ZENSHIN 2006/05/01(No2244 p06)

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第2244号の目次

 共謀罪 衆院採決を阻もう

 審議入りを弾劾し情宣

「審議入り許すな」と国会前で宣伝戦(4月21日朝)

1面の画像
(1面)
教基法改悪・改憲阻止 5−6月大闘争に立とう
共謀罪粉砕 国会闘争へ
9条破棄・基本的人権解体に4大産別を先頭に大反撃を
米帝のイラン空爆策動許すな
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法政大 学生処分攻撃を押し返す
文学部教授会で反対意見続出 大学自治圧殺に広がる怒り(4月19日)
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共謀罪 衆院採決を阻もう 審議入りを弾劾し情宣(4月21日) 記事を読む  
(2面)
「愛国心」強要の教育に転換
教え子を再び戦場に送り出す 教基法改悪案の提出阻止を
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職員会議の挙手・採決を禁止
4・13 都教委がまた極悪通知  職場支配を徹底できず焦り(4月13日)
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動労千葉が声明 安全運転闘争に戒告を発令
不当処分を弾劾する(4月12日)
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資本攻勢&労働日誌 2006 4・1〜4・18
連合が小沢民主党支持を確認
労働審判法が施行に/公務員年金削減へ政府方針
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(3面)
小沢の登場で促進される連合の改憲勢力化
忠誠を誓う高木執行部  民主党新体制と全面対決を
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国民保護計画の決定弾劾
都道府県レベルで労働者と住民の戦争動員を狙う攻撃
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辺野古新基地建設許すな
市民・県民無視の「新沿岸案」など認められない!  沖縄労働組合交流センター
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(4面)
米帝のイラン核空爆阻止せよ
10万人民を虐殺する戦争計画 発動を絶対許してはならない(内田 康)
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イラク情勢 泥沼化・長期化する侵略戦争
正式政府発足の展望もなく第2の「衝撃と畏怖」作戦画策(秋原義明)
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2006年日誌 4月12日〜16日
「愛国心」表記で自公が合意  日米審議官協議は結論出ず
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(5面)
改憲反対運動の圧殺狙う 国民投票法案の国会提出阻止を
与党案の「修正」はペテンだ 4大産別先頭に粉砕しよう
北林 章悟
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“不当逮捕で処分は暴挙”
元日弁連会長を先頭に17人 弁護士が法大に意見書(4月17日)
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六ヶ所再処理とめよう
アクティブ試験強行弾劾  「反核燃の日」行動広がる(4月9日)
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(6面)
団結ひろば 投稿コーナー
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泉佐野市議選 元気よく事務所開き
国賀議員 “全力のご支援を”(4月16日)
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弁護士活動侵害許すな  4・13東京 弁護士らが緊急集会(4月13日) 記事を読む  
迎賓館・横田爆取控訴審 完全無罪戦取を!
3被告からの訴え(中)
裁判17年、審理不尽なし これからが最後の決戦だ  十亀 弘史
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保安処分施設4月開所
久里浜病院を弾劾  内覧会ビラまきと駅情宣(3月30日)
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週刊『前進』(2244号1面1)(2006/05/01)

 教基法改悪・改憲阻止 5−6月大闘争に立とう

 共謀罪粉砕 国会闘争へ

  9条破棄・基本的人権解体に4大産別を先頭に大反撃を

  米帝のイラン空爆策動許すな

 第1章 世界の階級的激動を日本へ

 全世界で、階級闘争と労働運動が大高揚している。この世界革命のうねりを日本階級闘争に波及させ、爆発的に開花させることこそが、われわれの任務である。5〜6月決戦は、この追い風を受けて闘う絶好のチャンスである。
 この1〜3月、動労千葉と教育労働者が闘いの先陣を切った。明らかに労働者階級の怒りが高まり、反転攻勢ののろしが上がり、新たな決起が始まっている。春闘においても膨大な労働者が決起し、多くの集会・デモに参加して、ストライキがいくつも打ち抜かれている。連合、全労連の制動を打ち破り、4大産別決戦の前進をさらにかちとらなければならない。
 そして5〜6月、改憲阻止決戦に全力で突入しよう。教育基本法改悪との闘いは国会提出阻止をかけた重大情勢に入っている。教育基本法改悪阻止を突破口に、今こそ改憲阻止闘争を開始し、巨大に発展させなければならない。
 5〜6月決戦の最大のテーマは、労働者階級の底力を爆発させ、改憲阻止決戦の巨大な創造をかちとることである。
 百万人署名運動が呼びかけ、集会実行委員会が主催した3・19イラク反戦国際行動の「憲法9条を変えるな」の叫びをもって、改憲阻止決戦のスタートが現実に切られた。
 米帝ブッシュはアフガニスタン・イラク侵略戦争で、すでに世界戦争の過程に突入している。しかも今や、イラク侵略戦争の泥沼化・長期化の中で、イランへの核空爆をも画策している。日帝・小泉はイラク多国籍軍に参戦し、米帝との日米枢軸政策に踏み切っている。こうした中で米日帝は北朝鮮・中国侵略戦争と世界戦争のための米軍再編に全力を上げ、日帝は9条改憲の衝動を強めている。
 今国会に提出されようとしている教育基本法改悪案は、侵略戦争への「国民精神総動員」の攻撃であり、改憲の一環だ。また、国民投票法案こそは直接に改憲強行のための攻撃である。
 組合丸ごとの改憲勢力への大転向を図る日教組や自治労の中央本部を打倒し、改憲阻止闘争に全力で突入することが決定的に求められる情勢だ。その闘いは、日教組、自治労、さらには国労、全逓(JPU)を階級的に再生させる闘いとひとつのものである。

 第2章 「自衛軍」の保持と海外武力行使狙う

 日帝が改憲(新憲法制定)でやろうとしていることは、第一に、戦争否定の現行憲法第9条を破棄し、「自衛軍」の保持と海外での「武力行使容認」に大転換することだ。
 昨年10月に発表された自民党の新憲法草案は、9条第1項の「戦争の放棄」には手をつけず、2項の「戦力の不保持・交戦権の否認」のみを変え、「自衛軍の保持」を定める内容になっている。1項をそのままにしているのは、「平和主義」の建前だけは残し、民主党や連合の賛成をとりつけるためだ。
 しかし9条は、1項だけでは成立しない。2項とセットとなって初めて意味を持つ。2項の「前項の目的を達するため、陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、これを認めない」が決定的なのだ。
 新憲法草案の「自衛軍の保持」とは、陸海空軍の保持ということだ。草案では自衛軍の任務として「我が国の平和と独立並びに国及び国民の安全を確保する」ことと「国際社会の平和と安全を確保するために国際的に協調して行われる活動」が挙げられている。
 これは昨年10月の米軍再編中間報告「日米同盟・未来のための変革と再編」における「二つの分野」、すなわち「日本の防衛及び周辺事態への対応」と「国際的な安全保障環境の改善のための取組」に対応した実戦的規定である。
 これは、米帝のイラク侵略戦争に続くイラン侵略戦争、北朝鮮・中国侵略戦争などの世界戦争政策のもとで自衛隊を米軍と一体化させ、日米同盟を米英同盟並みにするということだ。自衛隊の帝国主義軍隊への飛躍、沖縄を始めとする米軍基地の大強化、労働者の戦争総動員、海外侵略戦争を基本任務とする戦争国家へ大転換する攻撃なのだ。 
 この前に立ちはだかっているのが現行憲法9条である。陸海空軍の不保持を規定した9条2項は、帝国主義としては実は自己否定に等しい内容である。この9条が戦後革命の圧殺と天皇の戦争責任追及をかわすための切り札になったのだ。
 しかし今、9条2項を残したまま日帝がこれまで積み重ねてきた解釈改憲を進めても、どうにもならない情勢になった。日帝は帝国主義として生き延びるために日米枢軸を選択し、9条改憲に活路を求めている。
 それは、アジアの2000万人を大虐殺した中国・アジア侵略戦争、310万人の日本の労働者人民の犠牲、さらには沖縄戦や広島・長崎の被爆の惨禍を大規模に繰り返すものである。このことを労働者階級人民は鋭く察知している。絶対に許すものではない。改憲阻止闘争は、戦後革命や60年安保闘争、70年安保闘争をはるかに上回る階級的大決戦になることは必至だ。日本革命を一気にたぐりよせるものになるのだ。

 第3章 近代憲法の理念の根本的否定と解体

 第二に、「侵すことのできない永久の権利」と明確に規定された基本的人権を根本的に解体し、憲法を国家を縛り制限するものから、逆に国家が人民を支配・抑圧するものへと原理的に転換することだ。
 自民党憲法草案の前文は、現行憲法の「平和のうちに生存する権利」などの文言を一掃し、「日本国民は、帰属する国や社会を愛情と責任感と気概をもって自ら支え守る責務を共有し」としている。「国民の権利」と並んで「国民の責務」が前文からゴリゴリと強調されている。
 これに対応するものとして草案の第12条がある。そこでは「自由及び権利には責任及び義務が伴うことを自覚しつつ、常に公益及び公の秩序に反しないように自由を享受し、権利を行使する責務を負う」とされている。
 この核心は、基本的人権の上に「国益」と「国家の秩序」を置くということだ。人民が国家を縛る憲法ではなく、国家が「国民の責務」を定め、強制し、上から人民を縛ろうとする「憲法ならざる憲法」にするということだ。
 現行憲法は戦後革命をのりきるためのGHQ(占領軍総司令部)と日帝ブルジョアジーの「上からの反革命」の最大の切り札であった。GHQは日帝の救済と延命のために、国民主権、基本的人権、平和主義(9条)をふりかざすことで戦後革命を絞殺した。
 自民党の新憲法制定による全面改憲攻撃は、日帝の行き詰まりの原因が本当は帝国主義の矛盾の必然的爆発にあるにもかかわらず、その原因を戦後的「平和と民主主義」に求め、これを根こそぎ一掃する巨大な反革命としてある。「つくる会」派の歴史・公民教科書採択運動は、こうした攻撃の最先端をなすものだ。
 改憲とは上からの反革命クーデターであり、戦後憲法体制の平和主義、基本的人権、国民主権を一木一草も残さず焼き払い、その廃虚の上に天皇を中心とした独裁的戦争国家体制を構築しようとするものだ。
 そこでは天皇の権威をテコとする行政権力が独裁権力を握り、現行憲法下で保障された基本的人権はもとより、司法、地方自治、労働、社会保障、教育などにおける労働者人民の基本的権利は奪い去られるのだ。
 これを阻止するために、改憲攻防が大決戦になる。内乱的な、連続的・長期的な決戦になる。この決戦に絶対に勝利できる陣形を構築しなければならない。
 今、ヨーロッパ、アメリカで起きているように数百万人の巨大デモと労働者階級のストライキが必要だ。
 そして、今国会への提出がもくろまれている国民投票法案の狙いは、教育労働者、自治体労働者の改憲反対の言論と運動を禁止し、在日外国人を排除し、改憲批判のマスメディアも徹底規制することにある。改憲クーデターはまさに、4大産別の労働者の闘いの抹殺と並行して進められるのだ。国民投票法案の国会提出をなんとしても阻止しなければならない。
 その意味でも、4大産別が改憲阻止闘争の先頭に立つことが決定的だ。5〜6月決戦において、改憲阻止闘争に本格的に突入しよう。日本共産党の統一戦線破壊を許さず、9条改憲反対で広範な共同闘争を組織し、集会や署名の大運動をつくりだそう。
 政府・与党は5月連休前後に教育基本法改悪案を国会提出することを決めた。教育基本法は憲法に次ぐ国の基本法であり、その改悪は改憲攻撃そのものだ。教基法改悪法案の国会提出を阻止し、絶対に改悪攻撃を粉砕しなければならない。
 1〜3月の「日の丸・君が代」強制拒否、卒入学式不起立闘争の貫徹は、日本の労働運動と階級闘争に素晴らしい地平を開いている。それは戦争協力拒否の闘いであり、教基法改悪・改憲阻止の闘いに直結する位置を持っている。
 1〜3月「日の丸・君が代」不起立闘争の地平を発展させ、改憲阻止の闘いと一体のものとし、侵略戦争への「国民精神総動員」としてある教基法改悪を絶対に粉砕し抜こう。

 第4章 国会の超反動法案めぐる重大な攻防

 今国会ですでに最大の激突点となっているのが、共謀罪をめぐる攻防だ。4月21日の衆院法務委員会から審議が再開された。小泉政権は25、26日の審議と28日の採決強行という日程で構えている。完全に決戦になったのだ。共謀罪阻止のための諸行動に総力で決起しよう。
 4月19日、行政改革推進法案が衆院行政改革特別委員会で可決され、20日の衆院本会議で可決、参院に送られた。同法案と一括審議されてきた市場化テスト法案も可決された。
 これは、国家公務員と地方公務員の大量首切りと公共部門の民営化を推進する大攻撃である。にもかかわらず連合・自治労中央は政労協議などで完全に屈服しているのだ。公務員制度改革絶対阻止の立場に立った自治体労働者を先頭に、職場を組織し、成立を阻止するために闘い抜こう。
 4月決戦の最先端の闘いとして、3・14弾圧を粉砕した法政大決戦がある。4月19日の文学部教授会は、不当逮捕された無実の法大生に対する退学処分の決定をすることができず、1カ月後の教授会に結論を持ち越した。学生・教職員と全国からの猛烈な抗議、弁護士による教授会あての「学生への学内処分に関する意見書」の力が生み出した地平だ。次は24日の法学部教授会だ。退学処分攻撃を絶対に粉砕しよう。
 立て看板もダメ、ビラもダメ、抗議すれば不当逮捕、それだけで自宅謹慎、さらに退学処分。これが大学か! 自民党新憲法草案がつくりだす国家・社会の先取りだ。改憲阻止闘争を抑え込むための大弾圧だ。この法大弾圧を粉砕し、全国学生の壮大な改憲阻止ゼネストを闘いとろう。
 06春闘を反合・運転保安春闘として安全運転闘争とストライキを闘った動労千葉に処分攻撃が襲いかかっている。総力でこれを粉砕しよう。さらに4月6日の千葉・幕張電車区における脱線事故を口実とした当局の動労千葉破壊攻撃を、反合・運転保安闘争の原点を貫いて粉砕しよう。

 V字形沿岸案合意粉砕を!

 沖縄の普天間飛行場の代替基地をキャンプ・シュワブ沿岸に建設するという攻撃の中で、「V字形」の2本の滑走路を建設する案が合意された。とんでもないことだ。沖縄の人民の怒りは沸騰している。これは新たな「琉球処分」だ。5・15沖縄闘争を、名護新基地計画に反撃する全国の青年労働者・学生の総決起の闘いとしよう。
 全世界に広がる世界革命のうねりの中で、日本において巨万の改憲阻止闘争を切り開こう。
 この中でプロレタリア自己解放の思想と新指導路線で武装された革共同を圧倒的に建設しよう。

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週刊『前進』(2244号1面2)(2006/05/01)

 法政大 学生処分攻撃を押し返す

 文学部教授会で反対意見続出 大学自治圧殺に広がる怒り

 4月19日、法政大学文学部教授会で、3・14法大弾圧で不当逮捕され不起訴で釈放された法大生に対する処分が検討された。教員からは「誰の責任で警察を導入したんだ」「事件そのものがデッチあげじゃないか」などの意見が続出し、教授会の大勢が処分反対で占められた。不当処分を決定しようとしていた法大当局の狙いは完全に打ち砕かれ、1カ月後の教授会に結論を先送りした。
 法大当局のもくろみを打ち破って処分決定を阻止したことは実に決定的だ。4月17日には、元日弁連会長の土屋公献弁護士を始めとする17人の弁護士が連名で、「学内処分に関する意見書」を文学部と法学部の教授会に提出した(関連記事5面)。連日、法大生と法大救援会が不当処分決定阻止を訴える中で法大生と教職員の中に不当処分反対の声が広がっていった。大衆的な処分反対の声が広がる中で、不当処分決定を阻止したのだ。
 結論の先送りなど、断じて許すことはできない。4・19教授会で求められていたことは、処分決定の先送りではない。一切の処分を行わないことを決定し、自宅謹慎命令を撤回することだったのだ。そして、200人もの警察権力を学内に突入させて学生を不当逮捕させるという、戦後史上類例のない弾圧に手を染めた法大当局の責任を追及することを決定すべきだったのだ。
(写真 学内でビラをまく法大生と呼応し、法大救援会は警察、大字当局の妨害をはねのけ門前でのビラまきを行って処分策動弾劾しぬいた【4月19日】)

 警察と一体化する法大当局

 法大当局は、処分反対の声が高まっていることに恐怖し、警察権力と一体となってビラまき弾圧に出てきている。学内でビラまきを行う法大生を教職員が取り囲み、「学生証を見せろ。見せなければ学外者と見なして追い出す」などと妨害している。また、門前でビラをまく法大救援会に対しても、10人以上の教職員を連日動員して妨害し、警視庁公安部や麹町署の警官がビラまきを妨害し、デッチあげ不当逮捕を策動しているのだ。3・14法大弾圧は終わるどころが、攻防はますます激化している。
 法大では、憲法で保障された権利が次々と破壊されている。改憲をめぐる最大の激突点になっている。立て看板やビラまきの規制や弾圧。警察権力の学内導入。教室貸し出しの禁止による集会破壊。これらは言論・表現の自由、学問の自由、大学の自治、集会・結社の自由などに対する破壊攻撃であり、改憲攻撃そのものだ。
 だが、法大生を先頭とした労働者人民の闘いによって、法大当局は完全に追いつめられている。追いつめられ弾圧を激化させればさせるほど、法大生と教職員の怒りに火を付けていくのだ。3・14法大弾圧と不当処分攻撃に対する労働者や学生の怒りはますます高まっている。法大当局が総長選挙の廃止を打ち出したことに対して、教職員から反対の声が上がっている。法政一高では、茶髪の禁止などの締め付け強化が一方的に通告されたことに抗議して高校生450人が座り込みの闘いに立ち上がった。これらは完全に一体の闘いである。法大・平林総長体制打倒の大闘争として爆発することは不可避だ。
 フランスでは、大学生や高校生が先頭になって300万人のゼネストや街頭デモが闘われ、CPE(初期雇用契約)を撤回させる勝利をかちとった。イギリス、ドイツ、アメリカ、韓国など全世界で激しい街頭デモやゼネストが闘われている。この闘いが日本に波及し始めているのだ。

 処分完全粉砕4・28デモへ

 4月24日の法学部教授会での処分決定を阻止しよう。自宅謹慎処分を撤回させ、処分決定阻止の大衆闘争を爆発させよう。法大当局に対して、抗議の声を全国からたたきつけよう! 法大当局によるビラ・立て看板規制を粉砕し、法大を先頭に改憲阻止決戦の大爆発に突き進もう! 処分粉砕にむけて4・28法大包囲デモに立ち上がろう!

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週刊『前進』(2244号1面3)(2006/05/01)

 共謀罪 衆院採決を阻もう

 審議入りを弾劾し情宣

 話し合っただけで処罰する「現代の治安維持法」=共謀罪の制定攻撃が切迫している。自民・公明の与党は、4月21日に衆院法務委で審議入りし、一部修正の上で28日(金)にも採決を強行する日程を打ち出した。実質審議ぬきで今国会で成立させようとする暴挙である。採決絶対阻止へ、連続闘争(要項別掲)に総決起しよう。
 「破防法・組対法に反対する共同行動」は、審議入りの21日朝、国会前でビラをまき、出勤の労働者・市民にアピールした。
 「共謀罪」は、これまでの刑法原則である実行行為処罰から大転換し、思想を処罰し、労働者・労働組合の団結権を破壊することを狙った治安弾圧法である。
 2月に出された修正案は何の歯止めにもならない。修正案の要点は、処罰の条件に「犯罪の実行に資する行為が行われた場合」と加えたことだが、この概念はきわめてあいまいであり、「がんばりましょう」と声をかけただけでも「資する行為が行われた」と見なされかねないのだ。
 9条解体・基本的人権圧殺の改憲攻撃と一体であり、改憲攻撃を先取りする「共謀罪」制定を絶対に阻止しよう。
(写真 「審議入り許すな」と国会前で宣伝戦【4月21日朝】)

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週刊『前進』(2244号2面1)(2006/05/01)

 「愛国心」強要の教育に転換

 教え子を再び戦場に送り出す 教基法改悪案の提出阻止を

 自民党と公明党の与党が教育基本法改悪案で合意したことで、大型連休前後に改悪案が国会に提出される重大情勢になった。愛国心を「我が国と郷土を愛する……態度」としたことについて、両党は「この場合の国には、政府や国家権力などの統治機構を含まないものであることを確認した」と言う。しかし、どんなペテンを使っても「国を愛する態度を養う(愛国心を養う)」ことが最高の「教育の目標」として押し出されたことは明白である。この「国を愛する」教育への大転換を許さず、教基法改悪を絶対に阻止しよう。

 「お国のために命投げ出せ」と叫んだ西村

 愛国心とは何か。衆院議員の西村真悟(民主党離党)が04年2月に超党派議員連盟「教育基本法改正促進委員会」の設立総会で行った演説が、端的に愛国心の中身を表現している。
 ここで西村は今後の教育のあり方について、「お国のために命を投げ出しても構わないという日本人を生み出す。お国のために命をささげた人があって、今ここに祖国があるということを子どもたちに教える。これに尽きる」と言い、また、「お国のために命を投げ出すことをいとわない機構、つまり国民の軍隊が明確に意識されなければならない」と語った。
 「お国のために命を投げ出す」態度を養うことが愛国心教育の実際の中身だ。西村の場合は、露骨に神風特攻隊のように身を弾として死んでいった青年を愛国心教育の精華として賛美しているのだ。
 「愛国心」を崇高なものとしてたたえ、子どもたちに国のために死ねと叫ぶその西村本人は、自分の事務所で弁護士資格のない者に弁護士業務を任せ、見返りに3000万円以上を受け取り、所得隠しをしていた(98年〜04年)というとんでもない腐敗分子だ。こんな不正を行っている最中に「国のために命を投げ出せ」と叫んでいたのだ。事件が発覚しても、議員辞職すらしないで居直っている。まったく許しがたい。
 今日のイラク戦争でも、戦場に駆り出されているのは貧しい労働者人民で、その陰で甘い汁を吸っているのが資本家どもである。戦争は一部の資本家(支配階級)の権益を守り拡大するために起こされ、その犠牲になるのは労働者人民だ。労働者人民を戦場に送り出すために「愛国心」の注入を必要としているのだ。
 沖縄戦記録フィルム1フィート運動の会事務局長の中村文子さん(92)は、戦前国民学校の教員だった自らの過去を振り返り、「愛国心を表現を変えて盛り込むのは戦前の私たちの歩みを連想させる。わたしは愛国心を教え子に刷り込むことで、沖縄戦で多くの命をなくした。だからこそ、同じような状況にしたくない」(琉球新報4月13日付)と語っている。沖縄戦の教訓の大きなひとつは、「2度と愛国心教育をしてはならない」ということなのだ。

 愛国心への人民の拒絶反応

 「愛国心を教えることを否定的にとらえる国など、日本以外にない」(4・13付読売新聞社説)
 「『愛国心』の表現で、これだけもめる国は、おそらく日本だけだろう」(4・14付産経新聞社説)
 この二つの社説は、日本は愛国心を否定的にとらえる国で、普通の国ではないと嘆いている。まさにそうなのだ。日本で愛国心が否定されるのは理由のあることなのだ。それは日本が帝国主義であり、過去に朝鮮・中国・アジア・太平洋の至る所で途方もない被害を与えた国であり、それを「忠君愛国」思想で労働者人民をあおり立てることによって強行した国であるということに根ざしているのだ。愛国心一般ではなく、日本帝国主義の愛国心教育は絶対に許されてはならないことが核心問題なのだ。
 日本の労働者階級の中に愛国心に対する拒絶反応が根強くあることは、戦争の反省、二度と戦争を繰り返さないという決意、帝国主義者の宣伝に従わないという意志が階級意識として強力に存在するということであり、決定的に重要なことだ。これを一掃することなしに戦争のできる国につくり変えることはできない、と支配階級は猛烈な危機感をもって攻撃に乗り出しているのである。

 改憲に向かって外堀埋める攻撃はね返せ

 愛国心を盛り込むことを核心とする教育基本法改悪は、今日の日本帝国主義の戦争に向かっての攻撃の一環である。
 アメリカ帝国主義のイラク侵略戦争と日本の参戦。
 9次に及ぶ自衛隊のイラク派兵。周辺事態法と有事法制。国民保護計画。
 米軍再編攻撃と沖縄に対する新基地の押しつけ。
 「日の丸・君が代」強制の03年10・23都教委通達と処分攻撃。
 「新しい歴史教科書をつくる会」歴史・公民教科書の検定合格と採択の動き。
 靖国神社への小泉首相の5年連続の参拝。これに対する中国、韓国からの厳重抗議に対する小泉と次期首相候補の開き直り。
 中国領・釣魚台(尖閣列島)、朝鮮領・独島(竹島)の略奪の攻撃。
 中国、北朝鮮に対する排外主義宣伝の横行。
 自衛隊官舎へのビラまきに対する逮捕・起訴と高裁での逆転有罪判決。
 法政大学での立て看板・ビラまき禁止と、それに対する抗議デモに29人逮捕の大弾圧、処分攻撃。
 共謀罪新設攻撃と入管法改悪。
 そして、自民党新憲法草案での9条2項破棄と「自衛軍」規定。
 日本経団連の改憲提言。
 これらは日本帝国主義の危機と凶暴化、それに対する労働者階級人民の闘いの激突を示している。このように並べて見る時、「国を愛する態度」を教育基本法に盛り込むことが、どれほど恐るべき意味をもっているのかが鮮明になる。それは文字どおり今日の戦争に直結しており、明日の戦争につながっている。
 このように教育基本法改悪は、自民党新憲法草案や国民投票法案の国会提出策動などの改憲攻撃と一体である。改憲攻撃そのものである。実際に教基法改悪が強行されることは、憲法改悪に向かって外堀を埋めることになる。

 教育労働者を先頭に反撃を

 与党の教育基本法「最終報告」は、「教育の目標」の項目に、「豊かな情操と道徳心」や「公共の精神」や「伝統と文化を尊重する態度」を養うとしている。戦前のような道徳を前面に押し出した教育に変えようとしているのだ。
 さらに「家庭教育」や「社会教育」や「学校、家庭及び地域住民等の相互の連携協力」も、社会全体を戦争体制づくりに巻き込んでいく上で重要な意味をもっている。
 そして、現行教基法第10条の「教育行政」は、「教育は、不当な支配に服することなく」の後に、「この法律及び他の法律の定めるところにより行われるべきものであり、教育行政は、国と地方公共団体との適切な役割分担及び相互の協力の下、公正かつ適正に行われなければならない」という文章を加え、従来の「権力の不当な支配を排する」という意味を正反対のものにしてしまっている。
 このように教基法改悪は、「愛国心」を核心に、戦争に向かって教育を180度転換する大攻撃だ。怒りを燃え立たせ、教育労働者を先頭にただちに国会提出阻止へ闘いの陣形を構築しなければならない。
 日帝の攻撃はきわめて激しく、そのテンポも速い。しかしそれは、敵の強さの現れではなく、帝国主義の危機の深さと労働者の反撃に対する恐怖の現れにほかならない。
 「日の丸・君が代」強制に対する不起立闘争が3年連続して不屈に闘われていることは、全産別の戦争協力への動員を拒否する闘いを鼓舞激励するものとなっている。また、動労千葉の「戦争協力拒否宣言」のもとでの職場からの実力闘争の発展も、闘いの展望を明るく指し示している。
 日帝は日教組の改憲推進勢力化を狙ってあらゆる攻撃をかけてきている。日教組は「憲法問題に関する基本的考え方(中間報告その2)」を出し、改憲派への流れに屈服を深めている(本紙2241、2243号参照)。
 改憲勢力化へ決定的に歩を進めた連合05年7・14見解と、そのもとへの日教組、自治労の屈服の動きに対して、教育労働者、自治体労働者を始めとする労働者の総反撃の闘いを猛然と巻き起こしていく時である。「教え子を再び戦場に送るな」のスローガンを今こそ真っ向から掲げ、この4〜6月、教基法改悪絶対阻止の闘いを巻き起こそう。

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週刊『前進』(2244号2面2)(2006/05/01)

 職員会議の挙手・採決を禁止 4・13 都教委がまた極悪通知

 職場支配を徹底できず焦り

 東京都教育委員会は4月13日、職員会議で「挙手」や「採決」によって教職員の意思確認を行ってはならないと指示する通知を、都立高など全263校の都立学校長あてに出した。
 職員会議で議論することも、「挙手」「採決」などで意思決定を行うことも、すべて力ずくで封じようという、これほど恥知らずな通知を都教委が出したのは、都教委による学校現場と教育労働者の強権的支配が完全に破産したからである。03年「10・23都教委通達」による「日の丸・君が代」強制に対して、教育労働者が不起立闘争を先頭にねばり強い職場抵抗闘争を闘いぬいてきた結果、都教委はついに自らの敗北を自認せざるをえないところに追い込まれたのだ。このことに確信を持って、4・13通知を徹底的に弾劾し、学校現場からの抵抗闘争をさらに意気高く貫こう!
 中村正彦教育長名で出された「学校経営の適正化について」と題する通知で際だっているのは、何よりも、いまだ学校の中心に職員会議が存在している現実への激しいいらだちと憤りである。

 “職員会議の議論許されない”

 職員会議について「職員会議を中心とした学校運営から脱却することが不可欠」「企画調整会議において議論されるべき学校経営に関わる事項を、職員会議の場で議論し、教職員の意向を挙手等で確認するような学校運営は許されない」と述べている。そして「校長の責任で決定する事項を不当に制約するような運営や議決により校長の意思決定権を拘束するといった運営は認められない」として、「『挙手』『採決』等の方法を用いて職員の意向を確認するような運営は不適切であり、行わないこと」と指示したのだ。
 さらに「職員会議の司会者及び記録者は、輪番等によることなく、適格な司会者及び記録者を校長が選任する」ことや、職員会議に「議長」を置いている学校は「司会者」に改めることも求めた。学校経営の中枢機関は、校長、副校長、主幹教諭らによる「企画調整会議」であるとして、その機能の強化を指示。他方で職員会議の機能は「教職員に対する報告、意見聴取、連絡に限定」するとした。
 都教委はこの数年間、職員会議から権限を奪って補助機関と化そうと全力をあげてきた。1998年には、職員会議を「職員会議は校長の職務を補助する機関」と定義した。続いて2000年に文部省が「職員会議は意思決定権を持たない」と通知。都教委はさらに01年6月、職員会議での意思決定については「議決により校長の意思決定権を拘束することは認められない」として、学校運営の重要事項は校長が選任した副校長、主幹らで構成する「企画調整会議」の場で議論するよう通知した。
 こうして現場労働者を学校運営に関与できなくさせて、都教委と校長の言いなりの学校をつくり出そうとしたにもかかわらず、現実は都教委の思うようにまったく進んでいない。卒・入学式における「日の丸・君が代」強制をめぐっても、教育労働者はねばり強い抵抗闘争を続けている。
 さらに都教委は今年1〜2月、約260の都立学校に対して学校運営に関する調査を行った。その結果、22校が何らかの問題があると回答。うち7割の十数校が、主任教諭の選任や生活指導の方法、学校行事の運営などについて、職員会議の場で挙手などで採決して、校長の意思決定になんらかの影響を与えていることがわかったというのだ。
 職務命令と処分を乱発しても教育労働者の職場支配権を奪回できない都教委の敗北を自認したのが、4・13通知である。

 不起立闘争に続いて反撃を

 全国でも、職員会議での挙手や採決そのものを禁止した通知など例がない。これほど強権的な通知は、都教委の支配の破綻(はたん)の現れである。
 現場の教育労働者が屈服しない限り、どんなシステムを確立しようとも都教委の言いなりの学校現場など実現しないということを、東京の教育労働者は「10・23通達」以降の闘いで完全に示してきた。石原・都教委に大打撃を与えた「10・23通達」から3年目の「日の丸・君が代」不起立闘争を引き継ぎ、職場からの反撃に立ち上がろう。

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週刊『前進』(2244号2面3)(2006/05/01)

 動労千葉が声明 安全運転闘争に戒告を発令

 不当処分を弾劾する

 

動労千葉が今年3月、春闘ストと一体で闘いぬいた安全運転闘争に対して、JR東日本は4月12日、まったく不当な処分を発令した。徹底弾劾して、動労千葉とともに闘いぬこう。動労千葉の弾劾声明を、動労千葉のホームページより転載します。(編集局)
(写真 安全運転闘争を闘う動労千葉の運転士と、激励に訪れた支援する会【3月10日JR東京駅地下ホーム】)

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 安全運転闘争への不当処分を弾劾する!

 4月12日、JR東日本は、安全運転闘争への不当処分発令を強行した。断じて許すことはできない。われわれは満腔(まんこう)の怒りを込めてこの不当処分を弾劾する。
 処分内容は本部執行部が「戒告」、現場組合員は「厳重注意」であった。処分理由は下記のとおりである。

 ◇処分理由
 平成17年3月及び5月以降から行なった安全運転行動と称する争議行為に関し、会社のもつ運行管理権を奪う違法な争議行為である旨を通知し、厳重に注意したにも係わらず、平成18年3月10日から18日にかけて行なった安全運転闘争を組合本部役員として再び同行為を決定し、所属組合員へ指示したこと。

■二度と声をあげるな!
 尼崎事故や羽越線事故を二度と繰り返してはならない、レール破断の多発等、JRの安全が危機に瀕(ひん)しているというわれわれの訴えに対し、JR東日本は、再び処分をもって臨んできた。
 この不当処分は、労働組合が安全の確立に向けて声をあげることなど二度と許さないということを目的とした一片の正義性もないものだ。その意図は「自己の本分をわきまえ、会社の命に服せ」という「警告書」にも明らかだ。現場の労働者の分際で、安全を確立しろと声をあげることなど許さないというのである。
 安全について最も熟知しているのは、日々列車を動かし、検査し、線路を保守している現場の労働者だ。われわれはその声を力ずくで圧殺するようなやり方を絶対に許さない。

■安全の危機を隠ぺい
 また、ここにあるのは、本末転倒したJR東日本の腐り果てた経営姿勢に他ならない。事故や安全の危機を隠ぺいするために、それを告発する者を処分して、二度と声をあげさせないようにしようというのだ。安全よりも組合憎し、安全ではなくその隠ぺい。これがJR東日本の意図に他ならない。
 尼崎事故で107名の乗客の生命を奪い、羽越線事故で5名の生命を奪い、JR発足から19年余りの間に、保線作業などにあたっていた下請けや本工の労働者300人以上の生命を奪っていてなおこれがJR東日本の姿勢である。このままでは、間違いなく再び尼崎事故が繰り返されることになる。

■ゆずることはできない!
 不当処分そのものもエスカレートされている。昨年の安全運転闘争に対する処分は「厳重注意」であった。今回は「戒告」(一時金10%削減+昇給カット)だ。これは安全運転闘争を繰り返したら解雇するという脅しに他ならない。
 だがわれわれは、鉄道に働く労働者として、労働組合として、運転保安確立に向けた闘いをここで止めることはできない。どんな困難に直面しようと、絶対に譲ってはならないことがある。ここで旗を下ろしたら、われわれが鉄道に働く労働者であり、労働組合であることを止め、会社の奴隷になるということだ。そしてまた多くの乗客やともに働く仲間の生命を奪うことになるのだ。現に、東労組を始め、JR内の全ての労働組合が会社にからめとられ、安全の危機について声すらあげない現状がわれわれの前にある。
 今回の不当処分は、逆に、運転保安確立に向けた闘いをさらに強化しなければいけないという警告である。われわれは怒りも新たに、今回の不当処分をはね返し、団結を固め闘い続ける決意である。

■社会のありかたを問う!
 最後にわれわれは、改めて、民営化―規制緩和という犯罪的政策によって競争原理が野放しにされた結果、JRにおける安全の崩壊がもたらされたばかりでなく、社会のあり方そのものが崩壊しようとしていることに怒りを新たにしなければならない。耐震偽装問題やライブドア事件、度重なる日航機トラブルもしかり。無数の労働者が低賃金・無権利の非正規雇用に突き落とされて貧富の差が止め所なく拡大し、5世帯に1世帯が年収200万円以下で生活し、生活保護世帯が100万世帯をこしている現実。東京や大阪では、4人にひとりの子どもたちが、給食費の補助を受けなければ学校に行けない現実。年金や医療制度が崩壊しようとしている根本的現実もここにある。
 こうしたことの一切が、根本をたぐっていけば、JRにおける安全の崩壊をもたらしたものと同じ原因に突き当たる。
 社会の在り方そのものを問わなければならない。われわれは、いかなる弾圧をうけようと、こうした現実に対し闘い続ける決意である。

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週刊『前進』(2244号2面4)(2006/05/01)

資本攻勢&労働日誌 2006 4・1〜4・18

 連合が小沢民主党支持を確認

 労働審判法が施行に/公務員年金削減へ政府方針

●市町村数4割超減 99年3月末に3232あった市町村の数は、「平成の大合併」で4月1日現在、約4割減の1820に。(4月1日)
●労働審判法が施行 「個別労使紛争」に対応するとした労働審判法が施行され、各地方裁判所に労働審判委員会を設置。(1日)
●非正規4割が正社員を希望 契約や派遣、請負の形で働く「非正社員」の約4割は、今後、正社員として働きたいと希望していることが労働政策研究・研修機構の調査で分かった。(1日)
●鹿児島交通労組がスト 私鉄総連の鹿児島交通労組が120人解雇の合理化案に反対して始発から午前8時半までスト。路線バス390便が運休。同労組は3月28日にも24時間ストを実施した。(4日)
●連合、小沢民主党支持を確認
小沢民主党新代表が連合三役会議に出席。高木連合会長は「応援団としてできることがあれば一生懸命やる」と述べた。(8日)
●公務員退職者の年金減額 政府は厚生年金と公務員らの共済年金の一元化に合わせ、公務員退職者計215万人の年金給付額を早ければ08年度から減額する方針を固めた。カット幅は最大で10%程度となる見通し。(8日)
●「初期雇用契約」を撤回 フランスのドビルパン首相は「初期雇用契約」の撤回を表明。(10日)
●地方公務員5.3%の削減目標
総務省は、都道府県と政令指定都市が策定した職員削減目標の集計結果を公表。全体では2010年までに5.3%(05年4月比)の純減となり、行革推進法案で示された4.6%の目標を上回った。(10日)
●団体生命保険訴訟、遺族側が敗訴 企業が自社を受取人にして従業員にかける「団体生命保険」をめぐり、在職死亡した住友軽金属の労働者の遺族が保険金の引き渡しを求めた訴訟で、最高裁は遺族側の請求を棄却した。(11日)
●労働契約法制で厚労省がたたき台 厚労省は労働政策審議会・労働条件分科会に解雇の金銭解決制度や労働時間規制の適用除外などを含む「検討の視点」を提示した。厚労省は7月をめどに中間報告を出すとしているが、労使の意見は対立。=要旨別掲(11日)
●与党が教基法改悪案を決定 与党は教育基本法改正協議会を開き、同法改悪に向けた与党案を決定した。(13日)
●民主党が行革で対案 民主党は政府の行革推進法案への対案として、公務員の総人件費を3年間で2割削減すると明記した法案を国会に提出した。(13日)
●日本経団連、消費税率10%化を提言 日本経団連は、公務員制度の抜本改革や消費税率の10%への引き上げなどを行うべきだとする「歳出入一体改革に関する中間とりまとめ」を発表した。(18日)

 「労働契約法制及び労働時間法制に係る検討の視点」(概要)

●明確にすべきルールのポイント
 @就業規則
 A重要な労働条件の変更
 B解雇
 C有期雇用契約
●「労使委員会」の設置
 労働者の過半数を組織する労組がない職場では「労使委員会」を設置できる
 「労使委員会」の決議があれば、労働者にとって不利益に変更された就業規則も有効となる
●解雇の金銭解決制度の導入
 裁判で解雇が無効となった場合でも、資本が労働者に金銭を支払えば、労働契約は解消される
●「自律的労働時間制度」の創設
 年収の高い労働者を労働時間規制から外し、残業手当もなくす

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週刊『前進』(2244号3面1)(2006/05/01)

 小沢の登場で促進される連合の改憲勢力化

 忠誠を誓う高木執行部

  民主党新体制と全面対決を

 かつての自民党中枢であり、ゴリゴリの改憲論者である小沢が民主党代表に就任した。小沢は連合を抱き込んで改憲勢力化することを狙っている。連合・高木執行部は、「小沢のために一生懸命にやる」と直ちに忠誠を誓った。とんでもないことだ。小沢は労働者や労働組合が絶対に支持してはならない極反動のブルジョア政治家ではないか。4大産別決戦を軸とする改憲決戦を切り開くために小沢民主党と徹底的に対決することが必要である。小沢民主党の反動的正体を暴露する。

 超反動の「小沢路線」

 民主党は4月7日、偽メール問題で辞任した前原代表の後任に小沢一郎前副代表を選出した。小沢は党所属国会議員による代表選挙で119票を獲得し、菅直人元代表を47票差で破った。小沢は翌8日、代表選で争った菅を代表代行に起用する一方、鳩山幹事長ら執行部を全員再任する人事を発表した。小沢の任期は前原の残り任期の9月末までだが、9月の代表選で再選し、本格的な小沢体制を築くことを狙っている。
 小沢は「政権交代こそが日本の真の構造改革」「政権交代可能な二大政党制を確立する」と主張し、あたかも自民党に対抗するような言動を行っている。だが小沢民主党の本質は、かの『日本改造計画』に示される「小沢路線」であり、小泉=奥田路線と同じく反動的だ。労働者階級の利益や未来とは絶対に相入れない打倒すべき存在である。
 何よりも重大なことは、小沢が民主党代表になったことで連合の改憲勢力化が決定的に促進されるということだ。
 民主、自由両党が03年に合併して以来、小沢は横路衆院副議長らと政策協議を重ねて国連待機部隊構想で合意するなど、旧社会党系グループとの連携を強めてきた。今回の代表選で、真っ先に小沢支持を鮮明にしたのは旧社会党系グループであった。小沢民主党はこの旧社会党系と鳩山ら保守系に旧民社党系グループが加わって誕生した。
 小沢は8日、執行部の発足を前に連合本部を訪ねた。連合三役会議に飛び入りし、高木剛会長らに「来年の参院選、(その後の)衆院選でなんとしてもけりをつける。政権を取る決意だ」と就任のあいさつをした。高木は「挙党一致態勢をつくり、党の再生、再建に向けて一丸になって頑張ってほしい。応援団としてできることがあれば、一生懸命やることを小沢さんにお誓いする」と応じた。
 すでに連合指導部は、昨年7・14見解で9条改憲と海外派兵容認へと踏み出し、1月19日の中央執行委員会決定で国民投票法案支持へと進んできた。これから日教組、自治労などの官公労系組合を改憲勢力として取り込むための策動が激化してくる。
 小沢は社会党などを取り込んで非自民政権をつくるため、93年5月に『日本改造計画』を出した。この本の中で明らかにした「平和安全保障基本法」「自衛隊とは別組織の国連待機軍」などの考えは、7・14連合見解、日教組本部や自治労本部の「平和基本法」と共通するものを含んでいる。
 小沢は4月10日、新聞社のインタビューで、「旧社会党の横路さんのグループとだって(憲法や安全保障政策で)合意しているんだから。社民党も意地張ってないで合意すればいいんだよ」と呼びかけている。小沢は、こうした観点を貫き9月再選で本格的な小沢民主党体制の確立を目指す、そのために『日本改造計画』をさらに具体化させた本を書くと言っている。

 教基法の全面改悪叫ぶ鳩山

 鳩山幹事長は4月16日のNHKの番組で「教育基本法改正は憲法改正と同時に行うべきだ」と述べた。鳩山は、もともと自民・公明両党による教育基本法改悪案を「部分的かつ限定的な修正」にとどまっていると批判してきた。鳩山は「新たにつくられる憲法の基本理念を反映したもっと全面的な教基法改正案でなくてはならない」と主張してきた。民主党との対決は、教基法改悪阻止の闘いにとっても重要である。
 日教組や自治労の中央本部が小沢民主党支持の路線をとって、「平和基本法」をテコとした改憲勢力に転落することを許してはならない。連合指導部の裏切り路線と徹底対決し、4大産別決戦を軸に改憲阻止決戦の爆発をかちとろう。その中で4大産別を始めとした労働者階級の中に真の労働者党を建設しよう。

 根っからの改憲論者

 そもそも小沢一郎とはどのような人物か。
 小沢は1969年に衆議院議員に初当選(2世議員)して以来、自民党の最大派閥である田中派に属し、若い時から主要な役職に就いてきたエリート議員であった。金丸信元自民党副総裁の直弟子として89年には46歳の若さで自民党幹事長に就任、竹下派を支配し、自民党内影の最高実力者といわれた。金丸が92年に佐川事件で失脚すると派閥抗争が激化、これに敗北すると羽田孜とともに新派閥を結成、93年に派閥とともに自民党を脱党し、社会党をも取り込んで非自民7党一会派による細川連立政権を誕生させた。
 自民党の中枢にいた小沢を政界再編へと突き動かしたものは何か。それは91年湾岸戦争(第1次イラク中東侵略戦争)での日帝の手痛い教訓であった。日本は130億jもの戦費を拠出しながらも軍隊を出せなかったことで、アメリカから非同盟国のような扱いを受けて打ちのめされた。
 小沢は『日本改造計画』で次のように書いている。「90年の湾岸戦争は日本にとって苦い教訓だった。湾岸戦争における日本の対応は、アメリカの親日的な人々を失望させ、日本批判派の日本叩きを増長させた」
 小沢はこの時の「苦い経験」を踏まえ、日本は外国に軍隊を出し、帝国主義的な軍事外交政策を展開できる「普通の国」にならなければ、アメリカの歴史的没落とソ連スターリン主義の崩壊のもとで激化する帝国主義間の死闘戦で生き残れないと考えたのだ。
 小沢の言う「普通の国」とは何か。それは憲法9条などに示された「敗戦帝国主義としての歴史的な制約」から脱却し、公然たる帝国主義国家へと転換することである。そのために小沢はPKO(国連平和維持活動)派兵を強行し、9条改憲、首相権限の強化、小選挙区制導入、民営化・規制緩和、地方分権の名による全国市町村合併などを提唱、推進してきた。これらの反人民的政策のことごとくが今日の小泉=奥田路線を先取りしたものである。

 9条改憲を積極的に提唱

 小沢は根っからの改憲論者である。
 小沢が99年に発表した「日本国憲法改正試案」(抜粋別掲)は自民党「新憲法草案」(05年11月)に負けないほど反動的である。小沢は現行憲法は無効だと言いい、緊急事態の発令を天皇の国事行為にすべきだとさえ主張している。
 9条改憲については次のように主張している。
 9条の2項に続けて、「前二項の規定は、第三国の武力攻撃に対する日本国の自衛権の行使とそのための戦力の保持を妨げるものではない」と第3項を設けるとしている。さらに第9条に続けて、「日本国民は、平和に対する脅威、破壊及び侵略行為から、国際の平和と安全の維持、回復のため国際社会の平和活動に率先して参加し、兵力の提供をふくむあらゆる手段を通じ、世界平和のために積極的に貢献しなければならない」という条文を設けることを主張する。
 小沢は帝国主義国家である日本が「自衛権」を憲法に掲げることで、侵略戦争、帝国主義間戦争に参戦することを認めさせようとしている。さらにイラク侵略戦争のように日本に対する武力攻撃とは無関係な場合ですら、「国際社会の平和活動」なる規定で侵略戦争と復興=植民地化の全過程に「率先して参加し、兵力の提供をふくむあらゆる手段を通じ、積極的に貢献しなくてはならない」としている。自民党の新憲法草案が「できる」としていることを、「しなくてはならない」としている点で、より好戦的な9条改憲となっているのだ。

 「靖国を本来の姿に」と主張

  小沢は、小泉の靖国参拝を批判するかのような装いをとりながら、実際は靖国神社の復権を狙っている。
 4月9日のNHKの番組で、小沢はいわゆる「A級戦犯」(小沢自身はA級戦犯という言葉自体認めていない)について、「戦争を主導した大きな責任がある人たちは、靖国神社に本来祭られるべきではない。戦争で亡くなった人のみを祭る本来の形に戻し、天皇陛下も堂々と行ける靖国神社にすればいい」と言っている。小沢が「戦争を主導した責任」という時、もちろん戦争犯罪を弾劾する立場からの発言ではなく「日本を敗戦へと導いた責任」を問うているのである。
 それは翌10日のインタビューで、「日本人に対し、捕虜になるなら死ねと言ったのに、自分たちは生きて捕虜になった」から、彼らは「靖国神社に祭られる資格がない」と主張していることからも明らかである。むしろ「生きて虜囚の辱めを受けず」の「戦陣訓」を徹底しろと言っているに等しい。小沢は、第2次世界大戦での敗戦で傷ついた「靖国神社」を本来の姿に取り戻し、天皇にも堂々と参拝してもらいたい、と言っているのだ。断じて許すことができない。
 小沢は、小泉との対抗から「日米関係を基軸に、中国、韓国をはじめとする近隣諸国との関係を改善し、アジア外交を強化する」と言っている。だが対アジア政策でも帝国主義的砲艦外交を貫く態度は鮮明だ。
 小沢は10日のインタビューで、かつて中国に「日本がその気になれば核弾頭数千発の保有が可能だ」と言ったことを尋ねられ、「この前も中連部(中国共産党中央対外連絡部)の幹部が来たから、『あんまり調子にのっちゃだめだ』と言った」と豪語している。また「中国の歴史は漢民族の膨張でもともと覇権主義だ」とさえ言っている。
 小沢は前原前代表の「中国脅威論」について聞かれ、「脅威だと政治家が口に出した以上、脅威は取り除かなければならない。だから首相も言っていない」と答えている。要するに「本音は自分もゴリゴリの中国脅威論だが、現段階では口にはしない」ということだ。
 小沢民主党の超反動的な正体は明らかである。小沢は連合を取り込んで、小泉=奥田路線と同じく反動的な「小沢路線」を進めようとしている。小沢民主党の反労働者的正体を暴き、弾劾し、4・29、5・1メーデーに決起しよう。

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 改憲、靖国問題での小沢発言

  −「日本国憲法改正試案」(99年9月)

■占領下に制定された憲法が独立国家になっても機能しているのは異常なことである。現行憲法は国際法において無効である。
■我々の伝統や文化に基づいた日本人独自の内面的資質についても、前文で踏み込むべきではないかという議論に基本的に賛成。
■自衛権はいかなる法律もその権利を否定することはできない。世界の恒久平和のために、国連憲章に基づき、兵力の提供を含むあらゆる手段を用いて貢献することこそが、我が国自身の平和と安全を守ることである。
■内閣の権能として、非常事態の時の権限を付与する規定を置く。緊急事態宣言の発令については、天皇の国事行為にした方がいいかもしれない。
 −小泉靖国参拝をめぐって(06年4月)
■戦争を主導した大きな責任がある人たちは、靖国神社に本来祭られるべきではない。戦争で亡くなった人のみ霊を祭る本来の姿に戻し、天皇も首相も堂々と行ける靖国神社にすればいい。

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週刊『前進』(2244号3面2)(2006/05/01)

 国民保護計画の決定弾劾

  都道府県レベルで労働者と住民の戦争動員を狙う攻撃

 国民保護の名で侵略戦争へ

 05年7月に福井県の国民保護計画が閣議決定されたのを皮切りに今年3月末に全都道府県の計画が出そろった(国の省庁の計画も05年度中に作られた)。06年度内に市町村特別区の国民保護計画が策定される。
 各都道府県の計画は、04年6月に成立した国民保護法(武力攻撃事態等における国民の保護のための措置に関する法律。有事法制の一つ)に基づいて国が作った「国民の保護に関する基本指針」と「都道府県国民保護モデル計画」に基づき、各都道府県の事情を加味して作られている。
 福井県では、原発への攻撃が強調され、原発災害への対処が加わっている。東京都では、首都であることや行政・経済機能・交通基盤の集積、多くの大規模集客施設、木造住宅密集地域と超高層集合住宅の併存、島嶼(とうしょ)部や米軍横田基地の存在などが考慮に入れられている。
 都道府県の計画は、「武力攻撃」や「大規模テロ」など「武力攻撃事態等」を想定し、▼「平素から」の組織・体制の整備、避難・救援に必要な備え(物資・資財の備蓄、訓練の実施など)▼事態が起きた時の住民の避難と救援などの措置(警報の通知・伝達、避難の指示と避難行動、避難住民の救援、安否情報の収集・提供など)▼被害の最小化のために電気・ガス・水道施設を守る安全確保措置や消火・救助活動――を具体的に定めている。
 「武力攻撃事態等」には8類型がある。武力攻撃事態に含まれる(1)着上陸侵攻(2)ゲリラ・特殊部隊による攻撃(3)弾道ミサイル攻撃(4)航空攻撃と、「緊急対処事態」すなわち「大規模テロ等」に含まれる(5)危険物資(ガス貯蔵施設など)を有する施設への攻撃(6)大規模集客施設(駅、列車、劇場など)への攻撃(7)大量殺害物質(炭疽菌=たんそきん、サリンなど)による攻撃(8)交通機関を破壊手段とした攻撃(航空機による自爆テロなど)である。
 あたかも日本が侵略される事態であるかのように描かれているが、実際にはまったく逆である。日帝が想定していることは、例えば米帝とともに北朝鮮に先制攻撃を加えておいて、北朝鮮がミサイル攻撃や着上陸攻撃、原発破壊などで「必死の」「若干の」反撃することをとらえ、全面的な侵略戦争で北朝鮮を壊滅することなのだ。日本が帝国主義である限りそうなのだ。

 人民を犠牲に国家防衛図る

 国民保護法・計画は人民を戦争から守るためにあるのではない。人民を戦争動員するためにあるのだ。また、ミサイル被弾や原発被弾によって多くの人民が死ぬことを前提に成り立っている。破壊された原発から放出された大量の放射能から人命を守る方法はない。
 国民保護計画は、「武力攻撃事態等」の発生への対処として住民を国・自治体の指示に従って避難させることを定めている。戦争遂行の邪魔になる住民を排除し、その家屋・土地を取り上げるのだ。また国・自治体や指定公共機関の労働者に、住民避難・救援、軍需物資備蓄・輸送の戦争協力業務を強制する。
 それだけではない。平素から住民は合同訓練に強制動員され、自治体や指定機関の労働者は24時間即応体制で事態発生時に備えなければならない。
 東京都の計画は「国民の自由と権利を尊重」とか「公正かつ適正な手続き」とか「権利・利益の救済も行う」と規定しているが、私有地を提供したり医薬品や食料を保管することが指示され、交通規制が強化され、それらに従わなかった場合、罰則が科せられる。
 人民の「自由と権利」を制限・圧殺し、国家を防衛することが義務とされ、そのために犠牲になることを強要されるのだ。
 そして、これら「平素からの備え」や「事態発生時の対処」まで自治体の国民保護措置を現場で実施するのは自治体労働者である。自治体の業務に戦争協力・動員が具体的に加わった。

 自衛隊による住民排除狙う

 国民保護計画が発動されたらどうなるか。昨年11月27日に政府と福井県が美浜町で行った国民保護実動訓練はその一端を示した。
 この実動訓練は、「外国人テロリストから美浜原発が攻撃を受けた」という想定のもと、自衛隊、警察などの指定行政機関と電力、水道、ガス、電話、放送、赤十字社、運輸などの指定公共機関、計140機関に加えて住民、生徒・児童らも動員され、総計1400人が参加して行われた。
 しかし、この訓練には決定的なごまかしがあった。通常の防災訓練の延長のような形をとり、武装した自衛隊員は極力表に立たず、治安出動や住民の強制排除などは行われなかった。だが、国民保護法・計画はあくまで自衛隊を中心とする戦争計画そのものなのだ。
 また、こうした訓練や平素の活動をつうじて国家・社会編成と日常生活を戦争モード、戦争編成に切り替えることが狙われている。そのために町内会や消防団や学校、病院、工場などに作られた自主防災組織、ボランティアを総動員する。国民保護法・計画は治安攻撃でもある。戦争と戦争国家体制を批判する言論・表現、反戦闘争を、住民を反動に組織しつつ圧殺する。
 国民保護計画づくりに自治体労働者の参加を求める自治労本部は犯罪的だ。
 労働者を侵略戦争に強制動員するための国民保護法・計画を粉砕しよう。06年、市町村国民保護計画の策定を阻止しよう。

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週刊『前進』(2244号3面3)(2006/05/01)

 辺野古新基地建設許すな

  市民・県民無視の「新沿岸案」など認められない!

 沖縄労働組合交流センター

 額賀官房長官と島袋名護市長の「V字形沿岸案」合意を弾劾する沖縄労組交流センターのビラを紹介します。(編集局) 

 島袋市長の大裏切り!
 稲嶺知事は裏切りにくみするな!
 沖縄差別を開き直る小泉政権打倒!
 10万人県民大会・ゼネストで沖縄の怒りをたたきつけよう!

 みなさん! 7日夜、ついに島袋吉和名護市長が額賀防衛庁長官との会談で沿岸案の「合意」を強行した(いわゆる「新沿岸案」)。しかも「騒音対策」と称してV字形に滑走路を2本も建設するという、もともとの「政府案」をはるかにしのぐ強大な軍事基地建設だ。それに伴い海上埋め立ては大幅に拡大するという。ふざけるな! 絶対に許せない! 認められない! 日本政府・小泉政権の沖縄への差別的な犠牲の集中を許さない! それに屈服して21世紀の沖縄を日本政府に売り渡した島袋名護市長を引きずり降ろせ!

★醜悪な言い訳は無用! 誰が見ても公約違反!

 島袋市長は曲がりなりにも「沿岸案は到底受け入れられない」というのが2カ月前の市長選で掲げた看板ではなかったのか? 今回の「新沿岸案」を「海上案のバリエーションの範囲内だ」「住宅地上空を飛ばないという名護市側の案に政府が譲歩してくれた」などと地元に帰ってくるなり言い訳にきゅうきゅうとなって、必死で自己保身を図る醜い市長の姿が逆に今回の大裏切りを証明している。こんな情けない人物に名護市民5万・沖縄県民130万の未来を決める資格などありはしないのだ。
 また東村長・宜野座村長・金武町長・恩納村長らも島袋市長と同罪である。報道によれば8日の額賀長官と稲嶺知事の会談の場に彼らが招き入れられ、「合意」をしぶる知事に対する圧力の道具として長官の横に座らされていたという。「自分たちは日本政府の立場に立っていますよ! 知事も早く裏切って楽になりなさい」とでも言ったのか!
 宜野座村長は直前に行われた村民大会で壇上に上がり、地元の子どもたちを前にして「沿岸案は認められない。最後まで闘う」と宣言したのではなかったのか? 会場にいた子どもたちにどう説明するのだ! 金武町長は昨年の都市型戦闘訓練施設の建設に反対する県民大会に集まった1万人の人びとに恥ずかしくないのか? 東村長は「ヘリパッド建設反対」で立ち上がった高江区の住民にどう言い訳するのか? こんな輩(やから)どもに県民の未来を決める資格などありはしない!

★環境破壊増大! 軍事機能強化の「新沿岸案」

 「2本の滑走路建設は、むしろ基地被害の拡大につながる。宜野湾市の側から言えば角度を変えただけで住民の被害が減ることはない」(伊波宜野湾市長)、「どう言い訳しても結局従来の沿岸案に滑走路が一つ増えただけ」(名護漁業組合員)……。いずれも今回の「合意」の本質を指摘している。
 防衛庁は「海側の滑走路は離陸専用にしか使用しない」→「だから騒音被害はないはずだ」と言い張っている。しかしこれを使用するのが、あの米軍だということを忘れてはならない。事実、普天間・嘉手納の両飛行場では約束違反の早朝・深夜の離発着がイラク戦争後、日常化している(もうすでに「風向きによっては陸側の滑走路を離陸に使用する」と言い出している!)。
 「使用協定などクソ食らえ」の米軍が「離陸用」「着陸用」などとおとなしく使い分けるはずがない。またヘリは普天間基地を見れば分かるように、今でも自由気ままに宜野湾市上空を飛び回っている。特に今、イラク戦争から朝鮮・中国へ侵略戦争を計画し、キャンプ・シュワブの最前線基地化を進める米軍からすれば当然にも戦時には「自由に」使用することになる。結果としてみれば、米軍には願ったりかなったりの「新沿岸案」だ。
 また、滑走路が2本になったことで、新しい基地の面積が拡大し、大浦湾と辺野古浅瀬の埋め立ても飛躍的に拡大する。環境破壊も従来の政府案よりさらにひどくなることは不可避だ。

★「米軍再編」は極悪の沖縄差別・現代の琉球処分だ

 「米軍再編」は「在沖米軍基地の整理・縮小」ではない。北部地域に米軍基地を再編・集中し、人の住めない巨大な「軍事要塞(ようさい)」にしてしまうものだ。「8000人の海兵隊削減」も、グアムへの移転が計画される海兵隊司令部要員とその家族であり、危険な実戦部隊はあいかわらず沖縄に居座り続ける。つまり実際の戦争の時、沖縄が集中的に攻撃と被害を受けることを米軍は想定している。これは「第2の沖縄戦」そのものだ。
 今回の「辺野古・新沿岸案」は全国的な「米軍再編」の最大の柱だ。だから、ありとあらゆる沖縄差別に満ちた脅しが名護市民(沖縄県民)に打ち下ろされた。3月28日には小泉首相は「『沿岸案』で地元に一歩も妥協するな」「沿岸案の微修正はメートルではなくセンチ単位だ」と言い放ち、「地元の合意がなくても強行する」と名護市を脅した。4月2日の岸本前市長の市民葬に参列した久間自民党総務会長は「政府は振興策で名護市との約束を果たしたんだから(名護市も)約束を果たしてもらわないと」とまで言い切った。名護市が止めるのも聞かず那覇防衛施設局は「政府沿岸案」の宣伝パンフレットの強行配布まで行った。これら一つひとつが島袋市長への「反対してもムダだ。振興策も切って名護を日干しにしてやるぞ。安保問題は国策だ。地元の意見など聞く必要はない。いやなら『国との戦』を覚悟しろ」ということだった。これに島袋市長は震え上がり屈服したのだ。
 「国とのパイプ」でがんじがらめになった市長たちと私たち労働者階級人民は違う。「やれるものならやってみろ。ボーリング調査以上の返り討ちにしてやるぞ」「日米安保同盟がつぶれるというのならば、さっさとつぶれてしまえ。沖縄を犠牲にしてしか成り立たない日本という国家や日米安保同盟など沖縄県民には『百害あって一利なし』だ」。日本政府との全面的な対決を辞さずに闘いぬく決意と方針が大切なのだ。

★10万人県民大会と全島ゼネストの準備に入ろう!

 あらためてはっきりさせよう! 一番大切なことは世論調査で示されているように、県民の90%が「米軍基地の県内移設反対」だということである。だから「新沿岸案」も必ず失敗する。辺野古沖案=ボーリング調査と同様に無様に破綻(はたん)する。小泉首相が「新沿岸案」を決める最大のポイントは「米軍基地の中であれば反対行動できないだろう」という一点だった。
 だが、小泉首相よ! 沖縄県民をなめるな! たとえ基地の中だろうと、どこだろうと130万県民が直接行動に決起すれば必ず粉砕できる。「貧乏人には貧乏人の闘い方がある」(辺野古「命を守る会」の合言葉)のだ。
 3月5日の3万5千人の県民大会に続き、今度こそ10万人、20万人規模の県民大会を実現しよう! 労働組合はゼネストに向けて真剣に論議を始めよう! 沖縄差別者=小泉首相と県民の裏切り者どもをぶっ飛ばして辺野古新基地建設を絶対に阻止しよう!

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週刊『前進』(2244号4面1)(2006/05/01)

 米帝のイラン核空爆阻止せよ

 10万人民を虐殺する戦争計画 発動を絶対許してはならない

 ブッシュ政権が、イランへの空爆を強行するための準備を加速させている。しかも、地下の核施設を破壊するためと称して核兵器まで使用する恐るべき戦争計画を策定している。イラクに続いて、イランに対する帝国主義的侵略戦争、核戦争が切迫していることに激しく警鐘を乱打し、絶対阻止の闘いに立とう。

 空爆の準備を加速する米帝

 この間、米軍によるイラン空爆の切迫を伝える報道が相次いでいる。
▽4月8日付米誌『ニューヨーカー』(電子版)は、ブッシュ政権がイランの核開発を阻止するために、同国への大規模な空爆作戦の策定を加速させていると報じた。この記事が衝撃的なのは、「B61―11」(注)などのバンカーバスター型(地中貫通型)核兵器を使用する選択肢も含まれていると報じていることだ。
 この記事は、イラクのアブグレイブ刑務所の囚人虐待事件をアメリカ国内でいち早く暴露したセイモア・ハーシュ記者が執筆した。同誌によると、この間、ブッシュ大統領や政権幹部はイランのアハマディネジャド大統領を「アドルフ・ヒトラー型」の危険な指導者と断定し、イランが核兵器の保有を目指していると確信している。そして問題解決のためには「イランの権力構造を代えること、つまり戦争」によるイスラム体制転覆しかないという判断を固めている。しかも「国防総省は、軍事的成功を保証できるのは核攻撃しかない」としているという。
▽4月9日付の米紙『ワシントン・ポスト』も、ブッシュ政権がイランへの軍事攻撃の準備を進めており、軍事攻撃の案として、@イラン中部ナタンズやイスファハンにある核関連施設への限定的な空爆、A核施設だけでなく情報機関本部や精鋭部隊「革命防衛隊」、政府施設も含めた広範囲の空爆――この2種類が検討されていると報じた。
▽2月13日付英紙『デイリーテレグラフ』は、オックスフォード研究グループの「イラン、戦争の結末」と題するレポートを報じた。同紙によると、米帝は以下のようなすさまじい軍事作戦を想定している。
 @米空軍は4万ポンド分の精密照準爆弾を搭載可能な爆撃機100機を使い、Aペルシャ湾入り口に終結した空母の艦載機100機強が、イランの20カ所の核施設・軍事施設への大規模同時空爆を加える。Bその結果、年内に燃料がいっぱいになるイラン・ブシェールの原子炉からは空爆による破壊によって放射能雲が噴出しペルシャ湾の上空を覆う。Cホルムズ海峡の航路を守るために米軍はイラン海軍を攻撃対象とするが、海峡が危険にさらされるため石油価格は暴騰する。D米地上軍はすでにイラクに13万人、アフガニスタンに1万8千人が展開しているので、さらに10万人を割いて地上戦を行うことは避ける。
 アメリカ帝国主義は、中東支配が破綻(はたん)する中で、ここ数年、アフガニスタン・イラク侵略戦争と同時にイランへの戦争準備を強めてきた。無人偵察機や偵察衛星がイランの軍事施設や核施設の偵察を行い、04年夏頃からは米軍特殊部隊がイラン国内に潜入して核施設や軍事施設を割り出し、ミサイル攻撃の標的を特定するなどの作業を行ってきた。
 また、2001年アフガニスタン侵略戦争以来、アフガニスタン、中央アジアのキルギス、イラク、ペルシャ湾岸諸国、アゼルバイジャンなど、イランを取りまく国々で、大規模な軍事作戦を展開するために米軍駐留を強化してきた。
 ブッシュ政権は、今年3月に米国務省のイラン担当官を2人から10人に増員しイランシフトを強めている。米誌『フォワード』は「ブッシュ政権はイランとの戦争は不可避であると考えている」「イランを攻撃するというのは口だけだという指摘もあるが、ワシントンの雰囲気は明らかに激変した」と報じている。
 米軍による核攻撃も含めたイラン空爆が強行されれば、少なくとも10万人の死者が出ると言われている。イランの国防費はアメリカの100分の1だ。ブッシュ政権が、イランの「脅威」なるものをあげつらうのはデマゴギッシュなレッテル貼り以外の何ものでもない。イラン空爆とは帝国主義的侵略戦争そのものであり、米帝による一方的なイラン人民虐殺だ。
 ブッシュ政権は、発足当初から核兵器の実戦使用を狙ってきた。”やむを得ず”核兵器を使うのではなく、ありとあらゆる口実をこじつけ、デッチあげてでも核兵器を使おうとしている。”アメリカは実際に核兵器を使うということを世界に誇示したほうが「悪の枢軸」を抑制できる”という無茶苦茶な論理で画歴史的な暴挙に踏み込もうとしているのだ。
 イランのアハマディネジャド大統領は、今年1月、欧米の反対を押し切って核開発施設の一つを再稼動した。4月には原子力発電用の燃料として使える約3%濃度の濃縮ウランを精製したと発表した。だが現実には、イランのウラン濃縮技術はきわめて初期的な段階にあり、IAEA(国際原子力機関)なども「イランは核兵器を持つまでに10年かかる」と分析している。核兵器用の濃縮ウランは90%前後の濃度を必要としており、”イランが間もなく核兵器を持つ”かのような宣伝は、イランを攻撃するために意識的に流されているデマだ。米帝は、イラク攻撃と同じように、ウソとデッチあげで戦争を発動しようとしているのだ。

 戦争の強行で危機打開狙う

  帝国主義の危機と矛盾が全面的に爆発する中で、ブッシュ政権は末期的様相を深めている。
 何よりも、イラク侵略戦争・軍事占領が泥沼に陥っている。さらに、昨年6月のイラン大統領選での対米強硬派アハマディネジャドの勝利、エジプトでのムスリム同胞団の大躍進、パレスチナ選挙でのハマスの圧勝、中南米における相次ぐ反米政権の誕生など、アメリカ帝国主義の世界支配は総破綻の危機にある。
 ブッシュの支持率は36%に落ち込み、ドル暴落と恐慌の危機が深まっている。6人もの米退役将軍からラムズフェルド国防長官の辞任要求が出され、ブッシュは14日、異例のラムズフェルド擁護声明を出している。そして何よりも、階級的労働運動の台頭がアメリカ帝国主義を根底から揺るがし始めている。
 しかし米帝ブッシュ政権は、危機が深まれば深まるほど、ブッシュ一般教書演説や06年QDR(4年ごとの戦力見直し)が示すように、いよいよ世界戦争政策に訴えるしかなくなっているのだ。
 米帝ブッシュ政権によるイラン核攻撃を絶対に許すな! 日米の反動枢軸粉砕、「米軍再編」―日米同盟強化粉砕、改憲阻止の闘いを強めよう!
 (内田 康)

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 【注】 B61ー11爆弾 通常弾頭のバンカーバスター(地中貫通爆弾)では破壊できない施設を破壊するための核弾頭付バンカーバスター。核爆発で発生した衝撃波で周囲数百メートルの地下施設を破壊する。爆発時に発生する火球は、周辺土壌を吹き飛ばして地上に現れ、広範囲の放射能汚染を引き起こす。爆発威力は極秘にされているがTNT火薬換算で最大500`トンという分析もある(ジェーンズ年鑑。広島に投下された原爆が15`トン)。

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週刊『前進』(2244号4面2)(2006/05/01)

 イラク情勢 泥沼化・長期化する侵略戦争

 正式政府発足の展望もなく第2の「衝撃と畏怖」作戦画策

 米帝のイラク侵略戦争はますます泥沼化・長期化している。4月17日に予定されていた国民議会は延期され、昨年12月15日の議会選挙以来4カ月を過ぎても正式政府発足の目途すら立たないままである。その一方で民族解放勢力やスンニ派とシーア派民兵組織との内戦は、2月22日のイラク北部サマッラでのシーア派聖廟アスカリヤ・モスクの黄金のドーム爆破事件を契機に全住民を巻き込んだ全面的内戦に発展し、米占領軍自身が何の手もつけられない状態になっている。こうした中で米帝は、イラク占領支配を貫くためにもイランに対して戦術核を使った空爆を狙っている。今こそイラク反戦・自衛隊撤退、米軍再編粉砕、改憲阻止へ闘いを強めよう。

 シーア派切り捨て策動と危機の激化

 今日のイラク情勢の特徴は、第一に、イラク正式政府発足の遅れが、米帝のイラク占領支配の泥沼を象徴しているということだ。
 ブッシュ政権はイラク占領支配が泥沼に陥っているという指摘に対して、イラクの政治過程が政権委譲から憲法起草、国民議会選挙と進んでいることを挙げて占領がうまくいっていると主張してきた。だがそれがうわべだけのものであることが正式政府設立の遅れという形で暴かれている。
 正式政府発足の遅れは、直接には米帝自身がシーア派に政権を完全掌握させないように策動していることによって起こっていることである。米帝はいよいよ正式政府発足という段階になって、イランとの関係が深いシーア派が政権を掌握するのは阻止しようとして、「挙国一致内閣でなければならない」という口実の下に国防大臣と内務大臣にはシーア派がなるべきではないと主張した。直接の権力機関である軍と警察はシーア派には渡さないという宣言である。さらにシーア派が統一の首相候補としてダワ党党首のジャファリ移行政府首相を指名したのに対し、ジャファリの首相候補に反対し候補者を取り替えることを要求した。その直接の理由としてはモクタダ・サドル師が彼を支持して候補になったということを挙げているが、実際はそれだけではなくシーア派の政治的影響力を奪おうということに狙いがある。
 米帝は、シーア派を追い落とすことを決断した段階で、それによってスンニ派を抱き込み、あわよくばイラク人民の武装解放闘争が弱まるのではないかと期待した。だがそれはまったくの幻想に過ぎなかった。一部のスンニ派政治家を米帝の側に取り込むことはできたが、武装闘争が弱まることなどまったくなかった。
 そもそも民族解放戦争を最先頭で戦っているのは宗教的なスンニ派勢力ではなく、帝国主義侵略の現実に接して占領軍の撃退のために決起したイラク・ムスリム人民である。彼らはゲリラ戦争に決起する中で政治的・軍事的な連携をはかり、その中で指揮系統を建設している。またその中で民族主義的傾向を強めており、一部の宗教指導者や部族の有力者が米帝占領への協力に転向したとしても決して戦いをやめるわけではなく、ますます戦意を高めている。シーア派対スンニ派という対立構図の描き方は一面でしかない。イラク・ムスリム人民の戦いは民族解放・革命戦争として発展していこうとしているのである。
(写真 イラク中部クートでガソリン価格高騰に抗議するイラク人民【3月5日】)

 米帝占領政策大破綻の結果

 米帝は、これまでシーア派がイランと結びついていることを知りながら、占領に協力する形を取ってきたことでシーア派を大いに利用してきた。ところが今回、米帝はシーア派を切り捨て、抑圧する態度に出たことによって、占領支配のための先兵となる勢力を基本的になくしたのである。完全に手詰まりの危機の中で米帝は、イランに対する侵略戦争へと拡大することで一挙的に事態を打開しようと狙っている。(別掲参照)
 もともと米帝にとって、ブッシュが03年一般教書演説でイラクと並んでイラン、北朝鮮を「悪の枢軸」として挙げたときからイラン侵略戦争は既定の方針としてあった。しかし、たやすいことだと考えていたイラク侵略戦争が完全な泥沼に突入し、地上部隊を全面的に投入したイラン侵略戦争もすぐには難しいという中で、それでも米帝は戦術核兵器をも使った大空爆でイランを屈服させ、その力でシーア派を屈服させる以外にない状況なのだ。すでに具体的に数百カ所を超える目標の確定までが行われたと言われている。
 この一方で、米帝はイラク情勢の打開をはかるために第2のイラク戦争「衝撃と畏怖」を強行しようとしている。大量の航空機と地上軍を投入してバグダッドを攻撃するというのだ。武装勢力がどこにいるかわからない中で実際に行われることはバグダッドの各家々を回り、無差別虐殺と無差別逮捕を行うということなのだ。
 この背景には、イラクが全面的な内戦に突入し、米軍がまったく対応できない中で、従来の延長では何もできない現実がある。

 全面的な内戦化で米軍の限界が露呈

 第二に、2月22日のサマッラのアスカリヤ・モスクの爆破とそれに対するシーア派武装組織のスンニ派モスクへの報復攻撃以来、イラクはそれまでとは次元を画する内戦に突入したということだ。
 武装解放勢力のイラク軍、警察への攻撃に対して、シーア派は夜間に住民を襲撃し、拷問した上で銃殺して路上に捨てるという事態がくり返されている。バグダッドの遺体保管所には1日平均85人ぐらいの遺体が運び込まれると言われている。両派が混在した地域では少数派の住民が脅威を感じて逃げ出している。親戚や友人を頼れる人はそこに身を寄せているが、キャンプ生活を強いられている家族も多く、国内難民は全体で6万5千人になっている。
 米軍はアスカリヤ・モスク爆破で全面的な内戦に突入した際、この内戦を制圧しようと試みたが、たちまち7人の米兵が死亡するという中で基地の中に逃げ込んだ。この事態は、米軍の力、とりわけ地上軍の力の限界をまざまざと突き付けた。その後1カ月にわたってパトロールを縮小してきたが、再び街を掌握しようとパトロールを強化した途端に死亡数が跳ね上がる結果になっている。
 もともとイラクの内戦は、米軍が占領支配を進めるためにシーア派とスンニ派、クルド人の分断を図り、対立をあおることによって激化してきた。シーア派の方も米帝の占領支配に協力することで権力を握ろうと狙った。そのためにシーア派のイラク・イスラム革命最高評議会(SCIRI)は、彼らの軍事組織バドル旅団の要員をイラク軍、警察に送り込んできた。
 イラク解放勢力は、この米軍占領に協力するシーア派に対して警察官募集の列を襲撃するなど戦いを強めてきた。これに対しシーア派は、イラク警察の中に「死の部隊」と呼ばれる秘密組織を作り、スンニ派住民を捕らえては秘密の拘留施設で拷問し、暗殺して遺体を捨てるということをくり返してきた。
 米帝はこれを意識的に見て見ぬ振りをして内戦をあおってきた。しかし、いよいよ正式政府の発足という段階になって米帝がシーア派には全面的に権力を握らせないという態度を鮮明にさせたことを契機にシーア派も焦りに駆られ、全面的な内戦へと突入したのだ。
 街頭をイラク人武装勢力に明け渡しておいて米帝の占領支配が貫けるわけがない。米軍にとって全力で事態の打開をはからない限り、どうにもならない事態に直面したのである。しかも、米帝にとって内戦鎮圧のためにはイラク軍もイラク警察も使えない。どちらもシーア派の私兵が大半を占めているからだ。米帝は今やイラク占領を貫くためにも、国内支配の危機を乗り切るためにも、戦争の激化・拡大以外にない状況に追い込まれているのだ。

 永久植民地へ巨大基地建設

 米帝はイラクをあくまでも植民地支配しようとしている。そのために全土に巨大な米軍基地をいくつもつくり、バグダッドの米大使館も現在の旧共和国宮殿だけでなく、広大な敷地に増設しようとしている。
 バグダッド北方のバラドにある米軍基地キャンプ・アナコンダは38平方`の広さを持ち、2万人の兵士が駐留し、航空機250機が配備されている。基地内にはプールやジム、ミニゴルフコース、映画館も設置されている。契約業者の社員も数千人が、KBRランドと呼ばれる区画に住んでいる。病院では1月あたり400回の負傷兵の手術が行われている。
 このほか、バグダッド空港の近くにはキャンプ・ビクトリーとキャンプ・リバティがあり、南部ナシリヤ近郊のタリル、北部クルド地区、アンバル州アサドにも基地を建設している。
 バグダッドのグリーンゾーンにある米大使館は、5億9200万jを投入して増設中であり、21のビル、プール、ジム、6つのアパートには全部で619室がある。水道、電気、下水はバグダッド市内とは別につくられ、全体は高さ4・5bの巨大な壁で囲まれる。
 米軍関係者が撤退がいつになるかなどと論議しているが、実際には米軍は撤退する気などまったくなく、イラクを永久に植民地支配しようとしているのである。イランへの侵略戦争もこれらの基地を出撃拠点にして強行されるのである。
(写真 増設が進む米大使館。米帝はイラクを永久植民地化しようとしている)

 侵略協力の勢力に高まる人民の怒り

 第三に、米軍の占領が3年をこえ、イラク人民の怒りはいよいよ高まっており、情勢は重大な転換点を迎えようとしていることだ。
 イラク政府は今年に入って予算不足を理由に基本的な食料の配給を削減することを決定した。イラクは数十年にわたって基本的な食料を政府が配給してきた。2800万人の人口の内、96%の人びとがこの配給を受けて暮らしてきた。今回の決定は、塩、石鹸、豆の配給を中止するというもので、米、砂糖、小麦粉、食油の配給は継続されるとしている。だが、70%とも言われる失業率の中で政府が言うように市場で買えるなどというわけにはいかないのだ。
 こうした中、イラク全土で人民の怒りが高まっている。3月16日、クルド人地域のハラブジャで仕事を要求して平和的にデモ行進を始めたクルド人の若者たちが警察によって銃撃された。怒ったデモ隊が石を投げ、警官の銃撃で17歳の少年が虐殺された。警察はクルド愛国同盟の軍事組織ペシュメルガのメンバーである。これは単なる偶然ではなく、3月8日に学生が3カ月滞っている奨学金の支払いを求めてデモを行った際にも警察による暴力的弾圧を受けている。
 またクルド地域の独立新聞の記者がクルド自治区政府に批判的な記事を書いたということで警察に拘束され、暴行を受けて翌日になってようやく釈放されるという事件も相次いで起こっている。
 最も安定していると言われていたクルド人地域でさえこのように人民の怒りが高まっており、イラク人民の怒りの決起はさらに広範に拡大しようとしているのだ。
 その一方で、米帝ブッシュ政権は国内的にも完全に追いつめられている。ブッシュの支持率は30%台に落ち、ついにイラク戦争に関わった者を含めて6人もの米退役将軍がラムズフェルド国防長官の退任を要求するまでに至っている。CIA工作員の秘密暴露もブッシュが指示していたことが特別警察官の調書で明らかになっており、その他にもブッシュのウソが次々と暴き出されている。
 一方で、米帝が侵略戦争と占領の正当化のために「外国人テロ組織」の活動を誇張していたことが暴かれている。米軍の情報部が記事を書き、それをイラクの新聞に金を払って記事として掲載させ、その中身をアメリカのマスコミが国内に伝え、世界に伝えていたのだ。米帝は、イラク人民の民族解放戦争の正義性をねじ曲げようとしていたのだ。
 焦りに駆られたブッシュ政権は、これらの危機を突破するためにイラン核空爆によって新たな戦争を開始しようとしているのだ。
 米帝ブッシュによる人民大虐殺の侵略戦争の際限のない拡大を絶対に許してはならない。今こそ闘うイラク人民、中東・ムスリム人民と連帯して決起しよう。労働者人民の広範な決起で自衛隊をイラクから撤退させよう。侵略と戦争によってしか生きられない帝国主義を打倒しよう。米帝のイラン核空爆を絶対許すな。
 国民投票法案、教育基本法改悪を絶対阻止し、5〜6月改憲阻止闘争に総決起しよう。
 (秋原義明)

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週刊『前進』(2244号4面3)(2006/05/01)

日誌'06 4月12日〜16日

 「愛国心」表記で自公が合意

 日米審議官協議は結論出ず

●教基法改悪で自公が合意 自民、公明両党の教育基本法改悪に関する与党検討会は、「愛国心」の表現について「伝統と文化を尊重し、それらをはぐくんできた我が国と郷土を愛する……態度」とすることで合意した。翌13日、与党協議会でこの合意を了承、前文と18条からなる与党案を正式決定した。(12日)
●核燃工場で水漏れ 日本原燃は、試運転(アクティブ試験)中の青森県六ケ所村の使用済み核燃料再処理工場内にある前処理建屋の小部屋内で、プルトニウムなどの放射性物質を含む水約40gが漏れたと発表した。(12日)
●稲嶺知事、合意案前提に条件 米軍普天間飛行場の沖縄県名護市辺野古崎への移設問題で、同県の稲嶺知事は、政府と同市が修正に合意した移設案が米軍再編の最終報告に盛り込まれた場合は「15年使用期限」などに代わる新たな条件を政府に求める方針を明らかにした。(13日)
●教員の挙手、採決禁止 東京都教育庁は、職員会議で教職員による「挙手」や「採決」を行ってはならないとする通知を都立高校など263校の都立学校長に出した。その上で校長、副校長(教頭)、主幹教諭らによる「企画調整会議」を学校経営の中枢として方向付けの場とするよう促している。(13日)
●「独島周辺調査中止を」 韓国外交通商省は、大島駐韓大使を呼び、日本の海上保安庁が独島(竹島)周辺で実施する予定の海洋調査について「韓国の排他的経済水域(EEZ)への無断侵入」として取りやめを求め、「強行すればあらゆる手段を使って阻止する」と伝えた。大島大使は「日本のEEZ内で実施される調査で、国際法上、正当な権利」と反発した。海上保安庁によると、調査は水深のデータを更新して新たな海図を作るのが目的。(14日)
●グアム移転費合意できず 在日米軍再編をめぐり、都内で開かれていた日米両政府の外務、防衛当局による審議官級協議が2日間の日程を終了、焦点の在沖縄米海兵隊のグアム移転経費負担問題は結論を持ち越した。また日米両政府は、米軍普天間飛行場(沖縄県)の空中給油機を岩国基地(山口県)に移転させることで合意した。岩国基地には横須賀基地(神奈川県)の空母艦載機部隊も移転する予定で、騒音などの地元負担を抑えるため空中給油機の訓練は海上自衛隊鹿屋基地(鹿児島県)に分散させて実施する。(14日)
●夜間離着陸訓練、新たな訓練施設 日米両政府は、米海軍厚木基地(神奈川県)の空母艦載機が東京・硫黄島で暫定的に実施している夜間離着陸訓練(NLP)について、09年度をめどに新たな恒常的訓練施設を決定することで合意した。米側は海兵隊岩国基地(山口県)に近い九州や瀬戸内海などでの訓練実施を求めている。(16日)
●イラク議会再開を延期 イラク国民議会のパチャチ臨時議長は、17日から再開される予定だった国民議会を「数日間延期する」と発表。首相ポストなどを巡る各派の交渉が折り合わなかったため。(16日)
●横須賀市長、原子力空母「容認」 米海軍横須賀基地に08年に原子力空母ジョージ・ワシントンの配備が計画されている問題で、米政府が原子力軍艦の安全性を説明する文書を提出したことを受け、蒲谷市長は「資料が信頼の置けるものであれば、反対する理由を思いつかない」と述べ、原子力空母の受け入れを容認する考えを明らかにした。同市は、原子力空母の配備に反対し、キティホークの退役後も通常型空母を維持するよう日米両政府に求めてきた。(17日) 

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週刊『前進』(2244号5面1)(2006/05/01)

 改憲反対運動の圧殺狙う 国民投票法案の国会提出阻止を

 与党案の「修正」はペテンだ 4大産別先頭に粉砕しよう

  北林 章悟

 改憲に向けた国民投票法案の提出が切迫している。政府与党はこれを「単なる手続法」だ、公職選挙法を準用したにすぎない、などと強弁し、野党もこれにあらかじめ屈服している。だがこの国民投票法は、一切の改憲阻止闘争を禁圧する治安法であり、もはや改憲そのものにも等しい暴挙である。4月18日、与党案の一部修正が伝えられたがその本質はまったく変わっていない。「手続き法」というペテンを暴き、粉砕しつくそう。

 労働者が立ち上がれば改憲は阻める

 改憲阻止闘争は労働者階級人民の実力によって改憲と戦争を阻止する闘いである。「1票」に切り縮めることは許されない。
 日本帝国主義の改憲攻撃は、「戦後体制」というひとつの世界体制の崩壊を突きつけている。日本の戦争放棄は戦後世界体制の重要な構成要素であった。改憲によるその転換は、世界、とりわけアジアを再び戦禍に導くものであり、まさにそうするための改憲なのである。
 現憲法においては「侵すことのできない永久の権利」とされている基本的人権は、改憲案においては常に「公益及び公の秩序に反しないよう」という制限のもとに置かれている。
 国際的な枠組みにおいても、労働者人民の生命と権利に関しても、30年代におけるナチスの登場にも似た反革命クーデターが企まれているのである。
 憲法とは、ひとつの革命あるいは反革命の結果として、公然であれ隠されたものであれ、諸階級の命がけの衝突を通して成立した国家体制の法的表現である。したがってその転覆である全面改憲は、必然的に革命と反革命の対立を内包し、諸階級の激突を不可避とする。
 だからこそ、「上から」進められる、内容においても戦争と警察国家化を意味する現在の改憲攻撃は、その過程自身が国家権力によるきわめて暴力的なものとならざるをえない。
 そのことを端的に突き出したものが、3月14日の法政大学における弾圧であった。大学という空間において、「改憲反対」を訴える立て看板が禁止され、思想の自由、表現の自由の禁圧が一方的に宣言され、それに抗議する学生29人が逮捕された。ここではすでに改憲による基本的人権の圧殺が既成事実化されており、反対の意思表示を行えば逮捕される。
 労働者階級の側は、今こそ戦後革命を引き継ぎ、戦後のすべての大闘争の成果をかけた決戦に立たなければならない。国家権力の暴圧を実力で打ち破り、巨大なストライキ、大デモンストレーションの波を実現しなければならない。街頭における改憲推進・反対両派の激突は不可避であり、そうした沸き立つような社会情勢への主体的参加をとおしてはじめて、人民諸階層の意思も形成されるのである。
 改憲攻撃はまた、石原ファシスト都政による「日の丸・君が代」強制として、奥田―日本経団連による労働基本権の破壊として、具体的な姿をとって労働者階級人民に襲いかかっている。社会保障を解体して人民の生きる権利を奪っている。これらに対する職場の闘い、地域の闘いもまた実力闘争であり、改憲阻止闘争の具体的な一環なのである。
 これらのすべてを意識的に結びつけ、包含した巨大な政治闘争として、改憲阻止闘争は闘われる。
 国家権力が死ぬほど恐れているのが、このような、改憲阻止闘争の実力闘争としての爆発なのだ。それは反革命の決断が革命を引き出したことになる。だからこそ日帝は、国家権力の暴力を事前に発動して、闘争を未然に防止することに全力をあげているのである。
 そのために彼らは、改憲をめぐる一切を、国民投票の「1票」に封じ込めようとするのであり、その法的な表現が「国民投票法」なのである。
 もし万一、労働者階級の闘いが封殺された状況下であると仮定すれば、一方における暴力的抑圧と、他方における巨大メディアや、全官僚機構を総動員したデマゴギーとによって、国民投票は「ファシズムの特有の武器」とされてしまうことだろう。
 この時にあたって日本共産党は国民投票法を驚くほど軽視し、これを阻止するために全力で立ち上がろうとはしていない。逆に改憲阻止の大統一戦線形成への敵対と破壊に全力をあげている。彼らは、国民投票で勝てる多数派をめざすと主張している。だが、日帝ブルジョアジーがその総力をあげて暴力的に反対運動を押しつぶす攻撃を始めているというのに、そこから目をそらすことは、労働者人民を敗北に導こうとするもの以外の何ものでもない。

 「単なる手続き法」などでは全くない

 国民投票法案は何を規制しようとしているのか。
 まず、改憲の是非を問う国民投票と、複数の候補者の中から当選者を決める選挙とは本質的に違う。選挙では候補者を中心に選対が組織され、これらが選挙の主体として形式的には「平等」の資格で運動を行う。公職選挙法自体が憲法違反の治安法であることは後で検討するが、しかしこの規制は、選挙においては全陣営に適用される建前となっている。しかし、国民投票では実質的には政府が運動主体として登場し、一方的な改憲宣伝の洪水をつくり出す。その上でさらに、公選法を準用すると称して改憲反対運動に対してのみ、がんじがらめの規制を加えるのである。しかも公選法にはない規制さえある。「手続き法にすぎない」という言い方自体がとんでもない虚偽なのである。
 何より国家と地方の公務員、独立行政法人の職員、教育関係者が国民投票運動を禁止される。数百万の労働者が、自らの運命を決定的に左右する問題にかかわることさえ許されない。それどころか、国民投票の周知と称して改憲案の宣伝を職務として強制される。「日の丸・君が代」強制よりもはるかに深刻な質と規模で労働者の権利が奪われ人格が踏みにじられる。
 さらに外国人の運動が禁止される。そしてこの項目は公選法にもない。在日の人びとに対して、排外主義の改憲、アジア侵略の改憲への抗議すら認めない。「外国人に口出しさせるな」という排外主義を改憲運動自体の中でさらにあおるために、意図的に持ち込まれたのである。
 もうひとつ、公選法とは似ても似つかない項目が、その準用と称して潜り込んでいる。それがメディア規制である。
 公選法では、新聞、雑誌および放送での報道、評論を原則自由とした上で、例外として虚偽報道を禁じ、特定候補者のための選挙運動を規制している。政治主張は規制されていないのだ。しかし国民投票法案ではこの原則自由の規定がなく、最初から禁止が規定される。公選法が想定している虚偽報道は特定の候補者に対する中傷等であるが、国民投票法では改憲案に対する批判が虚偽とされる。公選法では特定の候補者のための運動が禁止されるが、国民投票法では、「国民投票の結果に影響を及ぼす」報道、評論が禁止される。そして「影響」の有無は国家権力が判断するのである。
 この点では、衆院憲法調査特別委員会のヨーロッパ視察に際して、あまりに非民主的であるとして諸外国からの批判が集中し、「自主規制」への転換という形で与党案の一部修正が行われた。だが、報道規制に踏み込んだ狙いそのものは貫かれようとしており、巻き返しもある。
 近年の選挙では、昨年9月総選挙に典型的に見られるようにメディアの報道が大きな影響を与えてきた。今回のこの狙いは、批判を徹底的に封じた上で、マスコミのすべてを強制して改憲のための宣伝戦に誘導・動員しようとするところにある。
 その上で決定的には、「国民投票の自由妨害」と称してすべての実力闘争が禁止されている。ストライキもデモも「威迫」とされる。労働組合の決議も同様である。ファシストが工場や大学に侵入してきても抗議すると逮捕される。街頭で両派がぶつかったら多衆集合罪だ。警察の一方的な解散命令に従わないと反対派の全員が逮捕される。実力闘争の扇動も罰せられる。これにはわざわざ「演説、放送、新聞紙、雑誌、ビラ、ポスターその他いかなる方法をもってするを問わず」と書いてある。国民投票法には、そして実は公選法にも破防法型の弾圧が完全に組み込まれているのである。

 治安法規としての公職選挙法の本質

 日本の公職選挙法は、諸外国と比べても例のない権威的、抑圧的なものだ。とりわけ公務員の選挙運動禁止、戸別訪問禁止、文書の極端な制限は、人民の選挙への主体的参加を制限するものとして批判されてきたし、1979年の最高裁反動判決が出るまでは、表現の自由を制限する憲法違反であるとの各種の地裁判決が相次いでいた。選挙の基礎にある公選法が、およそブルジョア民主主義の要件さえ満たしていない。
 この選挙抑圧体制は1925年普通選挙法を出発点としている。ブルジョア革命を経ないまま近代化を進めた日本では、自由民権運動の激しい闘争を弾圧しながら「上から」代議制度の拡大を進めたが、そのため、選挙は人民の主体的政治参加ではなく、厳粛な国家行事への参加とされた。「神聖な投票」というわけである。
 「一方での普選法、他方での治安維持法」と言われてきたが、実は普選法自体が治安法としての内容を持っていたのである。
 後にはあらゆる集落に選挙粛正運動が組織されたが、それがそのまま体制翼賛選挙体制に横滑りさせられた。
 戦後においても、敗戦直後の1946年総選挙をただ一度の例外として、選挙抑圧体制はむしろ戦前よりも強化される歴史となった。政府は一貫して労働者階級の議会進出を制限しようとして改悪を繰り返し、とりわけ、革新自治体の登場に打撃を受けた後の1975年の改悪では、「金のかからない選挙」「選挙公営化」を口実に、文書規制を一挙に強めたのである。
 さらに小選挙区制導入によって、制度として少数政党、新しい政治勢力の登場に門を閉ざしただけでなく、運動規制においても「政党要件」を導入して、少数派を徹底的に抑圧する体制をとって現在に至っている。
 国民投票法のみならず、公選法自身がすでに「単なる手続法」とは到底認めることのできない治安法規なのである。

 統一戦線つくり政治闘争爆発へ

  改憲阻止闘争はすでに始まっている。日帝ブルジョアジーは連合の国民投票法案への屈服を水路に、連合を改憲勢力に抱き込み、労働運動を無力化しようとしている。
 しかし、昨年の闘いをとおしてこの企みを打ち破ってきた日本労働者階級の怒りがさらに爆発することは不可避であり、改憲阻止闘争をもって連合支配を転覆する展望を切り開いている。
 改憲阻止によって労働者の民主主義的権利を守ることは、ブルジョアジーに対して闘う権利を守ることであり、生きる権利を守ることである。
 労働者階級の階級的決起を中心に、職場、地域、学園、あらゆるところに縦横に統一戦線をつくりあげ、巨大な政治闘争へと押し上げていこう。
 帝国主義と闘う世界の人民と連帯し、日本における改憲阻止闘争の爆発をかちとろう。

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国民投票法案の内容

〈2004年作成の与党骨子案〉
@公務員労働者や教育労働者の改憲反対の運動を全面的に禁止
A改憲への批判的言動をすべて弾圧。報道・言論・表現の自由を圧殺
B在日外国人に投票権、一切の運動参加・運動支援の権利を認めず、資金カンパも禁止
C賛成票が有効投票総数の半数を超えれば「国民の承認」と見なす。投票が成立するための最低投票数の規定もなく、投票率がどんなに低くても有効
〈06年4月18日に自公が了承した骨子案の修正点〉
@原案のメディア規制は削除し、「自主規制」に関する規定を盛り込む
A投票期日の周知期間は「発議日から30―90日」を「60―180日」に延長

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週刊『前進』(2244号5面2)(2006/05/01)

 “不当逮捕で処分は暴挙”

 元日弁連会長を先頭に17人 弁護士が法大に意見書

 4月17日、元日弁連会長の土屋公献氏を始めとする17人の弁護士が連名で法政大学文学部教授会に対し、意見書を提出した。意見書は、全学連の29人が法政大学構内で逮捕された3・14弾圧とそれを口実とした法大生への不当処分策動を厳しく弾劾している。
 処分の対象となっている法大文学部生の代理人としてこの意見書に名を連ねた弁護士は、以下の人びとである。
 土屋公献、佐藤昭夫、葉山岳夫、内田雅敏、清井礼司、大口昭彦、青木秀樹、藤田正人、萱野一樹、河村健夫、小島好己、山本志都、吉野千津子、龍博、田部知江子、浅野史生、一瀬敬一郎(敬称略)。
 意見書は3・14大弾圧について事実経過を詳しく跡づけて検討し、逮捕が違法であることを結論づけ、法大当局の責任を鋭く追及している。
 「逮捕は、事実関係を捏造(ねつぞう)して計画的に強行された違法な逮捕であり、現行犯逮捕した警察官らの行為については、当然国家賠償法上の賠償義務があると考えております」「法政大学は、逮捕された学生等に対して謝罪と然るべき損害賠償義務を負っていると考えています」
 そして逮捕を口実とした学生への「事情聴取」と「退学」などの処分の策動ついて、その不当性を明らかにしている。
 「所属学生に対して『学則に基づく処分』を行おうとしているようですが、これは驚くべき暴挙というべきです」「本件のような公安事件において10日の勾留で釈放されたことは、まさに逮捕に理由がなかったことの結果だと考えてよいと思いますし、『不起訴の処分』は、刑事事件の無罪判決以上の重い意味を持っていると言っても過言ではありません」「釈放された学生に対して事情聴取を行うこと自体が、全く不当なものであったと言わざるを得ません」
 さらに、全学連を「学外団体」と決めつける当局に対し、「全学連は、全国の様々な大学の学生が集まって構成されており、法政大学の学生も参加している」「『学外団体』というひと言で、実際には法政大学の学生の自主的な活動を取り締まろうとしているのであり、まさに言論統制と言わざるを得ない」と指摘。
 また学生の立て看板やビラでの憲法改悪阻止、国民投票法案制定反対の訴えを大学が圧殺したことを特に強調し、「このような法政大学の態度は、学生らの『表現の自由』を根底から侵害するもので許されない。また、学生を公安警察に売り渡すことによって大学自治を自ら放棄するものであり、この点でも到底許されるものではない」「そもそも真理探究の場である大学に公安警察が立ち入ることは、憲法上許されない」と批判している。
 その上で逮捕への加担を「大学人失格」と厳しく断罪し、「法政大学当局が自己の誤りを認めて、直ちに学生らに謝罪し学内処分をしないように要求するものである」と結んでいる。
 この弁護士「声明」は決定的だ。法大当局が大学自治さえ投げ捨てて公安警察を学内に引き入れ、学生を売り渡したことに1ミリの正当性もないことが、逃れようのない形で突きつけらられたのだ。
 4月19日の文学部教授会での退学処分決定は、反対意見続出で阻止された。さらに完全粉砕へ闘おう。

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週刊『前進』(2244号5面3)(2006/05/01)

 六ヶ所再処理とめよう

 アクティブ試験強行弾劾 「反核燃の日」行動広がる

 3月31日に日本原燃が青森県六ケ所村再処理工場でアクティブ試験入りを強行し、使用済み核燃料のせん断・溶解が開始された。高さ150bの排気筒からクリプトン85が大気中へ放出されはじめた中で、4月9日青森市内の「反核燃の日」集会に「再処理稼働・放射能汚染を絶対に許さない!」と地元青森・東北をはじめ全国の闘う労働者・住民・学生が結集、全国労組交流センターや首都圏の反核団体の労働者もともに闘い抜いた。
 1985年4月9日、この日、青森県議会で北村県知事が機動隊を導入して六ケ所村への核燃サイクル施設の受け入れを決定した。青森ではこの日を「反核燃の日」として毎年闘いが取り組まれている。今年は21年目の4・9だ。
 午前10時半から永くら会館で開催された市民集会では、試験入りを阻止できなかった悔しさをばねに一刻も早く再処理工場を止めてやるという決意と熱気みなぎる発言が相次いだ。
 冒頭、三沢市議で核燃サイクル阻止1万人訴訟原告団事務局長の山田清彦氏が「県民は多くの不安をもっている。再処理は核のゴミを生み出すだけ。風評被害など深刻な問題がある。日本原燃はホームページで放射能放出量の掲載を始めたが、第3者の測定でないので信用できない。皆さんの力を集めて再処理を止めていきたい」と開会あいさつを行った。
 続いて青森からの報告として、核燃料廃棄物搬入阻止実行委員会の平野良一共同代表が登壇。「アクティブ試験を止められなかった。非常に残念だ。しかし、私たちは8年間遅らせてきた。この間県内では反対運動の一本化にも取り組んで、73団体による共同アピールも実現した。今日を契機として止めるために、互いに力を合わせていこう」と、今後の共闘を呼びかけた。
 さらに岩手からかけつけた「豊かな三陸の海を守る会」の田村剛一会長(山田町議)が発言に立った。「田中内閣の日本列島改造計画で青森県のむつ小川原とともに三陸海岸も開発の対象とされ、宮古が石油コンビナート、田老が原子力発電所、山田が原子力船むつの母港、種市が火力発電所の候補地にあげられた。三陸はワカメやアワビなどの沿岸漁業が盛んな地域。漁業共同組合が中心となって立ち上がり、これらの計画を阻止した歴史を知ってほしい。六ケ所で再処理が始まれば、三陸の海に放射能が流れてくる。試験中止を求めて沿岸10市町村議会が請願書を採択した。日本原燃の説明会は、私たちが要求したものとはほど遠い。安全で安心な三陸物を提供し、子々孫々まで海を守ると訴え続ける」。この連帯感あふれる闘いの報告に参加者は聞き入った。
 函館の代表は「函館から大間まで18`メートル、六ケ所まで100`メートル。六ケ所村から海へ流したはがきが、北海道にも着いた。大間原発と六ケ所再処理工場をどちらも止めたい」と決意を表明した。
 最後に集会アピールが読み上げられ、新たな気持ちで再処理・核燃を止めるためにあらゆる行動に取り組むことを誓い合った。
 集会参加者は午後1時半から青い海公園で行われた「止めよう再処理!全国実行委員会」と青森県反核実行委員会主催の4・9反核燃の日全国集会に合流した。

 2000人が全国から結集 

 地元青森県を先頭に2000人の労働者・学生が全国から参加。会場は自治労などの官公労系組合や民間組合の旗が林立し、労働者・住民の生活と生命、未来を根底から破壊する再処理―放射能汚染開始への怒りと抗議の声があふれた。
 「3月31日の試験開始の暴挙を断固として糾弾する」と主催者があいさつ。次に阻止実の平野共同代表が「試験は核燃料3体を切断しただけ。1日も早く止める必要がある。今まで以上にともに闘っていこう」と檄を発した。また青森県反核実行委員会が「再処理アクティブ試験と自衛隊車力分屯基地への米軍Xバンドレーダー配備をやめさせる運動をともに闘っていきたい」と訴えた。
(写真 労働者・学生が大結集し試験開始を弾劾【4月9日 青森】)

 社民党の福島瑞穂党首のあいさつの後、海外ゲストとして韓国環境運動連合のイサンフン政策室長が、「六ケ所村の問題は、世界の平和を脅かす問題。韓国の人たちは、日本が本格的に核武装するのではないかと心配している。私たちは日本大使館に対し反対の声をあげました。新しい友好の歴史を築いていきましょう」と力を込めて発言、大きな拍手を浴びた。
 また国内ゲストとして佐賀県平和運動センターの伊藤昇事務局長が、「古川佐賀県知事が玄海原発へのプルサーマル計画導入を事前了解したことを弾劾する。最初のプルサーマルの実験場になりかねない。県民投票の動きも出ている。撤回に向けてがんばっていきたい」と、再処理反対と一体でプルサーマル反対の闘いを続けていくと宣言した。さらに、志賀原発(石川県)2号機運転差し止めの地裁判決をかちとった原告団の田名賀哲也事務局長から報告があった。
 集会アピールの朗読と団結三唱のあと、市内デモに出発。終着点では県庁をデモ隊列が包囲し、三村青森県知事に抗議のシュプレヒコールをたたきつけた。
 直後の11日には、早くも再処理工場の前処理建屋でプルトニウムを含む水の流出事故が起きている。
 青森では、六ケ所村にMOX燃料加工工場や国際熱核融合実験炉関連研究施設などが、大間町には世界初の全炉心MOX燃料使用原発が、むつ市には核燃料中間貯蔵施設が建設されようとしている〔MOX=使用済み燃料から取り出したプルトニウムを使ったウラン・プルトニウム混合酸化物〕。
 一切の犠牲を労働者階級人民に転嫁して生き延びようとする帝国主義に、全世界で怒りの爆発が始まった。アジア人民、地元青森県の労働者住民と固く連帯し、改憲・米軍再編との闘いと一体で、アクティブ試験即時中止・核燃サイクル解体、日帝の核武装阻止の闘いをさらに強めよう。
 (綱川 憲司)

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週刊『前進』(2244号6面1)(2006/05/01)

団結ひろば 投稿コーナー

 「つくる会」教科書と闘う杉並で講演集会 東京 宮川幸男

 4月14日、杉並区のセシオン杉並で姜尚中(カンサンジュン)氏の講演会が開かれた。主催は杉並教職員組合などによる実行委員会。この企画は「平和と教育」をテーマとした歴史連続講座の第3回として開かれたものだ。
 650人の大結集は、姜尚中氏の人気によるものだけではないだろう。何よりもこの4月から「つくる会」教科書による授業が23校の中学校で始まった杉並の地である。「つくる会」教科書の使用に反対し、不当な処分−異動攻撃と闘う杉教組、教育労働者を杉並区内外の労働者が熱く支持し、連帯していることの表れであると思う。
 講演の演題は「満州国の亡霊――日本のアジア侵略と戦後日本政治」。姜氏は在日として日本社会の中で生き感じてきたさまざまな矛盾やあつれき、煩悶(はんもん)などを生々しく語った。そうした体験談とからめながら、かつて日本がアジアを侵略しデッチ上げた「満州国」に政治的人脈のルーツをたどることができる人格がふたたび日本の政治の中枢に、また日韓関係や対北朝鮮政策の中心に現れてきたことに危機感を表明した。そして改憲と戦争の流れをくい止めるために「地域で生きるわれわれは越境し連帯を横に広げよう」と提案して講演を締めくくった。
 この集会では冒頭、杉並の教育労働者と保護者が何人も発言に立ち、教科書の調査報告書改ざんを告発した教育労働者への処分の脅しと異動の攻撃に対する闘い、「つくる会」教科書撤回の闘いなどの報告が行われた。これらの闘いは「日の丸・君が代」強制反対の闘いと一体のものだ。
 集会の最後に「教育基本法の改悪を阻止しましょう」と題した緊急決議が読み上げられ、参加者全員の熱い拍手で採択された。
 労働者階級の団結した底力でこそ、今の教基法改悪、憲法改悪の流れを止めなければならないと強く感じた。

 学生とは何か−学生は「改憲反対が常識」! 関東 ノンセクト学生 馬場辰猪

 大学生はどういう立場に置かれているのだろうか?
 @「受験戦争」という競争原理を無条件に受け入れさせ、管理教育から体制べったりで無批判の学徒にさせる。階級や抗議を知らないまま、「不況」と聞けば上の管理を自ら受け入れ、隷従の労働者へと運命を選んでいく。
 A学習内容は、技術的な勉学や、抽象的な観念的な思考が徹底される。商品化された価値や理想像に埋もれ悩み苦しむ。一方で、大学という場を社会から隔離させることで、政治情勢や労働者・農民や闘争の実態がほとんど教えられない。
 Bよって、現状を整備された抽象的な非現実像としてでしか表現できない学徒をつくる。具体的で、社会的で、歴史的な思考や見地をまったくしなくなり、具体的な現状分析や行動的解決力のない学生をつくる。
 C一方で、大学生にバイトを押し付け、低賃金労働として搾取させる。高額な学費、家賃、教科書代強要、生協の独占、奨学金削減などのむさぼりようだ。
 Dそこそこ優秀な学生は、管理べったりの御用教授使用人や研究発明家候補として機能する。学問が資本家の利益にされるか、学問大半が現実とかみ合わない非科学的な内容として発展してくる。
 結局、大学・教育という体制は、無批判で奴隷根性しか持てない労働者・研究者をつくる場として機能している。資本主義では腐りきった大学体制にしかならない。
 今、改憲攻撃が激しくなる情勢ですら、大学は学生に政治・社会・戦時下の激変を見せない。学生に現状を見せなく考えさせなく行動させない大学などいらない。大学・学生は改憲阻止ゼネストをせよ。
 他方、3・14弾圧救援と新歓の活動で新境地をつかみました。具体的な問題設定の提示と、民主主義論の扇動で、人々は行動し反応してくれたのです。「小泉自民党は改憲を民主主義をつぶしてまでする」「表現・思想の自由が奪われる」「警察の弾圧が実際起きる」と訴えました。改憲反対が常識と!
 マルクスももともとは民主主義者でしたが「なぜこの社会の矛盾を解決できないか」と考えたとき、共産主義者へと変革しました。「護憲」ではない変革の改憲決戦に向け宣伝・扇動戦が焦点化した今こそ、『共産党宣言』が読み返されるときだと思います。

 新発田・高田の陸自「イラクへ行くな!」 新潟 YN

 4月15日、新潟県新発田(しばた)市にある陸上自衛隊新発田駐屯地に対し、「新発田・高田の自衛隊はイラクへ行くな!人間の鎖行動」が行われました。第10次派兵を間近に控え、近隣市町村も含め、約300人の結集で成功しました。
 午後2時、駐屯地隣の新発田西公園で前段集会がイラク派兵反対のオリジナルソングの唱和で始まりました。新発田地区平和運動センター代表が開会あいさつをし、隊員と家族の不安を考え、なんとしても派兵を中止してほしいという願いをこめて地元4団体で行動を呼びかけたと発言。続いて9条しばた市民ネット事務局長が主催者あいさつ。イラク派兵に象徴される戦争する国への地ならしが進んでいることに強い危機感を表明。とりわけ教育基本法改悪が今国会で狙われていることを弾劾しました。
 連帯のあいさつとしてイラク「人間の盾」に参加したフリーカメラマンの杉本祐一さん、「とめよう戦争!隊員家族と元自衛官連絡会」の杉橋幸雄さんが紹介されました。杉橋さんは「隊員のみなさん、労働者とともに闘おう」「戦争をとめるために隊員を僕らの隊列に獲得していこう」と強くアピールしました。
 百万人署名運動新発田連絡会代表は閉会のあいさつで、群馬の百万人署名運動による第12旅団司令部への申し入れ行動を報告。国策の柱となっているイラク派兵の阻止・撤退をかちとるために継続した行動を提案しました。
 集会後直ちに駐屯地前に移動し、人間の鎖行動を開始(写真)。駐屯地指令に採択した集会アピールと富山の仲間からのメッセージ、隊員家族と元自衛官連絡会の請願書を渡した後、全体で「新発田・高田からイラクに行くな!」とシュプレヒコールを繰り返し、自衛隊員にアピール。飛び入り参加の通行人も現れました。
 今回の行動は、年初からイラク派兵中止の請願行動を繰り返してきた百万人署名運動新発田連絡会の呼びかけで地元4団体が実行委員会を立ち上げ、実現したものです。メーデーのほかデモや集会がないと言われる「自衛隊城下町」新発田での行動は70年安保以来であり、画期的なことです。
 新発田市内の労組や政党をすべて回り、参加を要請、基本的には好感を持って迎えられました。ひとつ残念だったことは、当初は呼びかけ団体に名を連ねた日本共産党系の市民団体が党からの横やりで共闘から降りたことです。「党は大衆組織に介入しない」と言っている共産党の本音と建前を見る思いがしました。
 今回の成果を踏まえて、目前に迫った派兵に対してさらに闘いを強めたいと思います。

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週刊『前進』(2244号6面2)(2006/05/01)

 泉佐野市議選 元気よく事務所開き

 国賀議員 “全力のご支援を”

  泉佐野市議選告示まであと3週間と迫った4月16日午前、泉佐野市湊2丁目で国賀祥司泉佐野市議会議員らが事務所開きを行った。
 「関空2期を中止し、いのちと暮らしを守る市政を」のスローガンが入った大きなポスターが張られた事務所には、朝から多くの支持者らが集まった。神戸、高槻、東大阪、八尾からも応援にかけつけ、総勢110人の盛大な事務所開きになった。いよいよ選挙戦本番に向け、国賀議員を先頭に5月14日投票に向かって団結を固め、突き進む態勢が整った。
 事務所開きの司会は、地元支持者の女性だ。非常に上手な司会進行に参加者から感嘆の声があふれた。泉佐野での運動が確実に広がっている。
 まず、「こくが祥司と語ろう会」の小林一三会長があいさつし、選挙の勝利に向けて結束を固めてがんばろうと檄を発した。続いて来賓が紹介された。泉州住民の会代表の森田恒一さん、森田充二高槻市議、東灘区住民の会の松原康彦事務局長、さらに部落解放同盟全国連合会荒本支部、東大阪国保と健康を守る会代表、スタンダード・ヴァキューム石油自主労組の仲間が激励のあいさつをした。
 次に国賀議員が、市議選勝利への決意を述べた。「かつてない激戦になっている。非常に厳しい選挙です」と選挙情勢を語り、先頭で新田谷(にったや)市政と闘い「ゴミ有料化を住民投票で撤回させる」と決意を述べた。最後に「みなさんの全力のご支援をお願いします」と締めくくった。地元の支持者から花束が贈られ、勝利に向けたムードがさらに高まった。
 お茶で乾杯の後、こくが祥司と語ろう会やゴミ問題を考える会、関西合同労組泉州支部などから選挙勝利に向けての決意が述べられた。最後に、事務長など事務所スタッフが紹介された。これから4週間、地元の支持者らがスタッフとして事務所を守り、盛り上げ、選挙戦の中心になっていく態勢が整った。
 いよいよ選挙戦本番に突入した。かつてない激戦になっている。国賀議員の勝利をもぎり取るために全国から応援しよう。
(写真 5月14日投票の泉佐野市議選へ向かって支持者110人が集まった事務所開き。6期当選へ激戦の先頭で闘う決意を語る国賀祥司市議【4月16日 泉佐野】)

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週刊『前進』(2244号6面3)(2006/05/01)

 弁護士活動侵害許すな

 4・13東京 弁護士らが緊急集会

 4月13日、弁護権侵害攻撃反対緊急集会が東京・霞が関の弁護士会館で開かれた。昨年11月に改悪刑訴法が施行されて以降、弁護活動が全面的に侵害され始めたことに危機感をもった弁護士たちが呼びかけた。
 集会の最初に、「公判前整理手続」を導入した裁判が弁護権・防御権を圧殺し、被告人の基本的人権を一顧だにしない裁判であることが怒りをこめて報告された。「公判前整理手続」とは、裁判開始前に裁判官、弁護人、検察官の3者が密室で事件の争点や審理の進め方まで全部決めてしまうものである。
 東京地裁は、被告がイラン人の殺人未遂事件で、昨年11月から1カ月に2回のペースで整理手続きを行った上、今年1月27日に第1回公判を開き、2月6日に証人尋問、7日に被告人質問と、午前10時から午後5時30分まで超ハイペースで裁判を進めた。そしてなんと被告人質問の翌8日、検察官の論告求刑から弁護人の最終弁論、判決まで1日で済ませてしまったのだ!
 裁判所は裁判開始前から判決を決めていたとしか考えられない。法廷での争いや被告人本人の訴え、弁護人の意見などは無視抹殺。「公平・公正」や「基本的人権の保障」という裁判の建前すら投げ捨てた「簡易・迅速・重罰」裁判が強行されたのである。
 二つ目の報告として、オウム真理教・麻原の裁判の弁護人が東京高裁による異例な裁判打ち切り、控訴棄却決定を弾劾した。
 弁護人は被告人の精神鑑定について公開の法廷での手続きを求めたが、鑑定人の宣誓も鑑定人尋問も非公開で行われ、弁護人の反対尋問も認めずに密室で決定された。さらに弁護人が3月28日に控訴趣意書を提出すると通知するや、その前日の27日に控訴棄却の決定を強行したのである。
 三つ目の報告は、改悪刑訴法に基づく「出頭在廷命令」の発動についてだ。山口県光市の「母子殺人事件」で、事件当時18歳の被告人に対する判決は一審・二審とも無期懲役だった。検察官は死刑を求めて上告、最高裁は上告審の弁論期日を3月14日に指定したが、担当の弁護人が辞任、新たに弁護人になった弁護士らは準備の必要性を説明し、3カ月後の6月13日へ弁論期日を変更するように求めた。受任まもない弁護人が記録の検討や本人の事情聴取などのため弁論を3カ月延期してほしいという、まったく当然の要求だ。
 ところが最高裁はこれを一顧だにせず、「何ら正当な理由のない不出頭」と決めつけ、3月15日付で4月18日の弁論期日を一方的に指定し、「出頭在廷命令」を弁護人宛に送付した。他方、「被害者の遺族」は3月14日の不出廷を理由に弁護人に対する懲戒請求を出すに及んだ。
 裁判所の「出頭在廷命令」に弁護人が従わない場合は過料と費用の賠償が請求されるばかりか、裁判所による懲戒請求まで出されることになるのである。
 一挙に激化した戦時型司法への大転換を断じて許すことができない。集会では国家権力の司法改革攻撃に屈服している日弁連執行部を批判し、刑事司法改革と闘う弁護士から、「国家権力による攻撃の激化は、統治体制の危機ゆえである。労働者階級の闘いに依拠し戦時司法と全力で闘う」と決意が述べられた。
 救援連絡センターの山中幸男事務局長は、「弁護権を剥奪(はくだつ)する攻撃に対しては弁護士とともに火の玉となって闘う」とアピールした。迎賓館・横田爆取デッチあげ裁判被告で一審無罪判決をかちとった板垣宏同志は、「このような連日開廷では公判調書を読み込んで検察官立証の矛盾を見つけ、デッチあげ弾圧をうち破ることもできなくなる」と弾劾した。
 改憲・共謀罪新設攻撃と一体のものとして激化している刑事裁判改悪を許さず闘おう。

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週刊『前進』(2244号6面4)(2006/05/01)

 迎賓館・横田爆取控訴審 完全無罪戦取を! 3被告からの訴え(中)

 裁判17年、審理不尽なし これからが最後の決戦だ

  十亀 弘史

 徹底して闘い無実が無罪に

 私は迎賓館・横田の両事件に一切関与していない。これが事実のすべてである。
 警察・検察は、最初から、私たちの無実を十分に知っていた。知っていて逮捕し起訴した。証拠などもちろん存在しない。検察官にとっては、証拠の有無などどうでもよかった。まず逮捕し、起訴に持ち込み、後は裁判所の行政権力に対する本質的な受動性を存分に利用して、私たちをできる限り長期に獄中に閉じ込め続けること、それが検察官の目的だった。
 それは、政治的な監禁であり、転向を引き出そうとする持続的な拷問だったと言ってよい。迎賓館・横田爆取デッチあげ弾圧とは、故意に基づく最も卑劣な権力犯罪であり、治安弾圧として、まさしく国家権力のもとに実行されたテロそのものである。
 公判において検察官が「証拠」と称して法廷に持ち出してきたものは、すべて、両事件との関連性を欠いていた。それらは本来、公判廷に提示すること自体が許されない、無意味なガラクタばかりであった。そこで検察官は、記載内容の創作をも含むメモの「解釈」をもって立証に代えようとした。
 しかし、それらのメモは、いつ・どこで・なんの目的で書かれたものかまったく特定されていない。また、それらのメモはいずれも、「原本」として書かれたものではなく、単に他の元になるメモを書き写したものでしかない。その上に、どのメモにも両事件について触れた記載など全然ないのだ。そのようなメモは、どう解釈しようと両事件についての証拠となるわけがない。検察官によるメモ立証の無内容性は明白であり、一審無罪判決もメモの証拠としての無意味性を明確に判示している。被告・弁護団の闘いによってメモという核心をうち砕かれた検察官立証は、立証として成立しようがなかったのである。
 私たちは延々と闘った。そして、確かな勝利を重ね続けた。逮捕直後、45日間、毎日早朝から深夜まで続く「取り調べ」(それは事実調べではなく転向の強要に終始した)に対して完全な黙秘を貫いた。長期の独房生活でかえってマルクス主義と革命への確信を深くした。監獄という「革命の学校」での生活を程良く楽しみ、新しく大事な友人たちを得さえした。
 法廷では、毎回毎回被告こそが主人公という公判闘争を展開し、検察官主張のすべてを一つひとつ徹底してつぶしていった。獄壁の内外呼応する闘いで、爆取事件では至難とされていた判決前の保釈をかちとった。そしてついに、一審の無罪判決をもぎとったのだ。
 無実だから自動的に無罪判決となったのではない。無実であり、そして徹底して闘いぬいたからこそ04年3月25日の無罪判決を実現させ得たのだ。
 無罪以外になかったその判決に対して検察官は控訴した。原審における「審理不尽」と「事実誤認」が控訴の理由だという。しかし、起訴から判決まで17年をかけ、あらゆる争点について詰めきった裁判に審理不尽の余地はない。もちろん無実が無罪となった判決に、事実誤認は根本的に存在しない。
 検察官の控訴趣意書は、原審内の無意味で無内容な主張を、再び、同じ中身で繰り返すものでしかない。そのような控訴は、端的に、同じ裁判をもう一度違う裁判所でやってくれ、というのに等しく、ブルジョア司法的にもけっして許されるものではない。
(写真 1・16控訴審初公判。検察官の証拠調べ請求をすべて却下し結審【東京高裁前】)

 控訴棄却判決絶対出させる

 控訴審第1回公判で裁判所が検察官請求証拠のすべてを却下し、即結審としたのは当然のことであった。それほどに検察官の控訴が空虚であったということだ。5月19日の判決は、控訴棄却すなわち被告の無罪の再確認以外にあり得ない。
 しかし、強調しておかなければならない。検察官請求証拠すべての却下は、まだ控訴棄却の判決そのものではない。そして控訴棄却の判決は、まだ無罪の確定そのものではない。
 5・19公判で完全な控訴棄却の判決を出させ、さらに、検察官に上告を断念させて無罪を確定させるのは、これからの最後の決戦に掛かっている。ここでの圧倒的な勝利こそが、これまでの延々たる闘いに唯一の正しい決着をもたらす。そして、その決定的な勝利こそが、福嶋同志に対する3月3日の絶対に許されない有罪判決を根こそぎにひっくり返す第一歩となるのだ。
 治安弾圧との闘いは、階級闘争に常に含まれる最深部の闘いであると同時に、一人ひとりが本当に身を賭けて対決する以外にない最前線の闘いでもある。
 同志の皆さん、そして読者の皆さん、5月19日、闘いとしての傍聴に、ぜひ結集して下さい。そして大いなる勝利をともに手にしましょう!
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 5・19控訴審判決公判へ
 5月19日(金)午前10時 東京高裁725法廷

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週刊『前進』(2244号6面5)(2006/05/01)

 保安処分施設4月開所

 久里浜病院を弾劾 内覧会ビラまきと駅情宣

 「処遇困難者専門病棟」新設阻止共闘会議は3月30日、神奈川県の久里浜アルコール症センターにおける保安処分施設4月開所を弾劾して内覧会に対するビラまきと京急久里浜駅での医療観察法反対情宣を行った。
 保安処分とは「精神障害者」に対して「再犯のおそれ」を振りかざし裁判官と医者の合議で強制隔離と強制治療を施そうという制度である。しかもその拘禁は「容疑」時には鑑定入院として最長3カ月の拘禁、また本来の拘禁は「無罪・不起訴・執行猶予時の釈放」の時点から半永久的に始まるのだ。「社会復帰のため」と説明しようが「『再犯を犯すであろう精神障害者』は社会に出ては危険」という法の趣旨はどこまでも貫かれている。刑法外の“刑法”として君臨する「精神障害者」差別の悪法=医療観察法を必ず撤廃に追い込まなければならない。
 久里浜病院は今回、厚労省が掲げる「1施設30床新築、全国720床」の保安処分施設計画が頓挫(とんざ)している危機を打開するものとして、佐賀・肥前病院、新潟・さいがた病院とともに「改築15床暫定病棟」の先行着工を発表した。地域住民説明会もおざなりに厚労省に屈服して数合わせのためだけに4月開所を強行したのだ。建物はセンサー付きフェンスで覆われ、入り口に民間ガードマン室を配置。すべてがカギ付き個室である。廊下などにはモニターカメラが配置され、スタッフ全員が無線発信器を持ち「自身の防衛」を果たすという。この密室環境下で電気ショックなどの強制治療も行われるのだ。すでに入所も始まり、30床本施設着工も6月に並行して開始される。
 阻止共闘は内覧会参加者に「医療観察法反対」のビラを手渡しながら随所で地域住民と討論を行った。「重大犯罪を犯したから施設を厳重にしろ」「措置入院では患者に逃げられるから裁判所の施設も必要」と厚労省の悪宣伝を信じて反論する人もいる。しかし「重大」とはウソでほとんどは全治1週間や5日の傷害、未遂、自室放火。相手が無傷での「殺人未遂」の例もある。入通院歴があったり、「精神障害者」なら誰でも対象なのだ。裁判官の関与も逆に精神医療の現場をますます治安協力の場に変えてしまう。「なぜ施設を受け入れるのか」と病院当局を追及すると「施設受け入れで助成金は施設専用だし病院全体の赤字が解消される訳でもないんですがね」と厚労省の無理強いを示す本音ももらした。しかしこうした一つの屈服が保安処分施設の運用も拡大し、収容対象者を広げナチスによる戦時「障害者」抹殺に行き着くのだ。
 さらに全国で保安処分加担拒否を呼びかけ、施設建設を阻止しよう。
(写真 〔上〕久里浜病院保安処分施設 〔下〕京急久里浜駅で医療観察法反対を訴える阻止共闘【3月30日 神奈川】)

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■医療観察法を許すな!
5・14武蔵・保安処分施設弾劾集会・デモ
 5月14日(日)午後1時
 開場・1時半開始
 午後3時半、デモ出発
 東京・小平中央公民館
 (東京都小平市小川町2−1325)
 主催 阻止共闘

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