ZENSHIN 2005/10/31(No2220
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週刊『前進』(2220号1面1)(2005/10/31)
11・6 日米韓労働者の大合流を
改憲・戦争、民営化攻撃の小泉を労働者の団結の力で打倒しよう
労組弾圧法=「共謀罪」を廃案へ
郵政民営化絶対反対でデモ
全国の闘う全逓労働者を先頭とする郵政民営化絶対反対実行委員会が東京・渋谷の宮下公園で総決起集会を開催した後、デモ行進。郵政民営化関連法の成立を弾劾し、現場の攻防に勝ちぬいて07年郵政民営化成立阻止へ闘うことを宣言した(10月21日 渋谷)
小泉政権のファシスト的独裁的な戦争・改憲と民営化攻撃に怒りをもつすべての労働者のみなさん。革共同は、闘う3労組が呼びかける11・6全国労働者総決起集会への大結集を心から訴えます。11・6労働者集会には韓国とアメリカから闘う労働者が大挙やってくる。日本労働運動の階級的再生、日本労働運動の夜明けを開く重大な国際連帯の闘いだ。日本帝国主義・小泉と資本家階級の頭目・奥田の日本経団連は、戦争・改憲と民営化(労働組合破壊)の攻撃を居丈高に推進している。危機を深める帝国主義の凶暴な攻撃に総反撃し、帝国主義の打倒に向かって総進撃する時だ。「日の丸・君が代」強制と「つくる会」教科書攻撃と闘う教育労働者、公務員制度改革攻撃と闘う自治体労働者、郵政民営化攻撃と闘う全逓労働者、1047名解雇撤回を闘う国鉄労働者の4大産別決戦と改憲阻止決戦をひとつのものとして結合し、全労働者階級の怒りを11・6集会への1万人大結集で解き放とう。
第1章 郵政民営化粉砕の闘いはこれからだ
政府・与党は、14日に郵政民営化法案を参議院本会議で成立させた。8月8日には17票の大差で否決された同じ法案が、同じ議員構成の参議院で今度は34票という圧倒的大差で可決された。小泉は、議会制民主主義を自ら破壊して、ファシスト的政治クーデターとして解散・総選挙を強行した。その結果が10・14郵政民営化法成立だ。労働者は、こんなものを絶対に認めることはできない。
しかし、小泉と日本帝国主義の凶暴化は、敵が盤石だからではない。それどころか、体制的危機を深め、まったく余裕がなく支配が脆弱(ぜいじゃく)だからなのだ。そのことを見抜いて労働者の根源的な力を自覚して闘いに立ち上がるならば、労働者は必ず勝つ。11・6集会は、そのような労働者の総決起の場だ。
国家財政破綻(はたん)の責任は大銀行・大企業救済のために湯水のように赤字国債を発行してきた日帝と小泉にある。また不況による税収減は帝国主義の体制の問題だ。その責任を労働者に押しつけるな。
郵政民営化とは、いったん全員解雇・選別再採用であり、公務員身分の剥奪(はくだつ)と大量首切りだ。こんな攻撃は実力で粉砕しなければならない。
JPU(旧全逓)中央本部は、9月30日「郵政民営化に対する考え方」を出し、そこで「4分社化による民営化を現実のものと受けとめる」とする態度表明をした。これは、法案成立を前にして、闘わない、完全屈服するということである。ここまで来たら、組合員を挙げて職場から反対と徹底対決の闘いを開始する以外にいかなる道もないではないか。その闘いを放棄して、小泉=奥田に屈服し、延命しようというのか。こんな恥ずべき屈服を遂げたJPU中央は、即刻退陣すべきだ。職場から郵政民営化に対する実力反撃の闘いを巻き起こそう。
非正規職労働者が3割を超え、長時間労働、サービス残業が恒常化し、過労死や自殺者(7年連続で3万人以上!)が続出するというとんでもない状態を積極的につくり出しているのは誰か。奥田・日本経団連であり、日本の大ブルジョアジーだ。そうして、公務員労働者への憎悪をあおり、労働者の中に分断を持ち込み、公務員労働者の団結と組織を破壊し、権利を剥奪しようとしているのだ。
「公務員が悪の元凶」かのような悪宣伝は、すべての労働者・労働組合に対する攻撃だ。これを許したら、次はすべての産別と民間労働者の生活も権利もずたずたに破壊されるのだ。
郵政民営化法が成立したといっても、闘いはこれからだ。労働者の力でこんな攻撃は土台からひっくり返すことはできるのだ。
小泉=奥田の戦争・改憲と民営化(労組破壊)の攻撃に対し、民主党の新しい代表になった前原は、「官公労との関係見直し」「公務員の採用を3分の1に」「郵政8万人リストラ」など次々と反労働者的発言を繰り出している。また、民主党と「一線を画す」としている社民党や日本共産党も、戦争や民営化と闘えない。つまり、労働者階級の利益を正面から押し出す政党が存在しないのだ。
すべての労働者が、郵政民営化に反対し、公務員制度改革に反対して、これを自分のこととして総決起することが必要だ。そうすれば必ず道は開かれる。労働者階級の力で帝国主義を打倒する突破口を開こう。
第2章 改憲と戦争の攻撃に労働者の反撃を
11・6集会は、同時に、小泉政権の改憲と戦争への攻撃に対する労働者階級の総反撃の闘いだ。
小泉は、10月17日、靖国神社参拝を強行した。首相就任以来5年連続5回目の暴挙だ。小泉は平服で、「昇殿せず、記帳せず」と「私人」を強調し、「二度と戦争をしないために」などと弁明しているが、靖国参拝が「次の戦争(新しい戦死者)のため」のものであることは明白である。朝鮮・中国・アジア人民に対する再侵略宣言であり、日本の労働者人民を戦争に駆り立てるための行動だ。北朝鮮・中国侵略戦争に向けての戦争挑発だ。戦時下の日帝・支配階級の憲法改悪に向かっての大攻撃である。絶対に許せない。
小泉は、対テロ特措法の1年延長に続いて、12月に期限の切れるイラク特措法に基づくイラク派兵の延長を強行しようとしている。日帝は日米枢軸を強め、泥沼化するイラクの戦場に今やますます深くのめり込みつつあるのだ。不屈のイラク人民の民族解放闘争に対する日帝の侵略戦争のエスカレーションを許すな。
トランスフォーメーション=米軍再編は、沖縄・普天間基地の移設先をめぐって、沖縄人民に対する攻撃として襲いかかっている。日米帝は、辺野古の海と陸での実力阻止闘争、沖縄人民の大多数の反対によって現行の海上基地建設計画を打ち砕かれる中で、日米帝間の矛盾を深めつつ、一切を沖縄に対する新たな基地の押しつけとして何がなんでも貫徹しようとしている。日米帝は、新たな移設先を、浅瀬にするか、それとも沿岸にするか、と対立しつつ、とにかく辺野古のどこに犠牲を押しつけるかを10月29日の日米安保協(2プラス2)までに決定し、11月16日のブッシュ訪日・日米首脳会談で決着しようとしているのだ。
沖縄に差別的に襲いかかっているこのすさまじい攻撃に怒りを爆発させて粉砕しなければならない。沖縄人民の不屈の闘いと連帯して立ち上がろう。11・6日米韓労働者の国際連帯闘争は、沖縄への差別的な基地押しつけの攻撃に対する共同の決起の場である。
自民党は結党50年の11月党大会で新憲法草案を決定するとして、それを今月中にもまとめようとしている。それは、1月の日本経団連の改憲提言の内容と完全に一致した大攻撃だ。
特別国会で憲法調査特別委員会が設置され、来年通常国会には改憲のための国民投票法案が提出されようとしている。改憲が完全に政治日程に上った。11・6集会は、4大産別決戦と改憲阻止決戦を掛け合わせた一大政治闘争となった。
さらに、特別国会に提出された共謀罪新設法案との闘いが重大だ。実行行為がなくても「話し合い」「会議」だけで罰するという、治安維持法以上の悪法である。共謀罪の恐るべき狙いに対する怒りと危機感、闘いが広がっている。この大悪法の継続審議を許さず、廃案にたたき込もう。
「障害者」切り捨ての「自立支援法案」を衆議院段階の闘いで粉砕しよう。
第3章 動労千葉―3労組とともに闘おう!
11・6労働者集会は、日本、韓国、アメリカの労働者が一堂に会する国際連帯集会である。昨年の11月労働者集会に参加した韓国民主労総ソウル地域本部とアメリカ・ILWUを軸に、今年はさらに多数の労組と労働者が参加しようとしている。彼らは、幹部同士の交流ではなく、現場労働者の交流をもっと進めたいと熱望しており、自ら集会の成功に責任をとる主催者として訪日しようとしているのである。なんとしても彼らの熱意にこたえて、日比谷野音を満杯にする労働者の大結集で連帯しようではないか。
韓国とアメリカの戦闘的労働組合が、動労千葉などの闘いに合流してきているのは、動労千葉の労働運動に対する共感と信頼、自らの勝利のために動労千葉との連帯が必要であるとする意志の現れだ。「動労千葉は日本で民営化反対の代表」(スティーブ・ゼルツァーさん)だからである。
動労千葉は、1987年の国鉄分割・民営化に対して、どう闘ったか。カクマル松崎明に率いられた動労(今のJR総連)は、自分たちの組織維持のために分割・民営化に全面屈服し、中曽根政権に協力して国労と動労千葉つぶしの先兵になった。国労はこれに対して何も闘えなかった。動労千葉は、こうした裏切りと闘争放棄をのりこえて、2度のストライキを始め、全力でこの攻撃と対決し、大量処分の攻撃を受けたが、闘って生き残った。
そして今、動労千葉は、国鉄1047名解雇撤回の闘いの先頭に立ち、また分割・民営化の結果もたらされたJR尼崎事故に対する弾劾の闘いを、反合理化・運転保安闘争として貫徹し、大きな成果をかちとっている。動労千葉が掲げる「闘いなくして安全なし」は、すべての労働者にとって切実なテーマなのだ。
動労千葉は、最も階級的で原則的な、労働組合として当然の闘いを不屈に闘い、他の労組との共闘、国際的な連帯闘争を闘いぬいている。日本のすべての労働者が進むべき道、闘いの展望を指し示している。この闘いに、米韓の労働者が固く連帯しているのだ。
今こそ日本のすべての闘う労働者、労働組合が、動労千葉のように闘おう。動労千葉を始めとする闘う3組合とともに闘おう。
闘いを求めるすべての労働者人民のみなさん。11・6労働者集会に総結集しよう。1万人の団結の力で小泉を打倒し、改憲と戦争、民営化攻撃を粉砕しよう。
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週刊『前進』(2220号1面2)(2005/10/31)
小泉の靖国参拝を直撃 全学連が決起 “侵略戦争の美化許さぬ”
小泉は、10月17日午前10時過ぎ、靖国神社への参拝を強行した。5年連続5度めの暴挙である。断じて許すことはできない。
全学連(織田陽介委員長)は朝8時前の発表に直ちに対応し、織田委員長を先頭に雨を突いて東京・九段の靖国神社に進撃した。
全学連の学生や部落解放同盟全国連など闘う労働者人民は午前10時前、厳戒態勢の靖国神社の大鳥居前に結集、警察・機動隊と対峙した。「小泉の靖国神社参拝弾劾! 小泉は直ちに辞任しろ」「自衛隊兵士の新たな英霊化攻撃を許さないぞ!」「労働者、学生はアジア人民と連帯して闘うぞ!」。小泉への怒りのシュプレヒコールが靖国神社内外に響き渡った。
小泉が公邸を出て靖国神社に入ったことが伝えられる中、織田委員長は「小泉の靖国参拝は、何よりもわれわれ学生や労働者一人ひとりを日本帝国主義の侵略戦争に動員するための攻撃である。これは改憲攻撃そのものだ。靖国神社とは、日帝の侵略戦争の歴史を肯定し、その戦死者を『英霊』として祭り、賛美し、再び日本の労働者・学生・人民をアジア人民虐殺の侵略戦争に動員し、自らも死ぬことを強制する装置にほかならない。このような靖国神社に首相の小泉が参拝することを絶対に許してはならない」と激しく熱い戦闘宣言をたたきつけた。
小泉は抗議行動の直撃を受けてあたふたと5分足らずで参拝を切り上げて逃げ帰るように退出した。さらに弾劾行動を展開していると、韓国のマスコミ2社が本殿方向から移動してきて、織田委員長にインタビューした。織田委員長は韓国やアジアの人民に向かって、日本の労働者・学生の熱烈な連帯を表明した。
その後、10時45分、大勢の機動隊が大鳥居前に駆けつけ、小泉参拝に抗議する全学連と労働者人民を包囲し、靖国神社から九段下へと暴力的に押し出し、排除した。全学連は最後まで小泉の靖国参拝を徹底弾劾し、約1時間、闘いをやりぬいた。道行く人びとも、全学連の体を張った闘いに注目した。
同日、中国・韓国の人民が、日本大使館前で、小泉の靖国参拝に怒りの抗議闘争をたたきつけた。日本の全学連と労働者人民の参拝弾劾の現場決起は中国・韓国―アジア人民と連帯する国際主義的な闘いである。
小泉は靖国参拝後、「総理大臣である小泉純一郎がひとりの国民として参拝する」だとか「二度と戦争はしないという決意を表明した」と説明した。ふざけるな! 8・8衆院解散―9・11総選挙反革命をもって9条改憲を軸とする改憲攻撃を決定的に強め、まさに改憲攻撃―ファシスト的国家づくりとして今回の靖国参拝を強行したのだ。
日帝・小泉は、アジア人民と日本の労働者人民の怒りに包囲され追いつめられている。参拝形式を簡略化したのはそのためだ。しかし、追いつめられながら小泉は、日本帝国主義の生き残りのためには北朝鮮・中国侵略戦争に絶望的に突き進むしかないと決断している。だからこそ中国・韓国との関係悪化は承知の上で参拝を強行したのだ。
11・6集会への1万人大結集をかちとり、日帝・小泉打倒へ進撃しよう。
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週刊『前進』(2220号2面1)(2005/10/31)
動労千葉の呼びかけにこたえ 千葉集会が260人で成功
県下の労組が続々と賛同
10月19日、千葉市民会館小ホールにおいて、「JR尼崎事故弾劾!/動労千葉安全運転闘争勝利!/国鉄労働者1047名解雇撤回!/10・19労働者総決起集会」が開催され、会場を埋めつくす260人が参加した。動労千葉の呼びかけのもとにつくられた実行委員会が主催した。動労千葉の安全運転行動に大きな支持と共感が集まる中、県下の労組が続々と集会に賛同を寄せ、多くの労組が機関決定で参加した。
集会は、動労千葉の繁沢敬一副委員長と、自治労連の女性労働者の司会で始まった。冒頭、開会あいさつに立った田中康宏委員長は「動労千葉の安全運転行動は県下の労働者の大きな反響を呼び、22`のレール交換を確約させた。しかし闘いは終わっていない。社会全体でも民営化と労組破壊が吹き荒れている。労組がこの現実に声を上げて闘うことがどうしても必要だ。11月6日、日比谷で小泉打倒の1万人集会を実現しよう」と訴えた。
反失業・反首切り・反合理化千葉県共闘会議の代表と、百万人署名運動千葉県連絡会の代表が連帯あいさつを行った。動労千葉を支援する会の山本弘行事務局長は、11・6集会にアメリカと韓国の労働者が大挙駆けつけることを報告、「国鉄分割・民営化に反対してストに立ち、今も闘い続けている動労千葉に、国際的な注目が集まっている。国際的な労働運動の新たな潮流をつくり出し、その力で自国政府・自国資本と断固闘おう」と呼びかけた。
中野前委員長が熱烈な講演
続いて、動労千葉の中野洋前委員長が講演を行った。中野前委員長はまず、「小泉は『官から民へ』と繰り返し、『民』がすべていいものであるかのようにあおっているが、ふざけるんじゃない。もうからなくても労働者の生活のために必要だから、労働者のスト権をも剥奪(はくだつ)して『官』が担ってきた部門をすべて民営化し、営利優先の株式会社にしたらどうなるのか。その帰結が尼崎事故だ」と断罪した。そして「尼崎事故について、何よりも『運転士にまったく責任はない』と言い切らなければならない。尼崎事故は国鉄分割・民営化の帰結であるけれど、その核心は、分割・民営化によって労組が闘わなくなった結果だということだ。安全は資本にお願いして実現するものではない。労働組合が闘いとる以外に、安全は絶対に守られない」と強調し、「動労千葉の安全運転行動は、レール交換などの直接の成果も実現したが、それだけではない。労働組合が原則を貫いてきちんと闘えば勝利できることを示したことが大きい。今、多くの労働者が『どうせ勝てない』と負け犬根性になっているのは、闘っていないからだ」と述べた。
さらに9・11総選挙をめぐる情勢について、「小泉は郵政民営化法案が参院で否決されたからと衆院を解散したが、これは議会制民主主義を否定するクーデターのような事態だ。衆院で3分の2の議席を確保し、どんな悪法も押し通せる凶暴さを持っているが、しかし非常に脆弱(ぜいじゃく)なガラス細工のような存在でもある。労働者が団結し、労働組合を再生して闘えば、必ずうち倒せる。にもかかわらず、まともに対抗する野党もない。郵政民営化に対しても、労働者の首切りを問題にする政党がひとつもない」と述べ、「この現実と対決する唯一の力が、労働者の団結だ。労働者であることに誇りを持ち、今こそ労働組合運動と労働者の団結を復権させよう。11月6日、小泉に怒りを持つすべての労働者で東京・日比谷公園を埋めつくし、小泉打倒の鬨(とき)の声をあげよう」と呼びかけた。
1万の労働者の力を示そう
千葉県高教組の教育労働者と医療労働者、動労千葉の橋本英治乗務員分科会会長が決意表明を行った。
動労千葉の長田敏之書記長が閉会のあいさつを行い、「今日の集会は11・6集会へむけたステップだ。ここに集まった人が周りの労働者を誘って、こぞって日比谷に集まってほしい。闘う労働運動の復権に向けて、1万人の労働者の力を示そう」と力強く呼びかけ、最後に参加者全員で団結ガンバローを三唱した。
10・19千葉集会は、既成の労働組合がことごとく闘いの展望を見失っている中で、連合・全労連傘下の多くの労働組合が唯一勝利の展望を持って闘っている動労千葉との合流を求めていることを示した。こうした労組・労働者に11・6集会への参加を訴えきれば、1万人結集は絶対に可能だ。なんとしても実現しよう。
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週刊『前進』(2220号2面2)(2005/10/31)
熱気の“団結まつり” 1047名が結束強める
10月16日、東京・亀戸中央公園で「国鉄労働者1047名の解雇撤回! ノーモア尼崎事故!」をスローガンに団結まつりが開かれた。あいにくの雨にもかかわらず、それぞれの出店もにぎわい、6200人の参加者は国鉄闘争勝利へ新たな決意を固めあった。
国鉄闘争は、9・11総選挙と鉄建公団訴訟の9・15反動判決を突き破る重大な正念場を迎えている。今回の団結まつりで、国労闘争団・全動労争議団・動労千葉争議団は結束を一段と強め、それを包む共闘の輪も広がった。
鉄建公団訴訟を闘う各原告団がそろって壇上に並んだ。鉄建公団訴訟原告団の酒井直昭団長が「9・15判決はきわめて不満足。控訴審で勝利判決を取りたい。小泉政権にひるむことなく最後まで闘う」と決意を述べた。国労闘争団第2次原告団の牛島時彦さん(熊本闘争団)が「不当労働行為を認めさせ職場復帰をかちとる」と発言し、全動労争議団の森哲雄さんは「四つの原告団が力を合わせることが求められている」と強調した。動労千葉争議団の中村俊六郎さんは「9・15判決はとうてい認められない。3争議団・闘争団の闘いで不当労働行為は認めさせたが、解雇は有効とした。解雇撤回まで闘う」と表明した。参加者は大きな拍手で闘争団・争議団の決意にこたえた。
主催者あいさつをした国鉄闘争共闘会議の二瓶久勝議長は、「地裁段階をしのぐ裁判闘争・大衆闘争でJR・政府を追い込もう」と呼びかけた。
国鉄闘争は、改憲=侵略戦争と民営化に突き進む小泉政権に立ち向かう労働者の結集軸だ。郵政民営化と闘う全逓4・28闘争被解雇者、「教育基本法の改悪をとめよう!全国連絡会」呼びかけ人の大内裕和さん、「日の丸・君が代」強制と闘い不当処分を受けた教育労働者などが、国鉄闘争と連帯してそれぞれの闘いに勝利する決意を述べた。
イギリスから駆けつけたRMT(鉄道海運労組)のピーター・ピンクニー執行委員は、鉄道の再国有化を求める同労組の闘いを報告し、労働者階級の国際連帯を熱く訴えた。
9・15反動判決をのりこえる勝利の展望も指し示された。動労千葉の田中康宏委員長が安全運転行動の勝利を報告し、国際連帯集会として開かれる11・6への結集を呼びかけた。国労5・27臨大闘争弾圧と闘う佐藤昭夫弁護団長と松崎博己被告団長が、組合員を警察に売った国労本部を許さず国労の再生をかちとることは1047名の勝利と一体だと力説した。
参加者は互いに交流を深め、今後の闘いへの英気を養った。
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週刊『前進』(2220号2面3)(2005/10/31)
控訴審闘争勝利へ 鉄建公団訴訟 原告団が総決起集会
10月14日、鉄建公団訴訟原告団と国鉄闘争共闘会議を主催者に「控訴審で全面解決を目指す10・14総決起集会」が東京・社会文化会館で開かれた。会場は960人の熱気にあふれた。
国鉄闘争共闘会議の二瓶久勝議長の主催者あいさつに続き、鉄建公団訴訟主任代理人の加藤晋介弁護士が発言し、9・15判決を「不当労働行為は認めたがそれは最低限の部分」「不当労働行為を金で済ませば、やり得になる。金では済まないから原状回復させるのが原則だ。こんな判決で済ませるわけにいかない」と弾劾した。そして、「『9・15判決で500万円の慰謝料は確保できた』とは言えない。控訴審で鉄道運輸機構(旧鉄建公団)はわれわれの請求を徹底的につぶしてくると見たほうがいい。もう一度覚悟を決めてほしい」と原告団を激励した。
7・15日比谷野音集会を呼びかけた芹澤壽良・高知短期大学名誉教授は、1047名の大同団結を強調した上で、国労5・27臨大闘争弾圧粉砕の闘いは1047名闘争の勝利に密接にかかわると熱を込め訴えた。
鉄建公団訴訟原告団の発言(写真)に続き、全動労争議団、動労千葉争議団、国労闘争団第2次原告団が決意を述べた。動労千葉争議団の高石正博さんは、国鉄が「6カ月以上、2回以上の停職処分」を基準にJR不採用者を選んだこと自体が不当労働行為だと断言し、この基準を容認した9・15判決を弾劾した。
参加者は国鉄闘争勝利へ一層の決意を固めた。
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週刊『前進』(2220号2面4)(2005/10/31)
本山勝利を国鉄へ 11・6集会への総決起を誓う
長谷委員長招き福岡集会
10月2日、福岡市内のチクモクビル大ホールで「全金本山労組の勝利を国鉄闘争の勝利へ 10・2集会」が、全金本山労組の長谷武志委員長を迎え、集会実行委の主催で開催された。
ビデオ「全金本山労組の闘いの記録」の上映、教育労働者の開会宣言に続き、実行委を代表して反戦共同行動・福岡の石崎昭哲代表が「全金本山は労働者が不屈に闘い続ければ勝利できることを示した」と発言した。「国労5・27臨大闘争弾圧を許さない会・九州」事務局長の手嶋浩一さんが「問題提起」として鉄建公団訴訟の9・15判決の内容を鋭く批判し、「韓国・アメリカの労働者と連携して闘う労働運動ができつつある。11・6に参加し、全金本山とともに全国に闘う労働組合をつくろう」と呼びかけた。
長谷委員長が記念講演に立った。「34年間の激闘で完全勝利をかちとり、職場復帰した。資本と体を張って闘うことで敵の正体を知り、確信を持った。あらためて職場に砦を、地域に共闘を、労働戦線の統一を、労働者階級の団結を訴える。11月6日は全員で行く」と熱烈に訴えた。
国労5・27臨大闘争弾圧被告団長で鉄建公団訴訟原告団の松崎博己さんが特別報告を行い、「小泉反革命に打ち勝つ大きな勢力として、11・6国際連帯に決起しよう」と訴えた。国労闘争団4人が登壇し、小倉地区闘争団の羽廣憲さんが「9・15判決を原告席で聞いた。500万円出すから闘いをやめろということだ。日本階級闘争をけん引する国鉄闘争を勝利まで闘い抜く」と決意を述べた。
民間の二つの労組、本山闘争を九州で支えてきた労組、自立労組福岡、教労、自治労などの労働者が、職場闘争報告や11・6集会への決意表明をした。九大自治会の学生は第8次派兵阻止闘争への総決起を訴えた。最後に福岡県労組交流センターのまとめと団結ガンバローで締めくくり、集会は大成功した。
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週刊『前進』(2220号2面5)(2005/10/31)
(4)
国際連帯と国鉄闘争
民営化反対への高い評価
日米韓労働者の団結のきずな
小泉に1万人の怒りを
米韓から労働者が大挙やって来る!
動労千葉は、第2の分割・民営化に対する闘いの渦中で新たな闘いを発展させた。そのひとつが国際連帯闘争であり、もうひとつが1047名闘争である。
まず、国際連帯闘争だ。それは、03年、04年の11月労働者集会における日米韓労働者の画期的な国際連帯へと結実した。
きっかけは、02年10月に行われた「1047名闘争勝利団結まつり」にアメリカから参加した「タフト・ハートレー・抑圧と民営化に反対するキャンペーン運動」のスティーブ・ゼルツァー氏と動労千葉の出会いだった。03年7月にゼルツァー氏らがサンフランシスコで開いたレイバーフェスタ10周年の行事に動労千葉を招き、サンフランシスコ労働者評議会とその中心組合であるILWU(国際港湾倉庫労組)ローカル10などと交流した。サンフランシスコ労働者評議会は、動労千葉・1047名闘争支援、国労5・27臨大闘争弾圧粉砕の決議を上げた。
また、その後の8・15労働者市民のつどいに韓国から招いた民主労総ソウル地域本部副部長のキムチャンソプ氏と動労千葉が出会い、民主労総との交流が始まった。10月には、田中康宏委員長、中野洋前委員長らが訪韓し、民主労総の当時の委員長・タンビョンホ氏と会談し、ソウル地域本部を窓口として、民主労総との交流関係を築いた。
そして、03年11・9労働者集会に、ゼルツァー氏とILWUローカル34のラッセル・ミヤシロ書記長、民主労総ソウル地域本部のコジョンファン本部長、キムチャンソプ副本部長ら3人が参加したのである。
04年には、アメリカでMWM(百万人労働者行進)運動をILWUローカル10などが全米に呼びかけ、7月には動労千葉の田中委員長が訪米し交流。10月17日のワシントンでのMWMに動労千葉を始めとする日本の代表団が多数参加した。
そして、11・7労働者集会には、アメリカからILWUローカル10を代表してジャック・ヘイマン氏を始めとして7人が参加し、韓国・民主労総からはソウル地域本部のパクサンユン事務処長ら2人が参加。3国の連帯をさらに発展させ、日本の労働運動において画期的な集会を実現した。
さらに、今年の8・15労働者市民のつどいに参加したスティーブ・ゼルツァー氏とコジョンファン氏との交流を通じて、米韓双方から昨年以上に多くの労働者と労働組合が、11・6労働者集会に参加することを表明しているのである。
このような日米韓3国の労働者の連帯の意義は、限りなく大きい。アメリカは世界最大の帝国主義国であり、イラク侵略戦争をしかけた国である。そのイラク戦争が泥沼に陥る中で再選されたブッシュは、「圧制に終止符を打つ」と言って、「圧制」と決めつけた国に戦争をやると宣言し、トランスフォーメーション(米軍の世界的再編)を行う。これは特に、北朝鮮・中国への侵略戦争を射程に入れたものであり、日本と韓国の米軍の再編・強化を含むものである。このアメリカでの労働者階級の反戦闘争はきわめて重要だ。そのアメリカで最強の労働組合がILWUである。
また、韓国の民主労総は、世界でも最も戦闘的な闘いを展開し、民主労総内の分岐・流動をはらみながら、ソウル地域本部は、最左派として闘っている。
労働者階級は、そもそも国境を越えて団結する存在であり、そうしてこそ勝利できる。3国連帯は、新しいインターナショナルをも展望した連帯の質を獲得しつつある。さらに今、韓国でも日本でもアメリカでも国家主義・民族排外主義が跋扈(ばっこ)している中で、これに対抗するのは国際連帯以外にない。
3国連帯の中心に位置する動労千葉
こうした中で日本の動労千葉の位置がきわめて重要なのである。動労千葉が米韓の労働者の闘いを結びつける役割を果たしていると言っても過言ではない。
米韓の労働者はなぜ動労千葉との連帯を選択しているのかが重要である。
それは何よりも、動労千葉が国鉄分割・民営化に反対して唯一ストライキを闘い、最も原則的に闘っている労働組合であることが国際的な評価を得たということである。国労やJR総連カクマルなども「国際連帯」と称しているが、国労は実際には有効な闘いを組めず、またJR総連は、分割・民営化を率先推進したファシスト組合であるということが国際的にも明らかになっている。
特に、動労千葉は、ニューフロンティア21、ニューチャレンジ21という第2の分割・民営化攻撃との5年間の闘いの中で、毎年の春闘ストライキを闘い、世界的に吹き荒れる「新自由主義」―民営化・規制緩和の攻撃に真っ向から立ち向かって、業務の外注化を阻止するなどの具体的な成果を上げているのだ。国労やJR総連の凋落(ちょうらく)と対比しても、それは特筆すべきものがある。
ストの課題に、「イラク戦争反対」を掲げていることも大きく評価された。アメリカやイギリスのレイバーネット(インターネットのサイト)のトップページで紹介された。
また、動労千葉は、「たたかう労働組合の全国ネットワーク」を掲げ、連合、全労連傘下を含めて現場の労働者・労働組合に労働運動の再生を訴えて、毎年の11月労働者集会を呼びかけている。アメリカのランク・アンド・ファイル(現場労働者)運動にも通ずるものがあるのだ。
さらに、動労千葉の労働運動のベースにマルクス主義があることである。動労千葉がマルクス主義を中心テーマとした労働学校を開設していることも、高い評価を得ている。
こうして、交流を深めつつ国際連帯を発展させる中に、階級的労働運動を国際的に再生させる展望が切り開かれているのである。
1047名闘争の団結と闘いの発展
この数年間の動労千葉の闘いの発展で、今ひとつ重要なのは、1047名の解雇撤回闘争の発展である。
国鉄1047名闘争は、JR採用差別事件の98年5・28反動判決から00年の「4党合意」―国労7・1臨大―01年1・27大会での「4党合意」受諾、さらに02年5・27臨大闘争弾圧などを経て、新しい局面を迎える。国労内の4党合意反対派は鉄建公団訴訟を提起し、他方で、その原告らに本部が統制処分をかけるという中で、国労・国労闘争団の分岐が決定的になる。
そうした中で、鉄建公団訴訟を軸にして、国労闘争団、全動労争議団、動労千葉争議団の三つの闘争団・争議団が団結し、本来の1047名闘争を発展させようという動きが始まる。動労千葉は、国労闘争団内の動揺や、日本共産党・全労連中央による「動労千葉排除」の策動に抗して、ねばり強く共闘を模索し続けた。何度か3闘争団・争議団がそろった集会が実現されたが、そのたびに反動が起こった。
そして、今年の7月15日には、国鉄闘争を支援し続けてきた学者・文化人らの呼びかけにより、日比谷野音に5800人が集まる集会が実現されたのである。これは1047名闘争の新たな一歩を記す画期的な集会であった。特に、呼びかけ人の中に動労千葉に寄せる期待が強いことが成功の一要因であった。
また、この集会にはイギリスの国労にあたるRMT(鉄道海運労組)の代表が参加したが、そのトニー・ドナヘイ委員長は、機関誌「RMTニュース」9月号の〈委員長のコラム〉の中で「闘いなくして安全なし」(NO FIGHT,NO SAFE
-TY)と題して、次の一文を書いている。
「日本の鉄道組合・動労千葉は、この民営化の大混乱に対してシンプルなスローガン『闘いなくして安全なし』を掲げて闘うことをきっぱりと決意した。そして彼らは、政治的反対派の壁をこえてたくさんの支持を得、明らかに勝利しつつある」
動労千葉への評価の高さを示すものである。
9・15反動判決を絶対に許さない
さて、その2カ月後の9月15日に国労闘争団の鉄建公団訴訟の判決が下された。判決は、1047名の団結と闘いの解体を狙う重大な反動判決である。国鉄が国労組合員らをJRの採用候補者名簿に登載しなかったことを不当労働行為と認定しながら、清算事業団による90年の解雇を有効としたのだ。そして「正当な評価を受けるという期待権を侵害された」として、わずか500万円の慰謝料の支払いだけを命じたのだ。
しかも、5名はそれすら拒否された。理由は「6カ月以上または2回以上の停職処分を受けた者」を名簿に登載しなかったことは合理性を有するなどの理由だ。これは明らかに、動労千葉争議団9名を切り捨てることを意図したものだ。動労千葉は、この判決を断じて認められないとして、自らの鉄建公団訴訟を闘い、解雇撤回・原職復帰を求めて闘い抜く方針だ。
1047名闘争は、この9・15反動判決をのりこえて前進することが求められている。今日の大民営化攻撃の中で、どんな不当労働行為をやろうが、わずかの金銭で「解決」できるという「労働契約法制」の先取りでもあるからだ。
11・6労働者集会は、1047名闘争も含め、戦争と民営化=労組破壊にたち向かう国際的団結を掲げた集会である。それは、9・11総選挙による小泉の大反動に唯一対決し、「1万人の怒りの声でNO!小泉」「もう我慢できない!」という集会である。ここに日本労働運動の命運がかかっている。小泉=奥田体制と闘う号砲なのだ。
連合大会会長選でUIゼンセン同盟の高木に対して3分の1の反対票が投じられたように、労働運動の分岐・流動が進んでいる。この情勢下で、日比谷野音への1万人結集をめざして、動労千葉とともに全力で闘いぬこう。
(大沢 康)
〔シリーズおわり〕
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週刊『前進』(2220号3面1)(2005/10/31)
11・6日比谷へ! 日米韓3カ国労働者の訴え
動労千葉など闘う3労組が呼びかける11・6全国労働者総決起集会は、アメリカと韓国の闘う労働者が大挙結集し、歴史的・画期的な国際連帯集会としてもたれようとしている。3カ国の労働者の訴えの核心部分を紹介します。呼びかけにこたえて、全国から総結集しよう。(動労千葉発行の『世界に翔びたとう5』より抜粋しました。編集局)
小泉超反動内閣打倒を 国鉄千葉動力車労働組合委員長 田中康宏さん
われわれは尼崎事故に対する4カ月にわたる安全運転闘争を闘いぬき、大きな勝利をかちとりました。
日本の労働者はいま暴風雨の中にいます。しかし、労働運動再生への胎動は、動と反動が逆巻く激しい分岐と流動の中からしか生まれません。一人ひとりの労働者が持つ無限の可能性、その力が団結した時に持つさらに大きな可能性に確信を持って、今こそ、戦争と民営化−労組破壊の大攻撃に立ち向かう労働者の国際的団結をつくりあげよう。
11・6労働者集会は、「9・11」(総選挙)情勢下で日本の労働者の未来を左右する位置におし上がりました。1万人の結集で、小泉超反動内閣を打倒しよう。
東京とソウルで会おう 民主労総ソウル地域本部長 コジョンファンさん
民主労総ソウル本部としては、今年の日本の11月労働者集会に、これまでとは違った形で参加したいと思っています。その軸は現場労働者同士の交流です。
ソウルから20名近い代表団を編成して参加したい。内訳は、鉄道、地下鉄、公務員、医療など各産別のソウル本部と、六つの地区協議会から代表1名ずつ。それと、律動グループ3名と労働歌手1名です。
民主労総の全国労働者大会は11月13日に行われます。35年前にチョンテイル烈士が焚(ふん)身決起した日です。日本の労働者同志たちも、ぜひ大挙して韓国の労働者大会に参加されるよう呼びかけます。11月労働者の怒り逆巻く東京とソウルで会いましょう。
世界の労働者の団結軸 アメリカ・運輸労働者連帯委員会 スティーブ・ゼルツァーさん
アメリカでは、組合を組織しようとしたとして毎年2万人の労働者が解雇されています。
いまノースウエスト航空の労働者がストライキに入っています。ストライキに入ったAMFA(航空整備士友愛組合)は整備工組合で、AFL−CIOから追い出された独立組合です。
彼ら(会社)の主要なもうけは、日本と韓国から上げられているのですから、日韓との団結が重要です。ILWUローカル10と運輸労働者連帯委員会は、すべての労働者にこのストライキを支援するための共同行動を呼びかけています。
労働者階級の権力のための闘いに世界中の労働者階級を団結させる結集軸を建設しましょう。
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週刊『前進』(2220号3面2)(2005/10/31)
「共謀罪」に反撃広がる 労働者の闘いで絶対廃案に
政府は共謀罪・サイバー弾圧法案を03年、04年に続いて3たび国会提出した。14日から衆院法務委員会で審議入りし、総選挙での小泉自民党圧勝の勢いをテコにして、小泉翼賛国会というべき今国会で成立させようとしている。重大な局面に突入した。
一部では「政府・与党は共謀罪新設を断念」「今国会成立困難に」と報道されている。この間の闘いがギリギリのところで問答無用の強行を阻み、自公与党間の矛盾をもつくりだしてきた。だが情勢は予断を許さない。たとえ特別国会で不成立の場合でも、政府は民主党を修正協議に引き込むために会期末(11月1日)ギリギリまで審議を進め、衆院での継続審議手続きをして来年通常国会での成立を狙っているのだ。
現代の治安維持法=共謀罪の制定を断じて許してはならない。労働者階級の力で絶対廃案に追い込もう。
思想・言論処罰する治安立法
共謀罪とは、4年以上の懲役・禁固にあたる619の罪について、実行しなくても会話やメール、会議だけで処罰できるというものだ。
政府・与党は、「国際テロ対策」とか「暴力団などの犯罪集団による犯罪を抑止するため」などと立法の狙いを説明している。だが、真の狙いは、労働運動や革命運動、反戦運動などに対する治安弾圧である。共謀罪は、戦前の治安維持法の復活そのものである。
共謀罪の新設は、ひとつ新たな罪種が増えるというレベルの問題ではない。組織犯罪対策法のひとつの条文を変えるだけで619もの共謀罪が新設される。犯罪の実行がなくても、またその準備行為すらなくても単なる「話し合い」や「合意」だけで処罰するというのだ。これはこれまでの日本の刑法の原則すら根本から覆すものである。思想・言論・表現の自由は完全に侵される。核心は革命党のあらゆる行動と思想の弾圧である。
これが成立すれば、たとえば労働組合の会議で、「首切り撤回まで徹夜になっても社長と交渉を続けよう」と話し合ったことが「逮捕監禁の共謀罪」に問われたり、「退職金の上積みや解決金の支払いを強く要求しよう」と話し合ったことが「恐喝の共謀罪」に問われる。とんでもない弾圧が可能になるのである。
あるいは改憲のための国民投票法の強行と結合して、改憲反対集会や改憲反対の宣伝について、話し合っただけで「国民投票法違反の共謀罪」として弾圧することが可能になる。
捜査機関が大衆運動団体や革命党にスパイを送り込めば、その組織に壊滅的弾圧を加えることもできる。情報を提供したスパイは免罪される。法案には、「自首した者はその刑を減軽し、または免除する」との規定を盛りこんでいるのだ。これは警察がスパイを使うということである。
労働者階級の力で廃案へ
自民党法務部会長の平沢勝栄(元警察庁幹部)は「外国の捜査当局と比べると、日本の捜査当局はきわめて手足が縛られ、歯ぎしりしてきた。犯罪の形態が悪質化、巧妙化、国際化するなど大きく変容する中で、共謀罪は捜査当局の新たな武器となるだろう」と公言している(10・17付「毎日」)。
実際、米英では共謀罪は労働運動・市民運動の弾圧に多用されてきた。アメリカではマフィアだけでなく労働運動を弾圧するために”おとり捜査”や盗聴を駆使してきた。日本でも共謀罪制定を機に、それを一挙に拡大しようとしている。共謀罪はそのための「捜査当局の新たな武器」だ。
労働組合や大衆運動を闘う人びと、学者、弁護士、言論・情報に携わる人びとの間に怒りと危機感が広がり、反対運動が大きく燃え上がっている。出版労連は10月13日の定期大会で「言論・出版、表現の自由を侵害する憲法改悪のための国民投票法案、共謀罪新設に反対する」という特別決議を採択した。日本ペンクラブ(井上ひさし会長)は17日、「共謀罪新設に反対し、廃案を求める声明」を発表した。闘いはこれからだ。改憲阻止闘争と一体の闘いとして取り組もう。
破防法・組対法に反対する共同行動は次の方針を提起している。全力で決起し、さらに11・6労働者集会に総結集しよう。
▲国会前1日行動(議員会館前)
10月25日(火)朝ビラ8時半〜。昼集会12〜13時。座り込み〜17時。
10月28日(金)昼ビラ12〜13時。集会13時半〜。
▲国際共同声明集会
10月25日(火)午後6時〜。弁護士会館10F。
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週刊『前進』(2220号3面3)(2005/10/31)
ビラまき不当逮捕で労組交流センターなど捜索
11・6集会への弾圧許すな
警視庁公安部は、10月12日の東京・江戸川区役所前での全国労組交流センターのビラまきに対し「公務執行妨害」をデッチあげ、Aさんを不当逮捕した(前号既報)。これに続き、このデッチあげ弾圧を口実にして、10月17日にAさんの自宅(都内)と全国労組交流センター(台東区元浅草)など、19日には前進社と都政を革新する会(杉並区上高井戸)に不当捜索を行った。また裁判所は13日、Aさんの勾留を決定した。
これらの逮捕、勾留、捜索すべてが人権侵害であり、違憲・違法行為であり、絶対に許せない暴挙だ。警視庁は直ちにAさんを釈放せよ。
あらためてはっきりさせよう。10月12日の江戸川区役所前でのAさん逮捕はまったく正当なビラまき宣伝活動に対する不当な弾圧である。「公妨」は完全なデッチあげだ。Aさんは、警官らに取り囲まれてビラまきを妨害され引き揚げたのだ。そこへ警官らが「押したな」「公務執行妨害だ」と言って襲いかかった。暴力を振るったのは私服・制服警官の方であり、Aさんはまったく無実である。
今回のビラまき弾圧は第一に、動労千葉を始めとする闘う3労組が呼びかけている11・6全国労働者総決起集会(日比谷野音)の1万人結集へ奮闘する全国労組交流センターに対する妨害、弾圧である。
デッチあげ「公妨」でビラまきを弾圧し、11・6集会結集運動を妨害するのは、警視庁がいかに11月労働者集会の成功を恐れているかを示している。11・6集会が「小泉政権打倒」「公務員労働者への攻撃をはね返そう」「民営化は首切りと戦争への道」「郵政民営化反対!」を掲げる闘う労働者の集会だからである。
前進社への捜索では、警視庁は11・6集会への結集を呼びかけるビラばかり押収した。警視庁の11・6集会成功への恐怖、集会圧殺の衝動は普通ではない。不法・不当な人権侵害、集会妨害に猛然たる怒りを爆発させ、11月6日、日比谷野音への1万人の労働者の大結集で弾圧を粉砕しよう。
今回のビラまき弾圧は第二に、日帝・小泉による「改憲反対運動はしてはいけない」という「国民投票法案」の先取り攻撃であり、地方公務員の政治活動禁止・罰則制定策動と一体の改憲攻撃そのものだ。
労働者人民は、闘いの中で、自由に意見や思想を表明する権利、それをビラで多くの人に伝える権利をかちとってきた。日本国憲法も基本的人権として、「思想及び良心の自由」「集会、結社及び言論、出版その他一切の表現の自由」を保障している。
支配階級みずからそれを踏み破る今回の弾圧は小泉政権の憲法改悪策動と戦争国家化攻撃、共謀罪導入の動きと完全に軌を一にしている。改憲攻撃を先取りするビラまき弾圧を許してはならない。
不当弾圧に対する回答は11・6集会への1万人結集だ。全力で11・6の大成功へ闘おう。
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週刊『前進』(2220号3面4)(2005/10/31)
“辺野古に基地は造らせない” 10・30沖縄県民大会へ
沖縄県内10万人が少女暴行事件を基点に怒りを爆発させて総決起した1995年10・21県民総決起大会から10年、沖縄は今、米軍基地の県内たらい回し(SACO路線−96年の日米のペテン的「基地返還合意」)への怒りを爆発させ、米軍再編=トランスフォーメーションの前に立ちはだかっている。
普天間飛行場の移設先とされた名護市辺野古沖への海上基地建設は、551日(10月21日現在)の阻止闘争の結果、9月2日にボーリング調査用の海上ヤグラ4基を撤去させた。粘り強く、しぶとく続けられた海と陸での基地建設阻止行動、それに先立つ8年余の「命を守る会」のオジー、オバーの闘いが、国家権力をはねのけたのだ。97年12月の名護市民投票で示された「新たな基地は絶対に造らせない」という民意、戦争につながる一切を拒否するという沖縄人民の意志が、日米軍事同盟の新基地建設計画を決定的に追い詰めたのだ。
辺野古沖に2000b滑走路を有する軍民共用空港を建設するという現行案が人民の実力で粉砕された中で、日米帝間の対立が表面化した。日帝は「キャンプ・シュワブ陸上案」を提示したが、米帝はこれを激しく拒絶し、地元推進派や自民党沖縄県連とともに岸本建男名護市長が主張した「浅瀬・縮小案」に飛びつき「地元の案を尊重する」などと主張した。これに対して日帝は新たに「キャンプ・シュワブ沿岸案」なる折衷案を対置したが、10月29日とも言われる日米安保協議委員会(2プラス2)=日米外務・防衛担当閣僚会議を前に、「解決」のめどなどついていない。沖縄県知事・稲嶺は現行案しかないと発言、事実上「無責任」を決め込む中、18日には岸本市長が来年1月の次期市長選挙への不出馬を表明するに至った。
辺野古住民は、とりわけ岸本市長が基地を誘致しようとしていることに怒りを爆発させた。10月8日に開かれた名護市役所での緊急抗議集会には300人が駆けつけ、「辺野古には海にも陸にも基地は造らせない。普天間基地は無条件・即時閉鎖を。県内移設は許さない」ことを宣言した。
辺野古で反対行動を続けてきた市民らが「岸本市長に怒っている市民の会」を結成し、5日から連日、「市長に直接私たちの想いを届けよう」と「市長に会いたい!ランチタイム市役所行動」を始めた。市長室要請行動を行い、市役所前に座り込んでメッセージボードを掲げ、歌やアピールを続けている。
17日には東海岸に住む小学生が市長への手紙を読み上げた。「僕が生まれた年、市民投票が行われました。投票で『反対』と決まったのに8年たったいまも基地を作ろうとしているのはなぜですか? 僕の一生のお願いです。基地を作るのはやめてください」
11・6日比谷へ
日米協議は、陸上案にしろ、海上案にしろ、あくまで名護市東海岸・辺野古に犠牲を強いるものでしかない。結局、県内移設・辺野古強行以外の選択肢が日米帝にあるわけでない。すべては辺野古をめぐる実力攻防と労働者人民の政治的な大行動にかかっている。
10・29日米安保協から11・15ブッシュ訪日−11・16日米首脳会談をもって、米日帝は沖縄人民、全国の労働者人民の反撃をたたきつぶし、米軍の世界再編=世界戦争戦略を貫こうと狙っている。沖縄人民・全労働者人民と、日米帝国主義との激突は不可避だ。在韓米軍基地返還を掲げて闘う韓国でもブッシュ訪韓阻止、釜山APEC粉砕闘争で迎え撃とうとしている。沖縄−韓国、そして日本、アメリカの労働者人民の共同闘争が今ほど求められている時はない。
県民会議が呼びかける「10・30辺野古等基地の県内移設に反対する県民総決起大会」【10月30日(日)午後4時、那覇市与儀公園】に大結集し、普天間即時返還・名護新基地建設阻止へ新たな闘いに踏み出そう。さらに10・30から11・6東京・日比谷に大挙して結集しよう。今こそ、日米韓労働者の共通の敵=ブッシュ・小泉打倒に立とう。
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週刊『前進』(2220号3面5)(2005/10/31)
電機労働者の11・6アピール
労働者こそ社会の主人公 命脈つきた帝国主義打倒を
国木田太郎
9・11総選挙の結果、小泉=奥田路線による戦争と大失業、民営化と労組破壊の攻撃がいっそう激しく私たち労働者に襲いかかり、労働者と資本家の二大階級が死活を争う、緊迫した階級情勢を迎えている。
とりわけ、郵政職場への民営化攻撃強行は、あらゆる労働者に対する攻撃であり、郵政労働者を先頭にした私たちの決起が、待ったなしに求められている。
国会を通過した郵政民営化法による大攻撃を、労働者の総反撃でたたきつぶすため、労働運動の国際連帯をさらに発展させるために反合・運転保安闘争を貫く動労千葉を始めとする闘う3労組の呼びかけにこたえ、私たち労働者の万余の結集で、11・6労働者集会を大成功させよう!
職場状況が一変
電機労働者は、バブル経済の崩壊以降、経営者による激しい攻撃に日々さらされている。経営者同士の世界的規模の競争のもと、産業内外の弱肉強食による会社の危機的な状況がますます強まっているためだ。
そのような中、私たちの置かれた状況や職場は大きく様変わりしている。事業構造改革と称し、工場丸ごとの大規模な異動や、定年前の退職者募集は今や珍しくない。さらに人件費抑制や会社業績悪化を理由にベアゼロは大手を振り、定期昇給の凍結・廃止や賃金引き下げも行われている。
生産現場では、派遣労働者、請負労働者が大半となり、現場責任者は毎日の人員シフトのやり繰りに苦労している。製造技術力の低下はもちろん、製造技術の伝承といった将来的な視点でも多くの不安があげられている。
一方、事務職、技術職といった職場でも、労働強化は進んでいる。女性事務職の採用は大幅に減っている。営業や技術職の長時間労働化・休日出勤強制はいっそう進み、「サービス残業」が常態化している。多くの職場で有給休暇取得日数が減少している。
高まる雇用不安
このような状況に対して電機労働者の不安、不満は高まっている。2004年度の電機連合「生活実態調査結果」では、「転居を伴う転勤に対する不安」に対し、男性既婚者全体の6割以上が不安を感じている。
また「今後2〜3年に自分が失業することへの不安」についても全体の6割が不安を感じており、年代別の結果では、年齢が上がるとともにその不安は高くなり、20歳代で約5割の結果が、40歳代後半では約7割、50歳以上では7割以上と多くの労働者が雇用不安を訴えている。
また家計収支感の設問では、「貯金の取り崩し等でやりくり」「収支トントン」合わせて、30歳代までは5割台だが、40歳以上ではすべての年代で7割を超えている。私たち62万人の電機連合傘下の労働者の置かれた現状への不安と不満、それに対する怒りの大きさが分かる。
闘い放棄許さず
ところが許しがたいことに電機連合中央は、経営の危機的な状況を助けるためと称して、4年連続、春闘でベア要求を放棄している。電機連合が賃金政策として掲げる「職種別賃金」と、多くの組合ですでに導入あるいは導入が検討されている「成果主義賃金への移行」は、単一組合の中に、労働者間での賃金差別と、個々の労働者への労働強化を持ち込むものだ。これを認めることは、労働組合として一番重要な団結力を弱め、組合を破壊することにつながる絶対に行ってはならない自殺行為だ。
この間も大手の松下電器、三洋電機などはリストラ=首切り策を次々に発表しているが、電機連合中央も当該の労働組合も、何ら雇用維持のための抵抗運動を組まない。組合員の怒りは行き場を失い、大きな失望へとつながっている。
10月5−6日の連合大会で事務局長になった古賀電機連合委員長は、極右で徴兵論者の高木新会長とともに連合全体を改憲勢力に転向させようとしている。絶対に許せない。
このままでは、労働組合が完全に無力化・形骸化し、その結果、労働者は一人ひとり分断され、会社に意見、不満を言うことすらできなくなる。帝国主義はもはや私たちを食わせていけず、死の苦悶(くもん)にあえいでおり、危機打開のためには再び世界戦争さえ行おうとしている。
一見すると、小泉=奥田路線のもと、憲法改悪策動が進行し、ファシスト国家化の中で労働組合が大政翼賛勢力と化し、私たち労働者、学生が戦場へ強制的に送られる戦争国家への道を、今刻々と歩んでいるかのように見える。
だが私たち労働者は、国家、資本のなすがままに労働力を搾取され、思想的な屈服を強制され、最後は命までも使い捨てにされる惨めな存在なのだろうか。断じて否である。
私たち労働者こそ社会の主人公である。私たちがひとたび職場でストライキ闘争に打って出るならば、一つの製品すら生産することも運ぶことも売ることもできず、会社はまったく機能しない。私たちが働かない限り、いくらお金を積んでも、少しの価値も生まないのだ。
この命脈の尽きかけた帝国主義を、今こそ打倒しよう。電機連合中央などの既成の組合指導部の労資一体、資本への屈服路線を打ち破り、階級的・戦闘的な労働運動の再生をめざそう。私たち電機労働者が力いっぱい決起し、一人でも多くの職場、地域の労働者を伴い11・6労働者集会へ結集することで、この襲いかかる危機的な情勢は必ず打開できると確信する。
すべての労働者、学生の皆さんに訴えます。ぜひとも多くの労働者、学生の結集を実現し、11・6労働者集会を大成功させようではありませんか!
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週刊『前進』(2220号3面6)(2005/10/31)
10・4〜10・14
連合大会極右の高木に1/3の批判票
郵政民営化法が成立/「労働組合が必要」が63%に
●5年間で国家公務員3万3000人削減 政府は閣議で、06年度から09年度までの間に国家公務員(自衛官を除く)を2万7681人削減する「定員合理化計画」を決定。削減数には今後見込まれる増員分を含んでおらず、政府は増員分を差し引いた05年度からの純減目標を11月にも策定予定。(4日)
●大阪府教委も給与に勤務評価を導入 大阪府教委は06年度から、府内の公立学校の全教職員を対象に、勤務評価を給与に反映させる方針を決めた。東京都教委に次いで全国で2例目。(4日)
●連合新会長に極右の高木 連合は5日から都内で開いた定期大会で、笹森会長の退任に伴う会長選を行い、第5代会長にUIゼンセン同盟の高木会長を選出。全国コミュニティ・ユニオン連合会の鴨桃代会長も立候補し107票を獲得、白票も39票。高木の323票に対して1/3が反対を表明。会長代行には日教組の森越委員長、事務局長には電機連合の古賀委員長が選出された。民主党代表・前原は、高木就任に関し「意見が違う時には是々非々という路線を理解してもらいたい」と”脱・労組依存”路線を強調した。(6日)
●自民党・武部、連合会長に関係強化を提案 自民党の武部幹事長は、連合の高木新会長と会談し、「自民党の主張していることと(連合の主張は)変わりない。(民主党ではなく)自民党と話し合った方が早い」と述べ、関係強化を提案した。(11日)
●「労働契約法制への基本的考え方」を発表/日本経団連 日本経団連は「労働契約法制に対する使用者側の基本的考え方」を発表。解雇の金銭解決制度やホワイトカラーエグゼンプション(ホワイトカラーへの労働時間規制の適用除外)早期導入を求めるとともに、契約法制が企業を規制することは阻止すると述べている。(13日)
●民主党、国家公務員賃下げ法案を国会提出 民主党は、現行の人事院勧告制度の官民給与水準の比較方法を見直し、官民格差是正の徹底を図ると称して、国家公務員の賃下げが目的の国家公務員法改正案を衆院に提出した。党内に反対論も相次いでいる。(14日)
●JPUが郵政民営化法成立に屈服の記者会見 郵政民営化法が参議院本会議で可決・成立した。これを受け、JPUと全郵政で構成する「郵政事業に関する労組政策協議会」は記者会見を行い、「今後は民営化法で定められたスキーム(計画)に基づいて具体的な制度設計やビジネスモデルの検討が行われていく」と、郵政民営化法へ完全屈服を表明した。(14日)
●「労働組合が必要」は63% 厚生労働省は04年労使コミュニケーション調査の結果を発表した。(14日)=要旨別掲
「04年労使コミュニケーション調査結果」要旨
・労働組合の加入状況
「加入している」 41.8%
(一般労働者44.8%、パート8.5%)
「加入していない」 58.2%
・労働組合の必要度
「是非必要である」 26.9%
「どちらかといえば必要」36.1%
「どちらとも言えない」 25.2%
「必要ない」 11.7%
・労働組合への期待
「労働者の意見の代弁」 73.5%
「各種要求の獲得」 42.0%
・不平・不満の申し立て
「申し立てたことがある」13.7%
「申し立てたことがない」86.3%
・不平・不満の申し立て方法
「直接上司へ」 77.8%
「組合を通じて」 15.1%
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週刊『前進』(2220号4面1)(2005/10/31)
9条破棄・戦後民主主義解体し戦争へと進む自民党新憲法草案
11・6大結集で小泉を打倒しよう
はじめに
05年11・6労働者集会の1万人大結集を、4大産別決戦と改憲阻止決戦をしっかり結合し一体化して闘いとらなければならない。
11・6を頂点とするこの秋から年末にかけての過程は、郵政民営化法案の強行突破を基軸に、公務員(制度)への激しい攻撃が、全逓・自治体・教労・国鉄の4大産別全体への「戦争と民営化」攻撃として展開されていく過程である。これと同時に、イラク侵略戦争への参戦、米軍再編(トランスフォーメーション)などによる米帝ブッシュの世界戦争計画への協力・加担という、現実の戦争への参戦攻撃がますます激化していく。
こうした中で日帝は、9・11総選挙での小泉による政治クーデターをテコに、ついにこの秋を期して改憲に向かっての本格的な攻撃を開始した。
特別国会冒頭の9月22日には、早くも衆議院に憲法調査特別委員会が設置された。改憲のための国民投票法案を早期に作成し、国会で成立させるための特別委である。特別委というのは、一定のテーマで、それが法的に制定されるまで継続する委員会である。しかもこの特別委の設置については、ジグザグがありながら、民主党の前原体制が成立した途端に、自公民3党の合意によって一気に行われた。
重要なことは、すでに2001年、自民・民主両党など超党派の改憲派議員でつくる憲法調査推進議員連盟(改憲議連)によって、国民投票法案の草案が作成されていることである。前原はこの議連のメンバーである。この国民投票法案が成立すれば、いつでも改憲を現実に発議できることになる。実際にはこの国民投票法案をめぐる過程は、ほとんど同時に、改憲の内容上の攻撃が一挙に具体化してくる過程となる。
こうした中で、自民党は10月28日に自民党としての新憲法草案を最終的に確定したものを発表し、11月22日の結党50周年の党大会で正式に採択しようとしている。この草案の内容は、すでに第1次案と第2次案が出されているが、日本経団連が05年1月18日に発表した改憲提言の内容とほぼ百パーセント一致したものとなっている。草案の作成過程で小泉・自民党と日本経団連・奥田の間ですり合わせが行われ、意見の一致を見たことは明らかである。その意味では、この草案の方向で日帝支配階級の階級意志がほぼ確定していることは間違いない。
これは連合の「7・14国の基本問題に関する見解案」として明らかになった、05年10月連合大会への改憲方針提起の策動(いったん粉砕されたが)とも通底している。また、民主党が前原体制のもとでの改憲方針の貫徹をめぐって、05年から06年にかけ、すさまじい激烈な分裂と解体をかけた党内闘争に突入することは不可避である。
ここでは、自民党の新憲法草案について、その徹底した暴露と批判をしていきたい。なお、改憲攻撃の全体像と憲法問題に関する基本的な階級的視点については、今秋、前進社から発刊された『改憲攻撃と労働者階級』(坂本千秋・野沢道夫・大谷一夫著、2200円)をぜひ参照していただきたい。
第1章 現憲法を丸ごと焼き払い破棄し新憲法づくり狙う
10月12日、自民党の新憲法起草委員会(委員長=森前首相)は新憲法草案の第2次案を発表した。これは、今年8月1日に発表された第1次案に部分的な追加と修正を行ったものである。自民党はこの第2次案に、さらに憲法前文の書き換えなどを加えて、10月28日には最終案を完成して発表する予定である。だがその基本線は、すでに8・1案(第1次案)の段階でほぼ出されていると言っていい。
朝日新聞などマスコミは、この第1次案が憲法第9条と第96条(改正条項)以外はおおむね現行憲法に重大な変更を加えるものではないかのように解説してきた。しかしこれはとんでもない誤りだ。日帝にとっては、第9条の破棄こそが目下の火急で切迫した絶対的な階級的必要としてあり、他のことは先送りしてもまずここで突破するということである。しかも第96条を根本的に改変して、今後はいつでもたやすく改憲できるようにすることで、第二、第三のより反動的な改憲への道は担保されているのだ。
逆に自民党草案では、憲法9条については現行憲法の徹底的な破壊・破棄、一木一草残らずの焼き払いを行っている。また第96条の改正条項は、実際には隠れた第9条とも言うべきもので、めったなことでは9条を改正できないようにしているという側面をもっているのだ。この第96条でも、草案はやはり徹底的な破壊・破棄・焼き払いという百パーセントの反革命を実行している。
さらに、草案全体でも、外見上は現憲法を踏襲すると見せかけて、実際の内容は徹底的に転覆するということが重要なポイントではすべて貫かれているのだ。
憲法の基本原理自体が根本的に変えられているのだ。「憲法改正」などというものではなく、現憲法破棄・新憲法制定そのものだ。だからこそ自民党草案は自ら「新憲法草案」と称しているのである。
この点で決定的なのは、憲法前文が丸ごと書き換えられることである。前文については最後まで検討事項として残り、第1次案にも第2次案にも含まれていないが、その原案は、天皇制イデオロギーと「戦争のできる国家の憲法」という精神を強力に、濃厚に押し出すものとなっている。
そこでは「日本国民は……天皇を国民統合の象徴として古(いにしえ)より戴(いただ)き、和を尊び……独自の伝統と文化を作り伝え多くの試練を乗り越えて発展してきた」と、天皇を国家の中心に真っ向からすえて、その日本の「歴史・文化・伝統」「国柄」を冒頭からゴリゴリと押し出している。その代わりに、現行憲法の前文の戦争否定、主権在民、基本的人権と民主主義の要素はすべてざっくりと削除されているのである。
ここで押さえておきたいことは、今回の自民党草案は、天皇についての条文は形式的には現行憲法と同じとされているが、実際には正面から天皇制の存続と重要視(神聖視)をあらためて人民(「国民」)に問うものであって、日本が天皇制と天皇制イデオロギーを「戴く」国家であることの是か非かを問うものでもあるということだ。のちに若干言及するように、戦後革命において、また、戦後の階級闘争史全体の中で、日本の労働者階級が天皇問題を真っ向から対象としてすえきれず、やりすごしたり、すりぬけたりしてきたことの否定面はやはり大きなものがある。「つくる会」などのファシスト勢力との対決を軸に、全面的にのりこえなければならない課題なのである。
第2章 「自衛」の名による軍隊の保有と対外戦争の合法化
次に、最大の核心である憲法第9条の破棄・破壊について具体的に見ていこう。
自民党草案の第2章は「安全保障」というタイトルになっていて、現行憲法の「戦争の放棄」を真っ向から否定している。草案の第9条は以下の三つから成っている。
第9条【安全保障と平和主義】(=9条の一に当たる)
9条の二【自衛軍】
9条の三【自衛軍の統制】
「平和の理念」は戦争の理念
自民党案の第9条(9条の一)は、現行憲法の「平和主義の理念」を引き継ぐなどという解説が行われている。しかし、まずこれ自身がとんでもないすりかえである。現行憲法の第9条@項は、単に平和主義の理念をうたっているものではない。現実の国際関係の中で、実際に日本という国が戦争や武力行使を「永久に放棄する」と言っているのだ。日本の実際のあり方を定めている規定なのだ。だからこそ、現行憲法第9条のA項は、「前項の目的」を達するため、戦力の不保持と交戦権の否認を規定しているのだ。
ところが自民党案ではこれを、国家が有する「平和主義の理念」とか、「国際平和を誠実に希求する……理念」などとすりかえてしまっている。これでは国家の実際のあり方をなんら規定しない。それどころか、彼らの言う理念も内容が百八十度違ったものでしかない。実際には武装していて、さらに戦争をしたとしても、国家の理念は実は平和を志向しているのだ――こういうたぐいの理念だ。これはブッシュやブレアだって、さかんにのたまっている理念だ。帝国主義的軍事力で全身武装し、民族解放闘争などを世界平和に対するテロ的挑戦だなどといって戦争的に圧殺し、ねじ伏せ、帝国主義の支配の中でおとなしくさせる。これが彼らの言う平和であり、平和の理念なのだ。
だから、自民党案の「第9条(9条の一)」の2では、「前項の理念を踏まえ」(「前項の目的を達成するために」とは大いに違う!)、「国際紛争を解決する手段として」は「戦争」や「武力行使」を「永久に行わないこととする」などとしているのだ。ここでは戦争のできる巨大な軍事力をもった国家が堂々と措定されている。
しかも「国際紛争を解決する手段としては」などという得手勝手な条件を付与している。彼らにとっては自衛戦争は国際紛争ではないのだ。また、国連決議や「国際協調」という名の多国籍軍形成のもとで行われる戦争は「国際紛争」ではないのだ。しかし、これまでのどんな戦争も、明々白々な侵略戦争でさえも、「自衛のための戦争」と主張されなかったものはない。戦前の日帝やナチス・ドイツが掲げた「生命線」論も、侵略戦争を国家にとって生死のかかった「やむを得ざる自己防衛」として位置づけられるものだったのだ。
実際、今日、「つくる会」派の連中は、日清戦争・日露戦争も自衛戦争と言い、そして何より第2次世界大戦(太平洋戦争)自体をABCD包囲網に対する自衛戦争と平然と言っているではないか!
自民党案「第9条(9条の一)」の3はなんと、この「平和の理念」なるものを世界に広げていくものと規定されている。つまり、「国際社会の平和」のために「国際的に協調して行われる活動(これは戦争のことだ)に積極的に寄与するものとする」などとしている。つまり、自民党案が言う「平和の理念」とは、91年1・17のイラク侵略戦争や今日のイラク侵略戦争などに積極的に加担することで、その理念を広めていくといったタイプのものなのである。
なぜ戦争を放棄したのか
自民党案の「第9条の二」においては、こうした「平和の理念」と称する戦争の理念に基づき、現行憲法の第9条の@項もA項も真っ向から否定した規定を昂然(こうぜん)と打ち出している。すなわち、自民党案の「第9条の二」はその1で、「侵略から我が国を防衛し、国家の平和及び独立並びに国民の安全を確保するため、自衛軍を保持する」としている。
革共同は、労働者階級の先頭に立って、ここで当然の自明の真理のように打ち出されている国家の自衛権とか、そのための自衛軍とかについて、真っ向から反撃し、批判し、粉砕しなければならない。そもそも国家一般を設定して、外敵の侵略なるものも何か得体の知れないものとして設定して議論を進めていくやり方に、実は大きなペテンが潜んでいるのだ。
なぜ1946年制定の現行憲法の第9条で日本が戦争放棄を宣言したのか。それは日本が明治期から15年戦争、第2次世界大戦に至る過程で、帝国主義国家(大日本帝国!)としてアジアへの侵略と侵略戦争を行い、ついにはアメリカとの帝国主義間戦争にまで突き進んだこと、最後には中国・朝鮮などの人民の民族解放闘争によって打ち破られ、アメリカに決定的に敗北したことが基底にある。そして、アジア人民の日帝へのすさまじい怒りの爆発と、さらに帝国主義戦争に加担者として動員された上に自らも大量に死を強制された日本の労働者人民の怒りの爆発が戦後革命となって発展することを恐れた日米帝国主義により、第9条の戦争放棄が先制的予防反革命として憲法の中に盛り込まれたというのが歴史の真実だ。
さらに言えば、当時のマッカーサー・GHQ当局や日帝政府・吉田らは、戦後革命をのりきるためには天皇制の護持が不可欠と考え、東京裁判での天皇の戦争責任の免除を狙い、予想されるアジア太平洋諸国人民の怒りをかわすために、憲法第9条による戦争放棄をうたい上げることを決めたのである。
もちろん、戦後の革命の恐怖が去ったと見るや、米帝も日帝も〈9条〉を桎梏(しっこく)とし、さまざまに改正を追求したし、憲法のデタラメな解釈を破廉恥に行いつつ、自衛隊の創設とその増強へと突き進んでいった。
しかし、〈9条〉は労働者階級にとってみれば、戦後の革命を鎮めるテコとして登場したとしても、日帝が戦後的に立ち直っていく中では、日帝が再び侵略戦争を大っぴらに遂行することを阻止する法的武器となったのである。また、日帝ブルジョアジー自体にとっても、日米安保体制によって軍事体制を維持しつつ、しかし、自前の軍隊については〈9条〉の歯止めによって対外侵略の武器としては一定の制動がかかっていることが、戦後的な世界=アジア諸国との経済関係などを発展させていく上で一定の条件を与えるものとなったのである。
このように、現行憲法第9条の背後には、実は戦前から第2次世界大戦に至る日本帝国主義の侵略戦争があり、これへのアジア人民と日本の労働者人民の、日帝の再軍備とアジア侵略は絶対に再びさせてはならないという怒りと要求があったのである。
したがって、自民党新憲法草案の「我が国」「国家」「侵略」「防衛」などの言葉についても、現実の世界史と日本史に即して階級的現実的に見なければならない。「我が国」とか「国家」とか言っているが、そういう一般的抽象的なものは実は存在しないのだ。実際に今日の世界に存在するのは帝国主義国家と被抑圧国家(民族)なのだ。また、現代世界は、帝国主義とスターリン主義の戦後体制が崩壊し、帝国主義が主動軸となり、そのもとで崩壊したスターリン主義国家や残存スターリン主義国家(中国・北朝鮮など)が世界体制に組み込まれているものとしてあるのだ。その中に日本は帝国主義国家として存在している。だから、侵略なども一般的なものとしては論じられない。基本的には、アジアで言えば、米帝・日帝こそが決定的な侵略国家なのだ。
今ひとつ重要なことは、「我が国」「国家」と言っても、超階級的な国家、階級を本当に超越した国家などというものは存在しない。国家と言い民族と言っても、決定的に階級的に分裂しているのだ。国家はブルジョア階級、今日的には帝国主義的ブルジョアジーが労働者階級をねじ伏せるためのものとして存在し、国家は日帝ブルジョアジーの利害に従って行動しているのである。帝国主義は戦前・戦後をとおして、あたかも〈国民〉全体の利害を代表し、それを守るかのようにイデオロギー的に民族主義やナショナリズムをあおり立ててきたが、実は帝国主義の利益のために〈国家〉の名で〈国民〉=実は労働者階級を動員していたにすぎないのだ。
戦前から1945年の敗戦に至る過程で、このことはいやというほど明らかになった。日本の労働者人民は、帝国主義のための戦争を自らも含む〈国〉のための戦争と思い込まされ、アジア人民を殺すという行動に駆り立てられたのだ。しかし、それは実は帝国主義のための不正義の侵略戦争だったのだ。だからこそさんざんに反撃され、自らも本当に犬死にでしかない死を強制されたのだ。
また、同じ侵略者の米帝と日帝の戦争の中で労働者同士の殺し合いを強制された。ヒロシマ・ナガサキも強制された。われわれは日本帝国主義こそ侵略の源泉だと断言する。それは米日帝がイラクでやっていることを見ても明らかだ。
だから、憲法第9条が日本の軍備と戦争をすべて否定しているのはむしろ喜ぶべきことであったのである。国家には自然権として自衛権があるとか、だから自衛隊が必要だというようなことは断じて認められない。侵略の源泉である日帝を打倒するためには、日帝の軍隊など弱体であればあるほどいい。労働者階級にとっては、ない方がいいのだ。
このような考察の上に立って、今一度、歴史的視野に立ち、現実の内外情勢の中で9条改憲問題を考えてみよう。するとはっきりしてくることは、自民党案の「第9条の二」は、まさに〈自衛〉に名を借りて対外戦争のできる軍隊をなんとしても持つことを狙っているということだ。
この間、91年の第1次イラク侵略戦争で金だけ出しても国際的にはなんら評価されなかった、血を流してこそ発言権が得られると言われ続けてきた。そして、小泉内閣はアフガニスタン侵略戦争に参戦し、イラク侵略戦争に参戦してきた。今や世界の帝国主義(大国)は国家間で激しい石油・天然資源の争奪戦を繰り広げている。世界市場をめぐる帝国主義間の死闘戦が相互のつぶしあいとして遂行されている。
一言でいえば、今や日本は自前で対外侵略戦争をしないと帝国主義としてやっていけなくなっているのだ。これこそが自民党案「第9条の二」の1への「自衛軍」の明記の理由なのだ。自衛権というのはいくらでも〈のびる〉。個別自衛権は集団自衛権にいくらでも変貌(へんぼう)できる。要するに自衛軍というのは帝国主義の国防軍なのだ。
それは、自衛権一般のペテンで人びとをだまし、対外侵略戦争をやるための自衛軍=国防軍を建設しようとする条文以外の何ものでもない。このことが自民党案「第9条の二」の2で明記されている。
「自衛軍」は「国際社会の平和と安全の確保のために国際的に協調して行われる活動……を行うことができる」
ここで重要なのは、自衛権=自衛軍として規定された軍隊をいわばテコとして、自衛権概念をはるかに超えて「国際社会の平和と安全」などというとてつもない広い概念を法制化していることである。しかも「国際的協調」という、きわめてあいまいでどこまでも拡張できる枠組みさえ設定すれば、世界中どこの地点へも自衛軍を派遣できるのである。このように、自民党案「第9条の二」の1と2を合わせると、どんな形の対外侵略戦争をも日帝は遂行できるということである。
自民党案「第9条の三」は「自衛軍の指揮監督」は「内閣総理大臣に属する」というものである。再び大規模な侵略戦争、帝国主義戦争を実際に遂行するために、軍隊の最高指揮権に関する規定が憲法に必要とされているのである。
改憲を容易にする96条改悪
次に、とてつもない大攻撃としてある憲法第96条の改悪について見てみよう。自民党案ではこの条文は、 「第96条 この憲法の改正は、衆議院又は参議院の議員の発議に基づき、各議院の総議員の過半数の賛成で国会が議決し、国民に提案してその承認を経なければならない。この承認には、特別の国民投票において、その過半数の賛成を必要とする」となっている。
これは大変な大改悪である。この改悪がいったん成立すれば、憲法は一般の法律と何ひとつ変わらないものとなる。両院での過半数でいくらでも可決できる。しかもよく見ると、発議自体がとてつもなく簡単にできるようになっている。現行憲法では発議自体が各議院(つまり衆議院でも参議院でも)の総議員の3分の2以上の賛成がないとできないとされている。しかし自民党案の「第96条」では、国会議員であれば誰でも発議できる。そして衆参両院の審議にかけられるのである。つまり、改憲の議論をいつでも、いくらでもできる状態に国会自体がたたき込まれる。
この第96条問題は、国民投票のあり方の問題と密接に結びついている。自民党が国会に提出しようとしている「国民投票法案」は、広範な政治活動規制とメディア規制を盛り込むことによって改憲反対の声を一切上げられない状態に人民をたたき込むものだ。これと第96条改悪が結合すれば、改憲を阻む壁などなくなるに等しい。
要するに、自民党案の「第96条」が意味するものは、もはや憲法が憲法として国家と国家権力を規定し規制する存在ではなくなり、国家権力・行政権力がボナパルティックな指導者のもとで、憲法とその改正行為をも自在に利用し操って国家を統治する体制へと移行するということだ。天皇制的強権的統治形態(天皇制ボナパルティズム)への移行も、この改悪憲法下でなら一挙に進むことが可能であろう。改悪した「第9条の一、二、三」自体も自在に変更されていくであろう。
第3章 民主主義圧殺へ古色蒼然たる姿をむきだす天皇制
自民党が天皇制の条項について元首規定などは避け、基本的に現行憲法と同じとしている(実はこれ自体うそだが)ことに、安易に屈服してはならない。
まず何よりも、〈主権在民〉〈基本的人権〉〈法のもとの平等〉などと言っても、現行憲法に続いて新憲法草案の第1章が再び「天皇」で始まっていること自体、しかもそれがほとんど議論の余地のないこととされていること自体が、本来許せないことなのだ。
その上で第一に、自民党草案の「第1章 天皇」のところも、よく見ると第1条に重大な変更が加えられている。現行憲法の場合、六法全書などでは第1条の見出しを「天皇の地位、国民主権」としているのが一般的だが(注)、自民党案は「天皇」としか書いていない。これは一見小さいことのようだが、実は天皇の地位との関係で国民主権が意識的に削除されているということにほかならない。
現行憲法では、国民主権(本質的には人民主権)がまずあって、そのもとで天皇の地位が決まってくるとなっている。ところが自民党案の見出しでは、天皇の地位は「国民の総意に基づく」と言っても、明らかに国民主権から離れて国民の上にそびえる象徴というニュアンスを強める。
第二に、明治から第2次世界大戦にかけて天皇制と天皇が果たした帝国主義侵略戦争の最大の責任者、張本人という問題である。現在の天皇も、明治・大正・昭和の天皇を美化し肯定し継承している。日帝政府の内外でのあらゆる悪行を肯定し、鼓吹している。
第三に、基本的人権・主権在民・法のもとの平等などの民主主義の基本理念と天皇の存在は真っ向から対立する。一切の封建的・身分制的な特権から人間が完全に解き放たれ、人間が人間という権原で個人として尊重されるという理念(イデー)なしに、民主主義は根本的に成り立たない。フランス革命は、まさにこれをやりぬいたことで全人類の歴史を大きく塗り替え、民主主義を地上に到来させたのだ。
したがって第2条の、皇位は世襲のもので皇室典範の定めるところにより継承される(すなわち男系男子)などという規定は、特定の個人(天皇)や家族(皇室)に驚くべき特権を与える、基本的人権とか平等とかの基本理念を百万遍も踏みつけるものでしかない。こんなデタラメがまかり通る限り、憲法に規定するあらゆる民主的条項は最も核心的なところで、真の人間的権原に属する不可侵のものではなくなる。
そこでは、ブルジョア民主主義が持っている形式民主主義性が、実質的な階級的・階層的な差別・抑圧の前に自由自在に踏みにじられるものとなる。天皇と天皇制を民主主義を踏みつけてそびえ立つ存在として認めることを許すなら、憲法で与えられた基本的人権の享有(第11条)、個人の尊重(第13条)、法のもとの平等(第14条)、思想の自由(第19条)、信教の自由(第20条)、集会・結社・言論・表現の自由(第21条)、居住・移転・職業選択の自由(第22条)、学問の自由(第23条)、家族生活における個人の尊厳と両性の平等(第24条)などは、その根本的な価値の核心において蹂躙(じゅうりん)されてしまう。
第四に、自民党案は、条文の位置や組み立てを巧みにいじることで、天皇の国事行為にかかわる一切の権能が内閣の助言と承認のもとにあることや純粋に形式的権能であることについて塗り隠している。天皇が大切な国事を行う存在であることを最大限アピールするように改竄(かいざん)している。
例えば、現行憲法の第3条は、天皇の国事行為における内閣の助言と承認の決定的重要性を強調している条文だが、なんと自民党案はこの第3条を廃止してしまって、第6条の4項と5項に追いやっている。また現行憲法の第4条には普通「天皇の権能の限界、天皇の国事行為の委任」というタイトルがつけられているが、これが自民党案では単に「天皇の権能」となっている。これも「限界」という厳粛な文言を意図的に抹殺しているのだ。要するに、あらゆる形で天皇の地位や権能を自立的で大きなものに見せようと(しようと)懸命になっている。
第五に、その上であらためて、天皇の任命権や国事行為というものがありとあらゆる国家的重大事項に関して存在することには驚くばかりだ。国家のあらゆる重大事項はすべて、形式行為の形こそとっているが、天皇が任命したり公示したりすることになっている。現行憲法自体がとんでもない天皇制規定で覆われているということだ。自民党案はその上に全力を挙げて、天皇の地位や権能が天皇に固有の自立的なものであるかのようにもっていこうとしている。天皇の元首規定への過渡的綱領として今回の新憲法草案があることは明らかだ。
「万世一系」論の八木と奥田
第六に、再び第2条の皇位の継承問題について。女性天皇・女系天皇を認めるか否かをめぐって「皇室典範に関する有識者会議」がすでに積み重ねられ、小泉政権は今秋の意見集約と来年通常国会への皇室典範の改正法案提出を準備している。注目すべきは、日本経団連の奥田がここに参加して活発に動いていることである。しかもこの会議には、「つくる会」会長の八木秀次が「意見聴取」の召喚に応じて、「男系男子以外は絶対に認めるべきでない、神武天皇以来の男系遺伝子を絶ち切るな」などとぶちまくっているのだ。
八木は男系男子を維持する方法として、戦後になって皇籍を離脱した旧皇族の復帰(旧宮家の再興)を提案している。そして経団連・奥田もまた、「天皇家は世界で唯一男系でつないできた珍しい家系」「女系にすることは世界で唯一の家系を切ってしまうことになる」と福岡県での講演で述べている。日帝ブルジョアジーを代表する人格が八木と同じ「万世一系」の天皇制論者であることを断じて看過してはならない。
「有識者会議」の結論は女性天皇・女系天皇を容認する方向だと報道されているが、これは「男系男子」論への激烈な志向と矛盾しない。むしろイデオロギーはあくまで「男系男子」だが、現実に皇位継承者がゼロになる危険があるという事態を前に、女性でも何でもかまわない、ひとまず天皇家の血筋がつながればいいとしよう、ということである。天皇制をなんとしても維持しようと、支配階級が超反動的に執着していることが示されたのだ。
皇位継承問題をめぐるこのような動きを見る時、天皇制と天皇制イデオロギーが古色蒼然(そうぜん)の姿をむきだしにして戦後民主主義に襲いかかり、根本から覆すテコとして働き続けていることを、われわれは今こそ直視すべきである。
天皇家という特別の家族を天まで祭り上げる天皇制攻撃(民主主義的諸権利=労働者運動=革命運動への圧殺攻撃)が05〜06年の反動過程の一連の動きの一環として登場してくることをはっきりさせ、改憲阻止闘争の一環として、強力にこれに反撃しなければならない。
第4章 「国家・公共」ふりかざし人民の自由と権利を侵害
自民党草案の第3章は「国民の権利及び義務」であるが、ここで実際には現行憲法の重要な諸条項の根底的な転覆が行われている。現行憲法と比較してみれば、その差異がきわめて大きいことが分かる。
第11条は「基本的人権の享有」のタイトルを含めて現行憲法と同じであるが、重大なのは第12条である。
自民党案では、「第12条(国民の責務)この憲法が国民に保障する自由及び権利は、国民の不断の努力によって、保持しなければならない。国民は、これを濫用してはならないのであって、自由及び権利には責任及び義務が伴うことを自覚しつつ、常に公益及び公の秩序に反しないように自由を享受し、権利を行使する責務を負う」となっている。
まず、条文の見出しを「国民の責務」としていることの問題である。現行憲法ではこの第12条には普通「自由・権利の保持責任とその濫用の禁止」といった見出しがつけられる。これを意識的に「国民の責務」としたことは、この条文の本質的性格にかかわるものだ。
さらに、自民党の条文には「自由を享受し」と、基本的人権の「享有」に替えて「享受」という言葉が出てくる。この両者はまるで意味が違う。享有とは、権利・能力などを生まれながらに身に受けて持っていることだ。享受は、「受けおさめて自分のものにすること」である。享有には、人間にそもそも備わっているものという強固な内在性がある。それに対して享受は、外からのものを「享受」するのである。
これは単なる日本語の問題ではない。現行憲法はフランス革命以来の基本的人権論の流れを導入している。つまり「基本的人権は侵すことのできない永久の権利」とされ、国家・政府などはこれを保障するもの、これを侵すものを許さないためのものと位置づけられるのが古典的な本来の民主主義なのだ。
だから現行憲法の第12条は、この基本的人権について「国民は不断の努力によってこれを保持しなければならない」と言っている。責任とはまず、この権利の保持責任のことを言っているのだ。その上で「濫用の禁止」を規定している。そして、権利は「公共の福祉のために利用する責任を負う」としているのだ。
この「公共の福祉」は、本来的・原理的には、基本的人権は他の人びとの基本的人権を侵さない、他の人びとの権利とともに立つものであるべきだという意を含んでいる。もちろん戦後の日帝権力・ブルジョアジーは、「公共の福祉」の「公共」を個人に対立し自立した存在としての国家・公共へと歪曲してしまい、「公共の福祉」を「国家・公共」の利益とする方向に常にねじ曲げて解釈しようとしてきた。しかし、第12条の内容それ自体の否定や破壊を意味するものではなかった。
自民党案の「第12条」はこうした現行憲法の基本的内容、その思想を根本から、正面からひっくり返すものだ。ここでは、基本的人権の貫徹のあり方としての「公共の福祉」という概念は百パーセント粉砕されている。逆に基本的人権に真っ向から対峙・対決する外的存在として、「公益及び公の秩序」というものがそれ自身で独自の価値をもって立つ存在とされている。はっきり言えば、「公益及び公の秩序」とは自立化した国家・国益ということである。しかもそれが基本的人権の上に立つ、基本的人権に優先するものとして措定されている。
国家・政府は基本的人権を保障するものとしてあるべきだというのが現行憲法の原理であるのに対し、自民党案では、国家・政府があってこそ基本的人権が与えられると百八十度ひっくり返しているのだ。そこでは、人民が「公益及び公の秩序」(=国家・公共)への責任と義務を果たすことが第一であり、一切の根源とされてしまうのだ。これは、階級国家さらには帝国主義国家(しかも危機に立つそれ)のむきだしの論理が前面に出てきて、まかり通るということである。
ボナパ体制やファシズムへ
そもそもブルジョア革命(その古典的形態)は、「基本的人権とその保障としての政府」という政治理念を掲げて遂行されるが、実は人権を有する「人間」は抽象的人間としては存在せず、階級に分裂し、ブルジョア階級の利害とプロレタリア階級の利害は非和解的に対立し、それを疎外的に止揚するものとして国家が措定される。そして、ブルジョア階級は支配的階級として国家権力を握り、国家をあたかも階級を超越した社会の全体利害を代表するもののように打ち出して、国家・政府の名のもとに人民(労働者階級)を支配するのである。
帝国主義の時代には、階級対立は革命と反革命、内戦を内在し、さらに帝国主義間の争闘と戦争が常態となる。こうした中では、国家(公共)はさらに肥大化し、自己絶対化を強める。国民は国家のために命をかけろ、国のために死んでこそ“国民”と言える、などというむきだしの国家主義、帝国主義的ナショナリズムが台頭してくる。ボナパルティズム的強権支配体制やファシズムがかま首を持ち上げてくる。自民党案は、まさにその方向に大きくかじを切るものである。
自民党案の第3章では以下、第13条(個人の尊重等)でも、第22条(職業選択等の自由)でも、第29条(財産権)でも、「公益及び公の秩序に反しない限り」という条件が厳しく付加されている。また思想の自由や集会・結社及び言論・出版など表現の自由を始め、その他一切の自由についての条項にも、この制限が原理として覆いかぶさっている。すなわち「国家・公共」を名乗った日帝権力・日帝ブルジョアジーの利害に沿って、好き勝手にこの自由を侵害する権利があることがうたわれているのである。
第20条の「信教の自由」の条項でも、現行憲法の「国及びその機関は、宗教教育その他いかなる宗教的活動もしてはならない」というB項がストレートに破壊される。「いかなる」が削られ、「社会的儀礼の範囲内にある場合を除き」という文言が挿入されて、靖国神社への公式参拝を始めあらゆる神社への参拝・寄付行為が自由化・合憲化されようとしている。
これは、「つくる会」教科書などでの天皇制イデオロギーと結びついた神道の一大宣伝や、靖国神社を肯定・賛美する一大キャンペーンと合体して、天皇制攻撃が一気に進む突破口となる。この点でも、第96条の憲法改正手続きの安易化は恐ろしい意味をもってくる。
10月12日発表の第2次案は、ここにさらに、@個人情報の保護(プライバシー権)A国の説明義務(国民の「知る権利」)B環境権C「障害者」と犯罪被害者の権利D知的財産権――の五つのいわゆる「新しい権利」を盛り込んだ。だがこれらは本質的に、労働者人民の権利の拡張とはおよそ無縁なペテンである。「知る権利」は、「国は、国政上の行為につき国民に説明する責務を負う」(第21条の2)としただけで、国家権力・行政権力に人民への情報開示を義務づけるものではまったくない。プライバシー権の新設が表現の自由を抑制する狙いを隠し持っているのと同じように、むしろ基本的人権を制限する手段ともなることを狙ったものである。
また、この間策動されていた「国防の義務」などの明文化は、いったん見送られたものの、「自由及び権利には責任及び義務が伴う」という文言を第12条に挿入することで、「国民の責務・義務」条項の今後の拡大への道を開いている。
「国会」など各章での改悪
このほかにも、第4章「国会」、第5章「内閣」、第6章「司法」、第7章「財政」、第8章「地方自治」などの各章すべてにわたって重大な改悪が行われている。詳しい内容は省略するが、最も重要な点をいくつか列挙する。
第56条。現行憲法では、国会の両議院はそれぞれその総議員の3分の1以上の出席なしには「議事を開き議決することができない」とされている。ここから「議事を開き」を削り、3分の1以下でも議会は開ける、議決の時だけ3分の1以上いればよい、と改悪した。
第64条の2として政党に関する規定を新設。政党について、「その活動の公明及び公正の確保並びにその健全な発展に努めなければならない」とし、政党の活動を国家権力の全面的な監視と統制下に置いた。
第72条。内閣総理大臣の権限について、行政各部の指揮監督とともに「その総合調整を行う」とし、総合調整権という強大な権限を新たに付与した。首相に独裁的権限を与えることに道を開くものである。
司法の章では、第76条の3として「軍事裁判所の設置」を規定。さらに第2次案では、第77条の2で、検察官だけでなく弁護士にも最高裁判所の定める規則に従うことを義務づけた。
財政の章では、第86条の2で、予算案が期限内に成立しなかった時の対処法について、自由度を拡大した。また第89条で、宗教上の組織・団体への公金の使用について、「社会的儀礼の範囲内」なら許容するとしているのは、第20条の政教分離規定の緩和と一体であり、超重大である。
さらに、地方自治の章は、文字どおりの全面的改悪となっている。現行憲法が地方自治に国家行政からも独立したきわめて重要な価値を置いているのとは逆に、地方自治をあくまで国家行政のもとに置いて、「地域における住民に身近な行政を自主的に実施する」といった内容に切り縮めている。
「地方自治の本旨」として戦後明確にされたことは、地方の行政や立法はその地域の住民の意思に基づいて行われる(住民自治)という原理を基礎に、地方行政において国から独立した法人格を有する地方公共団体の存立を認め、その団体が自主的自律的に地方行政を処理する(団体自治)ということである。国の下位単位としての地方自治体という戦前のあり方を否定して、地方公共団体・住民が一定の“自己権力”として振る舞うことが想定されたのである。自民党案はこれを真っ向から変更しようとしているのだ。
特に、現行憲法第95条の住民投票の規定を完全削除していることは決定的だ。原発阻止などで住民投票の果たした大きな役割を日帝ブルジョアジーが苦々しく思ってきたことをはっきり示す。その一方で、第91条の3では地域行政における「住民の協働」を強調し、戦争中の「隣組」的なエネルギーを国家の体系に吸収しようとしている。
なお、この地方自治問題に関しては、『改憲攻撃と労働者階級』の第U部をぜひ参照してほしい。
結語
以上で「自民党新憲法草案(第1次・第2次案)」についての検討・分析をひとまず閉じる。
最終案は10月28日に発表されるが、自民党はすでにこの第1次・第2次案の内容で大筋において意思統一したと言っていい。最終案は、第2次案に新たな前文を付け加え、9条の文案にも細部にわたる検討を加えて表現上の最終確定を行ったものになると言われている。
また、今回はひとまず見送ったとされる「国防の責務」などについても、復活を狙う策動がぎりぎりまで続けられている。しかしながら若干の修正がありうるにしても、11月22日の党大会で採択される公式草案の内容はほぼこうしたものになるだろう。
国民投票法案は、衆院の憲法調査特別委員会がそのために設置されて動き出している。9月25日には自民党の中川国対委員長が、国民投票法案は遅くとも06年の通常国会で必ず成立させると言明した。
今、日帝ブルジョアジーと自民党が狙っていることは、自民・公明の与党による改憲を自公民3党による改憲にもっていくことである。とりわけ連合での改憲提言の採択や自治労、教労など産別レベルでの改憲論による制圧に全力を挙げている。そのために日帝・小泉=奥田は、4大産別(労組)を狙い撃ちにして、労働運動の破壊と改憲の強行を一体的に推進している。
革共同は、そして闘う労働者は、今こそ4大産別決戦(それは同時に全産業の労働運動破壊をめぐる攻防である)と改憲阻止決戦(プラス教育基本法改悪阻止、「日の丸・君が代」攻撃粉砕と「つくる会」教科書粉砕)をしっかりと結びつけ、両者を一体化して闘いぬくことが必要だ。それを11月1万人集会として実現し、一個の大きな物質力として日帝・小泉にたたきつけ、全日本−全世界の労働者の決起の突破口を切り開こう。
(注)
現行憲法の各章のタイトルは条文同様に「法」として定められているが、各条文の見出しは、六法全書などの編集者が憲法解釈にのっとって便宜的につけたもの。
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9条−現行憲法と自民党新憲法草案
【現行憲法】
第二章 戦争の放棄
第九条(戦争放棄、戦力及び交戦権の否認) 日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。
A 前項の目的を達するため、陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、これを認めない。
【自民党新憲法草案(第一次・第二次案)】
第二章 安全保障
第九条(安全保障と平和主義) 日本国民は、諸国民の公正と信義に対する信頼に基づき恒久の国際平和を実現するという平和主義の理念を崇高なものと認め、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求する平和国家としての実績に係る国際的な信頼にこたえるため、この理念を将来にわたり堅持する。
2 前項の理念を踏まえ、国際紛争を解決する手段としては、戦争その他の武力の行使又は武力による威嚇を永久に行わないこととする。
3 日本国民は、第一項の理念に基づき、国際社会の平和及び安全の確保のために国際的に協調して行われる活動に主体的かつ積極的に寄与するよう努めるものとする。
第九条の二(自衛軍) 侵略から我が国を防衛し、国家の平和及び独立並びに国民の安全を確保するため、自衛軍を保持する。
2 自衛軍は、自衛のために必要な限度での活動のほか、法律の定めるところにより、国際社会の平和及び安全の確保のために国際的に協調して行われる活動並びに我が国の基本的な公共の秩序の維持のための活動を行うことができる。
3 自衛軍による活動は、我が国の法令並びに国際法規及び国際慣例を遵守して行わなければならない。
4 自衛軍の組織及び運営に関する事項は、法律で定める。
第九条の三(自衛軍の統制) 自衛軍は、内閣総理大臣の指揮監督に服する。
2 前条第二項に定める自衛軍の活動については、事前に、時宜によっては事後に、法律の定めるところにより、国会の承認を受けなければならない。
3 前二項に定めるもののほか、自衛軍の統制に関し必要な事項は、法律で定める。
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週刊『前進』(2220号4面2)(2005/10/31)
10月12日〜18日
小泉、5度目の靖国参拝強行
日米審議官協議、合意ならず
●「国民の責務」条文具体化見送り
自民党の新憲法起草委員会は全体会議で、前文と9条を除いた新憲法草案を第2次条文案としてまとめた。新しい「権利」として知る権利や環境権など五つの権利を追加する一方、国防や家庭保護で明記を検討していた「国民の責務」の具体的な条文化は見送った。(12日)
●陸自・空自に派遣命令 パキスタン大地震の被災地救援のため、大野防衛庁長官が国際緊急援助派遣法に基づき、陸上自衛隊北部方面総監、航空自衛隊航空支援集団司令官らに派遣命令を出した。派遣されるのは陸自第5旅団(北海道帯広市)など約120人。救援物資や救助隊の輸送業務を行う。(12日)
●宜野湾で騒音112デシベル 最新鋭FA18戦闘攻撃機(スーパーホーネット)4機が8日に沖縄県宜野湾市の普天間飛行場に飛来し、同市上大謝名区では着陸時に112デシベルを記録したことが沖縄県環境保全課の騒音測定速報値で分かった。(12日)
●新たに「シュワブ沿岸」案 日米両政府が在日米軍再編に関する外務・防衛審議官級協議を開いた。日本側は普天間飛行場の移設先について、名護市辺野古のキャンプ・シュワブ沿岸部を中心に検討する案を正式提示した。防衛庁が主張していたシュワブ内陸案は米側の反対を受け、事実上、撤回した。日米間の協議は13日も続行されたが、合意に至らなかった。(12日)
●普天間移設条件に「海兵隊大幅移動も」
ローレス米国防副次官が自民党の日米安保・基地再編合同調査会の額賀座長と会談し、「普天間移設が早期に実現すれば、海兵隊の大幅な移動を考える」と述べた。(13日)
●「海兵隊撤退費用を負担」 自民党の日米安保・基地再編合同調査会の会合で額賀座長は、在沖海兵隊の撤退費用を日本政府が負担するための法整備を小泉首相に提案した。(14日)
●米兵、国道に銃向け訓練 沖縄県浦添市の国道58号沿いの米軍牧港補給地区(キャンプ・キンザー)で、米兵数十人がライフル銃を国道側に向けて訓練しているのが確認された。訓練は歩道を隔てるフェンスのすぐそばで行われ、バス停も近くにあった。(14日)
●在日米軍基地「自衛隊管理に」 自民党の日米安保・基地再編合同調査会は、在日米軍基地を自衛隊による管理を原則とすることなどを打ち出した「在日米軍再編の原則」の素案をまとめた。米軍基地を自衛隊基地化し、将来的に全廃することを目指す。(14日)
●新憲法案で国民投票 イラクの新憲法案の賛否を問う国民投票が実施された。(15日)
●まつり上空を米ヘリ旋回 沖縄県うるま市みどり町で開催された「第1回うるま市具志川まつり」会場と周辺の住宅密集地上空で、米軍普天間基地所属の攻撃ヘリ2機が計4時間にわたり低空旋回を続けた。(16日)
●小泉首相が靖国参拝 小泉首相が東京・九段の靖国神社に参拝した。首相としての参拝は昨年1月以来で、5年連続5回目。本殿に昇殿せず、手前の拝殿の前で礼をしてさい銭を投じた。(17日)
●中国、町村外相の訪問拒否 中国外務省の孔泉報道局長は、小泉首相の靖国神社参拝を強く批判するとともに、23日からの方向で調整していた町村外相の訪中について「時期が適切でない」として受け入れない考えを明らかにした。中国外務省は同日、北京の日本大使館に対し、外相訪中の受け入れは困難と伝えた。(18日)
●横浜小柴貯油施設、全面返還へ 日米合同委員会は、横浜市内の米軍施設(528f)のうち、同市金沢区の小柴貯油施設の陸地部分約53fについて年内をめどに全面返還することで合意した。東京湾のタンカー停泊水域4・6fも返還する。(18日)
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週刊『前進』(2220号5面1)(2005/10/31)
共産主義者 146号
小泉打倒・11月総決起論
巻頭論文 「官から民へ」全面暴露 浜田論文 日米韓国際連帯の地平
9・11衆院選の結果を受けた小泉のファシスト的国家改造攻撃に対して広範な労働者階級の危機感と怒りが噴出している。
選挙結果は、労働者階級人民の怒りを封じ込めてきた既成野党や労組指導部の破産と無力を突き出し、逆に原色の階級的主張こそが人民の心をとらえる情勢が到来したことを明確に示した。小泉「構造改革」とは何か。小泉をどうやったら打ち倒せるのか。今号は、そうした膨大な労働者階級の声にこたえ、小泉打倒の11月集会を組織化するための武器として企画された。
1万人結集へ
今号の特徴は、トップ論文を始め全論文が小泉打倒・11月総決起論として全一体をなしていることである。そして全論文が、歴史的に行き詰まった帝国主義体制を労働者階級の決起で今こそ転覆しようという気概に満ちあふれている。どの論文から読み始めても引き込まれる充実したラインナップである。激務の中、11月労働者集会の前に全論文を読破することを強く勧めたい。本号は、1万人大結集運動を促進する素晴らしい力を持っている。
巻頭論文は、郵政民営化を軸とする小泉「構造改革」攻撃を全面的に暴露し、労働者の階級的団結で小泉を打倒する展望を明らかにした。その特徴は第一に、「官から民へ」などの小泉宣伝のペテンをはぎ取り、小泉=奥田路線の綱領とも言える「骨太方針X」を批判しきっていることである。すなわち、大量首切りと大衆収奪の極限的激化であり、地方自治体の切り捨てと民営化の推進であり、さらに、戦後公務員制度の全面解体である。これらの展開をとおして、郵政民営化―公務員制度改悪が、日帝の戦後体制と戦後発展の大きな要因であった「官業」と公務員の存在を否定して戦後的なあり方を一掃し、「戦争をする国」に完全に転換する攻撃であることが明確にされている。逆に言えば、戦後労働運動の中心を担ってきた4大産別(郵政、自治体、教労、国鉄)をめぐる決戦に、戦争か革命か、今後の帰趨(きすう)がかかっているのである。
第二に、連合の改憲勢力化を阻止し、改憲阻止決戦の展望をたぐりよせた05年前半戦の地平を明らかにしている。そして第三に、05〜07年、戦後最大の階級決戦に勝利し、21世紀革命の展望を切り開くために、11・6労働者集会の1万人結集を力強く訴えている。必読の重要提起である。
浜田論文は、日米韓国際連帯の画歴史的地平を明らかにしたスケールの大きな論文だ。巻頭論文の補完であり、浜田茂夫著『国際労働運動の新時代』(前進社刊)の続編でもある。
一つに、AFL―CIO(アメリカ労働総同盟・産別会議)分裂の歴史的意義を明らかにし、それをもたらした根底的要因である米ランク・アンド・ファイル運動の前進を歴史的に解き明かしている。とりわけ、戦争と民営化に反対する05年の西海岸での闘いが熱気をもって伝わってくる。
二つに、非正規職化阻止を掲げた韓国民主労総の闘いの意義が全面的に明らかにされている。この国際階級闘争の最前線で闘う米韓労働者階級の代表が日本へ連帯を求めてやってくると考えただけでも胸が高鳴る。「この11月、〈戦争と民営化に対決する階級的・戦闘的労働運動のインターナショナル〉の本格的形成に着手しよう」という呼びかけのとおり、世界革命のリアリズムを見いだし、1万人大結集へのファイトが沸いてくる。
教労論文は、教基法改悪・改憲阻止決戦を切り開いた1年間の闘いを中間総括し、11月集会の中軸部隊として教育労働者1千人が登場することを訴えた。
岡崎論文は、動労千葉と並ぶ日本労働運動の歴史的勝利を切り開いた全金本山闘争の闘いを描いた渾身(こんしん)のレポート。「工場で働くごく普通の青年労働者がどのようにして『一人の首切りも許さない』という思想と労働運動をつくりだしてきたのか」を、まさに「路(みち)なきところを踏み歩き道をつくる」闘いの過程を描いて明らかにした。
都議選の総括
大波田論文は、新指導路線のもとで「つくる会」教科書決戦として闘われた都議選闘争の総括。レーニン的な本来の選挙闘争論の軸心から、労働者党員を主体とした全党総決起への道を大きく開いた今次選挙闘争の画期的意義を簡潔に明らかにしている。『前進』夏季特別号の基調論文をふまえ、「宣伝・扇動の革命」「党派闘争の積極的展開」「議員像の革命」などの諸点において総括を深化させている。関西革共同政治集会基調報告と併せて読み込んでいただきたい。
マルクス主義学習講座は、マルクスとエンゲルスが「実践的唯物論者=共産主義者」の宣言を初めて発した『ドイツ・イデオロギー』。マルクス主義生誕の現場に立ち、その核心であるプロレタリア革命論をつかみ取ろう。
今岡同志の関西革共同集会基調報告は、教科書決戦の真っただ中で05年前半戦を総括し、11月総決起の大号令を発した意気高いアピールだ。とりわけ、都議選の総括と革命的労働者党としての地区党建設論を軸とする党建設の基本問題の提起は重要である。
階級的批判に磨きをかけ、いざ11月の挑戦へ。
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週刊『前進』(2220号6面1)(2005/10/31)
『前進』を活用した細胞会議と会議での機関紙活動の点検を
機関紙拡大闘争のアピール
11・6労働者集会1万人結集への激闘の渦中で、全国機関紙担当者会議が開催された。革命的情勢の急接近による動と反動が逆巻く激動の時代は、帝国主義的ナショナリズムとプロレタリア国際主義による労働者人民の党派的獲得戦が激しく展開され、労働者人民の意識が激しく変動する時代である。それは『前進』のもとへ労働者を獲得できる時代への突入だ。この時代に対応し、職場・大学・街頭で機関紙の躍進的拡大が求められている。
11・6集会の組織化を『前進』で勝負しよう
04年〜05年前半における日本階級闘争の戦闘的革命的台頭をプロレタリア革命への巨大な奔流にしなくてはならない。機関紙読者網の拡大こそその発展のメルクマールである。
小泉反革命に危機感を覚え、しかし労働者階級の行く手をさし示す政党が存在しない中で、闘いの方向を模索する労働者階級に何をもって答えるのか。『前進』を読んでもらう以外にいかなる方法もない。
ほとんどの組織が11・6集会の組織化の軸に『前進』をすえることを提起している。A地方委B県委は「1万人結集への飛躍の要は『前進』活動と『前進』拡大闘争にあることを相当はっきりさせた」と述べ、「@リストの作成(11月の組織者のすべてを対象とする)、A毎号の『前進』を読み、『前進』の内容をつかんで、街宣へ、労組オルグへ、名簿オルグへと決起する日常のあり方を一層強化する、Bいったん、9月と10月の拡大闘争を思いきってやりぬく」と鮮明にしている。すべての組織で実践していこう。
05年前半期の豊富な教訓
機関紙活動の本格的確立の闘いが多くの組織で前進した。
05年3月提起(本紙2195号)は、新指導路線による機関紙活動の実践としてある〈A地方委B県委、C県委の実践から学ぼう〉を合言葉に、『前進』を軸にして会議を行い、会議の前日には全員が全紙面を読むというあり方を提起した。そして、会議で猛然と機関紙活動を点検し、具体的な政策を持って恒常的に拡大闘争を貫くあり方を提起した。今回は、この半年間の実践を基礎に、それを全党的に発展させていく会議となった。
3月提起は全同志に”これに続こう”という意欲をもって受け止められた。しかし現実には、都議選の激闘下で全党が苦闘する中で、05年3月方針を実践して前進した組織と、実践できず停滞あるいは後退した組織に二分された。
今期、躍り出たのがE地方委である。成功の核心は、指導部を先頭に機関紙活動への決起を開始したことである。すべての組織責任者が毎回の組織レポートに、必ず機関紙拡大闘争を論じている。ここでは常任による拡大の比率が高いが、その中で、労働者による拡大も始まっている。
もう一つの論議の軸は、労働者による拡大闘争の重要性だった。拡大の全国的な不均等性を見ると、労働者が拡大している組織がより多く拡大している。
A地方委は労働者同志の拡大の比重が圧倒的に高い。B県委とC県委が継続して不動の位置を占めている。C県委の5部の増は、すべて労働者(労働者同志と労働者読者)による。さらにD県委が今期はっきりとした前進を実現した。このほかF地方委で、G県委が4部、H県委が3部拡大し、そのすべてが労働者同志による拡大である。
イデオロギー活動と一体
今期の大きな特徴は激動期への突入で党派的死闘が繰り広げられていることである。今期、他政党からの拡大は現役の日本共産党員からの1部拡大があり、逆に学生戦線で共産党に逆オルグされた例、友人に逆オルグされた例、高校教師に逆オルグされた例が各ひとつずつある。この新しい動向に注目する必要がある。これをけっして例外と見てはならない。激動の時代は党派闘争が政治的な生き死ににかかわるのである。
学生戦線が今期にぶつかった壁は、激動期にマルクス主義の思想的武装が決定的に問われるということだ。全党的に重要な今日的・普遍的な課題が、学生戦線で最も鋭く現れている。
『前進』拡大オルグは、やはりイデオロギー力が求められる。思想的確信に基づくみなぎる自信を獲得するために党内外をマルクス主義で再武装することが決定的に重要である。われわれは『マルクス主義基本文献学習シリーズ』という武器を手にしている。この学習をとおしてプロレタリア自己解放の思想が確立・再確立され、自らも革命家としてくり返し成長する。それが自信となって、機関紙拡大、党員拡大の実践力となっていく。
都議選闘争と機関紙活動
われわれは都議選決戦を「つくる会」教科書攻撃粉砕の闘いとして闘い、それを『前進』が牽引(けんいん)した。杉並を始め全国的な大衆闘争の武器としての役割を担いぬいた。機関紙拡大闘争では、都議選の持つ大きさとその組織的困難性を直視し、意識性でそれを突破するために闘いぬいた。そして、B県委、C県委、E地方委の学生戦線を始め、いくつかの組織で拡大を実現した。党と階級の渾身の総決起は、機関紙活動を軸にして可能であることを肝に銘じよう。
C県委の豊かな実践から真剣に学ぼう
C県委は、今期をもってさらに一層の拡大過程に突入した。本紙2195号で予告したとおりになった。C県委の総括の要旨を以下に紹介する。
(1)3月 対象 A氏 自治労役員 50代男性
自治労拠点化方針の重要な対象として、A氏への機関紙拡大を方針化し、自治労産別のキャップであるNN同志がオルグした。A氏自身は、以前から動労千葉物販を自分の職場で展開している労働者であり、かなり前から対象化していたがオルグする主体の条件が整わず、機関紙を提起できないできた。新指導路線での産別委員会の建設と自治労産別拠点化への地区党の方針への信頼が同志の機関紙拡大への意欲と決起を生み出したと考えている。
(2)4月 対象 Cさん 大衆団体会員 50代女性
04年後期に女性同志が機関紙の提起を行い、その後バラで何回か購入してくれていた。「難しくて」との感想に対して、「勉強していこうよ」とこたえ、定期購読となった。Cさんは、赤旗読者、婦人運動の中心的活動家です。日本共産党のイデオロギーからの決別が課題となっている。
(3)5月 対象 B氏 自治労役員 40代男性
5月の代々木公園集会の会場でHD(常任)が紹介された。G氏(支部委員長・読者)に「B氏に機関紙を勧めたいが、どうだろうか?」と相談すると、G氏は、「私が勧めてみましょう」と快諾。翌週、組合事務所に来てもらって、機関紙を勧めてくれた。B氏は、「Gさんが言うことなら」と快諾。
支部委員長のG氏は、長い間の支持者だが、自分から機関紙を拡大したのは初めて。自治労拠点化への地区党の方針と実践への信頼が彼に踏み切らせたと考えている。
(4)7月 対象 D氏 大衆団体会員 40代男性
05年の大原論文が掲載された機関紙を贈呈。ぜひ読んで欲しいと勧めた。直ちには良い返事はなかったが、今春の「日の丸・君が代」・つくる会教科書攻撃に対してともに闘っていく中で信頼関係が形成され、定購となってくれた。
(5)8月 対象 E氏 合同労組組合員 20代男性
労働相談・生活相談から組合員となった。NH同志が相談員として信頼を獲得し、機関紙読者となった。
【総括】 05年前期の拡大目標である5部を100%実現した。勝利と総括したい。C県委では、01年「6回大会」を決定的な転換点にして、01年末からの地区委員会と地区党全体の根本的変革の闘い、さらに路線的に明確にした03年新指導路線下での闘いの結実として03年前期から2年間の機関紙闘争の地道な前進をつくり出してきた。機関紙闘争を全党員の主体的取り組みとすることが最大の獲得目標だった。この2年間の中でほぼ全員が壁を打ち破り始めていた。地殻変動の予感は確かにあった。05年前期の実践は確実に機関紙の爆発的な拡大の時代が来ていることを示した。党が変われば、機関紙は確実に労働者階級に受け入れられることを証明した。新指導路線での一致と実践こそが一切だと考えます。
【方針】 11月労働者集会への1万人決起の実現、全党員、支持者の自らの職場、産別、地域での旗を掲げた決起が今後の闘いを切り開く。オルグに次ぐオルグ、ビラまき、労組への働きかけ、あと2カ月を全力あげること以外に一切はない。この過程は、実は最大の機関紙闘争、党の強化・拡大の闘いとなる。まったく矛盾しない。C県委としては05年後期の拡大目標を5部として、全党員の決起で実現したい。
さらに、今こそ紙面改革を実現したい。
本格的な機関紙活動を猛然と開始しよう
党建設の核心は、機関紙活動の強化を環とする党活動の3原則の確立にある。
第一に、地区委員会や細胞の会議のあり方の変革が求められている。
機関会議、細胞会議を、『前進』を軸に行うあり方に本格的に転換することである。それは全党員の『前進』読了を前提とする。指導部を先頭に『前進』を手にしたら直ちに全紙面を読む習慣をつけよう。
F地方委の責任者であるNG同志は、「労働者党員を入れた地方委をやって1年になる。一番のポイントは労働者が職場細胞の建設に自分の力で踏み出せるかどうか。いざ始めるとなると『党派性がない』『大衆の中に入ろうとして日和っちゃう』と色々でてきた。どこから変革するか。――会議から変える。『「前進」を名刺代わりに』は好評だったが、『前進』が会議の軸にすわらないと『名刺代わり』にはならなかった。読み合せだけでもいかない。『前進』を自分のものにしないといかない。それが指導部活動だとつかんだ」と発言した。
この点に関してA地方委B県の担当者のMK同志は、「会議をメモでやるのか『前進』でやるのかという議論になっているが、A地方委議長のメモは、冒頭から『前進』の6面にわたるマルクス主義的分析と解説になっている。メモも『前進』の内容になっている。だから『前進』を読んでいなければ会議に参加できない。各県委員長は、これを丸写しして会議をするのではなく、自分で格闘した内容でメモを作り、会議をやるように言われている」と提起した。
第二に、『前進』の拡大対象を地区委員会・細胞会議で決定し、機関紙拡大の具体的プランの作成、オルグ方針の検討、実践とその総括を必ず行うことである。
機関紙拡大闘争を会議の主要議題に据えるということである。なぜなら機関紙拡大は、組織にとっての最も重要な課題だからである。会議の議題設定がそうなっていないことは、本当におかしなことなのだ。
その際、労働者同志が自らの職場で拡大する闘いを重視しなければならない。
同時に細胞ですべての『前進』読者を掌握しなければならない。
C県委は02年に拡大を開始して以降、今回まで減が1部もない。すべての『前進』読者を細胞によって掌握し対象化しきっていることによる。
毎回の会議で必ず扱うのが理想であるが、月1回、『前進』拡大の討議を全面的に行うことが現実的方針である。
レーニン提起と配布活動
第三に、機関紙配布活動の再構築がほとんどの組織で求められている。
これは革命党の根幹にかかわる問題である。機関紙の配布網は独自に組織されなければならない。配布日は、機関紙の発行・送達から最も早い日時に設定されることが原則である。
配布網の再確立に向かって全力を上げなければならない。
機関紙配布網の確立は第一に、レーニンの提起した一斉武装蜂起の陣形確立の闘いである。「敵の要塞の正規の攻囲を組織」(レーニン『何をなすべきか?』)する闘いである。ここには革命の生き死にがかかっている。
レーニンは『一同志への手紙』で「この任務は最高度に重要である」として、機関紙の独自の配布網の完成は、「蜂起を準備する仕事の大半を成し遂げることを意味する」と述べている。レーニンは、機関紙を24時間以内に配布する能力を「蜂起の条件」と規定している。
この提起を聞いて多くの同志が驚くかもしれない。しかし、レーニン主義的蜂起論の立場から言えば、機関紙の配布網の問題が、このようにとらえられていないという現実こそ問題である。このことを革命論的に再確認し、抜本的に再確立しなければならない。
機関紙配布網の確立は第二に、今日求められている日常の党活動における不可欠の要素である。
機関紙は党の生命線である。党活動の軸は機関紙であり、機関紙活動は配布が基軸である。
「機関紙を軸に会議を行う」ためには、事前配布が不可欠である。事前に配布され、読了して会議に臨む。それで初めて「機関紙を軸に会議を行う」ことが可能となるのだ。
また、機関紙の配布活動は、毎週定期的に行われる組織的活動であり、短時間であっても『前進』に対する反応、職場の状況、相手の心身の状態などをつかむことができるのである。これは、常任と労働者同志、労働者同志と大衆との関係、いずれにおいても重要なことである。
配布網の再確立をどう実現するか。A地方委B県の担当者のMK同志が、「独自の配布網は、労働者が事務所に取りにくるのを待っているのではなく、『前進』を持って行って労働者に渡すこと。その時『前進』を解説し、『前進』掲載に間に合わない金〜日の闘争も報告し、活動を点検・掌握する。9・15判決の評価などは非常に重要で、すぐ伝えることができた。配布は細胞活動だ」と提起したことは重要だった。
さらに、配布は代金の回収と一体である。このサイクルが確立している中では、不実は生じない。また、配布が崩れれば読者は読まなくなる。党員であってもしかりだ。
先制的内戦戦略の第一段階、第二段階ではむしろ、多大な組織的エネルギーを使って機関紙配布が完ぺきに貫徹されていた。一部の地域での配布の崩れは、91年5月テーゼ下で生じている。内戦的激烈さが緩和した中で、いよいよ機関紙配布が決定的意義を持つ過程に入った中で、逆に崩れが生じた。配布が崩れると『前進』は読まれない。配布体制こそが決定的なのである。それは新指導路線の貫徹の闘いの中で抜き差しならない問題として突きだされている。
全党員の力で紙面改革を
紙面改革は、機関紙活動、機関紙拡大闘争の一つの重要な柱である。
この1年間で『前進』への評価は高まっている。渡す側も自信を持って渡せるようになった。『前進』は闘う労働者の武器となった。『前進』の改革をさらに一層推し進めることがわれわれの基本方向である。
紙面づくりへの全党員の参加は機関紙活動の一つの柱であり、拡大闘争にとっても重要な要素である。『前進』を、闘いの息吹、職場の息吹、現場の声をストレートに反映した、労働者に開かれた生き生きとした新聞に育てよう。『団結ひろば』に投稿が殺到し編集局が悲鳴を上げる状態が理想である。
機関紙拡大は財政の基礎
財政問題はわが党の現下の最大の課題であり、機関紙は財政闘争の基礎中の基礎である。財政問題の視点で数値目標を定めて、必死で取り組むことは、党として正しいあり方である。
そして、定期購読者数が機関紙財政をカバーしない限りは、党員の財政的分担で補うことを断固たる決定をもって貫徹しよう。『前進』発行という党の絶対的生命線を維持するために必要なことだからである。
街頭宣伝の意義は今期の実践をとおしてさらに明瞭となった。街宣から定購につながる例が続いている。東京では、11月に向かって街頭で『前進』をどんどん売っていく方針で大きな成果をかちとりつつある。
担当者会議は、「『前進』を活用した細胞会議」を闘いとること、配布網を再確立すること、投稿運動を大々的に行い紙面改革を全党の力で実現することを確認し、機関紙活動の飛躍的強化を誓い合った。この決意を全党で共有したい。
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週刊『前進』(2220号6面2)(2005/10/31)
星野文昭さんの奪還へ! 大阪集会に行きます
投稿 橋爪 利夫
私は、奥深山幸男さんの介護を続けてきました。11月に、大阪では初めての星野全国集会が開かれると聞き、ぜひとも参加しようと思っています。一昨年、徳島での全国集会に参加して、神山森林公園から星野文昭さんのいる徳島刑務所に向かって声を上げ、ハンカチを振りました。今回も、大阪集会の後、あの丘に行くつもりです。
奥深山さんは、星野さん、荒川さんとともに、渋谷暴動闘争(1971年11月)の裁判を闘ってきましたが、獄中で発「病」して裁判停止の状態が続いています。裁判が停止しても「病」状は改善せず、裁判からの解放=免訴を訴えて闘っています。
奥深山介護支援は、星野さんの闘いと別個のものではありません。奥深山さん本人も、「3人の誰が欠けても、自分にとってはダメージだ」と言っています。このことは、星野さんから見ても同じだと思います。星野さんの不屈の獄中闘争と奥深山さんは深くつながっているのです。
運動の条件は違いますが、私は常に星野さんとの連帯を意識しながら、奥深山さんとともに生きてきました。何よりも必要なのは、無実の星野文昭さんの奪還です。
大阪の皆さんの並々ならぬ決意にこたえて星野大阪集会に参加します。皆さん、大阪で会いましょう。
(スケッチ画=星野文昭同志の自画像)
集会要綱
全国集会 大阪 星野文昭さんに 自由を!
日時 11月13日(日)
午後3時開会
会場 大阪市港区民ホール
大阪市弁天2-1-5
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週刊『前進』(2220号6面3)(2005/10/31)
10・31狭山全国統一行動へ
2審寺尾無期判決から31年 第3次再審闘争切り開こう
部落解放同盟全国連合会は、狭山差別裁判の2審・東京高裁の寺尾正二裁判長の有罪・無期懲役判決から31年、今年の10月31日に狭山第3次再審闘争に向けて全国統一行動を呼びかけている。この行動は、3月16日の最高裁の第2次再審請求・特別抗告棄却をのりこえ、第3次再審闘争を切り開く重要な取り組みだ。石川一雄さんと連帯し、部落大衆と労働者階級は10・31行動を共同で取り組もう。
再審戦取へ意志燃え立たせ
10・31狭山全国統一行動の課題の一つ目は、第3次再審闘争への意志を燃えたぎらせ、その戦闘態勢を打ち固めることである。
9月21日に水戸地裁土浦支部は、1967年の布川事件で無期懲役の確定判決を受けた桜井昌司さんと杉山卓男さん(仮釈放中)による第2次再審請求を認めた。この布川事件の犯人デッチあげの手口は、狭山事件と非常によく似ている。殺害方法(絞殺と扼殺〈やくさつ〉)をめぐる事実と「自白」との食い違い、「自白」を補強する指紋などがまったくないこと、「自白」しなかったら『死刑』にされるという警察と検察の脅しと拷問などだ。布川事件の再審開始決定は狭山第3次再審闘争にとってきわめて教訓的である。
裁判所は再審開始決定で「自白は虚偽を誘発しやすい状況下でされた疑いがあり、著しい変遷が認められ、真実性に疑問がある」として、取り調べ時の自白の強要・誘導の問題を明確に指摘し、判断の基準にしている。特に、取り調べ時に作られた録音テープの開示によって自白の強要・誘導が決定的に暴かれた。
この録音テープは、「見当たらない」「取り調べの様子を録音したテープはほかにはない」と、検察が頑強にその存在を否定していたものだった。しかし、被告を先頭にした取り調べ過程の詳細な再現と捜査記録の分析を基に録音テープの存在が突き止められた。
布川事件の第2次再審請求は、デッチあげという権力犯罪を弾劾する闘いだった。この再審開始決定に至る事実調べで検察から出された新証拠(隠していた証拠)は、99点にも上った。
しかし、布川事件での再審開始決定は、自動的には狭山事件の再審開始決定に結びつかない。狭山事件は、部落差別に基づく犯人デッチあげであり、国家ぐるみの差別犯罪である。ここに最大の問題がある。それゆえに寺尾判決以来、第2次再審棄却に至る一連の判決は、権力の差別犯罪を塗り隠し、部落解放運動を抑え込む政治的意図に貫かれたものとなった。
再審請求闘争は、国家権力の差別犯罪を弾劾・糾弾する闘いである。部落差別に基づくデッチあげの事実は万人に怒りを沸き立たせ、卑劣な政治的意図を爆砕する力をもっている。
狭山事件での捜査・取り調べ時の「虚偽を誘発しやすい状況」「著しい変遷」の事実は、布川事件の比ではない。隠された証拠も99点どころではない。部落差別とそれに基づく犯人デッチあげという権力犯罪を糾弾する観点から真実を暴き、隠された証拠を引き出そう。これが第3次再審闘争勝利への唯一の道筋だ。
差別糾弾の思想の復権を!
10・31狭山全国統一行動の課題の二つ目は、小泉による戦争と民営化のもとで激化・激増する部落差別に対する糾弾闘争の総結集の場とすることである。
今や部落差別の氾濫(はんらん)ともいえる情勢が訪れている。議会や行政職員による公然たる差別、インターネット上での差別扇動、清掃を始めとした公務員現業の民営化と権利剥奪(はくだつ)の攻撃など、部落解放運動の中で獲得した権利が根こそぎ奪われ、部落大衆は生活のどん底に落とされようとしている。
しかし、この中で全国連を中心に差別糾弾闘争復権の闘いが粘り強く取り組まれ、部落大衆の自己解放闘争の新たな発火点、結集軸となろうとしている。
大阪・八尾市西郡の市議会での「エッタ」という差別暴言に対する糾弾闘争は、今や地元西郡地域の糾弾闘争委員会を軸にして2500戸の村ぐるみの糾弾闘争に発展しつつある。
全国連寝屋川支部は糾弾闘争へのデッチあげ弾圧に対し、国守部落の大衆決起の力で被告の奪還から裁判闘争の過程を不屈に闘い、全被告の無罪をかちとり、弾圧を完全に粉砕した。
そして、これらの闘いを『部落解放新聞』や全国連のホームページで知った全国の部落大衆から、本部派の支配地域から、差別事件の告発と糾弾闘争の取り組みの要請や「全国連をつくりたい」という声が次々寄せられている。全国連が差別糾弾の価値観をまったく新たに打ち立て、新たな結集が始まったのだ。
本部派の転向をとおした部落解放運動の崩壊は、融和主義が部落を支配する状況を再び生み出しているが、この中でも部落大衆の自己解放の情熱は脈々と流れ続けている。この情熱と、差別の洪水への耐え難い怒りは必ずや爆発する。
1916年に起こった博多毎日新聞社に対する実力糾弾闘争は、差別に対する部落大衆の積もり積もった怒りの爆発であった。これが歴史的突破口となって全国各地に差別糾弾の闘いが飛び火し、1922年の全国水平社の創立に結びついた。今やこれと同じような情勢が到来しているのだ。
狭山闘争こそこうした差別糾弾闘争の基軸であり、天王山だ。この闘いは、国家権力という部落差別の元凶に対する闘いであり、差別撤廃のために300万部落大衆がひとつに団結する闘いなのである。全国の部落大衆の差別に対する怒りと闘いを狭山第3次再審闘争に糾合し、差別糾弾の思想を全国6千部落に復権し、全国連を建設しよう。
10・31狭山全国統一行動の課題の三つ目は、この闘いを11・6労働者集会への部落大衆の総結集を誓い合う場とすることである。
11・6へ部落大衆は総結集を
狭山第3次再審闘争の勝利は労働者階級との共同闘争の本格的な復権・高揚なしにはない。しかし、労働者階級は今、小泉による郵政民営化を始めとするファシスト的な攻撃によって、その団結を破壊され、労働者としての権利を奪われ、資本によって奴隷のような状態を強制されようとしている。連合中央などは小泉に頭を垂れ、その手先となって労働貴族の地位を守ろうとしている。改憲と戦争への大転換が迫っている。
だが労働者階級は負けてしまったわけではない。動労千葉、関西地区生コン支部、港合同の3労組が呼びかける階級的労働運動の新たな潮流は小泉の前に敢然と立ちはだかっている。反転攻勢の力がここにある。11・6労働者集会はこの階級的労働運動の総結集の大会であり、日韓米を中心とした労働者の国際連帯の力で戦争を阻止する大行動の場だ。この闘いへの大合流こそ今日の部落解放運動の最も大事な課題である。
狭山第3次再審闘争の勝利と部落差別の撤廃という課題は、部落大衆と労働者階級の共同闘争なしには達成できない。だが、部落大衆自身が労働者階級の一員であり、差別によって最も過酷な搾取と収奪にさらされ、権利を奪われてきた労働者である。だからこそ部落大衆の自己解放は、部落差別という身分的な差別からの解放であると同時に労働者階級の自己解放と完全にひとつの事業なのだ。
11・6労働者集会は、労働者である部落大衆自身の闘いなのである。
1920年代末から30年代初頭にかけて労働組合や農民組合、あるいは失業者同盟などの労働者の組織が全国水平社の土台をなしていた。部落大衆は、様々な労働組合に参加し、この労働組合を土台として差別糾弾闘争や対行政の生活要求闘争を果敢に闘っていた。
高松差別裁判糾弾闘争は戦時下の1933年、階級的な共同闘争として闘われ勝利した。その根底には労働組合の闘いがあった。
戦後の部落解放運動の行政闘争路線のもとでこうした伝統は解体された。この負の「遺産」は大きく、部落の中では労働者としての団結の経験もない。だが、部落大衆の体内には今なお労働者階級の赤い血潮が脈々と流れ続けている。部落解放運動を本当の意味で新たに創造するためには、「自分は一体何者なのか」という部落大衆の根底的な自覚、階級意識が呼び覚まされなくてはならない。今年の11月労働者集会をこの一大転換点としよう。
石川一雄さんは、7月の全国連第14回婦人部大会へのメッセージで「わたしは最早、鬼人と化し、腹をくくり、千鬼万鬼となって司法に挑まなければならないと思っております」と烈々たる決意を表明した。石川さんの不屈の意志こそ狭山第3次再審闘争勝利の原動力だ。これを300万部落大衆と労働者階級のものとした時、再審の門を開け、歴史的な勝利をかちとることができる。寺尾判決への怒り、第2次再審棄却への怒りも新たに、10・31狭山全国統一行動を階級的共同闘争の力で成功させよう。
〔全国部落青年戦闘同志会〕
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