ZENSHIN 2005/11/28(No2224
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週刊『前進』(2224号1面1)(2005/11/28)
11・13ソウル 動労千葉が民主労総と大合流
国際連帯の発展かけ訪韓
全国労働者大会に5万人 12・1ゼネスト突入を宣言
田中委員長の発言に続き「鉄の労働者」の律動を演じる動労千葉訪韓団(11月12日
ソウル・ヨイドの前夜祭会場)
民主労総ソウル本部・コジョンファン本部長ら非常対策委員会が最前列に陣取り、5万人の人の波が会場の大通りを埋めつくす中、民主労総結成10周年の全国労働者大会が始まった(11月13日 ソウル・光化門)
11月13日、韓国の民主労総は、5万人が結集した全国労働者大会でゼネスト指針1号を発表し、非正規職権利立法獲得のために12月1日午前10時を期してゼネストに突入することを宣言した。米韓の労働者代表団を迎えて4600人が東京・日比谷に集った11・6労働者集会から1週間、田中康宏委員長、繁沢敬一副委員長、長田敏之書記長を先頭とした動労千葉訪韓団は、ソウル地域本部のコジョンファン本部長の呼びかけにこたえてソウル・光化門に駆けつけ、この歴史的なゼネスト宣言を発した労働者大会に合流した。「労働運動の階級的団結万歳! 全世界の労働者の国際連帯万歳!」(関連記事5面)
前夜祭で発言
動労千葉組合員を先頭に全国から総勢約100人の大部隊となった動労千葉訪韓団は、12日夕、ソウル到着後ただちに汝矣島(ヨイド)の漢江(ハンガン)河川敷で開かれた「2005年全国労働者大会前夜祭」に駆けつけた。
ライトアップされた国会議事堂が間近に見え、舞台の横にはチョンテイル烈士を始め労働解放烈士たちの写真が光の中に並ぶ合同焼香所が設けられている。前夜祭は、労働映像祭に始まり、非正規職差別撤廃の広場、民主労総10周年記念および烈士精神継承の広場、非正規職権利立法獲得・新自由主義粉砕闘争文化祭など4部構成で進められた。その進行中も全国から続々と組合員が結集、1万人を超える参加者となった。
民主労総は今秋、首席副委員長の不正事件での逮捕を契機にイスホ執行部が総辞職、非常対策委員会を構成して組織を立て直し、ノムヒョン政権の労働弾圧にゼネストで立ち向かおうと必死の闘いを続けている。95年の民主労総創立から10年目の労働者大会は、民主労総と韓国労働者階級の未来を決する大会となった。
この民主労総の闘いへの熱い共感と、11・6で開始された共同闘争の発展をかけてソウルに着いた動労千葉訪韓団は、民主労総ソウル地域本部と感動の再会を果たし、舞台に向かって左側最前列に招き入れられた。さらに第2部の非正規職差別撤廃の広場では、登壇し発言する機会を得た。
田中委員長が「トゥジェン(闘争)!」と呼びかけると万余の労働者が拍手喝采でこたえた。「私たちは国鉄の民営化に反対し、多くの解雇者を出しながらストライキで闘いぬきました」「全世界の先頭に立つ民主労総のすばらしい闘いを日本でも実現するべく、私たちは頑張ります」(発言要旨別掲)
会場から大きな歓声があがり、全参加者が一緒になって律動! 日韓連帯が一つの大きな波となった。
本大会の熱気
13日、ソウル中心街、光化門の教保文庫前から鍾路4街までの8車線の道路が5万人の労働者で埋まった。この大通りが会場だ。
動労千葉訪韓団が市庁前での事前決意集会を終えて本会場に到着した午後2時半すぎ、そこでは公共連盟、事務金融連盟、化学繊維連盟、言論労組の事前決意集会が続いていた。貨物連帯の巨大なトレーラーの荷台を舞台に全国から結集した非正規職労組が次々に決意表明。「もうこれ以上死ぬことはできないという切迫した気持ちで非正規職撤廃闘争をつくり出そう」と切実な訴えが続いた。
本大会の事前行事でも、10月25日から10日以上、61人の非正規職労働者が工場内のクレーンを占拠して闘った現代ハイスコ非正規支会組合員が壇上に並んだ。食料も水さえも断たれた籠城(ろうじょう)闘争で交渉を拒否し続けた使用側から協約書をかちとった闘いを報告し、「まだ11人の同志が刑務所で闘っている。私たちの闘いは終わっていない」と連帯を訴えた。
午後4時すぎ、「烈士精神を継承し、非正規職を撤廃しよう」と叫ぶ中、会場中央を労働組合旗が続々と演壇に向かって入場し、本大会が始まった。
非常対策委員会のチョンジェファン委員長が大会あいさつに立った。「民主労総10年の歴史は、チョンテイル烈士の精神を継承してきた労働者闘争の歴史だった。だが、民衆に新たな希望と期待を抱かせた民主労総は、資本と政権の弾圧で揺らいでいる。この危機を克服するためには、工場を越えた真の連帯が必要だ。ただ労働者階級という名前一つで、希望に向かって総進軍しよう」と訴えた。(発言要旨別掲)
一つの発言が終わると労働歌が流れ、こぶしを固める。最前列で本大会に参加した動労千葉訪韓団も、力強くこぶしを突き上げた。
大会のクライマックス、会場後方から舞台へ向かって「不法派遣の正規職化」「無償医療・無償教育実現」などのスローガンが書かれた旗が続々と入場、舞台上方のくす玉が割れ、「非正規権利保障立法争取!」の垂れ幕が下がる中、チョン委員長が、APEC(アジア太平洋経済協力会議)・ブッシュ訪韓阻止の闘争方針をも含むゼネスト闘争指針1号(5面に全文掲載)を読み上げた。
全参加者がこぶしを突き上げ「トゥジェン!」。APEC粉砕闘争から12・1ゼネストへ! 民主労総の労働者大会は歴史的な闘いを宣言し、戦争と民営化阻止、非正規職差別撤廃へ力強い闘いを踏み出した。
労働歌が流れる中、田中委員長はソウル本部のコジョンファン本部長とがっちりと握手し、労働者解放へ同志として闘いぬくことを誓い合った。11・6の国境を越えた団結はさらに発展した。労働者階級の国際連帯闘争こそ、戦争と民営化攻撃を打ち破り、労働者人民が勝利する道だ。
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週刊『前進』(2224号1面2)(2005/11/28)
労働者の希望のため総進軍を
民主労総非常対策委員会 チョンジェファン委員長
民主労総の10年は闘いの歴史でした。35年前、「勤労基準法を順守せよ」と叫んで散っていったチョンテイル同志の精神を引き継ぐ闘いの歴史でした。
組合員同志の皆さん。われわれは、資本と政権の新自由主義攻撃、労働市場の柔軟化、構造調整、整理解雇に立ち向かい、苛烈(かれつ)な闘争を展開してきた民主労総です。戦争に反対し、平和を渇望する民衆を代弁する役割を担ってきた民主労総です。分断された祖国を統一させるために努力してきた民主労総です。切迫する政治の現実に、進歩政治の種をまいた労働者こそ、わが組合員同志の皆さんでした。民主労総は、この地の労働者民衆に新たな希望と期待を抱かせた組織です。
しかし残念ながら、資本と政権の執拗(しつよう)な弾圧で民主労総は揺らいでいます。私は、民主労総70万組合員、そして民主主義を待ち望んできたこの地の労働者民衆がいる限り、その底力で生まれ変わることができると確信しています。したがって、われわれ自らの内部の不正をえぐり出し、労働者の真の連帯をつくってゆくことこそ、民主労総を新たに誕生させるものです。
事務所の壁を打ち壊し、工場を越える真の連帯、それこそが民主労総を新たに変革するものです。われわれにはできます。
組合員同志の皆さん。今こそ小さな違いを克服し、力を集めなければならない時です。
資本と政権は、今この時にも、まだ非正規職が不足していると派遣業種を拡大し、不法に雇用された非正規職労働者に対する使用者責任を認めないようにしようとしています。学習誌、保険募集人、ダンプ、貨物、生コンの労働者たちに「特殊雇用者」という名前を付けて労働基本権すら認めていません。そのような法案を今定期国会で処理すると言っています。
悪質な使用者が不当労働行為を行っても、刑事処罰をしないように法を変え、労働者がストライキをすれば職場を閉鎖し、自分たちの思いどおりにしようという労使関係ロードマップを提出しています。
今こそ、われわれの連帯、闘争決意が必要です。現在行われているスト賛否投票、70万組合員が参加するゼネストをとおしてこの問題を克服しよう。同志たち、力を集めて下さい!
新自由主義反対の波が押し寄せています。釜山に行かなくていいのですか?
同志の皆さん。われわれはこの間、弾圧を受け、許し難い状況にあります。過去もこれからも政権と資本は非正規職を拡大し、労働者階級を分断しようとしています。われわれ70万労働者が、いや1500万労働者が一つに団結し、われわれ自身でこの問題を解決しましょう。
同志の皆さん、今や非正規職と正規職の労働者の別はありません。中小零細事業所と大工場の労働者の別はありません。事務職と工場の労働者の別はありません。下請けと元請け労働者の別はありません。ただ労働者階級という名前一つで、民主労総の希望とこの地の労働者民衆の希望をつくるために総進軍しましょう。トゥジェン!
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週刊『前進』(2224号1面3)(2005/11/28)
日本の労働運動をつくり直す
国鉄千葉動力車労働組合 田中康宏委員長
トゥジェン! 民主労総の、ともに闘う同志の皆さん! 私たちは日本から来た代表団です。
私たちはこの11月6日、民主労総ソウル本部の多くの代表団、そしてアメリカの闘う労働者の代表団を招いて、東京で4600名を結集して国際連帯集会を開催しました。その代表団が今日ここに参加させていただきました。私は、動労千葉の委員長の田中康宏と言います。
労働者が置かれた現実は、日本でもまったく同じです。労働者は虫けらのごとくに犠牲にされています。民営化、非正規雇用化、組合つぶし、そして戦争の危機が迫っています。
私たちは、国鉄の民営化に反対して、多くの解雇者を出しながらストライキで闘いぬきました。これから日本の労働運動を本当に戦闘的労働運動に一からつくり直す決意で、多くの同志を全国から集めて闘いぬいています。
今日はこの場にお招きいただき、本当にありがとうございました。全世界の先頭に立つ民主労総のすばらしい闘いを日本でも実現するべく、私たちは頑張ります。
それでは、全員で「鉄の労働者(チョレノドンジャ)」の律動をやります。
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週刊『前進』(2224号2面1)(2005/11/28)
世界革命への展望を示した国境を越えた労働者の団結
11・6の地平を全労働者のものに
革共同中央労働者組織委員会
世界史は後もどりすることのない革命的激動に突入した。全世界のプロレタリアートと被抑圧民族人民は、国際帝国主義を打倒し、21世紀初頭のプロレタリア世界革命へと邁進(まいしん)する時を迎えた。帝国主義の戦争と民営化の攻撃に対し、全世界で労働者人民の根底的な怒りが満ち、闘いの炎が噴き出している。国際階級闘争は、革命的情勢の成熟を告げ知らせている。この中で、労働者階級の国際的団結の旗が打ち振られた。全日建運輸連帯労組関西地区生コン支部、全国金属機械労組港合同、国鉄千葉動力車労働組合の3組合の呼びかけのもと、日米韓の労働組合が国際的に連帯し、11月6日、日比谷野音に4600人が大結集した。「全世界の労働者は、団結をとり戻し、労働組合を蘇(よみがえ)らせよう」の戦闘宣言が高らかに発せられたのだ。ここにはプロレタリア世界革命の現実性が開示されている。11・6は、世界を根本から変革する労働者の国際的団結を、歴史的に登場させたのである。
第1章 戦争・改憲と民営化迎え撃つ巨大な決起
素晴らしい高揚感、みなぎる戦闘的息吹が満杯の日比谷野音を覆った。現に今、必死に闘っている韓国・民主労総ソウル地域本部やアメリカのILWU(国際港湾倉庫労組)、AMFA(航空整備士労組)などの労働組合と、動労千葉を先頭とする日本の労働組合が一つとなり、ともに学びあった。各国の労働者が自ら集会の主催者となり、固い連帯と友情のきずなを結んだのだ。
小泉打倒の拠点築く
11・6集会は実に大きな地平を切り開いている。
その第一は、日帝・小泉=奥田の戦争・改憲と民営化−労組破壊の大反動に対し、4600人の結集をもって、死活的な反撃がなされ、小泉打倒の火ぶたが切られたことだ。
「1万人結集」の方針を掲げて闘いぬかれた11・6は、労働者階級が05〜06〜07年に至る戦後史上最大の階級決戦の挑戦権を握りしめ、反転攻勢に打って出る階級的団結の拠点を築き上げた。
8月8日の郵政民営化法案の参院否決という事態は、日帝の戦後政治支配体制の崩壊の危機を突き出した。これに対し小泉は、解散・総選挙のファシスト的政治クーデターを強行した。小泉は奥田とともにマスコミや全政治勢力を引き入れ、9・11総選挙で衆院の3分の2の議席を独占した。これは、大反動攻撃に拍車をかける恐るべき事態である。実際、小泉は「自民党改憲草案」「日米安保協中間報告」を発表し、日米枢軸で集団的自衛権の発動へ突入しようとしている。だが、これに対する労働者階級の怒りは激しく渦巻いている。
この中でわれわれは、3労組の訴えにこたえて「小泉倒せ!の1万結集」を呼びかけ、これを「労働者が団結すれば勝てる」という確信として打ち出し闘った。労働者階級が団結して決起すれば、小泉反革命は「ガラス細工」のようにもろいものであることが明らかになり、小泉政権を打倒することはできるのだ。
団結した労働者の力とその勝利性への確信は、動労千葉の労働運動が営々としてつくり出してきたものである。11・6に結集した4600人の隊列は、1万、数万、数十万、数百万に拡大していく可能性に満ちている。これを現実のものとするのは、動労千葉労働運動への確信であり、動労千葉に続く階級的労働運動の構築に向けた血のにじむような実践だ。
4大産別軸に反撃へ
11・6集会が切り開いた地平の第二は、全逓、自治労、教労、国鉄の4大産別決戦が、連合・全労連の腐りきった指導部を打倒して新たな階級的潮流をつくり出す最も革命的な闘いとして、本格的全面的に確立されたことである。
われわれはこの1年、教労決戦を始め4大産別における死闘戦を闘いぬいてきた。それは11・6に大きく結実した。ここを新たな出発点に、4大産別決戦は改憲阻止決戦と結合して、プロレタリア革命を押し開く水路を形成したのである。
同時に11・6をもって、4大産別決戦の圧倒的発展を土台とし軸としながら、それと一体の闘いとして改憲阻止決戦に突入する突破口が切り開かれたのだ。
9・11総選挙を経て、小泉は4大産別をターゲットにした民営化攻撃をこれまで以上に激化させている。それは敵の側からする「逆4大産別決戦」と言いうるものだ。小泉はこの攻撃を、何よりも労組解体の攻撃として強行し、戦争・改憲への反撃の拠点を解体して、労働運動を産業報国会に転落させようと企てている。日帝のどうにもならない体制的経済的危機を逆手にとって、公務員労働者をえじきとした反動的キャンペーンを繰り返し、公共部門の大民営化による本格的な首切り・リストラへと突進している。
こうした攻撃に対し、階級的反撃をたたきつけるための中心拠点・実体的基盤はどこにあるのか。それは、間違いなく動労千葉の存在と闘いにある。
動労千葉は、戦争・改憲と民営化の攻撃と最先端で激突しぬいている。この05年、動労千葉は尼崎事故弾劾の反合・運転保安闘争や国鉄1047名闘争を一層発展させる闘いなどを貫徹し、日本の労働運動をあらゆる意味で牽引(けんいん)した。11・6集会の大高揚を導いたのも、動労千葉の闘いを根源的力に据えた路線と方針の正しさにあった。
国鉄分割・民営化に対して、死中に活を求めて2波のストライキを打ち抜いた動労千葉の魂をわがものとしてこそ、4大産別決戦の戦略的発展を切り開くことができるのだ。
国際連帯は新地平に
11・6集会が切り開いた地平の第三は、国境を越えた労働者の団結を固く築き上げたことである。日米韓3カ国の労働者の国際連帯は、昨年の11月集会をもはるかに上回る画期的な地平を実現した。スターリン主義によって歪められ、苦難を強いられた国際階級闘争の歴史は、ここから塗り替えられるのだ。
3カ国労働者の国際連帯は11・6の成功を圧倒的に決定づけた。11・6にはらまれた闘いの豊かな前進や成果のすべてが、国際連帯の勝利として昇華され、そこに包摂されている。この感動的な地平をプロレタリア世界革命への壮大な挑戦の開始としてとらえなければならない。
ここでも動労千葉の存在と闘いが、国際連帯を成立させ、強化させた。国鉄分割・民営化に対して、2波のストライキで真っ向から立ち向かった動労千葉は、そこに示される比類ない団結と戦闘力、階級的思想によって、全世界の労働者の絶大な信頼を勝ち得たのだ。
革共同は、国際連帯への感動をそのまま動労千葉の闘いへの感動として受け止め、全産別で動労千葉に続く労働運動をひたむきに実践しなければならない。
11・6でかちとられた国際連帯は、11月12〜13日の韓国・民主労総の労働者大会に動労千葉派遣団が参加したことによってさらに深められた。釜山でのAPEC(アジア太平洋経済協力会議)首脳会議粉砕闘争も、国際連帯をかけ、戒厳令を打ち破って闘い取られた。動労千葉と民主労総ソウル地域本部の血盟は、一層強固なものになったのだ。
新指導路線の貫徹を
11・6集会が切り開いた地平の第四は、3労組の呼びかけにこたえ必死に闘いぬく中で、革共同が新指導路線を手ごたえをもって発展させたことである。
新指導路線は、反スターリン主義・革命的共産主義運動の苦難に満ちた闘いの末についに到達した路線である。その核心は、労働組合に根を張り、労働者階級の獲得を実体的基礎とした闘いの全党的な実践にある。21世紀初頭にプロレタリア革命を実現しなければ党も階級闘争も絶滅に追い込まれるという断崖絶壁の危機感に身を置き、その試練のただ中で労働者自己解放の党として革共同の変革を中央指導部を先頭にかちとろうというものである。そして、党の自己変革とは何よりも、全党総決起の実現という実践的な立場を貫徹することである。
11・6に向かう闘いの中で、革共同は全党総決起を端緒的ではあるが決定的に開始した。それは、都議選決戦と「つくる会」教科書阻止決戦の地平を継承・発展させるものとして、さまざまな壁や限界にぶつかりながらも、職場で、街頭で、懸命に闘われた。
新指導路線は、04年に闘いとられた「労働組合の革命論的意義の明確化」を踏まえ、労働者階級の決起の促進と革命的労働者党の建設を一体の課題として遂行しつつ、プロレタリア革命を現実的に引き寄せていく闘いである。それはまた、労働者階級の団結によって被抑圧人民との団結をかちとる路線である。
05年、新指導路線は教労を先頭とした4大産別決戦の実践的確立をとおして前進し、11・6をもって生き生きと発展・深化する過程に突入している。
ここで、新指導路線の現実的実体的土台として動労千葉の存在と闘いがあることを徹底的に確認したい。動労千葉労働運動に依拠し、生きた教材とすることで、労働組合運動の実践を血の通ったものとして発展させることができるのだ。
11・6の直後から、国家権力は労働運動と革命党に対する弾圧を激化させている。それは、11・6に打撃を受けた国家権力の恐怖の表れだ。戦時下の弾圧を打ち砕く力は、新指導路線の前進にある。
他方、日本共産党スターリン主義も、組織的危機に駆られて、”改憲阻止闘争から革共同を排除せよ”と絶叫する「11・5声明」を『赤旗』に掲載した。これは、日共スターリン主義の反革命的決断に基づく歴史的な踏み切りだ。
ここにおいても、動労千葉の日本労働運動、とりわけ国鉄1047名闘争における影響力の大きさが、11・6の巨大なインパクトと重なって、日共スターリン主義を徹底的に追い詰めている。
07年に至る階級決戦は、壮絶な党派闘争を伴いつつ、さらなる分岐・流動・再編・高揚情勢に入ったのだ。
第2章 職場生産点から階級的原則的労働運動を
われわれは、11・6の地平を守り、さらに発展させなければならない。革共同には、その重大な責務が課せられている。4600人の結集を実現した到達点を踏まえ、また4600人にとどまった壁を主体的に総括する中から、党の飛躍にとって待ったなしに問われる課題を徹底的に引き出さなければならない。
11・6によって突き出されたもの、05−07決戦に勝ちぬくために突きつけられているものは何か。革共同の現状の力量と情勢のギャップを、蜂起的決起とたゆまぬ日常的な実践によって突破することである。それは、党の根源的力を徹底的に引き出さなければ成し遂げられない。
そのためにも、11・6に至る闘いを総括し、突破すべき壁がどこにあるのかを明確にしたい。
動労千葉が導きの糸
その第一は、11・6集会の原動力をなしている動労千葉労働運動を、われわれの労働運動・労働組合運動の中に真の党派性・階級性として確立しきれず、その血肉化がまだ決定的に不十分だったということだ。労働者を1万人規模で獲得するためには、それにふさわしい正しい党派性と鋭い階級性が求められる。動労千葉労働運動を学ぶことが、われわれの党的力を培うものになるのである。
当面の課題は、階級的・原則的労働運動を職場生産点から構築する闘いの先頭に立つことだ。これは、まともな労働運動が皆無とも言える状況の中で、最も困難な課題である。4大産別への攻撃が激化し、労働組合の解体が進む中で、ささやかな抵抗も資本との死闘となり、既成労組指導部との党派的激突となる。だがそれは、一見、厳しい闘いに見えようとも、実は豊かな展望に満ちている。職場には怒りが渦巻き、労働者はまず一歩、行動に踏み出すことを求めているからだ。
その導きの糸は、動労千葉労働運動だ。誰にでもできる動労千葉の物販運動を出発点に、闘いを開始しよう。それは立派なランク&ファイル(現場労働者)運動である。こうした闘いをとおして職場における信頼を一歩一歩かちとり、団結をうまずたゆまず形成していくことである。そこから、労働組合権力に挑戦できる力が形成されるのだ。
職場生産点での実践の環は、宣伝・扇動戦にある。11・6に向けて踏み出した全職場でのビラまき決起をさらに恒常化していこう。動労千葉の闘いを伝えることは、誰にでもできる宣伝・扇動戦だ。
第二に、細胞建設、機関紙活動、マルクス主義の学習の基礎的な日常活動を徹底的に実践することだ。
11・6で挑戦を開始した全党総決起は、地区委員会の細胞的確立、これと一体となった産別委員会の細胞的確立によって真に実現できる。まず、会議のあり方を変革することである。機関紙を軸に討議を組織すること、機関紙を活用し拡大すること、機関紙配布網を確立することは、労働者細胞建設の原点をなす。
また、マルクス主義の学習を職場生産点における日常的活動にしなければならない。それによって労働者の階級性は研ぎ澄まされる。小泉の労働組合圧殺攻撃と対決するためには、マルクス主義の学習が死活的なのである。中野洋・動労千葉前委員長著『俺たちは鉄路に生きる2』は、生きたマルクス主義の書である。職場での学習活動に取り組もう。
こうして党の力量を根底から引き出す闘いは、当然にも党勢の拡大を目的とする。11・6の組織的総括を深め、その実践的帰結として、とりわけ青年労働者の党への結集をかちとろう。
第3章 動労千葉の闘い先頭に4大産別決戦へ!
11・6の地平を守り発展させるための第一の課題は、動労千葉の闘いを先頭にして、4大産別決戦の本格的爆発に突入することである。
全逓決戦は、郵政民営化法の成立を画期に、2年間の決戦の火ぶたを切った。民営化による全員解雇の攻撃に対して、首をかけて闘う以外にない。10・21闘争での民営化絶対反対の宣言は、4大産別全体を奮い立たせ、職場からの総決起の展望を照らし出し、11・6を突破口とする郵政民営化阻止決戦の戦略的発展を切り開いた。民営化絶対反対を一層高々と掲げ、当面の年末年始攻防を貫こう。
JPU本部は、2月9〜10日の臨時大会を前にして、郵政民営化に全面屈服し、全員首切り攻撃の最悪の先兵になり下がろうとしている。JPU中央本部を打倒し、職場から無数の反乱をつくり出して、物ダメ闘争の展望を切り開こう。
教労決戦は、「日の丸・君が代」をめぐる闘いが06年、都高教を先端に最大の勝負の時を迎える。「つくる会」教科書阻止決戦は、杉並での採択白紙撤回闘争がいよいよ本格化した。この闘いは、杉教組への絶滅攻撃を打ち破る闘いと一体をなしている。小泉による改憲攻撃への踏み切りは、教育基本法改悪阻止の闘いを階級攻防における当面の大焦点に押し上げている。
12・3教基法改悪反対全国集会に総結集しよう。「日の丸・君が代」決戦、「つくる会」教科書阻止決戦、教基法改悪阻止決戦の三つはいずれも巨大な階級決戦=政治決戦だ。改憲阻止決戦そのものとして発展させなければならない。
自治体をめぐっては、公務員賃金切り下げの攻撃が強行されている。小泉改造内閣はこの攻撃に全力を挙げている。
「骨太方針X」や4月19日の日本経団連提言に加え、11月4日には経済同友会が「地方公務員制度改革への10の提言」を打ち出した。これは、民営化、市町村合併、人員削減によって2010年頃までに公務員の総人件費を3割削減するというものだ。成果主義・能力主義賃金制度を導入・強化し、定期昇給や級格付け(わたり給)も廃止、06年に地方公務員法を改悪した上で、07年以降は第2期の三位一体改革を行うというのである。
この提言の内容は、10月25日に東京都が提案した人事制度改悪にも全面貫徹されている。公務員への民営化・賃下げ・首切り攻撃の全容がむき出しになった。石原都政下の東京都を突破口に、この攻撃を全国に拡大しようとしているのだ。
さらに11月14日、経済財政諮問会議は今後5年間で公務員定数を5%以上純減するとした「総人件費改革指針」を決定した。郵政民営化に続き、自治体民営化との闘いも一挙に正念場に突入した。
国鉄決戦は、鉄建公団訴訟の9・15反動判決に屈せず、1047名闘争を守りぬかなければならない。7・15集会の地平を発展させ、1047名の統一陣形をさらに打ち固めよう。国労本部による国鉄闘争解体策動と対決し、国労5・27臨大闘争弾圧粉砕へ12・11集会の成功を全力でかちとろう。何よりも動労千葉労働運動を国鉄労働者の中に押し広げよう。
11・6の地平を守り発展させるための第二の課題は、安保・沖縄闘争、座間、横須賀闘争などの基地闘争を全力で強化しつつ、4大産別決戦と一体のものとして改憲阻止決戦への本格的突入をかちとることである。
米日帝は、米軍再編によって朝鮮・中国侵略戦争への突入と有事体制の発動、沖縄での恒久的大基地建設をたくらんでいる。この攻撃と闘い、さらにイラクからの自衛隊撤兵へ闘いを強めよう。
沖縄闘争・基地闘争をめぐり、自治労・教労などの労働組合の決起の先頭に立とう。11・27横須賀闘争、11・27北富士闘争に決起しよう。「11・5」声明による日共スターリン主義の反革命的敵対を打ち破り、改憲阻止へ労働組合を軸とした統一戦線をなんとしても形成し発展させよう。共謀罪法案阻止、国民投票法案粉砕へ、さらに闘いを強めよう。
第三の課題は、今こそ労働者党建設の闘いを強化することである。労働運動が豊かに発展するためには、青年労働者と学生の革命党への結集をかちとることが不可欠だ。06年決戦の成否をかけて年末一時金カンパ闘争を貫徹しよう。機関紙拡大の決戦に総決起し、11・6の地平をさらに労働者の中に押し広げよう。
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週刊『前進』(2224号2面2)(2005/11/28)
11・15〜16京都 日米首脳会談を弾劾
“ブッシュと小泉が戦争の元凶” 京都御苑直撃する大デモ
11月15、16の両日、戒厳体制を突き破って日米首脳会談粉砕京都現地闘争が闘いぬかれ、大高揚した。
15日夜は、関西反戦共同行動委が京都市内のど真ん中で集会を行い、繁華街を貫くデモを打ち抜いた。四条河原河川敷の集会には230人が結集し、11・6集会の高揚を引き継いで熱気にあふれた。
冒頭、原田幸一郎全学連副委員長が基調報告に立ち、「ブッシュと小泉が諸悪の根源だ。世界を戦争と民営化で破壊しつくそうとしている2大権力者を実力で打倒しよう」と訴えた。
沖縄出身の学生が、10・30沖縄県民総決起集会に参加したことを報告した。「この会談こそ沖縄圧殺会議だ。沖縄の負担軽減などペテンだ。艦載機が離発着でき、軍港を併せもつ巨大な軍事基地を建設する大攻撃だ。沖縄と連帯して本土が決戦に立つかどうかだ」と訴えた。
続いて13日の韓国・民主労総の労働者大会に参加し帰国したばかりの学生が、5万人結集の感動を報告し、この日の闘争が民主労総と連帯した闘いであることが確認された。
労組交流センター、部落解放同盟全国連、全学連からの決意表明がなされ、戦闘的にデモをやりぬいた。飛び入りも多数だった。
日米首脳会談当日の16日、全学連を先頭とするデモ隊は、会議が行われている京都御苑を直撃するデモを打ち抜いた。
正午から京都大学本部時計台前は、全国から結集した全学連の学生、さらに全関西から集まった労働者、全国連の闘う人びとによって埋め尽くされた。なんといっても京大生の注目は圧倒的だ。午前中から京大では2千枚のビラが受け取られ、飛び入り参加者が続出し、集会は膨れ上がって300人を超えた。
全学連の新三役が怒りのアピール。続いて京大生が次々に立って、ブッシュと小泉に対する怒りの発言を続け、京都御苑を直撃する首脳会談粉砕デモへの合流を訴えた。留学生からも連帯の発言が行われた。
いよいよデモに出発だ。戒厳体制のまっただ中に、200人のデモ隊が満を持して躍り出た。織田陽介全学連委員長を先頭に、ブッシュと小泉への徹底弾劾のシュプレヒコールが鳴り響いた。デモコースは京都御苑直近を包囲するコースで、あたり一面に怒りの声がこだました。警察権力は必死に妨害を試みたが、デモ隊の怒りを押しとどめることなどできない。
小泉とブッシュを徹底弾劾するデモは、沿道の怒りを解き放ち、飛び入り参加者も多数出て、デモへの大合流がかちとられた。デモ隊への拍手や声援も次々と送られた。
中国侵略戦争を狙う米日帝
日米会談でブッシュと小泉は、日米軍事同盟の強化を確認した。とりわけ、米軍再編の「中間報告」について、首脳レベルで実行を確認したことはきわめて重大だ。沖縄を徹底的に圧殺し、辺野古沿岸での恒久的な米軍基地建設に突進するというのである。それは、日米帝が朝鮮・中国侵略戦争への突入を策しているからだ。ブッシュは会談後の記者会見で、中国を名指しにして「民主主義を拡大しろ」と言い放った。イラク侵略戦争と同様の論理で、中国スターリン主義の転覆をも狙っているのだ。
小泉は、このブッシュに対し、「テロとの闘いを支える」と称して自衛隊イラク派兵の継続を約束した。
こんな帝国主義者の侵略戦争会談を、いったい誰が認めるというのか。
真正面からブッシュ打倒、小泉打倒を訴え、日米安保同盟を実力粉砕する方針を提起した時、キャンパスや街頭の労働者・学生の怒りは解き放たれ、決起の火の手は燃え上がる。こうした情勢に完全に突入していることを鮮明にして、日米首脳会談粉砕の2日間の闘いは打ちぬかれた。
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週刊『前進』(2224号3面1)(2005/11/28)
郵政民営化に現場の反撃を
JPU中央による 竹中との「政労会見」、生田との「トップ会見」許さない
10月28日にJPU中央本部は、全郵政とともに、郵政民営化担当大臣の竹中との政労会見を行った。これに続き、11月7日には郵政公社総裁の生田との「トップ会見」を行った。これをもってJPU中央は「早期の労使協議入りを促す」「事実上の労使交渉スタート」と打ち出し、まるで対等な立場から雇用や労働条件について組合側から要求を示し、それが実現していくかのように言っている。まったくのウソ偽りだ! 徹底的に弾劾し、今こそ現場労働者の怒りで、中央本部を打倒しなければならない。
組合員の首を敵に差し出す
JPU中央本部が行ったことは、小泉・竹中・生田の軍門に下り、郵政分割・民営化を既定事実とし、完全な服従を自ら誓うものである。07年10月民営化に向けて、現場労働者の闘いをとことん封殺することを求められ、これに土下座して平伏した。自らを労働代官として認めてもらうために、組合員の首を差し出したのだ。
「政労会見における主張と要望事項」では、「郵政民営化法に関わる国会答弁並びに参議院郵政特別委員会における附帯決議を尊重」を第一にあげ、「職員の雇用の承継、処遇等の扱いについては、法に則って確実に」「新会社への帰属にあたっては本人希望の充足を」「非常勤職員の雇用継続について万全を」「移行期間中(10年間の移行期)にあっては職員の雇用安定化に万全を」などを「要望」している。こうした「要望事項」が出されること自体が、雇用と労働条件について何の保障もないことの証明であり、民営化攻撃の大量首切りとしての正体は明らかなのである。
参議院郵政特別委員会における付帯決議では、雇用関係の項で何と言っているか。
「1 現行の労働条件及び処遇が将来的にも低下することなく職員の勤労意欲が高まるように十分配慮すること。
2 民営化後の職員の雇用安定化に万全を期すること。
3 民営化の円滑な実施のため、計画の段階から労使交渉が支障なく行われること。
4 労使交渉の結果が誠実に実施されること。
5 新会社間の人事交流が円滑に行われること」
わざわざ付帯決議で、こうした事項をあげているのは、そもそも民営化法では雇用も労働条件も、労使交渉についても、何の保障もないからだ。そして、はっきりしていることは、国会のこんな「附帯決議」など一度として守られたことなどない、ということだ。
政労会見での「主張と要望事項」の中身とは、この「附帯決議」を守ってくれとお願いするものであり、生田との「トップ会見」の中身もそうである。郵政民営化とは、大量首切りであり、賃下げであり、不安定雇用化である。そして付帯決議など何の役にも立たない。これに対し、現場から、不屈の闘いが必ずやわき起こることを百も承知しているからこそ、JPUや全郵政中央は、アリバイ作りにもならない「会見」で竹中や生田にお願いし、労働者を抑えこむことを誓ったのである。
「労使自治」は団結の破壊だ
しかも、そこで重要なキーワードとなっているのが「労使自治の原則」という言葉だ。政労会見では「『労使自治の原則』を徹底すること」というJPU・全郵政側からの要望に対して、竹中は「当然適用される」とお墨付きを与えている。生田にいたっては、トップ会見で「民間にふさわしい労使関係のために重要なキーとなるのは、大事な問題は労使で余人を入れずにまとめていくことだ」とまで言っている。
「労使自治」とは何か。労働者が労働組合に結集して団結し、その闘いの力を背景に、資本と自主的に対等に団体交渉して要求を貫徹するということなのか。いや、全然逆である。JPU中央や全郵政などの労働貴族どもが、際限なく敵に屈服して現場の闘いを圧殺し、組合員の首と労働条件を売り渡していくということなのだ。
そもそも「労使自治」とは、日本経団連・奥田路線のもとで開始され、さらに推進されようとしている労働法制改悪においても、キーワードとなっている。その攻撃の重大な柱のひとつなのだ。
「労使自治」の名のもとで、要するに「労使が双方納得して決めたことだから、いいじゃないか」と、労働基準法を始めとする労働諸法規が禁止していることや、それを逸脱することでも合法としてしまうことである。それは戦後的な労働法制の完全な死を意味する。労働3法を柱とする労働法制は、労働者が血を流し闘いとってきた権利を保障し、これを侵害しようとする資本に対する規制として存在してきた側面がある。それが「規制緩和」と称して次々と骨抜きにされてきた。さらに労働法制そのものを無意味化してしまうものが「労使自治」論である。
8時間労働制ひとつとってみても、それは世界の労働者階級が百年かけ二百年かけて、血を流し命がけでかちとってきたものだ。労働者のストライキやデモに警察や軍隊が発砲し、労働者を虐殺し、逮捕・投獄してきた歴史がある。だが労働者階級は不屈に闘い抜き、自らの権利として法律にも明記させてきた。労働者の権利一つひとつ、万事がそうである。それを一気に19世紀の労働者階級の状態に引き戻そうとしているのが、小泉=奥田路線の労働法制改悪である。
JPU中央本部は、この8時間労働制を完全に踏みにじる連続深夜勤の導入を推進し、多くの現職死亡を労働者に強制してきた。さらには10時間2交代制の導入に道を開こうとしている。そして首切り・賃下げ・不安定雇用化に次々と道を開き、さらに分割・民営化の先兵となって大規模に拡大しようとしている。JPU中央がやっていることは、単に全逓労働者に対する裏切りにとどまらない、全世界の労働者階級とその闘いの歴史を敵に売り渡すものであり、その罪は万死に値する。
郵政民営化とは、そもそもデタラメな攻撃なのだ。それを「労使自治」と称して、何でもあり何でも認めるとしているのが、JPU中央本部だ。小泉・竹中・生田の郵政民営化攻撃は、そもそも虚構とペテンに満ちたものだ。労働組合が認めなければ何も通らないのだ。労働者が闘えば必ず破綻(はたん)し頓挫するものである。
臨時大会で本部総退陣へ
JPU中央は、来年2月9〜10日に臨時大会を開くとしている。これを中央本部総退陣の大会にしよう。現場労働者の怒りで、全員を引きずり降ろせ。当面する最大の攻防は、この年末年始の繁忙期だ。ただでさえ、物がたまり、毎年破綻してきたが、今回は何としてものりきろうと小泉・竹中・生田は、JPU中央に迫ったのだ。超勤拒否を始め、あらゆる闘いをまき起こし、「労使自治」の名で、現場の闘いを圧殺しようとする策動をうち破れ。今こそ「中央本部打倒、物ダメ・ストライキで闘おう」の旗を鮮明にしよう。
11・6労働者集会は、戦争と民営化=労組破壊の攻撃に対する国際連帯と団結による労働者階級の総反撃を告げ知らせた。4大産別決戦と改憲阻止決戦が結合し、巨大な階級決戦の展望を開いた。闘う全逓労働者は、首をかけて民営化絶対反対を貫くことを誓い、全員が会場中央で立ち上がって満場からの激励の拍手を受けた。これを新たな出発点に、戦争と民営化、そして改憲の手先となったJPU本部打倒に、全逓労働者は現場から闘いをまき起こそう。
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週刊『前進』(2224号3面2)(2005/11/28)
スト倒した都労連本部 現場の闘いで組合再生を
団結破壊する査定昇給導入
都労連は今秋の賃金確定闘争で、きわめて屈服的な内容で当局と妥結し15日に予定していたストライキを直前に中止した。当局提案のマイナス人勧と人事制度改悪案の核心的狙いは、労働組合(都労連)の団結破壊にある。これを粉砕するためには、断固ストライキに決起し、団結を一層強固に固めることが問われていた。スト中止は、組合員の願いと勝利の方向を裏切るものであり、断じて認められない。
交渉の結果、級格付け制度の廃止が08年3月31日まで延期されたほかは、大枠、都の提案どおりで妥結となった。
普通昇給と特別昇給を廃止して査定昇給に一本化する10・25人事制度改悪案が導入されることになったことは、職場の団結に大きな影響を与える。
これまでは、一般職員であっても退職まで係長級の賃金を保証されており、それが都労連としての団結の基礎となっていた。
査定昇給制度が導入されれば、昇任試験を受けて合格し、上司から高い評価を受けないと昇給しない。一般職員はいつまでも低い昇給にとどまり、ごく一部のエリート幹部候補だけが昇給することになる。
政府・財界の意図を先取り
この人事制度改悪案は、小泉構造改革そのものであり、経済財政諮問会議で議論されている内容を先取りするものである。
経済財政諮問会議は今、地方公務員の人件費削減―リストラと賃金制度改悪を集中的に議論している。市場化テストもこの会議で具体化されてきた。11月9日の会合では「地方公務員の枠外昇給の廃止」を確認した。
さらに地方中堅企業経営者組織である経済同友会が11月4日付で「地方公務員制度改革への10の提言」を発表した。提言8では、「地方公務員の給与制度を、能力主義・成果主義にふさわしいものに構造的に改革する」と打ち出し、提言9では、労働3権は制限したまま、民間同様に解雇できるよう地方公務員法を変えよと述べている。
まさに今秋闘における都の提案は、小泉政権や日本経団連や経済同友会の主張している内容そのものである。都は彼らの意を受けて交渉に臨んだのだ。
日本経団連や経済同友会の主張とは「総額人件費の削減」である。官民問わず、正社員であろうが非正規雇用であろうが、すべての労働者の全面的な賃下げである。この暴挙を絶対に許してはならない。
動労千葉ストの教訓今こそ
そもそも級格付け制度にしろ、隔遠地特昇など特別昇給にしろ、地方公務員の賃金が人勧で低い水準に押し込められる中で、それを打ち破る現場の決起と闘いがあって、かちとってきた地平である。
国・財界・マスコミあげての公務員バッシングに沈黙し続け、闘うことなく権利剥奪(はくだつ)を認めていくことに、現場では「がまんできない」と怒りが充満している。
今回の秋闘も、組合活動が厳しく制限される攻撃の中で、現業職を中心にかつてない動員を実現した。それだけ現場の危機感と怒りが激しいのだ。さらに、小泉改革の暴挙に全産別の労働者が苦しみ、怒り、闘いを求めている。
問われているのは、ストを決断し、貫徹する指導部の存在と方針だ。都労連の組合員は、断固闘う方針を求めている。
日本には、国家をあげた国鉄労働運動バッシングを打ち破ってストライキを貫徹し、職場の団結と職場支配権を守りぬいてきた動労千葉の貴重な経験がある。
動労千葉は今、戦争と民営化―組合つぶしの攻撃が激化する中で、ストライキで反撃し、反合・運転保安闘争を原則的に闘い、配転され「塩づけ」にされていた仲間の職場復帰をかちとり、外注化を阻み、レール交換させるなど要求を実現している。
この動労千葉などが呼びかけ、日比谷野音を埋めつくした11・6集会は、日米韓の労働者が団結して民営化・戦争・組合つぶしと闘うことを宣言した。全労働者の団結で小泉構造改革を粉砕することを宣言した。
動労千葉は、現場の労働者の団結した力を信頼し、そこだけに依拠して当局―権力―JR総連と闘い抜いてきた。今こそ都の労働者の現場から職場の団結と闘いを取り戻して、動労千葉のように闘おう。ともにこの道を進もう。
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週刊『前進』(2224号3面3)(2005/11/28)
関西生コン支部への新たなデッチあげ弾圧を弾劾する 3労組共闘の破壊狙う攻撃
11月9日、大阪府警は、戸田ひさよし門真市議(全日本建設運輸連帯労働組合近畿地本委員長)に対して「政治資金規正法」違反なる罪状をデッチあげ、戸田事務所、関生会館ほか二十数カ所への家宅捜索を行った。しかもこの弾圧に府警公安部がマスコミ各社を引き連れ大々的な政治的演出まで行った。
動労千葉・港合同とともに階級的労働運動を貫き、11・6労働者集会の中心的役割を果たした関西生コン支部への階級的憎しみを込めた11・9弾圧を、われわれは、満身の怒りを込めて弾劾する。そして階級的連帯の力で絶対に粉砕する決意をあらためて宣言する。
第一に、日帝権力=大阪府警の今回の弾圧は、階級的労働運動と、その闘いを地方議会で貫く戸田市議への反革命襲撃である。「戦争と民営化」で4大産別の労働運動と労働組合を解体するためには、その結集軸となる階級的労働運動が国際的規模で発展していくことをなんとしても阻止するというのが日帝権力の階級意思である。関生への今年冒頭からの3次にわたる大弾圧はそのことを示している。昨年11・7労働者集会の直後から第1次弾圧を計画し、年明け早々に武建一委員長を始め関生役員を次々に逮捕していったのと同様に、まさに、11・6集会への報復的大弾圧だ。
第二に、「政治資金規正法」違反であわよくば戸田市議の議員資格を剥奪(はくだつ)しようという反革命襲撃である。
戸田市議は03年の市議選でトップ当選を果たした、地方議会と労働運動の実践的活動家である。反戦・福祉議員ネットの中心として「戦争と民営化」との闘いを貫いている、労働者階級にとって最も必要な議員である。全日建連帯近畿地本の委員長として階級的労働運動の息吹を地方議会でいかんなく発揮してきた希有な存在である。今回の大弾圧は、戸田議員の闘いとともに反戦・福祉議員ネットをも解体しようという許しがたい反革命である。
第三に、これこそ最も大阪府警が狙っていることだが、武委員長始め獄中の関生役員の奪還を妨害し阻止するためである。11月10日の第1次・第2次弾圧併合公判を前にして、戸田議員と関生支部の「政治資金規正法」違反をデッチあげ、強要未遂・威力業務妨害での第1次、第2次弾圧の破産を取りつくろおうとするものである。武委員長始め被告団の完黙・非転向の闘いと関生支部の階級的原則を貫く闘いで、強要未遂と威力業務妨害のデッチあげが公判で明らかにされ、被告の勾留の不当性があまりにも明白となり、「直ちに釈放せよ」の声と闘いが高まる中で、第3のデッチあげ弾圧に出てきたのだ。
大阪府警は、武委員長を超長期に勾留し、連帯労組から最高指導部を切り離し、解体しようとしている。しかし、武委員長が築きあげてきた階級的労働組合の組合員とその執行部は、武委員長の指導のもとで鍛えられた百戦錬磨の闘士たちであり、この1年間の闘いが弾圧の意図をことごとく粉砕しているのだ。
弾圧への怒りをもって出版された『告発!逮捕劇の真相』は、武委員長とそのもとで形成されてきた連帯労組の階級意識の高さを感動的に描いている。
11・6国際連帯闘争の地平の一層の発展のために、武委員長と全被告の奪還を1日も早く闘いとろう。「政治資金規正法」違反のデッチあげによる、武委員長と被告団への報復的拘束を許してはならない。さらに、戸田市議への逮捕攻撃を絶対に阻止しなければならない。
第四に、11・6集会直後の弾圧であることが示しているように、今回の弾圧は3労組共闘の破壊の攻撃である。3労組共闘は、11・6国際連帯闘争に向けて「共同闘争ニュース」を発行するなど、共同した闘いを前進させてきた。そして11・6集会の圧倒的な成功をかちとった。この3労組共闘は、今や「戦争と民営化」攻撃のもとで苦闘を強いられている労働者の結集軸に発展しつつある。だからこそ、日帝・小泉、奥田らは、数十万、数百万の労働者が3労組と結合することを心底から恐れて、闘う3労組への弾圧を強めているのである。
階級的労働運動の中核への弾圧こそ、関生弾圧の核心である。今回の新たな弾圧を、動労千葉・港合同との固い階級的団結への破壊攻撃として受けとめ、関生支部への連帯を今こそ全力で発揮しよう。
革共同はこの弾圧を絶対に許さない。連帯労組は組織をあげて階級的原則を貫き、大衆的反撃を呼びかけている。戸田市議も意気軒高と闘いの決意を明らかにしている。階級的友誼(ゆうぎ)にかけて連帯労組への大弾圧を総力で粉砕するために総決起しよう。12・3関生弾圧粉砕集会に総結集しよう。
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12・3関生弾圧粉砕集会
場所 大阪森ノ宮ピロティホール
JR環状線・地下鉄「森ノ宮駅」下車すぐ
(大阪市中央区森ノ宮中央1−17−15)
12月3日(土)13時開会 集会後デモ
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週刊『前進』(2224号3面4)(2005/11/28)
「労働契約法」阻止へ 合同労組が厚労省に抗議
11・6全国労働者集会の翌7日午前10時、全国集会に結集した私たち関西合同労組を始め地域合同労組6組合は、厚生労働省に対して、「今後の労働契約法制のあり方に関する研究会」の最終報告書に対する抗議を行い「報告」の内容を問いただしました。(写真)
労働契約法制反対の申入書を読み上げて渡した後、最終報告の内容について、「解雇の金銭解決」の導入などとともに、特に「常設的な労使委員会制度」について抗議しました。
「労使委員会制度は、労働組合を無視し労働者の団結権を侵害するものではないのか」との質問に、担当官は「労使委員会の決定に異議があれば争うこともできるのですから少数意見を無視してはいないと思います」と返答。これで参加者の怒りがさらに高まりました。「異議があれば争うというのは裁判をするということだろう。これまでの解雇の裁判では使用者が解雇の正当性を立証する責任があったが、労使委員会が決議した場合、労働者が解雇の不合理性を証明するようになる。全然話が逆ではないか」「低賃金労働者に弁護士を雇って裁判をしろというのか」「労使委員会などつくらずに組合づくりを奨励すべきじゃないか」
結局、この問題だけで予定の時間が過ぎ、担当官は「今後も必要なら話をします」と答えざるをえず、すごすごと引き上げました。
申し入れの終了後、厚生労働省の前でビラまきを行い、霞が関を歩く昼休みの労働者にも労働契約法制反対を訴えました。
今回の行動はささやかなものでしたが、労働契約法制反対行動としても、全国の合同労組の共同行動としても、重要な第1波行動でした。4大産別の闘いと結合して、民間合同労組も闘います。今後は労働契約法制反対の取り組みをより大きく広げていくことが課題です。
(投稿・関西合同労組S・K)
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週刊『前進』(2224号3面5)(2005/11/28)
闘う労働者党の建設へ圧倒的な年末カンパを
動労千葉など三つの労働組合の呼びかけで開かれた11・6労働者集会は、韓国、アメリカ、そして日本全国から集まった4600人の国境を越えた団結の熱気で埋めつくされました。戦争と民営化、組合つぶしの攻撃は世界共通です。これをはね返す力は「労働者はひとつだ」という国際的団結と連帯の行動と、これを根底で支えぬく本物の革命党、労働者党の創成です。労働者階級がいったん決起したら小泉反革命などガラス細工のようにもろいのです。
8・8−9・11の解散・総選挙の渦中で小泉=奥田、日帝ブルジョアジーどもはいったい何と言ったか。「既得権益にしがみつくものはクズだ」「1000兆円の国の借金をつくりだしたのは公務員労働者だ」
冗談ではありません。この社会を支え、日夜動かしているのは労働者です。その労働者階級人民から搾り取った税金を湯水のように使って自己破産を招いたものこそ小泉・自民党にほかならないのです。
労働者の平均賃金が15年前の水準に後戻りし、年収200万円以下の世帯が2割に達する一方でトヨタの年間純利益は3年連続で1兆円を超える、こんな世の中は根本からひっくり返さなければなりません。140年前にパリの労働者が、100年前にロシアの労働者が始めた大事業を、そして戦後革命期、私たちの先輩が果敢に挑戦した闘いを、今こそ完遂していく時がきたのです。
11・16日米首脳会談での米軍再編合意の推進約束、自民党新憲法草案決定、郵政民営化法に続く公務員制度大改悪、消費税増税を含む大増税に向けた攻撃。11・6労働者集会をはさんで事態は本当にただならない様相を示し始めています。
しかし闘いは本当にこれからです。否、すでに新たな闘いが続々と開始されています。実際に郵政民営化が施行される05年〜07年の過程で、郵政労働者の現場からのやむにやまれぬ闘いは必ず爆発します。戦後一貫して日本労働運動の先頭に立ってきた全逓、自治体、教労、国鉄の4大産別の現場労働者の怒りと闘いが、たたき折られたわけではありません。
11・6労働者集会の高揚は、13日ソウルでの民主労総労働者大会5万人の大成功に直ちに引き継がれました。問題はその力を本当に一つにし、原則的で階級的な動労千葉労働運動を日本全国に全世界に力強く発展させ、すべての労働者のものとしていくことです。動労千葉労働運動がつくりだした団結を、すべての職場、すべての地域に私たち自身の力で力強くつくりだすことです。4大産別決戦と改憲阻止決戦を一体のものとして闘うことです。その時、労働者は必ず勝利できます。
この大事業の歴史的勝利へ、革共同とともに闘おうではありませんか。この歴史の一大転換期、人生かけた渾身(こんしん)のカンパを心よりお願いいたします。
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週刊『前進』(2224号3面6)(2005/11/28)
11・6集会報告集ができた!
集会の全発言を収録した『11・6全国労働者総決起集会報告集』が発行された。呼びかけ3労組と米韓労働者の発言は日米韓3言語で収録されている。このパンフを活用し、集会の熱気と感動を労働者の中へ一層広げよう。
☆発行 11・6集会実行委員会/B5判50n/頒価500円
☆注文先 千葉市中央区要町2−8DC会館/TEL 043-222-7207 / FAX 043-224-7197 /E-mail doro-chiba@doro-chiba.org
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週刊『前進』(2224号4面1)(2005/11/28)
3200人が座間基地を包囲 “米軍司令部来るな”
韓国・沖縄と連帯し決起
11月13日、「原子力空母の母港化に反対し基地のない神奈川をめざす県央共闘会議」「神奈川平和運動センター」「米陸軍第一軍団の移駐を歓迎しない会」を軸とした実行委員会の主催でキャンプ座間包囲行動が闘われた。人間の鎖行動は2月19日に続く闘いだ。
10月29日にワシントンで日米安保協議委員会(2プラス2)による米軍再編の「中間報告」が発表され、多くの労働者、基地周辺住民が怒りを充満させて行動に立ち上がった。米軍や日本政府は、労働者や周辺住民、自治体の反対を顧みず強行しようとしている。なんでも独裁的に強行する小泉政権の凶暴性が現れている。こんな日米政府のやり方を絶対に許さないと3200人を超える労働者・民衆が参加した
前段集会が1時から座間公園で、相模原市議会議員の西村あやこさんの司会で行われた。西村議員は午前中に相模原市基地対策協議会主催の反対集会(1710人)に参加し、集会決議文を相模補給廠(しょう)と座間基地へ突きつけたことを報告した。相模原市は米陸軍第1軍団司令部移転に反対し、21万人の署名を集め、相模補給廠への自衛隊移駐と共同使用に対しても反対運動を始めた。
婦人民主クラブ全国協相模原支部の女性は「同級生の3分の2が先の戦争で犠牲になりました。人の命が失われて初めて日本が何をやってきたのか分かりました。今また日本はアフガニスタン、イラクに参戦し、座間基地に米陸軍司令部を移転させ、自衛隊と一体となってアジアへの戦争指揮を執ろうとしています。こんな米軍司令部移転を阻止しましょう」と参加者の心に響く訴えを行った。
在韓米軍基地再編と闘う韓国から仁川市民主労働党委員長の金聖珍(キムソンジン)氏が訴えた。「米軍は韓国の基地を平澤(ピョンテク)市に集中させようとしている。農家のおじいさん、おばあさんが警察にこん棒で打たれながら闘っています。仁川(インチョン)にはパトリオット基地を造ろうとしています。梅香里(メヒャンニ)の射爆場も島に移されただけです。済州島(チェジュド)には軍港が造られる。韓国全体が米国の基地になろうとしている。生存権が蹂躙(じゅうりん)されている。アジアと世界の平和のために闘おう」。県央共闘会議はすでに5回の訪韓で反基地闘争を国際連帯の闘いとして強めた。
消防署駐車場と座間公園の2カ所で行われた全体集会は沖縄を始め全関東から労組の旗が林立し、会場あふれる人波の中で2時から行われた。県央共闘会議代表の大波修二さんが主催者あいさつを行った。
「座間基地に米陸軍第1軍団司令部と陸自中央即応集団司令部が移転して来ようとしている。相模補給廠にも1300人の自衛隊普通科連隊が来ようとしている。神奈川は戦争の前線基地の司令部になろうとしている。座間基地から地球全体に軍事司令を出し、たて突く者を攻撃しようとしている。自民党は憲法改悪案で9条2項を削除し、自衛軍を明記している。座間、県央から闘いをつくろう」
沖縄平和運動センターの山城博治さんは「辺野古は2年越しの闘いで米軍に大打撃を与えている。しかし日米政府はキャンプシュワブ沿岸に1800bの滑走路を造ろうとしている。県民の怒りが燃え上がっている」と怒りを示した。
基地包囲は、3時から3回にわたって座間市側の司令部エリアの完全包囲に成功し、人間の鎖でウエーブを行い基地に向かって怒りをたたきつけた。正面ゲートでは2重3重の人垣ができ、ウエーブとシュプレヒコールが巻き起こった。
今回の基地包囲行動は、米軍再編「中間報告」で労働者や住民の反対闘争が完全に無視されて怒りが倍加し、前回よりも600人も多かった。
11月18日には座間市が反対集会を行い、1971年に国と座間市が取り交わした覚書と確認書に違反していると怒りの声を上げた。そこには「国がキャンプ座間の基地縮小について最大限の努力をする」「実現不可能な場合は覚書を無効とし、自衛隊の使用は取り消す」となっている。
米軍再編と自衛隊の統合司令部づくりは、基地の共同使用で北朝鮮、中国への戦争を準備することだ。米陸軍第1軍団は、米4軍の指揮を執り、侵略殴り込みの部隊となる。有事には15万人を指揮する。新設される陸自中央即応集団は米軍と一緒に侵略戦争を担う部隊として位置づけられている。相模補給廠には自衛隊緊急即応普通科連隊が移転し、米軍との共同使用となる。原子力空母の横須賀配備も粉砕あるのみだ。集会では、11月27日午後3時から横須賀市のヴェルニー公園で原子力空母の横須賀配備反対の大闘争が訴えられた。
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週刊『前進』(2224号4面2)(2005/11/28)
原子力空母の母港化阻止! 11・27横須賀闘争に立とう
米海軍が10月27日、神奈川県の横須賀基地を事実上の母港としている通常型空母「キティホーク」を08年に退役させ、原子力空母を後継艦とすると発表した。後継艦は「9隻あるニミッツ級の空母」で、アフガニスタン侵略戦争やイラク侵略戦争で作戦に加わってきた「カールビンソン」が有力視されている。
作戦能力が向上
横須賀基地への原子力空母配備は、米軍トランスフォーメーション(変革・再編・再配置)と一体のもので、米軍の対中国・北朝鮮作戦能力の大幅な向上が目的だ。
原子力空母は、軽油を燃料とする「キティホーク」のような通常型空母と違い、動力源となる核燃料棒の交換が25年に1回だけで済む。したがって燃料補給を考慮せずに、軍事行動ができる。また燃料補給が必要ない分、航空燃料や爆弾を多く積めるので、通常型空母よりも戦力が大きい。原子力空母の配備は通常型と比較して格段の戦力アップとなる。
米海軍は01年9・11反米ゲリラ以後の戦争で、空母を洋上に置き、出撃、補給の拠点として活用する「シー・ベーシング(洋上基地)」と呼ばれる戦術を採用している。これには燃料補給が不必要な原子力空母が最適だ。
また米海軍はこの間、対中国軍の監視活動を重視しており、原子力潜水艦以外には追いつけない速力を持つ原子力空母の配備が必要だ。中国海軍が主に使用するのは通常動力の潜水艦なので、米軍は原子力空母を投入することで軍事的優位を保つことができる。
空母2隻態勢に
米国防総省は01年QDR(4年ごとの戦力見直し)で、中東から北東アジアにかけての弓状の地域を「不安定の弧」と名付け、空母戦闘群の増強を打ち出した。これを受けて米海軍は空母12隻のうち7隻を太平洋方面に配備し、日本、グアム、シンガポールで囲まれた三角形の海域に常時2隻の空母を稼働させることを決めた。
そのために米海軍はこの間、長崎県の佐世保基地を空母の寄港地化することを狙って、頻繁に入港をくり返し、既成事実を積み重ねている。佐世保基地は水深が浅いので母港化は無理だが、必要な時には沖合に停泊し、艦載機と乗員が山口県の岩国基地に向かう。原子力空母の横須賀配備と佐世保の準母港化(原子力空母)で、日本列島が空母の一大出撃拠点となるのである。
事故の危険性
原子力空母の横須賀配備で原子炉事故の危険性と隣り合わせとなる。
原子力空母とは原子炉を搭載して動力源とする空母だ。その原子炉は加圧軽水炉で、原発の原子炉と原理は同じだ。つまり原子力空母は船の上の原発なのである。空母に積まれた原子炉は、最高レベルの軍事機密で、構造はもとより、どの位置にあるのかも公表されていない。出力規模も不明だが推進性能から約30万`ワットと推定されている。これは関西電力の福井美浜原発1号炉に匹敵する。
原子力空母の原子炉の事故の可能性は陸上の原発よりもはるかに大きい。
@狭い船体内に設置するため、炉心設計に余裕がないA放射能防護のための格納容器が不十分B船内のため炉心が絶えず振動や衝撃にさらされるC海難事故による原子炉や付属設備の破壊、破損がありうるD寄港、作戦などによる無理な出力調整が強いられるE核ミサイルの高性能火薬との同居F交戦による炉の破壊、故障――など、際だって大きな危険性を持っている(原子力空母の横須賀母港問題を考える市民の会ウェブサイトより)。
神奈川の基地
米軍再編協議で神奈川県の米軍基地については、@キャンプ座間への米陸軍第1軍団司令部の改編移転と陸自中央即応集団司令部の新設A米軍相模総合補給廠(相模原市)への陸自緊急即応普通科連隊1300人配置B米海軍厚木基地(大和、綾瀬市)の艦載機部隊約70機のうち57機の米海兵隊岩国基地移転と岩国基地の自衛隊機17機の厚木移転――などさまざまな基地強化が画策されている。
基地の共用化が進み、日米共同作戦体制が飛躍的に強化されようとしている。沖縄と並んで神奈川が日米の北朝鮮・中国侵略戦争の拠点として強化されることに対して、県内を始めとする労働者人民の怒りが高まっている。11・27横須賀闘争が呼びかけられている。ともに闘おう。
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原子力空母の横須賀母港化許すな!
11・27横須賀闘争
11月27日(日)午後3時から
ヴェルニー公園(横須賀市汐入町1−1)
JR横須賀駅下車すぐ
主催/実行委員会
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週刊『前進』(2224号4面3)(2005/11/28)
危機深めるブッシュ政権 副大統領主席補佐官が起訴
イラク開戦理由ねつ造 隠蔽で偽証と司法妨害
ブッシュ政権中枢部の犯罪
米帝ブッシュ政権の危機がいよいよ深まっている。米帝が中東石油の強奪と世界支配の再編成をかけて開始したイラク侵略戦争が完全に泥沼化し、今や米帝はイラク人民の民族解放・革命戦争を制圧する展望を完全に失っている。アメリカの労働者人民の反戦闘争も数十万という規模で爆発している。
こうした中で、ブッシュ政権の中枢にいる人物が特別検察官に起訴される事態にまで至った。10月28日、米副大統領チェイニーの首席補佐官のルイス・リビーがCIA工作員の名前をマスコミに流したことに関連して偽証、司法妨害などの罪で起訴された。もう一人取りざたされていたブッシュの次席補佐官であるカール・ローブは今回は起訴されなかったが捜査は継続している。フィッツジェラルド特別検察官は、起訴するかどうかの検討を次の陪審員に要請するとしている。リビー副大統領首席補佐官の事件は、CIA工作員の身元情報をリークしたことが核心であるがそれについては「証拠不十分」として見送られた。
そもそもこの事件にはチェイニー副大統領を始め、ブッシュ政権自体がその中心にいる。ブッシュ政権は、イラク侵略戦争への突入の理由として、イラクの大量破壊兵器の開発・保有と、フセイン政権とアルカイダとのつながりを二つの主要な根拠としてあげた。しかしそのいずれもが偽情報のデッチあげによるデマ宣伝だったのである。その中でも特に、イラクが核兵器を開発し持とうとしているということが開戦理由として決定的な位置を持っていた。
米帝がイラク戦争の開戦理由としてデッチあげたイラクの核兵器開発の情報なるものは大きく二つあった。その第一がフセイン政権がアフリカのニジェールから500dものイエローケーキ・ウラン(ウラン精鉱)を買おうとしているということであり、もう一つはウラン濃縮用のアルミニウム管を買ったということである。
ではブッシュ政権はどのようにしてニジェールからのウラン購入という架空の話をデッチあげたのか。
まず、チェイニー副大統領が2002年2月、CIAの報告者に対して、ニジェールからのイエローケーキ購入について聞いたので詳しく調べるようにと指示し、それに基づいてジョセフ・ウイルソン元駐ガボン大使をニジェールに送った。ウイルソン元大使は、ニジェールに行って調査した結果として情報は信頼できないとした。CIA自身もこの情報を信用できないとしていた。
イタリア発の偽情報で復活
ところが02年9月にチェイニーがテレビ番組でイラクが核兵器を再び開発しようとしていると発言した。そしてイタリア軍情報部の責任者ポラーリが訪米し、国家安全保障顧問のスティーブ・ハドレイと会った。そしてこの偽情報が、イタリアのベルルスコーニ首相が所有するメディアの一つである雑誌パノラマの記事となった。この過程でイラクとニジェールの合意文書までが「証拠」としてデッチあげられていた。この雑誌社は記事を書いた女性記者にこの情報を直ちにローマのアメリカ大使館に伝えるように指示した。彼女はこれを米大使館に伝え、米大使館はそれをワシントンに送り、米英の情報機関が入手した。
こうして信頼できないと否定されていた情報が、「イタリアからの情報」として復活した。そしてブッシュは03年2月の一般教書演説で「イギリス政府からの情報によれば、フセイン政権がニジェールからウランを購入し核兵器を開発しようとしている」と主張し、イラク侵略戦争開戦へと突き進んだ。
その後、ウイルソン元大使が03年7月6日、ニューヨーク・タイムズに投稿し、ブッシュ政権がイラク攻撃を正当化するため自分の報告を無視したと非難した。これに対しブッシュ政権はすぐ後に元大使の妻がCIAの工作員であることを暴露し、彼女の社会的関係を破壊する手段に出た。
このように偽情報デッチあげの中心にチェイニー副大統領が存在しており、身元情報の暴露はこの情報を否定したことへの報復であることは明白であり、チェイニーの指示によるものであることも明白だ。
しかし、この事件で副大統領の首席補佐官が起訴されたことは、ブッシュ政権にとって決定的な危機である。ブッシュは開戦理由としたイラクの大量破壊兵器がなかったことについて、情報機関の情報が不正確だったと責任を転嫁しているが、実際はブッシュ政権が意図的に、外国の政府機関をも巻き込みながらデッチあげたものなのである。
拷問も正当化するブッシュ
さらにイラクとアルカイダとの関係の問題も、ブッシュ政権がウソだと分かっていながら主張し続けたことが明らかになっている。アブグレイブ収容所での拷問で収容者を虐殺した事実をCIAが隠蔽していたことも暴かれている。キューバのグアンタナモ収容所での虐待・拷問、それに抗議する収容者のハンガーストライキに対する暴行の事実も明らかになっている。さらにCIAが東欧に秘密の収容施設をつくり、アフガニスタンやイラクで拘束された人びとを収容していることが暴露されている。しかも、米英軍は国際法で禁止された化学兵器である白リン爆弾を使っている。
この収容者に対する米軍の拷問・虐待・虐殺への非難の声も全世界で巻き起こっており、米議会でも問題になり始めている。これに対してブッシュ政権は、彼らを「敵戦闘員」と規定することにより、あらゆる違法行為を正当化している。そもそもチェイニーは、「テロとの戦いで大統領は最大限の柔軟性を持つ必要がある」と拷問を容認する必要を主張している。
こうした事実が次々と暴露される中でブッシュ政権の支持率は下降の一途をたどっている。最近のニューズ・ウィークの世論調査では支持率は36%まで落ちた。米上院の議員からは「撤退への戦略を示せ」という要求が上がっている。
イラク撤兵へ連帯し闘おう
しかし、米帝はけっしてイラクから撤退することはできない。米帝が、中東支配と帝国主義間争闘戦をかけて開始したイラク侵略戦争で敗北を認めることは、帝国主義間争闘戦でも決定的な後退を強いられることを意味しているからだ。
新憲法の国民投票は強行したものの、イラク人民の民族解放闘争を決して制圧できず、米兵の死者は増える一方だ。12月に予定されている議会選挙や正式政府発足を取り繕ってもカイライ政権が安定することはありえない。米軍でさえ解放戦争を制圧できない中で米軍が撤退したらたちまちカイライ政権が崩壊することはあまりにも明白だ。
すでにイラク侵略戦争による原油価格の高騰が巨大なボディーブローとなって帝国主義世界経済を撃沈しようとしている時に、米帝のイラクからの敗退は、帝国主義の危機を爆発させることは間違いない。
危機にあがきながら、イラク侵略戦争から北朝鮮・中国侵略戦争、世界戦争へとのめり込む米帝ブッシュをイラク人民・ムスリム人民と連帯して打倒しよう。イラク参戦を継続し、戦争と改憲に突き進む日帝・小泉を打倒しよう。日帝の労働運動破壊攻撃を粉砕し、改憲を阻止しよう。
(秋原義明)
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週刊『前進』(2224号4面4)(2005/11/28)
「辺野古沿岸」への移設
「日本全体の安全」叫び沖縄に基地を押し付け
沖縄戦と同じ犠牲の強要だ
「日本全体の利益を考えるとやむを得ないという点で、理解してもらわないといけない」。小泉は11月11日の全国知事会議で、沖縄を始め基地負担を強いる都道府県に対して、こう述べた。そして、沖縄に対して次のように言い放った。
「沖縄が最大の基地の負担をしているのに、事前に話がなかったという気持ちは分かるが、日本全体の安全に関する問題だということを理解してほしい」
普天間基地の移設先を名護市辺野古崎に日米協議で合意した日帝・小泉は、沖縄に押しつける論理として「日本全体の利益」「日本全体の安全」を持ち出した。これは、「国体護持のための捨て石」として15万人もの沖縄人民を殺したあの沖縄戦とまさに同じ論理ではないか。「日本の安全のために負担を甘受せよ」という一方的な押しつけが行われているのだ。
しかも、それは中国・朝鮮侵略戦争にとって絶対不可欠なものとして建設されようとしている。再びアジア人民を大虐殺する戦争の最前線基地にするということなのだ。
この日の午前、小泉は米軍再編の中間報告合意事項の「迅速な実施を確保」することを閣議決定した。これは来年3月の最終報告までの間に、米軍再編に反対する各自治体を抑え込み、基地強化を押しつけることを意味している。米帝との間では、すでに「変更の余地なし」を確認しており、日帝・小泉としては何がなんでも日米合意を貫徹する構えなのである。
しかも、沖縄県が反対しても、建設が可能になるように、公有水面の埋め立て工事に必要な知事の承認権限を国に移す法整備(特別措置法)を策動している。これは、沖縄軍用地強制使用のための特措法以上に、沖縄の意思を一切無視して新しい基地建設を強行するものであり、とんでもない悪法である。このもくろみが報道された時、沖縄で一斉に怒りの声が上がり、日帝・政府は「今は考えていない」などと取り繕った。だが、15日の記者会見で安倍官房長官は「(特措法について)政府・与党協議会の幹事会で議論していくことになる」と述べ、沖縄がどれだけ反対しても強行する意志をむき出しにした。
稲嶺や岸本の反対はペテン
辺野古沿岸建設に対して、当初「論外」と言っていた名護市の岸本市長は、9日の額賀防衛庁長官との会談で、「名護市は移設を容認した経緯がある。絶対反対ではない」と態度を「軟化」させている。
また、稲嶺知事は、「反対」の理由として「辺野古沖海上基地建設以外のあらゆる案は検討済み」と強調し、再びもともとの海上基地建設の案に戻そうとしているのだ。新基地建設に反対でもなんでもないのだ。
これまでも辺野古沖建設を推進してきた稲嶺や岸本の動きに期待を寄せる余地はまったくない。日米帝の焦りに駆られた新基地建設に対する労働者人民の怒りの爆発で絶対に粉砕しよう。現に沖縄人民の怒りは沸騰している。
辺野古の海と陸での不屈の580日の実力闘争が、沖縄人民の広範な支持のもとに闘われ、ついに辺野古沖海上基地建設を阻止した。闘いによって切り開かれた勝利である。不退転の人民の闘いによって、新基地建設は必ず粉砕することができる。沖縄の闘いに連帯した全労働者人民の闘いをつくり出そう。
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週刊『前進』(2224号4面5)(2005/11/28)
11月8日〜15日
全国知事会で小泉が居直り
「米軍再編」推進へ閣議決定
●イラク多国籍軍駐留を1年延長 国連安保理は、米軍などを中心とする多国籍軍のイラク駐留期限を06年末まで1年間延長する決議案を全会一致で採択した。決議案は英米や日本など5カ国が提案した。(8日)
●「12年完了で日米合意」 ローレス米国防副次官は、在日米軍再編をめぐり、普天間飛行場移設と米海兵隊約6千人のグアム移転など再編計画全体について、2012年までに実現を目指すことで日米両政府が大筋合意済みであることを明らかにした。(8日)
●浅瀬案なら検討可能と名護市長 額賀防衛庁長官と名護市の岸本市長が会談した。岸本市長は「合意案を拒否しているわけではないが、このままでは受け入れられない」と述べ、騒音問題などを指摘。「浅瀬案だったらOKだった」と述べ、あらためて海上建設の浅瀬案なら受け入れの検討が可能との認識を伝えた。「絶対反対というわけではない」と柔軟対応の姿勢を示した。(9日)
●地籍不明軍用地訴訟、原告側の請求を棄却
軍用地の強制使用認定は財産権や適正手続きを保障した憲法に違反するなどとして、米軍嘉手納基地内の土地所有者8人が内閣総理大臣を相手に02年の強制使用認定の取り消しを求めた訴訟で、那覇地裁が原告側の請求を棄却する判決を出した。(9日)
●米軍再編中間報告で「必要な措置」閣議決定 政府は、在日米軍再編の中間報告の的確、迅速な実施のため「必要な措置を講ずるよう検討する」という「当面の取り組み」の基本方針を閣議決定した。「必要な措置」について額賀防衛庁長官は「予算措置を含めた総合的観点」と説明、移設先の振興策や移転費用の日本側負担などを想定していると示唆した。(11日)
●沖縄知事「移設、容認できぬ」 沖縄県の稲嶺知事は全国知事会議で小泉首相に対し、米軍普天間飛行場の移設案について「今回の合意内容では早期返還につながらない。沖縄県民は終戦60年間、高い負担を受けてきた。基地の固定化への県民の心情を理解願いたい」と訴えた。小泉首相は「日本全体の安全の問題」と言い、「ご理解頂くよう努力したい」と答えた。(11日)
●靖国参拝「残念」 アジア太平洋経済協力会議(APEC)出席のため釜山を訪れた麻生外相が韓国の潘基文(パンギムン)外交通商相と会談した。潘外相は「最近になって歴史認識の問題で困難に直面し、残念に思う」と述べ、10月に小泉首相が靖国神社に参拝したことに遺憾の意を示した。(14日)
●防衛庁長官が在沖縄米軍トップと会談 額賀防衛庁長官が防衛庁で在沖縄米軍トップの米海兵隊・第3海兵遠征軍のウェーバー司令官と会談、在日米軍再編の最終報告に向け作業を加速することを確認した。(14日)
●在日米軍再編で政府・与党が協議会設置
政府は在日米軍再編に関する関係閣僚会議(座長・安倍官房長官)の初会合を開き、政府・与党一体で取り組むため、再編問題に関する「政府・与党協議会」を設置することを決めた。月内に初会合を開く方針。(15日)
●海自護衛艦、インド洋に向け出港 テロ対策特別措置法に基づく多国籍軍艦艇への給油活動のため、海上自衛隊の護衛艦「きりさめ」が長崎県佐世保基地を出港した。14日に神奈川県横須賀基地を出港した補給艦「ときわ」とともにインド洋に向かう。活動期間を1年間延長する10月の同法改正後、初の派遣。(15日)
●APEC開幕 APECの閣僚会合が韓国の釜山で開幕した。(15日)
●「ヒトラーを参拝したらどう思う」 中国の李肇星外相が「ドイツの指導者がヒトラーやナチスを参拝したら欧州の人びとはどう思うだろうか」と小泉首相の靖国神社参拝を非難した。(15日)
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週刊『前進』(2224号5面1)(2005/11/28)
“民主労総と連帯した運動を日本で”
動労千葉訪韓団 非正規職労働者集会に参加
田中委員長発言に熱烈な拍手
午後4時過ぎから行われた全国労働者大会に先だって、午後1時から、5カ所に分かれて産業連盟別の事前決意大会が行われた。動労千葉訪韓団は、ソウル市庁近くの公園で行われた非正規職労働者の地域一般労組を中心とした事前決意大会に参加した。
集会は本大会と同じ三つのスローガン「チョンテイル烈士精神継承! 非正規職権利保障立法戦取! 新自由主義の世界化反対!」を参加者が唱和して始まった。冒頭、チョンテイル烈士を始め闘いの中で命を落とした烈士に黙祷(もくとう)をささげ、「ニムのための行進曲」を合唱。続いて、非正規職労組の代表として、大学構内の清掃労働者、労組結成を絶対に認めない三星(サムスン)グループのもとで労組を結成した労働者、地下鉄のキップ売り場で働き、民営化反対闘争に立ち上がったため解雇された労働者などが次々と発言した。全労働者の6割を占める非正規職労働者が、正規職の半分以下の低賃金や雇用不安と闘っていることを報告。「非正規職労働者の労組の全国組織を結成しよう!」と熱烈にアピールした。
司会が「日本から来た動労千葉を紹介します」と述べ、司会が音頭をとって参加者全体で「ドーローチーバ、ガンバロー!」と唱和する中、田中康宏委員長が前に進み出た。「日本の労働運動は今、停滞を余儀なくされています。しかし、労働者は労働者である限り、その魂が死ぬことはけっしてありません。民主労総の闘いに真に連帯する日本の労働運動をつくるために、全力で闘います」ときっぱりと表明し、熱烈な拍手を受けた。続いて沖縄・辺野古への基地建設に反対して闘っている「ヨッシー&ジュゴンの家」が、「基地はいらない」「辺野古の海から」を熱唱した。
非正規職の青年労働者が職場でつくる律動グループは、資本家への怒りと労働者の勝利への思いを込めた律動を力強く熱演した。現場労働者の決意表明が続き、最後に全体でこぶしを上げてスローガンを唱和。そのまま街頭を行進して、本大会に合流した。
資料
民主労総のゼネスト闘争指針1号
1.民主労総は、今日からゼネスト態勢を一層強化し、組織力を再整備し、全組合員が参加するゼネスト賛否投票を成功裏に可決させるため、来たる25日深夜0時まで開票期間を延長することを、ゼネスト闘争本部代表者会議は決定しました。
2.ゼネスト闘争本部代表者会議は、非正規職拡大を招いてきたノムヒョン政府と資本の世界化、新自由主義政策を廃棄させるためAPEC首脳会議阻止、ブッシュ訪韓阻止を目標に、来たる11月17、18日の2日間にわたり、釜山で2万人以上が参加する全国労働者大会を開催して闘います。
3.11月22日からは非正規職権利立法の切迫性を全国民に再度明らかにし、政府・与党と政界の覚醒を求めるため、非常対策委員長を先頭に18連盟の指導部と単組の幹部を中心に、国会前座り込み闘争に突入し、11月23日には全国15の広域市道で大衆的な決意大会を同時多発的に開催します。
4.民主労総は、全労働者階級の団結と、855万非正規職労働者の生存権と労働基本権をかちとるため、非常な決断を行うことになりました。来たる12月1日午前10時を期して、非正規職権利保障立法争奪民主労総全面ゼネスト闘争に突入します。また、12月1日以前に非正規職法案をめぐる交渉が決裂した場合は、ゼネスト闘争本部代表者会議をとおして、ただちにゼネストに突入することを宣言します。
2005年11月13日
全国民主労働組合総連盟 非常対策委員長・チョンジェファン
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週刊『前進』(2224号5面2)(2005/11/28)
民主党「改憲提言」を弾劾する
9条解体し武力行使も容認 国民投票法の早期制定主張
民主党の憲法調査会は10月31日、新憲法の制定をうたった「憲法提言」を発表した。自民党の新憲法草案発表の後を受けて、民主党の側からも改憲に全面的に突き進むとんでもない方針を打ち出したのである。さらに国民投票法の早期制定へ与野党協議を加速する方針をも決定した。改憲推進派の正体をむきだしにした前原・民主党を、連合の高木新体制ともども打ち倒し、改憲阻止闘争の爆発をかちとろう。
自公民の協力によって改憲の発議を狙う
民主党の「憲法提言」は、10月28日発表された自民党の新憲法草案に完全に呼応したものと言える。小泉と自民党は草案の中で、「陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、これを認めない」としてきた現行憲法の9条2項を全面的に廃止し、新たに「自衛軍」の保有とその武力発動に関する条項を「9条の二」として盛り込んだ。民主党の「提言」はこれを受ける形で、「自衛権」を憲法に明記し、自衛隊の海外での武力行使を容認する方針を公然と打ち出したのである。
この「提言」は「制約された自衛権」という言葉を使い、自民党案とは異なり武力行使に一定の歯止めを設けるかのように装っているが、後述するようにまったくのペテンだ。その内容は実際には、自民党の改憲案とほとんど同じと言っていい。また軍隊の組織方法や行動原則、武力行使をいつどのように発動するかのガイドラインは、憲法の「付属法」として別に制定される「安全保障基本法」で定めるとしているが、この点も自民党の主張と同じである。
前原・民主党はこの「憲法提言」をもとに、自民・公明との与野党協議に積極的に参加しようとしている。そのために民主党独自の改憲案の条文化は行わない方針も決定した。前原はその理由を「各党が互いに細かい条文を書くと文言に縛られて改正しにくくなる」と発言している。要するに、自民党の新憲法草案を民主党もまた一切の土台として受け入れ、この自民案をたたき台に、自公民の協力によって改憲の発議までもっていく作業を進めていくということである。
これに対して自民党側も、「改憲をテーマに自民党と民主党が大連立を組む時代がここ数年の間に必ず来る」(山崎拓・前副総裁)と、改憲攻撃の一層の加速化を宣言した。小泉=奥田路線への民主党の屈服と翼賛化はついに最後の一線を越えた。労働者階級の決起で全情勢を一変させる闘いに突き進もう。
「制約された自衛権」なる大ペテン
まず、「憲法提言」で民主党は、「わが国の安全保障活動に関する4原則」を打ち出した。@「戦後日本が培ってきた平和主義の考えに徹する」、A「国連憲章上の『制約された自衛権』について明確にする」、B「国連の集団安全保障活動を明確に位置づける」、C「『民主的統制』(シビリアン・コントロール)の考えを明確にする」というものである。
ここで民主党が言う「制約された自衛権」とは、国連憲章第51条に記された「個別的または集団的自衛の固有の権利」を意味するとされている。提言は、この権利は「国連の集団安全保障活動が作動するまでの間の、緊急避難的な活動に限定されているもの」であるから、「戦後わが国が培った『専守防衛』の考えに重なるもの」であると言い、したがって「政府の恣意的解釈による自衛権の行使を抑制」できるなどと合理化している。だがこれはとんでもないインチキだ。
国連憲章51条の規定は、第2次大戦後の帝国主義世界の盟主となった米帝が、「固有の権利」という規定で国連の枠に縛られずにいつでも世界に侵略戦争をしかけることができるようにするために挿入したものだ。民主党の勝手な解釈とは正反対の内容である。
実際に、イラクへの侵略戦争を、米帝ブッシュはまさにこの51条に言う「自衛権」の発動として正当化してきたではないか。そのために「大量破壊兵器」などのデマをねつ造し、それを口実にイラク全土への無差別爆撃を強行したのだ。そのもとでイラクの人民に対していかに暴虐きわまりない破壊と殺りくが行われ、今日もなお続けられていることか。この巨大な武力行使のどこに「制約」や「抑制」があるというのだ!
そもそも、個別的であろうが集団的であろうが、帝国主義国家の「自衛権」を認めること自体が他国への侵略を容認することを意味する。帝国主義は必ず相手国に徹底的な重圧を加え挑発して、この挑発に相手が若干の反応を起こしたところをつかまえて、「自衛のための必要最小限の行動」とか「緊急避難」とか言って、その強大な軍事力をもって一気に全面戦争をしかけるのだ。しかもその際に、必要ならCIA的手段を使ったデッチあげも平気でやる。ブッシュのイラク戦争、ベトナム戦争時のトンキン湾事件、また戦前の日帝の中国への侵略戦争などを見れば明白だ。
民主党は、「先の戦争が『自衛権』の名の下で遂行されたという反省の上に立って」この「制約された自衛権」を憲法上も明確にするのだなどと言っているが、これこそ詭弁(きべん)というものだ。本当に反省があるなら帝国主義国日本の「自衛権」など1ミリたりとも認めてはならないのだ。
「国連」の名で侵略戦争を積極的に推進
民主党の「提言」はさらに、「国連の集団的安全保障活動」への日本の軍隊の参加を憲法で積極的に位置づけ、「国連多国籍軍の活動や国連平和維持活動(PKO)への参加を可能にする」としている。しかも「その活動の範囲内においては集団安全保障活動としての武力の行使をも含む」と明言する。「その関与の程度については日本国が自主的に選択する」と言う。
これは、「国連」の名のもとでなら海外での戦争にどしどし参戦してよいとするものだ。またそこでの武力行使は「国際の平和と安全を確保するための活動」であるから、本質的に「正義」であって問題はないとしていくものだ。
だが何と名づけようがこれは国際戦争への参戦そのものであり、実際には帝国主義国による侵略戦争、被抑圧民族人民虐殺の戦争への参戦となる。「必要最小限」などと言いながら、結局はどんな大量虐殺も、どんな破壊行為も「正義」として容認していくものとなる。そしてそうした戦争をやりぬける国家に日本もなるべきだという結論になっていくものである。
これは、国連の名を必要とするかしないかの違いだけで、中身は小泉・自民党の主張とまったく同じではないか。要するに、ブッシュがやっているような戦争を日本もやれるような国にせよということだ。日本を再びかつてのような侵略戦争・世界戦争を展開できる国にせよ、そうしなければ日本の「国益」(=日本の大資本家階級の利益)は守れないという、小泉や日本経団連・奥田らの主張に丸ごとすりより、同化するものが民主党の「提言」だ。
したがって、民主党が4原則の@に掲げる「平和主義」なるものも、「平和を享受する日本」から「平和を創り出す新しい日本へ」というものであり、現行憲法9条の平和主義とは似て非なるものだ。そこでは軍事力の発動が逆に「平和創出」の一手段と位置づけられており、現憲法の戦争放棄の精神は根底から踏みにじられている。
Cの「シビリアン・コントロール」も、実は軍隊の指揮権を内閣総理大臣が一手に握ることを明確にせよという主張なのである。「提言」は9条の改変と同時に、憲法第5章(内閣)の条文を変えて首相に強大な権限を持たせることを提案している。その意味でも自民党新憲法草案とほとんど同じなのだ。
労働者の決起で改憲を絶対に阻止しよう
さらに、ここでは詳しくは触れないが、自民党がその改憲攻撃で重視している、日本を再び天皇制国家として押し出そうとする攻撃についても、民主党は明白に同調する姿勢を示している。
すなわち民主党は、新憲法の制定は「新しい国のかたち」を作り出すものであると言い、そこには「日本国民の『精神』あるいは『意志』を謳(うた)った部分」が盛り込まれねばならないと主張しているのだ。また「日本の伝統と文化の尊重」「重層的な共同体的価値意識の形成」が5大目標の一つに掲げられているのである。
いまひとつ決定的に重大なことは、民主党がこの「憲法提言」で、「当面する課題として、憲法改正手続法制・国民投票法制の整備にとりかからなくてはならない」と宣言していることである。自民党が次期通常国会に改憲のための国民投票法案を提出しようと策動していることに呼応し、その早期成立に全面協力する意思を明確にしたのだ。
民主党憲法調査会はすでに10月27日、改憲発議のための手続き法案大綱と、民主党の国民投票法案大綱とを決定した。前者は国会内に改憲案を審議する常設の委員会を設け、いつでも改憲を発議できる体制を整えるものである。後者は与党案への「対案」となるものだ。枝野幸男会長は、これをもって与党との協議に入り、国民投票法案については「できれば次期通常国会中に(自公民合意の)成案を得たい」と発言した。
民主党のこの踏み切りは、小泉と奥田による戦争・改憲と民営化(労組破壊)の攻撃にますます拍車をかけるものだ。ブッシュ来日・日米首脳会談で示された米日枢軸の形成による、日米安保体制の世界大的な拡大・強化と北朝鮮・中国侵略戦争への突入策動を全面的に後押しするものだ。連合の7・14見解もこれと完全に一体である。
だが、自治労大会や連合大会が示すように、労働者階級の中には改憲攻撃への鋭い危機感と怒りが渦巻いている。11・6集会は、現場の労働者が団結して立ち上がるならば、小泉政権を倒すことができる展望をはっきりと示した。民主党・連合中央を打倒して、今こそ4大産別の闘いを軸に、それと一体のものとして改憲阻止決戦の大前進を切り開こう。
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改憲阻止闘争の重要論文
2220号
(10月31日付)
自民党新憲法草案の批判
2221号
(11月7日付)
連合の改憲方針=「7・14見解(案)」を批判する
2223号
(11月21日付)
国民投票法案を批判する
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週刊『前進』(2224号5面3)(2005/11/28)
改憲と日米安保強化と反中国を叫ぶ前原
自民・額賀らと一緒に講演
民主党代表の前原誠司は9条改憲、海外派兵を主張し、労働組合を敵視する極悪の人物である。前原は松下政経塾出身であり、その思想・主張は、同塾が深く関わるファシスト団体「新しい歴史教科書をつくる会」の国家主義、侵略イデオロギーそのものだ。前原のほかにも野田佳彦(国対委員長)、玄葉光一郎(幹事長代理)ら松下政経塾出身者が民主党執行部の重要ポストを占めるに至った。
前原は自民党と民主党の国会議員でつくる「安全保障議員協議会」の主要メンバーである。11月10日に東京の憲政記念館で行われた「第6回日米安保戦略会議」では、額賀防衛庁長官や武部自民党幹事長らと並んで基調講演を行った。この会議はボーイング社など日米の軍需資本が後援する会議であり、隣の会場では「ミサイル防衛」兵器などの展示が同時に行われた。
実際に、前原・民主党がやっていることは、額賀防衛庁長官や久間(元防衛庁長官)らと一緒になって、「米軍再編」により日米軍事同盟を飛躍的に強化することであり、北朝鮮・中国侵略戦争のための戦争準備を進めることである。
だから前原が行った講演の中身も、日米同盟の強化、「テロの脅威」への共同対処、「中国脅威」論の強調と、中国に対する政治的・軍事的「抑止」政策など、とんでもない帝国主義的戦争政策の強調だった。
前原は、10月25日にも都内で開かれた米シンクタンク主催の会議で「日米同盟の強化と課題」と題する講演を行っている。ここでも「中国に対しては、毅然とした対応をとることによってのみ、力による増長をおさえられる」と述べ、日帝による石油資源略奪の動きの強まりに呼応して、民主党として「海洋権益法案」の制定を主張した。
前原・民主党は、さらに「自民党と改革を競う」と叫んで「公務員の給料は高すぎる」と公務員労働者の大リストラを主張し、人勧制度を廃止して整理解雇ができるようにしろと主張するなど、労働者の敵としての姿をあらわにしている。まさに「第2自民党」だ。
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週刊『前進』(2224号5面4)(2005/11/28)
10・31〜11・11
経済同友会 「地方公務員改革」を提言
経団連次期会長が内定/「休息時間」廃止を提案
●人事院、「休息時間」廃止を提案 人事院は国公労連に休息時間の廃止を提案。現在の昼休みは休憩時間30分・休息時間30分。これを休憩時間60分とし、終業時刻を30分繰り下げ。休憩時間は労基法の規定に基づくもので無給。休息時間は人事院規則に基づく制度で勤務時間にカウントされる。既得権剥奪(はくだつ)だ。(10月31日)
●UIゼンセン同盟が派遣労働者調査 UIゼンセン同盟がまとめた派遣労働者の実態調査によると男性の約5割、女性の約4割が賃金に不満をもっていることが分かった。(11月1日)=要旨別掲
●経済同友会、地方公務員の総人件費3割削減などを提案 全国経済同友会は、「地方公務員制度改革への10の提言」を発表した。2010年代初頭までに地方公務員の総人件費を「定員純減」2割、「給与等適正化」1割の合計3割弱削減などを提案。(4日)
●日航、賃金10%カット 日本航空は、国際線の減便や従業員の10%賃金カットなどを柱とする経営再建策を発表した。(7日)
●民主党、官公労幹部に公務員賃下げを表明 民主党の松本政調会長らが国会内で「公務労協公務員連絡会地方公務員部会」の佐藤全日本水道労働組合委員長らと会談。民主党としても人件費抑制を目指す考えを伝えた。(9日)
●経団連会長、御手洗キヤノン社長に内定 日本経団連は、来年5月に退任する奥田会長の後任に、副会長の御手洗(みたらい)冨士夫キヤノン社長が就任する人事を内定したと発表した。(8日)
●金属労協、賃上げ闘争推進を論議 IMF−JC(金属労協)は10日まで「2006年闘争シンポジウム」を開いた。加藤議長は「大くくりの職種別賃金」導入を唱えながらも、各産別が「5年ぶりに具体的な賃金改善要求を掲げることが必要」と発言した。(9日)
●郵政新会社の初代社長、三井住友の西川特別顧問に 政府は郵政民営化で発足する「日本郵政株式会社」の初代社長に三井住友銀行の西川特別顧問を起用する方針を決めた。日本郵政株式会社は06年1月に「準備企画会社」として設立、西川特別顧問はその取締役による「経営委員会」(最大7人)委員長に就任。準備企画会社は07年10月の郵政民営化で傘下に郵便局会社、郵便事業会社、郵便貯金銀行、簡易保険会社の4社を持つ持ち株会社に移行する。(11日)
●人事院、「給与の比較方法」変更検討 人事院は「官民給与の比較方法の在り方に関する研究会」の設置を発表。来年の勧告に向けて、現行ラスパイレス方式による官民給与の比較方法や官民給与の比較対象者の範囲、民間給与実態調査・国家公務員給与等実態調査の調査方法などを検討。(11日)
UIゼンセン同盟の派遣労働者アンケート(要旨)
●評価の低さに不満
派遣という働き方に男性の43.8%、女性の27.6%が「不満」を表明。理由では男女とも「正社員と比べ社会的評価が低い」(男63.8%、女53.0%)、「正社員と比べ収入が少ない」(同48.5%、45.3%)、「雇用期間が短く雇用が不安定」(同47.7%、40.9%)など。
●低賃金に不満
平均時給は男性1285円、女性(医療事務除く)1247円。時給への「不満」は男性は52.3%、女性39.5%。希望する働き方では、男性の52.3%、女性の29.7%が「正社員」と答え、「派遣継続」は男性7.7%、女性14.3%にとどまった。
●派遣で働く理由
派遣社員で働く理由は「パート・アルバイトより収入が多い」が47.9%。
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週刊『前進』(2224号6面1)(2005/11/28)
11・6労働者集会に参加して 団結の2文字に集まろう 大阪・医療労働者 Y・O
国家、資本家の都合のいい国にするために部落差別と戦争と民営化をあおり、われわれ労働組合をつぶす攻撃に立ち向かうため、国際連帯で闘うことを確認した集会だと感じました。
その中で、日本の先生方も自分自身の職をかけ、「日の丸・君が代」に対して、国の言いなりに従わず闘っていくことを宣言しました。また、韓国の労働者の皆さんは”元気”に”力強く”闘っていました。言葉は分からなくてもすごく熱いものを感じ、今回集会に参加して、今われわれが置かれている非常に厳しい状況の中で、すべての労働者が団結して闘っていくことで、今の国をわれわれの力で変えていくことが、われわれ労働者の生きる道だと強く感じました。
最後に、各地で闘っている労働者の皆さんへ。
団結こそ”力”、団結こそ”命”――仲間を信じ団結の2文字に集まろう。
11・6労働者集会に参加して 労働者の力強さに革命の光 京都大1年 保科学
初めて労働者集会に参加した。一番強く感じたことは、労働者の力強さだった。韓国の労働歌の振り付け練習を終え、港合同の中村吉政副委員長のあいさつが始まると、会場はものすごい熱気に包まれた。さまざまな労働組合の代表者からの訴えは、どれも非常に切実で、パワーあふれるものに感じた。4600人を超す日米韓労働者の力強さは、今の体制を打破する光のようなものに見えた。集会後の雨の中のデモもとても力強く感じた。
私は、イラク戦争が始まる際、何度か小さなデモや集会に参加したことがあったが、その時常に感じたことは無力感だった。こんなことで一体何が変わるのだろうか、と。しかし、今回の労働者集会では、このパワーこそが現在の体制を打破する原動力であると感じたため、ものすごく前向きに参加することができた。労働者の団結は、社会を変えることができる。現在、私はそう確信している。
11・6労働者集会に参加して 人民もグローバルに団結 京都・学生 海人
こんな集会見たことない。日・米・韓という資本家の支配、労働者への抑圧が激しい国の人民が結集し、ともに闘うことを誓った。資本家・帝国主義の圧力が強まる中で、しかし運命的に労働者人民の力は強くなる。資本主義のグローバル化が進む中で、人民もグローバル化し国境を越え団結する。日米帝国主義(資本)が集団的自衛権を叫ぶ中で、世界の人民は労働者階級の未来のための国際的団結を叫びだした。
このことが確信できたのは、私の鳥肌が証明していた。人民の潜在能力、その先に見えだした未来に震えた。感動した。何度でも立ち上がろう。人民の誇りと未来がそこにあるのなら。
ハンセン病訴訟での二つの判決に思う 広島・元教育労働者 丸田次郎
韓国と台湾のハンセン病補償請求訴訟の二つの判決が10月25日、東京地裁で出された。台湾「楽生院」は「勝訴」、韓国「小鹿島(ソロクト)更生園」は敗訴という判決は大きな問題だ。私は「人間の人生をもてあそぶな!」と言いたい。今、何よりも当事者の方の声に耳を傾けることが必要と思う。
▽韓国原告団・李幸心さん(75)「植民地時代に天皇の臣民と言われ、強制労働させられた。そのために体を壊されたのに、補償が認められないのは信じられない」
▽韓国原告団・蒋基鎮さん(84)「悲しくて言葉がない。同じ裁判なのに、一方が笑って帰り、一方は泣いて帰れというのか」
▽韓国の姜禹錫さん(80)「あまりにも気分が悪い。何も言いたくない」
▽台湾の原告団・黄金涼さん(76)「心からうれしいが、韓国の人たちが敗訴したのは本当に悲しい。韓国の人たちと一緒に闘ったのに、本当に残念です。これからも一緒に闘います」
▽岡山県長島愛生園の在日韓国人の元患者・金泰九さん(79)「あまりにも残念だ。腹立たしい。韓国の元患者の人たちにかける言葉がない。日本国内の療養所で、経験したことのないレンガを焼いたり、道路を造ったりする厳しい強制労働でできた傷で指を失い、足を切断された。微罪で断種手術が行われた。私と同じ民族と、同じ病になった方々の受けた苦しみがしのばれて耐えられなかった。日本の植民地時代の療養所に一日でもいた人は日本に補償を求めていくべきだ」
この涙に、この怒りに、この恨(ハン)に、虚しさに、心の闇に、私は対峙して生きなければならぬ。今まで対峙して、いや知ろうとして意識して生きてきたのか! 否である。この否の責任は重い。一人でも多くの仲間が、いやすべての人間が知らねばならない。その歴史と今を知り、その声を聞き、我の怒り・恨と化して、支援者ではなく一体となって闘わなければならぬ。それは原告の元患者の「人間復活」「生きる主体へ」「歴史の主人公」化である。そして、私の中の植民地性、靖国性の克服への一歩である。その闘いを、この国がひきずり、増幅させる大植民地主義、靖国化を否定する闘いと結びつけなければならぬ。
放射能たれ流し阻む六ケ所の闘いに参加 東京 小野正春
10月30日、青森に行き「とめよう!再処理本格操業・中間貯蔵/反核燃05秋の共同行動」に参加した。この日は、核燃施設決定20周年にあたる。使用済み核燃料貯蔵プールの漏水などで延び延びになってきた、核再処理施設稼動へのアクティブ試験を直前にした集会であった。
アクティブ試験とは、使用済み燃料を用いた総合試験であるが、実際は本格操業の始まりである。本格的操業となれば、煙突からクリプトンが、放水管からトリチウムが、除去装置もなしでたれ流される。100万`ワット原発が1年間で排出する量を1日で排出する。施設の側は、煙突を100bから150bに、海中への放水管を180bから300bにすると言っている。しかし、絶対量は変わらないのである。事故が起きなくても大量の放射能が空と海にばらまかれる。再処理工場には約1万基もの主要機器があり、その配管の長さは1300`メートル、継ぎ目の数は2万6000カ所、これが、事故なしに操業されるとは当局者も考えていないはずだ。
築地市場では、同じ海で取れたのに、六ケ所漁港に陸揚げされたイカは1箱1600円、三沢港に揚がったイカは2000円だという。すでに400円の差が出ている! 実際に放射能が流れ出したら函館の漁民も、岩手の漁民も打撃を受ける。陸上でも「放射能くさい農産物」との風評被害は始まっている。稼動したらもう二度とは元に戻らないのだ。
再処理―プルトニウム生産工場は、廃棄物の処理を計算に入れたら、絶対に採算問題に合わない。それでも建設を強行するのは、核武装のためである。だからこそ日帝は福井で高速炉「もんじゅ」を最高裁判決で立て直し、青森で核燃サイクルの実現をあくまでも狙っている。
日本政府とマスコミは、「悪い核」と「良い原子力」を使い分けている。しかし英語では、どちらもNUCLEARなのだ。その原点に立って、再処理阻止を決意した1日だった。
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週刊『前進』(2224号6面2)(2005/11/28)
“星野文昭さんに自由を” 大阪で初の全国集会
再審闘争と奪還へ決意固く
11月13日、「星野文昭さんに自由を!全国集会 大阪」が開催されました。この集会は、全国にある星野さんの救援会が年1回、各地で開催しているもので、今年は初めて関西の地での開催となりました。大阪市港区民ホールに全国から358人が集まり、星野文昭さんを取り戻そうと熱く誓い合いました。
会場には星野文昭さんが描いた原画が展示され、弟の修三さんの大きな絵も飾られました。06年星野カレンダー、奥深山農園で採れた野菜、署名用紙と要請はがき、各種の出版物が会場の後方に並べられました。
開会のあいさつに続く徳島の方の歌で、たちまち全体がひとつになりました。
龍谷大学の村井敏邦教授が「無期刑と仮釈放」と題して講演しました。村井さんは、「仮釈放は受刑者の権利であるべきだ」という立場を鮮明にしました。実際に再審や仮釈放が認められたケースなども具体的に報告しました。それを聞いて、星野文昭さんを取り戻すために、もっと大きな闘いをつくろうと思いました。
大阪の太田隆徳弁護士から、星野さんとの面会の報告を受けました。太田弁護士は、自らの意志をまったく変えない星野さんの強靱(きょうじん)な精神をたたえるとともに、星野さんが現在も元気に頑張っている様子などを話しました。
再審弁護団長の鈴木達夫弁護士は、再審請求のポイントを分かりやすく説明しました。最近の名張毒ぶどう酒事件の再審開始決定に学んで星野再審弁護団もさらに力を注いで、皆さんとともに再審開始に向けて闘うと、決意を述べました。
豊中の皆さんによるスクリーンの映像と一体となった星野暁子さんの詩の朗読に、会場全体が引き込まれました。
星野さんの家族の発言とお母さん、お兄さんのビデオ・メッセージに胸が熱くなりました。その後、京滋の代表が星野さんの獄中からのメッセージを代読しました。星野さんは、「星野無期をすべての人民の力で覆していくことは、沖縄の解放、日本とアジアの解放、人間解放のための力をより根本的に強めていくものとしてあります」「人民の人間解放への希求、力を信じ、それに依拠し、養い、結集して、人間解放をかちとることと一体に、それを根本から強めるものとして、その闘いをつぶそうとしている星野無期を必ず覆していきましょう」と訴えています。
集会の最後に、北海道から沖縄まで全国13の救う会と奥深山さんの免訴を実現する会の14団体が登壇し、次々と決意を述べました。
徳島刑務所への申し入れ、面会と激励
集会の翌日、40人が四国に向かいました。徳島駅前での街宣と記者会見、四国地方更正保護委員会への申し入れ、徳島刑務所への申し入れと家族面会、刑務所が見える神山森林公園からの激励行動、そして毎年恒例の11・14徳島コンサートと、参加者はまる一日フルに動きました。
今回の集会は、関西近辺の4救援会(関西、徳島、京滋、豊中)が呼びかけて、実行委を結成しました。集会と翌日の行動は成功しましたが、星野さんはいまだ獄中です。集会のまとめで村山盛忠牧師も言っていたように、集会で感じたもの、つかんだものを糧に、一人ひとりができることを地道に取り組むことが、星野さんの奪還につながると思います。
また、星野さんが闘った71年11・14闘争で、機動隊に虐殺された大阪の教育労働者・永田典子さんを追悼する気持ちをも込めて集会に参加しました。
全国の『前進』読者の皆さん、日々の活動・生活は多忙を極めると思いますが、「星野奪還」を自らの生活や活動の中に確実に位置づけていきましょう。星野文昭さんを取り戻そう!
(大阪・平田義夫)
▼星野再審闘争
星野文昭同志は、1971年11月14日の沖縄返還協定の批准阻止闘争での警官1人の死亡を口実に身に覚えのない殺人罪で75年に逮捕・起訴された。83年に東京高裁で無期懲役の判決を受け、現在徳島刑務所に収監されている。96年に再審請求、00年に再審請求棄却決定。異議申し立てをし、04年異議申し立て却下、現在抗告審が闘われている。
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週刊『前進』(2224号6面3)(2005/11/28)
移民の若者たちが暴動
フランス帝国主義の抑圧と差別に対する怒り爆発
非常事態法で治安弾圧強化
フランスでは10月末以来、パリ郊外、主要都市に住む移民系の若者たちによる暴動が3週間続き、車や建物への放火、武装警察との衝突が繰り返されている。シラク政権はフランス本土に初めて非常事態法を適用し、暴動鎮圧に躍起となっている。フランス帝国主義は戦後革命、56―62年のアルジェリア戦争、68年5月革命に比すべき深刻な危機に突入した。シラク政権は倒壊の危機にある。
10月27日にパリ郊外のセーヌサンドニ県のクリシースーボワ市で始まった闘いは、パリを含む全国の主要な都市に広がった。連日数百台、多い時には千数百台の車が燃やされている。10月27日から11月16日までで約9千台の自動車が燃やされ、約3千人の若者が逮捕された。
ドビルパン首相は11月7日、警察や機動隊を1500人追加して9500人態勢で暴動鎮圧を目指すと述べた。8日にはフランス本土で初めて非常事態法が導入された。県知事は未成年者を対象とする夜間外出禁止令や集会禁止、人や車両の交通制限、令状なしの捜索などの権限を与えられた。内相は暴動に関与した外国人の国外追放を行う権限を得た。16日までに各県知事は、非常事態法に基づいて20都市に夜間外出禁止令を出した。
政府は15日に非常事態法の適用を3カ月延長する法案を議会に提出し、16日に成立した。若者たちとの攻防は長期戦となった。
被抑圧民族と階級的連帯を
移民2世・3世である若者たちの行動は単なる「暴力」ではない。フランス帝国主義の長年にわたる移民労働者とその子弟への民族的抑圧・差別に対する人間的な怒りの爆発である。アフリカ系・ムスリム系移民の子弟である若者たちの自己解放的な決起である。
移民系の若者たちの闘いは、フランス帝国主義を打倒するプロレタリア階級闘争の一翼を占めている。またイラクやパレスチナを始めとする全世界のムスリム人民の民族解放闘争、武装闘争と連なっている。帝国主義打倒・世界プロレタリア革命へ国際階級闘争を前進させているのだ。
逆にいえば、戦後のフランス帝国主義の新植民地主義と移民政策=民族政策が歴史的に破産したのだ。帝国主義国・抑圧民族のプロレタリアートは、フランスの移民系若者の実力決起にこたえ、国家主義・排外主義を克服し、国際主義に立って、自国の帝国主義を打倒するプロレタリア革命を実現することが求められている。世界戦争に向かう帝国主義にプロレタリアート人民の国際的内乱を対置し、革命的な情勢を世界革命に転化する時が来た。
仏社会党、仏共産党など議会主義的左派は、国家主義、祖国防衛主義の立場から非常事態法導入に賛成し、シラク政権を支え裏切りを犯しているが、それをのりこえる闘いが始まっている。12日夕、パリで千人が移民差別と非常事態法に反対してデモを行った。16日夕も、パリで移民系を含む若者たちが2千人以上、差別と非常事態法延長に反対してデモした。フランス帝国主義の民族的抑圧・差別と対決するフランス人(白人)プロレタリアートと移民系プロレタリアートとの階級的連帯がつくり出されつつある。
労働者階級がフランスの伝統的愛国主義・国家主義やサルコジ内相=UMP(人民運動連合)、ルペン=FN(国民戦線)らの右翼的ファシスト的排外主義を打ち破り、10月4日の全国ストに続いて、この11月に移民系若者の闘いと連帯する全国ストやデモに立ち上がるならば、シラク政権打倒情勢が決定的に開かれることは間違いない。さらに68年5月革命以来の革命的情勢の到来は必至だ。
郊外の若者が置かれた現状
移民系の若者たちは、フランス帝国主義が経済発展のために1945年から75年にかけて旧植民地から積極的に呼び込んだ労働者たちの子孫である。多くはアルジェリアやモロッコ、チュニジアなどマグレブ諸国(北アフリカ)や西アフリカの出身であり、ムスリムである。単純労働に就いてフランス帝国主義の高度成長を底辺で担った。だが、74―75年恐慌から始まる長期不況の中で貧困と失業にたたき込まれ、フランス社会から疎外されてきた。
今やこうした移民系の人口は1350万人に上り、フランス全人口の4分の1近くを占める。
移民系の人びとの多くは「配慮が必要な」都市地区(ZUS)の住民だ。フランスの失業率は10%に近いが、ZUSでは、全体の失業率が21%、25歳未満の若者の失業率が36%だ。ZUSの多くは郊外の低所得者層向け低家賃・高層アパート街(シテ)だ。そこに住む移民系の人びとは、生活苦にあえぎ、未来に希望を持てないでいる。
シテの子どもたちの多くは中学校に入る12歳ごろから授業についていけず、不登校になる。就職が困難なのは学歴がないからだけではない。移民系の若者がアラブ・アフリカ風の名前と住所を書いた履歴書を示しただけで企業から採用を拒否される。フランス人は出身がどこであろうと共和国の息子、娘としてみな平等である(シラク)はずだが、現実は違うのだ。
「郊外問題」は70年代末に始まった。80年代初め、左派政権は「郊外住民を孤立させない」をスローガンに掲げた。シテのスラム化を防ぐために老朽化したアパートの改修を始め、郊外に進出した企業に優遇措置を与え、雇用の拡大を図った。また労働者団体や住民組織が居住環境や交通機関の改善を求めて運動した。
しかし、左派が後退し、2002年夏に右派内閣が成立すると、福祉や教育支援に携わっていた団体への補助が打ち切られた。スポーツの催しなど融和的な活動をしていた郊外の警察の人員が大幅に減らされた。若者にとって警察は差別主義的で権力を振り回す不正義の象徴となった。ふだん起きている暴動の3分の2が警察の取り締まりへの反発に起因している。
こうした背景の上に今回の暴動が爆発したのだ。
11月14日、シラク大統領は、郊外に住む移民系の若者に対する雇用差別の現実を認め、07年に若者5万人を対象とした就職支援に着手することや、雇用差別解消に向けて経済界や労組と協議することを約束した。暴動鎮圧のために雇用拡大政策を復活させたのだ。しかし今日の世界経済危機の中で実現の可能性は低い。
今やあらゆる意味で行き詰まったフランス帝国主義を革命的に打倒する以外にプロレタリアートの進むべき道はない。
(藤沢明彦)
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週刊『前進』(2224号6面4)(2005/11/28)
10・31狭山全国統一行動 学習会・座談会などで団結
10月31日を前後して部落解放同盟全国連合会は全国狭山統一行動に立ち上がった。10月31日は、1974年に東京高裁・寺尾正二裁判長が石川一雄さんに1審死刑判決を覆して無期懲役判決を出した日だ。10・31行動は、寺尾差別判決=確定判決を徹底糾弾するとともに、来春にも始まろうとしている第3次再審闘争の勝利を期して全国各地で闘われた。そのうち石川さんの地元・狭山と東京・江戸川、杉並の闘いの報告が寄せられた。(編集局)
狭山
全国連狭山支部は10月28日から31日にかけて学習会、東京都内の全国連各支部への訴えと交流、座談会を行い、狭山第3次再審闘争勝利、労働者階級との合流、部落の完全解放に向かっての新たな決意を打ち固めました。
28日夜、狭山市内の公民館での学習会は法政大学部落解放研究会の仲間を交えて行われました。3月16日の最高裁の再審(特別抗告)棄却決定の意味、石川さんが国家権力から強制されたデッチあげの「自白」に狭山差別裁判の根っこがあること、狭山闘争を差別糾弾闘争として闘うことが勝利のかぎであること、全国連寝屋川支部への弾圧との闘いも高松差別裁判糾弾闘争(1933年)も差別糾弾闘争として闘われ勝利したこと、労働者との階級的共同闘争がそれらの勝利の原動力となったこと、などを学びました。
31日夜、狭山支部長宅で座談会を行い、支部長から狭山の古い歴史や自身の狭山事件での取り調べの体験などを聞き、狭山闘争への決意を互いに固めました。
杉並
杉並支部は29日、杉並区内で狭山紙芝居上演会を行いました。狭山支部の井田書記長から狭山現地の状況と第3次再審闘争の勝利に向けてどう闘うのかを話してもらいました。雨天でしたが、支部員を始め区内の住民、労働者ら15人が集まりました。都政を革新する回のけしば区議も参加し、ともに狭山闘争の勝利まで闘う決意を述べました。
江戸川
30日、江戸川支部は江戸川区内で狭山学習会を開き、江戸川の支部員、狭山の支部員、大学の解放研が参加しました。第3次再審闘争に向かっての提起や狭山現地の情勢が話され、石川さんの決意にこたえ、再審をかちとろう、国家権力の差別を糾弾して闘おうと熱心に討論しました。その中で、小泉政権、公務員現業の民営化、賃下げ攻撃に怒りの声が上がりました。
実家が自営業の支部員は、昔、家族全員で働いていた部落産業がつぶされた後、差別によって会社に就職することもできず、苦心の末に自営の仕事を始めたと語りました。自営業の部落大衆も本質的に労働者階級の一員であり、差別によって権利を奪われてきたことが明らかにされました。
小泉政権を倒すために11・6労働者集会への参加を全員で確認しました。
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週刊『前進』(2224号6面5)(2005/11/28)
迎賓館・横田爆取デッチあげ 福嶋裁判が結審 3・3判決公判へ
11月9日、福嶋昌男同志に対する迎賓館・横田爆取デッチあげ裁判の2回目の最終弁論が東京地裁刑事第三部(服部悟裁判長)で行われた。
12年間にわたる福嶋同志と弁護団による裁判闘争に追いつめられた検察官は、4月20日の論告が終わってから2カ月もたった6月15日付で、突如として筆跡に関する追加の論告を裁判所に提出した。弁護団は、こうした検察官の悪あがきを粉砕するために、9月20日に行われた最終弁論に続いて、さらに450nにおよぶ筆跡に関する最終弁論(二)を作成し、11月9日の裁判でその陳述を行ったのである。
福嶋同志は弁論が終わると被告席に立ち、「私は無実である。私はメモなど書いていない」と堂々と無実を訴え、無罪判決を出すよう服部裁判長に鋭く迫った。これで、福嶋同志の裁判は結審し、判決公判を残すのみとなった。
この裁判において、福嶋同志が迎賓館・横田基地へのロケット弾発射に関与したと検察官が主張する唯一の根拠は、1986年岩手借家から押収されたとする「メモ」である。その「メモ」を検察官は得手勝手に解釈してデタラメなストーリーをねつ造し、メモの筆跡が福嶋同志のものであるとデッチあげたのだ。
しかし、福嶋同志と弁護団は12年間の裁判闘争によって検察官立証を完全に破綻(はたん)させた。とりわけ、検察官立証のかなめである筆跡鑑定のデタラメ性をトコトン暴き、弁護側の異筆鑑定によって福嶋同志の無実を決定的に明らかにしてきた。
福嶋同志の裁判闘争は、須賀武敏・十亀弘史・板垣宏3同志の裁判闘争と一体である。1月16日に決まった須賀同志ら3同志の控訴審第1回公判をかちとり、3月3日(午後1時)福嶋同志の判決公判に総力で結集しよう。なんとしても無罪判決をかちとろう。
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