ZENSHIN 2005/12/05(No2225
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週刊『前進』(2225号1面1)(2005/12/05)
11月国際連帯闘争の歴史的高揚を引きつぎ 12月大攻勢で小泉打倒へ
「9条破棄」叫ぶ民主党・前原に労働者階級の怒りと弾劾の嵐を
12・3集会から「日の丸・君が代」決戦へ
「戦争と貧困を拡大するAPEC反対!」を叫んで首脳会議会場に向かって進む労働者、農民ら5万人余のデモ隊。動労千葉の動輪旗が民主労総ソウル本部の旗とともに翻った(11月13日 釜山)=関連記事3面
11月闘争は真に偉大な地平を切り開いた。動労千葉など3組合呼びかけの11・6全国労働者総決起集会を起点に、ソウルの11・12〜13民主労総・全国労働者大会、11・17〜18釜山APEC(アジア太平洋経済協力会議)粉砕闘争というひとつながりの国際連帯闘争が実現した。日米韓3国の労働者・労働組合・労働運動の血の通った連帯闘争として大高揚した。その軸に動労千葉労働運動が立ち、3組合共闘を基礎に3カ国連帯闘争として発展した。
これに呼応して11・15、16の両日、日米首脳会談粉砕京都現地闘争が果敢に闘われ、全体が日本階級闘争にすさまじいエネルギーを充填(じゅうてん)した。
この切り開かれた歴史的地平の上に、小泉打倒へ12月大攻勢に立とう。12・3教育基本法改悪阻止・改憲反対集会、12・3関西生コン支部弾圧粉砕集会、12・11国労5・27臨大闘争弾圧を許すな!全国集会、12・17共謀罪廃案総決起集会は、それぞれが06年闘争への最重要の課題である。
さらに12月から来春「日の丸・君が代」強制拒否闘争を突破口に、06〜07年決戦を圧倒的に切り開こう。動労千葉破壊の攻撃を粉砕し、4大産別決戦を闘い、戦争・改憲と民営化攻撃の小泉内閣を打倒しよう。
第1章 動労千葉の訪韓闘争
11・17〜18の釜山で、民主労総を始め韓国の労働者、農民、学生など数万人が「戦争と貧困のAPEC反対」を掲げ、集会・デモを激しく闘った。日本からも動労千葉を軸に9人の代表団が参加し、動輪旗を掲げともに連帯して闘った。11・13民主労総・全国労働者大会参加を契機に韓国で動労千葉への共感は一挙に高まっており、日韓連帯はさらに打ち固められた。
11・13民主労総・全国労働者大会において、民主労総と動労千葉の固い団結のもとで熱い交流が行われた。動労千葉訪韓団は日本の労働者の闘う代表団としての絶大な歓迎を受けた。
動労千葉が国鉄分割・民営化に反対して2波のストライキを打ったこと、被解雇者を出しながらもその後18年間闘い抜き、日本の戦闘的労働運動を牽引(けんいん)していることが、民主労総において圧倒的に評価されている。逆にカクマルJR総連は民営化攻撃の先兵となって労働者の首切りの先頭に立った恥ずべき裏切り者であることが誰にも鮮明になった。
民主労総は日本において真に韓国の労働者階級と連帯して闘う階級的労働運動の登場を心待ちにしている。連合指導部など日帝に屈服しその先兵に成り果てた既成の労働運動を打倒し、階級的労働運動の潮流が前進することを心から期待している。そうした労働運動が日本に存在すること、それが動労千葉労働運動だと知ったのだ。
さらにこの間、積み重ねられてきた11月労働者集会をとおしてつくられた日米韓の国際連帯の前進が、米韓の絆(きずな)をも強めるものになっている。帝国主義の世界支配の元凶である米帝の打倒、そしてアジアにおける最凶悪の帝国主義・日帝を打倒する世界革命の展望が、闘う労働運動の国際連帯を通して具体的に切り開かれているのだ。
11・6労働者集会は国内階級闘争でも、国際連帯でも、世界史的に訪れている革命的情勢に対応して労働者の未来を切り開くものをつくりだしている。
1905年ロシア革命がロシアのプロレタリアートの党・ソビエト・労働組合の新たな出発点であったように、それから百年後の05年11・6労働者集会を頂点とする05年11月決戦は、スターリン主義をのりこえる現代革命の新たな出発点になろうとしているのだ。
11・6集会は、戦争・改憲と民営化(労組破壊)攻撃の小泉打倒へ突破口を開き、4大産別決戦と改憲阻止決戦を一体のものとして前進させ、爆発させていく大闘争となった。そして日米韓労働者の国際連帯を昨年11・7を超えて大発展させる闘いとなった。
そしてこれら切り開かれた地平のすべてを細流から奔流へ、さらに大河へと発展させるために、今こそ動労千葉労働運動を血肉化し実践することである。これらの闘いのすべての基礎に動労千葉労働運動がある。
労働者の階級的団結による労働者の力、勝利への確信は、動労千葉労働運動が営々とした努力の中で築き上げてきたものだ。4大産別をターゲットとした民営化攻撃と闘い勝利する実践と方針を打ち立ててきたのは、動労千葉の労働運動である。そして今、戦争・改憲と民営化の攻撃と最先端で激突している。この闘いが米韓の戦闘的労働組合に心の底からの感動を生み国際連帯を強めているのだ。
そして新指導路線下の闘いは、動労千葉労働運動に依拠しそれを生きた教訓とすることで、労働組合運動の実践を血の通ったものにすることができるのだ。
第2章 危機の小泉と凶暴化
11月16日の日米首脳会談で、小泉は「世界の中の日米同盟」をうたい、日米枢軸体制を再確認した。さらに「日米関係が良いほど、中国・韓国・アジア諸国との良好な関係を築ける」と言い、中国・韓国・アジアとの外交関係の絶望的破産を開き直った。在日米軍再編についても「政府一体となって最大限の努力をしたい」と在日米軍と自衛隊を一体的に再編・強化し、沖縄を柱に全土の出撃基地化を推進する超反動的決意を述べた。これに対し沖縄を始め基地を抱える全国各地から基地強化、戦争国家化への怒りが噴出している。
一方、ブッシュは日本をアジアの「自由の拠点」と位置づけ、日米同盟を基盤にアジア、とりわけ中国と北朝鮮の「民主化」を後押しすると言明した。事実上、北朝鮮、中国のスターリン主義体制を認めない、打倒するという宣言だ。
イラク侵略戦争をめぐって危機に立つブッシュと、中国、韓国、アジアとの外交関係をめぐって絶望的な危機と破産を深める小泉が、そうであればあるほど凶暴に、日米同盟と米軍再編を基盤として、北朝鮮・中国侵略戦争、世界戦争の道を突き進むことを確認した。ブッシュと小泉こそ全世界の労働者人民の敵だ。
APECの主催国として「儀礼上」の首脳会談に応じた韓国大統領のノムヒョンは、小泉の靖国参拝は「韓国に対する挑戦」「日本が過去に戻るのではないかという懸念がある」と弾劾した。小泉は「参拝は二度と戦争をしないという決意と戦没者に対する哀悼の念からだ」と、韓国の当然の懸念に傲岸不遜(ごうがんふそん)な態度で居直った。小泉はノムヒョンの年内訪日も要請できなかった。また中国の胡錦涛はそもそも首脳会談に応じることを拒否した。
小泉は、こうしたアジア外交の絶望的危機ゆえに、一層凶暴にファシスト的国内反動を強めてきている。
小泉は11月22日、自民党結党50年大会で新憲法草案を発表し、新理念と新綱領をうちだした。新綱領では新憲法制定を目指すとともに「小さな政府」「官から民へ」を掲げた行財政改革を徹底的に進めることを宣言している。公務員労働者への「民営化」と首切り・賃下げの大攻撃を始め、ファシスト的国家改造に向けた「構造改革」攻撃をいよいよ激化させている。その根底には日帝のどうにもならない体制的破産と深刻な国家的財政危機がある。
経済同友会が11月4日に発表した「地方公務員制度改革への10の提言」は日帝の狙いをあからさまに言っている。2010年代初頭までに地方自治体は首長とその側近の独裁体制をつくり、議員定数を半減する。地方歳出は民営化で1割、市町村合併で1割、計2割の20兆円削減。総人件費は定員削減で2割、平均給与1割削減で計3割減とし、06年をめどに地方公務員法を変えてリストラ・首切りを自由とする内容だ。
これは戦後的地方自治制度を解体し、戦前型の国の下請け機関に変え、公務員労働者の3分の1、100万人の大リストラ攻撃で自治体労働運動を解体することを狙う戦争と民営化(労組破壊)の大攻撃だ。
いわゆる「三位一体改革」の最大の問題の一つは義務教育費2分の1国庫負担の削減である。これは教職員のリストラ・首切り、大幅賃下げをもたらし、公教育破壊を狙うものだ。公務員労働運動の破壊から改憲をめざすものである。4大産別での本格的な決戦情勢が訪れている。
第3章 当面する4つの任務
当面の任務方針は何か。
第一は、来春1〜3月「日の丸・君が代」不起立闘争への闘いを開始することである。05年決戦を総括する時、一切の起点となったのは1〜3月「日の丸・君が代」決戦であった。この闘いが4〜8月「つくる会」教科書採択阻止決戦・都議選決戦へと発展した。
そしてこの力が7月日教組大会、8月自治労大会における改憲阻止の闘いへとつながり、10月連合大会における「7・14連合改憲見解」の提案を阻む大きな力となった。こうした階級闘争の根底においてぶちぬかれた階級流動が、8〜9月の小泉反革命に反撃し、11・6労働者集会の成功を根底において支えたのである。
ファシスト石原が03年「10・23通達」をもって開始した都高教つぶし攻撃に対して、04年春に都高教の教育労働者数百人が不起立闘争に決起し、不当処分、研修攻撃、刑事弾圧をはねのけて、05年春も断固として不起立闘争を打ち抜いたことが今日の階級情勢をつくりあげているのだ。
11・6労働者集会に結実した闘いをさらに4大産別決戦、改憲阻止決戦へと飛躍的に発展させるために06年「日の丸・君が代」闘争を05年を上回る不起立闘争として爆発させよう。杉並の「つくる会」教科書採択撤回の闘いに決起しよう。
12・3教育基本法改悪反対・改憲阻止集会の柱に「日の丸・君が代」不起立闘争をしっかりとうちたてよう。この力で来年通常国会における教育基本法改悪案提出を阻止しよう。
第二は、日帝・JR当局がかけてこようとしている動労千葉への組織破壊攻撃を粉砕し、06春闘を切り開くことである。JRは幕張電車区の縮小と「蘇我運輸区」の新設という組織絶滅型の攻撃をかけてきている。幕張電車区の縮小は動労千葉組合員が働く職場を奪う攻撃であり、蘇我運輸区新設が動労千葉の組織破壊を狙ったものであることもまた間違いない。
日帝の攻撃から動労千葉を防衛することは、4大産別決戦の基礎である。動労千葉物販活動を始めあらゆる形で動労千葉支援・防衛の闘いに決起しよう。
そして郵政民営化絶対粉砕へ全逓労働者の職場からの反撃をつくりだそう。
さらに、4大産別決戦を土台として、それと一体のものとして改憲阻止決戦を本格的に創造していこう。
民主党代表の前原は9条改憲で「自衛権」を明記し、集団的自衛権の行使も容認すべきだと公言している。4大産別を始め全労働者はこの民主党・前原と連合中央を弾劾、打倒して、改憲阻止決戦を闘おう。
12・3関西生コン支部弾圧粉砕集会(要項2面)の成功をかちとろう。12・11国労5・27臨大闘争弾圧粉砕全国集会に結集しよう。12・17共謀罪廃案総決起集会を全力でかちとろう。
第三は、米軍再編攻撃と対決して、辺野古の闘いを先頭に安保・沖縄闘争の巨大な爆発を切り開くことだ。三里塚、北富士を始め、座間、横須賀、横田、相模原、厚木、岩国、佐世保など全国の反戦・反基地闘争の高揚をかちとろう。
第四は、11・6労働者集会の成果を組織的に打ち固め、機関紙拡大と年末一時金カンパ闘争を軸とする党建設にこの11〜12月、全力で決起することである。
11・6集会と動労千葉訪韓団の民主労総との合流・共同闘争を報道したこの間の『前進』を全面的に活用し、労働者の中に持ち込もう。それこそが最も重要な党建設の環である。
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週刊『前進』(2225号1面2)(2005/12/05)
釜山APEC “戦争と貧困の拡大に反対!” 5万人の実力デモ
動労千葉訪韓団が連帯
11月17日、動労千葉はAPEC首脳会議が開かれる戒厳下の釜山に飛び、5万人の労働者、農民、女性、学生、市民とともに「戦争と貧困を拡大するAPEC反対!」闘争を闘った。
川崎昌浩執行委員、白井敏行特別執行委員を先頭とする動労千葉訪韓団は、17日夕、西面(ソミョン)のミリオレ前で開かれた「戦争と貧困を拡大するAPEC反対、ブッシュ反対文化祭」に動輪旗を広げて参加し、ソウルからバスで到着したコジョンファン本部長を始めとする民主労総ソウル地域本部と合流した。
翌18日午後1時には民主労総主催の「戦争と貧困を拡大するAPEC反対・ブッシュ反対全国労働者大会」にソウル本部とともに結集した。市内各所で農民、貧民、学生、女性などがそれぞれ集会を開いた後、デモ行進で合流し、首脳会議会場のBEXCO(国際展示コンベンションセンター)に向かうのだ。
警察はAPEC反対のすべての集会を不許可にするという暴挙に出たが、集会開催を阻むことなどできなかった。全国労働者大会は、交通の要所である望美(マンミ)三差路で開かれた。車が行き交う交差点にスピーカー機材を設置した大型トレーラーが進入し道路を寸断、そこはたちまち集会場となった。
集まった1万人余の労働者たちを前に、民主労総非常対策委員会のチョンジェファン委員長は、「ノムヒョン政府はAPEC開催に成功すれば社会両極化と貧困、戦争などすべてが解決すると言うが、まったくの偽りだ。非正規職労働者が生存権のために命をかけて闘い、農民が希望を見いだせずに服毒しなければならないのが現実だ」と弾劾、「ここに集まった労働者の力で5%だけのためのAPECではなく、95%の民衆が平和に暮らせるように闘おう」と訴えた。そしてAPEC反対決議文(3面に全文掲載)を採択し、先鋒隊(せんぽうたい)を先頭にAPEC会場に向かってデモを始めた。
途中、水営(スヨン)交差点で農民デモと合流。数万人に膨れ上がったデモ隊は「APEC反対! ブッシュ反対!」を叫びながら進み、川を挟んでBEXCOが真正面に見える対岸に到着した。スヨン1橋と3橋を渡れば会場だ。
警察はこの橋を装甲車で占拠し、橋のたもとにコンテナを二段に積み上げて通行を遮断している。
「ブッシュ反対! APEC反対!」を叫び、デモ隊は左右の橋に押し寄せた。鉄パイプ、青竹で武装した労働者、農民の戦闘部隊がデモ隊を割って先頭に進み出る。戦闘部隊はコンテナに突撃。警察は高圧放水で応戦するが、これをものともせずにコンテナにロープをくくりつけ、数百人が「ワッソワッソ」とひっぱる。轟音をあげてコンテナは引き倒された。見守る労働者、農民から一斉に拍手と歓声が上がる。
こうして延々と戦闘が続けられ、夕やみがあたりを包むころには古タイヤが燃やされ、黒煙が上がった。
戦闘が続く両橋の中間あたりで「戦争と貧困を拡大するAPEC反対ブッシュ反対国民大会」が始まった。チョングァンフン民衆連帯常任代表の大会あいさつに続き、民主労総、全農、全貧連、女性、青年学生などが次々と演説、労働歌やアリランなどの歌声が響きわたった。
こうしてブッシュや小泉などが集った釜山APEC首脳会議は、労働者、農民の怒りの実力闘争に直撃され、じゅうりん、侵害されたのである。それは労働者、農民の帝国主義者どもに対する戦闘宣言だった。
11月15日、ソウル・汝矣島(ヨイド)公園に3万人が集まった農民大会では、「350万農民を皆殺しにするのか!」と怒った農民たちが国会突入を図った。
ゼネスト指令のもとに闘いぬく民主労総は、22日から非正規職権利保障立法要求の国会前座り込み闘争に突入した。20万人規模での12・1ゼネストをかちとろうと必死の闘いを続けている。すでに全国鉄道労組は、16日から18日まで実施したスト賛否投票の結果、賛成票70・6%(投票率93・7%)という歴代最高率でスト権を確立した。各労働現場では25日いっぱいを期限にゼネスト賛否投票が実施されている。
11・6日比谷野音から動労千葉のソウル、釜山訪韓団の闘いをもって、民主労総ソウル本部との血盟は大きく発展を遂げている。この国際連帯の闘いに、日韓労働者、全世界労働者の未来はある。闘う民主労総と連帯し、動労千葉とともに日本労働運動の再生をかけた闘いに立ち上がろう。
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週刊『前進』(2225号2面1)(2005/12/05)
来春「日の丸・君が代」不起立を闘い教基法改悪を阻もう
12・3全国集会に結集を
11・6労働者集会は、日米韓の闘う労働組合の国際連帯闘争を大前進させて4600人の労働者人民の結集を実現し、闘う労働運動の新たな登場を告げ知らせた。「この道を進んでいけば必ず勝利できる!」と確信させた集会の大成功を引き継ぎ、ただちに06年の闘いへ突き進もう。11・6集会において、東京の「日の丸・君が代」被処分者は来春「日の丸・君が代」闘争、教育基本法改悪阻止へ断固たる戦闘宣言を発した。この不退転の決意にこたえ、12月3日、東京・日比谷野音で行われる「教育基本法・憲法の改悪をとめよう!12・3全国集会」(要項1面)に結集し、06年春の卒・入学式における「日の丸・君が代」不起立闘争への総決起を宣言しよう。
被処分者の決意にこたえ
11・6集会で登壇した東京の「日の丸・君が代」被処分者は、「私たちは何をもって戦争への道と対決するのか。口先だけの言葉ではなく、処分を恐れぬ40秒の意思表示が、連帯を求める行動が、具体的な行動こそが、私たちの信頼と団結の証です」「私は教員である限り、不服従を貫くことに決めました。教師の名において教え子を戦場に送らぬように」と力強く表明した。処分の加重で闘いを封じようとする石原・都教委の恫喝を突き破って「戦争協力絶対拒否」を貫くその闘いは、日本全国と韓国・アメリカの闘う労働者に大きな感動を与えた。
あらためて、教育労働者の「日の丸・君が代」不起立闘争こそが、小泉反革命を突き破り、教育基本法・憲法改悪を阻止する力であることをはっきりさせよう。さらに教育労働者の「日の丸・君が代」闘争と並んで、動労千葉の反合理化・運転保安闘争を先頭とした国鉄労働者の反民営化闘争(1047名闘争)、全逓(JPU)労働者の物ダメストライキ、自治体労働者の民営化阻止闘争、この4大産別の職場・生産点からの闘いこそ、改憲阻止決戦そのものである。
教育基本法改悪をとめよう!全国連絡会は、2003年12・23全国集会、04年11・6全国集会、05年5・7全国集会と、それぞれ5000人もの労働者人民の参加を実現し、発展をかちとってきた。そして教基法改悪と並んで憲法改悪が急切迫する今、集会名称に「憲法」を加えて、「教育基本法・憲法の改悪をとめよう!12・3全国集会」が開催されることになった。
12・3全国集会は、これまでの集会と比べても大激変情勢の中で開催される。何よりも9・11総選挙によって与党が衆院の3分の2を制圧したという重大事態である。そのもとで小泉政権は、労働者に対しては、郵政民営化攻撃、公務員大量削減攻撃、公共部門の全面的な民営化を突破口とした大首切り攻撃に踏み込んでいる。他方、在日米軍再編に関する中間報告「日米同盟・未来のための変革と再編」にもとづき、沖縄・神奈川を始め日本全土を侵略戦争の最前線基地とし、日米枢軸路線の現実化の道に踏み込んでいる。
教基法と憲法の改悪も急迫している。自民党は新憲法草案を決定した。与党が衆院の3分の2議席を制圧したということは、国民投票法案も教基法改悪法案も国会に提出されれば「数の論理」で成立させられるということであり、憲法改悪の発議までも強行できる、実に恐るべき事態だ。
しかし重要なことは、教育基本法・憲法の改悪をめぐる攻防は、国会の中だけで争われるわけではないということだ。教育基本法・憲法の改悪をめぐる攻防は、資本家階級と労働者階級の力関係の中で決せられるものである。とりわけその核心は、労働組合と労働者階級が改憲推進勢力に取り込まれることを許すか否かである。
連合の改憲勢力化を阻んだ
05年1年間、労働者階級は小泉政権の〈戦争と民営化、労組破壊〉攻撃の一大エスカレーションと全面対決して全力で闘いぬいてきた。とりわけ教育労働者の「日の丸・君が代」不起立闘争が1年間の闘いを牽引(けんいん)し、日教組と連合の改憲勢力化を阻むという巨大な力を持ったことをしっかりと確認したい。
05年の闘いは1〜3月の「日の丸・君が代」闘争をめぐる大激突から始まった。東京では03年「10・23都教委通達」から2年目の今春、都教委の処分加重の恫喝や、ビラまきへの不当逮捕の乱発を突き破って、教育労働者が断固として「2年目の不起立闘争」を貫いた。東京に連帯して、広島・大阪を始め全国各地で数万規模の教育労働者が不起立闘争を闘いぬいた。
この闘いは「つくる会」教科書採択反対運動に引き継がれた。最大の焦点となった東京・杉並では、「つくる会」教科書を都議選闘争の最大テーマにすえて大衆運動を巻き起こした。その力が全国に波及して大きな反対運動となり、「つくる会」教科書の採択率を歴史0・4%、公民0・2%に押しとどめた。杉並を始めファシスト首長の支配下で採択が強行されたことは断じて許せないが、労働者人民の闘いが「つくる会」の「全国1割」戦略を完全に打ち砕いたのだ。
さらに重要なのは、現場組合員の「日の丸・君が代」闘争が、7月の第93回日教組大会において日教組の改憲勢力化を阻んだことである。日教組はすでに、第92回臨大にあった「護憲」の文言を3月中央委の議案から削除していた。しかし組合員の危機感と怒りが巻き起こる中、5月に発表した憲法論議対策委員会の「中間報告その1」では「9条と前文は順守」と言わざるをえなかった。
大会当日は、被処分者の会がビラをまき、「森越委員長の右翼との対談に抗議し、発言の撤回と謝罪を要求します」という組合員共同声明も配られた。こうした中で運動方針では「護憲運動の組織的強化」「違憲の自衛隊の海外派兵を許さず」と、まがりなりにも「護憲」を掲げざるをえなかった。現場組合員の闘いが、日教組の「論憲=改憲」勢力への転換をぎりぎりのところで阻んだのだ。
また日教組大会直後に行われた都高教大会では、約30本の修正案が可決され、闘う都高教再生へ向けて巨大なのろしが上がった。
この闘いは8月自治労大会に引き継がれた。「『平和基本法』の制定を求め、取り組みを進める」とする運動方針案に対して、沖縄県本部を先頭に各県本部から批判の声が噴き出した。
こうした日教組と自治労をめぐる大激突が、10月連合大会で改憲推進方針を正式決定しようとしていた連合中央の狙いを敢然と阻んだ。連合中央執行委員会は7月に「国の基本政策に関する連合の見解(案)」を発表し、構成組織での論議を経て10月大会で改憲推進方針を打ち出そうとしていた。しかし9月の中央執行委員会で「連合見解」の取りまとめ作業の延期を決定、10月連合大会では「連合見解」は提案できない事態にたたきこまれた。さらに改憲派の高木剛(UIゼンセン同盟会長)の会長選出に対しては3分の1が反対票を投じ、改憲反対派の確固たる存在を示した。
日教組の改憲勢力化を阻み、自治労大会で巨大な反撃をたたきつけたことが、連合大会の結果に直結していることは言うまでもない。日教組は連合の「会長代行」組合(日教組委員長の森越康雄は、連合の会長代行)であり、自治労は100万人の最大組織だ。日教組・自治労が依然として改憲路線への転換を打ち出せないことが、連合の改憲勢力化を阻んだのだ。
小泉のファシスト的な突出は、労働者階級の反撃に直面して、けっして思うとおりに進んでいるわけではない。今起きていることは、労働者に大変な困難が強いられていると同時に、4大産別を先頭に労働者階級が全力で闘いぬけば、かつてない分岐・流動情勢を労働運動の新たな再編と大高揚局面に塗り替えることが可能な情勢なのだ。
職場から戦争協力拒否を
教基法改悪反対運動の大きな広がりをつくり出したのも、「つくる会」教科書採択反対運動をつくり出したのも、「日の丸・君が代」闘争の威力である。教育労働者の処分を恐れぬ不退転の闘いは、多くの労働者や市民の大きな共感を呼び起こし、各地の教基法改悪反対集会は「倍々ゲーム」で増えていくという画期的な事態をつくり出した。教育労働者の闘いが、教基法改悪を始めとする「教育改革」攻撃の核心は戦争を担う青年づくりのためのものであることを完全に暴き出したのである。
教基法改悪を阻止するために、06年春の「日の丸・君が代」不起立闘争を東京と全国で大きく発展させることが死活的である。卒・入学式へ向けて、ただちに闘いを開始しよう。
教育労働者にとって、動労千葉の闘いの教訓を学び、自らの闘いに生かすことが重要である。国鉄分割・民営化攻撃と全面対決して2波のストライキを闘い、計40人の被解雇者を出しながら、20年たつ今も断固として闘いを継続し、日本の労働運動を再生する闘いを牽引しているのが動労千葉だ。「労働者の闘争のほんとうの成果は、直接の成功にあるのではなくて、労働者の団結がますます広がっていくことにある」(マルクス『共産党宣言』)という闘いを実践してきた動労千葉に学び自ら実践することによってこそ、教育労働者は勝利を切り開くことができる。
日教組中央の屈服方針を突き破って、来春卒業式・入学式における「日の丸・君が代」不起立闘争を、東京を先頭に全国各地で闘いぬこう。職場・生産点から戦争協力拒否闘争を巻き起こし、教育基本法改悪を絶対に阻止しよう。
「つくる会」教科書撤回へ
「つくる会」教科書をめぐる攻防は現在、杉並における日教組絶滅攻撃との大激突になっている。調査報告書の書き換えを告発した社会科教員や組合役員への強制配転攻撃が吹き荒れようとしている。杉教組と都高教第3支部が呼びかける「つくる会」教科書採択撤回署名運動に取り組もう。
12・3全国集会を、教育基本法・憲法改悪阻止、来春「日の丸・君が代」闘争の爆発への総決起集会としてかちとろう。教育労働者を先頭にすべての労働者人民は集まろう。
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週刊『前進』(2225号2面2)(2005/12/05)
国労弾圧粉砕12・11集会へ 組合員売った本部打倒しよう
弾圧うち破り1047名の闘いの勝利へ
「国労5・27臨大闘争弾圧を許さない会」は12月11日、東京・星陵会館で全国集会を開催する(1面に要項)。国労5・27臨大闘争弾圧との闘いは、国鉄1047名闘争の勝利に向けて闘われる鉄建公団訴訟と一体をなす国労再生への闘いだ。またそれは、激化する労働組合弾圧や労組破壊の攻撃と対決する最前線の闘いだ。この集会に全力で結集しよう。
11・6全国労働者総決起集会は、全世界で激化する戦争と民営化−労組破壊の攻撃に、国際連帯で立ち向かう労働者階級の巨大な橋頭保を築き上げた。小泉政権打倒への壮大な階級決戦の火ぶたが切られたのだ。
労働者階級の団結を解体する攻撃は、いよいよ本格化しつつある。07年改憲をもくろむ小泉は、そのために何よりも官公労系労働組合の壊滅に狙いを定めている。
郵政民営化を始め、公務員制度改悪、自治体業務の民営化・民託化など、公務員労働者へのすさまじい攻撃が襲いかかっている。改憲と一対をなす教育基本法改悪案が次期通常国会に出されようとしている中で、来年1〜3月の「日の丸・君が代」強制との闘いは、改憲阻止決戦の帰趨(きすう)を決めるものとなる。全逓、自治体、教労、国鉄の4大産別をめぐる攻防はまさに決戦に入ったのだ。
国鉄闘争は、全産別に先駆けて民営化攻撃と激突してきた。国鉄分割・民営化に先だって、当時の首相・中曽根は「行政改革でお座敷をきれいにし立派な憲法を安置する」とうそぶいた。小泉政権のもとで改憲が切迫している今、国鉄1047名闘争の解体を狙う攻撃はさらに激化する。これとの攻防の最先端に、5・27臨大闘争弾圧粉砕の闘いは位置している。
権力の弾圧に加担した国労本部の裏切り
この弾圧は、02年5月27日の国労臨時大会に際し、本部方針に抗議してビラまき・説得活動に立った国労組合員らの行動が「暴力行為」にデッチあげられ、国労組合員7人と国鉄闘争支援者1人が不当にも逮捕・起訴されたものである。
この大会で国労本部は、鉄建公団を相手に訴訟を起こした闘争団員に対して、統制処分の手続きを開始すると強行決定した。被解雇者が、国鉄清算事業団を引き継ぐ鉄建公団に解雇撤回を求めて闘うのは当然のことだ。それを統制処分で禁圧しようとする本部の裏切りを弾劾した被告らの行動も、全面的に正当だ。
ところが国労本部は、その組合員を平然と公安警察に売り渡したのだ。国労本部は今もなお、警察・検察権力と一体となって、8人の被告を有罪に陥れるために立ち回っている。
これまでの公判で、以下のような驚くべき事実が明らかになった。
臨大当日、ビラをまこうと待ち構える被告らのピケラインを3列縦隊で突破し、意図的に混乱をつくり出したのは、笹原助雄・東京地本書記長の指示によるものだった。鈴木勉・前東京地本法対部長は、こうして生み出された小競り合いの模様を、事前に準備したビデオに収め、それを警察に提出した。そのビデオテープは、検察側の最重要の証拠になっている。
鈴木前法対部長にビデオ撮影を命じたのは、当時、東京地本委員長だった酒田充・前本部委員長である。彼は、被告たちが説得活動を展開しているさなかに、いち早く携帯電話で警察に弾圧を要請した。そして、臨大後も公安刑事との密会を重ねた上、石井勝幸・本部会計監査員に「被害届」の提出を強要した。江田雄次・東京地本福対部長も「被害届」を出している。
吉田進・本部書記長も、この大会に警備として参加した長野地本の組合員に対して、警察に「被害届」を出すよう指示している。
これほどの反階級的裏切りがほかにあろうか。今日、全日建運輸連帯労組関西生コン支部への大弾圧に示されるように、労組壊滅を狙う権力の不当弾圧が吹き荒れている。労働者が一致団結してこうした攻撃に立ち向かうことが求められている時に、酒田・吉田・反動革同は逆に組合内に警察権力を引き入れ、国労の団結を無残にも引き裂いたのだ。こんなことまで強行しながら居直るやからを、絶対に許してはならない。
鉄建公団訴訟の9・15判決を機に、国鉄闘争は重大な岐路を迎えている。東京地裁は、一人当たりわずか500万円の慰謝料で闘いをやめ、解雇撤回を断念しろという反動判決を振り下ろした。だが、闘争団の不屈の闘いの前に、反動司法といえど、不当労働行為があったという事実を否定しさることはできなかった。
判決直後、国労本部はそこに飛びつき、「判決が、国鉄の損害賠償責任を認めた点は評価しうる」「判決を機に……解決をすみやかに実現する」という声明を出した。統制処分で訴訟を妨害し、組合員を警察に売った自らの悪行を顧みないその態度は、厚顔無恥の極みである。
4党合意推進した腐敗幹部引き下ろそう
国労本部は今、尊大にも「過去のことは水に流して本部のもとに総団結せよ」と言い立てている。だが、5・27臨大闘争弾圧はけっして過去のことではない。国労本部によって売り渡された被告たちは、現に今、ぬれぎぬを振り払うために全力を傾けている。
4党合意に屈した国労本部の破産は明白だ。5・27臨大闘争弾圧被告団と鉄建公団訴訟原告団の闘いは、4党合意以来の国労解体攻撃を突き破った。国鉄闘争勝利にとって、4党合意を推進し弾圧にまで手を染めた腐敗幹部を引き下ろすことは不可欠だ。そのけじめをつけなければ、国労の真の団結は回復できない。
JR体制は、尼崎事故で決定的に破産をさらけ出した。国労本部は、このJR資本にこびへつらい、JR体制の翼賛者へと成り下がりつつある。「昇進差別事件」の「和解解決」は、チャレンジ佐藤勝雄を委員長に据えた国労本部の変質をさらに鮮明にさせた。彼らは、JRの度重なる不当労働行為にさらされた組合員を切り捨てて、ただ幹部の懐に入るつかみ金を目当てに「和解」に走ったのだ。こうした国労本部への現場組合員の怒りは煮えたぎっている。現執行部打倒の好機は来ているのだ。
国鉄分割・民営化にストライキで立ち向かった動労千葉は、JR体制下で営々と闘いを貫き、団結を維持してきた。そして今日、反合・運転保安闘争をかちぬいている。この闘いは、世界の最も戦闘的な労組を糾合しての歴史的な労働者の国際連帯を切り開いている。動労千葉と並ぶ階級的労働組合へと国労を再生させなければならない。1047名の統一陣形をさらに強固に打ち固めよう。
その突破口は5・27臨大闘争弾圧を打ち破ることにある。闘う国労組合員は国労再生の先頭に立とう。12・11全国集会に集まろう。とりわけ国労組合員の大結集をかちとろう。
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週刊『前進』(2225号2面3)(2005/12/05)
教科書と「日の丸・君が代」の闘い 杉並で交流と討論集会
勝利めざし立場こえ連帯
11月13日、杉並の産業商工会館で「つくる会」歴史教科書採択撤回と「日の丸・君が代」強制・処分撤回に向けた「立場のちがいを越えていまこそ連帯し団結を!杉並で交流と討論集会」が開かれました。都教委包囲・首都圏ネットワークの主催で、教育労働者の組合と住民運動が一堂に会する意義深い集会でした。
主催者は「それぞれの闘いの教訓を出していただきたい」と提起しました。
第1部として「つくる会」教科書問題で杉並区教職員組合が杉並区の教科書採択をめぐる動きや杉教組の取り組みを報告し、特に調査委員会が「つくる会」教科書を採択するために現場の調査報告書を書き換えさせた問題を暴露し弾劾しました。
都高教第3支部は、校長の方針に反対する教員を異動させる攻撃や夜間学校を閉鎖する攻撃が強まっていること、そうした中で「気を付けなければという空気が生まれている」ことを指摘し、「説得性を持った闘いを構築して」戦争のできる国家づくりを阻むことを訴えました。
「つくる会」教科書採択に反対する杉並・親の会の女性は、杉教組と都高教第3支部から呼びかけられた署名を全力で集めることを表明し、山田区長の区長選での得票数の「13万を大きく上回る署名を集めたい」と語りました。引き続き週3回の街頭宣伝を行うと語り、「親としてこんな教科書で学ばせたくない。『つくる会』教科書を絶版に追い込むまで闘いぬきましょう」と訴えました。
質疑・討論は参加者の質問に参加者が答える形で行われ、会場全体で闘いの方向を導きだすものになりました。都政を革新する会の新城節子区議は、杉並区議会、文教委員会が教科書問題は終わったかのように言って議員の質問を押さえ付けようとしていることを暴き、「みなさんの力になれるように頑張る」と表明しました。
第2部「日の丸・君が代」闘争では、まず「君が代」不起立での処分を口実に嘱託採用されなかった労働者が発言し、「裁判に勝っても嘱託に採用されるわけではないが、現職の人は意味がある。在職中に処分を受けないようにしなければならない状況を変えるため頑張る」と語りました。
被解雇者の会の労働者は、裁判の中で明らかになった横山前教育長らのウソを暴いて勝利する必要があると決意を語りました。そして今の状況を朝鮮戦争前夜のレッドパージの時代と似ているとし、「不退転の決意を固めて闘う」ことを呼びかけました。
不起立を続けて停職処分になった労働者は、処分の期間中校門前にいたことで「放課後、子どもたちと会話し私の気持ちを伝えられた。都教委が何をしているのかも子どもたちによく見えた」と闘いの意義を明らかにしました。
養護学校の被処分者は、親や子どもたち、地域の市民とともに闘っていることを報告し、「世の中を変えるまで闘いぬきましょう」と訴えました。
生徒に自分で考えさせる授業をしたことで研修所送りにされた労働者は、彼女の個人情報を3人の都議に流した研修所の近藤所長を弾劾した。「私たちは何も間違っていない。正しい者がひるんでどうするのですか」と訴えました。
第2部の質疑応答も活発に行われ、結柴誠一杉並区議は、「つくる会」教科書採択撤回に全力をあげていきたいと表明しました。子どものころ軍国少女だったという女性は、「このまま進めば軍国少年、軍国少女がつくられる。旗と歌があればそそのかされる」と語り、奮起を訴えました。
最後に、被処分者の労働者がまとめを提起し、「つくる会」教科書採択撤回の闘いを訴え、さらに予防訴訟や被解雇者の解雇撤回訴訟など裁判闘争への支援を呼びかけました。
「つくる会」教科書の採択撤回闘争と「日の丸・君が代」強制反対の闘いが結合して発展していく方向が打ち出されたすばらしい集会でした。
(投稿/MK)
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週刊『前進』(2225号2面4)(2005/12/05)
小泉打倒の階級決戦の勝利へ絶大なカンパを
11・6労働者集会に参加し、集会の感動をともに受けとめた皆さん。すべての『前進』読者、支持者の皆さん。11・6集会の感動をもっと多くの労働者に伝え、「小泉政権による激しい労働組合破壊攻撃と対決し、労働運動の現状を変革し、全世界の労働者が共通の敵に向かって手を結び、団結を取り戻し、労働組合を蘇(よみがえ)らせよう」という11・6アピールをともに実現しようではありませんか。05〜06〜07年に至る戦後史上最大の階級決戦に勝利するために、革共同への圧倒的なカンパを訴えます。
小泉政権発足前の01年、日本の貧困率は15・3%で先進国でアメリカに次いでワースト2、それも急速に貧富の差が拡大し、とりわけ若者層と高齢者層の貧困率が異常に高いという、アメリカ型の格差社会に入っていました。政治不信、自民党に対する怒りは全国に満ちあふれていました。では、「自民党をぶっ壊す」というペテンで登場した小泉政権のもとでどうなったのか。貧富の差はさらに拡大し、若者には職がなく、高齢者は介護・年金・医療を奪い取られ、労働者は首切り・リストラ、賃下げ、諸権利のはく奪にさらされています。さらに小泉政権は日米枢軸を形成してイラク戦争に突入し、教育基本法改悪と憲法9条改悪に突き進んでいます。
いったいなぜこのような暴政がまかり通っているのか。まず小泉―日本経団連・奥田体制です。危機にかられた独占ブルジョアジーが戦争と民営化(労組破壊)攻撃を決断して、全面的に小泉首相をバックアップしているからです。04年の経団連から自民党への献金あっせんは22億2千万円。11月22日の自民党立党50年大会で奥田会長は「政治寄付を促進して自民党を変えていく」と述べました。冗談じゃない。労働者から搾り取った金で小泉自民党の暴政を支えることなど、とうてい認められません。
問題は、これに立ち向かうべき労働者が、ナショナルセンター・産別指導部の屈服のもとでバラバラにされて力を発揮できないことにあります。しかしそのもとでも、今や労働者のやむにやまれぬ決起が教育労働者、郵政労働者、自治体労働者、国鉄労働者、そしてすべての民間、未組織労働者の中からわき起こりつつあります。
11・6集会で、日米韓の労働者が異口同音に訴えたことは「労働者が団結すれば勝てる」ということです。3カ国の労働者が団結して、帝国主義の最後のあがきとも言うべき戦争と民営化(労組破壊)攻撃との全面対決を宣言しました。帝国主義には侵略戦争突入以外の道はない。しかし労働者階級には帝国主義を倒し、プロレタリア世界革命への壮大な挑戦への道筋が開けています。
すべての皆さん。世界革命に向けた本物の闘いがついに開始された今、勝利をともに実現するために、革共同への絶大なカンパをお願いします。
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週刊『前進』(2225号3面1)(2005/12/05)
ソウル−釜山 日韓労働者連帯の絆強まる 動労千葉に熱い共感
12・1ゼネストに連帯しよう
今回、動労千葉を代表して訪韓した川崎執行委員と白井特別執行委員は、国鉄分割・民営化に反対してストライキで立ち上がり、その報復処分として不当にも解雇された労働者だ。
17日の前夜祭に参加した訪韓団は、動労千葉の真っ赤な動輪旗を掲げて釜山ミリオレ前に立った。隣では、APEC反対釜山闘争委員会の労働者たちが「NO APEC!」のプラカードを首から提げてピケッティング中だった。動輪旗を見て、「日本から来たのか?」と労働者たちが次々に声をかけてくる。「動労千葉なら知っている。自分は釜山の鉄道労働者だ。解雇されたが10年闘って復職をかちとった」「日本でストライキで民営化に反対して解雇者を出した労働組合があったのか。すばらしい闘いだ」
川崎さん、白井さんも「民主労総の闘いはすごい。ソウルの全国労働者大会にも参加して、今回釜山にやってきた。韓国の労働者の戦闘的な闘いには大いに学ばせてもらっている」と、握手を交わし、肩を組んで感動的な出会いを喜んだ。“ともに闘う者同士、労働者に国境はない”と実感した瞬間だった。
その前夜祭の会場に向かおうと地下鉄の四面(ソミョン)駅に降り立った動労千葉訪韓団。武装警官隊が駅構内から地下街を行き交う厳戒態勢の中、アジテーションが聞こえる。「私たちは使い捨て消耗品ではない」「市民の安全を脅かす券売所の無人化阻止!」「労働者の生存権を剥奪(はくだつ)する地下鉄構造調整反対」などのボードを掲げた女性労働者たちが、地下街で市民宣伝戦を行っていた。今年7月に釜山交通公団から一方的に解雇された釜山地域一般労組の派遣労働者だ。
「動労千葉、知っていますよ」と、その場にいた釜山地下鉄労組組合員が語った。11月13日、ソウル市庁前で開かれた前段集会では、釜山地域一般労組も発言、田中委員長の発言も直接聞いていたのだ。ソウルで出会い、釜山で再会。釜山APEC闘争への参加は、日韓労働者のきずなを強めるものとなった。
APEC反対決議
沈黙してしまったら非正規労働者が死んでしまう世の中だ。IMF外為危機以後、貧困にあえぎ、そんな生活さえもいつ断ち切られるかも知れない不安定な非正規労働者が500万人も増えた。今、韓国の1500万労働者は生と死のがけっぷちに追いやられている。
APECは1997年、カナダのバンクーバー会議で米国の投機資本に自由な企業狩りを許し、整理解雇をたやすく行えるようにしてやることを決議した。また、公共部門を私有化しようと主張して、2002年には発電施設私有化、電力の卸売市場開放を強要した。すぐその年、韓国では発電所分割売却のもくろみに反対する発電労働者のストライキ闘争があった。
釜山APEC会議では韓国の基幹産業を皆滅ぼしてしまう韓日FTA、韓米FTAに合意するとされている。死にかけているドーハラウンドをよみがえらせ、教育、医療、サービスなどあらゆる分野での対策のない開放政策と構造調整政策を延命させようと画策している。
APECはブッシュと米国の利益のための戦争政策を決議する場だ。アフガニスタンとイラクに続き、韓半島を狙っている米国の核戦争、侵略戦争政策はまさに労働者民衆の生存そのものを脅かすものだ。
戦争屋であり、富める者の代弁者であるブッシュの訪韓に反対することは韓国労働者の正当な権利だ。労働者民衆に絶望と涙、死と貧困を強要するAPECに反対することは今、韓国労働者民衆にとって切迫した要求である。
民主労総は1500万労働者階級の権利のために彼らの醜悪な搾取政策、戦争政策に反対し以下のとおり力強く闘うことを決意する。
一つ、われわれは富める者の利益を追求し貧困と戦争を拡大するブッシュとノムヒョン政権の世界化した新自由主義政策を破棄することを要求し、1500万労働者に対して強要されている855万非正規職の差別を撤廃し、権利保障立法をかちとるために、来る12月1日、強力な全面ゼネストに突入することを力強く決意する。
一つ、われわれは非正規職と整理解雇、構造調整を正当化するAPEC頂上会議を闘争で阻止し、国家基幹産業をすべて殺し、労働者民衆の犠牲を強要するものとなる韓日FTA、韓米FTA締結を阻止する強力な反世界化、反新自由主義闘争を力強く決意する。
一つ、われわれは韓国経済を永遠に再生不可能にさせ、構造調整と生存権抹殺をもたらすドーハラウンド阻止のため、12月の香港閣僚会議阻止の遠征闘争を強力に展開することを決意する。
一つ、われわれは米国中心の世界覇権主義を拡大するため労働者民衆には貧困と死を強要する対テロ政策、戦争政策に反対し、イラク派兵延長反対とピョンテク米軍基地移転、拡張政策阻止闘争をとおして韓半島の平和を実現していくことを力強く決意する。
一つ、われわれ労働者民衆が渇望する自由と平等、平和と福祉を妨害し、貧困と死を強要する侵略と搾取の頭目ブッシュをこの地から追放し、反米、反戦、反世界化闘争を力強く展開することを力強く決意する。
2005年11月18日
APEC反対ブッシュ反対全国労働者大会参加者一同
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週刊『前進』(2225号3面2)(2005/12/05)
米ILWU ローカル10、港湾封鎖へ 民主労総ゼネストを支援
今年の11・6全国労働者集会は、動労千葉がかなめの役割を果たすことで日米韓の国際連帯をかつてないレベルに押し上げた。そのことを象徴する事態がアメリカで次々と起こっている。韓国・民主労総が予定している12・1ゼネストへの支援・連帯の闘いだ。
最大の闘いは、11・6集会に参加し発言したジャック・ヘイマンさんが所属するILWU(国際港湾倉庫労働組合)ローカル10で、民主労総のゼネストに連帯して12月1日に港湾封鎖行動に決起するという決議が上がったことだ。そして、この決議に賛同する動きが広がりつつある。
ローカル10は、11月17日に開かれた組合員集会で、12月1日午前10時から、サンフランシスコ湾内のサンフランシスコ市の対岸にあるオークランド港のポートビュー公園でストップ・ワーク・ミーティング(港湾封鎖行動)を実施する、との決議を上げた。
そしてその理由として以下の3点を挙げている。
@公民権運動を鼓舞する闘いに立ったローザ・パークスに敬意を表する全国的なストップ・ワーク行動の一環として。
Aイラク戦争をやめ、直ちに軍隊を引き揚げることを要求して。
B社会保障もなく低水準の労働条件と賃金で働くことを余儀なくされている非正規職への搾取をやめさせるため12月1日にゼネストに立とうとしている韓国の兄弟姉妹と連帯して。
11・6労働者集会の発言でILWUローカル34のキース・シャンクリンさんが言及したように、ローザ・パークスさんは1955年の12月1日にアラバマ州モンゴメリー市のバスの中で白人に席を譲ることを拒否して逮捕された。これが60年代アメリカ公民権運動の大高揚の出発点になった。そのパークスさんは10月24日に亡くなった。彼女の闘いの50周年を期してアメリカ全土で闘いが行われようとしている。その一環としてローカル10は決起するというのだ。
この決議を受けて、11月21日にはローカル10のトレント・ウィリス委員長から民主労総のコジョンファンソウル地域本部長に連帯メッセージが届けられた。
さらにオークランド市の南側にあるアラメダ郡の労組評議会で11月21日にローカル10の港湾封鎖行動に連帯してともに闘う決議が上がった。
これに先立つ11月14日には、サンフランシスコ労組評議会が、非正規職化に反対する韓国・民主労総のゼネスト指令への支持を全会一致で可決した。
これらの決議は、11・6集会の翌7日に開かれた日米韓の国際会議で話し合われた民主労総のゼネスト支援を具体化する画期的な闘いである。
今こそ日米韓国際連帯の真価を発揮し、動労千葉訪韓団の成果を広げるためにともに闘おう。
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米レイバーネットが11・6を報道
「日本におけるAFMA(航空整備士労組)」と題して11・6集会を報道
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週刊『前進』(2225号3面3)(2005/12/05)
11・6へどう闘ったか
小泉打倒の全学総決起へ 革命党の飛躍をかけ変革
マルクス主義学生同盟中核派・京大支部
戦略的な大前進
11・6労働者集会への4600人の大結集は、戦争と民営化(労組破壊)に突き進む日帝・小泉政権に対する労働者階級の総反撃の拠点をつくりだし、国際連帯と階級的団結の力を開花させ、世界革命の現実性を告げ知らせる歴史的勝利であった。動労千葉の闘いを先頭に労働組合運動を階級的に再生させ、4大産別決戦−改憲阻止決戦をぶちぬく時、帝国主義打倒の展望が切り開かれることを示したのだ。
この11・6過程を、マル学同中核派・京大支部は全学総決起に目標をすえて闘いぬき、途上ではあるが大きな勝利を切り開いた。戦略的な大前進をかちとった。
キャンパス全体が“小泉打倒”の解放空間となり、京大からかつてなく多数の学生が上京した。さらに11・6集会でエネルギーを得た学生が11・15−16日米首脳会談粉砕京都現地闘争に決起した。大衆活動家が立て看や横断幕を作り、当日は1500枚のビラが手渡され、京大時計台前での集会は300人の学生で黒山の人だかりとなった。11・6と秋の闘いの成果だ。
この勝利は、京大支部の全員がこれまでのあり方を打破し、真の共産主義者として立ち、真に革命に勝利する組織として屹立(きつりつ)する組織変革の結果である。この飛躍をいかにつかんだのか、支部の悪戦苦闘を振り返りつつ述べたい。
白熱的討議を重ね 全学生獲得を確信
数百人の大衆決起への挑戦を掲げた時に、京大支部では激しい議論が闘わされた。ひとつは、「大衆意識にまずは接近し、身近な問題から政治課題へとはぐくむ以外ない」「大衆の疑問に回答するビラでなければ、まいても仕方がない」という意見。もうひとつは、「真っ向から路線を提起すれば大衆はついてくる」「ビラとは、大衆意識はさておき革命路線を割り引かずに打ち込み続けるもの」という主張。また「身近な名簿の総ローラー以外には現実性はない」という意見もあった。格闘の中で出た意見だが、総括的に言えば大衆の政治決起への確信のなさに起因する打破すべき考えだった。
小泉反革命とは、学生を含むすべての労働者人民を戦争と民営化の地獄にたたき込む攻撃である。そうであるならば、キャンパスの学生大衆は“地獄”からの解放を求めて必ず小泉打倒の闘いに決起するはずであり、党の闘い方こそが問われているのだ。
これは指導原理の転換だった。神髄は、敵と味方を常にはっきりさせて闘うことだ。敵とは小泉・奥田を頭目とする支配階級だ。この連中を無慈悲に断罪し、焼き滅ぼす憎悪をたぎらせる。他方、味方とは労働者階級であるが、直接には京大キャンパスの学生だ。小泉に憎悪を燃やすことと、学生大衆の持つさまざまな意見に真剣に耳を傾け団結することとは、何ひとつ対立しない。
一方で、小泉への怒りを爆発させることは絶対的な土台だ。一人ひとりが労働者階級人民の「護民官」として自らを自覚し、小泉の攻撃が労働者階級に何を強制するのかを直視するのだ。小泉の攻撃を解釈することがわれわれの仕事ではない。小泉とやりあい、打倒する責任がある。心底からの怒りの叫びを言葉にしなければ、宣伝・扇動も役に立たない。小泉政権を本気で打倒する勢力としてわれわれが登場するならば、実は小泉こそ弱点だらけの存在であり、労働者人民に勝利の展望は十分あり、われわれの闘いに現実性のあることが大衆に伝わっていくのだ。
他方で、学生はブルジョアマスコミや反動教官らが流布する雑多な反動イデオロギーの中で生きている。そうである以上、あらかじめ革命的主張を持っている人間などわずかだ。それをここが不一致、あそこがダメと言っても始まらない。必ず団結してともに闘う仲間になると信じて異論・反論に熱心に耳を傾け、粘り強く情熱的に階級的原則を訴えていく。そのとき信頼関係が形成され、内部に宿る決起のエネルギーが解き放たれていく。
この両側面を統一的に貫徹していくことで、キャンパスに政治的決起の気運をみなぎらせることができる。これは、動労千葉が資本との階級的非和解的対決を貫きながら組合員の団結を最も大切にして勝利してきたこととも通底すると感じている。「闘いによってしか団結は守られない」「二者択一を迫られたら、左を選択すべきである」という教訓は、そのまま京大支部の教訓である。
そして、この飛躍を実現するため死活的に重要だったのは一人ひとりの信念の領域から支部の白熱的討議の次元に踏み出すことだった。毎日、全員で大論争をして実践方針を練り上げ、全員の力で小泉に立ち向かった。早朝まで議論が続くことも珍しくなかった。この格闘なしに全学総決起は観念的信念になってしまう。路線で全学生を獲得できるという確信は、実践と討議の粘り強い積み重ねの中でのみつかみ取られた。
具体的事実暴露へ 扇動の内容を転換
これまで京大支部は、扇動を宣伝と区別せず、路線内容をビラに書き、それを置きビラしてきた。今回は考え方を一新した。扇動とは、地域・空間を対象に、大衆の意識を閉塞(へいそく)させている階級支配を粉砕する闘いなのだ。支配階級はさまざまな手段を駆使して人民の決起を抑圧している。扇動は、この支配をビラとアジテーションを武器に打ち破って、大衆決起が起こる政治的解放空間へと転化していく土台的闘いだ。日々勝敗が問われる激しい攻防の戦場であり、攻撃的戦争的に闘いぬかなければならない。
攻防である以上、敵をたたくことが大事だ。総花的・抽象的な内容ではだめだ。レーニンが述べているように、事実と数字の暴露が大切である。有無を言わせぬ論断を無数に下し、ねつ造されている権威を地の底まで引きずり落としてやる。その繰り返しで「小泉=打倒対象」というひとつの真実を明らかにする。
小泉がいかに労働者の生活を悪化させており、民営化がいかなる害悪をもたらすのか、具体的データを示して断罪した。改憲がどの側面からも侵略戦争を目的としている点の暴露に心血を注いだ。全結論を「小泉=打倒対象」に絞った。
まき手の意思も重要だった。自分の登場によって敵のその日の支配を吹き飛ばすことを目的にして、自信満々で登場すれば、小泉支配を打ち破れるのだ。
ポイントとなったのは、「学生は政治決起が困難な条件におかれている」という見方と決別したことだ。学生に対する支配は過酷だ。しかしその支配は、何か神秘的なものではなく唯物的なものであり、共産主義者の闘い次第で粉々に打ち砕くことはまったく可能なのだ。その時、学生は支配階級に立ち向かって、ものすごいエネルギーで政治決起していく。このことを日々の闘いで実感した。
学生大衆の意欲をふまえ勝利めざす
扇動でキャンパス支配をぶち破った時、大衆が大衆に政治行動を呼びかける連鎖が始まる。大衆運動は多様な形態があり、一つひとつを丁寧に指導した。サークルや運動体を水路に呼びかけるもの、クラスの友人に働きかけるもの、全学連のキャンパス展開に加わって全学に働きかけるものなどさまざまだが、大衆の意欲を具体的勝利に結実させる、責任あるかかわり方がどれにおいても大切だ。
大きな力をもったのは、学生自治会に呼びかけ、自治会での論議と取り組みを組織したことである。その中から発足した「小泉政権打倒全学実行委員会」の登場は、キャンパスに衝撃を与えた。一層解放された空間の中で、輪をかけて活発に大衆活動家による動員戦が繰り広げられた。
全員が組織者に
一番大きな転換は、「オルグ戦は得意な党員だけがやるもの」「指導部がやるもの」というあり方を一掃したことだ。全党員が例外なく組織者となる。指導部もメンバーも全員が自己脱皮を突きつけられた。
オルグの中ではさまざまな問題意識に回答しなければならない。それを経験主義で対応しては党はつくれない。ひとりの学生の疑問・異論に回答し決起を引き出すために、支部員が頭をつき合わせて論議を繰り返す。これは、学生の決起に責任を取るということと同時に、指導部がメンバーの挑戦を勝利させる責任を取ることだ。七転八倒の組織討議が必要だったが、この道を進んだことが勝利の原動力だった。
機関紙と学習会
最後に述べたいのは、決戦の中でこそマルクス主義と機関紙の持ち込みを不屈に貫くという闘い方である。マルクス主義学習会は頻繁に行われた。支部では、この点を揺るがせにしないことを意識化した。
これが実は11月決戦を根底で突き動かす大きな力となった。マルクス主義への確信の強さが大衆活動家の信念の強さをつくりだすのだ。また他方で、実は党員全体が扇動戦を担うことで、小泉の政治支配を自己の存在が毎日打ち破っている実感、キャンパスの解放が日々前進している勝利感を持ったことも大きい。この主流派精神が基礎にあり、その上にマルクス主義の思想的確信や機関紙の討議が結合した時に、真に日本革命−世界革命を勝利に導く革命党組織として細胞が建設されるのだ。
共産主義者の党
支部が全学の政治的決起を実現できる共産主義者の党組織へと自己脱皮した。この地平をさらに押し広げ、改憲、安保・沖縄をめぐる大決戦に京大支部は勇躍躍り出る。11月決戦組織化の教訓をテコに、さらなる党の変革をつうじて全学総決起を必ずや実現する。
マル学同のすべての同志の皆さん。全学総決起に確信をもち、各支部の白熱的討議と扇動戦、大衆運動の爆発でこれを実現しよう。すべての学友の皆さん。労働者階級の総決起で支配階級を震え上がらせ、打倒する中に、労働者階級人民の未来がある。このことに堂々と自信をもち、労働者階級の闘いの先頭に立つ革命的共産主義者として生きよう。マル学同中核派に加盟しよう。
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週刊『前進』(2225号4面1)(2005/12/05)
東部方面隊イラク派兵 「出兵命令拒否しよう」
反戦自衛官 小多基実夫さんの訴え
来年1月下旬から2月上旬にかけて陸上自衛隊東部方面隊の部隊がイラクに派兵されようとしている。イラク人民の不屈の民族解放・革命戦争で、米英日帝の占領支配は完全に泥沼に陥っている。こうした中で小泉政権は自衛隊派兵を継続し、米軍と一体となってイラク人民虐殺と占領支配を続けようとしている。今こそ闘うイラク人民と連帯し、自衛隊をイラクから撤兵させよう。東部方面隊のイラク派兵阻止へ反戦兵士の小多基実夫さんに語ってもらった。
首都部隊派兵の重大さ
今回、陸自の第9次、10次イラク派兵部隊を東部方面隊にした意味は大きなものがあります。というのは、10月末から11月初めに西部方面隊の第8次部隊を派兵しましたが、これは小泉が表明しているイラク派兵の期限延長部隊になるわけです。もともとは次は北部方面隊になっていたのを急きょ東部方面隊にしたわけです。東部方面隊は1月末から2月初めにイラクに行くことになる。
今、イギリス軍とオーストラリア軍が来年撤退するかもしれないという話になってますが、それを受けて与党内でも自衛隊の撤退論が取りざたされている。そういう話が出ている中で社会的にはイラク派兵が収拾過程に入ったかのような雰囲気があるが、それは間違いであると思います。
理由は二つあります。まずイラク・アフガニスタンでの日米共同作戦という点です。そもそも「復興支援」と言って派兵したわけですが、それは派兵した本当の理由とは関係なく、小泉首相の意向として日米同盟の強化によるイラク軍事占領の必要性から派兵し、継続しようとしているわけで、米帝との合意がない限り絶対に自衛隊を撤退させない。米帝が自衛隊の撤退を承認する可能性がないわけではないが、イラク軍事占領が危機に陥っている時に自衛隊が全体として撤退することはありません。
イラク軍事占領において最新兵器で武装した陸自の位置は実は大きなものなのです。しかも、空自は武器弾薬などの物資の輸送という形で、占領軍の戦力を支える重要な役割を果たしている。米軍からも空自の増強の要求が出されている。その場合には活動範囲も拡大することになる。
海自はテロ対策特措法でアフガニスタン侵略を始めペルシャ湾・インド洋にいる米海軍への補給を継続してやっていますが、それも含めて自衛隊は米軍の侵略戦争の重要な一角を担っているわけです。いずれにせよ自衛隊全体の動きとしてはますます増強されると考えて撤兵の運動を強めていかなければなりません。
次に、今回の東部方面隊の派兵が自衛隊にとってどういう意味を持っているかということです。
最初は東部方面隊は首都の治安部隊ということでイラク派兵から外していたんです。ところが、急きょ東部方面隊も送ることにしたのです。それは、実際の戦争を体験させることが狙いです。陸自の中でも普通科はライフルを持って人を殺すのが役目の部隊ですが、そういう実戦の戦場を体験させるということです。
特に指揮官である幹部(将校)にとって大きい。自衛隊は米軍のように実際の戦闘はまだやっていませんが、日本で演習するのとは違ってイラクではいつ戦闘になるか分からないという緊張の中で部隊を動かすわけで、その体験をするということはものすごく大きなことです。
外征型軍隊へ飛躍狙う
今米帝は、米軍再編を進めている過程にあります。米軍再編では神奈川県の座間基地に米軍第1軍団の司令部が移設され、沖縄には辺野古沿岸に巨大な新基地が建設されようとしています。米帝は、ここを中枢司令部、出撃拠点として朝鮮、中国への侵略戦争を行おうとしています。米軍再編はそのためのものです。
沖縄の人びとが辺野古の海岸に座り込み、海上やぐらにのぼった闘いを踏みにじり、あくまでも新基地建設を暴力的に進めようとしているのです。絶対に許せません。座間や横須賀、岩国を始め、米軍基地強化が狙われている地元で反戦闘争が巻き起こっています。これと一体の闘いとして、自衛隊出兵阻止の闘いに決起しましょう。
そして米軍再編は、日米軍事体制の再編でもあり、自衛隊もこの米軍と肩を並べて戦争に踏み出したのです。米軍再編は、米軍基地の再編・強化だけでなく、自衛隊の再編も含んでいます。自衛隊も中央即応集団という新しい部隊をつくり、その司令部を座間基地において、米軍と一緒に参戦しようとしています。米軍再編に伴って米軍と司令部を同じ場所に置き、部隊ももっと緊密に連携していくことが図られているのです。空自のすべての戦闘部隊を指揮する航空総隊司令部(府中)を米空軍横田基地に移転させるというのは空自を丸ごと米軍との作戦に組み込むことです。
最近の『朝雲』新聞では3自衛隊の統合運用でどう変わるのか、統合運用はどうするのかが連載などで取り上げられています。3自衛隊の統合運用は、陸海空自衛隊の体質を改革して単一の軍隊としての統一性を持たせ、外国に出て行っても戦える軍隊にすることです。この間、師団改変で陸自を外征型の編成に変えつつあり、装備も外征型の戦争ができるようにしようとしていますが、統合運用はその大詰めでもあります。
そうした中で、自衛隊内では兵士に対して、中国への実際の侵略戦争を見据えて隊員への管理強化が強まっています。空自が来春から「准曹士先任制度」を導入しようとしています。海自ではすでに2〜3年前に「先任伍長」という制度が導入されていますが、実際に戦争をやるためには徹底的に隊員の掌握と管理を強めなければならない必要性から導入しようとしているのです。実際に戦争へと突入した時に自衛隊員に戦争反対の意見が圧倒的に強い中で、このまま進んでいけば隊内決起・反乱に発展する可能性もあるわけです。
戦争への怒り共有し連帯を
北部方面隊のイラク派兵が始まってからの2年間、自衛隊に対して不正義の侵略戦争阻止と派兵反対を訴える運動が大きく進んできました。自衛官に直接決起を訴え、自衛官家族に対しても訴え始めた。
家族は、いつ夫・父・息子が戦死するかという不安の中にあり、たとえ死ななくても負傷して除隊になれば生活はめちゃくちゃになる存在なわけで、派兵阻止闘争の当事者そのものです。
さらに同じ部隊から同僚が派兵される隊員に対しても、また地域の住民にしても身近な問題として問われるわけで、大きく訴えていかなければならない。
特に、自衛官とその家族は、戦場への派兵は絶対に避けたいという思いが一番強いわけで、そういう意味ではその人たちを獲得するチャンスです。帝国主義の侵略と戦争のために「命を差し出せ」と要求する日帝・小泉政権に対する兵士と家族の怒りを共有し、連帯し、組織していくことだと思います。
実際に小泉政権は、自衛隊をイラク・アフガニスタンに侵略派兵し続けている中で、改憲を強行し、戦争国家になろうとしているわけで、改憲をどうやって止めるのか、どのように撤兵を実現するかで、闘いぬかなければならない。それは、労働者階級が4大産別を先頭にあらゆる形で戦争協力拒否の闘いを強め、同時に自衛官とその家族と結合し、自衛隊内外から実際に戦争を止める力を持った反戦運動をつくっていくことだと思います。
この間の「申し入れ行動」では、警備に立っている自衛官を始め近くで聞いている自衛官が私たちの訴えにうなづき、中には涙を浮かべる人もいる。私たちの訴えが自衛官とその家族の心を揺り動かしています。彼らを大きく獲得できるチャンスが来ているのです。
この11月、12月からたとえ規模は小さくても地域の自衛隊に対して申し入れ行動を重ねて、自衛官に声を届けましょう。
石油強奪する侵略戦争
自衛官の仲間に訴えたいことは、この戦争はイラクが大量破壊兵器を持っているというのがウソだったように、不正義の侵略戦争であり、米英日帝国主義がイラクの石油を強奪し、占領支配するための戦争であって、帝国主義の利益のための戦争だということです。しかも兵士の仲間である労働者人民が生活破壊や権利圧殺の犠牲を受けるだけでなく、何よりも自衛官自身が命を奪われ、あるいは負傷させられるのです。
帝国主義の政府が兵士をどう見ているかは、劣化ウラン弾の使用に象徴されています。米英軍は大量の劣化ウラン弾を使用しました。これによって多くのイラクの人びとがガンや白血病といった病気になり、死んでいます。しかも米軍兵士自身が劣化ウラン弾の放射能を浴びて、あるいは内部被ばくによって病気になり、子どもが「障害」を持って生まれています。陸自が駐屯するサマワに3カ月いた米軍兵士が劣化ウランの影響で子どもが「障害」を持って生まれるという事態になっています。
このように帝国主義の政府は兵士を犠牲にして大資本のための侵略戦争を行っているのです。自衛官のみなさん。勇気を持ってイラク出兵を拒否しましょう。一人の自衛官が出兵を拒否すれば、その知らせは全国の兵舎に感動的に伝わり、多くの自衛官の決起につながっていくでしょう。それは、小泉政権を決定的に追いつめることは間違いありません。改憲と戦争に向かって突き進む小泉政権を打倒しましょう。
11月6日、東京・日比谷野外音楽堂で4600人を大結集して動労千葉を始めとした闘う労働者の全国集会が開かれました。この集会は韓国の民主労総やアメリカのILWU(国際港湾倉庫労働組合)やAMFA(航空整備士労組)の労働者の代表が参加し、感動的で豊かな国際連帯の闘いでした。ここに私たち労働者人民の未来が示されています。国際的に団結した労働者と兵士の力でこの侵略戦争を終わらせ、私たち労働者が主人公となる社会を実現しましょう。
11月6日、とめよう戦争!隊員家族と元自衛官連絡会、とめよう戦争への道!百万人署名運動など30人が東京・市ヶ谷の防衛庁に対して東部方面隊のイラク派兵を中止するよう申し入れた。占領軍がイラクの民衆を虐殺していることを弾劾し、ただちに撤退するよう要求した。
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週刊『前進』(2225号4面2)(2005/12/05)
対中国・北朝鮮の出撃・補給拠点 佐世保からの基地実態報告
原子力空母の準母港化も狙う
派兵艦の3分の1が佐世保
ブッシュ米政権は10月27日、米海軍横須賀基地に原子力空母を配備すると発表した。世界的な米軍再編で朝鮮半島、中国を念頭に置いたアジア・太平洋地域への「戦略シフト」が鮮明になった。アジア・太平洋地域に原子力空母を2隻配備する計画だ。もう1隻の原子力空母は、朝鮮半島・中国にすばやく展開できる佐世保(長崎県)の準母港化を狙っている。そうした中で巡洋艦や駆逐艦、フリゲート艦を前進配備する動きがある。米海軍佐世保基地は世界大的な補給・出撃の大拠点として大変貌(へんぼう)をとげようとしている。
海自佐世保基地は最前線出撃拠点としての強化が一気に進行している。11月15日、護衛艦「きりさめ」がインド洋に派兵された。今回が2回目だ。海自佐世保基地からは通算18隻目の護衛艦・補給艦が派兵された。7月28日、補給艦「はまな」が出撃した。「はまな」は01年11月派兵以来5回目で最多の出撃である。アフガニスタン・イラク侵略戦争に参戦した海自艦船はのべ50隻。3分の1強が佐世保基地から出動したことになる。
海上自衛隊はイージス艦4隻を含む53隻の護衛艦(戦闘艦)を保有している。海自佐世保基地にはイージス艦「こんごう」「ちょうかい」を始め16隻を重点配備している。8月24日、三菱重工長崎造船所で新型イージス艦「あたご」が進水した。2番艦も同造船所で建造中で、08年3月にはイージス艦6隻体制となる。そのうち3隻は佐世保に配備と言われている。3月8日、最新鋭の大型補給艦「おうみ」を配備した。また自衛隊は高速輸送艦を導入することを決めた。これは、中間報告の「米軍の活動に対して切れ目のない支援を提供する」任務を自衛隊が担うということだ。
02年3月に陸上自衛隊相浦駐屯地に西部方面普通科連隊が発足した。全国の部隊から抽出した「特殊部隊」と言われ、約660人で編成された。主にヘリコプターで出動、対戦車誘導弾や迫撃砲、小銃で武装した有事即応の機動力が特徴だ。7月30日、第7次イラク派兵に32人が出兵、10月27日、第8次イラク派兵にも再度32人が派兵された。9月17日、佐世保市の繁華街四カ町アーケードを武装パレードしたことは記憶に新しい。
在日米軍再編に合わせ強化
米軍再編「中間報告」では佐世保基地の名前はない。しかし、「いつでも迅速に、機動力をもって先制攻撃戦略」を実行できる態勢作りが再編構想に沿って進行している。米軍再編で海外の米海軍基地は、ケフラビク(アイスランド)、ディエゴガルシア(英領)など数カ所となる。米海軍佐世保基地の任務は大きく変化する。
米海軍第7艦隊は佐世保基地に強襲揚陸と輸送艦の4隻(強襲揚陸艦「エセックス」、ドック型揚陸艦「ハーパーズ・フェリー」、ドック型輸送揚陸艦「ジュノー」とドック型揚陸艦「フォート・マクヘンリー」は06年3月新型ドック型揚陸艦「トーテュガ」に交代)を主力とする第11水陸両用戦隊(7隻)を配備している。同戦隊の司令部の第1水陸両用戦群は沖縄のホワイトビーチにある。4隻の強襲揚陸艦と輸送艦は在沖海兵隊と一体となって軍事作戦や演習に携わる海軍艦船で、イージス艦など1、2隻の戦闘艦と潜水艦を加えて水陸両用即応群(ARG)を編成する。
04年8月末から、強襲揚陸艦「エセックス」、ドック型揚陸輸送艦「ジュノー」「ハーパーズ・フェリー」の3隻は在沖海兵隊を乗せ、中東に向かい、中央軍の指揮下に入って、イラク侵略戦争に05年2月まで参加した。
米海軍佐世保基地はこの数年、朝鮮半島で進む米軍の「整理」と一部「撤退」へ向けた準備と連動しているのが特徴だ。朝鮮半島での戦争に備えた戦力の再投入訓練(迅速展開訓練)に関係した「事前集積艦」と呼ばれる貨物輸送艦の入港が急激に増加した。それは在韓米陸軍の撤退後、朝鮮侵略戦争の際に戦力再投入の基地として佐世保を位置づけているのだ。
陸軍においても同じ動きが見られる。佐世保港には米陸軍の事前集積艦隊(APF)に所属する大型の貨物輸送艦が頻繁に入港するようになった。これまでは佐世保港に姿を見せる貨物輸送艦といえば、海兵隊の事前集積艦隊(MPF)に所属し、グアムおよびサイパンを拠点としている輸送艦が大半であった。米軍再編の中で、佐世保は補給拠点として強化されている。
事前集積艦は巨大な貨物輸送艦4隻で艦隊を構成する。陸軍または海兵隊1個師団が30日間の戦闘に必要な戦闘車両や弾薬、食料、被服、予備部品などを積載して海上で待機し、戦闘地域に最初に物資を輸送する任務を持っている。迅速展開訓練は沖縄あるいはグアムの海兵隊や陸軍を短時間(24時間以内)に朝鮮半島に投入するものだ。HSVと呼ばれる高速輸送艦を使った訓練が行われ、佐世保はその中間点として位置付けられている。10月13日に高速輸送艦「ウェストパック・エクスプレス」、20日と25日に車両貨物輸送艦「ステファン・プレス」「チャールトン」が相次いで寄港した。
さらに海洋監視と測量などの情報収集に関係する艦船の入港が増加している。原子力潜水艦と一体となった偵察活動を行っている様子も確認されている。01年6月に起きた中国空軍機と米海軍の偵察機衝突事件の際は、その前後に海洋監視(測量)艦が佐世保を拠点に活動していたことも確認されている。
後方支援・補給関係で特に顕著だったのが燃料補給活動だ。03年3月に開始されたイラク攻撃では佐世保港にある燃料貯蔵所に備蓄した燃料が大量にインド洋の拠点ディエゴガルシアなどに輸送され、イラク爆撃に向かう航空機や艦船の燃料として使用された。その総量は35万`リットル以上と見積もられた。佐世保から運び出された燃料が米軍の戦争を支えた。
佐世保は日米の最前線基地
前畑弾薬庫移転・針尾弾薬庫への集約問題が一気に動き出した。10月4日、佐世保市の米海軍佐世保弾薬補給所(前畑弾薬庫)の移転・返還問題で、日米両政府は日米合同委員会施設調整部会を開いた。71年に返還運動が始まった前畑弾薬庫をめぐり、日米間で公式協議が開催されたのは初めてだ。佐世保市の「新返還6項目」は、米軍基地全面撤去を要求するものではなく、「軍民すみ分け」を要求するものでしかない。米軍には「思いやり予算」でこれまで以上の拡大強化・近代化を約束している。佐世保市長は「針尾弾薬庫への移転・集約が最も現実的な対応」と動き出した。
日米帝は、虎視眈々(こしたんたん)と朝鮮半島・中国をうかがい、今にも飛びかかろうと身構えている。米海軍と海自・陸自の最前線基地・佐世保はまさにそのようなものとしてある。
(九州U)
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週刊『前進』(2225号4面3)(2005/12/05)
三里塚 北延伸阻止へ現地闘争 廃棄物処理場の利用に怒り
成田市天神峰の成田空港暫定滑走路内にある開拓組合道路で11月20日、三里塚芝山連合空港反対同盟と支援の労働者・学生120人が結集し、現地闘争と現地調査が闘いとられた。
成田空港会社(NAA)は、暫定滑走路の北側にある一般廃棄物最終処分場「成田クリーンパーク」を空港用地として利用しようと狙っている。有毒物質を含む廃棄物が集積された処分場がそのまま空港用地にされたら、周辺の環境はいったいどうなるのか。反対同盟は11月9日、成田市の小林市長に対し、安全確認の検査・手続きの方法や廃棄物の処理方針についての公開質問状を出した。17日に書面で送られてきた回答は、「空港会社と協議中であり、回答できる段階ではない」というものだった。こんな無責任な話があるか! 集会は冒頭からこのクリーンパーク問題への怒りが爆発した。
まず司会の伊藤信晴さんが、事態の経緯を説明し、「クリーンパーク問題をとことん焦点化し、また東峰の森を破壊する新誘導路建設を断固阻止しよう」と強く訴えた。
次に事務局長の北原鉱治さんがマイクを握った。
「廃棄物埋め立てが終了したら、その後5年くらいかけて土壌の検査を実施しなくてはならない。アスファルトを流して固めたとしても、有毒物質が流出する危険性が存在する。『協議中』などという言い逃れを許さず、小林市長には責任ある回答を求める。東峰の森を破壊する誘導路建設は絶対に認めない。11月6日には日比谷野音で韓国、アメリカの労働者と日本の労働者の国際連帯集会がかちとられた。労働者階級の闘いの発展・前進は、成田軍事使用を許さない三里塚の闘いを一層進めるものだ」
続いて動労千葉執行委員の後藤俊哉さんが、「11・6労働者総決起集会に結集した4600人の背後には民営化攻撃に怒る1千万の労働者が存在している。労農連帯をさらに進めて闘う」と発言した。さらに婦人民主クラブ全国協議会が「座間では3200人が基地を包囲する人間の鎖を実現した。戦車にひかれても戦争と基地に反対し止めようという気運が高まっている。労働者、農民、市民、学生の力を合わせて闘おう」と訴えた。
全学連の織田陽介委員長は、京都での日米首脳会談粉砕闘争の爆発を報告し、「ブッシュ・小泉の戦争会談を痛撃した。改憲攻撃を進める小泉政権を打倒する壮大な闘いに立ち上がる」と決意表明した。
さらに野戦病院が一坪共有地と天神峰現闘本部裁判を報告。特に現闘本部裁判闘争を支援する会会員の拡大と、次回12月15日の千葉地裁への結集を訴えた。
集会終了後ただちにデモに出発。団結街道を北上し国道51号線を越え、クリーンパークに到着。市東孝雄さんが説明した。「ここには不燃ゴミを処理したあとの廃棄物が埋められている。有毒物質やガス発生の危険がある。空港用地にするからといって、処分場を簡単に廃止にしていいものではない。『協議中』という回答に、ウヤムヤのうちにごまかして埋めようという意図が見えみえだ。断固抗議し闘っていく」
「東峰の森」で
さらに参加者は東峰の森まで移動。東峰の萩原富夫さんが説明した。「東峰の森がつぶされ、誘導路が作られたら、うちの畑に農作業に来ることさえままならなくなる。反対する者をとにかく追い出すためのでたらめな計画だ。なんとしても阻止する」
参加者は北延伸攻撃の実態をつぶさに見ることで、北延伸計画のでたらめさ悪らつさをあらためて認識し、怒りを倍加させた。
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天神峰現闘本部裁判
12月15日(木)午前10時30分
千葉地裁501号法廷
※傍聴券配布のため午前9時30分地裁前集合
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週刊『前進』(2225号4面4)(2005/12/05)
11月15日〜22日
自民党大会が新憲法の草案
日米同盟の強化へ首脳会談
●サマワ英豪軍「来春にも撤退」 陸上自衛隊が駐留するイラク南部サマワの英軍司令官ブラックマン大佐が現地で記者会見し、サマワがあるムサンナ州の治安を管轄する英軍とオーストラリア軍が来春にも撤退するとの見通しをあらためて示した。(15日)
●日米首脳会談で「平和の代価」と小泉 小泉首相とブッシュ米大統領が京都で会談した。小泉は「世界の中の日米同盟」を強調し、中韓などアジア諸国との外交を進めるうえでも日米同盟が強固であることが重要だと指摘した。米軍再編については、小泉が「平和と安全という恩恵を受けるためには、しかるべき代価を支払わないといけない」と語った。小泉はまた、イラクへの自衛隊派兵を延長する方針を事実上表明した。(16日)
●米大統領がアジア政策演説 ブッシュ大統領が京都で行ったアジア政策演説で、政権の旗印である「自由と民主主義の拡大」をアジアでも推進していく姿勢を鮮明にした。イラク政策をめぐって共和党内からも不満が出ているが、あらためて「自由と民主主義」が外交政策の基軸であることを強調した。(16日)
●普天間夜間飛行、一晩で36回 宜野湾市にある米軍普天間飛行場を離着陸するヘリの市街地上空での夜間飛行と外来機の旋回飛行が激化。一晩だけで夜間騒音(午後7時〜午前0時)36回を記録した。沖縄県の騒音測定によると、10月の新城地区の夜間騒音は1日平均3・9回。(17日)
●盧大統領「韓国への挑戦」 アジア太平洋経済協力会議(APEC)出席のため釜山を訪れた小泉首相と韓国の盧武鉉(ノムヒョン)大統領が会談した。盧大統領は、小泉が10月に靖国神社に参拝したことに「韓国に対する挑戦である」と批判。恒例化している半年に1度の相互訪問について小泉は年末の訪日要請はできず、会談開催も合意できなかった。(18日)
●原子力空母G・ワシントン配備へ 米海軍は横須賀基地(神奈川県)を事実上の母港とする通常型空母キティホークの後継艦として、原子力空母ジョージ・ワシントンを配備することを決めたとロイター通信が報じた。ジョージ・ワシントンは1992年に就航したニミッツ級原子力空母。艦名はワシントン初代米大統領にちなんでいる。(18日)
●イラク撤退、米下院否決 米下院本会議は、イラク駐留米軍の即時撤退を求める共和党提出の決議案を反対403、賛成3で否決した。イラク政策の転換を求める民主党に対し、共和党側が撤退をめぐる「踏み絵」を迫ったもの。(18日)
●ブッシュ、あらためて撤退否定 ソウル郊外の烏山(オサン)空軍基地で演説し「(イラクで)われわれは後退も撤退もしない。完全な勝利以外は望まない」とあらためて撤退を否定した。(19日)
●日ロ首脳会談 小泉首相とプーチン・ロシア大統領が首相官邸で会談し、「北方領土問題」について交渉を継続することを確認した。ただ、両者の主張の歩み寄りは見られず、共同声明の発表は見送られた。小泉は中ロ合同軍事演習に対し懸念を表明した。ロシアの対中武器輸出についても慎重な対応を要求。(21日)
●自民党大会、新憲法草案を発表 自民党が「立党50年記念党大会」を開いた。第20代総裁の小泉純一郎首相があいさつし、「改革の必要性と政権政党としての責任」を強調。新憲法草案や、教育基本法改正などを盛り込んだ党の新理念・綱領、立党宣言が発表された。(22日)
●防衛庁を省に昇格させる法案 自民党行革推進本部が総会を開き、防衛庁を省に昇格させる法案を次期通常国会に提出するよう政府に求める方針を決めた。(22日)
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週刊『前進』(2225号5面1)(2005/12/05)
日米安保協「中間報告」 米軍再編=日米同盟強化粉砕を
北朝鮮・中国への戦争狙う米日帝
沖縄は全島が要塞化 座間に最前線司令部
はじめに
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@米陸軍と陸自の精鋭部隊の司令部が併設
A米空軍と空自の司令部が併設
B米日の共同基地として強化
C岩国が横須賀・佐世保と連携し空母部隊の
大拠点に。 |
日米帝国主義は、10・26普天間基地の沖縄・辺野古崎移設案の発表、10・29日米安保協議委員会での在日米軍再編に関する中間報告「日米同盟・未来のための変革と再編」(以下、「中間報告」)公表、11・16日米首脳会談などの一連の過程をとおして、日米軍事同盟の歴史的な飛躍・転換を宣言した。
これは、日米両政府が「同盟の変革」(アライアンス・トランスフォーメーション)と表現しているように、単に米軍の再編にとどまるものではなく、日米安保(軍事関係)の実質的な大改定であり、日米の国家間関係の大幅な変更である。日帝・小泉は、総選挙における反革命クーデターの「勝利」をもって、世界史的意味をもつ新たな「世界の中の日米同盟」へと踏み込んだ。その意味で、10・28自民党新憲法草案と完全に一体のものだ。
重大なことは、この日米による世界反動枢軸の形成が、なによりも中国と北朝鮮への侵略戦争の発動のために進められていることだ。米帝と日帝は、イラク・中東での戦争に続く大きな戦略目標として、対中国・対北朝鮮の戦争を設定している。残存スターリン主義=中国を転覆し、広大な中国大陸を帝国主義が再支配することは、今日の帝国主義間争闘戦において中東石油の確保と並ぶ決定的な位置を占めているのだ。
日帝にとって、日米同盟のこの大転換は、改憲による戦争国家への一大飛躍と同義である。これまで、自衛隊の活動はひとまず「後方支援」に限定され、「非戦闘地域」での活動という条件を付け加えられ、大きなタガがはめられていたが、日米同盟の大転換は、この制約の最後的一掃をいやおうなしに迫り、憲法9条の撤廃を、いよいよ待ったなしとしている。
小泉は11・16日米首脳会談後の記者会見で、「日米関係はアジア、世界平和のアンカー(いかり)だ」「日米関係よりも国際協調にもう少し比重を移してはどうかという議論があるが、これは自分が取る考えではない」「日米関係が良ければ良いほど、中国、韓国、アジア諸国をはじめ世界各国との良好な関係を築ける」と言い放ち、日米2国でアジアと世界を制圧するのだと言うに等しい度外れた日米枢軸論をぶち上げた。中国や韓国との関係で「靖国」「領土」をめぐって激突しようとも、力でねじ伏せ粉砕すると、帝国主義としてのむき出しの本音を叫んでいるのだ。
米帝ブッシュは、イラク侵略戦争と世界支配、国内階級支配と経済のあらゆる面で、破局前夜ともいえる危機にある。日帝・小泉は、この危機に立つ米帝の対日争闘戦的な要求に全面的にこたえることをとおして、戦争のできる帝国主義へ飛躍することを狙っている。ここには、国際帝国主義の大分裂の一方の側に立ち、独仏をはじめとする他帝国主義に対抗して、戦争へ突進するという激しい衝動があるのだ。どんなに絶望的な飛躍であろうとも、これをなし遂げることなしに、日帝もまた延命できない深刻な危機にあるのだ。
日米同盟の歴史的大転換は、北朝鮮・中国侵略戦争と3度目の世界戦争に世界を引きずり込む大攻撃だ。その凶暴性は、帝国主義の危機の深さを示すものであり、死滅しつつある資本主義・帝国主義の断末魔の姿そのものだ。
すでに、沖縄・神奈川をはじめ全国で基地闘争が火を噴きはじめている。また、06年通常国会は、改憲のための国民投票法案、共謀罪、教育基本法改悪とともに、辺野古崎への新基地建設のための特別措置法制定をめぐる一大政治決戦になる。「日の丸・君が代」不起立闘争、動労千葉を先頭とした06春闘と一体となり、戦争か革命かをかけて労働者階級が総力で対決すべき重大な決戦だ。
何よりも、小泉反革命をぶっ飛ばし、この大攻撃を粉砕する力は、労働者階級の団結と総決起にある。4大産別決戦を圧倒的土台としながら、日米同盟大再編に対する労働者階級の総反撃をたたき付けよう。
「世界の中の日米同盟」 日本全土が世界戦争への出撃基地になる
「中間報告」は、1996年の日米安保再定義から04年有事関連7法の成立に至る流れをはるかに超えるものだ。日本が米軍に侵略戦争の出撃基地を提供し、自衛隊がその後方支援を受け持つという次元の内容ではまったくない。
日帝は、米帝と肩を並べ、共同で世界戦争をやっていくと決断している。日米同盟を、米英同盟型の枢軸体制へ再編するという決定的な飛躍、踏み切りがあるのだ。
10月23日、外務省・西田恒夫外務審議官と米国・バーンズ国務次官は、「日米安保条約が定める極東の枠にとらわれず、国際社会が直面する課題に日米が協力して対処する『世界の中の日米同盟』の重要性を確認」した(共同通信)。これは現行憲法下での新法制定や、解釈改憲的なやり方では、とうてい実行できない、とんでもない日米安保の大エスカレーションである。
今年6月4日の日米防衛首脳会談では、06年3月に「最終報告」を出すことと同時に、97年に改定した日米防衛協力の指針(ガイドライン)を再改定することを決定した。現行憲法はおろか、96年日米安保共同宣言のレベルをもはるかに超えて、世界戦争の時代における新たな軍事同盟、帝国主義強盗同盟へ大転換するということなのだ。
このことは、「中間報告」の中身をみればよりはっきりする。
陸・海・空で日米が一体化
米軍のトランスフォーメーションとは、米帝の世界戦争計画を実行に移すための軍事プランの具体化である。その一環として、日米帝国主義は、日米同盟そのものの変革に包括的にアプローチするための日米戦略対話を重ねてきた。
今年2月19日の日米安保協(2プラス2)では、「二つの重点分野」として、@日米同盟の重要性の再確認とその世界規模での拡大を確認したうえで、A「日米の共通の戦略目標」として中国を設定し、北朝鮮・中国を体制的に転覆する共同作戦体制の構築をあからさまに宣言した。
これを踏まえて10月29日に合意された「中間報告」は、「1章/概観」「2章/役割・任務・能力」「3章/兵力態勢の再編」という構成になっている。
まず「1章/概観」で、前述の「二つの重点分野」を再確認した上で、「2章/役割・任務・能力」で、@具体的な戦争計画の確定、日米間とりわけ米軍と自衛隊の任務・役割分担を決定し、A 戦争指揮系統を日米一体で確立し、戦力配置を確定すること、B 米軍と自衛隊の一体化、基地の共同使用と共同演習の強化、C 沖縄の軍事要塞化を始めとした日本全土の基地化を確認している。日本有事における「共同作戦計画」と周辺事態における「相互協力計画」の具体化が至上命題として盛り込まれ、民間空港・港湾などの全面的動員も明記された。
中東・アジアにらむ司令部
そして、「3章/兵力態勢の再編」で、具体的な米軍と自衛隊の再編プランを打ち出している。これこそ「中間報告」の実体的な核心だ。
第一に重要なのは、北朝鮮・中国侵略戦争の戦争司令部の体制を確定したことである。
@米本土から陸軍第1軍団司令部を改編してキャンプ座間に移設する。湾岸戦争やイラク戦争で陸軍が指揮をとったように、これが実際の戦争では米の陸海空海兵隊の4軍を指揮する戦闘司令部になる。
陸上自衛隊は中央即応集団司令部を座間に設置し、両者が司令部を一体化する。陸自中央即応集団とは、侵略戦争でまっ先に投入される機動的な部隊だ。また、この再編に伴って、キャンプ座間と相模総合補給廠の「より効果的かつ効率的な使用を探求する」としている。米軍相模補給廠には、新たに陸自緊急即応連隊(中央即応集団の傘下)の配備が狙われている。
A在日米軍司令部がある横田基地に、自衛隊3軍統合運用体制への移行を踏まえ、自衛隊3軍と在日米軍の共同統合運用調整所を設置する。また東京・府中にある航空自衛隊航空総隊司令部を横田に移転し、在日米空軍と空自の両司令部が一体化する。
すでに、米第7艦隊と海上自衛隊は横須賀基地(神奈川県)に司令部を併置して一体化を強めてきた。日米同盟の大転換を実行する中で、自衛隊の3軍統合運用体制を確立するとともに、陸・海・空自衛隊と米軍の司令部の一体化が確立する。それは、日米が共同作戦を遂行する体制が完全に整うということである。
第二に重要なのは、日米同盟大転換の絶対的前提・土台をなすものとして、沖縄・辺野古崎への巨大新基地建設を始めとする在沖米軍の再編方針を決定したことである。
カナメをなす沖縄基地強化
沖縄の戦略的位置はこれまで以上に重大化する。米帝・日帝にとって沖縄は、他に代えようのない最大の戦略拠点であり、日米安保の世界安保化、北朝鮮・中国侵略戦争体制の構築も、沖縄基地のさらなる強化なしにはあり得ないからだ。
「中間報告」では、「普天間代替施設は……沖縄県内に設けられなければならない」と言い放ち、「キャンプ・シュワブの海岸線とこれに近接する大浦湾の水域を結ぶL字型に」新基地を建設すると明記した。「1800bの滑走路、格納庫、整備施設、燃料補給用の桟橋、新施設の運用必要な航空支援施設」をもつ最新鋭の軍専用施設である。水深の深い大浦湾は、空母の接岸も可能である。これは辺野古崎一帯を、キャンプ・シュワブ、辺野古弾薬庫と一体となった巨大な軍事要塞とするものだ。
さらに、第3海兵遠征軍の司令部要員をグアムに移転することで、中国の第一撃的なミサイル攻撃の射程から外した。戦略的縦深性を担保したのである。そのうえで、歩兵・砲兵などの地上戦闘部隊は沖縄に残し、海兵機動展開部隊(MEB)に再編する。グアム移転に必要な数千億円の費用は日本側が負担する。また、嘉手納基地、キャンプ・ハンセンその他の在沖米軍基地を、米軍と自衛隊が共同で使用する。
原子力空母を横須賀に配備
第三に重要なのは、日本全土の出撃・兵たん基地化である。厚木基地(神奈川県)の空母艦載機は岩国基地へ移駐、普天間基地の空中給油機を鹿屋基地(鹿児島県)に移駐する。自衛隊と米軍による基地の共同使用が飛躍的に強化されることも、自衛隊の実戦部隊化にとって重大である。
さらに「中間報告」には書かれていないが、それと一体のものとして原子力空母の横須賀配備を10月27日に決定した。これ自身が、とてつもない大攻撃だ。
沖縄の基地を全面強化 「負担軽減」は大ウソ 北部に滑走路と軍港
日帝・小泉は、一方的・強権的に、上から戦争をしかけるようなやり方で、再度沖縄を「戦場の島」として売り渡した。
この間、「沖縄の負担軽減」をめぐって、日米間で激しいやりあいが展開されたかのように大宣伝されてきた。しかし、こんなペテン的やり方で人をだましながら、実は最初から沖縄の永久基地化を決定していたのだ。そもそも日本政府内、あるいは日米間で「県外移設」などということは、一度たりとも議論すらされていない。新基地建設をめぐる日米のやり合いなるものは、沖縄にどのような形で犠牲を押しつけるのか、煮て食うのか、焼いて食うのかという強盗同士の論争にすぎなかったのだ。復帰要求を逆手にとって基地の永久化をおしつけた72年「返還」と同様の、いやそれを上回る大ペテンだ。
新たな「琉球処分」の強制
米帝は、沖縄に関しては寸土たりとも譲らないという立場を百パーセント貫徹した。それが「中間報告」の一切だ。戦後の沖縄売り渡しから60年、復帰以来33年以上が経って、沖縄米軍基地を未来永劫に固定化し、「戦場の島」として売り飛ばすということだ。その意味で、日米同盟の歴史的大転換とは、世界戦争の時代における新たな「琉球処分」そのものだ。
(写真 普天間飛行場の移転先とされた辺野古崎)
小泉は、沖縄人民の怒りと要求をも逆手にとって、日本全体のとてつもない軍事的飛躍のテコにしようとしている。72年ペテン的「返還」と同じ構図が、さらにエスカレートした形であるのだ。本土の労働者階級人民が、これとどう対決するのかが問われている。
11月11日の全国知事会で小泉は、「日本全体の利益を考えるとやむをえない」などと平然と言い放った。沖縄を「国体護持のための捨て石」とし、15万人もの沖縄人民を虐殺したあの沖縄戦と同じ論理ではないか! さらに11月16日、日米首脳会談後の記者会見では「平和と安全の恩恵を受けるためには、しかるべき負担と代価は必要だ」なる暴言まで吐いた。
しかも、公有水面の埋め立て、基地の建設許可、環境影響評価(アセスメント)に必要な知事の承認権限を国に移す法整備(特別措置法)まで策動し、全沖縄県民が反対してもやると言っているのだ。
半永久的な基地の固定化
沖縄にとって日米同盟の再編とは、@北部を軸とした全島の軍事要塞化であり、A半永久的な基地の固定化であり、B北朝鮮・中国侵略戦争の最前線基地化=「戦場の島」化である。
日帝は「かつてない対米交渉で譲歩をかちとった」などと大宣伝しているが、すべて大うそだ。大浦湾を中心とした巨大基地建設は、40年前のベトナム戦争当時から米軍が狙っていたプランであり、米帝にとっては満額以上の回答だ。
また「交渉によって7千人削減をかちとった」というのも大うそだ。もともと数年前から、米軍の再編計画自体の中に、海兵隊5千人削減という内容はあるのだ。しかも7千人には米軍家族も含まれている。歩兵や砲兵などの地上戦闘部隊は丸ごと残される。
沖縄現地では、「沖縄は軍事植民地なのか」「無人島に基地を造っているつもりか」という怒りが沸騰している。「全島ゼネスト」「10万人集会を実現しよう」が合言葉になっている。21世紀に入ってなお、なぜ沖縄は世界戦争の「要石」とされ、戦場の島とされなければならないのか。「沖縄は、日本のチェチェンなのか。だったらわれわれは、チェチェン人民と同じように行動する必要があるのではないか」ということまで沖縄人民は言っている。
「世界の中の日米同盟」とは、結局は、沖縄への極限的な犠牲と矛盾の上にしか成り立たない。小泉は、「力で押し切ればなんとかなる」と見ているが、完全に事態を見誤っている。「県民の9割が反対」という事態は並大抵ではない。それは、日本の人民総体の大反撃に必ず発展する。
日米同盟の大再編など絶対に成り立たない。人民の闘いによって必ず破綻する、いや絶対に大破綻に叩き込まなければならない。
数千人の基地労働者を解雇
米軍再編とは、基地の大合理化であり、基地労働者の大量首切りに直結する。沖縄においては少なくとも数千人の解雇へと発展していく大問題をはらんでいる。米日帝国主義は、こうした大合理化の圧力をもテコに全駐労の階級的団結を解体し、全面的な下請け・外注化を狙っている。連合のもとで屈服と後退を続けながらも、なお全軍労以来の基地労働者運動を継承してきた全駐労に壊滅的な打撃を加えることなしに、北朝鮮・中国侵略戦争を思いどおりに遂行することなどできないのだ。
こうした根本的な激突が始まる中で、「死すべきは基地である」「基地撤去・解雇反対」のスローガンのもと、膨大な基地労働者が立ち上がっていくことは確実である。
4大産別決戦と一体で 戦争と改憲の攻撃に労働者階級の反撃を
重要なことは、「中間報告」と銘打っておきながら、日帝・小泉はこれを事実上の最終報告、決定済みの事項として、その全内容を暴力的にゴリ押ししようとしていることだ。沖縄人民の怒りが沸騰し、さしあたり全関連自治体が反対しようとも、意見など一切聞かない、一ミリの変更もあり得ないという立場を繰り返し表明している。こんなふざけた話があるか!
「中間報告」は、沖縄人民と全労働者階級人民に対する「宣戦布告」だ。その実行過程そのものが、安保と沖縄、戦争・改憲をめぐる大決戦となる。
それは同時に、4大産別をターゲットとした労組解体攻撃と、完全に表裏一体をなすものである。民営化と労組解体、戦争・改憲に対する反撃の拠点の一掃、労働組合の産業報国会への変質こそ、戦争国家への改造にとって不可欠のものとして仕掛けられているからだ。
沖縄、神奈川を始め、日米同盟の歴史的大転換とその実体をなす米軍再編に対する闘いが、あらゆる所から火を噴き始めている。全国基地闘争が爆発する情勢に突入した。基地が強化される座間市や相模原市を始め、多くの自治体が反対しているが、真の決着をつけるのは、本土−沖縄を貫く労働者階級の決起だ。
労働者が団結して総決起するならば、小泉反革命は絶対にぶち破ることができる。何よりも11・6労働者集会に結集した動労千葉を先頭とする4600人の隊列こそ、この大攻撃と全面的に対決するものとして名乗りを上げたのである。
新たな沖縄特措法阻止へ
辺野古の新基地をめぐる闘いは、10年近くの攻防を経て日米両政府を大破綻に叩き込んだ。いよいよ、辺野古での第2ラウンドの闘いが始まる。青年労働者・学生を先頭に、新基地建設を絶対に阻止しよう! 沖縄、神奈川を軸に全国で基地闘争を爆発させよう! 06年通常国会での特措法制定を絶対に許さず、国会闘争の爆発で絶対阻止しよう! 4大産別決戦を土台とし、「日の丸・君が代」不起立闘争、動労千葉を先頭とした06春闘と一体のものとして、改憲阻止−日米軍事同盟の大再編粉砕の巨大な闘いをまきおこそう。
(内田 康)
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週刊『前進』(2225号5面2)(2005/12/05)
“ゼネストを! 10万決起を!” 那覇でデモ 沖縄全島に広がる怒り
11月18日、「”基地の県内たらい回しならんど”うまんちゅの集い」が、集い実行委員会の呼びかけで、那覇市・県民ひろばで開かれた。集会には辺野古現地で闘う若者たちを始め200人が結集した。
日米安保協議委員会(2プラス2)での米軍再編「中間報告」に対して県民の激しい怒りが渦巻いている。集会はこの日米合意に対する不退転の決意を示す闘いとなった。
集会後、国際通りを「小泉を倒せ」のシュプレヒコールでデモを行い、沿道から熱い声援が送られた。沿道の人たちと一体となり、日米合意案に対する激しい怒りのデモとなった。デモの解散地点では知花盛康さんが総括発言に立った。
集会はまよなかしんやさんのコンサートから始まった。そして主催者を代表して桑江テル子さん(百万人署名運動・沖縄の会共同代表)が発言し、普天間爆音訴訟原告団団長の島田善次さん、辺野古テント村の当山栄さん、平良修さんら多くの人が日米安保協の合意を徹底的に糾弾した。
嘉手納基地ゲートで不当逮捕された日本山妙法寺の木津上人が17日に不起訴で出獄し発言した。島田善次牧師は「キリスト教も仏教も関係ない。いまこそ一緒になって闘おう」と訴え、大きな拍手を受けた。集会の最後に、平良修さんが復帰闘争の時を振り返り、「全島ゼネストのような闘いが必要だ」と呼びかけた。
辺野古の闘いと連帯しよう
今、沖縄のマスコミでも「ゼネスト」という言葉が出始めている。また10・30県民大会での「宜野湾海浜公園で10万人集会を実現しよう」という呼びかけが合言葉になっている。「もう我慢がならない。沖縄をいったい何だと思っているのか!」。こういう県民の強い怒りをストレートに表現した言葉だ。
中間報告の内容は「沖縄の負担軽減」などという代物ではまったくない。沖縄は中国・北朝鮮侵略戦争の出撃拠点、戦場となることが前提とされている。米軍・自衛隊の一体化と、本島北部への基地集中=要塞化を狙ったものだ。
しかも小泉は沖縄県民に対し「理解してもらう」と言っているが、それは「問答無用」ということだ。沖縄に対する国家的差別と国家暴力を振りかざすものでしかない。それを象徴するものが、公有水面の許認可権を県知事から奪う特措法の制定策動だ。
辺野古の580日を超える阻止行動、「命を守る会」の8年に及ぶ不屈の闘いが日帝・政府を追いつめている。辺野古沖への海上基地建設計画を粉砕された日帝にとって、もはや日米合意された沿岸案の道しか残されていない。しかしそれは130万県民すべてを敵に回すということだ。日米帝国主義と沖縄人民との激突は不可避である。
これをさらに決定づけているのは、この米軍再編が基地労働者の5000人規模の大量解雇攻撃として襲いかかろうとしていることにある。かつてベトナム侵略戦争の激化に伴う在沖米軍基地の強化が、大量の基地労働者の首切りをもたらした。こうして労働者に「もう生きていけない」という現実を強制して戦争が遂行されていくのだ。基地労働者の存在と闘いは決定的に重要だ。
11・6労働者集会の大成功は労働者の団結と国際連帯の力を示した。米軍再編と辺野古新基地建設を阻止することができる力は、この労働者階級の階級的力だ。「10万人決起」「ゼネスト」の力をもって10・29日米合意を粉砕しよう! 辺野古の基地建設を絶対に阻止しよう!
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週刊『前進』(2225号6面1)(2005/12/05)
国労再生・職場拠点化へ前進 大阪・国労 萩原修
11・6は本当に素晴らしい集会でした。参加した仲間の感想を紹介します。
▽数が昨年より増えた。国際連帯、ジャック・ヘイマン氏の発言で荷役拒否の闘いには感動した。
▽ひきしまったいい集会。教労、全逓発言に心から感動した。反動の嵐の中で、団結しなければ命は守れないと強く確認した。
▽労働運動の闘う結集軸は完全につくられた。国労5・27臨大闘争弾圧被告、国労エイトとして国労再生の使命を持った大会責任者として参加できた。
▽小泉打倒へ、労働者階級の総反乱の合図となった。
参加した仲間は、ほとばしるように勝利を確認し、労働運動の本格的再生への決意を語りました。米・韓労働者との団結が昨年より一段と強化され、国際連帯の力強さをつかみとりました。
この1年間、鉄建公団訴訟原告の仲間と団結を強め、尼崎事故でのJRの責任をともに追及し、資本との闘いを一からつくり出すことをとおして職場拠点化に向かって大きく前進しました。同時に、この過程を11月労働者集会への決起をつくり出すものとして闘いました。関西の国労として昨年より1人多い結集でしたが、この1年間の歩みは確実に労組権力獲得への前進と今年をはるかに超える来年の闘いを準備したと思います。
日米帝の戦争策動と対決し 京都 草田ミツオ
『前進』愛読者です。11月6日の国際反戦集会に初めて参加し、本当によかったと思います。会場の熱気に圧倒されました。素晴らしい連帯の力強さがひしひしと伝わってきました。
米帝は今や「グローバリゼーションとトランスフォーメーション」の名のもと、自国の労働者だけでなく、同盟国日本と韓国の労働者にも、帝国主義的利害貫徹のため「民営化と戦争」を強要し、「殺し殺される」関係の中に落とし込めようとしています。むき出しの「強盗戦争」「資源略奪戦争」へと駆り出しています。断じて許せません。
また日帝は「新憲法」の制定と「教育基本法」の改悪を狙い、4大産別労働者の闘いを踏みにじろうと躍起になっています。革命派3労組の輝くような不屈の闘いこそ、日本と世界の心ある労働者の琴線をふるわせ、われわれもあのように闘おうと、どんなに励ましになっているか想像に難くありません。
先の戦争で、労働者は屈服の代償をどれだけ払わなければならなかったか。戦後においても天皇の戦争責任を始め、軍部を含めた責任はとうとう追及しきれませんでした。そんな世の中は早く清算し、労働者・市民が安心して暮らせる世の中に全面改装しなければと思います。過去の反省をしないものは再び同じ過ちを犯します。2度とあの忌まわしい「日の丸・君が代」の国にしてはいけません。
集会後、日米帝による「戦争策動」に反対して雨の中首都を行進し、心ある人びとに訴えることができて本当によかった。最後に韓国・アメリカの労働者同志と東京駅前でお互いに力を込めて握手することができ、何か胸に迫るものを感じました。敵権力に死を!
若い人を反戦に獲得したい 千葉 宮崎進一
10年以上反戦運動をやってきたけど、最近は「マルクスはもういいよ」という感覚になっていた。
11・6集会に参加し、一番印象に残ったのは、韓国の人たちの歌や踊りだ。まさに「国際連帯が脈打った」といった感じだ。マルクスが「万国のプロレタリア団結せよ」と言ったのは、このように国際連帯が脈打つことだったのかもしれない、と思った。
マルクスを活字だけでとらえていたから、マルクスはもういいよという気持ちになったのかもしれない。万国のプロレタリアが団結するということは、国際連帯が脈打ち、芸術的側面を持ち合わせることではないかと思う。
これから戦争をとめるには、もっともっと国際連帯と新しい血流が必要ではないかと思う。そのために若い人たちを反戦に獲得することが僕たちの課題ではないかと思う。
行動なくして平和はない! 中四国・青年労働者 桜井ゆき
8月6日の広島での経験もありましたが、今回は東京の国会議事堂や東京駅周辺でのデモということで、多少の不安感を抱きながらの出発でした。
集会当日、今日の日本の政治体制に疑問を持つ人びとの多さを目の当たりにし、韓国、アメリカなど海外で活動している人びとの思いを聞いて、「平和は行動なくしてはありえないのだ」と思いました。日本は、原爆による戦争の悲惨さを経験し、戦争は二度としないと憲法9条で国民に誓いました。しかし、それが憲法改正によって覆されようとしている現状は、見過ごすわけにはいかない問題です。このように形を変えてゆっくりと私たちの生活の中に入り込んでくるものが戦争の恐ろしさなのだと感じました。
郵政民営化、教育基本法の問題、「つくる会」教科書、「日の丸・君が代」問題、そして憲法9条の改悪、まさにアメリカの後を追っている日本の将来はどういうものになるのか、そして私たちは何ができるのか考えて行動して、常に先を見ていくことが大切なのだと思います。
この全国労働者総決起集会に参加して、活動している方々の姿が、もっと報道関係をとおして周知されていけばいいと思います。
東京の仲間と共に闘いたい 中四国・教育労働者 川久保真希人
私は戦争をとめたい! もうこれ以上イラクの、世界の子どもたちを苦しめたくない! そして、誰かの「犠牲」の上に自分の「平安」を築くようなかっこ悪い生き方はしたくない!!
戦争をとめ、真の国際平和(不戦平和)を築く唯一の方法は、市民・労働者レベルでの国際連帯しかない。その一つが11・6全国労働者集会であると思い参加した。
アメリカの航空整備士労組と韓国民主労総はともに、現在ストライキを打ち、それへの処分弾圧と闘っている。その真っただ中で、「労働者の国際連帯」に大きな価値を置き、この集会に参加していた。彼女彼らの闘いを目の前で自分自身の目で見たいと思った。「ハングル学んで韓国に行く」という来年の目標が一つできた。
教育労働者であるゆえか、確信を持ち覚悟を決めた東京の教育労働者の発言に、もっとも心動かされ勇気づけられた。あの人たちとともに闘いたい。絶対に孤立させない。
「つくる会」教科書採択反対の闘いも、教育基本法改悪反対の闘いも、教育労働者だけでは闘えない。労働者というとてつもなく多くの仲間がいたからこそ闘えたし、闘い続けられる。それは同情でなく、共感・怒りの闘いである。
年齢も、職種も、組合も、所属団体も、(小泉が必死にたきつける)官と民との壁も、国境ものりこえつながっている、つながろうとしていることを実感させる集会であった。
日々の多忙化・逆オルグや公安の妨害などをのりこえて集まった4600人。それは決定的な力を持った一人ひとりの結集である。一方、小泉に1万人という数を示し切れなかった悔しさもある。
自分自身、今後この集会をその年の節目の日としたい。自分がどれだけ身の回りの人びとに現代社会の矛盾の根本をわかるように説きえたか、革命とその後の世界を現実的なもの・魅力的なものとして訴えられたかが問われる日となるだろう。
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週刊『前進』(2225号6面2)(2005/12/05)
90年天皇決戦への報復弾圧 古川、佐藤同志の時効成立
デッチあげで指名手配 15年闘い打ち勝つ
(1)
11月12日24時、15年前の90年天皇決戦でデッチあげ指名手配攻撃を受けていた古川康三、佐藤丈夫両同志に対する15年の時効が完成した。これをもぎり取ったことは、労働者階級が自己解放の闘いで権力に弾圧されても、必ず勝利できることを示している。
90年決戦は、二重対峙・対カクマル戦という内戦の中で革共同の革命党としての存在をかけた決起として闘われた。
日本帝国主義は、天皇の代替わりのための「即位の礼」「大嘗祭」「親謁の儀」など1年間をとおした儀式の準備と強行をもって天皇制と天皇制イデオロギーを強化し、侵略戦争とそのための国家体制づくりを進めようとした。天皇制攻撃をとおして戦後的な階級関係を根底から転覆し、戦争国家への転換を図ったのである。
それは、今日の「日の丸・君が代」攻撃、「つくる会」教科書攻撃の先駆けをなしている。
革共同は革命党として、11月を軸とする1990年1年間をとおした天皇決戦をもって天皇制攻撃を粉砕し尽くした。1年間に37波・89戦闘をたたきつけた。
とりわけ11月12日の闘いは、敵権力の戒厳体制を打ち破る大ゲリラ戦で即位儀式そのものを徹底的に粉砕した。実にこの日だけで35戦闘を敢行した。式典はズタズタに粉砕された。その中心にあったのが儀式の真っ最中に皇居へ向けて都内4カ所から発射された14発の一斉迫撃弾戦闘だった。
革共同は、反帝国主義・反スターリン主義世界革命戦略を掲げるプロレタリア党として、いまだ初期的な武装のもとにありながら一個の蜂起戦に決起したのであった。
日本帝国主義・国家権力は大敗北を喫して完全に顔面蒼白(そうはく)となった。そしてその敗北を隠蔽(いんぺい)しようとして、古川、佐藤両同志に対してそれぞれ新宿区大久保と渋谷区幡ケ谷での戦闘を「爆発物取締罰則第1条違反」としてデッチあげ、指名手配したのである。
しかし、この攻撃もついに完全に粉砕されたのだ。われわれは、日帝・国家権力と真っ向から闘い、一歩も退くことなく、「二重の勝利」を実現したのである。80〜90年代ゲリラ戦への繰り返しのデッチあげ指名手配攻撃をここでも完全に粉砕したのである。
(2)
古川、佐藤両同志の時効を完成させた勝利は、本人を始め家族の15年間にわたる辛苦を突き抜けた戦闘的で革命的な闘いによってかちとられた。同時にその闘いを支え、守り抜いた革共同と革命軍の組織的な闘い、さらにそれを大きく包み、守り支えた「人民の海」=労働者人民の闘いによって実現された。
日帝・国家権力による日常的暴力支配を粉砕した力は、プロレタリア人民の革命性・戦闘性に支えられたものである。労働者階級人民の大きな革命的な底力と決定的大地性、勝利性をあらためて圧倒的に確認することができる。
(3)
90年決戦の全面的な勝利は、革共同に壮大な階級的闘いへの歩みを進めさせる革命的地平を切り開いた。今日の革共同の第6回大会路線―新指導路線を確立する基礎を築いた歴史的な闘いだったのだ。
今、帝国主義はその危機のりきりをかけて世界戦争と大失業、労働組合破壊の攻撃を強めている。闘うプロレタリアートは世界革命を求めている。革共同は、労働者階級の自己解放闘争の先頭に立ち勝利に導く反スターリン主義・革命的共産主義の革命党として、党と労働組合・ソビエトの革命的関係の理論的深化と実現のために闘っている。
今回の日帝・国家権力の弾圧との闘いにおける具体的な勝利は、星野文昭同志の30年を超える不屈の獄中闘争とともに、革命党の柱をなすものである。
この勝利を労働者階級人民の勝利としてともに確認し、党の合法―非合法・公然―非公然体制を強化しよう! 11・6労働者集会が切り開いたプロレタリア世界革命の道を驀進(ばくしん)しよう!
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週刊『前進』(2225号6面3)(2005/12/05)
星野カレンダー
06年版の販売開始
06年版の星野カレンダーが完成しました。星野文昭同志の描いた絵が12枚、星野暁子さんの詩が4編、印刷されています。星野文昭同志の原画はすべて水彩画です。これらは、各地の展示会で公開されて大きな反響を呼びました。このカレンダーには、ふたりの思いと闘いが込められています。ぜひ、皆さんの部屋に飾って、それを共有してください。
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週刊『前進』(2225号6面4)(2005/12/05)
逮捕の3同志を奪還 治安弾圧拡大をはね返す
11月10日に「電磁的公正証書原本不実記録・同供用」なる口実で不当逮捕された3同志は、18日釈放をかちとった。
この弾圧は、11・6全国労働者集会で小泉=奥田打倒の労働者の大隊列が登場し、日米韓労働者の国際的団結が生み出されたことに大打撃を受けた日帝・国家権力が、その地平の破壊を狙って加えてきたものだ。
警視庁公安部公安1課は、4年も前に行った前進社の住所への住民登録が虚偽であるとデッチあげ、3同志を「共犯」とし、不当逮捕と4カ所の家宅捜索を強行した。しかし、3同志が完黙・非転向で闘い、12−13日には韓国民主労総労働者大会での動労千葉と民主労総との大合流、15−16日には日米首脳会談粉砕京都現地闘争の大高揚をかちとり、日帝の狙いを完全に粉砕した。
11月8日に「私文書偽造・同行使」を口実に神奈川県警によって不当逮捕された労働者も、翌9日に奪還した。学習会会場の使用申し込みを「事件」にねつ造した悪辣(あくらつ)極まりない弾圧であった。
11月11日に「免状不実記載」を口実に岡山県警によって不当逮捕された同志は、22日奪還された。運転免許証更新の際の住所が「虚偽」だというデッチあげであった。
逮捕はすべてデッチあげであり、「刑事事件」になるはずもない事案ばかりである。革共同と労働運動の破壊を目的にして加えられた政治弾圧である。
凶暴化する治安弾圧に怒りを爆発させよう。特に関西生コン支部の武委員長を始め組合役員への長期勾留は断じて許すことができない。労働者階級の闘いで長期勾留を打ち破ろう。
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週刊『前進』(2225号6面5)(2005/12/05)
六ヶ所再処理稼働を許すな 東京で座り込みと全国集会
日本原燃は11月18日、青森県六ケ所村再処理工場のアクティブ試験(使用済み核燃料を使った試験。実質的な稼働開始そのもの)を来年の2月に実施すると発表した。原爆材料・プルトニウム生産の核燃サイクルのかなめをなし、1日で100万`ワット級原発1年分の放射能を放出するという再処理工場の稼働を絶対に阻まなければならない。
東京では、止めよう再処理!全国実行委員会のもとで共同行動が取り組まれた。8・6広島―8・9長崎反戦反核全国統一実行委員会も参加し、闘った。
11月16日から18日まで経済産業省前で行われた座り込み行動には、青森県の反核実行委員会を始め、労組や反核団体などが参加。再処理中止を求める64万筆の署名を経産省に提出した。
11月19日には、日比谷野音で「止めよう再処理!2005全国集会」が開かれた。津軽三味線・津軽民謡で始まった集会には、全国から多くの労働者・住民が駆けつけた。(写真)
青森県実行委員会の今村修氏が、アクティブ試験を迎え撃つ現地の固い決意を述べた。次に韓国のホンソンデさんが、「再処理施設に反対するのは私たちの魂の叫び。平和と健康を求める世界中のすべての人びとが日本に注目している」と連帯を込めて訴えた。さらに英国のマーティン・フォーワードさんが、「セラフィールド再処理工場の稼働で放射能の汚染や病気が広がった。私の国が繰り返したような失敗を日本が繰り返してほしくない」と熱く激励した。
福井県から「もんじゅ」稼働再開阻止、横須賀から原子力空母母港化阻止の特別報告も行われた。
集会後、都心をデモし、「危険な再処理工場を稼働させるな! 青森を核のゴミ捨て場にするな!」と訴えた。
2月アクティブ試験を阻止しよう。
(井藤和弥)
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週刊『前進』(2225号6面6)(2005/12/05)
85年蜂起戦から20年
動労千葉のストと連帯し三里塚・国鉄決戦勝利開く
元全学連委員長 鎌田 雅志
11・6の感動
11・6労働者集会は、全世界で吹き荒れる戦争と民営化=労組破壊の攻撃に、国境を越えた労働者階級の団結と連帯で立ち向かおうという固い誓いの場となった。この闘いの核心に動労千葉が存在する。心の底から感動しないではいられなかった。その集会場のあちこちに、20年前、人生をかけてともに歴史的な蜂起戦を闘い、長期の獄中闘争・裁判闘争を闘った仲間たちの顔があった。疾風怒涛(どとう)の中を一緒に駆け抜けた同志たちだ。
私は20世紀最後の15年間を獄中で闘い、2001年2月に満期出獄した。だが星野文昭同志は、沖縄闘争へのデッチあげによる無期懲役攻撃によって30年を超えて投獄されている。こんなに長く投獄されている政治犯が、いま世界のどこにいるだろうか。日帝への怒りに燃えて、あらゆる闘いの場で再審実現・星野奪還の呼びかけを響かせなくてはならない。
浅草橋戦闘では、いまだに2人の同志が不当にも指名手配攻撃を受けて地下潜行を強いられながら不屈に闘っている。彼らを守り抜き、完全勝利まで闘おう。
全国一斉決起
1985年11月29日、国鉄分割・民営化(動労千葉絶滅攻撃)に反対して動労千葉が決行したストライキと、全国一斉の国鉄ゲリラ戦闘、そして国鉄浅草橋駅を破壊・炎上させたわれわれの戦いが日帝の心臓を凍りつかせた。首都圏はもとより全国の主要な国鉄路線が運行停止状態に陥った。
浅草橋戦闘は、動労千葉のストライキ決起を国家権力・機動隊とカクマルの反革命的テロルで破壊し圧殺しようとした日帝・中曽根に対して、革共同と中核派が革命党の生命をかけてたたきつけた蜂起だった。全国で戦いぬかれ勝利したゲリラ戦闘の頂点、「国鉄分割・民営化絶対阻止、中曽根打倒」の鉄の意思を表現した政治的蜂起戦、大衆的武装闘争による都市ゲリラ戦であった。
それは、総武線沿線に機動隊1万人が張り付く超厳戒態勢の中、この日未明に起きたケーブル切断ゲリラへの全都一斉の検問・不審者狩りをかいくぐって集結した戦士たちによって敢行された。
権力がわが部隊に気づいたのは、浅草橋駅近くの公園に部隊が集結した後だった。警官隊が慌てふためいて駆けつける中、われわれは素早く武装を整え、拳銃を構える警官隊を蹴散らして進撃した。この時、警察はわれわれに向けて拳銃を何発も発砲した。だが、戦士たちはひるまず進撃し、数カ所での衝突の後に駅への突入を果たした。こうして行動隊は浅草橋駅を制圧して徹底的に破壊し、ストライキ圧殺攻撃と国鉄分割・民営化=10万人首切りへの怒りをたたきつけたのだ。駅からの撤収過程は突入時以上の激突となったが、行動隊の大半が撤収を果たした。
われわれの怒りは、わが身を焼き尽くさんばかりに燃え上がっていた。空高く駅舎から立ち上った炎と煙は、日帝・中曽根による戦争と民営化と労組つぶしの攻撃への労働者学生人民の怒りを物語っていた。国家権力と国鉄当局、動労カクマル・松崎らが一体となって動労千葉ストライキに襲いかかった。この反革命の攻撃の激しさを圧倒する超ど級の激しさで闘う以外に活路はなかったのだ。
三里塚の決戦
この85年11月の国鉄決戦を、われわれは、10月20日の三里塚闘争で大量の逮捕者(241人)と負傷者を出し、50人以上起訴され投獄されているという困難の中で闘った。「三里塚・国鉄決戦勝利=中曽根打倒」がわれわれのメインスローガンだった。成田空港の2期工事着工が切迫していたのである。
85年10・20三里塚蜂起戦(三里塚十字路戦闘)は、三里塚芝山連合空港反対同盟主催による現地総決起集会1万5千人の大結集と結合してかちとった、機動隊せん滅の大衆的武装闘争だった。
集会場となった三理塚第一公園内で、検問・警備をかいくぐって運び込まれた種々の装備で武装した行動隊が形成された時、集会場はどよめきと歓声と拍手で興奮の頂点に達した。そのまま公園から国道に出た全学連と中核派のデモ隊は、5本の丸太を抱えた部隊を先頭に行動隊が続き、いつもは右折していた三里塚十字路を空港第3ゲートに向かって直進し、阻止線を張っていた機動隊に突撃した。丸太隊に襲いかかった機動隊には、その背後から行動隊が襲いかかり容赦なく打ち据えた。行動隊の背後は国道を埋めたデモ隊によって守られ、十字路での戦闘は実に2時間半に及んだ。国道に通じる路地でも、背後に回ろうとする機動隊との戦闘が続いた。こうして機動隊の計8個大隊に壊滅的な打撃を与えた後、デモ隊は転戦しながら夜の暗闇の中を堂々と行進して撤収したのであった。
10・20三里塚十字路戦闘は、集会警備のために全国から動員した機動隊を現地に残留させ、その暴力的制圧のもとで2期工事に着工しようとしていた敵のもくろみを完全に粉砕した。
中曽根と対決
11・29浅草橋戦闘は、このようにして実現した10・20三里塚十字路戦闘の歴史的な勝利の上にかちとられた。しかし10・20勝利の勢いを駆って突っ走ったというような単純なことではなかった。当時、国鉄分割・民営化に対して絶対反対の声を上げることなど困難な重苦しい空気が社会を覆っていた。それは、10・20三里塚の勝利さえかき消してしまいそうな重圧として、闘う労働者人民にのしかかっていたのである。
国鉄の分割・民営化は、中曽根の「戦後政治の総決算」攻撃=戦争国家づくりの基軸に位置付けられていた。なぜなら、国労と総評労働運動=戦後労働運動をたたきつぶす以外に、戦争のできる国づくりは不可能だからであった。
政府とマスコミは、官公労働者の賃金や手当、労働条件に対して悪質なデマを流しつづけた。「民は官よりすばらしい」「民間活力こそ繁栄の源」「公務員や国鉄労働者は諸悪の根源=国賊」といったデマゴギーを洪水のように宣伝した。国鉄の職場で自殺者が増えていった。攻撃は、国鉄の7分割と12万4千人の首切り・合理化、国鉄労働運動解体を内容とした国鉄再建監理委員会答申(85年7月26日)に基づき、国鉄法案成立を前に凶暴な牙をむいて国鉄労働者に襲いかかった。
国鉄労働者の3人に1人の首を切るという攻撃。国労・動労千葉を狙い撃ちにしたこの攻撃に対して、動労千葉1100組合員は首切り覚悟で強力に団結して闘うことを決意した。定期大会に続いて支部大会と地域集会が、一斉に、感動的に開催された。一人ひとりの組合員が、家族会議、親族会議をもって、家族ぐるみで決意を固めあった。
この時になっても総評は「5千万人署名」以外の方針を持たず、国労本部はまったくの無方針だった。それどころか、「動労千葉とは共闘しない」「業務命令には従う」というスト破り方針で臨んだ。20万組合員を擁する国労本部のこの裏切りは、重大だった。
ことここに至って取るべき道は、退路を断ち「全員クビ」を覚悟してストライキに立つ動労千葉のようにわれわれも闘うこと以外にあるだろうか。こうして、動労千葉ストライキを支援し防衛するために、「10・20を引き継ぎ、のりこえる」破壊力を持った闘いをたたきつけることを決断したのだ。
三里塚闘争のため、動労千葉のためなら人生をかけて悔いはない、長期投獄も受けて立つという青年労働者と学生の共産主義者をわれわれは大量につくり出した。だから今日がある。
長期投獄攻撃
10・20戦士(58被告)には、3年を超える未決勾留と2人の実刑を含む有罪判決が加えられた。私については、デモに先立って行われた反対同盟主催の総決起集会で、全学連中央執行委員会を代表して5分間の演説をしたという事実しか、権力は明らかにできなかった。ところがこの演説ひとつをとらえて「事前の計画も準備も現場での決意の形成も鎌田がやった」として懲役4年の実刑攻撃を加えてきた。
11・29戦士(39被告)には、一審東京地裁・中山善房裁判長の夜間公判の繰り返しと退廷の乱発などに代表される治安裁判が強行され、私に懲役10年、ほかの34人にも懲役8年2人を含む実刑判決による長期投獄の攻撃が加えられた。
国家権力による報復弾圧に小躍りしたファシスト・カクマルは、翌86年1月20日に京都大学を襲撃し、クラス討論中の福島慎一郎全学連副委員長代行(山口幸一副委員長は獄中)を虐殺した。
日帝・国家権力と反革命が一体となった報復攻撃に対し、われわれは激しい怒りを燃やして裁判闘争と獄中闘争を完全黙秘・非転向で闘いぬいた。星野文昭同志、富山保信同志、86年10月および迎賓館・横田の爆取弾圧被告団を始め、デッチあげや他の闘争弾圧で投獄された同志たちを含めて総勢120人の獄中戦士団は、一心同体の強力な団結を打ち固めて闘った。20人の弁護団、家族と支援者、救対の献身的な働きによって支えられたわれわれの闘いは、85年蜂起戦の偉大な勝利を打ち固め、さらに大きな力として敵にたたきつけるものとなった。
85年蜂起戦の正義と勝利は、今日、動労千葉が闘う労働組合として存在し、日米韓国際連帯の扇のかなめとして意気軒高と闘いぬいていることが示している。三里塚闘争の不屈の前進が示している。世界戦争に向かう帝国主義にプロレタリアート人民の国際的内乱を対置する時代が来ている。戦争と革命の時代のストライキには、武装蜂起の種が宿るのだ。そういう労働運動の時代が来ている。
11・6は、それを示したのだ。
だから確信をもって動労千葉のように闘おう。全国で、全職場で、動労千葉労働運動をつくり出そう。4大産別決戦に勝利し、小泉を打倒しよう。
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