ZENSHIN 2006/02/20(No2234
p06)
|
週刊『前進』(2234号1面1)(2006/02/20)
戦争協力拒否、教育基本法改悪・改憲阻止をかけ 「日の丸・君が代」不起立拡大を
民主党−連合の大裏切り粉砕し国民投票法案絶対反対で闘おう
3月反合・運転保安春闘爆発へ
東京で「日の丸・君が代」強制を拒否する不起立決起が始まった。東京を始め全国で卒・入学式闘争に向けた不起立宣言が次つぎに発せられている。さらに日帝・小泉=奥田の戦争と民営化(労組破壊)攻撃と真っ向から対決し、反合・運転保安を掲げて闘う動労千葉を先頭に、06春闘貫徹への決起が開始されている。全国での「日の丸・君が代」不起立の闘いと06春闘への戦闘的決起こそ1〜3月闘争の基軸である。その爆発と勝利が06年決戦全体を決定する。教労・全逓・自治体・国鉄の4大産別の労働者を先頭に、小泉打倒、小泉=奥田路線粉砕に決起しよう。4大産別決戦を土台に、それと一体の闘いとして、改憲阻止と新たな安保・沖縄闘争に立とう。
第1章 「政権末期」ブッシュと小泉
昨年来、帝国主義の危機と矛盾が全面的に爆発している。とりわけ米英日枢軸=日米枢軸を形成しイラク侵略戦争―世界戦争の政策を推進してきた米帝ブッシュと日帝・小泉が、ともに「政権末期」の様相を深めていることは重大情勢だ。日米韓を始めとする労働者国際連帯と被抑圧民族人民の闘いで、ブッシュと小泉を打倒することのできる情勢が到来している。
ブッシュ政権の危機は何よりも、イラクでの侵略戦争・軍事占領が、民族解放戦争の不屈の激発で進むことも退くこともできない泥沼に陥っていることに規定されている。「中東和平」策動もイラン大統領選での対米欧強硬派の勝利、エジプトでのムスリム同胞団の大躍進に続き、パレスチナ選挙でのハマスの圧勝で完全に破産状態だ。米帝の「裏庭」だった中南米でもベネズエラやボリビアなどで反米政権が誕生し、FTAA(米州自由貿易地域)は破綻(はたん)にひんしている。
ブッシュの支持率は40%を大きく割り、令状なしでの通信傍受の発覚を始め政権スキャンダルも続発している。内政の柱であった公的年金制度改革も共和党からさえ反対され挫折した。「頼み」という経済も住宅バブルの破裂が早晩不可避、財政赤字と対中国を始め貿易赤字が過去最大を更新し、ドル暴落と大恐慌の危機が深まっている。
この米帝危機と日帝・小泉の危機は連動している。小泉がこの5年間、小泉=奥田路線のもとで推進してきた戦争と民営化・規制緩和の政策は、一方で尼崎、羽越線、伯備線と続くJR事故や耐震強度偽装問題が象徴する安全破壊を生んだ。他方では無慈悲なリストラ・首切り・賃下げと不安定雇用化の進展により、大銀行・大企業が空前の収益をあげるその対極で、労働者の没落と貧困化が一挙に進んだ。いわゆる「格差拡大」「二極化」は耐え難いところまできている。
貧困化と格差拡大する政策
だが小泉はこの点を追及されて、「格差が出るのは別に悪いことと思わない」「悪平等をなくすことが必要」と居直っている。そもそも小泉=奥田路線とは、金融独占ブルジョアジーが生き残るために労働者に犠牲を集中し、格差を逆に拡大し、それが「活力」を生むというイデオロギーと政策だ。そのシンボルが「強い者をより強くしていく政策を」と叫んできたライブドアの堀江だったのだ。
まさに小泉と奥田がやったことは1995年の日経連プロジェクト報告「新時代の『日本的経営』」の実践である。「長期蓄積能力活用型グループ」と称するわずか10%の正規雇用の労働者以外の90%の労働者は、昇給も年金も退職金もないアルバイト・パート・派遣・契約・委託の労働者にするというとんでもない攻撃の貫徹だ。この小泉改革を粉砕し、小泉=奥田路線を打倒することなしに労働者の生存権は守れない。
だが今や小泉への怒りが職場や街頭に充満している。昨年の11・6国際連帯集会で宣言した小泉打倒が可能な情勢が、ついにやってきた。アメリカではニューヨーク地下鉄やノースウエスト航空などの労働者がブッシュの資本攻勢と闘っている。韓国・民主労総も米日帝の侵略、ノムヒョン政権の非正規職関連悪法などの攻撃と激突し闘っている。労働者の団結、労働組合の階級的原則的な闘いの発展こそが、帝国主義の戦争と民営化攻撃を粉砕して、労働者階級が生きていく道だ。
この2〜3月、「日の丸・君が代」不起立と06春闘への総決起を先端として4大産別決戦を闘おう。
第2章 4大産別決戦勝利への展望
4大産別決戦はまず何よりも日帝・小泉=奥田路線との対決であり、戦争・民営化(労組破壊)と規制緩和の攻撃に対する闘いである。小泉は郵政民営化法案の強行に続き、1・20所信表明演説で公務員労働者への首切り・賃下げと民営化の大攻撃である公務員制度改革の断行と、改憲への決定的突破口をなす国民投票法案の成立への決意を表明した。教育基本法改悪や共謀罪の成立もあくまで狙っている。これらはすべて大決戦である。
同時に4大産別決戦は、小泉と「改革を競う」と公言する前原民主党、それと歩調を合わせる連合中央との激突である。連合中央は1・16政労協議でスト権論議と引き換えに公務員制度改革に屈服する方針を打ち出した。さらに1・19中央執行委員会では、自公民で推進しようとしている国民投票法案への賛成の方針を、また公務員制度改革についても政労協議再開の確認と今国会に提出される行革推進法案、公共サービス効率化法案=市場化テスト法案を容認する方針を、それぞれ確認した。
これを日本共産党やカクマルは、連合が7・14改憲見解を「引き下げた」「ついに葬り去った」と美化しているが、事実歪曲のとんでもない武装解除である。
1〜3月決戦の第一の軸は、東京を先頭とした「日の丸・君が代」不起立闘争の爆発だ。これは教育労働者が戦争協力を拒否し、戦争と教基法改悪・改憲への道を阻止する決定的な闘いである。04年、05年の都高教を先頭とした不起立闘争の地平を継承して、すでに東京で不起立決起が始まり、全国で次つぎ不起立宣言が発せられている。700人が結集した2・5集会は、不起立闘争を圧倒的に宣言する総決起の場となった。それは杉並での「つくる会」教科書採択撤回の運動とも結合し、昨年を超える闘いに発展しつつある。
教育労働者の闘う団結で、職をかけ退路を断った「日の丸・君が代」不起立闘争を貫徹しよう。それを日教組30万組合員を始め、全教育労働者の不起立へと発展させることにこそ勝利への圧倒的な展望がある。
1〜3月決戦のもう一つの軸は06春闘である。動労千葉は国鉄分割・民営化と小泉改革が引き起こしたJR事故の続発に対決し、反合・運転保安を真っ向から掲げて春闘を闘いぬこうとしている。06年版経労委報告などで「ベア拒否」「春闘終焉(しゅうえん)」を叫ぶブルジョアジー、ベアでなく「賃金改善」をと全面屈服する連合中央。この春闘圧殺策動を粉砕し、反合・運転保安や大幅賃上げを掲げ、動労千葉と3労組共闘を先頭に春闘に決起しよう。
全逓は2・9〜10JPU臨大とそれに向けた代議員選で、郵政民営化絶対反対派がJPU現体制を徹底批判しつつ登場した。反対派を抑え込み、本部一任で民営化に突き進もうとしているJPU中央と対決して、絶対反対派への支持を拡大しよう。職場から物ダメと民営化絶対粉砕の闘いをつくり出そう。
自治労臨大では、闘う組合員は国民投票法案と公務員制度改革への断固たる反対を訴えて決起した。代議員の発言にも現場にも、1・16政労協議と1・19連合中執会議の線で全面屈服しようとしている自治労中央への怒りがうず巻いている。全国で闘う主体をさらに強化し、国民投票法案=改憲攻撃と公務員制度改革(行革推進法案、公共サービス効率化法案=市場化テスト法案)に反対する闘いを全力で強化しよう。
国鉄戦線はかつてない激震、分岐・流動情勢に入っている。屈服と裏切りを重ねてきた国労本部の破産と展望喪失の中で、1047名闘争の大同団結が形成されたことは決定的だ。当局とJR総連・カクマル松崎の結託体制も最後的崩壊を迎えた。あらゆる反動を打ち破り、国労内からの闘う組織化で、5者主催の2・16集会を大成功させよう。動労千葉を先頭とした闘う統一戦線を発展させよう。国労5・27臨大闘争弾圧裁判の勝利をかちとろう。今こそ国労の戦闘的再生の展望を切り開く時だ。
第3章 世界戦争体制狙う米QDR
自公民が昨年来、通常国会で成立を期すと合意している国民投票法案は、06年度予算案通過後は重大な攻防に入る。国民投票法案は改憲への単なる「手続き法案」ではない。それは実際の改憲への堤防決壊に等しい大攻撃なのだ。法案の核心は、@自治労、日教組を始め公務員労働者の改憲反対の政治活動を全面禁止し、A改憲を批判する言論・表現活動一般も規制・弾圧するという点にある。
こんな法案が成立すれば改憲は半ば強行されたに等しい。自治労、日教組など公務員労働者にとっては、自己と組合の存亡がかかっている。産別の最大級の正面課題として国民投票法案粉砕=改憲阻止に決起しなければならない。今こそ4大産別決戦を土台に、それと固く結合して改憲阻止闘争を創造すべき時だ。
日本共産党はスターリン主義的セクト主義をむき出しにし、「無差別テロ支持勢力」の排除なるものを口実に、統一戦線に敵対している。日共の策動を粉砕し、今こそ広範で大胆な統一戦線を形成して、改憲阻止闘争を爆発させよう。
共謀罪は戦時下で思想を弾圧し、労働運動と革命党を禁圧する凶悪な治安立法だ。今国会での9度目の成立策動を断固粉砕しよう。
今や「政権末期」の危機にあえぐブッシュは、一層凶暴化し、世界戦争路線を突っ走ろうとしている。
1・31一般教書演説では「自由と民主主義の拡大」「圧制の終結」を宣言し、「テロとの戦い」の名のもとにシリア、ミャンマー、ジンバブエ、北朝鮮、イランの5カ国を名指しして、帝国主義的侵略戦争を拡大する意思を表明した。イラク侵略戦争を継続・激化し、世界戦争の道を突き進もうとしているのだ。
さらに2月3日のQDR報告(4年ごとの国防政策見直し)では、一方で「対テロ戦争」を「長期戦争」と位置づけ、特殊作戦部隊の増強・創設や無人機飛行大隊の新設など大軍拡をうたい、他方で「戦略的岐路にある国家」として対中国(対ロシア)の戦略・戦争体制の強化を公然と打ち出した。そのため11空母攻撃群のうち6個群を太平洋に、潜水艦も6割を太平洋に集中させるとし、同時に太平洋における米帝の同盟国として日、豪、韓をあげ、米戦略への一層の協力と補完的動員を求めた。まさに露骨な対中国・北朝鮮侵略戦争体制の構築が表明されているのだ。
3月に予定されている米軍再編の最終報告が、こうした新戦略にそって日米枢軸と沖縄・本土の米軍基地の徹底強化の方向で集約されることは明白だ。辺野古崎への新基地建設阻止を頂点に、米軍再編粉砕へ、新たな安保・沖縄闘争の創造が求められている。3・5沖縄県民大会を労働組合の結集を先頭に大爆発させよう。座間、横須賀、横田、相模原、岩国、さらに三里塚、北富士など全国で反戦・反基地闘争を闘おう。
以上のような2〜3月の激闘のただ中で、その闘いの武器として、また党建設の基礎として、機関紙『前進』の購読を労働者人民に提起し、拡大することが決定的である。何としても機関紙活動と財政闘争の変革・飛躍をかちとろう。
---------------------------------------------------
週刊『前進』(2234号1面2)(2006/02/20)
JPU臨大 “首切り容認案否決を”
“首切り容認案否決を”JPU臨大(写真 デモ隊は、臨大休憩中に出てきた代議員に「本部にゲタをあずけるな」とシュプレヒコールで本部議案否決を呼びかけた【2月9日 東京・日本青年館前】)
JPU第61回臨時全国大会が2月9〜10日、東京・日本青年館で開かれた。郵政民営化に屈したJPU全逓中央は「本人同意なし、配転が前提、決定権は新会社」の採用方式と「集配拠点の再編」による大量首切り計画について本部一任を求める議案を出してきた。07年10月の新会社発足に向けた大量首切りを容認=推進するということだ。
労組交流センター全逓労働者部会の呼びかけで全国から結集した闘う全逓労働者は大会初日、会場前でのリレートークと全代議員へのビラ配布で本部案否決と菰田執行部退陣を訴えた。大会開始後は臨大包囲のデモに立ちシュプレヒコールで代議員らに呼びかけた。
この怒りに突き上げられ、発言した8地本の全代議員が本部方針では雇用は守れないとの不安と怒りを表明した。(詳報次号)
---------------------------------------------------
週刊『前進』(2234号1面3)(2006/02/20)
国鉄1047名の解雇撤回へ 2・16集会に結集しよう
国鉄1047名闘争は今、大きな転機を迎えている。「JR採用差別事件の勝利解決をめざす! 1047名闘争団・争議団・原告団 2・16総決起集会」は、国鉄分割・民営化による被解雇者1047名全体を結集し、「解雇撤回・JR復帰」に向けての橋頭保を築く集会として闘いぬかれようとしている。鉄建公団訴訟を軸に形成された1047名の統一陣形は、国労闘争団全体を巻き込んでさらに大きく広がった。
国鉄闘争は、ついに1047名の大同団結を生み出した。そのもとで開かれる2・16集会の成功は、国鉄闘争勝利の血路をこじ開け、小泉打倒に向けた労働者階級の壮大な決起を必ず押し開くものになる。
小泉への総反撃切り開く決戦に
06年冒頭から、労働者階級は教労、全逓、自治体、国鉄の4大産別を先頭に小泉=奥田との歴史的な決戦に突入した。
小泉政権は改憲を公然と政治日程に上せ、そのために公務員労組の解体に全力を挙げている。これに呼応して、連合中央は1月19日の中央執行委員会で改憲のための国民投票法案を民主党とともに推進する極悪の方針を決定した。
4大産別はいずれも、労組を丸ごと改憲勢力に転落させようとたくらむ腐敗幹部との激烈な攻防の渦中にある。1月26〜27日の自治労臨大では、公務員制度改革に屈服し、国民投票法案を容認する自治労本部の裏切りに徹底した弾劾が浴びせられた。2月9〜10日のJPU(全逓)臨大では、「郵政民営化反対」を建前としても投げ捨て、首切り容認方針をごり押しするJPU中央に、現場組合員が腹の底から怒りをたたきつけた。教育労働者は「日の丸・君が代」強制に不起立を貫く不動の決意を固めつつ、3月21日の日教組臨大に臨もうとしている。
これらの闘いを勝利に導くものは、4大産別決戦の土台をなす国鉄闘争の力強い登場にほかならない。
国鉄分割・民営化を前に、当時の首相・中曽根は「(国鉄改革で)お座敷をきれいにして立派な憲法を安置する」と豪語した。だが、国鉄闘争はこの攻撃を今日まで敢然と阻んできたのである。中曽根や森は、今また“国労の崩壊を意図して国鉄を民営化した”“連合の左派中心勢力の日教組と自治労をつぶす”とうそぶいている。支配階級は、国鉄闘争を解体できないままに公務員労組全体の絶滅戦に踏み込んできた。
だが、4大産別を始めとする労働者が総力で反撃に立てば、この攻撃は敵階級の致命的な破産に転化する。小泉打倒の突撃路は、「日の丸・君が代」強制拒否の教育労働者の決起と並び、2・16集会の成功によって切り開かれるのだ。
国鉄闘争勝利の路線確立しよう
1月28日の国労中央委員会で国労本部は、従来の姿勢を一変させて「鉄建公団訴訟を支援する」「2・16集会などの大衆行動に取り組む」という方針を掲げた。この間、鉄建公団訴訟への妨害と敵対に明け暮れてきた国労内部の反動は、今や崩れ去りつつある。
国労本部は、鉄建公団訴訟に立った闘争団員を統制処分にかけ、生活援助金の支給も停止した。闘争団への統制処分に抗議した国労組合員を警察に差し出すことまで行った。だが、いかなる妨害があろうとも、1047名の不屈の意志は崩れることがなかったのだ。
国労本部は、今もなお「政治的全面的解決」を強調し、1047名を屈服的和解に引き入れようと策している。国労本部はいまだに闘争団員の統制処分を「やむをえない措置だった」と言い、02年の国労5・27臨大闘争弾圧への加担については居直りを決め込んでいる。1047名の大同団結と国労の団結回復のためには、国労本部の根底的な自己批判が最低限の条件である。今こそ4党合意以来の一切を総括し、国鉄闘争勝利の路線を鮮明にさせることが必要なのだ。
時あたかも、JR体制は重大事故を続発させ、矛盾と破産をさらけ出している。JR総連カクマルは、松崎明の組合資金横領問題が公然化し、ますます分裂と崩壊を深めている。
そのただ中で打ち抜かれた動労千葉の反合・運転保安闘争は、JR体制に痛打を与えた。動労千葉は、06春闘を「反合・運転保安春闘」として総力で闘う方針だ。このようにJR資本と真っ向から対決してこそ、1047名の解雇撤回は実現できる。
安全を崩壊させたJRへの怒りが広がる中で、動労千葉の反合・運転保安闘争は勝利の展望を鮮やかに指し示した。この闘いも原動力に、1047名の統一陣形は打ち固められてきた。
2・16集会を、国鉄闘争が勝利の路線をつかみ取る歴史的飛躍の場にしよう。国鉄闘争は、あらゆる苦難をのりこえて活路を切り開いてきた闘いだ。いよいよその真価を発揮する時が到来したのだ。
1047名の大同団結は、改憲阻止の一大統一戦線形成の出発点をもなしている。2・16集会に総結集し、国鉄闘争勝利、小泉政権打倒へ突き進もう。
-----------------------------------------------------
JR採用差別事件の勝利解決をめざす! 1047名 闘争団・争議団・原告団
2・16 総決起集会
2月16日(木)午後6時30分
日本教育会館3階ホール(千代田区一ツ橋2-6-2)
主催 1047名被解雇者 2・16集会実行委員会(国労闘争団全国連絡会議/国労闘争団鉄建公団訴訟原告団/
国労闘争団鉄道運輸機構訴訟原告団/全動労争議団・鉄道運輸機構訴訟原告団/
動労千葉争議団・鉄道運輸機構訴訟原告団)
---------------------------------------------------
週刊『前進』(2234号2面1)(2006/02/20)
不起立貫く日教組運動を 「日の丸・君が代」強制拒否闘争
東京の被処分者と連帯し福岡の教育労働者は闘う
05年の不起立闘争の意義
福岡の05年不起立闘争は歴史的な「不起立宣言」=不起立闘争として闘われた。
それは、これまでの「日の丸・君が代」反対闘争を自覚的に塗り替える「不起立闘争」であった。「不起立・不服従宣言」か「不起立宣言」かを曖昧(あいまい)さなく問いかけ、その論議をつくり出し、不起立闘争=実力闘争として闘いぬかれていった。
何よりも不起立闘争は、職場支配の決定的テコとなっている「日の丸・君が代」強制を実力拒否することによって、職場支配権を管理職(校長・教頭)から奪い返し、力関係を決定的に転換させた。
さらに、当然のことではあるが、「教育委員会との信頼関係が壊れる」などと言う連合・福教組執行部のあからさまな闘争圧殺・敵対との闘いであった。福教組執行部は、教育委員会・管理職とは別の形で内側から闘争を圧殺する存在であり、不起立闘争は、この腐った福教組執行部を即刻打倒する闘いと一体の闘いであった。
(写真 不起立闘争への跳躍台となった昨年の2・11教育基本法改悪阻止集会の後の天神デモ)
不起立闘争への断固たる決起=実力の闘いによって「日の丸・君が代」強制の意味が職場・分会員の中に明らかになり、現状の一つひとつを強制の現実としてとらえ返す論議が行われ、校長支配への反撃が始まった。職場・分会は、闘う分会へと急速に変化していった。
この闘いをとおして、不起立を闘った二つの分会で新たに組合への加入が実現した。組合員の意識・活動の活性化を生み出し、「目標管理」攻撃との闘いへと発展していった。
福岡では、教職員の「成績評価」「目標管理」の攻撃が05年4月試行、06年4月本格実施としてかけられてきている。この「目標管理」の攻撃を分会決議をもって拒否した。
今、その攻防のさなかにある。福教組執行部は「問題点排除、5原則2要件」などと言いつつ、「Webシステム」の導入を全国に先駆けて容認・推進する立場・方針を出した。
だが、この攻撃は「プライバシー問題」ではなく、組合破壊・団結破壊の攻撃、「不適格教員」パージの攻撃そのものである。この分会決議は、分会長会などの機関会議でも報告され、「書かない・提出しない・面談しない」(三ない)の闘いが全市的規模に拡大する決定的位置をもった。「日の丸・君が代」強制拒否の不起立闘争が福教組執行部の屈服をのりこえて新たな職場闘争への決起をつくり出したのだ。
処分を恐れず職場から決起
06年、決意した一人ひとりが職場闘争から不起立の闘いを巻き起こし、全支部的に拡大し、05年を超える不起立闘争=実力闘争として闘いぬく。闘う都高教・被処分者に固く連帯して、全国の仲間とともに不退転の決意をもって闘う。
05年の「不起立宣言」とそれへの賛同運動は決定的な意義をもっていた。その闘いの中から不起立者が組織されてきた。06年、この闘いは、すでに05年地平を超えて始まっている。
だが06年の階級情勢は、05年の単純な繰り返しや延長で06年を闘うことができないことを示している。
今、教育の現場は矛盾にあふれ、怒りに満ちている。小泉改革のもとで労働者とその家族・子どもたちは生活と生存の危機にたたき込まれている。給食費や教材費が払えない生徒・児童が小泉政権の4年間で4倍になっている。こうしたことと一体のものとして階級間格差拡大、JR重大事故続発、耐震強度偽装、堀江・ライブドア事件、官製談合続出などもある。小泉=奥田の「改革」がこれらを促進したのである。
「勝ち組・負け組」などのふざけきったイデオロギーがまかり通り、エリート教育、差別・選別教育が行われ、学校が「荒れ」、不登校が激増している。現場は多忙化・労働強化が常態となり、ストレス、病休、退職が増加している。校長の管理統制=支配が強化され、教育が破壊され、職場が破壊され、協働性と団結が解体されている。そのテコとなったのが「日の丸・君が代」の強制である。教育基本法改悪は、この現実を極限的に悪化させ、それを当然とする社会と教育をつくり出す。
こんなことがまかり通っているのは、労働者階級の団結が破壊され、連合指導部、社・共によって闘いが放棄されているからだ。労働者が団結し、ストライキを一発打てば、社会の真の主人公が汗水を流して働く労働者であることは一目瞭然(りょうぜん)となる。
「日の丸・君が代」不起立の闘いは、連合・日教組指導部を吹き飛ばす闘いであると同時に、危機にのたうち回る日帝・小泉=奥田の戦争と民営化の攻撃をはね飛ばす根底からの決起である。
闘う執行部をつくり出そう
日教組は「日の丸・君が代」強制に「反対」と言いつつ一度も「強制拒否」の不起立闘争・実力闘争を提起したことがない。また強制に屈せず闘って不当処分された教育労働者を支援し守ろうとしてこなかった。
このような日教組指導部を打倒し、「日の丸・君が代」強制拒否の不起立闘争を行う日教組運動をつくり出さなければならない。
福岡の闘う教育労働者は、闘う執行部への飛躍をかけ、2・11集会―支部執行部選挙を闘う。
福岡では04年以来、「教育基本法改悪阻止」を正面に掲げ、闘う日教組の再生を切り開く独自の闘いを進めてきた。06年2月11日、7回目の集会・デモを闘う。闘わない日教組執行部にとって代わる「ランク&ファイル」の運動として、日教組運動の指導部への飛躍をかけて2・11集会の成功をかちとる。
2・11集会はまた、執行部役員選挙への総決起宣言の場としてもある。「新しい執行部をつくろう!」を合言葉に立候補し、選挙戦と一体の闘いとして「日の丸・君が代」不起立闘争を闘う。
「日の丸・君が代」強制拒否=不起立闘争、連合・福教組執行部打倒の執行部選挙戦、そして教基法改悪阻止闘争を闘い、2006年4大産別決戦の先頭で福岡の教育労働者は闘う。
〔黒田 葵〕
---------------------------------------------------
週刊『前進』(2234号2面2)(2006/02/20)
都教委包囲・首都圏ネット総決起集会 不起立の拡大を宣言
教育労働者が次々と決意
2月5日、日本教育会館一ツ橋ホールで、都教委包囲・首都圏ネットワークの呼びかけでつくられた実行委員会の主催する「処分撤回!解雇撤回!『日の丸・君が代』強制を許さない2・5総決起集会」が開催された。700人が参加して、「今春卒業式・入学式で不起立闘争を継続・拡大しよう!」と熱気あふれる集会となった。
“行動することで獲得する物多い”
集会のハイライトは、03年「10・23都教委通達」から3度目の卒・入学式を前にした東京の教育労働者たちの発言だ。1月25日の周年行事(創立記念行事)で不起立を闘いぬいた都立養護学校の教育労働者は、「『10・23通達』以降3回の不起立で減給6カ月の処分を受け、今回が4回目です。これから処分が出ると思います。すぐに卒業式があります。子どもたちと一緒にいたいのに、追いやられかねません。しかしあきらめず、私ができることを続けていきたい。また会いましょう」と、穏やかに、しかしきっぱりと訴えた。
中学校の教育労働者は、「4月の入学式で不起立をして停職処分になりました。今年も戦争協力を拒否し、停職・免職覚悟で、生徒に『こういう生き方もあるんだよ』と伝えていきたい。この場にも『不起立したらどうなるんだろう』と躊躇(ちゅうちょ)している教員がいると思いますが、行動することで獲得するものはたくさんあることを感じ取ってほしい。『一緒に不起立しましょう』と呼びかけます」と述べた。
「10・23通達」以後4回の卒・入学式で会場外に追いやられていた都立高の教育労働者は、「『10・23通達』との闘いの第2ラウンドが始まったと思っています。私は今年初めて会場に入ります。私のような『第2グループ』が存在しています。今年の行動が第2ラウンドの開始を告げるものでありたい。自分の思想や行動は自分で守っていきたい。多くの方々と連帯できるよう覚悟して卒業式に臨んでいきます」と語った。
(写真 今春卒・入学式で教育労働者の「日の丸・君が代」強制拒否・不起立闘争の継続・拡大を宣言した都教委包囲・首都圏ネット集会【2月5日 一ツ橋・日本教育会館】)
3者で対策本部 全面的に闘う!
被処分者の会の代表は、「教育労働者として真実を貫き、誇りをかけた闘いを元気に展開しています。私たち3者(被処分者の会、被解雇者の会、予防訴訟をすすめる会)は『卒業式・入学式対策本部』を設置し、全面的に闘う体制を整えました。『日の丸・君が代』強制との闘いは、憲法・教育基本法改悪をもくろむ勢力との闘いです。教育基本法・憲法改悪に反対し、この国を二度と戦争する国にさせないために闘います」と表明した。
04年卒業式の不起立を理由に再雇用が取り消された被解雇者の会や再雇用不採用者、予防訴訟をすすめる会、04年の板橋高卒業式で「威力業務妨害罪」をデッチあげられた藤田勝久さん、運動会での「日の丸」掲揚時に旗を見ず子どもたちを見ていたことで厳重注意を受けた小学校の教育労働者など、「日の丸・君が代」強制と闘う多くの労働者の決意に惜しみない拍手が送られた。昨年卒・入学式の門前ビラまきへの弾圧監視弁護活動を行った弁護士は、今年も監視弁護を行うと述べた。
「つくる会」歴史教科書の採択が強行された杉並から、採択撤回を求めて闘う杉教組の代表が発言した。調査報告書の書き換えを告発した教育労働者が処分と強制異動の攻撃にさらされていることを弾劾し、「『扶桑社の教科書どおりに教えろ』という攻撃に対して職場から抵抗の闘いをつくり上げていく」「人間の気持ちのない教育に変えられていくことは許せない。『間違ったことは間違っている』と言い続けていく」と力強く表明した。
「激励と連帯の発言」も多彩な顔ぶれから寄せられた。沖縄のヘリ基地反対協共同代表の安次富浩さんが発言した。辺野古の海上ヘリ基地建設を600日を超える座り込み行動と海上阻止行動で阻んだことを報告し、「体を張った闘いによって閣議決定を破綻(はたん)させ、民衆の闘いの力を示しました。自信を持って団結して闘えば必ず勝てます」と述べ、辺野古沿岸案を阻むため、3・5県民大会への結集を呼びかけた。国労闘争団・鉄建公団訴訟原告団の酒井直昭団長や、ビラまき弾圧と闘う立川テント村の当該、石原都政の土地取り上げと闘う枝川朝鮮学校校長、高校生らも連帯の発言を行った。
いよいよ集会の最終ラウンド。主催者が「行動提起」を行い、「都立高校の卒業式当日、一緒に門前でビラをまこう」と呼びかけた。
全国からの参加者が紹介され、大阪の教育労働者が「昨日、『座って示そう戦争反対』集会を行ってきました。関西の『不起立宣言』は200人を超えています。東京に連帯して不起立・不服従を全国の闘いとしていきます」と訴えた。
松山大学教員・大内裕和さんは、「憲法・教育基本法違反の『10・23通達』に勇敢に対抗した不起立闘争が現場労働者を励ましてきた」と語り、「ブルジョアジーに私たちの未来を委ねてはならない。教育労働者と国鉄労働者、全逓労働者、自治体労働者、そして若年労働者がつながって、教育基本法改悪・憲法改悪をとめる運動をつくろう。3月31日の集会と国会デモに参加を」と呼びかけた。
「『日の丸・君が代』強制に対する抵抗を継続し、教育の自由を守る決議」(別掲)を満場の拍手で採択、「団結ガンバロー」を三唱して卒・入学式闘争をともに闘う決意を固めた。
全労働者が教育労働者に連帯を
東京の教育労働者は「10・23通達」から2年目の昨年、不起立の根絶をめざした都教委と警察の厳戒体制を突き破り、断固として不起立闘争を継続した。さらに、再発防止研修弾劾行動を頂点とする通年の闘いをとおして、弾圧にも免職恫喝にも屈しない教育労働者が断固として登場し、石原・都教委を追い詰めている。
この闘いがいよいよ今年、全面的に開花しようとしている。教育基本法改悪案・国民投票法案が通常国会に提出されようとしている今、教育労働者の不起立闘争の拡大こそ、教育基本法改悪・新憲法制定を阻む最大の力である。
勝負の時が来た。全都・全国で不起立闘争を拡大しよう。すべての労働者が教育労働者の闘いに連帯し、ともに闘おう。
(投稿/東京・M)
---------------------------------------------------
週刊『前進』(2234号2面3)(2006/02/20)
「日の丸・君が代」強制に対する抵抗を継続し、教育の自由を守る決議
「10・23通達」以後3度目の卒業式・入学式の季節が近づいています。
2005年の卒業式・入学式では04年に続き60名を超える不起立によって都教委に対する抵抗が継続されました。
石原・中村都教委は、抵抗の闘いがいっこうにおさまらないことに驚愕(きょうがく)し、総力をあげてこれを根絶やしにしようとしました。しかし、7月21日の「再発防止研修」には多数の市民・労働者が支援にかけつけ、思想転向を迫ろうとする都教委の意図はまたしても打ち砕かれました。
これに対し都教委は、ゼッケン着用やその他のささいなことで言い掛かりをつけ、10人に対して、減給・戒告などの「不当処分」と「再発防止研修」を重ねてきました。しかし、このことはさらなる憤激を呼びおこし、卒業式を前に都教委を非難し追及する声はいっそう高まっています。
しかしながら、都教委は攻撃の手をまったく緩めていません。
2006年春の卒業式・入学式に向けての都教委の攻撃のねらいは、次の3点にあると考えられます。
第1に、不起立者をゼロにすることによって、教職員の抵抗の意思を根絶やしにすることです。昨年、都教委は職務命令により「君が代」斉唱指導をもくろみましたが一部の学校を除いてほとんど実行できませんでした。教職員の抵抗が少しでも続いていては、都教委は次の段階に容易に進むことができません。
第2に、児童・生徒に対する「君が代」斉唱指導を何としてでも実行させることです。中村教育長は議会質問に答えて、生徒の不起立者が多い場合には、生徒に対する指導を命じた新しい通達を出す、と言い切っています。しかし、これに対しても各方面から反対の声が上げられています。
第3に、「日の丸・君が代」の強制を通じて強められてきた学校現場の監視体制を、来年度の「学校経営支援センター」の開設により、日常的なものに作り上げていくためです。それにより、教育内容の管理統制を進め、戦争のできる人づくりに本格的に乗り出そうとしています。
「日の丸・君が代」の強制に反対する闘いは、そうした彼らの「人づくり」政策を打ち砕く闘いの重要な要(かなめ)になってきました。
この闘いは、権力を総動員した「つくる会教科書」の採択策動に反対する闘いや、いよいよ正念場を迎えている憲法・教育基本法の改悪を阻止する闘いとも一体のものです。また、全国津々浦々の闘いと強く連帯するものでもあります。
権力は、自覚と決断をした人々の出現を何よりも恐れています。
したがって私たちは、この自覚と決断の意味を今日ここに結集したすべての人々で共有し、卒・入学式に向けて、不起立や「斉唱指導」の職務命令拒否をはじめとする教職員の闘いを継続拡大させるとともに、生徒、保護者、市民、労働者の連帯の運動をも、大きくつくりだしていこうではありませんか。
そして、石原・中村都教委のねらいを断固打ち砕き、彼らを孤立化させていきましょう。
以上、決議します。
2006年2月5日
2・5総決起集会参加者一同
---------------------------------------------------
週刊『前進』(2234号2面4)(2006/02/20)
国労弾圧公判 “暴行受けた認識ない”
久保田・検察側証人が自認 被害証言が完全崩壊
2月1日、東京地裁刑事第10部で国労5・27臨大闘争弾圧裁判の第52回公判が開かれ、「被害者」と称する国労長野地本長野総合車両所支部製造分会書記長の久保田清一証人に対する弁護側反対尋問が行われた。
前回公判で青柳勤裁判長は、意見陳述に立った富田益行被告に対し、JR羽越線事故への言及を禁じる不当な措置をとった。冒頭、佐藤昭夫弁護団長が、前回公判での裁判長の訴訟指揮の違法性について意見を述べたいと申し立てた。検察側は意見陳述を認めまいと必死になったが、裁判長は数分間の合議の後、陳述を認める決定を下した。
佐藤弁護団長は、「民営化によるJRの安全無視・利潤優先の経営と、これに反対する組合員の声を抑えたJR総連、国労執行部の態度が事故をもたらした」と指摘し、「本件の被告の行為は国労の団結回復を図るものであり、これによって守ろうとしたものは鉄道の安全でもあった」と述べ、前回の訴訟指揮を「本件事案の本質を見ず、その法的評価を誤ったもの」と厳しく弾劾した。裁判官も検察官も、説得力ある佐藤弁護団長の意見陳述に聴き入るほかなかった。
羽越線事故に続き、JRは伯備線でも3人の保線労働者の命を奪う重大事故を引き起こした。その元凶は国鉄分割・民営化だ。公判闘争は、国鉄分割・民営化とそれに屈した国労本部を徹底的に断罪しつつ、国労の階級的再生をめざして力強く闘いぬかれている。
この弾圧は、鉄建公団訴訟原告への統制処分手続きが決定された02年5月27日の国労臨時大会で、本部方針に抗議した国労組合員らの行動が「暴力行為」にデッチあげられたものだ。
矛盾を暴かれ前回証言翻す
久保田証人はこの大会に警備として参加し、「羽廣憲被告から右手で胸を突かれて倒された」として警察に「被害届」を提出し、検察側の証人になっている。
小島好己弁護人が事件現場を撮影した検察側証拠のビデオテープを再生しながら証人を尋問した。前回公判で証人が「羽廣被告に突かれて倒された直前の場面」と述べていた映像を示し、「あなたが突かれたのは、この前か後か」と確認を求めると、証人は「この時点ではもう倒れている。前回の証言を訂正したい」と言い始めた。
前回公判からこの日までに、証人は検察官と2回、4時間半もの打ち合わせをしたという。その場で証人が、前回の証言を訂正するように検察官から言い含められたことは想像に難くない。前回公判で証人が「ここで倒された」と特定したビデオの映像は、羽廣被告の右手が下に垂れ下がっている様子をとらえている。それは、およそ人を突き倒すような動作ではない。この矛盾を取り繕おうと、証人は前言を翻したのだ。これにより検察側主尋問への久保田証人の答えも否定され、彼の証言の信用性は決定的に崩壊した。
証人は「羽廣被告からジャケットのえりをつかまれ引っ張られた」とも述べていた。萱野一樹弁護人がこれについて追及すると、証人は「えりをつかまれた」というのはビデオを見ての解釈にすぎず、その体験の記憶も暴行を受けた認識もないことを自認した。
久保田証言の矛盾は徹底的に暴かれた。次回からは、長野地本中南信支部松本運輸区分会の黒執(くろとり)光久証人への尋問に入る。
公判闘争に結集し、8被告の無罪獲得へさらに闘いを強めよう。
---------------------------------------------------
週刊『前進』(2234号2面5)(2006/02/20)
1・19〜1・31
8時間労働制解体の新制度 厚労省
動労水戸に中労委勝利命令/北海道のスト中止
●最賃法改正断念 産業別最低賃金を廃止し、地域別最低賃金に一本化する案を議論していた厚生労働相の諮問機関、労働政策審議会(最低賃金部会)は、使用者側の反対が強く、同案でまとめることを断念した。産別最賃は「職種別設定賃金」に再編し直すとしていたがこれに経営側が反対。(19日)
●動労水戸に勝利命令 JR東日本が旧国鉄で運転士資格を取得した動労水戸の組合員15人を運転士にしないのは不当労働行為だとして、同労組が救済を求めた事件で、中労委は初審判断を相当とする命令書を交付した。(24日)
●北海道のスト中止 北海道の一般職員の賃金10%削減をめぐる労使交渉は25日朝、道側が譲歩し削減額緩和で妥結。労組側は同日8時45分から予定していた2時間のストライキを中止。(25日)
●教基法改正の与党協議再開 与党は昨年7月から開かれていなかった「教育基本法改正に関する協議会」を半年ぶりに再開。今国会に改正案提出の方針。(25日)
●労働時間規制ない新制度 厚労省「今後の労働時間制度に関する研究会」は「新しい自律的な労働時間制度」創設を提唱した報告書を発表。07年の通常国会に関連法案提出予定。(25日)=要旨別掲
●自治労が臨時大会 自治労は27日まで臨時大会を開き、都市交(約3万3千人)と全水道(約2万9千人)との組織統合に向け、本格的に準備を開始する方針を決めた。(26日)
●2千円の統一賃金改善要求を確認 電機連合は27日まで中央委員会を開き、基幹労働者の賃金水準改善額を月額2000円とする統一要求を盛り込んだ06年春闘方針を決めた。(26日)
●全労連の春闘方針 全労連が「誰でも月額1万円以上の賃上げ」を統一要求目標とする06年国民春闘方針を決定。(26日)
●看護師や医師の派遣、産休などの代替に限り解禁 厚労省は、原則禁止していた看護師や医師の人材派遣について、産休などの間の代替要員に限って認めることを決めた。労働者派遣法の施行令を改正し4月から実施する。(26日)
●国労が中央委 国労が拡大中央委員会を開催し、「当面の運動方針」を決定した。(28日)
●イオンのパート4万人、労組へ スーパー業界最大労組「イオン労組」(3万人)は今夏までにパート社員約4万4千人を労組に加える方針を明らかに。(30日)
●12月の完全失業率4.4% 総務省統計局発表の労働力調査の結果では、昨年12月の完全失業率は4.4%と前月に比べ0.2ポイント低下。厚労省発表の昨年12月の有効求人倍率は前月比0.01ポイント増の1.00倍となり、92年9月以来、13年3カ月ぶりに1倍台に回復した。(31日)
今後の労働時間規制に関する研究会報告書(概要)
・現状認識と今後の展望
ホワイトカラー労働者の増加と働き方の多様化が進み、自律的に働き、かつ、労働時間の長短ではなくその成果や能力などにより評価されることがふさわしい労働者が増加。
・見直しの方向性
労働時間制度全般について、運用や制度そのものの見直しを行うことが必要。
・新たな労働時間制度の創設
「新しい自律的な労働時間制度」
対象者:@中堅の幹部候補者で管理監督者の手前に位置する者。A研究開発部門のプロジェクトチームのリーダー。
・現行の裁量労働制の要件緩和
■解説 現行の管理監督者に加え、その手前の労働者までも労働時間規制の対象からはずそうとする攻撃。
---------------------------------------------------
週刊『前進』(2234号3面1)(2006/02/20)
国民投票法案阻止へ全力を
公務員・教員の反対運動禁止 改憲批判のメディアも統制
自治労・日教組は闘いの先頭に
国民投票法案粉砕が待ったなしの決戦となった。自民党は民主、公明との衆参合同3党協議機関を3月中に発足させ、今国会での法案提出・成立を狙っている。さらに連合中央が民主党と歩調を合わせて法案の推進に動き出した。事態は風雲急を告げている。全力で国民投票法案粉砕の決戦態勢を強めよう。
連合の1・19中執会議決定を粉砕しよう
連合は1月19日の中央執行委員会で国民投票法案について「早急に民主党とも協議しながら具体的な対応を図っていく」と意思統一した。民主党・前原は国民投票法案と9条改憲に賛成、積極推進の立場である。だから連合が「民主党とも協議しながら」と決めたことは、連合が国民投票法案に賛成するということにほかならない。
これは、公務員制度改革への全面屈服、政府・自民党との1・16政労協議再開と並ぶ、労働者階級に対する大裏切りである。連合・高木は自民党の武部幹事長や川崎厚労相とも個別に会談し、結託して国民投票法案や9条改憲への労働者階級の反対運動の爆発を抑えつけようとしている。全力で粉砕しよう。
改憲の中身をも先取りする超反動法案
国民投票法案とは、どんな法案か。それは単に、改憲のための国民投票の「手続き」を定めたという単純なものではない。労働者人民の思想・言論と改憲反対運動に対する弾圧立法であり、反革命クーデター法案ともいうべき悪法である。改憲後の国家がどれほど人民の権利を奪う国家であるかを先取り的に示している。これが通れば改憲への堤防が決壊するような大攻撃だ。
与党の「法案骨子」は以下のことを規定している。
@公務員労働者や教育労働者の改憲反対の運動を全面的に禁止(64、65条)
A改憲への批判的言動をすべて弾圧。報道・言論・表現の自由を圧殺(68、69、70、71条)
B在日外国人に投票権はおろか、一切の運動参加・運動支援の権利も認めず、資金カンパも禁止(66条)
C国会発議から短ければわずか30日後に国民投票を実施。上記@ABでがちがちに反対の声を抑えつけておいて、一挙に投票へもっていこうとしている(31条)
D賛成票が有効投票の総数の半数を超えれば「国民の承認があった」と見なす。国民投票が成立するための最低投票数についての規定がない。投票率がどんなに低くても有効(54条)
主な問題点を挙げただけでも以上のとおりだ。
今国会に継続審議となっている「共謀罪」法案は、戦前の治安維持法をも超える治安立法、労組圧殺法であるが、この国民投票法案も以上のように驚くべき治安立法なのである。
改憲攻撃の核心は、9条2項(戦力不保持、交戦権否認)の破棄にあり、「自衛軍の保持」、全面的な集団的自衛権の承認という点にあるが、労働者人民の間には9条改憲反対の意思が依然として根強く存在している。これをひっくり返すことは、日帝支配階級にとっても容易なことではない。そして、政府・自民党は、国論二分的な激論状態になったら、到底勝てないとみている。
だからこそ日帝支配階級は、改憲を強行するために教労、自治体、全逓、国鉄の旧官公労系の4大産別労組の解体に全力を挙げ、改憲反対運動の労組的基盤の破壊を狙うとともに、さらに国民投票法で一切の反対論や反対行動を許さない超抑圧体制をつくりあげようとしている。逆に言えば日帝権力は、9条改憲への全人民的な反対の大きさと深さに心底からおびえているのである。
民主党・前原は、「国民投票法の早期制定」を掲げ、公然と自民党に協力して3党共同で法案を国会提出し、成立させようとしている。そして連合中央・高木も全面協力しようとしている。そのことを決めたのが1・19連合中執会議である。
日教組の森越委員長や、自治労の岡部委員長もこの会議に参加した。多くの大衆運動団体や全国各地の弁護士会が国民投票法案に反対する決議や声明を行っている。そうした中で、自治労や日教組の委員長が公務員・教員など自分たちの首を絞める超反動法案に賛成するとは、どれほど犯罪的なことか。本当に許せない。
自治労、日教組組合員の現場からの決起を
1・26〜27自治労臨大では議案書で「拙速な法制定には反対」などと言っていた。これは賛成に転じるペテン的な言い回しだが、早くも1・19連合中執決定から、自治労中央は国民投票法案推進の立場に立ったのだ。
自治労中央は大会の討論でも明確な反対の立場の表明を求める組合員の要求を踏みにじり、「改憲が日程に上っていない今の段階で、手続き法である国民投票法は必要ない」(金田書記長)とか、「拙速だから反対」(植本副委員長)などと議案書のペテン的文言を繰り返した。こうして弾圧法であることの真実を隠蔽(いんぺい)して組合員を武装解除しようとしている。そうして1・19連合中執決定に沿って、国民投票法案推進に突き進もうとしているのだ。
1・16政労協議再開で、自治労つぶし・公務員大リストラのための公務員制度改革に屈服しながら自治労中央は、「労働基本権の確立をめざす」などと居直っている。これがどれほど組合員を欺くペテンであるかは、国民投票法案への態度を見れば明らかである。国民投票法が成立すれば、組合の自由な改憲反対の言論や運動は、現在の規制よりももっと激しく、露骨に刑事弾圧の対象にされる。そうした事態を自ら招き寄せるようなことをやっていながら、「労働基本権の確立」も何もないだろう。労働者の政治的権利が奪われて、どうして労働基本権が保障されようか。
日教組・森越委員長もまた、3月21日に臨大を開いて国民投票法案賛成−改憲賛成の立場に日教組を丸ごともっていこうとしている。絶対に許すな!
改憲攻撃は切迫している。船田元・自民党憲法調査会長は、今国会で国民投票法を成立させた上で、「3年以内、08年には最初の問いかけを実施したい」(千葉日報1・13付)などと発言している。重大情勢である。
自治労組合員、日教組組合員の皆さん! すべての労働者人民の皆さん!
2〜3月の「日の丸・君が代」不起立闘争を全国で大爆発させよう。それが改憲・教基法改悪をうち破る力だ。そして、1・19連合中執決定粉砕へ、連合・自治労・日教組中央への怒りと弾劾を圧倒的に組織し、改憲反対・国民投票法案粉砕、米軍再編粉砕、公務員制度改革粉砕の巨大な運動をつくり出そう。
---------------------------------------------------
国民投票法案はこんな悪法
@公務員労働者や教育労働者の改憲反対の運動を全面的に禁止(64、65条)
A改憲への批判的言動をすべて弾圧。報道・言論・表現の自由を圧殺(68〜71条)
B在日外国人に投票権も、一切の運動参加・運動支援の権利も認めず、資金カンパも禁止(66条)
C国会発議から短ければわずか30日後に投票実施。上記@ABで反対の声も上げられない中で、一挙に投票にもっていく(31条)
D賛成票が有効投票の総数の半数を超えれば「国民の承認」と見なす。投票が成立するための最低投票数の規定もない。投票率がどんなに低くても有効(54条)
---------------------------------------------------
週刊『前進』(2234号3面2)(2006/02/20)
国民投票法案の問題点 検証 22日に東京で大集会
2月22日(水)午後6時から、東京で「問題点を検証する!『憲法改正国民投票法案』」と題してパネルディスカッションが開催される。会場はイイノホール(千代田区内幸町2−1−1飯野ビル7階、地下鉄「霞ケ関」または「内幸町」下車すぐ)。主催は第二東京弁護士会。東京弁護士会、第一東京弁護士会、日本弁護士連合会が共催。
主催者は以下のように広く労働者・市民の参加を呼びかけている。
「国民の運動を規制し、メディアをしばり、外国人を排除して、憲法改正の是非について国民に十分な議論をさせないままに憲法改正国民投票を実施することを可能とするような法案が公表されています。この法案の問題点について、多彩なパネリストが徹底検証します」
(写真 集会への参加を呼びかけるビラ)
水島朝穂、朴慶南氏らが問題提起
パネリストは以下の4氏。
水島朝穂氏(早大法学部教授)
藤森研氏(朝日新聞編集委員兼論説委員)
朴慶南氏(パクキョンナム、作家)
伊藤真氏(伊藤塾塾長、法学館憲法研究所所長)
自公民3党の協議機関が3月に発足し、今国会での法案制定が狙われている中で、この情勢に切り込む重要な集会である。こぞって参加し、改憲のための国民投票法案についての批判を深め、運動を広げよう。
---------------------------------------------------
週刊『前進』(2234号3面3)(2006/02/20)
怒りの06春闘へ
電機労働者は闘うぞ
これでは生きていけない 春闘に飛び込み団結作る
私たち労働者階級にとって、06年〜07年決戦は日帝・資本家階級に絶対に屈服することのできない、改憲・戦争攻撃との文字どおり死活をかけた闘いだ。あらゆる労働者に激しく襲いかかる小泉=奥田体制の民営化=労組破壊の攻撃こそ、資本が危機的な状況にあることを現している。
この大反動攻撃との激突点にある4大産別決戦は、とりわけ重要な情勢に至っている。さらに労働者の生活破壊・貧困化は一線を越え、「格差社会」「二極化」とまで言われており、資本主義・帝国主義への怒りが渦巻いている。だからこそ06春闘を、全労働者が賃上げを始め労働条件改善の前進に向け、全力で闘おう。私は電機産別の労働者として、待ったなしの労資の激突情勢にある今春闘を、不退転の決意で闘うことを表明する。
闘って組合を再生しよう
電機連合中央は、組合員の期待を裏切り、昨年まで4年連続で統一ベア要求を見送り続けてきた。
1月26〜27日、横浜市で第92回中央委員会が開催され、06春闘方針が決定された。電機連合中央は「35歳技能職ないし30歳技術職の”水準改善額”で2千円の引き上げ」を統一要求とした。事前の生活実態調査から浮き彫りとなった、生活に窮し、憤まんやるかたない労働者の怒りに押された形で5年ぶりの金額を明示した統一要求となった。
だがこの要求は一律賃上げ要求ではなくて、労働者間の賃金差別を積極的に容認して助長する個別賃金制度−職種別賃金制度のもとでの「賃金改善」要求でしかない。2千円上がるのは35歳の技能職ないし30歳の技術職の労働者だけで、それ以外の労働者の賃金が上がる保証はまったくない。しかも、たった2千円の要求額では仮に満額をかちとったとしても、定率減税廃止や増税で実質的にはかき消され、私たちの生活はますます低水準となるのだ。
あろうことか、大手17中闘組合である三洋電機労組は、早々に賃金の統一要求放棄を表明した。厳しい経営状況にある三洋電機では労働者の血と脂を搾り取る賃金カットが現在実施されている。春闘こそ、この労働者の怒りを資本にぶつけるべき場である。春闘入り口で統一闘争に水をさすこの敗北宣言は許しがたい。
たとえ涙金でしかない「2千円の引き上げ」の要求であったとしても、その要求を絶対に実現しなければならない。そのためにも原則的な「春闘=一律大幅賃上げ闘争」を闘いぬき、組合を再生していくことが今一番に求められている。
春闘破壊攻撃に反撃しよう
電機連合は95年闘争で、従来の平均賃金要求方式から個別賃金要求方式に転換した。そして02年には「賃金中心型交渉からの脱却を目的とする」などと言って「春闘改革」と称する春闘否定の方針を掲げた。
具体的には、「電機連合第5次賃金政策」に掲げる「職種別賃金」「成果主義賃金」への制度移行を推進しようとしている。これらこそ労働者の団結を破壊する賃金制度であり、これが実現されたならば春闘など成り立たない。
ただし、「現段階では混乱のないように毎春『賃金・一時金など生活改善の取り組み』は行うが、将来的にはこの要求を隔年とする」などと主張している。この隔年春闘路線こそ春闘破壊を電機連合自らが進めることであり、小泉=奥田体制への連合の屈服方針を最先頭で牽引(けんいん)しているものなのだ。まさに電機連合中央は、労資一体で「経労委報告」路線を歩もうとしている。
春闘は「闘い」であって、けっして「労資協議」の場などではない。資本になめられたら、労働者は絶対に勝てない。私たち労働者の生活が立ち行かない賃金しか払えない資本家など叩き出すべきだ。
組合員と対話が活動の原則
昨今、組合離れ、組合の求心力の低下が叫ばれている。春闘すらまともに闘わない連合型労働運動では当然だ。現在私は、職場で強固な団結をつくることに日々苦闘している。このまま自分たちの置かれた危機的状況を何ひとつ改善できないならば、資本に屈服する連合型組合運動の考えに、働く仲間を結局は絡め取られてしまうだろう。これは、私たち共産主義者と、資本・連合との間での、労働者の思想的獲得をめぐる競争なのだ。
「動労千葉」のような組合をつくるには、「動労千葉」のような戦闘的な組合へと既成組合を変革するには、今私たちは何をなすべきか。
『俺たちは鉄路に生きる2』にもあるとおり、私たちにとって、地道な原則的な組合活動を日々積み重ねる以外にその方法はないのである。現場の労働者が今何を考えているのか、一致できる課題は何かを探すことが、第一だと思う。団結してこその労働者、労働組合だ。そのためには、仲間の労働者との心からの意思一致が大事である。闘わない連合のもと、私たちが仲間との対話の機会さえつくれれば、議論の種は山ほどある。私は今春闘を機にさらに今一歩「労働者の中へ」深く入って、自らの状況を切り開いて行きたい。
労働強化をチャンスに変え
私たち労働者は、21世紀に入った現在もマルクスの時代とまったく変わりなく、「牛馬よりも哀れ」な状態を日々強制されている。正社員の長時間労働化は大きく進み、サービス残業も増え、休みは取りづらくなっている。一方、派遣・請負労働者は、あらゆる現場で常態化し、職場によっては正社員に取って代わる状況である。だが、派遣・請負労働者の労働条件は余りにも劣悪で、それこそ”生産設備として扱われている”と言ってもおかしくない状況だ。多くの労働者の労働条件、生活状況の悪化が進み、労働現場の安全さえ確保されず、このままでは生きていけない状況に追い込まれている。
このような状況だからこそ、仲間との団結、闘いへの決起が必要不可欠なのだ。危機的な状況をチャンスに変えるために、今こそ自分が立ち上がるべきだ。
「動労千葉」のような組合は一日ではできない。しかし、一人の労働者の第一歩から始まったのである。私も今一度、あらん限りの力を振り絞り、春闘のさ中に飛び込んで行くことを決意します。みなさん一緒にガンバロー!
〔国木田太郎〕
---------------------------------------------------
週刊『前進』(2234号3面4)(2006/02/20)
東京部落解放研究集会 東京の部落史学ぶ 全国連大会へ結集訴え
1月29日、東京都内で部落解放同盟全国連合会が主催する第5回東京部落解放研究集会が開かれ、部落大衆、労働者、学生ら80人が集まった。講演と討論、報告をつうじて東京の部落解放運動の強化・発展と部落解放同盟全国連第15回大会(要項参照)への結集を共同の決意として固めた。
(写真 パネルディスカッションで「権力犯罪を暴き狭山第3次再審かちろう」と訴え【1月29日 東京】)
最初に、部落史研究者Aさんが「東京の部落の形成と私たちの課題」と題して講演した。Aさんは、全国4000個所の部落を実地調査して部落史を研究・解明してきたことに基づいて縦横に語った。
例えば部落の形態・規模、あり方が東日本と西日本とでは大きく違うと指摘した。関西では大規模部落が多いが、関東では小規模部落が多数散在する。また、部落の成立史も多様であることを指摘した。もともと江戸時代の各藩によって賤民(せんみん)の扱いや名称が違っていた。明治以降できた部落や移住によってできた部落もある。
Aさんは、「江戸時代は『士農工商エタ非人』という身分制度だったというのは本当か。さまざまな賤民制度に統一の名称を当てただけではないか」と疑問も投げかけた。
また、部落はなぜ、どのようつくられたのかについて、部落近世政治起源説だけでは説明できないという見解を述べた。江戸時代は、飢饉(ききん)などを逃れて江戸に集まった人びとが非人頭の管理のもとでさまざまな仕事に就いていた。街道や町の番(木戸番)、川渡し、寺社・森林の管理・警備などの仕事を与えられ、町から給金をもらっていた。これらの人びとが明治になって職を奪われ、住んでいた所からも追い出され、各地で差別されるようになった。
膨大なフィールドワークに基づいて、一面的な既成の観念を打破した新たな視点から、多様性をもつ部落史が展開された。またAさんは東京に部落民とその関係者が百万人ほどいると推定し、東京の部落解放運動の発展に期待を表明した。
部落史を学び直し、史実に基づいて部落民の人間的誇りを取り戻し、差別への怒りをもって部落解放運動に取り組むべきことを示唆した貴重な講演だった。
次に「狭山第3次再審闘争に勝利しよう」と題して解同全国連中央本部の中田書記長、部落解放理論センターの沼田研究員、全国連狭山支部の井田書記長の3人によるパネルディスカッションが行われた。”狭山第3次再審闘争の勝利の道は、自白と客観的証拠の矛盾を暴くことよりむしろ、国家権力が部落差別によって石川一雄さんを犯人にデッチあげたこと自体を暴き糾弾することにある。部落民としての自覚をあらためて呼び起こし、人間的誇りと差別への怒りの爆発として差別糾弾闘争を展開しよう”という意見が述べられた。また、意識調査の活動が部落民の自覚を促し、闘いへの参加の水路になる重要な闘いであることが報告された。
以上を受けて全国連の江戸川支部、杉並支部、部落解放東日本共闘会議、教育労働者、動労千葉がそれぞれ現況を報告し、闘う決意を述べた。
最後に、再び中田書記長が登壇、全国連第15回大会の意義と役割について提起した。全国連は部落の意識調査を行い、部落民としての自覚を呼び起こし、差別糾弾闘争を軸とする部落解放運動を大きく展開し始めていると報告し、大会参加を訴えた。一同、拍手で中田書記長の訴えにこたえ大会への結集を誓った。
-----------------------------------
部落解放同盟全国連合会
第15回全国大会
とき 1日目 3月5日(日)
10時30分開場/正午開会
2日目 3月6日(月)
8時30分開場/9時開会
ところ 1日目 西宮市民会館
2日目 荒本人権文化センター
主催 部落解放同盟全国連合会
(大阪府東大阪市荒本862―2)
---------------------------------------------------
週刊『前進』(2234号4面1)(2006/02/20)
全国に「救う会」を結成し 星野奪還大運動起こそう
06年を再審闘争の飛躍の年に
星野文昭同志は、厳寒の徳島刑務所で31年目の獄中闘争に突入している。本年4月27日に60歳になる星野同志は、その年月の半分以上、獄中生活を強いられることになる。こんな理不尽なことが許されるだろうか。われわれは、革命党として、星野同志をこれ以上獄に閉じ込めておけるだろうか。否! 必ずや奪還することを、今、固く決意しようではないか。
2006年、わが革共同は新指導路線のもとで全党が一丸となって、1〜3月「日の丸・君が代」不起立の闘いを先頭にした4大産別決戦に打って出ている。日帝・小泉政権は、帝国主義体制の腐敗と崩壊に危機感をあらわにしている。労働者階級の団結を破壊し、労働者階級人民の生命、生活を奪い尽くし、食い尽くそうとしている。この日帝との正面激突にかちぬくために、われわれにはなさねばならない多くの課題がある。その課題の一つが星野同志奪還である。
星野同志は無実であるにもかかわらず、なぜ獄に31年もとらわれているのか。
それは、日帝権力が70年安保・沖縄闘争を担った革共同がプロレタリア革命の前衛党として成長することに恐怖したからである。権力は、2度にわたって破防法を発動し、その最良の戦士・星野文昭同志に無期刑をかけて、闘いを絞殺しようとした。二重対峙・対カクマル戦にかちぬき、大きな前進を切り開いてきたわれわれも、いまだにその壁をうち破れていない。まさに、星野同志は生身の革命家として、1日も休むことを許されず、敵階級との死闘戦を担い続けている。
この革共同の魂の戦士である星野同志奪還の闘いを、新指導路線の中に戦闘的に位置づけ完遂しなければならない。星野救援運動に結集するすべての人びとの闘いに学び、母・美智恵さん、おつれあいの暁子さんを始め、ご家族の苦闘と献身にこたえよう。
すべての同志が星野奪還闘争に決起し、あらゆる闘いの現場で獄中の星野同志とともに闘い、奪還のための闘いを強力に追求しよう。勝利を確信する者にのみ道は見えてくる。必ずや星野同志を奪還しよう。
(写真 星野同志の自画像)
31年の不屈の闘いに応えて
●70年安保・沖縄闘争を体現する星野同志
星野同志は、1946年4月27日、3人兄弟の二男として札幌市に生まれた。正義感と責任感にあふれ、月寒高校の生徒会長を務めるなど、若い時から人望を集めてきた。弟・修三さんは「文昭はどんなことでもダメということはなかった。よしやろう! なんでもそうだった」と語っている。
66年に高崎経済大学に入学すると、不正入試阻止闘争を闘って不当処分を受けた。その後、寮や自治会の闘いの先頭を担い、砂川闘争に決起した。68年、佐世保、王子、三里塚闘争を闘い、69年には、再建自治会の副委員長に就任して、第1の11月決戦へ突き進んだ。71年には三里塚現地に常駐して、2〜3月、7月、9月の激闘を最先頭で担った。
(写真 映画「三里塚 第二砦の人々」【1971年・小川伸介監督】の一場面。デモを指揮する星野同志)
今年行われた三里塚芝山連合空港反対同盟の旗開きの際、弟・修三さんは、沖縄から持ち帰った木に「星の木」と彫った看板を市東孝雄さんに贈呈した。その看板は、市東さんのご好意で星野同志の木として暫定滑走路を阻む市東さんの畑に植えられている「こぶしの木」に添えられた。
三里塚は星野同志の原点とも言える。映画「第二砦の人々」には、現地で闘う星野同志が写っている。星野同志は71年7月仮処分阻止闘争、9月第2次強制代執行阻止闘争の2件で全国指名手配攻撃を受けた。その弾圧をうち破り、11月14日の沖縄「返還」協定批准阻止闘争(渋谷暴動闘争)に決起したのである。機動隊1万2千人の厳戒体制を突破し、渋谷で待ち受ける大衆との合流を果たした。まさに不屈の闘魂だ。
●死刑求刑−無期攻撃と闘う星野同志
75年8月6日、星野同志は不当逮捕された。星野同志は、不屈の闘魂でこの不当逮捕から死刑求刑、無期懲役確定、下獄の全過程を闘いぬき、ひとりの革命家として自らを鍛えた。特に78年から84年までの6年間に及ぶ拘禁反応をのりこえた闘いは、敵の懲罰攻撃をうち破って「生還」するすさまじい激闘だった。
71年の指名手配から91年の再審弁護団結成までの20年間は、破防法と反革命カクマルとの死闘に党が存亡をかけて挑んだ時期と重なる。星野同志は「総括と展望」(2001年3月)の中で「無期攻撃と正面から向き合い闘う点での党の決定的立ち後れ」があったと訴えている。このことが、12万人の署名を集めて死刑は阻止しながら、第二審で無期を許したのであって、厳しく総括するべきであるとしている。もちろんこれは、党のすべてをかけて破防法攻撃と反革命カクマルとの死闘にうちかたなければならなかったという、党の力量と途上性について踏まえた上での指摘である。
さらに星野同志は「私たちは、スターリン主義のように弾圧を恐れて闘いの道筋を歪曲し、後退させることが運動(党)自らを死に導くものであることを知っている」、しかし「弾圧を恐れず闘うということが弾圧を甘受し、弾圧との闘いから召還して階級的運動の発展にのみ解消するのは誤りだ」と提起している。そして、星野奪還の闘いは、「過去の課題を片づける」闘いなどではないと強調している。今の生きた階級闘争そのものであること、また、獄中と党の分断を突破し、ご家族・暁子さんとの共同闘争によって「奪われているすべてを奪い返す」人間解放と自己解放の闘いを日々生き生きと意識的に実現するものであることを渾身(こんしん)で訴えている。
01年12・15革共同集会は、この訴えにこたえるものとして実現された。以来4年、われわれは、新指導路線下での階級闘争を大きく前進させて来た。今、その地平の上に星野同志奪還へ総決起する時が来た。
沖縄闘争と固く一体の闘い
日本キリスト教団牧師の平良修さんは、一坪反戦地主会代表世話人であり、「沖縄万人(ウマンチュ)の力で星野さんを取り戻す会」世話人、「星野さんをとり戻そう! 全国再審連絡会議」共同代表を務めている。本紙2057号(02年6月17日付)で以下のように述べている。「私は『沖縄の復帰で日本の戦前が始まった』と思っています。復帰運動をした者として大きな責任を感じます。私は星野文昭さんの救済の運動をしていますが、彼の場合、今の状況を見越して当時闘ったわけです」
また05年2月23日第2回最高裁要請行動の請願書で平良さんは次のように述べている。「基地を残したままの日本復帰は、悪い意味での日本全体の沖縄化であり、軍事基地化でした。憲法の精神にも反するものであり、それに対してノーと言ったのが、渋谷でのデモでした。沖縄でも同じようなデモがありました。日本復帰の中身が分かって、このままの復帰でいいのか、大きな反対が起こりました。私もデモに行きました。歴史体験をさせるため、子どもを連れてデモに参加しました。渋谷と沖縄、星野さんの叫びは、虐げられた者の、主権者としての権利の行使でした。その星野さんがやってもいないえん罪のために、30年獄中にいます。これをこのまま見殺すわけにはいかない。私の、切なる思いです。沖縄の多くの人も共感してくれています」
これらの言葉に、沖縄人民がなぜ日帝・佐藤政権の沖縄「返還」政策に全島ゼネストをもって反対したか、なぜ今も闘い続けているかが深く示されている。
米軍基地を残したままの「本土復帰」は、沖縄の人民が求めたものではなかった。それどころか、米軍基地が永続的に沖縄人民を踏みにじる新たな体制をつくるものであり、「悪い意味での日本全体の沖縄化」の道を開くものであった。
星野同志は、このような攻撃に対して、全身全霊をかけて闘いぬいた。そして今も、無期の獄中で闘い続けている。
今日、第5次琉球処分とも言われる辺野古沿岸の巨大軍事基地建設の攻撃がかけられている。それを絶対阻止する闘いに、沖縄と日本の未来がかかっている。沖縄の中心で闘う人びとが星野闘争の担い手であるのはけっして偶然ではない。 星野奪還闘争の心棒こそ沖縄闘争なのだ。
労働者階級全体の重大課題
帝国主義世界の危機は深まり、急速に革命的情勢が訪れている。労働者人民は闘わなければ生きていけない状況に置かれている。
4大産別を中心に労働者の総決起をかちとろう。その際、忘れてはならないこととして、同じ71年11・14闘争で機動隊の暴虐にたおれた教育労働者・永田典子同志の闘いがある。当時、大阪・青山台中学校教諭であり、吹田市教組の組合員だった永田同志は、渋谷暴動闘争に決起し、国電池袋駅構内で機動隊に襲撃された火傷のため重体となり、同月27日、治療中に無念にも逝去した。享年27歳だった。
永田同志は、勤評闘争で評定票の提出拒否を貫いて解雇された校長を父に持つ青年教育労働者であった。70年安保・沖縄闘争は、学生運動の世代丸ごとの決起で切り開かれたが、同時に反戦派労働者の数千、数万の決起によって、すなわち“無数の永田同志”の決起によって担われたのだ。闘争に参加した教育労働者には、「反戦教師は逮捕即懲戒免職」という例外適用が行われた。(通常は、起訴された後「停職」処分が発令され、判決が確定して最終処分が決まる)
反戦派労働者の巨万の決起こそ、もう一つの11・14である。永田同志の無念を引き継ぐ闘いが求められている。その中軸に星野同志の31年の不屈非転向の闘いがあるのだ。星野奪還闘争は、労働者自己解放の闘いとともに進むであろう。
星野再審要求署名運動には、動労千葉を始めとする戦闘的組合から千筆を超える署名がすでに寄せられている。星野奪還の闘いこそ労働者階級の自己解放決起を根底から支える心棒となるし、また、そうしなければならない。
権力のデッチあげを暴こう
最高裁は06年2月1日、大崎事件の再審請求棄却を決定した。これは、1979年に発生した殺人事件で、02年に鹿児島地裁で再審開始決定が出されている。検事抗告により05年高裁で棄却、最高裁は棄却決定を支持し、たったの6行の決定文を、被告と支援者に投げつけた。まったく許しがたい暴挙だ。再審に対する国家権力の意志を示すものと言える。
日帝は、米帝とともに中国、北朝鮮への侵略戦争を策動している。かの15年戦争を上回る悲惨と絶望を労働者人民に強制しようとしているのだ。そのために、憲法の全面改悪以上の新憲法制定を狙い、国民投票法や共謀罪によって労働者人民やアジア人民の決起を押さえ込もうとしている。
今回の最高裁決定もそうした治安優先、法によって人を殺す国家機構の強化にほかならない。再審闘争はまさしく階級闘争である。最高の国家維持装置である裁判所に、人民が異議を申し立てるという構造そのものが、帝国主義国家権力を握るブルジョアジーとその墓掘り人であるプロレタリア人民との階級関係に激しく連動しているのだ。
さらに突っ込んで言えば、帝国主義裁判は必然的に冤罪と誤審を生み出すのである。特に戦争の危機が迫る時、「正義」も「公平」も投げ捨てて、フレームアップさえ行う。
星野同志が無実であることを百も承知で、権力はあえてデッチあげた。そのために確定判決は矛盾に満ちている。星野同志特定が、未成年を含むデモ参加者の証言のみに依拠していることに、確定判決のデッチあげ性が示されている。最大の破綻(はたん)点は、ほかでもなく「服の色」である。当日の星野同志の服装の色は「うす青」であり、K証人が供述した「きつね色の背広上下」とはまったく違っている。しかも、服装の色を特定できる現場のカラー写真を警察・検察が隠し持っていることは明白なのだ。
こうした権力の暴虐を暴き労働者人民に訴えることは決定的に重要である。「星野文昭さんは無実だ」という確信が労働者階級をとらえた時、再審勝利の展望が開かれる。
星野同志を絶対に奪還しよう。星野同志は31年という超長期にわたって、党と労働者階級を信頼し「闘い続ければ、必ず勝利は訪れる」と日々闘いぬいている。この星野同志と一体となって、再審闘争と大衆運動の大爆発をかちとろう。星野同志への無期攻撃は、権力のデッチあげによるものだ。ここに国家権力の凶暴性と同時に脆弱(ぜいじゃく)性もある。怒りをもってデッチあげを暴き尽くし、国家権力をトコトン攻めぬこう。
そして、全国津々浦々に「星野さんを救う会」を結成し、星野奪還大運動を創出しよう。沖縄闘争を闘って31年も獄中に捕らわれている星野同志を救おうという声を全労働者人民の声にしよう。新指導路線の発展の中でこそ星野奪還大運動を爆発させることができる。
すべての同志の皆さん。06年の激闘の中で、星野奪還闘争に総決起しよう。私は、最先頭で闘い、星野同志を奪還することを固く誓います。
〔野田道子〕
---------------------------------------
▼星野再審闘争
星野文昭同志は、1971年11月14日の沖縄返還協定の批准阻止闘争での警官1人の死亡を口実に身に覚えのない殺人罪で75年に逮捕・起訴された。83年に東京高裁で無期懲役の判決を受け、現在徳島刑務所に収監されている。96年に再審請求、00年に再審請求棄却決定。異議申し立てをし、04年異議申し立て却下、現在抗告審が闘われている。
---------------------------------------------------
週刊『前進』(2234号4面2)(2006/02/20)
法政大学で受験生にビラ
3・5沖縄10万人集会に行こう 小泉政権は倒せる!
法政大学(東京都千代田区)の法・文・経営・第二教養部の4自治会が連名で受験生に向けて配ったビラを紹介します。(編集局)
受験生のみなさん!
小泉政権をぶち倒す大チャンスが到来した。
小泉の顔には、昨年の総選挙圧勝の面影など全くない。政権末期の絶望的な衰弱した顔しかない。小泉政権には何の展望もない。もはや、死に体と化した小泉をぶっ飛ばそう! 戦争に突き進む小泉政権を倒せ!
小泉のデマとペテンは暴かれた!
小泉政権のデマとペテンの政治は完全に暴かれた。
107人を犠牲にしたJR尼崎列車事故、数百人から住居を奪った耐震偽装問題、安全確認もせずに輸入を強行した米国産牛肉問題、政官財の癒着の一角を示した防衛施設庁の不正談合事件、小泉・自民党が応援した堀江貴文・ライブドア事件……。これが、小泉「構造改革」の正体であり末路だ! 小泉が進める規制緩和や民営化が行き着く先だ。労働者の命と安全を破壊し、一握りの金融資本がムチャクチャ金儲けするのが小泉改革の正体ではないか。
小泉政権なんてぶっ飛ばせる!
今こそ、全国の学生が総決起して小泉政権など吹き飛ばしてしまえ! すでに小泉打倒の闘いは始まっている。
昨年11月6日には、韓国やアメリカの労働者も結集して、国際連帯集会が行われた。集会では小泉政権打倒と小泉が策動する憲法改悪を粉砕することが宣言された。
2月5日の「日の丸・君が代」の強制を許さない総決起集会では、都立高校の先生が卒業式での「日の丸・君が代」の強制と闘う決意を表明した。
3月5日には、沖縄に対する差別的な新基地建設攻撃と対決して、10万人の県民大会が開かれる。
3月中旬には米空母艦載機が岩国基地に移転することに「絶対反対」の意志を示すために住民投票が闘われる。
3月19日には「イラク戦争開戦3周年、憲法改悪のための国民投票法案粉砕」を掲げて反戦大集会が行われる。
歴史変革の行動に受験生もたとう!
労働者や学生の闘いが津波となって小泉に叩きつけられる時が来た。この巨波を押しとどめることは出来ない。
この闘いの先頭に学生がたとう。憲法改悪を阻止する全国学生300万ゼネストに突き進もう! 社会を動かしているのは労働者だ。小泉ではない。腐りきった政治家をぶっ飛ばそう。労働者とともに胸躍る歴史変革の行動に受験生も総決起しよう! 未来はわれわれのものだ!
国民投票法案を、叩きつぶそう!
小泉政権は、憲法改悪の手続きを定めるために憲法改正国民投票法案を成立させようとしている。これは、改憲を強行するためのインチキ法案だ。下の囲みを見てほしい。
小泉の方こそ改憲の議論を恐怖している
国民投票法案は、言論の自由を徹底的に封殺している。とりわけ、公務員、教員、在日外国人、メディアには発言すら許さないのだ。まさに、戦前のような社会だ。
議論も出来ない。これは何を意味するのか。
小泉政権は、改憲について、テレビや新聞・雑誌などを通して労働者人民の間で議論され、改憲の不正義性が明らかになることを死ぬほど恐怖しているのだ。言論を封殺し、「改憲のすばらしさ」だけを、コマーシャルで洗脳的に何度も延々と繰り返して、改憲を押し通そうというのだ。
公務員や教員の改憲反対に恐怖する小泉
とりわけ、小泉は教育労働者や自治体労働者が改憲阻止の闘いにたちあがることを恐怖している。改憲によって再び日本が侵略戦争に突入するからこそ、在日朝鮮人や中国人が怒りの闘いに立ち上がることを小泉は恐れているのだ。
だが、こんなやり方しか出来ないところに、改憲のデタラメ性や小泉政権の破産性が示されている。
日本の戦争国家化を絶対に止めよう!
憲法改悪によってどうなるのか。昨年自民党が発表した新憲法草案では、憲法第9条第2項を削除し、自衛軍の保持を明記し、自衛隊の海外での武力行使を認めた。しかも、国を守ることが国民の責務だと言っている。個人を尊重した日本国憲法から国家を主体とした憲法に変わるのだ。国家のために労働者人民が犠牲になる憲法へと180度変わるのだ。徴兵への道じゃないか!
憲法改悪だけじゃない。小泉政権は、沖縄県名護市の辺野古崎に新たな米軍基地を建設して沖縄を軍事要塞化し、岩国基地に空母艦載機を移転し、米軍の戦争司令部をアメリカから座間基地に配置するなど、日本全土を戦争出撃基地にしようとしている。民間空港や港湾の軍事使用、労働者や学生の戦争動員も策動されている。全てが、「国のために」として強制されていくのだ。
これらは、イラク人民10万人以上を虐殺しているイラク侵略戦争を超えるような大戦争を、アメリカ帝国主義とともに、北朝鮮や中国にやろうとしているからだ。こんなことを断じて許してはならない!
破産した小泉政権をブチ倒そう!
小泉は、「格差が出ることは悪いことじゃない」とか「ねたむ風潮を慎むべき」など、ふざけた言辞を繰り返している。ホリエモン万歳を言ってたのはお前らじゃないか。結局、お前は金持ちのための政治をやっているだけじゃないか! そのために安全も人民の生活も破壊しつくし、今度は戦争か! ふざけるんじゃねえ!
日本をダメにした小泉に怒りの鉄槌を下そう! もはや、一刻も小泉がのさばることを許してはならない。3・5の沖縄10万人大集会を爆発させ、岩国市民投票で圧勝し、3・19の大集会で、小泉打倒の大デモを叩きつけ、小泉政権を早急に叩きつぶそう! われわれの未来のために!
---------------------------------
憲法改正国民投票這う案のインチキ内容の全体像!
@投票権は20歳以上。それ以下は、未来の日本のあり方を選択することも出来ない。
A国民投票の期日は、憲法改正の発議から最短で30日。十分議論をすることさえ出来ない。
B投票は、一括採択。環境権など「新しい権利」を加えることと、憲法9条の改悪を一括りで投票に付すことで、9条改悪反対の人も、全体としては賛成へと持ち込もうという姑息なやり方。
C有効投票の過半数で、国民の承認があったとされる。国民投票の成立する最低投票数の規定もなく、最も低いハードルで「改正」が可能となる。
D公務員労働者や教員が憲法改悪反対の声をあげることを禁止。大学教授は、講義で、憲法改正の是非について意見を言うことも出来ない。違反したら、逮捕。
Eテレビは、世論調査も禁止。賛成派と反対派を招いての討論番組も禁止。論評も禁止。違反したら逮捕。
F新聞・雑誌も世論調査を禁止。憲法改悪についての論評も掲載出来ない。違反したら逮捕。
G新聞・雑誌に、憲法改悪に反対する意見広告を載せることは出来ない。違反したら逮捕。
Hテレビのコマーシャルで、改憲の意見を出すことはOK。自民党が圧倒的財力で、改憲賛成のキャンペーンをがんがんテレビで垂れ流すことはOKなのだ。
I在日外国人は、投票権はおろか、改憲について一切発言することは出来ない。改憲反対の運動に街頭でカンパすることも禁止だ。違反したら逮捕。
---------------------------------------------------
週刊『前進』(2234号4面3)(2006/02/20)
1月31日〜2月7日
QDR「冷戦並の長期戦争」
米ブッシュが一般教書演説
●ブッシュが一般教書演説 ブッシュ米大統領が上下両院合同会議で一般教書演説を行った。「圧制の終結」を長期的な課題とし、イランのテロ支援と核開発を阻止するとの考えを示した。(31日)
●タクシー強盗の米兵引き渡し拒否 沖縄県北谷町の米軍キャンプ瑞慶覧で発生したタクシー強盗容疑で米軍が拘束した米兵2人について、在沖海兵隊報道部は「那覇地裁が起訴することを決めたら、容疑者を海兵隊から日本へ引き渡す」と発表。起訴前の引き渡しを事実上、拒否した。(1日)
●朝鮮総連施設の税減免違法判決 在日本朝鮮人総連合会(朝鮮総連)の関係施設に対する固定資産税などの減免が認められるかどうかが争われた訴訟の控訴審で福岡高裁は、熊本市の減免措置を適法とした1審の熊本地裁判決の判断を覆し、減免措置を取り消す逆転判決を言い渡した。(2日)
●社民「自衛隊は違憲状態」 社民党は、党名変更後初の綱領的文書となる「社会民主党宣言」の最終案に、自衛隊について「現状、明らかに違憲状態にある」と明記し、94年の村山内閣当時、「憲法の枠内」と転換した基本姿勢を変更した。(2日)
●施設庁が米軍再編反対決議回避指示メール送信 昨年12月13日、防衛施設庁の施設対策課長が出先の7防衛施設局に地元議会の反対決議回避を働き掛ける電子メールを送っていたことについて同庁が認めた。発信について「地元調整を促すのが目的だ。地方議会に圧力を掛ける趣旨ではない」と釈明しているが、メールには「反対の議決をしないよう」と明記していた。(2日)
●米国防報告 米国防総省が米軍戦略の今後20年間の基本的な指針を示す「4年ごとの国防政策見直し」(QDR)の報告書を発表した。01年9・11以来の戦争は、冷戦並みの労力と時間を要する「長期戦争」と位置づけた。対テロなど、従来の戦力では十分に対応できない「非正規」な分野に軍事力の比重を移すことをうたっている。(3日)
●イラン核、安保理に付託 イランの核開発について、国際原子力機関(IAEA)は、国連安全保障理事会に問題を付託する決議を採択した。(4日)
●名護市長「政府と個別協議せぬ」 米軍普天間飛行場の移設先とされた沖縄県名護市の岸本市長は、「市としては今後、沿岸案(辺野古崎)を前提にした政府との個別協議に応じる考えはない」とするコメントを出した。島袋・次期市長も岸本市長の方針を引き継ぐことを明言した。(4日)
●日朝初の包括並行協議 拉致、安全保障、国交正常化の三つの分野について話し合う日朝両政府間の初の包括並行協議が北京市内のホテルで始まった。(4日)
●政府、沿岸案修正を否定 米軍普天間飛行場の名護市キャンプ・シュワブ沿岸部への移設問題で、額賀防衛庁長官と守屋防衛事務次官が沿岸案を修正せず地元に理解を求める方針を相次いで表明した。(6日)
●防衛庁設置法改悪案を閣議決定 政府は在日米軍再編を担当する防衛施設課の新設など防衛庁の組織改編の防衛庁設置法改正案を閣議決定、7日国会に提出した。米軍施設に関する事務は防衛施設庁の担当だが、在日米軍再編では、防衛政策に直結する案件が多いため、防衛庁防衛局に防衛施設課を設け、対応する。また陸上自衛隊の中央即応集団新設を盛り込んだ。(6日)
●米軍再編、岩国市長が住民投票発議 米軍岩国基地(山口県岩国市)への空母艦載機部隊(57機)移設の賛否を問う住民投票実施を同市の井原市長が市条例に基づき投票を発議した。米軍再編問題で住民投票が実施されるのは全国初。3月5日告示、同12日投開票。(7日)
---------------------------------------------------
週刊『前進』(2234号5面1)(2006/02/20)
「中国脅威論」の最先兵=カクマル
「暗黒世紀」を大見出しに 思想的路線的破産を完成
『解放』新年号論文批判
秋月 丈志
はじめに
カクマルは昨05年、巨大な戦略的前進運動を開始したわが革共同の対極にあって、思想的にも路線的にも組織的にも完全な破産を遂げ、「暗黒と絶望」の淵(ふち)にあえいでいる。「暗黒世紀」という大見出しで始まる反革命通信『解放』新年号には、このカクマルの惨状があますところなく映し出されている。
まず05年総括である。「わが革命的左翼の巨大な前進」という大仰な見出しを立てているが、その中身はあまりにむなしい。
(写真 『解放』新年号論文3章より)
「10・23」に「労学」が身を寄せ合ってビクビクしながら命がけでとにかくデモをやった。これがカクマルの05年最大闘争である。しかしカクマルは「それだけではない」と力んで書く。「小泉靖国参拝に対して首相官邸抗議をやった(右翼が怖くて靖国には近寄れず)」「座間・厚木の現地闘争にも参加した」「京都現地で日米首脳会談粉砕闘争をやった(「唯一やった」と恥知らずなウソ)」…。要するに、百数十人でいくつかのデモをやったというだけだ。11・6集会への4600人の結集を頂点とするわれわれの昨年の闘いとは、あまりにも対照的で、みすぼらしい総括である。これだけでは格好がつかないので「改憲阻止・反安保・イラク反戦」の三つは「不離一体」「三位一体」ということを確認する「内部思想闘争」をやったということを書き連ねて行数を埋めている。三つの課題をどう総括するかでなく、初めから一つと言っておけばよいという無責任な議論をしているのがカクマル指導部だ。
これがカクマルの現状である。もはや彼らはわれわれの新指導路線下の闘いの圧倒的前進を見すえることもできず、ケチつけする「ファイト」も消え失せている。70年決戦への反革命として登場して以来30余年、日本階級闘争の戦闘的発展を抑圧してきたカクマルのファシスト的テロルの暗雲は大きく取り払われた。日本帝国主義の民営化路線の先兵として決定的な役割を果たしてきたJR総連カクマル(松崎派)もまた、大破産し組織崩壊の危機に立っている。
しかし、なお職場・大学に残存するカクマルは、各戦線で悪質な闘争妨害、統一戦線破壊策動を繰り広げている。カクマルを全産別、学園、諸戦線から追放・一掃するために、彼らの正体をすべての労働者、労組活動家、学生、市民に暴いていく必要がある。
以下カクマル新年号における「中国脅威論」の絶叫、帝国主義論の完全な抹殺、日本共産党スターリン主義の対米従属論をはるかにこえた「日本のアメリカ属国化完成論」を中心に暴露・批判する。
「中国による反米包囲網」が戦争の根源と米日帝に加担
カクマル新年号の第一の特徴は、「中国脅威論」の異様なまでの絶叫にある。
カクマルは、数年前からブルジョア・マスコミの「台頭する中国」論を先取りし、「中国が『二十一世紀の超大国』としてアメリカ帝国主義の『一超』世界支配を突き崩す力をもつにいたるのは必至」などと「中国が世界を支配する」論を主張し始めていた。それが今年はさらにウルトラな内容で展開されている。
「ブッシュ王朝の危機につけいって、胡錦濤の中国が、『一超・多強』戦略にのっとって国際的な反米包囲網の構築・強化に奔走している。……現に中国がロシアと結託することによって中東・中央アジア・東アジアおよび中南米を連結するかたちで反米包囲網が全世界的に強化されつつあるだけではなく、いまやアジアにおいて新たな戦争勃発の危機が醸成されつつある」
「胡錦濤政権は、中国覇権下の経済圏=勢力圏を形成することをもめざして反米包囲網の構築に狂奔(ママ)しないわけにはいかないのである」
「中・露の結託による反米包囲網形成の一定程度の進展に規定されて四面楚歌におちいっているのが、ブッシュのアメリカである」
このカクマルの「中国脅威論」は、かつての「赤色帝国主義ソ連による世界制覇論」(ソ連崩壊とともに大破産を遂げた黒田のソ連起動力論)をほうふつとさせる。カクマルは、「つくる会」などの極右ファシストの反中国扇動や、「台頭する中国の脅威」を打ち出した米帝の新QDRのはるか先を行っているのだ。
確かに「中国の経済的巨大化は、今や中国のレベルを超える世界構造にかかわる重大な情勢を生み出している」(革共同政治局1・1アピール)。だが、この「中国の経済的巨大化」は、あくまでも危機に立つ中国スターリン主義の綱渡り的延命策=改革・開放路線下での帝国主義に依拠した資本主義化としてとらえるべきである。カクマルのように中国が自立した経済的力をもって帝国主義を圧倒してくるような見方は根本的に間違っている。
中国経済は帝国主義世界経済に完全に組み込まれており、日米を始めとする帝国主義経済と不可分一体である。中国に対して膨大な資本を投下し、日々侵略を深め、搾取と収奪を強めているのは帝国主義の側である。この帝国主義の圧倒的な侵略の現実の上に、スターリン主義体制の危機と米・日帝国主義のさらなる危機の爆発が重なって進行していく時、米日帝国主義の中国侵略戦争が現実化していくことになるのだ。
中国問題は、帝国主義の再分割戦の最大の焦点であり、帝国主義の基本矛盾の爆発との関連でとらえるべき問題である。ところがカクマルは、中国が経済的・軍事的に強大化して反米包囲網を形成し、これがアジアにおける戦争の原因となっていると、帝国主義者と同じまったく転倒した情勢認識を示すのである。
中国は古典的帝国主義か?!
カクマルは、中国の国内危機問題についても触れざるをえず、次のように述べている。「中国型国家資本主義というべき政治経済構造の形成にもとづく矛盾の噴出」「中国型の〈資本の根源的蓄積〉によって土地を簒奪(さんだつ)された農民達の暴動や民工潮と呼ばれる労働者の反乱・労働争議・ストライキの激発」うんぬんと。
カクマルは中国の国内矛盾の爆発が、中国スターリン主義の改革・開放路線のもとで洪水のように押し寄せてきた帝国主義資本による侵略と搾取・収奪と結びついていることを、完全に無視している。農民暴動や労働者の反乱も、「資本の根源的蓄積」過程で生み出された現象と一面的(純一国的に!)にとらえ、あくまでも中国が自立した「国家資本主義」として勃興しつつある中での「混乱」のように語るのだ。
しかもカクマルは、中国がアジア太平洋に「中国覇権下の経済圏=勢力圏を形成すること」、つまり対外侵略によってこうした「国内の社会経済的矛盾の深まり」をのりきろうとしていると主張する。まさにこれは「中国帝国主義論」ではないか。米帝や日帝に対しては絶対にこんな批判の仕方はしないくせに! カクマルにとっては、現代の中国こそが唯一の「古典的帝国主義」なのだ。
カクマルは、日米同盟の変革・再編の中間報告について「対中国の攻守同盟としての日米新軍事同盟の構築が高らかに宣言された」と述べている。「高らかに」という表現にカクマルの米日帝国主義へのシンパシーがよく表れているが、「対中国攻守同盟」という規定は、米日帝国主義こそが中国スターリン主義体制の転覆をかけて侵略戦争をしかけているということを否定するために持ち出されている。中国の反米包囲網によって「四面楚歌におちいっている」ブッシュとその「ポチ公」小泉が、必死になって「海千山千の中国」に対して立ち向かっている――これがカクマル「対中攻守同盟」論で描かれる構図だ。あくまでも中国が「攻」であり、日米は「守」だと言うのである。
カクマルは「アジアで高まる戦争勃発の危機」などと書いているが、これも「台湾海峡有事」に限定した上での話である。中国が台湾侵攻をやるからアジアの平和が脅かされるという認識である。「対中国侵攻計画を策定した米日」などと言うものの、それは中国が「核軍事力強化に狂奔し」「ロシアとの大規模合同軍事演習を台湾上陸作戦演習として行い」「今年はインドも加えた3国合同演習をやろうしている」などと書き連ねた文章の枕詞にあるだけだ。米・日帝国主義の危機、その中での中国・アジア侵略・勢力圏化の策動こそが、中国・北朝鮮侵略戦争切迫の根本的要因であるという帝国主義論的な把握とは正反対の認識だ。どこまでいっても「中国脅威論」なのだ。
帝国主義論を完全抹殺する反マルクス主義的時代認識
カクマル新年号の第二の特徴は、世界情勢論から、帝国主義論の最後のかけらまできれいさっぱり一掃したことである。
カクマルは、帝国主義の時代はもはや完全に過去の話だとかつてなく強く押し出し、現代世界を次のように描き上げる。
「仏独枢軸のEU連合の揺らぎ=国際的地位と威信の低下のゆえに、現時点における現代世界の構造は、〈米(英)日ハーケンクロイツ連合〉と〈中・露主導の後進・開発途上諸国連合〉と〈仏独枢軸のEU連合〉という三極の対立を基本としながらも、前二者の激突を基軸とするものに転変しつつある」
ここには帝国主義同士の争闘戦、世界再分割戦、帝国主義の基本矛盾の爆発としての世界戦争論などは影も形もない。要するに世界は、「米英日のハーケンクロイツ連合」(「邪悪な権力者の集まり」というイメージのみ)と「中・露主導の開発途上諸国連合」との「激突」(「ナショナリズムの衝突」)を軸に動いているというのだ。
われわれは、スターリン主義崩壊後の現代世界の構造を〈帝国主義対帝国主義の矛盾と対立の激化〉を軸に分析し、以下のことを明らかにしてきた。@帝国主義体制が米帝を筆頭に、過剰資本・過剰生産力状態の重圧にさらされ続ける中で、とてつもない矛盾を蓄積し爆発させていること、A帝国主義が危機からの「脱出」をかけて、労働者階級と被抑圧民族に対する極限的な搾取・収奪・圧殺の攻撃をしかけ、イラク・中東において侵略戦争を開始し、世界の再分割をかけた世界戦争へと突き進んでいること、Bスターリン主義の歴史的破産と崩壊がつくり出した混乱の帝国主義的再制圧そのものが世界再分割戦の焦点とされていること、Cこれに対して全世界労働者階級とイラク人民・ムスリム人民を先頭に被抑圧民族の根源的な決起が始まりつつあること、Dこうして革命的情勢が急接近しつつあることである。
これこそがマルクス主義者、プロレタリア世界革命を担う労働者階級の時代認識、世界情勢認識だ。
カクマルは、こうしたマルクス主義的・帝国主義論的な時代認識、世界情勢把握を完全に否定する。なぜか。帝国主義打倒に反対だからである。プロレタリア革命に反対だからである。労働者階級にそうした力があることを絶対に認めないからである。
超右翼的な「日共批判」
カクマルは日本共産党を「転向スターリン主義」などと言っているが、帝国主義論を解体し、帝国主義打倒を放棄し、ブルジョアジーの手先になっている点では、この両者は同じである。両者の「違い」は、カクマルが中国脅威論をむき出しに主張すること、かたや日本共産党は中国と日帝の仲を取り持ち「東アジア共同体」・アジア勢力圏形成に協力しようとしていることだけである。
カクマルは新年号で日本共産党を「中国政府のスポークスマン」「中国の犬」(!)と罵倒(ばとう)しているが、ここにあるのは、「反中右翼」のむき出しの排外主義的感情だけである。カクマル黒田の「反スタ」とはこのようなものでしかないのだ。
「ブッシュ王朝が天皇」?!と「アメリカ属国化完成」強弁
カクマル新年号の第三の特徴は、「日本のアメリカ属国化の完成論」である。
カクマルは小泉が「ブッシュ帝国との協調(=追従)一辺倒を至上命題とするポチ公路線の貫徹のために強権をふるっている」とし次のように述べている。
「ブッシュ政権に忠誠を誓い、その要求に全的に応じてアメリカ国家と日本国家との新軍事同盟の構築に狂奔すると同時に、ヤンキー帝国主義の軍事的再構築にみあった形での日本国憲法の改悪=『ブッシュ押しつけ憲法』の制定に向かって全力疾走を開始しているのが、首相専制体制を確立した『小ヒトラー』小泉なのである」
「ブッシュ王朝は……日本国軍を米軍の指揮統制下に全面的に編み込むことを決定したのである(それは日本のアメリカ属国化の完成としての意味をもつ)」
「(自民党新憲法草案の前文では)天皇制賛美の復古調の文章が削除され、国家そのものを唯一最高の価値とする国家至上主義的なものに書き換えられている。このことは、日本国民を統合するためのイデオロギーを、かつての天皇制ボナパルチズム権力の日本ナショナリズム(天皇を”家長”とした大家族主義)の直接的復興に求めるのではなく、ブッシュ帝国と命運をともにする『大日本帝国・日本』そのものをシンボルとするものに求めていることを意味する。ブッシュ王朝こそが『天皇だ』と言わんばかりなのであって、まさにこの改訂前文には『ブッシュ押しつけ憲法』としての性格がむきだしになっているのだ」
この度はずれの対米従属論ならぬ「アメリカ属国化完成」論によって、カクマルは日帝との対決からとことん逃亡しようとしている。カクマルは以下のことを意識的に無視している。すなわち、@日帝自身が経済的・財政的にも、国内政治的にも、外交的・軍事的にも全面的に行き詰まり、すさまじい矛盾を爆発させていること、Aそこから小泉のファシスト的手法も使った反革命的内外政策(構造改革、日米同盟の大再編)が展開されていること、Bその反革命政策のすべてが日本経団連・奥田ら日帝ブルジョアジーの選択の余地のない階級意思として貫徹されていることだ。
日帝・小泉を「ブッシュ言いなりのポチ公」などとやゆするカクマルの本意は、「日本の支配階級はもっとしっかりせよ」ということでしかない。彼らは「対米追従一辺倒はやめろ」というだけで「日帝打倒」など一言もない。反米右翼顔負けの「ブッシュ押しつけ憲法」論、「ブッシュ王朝こそが天皇」うんぬんという論は「天皇なしの日帝」が成立しうるかのような立論であり、日本帝国主義論の根本を理解しないものだ。皇室典範改正をめぐる自民党、支配階級全体の上を下への大騒動をみよ。天皇制は日帝の生命線そのものであり、その延命と不可分一体なのだ(前進社刊『改憲攻撃と労働者階級』第V部など参照)。
カクマルが一番言いたいのは、「アメリカに天皇の地位や国家の尊厳まで奪われていいのか!」ということだ。反米愛国の立場から日帝支配階級にハッパをかけているのである。これがカクマルの「改憲阻止闘争」の具体的中身なのだ。
青年労働者に憎悪と不信
以上、日本帝国主義の絶望的危機の深まりの中で、4大産別を主戦場に小泉・奥田ら日帝支配階級と日本労働者階級との一大階級決戦の時が到来しているこの時に、「中国脅威論」「帝国主義はなくなった論」「日本のアメリカ属国化完成論」をもって、日帝との対決から完全逃亡しようとしているのがカクマルだ。
「…ファシスト的大衆操作術を駆使することによって、小泉専制体制は確立された。このことは、パート・アルバイト、とりわけNEETやフリーターと呼ばれる若者層の不満や絶望が、日本型ネオ・ファシズムのもとに組織化されてしまったことを意味する」「やすやすとイデオロギー的・軍隊的に組織化されるファシスト予備軍」としての「彩電的・電脳的疎外に冒された若者たち」
この若者層、青年労働者に対する憎悪と不信、権力万能神話の信奉――ここにカクマルとは何かという鮮明な答えがある。世界をただ混沌(こんとん)と暗黒世界としてのみ描き、「地上の太陽」=唯一絶対の教祖・黒田の思想に帰依することだけが「救い」だとするカクマル。まさにカクマルは正真正銘のファシスト的カルト集団である。イラクのシーア派指導者シスターニ師に自分を似せて偉大な宗教的指導者のようにふるまいたがっている黒田をあがめる運動だけがカクマルに残された道だ(そのためにカクマルは、シーア派のイラク政権を美化し、スンニ派の武装闘争はすべて米帝の謀略だと決めつけている)。
カクマルによる一切の介入・妨害・破壊策動をはねのけ、4大産別決戦・改憲阻止の闘いをどこまでも発展させよう。
---------------------------------------------------
週刊『前進』(2234号5面2)(2006/02/20)
06年版QDR(4年ごとの米軍戦力態勢見直し)弾劾
対中国・北朝鮮侵略戦争へ 米軍を太平洋地域に集中
米国防総省は2月6日付でQDR(4年ごとの戦力態勢見直し)を議会に提出した。これは体制的危機にあえぐ米ブッシュ政権の新たな世界戦争宣言であり、01年「9・11」以降の世界史的激動をさらに加速するものだ。改憲阻止と一体の闘いとして、米軍再編粉砕、新たな安保・沖縄闘争に立とう!
新QDRは、「9・11」以後、事実上初めてのQDRであり、戦時下のQDRだ。
01年QDRで世界戦争戦略を打ち出してからの4年余りを総括するとともに、米帝がこの間進めてきた世界的な米軍再編・同盟国との関係再編(トランスフォーメーション)を公式の戦略として盛り込むものとなっている。
「対テロ戦は長期の戦争」
第一に重要なことは、「対テロ戦争」と称する侵略戦争の世界大的拡大、永続化を宣言したことだ。
QDRは「イラクとアフガニスタンでは多くの成果を挙げているが、両国を越えて数十の国で、同時に、何年にもわたって戦いが続く可能性がある」とし、対ソ連の「冷戦」に匹敵する「長期戦争(Long War)」を遂行する必要があるとしている。イラク侵略戦争が敗勢を深める中、世界戦争戦略の絶望的拡大で危機を突破しようとしているのだ。
QDRは、この戦争を遂行するために、地球規模での迅速展開能力をさらに高めることを重視し、この間進めてきたトランスフォーメーションの考え方を全面的に盛り込んでいる。また、現在5万2000人の特殊部隊の15%増強、海兵隊特殊作戦司令部の創設、無人機飛行大隊の新設、心理作戦要員などの33%増、アラビア語・ペルシャ語・中国語要員の増強などを打ち出した。
ブッシュは1月31日の一般教書演説で「米国の将来の安全は、圧制の終結にかかっている」と叫び、北朝鮮やイラン、シリアなど5カ国を名指しして戦争の拡大を宣言している。とりわけ金融制裁によって国家崩壊的危機にある北朝鮮に対しては、いつでも先制攻撃できる準備を終えている。今1994年朝鮮戦争危機を上回る超緊迫情勢にあることをはっきりさせなければならない。
中国を軍事的対抗者と明示
第二に、新QDRの最大の特徴は、中国を戦略的打倒対象としてはっきりと明示したこと、しかも空母打撃群や潜水艦部隊の重点配備など、東アジアを焦点としたシフトに具体的に踏み込んだことだ。
01年QDRでは、「優れた資源的基盤を持つ軍事的対抗者がこの地域に台頭してくる可能性がある」と、明らかに対中国の戦争を想定した再編を提起したが、中国の国名は明記していない。アメリカ帝国主義は、中国との世界大戦級の戦争を戦略的に構えたのだ。
QDRは、今後20年間を見越した優先課題として、@テロネットワークの打倒、A米本土防衛、B戦略的な岐路に立つ国々への対処、C大量破壊兵器の拡散阻止をあげている。
とくに注目すべきなのはBだ。QDRは「その選択が21世紀の国際安全保障環境を決定づける」国として中国、ロシア、インドの3カ国をあげ、インドは「戦略的パートナーになりつつある」、ロシアは「米国に対する軍事的脅威になりそうもない」としている。
最大の紙数をさいた中国については、「米国と軍事的に競い合える最も大きな潜在力を持つ国で、米国の軍事的優位が失われる懸念がある。中国が経済的パートナー、責任ある利害共有者となるよう願うが、中国は毎年10%以上の軍事予算増を続け、電子戦、サイバー戦、宇宙戦、次世代魚雷、潜水艦、戦略核能力など国境を越えて軍事力を行使する能力増強に大きな投資を続けている」と断じている。さらに中国の「秘密体質」を批判し、「将来(中国などの)新興国が敵対する道を取る危険に対し、米国と同盟国は防御措置をとらねばならない」とむきだしの「中国脅威」論をあおっている。
そして中国と対抗するために、空母11隻のうち少なくとも6隻、約70隻の潜水艦のうち6割をアジア太平洋地域に配備。さらに次世代長距離爆撃機を約20年前倒して2018年に配備するなど、あからさまなアジア太平洋シフトをとった。
共に血を流す日米同盟要求
第三に重要なことは、「対テロ戦争」と称する侵略戦争や、中国を標的とした大戦争は「米国だけでは勝てない」とし、同盟国との関係の大再編を強く打ち出したことだ。
QDRが示す将来像の達成は「米国の永続的な同盟関係を維持し、改造することによってのみ可能となる」と強調し、NATO(北大西洋条約機構)、オーストラリア、韓国、日本をあげて「軍事的な安全保障上の負担分担を促進する」としている。そしてアフガニスタン・イラクで共同作戦を展開したイギリス、オーストラリアを高く評価し「(英・豪との)密接な軍事的関係は、米国が他の国々と進めようとしている協力のモデルだ」として、同盟軍との「合同作戦」「防衛システムのいっそうの統合」「(米軍による)受け入れ国の基地使用」などをあげている。
また米核戦略の一環である「ミサイル防衛」について、アメリカと日本が迎撃ミサイルの共同開発で合意したことを高く評価し「国際的な協力拡大の成功例」としている。
これは、日米間で進められている米軍再編―日米同盟強化に貫かれている考え方だ。米帝は、日米同盟を特に重視し、米英同盟をも超えるような世界反動枢軸と位置づけ”ともに戦い、ともに血を流す軍事同盟”へと押し上げようとしている。日帝の側も、このアメリカの政策に食らいつき、大変な軍事的飛躍をなしとげようとしている。9条破棄―改憲が、ストレートに中国・北朝鮮への戦争に直結していることをQDRは示している。
米帝ブッシュ政権の新たな世界戦争宣言を絶対に許すな。新QDRは、「9・11」以来の世界戦争戦略の破産表明であり、アメリカ帝国主義の危機をさらに激しく促進する。イスラム諸国人民の不屈の民族解放闘争はさらに燃え広がり、アジア情勢は根底的流動に突入する。軍事監獄と化した米国内での反戦闘争と階級的労働運動の胎動、そしてブッシュが「同盟国」とよぶ日本・韓国・イギリスなどで始まった激動は、プロレタリア世界革命までやむことのないものだ。
米軍再編―日米同盟大再編を、改憲攻撃もろとも粉砕しよう!
----------------------------------------------
06年版QDRのポイント
▽「対テロ戦争」/対ソ連の「冷戦」並みの労力と時間を要する「長期戦争」
▽4つの優先課題/@テロネットワーク打倒、A米本土防衛、B戦略的岐路にある国々への対処、C大量破壊兵器拡散阻止
▽中国は米国と軍事的に競争する潜在力が最も高い(初めて中国の国名を明記)
▽アジア太平洋地域に空母群を6個、潜水艦の60%を配備。特殊部隊を15%増強
▽同盟国との関係を再編。米英同盟・米豪同盟はそのモデル
----------------------------------------------
QDR(Quadrennial Defense Review)
米国防総省が議会に提出する中長期的な戦略文書。ソ連崩壊後の米軍事戦略の再構築を定めた1993年ボトムアップレビュー(戦力態勢の全般的見直し)の提起以降、これを4年ごとに改定して議会提出することが定められている。97年、01年に続いて3回目。
---------------------------------------------------
週刊『前進』(2234号6面1)(2006/02/20)
「不法滞在者」の強制 送還の嵐をとめよう 東京 内田悦美
小泉首相は施政方針演説で入管体制の強化を叫び、あらためて2008年度までに「不法滞在者」25万人を半減させることを宣言しました。これを契機に、今、強制送還の嵐が吹き荒れています。特に難民申請をしている人にとって出身国への送還は死を意味するほど過酷なものとなっています。
2月2日、牛久収容所に収容されていたイラン人Aさんに対して強制送還が告げられ、手続きが進行しました。これに対してAさんは自分の体を窓枠に額などを打ちつけ血だらけになりながら命がけの抗議を続けました。成田空港ではイラン航空の機長も「けが人を乗せるわけにはいかない」と搭乗を拒否しました。
ご本人の命がけの抗議によって強制送還をいったんはストップさせることができました。現在、Aさんは牛久収容所に再収容されていますが、送還の危険はまだまだ続いています。
また、この事態に先立って1月27日には、難民認定を申請していたクルド人兄弟2名がトルコに強制送還されました。彼らは、「難民認定却下」に対する「異議申し立て」をしていましたが、その却下の通告と同時に退去強制令書が執行されるというとんでもない人権侵害が引き起こされました。
日本は難民鎖国といわれています。事実、入管・難民法が制定されて以降22年間(1982〜2004年)で認定されたのは、申請者3544人のうちたったの330人、1割にも満たない数です。ヒロシマ・ナガサキを持つ日本への幻想を抱いて入国した彼らを待っていたのは刑務所と同じような収容所。彼らは「私は何も悪いことはしていない。なのになぜ刑務所に入らなければならないのか」と訴えています。
昨年の11・6労働者集会は、国際連帯の限りない力を確信させるものでした。だからこそ、在日・滞日外国人との連帯をどのように生み出すかは日常的な国際連帯の闘いだと思います。
『コミューン』を読みガザ撤退情勢を認識 ヨーロッパ在住 K子
パレスチナ情勢が風雲急を告げています。一方におけるイスラエル・シャロンの事実上の死、他方におけるパレスチナ評議会議員選挙でのハマスの圧勝(ファタハの大後退)など、事態は激しく動いています。今後どうなっていくのか? こちらヨーロッパでも、さまざまな声が聞こえています。
こうしたなか、先日、日本の友人から月刊『コミューン』の2005年12月号が届きました。さっそく「ガザ撤退に関する翻訳資料」を拝読し、考えさせられました。
これを読むまでは、たとえば「イスラエルとパレスチナの分離・独立した2国家間解決」とか、あるいは最近では「パレスチナとイスラエルの共存する1国家」とかという声なども聞かれ、しかも「これは妥協ではない。未来へ向かうための試練なのだ」などともいわれていたので、「そうかなぁ」と疑問に思っていたからです。
しかし、「ガザ撤退に関する翻訳資料」を読み、状況を正確に認識すれば、これらの考え方は「占領が終結に向かって、明るい未来がもう目前だ」という無責任な幻影を書き散らすブルジョア・イデオロギーそのものといわなければなりません。
米帝・イスラエルと対決し、どのような困難をも乗り越えて何次にもわたるインティファーダをたたかってきたパレスチナ人民は、新しい局面のなかから、必ずや不死鳥のように武装解放闘争に決起するでしょう。
問題は、ヨーロッパ、日本、全世界で、パレスチナ人民に連帯するたたかいをいかに創(つく)り出していくのか、ということだと思いました。
新聞の中身、新聞の力こそがすべてです 大阪・金属労働者 M
Aさんは私と同じ職場に派遣社員できた人で、労働条件は自分と比べるとかなり悪い。派遣だからといってガマンができない。そこで同僚や管理職と話し合いになった。ところが同僚の1人に「だったら辞めて他へ行くしかないやろ」と言われ怒っていた。
この人に、11・6ビラを渡す機会を探していた。世間話の中で、会社の対応などに不満を漏らすので、〈それはこうこう〉と話し、〈君のような人こそ、これに行けよ〉と提起。「11・6、これは共産党か?」〈違う〉「じゃ中核か?」〈エ!!中核知っているのか?〉「もっと左やったらそれしかないやろ」(どないなっとる?)「自分らは右翼のところに出入りしていた」「今は国家社会主義がいいと思っている」「『わが闘争』を読んでいる。だから小泉のやり方がよく分かる」と言う。
私は思い切って自分の正体を明らかにし、そして〈これだ、まあ、これを読んでくれ。読むなら次回からは金を取るけど〉「そうやな、とにかく11・6はよう行かんけど新聞は読んでみますわ」となった。後は相手次第だ。自分は常々そうしている。つまり、その時、その号の内容次第とも言える。
翌日の朝、彼は寄せ集めたような金を持ってきて「半年読ませてもらいますわ」「分からんとこ教えてください。Mさん(私のこと)は分かりやすく話してくれはるからええんですわ」「また相手になって下さい」となった。
彼は、新聞を読んで「難しいな。ボナパって何ですか?」〈説明〉「じゃ折伏(しゃくぶく)ですか」〈創価学会はそう言うな〉「ブルジョアいうのは? 大体感じるけど」「線引いて読んでますけど。こういうのを分かる辞書ってのはないですか?」〈自分の経験を話した〉
ある時「もう1人の同僚(B)にも読むように言ってるんですわ」。そして数日後、A、B2人がいて、A「新聞読め。線引いといて後でMさんに聞けばいい。わかりやすう教えてくれはるから。高いようだけど、これはカンパやと思うてな」。B「読んでみますわ」↑〈じゃ、これはいいが読むなら、次からは金取るで〉と言うと、B「はい、よろしく」。
後日、A「Bは”やっぱりええですわ”と言いよる。『お前はいつもすぐ頭に来て怒っとるばっかりやから、社会の勉強せえ』言うたんですけどね。新聞読んだら、ケンカの仕方が書いてあるんやからと言うのに……」(あかんかった)
11・6集会のあと彼に会うと「集会行ったんですか?」「11・6、1万人来なかったんですね」↑〈少数だからやる必要がある。やりがいもある〉。「Mさんは偉いですね。口で言うだけやないですからね。皆、口で言うだけや」「組合づくりも考えてますねん。Mさんは組合に入っているんですか」等々の話になった。
新聞を読むうちに「けっこう怖いですね。集会には”公安”とかも来てるんでしょう? 運動したら、いろいろ損害とか加えられたりするんでしょ」↑〈キゼンとしていれば、怖いものはない。弱いところから脅しにかかる〉と。読むうちに、緊張感が増してきている。配布についても〈基本は手渡しや〉と言うと了解。「わしは別段あわてませんから」と。
ここからは新聞の中身、新聞の力こそがすべてです。新聞を作っている人はこのことの重さを知ってほしい。もちろん「知っている」と言うだろうがわかってほしい。労働者は新聞を読んでいれば、読むのはそれだけで精一杯です。極端に言えば、新聞購読を始めれば、私の手を離れたと考えています。だからこそ売れば、読ませればと思っています。
---------------------------------------------------
週刊『前進』(2234号6面2)(2006/02/20)
2、3月『前進』拡大へ全党決起を
実践こそ機関紙活動の生命線 職場・地域で働きかけ強めよう
前進経営局
11月集会経て党への青年の結集が進む
11月労働者集会を経て青年を中心に新たな党への結集が進んでいる。労働組合運動への取り組みと機関紙を中心とした組織活動の結果である。
ある組織では、対象者に機関紙の定期購読を勧めたところ、学習会をしてほしいと要請された。激しい闘争の中で学習会をやりぬくことは簡単ではないが、この活動を粘り強く継続してきた。その結果、学習会の仲間が集団で入党するという快挙が生み出された。
これは11月労働者集会の高揚と感動が生み出したものでもある。しかし、党勢拡大の闘いの独自の実践なしにこのようなことはけっしてありえない。11月労働者集会に向けての目的意識的で計画的な闘いだけがこのような結果を生み出したのである。階級的労働運動、大衆運動の発展のために闘うとともに、それと一体的に機関紙拡大・党勢拡大のために闘いぬかなければならない。
戦争と改憲と民営化をめぐって、階級的労働運動か体制内労働運動かをめぐって激しい党派闘争が闘われている。この党派闘争に勝ち抜くためには労組活動家の機関紙拡大・党勢拡大による党的実体的獲得が絶対に不可欠である。
「断られたのがわずか17%の狭さこそ問題」
最近ある大きな単位の地方組織で機関紙活動に関する詳細なアンケートが行われ、その報告が寄せられた。この活動自体大変労力を要する貴重なもので組織的財産である。こうした活動を機関紙活動に生かしていきたい。
それによると、この1〜2年間で機関紙拡大を働きかけた同志は60%、そのうち働きかけた対象が2人以内が59%である。
働きかけた結果は、定購獲得が31%、バラ売りまでが26%、継続討議が26%、断られたが17%である。8割以上が少なくとも断っていないのだから大変高い確率だとも言える。しかし報告者は、「断られたのがわずか17%であるという働きかけの狭さにこそ問題がある」としている。拡大可能と思う人にしか働きかけていないと。
機関紙拡大闘争を決するのは働きかけの数であり、その情熱と継続性である。
ほとんどの同志が『前進』を拡大したい、職場の同僚に読ませたいと真剣に思っている。しかし、実践が少ない。これをどう解決するか。これは一言で言って指導の問題としてとらえ返さなければならない。
機関紙拡大の方法として、@完読し、討議し、自信を持つ。A拡大対象を決め、拡大闘争を組織討議する、B紙面改革を進める、など多くの積極的意見が出されている。これらを実践することの中に拡大への答えがある。
4大産別決戦を闘う労組の不可欠の武器
革命的情勢の急接近の中で06年の課題は、マルクス主義青年労働者同盟1000人建設とマルクス主義学生同盟の飛躍的拡大をテコにして4大産別決戦、改憲決戦を闘いぬき、11月1万人結集を実現することである。11月労働者集会が切り開いた情勢に確信を持ち、4600人の労働者党を建設しよう。
党の変革の闘いは、党と階級の関係の変革をも生み出している。われわれの目指すものが11月労働者集会と動労千葉労働運動、さらには地域の共同闘争として目に見える形をとり、その中で労働者党員の生き生きとした活動が見える時、この人たちとともに闘おうという意識が大量に生み出される。
4大産別決戦で労働組合内で連合や全労連との党派闘争に勝ち抜き、組合権力に挑戦し、勝利することは労組活動家の要求となっている。『前進』は労組活動家の不可欠の武器になっている。この人びとに機関紙を広め、労働組合内にフラクションを形成し、ともに労働者細胞を建設しよう。この活動を党活動の柱に据え、細胞性ある組織を建設しよう。
そのためには、05年9月の全国機関紙担当者会議で提起し、06年1・1アピールでも確認されているように、機関紙を軸とした組織活動を闘いぬかなければならない。細胞性ある組織、生き生きとした自己増殖能力をもった組織は、機関紙を軸とした組織3原則の貫徹によって建設することができる。
具体的な課題は、@独自の配布網の確立、A完読運動、B拡大闘争の組織討議、C紙面改革である。こうした一つひとつの実践が機関紙活動の生命線であり、党建設を前進させる。
ある組織では、同志への配布を郵送から手渡しに変更した結果、木曜受け取りから月曜受け取りになった。そのため読了して会議に参加できるようになり、会議の討議が充実し、オルグ分担の変更もあって1人で4部を拡大したという報告がある。一見手間ひまかけているようでいて、こうした活動こそが党活動を前進させるのである。
別の報告では、同志が職場の同僚に組合運動で信頼されており、対象者は地区の集会などで他の同志とも顔見知りとなっていたため、バラ売りから定購へスムーズになったという報告もある。この同志も2カ月続けて職場で拡大している。職場と地域での運動の発展は機関紙拡大の重要な要素である。しかし、このような拡大闘争も細胞で拡大闘争を討議して初めて実践され、成功している。
11月集会以降継続的に拡大している組織は例外なくリストに基づく拡大闘争の組織討議を行っている組織である。これは大変エネルギーのいる活動であるが、そうした活動なしには組織建設は一歩も前進しない。
「日の丸・君が代」闘争−春闘を中心とした3月までの闘いこそ、階級意志が激突する過程だ。この闘いを党派的迫力をもって闘い、機関紙拡大闘争を骨太く貫こう。
---------------------------------------------------
週刊『前進』(2234号6面3)(2006/02/20)
迎賓館・横田裁判無罪へ 2・18集会に集まろう
2月18日、迎賓館・横田裁判の完全無罪をかちとる会主催で開かれる「完全無罪をこの手に!2・18集会」に全力で結集しよう。
本年1月16日、迎賓館・横田爆取デッチあげ裁判控訴審第1回公判(高裁第3刑事部・中川武隆裁判長)で、検察官証拠請求全面却下、即日結審という大勝利をかちとった。
2・18集会は、この勝利をしっかりとうち固める場だ。須賀武敏、十亀弘史、板垣宏の3同志と家族は19年にわたって、超長期投獄と裁判に恐れず立ち向かい、無実・無罪を明らかにし、デッチあげ弾圧を弾劾し続けてきた。この革命的な気迫が、反動中川裁判長をしても、即日結審せざるをえないところに追い込んだのだ。まったくの予想外の展開に顔面蒼白(そうはく)となって対応不能状態になった検察官の姿にわれわれの勝利性は端的に示されている。どんな弾圧や攻撃にも、階級的怒りを燃やし、不屈に闘えば、必ず勝利できる。
3同志と弁護団、さらには全国さまざまな人びとによって担い継がれてきた救援運動の存在と闘いも、裁判所を追い詰めてきた大きな力である。このことにあらためて確信を持って、5月19日判決公判に上り詰めよう。
3同志の判決に先立って福嶋昌男同志の一審判決公判(東京地裁刑事第3部・服部悟裁判長)が、3月3日に行われる。2・18集会の成功をかちとり、福嶋同志にも無罪判決以外ないことを服部裁判長にきっぱりと突きつけようではないか。福嶋同志は無実を主張して12年の超長期勾留と裁判を闘いぬき、デッチあげ弾圧を粉砕してきた。検察側の唯一の「証拠」であるメモの筆跡鑑定も、日本における書字研究の第一人者である、石川九楊氏による「メモの筆跡は福嶋さんのものではない」という異筆鑑定によって完全に粉砕し尽くしたのだ。
2・18−3・3−5・19の激闘は完全無罪獲得に向かっての文字どおりの正念場だ。4大産別決戦と改憲阻止決戦の真っただ中、4同志の無罪戦取、歴史的勝利に向かって闘おう。
---------------------------
完全無罪をこの手に! 2・16集会
3・3福嶋さんに無罪を
須賀・十亀・板垣さんの控訴審勝利へ
2月18日(土)午後1時半開場 2時開会
東京・渋谷勤労福祉会館
主催迎賓館・横田裁判の完全無罪をかちとる会
---------------------------------------------------
週刊『前進』(2234号6面4)(2006/02/20)
共産主義者 147号
改憲阻止の大闘争へ
巻頭論文 06年決戦方針を鮮明に
春闘論文 「攻めの反合理化闘争」
06年の帰趨(きすう)を決する1〜3月決戦の真っただ中で、『共産主義者』147号が発行された。本号のタイトルは「労働者の総力で改憲阻止の大闘争へ」だ。いよいよ戦後史の革命的決着をかけた日帝の改憲攻撃との全面的対決の時がきた。この決戦全体を貫く路線・闘争論構築の観点から企画・編集されている。
05年の勝利性
巻頭の樫山論文は、革共同政治局1・1アピールに基づく、06年決戦方針をめぐるこの間の全党的な討論を踏まえ、その問題意識を一層鮮明にした重要論文である。1・1アピールは、現在の加速度的に切迫した世界的・国内的な革命的情勢にがっちりかんだプロレタリアート人民の今日的な政治的実践綱領である。
全体を貫くテーマは、新指導路線のもとでの4大産別決戦を土台とした改憲阻止決戦をいかに闘うのか。そのために、動労千葉の闘いから何をいかに学び、それを労働運動全体にいかに波及させるかである。その核心は、日帝・小泉=奥田と対決してかちとった05年の地平の勝利性に確信を深め、全党と闘う人民が固く一致することにある。本論文は、こうした1・1アピールを05年の総括を中心に論じている。自らの革命的実践が世界革命の現実性に直結していることをリアルにつかんでいく。そのような目的意識をもって読みたい。
まず〔一〕「4600人大結集と国際連帯の大前進」では、昨年の11・6集会を全面的に総括している。ここに05年の勝利性が凝縮している。04年にも増した「日米韓国際連帯の前進の内実」は何なのか。11月を契機に米韓の仲間たちがインターナショナルな共産主義をともに自覚し、実践したことに切り込んでいる。こうした国際連帯の実践がとてつもない力を生み出すことを強調している。世界革命の現実性を大胆に洞察していることが提起の精神である。
次に〔二〕「総括上の核心点」では、この地平を生み出したものが新指導路線の貫徹であるということを確認している。11・6に結実した05年の攻防全体の新指導路線貫徹の苦闘とダイナミズムをしっかりと理解することである。階級支配の破綻(はたん)点をつかんで決戦の活路をいかに突き進んだのか。1〜3月の「日の丸・君が代」強制拒否の教労決戦に始まった前半全体の決戦構造、郵政民営化問題をめぐる小泉改革の危機性・凶暴性と対決した昨秋攻防の闘い方を再度わがものとすることだ。
こうして結論として〔三〕「党的・組織的総括を深化させるための」で、なぜ1万人に達しなかったのかという設問をとおして、4大産別決戦論の不十分さなどを踏み込んでえぐり出している。問題の中心が革共同の党指導部の飛躍と変革にあることを強烈に提起し直している。
最後に〔四〕では、国民投票法を始めとする国会動向、米軍再編・沖縄情勢、政府・財界提言など年頭以来の急迫する情勢に対応して的確に方針が提起されている。
以上の全体をとおして「日の丸・君が代」決戦、動労千葉の反合・運転保安春闘が06年の帰趨を決する突破口であることがはっきりする。1・1アピールと一体のものとして、支部・細胞はもとより全党的な論議を闘いとろう。
06春闘勝利へ
06春闘爆発のための労働運動論2本。反合理化闘争論文は、動労千葉が船橋事故以来の反合・運転保安闘争をマルクス主義の立場からいかにして発展させていったのか、資本主義の根幹を食い破る「攻めの反合理化闘争」としての意義を論じている。大民営化攻撃と対決し、帝国主義を打倒する労働運動の足がかりだ。
公務員制度改革批判は、経済同友会の「10の提言」の暴露を中心に、改憲と戦争への国家大改造攻撃の要(かなめ)が公務員労働運動の解体にあり、これとの闘いが06年階級決戦の最大焦点であることを突き出した。自治体労働運動の勝利の路線・展望を指し示している。
三里塚闘争論は、日帝の改憲・戦争国家化と闘いぬいてきた労農同盟の砦(とりで)としての歴史的地平を明らかにした、本号の特別企画である。40年間、日帝との非和解的対決を貫いてきた偉大さに、新鮮な闘志がわいてくる。青年労働者・学生にぜひとも学習を勧めたい。
星野奪還論文は、本年を再審貫徹・奪還の決定的な年とするための革共同としての決意を込めたアピールである。奪還は革命党の生命線をかけた闘いだ。星野同志の闘いは日々、改憲攻撃と根底で切り結んでいる。奪還の闘いの先頭に立つ筆者の”熱”が心揺さぶる。星野奪還の再審闘争に立ち上がろう。
マルクス主義原典学習講座は、マルクス『ゴータ綱領批判』。革命的情勢が急接近している今、マルクス主義の思想を自らのものとすることは、決定的な闘いである。国家の問題やプロレタリア国際主義などの核心がわかりやすく解き明かされている。21世紀革命の実践綱領として、しっかりと学びとろう。
「日の丸・君が代」不起立の教育労働者を先頭に06春闘の勝利へ。
---------------------------------------------------
週刊『前進』(2234号6面5)(2006/02/20)
訂正
前号7面「共謀罪法案を廃案へ」の別掲日誌の中で、町田の野津田高校前のビラまき弾圧の日付が4月4日となっていましたが、3月4日の誤りです。
---------------------------------------------------