ZENSHIN 2006/05/22(No2246
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週刊『前進』(2246号1面1)(2006/05/22)
教育基本法改悪阻止! 共謀罪廃案! 小泉反動国会に労働者の怒りを
米日帝の米軍再編攻撃弾劾し沖縄圧殺=新基地建設阻止せよ
憲法闘争の本格的創造へ
“教育基本法の改悪をとめよう” 衆院が教育基本改悪のための特別委員会を設置したことを弾劾し、緊急国会前集会を行った(5月11日 衆議員第二議員会館前)≡記事2面)
5月連休前から「共謀罪」新設攻撃や教育基本法改悪を始めとした日帝・小泉政権の戦争・改憲と治安弾圧、行革・民営化、労組破壊、社会保障削減のための超反動法案と対決する国会闘争が、連日激しく展開されている。「共謀罪」や教基法改悪法案を始め、入管法改悪案、行革推進法案、医療制度改悪法案など、戦後史を塗り替える超悪法が今国会には目白押しだ。国民投票法案の提出も狙っている。フランス、アメリカ、韓国など国際階級闘争の大爆発に匹敵する日本の労働者人民の決起も猛然と始まった。連日の国会闘争を闘いぬき、この5〜6月、4大産別決戦の前進を土台に、教基法改悪粉砕・改憲阻止の闘いに本格的に決起しよう。それと一体の闘いとして米軍再編粉砕、新たな安保・沖縄闘争の発展を切り開こう。そこから今秋11月の階級的大高揚に向け進撃しよう。
第1章 ブッシュと小泉は戦争に向け突き進む
イラク侵略戦争の長期化・泥沼化と、基軸国たりえない経常赤字・財政赤字にあえぐ米帝ブッシュ政権は、支持率も32〜33%に落ち、決定的に行きづまっている。帝国主義体制として破産している。だがブッシュの任期はあと2年半残っており、今秋11月には中間選挙がある。ブッシュが危機を突破し延命するには、巨大な軍事力を発動し、戦争を拡大する以外にいかなる方途もない。
ブッシュは中間選挙をにらみ軍事力と戦争に訴え、国際的緊張政策を極点まで高めようとしている。1・31ブッシュ一般教書演説や2月発表のQDR(4年ごとの戦力見直し)が示すように、「圧政の終焉(しゅうえん)」や「対テロ長期戦争」を叫び、イラクからイラン、北朝鮮などへの戦争政策、空爆策動を次つぎと激化させている。全世界を第3次大戦の奈落にたたき込むことで延命しようとする米帝に、万国の労働者と被抑圧民族人民は連帯し、世界革命をもって対決しなければならない。
こうした米帝情勢・世界情勢に規定され、日帝・小泉も出口のない政治危機、体制的危機を深めている。
国と地方の累積債務が1059兆円という天文学的な財政危機にのたうつ日帝は、金融独占ブルジョアジーの利害を貫く経済財政諮問会議をバックに、小泉=奥田路線のもと公務員労働者を最大のターゲットとして大々的な行革・民営化、リストラ・首切りと賃下げ、社会保障削減の攻撃を推進してきた。その結果、労働者の不安定雇用化と貧困化、社会的格差が極限まで進行し、今や労働者人民の怒りが爆発を開始している。
他方で小泉は、「人気」と政権の求心力の維持、ポスト小泉の院政化などを狙ってナショナリズムを鼓吹し、中国や北朝鮮、韓国への排外主義を扇動している。海上保安庁を先兵とした朝鮮領・独島(トクト)=「竹島」の略奪策動や、拉致問題を徹底的に利用した対北朝鮮制裁策動は、ナショナリズムと戦争の攻撃そのものである。
こうした中で5月1日、日米安保協(2+2)で米軍再編の「最終報告」がついに出された。
第2章 本土と沖縄が世界戦争の最前線基地に
これは米日帝が日米枢軸のもと、日米同盟を「新たな段階」「グローバルな課題」に対応するものに移行・改編し、「米軍と自衛隊の一体化」を進め、北朝鮮・中国侵略戦争―世界戦争へと突入していくための歴史的な大攻撃だ。
まず、@普天間飛行場移設―辺野古新基地建設(V字形沿岸案)や空母艦載機部隊(厚木基地)の岩国移転自体が、とんでもない大攻撃である。
その上で、A米陸軍第1軍団司令部の統合作戦司令部への改編とキャンプ座間への移設、陸自中央即応集団司令部の座間併設、B在日米軍司令部を兼ねた第5空軍司令部のグアム移転と、ハワイ(米太平洋軍司令部)―グアム―沖縄(海兵隊)の一体的結合の形成、C米軍横田基地への空自航空総隊司令部の移転と、ミサイル防衛(MD)のための「共同統合運用調整所」の創設などは、実に大変な攻撃だ。
これは日本本土と沖縄が米軍の全世界展開を支え、世界戦争の「前線司令部」兼「出撃基地」となり、米軍と自衛隊が融合・一体化する軍事体制をつくるということだ。
さらに日米安保協では中国を事実上名指しして、軍事力近代化への「懸念」や「透明性」を要求し、対中国侵略戦争戦略を露骨に打ち出した。しかもこの米軍再編費用の大半、実に3兆円を日本が負担する。米帝は「最終報告」を「実施計画合意」(AIP)と位置づけ、今後「言葉を行動で裏づける」(ラムズフェルド米国防長官)ことを迫っている。米軍再編はこれからどんどん実行過程に入るのだ。
この恐るべき攻撃に反撃し、沖縄・辺野古の闘いを先頭に、5・15闘争から新たな安保・沖縄闘争を圧倒的に爆発させよう。稲嶺沖縄県知事の政府案容認への転換を弾劾し闘おう。4大産別の労働者を始めとした全国基地闘争への決起が決定的だ。成田や関西新空港も「有事」には必ず軍事空港になる。三里塚闘争、関西新空港闘争がいよいよ重要になった。
韓国最大級の米軍拠点化攻撃と激突する平沢(ピョンテク)での労働者・学生・農民の闘い、ニューヨークでのイラク即時撤兵・イラン攻撃計画反対の30万人の反戦デモ(4月29日)などと連帯し、米軍再編粉砕に決起しよう。
第3章 「愛国心」で戦争教育狙う教基法の改悪
米日帝が世界戦争に突き進む米軍再編は、日帝の改憲攻撃と直結している。
日帝・小泉は今や、@9条撤廃、A基本的人権の原理的解体、B天皇制維持を柱とする改憲攻撃に本格的に踏み切りつつある。日帝が小泉=奥田路線のもとで推進してきた戦争と民営化・規制緩和の攻撃は、今日そのすべてが戦後憲法体制の破壊・解体の攻撃として襲いかかっている。それが今や教基法改悪法案の国会提出、成立強行策動として、本格的に開始された。
教基法は「教育の憲法」だ。それは労働組合法、労働基準法、地方自治法と並び、戦後憲法体制を支えてきた。日帝は「個人の尊厳を重んじ、真理と平和を希求する人間の育成」をうたった現行教基法を解体し、新たな侵略戦争への「国民精神総動員」の攻撃に踏み切ってきたのである。
教基法改悪案は第一に、「伝統と文化を尊重し」「我が国と郷土を愛する態度を養う」と、「伝統と文化」=天皇制の尊重や「愛国心」を露骨にうたっている。だが天皇制こそは戦争と差別・抑圧の元凶であり、帝国主義国家への「愛国心」は侵略戦争への総動員の決定的道具である。さらに「国際社会の平和と発展に寄与する」とは、イラク多国籍軍派兵のようなことをどんどんやれと教えることではないか。
第二に、前文その他で特に「公共の精神」を尊び、「道徳心」を培うことを強調している。まさに現在の帝国主義の国家と社会に反抗するな、忠誠を尽くせと教えるということだ。
第三に、教員に対して「自己の崇高な使命を深く自覚し、絶えず研究と修養に励み、その職責の遂行に努め」とうたっている。国家が求める模範的な教員たれと、教育労働者を強制し、縛るということだ。
第四に、「教育は不当な支配に服することなく」と規定し国家の教育介入を排除した現行教基法第10条を逆転させ、「教育は、この法律及び他の法律の定めるところにより行われるべきもの…」とうたい、国家と行政の教育介入に道を開いている。「不当な支配に服することなく」は、逆に教組などの関与を排除するものに変えられたのだ。
こんな改悪教基法が成立すれば、戦後憲法の精神は解体され、国家に忠誠を誓い戦争を賛美する愛国心教育が一般化する。「日の丸・君が代」強制や「不適格教員」とされての「研修」や処分攻撃が、一挙に激化する。これは「教え子を再び戦場に送るな!」を実践してきた日教組運動の解体攻撃そのものだ。
すでに教育労働者を先頭に闘いは開始されている。日教組本部の屈服と裏切りを突き破り、ブロック、単組、職場から、国会にどんどん駆けつけ、集会、デモ、座り込みを闘うことが重要だ。「日の丸・君が代」不起立闘争の地平を発展させ、国会闘争を爆発させよう。闘えば展望はある。勝てる。5・11衆院特別委設置の暴挙を弾劾せよ。6・2全国集会&国会デモに総決起しよう。
「共謀罪」との攻防も今が勝負だ。「共謀罪」は現代の治安維持法であり、実行行為がなくても相談したり、話し合っただけで逮捕・弾圧される。戦時下で労働運動・住民運動と革命運動をたたきつぶすための究極の思想弾圧であり、団結破壊の攻撃だ。こんな悪法を通すことは、再び暗黒と戦争の道である。
広範な労働者人民が怒り決起している。連日、国会闘争が闘われている。全力で闘えば、廃案は絶対に可能だ。教基法改悪・改憲阻止の闘いと一体の決起で必ず粉砕しよう。
第4章 帝国主義国家の自衛権は絶対認めない
今国会ではさらに、指紋制度復活と退去強制事由新設の入管法改悪法案、公務員労働者への首切り・賃下げと労組破壊を狙う行革推進法案、高齢者から医療を奪う医療制度改悪法案など、小泉=奥田の戦争と行革・民営化、社会保障削減の攻撃との攻防が焦点となっている。小泉打倒、改憲阻止決戦の一環として反動法案阻止へ闘おう。
その上で結論として、強調したいことは、5〜6月、戦争協力に突き進む連合路線と対決し、改憲阻止の大運動を全力で創造しようということである。今こそ改憲阻止決戦としての改憲阻止決戦を圧倒的にスタートさせる時だ。4大産別決戦の前進を軸に、改憲阻止闘争と4大産別の闘いを一体的に推進することが求められている。
日帝・小泉政権は今国会に改憲のための国民投票法案の提出をあくまで狙っている。日帝にとって日米枢軸と米軍再編を推進するために、今や改憲(とりわけ9条改憲)は待ったなしなのだ。われわれは改憲阻止決戦の火ぶたを直ちに切ろう。5〜6月がその決定的な闘いの時である。
連合は昨年の7・14見解で「日本の領土・領空・領海において攻撃が行われた場合、日本は自衛権を発動する」「日米安保条約に基づき、米軍とともに行動する」と宣言している。これは日帝の先兵として侵略戦争に協力するということだ。4大産別を先頭にこの連合路線と全面対決し、「帝国主義国家の自衛権や自衛軍は絶対に認めない」と言い切って闘う必要がある。日帝が「自衛」の名のもとに再びアジア侵略戦争に突き進むことを、絶対に許すわけにはいかない。
今こそ職場、学園、街頭で改憲阻止(9条改憲阻止)の大運動に打って出よう。日本共産党の敵対を粉砕し、統一戦線を発展させ、労働者階級の多数派形成へと闘おう。特に、とめよう戦争への道!百万人署名運動が呼びかける5・20全国集会の圧倒的成功をかちとることを訴えたい。これを突破口に巨大な憲法闘争を創造しよう。
学生戦線は法政大を先頭に、改憲阻止の全国学生ゼネストへ向け進撃しよう。
学生とともに青年労働者こそが改憲阻止決戦の主体として躍り出よう。
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週刊『前進』(2246号1面2)(2006/05/22)
共謀罪 “労組弾圧の悪法葬れ” 衆院採決阻止へ連日決起
「共謀罪を廃案に!」 連帯ユニオン関生支部、全港湾大阪支部、生コン産労、動労千葉などの労働組合も組合旗を掲げて国会闘争に決起(5月12日)
「現代の治安維持法」=共謀罪との闘いが、最大の決戦に突入している。政府・与党は、国民投票法案、教基法改悪案や医療制度改悪案の審議をにらみながら今週中にも衆院法務委で採決を強行し、国会会期を延長してでも成立させようとしている。
今週の衆院法務委の審議日は16(火)、17(水)、19(金)日だ。全力で国会前にかけつけよう。17日、25日の闘争(要項別掲)に大結集しよう。
この間の「破防法・組対法に反対する共同行動」を先頭とする連日の闘い――集会・デモ、国際共同署名運動、国会前ハンスト、院内集会、街頭宣伝など――で、連休前〜連休明けの採決強行を完全に阻止した。政府・与党は、このままではまた廃案になりかねないと危機感を強め、強行突破を狙っている。激しいせめぎ合いの過程に入っている。
連休明けの週も9、10、12日と連続して国会前で朝からのビラまきと座り込み、昼休み集会がかちとられた。採決強行を絶対に許すなと、闘う人々が続々と結集し、国会議員や道行く人々にビラをまき、反対署名を集めた。
9日正午からの集会には120人が集まった。表現者、学生、入管法改悪と闘う戦線、動労千葉、争議団連絡会の労働者らが、それぞれの立場から、表現活動や学生運動、労働運動を弾圧する共謀罪の反動性を弾劾し、絶対阻止する決意を述べた。
この日の行動には、大阪府門真市議の戸田ひさよしさんが関西から参加した。全日建運輸連帯労組(連帯ユニオン)近畿地本委員長でもある戸田さんは、関生支部への大弾圧として昨年12月にデッチあげ逮捕・起訴され3カ月の獄中闘争を闘ってきた。その戸田さんが車体に「共謀罪絶対反対」のステッカーを張りめぐらせた軽自動車を徹夜で走らせて駆けつけ、この日一日国会前で闘いぬいた。
戸田さんは、「与党は共謀罪を労働組合には適用しないなどと言っているが、私たちの労組への弾圧を見れば、必ず労働組合つぶしに使われる」と訴え、労働組合がもっと危機感を持って闘おうと呼びかけた。
動労千葉の後藤俊哉さんが「共謀罪を廃案へ」と訴え、ともに闘う決意を表明した。
12日には再び大阪から駆けつけた戸田さんに加え、関生支部、全港湾大阪支部、生コン産業労働組合が合同でマイクロバスを仕立てて駆けつけた。
この日の昼集会にも100人を超える仲間が集まった。
憲法と人権の日弁連をめざす会の代表・高山俊吉弁護士は「がんばって闘っていることが確実に成果に結びついている。全国で闘いが進んでいる。戦争の時代がやってきているから『現代の治安維持法』が作られようとしている。弁護士は最後まで闘い抜く」と決意あふれる発言をした。
緊迫する衆院法務委員会の審議を終えた社民党・保坂展人議員、民主党・平岡秀夫議員も廃案に向けた決意を表明した。
権力・警察にやりたい放題のフリーハンドを与える共謀罪をどうして許すことができようか。批判をかわすために出された与党修正案も、治安弾圧法としての本質をなにひとつ変えるものではない。全国で共謀罪反対の声を上げよう。署名を集めよう。そして、国会に駆けつけ、何としても廃案に追い込もう。
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週刊『前進』(2246号2面1)(2006/05/22)
教基法改悪 “愛国心を強制するな” 特別委設置に怒りの抗議
全国連絡会 廃案へ連続闘争呼びかけ
「教育基本法の改悪をとめよう」「愛国心を強制するな」「廃案にするまで闘うぞ」――5月11日夕、国会前にシュプレヒコールが響き渡った。この日午後、衆院本会議は教育基本法改悪を審議する特別委員会の設置を議決した。与党は16日に審議入りして衆院本会議で趣旨説明を強行することを狙っている。教基法改悪を阻むために待ったなしの決戦が始まったのだ。
(写真 教育基本法の改悪をとめよう!全国連絡会の呼びかけにこたえ国会前に集まった教育労働者や市民【5月11日】)
大内裕和さん、小森陽一さん、高橋哲哉さん、三宅晶子さんの4氏が呼びかける「教育基本法の改悪をとめよう!全国連絡会」は11日夕方6時過ぎから「5・11緊急国会前集会」を開催した。緊急の呼びかけにこたえて、教育労働者を先頭に130人を超える労働者・市民が集まった。
呼びかけ人の小森陽一さんは、「地元・地域に根ざした運動を展開しよう。主権者は私たち国民だ。ほとんどの地方紙が『教育基本法改悪に反対』という社説を掲げた。世論は私たちとともにあります。そのことに確信を持って、国会内外を結びつけて闘おう」と述べた。大内裕和さんはメッセージを寄せ、4氏が5月8日に発した「教育基本法『改正』法案の成立を阻止しましょう」という声明を紹介、「立場や考え方の違いをこえて良心と意志を結集し、何としてもこの法案の成立を阻止しましょう。『通すな改悪法案!/教育基本法の改悪をとめよう!/6・2全国集会&国会デモ』を始めとする国会に向けた集中的な運動を、あらゆる場所からともに全力で進めましょう」と訴えた。
石原都政の「日の丸・君が代」処分と闘う被解雇者の会の代表は「『10・23通達』以降の『日の丸・君が代』処分の乱発は、教育基本法10条が禁じた『不当な支配』そのものだ」と弾劾した。都教委包囲・首都圏ネットの代表は「国会の外の運動の力で、国会内の力関係を塗り替えよう」と訴え、16日以降の連日の国会前座り込みや宣伝活動などを呼びかけた。都高教役員や翻訳家の池田香代子さん、山梨から駆けつけた女性など、次々とマイクを握って教基法改悪を阻止する決意を述べた。国会からは日本共産党の穀田恵二国対委員長、社民党の保坂展人衆院議員らが発言した。
最後に、「日の丸・君が代」不当処分撤回を求める被処分者の会の教育労働者の音頭でシュプレヒコールをたたきつけた。
教育労働者を先頭に国会へ
5月11日に設置が決まった教育基本法改悪案を審議する特別委員会は、本会議終了後ただちに初の委員会を開き、森山真弓元法相を委員長に選出した。
そもそも、教基法改悪をめぐる審議を文部科学委員会で行わずに特別委員会を設置したこと自身、超異例である。文部科学委員会であれば審議日程が週2回に限定されるが、特別委員会を設置すれば連日でも審議を行うことが可能となるからだ。特別委は45人で、うち自民党枠が28人。森山や森喜朗前首相、海部俊樹元首相、町村信孝前外相ら10人の文相・文部科学相経験者が委員に就任した。急ピッチで審議を強行し、改悪法案を力ずくで押し通すための特別委なのである。
文部科学省も教育基本法改悪へ総力戦体制を敷いている。文科省は5月8日、小坂憲次文科相を本部長とする「教育基本法改正推進本部」を設置、初会合を開いた。本部長代理には馳浩副大臣、副本部長は河本三郎副大臣と政務官2人、事務局長は結城章夫事務次官が務めるという省を挙げての布陣である。推進本部のもとにプロジェクトチームを置き、教基法改悪についての広報活動や国会対応にあたるとしている。同省が特定法案について推進本部を設けるのも、これまた超異例の事態である。
では政府・与党の教基法改悪案に「対抗」している民主党は、教育基本法改悪反対派なのか。まったくそうではない。与党が教基法改悪案に合意したことを受けて、民主党は「教育基本法に関する検討会」を設置、座長はもともと自民党の文教族で文相を務めた西岡武夫だ。5月9日の第3回会合では「現行法の一部改正ではなく、新しい教育基本法の制定を目指す」などとする対案の策定方針を定め、5月15日に「対案」を取りまとめる方針だ。要するに民主党も、”もっと根本的に教育基本法を改悪すべき”という要求を対置しているということだ。
すでに全国各地で教育労働者の闘いが起きている。「教え子を戦場に送るなという不文律のスローガンを守るため、たとえ法改正されても、愛国心を養うような教育を組合員がすることはない」(佐賀県教組)、「国家に従順な心を持つことを教育の場で強制しようとしており、戦前への逆戻りにつながる」(大分県教組)などの声があがっている。16日以降、日教組組合員を先頭に連日の国会前座り込みが始まる。
「教育基本法の改悪をとめよう!全国連絡会」も連日の国会傍聴や座り込みを呼びかけ、さらに6月2日には全国集会と国会デモ(要項1面)を行うことを決定して、改悪反対運動を巻き起こそうとしている。
国会前座り込み、宣伝活動など、連日の取り組みをただちに開始しよう。職場で地域で、教基法改悪をめぐる論議を巻き起こし、改悪反対署名を集めよう。
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週刊『前進』(2246号2面2)(2006/05/22)
共謀罪新設と一体の治安法 入管法改悪絶対阻止を
「テロの未然防止」「テロ対策」を掲げた入管法(出入国管理及び難民認定法)改悪の攻撃は、共謀罪新設策動と一体のものとしてある。それは改憲=戦争国家化の攻撃であり、治安体制としての入管法・入管体制再編の攻撃である。
3月30日に衆院を通過した改悪案は、参院法務委員会での趣旨説明(4月27日)に続き、連休明けの5月9日には政府参考人に対する質疑に入り、5月半ばにも法務委採決−参院本会議成立が狙われている。事態は緊迫している。参院での絶対阻止へ闘おう。
在日朝鮮人・中国人の永続的な闘いによってかちとった指紋全廃(99年)から6年。日帝・法務省は、入国時の生体情報(指紋・顔写真など)提供と「テロリスト」認定による退去強制事由新設を柱とする今次入管法改悪をもって、戦時下の治安体制のかなめとしての指紋制度を復活させようとしているのだ。
日本を訪れる年間700〜800万人の外国人(16歳未満、特別永住者などを除く)に対して、入国審査時に指紋・顔写真による認証を義務づける新しいコンピューターシステムが導入される。応じない場合はその場で入国拒否・退去強制という水際作戦だ。
同時に、日本人や在日朝鮮人・中国人も”希望すれば指紋を登録することができ、高速道路のETCのように入国審査を簡便かつスピーディーに通過できる(自動化ゲート)”と勧誘する。
すでにアメリカでは、9・11反米ゲリラ戦闘後、「テロとの戦い」と称してアフガニスタン・イラク侵略戦争へとのめり込む中、愛国者法によるイスラム人民への凶暴な弾圧が繰り広げられ、04年には入国時の指紋認証システム(US−VISIT)が世界に先駆けて導入された。日本で導入されればアメリカに次ぐ第2号となる。
安倍官房長官は、指紋・顔写真などの生体情報について、「テロ防止、命を守るために行うことであり、人権侵害になるとは考えていない」(4月10日、記者会見)と居直っている。逆に在日・滞日外国人への差別と偏見をあおり、排外主義に日本人民をからめとることで、この恐るべき戦時治安管理体制を完成させようとしているのだ。
労働者に国境はない。排外主義攻撃を粉砕し、戦争への道を断固拒否しよう。参院で入管法改悪案を絶対に阻止しよう。
共謀罪廃案、教基法改悪阻止、9条改憲阻止へ、全力で国会闘争に立とう。
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週刊『前進』(2246号2面3)(2006/05/22)
あわや第2の尼崎事故 JR山手線で線路が隆起
運行優先させ大惨事寸前に
尼崎事故から1年を迎える4月24日午前10時半、JR高田馬場駅−新大久保駅間で4線路が50bにわたり66_も隆起し、山手線と埼京線の全列車が全面ストップする大事故が起きた。これは、一歩間違っていたら脱線・転覆、二重衝突などで尼崎事故を上回る大惨事になりかねない重大事故だった。国土交通省は25日、JR東日本の清野智社長を呼びつけ、「政府を転覆するつもりか」と怒鳴りつけて警告書を渡したと言われている。
合理化・外注化と規制緩和が元凶
今回の事故は、JR東日本が請け負い、事故現場の下で行っていた都道の拡張工事が直接の原因だ。その工法は、JR東日本が「速い、安い」を売り文句に99年に開発したJES工法と言われるもので、この日の事故はコンクリートの注入量や圧力を誤り、線路を押し上げたのが原因と言われている。ところがJR東日本は「工法に問題はない」と居直っている。
(写真 山手線・埼京線の線路は66_も隆起し、波打つように湾曲した)
そもそも線路に影響する工事は、本来なら夜間に線路閉鎖して行い、作業完了後は線路状況の検査をして列車の運行に備えるべきものだ。ところがJR東日本は、昼間に列車を運行させたまま、線路への影響を監視する体制もとらずに工事を強行した。しかもこの工法による線路事故が2月20日に新橋駅付近で、4月21日に青梅線で起きていた。
線路の隆起を発見したのは、工事の見張りではない。運転士が大きな衝撃を受け、現場通過後に緊急停止させたのだ。
これほどの安全無視が許されるか。労働者は「今のJRは事故が起きたから工事を止めるという考えすらない。原因が暴露されるまでは事故を隠して工事は続行だ。安全に対する考えも体制も崩れてしまった。おれたちも命の保障はない」と怒りをぶちまけている。
JR発足以来、保線、電力、信号通信などの労働者300人以上が触車、墜落、感電などの事故で亡くなっている。その大半が下請けの労働者だ。JRは乗客や労働者をどれだけ殺せば気が済むのか!――怒りは現場にあふれている。
JR東日本は、動労千葉が行った安全運転闘争に「運行管理権の侵害」と言いがかりをつけて懲戒処分を強行した。「線路が危ない」と週刊誌の座談会で話した国労千葉の保線労働者にも「会社の信用を傷つけた」として処分が発令されている。労働者は「危険だ」と叫ぶ権利すらなく、黙って死ねというのか。「いい加減にしろ。命までは売ってないぞ」が労働者の合言葉だ。
続発する重大事故の原因は国鉄分割・民営化にある。とりわけJR東日本は「完全民営化」を前にした01年末、「ニューフロンティア21」計画に基づく「設備メンテナンスの再構築」で保線、電力、信号通信などの労働者約3500人を削減し、約2000人を出向に出した。こうした保守部門の大合理化=全面外注化が、今回の事故につながったのだ。当時、現場のベテランは「JRは国鉄時代の安全の蓄積をすべて食いつぶした。もう後戻りできない。大事故は続く」と警告していた。まさにそのとおりになっている。
小泉「構造改革」と規制緩和が、安全を破壊する資本を増長させた。鉄道事業への規制は00年と02年の鉄道事業法改悪や国土交通省令の改悪によって緩和され、JR各社の暴走の引き金を引いたのだ。
資本と対決して安全は守られる
全社会を覆う事故多発の責任は、闘わない労働組合幹部にもある。労働者の命と権利を守るどころか、資本と一体となって「会社防衛」に走った連合幹部の責任は重い。特に国鉄分割・民営化を率先推進し、「一企業一組合」「他労組解体」「責任追及から原因究明へ」と叫んで、資本の事故責任をとことん免罪してきたJR総連は、最も重い罪を負っている。
国労本部もまた、4党合意で権力・資本への屈服を深め、尼崎事故に際し「会社防衛・事故隠し」の姿勢をあらわにした。JR総連とうり二つの「責任追及ではなく原因究明へ」のスローガンを掲げ、今ではJR東日本の「ニューフロンティア2008」と一字一句変わらない「究極の安全」「安全第一の企業文化の構築」を叫んでいる。
国労西日本本部に至っては、地獄のような日勤教育を「必要」と言い、運転士を排除した「尼崎事故106人の犠牲者」の慰霊碑建設カンパを組合員に求め、「労使の信頼なくして安全なし」と公言している。
現に伯備線事故では国労組合員が殺された。資本と闘わずに組合員の命を守れるのか。組合員を警察に売った国労5・27臨大闘争弾圧の暴挙も、こうした屈服の中から生み出された。弾圧に加担した現執行部を打倒し、国鉄1047名闘争をめぐる政治解決路線と決別しよう。そして1047名闘争を事故弾劾の闘いと一体のものとして闘おう。
動労千葉は今春闘でストライキと安全運転闘争を貫徹した。この闘いは、労働者全体の階級的利益を守る闘いだ。だから圧倒的な労働者の支持・共感を集めている。労働者が立ち上がった時、社会は変わる。労働者の命をないがしろにし、戦争と改憲に向かう社会を変えることができるのは、労働者・闘う労働組合だ。
「抵抗なくして安全なし」「触車事故撲滅」「列車運行主義の打破」を掲げて闘った国労の伝統をよみがえらせ、動労千葉とともに事故弾劾・安全確立の闘いに立とう。
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週刊『前進』(2246号2面4)(2006/05/22)
“強制配転うち砕くこう” 近畿 郵政公社に抗議行動
日本郵政公社近畿支社は4月14日内示、24日発令の人事交流=強制配転の攻撃をかけてきた。昨年、支部長を県外に配転された阪神東支部、尼崎分会を狙い撃ちにした典型的な組合つぶしの攻撃だ。近畿郵政局前闘争を闘い続けてきた「人事交流=強制配転に反対する会」主催で抗議闘争が直ちに行われた。(写真)
4月24日午後6時半、27人を結集した集会は抗議のシュプレヒコールで始まった。「反対する会」代表が「強制配転に反対し郵政民営化攻撃を職場の団結で打ち砕こう。郵政省時代30万人いた労働者は4万人も削られた。強制配転は首切り攻撃だ。9月1日、集配拠点の再編に伴う大合理化と闘おう」と力強く訴えた。
連帯のあいさつでは「日の丸・君が代」処分と闘う大阪教育労働者の会が教基法改悪阻止の決意を述べた。不当解雇に対して就労闘争を展開中の関西合同労組関西トランスポート分会の分会長が発言した。芦屋郵便局を分限免職された仲間は、「公社化されて職場はますます過酷な状況となり病者が続発している」と弾劾した。4・28連絡会のメッセージが代読された。
さらに、大阪中郵の仲間がJPU全国大会の代議員選挙に立候補したことを明らかにして「闘う近畿地本をつくろう」と訴え、南河内支部の仲間は「9月1日の集配拠点の再編は数万人の強制配転を伴う民営化攻撃そのものだ。民営化法案が通過しても職場の闘いで粉砕できる。この闘いは憲法改悪阻止の闘いに連なっている」と強調した。
加古川局の総分会長は、「この人事交流で高砂から加古川へ強制配転された仲間は、残念にも即日退職した。強制配転は退職攻撃だ。分会として要員要求を当局に突きつけ、サービス労働根絶の闘いを開始した。郵政民営化をゼネストで粉砕しよう」と熱く語った。尼崎局の郵政ユニオンの仲間は、「今回の攻撃で郵便8名、集配3名の全逓の活動家が強制配転された。昨年9月の支部長配転に続く不当労働行為だ。不当労働行為を正す会をつくって闘う」と述べた。
奈良の仲間は、「自分はJPUとは言わず全逓で押し通す。昨年の臨時全国大会の代議員に立候補して約4分の1の支持を得た。今回の代議員選挙も再度、立つ」と決意を表明した。
司会を務めた北大阪支部の仲間が団結頑張ろうの音頭をとった。
近畿郵政局前闘争は6年間にわたり年2回、続けられてきた。強制配転に反対する会は、郵政民営化と全面対決し、職場闘争を復活させ、組合権力にも挑戦していく方針だ。闘争後の懇親会でも熱い討議が交わされ、一層の団結を固めた。
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週刊『前進』(2246号2面5)(2006/05/22)
国労弾圧裁判 証人が前言を撤回 検事の「共謀」立証は破産
被告の無罪明白に
5月10日、国労5・27臨大闘争弾圧裁判の第57回公判が東京地裁刑事第10部(青柳勤裁判長)で開かれた。今回の公判は、「被害者」として出廷した黒執(くろとり)光久証人が、弁護側反対尋問に追いつめられて、以前の公判での証言の撤回を申し出る緊迫した展開になった。
この弾圧は、国労本部が鉄建公団訴訟を起こした闘争団員への統制処分手続きを決めた02年5月27日の臨時大会に際して、本部方針に抗議してビラまき・説得活動に立った国労組合員らの行動が、国労本部役員や会場係への「暴力行為」にデッチあげられ、不当に逮捕・起訴されたものだ。
この裁判で検察側は、長野地本から動員された会場係の責任者だった池田久幸東北信支部委員長(当時)に対して松崎博己被告が「ひざげり」をしたことをきっかけに、被告間の「共謀」が成立したと主張している。黒執証人は、このストーリーに沿い、「松崎被告が池田さんにひざげりしているところを見た」と検察側主尋問で述べていた。
河村健夫弁護人がこの証言について追及する構えを見せるや、証人はすぐさま「以前の証言を3点修正したい」と言い始めた。
第55回公判で証人は、検察側が証拠提出したビデオテープの一場面について、「松崎被告によるひざげりの直後の場面」と述べていた。そのシーンは池田の前に立つ被告たちの姿をとらえているが、その中で松崎被告は頭を下から上に上げてくる動きをしている。その直前まで彼がひざげりをしていたとはおよそ思えない映像だ。第55回公判でその矛盾を指摘されても、黒執は「ひざげりとこの場面は連続している」と言い張っていた。ところが今回、証人は突如として「ひざげりとこの場面の間には間隔がある。証言を訂正したい」と言い出したのだ。
証言とビデオ映像の矛盾を取り繕うため、検察官が黒執に証言を翻させたことは想像に難くない。他の2点も含め、弁護団は「なぜ突然、証言を変えるのか。検事に示唆されたのではないか」と問いつめた。だが証人は「そんなことはありません」としらを切った。
「ひざげりを見た」という黒執証言の信用性はこれで決定的に崩壊した。検察側の「共謀」立証は根本的に打ち砕かれたのだ。
被告と弁護団が意見を陳述
これに先立つ4月19日の第56回公判では、陪席裁判官の交替に伴う更新手続きが行われ、被告団・弁護団が意見を述べた。松崎被告、橘日出夫被告、富田益行被告がそれぞれ、権力による支配介入に屈した国労本部が1047名闘争を切り捨てるために闘争団への統制処分に及んだことを怒りを込めて弾劾し、これに抗議した自らの行動の正当性を明らかにして、本件起訴が労働組合活動への弾圧であること、したがって全員が無罪であることを確信も固く断言した。
弁護団は、これまでの公判闘争の全成果を踏まえ、検察側の主張がことごとく破産していることを突き出した。特に佐藤昭夫弁護団長の陳述は、労働運動が団結権を獲得するまでの長い歴史を総括し、労組法の刑事免責規定の意義を強調して、「被告人らの行為は、正当な団結活動だった」「労働基本権の生成の歴史、最高裁判例からしても、構成要件該当性を論ずるまでもなく、正当な行為であり、無罪とされなければならない」と言いきる格調高いものだった。
国鉄闘争はその勝敗をかけた鋭い路線闘争の渦中にある。弾圧加担を居直る国労本部を許さず、弾圧粉砕の闘いをさらに強化し、国労再生をかちとろう。
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週刊『前進』(2246号2面6)(2006/05/22)
4・18〜5・1
経団連が「義務教育改革」提言
行革推進法案参院に/シャープ35歳だけ「賃上げ」
●日本経団連が「義務教育改革」で提言 日本経団連は「義務教育改革についての提言」を発表した。(4月18日)=要旨別掲
●最高裁、ロックアウト正当と認定 大阪府の生コン会社が従業員14人のストに対抗して実施したロックアウトについての上告審判決で、最高裁はロックアウトを正当と認め、従業員側の請求を棄却する反動判決を出した。(18日)
●日本経団連が春闘集計 日本経団連は大手企業業種別回答一覧(第3回集計)を発表。95社の平均賃上げ額(定期昇給等含む)は5583円、賃上げ率は1.69%。前年実績より427円、0.14ポイントのプラス。また、今春闘の中小企業業種別回答一覧(第1回集計)も発表。110社の賃上げ回答額(定期昇給等含む)は3986円、賃上げ率は1.51%。前年実績と比べ147円、0.04ポイント高い。(19日)
●行政改革推進法案が衆院通過 行政改革推進関連5法案が衆院本会議で、与党の賛成多数で可決し衆院を通過。24日に参院で審議入りした。(20日)
●シャープの賃上げ35歳だけ 今春闘でシャープの労資が合意した賃上げ500円の対象が、モデルである「35歳の技能職社員」に限られていたことが分かった。組合員約2万5000人のうち約1100人にすぎず、ほかの年齢層や職種は賃上げゼロと異例の内容。(20日)
●都人事委員会に不服審査請求 今春の卒業式で「君が代」斉唱時に起立しなかったことなどを理由に都教委に処分された都立高校の教職員21人が処分取り消しを求めて都人事委員会に不服審査請求を行った。(24日)
●3月の完全失業率、前月と変わらず 総務省統計局が発表した労働力調査によると、3月の完全失業率は前月と同率の4.1%だった。厚労省が発表した一般職業紹介状況によると、3月の有効求人倍率は1.01倍となり、前月より0.03ポイント低下した。(28日)
●教育基本法改悪案を国会提出 教育基本法改悪案が閣議決定され、国会に提出された。(28日)
●連合系がメーデー中央大会 連合系の第77回メーデー中央大会が東京・代々木公園で開かれ、約4万3700人が参加した。(29日)
●全労協系、全労連系がメーデー 全労協の第77回日比谷メーデーが東京の日比谷野外音楽堂で開かれ、国労や都高教、東水労、東京清掃労組などの組合員ら1万5000人が参加した。同日、全労連系の第77回中央メーデーが東京・代々木公園で開かれ、約4万4000人が参加した。(5月1日)
●会社法が施行 新しい会社法が施行された。合併など企業組織再編に関する規制を見直し。これにともない、「労働契約承継法」も一部改正された。(1日)
日本経団連「義務教育改革についての提言」(要旨)
●はじめに
学力面での公立学校に対する不信感が、私立志向の一層の高まりを招いており、公立学校の改革は不可欠である。
特に、@学校選択制の導入、A教員評価を含めた学校評価の実施・公表、B教育の受け手の選択を反映した学校への予算配分の実施の3点について提言。
●学校選択制の全国的導入
それぞれの学校が教育の受け手から選ばれるように切磋琢磨(せっさたくま)を促進する。(学校教育法の変更)
●学校評価(教員評価を含む)の実施
教員評価については、校長が一方的に行う現在の教員評価について、@教員の指導にいかされていない、A児童・生徒が評価に参加しない、B評価結果が処遇に反映されない、などの点を問題視。
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週刊『前進』(2246号3面1)(2006/05/22)
自治労は改憲阻止の先頭に
5月中央委(新潟県長岡市)へのアピール
平和基本法にとどめを
革共同自治体労働者委員会
きたる自治労中央委員会(5月25〜26日、新潟県長岡市)は、夏の4大産別大会へと向かう過程で重要な位置を持つ。自治労本部は、この中央委員会−8月定期大会で〈自衛権〉承認を核とする「平和基本法」制定を産別方針として確立し、帝国主義の改憲攻撃に屈服し、自治労を改憲勢力へと転向させようとしている。また連合とともに「良質な公共サービス」論で公務員労働運動から一切の階級性を根絶し、公務員労働者に戦争協力と民営化のもとで奴隷となることを強制しようとしている。
小泉内閣は、「改革」の総仕上げとして、行革推進法案、市場化テスト法案の成立に全力をあげ、公務員労働者の大量首切りの合法化をもくろんでいる。これらの攻撃は際限なき市場化・民営化へのステップとなるものだ。同時に、改憲を頂点とする戦争国家づくりの大改悪攻撃が今国会に集中している。共謀罪新設法案、教育基本法改悪、国民投票法案などである。
だが、帝国主義の階級支配は大破綻(はたん)し始めている。初期雇用契約(CPE)を撤回させたフランスのゼネストと300万人デモ、ドイツ、イギリス、韓国でのストライキ、そしてアメリカでの移民労働者の大デモとイラク撤兵デモなど、帝国主義の戦争と規制緩和・民営化に対する労働者の大反乱が始まっているのだ。日本もけっして例外ではない。〈小泉改革〉、小泉=奥田路線への怒りを組織し、4大産別を始めとする労働組合の総決起で戦争と改憲への道を阻止しよう。
自治労の改憲勢力化粉砕へ
自治労の中央委員会−8月定期大会の焦点は、改憲攻撃との対決であり、自治労−連合の改憲勢力化をめぐる攻防である。ついに改憲問題が現実の最大級の階級闘争課題として焦点化した。改憲は、自民党の新憲法草案に明らかなように「新憲法」の制定、現憲法の原理的転換としてある。日本帝国主義の敗戦による戦後体制を転覆する反革命クーデターである。
今日の帝国主義の危機の深刻さは、アメリカ帝国主義の国家的破産とドル暴落の危機、ブッシュ政権による世界戦争戦略の遂行に示されている。命脈尽きた帝国主義は、歴史上かつてない残虐な侵略戦争、勢力圏争奪戦、帝国主義間戦争を引き起こして延命しようとしているのだ。その最大の焦点は、朝鮮半島、中国から中東までの「不安定の弧」である。ここをめぐって米帝は対テロ世界戦争を発動し、そのための米軍再編・日米軍事一体化を進めている。
ところが日本帝国主義は、憲法9条に制約されて帝国主義でありながら戦争にうって出られない弱点を露呈した。追いつめられた日帝は、日本経団連・奥田を筆頭にすさまじい危機感に突き動かされて改憲=戦争国家化を政府に要求した。日帝の改憲攻撃は、資本家階級中枢からの要求であり、この攻防は、体制の存亡と同時に労働者階級の存亡をかけた階級決戦だ。
自治労中央委で何より、この改憲阻止決戦の巨大な意義を徹底的に明らかにし、訴えよう。二つのポイントを挙げたい。
第一に、改憲攻撃の最大の核心は、9条と「自衛権」問題である。
現行憲法と日本帝国主義との絶対的矛盾は、憲法9条2項(=2項に規定された9条全体)である。2項は、すべての戦力を禁止・否定し、論理的には自衛権を否定している。9条2項破棄が改憲の最大の標的であり、勝敗の分水嶺(ぶんすいれい)なのである。
帝国主義の立場は明白である。「自衛権」を憲法に盛り込み、現憲法の〈戦争をしない〉という前提や基本的人権、主権在民の原則をすべて破壊するのだ。
このような帝国主義の「自衛権」と「自衛戦争」=侵略戦争を絶対に認めてはならない。自治労本部の推進する平和基本法制定方針は、帝国主義の自衛権を労働者の側から承認する事実上の改憲運動である。この方針の反動的本質を徹底的に暴露し、とどめを刺さなければならない。
第二は、公務員労働者こそ、改憲阻止闘争の先頭に立とうということだ。特に自治体労働者、自治労の闘いはその基軸である。戦争国家のもとで戦争動員の先兵になるのは、公務員労働者とりわけ自治体労働者だ。国民保護法制の中心を担い、地域・住民を有事体制・戦争体制に組み込む中心的役割を果たすのが自治体労働者である。再び〈赤紙配達人〉となる道を絶対に断たなければならない。
改憲阻止闘争を展望する上で、自治労・日教組が改憲阻止の中心に座るか、連合とともに改憲勢力の側に転落するのかは決定的な問題である。連合(その背後の日本経団連)は昨年、自治労の改憲勢力化への転向に全力を注いだ(平和基本法の制定方針)。しかし、鹿児島での定期大会では、現場組合員の猛然たる反撃によっていったん制定方針が粉砕された。1・19決定は、それに対する大反動にほかならない。
5月中央委−8月定期大会は決戦である。すべての闘う自治体労働者の大結集を訴える。改憲阻止、自衛権−平和基本法粉砕の闘いを巻き起こし、自治労の改憲勢力化を阻止し、自治労を改憲阻止の闘いの大統一戦線の中心に据えよう。
今日の公務員リストラと民営化、公務員制度改革、行革推進法による大量人員整理の攻撃は、改憲と一体の国家改造の攻撃であることをはっきりさせよう。
国家の官吏への転換拒否を
その核心は▼自治労・日教組など国家機構内の労働組合・労働運動を完全に解体する▼戦前型のごく一部の権力機関(=業務)以外を基本的に民営化・外注化する▼公務員制度の根幹を成す終身雇用制、年功序列賃金制を”成績主義”(人事考課に基づく忠誠度評価)へと再編し、上意下達の組織へと転換を図る――点にある。自治体を戦争国家の下部機構へと変え(地方自治の根本的否定)、公務員を労働者から官吏へと改造する攻撃である。
現在の地方自治制度、公務員制度(そして公務員労働運動の存在)は、小泉=奥田の進める戦争国家化とは非和解的であり、帝国主義にとって徹底した破壊と「改革」の対象である。全社会を戦争へと動員するにあたり、公的部門の戦争国家のもとへの再編と公務員労働者の〈国家の官吏〉への大転換は、最大級の課題である。公務員制度改革の狙いが「新しい制度にふさわしい新しい公務員の魂の注入である」とされるゆえんである。労働者意識の解体と「奴隷の魂」の注入がもくろまれている。
全国で吹き荒れる「公務員厚遇」キャンペーン(雇用・賃金・福利厚生など)の狙いは、労働組合の戦闘力を抑え込み、労働者を委縮させ、労働者意識を解体することに狙いがある。〈官〉における労働運動的要素の一掃をテコに労働運動全体の社会的抹殺を狙う攻撃だ。その意味で全労働者にかけられた攻撃である。〈官から民へ〉〈市民との協働〉、それと一体の「市民に良質な公共サービスを提供する」ための労働運動は、「奴隷の魂」注入の大きな水路なのだ。
今日、公務員労働者の賃金は、その原資が税金であることを理由に、それ自体が悪として(したがって少ないほど良い)、また労働者の生存のためのコストが悪として観念される転倒が行われている。これは「新自由主義」の行き着く先である。労働者が働き生活することは悪なのか。労働者が存在することは悪なのか。これこそ資本主義のイデオロギーの極致である。人間社会の目的は何か――この根本問題にかかわる。
人間社会は資本の利潤のために存在するのではない。逆である。資本こそ、人間社会にとって最も無用であり、否、それを超えて最も有害である。われわれは、〈官から民へ〉の行革攻撃を人間社会を破壊し尽くす資本の攻撃(小泉改革によってもたらされた「格差社会」の実態を見よ!)としてとらえ、戦争と社会破壊とを一体的に進める帝国主義への根底的怒りを組織しなければならない。戦争国家化と大リストラ、社会保障の解体と大増税、公務員制度改革と改憲は一体だ。公務員労働者こそ、全労働者の最先頭で、構造改革=戦争国家化攻撃を打ち砕く闘いに決起しよう。
公務員解雇を容認する連合
日本帝国主義・小泉内閣の戦争国家化、国家改造を全面的に容認しているのが連合中央本部である。この間、連合は、日本経団連などとも通じながら政労協議(竹中総務相、中馬行革相らと連合三役とのトップ協議)を行い、政府・与党の進める公務員制度改革の基本方向にゴーサインを出し、その立場から1・19連合中執決定を打ち出した。1・19決定は、@公共サービス・公務員制度に関する連合の考え方A米軍再編に関する考え方B国の基本政策に関する連合の見解(案)の取り扱い――の三つである。連合は、戦争と改憲、国家改造を進める政府・資本と同一の立場に立つことを満天下に明らかにしたのだ。ここでは@について批判する。
これは第一に、政府・経済財政諮問会議が昨年末に決めた行革重要方針−公務員制度改革に伴う首切りを完全に容認している。行革重要方針は、公務員2割の人員削減、3割の人件費削減、〈3人に1人〉の首切り方針であり、行革推進法案となった。
これに対して連合は「特別退職=転籍はやむなし」として、公務員労働者の転籍=非公務員化を容認した。民間資本への「片道切符」=民間資本のもとでのリストラ=首切りというコースの承認だ。市場化テスト法案に示されるように、業務丸ごと職員とセットでの民間への移行をのんだのだ。連合は「出血整理を行わせないための担保として雇用調整本部の設置を政府に求める」としているが、これは「首切り推進本部」以外の何物でもない。
第二に、公務員賃金について「成績主義に基づく任用が基本」として、年功序列賃金の解体、成績主義・査定給への大転換に賛意を表明している。そして「身分保障原理」は成績主義原理をも担保するものだから、合理的理由に基づく解雇(免職)を排除しない」として、人事考課による分限免職など、解雇そのものに承認を与えた。
第三に、「納税者・市民への情報公開と説明責任」「公務員バッシングの原因は労組側にある」として、連合自らが公務員労働者攻撃の先頭に立つことを宣言している。1・19決定は、連合が政府・日本経団連・資本の軍門に下り、その最先兵として延命を図る姿を示している。連合本部の度を超えた屈服・転向を怒りで焼き尽くし、行革−公務員制度改革−公務員大リストラに反撃しよう。
「良質な公共サービス」論
ここで、自治労中央本部が強調している「質の高い公共サービスの確立」方針を批判したい。自治労中央本部は、小泉構造改革−市場原理至上主義に対して「安全・安心の良質な公共サービス」の確立を対置している(関連して「社会的セーフティネット論」)。
この主張は、次の点で根本的に誤りである。第一に、弱肉強食の市場原理は資本主義の本性(=法則)であり、これへの対抗は労働者の職場からの実力による反撃ぬきにはありえない。市場原理を動力とする人員削減、コスト削減に対して労働組合として闘うことが一切の前提だ。
国鉄分割・民営化に反対して2波のストライキで闘い抜いた動労千葉は、コスト削減−利益至上主義で突っ走る〈安全切り捨てのJR資本〉に対して、反合・運転保安闘争に立ち、当局の安全無視を実力で告発し、ついにレール交換を行わせた。〈闘いなくして安全なし〉は普遍的なスローガンだ。階級的に闘う強い労働組合が存在すること、労働者の権利が高い水準で確立・確保されていることこそ、資本の攻勢から〈社会の安全〉を守る必須(ひっす)の条件なのである。
第二に、この主張は、民営化論、「官から民へ」の論理に百パーセント屈服している。民なのか、官なのか、市場原理に委ねるのか否か、という核心を回避させて展開される「質の高い公共サービス論」は、本質的には、市場原理にすべてを明け渡す論理となる。
労働運動は、市場原理と相入れないし、非和解である。資本の運動に対し、人間の根源的要求をもって市場原理に介入し、統制を加えるのだ。その究極の目的は、資本への全面的統制であり、市場原理−価値法則の根本的止揚である社会主義である。私たち公務員労働者は〈直営〉の有する歴史的意義をあいまいにしてはならない。しかし、究極的には、ブルジョア国家を打倒するプロレタリア革命が必要だ。プロレタリアート独裁のもとで生産手段を国有化し、社会主義へと前進する。
第三に、この主張は1・19決定と完全に軌を一にする。1・19決定への屈服だ。すなわち、官と民との競争、際限なきコスト削減競争がもはや前提となっているのだ。「良質な公共サービス」の前に、労働者の権利、労働条件、すべてが犠牲となるのだ。「質の高い」を大義名分とした「働こう運動」である。まさに「奴隷の魂」注入の最大の水路となるのだ。二重三重に誤った「良質な公共サービス」論を粉砕して、自治体労働者の公務員大リストラに対する大反撃の闘いを組織しよう。
5月中央委で「自衛権」−平和基本法方針にとどめを刺し、改憲と戦争−行革と民営化を阻止しよう。
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週刊『前進』(2246号3面2)(2006/05/22)
メーデー 「格差社会」に怒り 小泉打倒へ労働者の息吹
写真 〔上左〕東京地交労メーデーを終え、結集デモで連合メーデー会場に向かう教育労働者 〔上右〕戦争と改憲の攻撃に立ち向かう意思を示してデモに出た全労協メーデーの参加者
〔下〕「改憲反対」が目立った:全労う圭メーデー
労働者は闘いを求めている。今年のメーデーは、小泉政権のもとで進む不安定雇用化や貧富の差の拡大、民営化・規制緩和や戦争と改憲攻撃への労働者の怒りの大きさを示した。フランスを始め世界を覆う労働運動の高揚は、日本の労働者を揺り動かしている。
他方、労働者の怒りの噴出を抑え込もうとする連合や全労連指導部の裏切りも明らかになった。既成指導部の反動を打ち破り、労働組合を現場組合員の手に取り戻してこそ、労働者は勝利することができるのだ。
●連合系は今年もメーデーを4月29日にずらし、労働者の国際連帯に背を向けた。代々木公園で行われたメーデー中央大会には4万3700人が集まり、「格差社会」への怒りを示す各単組の横断幕などが掲げられた。だが、高木剛連合会長は、改憲や教基法改悪、共謀罪について一言も触れず、「格差是正」を言いながらも春闘での連合指導部の裏切りを居直り、「安全・安心、信頼の日本を取り戻す」と述べて資本と権力への屈服を誓った。そして、小沢一郎民主党代表に頭を下げ、小泉への労働者の怒りを小沢民主党支持にねじ曲げようとする姿勢を示した。
●東京地交労は4月29日朝、明治公園で独自のメーデー集会を行った後、結集デモで連合メーデーに合流した。会場には改憲反対や教基法改悪反対の横断幕を掲げる教育労働者や、分会単位で民営化反対のプラカードを掲げる自治体労働者の姿が目立った。
●全労協系は5月1日、日比谷公園で「日比谷メーデー」を開催、1万5千人が集まった。都労連傘下の各単組は大挙結集して公務員に対する攻撃への怒りを示し、国労組合員は国鉄闘争勝利を掲げて結集した。争議を闘う民間労組は、非正規雇用の拡大や労働法制改悪に抗議の意思を表明した。だが主催者あいさつをした国労東京地本の阿部力委員長は、労働者の闘いの結集軸である国鉄闘争勝利の展望を示せず、国労として鉄建公団訴訟に取り組む方針も表明しなかった。デモに出た参加者は、改憲反対や教基法改悪反対、共謀罪阻止、行革・規制緩和反対、国鉄闘争勝利、米軍再編・基地強化反対などのスローガンを唱えて闘いへの気概を示した。
●全労連系は5月1日、代々木公園で中央メーデーを行い4万4千人が参加。憲法改悪や医療制度改革に反対するプラカードを手にした労働者の姿が目立った。だが、熊谷金道全労連議長や日本共産党の志位和夫委員長は、「格差社会」や改憲の動きを指摘しつつも、闘う労働運動の組織化を呼びかけず、日本共産党に一切をゆだねろという反動的主張に終始した。
各会場で革共同はメーデーアピールを配布し、吸い込まれるように受け取られた。労組交流センターも各会場でビラをまいた。
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週刊『前進』(2246号3面3)(2006/05/22)
アメリカ 移民労働者規制法に反撃 200万人がボイコット
ニューヨーク イラク撤兵30万デモ
全米各地でメーデーの5月1日、ヒスパニック系の移民労働者を中心に200万人が「不法」移民労働者の取り締まり強化に反対する抗議デモや職場放棄のボイコット運動に立った。ロサンゼルスでは3月25日の50万人デモを上回る約80万人がデモに参加し、一連のデモで最大となった。シカゴでは70万人、サンフランシスコで10万人など、全米200カ所で闘われた。
(写真 移民労働者弾圧立法へ抗議の白いTシャツを着た労働者が街にあふれた【5月1日 ロサンゼルス】)
この闘いは、昨年12月に米下院で決議された「国境防衛、反テロリズム、違法移民コントロール法」に反対するもの。現在は民事法上の罪である不法滞在を刑事法上の重罪とし、援助した人まで罪に問う法律。さらに、メキシコ国境にフェンスを建設したり、強制送還を強化するなど、移民労働者には「生き地獄」を意味する攻撃だ。
この移民規制法は、1200万人と言われる在留資格を持たない移民労働者を対象としている。その8割がヒスパニック系だと言われる。移民労働者の激増の背景には、NAFTA(北米自由貿易協定)などの新自由主義的な経済政策によって中南米諸国の経済が破綻(はたん)し、数百万人の労働者が失業し、生きるためにアメリカにやってくるしかない状況がある。
「移民のいない一日」のスローガンで「働かず、登校せず、買い物もしない」というボイコットが呼びかけられた。休業に追い込まれる工場が続出し、ロサンゼルス港ではトラック労働者のストで港湾荷役作業が90%以上停止した。
この全米を覆う巨大な決起は、世界大恐慌下で戦闘的労働運動が爆発した30年代以来であり、メーデー発祥の地である米国でのメーデー復権の闘いとなった。60年代のアフリカン・アメリカンの公民権運動を超える米労働者階級の巨大な決起が始まりつつある。
イラク撤兵を!
ニューヨーク市で4月29日、米軍のイラクからの即時撤兵とイラク占領中止を要求して30万人以上がデモに立った。デモは10の街区を出発してブロードウェーを通って連邦ビルと連邦地裁の間に集結した。
デモを主導したのは「平和と正義のための団結」、「即時撤兵連合」、労働組合、女性解放運動、帰還兵運動など。兵士の息子をイラクで失い反戦運動家になったシンディー・シーハンさんや女優のスーザン・サランドンさん、ジェシー・ジャクソン師を始め広範な人びとが参加した。
デモはまた、ブッシュ政権のイラン侵略戦争策動にも反対して闘われた。
イラク開戦以来の米軍兵士の死亡者は公式に2400人に達した。イラク人民の犠牲はその10倍に上る。「石油のためにこれ以上犠牲になるのはご免だ」――米労働者階級は必死に立ち上がっている。今回の反戦デモは、労働者国際連帯の闘いとしての意義を持つ。
(写真 米軍のイラク即時撤退を掲げ30万人がデモ【4月29日ニューヨーク】)
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週刊『前進』(2246号4面1)(2006/05/22)
4・28全国統一行動 改憲阻止学生ゼネストへ
突破口開く法大包囲デモ
全学連は法政大学を先頭に4・28全国統一行動を打ち抜き、警察権力・大学当局と内乱的にぶつかり合いながら改憲阻止ゼネストへの突破口を切り開いた。有朋寮裁判では再び「強制執行停止」という大勝利をかちとっている。法大決戦勝利、改憲阻止ゼネストへ、5〜6月決戦に突き進もう。
法政大 警察と当局に怒りあふれる
4月28日、「憲法改悪反対! 不当処分許すな! 立て看板・ビラまき規制粉砕! 法大包囲デモ」を法大全学生とともにかちとりました。3・14法大弾圧、5名の法大生への自宅謹慎―退学・停学処分策動をうち破る決定的勝利です。
この日、法大当局と警察権力は厳戒体制を敷き、監視弁護をお願いした浅野史生弁護士に対してすら、安東学生部長を先頭に十数人で取り囲み、「学外者は出ていけ」と言い出しました。門前には公安警察が大量に待機し、弾圧を狙っています。
しかし、一部始終を見ていた法大生が次々と怒りを爆発させました。ある学生は「自分は法政一高のOB。校則強化に抗議して座り込みをやった後輩と、高校で起こっていることも大学で起こっていることも同じだと話している」と語り、ある学生は学生会館解体以来のサークル活動破壊に怒り、「建物を占拠してサークルに使っちゃいましょう」と熱く語ります。署名もどんどん集まります。
法大救援会の仲間と合流してデモに出発する時にはキャンパスに学生があふれ校舎の窓からも学生が鈴なりで注目。携帯カメラをかまえる学生は数知れず、手を振ったり、こぶしをあげる学生もいます。大勢の学生が一緒に沿道を歩き、最後まで付いてきた学生や、キャンパスで集団で待っている学生もいます。
法大キャンパスは今、毎日が平林総長に動員された教職員や警察権力との激突です。この一日一日の闘いが全法大生の怒りを一歩一歩解き放ち、不当処分撤回署名は1000筆を超えました。この力で4月教授会での処分決定を阻止したのです。平林総長や小泉・奥田の攻撃などまったく脆弱(ぜいじゃく)です。
しかし平林総長は、5月の教授会で5人の法大生に対する退学・停学処分をあくまで狙っています。8日には法大当局の許可=事前検閲を受けていないすべてのサークルの看板が一方的に撤去されました。断じて許すことはできません。
倒すか倒されるかの決戦です。法大生は「ファシスト平林総長体制打倒! 改憲阻止!」を掲げ5・26法大包囲第2次デモから全学ストに向かって猛然と闘います!(法政大・A)
京都大 新入生の自主的決起始まる
京都大学では、改憲阻止ストライキに向けた闘いが始まった。4月28日昼休みには京大時計台前で教育基本法改悪・改憲阻止を訴えるリレーアピールを行い、その後、京大当局への申し入れを行った。
申し入れの内容は、@現在、法政大学で行われている言論弾圧とそれを口実とする京大への不当捜索に大学として抗議すること、A小泉政権による教育基本法改悪と憲法改悪に大学として反対することだ。
申し入れの場では、形式的対応に終始しようとする学生課長に対し「あなたも一大学人として弾圧に抗議し、改憲反対に立ち上がるべきではないのか」と20分近くにわたる説得を行ったうえで申入書を提出した。
4月19日にも、京大当局に同様の申し入れを行ったが当局は文書回答を拒否した上、「法大の自治に関することなのでうちの大学は干渉できない」とコメントした。学生を愚弄(ぐろう)するのもいいかげんにしろと言いたい。法大弾圧と処分策動こそ国家権力による大学自治、学生自治の破壊と言論弾圧ではないか。この弾圧を口実として京大への家宅捜索も行われている。要するに京大当局は、政府による大学自治侵害を容認し、教基法改悪や改憲問題への態度表明も拒否しているのだ。断じて許すわけにはいかない。この闘いを出発点に、京大から改憲を吹っ飛ばす数千規模の大衆決起をなんとしても実現する。
28日夕方には、京都市内での集会・デモに決起した。新入生の飛び入り参加もあった。そして、この日の行動をやりぬいた学生を中心に、新入生も加わって改憲阻止京大実行委が結成された。京大では4月、自民党新憲法草案の学習会や講演会などの取り組みが数多く行われ、新入生の中には自民党新憲法草案を友人に見せて討論したり、米軍再編最終報告に対して自分でビラを書くなどの自主的決起が始まっている。いま京大の戦闘的学友は、寝る間も惜しんでビラを書き、無数の学習会を組織する意欲に満ちあふれている。決戦の火ぶたは切られた。私たちは5〜6月教基法改悪・改憲阻止決戦に総決起する。全国学生ゼネストへ進撃しよう。(京大・M)
東北大 新入生を先頭に集会・デモ
(写真 昼休み集会に圧倒的な注目【4月28日 東北大】)
東北大では4月28日、新入生を先頭に学内集会、街頭デモをやり抜きました。
昼休み集会の前から演壇でガンガン訴え、授業が終わった学生や新入生勧誘のサークル員たちが圧倒的に注目。1年生の姿もかなり見られます。基調報告の後、1人ずつ演壇に登って有朋寮廃寮反対や憲法改悪、教育基本法改悪の批判、沖縄の闘いやフランスの学生に続こうと思い思いにアピールしました。
集会後、片平キャンパスに向けてデモに出ました。これからの展望を切り開く決定的行動ができたと思います。有朋寮「強制執行停止」決定の大勝利から、改憲阻止全学ストに向けてさらに巨大な行動をつくっていきます。(東北大・S)
広島大 改憲テーマに講演会が高揚
4月28日、広島大学西条キャンパスで「『憲法改正』って何? 弁護士が語る面白いほどよくわかる講演会」が「憲法改悪をとめよう!広大生実行委員会」の主催で開催され、新入生を始め多くの学生が参加して大成功した。講師の本田兆司弁護士は「そもそも憲法とは国民が努力して実現すべき理想を宣言したものであり、現実に屈服して憲法を変えるというのはおかしい」と改憲論者を批判。質疑応答の後、1年生を始め多くの学生が討論に参加した。
30日には広島市内で「憲法改悪と国民投票法案反対!4・30集会」(写真)が百万人署名運動広島県連絡会の主催で行われ、労働者・学生ら約70人が参加した。集会の後は原爆ドーム前までデモを行った。(広島大・K)
富山大 1、2年生軸に新歓活性化
今年の富山大学の新歓闘争は、かつてない大衆的広がりをつくって活性化している。3・14法大弾圧で自治会メンバーが逮捕される中、残った学生が不当捜索と毅然(きぜん)と対決し、新歓行事、5月大学祭の準備を担いきった。1、2年生を中心にして改憲阻止にむけた闘いが始まった。
4月冒頭の新歓フェスティバルではメイン企画として織田陽介・全学連委員長講演会が大成功し、参加した1年生の改憲阻止決戦への決起が始まっている。4月29〜30日の自治会合宿では『改憲攻撃と労働者階級』の著者、大谷一夫さんを招いて講演と討論、改憲阻止決戦にむけた学習会とレクリエーションで団結を固めた。(富山大・N)
九州大 学友会つぶしと対決し前進
九州大学では、当局の学友会つぶしの攻撃と対決し、ほぼ全クラスからの役員選出を貫徹しました。そして選出された役員が軸になることで自治会新歓企画が例年以上に成功しています。
4月26日には自治会新歓企画として憲法問題をテーマとした講演会が大成功しました。1年生をはじめとする参加者が「もっと他の人にも話を聞かせたかった。またやりましょう」と感想を出し合い、改憲阻止決戦の出発点をがっちりと形成するものになりました。当局の学友会解体攻撃と対決してきた数年来の闘いを基礎に、今年の新歓闘争は大きな前進をかちとっています。(九州大・O)
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週刊『前進』(2246号4面2)(2006/05/22)
有朋寮裁判 高裁が執行停止決定
改憲粉砕・廃寮阻止ストへ
東北大から重大な勝利の報告です。5月9日、仙台高裁は有朋寮明け渡し裁判で強制執行停止を命ずる決定を下しました。機動隊導入で暴力的に有朋寮から寮生をたたきだそうとした国家権力・東北大学当局のもくろみを粉砕したのです! 昨年9月の仙台地裁の「停止決定」に続く大勝利です。
この勝利は、有朋寮が国家権力・機動隊、大学当局との非和解的激突の意思を固め、一歩も退かぬ闘いに決起したことでかちとられました。“寝耳に水”の一方的廃寮決定、一切の話し合い拒否、委員長・古郡に対する3年以上もの「無期停学」処分、こんなもの絶対に認められるか! 寮を城砦(とりで)に徹底的に抵抗する! この戦闘精神に敵は屈したのです。
01年9月の廃寮決定、そして昨年9月の第1次強制執行阻止決戦以降爆発的に全国に拡大した支援陣形に権力は手を出すことができませんでした。集会、デモ、アピール賛同、カンパなど、温かいご支援にあらためて御礼申し上げます。
仙台高裁が判断を最高裁へ委ねたことは重大です。仙台高裁は、「大学の決定は絶対」「学生はお上の言うことに無条件に従え」という反動判決を押しとおすことができず、強制執行に踏み切ることができなかったのです。われわれは上告審闘争を、改憲阻止決戦そのものとして、有朋寮廃寮攻撃が憲法違反であることを明らかにし、逆に大学当局を裁く場に転化します。
最後に、強制執行停止に伴う保証金200万円は新たな財政攻撃であり、なんとしてもこれをはね返さねばなりません。全国のみなさん、再び三たびの緊急カンパをお願いします。
この勝利は、小泉打倒、改憲阻止、吉本独裁執行部打倒に向けた号砲です。闘えば世界は変えられる! われわれは、この勝利の地平を引き継ぎ、全世界の闘う労働者・学生と連帯し、「改憲粉砕! 廃寮阻止!」の全学ストに断固として突き進みます。=写真は5月4日の市内デモ
(東北大・F)
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週刊『前進』(2246号4面3)(2006/05/22)
“命の土地は渡さない”
ピョンテク米軍基地拡張阻止 韓国軍と激突
5月4日未明、在韓米軍基地拡張予定地のピョンテク(平沢)市テチュリに戦闘警察1万3千人と韓国軍3千人が投入され、強制代執行! 前夜から反対運動の拠点、テチュ分校に立てこもった住民と民主労総の労働者、学生ら千人が迎え撃ち大激突、524人が連行され負傷者300人の流血の事態となった。翌5日、反対派は敷設された鉄条網をズタズタに寸断。以来連日「命と平和の土地を米軍基地には渡さない!」と激突している。沖縄・辺野古とともに米軍再編と最前線で闘うピョンテクの反基地闘争と連帯し闘おう。
(写真は5月5日)
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週刊『前進』(2246号4面4)(2006/05/22)
派兵演習阻止 北富士へ
5・28闘争へ忍草農民の訴え
5・28北富士現地闘争へ北富士忍草母の会の天野美恵事務局長と忍草国有入会地守る会の天野豊徳会長にアピールをいただいた。自衛隊のイラク派兵演習阻止、入会地奪還へ全力で結集しよう。(編集局)
梨ケ原は私たちの先祖伝来の入会地 北富士忍草母の会事務局長 天野美恵さん
5月28日の集会は、演習場内にあるサマワ宿営地の模擬施設のすぐ上で行います。政府は私たち入会権者に何の話もしないであそこに勝手にあんな施設をつくりました。模擬施設のところは廠舎(しょうしゃ)区域だなんて言って強行しましたが、そんなことはありません。あそこをサマワの模擬施設にしていることは絶対に許せないことです。
何よりもあの梨ケ原は私たちの先祖伝来の入会地です。なんと言っても私たちはあそこに入り会って生活してきたわけですから。桑を植え、そばを植え、草や木を採ってきた。
明治の時に地租改正で国有地にし、その後皇室財産にした。それでも住民は木を切って抵抗した。何度も大きな洪水が出て、それで一部を県有財産にして恩賜林(恩賜県有財産保護組合)に払い下げた。
そして戦後は米軍演習場にされましたが、60年安保のあと私たちは忍草母の会を結成し、演習場撤去・入会地奪回のために闘いました。特にリトルジョンの射撃訓練(1965年)の時、着弾地に座り込みました。そしたら私たちがいたすぐ近くに弾が落ちた。模擬弾だったから良かったようなものの、爆発していたらみんな死ぬところでした。私たちはすぐに新聞社にも知らせると同時に、御殿場の米軍司令官のところに抗議に行った。
そのとき会長さん(故・渡辺喜美江さん)が一歩基地の中に入ったと言って刑特法(安保条約に基づく米軍の地位に関する刑事特別法)にかけると言って騒ぎましたが、結局刑特法はかけられませんでした。これも私たちに入会権があるからです。その後も演習場の中に小屋を建てて座り込み、3年3カ月にわたって演習を阻止するなど、体を張って闘ってきました。そうした成果として日曜、休日には地元住民の立ち入りを認めるということも勝ち取られているのです。
政府は金を使って何度も何度も切り崩し攻撃をかけてきましたが私たちは負けません。入会地奪還のために無断使用に抗議して闘うことこそ入会権を守るものであり、自衛隊演習に反対して闘う、これこそ入り会い行為だということです。
母の会は、政府が自衛隊をイラクに送り続け、戦争のために入会地を使うことに反対して闘います。ぜひ5月28日には北富士に来て闘いに参加してください。
再びアジアで戦争すること許さない 忍草国有入会地守る会会長 天野豊徳さん
サマワ模擬施設は、私たち入会住民には何の話もなしにつくったもので、ここで自衛隊をイラクへ送るための演習をすることは絶対に許せません。
あそこは米軍が占領して、その後自衛隊に使用転換になってと変遷はありますが、もともと私たちの入会地です。私がまだ小さい頃、37年に陸軍演習場に接収されたんですが、その後も入り会いは続けてきた。私も子どものころは親に連れられてそばの種まきに行ったり、草刈りに行ったりしていました。1反歩割、3反歩割と区切って畑にして桑も植えていました。梨ケ原は遅霜が降りないので春蚕(はるご)のための桑を仕立てた。また若いころには馬車を引いてそれに刈った草を乗せて帰った。
私たちはそのようにして入り会って、生活を支えてきた。しかも裁判所が2度も「国有地に入会権有り」と認めているわけです。
私たちは入会地を奪い返すためにずっと闘ってきました。私は1972年から73年にかけては毎日のようにゲリラに行きました。1年間に264回も行ったんです。夜明け前に入って昼過ぎに出るというのが多かったんですが、当時は副入会組合長で行動隊長だったので誰よりも多くゲリラに行きました。
(大森)梅子さんと(渡辺)まさきさんを木の上に載せた木登りゲリラは、私が2人の座るところを作って、下の方は人が登ってこられないように枝を落としてしまった。私は遠くの木に登って見ていたんですが、警察に気付かれて2人が上ってきたんですがすごく細いところまで上がって揺れるのが怖くて警察は降りてしまった。
米軍再編が行われようとしていますが、座間に米軍の司令部が来たり、沖縄に新基地を建設すると言われています。私は、北富士演習場が米軍占領になった後演習場で働いていましたが、当時は第3海兵師団12連隊がいた。その海兵隊が今中東に行っている。今ではもっと緊急展開の遠征軍になっている。
イラクがどうなるかわかりませんが、アメリカでは35万人がデモをしたというニュースもありました。その一方でアメリカの高官がイランの核の問題で核による爆撃もあり得るなんていう発言もしている。イランもイラクと同じように産油国ですから、ブッシュ一族が占領を狙っているのではないですか。同時にアメリカの軍事産業を生かさなければ経済がやっていけないということで戦争をやって金もうけしようとしている。そういう連中が政権を執っている。
海兵隊がここで小火器の演習をしたいと言い出していますが極東をモデルにした演習ではないでしょうか。朝鮮戦争当時、米軍はコリアンハウスという朝鮮の民家のモデルを造っていました。直接演習をするところは見ていませんが、壁も屋根も茅葺(かやぶ)きでオンドルもありました。
再び戦争をすることを許すことはできません。5月28日の北富士現地闘争にぜひ集まってください。
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週刊『前進』(2246号4面5)(2006/05/22)
4月26日〜5月9日
教基法改悪案を国会に提出
米軍再編、日米が「最終合意」
●教基法改悪案を閣議決定 政府は、教育基本法改悪案を閣議決定し、国会に提出した。(28日)
●米軍再編関連法案「間に合わない」 小泉首相は、米海兵隊グアム移転の法的根拠や基地周辺地域振興への交付金創設などを盛り込んだ「在日米軍再編関連法案(仮称)」の今国会提出について、「間に合わないでしょう」と述べた。(28日)
●新沿岸案に反対決議 沖縄県の宜野座村議会が臨時議会を開き「普天間飛行場移設の辺野古移設新沿岸案(V字型の2本の滑走路建設)に反対する意見書案」と同要請決議案をいずれも全会一致で可決した。(28日)
●米軍再編「最終合意」 日米両政府は、外交・防衛担当閣僚による日米安全保障協議委員会(2プラス2)を米国務省で開き、在日米軍再編に最終合意した。司令部間の連携など自衛隊と米軍との一体化を進めると同時に、沖縄の普天間飛行場移設先の建設や海兵隊グアム移転を14年までに実現するなど、今後の再編日程を定めた「ロードマップ(行程表)」を発表した。(5月1日)
●ガイドライン見直しを 米軍再編の最終報告の決定を受けた記者会見で、額賀防衛庁長官は「従来の日米防衛協力指針(ガイドライン)に代わる日米安保の理念を考える時期に来ている。新しい枠組みの議論をしたらどうかという話をした」と述べた。その後の会談でラムズフェルド米国防長官は「喜んで協議に応じる」と返答した。(2日)
●嘉手納F15緊急着陸 米空軍嘉手納飛行場で、同基地所属のF15戦闘機が着陸の際に左主脚が折れ曲がり、滑走路を外れて停止するトラブルがあった。他のF15については原因不明のまま飛行を再開した。(2日)
●稲嶺が「暫定へリポート」を要求
沖縄の稲嶺知事は、普天間飛行場の当面の危険性を除去するため、キャンプ・シュワブ陸上部にヘリポートを暫定的に設置しヘリ基地機能を移転するよう求める考えを正式表明した。在日米軍再編最終報告については「高く評価する」とした。(4日)
●武器輸出3原則「緩和を」 自民党の久間総務会長は、「在日米軍なども日本でメンテナンス(整備)できるようにしたらどうか。武器輸出3原則もある程度の緩和をしなければならない」との考えを示した。(4日)
●第10次派兵部隊の出国行事 陸上自衛隊第10次イラク復興支援群の出国行事が、群馬県榛東村の陸自相馬原駐屯地で行われた。7日以降、3陣に分かれて出国、今月中に9次群から業務を引き継ぐ。(6日)
●米軍指導で陸自が「暴徒鎮圧」訓練 陸上自衛隊が昨年3月、沖縄県の米軍実弾演習場キャンプ・ハンセンで、米海兵隊から暴徒鎮圧など部隊防護の訓練研修を受けていたことが明らかになった。ファイル交換ソフト「Winny(ウィニー)」を介して流出した陸自の内部データに報告書が含まれていた。(7日)
●教基法改悪で推進本部を設置 文部科学省は小坂文科相を本部長とする教育基本法改正推進本部を設置、初会合を開いた。同省が特定の法案のために推進本部を設けるのは異例。(8日)
●米軍ミサイル訓練に海自イージス艦が初参加へ 防衛庁の海上幕僚監部が米軍の弾道ミサイル追尾訓練に神奈川県横須賀基地所属のイージス艦「きりしま」を初参加させることを明らかにした。6月中旬からハワイ沖で行われる予定。弾道ミサイルの追尾訓練は日本にとって初めて。(9日)
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週刊『前進』(2246号5面1)(2006/05/22)
5〜6月教基法改悪・改憲阻止に立とう 戦争のための9条改憲に反対!
4大産別での決起を土台に全人民的な大運動おこそう
青野大介
日本の労働者階級人民にとって憲法闘争とは何か。それは、戦争か革命かを直接的に問い、日本プロレタリア革命の勝利を現実的にたぐり寄せる闘いである。憲法闘争を、何か一つの政治闘争課題だと考えるのは間違いだ。9条改憲という日本帝国主義の戦争国家化攻撃の核心部分をうち砕く闘いであり、すなわち労働者階級による日帝打倒の革命運動を爆発的に前進させるのが改憲阻止決戦なのである。憲法闘争の階級的な性格、その世界史的な意義をあらためて確認し、5〜6月教育基本法改悪・改憲阻止闘争を猛然と闘おう。
北朝鮮・中国侵略戦争への参戦狙う
昨年1月、日本経団連は9条改憲の具体論を提言した。10月には自民党の新憲法草案が発表された。さらに、船田元・自民党憲法調査会長は「2008年には憲法改正のための国民投票を」と、明文改憲プランを表明している。日帝支配階級は、今なぜ9条改憲を断行しようとしているのか。
それは、日帝支配階級が本気で戦争をしようとしているからだ。9条改憲で、日本と自衛隊を戦争する国家に、戦争する軍隊に、人民を強権的に戦争にかり出すことができる支配体制に、つくり変えようとしているのである。
日帝は、人民に生活も人権も保障できなくなり、再び戦争へと向かう以外にない危機にあえいでいる。日帝の公的債務残高は1000兆円を超え、戦争によってしか解決できないレベルに達している。その中で、首切り・賃下げの嵐が吹き荒れ、今や労働者の4人に1人が年収150万円以下だ。労働者階級全体の貧困化が音を立てて進行している。自殺者は毎年3万数千人で、餓死者も増え続けている。そのうえ日帝は、戦後的な社会保障制度を全面的に解体して、生存権さえ奪い去ろうとしている。
膨大な経常赤字、財政赤字にあえぐアメリカ経済は、住宅バブル崩壊の危機、原油価格の高騰によるインフレ圧力を受けて、大崩壊の危機に直面している。アメリカ帝国主義はイラク侵略戦争の泥沼化と階級闘争の高揚の中で、体制危機を深めている。世界経済全体が崩壊の瀬戸際にあり、全世界で革命的情勢が成熟しつつある。日帝はいまだに戦後憲法的な制約を突破できないまま、こうした大情勢に投げ込まれようとしている。日帝は、米帝の激しい争闘戦圧力を受けて、日米枢軸体制のもとで戦争国家へと全面転換することに唯一の延命の道を見いだしている。
5月1日に米国務省で行われた在日米軍再編の2プラス2最終報告・共同発表は、日米安保のものすごいエスカレーションを表している。日米同盟は「(アジア太平洋)地域及び世界」の安保政策の要だと、繰り返し強調された。日米安保は、世界的な軍事展開のための新たな軍事同盟へと大改定されたのだ。
具体的課題として、@イラク及びアフガニスタンを「再建」すること、AイランにIAEAの査察を受け入れさせること、B北朝鮮に対して核計画の廃棄を迫り、中国に軍事力の公表を求めることをあげている。つまり、イラク侵略戦争を継続し、イラン、北朝鮮、中国などへと侵略戦争を拡大していくことが狙われているのである。これらの戦争に日帝が全面的に参戦するために9条改憲を強行しようとしているのだ。
このような戦争計画のもとに在日米軍(と自衛隊の)再編がある。発表された再編計画は、@「個別の再編案は統一的なパッケージ」である、A2014年までに沖縄・辺野古崎にV字型滑走路を持つ基地を建設する、B08年までに米陸軍第1軍団司令部を改編した統合作戦司令部をキャンプ座間に移転し、陸自中央即応集団司令部を12年度までに座間に移転する、C第5空母航空団の岩国移転を14年までに完了する、などである。
この計画は、労働者人民の反戦闘争、沖縄を始めとする反基地闘争を圧殺しなければ実現できない。まさに9条改憲攻撃と一体である。改憲阻止闘争と一体的に全国各地の反戦反基地闘争を全力で闘おう。
プロレタリア革命へと直結する闘い
9条改憲阻止の憲法闘争は、プロレタリア社会主義革命に直結していく大闘争である。憲法闘争の歴史的意義を改めて確認しよう。
日本国憲法には「基本的人権は、侵すことのできない永久の権利」(第11条)や「人類普遍の原理」(前文)という文言がある。しかしこれらはけっして階級を超越した永遠の真理ではない。近代憲法は近代ブルジョア国家の基本法であり、タテマエである。
近代憲法原理の中心である人権保障は、封建社会を転覆したブルジョア革命によって、ブルジョアジーが自己の政治権力を確立していく過程で、新たな社会原理としたものである。資本主義以前の社会では、諸個人には身分的制約が強制されていた。だが、フランス革命(1789年)は、個人を一般的な「市民」とし、この「市民」の権利としての「人権」を、諸個人が生まれながらにして持っている権利であるとした。
それは同時に、新たに支配階級となったブルジョアジーが、近代国家の中でブルジョアジーの利益を守るための原理となった。ここで言う「市民」は、実際には私有財産の所有者のことである。基本的人権の最も重要な柱の一つが、ブルジョア私有財産制度の不可侵性なのである。
こうしたブルジョア近代国家の形成とその基底で進行する産業革命は、無産階級である労働者階級を膨大に生み出した。ブルジョアジーは、自己の利害をあたかも全体の共同利害であるかのように押し出し、基本法である憲法に「自由・平等・人権」を盛り込む一方で、警察や軍隊や監獄という暴力装置をもってブルジョア独裁を貫いてきた。
これに対し、労働者階級は労働組合のもとに団結することによって資本の強搾取・強労働に対して生きるための闘争を貫き、ブルジョア社会がその原理として掲げる「自由・平等・人権」を自分たちにも保障せよと要求して闘ってきた。ブルジョア支配を打倒し、労働者の解放を実現しようとする19世紀以来の労働者階級の闘いは、労働者の団結権や争議権、普通選挙権や社会保障の諸権利をかちとってきた歴史でもある。
ところが今回の改憲攻撃は、ブルジョアジー自身が自己のためにうち立ててきたはずの近代憲法のタテマエも投げ捨て、「公益及び公の秩序」(自民党新憲法草案)を基本的人権の上に置くことで、国家に対する「国民の責務」を定める憲法に置き換える。これは、議会制民主主義や地方自治などブルジョア民主主義すらも解体し、日本を再びボナパルティズム国家へと転換させ、強大な国家権力のもとに労働者人民を組み敷こうとするものである。
資本主義の最後の段階としての帝国主義は、その危機と矛盾を極限にまで高め、今や日帝は改憲攻撃をクーデター的に強行する段階に至っている。これに対して労働者階級は、改憲粉砕の全人民的闘いをとおして、帝国主義打倒へと突き進まざるをえない。
9条改憲反対の大統一戦線形成を
改憲の焦点は第9条だ。日帝支配階級は、9条2項を削除し、9条の二として「自衛軍の保持」を明記し、海外での武力発動と集団的自衛権の行使を可能にしようとしている。日帝は今、この9条改変に全命運をかけている。
しかし、日帝が9条を破壊しようとすればするほど、労働者階級の反撃は大きくなる。必ずやその闘いは予想を超えた大きさで爆発し、階級支配をも吹き飛ばす勢いで燃え上がるだろう。このことへの圧倒的確信を持って、9条改憲阻止闘争を推し進めよう。
そもそも9条が制定された核心には、天皇の戦争責任をかわし、戦後革命を封じ込める狙いがあった。憲法制定当時、ほうはいとわき起こる労働者人民の闘いがあり、在日アジア人民の実力闘争が爆発し、日帝の侵略戦争犯罪に対するアジア人民の告発・糾弾のうねりがあった。この革命的危機の中で、帝国主義国家としては自己否定にも等しい9条〈戦争放棄・戦力不保持・交戦権否認〉が制定されたのである。
日米安保との闘いを軸とする戦後の日本階級闘争は、この9条に生命を吹き込み続ける闘いであったと言える。連合的封じ込めが強まっているとはいえ、労働組合が反戦反基地闘争の主力を担い続けてきた。その中で、連合指導部の9条改悪容認の姿勢に怒り、憲法28条〈労働者の団結権・団体交渉権・争議権〉と憲法9条の破壊を許さないのは労組の使命だと決意し、労働組合としてやれることはなんでもやろうという動きが始まっている。
また、教育労働者の「日の丸・君が代」強制拒否の闘いも、この9条をめぐる闘いと結びついている。そして今、「日の丸・君が代」闘争を担った教育労働者を先頭にして教育基本法改悪阻止の闘いが爆発し始めている。その闘いの発展は改憲阻止決戦の爆発に直結するものだ。
では、どのように改憲阻止決戦を進めるべきか。
第一に、この決戦をとおして労働者革命を実現するという気概に燃えて闘うことである。でっかいスケールで、ダイナミックな展開をイメージすることだ。たとえ3〜4人の集まりから始まっても、それが一気に拡大していくと確信して行動することである。
第二に、9条改悪反対の闘いを徹底的に推進軸、結集軸にしていくことである。9条改悪反対の一点で共闘する大統一戦線をつくりだしていこう。
学生は改憲阻止ゼネストでけん引しよう。
そのためには、職場、地域、学園から、9条改憲反対の議論の輪と行動を起こしていくことだ。活動方針は柔軟で創造的であっていい。署名運動や街頭宣伝活動はオーソドックスだが、誰にでもできて無限の可能性がある活動方針である。
第三に、4大産別を先頭に、拠点職場や労組での取り組みを下から動かすことである。日帝支配階級は、民営化を徹底推進することで旧官公労系の労組を解体し、連合を改憲勢力に完全に転落させて改憲態勢をつくろうとしている。改憲阻止闘争の帰すうは、日教組、自治労など4大産別の労働組合が改憲阻止に立ち上がるのか、それとも改憲勢力へと転落してしまうのかどうか、にかかっている。だからこそ、4大産別決戦を軸に改憲阻止決戦を闘い抜くことが決定的なのだ。4大産別を始めとして労働者階級が戦争と民営化(=労組破壊)攻撃と闘い抜き、改憲阻止決戦へと雪崩をうって立ち上がることで改憲攻撃は必ず粉砕できる。そしてプロレタリア革命へと向かう情勢を切り開くことができるのだ。
第四に、「憲法改正国民投票法」制定策動は改憲攻撃そのものであり、国会が発議した改憲案を国民に強制する仕組み・弾圧体制をつくるものである。国会提出を絶対に阻止しよう。
「とめよう戦争への道! 百万人署名運動」は、「憲法9条を変えるな! 署名運動で風を起こそう!」と5・20全国集会を呼びかけている(要項1面)。この呼びかけにこたえ、5・20集会に総決起し、改憲阻止の大運動を巻き起こそう。
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週刊『前進』(2246号5面2)(2006/05/22)
5・2東京 “阻止しよう! 改憲” 緊迫情勢下で集会
5月2日夕、「つぶせ!国民投票法案/阻止しよう!憲法改悪/5・2憲法集会」が、東京・なかのZERO小ホールで行われ、雨の中、180人が参加した。主催は、「戦後50年を問う8・15労働者市民の集い」全国統一実行委員会。葉山岳夫弁護士が開会あいさつ、二つの講演と、闘いの現場からの三つの報告、西川重則さんのまとめと充実した3時間だった。
(写真 「共謀罪、教基法改悪、憲法改悪に反対して団結ガンバロー」とこぶしを上げる参加者【5月2日 東京】)
講演は、まず関東学院大学教授の足立昌勝さんの「現在の治安維持法―共謀罪を葬れ」。現在の緊迫した国会情勢について報告し、共謀罪を作れば警察権力を政治的に行使して、日本国民を一つの方向に追い込むことが可能になる、としてその重大性に警鐘を鳴らした。
もう1人は、中央大学教授の植野妙実子(まみこ)さんの「『戦争の放棄』から『安全保障』へ―再び戦争への道が開かれようとしている」。「新憲法を作るということは体制変革ということ」と問題の核心をつき、永久平和主義、国民主権、基本的人権の現憲法3原則の原理をそれぞれ弱めようとしていることを指摘した。特に第9条2項の破棄が持っている重大な意味について明らかにした。
「闘いの現場から」では、米軍司令部の座間移転に反対して闘う桧鼻達実さん(原子力空母の母港化に反対し基地のない神奈川をめざす県央共闘会議事務局長)が、横須賀と座間の二つの闘いについて訴えた。
「日の丸・君が代」強制拒否を闘って処分された教育労働者が、教員の良心に従って闘ってきたことを誇りを込めて報告し、10・23都教委通達の実効力をなくすようにしていきたいと述べた。学校現場での新憲法施行を覆す内部からの闘いを広げていく決意に感動の輪が広がった。
動労千葉執行委員の川崎さんは、尼崎事故1周年にあたっての動労千葉の闘いを報告し、「闘いなくして安全なし」と、労働組合の闘いの重要性を強調した。
まとめの発言に立った西川重則さんは、「今国会での共謀罪、教基法改悪を始めとする重要法案に対してたじろぐことなく闘おう。8月15日の集会に再び集まろう」と力強く訴えた。
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週刊『前進』(2246号5面3)(2006/05/22)
第3次再審への戦闘宣言 5・21狭山中央闘争へ
権力の差別犯罪を裁こう
きたる5月21日、部落解放同盟全国連合会の呼びかけによる狭山中央闘争が闘われる。この闘いは、第2次再審棄却をのりこえて狭山第3次再審闘争の突破口をこじ開ける歴史的な闘いである。狭山弁護団は、石川一雄さんのデッチあげ逮捕から43カ年となる本年の5・23を期して第3次再審請求を提出すると言われている。この第3次再審請求の提出に日本中の耳目を集中させ、ここに狭山再審闘争が、不死鳥のように、不屈に、日帝・国家権力徹底糾弾の挑戦状をたたきつけることを、すべての労働者階級と人民が認知し、共有するところとしなければならない。5・21は、この挑戦状をたたきつける闘いである。
石川一雄さんは、昨年の第2次再審請求の特別抗告棄却に際して、「いまこそ、鬼人となってたたかいぬく」という烈々たる戦闘宣言を発している。この戦闘宣言は、日本帝国主義の改憲と戦争、差別主義的分断支配に対する労働者階級と部落大衆の戦闘宣言でなくてはならない。全国から5・21狭山中央闘争に総決起しよう。
石川一雄氏と共同の決意で
5・21狭山中央闘争において闘いとるべき第一の課題は、狭山第3次再審闘争への戦闘意志を部落大衆と労働者階級の中にみなぎらせ、その戦闘宣言を発することである。
石川一雄さんは、第2審での最終意見陳述において、「部落民の私を犠牲に選んで、権力の威信回復をはかろうとした、まさに天人ともに許されない悪逆非道なやり方に鋭く批判を加え、国家権力の自己批判を迫る」と述べている。そして、無期懲役判決、上告棄却、二度にわたる再審請求の棄却にもかかわらず、あくまでこれを不屈に貫こうとしている。これこそが狭山闘争の原点であり、唯一の帰着点である。この石川一雄さんの不屈の意志をすべての部落大衆と労働者階級の共同のものとしなければならない。この「国家権力の自己批判」こそ、再審の決定であり、再審による無罪判決なのである。
再審は必ず実現できる。なぜなら、無実の石川一雄さんを犯人にデッチあげた国家権力の差別犯罪の事実は、まだほとんど明らかにされておらず、したがってまだ裁かれていない。部分的に、「自白」と客観的な事実の違いは明らかにされてきたが、無実の石川一雄さんに自白を強制した手口の全貌(ぜんぼう)は、なにひとつ明らかにされていないのだ。この証拠も検察によって隠されたままである。この全貌を法廷の場にひきずりだし、徹底的に糾弾することこそ、第3次再審闘争の基軸である。
この闘いは、法廷の枠を越えた国家権力に対する糾弾闘争そのものである。そもそも狭山事件において、これを裁くのは裁判所などではない。裁判所自体が部落差別の加担者となり、その道具となってきたのだ。
第3次再審闘争とは、石川さんと部落大衆、労働者階級が力をあわせて、国家権力による差別犯罪を裁く闘いである。長谷部を始めとした捜査官、検事、内田武史、寺尾正二らの差別裁判官どもがどのような手段によって石川一雄さんを犯人にしたのか、この全貌を暴き出し、これに鉄槌(てっつい)を加え、徹底的に糾弾する闘いとして第3次再審闘争を闘おう。
差別への怒り解き放とう!
第二の課題は、狭山第3次再審闘争の不屈の闘いを基軸にして、今こそ部落大衆の差別に対する怒りと闘いを全国連のもとに糾合し全国連の5万人組織建設に向けてばく進しなくてはならないということである。
こんにち、解放同盟の本部派は、差別事件の激増の中で、そのすべてを警察への告訴、警察による捜査にゆだねる方針をとっている。『解放新聞』紙上では、「差別事件解決のための警察による取り組み」などと公然と主張する始末である。まさに、驚くべき事態だ。自主解放という部落解放運動の根本精神が投げ捨てられ、警察や法務省が部落差別解決の主人公だとされている。
だが、ことは、それにとどまるだけではない。この、「警察による差別事件の解決」なる方針は、戦時下において水平社が解体され、天皇制融和運動への統合によって水平社が戦争協力の道に転がり落ちたときに掲げられた「差別事件の公的機関による解決」という路線とうりふたつなのである。いまや、本部派は、侵略戦争のもとでの融和運動に完全に変質したといわなくてはならない。
しかし、部落大衆がこのようなものに組み敷かれるなどということは断じてありえない。水平社以来の自主解放の魂は、今なお部落大衆の中で生きており、部落大衆は、小泉「改革」による生活と権利のはく奪に怒りを燃やし、この怒りは爆発寸前の状態にあるのだ。このことを最もよく示しているものこそ、4月30日に闘いとられた、全国連西郡(大阪・八尾市)支部の創立である。
4月30日、八尾市西郡の人権ふれあいセンターに、西郡の部落大衆を始め320人の結集をもって、全国連西郡支部の創立大会がかちとられた。荒本支部にならぶ村ぐるみの全国連の大拠点が誕生したのである。この全国連西郡支部の結成は、西郡という地域が、部落の規模という意味でも、本部派(大阪府連)の大拠点のひとつであったという意味でも、歴史的な出来事である。荒本支部を拠点とした全国連の創立から15年の苦闘を経て、ついに本部派の分解、部落大衆の全国連への爆発的な結集が始まろうとしているのである。
重要なことは、この結成大会において、西郡の部落大衆は、5・21狭山中央闘争への総決起を第一の実践方針として掲げたことである。大会では、「部落差別によって住民どうしをいがみあわせ、対立させる国を変えるためにたたかう」「子や孫に差別のない社会と村を残したい」という意見が参加者から次々と表明された。ここには、自分たちの生活と権利を守るために団結することと、部落差別をなくすために力をあわせて闘うことが一体の問題だという強い自覚が大衆的にみなぎり、全国の部落大衆や労働者階級と力をあわせて、戦争と差別分断を推し進める国と闘うという大衆的な自覚が村全体の規模で生み出されていることが示されている。
かつて、70年代初期の狭山闘争の大衆的な爆発の時期において、全国の部落で、同和会などの融和主義支配を食い破って解放同盟の組織がつくられたり、解放同盟のボス支配を打ち破って婦人・青年などの大衆組織がつくられていった。これらをのりこえる部落大衆の決起が、今、狭山第3次再審闘争と結びついて闘いとられようとしているのだ。狭山第3次再審闘争と、全国連5万人組織建設とは、まさに一体の闘いなのである。
改憲阻止決戦と固く結合し
第三の課題は、狭山第3次再審闘争を、改憲阻止の06〜07年の階級決戦の決定的な一翼をなすものとして闘わなくてはならないということである。5・21狭山中央闘争こそ、その突破口である。
何よりも、昨年春の第2次再審請求の特別抗告棄却が、日本経団連の改憲への提言と時を同じくして行われたことに示されるように、狭山闘争の解体、部落解放運動の撲滅(ぼくめつ)こそ改憲の目的そのものの一環をなしている。また、日帝にとって、狭山闘争が健在であり、不屈に闘われていることは、改憲にとってじゃまになるということなのである。狭山闘争は、日本の労働者階級の改憲阻止決戦の重要な砦(とりで)をなしているのだ。
戦後憲法は、戦後の部落解放運動の大きな背景をなしてきた。戦後憲法の実現ということが、部落差別と闘い、部落大衆の人間的権利を守っていく重要な柱となってきたということである。同和対策審議会答申(1965年)における「部落差別の解消は、国と行政の責任」という規定の根拠も戦後憲法であった。それゆえ、改憲は、部落解放運動(戦後部落解放運動)の存立基盤を解体するものであり、部落解放運動の存亡をかけて絶対に阻止しなければならない。
しかし、同時に、戦後憲法は、天皇条項を始めとして、実は、部落差別の根源をなす身分的差別の存続を規定するものであることを見なければならない。14条においても、「社会的身分による差別は禁止」するとしながら、社会的身分そのものの存在は前提になっているのである。このことは、侵略戦争の廃絶、基本的人権、社会的差別の根絶などの現代的課題が、戦後憲法の擁護によってではなく、労働者階級の手による社会革命によってこそ真に実現されることを示しているのである。
改憲阻止決戦は、9条改憲を中心として、戦争ができる国への全面的な国家改造を阻止する闘いである。しかし、それは同時に、今や、侵略戦争をやらなければ生きることのできない日本帝国主義を労働者階級の手によって打倒する闘いの本格的な始まりを意味する。この闘いへの全国300万部落大衆の歴史的合流を実現しなくてはならない。狭山闘争における階級的共同闘争こそ、その決定的な道筋である。
5・21狭山中央闘争に総決起し、06〜07年の改憲阻止決戦と固く結合して、狭山第3次再審闘争の火柱を打ち立てよう。
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週刊『前進』(2246号5面4)(2006/05/22)
日本原 実射阻止に立つ 沖縄、岩国と連帯し
4月24日、岡山の労働者・学生の白ヘル部隊は、陸上自衛隊日本原演習場(岡山県奈義町)東地区射撃場での今年度最初の実弾射撃訓練に対し、現地実力阻止闘争に決起した。
訓練参加部隊は四国・善通寺(香川県)駐屯の第15普通科連隊。この部隊はつい先日、第2混成団から新たに再編・増強された第14旅団の中心部隊だ。第14旅団は、地域防衛とは最も無縁な部隊で、中国地方担当の第13旅団とともに海外派兵を専らとする日本版海兵隊と位置づけられている。海上自衛隊が保有する3隻の強襲揚陸艦はすべて呉基地(広島県呉市)に配備されている。第13、14旅団はこれらに乗船し、中国・北朝鮮に海上から攻撃に出撃する最前線の部隊だ。
こんな部隊による侵略演習は絶対に許せない。白ヘル部隊は東地区射撃場の3カ所の立ち入り禁止ポイントを転戦し、演習参加の隊員たちに抗議のシュプレヒコールをたたきつけた。同じ第15普通科連隊による西地区での手りゅう弾投擲(とうてき)訓練に対しても抗議行動を貫徹した。
昨年度、日本原での侵略演習は、初の日米共同演習の強行を始め、明らかに自衛隊の臨戦態勢への突入ともいえる増加を示した。米軍再編、改憲攻撃の中、今年度はさらなる増加が予想される。沖縄、岩国などと固く結合し、日本原現地闘争の強化をかちとっていく決意である。
(写真 射撃場まで500bの最終阻止線に迫るデモ)
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週刊『前進』(2246号6面1)(2006/05/22)
ブッシュの拉致被害家族との面会に思う 東京・三多摩 中原一朗
4月28日、北朝鮮による拉致被害者家族の横田早紀江さんが、米大統領ブッシュに面会し、拉致被害者が早期に日本に戻ってこれるように、北朝鮮に圧力をかけてほしいと要請した。ブッシュは、「人間の尊厳と自由について話せないほど忙しくはない」と言い、横田さんは、ブッシュについて「善と悪の基準をきちんと持っている人」と評価したという。
冗談ではない。何が「人間の尊厳と自由」か。米帝ブッシュは2万人のイラク人民を虐殺した。何の罪もない子どもたちがブッシュの戦争で殺されたのだ。ブッシュの語る「人間の自由と尊厳」をイラク人民が聞いたら「地獄へ落ちろ」とつばを吐きかけるだろう。
ブッシュにとって拉致被害者の運命などどうでもよく、朝鮮侵略戦争の口実でしかない。第一、ブッシュは息子をイラクで殺された母親シーハンさんの面会は拒み続けたではないか。横田さんに会ったのは、米帝が今まさに核査察問題と拉致問題で北朝鮮侵略戦争を準備しているからだ。
拉致被害家族の二十数年間は、筆舌に尽くしがたいものがあっただろう。ある日突然、愛する家族が「消えて」しまったのだから。
しかし、小泉や安倍、ブッシュの目的は、拉致被害者を無事に日本に戻すことなどではなく、これを口実に北朝鮮に対する排外主義をあおり、教基法改悪・改憲を強行して戦争国家化を完遂することだ。拉致被害者救出を草の根ファシスト運動に仕立て、家族会を北朝鮮への排外主義攻撃の先兵にして憲法改悪を強行しようというのだ。
戦争のために「家族愛」を徹底的に利用して恥じないのが小泉や安倍らだ。一方で「つくる会」教科書で日帝の朝鮮・アジア侵略戦争と植民地支配の歴史を居直り、拉致問題を登場させて中学生を排外主義で染め上げようとしたのだ。
拉致問題は、朝鮮半島の南北分断体制のもとで起こった事件だ。70年代、南朝鮮・韓国には朴軍事政権があり、南北対立が激化。その中で北朝鮮がスターリン主義支配体制の延命のために行った犯罪だ。当時、朴政権を支えていたのが日米帝だ。その意味で日米帝は拉致問題の「共犯者」だ。
戦争で拉致問題は絶対に解決しない。
「つくる会」の八木が副会長を辞任し退会 田宮龍一
日帝の侵略戦争を賛美し、子どもたちを戦争にかり立てる教科書をつくってきた「新しい歴史教科書をつくる会」で新たな内紛劇が爆発したという。それは彼らの反動性と破産を示していると思うので、みなさんにぜひ知ってほしい。
4月30日の「つくる会」の理事会で種子島経会長、八木秀次副会長が辞任した。昨年の教科書採択で若手の会長として羽振りを利かせていた八木(公民教科書執筆)は、今年の3月に「職務怠慢」を理由に、藤岡信勝副会長(歴史教科書執筆)のグループによって解任された。だが各支部などから藤岡に対する不信の声が続出し、後任の種子島会長は再び八木を副会長に就けた。これに対して、またしても藤岡らの猛烈な「八木下ろし」が再燃したのが今回の事態だ。
藤岡側は、八木が西尾幹二元会長宅に藤岡を中傷する「謀略的怪文書」をファックスで送りつけ、産経新聞の記者をたぶらかしたと攻撃している。西尾自身もインターネット上で「査問だ、追放だ」と八木を口汚くののしっている。
八木はそれらをすべて否認し、「〈主〉が代わらない限り会の正常化は無理」と西尾と藤岡を当てこすって会員も辞め「つくる会」から逃げ出したのである。
「日本人の誇りを取り戻す」などと大仰に叫んでいた連中の、私欲むき出しの非難中傷、泥仕合――。もはや内紛続きの「つくる会」の大分裂は修復不能だ。昨年、杉並を先頭とした闘いによって、「つくる会」教科書の採択率を0・4%を下回る数字にたたき落とした。その結果が、彼らをこのような内部危機に追い込んだのだ。
それにしてもこんなやつらが「愛国心」や「公の秩序」を叫び、子どもたちに道徳を説いていたのだ。おぞましいかぎりだ。今こそ彼らの息の根を止めてやろうではないか。
泉佐野住民とともに闘う国賀候補を応援 東京 田村智一
国賀祥司議員の6選勝利をかけた大阪・泉佐野市議選が5月7日に告示となりました。6、7日、東京・杉並から夫婦でかけつけ、ビラまき(6日)、ポスター張り(7日)などを行ってきました。
告示日はあいにくの雨。出陣式で国賀候補は「守りの姿勢ではなく、積極的に攻め込んで支持を拡大したい。家庭ゴミの有料化は関西空港の借金を市民に押しつけようとするもの。空港反対をつらぬき、住民投票でゴミ有料化を撤回させよう」と訴えました。
結構広い選挙事務所では地元の支持者がたくさん集まっていて、炊き出しや打ち合わせなどでにぎわっていました。
たった2日間の行動でしたが、国賀候補の当選を確信して帰路につきました。
新宿駅前で9条改憲賛否問うシール投票 東京・東部 師岡真代
5月3日、新宿駅東南口広場で「憲法9条変える?変えない? シール投票」の行動にはじめて参加させていただきました。この投票は全国70カ所以上で実施されたもので、新宿駅東南口広場での投票は百万人署名運動主催でした。
「きょうは憲法記念日です。憲法9条について一緒に考えましょう! 投票お願いします」の元気な呼びかけに901人が投票をして下さいました。
結果は9条改憲に賛成204票・反対624票・わからない73票でした。やはり圧倒的に反対票が多く、憲法9条は多くの国民に根強く支持されていることと、絶対に絶対に二度と日本を戦争する国にしたくないという多くの人たちの力強い思いがあらためてわかりました。署名も多くの方が応じて下さいました。
反対票がだんとつに多かったものの、賛成票も予想していたよりも多かったなぁと思いました。しかし、改憲賛成の人たちもけっして戦争を望んでいるわけではなく、自民党などが宣伝しているように9条を変えて自衛隊を正式に「自衛軍」としたほうがより安全を守れて国際貢献もできるというように考えてしまっているのだろうなぁと、賛成票を投じていく若い人たちの姿を見て感じました。
百万人署名運動は9条を絶対変えさせないという立場ですが、必ずしも同じ考えではない人たちをもまきこんで多くの方々に憲法についてあらためて考えて、関心を持ってもらうことができ、とても充実した有意義な行動だったと思いました。毎日新聞に掲載され、世間に注目されているなぁとうれしく思いました。
またテーマソングもはじめてお聞きしましたが、とてもよかったです。「憲法9条は日本は戦争しないって、世界中の人たちと私たちの約束だから」という歌詞は本当にそのとおりだなぁと強く感じました。
これからも積極的にいろいろな行動に参加していきたいと思います。
沖縄と連帯し改憲阻止の4・29集会・デモ 福岡 田中 昭
4月29日、福岡・天神の農民会館で「沖縄に基地はいらない! 憲法9条改悪・国民投票法を許さない!4・29集会」とデモが100名で闘われました。
集会では、とめよう戦争への道!百万人署名運動全国呼びかけ人の梶村晃さんが発言に立ち、靖国神社を参拝した自民党若手議員らの暴挙を厳しく批判。28日はサンフランシスコ講和条約によってヤマトから沖縄が売り渡された日であり、ヤマトで沖縄と連帯した闘いを切り開くことを訴えました。また改憲阻止の闘い、とりわけ改憲のための国民投票法案を廃案にしようと訴えました。
続いて琉球新報編集委員の前泊博盛さんが、豊富な資料に基づいて今日の沖縄基地問題についてわかりやすく講演しました。米軍の再編強化こそが米軍再編の最大の目的であり、普天間基地の名護移転などは、すでにベトナム戦争当時から検討されていたという事実を暴露し、とことん沖縄を食い物にする沖縄政策を厳しく批判しました。
講演の後、集会参加者が次々と発言し、沖縄名護辺野古で新基地建設阻止の座り込みを続けている命を守る会の金城祐治さんからの連帯メッセージが紹介されました。破防法の団体規制に反対する連絡会は、治安維持法に勝るとも劣らない共謀罪の新設をなんとしても止めようと呼びかけ、佐賀県議会議員の増本亨さんは地元で大問題になっている玄海原子力発電所へのプルサーマル計画の導入に対する抗議と闘いへの連帯を呼びかけました。
集会後、天神を一周するデモに出ました。デモ終着点の警固公園では、デモに参加した人たちが次々とマイクをとり、公園に来ている人たちにともに闘うことを呼びかけました。
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週刊『前進』(2246号6面2)(2006/05/22)
迎賓館・横田爆取裁判 検察官が「弁論再開請求」
5・19判決公判で控訴棄却を
5月19日に迫っている迎賓館・横田爆取デッチあげ裁判の控訴審判決を前にして、10日、東京高等検察庁は「弁論再開」を請求してきた。被告団・弁護団を先頭にした全力あげた闘いに追いつめられた日帝・高検が、土壇場で逆転有罪の巻き返しを狙った悪らつな攻撃をしかけてきたのである。東京高裁第3刑事部(中川武隆裁判長)は、「弁論再開請求」を直ちに却下し、5月19日、控訴棄却判決を行え。
(写真 有楽町マリオン前で被告を先頭に「控訴棄却を求める緊急署名」の街頭宣伝を展開【4月22日 東京】)
須賀武敏同志、十亀弘史同志、板垣宏同志は、1986年の迎賓館・横田爆取事件には一切関与していない。爆取デッチあげ弾圧に激しい怒りを燃やし、16年にわたる獄中闘争、裁判闘争を不屈に闘いぬいて、04年3月に1審無罪判決をかちとった。検事の不当な控訴に対しても、本年1月16日の控訴審第1回公判で、検事が請求した67点もの「証拠」と、13人の「証人」について、取り調べる必要はないとすべて却下させた。3同志は無実・無罪であり、5月19日の判決は、控訴棄却すなわち被告の無罪の再確認以外にあり得ない。
窮地に陥った検事が、今ごろになって取調請求してきた「証拠」は、3月3日に東京地裁刑事第3部・服部悟裁判長によって出された福嶋昌男同志に対するデッチあげ有罪判決である。この判決は、白を黒と言いくるめる虚偽と虚構に満ちた極悪のデッチあげ判決だ。しかも、判決文はいまだに出されていない。今回「証拠」として提出された「判決」なるものは、わずか21nの単なる「判決要旨」と称する書面にすぎない。これは服部裁判長が弁護人にはいまだに隠し続け、検事にだけ渡していたいわくつきのしろものだ。こんなものは断じて「証拠」ではない。
そもそも、福嶋同志も3同志も、同じ迎賓館と横田基地へのロケット弾戦闘でデッチあげられているが、福嶋同志と3同志について、検事がデッチあげた「事実関係」と称するストーリーはまったく異なっており、独立しているのである。したがって福嶋同志の裁判では3同志に関する事柄については何ひとつ「立証」活動が行われておらず、当然にも判決に3同志のことを論じた個所はない。
また検事は、福嶋同志の判決で、福嶋同志が書いたとされるメモがオリジナルに作成されたものと認定されたのだから、3同志が書いたとされるメモもオリジナルなものだという奇弁をろうしている。こんな主張が成立しないことは火を見るより明らかである。
このように検事の「弁論再開請求」はデタラメ極まりないものである。東京高裁・中川武隆裁判長は、「弁論再開請求」を直ちに却下し、検察官控訴を棄却する以外にない。
今日、小泉政権は改憲攻撃を全面化させ、治安体制を一挙に強化させている。入管法改悪、共謀罪新設をめぐって激しい攻防を繰り広げている。戦時下の司法というべき簡易・迅速裁判、重罰化、弁護権・防御権の抹殺攻撃が恐るべき勢いで始まっている。
一方、労働者階級の根底からの反撃が火を噴いている。動労千葉の反合・運転保安闘争、教育労働者の「日の丸・君が代」強制との闘い、教育基本法改悪阻止の闘いが激化している。
フランス、アメリカ、韓国を始め、世界の労働者・学生は、労働者の生命も生活も破壊し、戦争をもってしか延命の道がなくなっている帝国主義に対して、倒れるのは帝国主義だという闘いを爆発させている。
3同志は、1987年以来、迎賓館・横田爆取デッチあげ弾圧と熾烈(しれつ)な闘いを繰り広げてきた。国家権力総ぐるみの凶悪なデッチあげ攻撃に怒りをもって立ち向かい、長期勾留攻撃、重罪・重刑攻撃にひるまず闘いぬいてきた。19年にわたる不撓(ふとう)不屈の闘いを経て、今日の帝国主義を打ち倒す労働者階級の闘いと一体となって、いよいよ爆取デッチあげ弾圧に勝利的決着をつけるために全力で闘おう。
3同志は、裁判所正門前や街頭に立ち、労働者階級人民に声を限りに訴えている。「控訴棄却を求める緊急署名」はわずか1週間で弁護士54人、学者30人を先頭に160人に達した。
検事の「弁論再開請求」を粉砕し、5月19日、なんとしても控訴棄却判決をかちとろう。東京高裁へ全力で結集しよう。
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週刊『前進』(2246号6面3)(2006/05/22)
臓器移植法 “命奪うな”の怒り 改悪反対で院内集会
4月27日、超党派議員立法として今国会に提出されている臓器移植法改悪案反対の院内集会が、脳死・臓器移植に反対する市民会議を始めとした各市民団体主催で開かれ、会場の衆院第一議員会館には60人が集まった。(写真)
日弁連から「脳死」を一律に死と見なしたり、臓器摘出要件や脳死判定を緩和する諸「改悪案」に反対する意見書(3月14日付)が紹介された。また医療ソーシャルワーカー・社会福祉士からは4月からの診療報酬改定で「脳死」臓器移植が保険点数化され優遇される事実を始め、移植現場からの報告が寄せられた。
さらに阿部知子衆院議員が立ち、厚生労働委員会で医療制度改悪法案反対とともに闘うと決意表明した。
会場討論では、全肝臓病者連合会が「多くの会員が輸血、薬害などで肝臓病になり医者から臓器移植を誘導されているが、ドナーとなる他人の生に頼って自分が助かりたいというのはおこがましい。移植に期待しないで希望を持ちたい」と改悪案反対を表明。「脳性マヒ障害者」は「『命の平等』を説く建前はまったくの作り話。殺される『脳死』状態の患者、移植で助けようとする患者の2種類あり、不平等を推し進めるのは差別だ」と断じた。
さらに交通事故遺族の会は「医者を信用せざるをえない救急現場で真っ先に臓器移植に誘導されるのは”患者説明の不足”というより家族に混乱を与えて移植を無理強いする方法」と臓器移植法の施行実態と改悪案の行く末を批判した。
全国遷延性意識障害者・家族の会は、「改悪案は臓器取り放題をもたらし、さらに『尊厳死』法案を招き寄せる。人工呼吸器を使って生活する者は危機感を覚える」と昨今の命の切り捨てに警鐘を発した。
また、市民会議の「障害者」は今次医療制度改悪を批判し、「75歳以上を『後期高齢者』と呼び独自の保険制度を作ったり、『終末期医療』と名付けた医療を施そうとしているが、それらは実質的には『尊厳死・安楽死』で『価値無き命の抹殺』を進めるもの」と断罪した。さらに「医者の説明不足や家族の間違った承諾を引き金に医療被害者になりうる」と当事者からも体験談が寄せられた。
「脳死」は断じて人の死ではない。現行法も含め改悪案絶対反対、臓器移植法撤廃を掲げ審議入りを阻止しよう。診療報酬改悪・医療制度改悪とともに強まる臓器移植法改悪策動をただちに撤回へ追い込もう。
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週刊『前進』(2246号6面4)(2006/05/22)
紹介 共産主義者 148号
始まった労働者反乱
巻頭論文 改憲阻止の大闘争を
川武論文 日本共産党の反革命性
現在、教育基本法改悪・共謀罪粉砕を始め国会闘争が激しく闘われている。この最中に『共産主義者』148号が発刊された。
本号のタイトルは「帝国主義への労働者の反乱が始まった」。CPE(初期雇用契約)を撤回させたフランスの学生・労働者300万人のゼネストとデモ。イギリス・ドイツ・韓国などで闘われている歴史的ストライキ。日本でも教労・国鉄を軸に労働者の決起が爆発しつつある。
こうした闘いの息吹に肉薄し、危機に瀕(ひん)した帝国主義を打倒し労働者階級が取って代わる展望と路線を提示したい――こうした決意を込めて本号は企画された。書き下ろしの5論文と06年1・1革共同政治局アピールを併せて、改憲阻止決戦・4大産別決戦の路線と展望をトータルに明らかにしている。
「退路断って」
巻頭の須藤論文は、T章で今春闘争の激烈な階級攻防をスケッチし、4大産別決戦での闘いを土台に「改憲阻止決戦に荒々しく突入した」ことを宣言。現場労働者一人ひとりの「退路を断った決起」が戦時下階級闘争を切り開くという、情勢の核心点を受けて、V章では、職場での団結を基礎に、思い切って国会闘争に全力あげて立ち上がることを熱烈にアピールしている。そして、生きた階級闘争のただ中で、この闘いに勝利できる党の建設のために、新指導路線のもとでの「党の革命」を大胆に遂行することを訴えている。
U章で取り上げたブッシュの3月「国家安全保障戦略」は、年頭の一般教書、2月の国防総省QDR(4年ごとの防衛見直し)と並んで米帝の世界戦争戦略の基本方針を示すもので、本稿が最初に翻訳し分析・批判した重要文書だ。米軍再編最終報告とも密接にからんでおり、帝国主義の基本動向をつかむ上できわめて大切である。
続く労働運動論文2本は、巻頭論文と一体で、連合の改憲勢力化阻止の決定的位置を明らかにするものだ。黒部論文は、労働者階級がおかれた「格差社会」の実態を帝国主義の破局として暴露し、それが95年日経連報告以来の資本攻勢と小泉―奥田路線によってもたらされたと怒りをもって弾劾している。奥田のもとでの最後の「経労委報告」批判と春闘動向をとおして改憲阻止の4大産別決戦の位置を浮き彫りにした。
那珂論文は、1・19連合中執決定批判、とりわけ「質の高い公共サービス」論に絞り込んで批判し、自治体労働者の闘う路線を明確にした意欲作だ。「全体の奉仕者」論に代表される国家主義的イデオロギーと対決し、プロレタリア自己解放の思想を貫いた自治体労働運動の路線をうち立てた。行革推進法案・市場化テスト法案と闘う労働現場での討論と学習に活用してほしい。
医療制度改革批判論文は、改憲と一体の社会保障制度解体攻撃との対決の重要性を訴えている。06年医療制度改悪は、高齢者を標的にしつつ、労働者階級から医療と生存権を奪い取る大攻撃であり、戦後社会保障制度の本丸への正面攻撃である。73年の老人医療無料制度から中曽根政権時の80年代反動、そして小泉―奥田路線下での現在に至る歴史的な攻撃が、全体像を明らかにする形で暴露されている。また、社会保障解体の切っ先である介護保険制度との関連も明らかにされている。「経済的・社会的実体における改憲攻撃」の本質を、わかりやすく勘所を押さえて批判した重要論文だ。
統一戦線破壊
川武論文は、改憲阻止・4大産別決戦を闘う上で必須の日本共産党スターリン主義批判。06年1月第24回党大会に至る日本共産党の今日の反労働者性・反革命性は、帝国主義の打倒、国家と革命の問題が現実に問われる情勢に突入した中で、労働者階級の新たな決起を押しつぶすことを自覚的に路線化し、それを一線を踏み越えて実践し始めたことにある。04年1月の第23回大会での綱領改定以降の敵対ぶりが、イラク反戦・国鉄闘争、何よりも昨年11月集会への「赤旗」声明など具体的事例をあげて全面的に暴露されている。日本帝国主義の自衛権を認める日本共産党のもとでは、改憲決戦は闘えない。改憲阻止の闘う統一戦線形成、4大産別決戦の勝利のため、これに敵対する日本共産党の批判にさらに磨きをかけよう。
階級決戦のただ中でプロレタリア革命党としての革共同の根底的飛躍=「党の革命」を闘うすべての同志への熱烈な連帯を込めて、本号の活用を訴えます。
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