ZENSHIN 2005/11/07(No2221 p06)

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第2221号の目次

10月28日、衆院法務委員会の共謀罪審議に対して「組対法・破防法共同行動」が国会前で抗議集会

1面の画像
(1面)
11・6 全国から日比谷野音へ
日米韓労働者の国際連帯で  改憲・戦争と民営化の小泉打倒を
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11・6全国労働者総決起集会/海外からの参加者 記事を読む  
(2面)
青年こそ1万人結集の先頭に
11・6日比谷 団結して闘えば勝利できる
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10・21総決起集会 “郵政民営化と首かけ闘う”
渋谷・宮下公園に250人  全逓労働者先頭にデモ(10月21日)
記事を読む  
関生への弾圧うち破ろう  3労組共闘を守り11・6へ 記事を読む  
“警察官と何度も現場に”
国労弾圧公判 浅川証人が明言(10月19日)
記事を読む  
(3面)
金さえ出せば解雇は自由 労働契約法の制定阻止へ
「労使委員会」で団交も否定
記事を読む  
反合・運転保安闘争勝利へ  動労千葉冬季物販に全力を 記事を読む  
世界の労働運動 中国
大連の日系企業でスト  弾圧に怒り3万人が決起(野田利一)
記事を読む  
都・区賃金確定闘争
マイナス人勧うち破れ  地域給・査定給導入阻もう
記事を読む  
医療労働者の11・6への訴え  福祉奪う民営化と対決を
労働者の社会保障守る砦に  辰川 健
記事を読む  
(4面)
連合の改憲方針を粉砕しよう
戦争と民営化の道に突き進む連合中央に11・6で大反撃を
7・14「連合見解(案)を批判する」
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日誌'05 10月19日〜25日
陸自イラク派兵第8次出発  陸自と警察が初の実働演習
記事を読む  
(5面)
辺野古基地「日米合意」弾劾
全長1800メートル 大浦湾埋め立て  恒久的な基地建設を狙う(10月26日)
記事を読む  
10・15国民投票 軍事占領下で“憲法案承認”
イラク分断支配狙う米帝(10月25日)
記事を読む  
熊本・福岡 “8次イラク派兵阻止”
北熊本駐屯地へ抗議(福岡・轟清二郎)(10月21〜23日)
記事を読む  
岩国基地 “NLP移設反対”  労働者ら3千人がデモ(10月23日) 記事を読む  
(6面)
団結ひろば 投稿コーナー
「星野奪還」も1万人結集にかかっている 中四国 J・K
『改憲攻撃と労働者階級』を読み力わく 東京 N・K
「日の君」処分の人事委員会闘争に参加 東京 K・Y
記事を読む  
「共謀罪」廃案へ攻勢を  「修正」の余地など一切ない 記事を読む  
11・3−27北富士闘争へ  イラク戦争訓練を阻もう 記事を読む  
星野文昭同志奪還へ 大阪集会に集まろう  金山克巳 記事を読む  
書評 『皇国少女から戦争の嫌いな女へ』
下田禮子著 (発行・下田禮子「自分史」編集委員会1000円)
戦後をたくましく生きぬき闘ってきた被爆者の自分史  〈投稿〉 広島 S・F
記事を読む  

週刊『前進』(2221号1面1)(2005/11/07)

 11・6 全国から日比谷野音へ

 日米韓労働者の国際連帯で

 改憲・戦争と民営化の小泉打倒を

 全日建運輸連帯労組関西地区生コン支部、全国金属機械港合同、動労千葉の闘う3労組が呼びかける11・6全国労働者総決起集会まであと1週間、1万人大結集の実現へ最後まで全力で闘おう。11・6集会は、小泉のファシスト的な8・8−9・11クーデターに真っ向から対決し、小泉打倒を宣言する唯一の労働者集会である。改憲と戦争の攻撃に4大産別を柱に労働者階級が全面的に対決する労働者集会である。民営化・労組破壊と闘う4大産別決戦の勝利を闘いとる労働者集会である。そして日米韓の戦闘的労働組合が総結集する国際連帯集会である。改憲・戦争と民営化・労組破壊の小泉打倒は、1万人を結集できるかどうかにかかっている。1万人の決起を実現すれば、それは数万、10万、百万人という労働者の階級的な決起に結びついていく。すべての力を11・6集会に結実させよう。

 第1章 動労千葉軸に労働者の団結で勝利開こう

 11・6集会は第一に、小泉打倒の声と怒りを総結集する1万人集会だ。
 小泉政権はけっして盤石ではない。8・8郵政民営化法案否決で一度は崩壊したのだ。体制的危機に突き落とされ、戦後的な議会制民主主義支配の崩壊に直面し、顔面蒼白(そうはく)になって8・8反革命政治クーデターに訴えたのだ。
 ファシスト的な「改革」デマゴギーと小選挙区制のマジックによって3分の2以上という議席をとったが、政権の基盤は脆弱(ぜいじゃく)であり、「ガラス細工」のようなものだ。問題は労働者の階級的団結と決起だ。
 前原民主党や共産党、社民党では小泉を打倒することはできないが、闘う労働者と労働組合の団結と決起によって小泉を揺さぶり打倒することは絶対できる。
 国鉄分割・民営化と最も原則的に闘ってきた動労千葉を軸に3労組の陣形で、日米韓3国連帯で、労働者が団結して決起すれば、勝利は必ず開けるのだ。
 10月21日、全逓労働者の郵政民営化絶対反対の決起が生み出したものは、実に大きい。郵政労働者への小泉のファシスト的攻撃に対して、全逓労働者が「郵政民営化絶対反対! 首切り絶対反対!」を首をかけて闘う覚悟で訴えた。
 郵政民営化法案が逆転可決された直後に、公然と郵政民営化に絶対反対を言い切って闘う全逓労働者が登場したことは敵に衝撃を与えており、労働者人民に限りない勇気を与えている。JPU幹部はこの決起に右往左往している。
 郵政現場の闘いはこれからだ。物ダメ・ストライキの展望が開かれたのだ。
 小泉の戦争と改憲の攻撃、民営化と労組破壊の攻撃、社会保障制度解体と大増税の攻撃に怒りを持っている圧倒的多数の労働者階級人民がいる。小泉打倒の闘いの場を求めている圧倒的な人びとがいる。11・6労働者集会への総結集をよびかけよう。

 第2章 改憲と戦争の攻撃に巨大な反撃の開始を

 11・6集会は第二に、小泉の改憲と戦争の攻撃と対決し闘う集会である。
 改憲への攻撃が一挙に動き始めた。小泉は10月28日に自民党新憲法草案の最終案を発表し、11月22日の党大会で公式草案として採択しようとしている。
 10月6日、衆院憲法調査特別委員会は憲法改正国民投票法の制定に向けての審議を開始した。国民投票法案は自公の間で04年12月3日に早期の成立が確認され、与党案がまとまっている。民主党も10月26日、国民投票法案の大綱を決めた。自民党の国対委員長・中川は憲法改正国民投票法案を06年通常国会で必ず成立させたいと言明した。
 国民投票法の与党案は公務員労働者や在日外国人の改憲攻撃批判の運動や言論を禁止し、マスコミ報道も全面規制して、違反には罰則規定を設ける、とんでもない法案だ。改憲反対の言論や運動は一切許さないということである。
 自民党の新憲法草案は、現行9条の「戦争放棄」条項を破壊し、9条「安全保障と平和主義」、9条の二「自衛軍」、9条の三「自衛軍の統制」として、対外侵略戦争と世界戦争の条項につくり替えている。憲法改正条項の96条も、改憲がいつでも好きな時にできるように大改悪する。前文や第1章「天皇」は天皇制・天皇制イデオロギーで書き換えられ、天皇と主権在民の関係は逆転されている。基本的人権も根本的に解体される。現行憲法を一木一草残らず焼き払い破棄して、戦後民主主義体制を解体・一掃する新憲法づくりそのものなのだ。
 これは戦前型の対外侵略戦争・世界戦争のできる国家体制づくり、天皇制ボナパルティズム体制やファシズム体制の形成に向けてかじを切る大攻撃である。
 改憲とは戦争攻撃だ。今特別国会で小泉は、対テロ特措法を延長してアフガニスタン・インド洋派兵を継続した。さらに自衛隊の第8次イラク派兵を強行し、派兵期限も延長しようとしている。改憲はアフガニスタン・イラク侵略戦争から、日帝が北朝鮮・中国−アジア侵略戦争と世界戦争に突き進んでいく攻撃だ。

 普天間移設=新基地合意弾劾11・16日米首脳会談粉砕せよ

 こうした中で10月26日、日米帝は、普天間基地の移設先として名護市のキャンプ・シュワブ沿岸部に新基地を建設することで合意した。この合意をテコに米軍再編の中間報告をまとめ、29日の日米安保協議委員会(2プラス2)で発表する。辺野古の陸と海の不屈の闘いで海上基地建設を頓挫させられた日米帝は、あくまでも辺野古で大浦湾を大規模に埋め立て、全長1800bもの新基地建設を押しつけようとしているのだ。米軍再編に決着をつけようとしている11・15〜16のブッシュ訪日・日米首脳会談を、沖縄人民の怒りの決起を先頭に、11・6を突破口として断固粉砕しよう。

 第3章 4大産別決戦と改憲阻止は一体の闘いだ

 11・6集会は第三に、郵政民営化を始めとする民営化・労組破壊攻撃粉砕の集会であり、4大産別決戦勝利の集会である。
 小泉は改憲と戦争に反対する勢力を解体するために公務員労働者を攻撃し、4大産別の労働者と労働組合を狙い撃ちしている。官公労つぶしに全力を挙げている。それは同時に、民間を含め全産別の労働者と労働運動への攻撃でもある。
 小泉は10月6日、国と地方の公務員定数の純減目標を「10年間で20%」とするように指示した。公務員の非公務員化や大量首切り・大幅賃下げの大攻撃を推進しようとしている。「骨太方針」のもとに三位一体改革や公務員制度改革の攻撃に全力を挙げてきている。
 4大産別決戦は改憲阻止決戦と完全に一体のものである。4大産別決戦を民営化・労組破壊攻撃粉砕を軸に徹底的に闘いぬき、小泉の改憲と戦争への攻撃を粉砕しなければならない。
 さらに教育基本法改悪阻止、「つくる会」教科書採択撤回、「日の丸・君が代」強制阻止の闘いを、4大産別決戦であると同時に、改憲阻止決戦と一体のものとして闘おう。
 勝利の道は動労千葉のように闘うことである。動労千葉は1987年の国鉄分割・民営化に対して、大量処分を覚悟し、組織の存亡をかけて2度のストライキを打ち抜き、全力でこの攻撃と闘った。
 この動労千葉が全日建運輸連帯労組関西地区生コン支部や全国金属機械港合同とともに呼びかけたのが11・6集会だ。この3労組の戦闘的・原則的な労働運動は、戦争と改憲、民営化と労組破壊の攻撃と闘う多くの労働者・労働組合の怒りと結びつき、心をとらえている。
 民営化攻撃は、ついにJR尼崎事故に行き着いた。動労千葉はこれに対し、反合・運転保安闘争を果敢に闘い、全労働者の根源的な利益と要求を貫き守りぬいて、JR資本・日帝資本と鋭く対決している。
 動労千葉の闘いは、国鉄1047名闘争の新たな発展の起動力をなしており、日本労働運動のかけがえのない柱になっている。この闘いは、連合・全労連のもとで苦闘する多くの労働者の、労働組合再生の闘いのよりどころだ。そして今、首をかけて郵政民営化に反撃を開始した郵政労働者に勝利の道筋を示している。
 民営化攻撃に対してストライキで闘ってきた動労千葉があってこそ、日米韓の労働者の国際連帯のきずながつくられたのだ。
 関西生コン支部は権力・資本が一体となったすさまじい集中弾圧=労組解体攻撃と不屈に闘い、港合同は団結権を死守して闘いぬいている。この3労組の共闘こそ、連合中央・全労連中央の屈服と裏切りをのりこえて階級的労働運動の再生へと闘う労働組合の全国ネットワークの中心軸、結集軸だ。3労組共闘の意義をしっかりと確認し、全国の労働者、労働組合は11・6集会に総結集しよう。

 第4章 プロレタリア世界革命の道開く国際連帯

 11・6集会は第四に、日米韓の労働者国際連帯集会である。
 韓国の民主労総・ソウル地域本部からコジョンファン本部長を始め22人、アメリカからはILWU(国際港湾倉庫労組)ローカル10を始め14人が参加する。世界最強の労働運動の指導者・活動家がやって来る。
 コジョンファン本部長は「その軸は現場労働者の交流です」「お互い『同じ労働者階級だ』と心から確信し、よろこびあえるような出会い、お互いの力を倍加させるような交流を実現したいと思っています」と語っている。ILWUローカル10のジャック・ヘイマン氏は「昨年のように戦争反対と『一人の痛みはみんなの痛み』のILWUローカル10の横断幕を持参します」と呼びかけている。
 現在、戦争・民営化と闘う世界で最も戦闘的な労働組合と労働者が総結集するのだ。それは動労千葉を中心に民営化と断固闘う日本労働運動への期待の表れだ。労働者に国境はない。国際連帯こそ侵略戦争、世界戦争を帝国主義打倒に転化し、プロレタリア世界革命を実現していく水路だ。
 残る1週間、労組と職場で闘い、街頭宣伝を大展開し、ビラをまき、署名を集め、チケットを売ろう。
 11・6日比谷野音への大結集で、小泉打倒、改憲と民営化攻撃を粉砕しよう。

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週刊『前進』(2221号1面2)(2005/11/07)

11・6全国労働者総決起集会/海外からの参加者

11・6全国労働者総決起集会/海外からの参加者

(10月25日現在)同集会特設ホームページから転載しました

韓国 22名
民主労総 ソウル地域本部 コジョンファン本部長
キムチャンソプ副本部長
ハンヒョク組織局長ら5名
公務員労組ソウル本部 副本部長
支部長
ソウル本部対外協力局長
ソウル大病院支部労組 副委員長
教育部長
軌道(鉄道)労組 地下鉄労組 2名
地区協議会代表 各地区協議会議長6名
文化活動家 文化宣伝隊および歌謡講習4名
アメリカ 14名
ILWU(国際港湾倉庫労組)

(ローカル10)
Jack Heyman
Dwight Sanders
James Blackwell
Robert Irminger
C'Jiles Holdman

(ローカル34)
Keith Shanklin (& his wife)
ジュアン・デル・ポゾ

AMFA(ノースウエスト航空整備士労組) Joseph Prisco委員長
Brian McKeever副委員長
(& his wife)
TWSC(運輸労働者連帯委員会) Steve Zeltzer
Charlie Minster
Brian Lewis

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週刊『前進』(2221号2面1)(2005/11/07)

 青年こそ1万人結集の先頭に

 11・6日比谷 団結して闘えば勝利できる

 11・6労働者集会1万人結集へ残り1週間、全精力を傾注しよう。特に青年労働者の皆さんに訴える。小泉政権による戦争・改憲と民営化=労組破壊の大攻撃を前にして、われわれ労働者がただ嘆いていても黙っていても問題は何も解決しない。動労千葉を始めとする闘う3労組と連帯し「もう我慢できない」「小泉政権ノー」の1万人の声を結集して、それを社会的に示す歴史的な集会だ。

 小泉や奥田らに労働者の怒りを思い知らせよう

 小泉政権の民営化と規制緩和−構造改革の4年余で労働者の生活は本当に一変した。労働者の地位は劇的に低下し、不安定になっている。
 派遣労働や有期雇用の規制緩和によって、今や労働者の3人に1人が非正規雇用労働者だ。97年から02年までの間に正規雇用は約400万人も減少し、非正規雇用は368万人も増加した。03年の派遣法改悪で派遣労働が原則解禁となり、製造業などで一挙に拡大している。同年の労基法改悪では、資本の「解雇権」が明記され、有期雇用が3年ないし5年に延長された。
 特に青年労働者の不安定雇用化は恐るべき勢いで進行している。内閣府の調査によると15〜34歳のフリーター(パートやアルバイト、契約社員など正社員ではない労働者)人口は01年で417万人、10年間で倍になった。フリーターの平均年収は200万円以下。このまま一生過ごせば生涯賃金は正規雇用の4分の1だ。すでに日本の社会は、青年労働者の半分が一生フリーターにしかなれない社会になっている。
 こうした中で、労働者の貧困化と二極化、貧富の格差は劇的に進行している。構造改革によって若くして何百億円も稼ぐIT長者が出現する一方で、日本の全労働者の4人に1人が年収150万円以下、半分が300万円以下となっている。この10年で貧困率は2倍になり、生活保護の受給世帯は100万世帯を突破した。80年代前半に上位2割と下位2割で10倍未満だった所得格差は02年には168倍に達した。
 さらに、成果主義や裁量労働制によって過密な長時間労働が深刻なレベルにまで広がっている。2割以上の労働者の労働時間が厚生労働省の基準で過労死ラインを超えている。働き過ぎによる過労死や過労自殺が01年頃から急増している。労働時間の規制緩和と経済活動の24時間化やIT化で労働時間の増加、過密化、スピード化が劇的に進んでいる。睡眠、休息、食事、入浴も満足にできない労働者がたくさんいる。
 小泉政権と奥田・日本経団連が構造改革でめざす社会とは、9割の労働者を非正規雇用にし、首切り自由、賃金半分、過密で長時間働かせる社会だ。労働者階級が19世紀以来獲得してきた権利や規制をすべて緩和・廃止して、剰余労働を無制限に搾取できる社会にしようとしている。ブルジョアジーの市場原理の論理からすれば安価、長時間、過密に働く労働者が良い労働者というわけだ。労働者の健康や生活、人生や尊厳にはまったく関心がない。
 他方で小泉政権は総選挙後、増税論議を本格化させ、消費税率の大幅引き上げを画策している。消費税が10%上がれば、年間300万円消費する世帯で30万円の増税だ。さらに政府税調のサラリーマン増税案では、今、約3割ある所得税の控除を約1割にするのが基本路線となっている。これに配偶者控除の廃止などを含めると年収500万円世帯で、これまで所得税と住民税で約14万円だったのが3倍強の約46万円になる。単純計算で年間約60万円以上の増税だ。

 資本主義の生命力尽きた

 小泉政権はまったく労働者のためには存在していない。労働者にとっていいことなど何ひとつしていない。そのことは小泉政権の4年間の結果が鮮明に示している。小泉政権は、郵政民営化を突破口に、国家・地方自治体など公的部門を丸ごと民営化して、労働者の大半を官民問わず低賃金で劣悪な労働条件の有期雇用労働者にしようとしているのだ。公的部門はそもそも人件費比率が高く、営利活動になじまない事業が多い。それを無理に民営化=営利市場化するには、当然にもそこで働く労働者の極端な賃下げが必要だ。
 小泉と奥田は、終身雇用と年功賃金を完全に解体して、日経連が95年に出した「新時代の『日本的経営』」報告路線(1割の正社員―9割の非正規雇用)を文字どおり全社会的に貫徹しようとしている。すでにコンビニ業界などは8割以上がパートやアルバイトになっている。さらに大増税を強行し、社会保障制度も無責任に市場化−解体しようとしている。
 ブルジョアジーと彼らの政府である小泉政権は、極限的に労働者に犠牲をしわ寄せして生き残ろうとしているのだ。しかし、小泉=奥田路線の先にあるのは破局だけだ。小泉政権の4年間で国の借金は約540兆円から約780兆円へと240兆円も増えている。毎月約5兆円増えている。この社会は、彼らのもとではもはや成り立たない。われわれ労働者は、階級社会に生きていること、資本主義は永遠の社会ではなく、すでに生命力が尽きていることを知らなければならない。プロレタリア革命が求められているのだ。
 労働者にだって我慢の限界があるのだ。特に青年労働者は明日をも知れぬ、将来の見通しもつかない不安定な有期雇用で長時間・過密労働が強いられている。小泉や奥田のやっていることは、労働者階級にとって、まったく不当、不正義な攻撃だ。これへの反撃は完全に正当、正義の闘いのなのだ。やつらに労働者の怒りを思い知らせてやる必要がある。

 民営化と闘う動労千葉と日米韓の国際連帯に展望

 こうした労働者が直面する問題を解決する方法はひとつしかない。労働者が自ら闘うことだ。労働者が自ら闘う以外に誰も解決できない。小泉や奥田には解決できない。なぜならブルジョアジーの基盤は、労働者階級の窮乏にあるからだ。ブルジョアジーは吸血鬼のように労働者から搾取と収奪をしなければ一日も生きていけない。
 労働者階級は、この現実をただ嘆いていても奇跡は起きない。何も現実は変わらない。この労働者の置かれている現状へ怒りを表明し、現状変革へ行動を開始する必要がある。いや、すでに労働者の怒りのガスは充満しているのだ。マッチ一本で爆発する。労働者が本当に怒りの声を発することができる運動、労働者が社会変革の主役になる運動が必要だ。われわれ労働者には二者択一しかないのだ。このまま奴隷のままでいるのか! 労働者の尊厳を取り戻すのか!
 敵の攻撃の核心は、労働者の団結や紐帯(ちゅうたい)を徹底的に破壊することに尽きる。小泉は9・11総選挙で、郵政労働者を始め公務員労働者が不当な既得権を持ち、1千兆円を超える国・地方の借金の元凶であるかのような大宣伝で労働者階級に分断を持ち込んだ。しかし、郵政労働者は連続深夜勤などの長時間・過密労働で現職死亡や自殺にまで追い込まれ、強制配転や退職が強要されている。そんなことは、郵政労働者から職場の生の話を聞けばすぐ分かることだ。
 つまり結局、こうした小泉のファシスト的手法を許しているのが連合・全労連などの既成労組指導部だ。彼らは小泉の郵政労働者バッシングに屈服して沈黙し、「首切り反対」の主張もできない。そして「闘っても勝てない」と闘争を放棄し、民営化を容認し、現場の労働者を裏切って、自らの地位の維持だけにきゅうきゅうとしている。実際のところ彼らは小泉や奥田の共犯者でしかない。彼らは労働者に敗北感と団結への不信を植え付けるためにのみ存在していると言わざるをえない。
 日本の労働者にとって今一番必要なのは、労働者の団結を目に見える形で示すこと、労働者の団結に対する信頼を取り戻し、団結して闘うことの素晴らしさを再認識することだ。11・6労働者集会は、何よりもまず団結の大切さを訴え、〈戦争と民営化=労組破壊〉に立ち向かう日米韓の労働者の国際的な団結を体感する集会だ。労働者、労働組合が一度団結して闘いを開始するならば、小泉のガラス細工のようなインチキなファシスト的手法はたちまち破産するのだ。
 われわれ労働者が分断され、孤立していると考えるならば、労働者の闘いは敗北するし、永遠に奴隷のままだ。しかし、われわれ労働者にとって重要なことは、労働者はひとりではないということだ。労働者大衆が多数集まって団結して闘えば、敵に決定的打撃を与えることができる。本当は生産の現場を握っているのは、資本家ではなくて労働者なのだ。
 団結すれば資本家に対抗できる。動労千葉の闘いはそのことを鮮やかに示している。動労千葉の存在と闘いは、どんな小さな労働組合でも、団結して闘えば資本と十分に対抗できることを実践をもって証明している。動労千葉は87年の国鉄分割・民営化の大攻撃に対して2波のストライキで闘い抜き、多数の解雇者を出しながらも今でも原則的に闘っている。定年退職者を外注会社に採用して外注化を進めるなどの悪辣(あくらつ)な労働者分断や組合員脱退を狙った攻撃にも全組合員が団結して、職場闘争やストライキを徹底的に闘うことで粉砕してきた。
 4月のJR尼崎事故に対しては「運転士に責任はない」「国鉄分割・民営化の帰結」と言い切り、「闘いなくして安全なし」をスローガンに安全運転闘争を闘い抜いている。乗客・住民・労働者の圧倒的な支持と共感を集めて、ついに数百カ所、延べ22`のレール交換などを確約させた。この動労千葉の団結と闘いを日本中に、そして世界に拡大していく必要がある。

 3国の苦闘が日比谷で結晶

 日本と同じように世界中で〈戦争と民営化=労組破壊〉の大攻撃が労働者階級に襲いかかっている。11・6集会を呼びかける全日建運輸連帯労組関西生コン支部、全国金属機械港合同、動労千葉の3労組も、そして米国のILWU(国際港湾倉庫労働組合)や韓国の民主労総も、この共通の課題と対決し、長い苦闘を経て11・6労働者集会のもとに結集してくるのだ。
 また集会参加が決まった米国のAMFA(ノースウエスト航空整備士労組)は、9割の人員削減、4割の賃金カットの大攻撃と対決して、8月からストライキを続けている。会社は3千人のスト破りを雇い、労組壊滅を狙っている。
 民営化に抗して原則的に闘ってきた動労千葉が、こうした世界で原則的、戦闘的、階級的に闘う労働組合の国境を越えた国際的な団結を作りだしているのだ。
 世界の戦闘的、階級的労働組合の苦闘が11月6日、東京の日比谷野音での国際連帯集会という形でひとつの結晶となるのである。日本、米国、韓国、そしてヨーロッパで80年代、90年代以降の長い苦闘の歴史を経て、階級的労働運動の新潮流運動が歴史の表舞台に登場しつつある。労働者の団結、階級性、国際主義が開花する時代の到来を11・6労働者集会は告げ知らせる。11・6集会は、われわれ労働者の闘いの全体像、展望を示す集会だ。11月6日、東京・日比谷野外音楽堂に1万人の労働者の結集を実現しよう。青年労働者はその先頭で闘おう。
 (片瀬 涼)

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週刊『前進』(2221号2面2)(2005/11/07)

 10・21総決起集会 “郵政民営化と首かけ闘う”

 渋谷・宮下公園に250人 全逓労働者先頭にデモ

 「郵政民営化絶対反対・小泉政権打倒/10・21労働者総決起集会」が10月21日、東京・渋谷の宮下公園で行われた。全国から結集した全逓労働者を先頭に250人が参加した。郵政民営化絶対反対実行委員会が主催し、現場の全逓労働者が自らの集会・デモとして全体に呼びかけ、牽引(けんいん)した。07年10月に向かって郵政民営化絶対阻止の2年間決戦への号砲が力強く発せられたのだ。
 司会を務めた新東京局の労働者が「10月14日、小泉内閣は郵政民営化法案を特別国会で成立させた。われわれはこの暴挙に腹の底から怒り、小泉内閣を打倒し、郵政民営化を粉砕しよう」と高らかに宣言した。
 初めに動労千葉の田中康宏委員長から連帯のあいさつを受けた。
 田中委員長は「郵政労働者が郵政民営化絶対反対だと声を上げるのを待っていた」と述べた上で、国鉄分割・民営化に対しストライキで闘って団結を守った動労千葉の経験を語り、「郵政決戦は労働者階級の未来をかけた第2の天王山だ。11・6こそ戦争と民営化=労組破壊と闘う労働者の団結の中心軸を打ち立てて、小泉政権を打倒していく闘いだ」と訴えた。
 続いて、国鉄、教育、自治体の労働者が連帯のあいさつに立ち、それぞれの立場で全逓労働者との血盟を誓い、民営化=労組破壊攻撃と闘い、11・6の1万人大結集をかちとる決意を述べた。
 実行委員会の岩本正治さん(東京)が断固とした基調を提起した。
 「国鉄労働運動とともに戦後労働運動の中心部隊を担ってきた全逓労働者の矜持(きょうじ)をかけ、郵政民営化阻止―小泉打倒の闘いに総決起する。『去るも地獄、残るも地獄』に40万人郵政労働者がたたき込まれようとしている。全逓労働者に問われていることは、動労千葉の決意と団結の力を生きた教訓としてわがものとすることだ。本日の集会を出発点に、11・6労働者集会1万人結集の最先頭で闘い、首をかけて物ダメ・ストライキと連合全逓中央打倒の闘いを本気になってつくりあげる」
 圧巻は、集会の最後に全逓の現場労働者が一斉に登壇し決意表明したことだ。
 ものすごい拍手の中、東北・仙台の労働者が口火を切った。「私が訴えたいのは、『闘いはこれからだ。すべては現場の労働者の闘いによって決まる』ということだ。労働者の正義は、闘って団結を取り戻して初めて実現される。78年反マル生越年闘争を復権させ、今こそ民営化反対で首をかけて闘う」
 兵庫・加古川の労働者は「全逓中央は早々と白旗を掲げて2月臨大で民営化現実対応を決める方向でカジを切った。小泉は、改憲と戦争ができる国にもっていこうとしている。全逓労働者が無血開城をするのかどうかが問われている。物ダメ・ストライキで断固闘う」と宣言した。
 東京の労働者は、「小泉は『郵政民営化なくして改革なし』と言っている。われわれは『郵政民営化阻止なくして労働者の勝利はない』を合言葉に小泉改革と闘おう」と呼びかけた。
 神奈川の労働者は、「3人に1人が首になる情勢の中で何をするのか。僕は個人ビラを出し、職場の仲間に呼びかけて大きな運動を作る。11・6の1万人結集で小泉打倒へ情勢を劇的に変える」と発言した。
 感動的な発言が続いた。
 「これまで運動をやってきた真価が、この2年間で問われる。すべてをかけて闘い抜く」(新東京)
 「われわれが待ち望んでいた時代が来た。民営化とは結局、資本主義をとるのか、それとも社会主義革命を目指すのか、労働者階級はどういう階級なのかが職場で語り合われる時代に入ったということだからだ」(東京中郵)
 決意表明の最後に、東京の青年労働者が発言した。
 「全国の郵便労働者はこの時間までバイクのライトを頼りに最後の一通の手紙を届けることに誇りをかけて毎日くたくたになっている。小泉はその郵政労働者を悪者だと言っている。本当に許せない。11・6国際連帯集会で万国の労働者の団結をもって労働者が主人公となる世の中をつくっていきたい」
 拍手が鳴りやまない。全参加者の郵政民営化絶対阻止の決意は固まった。
 集会の高揚感をそのままに渋谷一周のデモに打って出た。”全逓”の旗を翻し、全逓労働運動再生の決意を示した。「民営化反対! 小泉倒せ!」のかけ声に多くの労働者が共感を示し、ともに声を上げた。

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週刊『前進』(2221号2面3)(2005/11/07)

 関生への弾圧うち破ろう 3労組共闘を守り11・6へ

 公判でデッチあげ明らかに

 本年1月13日、3月9日と連続して加えられた全日本建設運輸連帯労組関西地区生コン支部(関生支部)への不当弾圧から10カ月になろうとしている。しかし、国家権力は、武建一委員長ら6人の役員をいまだに不当勾留したままである。すでに9月で検察側立証が終了したにもかかわらず、いまだに釈放せず長期勾留を続けているのだ。
 このような不当弾圧と闘う関生支部とともに、11・6労働者集会を不当弾圧弾劾、武委員長ら6名の即時奪還を掲げて闘い抜こう。そして、関生弾圧、国労5・27臨大闘争弾圧、共謀罪新設攻撃など、強まる労働運動への治安弾圧攻撃と闘う集会として11・6集会を大成功させよう。
 大阪地裁における公判は、大谷生コン事件、旭光コンクリート事件の2件を合わせて16回の公判を重ねている。関生弾圧とは、関生支部の広域協同組合への生コン企業の加入を求める正当な組合活動を、「強要未遂」あるいは「威力業務妨害」としてデッチあげ、不当逮捕・起訴したものである。公判では、関生弾圧の不当性、労働運動への不当な破壊攻撃の実相が完全に明らかになっている。
 検察側は、大谷生コンや旭光コンクリートと関生支部が「直接的な労使関係がない」として、正当な組合活動ではないとの主張を行っている。しかし、これは企業の枠を越えた産業別労働運動の形態を認めない、不当な主張にほかならない。弱小の零細業者が多数の生コン業界でダンピング競争によって疲弊し倒産することを防ぎ、ゼネコン、セメントメーカーの独占資本に対抗して対等・平等な取引関係をつくるために、生コン企業の共同化運動を推進することは、労働者の雇用と労働条件を確保していくための必須の正当な組合活動である。このような産業別労働運動の展開に対して、あくまで企業内的な直接的労使関係のみに正当な組合活動を制限しようとする検察側の主張は、産業別労働運動を破壊しようとする断じて許すことのできないものである。
 また、関生支部が企業に対して、広域協同組合への加入を「強要」したとの検察側の主張は、完全なデッチあげである。加入を「強要」されたという2社は実は、「広域協組に加入する」との誓約書を交わしていたのであって、関生支部はその誓約書に基づく義務の履行を求めたに過ぎない。したがって、「人に義務のないことを行わせようとした」との強要罪そのものが成立しないのである。
 しかも、この広域協組への加入を求める交渉の当事者でなく、別の場所にいた役員をデッチあげで逮捕したという完全な冤罪の事実も明らかになっている。
 このように、関生支部の展開する産業別労働運動に対して「関生型の運動は資本主義の根幹に触れる運動である」として大弾圧を加えたものにほかならない。
 同時に、この弾圧が昨年の11・7労働者集会の成功から、新潮流運動が連合や全労連指導部の制動を打ち破って、教労、全逓、自治体、国鉄の4大産別を中心とした「戦争と民営化」攻撃との激突へと進もうとすることへの大弾圧にほかならなかった。この弾圧は、国労5・27臨大闘争弾圧以来の一連の階級的労働運動破壊の弾圧であり、国家権力は、11月労働者集会の3労組共闘をぶっつぶせば、4大産別決戦を始めとした労働者の決起を反革命的に粉砕できると踏んで、関生支部弾圧に踏み込んできたのである。

 関生支部の決起にこたえ

 しかし、この弾圧を関生支部は全力ではね返し、意気軒高と「敵の攻撃を反面教師として成長する」揺るぎない階級的労働運動(武委員長の関生支部大会へのメッセージ)の道を進んできた。この地平に立って、小泉の9・11大反革命による「戦争と民営化」攻撃に真っ向から対決し、11・6労働者集会に全力で立ち上がろうとしている。
 すべての労働者の皆さん。この関西生コン支部の決起にこたえて、11・6労働者集会の1万人結集をなんとしても実現し、関生支部への不当弾圧を粉砕し、「戦争と民営化」攻撃、改憲の中で強まる労働運動への治安弾圧攻撃に対して闘う陣形をつくり出そう。

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週刊『前進』(2221号2面4)(2005/11/07)

 “警察官と何度も現場に” 国労弾圧公判 浅川証人が明言

 10月19日、東京地裁刑事第10部(青柳勤裁判長)で国労5・27臨大闘争弾圧裁判の第47回公判が開かれた。この弾圧は、02年5月27日の国労臨時大会に際し、闘争団員を統制処分にかけるとした国労本部の方針に抗議してビラまき・説得活動に立った国労組合員らが、不当にも逮捕・起訴されたものである。
 検察側証人として出廷した国労長野地本中南信支部組合員の浅川初幸証人は、この大会に会場警備として参加し、被告から「暴行」を受けたとして警察に被害届を出している。
 冒頭、鉄建公団訴訟の原告でもある松崎博己被告団長が意見を述べた。同訴訟の9・15判決後に出された国労本部の声明は、本部が繰り返した訴訟妨害を何ひとつ自己批判せず、あたかも自分自身が訴訟に取り組んできたかのような内容になっている。松崎団長は、「盗っ人たけだけしい声明」と弾劾し「国労本部の声明からもわれわれの正当性は明らかだ」と断言した。
 浅川証人は検察側主尋問で、「富田益行被告からひじ打ちされた」と述べていた。萱野一樹弁護人が、ひじ打ちされたという場所の確認を求めた。浅川証人は前回公判でその位置を図面に記したほかに、捜査段階でも3枚の図面を書いている。だが、それぞれの図面に記された位置は、互いに異なる。この点を聞かれ、証人は「法廷で書いたものが正しい」と言い張った。
 だが、事件から最も時間がたった法廷での証言が、どうして正しいと言えるのか。その根拠を聞かれた証人は、「今朝も現場に立って確認した」と返答した。すかさず弁護団は「誰と一緒に行ったのか」とたたみかけた。すると証人は「警視庁の鈴木さん」と白状した。浅川証人は、裁判所に呼び出されるたびに事件現場に足を運んだと言う。
 吉田進・現国労本部書記長の指示に従い被害届を出した証人は、その果てに警察にがんじがらめに取り込まれてしまったのだ。組合員にこんな恥ずべき役割を押しつけた吉田書記長らの責任はきわめて重い。
 浅川証人が何度も事件現場を訪れていることは、「ひじ打ちされた」という証言自体が塗り替えられた「記憶」によるものであることを十分に推測させる。
 佐藤昭夫弁護団長が、捜査段階で証人が「闘争団の人が思いあまって殴ってきたのであれば、被害を訴えるつもりはありませんでした」と述べていた事実を追及した。実際には、被告には2人の闘争団員が含まれている。この矛盾を突かれた証人は、「暴力事件だから」と言い逃れた。
 検察側は再主尋問を放棄した。浅川証人への尋問は彼の「暴行証言」の信用性を突き崩して終了した。証人は「ありがとうございました」と検察官に深々と頭を下げて退出した。
 次回公判からは長野地本長野総合車両所支部組合員の久保田清一証人への尋問が始まる。公判闘争に結集し、8被告の無罪をかちとろう。被告団とともに11・6労働者集会を闘い、国労再生の扉を開こう。

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週刊『前進』(2221号3面1)(2005/11/07)

 金さえ出せば解雇は自由 労働契約法の制定阻止へ

 「労使委員会」で団交も否定

 改憲・民営化と連動した攻撃

 改憲・戦争と民営化に突き進む小泉政権のもとで、労働法制の抜本的改悪に向けた攻撃が激化している。小泉政権は遅くとも07年にも労働契約法を制定する構えでいる。これは、労働者の団結権を実質的に否定する法律だ。07年に至る過程は、改憲、郵政民営化をめぐる一大決戦であるとともに、労働法制の抜本改悪を阻む大攻防となったのだ。
 戦後労働法制の根幹にあるのは、労働者の団結権の保障だ。それは、戦後体制の骨格の一つをなすとともに、憲法制定期の階級的力関係を直接に反映したものだ。だから改憲攻撃は、労働法制の改悪と必ず連動するのである。
 11・6全国労働者総決起集会は、労働者の団結を守りぬき、07年に至る壮大な階級決戦を闘いぬく労働者階級の大隊列を形成する決定的な闘いだ。日比谷1万人結集を実現し、小泉政権打倒の号砲を上げよう。
 9月15日、厚生労働省の「今後の労働契約法制のあり方に関する研究会」の最終報告書が提出され、制定が狙われている労働契約法の骨格が明らかになった。
 そこには、解雇の金銭解決制度(金さえ払えば違法な解雇も容認される)も盛り込まれている。これは、資本に解雇権があることを労働基準法に明記した03年の労基法改悪に際して導入がたくらまれたが、労働者の闘いでひとたびは葬り去られたものだ。それを再びねじ込んできたことに象徴されるように、労働契約法の狙いは、資本による首切り・リストラ・不安定雇用化をさらに促進し、労働組合を絶滅・一掃に追い込むことをにおかれている。
 厚労省研究会の最終報告の要点は、次のとおりだ。
 (1)解雇の金銭解決制度を導入する。これは、違法な解雇に対して労働者が裁判に訴え勝訴した場合でも、資本が金を支払えば労働者は職を失うというものだ。
 (2)労働条件を一方的に変更できる権利を資本に与える。現行の労基法でも、労働者の意見を聞きおきさえすれば資本は一方的に就業規則を改悪できる。これに加えて、労働契約法には、改悪された就業規則はその事業所の全労働者を拘束することが明記される。どんなに不満があっても、労働者は資本が一方的に改悪した就業規則に従わなければならないということだ。
 さらに、労働条件変更の提案とともに、それに応じない労働者は解雇すると通告する制度(首切りの恫喝で労働条件の切り下げを迫る)も新設する。
 (3)常設の労使委員会の設置。労使同数で構成される労使委員会の決議があれば、労働条件の不利益変更や配転、出向の強制などもすべて「合理的なもの」で「有効」とされる。労基法36条の時間外労働協定の締結も労使委員会の決議で代替できる。これは、労組との団交で労働条件を決定するという原則の否定だ。
 (4)有期雇用労働者への「雇い止め」解雇をやりやすくする。有期雇用契約を結ぶ際、更新の予定があるかどうかを明らかにさせる。予定がない場合、雇い止め解雇はやりやすくなる。試用を目的とした有期雇用契約も認める。
 (5)ホワイトカラー・イグゼンプション制度の導入を検討する。いわゆるホワイトカラー労働者を対象に労働時間規制を撤廃する。ひいてはそれは、全労働者から名実ともに8時間労働制を奪い去るものになる。どんなに長時間残業をしても残業手当は払われない。

 経団連の意図を露骨に体現

 ここには、日帝資本の意思が露骨に貫かれている。05年版経営労働政策委員会報告で日本経団連は、「労働基準法は工場法時代の遺制」と言い放った。今も彼らは、解雇の金銭解決制度とホワイトカラー・イグゼンプション制度の早期導入を叫んでいる。
 この二つは、3月25日に閣議決定された「規制改革・民間開放推進3か年計画(改定)」にも盛り込まれている。9・11総選挙を経て、小泉政権は奥田・日本経団連との一体化をますます深めつつ、これらのプランを本格的に実行に移してきたのである。
 これは、小泉政権が推し進める郵政民営化−全公共部門を対象とした一大民営化の攻撃と一対をなしている。一大民営化攻撃は、全逓(JPU)、自治労、日教組など官公労系の労働組合を壊滅に追い込むことに最大の目的がある。こうして小泉政権は、改憲に抵抗する勢力をあらかじめ一掃し、侵略戦争を本格的に遂行できる国家へと日本を急速につくりかえようとたくらんでいる。
 改憲・戦争と一体のものとしてして、労働契約法の制定という形をとって、官民問わずすべての労働者を一層の無権利状態にたたき込む攻撃が始まったのだ。
 労働契約法は、「労働者保護」を建前とした戦後労働法制の根底的な転覆を意図している。研究会最終報告は、労働契約法制定の狙いを、「企業としては、事業環境や経営環境の急激な変化に対して、従前にもまして速やかに適応しなければ企業の存続自体が危ぶまれる場合も生じてきており、その際には、紛争なしに労働条件の変更が迅速に行われることが必要となる」とあけすけに述べている。”これからの労働法制は、労働者を徹底的に搾取する資本の権利を法的に保障するものでなければならない”ということだ。

 悪法を先取りした9・15判決

 研究会最終報告は、労働契約法制定の必要性を「労働組合の組織率が低下し、団体交渉等による集団的な労働条件決定システムの機能が相対的に低下してきていること」に求めている。
 つまりそれは、労組との団交によって労働条件を決定するという、戦後労働法制の基本原則の解体の上に構想されているのである。
 こうした労組解体攻撃の決定的なテコとなったのが国鉄分割・民営化だ。小泉政権は、総選挙で「圧勝」した勢いをかって改憲・戦争と民営化の攻撃にのめり込んでいる。その時に、国鉄1047名闘争をめぐって鉄建公団訴訟の9・15反動判決が下された。
 国鉄分割・民営化に際して当時の首相・中曽根は「行政改革でお座敷をきれいにして立派な憲法を安置する」とうそぶいた。改憲が具体的政治日程に上った今、国鉄闘争が階級闘争の最焦点に位置することはいよいよ鮮明になってきた。
 9・15反動判決は、国鉄闘争の不屈の展開に追い詰められて、不当労働行為があったことを一部認定しながらも、解雇撤回を拒みとおした。そして、1人当たりわずか500万円で闘争の終結を狙っている。
 この判決は、国鉄改革法とその関連法を絶対化し、国鉄清算事業団による90年解雇を有効とした。これは、新たな「国家的不当労働行為」として小泉が行おうとしている郵政民営化−一大民営化に伴う労働者の選別的排除をあらかじめ容認するものにほかならない。500万円の慰謝料で解雇を容認した点は、まさに労働契約法の先取りだ。
 何よりもこの判決は、国鉄が定めたJR採用候補者の選定基準(「6カ月以上の停職処分、2回以上の停職処分を受けた者は不採用」)を全面容認して、数人の原告を慰謝料支払いからも除外した。それは、”労組の方針に従い民営化反対の闘いに立った者は、重処分の末、解雇されて当然だ”と言うに等しい。根本的な労組否認の攻撃だ。
 鉄建公団訴訟原告団は、敵階級に屈した国労本部による権利停止処分や生活援助金の支給停止の措置に屈せず闘いを貫いてきた。それが動労千葉の階級的原則に立つ闘いと結びつき、国労闘争団、全動労争議団、動労千葉争議団の1047名陣形が形成された。これによって、反動司法は一部ではあれ不当労働行為を認定せざるを得ないところに追い込まれた。だからこそ司法権力は、その巻き返しをかけて原告団と1047名陣形の分断を意図した反動判決を下したのだ。
 9・15判決を覆す闘いには、全労働者の団結権がかかっている。鉄道運輸機構(旧鉄建公団)も、控訴審で不当労働行為があったという事実そのものを全面否定させようと構えている。これと全力で立ち向かい、改憲・戦争・民営化の攻撃に反撃しよう。
 11・6集会への結集こそが勝利の道を切り開く。日米韓労働者の国際連帯を打ち固め、小泉政権打倒の大潮流をつくり出そう。

労働契約法の要点

○解雇の金銭解決制度の導入
(金さえ払えば違法な解雇でも労働者は職を失う)
○労働条件の一方的な変更権を資本に与える
○常設の労使委員会の設置(団交権の実質否定)
○有効雇用労働者への「雇い止め」解雇の容易化
○ホワイトカラー・イグゼンプション制度の導入
(労働時間規制の撤廃。残業手当てもなくなる)

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週刊『前進』(2221号3面2)(2005/11/07)

 反合・運転保安闘争勝利へ 動労千葉冬季物販に全力を

 動労千葉05年冬季物販闘争は10月から開始された。夏季物販闘争は、動労千葉の尼崎事故弾劾、安全運転行動が全国の闘う労働組合、労働者に支持される中、大きな成果を上げた。冬季物販は、38万郵政労働者の非公務員化=首切りの郵政民営化攻撃、労働組合破壊の嵐の中で闘われる。
 冬季物販闘争においては第一に、動労千葉が5月25日から開始した尼崎事故弾劾・安全運転行動=反合・運転保安闘争に勝利し、今も闘い続けていることを労働者に訴えよう。
 動労千葉は5月25日、「遅れの回復運転はしない」「危険な個所では速度を落とす」など9項目の要求を当局に突きつけ、安全運転行動に突入した。JR当局は「運行管理権を奪う違法行為である」と決めつけ、運転席に2人の当局者を乗り込ませ、恫喝・現認体制を敷き、動労千葉執行部8人に処分(厳重注意)を発動した。動労千葉は7月21日総決起集会を開催し、この不当処分を打ち破り、闘争継続を宣言した。
 これに対して当局は「会社の命令に服せ」なる警告書を職場に掲示した。闘いは全面的対決に突入した。動労千葉を支援する会が駅頭大宣伝に決起すると、乗客−労働者が国土交通省、JR本社、各駅に「危険なレールを早く交換せよ」「動労千葉の要求がなぜ違法なのか」と抗議した。
 追いつめられたJR当局はついに、22`メートルに及ぶレール交換など動労千葉の要求を全面的に認めた。大勝利である。
 動労千葉の綱領である「闘いなくして安全なし」−反合理化・運転保安闘争路線の勝利である。この闘いは、「安全」という敵のアキレス腱(けん)を切り口に合理化絶対反対を貫く闘いであり、民営化阻止の闘いである。郵政民営化を突破口とする大民営化攻撃を阻止できる展望を切り開いた。
 第二に、この反合・運転保安闘争と1047名解雇撤回闘争を結合して闘いぬくことによってJR体制を打破し、国鉄闘争に勝利する展望を切り開くことができる、と確信をもって労働者に訴えよう。
 9・15鉄建公団訴訟判決は、「採用差別はあったが解雇は正当であった」とし、動労千葉のように「ストライキをやった組合は採用差別認定の対象外である」と言い放っている。こんな反動判決は断じて認めることができない。今こそ9・15判決に怒りを燃やし、1047名が固く団結し解雇撤回闘争に立ち上がるときだ。
 第三に、大民営化攻撃は、全逓、自治労、日教組、国鉄=1047名闘争を解体し、改憲−戦争に突き進むための攻撃であることを労働者に訴えよう。戦争と民営化=労組破壊と対決する11・6集会の成功をかちとり、闘う労働組合の新しい潮流の力ある登場をかちとろう。
 動労千葉組合員はすでにカタログと申込書を手に、全国へのオルグを開始している。小泉=奥田の「戦争と民営化」攻撃と闘うすべての労働者は、冬季物販闘争に直ちに猛然と取り組もう。

 
◇販売品目◇
 
   
(円)
天津甘栗
500
ソフトキャンディ
600
焼カシューナッツ
600
イカづくし
600
黒糖3種
700
種ぬき干し梅
750
ほたて貝柱
900
トトロカレンダー
1600
ピーナツせんべい
1000
10 落花生(八街産)
2000
11 純米焼酎
2000
12 山梨ワイン
2900
13 特別純米酒
3200
14 丸大ハム詰合せ
3000
15 パスタとソースセット
3000
16 メイトーのど飴
700
17 静岡茶
600
18 モカブレンド
1000
19 農協キムチ
500
20 松前漬
750
21 にしん昆布巻
750
22 ポケットチーズ
700
23 スモークドチキン
1300
24 アソートチョコレート
1300
25 もずくスープ
500
26 即席みそ汁
1200
27 野菜たまごスープ
1200
28 喜多方ラーメン(生)
1000
29 博多ラーメン
1000
30 寒干しラーメン
1200
31 讃岐うどん
1350
32 北信濃手折りそば
1600
33 ドライカットわかめ
500
34 ひじき
600
35 根昆布しょうゆ
600
36 日高昆布
1000
37 だしパック
1200
38 ナガイ焼のり5帖
1700
39 紀州南高梅
2500
40 ビーフカレー20食
3000

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週刊『前進』(2221号3面3)(2005/11/07)

世界の労働運動 中国

 大連の日系企業でスト

 弾圧に怒り3万人が決起

 政府・日系企業一体で警察導入

 多くの日系企業が製造拠点を置く中国東北部、大連の経済開発区で、大規模なストライキが闘われた。
 9月9日朝、大連キヤノンの全労働者6千人が、待遇改善、500元の賃金の引き上げなど12項目を要求しストライキに立ち上がった。午後3時、いったんは労働者代表と大連キヤノン側が200元の賃上げで妥結した。
 ところが3時20分に大連市政府の正副市長が現れ、「ストは非合法である。賃金はこれまでどおり」と宣告。10日、会社側は緊急会議を開き大連市政府の方針に従うことを決定した。当日夜、警察が会社敷地内に侵攻し、労働者たちに賃上げを求めない旨の「同意書」への署名を求め、「サインしなければ寝かせない」と迫った。労働者はこれを拒否し、その日は屋外で一夜を過ごした。すると大連市政府は「サインを拒否する者は今後永久に大連で働けないようにする」と通告し、12日早朝に警察を突入させ、2人の労働者をスト扇動者として「社会治安騒乱」容疑で逮捕したのだ。
 この許しがたい不当な弾圧に労働者の怒りが爆発した。キヤノンは完全に操業停止に追い込まれた。さらに近隣の日系企業にもストライキが一気に飛び火し、三菱、東芝テレビ、TOTO、イトキン、日本電産、日新工機、タオルの一広など十数社の日系企業で連帯ストが最大時3万人という規模で闘われた。日本電産では9千人がストに突入した。
 2週間にもわたるストの結果、大連キヤノンは労働者に103元の賃上げを約束し、その他の日系企業もそれぞれ賃上げをしたという。またキヤノンはストの経済的損失(2000万元/日)を大連市政府に要求し、市政府もそれに応じたという。
 地方政府が労使での妥結さえ無視し、警察の力で賃上げを圧殺し労働者を逮捕する。しかも企業には損害賠償する。スターリン主義中国政府・日系企業一体のこんなデタラメな弾圧を絶対に許してはならない。
 「日系企業の労働者の待遇は劣悪」という評判はますます広がっている。大連の開発区の賃金は月500元程度という低さで、この水準はかなり以前から変わっていない。
 今年1月、上海カネボウ化粧品の人事異動をめぐって、中国人女性労働者700人の大半が就業を拒否する事件があった。人民日報は日本本社への抗議だと報じた(1月20日付朝日新聞)。また日本人管理者が労働者に「就業態度がよくない」として日本語で「バカヤロウ」と怒鳴ったことに労働者が反発、「3日以内に中国から出て行け」と要求してストに入る事件も起こっている。
 大連ストの情報は、12日にネット上に流れて明らかになった。中国国内のメディアでは一切報道されていない。ストライキ参加者は次のようにウエブサイト上で主張している。
 「中国政府は自らの業績のためだけに、中国の庶民を売り渡している! 引当金や社会保険料を引き下げた分をわれわれの賃金に上乗せしているだけだ。左のポケットから右のポケットにお金を移し替えてわれわれをだまそうとしているやり方を、絶対に許すことはできない。中国人なら(このメールを)どんどん転送しよう。最後までストライキでたたかう」
 この情報で、多くの人民が当局の「売国行為」を非難し、大連市長の辞職を求める動きに発展した。

 「改革・開放」は労働者を犠牲に

 中国労働者人民の激しい怒りの決起は、戦争国家化攻撃を進める日帝・小泉政権に、悪らつな搾取と収奪を行う日帝資本に、そして中国スターリン主義に向けられている。北京や上海での4月の抗日デモに連動し、4月16日に広東省東莞市の日系企業の電子部品工場で、中国人労働者数千人が賃金や待遇の改善などを求める大規模なストライキに決起した。一部の労働者は「日の丸」を焼いた(4月17日付読売新聞)。
 今回の大連ストも、日帝の中国東北部侵略への本格的突入となった1931年9・18柳条湖事件の記念日が迫る中で、労働者が立ち上がったものだ。
 日本経団連の奥田会長の後任には、副会長でキヤノン社長の御手洗冨士夫が有力視されている。中国労働者人民の怒りは、明らかに日帝・小泉=奥田路線へ向けられている。
 日帝資本=日系企業を際限なく引き入れる中国スターリン主義の「改革・開放」路線は、徹底的な労働者・農民への犠牲の上に成り立っている。小泉=奥田打倒こそ、中国労働者人民との連帯の道である。
 (野田利一)

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週刊『前進』(2221号3面4)(2005/11/07)

 都・区賃金確定闘争 マイナス人勧うち破れ

 地域給・査定給導入阻もう

 大幅賃下げ攻撃

 10月14日に東京都と特別区の各人事委員会が「2005年度の職員給与に関する勧告・報告」を行ったことをもって都労連、東京地公労の秋季年末賃金確定闘争が本格的に始まった。この闘いは、動労千葉、関西地区生コン支部、港合同の3組合が呼びかける11・6全国労働者総決起集会への1万人結集運動の渦中で闘われる。都―全国の自治体労働者は階級的団結を固め、この賃金闘争をストライキで闘うと同時に、11・6集会1万人結集をかちとることによって、勝利を切り開こう。
 10月14日の都と特別区の人事委員会勧告・報告は、民間賃金との比較に基づき、月給の引き下げと期末・勤勉手当の微増を勧告した。2年ぶりのマイナス人勧だ。月給の引き下げは都が0・85%(3681円)、特別区が0・97%(4191円)で、国を大幅に上回るマイナス改定だ。期末・勤勉手当は都、特別区とも0・05月の増を勧告した。
 年収減は、都職員が平均約3万9千円、特別区職員が同4万8千円になる。過去の引き下げでは2002年が年収で平均26万5千円減が最大だ。この7年で都職員の年収は平均110万円以上もの引き下げだ。

 賃金上昇を抑制

 都人事委はまた、国より先に年功序列による賃金上昇を抑制するとして、月給の引き下げに際して、高齢層で最大1・9%引き下げ、若年層の引き下げ幅を最低0・1%に抑え、昇給カーブを緩くする(フラット化)よう勧告した。
 都人事委はさらに、8月に人事院が勧告した地域手当導入については「引き続き検討」としたが、給与制度については▼昇給幅を4分割し、業績をよりきめ細かく昇級に反映させる▼管理職と一般職の給与水準差を広げる――などを人事院にならって勧告した。能力・実績主義の強化だ。地域給・査定給導入は、自治体労働者の分断・差別、団結破壊が狙いだ。
 一方、41道府県の人事委員会が国にならって4・8%の基本給引き下げと調整手当に代わる地域手当(東京都区部で最高18%)の新設を勧告した。
 それに加えて北海道は、道人事委勧告とは別に2006年度から2年間、月給を10%、期末・勤勉手当を15%それぞれ引き下げる措置を労組に提案した。1人当たり年間約115万円もの引き下げだ。すさまじい賃下げ攻撃に自治労全道庁労組、北教組、自治労道本部は激しく怒っている。
 都の教員賃金については特に、ベテラン教員への大幅賃下げ攻撃がかかっている。
 都―全国の自治体労働者は小泉=石原=奥田による大幅賃下げ、地域給・査定給導入、労組破壊を阻止するために今秋ストライキで闘おう。戦争・改憲、民営化=労組破壊の攻撃を11・6労働者集会への1万人結集、闘う労働運動の新しい潮流の登場で跳ね返そう。

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週刊『前進』(2221号3面5)(2005/11/07)

 医療労働者の11・6への訴え

 福祉奪う民営化と対決を 労働者の社会保障守る砦に

  辰川 健

 仲間を組織しストで闘おう

 全国で闘う医療・福祉労働者のみなさん、今こそ団結して立ち上がろう! 小泉独裁政権の進める「戦争と民営化」攻撃は、医療・福祉職場に対しても猛然と襲いかかっています。小泉政権の4年間で、労働者民衆が生きるために絶対不可欠な医療・介護・福祉・年金はズタズタに破壊されてきました。医療費3割負担、介護保険制度の改悪、年金改悪、「障害者」自立支援法案と、「もう我慢がならない」という小泉に対する怒りは充満しています。
 労働者の税金で成り立っている社会保障を切り捨てる一方で、大銀行・大企業の危機に対しては湯水のように公的資金を投入してきました。そしてイラク侵略戦争の継続により戦費は増える一方です。非正規雇用が全労働者人口の30%を占め、無権利化が進んでいます。
 この労働者民衆の怒りを逆手にとって、小泉は郵政民営化を掲げて「公務員=悪」のデタラメな宣伝によって絶対多数の巨大与党を現出させました。しかし彼らの得票数は自公あわせても過半数に満たない。小泉独裁政権は、労働者民衆が怒りを爆発させ団結して決起すれば、崩壊させることができるのです。
 職場で苦闘する医療・福祉労働者のみなさん、今こそ現場から立ち上がろう! 郵政民営化によって38万人の郵政労働者の全員解雇・選別採用に対して、闘う郵政労働者は首をかけて立ち上がります。「障害者自立支援法案」に対し、「『障害者』に自己負担を強制し、死ねという攻撃だ。廃案しかありえない」と、国会前での連日の座り込みを行い、「障害者」たちは必死の反撃を続けています。介護保険制度のもとで「孤独死」や「老老殺人」を強制されている高齢者たちも、団結して立ち上がっています。私たち医療・福祉労働者は社会保障の切り捨てに対し最も矛盾を感じ、小泉政権に対する怒りを募らせています。まさにこの小泉独裁に対する怒りをひとつにして爆発させる場が、11・6全国労働者総決起集会です。医療・福祉労働者は全国から日比谷野音へ大結集して小泉政権打倒の闘いを開始しましょう。
 医療・福祉労働者は小泉・奥田路線と闘うきわめて重要な位置にあります。今、医療・福祉現場では労働者意識を解体する攻撃が続けられています。この間、現場では労働者は資本・当局によって「患者様」あるいは「サービス」なる言葉を使うことが強制されています。現場労働者は低賃金・サービス残業・成果主義賃金の導入との攻防を続けています。医療・福祉労働運動の断固たる登場が今こそ求められています。患者も利用者も私たちと同じように労働者階級の一員です。小泉そして日本経団連・奥田が一体となった社会保障制度解体の大攻撃に対して、医療・福祉労働者は労働者の社会保障を守り抜く砦(とりで)として、その最先頭で闘うときです。
 小泉・奥田の「戦争と民営化」攻撃は、労働運動の破壊攻撃であり、もうひとつの柱は社会保障制度の解体です。医療・介護・福祉・年金の切り捨てで明らかなように、労働者階級の根絶・生存権への侵害として強行されています。社会保障制度の解体を許さない闘いは、すべての労働者民衆の生存闘争として闘うときを迎えています。
 アメリカ、ヨーロッパの労働者は社会保障制度解体に反対して、ゼネストを含む徹底的な闘いに立ち上がっています。今こそ日本でも職場からのストライキ闘争を準備しなければなりません。全国の医療・福祉現場で資本・当局と闘い、仲間を組織しストライキに立ち上がるときです。
 民営化攻撃の行き着く先は、107人の労働者の命を奪ったJR尼崎事故です。国鉄分割・民営化で、JRは利潤追求に突っ走り、「1秒の遅れも許さない」異常な労務管理のもと事故は引き起こされました。JRの安全無視の運行に対して労働者は闘わなければ殺されることを示しました。

 動労千葉の闘いに続こう

 この民営化攻撃に一貫してJRと闘い抜いているのが国鉄千葉動力車労働組合です。動労千葉は尼崎事故の後、「無理な回復運転はしない」「破断・損傷のレール個所では減速する」安全運転行動に立ち上がり、この闘いに乗客=労働者が共感を寄せ、JR東に動労千葉の要求を飲ませ、危険なレール22`メートルを交換させる大勝利を実現しました。
 この動労千葉の闘いは、「安全は労働者の力でしか守れない」ことを満天下に示しました。資本は直接には利潤を産まない安全への投資を怠ります。レールと安全を守っているのは動労千葉の闘いであり、生産を握っている労働者こそが社会の主人公であることを闘いをもって示しました。
 医療・福祉労働者は、今こそ動労千葉の闘いに続こう! 社会保障は、労働者が生きていくための権利であり、労働者が団結して闘って獲得していくものです。国家によって恩恵として与えられるものでは断じてありません。社会保障の解体を許さない砦として、労働者民衆とともに、医療・福祉労働者は現場からの闘いをつくりだそう! 小泉・奥田の「戦争と民営化」攻撃を粉砕する決定的な位置にあることを自覚して立ち上がろう! 11・6集会へ医療・福祉労働者の大隊列を登場させよう!

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週刊『前進』(2221号4面1)(2005/11/07)

 連合の改憲方針を粉砕しよう

 戦争と民営化の道に突き進む連合中央に11・6で大反撃を

 7・14「連合見解(案)を批判する」

 連合は、今年7月14日に「国の基本政策に関する連合の見解(案)」を中央執行委員会の名において打ち出した。ついに憲法改悪――それもずばり9条改憲に向かって決定的な実践的踏みきりを行ったのだ。しかし日教組大会や自治労大会で、連合の改憲勢力化に対する組合員の怒りと危機感が噴出する中で、連合中央は10月5―6日の連合大会では、この改憲方針を決定できず、ひとまず先送りにした。さらに極右改憲派の高木剛(UIゼンセン同盟会長)の新会長選出に対して、会長選で3分の1もの多数の反対票が投じられた。だが、連合中央は高木新体制のもとで、一層強硬に7・14連合見解の路線を突き進もうとしている。9条改憲、海外派兵、徴兵制を主張する日帝の手先が連合の会長についたことはきわめて重大な事態である。連合7・14見解との攻防はいよいよこれからが決戦である。4大産別決戦を先頭に、今こそ7・14連合改憲方針の糾弾と粉砕のために総決起しよう。11・6労働者集会に真に闘う労働者1万人の大結集をかちとり、帝国主義の先兵となって改憲と戦争、戦争と民営化の道に突き進もうとする連合中央のたくらみに階級的痛打をたたきつけよう。以下、7・14見解を徹底的に批判し弾劾する。

 労働貴族が雪崩うって改憲と戦争の協力者に

 周知のように、連合は99年10月に連合の政治方針(改憲)を打ち出し、「論憲」の名のもとに改憲への動きを公然と開始し、さらにそれを2003年に「憲法の論点について」という報告をとおして、改憲の具体化へと歩みを進めてきた。しかし7・14見解は、こうした策動の延長というレベルを完全に超えるものである。
 7・14見解の特質は、連合が、この間の米英日帝を基軸として推進されてきたアフガニスタン侵略戦争、イラク侵略戦争と、それがさらにイラン・北朝鮮、さらには中国への侵略戦争として発展しようとしている情勢の中で、危機にあえぐ日本帝国主義の改憲と戦争国家化の動きに対して全面的に同調し、協調していこうとする態度が鮮明だということである。帝国主義間の争闘戦が帝国主義戦争に転化し始めた現在の情勢下で、自国帝国主義の防衛のため、労働貴族たちが、あろうことか労働組合を帝国主義戦争の協力者へと転換しようとして、なだれをうって動き出したということである。
 このことを端的に示しているものが、7・14見解の第1節「基本的認識」の第(5)項「東北アジアの情勢について」の次の文章である。
 「北朝鮮の行動、中―台関係など、東北アジアは今日においても不安定と緊張が存在しており、地域全体の信頼醸成と安全保障の確立が急務であると認識する。また、ここにきて、日中、日韓関係が悪化していることを深く憂慮し、政治の責任において一刻も早く友好関係を再構築することが双方にとって有益である。その際、日本は、アジア太平洋地域に対する侵略と植民地支配という歴史的事実を踏まえた上で、未来を志向し自らの立場と考えを主張していくことが肝要であると認識する」
 これは基本的に日帝・小泉や日帝ブルジョアジーの見解と同じである。「歴史的事実」うんぬんにだまされてはならない。これは、これを踏まえて、それにのっとって行動するということを言いたいのではない。それは、いったん踏まえた上で、実はその後の方、つまり「未来を志向し自らの立場と考えを主張していくこと」に百パーセント重心を移すべきだと言っているのだ。つまり、“過去のことはあまりこだわらず未来志向でいこう”という、小泉のあの破廉恥な態度と同じであり、日帝の立場・主張以外の何物でもない。
 それは突きつめれば、ファシスト団体「新しい歴史教科書をつくる会」の立場・主張と合致する。〈植民地化は悪くないのみならず、朝鮮の近代化に貢献した〉ことを認めよというあの立場、あの考え方なのである。
 その上で、ある意味で最も重大なことは北朝鮮の行動、中―台関係などについて、これを「地域全体」を「不安定と緊張」にたたき込んでいると決めつけ、これに対して安全保障の確立が急務だと言っていることである。
 「安全保障」とは何か。日本帝国主義にとっての「安全」ということであり、そのための軍事体制ということだ。もっと言えば侵略戦争体制ということだ。北朝鮮は確かにスターリニスト国家であり、その内外政策は反プロレタリア的である。しかし、北朝鮮は旧日帝植民地から戦後脱却する途上で分断国家となったものであり、米帝・日帝からすれば帝国主義的抑圧国と被抑圧国の関係にある。あらゆる意味で、圧倒的軍事力で侵略しようとしているのは米帝・日帝である。したがって、米日の対北朝鮮の戦争は、北朝鮮のさしあたっての内外政策動向にかかわらず、帝国主義による民族抑圧・民族圧殺政策である。
 米帝ブッシュは、北朝鮮を「悪の枢軸」とか「圧制の拠点」と決めつけ、イラクのように軍事力で体制転換をすることは民主化のための行為であり正義であると言っている。そして北朝鮮を圧倒的な軍事力で一掃すると言って恫喝し続けている。これが、一切の事態の根源なのだ。
 また、「中―台関係」についていえば、米帝と日帝が、まさにこの中国の民族の統一をめぐる問題に介入して、実は残存スターリン主義としての中国スターリン主義を根底から転覆することを策動しているところに根底的な問題があるのだ。今日のトランスフォーメーション(米軍大再編)も、明らかにこれをにらんでの軍事体制づくりである。
 以上から言えることは、連合がついに日帝の帝国主義侵略戦争への動きに完全に一体化して、労働組合の中央権力をテコにして、労働者階級を戦争に動員する立場にはっきり移行しようとしているということである。

 「自衛権発動し、米軍と共に行動する」と宣言

 それでは、7・14見解の改憲問題、安保・自衛隊問題への具体的踏み込みについて見ていこう。これは「見解」の第2節、(1)「日本の防衛・自衛権のあり方」、(2)「国際社会との協調と世界平和の構築」において打ち出されている。
 まず(1)「日本の防衛・自衛権のあり方」では、「日本の領土・領空・領海において攻撃が行われた場合、日本は自衛権を発動する」と真っ向から日本の自衛隊が自衛の名において戦争に突入することを打ち出している。これは、99年の「連合の政治方針」や03年の「憲法の論点について」では、「国際ルールとして自衛権は独立国家の固有の権利であることを確認する」「自衛隊(の存在)は認める」という確認のレベルだったものである。ところが、今や7・14見解では、そのような弁明的ヌエ的な形態を踏み破って、「日本が攻撃されたら、自衛隊が自衛権を発動して戦争をするのは当たり前だ」としてきたのだ。
 連合が主張するような「独立国家の自衛権」などという一般的なものは、この世に存在しない。日本は帝国主義国家であって、侵略的本質を歴史的にも今日的にも持っている国家である。問題は、侵略的帝国主義国家が侵略的軍隊を持つのかどうか、という問題として立てられているのである。私たち革共同は、“労働者階級にとっては帝国主義国家の日本の軍隊など、なければないほどいい”という革命的祖国敗北主義の立場から、このような「独立国家には固有の自衛権がある」という考え方に反対してきた。それは必ず侵略の軍隊とその承認へとつながるのだ、と。7・14連合見解はまさにそういう恐るべき反革命、反労働者的本性を開示してきたのである。
 現実の米帝と日帝による北朝鮮・中国への軍事的重圧と挑発という情勢の中で、この「日本が攻撃されたら自衛権を発動する」という条項をおいてみよう。「自衛権の発動」というのは、日本の軍隊が日本の国境の外に出て行かないということとはまったく無縁だ。日本が攻撃されたら、その出撃拠点をたたくというのが自衛権の発動なのである。
 7・14見解では、「自衛権の発動にあたっての三要件」などと言って、@急迫不正の侵害があること、A他に排除の適当な手段がないこと、B必要最小限度の実力行使にとどまるべきこと、と言っている。しかし、こんなものはまったく意味がない。アメリカはイラクで「民主化」のために「必要最小限度の」戦争をしているのだ! 「ミサイルが1〜2発飛んできた」というのも、とりようによっては大変な「急迫不正の侵害」と規定できる。
 そして、これに自衛権を発動するというのはどういうことか。それは、ミサイルを発射したと思われるところへの全面的攻撃を展開することだ。これは逆に、全面戦争へ突入することにもなる。むしろ帝国主義は、重圧をかけ挑発して、若干の「侵害」を生じさせ、これを契機に全面戦争に突入するものだ。しかも、これは帝国主義者に言わせれば、立派な「自衛戦争」なのだ。
 ここで7・14見解は「自衛権を発動する」と言った後で、「上記@にあたっては、日米安保条約に基づき、米軍とともに行動する」とある。これは今日の対北朝鮮・対中国の戦争が、米帝主導で米日枢軸で戦われようとしていることからしたら、決定的意味を持つ。要するに、「自衛権を発動する」ことと「日米安保条約を発動する」ことは一体なのだ。7・14見解はストレートにこれを打ち出しているのである。

 従来の「自衛隊縮小」論も削除

 「自衛権を認める」という言い方から「自衛権を発動する」という規定へと飛躍したことに関して、いまひとつ見のがせないことがある。それは、日本の労働者階級が第2次世界大戦、15年戦争などの歴史的経験から、戦後一貫して憲法9条の改悪に反対し、安保・自衛隊に反対してきたという重い事実への「おそれ」から、99年の「連合の政治方針」や03年の「憲法の論点について」では、自衛権・自衛隊を認める、しかし「自衛隊は今後のあり方としては縮小の方向をめざす」としてきたのである。これ自身使い古されたペテンだったとはいえ、大っぴらな自衛隊の肯定でなく、また軍拡などには一定の歯止めをかけるというようなニュアンスを伴ってもいたのである。ところが今回の7・14見解では、この「縮小の方向を指向する」はきれいさっぱり削りとられて、あとかたもないのである。
 今や連合は、自衛隊が帝国主義的軍隊としてどこまでも軍拡をしていくことについて、また軍需生産をどんどん拡大していくことについて、一切の制動を破壊したのだ。
 この点について、自治労の8月大会で沖縄の代表を先頭に激しい反改憲論が展開され、「平和基本法」制定の運動方針を廃案ぎりぎりまで追い込んだが、自治労中央のダラ幹や右派勢力のペテン的策動の中で、「平和基本法」形式を活用しての改憲への屈服という原案の通過を許すことになった。この時、自治労の三役たちが弁明として必死で言った言質は、「平和基本法は入口で、出口は自衛隊の縮小・再編の方向である」といった内容だった。この言質を本当に厳粛に守るのなら、連合の「改憲方針」に賛成することは絶対にできないはずである。自治労中央の7・14連合見解への屈服を許さないために、闘う自治労の労働者とともに、強い圧力をかけていかなければならない。

 集団安保=海外派兵の容認へ公然と踏み切る

 小沢流の侵略戦争肯定論

 さらに重大なものとして、連合はついに集団安全保障活動への公然たる踏み切りを行ったということである。7・14見解の第2節の第(2)項「国際社会との協調と世界平和の構築」の問題性である。ここでは次のように主張している。
 「@国連による集団安全保障活動への参画については、憲法において明確に禁止された『国権の発動たる戦争』には、基本的に抵触しないことを確認する。
 Aその上に立って、日本は、国民的合意を要件とし、紛争当事国の同意の存在する国連平和維持活動(PKO・PKF)に参加することを基本的な考え方とする。
 B国連平和維持活動については、改正PKO協力法が認める範囲(*)における活動への参加にとどめる。(*これは実は、PKF本体業務などへの参加を含むということを意味している。――引用者注)
 C(α)平和維持活動を除く国連による集団安全保障活動への参画は、国民的合意が存在するとは言えないため、現段階では認めることができない。
 (β)なお、イラク戦争のような、戦争の目的・理由自体に疑義がある上に、国際社会の議論が二分されたことによって国連決議を根拠とすることができないような形の戦争行為については、『国際社会との協調と世界平和の構築のための行動』とみなすことはできない。(α、βは引用者)
 D上記(1)の『自衛のための行動』と、この『国際社会との協調と世界平和の構築のための行動』とを明確に区分するための措置として、『自衛隊の改編による国際協力部隊の新設』という方策も十分に検討されるべきである。
 E略」
 以上、長い引用になったが、@は、国連の名のもとでならば、海外での全面的な戦争行為も憲法違反ではないとする民主党・小沢の悪名高い主張を全面的にとり入れたものである。民主党も同じ立場をとっている。しかし、これは百パーセントまやかしである。国連の名のもとでの戦争であろうとなかろうと、国際戦争への参戦であり、国権が発動されることなしに自衛隊が出動できるはずもないのである。大体、国連自体がそれ自身正義であるのではまったくない。基本的に国際帝国主義の世界支配の道具にすぎない。帝国主義の利害の貫徹のため以外に、国連の名で大規模な国際戦争が組織されることなど、まったくないのだ。
 これは、自衛権の承認は自動的に集団的自衛権の承認に道を開くという、革共同が99年に「連合の政治方針」を批判した時以来の主張が百パーセント正しかったことを示している。自衛権・自衛隊の承認とは、帝国主義日本のそれとしてある限り、侵略戦争への道の承認にしかならないということである。
 ABは、PKO・PKF活動への全面的突入への道を開くものである。とくに重大なことは、実際の激しい戦争に発展する内在性をもつPKF(平和維持軍)の本体業務へもはっきりとゴーサインを出したことである。
 Cのα。国連による本格的な国際戦争への参加の問題であるが、これについて連合は実際には承認の道を開いているということである。現段階では認められないが「国民的合意」があれば別だと言っているのだ。改憲も99年には国民的合意がないと言っていた。つまりこれは情勢次第で自在ということである。また、これは小沢の主張の重要な一環でもある。
 Cのβ。さもさもの言辞を吐いているが、米帝のイラク侵略戦争について、価値的否定をしていない。「疑義がある」「国際平和の構築のための行動とみなすことはできない」と言っているだけである。反対闘争、阻止闘争をすることなど毛頭考えてもいない!
 Dについては、「国際協力部隊」というものは、イラクへの参戦などをみても、自衛隊を圧倒的な海外侵略軍へと増強するテコとなるしかない代物である。自衛隊増強論でしかない。
 以上のとおり、連合はついに戦後60年の労働者階級の血と汗の闘いを裏切り、足蹴(あしげ)にして、侵略戦争のための改憲へと決定的にのめり込んだのだ。全労働者階級の力で猛反撃し、これを粉砕しよう。

 安保・防衛政策全般で大転向

 以上、主に改憲に直接からむことを中心に論じてきたが、7・14見解は、実は安保・防衛政策全般での連合の大転向の宣言としてある。7・14見解は、安保体制、日米安保体制について、全面的な肯定と賛美の言辞に満ちている。ここでも、99年「連合の政治方針」や03年「憲法の論点について」のレベルを大きく超える反革命的飛躍を強行している。
 例えば、99年「連合の政治方針」段階では、「日米安保条約がここまで果たしてきた役割を評価しつつ、日米関係を重視する立場から、今後も維持する」という言い方をしていた。また、「日米安保を基軸としたうえで、日本の米軍基地の整理・縮小をめざしていく」となっていた。ところが、7・14見解では(第1節)「基本的認識」で次のように言っている。
 α.「日米安保体制が、他国からの侵略的行為を未然に防止してきた」
 β.「東西冷戦終結以降の国際協調と世界平和の構築に向けた国際社会全体の努力が引き続き必要であり、そこにおいてはアメリカの役割が重要であると認識する」
 γ.先に引用した第1節(5)「東北アジアの情勢について」において、北朝鮮問題、中国―台湾問題に関して、「安全保障の確立」と言っているが、この場合の安全保障体制の中には米帝の存在、日米同盟の存在が当然にもセットされている。
 つまり、連合7・14見解は、米帝と日米安保の軍事的役割について、真正面から肯定的に評価する立場に転換したのである。米国の単独行動主義とか先制攻撃重視策がどうとか、あれこれ言っているが、「懸念を持つ」「疑義がある」と不満を言うだけで、それと闘うつもりなどさらさらなく、むしろ基本的に、米帝の軍事こそ平和の基礎だという全面肯定の立場を公然と掲げるに至ったのだ。
 さらに恐るべきことは、前述したとおり第2節(1)Aにおいて、自衛隊が自衛権を発動する時は、「日米安保条約に基づき、米軍とともに行動する」となっていることだ。これは言うまでもなく集団的自衛権の発動形態である。日本の領域内への攻撃があった時は、日米安保同盟が全面的に発動されると言っているのである。
 しかし、先にも指摘したが、「日本への攻撃」ということ自体が単体で発生することはむしろないのである。米帝の世界戦争政策の展開の中で、北朝鮮・中国への侵略戦争の重圧が加えられ、あるいは実際に侵攻が開始される中で、日本の基地などへの反撃が生じうるというのがもっともありうる想定なのである。ということは、「日本への攻撃」の時は安保を全面発動するという規定は、米帝とともに日帝が安保同盟をテコに自ら帝国主義的侵略戦争に突入するという意味になるのである。
 このような立場だから、7・14見解には当然ながら、「安保」は維持しても「米軍基地」は縮小・再編を目指すといった文言は、一言も出てこない。

 反乱の流れを巨大な潮流へ

 今や事態は明白である。連合は改憲に向かって反革命的な意味で「ルビコンの河」を渡りきろうとしているのだ。日本の労働運動の情勢は今や戦時下のそれとして、とんでもない情勢に突入しつつある。ついに戦後階級闘争における決定的な瞬間が到来したのだ。
 日帝・小泉は、日本経団連・奥田と百パーセント一体化しつつ、8・8衆院解散―9・11総選挙反革命を強行し、今や階級的なものの一掃という観点を鮮明に自覚しつつ、民営化の大旗のもと、公務員攻撃を全面展開し、4大産別への攻撃を決定的に強めようとしている。彼らは、4大産別の労組の壊滅こそが、戦後憲法の砦(とりで)の一掃であることを意識している。その中で、10月28日にはついに自民党の改憲草案が、11月6日の大集会と激突するかたちで発表される。
 しかしこの大反革命の行進には、今や至るところから労働者階級の反乱ののろしが上げられている。7月の日教組大会では激論の中で改憲問題の決着は見送られた。8月の自治労大会でも沖縄代表を先頭に圧倒的な改憲反対論が大会を制圧し、ダラ幹たちはペテンを使って議案を押し通したが、連合7・14見解にストレートに沿ったものとして自治労の見解を押し出すことはできなかった。また、都高教の大会でも戦闘的な諸決議が行われた。そして、連合大会では会長選で3分の1もの高木反対=改憲反対票が投じられた。こうした流れは絶対にとどめることはできない。あらゆる形態、ルートから必ずわきあがってくる。問題は、こうしたすべての流れを合流させ、一個の巨大な階級的潮流へと発展させていくかどうかである。
 これには、闘う戦闘的労働者の先進的決起が絶対に必要である。11・6全国労働者集会はまさにそうした役割を持つ国際連帯の大集会だ。1万人結集をなんとしても実現し、小泉打倒、戦争・民営化攻撃粉砕、改憲阻止へ突き進もう。

 (資料)国の基本政策に関する連合の見解(案)

1 基本的認識
(1)憲法について(略)
(2)日米安保体制について
 日米安保体制が、他国からの侵略的行為を未然に防止してきたこと、またそのもとでこそ戦後の経済的発展がなされてきたことを確認する。……
(3)憲法と自衛隊の現状について
 独立国家の固有の権利としての自衛権を日本は保有し、その意味で、自衛隊が設けられていることに対する異論はない。しかし、憲法9条の条文と、イラク戦争・復興支援活動への対応などこの間の自衛隊の実際の行動展開との間に乖離があるとの疑念は払拭できない。
(4)冷戦後の国際協調と世界平和の構築について
 東西冷戦終結以降の国際協調と世界平和の構築に向けた国際社会全体の努力が引き続き必要であり、そこにおいてはアメリカの役割が重要であると認識する。しかし、この間アメリカが国連や国際社会におけるコンセンサスを軽視し、単独行動主義・先制攻撃重視策の方向に向かっているのではないかとの重大な懸念を持つ。
(5)東北アジアの情勢について
 北朝鮮の行動、中―台関係など、東北アジアは今日においても不安定と緊張が存在しており、地域全体の信頼醸成と安全保障の確立が急務であると認識する。……日本は、アジア太平洋地域に対する侵略と植民地支配という歴史的事実を踏まえた上で、未来を志向し自らの立場と考えを主張していくことが肝要であると認識する。
2 今後の日本の防衛・安全保障・国際協力のあり方
(1)日本の防衛・自衛権のあり方
 @日本の領土・領空・領海において攻撃が行われ、日本国内に在住する市民や財産・施設等の安全が脅かされている場合、日本は自衛権を発動する。その発動にあたっては、いわゆる三要件とされる以下を厳格に遵守すべきである。
 ア)日本に対する急迫不正の侵害があること
 イ)この場合にこれを排除するために他の適当な手段がないこと
 ウ)必要最小限度の実力行使にとどまるべきこと
 A上記@にあたっては、日米安保条約に基づき、米軍とともに行動する。
 BC略
(2)国際社会との協調と世界平和の構築
 @国連による集団安全保障活動への参画については、憲法において明確に禁止された「国権の発動たる戦争」には、基本的に抵触しないことを確認する。
 Aその上に立って、日本は国民的合意を要件とし、紛争当事国の同意の存在する国連平和維持活動(PKO・PKF)に参加することを基本的な考え方とする。
 B国連平和維持活動については、改正PKO協力法が認める範囲における活動への参加にとどめる。
 C平和維持活動を除く国連による集団安全保障活動への参画は、国民的合意が存在するとは言えないため、現段階では認めることができない。
 なお、イラク戦争のような、戦争の目的・理由自体に疑義がある上に、国際社会の議論が二分されたことによって国連決議を根拠とすることができないような形の戦争行為については、「国際社会との協調と世界平和の構築のための行動」とみなすことはできない。
 D上記(1)の「自衛のための行動」と、この「国際社会との協調と世界平和の構築のための行動」とを明確に区分するための措置として、「自衛隊の改編による国際協力部隊の新設」という方策も十分に検討されるべきである。
 E略。
3 憲法を始めとする法体系と外交・防衛・安全保障との関係について(略)

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週刊『前進』(2221号4面2)(2005/11/07)

日誌'05  10月19日〜25日

 陸自イラク派兵第8次出発

 陸自と警察が初の実働演習

●使用済み核燃料中間貯蔵施設、青森県知事が受け入れ表明 青森県の三村知事が、東京電力と日本原子力発電が青森県むつ市に計画する使用済み核燃料の中間貯蔵施設の立地を受け入れると表明した。(19日)
●ライス「軍事力行使含むあらゆる選択肢」
 ライス米国務長官は上院外交委員会の公聴会で、シリア、イランについて、イラクでテロ活動を助長しているとの見方を示し、「(両国は)戦いか平和か、どちらの道を選ぶのか決めなければならない」「ブッシュ大統領は、軍事力の行使を含む、あらゆる選択肢を持っている」と強調した。(19日)
●F15機がトラブル 米軍嘉手納基地で同基地所属のF15戦闘機1機が右主翼先端から燃料を噴き出しながら緊急着陸した。目撃者によると嘉手納町、読谷村上空あたりを飛行中も燃料が飛散していた。(19日)
●治安出動想定して初の実動訓練 治安出動を想定した自衛隊と警察による初の共同実動訓練が札幌市の陸上自衛隊真駒内駐屯地で実施された。訓練には陸自北部方面隊と北海道警察本部の計約400人が参加した。自衛隊と警察が武装工作員の発見や鎮圧に協力する想定で、自動小銃などを携行したそれぞれの隊員がヘリから降下する訓練などを実施。白バイに先導された装甲車が部隊輸送訓練として周辺の公道も走った。(20日)
●上関原発訴訟で反対派住民が逆転敗訴 山口県上関町で進められている中国電力の原発建設計画をめぐり、反対派住民が予定地内の共有地を交換取得した中電と推進派住民を相手に入会権の確認などを求めた訴訟の控訴審判決で草野裁判長は「入会権はすでに時効により消滅した」として、住民の入会権を認めて土地の現状変更を禁止した一審判決を取り消し、請求をいずれも棄却した。(20日)
●「中間報告、普天間合意が前提」 加藤駐米大使は、日米両国が10月中の取りまとめを目指す在日米軍再編の中間報告について「物事はすべてパッケージだと思う」と述べ、普天間飛行場の移設先で合意しないまま中間報告をまとめることは難しいとの考えを示した。(20日)
●福岡で米C130機が緊急着陸 福岡空港に着陸降下中の米軍C130輸送機から「エンジントラブルが起きた」と福岡航空交通管制部に連絡があり、同機は右翼の第4エンジンを止めた状態で緊急着陸した。火災などはなかった。(20日)
●陸自8次隊、140人出発 陸上自衛隊第8師団(司令部・熊本市)を主力とする第8次イラク復興支援群(群長・立花尊顕一佐)の約500人のうち、第1陣約140人が熊本空港から政府専用機で出発した。クウェート経由でイラク南部サマワに向かう。(22日)
●普天間移設、米が修正案を提示 普天間飛行場の移設先をめぐり、米国側がこれまで主張してきた辺野古沖の浅瀬部分を埋め立ててヘリポートを造る「辺野古沖縮小案」を基本としながらも、施設の一部を近くのキャンプ・シュワブの陸上部分に建設する修正案を示したことが明らかになった。(24日)
●合意できず協議継続に 普天間飛行場の移設先をめぐり、日米両国の当局者が大詰めの調整を続けたが、今回の協議は打ち切り、さらに継続することにした。協議の焦点は米国の折衷案を日本が受け入れるかどうかに絞られているという。(25日)
●イラク憲法案承認 イラク独立選挙管理委員会は、憲法案をめぐる国民投票の結果、「憲法案が承認された」と発表した。賛成は全体で78・6%。焦点となっていたニネベ州での反対は約55%で、3分の2に達しなかった。イラク基本法の特別規定には「3州で反対が3分の2を上回ると否決」と決められているが、今回の結果この条件に達する州が2州にとどまった。(25日)

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週刊『前進』(2221号5面1)(2005/11/07)

 辺野古基地「日米合意」弾劾 全長1800メートル 大浦湾埋め立て

 恒久的な基地建設を狙う

 10月26日、日米政府は、米軍普天間基地の新たな移設先として、名護市のキャンプ・シュワブ沿岸部を中心とした大浦湾から辺野古沖浅瀬にまたがる区域とすることで合意したと発表した。また、この合意をテコに米軍再編全体の具体化に向かって日米中間報告を発表すると打ち出した。まず何よりも沖縄県民、とりわけ名護市東海岸住民に新たなより大きな犠牲を集中するこの日米合意に対し、満身の怒りをもって弾劾する。「沖縄の負担軽減」などという日本政府の宣伝がまったくペテンであったことが、百パーセント暴露されたのだ。座間への米陸軍第1軍団司令部移転を始めとする在日米軍全体の強化と日米軍事協力の一挙的エスカレーションを強行しようとする日帝・小泉政権に怒りをたたきつけよう。この合意の決定のために行われる11・15〜16ブッシュ訪日・日米首脳会談を粉砕しよう。

 水面利用で県の権限を奪う特措法も策動

図 普天間飛行場の移設案 「日米が歩み寄った」とか「譲歩し合って合意に達した」と宣伝されているが、まったく許しがたい。
 現行の辺野古沖計画に比べて、キャンプ・シュワブ内に建設されるので負担が軽減されるというようなものではない。滑走路は日本案の1500bから1800bに延ばされ、大浦湾を大幅に埋め立てて駐機場などの付帯施設をつくるとされている。敷地の大半が海上に張り出す形になり、ジュゴンや藻場に打撃を与え、激しい自然破壊をもたらすものだ。これでは、辺野古沖計画よりもさらに陸に近いものとなり、辺野古や、北側の二見以北10区は、騒音直下になり、負担は倍増するのだ。
 米側が妥協したなどと言うのはまったくウソである。米側が、陸地側に200b動かすことを認める代わりに、滑走路を300b延ばすことを主張し、合意したことは、軍専用空港として、配備が予定されている最新型垂直離着陸機MV22オスプレイのためであり、またFA18戦闘攻撃機など空母艦載機の配備のためでもある。譲歩どころではない。米帝として必要な機能を十分に備えた最新鋭基地を新たにつくるというものなのだ。しかも大浦湾の埋め立てによって、基地は大拡張されるのだ。
 稲嶺知事が、現行計画を認める際のペテン的な条件としていた「軍民共用空港」や「15年期限付き」などは、今回の交渉ではまったく問題にもされず、恒久使用の軍事専門空港として固定化されようとしているのだ。それは、地元住民にとっては、普天間基地以上の大きな危険を伴う基地が目の前につくられることであり、到底受け入れがたいものだ。
 あらかじめ、キャンプ・シュワブ周辺に新基地をつくることを前提に、やれ陸上案だ、いや浅瀬案だ、それでは沿岸案だ、折衷案だと騒ぎ立て、あたかもそれで日米当局が歩み寄れば最善の策になるかのように描かれていること自体がペテンであり、押しつけである。沖縄にどのような形で犠牲を押しつけるか、煮て食うか焼いて食うかの論争にすぎないのだ。
 しかも、政府は予定海域の埋め立て許認可権限を握っている県知事からその権限を奪い国の権限とするための特別措置法案を来年の通常国会に提出する検討に入った。稲嶺知事の抵抗にあっても、あくまでも建設を強行するためだ。沖縄県が何と言おうと、国の権限でどしどし工事を進めることができると法律で決めてしまおうというのだ。かつて97年に米軍用地強制使用に関する権限を県知事から奪う特別措置法を作ったと同様、軍事基地の維持・拡大のためには、国の強権を発動するやり方をさらに強めようとしているのだ。こんな策動をしていながら、どうして「地元の理解を得て」などと言えるのか。どこまで沖縄をないがしろにすれば気が済むのか。
 また、普天間移設とパッケージとされる北部への基地集中も、まったく許しがたいものだ。もともと、今回言われている牧港補給地区(キャンプ・キンザー)と那覇軍港など中南部の4米軍施設の返還とは、SACO(沖縄に関する日米特別行動委員会)合意に盛り込まれているものをもう一度言っているにすぎないものであり、目新しいものではない。しかもそれを今度は、北部のキャンプ・ハンセンかキャンプ・シュワブに移転させると言っているのだ。中南部の基地の大半を北部に移すことをもって「沖縄の負担軽減」と称することなど絶対に許せない。基地の県内たらい回しそのものである。
 さらに、陸上自衛隊の訓練の一部をキャンプ・ハンセンで実施する計画もでている。日帝は、米軍再編計画と連動して、自衛隊の強化を同時に図っているのである。
(写真図 普天間飛行場の移転先とされた辺野古崎)

 沖縄の基地機能強化は日米帝の共同確認

 今回の辺野古新基地建設合意をもって、日米帝は10月29日の日米安保協議委員会(2プラス2=日米の外交・防衛担当閣僚による協議)で米軍再編の中間報告を発表しようとしている。ここでは、普天間移設を核に、次のような再編策が列挙されている。
▼キャンプ座間(神奈川県)に米陸軍第1軍団司令部を改編して移転
▼横田基地(東京都)に空自航空総隊司令部を移転
▼厚木基地(神奈川県)の空母艦載機部隊を岩国基地(山口県)に移転
▼普天間基地の空中給油機は海自鹿屋基地(鹿児島県)へ移駐
▼海兵隊第3遠征軍司令部をグアムに移転
▼沖縄県南部の4米軍施設を県中北部の米軍基地に統合
▼海兵隊4000〜5000人を削減
▼嘉手納基地のF15戦闘機の訓練を九州などの自衛隊基地に一部移転
▼那覇の陸自訓練をキャンプ・ハンセンに統合
 これらの再編計画全体が、侵略軍事基地の強化をめざすものであり、地元住民に犠牲を押しつけるものであって、どれひとつとして認めることはできない。そしてその再編の中心にあり、それなしには全体の計画が成り立たないものとして普天間移設計画の決定があるのだ。したがって、普天間移設=辺野古新基地建設阻止と米軍再編計画粉砕を一体のものとして闘わなければならない。
 日米帝は、今年2月の2プラス2で、「共通戦略目標」を確定し、それに沿ってトランスフォーメーション(米軍の世界的再編)の一環としての在日米軍基地の再編強化を図ってきた。その中で、地元の不屈の闘いによって行き詰まっている名護新基地建設について見直しを迫られ、新たな移設先を探ってきたのである。
 2月日米安保協で出された共同発表文は、世界戦争を日米共同で戦う宣言であり、そのための共通戦略目標の決定であった。そこでは「世界の日米同盟」を宣言し、朝鮮半島情勢、台湾海峡情勢を明記して、北朝鮮とその背後に存在する中国に対する侵略戦争を事実上宣言していた。ブッシュ演説で言っていた「圧政の打破、自由の拡大」を承認することで、日帝も世界戦争路線を推進することを約束したのだ。とりわけ、台湾海峡問題を「地域の戦略目標」とすることで、沖縄基地の強化を明白に宣言したのである。
 トランスフォーメーションの狙いは、ハイテク化によって海外展開の米軍を即応力のある部隊に再編することにあり、戦争手段の大エスカレーションなのだ。
 米帝は、一貫して米軍再編の中に沖縄基地機能の強化を位置づけてきている。米議会海外基地見直し委員会の5月の中間報告で、「在沖米軍の戦闘能力削減は米国の国益を大きな危険にさらす」と明言し、朝鮮・中国侵略戦争にとって、あるいは極東から中東に至る「不安定の弧」にとっての沖縄基地の維持・強化の観点から問題にしているのである。日帝はおためごかしに「沖縄全体の負担軽減に頑張りました」(大野防衛庁長官)と言っているが、その卑劣さは許しがたい。

 沖縄人民の怒りの決起先頭に総反撃を 

 10月27日、本土のブルジョア新聞は、一斉にこの合意に飛びつき、新基地建設を推進する社説を掲載している。「政治主導で迅速に実現を図れ」(読売新聞)、「期限示し普天間代替施設の完成を急げ」(日経新聞)、「普天間移設/もう失敗は許されない」(東京新聞)、「今度こそ移設を実現したい」(毎日新聞)。まさに新基地建設推進の大合唱だ。一紙でも「反対」を掲げる新聞がないことは、沖縄への差別的犠牲の集中をマスコミが一丸となって推進しているものであり、恐るべき事態である。
 また、この間、10月21日の会見で石原都知事が普天間移設に関連して「沖縄にはたくさん空いている土地がある」「伊江島なんてのは普天間のわりと近くで、滑走路が2本あってほとんど使っていない」という暴言を吐いた。沖縄戦と戦後60年をとおして、沖縄に筆舌に尽くせぬ痛みを押しつけ続けている日帝支配階級の本音を示すものであり、怒りを込めて打倒するほかない存在であることを示す発言である。
 だが、沖縄に対するこのような理不尽で横暴きわまりない攻撃が通用すると思ったら大間違いだ。95年10月の沖縄の民衆反乱以来10年、マグマのようにたまりにたまった憤激は必ず再び爆発する。現にその闘いは今爆発しつつある。日米帝と沖縄人民の利害は完全に非和解的に対立しているのだ。
 だいたい地元住民はもとより、県当局さえも素通りして頭越しに行われる米軍再編が、すんなり認められるわけがないのだ。
 昨年4月のボーリング調査着工攻撃に対する辺野古の海と陸での座り込み・実力阻止闘争は558日間(10月28日現在)営々として継続し、日米政府を追いつめてきた。この偉大な闘いの地平が、今日の情勢を規定している。窮地に立った日米帝が、反対運動をいかに圧殺しつつ、基地建設を貫徹するかという検討の中で打ち出してきたのが、今回の合意案なのだ。米軍基地内から着工すれば、妨害されない、海からの阻止行動に対しては暴力的に封殺する、ともくろんでいるのだ。だが、このようなこそくな策で沖縄人民の怒りをかわせると思ったら大間違いだ。
 沖縄基地強化、名護新基地建設は、イラク侵略戦争の出撃基地の強化であり、朝鮮・中国人民虐殺の中国・朝鮮侵略戦争のための基地強化である。このような侵略と他民族人民虐殺のための基地建設を拒否すると宣言して、沖縄人民はこの10年闘い続けてきたのだ。この10年、沖縄県民の基地建設に対する反対の意思は揺るがず続いてきた。この意思を根本的に踏みにじり、同じことを繰り返そうとしている日米帝に、「絶対反対」をたたきつけよう。
 日米帝は、10月29日の日米安保協(2プラス2)で、米軍再編についての中間報告を決定し、さらに11月16日のブッシュ・小泉の日米首脳会談で決着するという日程で進めている。
 11・6労働者集会で日米韓国際連帯の「米軍再編粉砕・沖縄新基地建設絶対反対」の声を高らかに上げ、その大高揚の上に、京都における日米首脳会談実力阻止闘争を爆発させ、沖縄の怒りをたたきつけよう。沖縄人民と連帯する本土人民の闘いを今こそ強めよう。改憲阻止闘争と一体のものとして米軍再編全体を粉砕しよう。

 日米安保と普天間移設に関する主な動き

95年9月4日 沖縄で米兵による少女暴行事件
  10月21日 沖縄県民総決起大会に10万人決起
96年4月12日 日米共同宣言で日米安保再定義
       普天間返還で日米合意
  9月8日 県民投票で基地の整理縮小に89%が
       賛成
  12月2日 沖縄に関する日米特別行動委員会 
       (SACO)最終合意
97年4月17日 米軍用地特別措置法改悪が成立
  9月23日 日米が新ガイドラインで合意
  12月21日 名護市民投票で反対票が53%
99年5月24日 ガイドライン関連法成立
  11月22日 稲嶺県知事が名護市辺野古沖を移設
       先に選定
  12月27日 岸本名護市長が受け入れを表明
    28日 政府が辺野古沖建設方針を閣議決定
02年7月29日 政府が辺野古沖の基本計画を決定
  12月16日 日米安保協(2プラス2)で米軍再
       編協議開始を合意
03年3月20日 米英軍がイラク侵略戦争を開始
  6月6日 有事関連3法が成立
04年4月19日 施設局が掘削調査用資材の辺野古漁
       港への搬入強行→座り込み突入
  8月13日 沖縄国際大学構内に米軍ヘリ墜落
  9月9日 掘削調査めぐり海上攻防戦に突入
    12日 墜落抗議の宜野湾市民大会に3万人
05年2月19日 2プラス2で日米共通戦略目標
  10月   2プラス2に向け最終調整

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週刊『前進』(2221号5面2)(2005/11/07)

 10・15国民投票 軍事占領下で“憲法案承認”

 イラク分断支配狙う米帝

 10月25日、イラク選挙管理委員会は15日に行われた国民投票で憲法案が全体で78%の賛成で承認されたと発表した。憲法案への賛否を問う国民投票は投票の直後から不正が行われていると弾劾の声が上がる中で、結果の発表が数日も遅れる事態となった。
 この国民投票は、18州のうち3州で3分の2の反対があったら、憲法案は否決されるものとして実施された。スンニ派が多数を占めるアンバル州が97%、サラハディーン州は88%が反対、ニネバ州が55%の反対で3分の2に達しないと発表された。これに対して集計で不正が行われていると抗議がまき起こっている。
 米帝とカイライ政権は今後、12月15日に国民議会選挙を行い、年内に正式政府を発足させるとしている。
 米帝ブッシュは国民投票結果の発表を受けて「民主主義の樹立に向け勇気づけられる進展だ」と述べ、これがイラク占領支配の安定にとって重要な意味を持つものになるという幻想をあおっている。だが、これによってイラク占領・植民地支配が安定することはけっしてありえない。

 憲法案承認発表に大自爆戦闘

 この国民投票の結果発表に対して10月24日、バグダッドのグリーンゾーン内の外国人記者が宿泊するパレスチナホテル付近で自動車爆弾による自爆戦闘がたたきつけられた。防御用のコンクリート壁に2台の自動車が相次いで激突して爆発し、壊した穴からコンクリートミキサー車でグリーンゾーン内に突入して爆破戦闘を貫徹したのだ。
 新憲法案の国民投票はきわめてデタラメなやり方で強行された。8月31日にスンニ派の合意を得ないまま強引に決定し、その後も修正協議を続けて幾度も修正案が出され、イラク人民にとってもどれが成案であるのかわからない状態だった。しかも投票直前にはスンニ派の一部を取り込むための修正合意が行われ、投票後に修正することがペテン的に決められた。
 さらに米軍は、国民投票を強行するために、タル・アファルへの大攻撃に続いてアンバル州全体に大攻撃を仕掛け、残酷な人民大虐殺を強行した。しかし、これに対して投票当日の15日にはラマディで米軍戦闘車両を路肩爆弾で攻撃し、乗っていた海兵隊員5人が死亡する戦闘をたたきつけた。翌16日、米軍はこれに対する報復として車両の残骸を持ち帰ろうと集まっていた子どもたちを空襲し、さらに付近の民家に対しても次々空襲した。これによって数十人の住民が虐殺された。米帝にとっては新憲法案はどんな手段をとっても「承認」されたとする以外なかったのだ。

 「連邦制」導入は国家の分裂招く

 新憲法案は、米帝が石油利権の一部をシーア派やクルド勢力に与えることで取り込んで、スンニ派の武装闘争を分断・孤立化させ、圧殺しようという狙いに貫かれている。その決定的なテコとして連邦制導入によるイラク3分割の策動がある。しかも石油利権からスンニ派を排除することによって宗派間、民族間の対立をあおり、分断することでイラク人民の民族解放闘争を圧殺しようとしている。
 この策動にシーア派はシスターニ師を始め、SCIRI(イラクイスラム革命最高評議会)やダワ党が加担し、クルド人勢力も加担した。それによって今回の新憲法の承認が強行された。しかし、スンニ派やサドル派にとって米帝が人民分断政策で絶滅を図ろうとしている以上、戦って米帝をたたき出す以外にイラク人民の解放がないことがますます鮮明になっているのである。
 イラク人民の民族解放戦争は、ますます激しくなっており、米軍は完全に抜き差しならない泥沼に陥っている。とりわけ最近ではゲリラ戦争が戦術的にも、武器開発の点でも高度化している。米軍はこの戦争に勝利できる展望を完全に失っている。
 しかもゲリラ戦争がバスラやサマワなど南部シーア派地域にも広がっている。シーア派住民が米帝に対して決起を開始しているのだ。また、アラブ各国やイスラム諸国、全世界から戦士が駆けつけ、次から次へと自爆戦闘をたたきつける状況が広がっている。もはや米軍はこのイラク人民や中東・ムスリム人民の決起を抑えられなくなっている。

 抜き差しならぬ泥沼深める米帝

 こうした中で10月26日、米軍の公式発表でも米兵の死者がついに2000人を超えた。負傷者も1万5000人を超えている。行方がわからなくなった兵士が5000人に上っている。だが一方、この侵略戦争では15万人とも20万人とも言われるイラク人民が命を奪われているのだ。
 この現実を前にして、アメリカ各地で反戦行動が新たな高まりを見せている。9月24日、全米40万人の決起は、米労働者人民のイラク侵略戦争に対する怒りの大きさを示したが、それはますます拡大しつつある。米兵の死者が2000人を超えたことを契機に、ホワイトハウス前で座り込みが始まった。
 米支配階級内部からも共和党も含めてブッシュ政権に批判が湧き起こり、支持率は今や39%だ。
 米帝ブッシュは、イラクの大量破壊兵器問題をデッチあげて侵略戦争に突入した。こうしたデタラメな口実で米帝は中東の石油資源を独占し、アラブ人民、ムスリム人民の戦いを圧殺するために、イラク侵略戦争を強行した。したがって米軍がイラクから撤退することは、イラクを始めとする中東人民に米帝が敗北したことを意味し、帝国主義間争闘戦において米軍が大後退を強いられる。だから絶対に撤退できないのだ。
 絶望的危機に陥った米帝は、シリアやイラン、北朝鮮・中国へと戦争を拡大していく以外に延命することができない。日米韓国際連帯の11・6全国労働者総決起集会の大高揚を実現し、侵略と戦争を拡大する帝国主義打倒へ突き進もう。

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週刊『前進』(2221号5面3)(2005/11/07)

 熊本・福岡 “8次イラク派兵阻止” 北熊本駐屯地へ抗議

 10月21〜23日の3日間、九州では熊本からの自衛隊第8次イラク派兵阻止闘争と、国際反戦デーの連日闘争となりました。
 21日には、平和フォーラム主催の国際反戦デー集会が福岡市天神の須崎公園で行われ、約500人が集まり、天神の中心街をデモしました。
 22日には、第8次イラク派兵を阻止するため、熊本現地闘争に駆けつけました。熊本・八景水谷(はけのみや)公園から、北熊本駐屯地までデモを行い、駐屯地の外周約5`をデモ行進しました。
 北熊本駐屯地の正門前では、立ち止まってシュプレヒコールを行い、多くの自衛隊員が注目する中で、自衛隊員に対して「侵略戦争の銃をとるな」と訴えかけました。
 その後、熊本市内で行われていた国際反戦デー集会に参加し、熊本のアーケード街をデモ行進(写真上)しました。
 23日には、アメリカのイラク攻撃を許さない実行委員会、女たちのデモ主催の集会とデモが福岡市天神の警固(けご)公園で開かれました。約100人が参加し、天神の街を一周するデモ(写真下)を行いました。
 この日、天神ではあちこちに音楽ステージが設置され、イベントが行われていました。若者たちがたくさん街にあふれていて、デモに対する注目も大きく、第8次イラク派兵阻止と自衛隊の即時撤退を強く訴えました。
 世界最強を自負する米軍は、完全に敗勢に追い込まれています。イラク戦争の泥沼化は、帝国主義の危機をはっきりと示しています。帝国主義侵略戦争と不屈に闘い抜くムスリム人民と連帯し、国際連帯で帝国主義を打倒しよう。
 (福岡・轟清二郎)

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週刊『前進』(2221号5面4)(2005/11/07)

 岩国基地 “NLP移設反対” 労働者ら3千人がデモ

 10月23日、岩国基地への米艦載機部隊の移駐、そしてNLP(夜間離発着訓練)の移設に反対する集会・デモが、連合と平和フォーラムを中心とした呼びかけのもと実行委員会の主催で行われた。地元山口や広島を中心に中国地方の自治労や教組、全逓など約3000人の労働者が結集し、地元の住民とともに「絶対反対」の力強い闘争として闘いとられた。
 10月14日に「厚木米艦載機部隊の岩国移転、日米で合意」と新聞で報道されると、地元では激しい怒りがわき起こった。戦闘攻撃機FA18ホーネットが約70機以上も厚木から岩国に移駐され、岩国周辺はもとより中国地方一帯がこれまでを一変する爆音被害や落下物などの恐怖にさらされることになる。さらにNLPについては日本政府が「岩国周辺の離島などへの移転を目指し、候補地探しに入る」としており、岩国基地を中心に中国地方全体を北朝鮮・中国侵略戦争のための出撃基地にたたき込もうとしているのである。
 すでに1997年から岩国基地は滑走路の沖合拡張工事が進められ、2000年9月にはNLPが強行され、02年にはCH53D大型輸送ヘリが移駐するなど次々と基地機能が強化されてきた。米軍は今年9月に拡張部の新港湾施設の運用を開始し、横須賀・佐世保と並ぶ空母打撃群の拠点にしようとしている。沖縄と並ぶ米海兵隊の出撃基地である岩国が、米軍再編によって米海軍も含めた巨大な侵略出撃基地に変貌(へんぼう)しようとしているのである。
 23日午後1時から岩国市内の公園を埋め尽くした労働者は思い思いのプラカードやゼッケンで「瀬戸内に戦争の基地はいらない!」「教え子を戦場に送るな!」と訴えた。集会後は岩国基地の最先端部までのデモ行進を行い、怒りをたたきつけた。その頭上をFA18ホーネットが耳をつんざく爆音をとどろかせて飛び立つ。これに対して参加者は激しい怒りのシュプレヒコールをあげた。
 広島を始め反戦共同行動の労働者や学生は、こうした労働者の闘いの先頭でデモ行進を牽引(けんいん)した。集会場では11・6労働者集会への参加を呼びかけるビラが全参加者に手渡され、賛同署名も続々と寄せられた。「戦争と民営化の小泉政権を倒そう!」「沖縄の闘いに連帯し、侵略戦争を止めよう!」という訴えは、労働者の中に圧倒的な共感を呼んだ。

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週刊『前進』(2221号6面1)(2005/11/07)

団結ひろば 投稿コーナー

 「星野奪還」も1万人結集にかかっている 中四国 J・K

 11・6集会に向け、生産点で戦争と民営化への「怒りの水滴」が合流を始めています。「始まり」を作りましょう。そしてこの日、ひとり獄中から思いをはせる同志がいます。星野同志です。「沖縄奪還=星野奪還」の99%は、今や労組1万人の団結にかかっています。星野全国集会は11月13日大阪。さまざまな人々が昼夜を問わず準備に奔走されています。このことに必ず道は開かれる展望を感じます。しかし、現状を破るには、今ひとつ、階級本体の物質力、しかも自己解放の熱気ある、団結した力が不可欠です。階級的力関係を転換して良心囚を奪還した民主労総の闘いを実現しましょう。
 『前進』夏季特別号の星野奪還論文を、11月集会オルグの最終局面の今こそ読み返してみてください。夏には、すべての同志が「我がこととして」読まれたと思います。しかし、今や「1日も早く」という言葉は、1万回(30年=1万日)繰り返されてしまっています。私は自己批判をこめて、現場の怒りを日比谷に合流させる道すじを、最後の最後まで切り開いて行きたいと思います。
 前進縮刷版bV、1971年11月16日付号外のアピールは、現在のイスラムレジスタンスの蜂起、自治労・沖縄の糾弾で、らせん的に問われています。
 くしくも大阪は、永田典子同志が教組青年部長として闘っていた地元です。沖縄奪還・日帝打倒をかけ渋谷暴動に決起した永田さんは、27歳で機動隊に虐殺されました。最後の言葉は「生徒たちによろしく…」でした。(1週間後、12・4反革命)
 永田さんを奪われ、星野さんを奪われ、われわれは反撃できているのか? 30年間、その手を下した者をつかまえたのか? 前衛として労働者階級に信頼されるのか? いつも自問し、悔しさに震えます。『内乱と武装の論理』が示す「党の体質をかけた闘い」(337n)に立ち上がろう。11・6に1万人の「外の星野」「よみがえる永田」を登場させましょう。そして13日、星野実行委員会の汗にぜひこたえましょう。星野集会賛同をよろしくお願いします。

 『改憲攻撃と労働者階級』を読み力わく 東京 N・K

 前進社発行の『改憲攻撃と労働者階級』を読み始めてぐいぐい引き込まれ、一気に読んでしまいました。改憲をテーマとする本はいくつもありますが、労働者階級の立場からこれほど鋭く力強く批判している本はほかにないと思います。現状破壊的に改憲攻撃に突き進む以外にない日本帝国主義の危機を全面的に暴き、革命的パトスと迫力ある論理で改憲粉砕決戦を宣言しています。力がわき、「革命の現実性」を実感することができました。
 第T部では、9条改憲にかかわって「自衛権=国家固有の権利」論が帝国主義戦争の本質を押し隠すものであることを歴史的に暴いています。ここを私はとりわけ興味深く読みました。
 第U部では、今日の資本攻勢の現実が具体的に暴かれています。今の資本家どもが労働者をまったく人間としてみていないこと、ただ搾取材料として扱っていることに、本当に怒りがわいてきました。
 第V部では、戦後革命と憲法の関係、東京裁判での天皇の戦争責任の免罪と憲法制定の事情など、重要な視点が提起されています。
 読み終わって私は、まさに憲法の問題は「国家と社会の根幹、歴史の核心にかかわる問題」であること、そして改憲決戦は「20世紀の歴史がやり残した課題に労働者階級の側から革命的決着をつける」壮大な闘いだと確信しました。

 「日の君」処分の人事委員会闘争に参加 東京 K・Y

 去年の春の卒業式、入学式で「日の丸・君が代」の強制に反対して不起立・不伴奏を貫いて懲戒処分となった156人の先生たちの人事委員会審理が9月から始まっています。
 平日の午後なのでなかなか時間が取れずにいたのですが、やっと傍聴に参加することができました。
 ある女性は言いました。「負け惜しみではなく、処分を受けて良かったと思える点があります。自分自身が『被処分者』という少数者の一員になったことで、少数者と多数者の関係、国家と国民の関係、教育や民主主義の本質を突っ込んで考え始めたことです」と。
 「生徒が主役の心のこもった感動的な卒業式」を30年の教員生活の思い出だと熱っぽく語った人。「教師という仕事は“教える”という以上に“学ぶ”ことの多いものだ」と語った人。教育現場に入って、同僚の教員や朝鮮人・中国人の生徒たちと出会うことによって「一方的に奪われてきた朝鮮を奪い返す生き方を始めることができた」と在日の男性の教師。それぞれの生き方、考え方に接することで、彼らを不当にも処分し、強権的に従わせようとする都教委のあくどさが際立って見えてきました。
 04年の不起立で定年退職後の嘱託が取り消されました。今年定年になった人も04年の処分を理由に嘱託不採用になっています。
 「私たちは戒告処分が出た後すぐに人事委員会に審査請求をしており、直接行政訴訟に訴える前の審査機関という人事委員会の性質上、審理は速やかに行われ、数カ月後には適切な裁定がなされるものと期待していました。ところが裁定どころか審理も一向に始まらない」「人事委員会の遅れが退職後の生活にも重大な影響をもたらしている」と、ある女性は涙ながらに訴えました。不起立の処分は1回ではなく、再発防止研修や校内研修、さらに嘱託採用拒否として幾度もの報復的な処分が続いているのです。
 彼らを孤立させてはなりません。ファシスト石原・都教委との闘いに多くの労働者が合流しましょう。

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週刊『前進』(2221号6面2)(2005/11/07)

 「共謀罪」廃案へ攻勢を 「修正」の余地など一切ない

10月28日、衆院法務委員会の共謀罪審議に対して「組対法・破防法共同行動」が国会前で抗議集会

現代の治安維持法=共謀罪の成立を阻止するために白熱的な国会攻防が闘われている。「破防法・組対法に反対する共同行動」を先頭とするこの間の必死の闘いによって、政府法務省・与党は、特別国会での成立を断念せざるをえなくなった。この事態は、自公与党勢力が圧倒的多数を占める今国会でも、全力で闘えば勝利できる展望を示している。民主党を修正論議に引きずり込んで次期通常国会で与野党一致で成立にもっていこうとする与党の狙いを粉砕し、さらに広範な大衆闘争を爆発させることで、共謀罪を絶対廃案に追い込もう。
 共謀罪は、4年以上の懲役・禁固にあたるすべての罪(619種)について、実行しなくても「話し合い」「会話」「メール」だけで逮捕し、処罰できるとするとんでもない悪法である。10月14日に開始された国会審議で「現代の治安維持法」としての性格がますます明らかになってきた。
 共謀罪には一切修正の余地などない。絶対に廃案にするしかない。
 第一にそれは、憲法でも保障された内心の自由、思想・表現の自由を奪うものである。法務省は「あいまいな話し合いではなく計画が具体的・現実的になって初めて処罰するのだから内心の自由を侵害するものではない」と強弁している。しかし、それはすべて権力の恣意(しい)的判断による。破壊活動防止法の規定(「明らかなおそれがあると認められる十分な理由があるとき」)と比べても、共謀罪では犯罪が行われる「おそれ」、危険性すら問題としていないのだ。これは明白に思想・言論弾圧法である。
 第二にそれは、労働者人民の団結を破壊するものである。21日の審議で保坂展人議員(社民党)の質問に答えた法務省は、共謀概念について“共謀共同正犯のそれと同じであり、黙示の共謀もある”と答弁した。要するに目配せやシュプレヒコールだけで、団体を同じくしている者同士がそこにいるだけで、共謀にあたるということである。
 団体に属している、関係していると警察が見なせば、直ちに共謀とされる可能性すら持つのだ。労働組合の正当な組合活動や争議の時の会議が共謀罪の弾圧対象になる。まさに共謀罪は労働者人民の団結破壊法である。
 第三にそれは、「密告したら刑を減免する」と規定することでスパイを横行させ、社会を監視社会・密告社会に変質させるものである。警察が隠しカメラや隠しマイク、盗聴を日常的に駆使し、「うっかりしゃべれない」という疑心暗鬼の社会をつくり出す。一切の批判的言論を弾圧して侵略戦争に突き進んだ戦前と戦争の歴史を繰り返してはならない。
 第四に、公明党は「@適用は組織的な犯罪集団に限ることを法文上明確にするA客観的に分かる準備行為を必要とする――の二つの修正を考えている」(公明新聞)というが、法務省は「犯罪目的集団」はもとより会社・宗教団体・労働組合・市民団体すべてが対象となりえ、「ケース・バイ・ケース(で適用する)」と答弁している。戦前の治安維持法の弾圧を見ても明白なように、治安立法は日帝の体制危機の深まりの中でどんどん対象を拡大し、すべての人民的団結体を敵視し弾圧するに至るのである。
 以上のように、共謀罪は憲法改悪を先取りする思想弾圧、団結破壊、労働運動と革命党弾圧の悪法であり、改憲と戦争に向かっての決定的な攻撃である。舞台は通常国会に移ったが、その攻防はすでに始まっている。
 表現者の緊急行動、署名運動の拡大、新聞労連、出版労連、日本ペンクラブなどの反対決議、日弁連や東京・第一東京・第二東京・金沢・兵庫・福島・大分・長野・沖縄など単位弁護士会の反対声明が続々と上げられている。国会攻防を全力で闘いぬき、さらに11・6労働者集会の大結集で共謀罪絶対廃案の闘いの大爆発に向かって突き進もう。全国で共謀罪反対の街頭宣伝・集会・デモをやろう。

 渋谷デモと国際共同声明集会

 10月22日、東京では上野駅など山手線各駅で街頭宣伝を行った。その後、200人が渋谷・宮下公園に結集し、渋谷駅前を通るデモ行進を行い、市民にアピールした。
 また、25日は1日国会行動の後、夜から弁護士会館で「共謀罪の強行制定を許さない国際共同声明集会」が開かれ、70人が結集した。沖縄から参加した呼びかけ人の知花昌一さん(読谷村議)があいさつ、山下幸夫弁護士、宮本弘典さん(関東学院大学教授)らが発言し、国会攻防の現局面を確認し、全体で闘いの決意を固めた。

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週刊『前進』(2221号6面3)(2005/11/07)

 11・3−27北富士闘争へ イラク戦争訓練を阻もう

 11・3―11・27北富士闘争の招請状が発せられた。忍草国有入会地守る会と忍草母の会の呼びかけにこたえて総決起しよう。(編集局)

 招請状

 闘う仲間の皆さん。
 総選挙で「勝利」した小泉内閣は、ますます高飛車に侵略戦争と生活破壊の反動攻撃に打ってでています。
 12月に期限が切れる自衛隊のイラク派兵について、政府はすでに期限延長の方針を固め、来年からの派兵部隊として自衛隊東部方面隊に準備を指示しています。
 イラクでは、12月末にイラク人による政府の発足という計画が発表されていますが、これがアメリカによるイラクの石油強奪のための傀儡(かいらい)政権づくりであることには変わりありません。イラク人民による武装抵抗闘争は一層激化しています。自衛隊はこのアメリカ軍と一体になって、ますます侵略戦争にのめりこもうとしているのです。
地図 北富士集会05年11月 こうしたなかで北富士では、11月4日から13日までの予定で、沖縄在留海兵隊一個中隊180人による実弾演習が実施されます。海兵隊はイラクにおいて人民虐殺作戦の先頭にたってきた部隊です。北富士や沖縄で演習を重ねて再びイラクへ派兵されていくのです。
 また昨年5月に入会住民に無断で北富士に建設されたイラク・サマワ宿営地模擬施設での自衛隊派兵部隊の演習は、3カ月ごとにくり返され、恒常化しています。これまで北富士での米軍・自衛隊の演習計画について自衛隊は、「演習通告」で事前に入会住民に発表してきましたが、このイラク派兵演習については、その必要はないとしており、イラク派兵のなかでますます入会住民無視・抹殺の姿勢を明らかにしています。
 小泉内閣による自衛隊のイラク派兵計画の延長のなかで、11月下旬から12月にかけて、北富士サマワ宿営地模擬施設で東部方面隊によるイラク派兵演習が行われようとしています。
 北富士演習場とされている2千ヘクタールの土地は、北富士農民の生活に欠かせない先祖伝来の入会地です。この土地への入会権は、裁判所で二度にわたって認められています。
 入会権利者を無視して、入会地へサマワ宿営地模擬施設を建設し、さらに米軍と自衛隊のイラク派兵の侵略演習を実施することを許すことは絶対にできません。私たちは、自衛隊がイラク人民を虐殺することにも、また殺されることにも強く反対するものです。
 私たちは、三里塚、沖縄で不屈に闘う住民と連帯し、国鉄千葉動力車労働組合をはじめとする闘う労働者とともに勝利をめざして闘う決意です。
 北富士での米軍、自衛隊の演習に反対し、以下の要項で闘争を行います。皆さんの結集をよろしくお願いいたします。
 2005年10月16日
忍草国有入会地守る会
北富士忍草母の会

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週刊『前進』(2221号6面4)(2005/11/07)

 星野文昭同志奪還へ 大阪集会に集まろう

  金山克巳

 最高裁請願行動

 10月19日、私は「星野文昭さんをとり戻そう! 全国再審連絡会議」の皆さんとともに最高裁への請願行動を行った。この行動に参加してあらためて、30年もの間、無期懲役と闘う星野文昭同志を取り戻さなければならないと決意した。
 午後1時、私たちは衆議院第2議員会館前に集合した。この日、国会前には「障害者自立支援法案」の廃案を求める人たちが集まっていた。その人たちに連帯しつつ、横断幕を広げ、ビラをまいてアピールした。
 最高裁まで徒歩で移動し、東門から中に入った。ここは、何回来ても嫌なところだ。窓がほとんど無い、まるで要塞(ようさい)のような建物がそびえ立っている。これを造った人間は「最高裁の権威を示す」と考えたのだろうが、非人間性の象徴としか感じられない。
 杉並の代表が司会し、最初の請願書を神奈川の代表が読み上げる。これは、ただちに再審開始決定を出すように訴えるものだ。その中で、裁判の経過を整理し、検察官がいまだに隠し持つ証拠の開示を命じるよう求めている。
 この後、家族からの訴えが行われた。対応に出た「訟廷上席書記官」は機械的にメモを取る。いつからこんな制度になったのだろうか。被告や家族の訴えから裁判官を守る壁のような人間だ。しかし、参加者は、この壁のような人間をも溶かしてやろうという熱い思いを込めて訴えた。星野文昭同志の無実を証明し、取り戻すには、どんな壁でも突き破るのだ。
 次の請願書は、調書類のコピー料金値下げを訴えるものだ。裁判所構内のコピーは現在、「司法協会」が独占している。その料金が1枚あたり40円というとんでもない設定になっている。古い青焼きコピーが劣化してきたため、星野再審運動では、全証拠のコピーを取り直すことを決めた。弁護団が証拠の閲覧をしたところ、総計2万4千枚を超えることが分かった。コピー代がなんと100万円かかる。これでは、「金の無い者は再審請求などするな」ということではないか。絶対に打ち破ろうという決意で参加者の訴えが続いた。

 徳島激励行動へ

 11月13日(日)午後3時から大阪市港区民ホールで「全国集会in大阪 星野文昭さんに 自由を!」が開かれる。すでに全国から300を超える賛同が寄せられ、初めての大阪集会を成功させようと熱気に満ちた取り組みが続いている。関係者の努力に心から敬意を表し、この集会の成功をともに実現しよう。
 集会の翌日には徳島に移動し、刑務所を見下ろす丘から激励行動が行われる。一昨年、この丘から徳島刑務所を見た時、本人の姿は見えなかったが、「この中で星野文昭同志が闘っている」と胸に迫るものがあった。
 日本の監獄制度は、親族と弁護士以外の面会を認めていない。このため、われわれは星野同志と会うことができない。しかし、大阪集会を成功させ徳島に駆けつけるこの思いは、必ず獄中の星野同志に届くと信じている。
 関西はもちろん、全国からも集会賛同を集中し、総力で結集しよう。
 再審開始を要求する巨大な運動を最高裁に突きつけ、星野同志奪還へ闘い抜こう。

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週刊『前進』(2221号6面5)(2005/11/07)

書評 『皇国少女から戦争の嫌いな女へ』

 下田禮子著 (発行・下田禮子「自分史」編集委員会1000円)

 戦後をたくましく生きぬき闘ってきた被爆者の自分史

 〈投稿〉 広島 S・F

 被爆60周年を迎えた8月6日、本書が発刊された。ヒロシマ大行動の当日、会場でサインをしていただいて購入した。
 例年8・6の当日行事も終わって7日へ日付が変わるころと言えば、前後不覚で寝入っている時間であるが、表紙の下田さんの笑顔に引き込まれて、つい見開きを開いた。気がつくと一気に読み終えていた。
 翌7日、国際連帯集会で下田さんに再度お会いした際に、私は思わず、「読みました! おもしろかったです!」と言ってしまった。しかしすぐに、お母さんが亡くなられた被爆の記憶のところを思いおこし、「おもしろい」なんて、なんと不謹慎なことを言ってしまったのかとひどく後悔した。「ごめんなさい」と謝ったが、下田さんは笑い流して下さった。
 しかし、ほんとのことを言えば、やっぱり、この本はおもしろいのだ。下田さんのことなのに、まるで自分がもうひとつの人生を生き、駆け抜けているという感じにさせられてしまう。不思議な力をもった本だ。
 下田さんは、被爆でお母さんを亡くされて以降、レッドパージをのりこえ、戦後をたくましく生き抜き、たたかってこられた。
〈母の最期〉
 祖母は私の母である娘の看護にかけつけ「可哀相に、こんな体になって。あんたが何をしたというの。何も悪いことしていないのに」と。…薬も医者もいない昔ながらのやり方で祖母は娘の看護を三日三晩一睡もしないで一生懸命つくした。が、母はうわ言を言いながら息絶えた。
〈廃虚の中で再び学校へ〉
 ある日、「お前の袋に何が入っているのか」と特高戻りの先生が袋の中を見て、「共産党宣言?」「お前みたいなのがいるから戦争が負けたんだ」とひどくしかられ、延々一時間位も説教された。
〈レッドパージ〉
 「書面には職場放棄とか、勤務態度が悪いとか悪行がいろいろ書いてあったような気がするが要は『首切り』証である。わたしは組合活動をしていたのでしかたがないとしても、女専をでた優秀な彼女が何故に?といぶかった。後になって解ったのだが、彼女の恋人が共産党員だというのが首切りの理由だった。このとき首を切られた三七人中、女性は三人(下田さんと下田さんの叔母・小西ノブ子さんと、共産党員を恋人にもつ女性)」
 「私は、叔母と失業保険をもらいながら、これから先のことを話し合いました。…私は叔母に『私も東京に行って革命家にでもなろうかしら』というと、叔母は『口で言うほど簡単ではない、あんたには絶対にできない、やめておいた方がええ…』と言います」
     *
 私が下田さんと知り合ったのは、小西ノブ子さんの通夜のときである。
 ご親戚(しんせき)の反対を押し切って「小西ノブ子記念館」を設立された。
〈世界一小さな小西ノブ子記念館〉
 「『あんな学生たちの味方をしてどうするのよ』と陰口。…カンパはたやすく集まらず、…連れ合いの預金を担保に借金をし、厚生年金から三ヶ月で五〇万円づつ支払うことにする。…いよいよ九月から世界で一番小さいであろう、平和のための小西ノブ子記念館が発足することになった」
 それからの下田さんの婦人民主クラブ、三里塚、沖縄、百万人署名運動と八面六臂(はちめんろっぴ)の大活躍は全国に知られているとおりだ。
 すべてを書ききれるわけでもなく、自伝には書かれていないことのほうがもちろん多い。下田さんは、小西さんの伝記『炎の巡礼者』を市内の学校を訪問されて校長と直談判して図書館においてもらったり、百万人署名運動では、ひとりで歩かれ五千筆以上集められた。こうした誰もが目を見張る運動への貢献には、まったくふれていない。
 出版を祝う会では「下田さんとともにこの運動に骨を埋めたい」と百万人署名運動に新しいリーダーがまたひとり加わった。下田さんはじめ、力強い先輩たちに恵まれ導かれて、ヒロシマの運動は健在である。
 最後にこの本は、「何が『聖戦』だ」と「つくる会」教科書を批判し、石油のためのイラク侵略戦争と「日の丸・君が代」の強制を弾劾し、歴史を繰り返すなと警鐘を乱打している。
 下田さんは74歳、現役まっさかりである。私にとって、この本に出会えたことが、被爆60周年の記念である。全国の『前進』読者のみなさんに購読をお薦めします。あなたも下田さんに元気をもらってください。

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