ZENSHIN 2006/02/27(No2235
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週刊『前進』(2235号1面1)(2006/02/27)
連合の1・19中執決定の大裏切りと対決し 国民投票法案粉砕・改憲阻止へ
全国で卒業式闘争の大爆発を
動労千葉の反合・運転保安闘争を最先頭に06春闘を闘い抜こう
06年冒頭からの4大産別をめぐる激しい攻防を経て、いよいよ2月下旬から「日の丸・君が代」不起立闘争の本番に突入する。東京の被処分者を先頭に、闘う教育労働者はいかなる処分も恐れず不起立を貫くと宣言している。この不退転の決意は、日教組30万の現場組合員全体の階級的魂を揺さぶり、不起立闘争の全国的爆発の機運を高めている。同時に動労千葉は歴史的な反合・運転保安春闘に決起する。危機の小泉打倒へ、今闘えば勝てる。今が勝負だ。4大産別決戦勝利・改憲阻止に向け、すべてをかけて決起しよう。
第1章 小泉=奥田の構造改革路線今こそ粉砕を
2―3月決戦が06―07年階級決戦の全体を決する闘いであることがますます鮮明になっている。日本の労働者階級は歴史的な反転攻勢に打って出る絶好のチャンスを前にしている。動と反動、革命と反革命の劇的な逆転に次ぐ逆転こそ革命的激動期の特徴である。昨年の9・11衆院選での小泉のクーデター的勝利はわずか5カ月前のことだが、すでに小泉改革の矛盾が爆発し、小泉体制は瓦解(がかい)の危機にたたき込まれている。小泉のファシスト的扇動政治の化けの皮は完全にはげ落ち、インチキな正体があらわとなった。
日帝・支配階級にとって戦争と民営化=労組破壊以外に延命の道がないことは明らかだ。しかしこのまま小泉=奥田の構造改革路線を進めることによる体制的総破産と労働者人民の根底的な怒りの決起の前に、支配階級自身が今や戦慄(せんりつ)し始めている。
この日帝危機の根源、日帝・小泉打倒の根拠はどこにあるのか。4大産別を先頭とする闘う労働者階級と労組の存在である。だからこそ日帝・小泉は、1・19中執決定で国民投票法案推進を決めた連合中央を手先として、昨秋できなかった4大産別組合の改憲勢力化を今度こそ待ったなしでやり遂げようと総力を挙げている。だが自治労臨大でもJPU臨大でも、現場組合員が下から決起し、ぎりぎりのところで踏みとどまり、勝ち抜いている。国鉄では2・16集会が1047名闘争史上画期的な成功をかちとった。そして何よりも闘う教育労働者の「日の丸・君が代」不起立闘争が3・21臨大での日教組の歴史的大転向を根底から吹き飛ばし、日本階級闘争全体を革命的に塗り替える闘いとして打ち抜かれようとしている。
第2章 不起立闘争は戦争協力拒否の偉大な闘い
06年春の不起立闘争は、03年「10・23」通達以来のファシスト石原・都教委との攻防に革命的決着をつけ、日帝の改憲と戦争突入の全反動プランを根底から吹き飛ばすすさまじい威力をもっている。それは、動労千葉の反合・運転保安春闘と一体的に闘い抜かれることによって4大産別―全産別の階級的力関係を大転換させる力を持っている。
10・23通達を出した石原・都教委は、最初明らかに高をくくっていた。処分の恫喝をふりかざせば、教育労働者はたちどころに白旗を揚げて降参すると思っていたのだ。ところが、都高教組合員を先頭とした決起は、ついに処分を恐れず首をかけてでも不起立を貫く不屈の教育労働者を続々と生み出してしまったのである。まだ処分を受けていない膨大な教育労働者も「今度は自分が」という決意を固めている。
今やファシスト石原・都教委は、教育労働者の不起立闘争の永続化、「日の丸・君が代」攻防の「泥沼化」という事態に震え上がり、対応不能に陥りつつある。もし石原・都教委が「君が代」不起立で解雇などに踏み切ればどうなるか。国鉄1047名闘争と双璧(そうへき)をなすような解雇撤回の大闘争が爆発することは間違いない。そして韓国労働者を始め全アジア人民との国際的共同闘争に必ず発展していく。また「停職どまり」なら「処分恐るに足らず」という教育労働者を次々に生み出していくことになる。石原・都教委は完全に墓穴を掘ったのだ。
動労千葉が歴史的に実証してきたとおり、職場からの不屈の抵抗闘争の継続、団結による処分攻撃への断固たる反撃こそが敵を追いつめ、勝利の展望を切り開くのだ。このことに多くの教育労働者が確信を持ち、被処分者への支持が広がり、不起立闘争拡大の機運が東京から全国に広がり高まっている。「日教組30万の不起立を!」こそが闘う現場組合員の要求でありスローガンだ。今春、東京と全国が呼応して一斉に不起立闘争へ決起し、勝利を切り開こう。さらに3・21日教組臨大を一大決戦として闘おう。
「日の丸・君が代」強制攻撃とは何なのか。帝国主義は体制的危機をとことん深め、侵略戦争へ突き進んでいる。だからこそ「日の丸・君が代」強制なのである。それは、日帝・国家権力が、天皇に忠誠を誓うのか否か、侵略戦争に協力し国家のために命を投げ出すのか否かを全教育労働者と生徒に突きつける「踏み絵」である。これを拒否する者は徹底的に弾圧し、追放し、抹殺するという攻撃である。この攻撃を個々人の「内心の自由」の問題だけに切り縮め、個々の孤立した闘いにしては、けっしてならない。それでは日本帝国主義の死活をかけた攻撃に勝つことはできない。この帝国主義の攻撃を打ち破る道は、教育労働者、全労働者が「戦争協力拒否」という階級的立場を明確にさせ、そのもとに固く団結して闘う以外にありえない。階級的団結こそが労働者の唯一の勝利の武器だ。
「日の丸・君が代」は、そもそもの最初から日本帝国主義の侵略戦争の道具として作られたものである。日本のプロレタリアート人民を戦場に送り、アジア人民を殺戮(さつりく)するために使われた歌であり、旗である。それ以外の何ものでもない。「歌・旗に罪はない」などというのは「ナチ党歌や旗には罪がない」というくらいに恥知らずな詭弁(きべん)である。靖国神社参拝を平然と続け、日帝の侵略戦争を居直り、改憲と新たな戦争に向かって突き進んでいるファシスト石原や小泉らが処分・暴力を振りかざして「日の丸」をあがめさせ、「君が代」を歌わせることなど、日本の労働者階級は断じて許してはならないのだ。
第3章 反合・運転保安春闘の階級的インパクト
この教育労働者の不起立闘争と固く連帯し、同時一体的に動労千葉の反合・運転保安春闘が戦闘的に闘われようとしている。教育労働者の不起立闘争と4・25尼崎事故1周年を前にした動労千葉の反合・運転保安春闘の一体的な爆発と高揚は、4大産別全体、日本労働者階級全体にものすごいインパクトを与える。さらに2・16集会の歴史的成功をもって国鉄1047名闘争が新たな発展を開始した。
不起立闘争に決起する教育労働者、1047名闘争を闘い抜く国鉄労働者、連合と中央本部の首切り推進・改憲賛成方針に絶対反対の立場を貫く自治労・全逓の労働者、これらすべての労働者はランク&ファイルの現場組合員だ。この4大産別のランク&ファイルは、帝国主義の手先・「労働代官」としての連合中央を打倒しうる勢力、潮流として登場しつつある。2―3月決戦、06春闘の歴史的爆発をかちとり、労働運動の階級的大前進を切り開こう。
第4章 4大産別決戦軸に改憲阻止闘争に立とう
帝国主義の危機は世界史的スケールで爆発的に進行している。06年冒頭からの4大産別決戦を軸とした階級攻防の息もつかせぬ激しさは、根底的にはこのことに規定されている。
基軸帝国主義・米帝がイラク侵略戦争の敗勢と政治危機、借金漬け経済の矛盾の極限化にあえぐ中で、帝国主義の世界支配は根底から揺らいでいる。イラク情勢は総選挙実施とシーア派の「勝利」によって、いよいよ米帝がコントロールできないものになっている。パレスチナではハマスが圧勝し、エジプトでも反米勢力が台頭、イラン情勢も重大局面にある。米帝のイラク侵略戦争の泥沼化、占領統治の破綻(はたん)は、中東支配の総瓦解的危機を引き起こしている。さらに米帝の「裏庭」であり、伝統的勢力圏としてあった中南米で次々と反米政権が誕生している。米帝の世界支配の崩壊が激しく進行しているのである。
だがこれらの事態は、米帝ブッシュの世界戦争政策の後退ではなく、より一層のエスカレーション、凶暴化をもたらす。ブッシュの一般教書演説と新QDRこそ米帝の新たな世界戦争宣言、北朝鮮・中国侵略戦争宣言である。米帝は、新QDRで「対テロ長期戦争」論を打ち出すと同時に中国を戦略的打倒対象として明示した。そして対中国の世界大戦級の戦争を遂行するために日米同盟を最大限に位置づけている。沖縄米軍基地強化、中でも辺野古新基地建設は、この世界戦争を遂行しようとする米軍大再編のかなめである。そしてこれは、日米枢軸形成による世界戦争参戦を唯一の体制延命の道としている日帝にとっても絶対貫徹以外にありえない。
3・5沖縄県民大会は、米帝と日帝の帝国主義としての延命をかけた世界戦争政策のための「第5次琉球処分」との全面激突である。「第2の沖縄戦」を許すのか否か、沖縄人民の生存・生命をかけた一歩も後へ引くことのできない闘いである。米軍再編・辺野古新基地建設粉砕の安保・沖縄闘争を改憲阻止闘争と一体の闘いとして日本の労働者階級人民の総決起で闘い抜こう。
3・5県民大会に総決起し、連帯して、米・日帝国主義打倒までやむことのない新たな安保・沖縄闘争の歴史の扉を押し開こう。座間、相模原、横須賀、岩国を始め米軍再編の焦点となっているすべての自治体で労働者・住民の総反乱を巻き起こそう。3月米軍再編最終報告を打ち砕こう。
4大産別決戦は、4大産別労組の改憲勢力化、戦争協力・翼賛の産業報国会化の攻撃との決戦でもあり、改憲阻止決戦、米軍再編粉砕の新たな安保・沖縄闘争と不可分一体である。4大産別の労働者は改憲阻止、米軍再編粉砕の闘いの先頭に立つ使命感に燃えている。4大産別の労組、労働者を軸に改憲阻止の巨大な統一戦線を築き上げよう。
第二東京弁護士会の主催で開かれる「問題点を検証する!『憲法改正国民投票法案』」2・22大集会(要項4面)は、憲法闘争の発展と改憲阻止の大統一戦線形成にとって重要な集会である。広範な人びとの大結集を実現しよう。国民投票法案粉砕へ改憲阻止決戦の本格的爆発を切り開こう。
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週刊『前進』(2235号1面2)(2006/02/27)
1047名が勝利へ大同団結 2・16集会 “解雇撤回・JR復帰を”
会場超満員の熱気 国労闘争団、全動労争議団、動労千葉争議団が壇上に並んだ。1047名全体の統一陣形の登壇に熱い拍手が送られた(2月16日 東京・日本教育会館)
国鉄闘争は、国鉄分割・民営化による被解雇者1047名の大同団結を形成し、解雇撤回・JR復帰に向けて大きな一歩を踏み出した。2月16日、東京・日本教育会館で開かれた「JR採用差別事件の勝利解決をめざす! 1047名闘争団、争議団、原告団2・16総決起集会」は、国労闘争団、全動労争議団、動労千葉争議団の全体を束ね、新たな闘いを宣言する歴史的な集会になった。
集会を主催した「1047名被解雇者2・16集会実行委員会」は、国労闘争団の鉄建公団訴訟原告団と鉄道運輸機構訴訟原告団、全動労争議団・鉄道運輸機構訴訟原告団、動労千葉争議団・鉄道運輸機構訴訟原告団に、国労闘争団全国連絡会議が加わり、5者によって結成された。鉄建公団訴訟を軸に形づくられた1047名の統一陣形は、国労闘争団全体を巻き込んでの大統一戦線に発展した。
集会には、用意された別室を含め1850人が大結集した。会場に入りきれずやむなく帰った人びとを入れると2500人以上が集会に足を運んだ。これは、大同団結した1047名の闘いへの労働者階級の期待の大きさを示している。
闘争団・争議団が不屈の決意
87年2月16日は、1047名にJR不採用が通知された怒りの日だ。それから20年目のこの日、国鉄1047名闘争は再び階級攻防の最前線に躍り出た。
国労闘争団、全動労争議団、動労千葉争議団が壇上に並ぶと、会場から熱い拍手が巻き起こった。
全動労争議団団長代行の梅木則秋さんは「5者共同の流れを闘いの到達点として大切にしたい。一日も早い解決へ、この流れを奔流とするために闘いたい」と発言した。
動労千葉争議団代表の高石正博さんは「1047名が一堂に会し、闘いのスタートに立った。より一層団結を深め、何としても勝利したい」と訴え、国鉄分割・民営化が鉄道の安全を根本から破壊したことを弾劾して、動労千葉は今春闘を反合・運転保安春闘として闘うと宣言した。
国労闘争団全国連絡会議議長の神宮義秋さんは「大同団結を固め、政府に解決を迫り、早期勝利解決へ奮闘する」と述べた。
国労闘争団・鉄建公団訴訟原告団団長の酒井直昭さんは「9・15判決を機に1047名総体がまとまった。国労はもう一歩前に出て訴訟に取り組むべきだ。それが望みうる解決のための最短・最良の道だ。今年こそ解決の年とするために頑張りたい」と訴えた。
「国鉄闘争の20年と解決への道」と題して講演した鉄建公団訴訟主任弁護士の加藤晋介さんは、「(中労委の救済命令を取り消した)98年5月28日の東京地裁判決で国労組織は動揺した。だが、国鉄闘争は労働委員会や裁判で勝ちさえすれば勝てる闘いなのか。職場で闘わなければ政治解決を図ろうとしても解決はできない」と強調した。また、鉄建公団訴訟の控訴審は不当労働行為の存在自体を認めない鉄建公団(旧国鉄清算事業団、現鉄道運輸機構)との激しい攻防になることに注意を喚起し、「国労は訴訟を起こして闘う姿勢を見せてほしい」と語気を強めた。
国労闘争団全国連絡会議事務局長の葛西忠雄さんが「被解雇者1047名は……大衆闘争、裁判闘争を強化し共同行動を積み上げ、勝利解決に向けて全国の仲間と全力で闘い抜きます」と宣言した集会アピールを読み上げた。
団結ガンバローの音頭を国労闘争団・鉄道運輸機構訴訟原告団代表の川端一男さんがとり、全参加者が一斉にこぶしを突き上げた。
全被解雇者が連絡会を結成
集会主催者の5者は、この日を機に「被解雇者1047名連絡会」を結成した。1047名の大同団結は誰にも覆せない力強い流れになった。あらゆる苦難・迫害をのりこえ闘いを貫いた闘争団・争議団の不屈の意志が1047名全体を牽引(けんいん)し、集会を大成功に導いた。
国鉄闘争こそ小泉政権打倒の拠点であり、教労、全逓、自治体、国鉄の4大産別決戦の土台をなす闘いだ。2・16集会はあらためてこのことを鮮明にした。
今、小泉は改憲を叫び立て、日米新安保のもとに北朝鮮・中国侵略戦争体制を構築し、郵政民営化や公務員制度改革によって公務員労組を解体に追い込もうと攻撃を強めている。
そのただ中で、国鉄闘争は国家の総力を挙げた不当労働行為=絶滅攻撃に耐え抜いて、1047名の統一陣形を生み出した。これはまた、労働者階級総体が改憲阻止・小泉打倒の決戦に立つ巨大な水路が形成されたことを意味している。
教育労働者の「日の丸・君が代」強制拒否の闘いと動労千葉の反合・運転保安春闘は、これをさらに押し広げるものになるだろう。
今春決戦は2・16を経てさらに白熱化した。06春闘を全力で貫き、小泉打倒へ総決起しよう。
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週刊『前進』(2235号1面3)(2006/02/27)
日程
知事権限を奪う特措法制定反対
普天間基地の頭越し・沿岸案に反対する
3・5沖縄県民総決起大会
3月5日(日)午後3時〜5時
午後3時〜平和イベント
午後4時〜総決起大会
宜野湾市海浜公園多目的広場
主催/普天間基地の頭越し・沿岸案に反対する沖縄県民総決起大会実行委員会
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週刊『前進』(2235号2面1)(2006/02/27)
「日の丸・君が代」は天皇制崇拝と侵略戦争を賛美する旗と歌
職場の団結で「戦争協力拒否」を
30万日教組組合員は今こそ不起立闘争に総決起しよう
全都・全国の教育労働者の皆さん。今春卒・入学式の「日の丸・君が代」強制に対して、断固、不起立で闘おう。処分を恐れない教育労働者の団結した闘いこそ「日の丸・君が代」強制を阻止し、不当処分をはね返し、戦争のための教基法改悪と改憲攻撃をうち破る力だ。今こそ「教え子を再び戦場に送るな」の日教組運動の正念場だ。全国30万の日教組組合員は総決起しよう。全国の労働者人民は連帯して闘おう。
学校を“絶対服従”の兵営にしていいのか
石原・都教委の03年10・23通達=「日の丸・君が代」強制は、教育基本法改悪・憲法改悪と一体で教育労働運動をつぶし、子どもたちを戦争に動員していくための攻撃である。学校から――職員会議からも授業・学校行事からも――民主主義を一掃し、学校を、上官の命令には絶対服従の兵営のような場所に変えることが狙いなのである。
これに対して都の教育労働者は、日教組中央や都高教執行部の屈服をのりこえ不起立闘争を続けてきた。「戦争協力を拒否する」という不屈の抵抗は労働者階級に限りない勇気と力を与え、連合の改憲勢力化を阻止する力となっている。
戦争と植民地支配の象徴だ
「日の丸・君が代」は「どこの国にも国旗・国歌はある」という一般論で正当化されるものではけっしてない。「君が代」「日の丸」の歴史は、明治以来の近代日本の帝国主義的膨張、長期にわたる朝鮮・中国・アジア侵略戦争と植民地支配の歴史と固く結びついている。「日の丸・君が代」は、日本を「天皇が治める神の国である」として国家主義をあおり立て、対アジアの排外主義・差別主義を組織する道具として使われた。そして労働者人民を日帝の侵略戦争−帝国主義戦争に動員し、アジア人民を虐殺していくための旗と歌だった。
今、石原・都教委が「国旗・国歌法」制定(1999年)時の「児童・生徒の内心にまで立ち入って強制するものではない」という政府答弁をも踏みにじって学校現場に押しつけてきているのは、再び日本帝国主義が国家の総力を挙げた対外侵略戦争にのめり込む以外になくなっているからだ。だから、こんな戦争の歌と旗は、絶対に拒否しなければならない。
天皇制支配を強化するテコ
「君が代」は「古今和歌集」以来の伝統を受け継いでいるかのような言い方がされるが、まったくの大うそである。大体、「古今和歌集」では「君が代」ではなく「わが君」から始まっているし、この「君」は、天皇を指しているのではないというのが定説である。
その後、明治期まで「君が代」はさしたる存在ではなかった。江戸時代にはこの歌は薬師如来の御詠歌とされていたのだ!
「日の丸」もけっして昔から日本を代表するシンボルだったわけではない。幕末になって薩摩藩が自藩の船を表す表示として使ったのが始まりだ。
1870(明治3)年の太政官布告で商船国旗は「日の丸」、陸軍国旗は旭日旗、海軍国旗は「日の丸」としたが、国全体の国旗として「日の丸」が正式に決められたことはない。
「日の丸」が国民的に流布され始めたのは、1877(明治10)年前後の天皇の各地への巡幸からであった。これは天皇制と天皇制イデオロギーの国民的流布をめざした政治的デモンストレーションだった。この時に小学生に「日の丸」の小旗を振らせた。
「日の丸・君が代」が学校に強く押しつけられるようになったのは、1890年の「教育勅語」の発布と、翌91年の文部省の「祝日大祭日儀式規定」からである。
中国への侵略戦争(日清戦争、94〜95年)の切迫の中で、明治政府は学校に対する国家統制を強めた。学校を強力な媒体として「君が代」を全国に広め、天皇・国家への忠誠心を労働者・農民に植え付け、階級支配と侵略戦争への動員を強めようとしたのだ。
明治に逆戻りの都教委通達
「祝日大祭日儀式規定」の内容は次のようなものである。
@「君が代」を斉唱する
A御真影(宮内省から各学校に配られた天皇・皇后の写真)に最敬礼する
B学校長が「教育勅語」を朗読し、そのあと訓辞を行う
C祝日にかんする唱歌を合唱する(紀元節の歌とか天長節の歌など)
これを見ると、都教委の03年「10・23通達」と「実施指針」(注)が、この100年以上も前の「祝日大祭日儀式規定」をなぞっていることは明らかだ。超反動的で内容的に空疎な天皇制・天皇制イデオロギーの強制にとっては、「儀式」がきわめて重要な位置をもつのであり、それは昔も今も変わらないのだ。この規定を決定的なテコとして、学校ルートで「日の丸・君が代」は全国民に流布・徹底されていった。
「日の丸」がさまざまな場所に掲げられ、その小旗が盛んにうち振られるようになったのは、15年戦争の時期である。1941年に「祝日大祭日儀式規定」は国民学校令の施行規則に組み込まれ、一段と権威づけられた。
戦時下、学校では「大東亜共栄圏」の地図の上で、中国や東南アジアなど占領した地域や町々に日の丸の小旗を立てることが行われた。文部省発行の『初等科修身一』(3年用、1942年)には、こう書かれていた。
「敵軍を追ひはらって、せんりょうしたところに、真っ先に高く立てるのは、やはり日の丸の旗です。兵士たちは、この旗の下に集って、声をかぎりに『ばんざい』をさけびます。/日の丸の旗は、日本人のたましひとはなれることのできない旗です」
数千万人のアジアの人びとが、この旗と歌のもとで日本軍に蹂躙(じゅうりん)され、虐殺されたのだ。
また、日本の労働者・農民は「日の丸・君が代」のもとで、“天皇のため”の死を強制された。出征兵士を送るにあたってうち振られ、侵略の先々でなびかせた旗が「日の丸」であった。その光景は、今も自衛隊のイラク出兵の際に繰り返されている。
教基法改悪・改憲阻止と日教組の再生かけ
このように「日の丸・君が代」は、天皇制のもとで行われた日本帝国主義の侵略戦争と植民地支配の血にまみれた、とんでもない「旗」「歌」なのだ。ドイツで言えばナチスの「ハーケンクロイツ」に当たるものだ! それがそのまま、まかり通ってきたのだ。
「日の丸」「君が代」には天皇制と天皇制イデオロギーが染みついており、白色テロルのにおいが染みついている。石原・都教委と日帝・文科省が依拠しようとしているのは、この凶暴な暴力、暴力的脅迫の力だ。天皇を神聖不可侵なものとして扱い、国家主義のシンボルとして扱うことで、日帝国家権力への無条件の屈服を強制しようとしている。そしてこれが、日教組中央や都高教本部など社民的・スターリン主義的な既成指導部がこの暴力・脅しの前にはいつくばってしまっているために、組合的抵抗さえまともに受けない中で、闘う労働者階級の分断と圧殺の暴力的武器にされつつあるのだ。
東京の教育労働者の10・23都教委通達粉砕の抵抗闘争、全国の教育労働者の「日の丸・君が代」不起立闘争は、こうした国家権力の狙いを打ち砕き、改憲と戦争体制づくりをはねとばす闘いである。また公務員全体にかけられた労働運動絶滅・解体攻撃を真っ向から打ち砕く闘いである。全力で勝利しよう。
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注 「10・23都教委通達」は、卒業式・入学式などで「国旗掲揚及び国歌斉唱を適正に実施するよう」にとし、教職員が校長の職務命令に従わない場合は「服務上の責任を問われる」とし、「実施指針」のとおり行うよう通達した。「実施指針」は、「国旗は、式典会場の舞台壇上正面に掲揚する」「教職員は、会場の指定された席で国旗に向かって起立し、国歌を斉唱する」などと、こと細かに会場の設営の仕方まで定めた。
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週刊『前進』(2235号2面2)(2006/02/27)
広島 教基法改悪反対集会に250人
“不起立で闘うぞ” 「東京と共に」の決意固く
2月11日、「教育基本法と憲法の改悪をとめよう!ヒロシマ集会」(実行委員会主催)が、平和公園の原爆資料館・メモリアルホールに250人の労働者・市民・学生・高校生を結集して開催された。3〜4月の卒・入学式を前に、「日の丸・君が代」不起立・不服従の戦争協力拒否闘争を貫く教育労働者を先頭に、保護者・生徒・労働者が一体となって闘うことを力強く宣言し、その力で教育基本法と憲法の改悪を阻止する大運動がスタートした。
(写真 「教育基本法と憲法の改悪をとめよう!ヒロシマ集会」の後、呼びかけ人を先頭に広島市内デモを行い、沿道の市民にアピールした【2月11日】)
集会には、動労千葉を始め闘う諸団体から連帯のメッセージが寄せられた。呼びかけ人を代表して開会あいさつに立った元参議院議員の栗原君子さんは、「紀子懐妊」騒動をもテコに強まる天皇制と天皇制イデオロギー攻撃を厳しく批判し、「小泉内閣の戦争と改憲―民営化・生活破壊の攻撃と今こそ闘う時です。『日の丸・君が代』強制をはね返し、米軍再編・岩国への米空母艦載機移駐を絶対にとめよう」と訴えた。
名古屋大学教授・浦部法穂さんが「憲法改悪はクーデターの企て―自民党『新憲法草案』を斬る」と題した講演を行った。浦部さんは「自民党や民主党が目指しているのは〈憲法改正〉などという生やさしいものではない。国民が権力に命じた現憲法を全否定し、逆に権力が国民に服従を命じる〈新憲法〉制定を狙うものであり、それ自体憲法違反だ」「自分たちに都合のよいように政治体制の根本的変革を行う、まさしくクーデター」と喝破した。そして特に9条1項を形式的に残して9条の二に「自衛軍の保持」をうたう9条改憲のペテンを、フランス憲法やハーグ条約等の実例と対照して鋭く批判した。浦部さんの「すべての戦争は自衛の名のもとで行われてきた。現にアメリカ・ブッシュは自衛のためといってイラクに戦争をしかけている。自衛軍を持つことは、日本が戦争をするということだ。絶対に許してはならない」という訴えは参加者全員の決意となった。
続いて、東京の「日の丸・君が代」不当処分撤回を求める被処分者の会の労働者が特別報告を行った。かつて修学旅行の引率で原爆ドームを仰いだヒロシマの地に18年ぶりに訪れた感慨を込めて、戦争協力拒否の闘いの展望と決意を語った。10・23通達以来、東京の被処分者は408人にも上っている。度重なる弾圧に屈せず「日の丸・君が代」強制拒否を貫く東京の教育労働者の闘いは、石原・都教委を着実に追い詰め、連合派組合指導部の裏切り路線を打ち破り、日教組再生の血路を開く闘いとして、今春「日の丸・君が代」不起立闘争のさらなる発展に向かって突き進んでいることを、確信に満ちて報告した。共感と連帯の拍手が送られた。
ヒロシマの教育労働者を代表して広教組・広高教組の仲間4人が登壇し、東京の仲間とともに今春「日の丸・君が代」強制拒否を闘いぬき、ヒロシマを日教組再生の砦として打ち立てる決意を表明した。05年をともに闘った東京とヒロシマの教育労働者が、06年はさらにその絆(きずな)を強めて闘いを発展させようと誓いあった。ヒロシマの教育労働者が、不起立・不服従闘争の〈継続・強化・拡大〉を、職場からの実力闘争として不退転の決意で闘いぬこうとしていることに、全参加者から惜しみない拍手が寄せられた。
広教組青年部の仲間が風刺のきいたコントと夢のある音楽で会場を楽しませた後、呼びかけ人の僧侶の小武正教さんが、広島県三次市における「校長らによる学力テスト改ざん事件」を弾劾した。小武さんは、日帝・小泉―文科省による「教育改革」のおぞましい実態を糾弾し、06年も保護者として不起立すると宣言した。広島大の学生が特別アピールとして、改憲阻止闘争への総決起を熱烈に訴えた。最後に集会宣言を採択し、広教組の仲間が行動方針を提起した。今春「日の丸・君が代」強制拒否に総決起し、3・31日比谷野音で開催される教育基本法・憲法の改悪阻止の全国集会と国会デモに大結集することなどを確認した。
参加者は、呼びかけ人を先頭に平和公園から原爆ドームまで市内デモを行い、沿道の市民にアピールした。
(投稿 広島N)
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週刊『前進』(2235号2面3)(2006/02/27)
府教委を徹底糾弾 大阪 「不起立宣言」集会開く
関西の教育労働者は1月27日に対府教委大衆交渉を行い、2月4日に「すわって示そう戦争反対!決起集会」を開催した。すでに不起立宣言・支援連帯表明が200人を超え、闘う教育労働者の手によって東京の2・5集会に届けられた。
“強制やめろ”と激しく追及
「日の丸・君が代」決戦がいよいよ始まった。大阪で不起立宣言を呼びかけて闘う「すわって示そう戦争反対!」実行委の提唱で、1月27日午後、府教委交渉が行われた。闘う教育労働者の団体や労働組合、部落解放同盟全国連、婦民関西協、各地域の市民団体など28団体が参加し、その代表団40人が交渉に臨んだ。府教委側は、森田充二高槻市議のあっせんで藤村課長補佐ら8人が出席した。
学校現場から駆けつけた教育労働者が先頭に立って交渉が始まった。「思想・良心の自由を侵害する強制をやめよ」「処分を撤回せよ」などの激しい追及に、藤村補佐は「侵害しているとは思わない」「処分については回答できない」と終始居直り続けた。しかし「日の丸・君が代」導入で生徒が式に出席できない例まであると追及されて、人権侵害を否定できないところに追いつめ、徹底糾弾がかちとられた。
また、東京のような職務命令と処分による「混乱」は避けたい、ということをにじませた答弁も引き出した。東京と大阪の闘いは、まさに一体のものだ。公然と不起立宣言を発し、戦争協力拒否をつらぬいて闘えば絶対に勝てる、と確信を深めることができた。
(写真 教育労働者を先頭に40人で大阪府教委と交渉、「『日の丸・君が代』強制をやめよ」と鋭く迫った【1月27日】)
奈良では「君が代」断念させる
2月4日、2月24日からの府立高校卒業式に向けて「すわって示そう戦争反対!決起集会」が大阪市北区で開催され、120人が参加した。
府教委交渉の報告に続いて、最大の決戦場となっている奈良から職場報告が行われた。これまで「君が代」実施を阻んできたある分会では、1月の職員会議で校長が「意見はうかがうが、自分はもう決定している」と言い放ち、いったん押し切られた形になったが、組合分裂をのりこえて職場討議を行い、全員一致で「一切の協力拒否」を校長に通告したことにより「君が代」実施を断念に追い込むという画期的な勝利がかちとられた。この闘いが組合を通じて全市に報告され、その他の職場・分会でも職場会での議論が組織され、いくつもの職場で攻撃をはね返している。この闘いの中で、日教組でも全教でも一部幹部の後退姿勢を組合員がのりこえ、組織の活性化がかちとられている。「日の丸・君が代」決戦がランク・アンド・ファイル運動そのものとして闘われ、闘う日教組運動を再生する決定的なチャンスとなることが示された。
続いて、大阪・兵庫の各地から教育労働者が不起立宣言を行い、行動提起では「不起立宣言」の拡大、高校ビラ入れ、各地域での申し入れ行動を行い、2・11憲法集会、3・31教育基本法闘争に全力で決起することが、鮮明に提起された。
関西の教育労働者の戦闘態勢は打ち固められた。首都・東京決戦に呼応して、06年「日の丸・君が代」決戦から教基法改悪粉砕・改憲阻止へ総決起しよう。
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週刊『前進』(2235号2面4)(2006/02/27)
怒りの06春闘へ
金属労働者のアピール
現場から噴き出す賃上げ要求と結んで春闘を闘う
連合の屈服を突き破ろう!
鉄鋼、造船・重機、非鉄金属の労組で組織する基幹労組の主な加盟組合が2月10日、賃上げ要求を会社側へ提出し、06年の春闘が始まった。15日には自動車総連や電機連合など主要な産業別労組の加盟組合も要求書を提出。3月15日の回答指定日に向かって、基幹労組や自動車総連、電機連合、JAMなどが参加する金属労協(IMF―JC)は交渉を進める。
連合は資本に屈服して4年間、賃上げは先送りして、賃金カーブ維持(定期昇給分の確保)を加盟労組に強要してきた。この間のリストラで労働者の賃金は低下の一途をたどり、成果主義賃金の導入で労働者間の格差が広がった。労働者への搾取を基礎にして、中国市場への進出により、資本は史上最高の利益を出しつづけ、失業率の高止まりと非正規雇用の増大で「格差社会」が社会問題にまでなり始めた。まさに「賃労働と資本」の関係が社会を覆い尽くしている。
この間、「我慢」を強いられてきた現場からは、賃上げを求める声が高まってきた。そのため労働者支配を続ける連合も「今年は月例賃金を重視した賃金改善」を掲げざるを得なかったのだ。IMF―JC傘下の大手労組は当初ベア要求に難色を示し、トヨタは最後まで抵抗を示していた。しかし、労働者の怒りを抑えつけることはできず、多くの産別労組が1000〜3000円の賃上げ要求を掲げた。日本経団連の「ベア容認」を受けて、連合幹部もようやく重い腰を上げたのだ。自動車が1000円、鉄鋼が2年で3000円、電機やJAMが2000円というベアであるが、そのスタンスは“資本へのお願い”でしかない。
IMF―JCは日本経団連の「06年版経営労働政策委員会報告」への見解で、「働く者や企業を取り巻く環境や課題認識に大きな違いはない」とあくまでも労資一体化を宣言し、「多様な選択肢を持った社会」を評価し、問題になっている格差社会を肯定した。また「人材への投資をどのようにすればよいのかという視点に立って、交渉に臨んでもらうことを切望する」と賃金を「投資」と表現し、資本に都合のよい「賃金改善」をお願いしているありさまだ。
JAMにおいても「春季生活闘争は、企業状況や労働条件について、労使が真摯(しんし)に話し合う場であり、次年度の企業活動の方向と、雇用の確保や労働諸条件向上のために必要な企業基盤作りに向けた意思統一を行う場である」と闘争を否定している。
小泉―奥田路線を容認する連合幹部に06春闘を任せていてはダメだ。連合幹部は、広範な労働者の怒りを圧殺し、労働者支配を強化するために利用するだけだ。「パートの待遇改善」も労働者支配をパートにまで押し広げるためのスローガンでしかない。パートや非正規労働者を生み出す資本と闘わずに「パートの待遇改善」が実現できるわけがない。
金属労働者は、労働者党組織を職場で建設しなければならない。闘う労働者との結合が求められているのだ。資本に屈服した連合が06春闘をリードしていることを、われわれは黙って見ているわけにはいかない。連合への批判を「内的に確認」しているだけでは労働者を組織することはできないのだ。確かにわれわれはまだまだ「小さな組織」である。その力量からすれば「強力な闘い」はできないように見える。しかし、この現実に甘んじることは労働者への裏切りである。われわれは広範な労働者階級の中に存在するのであり、けっして孤立している存在ではない。
実際、昨年の春闘では、中小組合が資本の賃金抑制・凍結攻撃をはね返す闘いを組織した。「2004年〜2005年には、平均賃上げの取り組みにおける300人未満の中小の健闘が目立った」と JAMでは闘いの高揚に押されて「賃金構造維持分+α」の要求をつくったと理由を説明している。金属労働者は闘いに立ち上がってきているのである。自然発生的にも労働者は闘いに立ち上がるのだ。労働者の怒りは職場に充満しており、階級的な宣伝・扇動と組織化が求められているのだ。
4大産別決戦勝利と一体で
資本の攻撃は、あらゆる産別で起きている。郵政民営化による「解雇・選別」攻撃や公務員制度改革による公務員身分のはく奪、「日の丸・君が代」強制による闘う教職員の排除はその代表であり、階級的攻防点となっている。その攻防点での闘いをわれわれは全力で闘っているが、勝利の展望は必ずある。国鉄1047名闘争が動労千葉の闘いによって新たな地平をつくり上げていることがそれを証明しており、クビをかけて闘う全逓の同志の闘いがそれを可能にしている。
民間における闘いも階級闘争の中に存在していることを金属労働者は正しくとらえ、その階級的攻防点を全体の力で闘いぬこう。敵は労働組合破壊により、労働者の団結を破壊しようとしているのだ。「戦争と民営化」攻撃は4大産別を軸に火花を散らしており、敵は全体重をかけている。民間職場でかけられている攻撃はその一環である。あえて言えば、小泉―奥田の「逆4大産別決戦」のための民への攻撃と言えるものだ。職場での闘いの前進が、4大産別決戦を勝利させる基盤をつくるのだ。
3〜4月「日の丸・君が代」不起立闘争が、日本を戦争国家へと築き上げるか否かの攻防点になっている。教育現場を国家権力が支配しようとしているのだ。教育を労働者から奪い取り、戦争のための教育を強制しようとしている。不起立で闘う教職員を排除し、労働者的な団結を破壊しなければ「戦争ができない」と小泉―奥田は考えているのだ。まさに、民間職場で起きている攻撃と同じである。労働者の団結を職場から一掃する攻撃だ。
金属労働者は06春闘を契機として労働者の闘いを広範に組織し、小泉―奥田路線と対決する必要がある。4大産別の攻防を職場から闘うのだ。06春闘は4大産別決戦と一つになることで、勝利の展望が切り開かれるのだ。全国の金属労働者よ、全国の同志よ、闘いの狼煙(のろし)を上げ、階級闘争の主戦場へと躍り出よう。そして、職場の青年労働者を階級的労働運動とマルクス主義で組織しよう。青年労働者こそ闘いを求めているのだ。
〔青山 翼〕
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週刊『前進』(2235号3面1)(2006/02/27)
JPU臨大 首切り容認案許さない
“本部に首を預けてたまるか” 執行部総退陣求め決起
2月9〜10日、東京・日本青年館で行われたJPU(日本郵政公社労働組合)臨時全国大会で、JPU中央は公然と民営化賛成を打ち出し、小泉=奥田の先兵となることを宣言した。これに対し、全国の闘う全逓労働者は郵政民営化絶対反対を掲げて総決起し、本部議案の否決と菰田執行部退陣を呼びかけた。本部議案は採択されたが、これから新会社への帰属問題や集配の統廃合をめぐり現場労働者の怒りと闘いが爆発することは不可避である。今こそ郵政民営化絶対反対で職場から反撃をつくり出そう。
(写真 「現場の仲間の顔を思い浮かべて本部案を否決しよう」と訴え、代議員に一人ひとりにビラを手渡した【2月9日 東京・日本青年館】)
JPU中央本部は議案で、「本人同意なし、エリア内外の配転が前提、決定権は新会社」という新会社の採用方式と、集配拠点の再編(集配特定局3600局の集約・廃止)などについて本部一任を求めた。組合員の生殺与奪権を握った上で、アクションプラン2合理化による労働強化・要員削減を徹底推進し、「働こう運動」を全組合員に強いようとしている。7月の経営委員会での新会社への帰属方針の決定を前に、JPU本部自らが首切り計画を実行し、労働者をふるいにかけ、現場の反撃を圧殺しようとしているのだ。
「本部にわれわれの首を預けてたまるか! 今こそ郵政民営化絶対反対を貫こう」−大会初日、全国の闘う全逓労働者は労組交流センターの呼びかけにこたえて続々と結集した。臨大会場前を制圧し、リレートークとビラ配布、デモで本部案否決と菰田執行部退陣を代議員に呼びかけた。
2時間のリレートークでは、今回の臨大代議員選挙に立候補して闘った組合員が先頭に立った。人事交流で強制配転された労働者、4・28反処分闘争を闘う労働者、全員解雇攻撃と闘う兵庫・加古川郵便局の関西合同労組・関西トランスポート分会の青年労働者などが、怒りに燃えて闘いの決意を述べた。
全国と各地方の労組交流センターのビラ、革共同全逓委員会のビラなどが全代議員に配られた。他産別の青年労働者らも郵政民営化反対の思いを寄せ書きしたビラをまいた。
大会開始に合わせて臨大包囲デモを行った。デモが臨大会場に戻ってきた時、ちょうど代議員らが休憩中で屋外に出ていた。路上に立ち止まって、彼らにシュプレヒコールで訴えた。
デモ終了後、中央本部に@4・28被免職者の職場復帰、A郵政民営化絶対反対、B1・19連合中執決定の撤回、を申し入れた。
大会2日目は、東京の全逓労働者を中心に、1日目の議事を踏まえて書かれたビラを代議員に配布した。
闘う全逓労働者は、すべての現場労働者の怒りと要求を体現して2日間の臨大闘争を貫徹し、JPU本部打倒の闘いに踏み出した。
「本部一任」拒む絶対反対票
本部議案は賛成302票、反対23票(無効2票)で採択された。だが本部方針が信任されたわけではまったくない。代議員の発言は、首切り容認と改憲推進の本部議案に対する全逓労働者の怒りを反映したものばかりだった。302票は、闘う執行部と路線が不在の中で、やむをえず条件付きの「賛成」票として投じられたにすぎない。本部は、今大会では満場一致で議案を通さなければならないと圧力をかけた。それに屈せず23票の絶対反対票が投じられたのだ。これに本部は打撃を受けている。
討論では、新会社への帰属・雇用問題をめぐり本部方針への不安や疑問が噴出した。JPS(トヨタ方式)、10時間2交代制勤務の導入などによる労働強化と要員削減に対し、「このままでは民営化前にボロボロにされる」と怒りの発言が相次いだ。近畿地本の代議員は「全員が新会社に行けるという雇用安定協定を結ぶべきだ」と要求した。“本部方針で本当に雇用は守れるのか”“希望した職場に行けるのか”と誰もが思っている。本部は「交渉を強化する」と言うが、現場の闘いを抑圧し、郵政民営化に白旗を掲げた本部に何がかちとれるのか!
本部は答弁で、「雇用安定協定は結べない」「(帰属については)本人の希望に百パーセントこたえられるわけではない」「分社化された新会社間で人事交流(=強制配転)が行われる」「企業発展に不可欠な集配拠点化は推進する」と言い放った。本部には労働貴族としての自己保身しか眼中になく、雇用や職場を本気で守る気などない。
帰属方針も集配局の統廃合も、これまでの人員削減合理化とは根本的に異なる大攻撃だ。国家公務員身分を奪った上で、いったん全員解雇・選別再雇用し、雇用も職場も生活も一変させるものである。
郵政民営化法成立で、闘いが終ったわけではけっしてない。攻防は労働組合にとっての主戦場である現場の闘いに移ったのだ。
首切り・合理化、強制配転などの攻撃が激化する中で、本部の裏切りはますます暴かれ、現場の怒りが爆発することは間違いない。この怒りを物ダメ・ストライキに転化し、本部打倒をかちとる新たな指導部の登場が求められている。
小泉打倒・民営化絶対粉砕へ
大会を前に、民主党代表の前原は、国家公務員を解雇する分限免職規定の柔軟な運用のための国会決議を要求した。当然にも代議員から、「前原発言の撤回を要求すべきだ」との意見が出された。本部はこれに対し、「危惧(きぐ)している。しかし支持政党だから見守っていきたい」と答弁した。民営化と改憲推進を方針とし、公務員バッシングの先頭に立ってきた民主党、今や“郵政労働者の生首を切れ”と要求するに至った民主党を、本部はいつまで支持し続けるのか!
基地を抱える地本の代議員らは、米軍再編反対の取り組みの強化を訴えた。また多くの代議員が「改憲反対の立場での議論を」「民主党の集団的自衛権発言など認められない」「戦争のできる国家に進んでいる。改憲反対のアクションが必要」と発言した。ところが本部は、改憲問題について「連合対応があるから慎重に推移を見守る」と答弁した。本部が改憲賛成の立場に立ったということだ。
連合は1月19日の中央執行委員会で、改憲のための国民投票法案について「民主党とも協議し対応を図る」と決めた。菰田委員長は機関運営を無視し、この決定に賛成した。JPU中央は組合員の知らない間に改憲推進で動いている。これを認めたら、行き着く先はJPUの改憲賛成・戦争協力の産業報国会=戦前の逓信報国団への変質だ。
郵政民営化の最大の狙いは、首切りの恫喝をテコに全逓労働者の中に競争と分断を持ち込み、労組としての団結を解体することにある。これを突破口にJPUを日教組や自治労ともども改憲勢力に変質させようとしているのだ。事実、元首相の森は『文芸春秋』12月号で“郵政改革で全逓を変質させ、連合の左派中心勢力の日教組と自治労をつぶす”と明言している。
こうした中で、菰田委員長も大会あいさつで認めたように、相次ぐJR事故、耐震強度偽装問題、ライブドア問題など、小泉改革の矛盾が噴出し始めた。小泉改革のもとで徹底的に進行した労働者階級の不安定雇用化・貧困化は労働者の怒りを呼び覚ましている。
今や日帝・小泉打倒=郵政民営化阻止のまたとない情勢が訪れた。何よりも教育労働者が解雇や処分の恫喝をはねのけ、「日の丸・君が代」強制拒否の不起立闘争に決起している。動労千葉は反合・運転保安を掲げて06春闘を闘いぬこうとしている。動労千葉の反合・運転保安闘争が労働者に圧倒的に支持されていることを見よ。全逓労働者が労働者階級全体の利害を貫いて郵政民営化と立ち向かえば、小泉の「郵政労働者(公務員)悪玉論」を粉砕し、産別を超えた労働者の決起を実現できる。全逓労働者が先頭に立ち、国鉄、自治労、日教組などに呼びかけ、全労働者の階級的団結と闘いを創出しよう。
4大産別をめぐる大決戦を改憲阻止・米軍再編阻止の新たな安保・沖縄闘争と一体のものとして爆発させれば、小泉は打倒できる。
物ダメ・ストライキに向かって現場の闘いと団結を強めよう。超勤・サービス残業を拒否し、アクションプラン2合理化と闘おう。
3・19国際反戦デモ、3・26三里塚現地総決起闘争を闘いぬき、3・31改憲反対・教育基本法改悪阻止の万余の国会包囲デモをたたきつけて、小泉打倒の突破口を切り開こう。
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週刊『前進』(2235号3面2)(2006/02/27)
住民の会杉並区交渉 保険料の40%アップ提示
“大運動で粉砕”の怒り
2月9日、介護と福祉を要求する杉並住民の会が杉並区交渉を行った。杉並・山田区政は、介護保険料の40%アップを打ち出した。この攻撃は、小泉―奥田―石原と組んだ山田の「高齢者は死んでしまってかまわない」という攻撃だ。戦後的な権利や価値観を根こそぎ覆す「つくる会」教科書攻撃と一体のものだ。高齢者や労働者民衆全体の怒りを爆発させ、この攻撃をうち破らなければならない。
(写真 保険料4割値上げの計画に区当局を怒りを込めて追及する杉並住民の会【2月9日 杉並区役所】)
介護保険は昨年の法改悪で10月1日からホテルコスト(食費や居住費)が自己負担となり、施設を出なければならなくなった人が出ていることが報道されている。こうした中で、4月1日からは改悪法が本格実施になる。
交渉は結柴誠一杉並区議が司会する形で進められ、まず、住民の会代表の八木ケ谷妙子さんがあいさつし、要望書と住民の会が集めた署名を手渡した。要望書は、まず介護保険料の改定で値上げをせずに、減額・免除を拡充するよう求めた。次にホテルコストの徴収で施設から出なければならなくなった人が出ている現実に対して低所得者対策を要求した。さらに、新予防給付の導入に対して、生活援助がなければ生活できない高齢者への生活援助介護継続や、介護保険制度見直しに伴う区の高齢者一般施策打ち切りに対して、低所得者への具体的施策を要求し、介護労働者への助成制度や相談窓口の設置などを求めた。
区の回答は、介護保険料については基準額で1200円引き上げるというとんでもない値上げだ。これまでの基準額3000円に対して4割の値上げだ。参加した男性の会員は、自分の分として7800円、妻の分として3000円、合わせて1万円以上(2カ月分)年金から引かれていることや電気代などで4万円、家賃として月8万円かかっている具体的数字を示しながら区に対して「値上げされたらやっていけない」と怒りをぶつけて値上げをしないよう要求した。
区は「介護保険は保険料を全体で負担する制度だということでご理解いただきたい」と言い、低所得の高齢者が生きていけなくなろうが知ったことではないというような許しがたい態度で居直った。
ホテルコストの徴収で施設から出なければならなくなっている事例が出ていることについて、「杉並区ではそのような事例はない」と回答したが、それは「区に苦情が来た例はない」というだけであって、介護施設から退所した人がどのような理由で退所したのかは何も把握しているわけではない。新予防給付の導入で生活援助介護が奪われることに対しても新予防給付の制度の説明をするのみで、生活援助介護が奪われることに対して区としては何もするつもりがないことを明らかにした。
会員の女性が自分のいる団地で再び孤独死が起こったことをあげ、こうしたことが起きないように区の対応を求めたことに対して、「福祉事務所や民生委員に連絡してくれ」と言い、区として何も対応するつもりがないことを示した。長谷川英憲事務局長が、介護保険の導入で公的介護が放棄され、自治体が高齢者のおかれている状態をまったく掌握していないことが問題であることを明らかにし、区の態度を弾劾した。
交渉終了後、参加した高齢者は、介護保険料の4割という大幅値上げの計画にあらためて怒りを燃やし、街頭宣伝を始めとした宣伝活動を強め、署名運動をさらに強化して運動を盛り上げ、なんとしてもこれを阻止しようと話し合った。
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週刊『前進』(2235号3面3)(2006/02/27)
アスベスト新法弾劾する
国の責任を全面否定し被害者への補償を拒絶
2月3日、参院本会議で「石綿による健康被害の救済に関する法律」(アスベスト新法)が与党・自民党、公明党の賛成多数によって可決・成立した。
アスベスト新法はアスベストによる健康被害者を救済するというもので、国家賠償責任による補償ではない。被害に関する国家の責任を否定した上で、医療費の自己負担分と療養費の支給、遺族に対する弔意金など300万円を支給すること、労災の時効制限の緩和などを定めている。「国の責任を認めて労災なみの補償を」という被害者の声を真っ向から踏みにじるものである。
規制に反対して被害広げた政府
国の責任について政府は国会で「政府に不作為があったとは考えていない」(小池環境相)と責任を否定したが、最大の責任は日本政府、自民党政権にある。
アスベスト被害に対する日本の規制は、他の工業国に比べても著しく遅い。 ILO(国際労働機関)は1974年にアスベストを含む職業性がん条約を提唱した。さらに、86年にアスベスト禁止条約を採択した。この総会で日本の政府代表はILOの案文の「一般環境の汚染防止のために措置を取る」という条項の削除を求めた。日本政府は、世界的なアスベストの産出国であり大輸出国であるカナダ政府と共同してこの修正案を提出し、否決された。日本はさらに石綿除去、建築物解体業者の登録制についても修正案を提出した。日本政府はその経済力を背景にして国際舞台で全力でアスベスト規制に反対したのである。
日本がILOアスベスト条約を批准したのは、クボタ被害が明らかになった2005年の8月である。87年には学校における吹き付けアスベストが問題になり全国的な調査が行われた(小泉は当時の厚生大臣で、アスベストの危険性、被害の拡大と切迫性を知らないはずがない)。ILOアスベスト条約を前後して先進工業国のアスベスト使用は激減するが、日本は86年以降にアスベストの輸入量を増加させている。
政府はアスベストの被害について早い段階から十分に知っていた。労災を管掌する労働省は、国内における発生についても70年代半ばには掌握していた。77年10月、埼玉の曙ブレーキ工業羽生工場周辺800b圏で肺がんなど死者11人が出ているという報告を、労働基準監督署の担当官が労働省にあげている。
1992年に当時社会党の五島正規氏がアスベスト規制立法を図ったが、自民党の妨害で廃案となった。翌93年の通常国会にも法案提出を試みたが通産省の反対で断念した。93年の秋になって、クボタ、ニチアス、ノザワなどのアスベスト使用企業の連合傘下の労組が法案提出に反対して社会党議員に陳情した。
政府内でアスベスト規制に最も強力に反対したのは、産業界=大ブルジョアジーの意向をストレートに代表している通産省である。実体的にも日本石綿協会は、通産省の天下り官僚が牛耳っている団体である。
つまり、日本政府は一貫してアスベストの有害性を人民に秘匿し、アスベスト規制に反対し、被害情報を握りつぶし、隠ぺいしてきたのである。日本の全使用量の11%を占めていたクボタなどの民間資本の野放図なアスベスト使用とそれによる被害の拡大はこうした政府の指導に沿ったものだ。その間に日本だけアスベスト被害が拡大し続けたのだ。
根本的対策なく危険の前に放置
政府はアスベスト新法をもってアスベスト対策が完了したかのように宣伝しているがとんでもない。クボタ周辺における環境曝露(工場などから周囲の居住者に及ぼされるアスベスト被害)による中皮腫の発生は、患者とその家族の依頼にこたえ民間の労災と闘ってきた関西安全センターが突き止めたのである。それは、保管期間3年の死亡小票(死亡日時や死因を記録した票)からアスベスト被害の可能性のある人でクボタの周辺に住んでいた人を割り出すという作業によって明らかになった。政府は追跡調査も実態調査もやろうとしていない。政府発表の数字は、業界団体を通じた各企業の自主申告の集計にすぎない。政府がこれまでの被害の調査をまったくやらないのは、今後もアスベストの危険の前に労働者をほうり出すつもりだからなのだ。国の基本的な政策はひとつも変わっていない。アスベストの使用を禁止することにしたのは代替品ができたからにすぎない。だからこれまでの責任を認めず、謝罪もせず、居直りを続けているのだ。
アスベスト被害について政府は、総合的な対策は何一つもっていない。これまでの被害者を抹殺し、今後の発症を放置し、アスベスト被害そのものを抹殺するつもりなのである。そのためのアスベスト新法だ。
アスベストはその生産から廃棄にいたるまで、その各段階で労働者の曝露と環境への飛散−曝露を伴う発がん物質である。建材を始め生活上のあらゆるところに使用されてきた。アスベストの使用禁止は、アスベスト被害を食い止める第一歩にすぎない。これまで日本に輸入され、使用されてきたアスベストの累積量は1000万dを超えている。それが生活の隅々に存在し続けている。
アスベストに特有のがんである中皮腫、アスベストによる肺がんの増加もこれからである。2039年までに10万人の中皮腫患者が発生するという。肺がんについては中皮腫の2倍と言われているので20万人、計30万人の患者がこれから発生すると予測されている。
アスベスト被害問題は帝国主義の問題であり、日帝はアスベスト問題について被害を食い止めることも被害者を救済することもしないし、できない。
労働者の団結で労災との闘いを
アスベスト労災との闘いにおいて労働組合の果たすべき役割は巨大である。神奈川県横須賀市では全造船労働組合が中心になってアスベスト労災との闘いを営々と闘いぬいてきた。この発端となったのは米空母ミッドウェーの改修時のアスベストが路上に放置されたことに対する闘いからである。労働者が、労働組合が、労災という名の資本の攻撃から自らを守る闘いを徹底的に貫くことによって、労働者自らと家族、地域住民を守ったのである。
一方クボタ労組が資本に屈服し、労災の被害を会社の言うがままに社外に公表しなかったことによって周辺の被害は拡大した。資本による企業内外の分断を許さず、階級的視点に立って闘うならばそれは必ず労働者の団結をつくり出し、地域住民をも守ることになる。労働組合がいかに階級的な団結をつくり上げるかということが一切を決するカギとなっている。今後の闘いもまた労働組合の階級的発展にかかっている。
石綿対策全国連絡会議が提起した「アスベスト全面禁止・アスベスト対策基本法の制定へ」の署名運動はわずか3カ月で146万1730筆となった。労働者階級の中に、アスベスト被害に対する怒りと不安、責任を居直る政府への怒りが沸騰している。
アスベスト新法の狙いを労働者の力で粉砕し、国と企業の責任を徹底的に追及しなくてはならない。
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週刊『前進』(2235号3面4)(2006/02/27)
韓国
非正規職法と闘う民主労総
代議員大会 議論噴出し継続
公務員労組 「特別法」を拒否
06年冒頭から韓国階級闘争は、民主労総解体を目的として非正規職関連法案改悪と「労使関係先進化ロードマップ」の立法化を一気に推し進めようとするノムヒョン(盧武鉉)政権との激突となっている。
ゼネストを対置
2月1日に臨時国会が開幕すると早々にノムヒョン政権は、派遣法改悪と期間制法案成立へのスケジュールを打ち出した。7日に国会環境労働委員会で非正規職法案の審議に入り、8日に公聴会、9日には全体会議で議決するというのだ。民主労総が2月10日に定期代議員大会を設定しており、執行部役員選挙中であることをもにらんで踏み込んできたのだ。すでに非正規職法案に関しては12月時点で韓国労総が修正案を提案、民主労総との共闘を断つという裏切りに走った。
民主労総は3日、緊急ゼネスト指針を発した。2・8ゼネスト闘争突入を基本方針とし、7日に国会前と全国各地で「非正規法案強行阻止と非正規職権利保障立法争取ゼネスト闘争勝利決意集会」の開催を決めた。候補者からも、選挙戦を延期・中断し非正規職闘争に集中しようとの提案が出された。
ゼネスト方針をもって非正規職悪法阻止を構えた民主労総の闘いを前に、国会環境労働委員会の審議は足踏みとなったが、依然緊迫した攻防が続く中、2月10日に第36次定期代議員大会は開かれた。
大会は冒頭から選挙延期、役員直接選挙制導入、代議員派遣手続きなど緊急動議をめぐる激論となった。非正規職労組を先頭とする組合員らは会場前に座り込んだ。結局、議論の決着がつかず、何も決まらないまま「休会」に。事態の責任を取って非常対策委員会は辞任し、中央委員会で新たな非常対策委員会を構成した上、2月21日に臨時代議員大会を招集することとなった。
非正規職闘争を民主労総の中心課題に押し上げようとする非正規職労組を先頭とする現場組合員のすさまじい格闘の結果だった。組織された労働者、労働組合の団結で非正規職悪法を阻止し、1000万人とも言われる非正規職労働者の組織化をかちとるためだ。
(写真 国会前で非正規職法案阻止ゼネスト勝利決意大会を開いた民主労総【2月7日 ソウル・ヨイド】)
“14万の団結で”
1月28日から「公務員労働組合特別法」が施行され、政権と公務員労組が正面から激突している。
2月8日、法務・行政自治・労働部の3長官が「共同談話文」を発表し、「法により設立申告をしない団体は不法団体とし、容認しない」と宣言、公務員労組が設立申告を出さなければ「不法団体」と規定し、団体交渉と団体協約締結は一切不許可とし、労組専従者認定、組合費一括控除、事務室提供およびその他の便宜提供を一切許さないと明らかにした。
公務員労組は「労働3権を保障しない公務員特別法は認められない」と弾劾し、「あえて法外団体の道を行く」と政権の恫喝に屈することなく14万組合員、250支部が団結して闘いぬくことを呼びかけた。すでに公務員労組は1月、組合員投票を経て民主労総に加盟し、新たな闘いに入っている。
「鉄道の商業化を中止し、公共性を強化せよ」のスローガンを掲げた鉄道労組は、スト権を確立し3・1全面ストに向かっている。この鉄道ストを軸に、地下鉄、貨物、タクシーなど運輸労組が、3月総力闘争に立ち上がろうとしている。この闘いと連帯し、4大産別決戦、06春闘と「日の丸・君が代」闘争を闘いぬこう。
(室田順子)
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週刊『前進』(2235号4面1)(2006/02/27)
3・5沖縄県民大会へ
辺野古新基地建設阻止! 米軍再編に怒りの反撃を
革共同沖縄県委員会
3月5日午後3時より、沖縄・宜野湾市で開かれる「知事権限を奪う特措法制定反対『普天間基地の頭越し・沿岸案に反対する沖縄県民総決起大会』」(1面に要項)はきわめて重要な決戦的闘いとなった。米軍再編攻撃の3月最終報告を粉砕するかどうかのかかった、全国の闘いの帰趨(きすう)を決する集会だ。沖縄からのみならず、全国から結集して大成功をかちとろう。
10万決起かちとれ
昨年10月に発表された米軍基地再編・中間報告(実はこれは日米最終合意案)への全国の労働者人民の猛然たる怒りの高まりにもかかわらず、日米帝国主義はあくまでもその最終決定を3月末を期限として強行しようとしている。
1月22日の名護市長選挙結果は、日帝が言うような「基地誘致派が圧倒的多数で勝利した」ようなものではまったくない。たしかに岸本市政を打倒し日帝・政府が辺野古新基地建設の足がかりとする根拠を粉みじんに吹き飛ばすような鮮やかな勝利をかちとるチャンスを生かすことはできなかったが、日帝に有利な状況の進展は何一つない。いや名護市においても反動と逆流をのりこえて基地絶対反対派が増えていることを示したのだ。
一方、追い詰められている日帝・小泉は、名護市長選挙での島袋勝利を名護市の基地再編(沿岸案)受け入れの決定的テコにしようと全力で政治的攻勢を強めている。
こうした緊迫した情勢に対する沖縄県民の渾身(こんしん)の反撃としてこの県民大会は設定されたものである。集会場である宜野湾市海浜公園(多目的広場)は、1995年9・4「少女乱暴事件」を契機とした「沖縄の新たな人民反乱」の出発点をなした10・21「10万人集会」が開かれたところである。
同所でこの県民大会を開くのは、95年10・21の大決起を、いやそれを上回る決起をもう一度やろうということである。3・5を文字どおりの「10万人決起」として絶対にやり遂げよう。
この闘いは、岩国、座間、相模原、横須賀、横田、千歳、車力、百里、小松、築城、新田原、鹿屋、佐世保など、全国各地で燃え上がる米軍再編反対の闘いの天王山であり、その帰趨を決する闘いでもある。沖縄はもとより全国からも代表団をつのり3・5県民大会に総結集しよう。
第5次「琉球処分」
3・5の決戦性は明らかである。
第一に、米軍基地再編の具体的内容はわれわれ沖縄人民にとっては第5次「琉球処分」(@1879年の琉球処分、A「国体護持」の捨て石作戦としての沖縄戦突入、B戦後の沖縄売り渡し、C1972年のペテン的「返還」、D今回の米軍基地の半永久的固定化)と言ってなんら過言ではない。
基地負担の軽減どころか沖縄の恒久軍事要塞(ようさい)化、戦場化を強要しようというこの攻撃を許すようなことがあれば、沖縄は沖縄戦以上の破滅にたたきこまれるということだ。
今度の米軍基地再編は、沖縄だけではなく日本全体の自衛隊基地と米軍基地が相互一体化する巨大な基地再編であるが、その中で沖縄は戦場として位置づけられている。
嘉手納基地以南の基地の返還、辺野古新基地建設を軸にした北部への集中構想、海兵隊司令部のグアムへの移転計画、嘉手納基地のF15戦闘機と普天間基地の固定翼機の本土への移駐など。これらすべては、中国・北朝鮮との全面戦争を想定した戦闘態勢構築からきたものであり、沖縄県民の負担軽減などみじんもない。
今次再編は、かのSACO(沖縄に関する日米特別行動委員会、96年に基地の県内移設路線を決めた最終合意を打ち出した)計画をいとも簡単にほごにし、95年10・21決起の裏切り者であり日帝にとっては自らの手先である稲嶺県知事さえまったくラチ外において進めてきた。
そしてこの稲嶺も含む関連全自治体当局始め全県民的な反対(マスコミ世論調査では8割以上が反対、賛成は3%という数字が出ている)に対し、小泉政権は「日本全体の安全のために負担をしてもらう」「理解してもらう」の一点ばりで、沖縄に犠牲を強要しようとしている。辺野古新基地建設に関しては知事から許可権限を奪う特措法立法化をもちらつかせて恫喝している。まさに問答無用の態度だ。
これは、1879年、3000人の軍隊、警察を伴って乗り込み、国王・尚泰に首里城明け渡し=琉球国の廃止を迫った明治政府の行為とどこが違うのか。
06年米軍再編粉砕は沖縄闘争にとって、第2の沖縄戦か、それとも基地と戦争の鉄鎖を断つか、という歴史変革を問う決戦である。
労働運動の再生へ
第二に、沖縄の労働運動を再生させ、沖縄における島ぐるみ闘争の本隊である労働者階級の階級的再興をかちとるかどうかの決戦だということである。
米軍基地再編3月最終合意を目指す2月の日米協議において米帝は、「嘉手納基地以南の基地返還(北部集中)」構想の一部を打ち消し、牧港補給基地はそのまま残しSACO決定の案=那覇軍港の浦添移設を持ち出したと報道されている。真偽のほどは今一つ定かではないが、十分ありうる話である。
もしこれが実行に移されるとどういうことになるのか。沖縄米軍基地の北部集中(その軸・辺野古新基地建設)は進められながら、牧港補給基地は那覇軍港と合体して巨大軍港として残る。
では返還される主要地域はどこかと言えば、基地労働者が最も大量に働いている瑞慶覧(ずけらん)地域の基地群である。米軍基地再編によって基地労働者の大量解雇がでることを、政府は隠そうとしていない。それは沖縄の労働者階級全体に大きな影響を与える。
基地労働者の大量解雇・労組(全駐労)破壊、ここにこそ沖縄にとっての米軍再編の今日的な階級的核心がある。朝鮮戦争、ベトナム戦争、その他の数々の米帝の侵略戦争で沖縄基地がフル稼動する時、基地労働者への弾圧・抑圧は正比例する。基地労働者への攻撃が強まる時、それは戦争の時ということだ。
しかも重要なことは、日米帝とも基本的には労働組合をつくるような基地労働者は基本的に全部たたき出し、その「労働」の大半を自衛隊が担う、ということを目指していることだ。
基地労働者にとって存亡のかかった闘いの時がやってきている。基地は圧倒的に強化される、一部返還もまったくまやかし、そして沖縄の失業率が急上昇するほどの基地労働者の大量解雇、この現実に対し労働者が立ち上がらないはずがない。
「死すべきは基地、労働者は死んではならない」。この実に階級的で綱領的、かつ現実的なスローガンが、光り輝く時がやってきた。振興策幻想、振興策神話はあっという間に地に落ちた。すべての基地を撤去し沖縄のすべてを沖縄人民のもとに返せ。沖縄を戦場の地獄にたたき落さなければ延命できない帝国主義こそ打倒されなければならない。労働者の階級的決起をつくり出そう。
小泉打倒の跳躍台
第三に、この闘いは日帝・小泉=奥田の戦争と民営化、改憲攻撃、その最先端的攻防=4大産別決戦を勝ち抜くための決定的跳躍台だということである。
06年決戦は、冒頭より4大産別を先頭に激しい攻防の火ぶたを切り、反転攻勢へむけて労働者人民の闘いは力強く前進を開始している。一方小泉政権は、ついにその化けの皮がはがれ落ち、まるでバケツの底が抜けたかのようにその矛盾が噴出し存亡の危機に立っている。両者は一体のことがらである。
06年決戦は小泉=奥田体制打倒への決定的な情勢を迎えつつある。現在の階級闘争の最大のテーマである改憲攻撃を、小泉政権もろとも粉砕する全人民的な総決起、国民的一大闘争をこの06年、07年に実現しなければならない。
9・11総選挙でクーデター的に延命してきた小泉政権は、ブルジョア・マスコミでさえ「風向き、潮目が変わった」というほどの危機に立っている。しかし政権の崩壊が自然におこるわけではない。ましてや民主党・連合および社共によって実現されるわけでもない。いや民主党、連合は、今や地に落ちた小泉=奥田の戦争と民営化、小泉改革路線にはいつくばり、最後の支柱としてこれを支え、労働者人民の怒りと闘いに制動を加えている最悪の存在である。
これらを下から突き破る階級決戦陣形の構築に向かって、3・5「10万人決起」は決定的跳躍台、導火線の位置をもつ。
辺野古の600日以上にわたる海陸の不屈の実力闘争が切り開いた今日の情勢を、さらに歴史的な勝利に向かって押し開く時が来た。
なんとしても10万決起を実現し、導火線に火をつけよう。3・5へ向かって蜂起的に決起し、大爆発をかちとろう。
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週刊『前進』(2235号4面2)(2006/02/27)
2・11日本原 大統一戦線で1200人 日米共同演習反対に立つ
1970年以来、毎年かちとられてきた2・11紀元節粉砕日本原現地闘争が、今年は、8日後に迫った日米共同演習阻止をメインテーマに掲げ、大統一戦線による1200人を超える集会・デモとして、画期的成功をかちとった。
集会会場は、国道53号線からわずかに北に上がった那岐山をのぞむ農地。今は亡き「日本原闘争の父」=鷲田正平氏の子息の鷲田正見氏所有の水田だ。
(写真 「日米共同訓練反対」を掲げ日本原駐屯地へ向かうデモ【2月11日】)
主催は、連合岡山、平和フォーラム・中国ブロック、日本原共闘会議の3団体による実行委員会となったが、主催者が広く共闘を呼びかけ、岡山県内はもとより中国5県から、4大産別を軸にした労働者・労働組合員が大挙結集。さらに市民、地元農民、学生などが続々とこれに続いた。このため、会場に隣接する8b幅の車道は全面通行止めとなり参加者に完全解放された。参加総数は、主催者の予想をも超える1200人余に達し、岡山労組交流センターが用意したビラ1000枚は、わずか30分で配布完了となった。
午後1時、向井・平和フォーラム岡山事務局長によって開会が告げられた。発言に立った森本栄・連合岡山会長は、「大政翼賛会から戦争へと至ったいつか来た道を繰り返してはならない。戦後、教育労働者は『教え子を二度と戦場に送らない』、自治体労働者は『二度と赤紙を配らない』と誓った。その誓いを果たすべき時が来ている」と、日本原での日米共同演習策動への怒りと改憲攻撃への危機感を込めて、今こそ戦争協力を拒否して立ち上がろうと訴えた。
続いて、岡山平和フォーラムや日本原共闘会議の代表が日米共同演習反対を表明。来賓として駆けつけた岩国基地への米空母艦載機移駐阻止を闘う山口平和フォーラムの代表が、3月12日の移駐反対住民投票への決意を述べた。
発言の最後に、地元農民を代表して内藤秀之氏が、演習場の那岐山山麓を望みながら、この間の演習場の整備強化を紹介しつつ、「日米共同演習が、1週間丸ごと演習場全域を立ち入り禁止にして行われようとしています。演習場の中には田んぼも、ため池も、水源地もあります。日米共同演習は私たちの生活破壊そのものです。絶対に許せません」と、日米共同演習を弾劾した。
その後、参加者は「日米の一体化に反対し、世界の恒久平和に向けたたかおう」という集会決議を採択し、日本原駐屯地まで3`のデモ行進に出発した。駐屯地正門で、代表団による「共同演習反対」の申し入れを行った。
集会の前日、自衛隊は地元奈義町を通じて、日本原での日米共同演習計画を2月19日から25日までの1週間、終日演習場全域を立ち入り禁止にして実施すると発表した。
今回の日米共同演習は、米軍再編・安保大改定による中国・北朝鮮侵略戦争にむけた演習場全面使用攻撃の突破口であり、農民殺しの侵略演習そのものだ。絶対に許さない。直ちに、日米共同演習初日の2月19日の現地闘争の取り組みが、大衆的に確認された。
紀元節粉砕闘争の伝統を継承するこの日の闘いは、自衛隊の皇軍化、自民党の「自衛軍創成」=改憲攻撃との闘いそのものだ。また、「日の丸・君が代」決戦に立ち上がる教育労働者の決起と一体のものであった。イラク侵略戦争の激化・拡大―世界戦争の現実化が進行する中、2・11闘争を出発点に、改憲阻止決戦の一環として、また「侵略を内乱へ!」の最前線として、沖縄・岩国と連帯し日本原現地闘争に総力で決起していこう!
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週刊『前進』(2235号4面3)(2006/02/27)
2・11関西 “9条改憲つぶせ” 青年先頭に闘いの火柱
2月11日、「つぶせ改憲 小泉たおせ 2・11集会&デモ」(実行委員会主催、大阪・北区民センター)に関西各地から400人以上が集まりました。
百万人署名運動・兵庫県連絡会は主催者あいさつで「今年は歴史を画する年。イラク派兵が強行され、国内では労働強化、生活破壊がおこり、生きていけない人が増大しています。ここから改憲反対の大きな火柱をあげましょう」と訴えました。
(写真 「つぶせ改憲 小泉たおせ」とデモ【2月11日 大阪】)
続いて立命館大学法科大学院教授・大久保史郎さんから「自民党改憲案は日本をどこに導くか」と題して講演を受けました。新憲法草案の条文を示しながら、部分的手直しでなく全く違う憲法を作ろうとしていることが暴露されました。とくに第2章「戦争放棄」を「安全保障」に変え、9条2項の「戦力不保持」を「自衛軍の保持」へと変えることで、本気で戦争をやる体制を作ろうとしていることがよくわかりました。
アトラクションを挟んで「日の丸・君が代」強制と闘う「すわって示そう戦争反対実行委員会」、全日本建設運輸連帯労組関西地区生コン支部、全国金属機械労働組合港合同、部落解放同盟全国連合会、自治体労働者などから熱のこもった発言が続きました。
関西生コン支部は、「路上生活の労働者のテントを大阪市が雇ったガードマンが強制撤去するという労働者同士の対立が生み出されている。関西生コン支部自身も組合つぶしの攻撃を受け、武委員長・戸田議員の勾留が続いている。JR尼崎事故も耐震偽装も、子が親を殺し、教師が生徒を殺す最近の世相と根っこは同じだ。少数が多数を支配する社会ではなく、多数が少数を支配する社会をめざそう」と訴えました。
港合同は、「中曽根は、(国鉄分割・民営化によって)国労をつぶせば総評がつぶれる、総評がつぶれれば社会党がつぶれる。だからやったんだと明言している。ここに敵の急所がある。急所を射抜く闘いを」と訴えました。
自治体労働者は、「公務員と民間労働者が競わされ、あらゆる公共サービスが資本の食い物にされようとしている。青テント強制撤去をやった市職員の組合は、従来は彼らを支援していた。憲法改悪を許すと公務員が労働者と対立した関係になってしまう。小泉政権を労働者の力で倒そう」とアピール。全学連、沖縄の闘いの報告、元自衛官と発言が続くにつれ会場はヒートアップしました。
最後に百万人署名運動・奈良県連絡会が、「改憲の目的が9条2項にあることがはっきりしました。戦争が近づくと労働組合の弾圧、部落差別の激化が起きてきます。憲法は国を規制するものなのに、それを根底から変える『自民党草案』はクーデターです。9条2項は絶対に守らなければなりません。今日を出発点に『憲法改悪反対、小泉倒せ』の運動をさらに広げていきましょう」とまとめを提起しました。会場はワーッと満場の拍手。このあと組合旗、団体旗、色とりどりのプラカードを持って梅田までデモ。買い物客、仕事を終えた労働者、デート中の若者などの注目をあびました。
(投稿/大阪 北谷梅子)
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週刊『前進』(2235号4面4)(2006/02/27)
小泉打倒へ方針 反戦共同行動委が全国活動者会議
中野代表「前半戦が勝負」
2月11日、反戦共同行動委員会の06年前期全国活動者会議が開かれた。卒・入学式をめぐる「日の丸・君が代」不起立の闘い、3・5沖縄県民大会、実行委員会が呼びかける3・19改憲阻止・イラク反戦闘争、改憲のための国民投票法案をめぐる決戦、米軍再編・基地強化との闘い、共謀罪新設との闘いなど、反戦共同行動委がその中軸を担っていく方針をうち固めた。
会議では基調報告を事務局長の滝口誠さんが提起した。滝口さんは、昨年の闘いの勝利を総括し、情勢では米日帝の攻撃の激化とともに、ブッシュ政権も小泉政権も危機に追いつめられており打倒する展望が開けていることを明らかにし、闘いの方針を提起した。
基調報告を受けて活発な討論が展開された。「自衛隊はイラクから全面撤退を!米軍再編も改憲も許さない3・19東京集会」への決起が確認された。三里塚現地闘争本部からは暫定滑走路北延伸攻撃との闘いが決戦局面に来ていることが提起された。労組交流センターや都政を革新する会、「障害者」解放委員会、婦人民主クラブ全国協などから活発な意見が交わされ、全力で闘い抜く決意をうち固めた。
最後に中野洋代表がまとめを提起した。中野さんは、昨年の総選挙、野党が与党と変わらない状況など、憲法9条を変えて戦争をやる国にするというのが「リアリティをもっている」ことを明らかにし、これと全力で闘うことを訴えた。特に、「日の丸・君が代」をめぐる教労戦線の闘いや公務員制度改革など自治体労働運動をめぐる決戦も、改憲阻止の闘いとして闘わなければならないことを提起した。そして米日帝の北朝鮮・中国侵略戦争策動とそのための米軍再編、基地強化の攻撃が激化する中で沖縄の闘いが重要な位置を持っていることを提起し、「前半戦が勝負所」と訴えた。
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週刊『前進』(2235号4面5)(2006/02/27)
2月8日〜14日
談合で防衛「省」法案見送り
オスプレイ2013年度に配備
●オスプレイ13年度配備 07年度米国防予算案で、米海兵隊に垂直離着陸機MV22オスプレイ14機が予算計上されたことに関連して、米海軍は、沖縄へのオスプレイ配備は13会計年度(12年10月〜13年9月)から15年度までに行う計画であることを明らかにした。(8日)
●横浜事件、罪の判断せず 戦時下最大の言論弾圧事件「横浜事件」で、治安維持法違反で有罪が確定した元「中央公論」出版部員の故・木村亨さんら5人(全員故人)に対する再審の判決公判が横浜地裁で開かれ、松尾裁判長は、罪を問う根拠となった同法がすでに廃止されたことなどを理由に、裁判手続きを打ち切る「免訴」を言い渡した。(9日)
●沖縄返還「密約」認める 71年に調印された沖縄返還協定をめぐり、当時、対米交渉にあたった吉野元外務省アメリカ局長が、米国が負担すべき土地の原状回復費用を日本側が秘密裏に肩代わりしていたことを明らかにした。沖縄返還をめぐっては、日米両政府の間に密約があると指摘されてきたが、政府は一貫して否定してきた。政府関係者が密約の存在を事実上、認めたのは初めて。(9日)
●NATOがアフガンに増派 北大西洋条約機構(NATO)は、イタリア南部のタオルミナで非公式国防相会議を開き、イスラム教の預言者ムハンマドの侮辱漫画をめぐって緊張が高まっているアフガニスタン南部に治安部隊を展開する方針を確認した。英国、オランダ、カナダの部隊が中心となるほか、問題の侮辱漫画の発端となったデンマークも部隊を派遣するとみられる。(9日)
●防衛「省」法案見送り 政府・与党は、防衛庁を「省」に昇格させるための関連法案の今国会提出を見送る方針を固めた。防衛施設庁幹部による官製談合事件の捜査終結や、防衛庁の内部調査・処分が確定するには一定期間を要するため、与党が法案提出の目安としている3月中旬までに準備を整えるのは困難と判断したため。(9日)
●岩国、米が民間機施設拒否 在日米軍再編協議で合意した米海兵隊岩国基地(山口県)への民間航空機乗り入れをめぐり、米側が軍施設を優先する必要があるとして、基地内に民間機用のターミナル建設を拒否していることが明らかになった。(9日)
●北部訓練場の移設着陸帯を縮小 SACO(沖縄に関する日米特別行動委員会)に盛りこまれた北部訓練場の一部返還について、日米両政府は返還条件の変更について合意した。変更したのは、@返還予定地にあるヘリコプター着陸帯7カ所は返還後に残る部分に移設する予定だったが、移設は6カ所とし1カ所減らす、A新設する各着陸帯は直径約75bの予定だったが、直径約45bとし、周囲に幅15bの無障害物帯を設ける――の2点。(9日)
●グアム移転費の内訳提示 在日米軍再編をめぐる日米の外務・防衛当局の審議官級協議が都内で開かれ、在沖海兵隊の約6千人をグアムに移転させる計画について、米国防総省は移転費用を総額約80億j(約9400億円)と推計し、日本にその75%の負担を求めた。(11日)
●イラク駐留英兵が民間人暴行 英日曜大衆紙ニューズ・オブ・ザ・ワールドは、イラク南部に駐留する英軍兵士が04年初め、イラクの民間人に激しい暴行を加え、ビデオで撮影していたと伝えた。(12日)
●イランがウラン濃縮作業 イランが中部の都市ナタンズの核施設で、ウラン濃縮に必要な気体の六フッ化ウランを遠心分離器に注入した、と国際原子力機関(IAEA)の関係者が明らかにした。(13日)
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週刊『前進』(2235号4面6)(2006/02/27)
日程
問題点を検証する!
「憲法改正国民投票法案」
2月22日(水)午後6時〜
東京・イイノホール(千代田区内幸町2−1−1飯野ビル7階、地下鉄「霞ケ関」または「内幸町」下車すぐ)
主催 第二東京弁護士会/共催 東京弁護士会、第一東京弁護士会、日本弁護士連合会
パネリスト 水島朝穂氏(早大法学部教授)/藤森研氏(朝日新聞編集委員兼論説委員)/朴慶南氏(パクキョンナム、作家)/伊藤真氏(伊藤塾塾長、法学館憲法研究所所長)
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週刊『前進』(2235号5面1)(2006/02/27)
戦争と搾取、差別・抑圧の社会を根本的に覆す時が来ている
3・8国際婦人デーにあたって
06年の勝利を決する96回目の3・8国際婦人デーが近づいてきた。現在、帝国主義の末期的危機の爆発の中で、世界の労働者階級人民の前には生きることもままならない厳しい現実が突き付けられている。戦争・貧困・飢餓。もはや我慢の限界だ。だがそれは他方で、労働者階級の団結と闘いによって戦争と搾取、差別・抑圧の社会を根底から覆す時が来ていることを告げ知らせている。すべての女性労働者と労働者家族、闘うすべての女性は、世界の闘う女性たちと連帯して国際婦人デー闘争に立ち上がろう。
小泉と奥田の攻撃に人民の怒りは限界だ
小泉政権に労働者人民の積もりに積もった怒りをたたきつける時がきた。昨年から今年、小泉・奥田の戦争と民営化・規制緩和攻撃下でつくりだされてきた矛盾が一挙に爆発し、あたかもブルジョア社会の底が抜けたかのように破綻(はたん)が現れてきた。
(写真 集会後街頭に飛び出し、力強くデモ行進をした昨年の3・8国際婦人デー東京行動【05年3月6日 東京】)
JR尼崎事故、羽越線事故、伯備線事故で労働者人民が殺されている。耐震強度偽装事件では、住民の命より金もうけが優先された。牛肉輸入問題もしかり。そして一方では、ライブドア事件、防衛施設庁の官製談合事件など帝国主義の腐敗がきわまっている。しかし表れているのはまだまだ氷山の一角だ。
労働者階級の恐るべき貧困化が現出している。とりわけ女性労働者、労働者家庭にその矛盾のしわ寄せが激しく襲いかかっている。
新年早々から日本の義務教育課程の就学児のうち、文房具や給食費・修学旅行費などの就学援助を受けなければならない状況にあるものがここ4年で4割も増加したという報道に、衝撃が走った。大阪、東京が特に多く、4人に1人。特に東京・足立区では全体で4割を超え、学校によっては就学援助を必要とする児童・生徒が7割を超すところもあるという。
今年は男女雇用機会均等法制定から20年、1995年の日経連報告「新時代の『日本的経営』」から10年、小泉政権誕生から5年目を迎える。この間に起こったことは何か。
均等法は男女の賃金格差をなくしたか? とんでもない。まったく逆だ。女性労働者は全体の4割を超えたが、コース別人事制度などでむしろ男女の賃金格差は拡大した。正規雇用の女性にも男性にとっても「仕事と家庭の両立」は極限的に難しくなった。「結婚して子どもができたら異動、配転、くび、パート化」が日常茶飯事だ。出産・育児での退職は後を絶たない。
均等法は、労働法制改悪の突破口を切り開く役目を果たしたにすぎない。昨年には「坑内労働禁止」規定の解禁という形で、労働基準法の最後の女子保護規定がついに取り払われた。
日経連の労問研報告で労働者の9割の不安定雇用化が打ち出されて以降、低賃金化と無権利化に拍車がかかった。すでに正社員の割合が5割を切り、パート・派遣・契約社員など非正規雇用労働者の比率が全体の3割を超え、女性では2人に1人が非正規雇用で、低賃金など劣悪な労働条件で働いている。これで女性間の格差も拡大した。
奥田・日本経団連会長は「年収200万円時代」を呼号し、昨年「日本も開発途上国並みの賃金にしろ」と打ち出した。実際に女性の年収は、5年前に200万円超300万円以下が一番多かったが、04年では100万円超200万円以下が最も多くなっている。資本の言う「女性の能力の活用」とは、徹底的に安くこき使うことだ。
15歳から34歳までのフリーターが417万人、ニート64万人、生活保護受給が104万世帯(147万人)、自己破産申請者24万人、ホームレス2万5千人、自殺者が7年連続3万人超という数字をどう考えるのか。そして出生率が最低を更新する中、ついに人口減に入った。いくら「産めよ、ふやせよ」政策をとっても産めないのだ。健康を害している人も多い。貧困下で教育格差も生まれている。これは社会問題だ。しかし日帝にはまったく解決などできないのだ。
これに対して小泉首相は、通常国会で追及されるや初めは「格差は見かけ」とウソをつき、次には「ねたみはよくない」と得意の「自己責任」「自助努力」を乱発して開き直った。「改革の続行」を強弁し、公務員制度改悪を始め、三位一体改革攻撃を強行しようとしている。イラク占領続行のために一日1億円を費やしながら、地方自治体に回していた4兆円の補助金を削減し、かわりに地方に移譲する税源は3兆円という。1兆円はどこに行ったのか。補助金の削減は直ちに、教育労働者の賃金引き下げや福祉切り捨て、地方間格差の拡大につながっていく。
アメリカでは、イラク戦費に52兆円(日本の国家予算の半分を超える額だ!)がつぎ込まれている。過去最高の財政赤字の中、教育費・社会保障費の切り捨てが相次ぐ。公立学校の教育労働者がテントに住んで、ボロボロの学校・教室で子どもたちに授業を行うという事態が生まれているが、これこそ明日の日本の姿ではないのか。
労働者階級が生きようが死のうが関係ない、ひたすら一握りのブルジョアジーの生き残りだけを求める資本主義・帝国主義はもはや倒す以外ない。女性労働者こそがその先頭に立とう。
改憲と民営化・規制緩和の攻撃と闘おう
今や日帝・小泉政権は完全に行き詰まり、危機にあえいでいる。追い詰められた小泉政権はますます、外に向かっての侵略戦争と内への階級戦争に全面的に突き進んでいる。そしてついに本格的な改憲攻撃に踏み込んできている。憲法9条を解体し、現憲法をまるごと焼き払う攻撃に出ている。昨年10月28日に出され、11月の自民党大会で決議された自民党新憲法草案がそれだ。現憲法の平和主義・基本的人権の尊重・主権在民の3本柱を全面否定するものだ。
日帝・小泉政権が突進している侵略戦争は総力戦だ。ここに突入するには9条の解体と、国家総動員の柱が必要になってくる。自民党新憲法草案の前文にはまずもって天皇制護持が真っ先に書かれている。新たな戦争への総動員体制を築くためには、天皇制・天皇制イデオロギーの前面化しかない。皇室典範を変えて女性・女系天皇を認めようという策動もその一環だ。労働者人民に再び「天皇と国のために死ね」と強制するためにこそ、崩壊のふちに立つ天皇制を必死に維持し再強化しようとしているのだ。
さらに、国民には国や社会を守る責務があるとしている。国防の責務と同時に、帝国主義の破綻の結果のすべてを引き受け、国・社会の安定をはかるために労働者階級人民は全力を尽くせということが述べられているのだ。そして国家の最小単位である家族を守れというわけだ。
その上、憲法25条の生存権とともに、家族生活における個人の尊厳と両性の平等を定めた憲法24条の解体攻撃がしかけられている。一昨年の自民党憲法改正プロジェクトチームの「論点整理」では、24条を「家族や共同体の価値を重視する観点から見直すべきである」とした。自民党の国会議員は「家族が国の基本」と言い、個人優先の考え方を排除しなければ青年に国防の義務を課することはできないと、その意図をあけすけに語っている。
今日、「つくる会」派や石原都知事を先頭に、「行き過ぎた男女平等」という「ジェンダーフリーバッシング」が強まっているが、これは一部の超反動派だけの突出した動きではない。憲法24条の「婚姻は両性の合意のみによる」という規定から「のみ」の2文字を削れという主張が、なぜ今叫ばれているのか。戦前の天皇制国家を支えた家父長制的家族制度は、個人の尊厳の否定と女性の抑圧の上に成り立っていた。まさにそのことが今あらためて必要とされてきているのだ。
さらに、小泉政権の規制緩和・民営化路線は資本の利益が一切に優先する政策へ行きついた。それは、労働者階級の権利を守るための資本への最低限の規制を取り払うものであり、首切りの自由と受益者負担・自己責任の名による弱者切り捨てだ。「地方分権」は国の責任の放棄であり、公共部門の民営化は労働者をとことん犠牲にし、安全を無視するものだ。そのあげく発生する矛盾の一切を、個別家族とりわけ女性の肩にしわ寄せしようとしてきている。
しかし「家族を守り、国を守れ」とブルジョアジーは言うが、労働者階級人民の家庭崩壊の現実をつくっているのはいったい誰だ。日本経団連の奥田などは、「工場法以前の社会に戻せ」と言い、「格差社会と言うが、社会は不平等なもの。まだ凍死したものや餓死したものは出ていない」などと開き直り、ますます労働者の生存権をも奪い、家族を崩壊に追いやっているではないか。
労働者階級は、帝国主義の危機がもたらす社会矛盾の爆発に苦しみ、怒り、そこからの出口を必死に求めている。それはしかし、天皇制国家主義や、家族制度・家族イデオロギーなど偽の「共同性」などによってはけっしてもたらされない。一切の元凶である資本主義・帝国主義の打倒、その闘いの中でつくられる階級的団結によってこそ未来は切り開かれるということだ。
国際婦人デーの闘う伝統を復権させよう
3・8国際婦人デーは、全世界の女性労働者と労働者家族の女性たちが、帝国主義戦争に反対し、労働者階級の解放と女性の解放を求めて立ち上がる日だ。戦争と民営化、改憲阻止の闘いの大爆発が求められている今こそ、国際婦人デーの闘いの伝統を復権させることを呼びかける。
国際婦人デー闘争の起源は、1908年3月8日、ニューヨークのイーストエンドで起こった女性たちの「パンと参政権」要求のデモに始まる。アメリカでは19世紀の後半から衣服産業の労働者の闘いが組織され始め、アフリカ系アメリカ人の解放運動や、婦人労働者の権利要求の闘いが発展し、当時のイーストエンドは労働運動・婦人運動の拠点となっていた。
これを受けて、1910年に開かれた国際社会主義婦人会議は、3月8日を国際婦人デーとして、「万国の婦人社会主義者は、自国のプロレタリアートの階級意識をもった政治的組織や労働組合と協調して、毎年国際婦人デーを開催する」と決議した。そしてこれは同時に決議された「平和の闘争のために」という、戦争反対の決議文と一体のものとしてかちとられた。
第1回の国際婦人デーは1911年にドイツ、デンマーク、スイス、オーストリアで開催された。以後年々開催国が新たに加わったが、1914年の第1次世界大戦の勃発以降、ヨーロッパの社会民主党は社会排外主義への屈服の中で自国の戦争に賛成していった。この大裏切りに直面する中で、国際社会主義婦人会議は反戦と国際主義を掲げ、第2インターナショナル崩壊後の国際階級闘争で重要な役割を果たしていく。この闘いをさらに、社会排外主義との非妥協的対決、「帝国主義戦争を内乱へ」の闘いに発展させたのがレーニンとボルシェビキの闘いだった。
ロシアにおいては1913年ペトログラードで闘われた国際婦人デーで「男女同権」と「ツァーリを倒せ」の声があがる。これに対して権力は報復的弾圧に出、大戦が始まった14年の集会は即解散させられ、主催者は投獄される。15年と16年は開催もできなかったが、1917年、大戦が始まって3年の窮乏・疲弊に苦しむ労働者階級の女性たちはついに決起した。
国際婦人デー当日、「この戦争を終わらせることが出来るのは人民自身だ。ツァーリの政府を倒し、労働者階級が権力を握り戦争を終わらせよう」「婦人のみなさん、3月8日(ロシア暦2月23日)はあなたがたの日です。国際的団結万歳!」と呼びかけられるや、ペトログラードの女性労働者は多くの工場・職場でストライキを宣言し、極度に欠乏していたパンと燃料を要求して街頭に繰り出した。彼女たちは武装した警官やコサック兵の阻止線を突破し、夜半まで街頭を去らなかった。そのデモは翌日も翌々日も拡大し、ついにロシア2月革命の火ぶたを切ったのだ。
国際婦人デーの輝かしい伝統は世界中で引き継がれ闘い継がれてきた。
昨年の11・6労働者集会や韓国・民主労総のゼネスト、これと連帯したアメリカ西海岸港湾労働者の港湾封鎖の闘いは、階級的団結と国際連帯を基礎にした労働者の新たな闘いの息吹をもたらしている。動労千葉を始め日本の闘う労働者・労働組合の潮流が、腐り果てた帝国主義の戦争と民営化・改憲の攻撃と対決する道筋を示している。
今春「日の丸・君が代」強制攻撃に対して、戦争協力拒否の不起立を宣言して闘う教育労働者の闘いが重要だ。すでに昨年の年間をとおした闘いを引き継ぎ、06年改憲阻止闘争の先頭を切って、教育労働者の断固たる「不起立宣言」が次々と発せられ、全体を牽引(けんいん)している。東京・杉並での「つくる会」教科書採択白紙撤回の闘いも、地元教組の奮闘と保護者・「親の会」の決起が続いている。
米軍再編との闘いも、沖縄での全島の怒りの決起を先頭に、座間・相模原・横須賀・岩国など全国に拡大し、地元住民とともに自治労・教組などの闘いが燃え上がってきている。
郵政、教労、自治体、国鉄の4大産別を始め、すべての民間労働者、非正規労働者、青年労働者・学生も含めて、すべての労働者人民が闘う気運を感じ始めている。階級闘争の高揚期がやってきたのだ。プロレタリア革命に向かって立ち上がろう。すべての闘う女性は、06年国際婦人デー闘争に立とう。
〔深沢史子〕
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週刊『前進』(2235号5面2)(2006/02/27)
皇室典範改定問題 天皇制の危機と延命策動
改憲と一体の大攻撃許すな
小泉政権は、天皇の皇位継承権を男系男子にしか認めていない現制度を変えて女性・女系天皇容認に道を開く方針を、昨年11月の「皇室典範に関する有識者会議」の答申をもとに決定し、そのための皇室典範改正法案を今国会に提出しようとした。これをめぐり政府・自民党内での対立と分裂が深まり、極右天皇主義者の突出や皇族の政治介入の事態も引き起こされ、政局化するいたっている。
この一連の事態と、そこで起きている議論のすべてが実に反人民的な、怒りにたえないものだ。「皇位継承の危機」と言われるものの本質は何か。天皇制が歴史的にすでに完全に破産して危機に陥り、今やその廃止がついに現実の課題となったことを意味する。
追いつめられた日帝支配階級は顔面蒼白(そうはく)で七転八倒し、日本共産党・社民党をも含めた全勢力を巻き込んで天皇制の延命と再強化を全力で図ろうとしているのだ。
自民新憲法草案と表裏一体
まず何よりもはっきりさせたいのは、小泉が掲げる皇室典範の改正は、自民党の新憲法草案発表=改憲攻撃の本格化と表裏一体の攻撃であることだ。
自民党の新憲法草案は、「象徴天皇制は、これを維持する」と前文に明記し、しかもそれを「国民主権」や民主主義・基本的人権の尊重よりも優先させて掲げている。改憲攻撃の最大の柱は憲法9条の撤廃だが、それと並んで天皇制・天皇制イデオロギーを強力に押し出す内容となっている。
日帝は今日、内外ともに帝国主義としての存亡の危機に直面する中で、支配階級の生き残りをかけて新たな侵略戦争・世界戦争に突き進んでいる。それはかつての「15年戦争」を一層大規模に、より悲惨な形で繰り返すものだ。かつての日帝は天皇とその国家に絶対の忠誠を尽くすことをすべての労働者階級人民に強制し、戦争に総動員したが、そうした国家総動員体制を再び可能にするには、やはり天皇をかつぐ以外ない。
そのためには現在の天皇制の危機をなんとしても突破し、その延命を絶対に確保する。これが小泉らの皇室典範改定策動の背後にあるものだ。この「改正」自体が改憲攻撃と完全に一体の反動的で反人民的な狙いをもつものであり、徹底弾劾・粉砕の対象だ。
この皇室典範問題をめぐって今ひとつ重大なことは、「男系男子」にこだわる皇族や「つくる会」などの極右勢力が実にファシスト的な主張を公然と掲げ、しかもそれがまかりとおっていることだ。
なぜ「男系男子」でなければならないかの理由としてそこで持ち出されているのは反革命的なむきだしの「血」のイデオロギーだ。天皇家を万世一系の「神の血筋」とデッチあげ、その「尊い血」が「男系男子」で代々受けつがれることが必要であるとし、そのために「側室制度の復活」という議論さえ飛び出している。皇太子の弟の妻・紀子の懐妊も、この「血の継承」のために政治的に仕組まれたものと言える。
天皇制は差別と抑圧の元凶
だがこの天皇制・天皇制イデオロギーこそ、階級支配と結合して、この社会の一切の差別と抑圧の最大の根源となってきたのだ。「尊い血」とはその対極に必ず、生まれながらに卑しめられ踏みつけにされる人びとをつくりだすことで初めて成立するものである。まさに天皇制こそ階級支配とあらゆる社会的差別の元凶であり、部落差別や女性差別・抑圧の元凶なのだ。さらに民族排外主義とウルトラナショナリズムを鼓吹するものだ。皇室典範改定をめぐる論議のすべてが、今やこの差別・抑圧をおぞましいまでに公然と居直り、正当化するものとなっていることに、怒りをたたきつけなくてはならない。
そもそも労働者階級にとって天皇制とは、戦前・戦後を通じて階級支配の決定的な道具であり続けてきた存在である。天皇の持つ法外な特権は、帝国主義ブルジョアジーが他の階級に対して持つ圧倒的、絶対的な支配権の象徴である。
そして何よりも日帝の侵略と戦争の全歴史は、天皇制なしにありえなかった。昭和天皇ヒロヒトこそ最大の戦争犯罪人である。1945年の敗戦時に日本の労働者階級に求められていたのは、このヒロヒトの侵略責任・戦争責任を徹底的に断罪し、天皇制を打倒し、日本帝国主義を打倒するプロレタリア革命を実現することだった。その闘いに敗北したことが、「象徴天皇制」に形を変えた天皇制の延命をもたらし、今日、新たな戦争体制構築の柱となる役割を再び果たすものとしているのだ。天皇制の延命と残存そのものが問題なのだ。
皇室典範問題への労働者人民の唯一の回答は、皇室典範と天皇制の即時廃止だ。戦争と改憲の攻撃を実力で阻止する闘いに立ち上がることだ。教育労働者の「日の丸・君が代」強制拒否の断固とした不起立闘争は、その突破口を開くものである。1〜3月「日の丸・君が代」決戦の大爆発をかちとり、天皇制打倒・日帝打倒へ攻め上ろう。
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週刊『前進』(2235号5面3)(2006/02/27)
爆発するムスリム人民の怒り
ムハンマド侮辱した漫画 侵略と民族抑圧の攻撃
イスラムへの許し難い冒涜
2月初め以来、ムハンマドを侮辱した漫画に対するムスリム人民の怒りの抗議行動が全世界を席巻している。ムハンマドは、イスラムにおいて唯一の神アッラーの最後の預言者だ。
(写真 ムハンマドを侮辱した漫画に対する怒りの抗議行動に立った数千人のエジプト人民【2月7日 カイロ】)
漫画とは、昨年9月末、デンマークの右派新聞ユランズ・ポステンが掲載した複数の漫画家による「ムハンマドの12の顔」だ。ひとつは、今にも爆発しそうな爆弾型ターバンを巻いたムハンマドを描いていた。
この漫画のメッセージは”イスラムとはテロリズムであり、ムスリム人民は全員自爆テロ犯である”ということだ。ムスリム人民の怒りの噴出は当然だ。
イスラムは、神や預言者ムハンマドを描くこと自体を禁じている。それは偶像崇拝であり、このタブーを犯すことはイスラムに対する冒涜(ぼうとく)である。同新聞はタブーを破りムスリムを挑発したのだ。
デンマーク在住のアラブ諸国出身者は、作者を強く処罰するようデンマーク政府に要求したが、ラスムセン首相は、表現の自由を理由に、国としての謝罪を拒否し、責任は作家や新聞社にあるとした。そこでアラブ出身者は国に帰ってこの問題を人民に訴えた。
しかし1月、ノルウェー紙が再び漫画を掲載した。イスラム諸国がこれに激しく抗議した。ユランズ・ポステン紙は1月末、漫画掲載を謝罪したが、2月1日にフランスのシャルリーエブドやドイツのウェルトなど欧州諸国の新聞・雑誌が元の漫画や新たな漫画を掲載し始めた。このためムスリム人民が世界中で一斉に抗議行動に立ち上がったのだ。
ムスリム人民はデンマークやノルウェーの大使館や領事館に突入し、火を付けた。数万、数十万のムスリム人民が抗議デモに参加し、機動隊と激突した。
他方、米帝ブッシュ大統領は1月31日、一般教書演説で対テロ戦争の継続、「自由と民主主義の拡大」「圧制の終結」を宣言した。シリアやイランなど中東イスラム諸国の多くがこの世界戦争戦略の対象だ。漫画は、この米帝の世界戦争戦略を翼賛し促進する役割しか果たさない。
2月12日、ライス米国務長官とラスムセン首相は「イランやシリアは風刺画を政治利用している」と非難した。イラン、シリアへの侵略戦争発動を合理化する論理のねつ造だ。ムスリム人民の怒りの抗議行動の拡大・激化は不可避だ。
帝国主義国での移民規制
最大の問題は、米欧日の帝国主義が百年来イスラム諸国を植民地支配し、民族的に差別・抑圧し、石油資源を強奪していることだ。この歴史と現実に対するムスリム人民の怒りが漫画を契機として爆発している。
思想・表現の自由といえども特定宗教とその指導者・信者を差別し侮辱する自由はないとして漫画を批判することも可能だが、より本質的な批判は帝国主義そのものへの批判であり、帝国主義打倒である。
デンマーク紙の漫画掲載は、ラスムセン政権によるムスリム系移民への規制強化を促進するために行われた。他のEU諸国、米帝、日帝も、テロ対策の名でムスリム系移民への排外主義的な弾圧、入国規制を強めている。9・11以後、米国内で数千人のムスリム人民が無差別的に逮捕・拘禁された。ブッシュは今日、その法的根拠である愛国者法の延長に熱心だ。また9・11の「20人目のテロリスト」と呼ばれるムサウィ被告は最近、なんら9・11の実行行為に加わっていないにもかかわらず、終身刑以上の刑罰を求刑された。
イギリスでは最近、05年7・7ロンドン同時爆弾ゲリラを扇動したとして、モスクでの演説を理由にイスラム指導者が逮捕された。
日帝政府は、亡命クルド人、イラン人の収容所への拘禁、強制送還を繰り返している。送還されれば死刑になる人たちが多い。
米英日軍のイラク駐留は長期化しようとしている。欧州諸国はNATO中心のアフガニスタン治安維持軍への大幅増派を決めた。
2月12日、04年初頭のイギリス兵によるイラク少年虐待事件が暴露された。米英軍将兵によるイラク人民虐待・虐殺は、アブグレイブ刑務所閉鎖以後も日常的に行われている。首都ではイラク移行政府内務省特殊部隊が米軍と共同でスンニ派狩り=無差別逮捕・虐殺を続けている。
キューバにあるグアンタナモ米軍基地に米帝が設けた収容所では、アフガニスタン侵略戦争の「捕虜」数百人が無期限の拘束を受け、虐待・拷問にさらされている。国連人権高等弁務官事務所が、同「収容所」の閉鎖を求める報告書を近く発表するが、米帝は応じようとしていない。米帝はボンドスティール米軍基地(コソボ自治州内)など東欧地域にも秘密収容所を置いている。
パレスチナでは1948年のイスラエル「建国」以来、イスラエルが数度の戦争で占領地・入植地を拡大し、数十万人のパレスチナ人民を大量に追放してきた。今日さらに分離壁を張り巡らしてパレスチナ人を閉じ込め苦しめている。イスラエルはパレスチナの命綱を握っている上に核兵器までも持っている。
「自由と民主主義」を中東イスラム諸国に要求する米帝とその先兵イスラエルが侵略戦争、民族抑圧・人権侵害を極限的に強めている。これに対して世界のムスリム人民が怒りの反撃に立ち上がっているのだ。
闘うムスリム人民と連帯を
ムハンマドの漫画に対するムスリム人民の全世界的な抗議行動は、帝国主義の中東侵略と新植民地主義支配、資源略奪、民族的抑圧に対する民族解放闘争の一環である。
その最大にして極限的特殊的な戦闘が01年9・11反米ゲリラ戦だった。それは帝国主義のパレスチナ―中東支配に歴史的な清算を迫る行動だった。しかし米英帝はアフガニスタン―イラク侵略戦争で答えた。それ以後、国際的なイラク反戦闘争、イラク・パレスチナなどでの民族解放・革命戦争が激しく戦われている。
帝国主義国のプロレタリアート人民は、闘うムスリム人民と連帯して自国政府の排外主義政策、他民族抑圧、侵略戦争、資源略奪に反対し、帝国主義の世界戦争を国際的内乱に転化するために闘わなければならない。そしてプロレタリアートとムスリム人民の自己解放の唯一の道、プロレタリア世界革命の展望を切り開こう。 (藤沢明彦)
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週刊『前進』(2235号6面1)(2006/02/27)
横浜事件再審「免訴」判決の暴挙許せない 迎賓館・横田爆取裁判被告 須賀武敏
2月9日、横浜事件の再審判決公判が開かれた。横浜地裁のロビーには全国から駆けつけた支援者が詰めかけ、熱気と緊張が充満していた。総勢217名。傍聴できる人は四十数名。私は残念ながら抽選に漏れた。
公判が開始されて10分後に、法廷から出てきた人が「免訴」の画板を高く掲げて報道陣の方に走っていった。その瞬間、私も含めてその場にいた支援者は全員立ちすくみ沈黙した。次の瞬間、判決への怒りが爆発した。
私は12月12日の第2回公判を傍聴して、亡くなられた木村亨さんを始め元被告人のビデオ証言や、その家族の生々しい証言に聞き入り、特高警察の拷問の残忍さに胸が怒りでふるえた。
この事件は特高警察が残虐きわまりない拷問により虚偽の自白をさせてデッチあげた言論思想弾圧事件である。そして裁判所は60年前、特高警察と検察の言いなりになって一切の審理ぬきで有罪判決を言い渡し、これに加担したのだ。それゆえ、横浜地裁の裁判官も司法の責任を痛感して、元被告人に改めて無罪判決を出してその名誉回復をはかり、遺族に謝罪する姿勢を示すものだと思っていた。
しかし、卑劣にも松尾昭一裁判長は、裁判そのものを打ち切る免訴決定を出したのだ。こんな暴挙を許せるか。その場にいた支援者の怒りが沸騰した。
判決後、横浜弁護士会館で記者会見が行われた。弁護団は「検察と一体になって事件の隠蔽(いんぺい)を図った不当判決。直ちに控訴する」との声明を出した。木村まきさんら遺族は口々に、「事件は警察が拷問でデッチあげたもので、夫、父の無罪は明らか。司法は過去の責任から逃げまわっている卑怯な判決だ」「めげたらそこで終わり。無罪を勝ち取るまで闘い続ける」と決意を新たにした。
この暴挙を許せば同様の言論・思想弾圧が再び起こらない保証はない。何よりも私自身の裁判で無罪確定を絶対に勝ち取ることが、遺族と弁護団の闘いに連帯する道だと強く決意した。
共謀罪に警鐘鳴らす横浜事件再審の闘い 東京 水無 晃
「何ための再審か!」−−2月9日に横浜地裁(松尾昭一裁判長)は、治安維持法による戦時下最大の言論弾圧「横浜事件」の再審で「免訴」=裁判打ち切りの反動判決を出しました。誤審被害者の名誉回復(救済)のための再審ならば無罪は明白にもかかわらず、「刑が廃止されているから実体審理はできない」という法解釈を再審に適用して逃げたのは、言語道断の暴挙です。直ちに控訴がなされました。
かつて司法は、特高警察・検察の戦時下弾圧に全面協力しました。今も裁判所は警察の令状乱発装置と化し、保釈も再審も門前払い、そして即決重罰の戦時司法へと転換しようとしています。今回の判決は、あくまで責任逃れと歴史抹殺を図ろうとする司法当局のあり方を満天下に示しました。
横浜事件では中央公論社や岩波書店、朝日新聞の社員など60余名がデッチあげ逮捕・拷問(4名虐殺)を受け、敗戦後に有罪判決を下されました。裁判所による証拠隠滅と再審棄却によって再審闘争は長期化。しかし「二度とあんなことは繰り返してはならない」という遺志を引き継いだ家族らが、イラク派兵と反戦ビラ弾圧、共謀罪や改憲策動といった動きへの反撃そのものとして再審闘争があることを宣言して闘っています。
現代の治安維持法=共謀罪こそ「あの歴史を繰り返す」ものです。横浜事件大弾圧の端緒が、旅館での一枚の記念写真(「共産党再建準備会議」の証拠というデッチあげ)だったことなど、まさに共謀罪ではありませんか。思想処罰・団結禁止の共謀罪は、労組などの団結を解体し、資本家政府へのささやかな異論すら徹底的にたたきつぶさずにはおかない凶暴さを持っています。
差し迫る国会決戦に向けて、集会や署名など共謀罪反対の動きが活発化し始めています。横浜事件再審の闘いにこたえ、共謀罪廃案・改憲阻止の運動を一挙に広げていきましょう。
闘って元気になろうと労働者交流集会 東京・東部 島田 優
「労働者はたたかって元気になろう06春/2・10東部労働者交流集会」に参加したので報告します。
「日の丸・君が代強制−戦争と民営化に反対する」というスローガンが掲げられた集会は、多くの人が集まり、内容も多彩で感動的なものでした。
冒頭、動労千葉新小岩支部の6人(5割以上の動員!)が並び、佐藤正和支部長が特別報告。反合・運転保安闘争を柱に06春闘ストライキに立つと表明しました。訪韓した組合員も発言しました。動労千葉は本当に元気だ!
司会も教育労働者に代わって「日の丸・君が代」−教育労働者のステージ。被処分者の会が全面的に報告、「不起立の拡大が重要」と提起しました。続いて被解雇者の会が「教育を命令や強制に変えないために闘う」と報告、裁判への参加を訴えました。初めて参加した地元の被処分者が、その日にあった人事委員会審理での校長尋問について報告しました。闘いの前進を感じました。
さらに教組の青年が職場の現状への怒りと、青年が先頭で闘うという決意を語り、最後に義務制の教育労働者がきっぱりと不起立を宣言しました。
続いて区職労の労働者が公務員攻撃との闘いを発言。特に、福祉職場で働く仲間は「日の丸・君が代」闘争と連携した職場の闘いを語り、介護保険を始めとする福祉切り捨てを弾劾しました。
そして百万人署名運動東部連絡会が国民投票法案との闘いと3・19イラク反戦集会への結集を呼びかけ、地域で「9条の会」を立ち上げた女性の訴えが続きました。
後半は青年の発言でした。JPU(全逓)臨大を闘った全逓青年労働者。都労連の職場の青年は、公務員攻撃と闘わない幹部への怒りと闘いの決意を表明。仲間とともに新たに参加した都労連の青年は、民営化攻撃がどれほど多くの労働者の命を奪っているかを訴えました。非正規職の青年労働者が「400!時間労働」を強いられている店長について書いた詩を朗読し、「公務員がつぶされたら、労働基準法もなくなる。2・5集会の先生やここにいる闘っているみなさんのような生き方を貫こうと思います」と発言。拍手がしばらく続きました。
最後に、高校への申し入れ行動やビラまきを全体で取り組もうという方針が全体で確認され、国鉄闘争を闘う仲間の行動提起と団結ガンバローで締めくくられました。
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週刊『前進』(2235号6面2)(2006/02/27)
福嶋同志は無罪だ
3・3判決公判に集まろう 爆取デッチあげ弾圧に断を
福嶋昌男同志への迎賓館・横田爆取デッチあげ弾圧の1審判決公判が、3月3日午後1時15分から東京地裁刑事第3部(服部悟裁判長)で開かれる。多くの同志、労働者人民の結集を呼びかける。
すでに同一の事件で起訴された須賀武敏、十亀弘史、板垣宏の3同志には04年3月に1審無罪判決が出されており、検察側控訴による控訴審でも、1月16日の第1回公判において検察側請求の全証拠が却下されるという重大な勝利を闘い取っている。
福嶋同志の裁判においても、福嶋同志を先頭に12年間に及ぶ裁判闘争の戦闘的な闘いにより、日帝・国家権力によるデタラメきわまりないデッチあげの実態は完全に明らかになり、服部裁判長をして無罪判決以外にないところに追い詰めてきた。
しかし、日帝権力はこのような審理の展開に対して、必死になってこれを覆そうとしている。このたくらみを阻み、福嶋同志の無罪判決を決定するのは、デッチあげへの階級的な怒りをたぎらせた多くの同志、労働者人民の判決公判への結集と、裁判所を包囲する大衆的な力である。多くの皆さんの公判への結集を呼びかける。
未決勾留12年=肉体的抹殺攻撃と闘って
福嶋同志は、04年11月に保釈奪還されるまで実に12年の長期間にわたり、デッチあげ弾圧で東京拘置所に勾留されていた。日帝国家権力は、1986年東京サミットを直撃する迎賓館へのロケット弾戦闘が敢行された直後に「5・7宣言」を発し、「革共同・革命軍の根絶」を至上命令とした。
そして須賀同志らとともに福嶋同志をデッチあげ指名手配・不当逮捕し、転向強要攻撃を加えてきた。とりわけ福嶋同志には、93年の逮捕当初から須賀同志らの裁判との統一要求を拒否し、長期にわたって孤立状態に陥れてきた。東京拘置所では、勾留場所を他の同志とは隔離された密閉性がきわめて高く外界と完全に遮断された新獄舎に、97年以来7年間も幽閉し続けるという拷問的仕打ちを加えてきた。まさにそれは肉体的精神的抹殺を狙ったものと言える。
福嶋同志は、このような日帝権力の攻撃を戦闘的精神で迎え撃ち、日夜襲いかかる拘禁症状と長期不屈に闘いぬき、敵の転向・屈服強要攻撃を敢然と跳ね返して勝利したのである。そして、労働者階級人民のもとに保釈奪還されたのだ。
検察のデッチあげ立証は完全に崩壊した
福嶋同志を1986年迎賓館と横田基地へのロケット弾戦闘(爆発物取締罰則違反1条)の「共謀共同正犯」にデッチあげた検察官は、福嶋同志に対して12年もの重刑を求刑している。断じて許すことができない。
福嶋同志は無実である。昨年9月20日、および11月9日の2回にわたって行われた最終弁論において、福嶋同志は両戦闘には一切関与していないことを全面的に明らかにした。検察官論告の虚構性を暴き完全に打ち砕いたのである。今や服部裁判長は福嶋同志に無罪を判決する以外にない。
検察官は、86年10月岩手「鍋爆弾」弾圧で押収したとするメモ類、鍋爆弾関連の物品などを両戦闘の証拠として裁判を強行した。弁護団は、それらのものは迎賓館・横田両戦闘とは何の関連もなく、証拠ではないことを百二十パーセント明らかにした。検察官は、自己のデッチあげたストーリーに沿って、それらの押収物を「意味のある間接事実を明らかにする証拠」だとデッチあげて裁判を強行してきたのだが、このような検察官のデッチあげ立証の構図は完全に崩壊し去った。
そもそも両戦闘に直接結びつく証拠は皆無であり、また、メモを含めて福嶋同志と両戦闘をつなげる「意味のある証拠」はただの一つも存在しないことが暴き尽くされた。メモや物品がいつ、どのような目的で、誰によって書かれ、製作されたかはまったく明らかでなく、論告は検察官が勝手につくり上げて描いた物語の開陳でしかないことが明らかにされた。
また、メモ類については、そのメモを福嶋同志が書いたとデッチあげた小島直樹・馬路充英鑑定書にはなんら筆者を特定できるような科学的根拠がないことが明らかにされ、弁護側鑑定人の書家・石川九楊氏による異筆鑑定により、それらのメモは福嶋同志の筆跡ではないことも明らかにされた。
迎賓館・横田爆取デッチあげ裁判は、4同志と家族、弁護団を先頭に、党が総力をあげ、広範な人びとによる救援運動に支えられて19年にわたって闘いぬいてきた。この不撓(ふとう)不屈の闘いによって、組織破壊と労働運動・反戦闘争を根絶やしにすることを狙ったデッチあげ弾圧を根底において粉砕し、今や新指導路線の前進と一体となって4同志の無罪を確定させるための重大段階に突入しているのだ。
須賀・十亀・板垣3同志の勝利に続いて、福嶋同志の無罪判決を絶対にかちとろう。3月3日、歴史的な判決公判に大結集しよう。
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週刊『前進』(2235号6面3)(2006/02/27)
3・9共謀罪廃案大集会へ
3月9日(木)午後6時半から、東京の星陵会館(千代田区永田町)で「共謀罪を廃案ヘ/3・9大集会」が開かれる。主催は「共謀罪新設反対 国際共同署名運動」。この日は正午から衆院第2議員会館第1会議室で「共謀罪反対の集い」も開かれる。主催者は二つの集会への大結集を呼びかけている。
自民・公明は14日、初めての修正案をまとめ、民主党側に協議を打診し、3月上旬の審議再開・採択強行を打ち出してきた。
修正案の主な内容は@共謀罪の適用を暴力団など組織的犯罪集団に限ることを明確にするA客観的な準備行為があることを共謀罪の構成要件に加える――というもの。これは内容の緩和どころか一層の強化だ。
@は労働組合や革命党や大衆運動団体が「組織的犯罪集団」とされることの歯止めには全然ならない。しかもその判断は警察が行うのである。Aの「準備のためにする行為」とは、戦前の治安維持法の「目的遂行罪」にも通じるもので、むしろ弾圧の対象を一層拡大する大攻撃である。
本質的に労働運動や学生運動、革命党の闘いを弾圧するための暗黒の治安立法、現代の治安維持法である「共謀罪」法案は絶対粉砕あるのみであり、修正の余地など一切ない。
共謀罪反対署名運動は実に決定的となった。法案の恐るべき反動的狙いを広く労働者人民に伝え、国会内外の決起で共謀罪を廃案に追い込む水路である。すでに多くの労組や市民団体が署名運動に取り組んでいる。9度目の共謀罪を必ず廃案に追い込むために、全国津々浦々で署名を集め、3・9集会に結集しよう。
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週刊『前進』(2235号6面4)(2006/02/27)
寄稿 障害者の命と暮らしを奪う「自立支援法」は障害者殺人法だ!
里内 龍史
全国の障害者の「私たち抜きに私たちのことを決めないで」という怒りと不安の中で、昨年10月31日に衆議院本会議で自民党と公明党の賛成多数で障害者自立支援法案が成立してしまいました。
障害者自立支援法とは、今まで3障害(身体・知的・精神)ばらばらであった福祉サービスや医療を一本化し、それに対して1割の応益負担を強いるものです。サービス内容は、生命維持も保障されない水準にまで落ちてしまうという障害者殺しの法案です。
障害者の基礎所得は、障害基礎年金で多くても月8万円です。私たち重度障害者は、食事・トイレ・移動など基本的動作に、毎日介助を必要とします。あるいは、生活と医療が一本化している人もいます。このような健全者が普通に行っている人間の基本的動作からも、最大月2万6千円という額を、介助を受けるという益を受けたということで徴収します。そればかりか、すべての行動に介助を必要とする全身性障害者でも介護保険並みの月120時間しか保障されず、介助判定が厳しくなるなど、障害者の生活つぶしの法律です。それは、バリアフリー社会に反し、生存権の保障を明記している憲法25条に違反します。
今回の障害者自立支援法では、障害者の所得保障には就労支援しか明記されていません。健全者でも職に就くのが大変な現在、重度障害者が職に就けるはずなどありません。そればかりか、障害者の地域で働く場である地域作業所も、利用料がかかるようになります。地域作業所で働く平均賃金は、月8千円です。厚生労働省は配慮すると言っていますが、1割負担は1万6千円ぐらいになります。賃金の2倍払って誰が働くでしょうか。家庭に閉じこもる障害者も増えて、家庭間のトラブルも発生するでしょう。
金を持っている障害者は「共生」の旗手となり、働くことの出来ない重度障害者は、闇(やみ)に葬られることになります。
能力主義の競争社会においては、ついていくことの出来ない弱者を必ず作り出すものです。社会保障とは、その弱者のハンディを補うためのものです。しかし、障害者自立支援法案では、その社会保障も否定します。現に、参議院厚生労働委員会で福島みずほ議員に厚生労働省の中村社会援護局長は「水道・電気・ガスなどを健全者が買っているのと同じように、支援費制度の施行時点で福祉は買うものに変わった」と答弁しました。これは「国が社会保障の責任を放棄した」という意味の国会史に残る暴言です。
政府は、このままで行くと予算が足りなくなると言います。しかし、アメリカのイラク侵略に協力するために毎日5億円もかけて自衛隊をイラクに派遣したり、バブル時代にたらふく儲(もう)けた大銀行に惜しげもなく何兆円もの税金を投入しています。予算がないのではありません。使い方を間違っています。
テレビのニュース番組で、尾辻前厚生労働大臣は、障害者の原則1割負担について、財務省の圧力があったことを認めました。それは、障害者の立場に立つべきはずの障害者福祉行政が、財務省に屈して、障害者の生活より、財務省の懐具合に従ったことです。
この法律が施行されたら、優生思想も強まると思われます。現に不幸とされている障害者を死に導く尊厳死法案が国会に提出されようとしています。また、着床前診断を日本産婦人科学会で承認したと7月ごろ報道されました。親による障害児・者殺しという悲しい事件も急増するでしょう。前々から懸念していたことですが、障害者自立支援法案が成立したことを悲観したのではないかとも思われる精神障害者の自殺があったとの情報もあります。
自民党の議員ですら、この法案に批判的に質問をする議員が続出し、参議院の厚生労働委員会では採決直前に自民党の委員が辞表を提出しました。それほど、この法案は、常識はずれの悪法なのです。
衆議院選挙の結果、自民・公明両党が安定多数を獲得してしまい、小泉政権の思惑は何でも通ってしまう恐ろしい社会になってしまいました。この自立支援法案に関しても厚生労働省の提出した利用者数の偽造データに関して野党議員の追及にもまともに尾辻前厚生労働大臣が答えようとしない、そのようなふざけた状況のなかでの「委員長職権」という強行採決を与党は仕掛けてきました。強行採決時の「私たちを殺す気か」という障害者の悲痛な叫びに対して、与党議員は「まだ殺していないだろう」というあざ笑うかのようなヤジを返してきました。断じて許せません。
郵政民営化や北朝鮮の拉致問題の陰に隠れて、障害者の生存権を脅かす悪法が成立してしまいました。
厚生労働省には、この法律の施行中止を求めて戦っていかなくてはなりません。地方自治体との戦いも大切になります。さらにやむにやまれず採っている生活保護の改悪も予定されています。「小泉よ、私たちの生活をどこまで壊したら気がすむのか」と言いたいのです。生活防衛の闘いはまだ続きます。
戦争時には、障害者は不必要な人間になる度合いが増してきます。その意味で、重度障害者を不必要な人間と位置づける障害者自立支援法は、憲法9条の改悪を準備する法案です。つまり、私たちの運動は、改悪阻止運動につながります。不必要とされる人間が堂々と生きられる社会が、戦争を止めることの出来る社会ではないでしょうか?
社会保障はあなたの問題です。何でもいいから厚生労働省障害福祉課に抗議の声をあげてください!
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週刊『前進』(2235号6面5)(2006/02/27)
広島 「詐欺罪」で不当逮捕 青年労働者を釈放せよ
2月13日、広島県警は広島市内に住む広島大学出身の青年労働者Aさんを「詐欺」容疑デッチあげで不当逮捕した。同時に前進社中国支社やAさんが契約していたアパート、広島大学のサークル棟など5カ所を家宅捜索した。戦時下・改憲情勢下の治安弾圧であり、絶対に許すことはできない。国家権力を徹底弾劾し、Aさんの釈放をかちとろう。
今回、警察権力は何の違法性もないアパートの賃貸借契約を、使用目的が違うという口実で「詐欺」にデッチあげた。
Aさんは広大在学時から反戦運動やサークル活動を行っており、アパートはその時に借りたものだ。Aさんとともに後輩たちが集まる場となっていた。
ところが権力は「大学院に進学するといってアパートを借りたのに、ビラの発行など中核派の活動を行っている」などという理由にもならない理由で「詐欺」をデッチあげた。
学生がアパートに集まってビラを発行したことがどうして「詐欺」なのか! 多くの学友からも「いったい何が悪いのか」という怒りの声が上がっている。
しかも、警察権力は事件との関連を説明できないまま、広島大学の新聞研究会のサークルボックスの捜索を強行し、サークル活動にとって不可欠のパソコンを押収するという暴挙を行った。大学新聞を発行させないというまさに戦時型言論弾圧であり、改憲・国民投票法の先取りそのものである。絶対に許すことはできない。
これは戦時下・改憲情勢下の治安弾圧そのものだ。岩国での住民投票の決定や日本原での日米共同演習粉砕闘争の大衆的爆発、そして4大産別決戦の先頭に立つ広島の教育労働者の「日の丸・君が代」不起立宣言――このような情勢の中でこれらと結合して「改憲阻止300万学生ゼネスト」を掲げ、06年決戦の先頭で広大学生運動が爆発的に発展することに恐怖した日帝権力の、なりふり構わぬ予防治安弾圧だ。
広大の学生は、この不当な弾圧に対して直ちに反撃に立ち上がった。逮捕の翌朝には「不当逮捕、不当捜索弾劾」「のさばるな警察! 今すぐAさんを釈放しろ」というビラを駅で配布。同日夕には、西条警察署前で逮捕弾劾のシュプレヒコールをたたきつけた。
Aさんは不当な弾圧に怒りを燃やして完黙・非転向で闘いぬいている。学生・労働者人民の大衆的反撃でAさんを直ちに取り戻そう。
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週刊『前進』(2235号6面6)(2006/02/27)
訂正
2233号6面の全国部落青年戦闘同志会論文の中で「1991年の全国連の創立」とあるのは「1992年」の誤りでした。訂正します。
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