ZENSHIN 2006/02/06(No2232
p06)
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週刊『前進』(2232号1面1)(2006/02/06)
国民投票法案粉砕、「日の丸・君が代」不起立貫徹
2〜3月決戦に総決起しよう
連合中央が公務員制度改革に屈服 日共は改憲阻止の統一戦線に敵対
4大産別決戦で小泉−奥田打倒を
自治労臨大で改憲阻止をアピール 大会参加者に訴える全国労組交流センターの労働者(1月26日 東京)=記事次号
「日の丸・君が代」不起立の闘いを先頭とする4大産別決戦は、日帝・小泉=奥田体制と真っ向から激突するすさまじい死闘に突入した。1月20日の小泉の施政方針演説は、行政改革推進法案―公務員制度改革を突破口に、教育基本法改悪と国民投票法案を強行して改憲に突進する強烈な意志を示した。これは、4大産別労働者への全面的なリストラ・首切り、改憲反対の政治活動の圧殺、戦争協力の強制という戦慄(せんりつ)すべき大攻撃である。同時に連合中央に全面屈服と階級圧殺の先兵化を迫る攻撃だ。これに呼応しているのが日本共産党スターリン主義だ。すでに連合は、1・16政労協議で労働基本権協議と引き換えに公務員制度改革を受け入れ、1・19中央執行委員会で国民投票法案に事実上、賛成した。だが現場労働者は1・26〜27自治労臨時大会で、公務員制度改革と国民投票法案を丸のみする自治労中央を激しく弾劾する闘いに立った。これをのろしとして2〜3月、4大産別決戦を猛然と闘おう。
第1章 小泉政治の矛盾が全面爆発し始めた
帝国主義の危機と矛盾があたかもブルジョア社会の底が抜けたかのように全面的に爆発し始めている。小泉構造改革、小泉・奥田路線の矛盾が爆発し、それへの労働者人民の怒りが噴出している。小泉打倒、小泉・奥田体制打倒のまたとない情勢が到来している。
われわれは、昨年の8・8−9・11の小泉大反革命
にもかかわらず、「小泉体制は本質的に脆弱で、ガラス細工のようなものだ」と言い切り闘ってきたが、今やそれが全面的に現実のものとなってきている。
日帝・自民党やブルジョアジーも「年が明けてから運気が変わった。逆風だ」「小泉政権は前途多難だ」などと動揺を深めている。 耐震偽装問題では、労働者人民の住居の安全を奪い膨大な借金を背負わせた詐欺師まがいのマンション建設業界の実態が明るみに出、さらにヒューザーと小泉後継の安倍晋三との癒着さえも明るみに出ている。
そして、この間株価つりあげのための株式分割、企業買収、粉飾決算などで不正なマネーゲームを展開し、ついに逮捕に至った堀江・ライブドア問題が起きた。その根源は、まさに独占金融資本のための民営化と規制緩和を推進してきた小泉改革、小泉・奥田路線にある。堀江こそ小泉改革のシンボルであり、小泉や武部は、堀江を「君のような若者が政治に入ってくるのは素晴らしい」「若者の模範」と持ち上げ、8・8−9・11の大反革命では徹底的に活用したのだ。
1月20日、小泉は施政方針演説で「改革なくして成長なし」は正しかったと居直った。しかし民営化・規制緩和の結果もたらされた経済の内実とは、一連のJR事故であり、耐震強度偽装建築であり、ライブドア事件であった。
数百億円とか数千億円稼ぐ詐欺師まがいの成長企業のメダルの裏側に、膨大な非正規職の月給10万円台とか、あるいはサービス残業で徹夜で働く膨大な労働者群が生み出されてきたのだ。日本経団連が言うところの「工場法以前の状態」がすでにできあがっているのだ。日本資本主義は一社会としてまさに破産し、プロレタリア革命によって打倒される以外にないところに行き着いている。
小泉は施政方針演説で、@郵政民営化を称揚し、A国・地方の公務員の総人件費削減のために今後5年間で国家公務員5%削減、大幅賃下げのための行政改革推進法案と「市場化テスト」法案を今国会に提出すると述べ、B教育基本法について「速やかな改正を目指し」とし、C改憲に向かっての国民投票法案について「憲法の定めにしたがって整備すべき」と早急な国会提出を表明した。
日帝は、内外の帝国主義の矛盾の爆発の中にあり、何ひとつ日帝が思うように解決できるものはない。米軍再編は、沖縄の辺野古新基地建設をとっても労働者人民が絶対受け入れることはできない問題だ。座間、相模原、横須賀、岩国などの米軍基地再編も同様だ。米国産牛肉問題で安全無視で輸入再開したら、即座に問題が起きて輸入停止となった。国連安保理常任理事国入りは米帝が承認しない。東アジア自由経済圏構想などは米帝との関係でどうにもならない。靖国神社問題で小泉は強硬姿勢をとり、中国・韓国を強引に屈服させようとしているが、こんなことを中国や韓国の人民が認めるわけがない。米帝ブッシュと一体化しイラクに自衛隊を派兵したが、英豪軍撤退の動きの中で、駐留継続か撤退か、二進も三進もいかない局面に立たされている。
国内においても、日本経済は破滅的危機に陥っている。日帝にはなんの展望もない。延命のための戦争・改憲と民営化=労組破壊の小泉改革がさらにその腐敗をいっそう促進し、労働者階級人民の怒りの決起を呼び起こしている。
4大産別の労組を解体し、連合を通じて労働者を支配する策動も、この間の教労の「日の丸・君が代」闘争、国鉄1047名闘争の前進、全逓労働者の郵政民営化反対の決起、自治労大会での沖縄県本部の決起など、4大産別決戦の展開で、事態は日帝と連合の思うようにはまったく進んでいないのだ。
4大産別を軸とした労働者の階級的団結と総決起で、小泉=奥田体制を打倒する情勢が、今や完全に到来している。
第2章 連合の改憲勢力化阻止する勝負の時
連合中央執行委員会は1月19日、「国の基本政策に関する連合の見解(案)」についての取り扱いについて協議した。この内容の核心は「国民投票法案」を今国会で通過させることへの合意を与えようとするものだという点にある。事実上改憲賛成で連合傘下の労働組合、とりわけ日教組、自治労を組織していくことである。徹底的に弾劾し、この反動的策動を粉砕しなければならない。
1月19日、「再発防止研修」に対する抗議行動が東京都総合技術教育センターで闘われた。被処分者の会は「最後まで闘い抜く」との抗議声明を発した。「日の丸・君が代」不起立闘争は、労働者の「戦争協力拒否闘争」であり、何よりも職場での実力闘争である。これが階級情勢を揺り動かすのは、当局との激突を恐れぬ職場生産点からの決起だからだ。
教育現場から06年「日の丸・君が代」不起立闘争をかちとろう。2・5都教委包囲・首都圏ネット総決起集会への全力結集を呼びかけて闘おう。
3月21日の日教組臨時大会は、今国会に提出される教育基本法改悪案と国民投票法案について日教組の条件闘争への転向・屈服を図ろうとするものだ。「日の丸・君が代」決戦を柱とする現場労働者の総反乱でこの日教組本部の裏切り策動を粉砕しよう。
国鉄闘争は、4大産別決戦の土台をなす闘いであり、戦争と民営化に対決し、改憲阻止決戦の勝敗を決する闘いだ。
現在、国鉄分割・民営化体制は安全問題で根底的な危機をさらけだしている。尼崎事故、そして羽越線事故。さらには1月24日、JR西日本の伯備線で保線作業中の労働者3人が特急にはねられ死亡する重大事故が起きた。国鉄分割・民営化体制は土台から揺らぎ、国鉄労働運動は分岐・流動・再編過程に入った。
しかもこの間、川越線、総武線でレールが破断した。動労千葉は直ちに反合・運転保安闘争を再強化し、06春闘の闘争宣言を発した。反合闘争は職場生産点の闘いだ。それは資本との激突を引き起こすが、そこには資本の支配を転覆するプロレタリア革命の萌芽が宿っている。
動労千葉の反合・運転保安闘争を国鉄労働運動全体の闘いへと拡大し、職場闘争として拡大していこう。 2月16日、鉄建公団訴訟を闘う国労闘争団の原告団、全動労争議団の原告団、動労千葉争議団の原告団と国労闘争団全国連絡会議が主催者となって総決起集会が開かれる。国鉄分割・民営化から19年にして初めて、1047名全体を糾合した統一陣形が生み出された。鉄建公団訴訟と国労5・27臨大闘争弾圧裁判を両輪として1047名闘争の発展をかちとろう。国鉄戦線に今こそ動労千葉派をつくりだし、動労千葉の組織拡大と国労本部打倒・国労再生の闘いを発展させよう。
小泉・奥田が一体となった公務員制度改革・改憲攻撃に対して、ついに自治体労働者の反撃が始まった。北海道、新潟、兵庫、香川で、大幅賃下げと査定給・地域給導入の人事・給与制度の暴挙に反対してストライキ、時間内職場集会が闘われようとしている。
自治労臨時大会は、公務員制度改革、平和基本法、国民投票法案が焦点だ。公務員制度改革については連合がすでに政府との協議を開始した。連合中央(高木剛会長と岡部謙治自治労委員長)はスト権を含む労働基本権の公務員への付与に関する政労協議会の設置と引き換えに、民間に準じた能力・実績主義の導入論議や人件費削減論議に応じる姿勢を表明した。
小泉の公務員総人件費削減と称する大量首切りと大幅賃下げの行政改革推進法案や市場化テスト法案に闘わずして屈服する道を進んでいる。絶対粉砕しなければならない。
さらに昨年8月大会で「入り口は平和基本法、出口は自衛隊の縮小」と言い逃れて改憲への道を敷いた平和基本法を白紙撤回させよう。「拙速な法制定には反対」という国民投票法案への容認姿勢を徹底弾劾し、国民投票法案絶対反対を貫徹しよう。
2・9〜10JPU(日本郵政公社労働組合)臨時大会は、連合全逓中央本部が郵政民営化賛成=推進を公然と掲げてアクションプラン2と「働こう運動」を全組合員に強制し、JPUを改憲勢力化する狙いをもって開催されようとしている。
アクションプラン2では1万2千人の減員と全国の1千の郵便局の合理化が計画されている。郵政民営化は、雇用については〈いったん全員解雇・選別再雇用〉を通じた大量首切りと活動家パージ、労働組合破壊を最大の狙いとしていることは明らかだ。改憲についても本部議案は「7・14連合見解」を全面支持していることは明白だ。
臨時大会に向けて、全国の全逓労働者のつもりにつもった怒りに火をつけ、連合全逓中央を打倒する闘いを職場からつくりだすことだ。職場での団結を打ち固め、超勤拒否、物ダメ・ストライキの職場生産点での闘いをつくりあげよう。日帝・小泉と連合中央、全逓中央本部が心底から恐れているのはそれだ。
第3章 沖縄の怒りを先頭に米軍再編粉砕へ
1月22日、名護市長選挙が行われ、自民・公明推薦の条件派候補が当選した。しかしこれで辺野古への基地移設が決まったわけではまったくない。逆に沖縄の怒りはいよいよ高まっている。3・5県民大会の大成功を突破口に、米軍再編による日米共同の北朝鮮・中国侵略戦争体制づくりに絶対反対しよう。米軍再編と沖縄基地強化に絶対反対し、沖縄奪還、安保粉砕・日帝打倒へ前進しよう。さらに本土の座間、相模原、横須賀など基地闘争の前進をかちとろう。三里塚、北富士、関西新空港闘争はますます重要になってきた。全力で闘いぬこう。
そして4大産別決戦と結合し、全国で改憲阻止闘争の前進を切り開こう。9条改憲阻止の一点で大統一戦線をつくって闘うことへの日本共産党の敵対は絶対に許せない。日共スターリン主義の敵対を粉砕し、憲法闘争を発展させよう。
すべての闘う青年・学生と労働者人民は、革共同に結集しともに闘おう。
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週刊『前進』(2232号1面2)(2006/02/06)
ライブドア問題の根源は小泉=奥田路線にある
腐敗・腐朽を極める帝国主義
民営化・規制緩和の帰結だ
ライブドア事件は、小泉の民営化・規制緩和の政策が引き起こしたものである。小泉「構造改革」、奥田経団連路線、堀江貴文の経営はいずれも市場原理主義と弱肉強食的な価値観でまったく同じであり、これこそ今回の歴史的な経済詐欺事件の核心問題である。
ライブドアの偽計・粉飾は次のような仕組みで行われた。
@ライブドア(あるいはライブドアマーケティング。以下同じ)が実質支配する投資事業組合(*1)を使って他企業を買収する。
Aしかし、すでに買収した事実を隠し、ライブドアが株式交換(*2)で企業を買収すると発表する。
Bほぼ同時に、交換に使うライブドア自社株の分割(*3)を発表する。
C急騰したライブドア株は、交換先の被買収企業を経て投資事業組合に渡る。投資事業組合はこの株を、資金の流れを見えにくくするため海外で売却して莫大な利益を稼ぐ。
Dこの利益をライブドアに還流させ、ライブドア本体の売上高に算入して粉飾する。04年9月期決算では、計24億円を自社の利益に還流させ、10億円の赤字を14億円の黒字に粉飾していた。
つまり、投資事業組合というダミーを経由させつつ、株式交換による他企業買収と株式分割という手法を使って、株売却利益を売り上げに算入していたのである。03年以降、このやり方で計6社を買収し、総額で約90億円もの株売却益をライブドアの売り上げとして粉飾していた。こうした手法で、00年の上場時には50億円にすぎなかった株式時価総額を約7700億円にまで膨張させてきた。ライブドアによるプロ野球参入の動きやニッポン放送株の買い占めなどは、この粉飾による株高を背景にしている。ライブドアの経営すべてが、偽計と粉飾で成り立っていたのだ。
これほどの”錬金術”を可能にしたのは、小泉「構造改革」だ。金融面での規制緩和が必然的に招いた事態にほかならない。
まず投資事業組合は、04年の「ファンド法」で組合員の資格制限や人数制限が撤廃された。株式会社のように登記の必要もなく情報開示の義務もない。やりたい放題になるのは当然ではないか。
株式交換による企業買収は、99年の商法改定で認められた。97年の独占禁止法改悪で持ち株会社が解禁されていたが、持ち株会社による子会社設立や企業買収を容易にするために導入されたのが株式交換方式だ。
株式分割も従来は、株式分割後の額面総額が資本金額を超えてはならない、株式分割後の1株当たり純資産額が5万円を下回ってはならないという規制があった。01年の商法改定でこの規制が撤廃された。ライブドアは1年間で当初の1株が1万株になるほどの膨張が可能となった。
このように金融制度が資本のやりたい放題に規制緩和されてきた。だから、ライブドア一社の問題にとどまらない。
小泉は「官から民へ」と言うが、これこそ「民」の正体だ。これこそ資本と資本家の本性だ。民営化・規制緩和は昨年、尼崎事故と羽越線事故、そして耐震強度偽装を引き起こした。そして今、日本経済の中枢での偽計と粉飾という歴史的な詐欺事件となって噴出している。小泉が”郵政を民営化すれば世の中がすべて良くなる”かのような大ペテンで総選挙をやってわずか半年、民営化・規制緩和の恐るべき真実が暴き出されたのだ。
優勝劣敗の市場原理主義
小泉の民営化・規制緩和がライブドア事件を引き起こしただけではない。もっと重大なのは、小泉、奥田経団連会長、堀江の価値観がまったく同じであることだ。一言で言えば市場原理主義、弱肉強食、優勝劣敗である。「堀江はルール違反」などと言われているが、堀江の「経営哲学」は小泉「構造改革」、奥田経団連路線と完全に同じものなのだ。この三者が同調しあったところで、今回の事件は起きている。
昨年の総選挙の際、小泉は堀江を「新しい時代の息吹」「若者の模範」と絶賛し、武部自民党幹事長は「わが弟です、息子です」と持ち上げた。この時、堀江は広島6区で争っている亀井静香に対し、「あの人の話を聞いていると、まるでコミュニスト」と非難した。少しでも弱者救済的な要素があると、それをコミュニストと批判する、それが堀江の思考だ。昨年7月の愛知万博での堀江講演では「格差社会を社会が容認しなければならない」とも公言している。そして、これこそが小泉「構造改革」の主義でもあるのだ。
小泉「構造改革」のもとで貧富の格差が拡大し、本当に生きていけない労働者人民が膨大に生み出されている。その一方で、「構造改革」の恩恵を受けて、堀江に代表される資本家連中がやすやすと大金をせしめている。これこそ、小泉・奥田・堀江がつくりだしている現実にほかならない。
堀江は「古い経営者」を非難し、「不道徳というのは価値観の違いだ」とまで言い、旧弊を打ち破るかのようなスタイルをとってきた。もちろん日本の資本主義体制はあらゆる面で行き詰まり、人民の将来不安は広がりつづけている。特に青年・学生は、非正規雇用化の中で、”ニートになりたくなければ堀江のような起業家になれ”という圧力にさらされてきた。「堀江人気」なるものは、そうした体制的どんづまりを背景にしていた。小泉のファシスト的政治の所産そのものでもあった。しかし堀江の実像が暴かれ、「夢」が砕かれた今、資本主義の体制的行き詰まりという現実を直視する以外に道はない。
青年・学生にとって、資本主義の打倒こそが唯一の未来である。資本主義のもとでは資本にこき使われるしかない。労働組合のもとに団結して闘うなら、必ず自らを解放できる。動労千葉のように闘おう。マルクス主義を武器に帝国主義を倒すために闘うことがライブドア問題への回答だ。
06年冒頭、ライブドア事件が象徴する形で、小泉改革の矛盾が全社会的に噴出し始めた。4大産別決戦と改憲阻止闘争の展望を開く時が来ている。
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*1 投資事業組合
複数の投資家から資金を募って運用するファンドのこと。運営の責任を持つ組合員と出資者の間で契約書を交わすだけで設立できる。
*2
株式交換 現金を使わずに、買い手側が新たに株式を発行するなどして、自社の株式を被買収企業の株式と交換するやり方。被買収企業が債務超過に陥っていても”価値ある企業”とごまかし、新株をたくさん発行する。
*3
株式分割 1株を複数株に分け発行株式数を増やすこと。理論的には株価は下がるが、実際に新株が発行されるまで50日前後かかるため、一時的に品薄状態となり株価は急騰する。
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週刊『前進』(2232号2面1)(2006/02/06)
“すわって示そう戦争反対” 「不起立宣言」運動を呼びかけ
関西の教育労働者のアピール
大阪では、全国に先駆けて2月24日から府立高校の卒業式が始まる。1月13日に大阪府教委通知が出されて攻防が開始された。奈良では、「君が代」実施を阻止してきた奈良市内の学校を中心に激烈な闘いの渦中にある。関西の闘う教育労働者は、「すわって示そう戦争反対!」をスローガンに昨年秋から不起立宣言運動を呼びかけ、12・23集会を大成功させて、1月27日に予定されている府教委交渉から2・4決起集会へ、全力で取り組んでいる。卒・入学式闘争を全力で闘おう!
(写真 東京の被処分者・根津公子さんを招いた集会に200人を超える労働者がかけつけた【05年12月23日 大阪】)
教職員への起立強要が焦点 大阪
1月13日に出された大阪府教委通知は、「国を愛する心を育てる」ために「国旗掲揚及び国歌斉唱が適切に実施されるよう格段の配慮を」と言っている。文面は一昨年からほとんど同じだが、「適切に実施」の中身をめぐって、攻撃は年々激しさを増してきている。
府教委は、府立学校長への口頭指導の中で、「旗は演壇正面に。歌は式次第に入れて斉唱で」などと、具体的に「望ましい形」を指示している。さらに、毎年4月に配布する「府立学校への指示事項」(市町村教委向けの「要望事項」も同じ)の中で「教員は教育公務員としての責務を自覚し、国歌斉唱に当たっては起立するとともに節度ある行動をとること」を強調し、今回の通知にもこれを再録して、教育労働者の不起立闘争や抗議発言を抑え込もうとしてきた。
各学校現場では、これを一歩でも半歩でも押し返すための攻防がすでに始まっている。
今、全国で教育労働者を始めとする公務員労働者に対する大幅賃下げと、地域間・職種間格差の拡大、査定級の全面導入、中間管理職導入による団結破壊の攻撃がかけられ、4月からの実施に向けた決戦の渦中にある。大阪では、「評価・育成システム」という名の新勤評と「首席・指導教諭」の導入問題が、大幅賃下げをめぐる闘いと一体となって決戦を迎えている。
闘う教育労働者による広範な自己申告票提出拒否を背景とした闘いによって、昨年末の段階で府教委は、06年度一時金からの評価結果の格差反映を1年間延期するとし、1月に入って、標準以下と評価された者への一時金カットを断念する案を府労連に提示してきた。しかし、小泉政権による公務員労働者への賃金構造改革による大幅賃下げの4月実施と、来年1月からの評価システムの賃金反映による昇給幅の格差づけ開始、再来年度からの一時金への格差導入を絶対に認めることはできない。
この攻撃と「日の丸・君が代」強制、教育基本法改悪の攻撃は表裏一体のものだ。賃金問題でもっとも冷遇される事務職労働者や青年労働者層を先頭に、大阪教組・府労連の屈服妥結を許さず、「絶対反対」を貫いて闘おう。そして、この怒りを「日の丸・君が代」決戦で解き放ち、総反撃に立ち上がろう。
百パーセント実施めぐり激突始まる 奈良
奈良では、昨年の夏休み前後から「君が代」不実施校の校長が市教委から呼び出され、百パーセント実施に向けた強烈な「指導」が水面下で行われてきたが、1月に入って、そのほとんどの学校の職員会議で卒業式での実施方針が校長から出されてきた。これに対して、労組交流センター教育労働者部会の労働者を先頭に、組合の枠を越えて教育労働者たちが総反撃して闘っている。
奈良県の「日の丸・君が代」実施率が低いとされる背景には、部落解放運動と解放教育の歴史と伝統がある。また、部落解放同盟本部派が裏切りと転向を深めるなかで、差別の歌と戦争の旗を拒否してきた部落解放同盟全国連合会の部落大衆と戦闘的教育労働者の闘いによって、「君が代」を完全に阻止し、「日の丸」も式場内に入れさせないできたのだ。この共同闘争と教育労働者の団結を解体・一掃しようとする攻撃が、改憲と教育基本法改悪の大攻撃の中でうち出されてきたのだ。
一斉実施攻撃との決戦は、全国を揺るがす位置を持ってくるに違いない。勝利の方針は、教育労働者を先頭に、生徒・保護者を巻き込んだ不起立闘争の広範な組織化と、闘う日教組運動の再生にある。労働者人民の公然たる非協力・総反撃の闘いで、「日の丸・君が代」強制の攻撃を打ち返していこう。
東京の被処分者に連帯して集会
昨年12月23日、「すわって示そう戦争反対!12・23集会」が開催された。東京から、昨春の卒・入学式における「日の丸・君が代」不起立で停職1カ月というもっとも重い処分を受け、さらに度重なる「再発防止研修」強要の攻撃を受けながら、不屈に闘う教育労働者・根津公子さんを招いて行われたものだ。大阪市立住まい情報センターのホールには、200人を超える教育労働者と市民がかけつけた。
根津さんは、免職を含む重処分の脅しにも屈することなく、教育労働者の良心にかけて戦時下の攻撃と闘う決意を90分にわたって語った。
この発言を受けて、関西各地で「日の丸・君が代」攻撃と闘う教育労働者や保護者から、根津さんへの激励と自らの不起立宣言の表明が次々とかちとられた。式場内で起立を強要された保護者や、来賓席で不起立を貫いたPTA役員。決戦必至の情勢にある奈良の教育労働者。「日の丸・君が代」強制を一歩でも二歩でも押し返そうとして、児童・生徒を中心とした卒業式を提案して、同僚の青年を組合に獲得して頑張る教育労働者。教組の分裂をのりこえて職場組合をつくって団結を守り、改憲・教育基本法改悪の流れをはね返そうと呼びかける教育労働者。
その他多くの発言を受けて、「日の丸・君が代」被処分者を中心とした「すわって示そう戦争反対!」実行委員会からまとめと行動提起が行われた。集会参加者一人ひとりが根津さんの分身となり、不起立闘争を関西各地でくり広げていくこと、1月27日に多くの団体に呼びかけて府教委交渉に立ち上がること、卒業式を前にした2・4決起集会に再結集し、府下全域で卒業式へのビラ入れを組織して、闘う東京の仲間たちと連帯して広範な不起立闘争を闘うことが訴えられた。
不起立を貫いて教基法改悪阻む
昨年春の関西の不起立宣言運動は、3月末までに330人もの広がりを示し、大阪を中心に数万人もの教育労働者・生徒・保護者の抵抗闘争がかちとられた。これが東京での不起立闘争の決戦に全国から連帯する決定的な闘いとなっていった。
9・11総選挙後の情勢と改憲攻撃の強まりの中で、闘いはいよいよ厳しく激しくなっていく。今春の「日の丸・君が代」決戦は、憲法・教育基本法決戦そのものとして、より広範に闘われなければならない。関西の不起立宣言者は、すでに12月下旬段階で140人に迫り、その後、200人を目指して広がっている。2月5日に、昨年を超える不起立宣言を持って東京の集会に駆けつける。
全国の闘う教育労働者は、各地で不起立運動を組織して首都決戦に呼応し、30万人の日教組を牽引(けんいん)して、教育基本法改悪阻止・改憲阻止の闘いに立ち上がろう。
〔森川聡史〕
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週刊『前進』(2232号2面2)(2006/02/06)
東京「日の丸・君が代」処分 「ゼッケン着用」で再び研修
“報復処分に負けない” 被処分者が都教委を追及
東京の「日の丸・君が代」被処分者は、今春卒・入学式でさらに不起立闘争を拡大しようと、闘いを進めている。
東京都教育委員会は1月19日、被処分者9人を対象に、再度の「服務事故再発防止研修」を強行した。9人は、都教委による転向強要を敢然と拒否し、逆に都教委を徹底追及して圧倒する闘いを貫き、大きな勝利をかちとった。
(写真 再発防止研修の会場に100人近い労働者が駆けつけ、都教委を弾劾するシュプレヒコール【1月19日 水道橋】)
東京では、昨年春の卒・入学式で「日の丸・君が代」強制に抗議して不起立・伴奏拒否などを闘った教育労働者62人が停職・減給・戒告の処分を受けた。都教委は昨年7月21日、“二度と繰り返しません”と誓約させるための「再発防止研修」を行った。
しかし被処分者は7・21研修の場を、都教委を弾劾する実力闘争の場に転化して闘いぬいた。多くの労働者が抗議のゼッケンやTシャツなどを着けて会場に入った。都教委の幹部職員は「ゼッケンをはずせ」と求めたが、「はずさなければならない根拠を示せ」などと激しく追及、結局、都教委はゼッケン着用を黙認するかたちで「講義」を始めた。しかも講義は怒りの声にかき消され、まったく聞き取ることもできないほどだった。
この事態に震え上がった都教委は12月1日、ゼッケン着用などを「職務専念義務違反」とし、10人を処分した(1人を減給1カ月、9人を戒告)。さらに当日に授業があって日程変更を求めた労働者を「受講拒否」で減給6カ月とした。そして、再度の「再発防止研修」が1月19日に設定されたのである。
19日当日は、会場の都総合技術教育センター前に百人近い労働者が集まり、「処分を撤回しろ」「再発防止研修弾劾」と抗議の声を上げた。研修対象者の9人が堂々と会場に入っていくと、シュプレヒコールで送り出した。
会場内では、都教委職員の講義に対して、参加者が次々と質問をたたきつけた。7月には質問を一切認めなかった都教委も、今回は質問を受け付けざるをえなかった。「7月の研修の際、ゼッケンを着用していることが『職務専念義務違反』にあたると認識していたのか?」との問いに、「いいえ」ともらす場面もあった。講義を行った職員自身が「職務専念義務違反」にあたると認識していなかったにもかかわらず、処分が強行されたというのだ!
研修終了後、会場から出てきた労働者たちは、都教委を圧倒した勝利感と、正義を貫いている誇りに満ちていた。被処分者の一人は「都教委は私たちの質問を妨げることもできなくなり受け付けたが、何も答えることができなかった」と報告した。被処分者の会の代表は「今春卒・入学式を闘う『卒・入学式対策本部』を立ち上げた。都教委の職務命令体制をうち破るため闘う」と述べた。
今回処分を受けた教育労働者は、同日、都人事委員会に処分撤回を求めて不服審査請求を行った。
戒告から減給、さらに停職と際限なくエスカレートする処分、そして繰り返される再発防止研修――こんなもので労働者の魂を奪うことはできないのだ。石原と都教委は、もはやどんな手段をもっても被処分者の闘いを押しとどめることができなくなっている。
今回減給処分を受けた2人は2月1日、「再発防止研修(専門研修)」が予定されている(19日の研修が期日変更された1人も)。水道橋の都総合技術教育センター前に9時15分に集まり、ともに都教委に抗議の声を上げよう。
都教委包囲・首都圏ネットが呼びかける「処分撤回! 解雇撤回! 『日の丸・君が代』の強制を許さない! 2・5総決起集会」(午後1時開会、日本教育会館)に集まり、今春「日の丸・君が代」不起立闘争の総決起集会として大成功させよう。
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週刊『前進』(2232号2面3)(2006/02/06)
また労働者がJRに殺された 伯備線事故を徹底弾劾する
またもJRで重大な死傷事故が発生した。1月24日午後1時20分頃、JR西日本の伯備線・根雨−武庫間で、保線作業中のJR西日本社員3人が岡山発出雲市行き下り特急「スーパーやくも9号」にはねられ死亡した。事故で殺された労働者はJR西日本・米子支社の米子保線区・根雨保線管理室に所属し、1人は国労組合員だった。
JRは、西日本では昨年4月25日に107人の命を奪った尼崎事故を発生させ、東日本では昨年12月25日に羽越線で5人を死亡させた大事故を起こしたばかりだ。国鉄分割・民営化体制下で、鉄道の安全は崩壊の危機に直面している。
事故の責任は何よりも、線路閉鎖の措置もとらず、列車を走らせたまま、その間を縫うような形で保線作業を行わせたJR西日本にある。事故で殺された労働者は、大騒音を発して振動する「タイタンパー」で線路内の敷石を突き固める作業を行っていた。こうした作業を、列車運行の合間に行わせること自体が、安全無視もはなはだしい。
マスコミは、現場責任者が次に来る列車の方向を間違えていたことに事故の原因があるかのように報じているが、当日は「スーパーやくも9号」は約15分遅れで運行しており、現場を通過する列車の順序が入れ替わっていた。しかも、特急の遅れは、現場責任者が午後1時12分頃、米子支社の輸送指令に携帯電話で連絡を取った時に初めて伝えられたという。そのわずか8分後に、特急が100`のスピードで現場に突っ込んできたのだ。
事故が起きた時間帯は、列車の運行間隔は最大で30分しかなかった。ところがJR西日本米子支社は、「作業時間や運行状況の頻度から線路を閉鎖する必要がないと考えた」と述べている。ここでも「定時運行」はすべてに優先され、安全は片隅に追いやられていた。こうしたJRの姿勢が、この事故を引き起こしたのだ。
この事故では、特急列車とは反対方向にだけ見張り要員が立てられていたことが問題になっている。だがそれも、現場労働者の「ミス」や「勘違い」で済ませられることではない。線路上では、予期せぬ事態は常に起こりうる。両方向に見張りを立てることもできない人員で作業を行わせていたこと、その背後にある大合理化=人員削減こそが、事故の原因なのである。
反合・運転保安確立へ闘おう
安全は労働組合の闘いなしに守ることはできない。
尼崎事故後、JR西日本は大わらわで「安全性向上計画」を策定した。JR連合・西労組はもとより国労西日本エリア本部の上村革同もこれに飛びつき、「労使の信頼なくして安全なし」と言い立て、「労使協議」で安全が確保できるかのようにうそぶいてきた。
だが、現場においてJRの安全無視の姿勢は根本的には何も変わっていない。今回の事故はこのことをはっきりと突き出した。
いったい分割・民営化以降、どれだけの保線労働者が触車事故で殺されてきたのか。今回は国労組合員も殺されたのだ。その怒りを今こそ全面的に解き放ち、動労千葉を先頭にすべての国鉄労働者が反合・運転保安春闘に決起し、JR体制を食い破る闘いに立とう。
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週刊『前進』(2232号2面4)(2006/02/06)
“日教組と自治労つぶす” −『文芸春秋』12月号−
中曽根・森発言に大反撃を
1月20日、小泉は施政方針演説で「改革の手を緩めてはならない」「郵政民営化の実現を弾みに改革を続行する」と叫びたて、公務員の総人件費削減を第一の課題に押し出した。教労、全逓、自治体、国鉄の4大産別攻防は、小泉政権と対決する歴史的な決戦に突入した。
動労千葉の反合・運転保安春闘と教育労働者の「日の丸・君が代」強制拒否の闘いを基軸に、労働者階級は小泉=奥田の戦争・改憲と民営化(労組破壊)の攻撃に総反撃をたたきつけよう。すでに4大産別は、自治労臨大、国労中央委員会を皮切りに、JPU(全逓)臨大、日教組臨大に至る大攻防に入っている。これらはいずれも、敵階級に屈して労働組合を改憲勢力に転落させようと策す腐敗した労組幹部に対し、現場組合員が下から闘いを挑む激突点である。
こうした一大攻防のただ中で、支配階級はついに、郵政民営化や公務員制度改革の狙いが公務員労働運動の破壊にあることをあけすけに公言し始めた。
中曽根 国鉄民営化は、国鉄労組を崩壊させました。国鉄労組の崩壊は総評の崩壊、つまり社会党崩壊につながります。だから、国鉄改革は、日本の基盤に大きな変革を与えたんですよ。もちろん私はそれを認識して実行に移しました。
私が三木内閣の幹事長をしていたとき、国鉄労組が八日間のゼネストをやった。私は徹底的に戦ってストを破った。そして二百二億円の損害賠償を要求して以後、法廷闘争となった。その時以来、国鉄の民営化と総評・国鉄労組の壊滅を狙っていたのです。
国正 森さんはいまの郵政改革もそれだけの重みがあるとお思いですか。
森 あるんですよ。全逓(現JPU)、全郵政に関わることですから、民主党を支える組織というのは連合でしょ。その連合の左派中心勢力は、日教組と自治労の二つです。この二つがつぶれたら、民主党は大きく変化せざるを得ません。
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改憲への反動的突破口開く攻撃
『文芸春秋』12月号の「結党五十年 自民党十大事件」と題する座談会で、元首相の中曽根康弘や森喜朗は、国鉄分割・民営化の目的は国労と総評の解体にあったこと、現在の攻撃はJPU(全逓)、日教組、自治労の解体に狙いがあることを、これ見よがしに言い放っている。(別掲)
政権政党の実力者が、特定の労組を名指しして「つぶす」と公言すること自体、労働者の団結権を否定する暴挙であり、国家的不当労働行為そのものだ。絶対に許せない。
支配階級は、公務員労組の解体に明確にかじを切っている。これら労組の幹部たちは、国鉄分割・民営化に震え上がり、連合路線に転向することで延命を図ってきた。だが、現場組合員の階級性はけっして解体されてはいない。それが、連合を丸ごと改憲勢力化させようとする策動に頑強な抵抗線を形成してきたのだ。
だから支配階級は、公務員が労組に結集し団結していることを目の敵にして、全面的な攻撃に踏み込んできた。中曽根や森があえて公務員労組の壊滅を絶叫しているのは、支配階級の反動的エネルギーをここに向けて結集させ、JPUや日教組、自治労を踏みつぶして改憲への突破口を押し開こうとしているからだ。
この攻撃と全面対決してこそ、労組の存在、職場の団結、仲間との連帯は守られる。労働者の利害を全面的に敵に売り渡して延命を図る連合指導部を打ち倒すべき時が到来した。
国家的不当労働行為を開き直る
昨年11月20日には、NHKの「日曜討論」に出演した中曽根が次のように言い放った。
「国鉄労働組合っていうのは総評の中心だから、いずれこれを崩壊させなきゃいかんと。それで総理大臣になった時に、今度は国鉄の民有化ということを真剣にやった。……で、国鉄の民有化ができたら、一番反対していた国鉄労働組合は崩壊したんですよ」
国鉄分割・民営化は、国鉄労働運動を解体するために強行された国家的不当労働行為である。国鉄1047名闘争が、解雇撤回・JR復帰を求めて現に闘われているこの時に、“国家的不当労働行為をやったのは私だ”と中曽根は自慢げに吹聴しているのだ。こんな暴言を許していて、1047名闘争の勝利はない。徹底的な弾劾の闘いを巻き起こさなければならない。
1047名闘争は、19年の闘いを経てついに1047名総体の統一陣形を形成し2・16総決起集会へと歩を進めている。中曽根・森暴言を、今度こそ敵階級の命取りに転化させよう。
4大産別はいずれも敵の側から「絶滅」の対象に指定された。だが、それは危機に駆られた敵階級の悲鳴なのだ。労働者が退路を断ち、団結を固めて総力で闘えば必ず勝てる。動労千葉と教育労働者の「日の丸・君が代」拒否の闘いを軸に06春闘に総決起しよう。
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週刊『前進』(2232号2面5)(2006/02/06)
1・5〜1・19
連合が「国民投票法案」賛成へ
公務員改革の協議再開/北海道で職員30%削減
●政府、国家公務員処分指針作成へ 政府は国家公務員を処分する根拠となっている「分限制度」について、運用指針を作成する方針を固めた。(5日)
●JPUが初代社長内定の西川を呼ぶ 日本郵政公社労働組合(JPU)は新年交歓会を開き、日本郵政株式会社の初代社長に内定している西川前三井住友銀行頭取を来賓として招待した。(10日)
●若者意識調査、終身雇用や給料重視志向 財団法人「社会経済生産性本部」が若者意識アンケートを公表=要旨別掲(11日)
●自動車総連が4年ぶりに賃上げ要求 自動車総連は中央委員会を開き、4年ぶりに賃上げを要求する方針を決めた。(12日)
●NTT労組、ベア要求見送り NTT労働組合は06春闘でベースアップ(ベア)要求を見送る方針を明らかにした。ベア要求の見送りは6年連続。(12日)
●民主党、国会決議で公務員の分限免職運用見直し 民主党は通常国会で、民間並みのリストラを可能にするよう公務員の分限免職制度の運用を見直す決議案を提出する方針を固めた。(13日)
●北海道、10年で職員6000人削減方針 北海道は約2万人の一般職員を05年度からの10年間で30%(約6000人)削減する計画案を決め関係労働組合に説明。(13日)
●日産労連、ベア1000円要求 日産労連は中央委員会で、今年の春闘で賃金改善分(ベアに相当)1000円と賃金カーブ維持分(定期昇給に相当)の確保を柱とする賃上げ要求基準を決めた。(13日)
●連合、政府と公務員改革の協議再開 政府と連合は公務員制度改革をめぐる「政労協議」を1年半ぶりに再開した。(16日)
●JAM春闘方針 JAMは19日まで中央委員会を開き、賃金体系が確立されているところは定昇プラス2000円以上、体系未整備の中小では6500円以上の賃上げ要求方針を決定。(18日)
●連合、中執会議で三つの重要文書発表 連合は中執会議を開き、@「国の基本政策に関する連合の見解」、A「在日米軍再編(トランスフォーメーション)問題に関する連合の考え方および対応について」、B「公共サービス・公務員制度のあり方に関する連合の考え方」の三つの重要文書を発表。@では、「国民投票法案について民主党とも協議し対応する」と、事実上の賛成を表明。(19日)
●トヨタ労組がベア1000円要求 トヨタ自動車労働組合は06春闘の賃上げ交渉で、1000円のベアを要求する方針を固めた。(19日)
●ホンダ4年ぶり賃上げ要求 全国本田労働組合連合会(全本田労連)は中央委員会を開き、4年ぶりのベア要求を柱とした今春闘方針を決めた。(19日)
社会生産性本部「若者意識アンケート」概要
・対象
05年秋に実施した新入社員研修受講者にアンケートを配布
・「業績や能力が大きく影響する給与システム」の希望者 64%(前年同期比0.3ポイント減)
・「仕事を通して発揮した能力を基に評価され、昇格に差がつくような職場」の希望者 69%(3年連続減少)
・「仕事の成果で評価されることを前提に、時間・場所などを自由に選べる職場」の希望者 29.9%(98年春以降で初めて3割を切る)
・「今の会社に一生勤めようと思っている」 25.6%(前年同期比8.1ポイント増加)
・転職する際の決め手
仕事のやりがい 56%(8.2ポイント減)
給料 25%(3.2ポイント増)
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週刊『前進』(2232号3面1)(2006/02/06)
「改革続行」叫ぶ小泉打倒せよ
公務員の定数・賃金削減と社会保障制度解体へ進む
増税と犠牲転嫁の政府予算案
小泉内閣が策定した06年度政府予算案は、労働者階級人民への大増税と社会保障の解体を強行する生活破壊予算である。またこれは、「三位一体改革」とあいまって公務員労働者への人員削減・賃金引き下げの攻撃を一層激化させるものになる。だが、膨大な財政赤字の累増は、日帝が国家的体制的な破産に直面していることを示している。労働者階級が生活・生存を全うするためには、財政赤字を口実とする一切の攻撃と立ち向かい、資本主義=帝国主義を小泉政権もろとも打ち倒さなければならない。
GDPの150%にも膨張した累積債務
小泉は、06年度政府予算案で新規国債発行額を30兆円以下に抑えたことを「改革の芽が大きな木に育ちつつある」とうそぶいている。しかし06年度の新規国債発行額は29兆9730億円で、30兆円をわずかに下回ったにすぎない。国債依存度(歳入全体に占める新規国債発行額の割合)は37・6%で、借金に頼った財政運営はこれからも続く。
その結果、06年度末の国債累積残高は542兆円にもなる。国と地方を併せた長期債務残高は775兆円、GDPの151%に上る。この数値は第2次大戦中の1942年のそれを超えている。GDP比でこれほどまでに債務を膨らませた国は、OECD(経済協力開発機構)加盟の帝国主義国の中では日本だけだ。
膨大な債務の累積により、過去に発行した国債の元利償還に充てる国債費も18・7兆円、歳出総額の23%に膨らんだ。
これだけの財政赤字を生み出したのは、バブル崩壊以降、一方で膨大な恐慌対策=資本救済費が投入されると同時に、他方で法人税率の引き下げや投資減税など資本への減税が繰り返されてきたからだ。財政赤字の責任は労働者には何ひとつない。
90年代には11回、総額137兆円に及ぶ景気対策が行われた。銀行に投入された公的資金は36兆円にも及ぶ。国家財政に寄生することで、資本はようやく延命できたのだ。
日帝は、今後も悪無限的に債務を増大させていくほかにない。だが、それはそれで長期金利の上昇と国債の急落という事態をどこかで必ず引き起こす。だから小泉は、日帝国家と大資本の延命のために、一切の犠牲を労働者人民に押しつけようと、本格的な攻撃に踏み込んできたのである。
資本救済のツケを労働者にしわ寄せ
06年は労働者への大増税のラッシュが続く。すでに1月には所得税の定率減税が半減された。07年1月には定率減税は全廃される。これにより、05年度と比べて年収700万円の夫婦2人・子ども1人世帯では年間8万2千円、年収500万円の独身世帯では7万6千円もの大増税になる。
所得税の定率減税は、99年に「景気対策」として導入された。これと同時に98年から99年にかけて、法人税率も37・5%から30%へと引き下げられた。法人税率は低く据え置いたまま、労働者の生活を直撃する所得税の定率減税だけは廃止するというのである。
消費税の税率引き上げも早晩、不可避だ。これは日帝が延命するための基本方針になっている。すでに日本経団連は、03年の「奥田ビジョン」で消費税率を18%にも28%にも引き上げることを唱えている。小泉は「自分の任期中は消費税を上げない」とうそぶくが、それは”当面は公務員制度改革など公務員労働者への攻撃に全力を集中する”という宣言にほかならない。
今や消費税は、法人税や所得税を上回る最大の税収項目になっている。89年の導入以来、今日までに徴収された消費税の総額は、同時期に行われた法人税減税の総額に匹敵すると言われている。ところが資本は、今なお「各国に比べて高い法人実効税率を下げるべき」(奥田の年頭記者会見)と叫び立てている。
所得税の累進税率も、大幅に緩和された。かつて19段階で最高税率が75%だった累進税率は、現在、4段階で最高税率37%へと変えられている。
大企業や高所得者への大減税が繰り返される一方で、労働者人民に対しては徹底した収奪が貫かれている。国税庁の民間給与実態調査でも、労働者の平均年収は97年の467万円から04年の438万円まで7年連続で下がっている。ライブドアの堀江貴文らがうち興じていたマネーゲームも、こうした現実の上に成り立ってきたのである。
高齢者から医療奪う自己負担増
政府予算案は、「医療制度改革」を軸にした社会保障給付の大幅削減に踏み込んだ。高齢者への医療費自己負担のアップで900億円、診療報酬の3・16%削減で2390億円の社会保障費が削られた。
その一方、軍事費や治安対策予算は増強される。BMD(ミサイル防衛構想)の日米共同開発費には1399億円の大金がつぎ込まれ、テロ対策費には245億円が充てられる。05年度補正予算には、辺野古崎基地建設の調査費に3億円が盛り込まれた。警察官を3500人増員する計画にも予算が付いた。
戦争・改憲に向けて財政面からかじを切る一方、噴出する労働者階級の怒りを暴力的に鎮圧しようというのである。
公務員労働者への攻撃を打ち破ろう
昨年12月24日、小泉政権は政府予算案とともに「行政改革の重要方針」を閣議決定した。これは、今後5年間で国家公務員定数を5%以上、地方公務員定数を4・6%以上純減し、今後10年間で国家公務員の総人件費を対GDP比で半減するというものだ。
06年度はその最初の年に当たる。06年度政府予算案は「行政改革の重要方針」を財政面から貫徹しようとするものにほかならない。実際、予算案は国家公務員定数の1455人減を前提に編成されている。国家公務員の総人件費は前年度比700億円のマイナス、しかもそのうち270億円分は「給与構造改革」、すなわち賃下げによってまかなうというのである。人事院の「賃下げ勧告」さえ待つことなく、小泉はすでに予算案で公務員賃金の削減に踏み込んでいる。これは、「三位一体改革」とあいまって、公務員労働者への攻撃に一層の拍車をかけるものになる。
地方自治解体の「三位一体改革」
「三位一体改革」は、06年度から本格的な段階に入る。「三位一体改革」とは、@国から地方自治体に支給される補助金の廃止・削減、A国から地方自治体に支給される交付金の削減、B国から地方自治体への税源移譲、を同時一体に進めるということだ(補助金は国によって使い道が定められているが、交付金は建前上は自治体が自由に使えることとされている)。廃止される補助金の総額は4・7兆円、税源移譲は3兆円。何のことはない、自治体にとっては総額で1・7兆円の減収になるのだ。
要するに、「地方分権」を装ってはいるが、これが結果するものは労働者人民への大増税と社会保障の解体、公務員労働者への首切りと賃金削減=公務員労組の破壊にほかならない。
すでに04年度予算で義務教育国庫負担金、公立保育所運営費などが、05年度予算で国民健康保険等国庫負担金、義務教育国庫負担金などが削られた。06年度予算では児童手当国庫負担金、義務教育国庫負担金、公営住宅家賃対策補助費などが削られる。
ただし、05年度予算までは、削減された補助金額にほぼ見合う額が「所得譲与税」「税源移譲予定特例交付金」などの名目で国から自治体に支出されていた。しかし、06年度途中の07年1月からこうした支給は打ち切られ、自治体は自前で財源を確保しなければならなくなる。そのため07年からは、地方税である住民税が引き上げられる。
だが、このことは自治体にとっては、より不安定な財源基盤で財政運営をしなければならなくなるということだ。自治体が財源を確保できなければ、教育や医療、福祉にかかわる施策は容赦なく切り捨てられる。自治体業務の民営化・民託化も激しく進行する。
実際、竹中総務相は、こうした事態を想定して「自治体破産法制」の制定を唱えている。「地方分権」のうたい文句とは裏腹に、〈自治体の財政破産→国家管理〉という事態が頻出しかねないのだ。
何よりも、公務員労働者への人員削減・賃金切り下げの攻撃はこれまでになく激化する。北海道では、「財政再建団体転落は必至」と叫ぶ道当局によって今後2年間の賃金10%削減と今後10年間での人員3割削減が強行されつつある。
小泉が今国会に提出しようとしている行政改革推進法案や「市場化テスト法案」は、公務員労働者の首切り・賃下げと公共部門の民営化・民託化をより大規模に推し進めようとするものだ。支配階級は、公務員労組の破壊を狙ってここに攻撃を集中させている。
だが、その口実とされた財政赤字は、日帝自身によっては絶対に解決できない。過剰資本・過剰生産力状態の中で資本は国家財政に寄食するほかに生き延びられず、赤字累増は財政構造の中に完全に組み込まれている。他方、今日の財政赤字は、どんな過酷な大増税や社会保障の切り捨て、公務員リストラを強行しようが、とうてい穴埋めできるものではない。
膨大に発行された国債の最大の所有者は銀行だ。国家財政の崩壊で奈落の底に落ちるのは大銀行と大企業だ。その時は迫っている。資本の一時的延命のために、労働者がこれ以上、犠牲にされてなるものか。
金融資本の寡頭制支配を覆す歴史的使命と能力を持つ労働者階級だけが、現状を打破できる。体制的に破産し歴史的生命の尽きた資本主義=帝国主義を倒してこそ、労働者の未来は開ける。攻撃の矢面に立つ4大産別の労働者は最先頭で反撃に立とう。大増税と生活破壊の政府予算案を阻み、小泉政権を打ち倒そう。
〔岩谷芳之〕
目白押しの大増税
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06年1月 所得税の定率減税半減
5月 酒税の税率変更
6月 住民税の定率減税半減
7月 たばこ税1本1円の増税
10月 70歳以上高齢者の医療費自己負担増
(「現役並み所得者」は2割→3割)
高額療養費制度の限度額増額(自己負担増)
高齢者の入院患者から食費・居住費を徴収
介護保険料の増額
07年1月 所得税の定率減税全廃
所得税の最低税率は10%→5%
所得税の課税最低限の引き下げ
(低所得者からも税金徴収)
6月 住民税税率を一本化(低所得者には増税)
(3段階〔5、10、13%〕→1段階〔10%〕)
08年 70〜74歳の高齢者の医療費自己負担増
(「一般所得者」1割→2割)
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週刊『前進』(2232号3面2)(2006/02/06)
“3人当選へ今年が重要” 都革新 新春のつどい
動労千葉 06春闘状況を報告
都政を革新する会と同後援会の06年新春のつどいが1月22日に杉並区内で開かれた。来年に区議選を控えたこの1年間を全力で闘おうという熱気があふれた。「つくる会」教科書採択阻止の闘いと都議選決戦を一体で闘いぬいた昨年の闘いが、都議選での当選は果たせなかったとはいえ、切り開いた地平の大きさを感じさせた。
都政を革新する会の北島邦彦事務局長が司会を担当し、最初に後援会の実方精一会長が開会のあいさつを行い、「来年の区議選では絶対に結柴、新城、北島の3名を当選させたい。そのためにはこの一年が重要です。ぜひご協力を」と訴えた。
(介護と福祉を要求する杉並住民の会会員の音頭で「今こそ私たちがしっかり頑張ろう」と06年を全力で闘う決意を込めて乾杯【1月22日 杉並】)
主催者あいさつに立った結柴誠一杉並区議は、介護・医療を始めとする社会保障の解体や増税で労働者人民に犠牲を強制している現実を怒りを込めて弾劾した。そして国家が破産状態に転落する中で、イラクに自衛隊を派兵し、改憲攻撃を進めるなど戦争への道を突進している小泉政権の打倒を訴えた。そのためにも「働く労働者たちの手で自分たちの政党をつくり、その力を広げていきたい」と語った。
動労千葉特別執行委員の後藤俊哉さんが特別報告を行った。後藤さんは、「JRは安全綱領をなくして、第一に稼ぐというのを掲げている。そんな中でレールが割れるという事態が起こっている。鉄道輸送では安全が第一。それを投げ捨ててしまったのがJR。JRはもうけ一辺倒になった。それが尼崎事故、羽越線事故の原因だ。動労千葉は06春闘をストライキで闘う」と語った。
続いて長谷川英憲代表が年頭のあいさつを行い、都議選や「つくる会」教科書採択阻止の闘いを振り返り、連合を始めとした労働運動の改憲勢力化を阻んだことや動労千葉が呼びかけた11・6労働者集会が大成功したことをあげ、「都革新の闘いは根本的なところで日本の労働者民衆の闘いを支え、今後の展望を握りしめるものとなった。この道が正しい。まっしぐらに進もう」と呼びかけた。
乾杯の後、来賓のあいさつではまず三里塚芝山連合空港反対同盟から市東孝雄さん、鈴木謙太郎さん、萩原富夫さんがあいさつ。市東さんは「三里塚は軍服での自衛隊の成田からの出兵を阻んできた。第9次派兵部隊が成田から出兵しようとしていることは許せない。農地死守、戦争絶対反対で勝利まで闘う」と力強く語った。
介護と福祉を要求する杉並住民の会代表の八木ケ谷妙子さんは、「一人ひとりかけがえのない命です。この命を冒すものから守らなければならない」としっかりと進むことを訴えた。
「つくる会」教科書に反対して闘う現場からは、教育労働者が杉並区と東京都の現場教員への処分策動を許さないためのバックアップを訴え、また4月から「つくる会」教科書を使わせないために採択撤回署名や集会への参加を呼びかけた。
歓談の中で会員の女性が日本舞踊を舞い、清掃労働者が尺八を演奏した。日ごろ鍛えた芸の見事さに惜しみない拍手が送られた。来賓のあいさつや友好団体の連帯表明が続き、革共同からは天田三紀夫書記長が、歴史の転換点を迎えている中で勝利に向かってしっかりと闘いぬく決意を表明した。また、獄中31年無期懲役と闘う無実の星野文昭同志の弟の星野修三さんが「今年こそ出したい」と闘いを呼びかけた。
最後に、新城せつこ区議がまとめと行動方針を提起し、「健康を守って元気に闘いましょう」と締めた。和やかな中にも、来年の区議選に向かって決意を固める新春のつどいとなった。
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週刊『前進』(2232号3面3)(2006/02/06)
連合中央 公務員制度改革に屈服 春闘方針でも大裏切り
改憲勢力化の策動強める
今日、4大産別決戦と06春闘の勝利のために、連合中央のまったく許し難い裏切り、反労働者的な策動を批判し、これと徹底的に対決することは、必須不可欠の課題である。公務員制度改革や06春闘をめぐって、また改憲阻止闘争をめぐって、連合中央は、郵政民営化への全面屈服に続き、断じて許せない裏切りの道を進んでいる。
連合中央の制動を突き破って、教育労働者の「日の丸・君が代」不起立闘争と動労千葉の反合・運転保安闘争を先頭に、4大産別決戦と06春闘の戦闘的爆発をかちとろう。そして職場からの反乱で連合の労働者支配を突き破り、帝国主義を打倒する戦闘的・階級的労働運動の前進をかちとろう。
連合の反労働者性は、第一に今年の最大の決戦課題である公務員制度改革の攻撃に完全に屈服し、その先兵に転落したことである。
公務員改革で政労協議開始
小泉政権の「公務員制度改革」は、国家・地方公務員に対する大規模な人員削減、賃下げの攻撃であり、あわせて戦後地方自治制度を解体し、新たな中央集権体制を形成して戦争国家への大転換をはかろうとするものだ。しかも、その一切のテコとして自治労など公務員労働運動の解体が狙われているのである。
この大攻撃に対して、総力を挙げて大反撃に立つべき時に、連合は、公務員の総人件費削減に反対してきたこれまでの方針を大転換し、政府の「行政改革の重要方針」を大筋で承認し、1月16日から政府との政労協議を開始した。これには、岡部自治労委員長(連合副会長)も加わっている。「協議の行方によっては、自ら削減案を打ち出すことも検討する」としている。労働組合の自殺行為に等しい裏切りである。
日帝は、改憲と戦争国家化のためには、自治労・日教組・全逓・国鉄など旧官公労系労働組合の戦闘力を解体することが不可欠であるとして、決定的な攻撃をかけている。逃れられない決戦であることを見据えて組織の存亡をかけて闘う以外に、自治労の明日はない。その時に、敵前逃亡とは一体何ごとか!
連合幹部は「肉を切らせて骨を断つしかない」(朝日新聞1・13付)などと大見栄を切っている。だが、背中を見せて逃げ出していて、どうして「骨を断つ」ことができるのか!
スト権など労働基本権の獲得をバーターでめざすと言っているが、まったくのペテンでしかない。労働基本権は、「公務員制度改革」粉砕の決戦を、組織の存亡をかけて全力で闘ってこそ、その力関係の中で初めて、奪われたものを奪い返せるのである。それなしに、支配階級が、公務員労働者にスト権を付与するなどと期待することは、まったくの幻想でしかない。
経団連と一体で賃闘を抑圧
連合中央の大裏切りは、第二に、06春闘方針で日帝・経団連に完全に屈服していることである。官民問わず吹き荒れるリストラと賃下げ、賃金制度改悪、雇用破壊などの大攻撃に対して、連合中央は何ひとつ闘わず、ストライキひとつ打たず、ズルズルと後退と屈服を重ねてきた。
まったく闘わない連合中央、労組幹部に対して、「組合員の生活も権利も守れなくて、なんのための組合か」と組合員の怒りと不満が高まり、「今年こそ大幅賃上げを」という闘いの気運が高揚している。この中で危機に立つ連合中央は、わずかばかりの「賃金改善」要求で、組合員の怒りと闘いの爆発を抑え込もうとしているのだ。
1人当たり平均年間給与額は98年以降、年々減り続け、04年(438万8千円)は97年(467万3千円)と比較すると実に30万円近い減収となっている(国税庁「税務統計から見た民間給与の実態」)。そして、06年度は所得税や個人住民税の定率減税半減や厚生年金保険料の値上げ、高齢者医療費窓口負担の値上げなど、負担増の攻撃がこれでもか、これでもかと労働者家庭に襲いかかろうとしているのだ。
ところが連合中央の対応はどうか。階級的に団結して賃金の底上げをめざす統一ベースアップ要求を否定し、成果主義賃金など格差賃金を全面的に受け入れる立場から、一部の労働者についての「賃金改善」要求を掲げているに過ぎない。しかも労働者への犠牲の転嫁で大企業は空前の利益を上げているというのに、掲げた要求額は基幹労連が3000円(2年分)、電機連合が2000円、UIゼンセン同盟2500円などという低額だ。
連合・高木は次のように言っている。
「『少しバランスを改善して』という意味で実質的な賃上げをお願いする」「ヨーイドンで1万円、2万円上げてくれ、という話をしているわけではない。『控えめで理性的な要求』をしているのだから、そこは考えてほしい」(朝日新聞1・14付)。
なんという、資本家どもに奴隷的に屈服した言い方か。労働者は、資本家によってとことん剰余労働を搾取されている。労働者に支払われる賃金は、労働者が労働力を再生産するための、かつかつの費用でしかない。それすらをも危機に立つ資本家どもが削りこんで、労働者階級を塗炭の苦しみに追いやっている時、労働者は階級的に団結し、ストライキの力を武器にして資本家階級と対決し、職場からの反撃に立つべきなのである。それなのに連合中央は経団連に屈服し、資本の存立を脅かす労働者の闘いの爆発を押さえつけようとしているのだ。
06年版経労委報告は、「激しい国際競争と先行き不透明な経営環境が続く中、国際的に見てトップレベルにある賃金水準をこれ以上引き上げることはできない」と述べている。連合・高木はあろうことか、この報告を「評価できる」と述べ、経団連と労資一体で労働者を国際競争に駆り立てようとしている。
経労委報告は、労働者の職場からの反乱を心底恐怖し、労働者の意識改革で資本に忠実な労働者をつくり出そうとしている。そのために「ワーク・ライフ・バランス」(仕事と生活の調和)という考えを持ち出している。その狙いは、資本にとってもっとも効率よく雇って自由にクビを切れる非正規雇用労働者を大量につくり出すということである。同時に労働組合・労働運動を否定するものである。ところが、連合は経団連と同様にこの考え方を「連合白書」に盛りこんでいる。
こんな連合の言いなりになっていたら、労働者は一切の権利を奪われ、資本によって身も心もボロボロになるまで働かされ、「使い捨て」にされるだけだ。
連合中央の屈服と裏切りを粉砕し、一律大幅賃上げ要求を掲げて、06春闘を職場から戦闘的に闘おう。
国民投票法案に賛成の方針
第三に、昨年、労働者の闘いによって改憲勢力化を阻止された連合中央が、なんとしても加盟組合全体を改憲勢力化させようと策動を強めていることである。
連合は、1月19日に中央執行委員会を開いた。そこで、昨年の大会で「承認」を得るに至らなかった「7・14改憲見解」については、「統一的に対応することは現段階では控える」とした。連合内加盟組合から強い反対があるためだ。
だがその上で、改憲への決定的な攻撃である「国民投票法案」について、「早急に、民主党とも協議しながら具体的な対応を図っていく」と意思統一した。
民主党はすでに国民投票法案賛成−9条改憲の立場であり、したがって「民主党とも協議しながら」とは、連合が国民投票法案に、民主党とともに賛成するということだ。それは、9条改憲に向かっての重大なステップである。
日本共産党の「赤旗」1・20付は、この1・19連合中執の決定を報道して、あたかも連合が「7・14改憲見解」の貫徹をいったん止めたかのように報道しているが、それはとんでもない誤りである。連合が国民投票法案の推進を決めたことは、「改憲見解」の線で自治労中央も日教組中央も突き進め、組合内の反対運動を押さえつけろと、号令をかけているのだ。
改憲は、日帝の体制的死活のかかった延命戦略であるが、日帝は大きな困難に直面している。依然として広範な労働者人民が9条改憲に反対しており、改憲攻撃を粉砕する展望は大きく存在している。06−07年の巨大な大衆的闘いで国民投票法案を粉砕し、敵階級が国民投票に持ち込むことなどできない情勢をつくり出そう。そうして日帝の延命の道を断ち、日帝打倒へのプロレタリア革命の大きな血路を切り開こう。
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週刊『前進』(2232号4面1)(2006/02/06)
3・5沖縄県民大会 10万人大決起を
名護市長選の結果について
新基地阻止へ真に闘う者の団結をつくりあげよう
1月22日に沖縄・名護市で市長選挙が行われた。この選挙の結果について正しい認識をもつことは、06年の階級攻防、とくに1〜3月の決戦攻防の階級的全構造を理解する上できわめて重要である。4大産別決戦を闘う労働者階級人民と日帝国家権力との関係はこの選挙の結果、どうなったのか。改憲決戦と一体であり、その中身そのものでもある米軍再編と日米安保同盟の大強化、新たな安保・沖縄決戦にとって、それはどんな意味をもったのか。
名護市民が示した強固な反対の意思
結果はすでに報道されているように自民・公明推薦で岸本現市長の後継者として出馬した島袋吉和氏(元名護市議会議長)が16764票で勝利した。名護新基地反対を掲げ、社民・共産・社大の3党と反自公の立場で自民党から離脱した下地幹夫(衆議院議員)が推薦し、北部地区労や自治労北部総支部など労組3団体も推薦した我喜屋宗弘氏は11029票。また、同じく新基地反対を掲げて単独立候補した大城敬人氏は4354票をとった。我喜屋、大城両氏の得票をあわせると島袋に1381票の差である。政府と自民党はこの選挙結果を、〈名護の基地誘致派が反対派に大差で勝利〉したものとして描き出そうとしている。沖縄においても〈大差で島袋氏が勝利〉という表現もなされてはいる。しかし、これはどう分析しても大差の勝利とはいえない。8年前の名護市民投票のときの票差(2372票差)を大差ではないと言って無視した連中が、今度は基地反対派に対する大差の勝利と強弁しているだけのことである。4年前の市長選では、住民投票の時の代表者・宮城康博氏が現在の岸本市長にダブルスコアで敗北した。その選挙戦は、沖縄サミット直後の最悪の状況をはね返して、3分の1の絶対反対派がぎりぎりの存在を示した意義ある闘いであった。
今度の選挙結果が示していることは、この4年間で名護における絶対反対派が増大したという事実である。それは、政府を破綻(はたん)に追い込んだ辺野古の実力闘争、とりわけこの2年間展開された海上攻防戦の勝利が作り出したものである。反対派陣営としては候補者が2つに分裂したままで行われた選挙であったにもかかわらず、名護市民は保守・自公派に僅差(きんさ)の勝利しか与えなかった。それは、まさに現地の実力攻防の勝利が作り出した結果である。
OTV(沖縄テレビ放送)などの事前の世論調査において、名護市の有権者の54%は名護新基地絶対反対だった。36%が条件による反対(賛成)、無条件賛成は3%強しかいなかった。その数字におびえた島袋(岸本)陣営は、昨年10月の日米合意(「中間報告」)にたいして候補者全員が反対だから米軍再編・新基地問題は争点ではないと必死で宣伝した。島袋は、自分も新基地建設の現在案には反対、問題は今後の名護市とやんばる(沖縄本島北部)の経済振興である、その点において県と一体で国と対応していくことが自分のスタンス、と主張した。現在の政府案に反対という建前をとっている稲嶺知事が名護に乗り込み必死で島袋を応援する一方、自民党中央や政府関係者は誰も応援に現れないという「異様」な選挙だった(現れたらマイナス)。
このような状況のもとで、しかも辺野古の「命を守る会」やヘリ基地反対協としても誰を支持するか明らかにできない(しない)という状況の中で選挙は行われた。現地闘争主体は、真剣な討論を経て、闘争主体の団結を守ることを最優先にするという結論に到達し、それを実践しぬいた。
選挙戦の過程では、頭越しの候補者決定(現地闘争主体無視)に対する怒りや、選挙での分裂が闘争現場に持ち込まれることに対して、辺野古の実力闘争陣形を守り発展させる立場でどう対応するかが問われ続けた。辺野古の闘争主体は、この厳しい試練の時を見事にのりこえつつある。それは完全にのりこえられなければならない。
今度の選挙は、そのようなものとして「わかりにくい」複雑な選挙であった。にもかかわらず、島袋はわずか1万6千票しかとれなかった。かつての岸本の得票を大きく減らした。この事実が重いのである。基地誘致派ははっきり後退したという事実が突きつけられているのだ。
沖縄県民レベルでは依然として、8割以上が県内移設に絶対反対である。その中で、名護現地において、しかも複雑な構図の選挙において、強固な反対の意思表示が再びなされたのだ。
したがって、政府と自民党が、「反対派2人を足した数よりも多いのだから大差だ」「名護市民は基地を選択した」などと言っているのはどんな現実的裏づけもない空虚な言葉でしかない。
始まった3月「最終報告」を巡る大攻防
たしかに島袋陣営は選挙戦の最中から、飛行経路をずらす位置の修正を行えば名護市として受け入れ可能というサインを出している。公式にも、島袋は、当選直後の談話で、現行案には賛成しないが、もし政府から修正案が提案されれば協議に応じるという態度を表明した。
(写真 “基地は絶対作らせない”と56隻の抗議船で大浦湾を海上パレード【05年12月23日 名護市】)
防衛庁などが、飛行経路の若干の変更案を示すことによって名護市を手玉に取ろうとしていることに警戒感をもっている稲嶺知事は、すぐにも政府側との交渉に引き込まれかねないこの島袋の言動に対して、あくまで県とともに一致して進むことを確認させた。
日帝・政府は、3月の「最終合意」までに政府案で名護市を屈服させようと直ちに動きだしている。自民党の山崎拓は25日には名護に入った。山崎は傲慢(ごうまん)な態度で「3月までにはたっぷり時間はある」などと語っている。
一方、この選挙の直後に小泉は、通常国会冒頭の施政方針演説を行った。そこで、小泉は、「現在のところ、沖縄特措法は検討していません」と言明した。これは、3月までになんとかして名護市を落とさなければいけない、新市長をそのための交渉に引き込まなければならないという追いつめられた立場からのだましの政治的発言である。小泉は「現在のところ検討していない」と言ったにすぎない。日帝・小泉は基本的に問答無用で沖縄を屈服させるという脅しの態度を崩していない。
言うまでもなく、昨年10月の日米合意は、けっして「中間的合意」などではなく、今度の米軍再編に関する最終的な合意としてなされた。「中間報告」という表現自体がペテン的なのである。しかも沖縄普天間基地移設に関する現在の「沿岸案」は、日米のぎりぎりの交渉を経てようやく合意にこぎ着けたもので、それを日本側から動かすことはほとんど不可能だ。実際、小泉や防衛庁・政府関係者は「現在案を修正することはできない、名護市との話し合いは政府案に賛成してもらうためのもの」と強調している。
この点で、選挙の直後に上京した稲嶺知事に小泉が相変わらず会おうとしなかったことには意味がある。稲嶺に会ったのは、額賀防衛庁長官と小池沖縄担当相、安部官房長官であるが、彼らは、稲嶺が出した「米側に嘉手納のF15の訓練中止申し入れを政府として行ってほしい」という要求をその場で拒否した。
これは現在の沖縄と日帝政府の関係(「溝の深さ」)をよく現している。沖縄を屈服させるとか取引に引き込むといっても、普通の方法ではできないのだ。単なる「話し合い」では不可能だと言っていい。日帝・小泉はファシスト的・強権的な手法で押し切ることをすでに決断しているのだ。
労働者の力で全島ゼネスト的決起へ
こうした形で、名護市長選挙後の政府と名護市・沖縄県との駆け引きが直ちに始まった。全国の米軍再編関連の各自治体は、緊張してそれを見守っている。名護市との「交渉」いかんで各自治体と政府の「取引」にも大きな影響が出てくるのは明らかだからである。だが言うまでもなく、問題は各自治体と政府の駆け引きにあるのではない。日米関係と日帝の国家存亡、改憲の成否をかけた決戦、戦後革命期のような階級的人民的大決戦がこのようにしてついに始まったということだ。それは4大産別決戦を闘う日本労働者階級の決戦テーマそのものである。
3月の日米の米軍再編「最終合意」の期限を前に、沖縄を先頭にしたギリギリの階級的対決が全国で一気に煮詰まる。今度の名護市長選は独特の形でその始まりを告げた。重要なことはこの選挙は何事をも決定せず、帝国主義と労働者階級人民の非和解的対決構造をさらに深めただけということだ。あらゆる意味で勝負はこれからだ。しかし、3月までの攻防で歴史的な階級決戦の位置取りは大きく決まるのである。
この3月までの「期限」の中で、沖縄で準備されている3・5県民大集会の位置が決定的に大きい。稲嶺と自民党はこの県民大会を超党派県民大会とすることを拒否した。したがって、95年の大田知事を先頭にした10万人大集会とはその構図は違っている。だが日帝政府との階級的対決における位置という点では、95年を超える。95年と同じ会場で開かれるこの県民大集会を文字どおり10万人大決起としてかちとらなければならない。
3月「最終報告」を不可能にたたき込もう!
昨年の8月自治労大会にたたきつけられた沖縄の怒りは全国の労働者階級の階級としての魂を揺さぶった。それは沖縄にもはねかえり、島ぐるみゼネスト決起を労働者階級の力で切り開こうという気運が高まっている。基地労働者は、全軍労のように闘おうという合言葉を掲げ始めた。3・5沖縄は全国闘争である。全国の労働者階級の力で全島ゼネスト的決起へ闘おう。学生、青年労働者はその先頭に立とう。
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週刊『前進』(2232号4面2)(2006/02/06)
全学連中央執行委が方針
改憲阻止ゼネストへ 国民投票法案粉砕の300万学生署名運動を
1月22日、全学連中央執行委員会が開かれ、国民投票法案阻止の「300万学生全員署名」方針が決定された。これは改憲阻止の全国300万学生ゼネスト決戦への号砲だ。
最初に織田陽介委員長が「本日の会議はどうやって300万学生ゼネストを実現するかを議論しよう」と提起。全学連中執からは、昨年に引き続き扇動の変革の総括について確信と気迫に満ちた発言が出された。
広島大学の中島敦史副委員長は「キャンパスが始まったが、かなりの手応えを感じている。アジっていたら学生が『しゃべらせて』と近寄ってきた。マイクを渡すと『小泉チルドレンはむかつく。学生は夢を持とう!』としゃべっていた。こっちが自信いっぱいに登場すれば決起が進む。政治闘争は楽しい。小泉は突っ込み甲斐がある。徹底的に批判しよう」と語った。この発言には全学連の今の前進と勢いが表されている。小泉なんかぶっ飛ばせるという確信、学生大衆への信頼を鮮明にさせた者が新しい言葉を生み出している。時代を動かす主体として登場しているのだ。
新宅公志書記長は「始めから反戦の学生だけに語りかけるのではだめだ。右のイデオロギーをたたきまくって学生にわれわれの本気さを見せたい。右の学生も獲得したい」と決意を語った。法政大の内海佑一副委員長は「学生会館の問題と一体で平林体制打倒!で行く」と決意を述べた。
討論では日本共産党・志位と一橋大学教授の対談の中ではっきりした、日本共産党の「憲法9条があったから日本企業の中国侵略がうまくいっている」という資本家階級の立場に立った主張を徹底的に批判。日本企業の中国侵略の実態を怒りを込めて暴露し、中国経済への幻想を徹底的に批判すること、帝国主義が激しい争闘戦を繰り広げ、戦争に向かっていることを真正面から訴え、帝国主義の命は尽きていることを明らかにすることを決定した。すなわち中国・北朝鮮侵略戦争のための改憲として真っ向から批判していくということだ。
こうした生き生きとした議論を経て、改憲阻止の全国300万学生のゼネストに向けた、国民投票法案阻止の全国300万学生全員署名方針を決定した。織田委員長は、@この署名を国民投票法案粉砕の国会行動と一体で、学生が大挙して国会に押しかけて小泉を直接ぶっ飛ばすような行動のための連絡網づくりとして集めよう、A署名してくれた人に友達をドンドン紹介してもらう、署名を集めてもらう、運動の輪を広げよう、B大学丸ごとの国民投票法案反対の意思表示を目指すものとして、学内全員署名で反対決議を大学としてあげることを実現しよう、との3点を提起した。
全体の議論の中で、全国300万学生全員署名ということで、目標数を300万筆にすることに決定した。「全学連と言えば300万学生と言っている熱い人たち」となればいいと中島副委員長。全学連中執は月に一度の委員会開催を決定し、改憲阻止、小泉打倒に向けて300万学生を指導していくことを決意した。
さらに、こうした大署名運動を展開しながら、3月19日の百万人署名運動の全国集会に大結集することを決定した。3・5沖縄県民大会を頂点とした沖縄基地撤去の闘い、首をかけて闘う教育労働者の「日の丸・君が代」強制拒否の闘いと合流して改憲阻止・国民投票法案阻止へ向けて闘う3・19大結集方針を感動をもって全員が受けとめた。
全国の学生のみなさん! 全学連は本気で改憲阻止ゼネストへ決起する。全学連とともに国民投票法案阻止の全国300万学生全員署名を集める闘いに立ちあがろう! 小泉政権をわれわれ学生の力で打倒しよう!
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週刊『前進』(2232号4面3)(2006/02/06)
イラク情勢 ゲリラ激発、政権協議難航
深まる米帝の泥沼化
1月20日、イラク国民議会選挙の最終結果が発表された。これ自体が昨年12月15日の投票から1カ月以上を経過しての発表であり、昨年末に行われることになっていた正式政府の発足は目途すら立っていない。
議席数は、275議席のうちシーア派の統一イラク連合が128議席、クルド同盟が53議席、スンニ派のイラク合意戦線が44議席、アラウィ派のイラク国民リストが25議席、イラク国民対話戦線(スンニ派)が11議席、クルドイスラム連合が5議席、その他9議席である。シーア派は過半数に届かず、シーア派とクルド同盟をあわせても政府選出に必要な3分の2に届かなかった。
そもそも今回の選挙自身が政治過程が進んでいることを演出するためのものに過ぎない。百以上の投票箱が「不正」として破棄されたが、米帝がその狙いを貫くために政治的に手を加えた可能性は高い。
(写真 イラク武装勢力の攻撃で燃え上がるパイプライン【1月24日 キルクーク】)
選挙結果が出たにもかかわらず、正式政府の発足が遅れている根本には、米帝がシーア派宗教勢力とクルド連合、とりわけシーア派が政府権力を握るのを阻止しようと策動していることがある。特にイラン政府がIAEAの封印を解いて核燃料施設の再稼働を表明した1月3日以降、米帝はその意図を公然とさせてシーア派の権力掌握を阻止する策動に出ている。
米帝はシーア派に対して、スンニ派も含めた連立政権にするように圧力をかけ、なおかつ国防相と内務相のポストをスンニ派に渡すように圧力をかけている。シーア派とクルド同盟も、両派あわせても政権を選出できる3分の2に届かないことからスンニ派を含めた連立政権をつくることを容認し、その交渉を開始しているが、合意の見通しは今のところまったくない。スンニ派は、国防相と内務相のポストだけでなく、憲法の改正を要求しているからだ。その目的は、連邦制によって石油輸出の収入をシーア派とクルド人がそれぞれ握ることを阻止しようということにある。シーア派は、憲法の改正は認められないとしており、軍・警察を巡る権力争いでも単純に合意が成立するのは困難である。
イラク軍と警察にはシーア派がバドル旅団から、クルド同盟はその軍事組織ペシュメルガから人を大量に送り込んでおり、実体的に握っている。これに対して米帝は、スンニ派の部族の有力者を使ってスンニ派から軍・警察の要員募集を進めているが、それに対しても解放勢力の自爆戦闘がたたきつけられている。
闘うイラク人民・ムスリム人民は、帝国主義の占領からイラクを解放するために激烈なゲリラ戦争に決起しており、米帝がスンニ派有力者を取り込もうとしたからといって、解放戦争を放棄することなど基本的にあり得ない。米帝は、スンニ派を政権に取り込むことでゲリラ戦争が弱まるのではないかと期待を寄せているが、まったくの幻想に過ぎない。むしろこの策動は、これまで米帝の侵略に加担、協力してきたシーア派との矛盾を拡大し、占領支配の泥沼化を深めることは不可避である。
米帝がシーア派の封じ込め策動を開始したのは、何よりもイラン情勢に対応するには、戦争を発動できる部隊を確保しておかなければならないということである。イラクで抜き差しならない米帝の足下を見透かして、イランが核開発再開という強硬な態度を鮮明にしたことに対して、米帝はイラクにいる部隊を削減して戦争を発動できる体制をつくろうとしているのだ。すでに安保理付託が問題となり、経済制裁や核施設空爆さえ取りざたされている。
米帝は、イラク人民、ムスリム人民の民族解放戦争がますます激しくなる中で抜き差しならない泥沼にずっぽりとはまりこんでいる。イラク人民のゲリラ戦争を制圧することはまったくできず、逆に米軍自身が崩壊の危機に陥っている。2200人を超える米兵が命を落としただけではない。1万6千人を超える米兵が深刻な負傷で入院していたり、治っても大きな障害を抱えている。さらに帰還兵の自殺や、募兵が大幅に目標を下回るなどの事態が起こっている。
一方、米軍がイラクから撤退すれば、米帝の中東支配そのものが決定的な危機を迎えるばかりか、独仏を始めとしたEUとの帝国主義間争闘戦で決定的に後退を強いられることになる。
原油価格は再び1バレル70jの大台に迫っており、イラク戦争の財政負担も1兆jから2兆jという見通しが立てられるなど、それ自身がドル暴落・米経済崩壊の引き金になりかねない状況なのだ。しかも、ブッシュ政権の数々の不正や犯罪が暴かれている。とりわけ、裁判所の許可なく国内の反戦団体などの電話を盗聴し、スパイ活動を行っていた事件は、ニクソン政権のウォーターゲート事件と同様のものであり、ブッシュが弾劾裁判にかけられるのかどうかという問題になっている。これを巡ってブッシュ政権の中枢が告訴を回避するために全国を回ってキャンペーンしなければならないところに追いつめられている。
こうした状況の中で米帝は、イラクで進むことも退くこともできない絶望的危機に追いつめられている。単純に米軍がイラクから撤退すれば、権力を握るのは武装解放勢力かシーア派勢力であり、そのどちらも米帝には容認できないものである。米帝は、エジプトやサウジアラビア、オマーンなどにイラクに軍隊を派兵するように要求しているが、これらの国が軍隊を派兵することは難しいことである。
米帝はこれまで、米軍が軍事的に制圧している中でイラク再建の過程が進んでいることを演出するために米帝に協力するシーア派の策動をある程度見て見ぬ振りをしてきた。だが、イランが核開発を強行する態度に出た中で、イランと結びついているシーア派を抑え込まなければならない深刻な問題に直面したのだ。しかもシーア派宗教勢力の抑え込みは、米軍に協力することで権力を手に入れようと策動してきた彼らとの矛盾を深める問題をもはらんでいる。
米帝がシーア派抑え込みの態度を明確にさせたことは、米帝の危機がいかに深いかを満天下にさらすものである。米帝(米英日帝)は二進も三進もいかない危機にのたうち回っており、まったく展望のない状態なのだ。闘うイラク人民、ムスリム人民と連帯して帝国主義国の労働者階級人民が全力で決起すれば、敵の攻撃をうち破り、帝国主義を打倒することができる情勢が到来している。
4大産別決戦を全力で闘い、それを土台に改憲攻撃を阻止しよう。この闘いと一体で今こそ3・19イラク反戦闘争の大爆発を切り開こう。自衛隊第9次派兵阻止、自衛隊イラク撤退へ闘い抜こう。
(秋原義明)
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週刊『前進』(2232号4面4)(2006/02/06)
(1月16日〜23日)
陸自東部方面隊に派遣命令
沖縄で米F15戦闘機が墜落
●米F15が沖縄で墜落 沖縄県の米軍嘉手納基地の第44戦闘機中隊所属のF15イーグル戦闘機1機(乗員1人)が嘉手納基地の北東約100`のうるま市伊計島の北東の訓練空域で訓練中に墜落した。(17日)
●在日米軍再編、3月合意を確認 訪米した額賀防衛庁長官は、ラムズフェルド国防長官、ライス国務長官と個別に会談し、在日米軍再編の3月末予定の最終報告合意を目指し、再編案づくりの作業を加速させるべきだとの認識で一致した。額賀は、最終報告合意に伴い、日米同盟が新たな発展段階に入ったことを示す「政治的メッセージ」を発信するよう提案した。(17日)
●米F15訓練再開を強行 米空軍は、墜落した嘉手納基地所属のF15戦闘機の同型機の飛行を再開した。沖縄県や嘉手納飛行場に関する三市町連絡協議会(三連協)などが飛行再開中止を強く要求していた。日本政府は、米軍が安全管理を徹底する姿勢を示したなどとして、事故原因が究明されないままの飛行再開を容認した。(19日)
●在韓米軍の運用で米韓が合意 米国のライス国務長官と韓国の潘基文(パンギムン)外交通商相が会談し、韓国外への在韓米軍の円滑な派遣を可能にする「戦略的柔軟性」で基本合意するなどとした共同声明を発表した。(19日)
●通常国会始まる 第164通常国会が召集され、小泉首相が最後となる施政方針演説を行った。昨年の総選挙での自民党大勝で「改革」路線が信任を受けたとして、「改革続行」を宣言した。(20日)
●イラク議会選結果発表 イラク独立選挙管理委員会は、昨年12月15日に行われたイラク国民会議選挙(定数275、任期4年)の最終開票結果を発表した。前回選挙で過半数を占めたイスラム教シーア派連合「統一イラク連合(UIC)」は128議席を得たが、過半数には届かなかった。クルド人の連合「クルド同盟」が第2勢力を占めたが、選挙に初参加したスンニ派も主な2会派の合計で55議席となった。(20日)
●陸自に派遣命令 イラク南部サマワへの陸上自衛隊派兵で、額賀防衛庁長官は、陸自東部方面隊第1師団(東京都練馬区)を中心に編成された第9次イラク復興支援群(約500人)に派遣命令を出した。1月下旬から順次、出国する。派遣期間は3カ月間となる見通し。(20日)
●米兵がひったくり 長崎県佐世保市内で米海軍強襲揚陸艦エセックスの乗組員の上等兵が窃盗の疑いで長崎県警に逮捕された。同市では1月、同艦乗組員の2等兵曹がひき逃げで逮捕されたばかり。(22日)
●名護市長に岸本後継 米軍普天間飛行場移設問題を争点とする沖縄県名護市長選が投開票され、前市議会議長の島袋吉和候補が初当選した。岸本市長の後継とされる島袋候補は、移設案修正を条件に受け入れに柔軟姿勢を示していた。(22日)
●F15が燃料漏れ 米空軍嘉手納基地で、同基地所属のF15戦闘機1機が給油を受けている途中に、燃料漏れを起こしているのが確認された。同機は17日に墜落した機体と同型の機体で、1978年製造。同基地のF15は、ほとんどが同年製造と古く、機体の老朽化が指摘されている。(23日)
●沖縄米軍基地内から油流出 沖縄県宜野湾市市伊佐の米軍キャンプ瑞慶覧から民間の住宅地を通って海に通じる水路に油が流出しているのが確認された。(23日)
●辺野古沿岸案、飛行直下に2戸 守屋防衛事務次官は定例記者会見で、普天間飛行場移設の沿岸案について、固定翼の連絡機などが上空100bを飛行する直下となる豊原区に民家2戸があり、周辺に8戸があることを明らかにした。(23日)
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週刊『前進』(2232号5面1)(2006/02/06)
改憲阻止へ反撃態勢を構築しよう
4大産別軸に職場・地域・学園から巨大な憲法闘争の隊列を
東山整一
2006年の日本階級闘争は、卒・入学式における「日の丸・君が代」をめぐる闘いを最先端に、教労、自治体、全逓、国鉄の4大産別をめぐる、それぞれの大会、中央委員会をはさむ熾烈(しれつ)な攻防戦として火ぶたを切った。これらの闘いはそれ自体が政治的に言えば連合の改憲勢力化を阻止する闘いであり、現在の改憲攻撃における最大の火点をめぐる闘いということができる。改憲情勢は、通常国会への国民投票法案提出の動き、さらに米軍再編と連動した9条改憲の切迫化として、新年とともにさらに急を告げている。この中でいまわれわれは、4大産別決戦を徹底的に闘い抜くと同時に、それと並行して、全国の職場、地域、学園に憲法闘争としての憲法闘争の柱を立ち上げるという重大な階級的課題に直面している。そしてこの両者を新指導路線のもとで正しく結合して06年の闘いを構築していかなければならない。それは憲法闘争にとって必要であるだけでなく、4大産別決戦を05年の地平を越えてさらに前進させてゆくためにも必須の課題になっている。いまこそ「改憲決戦に断固として踏み込んで行く」(本紙新年号1・1アピール)ことが待ったなしに求められているのである。
改憲の最大の焦点は第9条の2項にある
改憲攻撃−憲法闘争の最大の焦点は言うまでもなく第9条(戦争放棄)の改悪である。昨年10月に発表された自民党の新憲法草案では、同条1項には手をつけず、2項の戦力・交戦権の放棄のみを変え、「自衛軍の保持」を定める内容になっている。1項がそのままとなったのは、直接にはこれによって新憲法においても「平和主義」の建前だけは維持し、特に民主党や連合などを改憲派に取り込もうとするためである。だが騙(だま)されてはならない。
そもそも9条1項の「戦争放棄」の文言は、それだけでは実際に戦争を阻むものとはなりえない。2項とセットになって初めて意味を持つものである。「戦争放棄」を抽象的に謳(うた)うだけでは戦争へのどんな歯止めにもならないことは、すでに歴史が教えている。
1928年のパリ不戦条約は、「締結国ハ、国際紛争解決ノ為戦争ニ訴フルコトヲ非トシ……国家ノ政策ノ手段トシテノ戦争ヲ放棄スルコト」を宣言したが、それはまったくの空文句でしかなかった。逆に「自衛のための戦争は不戦条約の適用対象ではない」とされることにより、各国帝国主義が「自衛」の名で次々と侵略戦争にのりだすことを正当化していくものとなったのである。
日本は29年にこの条約を批准しているが、天皇の軍隊はその2年後には柳条湖事件を、さらにその6年後には盧溝橋事件を起こしている。それらはパリ不戦条約との関係で「満州事変」「支那事変」などと呼ばれたが、それは第2次世界大戦への先鞭(せんべん)をつけた中国侵略戦争そのものであった。
今日の日帝は、自らが準備している戦争を「事態」などというさらに訳の分からない言葉(「周辺事態」「武力攻撃事態」など)を持ち出して糊塗(こと)しようとしている。だが用語をどんなに変えて人民を欺(あざむ)こうとしても、帝国主義の最後の言葉が戦争であることは昔も今も何ひとつ変わらないのであり、現憲法第9条1項などそれだけでは帝国主義者にとってなんの障害にもならないのである。
問題は2項である。ここで新憲法草案が「自衛軍保持」を打ち出していることについてまず言えることは、「自衛」とか「自衛権」という概念を、その主体である国家の階級的性格と切り離して論じてはならないということだ。近代日本国家はまぎれもなく帝国主義国家として存在し続けてきたのであり、帝国主義とは世界市場の覇権をめぐる経済的・政治的争闘戦の果てに必ず侵略戦争・帝国主義間戦争に行き着くという本質を持っている。かつて「大日本帝国」は、あの「大東亜戦争」をも「自存・自衛のための聖戦」と呼んだのである。
日本共産党に一貫して見るような、「アメリカの言いなりの戦争には反対だが、真の自衛戦争は必要」などという議論は、日本という国家の階級的・帝国主義的性格を没却し、「北朝鮮の脅威に備えろ」などという転倒した扇動を行う排外主義者に道を明け渡す極めて犯罪的な主張なのである。
しかも自民党新憲法草案における第9条の二では、このような古典的意味での「自衛」、すなわち「我が国の平和と独立並びに国及び国民の安全を確保」が謳われているのに続いて、「国際社会の平和と安全を確保するために国際的に協調して行われる活動」などが「自衛軍」の任務として列記されている。そしてこれは、昨年10月の米軍再編中間報告「日米同盟・未来のための変革と再編」における「二つの分野」、すなわち「日本の防衛および周辺事態への対応」と「国際的な安全保障環境の改善のための取り組み」に対応した極めて実戦的な規定なのである。「現実と憲法の乖離(かいり)を埋める」などという水準のものではないのだ。
米軍再編は、在日米軍と日米安保を北東アジアから中東にいたる「不安定の弧」をターゲットにした軍事戦略と軍事同盟に再編し、こうして米帝の世界戦争政策に自衛隊を限りなく融合・一体化しようとするものである。それは60年制定の現行安保条約(78年旧ガイドラインと97年新ガイドラインをとおして大きく変貌してきたのだが)を、「世界の中の日米安保」に実質的・根底的に大改変し、自衛隊の本格的な帝国主義軍隊への決定的飛躍を促すものである。そして辺野古沿岸案に代表される沖縄米軍基地の恒久化=新たな「琉球処分」の大攻撃、あるいは座間への米日陸軍の司令部機能の集中などによって準備されているのは、何よりも中国・北朝鮮侵略戦争態勢の構築である。
だがこの前に決定的に立ちはだかっているのが憲法第9条なのだ。第9条は2項を持つことによって、パリ不戦条約とも決定的に異なり、いわば帝国主義国家の自己否定に等しい内実を持った。それが日米(帝国主義ブルジョアジー)共同の作業をとおして現行憲法の中核に盛り込まれたのは、制定時(46年)の戦後革命の危機がそれだけ深刻だったからであり、また特にこの瞬間において天皇裕仁の戦争責任を不問にするための「避雷針」としてそれが必要だったからである。
50年に朝鮮戦争が始まり、52年に旧日米安保条約が登場するや、米帝は早くも日本政府に激しく再軍備=9条改憲を迫るようになる。こうして戦後日本史を貫く憲法と安保の対抗軸が形成され、その後日本政府は9条を無視・蹂躙(じゅうりん)して安保と一体の自衛隊とその増強の道を突き進んできた。だが日帝は安保に依拠する一方で、他方では日本人民の闘いに規定されながら、再軍備に一定のワクをはめ、9条そのものには手をつけることなく今日まできたのである。戦後自民党政府のもとで、憲法第9条と日米安保は一方では鋭く対立しながら、他方ではもたれあってきたのだ。
だが米軍再編で事情は一変した。その中から今日立ち現れつつある(これまでの安保とはまったく次元を異にする)新安保は、9条改憲とそれによる集団的自衛権の全面解禁を絶対的に必要としている。新安保は新憲法を不可避とし、特に9条改憲を激しくたぐり寄せるのであり、両者は完全に一体にものとしてある。もはやそこにはこれまでのような解釈改憲的な曖昧(あいまい)さが残る余地はなく、米帝の世界軍事戦略への一体化、とりわけ中国・北朝鮮侵略戦争の準備を結論とする9条明文改憲に、日帝は文字どおり死を賭(と)して踏み出そうとしているのである。
憲法の原則を否定し「国民の責務」を強調
改憲の核心は9条であり、日帝が今一刻の猶予もなしに必要としているのも9条改憲だが、しかし9条の現行憲法と戦後日本国家において占める位置の大きさゆえに、それはけっして部分改憲にとどまらない全面改憲にならざるをえない。日本経団連は昨年1月の提言で、まず9条と96条(改正手続き)の改訂を突破口とする改憲手法を主張し、最近一部の政治家(船田元自民党憲法調査会長)も「段階的な改正が現実的」などと言い出している。船田発言は、「3年以内、08年には最初の問いかけを実施したい。以降5年に1回ずつ、段階的に、2回か3回かけて新しい憲法の姿にするのが現実的だ」「3党間の非公式な議論でも『一括改正は駄目』がコンセンサス。現憲法の章ごとに、3〜5問にまとめて○×で問うのが一番いいと思う」(千葉日報1・13)という極めて生臭いものである。
一括か段階的かはもちろん重大な問題だが、いずれにせよそこで目指されているのが全面改憲であることは、昨秋の自民党案が「新憲法草案」と銘打って出されたことでも明らかである。こうしてそこでは、9条だけではなく、前文を含む数多くの条項が全面的に書き換えられているのだが、そこで9条改憲と並ぶ論点を一言で言うとすれば、それは近代憲法の原則の否定ということになるだろう。
もともと近代憲法は、近代ブルジョア国家成立の中での国家と個人の対峙関係において、基本的人権の保障と権力の分立によって国家権力を縛り、個人の尊厳を守ろうという趣旨で生まれた。現行憲法の前文はこうした憲法原則に昨日までの戦争への反省を踏まえた平和主義をプラスしたものだが、自民党草案はこれを一変させた。
中曽根の手になる超復古反動的前文案こそ退けられた(これも民主党などを取り込むため)ものの、それに代わって出てきたのはいかにも小泉的な前文である。それはまず「象徴天皇制の維持」を冒頭に掲げ、また現前文の「平和のうちに生存する権利」などの文言を一掃し、さらに小泉的な”戦争と民営化”の政策原理を憲法原則にまで高めるために、国民主権、基本的人権、平和主義と並んで「自由主義」や「国際協調主義」を基本原則とし、「自由かつ公正で活力ある社会の発展」を謳っている。そして一番重要なのは、「日本国民は、帰属する国や社会を愛情と責任感と気概をもって自ら支え守る責務を共有し」と記している点だろう。
つまり、「国民の権利」と並んで「国民の責務」が前文からゴリゴリ強調されているところに、この草案のもうひとつの決定的な特徴があるのだ。そしてこれに対応するのが草案第12条で、ここでは「自由及び権利には責任及び義務が伴うことを自覚しつつ、常に公益及び公の秩序に反しないように自由を享受し、権利を行使する責務を負う」とされているのである。
現行憲法第12条で基本的人権の限界として言及されているのは周知のように「公共の福祉」である。これは少なくとも理論的には、他者の基本的人権を侵さない限り基本的人権は妨げられないという、最低限の制約を意味している。しかもこの「公共の福祉」という制約は、基本的人権でも主に経済的自由権に関わって存在した。
これが「公益及び公の秩序」に変えられるということは根本的な転換である。それが意味するのは結局のところ精神的自由権を含む基本的人権全体の上に国益と国家の秩序を置くということであり、これは近代憲法の原理・原則の否定以外の何ものでもない。
旧明治憲法も、一応憲法の体裁をとるために「権利」を掲げた(もっともそれは「臣民の権利」だった)が、そこにはいちいち「法律ノ範囲内ニ於テ」などの制約がついた。たとえば「言論著作印行集会及結社ノ自由」は謳われたが、それは新聞紙条例から治安維持法にいたる無数の言論・表現・結社取締法によってまったく有名無実の存在であった。だが自民党新憲法草案における「公益及び公の秩序」という制約は、ある意味でこれ以上に無茶苦茶である。要するにここにあるのは、人民が国家を縛る憲法ではなく、国家が「国民の責務」を定め、強制し、人民を上から縛ろうという「憲法ならざる憲法」なのである。
憲法とは言うまでもなく国家の基本法である。そこで問われるのは、国家であり、国体であり、国柄であり、国のかたちである。それを部分的に手直しするというのではなく全面的に変えるということは、つまるところ革命と反革命の問題に関わってくる。実際、明治憲法は、近代日本において未完に終わったブルジョア革命と言うべき自由民権運動を圧殺し、取り込むための予防反革命として登場したのであり、現行憲法はまさに戦後革命を絞殺するためのGHQ主導の「上からの革命」の最大の切り札として誕生した。
今日の新憲法制定=全面改憲の攻撃もまた、没落帝国主義・日帝の断末魔的危機の中で、その原因を帝国主義の矛盾にではなく、戦後的「平和と民主主義」(これ自体はもちろん天皇制の温存を含むあらゆるマヤカシに塗りたくられたものであったが)に求め、それを根こそぎ一掃しようとする巨大な反革命として立ち現れているのだ。そしてこの一大反革命がそのまま戦争に直結しているものとして、われわれは今日の新憲法制定攻撃をとらえなければならない。「つくる会」派の歴史教科書における15年戦争の賛美、そして公民教科書における「人権のインフレーション」論は、一体のものとしてこのような改憲攻撃のイデオロギー的先駆けの役割を担っている。
労働者の団結の力で改憲攻撃を打ち破れ
であるとすれば当然にも、改憲への道が平和的で、民主主義的で、予定調和的なものになどなるはずがない。それは必ず起伏に富んだ、波乱に満ちた激突的攻防局面、本質的に内乱的な、連続的・長期的な攻防過程にならざるをえないのである。
敵日帝ブルジョアジーの立場に身を移して問題を考えれば、事柄はいっそうハッキリと見えてくる。現在の各種世論調査でも、9条改憲反対は6割を占めている。これを国民投票で大きくひっくり返すことが敵には求められているのだ。確かに昨秋の総選挙で小泉自民党は圧勝した。しかしあれも、結果はあくまで小選挙区制というフィルターをとおして生じたものであって、得票数そのものでは与野党は半々だったのだ。
しかし憲法をめぐる国民投票で、投票率もかんばしくなく、しかも賛成は過半数ギリギリというのでは、(個別法ならいざ知らず国家の基本法たる)憲法が憲法たりえなくなる。なぜなら憲法とは本質的に権力の問題であり、そこでは基本的にゼロか百かが問われるからだ。まして日本の憲法は天皇をシャッポにいただく憲法である。憲法第1条になんと書いてあるか(ここは現行も自民党案も同じ)。「天皇は日本国民統合の象徴」として「この地位は、主権の存する日本国民の総意に基づく」と謳っているのだ。
もしこのような条項をもった憲法草案に対する反対票が何割も出るとすれば、それは支配階級にとって何を意味するか。分かりやすく言えば、それは「日の丸・君が代」斉唱のときに何割もの教員と生徒が着席したままであることを意味する。これでは「国民の総意」が看板倒れになる。逆に言えば、改憲攻撃の全過程においては、いま教育現場で教育労働者に襲いかかっているあくまで百パーセントの起立を求める攻撃と同じ質を持った攻撃が、日本の全労働者人民を対象に発動されるということである。だからそれは必ず反革命クーデター的やり方にならざるを得ないのであり、「一括か段階的か」という改憲手法をめぐる議論も、結局のところこのクーデターのやり方をめぐる議論と言ってよいのである。
一方では必ず翼賛体制づくりの攻撃が進むだろう。この間チラホラ語られ始めている「大連立」が改憲攻撃を射程に入れたものであることは明白である。07年参院選挙までは民主党も応じないだろうが、それ以降は分からない。大きな鍵(かぎ)を握っているのが連合の動向である。他方ではここからはみ出した「非国民」に対する治安攻撃がエスカレートしてゆく。近代刑法の原則と例外を逆転させたような共謀罪はそのための最も凶暴な武器となるだろう。
そしてこうした新憲法制定という名の反革命クーデター攻撃をいわば合法的に完遂するために今国会にも提出されようとしているのが「憲法改正国民投票法案」である。ここで重刑をもって「国民投票運動」を禁止されているのが、公務員、教育者、外国人であることは、日帝が「国民の総意」を結集する上でどこに障害があると考えているかをよく示しているのである。
最後に、このような反革命クーデター攻撃が、大なり小なりファシズム運動的な傾向を伴って襲いかかってくることも見逃してはならない。1930年代のドイツ階級闘争に「ヒットラーの匕首(あいくち)伝説」という言葉がある。第1次大戦でドイツは負けた。しかし、それはドイツ軍が弱かったからではない。「内部の敵」がドイツ軍を背後から匕首で脅かしたから負けたのだ。社会主義者、共産主義者、労働組合、そしてユダヤ人こそ「内部の敵」だ!――こうしてヒットラーは、敗戦後の、あるいは大恐慌下のドイツ人民の不満と怒りをここに集中し、そうすることで「第3帝国」の建設と第2次大戦への階段をかけ上っていった。
すでに明らかなように小泉はヒットラーの手法の立派な後継者である。昨年の総選挙における小泉自民党の圧勝は、「抵抗勢力」と命名された「内部の敵」に対する怒りを扇動することによって、実は小泉構造改革によって最も大きな犠牲を強いられている人民の支持をかすめ取ることに成功した。
だが同時にこの間のJR尼崎事故から耐震強度偽造問題、さらにライブドア事件などにおいて露呈しているものは、民営化と規制緩和の小泉=奥田路線の矛盾の全面開花である。小泉構造改革の底が割れ、そこから広範な人民の怒りが噴き出しつつある。労働組合、公務員、戦後教育、在日朝鮮・中国人などという「内部の敵」に怒りをそらし、そうすることで自己のアクロバット的延命に突き進もうとする日帝・小泉路線の化けの皮は完全にはがれ落ちた。これに対する怨嗟(えんさ)と怒りの声が爆発的に拡大しつつある。階級闘争の最深部からの転換が始まったのだ。05年における11月労働者集会にいたる、われわれが切り開いた地平はその最先端に位置している。
だからこそいま、4大産別決戦が重要なのだ。ファシスト反革命をうち破る力は、根本的にただ労働者階級の階級的団結の中にのみある。特に地域からの全人民的な憲法闘争への決起にとって、住民と結びついた自治労と教労の存否はまさに死活的である。そしてだからこそ今、日米韓国際連帯が重要なのだ。憲法問題は必ず国際問題化する。新憲法制定が新たな中国・北朝鮮侵略戦争と直結しているだけに、国際連帯は憲法闘争の生命線である。
改憲情勢の煮詰まりの中で、広範な労働者人民の中に激しい危機感と闘いへの意欲が急速に高まっている。最大限の統一戦線の形成を望む大衆的な欲求が強まっている。今日、憲法闘争の最大の障害になっているのが、「排除の論理」を振り回して運動のセクト的分断・私物化に専念する日本共産党の存在である。われわれはこの現実を、原則的な党派闘争と大胆な統一戦線を正しく結合することによってのりこえ、うち破り、職場・地域・学園から幾百千万労働者・市民・学生の憲法闘争の隊列を形成するための闘いを今こそ開始しなければならない。
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週刊『前進』(2232号5面2)(2006/02/06)
岩国 “空母艦載機移駐に反対” 基地申し入れとデモ
1月21日、「とめよう戦争への道!百万人署名運動広島県連絡会」の呼びかけで労働者、学生、市民が結集し、米軍岩国基地(山口県岩国市)への申し入れと街宣、デモ行進に取り組んだ。
昨年10月29日の日米両政府による在日米軍再編に関する「中間報告」は、世界戦争、対中国・北朝鮮侵略戦争遂行のために日米安保を大改定するものである。沖縄・辺野古崎への新基地建設による永久基地化攻撃と日本全土の出撃基地化を図るものであり、その一環として厚木基地から米空母艦載機57機を岩国基地へ移駐するとしている。
(写真 岩国基地を一周する包囲デモ【1月21日 岩国市】)
しかも、岩国基地の沖合拡張工事が完成する08年には、横須賀配備の空母を原子力空母ジョージワシントンに交替させるというのであるから、岩国に配備される艦載機はまぎれもなく原子力空母の艦載機である。米軍が海兵隊を置いているのは沖縄と岩国のみである。対中国・北朝鮮侵略戦争に向けての岩国基地のグレードアップの意図は明白だ。当然にもNLP(夜間離発着訓練)や低空飛行訓練は今までをはるかに超えて激化する。
艦載機移駐が発表されるや地元の住民から猛烈な反対の声が上がり、署名は短期間で17万筆を超えた。地元の岩国市を始め、広島県西部の自治体も計画の白紙撤回を求めている。これに対して、日本政府は額賀防衛庁長官や麻生外務大臣をわざわざ地元に送り、「中間報告の変更はない」という強圧的な態度で一貫して対応し、利益誘導で商工会などを屈服させて認めさせようと狙っている。
この日の行動は、岩国市民の圧倒的な注目の中で、午後1時からJR岩国駅前で街宣を行い、2時半に岩国基地正門に移動して申し入れを行った。広島県連絡会を代表して三次市議会議員の平岡誠さん、地元の広島西部地区連絡会、その他の市民団体がそれぞれの申入書を読み上げた。しかし、対応に出た海上自衛隊第31航空群当直司令の石田は、「米軍への申し入れはとりつがない」と硬直的な対応に終始し、「中間報告」に示された政府の姿勢の一端をのぞかせた。
一行は、怒りに燃えて米軍と自衛隊に対するシュプレヒコールをたたきつけ、周辺住民の熱い注目の中で基地一周の包囲デモにうって出た。
06年の第1弾の岩国基地闘争はうち抜かれた。3月19日には大統一戦線のもとでの岩国現地集会が計画されている。地元の自治労を始め、労働組合・労働者が住民の怒りの先頭に立って、日米両政府の「中間報告」路線をうち砕くために全力をつくすことで勝利を切り開こう。
(投稿/R・D)
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週刊『前進』(2232号5面3)(2006/02/06)
習志野 イラク派兵に抗議 極秘の早朝出発に怒り
1月26日早朝、陸上自衛隊の第9次イラク派兵部隊の習志野駐屯地(千葉県船橋市)からの出兵に対して、ゲート前で抗議行動を行いました。派兵部隊は東京都練馬区の第1師団に合流してから出国する。百万人署名運動千葉県連絡会は、極秘の早朝出発を許さず、集まった市民や議員とともに声を限りにアピールを続けました。そして7時30分、駐屯地内から隊員100人を乗せたバスが出発しました。
「この戦争は資本家の儲けのための戦争だ」「戦争へ行けと命令する小泉こそ労働者、自衛官共通の敵だ」「隊員のみなさん。勇気をもって命令を拒否しよう」との訴えは確実に自衛官に届いていると思います。習志野駐屯地は「習志野空挺団」と呼ばれる日本版グリーンベレーが配置されており、昨秋以来、百万人署名運動は広範な市民とともに何度も要請行動を続けてきました。これからもいっそう取り組みを強化していきたいと思います。
一方、100人の派兵だというのに「日の丸」を振って見送りに来たのはたった3人。その中には「新しい歴史教科書をつくる会」で暗躍している右翼議員もいます。日本の労働者からもイラク派兵は完全にそっぽを向かれています。
(投稿/K・W)
(写真 駐屯地からバスで出発する隊員に「この戦争は資本家のための戦争だ」「命令を拒否しよう」と訴えた【1月26日 船橋市】)
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週刊『前進』(2232号6面1)(2006/02/06)
爆取控訴審の勝利に検察官は「最悪…」と 東京 矢吹 謙
法廷を後にする検察官が、「最悪」と吐き捨てたのをはっきりと聞いた。迎えに来た検察官と一瞬交わした会話である。検察官に「最悪」と言わしめる勝利を、1月16日、迎賓館・横田爆取デッチあげ裁判控訴審の第1回公判で引き出したのだ。裁判長が、「これで結審、判決は5月19日」と宣告した時に、手をたたき「よし」と快哉を叫んでいた訳であるが、改めて控訴審の勝利を確信した。
裁判が始まる前、傍聴人控室で聞いた救対事務局からの説明では、かなり厳しい控訴審の展開の予想が述べられた。なにせ、東京高裁・中川武隆裁判長は、無実の富山保信同志の再審請求を棄却し、立川テント村のビラ配布弾圧裁判で逆転有罪判決を下した反動裁判官なのである。検察官は控訴趣意書で、原判決が「審理不尽」であり「事実誤認」に基づくものであるとの暴論を展開し、新たに67点に及ぶ証拠申請をしてきたと言う。身震いして法廷に入った。
裁判冒頭、検察官は控訴趣意書の朗読はせず、「書面のとおり」と済ませた。それに対し弁護人は、答弁書の核心部分を2時間にわたって陳述。見事に3同志の無実と、検察官の控訴の不当性を明らかにしたのである。
つづく3同志の答弁書は、裁判長の不当な訴訟指揮で弁護人による代読となった。その内容は、裁判所を含めて弾劾するものであり、16年も獄中に閉じ込められ、また無罪判決後も検察官の不当控訴で裁判が継続されていることへの怒りが重々しく発せられた。傍聴者は大きな拍手で確認する。これに対し裁判長は1名を退廷に、抗議した1名を拘束に処した。
怒りが法廷を席巻する中、検察官の「証拠」申請をめぐる攻防に移った。しかしそれらは、原判決によって無意味さを明らかにされたメモ類や、原審で証拠採用されなかったガラクタの類にすぎない。弁護人は「証拠」申請をことごとく粉砕した。裁判所は検察官の申請した「証拠・証人」をすべて却下した。
これに狼狽(ろうばい)した検察官は異議を申し立てるが、その理由を述べることが出来ない。そればかりではなく、「証拠が却下されると思っていなかったので準備がなくて」と不様な敗北をさらけ出した。
検察官の異議は却下され、結審が宣告されて第1回公判は終了。大勝利だ。3同志と弁護団は勝利感に満ち、傍聴席は大きな拍手に沸いた。必ず控訴棄却、無罪判決をかちとろう。
星野人権救済申立を徳島弁護士会に提出 徳島 吉島 光
1月17日、徳島弁護士会・人権擁護委員会に、人権救済申立書を提出しました。これは、沖縄闘争を闘い獄中31年の星野文昭さんの人権救済を求めるものです。星野暁子さんと結婚するまで身柄引受人であった群馬県の青柳晃玄さんが出した手紙が、いまだに星野さんに渡されないままになっています。検閲だけして本人には手紙の存在すら教えていませんでした。
この件では、われわれ自身が監獄法の前に「できないこと」とあきらめていたのでは、と反省しています。「前提を前提とせず」に黙々と刑務所の板を踏みしめていく皆さんのまなざしに、大事なことを気づかせてもらいました。申し立てたのは青柳さんを始め星野さんを救う会の皆さんです。
その後の記者会見では、青柳さんが、丁寧な口調でお話。星野さんは沖縄返還協定批准反対デモでの機動隊死亡事件の政治的冤罪で人生の半分以上が獄中。沖縄と星野さんを思う切々たる思いを伝え、「今の時代にこんな人権侵害があっていいのでしょうか?」という鋭い問いかけで、会場の心を打ちました。記者が「手紙は渡っていないということですか?」と質問し、青柳さんらが「刑務所は出るときに渡すと言っています、でも(星野さんは)無期ですから……」と答えると、会場がはたと絶句しました。まさに、星野さんが生涯かけて極限的に沖縄奪還綱領を実践し、沖縄と連帯しようとしている現実とはこういうことなのだと思いました。
この日も沖縄では戦闘機の事故が起き、住民の怒りを踏みにじって、すぐに訓練が再開されています。根底のところで彼我の関係の転換が問われています。
その後刑務所に対し手紙・面会の件に加え、この冬の寒さに対して暖房を入れるよう、私物の服を許可するよう申し入れました。庶務課長は青柳さんが請願文を読み始めるや、「私は庶務課長ですから、刑務所としての回答はできません」とさえぎって注文をつけました。読んだら即座に「ハイ、終わりましたね。お帰りください」と不誠実極まりない対応でした。
一連の行動を終えてのコーヒータイムでは、「2006年最初の行動ですね。今回を第一歩に、地道な取り組みをやっていきましょう」と、お互いの1日の奮闘を振り返り歓談しました。お忙しい中、遠路足を運ばれた青柳さんや、仕事の合間を縫って何とか時間と知恵を出しあいながら救援運動を続ける皆さんに大いに勇気づけられた1日でした。
沖縄年頭アピールに「我が意を得たり!」 千葉 漠 有人
元日早々からのポスティング・オルグ活動に、敬意と拍手を送ります。そしていつもいつも『前進』を配っていただいて、本当にありがとうございます。
『前進』2230号(1月23日付)は、正に新しい年への闘いの決意と展望を指し示す力強いものでした。とりわけ4面の「戦争か革命かの決戦へ/革共同各地方委のアピール(上)」は、私に闘う意欲と勇気を与えてくれました。「関西」「中国・四国」「九州」の各地方委員会のアピールは、具体的な現状分析と闘いへの決意にあふれ、確かな展望を示しており、力強く感動しました。
私は、地方自治についての研究、労働者の学習教育活動などを通して、「沖縄」こそが日本革命の原点であると、ずっと思ってきました。「革命の火薬庫」に火をつける闘いを実現しようという沖縄県委員会のアピールは、正に我が意を得たりのものでした。
そうです、沖縄こそが「革命の火薬庫」なのです。「米軍基地撤去=沖縄奪還、安保粉砕・日帝打倒」このスローガンを、全沖縄人民のスローガンに留めるのではなく、日本全国、日本全人民のものとする時、革命は大きく前進することでしょう!
首都東京の空は、戦後61年目になってもまだ「占領状態」にあり、いかなる日本の航空機も米軍の許可なしには飛べないのです。
ベルリンに視察に行った日本の役人は「日本の首都が、まだ米軍の管理下にあるのか」と嘲笑されたといいます。また「首都の空を米軍に管理されている国が、世界の安全保障を議論すべき常任理事国となる資格はない」と中国人から軽べつされたと聞きました。
最も被害を受けるのは日本国民です。東京の空を自由に飛べないので遠回りして飛ぶために50億円〜70億円もよけいにかかっていると航空会社は試算しています。もし、返還されて自由な空になれば、お金だけでなくCO2(二酸化炭素)21万dも削減することができるといいます。
「米軍基地撤去」「日米安保条約破棄」なしに日本の革命はありません。
「女系天皇制」が決められようとしていますが、トンでもないこと……皇族を無制限に増やして、天皇制をより強固なものにしようというものです。3万人を超える自殺者を出している一方で、1000億にもなろうという皇族費? こんなことを許すわけにはいきません。……天皇制については、また書きます。
お体に気をつけて頑張って下さい。握手。
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週刊『前進』(2232号6面2)(2006/02/06)
医療制度大改悪を許すな
高齢者の負担引き上げ 「住居費」「食費」を徴収
日帝は財政的危機が抜き差しならなくなる中で、中曽根政権以来一貫して医療費の削減=医療制度の大改悪を図ってきた。その攻撃の上に、9・11反革命ともいえる総選挙結果を受けて、ついに小泉政権はこの通常国会に、「医療制度改革関連法」という大改悪案を提出しようとしている。
この医療制度改悪は日本の戦後社会保障の柱であった医療保険制度の解体に手を着ける大攻撃である。高齢者を狙い撃ちにし、生きる権利を奪うものであり、国民皆保険制度を崩壊させ、アメリカ型の無保険社会へ転換させるものであって断じて許しがたい。さらに、医療分野を民間資本に徹底的に開放し、医療機関にはさらなる合理化を迫り、医療労働者の労働強化と賃下げをもたらす。それにより、医療事故の増大は必至になる。また、「疾病の自己責任」論、「受益者負担」論に立ち、憲法第25条に明記されている医療に対する国の責任を放棄するものであり、憲法改悪=戦争への道と一体の大攻撃である。
窓口負担倍に年金も削られ
以下少し具体的に見てみると、日経連などのブルジョアどもからの厳しい要求を受け、「短期的目標」として、第一に、公的保険の給付範囲を徹底的に削減するということである。
まず高齢患者の医療費の自己負担が引き上げられる。現在多くの高齢者が1割負担であるものを2割にする。また、現役並みの所得のある人は3割負担に引き上げるというのだ。年金制度改悪で年金自身が削減され、その上この4月から介護保険制度の大改悪で、一人あたりの介護保険料が平均千円以上引き上げられるといった中で、医療でも倍以上の窓口負担を高齢者に強制することは、文字どおり、高齢者から医療を奪うことであり、高齢者を社会的に抹殺するに等しい大攻撃である。
(写真 「介護保険に異議あり全国ネットワーク」による対厚生労働省交渉【05年3月30日】)
しかも、介護保険制度の改悪で実施した入所時の食費、居住費を保険から外して全額自己負担とするやり方を、今度は医療制度にも拡大し、入院時の食費や「ホテルコスト」を搾り取ろうとしている。介護保険制度の入所費用も月額3万円以上あがったことから考えても、それ以上になることは確実である。(いずれも06年10月から実施の予定)
第二に、診療報酬を改定し、マイナス3・16%という過去最高の大幅な引き下げを実施する。診療報酬改定では医療を「急性期」と「慢性期」を区別することにより、「慢性期入院医療等の効率化の余地があると思われる領域については、適正化を図る」(医療制度改革大綱)として、慢性期医療体制を制約し、長期入院ができないようにしようということも狙っている。
財務省は、「保険料を払う側の賃金がこんなに下がっているのに、もらう側が下がらなくていいのか、それを放置できるのか」とわめき、自民党の久間総務会長は「治療しても治らないような所にはもう金はかけない。年寄りの多くは病院で死んでいるけれども、在宅で死んでもらうように」(昨年10月23日のテレビ朝日「サンデープロジェクト」での発言)と終末期医療を打ち切ることを宣言した。具体的な数値目標を掲げて、高齢者が「終末期」と判断されれば入院もさせないということだ。その他にも入院医療費の包括化、平均在院日数のさらなる短縮化、混合診療の推進(医療保険適用範囲を縮小することだ)、薬価切り下げや診療費自身も大幅に下げるというのだ。
保険料を年金から天引き!
第三に、新たな高齢者医療保険制度を創設し、後期高齢者(75歳以上)一人ひとりに「応益+応能」の保険料負担を求める。高齢者医療の診療報酬については「後期高齢者の心身の特性にふさわしい体系」とすると称して、終末期医療の全面見直し、在宅死の推進、包括的なホスピスを普及するというのだ。また、前期高齢者(65歳以上、74歳以下)の自己負担2割化の徹底。
最大の問題は、高齢者の医療保険料を、介護保険料と同じように年金から天引きにしようとしていることだ。介護保険料自身も昨年の法改悪で、この4月から基準額で一人あたり5千円近くに跳ね上がるといわれている中で、医療保険料もそれ以上(約6千円などと推計している)に引き上げられ、年金から天引きされることになれば、1万円を超える金額が年金から引かれることになるのだ。医療や介護を受けなくても、年金の大幅な削減による高齢者自身の生活破壊として、この医療制度改悪が襲いかかってくる。
第四に、国保、健保を、都道府県を単位として大再編しようとしている。政管健保の財政運営は都道府県を単位とし、都道府県ごとに地域の医療費を反映した保険料を設定するというのだ。これは医療費がかかる都道府県は自動的に保険料の引き上げになり、逆に保険料の抑制という口実で、保険医療がさらに削減されるだろう。国による医療制度の完全な放棄であり、営利優先の完全な「民営化」攻撃そのものになっていく。
皆保険制度の全面破壊狙う
以上非常に概括的に見たが、この医療制度の改悪を許せば、戦後の社会保障制度の柱としての医療制度を始め皆保険制度が全面的に破壊されることになる。しかも、社会保障制度自体が医療や介護を口実に徹底した収奪機構に転化する。
ついに、医療や介護(福祉)、年金をめぐる階級決戦の火ぶたが切られた。医療や福祉の労働者を先頭に労働者階級が、自らの権利を掲げ、高齢者をはじめとする全人民の医療への要求、生きる権利を掲げて、医療制度改悪阻止へ総決起しよう。
〔梨原智之〕
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医療制度改悪のポイント
公的保険給付範囲の削減
・高齢者の自己負担引き上げ
一般の高齢者 1割→2割
現役並所得者 2割→3割
・ホテルコスト(部屋代、食費)
の徴収
診療報酬改定
・3・16%引き下げ
・慢性期医療を圧縮し、平均在院
日数の短縮化
・終末期医療の打ち切り
・入院医療費包括化
・混合診療の推進
・薬価切り下げ
・診療費引き下げ
高齢者医療制度創設
・後期高齢者に「応益+応能」負担
・高齢者医療保険料の年金からの
天引き
保険者の大再編、広域化
国の負担削減狙う
保険料が引き上げに
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「公的保険の給付範囲」について
健康保険法は「必要な医療を、患者に、現物(医療)で給付する」という原則に立って、「医療の平等性や健康達成度を高める」ことを目的に規定している。この保険医療を保険外の自己負担医療との混合診療にすることは、お金のない人は医療を受けられないという状況を一層拡大する。
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週刊『前進』(2232号6面3)(2006/02/06)
浜岡原発直ちに停止を 「安全」「平和利用」のウソ実感
現地見学に参加して 津沢 弘志
近い将来にマグニチュード8クラスの大地震が必ず発生すると言われている東海地方・静岡県。その想定震源域のど真ん中に中部電力(本社・名古屋市)浜岡原発がある。
1月初め、仲間と連れだって東京から現地見学に出かけた。浜岡原発に隣接する原子力館に到着すると、地元の反対住民の方々が出迎えてくれた。彼らの案内で同館を見学。展望台に登ると、01年11月に炉心冷却配管の爆発・破裂を起こした1号機、シュラウドがひび割れたまま運転が強行されている3号機、猛毒プルトニウムを燃料とした危険きわまりないプルサーマル計画に使われようとしている4号機など全5基の原発が、駿河(するが)湾を背景にして一望できた。大量の温水を吐き出す排水口が沖合にあり、1、2号機(現在定期検査で停止)が運転中のときは海面が盛り上がっているのがここから見えるという。
【左】隣接する原子力館から眺望する浜岡原発の全景 【右】兵庫から茨城までが半径300キロ圏に含まれている
泥岩・砂岩の軟弱な地盤に
下に降り、原子炉の実物大の模型を見た。制御棒と燃料棒のすきまは、本当に狭い。地震の揺れで制御棒が入らなくなり、核分裂がコントロール不可能、そして出力暴走という最悪の原発事故が頭をよぎる。
「地震対策」と題したパネルには、「津波対策は万全」と書いてあったが、スマトラ沖地震のような大津波にはひとたまりもない。防波堤とされている砂丘は第1波で半分以上がなくなり、第2波以降の巨大な押し波や引き波によって、取水槽が破壊される。冷却水に使う海水が利用不可能となれば、原子炉内の崩壊熱(放射性物質の崩壊により発生する熱)を冷却できなくなり、メルトダウンに行き着いてしまう。
別のパネルを見ると、「2010年から4号機でプルサーマルを実施することといたしました」とあり、これに対し「まだ何も決まっていないのに中部電力は勝手に決めた」と地元の人は怒っていた。
原子力館を後に、相良(さがら)層という名の地層が露出した場所に車で移動。浜岡原発が泥岩・砂岩の入り混じった非常に軟弱な相良層の上に建てられているということは聞いてはいたが、実際、地層の岩を手に取って握ると簡単に崩れてしまったことに衝撃を受けた。「相良層という非常に地震に強い岩盤に直接設置されているため、軟らかい地盤に比べて、地震の揺れが少なくなります」という中部電力の言葉は大ウソだ。
次に、原発立地と引き替えに国から与えられた電源交付金で建設されたという公共施設を一巡した。人影が見えず温水が滝となって流れている、43億円もかけた宮殿のようなプール、専属の内科医が不在の総合病院(28億円)、総合福祉センター(17億円)、公民館(5億円)など。「固定資産税を払わなければならず、維持費だけで大変なんです」とのことだった。
交流会では、地元の人たちからの真剣で貴重な話をたくさん聞いた。「浜岡原発は世界で一番危険な原発」「プルサーマル計画推進のために、中部電力は地域ボスに金をばらまいている」「原発の労働者や周辺住民から白血病で死亡した人が出ている」「1号機から5号機、すべて廃炉にしたい」……。
地震の発生で最悪の事態も
東海大地震の発生と浜岡原発の大事故(大量の放射能放出)が重なる可能性はきわめて強い。その場合、十数キロ圏内の90%以上の人が急性死し、風向き次第で茨城県や兵庫県までが数十年以上居住禁止に、また東京方面が風下になると、将来のガン死者数は400万人以上に達すると予測されている。
中部電力は「浜岡原発は百パーセント安全だ」とうそぶきながら今も原発の運転を強行しつづけ、さらに一層危険なプルサーマル計画へ突き進んでいる。浜岡・静岡でも闘う地元住民・労働者人民の間に、「政府があくまで原発政策をやめないのは、核武装が目的ではないか」という声が広がってきている。
北朝鮮・中国侵略戦争へむけた改憲―戦争国家化攻撃の中で、「原子力の平和利用」のペテンをかなぐり捨てて、自衛隊の核武装化の正面突破を狙う攻撃が強まってきている。金にも権力にも負けず、原発と隣り合わせの恐怖と不安の中で生命と生活を守るために365日不屈に闘い抜いている地元住民と連帯して、百害あって一利なしの原発・核燃サイクル施設を廃絶するためにともに闘う決意を胸に刻み、帰路に就いた。
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くり返すなアジア侵略−−
ヒロシマ、ナガサキ、オキナワ、ビキニを!
2・26ビキニデー52周年東京集会
2月26日(日)午後1時半開場 午後2時開会
杉並産業商工会館ホール(阿佐ヶ谷南3−2−19)
主催 2・26ビキニデー52周年東京集会実行委員会
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週刊『前進』(2232号6面4)(2006/02/06)
ニュヨーク都市交労組で大流動 スト妥結案僅差で否決
アメリカ労働運動で今、大地殻変動が始まっている。AMFA(航空整備士労組)のスト継続決定に続く大ニュースだ。1月20日、昨年12月にストに決起したニューヨークの都市交通労働者が執行部の妥協的な仮協約案を投票総数2万2千票中、7票差という僅差(きんさ)で否決した。再開された交渉の推移によっては、再度ニューヨークの公共交通がストに突入する可能性が出てきたのだ。
労働協約の更新に際して12月20日から3日間、アメリカ経済の中心地であるニューヨークを完全に停止させたTWU(都市交通労組)ローカル100の労働者の決起は実に偉大な闘いだった。ニューヨーク州では、テーラー法と呼ばれる州法によって公務員労働者のストライキは違法とされて、ストには罰金が科され、指導部は逮捕されることになっている。このテーラー法による脅しをはねのけて25年ぶりにストライキに決起したのだ。
ストの力によって、ニューヨーク州当局は当初導入を予定していた「2階層制」と呼ばれる新規採用者に対してだけ適用される年金制度改悪を断念した。TWUの労働者は、自らには適用されないにも関わらず階級全体の利害を守りぬいたのであった。
一方、ローカル100のトゥーサン委員長らは、それまで全額当局負担であった健康保険料を新たに自己負担にするという州当局の提案を受け入れてしまった。これはUAW(全米自動車労組)傘下を始め全米の各労組に襲いかかっている医療保険制度解体攻撃と一体であり、30年代にアメリカ労働者階級がかちとった権利を一気に解体しようという攻撃である。
だからこそ、この妥協案に対して現場労働者の猛然たる怒りの決起が開始され、反対1万1234票、賛成1万1227票と、わずか7票で仮協約を拒否した。これは事実上、トゥーサン指導部への不信任である。ストを構えて闘うTWUの現場労働者の闘いを支援しよう。
(写真 ストに立ち上がったTWUの労働者)
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