ZENSHIN 2005/11/14(No2222 p08)

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第2222号の目次
 
1面の画像
(1面)
11・6日比谷 国境越えた団結の熱気
日米韓労働者4600人が集う
戦争・改憲と民営化に怒り 小泉打倒へ総反撃の火ぶた切る
記事を読む  
韓国 弾圧に抗しゼネストへ
民主労総ソウル地域本部長 コジョンファンさん(11月6日)
記事を読む  
米国 団結すれば勝利できる
ILWUローカル10執行委員 ジャック・ヘイマンさん(11月6日)
記事を読む  
(2面)
革共同の11月アピール 泉打倒へ連続的攻勢を
日米首脳会談・釜山APEC粉砕へ
4大産別決戦を全力で推進し改憲・戦争、民営化うち破ろう
記事を読む  
“辺野古沿岸案撤回せよ”
県民大会に5千人 日米合意に沖縄の怒り(10月30日)
記事を読む  
(3面)
郵政民営化絶対反対を貫こう
JPU中央の「現実対応」=民営化推進の裏切り粉砕を
07年10月へ2年間決戦を宣言する
記事を読む  
人事制度改悪・査定給阻止を 11・15都労連スト貫徹へ 記事を読む  
アスベスト労災許すな
石綿の大量使用を続けた企業と政府の責任は重大  発がん性知りながら放置
記事を読む  
(4面)
暫定滑走路北延伸の06年着工阻止へ
新誘導路のため「東峰の森」破壊 廃棄物処理場埋め立ては違法だ
成田からのイラク派兵阻止  江波敏之
記事を読む  
青森 反核燃 秋の共同行動
“再処理本格操業とめよう”(投稿/南原美樹)(10月30日)
記事を読む  
日誌'05  10月26日〜11月1日
米軍再編で中間報告を発表  自民党が新憲法草案を決定
記事を読む  
(5面)
自民党新憲法草案粉砕へ
中国・朝鮮侵略戦争のための9条改憲攻撃を打ち砕こう
記事を読む  
全国から11・13大阪集会へ  星野さん獄中絵画展開く(10月24日〜26日) 記事を読む  
「障害者」差別・抹殺図る  「自立支援」法の成立弾劾(10月31日) 記事を読む  
資本攻勢&労働日誌 2005  10・14〜10・28
連合春闘基本構想 統一ベア要求5年連続放棄
医療費に「保険免責」/北海道で10%賃金カット
記事を読む  
(6面)
11・15−16京都 日米首脳会談粉砕闘争へ
全世界を戦争に引き込むブッシュ・小泉打倒しよう
マルクス主義学生同盟・中核派
記事を読む  
在日米軍再編の中間報告  沖縄と日本が戦略拠点に 記事を読む  
北富士 “海兵隊演習中止を”  忍草農民先頭に申し入れ(11月3日) 記事を読む  
(7面)
根底的な崩壊へ向かうドル
歴史的没落を極める米帝 労働者国際連帯で打倒へ  秋月丈志
記事を読む  
コミューン12月号  日教組運動の再生 記事を読む  
(8面)
11・6集会 “国際連帯で資本主義倒そう”(11月6日) 記事を読む  
開会あいさつ  小泉独裁政治にストップを
全国金属機械労組港合同 中村吉政副委員長(11月6日)
記事を読む  
特別報告  不当な弾圧に反撃しよう
全日建運輸連帯労組関西地区生コン支部 柳充副委員長(11月6日)
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2005年11・6アピール
国鉄千葉動力車労働組合 田中康宏委員長(11月6日)
記事を読む  
韓国・民主労総のゼネストを支持し連帯する特別決議(11月6日) 記事を読む  

週刊『前進』(2222号1面1)(2005/11/14)

 11・6日比谷 国境越えた団結の熱気

 日米韓労働者4600人が集う

 戦争・改憲と民営化に怒り 小泉打倒へ総反撃の火ぶた切る

“労働者に国境はない”
画期的な労働者国際連帯集会をかちとり、最後に4600人の全参加者が一丸となってこぶしを突き上げ、新たな闘いを誓った(11月6日 東京・日比谷野外音楽堂)

 全日本建設運輸連帯労働組合関西地区生コン支部、全国金属機械労働組合港合同、国鉄千葉動力車労働組合の3労組が呼びかけた「戦争と民営化−労組破壊にたち向かう労働者の国際的団結を! たたかう労働組合の全国ネットワークをつくろう! 11・6全国労働者総決起集会」は日比谷野外音楽堂に日米韓の4600人を超す労働者を結集し、熱気と解放感・躍動感に満ちた集会としてかちとられた。(関連記事8面)
 11月6日は、日本労働運動と労働者階級の国際連帯の闘いに、昨年をも超えて新たな歴史を開く日となった。アメリカ・韓国の闘う労働組合が大挙結集し、国境を越えた労働者の団結で勝利しようと熱い思いで訴えた。戦争と民営化―労組破壊への怒りが爆発し、労働者の力で社会を変えよう、資本主義を打倒しようの叫びがこだました。
 感動的な日米韓労働者の国際連帯集会の大高揚をもって、ファシスト的な小泉超反動政権の打倒に向けた闘いの火ぶたは切られた。

 国際連帯の檄

 まず全国金属機械労組港合同の中村吉政副委員長が開会のあいさつ。大阪市に象徴される公務員への攻撃の激化や関西生コン支部への弾圧に言及し、「権利は一時的に後退しても、労働者魂を持ち続け、団結権を力とし、志を大きく持つならば必ず取り戻すことはできる」と呼びかけた。
 韓国からは19人が参加した。不安定雇用の拡大をもくろむ非正規職法案粉砕の闘いが決戦を迎える中、民主労総のイスホ執行部が総辞職し非常対策委員会が立ち上げられるなど、韓国の労働運動は戦闘的再生に向けた苦闘を重ねつつ、ゼネラル・ストライキへと向かっている。民主労総ソウル地域本部長のコジョンファンさんは、「血だらけの匍匐(ほふく)前進で戦線を切り開いてきた韓国民主労組運動の誇るべき伝統と、現場で民主労総の旗を死守するために闘っている労働者たちの力で、もう一度闘いの旗を掲げる」と宣言し、今月にプサンで予定されているAPEC首脳会議粉砕の闘いを呼びかけた。
 非正規職の正規職化や医療の公共性確保を求めて昨年44日間のストを闘ったソウル大学病院支部労組副委員長のキムエランさんが、「果てしなき資本の欲望から労働者が解放される世の中をつくるため、全世界の労働者の連帯を」と訴えた。労働基本権戦取を掲げ昨年11月15日にストを決行し、これへの報復解雇と闘う公務員労組ソウル本部女性副本部長のキムナムスンさんは、「労働者の全世界的な連帯戦線をつくれば、労働者の手で地球も動かせる」と奮起を促した。
 文化宣伝隊「宣言」のメンバーが、労働歌と律動で資本と闘う意思を表現した。
 アメリカからは16人が参加した。ILWU(国際港湾倉庫労組)ローカル10執行委員のジャック・ヘイマンさんは、80年代から今日に至る米労働運動の歴史を総括し、資本の攻撃と闘う労組を孤立させてはならないと強調した。同労組ローカル34のキース・シャンクリンさんは、ブッシュ政権を激しく弾劾、「団結すれば労働者は負けることはない」と訴えた。
 AMFA(航空整備士労組)ローカル9委員長のジョセフ・プリスコさんが発言した。同労組は、ノースウエスト航空による大幅人員削減と賃金引き下げに抗し、ストライキを続行中だ。彼は、「ピケラインをけっして越えてはならない」と何度も繰り返した。

 日本から決意

 次いで特別報告で、全日建運輸連帯労組関西地区生コン支部の柳充副委員長が、同支部への大弾圧を怒りを込めて弾劾し、「この弾圧への反撃は闘う労働運動の地平を守る闘いだ」と宣言した。
 連帯あいさつでは、「国労5・27臨大闘争弾圧を許さない会」呼びかけ発起人代表の佐藤昭夫弁護士が、警察・検察権力と国労本部が結託して強行した弾圧との闘いを訴え、「憲法と人権の日弁連をめざす会」代表の高山俊吉弁護士が、改憲攻撃を阻むため、その闘いの先頭に立つ日弁連を築き上げる決意を述べた。「とめよう戦争への道!百万人署名運動」事務局次長の小田原紀雄さんは、共謀罪新設絶対阻止と、改憲に立ち向かう力ある運動の創出を呼びかけた。沖縄からは、名護市辺野古で米軍基地建設阻止の闘いを続ける「命を守る会」の金城祐治代表のメッセージを、現地で闘う青年が読み上げた。
 動労千葉の田中康宏委員長が2005年11・6アピールを提起し、「小泉政権による激しい労働組合破壊攻撃と対決し、労働運動の現状を変革しよう。全世界の労働者が共通の敵に向かって手を結び、団結をとり戻し、労働組合をよみがえらせよう」と訴えた。
 国労5・27臨大闘争弾圧被告団の松崎博己団長が弾圧粉砕・国労再生の決意を述べ、「日の丸・君が代」不当処分と闘う2人の教育労働者がそれぞれに「労働者に国境はない。私たちは愛国心を強制されない」「教員である限り不服従を貫く」と言い切った。
 全金本山労組の青柳充副委員長は、34年の闘いの末に解雇撤回を実現した勝利を高らかに報告した。全逓(JPU)の青年労働者は、「闘う全逓を取り戻し、われわれがJPU本部にとって代わる時が来た」と断言し、集会の熱を高めた。自治体労働者は、自治体業務の全面民営化攻撃と闘う決意を述べ、組合を挙げて結集した医療労働者は、医療現場を破壊する小泉との対決を宣言した。
 関西生コン支部の高英男副委員長が閉会あいさつし、団結の拡大を訴えた。
 集会の熱気もそのままにデモに出た4600人は「民営反対、小泉打倒」の怒りの声をとどろかせた。

 大決戦の開始

 こうして、日米韓の労働者は階級的きずなを一層強く打ち固め、プロレタリア世界革命への道を着実に押し広げた。それは、民営化攻撃と組織の存亡をかけて闘いぬく動労千葉に米韓の労働者が深い信頼を寄せ、ともに闘うことを決断したことによって可能となった。
 小泉政権の改憲・戦争と民営化への労働者の怒りはいよいよ噴出し始めた。07年に至る一大決戦の冒頭で、11・6集会は日比谷野音を埋める大結集を実現し、労働者の国境を越えた連帯という勝利の橋頭保を築き上げたのだ。

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週刊『前進』(2222号1面2)(2005/11/14)

 韓国 弾圧に抗しゼネストへ

 民主労総ソウル地域本部長 コジョンファンさん

 労働兄弟・姉妹の皆さん。戦争と失業、資本の世界化攻撃に対し労働解放のために闘っている同志の皆さん。闘いの現場で同志たちと再びお会いできることを大変うれしく思います。
 全地球的レベルの反動的かつ反労働者的な超国籍資本の世界化は労働者民衆の暮らしをがけっぷちに追い込んでいます。帝国主義国家の野望に満ちた戦争と、労働者民衆に対する搾取は全世界の民衆を苦痛のどん底に突き落としています。
 韓国の場合も、こうした超国籍資本と、その下手人になりはてた政権によって、労働者への無慈悲な攻撃が続けられています。ノムヒョン政府は「年内になんとしても非正規立法を完成させる」という確固たる方針を打ち出しています。
 ノムヒョン政権は、新自由主義を貫徹するために、闘う労働者に無慈悲な暴力を加えています。資本と政権の弾圧に対し、民主労総は全組合員賛否投票を皮切りに、強力なゼネスト闘争を組織しています。もちろん、今年初めに起こった不正事件と、特に、少し前に発生した民主労総の主要幹部の不正事件によって、民主労総は非常対策委を立ち上げるなど、内外で厳しい状況を抱えています。しかし、困難な時代を迎えるたびに、あらためて労働者の闘いの原則を胸に刻み、血だらけの匍匐(ほふく)前進で戦線を切り開いてきた韓国民主労組運動の誇るべき伝統と、現場で民主労総の旗を死守するために闘っている労働者たちの力で、わが民主労総は、もう一度闘いの旗を掲げようと頑張っています。弾圧が強まるほど、われわれの闘いも一層強固になるのです。
 2005年後半には、11月のAPEC首脳会談、12月の香港WTO閣僚会議など、重要な反世界化闘争の契機が待ち受けており、新自由主義に対する全世界の労働者の連帯闘争が一層切実に求められています。米日同盟とノムヒョン政府によって拡大する戦争と世界化に反対し、そしてアジア民衆の連帯をとおしたもう一つの世界化に向けた闘いによって、労働者は国境を越え、真の階級的団結を実現しなければなりません。
 全地球的なレベルでかけられている資本の攻撃を粉砕するため、それぞれの国で階級的に団結して闘いましょう。そして労働者国際連帯を強化しましょう。闘う労働者に国境はありません。プサンで、香港で、そして超国籍資本の収奪が行われているすべての場所で、労働者階級の国際的団結の旗をはためかせましょう。その闘いに、韓国の労働者、民主労総が先頭に立つよう頑張ります。
 労働運動の階級的団結万歳! 全世界の労働者の国際連帯万歳!

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週刊『前進』(2222号1面3)(2005/11/14)

 米国 団結すれば勝利できる

 ILWUローカル10執行委員 ジャック・ヘイマンさん

 国家主義と帝国主義が野放図な展開を見せ、新自由主義的「自由貿易」協定と帝国主義戦争がすべての労働者を脅かしていますが、私たちは、これに対決しなければなりません。
 アメリカでは今年、労働組合運動が分裂しました。AFL−CIOも新たに生まれた「勝利のための変革連合」も、雇用者との「パートナーシップ」という危険で間違った幻想をあおっています。両者は、ILWUが提起してきたような独立した労働者の党という考えに賛成ではありません。両者ともに帝国主義国家に頭(こうべ)を垂れ、そのイラクでの戦争や労働組合の権利・市民的権利の抑圧に屈しています。両者とも、ノースウエスト航空の整備士のストライキを支持していないのです。
 PATCO(航空管制官組合)が1981年にストに立ち上がった時、当時の大統領ロナルド・レーガンが指導者の逮捕を命じ、彼らを奴隷のように鎖でつなぎ手錠をかけさせた。PATCOのピケラインを順守した組合は一つとしてありませんでした。現在のアメリカ労働組合運動の崩壊の原因は、この惨たんたる一大敗北にさかのぼることができます。
 雇用者階級の意を体して資本家政府が労組破壊のために介入したケースとしてILWUの例があります。世界貿易センターへの9・11攻撃から6カ月後、2002年の労働協約交渉の時のことです。ラムズフェルド国防長官とリッジ国土安全保障省長官は、もし港湾労働者がドックでなんらかの行動に出るならば、軍が港を占拠すると警告したのです。それを受けて、海運会社はアメリカ西海岸のすべての港を閉ざし、港湾労働者をロックアウトしました。カリフォルニア選出の民主党上院議員ファインシュタインは、タフト・ハートレー法の発動を呼びかけました。タフト・ハートレー法は、労働者にスト権なしに仕事に戻り、労働協約交渉を続けるよう強制する反労働者的法律です。
 政府と経営者が一体となったそうした恐るべき攻撃に対して、労働者はどのように反撃することができるのでしょうか。10年前イギリスで、ピケを越えなかったとして500人のリバプール港湾労働者が首を切られました。彼らは勇敢な闘いに立ち上がり、私たちはリバプールの港湾労働者に連帯し、スト破り要員によって荷積みされたイギリスからの船の荷役を拒否しました。港湾労働者はカナダでも日本でも、その船の荷役を拒否したのです。
 全世界の労働者が、お互いの組合の闘いを守るために行動において団結するならば、われわれは勝利できます。だから私たちILWUは言うのです。「一人への攻撃は皆への攻撃」と。
 組合つぶしの民営化粉砕! イラク戦争を終結せよ! 全占領軍は今すぐ撤退せよ! すべての運輸労働者の国際主義万歳!

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週刊『前進』(2222号2面1)(2005/11/14)

革共同の11月アピール 小泉打倒へ連続的攻勢を

 日米首脳会談・釜山APEC粉砕へ

 4大産別決戦を全力で推進し改憲・戦争、民営化うち破ろう

 10月31日発足した第3次小泉改造内閣は「改革続行内閣」と小泉自ら名付け、全面的な階級戦争の攻撃を宣言した。同時に「つくる会」派や「拉致議連」などの超のつく反動政治家どもがその中心に座り制圧する、改憲と戦争態勢づくりへの突進内閣でもある。歴史的な11・6全国労働者総決起集会をかちとった闘う労働者は直ちに小泉打倒、小泉=奥田路線粉砕の闘いに総決起し、11月、12月を激しく闘いぬかなければならない。11・6集会はその総決起宣言の場として圧倒的に実現された。また、米軍再編、基地強化、辺野古への新基地建設攻撃に10・30沖縄県民総決起大会で5000人の怒りがたたきつけられた。労働者人民の小泉打倒の闘いは開始されたのだ。

 第1章 11・6集会スローガンをただちに実践しよう

 05年〜06年、衆院選に圧勝した小泉のかさにかかった大攻撃が次々と労働者人民に襲いかかってきている。一刻の猶予もない闘いが労働者に求められている。この05〜06年の闘いは労働者階級の未来を決する歴史的な大決戦過程である。改憲・戦争と民営化・労組破壊攻撃の嵐のようなラッシュとの対決である。そして、今や革共同の新指導路線を実現する闘いのみが労働者階級を勝利に導くことができるのだ。11・6全国労働者総決起集会はそれを確信させた。労働運動・労働組合運動の原則的、階級的推進を強力に実践していこう。動労千葉労働運動を国内的、国際的に実現していこう。
 11月、12月の激闘の第一の課題は、「改革続行内閣」とうそぶく小泉・奥田の大攻撃との闘いを組織していくことである。11・6労働者集会の意気天を突く決意を直ちに実践することだ。
 「全労働者の団結で、小泉−日本経団連・奥田体制と対決し、郵政をはじめとした民営化−非正規雇用化−労組破壊攻撃をはね返そう! 労働法制改悪、倒産・解雇・賃下げを許すな! 社会保障制度解体−大増税を阻止しよう!」
 「全労働者の団結で、憲法9条、教育基本法改悪を阻止しよう! 『日の丸・君が代』−『つくる会教科書』闘争を発展させよう!」
 この11・6集会スローガンを文字どおり全労働者の団結した方針として闘っていくのだ。肌で感じとった労働者の根底的怒りを、絶望やあきらめではなく、社会の主人公として生きるための闘いとして、階級的自己解放的な闘いを訴え組織することだ。動労千葉の「闘いなくして安全なし」を実践していくのだ。
 小泉は、改造内閣発足の記者会見で、郵政民営化の推進と公務員制度改革・公務員人件費の削減、「三位一体改革(国と地方の税財政改革)」を真っ先に掲げた。そして、年金・医療を構造改革の課題として、社会保障の解体を宣言した。これを受けた竹中総務相は、「公務員の人件費改革は大胆な削減・縮減を実現する」と言い、郵政民営化の実現と公務員の人件費削減を実行すると言い放った。
 そして06年6月までに消費税増税を始めとする大増税の日程表を作成することを決めた。
 05年〜06年は日帝の存亡をかけた大攻撃との一大階級決戦であり、戦争・改憲と民営化・労組破壊攻撃との対決として、郵政民営化阻止、公務員制度解体阻止を始めとする郵政・自治体・教労・国鉄の4大産別決戦としての大闘争である。その火ぶたが逆4大産別決戦として敵の側から切られた。11・6労働者集会はそれに対する決戦を宣言したのだ。
 4大産別を解体し、階級的抵抗を一掃しようとするこの攻撃と対決できるのは動労千葉、3労組共闘、3カ国連帯の労働運動だけである。この闘いと、05年「日の丸・君が代」強制拒否、「つくる会」教科書採択阻止を始めとする闘いの前進に確信をもって小泉改革路線と正面から対決し、これを打ち砕いていこう。
 動労千葉が国鉄分割・民営化に2波のストライキで闘い、1047名闘争を今日まで守り発展させてきた上に、今日、JR尼崎事故弾劾の反合・運転保安闘争を闘い、小泉=奥田の大民営化・労組破壊の攻撃を打ち破って勝利している地平を、今こそ4大産別の労働者は学び、連帯し、自らのものとしよう。
 公務員削減、賃金削減攻撃の先端をなす攻撃が都労連にかけられている。同時に、北海道(人事院勧告とは別に2年間で月額賃金10%、期末・勤勉手当15%賃下げ攻撃)や大阪、神奈川などにかけられている大攻撃と一体である。10月14日の都・区のマイナス人勧攻撃を受けて、10月25日に東京都は人事制度改定案で「職責・能力・業績に応じた昇給・昇格制度や特別給の見直し」を都労連に提案した。小泉=石原の都労連への賃下げと都労連解体攻撃が開始されたのだ。
 この都労連攻撃は、小泉=奥田の三位一体攻撃−総額人件費削減、公務員賃下げ攻撃の先端をなすものである。当局に言いなりの職員は賃上げされ、全体はすさまじい賃下げになる。重大なのは、労働組合への賃金での差別・分断、解体攻撃だということだ。同時にこの攻撃は、賃金交渉をも無力化・無用化してしまう。都労連を解体し、その傘下の単組を徹底的に解体していくものである。
 この間の東京清掃への06年区移管に先駆けた清掃工場の民託化攻撃は、10・25攻撃と一体の東京清掃の団結の根幹を解体する攻撃である。23区を束ねる都労連−都庁職−東京清掃を区移管とともに全面的に解体するものであり、民営化攻撃が労組解体攻撃であることを端的に示すものである。郵政民営化阻止・4大産別決戦の重大な一環、都労連解体攻撃との闘いを自治体労働者、全労働者の闘いとして戦取していこう。
 敵の逆4大産別決戦に対して、10・21総決起闘争として、全逓の戦闘的労働者が「首をかけて郵政民営化を現場から粉砕する」と宣言し、07年10月への2年間決戦に突入したことは実に偉大なことである。この道を断固進もう。

 沖縄への新たな基地押しつけ攻撃許すな

 小泉は、内閣改造に先立って重大な攻撃を次々と行ってきた。10・28自民党新憲法草案決定と10・29日米安保協議委員会(2プラス2)合意である。新憲法草案の前文は「帰属する国や社会を自ら支え守る責務」を明記し、9条2項で自衛軍保持を明記したものだ。さらに「国民の責務」を条文化し「公共の秩序に反しない」ことを責務とした。
 2プラス2合意では、沖縄の半永久的軍事基地化を確認し、辺野古沿岸への基地移設と座間・横田基地の日米統合の強化、民間空港・港湾の米軍と自衛隊の緊急時使用、有事法制の発動がいつでも可能な体制にした。朝鮮・中国侵略戦争へと突入可能な恐るべき事態である。
 とりわけ、「(普天間代替施設は)沖縄県内に設けられなければならない」と断定し、沖縄への差別的押しつけを行っていることを絶対に許してはならない。辺野古沿岸への新基地建設を強行するために、特措法さえもつくろうとしていることに沖縄人民の怒りは沸騰している。絶対に粉砕しよう。沖縄と連帯し、11・13キャンプ座間包囲行動に立とう。
 小泉の攻撃の底には、ドル暴落の危機に瀕(ひん)し、イラク侵略戦争の泥沼にあえぐ米帝危機と1千兆円もの債務にのたうち解決できない日帝の深刻な危機がある。小泉・奥田には時間がないのだ。一見強権的で強大に見えるその先には脆弱(ぜいじゃく)な姿が透けて見えているのだ。労働者の国際的・階級的団結の力でこの戦争・改憲と民営化・労組破壊攻撃を打ち破ることはまったく可能である。4大産別決戦と改憲阻止決戦を一体のものとして闘おう。

 第2章 日米韓労働者の国際連帯をさらに進めよう

 11月、12月の激闘の第二の課題は、国際連帯の闘いである。11・6労働者集会で実現した3カ国連帯の闘いを具体的に発展させていくことである。
 帝国主義は最末期の危機に瀕し、自己の延命をかけて相互に激しく争闘し、その排他的勢力圏形成へ突進している。巨大独占資本の利益のために他のすべてに犠牲を強い、戦争と民営化・労組破壊攻撃に打って出ている。世界中の労働者が戦争と民営化攻撃に直面し、これと闘っている。
 11・6労働者集会が、国家主義・排外主義の台頭と対決し、日・米・韓労働者の国境を越えた連帯と共同闘争の発展をめざしてかちとられたことは、巨大な意義をもっている。労働者階級は、今まさに国境を越えた帝国主義資本の戦争と民営化攻撃に団結して闘うことなしには生きていくことができない。逆に、帝国主義のこのような攻撃が労働者の国際的団結を必然化させて、それを打ち固めていく。連帯は革命なのである。
 戦争と民営化・労組破壊攻撃との対決は、世界のそして日米韓労働者の共通の課題なのだ。アメリカ航空資本のノースウエスト航空の労組破壊攻撃と闘うAMFA(航空整備士労働組合)を始めとするアメリカ労働者の闘いは、日本や韓国のノースウエスト資本のもとにある労働者との団結を強固に求めている。
 ILWU(国際港湾倉庫労組)のジャック・ヘイマン氏は「国際連帯が今ほど時宜にかなったものはない。私たちアメリカ・日本・韓国の労働者はこれ(国家主義と帝国主義の野放図な展開)に対決しなければなりません。資本主義の獣は働く者の生き血を吸っています。国外では戦場で、国内では社会的サービスの民営化をとおして。……団結すればこのような攻撃から身を守ることができます」とアピールした。
 韓国の労働者は、韓国資本と日米欧帝国主義資本の一体となった非正規職化攻撃と正面から激突し闘っている。さらにはFTA(自由貿易協定)攻撃=民主労総解体攻撃と闘いぬいている。韓国の労働者は日米の労働者との連帯、団結の力でこの攻撃を打ち破ろうとしている。ソウル地域本部のコジョンファン本部長は、「米日同盟とノムヒョン政府によって拡大する戦争と世界化に反対して、アジア民衆の連帯を通したもう一つの世界化の闘いによって、労働者は国境を越え、真の階級的団結を実現しなければなりません」と呼びかけた。
 11・6労働者集会の国際連帯は、動労千葉の闘いによって実現された。国鉄分割・民営化攻撃にストライキで対決した闘いと、反合・運転保安闘争の路線の確立が、米韓の労働者の闘いと結合したのだ。米韓の戦闘的な労働運動が動労千葉との連帯と団結を求めて合流したのである。そこには、真に闘うもの同士の血と汗で実現した団結があり、兄弟姉妹的な階級的友誼(ゆうぎ)があるのだ。動労千葉によって国際連帯が実現され発展しようとしていることが重要なのである。
 ランク&ファイル(現場組合員)と言い、民主労組運動と言うのは、同時に動労千葉労働運動ということである。現場労働者の階級性に信頼をおき、現場からの闘いを組織して団結を強めていく、そして闘いを勝利させていくこと、それぞれがそうして闘いぬいてきたからこそ動労千葉との連帯が実現され、国際連帯が発展しているのである。動労千葉労働運動を全労働者の運動として実践することこそ国際連帯を進め、発展させる核心にあるのだ。
 労働者国際主義とは、実は自国資本、自国帝国主義と最も戦闘的に闘うことなのである。この闘いのみが労働者階級の国際的団結、国際連帯を打ち固めるのだ。11・6集会の3労組共闘もこうした階級的団結を軸にしてかちとられ、3カ国労働者の連帯闘争として前進してきたのだ。新指導路線の実践も、ここに核心がある。
 ノムヒョン政権と韓国資本に屈服し労資協調路線に走る民主労総イスホ執行部は、その必然的結果として首席副委員長の汚職事件を引き起こした。民主労総解体攻撃であった首席副委員長の汚職事件摘発は、現場労働者の激しい怒りと闘いで執行部を総辞職させた。民主労総は、直ちに非常対策委員会を組織して11月ゼネスト、11・18〜19釜山(プサン)APEC(アジア太平洋経済協力会議)首脳会議粉砕の闘争態勢を構築している。
 民主労総が主催する11・13全国労働者大会への動労千葉を先頭とする結集は、いまひとつの11月労働者集会の戦取であり、国際連帯の実践である。APEC粉砕闘争、11月ゼネストと連帯して闘い、小泉・奥田の民営化攻撃を打ち破ろう。
 APECに先立つ11・15〜16ブッシュ訪日阻止・日米首脳会談粉砕闘争は、重大な闘争である。米軍再編と朝鮮・中国侵略戦争攻撃との正面対決であり、帝国主義資本と格闘する朝鮮・中国、アジアの労働者との連帯をかけた闘いである。11月闘争へ躍り込もう。

 第3章 『前進』を拡大し不抜の革命党の建設へ前進を

 11月、12月の激闘の課題の第三は、闘う労働者の新聞『前進』を拡大することである。『前進』以外に闘う労働者の指針となるものはない。『前進』でつかみ取った中身が労働運動にとって不可欠であり、闘いの糧となる。
 本号はとりわけ重要である。11・6労働者集会をいち早く特集した本号を、闘いを求める労働者人民に届けることは重大な任務である。闘いの未来を示す本号を全労働者のものとしよう。
 また、財政闘争、年末一時金カンパ闘争は待ったなしの課題である。11・6集会に結集し、賛同した全労働者に呼びかけ、協力してもらい、ともに闘いを前進させていくことだ。賃下げ・リストラ攻撃が吹きすさぶ今だからこそ、その拠金は決定的意味を持つのだ。革命的情勢の成熟過程にある今、闘いの中で組織と運動をつくることができる絶好機の到来である。前進経営局のアピールを実践し、一時金カンパ闘争に決起しよう。
 現代の治安維持法、共謀罪攻撃をはね返し、廃案にしよう。司法の反動化攻撃と対決し、弾圧攻撃と闘おう。11月、12月の激闘をとおして新指導路線のもとで団結し、05〜06年の歴史的決戦に躍り込んでいこう。

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週刊『前進』(2222号2面2)(2005/11/14)

 “辺野古沿岸案撤回せよ” 県民大会に5千人 日米合意に沖縄の怒り

 日米安保協(2プラス2)で決定された在日米軍再編の中間報告の発表を受けて「日米両政府の横暴を許すな!普天間基地の即時閉鎖・撤去、辺野古等基地の県内移設に反対する県民総決起大会」(主催・基地の県内移設に反対する県民会議)が10月30日午後、那覇市・与儀公園で開催された。小雨の中、労組を中心に続々と結集、約5千人が集まった。
 辺野古沿岸案はすっぽり米軍キャンプ・シュワブ内に設定されている。「米軍基地の中なら阻止行動はできまい」と近隣地域の自然破壊や騒音を百も承知で決定されたのだ。稲嶺知事ですら「認めがたい」ものであり、県の拒否をあらかじめ想定し、国権限で海域使用を可能にする特措法の成立を狙っている。まさに「新たな琉球処分」だ。沖縄人民の怒りはもはや我慢の限界を超えている。
 主催者あいさつに山内徳信共同代表が立った。「辺野古沿岸への決定と北部への米軍基地集中の策動は沖縄を南北に分断するもの。特措法は憲法改悪と一体の攻撃であり容認できない。日米両政府が勝手に沖縄を切り刻もうとしている。主権在民も地方自治もすべてが否定されてしまった。県民は絶対許さない」と、怒りをあらわにした。
 伊波洋一宜野湾市長は、「沖縄の負担軽減とはほど遠い内容。辺野古沿岸をコンクリートで埋め立てることを望む県民は一人もいない」と糾弾した。
 社大・社民・共産・民主の各政党あいさつの後、決意表明に移った。ヘリ基地反対協の安次富浩代表委員が怒りをみなぎらせて登壇。「私たちは辺野古のオジー、オバーを先頭に8年間と500日にわたる座り込みでボーリング調査を完全に止めて勝利したことを宣言する。沿岸案も必ず阻止する。日米両政府が『県内移設はやめろ』という沖縄の要求にまったく耳をかさないで決めたことに従う義務はない。認めることは沖縄の死だ。座り込みはこれからもねばり強く続けていく」と辺野古現地闘争の継続を力強く宣言した。
 平和運動センター、統一連の後、平和市民連絡会の平良夏芽代表世話人が「テント村でいつも確認してきたことは、これは単なる反対運動ではなく、完全に阻止するんだということ。500日間の闘いを勝ち抜いたことをしっかり確認し、次の闘いに向けて明日から動き始めよう」と沿岸案もきっちり阻止することを宣言した。また、平良さんは、嘉手納基地前で闘っていた29日、日本山妙法寺の木津博充上人が不当逮捕されたことを報告し、即時釈放を要求した。
 普天間と嘉手納爆音訴訟の各代表からは、戦時下に突入し在沖米軍以外の軍用機が続々飛来し、爆音は極限的になっており到底容認できないと、辺野古との連帯・強化が訴えられた。
 団結ガンバローを行い、雨をついて国際通りから県庁前広場に向かってデモに出た。
 沖縄労組交流センターは、「沖縄は日米の植民地か! 10・26日米『合意』を沖縄の怒りで吹き飛ばせ!」と訴えるビラを2000枚配布し、「小泉が沖縄に問答無用ならば沖縄でゼネストに入ろう! 人民の直接行動だけが歴史を動かし、世の中を変える」「労働組合が闘いの先頭に立とう。ナショナル・センターの違いを越えて11・6全国労働者総決起集会に大合流し、改憲阻止・小泉政権打倒、沖縄圧殺のための米軍基地再編粉砕、第3次安保・沖縄闘争の爆発を切り開こう」と力強く訴えた。
 全学連は織田新委員長を先頭に参加。東北大学有朋寮も寮旗を翻してデモ行進した。
 県民大会の翌日、稲嶺県知事と岸本名護市長は中間報告の説明に来沖した北原防衛施設庁長官に対し、「到底受け入れがたい」と拒否の姿勢を示した。
 沖縄は歴史的な大流動情勢に突入した。辺野古ボーリング調査阻止500日闘争の勝利の地平を継承し、全国の労働者・学生は辺野古現地闘争に結集し、新基地建設を阻止しよう!

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週刊『前進』(2222号3面1)(2005/11/14)

 郵政民営化絶対反対を貫こう

 JPU中央の「現実対応」=民営化推進の裏切り粉砕を

 07年10月へ2年間決戦を宣言する

 JPU(日本郵政公社労働組合)の機関紙「JPU SQUARE」(旧全逓新聞)の10月22日付号に多くの全逓労働者は愕然(がくぜん)とした。その1面トップには「2007年新会社スタート」「郵政民営化法が成立」の大見出しが躍り、まるで民営化を歓迎し祝っているのだ。「民営化反対」を投げ出し、手のひらを返したような、このJPU本部の裏切りに全逓労働者の怒りは、いよいよ高まっている。今こそJPU本部を総退陣させ、現場からの闘いで07年郵政民営化を阻止する2年間決戦を開始しよう。

 本部の「方針転換」オルグに怒り爆発

 ある郵便局では、地本書記長が「方針転換」の説明のため支部オルグにやってきたことに対して、職場で徹底追及する闘いがたたきつけられた。闘う全逓労働者は、本部を弾劾するビラを配り、発言に立ち、本部総退陣を断固要求した。地本書記長は顔面蒼白(そうはく)となり、ほうほうのていで退散するしかなかった。支部オルグが終わるや、発言に立った仲間の肩を組合員が次々とたたき「よくぞ言ってくれた」と、駆け寄ってきた。
 この闘いは、職場の怒りと反撃を引き出した。この闘いに続こう。全国で各地本の支部オルグが始まっている。こうした場で、怒りを爆発させ、徹底弾劾をたたきつけよう。一点の火花が燎原(りょうげん)の火となって燃え広がる情勢が完全に訪れているのだ。
 郵政民営化に屈服することは単なる裏切りにとどまらない。民営化の積極的推進者になることは、労働貴族として小泉と生田に認めてもらうために、自ら組合員の首を差し出すことだ。まさに本部派は、自分だけが生き残るために、首切り代官となっていくのだ。
 中央本部は、来年2月に臨時大会を開き、裏切り方針に承認を取りつけようとしている。今こそ郵政分割・民営化の手先となり下がった中央本部への怒りを組織し、総退陣を迫る闘いをまき起こそう。

 郵政労働者=悪玉論に屈服するのか!

 民営化法案がまだ成立もしていない9月30日、JPU中央本部は、地方本部委員長会議を開催し、「郵政民営化に対する基本的な考え方」を出した。来年2月臨時大会で「郵政民営化に対する対処方針を機関決定する」としている。このJPU中央の「考え方」を徹底的に批判しなければならない。
 「基本的な考え方」では何と言っているか。
 まず第一に、「『公企業論』の立場での対応、政策制度の取り組み、職員の雇用確保の実現のスタンスは変わらない」と言っているが、しかし現段階の選択としては「『4分社化による民営化』を現実のものと受けとめ」ると言う。その上で「『公企業論』の考え方に基づく政策提言と要求対置を行っていく」「今後の郵政民営化対応を『第4ステージ(2月臨時大会まで)』」として、「社会システムとしての郵便局機能の保持、経営の持続可能性の追求」などの基本政策に取り組む、としている。
 第二に、政治対応を、「全国特定局長会とも連携し、考えを同じくする政党、議員の協力を得ながら慎重に行う」としている。
 第三に、政労協議と労使交渉について、「郵政民営化の準備説明、計画の事前交渉に入る」としている。
 JPU本部は、これまでの「スタンスは変わらない」と言っているが、郵政民営化法案が通ってもいない段階で「民営化を現実のものと受けとめる」とし、「民営化反対」を投げ捨て、完全に「賛成」の立場へ移行したのだ。
 この「考え方」には「対決」のかけらもない。郵政民営化法案が強行されて、まだ「民営化対応の第4ステージ」などとふざけたことを言うな。ここまで来たら、組合員をあげて職場から反対と徹底対決の闘いを開始する以外にいかなる道もない。闘いはこれからだ。何が「第4ステージ」だ。民主党は、とっくにJPUを相手にせずに、大政翼賛会の道に転落しているではないか。「政治対応」の余地など百パーセントなくなったのだ。
 即刻、臨時大会を開催すべきだ。JPU菰田(こもだ)委員長―難波書記長体制は、小泉=奥田に屈服し、2月までに自らの延命のための命ごいを行おうというのか。JPU中央は、完全に郵政民営化に賛成したのだ。これに対する弾劾を徹底的にたたきつけなければならない。
 JPU本部の「現実を受けとめる」というペテン的対応を絶対に許してはならない。労働組合であるかぎり、法案が通ろうが、絶対に反対を貫くべきなのだ。
 そもそも小泉が、8・8法案否決から9・11総選挙に至る過程で、「郵政民営化」を強行する論理として使った、労働組合の存在を根底的に否定し、郵政労働者に対する憎悪と敵視をあおってきたやり方を、JPU本部は認めるのか。「公務員は悪玉」「社会のがん」と言わんばかりの、とうてい我慢のできない極悪キャンペーンをもって、「3分の2議席確保」が行われ、郵政民営化法が強行されたのだ。これを「現実」として認めるのか。
 そもそも8・8とは何か。郵政民営化法案否決というブルジョア独裁の崩壊ともいうべき事態に追い込まれた小泉=奥田が、自ら議会制民主主義をぶち壊したファシスト的政治クーデターとして、8・8解散があった。そうした恐るべき反革命的手段をもって、いったん否決された郵政民営化法を成立させたのだ。このすべてを「現実だから受けとめる」というのか。
 JPU中央本部がこの「考え方」に立つのは、これまでも「反対」ではなく「民営化対応」という民営化賛成論に立ってきたからだ。「公企業論」や「政策制度の取り組み」などは、「効率化」という「民営化」の基本原理を追求するものであり、まさに民営化推進そのものなのだ。今後の「『公企業論』に基づく政策提言と要求対置」とは、本部が郵政民営化の先兵となるということだ。
 小泉の反革命に対して、労働組合は闘う以外にない。闘わないかぎりこれを認める、ということだ。小泉の攻撃に自らをさらし、労働組合としては解体する以外にない。今こそ「中央本部打倒」「物ダメ・ストライキで闘おう」の旗を鮮明にして闘おう。

 職場からの反撃を組織し本部退陣へ

 郵政分割・民営化法は成立したが、それがどうしたというのか。小泉のファシスト的大ペテンによる郵政民営化法の強行など、それ自体が大虚構なのだ。全逓で労働組合を再生し団結がよみがえれば、小泉を打倒し、郵政民営化を土台からひっくり返すことは可能である。職場の力関係がこれからの一切を決する。
 労働組合は闘うしかない。闘うためにどうするか。労働者階級の最大限の武器である団結をかちとることだ。郵政民営化絶対反対をますます鮮明にして、そのもとに団結を強めていこう。
 すでに闘いは始まっている。闘う全逓労働者は、10月国会前座り込みを断固貫徹し、絶対反対派として登場した。仙台や関西を始め集会やデモが各地でかちとられている。そして民営化法の成立に対して、あらゆる勢力が屈服する中で、唯一の中央政治闘争として10・21闘争がかちとられた。首をかけて闘いぬくという現場労働者のすさまじい気迫に、全参加者が感動した。この10・21を突破口に、11・6労働者集会に闘う全国の全逓労働者は総決起し、断固たる隊列を登場させた。
 今必要なのは、職場で勝負することだ。職場からの決起と組織化に、もっともっと確信をもって訴えよう。小泉反革命をひっくり返す現場労働者の怒りを組織しよう。
 民営化法成立をもって、全逓決戦は、05年〜07年10月の2年間決戦として、いよいよ本格化した。11・6総決起に続き、2月臨時大会へ向けた闘いが、2年間決戦の本格的な始まりだ。現場の怒りで中央本部を包囲し、徹底弾劾・総退陣要求の闘いをつくりだそう。代議員選挙闘争を始め、分会・支部・県連協・地本の組合執行権をめぐる闘いに本気で突入しよう。
 どこの職場も、超勤やサービス残業を拒否しただけで、たちまち物が山のようにたまってしまう現状だ。超勤拒否などの闘いは、支部や分会で決意すれば、やれる闘いである。今や、いつどこから怒りの炎が噴き出してもおかしくない。
 戦争と民営化=労組破壊の攻撃と対決する4大産別決戦は、それ自体が政治決戦でもある。激化する小泉=奥田の改憲攻撃に対する闘いと完全に結合することで、真の階級決戦へとますます高まっていく。
 11・6労働者集会は、動労千葉を始めとする闘う労組の全国ネットワークを強化し、日米韓労働者のきずなを一層固めた。そして、4大産別決戦と改憲決戦を完全に融合し、一体化して相互の白熱化をかちとるものとなった。改憲決戦そのものにおいても激烈な出発点となり、4大産別決戦と改憲決戦に勝利する力となった。
 この階級決戦の先頭に全逓決戦が立たなければならない。JPU中央本部の民営化推進への完全な転向は、同時に改憲勢力への完全な転向でもある。この中央本部を打倒し、4大産別決戦=改憲阻止決戦の勝利の突破口を全逓労働者こそが切り開こう。

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週刊『前進』(2222号3面2)(2005/11/14)

 人事制度改悪・査定給阻止を 11・15都労連スト貫徹へ

 マイナス人勧合わせ賃下げ

 10月14日、東京都(および特別区)人事委員会は、国家公務員に対する人事院勧告の0・36%を大きく上回る0・85%(特別区は0・97%)の引き下げを勧告した。さらに10月25日、都は「人事制度の改正について(案)」という全面的な昇給・昇格制度の改悪を都労連に提案した。区長会もそれに先立つ10月20日、同様の内容の「人事・給与制度の改正について(骨子案)」を特区連に対して提案してきた。
 二つの提案が一体となって大幅賃金カットとなる。
 人勧では、例月給のカットと昇給のフラット化が提案された。「人事制度改正案」では、@最高号給以上や昇給停止年齢の55歳を超える職員の昇給は行わない、A級格付制度を廃止して、すでに級格付を受けて上位の級に格付けられている職員を格付け前の級に戻す「格付もどし」を実施する、B職務段階別加算制度の見直しで、教育労働者を狙い撃ちにして、現行では役職者でない2級の労働者が、勤続12年以上で5%、30年以上では10%の加算だったが、加算なしにする。人勧による賃金カットに追い討ちをかけ、50歳主任で年収43万円減、54歳係長で73万円減になる。生活設計を成り立たなくする大幅賃下げを許してはならない。

 都労連解体する査定給導入

 都(および区長会)の提案はそれにとどまらない。
 とりわけ、10・25「人事制度改正案」は、組合との労使交渉で人事・給与を決めるあり方そのものを否定し、都労連の存在そのものを否定し解体することを宣言した極反動提案である。 都労連は、「『人事・給与制度の見直し』は、労使協議事項であり、見直す場合も労使合意に基づくものであること」を明確にするように、都に申し入れた。特区連も、10月20日の交渉で、「人事・給与制度改正案」に対し「激しいやりとりからの幕開け」となり、激突している。
 10・25「改正案」の最大の特徴は、普通昇給と特別昇給を一本化して査定給制度を全面的に導入することにある。来年4月から昇給幅を4分割した新給料表になるのにあわせて、普通昇給を廃止し、すべて「勤務成績を昇給事由とする」昇給制度に一本化しようというのだ。すでに導入されている人事考課制度の相対評価とも、より一層連動することとなる。
 その内容は、”ごく一部のエリートだけ、毎年前倒しでどんどん昇給する。平の職員はなかなか昇給しない。当局に目を付けられたら最悪昇給なし”という、成績査定による差別・分断の徹底化にほかならない。
 これまでの昇給・昇格制度は、基本的に年功序列制と平等主義が貫かれていた。一定の勤続年数になれば昇給する仕組みだ。また、昇任試験を受けること自身、組合主導で年功順で受けるようにしたり、成績特昇を組合として行う団結の基礎ともなってきた。
 都は、今回の「改正案」によって〈直属の上司が業績評価し昇給する権限をもつようにすれば、組合から職場支配権を奪い取れる〉ともくろんでいるのだ。
 しかも、今回、D評価とされた職員へのペナルティーを、普通昇給の昇給の3カ月延伸から6カ月延伸にエスカレートする。懲戒処分を受けた者、私事欠勤などに勤勉手当の減額率を拡大することも提案した。
 もし、この査定昇給の全面導入を認めたならば、一人ひとりの都職員(区職員)の賃金はバラバラに、労使交渉とまったく無関係に、当局の一存で一方的に決められることになる。労働組合としての団結は根幹から解体される。職種の違う6単組が都に対して団結して闘ってきた都労連が、存立基盤そのものを解体される断崖(だんがい)絶壁に直面しているのだ。

 公務員バッシングを許すな

 こうした人事・給与制度の大改悪は、9・11大反動の中から生まれてきた。小泉が「郵政民営化」総選挙で公務員バッシングに全力をあげて大勝したことにのっかって、石原都政がしかけてきたのだ。
 この人事制度の大改悪は、公務員制度改革―大民営化攻撃―大量首切りと一体である。東京清掃における工場のアウトソーシング化とも一体の攻撃である。
 都議会自民党・公明党が、賃金確定闘争への介入を強めている。都議会民主党が、それと競い合うように行革リストラと民営化を唱えている。
 この大反動に対して、いかに闘うのか。現場の怒りは深く激しい。10・26地公労決起集会にも、11・1都労連総決起集会にも、動員割り当てを超える労働組合が現場から決起している。また、11・6労働者集会に新たな決起を生み出した。
 今、問われているのは、首をかけ、仁王立ちして公務員バッシングをはね返し、公務員労働者の誇りを取り戻す、決定的反撃である。11月15日に設定されている都労連ストライキを断固貫徹することである。
 今こそ動労千葉の闘いに学び、動労千葉とともに闘おう。11・15ストライキを貫徹し、都労連ここにありという闘いをやり抜こう。

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週刊『前進』(2222号3面3)(2005/11/14)

 アスベスト労災許すな

 石綿の大量使用を続けた企業と政府の責任は重大 発がん性知りながら放置

 クボタなどで多数の死亡者

 帝国主義の労働者階級に対する巨大な犯罪がまたひとつ明らかになった。アスベスト(石綿)による労働災害である。
 6月29日、大手機械メーカーのクボタが、旧神崎工場(兵庫県尼崎市)の労働者や出入り業者の計78人がアスベストが原因で胸膜や腹膜に起きるがん「悪性中皮腫(ちゅうひしゅ)」などで死亡していることを明らかにした。さらに工場の近くに住んでいた住民3人も中皮腫を発病しており、この人たちに対しても見舞金を出すことを明らかにした。
 この発表以降、アスベストを扱ってきた企業が次々と被害を発表した。これを受けて経済産業省は、7月15日に「アスベストによる健康被害の実態調査の結果について(7月13日現在)」を発表した。これは、アスベストを含有している製品を製造していた企業89社からの報告の集約である。企業発表のデータは政府主導によるものであり、運動関係者はこんなものではないと語っている。この時点で死亡している被災労働者数は中皮腫114人、じん肺154人、その他の計374人である。疫学的に中皮腫の2倍発症するといわれる肺がんはまったく含まれていない。この死者数でも労働災害としては衝撃的な数である。
 アスベストによる労働災害は、強烈な発がん性が明らかになって以降も大量に使い続けてきた資本と、それを知りながら放置してきた帝国主義の凶暴性を示すものである。労働者とその家族が資本のあくなき利潤追求のために大量に殺されたのである。しかし、これはまだほんの始まりにすぎない。アスベストによる被害が本格的に出てくるのは今後30年間である。

 アスベストは発がん性物質

 このアスベストによる労働災害の衝撃的な発表以降、学校、駅などの公共建築物、一般住宅の屋根や外壁、電気製品、子ども用自転車など、私たちの日常生活の中にアスベスト製品がいかに広く使われているかが明らかになっている。
 アスベストは石綿(せきめん、いしわた)とも呼ばれる天然の鉱物繊維であり、数種類あるアスベストの成分は同一ではない。アスベストそのものは化学的な毒性はまったくない。アスベストの発がん性は、その物的な形態にある。腐食することのない微細な繊維が体内に入り、その物理的刺激によってがんを発症すると考えられている。
 アスベストが人体に有害であることは紀元前から知られていた。しかし、アスベストが本格的に大量使用され始めたのは20世紀になってからだ。そこにはアスベストが戦争に不可欠の軍事物資であるということも密接に関連している。
 じん肺の一種であるアスベスト肺とアスベストの因果関係が確認されたのは1930年代初めのことであり、アスベストが肺がんの原因になることは50年代に疫学的に確定された。さらにアスベストは、特有のがんである悪性中皮腫を引き起こすことが60年代半ばには確定的に判明している。
 アスベストはどんなに微量でも危険である。私たちは1000万dの蓄積されたアスベスト製品の真っただ中で生活しているのであり、日々それが飛散する危険に直面している。過去の曝露(ばくろ)による被害が顕在化するだけでなく、今後も巨大な規模でのアスベスト曝露とそこから発生する被害の危険性に直面しているのである。

 労働者の闘いが被害を暴く

 国内に鉱山を持ちアスベストの大量使用で先行したアメリカにおいては、第2次大戦における造船労働者のアスベスト労働災害が問題になった。アメリカでは「史上最悪の労働災害」と言われている。世界最大の建材メーカーであるジョンズ・マンビル社(現マンビル社)の労働者から被害者が続出した。被害者は6万件にも上る集団訴訟をもって企業の責任を追及した。良心的な医療チームに支えられた労働者の闘いは全米に波及し、政府が緊急の声明を出すまでになった。しかし、資本の側がその金力を使ってマスコミの買収などありとあらゆる手段で事実を隠蔽(いんぺい)し労働者の闘いを抑え込もうとした。この攻防の中でマンビル社を会社更生法申請にまで追い込んだ。
 日本におけるアスベスト被害との闘いは横須賀で開始された。1982年5月8日、読売新聞が夕刊のトップ記事で「横須賀共済病院の三浦溥太郎医師の研究チームが、基地・造船関係でアスベスト肺がんが多発し過去5年間で39人が死亡しているという研究結果」を報道した。三浦医師らの発表は全造船機械労組浦賀分会の労働者の闘いに呼応するものだが、造船労働者、神奈川職業病センター、勤労者医療生協の医師たちは住友重機の退職労働者と協力して調査を進めた。その中で米軍横須賀基地退職労働者を含む多数に「要治療者」を発掘した。
 70年代を前後する企業合同による労働組合の戦闘力のそぎ落としに全造船の旗を守った浦賀の労働者と医師たちのチームワークで闘いは続けられた。総評解散の大攻撃のただ中で88年、住友重機を相手に損害賠償を求める横須賀石綿じん肺訴訟を提訴したのである。この闘いは99年の米海軍横須賀基地石綿じん肺損害賠償請求訴訟にも発展する。
 同時期、三菱長崎造船においても闘われる。船舶には機関室まわりの耐熱と防火のために大量のアスベストが使用されている。特に軍艦は被弾した時の防火のために室内にアスベストが張り詰められている。
 関西においては労働災害と闘ってきた関西安全センターが2003年に合流し、全国的なアスベスト労働災害との闘いへと発展していく。05年におけるクボタの発表は、関西における地道な調査と闘いがついにはクボタを追い詰めた結果なのである。
 アスベストによる被害は労働災害というだけでなく、労働者家族の2次曝露による被害、そしてアスベストの飛散をとおして住民にも被害が拡大している。アスベストは採掘・運搬・1次製品化・使用・廃棄のすべての段階で、一方では労働者の被害をもたらし、他方では空中への飛散を介して住民への被害をも際限なく拡大するのである。
 アスベストの90%は建築資材として使用されている。コンクリートなどで固めてあり「非飛散性」と言われているが、そんなことはない。建設過程の作業によってアスベストは空中に飛散するし、劣化によっても飛散する。現場で働く労働者は身をもってこのことを知っている。建築関係においては最も飛散の危険が高い鉄骨への吹き付けアスベストの施工による曝露、アスベストを含む建材の切断などによる被曝、職種に限らず同じ現場で作業をしたための被曝の例があげられている。
 鉄道車両製造労働者など鉄道関係者にも被害が広まっている。すでに国鉄の工場、整備で労災の認定が出ている。清掃事務所などの自治体現業労働者もそうだ。沖縄においては基地労働者の被害が明らかになり、横須賀に続いて基地労働者の闘いが開始されている。労働者がアスベスト労働災害と闘うことがアスベストの被害から全人民を守ることになるのだ。
 これまでアスベストを大量に使用してきた帝国主義国におけるアスベストの使用はこの間、激減している。しかし、アスベストの使用がなくなったのではなく、アジアを中心とする新植民地主義国において使用が増加している。アスベストが大量に使用されている船舶の解体はバングラデシュなどで行われている。帝国主義が国内でできない危険な作業を新植民地主義国に輸出しているのだ。また、フィリピンにおける米軍基地労働者の被害も報告されている。こうしたことに示されているのは、アスベストとの闘いが国際的な帝国主義との闘いに発展する必然性である。

 禁止法案に反対した連合

 アスベスト被害の責任はまずは企業にある。資本の利益のために労働者と労働者家族の生命を省みない責任は徹底して取らせなくてはならない。クボタに見られるように、企業はアスベスト労働災害を熟知していながら隠していたのだ。資本はどこまでも労働者の生き血を吸って生き延びようとするものである。
 同時に、政府の責任を徹底的に追及しなくてはならない。ILO(国際労働機関)でアスベスト使用禁止の決議がされたのが1986年の総会である。日本政府がこの「石綿の使用における安全に関する条約」を批准したのは、今年の7月15日のことである。アスベストを原則禁止にしたのは2004年10月である。
 これまで国会においてもアスベスト禁止法案は2度提出されたことがある。1度目はILOが採択した条約を当時の社会党が批准を試みた時である。これに対し、日本石綿協会は「石綿は安全だ」という見解を出し、自民党がこれを全面的に支持することによって否決された。この一連の時期に小泉が厚生大臣であったことを想起しなくてはならない。
 2度目は1992年に議員立法が計画されたが、この時も自民党が反対し、かつ連合が反対したことによって提出することができなかった。これに関与した自民党および連合幹部はアスベスト被害に直接的な責任がある。政府の責任を完全に放棄した「アスベスト新法」など被害者の苦痛をさらに踏みにじるものだ。日本共産党スターリン主義は全建総連に影響をもちながらアスベスト問題において完全にかやの外である。共産党の医療関係者さえ口をつぐんだままである。
 アスベスト被害の根底にはどす黒い帝国主義の本質が存在している。アスベスト被害の責任をどこまでも追及しなくてはならない。この中にアスベスト被害の本当の解決の道が存在しているのだ。 (高津修二)

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週刊『前進』(2222号4面1)(2005/11/14)

 暫定滑走路北延伸の06年着工阻止へ

 新誘導路のため「東峰の森」破壊 廃棄物処理場埋め立ては違法だ

 成田からのイラク派兵阻止

  江波敏之

 日帝・小泉自民党は10月28日、「自衛軍の保持」を明記した新憲法草案を公表した。戦力不保持を定めた9条第2項を全面改定し、現行憲法が禁じる集団的自衛権や海外での武力行使の容認を内容としている。これによって戦後の日本社会を根底から転覆させる改憲論議が一気に具体化した。郵政民営化に始まる官公労労働運動の解体攻撃、沖縄・普天間基地の名護移設の日米合意と米軍再編のもとでの軍事的一体化、そして、教育基本法改悪と改憲の攻防への本格的突入で、06年はまぎれもない決戦の年となる。この時、三里塚もまた06年秋の暫定滑走路北延伸着工阻止を射程に入れた決戦情勢に突入した。今秋10・9三里塚全国集会は決戦突入集会として戦闘的に打ち抜かれた。改憲決戦と一体のものとして06年秋の暫定滑走路北延伸阻止へ総決起しよう。

 改憲阻止と三里塚決戦の勝利は一体

 日帝ブルジョアジーは、戦後形成された国家と社会のあり方を、暴力的に破壊し、新たな戦争国家体制をつくり出すことなしには延命できない。そのために日本の制度を一変させる総攻撃を、政財界一体となって開始した。それが「構造改革」という右からの戦後制度の解体攻撃であり、総仕上げとしての改憲攻撃である。
 この攻撃は支配階級の分裂と対立を呼び起こして進行している。「郵政民営化」は、支配階級内「抵抗勢力」の一掃と国会総翼賛化を図る攻撃として反革命的にしかけられた。解散・総選挙は、帝国主義の歴史的限界が生み出した時代の閉塞(へいそく)、絶望と不安を「改革」をかたったファッショ的スローガンで吸引した結果である。
 そして、この反動の波にのって小泉は一気に9条を最大の柱とする改憲に、反革命的に突進している。米帝ブッシュの世界戦争政策と一体性を強め日米英の反動枢軸を形成し、米帝がふりまわす世界戦争政策に対抗的・積極的に関与している。日米同盟の双務的改編と国連安保理常任理事国入りで経済大国から政治・軍事大国にのし上がり、他帝との争闘戦に打ち勝ち、朝鮮・中国侵略戦争とアジア勢力圏化に向かおうとしている。
 この〈外に向かっての侵略戦争〉とともに、規制緩和と民営化による〈内に向かっての階級戦争〉が仕掛けられている。90年代後半に始まり、小泉政権の登場以後ますます急ピッチで進められた郵政民営化を頂点とする行財政改革、社会保障制度改革、公務員制度改革、教育改革、司法制度改革、地方制度改革などのいわゆる「構造改革」攻撃の核心は、戦後に闘いとった人民的権利の一切の剥奪(はくだつ)であり、労働運動・労働組合の解体、国益と公共性をふりかざした国家暴力に対する抵抗闘争、反戦闘争の解体・一掃である。
 この体制転換において、日帝は三里塚の現実を絶対に許容できない。
 その理由の第一は、成田空港の現実こそが人民の力による国家政策の不貫徹、政策破綻(はたん)を意味するからである。三里塚では人民の実力闘争が40年間にわたって国家事業を阻止している。大衆的実力闘争とゲリラ・パルチザン戦闘の発展は千葉県収用委員会を解体し、日帝の制度そのものを停止させた。これは戦争国家を目指す小泉構造改革にとって、絶対に許容できない階級支配と統治の破産を突き出している。
 第二に、成田空港軍事化の軍事的要請からである。
10月29日に日米安全保障協議委員会(2プラス2)が公表した在日米軍再編の中間報告は、日米安保の新段階を露骨に打ち出した。米軍普天間基地の辺野古崎移設で最終合意し、米陸軍第1軍団司令部のキャンプ座間への移転などを確定させた。だがこれらは「基地の再配置」にとどまるものではない。米軍と自衛隊が軍事的一体化を進め、情報、作戦、訓練など、すべての軍事領域で「融合」へと向かっている。米帝の世界戦争政策と、極東における北朝鮮・中国侵略戦争に向けて、新たな日米同盟が形成されたのである。
 この中間報告で、有事と周辺事態を想定した民間空港・港湾などの軍事使用の検討作業が具体的に確認された。97年日米防衛協力のための指針(ガイドライン)をベースに、有事法制を反映させて、関連政府機関と地方自治体の調整を進め、詳細な調査と演習プログラムを強化することがうたわれている。
 97年ガイドラインでは、有事の対日支援要求1059項目が明らかになり、成田空港が有事の際の60万米兵と兵站(へいたん)物資の受け入れ拠点として位置づけられた。これが具体化する段階に入ったのだ。
 また、日帝・小泉内閣は12月に期限を迎えるイラク特別措置法を延長し、東部方面隊に次期交代要員を指示した。年明け早々にも、約600人がサマワに向けて出兵する。その出発地は成田空港である。成田では反戦闘争・実力闘争によって自衛隊の公然たる出兵が阻止されてきた。こうした状況は、米帝の世界戦争戦略にコミットし、新たな日米同盟にひた走る日帝にはもはや許容できないのである。
 暫定滑走路北延伸攻撃の本質は、三里塚闘争と三里塚が象徴する人民の実力抵抗闘争、反戦・反基地闘争の根絶である。これとの闘いが1年後の06年秋の着工をめぐる着工阻止決戦として、攻防の焦点に押し上げられた。これが三里塚攻防を規定しているのである。

 農民の切り崩しと南延長が真の狙い

 だが、こうした小泉の反革命的突出は、追いつめられた結果によるものである。改憲も郵政民営化も戦後的あり方の反動的突破なくして、日帝として生き延びることができないからであり、北延伸も三里塚闘争が勝利し続けてきたからにほかならない。
 成田空港二期工事(平行滑走路建設工事)は、シンポジウム・円卓会議(91〜94年)による切り崩しが破産し、敷地内の天神峰・東峰に農地と各種共有地(神社、墓地、開拓組合道路)、一坪共有地を残して事実上頓挫(とんざ)した。旧空港公団(現NAA=成田国際空港会社)は、取得済みの用地を使って工事を進め、民家上空40bのジェット騒音で農家を追い出す政策に転じて、暫定滑走路を開港した(02年)。
 しかし、成田の遅れは東アジアにおける拠点空港建設競争で致命的な立ち遅れを強制され、日帝は羽田国際化へと政策転換(09年新D滑走路完成)し、中部国際空港の開港と併せて現実的対応に踏みきらざるを得なかった。そして民営化した空港会社の07年の株式上場も切迫する中、成田空港(空港会社)は待ったなしの状態に追いつめられている。これが暫定滑走路北延伸に至る攻防上の経過である。

 なりふり構わぬ凶暴な攻撃

 それゆえ日帝・国交省は、懐柔的な手法も投げ捨て、「06年秋着工」を掲げてなりふり構わぬ凶暴さをもって暫定滑走路の北延伸を迫っている。
 日帝・小泉―国交省は、北延伸が現実化すれば、”飛行回数は年10万回”とぶちあげている。さらにかつて「空港周辺緑化計画」という名の懐柔策として、保全を地区に確約した「東峰の森」を新誘導路建設のために破壊し、東峰地区の西側部分を丸ごと空港敷地に囲い込み、地区を二つに分断する計画を居丈高に打ち出した。
 飛行回数「10万回」は今の2倍(!)を超える。しかもジャンボ機。昼夜分かたず襲う殺人的騒音。「この騒音に耐えられるか」「ここに住めるか」という強烈な脅迫である。しかも単に脅すだけでなく、計画の実現可能性を提示し移転を迫っている。
 だが、この攻撃の凶悪さは、欠陥空港=ナリタの固定化と裏表の関係にある。NAAにとって、北延伸はそれ自体が目的ではない。農家の暮らしと天神峰・東峰地区を破壊する北延伸を進めることで、敷地内農家を切り崩し、丸ごと屈服させて南に延ばす(平行滑走路の完成。しかも最長3800b軍用滑走路として)ところに北延伸の狙いがある。

 「東峰の森」を破壊し誘導路

 事実、10月3日に公表された北延伸の施設計画案は、突き当たった限界を力ずくで突破しようとする異常構造である。
 @新誘導路建設と「東峰の森」破壊計画
 第2ターミナルと暫定滑走路を結ぶ誘導路(連絡誘導路)を、供用中の誘導路とは別に新設する。供用中の誘導路は未買収地に挟まれて狭く、航空法の基準を逸脱しジャンボ機が走行できない。その対策としての計画だが、ルートを空港敷地から東側に大きくはみ出し、「東峰の森」を縦断することとした。「東峰の森」は東峰地区が部落創建の時から入会的に使ってきた森であり、地域との一体不可分性から旧空港公団が保全を確約した森林である。NAAは、あえて最短コースを取らず、大きく迂回(うかい)させてこの森の破壊で迫り、地区に屈服を強要している。
 この新設誘導路は、暫定滑走路の先端にあるオーバーラン帯(着陸時の過走対策のためのエリア)と、先端から約1000b先の飛行直下で交差する。大事故の可能性をかかえた異常な欠陥構造である。
 A廃棄物最終処分場の移転問題
 北延伸によって航空保安区域用地になった一般廃棄物最終処分場(成田クリーンパーク)の移転問題である。廃棄物と覆土を合わせた埋め立て量12万立法b。廃棄物処理法は、最終処分場の転用を禁止しており、これを航空保安区域として転用はできない。処分場を廃止し、堆積(たいせき)したゴミの山はすべて溶融処理して他に移転するしかない。そのための時間と費用の膨大さからNAAと成田市は、閉鎖・転用の脱法を策動している。
 B東関東自動車道の安全対策
 処分場と同様に、これと隣接する東関東自動車道が航空保安区域を横断する。滑走路北端から約400bの地点。この地点での航空機の進入高度は約40b。NAAはその対策についていまだ公にできずにいる。
 C国道51号線のトンネル化
 延伸によって国道は滑走路(しかもランディング付近)の下になり、これに耐えうる構造への改造が不可欠。だが工事は滑走路の閉鎖後の夜間工事となることから長期の難工事になることが必至である。
 D騒音対策(コンター線引き)
 飛行直下の成田市久住地区と下総町の抗議でNAAは、騒音コンターの見直しはした。しかし騒音補償のための線引きはこれからであり、北側飛行直下の住民の怒りはとうてい収まるものではない。
 Eそれらの一切が07年のNAA株上場と09年羽田国際化への対抗という時間的制約に規定されていることである。
 さらにまた、暫定滑走路の欠陥を引き継ぐ着陸帯幅の違法問題(ICAO=国際民間航空機関の世界標準と航空法の基準違反)や、管制塔の死角問題(全体の70%以上が目視できない)など欠陥だらけである。
 上述した飛行回数「10万回」にしても、さまざまの物理的限界から、けっして現実的ではない。自衛隊百里空域の壁による空域構造上の制限(いわゆる「成田トンネル」)からパラレル運行が不可能。主滑走路と交互に飛ばすしかなく、地上走行でも誘導路の構造的制約が運航制限をもたらしている。さらに相手空港による運行の時間帯別飛行回数の偏り、09年羽田国際化によるアジア便の移動や世界的な航空需要低下傾向(米航空大手7社のうち4社が倒産!)など、「10万回」は不可能である。そもそも暫定滑走路の運用枠を年間6万5千回としたことも、現状4万5千回にとどまっていることも、こうしたことに起因しているのである。

 三里塚闘争の破壊狙う攻撃

 以上で明らかなように、北延伸は、NAAの黒野社長でさえ難色を示したほどの非現実的な工事計画なのだ。日帝・小泉―国交省は、三里塚の闘争陣形を根絶することを狙いとしてこの攻撃に踏みきった。ここには戦争国家への歴史的転換をかけて、三里塚の火種を摘むという差し迫った課題がある。沖縄の辺野古、国鉄・全逓労働運動がそうであるように、人民の実力抵抗による国家政策の破産は絶対に認められないのだ。
 この不屈の闘いの真価が問われている。日本の社会・経済・政治が、戦争国家への転換に向かい改憲に収斂(しゅうれん)されようとしている今こそ、帝国主義の国益とナショナリズム、排外主義を拒否し、けっして負けない不屈の闘争を闘いとること。沖縄や動労千葉そして三里塚が闘い続けてきたこの思想を断固として貫く決戦を闘いとろう。

 06年北延伸阻止へ1年間決戦闘おう

 今秋から06年にかけての三里塚闘争の方向性と現地攻防の焦点を明確にしたい。何よりも、06年秋の暫定滑走路北延伸阻止へ、1年間の決戦を構え闘いに突入することである。その勝利のために、教育基本法改悪・改憲阻止決戦と一体的に三里塚闘争を闘うことである。
 三里塚闘争もまた、戦後革命情勢で闘い取った人民的権利のもとで闘い発展してきた。戦後憲法はもとより土地収用法さえも戦前と戦後では一変している。この人民的権利を発展させて三里塚は闘い続け、その制動さえも打ち破って今日の地平を切り開いた。戦後憲法の最左翼に三里塚闘争はあった。その総体を否定・解体する攻撃として改憲攻撃がかけられている。
 労働運動・労働組合の一掃と沖縄の反戦闘争、国家の政策に刃向かう者の根絶。北延伸攻防はこの過程を三里塚で強行する小泉反革命である。
 70年安保・沖縄闘争、90年天皇決戦、そして日米共同宣言・ガイドラインのもとでの2期決戦などに明らかなように、三里塚闘争は常に階級決戦と一体のものとして決戦化し、実力闘争として爆発した。三里塚闘争の爆発が改憲決戦の勝利を切り開く。逆に三里塚闘争の勝利もまた改憲決戦と労働運動の発展の中にあるのである。

 現闘本部裁判の支援拡大へ

 06年秋の北延伸着工阻止の決戦から逆規定して06年の闘争を構築しよう。また、06年は7・4空港建設閣議決定から40周年にあたる。その闘いの歴史の成否をかけて、10月全国総決起集会と北延伸着工阻止の現地闘争へ総決起しよう。
 三里塚現地攻防の第一は、新誘導路建設阻止=「東峰の森」破壊攻撃粉砕の闘いである。第二は「成田クリーンパーク(一般廃棄物最終処分場)」の違法埋め立て策動粉砕の闘いである。第三に、北延伸によって激化する騒音と闘う成田市久住地区と下総町住民との連帯を闘いとることである。このための現地闘争を強化しよう。
 最後に、現地攻防と不可分に進行する天神峰現闘本部裁判の法廷闘争、その支援運動の全国的発展を闘いとることである。天神峰現闘本部は暫定滑走路に実体的打撃を与える「へ」の字誘導路直線化阻止の拠点である。この存在が市東孝雄氏の耕作地を守り続けている。この裁判闘争は勝利できるし絶対に勝利しなければならない。そのための支援運動を全党と全国の三里塚勢力の総力で拡大しよう。
 北延伸着工阻止決戦の大爆発へ、反対同盟と党の血盟にかけて三里塚闘争の新たな発展を闘いとろう。

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週刊『前進』(2222号4面2)(2005/11/14)

 青森 反核燃 秋の共同行動 “再処理本格操業とめよう”

 10月30日、青森県内の反核燃団体代表者らが呼びかけた「2005年反核燃 秋の共同行動/とめよう!再処理本格操業・中間貯蔵」が開かれた。県内外から集まった約100人の参加者は「新たな気持ちで『再処理本格操業』と『中間貯蔵施設建設』を止めるために、あらゆる行動に取り組もう」(集会アピール)と誓い合った。
 東京電力と日本原子力発電がむつ市に計画する使用済み核燃料中間貯蔵施設について、青森県は10月18日に受け入れを決め、翌日の19日に協定書に調印した。その19日は、下北半島の先端、函館の対岸に位置する大間(おおま)では、建設が計画されている大間原発に関する第2次公開ヒアリングの当日だった。すでに青森県は11日に国際熱核融合実験炉(ITER)関連施設の六ケ所村立地受け入れも決定しており、「下北半島を原子力半島化する三村県政に対し、私たちは対決姿勢を明確にする」(集会アピール)ことが緊急の課題となっていた。
 司会は呼びかけ人の鹿内博さん。彼は冒頭、12月にアクティブ試験、改造工事に2〜3カ月、その後地域説明会を行うとしても来春が「山場」だと指摘、ここに向かっての運動論を探る討論となった。
 核の「中間貯蔵施設」はいらない下北の会の野坂庸子さんが「がんばってねと言われた時、他人ごとではない、考えてみてと訴えている」と地道な地域活動を報告し、核燃阻止1万人訴訟原告団の浅石紘爾弁護士は「再処理の要件と前提は失われている」と提言した。原子力資料情報室の澤井正子さんは「アクティブ試験こそ事実上の操業開始だ」と警鐘を鳴らした。
 再処理工場について勉強する農業者の会の哘(さそう)清悦さんは「再処理は自然豊かな青森県を『放射能臭い青森県』にイメージダウンしてしまう。安心して食べられないという風評被害はすでに始まっている」と告発した。核燃問題を考える科学者・文化人の会の神田健策弘前大学教授は「原子力関連施設誘致という大規模プロジェクトでは地域振興は図れない」と統計資料などで実証した。
 フロアからは、地元を始め函館、東京などから駆けつけた人びとなどが活発な意見を語った。弘前大学の学生は、「大学で東京電力が『エネルギーシンポジウム』を行うなど、大学を国策推進機関としようとしている。12月アクティブ試験阻止へ闘いを組織し、大学を反核運動の一つの拠点にしていく」と決意表明。
 六ケ所の坂井留吉さんは「むつ小川原開発の当初から闘い続けた40年間。六ケ所から放出された危険なものが岩手県にも流れる。岩手の漁業者にも運動を広げていきたい」と決意を語った。呼びかけ人の西館庄吉さんも「待ったなしの段階に来ている。今こそ原点に戻って、労働組合や農業者、漁業者、青年、市民などの大同団結を呼びかけ、戦術を練り直す。一回やってみる必要があるのではないか」と訴えた。
(投稿/南原美樹)

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週刊『前進』(2222号4面3)(2005/11/14)

日誌'05 10月26日〜11月1日

 米軍再編で中間報告を発表

 自民党が新憲法草案を決定

●普天間移設、辺野古崎で合意 米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の移設先をめぐり、日米両政府は、名護市の辺野古崎にある米軍キャンプ・シュワブの兵舎地区から海上に突き出す形でヘリポートを造ることで基本的に合意した。(26日)
●改正テロ特措法が成立 アフガニスタンで作戦を行う米英艦などに自衛隊が後方支援するための改正テロ特別措置法が参院本会議で自民、公明両党などの賛成多数で可決され、成立した。同法は01年11月に時限立法で施行され、03年に2年延長、さらに1年間延長されることになった。(26日)
●横須賀に原子力空母 米海軍は、神奈川県の横須賀基地を事実上の母港としている通常型空母キティホークを08年に退役させ、原子力空母を後継艦にすると発表した。日本政府は「わが国の安全に寄与する」などとして評価する考えを明らかにした。(27日)
●国民保護計画、中央省庁の対応決定 政府は閣議で国民保護法に基づき、ほぼすべての中央省庁を含む「指定行政機関」28団体の対応策を決めた国民保護計画を決定した。省庁はそれぞれ「国民保護対策本部」を設置。「在外邦人への情報提供や在日米軍との調整」(外務省)、「駅や空港の安全確保要請」(国土交通省)などの業務を実施するという。また政府は同日、初めて全都道府県が参加する、同時多発テロを想定した図上訓練も実施した。(28日)
●自民が新憲法草案を決定 自民党が現行憲法を大幅に改定する内容の「党新憲法草案」を決定した。9条については、1項の戦争放棄条項は維持する一方で、「自衛軍」の保持を明記した。自民党はこの条文なら集団的自衛権の行使は可能とし、自衛軍に海外での武力行使を伴う活動にも道を開いた。(28日)
●テロ特措法で基本計画 政府はテロ対策特措法に基づき活動している海・空の自衛隊の活動期間を来年5月1日まで半年間延長する基本計画を閣議決定した。(28日)
●米軍再編「中間報告」発表 外務・防衛担当閣僚による日米安全保障協議委員会(2プラス2)がワシントンで開かれ、在日米軍再編に関する「中間報告」を発表した。「同盟の能力向上」を掲げ、在日米軍と自衛隊による司令部間の連携強化や基地の共同使用などを打ち出した。普天間飛行場の移設先は「沖縄県内でなければならない」と結論。辺野古崎に長さ1800bのヘリポートを造ることを盛り込んだ。(29日)
●小泉が航空観閲式で訓辞 小泉首相が航空自衛隊百里基地(茨城県)で行われた航空観閲式で訓示し、「憲法上の自衛隊の位置付けについてもようやく国民的合意が形成されようとしている」と述べ、改憲への意欲を示した。(30日)
●沖縄県知事、名護市長が拒否 沖縄県の稲嶺知事が日米両政府がまとめた普天間飛行場の名護・辺野古崎への移設案を拒否する方針を防衛施設庁に伝えた。名護市の岸本市長も拒否の考えを明らかにした。(31日)
●「障害者自立支援法」が成立 「障害者自立支援法」が衆院本会議で、与党の賛成多数で成立した。(31日)
●小泉内閣改造 小泉首相が内閣改造を行い、自民、公明両党による第3次小泉改造内閣を発足させた。安倍晋三自民党幹事長代理を官房長官に起用、外相には小泉の靖国参拝に賛成する麻生総務相を据えた。(31日)
●民主党憲法調査会が提言 民主党憲法調査会が新憲法に対する考え方を示す「憲法提言」をまとめた。安全保障では「制約された自衛権」や「国連の集団安全保障活動への参加」を盛り込んだが、集団的自衛権の行使や海外での武力行使を可能にするかどうかは明示しなかった。(31日)

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週刊『前進』(2222号5面1)(2005/11/14)

 自民党新憲法草案粉砕へ

 中国・朝鮮侵略戦争のための9条改憲攻撃を打ち砕こう

 10月28日、自民党が新憲法草案を発表した。自民党はこの草案を11月22日の「結党50年」の党大会で正式に採択し、いよいよ改憲攻撃の全面展開に移ろうとしている。07年までの憲法改悪を狙って具体的な日程にいよいよ突入したのである。来年の通常国会には、改憲のための国民投票法案が提出される。11・6集会に結実した労働者階級の闘う団結とその力を基礎に、全人民に警鐘を乱打し、改憲阻止闘争の大爆発をつくりだそう。

 民主抱き込み改憲の現実化へ部分手直し

 10月28日発表された自民党新憲法草案の最終案は、全体としては、8月1日発表の第1次案(およびこれに部分的に加筆した10月12日発表の第2次案)を引き継いだものである。だが焦点の第9条については、9条の1項は現行憲法の条文をそのまま残すなど、1、2次案にさらに大幅な変更を加えている。また、1、2次案にはなかった憲法前文の書き換え部分が加わっているが、これも自民党新憲法起草委の前文小委員会(委員長=中曽根元首相)が作成した原案とは異なり、「日本の歴史・伝統」「国柄」へのストレートな言及は削られた。
 前文と9条についての原案からのこの変更は、発表直前の最終段階で、小泉首相の強い指示によって行われたと報じられている。9・11総選挙で自民党が圧勝したとは言っても、改憲を実際に実現するには公明党と民主党の同意を得ることが不可欠だ。このため、「作っても他党に全く振り向いてもらえないなら意味がない」(与謝野政調会長)として、小泉の決断であえて変更を行ったのである。
 そこには逆に、この05年から07年への過程で何がなんでも改憲の突破口を開くという、小泉政権と日本経団連・奥田らの激しい反革命的決意と執念が示されている。まずは9条2項の削除と96条(憲法改正条項)の改悪を一切に優先して行えという、経団連の1・18改憲提言を、確実に実行に移すということだ。96条(改正条項)を改悪して、国会議員の3分の2ではなく過半数の賛成で改憲の発議ができるとしておけば、後は普通の法律と同様、必要に応じていくらでも新たな改憲を繰り返すことができる。その立場から、9条改憲に現実的な形で踏み込むことに一切をかけてきているのだ。
 しかもそのことは、本紙2220号4〜5面論文で詳細に暴露した第1、2次案のもつ恐るべき反革命的内容が、今度の最終案でいささかでも「薄まった」というようなものでは断じてない。現行憲法をその基本原理において徹底的に破壊し尽くし、焼き払うというその狙いは、最終案にも百パーセント貫かれている。ただその手口が、民主党や公明党を取り込むことを意識して、一層巧妙でペテン的で悪質なものになったということにほかならない。
 この自民党の動きに呼応するように、10月31日、民主党の憲法調査会は「憲法提言」をまとめた。その内容は、9条2項を改定し、自衛権を憲法に明確に盛り込むというものであり、改憲に大きく踏み込むものである。
 自民党の新憲法草案の発表、日本経団連の1・18提言、民主党の10・31憲法提言、そして連合の7・14見解と、改憲に向けての動きが現実的な日程を伴って、本格的にどしどし進行しているのである。
 さらに、10月29日の日米安保協(2プラス2)での米軍再編中間報告も、改憲攻撃と一体のものである。第3次小泉改造内閣は、この改憲・戦争体制構築の攻撃を推進する突撃内閣である。事態の重大性を直視し、改憲阻止の決戦態勢を4大産別決戦と一体のものとしてつくり出さなければならない。

 戦争への反省うたった前文を丸ごと破棄

 新憲法草案で〈前文〉と〈9条〉は最終的にどう書き換えられたのか。
 前文については、現行憲法の前文を丸ごと破棄して、全面書き換えを強行した。とりわけ現在の憲法前文の核心中の核心である、「政府の行為によつて再び戦争の惨禍が起ることのないやうにすることを決意し……」という、日本が行った過去の戦争への否定と反省は、具体的な文言においても精神においても完全に跡形もなく削られてしまっている。
 「象徴天皇制は、これを維持する」とか、主権在民・民主主義などの現憲法の基本原則は「不変の価値として継承する」などと、現憲法を大きく変えるものではないかのように見せかけているが、戦争への反省がすべて削られたというこの一点で、現憲法のよって立つ原理はまさに破壊し尽くされている。
 そして決定的なのは、「帰属する国や社会を愛情と責任感と気概をもって自ら支え守る責務」を「国民の責務」として公然と正面から打ち出したことだ。いわゆる「国防の義務」を、このような形で実質的に憲法に盛り込んだのである。
 さらに、「国際平和を誠実に願い、他国とともにその実現のため、協力し合う」としているが、これは新9条案で「国際社会の平和と安全を確保するための活動」を「自衛軍」の任務に加えたこととも符合している。「国際協力・協調」の名で、海外派兵、侵略戦争にどしどし突き進むという宣言だ。
 その上で、小委員会の原案にあった「天皇を国民統合の象徴として古(いにしえ)より戴(いただ)き……」といった、戦前型の天皇制国家への回帰を前面に押し出す表現は消された。「つくる会」教科書とまったく同じむきだしの天皇制イデオロギーをそのまま憲法に書き込むやり方では、他党を取り込めないというのがその理由だ。しかし、原案の基本的考え方が、考え方として退けられたわけではまったくない。あくまで民主・公明を抱き込むためのペテンでしかない。

 9条1項残すペテン使って「自衛軍」明記

 9条について。1、2次案では「戦争放棄」の言葉を9条1項の条文から抹殺するというとんでもないことをやりながら、「平和の理念」は残すのだなどと強弁していたが、最終案では9条1項は現行のままで変更は加えないとした。〈戦力不保持・交戦権否認〉を規定した9条2項は原案同様に丸ごと削除し、「自衛軍」の保持とその武力行使を認める条項に置き換えた。そして、原案では「第9条の二(自衛軍)」と「第9条の三(自衛軍の統制)」に分かれていたのを、「第9条の三」をなくして前者に一括・統合した。
 ここで9条1項を「第9条」として現行のまま残したことも、まったく恥知らずなペテンである。そもそも9条2項を破棄して軍隊の保有と軍事力の行使を認めることは、9条1項が「永久に放棄する」と宣言してきた「国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使」を認めることそのものではないか。自民党案は、9条1項は変えないと言いつつ実際には、2項を除去することで1項を実体的裏づけのない単なる理念に変質させるものだ。そして「自衛戦争」や「国際協調」の名のもとに行われる戦争は、9条1項が禁止する戦争には該当しないとしていくのだ。「戦争の放棄」を放棄することこそが核心だ。
 廃棄した9条2項に替えて新設された「第9条の二(自衛軍)」は、よく見るとその内容は第1、2次案よりも一段とエスカレートしている。
 まず最初にその第1項で、「我が国の平和と独立並びに国及び国民の安全を確保するため、内閣総理大臣を最高指揮権者とする自衛軍を保持する」としている。原案では単に「内閣総理大臣の指揮監督に服する」となっていたのを、軍隊の最高指揮権は首相が独裁的に掌握することを明確にしたのである。また第2項で、自衛軍の活動については原案で「事前に、時宜によっては事後に、国会の承認を受けなければならない」となっていたのを、「国会の承認その他の統制に服する」というあいまいな表現に変えている。
 さらに第3項で、自衛軍の任務として、@第1項に規定するいわゆる「自衛のための活動」と、A「国際社会の平和と安全を確保するために国際的に協調して行われる活動」に加えて、B「緊急事態における公の秩序を維持し、又は国民の生命若しくは自由を守るための活動を行うことができる」としている。この@では、原案では「自衛のために必要な限度での活動」と、「必要な限度で」の文言が入っていたが最終案では消し去られた。Bは原案では「公共の秩序の維持のための活動」という抽象的表現になっていたが、治安出動を軍の主任務の一角にすえることをずばり意味するものである。
 この「自衛軍」とは、現在の自衛隊の活動を憲法上も合法化するといったレベルにとどまるものでは断じてない。再び大規模な対外戦争のできる本格的な帝国主義軍隊をなんとしても持つことが狙いなのだ。「軍」と明記したのもそのためだ。

 小泉と奥田の支配階級総体の反革命攻撃

  重要なことは、これらの条項が結局は、政府の勝手な解釈でどうにでもなる性格のものとなっていることだ。むしろ意識的にそうした表現が与えられている。集団的自衛権についても憲法の条文には明記しないが、自民党は、自衛権を認める以上は当然それに含まれると宣言している。そして「自衛軍の任務」の詳細については、「安全保障基本法」「国際協力基本法」「緊急事態基本法」をそれぞれ新憲法の付属法制として制定し、そこで定めるとしているのだ。その具体的中身は、まったく公表されていない。
 この自民党新憲法草案の発表に対し、日本経団連、経済同友会、日本商工会議所の財界3団体は即日、これへの大歓迎をこぞって表明した。とりわけ経団連会長の奥田は、同草案の策定を「画期的」と賛美し、攻撃の貫徹に向けて一層の「政治のリーダーシップ」を要求した。
 小泉と奥田は、帝国主義の世界支配の危機が深まり、世界大恐慌の危機と世界経済のブロック化がますます進展する中で、没落のふちに立たされた日本の大ブルジョアジーが生きのびるためには再度の侵略戦争・世界戦争に突進する以外ないと決断している。この間急速に激化している米軍再編と沖縄圧殺・基地強化・日米安保改変の攻撃は、中国や北朝鮮への新たな侵略戦争を直接に狙うものだ。改憲攻撃の激化はこれと完全に一体だ。民営化攻撃も同じだ。今こそ改憲阻止決戦とこれらすべての闘いを結びつけ、一体化して闘おう。
 自民党の11・22党大会は、改憲への総決起大会だ。怒りを込めて粉砕し、小泉政権打倒へ攻めのぼろう。

 

 資料1 自民党・新憲法草案 前文

 日本国民は、自らの意思と決意に基づき、主権者として、ここに新しい憲法を制定する。
 象徴天皇制は、これを維持する。また、国民主権と民主主義、自由主義と基本的人権の尊重及び平和主義と国際協調主義の基本原則は、不変の価値として継承する。
 日本国民は、帰属する国や社会を愛情と責任感と気概をもって自ら支え守る責務を共有し、自由かつ公正で活力ある社会の発展と国民福祉の充実を図り、教育の振興と文化の創造及び地方自治の発展を重視する。
 日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に願い、他国とともにその実現のため、協力し合う。国際社会において、価値観の多様性を認めつつ、圧政や人権侵害を根絶させるため、不断の努力を行う。
 日本国民は、自然との共生を信条に、自国のみならずかけがえのない地球の環境を守るため、力を尽くす。

 

資料2

現行憲法

第二章 戦争の放棄

第九条 日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。
A 前項の目的を達するため、陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、これを認めない。

自民党・新憲法草案

第二章 安全保障

第九条(平和主義) 日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。
第九条の二(自衛軍) 我が国の平和と独立並びに国及び国民の安全を確保するため、内閣総理大臣を最高指揮権者とする自衛軍を保持する。
 2 自衛軍は、前項の規定による任務を遂行するための活動を行うにつき、法律の定めるところにより、国会の承認その他の統制に服する。
 3 自衛軍は、第一項の規定による任務を遂行するための活動のほか、法律の定めるところにより、国際社会の平和と安全を確保するために国際的に協調して行われる活動及び緊急事態における公の秩序を維持し、又は国民の生命若しくは自由を守るための活動を行うことができる。
 4 前二項に定めるもののほか、自衛軍の組織及び統制に関する事項は、法律で定める。

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週刊『前進』(2222号5面2)(2005/11/14)

 全国から11・13大阪集会へ 星野さん獄中絵画展開く

 11月13日に開かれる「全国集会in大阪/星野文昭さんに自由を」のプレ企画として、10月24日から26日まで、「星野文昭・獄中絵画展」が開かれました(写真)。会場は、大阪駅前第2ビルの大阪市総合生涯学習センター・ギャラリーです。3日間をとおして多数の入場者があり、再審署名が35筆、集会賛同が13口集まりました。絵ハガキが27セット、『星野再審ニュース』も11部売れました。私も参加して、確かな手ごたえを感じました。この力で11・13大阪集会を成功させようと、企画に加わった人たちは燃えています。
 今回の企画は、「星野文昭再審無罪を勝ち取る関西連絡会」「星野さんを取り戻す会・京滋」「星の集い・豊中」の皆さんの協力で実現したものです。準備、設営から期間中の受付まで、十数人でやり抜きました。
 ギャラリーは公立施設のオープンスペースにあります。このため、星野文昭さんのことをまったく知らない人が、豊かな色彩の絵に思わず足を止め、私たちの説明に耳を傾けるという光景が見られました。「きっとやさしい人なんでしょうね」と感想をもらす人も多くいました。会場では、星野さんの闘いを描いた『ある冤罪』のビデオをスクリーンに上映していました。これも「分かりやすくてよかった」と好評です。
 星野文昭さんのことを多くの人に知ってもらうために、絵画展は絶好の企画です。今後、関西でも、もっと多くのところでやろうと思っています。

 星野文昭さんを取り戻そう

 11月13日の集会がいよいよ目前に迫りました。
 この集会は、大阪の地で開かれる初めての星野全国集会です。実行委員会に参加する人たちは、なんとしてもこれを成功させ、星野再審闘争の飛躍につなげたいと張り切っています。星野さんの獄中闘争は30年を超えました。無実の星野さんを取り戻すために、闘いの輪をもっともっと大きく広げなければなりません。
 集会の翌日14日には、徳島に行って星野文昭さん激励行動を行います。この日は、34年前に星野さんが沖縄「返還」協定批准阻止のために渋谷で闘った日です。関西から上京して闘いに参加した教育労働者・永田典子さんが池袋駅で機動隊に虐殺された日でもあります。「永田典子さんの遺志を受け継ぎ、星野文昭さんを取り戻す」とあらためて決意を固めています。
 地元・関西はもちろん、全国の皆さんの結集を訴えます。会場でお会いしましょう。   (木下昌朗)
 全国集会in大阪 星野文昭さんに自由を!
日時 11月13日(日)午後3時〜 
場所 港区民ホール(大阪市港区弁天2―1―5 JR環状線・地下鉄「弁天町」徒歩7分)
内容 再審・仮釈放についての講演、弁護団から、家族から、他
主催 11・13全国集会実行委員会

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週刊『前進』(2222号5面3)(2005/11/14)

 「障害者」差別・抹殺図る 「自立支援」法の成立弾劾

 10月14日の参議院可決(参議院先議)に続き、10月31日、「障害者自立支援法案」が衆議院本会議で強行採決された。戦争と改憲に突き進む小泉政権による「障害者」差別・抹殺攻撃として満腔(まんこう)の怒りを込めて弾劾する。全国の闘う「障害者」とともに撤廃まで闘いぬくことを宣言する。来年4・1施行阻止へ、怒りを燃やして新たな闘いを開始しよう。
 31日午後1時30分、自公与党が数を頼みに起立採決を強行した。まさに歴史的な暴挙だ! 傍聴席を埋めた「障害者」から一斉に怒りの声が上がった。衆院議員面会所の待合室でテレビ中継を見ながらで審議を見守っていた「障害者」からも怒号がわき起こった。「こんな成立など絶対に認められない!」
 議員面会所前で抗議のシュプレヒコールをたたきつけた。「採決を許さないぞ!」「『障害者』の生活を奪う支援法を粉砕しよう!」。衛視と警察官が妨害し、その場から人びとを暴力的に排除し抗議行動をやめさせようとするが、規制に従う者は誰もいない。怒りの声は高まるばかりだ。弾圧を許さず、その場で「障害者」一人ひとりがマイクを握って、撤廃まで闘うことを宣言した。

 来春施行阻止へ

 「きょうは負けたけど、これからずっと来るからな! 覚えてろ!」「これから今までの闘いが序曲だったという闘いに入る。命と生活がかかっている。あきらめないし、屈しないという姿勢を示そう。一人の仲間も殺させないネットワークをつくり出そう」「団結して粉砕するまで闘うぞ!」
 「法成立」の瞬間から小泉政権を揺るがす「障害者」の闘いが始まった。
   ◇   ◇
 衆議院での審議は、当初たった1回と言われていたが、強い抗議の前に3回の審議、1回の参考人陳述が行われた。応益負担の導入に対する野党の批判に対して尾辻厚生労働大臣は「負担上限を設け、きめ細かな軽減措置をとって限りなく応能負担に近づけたので理解してほしい」という答弁を繰り返した。
 2年前の支援費制度の導入時には「障害者」の所得状況が応益負担に耐えられないとの理由で導入が見送られ、応能負担となった。今も「障害者」の所得状況はまったく改善されていない。にもかかわらず今回、“応益負担を導入できる”とする根拠はどこにあるのかという追及に対して、政府はまともに答えられなかった。厚労省の中村社会援護局長は、イギリスやスウェーデンの例を持ち出して欧米でも応益負担の例があるかのようなペテンに満ちた答弁を行った。しかし、実際にはサービス量に応じた負担をとる国はあっても、1割もの負担を課すなど、諸外国には例がない。
 国会中、愛媛の車イスの中学生が国会議員を回り、「友だちはトイレを使ってもお金がいらないのに、ボクだけどうしてとられるの?」と反対署名を提出したことも紹介された。
 また、介助サービスを決める要介護認定も、その具体的な内容を決める政省令について野党が追及したにもかかわらず、最後まで政府は明らかにしなかった。これに対して野党議員からは、「多くの『障害者』が自分の一生はどうなるのかという思いで国会周辺に詰めかけている。詳しい内容もわからず、白紙委任しろというのか」「法案の主人公は『障害者』だ。当事者不在の審議で与党の議員も地元に帰って説明できるのか。国会の責任が問われる」などの発言が続いた。
 衆議院採決時、傍聴席から「『障害者』を殺す気か!」という弾劾の声が上がった。すると自民党議員からはなんと「まだ殺してないよ!」とのヤジが飛んだ。「自立支援法」が「障害者」を殺すことを合法化するものであることを百も承知で法成立を強行したのだ。こんな悪法は小泉政権もろとも「障害者」の怒りで葬り去らなければならない。
 採決後、国会前で野党議員から「今後出されてくる政省令が国会答弁と違った場合、国会でも引き続き問題にしていくことを衆議院厚生労働委員会理事会で確認した」と報告があった。

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週刊『前進』(2222号5面4)(2005/11/14)

資本攻勢&労働日誌 2005 10・14〜10・28

 連合春闘基本構想 統一ベア要求5年連続放棄

 医療費に「保険免責」/北海道で10%賃金カット

民主党の国公法改正案を労組が批判 自治労や国公連合などでつくる公務員連絡会は、民主党による賃下げのための「国家公務員法一部改正案」に「極めて遺憾」との見解を表明。全労連系の国公労連も17日「唐突な民主党の国家公務員法『改正』法案に反対」との談話を発表した。(14日)
郵政持ち株会社の設立委員内定 郵政民営化に向けて持ち株会社の前身、準備企画会社の設立委員として生田日本郵政公社総裁、奥田日本経団連会長、北城経済同友会代表幹事、山口日本商工会議所会頭、秋山関西経済連合会会長、森下郵政行政審議会会長、貝塚金融審議会会長が内定。(18日)
厚労省、医療制度改革試案を公表 厚労省は、医療制度構造改革の試案を発表。1回の医療費のうち一定額を患者負担とし、保険の適用はそれを超える部分のみとする「保険免責制度」や、長期入院する高齢患者の食費・居住費の自己負担化などを提言。(19日)
共謀罪新設法案にMICが反対声明 新聞労連や民放労連など9労組でつくる日本マスコミ文化情報労組会議(MIC)は共謀罪新設法案に反対し、廃案を求める声明を発表した。(20日)
連合、「06年春闘構想」を発表 連合は中央執行委員会を開き、「06年春闘基本構想」を発表した。(21日)=要旨別掲
●10年間で公務員2割カット 自民党行政改革推進本部は、公務員制度改革委員会の役員会を開き、国と地方の公務員を10年間で20%純減するための具体案をまとめた。(21日)
41道府県が基本給引き下げ 41道府県と北九州市が、06年度から基本給を平均4.8%引き下げる国の給与構造改革に準じ5年前後の段階的引き下げを勧告。(21日)
北海道で公務員賃金10%削減 北海道の高橋知事は06年度から2年間、職員の給与を月額10%削減することを発表。一般職員の給与10%削減は全国初。(25日)
タクシー運転手、3割が不調でも業務 タクシー運転手の3人に1人は体調が悪い時にも営業運転した経験のあることが、川村雅則・北海学園大講師の実態調査で分かった。(27日)
9月の完全失業率4.2% 総務省統計局発表の労働力調査では、9月の完全失業率は4.2%と前月に比べ0.1ポイント低下。厚労省発表の一般職業紹介状況では、9月の有効求人倍率は0.97倍で前月と同水準となった。(28日)
政府と郵政労組が初会合 郵政民営化関連法の成立を受け、政府が今後の郵政職員の労働条件や雇用問題などについて、労働組合に説明する初会合が開催され、菰田JPU委員長、宮下全郵政委員長らが出席した。(28日)

 連合「06年春季生活闘争基本構想案」

・情勢認識
 「勤労者世帯の我慢が続いており、04年の可処分所得はピークの97年から1割以上低下している」
・06春闘方針
 「(定期昇給相当分以外の賃金)1%以上の成果配分がなされるべき」
 「賃金カーブ維持(定期昇給)分を確保した上で賃金改善に取り組む」
《評価》
 具体的には、「賃金改善はやや中期的にも捉えており、若年者の水準引き上げや高齢者の賃金カーブの見直し、初任給、パートの均衡処遇、時間外労働の割増率など(人件費を拡大させる要求は)幅広いものを内蔵している」(古賀事務局長)というものであり、5年連続で統一ベア要求を放棄する裏切り方針だ。

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週刊『前進』(2222号6面1)(2005/11/14)

 11・15−16京都 日米首脳会談粉砕闘争へ

 全世界を戦争に引き込むブッシュ・小泉打倒しよう

  マルクス主義学生同盟・中核派

 11月15日、ブッシュが訪日し、翌16日、京都迎賓館で小泉との日米首脳会談が開かれようとしている。世界第1位と第2位の帝国主義が、それぞれの生き残りの思惑から枢軸関係を結び、欧州帝国主義との争闘戦をやりぬき、資源と領土をめぐる侵略戦争から世界戦争に突き進もうとしている。直接にはこれまでの日米安保の枠をはるかに越え、世界戦争路線を貫徹しうる同盟と軍事態勢へと大転換しようとしている。世界危機が世界戦争へと転化していく画期となる、恐るべき同盟関係を構築しようとしているのだ。なんといっても小泉がここで戦後的あり方を突き破って、戦争国家化を実現する以外に、東アジア勢力圏化の展望などないと腹を固めている。このことは1995年以来の沖縄米軍基地撤去の闘いをすべて踏みにじり、沖縄に永久に基地を押しつける宣戦布告でもある。こんなことを絶対に許してはならない。すべての労働者、学生、市民のみなさん。11・15〜16、京都現地での粉砕闘争(要項2面)に立とう。

 対中東・アジア侵略へ軍事同盟を強化

 日米首脳会談は第一に、ブッシュがトランスフォーメーション(米軍再編)を本格的徹底的に貫徹するために、日米枢軸関係を世界戦争路線をやりぬける次元で確認する画期点である。
 トランスフォーメーションとは何か。それはソ連崩壊後の分裂化・ブロック化を深める世界において、基軸帝国主義・米帝自らの手で戦後的国際関係を粉砕し、戦争を手段として新たな世界支配をうちたてるための軍事再編である。今日、イラク侵略戦争という政治・軍事の次元で、米英日対独仏(EU)という分裂と争闘戦が激化している。04年5月には独仏帝国主義の支配のもとに中・東欧諸国10カ国が包摂され、GDP合計で米帝をしのぐ巨大ブロックが形成された。しかもこの動きは経済、政治の次元にとどまらずEU独自の軍事体制形成に向けて米帝と激しく激突しながら進んでいる。
 またイランをはじめとした中東諸国に対して油田開発やガス・パイプラインの建設計画を進めているのである。米帝経済が双子の赤字を抱え、過剰資本・過剰生産力に苦しみ、ドル暴落寸前―29年型世界恐慌への突入が必至の情勢の中で、激しい分裂と対立が起こっているのだ。

 イラク戦争の泥沼的な危機

 この中で米帝は、イラク侵略戦争―占領支配の貫徹を軸に、イランやシリアをも名指しした戦争発動によって、中東とその石油資源を独占支配しようとしている。反米的国家を「圧制の拠点」と呼び、それを「打破」することは平和と自由を守ることである、として次々と戦争を拡大しようとしている。
 イラク侵略戦争は泥沼化し、大破産に直面している。憲法をめぐる10・15国民投票は数週間前から戒厳体制が敷かれた。北部のタルアファルをはじめ反対派の拠点に対しては都市丸ごと包囲し、皆殺し的せん滅戦を強行し、米軍占領を受け入れないものは許さないとする軍事重圧をかけてもなお、まったく反対派を制圧できていない。解放区的に反対派が圧倒している県が二つも残っている。しかも連日にわたって激しい武装闘争が闘われ、むしろ激化の一途をたどっている。
 しかし米帝は、これに対してより一層の戦争激化―拡大、そのための戦争体制の抜本的な強化を行っていくしかない。そのためにはソ連スターリン主義との対決を軸に配置してきた米軍世界態勢を、いわゆる「不安定の弧」といわれる中東から中央アジアの産油諸国、さらにパキスタン・インドから東南アジア諸国、さらに東アジアにまで広がる広大な地域での戦争に対応したものへ再編する以外ない。
 そこで死活的なのが、日米枢軸体制である。日米安保を日米両軍が一体となっていくつもの戦争をやりぬいていく軍事同盟へと大飛躍・大転換させるということだ。これまでの「専守防衛」といった概念とはかけ離れた、日本全土を出撃拠点かつ前線司令本部として、日米共同で中東―アジア全域に展開していくことを大戦略として確定したということなのだ。
 そこから常時2万人、有事には15万人まで増強される米軍の中心的軍団と司令機能が日本に設置される。現在、米ワシントン州にある米陸軍第1軍団司令部の改編、キャンプ座間への移転である。そして横田基地の第5空軍司令部の第13司令部(グアム)への統合や、横須賀第7艦隊への原子力空母配備を軸にした圧倒的強化、さらには沖縄基地の最前線基地としての強化・固定化をなしとげようとしているのである。
 これは、具体的にはイラク侵略戦争をどんなに泥沼化しようと強引に継続・激化させ、さらにイラン、シリアへと拡大していくための再編・強化だ。怒りに堪えない。こんなことを絶対に許してはならない。

 中国侵略戦争が最大の狙い

 しかし、トランスフォーメーションの最大の核心は、なんといっても中国スターリン主義の転覆―対中国戦争をやりぬく体制形成として遂行されていることである。
 10月29日の日米安保協議委員会(2+2)での「日米同盟・未来のための変革と再編」中間報告では、「新たに発生している脅威」という表現が繰り返され、それへの対応が一つの柱となっている。そして米軍と自衛隊が共同で戦争をやりぬくための「不可欠な措置」について、「運営面の調整」から「相互運用性の向上」、さらには「訓練機会の拡大」にまでわたって、具体的な検討が行われた。そして基地の具体的な再編方針までかなりの程度決定した。
 ここで重点課題にすえられている「新たな脅威」とはなんのことか。「長期的には中国軍の能力は確実な脅威となる」(05年7月米国防総省報告)と公式発表されているように、これは事実上中国(さらには北朝鮮)のことを正面から名指したものだ。すなわち対北朝鮮のみならず対中国戦争を現実的に想定し、やりぬける体制づくりとして日米安保協が開かれ、実務者協議が繰り返され、具体的に在日米軍の再編が進められているのである。
 これは恐るべきことである。日、米という二大帝国主義が枢軸関係を形成し、世界大戦級の戦争を自覚的に準備しているということだ。いや、米帝は実はここを今日の世界政策の中心にすえていると言っていい。独仏帝との争闘戦、さらには日帝との争闘戦において、互いに存亡をかけた決戦場としてアジアがある。その支配権を独占的に手にするために、米帝ブッシュは最終的には中国スターリン主義の転覆と軍事支配以外にないものと腹を固めて戦略化してきているということだ。世界危機の世界戦争への転化が、ものすごい急ピッチで進んでいることをはっきりさせよう。

 自民改憲案と一体の戦争国家化宣言

 日米首脳会談は第二に、日本帝国主義にとってもまた戦後史を画する巨大な反動的転換点、戦争国家への堤防決壊となる。今回、米軍のトランスフォーメーションに日帝の側からも全面的積極的に推進を表明することになる。そのことは米帝の中東・アジアでの大戦争に、日帝もまた自らの戦争としてぴったりと密着して貫徹していく決断を小泉がしたということだ。とんでもないことである。日帝はトランスフォーメーションを自己の路線としても位置づけ、そのなかで他帝国主義との争闘戦に勝ち抜ける軍事力を獲得しようとしている。それ以外にアジア勢力圏化はなしえないからだ。
 小泉自民党は10月28日に自民党新憲法草案を発表した。草案は、現行憲法9条2項(戦力不保持、交戦権否定)を破棄して、「第9条の二」を新設し「自衛」の名による軍隊の保有と対外戦争の合法化を公然と打ち出した。さらに、8・1草案をさらにエスカレートさせ、「内閣総理大臣の指揮監督に服する」としてきたものを、「内閣総理大臣を最高指揮権者とする自衛軍」と、首相直属軍とも読みとれる条項をトップにもってきた。そして8・1草案での「事前または事後の国会承認(これ自身大ペテン)」という規定も意味のないものとし、「緊急事態における公の秩序の維持」なる新たな概念も持ちだしてきた。これでは実際には、総理大臣が「緊急事態である」と独断で決定すれば、国会承認の必要さえなく、どこへでも、いくらでも自衛軍を発動できることになる。恐るべき大エスカレーションが盛り込まれているのだ。
 そしてさらに重大なのは前文である。事前に報道されていた「中曽根案」なるものを小泉が大幅に書き換えたと言われているが、そこでは短いなかで「圧政や人権侵害を根絶させるため、不断の努力を行う」との文言が中心にすわっている。ブッシュが戦争発動のロジックとして使う「圧政の打破」「人権問題」とまったく同じ用語を、意図的挑戦的に使っているのだ。
 つまりイラク侵略戦争とその全中東への拡大、そして対北朝鮮、対中国侵略戦争をやりぬいていくという宣言を、憲法全体の理念の中心に盛り込んだのだ。この改憲案こそ日帝の侵略戦争宣言であり、米帝と共同し競合して、世界戦争をやり抜ける国へと転換していく宣言だ。
 この改憲案はトランスフォーメーションと一体であり、米帝との確認を実行に移すためにぜひとも突破しなければならないハードルである。憲法9条を撤廃し、階級関係に決着をつけなければ、いかなる戦争もできる国への全面転換とはならない。日帝もまた、政治的経済的などん詰まりの危機(とりわけ解決不可能な財政破綻の切迫)の中で、アジア勢力圏化以外に延命の道はなく、そこから対北朝鮮・中国侵略戦争への衝動が激しく内部から噴き出しているのである。だからこそ、今改憲案をだし、靖国神社参拝を強行し、「つくる会」教科書採択を狙い、領土問題を押しだしているのである。それは米帝との関係でも激しい緊張をはらむ。しかし情勢の推移によっては日帝自ら率先して軍隊を動かして侵略戦争に突入し、新たな植民地の略奪と勢力圏の確保に向かって猛然と突き進んでいくことさえ狙っているのである。

 沖縄を踏みにじる新基地建設阻止を

 第三に、こうした日米安保の大エスカレートを最大のテーマとした日米首脳会談は、直接的実体的には、沖縄米軍基地をブッシュと小泉の名において永久に固定化し、強化し、日米両軍の最前線出撃基地として位置づけ直すことを正式に合意し決定するものとなる。それは72年ペテン的返還以来の、そして95年島ぐるみ決起以来の、沖縄人民の全県民的な怒りと要求のすべてを真正面から叩きつぶす決断をしたということだ。
 特に辺野古の闘いの圧殺の号令となる。29日の日米安保協の中間報告で決定された沿岸案は、海を殺し、住民の頭上をヘリが飛び、戦闘機まで使用できる巨大基地計画である。大浦湾埋め立て部分は水深が深いため空母の接岸も可能だ。つまり当初の「期限付きヘリポート」とは似ても似つかぬ、飛行場と軍港が一体となった巨大基地を建設するという。しかも辺野古と結論づけた理由は「海兵隊のプレゼンス」と「各司令部組織の相互連携」から「沖縄県内に設けられなければならない」としている。この論理構造では、普天間のみならず在沖米軍の機能の中心部分は、永久に削減も移設もされず、固定化され強化されていくということになる。考えられうる限り最悪の決定である。
 さらに重大なことは自衛隊の踏み込みである。報告では「嘉手納飛行場、キャンプ・ハンセンその他の米軍施設・区域の自衛隊との共同使用の実施」が盛り込まれている。そして共同訓練や相互運用性の促進が述べられている。沖縄情勢が激変しようとしている。稲嶺知事や岸本名護市長でさえ容認できない基地強化を、特措法まで準備して強制する情勢に入った。96年のSACO(沖縄に関する特別行動委員会)の日米合意さえ超えて、島全体を日米帝国主義の共同の軍事要塞施設にしようとしている。島ぐるみ闘争への発展は不可避である。
 沖縄人民はただちに怒りを爆発させ、10月30日に日米安保協中間報告弾劾の県民総決起集会を5千人でかちとった。ものすごい闘いが始まろうとしている。今こそ「米軍基地撤去=沖縄奪還、安保粉砕・日帝打倒」の旗を掲げて、安保・沖縄闘争を闘おう。

 釜山APEC首脳会議粉砕へ闘おう

 日米首脳会談は、以上見てきたような、恐るべき情勢の転換点になろうとしている。世界戦争を現実に目的意識化し、体制を構築し、発動していく帝国主義同盟を確認しようとしているのだ。さらにこの強盗同盟はその足で韓国へ行き、釜山APEC首脳会議に参加する。そこでEUの介入を吹っ飛ばし、さらに参加している中国を前にして、アジアの支配権を宣言しようとしている。南朝鮮人民はすでに釜山APEC反対運動を闘い、デモをくり返し叩きつけている。重大な情勢が到来している。
 われわれは学生として、共産主義者として、今こそ怒りを爆発させようではないか。労働者人民はこんな攻撃にやすやすと屈服して戦争に動員されていくものではない。実はマグマのような怒りをためて、爆発の時を待ち構えている。階級主体の情勢もまた急速に爆発に向かって成熟しているのだ。もはや米帝も、日帝も、労働者を食わせていくことができなくなっている。この怒りを解き放つ宣伝・扇動、そして大衆行動の組織化が必要だ。帝国主義打倒の旗を公然と掲げ、労働運動、学生運動を始めあらゆる闘いの柱に、ブッシュ打倒、小泉打倒の反戦闘争をすえよう。イラク占領支配を許さず、自衛隊を撤兵させる闘いを今こそ強めよう。すべての労働者、学生は11・15〜16京都現地へ結集せよ。沖縄人民、そして南朝鮮人民の闘いと連帯して、日米首脳会談粉砕、釜山APEC粉砕の大闘争を叩きつけよう。

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週刊『前進』(2222号6面2)(2005/11/14)

 在日米軍再編の中間報告 沖縄と日本が戦略拠点に

図 世界的な米軍再編

 外務・防衛担当閣僚による日米安保協議委員会(2プラス2)が10月29日、ワシントンで開かれ、在日米軍の再編に関する中間報告「日米同盟・未来のための変革と再編」を発表した。
 前回の日米安保協(2月19日)では、ブッシュの世界戦争路線を日米枢軸をもって進めていくこと、とくに北朝鮮・中国侵略戦争に身構えることを日米の「共通戦略目標」と定めた。
 これを踏まえ、今回は日米が世界戦争路線を進めていく上での、日米間の、とくに自衛隊と米軍との「役割・任務・能力の分担」を決定し(中間報告、第2章/役割・任務・能力)、米軍と自衛隊の再編計画を打ち出した(第3章/兵力態勢の再編)。これをもとに来年3月には最終報告がまとめられる予定である。
 中間報告の内容は、その表題が示すとおり、単なる在日米軍基地の移転や再配置にとどまらない。米帝の世界戦争路線の中で日帝と自衛隊がどういう役割を果たすのか、ということをテーマにした「日米同盟の変革・再編」である。日米安保の実質的大改定だ。
 その核心は、米軍と自衛隊を一体化させて、米日帝国主義がイラク侵略戦争に続いて全世界で戦争を拡大しようとすることである。とくに北朝鮮・中国侵略戦争の具体的な作戦計画を完成させて、そのための司令部と戦力を配置するものである。それを沖縄への差別的な基地重圧の強化を軸に貫徹しようとするものだ。

 自衛隊と米軍の一体化図る

 中間報告は、第1章の概観で「アジア太平洋地域において不透明性や不確実性を生みだす課題(朝鮮半島や台湾海峡をめぐって)が引き続き存在している」「地域における軍事力の近代化(中国)に注意を払う必要がある」と強調した。
 そして日米の役割分担を定めた第2章で、以下のことが決められた。
 (1)「日本の防衛および周辺事態への対応」と「国際的な安全保障環境の改善のための取り組み」の二つを日米安保の重点分野とした。
 前者は北朝鮮・中国侵略戦争を想定したものであり、後者はアフガニスタン侵略戦争、イラク侵略戦争などで示された世界規模での日米協力を積極的に拡大しようとするものだ。
 前者における日帝・自衛隊の役割は、「弾道ミサイル攻撃やゲリラ、特殊部隊による攻撃、島嶼(とうしょ)部への侵略といった新たな脅威や多様な事態への対処を含めて、日本(在日米軍基地)を防衛し」、「米軍の活動に対して切れ目のない支援を提供する」とした。そのために自衛隊が高速輸送艦を導入することも決められた。
 (2)とくに97年の日米防衛協力のための新指針(新ガイドライン)に基づき、日本有事における「共同作戦計画」、周辺事態における「相互協力計画」を具体化することを至上命題とした。その際、この間成立した有事法制(周辺事態法、武力攻撃事態法、国民保護法など)を反映させること、日本の民間空港・港湾などを全面的に動員することが明記された。
 (3)共同訓練、情報共有、施設の共同使用、弾道ミサイル防衛などのあらゆる面で自衛隊と米軍の一体化を進めて、日常的に統合運用していくことを決めた。「共有された秘密情報を保護するための追加措置」も明記された。
 これらを実行するためには、「自衛隊の海外活動のための恒久法」の制定や自衛隊法改悪が必要となる。それどころか現行憲法が禁じている海外での武力行使や集団的自衛権の行使に必ず踏み込むことになる。中間報告は、9条改憲を先取りしたものだ。

 シュワブ沿岸に新基地建設

 在日米軍再編は全世界規模での米軍再編の一環である(図参照)。それは在日米軍基地をアジア・太平洋地域の中枢司令部・戦略展開拠点(PPH)とし、米軍兵力を自由に迅速に展開できる仕組みをつくり出そうとするものである。
 いかなる意味でも在日米軍基地の再編・縮小ではなく、沖縄を始めとした基地機能の強化がとことん図られている。「沖縄を含む地元の負担を軽減」など、まったくペテンなのだ。
 (1)米軍キャンプ座間(神奈川県)に米陸軍第1軍団司令部を改編して移設し、06年に新設される陸上自衛隊の中央即応集団(約4800人)の司令部を同居させる。座間の新司令部は、実際の戦争で米の陸海空海兵隊の4軍を統合して指揮する戦闘司令部となる。また米軍の動きに合わせ、ゲリラ攻撃などに対処する陸自の中央即応集団が文字どおり即応する。
 (2)米軍横田基地(東京都)に航空自衛隊の航空総隊司令部を移転し、ミサイル防衛(MD)や日米の航空作戦を担う日米の「共同統合運用調整所」を設置する。また、米本土・ハワイと西太平洋・アジアを結ぶ空輸拠点である横田基地への空自司令部の移設は、米軍の輸送・補給活動を空自が全面的に担っていくためでもある。
 (3)とりわけ、中間報告は「普天間飛行場の代替施設は……沖縄県内に設けられなければならない」と強く結論づけて、沖縄の米軍基地を再編・強化することを宣言した。普天間飛行場はキャンプ・シュワブ沿岸部に建設する新基地へ移転する。これは全長1800bの滑走路と広大な格納庫、整備施設などからなる最新鋭の軍専用空港となる。この地域一帯が恒久的な海兵隊の一大拠点となる。
 (4)在沖海兵隊は第3海兵遠征軍の司令部をグアムに移転し、残りの部隊は海兵機動展開旅団(MEB)に再編される。司令部の移転は中国との戦争で沖縄が戦場となることを想定したものである。これに伴って通常1万5千〜1万8千人の在沖海兵隊は司令部要員、支援要員の7千人が削減されるが、実戦部隊はすべて沖縄に残る。普天間の空中給油機は鹿屋基地(鹿児島県)に移駐する。
 (5)厚木基地(神奈川県)の空母艦載機は岩国基地(山口県)に移駐する。

 原子力空母の配備阻止せよ

  今回の日米安保協に先立つ17日に、米海軍は原子力空母を初めて横須賀基地に配備することを発表した。これは中国との軍事的対決を強めるための措置であり、米海軍は「西太平洋での空母2隻態勢」への移行も明らかにしている。中間報告は「米国によって提供される核抑止力は日本の防衛に不可欠」としており、日米政府は「非核3原則」撤廃を狙っている。
 11・15―16日米首脳会談粉砕に決起し、沖縄・座間・横須賀を先頭に反戦闘争の爆発をかちとろう。

 

 資料 「日米同盟変革と再編」中間報告(骨子)

▽司令部間の連携強化、基地の共同使用、情報共有、相互運用性の向上、共同訓練の拡大などで日米同盟の能力を向上
▽テロ対策、ミサイル防衛、相互の後方支援活動などにおいて、日本は米軍に対し事態の進展に応じて切れ目のない支援を提供
▽日本有事の共同作戦計画、周辺事態の相互協力計画の検討・具体化
▽普天間基地移設先をキャンプ・シュワブ沿岸部に変更。沖縄海兵隊の司令部要員を中心に7千人をグアムなどに移転
▽横田基地に自衛隊と在日米軍司令部の共同統合運用調整所を設置
▽キャンプ座間に米陸軍新司令部を移転。陸自中央即応集団司令部を設置
▽厚木基地の空母艦載機を岩国基地に移転

 

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週刊『前進』(2222号6面3)(2005/11/14)

 北富士 “海兵隊演習中止を” 忍草農民先頭に申し入れ

 11月3日、忍草国有入会地守る会と北富士忍草母の会の呼びかけで米海兵隊実弾演習に反対し、抗議・申し入れ行動が闘われた。在沖米海兵隊が翌4日から13日間155_榴弾砲の演習を行うというのだ。忍草農民の入会権を踏みにじって北富士をイラク侵略の出撃基地とする攻撃に対して弾劾をたたきつけた。
 正午、忍草母の会の天野美恵事務局長の司会で決起集会を開いた。国有入会地守る会会長の天野豊徳さんがあいさつし、今回の演習にあたって米海兵隊の大隊長が地元自治体に演習の概要を説明したことを米軍再編のためであると暴いた。「米海兵隊第3師団の1個大隊が移駐すれば、北富士での演習は沖縄からの演習、東富士の米軍の演習、自衛隊の演習と今までよりも激しくなり、演習場の全面返還、平和利用は夢物語になってしまう」と怒りを込めて弾劾した。
 申し入れ行動に移り、天野豊徳さんが国有入会地守る会と忍草母の会の共同の申入書を読み上げた。「命の山を蹂躙(じゅうりん)して行われるイラク人民虐殺訓練を徹底的に弾劾します」として、米軍実弾演習の即時中止、自衛隊のイラクからの撤退、サマワ模擬施設での訓練中止、在日米軍基地の強化・再編反対を申し入れ、自衛隊の責任者に手渡した。
 参加した各団体が次々と申入書を読み上げた。婦人民主クラブ全国協は、イラク侵略戦争で米軍需産業が巨額の利益を得る一方で多くのイラク人民の血が流されている現実を怒りを込めて暴き、米軍再編による辺野古新基地建設や米陸軍第1軍団司令部の座間移転、横須賀の原子力空母母港化などを弾劾した。反戦共同行動委員会、とめよう戦争への道百万人署名運動・郡内地区連絡会、山梨県内の市民団体、とめよう戦争への道百万人署名運動・杉並連絡会などが次々と申入書を読み上げ、最後に全学連の織田陽介委員長が「ブッシュ・小泉の世界戦争を止め、この社会を変革する」と宣言し、北富士での演習の即時中止を要求した。
 母の会の天野美恵さんが27日(日)のサマワ模擬施設訓練阻止集会(正午、北富士演習場)への結集を訴えてまとめ、米軍・自衛隊に怒りのシュプレヒコールをたたきつけた。

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週刊『前進』(2222号7面1)(2005/11/14)

 根底的な崩壊へ向かうドル

 歴史的没落を極める米帝 労働者国際連帯で打倒へ

  秋月丈志

 00年〜01年のITバブル崩壊から5年。戦争と金持ちへの大減税、超低金利下での住宅バブルで恐慌爆発を先延ばしにしてきたアメリカ帝国主義経済は、蓄積された矛盾の重みによって押しつぶされようとしている。この間「アメリカ帝国」論なるアメリカ帝国主義万能論がふりまかれてきたが、現実に進行しているのは米帝の歴史的没落の極限的進行である。公表戦死者が2000人を突破した「イラクの泥沼」、ハリケーン大災害が衝撃的に暴き出した米社会の恐るべき貧富の差(一方に個人資産5兆円のビル・ゲイツ、一方に3100万人の飢餓人口!)、人種差別、民営化・規制撤廃・組合破壊による労働者階級への恒常的リストラ攻撃、そして双子の赤字の超巨額化とドル暴落の切迫――これこそが「力強い成長」を続けているという米帝の現実の姿だ。この米帝を震源とする帝国主義世界経済の危機爆発はいよいよ差し迫っている。日帝・小泉=奥田らの焦りにみちた「構造改革」路線、ファシスト的国家改造の攻撃も、この大破局に身構えようとする大反革命だ。米帝経済の現局面はどうなっているか見てみよう。

 危機と矛盾の蓄積 住宅バブルと赤字の超巨大化

 住宅バブル崩壊の衝撃

図1 住宅バブル 米帝の恐慌引き延ばしによって蓄積された矛盾は、第一に、住宅バブルのとてつもない膨張としてあらわれている(図1)。住宅バブルは、恐慌対策としてとられた事実上のゼロ金利に等しい超金融緩和によってもたらされた(※)。低金利であふれた資金が住宅市場に流れ込み、住宅価格が10%以上も急上昇している。これは実際の需要とは完全にかけ離れている。住宅資産価格の値上がりを見込んだ投機目的の売買がふくらんでいるのだ。そのことを示すのが、いわゆる「新型ローン」の急増だ。これは最初の10〜15年は利息だけ払えばよいとするローンなどで、これを使えば利息代だけで住宅を手に入れ、値上がりしたらさっさと売り払うこともできるわけだ。また銀行は住宅ローンの審査基準を大幅にゆるめ、これまでは絶対に貸さなかったような相手にも貸し出しを行い、バブルをあおってきた。
 住宅資産の値上がり分は新たな借金の担保となっている。これにより米家計は年間約6000億j(約69兆円)、実に日本の一般会計予算(82兆円)の8割以上にも及ぶ金額を手に入れている。そしてこの巨額資金の半分以上が、直接の消費やクレジットカードのローン返済などにあてられている。この住宅資産バブルによって、02年秋までにピークから5割近くも暴落した株バブル崩壊のショックは完全に吸収され、米GDPの7割を占める個人消費は拡大を続けた。これがこの間の米経済の「好景気」「経済成長」なるものの実態である。もちろんこうしたバブルと消費拡大に突っ走ってきたのは富裕層のみで、労働者階級は徹底的な賃金切り下げ(02年以来の労働分配率の一貫した低下)と強労働、不安定雇用、生活苦を強いられている。労働者階級からの徹底的な搾取・収奪の上に、途方もないバブルがふくらんできたのだ。
 住宅資産の値上がりをいいことに、借金を重ね消費を拡大してきた米家計の負債総額は11兆1420億j(約1280兆円)に達している。その7割強の7兆9615億jが住宅担保ローンで、米政府の債務残高7兆9440億jをも上回る。その結果、米家計の貯蓄はほとんどゼロかマイナスになっている。この住宅バブルが崩壊すれば借金漬けの家計は壊滅的打撃を受け、個人消費は急激に収縮する。とくに自動車など高額の耐久消費財の落ち込みは激しいものになる。
 ゼネラル・モーターズ(GM)、フォードを始め米自動車企業は、01年以来続く「たたき売り」的な大幅値引き販売による収益悪化に加え、この間の石油高騰と日本車のシェア拡大で販売を急減させている。10月の新車販売はGM、フォードとも前年比26%の大幅減となった。GMは、百万人を超す従業員(退職者を含む)の年金・医療費用負担や関連部品会社デルファイの破綻(はたん)という重圧も抱え、倒産という事態が現実味を帯びてきている。フォードも似たような状況だ。そこへ住宅バブル崩壊のショックが襲うならば、GM(米製造業1位)、フォード(同2位)の相次ぐ倒産ということになりかねない。それは米帝の屋台骨の崩壊に等しい。まさに29年恐慌をも超える大恐慌の危機が切迫しているのだ。

 「未知の領域」に入った赤字

 第二に、経常収支(貿易・サービス収支+所得収支・移転収支)赤字の激増である。
 住宅バブルや減税によって消費が拡大し続けた結果、中国などからの輸入が増え続けた。しかもそこへこの間の原油高騰である。経常収支赤字は今年上半期で3943億2300万jに達し、年間では昨年の6680億7400万jを超え一気に史上最悪の8000億j(90兆円以上!)に迫る勢いだ。GDP比でも80年代最悪期の4%を大きく超え、7%台に入ってきている。「経常赤字の規模はかつて経験したことのない維持不可能なレベルに達している。だが、赤字の増大率にいたってはわれわれの想像を超えた未知の領域にある」(F・バーグステン米国際経済研究所所長)。ドル暴落が現実化した1985年のプラザ合意時の経常赤字は1000億j台だったが、いまやその8倍、10倍にもなろうかというのである。
 さらに決定的な事態は、これまで黒字を維持し、貿易赤字をある程度カバーしてきた所得(利子・配当)収支までが、ついに赤字に転落し始めたことである。海外からの利子や配当に依存する「寄生的な帝国主義」としてすら成り立たなくなったということであり、米帝の歴史的没落はきわまったと言っていい。

 イラクの泥沼

 第三に、恐慌対策として実施されている総額1兆8500億jの「ブッシュ減税」(01年から10年間)、戦費支出の巨額化、社会保障費用の増大による財政赤字の悪化である。05会計年度(04年10月〜05年9月)の財政赤字は3186億1500万jで前年度より22・8%減ったが、最悪水準であることに変わりはない。減ったのはバブルによる一時的な税収増によるもので今後も永続的に悪化し続けていくのは避けられない。
 すでに4年以上続くアフガニスタン・イラク侵略戦争の戦費の累計は3110億ドルに達している。これは現在価格に直したベトナム侵略戦争、第1次世界大戦の戦費の約半分に値する。米議会の調査部は今後5年でさらに2590億jが必要と報告している。空前の財政赤字下での長期戦はかつてない事態であり、米帝にベトナム戦争以上のダメージを与える。
 こうした戦費に加え、06会計年度では最大2000億j規模と見込まれるハリケーン被害復興費用が計上される。2010年前後からは、ベビーブーマー世代(1946年〜1964年生まれ)の退職・高齢化が本格化し、年金・高齢者医療などの社会保障費が急増していく。これは今後、米財政の最大の悪化要因となる。

 超債務国家

図2 アメリカの対外純債務図3 ドルの歴史的下落1973-2004

 住宅バブルで借金と消費の拡大に突進してきた米国内の家計貯蓄は底を突き、巨額の経常赤字は海外からの投資によって埋め合わされている。その結果、アメリカの対外純債務は04年末段階で3兆1000億j、GDP比27%にも達している(図2)。しかも近年の増え方は尋常ではなく、あっという間にGDP比5割という新植民地主義体制諸国なみの超債務国家になりかねない。1985年9月のプラザ合意は、アメリカの「債務国」への転落という衝撃を受けた帝国主義各国が、いかにしてアメリカの赤字を減らし、ドル暴落を回避するかということで行われた。それから20年。いったいだれがここまでアメリカの債務が激増すると予測できたであろう。
 明らかに20年前以上のドル暴落の危機が迫っている(図3)。だが、プラザ合意の時のような帝国主義の「国際協調」はすでに完全に過去のものとなっている。今度ドル暴落が始まれば行き着くところまでいくしかない。

(※)米連邦準備理事会FRBは住宅バブル暴走とインフレを恐れ、昨年6月から政策金利(銀行間で行う短期の貸し借りの金利)を上げている(1%から4%に)。しかし、住宅ローン金利を決めるのは長期金利(10年米国債金利)である。長期金利は海外資金による米国債買いが続いているため今も低いままだ(2章で後述)。

 末期的なドル体制 ドル暴落の瀬戸際での綱渡り

 破滅的循環

図4 ドル還流の破滅的構造 超債務国家と化した米帝の経済がとにもかくにも回り続けるためには、毎週250億j(約2兆8千億円―トヨタの年間純益の倍以上)もの海外からの資金流入を必要としている。この最大の資金供給源となっているのが膨大な対米黒字を稼ぎ続けている日本であり、日本を抜いて最大の対米黒字国となった中国であり、この間の石油高騰でドルを貯め込んできたサウジアラビアなど中東産油国だ。アメリカへの製品輸出、原油輸出の代金として受けとったドルを、再び米国債や米住宅公社関連の政府機関債の購入によってアメリカに還流させて米経常赤字を穴埋めするという構図になっている(図4)。この資金の還流が米長期金利(10年国債金利やこれと連動する住宅ローン金利)の上昇を抑え、住宅バブルをふくらませ続けてきたのである。もしこの資金還流が止まれば、長期金利の急上昇で住宅バブルはたちまち崩壊し、財政も企業も家計もすべてパンクする。すさまじく綱渡り的だが、これが米帝経済の実態だ。
 この資金の還流はあまりにも脆弱で、およそ持続しうるものではない。しかもこの「還流」自体がより破滅的なドル暴落を準備している。
 第一に、アメリカの赤字を埋めている海外資金の7割もが日本、中国を中心とする公的資金(為替介入)に偏っている「異常さ」である。90年代にはEUから大量の民間資金が米証券市場に流入していたが、ITバブル崩壊を機にユーロ圏へ引き揚げられた。日本や中国の為替介入によるドル買い支えは、対米輸出拡大を維持するためだ。要するにアメリカに金を貸し与えて強引にモノを買わせ続けているのだ。しかし、これはいっそう米経常赤字を増大させ、より激しいドル暴落を招くことにしかならない。
 第二に、この間の原油高騰でふくれあがった中東石油マネー(この1年で約23兆円も増大)は、米経済にとって新たな攪乱(かくらん)要因だ。9・11以後、中東マネーは一時アメリカから逃げたが、再びイギリスの金融センターやヘッジファンドをつうじてアメリカにもどってきている。世界的低金利・過剰資本状態のもとで投資先は限られており、結局比較的に金利が高い米国債に流れ着いているのだ。
 皮肉にも米経済に打撃を与えている石油高騰でふくれた中東石油マネーが、日本や中国の公的資金とならんでドルを支える柱になっている。だがこれはあまりにも矛盾に満ちている。石油高騰が続けば米経済への打撃は深刻化する。中東マネーは短期的なもうけを求めているだけで、いざとなれば一気に逃げ出す。イラク・中東危機の激化もからんでいる中東マネーの取り込みは、米経済の危機をより激しくするだけだ。
 第三に、アメリカに還流したドルはなんら生産的投資に回っているわけではない。19世紀のアメリカも巨大な債務国だったが、借りた金は生産的投資に回され、世界最大の生産力を形成し、ついには世界一の債権国となった。しかし今やアメリカに投資された資金は、「ブラックホール」のように財政赤字、住宅バブル、家計の借金の穴埋めに吸い込まれていくだけだ。まさに「帝国主義の寄生性と腐朽化」の極致である。日本、中国、中東産油国は、膨大な対米債権を積み上げているのであるが、それがアメリカ国内での生産、新たな価値の創造によって返済されるということはありえない。いつか必ずこのドルの信認は崩れる。

 世界的なドルからの逃避

 すでに国際金融市場の底流ではドルからの資金逃避の動きが始まっている。最近の2年間で世界各国の中央銀行の55%が、ドル資産を他の通貨の資産に移しているという(英調査会社)。02年1月から流通を開始したユーロが、ドル基軸体制を確実に揺さぶり始めている。
 自国通貨ルーブルをドルと連動させてきたロシアが今年2月からユーロとの結びつきを強めている。マレーシアはドルとの固定相場制をやめた(7月)。外貨準備4位の韓国中央銀行は2月に外貨準備をドル以外に分散すると表明したが、直後にドルが急落。韓国政府はあわてて中央銀行の方針を否定した。大量のドル資産をもつ東アジア各国では、こうした動きがくすぶり続けている。中東でもユーロシフトは進んでいる。何より最大のドル資産保有国である日本と中国の動きが重大である。

 人民元切上げのジレンマ

 中国は7月に人民元を対ドルで2%切り上げたが、アメリカの対中貿易赤字は激増し続け、いらだつ米帝は中国に人民元のさらなる大幅切り上げを迫っている。だが人民元の大幅切り上げは、中国が人民元安を維持するために続けてきた大量のドル買い=米国債購入をやめることである。それは米国債暴落・ドル暴落の引き金を引くことになりかねない。人民元切り上げは、米帝にとってまさに諸刃(もろは)の剣だ。中国自身もあまりに多くドルを持ちすぎたことに危険を感じ、外貨準備の一部をドルからユーロに移している。中国の経済的危機、政治的・体制的危機の行方は予断を許さず、米帝との政治的・軍事的対立も激化していく。しかし、この中国スターリン主義からの資金流入に頼らざるをえないところに米帝とドル体制の末期的な危機性がある。

 もはや大量介入できない日本

 日本が保有する米国債は今年の8月段階で6845億j(約78兆円)、米国債の海外保有分(約2兆j)の3分の1を占める。日銀は04年1―3月期に史上空前の15兆円(それまでの最多年間介入額の倍以上)もの円売りドル買い介入を行い、そのほとんどが米国債購入にあてられた。しかし日銀はこれ以降、大規模な為替介入はやめている。あまりの巨額介入に米帝自身が「脅威」を感じてストップさせたのだが、日帝自身も限界に来ている。日本の一般会計予算1年分に匹敵する額まで買いためたドル=米国債が暴落するなら、日帝の損失は計り知れない。ドル暴落危機の本格化を前にして、日本が大量介入の余力を失っていることは決定的な事態である。
 さらに来年に迫った自動車業界におけるGMとトヨタの首位交代という「歴史的事件」の衝撃が、米帝の対日保護主義の決定的高まりをもたらそうとしている。このことからも日本の為替介入はいよいよ困難となる。米企業いやアメリカそのものの象徴ともいうべきGM、フォードが倒産の危機に直面する中で、トヨタは北米市場で利益の7割を稼ぎ出し、日本車がシェア拡大を続けている。こうした事態は米帝にとって断じて容認できるものではない。対日報復、保護主義の火が一気に燃え上がる可能性がある。こうした情勢下で日帝が対米輸出維持のために為替介入を行うことなどまったくの論外となる。GM会長は「1j=90円が妥当」と言っている。だがそれで米自動車業界が息を吹き返すことはない。結局は自らドル暴落と世界市場の分裂と収縮、世界恐慌による破滅を引き寄せるだけなのである。

 ドルと石油のリンク 戦争と石油支配が最後の支え

 結局ドルの最後の支えは軍事力と戦争しかない。そしてこの軍事力に支えられた中東・石油の独占的支配が決定的となっている。

 世界支配の最後の源泉

 今後採掘できる石油の約65%は中東地域に集中している。中東の中でもサウジ(25%)、イラク(10%)、UAE(9・3%)、クウェート(9・2%)、イラン(8・6%)の5カ国が圧倒的だ。採掘可能年数ではイラクが140年と一番長い。世界の中東石油依存度は今後数十年にわたっていっそう高まっていくと予想され、中東地域の独占的支配は帝国主義の世界支配にとってますます死活的となっている。
 米帝にとって中東石油の独占、世界の原油取り引きのドル建て、石油とドルの結合ほど巨大な利潤をもたらすものはほかにない。石油とドルが結びついている限り、米帝は中東との石油取引をあたかも「帝国内部」の取引のように行える。極端に言えば米帝はドル紙幣を刷るだけで石油を手に入れることができる。石油価格の高騰も石油独占体にとっては空前の利益のチャンスとさえなる。現にエクソン・モービル社はこの7月から9月のたった3カ月で、トヨタの年間純益に相当する1兆円以上の利益を得ている(もちろん、こうした独占の特権的利益は米経済全体には大きな打撃をもたらすのだが)。
 米帝は、この究極の独占的利潤の源泉、世界支配の最後の砦を絶対に手放すことはできない。米帝が絶対に阻止しようとしているのは、他帝国主義や中国スターリン主義が中東・石油と独自の結びつきをつくることである。それは米帝の中東・石油の独占的支配を根底的に崩壊させるからだ。米帝がデタラメな口実を使ってイラク侵略戦争に突入した最大の理由は、ユーロを発足させた独・仏帝国主義とイラク・中東との結合を阻止し、米帝の中東・石油の独占支配を維持することにあった。
 米帝は、イラクと中東をとりまくアフガニスタン・中央アジアに米軍基地のくさびを打ち込み、中東石油の海上出口であるペルシャ湾、インド洋一帯を米海軍で制圧している。だがこうした軍事力で暴力的に固めなければ維持できないような支配は必ず崩壊する。すでに米帝の世界支配力の最後の源泉である中東・石油の軍事的支配は、米帝の世界支配崩壊をもたらす死重へと転化しつつある。イラク・中東人民の反米民族解放闘争の永続的爆発と米国内のイラク反戦闘争は、米帝支配階級の分裂とブッシュ政権の末期的危機を引き起こしている(イラク開戦情報操作疑惑など)。こうした情勢は米帝をいっそう絶望的な帝国主義世界戦争へと駆り立てるとともに、アメリカ革命・世界革命情勢を急速に成熟させる。

 階級闘争の究極的進行へ

 こうした中で決定的なことは、80年代以来の国内階級戦争によってアメリカの階級矛盾・対立が極限的に先鋭化していることだ。米帝は29年型恐慌再来の「本番」を前に、恐慌対策を出し尽くし、財政も年金・医療制度も破綻的状況となっている。没落しきった米帝は、新たな「ニューディール」どころか、労働者階級からさらに徹底的に搾取し、奪い尽くし、弱肉強食を推し進め、公的年金も医療制度も解体するしかなくなっているのだ。
 確かに、米労働者階級にとって「恐るべき」事態である。しかしこれは階級闘争がむきだしの形で、究極まで押し進められるしかない情勢を生みだす。とことんまで帝国主義と融合したAFL−CIOからの労働者階級の決定的離反、スターリン主義反革命の崩壊という情勢のもとで、アメリカ労働運動の新たな闘う潮流は、30年代階級闘争を決定的にのりこえ、世界革命の最前衛となって突き進むであろう。このアメリカと日本の労働運動の進むべき道はひとつである。

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週刊『前進』(2222号7面2)(2005/11/14)

 コミューン12月号

 日教組運動の再生

 都教委の03年「10・23通達」以来、「日の丸・君が代」強制拒否、不起立の闘いが2年間続いている。この闘いが「つくる会」教科書採択阻止闘争へと続き、さらに日教組大会における改憲方針への転換を阻み、都高教大会では「日の丸・君が代」闘争を闘う方針を決定させるに至った。実に巨大な地平を切り開いている。闘いはどのように始まり、発展したのか。
 第1章は、「10・23通達」に対する04年春の卒入学式における、都高教を中心とする数百人の教育労働者の決起とそれ以後の2年間の闘いを描いている。過酷な処分に対する重層的な闘いの発展が伝わる。
 第2章は、杉並における「つくる会」教科書採択阻止闘争を述べている。この闘いは「つくる会」派との激突となり、「つくる会」教科書は採択されたが逆に採択白紙撤回闘争が激しく闘われている。その激闘をレポートとしている。
 第3章は、「日の丸・君が代」闘争、「つくる会」教科書採択阻止闘争の今後の展望を確認した上で、06年教育労働運動の展望を「日教組運動の階級的再生」と提起している。
 翻訳資料1は「ガザ撤退の煙幕を吹き払おう」。撤退が、現状を悪化させることを暴露したISM(パレスチナ人民の闘いを支援する外国人組織である「国際連帯運動」)のファクト・シート(データー集)。翻訳資料2はシャロン政権が05年1月に発表した「ガザ撤退計画の概要」。

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週刊『前進』(2222号8面1)(2005/11/14)

 11・6集会 “国際連帯で資本主義倒そう”

 韓国・民主労総から

 ソウル大病院労働組合副委員長 キムエランさん

 わが韓国では、プサンでAPEC会議を準備しており、猛烈に宣伝しています。あたかも韓国が、もっと先進国に向かうとか、国民の暮らしがよくなるかのように大騒ぎしています。
 けれども、労働者・農民・貧民・学生など民衆の生存権を破壊しようとしていることがはっきりしているので、今その闘いを頑張って組織しており、また12月に香港で開かれるWTO会議を阻止するための準備も進めています。
 私たち医療労働者は病院現場で構造調整と雇用不安に対して闘うだけでなく、公共医療が拡大し、将来無償医療に向かうために医療の公共性が拡大するのとは反対に、民衆の健康が市場に投げ出される新自由主義世界化に対する闘いを、資本主義の巨大な流れに抵抗する闘いを行わなければならない状況にあります。
 医療の開放を準備している韓国政府は、競争力という口実で、医療機関の営利法人化を進めようとしており、民間医療保険を制度化する動きも見せています。
 日本の労働者と韓国の労働者、そしてアメリカの労働者が連帯し、果てしなき資本の欲望から労働者が解放される世の中をつくるため、全世界の労働者の連帯を、そして団結と闘いをつくる第1ボタンをかけることを提案します。

 公務員労働組合ソウル地域本部女性副本部長 キムナムスンさん

 私たち公務員労組の課題は、不正腐敗を阻止することと、公職社会の改革です。
 そして、組合員の労働条件改善や政治・経済・社会的な地位向上、そして、自主的かつ民主的な労働組合の伝統を受け継ぎ、労働三権をかちとって、民主社会の建設と世界平和をなしとげるために、国内外の団体と連帯し、分断された祖国の自主民主統一を目指しております。
 公務員労働組合特別法に反対し、2004年11月15日、公務員労組はゼネストを行い、これに関連し公務員の生存権の剥奪(はくだつ)されたのが450人にまで上ります。
 私たちは、このようにして不当な懲戒を受けた同志たちの不当解雇が撤回され、現場に全面復帰されるその時まで、闘いはとめられません。
 本日、この場で国境を越え、労働者たちの団結された力を集め、世の中を変えていく闘いに、労働者の全世界的な連帯戦線をつくれば、私たち労働者の手で地球も動かせると思いませんか、皆さん。
 私たちが世の中を動かせる。私たちがその主役となり、私たちの手で力で世の中を変えていきましょう。

 アメリカから

 AMFA(航空整備士労働組合)ローカル9委員長 ジョゼフ・プリスコさん

 現在ノースウエスト航空AMFA組合員4300人がストライキを行っています。この闘いは労働運動全体に強い影響を与えています。ノースウエスト航空は、組合員の投票によって95%の人員削減が承認されることを期待しています。さらに残った組合員の賃金の29%カット、年金関連の権利の大幅縮小を受け入れろと迫っています。会社側は、われわれ労働組合を破壊すべく1900人もの代替作業員を雇ったのです。
 これはすべて政府の承認のもとで行われています。法律は労働組合を制限するためにもつくられています。不当な法律は無視し得るものであり、無視すべきものです。正義をかちとるための過去の闘い同様、これからも正義のためには、労働組合が勇気を持って行動することが大切です。
 仲間が攻撃の対象になっている時は、われわれの間にある違いをとりあえず脇に置くべきだと考えます。ピケラインを越えないことは、兄弟姉妹が団結して闘う中で、お互いにとっての第一の、そして最優先の義務です。
 労働組合には力があること、労働組合は一つとなるべきこと、労働組合は、他の組合が単独で闘うような状況をけっしてつくってはならないことを訴えたいと思います。いかなる労働組合もストライキ中の業務を行ってはなりません。
 労働者の国際的連帯の時が来ています。国境を越えて労働組合をよみがえらせるのは、私たち一人ひとりです。私たちの共通の未来はここにかかっています。
 次の点をどうぞ心にとどめて置いてください。ピケラインをけっして越えないこと。労働者に力を!

 ILWUローカル34 キース・シャンクリンさん

 団結。トゥジェン! 団結すれば労働者が負けることはない。今日、ここに国の異なる兄弟、姉妹が集まり、不正義と対決する世界中の労働者に向けて力強い連帯を表明します。
 私たち一人ひとりの力は強くありませんが、力を合わせれば大きなことを実現することだって可能です。
 私たちが何も行動を起こさなければ、不正義はまかり通り続けます。カトリーナという名のハリケーンがその典型です。
 いまだにブッシュはアメリカの指導者として君臨しています。しかし、今やブッシュは労働者の声を無視することはできません。今日のこの連帯集会は新たな運動をつくる火花です。すべての労働者に不正義を働く政府や企業に対し、アメリカ、日本、韓国で、新しい運動を生み出す火花となるでしょう。

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週刊『前進』(2222号8面2)(2005/11/14)

 開会あいさつ

 小泉独裁政治にストップを

  全国金属機械労組港合同 中村吉政副委員長

 この1年、労働者を取り巻く環境や社会情勢は大きく変化し、権利の後退に歯止めがかからなくなっています。特に総選挙後、3分の2与党の強権をもって郵政民営化法成立を受け、公務員への人員削減と労働組合そのものへの攻撃が強まることは必至です。すでに、大阪市に象徴されるように、公務員労働者への権利破壊・生活破壊・人格否定の攻撃がドミノ倒しのように起きています。権利の剥奪はとどまるところを知りません。残念なのはこれほど卑劣な攻撃であるにもかかわらず反撃の兆しがどこにも見えていないことです。今こそ官・民の団結、連帯が問われています。
 闘う労働組合への国家権力による刑事弾圧が常態化しています。今のこの時間でも大阪拘置所では関西地区生コン支部武委員長ら6名が勾留されています。
 国鉄の1047名の闘争団の闘いは、鉄建公団訴訟9・15判決で不十分とはいえ敵の不当労働行為を暴き逃げ口上の一部を封じた。今こそ雇用責任追及の闘いが必要です。同時に5・27臨大弾圧に対する闘いも無罪をかちとろう。
 一方、全金本山労働組合は34年間の闘争に全面勝利をかちとることができました。「闘えば必ず勝利する」との大きな展望を示してくれた本山の仲間に敬意を表したいと思います。
 イラク侵略戦争、沖縄の基地強化、横須賀港への原子力空母の配備、憲法9条、教育基本法の改悪、共謀罪新設等の軍国主義体制の阻止に向けて大きなうねりを巻き起こしましょう。
 権利は一時的に後退しても、労働者魂を持ち続け、団結権をわが力とし、志を大きく持つならば必ずや取り戻すことは可能です。強権小泉政権の暴走、独裁政治をストップさせましょう。働くものが社会の主人公となり、希望と夢、生きがいと、魅力ある社会づくりのためにともに奮闘しましょう。団結こそ命! 闘争こそ力!

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週刊『前進』(2222号8面3)(2005/11/14)

 特別報告

 不当な弾圧に反撃しよう

  全日建運輸連帯労組関西地区生コン支部 柳充副委員長

 本年1月13日、3月9日、生コン支部の執行委員長を筆頭に執行部6名が弾圧される事件が起きました。11カ月を過ぎた今でも不当な理由なき拘束を受けています。私たちの進める産業別労働運動を根こそぎつぶし破壊するという目的を持った「威力業務妨害」「強要未遂」という事件がつくられています。しかし「背任容疑」で逮捕されたような報道が続きました。私たちは宣伝し、運動つぶしと組織の破壊が根底にあるんだと報告しました。そして、多くのメッセージや共同声明を寄せられたことに感謝しています。大きな運動のうねりができています。12月3日にも大きな集会をやります。
 なぜ、私たちの産業別労働運動が弾圧の対象になるのか。関西では労働組合と中小企業が団結して、中小企業共同組合に結集させて、大企業が中小零細を支配し収奪して競争させて労働者を搾取する、この仕組みを変えて対等な取引関係ができる仕組みをつくっていこう、それを労働組合がサポートする運動を行っています。それが関西一円に広がり、一気に全国化しようとした時に弾圧があったわけです。その背景には、小泉政権なりグローバリゼーションがある。弱い立場の中小企業や労働者などを徹底的に搾取し、いじめていく。そして軍事国家に一気に走っていく。このことに対しても、私たちはストライキ運動や様々な反撃の体制をとっています。
 韓国で働く生コン労働者とともに手を結び、日韓の共同の反撃の行動を行ったり、反戦平和、労働団体、市民団体、そして政治運動など、様々な運動の中心体になる運動を行ってきました。それに対する弾圧でもあるわけです。私たちに対する単なる一組織の弾圧ではなく、皆さんと全体で弾圧をはね返したいと呼びかけるものです。自分たちの運動をつうじ本質を暴露していけば、必ず勝利すると確信を持っています。
 私たち労働組合は、本来あるべき役割や社会的使命を確認し、そして追求し、ともに闘いましょう。

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週刊『前進』(2222号8面4)(2005/11/14)

 2005年11・6アピール

  国鉄千葉動力車労働組合 田中康宏委員長

 9月11日、クーデター的に強行された総選挙で、労働者をとりまく情勢は一変しました。「戦後民主主義」は崩壊し、小泉は憲法改悪の発議が直ちにできる議席を手にしたのです。しかしこれはガラス細工の「勝利」に過ぎません。マスコミをあげて真実をぬり隠すキャンペーンを洪水のようにあふれさせても、自・公両党の得票は50%に満たなかったのです。
 自民党が「新憲法草案」を発表しました。「陸海空軍その他戦力はこれを保持しない。国の交戦権はこれを認めない」と定めた憲法9条が「自衛軍を保持する」に書き替えられようとしています。これは現在の憲法を破棄するに等しいものです。日米政府は、日米安保と米軍の大再編(トランスフォーメーション)に関する中間報告を発表し、米陸軍第1軍団司令部を座間基地に移し、統合作戦司令部を置くなど、日本を東アジアや「不安定の弧」に対応する最大の戦略拠点とする準備が進められています。とくに、沖縄の新基地反対闘争の圧殺と基地機能の飛躍的強化が画策されています。そして自衛隊のイラク派兵がさらに延長されようとしています。
 国家主義が急速に台頭しています。小泉は靖国神社への参拝を繰り返し、いままでは社会の片隅に潜んでいた極右、ファシストたちが政府や財界の全面的なバックアップを得て前面に登場し、「つくる会」教科書採択などの反動的運動が組織されています。今、労働運動にとって最も危険なことは、戦争とそれに向かう様々な反動への挙国一致がつくられようとしていることにあります。
 彼らは、本気で日本を「戦争をする国」にしようとしています。われわれは大きな歴史の分かれ目にたっています。労働者の団結した闘いだけが、憲法−教育基本法の改悪を止め、戦争を止める力です。
 労働者の平均賃金は15年前の水準に後戻りしました。すでに、年収200万円以下の世帯が2割に達しています。この10年余りの間に非正規雇用労働者が激増し、女性や24歳以下の若者では50%に至っています。貧富の差が恐るべき勢いで拡大し、闘わなけれ ば生きられない現実がつきつけられています。これが小泉や奥田によってもたらされた現実です。その背景にあるのは資本主義体制の底知れぬ危機です。
 彼らは、あたかも公務員が悪の元凶であるかのようなペテンを繰り返し宣伝し、労働者の団結を分断し、労働者など非力な存在に過ぎないと思い込ませようとしています。連合や全労連の幹部たちもそれに呼応し、労働者の階級的団結を破壊する手先になり下がっています。しかし多くの労働者が、今自らの置かれた現実が仕方のないことでもどうしようもないことでもないと気付き、これをもたらした元凶が小泉であり奥田であることに気付いたとき、もはや怒りの声をおしとどめることはできません。腐りきった労働運動の幹部たちを踏みこえて、今こそ労働者の誇りと団結をとり戻そう。
 日本の労働運動にとって、これからの2年間がまさに勝負のときです。自民党や財界は、来年の通常国会で改憲に向けた「国民投票法」の制定、教育基本法改悪を強行し、07年に憲法改悪を狙っています。07年郵政民営化の強行に向けて、40万人の郵政労働者に激しい首切り選別、労組破壊攻撃が吹き荒れようとしています。並行して数百万人の公務員労働者を対象とした民営化−首切り攻撃が吹き荒れようとしています。労組の団結権を否定し、企業に一方的な労働条件変更権を与え、解雇を容認する労働契約法制の抜本改悪も07年に向け最終報告が出されています。税制の抜本改悪−大増税と社会保障制度の解体も07年です。労働者の団結も、雇用も、賃金も、年金も、全てを破壊して戦争につき進もうというのです。
 しかし、こんなことが予定どおりに進むはずはありません。何が起きてもおかしくない波瀾万丈の時代が始まろうとしています。我慢のならない怒りの声が激しく吹きだし、闘う労働運動の再生への大きなうねりが始まろうとしています。
 10月に開催された連合大会は、「国防の義務」を主張し、「徴兵制」まで肯定する新会長候補高木に対し、予想もしなかった多くの反対票が投じられ、予定されていた9条改憲推進に舵(かじ)をきる方針を提出することもできない事態になりました。
 連合をつき動かしたのは、「日の丸・君が代」強制を拒否した東京−全国の教育労働者たちの闘いであり、1047名の解雇撤回を闘う国鉄労働者の闘いであり、沖縄を先頭とした自治労組合員の闘いでした。この職場からの決起が全国の無数の怒りの声と結びついて巨大な波紋を広げ、「護憲」方針を投げ捨てようとしていた日教組や自治労の大会でそれを許さなかったのです。
 私たちは、JR尼崎事故に対する安全運転闘争のなかからもそれを実感としてつかみとりました。全国からの予想をこえた反響と支持の声は、形は違えど、市場原理の暴走と民営化攻撃のなかで苦しみ、労働運動の再生を願う切実な思いでした。
 全日建関西地区生コン支部は、委員長をはじめ6名の執行部を1年近くも獄中に奪われるという大弾圧を毅然(きぜん)とはね返して闘いをさらに拡大しています。港合同は、「団結こそ命」を掲げ、矛盾が集中する中小・零細企業に働く仲間を地域で組織しています。全金本山労組は、34年間の闘いを貫いてついに解雇撤回・職場復帰の歴史的勝利をかちとりました。国鉄1047名の解雇撤回闘争が、闘いの圧殺を狙う9・15反動判決をのりこえて18年間の闘いを貫き、大民営化攻撃の前にたちはだかっています。そして今日ここに日本と韓国とアメリカの労働者が結集し、心をひとつにして国際的な連帯を誓い、共通の敵に向かって闘うことを決意しています。アメリカではAFL−CIOが分裂する状況のなかで、AMFAの仲間たちがすでに80日間にわたるストライキを闘いぬいていま す。韓国・民主労総の仲間たちは、非正規職権利保障立法実現を求めて、この11月にもゼネストにたちあがろうとしています。全世界の労働者が同じ攻撃に直面しています。その背景にあるのは、戦争をする以外に体制を維持することができなくなった資本主義の危機です。労働者を食わしていくこともできなくなった支配の崩壊です。
 敵の側が山ほどの矛盾を抱え、怒りの声が充満しています。だから一点の火花が燎原(りょうげん)を焼き尽くすように燃えひろがるのです。予想もつかない可能性を秘めた情勢が到来しています。日本の労働者はいま暴風雨のなかにいます。しかし、労働運動再生への胎動は、動と反動が逆巻く激しい分岐と流動のなかからしか生まれません。
 いま何よりも求められているのは、小泉政権による激しい労働組合破壊攻撃と対決し、労働運動の現状を変革することです。全世界の労働者が共通の敵に向かって手を結び、団結をとり戻し、労働組合を甦(よみがえ)らせることです。
 いま労働者は、全世界で団結し、連帯して新しい時代を見いだす力をとり戻そうとしています。今こそ、戦争と民営化−労組破壊の大攻撃に抗し、労働運動の再生を実現しよう。怒りの声をたぎらせて支配の厚い壁を突き破ろう。労働者の団結した力は決して打ち砕かれることはない。もっと怒りの声をあげよう! 団結しよう! 闘いを組織しよう! 小泉反動内閣を打倒しよう! 日米韓労働者の国際的団結を発展させよう!

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週刊『前進』(2222号8面5)(2005/11/14)

 韓国・民主労総のゼネストを支持し連帯する特別決議

 韓国・民主労総は、非正規職関連法の制定と、労働者の団結権・争議権を弱体化する「労使関係ロードマップ」に反対してゼネストにたちあがろうとしている。今、ゼネストの賛否を問う組合員投票の渦中にあり、11月13日の労働者大会で日程が発表されようとしている。
 ノムヒョン政権は、すでに多くの組合幹部や組合員の逮捕、重軽傷者をだすような集会への警察権力の襲撃などを強行し、闘いを圧殺しようとしている。
 韓国では、7割の労働者が非正規職に突き落とされており、民主労総70万は、この現実に組織の総力をあげてたち向かっている。これは、全世界の労働者の闘いの最先端に位置するものである。
 また、民主労総は、こうした状況のなかプサンで開催されるAPEC(アジア太平洋経済協力会議)首脳会議反対闘争を全力で取り組もうとしている。
 韓国の労働者が直面する課題は、全世界の労働者の共通の闘いの課題である。そしてその闘いは、われわれの進むべき道を示している。
 従ってわれわれは、本集会の全参加者の名をもって、韓国・民主労総の11・13労働者大会、APEC反対闘争及び、非正規職関連法制定阻止のゼネストを支持し、ともに連帯して闘うことをここに決議する。

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