国会での成立をなんとしてもこじあけようとしている。教基法改悪案の衆院特別委員会での審議も5月16日から開始された。国民投票法案の国会提出も目前に迫っている。
 さらに、5月17日法政大学文学部当局は、3人の学生への不当きわまりない退学処分を発動した。3・14弾圧への怒りの拡大におびえた法大当局と公安警察による、大学のファシスト支配を狙う攻撃そのものだ。

 第1章 労働者の決起と反撃が拡大

 だが、こうした矢継ぎ早な一大反動攻勢こそ、小泉政権と自民党の追いつめられた姿と絶望的な焦りを示すものだ。帝国主義の危機のもとで日帝の資本家階級は、労働者からもはや最低限の生活も、命さえをも奪い、侵略戦争に駆り出す以外になくなっている。これへの怒りがあらゆる制動を打ち破って大爆発することを、彼らは心底から恐れて反動攻撃に必死なのだ。
 逆に、ここで労働者や学生、人民がこれらの攻撃と真正面から対決して全力で決起するならば、改憲阻止への巨大な突破口が切り開かれることは確実だ。この5〜6月の闘いこそが決定的だ。すでに多くの労働者人民が連日、国会前にかけつけている。
 特に、共謀罪への労働者人民の大反撃が急速に拡大している。この間の全日建運輸連帯労組関西地区生コン支部の決起を始め、動労千葉、全国金属機械港合同の闘う3労組の国会前への登場は圧倒的な注目を集めている。連合中央の改憲勢力化を根底から粉砕し、のりこえていく力がここにあるのだ。教育労働者による座り込みも始まった。

 第2章 労働組合破壊を狙う共謀罪

 フランスを始めとした全世界の労働者の闘いに続き今こそ小泉打倒へ、反動法案粉砕へ闘う時である。
 何よりもまず共謀罪は、「現代の治安維持法」と呼ばれるとおり、戦争に反対するあらゆる運動と組織を根こそぎ弾圧することを狙った法案だ。かつての治安維持法がそうだったように拡大解釈によって無限にその対象を広げ、敗戦で廃止された特高警察(思想警察・秘密警察)の完全な復活をもたらす、改憲と完全に連動した攻撃だ。
 しかも日帝・小泉は今日、これを何よりも労働組合解体の武器として制定しようとしている。労働組合が資本に対して団結して行動を起こすことが、片端から共謀罪による弾圧の対象となるのだ。まさに労働組合に「死」を宣告する法案だ。4大産別を先頭に、闘う労働者こそが国会闘争に決起し、共謀罪を廃案に追い込もう。

 第3章 愛国心教育は「職務」と小泉

 さらに教育基本法改悪との闘いは、共謀罪阻止の闘いとともに、この国会決戦全体の天王山だ。教基法改悪の本質は、かつての軍国主義教育の反省の上につくられた現在の教育基本法を廃止し、再び「国のために命を捨てる」ための教育をすべての教育労働者に強制しようとするものだ。教基法に「愛国心」を盛り込む最大の狙いはそこにある。
 現に小泉首相は国会答弁で、改悪案が成立すれば、子どもたちに「国を愛する態度」をたたきこむことは教員の「法令等に基づく職務上の責務」となり、拒否できないと明言した。また小坂文科相は、国家権力の不当な支配を排した現行教基法第10条の意味を180度ひっくり返し、「国民全体の意思とは言えない一部の勢力」の教育への介入を阻止することが改悪の核心だと言い放った。「教え子を戦場に送るな」を掲げてきた日教組の解体と、教育労働運動の圧殺こそが目的だと公言しているのだ。
 こんなことを許したら、教育労働者はもはや「教育」の担い手ではなくなり国家権力のロボットになるしかない。しかし日教組30万を先頭に、全国の教育労働者が怒りを爆発させて職場から続々と決起すれば、こんな攻撃など労働者の実力で一瞬にして粉砕できる。「日の丸・君が代」の強制に対する現場労働者の断固とした不起立闘争が、都教委の10・23通達を完全破産に追い込んだのをみれば明らかだ。今こそすべての教育労働者が一人残らず総決起し、教基法改悪を必ず阻止しよう。
 ところが日教組本部は、この重大な時に闘争放棄を決め込むばかりかとんでもない屈服と大裏切りに走っている。民主党が「与党案に対抗する」と称して作成した対案は、「日本を愛する心」や「宗教的感性の涵養(かんよう)」を前文に盛り込み、現行第10条の「不当な支配」の文言を削除するなど、与党案以上に反動的な、極右ファシスト勢力の主張をそのまま取り込んだ代物だ。この民主党案作成には日教組系議員のみならず、日教組の森越委員長が同席して対応を協議し、これを丸ごと容認した。許し難いことだ。
 もはや、こんな日教組本部に全国の教育労働者の未来をゆだねておくことは断じてできない。一切を決めるのは、現場労働者の職場からの不退転の決起である。本部の屈服をのりこえて、全国のブロック、単組、職場でがんがん闘いを組織し、国会に駆けつけ、国会を包囲する座り込みや集会・デモをやりぬこう。
 組合の枠を越えた全教育労働者の力の総結集と、ともに闘う巨万の人民の決起をつくり出して闘おう。

 第4章 改憲阻止闘争を正面課題に

 この教育労働者の一大決起を先頭に、4大産別の労働者が今こそ改憲阻止の闘いを自らの死活のかかった正面課題として取り組もう。それが共謀罪を始めとする他の全反動法案をも最終的に粉砕するかぎだ。
 小泉の国会延長策動を許さず5〜6月国会闘争を大爆発させよう。法政大での決戦に勝利しよう。
 米軍再編粉砕・基地撤去の闘いの大高揚をつくり出そう。

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週刊『前進』(2247号1面2)(2006/05/29)

 共謀罪 採決強行を阻む

 “共謀罪を廃案に追い込むぞ”! 強行採決が切迫した19日には300人を超える人々が国会前に駆けつけた(5月19日 衆議院第2議員会館前

 「本日も共謀罪法案の強行採決を阻止しました!」 勝利の報告に、国会前で座り込んでいた仲間から大きな歓声が上がった。5月19日、衆議院法務委員会での共謀罪法案強行採決をまたもや阻止したのだ。
 4月21日の与党単独での審議強行から1カ月、共謀罪反対の声は爆発的な勢いで広がっている。ここで強行採決に踏み切ったら、終盤国会がどうなってしまうかわからないと恐怖した政府・与党が、衆議院議長裁定という異例のかたちで採決を持ち越したのだ。
 この日も国会前には300人を超える労働者・学生・市民が駆けつけ、終日の国会闘争を闘い抜いた。午後3時からの総括集会には270人が参加し「永久に葬り去るまで闘おう!」と団結を固めあった。
 次の法務委員会審議日は23日(火)、24日(水)、26日(金)だ。今週が勝負だ。さらに国会前に集まろう。共謀罪法案を廃案に追い込むまで全力で闘おう!

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週刊『前進』(2247号1面3)(2006/05/29)

 “新基地阻む”と気勢 青年労働者が大挙立つ

 本土復帰から34年、5月12日に出発した5・15沖縄平和行進には延べ7千人が参加し、「新基地の建設反対」「憲法改悪許すな」と島内を歩き抜いた。14日夕に宜野湾市海浜公園野外劇場で開催された「5・15平和とくらしを守る県民大会」(同実行委員会主催)には3500人が結集し、新基地建設案に怒りのこぶしを突き上げた。
 「この国はどこへ向かっているのか。教育基本法を変え、共謀罪や改憲と戦争のできる国へひた走っている」と副実行委員長の松田寛さんが開口一番指摘した。さらに在日米軍再編の最終合意は、自衛隊と米軍の一体化、沖縄を東アジアをにらむ軍事的最前線にすると批判した。
 普天間飛行場がある宜野湾市の伊波洋一市長は、在日米軍再編によって朝鮮半島での戦争で沖縄が前線基地になると強い危機感を示し、08年までの普天間の返還、住宅地上空の飛行停止を求めて「国民的な運動」を呼びかけた。
 ヘリ基地反対協の安次富浩代表委員は「辺野古の2年間の闘いは、海を殺し、アジアの人びとを殺す基地を止める闘い。国の政策がいつも正しいわけではない」と述べた。「国はいつも間違っている」と会場からの声が飛んだ。
 政府案に合意した稲嶺知事の裏切りと屈服に強い非難が集中。秋の知事選で勝利し、来年の県民大会には自分たちの知事を迎えようとの声があがった。
 会場には沖縄県内3コースからの平和行進団が次々と結集。憲法と教育基本法の改悪反対や辺野古沿岸移設反対などのゼッケンやTシャツの沖縄県民や労組員で埋まった。全国各地の組合旗やのぼりが翻る。半数が20代、30代の青年労働者だ。ステージの前では辺野古の「命を守る会」が存在感を示した。
 沖縄労組交流センターが「これから本格的闘いが始まる」「直接行動、実力闘争が勝利を開く」と訴えるビラを配布、10万人県民大会と全島ゼネストを提起。
 オープニングライブではロック歌手の喜屋武マリーがステージに立った。

 5・15闘争の意義

 1972年5月15日から34年、基地の島=沖縄の永久固定化を図ったペテン的「返還」のもとで、いまだ日本の面積の0・6%の沖縄県に在日米軍専用施設の約75%が集中する。30年余を経て、5月1日に日米両政府が合意した在日米軍再編の最終報告は名護市辺野古崎への新基地建設や嘉手納基地などの自衛隊との共同使用を盛り込んだ。沖縄県民が願う「基地のない平和な沖縄」にはほど遠い。
 沖縄県の稲嶺知事は5月11日、米軍普天間飛行場の名護市辺野古崎への移設計画(キャンプ・シュワブ沿岸部にV字形の滑走路を2本建設する)について「政府案を基本」に対応することで合意した。
 小泉政権は、沖縄県民の声を完全に踏みにじって、恫喝と懐柔で名護市長や稲嶺知事を屈服させ、基地建設を強行しようとしている。教育基本法の改悪や共謀罪新設、国民投票法案など、戦後の日本のあり方を暴力的に転覆する攻撃をかけている。しかし、各種世論調査では沖縄県民の8割が新基地建設に反対の意思を示している。
 海上案を阻んだ地元の住民や労働者は「V字沿岸案」を阻む決意を固めている。今年の5・15沖縄闘争はこうした攻防のただ中で闘われた。
 新基地建設をめぐる闘いは5・15闘争をもってあらためて本格的に始まった。稲嶺知事の合意=裏切りは闘いの終わりではない。名護市長と稲嶺知事のウソとペテンが白日のもとに明らかになり、対決構造は単純明快になった。そして、沖縄県民の怒りが稲嶺をのりこえて、日本帝国主義に向かうのは不可避だ。
 人民の直接行動、実力闘争こそ、この事態に決着をつける。労働者階級の階級的決起で沖縄の歴史を変革する闘いが必要だ。全島ゼネストが真剣に討論される時代に入った。韓国では米軍再編に対して1000人が立てこもり数百人の逮捕にもひるまず闘っている。フランス、イギリスで数百万人のゼネストとデモが闘われている。本土−沖縄を貫き、米軍再編粉砕、「V字沿岸案」粉砕へ闘おう。

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週刊『前進』(2247号1面4)(2006/05/29)

 迎賓館・横田爆取弾圧裁判 高裁が無罪破棄の逆転判決

 まったくデタラメな超反動判決だ! 5月19日、1986年の米軍横田基地と迎賓館へのロケット弾戦闘を理由に、無実の須賀武敏同志、十亀弘史同志、板垣宏同志に加えられた爆発物取締罰則デッチあげ弾圧の控訴審判決公判で、東京高裁・中川武隆裁判長は、一審無罪判決(04年3月25日)を破棄し、東京地裁に差し戻した。1月16日に検察側の証拠請求を却下し、即日結審したにもかかわらず、何一つ審理なしに「共謀を推認できる」とした。3被告と弁護団は直ちに上告した。全力で反撃し、無罪をかちとろう。

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週刊『前進』(2247号1面5)(2006/05/29)

 泉佐野で国賀氏当選

 大阪府・泉佐野市議選の投開票が5月14日行われ、関西新空港と闘ってきた国賀祥司候補が1749票を獲得し、12位で6期目の当選を果たした。選挙事務所に詰めかけた後援会の人びとやスタッフから歓声が上がった。左が国賀氏、手前右が淡路の永井満さん=関連記事3面

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週刊『前進』(2247号2面1)(2006/05/29)

 教基法闘争 国会前に労働者の怒り

 日教組組合員が連日立つ 本部の屈服つき破る気迫

 教育基本法改悪案が5月16日から衆議院で審議入りした。この日、本会議で改悪案の趣旨説明と質疑が行われた。連日、日教組組合員を先頭に国会闘争が闘われている。教基法改悪は、現行教基法の全面破棄であり、憲法改悪の先取り攻撃であり、侵略戦争へ国民を総動員していくための戦争国家への大転換をかけた攻撃である。そのために教育労働運動を弾圧し、日教組の解体を狙っている。教育労働者を先頭に全国で集会・デモ、街頭宣伝を繰り広げ、今国会での成立を絶対に阻止しよう。
(写真 連日、国会前で日教組組合員の座り込みと抗議行動が続けられている。衆議院本会議で趣旨説明が行われた16日には、関東ブロックの組合員が結集し闘った)
 国会前には、連日、日教組組合員や都教委包囲ネット、被処分者の会の教育労働者らが詰めかけ、教基法改悪阻止へ闘いぬいている。16日は、日教組の関東ブロック各県から組合員が駆けつけ、国会前座り込みが行われた。群馬、神奈川、埼玉、千葉、山梨、静岡などの組合員が地元での取り組みと改悪阻止の決意を表明した。
 この日、衆議院本会議での質疑・答弁の中で小泉は、「わが国と郷土を愛する態度を養う」ことは、改悪案が成立すれば「法令等に基づく職務上の責務」となると述べた。これを拒否すれば教職員を処分するということである。さらにまた、子どもたちへ愛国心を強制することは、「思想、良心の自由の侵害にはならない」と言ったのだ。
 戦前の歴史が示すとおり、「愛国心」教育とは戦争教育の代名詞であり、「お国のため、天皇のために死ね。命をささげよ」と教え込むことである。こうした戦前の教育のもとで、大勢の若者たちが侵略戦争に動員され、アジア人民を虐殺し、自らも戦場で死んでいったのだ。小泉と政府・自民党は、今、日本帝国主義の未曽有(みぞう)の危機のもとで、一握りの帝国主義者の利益のために、再び若者たちを戦争に動員し犠牲にしようとしている。こんな教基法改悪を、どうして許すことができようか。
 しかも制定以来59年間、「教育の憲法」と呼ばれ、戦後教育の基本的あり方を規定してきた教基法を、延長しても会期わずか1〜2カ月の今国会で強引に成立させようとしているのだ。まともな審議もせず、議会制民主主義をも破壊するクーデター的な手法で押し通そうとしているのだ。

 国家主義的な民主党「対案」

 この与党案に対して、民主党が発表した「日本国教育基本法案」なる対案は、与党案をも超える超反動的な代物だ。@「公共の精神を大切にする人間の育成」「日本を愛する心を涵養(かんよう)し、祖先を敬い、子孫に思いをいたし」と「愛国心」を露骨に押しだし、A「宗教的感性の涵養」をうたって天皇制・天皇制イデオロギーの強要に道を開き、B現行第10条の「教育は不当な支配に服することなく」を削除して、与党案と同様に「政府が教育の進行に関する基本的な計画を定める」と、“国家による国家のための教育”を強烈に押し出している。
 しかも、実に許せないことに、これほどにも国家主義丸出しの民主党案を、日教組出身の日政連議員や森越・日教組委員長が同席して、これを容認したというのだ。日教組中央は、ここまで腐りきっている。
 この日教組本部に対して、現場組合員の怒りがあふれている。日教組本部の「国会に教基法調査会設置を求める請願署名」について、「取り組まない」という修正案が賛成多数で可決され、独自の「教基法改悪反対署名」に取り組むことを決定した単組もある。

 6・2全国集会日比谷野音へ

 大内裕和氏ら4氏が呼びかける「教育基本法の改悪をとめよう!全国連絡会」は5月8日付の「声明」で次のように呼びかけている。
 「『平和と平等』そして『人間の尊厳』を大切と考えるすべての人々に訴えます。今、あなたの場所から声をあげてください。そして、立場や考え方の違いをこえて、私たちの良心と意志を結集し、何としてもこの法案の成立を阻止しましょう」
 呼びかけにこたえて、全国で総決起しよう。6・2全国集会(日比谷野音)&国会デモ(要項1面)の大爆発をかちとろう。

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週刊『前進』(2247号2面2)(2006/05/29)

 大阪で弾劾のデモ 改悪案閣議決定に反撃

 5月6日、教育基本法改悪法案の閣議決定を弾劾して、闘う教育労働者を先頭にした緊急行動が呼びかけられ、「日の丸・君が代」被処分者を先頭に90余人が結集、扇町公園から梅田までのデモが闘いぬかれた。
 この日の緊急行動は、「日の丸・君が代」被処分者など闘う教育労働者を中心とした「みんなでとめよう!教育基本法改悪・全関西の集い実行委」が呼びかけ、5・3憲法集会実行委に参加した労働者・市民が結集した。
 集会では、「日の丸・君が代」被処分者である元教育労働者が、集い実行委事務局として基調報告を行い、政府の教育基本法改悪案を徹底的に批判した。さらに現職の社会科教員が「教育基本法が変えられたら教育はどうなる?」と題して発言し、東京の事態が一気に全国化し「教え子を再び戦場に送ることになる」とリアルに訴えた。
 続くリレートークでは、青年労働者が「もっと怒りを!」と訴えたのを始め、「日の丸・君が代」強制と闘ってきた保護者や部落解放同盟全国連の仲間などが次々と立った。最後に、教育労働者が「職場で日教組として組織を挙げた闘いを組織し、日比谷野音での6・2全国集会と6・4全関西の集いに総結集しよう」と行動を提起した。
 デモが公園内を動き始めた時、サッカーをしながら集会に注視していた若者たち十数人が合流して、闘いは最高潮に達した。
 大阪教組など各府県教組も、連合路線のもとではあるが、この非常事態を前に総決起集会やキャラバン行動などの方針を打ち出している。闘う教育労働者は、政府案以上に反動的でさえある民主党案を定期大会などで徹底批判しつつ、改悪絶対阻止を掲げて現場組合員に訴え、職場決起と国会闘争の先頭に立とう。
(写真 教基法改悪案の国会提出に対し関西の教育労働者は直ちに反撃の闘いに立った【5月6日 大阪・扇町公園】)

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週刊『前進』(2247号2面3)(2006/05/29)

 不起立処分人事委闘争 7団体が合同審理

 前教育庁幹部に追及の矢

 04年春の「日の丸・君が代」不起立・不伴奏者への不当処分粉砕へ、5月17日、7団体合同の人事委員会審理が熱気の中で闘われた。不当処分と闘う教育労働者200人と支援の労働者ら計300人以上が結集して終日闘った。
(写真 合同審理の会場。手前が請求人の教育労働者、左奥が代理人、中央が審査員、右が都側【5月17日 都庁】)
 7団体は、都障労組、都障教組、東京教組、都教組八王子支部、アイム89、都高教有志被処分者連絡会、被処分者の会。上部団体の違いを超えて被処分者が一堂に会し、この日の共闘が実現した。
 許せないことに52人の傍聴席に対して、背広姿の教育庁職員40人近くが傍聴を申し込み、抽選の上で相当数が実際に傍聴席に入った。都民を傍聴から排除し、人事委闘争を妨害しようという石原・都教委の卑劣な策動だ。結集した労働者の怒りが沸騰した。
 午前10時から都庁1階の都民ホールを会場に、歴史的な審理が始まった。この日は2人の都教育庁幹部の証人尋問が行われた。午前中の近藤精一・前教育庁指導部長は、「日の丸・君が代」強制の03年10・23通達を立案、発出した張本人だ。午後からの臼井勇・前教育庁人事部長は、10・23通達に関与し、また重処分を科した直接の責任者だ。
 5時間に及ぶ審理は、まさに被処分者が石原・都教委を裁く場として闘いとられた。請求者の代理人(弁護士)が次々と近藤、臼井を追及した。近藤は追及され、ぼろが出そうになると「私は法律家でないので答えられない」「戦前のことはよく分からない」と逃げ回った。そして、ただただ「学習指導要領に沿った教育を」と繰り返し、「教育公務員は命令に従う義務がある」「国旗・国歌の指導は、平和的な国家の形成にとって欠くことができない」と強弁、「国家のための教育」を押しつける都教委の狙いを露骨にした。また、「いまもって拒否する先生がいることは残念でならない」と消耗感をあらわにした。
 臼井への尋問では、処分決定のでたらめさがつきだされた。04年4月5日の教職員懲戒分限審査委員会は実際には開かれず、都人事部の処分案をこの日、わずか2時間あまりの間に審査委員8人のハンコを集め、夕方の都教委臨時会にかけて決定したのだ。一人ひとりの被処分者に関する個々の事情・背景の審査・調査などは一切行わなかった。「入学式の前に、そういうことにならないよう注意を喚起するため」と、他の教員に対する脅しとして入学式直前に処分を強行したことを自認したのだ。こんな処分は不当、無効だ。
 夕6時から都庁近くで報告集会が行われた。弁護団と被処分者・支援者が、この日の闘いの画期的意義を総括した。そして、この闘いが教基法改悪・改憲阻止闘争の最先端の闘いとしてあることを確認し、団結して闘うことを誓いあった。今度は横山洋吉・元教育長(03年10・23通達と処分強行の張本人)を合同審理の場に引きずり出して徹底追及しようと確認した。

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週刊『前進』(2247号2面4)(2006/05/29)

 動労千葉 “事故責任の転嫁は許さない” 処分粉砕へ緊急行動

 JR東日本は、幕張車両センターで4月6日に起きた脱線事故を口実に、動労千葉組合員への重処分を狙っている。これに対し動労千葉は5月16日、「幕張車両センター構内事故への不当処分粉砕!運転保安確立緊急抗議行動」に立った。
 午後6時、千葉市民会館に140人を超える組合員が結集し、総決起集会を開催した。田中康宏委員長が「絶対に事故責任の運転士への転嫁を許さない」と訴え、長田敏之書記長は「処分強行の場合はストも辞さない。全支部の闘いとして処分を粉砕する」と基調を提起した。
 川崎昌浩執行委員は、この日の団交で幕張車両センター構内の主要個所にATS(列車自動停止装置)を設置すると当局に確認させたことを報告した。幕張支部の代表と当該の運転士が決意を述べ、全員がこれにこたえ闘う意思を固めた。
 その後、動労千葉組合員はJR千葉支社前に移動し、「運転士への責任転嫁を許すな」「安全運転闘争への不当処分を撤回しろ」と抗議の声をたたきつけた。さらに、監視する職制の介入を許さず、千葉駅前で不当処分粉砕を訴える宣伝行動を貫徹した。
 複雑な入換作業、出入区作業が行われる車両基地構内は、本線にも増して事故の起こりやすい職場だ。4月6日の事故も、かねてから危険性が指摘されていた個所で発生した。1963年の三河島事故以降、本線上にはATSが設置されたが、電車区構内にはそれもない。しかも、JR体制下で徹底した人員削減が強行された。事故の責任の一切は、ATS設置を求める労働者の切実な声を無視し続けてきたJRにある。
 動労千葉は、運転士への処分が発令された場合、直ちに緊急闘争に立つ構えだ。この闘いを支え、当該運転士を守りぬこう。
(写真 仲間への重処分を絶対に許さない決意を込めて、勤労千葉組合員はJ R千葉支社に対し怒りのこぶLを突き上げた【5月16日】)

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週刊『前進』(2247号2面5)(2006/05/29)

 共謀罪廃案へ白熱戦 労組先頭に総力の国会闘争

 「共謀罪は絶対廃案!」 国会前には、衆議院法務委員会での強行採決を阻止するために、前の週をさらに上回る人たちが駆けつけた。連日、さまざまな集会が企画され、休む間もない連続行動が展開された。
(写真 共謀罪反対の声が爆発的に広がる中、500人が集まり熱気あふれる集会に【5月17日 東京・星陵会館】)
   ◇   ◇
 5月14日には、有楽町マリオン前で国際共同署名運動が呼びかける大街宣が行われた。平日は国会前に来られない労働者も多数参加した。「共謀罪」という言葉に通りかかる人が鋭く反応する。ビラの受け取りも格段に増え、140筆を超える署名が集まった。
 強行採決の危険が高まった16日には、夕方の国会前集会に230人が集まった。動労千葉、全日建運輸連帯(連帯ユニオン)、全国金属機械港合同などの労働組合や争議団連絡会議も参加した。関生支部はマイクロバス2台で関西から駆けつけた。連帯ユニオンは関生支部のほかに新潟や関東各県、東海地方からも組合員が駆けつけた。この日、南労会闘争の訴訟を終えた港合同は執行部を先頭に参加した。集会では各労組が「闘う労働組合が弾圧される」と危機感を表明し、「団結して廃案に追い込もう」と決意を述べた。
 また、集会では日本ペンクラブが2度目の共謀罪反対声明を出し、岡山の6市町村議会、旭川市議会に続き、東京の小平市議会も共謀罪反対決議を上げる見通しであると報告された。
 この日、議員会館前歩道には、教基法改悪に反対する日教組組合員、医療制度改悪案に反対する労働者、辺野古新基地建設に反対する人びとも座り込んだ。小泉政権のもとで進められる戦争と反動化、社会保障切り捨ての攻撃に、労働者人民の怒りが終日たたきつけられた。
 17日昼には日弁連主催の院内集会が参議院議員会館で行われ、会場に入りきれない70人以上が集まった。また、午後には衆議院議員面会所で共謀罪に反対するNGO・NPOグループによる集会が行われた。

 「まばたき」で共謀が成立?!

 17日夜の「共謀罪反対!超党派議員と市民の緊急集会」(星陵会館)には、会場をぎっしり埋める500人の労働者・学生・市民が集まった。この間の共謀罪反対運動の爆発的な広がりを映し、熱気がみなぎった。
 緊迫する国会から民主党・社民党・日本共産党の国会議員12人が参加し、共謀罪廃案への決意を表明。
 保坂展人議員(社民党法務委員)は、16日の衆院法務委員会での法務省大林刑事局長答弁を紹介した。「目配せ」でも共謀が成立すると答弁してきた大林刑事局長に保坂議員が真意をただしたところ、「まばたきやうなずくという黙示の行動(はっきりと言わず暗黙のうちに意志や考えを示すこと)でも共謀は成立する」というさらに驚くべき答弁が飛び出したというのだ。無限大に拡大適用されていく共謀罪の恐るべき正体はいよいよ鮮明だ。
 続いて、共謀罪に反対する表現者たちが制作した短編映画『共謀罪、その後』が上映された。この映画はネット上で公開されている(http://black.ap.teacup.com/kyobozaitv)。
 集会の後半では、日弁連から前副会長の中村順英さん、山下幸夫さん、海渡雄一さんがあいさつ。表現者から日本ペンクラブ言論表現委員会副委員長の篠田博之さん、NGO・NPOからグリーンピース・ジャパン、日本消費者連盟、さらに平和フォーラム、全労連、自由と生存のメーデー弾圧救援会の代表からの発言が続いた。
 共謀罪反対のNGO・NPO共同アピールに190に及ぶ団体が賛同を寄せたことも報告された。
   ◇   ◇
 自民・公明の与党は、数にものを言わせて暴力的に突破する姿勢を強めている。しかし、国会の議席数だけでは事態は決まらないことは、この間の国会攻防が示している。大衆運動の力、階級的な力関係こそが一切を決する。共謀罪を廃案に追い込むことは可能だ。さらに数十倍、数百倍する闘いをまきおこし、共謀罪法案を葬り去ろう。

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週刊『前進』(2247号2面6)(2006/05/29)

 “絶対に阻止しよう” 国会前の怒りの声

▼大阪・門真市議会議員 戸田ひさよしさん
 「共謀罪は近代国家と法律の土台を根本からひっくり返すものです。思想やしゃべっていること自体を裁いたらダメだというのは近代国家の根本でしょ。人と人とが一緒になって行動する、『共謀する』のが人間ですよ。労働組合は会議こそ中心ですからね。
 あるスーパーの駐車場で、ガードマンさんがこの宣伝カーを見て「これは大変な法案だ。自分も大反対。ビラを配るからぜひくれ」と言ってきてくれた。どんどん声をあげて知らせていくことがほんとに大事だと思いましたね。
 もっとどんどん地方議員も来なければいけない。国民投票法案とかいろいろ問題はあるけれども、ここで共謀罪制定を阻止すれば大きな反転攻勢のきっかけになる。新しい闘いの可能性が出てきているから権力はビビッてこんな法律をつくろうとしているわけです。『一点の火花、燎原(りょうげん)を焼き尽くす』という言葉がありますが、その前段階にいる。頑張っていきましょう」
▼憲法と人権の日弁連をめざす会 高山俊吉弁護士
 「共謀罪は、犯罪の実行の手前の、手前の、手前、心の中にその思いを持つことを禁ずるという形で、人の心に文字どおり手錠をかけるものです。
 犯罪というものは、犯罪が現実に実行されたときに処罰するということを基本構造にしています。それは人の心の中に踏みこんではいけないという考え方があるからです。この大原理、大原則をどうして踏みにじるのか。今こういう理屈が登場していることは、まさに戦争の時だということを意味している。だから治安維持法なんです。
 治安維持法は、あの侵略戦争に突き進むためにどうしても必要な法律だった。戦争に反対することを犯罪とする構造が治安維持法によってつくられた。
 日弁連も全国各地の弁護士会も共謀罪反対の決議を上げています。戦争の気配を感じている弁護士がいるからです。改憲に向けて大きな危険が迫っていることをみんなが感じている。
 私の父親は、治安維持法違反で刑務所に入れられた人間です。治安維持法違反の父親と、同じように警察に捕まった母親の息子です。私の中にも、敵(かたき)を討たなきゃならんというものがある。弁護士は、どこまでも闘う人びととともに歩んでいく。そのことを最後に申し上げて決意の表明とします」
▼「メーデーでもらったビラで緊迫した国会情勢を知りました。私はもう退職したから動ける人がやれることをやらなければと駆けつけました。学校の職場は、今は話し合う場ではなくなっています。学校はもう教師が自主的につくるものではなくなってしまっている。ものすごく忙しくって何もできなくされている。やれる者が始めていかなければと、居ても立ってもいられない気持ちです」(元教育労働者、東京・女性)
▼「共謀罪は、首の根っこのところを絞めるもの。こんなものができたら他のどんなこともできなくなる。私は専業主婦ですが、私のようにゼッケンとか付けていない、できるだけ普段の格好をした人が座っていたら、通りかかった人も入りやすいんじゃないかとやっています」(横浜・女性)
▼「今ですら微罪逮捕、別件逮捕、違法逮捕が横行しているのに、これで共謀罪が可決されたらもっとひどい世の中になってしまう。大臣とか議員、閣僚、検察官、警察官、刑務官などなど、公務員の組織犯罪を撲滅してから審議してほしい」(フリーター、東京・男性)
▼「こんな法律を通したら日本は終わってしまうという危機感があって、連休明けから毎日傍聴に来ています。心の中にまで踏みこむのは絶対に許せない。教育基本法改悪とか盗聴法とかすべてがリンクしていて最後に改憲になって戦争の道に突き進んでいく。共謀罪が通れば一気にいってしまう。私は、共謀罪がもし成立したら捕まってやろうぐらいの勢いですよ。共謀しまくってやろう、と。」(NPO専従、東京)

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週刊『前進』(2247号3面1)(2006/05/29)

 5・15沖縄 “連帯して沿岸案葬ろう”

 新基地阻止へ怒りと決意

  5・13 青年労働者が全国集会

 5月13日夜、北谷町のちゃたんニライセンターにおいて「オキナワとヒロシマを結ぶ全国青年労働者交流集会 OKINAWA」が開催された。沖縄平和行進の最中の自治体労働者や教育労働者を始めとする青年労働者が産別・ナショナルセンターを越えて集まり熱気に満ちた集会になった。
(写真 8・6ヒロシマで再び全国交流集会を開くことを確認し団結ガンバロー【5月13日 沖縄県北谷町】)
 最初に名護市辺野古で新基地建設阻止へ闘う青年が特別報告を行った。「沖縄県知事が沿岸案で基本的に合意し、名護市長を始め5市町村の長も合意しました。今、名護では市長の支持率が0%、沿岸案反対は87・6%。これが名護市民の答えです。私たちはリーフ上基地建設計画を完全につぶしました。だから今、『何度でも来てみろ、何度でもつぶしてみせる』という気持ちです。みなさんが沖縄の現実を地域で広めることが、沿岸案をもう一度とめる力になります。必ず基地建設をとめよう」。熱い訴えに、7万円を超えるカンパが寄せられた。
 続いて琉球新報記者の松元剛さんが講演した。04年8月、米軍ヘリが沖縄国際大学に墜落した直後に、迷彩服姿の米軍兵士が大学を制圧、報道カメラマンを力ずくで排除して撮影を禁じた映像を上映。「米軍が『機体に指1本触れさせるな』と命じ、大学構内と建物を封鎖した。この校舎は一体、誰の物なのか! 東京で政治家が『不幸中の幸いだった』と言うたびに怒りがわく。どれだけ死者が出てもおかしくなかった」と弾劾した。さらに「政府は『V字形案の2本の滑走路で離着陸を分ける』と言うが、米軍はそんな合意はしていない。米軍が住宅上空を飛ばないわけがない。名護市民と沖縄県民の厳然たる反対の意思は7割を下回ることはない。この事実を本土に持ち帰り行動してほしい」。特別報告と講演を受けて、名護市長と沖縄県知事の大裏切りを徹底的に弾劾して、青年労働者が辺野古への新基地建設を阻止するために闘うことをしっかりと確認した。
 2本の特別アピールが行われた。1本めは広島の教育労働者の「教育基本法改悪を阻もう」。「教基法に『国と郷土を愛する態度』が明記されたら、『日の丸・君が代』強制に反対する教育労働者は教基法違反です。第10条も改悪し、闘う教育労働者を排除しようというのです。現場組合員は闘わない日教組本部に怒っています。現場から日教組を変えるチャンスです。日教組を変え、教基法改悪をとめ、改憲を阻もう」
 2本めは郵政民営化と闘う全逓労働者だ。「民営化で大幅な人減らしが進められようとしています。職場で闘うことが重要だ。分会運動を復活させたい。職場の仲間の怒りの声を聞いて要求をまとめ、労働条件を取り戻すために闘って労働組合をよみがえらせる。超勤を拒んだら郵便物はとまり、当局は大混乱する。そうすれば民営化はとめられます。団結して民営化と改憲をとめよう」。闘う労働運動をつくり出すため自分の組合・職場を変えようと奮闘する二人の発言に、大きな声援が飛んだ。
 全国の青年労働者が次々と発言した。沖縄の教育労働者は「国は『伝統と文化を大切に』と言うが、かつて沖縄では『方言札』により方言が奪われた。皇民化教育の結果、チビチリガマでは自決の道を選んだのです。教基法改悪・憲法改悪に断固反対します」と述べた。四国の自治体労働者は「小泉の近隣諸国に対する態度は許せない。沖縄の基地問題にしても、沖縄県民の立場に立てばその苦しみがわかるはずです。平和な世界ができるまで頑張ろう」と呼びかけた。
 東交の青年労働者は「合理化攻撃と新規採用のストップで青年部員は5年間で1000人から250人に激減した。この現実と闘い、東京で労組青年部運動をしている者として頑張ります」と述べた。山口県岩国市の青年労働者は「住民投票で89%の基地強化反対の意思を示し、4月の市長選では基地強化に賛成する候補をダブルスコアで打ち破った。名護の闘いに連帯し闘う」と決意を表明。
 東京の医療労働者は「沖縄で学んだことを組合活動に生かそうと、青年を中心に参加しました。戦争をとめ、基地をつくらせないために闘います」と述べた。大阪の自治体労働者は「小泉が憲法9条を変えようとしているのは、世界中で戦争を行うため。自治体労働者や教育労働者の改憲反対運動を禁じる国民投票法の制定も狙われている。改憲阻止へ、全世界で起きている闘いを日本で巻き起こそう」と呼びかけた。職場・組合で全力で闘い、青年労働者の団結をつくり出している各地の労働者の発言に、大きな拍手がわいた。
 最後に広島の教育労働者が「沖縄の闘いに連帯し職場・組合・地域で闘おう。国会に駆けつけよう。そして8月6日、ヒロシマでまた会おう」と呼びかけ、団結ガンバローを行った。参加した青年労働者は、労働者が団結して闘えば必ず勝てるという確信に燃えて、沖縄―本土を貫く青年労働者の団結で闘う労働組合運動をよみがえらせ、新基地建設と教育基本法改悪・憲法改悪を絶対にとめようと誓い合った。

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週刊『前進』(2247号3面2)(2006/05/29)

 瀬嵩・辺野古を訪問 不屈の闘いに共闘誓う

 青年労働者交流集会に参加した青年労働者と全学連の学生は15日、新基地建設と闘う名護市辺野古と二見以北の瀬嵩(せだけ)を訪問、座り込みなどに参加した。10年来の新基地建設の攻撃(海上案)を阻んだ辺野古現地の闘いと、新たに2本の滑走路の建設を狙う辺野古崎と大浦湾の様子を目の当たりにして、新基地建設阻止を職場や大学で呼びかけ、本土で責任ある闘いを広げることを誓った。
 まず名護市東海岸北部の瀬嵩を訪問した。「ヘリ基地いらない二見以北10区の会」の共同代表の浦島悦子さんとジュゴン保護基金委員会の東恩納琢磨事務局長の話を聞いた。
 瀬嵩は辺野古から見て大浦湾をはさんだ反対側の地域だ。防砂林を抜け、ビーチに出ると、エメラルドグリーンの海が目に飛び込んでくる。海上の向かって右手に見えるのがキャンプ・シュワブで兵舎など建物がいくつか見える。
(写真 海上に辺野古崎を望み(写真右上)、浦島さんと東恩納さんから話を聞いた【5月15日 名護市浦嵩】 )

 沖縄差別の手口に怒り

 浦島さんは、1997年に設立された10区の会の沿革を説明。仕事も生活もなげうって奮闘した名護市民投票(97年)の3日後に市長が受け入れ表明したことについて、住民の声が通じない憤りを語った。また小学校が廃校になり、若者の仕事がないことなど切実な現実を話し、沖縄差別に加え過疎の弱みにつけ込む政府の手口に怒りをあらわにした。そして「V字沿岸案で一番近い地元になった。みんなの力で基地を追い返したい」と闘いの決意を示した。
 大浦湾や辺野古海域でエコ・ツーリズムを営んでいる東恩納さんは、ジュゴンとともに暮らす地域生活をつくりたいと語り、米国でのジュゴン訴訟にかけた気持ちを語った。「ここに来た以上はみなさんも当事者です。みなさんとつながっていきたい」と訴えた。
 辺野古の浜で座り込みを行った。砂浜は大半がキャンプ・シュワブの敷地だ。白くきめの細かい砂浜に無神経に横たわる有刺鉄線の前に座り、辺野古の命を守る会の説明を聞いた。
 那覇でチラシを受け取って辺野古のことを知り訪れた本土の青年が米兵から暴行を受けた事件、地元の女性へのレイプ未遂、住民に銃口を向ける米兵など、生々しい実話に驚く参加者に向かって、「海兵隊の兵士は、イラク戦争に参加し、イラク人をテロリストと呼び、人を人と思わなくなっている」と説明した。
 座り込み小屋の前で命を守る会の金城祐治代表は「沖縄に何をしに来たのかをまず考えて下さい。戦争は人と人が殺し合い、悲惨な状況が生まれる。もう二度と戦争をしてはならない」と切実な気持ちをにじませた。「君たちがストップして下さい。今やらなければ死ぬまで何もできない」と激励。金城さんの音頭でガンバローを行った。
(写真 命を守る会の座り込み小屋の前であいさつする金城祐治さん【名護市辺野古】)

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週刊『前進』(2247号3面3)(2006/05/29)

 沖縄の現実学び闘う 学生は那覇で交流集会

 那覇市の沖縄青年会館で5月13日夜、全国学生交流集会が開催された。50人が参加した。
(写真 学生を前に「沖縄の現実を学んで闘ってほしい」と訴える桑江テル子さん【5月13日 那覇市】)
 全学連の原田幸一郎副委員長(京都大)が「今年の5・15闘争は、米軍再編との闘いの出発点だ。沖縄人民と連帯して、辺野古V字沿岸案を体を張って阻止しよう。教育基本法改悪と国民投票法案粉砕に総決起しよう」と訴えた。
 最初にうないネット・コザ主宰の桑江テル子さんが講演を行った。
 桑江さんは「沖縄の現実を見て、学んで、闘ってほしい。沖縄の不退転の闘いの原点ということで、戦後60年、沖縄の女性たちがどんなひどい目に遭ってきたか、沖縄の闘いがどんな背景で闘われてきたかを一人芝居にしました」と語り、琉球処分から沖縄戦、戦後の米軍支配、そして72年「本土復帰」から現在に至る中での、沖縄の女性たちが受けてきた被害、怒りと闘いを情熱的に訴えた。
 続いて『「在日米軍再編」と沖縄』と題して宮城正明さんが講演。「在日米軍再編」絶対反対を掲げた沖縄闘争と改憲阻止決戦の歴史的な意義について、全面的な問題提起を行った。
 全学連委員長の織田陽介君が基調報告を行った。「辺野古への2本のV字形滑走路建設を絶対に許せない。改憲阻止は、沖縄への歴史的な差別抑圧をうち破ることと一体だ。5・15沖縄現地闘争を全力で闘い、ただちに国会闘争に立とう。法政大を先頭に5〜6月改憲阻止学生ゼネストの実現へ総決起しよう」と熱烈に訴えた。
 辺野古現地で闘ってきた学生が現場報告を行い、法政大の学生が3・14法大弾圧粉砕の勝利的前進を語った。東北大の学生が有朋寮「明け渡し」の仙台高裁反動判決を粉砕して「強制執行停止決定」をかちとったことを報告した。
 最後に、全国から集まった1年生と初参加者が発言した。
 「辺野古の人や沖縄県民と一緒に闘って、キャンパスの学生に還元したい」(富山大1年生)、「米軍再編について、商業新聞では『なぜ』の部分が言われない。それを実感したいと思って沖縄に来ました」(京都大1年生)、「沖縄の現状に怒りがこみ上げた。『いま闘わなくて、いつ闘うのか』と思う」(広島の1年生)、「実際に闘いに立ち上がれば変えられると、自分の中で何かが変わりつつある」(広島大1年生)、「沖縄の現実をいかに自分が知らなかったか。自分の大学の学生にもこの現実を知らせなくては」(東北の学生)、「全学連に可能性を見た」(関東の学生)
 はつらつとした意見表明で集会を締めくくった。
(投稿/T・O)

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週刊『前進』(2247号3面4)(2006/05/29)

 泉佐野市議選 国賀氏激戦制し6選

 「ごみ有料化撤回」で旋風

 5月14日投開票の大阪府泉佐野市議選で、関西新空港に反対して5期20年闘ってきた泉州住民の会事務局長の国賀祥司候補が同市議選史上最大の激戦を制して見事6期目の当選を果たした。投票率が2%も下がる中で、前回より約270票を上乗せし順位を五つ上げる12位、1749票の堂々たる当選だ。
 祝勝会では、後援会「国賀祥司と語ろう会」の平尾治副会長の音頭で祝勝の乾杯。国賀候補は、支持者や共闘団体にお礼を述べ「ごみ有料化に反対する市民の強い気持ちが表れた勝利だ」と意義を確認し「住民投票実現に向けてただちに活動していく」と決意を述べた。お祝いに次々と駆けつけた支持者から握手され祝福される。わがことのように喜ぶ人たちばかりだ。
 続いて小林一三会長、森田恒一・泉州住民の会代表、永井満・淡路町空港反対同盟代表が祝福のあいさつをした。祝勝会には、入れ替わり立ち替わり多くの住民が駆けつけた。

 直接請求運動呼びかけ闘う

 今回の市議選は、定数21(前回より2減)に29人が立候補する激戦になった。1位当選者が2209票、最下位当選が1476票で733票差に21人が入っている。20位と21位と次点の差がそれぞれ2票差しかない。最下位当選の1476票は前回最下位当選の1066票(23位)を400票以上も上回っている。1475票でも落選である。「替え玉」投票が大阪府警の捜査対象になり、投票2日前に逮捕者を出す「異例の事態」に及んだ。
 激戦の最大の要因は、ごみ有料化への市民の怒りと抵抗であり、それと結びついた国賀候補の「ごみ有料化撤回の住民投票を実現しよう」の呼びかけだった。3月17日に始まった住民投票を要求する直接請求運動は、4月中旬から本格的に全市に呼びかけられた。
 国賀陣営には連日、支持と住民投票運動をしたいという電話が相次いだ。自分の町内会が推す地元保守候補がごみ有料化に賛成したことを知った住民から地元候補への怒りと国賀候補への応援のハガキが郵送された。街宣隊には「住民投票をやらせて」という住民の申し入れが相次いだ。このように4月から実施されたごみ袋1枚50円という暴挙への市民の怒りは、国賀候補の住民投票の呼びかけと結びついて、抑えがたい勢いで全市に広がった。国賀陣営の「住民自身が立ち上がれば、ごみ有料化を撤回させ、市政を変えることができる」という呼びかけにこたえた住民の決起が各地で生み出された。
 こうして国賀陣営の闘いが史上最大の激戦をつくり出し、5月市議選は「ごみ有料化の是非を問う選挙」(5月7日付朝日新聞)となった。
 これに対して自民党は、ごみ有料化には沈黙を決め込みながら、住民の決起を押さえ込もうと地縁、血縁、泣き落としで票の防衛に走った。共産党は、国賀陣営のつくりだしたごみ有料化を撤回させる闘いの成果をかすめ取ることに血道をあげた。公明党は「決まったことだ」と意思統一し、市民の怒りを買って票を減らした。

 関空闘争・憲法闘争への展望

 国賀候補は、ごみ有料化は関空問題と小泉の三位一体攻撃そのものであるととらえてきた。関空優先市政でつくった巨額の借金、小泉の三位一体攻撃で削られた地方自治体への補助金と交付金――住民と市職員がその犠牲にされている。今こそ闘って粉砕する時である。選挙を新たな住民の決起の場にし、そこから住民投票運動を発展させていく方針を選択した。そしてこの闘いが、新たな関空の軍事空港化反対の闘いと改憲阻止闘争の前進、何よりも労働者階級に責任をとる地区党の建設を展望した闘いでもあった。
 泉佐野市では、選挙の勝利の余韻もさめない中で直接請求運動が再開された。選挙の勝利は、住民投票実現のための第一歩にすぎない。本当の勝負はこれからである、そういう意気込みで闘いに突入している。

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週刊『前進』(2247号3面5)(2006/05/29)

 医療制度改悪法案 衆院強行採決弾劾

  高齢者から医療奪うな

 衆院厚生労働委員会において5月17日、自民・公明両党は医療制度改悪法案の審議を打ち切り、採決強行で可決した。続いて18日午後、衆院本会議で自民・公明の賛成多数で可決、衆院を通過させた。とんでもない暴挙であり、徹底的に弾劾する。審議開始からわずか1カ月余りである。高齢者から医療を奪う法案の問題点がより明らかになってきた矢先での暴挙であり、断じて許されない。参院段階の闘いで廃案に追い込もう。

 労働者に犠牲押し付ける

 小泉政権の手法は、まさに問答無用だ。財政危機乗り切りのための社会保障切り捨ての標的を高齢者に絞り、ごり押しした。「高齢者から医療を奪うのではないか」との質問に対し、小泉は「必要な医療まで妨げられるものではない」と居直りの答弁を行った。ブルジョアジーは階級的利害のために、わずかな年金に頼る高齢者の立場や存在を傲然(ごうぜん)と無視している。
 共謀罪や教基法改悪に憤る多くの労働者人民が連日、国会を取り巻く中で、小泉は医療制度改悪法案の強行採決に走った。この暴挙は、小泉に対する労働者階級の怒りを倍加させている。資本の延命のために労働者の命を踏みにじり、戦争と改憲に向かう小泉政権の正体はますますむき出しになった。医療制度改悪を絶対阻止し、そこから改憲阻止の労働者階級の壮大な決起をつくり出そう。
 そもそも高齢者のほとんどはもとは労働者であり、労働者階級に属している。今日の社会保障費用は賃金の後払いなのだ。ブルジョアジーはこれを支払う絶対的義務があり、それができない支配階級は無条件に打倒されるべきものだ。
 まして国家財政が危機だからなどといって高齢者の年金や医療、介護を「持続可能なものにする」などという大ペテンで情け容赦なく切り捨てることなど許されるはずもない。
 そもそも日本帝国主義の国家財政危機に労働者はなんの責任もない。日帝ブルジョアジー自身のバブル崩壊後の金融危機救済のために膨大な国債を発行したことに責任があり、ブルジョアジー自身が負担すべきものだ。それができずに社会保障の切り捨てや大増税で労働者階級に犠牲を押し付けるなど許されない。
 だいたいこれほどの生産力がありながら、労働者階級、とりわけ高齢化した労働者の生活も賄うことができない資本主義こそがおかしいのだ。参院を人民の力で包囲し、医療制度改悪法案を阻止しよう。

 高齢者患者の窓口負担増

 では医療制度改悪法案の内容を再確認しておこう。
 まず高齢者の医療費の窓口負担の引き上げがある。現行制度では、高齢者(65歳以上)の窓口負担は、70歳未満は3割、70歳以上は1割負担、70歳以上の現役並み所得者(夫婦世帯で年収620万円以上)の場合は2割負担となっている。
 それを06年10月から70歳以上の現役並み所得者の最低年収額を約620万円から約520万円に下げる(対象者が約120万人から約200万人に拡大)。窓口負担も従来の2割から3割に引き上げられる。
 次の段階として08年度から70歳以上で75歳未満の高齢者の窓口負担を1割から2割負担に引き上げる。そして高額療養費自己負担限度額も引き上げる。
 高齢者世帯の4割は所得が生活保護基準を下回っている。国民年金の受給者の平均月額は4・7万円、月4万円以下の年金受給者が46%を占めているのが実情だ。こうした世帯は、もう医者に行けなくなる。03年に健保サラリーマンの本人負担が3割に引き上げられた医療制度改悪で受診を控えた人が6割あったとの調査結果もある。これがこの法案の狙いだ。
 療養病床に入院する高齢者は、食費4・6万円、居住費1・0万円、合計5・6万円の新たな自己負担を強いられる。これは多くの高齢者にとっては支払い困難な額だ。全国保険医団体連合会の調査によると、昨年10月の介護保険改悪で導入された食費・居住費自己負担の結果、3月31日までに全国272施設で519人が介護保険施設を退所したとされる。回答が一部なので実際には相当な数に上っているのは確実だ。
 改悪案は、医療費抑制の柱に平均在院日数の短縮を掲げている。そのひとつとして、6年かけて現在38万床ある療養病床の6割(23万床)削減を打ち出した。23万床削減の内訳は、介護型の13万床を11年度末までに全廃、医療型25万床も12年度までに10万床減らし15万床にするという。
 実際には厚生労働省は「療養病床入院患者の受け皿は、今あるとは思われない」と認めており、特別養護老人ホームの待機者が38万5千人を超えているのが現状だ。療養病棟を追い出された高齢者はどこにいけばいいのか。まさに高齢者の医療難民、介護難民を膨大に生み出すものだ。高齢者に死ねというに等しい。

 「高齢者医療制度」の創設

  とりわけ重大なのが08年から実施予定の新たな独立医療保険制度である後期高齢者医療制度だ。対象者は75歳以上の後期高齢者約1300万人。
 最大の問題は、これまで被用者保険の被扶養者であって保険料を免除されていた高齢者250万人から保険料を徴収することである。この保険料は最初は全国平均で年に約7・4万円とされる。75歳以上の高齢者から年に約1850億円を新たに取り立てるのだ。
 そして、実際には後期高齢者を「虚弱高齢者」と名付けこれらの高齢者を「入院死から在宅死へ」と誘導し、「終末期」医療を「尊厳死=安楽死」を容認する方向へと推進しようとしている。保険料は取るが、高齢者が懸命に生きるのを助ける医療はしないのだ。
 さらに介護保険料と同じく高齢者の医療保険料も年金から天引きする制度を導入した。年金は下がり、介護保険料と国民保険料は上がる。受け取る年金はスズメの涙ほどにするというのだ。これで高齢者に生けていけと言うのか。
 さらに診療報酬の改定によって、一部の疾患を除いて病気の後遺症へのリハビリは発症後180日を上限として保険対象外とされた。リハビリ中の東大名誉教授の多田富雄氏が「リハビリ中止は死の宣告」と朝日新聞(4月8日)に投書している。生きたければ保険診療外の金を払えというのだ。いわゆる混合診療拡大の問題だ。医療が命を奪う現実は始まっている。今回の医療制度改悪法案はそれをすべての高齢者に大規模に及ぼすものだ。これは労働者家族を直撃する攻撃であり、そして次にはすべての労働者階級に拡大する。全力で粉砕しよう。

 医療制度改悪のポイント

▼高齢者の窓口負担引き上げ
・現役並み所得の70歳以上の高齢者
 2割→3割 (06年10月)
・70歳〜74歳の高齢者
 1割→2割 (08年4月)
・療養病棟入院の70歳以上の高齢者
 食費・居住費の自己負担(06年10月)
▼高額療養費の自己負担限度額引き上げ
▼療養病棟の6割削減(12年4月)
 介護型全廃・医療型を15万床に削減
▼高齢者医療制度の創設(08年4月)
 75歳以上の全高齢者から保険料徴収
▼混合診療の拡大

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週刊『前進』(2247号4面1)(2006/05/29)

 革命的情勢の接近に対応し『前進』を職場に拡大しよう

 05年後期 機関誌活動の教訓

  前進経営局

 4大産別決戦軸に憲法闘争の創造へ

 全世界的に階級闘争が高揚し革命的情勢が急接近し、日本階級闘争は改憲闘争を焦点に歴史を分岐する闘いに入ろうとしている。
 何よりも改憲阻止・日帝打倒の闘いに4大産別のプロレタリアートのヘゲモニーを打ち立てるために総力を上げよう。改憲決戦をプロレタリアートを主体とした日帝打倒の闘いとして闘おうとしているのは革共同をおいて他にはない。このためには4大産別―全産別に党の細胞とそれを取り巻くフラクション(活動家集団)をどれだけ形成できるかが勝負となる。
 何をもってそれを実現するか。それは労働運動の実践をとおして、また独自の闘いで職場・生産点に『前進』を拡大し、機関紙活動を軸にフラクションをつくり、党の細胞をつくることによってである。
 ボルシェビキは第1次世界大戦前のロシアで、日刊の労働者新聞『プラウダ』を職場に広げ、労働者細胞を建設し、金属はじめ主要労組の指導権を確立しプロレタリア革命に勝利した。
 新指導路線のもと「党の革命」を推し進め、労働組合運動を実践し職場・生産点に『前進』を広めよう。この闘いこそ11月労働者集会に1万人を結集し、全世界の労働者に連帯する道である。

 労働者党員が生き生き活動できる党

 労働者党員が党の主人公になってはじめて世界の主人公として登場できる。労働者階級の自己解放性は党の中でこそ発揮されなければならない。そうしてこそ一人ひとりが自分たちの持っているさまざまな力を思う存分発揮できるようになる。労働者党の主体は労働者党員である。党員が職場で生き生き活動することなしに職場の労働者に信頼され、影響力を広めることはできない。
 労働者党の要は会議・機関紙・財政という党活動の3原則にあるが、なによりも細胞会議である。細胞会議は指令や伝達の場ではない。細胞会議で党の方針は生み出され、討議され、決定されて党の方針となり、実践される。細胞会議に党活動は凝縮される。細胞会議の主体は労働者党員である。ここで率直に、自由に、生き生きと発言し、討議し、相互批判を行い、細胞を細胞として作り上げていく。細胞はそこで労働者党員が生き死にする場所となる。
 こうしてこそ自己を革共同として労働者階級大衆の中に真っ向から打ち出して、支持者を獲得しともに闘う労働者革命家を獲得することができる。
 「党外の人びととの関係を変え、ともに闘う立場に獲得していくためには、党内の同志たちを獲得し、一致し、団結して闘うことが一切の前提となります。会議で党員が獲得され、集会の獲得目標をはっきりさせ、一致してその成功のために奮闘する。そして成果と課題をはっきりさせ、さらに次の豊かな実践に発展させていく。この中で党員と活動家、労働者階級大衆の意識的部分が相互に鍛えられていく。こういった運動の発展過程が意識的に生み出されていない……」(04年10月『前進』2171号 大原武史)
 革命的情勢の接近にこたえる労働者党への再生をかけた必死の闘いが新指導路線下の「党の革命」である。
 04年『前進』1・1アピールで「新指導路線を渾身(こんしん)の力で貫き、党の革命をなにがなんでもやり遂げよう」と宣言した。06年1・1アピールでは「11・6集会に結集した4600人が心から信頼し未来を託せる労働者党をつくろう」と訴えた。
 新指導路線=労働組合運動の推進と労働者細胞の建設の実現のためには「党の革命」が必要であった。党が労働者階級の中に入って労働者を組織すればするほど、党がつくりかえられ、党の中にプロレタリア独裁の原理が貫かれていく。新指導路線の実践が「党の革命」を必要とし、「党の革命」が新指導路線を推し進める。「党の革命」は開始されたばかりである。この闘いを大胆に推し進めよう。

 新指導路線確信し新たな機関紙活動

 05年後期の機関紙活動は11月労働者集会を頂点として、その組織過程、11月集会から訪韓闘争の高揚期、その後のマル青労同と機関紙への集約過程とダイナミックに展開された。
 それは労働者同志を主体とした労働組合権力を獲得するための労働者細胞建設の闘いとして進められた、新たな党建設と機関紙活動の開始であった。労働者同志が生き生きと闘った組織が全党を牽引したのである。
 以下3月全国機関紙担当者会議での討議のダイジェストを報告したい。

 組合権力獲得の意識的闘い

 A「総括の視点をどこにおくか。四大産別として党の実体を作り、拠点を作る。自治労職場で激論した。かつて職場にフラクがあったが、組合執行部に入ったとたんなくなってしまった。党の読者網を建設してフラク活動をやっていかなければ組合権力を握ることなどできない」
 B「組合権力をとっているとすべてが組合中心になり、『前進』オルグをきりだせなかった。権力をとっている優位性を活用しつつ、今後は集会に誘ってオルグするとか、食事に誘うとか、1対1の関係形成を追求することがより重要だ。新指導路線についてはなかなか実感できなかった。一大転機となったのは昨年11・6と訪韓闘争であった。ここで新指導路線への確信が一挙にかちとられて、丸ごとといってよい結集をかちとった。一人の青年が『前進』フラクに参加した」
 C「ソビエト権力を樹立する、労働組合権力をとる、そのために労働者革命家をつくることを抜きに『前進』拡大はいかない。権力奪取の主体は労働者だ。現場が職場で闘わなければ蜂起にはならない。現場がこれが必要だと思わなければ『前進』は読まないし拡大しない」
 D「活動の長い同志ほど労働者観がおかしくなってしまっている。闘うのは党で、党が階級を引っ張って行くというような。そうではなく、闘うのは労働者階級で党は階級利害の先頭にたって闘う。労働者が自分の闘いとして組合運動をやる。この運動を一緒にやろうと11月に結集し、党を一緒につくろうと呼びかける。私もある地区で『宣言』の学習会をしてそのようにするまでに3年かかった」
 A「大原論文で独自系列の建設が出されたがこれが弱い。本人達は一生懸命やっているつもりでも現実には他党の尻押しのような運動。○○労組は自分たちの組合をつくる、階級的労働運動をつくることを宣言し、職場で5部拡大した。自分が職場に旗を立てる、ということがないと『前進』拡大はいかない」
 C「『前進』を拡大しろ、拡大しろと言ってもなぜ拡大する必要があるのか実感しなければ現場は拡大しない。○○地区は独自系列作りを意識的にやっている。これまで拠点は○○労組だけであったが、続いて大きな△△労組の指導権を握った。今度は△△労組の影響力を駆使して全戦線の指導権をとろうとしている。そうなれれば『前進』は全戦線で拡大できるようになる」
 労働者党員が主体となり、労働組合権力を握るために職場に『前進』を広げる闘いの苦闘と前進が生き生きと語られた。

 拡大リストの討議で成果が

 こうした活動を先進的に実現している地区組織からは次の報告がよせられた。
 「05年後期拡大闘争は、結果の増部11部は満足していませんが、内容的にかつてない拡大闘争が前進したと判断しています。
 @ポイントは『前進』の細胞会議前の配布、読了運動と拡大リストに基づく拡大の討論の月1回的な実現にあります。
 A拡大リスト(9月スタート)と11月オルグは11月前の拡大闘争が、教労、自治労、福祉、電機の現場同志によって4部成功した。基本会議メモにマル青労同組織方針とともに拡大対象を具体的政策まで提起し、討論するところまで先端で行っているところが成功している。
 B機関紙財政も毎月的に厳格に扱えるようにした。分担額の毎月達成ができるようになってきた」

 『前進』を軸に会議の討論を

 ○○地方の学生戦線は典型的な機関紙活動を実践し、14部の増部と画期的な勝利を実現した。
 「やはり最も決定的だったことは、会議の軸に『前進』をすえるということであった。指導部会議では、必ず全紙面を事前に読了し、討論した。内容的には、とくに4大産別決戦に肉薄し、そこから階級激突と闘いの前進を具体的につかみとっていったことが大きかった。内容もとおりいっぺんの確認ではなく、その時々の具体的な階級激突に肉薄し、4大産別決戦がこう前進しているということを出せるようになってきた。そして、それが分かるのは本当に『前進』しかないと自信をもって断言できる。それが拡大につながっている」
 「拡大対象を毎日の会議で白熱的に論議し、方針を練り上げ、組織的に決定してきたことが重要であった。党員一人ひとりの拡大闘争の方針を議論した」
 「また、マルクス主義の持ち込みを系統的に行ってきたことが拡大につながっている。14部のうち6部は、マルクス主義学習会を重ねる中で定期購読となった。階級的現実とそれに対する怒りの形成、階級対立ということをはっきりさせる学習会を重ねてきたことが重要だった」
 「○○大では05年後期からキャンパス全体のビラまきに支部をあげて取り組み、敵階級の支配を唯物論的に打ち破る展開を行った。党が、敵階級の支配を日々打ち破って主流派的に登場しているということと目的意識的な拡大闘争が結合したときに、『前進』の拡大につながるということが示された」

 労働者性・戦闘性に溢れる紙面改革を

 06年1・1アピールでもうちだされたように、機関紙活動の指針はテーゼ的に打ち出されている。
 第一に、『前進』の読了運動と機関会議・細胞会議での『前進』を軸にした政治討議の活性化、第二に、そのためにも迅速な配布体制と代金回収の闘いを日常的な党活動の中心に据えること、第三に、拡大対象の具体的検討と意識的計画的実践であり、第四に、全党の努力による紙面改革である。
 新指導路線に基づく「党の革命」を柱にこの4点を着実に実践しよう。
 昨年から取り組みを開始した配布の改善は機関紙活動の生命線であり、引き続き強化していきたい。
 とりわけ、職場・産別の報告や「団結ひろば」などへの投稿を軸にして、全読者と全同志の共同の闘いで、労働者性と戦闘性あふれる紙面への変革を大胆に進め、『前進』を闘う労働者・学生・人民の共同の機関紙とすることを強く訴えたい。
 闘う労働者新聞をともにつくり、労働者党をともに建設して、日本革命、世界革命への挑戦権を握りしめよう。

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週刊『前進』(2247号4面2)(2006/05/29)

 米軍再編「最終報告」

 日米同盟「新段階」に 9条改憲攻撃と一体

 座間に世界戦争の前線司令部 辺野古新基地建設阻止を

 日米両政府は5月1日、外務・防衛担当閣僚による安全保障協議委員会(2プラス2)で米軍再編について最終合意し、「共同発表文」と「ロードマップ(行程表)」を公表した。
 「共同発表文」は、日米同盟は「グローバルな課題に対応」し「新たな段階に入る」と宣言した。米軍と自衛隊の一体化を進め、アメリカの世界戦争戦略に日本がどこまでも一体化し、北朝鮮・中国侵略戦争、世界戦争に突き進んでいくという画歴史的な大攻撃だ。
 さらに「共同発表文」は「(日米の閣僚はロードマップの)計画を速やかに、かつ、徹底して実施していくことを確約した」と強烈に確認している。どんな反対の声も徹底的に踏みにじって辺野古新基地建設、座間への最前線司令部移転を始めとする米軍再編を強行するという宣言だ。
 「ロードマップ」の一つひとつの実行過程が、日米安保の「世界安保化」、自衛隊の侵略軍隊への一大変貌(へんぼう)、沖縄―日本全土の基地化と労働者階級の戦争動員をめぐる巨大な激突になる。改憲阻止決戦と完全に一体の闘いとして、新たな安保・沖縄闘争の爆発をかちとろう。

 集団的自衛権全面解禁狙う

 今回の最終合意は、2005年2月19日の「共通の戦略目標」合意、10月29日の米軍と自衛隊の役割分担、基地と兵力態勢の再編案の合意(「中間報告」)に続く第3段階にあたる。
 「共同発表文」は、日米同盟が「将来の課題に対応するため、より深く、より幅広く、発展していく必要がある」とした上で、日米の戦争態勢強化の狙いを、イラク・アフガニスタンへの侵略と戦争の継続、「より広い中東における改革」と称する全中東への戦争拡大、イラン・北朝鮮の体制転覆を狙った戦争に据えている。何よりも、「(アジア太平洋地域における)軍事力の近代化に関してより一層の透明性」を求めるという表現で中国を標的として据えたことは重大だ。
 2002年12月に始まった日米の再編協議では、米軍と自衛隊が「一緒に訓練し、一緒に出兵し、一緒に生活する」(元米太平洋軍海兵隊司令官の発言)までに融合・一体化することが中心テーマに据えられてきた。米軍への基地提供や自衛隊による後方支援にとどまらず、中国・北朝鮮、中東、さらには全世界にむけ、自衛隊が米軍と一体となって出撃し、殺し殺される戦闘に突入するのだ。
 これは、集団的自衛権の全面的解禁を核心とする憲法9条破棄―改憲を絶対的に必要とする。そして戦後憲法のもとでの日本の国家と社会のあり方に根本から変更を迫るものだ。

 「沖縄負担減」は全くペテン

 米政府が最終合意を「実施計画合意(AIP)」と表現しているように、一切はその具体化にある。「ロードマップ」こそが最終合意の本体だ。
 まず冒頭で「沖縄における再編」を確認している。
 沖縄地元紙が「名護は軍事要塞化」(『沖縄タイムス』)と報じたように、普天間基地代替施設としてキャンプ・シュワブ沿岸部を埋め立て、V字形1800b滑走路2本、駐機場、軍港などを備えた巨大基地を建設すると宣言した。
 「負担軽減策」とされる嘉手納基地以南6基地返還もまったくのペテンだ。海兵隊が必要とする全機能は「沖縄の中に移設される」。海兵隊の実戦部隊はすべて沖縄に残る。しかも6基地返還の大部分は1996年SACO合意で返還が確認されたものだ。
 海兵隊8千人のグアム移転も、その本質は北朝鮮・中国をにらんだ臨戦態勢づくりにこそある。辺野古への最新鋭基地建設を軸に沖縄米軍基地をより強化し、キャンプ座間への前線司令部設置、横田基地を軸とするミサイル防衛体制、グアム米軍基地の強化、太平洋軍司令部のあるハワイへの新空母配備などを一体的に進め、戦争態勢の飛躍的強化を狙っているのだ。
 しかも、グアム移転、嘉手納以南の6基地返還、辺野古新基地建設を「パッケージだ」と強く確認していることは絶対に許せない。「ロードマップ」は、6基地返還は「(海兵隊司令部要員の)グアムへの移転完了に懸かっている」↓グアム移転は「普天間代替施設の完成にむけた具体的進展」とグアム移転のための「日本の資金的貢献に懸かっている」としている。普天間基地のあまりの危険性すら逆手にとって新基地建設を強行しようというのだ。普天間基地は即時閉鎖―撤去あるのみなのだ。
 米・日帝国主義は、この「ロードマップ」を実施し沖縄米軍基地を半永久的に固定化し、北朝鮮・中国侵略戦争のための最前線基地にすると宣言したのだ。
 そして日帝・小泉はありとあらゆる圧力と脅迫を加えて名護市―沖縄県を屈服させ、基地と戦争の矛盾を差別的に集中し、これから五十年も百年も「基地の島」「戦場の島」とすると言っているのだ。「新たな琉球処分」そのものだ。

 日本政府の負担総額3兆円

 「ロードマップ」は、さらに日本全土の最前線基地化の計画を展開している。
▼何よりも最大の攻撃は、統合作戦司令部へと改編された米陸軍第1軍団司令部(UEx)のキャンプ座間(神奈川)への移転を再確認したことだ。これは中国・北朝鮮から中東までをにらみ、実際の戦争では米4軍を指揮する最前線の戦闘司令部だ。さらに陸自中央即応集団司令部の座間移転も再確認している。
▼さらに横田基地(東京)に空自航空総隊司令部を移転し、日米共同の統合運用調整所を設置する。日米が一体となったミサイル防衛体制づくりの大攻撃だ。ミサイル防衛の狙いは防衛ではなく、守りを固め、いつでも先制攻撃を始められる体制づくりにある。
 そして、自衛隊3軍の統合運用体制への移行(今春から)にふまえ、日米の戦争司令部がキャンプ座間(陸)、横田(空)、横須賀(海)で一体化した戦争指揮体制を確立しようとしているのである。
▼相模総合補給廠(神奈川)に戦闘指揮訓練センターを建設。これは「中間報告」になかった内容だ。
▼岩国基地(山口県)に、厚木基地の空母艦載機部隊に加え、普天間基地所属の空中給油機部隊も移転し一大拠点として強化する。
▼巨額の財政負担を日本政府が確約した。8年間で総額3兆円、「思いやり予算」などの米軍駐留経費約6千億円と合わせ年間9千億円以上を毎年出し続ける。赤字国債と増税以外に財源はない。

 反対運動破壊の特措法粉砕

 小泉内閣は、最終合意を閣議決定し、関連法案の策定を進めようとしている。小泉は、米軍再編特措法を作り地方への交付金配分にも「成果主義」を導入するとし、「環境影響評価」や「施設着工」などの進展に応じて段階的に交付金を支払う、地元自治体として受け入れを表明しても反対運動などで計画が進まない場合には交付金を支払わないなどと言っている。
 腹の底からの怒りを爆発させ、米軍再編、日米同盟の大改編を絶対に粉砕しよう。沖縄、神奈川、岩国を始め全国基地闘争をさらに強化しよう! 米軍再編関連法案を阻止しよう!
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米軍再編のロードマップ(行程表)の主な項目

沖縄
 普天間基地代替施設(シュワブ沿岸部)→2014年までに完成
 海兵隊司令部要員のグアム移転→2014年までに移転
 嘉手納基地以南の6基地返還→2014年以降返還
 キャンプ・ハンセンの日米共同使用→2006年から可能
沖縄以外
座間
 米陸軍第1軍団司令部の移転→08米会計年度までに
 陸自・中央即応集団司令部の移転→2012年度までに
 ※相模総合補給廠に戦闘指揮訓練センター
岩国
 厚木基地の空母艦載機部隊の移転→2014年までに
 恒常的な夜間離発着訓練(NLP)施設の選定→2009年7月以降早い次期に
横田
 空自・航空総司令部の移転→2010年度
 横田空域の管制業務一部返還→2008年9月までに
MD
 Xバンド・レーダーの配備→運用開始可能となる06年夏までに施設改修
 米軍のパトリオット3の在日米軍基地への配備、運用開始→可能な限り早い時期に運用開始
日米の共同訓練の年間計画→07年度から年間計画策定(06年度に補足計画)

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週刊『前進』(2247号4面3)(2006/05/29)

日誌'06 5月10日〜16日

 「愛国心指導は職務」と小泉

 稲嶺知事が政府案に「合意」

●沖縄知事と額賀長官が合意 沖縄県の普天間飛行場移設問題をめぐり、額賀防衛庁長官と沖縄県の稲嶺知事が防衛庁で会談し、名護市辺野古崎への移設計画について政府案を基本に対応することで合意した。双方は、普天間飛行場の危険性の除去に留意することなどを盛り込んだ基本確認書に署名した。稲嶺は小泉首相とも会談し、「安全保障の問題は国の専管事項。誠意を持って防衛庁、外務省と協議していきたい」と述べた。(11日)
●15年期限「消えた」 稲嶺知事が公約だった従来案の15年使用期限、軍民共用について「従来案は私どもが提示した場所で、その代わりに注文も付けた。政府の専管事項によって前案が消えたので自動的に(公約も)消えた」と述べた。(11日)
●教育基本法の特別委を設置 教育基本法改悪案を審議するための教育基本法特別委員会の設置が衆院本会議で決まった。民主、共産、社民の野党各党は設置に反対した。同日開かれた特別委で森山真弓元法相・元文相が委員長に選ばれた。(11日)
●米政府、一般回線の通話記録を収集 米政府の情報機関で通信傍受を担当する国家安全保障局(NSA)が、通信大手各社から提供を受け、米国内の数百万単位の電話番号、数十億件の通話記録を収集・蓄積する巨大な機密データベースを構築していると、USAトゥデー紙が報じた。(11日)
●米軍再編関連法案検討へ 小泉首相は参院本会議で、沖縄の米軍再編に関して、海兵隊のグアム移転費負担や地域振興策に関する関連法案の策定を検討する考えを示した。小泉は「計画を着実に実施するための施策について、法整備の必要性も含め、検討を進める」と述べた。(12日)
●ブッシュ支持率29%に低下 米世論調査会社ハリスは、ブッシュ政権の支持率が最低の29%に落ち込んだとする調査結果を発表した。不支持率は71%。世論調査結果で同政権支持率が3割を割り込んだのは初めて。(12日)
●「辺野古移転まで普天間使う」  在沖米総領事館のライク総領事は、普天間飛行場の移設計画について「日米が合意したV字形の滑走路を持つという案であり、ヘリポートは含まれていない」と述べ、沖縄県が提案している暫定ヘリポート案の実現可能性を否定した。(12日)
●メキシコ国境に米州兵6千人を派遣 ブッシュ米大統領は、全米向けのテレビ演説で、不法移民対策の当面の措置として6千人の州兵部隊をメキシコ国境に派遣する警備強化策を発表した。(15日)
●沖縄「復帰」から34年 沖縄が本土に「復帰」して満34年を迎えた。前日に開かれた「5・15平和とくらしを守る県民大会」には3500人が参加した。(15日)
●民主党が教育基本法の対案決定 民主党の教育基本問題調査会(鳩山由紀夫会長)が総会を開き、政府の教育基本法改正案の対案となる「日本国教育基本法案」要綱案を正式に決めた。今月中にも法案化して国会に提出する。自民党案よりも反動的な内容。愛国心について前文に「日本を愛する心を涵養」と明記している。(15日)
●教基法改悪案、審議入り 衆院本会議で教育基本法改悪案の趣旨説明と小泉首相らに対する質疑があり、審議が始まった。(16日)
●小泉「愛国心指導は職務」 小泉首相は、教基法改悪案をめぐる衆院本会議の質疑で「愛国心」をめぐる規定について「教員は法令に基づく職務上の責務として児童生徒に対する指導を行っているもので、思想、良心の自由の侵害になるものでない」と述べた。(16日)

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週刊『前進』(2247号5面1)(2006/05/29)

 全国学生は6・15国会デモへ

 共謀罪・教基法改悪粉砕に立ち改憲阻止闘争爆発へ進撃しよう

 法政大退学処分に怒りの反撃を

  革共同中央学生組織委員会

 全国300万の学友諸君! 法政大文学部教授会は5月17日、法大生3人への退学処分を決定した。満身の怒りを爆発させ、ただちに全国から退学処分撤回・平林独裁体制打倒の大反撃をたたきつけよう! 退学処分決定の大反動は、日帝・小泉が強行しようとしている共謀罪の新設、教育基本法改悪案の審議強行、国民投票法案の国会提出策動、そして米軍再編―沖縄・名護への巨大軍事基地建設の攻撃と完全に一体だ。日帝の中国・北朝鮮侵略戦争―新たな世界戦争への衝動が臨界点に達していることを鋭く示すものだ。これに対する回答は、3万法大生と全国300万学生の総決起で、改憲阻止決戦を60年、70年をこえる史上最大の階級決戦として大爆発させることだ。この5〜6月、全国学生は、4大産別を先頭とする闘う労働者とともに国会決戦に総決起しよう。教育基本法改悪をぶっつぶし、共謀罪新設など憲法改悪に向けた反動法案を葬り去ろう。国民投票法案の国会提出を阻止しよう。沖縄・辺野古への巨大軍事基地建設を粉砕しよう。5・26全国大学統一行動、6・2教基法改悪阻止の国会デモ、6・15全国学生1000人の国会デモで、日帝・小泉を打倒しようではないか。あらゆる弾圧・処分をうち破って、改憲阻止300万学生ゼネストへ進撃しよう!

 処分撤回・平林打倒へ無期限ハンスト突入

 全国の学友に向けて、まず第一に訴えたいことは、3人の法大生(文学部生)に対する5・17退学処分決定を徹底的に断罪し、改憲阻止・退学処分即時撤回・平林独裁体制打倒を掲げて、5〜6月法政大決戦に猛然と総決起することだ。
(写真 退学処分決定を撤回せよと怒りの無期限ハンストに決起し、すべての法大生にアピールする文学部生
 まずはっきりさせるべきは、3人の法大生に対する退学処分は百パーセント不正義であり、デタラメであり、こんな決定はまったく無効であるということだ。退学処分を強行した平林総長、それを追認した文学部教授会を絶対に許すな! 2人の法学部生に対する5・22法学部教授会での退学処分決定を阻止しよう!
 文学部・法学部の5人の法大生は、ただちに無期限ハンストに突入し、キャンパスのど真ん中に改憲阻止・退学処分粉砕の立て看板を出して、徹底抗戦を開始している。
 本当の闘いはこれからだ。ファシスト平林と法大当局に対して、全国から徹底弾劾の怒りをたたきつけよう! 全国から法政大にかけつけよう! 5・26法政大包囲デモを先頭に全国大学統一行動の大爆発をかちとろう! 
 そもそも3人の法大生が処分される理由など、何一つない。法大から即刻追放されるべきは、公安警察と結託して3・14法大弾圧を強行し、改憲攻撃の最悪の先兵と化した平林総長、お前の方だ。
 3・14法大弾圧は、警察権力と法大当局が結託し、200人もの公安刑事をキャンパスに突入させて、立て看板・ビラ規制に抗議する学生29人をデッチあげ逮捕するという、大学史上例のない一大言論弾圧事件だ。しかもそれは、「憲法改悪阻止を呼びかける看板を出すことは今後一切認めない」という、まさに日帝・小泉が憲法改悪・国民投票法案でやろうとしている攻撃を地で行くものであり、改憲攻撃そのものだ。
 この大弾圧に対して、法大生5人を先頭にした29人は、全員が完全黙秘・非転向を貫き、3月25日に全員の奪還をかちとり、30日には不起訴が確定した。
 ところが平林総長は、学則の規定にもない「自宅謹慎命令」を打ちだし、5人がキャンパスで3・14法大弾圧の事実を語ることすら禁圧しようとしてきた。キャンパスや正門前でのビラまきに対しては、連日、十数人の教職員が公安警察と一体となって、妨害・弾圧を繰り広げてきた。キャンパスで5人の法大生と会話していた学友に対し「学生証を見せなければ、学外者と見なす」などという恫喝(どうかつ)まで加えた。
 4月28日には、集会の監視弁護のためにキャンパスを訪れた弁護士の発言を力ずくで妨害することまでやってきた。5月に入ってからは、全サークルの立て看板をキャンパスから強制撤去し、教職員の数多くの反対意見をも一切無視抹殺して「総長選挙の廃止」を強行してきた。平林のやっていることにはなんの整合性も合理性もない。ただひたすら、日帝・支配階級の利害を積極的に体現して、改憲阻止闘争を暴力的に圧殺し、ファシスト的独裁支配を確立し、法政大を日帝・支配階級の侵略と反動の牙城へと大改造してしまおうとしているのだ。
 法大決戦は、こうした超反動的なキャンパス支配をうち破り、改憲阻止決戦を闘う学生運動がキャンパス支配権を実力で打ち立てていく過程へと完全に突入した。5人の法大生の不当処分撤回を求める署名は1200筆を超え、その中から新しい活動家が生み出され始めている。4・28法大包囲デモの際には、数百人の法大生がキャンパスを埋めつくし、平林と法大当局への抗議の意思を示した。そして全国の労働者・学生・人民もまた、法政大での日々の攻防を「わがこと」ととらえ、様々な方法で法大決戦に関わり、全国的闘いを展開している。4〜5月の法大決戦は、平林独裁との非和解的激突をとおして、改憲阻止300万学生ゼネストへの最先端的な闘いを切り開いてきたのだ。
 5・17文学部教授会の退学処分決定は、法大決戦の前進が生み出した巨大な反動である。だが、われわれは、この反動の中に、3万法大生を先頭にした全国学生の怒りの総決起への日帝・支配階級の恐怖をはっきりと見てとることができる。敵の反動に対しては、それを上回る革命的な闘いを激しくたたきつけていくのみである。
 日帝・小泉は、5月16日から教育基本法改悪案の国会審議を開始、さらに国民投票法案を与党単独で国会提出すると打ち出した。17日には改悪入管法の参院採決、18日には医療制度改悪法案の衆院採決を強行し、共謀罪新設などの反動法案を一気に押し通そうとしている。この国会情勢の緊迫と5・17退学処分決定は偶然ではない。改憲阻止決戦とは、「戦争か革命か」「革命か反革命クーデターか」をかけた最大最高の階級決戦だ。
 そうである以上、闘いの爆発に恐怖する国家権力の弾圧や、資本や大学当局の処分攻撃は、これからますます不可避であると言わざるをえない。重要なことは、弾圧や処分を恐れず真っ向から闘いぬくことだ。階級的団結を固めて闘えば必ず勝てる。
 3万法大生諸君、全国300万の学友諸君! 不当処分と対決し安全運転闘争を闘う動労千葉、「日の丸・君が代」強制と闘う教育労働者の決起に学び、5〜6月法大決戦を徹底的に闘おう。教基法改悪阻止・改憲阻止の国会決戦に総決起しよう。

 国会を怒りで包囲し教基法改悪つぶそう

 第二に訴えたいことは、5〜6月国会決戦に総決起し、共謀罪新設そして教育基本法改悪を万余の労働者・学生・人民の実力で阻止しようということだ。
 日帝・小泉は、教育基本法改悪を憲法改悪への正面突破と位置づけ、通常国会の会期を延長してでも強行成立させようと狙っている。すでに16日から、特別委員会のもとで法案審議が強行されている。しかも小沢・民主党は、独自の教育基本法改悪案を提出しようとしており、「愛国心」をめぐって自公と民主が互いに反動を競い合うという許しがたい状況になっている。
 さらに恐るべきことは、この民主党案に、日教組本部=森越執行部が完全に賛成していることである。日教組が掲げてきた「教え子を再び戦場に送るな」のスローガンを売り渡すというのか。日教組を自ら解体し、率先して戦争協力していくのか。絶対に許せない!
 この現実に激しい階級的危機感と怒りを爆発させ、闘う教育労働者とともに総力をあげて国会決戦を闘おう。全国大学からただちに国会派遣団を組織し、教育基本法改悪を何がなんでも阻止しよう。6・2−6・15国会デモに向かって、全国大学のキャンパスで、教基法改悪案の階級的暴露を徹底的にやろう。
 教育基本法は、労働基準法、地方自治法と並んで、戦後憲法体制を支えてきた法律である。その教育基本法の改悪とは、憲法改悪に直結するものであり、戦後憲法体制を解体し、社会のあり方を戦時体制へと根本から大転換させる超ど級の大攻撃だ。
 何よりも教基法改悪は、われわれ青年・学生を侵略戦争の兵士に仕立てあげるための許しがたい攻撃だ。〈国のために、天皇のために死ぬ人間になれ〉ということをすべての青年・学生に突きつけ、強制しようとするものだ。教基法改悪と憲法改悪を今ここで許したら、われわれ青年・学生が、中国・北朝鮮侵略戦争の戦場に総動員されることになるのだ。そんなことは絶対に許せない! われわれが闘うべき相手は、日帝・小泉だ!
 政府の教育基本法改悪案は、現行法にある軍国主義教育との決別を意味する文言をすべて削除し、「真理と平和を希求する人間の育成」から「真理と正義を希求し、公共の精神を尊び、豊かな人間性と創造性を備えた人間の育成」「伝統を継承し、新しい文化の創造を目指す教育を推進」に変えた。「平和を希求する」を削除し、「公共の精神」「伝統の継承」に変えたことがきわめて重大だ。「公共の精神」とは、国家のために命を投げ出せということであり、「伝統の継承」とは天皇制支配を永遠のものとして継承せよ、ということだ。自民党新憲法草案の前文が現行憲法の「戦争への反省」を削除し、「象徴天皇制は、これを維持する」「日本国民は、帰属する国や社会を愛情と責任感と気概をもって自ら支え守る責務を共有し」と明記したことと完全に一体だ。国のため、天皇のために命を投げ出す人間をつくるための戦争教育へと大転換させようとしているのだ。
 しかも政府案は、第2条に「教育の目標」を新設し、「愛国心」教育を公然と打ち出している。そこでは「伝統と文化を尊重し、それらをはぐくんできた我が国と郷土を愛するとともに、他国を尊重し、国際社会の平和と発展に寄与する態度を養う」などと書かれている。まったくとんでもない話だ。「我が国を愛する態度を養う」などということが教育目標とされたら、学校は戦争教育・「愛国心」教育の場にされる。これ自体が差別・選別教育の徹底でもある。しかも「我が国」などという文言は、在日朝鮮人・中国人や外国人労働者の子弟を学校教育から完全に排除しようとするものだ。新たな皇民化教育そのものだ。
 さらにここでの「他国を尊重し、国際社会の平和と発展に寄与する」とは、「自衛軍の保持」「国際的に協調して行われる活動」を明記した新憲法の制定と一体だ。日帝が多国籍軍に参加して「国際平和」の名のもとに公然と侵略戦争を遂行することに「寄与する態度を養う」ということだ。
 「愛国心」教育に関して小沢・民主党の対案は、より反動的に「日本を愛する心を涵養(かんよう)し、祖先を敬い、子孫に想いをいたし」などとしている。これはまさに、「つくる会」教科書の八木、ファシスト石原の思想そのものだ。小沢・民主党案は、より根底的な思想教育の強制である。教基法改悪攻撃・改憲攻撃をより決定的に強める役割を果たすものだ。
 さらに国家権力による教育現場の支配を禁じた現行法10条の解体は重大だ。軍国主義教育との決別をうたった10条が、まったく逆に、教育労働者に国家の方針どおりの教育を強制する条項に大転換させられようとしているのだ。小泉は、16日の衆院本会議で「愛国心指導は教員の職務上の責務」とまで答弁している。「日の丸・君が代」に対する起立・敬礼・斉唱指導などは「責務」であり、それができない教育労働者はクビだと言っているのだ。ふざけるな!
 また政府案には、「第7条 大学」の項目が新設されている。「大学は、……高い教養と専門的能力を培う」「これらの成果を広く社会に提供することにより、社会の発展に寄与する」ことが使命であるというのだ。大学は、格差社会を徹底的に推進する場として位置づけられ、帝国主義間の死闘と侵略戦争の時代に勝ち抜くための人材育成と産官学共同の強化に貢献せよと言っているのだ。
 現在の法政大がまさにこの典型だ。学生を単なる資源・モノとして扱い、国家のため天皇のために死ねなどという大学などいらない! 断固拒否だ!

 学生の怒り解き放ち改憲阻止ゼネストへ

 第三に訴えたいことは、改憲阻止300万学生ゼネストに向かって、自民党憲法草案をずたずたに粉砕しつくそうということだ。
 とりわけ9条改憲という日帝の戦争国家化攻撃の核心部分に攻め込み、「自衛戦争」論を労働者階級の階級的立場に立ちきって徹底的に批判しつくすことだ。
 はっきりさせるべきは、「自衛戦争」などというものは、現実には米帝ブッシュが開始している世界戦争のスローガンであり、侵略戦争の代名詞以外の何ものでもないということだ。いま「自衛」とか「国を守れ」とか「国際平和」などということを声高に叫んでいるのは誰か。ブッシュであり、小泉であり、奥田ではないか。圧倒的多数の労働者階級を24時間365日支配し、抑圧し、搾取している一握りの帝国主義ブルジョアジーどもだ。米帝ブッシュのイラク侵略戦争も「対テロの自衛戦争」という名で行われているではないか。現代の帝国主義の戦争はすべて「自衛戦争」の名で行われているのだ。
 在日米軍再編の最終報告を見よ。日米安保は世界的な軍事展開のための新たな軍事同盟へと大改定され、まさにこの新軍事同盟でイラク侵略戦争を継続し、イラン、北朝鮮、中国などへと侵略戦争を拡大していくことが狙われているのだ。このきわめて具体的な世界戦争計画を遂行するための在日米軍再編であり、沖縄・辺野古へのV字型2本の滑走路をもつ巨大軍事基地建設なのだ。
 「北朝鮮が攻めてきたらどうするのか」などという主張は、まったくの転倒であり、徹頭徹尾、支配階級のイデオロギーだ。実際には米帝に次ぐ第2の軍事力をもつに至った帝国主義国家・日本が、「自衛権」を振り回して、米帝とともに中国・北朝鮮侵略戦争に突入しようとしているのだ。そのために桎梏(しっこく)となった現在の憲法を完全に破棄して、まったく異なる「新憲法」をつくろうとしているのだ。
 確かに現在の日本はとてつもない危機に直面している。だがそれは、日本帝国主義の危機であり、すべて一握りの資本家階級が生み出した危機なのだ。日帝の公的債務残高は1000兆円を超え、もはや戦争によってしか解決できないレベルに達している。
 その中で、首切り・賃下げ・労組破壊の大攻撃が吹き荒れ、今や労働者の4人に1人が年収150万円以下の生活を強いられている。しかも戦後的な社会保障制度を全面的に解体して、生存権さえ奪い去ろうとしている。その上どうして、帝国主義国家のために労働者階級は命を投げだし、帝国主義の侵略戦争に協力し、他国の同じ労働者との殺し合いをさせられなければならないのか。ふざけるな! という話だ。
 フランスで、アメリカで、ドイツで、イギリスで、韓国で、全世界で数千数万の学生が、労働者階級とともに決起し、帝国主義打倒のプロレタリア革命に向かっている。われわれ日本の学生もまた、4大産別を始めとする労働者階級とともに改憲阻止決戦の大爆発をかちとり、帝国主義打倒へと突き進もう。
 すべての闘う学友は、マルクス主義学生同盟中核派に結集しよう。

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週刊『前進』(2247号5面2)(2006/05/29)

 新潟・新発田 “壮行会”を直撃 イラク10次派兵許すな

 4月28日、小泉内閣は第10次イラク復興支援群の派遣命令を発令した。群馬、新潟、長野や栃木、茨城の自衛隊部隊から総勢550人が、5月上旬から順次派遣される。新潟県内2カ所の駐屯地(新発田、高田)からは、合わせて約100人が派兵される。派遣部隊の群長には新発田駐屯地司令・山中一佐が就いた。
 29日午前に新発田駐屯地で家族・関係者を集めて「壮行会」を行うという情報も前夜判明した。これは派兵反対運動の強まりの中で、派兵行事、出発日程を一切発表できなかった証でもある。
 これに対し、新発田市で「4・15人間の鎖行動」を行った地元4団体が翌29日、新発田駐屯地司令への「第10次派遣命令への抗議と中止を求める」申し入れを行った。「とめよう戦争への道!百万人署名運動」や「しばた9条ネット」、平和センターの労働者・市民20人以上が「もしかしたら今日出発かもしれない」という危機感をもって集まった。代表が請願書を読み上げた後、参加者全員で「派遣命令弾劾」「自衛隊はイラクに行くな」「直ちに撤退しろ」とシュプレヒコールをあげた。
(写真 小泉内閣の第10次イラク派兵に怒りのこぶLをたたきつけた【4月29日 新潟・新発田駐屯地)

 参加する家族にチラシ配布

 その後、駐屯地前での宣伝・監視行動が、「壮行会」の終了する昼過ぎまで続けられた。圧巻だったのは、11時の式開始に合わせて、続々と駐屯地に入っていく家族・関係者に対し、百万人署名運動の仲間がチラシを配布し、ハンドマイクで訴え続けたことである。隊員の家族を中心に数十枚のチラシが配布され、新発田駐屯地司令や地方総監部の幹部もこの宣伝行動を目の当たりにして「壮行式」に出席していったのである。式典開始後もハンドマイク街宣を続けたが、後で取材マスコミの人が「よく聞こえたよ」と伝えてくれた。集まった隊員、家族に対して派兵反対のアピールはしっかりと届いた。
 新潟では、06年冒頭から自衛隊のイラク派兵反対運動を何としてもつくり出そうとしてきた。「イラクからの撤退」が流布される中で、他のあらゆる勢力が沈黙していたが、それを動かし「4・15人間の鎖行動」など共同の闘いを実現した。しかも、自衛隊員を闘いの側に獲得する姿勢に立ち切って、自衛隊員・家族へのアピールを続けてきた。県内の自衛隊部隊のイラク派兵が始まった。米軍支配が破たんし、泥沼化するイラク侵略戦争。「殺す、殺される」事態が現実に起こる危険性はかつてなく高まっている。その時こそ、われわれのイラク派兵反対運動の真価が問われるだろう。これに備え、闘いを継続していこう。
 (投稿/新潟 T・F)

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週刊『前進』(2247号5面3)(2006/05/29)

 天神峰本部裁判 “提訴取り下げよ” 更新手続きでNAA弾劾

 5月11日、千葉地裁で天神峰現闘本部裁判の第11回口頭弁論が開かれた。今回は裁判長と右陪席裁判官が交替したために、更新手続きが行われた。
 葉山岳夫主任弁護人は「意見表明」として、三里塚闘争の歴史を踏まえて空港建設の不当性を全面的に明らかにした。とりわけ空港公団総裁から現在は成田空港会社(NAA)社長に収まった黒野が、平身低頭謝るポーズをしながら実際には悪質地上げ屋もどきの暴力的な追い出し攻撃を三里塚農民に行っていることを断罪し、提訴を直ちに取り下げるべきだと原告のNAAに要求した。
 今後の立証計画を確認する中で、前回公判で矛盾点を鋭く追及された「地代支払い」問題について、NAAは「(地主の石橋家は)地代を受け取っていない。領収証は形だけ」と述べた。反対同盟の地上権を否定するためにのみ、こんなデタラメを言い張るのだ。
 公判終了後に反対同盟の記者会見が行われ、北原鉱治事務局長は「石橋家は闘争から身を引くことに苦痛があったから反対同盟に土地を提供して出ていったのだ。年間5万円の地代はきちんと支払われてきた」と原告を弾劾した。
 続いて支援する会の例会が開かれ、萩原進事務局次長が「三里塚の闘いを全国化する中で会員拡大を」と訴えた。代表世話人の戸村義弘さんは共謀罪法案に対し「私の口もふさがれることになる」と弾劾した。
 関西からかけつけた世話人の永井満さんは「地元関西でも集会を積み重ね、今年を三里塚の年にしよう」と力を込めて提起した。また群馬の世話人の青柳晃玄さんが「三里塚を第二のふるさととする星野文昭君の早期釈放を」と訴えた。
 動労千葉特別執行委員の後藤俊哉さんは、動労千葉が尼崎事故1周年で安全運転行動を行ったことを報告した。
 最後に全体で6・25東京集会、7・2現地総決起集会の大成功と、7月6日(木)の次回公判への結集を確認した。
(写真 公判終了後に記者会見し、「地代支払い」問題でのNAAのウソを弾劾する北原鉱治事務局長)

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週刊『前進』(2247号6面1)(2006/05/29)

団結ひろば 投稿コーナー

 5・15沖縄闘争 今年は職場の仲間と沖縄へ 関東 奥村理恵

 34年目の沖縄5・15闘争を、仲間とともに闘ってきました。今回私にとって感動的だったのは、昨年初めて参加した青年労働者が、今年は組合や地域の青年を連れて参加したことです。
 「昨年参加したことが、組合で闘う自分にとって本当にプラスになった。だからこれから自分が仲間になって欲しい青年と一緒に行きたい」と、成果主義賃金や業務の一部外注化など激しい攻防を連日組合の最先頭で闘う彼が、彼自身の言葉で仲間をオルグしともに参加してくれたのです。
 地元の青年交流集会では、「職場の闘いと戦争反対の闘いは一体だ」「労働者の力こそが、改憲も戦争も基地建設も止められる!」と議論を重ねてきました。今回の沖縄行動は、そうしてつくってきた団結にさらに確信を与えてくれるものでした。
 何よりも、沖縄の怒りの声! そして辺野古で闘う青年の「やぐら撤去は、私たちの力でもぎ取ったものだ。しかし私たちだけではない。職場で闘う皆さんと一緒にかちとった勝利です。そのことを忘れないで下さい」という熱烈な訴えに、皆胸を熱くしました。「そうだ、私たちの闘いは、こことつながっているんだ!」と…。
 とは言え、初参加者の反応は?…と少し心配でしたが、「何と言っていいか…とにかく、憤ります」という、親が沖縄出身の青年や「ショッキングな内容。自分が知らなかった現実を見た。けれど僕も帰って、必ず職場や組合で広げたい」「米軍に『敵だ』と言うより、軍服を脱いでともに未来をつくろう、と言いたい」等の感想。
 仲間と一緒に、本当に大事なことをつかんだ、熱い熱い3日間だったと思います。この仲間たちとともに戦争を止め基地を止める! 動労千葉のような階級的労働運動をつくり出したいと、思いを新たにしました。

 5・15沖縄闘争 皇民化教育の結果に衝撃 東北大学 I

 僕は今回初めて沖縄ツアーに参加しました。ひめゆりの塔やガマなどの「過去の沖縄」に対する犠牲の歴史、そして米軍基地や辺野古に見られるような「現在の沖縄」に対する犠牲の現実、しかし、県民大会などでの展望のある、圧倒的な青年・若者を中心とした怒りの決起が開始されているということを、しっかりと確認できました。
 とりわけ、知花さんにチビチリガマを案内してもらった時に、「アメリカに捕まる前に自分で死ね、子を親の手で殺すことが、子に対する親の愛だというような皇民化教育がなされた結果このようなことが起きた」ということを聞き、非常に衝撃を受けました。親が子を殺すということは精神的に耐え難い苦痛だと思うし、何よりもこんなことを戦前の帝国主義国家が強制させたということは絶対に許せないと思いました。そして、その帝国主義・日本が教育基本法改悪や改憲を行って、再びこの歴史を繰り返そうとしていることが本当に許しがたいと思い、怒りが込み上げてきました。このようにすることでしか生き延びられない国家など本当に倒すしかないと強く思いました。
 やはり、沖縄に犠牲を押し付ける在り方を変えるには、本土の人民、特に僕ら学生や若者が先頭に立って闘わなくてはいけないと思います。実際、今、米軍再編の一環として新たな基地が造られ、沖縄の基地が永久に固定化されようとしています。沖縄の人々はこれ以上の犠牲はもう許せない!と本当に怒って立ち上がっています。しかも、辺野古の勝利は、僕たち若者の闘いは圧倒的に正義だし、闘えば勝てる!ということを示しました。今こそ本土が立ち上がって沖縄と連帯して闘えば、この社会の現実だって、戦争・改憲だって阻止できるということを確信します。
 東北大は沖縄の人々と連帯し、改憲・戦争をとめるために行動していきたいと思います。全学ストライキでこの社会のあり方を変えるために闘っていきます! ともに頑張りましょう!

 5・15沖縄闘争 闘う仲間に「距離」はない 千葉 土田研吾

 今回5年ぶりに沖縄へ行って来ました。現地では本当に「島ぐるみ」の闘いがまきおこっています。なんとしても新たな基地建設をとめて、戦争阻止の闘いをもっともっと爆発させようと思います。その要(かなめ)は本土の労働者の決起であり、本土と沖縄の、ともに虐げられている者が団結すれば、戦争をやめさせ、共通の敵、帝国主義は必ず打倒できると確信しました。
 沖縄では闘う仲間と話をする機会が多くありました。今回たまたま知り合った沖縄の青年部活動家が、私たちの交流会に合流してくれて、仲間への想(おも)い、資本への怒りなどさまざまな話を聞かせてくれました。闘う仲間に「距離」はありません。
 そして辺野古では本当に海上ヘリ基地建設をとめた話を聞きました。現地・本土・全世界の労働者が結びついた成果だと思います。
 一方で一握りの本土の資本のために、沖縄の資本まで利用しつくしている現実を見れば、本土の労働者が本当に沖縄と連帯できる闘いをしなければならないと思います。本土と沖縄の間にはイムジン河(深くて大きい溝)が流れていますが、団結と連帯でそれをのりこえていけると確信しています。

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 正念場の国鉄闘争へ「許さない会」が集会 東京・西部 井坂仁

 中野で行われた「国鉄闘争勝利!4・21集会」に参加した。
 開会のあいさつで、1年前のこの集会直後に尼崎事故が起き、動労千葉の安全運転闘争から7・15集会、さらに9・15判決、そして事故は東日本でも続き、今年の2・16集会、4・4集会という1047名闘争の大きな動きの中でこの集会が開かれていると提起された。
 集会は冒頭、西部許さない会会員による「朗読劇」だった。5・27の公判の中の検察側証人の矛盾、デタラメさをハッキリさせる脚本と構成になっており、その努力に敬服。河村弁護士は事件・裁判・自分の思いの全体を20分でまとめるというシャープな講演だったが、静かな熱血漢であることが分かった。もちろん裁判の現状が、検察側立証を突き崩してきた段階から弁護側立証―積極的に無罪をもぎとる段階に入ることもよくわかった。松崎被告団長は、1047名闘争と5・27臨大闘争弾圧との闘いの一体性を強調し、4・4の日比谷集会全体―国労委員長発言への野次も含めて―の意義を語った。
 集会の一方のメインは、動労千葉の講演。川崎執行委員は、最初に1047名闘争当該労組として、また5・27をともに闘う立場を明らかにして、この1年の大事故の連続と安全運転闘争、運転保安闘争の経過と意義をわかりやすく展開された。特に、安全運転闘争をとおしていかに対JR会社への圧力と同時に、組合内部が強まるか、運転席での闘いのリアルさ、組合内部での率直な討論も紹介された。「闘いなくして安全なし」のスローガンの意味をさらに考えさせられた。
 地域の労働者、国労の労働者の発言が続いた。
 今、5・27裁判と1047名闘争がより一体になり、勝っていくために必死に闘う段階に入ったのでは、と思った。そのためにも、集会でも強調されていた『奴隷の道を拒否せよ』の本を多くの労働者に読んでもらおう。

 「国を愛せ」と主張する人を哀れに思う 千葉 Y・S

 「国を愛することは大切」という主張に接すると、いつも怒りとともに哀れみを感じます。その人にあっては、「機構」がまず第一にあって、その構成員であるところの人間がないがしろにされているからです。
 私たち労働者階級は仲間を大切にします。けれども「国を愛せ」と叫ぶ人びとは、その構成員を大切にしていません。小泉首相は労働者を大切にしていません。「日の丸・君が代」を押しつける学校長は、教員と生徒を大切にしていません。結局、その構成員を大切にすることよりも、機構によってその構成員を統制することに目的があるからです。
 今の日本は帝国主義国家であり、それは私たち労働者階級を支配・統制するための暴力機構です。ですから、支配されている側は、その支配の論理に屈服しては絶対になりません。
 私たち労働者が依拠すべきものは、機構ではなく仲間です。私たちの労働組合もたしかに機構です。しかし私たち労働者は、仲間を大切にし、団結を固めて資本と闘うために労働組合を日々主体的につくっているのです。誤解を恐れず言えば、私たちは、機構としての労働組合を大切にしているのではなく、労働組合に結集する仲間と闘いを大切にしているのです。国家の実体が支配のための機構だとすれば、労働組合の実体は、労働者自身の団結と闘いです。
 「国を愛せ」と主張する人を哀れに感じるのは、自己の主体性と真の仲間を喪失し、機構に頼らなくては生きていけない非人間的なあり方をそこに見るからです。

 映画「白バラの祈り」抵抗を語り継ぐこと 東京 浪暮明日香

 冒頭に流れるのはとろけるように甘いジャズの調べ。これで主人公ゾフィー・ショルが音楽を愛する普通の若い女性でもあることを示すと、反ナチスの抵抗グループ「白バラ」を描いた劇映画としてストーリーはテンポよく進む。抵抗といってもビラを配ったり壁に落書きするだけなのだが、それでも当時のドイツでは命がけなのだ。
 大学構内で反ナチのビラをまいたゾフィーと兄のハンスは逮捕され、不当な裁判の果てにギロチンで処刑されてしまうのだが、そこには信念を貫いた者の毅然(きぜん)とした姿があった。
 この映画にはいくつか疑問に思う所もある。取り調べにおけるゾフィーの自白が早すぎるのではないか、尋問官や裁判官が弱々しすぎて権力の怖さが感じられない、刑務所での扱いが紳士的すぎやしないか、終盤の神父のシーンに見られる殉教者的・宗教的イメージはどうか、密告した市民の姿が希薄だ、等々。
 しかし、私たちはこの映画を「自分ならどうする」と考えながら見るべきだと思う。巨大なカギ十字が学校や街角にたなびいている場面にはギョッとさせられるが、今の日本における日の丸の用いられ方はどうか。反戦のビラ配りや落書きで逮捕されることも他人事ではない。
 それにしてもうらやましいのは、ドイツ人がこういう映画を作れること。日本人が戦時中を振り返った作品とは大違いだ。「白バラ」やボンヘファー牧師のような抵抗者の物語を持たないことは、私たちにとって不幸である。

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週刊『前進』(2247号6面2)(2006/05/29)

 指紋強制で治安強化狙う 改悪入管法粉砕へ

 「テロの未然防止」を掲げた入管法(出入国管理及び難民認定法)改悪案が、5月17日に参院本会議で賛成131(自民・公明など)、反対94(民主・共産・社民・無所属)で可決・成立した。
 戦時治安体制の確立を狙った今次入管法改悪を徹底弾劾する。来日する外国人をすべて「テロリスト予備軍」と見なして指紋を採り、差別・排外主義に日本の労働者人民を動員しようとする攻撃に怒りを燃やし、共謀罪とともに改悪入管法を粉砕しよう。
 日帝の侵略と戦争、植民地支配の生き証人として日本社会に存在する在日朝鮮人・中国人を先頭にした闘いによって指紋押捺(おうなつ)制度は00年に完全撤廃された。自衛隊のイラク派兵下、日米同盟再編と本格的な戦争国家体制確立、9条改憲のために日帝・小泉政権は再び指紋制度を治安体制のかなめに据えようとしているのだ。
 日帝・小泉政権は「主たる目的はテロリスト対策であり、従たる目的が出入国の適正な管理」と公言し、日本を訪れる年間700万人を超える外国人(16歳未満、特別永住者などを除く)に指紋・顔写真などの生体情報の提供を強制するばかりか、法務大臣が一方的にテロリストと認定する者を退去強制の対象とするというのだ。しかも入手した生体情報は半永久的に保管される。
 さらに「上陸審査手続の一層の簡素化・迅速化」と称して、日本人及び特別永住者にも指紋・顔写真などを事前登録したICカードを使う「自動化ゲート」が導入される。これはアメリカで9・11反米ゲリラ戦闘後、「テロとの戦い」と称して04年に導入されたUS−VISIT(入国時の指紋認証システム)の日本版としてアメリカに次いで導入される。このソフトウェアの開発・運用は同一企業(アクセンチュア社)だ。
 膨大な個人情報が日米の入管当局と警察・捜査機関、さらには軍部にまで握られる可能性もあり、ここにも日米同盟再編の狙いが貫かれている。
 国境を越えた労働者階級の連帯こそが勝利と未来を切り開くカギだ。排外主義には国際主義を対置し、共通の敵=日米帝国主義を打倒しよう。在日・滞日外国人と連帯し戦時入管体制をズタズタに食い破ろう。共謀罪とともに改悪入管法をあくまで粉砕しよう。

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週刊『前進』(2247号6面3)(2006/05/29)

 外登法・入管法と民族差別を撃つ

 入管法改悪攻撃のさなか、日本の労働者人民と在日・滞日外国人の共同闘争として外登法・入管法と民族差別を撃つ研究交流集会(同実行委主催)が東西で開かれた。以下の報告が寄せられた。(編集局)

 全国 排外主義と闘う 入管法改悪に怒り

 第17回外登法・入管法と民族差別を撃つ全国交流集会の報告をします。入管法改悪攻撃が切迫する5月7日、横浜市の鶴見公会堂で開催され、420人が集まりました。
 呼びかけ人を代表して、在日台湾人・元日本兵の林歳徳さんが「闘う日本人が人民共和国をつくるまで私は死に切れない。頑張りましょう」と力強く開会を宣言しました。
 連帯のアピールは、共謀罪廃案へ最先頭で闘う「破防法・組対法に反対する共同行動」、「原子力空母の母港化に反対し基地のない神奈川をめざす県央共闘会議」、都高教・「日の丸君が代」被処分者、反住基ネット連絡会が、闘う立場から発言しました。
 千葉大学教授の三宅晶子さんの記念講演は教育基本法改悪案が提出されるという緊迫した中、危機感に満ちたものでした。改悪案の逐条批判を行い、「ぜひ止めましょう! あきらめないこと、行動することです」と6・2全国集会への結集を呼びかけました。
 「らい予防法と入管体制−ソロクト・楽生院訴訟が問うもの」と題する特別講演は、ソロクト不当判決に対して「らい予防法と入管令は一体の政策として行われた」と日本政府の戦争責任を鮮明にし、入管体制の批判を深化させるものとして問題意識を喚起させるものでした。
 牛久入管収容所問題を考える会の田中喜美子さんは、難民として日本に逃れてきた人びとが「私たちを人間として認めて下さい」と叫んでいることを生々しく語り、「敵をはっきりさせよう」と訴えました。
 基調報告では拉致問題を始めとする排外主義攻撃を徹底的に批判し「入管法改悪と改憲を一体で阻止しよう! 署名を集めよう!」と各地での共同闘争の飛躍を訴えました。この提起に絶対にこたえようと思いました。
 昨年に続いて、激化する民族差別と闘う尼崎入居差別訴訟原告、石原による枝川民族学校土地取り上げ訴訟弁護団のアピールもありました。
 全日本建設運輸連帯労働組合関西地区生コン支部のメッセージが代読され、動労千葉がアピール。最後に入管法改悪・共謀罪新設・国民投票法案阻止、改憲阻止へ団結ガンバローとこぶしを突き上げました。
 排外主義と対決して共同闘争を強化しよう! 入管法改悪は外国人の治安管理をテコに戦時体制を敷く狙いがあります。特に在日朝鮮人・中国人を先頭にかちとった指紋撤廃を踏みにじり、再び侵略戦争を行うことです。この集会で確認されたことを共同の決意として、改憲と一体の戦争のための入管法改悪を粉砕しましょう!(M・M)

 関西 広がる共同闘争 団結・連帯が力発揮

 4月23日、第15回外登法・入管法と民族差別を撃つ関西研究交流集会が京都大学法経4番教室で開かれました。在日朝鮮人を始め、多くの在日・滞日外国人を含む390人が集い、入管法改悪と対決し排外主義と闘う共同闘争として濃密な集会となりました。
 「日本は今、明治に戻るんじゃないか。憲法や教基法の改悪、共謀罪、入管法改悪……いろんな運動をやっている人たちが連携して闘う時だ」と、在日研究フォーラムの李相泰(イサンテ)さんが開会あいさつ。
 尼崎入居差別訴訟原告、在日韓国人弁護士入居差別訴訟原告が民族差別の撤廃に向けての闘いを報告。在日外国人「障害者」の年金訴訟を支える会は「差別の壁は厚い。不当な差別に黙らないことが当事者の私の責任です」と決意をきっぱりと語りました。
 闘う労働運動の現場から全国金属機械労組・港合同、労組破壊の不当弾圧に立ち向かう全日建運輸連帯労組関西地区生コン支部が発言しました。港合同の辻岡尚さんは、倒産攻撃との激闘を振り返り、「労働者が立脚するものは団結権しかない」と断言。関生の高英男(コヨンナム)副委員長は、委員長以下8人全員の保釈・現場復帰を報告、「これは弾圧の第1ラウンド。中小業者とともに進めてきた生コン業界の政策運動が全国に広がることを恐れたのだ」と敵を見据えて語りました。
 沖縄の知花昌一さんのメッセージが紹介され、辺野古に基地を絶対つくらせない大阪行動がアピール。「宝塚市制50周年差別事件」の寸劇などを交えて集会は進みました。
 茨城県の牛久入管センターと大阪・茨木市の西日本入管センター、この東西の入管収容所で面会行動などに取り組む運動体が一堂に会し、それぞれの活動からつかんだ実態を語りました。日本に難民として逃れてきた人びとをムチ打つ入管行政の実態は怒りなしに聞くことはできませんでした。
 有事法制に反対する在日朝鮮人ネットワークからの法務省交渉の報告をも踏まえて、実行委員会が基調報告を行いました。入管法改悪や9条改憲に向けた国民投票法案などに警鐘を鳴らし、「民族差別、排外主義と闘う共同行動の輪を広げよう」と提起しました。
 この基調報告にこたえ各地からの闘争報告。福岡の青柳行信さん、とめよう戦争!隊員家族と元自衛官連絡会はイラク反戦を呼びかけ、最後に「日の丸」強制と闘う教育労働者が「絶対に引かない。一歩でも二歩でも前に進んでいく」と決意を込めました。
 厳しい現実と向き合う集会でしたが、団結して闘う方向もきっちりとつかむことができました。(Y)
(写真 「指紋復活と退去強制」を狙う入管法改悪反対!」と真っ向から宣言した5・7全国研究交流集会【写真上=横浜市鶴見区】と4・23関西研究交流集会【写真下=京都大学】)

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週刊『前進』(2247号6面4)(2006/05/29)

 “許すな憲法改悪” 5・3関西 闘う労組・潮流が集う

 5月3日の憲法記念日に、関西の全国金属機械労働組合・港合同、連帯ユニオン関西地区生コン支部、戦闘的地方議員のグループである反戦・福祉議員ネットの3者の呼びかけにこたえた関西の戦闘的潮流による改憲阻止の集会がアピオ大阪小ホールで開かれ、355人が参加した。
 開場とともに、辺野古の基地建設阻止の闘いを記録した琉球朝日放送制作のビデオ「海に座る」が上映された。
 呼びかけ団体の反戦・福祉議員ネットの小西弘泰高槻市議の主催者あいさつの後、「NINE−憲法九条は訴える」の一部である松元ヒロさんの風刺の利いたコントが上演された。
 この集会のメインは鈴木達夫弁護士の「自民党新憲法草案と国民投票法案」と題する講演。鈴木弁護士は、憲法問題・改憲問題とは革命またはクーデターの問題であること、別言すれば、憲法は国家権力と人民との関係を規定している掟(おきて)であると提起し、15年戦争に敗北したことによって、“国体護持”=「天皇制と資本主義社会」をなんとしても守ろうとしたということ、労働3権、言論の自由を無条件で認めている憲法は世界で唯一のものだと指摘。さらに自民党新憲法草案について9条2項と96条の改悪を改憲攻撃の基軸にしていることを指摘し、重要なキーワードとして、@9条2項は、沖縄と日米安保条約の締結によって担保されていること、A「帝国主義という段階に達した資本主義の時代」ということを踏まえて考えること、B労働者階級の国際連帯の意義を押さえることを提起した。
 その後、弾圧との闘いのアピールとして、戸田ひさよし門真市議、全学連から3・14法政大弾圧、国労5・27臨大闘争弾圧被告団・家族会が発言した。
 さらに、呼びかけ団体の連帯労組関西地区生コン支部、港合同、4月28日の教育基本法改悪案国会上程を受けて教育基本法改悪阻止を闘っている「みんなでとめよう教育基本法改悪!関西の集い実行委員会」が特別アピールを行い、実行委員会参加団体からの2分間アピールと続いた。集会決議が教育労働者から提起され、全員の拍手で確認された。
 集会後の行動として大阪環状線駅頭で街宣が行われ、憲法9条改憲反対の署名と憲法9条を変える・変えないシール投票も取り組まれた。街宣では、約1時間の署名活動で、161筆の署名が集まった。
(写真 「許すな憲法改悪、阻もう国民投票法案」を掲げた5・3憲法集会に355人が結集【5月3日 大阪】)

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