ZENSHIN 2005/10/24(No2219
p06)
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週刊『前進』(2219号1面1)(2005/10/24)
11・6 1万人大結集で小泉打倒を
4大産別決戦と国際連帯の力で改憲と戦争の攻撃を粉砕しよう
郵政民営化絶対反対10・21闘争へ
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三里塚
「北延伸−新誘導路計画弾劾!」を掲げ三里塚全国総決起集会が開かれた。小泉打倒の先頭に立つことを宣言し、団結ガンバロー(10月9日 成田市東峰)=記事へ
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郵政民営化法成立弾劾!
怒りのシュプレヒコールを上げる(10月14日 午後3時半すぎ 国会前)
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11・6労働者集会は、日帝・小泉政権に対する全労働者階級の文字どおりの総決起の場となった。奥田・日本経団連と小泉は、巨大与党の力を背景に郵政民営化法案の成立を強行し、さらにファシスト的、全面的な国家改造の攻撃を次々としかけている。その核心は戦争・改憲攻撃と労組破壊だ。とりわけ4大産別への攻撃が、改憲攻撃と表裏一体で、同時進行的にしかけられてきていることは重大だ。この小泉反革命を真っ向からぶっ止め、逆に小泉を打倒し、改憲を実力で阻止する力をつくりだすものこそ4大産別決戦の前進である。その決定的な跳躍台が、11・6労働者1万人の大結集だ。労働者階級が満身の怒りを爆発させ、本気で決起するなら、小泉など絶対にぶっとばせる。11・6は、小泉打倒への総蜂起ののろしを上げる日だ。それは帝国主義打倒=プロレタリア世界革命への新たな進撃を開始する日だ。10・21郵政民営化粉砕の総決起集会から11・6全国労働者総決起集会へ、猛然と闘い、必ず勝利を切り開こう。
第1章 小泉の公務員攻撃に心底から怒りを
8・8衆院解散―9・11総選挙という小泉のファシスト的政治クーデターによって、日本の政治情勢・階級情勢は一挙に激変過程に突入した。日帝・小泉と日本経団連・奥田による新たな侵略と戦争への国家大改造攻撃は、ここでまったく新しい段階に入ったのだ。
第一に、小泉と奥田は、郵政民営化法案を特別国会で押し通すことをテコにして、今やかさにかかって、全逓・自治体・教労・国鉄などの官公労系労働組合・労働運動の全面的な破壊と解体を狙ってきている。これら労組の破壊と産業報国会的変質に向かって、日帝ブルジョアジーの側がいわば逆の立場からの「4大産別決戦」を挑んできているということだ。
しかもそれは、改憲阻止勢力をあらかじめ解体し一掃しようとする、きわめて意識的な反革命計画に基づく攻撃だ。彼らは、4大産別の労組破壊を軸に、全労働者の階級的団結を解体・根絶・一掃することが改憲への道を開く最短距離だと考えている。と同時に、他方では改憲攻撃、戦争攻撃で中央突破することが、労働者階級を根底的に支配し、帝国主義戦争に動員する環だと認識している。
第二に、そして実際にも、この第一の攻撃とほぼ同時一体の形で、ついに改憲への攻撃をも本格的に開始したのである。小泉は特別国会開会後直ちに、改憲のための国民投票法案を審議する特別委員会を衆院内に設置した。自民党は10月28日に新憲法草案を発表し、11月22日の党大会で採択すると宣言。さらに、イラク派兵など海外派兵の延長や米軍再編に伴う基地強化・日米安保再編・沖縄闘争圧殺の攻撃など、戦争攻撃をも一段と強めている。
今や小泉と奥田は完全にひとつになり、その反革命の階級的意図をきわめて明確にして、〈戦争・改憲と民営化〉という混然一体の攻撃の貫徹に向かってしゃにむに突進してきている。その最大の突破口となっているのが郵政民営化であり、「公務員労働者=悪」という許すことのできない大キャンペーンだ。
9月27日には、経済財政諮問会議の奥田ら民間側委員が「国家公務員を5年で5%純減し、総人件費を10年以内に半減せよ」と提起した。10月4日には小泉が純減目標を「10年で20%」へとエスカレートさせた。
これは、現在の公務員総数約400万人のうちの80万人以上を首切るものだ。郵政労働者26万人(非正規雇用を含めて38万人)を、国鉄分割・民営化時と同じくいったん全員解雇・選別再雇用にたたき込むのを手始めに、4大産別の全体を大量首切り・リストラ・非正規職化・賃下げの嵐に投げ込むものだ。その過程で職場の団結を解体し、労組を破壊し、労働運動の根絶を狙っている。それをとおして民間労働者をもこれまで以上の低賃金と極限的な労働強化の地獄に投げ込み、社会保障制度も全面的に解体しようとしている。
小泉らはとりわけ今日の国家財政の破綻(はたん)について、その責任があたかも公務員労働者にあるかのような悪質な攻撃を行っている。だが、国と地方を合わせて1千兆円に達する借金地獄はいったい誰によって生み出されたのか。その最大の原因は、バブル崩壊後の長期大不況(恐慌と不況と停滞)の中で、日帝の金融資本と大企業の救済のために、財政資金が湯水のように投入されてきたことにある。それを公務員労働者の責任にするとは何事か。逆にこの間、労働者人民には大失業・リストラ・低賃金と労働地獄を押しつけ、搾取と収奪の限りをつくしてきた。銀行救済の超低金利政策で労働者人民の預金利息は93年以降の10年間で154兆円も目減りし、収奪されている。これらの一切の責任は政府と資本家にある。帝国主義がもはや体制として破産しているのが根本的問題だ。
それを日帝=小泉・奥田は公務員労働者を「悪」としてターゲットとしつつ、解散・総選挙クーデターの成功をテコに、まさに外に向かっての侵略戦争と内に向かっての階級戦争に一気に、全面的に突撃している。そして今やついに改憲攻撃そのものに正面から踏み込んできているのだ。その中心環が4大産別、官公労系労働組合への首切り・賃下げと労組破壊の攻撃だ。4大産別決戦は、今や同時に改憲決戦となった。すべての労働者階級にとってもはや一歩も譲れない決戦となったのだ。
第2章 小泉反動を止めるのは闘う労働者だ
では、この小泉のかさにかかった攻撃をぶっ止め、逆転し、小泉を地獄にたたき込むものはないのか。民主党はもとより論外だ。民主党の前原は今や、戦争・改憲と民営化攻撃の積極推進派に転向した。「脱労組」を公然と掲げ、小泉の公務員制度解体・労組破壊の攻撃にくみしてそのスピードを競い合っている。小泉・自民党ともども怒りを込めて粉砕し、打倒しつくすべき対象だ。
また日本共産党・社民党の野党政治は、現在の帝国主義の支配を前提に、よりましな帝国主義のあり方がありうるかのような議論を振り回すのみで、小泉に何ひとつ対抗できない。むしろ彼らは労働者階級の怒りの爆発におびえ、その戦闘的階級的発展を妨害することに党派生命をかけている。労働者階級にとっては闘いの中でのりこえ打倒していく対象でしかない。
だがこの中でも、小泉の行進を実力でぶっ止め、小泉を打倒できるものがはっきりと存在している。それは日帝ブルジョアジーと小泉反革命に日々煮えたぎる怒りをつのらせている巨万の労働者階級の存在である。この労働者の怒りの先頭で、階級的労働運動の原則を貫き、資本・権力との非和解的対決を不屈に貫いている、動労千葉などの闘う労働組合の存在だ。
「11・6を、小泉打倒への全労働者の総決起の日としよう!」――全日建運輸連帯労組関西地区生コン支部、全国金属機械港合同、動労千葉の3組合のこの呼びかけに、すべての闘う労働者、闘う労組が既成のナショナルセンターの枠組みを越えて結集し、その力を一つに結び合わせていくことが決定的なのだ。一方では労働者をまともに食わすこともできなくなり、他方では侵略戦争に突入する以外にやっていけなくなった帝国主義。この帝国主義を今こそ打倒せよという叫びが広範な労働者階級を獲得していくならば、小泉反革命の転覆は百パーセント可能なのだ。
そもそも小泉による8・8衆院解散―9・11総選挙強行の本質は何であったか。これは明らかに反革命的ファシスト的な政治クーデターだ。その背景には、こうした非常手段に訴えなければ今日の帝国主義の支配が大崩壊に直面するという、小泉と日帝自身の絶望的な危機と破産がある。
実際に、郵政民営化法案の参院否決という事態がそのまま継続していたらどうなっていたか。それは単に小泉政権の崩壊にとどまらず、自民党政権の全面的解体的危機への突入であり、ブルジョア独裁のメカニズムの大混乱時代への突入であった。戦後の議会制民主主義の統治形態のままではブルジョア独裁がもはや貫徹できないという、戦後史の中でも最大級の支配の危機を8・8で日帝・小泉は迎えていたのである。
帝国主義の危機の世界戦争への転化が米英日によるイラク侵略戦争としてすでに開始され、また東アジアでの対北朝鮮・対中国の侵略戦争が大きく準備されつつある。この中で日帝は、憲法9条に象徴される第2次大戦後の制約を全面的に投げ捨て、軍事力で世界を制圧できる帝国主義へと脱皮することなしには、激化する帝国主義間争闘戦に生き残れない。この土壇場に追い込まれる中で、日帝と小泉は、どうあがいても最大の壁である国内階級支配の行きづまりを突破できないばかりか、逆に自らが崩壊する危機に直面した。
小泉はこの恐怖にかられつつ、日本経団連・奥田らとの協議の上に、国民投票方式というボナパルティズム的な政治手段を行使し、8・8―9・11反革命を強行した。支配階級の側から議会制民主主義を崩壊させるクーデターに訴え、ファシスト的国家改造へと一気に突撃したのである。
だがそれは、労働者人民をナチス的手法で一時的にたぶらかし、だまして可能になった虚妄の政治であって、その実体はガラス細工のようにもろいものでしかない。プロレタリアートがその組織された力をもって断固として反撃するならば、一瞬にして崩れ去るものだ。
11・6集会1万人の大結集こそがそのかぎを握っている。1万人結集を絶対に実現しよう。今こそ小泉打倒の総蜂起の時が来たことを、街頭で、職場で、組合で、大学や地域で、あらゆる大衆団体の中で、すべての労働者人民に心の底から訴えよう。
第3章 11・6への大結集をかちとるために
11・6への大結集をかちとるために、三つのことを特に訴えたい。
第一に、小泉と奥田の「労働組合こそ諸悪の根源、官公労こそガンだ」という攻撃に、4大産別を先頭に労働者階級の腹の底からの怒りを大爆発させて立ち上がることだ。
何よりもまず、全逓労働者の火のような怒りの総決起を! 郵政民営化法案の成立は闘いの新たな出発点にすぎない。民営化反対の旗を早々と降ろして組合員への裏切りに走る連合全逓(JPU)中央本部を打倒し、これから本格化する一大首切りと労組破壊の嵐に職場生産点からの物ダメ・ストライキで渾身(こんしん)の反撃を組織する闘いをつくりだそう。80年代の国鉄分割・民営化時に組合員全員が首をかけてストに決起した動労千葉のように闘うならば、必ず血路を切り開くことができる。10・21東京・宮下公園での郵政民営化粉砕総決起集会を断固としてかちとり、11月へ突き進もう。
小泉は郵政に続いて自治体労働者への攻撃に一種異様とも言える形で突入しているが、そこには改憲への道を開くために教組と自治労を解体し尽くすという戦略が明白にある。8月末の自治労大会での沖縄代表を先頭とした戦闘的決起は、これに対する革命的反撃の力が下から噴き上がりつつあることを示している。小泉の公務員攻撃にもっと激烈な怒りの声と力をたたきつけよう。
教労戦線での闘いをさらに全力を挙げて前に推し進めよう。「日の丸・君が代」強制と闘いぬいてきた力をさらに発展させ、杉並での「つくる会」教科書採択撤回の闘いをやりぬこう。昨年11月集会で闘う教育労働者が全参加者と熱い交歓をしたあの感動を、05年でも再現しよう。
4大産別の先頭で帝国主義とJR資本への怒りを爆発させ、運転保安闘争で資本・当局に一定の譲歩を強制している動労千葉の偉大な闘いを、なんとしても全国鉄労働者のものとしよう。9・15反動判決が、一方で組合差別を認めるほど追いつめられながら、実際には国鉄分割・民営化も解雇も合法と開き直っていることを断じて許すな。1047名闘争の分裂と解体を策すこの悪意に満ちた判決を許さず、7・15の偉大な統一行動の陣形を絶対に守りぬいていこう。
この4大産別での闘いを猛然と発展させながら、同時にそれを軸に全産業の労働者、民間労働者、中小企業労働者、合同労組の闘いをさらに発展させていこう。非正規雇用の労働者の決起を組織していこう。
第二に、この4大産別を先頭とする民営化と労組破壊への反撃の闘いは、日帝の改憲攻撃、戦争攻撃との闘いと一体である。われわれは今こそ4大産別決戦とともに、改憲攻撃への政治闘争的な大反撃を開始しなければならない。
10月連合大会で、むきだしの改憲派で徴兵制導入論者の高木新会長の登場に、反対票が全体の3分の1の規模で突きつけられたことは、労働者階級が真剣な闘いを求め始めたことを示している。改憲闘争とは国家と革命の問題を正面から問う闘いであることを全労働者階級の前に明確にし、一切の既成党派やカクマルなどの誤った考え方を一掃して、本物の力ある改憲阻止闘争をつくりだそう。前進社刊『改憲攻撃と労働者階級』はその決定的武器だ。全面的に活用し尽くそう。
イラク反戦闘争、名護新基地建設阻止を焦点とする沖縄闘争、全国基地闘争のさらなる発展をかちとろう。特別国会での共謀罪と、「障害者自立支援」法案絶対粉砕の闘いをやりぬこう。とりわけ共謀罪の導入は、戦前の治安維持法以上の悪法の登場であり、最も恐るべき労働運動鎮圧法だ。戦争・改憲阻止と4大産別決戦の一環として、これを葬り去るために全力を挙げて闘おう。
日米韓労働者の大合流を
第三は、11・6集会が昨年にもまして、日米韓3国の闘う労働者の大規模でより団結度の高い国際連帯集会としてかちとられるということだ。
11・6には韓国とアメリカの労働組合から、国際帝国主義との最先端での激突を闘っている労働者が、動労千葉を始めとする日本の階級的労働運動との連帯と合流を求めて大挙して参加する。この国際連帯集会の実現それ自体が、労働者階級の真の階級的団結を、その誇りと力を圧倒的によみがえらせる闘いなのだ。帝国主義打倒、プロレタリア世界革命への国際労働者階級の新たな出発点だ。
韓国・民主労総ソウル地域本部長のコジョンファン氏は、動労千葉発行のパンフ『世界に翔(と)びたとう5』の中で、11・6で韓日の現場労働者が「お互い『同じ労働者階級だ』と心から確信し、歓びあえるような出会い、お互いの力を倍加させるような交流」を実現しようと呼びかけている。アメリカの労働者も同様の檄(げき)を発している。これにこたえ、日本の労働者階級の巨大な決起を、1万人という規模で必ずや実現しよう。あと3週間、その組織化のために全力をふりしぼって闘おう。
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週刊『前進』(2219号1面2)(2005/10/24)
11・6全国労働者総決起集会 集会要項
たたかう労働組合の全国ネットワークをつくろう!
戦争と民営化=労組破壊攻撃にたち向かう労働者の国際的団結を!
11・6全国労働者総決起集会
とき 11月6日(日)午前11時30分開会
ところ 東京・日比谷野外音楽堂
●韓国 民主労総ソウル本部
●アメリカ ILWU(国際港湾倉庫労組)
AMFA(ノースウエスト航空整備士労組)
●連帯あいさつ 佐藤昭夫(国労5・27臨大闘争弾圧を許さない会)
高山俊吉(憲法と人権の日弁連をめざす会)
小田原紀雄(とめよう戦争への道!百万人署名運動)
【主催】11・6集会実行委員会(呼びかけ労組 全日本建設運輸連帯労働組合・関西地区生コン支部、全国金属機械労働組合・港合同、国鉄千葉動力車労働組合)
11・6全国労働者総決起集会スローガン
◎全労働者の団結で、小泉−日本経団連・奥田体制と対決し、郵政をはじめとした民営化−非正規雇用化−労組破壊攻撃をはね返そう! 労働法制改悪、倒産・解雇・賃下げを許すな! 社会保障制度解体−大増税を阻止しよう!
◎全労働者の団結で、憲法9条、教育基本法改悪を阻止しよう! 「日の丸・君が代」−「つくる会教科書」闘争を発展させよう!
◎全労働者の団結で、有事立法粉砕−“発動させない、従わない”戦争協力拒否の闘いをつくりあげよう! 自衛隊を直ちにイラクから撤兵させよう! 沖縄をはじめとした全ての基地撤去、日本の戦争政策の根幹をなす日米安保体制を打ち砕こう!
◎全労働者の団結で、連帯労組関西地区生コン支部への不当弾圧をはね返そう! 団結権・団体行動権を守りぬき、労働運動・反戦運動への治安弾圧攻撃をはね返そう! 共謀罪新設を阻止しよう!
◎全労働者の団結で、9・15反動判決と対決し、国鉄1047名の解雇撤回闘争に勝利しよう! 国労臨大闘争弾圧を粉砕しよう!
民営化・規制緩和の帰結=JR尼崎事故を二度と許すな!
動労千葉の安全運転行動を支持し共に闘おう!
◎全労働者の団結で、国家主義・排外主義の台頭と対決し、日・米・韓労働者の国境を越えた連帯と共同闘争を発展させよう!
◎全労働者の団結で、改憲−戦争、首切りと労組破壊の民営化に突き進む小泉反動内閣を打倒しよう!
【集会事務局】動労千葉/千葉市中央区要町2-8DC会館3F TEL. 043-222-7207 FAX. 043-224-7197 Eメール doro-chiba@doro-chiba.org ホームページ http://www.geocities.jp/nov_rally
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週刊『前進』(2219号2面1)(2005/10/24)
共謀罪は労働運動壊滅法 三たび廃案に追い込もう
治安維持法こえる悪法許せるか
小泉政権は10月4日、特別国会に現代の治安維持法=共謀罪法案を提出し、14日には衆院法務委員会で趣旨説明と与党質疑を強行した。恐るべき治安弾圧立法としての共謀罪の制定を、全力を挙げて阻止しよう。共謀罪は前通常国会での成立が策動されていたが、多くの人びとの先進的努力によって、本格審議を1日しただけでストップし、衆院解散を期にいったん廃案となった。しかし小泉政権は、過去2度にわたり廃案に追い込まれた共謀罪法案を、今特別国会でなんとしても成立させようと総力を傾けている。そのために、10月中旬に法案を衆院通過させようともくろんでいる。11月1日の会期末までの一日一日が、息の抜けない決戦となったのだ。
実行行為に至らなくても重刑を科す
共謀罪は、とてつもない治安弾圧立法だ。治安維持法以上の悪法と言われているが、まさにそのとおりである。あらゆる力を結集して、三たび法案を葬り去らなければならない。
衆院で与党が3分の2を制する中で、小泉や日本経団連会長・奥田らは「何でもできる」と公言しつつ、郵政民営化を頂点とする公共部門の一大民営化に突き進んでいる。この攻撃の核心は、全逓(JPU)、自治労、日教組を壊滅に追い込むということだ。国家や自治体の行政機構から労組を一掃し、改憲=侵略戦争への反動的突破口を押し開こうとしているのだ。同時にそれは、官民問わず全労働者をさらなる無権利状態にたたき込み、強搾取を貫くための攻撃だ。
これを強行するためにも、労働者人民の一切の抵抗を暴力的に抑え込む新たな治安弾圧立法を、支配階級はなんとしても手中に収めようとしているのだ。
共謀罪は、革命運動や反体制運動はもとより、労働運動・大衆運動・市民運動などあらゆる組織的・団体的運動を、思想的・政治的討論の段階で共謀の罪に引っかけて弾圧できるというものだ。
共謀罪の導入は、きわめて巧妙にも組対法(組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律)の「一部改正」という形をとって行われようとしている。99年に強行制定された組対法自体、あたかも暴力団などへの対応であるかのように押し出されたものだが、実際にはそれは反体制運動に向けられた反動的法的凶器にほかならない。この本質がある面でいまだに隠蔽(いんぺい)されたままにまかり通っている「社会的通念」につけ込んで、日帝権力は今回、「組対法の一部改正」という隠微な形で、実は治安維持法を超える悪法を制定しようとしているのだ。
具体的には、共謀罪法案は、組対法の第6条に加えて「第6条の2」を付加するという形をとっている。組対法第6条は、「組織的な殺人等の予備」という条文だ。ここでは「団体の活動として」殺人等を犯す目的で予備をした者は、実行行為に至らずとも、予備に加わったというだけですべて処罰できるというものである。これ自体、刑法の予備罪を、団体の行為として幅広く拡大して適用する、とんでもない悪法だ。
今回の共謀罪は、この組対法第6条と一見して同類のもののような外見をとりながら、6条の2を付加することで、とてつもない大型の治安弾圧立法として制定されようとしている。共謀罪条項それ自体が、破防法や治安維持法と同じくらいのすさまじさを持つ、一大反動法案なのである。
導入されようとしている6条の2の内容は、表に掲げたとおりである。
要するに、@「死刑、無期もしくは長期10年以上の刑」や、A「長期4年以上10年以下の刑」にあたる犯罪行為について、「団体の活動として」その遂行を共謀した者、さらには団体の構成員でなくても、その団体の「不正権益」の獲得・維持・拡大のために共謀に加わったと見なされた者までをも含め、重罰に処すというのである。
しかも、共謀罪には、自首した場合は刑を減免するというきわめて悪質な条項さえ盛り込まれている。これは、スパイが諸運動体の組織的討議に参加し、こういう謀議をしたと自白すれば、全員が逮捕され、スパイは軽い刑で事実上、免罪になるということだ。
組対法第6条で重罰化されたいわゆる予備罪とは、殺人などの重い罪については「予備をした」ということだけで処罰するというものだったが、共謀罪は、端的に言えば「長期4年以上の刑」にあたる「犯罪行為」について、共謀しただけで、実行にはまったく至らなくても「5年以下」「2年以下」の刑罰を加えるというのだ。つまり、どんなタイプの行為でも「4年以上の刑」の対象となるような行為なら、すべて共謀の網に引っかけるということである。これによって実に619種の罪について、共謀罪が新設されるのである。
団体交渉も要請行動も不可能になる
これを具体的に労働運動に当てはめると、次のようになる。
◆団体交渉の要求を決議→逮捕・監禁の共謀罪
◆要請行動や面会を求めることを決定→組織的強要の共謀罪
◆ビラまきや街頭宣伝の実行の相談→組織的信用毀損や業務妨害の強要罪
◆退職金の上積みや解決金支払いを要求→恐喝の共謀罪
要するに労働運動、大衆運動、政治運動、革命運動など、あらゆる形の階級闘争の推進にかかわるすべての行為について、有罪なら長期4年以上の刑にあたると見なされれば、共謀した、相談した、話し合ったというだけで逮捕できるという、すさまじい悪法だ。
このほかにも、共謀罪の導入と一体で、刑法の「一部改正」が行われる。ここでたくらまれている「証人等買収罪」の新設は、被告・弁護人の活動を著しく侵害するものになる。また、刑法第96条の「強制執行妨害罪」についても重罰化が行われる。これも、倒産争議への弾圧に猛威を振るうものとなる。こうした重罰化で刑が4年以上になるものが幾つも増え、これには共謀罪が適用される。
もう一つの重要な問題は、サイバー条約に伴うサイバー弾圧法の新設だ。
このように共謀罪は大変な大弾圧立法なのである。
戦争・民営化攻撃に対応した治安弾圧
共謀罪攻撃と全力で闘っていくために、革共同の路線の中にこの闘いをどのように位置づけ、どのように訴えていくかについて、以下の諸点を確認したい。
われわれは今日、直接には労働組合運動、大衆運動の推進とその中での拠点形成を軸として闘っている。この現状に対し、日帝権力は、それ自身まったく平和的・合法的な行為についてさえ、あらゆる形で弾圧にのり出してきている。
これに加えて共謀罪の成立を許せば、あらゆる非合法活動はもとより、合法活動に対しても、権力は大弾圧を強行し、組織壊滅の攻撃に踏み込んでくる。
11・6全国労働者総決起集会の呼びかけ労組である全日本建設運輸連帯労組関西地区生コン支部に対しては、武委員長ら6人の執行委員を今なお勾留し続ける大弾圧が襲っている。生コン業者に協同組合への加入を要請したことが「威力業務妨害」になるなどというのは許しがたい言いがかりだ。これは、産別統一交渉を軸とする関西生コン支部の運動破壊を狙う弾圧であるとともに、明らかに11・6集会を呼びかけた3労組の共闘が大きく発展していることへの大反動である。
国労大会でビラまき・説得活動を行った国労組合員が逮捕・起訴された国労5・27臨大闘争弾圧も、ただならない治安弾圧だ。
さらに立川テント村への弾圧など、ビラ入れ活動への弾圧が集中している。
したがって、戦闘的労働運動・階級的労働運動を推進し、その再生を訴えていく時、戦争と民営化の攻撃が、治安弾圧的には共謀罪などの形で労働者階級に襲いかかってくることを強烈に押し出さなければならない。共謀罪は、すさまじい労働運動弾圧法・労働運動壊滅法なのである。また、都議選などの革命的議会主義の活動に対しても、こうした共謀罪的な治安弾圧が適用されてくることを直視しなければならない。
革命党の存亡をかけ闘おう
さらに、われわれが強烈に確認しておかなければならないことがある。今日の新指導路線は、日本における革命運動推進の強力な形態であり、いわゆるゲリラ・パルチザン戦争のようなものだけが弾圧されるわけではないということだ。歴史的に見れば、革命運動は武装闘争をしたから弾圧される、しなかったら弾圧されない、というものでは断じてない。
特に、革共同の「闘うイラク人民と連帯し、朝鮮・中国人民と連帯し、日帝の侵略戦争を内乱に転化せよ」という路線とその物質化は、すさまじい階級的激突の焦点となる。戦時下でそうした路線と、それに基づくありとあらゆる闘いと行為が、共謀罪の弾圧対象になるということだ。一切の合法主義を一掃し、共謀罪阻止闘争の路線的位置づけを明確にして闘おう。
11・6全国労働者総決起集会に米・韓の戦闘的労働者が大結集しようとしているのは、現代がもはや戦時下にあり、労働者階級は革命に向けての国際連帯を心底求めているからだ。
11・6集会のスローガンの一つに「共謀罪新設を阻止しよう」が掲げられているように、11・6集会大結集に向けた取り組みの中に共謀罪阻止の闘いをしっかり組み込んで闘いぬこう。
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共謀罪法案の内容−共謀だけで重罰
組対法第6条の2
1 次の各号に掲げる罪に当たる行為で、団体の活動として、当該行為を実行するための組織により行われるものの遂行を共謀した者は、当該各号に定める刑に処する。ただし、実行に着手する前に自首した者は、その刑を減軽し、又は免除する。
一 死刑又は無期若しくは長期10年を超える懲役若しくは禁錮の刑が定められている罪 5年以下の懲役又は禁錮
二 長期4年以上10年以下の懲役又は禁錮の刑が定められている罪 2年以下の懲役又は禁錮
2 前項各号に掲げる罪に当たる行為で、第三条第二項に規定する目的(※)で行われるものの遂行を共謀した者も、前項と同様とする。
※団体に不正権益を得させ、又は団体の不正権益を維持し、若しくは拡大する目的
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10月共謀罪阻止決戦の日程
国会前行動(議員会館前)
10月18日(火)午後4時〜
10月25日(火)正午〜
山手線一斉街宣−渋谷デモ
10月22日(土)
午後0時15分から高田馬場駅と上野駅公園口に集中。午後1時45分に宮下公園に結集し渋谷デモ
共謀罪廃案総決起集会
10月25日(火)午後6時
弁護士会館10階
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週刊『前進』(2219号2面2)(2005/10/24)
(3)
反合・運転保安闘争論
「大民営化時代」にも通用 反合理化闘争の創造的発展へ
闘いなくして安全なし
資本の利潤上げる大合理化=民営化
動労千葉の闘いの歴史には、今日の安全運転行動が大きな成果を上げるに至るまでに営々として築き上げてきた「反合理化・運転保安確立闘争」路線がある。この路線が動労千葉の団結のかなめであり、原点である。尼崎事故という現実を前にして、事故の責任を労働者に転嫁し、無数の人命を奪い続けた資本・当局への怒り、悔しさ、「明日はわが身」という切実な思いで、反合・運転保安闘争を発展させたのである。
動労千葉は、10月2、3日の第34回定期大会で「大民営化時代に通用する反合・運転保安闘争」を創造するという方針を打ち出した。それは、「闘いなくして安全なし」に示される反合・運転保安闘争路線が、JR体制を打倒する路線であるとともに、今日の大民営化攻撃にさらされている全産別の労働者の結集軸となり得る路線だからだ。
そもそも合理化攻撃とは、賃労働と資本の関係において、労働力の価値を際限なく縮小し、資本が利潤=剰余価値の増大を追求するためのあらゆる手段・方法であり、資本と労働者階級の絶えざる闘争と力関係に規定されつつ貫かれる。
帝国主義段階の独占企業における生産技術の飛躍的高度化に対応して、労働組合を弱体化させ、資本の労働者支配を強めつつ、最大限の搾取を極限的労働強化と可能な限りの低賃金によって貫くための攻撃である。具体的には人員削減、労働強化と効率化や賃金支払い形態での年功序列賃金の解体、成果主義の導入などの攻撃となる。
05年3月期の決算で、上場企業が史上空前の利益を上げているのは、そうした大合理化の結果である。また、労働組合が反合理化闘争を放棄し、合理化攻撃を許している結果である。
したがって、反合理化闘争とは、資本の労働者への侵害に対する抵抗として、資本と直接的に激突し、逆に資本への侵害として闘われる。労働組合という基礎的団結形態が主体となり、その防衛と団結強化としてかちとられるのである。
また、そうである以上、反合理化闘争は、労働者階級の究極的な解放=プロレタリア革命を目的として闘わざるを得ないのである。
反合理化闘争がこのようなものであるからこそ、その実践は並大抵の闘いではない。諸党派はこの実践でことごとく破産している。階級的労働運動の立場に立つ以外には闘うことはできないからである。
さらに、このような合理化攻撃は、帝国主義の破局的危機が深まる中では、全世界を覆う大民営化攻撃となる。そうした民営化攻撃は、戦争と直結している。民営化とは、単なる「官から民へ」ではない。それは、あらゆる公的部門を民営化し、資本の支配、すなわち市場原理=競争原理にゆだねるものだが、資本にとっては最大限の効率化を図る攻撃であり、その狙いは、労働組合解体攻撃と活動家パージでもある。そこに働く労働者を首切り自由の非正規雇用労働者にし、人員を削減し、賃下げを強行する。
例えば今、郵政民営化攻撃そのものの攻撃として導入されている連続深夜勤や郵便内務のアウトソーシング(外注化)、10時間2交代制の導入策動などは、8時間労働制を解体し、極限的な労働強化を貫徹するものだ。民営化によって資本は、そのような大リストラ・合理化を一層激化し、労働者への搾取を強め、利潤を上げようとする。
その中で、動労千葉は、運転保安闘争と結合することで具体的に合理化を阻止している。その反合・運転保安闘争路線とはどのようにして形成されたのか。
動労の戦闘的伝統継承した闘争路線
動労千葉の反合・運転保安闘争をスローガン的に言えば、「闘いなくして安全なし」である。
このスローガンは、もともと炭労のスローガンであった。たび重なる落盤や炭塵(たんじん)爆発などで多くの労働者の命を奪われ続けた炭鉱労働者は、「抵抗なくして安全なし、安全なくして労働なし」のスローガンを掲げて闘いに立ち上がり、安全が確認されるまでは坑に降りないという労資協定をかちとった。
しかし、総資本対総労働と言われた戦後最大の争議=1960年の三池争議に敗北し、炭労の団結が崩された結果、その3年後に三池の三川鉱で大炭塵爆発が発生し、500人もの労働者が一瞬にして命を奪われたのだ。「闘いなくして安全なし」は、まさに労働者の命をかけたスローガンであり、労働運動の解体か再生かをかけたスローガンなのである。
線路改善闘争でダイヤ改正実現
戦後の鉄道における安全問題は、1962年の三河島事故、63年の鶴見事故として、その矛盾を爆発させた。160人もの命を奪った三河島事故の後、国鉄当局は、労資で「事故防止対策委員会」を設置する方針を打ち出した。世間に対し、安全確立に向けて取り組むかのような姿勢を示すことで、その場をのりきろうとした。国労、動労本部はこの提案を受け入れ、協定を締結した。しかし、「当局とテーブルを囲んで話し合うことで安全が確保されることなどあり得ない」という現場の怒りの声は強く、直後の動労全国大会では反対意見が続出し、本部が結んだ協定は承認を拒否され、執行部は総辞職した。ここから動労の戦闘的闘いは開始された。
しかし、その後、67年から5万人反合闘争、機関助士廃止反対闘争が戦闘的に闘われるが、敗北する。他方で、マル生(生産性向上運動)粉砕闘争は、70年安保・沖縄闘争の高揚の中で、青年労働者を先頭とする闘いで勝利する。
その上で、反合理化闘争をいかに闘うかがテーマであった。国鉄の場合は、SLからディーゼル化・電化という、生産手段の近代化とそれに伴う合理化攻撃がかけられた。機関助士は、SLには絶対に必要であったが、ディーゼル車、電車には必要ないとして廃止される。
カクマルを始め、民同、日共などが展望を喪失する中で、動労の闘う伝統を唯一創造的に継承したのが動労千葉であった。動労千葉は、反合理化闘争を具体的に闘う路線として、72年の船橋事故闘争を契機として、「反合理化・運転保安確立闘争」の路線を確立するのである。それは、前号で触れたように、「労働者への事故責任転嫁粉砕」「裁かれるべきは国鉄当局だ」を掲げて、幾度ものストライキや「日本列島を揺るがした」と言われたような順法闘争を貫徹し、当該の高石運転士の職場復帰を実現したのだ。
この闘いは、その後、75年以降の「線路改善闘争」に引き継がれる。資本・国鉄当局の合理化はまず保守部門から始まる。当時、千葉でレールが非常に劣悪化し列車が激しく振動するので、乗務員分科会が自分の足で各線区を歩いて線路の状態を調べ、そのデータを団体交渉の席に持ち込んだ。これにまともに対応しない当局に対して、安全運転闘争=最高速度規制闘争を対置した。線路の悪化は、線路の補修を合理化して、列車のスピードアップを行った結果だからだ。
最高速度規制闘争は、管内でだいたい1日2000分から3000分、1列車に換算するとせいぜい5分くらいの遅れを出すものだった。これを毎日積み重ねて、それをダイヤに組み入れさせた。例えば千葉から津田沼まで20分だとしたら、25分のダイヤをつくらせた。文字どおりのダイヤ改正を実現したのだ。
それまではダイヤ「改正」のたびに労働条件が悪くなっていたが、この時には、ダイヤ改正をやることによって労働条件がよくなった。その間に線路も修復されていった。「合理化によって奪われた労働条件を奪い返す、防衛から攻撃の反合・運転保安闘争」を実現したのだ。今日の安全運転闘争の原型である。
安全問題が資本の最大の弱点をなす
それは何よりも、反合理化闘争の新たな地平を切り開く画期的闘いであり、闘争論だった。反合闘争は、誰もが労働組合にとって最も基本的な課題であると言いながら、労働運動の歴史において、本当に有効な闘いが組織されたことは、ほとんどなかった。合理化提案に対して労働組合は常に受け身でしかなく、分断され、合理化が貫徹されていく。その結果、労働者の中にも「結局、労働組合などその程度の存在でしかない」という思想が浸透してしまうということが繰り返された。
こうした状況の中で、動労千葉は「資本の最大のアキレス腱(けん)・弱点は安全問題にある」ことを切り口とし、ここに徹底してこだわり抜くことによって、反合闘争の主導権を労働組合が握り返したのだ。
そもそも資本主義社会において、直接的利益を生まない保安部門への設備投資や必要要員の配置などを、資本が無視・軽視するのは必然的なことであり、労働者の抵抗や労働組合の闘いだけが、初めてそれを強制することができる。市場原理と安全は、絶対に相いれることのない水と油の関係だ。しかし、資本としても、安全などどうでもいいとは言えない。反合・運転保安闘争は、資本と最も鋭く対決する闘いであると同時に、資本の最大の弱点を突く闘いでもあるのだ。
今日、激しい民営化―規制緩和、団結破壊攻撃が吹き荒れる状況の中で、「安全の崩壊」は全社会的問題となって矛盾を噴出させ、労働者の命を奪い続けている。1999年のJCOの臨界事故に始まり、2001年の雪印食品の事件、03年のブリヂストン栃木工場、エクソン・モービル名古屋油槽所などの一連の大工場での火災事故、04年に明らかになった三菱自動車の欠陥隠し、そして05年になって頻発する日航機の事故などだ。
こうした中で、反合・運転保安闘争は、全産業の労働運動で求められる路線なのである。
(大沢 康)
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週刊『前進』(2219号2面3)(2005/10/24)
11・6実行委 米韓から大挙参加へ 1万人結集をあらためて決意
10月10日、「11・6労働者集会」第2回実行委員会が都内で開かれた。動労千葉と、全日建運輸連帯労組関西地区生コン支部、全国金属機械港合同の呼びかけ3労組を先頭に、各地の労働組合代表、労組活動家ら約100人が集まった。戦争と民営化=労組破壊の大攻撃と対決し、なんとしても1万人結集を実現するために、なすべきあらゆることをやりきろうと熱烈な討論が行われた。
動労千葉の田中康宏委員長が、8月の第1回実行委員会以降の取り組みの経過を報告した。さらに11月集会を取り巻く情勢として、@9・11総選挙による小泉大反動、A自治労大会や連合大会の会長選挙に示された労働運動の分岐・流動情勢の深まり、B9・15鉄建公団訴訟反動判決――の重大性を提起し、11・6労働者集会が日本の階級闘争全体を大きく動かす位置にあることを明らかにした。
また、国際連帯闘争の発展をかけて、アメリカと韓国・民主労総の闘う労働者が多数、参加する意向を表明していることが明らかにされた。
具体的に、韓国からは民主労総ソウル本部、公務員労組ソウル本部、ソウル大学病院労組、軌道(鉄道)労組、地区協議会代表、文化活動家(律動の指揮者)ら約20人が来日し、参加する。アメリカからはILWU(国際港湾倉庫労働組合)ローカル10のジャック・ヘイマン氏ほか、ILA(国際港湾労働者協会)のチャールストン5(東海岸)の労働者、そしてノースウエスト航空の大首切り攻撃にストライキで反撃しているAMFA(航空整備士労組)の労働者ら約20人が参加する。感動的な国際連帯集会になることが報告された。
会議参加者はあらためて集会の重大性をかみしめ、「彼らの熱意に、なんとしても1万人結集でこたえよう」と決意を新たにした。
続いて、全逓の青年労働者が「街頭で自分でマイクを握り郵政民営化阻止を訴えたら、すごい注目、反響だった。首をかけて闘う」と決意を表明し、全体が奮い立った。さらに教育労働者、自治体労働者らの報告と決意表明があった。
中野洋動労千葉前委員長の「小泉反動は議会制民主主義の完全な破産を示す。実際にはガラス細工のような、もろい小泉政権だ。労働者は団結して闘えば、必ず勝てる! 青年労働者がカギを握っている」との檄を受けて、参加者は1万人の組織化へ飛び出した。
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週刊『前進』(2219号3面1)(2005/10/24)
職場から実力で大反撃を
首切りと戦争への突破口 郵政民営化を粉砕しよう
郵政民営化絶対反対実行委の戦闘宣言
闘う全逓労働者を先頭に「郵政民営化絶対反対実行委員会」が結成され、小泉政権の郵政民営化の大反革命攻撃に対する烈々たる戦闘宣言が発せられた。これにこたえ、10・21総決起集会の爆発から、11・6全国労働者集会の大高揚へと攻め上ろう。(編集局)
8月8日、小泉内閣の命運をかけた郵政民営化法案は参議院で圧倒的に否決された。
小泉は、顔面蒼白になって解散・総選挙というかつてないクーデター的手法に打って出た。自民党内造反議員の選挙区に「刺客」を送り込み、造反議員の絶滅を図り、一方では、「公務員=悪玉」論、とりわけ正規・非正規38万人郵政労働者を「既得権益にしがみつく諸悪の根源」のように悪罵し、小泉自民党自らがつくった1000兆円の負債までも郵政労働者の責任であるかのように言い、デマに次ぐデマをわめきちらしてとんでもないどんでん返しを作り上げた。
現場は怒りでいっぱいだ!!
いま郵便局の現場はかつてない現場労働者の怒りでいっぱいである。
選挙期間中に繰り返された小泉の郵便労働者へのデマと中傷と悪罵。「公務員でなければ郵便局の仕事ができないのか」「民間にやらせればもっといいサービスができる」「公務員という既得権にしがみついているムダ」などなど、まるで郵政労働者はゴミ扱いだ。
公務員は本当に「不必要なゴミ」なのか。とんでもない。公務員でなければできない事業だから国営・公営でやってきたのだ。
われわれ27万人正規職員だって、「3年たったら故郷に帰す」等と政府・郵政省がウソまで言ってわれわれを「集団就職」として全国から駆り出してきたのは、政府がわれわれを必要としたからではないのか。
結婚はもちろん、生活もできない低賃金だったため、郵政省は民間アパートを借り切り宿舎とし、6畳間に3人も押し込んだ。ようやく生活ができたわれわれは、「公務員」ということでこんな劣悪な労働条件をも我慢してやってきた面だってあるのだ。60−70年代には配達先で「えっ! そんなに安いの?」としょっちゅう笑われた低賃金だったのだ。
過酷な労働条件によって、郵便労働者の退職後の生存年限は平均4年と言われていた。そんな劣悪な職場環境の悔しさを闘いの力に変え、団結を固め、処分覚悟で闘争に決起し、ささやかな特例休息の獲得、仮眠時間の拡大など、寿命を多少長くするささやかな労働条件の改善をかちとってきた。そして、われわれ全逓労働者は、戦争反対、平和を守り抜くために日本労働運動の最先頭で断固として闘ってきた。
病気・過労死が職場の現実
この闘う全逓の破壊のために、「全逓を脱退しなかったら故郷への転勤を絶対認めない」という郵政当局の組合差別に、「仲間を裏切ることはできない」と言い切り、病気に苦しむ故郷の両親を抱えながら、歯を食いしばって守り抜いた団結の力でかちとってきたささやかな職場改善を、小泉を先頭とする自民党・政財界の郵政族どもがあさってきた独善的利権とごちゃ混ぜにして、小泉は「公務員の傲慢な既得権」などと罵りまくっているのだ。しかも、そんなささやかな命を守るための職場改善の権利すらも、2年目を迎えた「公社化」と、事実上の民営化施策の強行によってすべて奪われ、ひとつの既得権すらなくなっているのだ。現在の郵政の職場は文字通り地獄と化している。そこに全員38万人無差別首切りの攻撃が襲いかかろうとしている。
「民営化」とはJRの尼崎事故だ。人の命よりも営利が優先される。
こんにちの郵政現場では「郵政版・尼崎事故」は毎日のように起きている。われわれ全逓労働者が血と汗と涙でかちとってきた、命と生活をかろうじて守るためのささやかな職場改善も、トヨタ方式をまねた「アクションプラン」という名の民営化先取りの労務政策によってつぎつぎと破壊されてきた。人事交流という名の強制配転、退職強要、極限的に抑圧された労働、連続深夜勤などで、心の病や現職死亡や自殺に追い込まれた仲間は数え切れない。郵便局の仮眠室で仮眠中過労によって死んだまま3日間も放置されていたということも起きているのだ。こんなことはもう許せない。
公務員「悪玉」論を許さない
ペテン師・小泉よ。何が「財政再建」だ。天文学的国家財政の赤字など、それは、ゼネコンや銀行、民間金融独占とおまえたち政財界が生み出したものではないか。郵政事業は黒字であり、そもそも独立採算制だ。われわれ郵政労働者は国の税金などビタ一文も使ってはいないのだ。
われわれは、郵政労働者を「悪玉」に仕立て上げる小泉のやり口とその狙いを絶対に許さない。「公務員=悪玉」論と「民営化」攻撃の真の狙いは、「公務員の首切り自由」と、労働組合と労働運動の抹殺を狙ったものだ。郵政=全逓労働運動破壊を突破口に、次は自治労、そして教育労働者を襲い、ついにはすべての労働組合の破壊を狙ったものだ。こんなことを絶対に許さない。
郵政労働者を「悪玉」にして小泉は総選挙に「大勝」した。だが、郵政民営化粉砕の勝負はこれからだ。闘いの場は、もはや小選挙区制によって翼賛化してしまった国会などではなく、職場生産点だ。「郵政民営化法案」を再提出した小泉に、郵政の現場を動かしているのはわれわれ労働者であり、われわれ労働者こそが社会の主人公なのだということを郵便局の現場からの闘いで知らしめてやる。今、どこの郵便局も人手がトコトン削減されつくされている。サービス残業や超勤を拒否しただけで、たちまち郵便物が山のようにたまってしまう状態だ。全逓労働者の最大の闘いの武器、それは物ダメとストライキだ。われわれ全逓労働者は、自民党政府国家権力・支配階級を恐怖のどん底にたたき込んだ1978年の反マル生・大物ダメ闘争の経験を持っている。全逓労働者は郵政民営化阻止のために今こそ、この78年反マル生越年闘争を超える闘いに向かって断固として決起する。郵政労働者にとっていまや、去るも地獄、残るも地獄。闘って勝つことの中にしか生きる道はない。今や大反乱の時がきたのだ。攻撃に全面屈服を深める全逓(JPU)中央を打倒し、退路を断ち、首をかけて職場から反撃に立とう。
10・21闘争へ
われわれ全逓労働者の「民営化絶対阻止」の総決起が、全公務員労働者の総決起をつくりだし、改憲と戦争国家化を目指すファシスト・小泉打倒の突破口となることを固く確信し、われわれは総決起する。
10・21「郵政民営化絶対反対」集会と、11・6小泉打倒の1万人集会の爆発的大結集こそ、その第一歩だ。がんばるぞ!
(2005年10月7日)
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週刊『前進』(2219号3面2)(2005/10/24)
労働者の怒り示した連合大会
改憲派高木に1/3が反対票 小泉圧勝への危機感が噴出
連合は10月5〜6日、第9回定期大会を東京都内で開催した。本紙前号既報のとおり、笹森退任を受けて、極右の改憲派、徴兵論者であるUIゼンセン同盟の高木剛会長が新会長に就任した。憲法9条改悪、海外派兵、徴兵制を主張する日帝の手先が、日本の労働運動のナショナルセンターの代表の位置についたということであり、きわめて重大な事態である。
猛烈な怒りと危機感をもって高木と対決し、連合中央を打倒して戦争・民営化(労組破壊)攻撃と闘う階級的労働運動の前進のために闘おう。
日帝・小泉は、日本経団連・奥田と一体化しつつ、8・8衆院解散−9・11総選挙の反革命を強行し、「民営化」の旗を掲げて公務員に対する攻撃を全面展開し、4大産別の労働者・労働組合への攻撃を決定的に強めている。
これに対して連合中央は、「小泉圧勝」情勢に震え上がり、日帝に一層屈服し、連合を文字どおりの現代の「産業報国会」にすることで対応しようとしている。
だが、会長選において改憲に反対する対立候補の鴨桃代全国ユニオン会長が107票を獲得、白票を含めると連合内の3分の1が高木に反対した。このことは、9・11「小泉圧勝」と激しい攻撃にもかかわらず、それへの怒りと危機感をばねにして、労働者階級が大きく立ち上がり始めたことを示している。いよいよ4大産別決戦と改憲阻止闘争が一体のものとして決戦化したのだ。
小泉・奥田の大反動と改憲攻撃への怒りに燃える労働者人民は11・6日比谷に総結集しよう。
9月11日の衆議院選挙での小泉・自民党の圧勝と民主党の惨敗に、連合中央は、選挙直後の13日、極右の高木UIゼンセン同盟会長を連合役員推薦委員会8人の全員一致で推薦するという暴挙に打って出た。
連合内改憲反対派が総決起
立候補締め切りの最終日に全国ユニオンの鴨会長が立候補し、会長選出は選挙に持ち込まれることになった。大会二日目に無記名投票が行われ、開票結果は、代議員1人、組織人員わずか3300人の鴨会長に大方の予想を覆して107票もの票が投じられた。高木は323票、白票が39票。白票を含めると146票と全体の実に3分の1が反高木を明らかにしたのだ。
反高木票が146票にまでなったということは、自治労、日教組を含めた連合内の改憲反対派と言われる全単産の代議員がすべて高木に反旗をひるがえしたということである。
今回の連合会長選は何を示しているか。
それは、改憲・戦争国家化攻撃をめぐる日帝と日本労働者階級の激突が激しく渦巻いており、9・11小泉の圧勝と、郵政民営化を突破口にした公務員労働者への一大攻撃の開始にもかかわらず階級決戦の決着がいまだついていないこと、いやこれからが本当の決戦であるということだ。
今年の1〜3月の「日の丸・君が代」強制拒否に対して50人を超える都高教の労働者の決起は情勢を一変させた。それに引き続く4〜8月の「つくる会」教科書採択阻止の闘いと、その中での教育労働者の決起は、日教組大会での改憲方針採択を阻止した。
続く8月自治労大会での沖縄県本部を先頭にした現場労働者の総決起は、自治労中央を大動揺にたたき込み、「9条死守」を表明せざるを得ない状態にまで追いつめた。
国鉄闘争は、「尼崎事故を二度とくり返さない」を掲げて始めた動労千葉の安全運転行動の勝利と、7・15国鉄集会の大成功をかちとり、国鉄1047名闘争は9・15反動判決をはじき飛ばす勢いで前進している。また、郵政民営化攻撃に対して闘う郵政労働者の決起が始まっている。
連合中央は、7月14日の中央執行委員会で改憲に向けた見解案を提出し、連合大会での採決を表明したが、これに対して14単産から意見書が提出された。その大多数は圧倒的に改憲反対論だ。日教組大会、自治労大会での攻防、改憲反対意見の噴出を前にして、連合中央は動揺し、9月13日の中央執行委員会で大会での採決断念を表明せざるを得なかった。
労働者階級が不退転の決意をもって立ち上がれば、小泉反動は不安定でもろいものだ。連合会長選はその展望を指し示している。
会場に改憲反対の声渦巻く
大会1日目の活動報告をめぐる議論でも、7・14連合改憲見解の撤回を求める意見が相次いだ。
全国一般は、7・14見解の「日米安保体制が、他国からの侵略的行為を未然に防止してきたし、戦後の経済発展がなされてきた」との表現を、「戦後、日本の平和が保たれてきたと言うならば、それは何よりも憲法9条があったからではないのか。60年安保闘争やベトナム反戦闘争を始めとする、われわれの先輩や、われわれ自身がその平和と民主主義を守るために闘ってきた結果ではないのか」と激しく断罪した。
さらに、国公連合の沖縄の代表は、「私は、憲法9条は絶対に変えてはならないという立場から、沖縄だからこそ言える、言わなければならないという決意でマイクの前に立っている」「見解案は、反戦、反基地運動に取り組んできた沖縄、そして全国の闘いを否定するようなものであり、大きな憤りを覚える」と、沖縄の立場から7・14見解案を徹底批判した。
徴兵制主張する高木許すな
高木は極右でゴリゴリの改憲論者である。7・14連合見解へのUIゼンセン同盟の意見書はすさまじい内容だ。「単純に徴兵制は採らない、と謳(うた)うことは”自らは闘わない”ことを意味することになる」などと書かれている。徴兵制を積極的に採用して、侵略戦争の意志を内外に示すべきだというのだ。これが労働組合の書く文章か。連合中央・高木体制打倒へ闘おう。
4大産別決戦を基軸に、9・11小泉圧勝と連合大会で明らかになった改憲情勢の激烈な展開をしっかり見据えて闘おう。11・6日比谷野音1万人総決起をかちとろう。
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週刊『前進』(2219号3面3)(2005/10/24)
“小泉こそがやめろ” 仙台 法案粉砕へ市内デモ
10月10日、「郵政民営化絶対阻止、40万人首切り許すな!」と現場の全逓労働者の呼びかけで地域の労働者・学生・市民40人が集まり、怒りの仙台市内デモが行われた。10月14日にも郵政民営化法案が強行採決されようとしているときに、現場の労働者・労働組合が民営化反対の声を上げ大衆行動を起こさずにどうするのか。「小泉こそやめろ! 今こそ立ち上がろう!」の横断幕のデモは仙台の一番丁繁華街で若い人たちの大きな注目を集めた。
デモ前段の集会では、全逓労働者が司会をし、「小泉政権の公務員・労働組合バッシングを許さない」「中央本部は組合員の首切りまで認めようというのか」と全逓労働者が現場の怒りをこめた集会基調を提起した。「郵政の次に自治体ではない、一体だ。自治体労働者は郵政民営化を自分の問題として闘う」「民営化は人は減らされ、隣で働く人の痛みをわからないようにしていくことだ。こんなのはいやだ、デモで訴えよう」と参加した自治体労働者、教育労働者が発言。全金本山労組は「最高裁判決を覆して職場に戻ったのは労働運動にとって大きな成果だと思っている。現場の闘いが一切を決めるんだ。闘おう」と教訓を訴えた。東北大有朋寮生が熱烈な小泉打倒の訴えをし、婦人民主クラブ全国協宮城支部からは、全逓労働者の家族がともに闘うと力強く発言した。
集会・デモに先立つ街頭宣伝では、全逓労働者らがマイクを持ち郵政民営化反対・小泉打倒を訴えた。デモへの参加と、仙台で開かれる10・14労働者集会と11・6日比谷野音への結集を呼びかけるビラ600枚が道行く労働者・市民に手渡された。ビラを受け取り「がんばって」と声をかけてくれる人もいた。
闘いはここから、闘いは今からだ。がんばろう!
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週刊『前進』(2219号3面4)(2005/10/24)
審議入り弾劾しデモ 大阪 全逓労働者が先頭で
10月4日、郵政民営化法案の国会審議入りに対し、関西労組交流センター全逓労働者部会主催の郵政民営化絶対反対の集会とデモを90余名で闘いました(写真)。大阪市役所南の女神像前に結集した労働者は、小泉の「民営化と戦争」路線に激しい怒りをもって闘いに立ち上がりました。
司会は全逓吹田局分会書記長が行い、尼崎局の仲間の元気いっぱいのシュプレヒコールで集会が始まりました。職場の報告と郵政民営化に対する戦闘宣言を全逓加古川代表分会長が行いました。
「小泉のクーデター的総選挙で一気に民営化が推し進められようとしている。公務員身分の剥奪(はくだつ)は『首切り自由』以外ない。この攻撃にわれわれがおめおめと屈服するわけにはいかない。請負労働者の解雇攻撃に対し、関西合同労組関西トランスポート分会は、2波のストライキで闘った。現在、郵政は『多様な労働形態』という名の差別・分断政策が行われており、この分断を闘う団結で乗り越えていくことが必要だ。加古川分会も地本の圧力に負けず連帯して闘っていく。すでにJPU本部は民営化反対の旗を降ろし、裏切りの先陣争いを行っている。これから始まる職場攻防を闘い、11月労働者集会で全国の闘う団結をつくりあげ 、JPU本部総退陣、本部打倒で闘う決意です」
つづいて加古川の関西トランスポート分会長が、3月組合結成から4月団交要求、団交拒否、全員解雇の経緯を明らかにして、解雇撤回まで闘う決意を述べました。国鉄労働者からは9・15鉄建公団訴訟の反動判決と闘い、闘う闘争団を最後まで守り抜く決意と、翌日の10・5国鉄集会への結集が訴えられました。さらに教育労働者が決意表明し、最後に港合同の青年労働者が民営化と戦争と闘う11・6労働者集会で小泉の攻撃と断固として闘おうと戦闘的に提起しました。団結ガンバローを奈良大和郡山局の全逓労働者が行い、デモに出発しました。
御堂筋を北上、大阪北の繁華街を元気よくデモを行い、沿道から勤め帰りの労働者、サラリーマンの注目を集めました。いよいよ小泉との秋の決戦が火ぶたを切りました。
(投稿・N)
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週刊『前進』(2219号3面5)(2005/10/24)
11・6へ金属労働者は訴える
青年の決起が時代を切り開く 階級的労働運動の力示そう
青山 翼
金属産別の労働者よ、11・6日比谷に集まろう。「戦争と民営化」の嵐が吹き荒れているこの時代に、金属産別の労働者は怒りをもって立ち上がらなければならない。
小泉政権は9・11総選挙で勝利を収めた。「郵政民営化を問う」というスローガンで反革命的に選挙戦を闘い、中間主義的な態度をとっていた民主党を叩きつぶした。小選挙区制のマジックだとは言え、与党が3分の2を超える勢力を握ったことは、戦後史を画するできごとである。
小泉は「官から民へ」を叫び、郵政を民営化すれば労働者に利益があるかのように労働者を欺いた。しかし、郵政を民営化して民間の労働者の賃金が上がるのか。労働条件が向上するのか。冷静に考えればありえないことだが、小泉はファシスト特有のデマゴギーで、不安感をもつ労働者の危機感をあおり立てて選挙に勝利したのだ。これからますます、労働者の生活や権利が奪われることはまちがいない。事実、選挙後ただちに小泉政権は、所得税減税の廃止や労働契約法の制定などを打ち出した。職場の労働者は叫んでいる、「だれが自民党に投票したんだ!」と。
小泉―奥田打倒
この間、小泉―奥田体制の下、「企業の危機」「国家の危機」が叫ばれ、不安定雇用や低賃金が労働者に強制されている。大企業の業績が軒並み向上し、史上最高の利益を出しながら、民間労働者の賃金は7年連続で下がり続けている。「生活を守るため」と従順な労働者は耐え忍び、資本のために働き続けた。しかし、その結果は賃下げと首切りだ。リストラされて職を探そうにも「正規社員」は望めない。頼みの綱の雇用保険も社会保障制度の改悪であてにはできない。社会に出た学生も「フリーター」や「契約社員」としてしか働けない。失業状態にある労働者はそれでも生きようとし、職にありつこうとする。派遣会社に登録し、派遣された先がリストラされた職場だったということもありうる時代となった。
労働者が主人公
04年に労働者派遣法が改悪され、製造現場に本格的に派遣労働者が働くようになり、年間派遣労働者数は200万人を超え、製造業の主流であった業務請負と同水準になったという。「派遣を使わない」と自慢していたトヨタでもついに派遣を導入することになった。時給で働く派遣労働者は、「生活ができない」ほどの低賃金でありながら、能力主義が問われ、「使えない」労働者は簡単に切り捨てられる。製造業で働く労働者は、正社員も契約社員も派遣労働者も同じように苦しんでいるのだ。
そんな労働者を連合などの既存の労働組合は、資本に売り渡し自己保身へと走っている。いや、もはや階級移行を行っている。連合が結成当初800万人だったのが今は700万人に減っている。その中身は企業倒産やリストラによる人員削減のせいだ。中小企業の集まりを自認するJAMは、わずか5年間で46万7297人(2344単組)が37万423人(2086単組)に減ってしまった。連合全体の減少率よりも激しい減少だ。
JAMは旧総評金属機械と旧同盟ゼンキン連合が99年に統一してできた組織である。金属機械の前身は全国金属(全金)といって民間の左派組合として名を馳せていた。「全金の旗が立つと企業がつぶれる」と言われ、資本は組合つぶしに躍起になり、暴力ガードマンの導入や活動家のパージを行い、会社主導で第2組合を結成させていった。その第2組合がゼンキン(全金)同盟である。いまでも同盟系は「左翼労働運動との決別=民主化運動」といって当時の運動を絶賛しており、反共労働運動を推し進めている。当然、彼らにとって労働運動とは、出世の道具(旧同盟系では産別のポストの位置で会社からの査定が変わるらしい)であり、労働者は踏みつける足場でしかないのだ。
リストラの嵐と、労働組合幹部の屈服したこのような状況下で金属労働者は頭を垂れているのか。資本に従属し、従順に働きつづけているのか。断じて否である! われわれはこの社会を変える力をもつ労働者である。「賃労働と資本」の関係は必ず労働者に矛盾を押し付け、労働者の闘いが生まれるのだ。金属労働者はこの時代のなかで「戦争と民営化」に立ち向かう主体なのだ。
全金本山の勝利
全金本山が34年間の長きに渡り「1人の首切りも許さない」と闘い続け、ついに職場復帰をかちとったことは、偉大な勝利だ。解雇撤回闘争で職場に戻り、組合旗を打ち立てる闘いは困難だと言われてきた。職場復帰しても即退職という解決が一般的であり、職場で闘争を継続することはまさにまれであった。
全金本山の勝利は「闘えば勝てる」という自信を労働者に与え、動労千葉のように階級的労働運動で闘えば、勝利を収めることができる唯一の選択肢だということを示した。われわれは共にこの全金本山の勝利を喜ぶ。そして、この闘いを教訓として、職場の中から階級的労働運動を作り上げなければならない。職場の労働者の闘いを圧殺する腐りきった労働組合幹部を打ち倒し、労働組合を労働者の手に奪い返すのだ。
特に青年労働者の力が必要である。時代を変革する力と意識を青年労働者は持っている。日々の労働で資本に搾取され、労働組合からも排除されている青年がその怒りで時代を切り開くのだ。青年労働者が闘う労働運動を自らの手で作り上げるのだ。われわれの前には全金本山があり、動労千葉があり、11月労働者集会がある。学ぶべき労働運動と結集すべき場所があるのだ。
すべての金属産別の仲間よ! 全金本山のように闘おう! 動労千葉のように闘おう! そして、仲間を組織し、労働組合を動かし、職場に大流動をつくりだし、大挙して11・6労働者集会へ結集しよう。金属産別の青年労働者よ、ともに立ち上がろう!
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週刊『前進』(2219号4面1)(2005/10/24)
10・9三里塚 北延伸−新誘導路計画粉砕へ
雨天つき1200人結集 農民追い出し攻撃に怒り
“東峰の森破壊は許さない”
三里塚で10月9日、三里塚芝山連合空港反対同盟主催の全国集会が行われ、雨の中1200人が結集した。暫定滑走路の北延伸が東峰・天神峰の住民追い出し攻撃であることを明らかにし、暫定滑走路の北延伸阻止−新誘導路計画粉砕、成田空港廃港を誓った。
「北も南も」が真の狙い
会場は成田市東峰。天候は、あいにくの雨模様で肌寒かったが、集会が始まる時間の正午には雨は上がった。会場となった事務局次長の萩原進さんの畑は周囲を空港に囲まれているため排水不良で水が引かない。そのため、ぬかるんだ畑一面をビニールで覆い、その上にゴザを敷いて座れるようにした。この作業で少し遅めの集会開始となった。
この集会は、8月4日の暫定滑走路の北延伸の正式決定後初めての全国集会だ。40年間まったく変わらない農民無視の暴挙に対する新たな怒りを胸に、北延伸阻止・空港廃港への歴史的闘いを展開していくことを決意する集会となった。
「北延伸の狙いは暫定滑走路の開港でもつぶせなかった反対同盟と地権者をジャンボ機を飛ばして追い出す攻撃だ。しかし、誘導路の新設、産廃処理場、現闘本部の存在など、問題が山積みで政府・国土交通省と成田空港会社(NAA)の危機を見てとることができる。三里塚は第一級の国策と闘い抜いてきた。勝利の展望がある」――事務局員の伊藤信晴さんが高らかに告げ、集会が始まった。
開会宣言を本部役員の鈴木幸司さんが行った。「40年間、戸村委員長の『闘えば必ず勝つ』の信念で闘い続けてきた。この先何十年かかろうとも絶対に勝利する。これは単なる言葉じゃない。どんなことがあっても闘い続ける。三里塚の闘いは農民だけの闘いじゃない。全人民の闘いだ。大きな使命を持っている」
続いて事務局長の北原鉱治さんが「小泉政権の4年でますます悪い状況になった。今の国政は本当に許せない。成田空港はその典型だ。南がダメなら北延伸。こんな発想を許していいのか。成田は完全空港には絶対にならない。この畑の先に新誘導路を造るという。その先には反対同盟の一坪共有地がある。絶対に譲らない。どっちが正しいのか。三里塚が負けたら日本の将来はつくれない」と主催者あいさつ。最後に「そして勝つ」と断言した。
萩原さんが基調提起を行った。10月3日に公表された暫定滑走路北延伸の施設計画案について、北に320b延伸するだけでなく南の東峰地区側に誘導路を新設することを指摘、新誘導路が通る「東峰の森」はかつて空港公団が保全を約束したことを明らかにし「断じて許さない」と強調。さらに東関道問題や騒音コンター、産廃処理場などの問題を指摘、「無理に無理を重ね、場当たり的」と厳しく批判。さらに現在の暫定滑走路の「へ」の字誘導路や管制の死角問題などもまったく解決しない「机上の線引き」だと断罪した。
そして「北延伸は敵にとって最悪の選択。南がダメなら北。だけど南もというやり方だ。南も北もが北延伸の狙いだ」と鋭く暴いた。そのうえで「断固として北延伸と闘い抜く。9・19緊急闘争や北延伸の騒音地域に宣伝活動を行い、大きな共感を集めた。東峰は北延伸を許さない立場で誘導路・駐機場の新設に反対している」と報告した。
さらに今日の空港政策について、中部空港開港と09年羽田空港国際化を挙げ、成田空港の「地盤沈下」を予告した。またこの間の日航や全日空のトラブル続発について、資本の論理による利益追求の結果だとして、「成田空港の民営化も同じ問題を引き起こす。JR福知山線の事故と同じだ。誰が責任をとるのか」と語気を強めた。
軍事空港化問題について「民間空港も戦争態勢に組み込まれる。米軍再編はわれわれの問題だ。基地闘争を三里塚闘争の重要なテーマとして取り組んでいく」と語った。現闘本部裁判について「誰でもできる闘い。取り組んでほしい」と訴えた。来年3月26日の全国集会を提起した。
動労千葉が11・6の訴え
動労千葉の田中康宏委員長が登壇し、特別報告。「日本階級闘争に占める三里塚闘争の位置は大きくなっている。動労千葉は反対同盟と連帯して闘う」と闘いの決意を示した。
さらに4月末のJR尼崎事故に対する安全運転闘争で22`、数百カ所のレール交換を約束させる勝利を実現したことを報告。「腹を据えて原則的に闘えば情勢は動く。闘いが始まるや予想外の支援と共感が集まった」「労働者を団結させないのが敵の唯一の攻撃だ。こういう時代だからこそ展望が見える。彼らは労働者を無力だと思わせるよう宣伝するが労働者こそが社会を変革できる」と熱烈にアピールし、11・6労働者集会への結集を呼びかけた。
「北延伸阻止−『東峰の森』を守り新誘導路計画を粉砕しよう」と題する反対同盟の特別声明を読み上げ、敷地内の決意を天神峰の市東孝雄さんが次のように示した。
「40年間、謝罪してはその舌の根の乾かぬうちにまた延伸計画。誘導路新設やクリーンセンター(産廃処理場)、東関道の問題など、いかに北延伸が場当たりか。東峰の住民と天神峰の私を追い出すためのものです。頭上40bをジャンボ機が飛ぶことを許してはなりません。沖縄・北富士・座間と連帯して、イラク派兵と基地強化に反対し、動労千葉とともに全世界の労働者と連帯して闘う」
続いて廃村化攻撃と闘う中郷の鈴木謙太郎さんが「暫定滑走路の開港で騒音直下になった。爆音をあげて離着陸している。中郷で残っている農家は我が家のみだが、反対同盟とともに闘っている。最後までともに闘う」と決意を示した。
野戦病院が「三里塚闘争への熱意を示そう」と天神峰現闘本部裁判支援する会の会員拡大を訴えた。
顧問弁護団の葉山岳夫弁護士、一瀬敬一郎弁護士、浅野史生弁護士が一緒に登壇。代表して葉山弁護士が連帯のあいさつを行った。北延伸計画について、空港敷地拡大の問題やオーバーラン事故の現場に誘導路を造る問題など北延伸計画の破綻(はたん)性を指摘。12月15日の現闘本部裁判への結集を呼びかけた。
小泉打倒へ闘う三里塚
婦人行動隊の宮本麻子さんのカンパアピールに続いて、住民団体の発言が関西の淡路町空港反対同盟代表の永井満さんと東灘区住民の会代表の山本善偉さんの発言で始まった。永井さんは「反対同盟の決意表明に心から奮い立つ思い。大反動の時代、まなじりを決して闘う」と思いを語り、山本さんは「来年2月に神戸空港が開港する。なんら問題は解決されていない。抗議集会に130人が集まった」と報告した。
北富士からは忍草国有入会地守る会会長の天野豊徳さん、忍草母の会事務局長の天野美恵さんが登壇。豊徳さんは「『東峰の森』問題は同じ農民である私と共通する問題。私も北富士の草を刈り農業を営んできた。農民は土地が命。自然の恵みの中で生きている」と新誘導路阻止を訴えた。
美恵さんは「小泉は総選挙の圧勝にのぼせ上がっている。倒すのはあなたたちしかいない。11・6労働者集会でみなさんの力を試す時。米軍演習に対し大闘争をやる。11月3日の申し入れ行動に来てほしい」と呼びかけた。
部落解放同盟全国連合会の金平通雄共闘部長、都政を革新する会の長谷川英憲代表、婦人民主クラブ全国協議会の西村綾子代表がそれぞれ決意表明に立った。
最後に、全学連の新委員長に就任した織田陽介君が颯爽(さっそう)と登場。「北延伸は絶対に阻止する。こんな生活破壊が許せるか。今こそ小泉を打倒するために立ち上がる時だ。11・6労働者集会は、革命の展望を示す国際連帯集会。人生かけて闘っていく」。みずみずしい決意表明に満場の拍手が返った。
野平聡一さんによる閉会宣言、ガンバロー三唱の後、ただちにデモに出発した。デモコースは「東峰の森」を右手に集会会場の畑から小見川県道に出て、東峰神社の先で左折、東峰地区を周回し、再び小見川県道、団結街道を直進し、現闘本部の先までの約3・5`。デモの途中、頭上40bのジェット機の着陸を体感し、怒りを込めて戦闘的にデモを貫徹した。
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週刊『前進』(2219号4面2)(2005/10/24)
現闘本部裁判 同盟、地上権を積極展開
“建物は登記され現存”
千葉地裁で10月6日、天神峰現闘本部裁判の第8回口頭弁論が行われた。この裁判は、成田空港暫定滑走路の「へ」の字に曲がった誘導路を直線化するために成田空港会社(NAA)が起こした裁判。現闘本部建物の撤去を要求している。
裁判は現在、最大の焦点である地上権をめぐる攻防となっている。NAAは、88年の増築時に木造建物は増築した鉄骨建物に「吸収」され、反対同盟の地上権は消滅したという苦しい強弁を続けている。反対同盟は、鉄骨建物の中に木造の旧現闘本部が現存することを示す証拠写真を示し、NAAを追いつめている。
この日の法廷で反対同盟側は地上権の積極的主張を行った。地上権の要件は、@建物が登記されているAその登記建物が現存している――の2点だ。現在の現闘本部建物は、66年に登記された木造建物に鉄骨3階建てを増築したものだ。外観は鉄骨建物だが、その中には登記された木造建物がそっくり残る二重構造になっている。
反対同盟弁護団は、@地上権に基づき借地契約をしていることA66年12月に旧地主の石橋政次との間に空港計画が撤廃され反対同盟が解散するまで反対同盟本部事務所の建物を建てるために地上権を設定。石橋は移転する際にも公団には売却せず、土地を分筆、反対同盟との借地契約を継続、その後の増築にも合意、地代も払われてきたこと――などを準備書面として提出、主張を展開した。
公判終了後の記者会見で北原鉱治事務局長は「40年たったが三里塚闘争は健在だ。三里塚は40年の闘いで数千人の逮捕者を出し、現在も獄中で闘う人もいる。裁判には必ず勝利する」と気迫を込めて語った。
顧問弁護団の葉山岳夫弁護士がこの日の口頭弁論について解説し、反対同盟の地上権が確固として存在することをあらためて明確にし、NAAの主張する登記の無効論を鋭く批判した。
続いて天神峰現闘本部裁判闘争を支援する会の世話人の戸村義弘さんが集まった記者に「この裁判をちゃんと記事にし、国家の宣伝がデタラメだときちんと書いてほしい」と訴えた。
事務局次長の萩原進さんが「口頭弁論も8回目を迎えた。廃港まで断固闘う。(増築後の中の木造建物は)1階が土間で昼間に地下足袋を履いたままでお茶を飲めるようになっていた。それを吸収と言うのは奇弁。裁判を起こすこと自体がおかしい。今の陣形を崩すことなく支援する会の会員拡大をお願いしたい」と訴えた。
暫定滑走路の北延伸については「問題山積みで無理を重ねている。(萩原さんの)畑から一坪共有地の間の距離は90bちょっと。その間に誘導路を新設してジャンボ機を通そうとしている」と弾劾した。
群馬実行委の青柳晃玄さん、全国婦人民主クラブ全国協代表の西村綾子さん、全学連の織田陽介委員長らも駆けつけ、裁判勝利への決意を語った。
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週刊『前進』(2219号4面3)(2005/10/24)
フランス
全国ストと百万人デモ 民営化と雇用政策に反対
8労組全国組織が統一行動
10月4日、フランス全土で一斉に24時間ストライキと街頭デモンストレーションが行われた。150都市でのデモ参加者の合計は百万人を超した(主催者発表)。今年3月10日の闘い以来の規模だ。
10・4闘争は、主要な八つの労組全国組織(CGT=労働総同盟、CFDT=仏民主労働同盟、FO=労働者の力、CFTC=仏キリスト教労働者同盟、CFE−CGC=仏管理職連盟―管理職総同盟が呼びかけ、FSU=統一労組同盟、UNSA=自立労組全国連合、Union syndicale Solidaire=団結労組連合)が協力、「左翼」政党(仏社会党、仏共産党、緑の党)、革命的共産主義者同盟(第4インターナショナル)が支持した。
10・4闘争は、シラク大統領―ドビルパン首相政権の民営化路線と新雇用政策への労働者階級の反対の意思を強烈に示した。同首相は「政府は労働者の不安と要求にこたえたいと思っている」と述べ、労働者の怒りを鎮めるのに躍起となった。彼らにとって10・4は“暗黒の火曜日”と言われるほど大きな打撃だ。しかもこれは始まりでしかない。労組全国組織も政党も、政府が要求を飲まなければこうした行動を今後も続けると宣言している。
解雇を容易にすること狙う
労働者は10%を超える失業率、政府の新雇用政策――中小企業は2年間の試用期間中ならば解雇できる――に怒りを表し、「雇用と購買力、労働者の権利をともに守ろう」「35時間労働制の解体に反対」「解雇の容易化に反対」を掲げた。
民営化に反対する公共部門の労働者、特に鉄道労働者、教育労働者が大きな力を発揮した。10万人がデモに参加したマルセイユで公共交通機関が止まった。15万人がデモに出たパリでも、SNCF(フランス国鉄)、RATF(パリ交通公団)の全線がストの影響を受けた。国鉄労働者の32%がストに加わった。当局は地方線、都市間高速線の半分しか時刻表どおりに運行されなかったと認めた。
パリの二つの空港からの400の中近距離便が運航中止になった。リヨンの空港は完全に閉鎖された。
教職員(国家公務員)の23万人、25〜37%が学校、授業を休んだ。昨年度のフィヨン教育相による教育改革に反対した高校生のデモを引き継ぐ闘いだ。“労働時間を延長し、年間1期制を導入し、教育の機会均等を破壊する法律の廃止を”と訴え、教育予算の削減と教員数の削減、数千に及ぶ非正規教員の解雇と学級の閉鎖に強く反対した。私立学校を好みフィヨン改革を支持するジルドロビアン新教育相への怒りは強い。
公的部門の労働者のスト参加率は、公務員が25%、郵便が15〜30%、電力公社(EDF)が28%、フランステレコムが25%だ。
私企業の労働者の決起も10月4日の闘いの大きな要素を占めた。1240人の解雇計画を発表したコンピューターのヒューレットパッカードの労働者がパリのデモの先頭に立ったのを始め、サン・マイクロエレクトロニクス、英国航空(BA)、エールフランス、オルリー空港、ルグラン、ルノー、フォード、エアバス、アルカテルなどの労働者もデモに参加した。
フェリー民営化反対でスト
コルシカ島では最も激しい闘いが展開されている。アジャシオ市ではデモ隊と警察が衝突した。9月28日から行われているSNCM(地中海フェリーコルシカ国営海運会社)の労働者のストに続くコルシカの労働者のストで、数千人の旅行者が数日間、島を出られなくなり、島のスーパーの商品はほとんど無くなった。
仏政府が9月26日に発表したSNCMの完全民営化計画(投資会社への譲渡、400人削減)に労組は反対だ。労組員は27日にフェリーを乗っ取り、奪還にきた警官隊と衝突、翌28日にストに突入した。コルシカ独立をめざす武装組織が30日アジャシオの県庁舎にロケット弾を撃ち込んだ。
政府はSNCM完全民営化方針を撤回し、25%の株式を国が保有する部分民営化方針を提示したが、労組は同意していない。
10・4ストライキへの支持率は7割に達した。労働者は「先輩たちが数世紀に及ぶ闘いでかちとった諸権利がすべて奪われようとしている。ストライキで闘う以外にない」と主張する。パリ郊外の貧困地区の学校――生徒の大半は移民――の教員は、「自分のためや教員の賃上げのためだけではなく、政府がフランスの最貧困者に税金を使うことを要求してデモしている」と言う。労働者の階級性と国際性の発露として10・4闘争が闘われているのだ。
フランスの労働者階級、労働組合は帝国主義国においてたぐいまれな団結力・戦闘力をもって帝国主義の戦争と民営化(労組破壊、社会保障解体)と対決している。しかし究極的勝利のためには帝国主義打倒―世界プロレタリア革命の綱領と反スターリン主義・革命的共産主義の思想、そして革命党建設が必要だ。フランス労働者階級との国際連帯として11・6集会を成功させよう。
(藤沢明彦)
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週刊『前進』(2219号4面4)(2005/10/24)
10月5日〜11日
ブッシュ「対テロ戦争」演説
ラムズフェルド訪日中止に
●オスプレイ12年配備 米海兵隊が次期主力機となる垂直離着陸機「MV22オスプレイ」を2012年に普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)に配備する計画を進めていることが分かった。同飛行場に配備されている主力のCH46E中型ヘリ24機は13年までにすべて入れ替える。(5日)
●民主党が安保4原則の原案示す 民主党憲法調査会(枝野幸男会長)が、党の憲法に関する考え方を示す「憲法提言」の安全保障分野の原案を示した。@平和主義A国連憲章の「制約された自衛権」B国連の集団安全保障活動への参加C「民主的統制」(シビリアンコントロール)の4原則を明確にするという。4原則のうち、Aは「国連の集団的安全保障活動が作動するまでの緊急避難的な活動に限定する」と定義し、「専守防衛」に徹するとしている。(5日)
●女性・女系天皇容認へ 小泉首相の私的諮問機関「皇室典範に関する有識者会議」が首相官邸で13回目の会合を開き、主な論点の検討を終えた。11月末にまとめる最終報告は、女性天皇や母方だけに天皇の血筋を引く「女系天皇」を容認した上で、皇位継承順位では天皇直系を優先する「第1子優先」「兄弟姉妹間で男子優先」の2案を軸に集約する見通しとなった。政府は報告を踏まえ、来年の通常国会への皇室典範改正案の提出を目指すという。(5日)
●米国防長官、訪日見送り 日米両政府が10月下旬で調整していたラムズフェルド米国防長官の訪日を見送ると米国防総省が発表した。中国や韓国は訪問する予定。在日米軍の再編・再配置で焦点となっている海兵隊普天間飛行場の移設先についての日米協議が暗礁に乗り上げ、現段階で訪日しても事態打開が望めないと判断した。(6日)
●国民投票、法整備で自公民一致 憲法改正に必要な国民投票法案などを審議する衆院憲法調査特別委員会が初めての審議を行った。中山太郎委員長が「国民投票制度の整備は国民が憲法論議に参加できる制度を作ること」と述べ、自民、公明、民主の3党も法整備に基本的に賛同する考えを示した。(6日)
●ブッシュが「対テロ戦争」演説 ブッシュ米大統領が対テロ戦争演説でイラクを同戦争の最前線と位置づけ、イラクの隣国イランとシリアの連携を「テロ支援同盟」だとして名指しで非難した。また、イスラエルのヨルダン川西岸の「占領」を「駐留」と言い換え、「過激派が暴力の口実にしてきた」とパレスチナ側を非難した。(6日)
●新憲法草案、前文は中曽根、安倍に一任
自民党の新憲法起草委員会は、前文に関する小委員会を開いて意見交換し、内容を中曽根元首相と安倍幹事長代理に一任することを申し合わせた。(7日)
●普天間移設、日米の主張併記も 大野防衛庁長官が記者会見で、日米間で意見が対立している米軍普天間飛行場の移設先見直しについて「どうしても中身が煮詰まらないなら、なんらか調整できる手段を考えたい」と日米の主張を併記する考えを示した。(7日)
●イラク英軍500人を削減 リード英国防相は、イラク駐留米軍の兵員を500人削減し、8千人にすると下院に報告した。イラク治安部隊の訓練業務の権限移譲したことで、南部バスラの二つの小規模基地を閉鎖した。(10日)
●イラク8次派兵の編成完了 南九州に駐屯する陸上自衛隊第8師団(司令部・熊本市)は、今月下旬にも派遣が予定される第8次イラク復興支援群の編成を完了した。(11日)
●パキスタン地震で陸自ヘリ準備命令 大野防衛庁長官がパキスタン地震の救援活動のため陸上自衛隊のヘリコプターを派遣する準備命令を出した。(11日)
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週刊『前進』(2219号5面1)(2005/10/24)
日米帝の沖縄への基地押しつけ弾劾 辺野古「海も陸も許せない」
実力闘争の地平
米軍再編(トランスフォーメーション)の核心に沖縄基地問題がある。沖縄基地問題の「解決」なしには何も進まない。軍事的にも沖縄基地問題が米軍再編=日米軍事同盟の戦略的要となっている。これに対し、沖縄人民の闘いが普天間基地の辺野古移設計画を破綻(はたん)にたたき込んでいる。
名護市民投票(97年12月)以来8年間、辺野古住民を先頭に沖縄県民の基地建設絶対反対の闘いが営々と闘いぬかれてきた。ボーリング工事の攻撃に、海と陸での座り込み闘争が500日を超えて不屈に継続された。これは沖縄の歴史上も日本の階級闘争史上でも実に偉大な闘いである。
小泉は今年2月以来、名護市辺野古沖の海上に2500bの埋め立て施設をつくる現行計画の見直しを指示、8月には辺野古海上建設に固執する山中防衛施設庁長官を更迭し、キャンプ・シュワブの陸上に滑走路を建設する案を固めた。
これに対し、岸本名護市長が、地元土建業者らでつくる沖縄県防衛協会北部支部が作成した「辺野古浅瀬案」を取り入れ、市議会でもこの案を容認する姿勢を表明した。米帝は、これは「縮小案」ではなく、「軍民共用空港」に決まる前のもともとの海上基地案として支持した。
9月26日から開かれた日米審議官級協議では、日本側の「陸上案」と米側の「辺野古浅瀬案」が真っ向から対立し、4日間の協議後、決裂した。ローレス米国防副次官は、「普天間基地は返さない」とまで言った。ついに米帝は今月中旬に予定されていたラムズフェルド国防長官の訪日をキャンセルした。これは、日本側の態度に対する米帝の最大級の恫喝である。
一方、稲嶺沖縄県知事は双方の案に反対、@軍民共用空港、A15年期限付きで辺野古海上基地を建設する現行計画を維持すべきだとしているが、日米帝の圧力でぐらぐらになっている。
日帝が主張しているキャンプ・シュワブ陸上案は、山を削り、普天間基地を新たに内陸部にもう一つつくるという途方もない巨大環境破壊計画である。
岸本の辺野古浅瀬縮小案は、辺野古の闘いにたたきのめされながら出してきた代替案で、まったく許しがたい。それは住宅地により接近し、危険と騒音はより大きい。こんなものが「地元の意向を尊重して」などといって推進されることは絶対に許せない。
日帝は、米帝の拒絶反応のあまりの激しさに、態度を変更している。13日、自民党の額賀元防衛庁長官がローレスと会談し、キャンプ・シュワブの沿岸の兵舎地区で海上部分は桟橋方式という「第3案」を提案した。この案も、騒音の問題など、より深刻だ。
どれもこれも辺野古=沖縄県民に犠牲を押しつける点で変わりはない。
日米帝間の対立
この間の動きの中で、日米帝国主義間の対立が鮮明になった。明白に辺野古闘争がつくり出した情勢の中で、日米帝間の争闘戦が激突しているのである。
米帝は、沖縄県民が基地撤去要求を掲げ、辺野古を先頭にして不退転で闘っていることに対して、対中国・北朝鮮への侵略戦争最前線基地として強化する姿勢を露骨にさせている。それどころか、米帝は既存の米軍基地内への滑走路の建設は事実上の米軍基地の縮小であり、断じて認めないと宣言しているのだ。
この問題の核心には、日米同盟関係における日帝の軍事的飛躍の実現(日米同盟関係内における日帝自衛隊のイニシアチブの強化)の策動を許さないとする米帝の激しい対応がある。
米帝は、@米軍基地の縮小の幻想を与えるいかなるあり方も拒否するとともにA日米間の軍事関係において米軍戦略への日帝自衛隊の完全な組み込み=日帝自衛隊の独自運動を絶対に許さない形での組み込みということを突きつけている。
米帝は膨大な血を流して奪い取った領土としての沖縄を死守し、日帝の権限の強化になるような動きは絶対に認めない。
結局、陸上にせよ、海上にせよ、日米帝は、あくまで沖縄県内移設を前提に沖縄に差別的に基地を押しつけあっているのだ。辺野古に新基地をどのように押しつけるかということで争っているにすぎないのだ。
日帝・小泉は沖縄県民に対して、あたかも米軍再編において沖縄の負担が軽減されるかのような言辞を振りまいてきた。その一切のペテンは明らかになった。
日帝は、結局自らの力で新基地建設を実現することで力を示すことが対米対抗的にも必要と、人民の反対を力で圧殺してくる。「海であれ陸であれ、いったん決定されれば、違法な妨害活動を放置はできない。警察、海上保安庁による適切な対応が必要になる」(日経新聞10月9日付)。この沖縄人民の闘いへの敵視が日帝の階級意思だ。
日帝は、全力を挙げて基地撤去と新基地建設阻止を闘う沖縄人民に襲いかかってくるのだ。これに対して、闘う沖縄人民と連帯した全国の労働者人民の怒りの決起が求められている。
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週刊『前進』(2219号5面2)(2005/10/24)
名護 緊急市民集会開く 市長の基地誘致に怒り
名護・辺野古沖への新基地建設が挫折する中、岸本名護市長が「辺野古浅瀬縮小」案を容認する発言を行い、名護市民の怒りが高まっている。10月8日夕、名護市役所中庭で緊急の抗議集会が開かれた。
沖縄人民の要求は一貫して「海も陸もだめ。県内移設は認めない」である。にもかかわらず辺野古移設を画策する悪あがきを、こともあろうに市長が早々と容認したのだ。集会には名護市内外から300人が集い、怒りをたたきつけた。
ヘリ基地反対協の安次富浩代表委員は開口一番、「基地建設をこれほど露骨に認めた市長は、沖縄の歴史で初めて。名護市民として恥ずかしい」と弾劾し、「今日で座り込みは538日目を迎えた。国は『決めたことを揺るがすことは無理』と思っていただろうが、今私たちは断念させつつある」「今立ち上がって声を上げないと、日本政府は名護市民が岸本市長を容認したと解釈してしまう。陸にも海にも基地をつくらせるわけにはいかない。体を張って断念に追い込んでいく」と決意を述べた。
基地の県内移設に反対する県民会議の山城博治事務局次長が在沖米軍の機能強化への怒りを爆発させた。「昨年の沖国大へのヘリ墜落の前よりも沖縄の状況はひどくなっている。沖縄は基地も戦争も嫌だといっているのに、誰が押しつけるのか? 日本政府は沖縄の怒りがわかっていない」
二見以北十区に住み、市民投票以来闘いを続けている渡具知智佳子さんが、双子の子どもを連れて登壇した。「私たちは市民投票で『基地はいらない』ときっぱり断ったのに、8年たってもなぜまだ辺野古なの? これではストーカーだ。私たちは『新基地は辺野古にいらない』と言っているんです。久志地域の自然を孫の代まで残しましょう」
辺野古の命を守る会の金城祐治代表は「一体いつまでしばりつければ気が済むのか! ここにいる辺野古のオジイ・オバアにもう後はないよ。若い者が闘いを継いでほしい」と訴えた。
沖縄平和運動センターの松田寛副議長が連帯のあいさつに立ち「総選挙で自公政権で3分の2を占め、憲法改悪の発議権を持った。連合会長もゼンセン同盟出身のタカ派になった。このままではアジア民衆への戦争の最先頭に沖縄が立たされる。新基地は絶対許さない」と述べた。平和市民連絡会、普天間爆音訴訟・「岸本市長に怒っている市民の会」のあいさつの後、名護市内デモに出発した。
沖縄人民の要求を無視・抹殺し、あくまでも辺野古移設を画策する日米帝とその手先・岸本名護市長、稲嶺県知事を許すな! 全国から辺野古への支援・激励を強化しよう。
県民会議の山内徳信共同代表は12日に記者会見を行い、10月30日午後4時、那覇市・与儀公園で「辺野古等基地の県内移設に反対する県民総決起大会」を開催すると発表した。ともに大成功をかちとろう。
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週刊『前進』(2219号5面3)(2005/10/24)
11・6へ労働者党員からの訴え
「11月の挑戦」に人生をかけ 日本革命の展望切り開こう
オルグは天下国家論じること
「1万人結集」方針の思想的核心つかもう
11・6労働者集会1万人結集に向けて、全国各地でかつてない挑戦に全力で決起していることと思います。そこで私はあらためて、この「11月の挑戦」の思想的核心を今一度はっきりさせなければならないと考えています。
この挑戦を一言で言えば、革共同と労働者階級大衆の闘いでプロレタリア革命への決定的な前進を切り開くということです。その場合、革共同がプロレタリア革命の党であり、反帝・反スターリン主義―マルクス主義・レーニン主義に基づく党であるということは前提とされています。
しかし、この挑戦をどういう思想で実現するのかという点で、違いを感じる時があります。党内の議論を聞いた時、「1万人という数だけが踊っている」のではないか。目標数が脅迫的に語られ、指導部として目標に革命戦略としてリアルに接近し、党員や労働者大衆の積極的方針に転化することができていないのではないか、という危惧(きぐ)があるのです。
党としては、この目標を06〜07年決戦で日本労働者階級が打倒されずに日本革命への展望を切り開くぎりぎりの数として提起し、これを労働者階級とともに実現する目標として出しています。またこの程度の目標を実現できずに、党が日本革命を語り、労働者階級の党であると胸を張って言えるのか。さらには9・11総選挙に示された戦争と階級闘争絶滅という猛烈な反革命に対し、総選挙に出て労働者人民とともに闘うこともできない党の現状をいかに突破するのか。そうした死活的目標として1万人が設定されています。
ですから、この数という問題が、結果的には彼岸化されてしまうということも含めて、特に指導部の皆さんが核心的課題を徹底して土台に据え、より強力な全党的実践に転化していくことが決定的に重要です。
労働者の反撃
総選挙の結果、自民党が圧勝し、これを受けて改憲派の前原が民主党代表になり、国会では9割以上が改憲派に占められるという恐るべき状況になりました。しかし、この情勢が果たして絶望的なのかということを、労働者大衆とともにはっきり確認しなければならない。自公合わせても50%足らずの得票しかないのに、小選挙区制のマジックで与党が3分の2以上の議席を占めた。しかし、労働者大衆に選択肢がなかったことも含めて、小泉があれだけのブームをつくっても5割程度の支持しか得ていないとも言えるのです。
衆議院の勢力から言えば、来年は改憲のための国民投票法案が可決され、再来年には国民投票が実施され、一気に改憲まで行く可能性すらあります。つまり、06〜07年が掛け値なしに戦後最大の階級決戦になったということです。
確かに国民投票法案を通すことはできるでしょう。しかし、そのまま国民投票に持ち込んだら憲法改悪が通るのかと言えば、まったくその保証はないのです。
「骨太方針X」であらためて宣言したように、小泉は、今日の帝国主義の世界的な危機の中で日本帝国主義が生き延びるために、この1〜2年に勝負をかけています。だから退路を断って衆議院解散にうって出て、改憲・戦争への道を突き進んでいる。彼らにとっては、国民投票で失敗することなど許されない事態です。だからこそ、この50%をどう解体して国民投票に勝ちきり、日本の社会全体を変えるのかが、依然として最大のテーマなのです。
最大の問題は労働者階級なのです。このように考えれば、小泉が郵政民営化を徹底して主張したのはけっして的はずれではない。日帝は、郵政民営化で38万郵政労働者の階級性をたたきつぶし、公務員全体の労働運動を解体せずには改憲も戦争もできないと言っているのです。したがって、今年郵政民営化法案を通し、来年は間違いなく公務員に対する猛烈な攻撃がかかる。郵政民営化は、自治労100万を徹底的に解体するための切り口です。日帝・小泉にとって、労働者階級の抵抗拠点を粉砕することが、日本を再び戦争のできる国に転換する現実的具体的な道筋なのです。
はっきりさせるべきことは、郵政民営化との闘いも公務員労働運動解体との闘いも、いよいよこれからだということです。敵は闘う前に失望を強制しようとしていますが、労働者の階級性と団結はいまだ解体されず、むしろ幻想から急速に解き放たれようとしています。総選挙の情勢が示していることは、一面的な現象とは逆に、労働者階級大衆が既成の枠を越え始め、流動化しているということです。総選挙の結果に、革命的情勢の接近をしっかりと見てとることが大事です。
実際、日本階級闘争の深部で何が起きてきたのか。昨年3〜4月の「日の丸・君が代」強制に対する東京の教育労働者の猛然たる不起立闘争。04年11・7労働者集会の国際連帯闘争としての発展と、4大産別からの核心的決起。さらに今年3〜4月の「日の丸・君が代」不起立闘争の発展、都議選を水路とした「つくる会」教科書闘争の全国的発展。こうした闘いによって、日教組大会で改憲方針が提案できず、8月自治労大会でも沖縄の代議員の決起を先頭にして改憲への踏み込みが事実上粉砕される勝利がかちとられました。
確かに全逓においては、JPU執行部が民営化反対を放棄し、「サービス向上バッジ運動」などを推進し、かつての動労革マルのような総屈服が始まっています。しかし、今やこんなことで生き残ることなどできないことに労働者階級は気づき始めています。
国鉄分割・民営化と闘って勝ち抜いた動労千葉の存在と闘いの教訓を、今こそ労働者階級全体のものとすべき時です。動労千葉の存在によって国鉄闘争はいまだ解体されず、全労働者階級の勝利の展望を指し示し続けています。労働者階級が腹を固め決然と立ち上がった時、動労千葉に必ず結合します。これはすでに実証されてきたことです。
したがって11・6集会は、日本階級闘争における戦闘的革命的動き―労働者階級の決起を動労千葉の思想・路線に結合し、巨大な反撃の奔流(ほんりゅう)を生み出していくことに核心があるのです。
指導の核心は
世界戦争情勢、帝国主義の全面的破綻(はたん)情勢を目前にして、11・6集会を革共同の史上最大の決戦として貫徹するということは、実はマルクス主義・レーニン主義の根底的・核心的貫徹が問われているということです。特に指導部において、その指導内容、それぞれの地区・戦線における戦略・戦術の内容、オルグ・宣伝の内容などのすべてにおいて、マルクス主義・レーニン主義の思想の意識的な貫徹が図られなければなりません。
その場合、マルクス主義の成立過程、マルクスがどういう過程を経てマルクス主義者になったのかということが非常に大切です。スターリン主義は、自己を正当化するために、意識的にマルクスの初期の哲学・思想を抜きにして、『資本論』やレーニンの著作を自分に都合の良いように説いてきました。しかしレーニンの著作も、マルクスの哲学・思想の上に成り立っています。ですからこれを抜きに、突如として『何をなすべきか』などを読み解こうとすると、結局ブルジョア的に読んでしまうという問題があります。
『フォイエルバッハについてのテーゼ』で「哲学者たちは世界をさまざまに解釈してきたにすぎない。だが大切なのは、世界を変革することである」と述べたマルクスの飛躍は何なのか。ここではブルジョアジーとその思想に対する批判を徹底的に貫徹するということがまずあるのです。そしてそれはプロレタリア革命党に身を置き、闘うことによってしか貫徹されないという飛躍があるのです。まずブルジョア思想に対する徹底した批判とその貫徹が土台なのです。
マルクスは、例えば物事について、それが固定化されて動かないものであるかのように捉えることに対して、「ブルジョア思想の基本的限界性がある」と批判しています。資本主義社会では商品生産・商品に最大の価値基準が置かれ、すべての商品と交換できるおカネに万能性が与えられています。ですから人間が、人間そのものよりも物、商品、おカネにこそ永遠不変の価値があるかのように思わないと、資本主義社会は成立しないのです。ブルジョアジーはきれいごとを言うけれど、結局ここに根本的に支配されています。
物に永遠性、物神性を与え、物事が変わらないものであるかのように認識することを、マルクスは「直接性に支配されている」と言います。直接的に自分が見た物が絶対であるかのように思ってしまう。これはブルジョア思想なんだと言っています。
これと関連して、エンゲルスが「世界は事実の複合体ではなく、過程の複合体である」と言った世界に対する認識はとても大事なことです。実は私たちは事実の固まりの中にあるのではなくて、無数の過程の中にあるというこの意識性がないと、私たちは、直接性にとらわれて、今ある労働者、労働組合をそのまま固定して考え、絶望してしまうことになるのです。
今ある労働者をどう革命的主体に飛躍させるのかという問題は、まさにブルジョア思想との対決であり、マルクス主義革命家である私たちにかかっています。これはプロレタリア革命の思想の根幹に関わる問題です。11・6集会の歴史的挑戦にあたって、私たち自身が直接性に支配されるのではなく、労働者階級とわれわれの相互的飛躍の過程としての組織的実践であることを念頭に置かなければいけないと思います。例えば同志たちの実践によって、さまざまな結果が出てきます。その結果としての数という直接性に支配されることなく、その過程でどんな決定的なことが進行し、新たな展望を切り開いているのかを見落としてはならないということです。
私はある地区に行き、すばらしい青年労働者たちと出会いました。彼らの存在の中に、『哲学の貧困』的に言うと革命的側面・古い社会を破壊する側面がある。これを党としてしっかりつかみきって、彼らに返していくことが必要です。この意識的作業がないと、本当に党員や支持者がここにかけてやりきり、確信を深めるという展開になっていかない。それではやはり発展しないと思います。
マルクス主義実践し闘う同志獲得しよう
労働者階級の意識がブルジョア思想やその規範から解放された場合、ブルジョアジーの支配は1日ももたないし、ただちに革命になるでしょう。ではなぜ資本主義社会は維持されているのか。資本主義社会は商品を生産しながら、同時にブルジョア的な価値観に支配された意識をも日常的に再生産しています。これが労働者階級の日常的意識を規定し、階級性をくもらせる役割を果たしています。
その上、ブルジョアジーの支配に屈したスターリン主義、社民主義、その他の勢力の考え方が、労働者階級を革命的意識から日々遠ざける役割を果たしています。あえて言うと、革命党の党員であってもそこから自由ではありません。
この点で、レーニンが『共産主義における「左翼」空論主義』で提起した「プロレタリア革命党の規律が何によって点検され、強化されるのか」をしっかりとらえ直すべきだと思います。この規律を一般的なブルジョア的規律と考えてはならない。人を足蹴(あしげ)にし、踏みつけ、支配するブルジョア的「自由」と対決するプロレタリアートの自由が、この規律によって始まるのです。要するに、ブルジョアジーの全的支配に対する闘いをプロレタリア党として貫徹できているかどうかが、何によって点検され、強化されるのかということです。
一つは、プロレタリア前衛の階級意識、革命に対する献身、その忍耐、自己犠牲、英雄主義などです。簡単に言うと、まず党員のブルジョア思想(銭金の支配など)を超えた生きざま、その意識性がなければならないという問題です。
二つめには、労働者大衆と結びつくこと、必要によって階級大衆ととけ合う能力が必要だと言っています。昔は「君は大衆と溶け合いすぎだ」などと言われましたが、「とけ合う」とは「メルト」ではなく解き放たれているという意味だと思います。階級大衆に向かって自分が開かれている関係のことです。つまり、党の意識性は階級大衆に対して開かれていなければならないということです。
三つめは、党の政治指導や戦略的戦術的方針は、どういった時に真に正しくなるのか。労働者大衆が自己の経験において、党の方針を正しいと納得し、自分たちの方針に転化した時、初めて党の方針は正しくなる。また、正しい革命的な理論が必要だが、長い間の試練や苦闘をとおして、党は本当の労働者階級の革命的理論を打ち立てていくんだ、と展開しています。
ここでは、党と階級大衆の弁証法的関係、発展と緊張関係が空論を排してしっかり展開されています。11月集会方針について、これを皆さんが階級大衆に向けて、「この方針は正しいんだから、あんたたちもやりなさい」と展開することは正しくないのです。11月集会方針や4大産別決戦は、労働者階級大衆が自分たち自身の経験や感性から納得し、自分たち自身の積極的方針としなかったら、1万人結集を逆に彼岸化してしまうことになるのです。
天下取る階級
総評が解散して以降、連合傘下の労働組合運動は、帝国主義の利益を自分の利益とする運動を満展開させ、しかし労働者階級の支持を得られず、組織率もどんどん低下しています。日共スターリン主義の影響下にある全労連傘下の労働者も共産党から離反し続けています。これらの労働運動の破綻と凋落(ちょうらく)は、基本的には、労働者階級を革命から切断し続けてきたことの結果です。
私が労働運動を始めたころは、銭金を取る点ではまだ総評が物質力を持っていた。そのため労働者階級は「労働組合運動とは銭金のためにある」という感覚に陥り、一応それで収れんされてきたのです。しかし賃金闘争とは、賃金奴隷制度への批判・粉砕として真に決定的に位置づく闘いです。ブルジョア支配を前提にした経済主義的運動は帝国主義の危機とともに基本的に破産しました。
今はっきりさせなければならないのは、労働組合運動でも、労働者をオルグする場合でも、労働者階級とは天下を取る階級なのだということです。動労千葉の中野洋前委員長流に言えば「天下国家を論じなければだめだ」ということです。天下国家を論じるとは、自分がその天下国家の中で決定的に革命的な階級であるという自分自身の位置をはっきりさせることです。
ルカーチは、「人間の歴史上プロレタリアートが出現して初めて、社会に対する現実認識が完成する。プロレタリアートがこうした認識を完成させるのは、彼らの階級的立場の中に社会全体を見渡しうる視点が見出されるからにほかならない。プロレタリアートにとっては、自己の階級的状態を完全に明確に把握することが、一つの生活要求であり、死活の問題である。彼らの階級的状態の把握は社会全体の認識の中でのみ可能となるのであり、彼らの行動はこのような認識を不可欠の前提とするのである」と書いています。
私はこれを非常に正しいと思います。労働者階級が資本主義社会における自分自身の状態をはっきり意識することが、労働者が生きていくための生活の要求であり死活の要求だと。だからまず、社会における自分の状態をはっきり認識することが決定的であり、そのことが行動に転化する。そして自分たちの行動で切り開いた状況がまた自分たち自身の認識を深め、さらに深い行動に転化する、ということです。中野前委員長は、ルカーチと同じことを簡潔に表現し、実践しているのです。
ですから、これから既成の労働運動に関わる人やさまざまな人をオルグしたり指導したりする場合、やはり革命という問題から、天下国家を取るというところから、それぞれの労働者や労働組合をきちんと位置づけるべきです。そうしなければ労働組合の指導はできないし、ここを踏まえて初めて展望ある方針も出せる。私たち自身が、総評や連合の労働運動など、革命と切断された指導思想に蹂躙(じゅうりん)されたままの考え方で指導しようとするから、出口がなくなるのです。革命を目標とすれば、それぞれの位置がはっきりします。このことが今ほど分かりやすくなった時代はありません。
ほかの組合でも動労千葉と直接的に同じようにできるわけはありません。組合指導部と組合員の経験の蓄積や練度が違います。しかし本質的に言えば、できるのです。つまり、動労千葉や中野前委員長と同じ労働者階級に対する思想で闘うのかどうか、そういう問題だと私は思います。
革命家として
最後に、今こそ革共同として、労働者階級大衆の中で自分自身を真っ向から打ち出して支持を獲得し、ともに闘う同志を獲得していく、そういう時が来ています。私には、革共同の思想を貫いた実践や宣伝・扇動を貫徹した場合、必ず労働者階級大衆を獲得できる確信があります。革命というのは、もちろん一人ひとりが決定的に重要な存在ですが、同時に一人の革命的な存在と闘いが全体を切り開く面があります。この点でも弁証法的です。労働組合でも結局、一人の決定的な存在が全体を決めるところがあります。革命というのは人間と人間の決定的な出会いだとも思います。人間と人間の魂のデッドヒートがあり、真っ向から対峙し獲得するという面が絶対にあるのです。
この11月から06年の階級決戦の過程で、われわれは、決定的な革命家を獲得し育てなければならない。これも、マルクス主義の思想の根底的貫徹によって準備されるのです。
革共同中央労働者組織委員会
大原武史
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週刊『前進』(2219号6面1)(2005/10/24)
さんたま労働者集会 青年労働者が先頭で 東京・三多摩 労働者 宮園健二
東京・三多摩の地で、11月6日の全国労働者総決起集会の大成功に向けて、熱気あふれる10・7さんたま労働者集会がかちとられました(写真)。
集会呼びかけは、三多摩で昨年来1年間にわたり青年労働者交流集会や沖縄・広島での反戦集会を担い、団結を深めてきた青年労働者たちです。会場となった立川市の三多摩労働会館には青年労働者を先頭にして60人の現場労働者が集い、青年労働者が集会運営、基調提起、発言を牽引(けんいん)して、素晴らしい集会が実現できました。
オープニングは青年労働者によるアフリカの民族楽器「カリンバ」の引き込まれる演奏で始まりました。司会の20代の女性福祉労働者が「民営化との闘いはすべての労働者の課題」と提起し、続いて動労千葉特別執行委員の滝口誠さんが安全運転行動の大勝利の報告を行いました。「職場で街頭で総選挙結果に対する怒りが噴出。労働者の怒りをひとつにしておれたちの11・6にしよう」と力強く訴えました。
次に、「日の丸・君が代」処分と闘う教育労働者が登壇しました。多摩教組の被処分者は「『使えない人はいらない』と、教育現場にも実質的に民営化が始まっている。自分ができることは闘いを残すこと。この闘いは戦前の闘いから連なるものであり、後々への大きな闘いになることを信じている」と確信をもって語り、感動的なアピールでした。都高教の被処分者は「闘うことは楽しい。11・6に1万人を結集させて、明日をつくろう」と熱く訴えました。
全逓労働者は、「今おれたちは本当に怒っている。本部は闘いの方針をおろさない。物ダメストに立とう。11・6の爆発で『権利の全逓』を復活させる。首をかけて闘う」と、郵政民営化に対する現場の烈々たる怒りを訴えました。
基調提起を青年労働者が行い、「労働者の決起が未来を決める。青年労働者が労働運動を変える。労組権力を取る。郵政労働者と連帯して闘う」と提起しました。会場からの発言では、自治労・国労・医療労働者・学生・金属の労働者が、民営化攻撃と闘う決意を述べました。
三多摩の闘う労働者は1万人決起へ向けて全力を尽くします。
“問題は労組の団結” 田中講演で核心理解 東京・東部 民間労働者 沢 修
10月7日夜、亀戸カメリアプラザで東部労働者交流集会が開催されました。メイン講演は動労千葉の田中康宏委員長です。田中委員長は米ノースウエスト航空の労働者が大量首切りと労組破壊の攻撃に対してストライキに立ち上がっていることを報告し、「これが数年後の日本の姿だ。40万の郵政労働者の首を切り、戦争と民営化に突き進む小泉を打倒するために、11・6日比谷野音に1万人を結集しよう」と提起しました。
田中委員長の発言の中で私が一番印象に残ったのは、動労千葉の反合・反民営・運転保安闘争と連合指導部批判の対比の中で語られた労働組合のとらえ方の問題です。資本と連合指導部は「労働者が非力な存在だと思いこませ、労働者の階級的団結を解体し、バラバラにする。今労働者にかけられている攻撃がどうしようもないことであるかのように思わせる。労働組合がこれをやっている。だからそれを変えればいい」「尼崎事故は労働組合の破壊の結果引き起こされた。労働組合の団結問題が本質である」。田中委員長の講演をとおして11・6集会へ職場や地域の仲間を組織化するオルグの環がつかめたように思います。
決意表明と職場の闘いの報告で都高教の「日の丸・君が代」闘争の被処分者は「@改憲攻撃との闘いA教基法改悪攻撃B公務員攻撃の三つが重要でその闘いを大同団結・統一戦線で闘うことが重要」と発言。都高教の被解雇者、区職、全逓の4・28の被免職者、JPU(全逓)労働者、東交の青年労働者、民間の解雇争議を闘う労働者の発言が続きました。すべての発言から感じたことは、田中委員長の講演の核心にあった「労働組合の団結問題が本質」ということを、すべての仲間がつかみ取りそれを実践しているということです。職場・産別は異なっても闘う労働者の発言にはそのことが貫かれていた。
集会全体をとおして、郵政民営化は全労働者にかけられている攻撃であり、すべての労働者の団結と闘いでこれを粉砕しようということが鮮明になりました。
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週刊『前進』(2219号6面2)(2005/10/24)
女性労働者は11・6日比谷へ
女性直撃する小泉「改革」 団結して反撃開始しよう
9・11総選挙は、労働者人民の改革への要求を逆手にとった自公による衆院議席3分の2の獲得=小泉独裁という事態をもたらした。特別国会では、郵政民営化だけでなく、「障害者自立支援法」、共謀罪、テロ対策特措法の延長などが決められようとしている。イラク派兵の延長も強行し、来年の通常国会では公務員制度改悪、国民投票法など戦争と民営化、社会保障制度解体の悪法の成立が狙われている。これからどうなるのか、何とかしなければという思いをつのらせているすべての女性労働者に呼びかけたい。11・6東京・日比谷野音で開かれる労働者集会に集まろう! ここから労働者の大反撃が始まる。
女性労働者の非正規雇用化と貧困化
小泉が首相になり「改革」を言い始めてから4年、明るい将来が見えてきたか。少しでも子育てが楽になったか? まったく逆だ。
所得格差は大幅に拡大した。「労働者の9割を非正規雇用にする」(95年日経連プロジェクト報告)という日本経団連・奥田(トヨタ会長)の意向に沿って、男女労働者の非正規雇用化が進められてきた。
特に女性労働者の非正規雇用化は一挙に進み、今や女性の2人に1人がパートや派遣など不安定・低賃金・無権利の労働を余儀なくされている。解雇を恐れて産休や育休も満足にとれず、妊娠を理由とした不当な解雇もあとを絶たない。女性労働者と子どもの負担は増すばかりだ。
公務員職場でも、退職者不補充という形で正規職減らしが進められ、正非の比率が逆転している職場も少なくない。「民間との格差」や「財政赤字」を理由に、年に何万円もの賃下げがくり返されている。
その結果、女性労働者の平均年収はどんどん下がり、100万〜300万円の低所得層が女性全体の6割以上にのぼる。長年かけて徐々に縮まっていた男女の賃金格差は逆に広がり、女性の賃金は男性の2分の1となった。
女性たちの多くは持病を抱え、ノルマや「自己目標」に追い立てられ、わずかな賃金で病院に行く暇もないほど働かされている。
特に20代の女性は、就職先がない、失業の不安、過密労働などから、どの世代よりも突出してストレスを抱えている(厚労省国民栄養調査)。結婚しても、夫の収入低下と週50時間(30代男性平均)の過重労働、親の介護や年金など将来の不安で、たまに顔を合わせれば口論という状態だ。小泉と奥田の政治が労働者階級の家族を崩壊させている。
これが小泉「改革」の実態だ。小泉が選挙で「刺客」に使ったような女性たちは、ほんの一部のエリートにすぎない。ほとんどの女性たちは、月10万や20万円でぎりぎりの生活を強いられているのだ。何が「子育て支援」か! 何が「女性の社会進出」か!
民営化は労組破壊、女性の大量首切り
この現実は小泉独裁のもとで、もっとすさまじいものになる。特に郵政民営化と並行して進められている自治体業務の民営化は、労働組合を破壊し、女性労働者をますます正規職からはじきだすばかりでなく、社会保障の切り捨てとなって、すべての女性の職場と生活を直撃する。
女性を中心に資格者だけでも30万人余りが働く保育所、その現場で何が起きているか。
小泉政権下で「公務員・組合=悪」のキャンペーンも使った強引な民営化が急増している。03年までの3年間だけでも617の公営保育所がなくなり、多くの非正規の保育労働者が有無を言わさず雇い止めにされている。低すぎる条件でも子どもたちのことを思い必死に働いてきた職場から、まるでゴミでも捨てるように追い立てられているのだ。残る公立や民営化園に職を得られる保証はない。こんな仕打ちが許せるか。
正規職が安泰なわけではない。小泉は公立全廃をめざしている。そうなれば公務員保育士の職はなくなる。今でも、「民営化されたくなかったら民間と同じように働け」とばかりに民間との競争を強制され、人員を補充しないままの延長保育、休憩時間の取り上げ、勤務時間延長など、民営化を先取りしたような矢継ぎ早の労働強化が押し寄せている。
保育士は疲れ果て、矛盾は子どもに向かう。効率と採算優先、労働組合破壊は何をもたらすか。JR尼崎事故と同じ結果だ。団結して闘わなければ、わが身の首だけではすまないことになる。
民営化は、子どもを預ける側の女性労働者にとっても、保育料の値上げ、子どもの精神的不安定などの形でのしかかる。保育料を払うために、子どもと話す時間も惜しんで夜遅くまでパートのかけ持ちをしなければならないようなことになる。
資本家たちは「1500億円市場」といって保育ビジネスに群がろうとしている。介護保険も医療制度改悪も同じだ。結局、小泉の「官から民へ」は、大資本家に新たなもうけ口を提供するために、必要な介護や保育の公的責任を放棄し、個々の労働者家族とりわけ女性労働者に押しつけてしまえということにほかならない。「赤字解消」とか「働く女性のニーズにこたえる」などというのは卑劣な口実にすぎない。
必死の抵抗が全国で始まっている!
ここまでなめられていいのか? やられ放題で本当にいいのか? いいはずがない。女性労働者の必死の抵抗が全国いたる所で始まっている。
保育所民営化をめぐっても、これまでほとんど組合運動にかかわってこなかった女性たち、20代30代の保護者の女性労働者たちが、猛然と民営化阻止に立ち上がっている。彼女たちは、「子どもを金もうけの手段にするな」「責任放棄は許せない」と行政当局を追及し、労働組合を叱咤(しった)激励しながら、民営化阻止の先頭に立っている。
賃下げ、労働強化に反対して組合をつくった非正規職の女性たちもいる。突然の解雇通告に「座り込みも辞さない」と覚悟を決めた女性もいる。何度も処分を受けながら首をかけて「日の丸・君が代」強制を拒否して闘う女性教育労働者がいる。右翼の攻撃も恐れず「つくる会教科書」反対で、親の立場から連日街頭に立っている女性たちがいる。
小泉と資本家団体は、自分たちの生き残りのために、内に対しては民営化―労組つぶし、外に対しては戦争を必要としている。これに対して労働者階級は、労働組合の団結で立ち向かうことができる。
「反対しても勝てない」「時代の流れだから」と連合や全労連などの組合幹部は言う。しかし絶対にそうではない。闘う前にあきらめてどうする。家族はどうなる。自分の明日からの生活はどうなる。黙ってやられ放題なんてもう耐えられない。
組合を動かすことはできる。現場には怒りと不満が充満している。これを一つにまとめればいいのだ。社会の9割を占める労働者階級が本当に団結して立ち向かえば、一握りの資本家階級を倒して世の中を変えることは絶対にできる。
あなたの一歩踏み出しで世界変わる
闘う労働者の団結に加わ ろう
11・6集会の呼びかけ3労組は、処分や弾圧、倒産攻撃と果敢に闘って団結を守る日本で最強の労働組合だ。その一つ動労千葉は、国鉄分割・民営化に断固反対してストライキで反撃し、組合を守り、民営化後の今も、処分を恐れぬ安全運転闘争で、ついに破断した危険なレールを交換させた。11・6には3労組の呼びかけにこたえ、上部団体の違いを超えて闘う労働組合、闘いたいと願う労働者が一堂に集まる。11・6は、郵政始め民営化と戦争を阻む労働者の大反撃の始まりだ。この団結にぜひとも加わろう。
国際連帯が世界を変える
11・6には、韓国とアメリカの労働組合も参加する。彼らも戦争と民営化と闘っている。資本家たちのもうけのために戦争や競争で対立させられようとしている世界の労働者が、資本家に対抗して手をつなぐことの大きさを考えてみよう。本当に搾取と戦争を終わらせる力がここにある。この国際連帯をさらに大きく成長さるために1人でも多い参加が必要だ。同僚、家族を誘って参加しよう。
団結を形に
頑張っている労働者は沢山いる。でもバラバラになっていては力にならない。一堂に会すること、目に見える形にすることが必要だ。日比谷野音を満杯にして、労働者・労働組合を甘く見ている小泉・奥田にひとあわふかせてやろう!
女性労働者の大結集を
子育てや介護、掃除や洗濯、たまの休みにしなければならないことは沢山ある。しかし、今から予定すれば1日を自分のために使うことはできる。あらゆる知恵をしぼって東京・日比谷に集まろう。あなたが一歩を踏み出すことで、周囲が変わる。世界が変わる。その確信を持とう。
アメリカで、イラク戦争で息子をなくした1人の母親シンディー・シーハンさんの座り込みが、9月24日全米40万人のデモにつながった。韓国でも日本でも、女性労働者の決起が労働運動を引っ張っている。女性労働者は、すべてを受けて立っている。だからこそすべてを変える力を持っている。
すべての女性労働者のみなさん! 未来は自分でつくるものだ。11・6日比谷を女性労働者の怒りと未来への希望であふれさせよう!
〔吉川知子〕
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週刊『前進』(2219号6面3)(2005/10/24)
「障害者自立支援法案」 参院の強行採決を弾劾 “廃案まで闘うぞ”
10月14日、参議院先議で審議に入った「障害者自立支援法案」が参院本会議で可決され衆院に送られた。
参院厚生労働委員会は13日午後5時28分、自民・公明の賛成多数で同法案を可決した。傍聴席を埋めた「障害者」から一斉にヤジと怒号が飛んだ。国会前では10月5、6日に続き、11日から泊まり込みの反対闘争が続けられてきた。13日は朝から、地域自立生活をしている「障害者」団体を中心に全国から続々国会前に結集し、座り込みは500人を超えた。夕やみの中、怒りのシュプレヒコールが響きわたった。「私たちのことを私たちぬきに決めるな」「最後の最後まで闘うぞ!」
議員面会所前では、「障害者」が「障害者自立支援法採決弾劾!」と書いた紙を両手で掲げた。その周りに続々と「障害者」が集まり、激しい怒りを込めたシュプレヒコールとなった。
小泉政権は、8月に廃案となった法案を、施行日を06年4月1日へと変更しただけで再提出し、わずか18時間の審議で委員会採決を強行した。厚生労働省は、この法案が成立しなかった時に生じる今後2年間の超過負担が740億円になると主張し(今回の総選挙費用は769億円)、応能負担を応益負担に変え、原則1割の自己負担を課すというのだ。国の介助は1カ月125時間、1日最高でも4時間のみ、あとは市町村に丸投げとなる。「重度の障害者」ほど多額の利用料が要求されることになる。そもそも24時間介助が必要な「重度障害者」はどうやって生きていけというのか!
厚労省の中村局長は「サービスは金で買うものだ。みんな買う主体となる」と言い放った。「水道料金はみんな払っている。それと同じ」とも。まさに「障害者」抹殺政策そのものだ。絶対廃案あるのみ!
参院本会議に向け、泊まり込み闘争が続く国会前では「障害者」の怒りの発言が続いた。「命を守るのは自分たちの闘いしかない。黙っていたらすべてを奪われる」「生存権否定の法案であり憲法改悪の先取りだ。生きていくためには小泉政権を倒さなければ」「私たち障害者は今回の国会闘争で小泉大勝ショックをぶっ飛ばした。廃案をめざしてとことん闘おう」
「障害者自立支援法案」を衆院で廃案にしよう。
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週刊『前進』(2219号6面4)(2005/10/24)
ビラまきでまた逮捕 11月集会への不当な弾圧
10月12日朝8時30分ごろ、警視庁は、江戸川区役所前でビラをまいていたAさんを「公務執行妨害」をデッチあげて不当逮捕した。これは11月労働者集会への妨害、政治弾圧であり、ビラ配りという政治活動、思想・表現・言論の自由への権利侵害だ。絶対に許せない。労組交流センターは直ちに昼休み江戸川区役所前で不当逮捕弾劾のビラをまき、反撃した。Aさんを即時釈放せよ!
11月12日の朝、Aさんたちは江戸川区役所前庭でビラを配っていた。8時20分すぎ、同区役所の幹部職員が「敷地内ではまかないでください」と通告して去っていった。1〜2分後、今度は制服警官が2人、立ちふさがって「なんでここでビラをまくのだ」と言ってくる。と同時に区役所の建物の中から私服刑事ら十数人がどどっと出てきた。Aさんらがビラまきを終了して歩道を歩き出すと、制服警官が「あ、押したな」と言う。それを合図に他の5〜6人の警察官が「公務執行妨害だ」と叫んでAさんを押さえ込み、逮捕し、小松川署に連行したのだ。これが事態のすべてだ。
革共同と労働者人民は、今年7月の2人不当逮捕に続くこの違法・不当なAさん逮捕、11・6集会への妨害を絶対に許さず、11月集会成功へ闘おう。
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