ZENSHIN 2005/12/12(No2226
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週刊『前進』(2226号1面1)(2005/12/12)
革共同の12月アピール
「公務員制度改革」絶対反対を
小泉の〈戦争と民営化〉を12月大攻勢で打ち破ろう
自衛隊イラク派兵延長許すな
第1章 4大産別の改憲勢力化阻んだ05年闘争の地平
11・6全国労働者集会と11月闘争の偉大な地平に立って、12月大攻勢から06年階級決戦に向かって勇躍して闘いぬこう。日帝・小泉=奥田の戦争と民営化(労組破壊)の攻撃との闘いを強力に強めよう。
動労千葉訪韓団が参加した民主労総の全国労働者大会が宣言した12・1ゼネストは、全国6万人の労働者の総決起として始まった。コジョンファン・ソウル本部長を先頭に11・6集会に訪日した労働者同志がその先頭で闘っているのだ。この巨大なゼネスト決起と連帯して、日本の4大産別決戦を爆発させよう。
11・6労働者集会と動労千葉訪韓団の闘いという11月の偉大な地平は、05年1年間の闘いの発展が切り開いたものである。1〜4月卒業式・入学式での「日の丸・君が代」強制拒否の闘いは、昨春の処分攻撃をはね返してさらに不起立を拡大する闘いとして、激しく闘いぬかれた。大量不当処分をもって教育労働者の闘いの圧殺を図った日帝・小泉、石原らの思惑を打ち破って闘いは爆発した。
この闘いは動労千葉の春闘と呼応し、励まし合う関係として発展した。動労千葉は、「日の丸・君が代」闘争のエネルギーをわがものとして、3月ストライキから、JR尼崎事故弾劾の反合・運転保安闘争を闘いぬいた。また、動労千葉3月ストは、都高教労働者の決起に対する連帯闘争として貫徹された。
この力が4月以降の「新しい歴史教科書をつくる会」の侵略戦争賛美・扇動の歴史・公民教科書の全国での採択を阻止する闘いにつながっていった。そしてそれは、7月都議選闘争の最大テーマとして、杉並で全力を挙げて打ちぬかれた。「つくる会」教科書は杉並では歴史教科書の採択が強行されたが、全国での採択率0・4%という圧倒的な不採択をかちとった。
そして、7月の日教組大会、8月の自治労大会での改憲勢力化を阻止する闘い、そして10月の連合大会で改憲方針反対派が3分の1を占める事態を生みだしたのである。こうした闘いの基礎に、昨年から引き継がれた「日の丸・君が代」闘争の不屈の前進があるのである。
こうした闘いと並行して、参議院で郵政民営化法案を葬られた小泉が起死回生の巻き返しとして行った8・8解散、9・11総選挙の大反革命は、日帝・小泉=奥田のファシスト的突出であった。これに対する厳しい危機感と革命的反発心をもってわれわれは全力で闘った。
それが11・6集会への大結集としてついに結実したのだ。今春の「日の丸・君が代」強制拒否決戦から、「つくる会」教科書採択阻止=都議選決戦をとおして打ち固められてきたものが、11・6大結集として表現されたのだ。
05年階級決戦の本質は何か。戦争・改憲と民営化攻撃が、戦後体制・戦後的あり方の一掃なくしてありえない中で、戦後体制の一翼を形成してきた労働組合をめぐる攻防が激烈に闘われたということである。それは日教組、自治労の護憲的存在をたたきつぶすことによって、戦後労働運動の中心である4大産別の労働組合を実質的に解体し、改憲勢力化する攻撃である。
今年1年間の闘いはこれを打ち破った。われわれはこの間の闘いの中に、労働者階級に根を張り、労働者を獲得していく新指導路線の前進への確信を得た。
このすべての根底に、動労千葉労働運動がある。動労千葉は国鉄分割・民営化に対して2波のストライキをもって真っ向から闘い、大量解雇処分をはねのけ、不屈に闘いぬいてきた。そして、4月のJR尼崎事故に対して、反合・運転保安闘争を闘い、労働組合のあるべき姿を体現してきた。そのことが、アメリカと韓国の闘う労働者、労働組合の心をとらえ、国際連帯をもたらしたのである。
05年の闘い全体をとおして、日帝・小泉の戦争・改憲と民営化攻撃に対する闘いは、決定的な地平を切り開いた。しかし、なおかつその一切は、06〜07年決戦の画歴史的な決戦の前哨戦である。06年冒頭から「日の丸・君が代」強制粉砕の決戦を軸に闘いに突入しよう。12月大攻勢を闘いぬき、06年決戦を切り開こう。
第2章 帝国主義の危機と破滅暴き戦争・改憲阻止へ
日本経済は、東京市場で株価の急騰(日経平均1万5000円台)を示し、大手6銀行の9月連結決算で過去最高の1兆7300億円、大企業が新日鉄など過去最高収益を上げている。こうして大資本が異常な利益を上げている一方で、労働者階級はリストラと賃下げ、超過勤務など悲惨な状況に追い込まれている。その上、日帝は公務員労働者に対する重大な攻撃を強め、戦争に向かって改憲、米軍再編の攻撃に突っ走っている。
これら全体に対して労働者階級の怒りは渦巻いている。12月から06年へ、この怒りを爆発させよう。
郵政民営化後の持ち株会社の社長に三井住友銀行特別顧問・前頭取の西川善文が決まったことは、郵政民営化の本質を端的に示すものだ。郵政公社の資産、郵貯・簡保350兆円が金融大独占資本の食い物になるということであり、そのもとでリストラ・大量首切りが吹き荒れるということである。事実西川は、銀行で大リストラを強行してきた実績を買われて起用されたのだ。
JPU本部は、この攻撃に完全に屈服し、民営化の先兵となり、07年までの2年間、労働者に犠牲を押しつけようとしている。このJPU執行部を打倒する下からの闘いが求められているのだ。動労千葉が、87年の国鉄分割・民営化に際して直面した闘いを、今すべての闘う全逓労働者が闘おう。
今、大問題になっているマンション・ホテル建設の耐震強度データ偽造問題は、日本帝国主義の末期的危機を象徴的に現すものだ。これは、検査業務の民営化・民間開放、規制緩和が行われ、マンションの販売競争、極端なコスト削減などが横行した結果であり、日帝の民営化と公務員リストラの中で生まれるべくして生まれたものである。コストダウンのしわ寄せは、労働者へのリストラ・賃下げ・強労働として現れ、さらには鉄筋を減らすなどして安全が顧みられない結果を生んだ。人民の命のかかった住宅建設で、こんなデタラメなやり方がまかり通っているのである。
これに関して自民党の武部幹事長は、「悪者探しに終始すると、景気がおかしくなる」と驚くべき発言をした。これは、姉歯建築士とヒューザーなどの悪質な建築主の問題が全体の氷山の一角であり、これを深く究明すると次々と反人民的な実態が発覚して収拾がつかなくなると言っているのである。営利優先の安全無視は、JR尼崎事故と同じ構造だ。結局民営化とは、市場原理に委ねるということであり、資本が他を蹴落として生き残るためには、人民の命などどうなってもいいということである。「わが亡きあとに洪水はきたれ(あとは野となれ山となれ、ということ)」なのだ。こんな資本主義、帝国主義体制は打倒しなければ、労働者人民は殺されてしまうのだ。
JR尼崎事故に対して、動労千葉が「闘いなくして安全なし」を掲げて反合運転保安闘争に立ち上がり、打ち勝ってきたように、労働者が団結して闘うことだけが、展望を切り開くことができる。
また、郵政民営化に続いて、日帝の公務員制度改革の攻撃は、とてつもない規模と質をもっている。
11月14日の経済財政諮問会議は、公務員定員純減と公務員給与削減の「総人件費改革基本指針」を打ち出した。また、同時に医療給付を大幅削減する「医療制度改革」に踏み込んでいる。
この「総人件費改革基本指針」では、「定員の大幅な純減と給与制度改革の強力な推進により大胆に削減する」と、最大限の表現で首切り・リストラと賃下げに踏み出すことを宣言している。これによって「国家公務員の人件費を10年間で半減」し、地方公務員についても「それを踏まえた改革を断行する」と言っている。容易ならざる攻撃が公務員労働者に襲いかかってきているのだ。
また、11月4日に出された経済同友会の「地方公務員制度改革の10の提言」は、国と地方の財政危機の突破をかけ、戦後地方自治制度を根本的に解体し、戦争国家体制を構築しようとする攻撃である。大民営化攻撃を貫徹し、その中で公務員労働運動・労働組合を破壊しようとするものだ。地方公務員を半減し、戦前型役人を除いてすべての労働者を非正規化しようとしている。また、この中で「首長の権限強化」がうたわれていることは、石原ファシスト政治を全国に拡大していくものである。
一方、政府税制調査会は、11月25日、06年度税制改正の答申を提出、総額2・6兆円の増税を提言した。定率減税を07年度に全廃、来年度以降に消費税率を上げようとする動きと相まって、労働者の負担は増大しようとしている。
これらの攻撃は、敵の側からの逆4大産別決戦としてかけられているのだ。
沖縄への基地集中と日米の軍事一体化
小泉は、靖国神社参拝とその開き直りによって、中国とは4年間も首脳会談を開かず、韓国のノムヒョン大統領の訪日招請もできない状態を続けている。その上、安倍官房長官、麻生外相もそれぞれ靖国参拝を正当化する発言を繰り返している。これは、日帝・小泉が日米枢軸を強め、北朝鮮・中国侵略戦争に向かって突き進んでいるからであり、改憲と米軍再編・安保大改定と一体の攻撃である。
改憲とトランスフォーメーションの攻撃に対して、心からの怒りをたたきつけ、闘いを爆発させよう。
自民党は結党50年の党大会で「新憲法草案」を発表し、民主党、公明党を巻き込んで来年通常国会での国民投票法成立を策動している。
米軍再編での日米合意は、改憲攻撃と一体のものである。10月の日米安保協(2プラス2)の合意は、北朝鮮・中国侵略戦争を狙って日米軍事同盟を飛躍的に強化するものである。日本全土を世界戦争への出撃基地とし、米軍と自衛隊が一体化していくものだ。神奈川県の座間には日米の最前線司令部が置かれる。
さらに、沖縄の負担軽減と言いながら、まったく逆で、沖縄本島北部に巨大基地を建設し、恒久的な軍事要塞(ようさい)にするものである。沖縄への差別的な基地押しつけを極限的に進めるものだ。小泉は沖縄の頭越しに日米交渉を進めたことについて全国知事会で「事前に相談したら断られるから」と言い、「日本全体の安全に関する問題」だから「理解せよ」と語った。これは「国体護持のための捨て石」とされた沖縄戦と同様、沖縄に犠牲になれと強制するものだ。
辺野古の陸と海での営々たる闘いの勝利、県民の90%の反対、稲嶺知事でさえ反対を続けざるをえないほどの日帝との非和解的対決になっている。ゼネストへ、10万人集会へ、という声が渦巻き始めている。沖縄の闘い、そして座間、横須賀、岩国、佐世保を始め全国の闘いと連帯して米軍再編阻止の闘いを圧倒的に強めよう。
さらに日米合意の中で、ミサイル防衛について踏み込んで共同作戦がうたわれていることも重大である。06年度末の配備開始を控え、防衛庁が作成したミサイル防衛(MD)運用構想は、7大都市圏などを「重要対象」に指定し、日本に対する攻撃の際には、日米のレーダー、ミサイルなどの装備を連結して、「日米による共同交戦について……検討する」としており、集団的自衛権の行使に踏み込むものだ。
06年に向かって、沖縄を始め全国基地闘争、改憲阻止闘争を自治労、日教組などの労働組合の総決起で闘おう!
第3章 マルクス主義で武装し強大な労働者党建設を
4大産別決戦は繰り上がった。1月26〜27日、自治労臨時大会が行われる。続いて、2月にはJPU(全逓)臨時大会が行われ、郵政民営化に屈服する方針が決定されようとしている。JPU中央を打倒し、郵政民営化を職場からの実力闘争で粉砕しなければならない。年末年始、全国の職場から郵政民営化絶対阻止の決起をかちとろう。全逓労働運動の戦闘的伝統をよみがえらせよう。
そして1〜3月の「日の丸・君が代」強制拒否の闘いを爆発させよう。杉並での「つくる会」教科書採択撤回の闘いをやり抜こう。
日帝・小泉のすべての攻撃に対して、4大産別決戦で反撃していくのだ。その最先頭に立つ動労千葉に対する、JR幕張電車区の縮小と「蘇我運輸区の新設」という組織絶滅型の攻撃を打ち破り、06春闘への進撃をかちとろう。
この過程は、05年以上に日本共産党などの反革命的制動と敵対との死闘戦になる。日本共産党は、11・5声明で統一戦線破壊勢力としての本性をあらわにしている。国鉄1047名闘争の統一と団結を絶えず破壊し、「日の丸・君が代」闘争に敵対してきた日本共産党の、労働者階級に対する一層の敵対宣言である。敵は誰か。日帝・小泉であり、米帝ブッシュではないか。これに対してあらゆる力を結集して闘うことが死活的に問われている時に、「テロを支持するかどうか」を踏み絵にして労働者人民の戦列を分断するとはなんということか。帝国主義の未曽有(みぞう)の危機と、改憲・戦争と民営化・労組破壊攻撃の強まりの中で、日共11・5声明は歴史的な犯罪的裏切りと言わなければならない。日本共産党の内外の労働者市民に対して、闘いの発展に立ちふさがる党中央と断固対決して、小泉打倒、改憲阻止へともに闘うことを呼びかける。
青年学生の大決起を
11月集会の地平を青年労働者運動と学生運動の爆発へと発展させよう!
今日の日帝の戦争・改憲と民営化・労組破壊の攻撃は、その一切の矛盾を青年に向けている。総務省が11月29日に発表した労働力調査の今年7〜9月平均詳細結果によると、労働者に占めるパート・アルバイト、派遣・契約社員など非正規雇用労働者の割合は32・9%となり、過去最高となった。特に15〜24歳の若年層では、半数近い46%が非正規雇用だ。小泉=奥田の「構造改革」がもたらしているものはこれだ。青年は使い捨て労働力として搾取するということだ。青年労働者は、今こそ階級的に団結して資本・当局・権力と闘う以外に生きていくことができないという現実に直面しているのだ。
また、学生運動は、労働者階級と連帯する学生運動として11・6労働者集会への大結集をかちとった。織田委員長のもと、新世代の全学連として若返った執行部のもと、小泉に対する怒りをみずみずしい感性で爆発させつつある。この力を解き放ち、06年へ進撃しよう。
青年労働者と学生の中にマルクス主義を持ち込み、マルクス主義で獲得すること、労働者階級自己解放の思想を普及することが切実に求められている。
12月諸闘争の課題
日帝は、12月8日にも、イラク派兵延長を閣議決定しようとしている。今度は「首都防衛」の東部方面隊が派兵されることになる。イギリス、オーストラリアなどが撤退すると言われる中で、日帝が米帝ブッシュを支える最大の援軍として、なおもイラク駐留を継続することを絶対に許してはならない。イラク人民大虐殺に加担してはならない。
成田暫定滑走路北延伸阻止、「東峰の森」破壊攻撃粉砕などを掲げた12・10三里塚闘争を反対同盟とともに闘おう。
「国労5・27臨大闘争弾圧を許すな!12・11全国集会」に結集しよう。02年5・27弾圧とは、鉄建公団訴訟を闘う国労闘争団員を統制処分にかけようとした国労臨時大会に対してビラまき説得活動をしたことをもって、国労本部と警察権力が結託して8人の国労組合員と支援を逮捕・起訴し、1年以上も投獄(未決で)した許しがたい事件である。絶対に無罪をかちとらなければならない。国鉄1047名闘争の勝利のためにも、5・27弾圧に対する闘いを圧倒的に強めよう。
共謀罪は、戦前の治安維持法以上の悪法であり、労働者の団結権そのものの破壊に向かって牙をむいている。労働者階級全体の重大な課題として、取り組みを強化しなければならない。「共謀罪を永久に葬り去る12・17総決起集会」に集まり、労働者階級の力で来春通常国会での共謀罪法案の成立を必ず粉砕しよう。
11・6労働者集会の成果を打ち固め、機関紙定期購読と党勢の拡大をかちとろう。11・6報道号から民主労総との団結を固めた動労千葉訪韓団の闘い、APEC粉砕闘争を報じたこの間の『前進』は、労働者の中に広く機関紙を拡大する絶好の条件を提供している。
年末一時金カンパ決戦に全力を挙げ、財政闘争に勝利しよう。リストラ、賃下げで労働者の生活は苦しくなっている。このままでは生きていけない、と闘いが広がっている。だが、だからこそ、帝国主義を打倒する確固たる戦略と路線をもった闘う革命党を堅忍不抜に建設することは、すべての労働者の利益であり、希望である。
革共同は労働者階級の自己解放に無限の確信をもつがゆえに、労働者のなけなしの拠金以外にいかなる財政的よりどころもない。それはわれわれの誇りである。それを貫くためにも、なんとしても一時金カンパ決戦にすべてのみなさんが協力されることを訴えたい。
12月の激闘を勝利的にやり抜いて、06年の闘いに突入しよう。
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週刊『前進』(2226号1面2)(2005/12/12)
民主労総がゼネスト突入
「非正規職撤廃」を掲げ ソウルの国会前でゼネスト決意大会(12月1日)
民主労総は、12月1日午前10時、全国142事業場、6万人の組合員がゼネストに突入した。ソウル地域本部のコジョンファン本部長が「この国は労働者と農民を死に追いやる国だ。死で抗するしかない明白な闘いが始まる」と呼びかけたゼネストが始まった。
同時刻、国会では法案審査小委員会が開かれ、意見表明に参加した民主労総のチョンジェファン非常対策委員長は、前日に政府に譲歩した修正案を発表した韓国労総を激しく批判、あくまで非正規職権利保障立法をかちとるためにゼネストで闘うことを宣言した。「非正規職保護」と称して非正規職量産を推し進める政府改悪案を「今国会で必ず処理する」とする盧武鉉(ノムヒョン)政権との超緊迫攻防が幕を明けた。
午後3時、国会前の国民銀行前のゼネスト決意大会には1万人が集結、△非正規職労働者の差別解消と新自由主義廃棄のためのゼネスト闘争、△12・4大規模民衆大会へ上京闘争、△農民との全国的で強力な連帯闘争、△(11・15農民大会で警察の暴行を受け死亡した)チョンヨンチョル烈士真相究明と責任者処罰などのための民衆連帯闘争を決意した。
午後3時半すぎ、国会本館前で「国会は非正規職を皆殺しにするのか!」と叫んで非正規職労働者たち20人余が突撃、警察に連行された。午後4時、貨物連帯とダンプ連帯の労働者101人が、与党ヨルリンウリ党、ハンナラ党の党舎を占拠、全国14カ所で無期限座り込みに突入した。非正規職労働者の激しい怒りが噴出するゼネストとなった。
ゼネスト決意大会後、チョン・ゼネスト本部長ら剃髪した非常対策委を先頭に抗議書簡を持って国会へデモで進む。戦闘警察が阻止線を張る中、500人余の死守隊が実力闘争に打って出た。攻防後、全国非正規労組連帯会議のクグォンソ議長は「盧武鉉に歴史的な審判を突きつけよう。一点の火種になって力強いゼネストを!」と叫んだ。
その後、労働者たちは、光化門で座り込み中の農民部隊と合流、国会攻防をにらみながらゼネスト第2日に突入した。民主労総は、12月4日に民衆大会、9日に全国労働者大会などを設定、「非正規職権利保障立法戦取・コメ開放反対」を掲げた労農連帯闘争として9日までゼネストを継続する方針だ。
11・6労働者集会−動労千葉訪韓でつかんだ共同闘争のさらなる発展が求められている。決死ゼネストを貫く民主労総と熱く連帯し12月闘争を闘いぬこう。
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週刊『前進』(2226号1面3)(2005/12/12)
12・10三里塚現地闘争に総決起を!
三里塚芝山連合空港反対同盟
三里塚反対同盟から12・10現地闘争への招請状が発せられたので紹介します。緊迫する三里塚現地へ駆けつけよう。(編集局)
全国の闘う仲間のみなさん。
政府・国交省と成田空港会社(NAA)は、8月4日の暫定滑走路北延伸決定に続いて、10月3日、施設計画案を公表しました。これによると、北側に320b延伸する一方、東峰地区東側に空港敷地をはみ出して新誘導路を建設するとしています。そのルートに、防風林等として地区の生活を守り、また、山菜取りや床土取りなどのために入会地的に使われてきた旧県有林=「東峰の森」があり、この森の破壊を狙っています。また、施設計画案の中に、未買収の「成田クリーンパーク」(一般廃棄物の最終処分場)があり、NAAは違法にこの処分場を埋め立てて、進入灯の建設を策動しています。私たちは、この「東峰の森」の破壊と、最終処分場の違法転用を絶対に許さず、闘います。
反対同盟が小林成田市長に出した公開質問状に対する回答が、11月17日、書面で送られてきましたが、回答は、「空港会社と協議中」として答えず、秘密裏に違法転用を強行しようとしています。空港会社と成田市による違法転用=埋め立てを許さず、延長を阻止します。
こうした闘争破壊攻撃の中で、イラク特措法の延長と陸自東部方面隊の成田出兵が策動されています。イラク参戦から朝鮮有事を想定した成田空港の軍事化を阻止しよう。
12・10三里塚現地闘争への総決起を訴えます。
2005年11月27日
記
「東峰の森」破壊攻撃粉砕
クリーンパークの違法埋め立て許すな
東部方面隊のイラク出兵阻止
12・10三里塚現地闘争
12月10日(土)午後1時半
集合場所/成田市東峰・開拓組合道路(市東孝雄さん方南側)
主催 三里塚芝山連合空港反対同盟
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週刊『前進』(2226号2面1)(2005/12/12)
経済同友会が公務員大リストラ提言
“自治体労働者3人に1人をクビに” 地方自治解体し戦争国家へ改造
改憲と一体の大攻撃に怒りを
日本経団連と並ぶ日帝の財界団体である経済同友会が11月4日、「地方公務員制度改革への10の提言」をまとめた。その核心的な内容は、自治体の全面民営化と地方公務員を3分の2(半減以上をも狙っている!)にし、それをとおして戦後的な地方自治制度を全面解体し、自治体レベルから日帝を戦争国家に改造することである。改憲攻撃と一体の大攻撃であり、日本帝国主義が自治体労働者の3人に1人を首にする国鉄分割・民営化型の大攻撃に出てきたのだ。労働者階級の取るべき道はただ一つ、絶対反対を貫き闘うことだ。
06年度に地方公務員法改悪
提言は第1に、地方公務員にかかわる制度や仕組みを根底から「改革」することを提唱している。
地方公務員に対して「前例主義」「横並び」「事なかれ主義」「非能率な仕事ぶり」「年功序列」「高い給与」「不透明な手当」「倒産しない」「首にならない」などあらん限りの悪罵(あくば)を並べ、「その本質的な問題は、地方公務員に関わる制度や仕組みにある」とし、「地方公務員制度の基本的枠組みを根底から改革すべきである」と提唱している。
そして「最早、地方公務員制度が国家公務員制度に準拠しなければならない必然性はない」として、「国家公務員制度改革を待たずに06年度をめどに地方公務員法を抜本的に改正し、新しい枠組みを始めるべきだ」と主張している。
提言は、国家公務員より先に、まず06年度中に地方公務員法を改悪し、地方公務員制度改革を「断行」することを要求している。これは、ブルジョアジーの攻撃(構造改革)の核心問題が労組破壊=労働者階級の抵抗力の解体にあること、その最焦点の一つが自治体労働運動の絶滅にあることを示している。そして、戦後的な地方自治制度を解体・変質させ、究極的には地方自治体を侵略戦争遂行のための国家下部機関にしようとしている。
第2に、職員数2割減、給与1割下げで総人件費を3割弱削減できるという「試算」を示し、公務員労働者の大リストラと賃下げを叫んでいる。
国・地方の借金774兆円の原因は歳出が税収を上回って肥大化していることにあるとし、国で10兆円、地方で20兆円の計30兆円規模の歳出削減を提唱している。具体的には、「不要・不急事業の廃止・縮小」「公的サービスの民間移管」「市町村合併」「IT化」で地方歳出20兆円が削減できるとしている。
その実際上の中身は公務員労働者の大リストラと賃下げである。公的事業の廃止・縮小と民営化による非公務員化・合理化によって、「理論的には地方公務員数は現在の265万人に対して約28%、74万人少なくて済む」としている。地方公務員労働者の3人に1人の首を切ると言っているのだ。さらに、「地域の民間準拠による給与引き下げ」「能力主義・成果主義による年功序列給の是正」で地方公務員の平均賃金を1割下げることを主張している。
議会承認なしで政治任用職
第3に、「地方公務員制度改革は、三位一体改革による地域主権の確立をヒトの面から支えるもの」であり、それを首長のリーダーシップに委ねるべきと強調している。このリーダーシップを支える政治任用職として、議会の承認を必要としない政治任用を制度化することを提言している。そして首長が掲げるマニフェストの実現のために地方公務員の意識や行動様式の変革を要求し、そのための成果・能力による昇進・昇格・選抜・登用を徹底することを提案している。さらに地方議会については、「行政の追認機関に堕している」とし、決定機関ではなく、行政の監視機関としての地位を強調し、議員数の半減を提案している。
これはファシスト石原が東京都政で先取り的に実施している手法だ。6月に辞任した浜渦元副知事のような人物を議会の承認なしでどんどん登用し、地方自治体をファシスト的に牛耳ることを可能にする。「地方分権」の名による首長の独裁権限の強化だ。それを全国の自治体に拡大しようというのだ。
そして地方公務員制度改革の基本的方向・具体策として提言は第4に、首長の権限のもとで地方行政の少数のプロ集団化、給与・人事制度の裁量化、成果主義・能力主義の徹底化などを提案している。
提言はまず前提として@「地方自治体は納税者である住民・企業を顧客とし、最小の経費で最大の効果をあげるべき総合的サービス業であり、一つの経営体である」と主張し、A地方公務員の賃金は、全国平均の官民格差に基づいて決められる国家公務員の賃金に準拠することで、法の求める「情勢適応の原則」が誤って運用されている、B昇任しなくても勤続年数に応じて賃金が上がり、しかも上位級者を上回ることも少なくない典型的な年功序列になっていると呪いの言葉を投げかけている。
そして地方公務員制度改革の基本的方向として、賃金・人事制度を条例で変更できるように地方公務員法を改悪することを要求している。そして「職員に適用される基準、勤務条件の根本基準を見直し、地域の民間準拠を第一の原則とする」としている。
さらに具体策として、@一般行政部門、病院・水道・交通・下水道などの公営企業部門の民営化(民営化、市場化テストによる公共市場の民間開放、指定管理者制度、アウトソーシング化など)による人員削減と非公務員化を推進する大民営化方針を提示している。
さらに「総人件費の削減」として、▼給与表の抜本的改正(給与カーブをフラット化し、年功による給与上昇を抑制、諸手当を抜本的に整理し、職務給と職責給を基本とする、普通昇級・特別昇給を廃止し、評価に基づく昇給に一本化、号数幅を削減し、上位級者と下位級者の給与逆転がないようにする)▼昇任の適正化(昇任によらない級格付けを廃止、評価による降格)▼給与水準の適正化(現業・技術職等の給与水準を引き下げる)――などを打ち出している。
具体策の最後に「身分保障と労働基本権制限の見直し」と称して、「身分保障は労働組合の意識にも大きな影響を及ぼしており、様々な人事制度改革の取り組みを困難にしている」とし、「一般的な意味での雇用保障、不利益処分、整理解雇などの要件は民間と同様に」「地方公務員も雇用保険の対象とする」「非公務員化の制度を整備する」としている。
絶対反対貫き闘おう
「10の提言」の狙いは何か。国と地方の財政危機(774兆円)の「突破」をかけた戦後的な地方自治制度の根底的な解体と戦争国家体制の構築をかけた大攻撃である。それは「地方分権」の旗印とは実際には逆に戦後的なあり方を解体し、中央集権国家をつくりだすものである。そしてそのために「官から民へ」「国から地方へ」と称して大民営化攻撃を貫徹し、それをとおして労組を破壊することを狙っている。
具体的には、総人件費削減のもとで「身分保障」を剥奪し、3分の1の首を切るプランであり、それにとどまらず際限のない非公務員化−首切りを制度化しようとしている。つまり、ごく一部の「戦前型役人」をのぞいて、すべての自治体労働者を非公務員化・非正規化・不安定雇用にする、95年に日経連が出した「新時代の『日本的経営』」報告の貫徹を究極的な目的としている。
そのために公務員賃金体系を徹底した成果主義・能力主義に変えることが重要な突破口になっている。戦後労働運動における4大産別及び自治体労働運動の賃金闘争的な「獲得物」を徹底的に解体し、労働者の労働組合的団結を賃金によって分断することで、自治体労働者の大リストラを貫徹しようとしているのだ。
11月14日の経済財政諮問会議では公務員定員純減と公務員給与削減の「総人件費改革基本指針」が出された。ここでも「総人件費について、定員の大幅な純減と給与制度改革の強力な推進により大胆に削減」と最大級の首切り・リストラと賃下げを宣言している。しかも「国家公務員(94・8万人)の総人件費は、対GDP比でみて今後10年間で概ね半減させる」というすさまじい規模である。
「総人件費改革基本指針」「10の提言」によって「公務員制度改革」の全貌(ぜんぼう)が明らかになった。いよいよ自治体労働者をめぐる決戦が正念場に突入したのだ。
地方公務員制度改革への10の提言
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提言1 真の地域主権を完成させるため、2007年度以降の第2期の三位一体改革、現場への権限委譲等の国の地方への関与のさらなる廃止・縮減、そして地方公務員制度改革を一体かつ並行して進める。地方公務員制度改革は、国家公務員制度改革を待つことなく、2006年度中を目処に地方公務員法を抜本改正し、地方公務員制度の新しい枠組みをスタートさせる。
提言2 2010年代初頭までに国で10兆円、地方で20兆円、合わせて歳出を30兆円規模で削減する。地方歳出は、不要・不急事業の廃止・縮小と公的サービスの民間移管で1割、市町村合併等やIT化による行政効率向上で1割、合計で約2割・20兆円を削減する。
提言3 2010年代初頭までに地方公務員の総人件費を、定員純減で2割、給与等適正化で1割、合計で3割弱削減する。
提言4 首長のリーダーシップを支える政治任用職として、議会の承認を必要としない特別職を制度化する。
提言5 さらなる市町村合併や将来の道州制への移行を前提に、最終的に地方議会の議員数を半減する。
提言6 地域行政のプロ集団として、高い意欲と能力を持った優れた人材が生き生きと活躍できる魅力的な職場環境を作る。そのため、人事管理・給与制度などについて地域の裁量を広げるよう地方公務員法を抜本改正する。
提言7 地方公務員制度は、@地方自治体の自由度を拡大する、A職員に適用される基準、勤務条件の根本基準を見直し、地域の民間準拠を第一の原則とする、B組織内部の真の競争性を高め、外部に対する透明性を高める、ことを基本的方向として改革する。
提言8 地方公務員の給与制度を、能力主義・成果主義に相応しいものに構造的に改革する。
提言9 地方公務員の身分保障は、公務の政治的中立性を守るとの本来の趣旨に限定し、一般的な意味での雇用保障、不利益処分、整理解雇などの要件は民間と同様に労働法規によるよう地方公務員法を改正する。
提言10 首長は、新しい地方公務員制度を活かすためにリーダーシップを発揮する。
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週刊『前進』(2226号2面2)(2005/12/12)
「三位一体改革」粉砕を
首切りと社会保障解体 地方自治の圧殺を狙う
郵政民営化法を押し通した小泉政権は、これに加えいよいよ自治体労働者に対しても本格的な首切り・賃下げにのりだしてきた。その決定的なテコとなっているのが、いわゆる「三位一体改革」だ。そこで狙われているのは、戦後の地方自治制度そのものの破壊と社会保障の解体、労働者人民からのすさまじい収奪の貫徹だ。改憲阻止決戦の一環として、自治体労働者を先頭に総反撃をたたきつけなければならない。
戦争国家の構築へ自治体を全面再編
9・11総選挙を経て、公共部門の民営化を手段とした公務員労働者への首切り・賃下げ攻撃が堰(せき)を切ったようにあふれ始めた。経済同友会の「地方公務員制度改革への10の提言」はその典型だ。経済財政諮問会議も「総人件費改革基本指針」を決定し、小泉政権の最重要課題として公務員の定員削減・賃金切り下げに突進しつつある。
小泉の攻撃の対象は、公務員労働者だけにとどまらず、戦後地方自治制度、ひいては戦後憲法体制下での国家のあり方そのものに及んでいる。これを主に財政面から押し貫こうとするのが「三位一体改革」だ。
ここで言う「三位一体」とは、@国から地方自治体に支給される補助金の廃止・削減、A同じく国から地方自治体に支給される交付金の廃止・削減、B国から地方自治体への税源移譲、を同時一体に進めるという意味だ。
その狙いは、大増税による労働者人民からの強収奪と、社会保障の解体、公務員への大首切りと公務員労組の破壊にある。地方自治から財源基盤を徹底的に奪い去ることで、自治体をこうした攻撃の先兵に仕立てようというのである。
今や、国と地方自治体の財政赤字は破滅的なレベルに達している。それはすべて、資本救済のための野放図な財政支出によってつくり出されたものだ。
バブルに躍って膨大な不良債権の山を築き、何十兆円もの国家資金をつぎ込まれて延命した大銀行は、06年3月期決算で史上最高の利益を計上する見通しだ。一握りの独占資本が労働者階級を低賃金と不安定雇用にたたき込みながら、巨大な利益を上げている。その独占資本に対して、数兆円規模の大減税を施してきたのが小泉政権だ。財政赤字のツケを労働者が負うべき理由などまったくない。
経済同友会の「地方公務員制度改革への10の提言」は、「公務員が税金を使ってやらなければならない行政の仕事はかつてと比べ大幅に小さくできる」とうそぶきつつ、05年度で全国総計で85兆円程度の額になる自治体歳出を20兆円削減し、地方公務員を3割減らせと叫んでいる。
それは、地域住民の生活や福祉を支えてきた地方自治体の役割を徹底的に切り捨てて、純然たるブルジョア独裁を貫く権力機関、「国民保護計画」による侵略戦争遂行機関に地方自治体を全面的に再編するということだ。
道州制の導入は、その決定的なテコになろうとしている。
道州制の導入を叫ぶ自民改憲案
11月22日に自民党が党大会で決定した「新憲法草案」は、9条の解体を始め戦後憲法体制の全面転覆を狙う一大反革命だ。それは、地方自治については次のような条項を新設すると述べている。「地方自治体は、基礎地方自治体及びこれを包括し、補完する広域地方自治体とする」。ここでイメージされているのは、明らかに道州制だ。
自民党「新憲法草案」には、次のような条項も盛り込まれた。「地方自治体の経費は、その分担する役割及び責任に応じ、条例の定めるところにより課する地方税のほか、当該地方自治体が自主的に使途を定めることができる財産をもってその財源に充てることを基本とする」
「三位一体改革」と照らしてみれば、これは国による地方自治体への財政支出の極限的な縮小を意味することは明らかだ。
教育・医療・福祉の解体へ補助金削減
01年に登場した小泉政権は、その年に策定された「骨太方針T」で早くも、補助金、交付金の削減と「地方税源の充実」を打ち出した。03年の「骨太方針V」で、その中味は具体化された。補助金の削減額は4兆円程度とされ、国から地方への税源移譲額は約3兆円と決められた。
これを受けて、「三位一体改革」は04年度予算から実行に移された。その主なものは次のとおりだ。04年度予算では義務教育国庫負担金が削り込まれ、公立保育所運営費への国庫補助がなくなった。05年度予算でも義務教育国庫負担金の削減が続き、国民健康保険への国庫負担が縮小されて都道府県の負担とされた。
さらに小泉は、これから作成する06年度予算案で、児童手当や公立小中学校の教職員給与、公営住宅の家賃対策補助費などの国庫負担率を引き下げる方針だ。
削減された補助金は主に教育・医療・福祉にかかわるものだ。06年度の補助金削減をめぐっては、生活保護費の国庫負担削減を主張する厚労省に対して、地方自治体が生活保護の支給状況の国への報告を拒んで「抵抗」を演じる一幕さえあった。厚労省の思惑はついえたが、これは象徴的な事態である。「三位一体改革」の強行は、”労働者人民の生存を保障することはもはや国家の責任ではない”というに等しい。
義務教育にせよ国民健康保険にせよ、今現在は、それを実施する責務が国や自治体に課せられている。だが、いずれはそれらも、地方自治体の財政事情によっては取りやめても構わないものに改変することが、小泉=奥田の基本的な考えなのだ。現に小泉=奥田らは、「医療制度改革」を強行して労働者人民から医療を奪おうとしているではないか。資本家どもは、健康保険にも加入させずに膨大な不安定雇用労働者を搾取しているではないか。
この中で小泉は、自治体労働者を切り捨ての対象としつつ、同時に住民福祉解体の先兵に仕立て上げようと策している。自治体労働者が、全労働者と手を結び、総反撃に立つ時が来たのである。
住民税は大増税 公務員は首切り
国が補助金の支給をやめれば、その事業に要する費用は自治体の負担になる。しかし、05年度までは、削減された補助金にほぼ見合う金額が、「所得譲与税」「税源移譲予定特例交付金」などの名目で国から地方自治体に支出されていた。自治体への税源移譲と言っても、移譲する税目を具体的に決めることはできなかったからだ。その限りで、これまでの「三位一体改革」は、まだ名目的なものにとどまっていた。
ところが、07年1月から、地方自治体は自前で財源を確保しなければならなくなる。そのためにたくらまれているのが、住民税の大増税だ。政府税制調査会は、11月25日に提出した06年度税制改正答申で、住民税の所得割を一律10%とすることを打ち出した。これまでは5%の税率が適用されてきた大多数の労働者を狙い撃ちに、徹底的な収奪を貫こうというのである。他方、13%の税率が適用されてきた富裕層は減税になる。所得税(国税)・住民税の定率減税廃止とあいまって、労働者人民には一層の重税がのしかかるのだ。
これは、自治体当局の側からすれば、より不安定な財源の上に財政運営をしなければならないということだ。労働者を襲うすさまじい賃下げ・リストラのただ中で、強権的に増税を決めたからといって、税収増が保障されているわけではない。税金を払えない人が続出することは避けられない。それは、国民健康保険や国民年金の保険料を払えない人が急増していることを見れば明らかだ。
だから自治体当局は、これまで以上に公務員労働者への攻撃を激化させ、自治体業務の縮小と民営化・民託化、住民福祉の一層の切り捨てに突き進もうとしているのだ。
次期通常国会に出されようとしている「市場化テスト」法案は、自治体職場総体を激しい民営化・民託化攻撃のただ中に投げ込むことを意図したものだ。
小泉と自治体当局による「三位一体改革」の攻撃性がむき出しになるのは、まさにこれからなのである。
小泉政権は、「三位一体改革」を押し貫くため、補助金削減案を自治体自身(具体的には地方6団体=全国知事会、全国都道府県議会議長会、全国市長会、全国市議会議長会、全国町村会、全国町村議会議長会)に策定させる手法をとってきた。この中で自治体当局は、小泉と「改革」を競い合うことで延命を図るに至っている。今や地方6団体は、「人事委員会勧告を上回る独自の給与カット等により、徹底的な行財政改革に率先して取り組んでいる」とまで言って小泉に国家公務員のリストラを要求し始めた。
これほどあからさまな労組否定の態度があろうか。公務員から団結権・団交権・争議権を奪っておいて、「人勧制度はその代償」とうそぶいてきたのは支配階級だ。経済同友会の提言に至っては、公務員の労働基本権はあくまで否定した上で、首切り・リストラは民間並みに行えるようにしろと叫んでいる。
公務員労組・労働組合運動の破壊が敵の攻撃の核心だ。ならば、公務員労働者は、階級的団結を守りぬき、自らの力で労働基本権を奪い返す以外にない。
小泉の凶暴化促す破滅的な財政赤字
こうした攻撃の根底にあるのは、日帝の絶望的な危機である。国と地方を併せた長期債務残高は、05年度末で774兆円、GDPの151%にも膨らむ見通しだ。小泉政権自体が、「わが国最大のリスクは財政赤字」と危機感をあらわにせざるを得ないのだ。
赤字財政で資本に膨大な国家資金をつぎ込まなければ、日帝経済はたちまち奈落の底に突き落とされる。だが、このまま財政赤字を放置すれば、やがては国家の破産に立ち至る。そのジレンマの中で、小泉は一切合切の矛盾を労働者人民に押しつけようと策している。消費税の大幅アップも現実の日程に上っている。
ところが小泉は、「自分の任期中は消費税は上げない」とうそぶき、また来年度予算編成にあたっては「新規国債発行額は30兆円にとどめる」と叫んでいる。「国債発行30兆円以内」は、小泉がことあるごとに口にしつつ、一度として守られたことのない「公約」だ。だが小泉は、あえてそれを強調することで、財政支出削減=公務員リストラと社会保障解体の攻撃を一層激化させようとしているのだ。
労働者階級は11・6全国労働者総決起集会で、小泉政権打倒への巨大な号砲を上げた。敵の攻撃の激しさは日帝の危機の激しさの表れだ。動労千葉労働運動に続く階級的労働運動を打ち立てて総反撃に立つならば、この攻撃は粉砕できる。「三位一体改革」−公務員制度改革に対し絶対反対の立場を貫き闘おう。
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週刊『前進』(2226号2面3)(2005/12/12)
11・14〜11・25
経済財政諮問会議 公務員リストラ計画決定
「不払い残業」が4割超/「定率減税」全廃を提案
●経財諮問会議、公務員数削減の「総人件費改革基本指針」を決定 政府の経済財政諮問会議は、公務員の「総人件費改革基本指針」を決定した。国家公務員数については5年で5%以上、地方公務員も4.6%以上の純減目標を掲げている。政府に対して、そのための実行計画を年内にまとめるよう求めている。自治労や国公連合などでつくる公務労協は、「公共サービスと雇用・労働条件確保のための闘争委員会」を同日、発足させた。(14日)
●「賃金不払い残業」、1年前より増加 連合総合生活開発研究所(連合総研)が発表した「勤労者の仕事と暮らしについてのアンケート調査」の結果によると、「賃金不払い残業」がある雇用者は43.2%で、前年同月の39.2%を上回った。(14日)=要旨別掲
●郵政民営化推進本部が初会合 政府は小泉首相を本部長とする郵政民営化推進本部の初会合を開催した。会合では、来年1月に設立される準備企画会社について、奥田経団連会長らからなる設立委員会の発足を正式決定。(15日)
●連合が春闘方針案を確認 連合は中央執行委員会を開き、5年連続統一ベア要求を放棄した来春闘の闘争方針案を承認。30日に開く中央委員会で正式決定。(17日)
●日本経団連、士業者、医療への派遣解禁を要望 日本経団連は、規制改革・市場化テストを含む民間開放について、内閣府への要望項目を発表。雇用労働分野では@士業者派遣の解禁、A派遣労働者への雇用契約申込義務の廃止、B医療関係業務における労働者派遣の解禁、をあげている。(17日)
●産別最賃を「職種別設定賃金」に衣替え 最低賃金のあり方を検討してきた厚労省の労働政策審議会労働条件分科会最低賃金部会で、公益委員の試案が発表された。最低賃金法から産別最賃にかかわる規定を削除し、新たな「職種別設定賃金」を設けようという内容。(18日)
●大阪市、賃下げの職員給与改定案、市労連と合意 大阪市は、行政職の年収で平均約14万円減となる05年度の職員給与改定案について、市労働組合連合会(市労連)と基本的に合意した。(21日)
●政府税調答申、定率減税の廃止など盛り込む 政府税制調査会は06年度の税制「改正」を答申。所得税と個人住民税の税額の一定割合を差し引く定率減税の廃止方針を打ち出している。連合、全労連は同日、これに対する反対声明を出した。(25日)
●05年の大卒初任給、19万3900円 厚労省は05年賃金構造基本統計調査結果を発表した。大卒者の初任給は前年より0.6%減の19万3900円、高卒者は0.2%増の15万2900円となっている。(25日)
連合総研「勤労者の仕事と暮らしについてのアンケート」結果概要
不払い残業比率 今年 昨年
・性別
男性 50.4% 47.3%
女性 33.7% 28.3%
全体 43.2% 39.2%
・週実労働時間別
40時間未満 24.6% 25.4%
40時間以上 46.4% 32.7%
50時間以上 56.1% 56.8%
60時間以上 65.7% 60.7%
・残業時間の決定方法別
タイムカード 34.0% 12.4%
上司が調整 55.0% 58.8%
定額の手当 78.6% 50.0%
上限時間設定 63.6% 75.0%
男性は過半数を超えている。労働時間が長いほど多い。一年で悪化している。
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週刊『前進』(2226号3面1)(2005/12/12)
全逓 年末年始物ダメ闘争へ 2月臨大でJPU中央倒せ
郵政民営化の本質示す 新会社社長に三井住友銀前頭取西川
小泉政権は11月11日、郵政民営化で発足する持ち株会社「日本郵政」の初代社長に、西川善文・三井住友銀行特別顧問(前頭取)を充てることを発表した。これによって郵政分割・民営化が独占金融資本による郵政利権の横領であり、郵政労働者の大量首切り・大リストラ攻撃であることがますますはっきりした。それは、新会社移行時のいったん全員解雇・選別再雇用をテコとした郵政労働者に対する2年間の徹底した総マル生化攻撃としてすでに始まっている。日帝・小泉の郵政民営化・大量首切り攻撃に職場からの反撃を組織し、その手先となったJPU中央打倒へ立ち上がろう。これから新会社移行までの2年間が最大の決戦だ。その突破口をなすものとして、この年末年始の繁忙期の闘いが決定的に重要だ。現場の闘いの封殺体制をぶち破り、2月臨大闘争に向かって現場から総反撃をつくり出そう。この時こそ、国鉄分割・民営化に対し、首をかけ2波のストライキで果敢に闘った動労千葉の教訓に学ぼう。
大量首切りと労組破壊狙う極悪人事
西川のトップ就任が決まった日本郵政株式会社は06年1月に準備企画会社として発足し、07年10月の民営化と同時に持ち株会社に移行する。その傘下に郵政事業会社、郵便局会社、郵便貯金銀行、郵便保険会社の4社を置く。
06年1月には、日本郵政社内に西川らによる「経営委員会」(3〜7人)が設けられる。この経営委員会には、日本郵政の取締役として旧郵政省出身の団宏明・日本郵政公社副総裁と旧大蔵省出身で郵政民営化法の作成に参加した高木祥吉・郵政民営化推進室副室長が入ることが決まった。この経営委員会は郵政公社資産や人員などの継承計画、民営化後の事業計画などを決めるリストラ委員会となる。
西川は全国銀行協会会長を務めたこともある金融資本の利害代表である。西川はこれまで郵便貯金と簡易保険の業務拡大に反対し「民業圧迫」だと主張してきた人物である。西川の新会社の社長就任は、破産の危機にあえぐ日帝・金融資本が郵貯、簡保の約350兆円もの資産を食い物にして生き延びるための策動である。そして、何よりも38万人郵政労働者(正規雇用26万人)の大リストラ・活動家パージを強行し、改憲=戦争国家づくりを進めていくための人事だ。絶対に許すことはできない。
西川は巨大銀行の統廃合を推進し、徹底的なリストラを強行し収益拡大を行ったその”剛腕”ぶりが小泉・竹中・生田らに高く評価された。日帝・小泉は、この西川のもとで郵政労働者に対する徹底的な大量首切り・大リストラと労組破壊を強行しようとしているのだ。西川は11日の記者会見でも、「こん身の努力をもって民営化を完成させる」「(郵便貯金銀行について)規模の拡大より、競争力のある銀行にしていきたい」などとリストラへの決意を語った。
今回の人事は、日本郵政公社の生田総裁らの意向が強く働いた。生田は11日、「ベストの方に来ていただき、感謝している」などと述べ、西川のトップ就任を絶賛した。マスコミは「26万人もの社員、多くの赤字局を抱えることになる郵政にはリストラが不可避。『大なたをふるえる強さが必要だ』というのが公社幹部の共通認識だった」(朝日新聞11・12付)と報じている。
郵政民営化攻撃が38万人郵政労働者に対する大量首切り攻撃であることがあらためてはっきりした。郵政職場は、これから郵政民営化までの2年間、生田のもとでリストラ・労働強化・組合破壊の攻撃が吹き荒れようとしている。そして新会社移行時に全員解雇・選別再雇用のふるいにかけられた上、その後もさらに過酷な大量首切り・リストラが襲いかかるのだ。まさに”去るも地獄・残るも地獄”なのだ。
したがって、どう考えても郵政民営化絶対阻止の旗のもとに職場闘争を強め団結をうち固めて闘う以外に郵政労働者の生きる道はないのだ。
総マル生化攻撃に現場から反撃を!
07年10月の全員解雇・選別再雇用をテコとした郵政職員の総マル生化攻撃は、JPUを始め労働組合の協力なしにはできない。JPU中央本部は、日帝・小泉にどこまでも屈服し、民営化に向かって現場労働者の闘いを圧殺することに血道を上げ、首切り代官となることで自分たちだけが生き残ろうとしている。
JPU菰田(こもだ)委員長は「公を前面に掲げ、立派な会社をつくって、守りではなく、より積極的な事業展開をしていく」「働く側がどれだけ本気になれるかが事業の盛衰を決める」(「公益企業レポート」11月5日付)などと言って、民営化・総マル生化攻撃の旗をうち振っている。
労働組合でありながら、日帝の手先となって労働者を死へと追いやるJPU中央こそ郵政民営化攻撃の最弱の環である。JPU中央の欺瞞(ぎまん)と裏切りをもうこれ以上見過ごすことはできない。今こそランク&ファイル(現場労働者の闘い)で本部派を打倒し、現場労働者を代表する執行部を打ち立てよう。
何よりもアクションプラン・フェーズ2による労働強化・要員削減=民営化推進攻撃に対する反撃を職場から開始していくことだ。すでに連続深夜勤や人事交流=強制配転などすさまじい労働強化のもとで、多くの現職死亡者や自殺者を生みだしている。今後さらに10時間2交代制の導入や内務のアウトソーシング、JPS(トヨタ)方式、1ネット方式の拡大などで徹底的な労働強化と要員削減が強行され、数万人の労働者が職場から追い出されようとしている。これらの攻撃に対する職場闘争をたたきつけずに、郵政労働者の団結も生活も守れない。
とくに来年2月9〜10日の臨大を前にした今年の年末年始の闘いが重要だ。
郵政公社はJPU中央を先兵として、この繁忙期に現場労働者を奴隷のようにこき使い、徹底的に反乱を抑え込み、2月臨大での郵政民営化承認の流れをつくり出そうとしている。
このところ年末年始の繁忙期は、要員不足の中で超勤に継ぐ超勤を強制し三六協定を何度も結び直し、休日を買い上げて対応しているが、それでも毎年あちこちの局で業務がパンクしている。超勤を拒否するだけでどんどん物がたまり、業務が大破産状況に陥ることは必至だ。
これは支部・分会レベルで決意し団結すればできる闘いだ。この闘いは公社とJPU中央の現場の闘いを圧殺する体制をぶち破り、現場労働者が発言権・職場支配権を取り戻していく大きな突破口となる。全逓労働者は今こそ動労千葉労働運動を実践しよう。
そうした闘いの地平を切り開き、2月臨大でのJPU中央の裏切り方針の否決・執行部総退陣へ現場労働者の総反乱をつくり出そう。
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週刊『前進』(2226号3面2)(2005/12/12)
マンション・ホテルの耐震強度偽造
民営化と規制緩和が元凶 これが「小泉改革」の正体
国土交通省が11月17日に東京、千葉、神奈川の3都県のマンション20棟とホテル1棟の計21棟で、設計事務所が偽造した構造計算書が建築確認の際に使われていたと発表し、マンション耐震強度の偽造問題が社会的に明らかとなった。
その後も次々と耐震強度を偽ったマンション、ホテルの存在が明らかとなった。その数は、11月末現在で42棟、うちマンションは23棟にのぼる。これらの建物は、使用禁止や営業停止などになって住民が避難を余儀なくされるなど一大社会問題となっている。
偽造の手口は、建築基準法で義務づけられている構造計算において、地震が起きた時にかかる圧力を半分程度で計算し、必要な鉄筋の本数が少なくなるよう改ざんしたものだ。それに基づいて建築したため建物の強度が著しく不足し、本来ならば震度6強〜7程度の地震にも耐えられなければならないにもかかわらず、震度5強程度で建物が崩壊するマンションが多数存在するというものだ。
労働者階級にとってマンション購入は人生の一大事である。膨大なローンを組んで購入しているのが実態だ。そのマンションが一夜にして住めなくなるだけでなく、まだローンを払い終わらないうちに資産価値がゼロになってしまい、銀行から「別の担保を用意しろ」と脅かされているありさまだ。まさに借金まみれで路頭に放り出されるという、ほんとうに許し難い事態が現出している。
問題のマンションの中には線路のそばや、ガソリンタンクの横に立地するものも存在する。仮にこれらが倒壊するなら大災害だ。
建築検査の民間開放が引き金に
では、これほどのでたらめが、なぜ今までまかり通ってきたのか。
まず指摘しなければならないことは、建築の検査業務を民間開放したことだ。
95年の阪神淡路大震災では多くのビルやマンションが倒壊した。そこでも鉄筋の代わりに廃材を入れるなどのでたらめな手抜き工事が多く露呈したが、それはあくまでも施工段階の手抜きにとどまっていた。
この現実を前に、日帝は99年に建築基準法を改定したが、その中身たるや、必要な耐震強度を上げるという数字の操作をやっただけで、それまで自治体が行っていた検査業務を”阪神大震災で業務が多忙化した”という理由で、民間の指定確認検査機関でも行えるように民間開放し、むしろ規制緩和した。このことが、それまでのゼネコンなどの営利優先のでたらめなやり方を追認し、今回露呈したより悪質な構造計算の偽造へと道を開いたのだ。
バブル経済崩壊以降の日帝経済の未曽有(みぞう)の危機の中で、92年を底にしてマンション業界は極度の不況に陥った。その中で生き残りをかけて個別資本の激しい競争が行われ、「コスト下げ圧力」が業界全体を覆った。そしてついには構造計算の偽造にまで手を染めるにいたったということだ。
まさに、この構造計算書偽造問題は、日本の建設業界全体がグルになって犯した一大犯罪である。さらに不正が予測されたにもかかわらず、検査業務を民間開放して、建設業界を野放しにしてきた国土交通省などの行政も同罪である。
日帝・小泉は、「官から民へ」「民間にできることは民間に任せる」「民営化した方がサービスが良くなる」などとファシスト的デマを振り回し、公務員の大リストラと、民営化・民間開放を強行してきた。その「小泉改革」の反人民性・反労働者性が完全に明らかになったのだ。
まさに小泉の規制緩和=民営化とは、資本の要求にこたえて社会のあらゆる領域をそのどん欲な利潤追求の場に投げ出すものであり、その結果は、労働者階級の生活と安全の破壊であり不正の横行である。
「厳格な審査を行う機関は敬遠される」と言われているように、事件は民営化がもたらした必然的結果である。今回の事件は氷山の一角であり、「自分の所は大丈夫」とは言えない事態であることが、日本中に不安と恐怖をもたらしている。
にもかかわらず自民党の武部幹事長は、「悪者探しに終始すると景気が悪くなる」と言い、あまり騒ぐなという態度を露骨にとった。人命を奪う事態を放置しておきながら、それが発覚しても、資本主義を守る方が大事だという態度をとっているのだ。
JR尼崎事故と同様、安全を無視した営利優先の資本の論理が、労働者人民の生命を脅かしているのである。今こそ、全労働者人民の怒りを日帝・小泉=奥田にたたきつけなければならない。
闘う労働運動の復権が必要だ
今回のマンション耐震強度偽造問題で第二に確認すべきことは、民営化=労組破壊の攻撃に対して今こそ闘う労働運動の復権が必要だということだ。
三菱自動車の一連の不正事件、雪印食品の不正事件、さらにはJR尼崎事故のような大事故が続発している。日帝の危機の中で、労働者階級が団結し、労働運動が階級的に闘う力を持たなければ、このような安全破壊がどんどんまかり通るということだ。
「闘いなくして安全なし」という決意で決起した動労千葉の安全運転行動は、沿線の労働者の圧倒的な共感を生み出した。そして、ボロボロのレールを22`メートルも交換させる画期的な勝利を切り開いた。
全日建運輸連帯労組関西地区生コン支部も、建設業界にあって「シャブコン」と呼ばれる水増しした生コンクリートの追放運動を闘い、建築の安全確保の闘いを貫いている。
両組合の安全確保をめざす闘いは、「資本主義の根幹に触れるもの」として権力・資本の弾圧を受け、それとの死闘となっている。
公務員の大リストラと民営化は、公務員労働運動を解体して、安全破壊を全社会に拡大する大攻撃だ。
動労千葉労働運動を自らの職場に確立しよう。戦争と民営化、公務員大リストラ攻撃を強行する日帝・小泉=奥田体制を打倒しよう。それこそがマンション耐震強度偽造問題を発生させた小泉・民営化攻撃への回答だ。(湯村宏典)
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週刊『前進』(2226号3面3)(2005/12/12)
年末一時金カンパの集中を
小泉打倒の06年決戦へ 団結を固め進撃しよう
11月闘争は偉大な地平を開いた
すべての『前進』読者の皆さん、闘う労働者の皆さん。学生の皆さん! 本紙で毎号報道されているように、この11月、画期的な闘いが切り開かれました。
動労千葉など闘う3労組の呼びかけによる11・6全国労働者集会は、日米韓の闘う労働組合、労働者、在日・滞日の外国人労働者4600人が一つとなり、同志となって、戦争と民営化に突き進む日帝ブルジョアジー・小泉政権の打倒を誓いました。この闘いは直ちに12〜13日の韓国・民主労総全国労働者大会への動労千葉訪韓団100人の大合流に発展しました。続く釜山でのAPEC首脳会議粉砕闘争では、5万人の労働者・農民の隊列の真っただ中に、動労千葉の動輪旗が、民主労総の旗とともに翻ったのです。
11・6集会は米韓の労働者の連帯をも切り開いています。民主労総の12・1ゼネスト宣言に連帯して、ILWU(国際港湾倉庫労組)ローカル10は港湾封鎖を決議しました。
このように国境を越えた労働者の連帯行動が、熱い思いをもって前進しています。この階級闘争の歴史的地平に胸躍る思いではありませんか。これは、ついにつかんだ勝利の道です。この道を確かなものにするために、一時金カンパの圧倒的な集中をお願いします。
労働者階級の生存かけた闘い
全世界はかつてない激動情勢に突入しています。米帝はイラク・中東人民の民族解放戦争の爆発に追いつめられ、世界戦争への道を突き進んでいます。日帝・小泉政権は、9・11反革命(総選挙)に訴え、国会での圧倒的多数を握り、郵政民営化に続いて公務員労働者への攻撃に出てきています。11月の自民党50周年大会では「自衛軍」保持を明記した新憲法草案を発表しました。また自民党は「防衛省」設置法案の次期通常国会提出を決定しました。戦争・改憲と民営化(労組破壊)が帝国主義の共通の攻撃となって激しく襲いかかっています。
帝国主義の危機は末期的です。世界最大の基軸国アメリカでニューオリンズのハリケーン被害から3カ月たっても市民48万人のうち30万人近くが自宅に戻れず、決壊した運河の堤防建設に25年もかかるという有様です。
労働者階級と被抑圧民族の闘いで、アメリカ国内は二分されています。日本でも急速に格差社会となりつつあります。労働者の3人に1人がパート、派遣、契約社員と呼ばれる非正規雇用労働者です。何年たっても昇級しない労働者、月賃金が15万円以下の労働者が例外ではなくなっています。
11月25日、政府税調は06年度税制改正への答申を行い、来年以降の消費税の大増税をにらんで、定率減税の全面廃止、所得税と個人住民税の増税を打ち出しました。さらに、政府・与党は、高齢者医療費を引き上げ、また療養病床に入院する高齢者から食費・居住費を取り立てる医療制度改革大綱案を決定しました。一方で、大手6大金融・銀行グループの9月中間決算は、バブル期をこえる1兆7千億円もの利益を上げています。
貧富の差の絶望的な拡大に、怒りの声は満ちあふれています。怒りを行動に転化する圧倒的な闘いのために、ぜひともカンパを集中してください。
資本主義とはいかなる体制であり、労働者階級の存在とは何なのでしょうか。
今こそ資本主義・帝国主義倒そう
マルクスは資本論第24章「いわゆる本源的蓄積」で、16世紀から19世紀に至る資本主義の「血に染まり火と燃える文字で人類の年代記に書かれた」歴史を総括して次のように述べています。「資本は、頭から爪先まで毛穴という毛穴から血と汚物をしたたらせながら生まれてくる」と資本主義の創成を描き、「いっさいの利益を横領し独占する大資本家の数が絶えず減ってゆくのにつれて、貧困、抑圧、隷属、堕落、搾取はますます増大してゆくが、しかしまた、絶えず膨張しながら資本主義的生産過程そのものの機構によって訓練され結合され組織される労働者階級の反抗もまた増大してゆく」と、労働者階級の団結と闘いこそ、資本主義体制を打倒する力であることを示しました。
そして「資本独占は、それとともに開花しそれのもとで開花したこの生産様式の桎梏(しっこく)となる。生産手段の集中も労働の社会化も、それがその資本主義的な外皮とは調和できなくなる一点に到達する。そこで外皮は爆破される。資本主義的私有の最期を告げる鐘が鳴る。収奪者が収奪される」と感動的な内容でしめくくっています。
ゼネスト宣言を発した民主労総非常対策委員会のチョンジェファン委員長は、5万人の労働者大会で「ただ労働者階級という名前一つで、民主労総の希望とこの地の労働者民衆の希望をつくるために総進軍しましょう。トゥジェン!」と呼びかけました。
11・6集会は帝国主義の危機の時代に労働者階級の国際連帯を復権させました。帝国主義の世界戦争を阻止し、プロレタリア世界革命によって社会主義、共産主義を切り開く道はここにあります。開始された壮大な世界革命の闘いに圧倒的なカンパをお願いします。
闘う革共同に圧倒的カンパを
11・6の地平をうち固め、広げていく闘いが今こそ求められています。この闘いを実現した中心には、動労千葉の労働運動があります。解雇を恐れず闘いぬいた分割・民営化反対ストライキ、そして、JR体制下で不屈に闘われた職場闘争の積み重ねが、今日の動労千葉の圧倒的な存在をつくり出しました。核心はマルクス主義の実践です。労働者階級こそが社会の主人公であり、プロレタリア革命の主体であるという不抜の確信にあります。
カンパ闘争は、革命運動にとって本来的な闘いです。必要な財政をプロレタリアート人民の支持を獲得することによってつくり出し、持ち寄った資金で帝国主義を打倒する闘いを実現するのです。労働者の生活はますます厳しくなっています。しかし、労働者は単に悲惨な階級であるわけではありません。自らの存在、階級的連帯・団結のすばらしさを自覚したとき、苦しい中にあっても必要な資金を集め、拠出してきました。その力が古今東西の革命運動を支え、勝利に導いてきました。革共同は、05年に切り開いた地平に圧倒的な確信を持ち、戦争か革命かをかけた06年〜07年決戦に勝利するためにさらなる飛躍を決意しています。全国の皆さんの年末一時金カンパ闘争への熱烈な決起をお願いします。
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週刊『前進』(2226号3面4)(2005/12/12)
横須賀 原子力空母来るな 母港化阻止へ2千人デモ
11月27日、原子力空母の横須賀配備を許さない怒りの緊急集会とデモが闘われ、約2千人の労働者市民が参加した。基地と艦船が見渡せるヴェルニー公園には、労働組合や市民団体の旗が林立した。
集会は、32年間を超えて不屈に母港化反対を闘ってきた「三浦半島地区労」と「原子力空母の横須賀母港問題を考える市民の会」、昨年5月に結成された「原子力空母の横須賀母港化を止めよう神奈川実行委員会」と「全国連絡会」の4団体共催で開かれた。10月28日に日米安保協の米軍再編「中間報告」と一体で発表された原子力空母の配備計画に対して、これまでのどの集会よりも、怒りと絶対阻止の決意がみなぎる闘争となった。
集会に先立ち市内主要駅5カ所で、絶対反対のビラまき・署名活動が行われた。この日の署名で、寄せられた署名総数は市内住民の過半数をはるかに超す35万筆に達した。
午後3時からの集会は県平和運動センター事務局長の司会と開会あいさつで始まった。冒頭、神奈川実行委員会共同代表の呉東正彦氏は「在日米軍の再編強化を許せば、横須賀は一層の侵略拠点になる」と警鐘を乱打した。米海軍と海上自衛隊の司令部の併設と共同訓練、基地の共同使用という世界大的な侵略戦争への日米海軍の飛躍的な強化になる。さらに「原子力空母のあわやの大事故は、数限りなくある。アメリカのレポートは、事故が起きた場合に首都圏の数百万人の被害と7万人の死亡の発生を予測している。全国の怒りを結集して阻止しよう」「政府は発表したが、まだ決まっていない。決めるのは私たちだ。撤回するまで闘おう」と熱く訴えた。
横須賀と、キャンプ座間への米陸軍第1軍団司令部の移転に反対して闘う団体と各政党のアピールが行われた。関東各県から結集した中で平和運動センター関東ブロックの代表は「外務省申し入れ行動を行い、横田基地への自衛隊配備に反対して闘う」と、運動を拡大する決意を述べた。
集会アピールと最後の行動提起では、「市長と県知事への申し入れ行動を行う。12月4日から14人の訪米団を派遣し米国務省に申し入れる」「12月も連月行動で県央共闘会議の闘いに取り組む」との方針提起が行われた。
神奈川労組交流センターは、11・6労働者集会と11・12〜13の韓国・民主労総の労働者大会の感動を報道するビラをまき、「戦争と民営化」「外への侵略戦争と内への階級戦争」の攻撃に対して労働者が団結して闘うことを力強くアピールした。「動労千葉訪韓団、民主労総と感動的な合流」「国境を越える労働者の団結を」というビラは、集会参加の労働者の圧倒的な注目と共感を集めた。
集会後、デモに出発した。教組と自治労を始め、交通・私鉄・国労・造船などの労働組合の大隊列と市民団体のデモ隊は、米軍横須賀基地の正面ゲートで激しい怒りのシュプレヒコールをたたきつけた。
この日の横須賀闘争は、「日の丸・君が代」阻止闘争、教育基本法・憲法改悪阻止の闘いと一体的に重なり、06年へ大発展する出発点の闘争となった。
08年配備阻止へ
横須賀基地を母港とする空母キティホーク(08年に退役予定)の後継艦はジョージ・ワシントンであるとも報道されている。原子力空母の配備は、北朝鮮・中国侵略戦争のための戦争体制づくりであり、横須賀基地をより一層強化・恒久化するものである。また首都圏一帯の労働者人民を原子力事故・災害の危険にさらすものである。絶対に許すことはできない。沖縄の闘いと連帯し、座間・相模原・厚木などの神奈川県内の米軍基地に対する闘いと結合し、米軍再編粉砕、原子力空母の横須賀母港化を絶対に阻止しよう。
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週刊『前進』(2226号4面1)(2005/12/12)
11・6地平うち固め06年決戦へ
「日の丸・君が代」不起立で4大産別決戦の勝利開こう
職場に〈動労千葉労働運動〉を
革共同教育労働者委員会
11・6日比谷野音から、戦争と民営化攻撃と真っ向から対決する労働運動の進撃が始まった。04年春に東京から巻き起こった教育労働者の不起立闘争こそ、4大産別決戦の序曲だった。被処分者の新潮流運動への合流を核心的な原動力として、05年不起立闘争は断固打ちぬかれ、闘いを東京から全国に拡大した。この闘いは、日教組を揺るがし、連合の改憲勢力化をも阻む力にまで成長した。06年は、4大産別=公務員労組解体、改憲攻撃との決戦の年となった。教育労働者の「日の丸・君が代」強制拒否の闘いこそが06年階級決戦を切り開く。教育労働者がこの2年間、激闘をとおして切り開いてきた地平をしっかりと確認し、勇躍06年決戦に突入しよう。
教育労働者の闘いは4大産別の牽引車だ
11・6日比谷4600人結集として階級的労働運動の飛躍的前進がかちとられた。その中軸に動労千葉労働運動が座っている。それと一体の闘いとして教育労働者の「日の丸・君が代」強制拒否の闘いがある。
この職場生産点からの抵抗の炎は、公務員労働運動全体に燃え広がろうとしている。全逓戦線から郵政民営化絶対反対のクビをかけた闘いが宣言された。自治労の闘う県本部・県職労の旗が日比谷に翻った。〈動労千葉の労働運動〉に学んで、小泉反革命を迎え撃つ4大産別決戦の布陣が、敷かれたのだ。
戦争と民営化攻撃と闘う労働組合の国際連帯は、自国帝国主義との非和解的対決を貫いていく最大の糧である。日米韓の闘う潮流の連帯、とりわけ世界で最も階級的戦闘的なナショナルセンターである韓国・民主労総と米・日帝国主義足下で闘う階級的潮流が結びついた意義は絶大である。米日の新潮流が民主労総の12・1ゼネストに連帯ストをうちぬく力を形成すれば、朝鮮・中国侵略戦争を阻止することができるのだ。
「免職も覚悟で不服従を貫く」被処分者の発言が民主労総の参加者の感動を呼んだことは、日本の教育労働者としての誇りである。組織の再建や戦闘警察との闘いの先頭に立ち、ついに復職をかちとった全教組の解雇者の闘いに学んで被処分者が闘っていく時、教労労働運動の本格的な日韓連帯が切り開かれていく。
「日の丸・君が代」不起立闘争は、05年を通じていよいよその戦略性を開示してきた。なによりもそれは、職場生産点の抵抗闘争、典型的なランク・アンド・ファイル運動として発展しつつある4大産別決戦の牽引(けんいん)車である。
05年の卒入学式闘争は、戒厳令体制をうち破り、減給・停職の重処分にも屈することなく、04年の東京の闘いを継続し、不起立闘争を全国に拡大した。「日の丸・君が代」闘争は、行政処分のみならず刑事弾圧の恫喝にも、反「過激派」キャンペーンにもひるまぬ強靭(きょうじん)さを獲得した。主体的には、被処分者が「闘争本部」を設置して司令塔の役割を引き受け、8・6広島を起点に「東京を孤立させるな」を合言葉に現場組合員が「全国統一闘争」を組織したことが決定的であった。
被処分者の闘いは、「誰一人反省しない、反省すべきは都教委だ」を合言葉に、7月の再発防止研修を粉々にうち砕いた。日教組大会では、連合の委員長代行である森越委員長の論憲路線を徹底弾劾し、連合が「7・14改憲見解」を先送りせざるを得ない状況をつくりだした。都高教大会では、本部の連合路線を拒否し、処分・解雇撤回闘争を組合の総体をあげた課題へとおしあげ、闘う路線と方針をうちたてた。被処分者の闘いは、日教組の階級的再生の拠点をつくりだす展望をも切り開いているのだ。
さらに、4大産別決戦のすべてが一大決戦化する中で、その攻防を職場生産点からの反撃として具体的に闘いとる突破口として「日の丸・君が代」強制拒否の闘いがあるということだ。
教基法・憲法改悪阻止の水路
その上で、「日の丸・君が代」闘争は、国家主義・排外主義への抵抗陣地をつくりだし、杉並を天王山とする教科書闘争の高揚へと引き継がれてきた。
「東京5割、全国1割」を豪語していた「つくる会」戦略をうち砕いたのも「日の丸・君が代」闘争がつくりだした力関係に負うところが大きい。不起立闘争のインパクトは、教科書闘争においても「いかなる弾圧と処分にも屈しない」教育労働者の戦争協力拒否の決起を生み出した。都高教を12・3集会に立たせ、闘う統一戦線の中軸に押し上げ、教基法改悪・改憲阻止闘争の高揚を切り開く原動力となってきたのも、被処分者の闘いである。
“国際テロ支持勢力の参入を認めることは、憲法運動の大義と相入れない”とする11・5『赤旗』声明は、日本共産党の「憲法運動」が、民族解放・革命戦争に敵対する侵略翼賛運動であることを宣言したものだ。帝国主義論を放棄し、「万国の労働者・被抑圧民族団結せよ」を追放した新綱領の帰結である。
この声明は、改憲闘争を4大産別決戦と切断し、セクト的に囲い込むことを狙いとしている。「発動させない、従わない」を掲げた陸・海・空・港湾労組20団体の有事立法反対運動や「日の丸・君が代」闘争を軸とする全国連絡会の教基法改悪阻止闘争からの召喚、三闘争団・争議団の共闘を軸とする国鉄1047名闘争への敵対、杉並の「つくる会」教科書採択撤回闘争からの全教・都教組の逃亡という共産党・全労連の対応に共通しているのは、職場生産点の実力闘争への恐怖と裏切りの組織防衛路線である。
「日の丸・君が代」闘争こそ、4大産別の職場生産点からの反撃と、教基法改悪・改憲阻止闘争を切り開いていく戦略的水路なのだ。来春の卒入学式闘争の爆発で06年階級決戦を切り開こう。
不起立広げ10・23通達粉砕を
なによりも、ファシスト石原・都教委と対峙している東京の闘い、とりわけ都高教の不起立・不服従闘争の断固たる継続・拡大が勝負である。
都教委は12月1日、再発防止研修で抗議のゼッケンを着用したことなどを理由に重処分を出した。来年度から実施される査定昇給では、懲戒処分へのペナルティーも一段と強化されている。不起立教員は再雇用を拒否され、年金支給年齢まで無収入という非道な仕打ちを受けている。だが、こんな攻撃で教育労働者の誇りをかけた決起を封じることは絶対にできない。
都立中高一貫校での「つくる会」教科書採択、「奉仕活動の必修化」、「日本の伝統・文化」科目の設定など、教基法改悪を先取りする都教委の暴走はとどまるところを知らない。予防訴訟では、原告側の10・23通達の違憲・違法論に対して、都教委は「公教育を行う主体は、国であり、国は国政の一部として適切な教育政策を樹立、実施すべく教育の内容及び方法について法律等によって定めることができる」という驚くべき主張を開陳するに至っている。10・23通達との闘いこそ、国や地方公共団体を「教育の実施主体」とする改悪教基法との闘いそのものである。
予防訴訟、解雇撤回裁判や人事委員会など法廷闘争も、都教委を追いつめている。とりわけ、人事委員会では、被処分者全員が意見陳述で不起立の正義性を語りきり、証人尋問では入れ替わり立ち替わり校長を追及し、都教委の「不当な支配」を暴きだしている。この成果を職場に還流し、被処分者が不起立闘争の組織者として決起することこそ勝利のカギである。新たな不起立者が陸続と生み出されていくとき、10・23通達粉砕、処分・解雇撤回の道が切り開かれるのだ。
公務員労組解体=改憲攻撃との決戦の06年
06年は、公務員労働運動の存亡をかけた4大産別決戦の年となった。
経済財政諮問会議の「総人件費削減指針」は、定数削減と給与構造改革の掛け算で「10年間で対GDP比半減」という賃下げ・首切り攻撃であり、公務の範囲を劇的に縮小していく民営化攻撃の宣言である。アウトソーシングの暴力的推進手段が通常国会に提出される「公共サービス効率化法(市場化テスト)」であり、その最大の焦点が公務員の身分保障の解体である。自民党行革推進本部は、地方公務員法の「廃職・過員に伴う分限免職」条項の活用を主張し、経済同友会は、「地方公務員制度改革への10の提言」で「雇用保障、不利益処分、整理解雇の要件を民間同様の労働法規によるよう地公法を改正する」としている。
教育労働者に対しては、中教審の作業部会報告で制度の骨格がうちだされた教員免許更新制がいったん解雇・選別再雇用のテコとなる。「更新の要件を満たなさい場合、教員免許状は更新されず、当該免許状は失効することになる。現に教員である者については、教員免許状の失効に伴い、教育公務員として身分を失うことになる……当該者を他の職として採用するかどうかは、任命権者の判断による」というのである。「教員として必要な資質能力を定期的に刷新(リニューアル)する」というこの制度が、改悪教基法下で国家忠誠を踏み絵とする首切り攻撃となることは明らかだ。
給与構造改革では、地域給による賃下げとともに、最大の団結解体攻撃となるのが査定昇給導入である。東京都で来年度から導入される査定昇給は、号級を4分割した上で、勤務成績によって6号昇給から昇給なしまでの6段階が課長裁量で決定される。
通常国会が改憲決戦本番
さらに、自民党は、地方公務員、学校教員の政治的行為に刑罰規定を導入する地公法・教特法改正案を通常国会に提出することを決定している。国家公務員の政党ビラ配布に対する逮捕・起訴、反戦反基地闘争を闘う公務員を狙い撃ちにした「建造物侵入」などでのデッチあげ弾圧が相次いでいる。刑罰規定が導入されれば、公務員の政治活動に対する警察の情報収集や家宅捜索、逮捕・勾留などが捜査の名のもとに正当化される。断じて許してはならない。
公務員の身分保障を解体し政治的権利を完全剥奪(はくだつ)する攻撃は、護憲平和運動と反戦反基地闘争の中心部隊を粉砕しようとする攻撃であり、米軍再編による侵略戦争突入=日米共同作戦体制づくり、教基法改悪・改憲攻撃と一体の攻撃である。
06年通常国会には、防衛省設置法案、改悪教基法案、国民投票法案という改憲の本丸に迫る3法案が提出されようとしている。国民投票法案は、反対運動禁圧と報道統制下で改憲をクーデター的に強行する攻撃であり、これとの闘いは、改憲決戦の本番そのものである。「公務員の地位を利用した国民投票運動」は4年以下の懲役・禁固、「教員の児童・生徒に対する教育上の地位を利用した国民投票運動の禁止」として、憲法教育さえ弾圧の対象とするものだ。
与党が3分の2の議席を確保するもとで、06年通常国会は、改憲の帰趨(きすう)を決する政治過程となった。米軍再編に反対する沖縄−本土の反基地闘争、教基法改悪・改憲阻止闘争は大きく高揚しつつある。全人民的政治闘争の先頭で翼賛国会を包囲し、4大産別の職場生産点から抵抗と反撃を組織していくことこそ、改憲阻止の道である。
東京包む不起立宣言運動を
昨年を数倍、数十倍する規模で東京の闘いを包む全国の不起立闘争・不起立宣言運動を巻き起こそう。
東京に続いて、大阪の教員評価制度の導入と賃金反映、「首席」「指導教諭」設置、神奈川の「統括教諭」など、中間管理職設置と学校運営組織の見直し攻撃が一斉に始まっている。勤評闘争、主任制闘争の成果を根こそぎ一掃する攻撃、それを闘わずして受け入れる連合指導部への怒りが渦巻いている。民間型の労務管理、賃下げ攻撃に対して、労働者としての怒りが充満し始めている。
東京の不起立闘争は、人事考課制度、主幹制度、自宅研修権剥奪などあらゆる攻撃への積もり積もった怒りの爆発だった。自己申告書・評価制度や管理職創設への抵抗・非協力闘争の戦術を編み出し、これと結合して「日の丸・君が代」抵抗闘争を再構築しよう。
「ますます拡大する被処分者・不起立者の団結」こそ、真の勝利なのだ。
日常的な攻防を闘い組合権力への挑戦を
クビをかけ、処分を恐れず労働者の階級的任務を極限的に発揚させて闘いぬく動労千葉労働運動から学び、それを実践することこそ、「日の丸・君が代」強制拒否の闘いを勝ちぬく核心である。
「団結して闘えば勝てる」ことの生きた証(あかし)が、動労千葉の存在と闘いである。
総評解体の頂上攻撃であった国鉄分割・民営化との闘いにおいて、動労千葉は、2波のストライキで立ち向かい、闘う団結を守りぬいた。JR尼崎大事故から1カ月を期して開始された動労千葉の安全運転行動は、資本にレール交換を強制する成果をかちとり、民営化攻撃と闘う道を指し示している。動労千葉の労働運動は、「闘えば分裂する」という既成労働運動の常識、「国家権力が本気で攻撃してくれば勝てるわけがない」という奴隷の思想をうち破り、いまも勝利し続けているのである。
動労千葉の闘いは、労働者の団結が本来持つ巨大な力を示しているとともに、それを引き出す路線と指導部がいかに決定的かを示している。国労解体攻撃の激しさに震えあがり、当局とのパートナー路線に転換していった旧官公労指導部は、ありとあらゆる合理化をのんだあげく、分割・民営化型攻撃に組合員の首を差しだしているではないか。
〈動労千葉の労働運動〉に学び、教労における〈動労千葉〉をつくりだそう。職場支配権、組合運動の主導権をめぐる日常的攻防を闘い、職場・支部・県教組レベルの組合権力への挑戦を全国で進めよう。
社共に代わる労働者党を
〈動労千葉の労働運動〉は、労働者の力をトコトン信頼し、これに徹底的に依拠する「反スターリン主義の労働者観」にその最も根源的な基礎がある。階級的団結の強化・拡大に総括軸をおいて前進していく労働運動は、『共産党宣言』の実践である。それは、帝国主義・資本主義の末期的危機を見抜き、その打倒のために闘う時代認識と革命の思想に裏打ちされたものである。
革共同は、〈動労千葉の労働運動〉に学び、それを党の労働運動路線としてとらえかえす中から階級的労働運動と労働者党建設の本格的推進を開始した。この路線は、マルクス、レーニンの労働組合論を学びなおし、プロレタリア革命における労働組合の役割を明確にする作業を通じて、綱領的思想的次元で確立されたものである。
この路線は、スターリン主義による歪曲をのりこえて労働組合と党の関係を正しく形成していく闘いでもある。戦後労働運動において、日本共産党は、一貫して労働組合を党に従属させ、ゼネストへの敵対・破壊を繰り返し、いまや集票機関としてしか位置づけていない。社会党は、労働運動に対して党として指導性を発揮したことなどなく、労働運動の変質とともに朽ち果てた。社・共に代わる労働者党の建設は、労働者階級自身の事業であり、闘う労組活動家の待ったなしの課題である。
職場生産点からの反撃と職場細胞建設を一体的に闘いとる階級的労働運動の再生をかけて、06年「日の丸・君が代」強制拒否決戦を勝ちぬこう。
労働者を食わせていけない資本主義、労働組合を体制内的に包摂できなくなった帝国主義の危機の時代に、プロレタリア革命の思想と運動こそが、労働運動を前進させることができる。革共同に結集し、ともに闘おう。
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週刊『前進』(2226号4面2)(2005/12/12)
杉並区議会 「つくる会」教科書撤回を
報告書の偽造 結柴・新城区議が追及
11月21日から杉並区議会第4回定例会が開かれ、21日には都政を革新する会の結柴誠一区議と24日には新城節子区議が質問に立ち、山田区長・杉並区が学校の教科書調査報告書を勝手に書き換えてまで強行した「つくる会」教科書採択を撤回するよう要求した。
杉並区は、何がなんでも「つくる会」教科書を採択するために、学校の担当者が提出した調査報告書を書き換えさせた。しかも西宮中学では報告書を書いた担当の教員には何の話しもなく、校長が勝手に評価を百八十度書き換えて同じ日に提出したかのように書類をデッチあげたのである。
21日の区議会で結柴誠一区議は「つくる会」教科書問題を中心テーマにして杉並区を追及した。結柴区議は、杉並区が「内容や評価そのものの変更を求めたことはない」としてきたが西宮中の調査報告書は「不適切」から「問題なく適当である」に変えられたのだ。しかもその報告書は校長が勝手に書き換えたのだ。結柴区議はこの点を突き、質した。また自分の調査報告書の書き換えを記者会見で告発した教員に対する「守秘義務違反」と称する責任追及や異動の強制をやめることを要求した。また杉並師範館や区の新規事業の「杉並教育会」が1930年代に侵略の先兵となった信濃教育会を参考にしたものであることを暴いた。
区の答弁で明らかになったことは、「つくる会」教科書を肯定的に評価した調査報告書は2通しかなく、書き換えさせたり、勝手に書き換えたものしかないということだ。区はまた、「使わない方がよい」とした報告を書き換えさせたことについて、「校長の職責により行われた」と責任を校長になすりつけ、報告書の「差し替えは問題ない」とし、しかも内容をまったく変えさせておきながら「内容の変更を求めたものではない」と恥知らずに居直った。人事異動攻撃などについても区は傲岸(ごうがん)に居直った。
結柴区議は再質問で、書き換えられた報告書が6月21日の日付になっていることを突き、元の調査報告書の記録からの抹殺を狙ったものであることを暴き、区教委は答えることすらできなかった。
教員への異動策動を弾劾
24日には新城節子区議がさらに「つくる会」教科書問題で教育長を追及した。
西宮中の調査報告書差し替え問題について、最初の報告書が提出された日や事務局が再提出を求めた日、校長が再提出した日を明らかにするよう求め、書き換えを行った校長が調査報告書を担当した社会科教員には無断で百八十度評価を変更して提出したことを追及した。歴史教科書の採択が不正で違法な手続きによってなされたものである以上、採択そのものを撤回するように要求した。
また、書き換えを告発した2人の教員に対して「守秘義務違反」を口実に校長による事情聴取が行われていることに対し、報告書の偽造・改ざんは「守るべき秘密」ではなく、告発は称賛されるべき行為だとして処分策動を弾劾した。また教員に対する異動の策動について、当該教員が校長との面接で残ることを希望したところ、校長はいったん了承したにもかかわらず、区教委の校長へのヒヤリングの後態度を一変させたことを取り上げ、区教委の異動策動を弾劾した。
区教委事務局は、西宮中の校長が担当教員に何も告げず勝手に書き換えたことを認めた。22日には担当教員の了承を得たかのように答えたことがまったくウソであることが暴かれた。その上で、校長は担当教員が「学校にいないものと思いこんだ」などとウソでごまかした。実際校長が差し替え報告書を作成した7月28日には当該教員は学校にいたのであり、校長が意図的に無視したことは明白だ。
区教委は、守秘義務違反問題について、「守秘義務が課せられた採択期間中に」告発したと居直り、異動については都の業務であると開き直った。
新城区議は再質問で「使用しない方がよい」とした評価を区教委が書き換えさせた理由として「評価の理由を書いていないから」と答弁したことについて、どこにもその規定がないことを追及した。また、特に守秘義務違反での処分策動に対して公益通報者保護法や最高裁判例などを引きながら、「不正が行われていることを知った場合には通報するのは義務である」ことを明確にし、区の対応を弾劾した。
区の回答は、通知の中で「虚偽の記載がないように」としていることが「理由を書かなければならない」根拠だというもので、その口実がデタラメであったことが暴かれた。また、守秘義務違反については、「見解の相違」というだけで、まったく反論もできず、破産をあらわにした。
杉並区議会での追及をとおして、「つくる会」教科書採択が不正なやり方によって強引に行われたものであることが明白になった。「つくる会」教科書を肯定的に書いた報告書は1通もなく、すべてが否定していた。それをくつがえして強引に採択するために、調査報告書の作成担当者に何も知らせることなく書き換えが行われたのだ。「つくる会」歴史教科書の採択は撤回以外にない。呼びかけられた「つくる会」教科書採択撤回署名を全力で進め、組合つぶしを許さず「つくる会」教科書採択を絶対に撤回させよう。
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週刊『前進』(2226号4面3)(2005/12/12)
板橋高校卒業式事件 無罪戦取を誓う
不当起訴1周年で集会
11月26日、板橋のグリーンホールで板橋高校卒業式事件裁判の起訴1周年大抗議集会が開かれた。この事件は、板橋高校元教員の藤田勝久さんが04年の同校の卒業式で式を妨害したというデッチあげにより「威力業務妨害」で起訴された事件である。03年横山教育長の10・23通達による「日の丸・君が代」強制で刑事弾圧にまで至ったケースである。集会には藤田さんの裁判を応援する人たち約百人が参加した。
午後6時からの集会ではまず問題となっている卒業式を同校の教員が撮影したビデオが上映され、藤田さん自身がいかにデタラメなデッチあげであるか分かりやすく解説した。
集会では最初に藤田先生を応援する会事務局が主催者としてあいさつし、「なんとしても負けられない裁判です」と訴えた。
続いて藤田さんがあいさつに立ち、「君が代」斉唱とともに全員着席した卒業生について「人の心の痛みが分かる全国一のレベル」とたたえ、裁判については「好き勝手にデタラメをデッチあげ、関係者が偽証している」と怒りを表明し、「社会の真実を守る闘いとしてご支援を」と訴えた。
弁護団からの報告では検察側証人として証言した校長や教頭の偽証を暴いてきたことが報告された。
特別発言として松山大学助教授の大内裕和さんが発言し、この弾圧が教育基本法改悪、憲法改悪の先取りであると提起した。そして民営化攻撃による不安定雇用化に対して、「こういう状況とどう闘うのか」と問題提起し、「無権利状態の若い労働者に闘争の意味を伝えよう」と訴えた。
卒業生の若い男性は、藤田さんを「優しさがあり、しっかりした発言をする先生だった」と振り返った。藤田さんの人間像がエピソードを交えながら語られ参加者の感動を呼んだ。
「日の丸・君が代」不当処分と闘う被処分者の会の労働者は再発防止研修や不当処分撤回人事委員会審理など闘いの経過を報告し、12・3教基法・憲法改悪反対集会に「都高教の1割動員を実現し、全国的な闘いの流れをつくっていこう」と呼びかけた。日帝の侵略戦争の事実を伝えた教育内容をめぐって戒告処分を受け、研修センターに送られている労働者は「違法な都教委を追いつめていく」と決意を語った。
ビラまき弾圧と闘う労働者、都教委の嘱託再雇用拒否と闘う労働者、地域の住民などの活発な発言が続き、まとめとして弁護士が「無罪をかちとり、検察に控訴を断念させるために運動を盛り上げることが大事」と訴えた。
藤田さんへの刑事弾圧を粉砕する闘いが、「日の丸・君が代」強制との闘いの中の重要な柱であることが鮮明になった集会だった。
(本紙・永松隆治)
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週刊『前進』(2226号5面1)(2005/12/12)
共謀罪を永久に葬ろう
改憲と一体の治安弾圧法 労働者こそ闘いの先頭に
9〜10月の激闘によって、共謀罪法案の特別国会での成立を阻止する成果をかちとった。だが、政府・与党は継続審議を決め、来年1月20日から始まる予定の通常国会で修正協議に野党を取り込んで成立強行を図ろうとしている。3年余にわたって共謀罪の成立を阻止してきた地平に立って、今こそ全党と全国の労働者人民に訴える。この現代の治安維持法である共謀罪を永久に葬ろう。その闘いの地平に立って党勢の拡大と階級的労働運動の飛躍的前進、改憲阻止闘争の前進を闘いとろう。組対法・破防法に反対する共同行動主催の「共謀罪を永久に葬り去る12・17総決起集会」(要項1面)に全力で立ち上がろう。
特別国会で成立を阻んだ有利な地平
今秋特別国会での共謀罪阻止の激闘は、8・8解散−9・11総選挙に至る小泉反革命を吹き飛ばして闘われた。共謀罪の成立を阻止し、戦争と民営化、改憲攻撃を粉砕する、小泉反革命を打倒する決定的な展望を切り開いた。この地平をしっかりと共有したい。
8・8から9・11総選挙にうって出た小泉政権は、自らの脆弱(ぜいじゃく)性を解決できないばかりか、むしろより一層危機を深めている姿をさらけだした。ナチスばりの〈強権独裁政治と大衆的デマ扇動〉は、小泉に対する労働者階級の怒りを呼び起こし、支配者階級自身の深刻な分裂と危機を進行させた。それが、共謀罪という、ブルジョアジーの既得権益をも侵害する希代の悪法の成立を逡巡(しゅんじゅん)させた根本的要因でもある。政府・法務省の思惑を超えて自公融合に亀裂が走り、翼賛野党である前原民主党をすら強行反対に追い込んだということが言えるのだ。
その小泉反革命の破綻(はたん)性を明らかにしたのが共謀罪阻止闘争の粘り強い展開であった。都議選告示日の6月24日に2年がかりで初めて審議に入った共謀罪法案は、7月12日に本格審議に入ったとたんに審議ストップ、8月8日の郵政解散に伴って2度目の廃案となった。ところが小泉は、9・11総選挙で得た衆院議席の3分の2の余勢をかって9月21日から11月1日までの特別国会に3度目の提出を強行し、10月14日から衆院の審議に入った。
だが、破防法・組対法に反対する共同行動を中心とした、労働者民衆の粘り強い反対運動が世論と国会を突き上げ、11月労働者集会でとらえた小泉打倒闘争と国際的連帯の闘いと結合して阻止しえたのである。全国の署名運動・諸集会に続いて、各単位弁護士会の反対声明、日本ペンクラブ、出版労連、新聞労連などの反対声明が続いた。
自民党で共謀罪法案(原案)に賛成する法務委員は警察の高級官僚(元警視庁防犯部長、岡山県警本部長)上がりの平沢勝栄ただ一人で、ほかの自民党委員も次々と懸念を表明。1943年の「創価教育学会」弾圧で初代会長と2代会長を治安維持法違反で投獄され、初代牧口会長が獄死した創価学会は完全に震え上がり、公明党が動揺をきたしたため成立を強行できなかったのである。
同時に、共謀罪の登場と共謀罪阻止闘争の粘り強い前進は、現代が〈戦争と革命の時代〉、階級闘争が非和解的に闘われる時代へのらせん的回帰の時代であることを告げ知らせた。共謀罪は、すでに拡大しているさまざまな治安弾圧−破防法や諸弾圧法規や治安システムとともに、革共同への最大級の治安攻撃である。また、これを跳ね返す闘いの飛躍的前進を抜きにプロレタリア革命の勝利も、新指導路線の前進もないことも示したのである。
共謀罪は、全人民に向けられた弾圧法規であるが、労働者の団結権を国家権力(警察権力)の発動によって侵害し、プロレタリア独裁=労働者階級の自己解放・人間解放の思想を処罰することを内容としている。しかも、条約の趣旨から言ってプロレタリア国際主義を弾圧の標的としている。まさに11月労働者集会と新指導路線に真っ向から向けられた反革命的挑戦なのである。逆にこの攻撃との闘いをこそ、国際帝国主義・日本帝国主義打倒の決定的水路としてとらえ4大産別闘争と結合した改憲阻止闘争の歴史的高揚を切り開いて、共謀罪を永久に葬り去らなければならない。
革共同はこの間の共謀罪闘争に全党挙げて取り組むことのできなかった弱さを明確に自己批判し、対権力の非和解的闘いを強力に推し進めると同時に、成立阻止で得た時間・空間をとことん使い切り、新たな共謀罪阻止闘争に打って出てゆくことを決意する。
共謀だけで犯罪化 思想処罰の治安法
共謀罪は、2000年に国連で採択された国際的(越境)組織犯罪条約に基づく国内法整備という名目で、03年3月に初めて国会に提出された。すでに2度廃案となっている。3度目の共謀罪法案は、サイバー条約に伴う国内法と強制執行妨害罪の拡大・重罰化の2法案と一緒になって来春の通常国会に継続された。
共謀罪は、@組対法(組織的犯罪処罰法)6条の次に独立した形で6条2項(組織的な犯罪の共謀)を付け加えただけで、A長期4年以上の罪刑が決められている刑法・特別刑法の619の罪を対象に、B実行行為を伴わずに話し合いだけで、C5年以下の懲役にできる、Dしかも自首をすれば刑は減免されるというものである。
共謀罪の核心は、話し合いだけで罪に問うというものである。言うまでもなく近代国家は、その成立とともに、思想ではなく実行行為を処罰の対象として刑罰体系を定めてきた。だから、戦前は治安維持法を、今日では爆発物取締罰則など一部をブルジョア独裁の侵害のついたてにはしたものの、基本的には実行行為の取り締まりを建て前としてきたのである。
日本の刑法では、共犯(刑法60条)が実行共同正犯(構成要件に該当する行為を手分けして行うこと)から共謀共同正犯に拡大されてもいるが、あくまで実行行為があって初めて共謀者への罰則の適用もあったのである。共謀罪は共謀共同正犯とはまったく違い、実行行為がなくとも独立して2人以上の共謀だけを裁くものである。
だが、共謀とは「話し合い」だけなのか。国会審議の中で法務省は、共謀罪の「共謀」について、「話し合い」はもとより「黙示の共謀」だけでなく、「同じ団体の構成員と一緒に居た」というだけで共謀共同正犯の成立を認めた最高裁判例と同じ概念であることを言い出している。つまり、共謀罪では人間同士の関係性(同じ団体・組織に属している)を根拠に共謀が成立するということだ。
共謀罪は団体・組織を同じくすれば罪に問えるところまで目いっぱい広げた団結禁止法であることが明らかになった。共謀罪を取り締まる機関である警察が、ある団体・組織を犯罪組織であると認定しさえすれば、その構成員を共謀罪に問えるとんでもない法律が共謀罪なのである。
共謀罪の狙いは反政府・反社会集団の取り締まり、その団結破壊にある。革命党派はもとより、労働者の権利を主張する戦闘的労働組合や資本を侵害する労働争議権・団結権はすべて共謀罪の取り締まり対象になってしまう。まさに現代の治安維持法なのである。
機関紙やビラなどでの合意やシュプレヒコールでの意思一致や政治討議ばかりでなく、団体を同じくして警察ににらまれれば共謀罪の弾圧の対象となるとんでもない治安法なのである。しかも、法制審議会に諮問した02年段階では557の罪が対象だったのが現在は619に増えているように(何が増えているか法務省でさえ言えない)、新たな立法があるごとに増えてゆく。
例えば、最高7年の懲役を罰則として規定している国民投票法案がそのまま成立すれば、対象となる罪種はまた増える。共謀罪は、改憲反対闘争そのものを話し合い段階で事前に処罰することができる、そういう極悪の法案なのだ。
労働者の団結禁止が共謀罪の出発点
共謀罪は、歴史的に労働者の団結に向けられた弾圧法である。共謀罪が弾圧の狙いを定めてきたのは、労働者人民が命と生活をかけて闘いとろうとする権利一般ではなくて、労働者階級人民が資本家階級に対して団結して闘おうとすることだった。今でもアメリカとイギリスには共謀罪(コンスピラシー)があるが、共謀罪が初めて歴史に登場したのはイギリスである。
資本主義成立の出発点であるイギリスの産業革命は1760年代から1840年代にかけて行われた。エンゲルスが『イギリスにおける労働者階級の状態』(1845年)で描いたように、当時の労働者階級は、少年や女性にまで強搾取と抑圧の放任がまんえんする状況に置かれていた。その現状に対する労働者階級の要求と闘いへのブルジョア国家の対応として「工場法」などが制定された。市民的権利ではなく、労働者の団結と行動(ストライキ)によって初めて労働者は生きるための権利を獲得し、自己解放能力をつけてきたのである。その核心が労働組合の結成であり、労働組合の団結をもって資本と国家権力に対抗する力を養っていく闘いだったのである。それゆえに、資本と国家権力が、労働者が団結することを極度に恐れ、市民法的秩序を口実に絶えず激しい抑圧を加えた歴史でもあった。
1783年当時の裁判所は、労働者の賃上げ要求を「どれだけ対価を受けて働くかは各人の自由であるが、特定の賃金以下では働かないことを申し合わせるのは共同謀議罪である」と判決した。労働者が資本に要求するという行為は認め、要求を実現するために団結することを罪に問うたのである。そして1799年、1800年と団結禁止法が制定され、以降、労働者階級は自己の解放と全人類の解放のために団結権を守る闘いに決起していった。それは、労働組合を結成する権利のための闘いであり、争議行為などに対する刑事免責・民事免責をかちとる闘いでもあった。
1906年にイギリスで成立した労働争議法で労働争議に対する民事共謀の適用が否定され、争議行為の民事免責が実現し、資本主義国に一般化した。文字どおり労働者の団結権とそれに基づく労働基本権をめぐる攻防と確立のための闘いがあって、それは初めて実現したのである。
日本では労働基本権の法制的確立は、敗戦直後の労働3法の成立と戦後憲法の成立を待たなければならなかったが、公務員への争議権禁止などの撤廃をめぐって、労働者の団結が戦後の労働運動の重要な攻防点となってきたのは周知のとおりである。
80年代後半、国家の側から労働者の団結権を侵害する攻撃が、国鉄分割・民営化攻撃として、国鉄労働運動を軸にかけられた。他方で労働法制の改悪によって労働基本権の剥奪(はくだつ)攻撃がかけられてきた。そして現在、国家権力は、一方で民営化を推し進めながら、現在の政治状況を戦闘的労働運動の破壊と団結権の剥奪のチャンスとしてとらえ、これまで容易に事件化できなかった職場生産点における資本との攻防、組合内部の攻防を次々と刑事事件化している。それが国労5・27臨大闘争弾圧、関西生コン弾圧、港合同弾圧、解同全国連寝屋川支部弾圧などである。団結を守るために、この攻防の火点をしっかりつかみ、共謀罪阻止闘争の先頭に労働者階級こそが立ち上がらなければならない。
12・17集会に集まり来春成立を阻もう
共謀罪のもうひとつ重大な攻撃は警察権力の強大化である。国会審議では、法務省はすべて「ケースバイケース」と言って共謀罪法案は団体の定義・共謀の範囲などその境目が誰ひとりとしてはっきりしていない、運用が自在な法案であることが明らかになった。労働者階級への弾圧が警察の恣意(しい)的判断で行われるという際立った特徴を、共謀罪は持っているのである。共謀罪を活用し、警察権力の「現代の特高」化が進められることは間違いない。
現実に共謀を立証するためには、自首減免制度の導入にあるようにスパイの奨励が行われる。さらには、現行の捜査手法だけでは立証に困難があり、会話を収録するために必然的に通信盗聴の拡大や住宅盗聴の合法化(盗聴法の大改悪)が行われ、関係性を日常から採集するために監視カメラが街頭・店頭に張り付く。携帯電話の発着信とGPSで行動を集積する。さらには司法取引・刑事免責の導入にまでたどりつき、おとり捜査や潜入捜査が日常的にならざるを得ない。こうしたまったく新たな捜査手法の導入なしには共謀罪は立証できないのだ。警察権力の権限を飛躍的に拡大することなしにその運用はない。
イラク派兵のもと、戦時体制の中で日帝の治安政策は飛躍的に増強している。労働者の団結を極度に恐れ戦時下の階級闘争の爆発に恐怖しているのだ。
03年8月、警察庁はその年を「治安回復元年」と位置づけ治安基盤の確立など「緊急治安対策プログラム」を策定した。翌9月には首相を主宰者とする「犯罪対策閣僚会議」を発足させ、同年12月に「犯罪防止計画」が決定された。治安回復のために、国民自身の安全を確保するための支援、犯罪の生じにくい社会環境の整備、水際対策を始めとした各種犯罪対策などを打ち出した。この計画に基づいて職務質問を強化する警職法改悪案が通常国会に提出されようとしている。これは事前の予防に警察力を全面的に機能させるということである。事前取り締まりがキーであり、戦時下の予防反革命的施策に打って出てきたのだ。
戦争の時代は必ず国内の治安強化を死活的にする。だからこそ、外に向かっては侵略戦争、内に向かっては排外主義と治安弾圧を猛烈にしかけてくる。逆に言えば、排外主義と治安弾圧を、完全黙秘・非転向の原則、非合法・非公然活動原則の実践と激しい大衆決起・国際主義的連帯で粉砕し、労働者階級の団結を強化していけば、必ず侵略戦争を粉砕し帝国主義を打倒できるのである。治安強化との闘いは革命党と労働者人民にとって、革命に至る戦略的闘いである。
来年1月から始まる通常国会は教基法改悪とともに国民投票法案をめぐる待ったなしの攻防となった。小泉は憲法改悪の大反革命を強行しようとしている。そのための新たな弾圧法規を必要としているのだ。すでに発表されている国民投票法案は最高7年の懲役の罰則で反対運動の抑制策を講じているが、これも共謀罪の対象となり、反対運動の企画段階で取り締まることができる。改憲阻止決戦は、すでに共謀罪阻止決戦として始まっているのだ。
通常国会では国民投票法案とともに代用監獄法・人権擁護法新設、少年法・入管法改悪など治安関係法規の改悪が目白押しである。とりわけ排外主義的な日本版「反テロ包括法」である入管法改悪攻撃を、共謀罪法案とともに粉砕しなければならない。
「日の丸・君が代」阻止闘争を始めとする4大産別決戦を総力で闘い、それと一体のものとして共謀罪阻止闘争に全国で総決起しよう。12・17総決起集会に結集しよう。
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週刊『前進』(2226号5面2)(2005/12/12)
国民保護法 福井で初の実動訓練 労働者・学生が抗議行動
11月27日、福井県美浜町で全国で初めて行われた「国民保護実動訓練」に対し、全学連と富山大学学生自治会、北陸労組交流センター、とめよう戦争への道!百万人署名運動・関西連絡会の仲間は、国と県に対する訓練中止の申し入れと敦賀市内での集会・デモを闘い抜いた。
今回実施された実動訓練は、午前7時に「国籍不明のテロリストが美浜原発を迫撃砲で攻撃した」という想定のもとで、原発から通報を受けた政府と福井県が美浜町原子力防災センター内に対策本部を設置して行われた。訓練には自治体や警察・自衛隊のほか、電力会社や地元放送局など140機関から計1300人が動員され、地元住民も参加させられた。
この実動訓練開始を粉砕するために、午前7時前、全学連と富山大学学生自治会の学生が訓練中止の申し入れを行った。「戦争動員の実動訓練を中止しろ」「北朝鮮侵略戦争を阻止するぞ」と怒りのシュプレヒコールをあげている最中に、訓練関係者を乗せたバス、警察車両、迷彩服の自衛官を乗せた自衛隊の装甲車両が次々と対策本部に向かって行った。
地元住民から「威圧感を感じた」「家の周りに多くの警察官がいて、不気味な感じがした」など、怒りの声があがっている。
正午には、北陸労組交流センターと百万人署名運動・関西連絡会が申し入れを行った。朝の申し入れ時より警備体制が強化されている中で、対策本部にさらに肉薄する申し入れ・抗議行動を闘った。北陸労組交流センターの労働者が、「米軍嘉手納基地強化のための日米共同演習が石川県小松基地で行われ、11月12日に富山大学学生自治会と北陸労組交流センターが抗議行動を闘ってきた。ここ福井県には、敦賀に高速増殖炉もんじゅもある。国家総動員体制のための実動訓練に怒りを感じる。地元住民の皆さん、ともに抗議しましょう」と訴えた。
百万人署名運動・関西連絡会の仲間は、自衛官に向かって、「国民保護法実動訓練は、侵略戦争をするための訓練だ。この訓練に自衛官が動員されていることは許せない。イラクから自衛隊を撤退させよう」と熱烈に訴えた。
申し入れ行動の後、敦賀市内に移動し、二度にわたる申し入れ行動をやりぬいた仲間が合流し、公園での集会と敦賀駅に向けての市内デモを貫徹した。
「国民保護実動訓練」は、日帝の改憲攻撃と一体であり、米帝が計画している北朝鮮・中国−アジアへの侵略戦争を日帝が全面的に支援し、積極的に参戦していくためのものである。「北朝鮮からミサイルが飛んできた」「北朝鮮軍の着上陸があった」「原発へのゲリラがあった」などと想定して、その訓練に労働者人民を繰り返し動員していくことで、排外主義をあおり、敵がい心を反動的に組織していくものである。断じて許すことはできない。
この日の闘いは、この日帝の戦争への総動員攻撃に断固反撃をたたきつけた。
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週刊『前進』(2226号5面3)(2005/12/12)
日本原 “人民に銃を向けるな” 実射演習阻止に決起
日米安保の再編の中で、朝鮮半島を想定した演習場として日本原(岡山)での日米共同演習など演習場の強化が狙われている。中地区の潜入射撃場では、土砂崩れを口実に全面的な改修工事が行われている。
中四国の労働者と全学連の部隊は11月21日、陸上自衛隊日本原演習場東地区の実弾射撃演習の阻止行動を闘った。
この日の行動は、去る11月11日の日本原現闘の仲間への免状不実記載容疑でのデッチあげ不当逮捕に対する反撃でもあった。(22日に奪還)
第17普通科連隊による84ミリ無反動砲と個人携帯対戦車弾の実弾演習は、イラク人民虐殺のための演習だ。13時開始の実弾演習の砲撃音が鳴り響く中、ヘルメットに旗ざおを掲げ演習場内の戦闘的デモに立ち上がった。自衛官に対して「イラク人民に銃を向けるな」「反戦自衛官とともに闘うぞ」とシュプレヒコールを上げた。(写真)
中島敦史全学連副委員長が、「16日の日米首脳会談粉砕闘争に続き、日米安保の再編粉砕、沖縄の辺野古基地建設阻止と連帯して日本原での実弾演習を阻止する」と宣言し、続いて広島労組交流センターが「11
・6で労働者の国際連帯が始まった。労働者は戦争協力を拒否しストライキで闘う」とアピールした。
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週刊『前進』(2226号5面4)(2005/12/12)
コミューン 1月号
恐るべき米軍再編
米帝ブッシュはイラク侵略戦争をもって世界戦争に突進している。米軍再編は日米同盟を軍事的にも日米枢軸に対応したものに再構築しようとするものだ。米軍も在日米軍も、在日米軍基地も、自衛隊も自衛隊基地もすべてそのために再編される。事実上の改憲攻撃である。
第1章は、中間報告に至る日米協議の経過を解明するとともに、中間報告で示される「日米同盟の変革」が、北朝鮮・中国侵略戦争を具体的にみすえた司令部と戦力の再編にあることを明らかにしている。
第2章は、本土の在日米軍基地の再編について。座間、横田に日米の陸・空軍の司令部併置、横田に共同統合運用調整所の設置など司令部機能が圧倒的に強化され、日米の侵略戦争体制を飛躍的に高めるものだ。
第3章は、沖縄基地の再編の実態。「負担軽減」ではなく強化される。辺野古沿岸に設置される基地は巨大要塞である、駐機場設置の大浦湾は空母接岸可能の大軍港である。狙いは北部の要塞化を柱とした沖縄全島巨大要塞化だ。
米軍再編とは実は基地労働者への大量首切りである。第4章は、その観点から沖縄の基地労働運動の歴史を総括している。必読の価値がある。
翻訳資料はノースウエスト航空のストライキ(上)。航空整備士労働組合(AMFA)の闘いの経緯や米労働運動の直面する課題を分析したピーター・ラシュレフ氏の論文。
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週刊『前進』(2226号6面1)(2005/12/12)
自衛隊兵士の仲間に訴える
イラク出兵延長拒否し小泉政権打倒へ決起を
自衛隊兵士の仲間の皆さん。日本の労働者人民は、今、11月6日に日比谷野音で開かれた日米韓労働者集会で国際連帯を強め、小泉政権が進める戦争・改憲と民営化―労組破壊の攻撃を打ち砕くために死力を尽くして闘っている。その柱の一つとして、自衛隊のイラク即時撤退を掲げて、隊内の兵士諸君と連帯して反戦反軍闘争を推し進めている。小泉政権が12月14日のイラク派兵期限をあくまでも延長する暴挙に出てきた機をとらえて、隊内から、不正義のイラク侵略戦争弾劾、出兵延長拒否の決起にうって出よう。自衛隊内外から小泉政権への積もりに積もった怒りを爆発させよう。
人民に敵対するサマワ軍事制圧
日帝・自衛隊のイラク派兵は12月14日が期限となっている。ところが、小泉政権は、表向きは派兵を延長するかどうかを決めるのはぎりぎりになってからと言いながら、すでに10月下旬には、12月14日を越えてイラクに軍事駐留する部隊として陸自第8師団を派兵した(第8次派兵)。しかも、首都防衛を主任務とする陸自東部方面隊を06年1月から第9次・第10次の派兵部隊とすることを決めて準備態勢を指令している。東部方面隊の投入をもって陸自の全方面隊がイラクに派兵されることになる。
小泉は、労働者人民のイラク即時撤退を求める声(各種世論調査でも撤退要求は70%以上となっている)をまったく無視抹殺して一方的に派兵延長を実行しているのだ。
自衛隊兵士にとってみれば、この小泉の派兵延長のやり方は、派兵をめぐる兵士本人および家族の不安や苦悩に何ら答えず、まったく何の説明もせず、兵士を単なる道具として取り扱うやり方ではないか。ほとんどの兵士が戦争をやるために入隊したのではなく、生活・家族のためや資格を取るために入隊している。それなのにこれは、イラクの戦場で生か死かを鋭く突きつけられる兵士・家族に対して、「自衛官は死んでこい」と突き放すものではないか。兵士の命を一体なんだと思っているのだ。本当に怒りにたえない。
そもそもイラク特措法について「自衛隊のいる所が非戦闘地域だ」と繰り返す小泉の立場を許せるだろうか。サマワでは陸上自衛隊とイラク人民とは交戦状態にあるではないか。
「人道復興支援」はただのうたい文句で、日帝は米帝とともにイラク人民に対して宣戦布告なき侵略戦争を行っている。サマワは陸自によって軍事制圧されている。野戦基地がおかれ、それをめぐって補給線が軍事力で確保されている。陸自は、軽装甲機動車、8輪装輪装甲車、対戦車ロケット弾、無反動砲、軽機関銃、12・7_中機関銃、対迫撃砲レーダーなど、他の派兵国もうらやむ最新鋭兵器で武装している。何のためか。言うまでもなく、イラク人民の英雄的な武装解放闘争を武力で鎮圧するためである。占領地行政(軍政)を実施するためである。
それゆえに、サマワの陸自駐屯地にはロケット弾がすでに11発も着弾し、基地外に出た車列が路肩爆弾で爆破される事態となっており、陸自は応戦体制を継続・強化している。そして海自―空自の連携でクウェートとイラク占領地をつなぐ米軍の兵站(へいたん)任務(それがなければ米軍が活動できない必須不可欠の兵站)を遂行している。すなわちこれから戦争が始まるのではなく、すでに日帝とイラク人民とは交戦関係に突入しているのだ。
治安はイギリス軍とオーストラリア軍が担当していると言われているが、それは現実を偽っている。番匠1佐(第1次派遣隊隊長)は帰国後、「他国の軍隊に守られる軍隊などありえない」と発言しており、陸自の存在と展開が実際にはサマワ軍事制圧として行われていることを自己暴露している。
陸自=地上部隊は戦争で敵戦闘力をせん滅する最終的決着戦力であり、この部隊の投入はイラク派兵がイラク人民の民族解放闘争を絶滅せんとする侵略戦争であるという性格をはっきりと浮き彫りにするものである。だが兵士は、他民族虐殺の道具とされることを拒否する、軍服を着た労働者なのだ。こんな派兵は即刻やめろ。
中東石油強奪の侵略戦争許すな
自衛隊兵士は誰もがよくおぼえているように、第1次派兵当時の防衛庁長官・石破は「わが国は中東地域に石油の90%を依存しています。中東地域が不安定になり、石油の供給が困難になったら、わが国の経済がきわめて大きな打撃を受けることになります。自衛隊が身の危険も顧みず、国民のために働くことが必要です。隊員はこの崇高な使命を担っており、国民の期待に応えなければなりません」と言い放った。
「石油のために身の危険も顧みず」とは戦場でイラク人民を殺してこい、自らも進んで死んでこい、自衛隊兵士は石油強奪のための捨て石だということだ。
しかも、「わが国の経済のため」「国民のため」「隊員の崇高な使命」とすべて一くくりで言っているが、そこにはとんでもない嘘(うそ)とすり替えがある。イラクの地で軍事占領と他民族虐殺をしてでも得なければならない国家・国民の利益などというものがあるのか。何か普遍的な国家や国民の共同利害などありはしない。日本のごく一部の金融独占資本と大銀行が米英帝国主義と手を組み、独仏帝国主義やロシアを抑えて石油を強奪しているのであって、その階級的かつ帝国主義間争闘戦に勝利するという特殊利害を貫くためにイラク派兵をしているのである。このことを覆い隠しておいて何が「隊員の崇高な使命」だ。一部の支配階級のために死ぬことも他民族人民を殺すことも真っ平ごめんだ。
一番重要なことは、イラク人民は米英日帝国主義の軍隊を必要としていないこと、即時撤退を望んでいることである。米軍は無差別虐殺・虐待を重ねており、許しがたい戦争犯罪を犯しているのだ。イラク人民は武装解放勢力を先頭に米軍とそのカイライ政府を打倒する闘いに陸続と決起している。米英日の労働者・兵士には、イラク人民の民族自決を断固支持すること、自国政府の不正義の侵略戦争をやめさせる闘いが切実に求められているのだ。
改憲・米軍再編と一体の占領継続
9・11総選挙の過程で出された小泉・自民党のマニュフェストでは「防衛庁を省に昇格させる。国民が自衛官に敬意と感謝の念をもつよう務める」とうたっていた。それを見て強い不安感を抱いた自衛隊兵士は少なくなかった。なぜなら、靖国神社参拝に際して小泉が口癖のように吐く言葉――「先の大戦の戦没者に敬意と感謝の念をあらわすために参拝した」――が重なっているからだ。
小泉政権は、自衛隊から戦死者を出すことを前提にしている。何よりも、小泉の毎年の靖国神社参拝は、歴史問題であるだけではなく、自衛隊兵士に「イラクの戦場で死んでこい」「これから台湾海峡や朝鮮半島に死にに行け」と強要する行為なのである。
自衛隊の戦死者を「英霊」=神として靖国神社に祭り、国家・国民を挙げて賛美させ、そのことで戦争協力体制を一気に強めようというのである(これまでは殉職自衛官は一方的に護国神社に合祀=ごうしされてきた)。
自民党の新憲法草案(10・28発表)は戦争国家のための法体系をつくりあげようというもので、最大の問題は現行の第9条の破壊にある。なかでも「自衛軍を保持する」という規定と「軍事裁判所を設置する」という規定は、自衛隊兵士にとって実に深刻な攻撃である。なぜなら、名実ともに帝国主義軍隊になるということは、一切の指揮命令が「侵略戦争の戦場に行って殺し殺されてこい」という絶対命令の軍務に一変し、それを拒否すれば銃殺を頂点にする極刑に処せられるからである。軍事裁判とは形式上も裁判ではない。それは、軍指導部による不服従兵士の内部粛清なのである。
米軍再編の中間報告は、沖縄を軍事要塞と化す犠牲の上に日米同盟を戦争する帝国主義軍事同盟に飛躍させる総仕上げであり、きわめて具体的に台湾海峡―中国および朝鮮半島への侵略戦争を遂行する日米共同作戦計画としてある。改憲は、この戦争のために行われるといっても過言ではない。
イラク派兵とイラク軍事占領の継続は、自衛隊兵士にとって、殺すか殺されるか、生か死かが24時間ぎりぎりと突きつけられ、追いつめられた状況がますます強まるものだ。
小泉は自衛隊がイラク武装勢力や民間人を殺し、自らも殺される事態をつくり出し、そのことで自衛隊を帝国主義侵略軍隊に変えさせ、同時に日本社会総体を戦争体制にたたきこもうとしている。それこそ、改憲と米軍再編の先取りである。
敵は帝国主義! 労働者と合流を
はっきりしていることは、自衛隊兵士と小泉政権および大資本・大銀行や天皇制とは非和解的対立関係にあるということではないだろうか。
政府・財界など日帝支配階級は、帝国主義軍隊内部からの決起を極度に恐れている。だから、隊内では、命令への服従が強められ、上官による組織的ないじめが激化している。それに対して、兵士においては暴力が絶えず、借金をかかえたり、大麻使用が広がり、自殺者が増えている(04年度は過去最高の94人に上った)。兵士のそうした行為は自分たちを侵略に加担させ生死の境に投げ込むアフガニスタン・イラク派兵、そして今から始まる中国・北朝鮮侵略戦争への痛切な抗議なのである。
敵はイラク人民でも、中国・北朝鮮の人民でもない。彼らは、われわれ労働者・兵士の友である。帝国主義の侵略戦争と民族抑圧に苦しみ怒る彼らの血叫びを満身で受け止めよう。敵は、米英日帝である。
基地・駐屯地への撤退要求の申し入れの先頭には元自衛官や家族が立ち、新しい反戦運動が創造されている。隊内の苦悩と苦闘に連帯する対自衛隊・対米軍の反軍闘争を、われわれはさらに拡大・発展させていく決意だ。帝国主義戦争を廃絶するために、兵士の皆さんが隊内で帝国主義戦争を推進する勢力との階級分裂をつくり出す闘いと、階級的労働組合再建の闘いを合流させよう。
自衛隊兵士の仲間の皆さん。家族の皆さん。今こそ小泉政権への怒りを解き放ち、イラク出兵延長に反対して隊内から決起しよう。
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週刊『前進』(2226号6面2)(2005/12/12)
北富士 “サマワ模擬施設撤去せよ” 母の会先頭に集会・申し入れ
北富士 忍草母の会を先頭に「富士をイラクにつなぐな!」「自衛隊は今すぐ撤退せよ!」と演習場内をデモ(11月27日 山梨)
11月27日、北富士忍草母の会と忍草国有入会地守る会の主催で自衛隊のイラク派兵期限延長に反対し、サマワ宿営地模擬施設の撤去を要求する集会とデモが闘われ、90人が決起した。
晴れ渡った富士のすそ野はすでに冬枯れの姿。サマワ模擬施設の山頂側の広場に結集しながら、休日の立ち入りを認めさせた忍草農民の偉大な闘いの地平をあらためて確認する。
正午、母の会事務局長の天野美恵さんの司会で集会が始まった。天野さんは、「自衛隊にも米軍にもここを貸したおぼえはない。東京地裁判決でも2度にわたって入会地だと認めている。ここを使いたい放題使うのは許せない。自民党が憲法を変えて自衛軍を持とうとしている。戦争をすることは目に見えている。入会地を取り戻すまで闘います」と怒りを表した。
主催者を代表してあいさつに立った国有入会地守る会の天野豊徳さんは、「日本の軍事外交がアジア、中東に自衛隊を派兵し、米軍の再編、平和憲法を変えて自衛軍とする。戦後60年の節目に平和を忘れて戦争を賛美する風潮になっている。ここは私たちの最寄り入会地です。昭和48年以降林雑補償の金を拒否し、一円ももらっていません。だからこの反対闘争が闘えるんです。私たちは、反戦を最終目標にその一念で今後も闘い、北富士を平和な姿に取り戻したい」と決意を語った。
連帯のあいさつでは三里塚芝山連合空港反対同盟の北原鉱治事務局長が、「米軍が有事の際には成田を使うということが10年前、ロサンゼルス・タイムズに出た。アジアを侵略するための前線基地として使うということだ。今黙っていたら日本の未来はない。時代を変えるために何をしなければならないのか。三里塚は闘います。北富士で勝って日本の未来をつくりましょう」と訴えた。
婦人民主クラブ全国協の丹治孝子さんは、「日本の象徴はなんと言っても富士山です。天皇は卑怯者の代表で象徴ではありません。この富士を人殺しの訓練に使うことは絶対許せない。私たちの世代は、敗戦が区切りです。そこからしか人生を語れない。同級生の3分の2、90人が犠牲になっている。生かされた分、天皇制を打倒したい。出来るかぎりの力を合わせて頑張りましょう」と戦争と天皇制への怒りを訴えた。
都政を革新する会の長谷川英憲代表や部落解放同盟全国連合会、地元山梨の市民団体など次々と闘う発言が続いた。カンパアピールを母の会の大森ふじえさんが行い、2万9105円のカンパが寄せられた。参加者一同による内閣総理大臣小泉と防衛庁長官額賀に対する申入書を読み上げて全体の拍手で確認した。
最後に意気高くシュプレヒコールをあげ、梨ケ原廠舎前までのデモを行った。サマワ模擬施設の前には自衛隊兵士が警備に立っており、デモ隊は「出兵命令を拒否しよう」と訴えた。
廠舎前では警察、自衛隊、防衛施設局職員が警備を固め、門を閉ざしている。参加者を代表して婦人民主クラブ全国協代表の西村綾子さんが申入書を読み上げた。申入書は、@自衛隊のイラクからの撤退、A東部方面隊によるサマワ宿営地模擬施設での訓練中止、施設撤去、B入会地の忍草農民への返還を要求する内容である。西村さんが自衛隊責任者に申入書を手渡し、責任を持って伝えるよう求めた。続いて各参加者がそれぞれの申入書を自衛隊責任者に手渡した。
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2つの東京地裁判決
東京地裁は1970年2月27日、忍草入会組合が北富士演習場によって生じている入会権の損失補償を求め国を相手取って訴えた裁判で「国有地北富士演習場」に「慣行による入会権を有する」ことを認め、国に対して損失補償金の支払いを命じた。
さらに1971年1月15日、東京地裁は、忍草入会組合が演習場内に建てた第8の小屋を国が撤去しないことを求めた裁判で、「演習地への入会権は認められる」とし、「入会権行使のため、入会地内に作業小屋を建てることも一般には認められる」として入会権を認めた。小屋については「入会権行使のためではなく、闘争目的だ」として申請を却下したが、国有地の入会権を認めたことは1915年の大審院判決をくつがえしたものである。
林野雑産物損失補償
1947年の結成以来忍草入会組合が米軍演習場に反対して闘ってきたことに対し、国が53年に入会権の侵害を認めて補償金の支払いを認めた。
ところが国は73年の自衛隊への演習場使用転換を機に入会組合への破壊攻撃を強め、その一環として、林雑補償金の支払い要領を変更し、入会権侵害に対する補償から、演習による損失補償に変え、入会権を否定するものにした。それ以来忍草入会組合は林雑補償を拒否してきた。
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週刊『前進』(2226号6面3)(2005/12/12)
闘いは第3ステージ 沿岸案に怒り燃える
辺野古で座り込みが始まってから2639日プラス584日目のテント村はあいにくの雨模様だった。
日米帝が打ち出した名護市辺野古のキャンプ・シュワブ沿岸案に対し、11月23日、ヘリ基地反対協は「辺野古への新基地建設反対・国の横暴を許すな市民集会」を開催し、怒りをたたきつけた。
集会が始まる前には雨足が強くなり、当初は辺野古の浜で開催される予定だったが、急きょテント村に、にわかテントを増設して雨をしのぎながらの集会となった。
一歩も引かず
最初にヘリ基地反対協代表委員の安次富浩さんがマイクをとった。「辺野古の闘いの歴史は三つに分けられるだろう。第1ステージが97年の市民投票ならば今回の500日にわたるボーリング調査阻止の闘いは第2ステージではなかったか。この第2ステージは全国の支援やオバアたちの座り込みによってうち砕くことができた。そしてまたも沿岸案という、辺野古ありきの押しつけは絶対許せない。これからが第3ステージの闘いだ。米軍再編の攻撃は厳しいが、チャンスでもある。岩国や座間、横須賀の住民運動と結びついて反基地闘争を全国化していこう」と新たな闘いへの突入を宣言した。
連帯のあいさつで基地の県内移設を許さない県民会議から平和運動センター事務局長の山城博治さんが、「海兵隊7000人削減」をもって「米軍基地の整理・縮小」と言いなす日米帝を厳しく弾劾した。「沖縄の海兵隊司令部がグアムに移転する意味は何か? いざ戦争の時に沖縄では大陸に近すぎるからグアムに指導中枢を避難させる。北部に米軍基地を集中させ、自衛隊演習までひっついてくる。これはなんだ! 辺野古の新基地を中心とした戦争準備そのものではないか!」と喝破した。
決意表明では「命を守る会」代表の金城祐治さんが「孫たちにいまわしい戦争を再び負わせるわけにはいかないという思いでここまでやってきた。先人たちが残した教訓は、“基地や戦争を認めるな”ということ。一歩も引かない闘いを進めよう」と切々と呼びかけ、参加者の胸を打った。
この日の参加者は350人。その背後には、90%もの沖縄県民が今回の米軍再編・中間報告=辺野古沿岸案に対して反対しているという重みがあるのだ(11月4日付琉球新報)。
海で陸で500日
肌寒くなった朝のテント村に座り込んでいると、久しぶりにDさんと顔を合わせた。まだ辺野古沖にボーリング用ヤグラがそびえ立っていたころは毎日欠かさず阻止行動に参加し、60代でもすいすいカヌーを漕(こ)いでいくウチナーンチュの「強者」である。自然に海上阻止行動の「苦労話」に花が咲いた。
昨年の10月ごろ、調査用ヤグラ建設を阻止しようと突っ込んでいったDさんのカヌーは何度も「警戒船」に妨害された。防衛施設局にチャーターされた地元の辺野古漁民(ウミンチュ)所有の漁船が「作業船」や「警戒船」になった。1日のチャーター料は相場と比べても破格だった。日帝=防衛施設局によって「反対運動 辺野古漁民」という対立の構図を押しつけられる現実があった。だから「警戒船」役の船長も辺野古のウミンチュだった。「警戒船」にカヌーの取っ手をつかまれポイントから2〜3`離れたところまで引きずられ、カヌーごとひっくり返される。Dさんはそのたびに黙々とカヌーを漕いで元のポイントに戻り、また引きずり戻される攻防が3回ほど続き、結局ヤグラは建てられた。
その後、海上で休憩しているとDさんを先ほどまで引きずり回していた「警戒船」が近づいてきた。「思わず身構えたら、船長がまじめな顔して『あんたには感服しました。なぜこんなに一生懸命なのか? 教えてくれ』と頭を下げるわけさ。『自分が生きている間に沖縄にまた一つ基地が増えるのを見るのはいやなだけさ』と答えておいた」
この船長は日ごろ阻止行動参加者に罵声(ばせい)とすごみをきかせるので悪名高いウミンチュだったが、それ以後は作業船として海に出ることはあっても、罵声を浴びせるのをピタッとやめた。無数のDさんのようなねばり強い闘いが海で、陸で500日間にわたって展開され、ボーリング調査完全粉砕という勝利の地平があるのだ。
島ぐるみ闘争
沖縄の怒りは再び95年10・21県民大会をしのぐような「島ぐるみ闘争」として爆発していく段階に入った。ちまたでは「ゼネスト」すらささやかれている。問われているのは本土の労働者人民の闘いが沖縄の怒りと今しっかりと向き合い、すべての闘いの領域に沖縄闘争(辺野古闘争)を貫くことができるか、ということである。辺野古闘争への連帯を強めよう。
(大津五郎)
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週刊『前進』(2226号6面4)(2005/12/12)
11月22日〜29日
福井で初の「国民保護」訓練
「女系天皇」を認める報告書
●KEDO組織解体 北朝鮮での軽水炉原発の建設を進めてきた朝鮮半島エネルギー開発機構(KEDO)がニューヨークで理事会を開き、軽水炉建設事業の廃止とKEDO組織の解体で合意した。これにより、北朝鮮の核開発放棄を目的として94年に結ばれた米朝枠組み合意は死文化されることになった。(22日)
●「アルジャジーラ攻撃を計画」 英大衆紙デイリーミラーが昨年4月の米英首脳会談で、ブッシュ米大統領がカタールの衛星テレビ、アルジャジーラの本部を攻撃する意向を明らかにし、ブレア英首相がそれを制していたと報じた。(22日)
●「武装勢力700人殺害」 イラク駐留米軍のリンチ少将がバグダッドで会見し、イラク治安部隊と合同で進めた9月以降の掃討作戦により、武装勢力700人を殺害、1500人を拘束したと発表した。(23日)
●グアム移転に1兆円超 在日米軍再編に関する中間報告で日米両政府が合意した在沖海兵隊のグアム移転をめぐり、日本側が一部負担する見通しの移転費用について、米太平洋軍が関連施設の建設費だけで1兆円以上になるとする内部試算をしていたことを米軍関係者が明らかにした。(23日)
●皇室典範会議が報告書 小泉首相の私的諮問機関「皇室典範に関する有識者会議」は、「女性天皇」や、母方だけに天皇の血筋を引く「女系天皇」を認め、皇位継承順位は男女を問わない「第1子優先」とする報告書を首相に提出した。(24日)
●小泉が海保の「テロ対策訓練」を視察 小泉首相が横浜港で行われた海上保安庁によるテロ対策訓練を視察した。タンカーに見立てた巡視船に接近する不審船に対し、海保の警備艇が取り押さえる訓練などを視察。(24日)
●イラク外相「自衛隊派遣の延長を」 来日したイラク移行政府のジバリ外相が麻生外相、安倍官房長官と個別に会い、自衛隊のイラク派遣の延長を求めた。(24日)
●稲嶺知事「容認できない」 麻生外相が沖縄を訪問し、稲嶺知事と会談した。稲嶺知事は、普天間飛行場の移設先として日米合意したキャンプ・シュワブ沿岸案について「合意内容は大変残念だ。実効性のあるものとは考えられない。県の考え方に相入れず、容認できない」と述べ、拒否する方針を伝えた。麻生は稲嶺知事、名護市の岸本市長との会談後の記者会見で在日米軍再編の中間報告について「大筋この基本に沿った線で、地元の理解を得るよう努力しないといけない」と述べ、大幅に修正しない方針を示した。(25日)
●防衛庁、制服組の権限を強化 陸海空3自衛隊の統合運用開始を来年3月に控え、防衛庁は、現行の統合幕僚会議議長から衣替えして自衛隊(制服組)のトップとなる統合幕僚長の権限を強化することを決めた。(25日)
●国民保護法、福井で実働訓練 国民保護法に基づく初の実働訓練が福井県で実施された。「国籍不明のテロリストが関西電力美浜原発(同県美浜町)を迫撃砲で攻撃し、放射能漏れの危険性が高まった」という想定。地元住民を始め、国や県、自衛隊、民間企業など約140機関の約1300人が参加した。(27日)
●靖国参拝、韓国の駐日大使が批判 韓国の羅鍾一駐日大使が「政界の責任ある地位にいる人たちの言動による日韓関係の停滞は心苦しい」と述べ、小泉首相の靖国神社参拝を間接的に批判した。(28日)
●西村議員を逮捕 西村真悟・民主党衆院議員(比例近畿ブロック)をめぐる弁護士法違反事件で、大阪地検特捜部と大阪府警警備部が、非弁活動に弁護士名義を貸したとして、西村ら3人を同法違反(名義貸し)の容疑で逮捕した。(28日)
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週刊『前進』(2226号7面1)(2005/12/12)
武力鎮圧強めるプーチン
チェチェン戦争が長期・泥沼化 武装闘争が全カフカスに
“強い大国”路線が大破綻
強気の外交政策の足元で反乱拡大
ロシア・プーチン大統領が10月20―21日に訪日し、日ロ首脳会談などの日程をこなした後、釜山APECに向かった。プーチンは、日帝の念願である「北方領土返還」要求を一蹴し、譲歩ぬきで日帝から対ロ経済協力を引き出した上、東シベリア天然ガスパイプラインの中国ルート優先を小泉首相に承認させた。日本に向けた太平洋ルートは後回しだ。プーチンは、国際石油価格の高騰によるロシアの経済成長の持続を背景に日帝に対して強気に出ている。
他方、中央アジア外交においてもプーチンは米帝を押し返した。アフガニスタン侵略戦争のためにウズベキスタンのハナバード基地に駐留していた米軍を撤退させることに成功したのだ。米軍は11月21日、同基地からの撤退を完了した。同基地は、米帝が中央アジアで築いた最大の軍事拠点だった。米軍撤退は、この地域での影響力をロシアと中国が取り戻しつつあることを示す。
プーチンは、今年7月の上海協力機構で加盟国のキルギス・ウズベキスタンからの米軍撤退を要求する共同宣言を出すことに成功していた。
ウズベキスタンのカリモフ政権は、5月に同国東部のアンディジャンで起きた暴動を武力で鎮圧し、数百人を虐殺した事件を機に、事件の真相解明を求める米帝との関係を悪化させていたが、暴動鎮圧を支持したロシア・プーチンとよりを戻し、米帝に基地撤退を求めていた。
あたかもプーチンが目標に掲げてきた「強い大国ロシア」の実現にも見えるが、この裏でロシア・プーチン体制の深刻な危機が進行している。
ロシアに帰ったプーチンは、軍事占領下のチェチェン共和国で議会選をデッチあげた。傀儡(かいらい)政権の維持に躍起となっているのだ。また、この間チェチェン―カフカス地方で激化・拡大するチェチェン―ムスリム人民の民族解放闘争に対して容赦ない武力鎮圧策に出ている。チェチェン侵略戦争が長期・泥沼化し、ロシア軍と治安機関がチェチェンに釘付けにされているばかりか、カフカス全体に広がる武装闘争の鎮圧に必死にならざるを得ないのである。
チェチェン―ムスリム人民は、ロシア連邦中央プーチン政権に対して不屈・強靱(きょうじん)に民族解放・革命戦争を闘っている。3人の歴代チェチェン大統領の暗殺を始め多大な犠牲を払いながら、ロシア軍・治安機関の無差別虐殺、人権侵害、違法行為をのりこえ、ゲリラ戦争をエスカレートさせ、敵に不断に打撃を加えている。こうした事態それ自体がプーチンの大ロシア主義的帝国主義的な民族抑圧政策の破綻(はたん)の現れである。
ロシア軍は長引く戦争と広がる軍事展開によって疲弊させられ、死傷者を増大させている。予算不足の中で軍幹部は腐敗を深め、敵にさえ武器を売り、新兵いじめでうさを晴らしている。暴力の横行で脱走や死者が頻繁に出ている。兵士の怒りは極点に達し、兵士の反乱、兵士の母たちの闘いが爆発することは避けられなくなっている。チェチェン戦争から帰還しても社会復帰ができない若者が激増している。
チェチェン人民が不屈に戦い続ければロシア連邦権力が疲弊し、民族解放と独立の展望が切り開かれる。
ソ連スターリン主義の歴史的崩壊の上に成立したロシアのエリツィン―プーチン体制は、ボナパルティズム的強権による資本主義化政策とチェチェン侵略戦争の推進でロシアを帝国主義的大国として復活させようとしてきたが、今やその反革命路線は完全に行き詰まっている。スターリン主義の歴史的破産の問題は、反スターリン主義第2ロシア革命の勝利、プロレタリアート独裁と社会主義建設、民族自決権の保障、世界革命によってしか解決できないのだ。
議会選デッチあげ傀儡政権を維持
11月27日にチェチェン共和国で議会(上下両院)選挙が行われた。
この議会選は、ロシアの軍事占領下、傀儡チェチェン政権のもとで行われた不正選挙・デッチあげ選挙である。チェチェン独立派は当初から選挙は茶番であるとしてボイコットを呼びかけてきた。そして現に多くのチェチェン人民が投票所に行かなかった。投票率は実際には20〜30%台で、選挙は不成立なのだ。
ところが選管は61%の投票率と発表した。プーチンは「憲法に基づく政治体制の復活プロセスが完了した」と宣言し、「チェチェン正常化」を強調した。議会選でチェチェン共和国は憲法上もロシア連邦の完全な一部になったと言いたいのだ。プーチンは、新議会が連邦とチェチェンの権限分割協定を承認することを期待している。
プーチンの言及する憲法は、ロシア軍の占領下で03年3月に開票操作されたデッチあげの国民投票によって承認された。チェチェンをロシア連邦の一部と規定している。チェチェンの分離・独立を認めないプーチンに都合のよい憲法だ。
チェチェンの本当の憲法は、独立を宣言したドゥダエフ大統領の統治下で92年に承認された憲法だ。この憲法はチェチェンをロシア連邦から独立した共和国であると規定している。
プーチン与党の「統一ロシア」が61・5%の得票率で勝利した。野党のロシア共産党が12%、右派同盟が11%で続いた。野党の選挙参加は、彼らのプーチン批判がうそであり、彼らがチェチェンの民族自決や独立に反対している勢力であることの証明だ。
統一ロシアの勝利と議会の成立は、傀儡チェチェン共和国政府第1副首相のラムザン・カドゥイロフの勝利を意味する。議会は事実上、ラムザン直属の翼賛議会になる。党的議会的基盤を得たラムザンは、傀儡チェチェン政権の絶対的権力者だ。次期チェチェン大統領選の勝利は約束されたとも言われるが、生きていればの話しだ。
ラムザン・カドゥイロフは現在29歳で、死亡した傀儡チェチェン大統領のアフマト・カドゥイロフの息子だ。アフマトは宗教指導者で、第1次チェチェン侵略戦争時にはドゥダエフ大統領とともにチェチェン独立のためにロシア軍と戦ったが、第2次戦争で裏切り、ロシア連邦側についたため、マスハドフ大統領から死刑宣告を受けていた。アフマトは連邦直接統治のもとで01年6月からチェチェン行政長官を務め、03年10月のデッチあげ大統領選で当選したが、04年5月にチェチェン独立派によって爆殺された。
アフマトの死後、ラムザンがチェチェンの親ロシア派の中で最大の実力者だったが、30歳に満たなかったため、新チェチェン大統領選に出られなかった。そこで大統領選(デッチあげ不正選挙)で当選したアル・アルハノフ大統領のもとで第1副首相となった。
ラムザンは「カドゥイロフツィ」と呼ばれる2千人の私兵組織を持っている。
カドゥイロフツィは、プロの警察官や特殊部隊の訓練を受けた兵士、独立派武装組織から脱落した裏切り分子らからなる。チェチェン駐留ロシア軍と同様、身代金めあての誘拐ビジネス、強盗・殺人、監禁・拷問、石油・麻薬密売など不法行為、人権侵害をやりたい放題やっている。
このような無法な強盗集団の存在が許されるのは、連邦中央がチェチェン人によるチェチェン統治とその正常化を装うのに役立つからだ。こうした傀儡政権の統治がチェチェン人民の怒りを呼び起こさないわけがない。プーチン―カドゥイロフのチェチェン安定支配などあり得ない。
差別・抑圧・貧困にムスリムの怒り
第1次(94年12月〜96年8月)と第2次(99年9月〜)のチェチェン侵略戦争でのチェチェン人の死者は20万人を数える。ロシア軍の死者も1―2万人に上るはずだ。また、40万人の難民が発生し、全世界にチェチェン人が離散し生活している。隣のイングーシ共和国に置かれた難民キャンプは昨年6月に閉鎖され、数万人のチェチェン人民がチェチェン共和国内に強制送還された。しかし、家も土地も交通も破壊され、仕事もない。畑に出ればロシア軍の標的になる。
ロシア軍やカドゥイロフツィの検問や掃討作戦、襲撃で男性は無差別に拉致・監禁される。残された家族には彼らがどこに連行されたか分からない。行方不明者は毎年2千人に上る。居場所が分かっても数十万円もの身代金を払わなければ返されない。遺体は引き取り料と交換だ。
2度にわたる侵略戦争で全土を徹底的に破壊され、家族を殺されたチェチェン人民は、ロシアとプーチンに対する怒りと復讐の念に燃えて戦っている。
チェチェン人民だけではなく、北カフカスのムスリム人民も、徹底的に差別され、貧困にたたき込まれ、モスクを閉鎖されたことに怒りを爆発させ、反プーチン・反ロシアを掲げて武装決起し始めている。北カフカスでは、収入がロシア平均の2・5分の1、失業率が2倍であり、地方政権の腐敗が甚だしい。石油価格高騰によるロシア経済の好況の恩恵はこの地域には届かない。
10月13日、ロシア南部のカバルジノ・バルカル共和国の首都ナリチクで200人の武装部隊が市内の治安機関本部や警察署、空港を一斉に攻撃し、36時間に及ぶ激闘を展開した。カフカス戦線に属する地元組織ヤルムクが攻撃を実施した。カフカス戦線は、今年3月に暗殺されたマスハドフ・チェチェン共和国大統領の後を継いだサドゥラエフ大統領が5月に設立した統一軍事組織だ。
プーチンは、治安部隊に鎮圧を命令し、抵抗する者や逃げようとする者を射殺する許可を与えた。ナリチクの治安当局は、死者は武装組織94人、市民12人、治安部隊24人、武装組織の被逮捕者は35人と発表した。
当局は事態を収拾したと言うが、問題は、武装組織が治安機関に察知されずにナリチク市内に進入し、白昼堂々、権力機関を攻撃したことだ。戦闘発生自体が治安機関の敗北なのだ。
圧倒的に優位なはずの治安機関が武装組織に襲撃された。ロシア連邦のカフカス安定支配が不可能であることが明らかになった。チェチェンに数万人のロシア軍や治安部隊を配置しても独立派武装組織はロシア連邦全体に展開してプーチン体制を脅かす。長大な防衛線はロシアの弱点だ。
プーチンは事態を収拾したナリチク治安当局を褒めたたえ、「以前にも容赦なく戦った。これからも同じだ」と人民の犠牲が出ても強硬策で武装抵抗組織をせん滅すると宣言した。
ナリチクの当局は武装組織の掃討に躍起となり、1カ月間に2千人を無差別逮捕した。ダゲスタンやイングーシでも大規模な掃討作戦が行われている。
イングーシ共和国で昨年6月、大規模な戦闘が戦われた。チェチェン独立派のバサエフ司令官が率いる部隊が同共和国の首都ナズラニに進入し、治安部隊70人をせん滅、大量の武器・弾薬を奪って生還した。ダゲスタンやイングーシの各都市でも治安部隊と武装組織の衝突、銃撃戦が連日のように行われている。
今やチェチェン戦争は戦線を拡大し、カフカス戦争に発展しようとしている。
ソ連スターリン主義の崩壊をロシア資本主義化、帝国主義化でのりきろうとする反革命路線は行き詰まった。プーチンは強硬策で突破を図っているが、不屈に戦うチェチェン―ムスリム人民がロシア・プロレタリアートの決起と結びく時、巨大な革命情勢が訪れる。
(藤沢明彦)
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週刊『前進』(2226号7面2)(2005/12/12)
中国 “血と汗の賃金を返せ”
重慶 偽装倒産に数万決起
7月、中国四川省重慶市にある国有企業「重慶特殊鋼鉄工業」が倒産(偽装倒産)し、数万人の労働者が解雇された。賃金や失業保険などの不払いに対し「血と汗の賃金を返せ! 汚職腐敗の黒幕を処罰せよ」と労働者が立ち上がった。
中国にも「工会」と呼ばれる労働組合があるが、それは「中国共産党人事部労働組合課」とも呼ばれ、完全に中国共産党や経営者側に立ったものだ。これに抗して、大慶油田や国有企業が集中している中国東北部では、労働者が「工会」とは別の自主的な労働者組織をつくり闘い始めている。
10月11日閉幕した中国共産党の第16期中央委員会第5回全体会議(5中全会)は、1人あたりGDP(国内総生産)に関する数値目標を示したほか、最重要の課題として「三農」問題を掲げた。農業問題が中国スターリン主義体制の根幹を揺るがしかねないからだ。しかし「国有企業改革」=労働者の首切り問題も、ますます重大化している。
「改革・開放」は、中国版民営化攻撃でもある。それは資本主義=帝国主義以上に激しいものとなる。なぜなら、中国は政治体制だけでなく経済体制も依然としてスターリン主義そのものだからだ。「改革・開放」政策の野放図な展開は、中国スターリン主義体制の危機と矛盾を深めている。労働者・農民の闘いは不可避だ。
賃金未払いに国道封鎖闘う
「西南地域のすべての工業の母」といわれた重慶特殊鋼鉄工場は、70年の歴史を有する有名な工場だ。面積4・5平方`、2万人以上の労働者を有する大型国有企業である(家族を加えると7万人以上)。しかし、官僚制的国有企業制度と腐敗という二つの理由で長年赤字となり、7月に倒産、工場労働者が解雇された。
工場が破産する直前、新会社「東華鋼鉄」が設立された。この会社は重慶市共産党経済委員会と個人が起こした私営企業である。この「東華鋼鉄」が工場内の設備・建物・土地などすべての資産を占有した。完全な偽装倒産だ。しかも、労働者への保険や賃金は未払いのままなのだ。こんなことが許せるか! 労働者たちは、自らの生存、生活と権利を求め立ち上がった。
8月12日から連日、2千人近い労働者とその家族が街頭で要請行動を行った。8月中旬には、6千人の労働者が国道212号線を封鎖して警官隊と衝突。労働者の闘いに追いつめられた重慶市政府は9月26日、「第1次貧困救済金」を支給することをいったん約束する。しかし政府はこれを履行しようとしない。
10月に入り、闘いは一挙に拡大した。2日、1万人近くの労働者と家族が参加し、「黄其帆副市長は重慶特殊鋼鉄労働者の要求に対して満足する回答を!」という横断幕を国道に掲げた。5日には、万にのぼる労働者たちが街頭に出た。この場で労働者代表は1時間に及ぶ感動的演説を行い、仲間の強い共感を呼んだ。
街頭大集会で“団結こそ力”
労働者代表は次の3点を提起した。
1点目に、特殊鉄鋼工場労働者の貧困の現状について。高い離婚率(65%以上)、病気でも病院に行かない人の割合(90%以上)、子どもが高校か大学に上がる割合が低く進学する家庭も借金を抱えていることなどを具体的に報告した。そして、「ここにいる母親たちが、学校に通えない子どもたちのために布団の中でどれほど涙を流してきたかを考えたことがありますか」と切々と訴えた。
2点目に、「当初会社は一部の労働者を解雇して企業を救うと言っていた。われわれもそれに協力してきた。だが、いま会社が倒産した。労働者は一切何ももらえないのか?」と仲間に問いかけた。「もらえるはずだ!」と答える労働者。さらに代表は「逮捕されるかもしれないが、わたしは何も恐れない。妻も子どもも、とっくにいなくなった。いまでは仕事さえない。残っているのは、わたしのこの頭ぐらいだ」という訴えに、労働者たちは一斉に拍手でこたえた。
3点目に、「労働者の闘争はでたらめに闘うのではなく、統一した指導とその組織的中核、そして紀律が必要だ」と訴え、「自分は4万人の労働者の代表としてみんなの利益のためにすべてをささげる決意だ」と力強く労働者の階級的団結を訴えた。
最後に労働者代表は「われわれは何のために闘うのか。それは自分のため、みんなのため、子どもらのため、そして生活と平等のために闘うのだ」と発言、全員でインターナショナルを歌った。多くの労働者が歌詞を知らなかったが、女性労働者が歌詞を配り、周囲の労働者も横断幕に書かれたインターナショナルの歌詞を見ながら歌い始めた。おばあさんは楽しそうに手拍子でこたえ、集会は最高潮に達した。最後に「政府は倒産生活保障費を出せ!」「われわれには生活がある」「われわれには平等が必要だ!」「勝利はわれわれにある!」のスローガンが力強くこだました。
重慶特殊鋼鉄の労働者は、闘いの中で以下のスローガンを掲げた。「汚職腐敗の処罰! 公平公正に労働者の具体的な問題を解決せよ! 目的の達成まで撤退しないことを誓う! 暴力殴打事件を厳格に処理せよ! 団結こそ力! 主人公の地位を返せ、公平を返せ、公正を返せ!」
虐殺に屈せず闘争継続宣言
2カ月に及ぶ粘り強い闘いに対して10月7日、重慶市公安警察は徹底的な弾圧を加えた。3人を虐殺し、数十人に重軽傷を負わせ、労働者代表全員を逮捕した。通りすがりの子どもが「警察のおじさんが人を殴ってる」と言っただけで蹴り飛ばされ内臓破裂の重傷を負った。負傷者の最高齢者は86歳、最年少は7歳。まさになりふり構わぬ流血の弾圧で鎮圧したのだ。
しかし特殊鋼鉄工場の全労働者、家族は10日、ただちに声明を発表し、断固闘う意思を表明した。「すべての特殊鋼鉄の労働者同志諸君! 政府の暴力はわれわれの決心を一層打ち固め、われわれ特殊鋼鉄人をさらに団結させた! われわれは生存を要求する! われわれは平等を要求する! われわれは特殊鋼鉄人の高貴な頭(こうべ)をけっして垂れはしないことを死して誓う。弾圧者には血債であがなわせなければならない!」
中国労働者・農民の勝利の道、それは中国スターリン主義打倒の中国第2革命の中にある。重慶特殊鋼鉄労働者のスローガンは、全世界労働者共通のスローガンだ。労働者の国際的・階級的団結を強め、連帯して闘おう!
(河北恵一)
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週刊『前進』(2226号7面3)(2005/12/12)
ヨーロッパからの手紙
フランス社会の差別に反乱する若者たち
現在、フランスで若者の大規模な反乱が起きている。10月末に郊外のスラムで端を発した反乱は、1週間ほどでパリの中心に達して全フランスを席巻し、ベルギーなど他国へも飛び火する勢いを見せた。この2週間ほどで何千台もの車両が焼かれ、マクドナルドなどの店舗は破壊され、フランス全土に火の手が上がった。
これは、警察に追われた3人の少年が変電施設に逃げ込み、そこで2人が感電死した事件をきっかけに、何十年にもわたってフランスの移民社会に蓄積されてきた怒りが一瞬にして爆発したものである。
サルコジ暴言
サルコジ内相は弾圧を強め、反乱する若者らを「社会のクズ(ラカイユ)」と口汚くののしり、「一掃する(カルシュリゼ)」と何度も言い放った。
この「一掃する」にあたるカルシュリゼは、圧縮空気で水や砂を噴射して汚れを乱暴にこそげ落とすシステムのブランド名で、建物の壁などにこびりついた鳥の糞などを除去する時に使われ、その表面を傷つけることもある。「ラカイユ」という表現も、人間以下の無法者、社会の厄介者といったニュアンスをもち、これ以上ひどいフランス語はない、というものである。こういった言葉を内相が口にし、警察に無制限の弾圧許可を与えることは、ファシスト的な「民族浄化」を扇動しているに等しい。
サルコジは、拡大する反乱は「組織的・計画的なものだ」と言ったが、パリの週刊新聞『ル・キャナール・アンシェネ』の編集者は「イスラム原理主義が組織しているというのは事実ではなく、反乱は自然発生的に広がったもの。若者たちは常に身分証明書をチェックされ、管理され、逮捕されるなど、毎日のように警察の人種差別的弾圧にさらされている。サルコジの侮辱的発言を聞いた彼らは、その標的が自分たちだと感じたのだ」と言っている。
広がる連帯感
『リベラシオン』紙のインタビューによると、ある若者(22歳)は、「サルコジは自分が発言したことについてわれわれに釈明すべきだ。サルコジがスラムに来て『こいつらを一掃してやりますよ』と言った時にみんなキレた」と言っている。また別の青年(28歳)は「サルコジは『お前らは、みんな同じだ』と言う。政府のそういう対応が、自分たちの間に共通の連帯感を植えつけた」と言う。同紙のインタビューに答えた若者たちは例外なくサルコジへの怒りをあらわにし、彼の侮辱的な発言が油を注いだ、と口をそろえて言っている。
現在、フランスの人口の1割以上は移民系の人びとで、主にアラブ系と黒人である。1960〜70年の高度成長期に、フランスはアルジェリアやチュニジア、モロッコなど、かつての植民地から大量の移民を受け入れて炭鉱や製造業などの職種に就かせ、郊外に建設した巨大な高層団地に、いわば一般社会から隔離・収容するような形で住居を与えた。その中には、アルジェリア独立戦争の時にフランス側について戦った現地人もいるが、彼らも含めた移民労働者たちは、強制収容所のようなスラムに閉じ込められ、フランス社会から最低の扱いを受けている。その地区の建物は築後数十年を経て老朽化が進んでおり、暖房設備やエレベーターは壊れたまま放置され、崩壊した壁からは電線が露出しているような状態である。
40%の失業率
8月から9月にかけて、そういった低所得者層のアパートから連続して火災が発生し、70人もの犠牲者を出したことは記憶に新しい。人口も超過密状態で学校や住宅などはパンク寸前であるが、建物が整備されたり増築されたりということはほとんどない。地域によっては失業率が30〜40%に達している。職を得ようとしても住所と名前で差別されるからである。現在フランス全体で滞在許可すら与えられていない外国人は少なくとも20万人にのぼる。
(S・K)
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週刊『前進』(2226号7面4)(2005/12/12)
『ゴータ綱領批判』 −学習の感想−
国際主義の原則を学ぶ A・O
『ゴータ綱領批判』学習の意義は、共産主義の将来社会論に関してのマルクスの学説を学ぶというような一般的なものではなく、プロレタリア革命勝利の後に直ちに着手すべき現実の共産主義的な政策として、きわめて実践的な立場でとらえるということだと思います。
そういう立場で考えたとき、マルクスが唱えた諸原則が抽象的な教条ではなく、実践的な問題として突き出されていることにすごさを感じます。諸原則とは、ひとつは“国家”に対する態度の問題、もうひとつは“国際主義”に関してです。
『ゴータ綱領批判』では、共産主義は、形式においては(さしあたり)国民的だけれども、内容において国際主義であると言われています。私が理解したことは、“自国のプロレタリアートは、世界革命の一環として、まずは自国のブルジョアジーを倒すために活動する。しかし、そのためにも、今直ちに国際的なプロレタリア階級の共同の任務体系の創造に向かって、具体的な諸政策に着手しなければならない”ということです。
マルクスの時代である19世紀よりも、現在は圧倒的に世界的な交通・通信の方法が多様に発展しているにもかかわらず、プロレタリア階級闘争は、恐るべき分断をされていると実感します。さらにこの点で、日本共産党の一国主義、排外主義は、全世界のプロレタリア階級に対する敵対以外の何ものでもないことは、歴然としています。
現在、プロレタリア階級に対する帝国主義の攻撃は、日本も米・欧も、階級闘争の絶滅を目的とした民営化(労働組合解体)政策という点で一致していると思います。現実に、労働者は資本攻勢に対しても、一国的には闘えなくなっています。「国際競争力を強化しなければ、自国経済は滅びる」という論法に対しては、資本の国際的な生き残りをかけた自国の労働者への搾取の強化で、労働者階級を互いに闘わせようとしている、というように問題を暴露しないと、資本攻勢に向き合うということにすらならない。その行き着くところは帝国主義戦争です。私は『ゴータ綱領批判』で学ぶ国際主義の原則を現代的にはこのように考えています。
しかし、他国のプロレタリアートの現実を念頭において自らの運動の原則を考えるというのは、容易ではありません。われわれの発想の中にも、何かにつけ一国的な狭い発想が絡みついているに違いありません。マルクスの言う“自覚だけじゃダメなんだ。国際連帯の積極的な政策が必要なんだ”ということの意味が迫ってきます。
われわれの新指導路線も、そうした意味で『ゴータ綱領批判』でのマルクスの主張の実践としてあると思っています。
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週刊『前進』(2226号8面1)(2005/12/12)
11・6労働者集会に参加して 本気で闘う労働者の集会 広島・民間労働者 河合典子
11月労働者集会への参加は今年で3回目ですが、日本の戦争国家化=労組破壊と本気で闘う労働者の全国集会はこれしかない、と思って参加しています。韓米の労働者との国際連帯集会であることも大変うれしいです。
一緒に行った人たちと日比谷野音に向かって歩いていたら、韓国の労働歌「鉄の労働者」が聞こえてきました。後で聞いた話では開会の前に律動をしたそうですが、やはり集会の中でやった方がよいのではないでしょうか。私は03年、04年に律動と「トゥジェン(闘争)!」のシュプレヒコールに胸が熱くなり、皆が一緒に体を動かすことで会場が一つになれるのではないかと思います。
辺野古で闘う青年と「日の丸・君が代」被処分者の発言を聞いて、決して沖縄だけの闘い、教育労働者だけの闘いにしてはならないと痛感しました。国や都教委は横暴に振る舞っていますが、実際には追い詰められているのであり、労働者が団結して闘えば基地建設も「日の丸・君が代」強制も阻止できるのです。また郵政民営化法案が成立しても、絶望することなく闘い続けている全逓労働者の姿に学びたいと思います。
私はこの集会に参加するようになる前は、労働運動にあまり関心が持てませんでした。しかし小泉や石原、奥田が仕掛けてくるひどい攻撃を見て、これは市民運動だけでは跳ね返せない、と考えを変えました。「つくる会」教科書や憲法・教育基本法改悪に反対する運動も階級的労働運動と結びつくことが必要なのです。私も労働者の一人として闘う決意です。
11・6労働者集会に参加して 日韓米連帯で資本主義倒せ 愛媛・JPU(全逓) 前田雅則
当日は少し遅れての会場入りとなってしまったが、既に満杯に近い状態。「去年より絶対に多いぞ!」。席に座ると律動の練習中、それも今までと振り付けが違う。結局覚えきれずに終了してしまった。残念。
何か出遅れを感じつつ、集会が始まった。私自身今年の集会は、任期が残り1年となった小泉の攻撃と労働者・労働組合がいかに対決していくかが問われるものと位置づけていたが、発言を聞いているうちに、それだけでは解決できないと感じた。韓国の公務員労働者への攻撃は日本のそれとまったく同質のものであり、アメリカの労働者の闘いも然(しか)りだ。「全世界の労働者と団結しよう」「国境を越えて連帯しよう」と次々に出てくる。労働者の力で資本主義を倒さない限り、本当の未来はないと確信した。気合いを込めて頑張るゾー。
11・6労働者集会に参加して 港湾労働者の闘い受けとめ 九州 若人明
僕は今回、初めて東京・日比谷野外音楽堂での全国労働者総決起集会に参加した。当日早朝、のぞみで東京に向かう。東京駅構内には至るところに警察官の姿がある。われわれの集会への弾圧だけにしては少々大げさだ。やはりテロを警戒しているのだろう。
山手線に乗って有楽町で降り、徒歩10分。日比谷公園入り口には刑事らしい人影が見える。一般人の姿も見える。奥へと進んでいくと歓声が聞こえてくる。
集会には4600人もの日本、韓国、アメリカからやって来た同志たちが集う。その中で各国の港湾労働者が、民営化に反対する港湾労働者に連帯して、同社の船「ネプチューン・ジェイド」の貨物の積み降ろしを拒否したという話があった。やはり労働者に国境はない。
会場を見渡すと「反戦・福祉の議員ネット」と書かれたのぼり旗が見える。我らが長谷川ひでのりさんも来てることだろう。以前の活動で見かけた顔ぶれが目立つ。
シュプレヒコールを上げてデモに出発する。日比谷公園から銀座などを通って雄叫びを上げる。道行く人びとやドライバーの中には、われわれに興味を示す人びともいた。デモが東京駅に近付くと、隊列を離れ、帰り支度を始める。われわれが改札付近に集合し
ている時もまだシュプレヒコールが鳴り響いていた。
律動に感じた団結と豊かさ 東京・民間労働者 十亀弘史
昨年の労働者集会よりずしりと厚みが増した、と感じました。量において、そして質において一層、飛躍的な充実がかちとられたのです。すなわち、集会を通して革命がリアルに感じられ、したがって革命党の責任が真に深く問われたということです。
強靭(きょうじん)なストライキ、さらにゼネストまで打てる力を持った米韓の闘う労働者の代表が、日本において、なぜほかでもなくこの「小さな」3労組の集会を選びとったのか。それは、この労組とこの集会だけが、全世界の労働者階級に共通する闘いの原則を鮮やかに体現しているからです。帝国主義を打ち倒さない限り、労働者人民の解放はないという原則です。いま戦争と民営化に反対を貫くとは、革命を目指すことにほかなりません。
しかし、日本の革命勢力はまだ全く力が不足しています。痛快さと躍動感にあふれた韓国の労働者の律動は、もっと団結し、もっと統一し、階級の隊列をもっと豊かにして、そしてそれらのことをもっと生き生きと表現せよ、と私たちを鋭く突き刺しているとも感じました。私たちはすでに原則と火花を手にしています。それを燎原(りょうげん)の火に変えよう!
星野さん取り戻そう全国集会で誓い合う 群馬・友人 伊藤成雄
11月13日、「星野文昭さんに自由を!全国集会 大阪」に参加しました。
今年の全国集会は、関西を中心に全国の仲間が多数かけつけました。会場には、本気で星野さんを「自由の身」にすることを誓う思いがあふれていました。これまでにも増して重要な集会であり、成功してよかったと思っています。
14日、私を含めた8名は、高松市の四国地方更生保護委員会への請願行動を行いました。対応に出てきた事務局長に、全国の仲間がつくった請願書と北海道のご家族が直筆で書いた要請文、さらに沖縄からの要請文を提出しました。約1時間の行動の後、徳島に向かいました。
徳島刑務所で、大阪や広島から参加した人、地元徳島の人たちと合流し、全員で神山森林公園に向かいました。距離は離れていますが、ここから、徳島刑務所の構内がはっきり見えます(写真)。「ここに星野文昭さんがいる」、そう思って、全国の皆さんと共に、手を振り、声をあげました。
私はここで誓いました。「星野さん、1日も早くきみを取り戻すために、全国の皆さんと共に全力を尽くします。一日も早く再会し、きみと握手したい。がんばろう」
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週刊『前進』(2226号8面2)(2005/12/12)
『前進』武器に11月闘争の高揚と感動を全労働者へ
前進経営局
11月の地平は党の飛躍を求めている
動労千葉など闘う3労組が呼びかけた11・6労働者集会と、動労千葉訪韓団の民主労総労働者大会、プサンAPEC粉砕闘争参加は、闘う労働者を感動と興奮に包み込んでいる。「人生観が変わった」「こんな労働運動があるのか。こういう労働運動を闘いたい」という声がたくさん上がっている。
また、集会に参加できなかった多くの人びとにも、感動は電撃的に広まっている。「インターネットで見て感動しました」と言って『前進』の購読申し込みが寄せられた。「子どもの学費などで生活は大変だけれど、党が必要とする資金は是非要請して欲しい。自分の生きがいはそこにある」と、一読者が10万円のカンパを申し出た。
11・6労働者集会を担い、訪韓闘争に参加したすべての日本の労働者は、動労千葉の権威と動労千葉労働運動に代表される日本の階級的労働運動の再生への重責を打ち震える感動の中でひしひしと実感した。集会参加者は誰彼なしに、この感動を語らずにはおれない魂の高揚を感じている。それを思いきって語り、『前進』を広め、11月大闘争の歴史的地平を守り、発展させよう。
党派闘争にかちぬく力量を
1万人結集に向けて労働組合権力に挑戦して闘った3カ月の蜂起戦は、結果が数値として出る総力戦だけに現在の革共同の党的力量も、直面している壁も、その打破の可能性もはっきりと示した。
労働者階級の決起と労働者党建設の一体的推進、その環としての機関紙活動の飛躍が求められている。
職場での細胞建設なしに党派闘争にうちかち、動労千葉労働運動を実践して組合権力をうち立てることはできない。そして党建設は、それ独自の取り組みを必要とする。
昨年の11月集会参加者を機関紙購読と党に獲得する闘いに踏み出した組織が05年に大きく伸びた。原則的で典型的な機関紙活動の見本として本紙2171号で紹介したB県とC県は、1年間の闘いの総決算ともいえる11・6労働者集会において顕著な参加者の増加を実現した。
1万人の結集のために拠点職場からの大結集をめざして闘いぬいた11月に至る3カ月間の蜂起戦では、例外なく連合派指導部との真っ向からの激突となった。この闘いに勝ち抜くためには、機関紙を中心に結集し闘う職場細胞・職場フラクが絶対に必要である。新指導路線とは、労働者同志が職場・生産点における階級的労働運動を実践することと、労働者細胞を自らつくることとを一個二重の闘いとして実践して初めて実現する。組合権力への挑戦をめざし、機関紙と労働者細胞を軸に通年的に闘ってきた組織こそが、連合派に対して攻勢的に闘い、勝利し、大結集を実現したのである。
05年労働者集会の参加者は労働者の党の建設の必要性を実感している。06年の勝利にむけて4600人の党の建設を今年こそ実現しようではないか。
変革し成果あげたC県の闘いの教訓
本紙2220号の機関紙活動アピールで紹介したC県の闘いは、11・6労働者集会への結集運動においても特筆すべき闘いであった。昨年より参加者を大きく伸ばしただけではなく、集会参加予定者よりも当日の参加者の方が増えるという団結の強さと結集闘争の勢いを示した。これは細胞性と細胞建設の堅固さ、マルクス主義=共産主義で武装された県党の強さを象徴的に示すものであった。
年間をとおした階級的潮流の組織化と組合活動を強固に実践し、拠点労組から堅実に参加者を増やした。労組からの参加を柱に地域や戦線からも非常に多くの参加を実現した。その基礎に機関紙活動を軸にした党建設の闘いとマルクス主義の学習会がある。C県は闘えば闘うほど労働組合運動が前進し、闘えば闘うほど党建設が前進するような闘い方を実践している。労働者集会結集運動の過程でも機関紙拡大闘争が粘り強く闘われてきたことが核心にある。
C県の機関紙活動の力点は、機関紙拡大闘争を全党員の主体的取り組みとする点にあったが、それは新指導路線での一致と実践のなかで生み出されてきた。
労働者党建設は労働者階級自身の事業である。それはすべての労働者党員がその主体となり主人公となって実践する闘いである。C県はそのための党の変革を先進的に闘いぬき、その到達地平を11・6労働者集会に示した。労働者党員が責任をとる組織ならではの労働者への深い信頼、一人ひとりの党員への指導の温かさ、マルクス主義的な高さ、それらを基礎とした団結の強さを、C県の実践から知ることができる。「党が変われば、機関紙は確実に労働者階級に受け入れられることを証明した」とC県は報告している。
『前進』は新指導路線の実践の環である。C県に学び、全党員の機関紙拡大闘争を粘り強く実現しよう。
『前進』使って労組をオルグ
(1)B県の実践
C県と並んで機関紙活動を牽引してきたB県は昨年の拡大が11月集会後であったことを反省し、今年は11・6集会に至る過程で拡大をめざした。その方針を8月段階で確定し、職場と労組活動家への拡大、反基地闘争や街頭での販売など9月〜10月の拡大闘争に思いきって踏み込んだ。すでに今年前期の拡大数と同数の拡大を労働者同志が実現している。『前進』を武器としたこうした闘いによって連合派の激しい11月労働者集会つぶしの攻撃と自治労、教労などで真っ向から対決し集会への参加の増大を実現した。連合派と労組活動家の『前進』での武装をテコに闘い抜いている。具体的な結集の成果はさまざまであるが、労働組合運動の主流派をめざす画期的な闘いを開始した。
(2)D地方委の実践
B県、C県以外でも機関紙活動が前進した。中でもD地方委員会は労働者集会に向けて『前進』で労組活動家を獲得する闘いに画然と踏み出した。これまでの『前進』の一部分を使ったり切り抜いてコピーして使うやり方から、『前進』そのものを使うようにきりかえた。対象との関係もあいまいさがなくなり、路線論議に踏み込めるようになり、3部を拡大した。郵便局前、区役所前で毎週『前進』街宣を行い、購入者への集会参加を働きかける取り組みを行った。8月に『前進』を定期購読した労組役員2人が集会参加を決意し、さらにそれぞれ同僚を誘って参加した。D地方委員会は集会参加者と集会参加を呼びかけた全対象への『前進』販売を進めている。
(3)街頭販売
『前進』街頭販売は労働者集会への呼びかけと一体で全組織的に取り組まれた。『前進』をどれだけ勧めたか、『前進』がどれだけ販売できたかは組織によって凹凸はあるが全組織的に闘われたことは画期的なことであった。街頭には労働者の怒りが渦巻いている。バラ売りは、職場などでの販売と街頭販売が、ほぼ半々である。街頭販売が定購や集会参加に直ちに結びつくとは限らないが、1部1部討論して販売すること自身に意義がある。
今回は街頭で『前進』を買い集会に参加し定購になった人、集会には参加できなかったが定購になった人、定購にはなっていないが継続的に会えるようになった人などさまざまな出会いがあり、全国では相当数にのぼる。街頭で初めて知り、職場の同志が誘って集会に参加した労働者も少なくない。反動が強まり、労働者の怒りが強まっているだけに、街頭宣伝の意義はますます大きくなっている。年末年始に向けて引き続き職場と街頭の闘いを両輪に進めていこう。
06年新年号の大胆な販売・活用計画を
本紙2220号(10月31日付け)機関紙拡大闘争アピールで実践的な党建設の指針として、以下の3点を提起した。
@『前進』を活用した細胞会議と会議での機関紙活動の点検
A機関紙の読了
B機関紙配布の再構築
これらの課題は戦時下階級闘争の中でますます死活的なものとなっている。
(1)細胞は会議で組織され建設される。『前進』を事前に読まないと『前進』中心の会議が実質をもって行うことができない。機関紙拡大闘争を会議の主要議題に据えないと機関紙拡大闘争は始まらない。革命党の組織は党勢を拡大していくことでエネルギーを充てんし労働者階級との結合を強固にしていくのであって、機関紙活動が柱に座らない党活動は本来ありえない。月1回の『前進』拡大の討議を全面的に行うことを提起した。
機関紙を拡大している組織はこの討議を行っている組織である。機関紙は拡大できる。そのような党になっているかどうか、そこから討議を始めなければならない。機関紙活動を会議の主要議題として討議していない組織が少なくないが、この現状は何としても変革しなければならない。
(2)11・6集会を起点にして1万、10万、100万の決起へと巨大な階級的労働運動をつくり出していくためには、その基礎的闘いとして、機関紙が党員の党活動の環に座ることが必須不可欠である。それは、機関紙の読了から始まる。
『前進』を読む読まないは、時間の余裕があるかないかの問題ではない。絶対に必要な時間としてあらかじめ確保するかどうかである。紙面には得意な領域と苦手な領域があるだろうが、時代は共産主義のトータリティーを求めている。『前進』を読み、マスターしなくて拡大できた例はない。ある組織では会議に全員が集まる前に集まれる人で読み合わせを行っている。移動時間でも待ち合わせ時間でも工夫すれば読むことはできる。読了が進む分だけ党活動が前進することを確信して粘り強く努力しよう。
(3)機関紙配布網が蜂起の指令系統であり、24時間以内の配布が蜂起の条件であると規定されているという提起が、新鮮さと衝撃をもって受け止められている。機関紙配布網は党の生命線である。配布網が断たれることは党が命を失うことである。戦時下階級闘争におけるこの重要性をあらためて確認しよう。
労働者集会から訪韓闘争まで1面に大きな写真を掲載して報道した本紙2222号〜2225号は、多くの労働者の注目と関心を集め、追加の注文も次々に寄せられた。そして、首都圏・全国で1千という労働組合に届けられた。
もしもこれらの号が2週間後、1カ月後に読者に届けられたとしたら、その価値は半減してしまうだろう。機関紙の配布は受け取り日から最も早い日に設定するのが原則である。機関紙の配布から革命党組織は建設されていくのである。配布の変革にさらに粘り強く取り組もう。
『前進』06年新年号の大販売運動を今からプラン化し、全力でやり抜こう。
機関紙を拡大し、日本革命−世界革命に勝利する労働者党を建設しよう。
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週刊『前進』(2226号8面3)(2005/12/12)
投稿 2・1ストを振り返り労働者の決起を切望
宮本絵美
日米韓の国際連帯の力で実現された「11・6全国労働者総決起集会」に参加し、とても感激しています。いまなお胸の高鳴りがしずまりません。
日比谷野外音楽堂の熱気に興奮しながら、私はかの「1947年2・1ゼネスト」に想(おも)いをはせました。私が一貫して「2・1ゼネスト」にこだわるのは、1月31日の伊井弥四郎のスト中止声明を聞くまで、この日を革命前夜ととらえていたからです。
スト禁止1週間後に、マッカーサーは書簡で吉田首相に国会解散を指示し、衆・参、地方自治体にいたる全国一斉選挙で、社会党・片山内閣が誕生しました。片山内閣は、労働者から支配階級を守る防波堤の役目を負わされたのです。
しかし、それでも労働者は健在でした。ゼネスト中止の日から炭鉱労働者の統一賃金獲得闘争が始まっていました。各地で多くの組合がストを闘いました。
神戸中電東山家族寮50世帯のおかみさんたちが、配給品を買う金もない、内職しても食えない、と局長室に座り込み、翌日は赤ん坊をおぶって大阪逓信局に押しかけました。これが生田独身寮にも波及し、宿直拒否、出勤拒否が起きました。大阪中郵にも飛び火し、闘争は燎原(りょうげん)の火のごとく燃え広がり、「さみだれスト」と呼ばれました。東京中郵も立ち上がり、7月9日、最低賃金制の確立、食料休暇で闘いました。
相次いで起きる職場放棄を、片山内閣は断固処分すると言いましたが、翌48年2月10日総辞職、3月10日芦田内閣の成立となりました。この芦田内閣に対する闘いに対しマッカーサー書簡による政令201号が出され、公務員・公共企業労働者のスト権が剥奪(はくだつ)されたのです。
「来なかったのは軍艦だけ」といわれた東宝争議や国鉄闘争など、47年〜48年、労働運動は最高潮に達しました。昭和電工疑獄事件で芦田内閣は総辞職に追い込まれ、吉田内閣が再び成立(48年10月)しました。
GHQの支援で力を蓄えてきた資本の反撃が襲いかかってきました。定員法による大量首切り攻撃です。49年に下山事件、三鷹事件、松川事件が起き、50年には、共産党中央委員24人が公職追放され(6月6日)、朝鮮戦争が始まり(6月25日)、レッド・パージが吹き荒れました。
この朝鮮戦争で日本の資本家たちは「朝鮮特需」に潤い、51年9月、対日講和条約と日米安保条約が調印されました(52年4月28日発効。これによって沖縄が分離支配された)。一方、警察予備隊を保安隊(のちの自衛隊)として明治神宮外苑陸上競技場で創立記念式典を挙行、再軍備が始まり、日本帝国主義の復活の基礎を築いたのです。
しかし、この過程でも私たちは52年の「血のメーデー」を闘ったという厳然たる事実もあります。その後の勤評闘争(57年〜58年)から60年安保闘争、三井三池炭坑の壮絶な闘いと続くわけですが、私は「11・6集会」に参加し、感激にひたると同時に、この時点から振り返って考えるに、やはり「2・1ゼネスト」は決行すべきだったとの思いを強くしています。
当時、日本共産党書記長の徳田球一は「組織を割るストは打たない」と言ったらしいですが、2・1ストは「決行する、決行しない」が組織を割る要素ではなく、「闘う敵は誰か」との認識の違いが行動を決したと思うのです。
「生産という武器」は労働者が握っているのです。鉄路を握る動労千葉を始め、生産手段を握っている労働者階級こそが革命運動の中心です。中核派の皆さんには、戦争を引き起こし生活を破壊する敵(日本帝国主義)を的確につかんで攻撃の的をはずさない闘争をするための指導者であってほしいと願っています。一日も早く、一人でも多くの労働者の目覚めを切望してやみません。私が「2・1ゼネスト」にこだわる理由は現状にあるのです。
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