ZENSHIN 2006/04/24(No2243 p06)

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第2243号の目次

怒りの決起集会 「新沿岸案」合意を弾劾し500人が結集。市庁舎は怒りに包まれた(4月11日 名護市役所前) 記事を読む

1面の画像
(1面)
「愛国心」で戦争教育を狙う
教基法改悪法案の国会提出を阻止しよう
全世界の労働者・学生と連帯し4大産別決戦勝利・改憲阻止を
共謀罪・入管法改悪絶対阻止!4月下旬連続闘争へ
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辺野古新基地 「V字型沿岸案」の合意弾劾
滑走路2本、面積を拡大、機能も強化
5・15闘争に総決起しよう(4月7日)
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(2面)
「国と郷土を愛する態度」  教基法改悪 自公合意に反撃を
教育労働者先頭に国会闘争へ
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06春闘 連合の制動に怒り  さらに団結固め賃上げへ 記事を読む  
4・10〜14 民主労総が循環スト  非正規悪法阻止に立つ(4月10〜14日) 記事を読む  
(3面)
反合・運転保安春闘の教訓  動労千葉 田中委員長に聞く
困難と闘う団結を形成  安全運転闘争と3波のスト貫く
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“欠員状態解消せよ”
動労西日本 吹田機関区でスト敢行(3月25、26日)
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世界の労働運動 イギリス  地方公務員150万人がスト
80年ぶりの規模に 年金制度改悪に怒り(藤沢明彦)
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(4面)
法政大学 退学処分を絶対阻止せよ
改憲阻止決戦の先端の攻防
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共謀罪4月審議入り許すな
思想を弾圧し団結を解体して 戦争国家化狙う治安法(立花茂)
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つぶせ!国民投票法案  改憲反対の運動と言論を圧殺
インチキな修正協議/公務員・教員の運動禁止はそのまま
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2006年日誌 4月5日〜11日
米で「イラン核空爆」の報道  額賀と名護市長、V字案合意
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(5面)
日教組の改憲勢力化を許さず教育労働運動の革命的再生へ
「中間報告その2」を批判する(続)
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国賀祥司さん必勝へ  泉佐野市議選 市政報告に120人(4月9日) 記事を読む  
(6面)
団結ひろば 投稿コーナー
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辺野古からの報告  「新沿岸案」合意への怒りが市庁舎を包囲 記事を読む  
迎賓館・横田爆取控訴審 完全無罪戦取を!  3被告からの訴え(上)
裁判長は検察控訴棄却し超長期裁判に決着つけよ  板垣宏
記事を読む  

週刊『前進』(2243号1面1)(2006/04/24)

 「愛国心」で戦争教育を狙う 教基法改悪法案の国会提出を阻止しよう

 全世界の労働者・学生と連帯し4大産別決戦勝利・改憲阻止を

  共謀罪・入管法改悪絶対阻止! 4月下旬連続闘争へ

 フランス、イギリス、ドイツ、アメリカ、韓国で、労働者階級・学生人民の革命的闘いが爆発している。帝国主義の危機と凶暴化に対して、これを根底から転覆する闘いの新たな波が嵐のように巻き起こっているのだ。この世界革命に向かっての闘いのうねりは、日本の労働者階級の闘いに波及し受け継がれつつある。教育労働者、動労千葉組合員を先頭にかちとった1〜3月の闘いの成果を踏まえ、国鉄闘争を土台に、教労決戦を継続・激化させ、自治体・全逓の4大産別決戦の前進をかちとろう。連合、日本共産党の裏切りを弾劾する党派闘争に勝ちぬこう。政府・与党は教育基本法の「愛国心」をめぐる協議で合意し、連休前後にも改悪案を国会に提出しようとしている。教基法改悪阻止決戦として開始された4〜6月改憲阻止闘争を全力で闘いぬこう。

 第1章 総決起する労働者と世界革命の胎動

 CPE(初期雇用契約)の撤回を求めるフランスの労働者・学生のストライキとデモは、パリコミューン以来の労働者階級の実力闘争の継承である。この闘いはついに現実に「撤回」をかちとる大勝利となった。
 時を同じくしてドイツの2大労組のストライキ、イギリスの公務員150万人のストライキが爆発した。
 さらにアメリカでは、「国境警備・反テロリズム及び不法管理法」に反対する移民労働者を先頭とする巨大な階級的決起が起こっている。シカゴで3月10日に30万人のデモが闘われ、ロサンゼルスに広がり、4月9日には全米で350万人が闘いに立ち上がった。
 また、韓国の民主労総は非正規悪法絶対反対で、4・10〜14全国循環ゼネストに突入した。
 一方、米帝のイラク侵略戦争の泥沼化・長期化の中で、イラク・ムスリム人民、パレスチナ人民の民族解放・革命戦争が、さらに激烈に闘われている。
 まさに世界革命の現実性が開示され、革命的情勢が全世界的に音を立てて接近しているのだ。
 特に、移民労働者を先頭とするアメリカの闘いは、移民を犯罪者として扱う攻撃に対する怒りの爆発であり、日本における入管法改悪や共謀罪新設法案との闘いに通ずるものである。
 日本で増大する外国人労働者を治安管理の対象とし、指紋採取と国外追放政策の強化で圧殺しようとする入管法改悪、相談しただけで罪に問うという戦前の治安維持法以上の結社禁止、労働運動弾圧法である共謀罪。これは、危機を深める帝国主義が、アメリカでも日本でも、治安立法をやみくもに強化しようとしていることを示している。
 だが、帝国主義への労働者階級人民の根底的な怒りの決起は、欧米と同様日本でも必ず爆発する。1〜3月の闘いの前進は、全世界の労働者の決起にこたえる闘いだ。教育労働者の「日の丸・君が代」強制拒否の決起。動労千葉の反合・運転保安春闘。そして法政大学での改憲阻止闘争に対する弾圧をめぐる攻防。3・31教基法改悪・改憲反対集会、4・4国鉄1047名闘争勝利をめざす集会の大成功。闘いは開始された。
 小泉=奥田の戦争と民営化攻撃に対する労働者の怒りは渦巻いている。全世界の労働者と連帯して、4〜6月、全力で闘いぬこう。
 自民、公明の与党は4月12日、教育基本法改悪の「愛国心」についての文案で合意し、5月連休前後に法案を国会提出することを決めた。「我が国と郷土を愛する」というのは「愛国心」そのものだ。
 この「愛国心」の対極には「非国民」「国賊」がある。つまり戦争で国のために命を投げ出さないものは非国民として圧殺するという意味なのだ。
 「国旗国歌法」が「日の丸・君が代」強制の武器になったように、教基法が改悪されれば、子どもたちを戦争に駆り立てる戦争教育が現実化する。同時に日教組一掃の攻撃として満身の危機感をもってとらえ、全教育労働者の決起を先頭に徹底弾劾し、粉砕しよう。
 教基法は、憲法に次ぐ国の基本法であり、その改悪は改憲攻撃そのものだ。戦争と民営化の小泉政権5年間の総仕上げとして教基法改悪が登場してきたことは決定的な意味をもっている。戦後日本史の中でも画期的な大攻撃だ。われわれは改憲阻止決戦そのものとして教基法改悪阻止闘争に全力で立ち上がらなければならない。4月国会提出阻止闘争を闘おう。
 一方で、改憲のための国民投票法案についても、政府・与党は全力で法案提出の準備を進めている。さまざまな手直しが行われようとしているが、本質は変わらない。4〜6月、改憲・教基法改悪阻止闘争を全力で闘いぬこう。
 今国会では、この教基法改悪と国民投票法案のほかに、公務員労働者の大量首切りと公共部門の民営化を強行する行政改革推進法案、高齢者医療を切り捨てる医療制度改悪法案、共謀罪法案、入管法改悪案など反動法案が次々と提出されている。日帝・小泉=奥田路線のもとでの攻撃に対する階級的反撃を強めよう。
 とりわけ、共謀罪粉砕闘争が正念場だ。共謀罪4月審議入りを阻止するために、4月下旬の一連の集会・デモ・国会前行動に立とう。(4面に要項)

 第2章 危機のブッシュが狙うイラン核空爆

 米帝は、イラク侵略戦争の行き詰まりに直面している。フセイン政権転覆から3年、国民議会選挙を強行はしたものの、いまだ正式政府を樹立することができない。イラクは、完全に内戦状態に突入した。
 ブッシュ政権の危機は激しい。ブッシュ本人がイラク機密情報の漏洩(ろうえい)に関与していた疑惑が浮上し、政権の支持率は36%に落ち込んでいる。
 しかしブッシュ政権は、帝国主義であるかぎりイラクから撤退することはできない。1月のブッシュ一般教書、2月のQDR(4年ごとの戦力見直し)、3月「国家安全保障戦略」などに貫かれていることは、米帝がイラクで始めた戦争をどんなに行き詰まろうとも長期にわたって続け、米帝の世界支配を貫徹するということである。
 現に米帝は、イラク侵略戦争の危機を戦争のイランへの拡大によってのりきろうとしている。4月9日付の米紙ワシントンポストは、米政府高官や軍事専門家らの話として、ブッシュ政権がイランの核兵器開発阻止のために、中部ナタンツの核施設などを標的にした限定的な空爆を選択肢の一つとして検討していると伝えた。また、ニューヨーカー誌電子版の報道では、この空爆作戦には地中貫通型の核兵器の使用も検討していると言われている。核武装を阻止するためと称して核先制攻撃を辞さない、これが帝国主義の論理である。絶対に許せない。
 こうした米帝のイラク侵略戦争・世界戦争政策の中で、米軍再編の攻撃も日米の最終合意に向かって加速している。
 この中で最大の攻撃としてあった、普天間飛行場の代替基地候補としてあげられたキャンプ・シュワブ沿岸案について、4月7日、額賀防衛庁長官と島袋名護市長の会談で「V字形」の2本の滑走路建設というとんでもない新基地建設計画が合意された。稲嶺沖縄県知事は13日、「県としてあからさまには反対できない」と屈服姿勢を示した。事態はきわめて重大だ。
 地元では怒りの声が沸騰している。着陸用と離陸用の使い分けによって、離着陸の直下の住宅地はなくなるなどと説明されているが、「合意」内容は滑走路の倍増であり、大強化方針以外の何ものでもない。巨大な軍事要塞(ようさい)が辺野古崎に出現したら、住民は直接命を脅かされ、山も海も殺される。何よりも巨大な侵略出撃基地として、北朝鮮・中国侵略戦争に使われ、アジアの人民を大虐殺することになる。そして、当然の報復攻撃の標的となる。こんな計画を絶対に許してはならない。
 5・15沖縄闘争を、この名護新基地計画に対する全国の青年労働者・学生の総決起の闘いとしよう。
 神奈川県座間、相模原、横須賀、山口県岩国など全国の米軍再編に対する闘いも今が正念場である。断固粉砕へ闘いぬこう。米軍再編阻止の闘いは、改憲阻止闘争の中身と完全に一体の重要な課題である。

 第3章 小沢民主党と連合に労働者は対決を

 日帝・小泉の戦争と民営化・労組破壊の攻撃は、現在、国会終盤の重要法案の目白押しという形で襲いかかってきている。4大産別決戦を先頭にこれと断固対決し、悪法粉砕へ闘おう。

 動労千葉春闘への処分弾劾

 06春闘を反合・運転保安春闘として安全運転行動とストライキを闘った動労千葉に対して、4月12日、戒告6人、厳重注意13人の不当処分が発令された。戦闘的労働組合と労働運動に対する恐怖に満ちた攻撃を怒りを込めて粉砕しよう。
 さらに、4月6日に千葉・幕張電車区構内で起きた脱線事故を理由に当局が動労千葉破壊攻撃に出てきている。だが一切の原因は安全無視の合理化にある。1972年高石闘争以来の反合・運転保安闘争の真骨頂をかけた闘いの時を迎えているのだ。尼崎事故から1年、動労千葉が主催する「民営化・規制緩和と闘う4・24労働者総決起集会」に大結集しよう。
 4月7日に民主党の新代表に小沢一郎が選出され、民主党の新体制が発足した。小沢はそもそも自民党竹下内閣を支えた人物であり、海部内閣では、湾岸戦争(第1次イラク侵略戦争)に130億jの戦費を拠出した立て役者である。「普通の国」を掲げて、PKO法案を始め、日本を戦争のできる国にするために画策してきた。小沢は13年前に出した「日本改造計画」で9条改憲、「構造改革」を主張し、規制緩和、民営化、消費税増税、小選挙区制などを提唱していた人物だ。労働者人民に犠牲を押しつける「構造改革」を小泉と競い合う人物だ。
 小沢が民主党代表になったことは、連合の改憲勢力化を一層促進する。連合指導部は昨年7・14見解で改憲翼賛勢力化へ踏み出し、今年1・19中執決定で国民投票法案支持へと進んできた。4大産別決戦を闘う上で小沢民主党の成立は実に重大な攻撃の始まりだ。
 日本共産党は、日帝・小泉の危機と攻撃の激化に震え上がり、帝国主義に屈服し、4大産別決戦への敵対と逃亡を繰り広げてきた。動労千葉排除の策動や、国労5・27臨大闘争弾圧への加担など国鉄闘争の現場でも、「日の丸・君が代」強制を拒否する教育労働者の闘いの現場でも、日本共産党が統一戦線を破壊し、闘いを妨害する勢力であることがどんどん暴き出され、怒りが広がっている。日本共産党との一大党派闘争に打ち勝って、改憲阻止闘争を爆発させよう。

 法大退学処分策動粉砕せよ

 憲法闘争は、学生戦線において法大闘争として開始された。学内の立て看板、ビラまきを禁止し、29人の学生を警察権力に売り渡し、さらに闘う法大生に「自宅謹慎」の処分を加えた法大当局は、大学自治さえ踏みにじって改憲阻止闘争を圧殺する、大学人にあるまじき腐敗を示している。退学処分策動を粉砕し、改憲阻止の全国学生ゼネストの展望を開こう。
 そして、この闘いの渦中で不抜の革命党建設を実現しよう。労働者階級の自己解放闘争論に立脚し、新指導路線のもとに党の統一と団結をかちとり、プロレタリア革命を実現する党の建設に向かって前進しよう。

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週刊『前進』(2243号1面2)(2006/04/24)

 辺野古新基地 「V字型沿岸案」の合意弾劾

 滑走路2本、面積を拡大、機能も強化

  5・15闘争に総決起しよう

怒りの決起集会 「新沿岸案」合意を弾劾し500人が結集。市庁舎は怒りに包まれた(4月11日 名護市役所前)=記事6面

 4月7日、名護市の島袋吉和市長は、防衛庁で額賀福志郎長官と協議し、米軍普天間基地の名護市キャンプ・シュワブ沿岸部への移設案について、滑走路をV字形に2本建設する案で合意した。圧倒的な名護市民、沖縄県民の反対の声を踏みにじる暴挙だ。
 辺野古・命を守る会、二見以北10区の会を始めとする地元住民は、すさまじい怒りを爆発させて、直ちに反撃に立ち上がっている。われわれは、地元住民と固く連帯し、沖縄―本土を貫く闘いでV字形沿岸案を必ず粉砕することを宣言する。

 恒久的な巨大軍事要塞建設

 新たな合意案は、最悪の旧「沿岸案」に輪をかけたひどいものだ。1800b滑走路が2本となり、基地面積も拡大、基地機能は飛躍的に強化される。滑走路が2本の基地は嘉手納基地以外では初めてだ。辺野古側浅瀬や大浦湾の埋め立て面積も旧案では2〜4f、新合意案では10fとはるかに大きくなる。藻場(もば)や漁場破壊など、環境への影響はより壊滅的なものになる。
 飛行ルート問題が、政府と名護市の協議で最後的な論点となった。防衛庁は「離陸用、着陸用の2本の滑走路というアイディアで住宅上空の飛行を回避できた」などと宣伝しているが、ここにこそ大きなペテンがある。政府と名護市の「基本合意書」に添付された飛行経路図は世を欺くための道具になっている。
図 V字型沿岸案 離陸時・着陸時の飛行経路とは、あくまで固定翼機の計器飛行時(天候による視界不良の場合)に限ったものだ。この場合も、風向きによって米軍が滑走路を反対向きに使えば住宅地上空を飛ぶ。実際の米軍機の運用は、操縦士の目視による有視界飛行が中心で、操縦士の判断で離着陸ルートを決めており、図のような離着陸経路は取らない。
 米海兵隊の主力機である大型ヘリ(回転翼機)の飛行ルートも別問題だ。現に普天間基地のヘリは「自由自在」に民家上空を飛び回っている。「住宅地の上空を米軍機が飛ばない」というのは大うそなのだ。
 そもそも米軍は、軍事上の理由からも飛行コースをけっして公表しない。防衛庁関係者でさえ「詳細は米軍と未調整で不明」「米軍はいつでも有事と直結している。平時でも、あらかじめ決められたルートで航空機を運用することはあり得ない」と明言している。
 要するに一から十まで沿岸案を名護市長にのませるための茶番、ペテン、トリックでしかない。その結果、滑走路を2本持つ、より大きな軍事要塞を造ろうというのだ。滑走路2本のプランは、日米協議の中で米軍からも出た案だとも言われている。
 しかも、2012年には米海兵隊次期主力機として垂直離着陸機「MV22オスプレイ」の配備が計画されている。オスプレイは、試験飛行段階で何度も墜落事故を起こしている欠陥機だ。離着陸時には従来機と比較にならないような爆音をまき散らす。沖縄人民は「オスプレイは必ず名護市街地に落ちる。そんな基地は絶対に認められない!」と抗議している。
 朝鮮半島や中国、中東までにらむ恒久的な巨大軍事要塞の建設――これがV字形沿岸案の正体だ。麻生太郎外相は12日の衆院外務委員会で、照屋寛徳議員(社民党)の「明らかに埋め立て面積が増え、基地機能強化が危惧される」との指摘に答え、「抑止力が維持されるという意味においてはきわめて結構なことだ」とV字形沿岸案に込めた本音をあらわにしている。朝鮮・中国人民虐殺のための巨大出撃基地など絶対に造らせてはならない。

 労働者の決起が一切のカギ

 日帝・小泉政権は、「政府案をのまなければ見切り発車」「修正しても『センチ』単位」「振興策も一切打ち切る」と、あらん限りの重圧を名護市長にかけ続けた。沖縄県と名護市をも分断し、”一点突破”をかけ声に、名護市長に一方的な屈服を迫り続けた。県民と地元の声を一顧だにしない小泉のやり方は、むき出しの沖縄差別そのものだ。こんなやり方で、沖縄に半永久的に「基地の島」「戦場の島」の現実を強制しようというのだ。本当に許せない。
 小泉政権は、名護市長を屈服させ、稲嶺沖縄県知事を屈服させることで、米軍再編に反対する全国の関係自治体首長に対しても一気に攻勢をかけようとしている。4月末には日米安保協(2プラス2)を開き、遅れている米軍再編「最終報告」を出そうとしている。
 こんな合意案に誰ひとり納得などしない。V字形沿岸案は、従来の海上案以上にあらかじめ破産しきったものでしかない。海上案を実力阻止した600日の実力闘争、さらに沿岸案に対する3・5沖縄県民大会の爆発、岩国住民投票の鮮明な回答を前に、本質的に追いつめられているのは日米帝国主義の側だ。日帝には、もはや買収やペテンで人民を絡めとる余地すらなくなっているのだ。
 米軍再編をめぐる闘いは日米両軍の軍事的一体化と中国・北朝鮮侵略戦争体制づくりを阻止する闘いであり、憲法9条破棄=改憲を阻止する闘いそのものだ。基地労働者の決起、自治労、教労を先頭とする労働者階級・労働組合の決起こそが一切を決する。
 今年の5・15闘争は例年にもまして重大になった。青年・学生を先頭に沖縄現地、辺野古現地へ総決起しよう。V字形沿岸案を米軍再編―改憲もろとも絶対に阻止しよう。

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週刊『前進』(2243号2面1)(2006/04/24)

 「国と郷土を愛する態度」 教基法改悪 自公合意に反撃を

  教育労働者先頭に国会闘争へ

 自民、公明両党の「与党教育基本法改正に関する検討会」は4月12日、教育基本法改悪をめぐって自公両党間での折り合いがつかずに焦点となってきた「愛国心」の表現について、「伝統と文化を尊重し、それらをはぐくんできたわが国と郷土を愛するとともに、他国を尊重し、国際社会の平和と発展に寄与する態度を養う」とすることで合意した。さらに13日には前文についても合意。これを受けて、政府は4月下旬にも法案を提出し、今国会での成立を目指そうとしている。断じて許すわけにはいかない。教育労働者を先頭にただちに国会闘争に立ち上がろう。教育基本法改悪案の国会提出阻止へ、猛然と闘いぬこう。

 戦争教育へ戦後教育の大転換狙う

 自公合意により、いよいよ教育基本法改悪案が国会に提出されようとしている。とりまとめられた改悪案は、本当に許すことのできない内容である。
 まず愛国心をめぐって。すでに自公両党は現行法には存在しない「教育の目標」を第2条として新設することで合意していた。そこでは「道徳心の涵養(かんよう)」「公共の精神を重視」など6項目の「教育目標」をあげたが、その中の1項目、「伝統文化を尊重し、郷土と国を愛し、国際社会の平和と発展に寄与する態度の涵養」について、公明党が「郷土と国を大切にし」と主張して折り合いがついていなかった。
 それを今回、「伝統と文化を尊重し、それらをはぐくんできたわが国と郷土を愛するとともに、他国を尊重し、国際社会の平和と発展に寄与する態度を養う」としたことによって、「『国』には統治機構を含まないこと」を公明党と確認し、折り合ったと言うのである。
 こんなペテンがどうして許せるだろうか。教育目標に「国を愛する態度を養う」の一言が入ったら、学校現場は、戦争教育・愛国心教育の場に一変することは言うまでもない。
 しかも、「わが国と郷土を愛するとともに」という言葉に続けて、「他国を尊重し、国際社会の平和と発展に寄与する態度を養う」と入れたことで、愛国心の意味合いが薄まったように言われているが、とんでもない。
 ここで言われる「国際社会の平和と発展に寄与する態度」とは、現行憲法のもとでの「平和」ではない。「自衛軍の保持」「国際的に協調して行われる活動」を明記した新憲法の制定と一体で、多国籍軍に参加して「国際平和」の名のもとに公然と侵略戦争を遂行することに「寄与する態度を養う」ということだ。「国を愛する態度」と「国際平和に寄与する態度」は両方とも、侵略戦争を担う兵士づくりの教育に大転換することを意味するのである。

 前文の「平和を希求」は削除

 前文については、教育勅語のもとでの軍国主義教育との決別を意味する文言はすべて削除した。また「真理と平和を希求する人間の育成を期する」の言葉を「真理と正義を希求し、公共の精神を尊び、豊かな人間性と創造性を備えた人間の育成を期する」と変えた。「平和を希求する」を削除して「公共の精神を尊び」に変えたのである。
 現行教基法は、前文が「個人の尊厳を重んじ、真理と平和を希求する人間の育成を期する」とし、また1条の教育の目的は「人格の完成をめざし、平和的な国家及び社会の形成者として、真理と正義を愛し、個人の価値を尊び、勤労と責任を重んじ、自主的精神に充ちた心身ともに健康な国民の育成を期して行わなければならない」となっている。これらは、天皇を崇拝し侵略戦争のために死ぬ人間をつくることが目的とされた戦前・戦中の教育からの転換を極めて鮮明に表現したものである。
 これに対して改悪案は、第1条(教育の目的)から「個人の価値」などの言葉をすべて消し去った。国家と個人の関係を大逆転させ、国のための個人、国家のための教育に大転換しようとしているのだ。

 10条を改悪し国家統制強化

 さらに決定的に重要なのが、「教育行政」の項目で、現行教基法の10条を抹殺することである。
 教基法10条(教育行政)は、1項で「教育は、不当な支配に服することなく、国民全体に対し直接に責任を負って行われるべきものである」と、教育への国や政党の不当な支配を排除すると規定した。それゆえ2項で「教育行政は、この自覚のもとに、教育の目的を遂行するに必要な諸条件の整備確立を目標として行われなければならない」、つまり教育行政の役割は「諸条件の整備確立」に限定され、教育内容に介入してはならないと制限を加えた。
 10条は改悪論議の中で大きな焦点となってきた。04年6月に発表された与党中間報告では1項の主語を「教育は」から「教育行政は」に差し替え、「教育行政は、不当な支配に服することなく」とした。教育行政による教育への不当な支配を禁じる条文から、教育行政に対する日教組などの意見表明も禁じる日教組弾圧規定へと大逆転されたのである。
 これではあまりに露骨すぎると微修正を加えて、最終報告では、1項を「教育は、不当な支配に服することなく、法律の定めるところにより行われる」と言い換えた。「教育は、不当な支配に服することなく」の言葉が残されたことから大きな変更ではないかのように言われているが、百八十度の転換である。教育活動が「法律の定めるところにより行われる」ものとなれば、改悪教基法にもとづき学校教育法も改悪され、愛国心教育が「法律の定め」により徹底されていくことになるのだ。17条に盛り込まれた「教育振興基本計画の策定」と相まって、教育行政が教育内容に直接介入することを意味するのだ。
 10条を百八十度ひっくり返すことこそ、教育基本法改悪の核心的攻撃である。戦争教育・愛国心教育への大転換は、教育労働者の抵抗を完全に封じなければなし遂げられないからである。「教え子を再び戦場に送るな」のスローガンを掲げる日教組を完全に解体し、徹底的な弾圧と管理・統制によって、教育労働者を戦争教育の担い手にすることが狙われているのだ。

 「愛国心盛り込め」の主張追認

 改悪案のとりまとめを前にして、反動勢力は密集して「愛国心を盛り込め」と猛然と圧力をかけた。4月11日、自民・民主両党などの有志でつくる議員連盟「教育基本法改正促進委員会」は、「教育基本法改正の今国会実現をめざす国民大会」を開き、「愛国心の涵養」「宗教的情操の涵養」を明記した独自の新教育基本法案を発表した。自民党の新人衆院議員でつくる「伝統と創造の会」も7日、「祖国日本を愛する心を育むこと」を明記するよう求める要望書を与党検討会の大島理森座長に提出した。これらの主張をそのまま追認した結果が、自公合意なのである。絶対に許すことはできない。

 戦争教育への転換は改憲への突破口

 教育基本法の改悪とは、一つの法律が変えられるというだけにけっしてとどまらない超重大な意味を持っている。教基法とはその出自からしても日本国憲法と完全に一体であり、憲法と並んで、いわゆる「平和と民主主義の戦後体制」の骨格を形づくってきた法律なのだ。その法律を改悪するということは、教育を突破口に社会体制全体を戦時体制につくり変えることを意味する。戦後史を画する重大事態である。すべての労働者階級人民の共同のテーマに押し上げて闘おう。
 現代の帝国主義戦争は「国民の総動員体制」、とりわけ「国民の精神的総動員」なくして成り立たない。しかし日本帝国主義は今もなお、労働者階級の戦後的平和意識を解体することができていない。労働者階級の意識を侵略戦争を支持するものへ改造することもまったくできていない。
 この現実を覆して新憲法制定へ突き進むために、教育基本法を変え、学校と教育を変えることが不可欠なのだ。教育勅語体制下で「皇国民の育成」を教育目的として掲げた国民学校は、親もたじろぐほどの「軍国少年・少女」をつくり出した。日本帝国主義は今再び、学校教育を軸に教育制度を支配階級が完全に支配して、青少年に愛国主義、排外主義、ナショナリズム、国家主義やファシズム的イデオロギーをたたき込み、「国家のためには生命をも捧げて惜しまない」ものに鍛えあげていこうとしているのである。
 教基法改悪との闘いは、憲法改悪阻止闘争そのものである。教基法改悪と対決する猛然たる反対運動を組織することなくして、改憲阻止闘争などまったく空語である。
 教育基本法改悪阻止へ、ただちに国会闘争を巻き起こそう。何よりもその先頭に教育労働者が立とう。

 日教組本部の屈服と闘争放棄許すな

  中央教育審議会が教基法改悪の最終答申を出した03年3月以来3年間、教基法改悪案の国会提出を阻んできた最大の力は、東京を先頭にした全国の教育労働者の「日の丸・君が代」闘争である。東京では03年「10・23都教委通達」による処分の脅しを突き破って、この2年半で450人を超える教育労働者が「日の丸・君が代」闘争を闘いぬいてきた。これこそ、教育労働者の職場からの「戦争協力拒否闘争」であり、戦争教育への加担を断固として拒否する宣言であった。
 「10・23通達」を完全に破綻(はたん)させてきた「日の丸・君が代」被処分者は今こそ、最先頭で教育基本法改悪阻止へ立ち上がろう。
 教基法改悪とは、日教組運動を絶滅するという重大攻撃である。日教組が組織の存亡をかけて立ち上がるべき時なのだ。日教組30万組合員が全国一斉ストライキを打って国会包囲闘争に立ち上がるならば、必ず教育基本法改悪を葬りさることはできる。
 この期におよんでも、日教組本部の方針は「国会内に教育基本法調査会を設置する」ように求める請願署名である。5月27日に実行委員会の主催で行う「教育基本法改悪ストップ!5・27集会」はたったの2000人規模だ。日教組本部の大裏切りを徹底弾劾して、各単組から、職場から、闘いを巻き起こそう。
 全世界で労働者階級の歴史的な闘いが巻き起こっている。フランスでは、初期雇用契約(CPE)に反対して労働組合、青年・学生が2カ月間にわたって闘いぬき、300万人のデモとストライキでついに撤回させるという大勝利をかちとった。イギリスでも、ドイツでも、アメリカでも、数百万人の労働者の闘いがわき起こっている。労働者の怒りの行動が燎原(りょうげん)の火のように帝国主義の階級支配を焼き尽くす時代が到来したのだ。
 この闘いを、日本でも実現しよう。数千・数万の国会包囲闘争をつくり出し、教育基本法の改悪を絶対に阻止しよう。

現行教育基本法(抜粋)

改悪案(抜粋)

 われらは、さきに、日本国憲法を確定し、民主的で文化的な国家を建設して、世界の平和と人類の福祉に貢献しようとする決意を示した。この理想の実現は、根本において教育の力にまつべきものである。
 われらは、個人の尊厳を重んじ、真理と平和を希求する人間の育成を期するとともに、普遍的にしてしかも個性ゆたかな文化の創造をめざす教育を普及徹底しなければならない。
 ここに、日本国憲法の精神に則り、教育の目的を明示して、新しい日本の教育の基本を確立するため、この法律を制定する。
第一条 (教育の目的)  教育は、人格の完成をめざし、平和的な国家及び社会の形成者として、真理と正義を愛し、個人の価値をたつとび、勤労と責任を重んじ、自主的精神に充ちた心身ともに健康な国民の育成を期して行われなければならない。

 

 

第一〇条 (教育行政)  教育は、不当な支配に服することなく、国民全体に対し直接に責任を負つて行われるべきものである。 
○2  教育行政は、この自覚のもとに、教育の目的を遂行するに必要な諸条件の整備確立を目標として行われなければならない。

 我々日本国民は、たゆまぬ努力によって築いてきた民主的で文化的な国家をさらに発展させるとともに、世界の平和と人類の福祉の向上に貢献することを願うものである。この理想を実現するため、個人の尊厳を重んじ、真理と正義を希求し、公共の精神を尊び、豊かな人間性と創造性を備えた人間の育成を期するとともに、伝統を継承し、新しい文化の創造を目指す教育を推進する。ここに我々は日本国憲法の精神にのっとり、我が国の未来を切り拓く教育の基本を確立し、その振興を図るため、この法律を制定する。

1.教育の目的 教育は、人格の完成を目指し、平和で民主的な国家および社会の形成者として必要な資質を備えた、心身ともに健康な国民の育成を期して行われなければならないこと。
2.教育の目標 教育は、その目的を実現するため、次に掲げる目標を達成するよう行われるものとすること。(1)真理を求める態度、豊かな情操と道徳心、健やかな身体をはぐくむ。(2)勤労を重んずる態度。(3)公共の精神、社会の発展に寄与する態度。
(4)生命を尊び、環境の保全に寄与する態度。
(5)伝統と文化を尊重し、それらをはぐくんできたわが国と郷土を愛するとともに、他国を尊重し、国際社会の平和と発展に寄与する態度を養うこと。
16.教育行政(1)教育は、不当な支配に服することなく、この法律および他の法律の定めるところにより行われるべきものであり、教育行政は、国と地方公共団体との適切な役割分担および相互の協力の下、公正かつ適正に行われなければならない。
17.教育振興基本計画 (略)

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週刊『前進』(2243号2面2)(2006/04/24)

 06春闘 連合の制動に怒り さらに団結固め賃上げへ

 フランス、ドイツ、イギリス、アメリカ、韓国を始め全世界で労働者階級が立ち上がっている。フランスでは学生と労働者の数百万人の決起で、「26歳未満の労働者は、採用後2年間はいつでも首を切れる」というCPE(初期雇用契約)をついに粉砕した。帝国主義間争闘戦の激化の中で、各国帝国主義は資本家的利害をむき出しにして労働者階級に襲いかかっている。低賃金と首切り、不安定雇用化の嵐の中で貧富の差は拡大し、労働者にはおそるべき貧困化が強いられている。これに対して全世界の労働者階級が「生きんがための闘い」に決起しているのだ。この闘いは、けっして止むことのない、世界史的な階級激動である。世界革命によってしか決着がつかない闘いが前進しているのである。
 日本も例外ではない。労働者階級の怒りはマグマのように渦巻き、爆発寸前である。動労千葉の春の安全運転闘争と春闘ストは、安全を崩壊させたJR体制と真っ向から激突した。教育労働者の「日の丸・君が代」不起立闘争は全都全国で燃え上がっている。4・4国鉄闘争集会には4600人が大結集した。各地の春闘総決起集会も、近年にない労働者の結集で闘われている。労働運動の爆発の兆しがはっきりと見え始めた。資本家の手先=連合中央を打倒し、帝国主義と闘う労働運動を大前進させよう。

 労働者はもう我慢の限界だ

 06春闘は3月15日に民間大手の集中回答が出された。回答額はトヨタ自動車1000円、電機は軒並み500円(富士通1000円)など超低額回答で、これ自体許せない。これでどうして労働者の生活が成り立つのか。
 商業新聞は、経営側が労組の要求を押さえつけたものとして報道している。事実、わずかばかりの賃上げ要求しか行わず、しかも格差賃金容認の「賃金改善」要求で労働者の闘いを裏切り、妥結した連合中央の屈服は、絶対に許せない。
 連合の高木会長は3月15日夕の記者会見で「もうちょっともらってもいいんじゃないか」「経営側の対応に敬意を表したい」などと奴隷的な屈服の言辞を吐いた。また全員一律賃上げのベアではなく、成果主義賃金で労働者を分断する「賃金改善」を要求したことについては、「ベアだったら交渉にならなかった」などと居直っている。賃金を使った資本家階級の労働者分断、団結破壊、労組破壊に平然と手を貸す連合・高木をどうして許せようか。
 だが、他方では経営側が5年ぶりに賃上げを認めざるをえなかったこともまた事実である。労働者の怒りと不満は蓄積され、爆発寸前に高まっており、資本家はこれに激しい危機感を持っている。だから資本家は連合中央の裏切りと屈服をとことん使い切って、わずかばかりの賃上げで労働者の反乱を抑え込もうとしているのだ。だが、そんなことがいつまでも続くはずはないのである。
 7年間賃金が下がり続けてきた現実がプロレタリアートにどのような破壊的現実をもたらしているか。増税や社会保障切り捨てによる個人負担増のもとで、低賃金労働者になればなるほど、賃下げの影響は破壊的である。
 06春闘への労働者の期待は大きい。「このままでは生きていけない」と大幅な賃上げを求めている。経営側も連合中央・御用幹部も、下手な対応をすれば完全にぶっ飛ばされる。06春闘はそのような階級的緊張、危機の中で闘われているのだ。
 ブルジョアジーは数年前から「春闘をなくす」と言ってきたが、なくせていない。これからもなくすことなど、できない。春闘は、依然として労資の階級的攻防の火点となっている。このことを06春闘は突き出している。
 連合の屈服状況の中で、全日空では8年ぶりにストライキが闘われ、115便が欠航した。動労千葉は安全運転闘争を闘い、大幅賃上げを要求して春闘ストを打ち抜いた。
 現在、中小民間の春闘が大手以上に激しく闘われている。ここ数年間の連合大会でも、賃上げ要求を放棄する大手労組に対して、中小の労組から「とろうがとれまいが、賃上げを要求せよ。資本と闘え」と強い批判が行われてきた。低賃金の中小零細の労働者は、春闘に自分たちの死活がかかっているからだ。
 全日建運輸連帯労組関西地区生コン支部や全国金属機械港合同を始めとする闘う労働組合と連帯し、大幅賃上げをめざして春闘を戦闘的に闘おう。

 首切りに加担する連合中央

 行政改革推進法案と市場化テスト法案の一体的攻撃をもって、国家・地方公務員に、国鉄分割・民営化をも超える大量首切り、賃下げ、労働強化、労組破壊が襲いかかろうとしている。経済同友会の提言では、地方公務員の総人件費を現在の3分の1削減せよなどと言っている。激しい攻撃は不可避である。そうしなければ延命できないほどに、日帝の財政危機、争闘戦における全面的敗北の危機は深刻化しているのである。日帝はこれから一層、労働者階級に一方的に犠牲を集中する以外にないのであり、階級闘争の激動的発展は完全に不可避である。
 こうした中で連合中央は1・19中執会議で公務員制度改革を受け入れ、改憲と国民投票法案に賛成していく裏切り方針を決定した。そして今や、政労協議の土俵にのっかって公務員首切り計画の策定に率先して加わろうとしている。政府とともに「雇用調整本部」(小泉を本部長とする首切り推進本部だ!)を設置して、現場労働者に退職を迫る先兵の役割を果たそうとしているのだ。
 連合中央が資本家の手先となって延命しようとしても、労働者の怒りと闘いがその反労働者的な制動をぶち破って爆発していくことは確実である。労働者の生活と権利、階級的団結を守るための闘いは、同時に改憲阻止、戦争国家化粉砕の闘いそのものだ。1・19連合中執決定を粉砕し、4大産別決戦と改憲阻止闘争の大爆発をかちとろう。

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週刊『前進』(2243号2面3)(2006/04/24)

 4・10〜14 民主労総が循環スト 非正規悪法阻止に立つ

 韓国・民主労総(全国民主労働組合総連盟)は、ノムヒョン政権・ヨルリンウリ党と野党ハンナラ党が非正規職関連法案を必ず4月中に処理すると公言している中、これと真っ向から対決する4・10〜14全国循環ゼネスト闘争に突入した。
(写真 循環スト3日目を担った公共連盟【4月12日 ソウル】)

 初日10日、全国教職員労働組合(全教組)、公務員労組、教授労組、非正規教授労組、大学労組、言論労組などがストを行った。これを皮切りに連日、各連盟別の循環ストを続け、国会・法制司法委員会での非正規法案の審議が予定される14日には金属産業連盟がゼネストで闘う。続く15日にはソウルの大学路(テハクノ)で「非正規改悪案強行処理・韓米FTA阻止!全国労働者大会」を開催する。
 教員評価制と闘う新執行部のもとでストを闘った全教組は、非正規職闘争を積極的に担うことを宣言し、10〜21日まで非正規法案の共同授業を全国的に実施することを明らかにした。
 また、公務員労組も「政府は総額人件費制により公共部門の民営化を加速させ、公務員の非正規職化を急速に拡大し、公務員労働者の生活をさらに疲弊させている。今回、ストライキの正当性についての組合員教育から始め、対国民宣伝戦を強化して地域本部別民主労総集会に積極的に参加する」と声明した。
 スト2日目の11日、コーロン争議を闘う化学繊維連盟、建設連盟、女性連盟、IT連盟などがストライキを闘った。約千人が集まった国会前決意大会には、4月6日から無期限ストを闘っている建設連盟傘下のダンプ連帯の労働者がヘルメット姿で大挙登場した。キムグムチョル議長は「ダンプ労働者は法の死角地帯でかろうじて暮らしてきた。特殊雇用労働者の労働基本権保障をかちとるために闘う」と宣言した。貨物連帯と同様、ダンプ連帯の労働者たちも法的にはダンプ車両を所持する「一人親方」として、「労働者」の名前すら奪われたままだ。
 大会後、ヨルリンウリ党抗議デモに出発、ソウルのウリ党の建物前で糾弾集会が開かれた。民主労総ソウル本部のコジョンファン本部長が大会辞を行い、「ウリ党が非正規職保護法だと言って国会を通過させようとしている法は非正規職労働者たちを完全に奴隷にして量産するものだ。民主労働党のタンビョンホ議員が彼らのウソを暴いた。労働部が依頼した調査でも、賃金が上がらず正規職にもならないという事実が確認されたのだ。労働者はこれ以上退くことはできない。腐り果てた政権と資本に対抗して闘おう」と訴えた。労働者たちは最後にウリ党舎に向かって卵を投げ、この日の抗議闘争を終えた。
 ゼネスト3日目の12日、公共連盟が循環ストを引き継いだ。ソウルなど7地域で全加盟労組が参加する総会闘争として「非正規改悪立法阻止と非正規権利保障立法をかちとるための公共連盟決意大会」が開かれた。
 この場には、鉄道公共性強化と構造調整中断などを要求して3月ゼネストを闘い、3〜4月闘争を牽引(けんいん)していた全国鉄道労組の組合員も結集した。3月1日からスト継続中のKTX乗務支部の女性労働者たちは、鉄道公社ソウル本部ビルで正規職化を要求して座り込んで1カ月余。ソウル電気支部も、現場復帰後の不当懲戒撤回を掲げて同ビル前でテント座り込み中だ。6日には、鉄道労組ソウル本部のキムジョンミン本部長が「懲戒撤回とKTX女性乗務員の直接雇用、構造調整中断」を要求して同ビル屋上を占拠・籠城(ろうじょう)を始めた。鉄道労組のこの闘いが、ノムヒョン政権の激しい労働弾圧と闘う非正規職闘争全体の戦闘意志を高めている。
 同日午前9時、女性連盟傘下で闘う都市鉄道と地下鉄の清掃外注労働者たちが無制限全面ストライキに入った。都市鉄道公社はほとんどが60歳前後の清掃外注労働者1381人の雇用継承を拒否し、新たに50歳定年を設けて労組破壊に出てきたのだ。
 13日には保険医療労組、民間サービス連盟、事務金融連盟などが循環ストを主導、さらに14日には金属産業連盟13万人がゼネストに入る。長期争議労組では激烈な攻防が続いている。
 非正規悪法阻止へ、闘う民主労総と連帯しよう。全世界で労働者人民の闘いが高揚している。日本の地で4大産別決戦を前進させよう。
(写真  「特殊雇用労働者の労働基本権を保障せよ」と無期限ストで闘うダンプ連帯【4月11日 ソウル】 )

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週刊『前進』(2243号3面1)(2006/04/24)

 反合・運転保安春闘の教訓

 動労千葉 田中委員長に聞く

 困難と闘う団結を形成 安全運転闘争と3波のスト貫く

 動労千葉はこの3月、安全運転闘争と旅客全面ストを軸とした3波のストライキを反合・運転保安春闘として闘いぬいた。昨年の安全運転闘争に続くこの闘いがどのように実現されたのか、そして今後の課題は何かを、動労千葉の田中康宏委員長にうかがった。(聞き手/本紙・長沢典久)

 1年かけ議論して再度の闘いに突入

 ――昨年の安全運転闘争に対しては本部執行部への厳重注意処分が出されました。今年も同様の動きはありますか。
 4日から組合員に対する当局の事情聴取が始まり、12日から処分の通告が強行されています。戒告と昇給カットを含む不当処分です。金輪際、安全運転闘争をやらせない、安全問題を労働組合の闘いの課題にさせないという攻撃です。
 東労組は完全に御用組合、鉄産労もそうだし、国労まで取り込んでいる。安全問題について労働組合から声を上げさせない体制を取ったわけです。そこに動労千葉が、小さな組織にもかかわらず闘いを始めて社会的な問題に押し上げた。
 去年の安全運転行動に対しては、尼崎事故、レール破断の続発という現実の中で、厳重注意の処分しか出せなかった。大山鳴動してネズミ一匹です。
 今回の闘いに対して当局は、「もう許せない」という憎しみのまなざしで見ているということです。現場の組合員に動揺はありません。しかし、これからが勝負です。ここで負けたらなめられる。意気軒高と団結を固めて、この攻撃に立ち向かわなければいけない。
 ――安全運転闘争に立ち上がるまで、何度も討論を重ねたそうですね。
 安全運転闘争は、レール破断が起き始めてから3年にまたがる闘争になります。そこに去年の尼崎事故が起きて、JRの安全がここまで危機に瀕しているという形で分割・民営化の大失敗があらわになった。
 こうした矛盾の噴出を封印するためには、結局、労働組合をつぶすしかない。これと闘わなければ、反合・運転保安闘争という団結の中心をなす動労千葉の根本を失うことになる。
 われわれもこの闘いは非和解的なものになると考えていた。安全の問題は、当局にとっては一番の弱点です。そこを突くのだから、向こうは「動労千葉をたたきつぶせ」となるに決まっている。
 当局は毎日の点呼で「安全運転闘争は運行管理権を奪う違法争議だ」「組合の方針に従ったら処分だ」と恫喝を加え、乗務すれば監視し、職場に帰れば「会社の命令に服せ」という警告文が張ってある。
 動労千葉の組合員は、国鉄分割・民営化の時に首をかけて闘い、その後も闘い続けているから、ある意味で処分なんて恐ろしくないという強さは持っています。しかし運転士は、職能的に列車を遅らせることに抵抗感を持っている。運転士は、あらゆる責任を一身に背負わされている仕事です。だから、一番嫌なのは監視されることなんです。
 しかも、乗務自体がものすごくきつくなっている。猛烈なスピードアップの中で、徹底的に締め付けがやられています。実際、できもしない基本動作が設定されている。8秒や9秒に1回、指差喚呼をしなければいけないようなことを強制されて、それが処分の対象になる。下手をすれば「お前は乗務不適格だ」とやられるわけです。
 だから、正直に言って「安全運転闘争はもう勘弁してほしい」という声も現場から上がって、1年がかりでかんかんがくがくの議論をしてきました。その議論があったから、今度の闘争が貫徹できた。
 現場で団結し、資本の攻撃に屈せず闘うことが一番困難で、敵の攻撃もここに集中する。労働運動の歴史を見ても、ここで本気になって対決して打ち破れないと、労働組合はどんどん変質していく。ここで対決できなかったら、労働者の団結を維持して連帯を広げ、資本や国家権力と対決するなんてできるはずがない。絶対にその困難さを避けてはいけない。それが今度の闘争でも問われました。
 この1年間、「反合・運転保安闘争を放棄したら動労千葉が動労千葉でなくなるということだ」「明日はわが身なんだ」「安全を守るためにわれわれにできることは、スピードを落とすことしかない」と組合員に訴え続けてきました。
 去年は、尼崎事故の衝撃の中で闘いが始まりました。当初は、107人の命が失われているわけですから、その衝撃と怒りだけで闘えた。だけど、それだけでは展望が出てこない。この闘争がどういう意味を持つのか、敵にどう打撃を与えているのか、どういう波及力を持つのか、現場の組合員の困難さはいったいどこにあるのか、この1年で非常に鮮明になったと感じています。現場と正面から向き合って激論していくことが非常に重要です。
 ――そうした過程を経て再び安全運転闘争に立ち上がったのですね。
 運転保安確立の闘いは365日の闘いにならざるを得ない。しかし、年がら年中ストライキをやることはできない。今のJR資本との関係は、ストを構えて要求をぶつけて、その場で解決するというものではありません。そうなると、安全運転闘争を日常的に展開できるか否かが問われる。
 安全運転闘争は、誰が見てもこれ以外にない方針です。あとは、闘いの困難さに立ち向かう団結をつくることができるか否かです。その意味では動労千葉の組合員は大したものです。「監視されるのだけは嫌だ」と言いながら、やはり闘争を貫徹するわけです。

 労組として絶対に譲れない原点

 尼崎事故も羽越線事故もレール破断も、直接的な原因は違います。けれども個々の原因だけ見ていたら、それへの直接的な対策しか出てこない。それでは闘いになりません。事故問題に対しても階級的視点が必要です。個々の問題としてとらえると、絶対に危機感は生まれてこないし、闘争にならないんです。
 そもそも資本主義社会で、資本は直接利益を生まないところには投資しない、切り捨てていくに決まっている。その最たるものが安全です。何よりも国鉄分割・民営化が安全の崩壊を生み出している。
 大事故が資本によってもたらされたことはもちろんですが、労働組合が団結を解体されて抵抗力を失った結果、安全の崩壊が起きている。だから今回の闘いは、労働組合として絶対に譲れない、存在価値をかけた闘争でした。
 国労は1月28日の中央委員会で、「究極の安全をめざす安全重視の企業文化の構築を」という方針を掲げた。これは「ニューフロンティア2008」で会社が掲げたスローガンと一字一句同じです。完全に意図してやっている。
 そんな現実の中で、闘いによってJRに強制する以外、安全を守るいかなる道もないというところに動労千葉は立ちきった。それが反合・運転保安闘争の核心です。
 反合闘争は資本の本質と真正面から衝突する闘いになる。合理化をやめたら資本主義ではなくなります。ここと正面から闘わない限り、労働組合は屈服して腐っていく。その反合・運転保安闘争の原点に返って、組合員が「これだけはおれたちの誇りにできる闘争だ」と言える闘いにしなければいけない。国鉄分割・民営化の時に首をかけてストライキに立つことができたのは、「反合・運転保安闘争をやってきた労働組合がおれたちの動労千葉だ」という思いがあったからです。今回の闘争の成果を踏まえて、もう一回、徹底的に議論し、JR体制下で反合・運転保安闘争を復権したいと思っています。

 検修外注化阻止が今につながる

 ――検修部門の外注化を阻んできた数年来の闘いが、今回の闘争の基盤になったのではないでしょうか。
 動労千葉は、業務の全面的な外注化攻撃と真正面から闘ってきました。具体的には、外注化と抱き合わせになったシニア協定の締結を拒否したわけです。定年を迎える組合員が再雇用されなくなるわけですから、その組合員と「こんな協定を結んで職場を売り渡したら動労千葉の団結はつぶされる。これはのめないんだ」という議論をとことんした。「この年になって動労千葉を脱退するなんて思ってもみなかった」と言って涙を流して脱退していった人もいたし、「分かった」と言って頑張ってくれた人もいた。そういう議論を3年ぐらいやりました。
 労働組合は譲っちゃいけないところで譲ったら絶対に腐ってつぶれるんだということを、60歳以上の雇用問題をかけて議論した。それを真剣にやってきたことが今につながっています。
 その結果、外注先に労働者を確保できなくなり、検修部門の外注化を千葉だけは阻止しています。分割・民営化の過程で外注していたものも直営に戻さざるをえなくなった。それが強制配転者の検修区への復帰にも結びつき、職場の活性化を生み出しました。
 今回の攻撃は、幕張電車区の業務の3分の1を移管するというもので、引くに引けない関係にあった。これと徹底的に闘った幕張支部には、すごい勝利感がある。役員だけでなく組合員全体が、平成採に「うちに来いよ」と声をかけるようになっています。

 階級的労働運動が世界で台頭してる

 ――そうした闘いの中で国際連帯の闘いも広がりました。
 この闘いが予期もしない形で国際的に注目されたわけです。国鉄分割・民営化に首をかけてストライキで立ち上がり、今も激しい攻撃を受けながら団結を維持して民営化体制を打倒するために闘い続けていること、労働運動の再生をめざしてひるまずに頑張っていることが、注目されたのだと思います。
 今、世界全体の階級闘争が激しく変化しています。特にイラク戦争以降です。世界で膨大な労働者が怒りの声を上げ始めています。フランスでも「革命、革命」と言いながら若者がデモをしている。学生は全大学で決起し、労働者はストライキに入っている。
 リストラとか民営化・規制緩和とか、資本と国家の延命をかけて労働者を虫けらのように犠牲にする攻撃が吹き荒れています。それは文字どおり労働者に対する階級戦争になっている。これと表裏一体で、日本を「戦争をする国」へと変えるために、憲法改悪や教育基本法改悪に向けた攻撃が激しく進められている。
 こうしたことへの怒りです。もう我慢ができなくなっている。アメリカでも韓国でもそうですが、階級的な労働運動が台頭する時代が来ていると感じます。
 日本でも闘いの芽は沖縄や岩国などで出てきている。「日の丸・君が代」闘争もそうです。動労千葉の安全運転闘争に対して、かつてないほど支持の声が寄せられる。しかもその多くが、「労働運動がだめになった時代にこういう労働組合があったんですか」というものです。組合幹部は腐っているけれど、労働組合に期待している。労働組合は生まれ変わってほしいという思いが、圧倒的多数の労働者の本当の思いじゃないか。ちょっと火をつければそういうものが噴き出してくる情勢です。必要なのは、ここに結集しようという中心軸と展望です。
(写真 3日間の旅客全面ストに突入した3月16日、動労干葉はスト貫徹総決起集会を開き団結を固めた【干葉市民会館】)

 労働力再生産できない資本主義

 こうした状況の中での06春闘は、貨物会社は7年連続のベアゼロ、東日本は600円のわずかばかりの賃金改善でごまかす形になりました。今度の春闘で、結局すべては労働者をいかに支配するのかをめぐって動いていることがはっきりした。だから、ふざけきった金額だけれどもベアをせざるをえなかった。これをやらなかったら労働者の反乱が始まってしまう。
 年収200万円以下だとか給食費も払えないという現実。少子高齢化だって、一番大きなのは経済的理由。文字どおり労働力が再生産されないところまで来ています。これはもう資本主義社会として崩壊です。
 まさにこういう現実をとおして、労働者がマルクス主義を一気に理解する情勢に来ていると思います。

 1047名の当該こそ全面に立つべきだ

 ――1047名の解雇撤回闘争も重大な局面に来ています。
 そもそも1047名闘争は、国鉄分割・民営化政策、JR体制と対決する闘争です。一方で1047名の不当解雇という形で国家的不当労働行為の犯罪が問われている。もう一方で安全の危機という形で分割・民営化の矛盾が噴出している。これを一つのものとして現場から闘わなかったら、1047名の解雇撤回だってできるはずがない。
 けれども、現実にはずっと動労千葉排除の策動がある。そういう状況で1047名が大同団結できたのは、動労千葉の闘いの正当性が背景にあるからだと思います。しかしその正当性を否定できなくなればなるほど、権力や資本がそれをつぶそうとするだけではなくて、闘いの中からも排除の動きが生まれてくる。自分が何をやっているのかが問われるわけだから。
 4・4全国集会は4600人が集まって大きくは成功した。けれども何か欠けているものがある。昨年の7・15集会は学者が接着剤になって1047名が団結した。ここに多くの労働者が展望を見いだした。2・16は当事者の1047名が初めて団結して呼びかける画期的な集会になった。4・4は、その流れから言えば、当事者が先頭に立って「自分たちはこう闘うから一緒に闘おう」と全国の労働者に訴える場にしなければならなかったんです。
 しかし、国労本部を前面に押し立てて政府を政治解決の場に引き出そうという策動だとか、全労連の露骨な動労千葉排除の策動が渦巻く中で、集会参加を呼びかけられても、参加する労働者は「どうせ政治解決の後押しに利用されるだけでしょ」という雰囲気になってしまう。だから損している。もし仮に1047名の当該が前面に立って呼びかけたら倍は集まっている。それが一番の問題だったのではないかと思います。
 今の階級関係の中で政治解決などありえないことはもちろんですが、政治解決路線の一番悪いところは、これでは「一緒に闘おう」という部隊は絶対に形成されないということです。
 4党合意の問題をめぐって国労も闘争団も支援勢力も分裂した。国労本部が「リセットした」と言ったって、そんなに簡単に済む問題ではない。5・27臨大闘争弾圧の問題もある。1047名の「団結」を政治的に利用しようとしても、政府だって鉄建公団だってよく見ている。「攻めていけばまた中がガタガタになるだろう」と敵の側がなるのは当然です。
 なんで解雇された当事者が前面に立って、そのもとに団結しようとならないのか。1047名闘争は1047名を抜きにはできないんだから、もっと真剣にならなければいけない。

 尼崎事故1周年の4・24集会へ

  ――尼崎事故から1年目の4月24日の集会は重要な位置にありますね。
 この集会も含めて06反合・運転保安春闘と位置づけています。不当処分を弾劾し、新たな闘いの決意を打ち固める場としても、集会の意味は計画した当初より大きくなった。また、4月6日には幕張車両センターの構内で重大事故が起きています。電車区などの構内は安全が置き去りにされ、放置され続けてきた。ATSすら設置されていない。保安設備がまったくない状態です。それが事故の原因です。われわれは、当該運転士への事故責任の転嫁を許さない闘いを直ちに始める決意です。
 今は、一方で大変な困難、一方で非常に可能性があるという情勢です。そうであればあるほど、もう一回、原点に返って団結を強化する闘いをやりぬき、周りにも訴えて、今年の11月集会を文字どおり1万人の集会にするため全力で打って出たいと考えています。

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尼崎事故1周年民営化・規制緩和と闘う

4・24労働者総決起集会

4月24日(月)18時30分〜
千葉市民会館地下ホール 
(JR千葉駅徒歩7分、東千葉駅徒歩3分)
主催/国鉄千葉動力車労働組合
▼航空の安全を問う
 村中哲也氏(航空労組連絡会前副議長)
▼コンクリート建造物の安全性を問う
 城野正浩氏(全日建運輸連帯労組関西地区生コン
支部執行委員) 
▼アスベスト災禍と闘う
 小貫幸男氏(日本板硝子共闘労組・本部書記長)
▼JRの事故現場から
 安田浩一氏(ジャーナリスト)
▼尼崎、羽越線事故と反合・運転保安闘争
 田中康宏氏(国鉄千葉動力車労働組合委員長)

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週刊『前進』(2243号3面2)(2006/04/24)

“欠員状態解消せよ” 動労西日本 吹田機関区でスト敢行

 動労西日本は、動労総連合統一行動の一環として、JR貨物・吹田機関区で3月25日午後4時から翌26日までの乗務員ストライキを貫徹した。
 3月16日の広島・五日市駅でのストライキ(2240号既報)に続く動労西日本の第2波ストは、「第2の尼崎、羽越線、伯備線事故を許すな!」のスローガンのもと、「安全を脅かす乗務員の欠員状態を早急に解消せよ」を最大の要求に掲げて闘いぬかれた。
 JR貨物会社は、赤字を理由に発足当初から数年間、新規採用を凍結し、乗務員や検修係などの養成体系を崩壊させてきた。その結果、とりわけ関西地区の欠員は深刻な状況になっている。会社自身が決めた基準要員数を大幅に下回ったまま、列車を運行しているのが実態だ。それでも列車が止まらないのは、年休抑制や休日出勤を労働者に強制しているからだ。
 「もうへとへとだ。このままでは事故が起こる」という切実な現場の声が上がっている。しかしJR貨物関西支社は、3月23日の動労西日本との団交で「欠員と事故に因果関係はない」と言い放った。しかも、安全対策を問われて「添乗、定点観測、乗り継ぎ詰所における激励」と返答した。これは、背面監視を強化したということではないか!
 現場労働者の切実な悲鳴を無視して列車運行のみ優先するJR貨物会社の態度は、尼崎事故を引き起こしたJR西日本会社とそっくり同じだ。
 JR貨物は22日、賃上げ要求に対しても7年連続のベアゼロ回答を出してきた。これをも徹底弾劾してストライキは貫かれた。
 動労西日本の2波のストに、現場労働者から共感の声、支持の声が大きく寄せられている。動労総連合の反合・運転保安路線は仲間の心をとらえ出している。この闘いは、新たな労働運動の潮流形成へ確実な一歩を踏み出すものとなった。
(写真 動労西日本はJ R貨物・吹田機関区前で集会を開き、第2波スト突入を宣言した【3月25日】)

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週刊『前進』(2243号3面3)(2006/04/24)

世界の労働運動 イギリス

 地方公務員150万人がスト

 80年ぶりの規模に 年金制度改悪に怒り

  年金支給年齢を65歳に引き上げ

 フランスで300万人の学生・労働者が初期雇用契約(CPE)撤回を要求してデモ・ストに立ち上がった3月28日、イギリスでも全国でUNISON(公務部門労組)、T&G(運輸一般労組)、GMB(全国都市一般労組)など11労組、150万人(ロンドンでは15万人)の地方公務員労働者が地方公務員年金制度改悪に反対して24時間ストライキに決起した。ストは1926年のゼネスト以来の規模になった。
 ストは、25年間勤めて60歳で退職しても(勤続年数と年齢を足して85年になれば)年金を満額受け取れる「85年ルール」を廃止し、民間同様に65歳まで働かなければ年金を満額受け取れないようにする政府提案に反対して闘われた。
 政府は85年ルールが「厚遇」だという。しかし国家公務員、国家医療制度(NHS)の職員、教員、警察官、軍隊は60歳定年退職で年金を満額支給される。85年ルールが廃止されると、60歳退職の地方公務員が受け取る年金は男性が33%、女性が27%も減らされる。85年ルール廃止は地方公務員への差別だ。
 この85年ルールは1998年に導入された。地方公務員の3分の1がこのルールを利用している。それが10年もたたずして廃止されようとしている。
 85年ルールを維持するには、「年金支払い額を20年間にわたって50億―60億ポンド(約1000億―1200億円)増やさなくてはならない」(政府)とか、「2%の地方税増税が必要」(地方政府協会)と脅す。また政府は「地方公務員の定年は65歳」「EUが年齢差別を禁止している」と廃止の理由を挙げる。
 政府は2003年に85年ルール廃止を示唆した。2004年、地方公務員制度は270億ポンドの赤字を記録した。政府は昨年初めに85年ルール廃止を提案したが、総選挙前に地方公務員労組が大規模ストを構えると引っ込めた。ところが、総選挙に勝ったブレア労働党の政府は昨年12月、卑劣にも再び85年ルール廃止を打ち出してきたのだ。
(写真 3月28日、イギリス全土の地方公務員労働者が24時間ストを闘う中、スコットランドの工ジンバラでデモ)

 全国で自治体の業務がストップ

 自治体労働者の怒りの行動で多くの自治体業務が止まった。労働者は冷たい雨が降る中でピケットを守った。全国で数千校、ロンドンでは半数近くの学校が閉鎖された。役所、図書館、大学、保育園、コミュニティーセンター、デイケアセンター、レジャー・スポーツ施設、墓場、バス・地下鉄などの公共交通機関、トンネル、フェリー、駐車場も閉鎖され、消防・救急も止まった。同時に全国各地でデモが行われた。
 スト参加者の4分の3が女性労働者だ。低賃金の女性労働者は年金制度改悪への怒りがより強い。
 労働者は、役所や公共施設の前で夜明け前からピケットを張り、出入りの清掃・郵便労働者らを説得してラインを越えさせず、深夜までピケットを守り続けた。警察署内の労働者もピケットを張り、署の出入りを不可能にした。他産別の労組や住民、ローカル・メディアがストを支持した。
 UNISONのプレンティス書記長はストと要求の正当性を主張し、政府を弾劾した。「組合員は真剣な討論でストライキを決定した。組合員は利己主義ではない。またなんら弁解しない。彼らは働いた分に見合う年金支給を要求しているだけだ」「他の公務員と同じように6%の保険料を払いながら、どうして受給を差別されるのか。ストライキは、年金を受ける権利を奪おうとする政府・雇用主に対する地方公務員の怒りと憤慨の表現であり、残された唯一の闘争手段だ」
 スト参加労働者は「われわれは住民にとって不可欠の業務を行っている労働者だ。他の労働者と同じように年金を受け取る権利がある」「団結して闘った時の強さを示した」と誇りをもって語っている。

 4月25―27日に波状ストライキ

 組合側は、85年ルールの新規採用者のみへの適用を提案して譲歩の姿勢を示した。しかし3月30日、政府は「欧州連合の法律に合致するよう10月1日から85年ルールを廃止する」と提案してきた。プレンティス書記長は「これは挑発であり、未成熟であり、不必要だ。提案は組合員の怒りを倍加させるだけだ」と怒りをもってはねつけた。
 UNISONは4月25日にロンドンなどイギリス南部で、26日にスコットランド、ウェールズ、北アイルランドで、27日に北部で行動を起こす方針だ。イギリスの労働者もフランスに続こうとしている。
 (藤沢明彦)

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週刊『前進』(2243号4面1)(2006/04/24)

 法政大学 退学処分を絶対阻止せよ

  改憲阻止決戦の先端の攻防

 法政大学の平林総長は、3・14法大弾圧で不当逮捕され、不起訴で釈放された法大生に対して退学処分を狙い、4月19日の文学部教授会で不当処分を決定しようとしている。今週が退学処分決定阻止の大決戦だ。
 法大では、釈放された法大生が、自宅謹慎命令と対決しながら、3・14弾圧の不当性を訴え、自宅謹慎命令の撤回と退学処分粉砕の闘いに立ちあがっている。この理不尽な攻撃に対して不当処分反対署名が続々と集まっている。3・14弾圧を粉砕した力を上回る怒りと反発力を今こそ爆発させ、全国から「不当処分するな」の怒りの声を法大当局に集中しよう。
 そもそも、釈放された法大生に自宅謹慎を命じることなど絶対に許されない。自宅謹慎は学則にも書かれていない。平林総長が超法規的にやっていることだ。この点を突っ込まれた安東学生部長は「自宅謹慎は、学則に基づいたものではないが教育権に基づいた教育的指導だ。総長なら命じることができる」と言っている。絶対に許せない。総長ならば学則にもないことを命じることができるのか。まさに独裁者だ。平林総長が教育的指導だと。ふざけるな。平林こそ警察と結託して、29人を逮捕させた権力犯罪を全面的に明らかにして29人に謝罪すべきなのだ。平林に教育を語る資格などまったくない。
 しかも、釈放された法大生が「自宅謹慎命令が出された3月24日は、まだ警察の留置所にいた。自宅謹慎などできない状態だった」と言うと、安東学生部長は「留置所も自宅と言うことができる。反省して欲しいということだ」と言い放った。法大当局には法も論理も関係ない。しかも、3月末の段階で29人の学生の不起訴処分が確定している(釈放時は処分保留)。あらゆる意味で、法大当局が処分を加える根拠は崩壊しているのだ。
 さらに重大なことが起きている。法大当局は、釈放された法大生が4月8日に「3・14法大弾圧報告集会」を開催しようとしたことに対して、教室を貸さないと通告し、当日はカギを締め、廊下をテープで封鎖する暴挙に出た。安東学生部長は「主催団体である3・14法大弾圧を許さない法大生の会は、自宅謹慎中の学生が中心になっているから教室を貸さない」と言うのだ。絶対に許せない。これほどあからさまな集会破壊があるか。3・14法大弾圧に続く、言論・表現の自由の圧殺であり、集会の自由の圧殺だ。
 法大当局は、3・14法大弾圧が警察権力と結託して29人を計画的に逮捕させた権力犯罪であることが暴かれることに恐怖しているのだ。怒りに燃える法大生は、3・14法大弾圧で弁護活動を行った浅野史生弁護士とともに、法大当局の敵対を粉砕して、集まった労働者や学生とともに、3・14法大弾圧について議論し、自宅謹慎命令撤回・退学処分阻止の闘いに立ち上がることを確認した。
 法政大学で起きていることは、改憲後の社会そのものだ。反戦を訴える立て看板は禁止、立て看板の撤去に抗議したら逮捕、不起訴で釈放されても学則にない自宅謹慎を命令、弾圧に抗議する集会には教室を貸さない――まさに改憲決戦の最先端の攻防になっている。ここでかち抜くのかどうかが問われている。日帝・小泉政権は、憲法改悪に向かって、反戦勢力を大学や職場から徹底的に一掃しようとしているのだ。
 不起訴で釈放されても退学処分が強行されたらどうなるのか。反戦デモなどで不当逮捕された場合、たとえ釈放されても大学生は退学、労働者は解雇されるということだ。法大弾圧攻防に絶対に勝利しなければならない。
 弾圧すればするほど、労働者や学生が立ち上がる。その始まりを示したのが3・14法大弾圧に対する嵐のような反撃であり、29人の完全黙秘・非転向での全員釈放だ。
 法大弾圧をめぐる攻防はまだ終わっていない。むしろこれからだ。平林総長による退学処分攻撃を粉砕し、逆に法大生の怒りの総決起をつくりだそう。革命的共産主義運動とともに営々と闘われてきた法大学生運動の歴史と伝統を今こそ全面的に復権させ、平林・安東体制を打倒しよう。法政大を先頭に、全国300万学生の改憲阻止ゼネストに突き進もう。

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週刊『前進』(2243号4面2)(2006/04/24)

 共謀罪4月審議入り許すな

 思想を弾圧し団結を解体して 戦争国家化狙う治安法

 小泉政権は3月30日、入管法改悪案を衆院通過させ、3月31日から代用監獄法案の審議に入った。さらに、4〜6月の後半国会で行政改革推進法案、医療制度改革法案、教育基本法改悪法案と憲法改正国民投票法案を強行しようとしている。そして一切の治安の要(かなめ)として共謀罪法案の再審議と採決強行を画策している。いよいよ小泉の戦争のできる国づくり・改憲攻撃との一大決戦が訪れた。労働者階級の決起で共謀罪法案を葬ろう。

 「上からのクーデター」攻撃

 2月14日の与党修正案提示で強行しようとした共謀罪の3月再審議と採決強行を阻んだとはいえ、連休前の4月末からの審議入りが執拗(しつよう)に画策されている。いつ審議入りしてもおかしくない局面に完全に突入した。
 さらに、4月中に教育基本法改悪案、連休明けにも国民投票法案が国会に提出される緊迫した情勢に突入した。国民投票法案は改憲に直結する攻撃だ。昨年11月に出た自民党の新憲法草案に沿って国家改造をやろうとしているのである。しかも、憲法改正草案ではなく、新憲法草案と言っているように、まったく新しい憲法をつくろうとしている。これは上からのクーデターに等しい。
 この上からのクーデターの武器が共謀罪と国民投票法案である。日本帝国主義は、改憲の過程を平和的・調和的なものとして想定していない。共謀罪と国民投票法案で狙っているのは、労働者人民の政治的決起の手段を一切奪い、思想・表現の自由も奪って、現象的にはあたかも「圧倒的な賛成」で改憲が実現されたという状態だ。治安法と治安機構を総動員して事実上の戒厳令下におき、改憲クーデターを実行すると同時に、改憲後の国家の実体をつくる攻撃なのだ。戦後日本の階級闘争の大転換期の予防反革命として登場しているのが究極の治安立法である共謀罪なのである。

 国民投票法案粉砕と一体で

 明らかに、革命か反革命かの力の決戦となっている。すでに、3月14日の法政大弾圧は共謀罪型の一網打尽型の弾圧として仕掛けられている。しかし、こうした攻撃も、大衆的反撃と完黙・非転向の闘いで決定的にうち破れることをあらためて確認しよう。逆にこの決戦に労働者階級こそが攻勢をとり、日帝の危機を拡大し、革命のチャンスに転化していこう。
 自民党の新憲法草案は、天皇制維持と9条2項の解体を主軸に、戦後憲法の9条と並ぶもう一つの核心であった基本的人権の解体を目指すものである。現憲法でも「公共の福祉」が人権を制約するために使われているが、「新憲法」草案では、人権条項に「公益および公の秩序」をかぶせて、公益=国益のもとに従属させ、「公の秩序」=治安維持で制約する。「基本権としての自由」を国益=天皇制と治安のもとに取り込み、制限するのだ。ここには国家と警察に許される自由しかない。
 ブルジョア的自由すら許さないという新憲法草案に表れた日帝の階級意志は、共謀罪の思想・団結禁止の究極の治安立法として表れているだけでなく、国民投票法案の中にも貫徹され、反革命的に武装された国家の刑罰権と警察力の全面発動を可能とするものとなっている。
 国民投票法案は、@公務員・教員の活動禁止、A外国人の活動禁止、Bマスコミ報道規制、C国民投票の自由妨害罪――などが規定され、罰則は最高7年の懲役となっている。国民投票法という名前に幻惑されてはならない。これは明らかに労働者階級の反撃を想定した治安法規である。これに、4年以上の罪にあたる619の罪に問われる共謀罪が成立すると、労働組合・市民団体・報道機関の企画段階や相談の段階で警察の弾圧が入る。思想・団結禁止の共謀罪の本領が一気に発揮されることとなる。改憲への反対・批判の声をあげるあらゆる手段を奪った上で、箝口(かんこう)令を敷いて国民を投票所に行かせるようなものなのだ。

 治安管理・監視社会と対決を

 90年代後半から重大な治安立法が次々と国会に提出され成立してきた。組織的犯罪対策法(盗聴法)制定、国民総背番号制の導入を決めた住民基本台帳法改悪、団体規制法、カンパ禁止法(テロ資金供与防止条約)、保安処分新法、警察法改悪、監獄法改悪などである。
 同時に、03〜04年にかけて弁護士自治破壊と裁判員制度の導入を決めた司法改悪関連法が強行された。そして現刑法ができて以来最大級といわれる刑法(最高有期刑の30年への引き上げなど)改悪が行われた。戦時体制に対応する本格的な警察国家化と言ってよい。
 この治安立法化と対応して、警察力の拡充と弾圧の激化がある。小泉構造改革の中でも、現在26万人体制の警察と入管職員については唯一人員を増強している。
 99年の後半から警察の汚職・殺人・強盗・強姦・傷害・窃盗事件などが暴かれた。警察は、刷新をうたって、その後の4年間で1万数千人の警察官増強を進め、ハイテク化も行った。03年12月には3千人の警察官増強をうたった。
 そして04年3月31日には94年の生活安全課設立以来の警察法改悪が強行された。今年に入ってウィニーで流失した愛媛県警の資料の中身が暴露され、警察の裏金づくりが「捜査協力者」の協力費に充てられていたことが判明したように、これらはすべて、警察全体の公安型警察への変ぼうに結びついている。
 警察国家化社会は、ビスマルク時代のプロイセン、帝政時代のロシアにもあったし、戦前の日本の天皇制ボナパルティスト国家に典型的に見られた。その背景にあるのは、階級支配の恐るべき危機と階級対立の非和解的な激化・発展だ。資本主義・帝国主義の国家と社会が末期的な危機に陥っているということだ。そして労働者階級の闘いの発展に対する恐怖から、行政権力を肥大化させ、社会全体を警察主導に置くむき出しの予防反革命国家をつくりだそうとしているのだ。
 共謀罪は、これまでとはまったく異質なおとり捜査やスパイ政策、盗聴の拡大などの抜本的武器を警察に与えることによって、警察国家化社会を決定的に促進する。一網打尽型弾圧と超治安管理・監視社会が来るといっても過言ではない。

 労働者の決起で必ず廃案に

 治安攻撃とは、支配階級がその支配体制を維持するために被支配階級の反抗を抑圧する目的で制定する法規と体制である。その狙いは予防反革命にある。弾圧の担い手である公安警察も同じだ。その目的は選別的弾圧であるが、それ故、犯罪成立の境目をはっきりさせないデッチあげが多用される。手段は恒常的な監視と情報収集による「犯罪発生のおそれ」をもってする弾圧体系である。
 監視と情報収集は、戦前でいえば特高警察の張り込み・尾行とスパイの潜入である。今日では、この伝統的なスパイ潜入に加えて、街頭の監視カメラ・道路に張りめぐらされたNシステムなどのハイテク機能を使った、日常的な人民の動態把握である。
 共謀罪はこの予防反革命の目的と手段を体現し、しかも権力だけが使いやすいように仕組まれた治安法であり、「現代の治安維持法」と言われるに値する。しかも共謀罪は、実行行為以前の話や相談をもって罰するもので、18世紀以来の近代刑法の原理そのものを否定するものだ。
 現在の共謀共同正犯は、5・27国労臨大弾圧のようにそこに居ただけ、あるいは団体の構成員であるというだけで共謀を成立させようとしている。国会答弁でも同じ概念を共謀罪に適用すると言っている。共謀罪が労働組合など労働者階級の団結そのものに襲いかかる警察の武器になることは間違いない。
 排外主義と一体となった治安攻撃との闘いは労働者人民にとって、労働者解放に至る戦略的闘いであり、本格的に開始していかなければならない緊急焦眉の課題である。
 われわれの結論は、階級闘争の前進のために、労働者階級の団結を強化し、政治警察との死闘に勝利することである。改憲攻撃の露払いを実現しようとする共謀罪の新設を阻止し、政治警察の弾圧をうち破って、本格的な改憲決戦へ進んでいこう。労働者が決起すれば共謀罪は必ず阻止できる。4月決戦に全力で決起しよう。
〔立花 茂〕

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週刊『前進』(2243号4面3)(2006/04/24)

 つぶせ! 国民投票法案 改憲反対の運動と言論を圧殺

  インチキな修正協議/公務員・教員の運動禁止はそのまま

 憲法改正の国民投票法案の国会提出を許してはならない。5月連休後の法案提出へ向けて自公民3党の修正協議が進んでいる。国民投票法案は単なる手続き法ではなく、改憲反対の運動と言論を徹底的に鎮圧するところにその本質がある。教育基本法改悪法案、行革推進法案、医療制度改革法案、共謀罪新設法案などとともに絶対に廃案に追い込もう。

 5月法案提出へ協議を加速

 国民投票法案の国会提出へ向けた動きが加速している。自民党の憲法調査会は4月12日、国民投票法案の新たな素案をまとめた。これは04年12月に自民、公明両党が合意した与党案をもとに、民主党を交えた3党の非公式折衝で一致した点を新たに盛り込んだものだ。新素案ではメディア規制は削除され、国民投票までの期間についても「30日以後90日以内」から、民主党が主張する「60日以後180日以内」となった。この若干の「修正」で今国会提出の道筋をつけようとしているのだ。
 国民投票法案をめぐっては、昨年秋に設置された衆院の「日本国憲法に関する調査特別委員会」を舞台に、自公民の間で法案化に向けた「調整」が行われてきた。特別委員会はすでに7回を数え、ヨーロッパ各国の国民投票制度についての調査報告などが行われている。4月6日には国民投票法案に関する論点を発表した。3党協議を加速させ、議員立法の形で衆院に法案を提出しようとしている。民主党の新代表に就任した小沢一郎も「個人的には賛成だ。(通常国会で)作れるなら、作ればいい」と述べている。自公民の圧倒的多数での採決強行もありうる情勢に入っている。

 改憲反対運動の規制が目的

 国民投票法は、憲法改正手続きを規定する96条に基づき、衆参両院の3分の2以上の賛成によって国会が発議した改憲案を国民投票にかけるために必要な実施方法を定める法律である。この法案が改憲に直結することは言うまでもない。しかし、重大なことは、国民投票法案とは、改憲に反対する自由な政治活動に強権的に規制を加え、言論・表現の自由を奪い、警察権力の介入と統制で改憲阻止の運動を未然に鎮圧することに最大の狙いがある。
 具体的には、@公務員労働者、教員、在日外国人による国民投票運動を禁止する(重罰規定)、A虚偽報道、不正利用の禁止と称して、改憲に批判的な報道や言論を封じ込める、B国民投票の期日の設定や投票方法、結果の判定など改憲案に有利になるような仕組みになっている。(詳しくは憲法問題研究会編『つぶせ! 国民投票法案−狙いは戒厳令下の9条改憲だ』を参照して欲しい)
 結論的に言えば、この国民投票法案の核心問題は、改憲に反対する自治労や日教組などの公務員労働者、教育労働者が労働組合のもとで組織的に改憲反対運動を行うことを重罰で禁止し、改憲に反対、あるいは批判的な言論・表現を制限することにある。憲法改正の国民投票の手続きを定めることを利用して、改憲反対勢力を重罰と警察権力の介入で暴力的に粉砕しようとしているのだ。
 したがって「単なる手続き法である」とか「改憲論議とは別である」「国民投票で改憲案を否決する」という議論は、国民投票法案の反動性を著しく過小評価し、改憲攻撃に闘わずして屈するものである。むしろ、この法案にこそ改憲の正体、目的が的確に反映されている。改憲阻止の前哨戦ではなく、決戦本番として全力で闘わなければならない。

 メディアには自主規制要求

 しかし、この間の国会内外の論議はすべて、国民投票法案の核心部分が論点となることを回避し、一定の修正を装いながら、あくまで法案の目的を貫こうとしている。特に、衆院の憲法調査特別委員会で駆け引きされている修正協議は実に許し難い。
 憲法調査特別委員会は昨年11月に欧州各国の国民投票制度の調査を行った。しかし、国民投票制度のハードルを下げるという反動的意図とは裏腹に、欧州各国では国民投票運動についてはほとんどなんの規制もなく、政府の役割は投票率を上げるための事務的なものに限定されていることなどが指摘され、逆に日本の国民投票法案の反動性が際だつ結果となった。
 また、欧州において国民投票制度は過去に、ナチス・ドイツによるオーストリア併合に使われたり、ナポレオン3世やドゴールが国民投票を多用してきた歴史など、権力者が自分の独裁を正当化するための信任投票のような形で国民投票制度が使われることも指摘される結果となった。
 この欧州各国での調査を受けて、一定の慎重姿勢が出たが、実際に行われた修正協議はまったくインチキなものである。
 自民党は「与党案については固執しない」と柔軟姿勢を装いながら、最大の問題点である公務員、教員の国民投票運動の禁止は、あくまで貫いている。また、メディア規制も、原則自由と言いながら「自主規制」を要求し、報道の「公正さ」を保つための機関の設置を提唱している。
 この「自主規制」規定を盾に政府・与党がメディアに対して決定的なプレッシャーをかけることは明らかである。中川経産相、安倍幹事長代理(当時)の圧力で女性国際戦犯法廷をNHKが改ざんして放送した事件は記憶に新しい。「虚偽報道の疑い」「不正利用の疑い」と陰に陽にメディアに圧力が加えられるのは間違いない。

 修正はダメだ廃案以外ない

 他方で民主党は、「国民投票制度の整備は改憲に向けた準備ではない」と繰り返し、投票権者の18歳への引き下げや国民投票の対象を改憲以外に広げることなどを主張している。焦点をずらし、修正協議に応じている。これは連合が1月19日の中央執行委員会で、国民投票法案について「早急に民主党とも協議しながら具体的な対応を図っていく」としたことと完全に連動している。
 個別投票やメディア規制の削除などの一部修正で問題は解決しない。法案の核心は貫かれている。廃案以外にない。国民投票法案の凶暴性は裏を返せば、支配階級が何を恐れているかがハッキリする。改憲に対して多くの労働者は「日の丸・君が代」不起立のように闘う意欲がある。労働組合が労働者の闘う力を信頼して闘う方針を出すなら、必ずフランスの労学のような闘いができる。労働者が弾圧を恐れずに立った時に改憲攻撃は無力化する。日教組、自治労を先頭に改憲阻止へ闘おう。

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週刊『前進』(2243号4面4)(2006/04/24)

日誌'06 4月5日〜11日

 米で「イラン核空爆」の報道

 額賀と名護市長、V字案合意

●レーダーの高性能化など日米が合意 防衛庁は、弾道ミサイル防衛(MD)システムを構成するレーダーと戦闘指揮システムの高性能化に向け、米海軍省と共同研究を開始することで合意したと発表した。イージス艦への配備を想定して05年度から日米がそれぞれ単独で行っていた技術研究を踏まえたもので、07年度まで2年間の予定。研究成果を見極めて開発・生産段階に移行させる。(5日)
●米軍再編、審議官級協議が終了 在日米軍再編をめぐる日米外務・防衛当局の審議官級協議が4日から米国防総省で行われたが、焦点の在沖縄米海兵隊のグアム移転経費負担問題が決着しないまま、予定を1日繰り上げて終了した。13、14両日に東京であらためて協議する。(5日)
●工作員情報漏えい「大統領が許可」 米中央情報局(CIA)の工作員身元情報漏えい事件で偽証などの罪で起訴されたリビー前副大統領首席補佐官が、情報漏えいの許可をブッシュ大統領から得ていたと供述していることが明らかになった。AP通信が報じた。(6日)
●滑走路2本化で合意 沖縄県の普天間飛行場(宜野湾市)の移設をめぐり、防衛庁と移設先の名護市は、額賀防衛庁長官と名護市の島袋市長が会談し、日米両政府が昨年10月に合意していた同市辺野古崎への移設について、V字形に滑走路を2本造る計画に再修正することで基本合意した。政府は近く米側との合意を目指す米軍再編「最終報告」にこの計画を盛り込む。移設先の海面の埋め立て権限を持つ稲嶺知事は計画に反対する考えを示した。(7日)
●民主代表に小沢 民主党が両院議員総会を開き、送金メール問題で辞職した前原代表の後任に小沢一郎前副代表を選出した。(7日)
●新ミサイル艦、8月横須賀へ 在日米海軍司令部(神奈川県横須賀市)は、横須賀基地に、弾道ミサイル迎撃のための海上配備型ミサイルSM3を発射できる巡洋艦シャイローを8月に配備すると発表した。(7日)
●米に「イラン核空爆説」 米軍がイランの核関連施設を標的とした空爆作戦をひそかに検討していると、ニューヨーカー誌やワシントン・ポスト紙など複数のメディアが相次いで報じた。ブッシュ政権はイラン国内での秘密情報活動を強め、空爆作戦に向けた計画の立案作業に力を入れ、すでに工作員がイラン国内に潜入している。国防総省がホワイトハウスに提示した選択肢の中には、深い地下壕に隠された標的を破壊するため、戦術核を使用する案まで含まれている。(8日)
●滑走路1800b、工期8年 防衛庁と名護市が合意した米軍普天間飛行場移設のキャンプ・シュワブ新沿岸案について、守屋防衛事務次官は記者会見で、滑走路の長さについて「最大1800b、工期は8年」と述べた。(10日)
●米朝協議、困難に 北朝鮮の核問題に関する6者協議をめぐって、各国の首席代表が民間の国際会議に合わせ、東京に集まった。会議場内で米首席代表のヒル国務次官補と北朝鮮首席代表の金桂冠(キムゲグァン)外務次官が短時間接触したが物別れに終わり、6カ国協議再開はさらに不透明になった。(11日)
●イラン、ウラン濃縮開始 イランのラフサンジャニ最高評議会議長は、国営クェート通信に対し、中部ナタンズのウラン濃縮施設で、濃縮ウランの製造を開始したと述べた。またAFP通信によると、アフマディネジャド大統領は「イランはまもなく核技術を持った国のクラブに仲間入りする」と述べた。(11日)

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週刊『前進』(2243号5面1)(2006/04/24)

 日教組の改憲勢力化を許さず教育労働運動の革命的再生へ

  「中間報告その2」を批判する(続)

 日教組憲法論議対策委員会は2月、「憲法論議に関する日教組の基本的考え方(中間報告その2)」と題する職場討議資料を作成し、全組合員に配布した。これは、日教組が昨年7月14日の連合改憲見解(案)と、今年1月19日の連合中執会議の決定にのっとって、日教組を改憲派の流れに引き入れていくための大転向文書である。すでに本紙2241号(4月10日付)で、この中間報告の中の「V『憲法改正のための国民投票法案』と日教組の考え方」について、これが改憲のための国民投票法案に完全に屈服するものであることを暴露し批判した。今回は核心部分である「W憲法9条をめぐる動きとそれに対する日教組の考え方」を批判する。日教組の改憲勢力化を阻むために全力で闘おう。

 日帝の「自衛権」認めたら再び戦争への道

 一言で言えば、この「W」の内容の核心は憲法9条の改正に対して、いわゆる「平和基本法」をもって対応しようとするものである。そして平和基本法の本質は、9条改正絶対反対(当然だが、明文でも実質でも絶対反対)の立場を投げ捨て、自衛隊の存在を承認するものである。実際に、ここでは自衛隊の縮小・再編(改編)の方向で努力していくなどと言ってごまかしているが、自衛隊を解体するとは一言も言っていない。日本帝国主義が戦後史をとおして形成・展開してきた「独立国家の自衛権」のイデオロギー、自衛隊の存在の前に屈服し、それを承認するものにほかならない。
 具体的に見ていこう(別掲資料1)
 まず、この「W」は次のような4節構成になっている。
 1、憲法規範と現実の乖離(かいり)をめぐる争点
 2、日本国憲法9条の理念実現に向けて
 3、平和基本法制定などのとりくみ
 4、日教組の基本的な考え方
 第1節の見出し自体(問題の出発点の設定自体)が、徹頭徹尾日本帝国主義のイデオロギー、改憲攻撃論への屈服である。法と現実の乖離をどう埋めるか(a)などということ自体が、日帝権力・政府自民党・経団連などの改憲論の組み立てと百パーセント同一なのである。階級的視点を離れて客観主義的に論ずること自体、現実への屈服なのだ。戦後史をとおして憲法9条(1項も2項も)を意識的に踏みにじり、自衛隊を安保同盟政策と結合しつつ全力で増強し、いまや巨大な戦力をつくりあげ、海外侵略戦争も一定レベルで始めているという現実がある。そして帝国主義間の争闘戦の激化の中で、”より本格的な帝国主義侵略戦争のできる国家にならなければならない。そうしない限り日本は存続できない。だから改憲をして帝国主義的軍隊を増強し戦争に突入していく”――このように現実は動いているのである。こういう階級的内実を抜きにして「法と現実の乖離」という議論をすれば、「現実にあわせて法改正するのは当然ではないか」と言って改憲にもっていこうとする敵の思うツボである。
 この第1節の文面を見ると、別掲資料1のように言っている。
 ここで決定的におさえたいことは、特に (b)で、「独立国家の権利としての自衛権」や、その発動の三つの条件という政府見解に対して日教組中央が何ら否定していないことである。いや否定できていないことである。あるいはどんな論理をもってしてでも反論しようという姿勢がないのだ。しかし、ここで反撃できるものをもっていなかったら、今日、日帝権力・政府・支配階級の改憲攻撃には絶対に勝てない。
 それは労働者階級の立場に立って日本帝国主義の戦前・戦中の歴史と戦後史をつかみきるのかどうかということにかかわる。20世紀以来の現代世界では独立国一般とか主権国家一般とかいうものは存在しないのだ。世界は帝国主義的抑圧諸国と被抑圧諸国、帝国主義国と従属国とに、分かれているのである。
 日本はたんに独立国家や主権国家というのではなく、一定の歴史の上に立つ帝国主義国家なのである。明治以来の諸戦争、15年戦争、第2次世界大戦をとおして侵略戦争と植民地政策を行い、何千万人ものアジア人民を虐殺し、塗炭の苦しみに追いこみ、また自国の労働者人民も帝国主義のため天皇のために戦争にかりたて大量の死を強制していったのである。また沖縄戦、ヒロシマ・ナガサキの被爆をも引き起こしたのだ。そして帝国主義戦争に大敗し、アジア人民の怒りは爆発し、日本の労働者階級の闘いも戦後革命へと突き進むほどのものとして爆発した。
 こうした中で現行憲法とりわけ9条はアメリカ帝国主義の強力な統制と圧力のもとで、日帝が天皇制を何としても維持するために、そして日本の戦後のプロレタリア革命の爆発を何としても抑え込むものとして成立したのである。
 だから、現憲法と9条は一般的な理念というようなものとしてではなく、日本帝国主義(と天皇制)の存続をめぐる階級的攻防戦の中で成立したものなのである。このため戦後革命を圧殺する展望が立ち、かつ、1950年に朝鮮戦争が勃発(ぼっぱつ)していく中で、日本の支配階級は9条を邪魔者として扱いこれを踏みにじって再軍備へと突き進んでいったのだ。
 別の言い方をすれば、日本は明治以来、第2次世界大戦にいたる過程で帝国主義そのものであったが、戦後も実は敗戦帝国主義の諸条件のもとに9条などの制約を受けながら、なおかつ帝国主義国だったということである。そして戦後の経済発展をとおして再び帝国主義的大国となり、帝国主義間の激しい争闘戦の中で死闘を繰り広げることとなっていったのだ。だからこそ、これまでのなし崩し的な解釈改憲的制約下の自衛隊強化だけでは足りなくなって、正面から9条改憲の攻撃に今打って出てきているのだ。
 つまり、さきに (b)で引用したような、「主権国家に固有の自衛権」などという主張は実は抽象的な虚偽のイデオロギーであり、実際には帝国主義国・日本が「自衛権」をふりまわして帝国主義的軍隊を再確立しようとするための階級的イデオロギー、政策でしかない。
 この労働者階級としての当然の立場に立つ限り、一般的な自衛権の主張などまったく問題にならない。
 帝国主義に対していささかでも自衛権と自衛戦争などということを容認し承認したら、どこまでも拡張適用されていくのである。現代の帝国主義の戦争はすべて「自衛戦争」の名で戦われているのだ。自衛の概念も容易に「生命線」の論理へと変容していく。大体、米帝ブッシュのイラク侵略戦争も「対テロの自衛戦争」という名で行われたではないか。
 以上見てきたように、日教組中央が、自衛権と自衛権の発動について政府見解として紹介しながら、これを言下に批判し粉砕していないことは、それ自身、日本帝国主義への屈服なのである。日教組運動が「教え子を再び戦場に送るな」を中心スローガンにして展開され、戦後史をとおして9条改憲阻止の闘いが営々と受け継がれてきたことの背景には、戦前戦中の日本帝国主義の歴史的経験を労働者階級が身にしみて学ぶ中で、”支配階級がどんな理屈をこねようと、どんなスケールのものであろうと、再び軍備をもつことは必ず戦争の歴史の繰り返しになる”という階級的直観があったからだ。この構えは今こそはっきりさせられなければならない。

 現実の改憲と闘わない「9条の理念実現」

 次に、第2節について批判する。
 タイトルに「日本国憲法9条の理念実現に向けて」とあること自体すでにおかしい。憲法9条はけっして単なる理念ではない。これ自身がひとつの具体的政策なのである。すなわち、一切の軍事力の保持の禁止条項である。だから第2節のタイトルは本来なら、「憲法9条に反する自衛隊は即時解散せよ! 9条(破棄)を狙う改憲策動絶対阻止!」である。はっきり言えば、日本帝国主義の軍事力は必ず侵略的、反階級的戦争(内乱鎮圧を含む)のためのものだから絶対に認めない、デッチあげられた反革命的存在はただちに解散させるということだ。
 ところが、「9条の理念の実現に向けて」となると9条は観念的なものになってしまう。だから現状に屈服しながら、あるいはどんどん事態は悪化している時でも、この理念に向かって努力するならば正しいあり方だとなってしまう。今の場合では改憲の動きを現実に阻止するのではなく、「理念としての反対」をうんぬんすることでそれを承認していく論理となる。日教組中央は自治労中央とともに、このことが分かっていて、いや分かっているからこそ、こういう態度をとっているのである。
 第2節の実際の文章を見てみよう(別掲資料1)
 ここではいかにも自衛隊に反対しているかのように見せかけてはいるが、実際には日帝の自衛権と自衛戦争の論理に対する全面的屈服である。「違憲の状態」という概念そのものが徹底的にまやかしなのだ。これでは自衛隊は違憲状態にない場合もありうることになる。
 自衛隊に対する唯一の階級的態度は即時解体しかない。「縮小」とか「改編」とか言うが、根底において「独立国家の自衛権」という攻撃に敗北し屈服している以上、ほとんどまったく空論化する。「それで自衛ができるのか」という攻撃の前に、たちまちメロメロになって崩れ去ってしまうものでしかない。かつての社会党の「非武装中立論」も帝国主義の存亡の危機をどうするのかという帝国主義の攻撃の前にはじきとばされたが、ここで言う「縮小」「再編」論はもっと委縮し腐敗したものだ。
 「政権交代を視野に入れながら」とか「具体的な政策を対抗軸として」とか言っているが、日本帝国主義の自衛と自衛戦争の論理を根底において粉砕できず、その土俵の上で「よりましな自衛策」をあれこれ議論するような仕方では、到底今の攻撃には太刀打ちできない。日帝の改憲攻撃の格好の伴走者の役まわりを演じるものでしかない。

 「平和基本法制定」は憲法の実質的破棄だ

 第3節では別掲資料2のように言っている。
 ここで04年11月の「護憲大会」の基調として引用している部分に、「平和基本法」のペテン的で反動的な本質が実によく表れている。
 まず「違憲状態」論の質的なものを量的なものにすり替えてしまう本質がはっきりと示されている。「違憲状態」と言いながら、現状を否定し転覆することは初めから考えていないのだ。9条と現実のギャップの拡大に歯止めをかけることへと問題はすり替えられている(ホ)。それはさらに「軍事大国にならない証」にすり替えられている(ヘ)。現状がすでに十分に軍事大国化していることがまったく措定されていない。しかもそれは「歴代政府が軍拡の歯止めとしてきた」ことの列挙となっている(ト)。これでは歴代政府は「軍拡への道に歯止めをかけてきた立派な政府」ということになる。冗談ではない。軍備が一切禁止されている9条を意識的に掘り崩し、軍事大国化への道を突き進んできたのが歴代政府であり、この策動に必死で反撃してきたのが労働者人民ではなかったのか。
 ここで「平和基本法」の本質を最も鋭く示しているのが、「専守防衛」論を肯定し、持ち上げていることだ。「専守防衛」とはある意味で自衛権の承認、自衛権の発動以上の意味をもつと言える。「専守防衛」と言っても日米同盟下の、日本の帝国主義的現実のもとでは巨大な軍事力が「不可欠」ということになる。実際、歴代政府は「専守防衛」の実効性を高めるという口実で、ここであげている諸々の「歯止め」と称するものの中味を掘り崩して、巨大な自衛隊の軍事力をつくりあげ、解釈改憲の限界を超えるまでにもってきたのだ。そしてその既成事実の上に、もはや明文改憲しかないというところに至っているのだ。
 日教組中央はこれまで「自衛隊の縮小・改編」などと言ってきたし、さらに第4節でもそれを声高に主張しているが、この04年の護憲大会の基調の引用の中にはどこにも縮小も改編もない。あるのは理念と現実のギャップの拡大への歯止めということであって、それも軍事大国化への歯止めということでしかない。これでは歯止めにもならない。
 「平和基本法制定」なるものは、たとえば連合の「安全保障基本法」のように、いろいろな形態をとってあらわれるかもしれない。だが、結局のところその本質は、これまで反改憲と言ってきた人びとが、「歯止めをかける」ことで日本帝国主義の自衛隊の今日の現実までは容認しよう、承認しようというところにある。しかし、これはもはや完全な改憲派への移行(転向)そのものである。
 結局「平和基本法」は、9条の第1項も第2項も死守する、そのために制定されるというが、実は戦力の保持をはっきりと承認することで9条の第2項をも百パーセント破棄するのである。
 重大なことは、日教組中央が第3節の中で「平和基本法」について「憲法に準ずる」ものと言っていることだ(ハ)。また04年の護憲大会の基調報告の中では「立憲主義を確立するとりくみ」として「平和基本法」の取り組みが重要と言っている(ニ)。結局憲法改正ではないと言いながら、「憲法に準ずる」法律で憲法の実質的破棄を行うところにまで行きつくのだ。いわば改憲阻止の堤防にここから穴を開けてしまうということだ。
 この穴を開ければ、7・14連合中執見解への道はあとは一瀉(いっしゃ)千里だ。7・14連合中執見解の@9条の明文改憲、A憲法9条の改正はあえて行わないが安全保障基本法で事実上の明文改憲と同じ内容を担保する――という二つのあり方のうち、Aのあり方を糖衣錠の形で労働者階級に飲ませようとするのが「平和基本法」なのである。

 連合の「安保基本法」承認し自衛隊も容認

 第4節(別掲資料2)がこのテーマの実践的結論の部分である。この第4節は3項目からなるが、(1)はとりわけ重要である。
 (α)では擁護の対象が基本理念にすり替わっている。この限りでは自民党も同じことを言っている。9条2項についての(β)での言及はペテンのための布石である。自衛隊は9条に反する、よって解体するという原則的立場からすれば、こんな変な言い回しはいらない。要するに9条2項を質的規定から量的規定にすり替えると言っているのだ。
 Aは決定的文言である。日教組中央は第3節で言及した「平和基本法」などに取り組んでいくとしている。要するに、いかにも改憲に反対しているかのように振る舞いながら、組合員をだまし、安全保障基本法(平和基本法)を制定して実質的に改憲内容を実現する方向に向かって転向していこうとしている。

 海外派兵論への屈服

 この第4節の基本的叙述のあとに、何の説明もなく※印をつけて、「憲法9条などに関する連合、自治労の方針」と題してその基本点を載せている。
 まず連合については03年定期大会の決定が載せられている。
 「国際ルールとして、自衛権は独立国家の固有の権利であることを確認する。自衛隊は、専守防衛、徹底したシビリアンコントロール、非核3原則を前提として認め、今後の在り方として、軍縮の方向を指向する。また、憲法を補完する立場から『安全保障基本法(仮称)』の制定をめざす」
 要するに、日教組中央はこの03年の連合の方針を事実上承認するということである。ここでは自衛権をはっきりと承認している。また「専守防衛」の名のもとに自衛隊も承認している。
 また、自治労の方針については、「自治労――04〜05年度運動方針」から次のような要点を列記している(A、B、Cは引用者)。
 「憲法前文と9条が規定する積極的平和主義理念に立って(A)、国連憲章を基本に安全保障の在り方について検討し(B)、9条に抵触する集団的自衛権については解釈変更を許さない視点で取り組む(C)」
 (A)では、前文と9条を理念にすり替えている。この批判はすでに述べた。(B)では、「国連憲章を基本に安全保障の在り方を検討」すると言っているが、これは重大なことである。国連憲章第51条の、加盟国は個別的自衛権と集団的自衛権を有するという規定を基本にするということである。国連憲章を基本にすえたら自衛権は個別も集団もOKとなるのだ。いやそれ以上に国連軍や国連安保理決議のもとでの多国籍軍などもOKとなる。結局(C)で辛うじて集団的自衛権については解釈改憲を認めないと言っているだけなのだ。これとても国連軍や多国籍軍をOKとする以上、実質的には9条護持は崩壊してしまっている。
 「『人間の安全保障』や国連を中心とする普遍的安全保障の確立に向け……平和基本法案(国連を中心とした普遍的安全保障と日本の参加、自衛隊の段階的縮小・改組、非核3原則、文民統制、徴兵制の禁止、武器輸出禁止を骨格とする)の視点……を基本とする」
 ここでは国連の安全保障体制の推進ということで、上記の国連憲章第51条や国連軍などについてOKを出している。自衛隊については段階的縮小・改組と言って、ますます自衛隊の現状承認(容認)をはっきりさせている。
 「自衛隊の領空・領海・領土内に限定した戦闘能力の縮小を進め、密出国、テロ、麻薬対策などを主要任務とする警備組織と災害救援・復旧、環境保全組織への再編、改組を求める……」
 これはまったくのまやかしの文章である。「領空・領海・領土内に限定した戦闘能力の縮小を進め」というが、上記の任務のための戦闘能力自体は必要として承認するとしか読めない。自衛のための戦闘能力を肯定したら、今日の自衛隊はさらなる増強を要求するだろう。
 ペテンの核心は、縮小→ゼロのようにみせかけようとしているが、これは大うそだ。個別的自衛権を認めるとしている以上、自衛隊の現状を基本的に否定などできないのだ。むしろそれを積極的に認めるとしているのが「平和基本法」なのだ。9条の実質破棄なのである。
 「国連を中心とする普遍的安全保障確立の観点からPKO協力法の抜本的見直し、非軍事・文民・民生を原則とする国際平和協力隊(仮称)の創設をめざします。戦闘地域への自衛隊の海外派兵には反対する…」
 9条改憲にかじを切った7・14連合中執見解が03年決議から生まれたように、自治労のこの国際条項も早晩、海外派兵論への全面的屈服にいたるのは火を見るより明らかである。帝国主義の自衛戦争は、全世界に向かってのあらゆる軍事行動に発展するしかないものなのだ。

 「人間の安全保障」は侵略戦争の補完物だ

  第4節(2)「憲法9条の平和主義実現に必要な国際的なとりくみ」では「人間の安全保障」論と「国際安全保障の確立」論が言われている。「人間の安全保障」論は、帝国主義侵略戦争の補完論であり、その一環である。また「国際安全保障の確立」というのは、自治労の方針の「国連の普遍的安全保障体制の確立」と同じ本質だが、EU憲章の美化などで一層ぼかしているだけである。
 さらに第4節(3)「あらためて問われている『教育の力』」では、「戦争のない平和で民主的国家形成」には、教育基本法前文にあるように「教育の力をまつ」としている。その教育基本法が前文を含めてまるごと大改悪され、教育労働者が戦争教育へと動員されようとしている時に、日教組中央がまったく闘おうとしないのだ。本当に怒りに堪えない。
 以上の結論として、いまや日教組中央が「平和基本法」などというペテン的装置を使って改憲派に大転向しようとしていることは明らかである。06年決戦をとおして、この大転向を何としても阻止しなければならない。
 改憲派に転向し、教育基本法闘争を放棄する日教組中央の腐敗・堕落を許さず、彼らを打倒して教育労働運動の革命的再生をかちとろう。4大産別決戦の勝利をかちとり、06年〜07年の階級決戦に勝利しよう。

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[別掲資料1]

憲法論議に関する日教組の基本的考え方(中間報告その2)

W憲法9条をめぐる動きと日教組の考え方

(抜粋。a、b、c等の記号はすべて引用者)
1、憲法規範と現実の乖離をめぐる争点
(a)(これまで)政党、労働組合、市民団体等からは、9条と現実の乖離の問題は、自衛隊の存在が違憲なので縮小・改編などによって9条に近づける努力を政府がすべきである、と提起してきました。
(b)9条に対する政府の見解は、「個人に普遍的な自然権としての正当防衛があるように、我が国が独立国である以上、主権国家としての固有な自衛権を否定するものでない↓自衛のために必要な最小限度の実力(自衛力)は「戦力」にあたらない」とする解釈を基本にすすめられてきました。また自衛権発動の三要件として、@日本に対する急迫不正の侵害があること、Aこれを排除するために他の適当な手段がないこと、B必要最小限度の実力行使にとどまること、としています。
(c)自民党などの「改憲派」は、政府の「解釈」には限界があるとして、自衛隊等の存在・行動が「憲法違反」にならないよう、憲法「改正」を実現すべきと主張しています。
2、日本国憲法9条の理念実現に向けて
 自衛隊の実態及びイラク等への派遣は、憲法規範から見て「違憲」の状態にあることは間違いありません。従って、法的措置などを通して自衛隊を縮小・改編させ、9条の趣旨に近づけることが喫緊の課題になっています。そのためには、政権交代を視野に入れながら、具体的な政策を対抗軸として打ちだすことが求められています。

[別掲資料2]

W憲法9条をめぐる動きと日教組の考え方

3.平和基本法制定などのとりくみ
 現状に対する危機意識から、(イ)あらためて『違憲』状態にある自衛隊の縮小・改編などに向け、(ロ)新しい枠組みをつくる手法の必要性が政策提言として、護憲勢力の側から提起されています。具体的には、(ハ)憲法に準ずる「平和基本法」などの制定によって、9条の理念を実現するとりくみがすすめられています。 ※参考―平和基本法制定の動き―04年11月護憲大会の基調から
(ニ)立憲主義を確立するとりくみとして、「平和基本法」のとりくみが重要である。
(ホ)日米安保と自衛隊の実態は違憲の状態の度を深め、9条と現実のギャップが拡大している。「現状に合わせ憲法を変えるべき」は、歯止めなき軍拡を可能にし東北アジアをはじめ世界の緊張を高める。
(ヘ)このギャップを克服するには軍事大国にならない証(あかし)を明確にさせる必要がある。
(ト)歴代政府が軍拡の歯止めとしてきた@文民統制、A専守防衛、B海外派兵の禁止、C集団的自衛権の不行使、D非核三原則、E大量破壊兵器の不保持、F武器輸出禁止、G宇宙の平和利用、H国際貢献の在り方などの原則を盛り込んだ「平和基本法」(仮称)を制定させる。
4.日教組の基本的な考え方
(1)憲法規範と実態の乖離解消に向け、自衛隊の縮小・改編を
 @日教組は現憲法が立憲主義の考え方に立脚して、恒久平和、国民主権、基本的人権の尊重を基本理念にしていることをふまえ、引き続き擁護推進することを表明するものです(α)。その上に立って憲法9条及び前文については、引き続き遵守するとともに、特に9条2項は、戦争放棄を担保・実効させるものであることからその具体的な施策実現を強く働きかけます(β)。
 A自衛隊の縮小・改編に向けた具体的な方向性については、「憲法理念の実現をめざす大会」(護憲大会)で検討されている「平和基本法」などを、9条の理念実現との整合性を明らかにする中で協議をすすめ、取り組むことが必要です。
(2)憲法9条の平和主義実現に必要な国際的なとりくみ
 9条を遵守し、憲法前文にある「全世界の国民がひとしく恐怖と欠乏から免れ、平和のうちに生存する権利」を獲得するには、「人間の安全保障」実現と恒常的な「国際安全保障の確立」が必要です。

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週刊『前進』(2243号5面2)(2006/04/24)

 国賀祥司さん必勝へ 泉佐野市議選 市政報告に120人

 4月9日、大阪・泉佐野市の泉佐野生涯学習センターで国賀祥司氏の6期目の泉佐野市議選必勝を期して市政報告会が開かれ、住民90人を始め、120人の参加で大成功した。
 集会は、関西合同労働組合員の司会で始まった。最初に辻元清美衆議院議員の推薦メッセージが読み上げられた。次に反戦・福祉議員ネットから三浦健男代表(守口市議)、阪口克己東大阪市議、小西弘泰高槻市議、森田充二高槻市議が激励の発言、関西新空港・神戸空港反対を闘う湾岸住民団体から永井満淡路町空港反対同盟代表、讃岐田訓神戸空港工事の中止を求める市民の会代表から推薦と激励が相次いだ。
 次に国賀祥司氏が登壇、花束と拍手で迎えられ、市政報告と市議選への決意を述べた。「今回の選挙はゴミ有料化を問う選挙になった。福祉を全廃し、公共料金を全部上げ、市民と職員を犠牲にする新田谷市政と全面的に闘う。労働者、住民の力で勝利する」と決意表明した。地元住民が次々に発言。ゴミ問題を考える会、介護と医療をもとめる会、地元若者代表などが「人が住めない町にした小泉と新田谷市政をかえよう」「そのためにも国賀祥司氏必勝を」と訴えた。
 泉佐野市議選は5月7日告示―14日投開票で、かつてない激しい選挙戦になっている。21議席を32人で争う激しい選挙となり、現職の何人かは落選すると言われる厳しい選挙戦だ。また危機に陥った日本共産党は国賀攻撃を始めている。他党派も同じだ。
 こうした中で3月17日、国賀氏は「ゴミ問題を考える会」とともに、「ゴミ有料化反対の信を問うために住民投票をせよ」と直接請求運動を呼びかけた。この呼びかけに多くの市民がこたえ、署名運動が始まっている。4月1日ゴミ有料化強行実施に対しては、従来のゴミ袋で出したり、市に抗議の電話が殺到するなど激しい抵抗が起こっている。関空優先市政と自治体への三位一体攻撃に対する積もりに積もった怒りの爆発だ。この怒りと結びついて、市政を変え、戦争・改憲と民営化と闘おう。目前に迫った市議選に全国から支援に駆けつけよう。
(写真 市議選への決意を語る国賀祥司さんに参加した住民が熱心に聞き入った(4月9日 泉佐野】)

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週刊『前進』(2243号6面1)(2006/04/24)

団結ひろば 投稿コーナー

 「基地合意許さない」防衛庁正門で猛抗議 東京 龍崎慎一郎

 4月4日、公園での花見を楽しんでいた私たちに、沖縄の仲間から電話で「島袋市長が額賀防衛庁長官と今日の夕方にも会談する」という緊急連絡が入った。名護市役所と那覇空港では連日監視行動が続けられていたが、市長は「基地を造らせるな」という名護市民の声を踏みにじり、監視の目をかすめて東京へ行って額賀と会って普天間基地移設の「受け入れ合意」を表明しようというのだ。絶対に許せない。即座にお花見は終了、闘争モードに入った。ヤマトの責任として本気でこの会談を止めなくては。防衛庁へ!
 市谷の防衛庁正門前で仲間と合流した。誰の目も怒りに燃えている。われわれの「ささいな」抗議も、法政大での29人逮捕のように不当弾圧の対象になるかもしれない。だがそんなことは恐れない。今立たずして、いつ立つのか。
 「辺野古に基地は造らせないぞ!」「島袋市長と額賀の会談を許さないぞ!」
 門前に結集しシュプレヒコールを上げ、猛然とつめよる私たちに、守衛たちはたじろぎつつ「敷地内に入るな」「下がれ」などと叫び強引に排除しようとした。だが一歩も退かない。仲間の一人が「辺野古の海を見たことがありますか。あなたも一度見てほしい。それでも造るというのか!」と弾劾すると、守衛の一人は「見たことがある」という。そのことばが苦しまぎれについたウソなら許しがたいが、本当だったらもっと許せない。あの豊かな海を知っていてなお、それを壊そうとする日米政府の手先になるというのか。
 私たちの抗議に生身では耐えきれず、守衛はスライド式の重い鉄の門を閉めてしまった。日が暮れるにしたがって、続々と抗議の人数が増えていった。みな怒りのボルテージを上げ、声がかれるまで弾劾した。
 島袋市長は私たちを恐れてコソコソと「裏口」から防衛庁に入り額賀と会った。そして7日の会談で「V字形滑走路2本」というとんでもない合意をした。自分の選挙公約も投げ捨てた完全な裏切りだ。こんなデタラメがすんなり通るはずがない。いや、絶対に通させない。
 正々堂々と闘っている私たちに対し、逃げ隠れする市長、この対比に「勝てる」という確信をはっきりとつかんだ。辺野古の闘いと固く連帯し、名護移設を粉砕しよう。沖縄からすべての基地を撤去しよう。

 『ソリダリティ』2号を青年労働者の手に 関東 松谷政敬

 ついに待望の『ソリダリティ』(マルクス主義青年労働者同盟機関誌)2号が発刊された。内容は昨年のマル青労同第2回大会の発言や現場の青年労働者が書いた産別論文、書評、学習講座など。
 青年もそうでない人もぜひ本書を手にとって読んでほしい。そこには空論は一切ない。それぞれの職場で生き生きと闘う青年労働者の姿が浮かんでくるはずだ。職場で闘う労働運動を取り組むこととマルクス主義の学習というマル青労同の2本柱が見事に貫かれていることがわかってもらえると思う。
 発言や感想はどれも感動的なものがあるが、ある医療労働者の発言を紹介します。「私は、私たちの手に世の中を取り戻すために、一緒に仲間とつながって欲しいと訴えてきた。……過激派というレッテルをはられて周りの人間に不信を持ったこともあるが、共産党の宣伝を信じ込まされている人を含めて仲間にならないと戦争は止められないと感じた。そう思ったとたん職場の仲間がいとおしく思えた」(56n)。このような訴えに感動しないわけがない。マル青労同は結成以来3年を迎えたが、着実に実績と組織を拡大している。それは「動労千葉の労働運動を、各職場で青年が担おう」という実践の足跡だ。
 学習のコーナーでは書評『国家とは何か』や「戦後革命期における日本プロレタリアートの闘い」がお勧めです。前者は『国家と革命』(レーニン)の学習と共産主義社会とはどんな社会なのかを豊かに論じています。後者は、2・1ゼネストに至るまでの日本の労働者階級の闘いのレポートです。いよいよ革命の時代を迎えている今日、戦後革命期の荒々しい歴史を学ぶことは青年労働者にとって重要なことである。
 圧巻は「あなたもトイレに俺鉄2を」(106n)だ。闘争の渦中で悩んでトイレに駆け込むとき、そこには常時『俺鉄2』が置いてあって本当に励まされるという内容だ。マルクス主義は決して神棚への置物ではない。生きた労働者の存在と団結がマルクス主義なのだ。本書をぜひ青年労働者にすすめてほしい。

 私は国に従順だったのだなあと思った 青年 春川美代

 2237号3月アピールと2面“戦争教育は担わない”を読みました。その感想です。
 私は国に対して従順だったのだなあと思った。
 資本主義の社会において、もし国それぞれがひとつの会社だと考えれば、私は日本国の社員になって、世界の他の会社と競わなければいけない。ということは、会社員というのはやっぱり会社にとって都合のいいように働く人がいちばんいいわけで、よく稼ぎ、よく社長の言うことを聞き、気が利いて、忠実で、繁栄のためにたくさんの優秀で使える子どもを産んで、会社の都合の悪いような所を突いたりせずに、社長が嫌いなものは自分も嫌いになり、やっつけなければ!と自ら立ち上がり、自分と子どもを差し出しておいて、お役に立てると喜びながら死んでいく。
 今だったら、会社が借金をしてしまって、賃上げしろーとか言ったら、「今大赤字なんや……そもそもおまえらの働きが悪い! だからむしろ会社が倒産するのを防ぐために医療や福祉はなかったことに……」みたいな感じなんだろうか。 もっと言えば、日の丸・君が代は会社の歌、教育基本法は社訓(というのかな)みたいなのかな。愛社精神を問う、みたいな感じかな。もうすぐ会社のために死んでくれんか、みたいなことになるんだろうか……? でも「はい!」と言って死ぬ人はモーレツ社員(死語)だなあ。
 国家は暴力ですね。私はなかなか頭に入るのが遅いので時々自分のわかりやすいように変換しています。

  「つくる会」教科書の採択撤回へ闘い前進 滋賀 井川正一

 4月10日、中高一貫校の滋賀県立河瀬中学の入学式で「つくる会」歴史教科書採択撤回を求め新学期からの使用を弾劾する抗議闘争に立ちました。関西の公立学校で唯一採択されたのが河瀬中学です。
 百万人署名運動滋賀県連絡会、地域で教労組合員と市民を中心に作られ教科書闘争を闘っている市民団体、河瀬中高校の保護者も加わって2種類のビラ、約800枚をまきました。ビラまきに参加した保護者は入学式での不起立を宣言しており、「日の丸・君が代」不起立支援闘争としても闘われました。高校との合同入学式でしたが、保護者と新入生のほとんどがビラを受け取り、門前で部活勧誘をしていた在校生とは討論にもなりました。
 保護者から「そんな教科書が使われることは知らなかった」という声もあり、地域で保護者(=労働者)と教職員との連携を作り出していくことなどの課題も浮き彫りになりました。
 改憲阻止・教基法改悪阻止の闘いを滋賀県で大きくかつ幅広く構築する闘いの軸であり、同時に、教育労働者の団結を固め、日教組中央の体たらくを打破して現場での組合的反撃のバネを作り出す闘いとしても教科書闘争はあります。
 昨年、関西では兵庫県宝塚市と並び滋賀県でも「つくる会」教科書闘争が高揚しました。県内には六つの採択地区がありますが、中高一貫校と養護学校は県教委の採択に委ねられています。県教組の支部を先頭に市民・宗教関係者・在日をはじめ広範な運動のネットワークを構築し、六つの採択地区では「つくる会」教科書は不採択でした。
 ところが、県教委は県内に3校ある中高一貫校の一つ河瀬中学での採択を強行しました。採択以降、署名活動や県教委への申し入れ行動を中心に闘ってきました。杉並「親の会」を招いての講演集会を開き、河瀬中高校の保護者とも連携して運動を進めてきました。
 全国で採択された地域との連帯も重要でした。東京・杉並での採択攻防は教科書闘争の頂上決戦でした。滋賀の教科書闘争も杉並をはじめ全国の闘いとリンクして初めて本格的に火がつきました。日帝・小泉の「つくる会」教科書導入の狙いが初めて見えてきたのです。今後も教育労働者を軸にした地域での闘い、それと結合する形で全国の闘いとも連帯して闘うことが求められています。
 県内で撤回署名が4600筆集まっています。県教委は、次回から県内六つの採択区を更に細分化して採択強行を目論んでいます。「つくる会」教科書採択強行で県教委は完全に一線を超えました。「日の丸・君が代」強制、「指導力不足」教師攻撃、人事評価制度攻撃と並んで「つくる会」教科書採択は本質的には組合破壊としてあります。
 「つくる会」派は分裂し撤回闘争の好機が訪れています。教育労働者と連携しながら、改憲・教基法改悪阻止決戦の推進力として「つくる会」教科書撤回闘争を進めていきたい。

 抵抗運動・反権力闘争「燎原の火」のごとく 千葉 漠 有人

 「小泉内閣」はもう「なりふり構わず」最後の悪あがきを始めています。法政大学生への無法な弾圧は、その見せかけの「強さ=強圧」とはウラハラに、「もがけば、もがくほど」「あがけば、あがくほど」彼らの追いつめられた弱さの現れでしかありません。
 「公安」は、「有罪」か「無罪」か、「適法」か「違法」かとは関係なしに、自らの公安という存在がアピールでき、彼らの言う「抵抗勢力」に恐怖感を与えて「運動」の力を弱めることが狙いなのですから……。
 そして、そんなことまでしないと、「抵抗勢力・反権力の動き」を抑えることができない、いや、そんなことをすればするほど、「抵抗運動・反権力闘争」の火はますます広く大きく「燎原の火」のごとく燃え広がっていくのです。
 「日の丸・君が代」の強制一つとってみても、あの「絶対主義天皇制」の戦前と比べても、その異常さは自らの焦りと弱さの露呈にほかなりません。
 『前進』(4月3日付2240号)「団結ひろば」の声・こえ・コエには感動しました。そこには闘う同志の怒りと連帯が満ち満ちています。
 私たちは、こうした仲間たちの闘志に依拠しつつさらに団結を固め、連帯の輪を広げながら全国の仲間、世界の仲間と手を取り合って「帝国主義打倒」の闘いを大きく『前進』させようではありませんか。
 教育基本法の改悪も、憲法改悪も、狙いは「明治への回帰」即ち、絶対主義天皇制時代の再現にあることは間違いありません! そのためには、まだ純真で真っ白な子どもの頃から「忠孝一致」「天皇崇拝」の「心」をタタキ込んでおく必要があるのです。教育基本法の改悪によって、それが大手を振って行えるようにしようということなのです! 絶対に許せません!
 闘いの益々の発展・成功と、一層のご健闘を祈ります! 握手

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週刊『前進』(2243号6面2)(2006/04/24)

 辺野古からの報告 「V字型沿岸案」の合意弾劾アピールへ

 「新沿岸案」合意への怒りが市庁舎を包囲

 市民から逃げ回る名護市長

 4月10日、「辺野古・新沿岸案」合意の暴挙に手を染めた島袋市政を弾劾するため、地元住民を先頭に市役所に約50人が朝から詰めかけた。島袋市長は2日間は登庁しないことが明らかになった。完全に弾劾行動から逃げ回っている。「市長が市長室に入れない」ほど大きな怒りに市庁舎が包囲されている。結局、午後から末松文信助役が代行で面談することになった。
(写真 名護市役所に駆けつけ激しく未松助役を追及する地元住民【4月10日】 )
 ヘリ基地反対協の代表が「今回の市長の公約違反について…」と切り出すと、すかさず助役は「意味がわからない。今回の合意は、市側が政府に要求したバリエーションの範囲内だと考えている」と開き直った。
 場内が騒然となる。「ウソをつくな!」「市長選で『沿岸案反対』と主張してたじゃないか!」と抗議の声がわきあがる。助役は「今回の決定は沿岸案だとは考えていない。異なるものだと認識している」と言い逃れに終始した。
 地元からの怒りの声が続く。「騒音問題で何もクリアされてない。滑走路が2本になって取り返しのつかないことになる。なぜ地元との話し合いをせずに勝手に決めたのか!」「私たちをだましたんですね! はらわたが煮えくりかえる思い。離発着を別にするから騒音はないと主張するが、在沖米軍が使用協定を守ったことなど今まであるんですか? なぜ今も嘉手納と宜野湾の人びとは騒音に苦しめられているの? 米軍が使用協定を破ったら市長は責任をとってくれるんですか?」
 これには助役も返す言葉もなく押し黙ってしまった。「在日米軍基地で使用協定が守られているか市は調べたのか?」の問いには「わからない。調べるにしてもこれから……」とか細くつぶやくのみだった。参加者の押しとどめていた怒りが爆発する。「判断材料もないのになぜ勝手に決めてきたのか! 無責任だと思わないのか?」「結局元の沿岸案に滑走路が1本増えて、埋め立ても巨大化しただけじゃないか」と怒声が飛びかった。真っ青になった助役は「時間だから…」と逃げ出した。

 合意撤回訴え緊急抗議集会

 翌11日の夕方、「島袋名護市長の公約違反糾弾! 沿岸案の合意撤回を求める緊急抗議集会」がヘリ基地反対協・県民会議の主催で市役所前広場で開催された。北部は日中は豪雨で、天候が心配されたが、夕方には晴れ上がり、広場には500人が集まった。
(写真 「こんな沖縄差別が許せるか!」「裏切った市長は首だ」名護市役所前で緊急抗議集会をかちとる【4月11日】 )
 反対協共同代表・安次富浩さんは「今回の決定を名護市民の誰も賛同していない。ここが重要。こんな市長が許せるか! 目標は市長のリコールだ。絶対撤回させる。そして辞表を出させよう。何も動じる必要はない。自信を持って闘いを継続しよう」と市長を権力の座から実力で引きずり降ろす闘いを提起した。
 連帯のあいさつで東村高江区長が登壇した。高江区は北部の小さな集落だが、米軍再編攻撃の一環としてヘリパッド増設が策動されている。区長は「ヘリパッド建設予定地はあまりにも民家に近すぎます。ヤンバルクイナなどの貴重な動物の宝庫。生命・育児・環境を守ることが一番大事。このままでは心穏やかに暮らせない。みなさんの力添えを」と切々と訴えた。
 次に普天間爆音訴訟の代表は「朝から夜までタッチ・アンド・ゴーの轟音(ごうおん)が普天間では続いている。米軍は絶対約束を守らないことは宜野湾市民は身に染みて知っている。宜野湾のつらさを名護に押しつけたくはないから今日ここに来ました」とエールを交わした。
  辺野古から命を守る会の金城祐治さんが「普天間墜落事故は究明されたのか? 地位協定の不平等は直されたのか? 沖縄の願いは何も聞き入れられないのに、なぜ頭越しで決められてしまうのか?」と日帝の沖縄差別を糾弾し、故古波津英興さんが辺野古に送った檄(げき)で発言を締めくくった。「今やらないで、いつやるのか。あんたがやらずに誰がやるのか。がんばろう!」
 二見以北10区の会の浦島悦子さんは「宜野湾の住民と交流した際に、沖国大ヘリ墜落時に破片が自宅を直撃した若いお母さんから『こんな恐怖を名護に引き渡すわけにはいかない。それなら宜野湾でガマンして引き受けた方がまし。いつか普天間を閉鎖させることが夢です』と言われ涙が止まらなかった。ここまで宜野湾市民に引き受けてもらっていることにこたえていく闘いを名護でつくりましょう」と語った。市議会野党会派を代表して宮城康博市議が「市議会を無視し、市民を裏切った合意など無効だ。撤回させよう。 市長の首をたたき切る準備に入ろう」と訴えた。

 全国で支援の陣形強めよう

 名護市民・県民は島袋市長の受け入れ前後から休みなしの連続闘争に突入している。「こんな沖縄差別が許せるか!」という根底的な決起が始まっている。
 「新沿岸案」は激しい沖縄圧殺攻撃だ。しかしそれは、10年近く新基地建設を阻まれ、人民の実力闘争でSACOを粉砕されてしまったことで日帝・小泉政権が受けている打撃と沖縄への階級的憎悪の大きさを逆に証明している。だから「米軍再編」はより激しく、むきだしの「沖縄つぶし」になる。勝利のカギはボーリング調査阻止闘争時以上の支援陣形を直ちに全国で準備し、強めることだ。辺野古の基地建設を止めれば「米軍再編」も改憲も一歩も進まない。辺野古闘争に勝利し、侵略戦争を止めよう! (大津五郎)

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 名護市民の頭越し・公約違反の沿岸案合意に抗議し、合意の撤回を求める決議

 額賀防衛庁長官と島袋名護市長は去る4月7日、普天間基地のキャンプ・シュワブ沿岸部への移設案を巡る協議の結果、V字型の2本の滑走路を設置する修正を持って合意した。
 しかし、島袋市長が合意した「沿岸案」は自らの選挙公約である「沿岸案反対」を無視し、明白な公約違反である。政府との合意内容を強引に市民に押しつける行為は、県民の頭越しで行った日米政府の「中間報告」と同様の手法である。この手法は東海岸に居住する市民を無視し、名護市議会での説明をも逸脱する議会軽視など民主主義を否定する暴挙であり、独断専横のファシズム的手法である。沖縄県民の総意が沿岸案反対にもかかわらず、県民の声を足蹴にする行為は絶対に許すことができない。
 島袋市長は選挙公約にもなかった「海上案のバリエーションにおおむね含まれる」として、公約違反に当たらないと主張し、市議会与党議員、旧久志村地域の地元区長、行政委員長だけに事後承認を求め、「一応の理解はいただいている」などと強調しているが、国の圧力に屈した島袋市長の言い訳に過ぎず、市民を愚弄するペテン師的詭弁である。
 「沿岸案」合意の実態は滑走路を増やすことで飛行場の面積や機能が大幅に拡大された最悪の内容である。ヘリ機が市内を縦横無尽に飛び交い、爆音をまき散らし、墜落の危険性がある普天間基地の移設であること。滑走路の距離が1500bから1800bに延長することにより、戦闘機の離着陸が可能になること。2012年には欠陥機MV22オスプレイが配備されること。大浦湾が軍港になることなど永久基地化に向けて隠されている秘密事項が多い。しかも、大浦湾などを埋め立てることは藻場やサンゴ礁の破壊が深刻化し、世界の天然記念物ジュゴンを絶滅に追いやり、豊かな漁場が破壊されるなど大浦湾一帯が死の海に変貌することは言うまでもない。
 小泉首相は自ら沖縄県民に約束した「過重なる負担軽減の緩和」を「平和の代価」でもって頭越しで押しつけた前代未聞の詐欺師的首相である。しかも「1メートルも動かさない」と島袋市長を執拗に恐喝し続けた行為は歴代内閣に内在する沖縄差別なのである。
 島袋市長と政府との最悪な今回の合意は私たちが求めた市民説明会や市長面談を意図的に拒否し、意識的に政府にすり寄り、市民に背を向ける市民不在の行政行為が必然的にもたらした結果である。
 私たちは今回の合意によって、基地の整理縮小を大義名分にした米軍基地などの再編強化・固定化をもたらすため、断じて容認できない。また、名護市民や県民を騒音、墜落、米兵による犯罪などにさらされることになり絶対に許せない。
 私たちは政府・名護市による沿岸案合意の暴挙に抗議し、新たな基地建設は断固として拒否することを改めて通告する。
2006年4月11日
島袋名護市長の公約違反糾弾! 沿岸案の合意撤回を求める緊急抗議集会
額賀防衛庁長官
島袋名護市長 殿

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週刊『前進』(2243号6面3)(2006/04/24)

 迎賓館・横田爆取控訴審 完全無罪戦取を!

 3被告からの訴え(上)

  裁判長は検察控訴棄却し超長期裁判に決着つけよ

   板垣 宏

 1986年4・15米軍横田基地、同年5・4迎賓館に対する革命軍のロケット弾戦闘を理由に、須賀武敏同志、十亀弘史同志、板垣宏同志に加えられた爆発物取締罰則デッチあげ弾圧公判は、5月19日いよいよ控訴審判決公判を迎える。3被告は04年3月25日、逮捕以来16年半、初公判以来15年半の闘いで歴史的な1審無罪判決をかちとった。本年1月16日の控訴審第1回公判では検察官の証拠調請求がすべて却下され、即日結審している。完全無罪戦取へむけた3被告の訴えを紹介します。(編集局)
(写真 1審無罪判決後、記者会見に臨む3被告【04年3月25日 弁護士会館】 )

 私は本件に関与してない

 5・19控訴審判決に向かって私が要求することは、“検察官控訴を棄却し、超長期裁判を終わらせろ! 私を一日も早く被告席から解放せよ! 控訴棄却判決で無実・無罪を確定させ、この恥ずべき超長期裁判に今こそ決着をつけよ!”ということです。
 国家権力は、無実・無罪の私たちを16年、戦前の予防拘禁制度または禁固刑にも等しい超長期の未決勾留によって獄中に閉じ込め、拷問的な国家テロルを凶行してきました。この攻撃を跳ね返して、私たち3人は04年3月25日、東京地裁刑事第11部(木口信之裁判長)において無罪判決をかちとりました。
 本来ならここで裁判を終了させるべきなのに、検察官は卑劣にもまったく理由のない控訴を行いました。しかし、私たちは本年1月16日の控訴審第1回公判において東京高裁第3刑事部(中川武隆裁判長)に検察官の請求した証拠をすべて却下させ、審理なしに結審させるという大勝利をかちとっています。控訴審においても検察官の破綻(はたん)は明らかです。
 しかし、国家権力・検察は、このとうとうたる無罪確定への流れを反動的に逆転させるために、何らかの卑劣極まりない手段で妨害工作を仕掛けてくるでしょう。“原審が無罪で、控訴審では審理なしに結審した場合、原判決と異なる判断(事実認定)を控訴審の裁判所が行い自判することはできない”との最高裁判例がある以上、5・19判決は控訴棄却以外にあり得ないことを高裁・中川裁判長につきつけ、最後まで気を許さず、みんなで闘い抜き、絶対に控訴棄却判決を出させる必要があります。
 もともと本件にはまったく証拠がありません。原審第1回公判では検察官自らが「証拠がない」と自認したり、89年には当時右陪席の中谷雄二郎裁判官が法律雑誌の座談会で「証拠のないのは被告の責任」とデッチあげを追認しようとしたりしたことの中に、本件の政治的冤罪事件としての性格が余すところなく表現されていました。
 そのため、本件では検察官が12年半という異例の長期間、立証を行ったにもかかわらず、結局はメモの恣意(しい)的・捏造(ねつぞう)的解釈による架空の物語しか創作できず、04年3月25日の無罪判決により検察官の主張は崩壊したのです。この無罪判決に驚愕(きょうがく)した検察官が行った卑劣な理由のない控訴も、上記のようにその破綻は明らかです。
 検察官の主張はメモの恣意的解釈でしかなく、3人全員についてまったく証拠はないのですが、私について言えば、検察官が立証の中心としたメモ類すらまったくと言っていいほど存在していません。板垣が須賀さんや十亀さんらと岩手借家以前から「3人が一班」で行動し本件に関与したとする検察官の主張は、原審でも控訴審でもその虚偽性があまりにも明らかであり、まったく成立の余地はありません。私については、岩手借家押収とされる書籍に指紋がついていたことと、若干の書籍・文献の「標題」が書かれたメモがインチキ筆跡鑑定によって板垣のものだとされている以外に証拠は無いのです。
 仮にそのようなものがあったからといって、私が岩手借家に居た以上、なんの不思議もないことであり、ましてや「岩手借家以前」について立証する証拠になどなり得ないことは明白です。こんな薄弱な理由で検察官が私を起訴したり控訴したりしたこと自体が許せません。また、起訴が根拠のないものであることを十分に知りながら、私を16年も未決勾留し、私を病気にさせ、家族を引き裂く過酷な人権侵害を加え続けてきた裁判官も許せません。こんなことはもうやめろ!

 反動的な巻き返し許さない

  今年の3月3日、同事件で別に裁判を受けている福嶋昌男さんに服部悟裁判長(東京地裁刑事第3部)は、憎悪と政治的報復の意図をむき出しにして、懲役12年もの有罪重刑判決を強行しました。
 3・3反動判決は、無実・無罪の福嶋さんへの卑劣な攻撃であるだけでなく、明白に04年3・25無罪判決を反動的に覆す狙いをもった攻撃です。福嶋さんと私とは何らの接点もなく「共謀」などあり得ません。服部反動有罪重刑判決が国家権力の総力を挙げた反動的巻き返しであることを真っ向から見据え、5・19判決で控訴棄却をかちとることで服部による反動攻撃を跳ね返し、完全無罪を実現しなければなりません。多くの皆さんが5・19判決公判に結集してくださるようお願いします。

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5・19控訴審判決公判へ
 5月19日(金)午前10時 東京高裁725法廷

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