ZENSHIN 2005/10/17(No2218 p06)

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第2218号の目次

「物ダメ・ストライキで闘おう」の大横断幕のもと、郵政民営化絶対阻止へ、全逓労働者の怒りの叫びが国会に向かって叩きつけられた

1面の画像
(1面)
郵政民営化絶対阻止へ
JPU裏切り指導部打倒し10・21闘争に立とう
小泉政権への労働者の怒りを11・6日比谷野音に結集しよう
4大産別−官公労つぶしに総反撃を
「共謀罪」「自立支援法」阻止を
記事を読む  
国会前 全逓労働者らが座り込み  “首切りは許さない”(10月6日) 記事を読む  
連合大会会長選 3分の1が反対票  右翼改憲派・高木に痛撃(10月5、6日) 記事を読む  
(2面)
動労千葉34回大会 反合・運転保安闘争に確信
“11・6に勝負かけよう”  田中委員長体制が3期目へ(10月2、3日)
記事を読む  
民営化攻撃と最前線で闘う 動労千葉と連帯し11・6へ (2)
安全運転行動の成果  22キロのレール交換させる
「反合・運転保安確立」貫いた力  事故は合理化の結果だ(上原祐希)
記事を読む  
世界に翔びたとう5  動労千葉がパンフ発行 記事を読む  
資本攻勢&労働日誌 2005  9・16〜9・30
経済財政諮問会議 “国家公務員を5%純減”
郵政2労組が民営化容認/民間賃金が7年連続減
記事を読む  
(3面)
郵政民営化絶対反対! 10・21闘争から11・6へ
「民営化反対」投げ捨てたJPU本部は総辞職せよ  革共同全逓委員会
記事を読む  
共謀罪審議入り阻止へ
共同行動が総決起集会 10月決戦突入を宣言(10月1日)
記事を読む  
国労弾圧公判 浅川証言、事実に合わず  追及され破綻点が広がる(9月28日) 記事を読む  
(4面)
11・6日比谷に教育労働者1000人の隊列を
闘う教育労働者こそが階級的労働運動再生の先頭に立とう
戦争教育拒否、教基法改悪阻止へ  革共同教育労働者委員会
記事を読む  
『つくる会』歴史教科書 絶対使わせない杉並集会
“撤回へ新たな闘いを”(本紙・室田順子)(10月1日)
記事を読む  
日誌'05 9月28日〜10月4日
普天間代替、日米交渉決裂  反動法案が続々と閣議決定
記事を読む  
(5面)
小泉打倒し戦争・民営化と闘う1万人の日米韓国際連帯集会
全国学生は11・6日比谷に集まろう  マルクス主義学生同盟中核派
記事を読む  
核燃機構は責任とれ  JCO臨界事故から6年(投稿・D) 記事を読む  
10・9三里塚 全力で  関西実行委 萩原さん迎え集会(9月28日) 記事を読む  
(6面)
団結ひろば 投稿コーナー
介護現場の労働者は11月集会に集まろう 東京・介護労働者 難波勇介
宝塚で「学校選択制・2学期制導入」阻む 兵庫 上野 峻
街頭で11・6集会の賛同署名呼びかける 東京・東部 千田祐介
記事を読む  
「障害者」の生活と命を脅かす  「障害者自立支援法案」粉砕しよう 記事を読む  
辺野古からの報告  若者たちの名護街宣 住民の支持が広範に(大津五郎) 記事を読む  
寄稿 郵政民営化と「障害者」  兵庫県芦屋郵便局被免職者 高見元博 記事を読む  
保安処分収容やめろ  阻止共闘 武蔵病院に申し入れ(9月28日) 記事を読む  

週刊『前進』(2218号1面1)(2005/10/17)

 郵政民営化絶対阻止へ

 JPU裏切り指導部打倒し10・21闘争に立とう

 小泉政権への労働者の怒りを11・6日比谷野音に結集しよう

 4大産別−官公労つぶしに総反撃を 

 衆院本会議で郵政民営化法案の審議が始まった10月6日、全国労組交流センター全逓労働者部会を先頭に国会前座り込みがスタートした。10月21日には実行委員会が主催し、東京渋谷・宮下公園で全逓労働者を先頭とする郵政民営化絶対反対・小泉政権打倒の労働者総決起集会とデモが闘われる。小泉のファシスト的な「構造改革」路線の最大の目玉である郵政民営化攻撃への怒りの反転攻勢がいよいよ開始された。日比谷野音での11・6労働者集会は小泉打倒、戦争と民営化(労組破壊)攻撃粉砕、日米韓国際連帯を真っ向から掲げた一大政治闘争だ。戦争・民営化と官公労労働運動つぶしの反労働者的な「改革」を小泉自民党と競う前原民主党=連合中央を断じて許さず、11・6集会1万人総決起の実現に向け全力で奮闘しよう。日米韓の闘う労働者の大結集で、小泉反革命の嵐を打ち破ろう。

 第1章 労働者人民は小泉と奥田に怒っている

 小泉は日帝・金融独占ブルジョアジーのトップである日本経団連会長・奥田に全面的に支えられ、8・8「郵政解散」というファシスト的政治クーデターに訴えた。そしてナチス・ヒトラー的な「改革」デマゴギーでマスコミを総動員し、小選挙区制が反人民的猛威をふるった結果として、衆院で自公与党が3分の2以上というとてつもない議席を独占した。
 今や小泉はこの総選挙結果におごり、かさにかかって超反動的攻撃に出てきている。小泉改革の司令部である経済財政諮問会議は「これからは何でもできる」と公言し、公務員労働者への首切り・賃下げと民営化の攻撃を本格化しようとしている。改憲攻撃に向けては与党はこの際「一気に進めてしまおう」と、衆院憲法調査特別委員会の設置を強行した。財務省は「千載一遇のチャンス」とうそぶき、定率減税の全廃など「サラリーマン増税」と消費税率大幅アップへ攻撃を強めている。日本経団連は消費増税と企業減税を直ちにぶちあげている。
 だが労働者階級人民は、こうした小泉と奥田の反革命の嵐にただ屈服し、後退を強いられているのか。断じてそうではない。職場で、街頭で、地域で、労働者人民は小泉に怒り、危機感をつのらせている。そもそも投票所に行った人びとの半分は自公に投票してはいない。11・6集会に向けた街頭での小泉打倒、郵政民営化反対の訴えに、多くの労働者人民がビラを受け取り、署名し、チケットを買う状況が広く生まれている。労働者は闘う勢力、闘う結集軸を求めている。それこそが11・6だ。ここに1万の闘う労働者が結集すれば、小泉打倒、戦争・民営化粉砕の一大反転攻勢の火柱が上がる。

 第2章 公務員への「悪者」呼ばわりを許せるか

 史上2番目に短い9・26所信表明演説で、小泉が宣言したことは何か。総選挙での「民意」と「審判」なるものをタテに、郵政民営化を断行し、公務員労働者に大攻勢をかけるということだ。所信表明で小泉は、「なぜ郵政事業だけは公務員でなければできないのか、民間人に任せられないのか」「今後も公務員が郵政事業を運営する必要があるのか」と叫んだ。それは郵政労働者26万人(非正規雇用を含めて38万人)を非公務員化し、いったん全員解雇・選別再雇用する、そして全逓労働運動をつぶすということの宣言である。
 しかし小泉が選挙演説いらい何度も繰り返してきたこんな言い方は、そもそも許されるのか。公務員労働者が「悪者」とされ、国家の思いのままにリストラされ首を切られていいのか。公務員ということでスト権も奪われ、実質は民間と変わらぬ過酷な労働条件下で、営々と集配を始め外務・内務の労働を担ってきた郵政労働者が、いま弊履(へいり)のごとく切り捨てられてよいのか。断じて否だ。全逓労働者を先頭に、4大産別の労働者、民間を含めすべての産別の労働者が、これを自らにかけられた攻撃として怒り、今こそ戦争・民営化攻撃に総反撃しなければならない。
 さらに小泉は選挙演説でも所信表明でも、全国の警察官25万人、陸海空自衛官24万人と対比し、郵政労働者26万人がいかに多く、無駄であるかと攻撃してきた。しかしこんなペテンがあるか。小泉は郵政、自治体、教労などの公務員労働者は悪として攻撃するが、警官や自衛官は攻撃しない。国家の暴力装置は擁護され、リストラの対象外だ。小泉や奥田のいう「小さな政府」とは、一方で民営化と4大産別の公務員労働者の首切り、官公労労働運動つぶしであり、他方で年金・医療・福祉・介護など社会保障制度の解体ということである。「小さな政府」の実体は「戦争のできる大きな国家」なのだ。
 小泉が郵政民営化が必要な理由としてもう一つ言っているのが、郵便貯金と簡易保険の335兆円の資金を「官から民へ」と流し、経済を活性化させるというもっともらしいロジックだ。もともと郵貯・簡保の金は労働者人民の生活防衛的な「虎の子」資金を集めたもの。それが「第2の国家予算」=「財政投融資」(財投債・財投機関債)や国債・地方債の購入という形で国と地方自治体の財政を支えてきた。これを「官から民へ流す」ということにも大ペテンがある。
 なぜなら郵貯・簡保を民営化しても、より巨大な金が官に流れることになるからだ。郵政民営化担当相・竹中のブレーンが試算した数字によれば、03年度には郵貯・簡保の350兆円のうち財投と国債・地方債購入で合計320兆円が政府と地方自治体に流れた(民間金融機関からは280兆円)。それが、完全民営化が予定される17年度には、郵貯・簡保210兆円のうち160兆円が国債・地方債と財投に流れ、他の民間金融機関からは実に670兆円が政府と地方自治体に流れる。そうでないと財政が成り立たないのだ。 
 「官から民へ」の「民」は、人民や民衆のことではない。銀行や生命保険など独占的金融資本のことだ。要するに銀行や生保が郵貯・簡保に集まっている資金を自分たちの財源として吸い上げ、国債にも投資し、新たに利潤を追求するのが民営化の実態なのだ。

 第3章 国家公務員の大量首切りと賃下げ攻撃

 郵政民営化と並んで小泉は、国から地方への補助金および地方交付税を削減し、一部の税源を地方に移譲する「三位一体」改革なるものをやろうとしている。さらに所信表明では「国家公務員の定員の純減目標を設定し、総人件費の削減を実行」すると宣言した。「三位一体」改革は、国が地方に渡す金を減らし、その代わりに地方は労働者人民から徹底してしぼりとれという攻撃であり、公務員制度改革の攻撃と一体だ。そして今や国家公務員への大量首切りと賃下げの攻撃が切迫している。
 小泉所信表明演説と時を同じくして、9月27日、経済財政諮問会議の奥田ら民間議員4人は、@国家公務員の定員を「5年で5%以上純減」する、A「人件費を10年以内に半減する」と提案した。これを受け小泉政権は10月4日、自衛官などを除く国家公務員(約33万人)を、今年度分を含め5年間で3万3230人(約10%)も削減すると閣議決定した。しかも、なんとこうした大リストラを断行しながら「治安」や「徴税」には重点的に定員を配分するという。
 小泉は郵政民営化を突破口に、あと1年の任期中に何をやろうとしているのか。戦争と民営化(労組破壊)である。とりわけ公務員労働者に対する首切り・賃下げと官公労破壊だ。旧YKKの一員・加藤紘一はずばり「今後の(小泉政権の)ターゲットは公共部門、具体的には官公労」と言っている(9月22日付毎日新聞夕刊)。
 こうした日帝・小泉の攻撃に、「改革を競い合う」と公言する民主党前原の「官公労とはたもとを分かつ覚悟」「公務員制度改革では絶対に後れは取らない」という許しがたい言動が対応しているのだ。

 第4章 ファシスト国家の構築に突き進む小泉

 小泉は強権的なファシスト的政治家だ。その小泉が今や戦争のできるファシスト国家の構築に向け突き進んでいる。国と地方を合わせ380万人の公務員労働者をターゲットにし、大リストラを行い、官公労、4大産別の労働運動を解体しようとしている。その突破口が郵政民営化だ。それは日本経団連・奥田を頂点とする日帝・金融独占ブルジョアジーの仮借のない要求、無慈悲な政策である。今や11・6集会に上りつめる闘いは4大産別をめぐる大決戦となった。
 トロツキーは『次は何か?』で鋭く指摘している。ファシズムの本質と機能は労働組合組織、自立した一切の労働者民主主義の機関を根底まで破壊し、一掃することにあると。小泉が今、これをやろうとしている。しかしそれは帝国主義が危機に陥り、体制的に破産し、戦争か革命かの情勢が到来したということだ。革命的情勢が急速に接近している。労働者階級が今こそ歴史の主人公として登場し、帝国主義打倒とプロレタリア世界革命に向け挑戦する時だ。11・6労働者集会がまさにその決戦場である。

 第5章 勝利を開く動労千葉の闘いに学ぼう

 アメリカで、韓国で、イギリスで、全世界で戦争と民営化との闘いは共通課題だ。10月4日に、雇用政策と民営化反対をめぐりフランス全土でストとデモが闘われた。インドでは9月29日、民営化と主要産業への外資導入に反対し、4千万人の労働者が24時間の全国一斉ストに決起した。民営化とは労働者へのリストラ・首切りであり、労組破壊だ。同時に尼崎事故やハリケーン災害が衝撃的に示したように、徹底的な安全破壊でもある。
 動労千葉は国鉄分割・民営化に反対し、首をかけ組織をかけてストで闘った。現在も原則的に闘っている。尼崎事故に対しては「闘いなくして安全なし」と、反合・運転保安闘争の具体的実践として安全運転行動に決起し、レール交換などを実現させて、営々と闘い続けている。そこに労働者人民の共感と支持が集まり、勝利の展望が示されている。この動労千葉に学び、連帯して闘おう。そうすれば勝てる。
 さらに、処分をかけて闘った5人を除外し、動労千葉の排除と1047名闘争の分断・解体をねらう鉄建公団訴訟の9・15反動判決を徹底的に弾劾し闘おう。
 全逓労働者を先頭に、首をかけて労働者が決起した時、郵政民営化粉砕、小泉打倒の血路は開かれる。民営化反対の旗を降ろし、条件闘争に転換し、無方針状態で組合員を裏切るJPU(全逓)中央本部を打倒し、物ダメ・ストライキで闘おう。10・21闘争に総決起しよう。国会座り込み闘争に合流しよう。 

 第6章 民営化攻撃の行きつく先は戦争である

 トロツキーも言うようにファシズムとは戦争であり、「戦争への準備」を意味する。小泉政権は戦争攻撃でも戦後史を画する政権だ。小泉は米帝ブッシュの世界戦争戦略と一体化し、日米枢軸の形成、自衛隊のアフガニスタン・インド洋派兵、イラク占領軍参加をもって、日本を新しい15年戦争の過程に突入させた。世界的な米軍再編(トランスフォーメーション)を推進し、沖縄、座間を始め日本を北朝鮮・中国侵略戦争の前線基地にしようとしている。また「日の丸・君が代」強制、「つくる会」教科書採択、靖国参拝の強行で排外主義とナショナリズムを組織し、戦争国家化を進める超反動政権である。
 10月4日に小泉は、11月1日で期限切れとなるテロ対策特別措置法を1年延長することを閣議決定した。アフガニスタン・インド洋派兵を継続しようとしている。12月14日に期限が切れるイラク特措法の延長決議も待たずに、10月3日には陸自第8師団(熊本)の第8次イラク派兵を早々と決定し、泥沼のイラク侵略戦争への参戦を継続しようとしている。
 特別国会にはさらに、これまで2度廃案となった現代の治安維持法=共謀罪を三たび提出した。通常国会で廃案となった「障害者自立支援法案」の提出と成立、来年4月施行もたくらんでいる。これらの反動法案を絶対に粉砕しよう。
 暫定滑走路北延伸阻止、農民圧殺・軍事空港建設粉砕の10・9三里塚全国総決起集会に続き、小泉と真っ向から対決する反戦闘争を圧倒的に高揚させよう。 
 職場と組合で、街頭で、大学で、ビラ、賛同署名用紙、チケット、そして『前進』を縦横に、大胆に駆使して闘おう。11月1万人総決起へ嵐の進撃を! 

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週刊『前進』(2218号1面2)(2005/10/17)

 国会前 全逓労働者らが座り込み “首切りは許さない”

 10月6日、郵政民営化法案の国会審議が始まるこの日、労組交流センター全逓労働者部会を先頭に午前中から郵政民営化法案阻止の国会前座り込みに突入した。国会前には郵政民営化に反対する労働者や「障害者自立支援法案」、共謀罪新設と闘う人びとが詰めかけ、騒然となった。
(写真 「物ダメ・ストライキで闘おう」の大横断幕のもと、郵政民営化絶対阻止へ、全逓労働者の怒りの叫びが国会に向かって叩きつけられた)
 闘いの先頭に立った全逓労働者は、「郵政民営化法案は、郵政労働者の首を切り、労働組合を破壊し、そして教育労働者を襲い、すべての労働組合の破壊を狙ったものだ。こんなことは絶対に許さない」「闘いの場は職場生産点だ。現場を動かしているのはわれわれ労働者であり、われわれ労働者こそこの社会の主人公なんだということを現場からの闘いで知らしめてやる」と激しい怒りに燃えて力強い戦闘宣言を発した。
 座り込み中の発言では、郵政民営化によっていったん全員解雇、選別再採用の攻撃がかけられ、多くの労働者の首が切られることが詳しく暴かれた。また合同労組の労働者は、郵政民営化の攻撃が労働者の不安定雇用を拡大するものであり、民間中小の労働者にとっても絶対許せないものであることを訴えた。何度も国会に向かって怒りのシュプレヒコールをたたきつけ、道行く人びとも圧倒的に注目した。
 闘いは本番に入ったばかりだ。法案審議は、13、14日といよいよ重大局面に突入する。全力で国会前座り込みに決起しよう。法案が成立すれば終わりではない。現場から闘いを巻き起こせば郵政民営化攻撃を必ず粉砕できる。10・21労働者総決起集会(要項別掲)に全力で決起しよう。

▼国会前座り込み行動
10月13日(木)午前11時半〜午後3時半
同14日(金)午前11時半〜 第二衆議院会館前

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週刊『前進』(2218号1面3)(2005/10/17)

 連合大会会長選 3分の1が反対票 右翼改憲派・高木に痛撃

 10月5〜6日、連合は第9回定期大会を東京で開催した。今大会は笹森の退任を受けて、新会長を選出する人事大会であった。
 選挙結果は、極右改憲派で徴兵論者でもあるUIゼンセン同盟の高木剛会長が323票、パートなどの組織化を訴える改憲反対の鴨桃代全国ユニオン会長が107票、白票39票などだった。白票を含めると連合内の実に3分の1が高木への不信任を突きつけたのだ。
 9月11日の衆議院選挙での小泉・自民党の圧勝と民主党の惨敗に衝撃を受けた連合中央は、内部での暗闘の末、9月13日に極右の高木を役員推薦委員会の全員一致で会長候補に推薦する暴挙を行った。
 だが自治労大会での改憲路線への転換を阻止した闘いや、「日の丸・君が代」強制阻止、「つくる会」教科書採択阻止の教育労働者の決起は改憲反対派の鴨候補を会長選に押し上げた。
 全国労組交流センターの労働者は大会初日に「高木の会長選出を許すな」と大書したビラをまいた。これに驚いた笹森会長はあいさつで「今日も表でセクトがビラまきをしていました。基本政策が一番大きな問題」と、改憲問題が最大の焦点であることを認めた。交流センターのビラが流動情勢をつくり出したのだ。
 日本労働運動の巨大な分岐・流動が開始された。この流れを大きく拡大して、11・6労働者集会の1万人結集に結びつけよう。

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週刊『前進』(2218号2面1)(2005/10/17)

 動労千葉34回大会 反合・運転保安闘争に確信

 “11・6に勝負かけよう” 田中委員長体制が3期目へ

 10月2、3日、動労千葉の第34回定期大会が千葉市のDC会館で開かれた。「闘いなくして安全なし! 大民営化時代に通用する反合・運転保安闘争を創造し、JR体制を打倒しよう!」「一人ひとりが活動家となり、動労千葉の未来をかけて組織拡大を実現しよう!」「11・6労働者集会1万人結集の実現で、9条改憲、国家主義の台頭、戦争と民営化―労組破壊の大攻撃にたち向かい、小泉反動内閣を打倒しよう!」をメインスローガンに掲げて、レール破断の多発や尼崎事故に対する安全運転行動が切り開いた大きな地平を総括するとともに、総選挙後の重大な情勢に立ち向かう新たな闘いの方針を決定した。

 分割民営反対ストから20年

 冒頭、君塚正治副委員長が「この1年間、われわれの闘いが当局を押し切ってきた。動労千葉に追い風が吹いている。さらなる飛躍をかちとる大会にしたい」と開会を宣言。
 田中康宏委員長があいさつに立ち、大会の課題を全面的に明らかにした。
 田中委員長は、まず「20年前の大会は、国鉄分割・民営化に対してストライキをもって闘うことを決定した歴史的な大会だった。この20年間に築き上げたものが生きる時代が来た。決意を新たに、この時代に立ち向かう」と述べ、「第一の課題は、反合・運転保安闘争を中心として勝利した大きな地平に組合員全体が確信を打ち固めようということだ」と述べた。
 特に分割・民営化という犯罪的政策によって引き起こされた尼崎事故について「根本的な原因は労働組合の団結が破壊されたからだ。二度と尼崎事故を起こしてはならない。動労千葉にとって、『闘いなくして安全なし』というスローガンが原点だ。われわれが何もできなければ、動労千葉は動労千葉でなくなる」として、当局の「運行管理権を奪う違法行為だ」という恫喝、不当処分があったが、「安全の問題は、絶対に譲ることはできないと4カ月にわたる闘いを継続してきた。そして、想像もしなかった支持の声、反響が巻き起こった。これは社会のあり方に我慢のならない声が一斉に噴き上がったと感じた」と総括した。
 実際、22`のレール交換や東浪見(とらみ)へのATSの地上子設置を確約させるなどの成果を上げ、当局に「違法行為とは言いません」と言わせている。その過程で19歳の若い仲間が結集するという大きな一歩も切り開いている。
 田中委員長はまた、「これを実現した根本にあったのは、反合・運転保安闘争路線の正しさだ。1972年の船橋事故以来30年間にわたる営々たる闘いでつくりあげられた路線だ。敵のアキレス腱(けん)が安全問題だ。船橋事故後の線路改善闘争では、速度ダウンし、それをダイヤ改正に盛り込ませた。途中で妥協するんじゃなくて攻めの闘いができた」と強調した。そして、「大民営化攻撃が吹き荒れる中で、新たな反合・運転保安闘争は膨大な労働者を結集できる」と訴えた。

 9・15反動判決を徹底弾劾し

 田中委員長は「第二の課題」として、「総選挙後の重大な情勢に立ち向かうことだ。与党が3分の2を占めたことは、どんな反動法案も通るし、憲法改正も発議できる。自民党を戦争をできる党、奥田ビジョンを貫徹できる党につくり変えるということだ。われわれの側が腹をくくって、労働者の団結をつくり出すために勝負する。左の側から分岐をつくる。『9・11小泉大反動』に対する労働者階級の側の唯一の回答、それが11・6労働者集会の1万人結集方針だ」と述べた。
 そして最後に「鉄建公団訴訟に下された9・15判決は1047名の団結を解体することを意図した超反動判決だ。差別・選別をやろうが500万円を払えばいい。それからもはじかれた人が5名いる。停職6カ月以上、2回以上という基準は正当だと言う。これは国労闘争団と動労千葉を分断する悪らつな判決だ」と弾劾した。そして「全支部が一斉に組織拡大に打って出よう」と訴えた。

 全支部で組織拡大を

 1年間の闘いの経過を繁沢敬一副委員長が提案し、長田敏之書記長が運動方針案を提起した。
 闘いの基調と課題は、次のとおりだ。
 第一の課題は、9・15反動判決をのりこえ、1047名(動労千葉9名)の解雇撤回闘争の勝利の展望を切り開くために、全力を尽くして立ち上がること。
 第二の課題は、安全の危機的現状と対決して反合・運転保安闘争の強化・再構築をかちとり、安全運転闘争が切り開いた大きな勝利の地平をさらに押し広げること。
 第三の課題は、基地統廃合攻撃粉砕、賃金制度改悪阻止、ニューフロンティア2008(東日本)、ニューストリーム2007(貨物)=第二の分割・民営化攻撃粉砕に向けて引き続き闘争体制を強化すること。
 第四の課題は、小泉―奥田体制による労働者への全面攻撃と対決し、春闘の再生をめざして、06春闘に全力で立ち上がること。
 第五の課題は、戦争と民営化―労組破壊攻撃に立ち向かう国際的な共同行動の実現と、闘う労働組合の全国ネットワークの本格的な発展をめざして、全力で闘いを強化すること。
 第六の課題は、小泉反動政権打倒、教育基本法―憲法改悪阻止、日米安保粉砕、基地撤去、自衛隊即時撤兵に向けて、反戦・政治闘争の高揚をつくりあげること。
 第七の、そして一切の諸課題を貫く今年度の最重要課題は、JR総連解体―組織防衛・強化・拡大の闘いに組織の総力をあげて決起すること。
 以上の方針を受け、活発な討論が行われた。要員問題など、労働強化と安全破壊に直結する課題について真剣な提起があった。田中委員長は、「反合・運転保安闘争の原点に返って闘おう。最大の課題は、一人ひとりが活動家となって組織拡大に総決起することだ。11・6で勝負しよう」と総括答弁で述べた。
 役員改選で、3期目の田中委員長体制を確立した。
 また、多くの来賓が駆けつけ、全金本山労組の青柳充副委員長、三里塚芝山連合空港反対同盟の北原鉱治事務局長、顧問弁護団の葉山岳夫弁護士らがあいさつし、動労千葉との連帯を強化して闘う決意を語った。

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週刊『前進』(2218号2面2)(2005/10/17)

民営化攻撃と最前線で闘う 動労千葉と連帯し11・6へ (2)

 安全運転行動の成果

 22キロのレール交換させる 「反合・運転保安確立」貫いた力

 事故は合理化の結果だ

 船橋事故闘争以来の営々とした闘い

 動労千葉が尼崎事故を糾弾して安全運転行動に突入した背景には、30年余にわたる「反合理化・運転保安確立闘争」という路線と、その闘いの蓄積がある。
 動労千葉の反合・運転保安闘争の始まりは、1972年の船橋事故闘争である。72年3月、船橋駅で追突事故が発生した。原因は信号の停電にあり、過密ダイヤを維持するために駅構内に閉塞(へいそく)信号機を設置し(信号絶対主義の放棄)、「ATS(自動列車停止装置)を切ってゆっくり進め」と指導していた当局の指導の結果である。動労千葉地本は「事故は運転士の責任ではない。合理化の結果だ」と数波のストライキ・順法闘争をたたきつけ、闘いの力で高石運転士の解雇を断念させ、職場に取り戻した。
 この闘いは、「事故問題は労働運動の課題にならない」という当時の動労本部やカクマルの妨害を打ち破り、「安全」という国鉄当局の最大の弱点を切り口として合理化反対闘争を闘う、反合・運転保安確立の闘いとして闘われた。
 それ以降の線路改善闘争、ジェット燃料輸送阻止闘争、国鉄分割・民営化反対闘争も、「反合・運転保安確立」を掲げて闘いぬいたものであった。
 1987年4月に国鉄分割・民営化が強行され、JR体制に突入して以降も、動労千葉は反合・運転保安闘争を貫いてきた。
 88年12月5日、東中野駅で衝突事故が起き、運転士と乗客計2人が死亡した。JR当局が「ダイヤ改正」で千葉―三鷹間を3分40秒短縮した4日後のことだった。尼崎事故と同様、むちゃな回復運転の強要が事故を招いた。背景には“輸送混乱時には停止信号を越えて列車を進めろ”という当局の指導文書があった。
 動労千葉は東中野事故を糾弾し、1年後の89年12月、JR体制下で初の本線運転士のストライキに立った。その闘いにより、翌年のダイヤ改正では列車の運転時分を元に戻させた。

 第2の分割民営化粉砕へ外注化阻む

 2001年にスタートしたJR東日本の「ニューフロンティア21」、JR貨物の「ニューチャレンジ21」を、動労千葉は「第2の分割・民営化攻撃」と位置づけて闘ってきた。ニューフロンティア21とは、「ステーション・ルネッサンス」を掲げて儲(もう)け第一主義に徹し、これまでの労働条件や賃金、雇用のあり方などをすべてつぶして全面的な外注化を強行する、極限的な大合理化攻撃だった。実際、JR東日本は01〜04年の4年間で9430人の要員を削減した。そのうち3915人は外注化によるものだ。
 動労千葉は「こんな大合理化攻撃は、必ず安全の根本的な解体に行き着く」と警鐘を乱打し、01春闘ではニューフロンティア21と全面対決する計120時間の大ストライキに立ち上がり、それ以降毎年、春闘ストライキを闘ってきた。
 この5年間の闘いをとおして、動労千葉は検修・構内業務の外注化を阻止するという画期的な勝利を切り開いた。JR東日本は2000年に保線・電力・信号通信などの設備部門と検修・構内の外注化を提案し、01年に東日本全域で実施されたが、検修職場に動労千葉組合員が多く存在する千葉支社だけは、検修・構内の外注化を完全に断念させているのだ。
 外注化を阻止した最大の力は、検修職場である幕張電車区において反合・運転保安闘争を徹底的に闘いぬいたことであった。一つひとつの検修業務をしっかり行えば、業務は勤務時間内には終わらない。外注化を前提として要員を補充しない当局に対してその現実を突きつけ、「要員が足りない。補充しろ」と迫る闘いを連日展開した。
 外注化攻撃は「シニア制度」導入と一体のものだった。シニア制度とは、年金制度の改悪を悪用して、JRを定年退職した技術を持った労働者を外注会社に採用し、13万円ほどの低賃金でこき使うものだ。所属組合が合理化推進条項を含む「シニア協定」を結ばなければ、再就職試験も受けさせない。JRとJR総連カクマルの結託体制による露骨な組合差別だ。
 動労千葉は「シニア協定」締結を断固拒否した。千葉支社は翌年に定年を迎える組合員に「動労千葉のままでは再就職の試験は受けられない。JR東労組に変わるか」と露骨な不当労働行為を働いたが、当該組合員を先頭に地労委に救済を申し立て、「シニア制度」―全面外注化粉砕へ敢然と立ち上がったのだ。
 外注化阻止を掲げて闘いぬいた春闘ストと、長期強靱(きょうじん)な職場からの抵抗闘争、「シニア制度」による組合脱退強要に屈せず現場組合員が闘いぬいたこと、この三つが一体となって、当局の検修・構内外注化攻撃はとん挫した。外注化は、定年退職者が外注会社に再就職することで検修職場の要員を補充することを前提としたものだったからである。
 さらにJR体制の矛盾を突いたこの闘いは、もう一つの画期的な勝利を切り開いた。強制配転者の運転職場への復帰である。職場で徹底して反合・運転保安闘争を闘いぬき要員不足で職場の仕事が回らない現実を当局に突きつけたことと、動労千葉が長年闘ってきた「強制配転者の原職復帰」の闘いが結びついたのだ。

 強制配転者が運転職場に復帰

 04年2月、定年を翌年に控えた運転士に配転通知が発せられたことに対し、動労千葉は不当配転撤回を求めて指名ストライキに突入した。併せて、全本線運転士などを対象に、休日労働、時間外労働、勤務変更を拒否し、所定以外の作業を一切行わない「非協力闘争」に立った。千葉支社が休日労働の業務命令を乱発すると、動労千葉はただちに業務命令を受けた組合員を指名ストに突入させた。
 闘いの拡大に追いつめられたJR当局は、闘争の収拾のため、分割・民営化以来十数年も駅・営業に強制配転してきた動労千葉組合員を運転職場に復帰させることを確約せざるをえなかった。この確認に基づき、昨年3月から今年3月にかけて強制配転者12人が復帰した。5年間に及ぶ外注化阻止を土台にして、検修要員の逼迫(ひっぱく)を会社に強制した結果かちとった画期的な勝利だ。
 動労千葉が今春以来の安全運転行動で大きな勝利をかちとった背景には、連綿と貫いてきた反合・運転保安闘争があるのである。

 処分恫喝に屈せず団結して闘争貫徹

 動労千葉は、4月25日のJR尼崎事故に対して、「107人の労働者は、@国鉄分割・民営化によって殺された。AJR西日本会社によって殺された。B政府・国土交通省の規制緩和政策によって殺された。C国鉄分割・民営化攻撃に屈服して資本の手先になった労働組合によって殺された」と断罪した。事故の直接の原因は、無謀なスピードアップと過密ダイヤ、さらにコスト削減とスピードアップのための車両の軽量化にあると断定。事故の1カ月後の5月25日を期して、「安全運転・危険個所総点検行動」に突入した。
 動労千葉が安全運転行動を開始すると、JR当局はただちに「会社の運行管理権を奪う違法争議」として中止を申し入れてきた。また乗務前の点呼時に動労千葉の乗務員を「あなたの組合がやっていることは違法行為だ。厳正に対処する」と恫喝し、乗務中には2人の管理者が運転台に乗り込んで監視・現認を続けた。
 動労千葉はこうした恫喝に屈せず、処分策動に対して団結と闘争体制の強化をもって臨んだ。処分策動に対する抗議署名には弁護士を始め200以上の団体・個人の賛同が寄せられた。
 他方、闘いは大きな成果を上げ、安全運転行動開始後、6月7日を皮切りに6月だけで4カ所・2`余りのレール交換を実現した。
 安全運転行動を堂々と貫く動労千葉の闘いに追いつめられた千葉支社は、7月19日、本部執行部8人に「厳重注意」の不当処分を強行した。また7月28日には各職場に千葉支社長名の「違法闘争に対する警告」という掲示を張り出し、「会社の発展に寄与するために、自己の本分を守り、会社の命に服せ」「かかる争議行為は、会社の持つ運行管理権を奪う違法な争議行為」とわめきたてた。安全運転行動が継続されたら民営化の根幹が揺らぐという悲鳴である。

 かつてなく大きな支持と共感

 しかし、動労千葉の安全運転行動は、地域の労働者・住民、乗客にかつてない大反響を巻き起こした。動労千葉への激励や支援の電話・メールが続々と寄せられ、同時にJR当局と国土交通省には抗議の電話やメールが殺到している。
 これは、尼崎事故でJRの安全が多くの人びとの切実なテーマとなったがゆえの反響でもあるが、それだけではない。官民問わず激しい合理化攻撃が吹き荒れ、日本の労働者全体にとって民営化攻撃との対決が大テーマとなっている今だからこそ、合理化反対闘争=反民営化闘争としての安全運転行動にかつてない支持が寄せられたのである。
 動労千葉の闘い、そして地域の労働者・乗客から殺到する抗議の声に追いつめられたJR東日本千葉支社は、8月に入り、ついに全面降服を表明した。「05年度は保線予算を削減する」としていた方針を完全に撤回し、今年度中に総武快速・緩行線だけで140カ所、千葉支社管内全体では数百カ所、計22`に及ぶレールを交換することを確約したのである。その総経費は数十億円に上る。さらに動労千葉が9年前から要求してきた東浪見駅上り線のポイントに自動列車停止装置・ATS―SN地上子を06年2月までに設置することも確約した。
 動労千葉はこの大きな成果を踏まえ、9月1日をもってこれまでの安全運転行動をいったん集約し、2日から第2次安全運転行動に突入した。
 (上原祐希)

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週刊『前進』(2218号2面3)(2005/10/17)

 世界に翔びたとう5 動労千葉がパンフ発行

 動労千葉がパンフレット『世界に翔びたとう5/11・6日比谷へ!/小泉打倒1万人労働者集会を実現しよう』を発行した。8月に来日した韓国民主労総ソウル地域本部のコジョンファン本部長、米・運輸労働者連帯委員会のスティーブ・ゼルツァー氏が、動労千葉の田中委員長とともに11・6集会への結集を熱烈に訴えるアピールを掲載している。日・米・韓労働者交流会議も収録されている。
 11・6には米韓からも労働者代表が大挙駆けつけ、ナショナリズムの嵐を突き破る、画期的な国際連帯闘争となろうとしている。このパンフレットを周りの労働者・労組に届け、11・6の参加を訴えよう。
◆B5判36n 頒価300円◆申し込み先 動労千葉〒260―0017 千葉市中央区要町2―8DC会館内
/TEL 043―222―7207/FAX 043―224―7197
/E-mail doro-chiba@doro-chiba.org

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週刊『前進』(2218号2面4)(2005/10/17)

資本攻勢&労働日誌 2005 9・16〜9・30

 経済財政諮問会議 “国家公務員を5%純減”

 郵政2労組が民営化容認/民間賃金が7年連続減

事業所の3割で派遣労働者 厚労省が派遣労働者実態調査の結果を発表。04年8月末現在、31.5%の事業所で派遣労働者が就業。昨年の派遣法改悪で生産業務における派遣労働者の割合が派遣労働者全体の13.9%を占め、一般事務、事務用機器操作に次いで上位に躍り出た。(16日)
民主党、前原が代表に 前原誠司が民主党の新代表に就任した。(17日)=発言別掲
全郵政、民営化問題で方針転換 全郵政は、総選挙の結果を受けて地本委員長会議を開催し、「郵政民営化法案に対して……今国会の状況を踏まえ臨機応変に現実的な対応をはかっていく」との方針を決定した。(21日)
大阪市、有給は団交だけに 大阪市議会は有給の組合活動は労使の団体交渉だけに限定する条例改悪案を可決した。(21日)
経財諮問会議、国家公務員総人件費に数値目標 総選挙後初の経済財政諮問会議で奥田ら4人の民間議員は、国家公務員の定員を5年間で5%純減し、総人件費を10年間で名目GDP(国内総生産)比で半減するなどの具体案を提言した。11月に数値目標を決定するとしている。(27日)
「市場化テスト法案」の骨子など提起 規制改革・民間開放推進会議は「公共サービス効率化法(市場化テスト法)案」の骨子などを盛り込んだ「『小さくて効率的な政府』の実現に向けて」と題する提言をまとめた。(27日)
民間賃金7年連続減 民間企業に勤める人が04年の1年間に得た平均賃金は前年より5万円少ない439万円で7年連続で減ったことが、国税庁の民間給与実態統計調査でわかった。(28日)
人勧完全実施を閣議決定 政府は今年度の国家公務員賃金を人事院勧告どおり改定することを決めた。勧告の完全実施で、今年度の国家公務員の平均年収は前年度より4000円の減少となる。(28日)
JALグループで希望退職者募集 日本航空(JAL)グループの日本航空インターナショナルと日本航空ジャパンは、地上職社員(整備関連の技術系を除く)と客室乗務員を対象に早期退職者を募集すると発表した。(28日)
8月完全失業率4.3% 総務省統計局が発表した労働力調査によると、8月の完全失業率は4.3%で前月より0.1ポイント低下。厚労省が発表した一般職業紹介状況によると、8月の有効求人倍率は0.97倍で前月と同水準だった。(30日)
JPUも郵政民営化で方針転換 日本郵政公社労働組合(JPU)は、全国の地方本部の委員長らを集めた会議を開き、郵政民営化関連法案が特別国会で成立した場合、現実路線で対応する方針を決めた。(30日)

 前原民主党新代表の反動発言

・改憲で自民と協議(17日 記者会見)
 民主党は(憲法)改正が必要だという立場だ。改正を必要としている政党としっかり議論する中でまとめていく。
 私の従来の意見は(侵略戦争を放棄した)1項はいいが、(戦力不保持や交戦権否定を定めた)2項は削除し、自衛権を明記するということだ。
・郵貯と簡保廃止を(18日 NHK)
 郵便貯金、簡易保険とも廃止した方がいい。民間の受け皿があるわけだから、そこに委ねることがいいのではないか。
・官公労切り捨て(18日 NHK)
 特に官公労との関係は見直さざるを得ない。妥協してまで支援して下さる方におもねることがあっては、政党の自殺だ。合わなかったらその点については決別するくらいの決意が必要だ。

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週刊『前進』(2218号3面1)(2005/10/17)

 郵政民営化絶対反対! 10・21闘争から11・6へ

 「民営化反対」投げ捨てたJPU本部は総辞職せよ

 革共同全逓委員会

 9月26日、小泉は特別国会で所信表明演説を行った。冒頭、9・11総選挙の「大勝」をふりかざし、「連立政権の安定した基盤に立って、引き続き構造改革を断行する」と宣言し、第一に郵政民営化について「あらゆる分野の構造改革につながる『改革』の本丸」と位置づけ、関連法案の「成立を期す」とあらためて宣言した。いよいよ郵政民営化阻止の最大の決戦の時が来た。この決戦に戦後革命期以来、国鉄労働運動とともに戦後労働運動の中心部隊を担ってきた現場全逓労働者の矜持(きょうじ)をかけ、郵政民営化阻止―小泉打倒の闘いに腹の底からの怒りを煮えたぎらせて総決起することを、全国の闘う全逓労働者に心から訴えたい。全逓労働者は法案阻止の国会前座り込みなどを闘い、「郵政民営化絶対反対 小泉政権打倒 10・21労働者総決起集会」(要項1面)に総決起し、11・6労働者集会1万人結集の最先頭で闘おう。職場生産点から物ダメ・ストライキと連合全逓(JPU)中央打倒の闘いをつくりあげよう。

 小泉の戦争と民営化=労組破壊粉砕しよう

 小泉=奥田(日本経団連会長)による戦争と民営化=労働組合破壊の攻撃は、9・11総選挙での大反動を受けてさらに激しさを増している。そして、その大攻撃の突破口が郵政民営化であることがさらに鮮明となった。危機のどん底にある日本帝国主義の生き残り策は、唯一侵略戦争のできる日本をつくりあげることしかない。「郵政民営化もできなくて改憲などできない」というのが小泉や奥田ら支配階級の本音なのだ。
 これから07年の2年間で「去るも地獄、残るも地獄」に、非正規労働者を含む郵政38万人の労働者をたたき込もうというのだ。断じて許すことはできない。
 今、われわれ全逓労働者に真正面から問われていることは、87年の国鉄分割・民営化攻撃に対して全員の首をかけて85〜86年のストライキに立ち上がった動労千葉1100人の労働者の決意と団結の力を生きた教訓としてわがものとすること以外にない。

 労働者は小泉を信任しない

 総選挙で自民党が単独過半数を確保し、自公で3分の2以上の議席を獲得したことは戦慄(せんりつ)すべき情勢だ。このもとで、小泉=奥田は、さらに戦争と民営化=労組破壊、戦後的階級関係の転覆とファシスト的国家改造に向かって突き進もうとしている。そのために、民営化という手段を使って戦後日本労働運動・労働組合運動を全面的に解体しようとする攻撃に踏み込んでいる。
 戦後労働運動を担ってきた4大産別に照準を合わせ、とりわけ郵政民営化を突破口に、今秋から来年にかけて次のような攻撃を強行しようとしている。アフガニスタン・インド洋への海上自衛隊派遣1年間延長を決定し、イラク派兵についても延長、座間基地強化と沖縄・普天間基地県内移設などの米軍大再編、共謀罪、「障害者自立支援法案」、国民投票法案、教育基本法改悪、公務員制度改悪、社会保障制度解体、大増税、労働契約法制定など悪法が目白押しだ。郵政民営化法案もろとも小泉政権を打倒しよう。
 小泉は、総選挙での「勝利」で国民の信任を得たと言い放っているが、労働者は今回の選挙で小泉を信任などしていない。選挙以降の街頭や職場での労働者の声は、「小泉許せない」が圧倒的だ。「郵政民営化の賛否を問う選挙、国民投票」であるとして、自民党内郵政族議員を抵抗派に仕立て上げたファシスト的政治クーデターの投票結果は、実際には民営化賛成票より反対票の方が多かった(小選挙区での得票は、自公連立が3349万9494票〔49・22%〕で、過半数に達していない)。
 自公が議席数で勝ったのは、小選挙区制のもと、小泉と真に対決できない民主党を始めとする野党が労働者を信頼していないことと、とりわけ連合、全労連のもとで労働者の闘いを抑えつけていることにある。

 公務員バッシングに怒りを

 8・8解散から現在まで、小泉は「官から民へ」「郵政はなぜ公務員でなければならないのか」「郵政38万人の公務員の既得権益を守ることで、国民の利益が損なわれている」「小さな政府」などと言っている。この公務員労働者・労働組合は抵抗勢力であり悪の固まりというイデオロギーは断じて許せない。これと真正面から対決しなければならない。
 「官から民へ」と言うが、日本は資本主義の「民」の国家である。その「民」である日帝ブルジョアジーが戦後60年間やってきた結果、国・地方合わせて約1000兆円にも及ぶ借金という国家財政の破綻(はたん)を生み出したではないか。「官」の破綻は「民」がつくり出したのだ。しかも「改革」を唱える小泉政権下で、この1年間で78兆円の借金を増やしている。毎年10兆円返しても100年もかかるのだ。誰がやっても解決などしない。それこそ戦争か革命しかない。それを百も承知で小泉は戦争のできる国家の道を選択しているのだ。
 その上で、「民」とは、百パーセント金融独占ブルジョアジーであり、大銀行や大企業のことである。今日の民間の大企業で行われているような首切り・リストラ自由、非正規労働者の拡大、すさまじい殺人的労働強化のことである。
 また、「既得権益」という言い方で、現場の公務員労働者が甘い汁を吸っているかのように悪宣伝している。ふざけるんじゃない!既得権益にどっぷり今もつかっているのは、族議員―官僚―労働貴族だ。とりわけ小泉を含めた政治家は、既得権益の権化だ。破格な歳費と議員年金、企業からの政治献金、労働者の税金から政党助成金までもらって私腹を肥やしているではないか。生活に苦しむ労働者・家族に1円たりとも出さない特権階級なのだ。
 われわれにあるのは、汚らしい「既得権益」などではなく、労働組合に結集し血と汗でかちとってきたささやかな権利だけである。
 小泉のさまざまなデマゴギーのとどのつまりは、郵政労働者を皮切りに、公務員労働者を民間同様に好き勝手に首切り・リストラしたいということだ。これらの小泉=奥田の思想は、労働者(階級)を人間として扱わず、日帝ブルジョアジーの都合で、煮て食おうが焼いて食おうが自由な存在としてしか見ていない。日本の国益のためには戦争で命を投げ出すのは当たり前と思っているのである。小泉のウソとペテンに塗り固められた公務員バッシングの虚構を粉砕しよう。

 4大産別決戦の先頭に全逓労働者が立つ

 郵政を始めとする公務員労働運動も、連合全逓(JPU)本部執行部などの裏切りにより、実質的な民営化攻撃、賃下げ、人減らし、退職強要、強制配転、労働条件の切り下げ、サービス残業の常態化、連続深夜勤などの攻撃にさらされている。だが、労働組合としての階級的心棒はつぶされていないし、現場には闘いが息づいている。
 78年反マル生越年闘争での首切り撤回闘争を闘い、昨年高裁で逆転勝利判決をかちとった全逓4・28反処分闘争、国鉄分割・民営化を許さず9・15反動判決に屈せずに1047名闘争を闘う国鉄労働者、「日の丸・君が代」不起立闘争で日教組の改憲勢力化を阻止している教育労働者、「平和基本法」反対を貫く自治体労働者の闘いなど、不屈の闘いがある。小泉=奥田はこれがじゃまなのだ。
 しかも、国家機構や自治体の機構を内部で支える公務員が労働組合をつくり、反戦・平和の労働運動を展開していては、帝国主義は改憲も侵略戦争もできない。イラク戦争が始まり、世界戦争情勢が急迫する中で、日帝・小泉=奥田にとって、この4大産別を解体・一掃することが戦争へ向けた国家改造の核心問題になっているのだ。
 公務員労働運動を破壊し、戦前のような「天皇の官吏」に仕立て上げるのが戦争国家への絶対条件である。そのために民営化による旧官公労の破壊に全面的に出てきているのである。民営化は、労働組合破壊の決定的な手段なのだ。民営化で非公務員化し、いったん全員解雇・選別採用=活動家パージ(すべての党派根絶)で労働組合運動にとどめを刺そうというのである。4大産別の階級決戦性の核心がここにある。
 4大産別を先頭とする労働者が小泉=奥田らとの非和解的関係を直視し、怒りを燃えたぎらせ、首をかけてその階級的激闘に身を置き勝ち抜こう。闘えば必ず勝利の道は切り開かれる。郵政民営化で小泉独裁が成立した。それゆえ郵政民営化阻止決戦は、小泉政権を打倒する、4大産別を始めとする全労働者の最大の決戦課題にせり上がっているのだ。

 民主党と連合の改憲勢力化

 9・11総選挙後の情勢の中で今ひとつ重大なのが民主党と連合の動向だ。
 民主党の新代表となった前原は、改憲論や安保・防衛政策では「自民党以上に右寄り」と言われる人物であり、「第2小泉自民党」の道を突き進もうとしている。前原は、「民主党の原点は既得権益、しがらみにとらわれないことだ。郵政法案の対応を見ても、労働組合の意向に大きく影響を受けた」と述べ、郵政民営化法案への対案として郵貯の預入限度額引き下げの法案を提出している。これは、郵政労働者の8万人削減につながる。
 さらに公務員人件費の削減をうたい、「官公労との関係は見直さざるを得ない。考えが合わない時には、たもとを分かつ」と公言してはばからないのだ。
 また、連合大会では、UIゼンセン同盟会長の高木が連合会長に選出された。高木は、9条改憲を公然と主張する極右の人物である。高木の連合会長選出は連合内の分岐・流動を促進するだろう。
 こうした中で、連合全逓(JPU)中央の全面的な屈服と裏切りが進んでいるのである。

 小泉に組合員の首を差し出す本部許すな

 連合全逓(JPU)中央は、総選挙の結果を受けて9月30日に地方本部委員長会議を招集し、来年2月の臨時全国大会の開催を決め、それまでの間、「現実対応を進め、雇用と生活を守る」と、法案が審議もされず、成立もしていないのに早々と「民営化反対」の旗を降ろし小泉に屈服した。率先して小泉の手先となり、労働代官として自分たちを認めてもらうために、労働者の首を差し出すというのだ。断じて許すことはできない。
 菰田―難波ら本部は総辞職が当然だ。これまで連合全逓(JPU)中央は、民営化にならないためにと、すべての合理化・人減らしと労働条件の切り捨てに率先協力してきた。振り返れば、97年の橋本行革では、「経営形態を守る」と言いながら公社化に賛成した。
 そして今回、小泉の総選挙での圧勝に首をすくめ、何もしないで白旗をあげている。どうして国家公務員身分の剥奪(はくだつ)を認めて雇用が守られるのか。今こそ、連日の国会闘争、デモや座り込みを全国動員で闘うべきである。投票結果でも明らかなように、国論は二分し、それも郵政民営化反対の声が上回っているではないか。悪法は悪法なのだ。来年2月の臨時全国大会に向け、今の企業防衛路線もろとも、改憲勢力に転落した菰田―難波体制を現場の怒りで打倒しよう。
 これまでわれわれは、この郵政民営化攻撃の核心は、26万人の郵政労働者の非公務員化=公務員身分の剥奪が最大の狙いであることを明らかにし、訴えてきた。法案にもあるとおり、「公社解散の際現に公社職員である者は、別に辞令が発せられない限り……いずれかの職員となるものとする」「日本郵政株式会社は公社職員に施行日の2週間前までにどの承継会社の職員になるか通知しなければならない」としている。別の辞令があるということは、子会社を始め、どこに飛ばそうが、解雇しようが、自由にできるということである。また、07年の民営化発足の2週間前のぎりぎりまで採用通知を出さず不安に陥れ、人減らしを行うということだ。
 民営会社4分社化も含め、今後の2年間でアクションプラン・フェーズ2合理化の1万人を上回る自主退職という名の首切り・活動家パージ、選別採用をめぐり、本格的な職場での攻防となることをはっきりと肝にすえて闘おう。
 『郵政民営化を撃つ』(労働者学習センター発行)を武器に、郵政民営化絶対阻止の路線と、職場生産点での物ダメ・ストライキと連合全逓(JPU)の打倒=改革方針の具体的・組織的前進をかちとろう。
 当面する最大の方針として、10・21集会に全国の全逓労働者の決起をかちとろう。11・6労働者集会の大結集が07年までの2年間の攻防を決する。1万人結集に向け、全逓労働者の大隊列を実現しよう。

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週刊『前進』(2218号3面2)(2005/10/17)

 共謀罪審議入り阻止へ

 共同行動が総決起集会 10月決戦突入を宣言 

 10月4日、小泉政権は共謀罪法案を閣議決定した。共謀罪は、実行行為がなくても話し合いに参加しただけで最高懲役5年の刑罰を科すというものだ。共謀罪法案の3度目の提出を怒りを込めて徹底弾劾する。
 閣議決定後、南野法相は「わが国の治安回復にとって重要で、国際的観点からも緊急の対応が求められている。1日も早い成立を図りたい」と語り、共謀罪法案が戦争国家づくりのための治安立法攻撃であることをあけすけに表明した。
 小泉政権は、10月中旬には衆議院法務委員会を通過させ、会期末の11月1日までに成立させることをもくろんでいる。暴力的に審議を強行するという宣言だ。これが小泉独裁のやり方であり、ファシスト的国家体制づくりの根幹だ。
 直ちに国会前に登場し、衆議院法務委員会での11日からの週の審議入りを阻止しよう。特別国会で3度目の廃案に追い込み、共謀罪を永久に葬り去ろう。郵政民営化阻止を掲げて闘う労働者、自立支援法案廃案へ闘う「障害者」と連帯し、国会前を労働者人民の総反撃の場としよう。全力で国会前行動に立ち上がろう。
 閣議決定を間近にした10月1日夕、破防法・組対法に反対する共同行動は「10・1共謀罪を永久に葬り去る総決起集会」を東京・飯田橋の東京しごとセンターで開催した。これまで共謀罪粉砕闘争を担ってきた労働者・弁護士・学者・市民など163人が結集し、共謀罪新設阻止の10月行動への決意を固め合った。
 集会冒頭で基調報告に立った共同行動の事務局は、「10月特別国会が最終決戦だ。1カ月の攻防を全力で闘い成立を阻止しよう」と檄(げき)を飛ばし、行動方針(別掲)を提起した。
 集会のメイン企画として「戦前と現代の治安体制−治安維持法と共謀罪」と題した講演を荻野富士夫さん(小樽商科大学教授)が行った。荻野さんは、治安維持法による弾圧の歴史を国家権力が侵略戦争を推進するために恣意(しい)的な運用を拡大していった観点から取り上げ、@1925年の成立(国体の変革と私有財産制度の否認を目的とした結社の禁止)、A28年の「改正」(「目的遂行罪」導入と最高刑に死刑を導入)、B41年「大改正」(解釈を最大限度に拡張)の3点を挙げて説明した。
 その上で、共謀罪法案との共通点を指摘し、Bで導入された「目的たる事項の実行に関し協議(すること)」を弾圧できる規定が共謀罪法案にも盛り込まれていること、「実行行為を必要としない」規定は必ず国家権力に乱用されるものになることを暴露した。共謀罪法案は治安維持法をも超える治安立法であることが鮮明になった。
 破防法研究会の青年が共謀罪絶対粉砕の決意を込めてカンパを訴え、続いて各戦線・地域で闘う人びとが連帯のアピールを行った。
 宮本弘典さん(関東学院大学教授)は、「治安(弾圧)は国内に対する戦争である」と指摘し、「共謀罪は国家の不条理への民衆の不服従をつぶす攻撃である。廃案にしましょう」と力強く訴えた。
 武内更一さん(憲法と人権の日弁連をめざす会)は「共謀罪は『平成』の治安維持法。廃案以外にない」と呼びかけた。
 山下幸夫弁護士は、「与党は『法務委員会の審議は共謀罪法案一本』と言っている。10月13日の日弁連集会に参加を」と訴えた。
 このほかに関西救援連絡センター(組対法に反対する全国ネットワーク)、龍眼さん(予防拘禁に反対するネットワーク)、平野さん(山谷労働者福祉会館活動委員会)、学園祭で共謀罪の裁判劇を上演する学生らが発言した。
 共謀罪反対の国際共同声明運動の呼びかけ人としてあいさつに立った足立昌勝さん(関東学院大学教授)は、「外で20人の公安(刑事)がこの集会で私たちが何を『共謀』するのかを監視している」と弾劾し、「閣議決定以前にこれだけ多くの人が集合したことは意義あること。廃案に追い込もう」と呼びかけた。
 急激に繰り上がった共謀罪制定攻撃に大反撃する10月決戦へ、先陣を切って突入しよう。

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10月共謀罪阻止決戦の日程

★審議入り阻止!国会行動
 10月11日(火)
 10月25日(火)
 正午から国会前集会、午後5時まで座り込み
 衆議院第2議員会館前
★共謀罪を考える集会
 10月13日(木)午後6時
 弁護士会館2階クレオ
 主催 日本弁護士連合会
★山手線一斉行動
 10月22日(土)
 正午から山手線の各駅前で街宣。その後、都心デモに合流の予定
★採決時の緊急国会前行動
 正午から国会前集会
 衆議院第2議員会館前

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週刊『前進』(2218号3面3)(2005/10/17)

 国労弾圧公判 浅川証言、事実に合わず 追及され破綻点が広がる

 9月28日、国労5・27臨大闘争弾圧裁判の第46回公判が東京地裁刑事第10部(青柳勤裁判長)で開かれ、前回に続き国労長野地本中南信支部組合員の浅川初幸証人に対する弁護側反対尋問が行われた。
 5・27臨大闘争弾圧は、闘争団員を統制処分にかけるために国労本部が強行開催した02年5月27日の国労臨時大会に際し、本部方針に抗議してビラまき・説得活動に立った国労組合員らが、「暴力行為」をデッチあげられ逮捕・起訴された不当きわまる政治弾圧だ。
 検察側証人として出廷した浅川証人は、5・27臨大に会場警備として参加し、被告から「暴行」を受けたとして警察に被害届を出している。
 公判の冒頭、佐藤昭夫弁護団長が意見陳述に立った。鉄建公団訴訟弁護団長でもある佐藤弁護人は、9月15日の同判決に触れ、同訴訟は不当労働行為の責任追及をあくまで貫くための闘いであることを明らかにした上で、原告の闘争団員を統制処分に付し、それに反対した国労組合員を警察に売り渡した国労本部と、本件被告を起訴した検察を声を強めて弾劾し、「本件は国家的不当労働行為を隠ぺいするための政治弾圧だ」と断言した。
 一瀬敬一郎主任弁護人が尋問に立った。浅川証人は、長野地本から動員された会場係の責任者だった池田久幸・東北信支部元委員長に対して「松崎博己被告がひざ蹴りしているところを見た」と証言していた。しかし、事件現場を映した検察側証拠のビデオテープの映像を見る限り、浅川証人の位置から「ひざ蹴り」なるものが見えたとは思えない。この事実を突きつけられた証人は、「ひざ蹴りした人の頭のてっぺんからつま先まで見ていた」と言い張った。客観的状況と合致しないことを言い募る証言ほど冤罪の危険を生むものはない。浅川証言の信用性は決定的に崩れたのだ。
 証人はまた、「富田益行被告から胸ぐらをつかまれ激しく揺さぶられた」と述べていた。萱野一樹弁護人がこれについて追及した。5・27臨大から1カ月後の6月23日に作られた証人の被害届や供述調書には、これらの「暴行」に関する記述は一切ない。その理由を問いつめられた証人は、「取調官から聞かれなかったから言わなかった」と答えるほかになくなった。
 弁護団の追及に、浅川証言は至る所でほころびを見せた。浅川証人への尋問は次回も続くことになった。

 9・15判決と「5・27」

 この弾圧は、国労本部が組合員を積極的に警察・検察に売り渡したことによって引き起こされた。酒田充・国労本部前委員長や吉田進・現書記長が、「被害者」と称する国労組合員に被害届の提出を指示したことは、これまでの公判ですでに明らかになっている。検察側が最重要の証拠としているビデオを撮影し、任意提出したのは、東京地本の鈴木勉法対部長だ。
 この弾圧との闘いは、裏切り者を打ち倒し、国労の階級的再生をかちとる闘いそのものである。それは、労働者の団結権をめぐる重大な攻防点をなしている。
 小泉政権は、郵政民営化を頂点に公務員労働者の大量首切りを狙う一大民営化に突き進んでいる。その核心的な狙いは、官公労労働運動の解体にある。
 9月15日の鉄建公団訴訟判決は、これと完全に呼応した反動判決だ。判決は、不当労働行為を一部認定しながらも、500万円の慰謝料支払いしか認めず、解雇撤回を拒みとおした。それは、労働者の団結権を根幹において否定するものだ。さらに判決は、分割・民営化に抵抗して闘い重処分を受けた労働者のJR不採用を全面的に容認した。これは、分割・民営化にストライキで立ち向かった動労千葉を切り離し、1047名の団結解体を狙う大反動にほかならない。しかも、小泉が郵政民営化を頂点とする一大民営化攻撃に乗り出している今、この判決は不当労働行為による首切りをけしかける意味さえ持っている。判決を機に、国労本部による闘争破壊策動も再び激化しつつある。
 そもそも、訴訟をやるなと言って鉄建公団訴訟原告を統制処分に付し、5・27臨大闘争弾圧を権力と共同して行った国労本部が、9・15反動判決に飛びついて闘争解体のために利用しようとすることなど絶対に許せない。
 だが、この判決を引き出したのは、国鉄闘争の発展に対する敵階級の恐怖である。国労本部の裏切りに屈せず不当労働行為を追及しぬく鉄建公団訴訟原告団らの闘いは、動労千葉の闘いと結びつき、ついに1047名の統一陣形を生み出した。この地平を守り、あくまで原則的な闘いを貫けば、国鉄闘争の勝利は必ず実現できる。
 その切っ先に、5・27臨大闘争弾圧粉砕の闘いが位置している。00年、与党3党と社民党は、国労に対し「(JR不採用につき)JRに法的責任がないことを認めろ」と迫る4党合意を結び、国労本部を手先に取り込んで国労の団結を破壊する攻撃を仕掛けてきた。国鉄闘争を解体しなければ、一大民営化攻撃は貫けないからだ。この攻撃が、国労本部の転向を急激に促進し、5・27臨大闘争弾圧にまで行き着いたのだ。
 弾圧に手を染めた裏切り執行部は、国鉄分割・民営化の破産を突き出した尼崎事故後、JR体制への屈服を一層深めている。こうした現実への怒りは、JR本隊の国労組合員の中からも激しく噴出し始めた。
 5・27臨大闘争弾圧との闘いは、一大民営化に立ち向かう労働者の階級的団結を打ち固めるものになる。「許さない会」運動をさらに広げ、国労再生の血路を開こう。反合・運転保安闘争を果敢に貫く動労千葉と連帯し、11・6全国労働者総決起集会に結集しよう。

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週刊『前進』(2218号4面1)(2005/10/17)

 11・6日比谷に教育労働者1000人の隊列を

 闘う教育労働者こそが階級的労働運動再生の先頭に立とう

 戦争教育拒否、教基法改悪阻止へ

 革共同教育労働者委員会

 動労千葉など闘う3労組が呼びかける11・6全国労働者集会は、小泉に怒る労働者総結集の場だ。全国の教育労働者は、戦争と民営化(労組破壊)と真っ向から闘う階級的労働運動の歴史的登場をかけ、労働者国際連帯の発展をかけて、全国から総結集しよう。職場ぐるみ、分会ぐるみの決起をめざして闘おう。

 小泉の戦争・民営化攻撃と対決―4大産別が大決戦に

 総選挙での小泉「圧勝」をテコに戦争と民営化攻撃の嵐が吹き荒れようとしている。「労組=国賊」キャンペーンのもと、小泉政権は公務員労働運動の解体を狙ってきている。
 郵政民営化強行の最大の眼目は、大量首切りと選別解雇による全逓労働運動の解体である。次は公務員制度改革である。経済財政諮問会議は公務員人件費半減を、規制改革・民間開放推進会議は市場化テスト法案の通常国会提出をうち出した。その核心は、身分保障解体と業務委託・譲渡に伴う首切りの制度化である。民営化攻撃で公務と公務員の範囲を劇的に縮小した上で、能力業績主義や政治活動制限によって、公務員を「政府の奉仕者」へ、「官吏」と「聖職教師」に変えようしているのだ。
 他方、座間・横田・横須賀に米軍と自衛隊の司令部を設置し、北朝鮮・中国侵略戦争体制を飛躍的に強化する米軍再編=安保の実質大改定が進められている。11月自民党改憲草案発表、通常国会への国民投票法案提出を突破口に、改憲攻撃は一気に加速しようとしている。自民党が過半数を優に超える議席を単独で確保したことで、与党協議会での教育基本法改悪案づくりも進展するだろう。
 小泉「圧勝」は、自民党を構造改革を強権的に推進する政党へとつくり変えるだけでなく、民主党を資本家政党へと一気に純化させた。前原代表は「既得権益排除、労組との決別」を掲げ、党首討論で郵政民営化や公務員賃金削減を小泉と競い合っている。
 教育と教育労働者への戦争と民営化攻撃も拍車がかかろうとしている。全社会をのみつくす規制緩和・民営化の嵐は、市場原理・競争原理を導入した学校管理として教育現場に襲いかかっている。民間型の経営手法や労務管理の導入によって、指導助言行政や学校自治は死文化し、職場の協働と団結は解体され、教育労働者は多忙化の極みに追いやられている。
 警察官や自衛官と対比させて郵政労働者の公務員身分を攻撃する小泉の論理は、ただちに教職員組合バッシングと教師聖職化攻撃となって襲いかかる。「日の丸・君が代」強制、「つくる会」教科書採択は教育労働者に戦争教育を強制する攻撃であり、それを「踏み絵」にして闘う教育労働者を追放しようとする攻撃だ。1949年定員法首切りに続く教員レッドパージがそうであったように、戦争前夜の労働運動解体攻撃は教労戦線ではきわめて政治的な形で進行している。
 今こそ、怒りを爆発させ総反撃をたたきつけよう。

 日教組再生の展望を示した

 4大産別決戦は、官公労働運動をめぐるひとつながりの攻防であり、戦後労働運動の総決算をかけた階級決戦である。戦後革命期における1947年2・1ゼネスト攻防以来、官公労(公務員共闘・公労協)は戦後労働運動の主力部隊であったし、朝鮮戦争下の平和4原則(全面講和、中立堅持、軍事基地提供反対、再軍備反対)以来、反戦平和運動の中心部隊であった。労働基本権奪還闘争は、戦後労働運動を貫くメインテーマであった。
 75年スト権ストを境に官公労働運動は後退を重ね、国鉄分割・民営化による国労解体攻撃を見せしめに、官公労は雪崩をうって連合路線に転換し、総評は解散に追い込まれた。連合は、春闘を解体し、有事立法に賛成し、ついに改憲翼賛へと向かおうとしている。
 だが、この攻防の勝負はまだついていない。否、連合の改憲勢力化の土壇場で決然たる反撃が開始され、労働運動は巨大な分岐・流動・再編情勢に突入しているのだ。
 JPU(全逓)本部は、小泉圧勝に震え上がって早々と白旗を掲げ、幹部がわれ先に大脱走を始めた。だが一方、首を覚悟で民営化絶対反対を貫き、物ダメ・ストを呼びかける活動家が続々と登場している。自治労大会では、自衛権・戦力を認める「平和基本法」制定の改憲路線に対して、沖縄県本部を先頭とする反乱がたたきつけられた。
 何よりも、国鉄分割・民営化の真の決着をつけるのはこれからなのだ。分割・民営化に単身、2波のストライキで立ち向かった動労千葉は今日、安全運転行動で尼崎事故を徹底弾劾し、民営化攻撃をうち破る闘いに決起している。9・15鉄建公団訴訟反動判決は、国鉄1047名闘争が民営化反対闘争の結集軸として新たな発展を遂げていくことへの敵階級の恐怖を示しているのだ。
 教労戦線は、「日の丸・君が代」不起立闘争によって4大産別決戦を最先頭で切り開いてきた。この闘いは、処分覚悟の職場抵抗闘争を復権し、現場組合員による「全国統一闘争」を現出させた。「職務命令には従う」という本部の屈服方針をのりこえた現場組合員の闘いは、闘う都高教再生の展望を切り開き、闘う日教組再生の拠点をうち立てる展望を示し始めている。自治労と歩調を合わせた日教組の改憲路線を頓挫させたのも、今春の東京と全国での闘いの爆発であった。
 新たな戦争の時代への突入の中で、侵略戦争の先兵となることを拒否する教育労働者の闘争力の根源がよみがえったのだ。杉並の教科書闘争の中から、「日の丸・君が代」に続く教育労働者の戦争協力拒否闘争が生み出されようとしている。「日の丸・君が代」闘争と教科書闘争は、国家主義・排外主義の台頭と対決し、教基法改悪・改憲阻止の政治闘争の高揚を切り開く原動力ともなっている。

 連合・全労連支配うち破る階級的潮流を登場させよう

 11・6労働者集会1万人結集は、戦争と民営化攻撃と真っ向から対決する階級的労働運動の歴史的登場をかけた闘いである。
 今や連合路線、パートナー路線の破産は満天下に明らかとなった。全逓のパートナー路線は、民営化も回避できず組合員の雇用も守れず、全郵政への統合に行き着いているではないか。「民主リベラル」と称する政治路線が生み出したのは、「脱労組」を掲げる前原民主党ではないか。「連合を変える」と称する連合加盟の帰結は、7・14「国の基本政策に関する見解案」に示される連合丸ごとの改憲勢力化ではないか。極右改憲論者のUIゼンセン同盟の高木が会長、日教組の森越が会長代行を務める連合新体制は、打倒対象以外の何ものでもない。
 同時に、新潮流運動の前進のためには、日本共産党・全労連中央の反動的制動をうち破ることが不可欠となっている。改憲阻止闘争の本格的発展のためには、連合の改憲勢力化と闘うとともに、全労連の改憲カンパニア運動をのりこえなければならない。
 改憲攻撃は戦争突入攻撃であり、労働者の戦争動員である。戦争と民営化、労組破壊攻撃との闘いこそが、改憲阻止闘争の階級的内実をなす。民営化・リストラ攻撃との闘いと結合し、職場抵抗闘争とストライキを復権させていくことによってこそ、改憲阻止闘争の全人民的爆発が切り開かれていくのだ。
 日本共産党・全労連中央は「戦後史をかけた憲法闘争」を呼号しつつ地域・職場での「管理職・保守層との共同」による「9条の会」のカンパニア運動に歪小化している。「広範な共同」を語る一方で「過激派排除」を叫び、統一戦線形成に敵対している。有事法制を「発動させない、従わない」を掲げてきた陸海空港湾労組20団体の運動、「日の丸・君が代」闘争、教基法改悪阻止闘争をつくり出している「教育基本法の改悪をとめよう!全国連絡会」の運動、3闘争団・争議団の共闘を軸とする国鉄1047名闘争、これらの運動への共産党・全労連(全教)の反動的制動の本質は、闘いの階級的実力闘争的発展へのスターリン主義の本性をむきだしにした恐怖と反動だ。
 闘う教育労働者は、戦争と民営化攻撃と対決する階級的労働運動の再生を自らの死活的課題としなければならない。自己を階級的労働運動の一翼として位置づけ、職場・支部・単組を全国ネットワーク運動へと合流させていかなければならない。
 1956〜58年に激しく闘いぬかれ、日教組運動の金字塔をなした勤評(勤務評定)闘争も、国労や全逓など公労協の職場大会や休暇闘争による事実上のストライキと相呼応した闘いだった。06年「日の丸・君が代」闘争も、物ダメ・ストなど職場抵抗闘争の激発情勢の中でこそ、そのさらなる爆発を展望することができる。処分を辞さない抵抗闘争、職場生産点の戦争協力拒否闘争を全産別に呼びかけ拡大しよう。

 「日の丸・君が代」処分撤回、06年卒業式・入学式闘争へ

 昨年来の東京の闘いは、戦時下の「日の丸・君が代」闘争が、教育労働者の自己解放性を解き放ち階級的戦闘性を復権させる水路であることを示してきた。闘いの継続・拡大をめぐるあらゆる反動との闘いは、いかなる弾圧と処分にも屈しない教育労働運動の階級的路線をうち立てていく試練でもあった。
 教基法改悪法案の通常国会提出を前にした06年卒業式・入学式闘争は、まさに決戦だ。11・6労働者集会は、06年卒・入学式闘争に向けた総決起集会の場でもある。被処分者たちは、処分撤回闘争を組合の総力をあげて闘う方針を大会でもぎり取り、都高教運動の戦闘的再生を切り開いている。この闘いを戦争協力拒否闘争として明確に位置づけ、あくまで組織的抵抗闘争の復権をめざして不起立・不服従闘争を拡大していくことが重要である。
 「日の丸・君が代」闘争、教科書闘争の地平を、教育労働運動の階級的潮流としてうち固め、被処分者を先頭とする1千人の教育労働者の隊列を登場させよう。

 階級的団結と国際連帯が鍵

 勝利のカギは、「階級意識で武装した労働者の団結」と「国際主義に立脚した労働者の連帯」(民主労総ソウル本部の8・15連帯アピール)である。
 階級的団結の強化・拡大に総括軸をおいて、不屈に前進しよう。
 動労千葉の安全運転行動に学ぼう。「運行管理権の侵害」にJR資本は激甚に反応し、出勤点呼の度に「違法行為」として処分恫喝を加え、管理職が運転台に乗り込んで監視・現認体制を敷いた。しかし、闘いは巨大な社会的反響を巻き起こし、JR東日本千葉支社や国土交通省に抗議が殺到する情勢を生み出した。千葉支社は動労千葉執行部8人への厳重注意の処分攻撃をかけてきたが、安全運転行動を貫く動労千葉は22`メートルにわたるレール交換を資本に強制する成果をかちとったのだ。まさに階級的団結の勝利であり、反合・運転保安闘争の路線的勝利である。
 民主労総・全国教職員組合(全教組)の闘いに学ぼう。全教組は、1500人の罷免・解雇、400人の逮捕という大弾圧をのりこえて89年に結成され、99年に合法化と復職をかちとった教員組合である。出勤闘争で現場教員を鼓舞激励して組織を再建し、「解雇者総団結闘争」として実力闘争の先頭に立ってきた被解雇者の闘いがその原動力だった。
 国際連帯で闘おう。台頭する国家主義・排外主義に対する回答は、インターナショナリズムの発展である。国際連帯の中でこそ、労働者は階級意識を鮮明化させ、自らの歴史的使命を自覚していく。
 民主労総ソウル本部、ILWU(国際港湾倉庫労組)ローカル10と、日本の動労千葉など3労組との連帯は、階級的原則的闘いの不屈の貫徹が、国境を越えた労働者階級の団結をつくり出し、帝国主義を打ち倒す力へと発展していく展望を指し示した。日米韓労働組合の国際連帯は、今年さらに本格的な国際共同闘争へ、産別ごとの国際連帯へと発展・深化しようとしている。
 イラク戦争の泥沼化の中、アメリカでは高校がイラク新兵募集をめぐる軍と保護者・教育労働者との激突点となっている。韓国の全教組は、民主労総の派兵撤回闘争の一翼を担って派兵反対共同授業を展開し、現在、教員評価制度との激しい攻防の渦中にある。「日の丸・君が代」強制や「つくる会」教科書との闘いは、日韓労働者の共通の敵=日帝に対する共同闘争だ。新たな戦争の時代、教育労働者同士の国際連帯は、侵略戦争を阻止する巨大な力の源泉そのものである。

 団結し闘う労働者の生き様示し青年教育労働者獲得を

 「教え子を再び戦場に送るな」は、文字どおり「教え子を侵略戦争に送った」世代が、レッドパージでの数千人の犠牲をのりこえ、朝鮮戦争下で掲げたスローガンだった。日教組が労働組合として自己を確立したのは、勤評闘争によってである。免職70人、休職42人、停職299人、起訴108人、その他処分6万人という弾圧と処分をのりこえ、まさに先輩たちの首をかけ人生をかけた闘いをとおして、日教組運動は成立したのである。
 日本経団連の1・18教育提言・改憲提言が示すように、戦争突入を決断した日帝ブルジョアジーにとって、今や日教組運動自体が解体の対象となっている。石原・都教委が始めたように、新採教員に「君が代」を声を張り上げて歌わせ、10年研修で自衛隊で職場体験させ、「国のために命を投げ出す日本人づくり」を強制しようとしている。
 教え子である青年労働者は、まともな職もなく、自立も結婚もできない境遇に置かれている。「フリーターは自衛隊に入ってサマワに行け」(武部自民党幹事長)というのが日帝の本音なのだ。戦争なしに生き延びられない帝国主義、労働者を食わせていけない資本主義を打倒する決意を新たにしよう。
 日教組を階級的によみがえらせること、それを次代の青年教育労働者に引き継ぐことは、われわれ教育労働者の歴史的かつ階級的責任である。いかなる処分も弾圧にも屈せず、団結して闘う労働者としての生きざまを示そう。青年教育労働者をマルクス主義で獲得しよう。
 11・6労働者1万人結集の中心に「日の丸・君が代」強制と闘う被処分者を先頭とする教育労働者1千人の隊列を登場させよう。

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週刊『前進』(2218号4面2)(2005/10/17)

 『つくる会』歴史教科書 絶対使わせない杉並集会 “撤回へ新たな闘いを”

 10月1日夕、杉並区内で「『つくる会』教科書の採択を撤回させよう 10・1絶対使わせない杉並集会」(主催・同集会実行委)が開かれた。「つくる会」の教科書採択に反対する杉並・親の会が呼びかけた集会には区内外から230人が集まり、「力強く撤回に向けた第一歩を踏み出す」ことが宣言された。
 最初に、春からの街頭宣伝、8月4日、12日の2度にわたる杉並区教委での採択をめぐる攻防など「05年『つくる会』教科書採択反対!杉並のたたかい」のビデオが上映された。扶桑社賛成の大蔵・宮坂両教育委員、そして4日には「3社(帝国書院・大阪書籍・扶桑社)のどれでもいい」と言った納冨教育長が、12日には「戦争や紛争はなくならないとの扶桑社の記述は現実的だ」と扶桑社を推した結果、3対2で歴史教科書が扶桑社に決まった経過が映し出された。ビデオを見た参加者は、不当・無効な採択だとあらためて怒りを募らせた。
 孫が再来年には中学生になるという親の会の女性が経過報告を行った。「採択以来、納冨教育長は区民への説明責任を果たしていない。文教委員会や区議会で、結柴議員と新城議員が追及したが区長や教育長はまともに回答しない」と怒りを込め、さらに「9月28日の教育委員会を傍聴しましたが、大蔵委員があと3日で任期が切れる丸田委員長の罷免を要求したんですよ。これにはさすがの教育長も賛成できず、否決されましたが、許せません」と報告。「親の会は毎週、区役所前と阿佐ケ谷駅前で白紙撤回を呼びかけています」。歯切れのいい発言に大きな拍手が寄せられた。
 琉球大学教授の高嶋伸欣さんが「『つくる会』教科書の反社会性を衝く! 採択撤回と責任を追及」と題して講演した。高嶋さんは冒頭、「杉並での採択を聞き、地元の人たちは頑張るはずだと思った。私も『闘いはこれから』という発想です。来年4月までさまざまなやり方がある」と力強く訴えた。
 扶桑社からの内部告発もあり、脱税問題などを東京国税局や公正取引委員会に告発しており、裁判闘争にも訴えると語り、「つくる会」教科書の数々の問題点を指摘。「私も皆さんとともに白紙撤回まで闘います。行動を起こしましょう」と結んだ。
 リレートークでは、教育労働者を先頭に保護者や地域の労働者からの発言が続いた。結柴区議は「9月区議会の最大焦点が『つくる会』教科書だった。『つくる会』の攻撃は激化しているが、これは彼らが杉並での撤回運動の盛り上がりに恐怖しているからだ」と指摘し、奮起を訴えた。
 親の会の男性は「子どもが中学校1年生になります。『日の丸・君が代』では内心の自由に立ち入らないと言っていたが、先生たちを処分した。この非歴史的な教科書を子どもたちに使わせるわけにはいかない。PTAを処分するなら処分してみろ。受けて立ちましょう」と宣言した。
 大蔵委員の差別発言を追及している解同全国連杉並支部、さらに石原・都教委、区教委と最前線で闘う都立高校や小・中学校の教員が決意を込めて次々と発言、「こんな教科書教えられないと、処分をはねのけて闘おうとしている教育労働者たちをバックアップしてほしい」との訴えに満場の拍手がこたえた。
 西部労組交流センターの女性労働者は、日教組大会や自治労大会での本部追及の闘いを紹介し「労働者は社会の主人公」と力を込めて11・6労働者集会への参加を熱くアピールした。
 まとめと行動方針提起を実行委の青年労働者が行い、採択撤回へ、@教育労働者とともに闘おう、A保護者と連帯しよう、B納冨教育長を始め大蔵・宮坂両教育委員の責任を追及しよう、C山田区長の責任を追及しようと訴えた。彼は最後に、「団結して戦争と首切り、民営化と闘おう。11・6労働者集会、12・3教育基本法改悪反対全国集会に結集しよう。採択撤回の運動を元気にスタートさせよう!」と締めくくった。「つくる会」歴史教科書の撤回へ、杉並で力強い闘いが進んでいる。 (本紙・室田順子)

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週刊『前進』(2218号4面3)(2005/10/17)

日誌'05 9月28日〜10月4日

 普天間代替、日米交渉決裂

 反動法案が続々と閣議決定

●空自3曹が覚せい剤使用容疑で逮捕 航空自衛隊中部航空警戒管制団第22警戒隊(静岡県御前崎市)所属の3曹が覚せい剤取締法違反(使用)の疑いで空自警務隊に逮捕された。海自第2潜水隊群(横須賀基地)所属の潜水艦乗組員1人も自宅で大麻を所持していたとして海自警務隊が逮捕。(28日)
●国民投票法案提出は通常国会に 衆院憲法調査特別委員会(中山太郎委員長)が理事会で、特別国会では憲法改正手続きを定める国民投票法案の提出・審議はしないことを確認した。同法案について与党は、来年の通常国会への提出を目指すこととした。(29日)
●陸上案拒否を明言 ローレス米国防副次官は、普天間飛行場の移設問題について、日本側による米軍キャンプ・シュワブ内の陸上案の説明は「受け入れられない」と拒否し、名護市辺野古の浅瀬を埋め立てる案を検討するよう求めた。(29日)
●「障害者自立支援法案」再提出へ 政府は障害者自立支援法案を閣議決定し、特別国会に再提出することを決めた。(30日)
●首相靖国参拝に違憲判決 小泉首相の靖国神社参拝で精神的苦痛を受けたとして、台湾人116人を含む計188人が、国と小泉首相、靖国神社に損害賠償を求めた訴訟の控訴審判決が大阪高裁であった。裁判長は、参拝が首相の職務として行われたとした上で、憲法の禁じる宗教的活動にあたると認めた。一方で信教の自由などの権利が侵害されたとは言えないとして、原告らの控訴を棄却した。(30日)
●防衛庁、シュワブ陸上案堅持 防衛庁首脳が国会内で記者会見し、ローレス米国防副次官が拒否したキャンプ・シュワブ陸上案について、「現時点で、断念することはまったく考えていない」と述べ、政府方針は変わらないとの認識を強調した。(30日)
●オスプレイ大量生産へ 米国防総省は、海兵隊の次期主力機となる垂直離着陸機MV22オスプレイの大量生産の許可を出した。海兵隊は360機を生産、配備する計画。具体的な配備計画は明らかになっていないが沖縄の普天間飛行場に配備される可能性が高い。(1日)
●稲嶺知事、日米2案を否定 普天間飛行場の移転問題について沖縄県の稲嶺知事は「スタンスがぶれることはない」と強調。「県外移転がベスト」とした上で、県内移設の場合は、SACO(日米特別行動委員会)合意に基づく名護市辺野古沖移設以外は容認できないとの姿勢を示した。(1日)
●サマワで豪軍戦車を群衆が包囲 イラク南部サマワで、陸上自衛隊とオーストラリア軍の車列がサドル師派支持者の葬列に通りかかり、先頭の豪軍装甲車が葬列を止めて、陸自車列を先に通過させようとしたことに、葬列参加者が抗議。銃を持った群衆が装甲車を取り囲み、立ち去るよう要求した。サドル師派の指導者が群衆を制止し、豪軍の装甲車はその場を離脱した。(1日)
●テロ特措法の1年延長を決定 政府は安全保障会議を国会内で開き、11月1日で期限切れとなるテロ対策特措法を1年間延長する改正案を決定した。前回の法改正では延長幅は2年だったが、今回は1年となった。4日、閣議決定した。(1日)
●共謀罪法案を提出 「共謀罪」の新設などを盛り込んだ組織的犯罪処罰法などの改正案(共謀罪・サイバー取り締まり法案)が閣議決定され、国会に提出された。政府が共謀罪の創設を提案するのは、03年、04年に次いで3回目。(4日)
●普天間協議、物別れ 日米防衛当局の局長級協議がワシントンで行われた。日本側はシュワブ陸上案を再び説明したが、米側は強く拒否、話し合いは物別れに終わった。(4日)

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週刊『前進』(2218号5面1)(2005/10/17)

 小泉打倒し戦争・民営化と闘う1万人の日米韓国際連帯集会

 全国学生は11・6日比谷に集まろう

 マルクス主義学生同盟中核派

 11・6労働者集会は、矛盾を深める帝国主義の戦争と民営化(労組破壊)と対決し、社会を土台から変革する労働者階級の歴史的運動だ。11月6日、東京・日比谷野音へ闘う労働者とともに学生も全国から大結集し、小泉打倒の1万人大集会を実現しよう。

 「戦争か革命か」の歴史選択

 ■核心点

 いま世界では大きく二つの現状変革の流れが激しくせめぎ合っている。
 それは、資本家階級が支配階級の座にしがみつくための絶望的な「変革」と、労働者階級が社会の主人公に飛躍しようとする根本的な変革である。
 前者は小泉が叫んでいる改革である。それは米ブッシュや英ブレア、世界の資本家、帝国主義者が競い合っている方向と同じである。帝国主義・資本主義の矛盾が積もりに積もって、戦後的な延命の方式を続けることができなくなったのだ。だから、弱肉強食と優勝劣敗の資本主義の論理をむき出しにし、帝国主義の戦争の論理に訴えようしている。
 小泉の改革は徹頭徹尾、資本家階級と帝国主義の利益のために行われる。そのために、労働者がモノのように使い捨てにされ、石油や市場の略奪のために戦争に動員され、虫けらのように殺されるのだ。このようやり方でしか延命できない資本主義を終わらせなければならない。
 この改革はインチキであり、破局への道だ。矛盾を深める帝国主義・資本主義、行き詰まった資本主義的生産関係という社会の土台を変革しようとしないからだ。そして、戦後的な延命の方式を自ら破壊し、地獄の釜の蓋(ふた)を最後的に開け放つ。小泉の改革は、帝国主義・資本主義の矛盾を爆発させ、破局をもたらすだけなのだ。

 労働者は社会変革の力持つ

 これに対する現状変革の流れが11・6全国労働者集会運動だ。小泉打倒の1万人集会に世界中から東京・日比谷に集まる労働者階級の巨大な運動である。
 それは、社会を成り立たせている生産の主体的な担い手でありながら、資本の価値増殖のためにのみ生かされている労働者階級が社会を土台から変革し、自分たちの力を自分たちの手に取り戻す闘いだ。
 この流れは、世界最強の労働運動を誇る韓国の民主労総の闘い、昨年、ブッシュ政権を揺るがす百万人労働者行進を成功させたILWU(国際港湾倉庫労働組合)を始めとするアメリカ労働者階級の闘い、そして、既成政党・既成労組指導部の支配を突き破って日本の労働運動の階級的再生に挑戦している動労千葉を中心とする新潮流運動として始まっている。
 とりわけ、JR尼崎事故以後の動労千葉の安全運転行動に大きな支持と共感が寄せられている。それは、社会を土台から変革する闘いの始まりだからだ。JR尼崎事故は、弱肉強食の原理的な姿をむき出しにした資本主義がもはや社会を社会として成り立たせていく能力を喪失し始めていることを示した。
 これに対する動労千葉の安全運転行動は、JR資本に対して、安全という労働者階級の生死のかかった問題を徹底的に追及し、破断したレールを22キロにわたって交換させる画期的な勝利をかちとった。
 この核心は、資本家階級が資本主義社会を成り立たせられなくなっている姿をさらす一方で、労働者階級こそが社会の主人公であることを示す革命的な闘いだということだ。
 いまや世界には、ファシスト的戦争国家―世界戦争かプロレタリア社会主義革命か、この二つの現状変革の流れしかない。抵抗勢力、護憲勢力、反グローバリゼーション運動……資本主義の枠内にとどまる既成の運動が限界に突き当たり停滞するのは理の当然である。資本主義、帝国主義の論理に飲み込まれるのか、それとも資本主義を打倒する労働者階級自己解放の運動が爆発的に発展するのか。一切は、この二者択一、資本家階級か労働者階級かの死闘の中に峻厳に整序されていく以外ない。
 11・6労働者集会に賛同し結集する意義は決定的である。歴史選択がかかっているのだ。11・6集会への賛同を大運動として拡大しよう。11・6日比谷野音1万人大結集を実現しよう。

 ファシスト的国家改造狙う

 小泉・自民党の圧勝(与党が衆院の3分の2の議席を独占)によって、資本家階級が支配階級の座にしがみつくためのファシスト的国家改造の攻撃が、激しく強行されようとしている。
 しかも、前原・民主党が、小泉と競い合って、戦争と民営化(労組破壊)のために「戦う」と言っている。このことに戦慄(せんりつ)し、警鐘を乱打しなければならない。
 小泉は「自民党をぶっ壊す」と言って戦後的な談合型の政治家を切り捨て、戦時型のファシスト的な強権政治に大転換を図った。国家独占資本主義政策による公共事業や雇用・社会保障をやめ、労働者の権利を奪い、労働組合を解体し、労働者階級の抵抗を血の海に沈めてファシスト的戦争国家をつくり出し、大恐慌と世界戦争の中で資本家階級の利益を守り抜こうというのだ。
 小泉改革で汚職や不正まみれの政治を変えてくれるのではないかと期待して、「自民党をぶっ壊す」と言う小泉を支持した人も少なくない。政治家と高級官僚、金融独占資本が癒着し、一握りの特権層が労働者から巻き上げたカネで私腹を肥やしていることは、許せない。
 しかし、戦時型のファシスト的強権政治のもとではもっとひどいことになる。弱肉強食の資本の論理によって機会不平等の競争が極限的に促進され、富める者はますます富み、貧しい者はますます貧しくなるのだ。労働者階級が生きるためにはこの1年間決戦で何としても小泉を打倒する必要がある。

 労働者使い捨てと労組破壊

 ■民営化

 「郵政はなぜ公務員でなければならないのか、民間のサラリーマンではなぜいけないのか」――小泉はこう言っている。ここに郵政民営化の核心問題がある。
 公務員のままでは「公務員の身分保障」があるから解雇できない。だから民営化して、郵政労働者26万人、非常勤を含めて38万人を全員解雇し、労働者をバラバラに分断し、労働組合的な団結を解体したいのだ。そうすることで、必要な時に雇い入れ、要らない時にはすぐに首を切れるようにしたいのだ。
 まさに民営化とは労働組合破壊である。労働組合破壊とは、資本が労働者をモノのように酷使し、使い捨てにすることである。
 小泉は、「民営化で自由競争になればサービスがよくなる」などとデマ宣伝をしているがとんでもない。
 民営化の行き着く先は、JR尼崎事故だ。JR尼崎事故で107人が犠牲になった。これは不慮の事故などではない。ましてや運転士の責任なんかでは断じてない。「JRに殺された」(遺族の言葉)のだ。JR資本による殺人である。
 87年に国鉄が分割・民営化され、労働組合の力が徹底的に弱められた。そして、利潤追求第一主義の資本の論理がむき出しなった。私鉄資本との熾烈(しれつ)な競争で、無理なスピードアップと超過密ダイヤを強制し、安全対策を怠り、逆に秒単位の遅れに懲罰を科し、労働者を抑圧・支配してきた。
 労働者の団結や誇りが解体され、資本の論理がまかり通った時、安全が崩壊し、大事故が起きるのだ。
 また「官から民へ」の政治をすれば、世の中、良くなると言っているが、絶対に良くならない。むしろアメリカのような弱肉強食・優勝劣敗の恐るべき社会になる。超大国のアメリカで、どうしてハリケーン被害が死者千数百人に上ったのか。
 米政府は、今回のようなハリケーン災害を想定していた。しかし、「対テロ政策」やイラク戦費のためハリケーン対策予算を大幅に削減。運河の管理がないがしろにされ、堤防の決壊が予想されても予算がなく放置された。交通手段も基本的に民営化され、避難命令が出ても、車を持たない人びとは取り残された。災害救助に当たるはずのルイジアナ州兵は、3分の1に当たる約3千人がイラク侵略戦争に駆り出されていた。
 これはアメリカ帝国主義の〈戦争と民営化〉攻撃がもたらした大災害だ。

 規制取り払い「自由に」搾取

 労働者の権利や生活を守るために資本に対して加えられた規制(=官)を取っ払い、資本の競争原理(=民)に委ね、労働者を徹底的に搾取するということだ。「民」とは民衆の意味ではない。資本のことだ。
 ある大手家電の系列会社では、業績は黒字にもかかわらず、資本家同士の競争のため、人員削減と仕事増加が職場を圧迫し、夜勤が月に6〜7回、休日は夜勤明け翌日のみ、土日出勤も休日手当なしという殺人的なローテーションがまかり通っている。
 そして、わずか10カ月足らずの間に、20〜40代の社員が5人も死んでいる。大卒23歳のコンピューター技術者は、連日朝8時から深夜2時までの仕事が続き、就職して1年後、ベッドの中で亡くなった。製造部門の工員は、月80時間以上の時間外労働を強いられ、くも膜下出血で倒れた。
 営業主任は、1日平均12時間、休みは月平均2・2日という勤務を続け、頭痛や血尿、さらにうつ病を発症した上に、意に反する異動を強制され、自殺に追い込まれた。しかも、1日12時間働こうが15時間働こうが残業代は1日40分だけで、大半は「サービス残業」(ただ働き)という具合なのだ。
 資本は、資本同士の競争に勝利するため、利潤率を上げるために、労働者に対し、過労死するまで、ただ働きの労働時間を引き延ばしているのだ。災害や戦争でもないのに、わずか数千人の集団の中で、20〜40代の人が10カ月足らずで5人も死ぬ。これは異常事態という以外にない。 
 人が人を殺したら殺人罪で逮捕される。しかし、資本が人を殺しても罪に問われない。このような非人間的状況に労働者をたたき込むことで、金融独占資本がいまや過去最高の収益を上げている。これが「官から民へ」で起こることだ。
 小泉は「改革には痛みが伴う」などと言っている。何が痛みだ! 労働者に痛みを強制するほど、小泉や資本家が利益を得ているということではないか。小泉の改革や民営化を止めなかったら労働者は本当に次々と殺されていくのだ。

 イラクで続く戦闘と大虐殺

 「イラクでは国民自らの手で平和な民主国家を建設中であり、我が国の資金援助と自衛隊による人道支援活動は、住民から高い評価を受けています」(小泉の9・26所信表明演説)
 こう言って小泉は、12月に期限の切れるイラクへの自衛隊派兵をさらに延長しようとしている。今年10月末には熊本からの第8次派兵、06年1月には第1師団(練馬)の派兵を強行しようとしている。
 しかし、イラクで戦闘は終結したのか。平和的な国づくりが進んでいるのか。自衛隊が評価されているのか。すべて派兵を正当化するためのウソだ。イラクでは、戦闘終結どころか、米軍が侵略戦争を泥沼的に拡大させている。
 米軍は「テロリストを降伏させるため」と称して、意図的にモスク、学校、浄水場および発電所といった市民生活に不可欠な施設を連日、攻撃している。8月末に始まったイラク西部の都市タルアファルでの掃討作戦には、2千人規模の米軍・イラク軍が投入され、200人以上の民間人が虐殺され、140戸の民家が破壊された。米帝は、自分たちに都合のいい憲法草案を押しつけ、12月にはかいらい政権を正式に認めさせ、石油と利権を永久に独占しようとしているのだ。
 しかし、その不正義の狙いは、イラク人民の抵抗闘争によって破綻(はたん)し、米軍は焦りに駆られて戦争をますます拡大している。米軍・かいらいイラク軍・警察に対するゲリラ戦争、憲法草案に反対する大衆デモ、「米軍は出ていけ」という反米デモ、失業に抗議するデモ、電気や水を求めるデモがイラク全土で起こっている。
 どこが「民主国家の建設」だ。大破産しているではないか。爆弾で全土を破壊したままではないか。劣化ウラン弾の放射能汚染は永遠に続く。
 イラクの石油を強奪し、イラク国営企業を民営化し、ベクテルやハリバートンなどの米企業が買収してぼろもうけすることを許可するのが「民主国家」の正体だ。こういうのを帝国主義による強盗戦争−植民地支配というのである。
 自衛隊はこのイラクで何をやっているのか。サマワの陸上自衛隊は、今年2月から給水活動はやっていない。自衛隊宿営地にロケット砲が撃ち込まれて以降、ほとんど活動を停止している。サマワの有力部族に金をばらまいて「自衛隊に感謝している」と言わせているだけだ。「自衛隊は市民に何をしてくれたのか。彼らがサマワにいて満足するのは、米政府だけだ」(サマワのイラク人民の声)。これが一切を語っている。
 イラクに駐留する自衛隊の最大の任務は、米軍の掃討作戦の支援だ。航空自衛隊は、掃討作戦に参加する米兵や武器・弾薬・物資を輸送している。米軍による空爆−イラク人民大虐殺を支えているのだ。
 それだけではない。イラクでの米軍と自衛隊の一体化を突破口に、日米枢軸関係に踏み込んでいる。そして北朝鮮・中国への大規模侵略戦争を準備している。そのために沖縄の米軍基地をさらに強化し、神奈川・座間の米軍基地に世界戦争の司令部を作ろうとしているのだ。こんな事実を許しておいていいのか。
 「ブッシュよ。息子は石油のために死んだと言え。息子はあなたの仲間をより金持ちにするために死んだと言え。アメリカの帝国主義を中東に拡大するために死んだと言え。……日本人にも自衛隊を撤退させるように働きかけてほしい」(戦死米兵の母親シーハンさんの訴え)
 この母親の息子は、イラクに派兵され、イラク人民の反撃にあって死んだ。しかし、母親は、本当の敵が誰なのか、イラク戦争が何を目的にしているのか、何が正義で何が不正義なのかを鋭く突き出している。
 尊大ぶっているブッシュや強大に見えるアメリカ帝国主義がシーハンさんの追及の前にぐらぐらになっている。そして、このシーハンさんの決起が全米の労働者階級の心をとらえ、9・24のワシントン30万人を始めとした巨大なイラク反戦デモとなった。
 シーハンさんは特別な人ではない。私たち1人ひとりが本当は同じ境遇にあるのだ。人びとがそのこと気づいた時、日本でも自衛隊イラク即時撤兵の大きな反戦のうねりが巻き起こる。

 労働者とともに社会変革を

 ■団結力

 まだ小泉改革に期待している学友も少なからずいると思う。そういう学友にこそぜひ訴えたい。
 (1)誰もが現状に不安と不満を感じている。現状を変える力を求めている。それはまったくそのとおりだ。しかし、その思いを小泉などにどうして託せるか。
 小泉改革によって解雇、賃下げ、福祉切り捨て、生活破壊、自殺者、過労死、労災が労働者階級を襲う。そうすることで金融独占資本が業績を上げる。こんなやり方を人間として許せるのか。これをやむをえないと言えるのか。
 そのやり方は資本主義、帝国主義の積もりに積もった矛盾を爆発させ、破局をもたらすだけなのだ。このようにしてしか延命できない資本主義こそ終わりにしなければならないのだ。
 (2)自分は「勝ち組」だから関係ないと言えるのか。
 「あなたは生き残れるか」(東北大当局)。これがいま、学生に対して大学がかける言葉だ。大学が学生に要求していることは、「死のイス取りゲーム」である。学生にとって「構造改革」とはこういうことだ。「勝ち組」も「負け組」も「死のイス取りゲーム」を死ぬまでやらされ続けるのだ。
 (3)就職活動でうまくいかず苦しみながら、他方で小泉改革を支持している人がいる。就職活動こそ、まさに「死のイス取りゲーム」だ。そして、そこで勝てないのはその人のせい(=自己責任)だとされる。本当にそうなのか。
 違う。問題は、「死のイス取りゲーム」をやらせている、しかもイスの数を減らす奴(やつ)がいることだ。それが小泉改革なのだ。一切は、こんな社会にしている小泉と資本家どもに責任がある。奴らこそぶっ飛ばされるべきだ。

 主体的な自己の生き方とは

 (4)自分は誰かにやらされているのではない。自分で考えて、主体的に判断して、キャリアを身につけて切り開いて行こうとしているのだ――こういう人もいるかもしれない。
 支配階級が育てようとしているのは、資本主義の論理を「主体的」に自己の生き方とする学生だ。それは、人間を商品として、ただのモノとしてしか見ない人間である。
 石原慎太郎がそうだ。奴は労働者が死のうが路頭に迷おうが心が痛むことはない。戦争で人が殺されることについてもなんの躊躇(ちゅうちょ)もない。支配階級は大学でそういう人間を育てようとしている。「自分は主体的にやっている」と思っていても、資本主義を肯定している限り、実はそういう生き方に踏み込んでしまっているのだ。
 すべてのみなさん。ひとりで不満に思っているだけでは変わらない。しかし同じ不満を持っている人はたくさんいる。あなたの隣にもいる。しかし、その隣の人とは分断され、競争させられている。競争させられている限り、何も変わらない。仲間同士で団結することが必要なのだ。
 団結とは、ひとりがみんなの利害のために決起し、みんながひとりを守るために決起することだ。ひとりではどうしようもないと思っている人、そういう人こそ11・6労働者集会に来てほしい。そこで団結を見つけることができる。11・6で仲間を見つけることができる。
 そして、学生も自分たちの力で社会を動かす闘いができる。東北大有朋寮の学生は、小泉の民営化攻撃そのものである廃寮攻撃に立ち向かい、団結の力で跳ね返す勝利をかちとっている。この勝利は、全国の学生のみならず、全国の労働者に感動を与え、戦争と民営化に対して、このように闘えば勝利できるという実例を示した。学生も団結すれば大きな闘いができる。全国の学生は11・6日比谷野音に集まろう。

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週刊『前進』(2218号5面2)(2005/10/17)

 核燃機構は責任とれ JCO臨界事故から6年

 茨城県東海村のウラン燃料加工施設JCOの臨界事故から6年目の9月30日、「事故を忘れない・くり返させない」を合言葉にして臨界事故6周年東京圏行動(主催・実行委員会)が取り組まれた。
 99年9月30日のJCO臨界事故は、沈殿槽にバケツで濃縮ウラン溶液を入れていた時に発生した。核分裂が始まり、なんの遮蔽(しゃへい)も施されていない「裸の原子炉」が20時間も運転されたのと同じ状況が生まれていた。現場の大内久さんと篠原理人(まさと)さんの2人の労働者が中性子線の直撃を受け虐殺され、700人近くの人びとがヒバクし、31万人が自宅避難を強制されたのだ。
 この事故について、マスコミを先頭に「JCOが無許可のバケツや沈殿槽をなどを使用したことが事故の原因」というキャンペーンを行った。しかし真実は、当時の動燃(現核燃料サイクル開発機構)の無謀な作業指示(臨界管理条件を逸脱する『硝酸ウラニル溶液40g混合均一化注文』)こそが事故の原因だったのだ。またおざなりの「安全審査」を行っていた当時の科学技術庁や原子力安全委員会などの行政も同罪だ。
 ところが核燃機構は、亡くなった現場作業員に責任転嫁し居直り続けている。行政もヒバクシャの存在をまったく認めず補償を拒否している。絶対に許すことができない。必ず責任を取らせなければならない。
 午前10時、22団体42人が経済産業省前に結集し、事故責任を居直る経済産業大臣・文部科学大臣・内閣府原子力安全委員会への抗議の申し入れを行った。事故が起きた10時35分には2人の労働者を追悼して黙祷(もくとう)を行った。参加団体からのアピールでは、8・6広島−8・9長崎反戦反核闘争全国統一実行委員会が以下のように発言した。
 「小泉政権はJCO臨界事故を居直り、原子力政策大綱を決定して高速増殖炉・核燃サイクル路線をどこまでも突っ走ることを宣言した。日本の核武装化と核の大事故に直結し、ヒロシマ・ナガサキ、ビキニ、チェルノブイリを再び引き起こそうとするこの暴挙を許さない! 日本の労働者人民は、ともに戦争と民営化に反対し闘うアメリカ・韓国など世界の労働者人民と連帯を打ち固め、戦争と核の廃絶のために力を合わせて闘いぬく」
 夕方からは、渋谷勤労福祉会館で豊崎博光さん(写真家)と大泉実成さん(臨界事故被害者の会)の講演集会が行われ、38団体139人が参加した。
 豊崎さんは、「ヒバクは『核兵器製造・核燃料サイクル』のすべての過程で起き、このサイクルのすべての過程に携わった者がヒバクシャとなる」と、スライドで世界のヒバクシャを紹介しながら訴えた。
 大泉さんは、臨界事故でヒバクした両親の健康被害を明らかにするために、JCOと親会社の住友金属鉱山を被告にした民事裁判闘争に取り組んでいる。その裁判の現状を報告し支援を訴えた。
 (投稿・D)

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週刊『前進』(2218号5面3)(2005/10/17)

 10・9三里塚 全力で 関西実行委 萩原さん迎え集会

 大阪で9月28日、三里塚芝山連合空港反対同盟と関西実行委員会の主催で毎年恒例の三里塚集会が90人以上の参加で開催された(写真)。反対同盟から萩原進事務局次長を迎えた。
 関実世話人の山本善偉さんが原爆詩人の栗原貞子さんの詩を引用し、「『二度目は裏切り』が進んでいるが、まだこれから。絶対に負けない。戦争絶対反対で闘おう」とあいさつした。
 部落解放同盟全国連合会は「三里塚から不屈に闘うことを学んできた。総選挙の結果は、三里塚や辺野古の闘い、労働者の力でしか世の中は変わらないことを示した」と連帯あいさつ。動労西日本は、鉄建公団訴訟の9・15反動判決を怒りを込めて批判し、動労千葉のメッセージを紹介した。
 萩原さんは、「民衆の闘いの爆発があれば、政府と空港会社を追いつめ、力関係を一変できる情勢が来ている。もう一度、三里塚闘争を全人民の闘いの砦(とりで)にする出発点にしよう」と10・9三里塚闘争への意気込みを示した。
 また、暫定滑走路の北延伸をめぐる東峰住民への北側国交相の「最後通告」と空港会社の黒野社長の「謝罪文」について、萩原さんは、「本質は何も変わっていない。だから拒否だ。東峰地区では絶対反対を確認している。02年の暫定滑走路開港同様に(ジャンボ機を)飛ばして追い出す魂胆だ。この反人民性の実態を全国のみなさんに知ってもらいたい」と語った。
 さらに現闘本部の裁判について、「(支援する会は)誰でも取り組める運動です。あらためて全人民の裁判として取り組んでほしい」と訴えた。そして「総選挙の結果は、小泉の凶暴性と真っ向対決する者がいないから。小泉の勢いは虚勢だ。三里塚の闘いの歴史から、そう言い切れる」と締めくくった。
 関実代表の永井満さんが基調報告を行った。三里塚闘争40年、関実27年の歴史を振り返りながら、今回の北延伸計画を弾劾。具体的行動として、現闘本部裁判を支援する会の会員拡大を呼びかけ、さらに、三里塚現地の土の上に立ち、権力と対峙することが何よりの支援であると熱く訴え、10・9集会に全力で取り組もうと提起した。
 関西労組交流センターと全学連が決意表明を行い、最後に関実世話人の森田恒一さんが「戦争は、治安維持法と総動員法、『一億一心』というニセのスローガンで進められる。この集会が行われていること自体に意味がある。空港廃港まで闘い抜く決意で10・9に向けて闘おう」と訴えた。
 今回の集会は、今までにもまして「今の情勢の中でこそ、三里塚闘争を全人民の闘いに」と確認した。10・9三里塚と11・6労働者集会の1万人結集はひとつの闘いだ。小泉反革命に対して真っ向から対決する闘いとして全力で闘おう。

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週刊『前進』(2218号6面1)(2005/10/17)

団結ひろば 投稿コーナー

 介護現場の労働者は11月集会に集まろう 東京・介護労働者 難波勇介

 介護保険制度の大改悪に合わせて、施設で働く介護労働者に公務員並みの待遇を保障するための国と都道府県からの退職金500万円の補助金は、今年度の採用者から打ち切られた。ある介護老人施設では、今年に入って2人の介護労働者が、過労死で殺された。働き盛りの40歳の女性と、35歳の男性だ。10月から高齢者の施設利用費が、食費や居住費で3万円も自己負担が増える。その一方で、施設で働く介護労働者の給与は引き下げられる。
 「障害者」に対する支援費制度の介護現場でも、移動介助の介護報酬が、1時間半を超えると、30分で1860円から860円に1000円もカットされる。こんなことが、厚生労働省の1枚の通達でおしつけられるのだ。移動介助を担う介護労働者の給与も、軒並みカットされている。小泉・奥田の骨太方針とは、労働者階級とその家族である高齢者や「障害者」の命を奪い、トコトン切り捨てる攻撃なのだ。もはや我慢できないという怒りと不満が現場に充満している。
 来年4月からは、介護が必要になり始めた高齢者の生活援助介護が切り捨てられる。利用者である高齢者にも介護労働者にも大攻撃になる。労働者は家族の介護の負担だけでなく、自分自身が必要な介護を受けることができなくなる。今こそ、現状に怒りをもつ介護労働者は、地域の合同労組に参加し、介護労働者の分会を組織して労働者階級の利害をかけて闘いに立ち上がる時だ。
 11月の国際連帯労働者集会に参加し、社会を労働者の手で変革していこう!

 宝塚で「学校選択制・2学期制導入」阻む 兵庫 上野峻

 9月26日、「学校選択制」と「2学期制導入」攻撃が、保護者・労働者・市民の一体となった粘り強い闘いと、盛り上がりによって跳ね返された。宝塚市役所会議室はその時、静かな興奮と、傍聴の人々の喜びの笑顔であふれかえった。
 昨年秋突然、渡部完市長と文科省天下りの勝山教育長が「市長選挙の公約だ」としてこの制度を提案、今年4月からの導入実施を目指し、一部公募も含む「学校改革審議会」が設置され、各地区で保護者向けの説明会などが開催された。
 だがこの提案は小泉政権の「教育改革」を名目とした、新自由主義攻撃の一環であり、地域や学校の実情を無視し、市民・保護者の教育への高い関心を逆手にとって、「東京都石原教育行政」を宝塚に持ち込み、労働組合破壊をもくろむ市長の「政治的思惑」に満ちた代物だった。
 「一致バラばらの会」や「日の丸・君が代強制に反対する阪神連絡会」などは審議会への連続的傍聴、教育基本法改悪反対集会や7、8月の「つくる会」教科書採択反対の闘いの中で教組・保護者・市民などさまざまな勢力との統一戦線的な闘いを展開してきた。最後の審議会でも市長派の悪あがき的導入攻撃と、一部傍聴者の排除という攻撃をはね退けてかちとった。
 だが、敵の本格的な攻撃はこれからだ。私たちはすでに10月23日に「どこに行く?宝塚の教育」と題して大内裕和さんの講演会を予定、新たな宝塚教育闘争へのダッシュをかけている。
 私たちはこの闘いで、たくさんの闘う労働者・市民保護者とめぐり合い、貴重な経験を積み重ね、また学び取った。それは今後のあらゆる闘いの基礎となる。

 街頭で11・6集会の賛同署名呼びかける 東京・東部 千田祐介

 僕は11月集会の街頭宣伝活動に参加して、11月集会の賛同を15筆とり、チケットを5枚売ることができました。千円のカンパをして下さる方もいました。自分にとっては今までで最高の収穫でした。街頭で直接に賛同署名を取るやり方は有効だと思います。
 「小泉を打倒する労働者集会に参加しよう」「賛同をお願いします」「チケットを買って下さい」とどんどん言っていくのが良いようです。『前進』販売も同じです。
 賛同署名用紙には、電話、ファックス、メール欄まであるので、これからの関係ができるし、会話になりやすい。また、チケットを売ることにもスムーズにつながりました。
 例えばチケットを1枚買い、「チケットは買うけど行けないかも知れないからその時はカンパです」と言った人に、「『前進』知ってますか」と聞いたら「知ってます。買うまではできませんが、動労千葉を支持しています」と表明していきました。
 賛同署名をしてチケットを1枚買ってくれた人が、20分ほどして、今度は連れ合いをつれて再び来て、「もう1枚下さい」とチケットを追加で買っていきました。連れ合いと2人で参加すると思います。
 もう一つの例は、日本共産党系の団体の人です。11月集会の賛同をし、住所、電話、団体名と本人の氏名を書いて、10枚ほどビラを預っていった後、終了間際にまたきて、「預かったビラは、全部配布しますから」と表明しました。チケットの購入を勧めると、少し考えて「2枚下さい」と言いました。この人は、自分ともう一人連れてくると思います。
 11月集会は、街頭での初めての出会いから、急速に広まっていくことが分かりました。多くの労働者が小泉首相に対して怒りを持っているのだと思います。

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週刊『前進』(2218号6面2)(2005/10/17)

 「障害者」の生活と命を脅かす 「障害者自立支援法案」粉砕しよう

 「障害者自立支援法案」が9月30日、特別国会に再提出された。参議院先議というやり方で、10月5日参議院本会議での趣旨説明に続き6日厚生労働委員会で審議入りした。7日には関西での公聴会も設定された。参院での審議はわずか3回、衆院ではたった1回とも言われている。「自民圧勝」をタテに短期間の特別国会において力ずくの強行を図ろうとしているのだ。絶対に許さず、再び廃案をかちとろう。

 「自己責任」と称し福祉奪う

 「障害者自立支援法案」は「障害者」にとって生活はもちろん命までもおびやかす法律である。
 第一に、食事やトイレなど「障害者」が生きるために欠くことのできない介助に「1日最高でも4時間」という介護保険なみの限度を設ける。24時間の全面介助が必要な「障害者」はこれでは到底生きていけない。そもそも介護保険は福祉の民営化であり、「障害者」にとっても高齢者にとっても廃止しなければいけない制度だ。
 第二に、応益負担の導入として利用者に原則1割の自己負担を課す。「1日4時間」の介助でさえ利用料が払えなければ受けられない。「障害」が「重度」の人ほどより多くの介助を必要とするが、そうした人ほどより多くの利用料を要求される。しかし生活保護を受けている人を除けば、大半の「障害者」の収入は障害基礎年金1級で約8万円、2級では約6万円にすぎない。低所得者対策がとられたとしても利用料を払える所得がない。
 厚生労働省は「障害者」の所得保障として就労対策しかあげていない。しかし今の大失業時代に働ける「障害者」でも就職先がない。「重度障害者」には働いて稼ぐこと自体が不可能な現実がある。これでどうやって生きろというのか。作業所に通所する「障害者」の場合、利用料が平均月5千円と言われる工賃をはるかに上回る。「聴覚障害者」の場合は手話通訳も有料化され自己負担なしには受けられなくなる。介助が受けられないのはすべて「自己責任」とされ、国は一切責任をとらない。これが福祉と言えるのか。
 第三に、社会参加の保障としてあった移動介助を国が保障しなくなり、大きな制約をうける。外出ができなければ入所施設を出て地域で暮らしても家の中に閉じこもるしかない。
 第四に、「障害者」医療(精神医療通院公費負担、更生医療、育成医療)も「自立支援医療」として「自立支援法」に統合され、公費負担制度が打ち切られる。介助を奪う一方、医療も打ち切るというのは「障害者」に死ねというのものだ。
 このほか、グループホームや入所施設についても山ほど問題があり、どんな意味でも「自立支援法」は認めることができない。

 反対の声集め再び廃案に

 政府やマスコミは、通常国会で本来なら成立するはずだった「自立支援法」が郵政解散の影響でたまたま「時間切れ廃案」になったかのように言っているが、まったくそうではない。ただでさえ与党が過半数を占める翼賛国会だった通常国会において「障害者」が生存をかけた反対運動に決起し、当初は修正の立場だった大手の「障害者」団体を含めてほぼすべてが法案反対に回る中で「自立支援法」はまさに「民意」によって廃案に追い込まれた。特別国会への再提出自体が許せないことだ。
 しかも小泉がタテにする「自民圧勝」は野党勢力の得票数が約半分を占めていることから言えば「圧勝」などというようなものではない。小泉が今回の選挙で駆使したファシスト的大衆操作の手法はけっして軽視してはいけない。しかし小選挙区制のカラクリなしに今回の「圧勝」はなかった。小泉はこの議席独占を武器に、逆に「民意に支持を受けた」という姿を徹底的に演出し「圧勝重圧」を使って、これまで小泉「構造改革」に立ちはだかってきたあらゆる反対勢力をねじふせ、暴力的な巻き返しを図ろうとしている。
 しかしこうしたやり方の中に「自立支援法案」の不正義性が表れている。力にだけ頼ったやり方には正義のひとカケラもない。「圧勝重圧」は御用団体の幹部をたじろがせることはできても生存闘争に立ち上がった「障害者」に闘いを放棄させることはできない。「障害者」にとってそれは生きることを放棄することにつながるからだ。今後闘いがどのような道のりをたどるにせよ、本当の勝負はまさにこれからだ。あくまで「自立支援法」の廃案をかちとろう。戦争と民営化に反対するすべての労働者と連帯して闘おう。

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週刊『前進』(2218号6面3)(2005/10/17)

辺野古からの報告 若者たちの名護街宣 住民の支持が広範に

 「これが同じ名護市民だろうか…」と思わず考え込んでしまった。8月31日、辺野古の座り込みが「500日」を迎え、ヘリ基地反対協主催の集会が名護市役所前広場で開かれた。集会終了後、辺野古で闘う若者たちを先頭に、軽快なサウンド・デモで日の暮れた名護の繁華街を練り歩いた。名護十字路周辺のお店からは仕事の手を休め手を振ってくる。塾帰りの高校生はデモコールに合わせてこぶしを突き上げながらデモについてくる。車からは冷房中の窓を開けて手を振る人たち。どの顔も笑顔だ。
 この数年間、名護市内デモに参加してきたが、これほどの好意的反応は記憶にない。後日、辺野古「テント村」でひとしきりこの話題になった時、Aさんがほころんだ笑顔で言い切った。「あ! きっと名護街宣で訴えてきた成果が実ったんだよ。私たちの訴えが届いたんだよ!」。みんな思わず納得した。

 ヤマトの責任

 名護の街頭宣伝は辺野古で闘う若者たちが毎週土曜日、「地元住民に辺野古闘争への参加を呼びかけよう」と3月から始めた。
 Aさんはその呼びかけ人的存在。名護在住の20歳の女性だ。宣伝を始めた動機は、辺野古の海上阻止行動に地元の名護市民の参加が少ない現状を変えたいという思いからだった。
 その週ごとに辺野古の状況を写真入りで伝えるビラをつくり、通行人や信号待ちの車に渡していく。交代でマイクを握る。すらすらと話す人もいれば、トラメガで話すのも初めてで自分の声が街頭に響き渡ることにびっくりする高校生も。それでも、とつとつと辺野古の海の美しさに感激した気持ちを語る。
 そんな中、名護市民への呼びかけで一つの論議が起きた。呼びかけるのは、ほとんどが本土から来たいわゆる「ヤマトンチュ」だ。「どういう立場で名護市民の前に登場すべきなのか」でみな悩むことが多い。
 中にはマイクを握るや「辺野古の問題は沖縄に基地を押しつけて知らん顔してきた私たちヤマトの責任です。ごめんなさい」と涙ながらに謝ってしまう人もいた。
 逆に「本土からわざわざ来て頑張っている人もいるのに、なぜ名護市民は地元の問題に知らん顔を決め込むのですか?」と思わず市民を責めてしまう発言も。
 「名護街宣」の発起人の1人であるB君は言う。「そういう発言をめぐって終わった後のミーティングでみんなで話し合います。8年間にもわたってこんな厳しい問題を押しつけられ続けながら、反対の意志を曲げない名護市民が今も6割近くいる。それ自体が闘いじゃないのか。地域的なしめつけや生活に追われながら基地建設に反対している。地元住民こそ10年近くも立ち上がり続けてきた辺野古闘争の主人公なんだ、というイメージを本土の人間がちゃんと持つことが大事だと思います」

 市民から勇気

 最近では街宣中に頻繁にカンパや飲み物の差し入れが通行人から届けられるようになった。ビラを見て名護の若者たちから「ぜひ一緒にやりたい」という問い合わせも入り始めた。
 名護街宣参加者Cさんはこんな感想をもつ。「みんなが気づいてきたことがあります。それは、私たちの海上阻止行動も有形無形の名護市民の広範な支持があったから闘ってこれたんだということです」
 4月に防衛施設局が24時間体制を敷いた際には、「名護街宣をいったん中止して海上攻防に専念すべきでは」という意見も出た。しかし「辺野古が大変な時こそ、その事実を名護市民に伝え、支援を求め、結びつきを強めるべきなんだ」とローテーションをつくって、街宣を継続した。名護市民と海上行動隊の若者たちの交流は、沖縄差別の壁を打ち破る大きなうねりを北部・やんばるの地で確実につくりだしている。
 (大津五郎)

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週刊『前進』(2218号6面4)(2005/10/17)

 寄稿 郵政民営化と「障害者」

 兵庫県芦屋郵便局被免職者 高見元博

●民営化は大量首切り

 郵政民営化攻撃について、非常に危機感を持っています。関西では、民営化を前にして労働組合弱体化を狙った強制配転が続いています。最近では、JPU阪神東支部支部長が県外に強制配転になりました。また私と共に闘っている仲間2人も強制配転になっています。この強制配転者は、民営化時には首を切るリストに直結しているとは言えないでしょうか。
 民営化時に首を切られるのは100人や200人ではないのではないかと。今は連合を支える役割を果たしているような人でも、労働組合活動家であれば全員が首を切られるのではないかと思うのです。強制配転はそのような人たちを含んでいるからです。民営化と首切りとの関係では、JR型かNTT型かという問題はあります。JRのように民営化時に首を切らなくともNTTが02年に行った11万人リストラのように民営化後に首を切ることもありえます。
 でも民営化会社で労働争議をさせないことが民営化の最大の目的です。そうであるならばJR型である可能性は非常に大きいと言わねばなりません。民営化会社には、全郵政という御用労組の存在を認めたとしても、JPUは連合派活動家を含め丸ごとごっそりと活動家の首を切るということが大いに考えられます。強制配転の攻撃対象を見ればそれは明らかなのです。
 強制配転は左翼活動家に限っていないのです。万という単位での首切り、10万という単位での首切りが襲うことが大いに考えられるのです。『前進』の記事を見ていても、その辺の危機感が非常に弱いように思います。

●郵便労働者の現状

 もう一つは、すでに郵政労働者に既得権などないということです。これも『前進』の記事は弱いです。
 小包1個を完全配達して105円というのが労働条件の郵政労働者が多数います。もし相手が不在で持ち戻ればただ働き。1日12時間働いて2000円の日給という日もたくさんあります。あるいは時給700円か800円で日々雇用とされ、何の保障もない郵便労働者がたくさんいます。
 そのような極悪の労働条件の郵便労働者が14万人とも15万人とも言われている。それでは本務者は労働条件が良いかというと、全く違う。定年までは到底働けない激務で休日は寝て過ごすしかない。過労死も急増している。定年を前にして退職する人がたくさんいます。公務員だから既得権があるというような状態ではすでに全くないのです。

●「障害者」を狙い撃ち

 さらに、強制配転が首切り・リストラだと言いましたが、その中には病弱者、「精神障害者」が多数含まれています。郵便職場では病気を逆手にとって退職に追い込むための嫌がらせ、いじめが日常化してます。病気であるが故の弱点をついていじめるという人間として許しがたい攻撃です。
 1日働いても配りきれないほどの郵便を渡して、抗議すると処分を行う。足の不自由な「障害者」を貯金課から激務の集配課に配転する。「精神障害者」が上司のいじめにあって混乱状態に陥り思わず「お前らアホか(ママ)」と言ってしまったことで、暴言だと戒告処分にする。「精神障害者」が当日年休を請求して休むと電話すると「お前がいると迷惑だから辞めろ」と大声でわめき続けるなどの例が後を絶ちません。
 郵便局に厚生労働省や人事院の言うようなメンタルヘルス対策などかけらもありません。むしろメンタルへルス対策の逆をすれば退職に追い込めるとばかりのいじめが行われているのです。労働強化と労務管理の締めつけの中で「精神障害」を発病する人が激増しており、自殺者も増えています。一度発病してしまえば退職強要のリストに載せられ日常的に神経を逆なでするいじめの対象となるのです。その人たちを狙い撃ちにした強制配転が行われており、民営化時の首切りの対象となっています。

●11・6に結集を

 これが郵便労働者がおかれている現状の一端です。私はすでに首になっているのですから、現状は現場の人がもっと知っているでしょう。小泉の「公務員は既得権で守られている」という発言を聞くと、この現状が頭に浮かび怒りに震える思いです。
 郵便職場に既得権などない。黙って殺されるわけにはいきません。11・6労働者集会は郵便労働者が反撃を開始するための土台作りです。
 私たち「精神障害者」もこの郵便労働者の現状に怒り、その中で「精神障害者」が置かれている厳しい現実に対して怒って、現場の闘いを支えていく必要があります。私たちの「高見さんを支える会」では、毎月私の原職奪還のための職場前宣伝を行っています。その中で現場労働者と交流し、11・6結集を訴えながら、「精神障害者」こそが11・6集会に大挙結集していくべきだという呼びかけを発したいと思います。

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週刊『前進』(2218号6面5)(2005/10/17)

 保安処分収容やめろ 阻止共闘 武蔵病院に申し入れ

 9月28日「処遇困難者専門病棟」新設阻止共闘会議は20人で、東京小平市の国立精神・神経センター武蔵病院に対し、医療観察法に基づく保安処分施設への収容受け入れ反対の請願行動を行った。東京から4団体、大阪、兵庫からも請願文が届けられ6団体が「精神病者」の保安処分施設への強制入所に反対し、医療観察法への協力を拒否し法自体を撤廃すべきだと樋口輝彦同院長に申し入れた。
 今年7月の医療観察法施行以来、1日1人のペースで四十数件にものぼる検察官からの保安処分審判への申し立てとそのための鑑定入院(いわゆる2カ月間の留置と同じ、延長1カ月あり)が強行されている。そして地裁での保安処分審判が行われ、2件の「入院決定」、1件の「強制通院決定」が行われた事実も明らかとなった。この日、武蔵病院に最初の1人が収容された事実もニュース報道から明らかとなっていた。
 阻止共闘は病院長の代わりに対応した庶務課長らに初収容の事実を確かめ、収容された人の処遇や安否、事件内容を問いただした。だが課長らは「プライバシーだから答えられない」「請願はやって(受けて)あげているだけ」「抗議するなら請願は打ち切りだ!」などと大声を出し威圧的に居直った。「精神病者」らの訴えを初めから踏みにじる人権無視の態度に、阻止共闘は怒りを燃やし強い抗議をたたきつけた。また請願行動に先立ち、国分寺駅で保安処分反対の街宣を行った。

 医療観察法直ちに廃止を

 医療観察法は「重大な犯罪を犯した『精神病者』は野放しにするな! 厳重隔離しろ!」と、小泉首相の号令のもと2年前に国会で強行制定されたものだ。だが日本精神神経学会や日弁連も「再犯予測は不可能」と今なお異議を唱え、受け入れ病院や協力する労働者も政府の思うとおりには現れてはいない。
 「統計では年間300〜400人の『触法精神障害者』が現れるはず」(御用学者・山上皓などの弁)とデッチあげ、国立8カ所の入院施設を当面計画したものの、10月現在で東京・武蔵と岩手・花巻しか開所できないという破綻(はたん)した姿を表している。こんな法は直ちに執行停止され、廃止されなければならない。
 四十数件の適用例の中には4年前にさかのぼって「全治5日」の看守への「暴行」で起訴され釈放後保安処分審判を申し立てられた千葉刑での例や、兄弟・肉親・縁者間のけんかやトラブル、その一環での殺傷、自室放火、「全治1週間程度の傷害」などがほとんどである。しかもこれらはすべて検察官の申立書が一方的に「事実」として扱われる。「精神病者」を犯罪の温床と決めつけ「小さい事件」であろうと保安処分施設に収容しようという差別と偏見をあおった悪法なのだ。
 しかも単なる予防拘禁ではない。「記憶を消す」と称して多大な副作用をもたらす電気ショックを行い、その上「贖罪(しょくざい)意識を植えつける」と称して精神療法や薬物投与を何度も繰り返す。「二度と事件を犯さない人間」「絶対的恭順を誓う人間」になるまで収容者2人に3人のスタッフという破格に厚い看護人配置のもと、人格の矯正・改変が「精神病者」に強制されていくのだ。
 これを許せばナチスの人体実験、「精神病者」抹殺の歴史の再来だ。さらに奈良・松籟荘、富山・北陸、千葉・下総、愛知・東尾張、長崎・肥前の各独立法人化病院での保安処分施設作りに反対していこう!

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