ZENSHIN 2005/10/11(No2217
p08)
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週刊『前進』(2217号1面1)(2005/10/11)
革共同の10月アピール
11・6小泉打倒1万人集会へ
官公労労働運動つぶしを叫ぶ 小泉自民・前原民主に総反撃を
国際連帯でイラク撤兵かちとれ
第1章 ファシスト的戦争国家構築の攻撃うち砕こう
21世紀初頭の歴史は激しい変転の時を迎え、日本と世界の労働者階級・被抑圧民族は帝国主義の破壊的な攻撃の嵐にさらされている。侵略戦争、軍事占領、民間人虐殺、劣化ウラン弾被曝(ひばく)、飢餓、労働組合へのあらゆる破壊攻撃、首切り・賃下げ、職場での無差別処分の激化、不安定雇用化、そして帝国主義的ナショナリズムの鼓吹と極限的な差別がエスカレートしている。今、何よりも求められているのは、全世界の労働運動の国際的連帯とそのもとでの日本における労働者階級の本来的な階級的労働組合運動の再建・登場である。改憲勢力と化した連合本部を打倒し、労働戦線の現状を抜本的に変革することだ。
帝国主義足下の職場反乱、ストライキを爆発させよう。イラク・ムスリム人民の生死をかけた民族解放戦争に熱く連帯し、大衆的なイラク撤退運動を巻き起こそう。全日建運輸連帯労組関西地区生コン支部、全国金属機械港合同、動労千葉の3組合が呼びかける11・6全国労働者総決起集会こそ、労働運動再生の突撃路だ。11・6集会に1万人総結集をなんとしても実現しよう。10・9三里塚闘争を小泉打倒の戦闘宣言の場としよう。「つくる会」教科書採択撤回の闘いをやりぬこう。
この11・6集会1万人結集のために何が必要か。
第一に、日帝・小泉政権打倒へ労働者人民の心からの怒りと団結した力を総結集することだ。
9月26日の小泉の所信表明演説は、帝国主義戦争ができるファシスト的国家への国家改造の路線を打ち出したものであり、絶対に許すことができない。
そこで、小泉は言いたい放題の郵政労働者攻撃をやっている。「郵政労働者が改革を阻む既得権益の壁となっている」と、郵政労働者を攻撃している。総選挙でも小泉は「数十万人の公務員(=郵政労働者)のために1億2千万人の利益が損なわれていいのか」と、郵政労働者攻撃を扇動した。改革=民営化は正義であり、それに反対する郵政労働者は国家・国民の敵だという論法を押し出しているのである。
だが、「既得権益」とは何か。まるでブルジョア政治家や官僚の利権や腐敗を指すかのような雰囲気をかもし出しているが、実は全逓労働運動の存在とそれがかちとってきた諸権利、職場支配権の地平を指しているのである。
すでにこの間、全逓本部が合理化攻撃を次々と受け入れる中で、人事交流、10時間勤務の深夜勤、極限的な労働強化が郵政労働者を襲っている。04年度からは勤務評定と成績給の新人事制度が強行され、郵便外務(集配)に10時間勤務が試行導入され、この2月には2年間で1万人の減員合理化、郵便内務のアウトソーシング化などのアクションプラン2が発表された。今や郵政職場は、強制配転と早期退職強要などのリストラや短期職員・パート・アルバイトへの置き換えによって、正規雇用27万人以外に13万人の非正規雇用を含んだ強労働・低賃金・使い捨て労働の場となりつつある。郵政労働者は抗議自殺に訴えて、この非人間的現実を激しく告発しているではないか。
日帝・小泉=奥田は、40万郵政労働者を殺人的な労働地獄にたたき込んで苦しめてきたその上にさらに、「非公務員化」による全員解雇・再雇用の一大首切り・リストラをしかけようというのだ。小泉=奥田は、全逓本部の転向・屈服につけ込んで、この際一挙に全逓労働運動を解体してしまえとばかりに襲いかかってきている。それが郵政民営化だ。
また、小泉は「簡素で効率的な政府」の名で「政府規模の大胆な縮減」を押し出し、国家公務員の定員の純減と総人件費削減を明言した。警察と自衛隊は一律削減の対象とせず(麻生総務相が言明)、他の国家公務員全部を今後5年間で5%以上純減し、その賃金を10年以内に半減する(経済財政諮問会議・奥田ら)というのである。郵政に続いて自治体職員と教員を狙い、首切りと賃下げと活動家パージの攻勢をかけつつ自治労や日教組の解体をやるということである。
さらに、財政構造改革と年金・医療など社会保障改革を進めるとしたが、それは財政危機を口実に福祉切り捨て、「障害者」抹殺、消費税増税を強行するものだ。
同時に、小泉は、「わが国の安全と安定には世界の安定が不可欠」「テロとの戦いは終わっていない」とし、イラク侵略戦争とその世界戦争化過程に積極的に参戦していくことを公言した。アフガニスタン・インド洋への海自の派兵の延長を決め、また、首都防衛の任にあるため派兵しない方針できた陸自東部方面隊を一転して来年1月と5月にイラク派兵することを決め、すでに派兵準備を指示している。米軍が敗勢を深め、イギリスやオーストラリアが来春には撤退に入るという中で、イラク戦争の泥沼に果てしなくのめりこもうとしている日帝・自衛隊の突出ぶりは、異常なぐらい激しい。
米軍再編について、日米帝の死活をかけた戦略的課題でありながら、小泉が所信表明で一言もふれられなかったことは重要だ。米日帝ともに沖縄労働者人民の必死で強固な普天間即時返還・辺野古新基地建設阻止闘争の前に右往左往している現実を自己暴露したからだ。米軍の普天間基地開き直りやどんな県内移設策動をも絶対に許さず、沖縄の闘いに熱烈に連帯し、基地撤去の闘いを強め、米軍再編をがたがたにしよう。米日帝は中国・北朝鮮侵略戦争のために、沖縄基地強化と座間、横田の指揮体制強化、自衛隊3軍統合体制と三里塚空港などの軍事使用を柱とする実戦的な日米共同作戦体制づくりを強行するしかない。
だからこそ現代の治安維持法である共謀罪新設を再度押し出してきている。今や日帝の新たな15年戦争が音を立てて進んでいるのだ。
重要なことは、小泉は構造改革の目標を改憲に置き、すべてを改憲のための一つながりの攻撃としてかけてきていることだ。奥田らは明確に言っている。「20世紀の日本がタブー視してきた三つの問題――憲法改正、天皇制、国連安保理常任理事国入り――に今こそ決着をつけるべき時が来ている、1世紀に1度あるかないかの改革の好機が訪れている」と(7月の日本経団連夏季セミナー)。
改憲攻撃はすでに具体的・実体的に猛烈な勢いで始まっている。改憲のための国民投票法案を粉砕しよう。
小泉は、イラク侵略戦争参戦の戦時下であるがゆえに行動的なファシスト的政治家として立ち現れ、小泉=奥田政権へと純化し、帝国主義戦争をやれるファシスト国家を構築すること、そのために民営化という手段を駆使して労働運動と労働組合を全面的に解体・一掃する階級戦争をかけてきた。このことに労働者階級人民の階級的な怒りを大爆発させよう。小泉=奥田が死ぬか、労働者階級が絞め殺されるかの土壇場の階級的相互絶滅戦となったのである。05〜07年決戦の重大性を明らかにした前進社刊『改憲攻撃と労働者階級』をぜひとも読むことを訴えます。小泉政権を実力で打倒せよ! 11・6日比谷野音に総結集しよう。
第2章 全逓労働者を先頭に郵政民営化絶対阻止へ
第二に、郵政民営化阻止の闘いを、全逓労働者を先頭に全産別の労働者、全人民の共同の闘いと位置づけ、死力を尽くして闘おうということだ。
郵政民営化はひとり郵政労働者の問題にとどまるものではない。郵政労働者の非公務員化、いったん全員解雇・選別再雇用、全逓労働運動つぶしという非常にはっきりした実体をもつ攻撃であるとともに、小泉反革命の総体を象徴する攻撃でもある。この攻撃と並行して大阪市労連へのバッシングが日々強められている。今や国家・地方公務員全体の人員削減と総人件費削減、すなわち首切り・リストラと賃下げと労働条件切り下げが襲いかかり、とりわけ自治労と日教組への組合破壊攻撃がエスカレートしている。
郵政民営化法案の実質は、非公務員化=いったん全員首切りという一点にある。07年にスタートする新会社には定員数が規定されていない。民営化前にどんどん人員削減するプランが策定・実行されており、「3分の1が削減される」(JPU中央本部委員長・菰田)と言われている。賃金・労働時間など労働条件はいったん全部破棄され、より切り下げられた労働協約を強制される。労働者は自分がアウトソーシングされるのかどうなるのか、たった6日前に一方的に通告されるだけだ。郵政労働者には何の権利もない、資本の奴隷だ、組合運動で抵抗するなら排除するぞというのだ。
こんな攻撃が郵政でやられるなら、日本社会全体がそれこそ工場法以前の女工哀史的な時代に引き戻される。郵政民営化絶対阻止は6千万労働者の共同の闘いである。今こそ労働者階級の怒りの実力闘争を突きつけよう。
では、郵政民営化阻止闘争は法案成立が確実となっている時、もう手遅れなのだろうか。けっしてそんなことはない。全逓本部はすでに戦線逃亡を決め込んだが、他方では、郵政民営化が首切りと全逓労働運動つぶしであることはようやく全労働者階級の認識となってきている。郵政労働者の怒りは職場に充満している。全逓本部が郵政民営化に屈服している以上、闘う全逓労働者こそが組合権力を奪還し、一転して断固たる民営化阻止の闘いを爆発させる時ではないだろうか。
戦後の日本労働運動を見るとはっきりするように、全逓労働運動が国鉄労働運動と肩を並べて立ち上がることで、初めて日教組も自治労も全労働戦線もその力を発揮する。「眠れる巨象が一刻も早く立ち上がる」(中野洋動労千葉前委員長)ことが求められており、その決定的な時が来たのだ。全逓労働者は必ず総決起する。物ダメ・ストライキの闘いは、労働者こそ職場の主人公だという思想、全逓労働者のもつ誇りの発露である。この労働者階級自己解放の思想こそが勝利の原動力であり、ここに火をつけることだ。そうすれば07年民営化までの2年間、17年完全民営化までの移行期間を、全逓労働運動の荒々しい復権の死闘戦に塗り替えることが必ずできる。
10・21郵政民営化阻止・小泉政権打倒の集会・デモを始めとして全国で立ち上がろう。07年を前に襲いかかってくるすべての合理化・人員削減・アウトソーシングを首を覚悟した物ダメ・ストライキで阻止しよう。11・6に総結集しよう。
鉄建公団訴訟の反動判決を弾劾し闘おう
第三に、9・15鉄建公団訴訟反動判決を国鉄労働者を先頭とする労働者階級の怒りで粉砕して闘おうということだ。
この9・15判決は徹頭徹尾反労働者的な判決であり、肯定できるところは微塵(みじん)もない。それは「90年の清算事業団からの解雇は合理的であり、有効である」と断定し、解雇撤回を払いのけたのである。しかも、処分を受けた闘う労働者を「JR各社にふさわしい者」ではないという勝手な基準で切り捨て、採用候補者名簿に登載しなくても不当労働行為ではなく解雇は合法的だと断定しているのだ。不当労働行為を認定したと言われるが、判決をよく読むとJR設立委員会がつくった採用基準そのものは組合差別ではないと言っており、闘う労働者の排除、すなわち国鉄労働運動の絶滅を意図した国鉄分割・民営化の反動的核心を全面的に是認しているのだ。
それと表裏一体のもう一つの核心が、「期待権を侵害した」ので1人500万円の慰謝料を払うという点だ。しかも原告団中、5人をその対象から除外した。それは、闘う者を分断し、あくまでも解雇撤回を求める19年にわたる闘いを金と引き替えに全面放棄せよという闘争解体攻撃以外の何ものでもない。「金銭解決」の名による「解雇の自由」を積極的に容認し、労働契約法による労働法制の全面解体を先取りするものだ。
敵階級による1047名闘争破壊攻撃というこの本質を見失ってはならない。1047名闘争は、このような解雇自由の攻撃、その元となっている国鉄分割・民営化攻撃に対して労働者階級の怒りをたたきつけ、労働者の誇りを貫いている闘いである。1047名闘争への全面的挑戦である9・15反動判決を認めることは、闘いの死ではないのか。
9・15反動判決は、郵政民営化攻撃の貫徹にあたって、日帝支配階級があらためて国鉄分割・民営化は合法であり、民営化の前に労働者階級はひざを屈して従えと宣言した攻撃である。すなわち、9・15判決はその向こうに9人の被処分者を抱えて固い団結を誇る動労千葉を階級的憎悪をもってにらんでいるのだ。
動労千葉のように闘うと絞め殺すぞ、動労千葉と縁を切れ、そうすれば金を出すというのだ。これに対して、労働者階級は動労千葉のように闘うとはっきりと突き返そうではないか。
今日の日本労働運動は動労千葉の闘いを中心にし原動力にして動いている。動労千葉の安全運転行動が大きな支持と共感を受けている。その力がJR会社を動揺させ、22`にわたるレール交換の画期的な勝利をかちとった。
この勝利はなぜかちとられたのか。安全問題は利潤追求第一主義の民営化のアキレス腱(けん)である。その核心問題を突いて闘い、安全問題という全労働者人民の利害をかけて闘っているからだ。だがそれだけではない。安全運転行動は、資本による労働者支配・社会支配に革命的に介入する闘いの質をもっている。いみじくもJRは「労働者の本分をわきまえ、会社の命に服せ」「運行管理権の侵害だ」と恐怖に満ちた対応をしてきた。それは、労働者が資本の奴隷ではなく、団結して決起すれば資本の支配を食い破れることを示しているのだ。
安全運転行動は、反合・運転保安という、動労千葉労働運動が確立した路線の実践である。それは、〈労働者階級による資本への専制的侵害〉の本質をもつ、階級的労働運動の実践なのである。このことが労働者人民を勇気づけ、労働組合の革命論的意義と労働者自己解放の闘いの神髄を鮮烈に提示するものとなっている。動労千葉が帝国主義と対決する労働運動を掲げ、マルクス主義の思想に生きる労働者的原点を貫いているからこそ、不屈に闘い抜けているのである。
国鉄、全逓、自治体、教労の4大産別の労働者の皆さん。6000万労働者階級の皆さん。資本主義の墓掘り人である労働者階級が本来の革命性を体現して登場しよう。
第3章 日米韓の国際連帯こそ労働者人民の勝利の道
第四に、日米韓の労働者の国際連帯の旗のもとに総結集しようということだ。
帝国主義の破綻(はたん)的危機ゆえに資本による弱肉強食の論理が激化している。国内でも国外でも労働者を競争に駆り立て、ばらばらに分断してきている。ブルジョアジーとプロレタリアートの階級対立は絶対的で非和解的だ。だが、ブルジョアジーの側はプロレタリアートへの攻撃の一点で階級結集するのに、プロレタリアートは帝国主義的労働運動の腐敗した幹部やスターリニストの反階級的指導のために団結できていない。
労働者に国境はない。世界史的に、インターナショナルな単一の階級である。このことをはっきりさせるためには、帝国主義と対決し、腐敗した労働組合幹部をことごとく打倒しなければならない。前原民主党の親小泉化と一体の、連合・高木体制への移行の動きと改憲勢力化を絶対に粉砕しなければならない。「戦争は労働運動の日和見主義を社会排外主義に変える」(レーニン『社会主義と戦争』)ということがまさに今起こっている。
米英日帝によるイラク侵略戦争とその世界戦争化の中で、外への侵略戦争と内への階級戦争に対して唯一闘えるのは労働者階級である。なぜなら、帝国主義戦争が国内の労働者階級に対する搾取と収奪、治安弾圧と差別主義の階級支配の延長であることを身をもってつかめるからだ。他民族に対する侵略、戦争、虐殺、略奪、占領を許し加担することを、労働者階級は自らの苦しみととらえ返すことができる階級であり、最も人間的な普遍的真実に生きる階級だからだ。
だが、排外主義は帝国主義の階級支配の最後の、かつ最大の武器なのである。だからこそ、戦争と民営化―労組破壊の攻撃が吹き荒れる時代には、労働者の国際連帯がいつにも増して必須不可欠であり、死活的な意味をもつ。
全米でイラク即時撤退要求、ハリケーン被災の責任追及の大運動が発展している。ノースウエスト航空労働者の果敢なストライキ決起を始めランク・アンド・ファイル(現場労働者)運動が新たにこじ開けられている。黒人労働者を先頭に多くの労働者が怒りを爆発させてブッシュ打倒に立ち上がっている。
韓国の民主労総は非正規職化をめぐって政治ストライキ・職場決起を強烈に展開している。米日帝の北朝鮮侵略戦争の強まりに激しい危機感をもって米軍再編粉砕に立ち上がっている。
日米韓労働者の国際連帯がプロレタリア世界革命の運動を明らかに新たな次元に押し上げている。この力が各国の階級的労働組合運動をさらに強めていく。インターナショナリズムこそ労働者の生きる道だ。11・6集会に総結集し、プロレタリア革命の道を切り開こう。
最後に訴えたい。革共同の機関紙『前進』は戦争と民営化―労働組合破壊の大攻撃を打ち砕くための最高最良の武器だ。帝国主義が労働者人民を食わせていくことができなくなり、しかも帝国主義的侵略戦争によってしか延命できなくなっている。帝国主義に歴史的な引導を渡すときが来ている。そのための闘いの理論と指針を欲しない人はいない。それに答える唯一の労働者新聞が『前進』だ。『前進』をすべての労働者人民の共同綱領とし、共闘の武器として闘おう。
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週刊『前進』(2217号1面2)(2005/10/11)
改憲へ動き出した小泉 国民投票法案を粉砕しよう
特別国会が開会されたその翌日の9月22日、小泉政権と自民党は、ついに改憲攻撃への具体的な着手を開始した。この日衆院本会議で、郵政民営化法案再審議のための特別委員会の設置を決定したすぐ後に、改憲に必要な国民投票の手続きを定める国民投票法の制定に向けて、その審議を行うための憲法調査特別委員会の設置が、自民・公明の与党と民主党などの賛成多数で決定されたのである。委員長には、衆院憲法調査会の会長であった自民党の中山太郎が就任した。
この特別委員会設置は、改憲への直接の第一歩となる攻撃である。小泉と自民党はすでに、今秋11月に開かれる結党50周年の党大会までに自民党の新憲法草案を作成するとし、現在、その総仕上げにとりかかっている。郵政民営化を突破口とする労組破壊に全力を挙げるのと並行して、衆院の3分の2を占める巨大与党の力を背景に、今や改憲と戦争への本格的な攻撃に踏み込み、一気に突っ走ろうとしているのだ。
9月25日、自民党の中川秀直国対委員長はNHKテレビに出演し、国民投票法案について「どんなに遅くても来年中に必ず整備していかないといけない」と語った。さらに、自民・公明・民主の3党間であらかじめ合意した上での法案提出を追求するが、民主党がぐずぐずしていてすぐに結論が出ない場合は、与党単独での提出も辞さないと言い切った。
これは、国民投票法案の次期通常国会での成立を絶対目標とするという宣言である。その立場で前原・民主党との与野党協議を自民党主導で推し進め、民主党の改憲推進勢力への一層の変質と分裂・解体―吸引をもくろむものだ。
この小泉自民党の動きに対応し、民主党新代表の前原は9月18日のテレビ番組で「9条を含めタブー視しない。改憲姿勢は微動だにしない」「国民投票法がないのは欠陥だ。与党と話していきたい」と表明した。
このことは重大事態だ。
現在、自民党が公明党の同意を得てすでに用意している国民投票法案は、とんでもない悪法である。そこでは国会が改憲を発議してから30日後〜90日以内に国民投票を実施するとし、その間に「投票行動に影響を与える」行為を取り締まるとして、実に恐るべきメディア規制と政治活動規制を導入している。公務員労働者や教員の政治活動を全面禁止し、在日朝鮮人には発言権も認めず反対運動へのカンパも禁止。「国民投票の自由妨害罪」などを設けて人民の集会・デモからビラまきに至る一切を国家権力が好き勝手に弾圧できるようにする。違反者には最高7年の懲役を始め、重刑による処罰が科せられる。
また新聞・雑誌上での改憲に関する報道や論評の一切をも厳重な取り締まりの対象とし、「虚偽報道」や「不法利用」などの口実で弾圧、編集者を投獄することもできるとする。まさに言論・表現の自由そのものを奪い去り、全社会を戒厳令下に置くに等しい内容なのである。
民主党はこれまで、この与党案を丸のみはできないとしてきたが、小泉の圧勝と前原体制への移行のもとで今や改憲へのハードルを一気に突破し、法案成立に突き進もうとする動きを強めている。国会の特別委員会設置はその出発点だ。徹底的に弾劾し、国民投票法案の国会提出阻止・成立絶対阻止へ、警鐘を乱打して立ち上がっていかなくてはならない。
小泉の公務員労働者への攻撃も、9条改憲阻止の先頭に立ってきた公務員労働運動の圧殺が狙いだ。11・6集会への大結集で、この全攻撃を打ち破ろう。
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9・24ワシントンで30万人が反戦デモ
9月24日、米の首都ワシントンDCを始め全米・世界各地でイラクからの即時撤兵を求めるデモが闘われた。ワシントンでは多数の闘う労働者を先頭に30万人がホワイトハウスを包囲し、ブッシュのイラク侵略戦争と国内の労働者階級圧殺攻撃に激しい怒りをあたたきつけた=記事へ
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週刊『前進』(2217号2面1)(2005/10/11)
(1)
尼崎事故くり返さない
1カ月を期し安全運転行動 JR東のレール破断の対策求め
労組の存在意義かけて
小泉の一大民営化攻撃との対決は、労働者階級の正面課題である。JR尼崎事故は、国鉄分割・民営化の必然的な結果だ。これに対し反合・運転保安闘争を貫く動労千葉は、民営化に最先頭で立ちはだかっている。この動労千葉の闘いの意義をシリーズで明らかにし、戦争・民営化と対決する11・6全国労働者総決起集会への総結集を訴える。
民営化攻撃の核心は労働組合の破壊
総選挙の過程で小泉は、自民党内造反派に対しては派閥の領袖(りょうしゅう)であろうと「刺客」を送り、徹底的にたたきつぶして小泉独裁への基盤を整えた。こうして小泉は、自民党を戦争と民営化を全面的に貫徹できる政党へと改変させつつある。奥田・日本経団連は、トヨタを先頭に小泉=自民党の勝利に全力を傾けた。小泉と奥田はますます一体化を深め、03年「奥田ビジョン」の貫徹に本格的に乗り出してきた。まさに労働者階級にとってただならない事態である。
小泉政権は、「政府規模を10年で半減する」とうそぶきつつ、公務員労働者への大量首切りを推し進めようとしている。その突破口に位置する郵政民営化は、郵政労働者40万人(非常勤を含む)から公務員身分をはく奪し、いったん全員解雇する攻撃だ。労組活動家をパージし、全逓(JPU)労働運動を壊滅に追い込もうとしているのだ。
民営化の核心は労組破壊にある。「既得権益の打破」を叫ぶ小泉は、徹頭徹尾、官公労系労働組合の解体を狙っている。連合支配下にあっても、全逓、自治労、日教組などの現場組合員の間には、戦後労働運動の中軸を担ってきた戦闘的伝統は失われていない。こうした労組を行政機構内に抱え込んだままでは、小泉が強行しつつあるファシスト的国家改造は貫徹できない。だから小泉は、労働組合を公然と敵に回すに至ったのだ。
それは同時に、官公労を解体した上で、官民問わずすべての労働者を一層の無権利と低賃金状態にたたき込もうとする攻撃だ。
小泉反動に屈した民主党もまた、「官公労との決別」を叫び立てている。
全逓、自治労、教労、国鉄の4大産別を先頭に、労働運動と労働者の生存をかけた決戦は始まった。この攻防の中で階級的労働運動の再生をかちとり、不屈の抵抗を貫くならば、小泉の一大民営化を破産に追い込むことはできるのだ。
民営化攻撃との攻防は全世界の労働者の課題になっている。小泉反動に抗し、労働者の階級的団結と国際連帯を打ち固め、反撃の橋頭保を築く闘いが11・6全国労働者総決起集会なのである。
国鉄分割民営化に唯一スト闘う
民営化と立ち向かう最前線に、反合・運転保安闘争を貫く動労千葉の闘いが立っている。
今日の首切り・リストラ・民営化攻撃の先駆けとなった国鉄分割・民営化も、国鉄労働運動の壊滅を狙う一大攻撃だった。当時の首相・中曽根は、国鉄分割・民営化の狙いを「総評を解体させようと思ったからね。国労が崩壊すれば、総評も崩壊するということを明確に意識してやった」とあけすけに述べている。
そのために中曽根は、仁杉国鉄総裁の首を切り、分割・民営化に反対する国鉄官僚を大量に更迭した。今回の総選挙で小泉は、これに類することを「国民」を巻き込むよりファシスト的な手法で強行した。それはひとえに、労組を圧伏するための手段である。
国鉄分割・民営化は、国鉄労働者20万人から職を奪った。動労千葉や国労の組合員には、鉄道本来の業務から外して人材活用センターに収容するなどの攻撃が吹き荒れた。首切りの恫喝を背景に「組合を抜けなければJRに採用されない」という脱退工作が組織的に行われた。こうした攻撃の中で自殺を強いられた労働者は200人に上る。
そのファシスト的先兵となったのが旧動労(JR総連)カクマル松崎一派だ。彼らは「スト絶滅」「争議権行使の自粛」をうたう労使共同宣言を国鉄当局と結び、国労や動労千葉の組織破壊に躍起となった。その中で、動労千葉や国労組合員への採用差別=JRからの排除が強行された。
国鉄分割・民営化体制=JR体制は、こうした労働運動破壊攻撃の上に成立した。だが、動労千葉は国鉄分割・民営化の過程で唯一ストライキに立ち上がり、団結と闘いを守りぬいた。それは、動労千葉が反合・運転保安闘争を営々と貫いてきたからこそ可能となった闘いだった。
国鉄分割・民営化に対する動労千葉の渾身(こんしん)の反撃が、その後の国鉄闘争の持続的展開を生み出してきたと言っていい。
それは、JR体制下での極限的な合理化との闘いや安全運転闘争に受け継がれ、今日の一大民営化攻撃に対する全労働者階級の反撃の拠点になっている。
1047名の解雇撤回を拒みとおした鉄建公団訴訟の9・15判決は、国鉄分割・民営化にストライキで反撃し、JR体制下で不屈に闘う動労千葉への憎悪も込めて振り下ろされた反動判決だ。それは、小泉による一大民営化の突破口を何としてもこじ開けようとする支配階級の意思をむき出しにした。国鉄分割・民営化との闘いは、今日再び階級闘争の最焦点にせり上がってきたのである。
JR体制の矛盾が噴出した尼崎事故
民営化とは、弱肉強食の市場原理にすべてをゆだねるということだ。国鉄分割・民営化によって生み出されたJRは、資本=カクマル結託体制下に闘う労働運動を抑圧し、営利優先・安全無視をあからさまに貫く会社として出発した。
国鉄分割・民営化から18年目にして、その矛盾は一挙に噴出した。今年4月の尼崎事故である。107人の命を一瞬にして奪い去った尼崎事故は、民営化が労働者階級に何をもたらすのかを衝撃的に突き出した。
JR西日本大阪支社の「支社長方針」は、まず最初に「稼ぐ」を掲げていた。安全よりも金もうけが一切とされ、競合する私鉄から乗客を奪うために、JR西日本は列車増発と無謀なスピードアップを追い求めた。その結果、ラッシュ直後の時間帯に一駅の停車時分が15秒とされるなど、でたらめきわまるダイヤが設定された。これでは安全確認のために運転士に義務づけられている基本動作も行えない。
だからJR西日本は、数秒の遅れやわずかなオーバーランをことさら問題にし、運転士に懲罰的な「日勤教育」を課してきたのだ。運行不可能なダイヤを組みながら、その「定時運転」を確保するためには、労働者への肉体的・精神的締め付けを強めるほかにない。理不尽きわまる「日勤教育」は、「私鉄との競争に勝つ」ことを絶対化したJRによって必然的に採用された手段だった。
闘いを放棄した労組幹部の責任
尼崎事故が突き出したのは、何よりも資本との闘いを放棄した労働組合幹部の裏切りだ。運行不可能なダイヤが設定され、屈辱的な「日勤教育」がまかり通り、「同業他社をしのぐ強い体質づくり」という「経営理念」の唱和が日常化された職場の中で、これに闘いを挑む労組がつぶされてきたことが、大事故を発生させたのだ。
動労千葉のように、労働組合が階級的に団結して闘いを貫けば、安全を無視した資本の理不尽な命令・指示を労働者は敢然とはねのけることはできる。だが、国鉄分割・民営化に率先協力したJR連合やJR総連はもとより、上村革同支配下の国労西日本本部も、4党合意以降、資本の意思を国労組合員に強制する存在になり果てていた。これが、JRの極限的な合理化を促進し、強権的労務管理を勢いづかせ、事故への最後の引き金を引いたのだ。
安全をめぐる闘いが民営化うち砕く
安全の崩壊は、JR西日本に限ったことではない。JR東日本でも、レールの破断が頻発し、レールの傷やきしみ割れは至る所で生じている。
JR東日本が「ニューフロンティア21」(01〜05年1月)のもとで強行した保守部門の全面外注化は、レールに損傷があってもまともに補修ができない状態を生み出している。
こうした安全の危機に対し、動労千葉は反合・運転保安確立を掲げて05春闘を闘い、72時間のストライキと安全運転闘争を打ちぬいた。そして尼崎事故から1カ月目の5月25日を期して、安全運転行動に立ち上がった。
@無理な回復運転はしない、A制限速度を絶対に順守する、B運転中に危険と認めたときは必ず列車を止め、あるいは速度を落とす、C遅れは必ず報告する、D無線通告の受領は、必ず停車中に行う、E危険個所では減速する、などの行動は、安全確保のために運転士として当然なすべきことを行うということだ。この闘いは、安全の崩壊という資本の決定的な矛盾点を突き、確実にJRを追い詰めたのだ。
動労千葉にとってこの闘は、労働組合としての存在意義をかけた闘いだ。闘わなければ安全は守れない。利潤追求に走る資本は、常に安全を犠牲にして合理化・効率化に突き進む。
安全問題は、労働組合の試金石である。組合員の命を守ることができない労働組合は、労働組合とは言えない。安全をめぐる攻防こそ、最も激烈な資本との戦場であり、それは労働者階級に最も深く根ざした闘いだ。小泉政権の進める民営化を打ち砕くカギは、安全をめぐる闘いにある。
11・6全国労働者総決起集会は、反合・運転保安闘争を貫く動労千葉を先頭に、民営化と対決して小泉政権打倒の号砲を鳴らす決戦なのである。
(長沢典久)
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週刊『前進』(2217号2面2)(2005/10/11)
公務員大リストラと労働運動破壊の宣言 小泉所信表明演説を弾劾する
郵政労働者を“悪者”にするな
9月26日、小泉は国会で所信表明演説を行った。この演説は「歴代首相2番目の短さ」だが、その内容は、日本と世界の労働者階級、被抑圧民族人民への侵略戦争と階級戦争の宣言である。何よりも郵政民営化を突破口に、公務員労働者への大リストラと官公労労働運動の解体を宣言した。特別国会での郵政民営化法案可決を絶対阻止し、4大産別を先頭に11・6労働者集会の1万人結集へ全力で闘おう。
大資本家の利益のための「構造改革」
帝国主義間争闘戦の敗北的現実にあえぎ危機を深める日本帝国主義は、労働者階級人民に一切の犠牲を集中・転嫁して延命しようとしている。小泉が演説で強調した「行政、財政、経済、金融などあらゆる分野の構造改革」とは、金融独占ブルジョアジーが労働者人民を一層搾取し、収奪し、支配するための「構造改革」である。そこには労働者人民の利益など、まったくない。
小泉は演説冒頭、9・11総選挙の大勝をふりかざして、「連立政権の安定した基盤に立って、引き続き構造改革を断行する」「改革を止めてはならない」と宣言した。
そして、第一に郵政民営化について「あらゆる分野の構造改革につながる『改革の本丸』」と位置づけ、「今国会で成立を期す」とあらためて宣言した。
小泉は、ヒトラー的なデマゴギーの手法で郵政労働者を攻撃し、彼らが国家財政を危機に陥れている元凶であるかのように攻撃している。そして、「今後も公務員が郵政事業を運営する必要があるか」と述べ、郵政民営化法案の早期成立を宣言したのである。
小泉は、全逓労働者を始めとする公務員労働者が、スト権を奪われながらも戦後の長い闘いの中でかちとってきた労働条件、賃金や身分保障などを「既得権益」などと言って非難しているのだ。そして「既得権益の壁にひるまず、過去の慣例にとらわれず」などともっともらしく言っているが、実は奥田ら金融独占ブルジョアジーの利害の貫徹のために公務員労働者を攻撃しているのだ。
本当に怒りを抑えることができない。郵政労働者は今日も、朝早くから夜遅くまでくたくたになるまで働いているではないか。連続4日間の深夜勤など、殺人的な労働強化が強まっている。過労で倒れる人や死亡する人、自殺者が続出している状況だ。この郵政労働者を「既得権益にしがみつく悪者」扱いすることなど、どうして許せるか。
郵政民営化は郵政労働者の大量首切り、賃下げであり、一層の殺人的労働強化、不安定雇用化であり、そして闘う全逓労働者の選別的排除、全逓労働運動の解体である。多くの郵政労働者が職を奪われ、命を奪われ、家族をも破壊されようとしているのだ。それは文字どおり労働者階級にかけられた「階級戦争」というべき攻撃だ。
第二に、小泉は「国家公務員の人件費の削減」を宣言するとともに、「構造改革を断行し、政府の規模を大胆に縮減する」と、ファシスト的な国家改造を宣言した。
小泉が今、「民間にできることは民間に」の合言葉のもとにやろうとしていることは、公的部門を市場化して資本のもうけ口を飛躍的に拡大すると同時に、公務員労働者を大リストラし、その労働条件を破壊し、官公労労働運動を解体・一掃することである。公務員の労働条件(賃金や労働時間規制、身分保障など)を民間並みに解体することで、官民問わず6000万労働者階級のすべてに、一層の資本攻勢をかけ、労働者の血と汗を搾り取ろうとしているのだ。
小泉が言う「民」とは、人民とか民衆の「民」ではなく、トヨタ・三菱など、一握りの金融独占ブルジョアジー、民間の独占的大企業のことだ。「民間にできることは民間に」とは、そうした独占企業が行っている首切り・リストラ、低賃金労働、長時間労働の中に現在の公務員労働者を追いやるということだ。
マスコミや御用学者連中は、こうした「小泉改革」の凶暴さを押し隠し、まるで労働者人民の生活の向上につながるかのような幻想を振りまき、小泉のファシスト的国家改造を支えているのだ。本当に許し難い。
社会保障の解体とイラク派兵居直る
小泉所信表明演説は、第三に、社会保障制度は「適正な給付と負担で持続可能な制度とすることが政治の責任」と述べた。それが何を意味するかは現実を見れば明らかだ。
介護保険法改悪でこの10月1日から、特養ホームなどの入居者負担が月2〜3万円も値上げされた。要するに、金持ちしか十分な介護も医療も受けられないという社会、「金のない貧乏人は早く死ね」という弱肉強食の社会にしようとしている。特別国会に提出される「障害者自立支援法案」は、障害者福祉を切り捨て、「障害者」の生きる権利そのものを奪い去る大攻撃である。
第四に、「テロとの闘いは終わっていない」「国際社会と協力してテロの防止・根絶に取り組む」と宣言した。小泉が言う「テロ」とは、帝国主義と闘う被抑圧民族人民の闘いのことである。それに対してイラク侵略戦争のような大虐殺と破壊、資源略奪のための侵略戦争をやるという宣言である。
小泉はアフガニスタン侵略戦争への自衛隊の派兵延長を公言した。またイラクへの自衛隊派兵について、「住民からの高い評価を受けています」などと大うそをついて開き直り、12月の派兵期限延長について「よく見極めた上で」などと述べた。だが、日帝・小泉は、すでに来年の東部方面隊のイラク派兵準備を進めている。自衛隊の即時撤兵へ闘おう。
11月労働者集会で団結の威力示そう
小泉の「構造改革」なるものは、日本経団連・奥田の1・18改憲提言「わが国の基本問題を考える」や4・19提言(国家公務員改革提言)をストレートに実行に移しているものであり、徹頭徹尾、日帝支配階級のための改革である。
彼らは労働者人民の生活や生命がどうなろうが、まったく気にしない。本当に労働者人民は、自ら闘わなければ、権利を奪われ、生活を破壊され、地獄にたたき込まれてしまう。反動政治の先には、侵略戦争がある。こんな社会、こんな政治は絶対に打倒しよう。労働者階級が真の主人公となる社会を打ち立てよう。それは絶対にできる。
小泉を打倒する力はどこにあるか。前原民主党は、9条改憲と公務員への首切りを競い合う「第2小泉自民党」だ。連合中央は、ますます労働者への裏切りを強めている。こうした勢力の制動を打ち破って、労働者の嵐のような怒りの決起を切り開こう。
安全運転行動で大きな勝利を切り開いている動労千葉のように、労働者が団結して階級的原則を堅持して闘えば、激しい資本攻勢と労働運動解体攻撃のさなかでも勝利の血路を開くことは絶対にできる。団結した労働者の力を、小泉と奥田にたたきつけよう。小泉に怒るすべての労働者は11・6労働者集会に結集し、小泉政権を打倒しよう。
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週刊『前進』(2217号2面3)(2005/10/11)
紹介
『戦争と労働運動 戦前労働運動のあゆみ』(伊藤晃〔あきら〕千葉工業大学教授著 頒価1500円)
なぜ戦争に協力したのか
11・6労働者集会への職場でのオルグ、職場討論、労働組合のオルグなどに有効な武器が労働者学習センターからタイムリーに発行された。
今回の総選挙での小泉自民党の過半数を大きく超える議席確保に、多くの労働者が改憲、戦争の接近を強く感じている中で、労働者学習センターの労働学校での講義をもとに『戦争と労働運動/戦前労働運動のあゆみ』(伊藤晃〔あきら〕千葉工業大学教授著)が、このたび労働者学習センターから発行された。
この伊藤晃著『戦争と労働運動/戦前労働運動のあゆみ』は、労働者学習センターが開いている労働学校で伊藤晃教授が行い、受講生に好評であった講義をもとに、全面的に書き下ろされ、労働学校でのテキスト、参考書としての活用をも意識して労働者学習センターから発行されたものである。
資本主義、帝国主義の行き詰まり、イラク侵略戦争をめぐる国際帝国主義の公然たる分裂、朝鮮侵略戦争情勢の深まりなどなどの中で、出口のない排外主義が若者の中にも浸透してきている。今回の総選挙での小泉の圧勝、組織的かつ全国的な「つくる会」教科書採択攻撃の展開、連合下での労働運動の右傾化なども、これとけっして無関係とは言えない。
韓国、アメリカの階級的労働運動との国際連帯を強め、「闘う労働運動の新しい潮流」を拡大し、強めていく闘いにとっても、労働者、労働運動の中での排外主義との闘いは、最重要の闘いとなってきている。
このような中で、戦前の日本帝国主義が中国侵略戦争への突入から第2次世界大戦へと突き進んだ時代に、日本の労働運動、労働者階級はいかに闘い、または闘いえずに敗北を強いられていったのかを、「戦争と労働運動」というきわめて今日的な視点から記述されている。
第1次世界大戦(1914〜1918年)下のロシアの労働者大衆は、「パンと土地と平和」のスローガンのもとに立ち上がり、ツアーの政権を倒し、労働者農民兵士の権力にまで突き進み、革命に勝利した労働者政府は「無賠償、無併合の講和」を宣言し、ブレストリトフスクの講和をもって「労働者大衆が自分の力で戦争をやめさせた、これは、世界史上、初めてのできごとでした」(25n)
日本でも、世界の労働運動を学んで、「労働条件の改善と生活の向上は労働者の組織と闘争によらねばならず、また組合運動は労働者階級解放を目的とすべきだ」という綱領を掲げた日本労働組合評議会が結成(1925年)され、さまざまな争議を闘った歴史をもっている(第5章「日本労働組合評議会」の運動)。
それらの闘いが、日本が戦争に向かう中でこれと有効に闘い抜くことができず、弾圧によってつぶされ、あるいは体制内化して、ついには総力戦体制に積極的に参加していってしまった。それはなぜだったのかを、学び取っていく武器にしていかなければならない。
☆発行 労働者学習センター A5判206n
☆注文先 〒260−0017 千葉市中央区要町2−8 DC会館
TEL 043−222−7207 FAX 043−224−7197
E-mail doro-chiba@doro-chiba.org
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週刊『前進』(2217号3面1)(2005/10/11)
高木の連合会長選出許すな 「9条改憲」を公然と主張する極右のUIゼンセン同盟会長
闘う労組は団結し反撃を
10月5〜6日、東京・新宿の厚生年金会館で開かれる連合第9回大会で、「9条改憲」を公然と叫ぶUIゼンセン同盟会長の高木剛が、新しい連合会長に選出されようとしている。これは9・11衆院選での小泉自民党の大勝と、前原民主党の登場に対応して、連合の中でも最も右寄りの勢力が連合中央を制圧し、連合を侵略戦争に全面協力する文字どおりの「産業報国会」に転換させようという、とんでもない事態である。戦争と民営化=労組破壊と対決する4大産別決戦(全逓、日教組、自治労、国鉄)を今こそ大きく爆発させ、現場労働者の怒りの決起で高木の会長選出を粉砕しよう。闘う労働運動の新しい潮流を大胆に拡大しよう。動労千葉など闘う3労組の呼びかけにこたえて11・6労働者集会に大結集しよう。
「小泉圧勝」に対する連合の超右翼的対応
9・11衆院選での小泉自民党の大勝は、民主党だけでなく、連合をも激しく揺さぶっている。13日の連合の役員推薦委員会で、笹森の後任会長に事実上内定していた古賀・電機連合会長を引きずりおろし、旧同盟出身の極右改憲論者・高木を後任会長に推薦したのである。このことは、連合中央が9・11総選挙の結果に深刻な打撃を受け、決定的な危機を深める中で、これまでよりもっと露骨に改憲勢力、戦争協力勢力に転換することで、何とか延命しようとあがいていることを示している。
連合は総選挙の過程で、小泉が選挙の争点を郵政民営化一本に絞り、「公務員は民間に比べて楽をしている」「公務員が改革を阻害している」「官公労が、がん」などと公務員と公務員労組に攻撃を集中していることに対してまったく闘わなかった。公務員と民間労働者の分断を許さず、公務員労働者と団結して闘うことが民間労働者の生活と権利をも守る道であることを何一つ提起しなかった。その結果、自らの連合内組織候補を大量に落選させた。
笹森は、「民主党がこれほど議席を失うとは思わなかった。考え直さなければならないことがたくさんある」などと消耗しきって述べている。また笹森は、民主党新代表・前原と会談した際に、前原から「郵政民営化の対案づくりや公務員制度改革にしっかり取り組みたい。意見の合わない組合、産別とは(一致できなくても)仕方がない」などと公務員労組切り捨てを通告されても、「政策が合わなければ党は党、労組は労組の判断でやればいい」などと表明して、前原の公務員労組切り捨てを認めたのだ。
笹森の後継会長に極右・高木がなろうとしているのも、このような連合の危機と、公務員労組への日帝の激しい攻撃の中で起きていることである。
役員推薦委員会はまた、会長代行に日教組の森越委員長、事務局長に電機連合の古賀委員長を推薦することになった。立候補は21日に締め切られたが、候補者選びの過程が不透明だとして、全国ユニオンの鴨桃代会長が立候補し、高木・鴨の2人の間で選挙が行われることになった。
高木はアジア侵略の先兵
高木は1943年生まれで現在61歳。東京大学卒業後、旭化成に入社。全旭化成労組連合会、ゼンセン同盟の役員を経て、81年に外務省に入り、タイで日本大使館一等書記官をつとめた後に、96年ゼンセン同盟会長に就任している。まさに日帝のアジア侵略の先兵そのものであり、ゴリゴリの帝国主義的労働運動の体現者なのである。高木は改憲論者であり、徴兵論者でもある。
総選挙直後の9月14日に高木が会長を務めるUIゼンセン同盟の大会が開かれた。そこではなんと憲法9条2項の削除を始めとした改憲提言が露骨に論議された。このような事態は、今までは考えられなかったことだ。
大会では、UIゼンセン同盟の「国の基本問題検討委員会」が中間報告を行った。その中で、憲法前文を「あまりにも現実から遊離している」「受け身の姿勢の一国平和主義」などと憎しみを込めて否定し、「主権の侵害」に対しては「主権国家として毅(き)然とした姿勢と行動を示すことが必要」と国家の武力行使を認めている。第9条については、第1項は維持するが、集団的自衛権を含む自衛権はある、第2項の戦力不保持と交戦権否認の明記は削除し、戦力の保持を付記する、などと主張した。
同委員会の落合委員長(会長代行)は、「国家主権が侵されないよう、安全保障体制を確立する義務がある。今後、憲法改正を是とする見解をまとめていく」と明言した。さらに9条2項についても、「武力放棄と平和主義をうたっているが、日本が攻められたときに、生命・財産が失われてもいいのか」と、憲法改悪を当然とする暴論を展開した。
このようにUIゼンセン同盟は、連合の7・14改憲提言をもはるかに超えて、民主党・前原と同様の9条2項削除をまっこうから主張しているのだ。
またUIゼンセン同盟は組合員数が前年度比で約4万4千人増えたと言われている。連合内各単産がリストラに屈服して、軒並み減らしている中での増加だ。だが、この組織拡大も、たとえばスーパーの組織拡大では、労働者の決起を押さつけることを請け負うことで、資本にユニオンショップ条項を認めさせるなど、資本と一体の実に反労働者的な代物である。
闘う労働組合の対極にあるこのような労組づくりは、現場労働者の怒りの反撃に直面するだろう。
このように高木の連合会長選出は、まさに連合が官公労の労働者を切り捨て、改憲・戦争と労組破壊の今日版「産業報国会」となることを意味する。自治労や日教組を改憲勢力に転換させる動きが、連合内から決定的に強まるだろう。それは、小泉のファシスト的国家改造の一翼を担うことで労働貴族が生き延びようとする悪あがきでもある。
連合の分岐・流動広げ闘う労働運動前進へ
このような事態は労働者階級にとって絶望を意味するだろうか。けっしてそうではない。連合は当初10月の定期大会で、9条改憲容認の「7・14連合見解案」を正式見解として決定する予定だった。だが、9・13中央執行委員会でそれを延期することを決定した。背景にあるのは、夏の日教組大会や自治労大会で改憲方針を打ち出せなかったということである。
特に自治労大会で、自治労中央が改憲につながる「平和基本法」制定の運動方針を可決しようとしたことに対して、沖縄県本を先頭に怒りの総反撃が巻き起こり、自治労中央は「9条死守」を表明せざるをえなかった。また、日教組が改憲方針を打ち出せなかった背景には、都高教を先頭にした1〜3月の「日の丸・君が代」強制拒否の闘い、「つくる会教科書」採択反対の闘いの高揚がある。さらに、国鉄1047名闘争や、動労千葉の安全運転行動を始めとする国鉄労働者の不屈の闘いがある。
まさに、戦争と民営化(労組破壊)との決戦はこれからである。昨年の米大統領選での民主党ケリーの敗北とその責任問題が7月末のAFL−CIO(アメリカ労働総同盟・産別会議)の分裂の引き金になったように、今回の民主党惨敗は連合の新たな危機と矛盾の爆発の出発点になろうとしている。
連合会長選をめぐる危機と混乱は、ランク・アンド・ファイル(現場組合員)の闘いが、連合中央や組合既成指導部の抑圧をうち破って大きく前進する絶好のチャンス到来でもあるのだ。郵政民営化絶対反対の闘いを突破口に、連合中央の度し難い右翼転換と徹底対決し、連合中央を打倒し、日本の労働運動の巨大な分岐・流動・再編・高揚を推し進めよう。
11・6労働者集会へ、今こそ全力で総決起しよう。
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週刊『前進』(2217号3面2)(2005/10/11)
「共謀罪」阻止する正念場 10月国会行動に立とう
小泉政権による共謀罪法案の3度目の国会提出が切迫している。南野法相は9月20日の記者会見で特別国会に再提出する考えを明らかにした。
小泉は9・11総選挙で圧勝し、与党は衆議院で3分の2を超える議席を確保した。そして、かさにかかって、郵政民営化を始めとした戦争と民営化の攻撃を推進することを宣言した。
今回の攻撃はこれまでの延長線上にとどまらない。小泉は9・11圧勝をてこに、侵略戦争を推進するためのファシスト的国家大改造の攻撃に打って出てきた。日帝の側から革命的情勢の到来に対する予防反革命の攻撃に突入したのだ。
特別国会の会期末は11月1日。この短期間の内に成立させるためには、衆議院法務委員会(定例日は火・水・金)は早くて10月4日(火)、遅くとも11日(金)には審議入りする必要がある。参議院法務委員会(定例日は火・金)も18日(火)前後には審議入りしなければならない。
共謀罪法案をめぐる情勢は完全に10月決戦に突入した。10月1日の「共謀罪を永久に葬り去る」総決起集会の高揚を引き継ぎ、共謀罪新設阻止の10月行動に総力で立ち上がろう。
思想・言論を処罰
共謀罪の目的は、動労千葉を始めとする闘う労働運動・労働組合の一掃であり、革命党の解体である。具体的には、労働者人民の団結そのものを解体することだ。小泉はこれからいよいよ激しくなる労働者人民の決起を圧殺する治安弾圧の要(かなめ)として、共謀罪新設の攻撃をかけてきているのだ。まさに、危機に立つ日帝・小泉政権のファシスト的国家改造の一環であり、北朝鮮・中国侵略戦争のための体制づくりである。
共謀罪の特徴は、@いかなる実行行為も必要としないこと、A「2人以上の集まり」で「相談した内容」が適用対象となること、B対象犯罪は619(長期4年以上の刑を定めたすべての犯罪)もあること、C最高で懲役5年の刑罰が科せられること、D共謀罪の成立を判断するのは現場警察官であること、E実行に着手する前に自首した者は、刑を免除・減刑すること――などである。
労働運動を弾圧
具体例として以下のような場合が考えられる。
A交通でバス路線の廃止に伴うリストラとして、労働者の配転と解雇の攻撃が始まった。そこで組合執行部は「団体交渉の場で解決の目途がつくまでは社長の退席を認めない」ことを確認した。会社側は事前にこの情報を入手し警察に相談した。警察は「組織的に社長を監禁することを共謀している」として、団交開始の直前に組合執行部全員を「組織的監禁の共謀罪」で逮捕した。
共謀罪の新設は、あっという間にこのような現実を生み出すのだ。
共謀罪は「人と人が会話した内容」を捜査対象とすることで、民衆のコミニュケーション(手段を問わない。インターネット上のチャットも対象となる)に国家権力が直接介入することを認める。民衆のコミニュケーション全体に網をかけ、国家権力にとって容認できる内容と容認できない内容に選別し、容認できない内容を共謀罪の対象(弾圧の対象)としていく。これは「検閲」そのものだ。
共謀罪は、このようなやり方で、実質的に反体制的な思想・信条を処罰する権限を国家権力(警察官・検察官)に与えることとなる。まさに戦前の治安維持法をも超える”現代の治安維持法”だ。絶対に粉砕しよう。
共謀罪新設阻止の10月決戦に総決起しよう。
労働組合の日常活動が弾圧の対象になる
☆経営側が組合の要求に対応するまで団体交渉を継続すると執行委員会で決定した→組織的監禁の共謀罪
☆労働組合や争議団が親会社・持株会社や取引先、金融機関などへの要請行動を決定した。→組織的業務妨害の共謀罪、組織的強要の共謀罪
☆経営側に退職金の上積みや解決金の支払いを要求することを決めた→組織的恐喝の共謀罪
☆会社倒産後に労働債権や雇用の確保などを図るために事業場の占有や一時的な組合管理を決めた→組織的威力業務妨害罪、強制執行行為妨害の共謀罪
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▲「共謀罪を考える集会」
10月13日(木)午後6時
弁護士会館2Fクレオ
主催/日弁連
▲国会前行動(朝ビラ、昼集会、座り込み)
10月11日(火)と25日(火)
主催/破防法・組対法に反対する共同行動
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週刊『前進』(2217号3面3)(2005/10/11)
近畿郵政労働者の会 強制配転に抗議 支社前闘争で小泉と対決
郵政公社は近畿で780人の強制配転を行いました(9月5日内示、15日発令)。民営化攻撃そのものの労組破壊です。これに対し9月13日、「人事交流=強制配転に反対する近畿郵政労働者の会」主催の抗議闘争が30人の結集で闘われました(写真上)。集まった全逓の仲間は意気軒高と民営化を迎え撃つ決意で闘い抜きました。
司会が「本日の闘いは支部長を強制配転された尼崎局、阪神東支部の闘いと連帯して闘われています」と述べ、近畿支社に抗議のシュプレヒコールをたたきつけました。副代表が主催者を代表して「他力の闘いでなく私たち労働者が闘って勝利をもぎ取る以外ない」とあいさつしました。
次に各職場からの発言が行われました。郵政ユニオンの尼崎局の仲間から発言を受け、続いて吹田局の仲間から「職場は欠員だらけで大変。小泉に『郵便労働者の既得権が諸悪の根源』などと言われる筋合いはない」との発言があり、奈良の橿原(かしはら)局の仲間は「パワーアップ研修が行われ、局は拒否した者には降格の恫喝をしています」と訴えました。大阪中郵の仲間は「郵政職場には民主主義なく、基本的人権なく、ミーティングで軍隊式に並ばせる。抗議すると管理職を大動員してくる。あの手この手を考えて闘おう」と発言しました。
尼崎闘争に参加している阪神東支部の仲間からの連帯のメッセージが読み上げられました。「阪神東支部をぶっつぶす攻撃が、間違いなく始まっています。今回の酒井支部長の強制配転は絶対反対です。労働者が真っ向から労働者の権利を、闘いを打ち出していくことが、私たちの取るべき態度だと確信します」
続いて、連帯のあいさつが行われました。
全国金属機械港合同が、「民間労働者の生活破壊、賃下げ・首切りの不安と苦しみを大阪市労連への攻撃に向けさせている。公務員労働者と民間労働者が連帯、団結して闘う以外ありません。11月労働者集会は港合同、関西生コン支部、動労千葉の3者で呼びかける国際連帯の集会です。この集会が逆転攻勢していく道です」と訴えました。
「日の丸・君が代」処分と闘う大阪教育労働者の会は「日教組の改憲方針を拒んでいます」と発言しました。
6月に郵便局で二十数年ぶりのストライキに決起した関西合同労組トランスポート分会の分会長は、「『郵政労働者は諸悪の根源』と小泉は言っている。許せない。民営化は最低賃金以下で働かせている私たちの請負労働者のような状況を郵便局全体にしようとしている」と訴えました。
最後に強制配転された当該の労働者2人から決意表明が行われました。
兵庫県三田局から西宮東局へ配転された仲間は、「23年間、三田局で働いてきた。今年の年賀は朝8時まで。公社の新施策で先輩が闘い取ってきた権利は剥奪(はくだつ)され、4級マナー道場、制裁研修、郵政版人活センター、さらにパワーアップ研修、降格で5〜6万円の減収です。西宮東局は、元三田局の全郵政の書記長が栄転したが2年前に自殺した局です。どんな局なのか不安はある。しかし最後まで闘う労働者としてその任につく」と決意表明しました。逆の西宮東から三田局へ配転された仲間は「小泉は労働者からすべてを奪おうとしている。しかし労働者の誇りは奪えない。私はもう失うものは何もない。最後まで闘います」と訴えました。
小泉の圧勝にひるむことなく、決意あふれる闘争が打ち抜かれました。
(投稿/近畿全逓労働者A)
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週刊『前進』(2217号3面4)(2005/10/11)
深まるドイツ帝国主義の危機 SPDもCDUも破産
500万失業者の怒りが噴出
どちらも敗北
9月18日に行われたドイツ総選挙の結果、与党のドイツ社民党(SPD)と90年連合/緑の党の連立も、野党のキリスト教民主/社会同盟(CDU/CSU)と自民党(FDP)の連立も過半数に届かないため、新内閣が成立しないという政治的空白が2週間続いている。ドイツ帝国主義の戦後史上最大の政治的混迷=危機の到来である。
暫定議席配分はCDU/CSU225、SPD222、FDP61、左派党(旧ドイツ民主社会党=PDSと旧SPD左派の連合)54、90年連合/緑の党51となっている。(最終結果は、候補者死亡で10月2日に延期された東部ザクセン州ドレスデン市の第1選挙区の投票で確定する)
シュレーダー首相は、500万人の大失業問題を解決できないことへの不満が高まって支持率が致命的に下がる前に総選挙を実施しようとした。与党に内閣不信任決議を上げさせ、1年早く議会解散・総選挙に持ち込んだ。しかし支持率低落の趨勢(すうせい)を変えられず、SPD(赤)と緑を合わせても過半数の議席に達しなかった。
最大野党のCDU/CSUは、総選挙の2週間前まではFDPと組めば優に過半数を取れる情勢にあったが、首相候補のメルケル党首は9月4日と12日のテレビ討論で好印象を与えられず、これを転機に支持率を低下させてしまった。だが最大の問題は、CDU/CSUの財務相候補者が現行16%消費税の18%への引き上げと所得税の一律25%化を提案したことだ。労働者いじめの自由主義政策に強い反発が起こったのだ。
CDU/CSU、SPDの両党には際だった違いはない。左派党に言わせれば両党とも「労働者切り捨てのネオリベラリズム」だ。こうして両党とも35%前後の得票率に低迷した。
左派党が得票率を伸ばしたことも両党の低迷の原因である。左派党は、高水準の年金給付を約束し、最低賃金を設けて労働者を保護し、金持ちの所得税率を元の水準に引き上げて財源を確保すると主張して、8・7%の支持率に達した。
左派党は、スターリン主義と社会民主主義を引きずっているが、相対的には最も労働者的左翼的な党として労働者の支持を集めた。
大連立も難航
CDU/CSUとSPDの大連立以外に政権は成り立たなくなった。大連立が成立すれば60年代後半のキージンガー政権以来のこととなる。
しかし、大連立を目指した9月22日、28日の交渉は合意に至らなかった。最大党派のCDU/CSUは、メルケル首相単独4年任期の大連立を主張したが、SPDは前期1年半をシュレーダー首相、メルケル副首相の体制とし、後期2年半をメルケル首相体制(シュレーダー首相は退陣)とすることを提案した。
CDU/CSUはSPD案を拒否した。ただし、ドレスデン第1選挙区の結果次第では、現在の3議席の差がさらに縮まる可能性もある。そうなればCDU/CSUは最大党派から首相を出すという原則を主張することが困難になる。ドイツ政治情勢はますます混沌(こんとん)としてくる。
“労働刑”強制
SPD、CDU/CSUの低迷の最大の理由はドイツ経済の危機の深まりと階級対立の激化である。
世界大恐慌の危機、帝国主義間争闘戦の激化、EU拡大がドイツに大失業をもたらした。EU拡大でドイツの製造業は低賃金の中東欧へ続々と移転していった。残った大企業は雇用の維持と引き換えに労働者に労働時間の延長による実質賃下げを迫った。これを拒否すれば人員削減、失業だ。2004年の1年間に実質賃金はフランス、オランダでは1%以上増えたが、ドイツでは1・5%減った。
ドイツ経済には新規雇用の創出能力は乏しく、失業者数は05年1月に500万人に達した。シュレーダー首相は3年前の総選挙直前、400万人近かった失業者を3年で半分にすると約束したが、果たせなかったのだ。
シュレーダー政権は職業紹介強化のためとしてジョブセンター制度を作った。長期失業者の就業機会を増やす一方、手当を徐々に削り、就労意欲を高めることをめざす。しかし景気低迷と工場の中東欧移転は止まらず、職不足は解消されなかった。
シュレーダー政権はまた労働市場改革の目玉として「1ユーロ労働」という超低賃金労働を導入した。これは通常の失業保険が切れて第2失業手当を受給中の長期労働者が「労働を忘れさせないため」の手段と位置づけられている。だが、失業者の職歴と無関係に決められ、正規就労の架け橋にならないのが現実だ。
1ユーロ労働を拒否すると第2失業手当が減額される。このため1ユーロ労働は、”労働刑”と呼ばれている。1ユーロ労働を15カ月続ければ統計上失業者から除外される。1ユーロ労働は失業統計をごまかすトリックともなっている。こうした労働社会政策ではSPDとシュレーダーへの支持率が下がるのは必然だ。
(藤沢明彦)
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週刊『前進』(2217号4面1)(2005/10/11)
自治体労働者は1万人決起の先頭に
公務員労働運動の破壊狙う 小泉=奥田に怒りの反撃を
革共同自治体労働者委員会
小泉打倒を全労働者に正面から訴えよう
9・11総選挙で「大勝」した小泉自民党政権は、日本経団連・奥田との一体化を強め、戦争と民営化=労組破壊の攻撃を一気に強め、ファシスト的国家改造へと突き進んでいる。郵政民営化を突破口に公務員制度改革、自治体民営化攻撃、公務員労働運動破壊に踏み出している。
この小泉に呼応して東京地裁は9月15日、鉄建公団訴訟において1047名闘争の分断・解体を狙う政治的反動判決を下した。不当労働行為による首切りを容認し、労働組合法と団結権を否定する不当判決だ。動労千葉争議団を始めとする闘う国鉄労働者の1047名闘争からの排除、国鉄闘争の解体がその狙いだ。広範な労働者の国鉄闘争への連帯と決起で9・15判決を絶対に覆そう。
動労千葉を始めとする3労組が呼びかける11・6労働者総決起集会は、激化する戦争と民営化=労組破壊の攻撃に対して、労働者の階級的団結と国際的連帯を強め、総反撃する場である。自治体労働者を先頭に11・6集会への1万人大結集をかちとり、小泉打倒を宣言しよう。
以下、11・6集会を集約点とする今秋、自治体労働者はいかに闘うべきかを提起したい。
第一に、全国の闘う自治体労働者は、8月自治労大会の戦闘的地平を発展させ、戦争協力拒否、憲法改悪阻止、小泉打倒を掲げて11・6日比谷野音へ総結集しよう。
8月自治労大会では、自治労中央本部が提案した戦争推進=改憲容認の「平和基本法」制定方針案に沖縄を始め全国の代議員の怒りが爆発した。
沖縄県本部の代議員は「今、非常に重大な情勢のもとで全国で反戦闘争の先頭に立っているのは自治労の組合員だ。本部はこのことを百も承知で『平和基本法』を提案し、これまでの自治労の闘いを裏切ろうとしている」と火を吐くようなアピールを発し、全国の仲間を奮い立たせた。全国の代議員は自治労本部の「平和基本法」制定による改憲方針のペテンを完全に暴き、追及した。
「自衛権」=「自衛戦争」を容認する「平和基本法」制定方針は、労働組合が掲げるべき運動方針では断じてない。「自衛権」を認めたら必ず侵略戦争に行き着く。帝国主義の侵略戦争は常に「自衛」の名で行われてきた。「平和基本法」に反対しつつ「9条堅持、非武装」で「自衛権を容認する」潮流も、結局は第2インターナショナル社民のように社会排外主義、戦争協力者に転落する。
自治労大会は、自治労本部の「平和基本法」制定=改憲方針のペテンを打ち砕くと同時に、小泉・連合・自治労本部への労働者の反転攻勢の始まりとなった。
現在、全国の自治体で国民保護法に基づく国民保護計画を作っている。自治体労働者に戦争協力や住民の戦争動員を強制するための具体的実施計画だ。自治労大会で始まった反転攻勢を国民保護計画粉砕・戦争協力拒否の闘いへと具体的に発展させよう。
戦争協力拒否、改憲阻止、小泉打倒への労働者人民の怒りの総決起――それが11・6だ。
労働組合運動を強め小泉改革粉砕しよう
第二に、11・6集会を小泉=奥田の公務員労働組合運動破壊の攻撃に対する怒りの反撃の場としよう。
郵政民営化の本質は、27万郵政公務員をいったん全員解雇し、選別再雇用するという形式による大量首切りと激しい労働強化であり、全逓(JPU)労働運動解体・労働組合破壊の攻撃である。「改革を阻む抵抗勢力」だとして労働組合に集中攻撃を加え、公務員労働者を好き勝手に首切り・リストラするのだ。
小泉・自民党は、今特別国会での郵政民営化関連法案の強行を突破口に民営化=労組破壊、自治労、日教組、全逓、国鉄という旧総評・4大産別労働運動の解体に打って出始めた。
経済財政諮問会議(議長・小泉首相)の奥田碩ら民間議員は9月27日、@国家公務員を5年で5%削減するA政府の規模を10年で半減させるB国家公務員の総人件費も10年以内にGDP比で半減させる――という目標を政府に提案した。小泉の圧勝で“何でもできる”とうそぶいている。
すでに自治体労働運動に激しい民営化=労組破壊攻撃が加えられている。昨年来の大阪市職―大阪市労連に対する「ヤミ・カラ」攻撃である。4月以降、自治体労働運動の心臓部である現業と組合活動そのものが標的にされている。最近は自民党が「公務員労働組合のヤミ専従110番」なるホームページを作り、自治労を標的にファシスト的キャンペーンを始めた。
大阪市労連への「ヤミ・カラ」攻撃は、「共済退職金」「事務服貸与」など「職員厚遇」への攻撃として始まり、160億円の福利厚生費削減の後も、「ヤミ専従」「カラ出張」など労働組合活動への攻撃として吹き荒れている。大阪市議会は9月21日「ながら条例」を改悪して時間内労働組合活動を禁止した。労使協議・協定・協約・慣行などを否定する攻撃も強まっている。
また大阪市当局=市政改革本部は9月27日、国鉄分割・民営化をモデルに「改革マニフェスト案」と称して、5年間で職員8000人削減、予算7・5%(900億円。大半は人件費)削減という方針を打ち出した。
コスト削減のためとして、民間への事業移管(民営化)、市場・競争原理の重視、人事評価の実施、成果・能力主義の導入を叫んでいる。労働者への管理・抑圧・支配の強化、労働強化、賃下げ、首切り、団結破壊の攻撃だ。
この大阪市労連破壊攻撃は、日本経団連の4・19提言「さらなる行政改革の推進にむけて―国家公務員改革を中心に―」の実践である。
小泉が一番恐れているのは、労働者が労働組合のもとに団結して闘うことだ。だからこそファシスト的なデマで労働組合を攻撃しているのだ。労働組合を「改革を阻む抵抗勢力」と呼ぶなら、小泉「改革」=反革命に対する断固たる「抵抗勢力」として労働組合を登場させよう。
小泉が「改革」の名で労働者の権利を奪い、社会保障を切り捨て、生活破壊を繰り広げるなら、労働者がこの「改革」に抵抗するのは当然のことだ。人民には古今東西、国家の圧政と暴虐に対し闘う抵抗権が認められている。小泉「改革」に革命を対置して闘おう。
郵政労働者とともに大民営化攻撃阻止へ
第三に、自治体労働者は、郵政民営化と闘う郵政労働者と固く連帯して自治体民営化の大攻撃と闘おう。
今、全国の自治体で指定管理者制度や市場化テストなど公的部門の民営化が急速に進められている。
公立保育所が解体され、民間企業に保育園の運営を任せる「公設民営方式」が急増している。人件費・人員を削減し、非常勤職員を急増させた結果、経験を積むことができず、保育を担う「人」が育成されない。「犠牲になるのは保育士、子ども、保護者」と怒りの声が現場から上がっている。
高知では、公立病院の統廃合に伴い、PFI(民間資金活用)方式が導入された。その母体は政府の規制改革・民間開放推進会議の議長・宮内義彦が率いるオリックスだ。
そこでは「公立病院の赤字解消」を掲げ、准看護師、技能職員、非常勤職員の人員削減と賃下げを断行した。組合側は准看護師の削減を撤回させたものの、大半の労働者が職場を去るか、再就職先を探さざるをえなくなっている。PFI株式会社が下請け業者に業務を外注し、もともと病院職員でない者が現場に入り、患者に医療的なことを聞かれても答えられず、混乱が生じている。都立病院の公社化、国立病院の独立行政法人化でも同じだ。
指定管理者制度への移行で施設管理者が民間業者に代わり、住民への行政サービスが打ち切られる事態が各地で起きている。資本の論理によるもうけ優先の運営では、施設利用料金の引き上げ、職員の人件費・人数の圧縮、サービスの質的低下・切り捨ては避けられない。「官から民へ」で民間労働者の雇用が増え、生活条件が改善されるという宣伝は事実とまったく逆だ。資本のコスト削減競争で労働者はより劣悪で過酷な労働条件を押しつけられるのだ。
その典型が市場化テストだ。市場化テストとは、国や自治体の公共サービスを「官製市場」=営利の対象と位置づけ、官と民が入札し、勝った方に仕事を取らせる。イギリスのサッチャー首相時代に導入された官民競争入札制度のまねだ。官民競争入札によって国や自治体から民間に事業主体が移ると、公務員の職場と仕事は無くなる。体のよい首切りだ。
市場化テストは今年度、社会保険事務所やハローワーク、刑務所について試行され始めた。骨太方針Xは「小さな効率的な政府」をめざすとして、公務員の総人件費削減・定員削減と併せて市場化テスト法案を国会に提出する方針を提起した。規制改革・市場開放推進会議は9月27日、来年通常国会に同法案を提出する方針を打ち出した。
民営化のもとでの「効率化」「合理性」の追求で切り捨てられるのは、住民の生活と命、労働者の雇用と命だ。
国鉄分割・民営化は、18年目にして運転士・乗客107人を殺す尼崎事故としてその破綻(はたん)を満天下に示した。尼崎事故こそ民営化の結果である。同時に尼崎事故は、闘わない労組が変質し解体した結果である。「闘いなくして安全なし」ということだ。
動労千葉は85〜86年、国鉄分割・民営化に反対して2波の決戦ストライキを闘い、40人も解雇されながら、今日まで団結を守ってきた。尼崎事故を弾劾し、JRの労組の中で唯一、安全闘争を闘い、ついに当局にレールを交換させる大勝利をかちとった。
郵政民営化阻止は自治体労働者自らの課題だ。11・6への過程で郵政民営化反対、自治体民営化阻止を訴えよう。
地域給・査定給導入阻止全国統一ストを
第四に、全国統一ストライキで地域給与・査定昇給導入を阻止し、今秋闘の勝利をかちとろう。
人事院は8月15日、国家公務員の給与について、地域給与と査定昇給を柱に「歴史的な給与構造改革」と称する05年度人事院勧告(05人勧)を提出した。内閣は9月28日、人勧完全実施を決定した。
賃金引き下げは2年ぶり3度目、給与構造の大幅見直しは1957年以来48年ぶりだ。地方では公務員賃金が民間賃金を上回っているとして、06年度から5年かけて段階的に基本給を4・8%下げる。浮いた分は、地域手当(月給の3〜18%)の新設で東京など都市部に勤務する職員に支給する。転勤者への広域異動手当(月給の3〜6%)を新設する。現在の調整手当(最大12%)は廃止だ。
地域間格差は大きく広がる。地方では公務員賃金が民間賃金に直結しているので、低い民間賃金がますます押し下げられる。昨年、寒冷地手当を削減された北海道・東北などは地域給導入でさらに収入が減る。
また年功的賃金上昇を改め、職務・職責に応じた給与構造に転換するとして、若年層の賃金をそのままにし、中高年層の賃金を7%引き下げる(地方在住の中高年層は二重の賃下げだ)。逆に「本府省手当」を導入する。
さらに勤務実績・成績に応じた査定昇給制度・勤勉手当制度を導入する。AからEまでの5段階の昇給区分を設けて査定し、Eは昇給させない。
8月11日には「地方公務員の給与構造のあり方に関する研究会」が「基本的方向性」を出し、能力・成果主義を全面化させる報告を行った。地方公務員にも国家公務員と同等かそれ以上の攻撃がかけられる。
05人勧は日本経団連4・19提言、骨太方針Xの貫徹そのものだ。
8月自治労大会では中央本部の05人勧に対する闘争放棄への批判が相次ぎ、ストライキ方針の提起が求められた。公務員の全国統一闘争・ストライキで05人勧を粉砕し、地域給・査定給導入を阻止しよう。
05年秋季年末賃金確定闘争をストライキで闘おう。闘いの山場、11月第2週直前の11・6労働者集会こそ、自治体労働者の「秋闘総決起」の場だ。
現場の決起で本部打倒へ!
小泉・自民党、奥田・日本経団連への怒りを組織し、全国の闘う自治体労働者、公務員労働者が総団結して一大反撃に立とう。
自治労大会では、現場組合員の決起が自治労本部を決定的に追いつめた。本部方針は通ったが、「平和基本法」も「改憲」「自衛権」「戦力」も何ひとつ承認されていない。改憲=「平和基本法」制定方針をめぐる闘いの第2ラウンドは11・6だ。
連合は10月大会でUIゼンセン同盟会長の極右・高木剛を会長に就け、9条改憲と安全保障基本法制定の方針を決定しようとしている。現場労働者の闘いで自治労本部を揺さぶり、連合内に分岐と反乱を起こし、連合本部、自治労本部もろとも打倒しよう。
小泉は、ファシスト的国家改造に向かって公務員労働運動つぶしを宣言し、公務員労働者に「支配階級=国家に仕える公僕になれ。支配階級=国家の立場に立つ官吏になれ」と迫っている。戦争と合理化に反対して闘いぬいてきた自治体労働運動をつぶされてなるものか! 11・6集会は労働者の誇りと闘う団結を取り戻す場だ。これは日米韓3国労働者の共通する思いだ。労働者階級こそ社会の主人公なのだ。
民主党新代表の前原は「改憲は必要。9条2項を削除せよ」と言い放ち、公務員制度改革について「意見の合わない組合(自治労のことだ!)とは(一致しなくても)仕方ない」と、スト権を売り渡そうとしている。自治労本部はこのような政党を推薦するのか?!
今日ほど労働者の階級的利害を代表する革命党が待望されている時はない。革共同自治体労働者委員会は、11月労働者集会への1万人組織化の闘いの先頭に立つ。400万自治体労働者の先頭で闘う労働者党への飛躍をかけ、11・6日比谷野音に闘う自治体労働者の大隊列を登場させる。
政財界のやりたい放題の攻撃に屈している自治労中央を現場から突き破るランク・アンド・ファイル運動として、一人ひとりが自分の言葉で語り、ビラをまき、一つでも多くの労働組合、一人でも多くの労働者の11・6参加をかちとろう。ともに闘おう。
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週刊『前進』(2217号4面2)(2005/10/11)
9・23集会 ファシズムとの対決誓う “改憲クーデター許さない”
9月23日、東京都墨田区のすみだリバーサイドホールで「とめよう戦争への道!百万人署名運動」主催の「ファシズムに立ち向かおう!教育基本法と憲法の改悪をとめよう!9・23全国集会」が開かれました。
参加人員は430人。小泉自民党の衆院選「圧勝」という事態に向き合い、闘いの方向性を求める人びとにとって、それぞれの現場からの熱気を伝えられた重要な集会となりました。
オープニングアクトはおなじみ「ヨッシー&ジュゴンの家」の過激かつ繊細なバンド演奏。「憲法と人権の日弁連をめざす会」の高山俊吉弁護士の開会あいさつに続いて、「君が代」不起立で処分を受けた東京の教育労働者が特別アピールに立ち、「ファシズムで真っ先にやられるのはマスコミと教育。子どもを戦場に送らないという意思を表すために私は座った」とそのときの気持ちを率直に話しました。
メインは浦部法穂・名古屋大学教授の「小泉自民党の新憲法案を斬る!」と題した講演です。浦部教授は今の日本を「ワイマール憲法体制が崩壊しナチスが多数派となった33年ドイツと似ている」と指摘し、「自民党がたくらむ『憲法改正』は、実際にはクーデターによる統治体制の変更を伴う新憲法の制定に等しい」と警鐘を鳴らしました。そして「非軍事の取り組みは十分現実的。問題はどちらの現実を選ぶかだ」と1時間近くの講演を締めくくりました。さらに浦部教授と武内更一弁護士が討論し、内容を深めました。
次に「うないネット・コザ」主宰の桑江テル子さんが、米軍再編攻撃のもとでの沖縄の闘いを、怒りをたたえながらしかし歯切れのよい語り口で訴えました。
続いてリレートーク。ビデオ上映を交え、「つくる会」の教科書採択に反対する杉並親の会、都教委の攻撃と闘う都立高校教員、イラク撤兵を求めて闘う関西連絡会、動労千葉、高校生、教育基本法の改悪をとめよう全国連絡会、百万署名埼玉連絡会が次々と登壇し発言しました。動労千葉の滝口誠特別執行委員は、「安全運転行動で市民・乗客から圧倒的な支持が寄せられ、当局への要求を全面的に貫徹した」と力強く報告し、日比谷野音の11・6労働者集会への参加を呼びかけました。
全国連絡会からは、教基法改悪反対の「全国1千カ所行動」と12・3全国集会が呼びかけられました。
また反戦運動を開始した高校生は、「巨大与党の出現を目の当たりにして、人びとはこうして戦争に駆り立てられるのかとぞっとした。私は未来を誰かにゆだねるのではなく自分で切り開く。改憲と戦争への道を跳ね返すうねりをつくるため高校生としての闘いに立ち上がる」と若々しい決意を語り、参加者一同の胸を打ちました。
集会の結びに百万人署名運動事務局長の西川重則さんのまとめの発言があり、最後に事務局からの特別提起が行われ、自衛隊のイラク派遣延長を許さない緊急署名を訴える街頭宣伝に大々的に打って出ようと強く呼びかけられました。
ともすれば自公327議席という現実はプレッシャーとなりがちですが、心ある人びとにはファシズムへの強い危機感と怒りがあふれ、闘う機運が広がっているのもまた現実です。街頭、職場、学園、あらゆるところから反撃に転じることが絶対に必要であり、また今がそのチャンスだということを、この集会で参加者全員が共有できたと思います。
(投稿/小宮大介)
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週刊『前進』(2217号4面3)(2005/10/11)
コミューン 11月号
全米揺るがす決起
イラク反戦、ハリケーン大災害という二つの水路から米帝ブッシュへの怒りが爆発している。
第1章は、イラクで戦死した兵士の母シンディー・シーハンさんの闘いを伝える。クロフォードの大統領牧場前に座り込んだ彼女の決起が9・24ワシントン30万人デモを切り開いた。
第2章は、AFL−CIOはなぜ分裂したのか、分裂した「勝利のための変革連合」とはどういう組織か、そして分裂の底流にある新潮流運動の登場について述べている。
第3章は、ノースウエスト航空整備士ストライキについて全面展開している。既成指導部の裏切りを突き破って闘う新潮流運動をリアルに伝えている。
第4章は、ハリケーンがもたらした大災害を階級的人災として突き出し、南部の貧しい人民を見捨てたブッシュ政権の危機を暴いている。資料として二つの翻訳が載っている。ポール・クレイグ・ロバーツの「ニューオーリンズの災害は不可解」とハリー・ケルパーの「ブッシュが被災地域の賃金法を抹殺」。
翻訳資料1は「ノースウエスト航空スト支援3文書」。ジャック・ヘイマン、スティーブ・ゼルツァー、リー・サスターの3氏がノースウエスト航空ストに熱い連帯のメッセージを送っている。翻訳資料2は、インド・ホンダの争議中の工場労働者に対する警察の暴力的襲撃を弾劾する声明。インドの日本企業の暴虐ぶりが暴かれている。
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週刊『前進』(2217号5面1)(2005/10/11)
9・24 米英韓で反戦デモ “イラクから即時撤兵せよ”
労組、帰還兵、遺族らが中心 開戦後最大の闘いに
9月24日、アメリカとイギリス、韓国など各地で巨大な反戦デモが行われた。イラク侵略戦争によって膨大な数のイラク人民が虐殺され、侵略軍兵士の死者も増大していることに対して、人民の怒りがブッシュやブレア、そしてノムヒョンに激しくたたきつけられたのである。
首都で30万デモ 米
アメリカでは、反戦団体ANSWER(戦争を止め人種差別をなくすために今すぐ行動を)連合とUFPJ(平和と正義のための統一行動)の主催で、ワシントンで30万人、サンフランシスコで5万人、ロサンゼルスで1万5000人、シアトルで7000人(いずれも主催者発表)が反戦デモに参加した。
特にワシントンでは、ホワイトハウス裏のエリプス公園を出発した巨大なデモ隊が、10年ぶりにホワイトハウスを包囲するという快挙を実現した。この日のデモには主催者の予想の3倍の人が参加し、ワシントンで行われたデモとしては、03年3月のイラク戦争開戦以来最大のものとなった。
最大の特徴は、イラク侵略戦争で昨年戦死した兵士の母であるシンディー・シーハンさんのブッシュ弾劾、イラクからの即時撤兵要求の闘いに触発されて、戦死した兵士の家族や、帰還兵士たちが大挙して参加したことだ。車いすに乗った祖母・祖父から母親に抱かれた子どもまで、様々な戦没兵士の家族の隊列や、「平和のための退役軍人会」の400人の隊列がデモの先頭で行進し、もはや我慢の限界に達した怒りを噴出させた。
またニューオーリンズのハリケーン被災者たちや、民衆の生命と生活を軽視するブッシュのハリケーン対策のあり方に激しい疑問と怒りを感じた多数の人びとも参加した。反戦運動にあらゆる階層の人びとが大量に参加し始め、ブッシュに燃え上がるような怒りをたたきつけたことは、イラク反戦運動がまさに全人民的な性格を持つものに発展していることを示している。
デモ隊のプラカードには「イラクからの即時撤兵」「貧困のハリケーンと戦争を阻止しよう」「バグダッドは燃え、ニューオーリンズは沈み、ハリバートンはもうける」「ハンビー(米軍の戦闘車両)ではなく堤防を」などと書かれ、アメリカ人民の戦争反対の強い意思、民営化による貧富の拡大と災害の頻発への激しい怒りが表現された。
他方、この集会・デモにはランク・アンド・ファイル運動を推進する労働者たちが多数参加したのに対し、民主党の有力議員やAFL―CIOの幹部たちはまったく参加しなかった。誰が最も民衆の要求にこたえて闘うの者なのかを如実に示すものである。
西海岸では、ILWU(国際港湾倉庫労組)などの戦闘的組合が先頭に立ってこの日の反戦デモを牽引(けんいん)した。西海岸におけるILWUやホテル労働者のこの間の資本攻勢との闘いが巨大な成果を収めていることが、この日のサンフランシスコの反戦デモの爆発によって改めて確認された。ロサンゼルスでは、多くの市職員労組、医療労働者、教育労働者、帰還兵士などが参加した。
爆撃・戦争やめろ 英
ロンドンでは「戦争阻止連合」と「核軍縮運動」、「英国ムスリム協会」の共催で、全国から10万人が結集して国会議事堂からハイドパークまでデモが行われた。このデモには、イラクからのイギリス軍の即時撤兵を求める人びと、国内での排外主義的で民主的自由を奪う政府の反テロ作戦に反対する人びとなど、かつてなく多様な階層、年齢、人種に属する人びとが参加した。またデモにはアメリカと同様、イラクで戦死した兵士の家族や、兵役拒否者、帰還兵が数多く参加し、「戦争に反対する軍人家族会」がその先頭に立った。この日のデモで、即時撤兵がもはや全人民的要求になっていることが鮮明になった。
デモの四つの主要スローガンは、「爆撃をやめろ、戦争をやめろ」「ムスリムのコミュニティーを防衛しよう」「市民の自由を守ろう」「軍の撤兵を」というものであった。
デモが行われた週には、イギリス軍がイラク南部のバスラで警察署を襲撃し、拘留中の特殊任務を行っていた英特殊部隊員2人を強引に奪い返した事件が発生したばかりである。イラク南部への武装解放闘争の拡大と、英軍の侵略戦争拡大政策が激突し始める中で、イラクからの即時撤兵を求める声が爆発的に高まり、このデモが大高揚したことは決定的な意義を持っている。
派兵延長するな 韓
「すぐに、完全に、派兵部隊は撤収せよ!」――9月24日、米英に次いで3000人を超す部隊を派兵している韓国・ソウルでは、米英との同時行動として「イラク占領終息のための3大派兵国共同行動」が取り組まれた。
派兵反対国民行動が主催したソウル駅前広場での集会には、思い思いのプラカードやコスチュームなどでイラク反戦を訴える労働者、学生、市民ら約1000人が集まり、「韓国軍の派兵延長反対!」「11月APEC阻止! ブッシュ訪韓を阻止しよう!」などと訴えてデモ行進を行った。
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週刊『前進』(2217号5面2)(2005/10/11)
イラク 英軍が拘置所を襲撃 特殊部隊の作戦が失敗し
イラク南部のバスラで9月19日、イギリス軍がイラク警察に逮捕されていたイギリス軍兵士2人を救出しようとして拘置所に戦車や装甲車などで壁を突き破って侵入し、2人を奪い返すという事件が発生した。イギリス軍は抗議に集まった住民に発砲し、5人を虐殺した。住民も投石や火炎ビンなどでイギリス軍の暴虐と激しく闘いぬいた。
イギリス軍は「2人がサドル派のメハディ軍に引き渡されようとしたから奪還した」と発表したが、これはまったくのウソである。
2人はイギリス軍の特殊部隊で、19日の朝、アラブ人の服装をして一般の乗用車に乗って極秘の特殊工作を行っていた。車の中には爆発物を始めさまざまな装備が積まれていた。2人はイラク警察の付近で警察に発見され、銃撃になって2人を殺害したとして拘束された。状況からして、2人が特殊工作員として爆発物を仕掛けようとしていたことは明らかである。イギリス軍は2人が行っていた虐殺作戦の中身が暴かれるのを恐れて、即座に奪回作戦を強行したのだ。
この暴虐をどうして許せるだろうか。「大量破壊兵器の保有」をデッチあげて米帝とともに侵略戦争を強行したイギリス軍が、イラク人民の激しい民族解放・革命戦争の爆発に追いつめられ、シーア派とスンニ派の対立をあおりつつイラク人民無差別虐殺の爆破作戦を行っているのである。
この事件に対して、イラク人民の激しい怒りが爆発している。バスラでは翌20日、千人近い人びとが街頭に出て「イギリス軍は撤退しろ」と叫び声を上げた。バスラ州評議会は21日、イギリス軍と断交し、協力しないことを決めた。サマワが州都であるムサンナ州評議会も23日、イギリス軍に協力しないことを決めた。
この事件はイラク政府がなんの権限も持っていないカイライ政権であることをまざまざと突きつけた。しかもカイライ政権のジャファリ首相は21日、ロンドンでリード英国防相と会談した際、激しく抗議することもなく、事態を沈静化させることを確認したのだ。
米帝はイラク人民の解放闘争を圧殺しようと全力をあげた攻撃に出ている。米英日占領軍への怒りが高まる中で、米軍は25日未明、バグダッドのシーア派住民が居住するサドルシティーで無差別発砲を行い、シーア派住民との間で戦闘が起こった。米英軍の占領の手先となったシーア派のダワ党やイラク・イスラム革命最高評議会に対して闘う人民が武装闘争をたたきつけている。米英軍はこの戦闘の陰に隠れて、特殊部隊をも使ったイラク人民無差別虐殺の作戦を強行し、占領軍として居座り続けようとしているのだ。
憲法草案決定で怒り高まる
イギリス軍の爆破工作や米軍のサドル派への攻撃は、10月15日に迫った国民投票が実施できるかどうかもわからない状態に追い込まれる中で行われているものだ。憲法草案に対しては、スンニ派住民だけでなくサドル派が反対を表明し、さらに労働者人民も多くの女性たちも激しく反発している。18の州のうち3州で3分の2以上が反対して憲法草案が拒否され、起草のやり直しという大混乱に陥る可能性が大きいという危機的状況にある。イスラム法による支配や連邦制による石油資源略奪をイラク人民は断じて認めていない。憲法草案が示されたことでイラク人民の戦闘は沈静化するどころか、逆に怒りは広範に広がっている。
米軍はイラク人民の解放戦争を圧殺しようと、9月初めからイラク北部のシリア国境近くの町・タルアファルを包囲・攻撃し、「第2のファルージャ」とも言われる大攻撃を行った。町全体を破壊する大攻撃により、女性や子どもを始め数百人の人びとを無差別虐殺したのだ。しかしタルアファルの人民は米軍との激しい戦闘を続けている。
イギリス軍による拘置所襲撃は、米英日帝のイラク侵略戦争の不正義性をあらためて突き出した。
自衛隊派兵の延長阻止へ!
アメリカでもイギリスでも「軍隊の即時撤退」を要求する労働者人民の声が圧倒的に高まり、アメリカの9・24反戦闘争は開戦以来最大規模になった。
こうした中で小泉政権はテロ対策特措法の期限の1年間の延長を表明し、インド洋への自衛艦派兵を延長しようとしている。さらに12月に期限を迎えるイラク派兵も延長しようと狙っている。9月25日にもサマワでイギリス軍に迫撃砲弾が撃ち込まれたように、自衛隊に対する砲撃や路肩爆弾の攻撃がますます激化している。米英日によるイラク占領支配がますます泥沼化し、軍隊を撤退させる国が相次ぐ中で日帝・小泉はあくまでも自衛隊をイラクに居座らせ、実際の戦闘に投入しようとしている。
この攻撃を絶対に許してはならない。自衛隊をただちにイラクから撤退させよう。12月イラク派兵の期限延長を絶対に阻止しよう。そのためにも11・6労働者総決起集会の1万人結集をなんとしても実現しよう。
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週刊『前進』(2217号5面3)(2005/10/11)
AMFA(航空整備士組合)闘争に支援広がる 破産攻撃はね返してスト継続
米ノースウエスト航空のAMFA(航空整備士組合)の組合員は、8月20日のストライキ突入以降、9月14日のノースウエスト社の破産法申請にもめげずストライキを継続している。
AMFAの闘いはアメリカだけでなく全世界の規制緩和、民営化と労組破壊に対する闘いを象徴する闘いになろうとしている。1981年レーガン政権下の規制緩和に対してストライキで決起したPATCO(米連邦航空管制官組合)への全員解雇と組合破壊の攻撃が、その後のアメリカ労働運動への一大攻撃の出発点になった。今や、「PATCOを繰り返すな」を合言葉に、AMFA支援の闘いが全米・全世界に広がりつつある。
ノースウエスト航空は9月14日に米連邦破産法11条(会社更正手続き)の適用をデルタ航空とともに申請し、事実上倒産した。これは10月17日に予定されている破産法改正を前に自らの有利な条件のうちに破産法の適用を受けようという悪質な不当労働行為である。
AMFAに対し破産法攻撃
これでアメリカ航空業界は上位7社中、4社が破産法適用下に入るというすさまじい事態となった。アメリカ帝国主義の危機が航空産業という基幹産業で爆発し、矛盾が労働者に転嫁され、それへの根底的反撃が始まっているのだ。ノースウエスト、デルタの両社は、裁判所の監督のもと運行を続けながら、経営再建の名のもとに徹底したリストラ・首切りと労組破壊攻撃を行おうとしている。
9月8日の団交においてノースウエスト社は、破産申請不可避という圧力を背景に、「8月18日に提示した条件はもはや存在しない」と、より過酷な条件を提示してきた。
それは、@4795人の組合員中、1080人の整備士を残して残り全員をレイオフする、A9月13日までに組合がこの提案をのまないならば、スト破りと恒久的な入れ替えを実施する、というものだ。
これは、それまでの会社提案「2750人を残し残りをレイオフ」などと比べても悪らつで過酷なものだ。4年前にノースウエストのAMFA組合員が9795人もいたことからすれば、組合員数を実に10分の1にまで削減して、安全を破壊するだけでなく、労組の破壊・一掃をもくろむ大攻撃だ。
だが、このような破産法恫喝を背景にした交渉条件の一層の切り下げに対して、AMFAはランク・アンド・ファイルの徹底した討論を基礎に、断固この提案を跳ね返し、現在もストライキを継続している。組合は、ほぼ毎日、闘争ニュースを発行し団結を固めて闘い抜いている。約4400人のスト参加者中、30人しか脱落者を出していない。いかに現場の怒りがすさまじいかが分かる。
だが、アメリカのナショナルセンターであるAFL−CIO(労働総同盟・産別会議)のスウィーニー会長は、「独りよがりの行動だ。AMFAの労働者は勝手にストライキに入った。スト資金もなく、健康保険の適用もなくなっている。悲惨な状態だ」などと非難の言葉を投げかけ、傘下のIAM(機械工労組)などにピケを越えることを指示した。一方、AFL−CIOから分裂したCTW(勝利のための変革連合)も、AMFA支援を行わないことでその反動的本質を自己暴露している。
全米・全世界に広がる支援
このようにアメリカ労働運動の大部分の指導部が支援を放棄する中で、現場の労働者の感動的な決起が起こっている。スト破りの新人整備士による整備の手抜きから発生する安全への危機感や、破産法攻撃によるリストラへの怒りから、客室乗務員のペギー・ルビンスキーさんのように「ピケを越えない」労働者が次々に生まれている。
さらに、8月18日にはILWU(国際港湾倉庫労働組合)ローカル10が主催する支援連帯集会が開催された。ILWU本部のスピノザ委員長もAMFA支援のメッセージを発表した。
9月5日のレイバー・デー(アメリカのメーデーに相当)には、サンフランシスコ国際空港で数百人が参加してAMFA支援集会が行われた。これらの集会にはスト破りを強制されているIAMの一般組合員も支援に駆けつけた。
9月1日にはボーイング社のIAMの組合員が投票の結果、ストライキを86%の賛成で承認し、2日からストライキに突入した。
9月12日にはサンフランシスコ労組評議会がAMFA支援決議をあげた。その中で「外注化と規制緩和により、航空労働者は不断の賃下げと労働条件悪化に直面している」「この労組に対する破壊攻撃は、レーガン政権下のPATCO破壊と同様の攻撃だ」と指摘し支援を呼びかけている。
さらに、動労千葉と韓国の民主労総ソウル地域本部もAMFA支援の決議をあげた。9月19日には三里塚緊急闘争のデモでAMFA支援のプラカードが掲げられた。ノースウエストのドル箱路線が太平洋航路であることから、成田空港に対するデモでこのプラカードが掲げられたことは決定的意味を持っている。
9・24イラク反戦闘争はアメリカ・ワシントンDC30万人を始め、全米各都市で巨大な盛り上がりを示した。まさに、戦争と民営化に対する全米の労働者の怒りの決起が大爆発を開始している。11・6労働者集会を、戦争と規制緩和、民営化(労組破壊)と対決する全世界の労働者が一堂に会する集会として大成功をかちとろう。
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週刊『前進』(2217号5面4)(2005/10/11)
民営化で災害対策が崩壊
ハリケーン大災害こそは「小泉改革」の明日の姿だ
アメリカ南部を襲ったハリケーン「カトリーナ」は、民営化が労働者人民に何をもたらすかを衝撃的に突きつけた。特にルイジアナ州ニューオーリンズの運河の堤防が決壊し市内が洪水になったことによって、犠牲者が一挙に増大した。犠牲者は公式発表で千人を超えているが、行方がわからない人も含めて数千人に上ると見られる。その中には、拘置所に収容されて閉じこめられたまま看守が逃げ出し、消息不明の500人以上の人も含まれる。
ニューオーリンズのミシシッピ川や運河の堤防は連邦緊急事態管理庁(FEMA)の管轄であり、直接は陸軍工兵隊が管理している。他方、市南部の一部の運河では石油産業や漁業などの資本が堤防を所有し、管理責任も所有者が負っている。そうした部分では堤防は継ぎはぎの脆弱(ぜいじゃく)なまま放置されてきた。
しかし、今回決壊した堤防は私有化された部分ではなく、FEMAの管轄下にあった。ではなぜ決壊したのか。そこにはFEMAの民営化という問題がある。
米帝ブッシュは、01年の政権掌握以来、「小さな政府」を掲げた民営化政策によりFEMAも民営化しようとした。そして02年にFEMAは国土安全保障庁の下部機関に格下げされ、大統領に報告を直接提出する権限を失った。組織も縮小され、実際上の任務を担当する下部機関は民間企業に外部委託された。FEMAの重要ポストはブッシュ人脈の政治的に選ばれた不適任な人間が充てられ、自然災害への対応の経験を積んだ人たちは民間企業や大学などに転出した。
FEMAの組織が破壊的に弱体化されただけでなく、災害対策予算も大きく削られた。01年以降、堤防強化のために4億9600万jの予算が必要とされていたにもかかわらず、ブッシュ政権は1億4000万jに削減した。02年には陸軍工兵隊の予算が大幅に削減されたことに抗議して責任者が辞任した。ルイジアナ州は災害対策のために05年度に180億jが必要だと請求したが、連邦政府の予算補助はまったく認められなかった。06年度には災害対策予算をさらに20%削減しようとしていた。
災害対策予算は、イラク戦争の戦費のために削減された。イラク戦費は毎月40億j以上が使われており、開戦以来すでに3000億j以上が支出されている。
この結果としてFEMAのハリケーンへの対応は犯罪的に立ち遅れた。被災後5日間もなんの救助も行われなかったのだ。ニューオーリンズの住民が指示されたスーパードームや大会議場に避難した時、そこには水も食料も医薬品も一切備蓄されていなかった。実際に人びとを救助したのは、そこにいた労働者であり住民であった。水や食料を調達したら乳飲み子や高齢者を優先しながら分配するなど互いに助け合った。
一方、ブッシュ政権が災害救助よりも治安対策を最優先したことが救助を遅らせ、犠牲を拡大した。生存者たちがテレビカメラの前で必死に救助を求めたにもかかわらず、政府は5日間も放置し、その間に高齢者を始めとして被災者が次々と命を落としていった。
なんの救助も得られない被災者が水や食料を探そうとすると、「略奪」だとして銃撃された。スーパーマーケットや大企業のビル、ホテルチェーンなど資本の建物には、イラク戦争で悪名をはせた「ブラックウオーター」など傭兵(ようへい)会社の私兵が災害発生と同時に配備された。生鮮食料はいたずらに腐っていった。そして、軍隊の準備が整って最初にやったことは、市内の大会議場などを制圧する「反乱鎮圧作戦」だった。ブッシュ政権は被災者を「敵」として対応したのである。
さらに堤防の決壊については、最初に産業用運河が決壊した後、高級住宅街への洪水を恐れて17番通り運河の貧困層が住む側を意図的に破壊したという疑惑さえ持ち上がっている。
小泉の民営化政策で訪れる社会がこれなのだ。郵政民営化を絶対阻止しよう。
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週刊『前進』(2217号6面1)(2005/10/11)
第65回定期大会 全学連、新世代の執行部を選出
小泉打倒の1年間決戦宣言
有朋寮闘争勝利の地平踏まえ
全学連執行部
委員長 織田陽介(東北大・理)
副委員長 内海祐一(法政大・U文)
同 原田幸一郎(京都大・法)
同 中島敦史(広島大・総合科学)
書記長 新宅公志(京都大・経済)
全学連第65回定期全国大会が9月23〜25日、東京都内で行われた。全学連は小泉打倒の1年間決戦を宣言し、小泉政権と真っ向から対決し打倒する新執行部を選出した。新執行部は2日目の議事から、白熱した討論を牽引(けんいん)し、小泉への怒りを燃え立たせるアジテーションを行った。東北大・有朋寮闘争の勝利の地平が決定的な役割を果たした。全学連は大会終了後、直ちに11・6労働者総決起集会への学生1千人決起を実現するために全国のキャンパスに向かった。
「仮処分停止」の決定 実力で寮を守った
全学連大会は、05〜07年の歴史的大決戦を、階級的労働運動と連帯して大爆発へと導く新たな全学連運動の出発点をかちとった。
大会は、まず第一に、9・21強制執行停止決定という有朋寮決戦の第1ラウンドにおける完全勝利の地平の上にかちとられた。有朋寮決戦の勝利の教訓を徹底的に踏まえて全学連の決戦方針が形成された。
大会冒頭、ものすごい拍手の中、有朋寮生の7人が登壇した。有朋寮委員長の織田陽介君が代表し、有朋寮闘争の勝利を報告した。
織田君は「9月21日、仙台地裁は『仮執行停止決定』を出した。これは有朋寮闘争の第1ラウンドでの胸のすくような勝利だ」と高らかに宣言した。
そして、「9月1日の寮生たたき出しの不当判決が出された。僕らは『こんな判決に従えるか』『正義は行動によって実現される』と、ただちに実力居住の闘いに入った。この決意の前に大学当局はたじろぎ、9月21日には反動判決を下した裁判長自身が『仮執行停止』の決定を出した」と胸を張った。
織田君は今回の勝利がなぜかちとれたのかを提起した。「第一に、何よりも流血・逮捕を辞さない寮生の決意がかちとった勝利だ。第二に、小泉の民営化攻撃=大学改革攻撃を徹底的に批判し、小泉に怒りを燃やす労働者民衆と結合してかちとった勝利だ。僕たちは街頭に出て、小泉改革は絶対に許せないと訴えた。多くの人びとが僕らの訴えに感動し、こたえてくれた。第三に、暴力的廃寮と無期停学処分によって大学改革を進めようとする東北大・吉本執行部を徹底的に追いつめたことでかちとった勝利だ」
最後に、織田君は「控訴審闘争に勝利し、東北大・吉本執行部を打倒して、廃寮決定・無期停学処分の撤回をかちとっていきたい」と締めくくった。
決戦に挑むリーダー織田委員長で勝負
大会は第二に、05年〜07年決戦を切り開く全学連の新執行部を選出した。ここに全国300万学生の総決起をかちとっていく新世代のリーダーが登場したのだ。
大会2日目の議事の冒頭、全学連新中央執行委員会選挙が行われ、小泉を打倒する闘う新執行部が選出された(新役員は別掲)。新執行部を代表し、織田委員長、新宅公志書記長(京都大)、中島敦史副委員長(広島大)が新任のあいさつを行った。
織田新委員長は「小泉への怒りから委員長に立候補した」と思いを語った(要旨別掲)。
新宅新書記長は「権力・右翼をぶった切って、労働者が決起する情勢を開きたい。8・15靖国闘争での6人の決起に、靖国に抗議に来ていたアジア人民が日本にも本物の左翼がいると涙した。史上最強の全学連をつくる。この革命情勢に人生かけて闘う」と決意を明らかにした。
さらに中島副委員長が「小泉政権を打倒するための新執行部ができた。小泉に対し、腹の底からの怒りをもって闘う。社会の底辺を支える民衆が社会の表舞台に立てるよう頑張る」と決意を述べた。
大山尚行委員長が退任のあいさつを行った。「われわれは、日本帝国主義の打倒に向かって、国家権力と真っ向から闘い、“闘う全学連”の旗を守り抜いてきた。日共・民青やカクマルが『全学連』などと名乗っていることをもはや許しておくことはできない。織田新体制のもと全国学生運動の革命的統一へばく進しよう」
11・6労働者集会へ学生1千人決起を
大会は第三に、3日間の白熱した討論を踏まえて、全学連はこの1年間決戦で小泉の戦争と民営化=労組破壊の攻撃に階級的怒りをたたきつけ、その国家主義を打ち砕き、小泉を打倒する闘いに猛然と決起することを宣言した。
大会一日目。大山全学連委員長が大会議案を提起した。冒頭、「小泉政権打倒の1年間決戦への突入」を宣言し、小泉「圧勝」情勢と11・6労働者集会への全国学生1千人決起の核心を以下のように提起した。
「9・11総選挙での小泉・自民党の圧勝、すでに開始されている大反動攻撃のラッシュに激しい危機感と怒りを爆発させることが一切の核心だ。小泉は、この1年間で、郵政民営化の強行を突破口に、自衛隊のイラク派兵の継続、改憲国民投票法案、公務員労働者の大量首切りなど、戦争と民営化・労働組合破壊の大攻撃を一気に激化させてきている。そして労働者階級の階級性を解体し団結を破壊する大攻撃として、『つくる会』教科書や靖国参拝による国家主義・ナショナリズムの扇動が吹き荒れている。だが重要なことは、9・11総選挙によって、大衆が一気に政治化し、活性化していることだ。そもそも小泉がファシスト的な攻撃に出てきているのは、日帝ブルジョアジーが解決不可能の体制的危機に追いつめられているからだ。小泉は労働者階級の激しい怒りと現状打破の要求に追いつめられているのだ」
「他方では、動労千葉の安全運転行動、『日の丸・君が代』強制拒否の教育労働者の決起、杉並から始まった『つくる会』教科書採択阻止の大衆運動、8月自治労大会での自治体労働者の決起など、小泉打倒の闘う結集軸がかちとられてきている。何より有朋寮決戦の勝利が、小泉の大反動と一歩も引かずに対決し、ストレートに怒りをたたきつけて闘うならば、必ず大衆はわれわれとともに小泉打倒に決起することを鮮烈に示した。このような闘いをこの秋、全国大学キャンパスで実現し、11・6労働者集会への全国学生1千人決起をかちとろう。核心は、キャンパスの学生全員の主体的決起であり、それを引き出す小泉に対する怒りのアジテーションであり、労働者階級の現実の具体的階級的暴露を徹底的にキャンパスに持ち込んでいくことである。ここにいる全員がビラをつくり、キャンパスで、サークルで、寮で、小泉打倒を真っ向から訴えて、11・6への総決起をつくりだそう」
1日目は、この後、各大学からの大学報告が行われた。
全キャンパス動かす怒りの扇動やろう
2日目からの討論は新執行部のもとで行われた。
まず原田幸一郎副委員長が前夜のブロック討論のまとめと今後の討論の方向性を提起した。
原田副委員長は、「ブロック討論で、@小泉の攻撃にわれわれ自身が激しい怒りと危機感をもって闘うこと、A小泉の攻撃の背景には帝国主義の根底的危機があること、Bわれわれが小泉打倒へのみなぎる確信をもって闘えば勝利できることが有朋寮闘争の教訓として明らかにされた」とした。またイラク侵略戦争の泥沼から世界戦争に突き進まざるをえない帝国主義の危機の深さを具体的に暴き、「労働者は生きるために必ず小泉打倒に決起する。その結集軸となるのが11・6だ。これからの討論を小泉打倒の決起集会としてかちとっていこう」と呼びかけた。
首都圏の学生が、今秋イラク反戦闘争の重要性を提起した。「第3次小泉政権は11月インド洋派兵継続と12月イラク派兵延長を強行しようとしている。今回のイラク派兵はこれまでとはまったく質の違う、日帝によるイラク人民虐殺への踏み込みとなる。11・6労働者集会でイラク反戦・自衛隊撤退闘争の新段階を切り開こう」
富山大学の学生は、「米軍再編は、日米帝国主義が日米枢軸をもって世界戦争へと踏み切っていく攻撃だ。それは沖縄基地の再編・強化=沖縄に対する日帝の差別支配によって成り立つ。戦争によってしか延命できない国家は打倒すべきだ」と訴えた。
井上亮前副委員長は八木秀次の「国民の思想」を批判し尽くした。八木の「縦軸の哲学」なるものが、戦後的な価値観、平和と民主主義の弱点を突いて国家主義・帝国主義ナショナリズムを押し出すものになっていることを指摘し、帝国主義を打倒する労働者階級の立場で批判し尽くすことが重要だと述べた。また「イデオロギーのレベルで批判するだけではなく、国際連帯と労働者の団結で日本帝国主義を打倒する労働者階級の新潮流を登場させることで実践的に粉砕しなければならない」と喝破した。
午後は、「大学闘争」と「社会科学」の二つのテーマで分科会が行われた。
大学闘争分科会では、有朋寮闘争の教訓が提起された。「全国の大学で襲いかかっている大学改革攻撃に対し、これが小泉構造改革との対決であると不退転の決意を固めて闘えば勝てる」。参加者は、大学改革攻撃を粉砕する中で、11・6への学生の1千人決起をつくり出すことは可能だという確信をつかんだ。
社会科学の分科会では、マルクス主義の学習は11・6への学生1千人結集を実現する実践的取り組みとして行われなくてはならないことがまず確認された。今日の社会が階級社会であること、資本主義的生産関係の土台を変革しない「改革」などインチキであることが討論の中で明らかになった。マルクス自身の闘いがそうであったように、労働者階級の決起を確信し、労働者階級の闘いをともに進めていくことがマルクス主義の核心であることが鮮明になった。
白熱した討論で階級的批判磨く
大会3日目、新宅書記長が、「小泉改革の階級的性格をはっきりさせて、学生の主体的決起をかちとれるアジテーションへと練り上げよう」と大会最終日の討論の方向性を提起し、活発な討論が行われた。
内海佑一副委員長(法政大)が「法政大は11・6に100人の隊列で結集する決意だ。小泉打倒を訴えたわれわれのビラは、どんどん学生に読まれ、いたるところで政治討論が始まっている。サークル棟建設をめぐる2度の当局追及行動に200人の学生が決起している。法政大決戦に勝ち抜くためにも、闘う労働運動との連帯と11・6への総決起が必要だ」と、11・6への熱烈な決意を語った。
東北大学の学生は「帝国主義の命脈が尽き、ブルジョアジーがプロレタリア革命におびえ続けた20世紀」を総括しながら、「小泉の必死さは、このままではプロレタリアートに打倒されるという恐怖から来ている。小泉改革に対して革命を対置することだ」と明快に論断した。
九州大の学生は、「03年3月のイラク侵略戦争開戦時をはるかにこえる反戦闘争の爆発へ猛然と決起することが必要だ。自衛隊の即時撤退、イラク派兵延長阻止は小泉打倒の決定的な環だ。九大は10月熊本からの第8次派兵阻止を先頭で闘い、11・6東京へ大挙攻め上りたい」と訴えた。
中島副委員長(広島大)は、小泉の靖国参拝との闘いを訴えた。「靖国の思想はそれだけでは人民を獲得できない。暴力で貫徹してくることに核心がある。僕は8・15靖国神社で、右翼と激突し頭から血を流しながら弾劾のシュプレヒコールをやめなかった。11・6で俺たちには革命ができるんだという確信で、愛国主義・国家主義思想を打ち砕こう」と力説した。
関西の女子学生は「実際にキャンパスでアジテーションをやっていて、私たちの訴えに振り返る学生が増えている。小泉『支持』と思っている学生も振り向くような怒りのアジで、11・6への1千人結集をかちとりたい」と訴えた。
さらに高校生が発言に立ち「高校生も負けてはいられない。11・6には3けたの高校生動員をめざす」と熱烈に決意を語った。
最後に、織田委員長が討論のまとめを行い、プロレタリア革命への情熱を込めてインターナショナルを斉唱した。
革命的共産主義者同盟の木崎冴子同志が大会初日、歴史的な全学連大会にふさわしい特別アピールを行った(要旨別掲)。また多くの来賓からのあいさつ、メッセージが寄せられ、全学連への熱い期待が語られた。東京反戦共同行動委員会代表の三角忠さん、北富士忍草母の会の天野美恵事務局長、部落解放同盟全国連合会狭山支部、三里塚芝山連合空港反対同盟の北原鉱治事務局長、動労千葉の後藤執行委員が来場し、アピールを行った。
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週刊『前進』(2217号6面2)(2005/10/11)
革命めざす学生運動を 織田陽介新委員長あいさつ
僕が委員長に立候補した理由は、小泉を絶対に許せないという怒りからです。民営化が労働者階級に引き起こしている現実を、僕は絶対に認めることはできません。もうひとつの理由は、この社会を変えたいという思いからです。労働者階級が世の中を変革する主体として登場しています。学生が労働者とともに革命をやらなくてはならないと思います。
第一に確認したいことは、われわれが労働者民衆の大流動、大激動の中に今生きているんだということをはっきりつかもうということです。有朋寮の勝利はこの流動情勢の中で小泉打倒を真っ正面から訴えることでかちとられたのです。この流動情勢が全国のキャンパスに、街頭に、あらゆるところにあるんだということ、そして何よりも11・6労働者集会がその結集軸として呼びかけられていることに圧倒的な展望があるということです。
第二に、小泉に対する怒りを腹の底からぶちまけたアジテーションをキャンパスでやろうじゃないかということです。時代観をはっきりさせたアジテーションで小泉と真っ向勝負していこう。
第三に、小泉改革の「中心軸」にある国家主義について、具体的な一つひとつの暴露を階級的に行おうということ。そして11・6を国際主義に満ち満ちた魅力あふれる集会として提起して国家主義をぶち破っていこうということです。
もう一つ重要だと思ったのは、学生を集会に連れて行くというのではないんだ、みんなで行こうという学生の主体性が重要だという議論です。置きビラではなく、一人ひとりに手渡ししようとか、クラスでのアジテーションを本気でやっていこうとか。われわれが本当に革命をやろうとしているのか、学生は見ているということですよね。
われわれは300万学生を総決起させる第一歩として1千人の学生の11・6への決起を何としてもつくり出そうじゃないか。新執行部はその責任を引き受けます。何よりも私が最先頭で闘っていきます。
私から11・6に向けたアピールを行っていきたいと思います。みなさん、僕が訴えたいことは、今学生が革命に立ち上がろうということです。
今回の9月11日の総選挙で小泉圧勝というとんでもないことが起こっています。衆議院の3分の2の与党でどんな法案も全部通っちゃうという状況がつくり出されました。小泉はこの1年で、郵政民営化を突破口として、大型増税から、最後は憲法9条の改悪、戦争までやろうとしている。こんなことを黙って見ていられるのか。
民営化が何をもたらすかをはっきりと示したのは、JRの尼崎事故です。資本家が金もうけしていくためには、労働者が奴隷のように働かされて、死んでもいいとやつらは思っているのです。何よりブッシュと小泉が戦争を始めています。戦争でどれだけ労働者を殺そうがかまわないと思っているわけです。こんな社会は腐りきっている。資本主義はもう破産しています。
1917年にロシアでプロレタリア革命が起きました。今階級社会の中で、最底辺で必死で働いている労働者が革命を起こして権力をとって社会を運営していったんです。こんな社会は僕たちの力でひっくり返していかなくてはいけないし、それはできるんだということを訴えたい。
11月6日、動労千葉を中心として労働者階級の国際連帯をかけた集会を1万人の結集で実現しようと呼びかけられています。アメリカからも、韓国からも闘う労働者がやってくる。これが戦争をとめる道だし、革命の道だ。今この時代に生きているわれわれ学生が、この集会に行かなくてどうするんだということじゃないでしょうか。今こそ革命をやって小泉をぶっ倒して人間らしく生きていくんだということを宣言しようじゃないか。この3日間でかちとった決意と内容をもって300万学生に体当たりしていこうじゃないか。私たち新執行部はその最先頭で闘っていきたいと思います。ともに闘いましょう。
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週刊『前進』(2217号6面3)(2005/10/11)
マルクス主義の復興へ 革共同の特別アピール 木崎冴子
この間、小泉反革命の嵐が吹き荒れる中で、二つの重要な勝利がかちとられています。動労千葉の安全運転行動と有朋寮決戦です。
これらの闘いは何を示したか。階級的正義と原則と団結力をもって闘えば、敵は破産をさらけだすということ、戦争と民営化攻撃に対する反撃の火の手が上がれば、津波のような共感と決起が起こるということです。革共同は有朋寮の同志たちの決起に心からの快哉を表明するものです。ついに全学連が300万学生を突き動かす時代が来た。そういう資質を全学連が有朋寮決戦で獲得したと思っています。
革命的共産主義運動の金字塔といわれる70年闘争で、革共同は権力や反革命との死闘戦を闘い抜き、スターリン主義やカクマルに対しイデオロギー的にも実体的にも基本的に決着を着けました。今やスターリン主義や黒田カクマルのイデオロギーは「つくる会」イデオロギーと相互浸透し融合するまでに破産しきっています。
思想が本物であるか否かは、究極的には血の河を渡ってのみ継承されるというのが唯物論の核心です。全学連運動がこうした歴史を変えずにきたことに誇りをもって、今こそ21世紀の大躍進を闘いとってほしいと考えています。
その場合、核心問題はどこにあるのか。私は結局、「つくる会」イデオロギーを焼き滅ぼすマルクス主義の復権・復興をかちとることだと思っています。
革共同は01年の6回大会で20世紀を積極的に総括し21世紀のプロレタリア世界革命、日本革命の道筋を提起しました。20世紀の総括の核心は、1917年ロシア革命を突破口に帝国主義を打倒するプロレタリア世界革命の時代が本格的に始まったということです。20世紀をとおして帝国主義を打倒する革命のうねりは連綿と続いてきました。「つくる会」はこの20世紀を絶対に総括できません。
マルクス主義は死んだのか。断じてそうではないです。革共同はマルクス主義復権の画期的な地平を切り開いています。革共同は6回大会において、黒田哲学を最後的に打倒すると同時に、マルクス主義のトータルな再確立を成し遂げてきました。
こうした地平を継承し、マルクス主義復興の大運動を展開することこそ、21世紀の学生運動を歴史上空前の大躍進に導くことに不動の確信をもって突き進んでいってほしいと思います。
70年闘争は労学共闘をもって金字塔を打ち立てました。21世紀の金字塔は11・6から始まる。主催者の気概をもって、1千人の学生を結集させてください。
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週刊『前進』(2217号6面4)(2005/10/11)
9月21日〜27日
普天間移設で審議官級協議
衆院に憲法調査特別委設置
●特別国会が召集 第163特別国会が召集された。衆参両院本会議の首相指名選挙で小泉首相が第89代首相に選ばれ、全17閣僚を再任して第3次小泉内閣が発足した。(21日)
●米空軍大尉、飛行前に飲酒 嘉手納基地の軍法会議は、飛行前12時間以内に飲酒したなどとして、ネブラスカ州オファット空軍基地所属の大尉に禁固4年と除隊を言い渡した。同大尉はRC135U電子偵察機のパイロットで飲酒して嘉手納基地を飛び立っていた。女性兵士に対する傷害と窃盗の罪も認定された。(21日)
●在日米軍再編、調整加速を指示 小泉首相は、首相官邸で細田官房長官や町村外相、大野防衛庁長官と会い、在日米軍の再編問題の調整を加速するよう指示した。(22日)
●憲法特別委、衆院に設置 憲法改正手続きを定める国民投票法案を審議するための憲法調査特別委員会の設置が衆院本会議で自民、公明、民主党などの賛成多数で決まった。(22日)
●米、シュワブ案を拒否 米国防総省は、普天間飛行場の移設問題で、日本の防衛庁が示した米軍キャンプ・シュワブ(沖縄県名護市など)の陸上部分に代替施設を建設する「シュワブ陸上案」について、すでに日本政府に「拒否する」と伝えたことを明らかにし、名護市辺野古の浅瀬を埋め立てる案が「最善の選択と考えている」として、日本政府に同案を真剣に検討するよう求めた。(22日)
●普天間爆音訴訟、住民側の控訴棄却 米軍普天間飛行場の騒音被害を訴え、基地の使用権限を持つ当時のリチャード・ルーキング司令官に損害賠償を求めていた普天間爆音訴訟の控訴審判決で、福岡高裁那覇支部の窪田裁判長は、「公務中の米軍人個人は賠償責任を負わない」とした1審の判決を支持し、住民側の控訴を棄却した。(22日)
●脱出の英兵2人に逮捕状 19日にイラク南部バスラで拘束されていた英兵2人の奪還のため英軍が警察署内に突入した事件で、バスラの裁判所の予審判事が脱出した英兵2人に殺人罪で逮捕状を出した。(23日)
●ワシントンなどで反戦デモ イラクに駐留する米軍の撤退などを訴えて米国のワシントンやサンフランシスコでデモ行進が行われ、ワシントンで30万人、サンフランシスコでも5万人以上が参加した。26日にホワイトハウス前で座り込んだ戦死兵の母、シンディー・シーハンさんらが逮捕された。(24日)
●海自潜水隊で薬物横行 海上自衛隊第2潜水隊群(横須賀基地)を中心とする潜水艦隊の乗組員に大麻や合成麻薬MDMAなどの薬物が広まっていることが分かった。7月以降、大麻取締法違反などの容疑で6人が逮捕され、5人が起訴された。(24日)
●小泉が所信表明演説 小泉首相が衆参両院本会議で所信表明演説を行った。総選挙での自民党圧勝を受け、「総選挙の結果、国民は『正論』との審判を下した」と、特別国会での郵政民営化法案の成立に向け決意を表明。テロ対策特別措置法の期限延長などの所信を明らかにした。米軍再編への言及はなく、イラク派兵については、国際情勢を踏まえ、現地の状況を見極めた上で判断するという。(26日)
●名護市長、海上案以外認めず 普天間飛行場の辺野古移設問題で、名護市の岸本市長は「日本政府が(現行案と縮小案の)両案が執行できないという判断があれば、県外移設してもらうしかない」と述べ、海上案以外は容認しない立場をあらためて示した。(26日)
●普天間移設で審議官級協議始まる 在日米軍再編をめぐる日米両政府の審議官級による非公式協議がワシントンで始まった。米軍普天間飛行場の移設問題に関する意見調整が最大の目的。(26日)
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週刊『前進』(2217号7面1)(2005/10/11)
ルポ 三里塚を現地調査 場当たり継ぎはぎの北延伸
敷地はみ出す「新誘導路」
9・19三里塚現地闘争(前号既報)の後、三里塚芝山連合空港反対同盟と全学連現地闘争本部の案内で暫定滑走路の北延伸計画に関する現地調査が行われた。@新誘導路計画で一角が破壊される東峰の森、A暫定滑走路北側の一般廃棄物最終処分場、B東峰墓地、C市東孝雄さん宅の監視台、D廃村化攻撃と闘う鈴木幸司さん宅などを訪問した。暫定滑走路の北延伸攻撃と闘う現地の様子をルポする。
●東峰敷地はみ出し誘導路新設計画
北延伸しても、現在の誘導路ではジャンボ機が通れないため、ジャンボ機を通すために新たに出てきた計画だ。コースは、第2ターミナルの南側から横堀のC滑走路予定地に出て、反対同盟が集会場として使う萩原事務局次長の畑の南側にある県有林(通称「東峰の森」)に入り、東峰の生活道路を横切って暫定滑走路の南側に入るというもの。第2ターミナルから滑走路南端まで約3`、北側から離陸する場合は5`以上となる計算だ。飛行直下の横断で大惨事の危険もある。
萩原さんの畑の東側には北原鉱治事務局長らが持つ一坪共有地があり、畑との間はわずか90数b。誘導路は、萩原さんの畑にさえぎられて空港敷地からはみ出し、一坪共有地の間をすり抜けて曲がる構造になる。しかも実際には狭すぎてジャンボ機を通す誘導路としては基準を大幅に下回る。現地を案内した萩原さんは「間隔は非常に狭い。しかも、畑に行く農道が誘導路で寸断される。ずさんな計画であることは歴然」と語った。
しかも、この「東峰の森」は、もともと空港公団(現成田空港会社)が東峰地区の懐柔策として、防風林、防音林、景観保護の趣旨で残すことを申し入れた経過がある。その森を今度は破壊して誘導路を造ると言うのだ。この経過からしても東峰住民の同意なしには、この誘導路は建設できないのである。
この森は、開拓が始まった50年前から山菜やきのこ採り、まきや床土をとるなど入会的に使われてきた。誘導路が仮に完成すると、東峰地区は、西は第2ターミナル、東は新誘導路、北は暫定滑走路、南はB滑走路の一部という形で、四方を空港に取り囲まれる。
萩原さんは「東峰の森は開拓以来、部落の入会林だ。営農になくてはならない大切な森で、部落は一致して計画を拒否した」と説明、「狙いは東峰部落の営農と闘いをつぶして、南に滑走路を延ばすことです。北延伸はそのための圧力手段」と語気鋭く弾劾した。
北端には廃棄物処分場
●成田クリーンセンター
暫定滑走路の北側にある一般廃棄物処分場(成田クリーンセンター)は、一般廃棄物の最終処分場で、広さ約4万2千平方bの焼却灰や不燃物の埋立地だ。暫定滑走路の北端から約400bの位置にあり、計画通りに北延伸すれば滑走路北端から数十bになる。
もともと、現在の暫定滑走路においても、このクリーンセンターがあるために、滑走路北側にある進入灯900b分のうち400b分が設置できずに暫定滑走路の中に埋め込まれている。その結果、北側からの着陸の時には実質1780bしか使えない。
北延伸のためには用地として絶対に必要となる。その場合は、現在は深い谷になっている部分を埋め立てて平らにする必要がある。空港会社は成田市に空港用地への転用を打診したが、環境汚染が問題になる処分場は、廃棄物処理法などの法律で転用が禁止されている。これを強引に保安用地に転用するためには、埋立物をすべて撤去しなければならない。その量は約10万立方b、ダンプ1万数千台をはるかに超える。しかも撤去物の高温溶解が必要という。空港会社と成田市は脱法を策しているが許してはならない。
●東峰墓地
本来の2500b滑走路の誘導路部分に位置し、誘導路を阻んでいる。小泉よねさん、萩原作治さんら東峰地区5軒6人がこの墓地に眠っている。
●市東孝雄さん宅の監視台
市東さん宅の畑にある監視台からは暫定滑走路の欠陥性が一望できる。監視台の目の前の誘導路は航空機の接触事故やオーバーラン事故など事故多発地帯。市東さんの営農が危険な事故と隣り合わせであることが分かる。「へ」の字の誘導路も確認できる。
監視台は、02年11月にジェットブラストの調査のために設置されたもの。監視台の周りはジェットブラスト防護林として約50本の竹が植林された。北風の時の北側離陸時にもろに直撃する。暫定滑走路の離発着回数は1日平均110回だ。
●廃村化攻撃と闘う鈴木幸司さん宅
菱田地区は、1980年代の成田用水決戦の拠点だ。「菱田廃村化を許さず空港絶対反対で闘います」と書かれた巨大な看板が人目を引く(左上写真)。暫定滑走路を離着陸するジェット機が真上60bを飛ぶ。テレビの音が聞こえず、振動で家が揺れる。廃村化攻撃で菱田・中郷地区は鈴木さん宅1軒だけとなっている。「いったんお金に負けると、次々利権に手を出していく。なぜみんな同じ過ちをくり返すのか。警察やガードマンの嫌がらせもありますが、みなさんのご支援で頑張っています。10・9全国集会でもう一度会いましょう」と鈴木加代子さん。
新誘導路計画や最終処分場の移転問題、北側の東関東自動車道が保安区域(危険区域)を横断する問題、管制塔の死角問題など、暫定滑走路の北延伸計画があまりにも場当たり的で継ぎはぎだらけであることは明らかだ。それでも強行する北延伸は、政府・国交省と空港会社のいちかばちかの切り崩し攻撃だ。「ジャンボ機を飛ばして今度こそ屈服させる」というのが魂胆だ。新誘導路も脅迫のための軒先工事だ。10・9三里塚現地集会に全国から集まり、北延伸阻止へ闘おう。
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週刊『前進』(2217号7面2)(2005/10/11)
10・9現地大集会に結集を
反戦の砦=三里塚は訴える(下)
小泉のテロ許さない 反対同盟事務局次長 萩原進さん
北延伸も2度目だ。今の暫定滑走路だって2500bのうち800bを北にずらして造った。空港建設の本来計画から言えばすでに体(てい)をなしていない。本音は、現闘本部や市東さんの畑、一坪用地を取り除いてまっすぐな誘導路と安全地帯の面積を確保したいんだろうけれど、反対同盟の闘いの前に一切手をつけられない状況にある。
この北延伸攻撃は結論的に言えば、三里塚闘争の炎を消したいと、三里塚闘争を抱え込んだまま政局を乗り切っていくことはできないということだ。そこには利益優先、地域住民無視、乗客や航空機の安全無視が貫かれている。必ず大惨事が起こると、われわれは警告する。
この北延伸に伴って東側迂回誘導路と称するものが東峰部落に提示されたが、ますます泥沼に入っていくことになる。
本質的には三里塚なら何をやってもいいというやり方だ。軒先工事までやるぞと脅し、土地収用法をかけるぞ、かけるぞと脅した代執行と同じだ。暫定空港で飛行機を飛ばした時、「これは空爆だ」と言ったけれど、それと同じ攻撃だ。今度は狭いだろうがなんだろうがジャンボ機を飛ばすという攻防戦に入る。暫定滑走路開港の時のリターンマッチだ。
今度の選挙で小泉が郵政反対派に刺客を送った。これこそテロ、暗殺者、テロリストだ。小泉はこの4年間、戦争遂行政策を今までの総理大臣なんかと比べても飛び抜けてやってきた。有事立法から自衛隊派兵までやって、靖国、教科書、憲法改悪問題にまで踏み込んできている。「改革」の名のもとに労働運動を解体してきた。それをペテン的にごまかして、自民党をぶっ壊すためにやるんだと、そのための政治改革だと言った。それにみんな乗せられたわけで、真っ向から反戦を掲げて戦争反対を訴える政党がない。その弱さが「小泉圧勝」だと思うよ。郵政だけじゃない、年金だ税金だとか対抗的にやっても、真っ向対決を避けたところでは諸要求、条件闘争みたいになってしまう。
本来なら国会で郵政民営化法案が否決された時に小泉は辞任すべきなんだ。それを国民投票という形にもっていってのりきった。このずるがしこさ、あくどさ。小泉は残り1年、何をやるかわからない。小泉政権と真っ向から対決する三里塚闘争の真価が発揮される時代となった。
民衆は変革を求めているということ、ここをつかむことが一番大事。戦争か、革命かということだ。今回の誘導路にしたって、ここで新たに第2弾の大型機を飛ばして、地域住民を追い出して、人のいなくなった所でやりたいことをやる。こんなテロはない。国家権力のテロにゲリラでこたえて何が悪い。
三里塚においてもこれまで農民切り崩しのためにシンポジウムや円卓会議を仕掛けてきたけれど、運動をやってきたわれわれが、第3者に問題を託すこと自体が誤りなわけだ。われわれ自身が闘って闘いぬいて、その答えを出すということ。勝ってみせるということだ。「勝てる」という目に見えるものをつくり出せば状況は活性化する。
10・9全国総決起集会は新たな三里塚闘争の始まりになると思う。それには今までの枠を越える結集が必要だ。そしてもう一度、三里塚闘争を全国化させるものをつくっていきたい。今こそ全国に三里塚のように闘おうと呼びかける。
北延伸を絶対とめる 反対同盟本部役員 鈴木幸司さん
今回の北延伸計画はむちゃくちゃだ。北延伸すればそこには住めなくなる。われわれには生活の権利、生きる権利があるんだから、絶対に北延伸を止める。
この北延伸攻撃は、小泉の選挙のやり方と同じだ。信用があって自民党が大勝したわけじゃない。ただ郵政民営化、民営化とあおって、民営化に反対したら公認もしない。ワンマン小泉ににらまれたら政治家どころではない。
ちょうど俺らが経験した戦前戦中とまったく同じ、東条内閣と同じ政治だ。俺らも金鵄(きんし)勲章をもらって靖国神社に行けば最高の名誉だと思っていたわけだから、教育は恐ろしいよ。俺は戦争に動員されて、抑留。あの苦しさから天皇への怒りが出てきた。当時の「満州」、中国東北部には50万人の日本軍兵士がいた。それを「賠償代わりに使って下さい」と言ったのは天皇だってな。抑留されてから2年近く経ってからそういうことが耳に入ってきた。ひどい話だ。「つくる会」教科書を見ても、あのころと同じことをやろうとしている。
本当に三里塚で全人民、全労働者が結束しなければならない。今の政治をどういうふうに考えているのか、考え直してもらいたい。小泉のような人間に賛成していたら、労働者なんか完全に奴隷扱いだ。今度の10・9は大きなチャンスだから、本当に全人民が一致団結してかかることだ。
小選挙区制のもとで圧勝した小泉は、郵政民営化だとか教育改革だ改憲だと、とどのつまりは戦争だ。戦争になれば労働者階級がいの一番に引っ張られて、殺されてしまう。アメリカの貧富の差もすごいらしい。そういう所にハリケーンが襲ったから、貧しい人たちが犠牲になった。
はっきりしていることは、世の中を変えるのは自民党や民主党ではない。三里塚の農民が頑張るだけでもだめだ。全国の、動労千葉を始めとする労働者階級が本腰を入れて頑張らなければならない。
三里塚闘争は時の政治権力と対決して闘いぬいてきた。その中でいろんな人と出会い、多くを学ぶことができた。いい経験、いい勉強になった。日本の農業政策についても、輸入すれば安いとか、結局企業が全部もうけるような今のあり方ではだめだ。
10・9を第一歩として、軍事空港絶対反対、農地死守・実力闘争の原点に立って政治と密着した反対運動、全国全人民の反対運動を今の百倍も二百倍も大きくしよう。そうやって闘えば必ず勝つ。三里塚闘争で権力を一網打尽にしよう。
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週刊『前進』(2217号7面3)(2005/10/11)
私は無実・無罪である
迎賓館・横田爆取デッチあげ裁判被告 福嶋昌男同志の最終意見陳述(抜粋)
9月20日に東京地裁で行われた、迎賓館・横田爆取デッチあげ裁判最終弁論での福嶋昌男同志の意見陳述を紹介します。(抜粋・見出しは編集局)
証拠もない政治的弾圧
私は迎賓館・横田基地事件には一切関与していない。私は無実・無罪である。検察・警察が、私がメモを書いたとするのはデタラメである。私はメモなど書いていない。
私は、岩手借家に一切出入りをしていない。岩手借家の存在自体を知らない。
検察・警察が無実の私を1987年の10月にデッチあげ指名手配した時、全く身に覚えのない私は本当にびっくりした。そして、この理不尽な権力のデッチあげに怒りがこみ上げて来た。さらに1993年に不当逮捕されて以来、裁判所が11年と8カ月にわたって私を不当に超長期未決勾留してきたことを、徹底的に弾劾する。
そのことによって、私は社会から切り離され、家族や最愛の人とも隔離され、長期間、独房に閉じ込められて親の死に目にも会えず、厳しく、苦しい生活を強いられてきた。
特に、獄中の独房での拷問的拘禁と拘束は、私から運動することすら奪い去り、肉体面・精神面で私を苦しめ、私の健康を破壊し、病気になっても満足な治療を受けられず、保釈をかちとった今なおその苦しみは癒えることなく続いている。無実・無罪の私がなぜこのような理不尽な取り扱いを受けなければならないのか。
私は、本日の最終意見陳述において、以下の点を明らかにする。
第一、本件は証拠なきままに、強引に公訴提起が行われた政治的弾圧事件であり、デッチあげである。
今、日本帝国主義は「外への侵略戦争、内への階級戦争」へと突進している。その歴史的突破口が国鉄分割・民営化攻撃と天皇在位60年式典・東京サミットであった。
1986年5月、東京サミットにおいて、ロケット弾が中曽根、レーガンらの帝国主義者どもの頭上で炸裂(さくれつ)した。このロケット弾戦闘に驚愕(きょうがく)した中曽根は「なんとしても犯人を捕まえよ」と絶叫した。
そのため、権力は当時別件で不当に逮捕・起訴され東京拘置所に勾留中であった須賀武敏、十亀弘史、板垣宏の3同志を、1年後の1987年になって何の証拠もないまま本件の容疑で不当に逮捕・起訴し、同時に、私がかつて東大宇宙研に勤務していたことを奇貨とし、口実として不当に全国指名手配したのだ。何がなんでも犯人をデッチあげるために爆弾製造で逮捕された3人だけでは足りないと私を加えて指名手配したのだ。これが本件デッチあげの真相である。
本件は政治的弾圧である。検察官の主張は、結局、私が反戦活動家であったという思想・信条に対する弾圧であり攻撃である。
不当な長期勾留は「公平な裁判所の迅速な公開裁判」に違反するだけでなく、拷問であり、暴力的虐待である。
長期審理の原因は検察官にある。検察官は岩手借家から押収したとする多数のメモ、工具、器具等を証拠申請してきた。しかし、これらの押収物はすべて本件両事件とも私とも何の関係も関連性もないものばかりである。本件裁判が長期審理に及んだのは、検察官が、このようなガラクタを膨大に証拠申請したことによるものであり、それを認めた裁判所の訴訟指揮にあった。裁判遅延の責任は検察官と裁判官にある。
私は裁判所の職権保釈(刑訴法90条)に該当していた。私は獄中において健康を害していた。そして、2004年11月20日保釈になってから現在に至るも、獄中時と同様の健康を著しく損なわれた状態にある。
共謀立証できない論告
第二、私は本件について全く関与していないし、共謀など一切していない。従って、当然にも検察官論告は本件「共謀」を立証できなかった。
論告は「本件各公訴事実については……直接証拠は存在しないが……いわゆる岩手アジトで収集されたメモ等多数の証拠によって……本件各公訴事実を立証するという構造にある」と主張している。
しかし、検察官が立証の要としている岩手借家押収メモと称されるメモを私は書いていない。
加えて、これらのメモに本件両事件に触れたものはない。そもそもこれらのメモはいつ、どこで、誰が、どのような作成過程及び目的で書いたか全く分かっていない。事件との関連性が全くないのである。
このような不確かなメモを証拠とすることはできない。要するに本件には直接証拠がないだけでなく、間接証拠も全くない。検察官の立証構造は初めから虚構であり、破産している。
検察官は長期にわたる立証を行ったが、論告の段階に至っても「共謀」の具体的態様を明らかにできず、さらには私が93年3月に不当逮捕、起訴される以前の行動について全く特定も、証明もできなかった。本件両事件に私が関与などしていないことの、何よりの証拠である。
検察官の手口は、中核派の機関紙『前進』の記事を都合よく改作し、あたかも本件両事件に向けての何か特別な「計画」が存在したかのように装い、それを一切の前提にして、全く架空の物語を創作することでしかなかった。
検察官が、引用している1986年1月1日付『前進』の記事は、毎年年頭に発表している政治局のアピール文であり、思想的・路線的な一般方針でしかない。この記事の中のどこを探そうと検察官が主張する意味での「金属製砲弾改良の意図」などというものはかけらも存在していない。
検察官は〈立証など必要はない、『前進』を読んでいたことだけでも「犯人だ」〉と言っているのである。しかし、これほど飛躍に満ちた、あからさまな思想弾圧・治安弾圧の主張は、まさに「共謀罪」の先取りであり、他に例を見ないほど凶暴な攻撃である。
検察官はメモが岩手借家から押収されたとするが、メモなど私と一切無関係である。さらに、メモはただ岩手借家に1986年10月の岩手県警による捜査・押収時に存在したとされているだけのものでしかない。しかもメモの押収立証はされていないのである。
このような本来的にも証拠とすることができないメモの恣意(しい)的・捏造(ねつぞう)的解釈を立証の中心軸とする検察官論告は、根本的に誤っている。
メモと私は全く無関係
第三、検察官が本件の証拠だとしているメモは私の書いたものでない。筆跡鑑定はデッチあげである。
検察官は、本来証拠にならないメモをインチキな筆跡鑑定により、私の筆跡と捏造し、その上でメモの恣意的・詐欺的な解釈をもって、私を「犯人」に仕立て上げようとしてきた。
しかし、私はメモなど書いてはいない。
私が書いてもいないメモを、検察側の御用鑑定人小島直樹、馬路充英は筆跡鑑定書なるものをもって、メモは福嶋が書いたものであるなどという、実に許せない暴挙を行っている。実はこれが、ありもしない革命軍ストーリーの中に私をあてはめた検察側立証の唯一とも言える柱をなしている。弁護側がこのデマ鑑定書を書いた鑑定人への粘り強い反対尋問をもって、鑑定書の信頼性など全くないことを鮮明にしきった。
その上で、書家・石川九楊氏の異筆筆跡鑑定書や意見書及び証言等によって、小島・馬路両筆跡鑑定を根底的に批判し、メモが私の筆跡ではないことを全面的に明らかにした。
もともと筆跡鑑定の対象になっているメモが、岩手借家にあったという証明はない。また、板垣宏証言によって、検察官が証拠申請しているメモ、工具等は違法収集に基づくものであることが明らかになった。押収物に証拠価値はない。
第四、私はメモを書いていない以上、メモの記載内容と私は一切関係がない。メモ類は押収立証すらされていないものである。またメモは、いつ、誰が、どこで、どのような意図・目的で書いたかも不明である。
検察官論告の六つのデッチあげに私は何一つとして関与していない。
検察官は、論告において私が「@新炸薬『ハート』の開発への関与、A砲弾の飛距離3倍化計画の立案、B大型発射薬室の設計、CMS実験への関与、D新型砲弾の飛距離計算、E発射薬である黒色火薬7`グラムの製造」の役割分担をなしたとし「共謀共同正犯が成立する」と証拠もなく主張している。
しかし、私は検察官が根拠もなくデッチあげたこれら六つのデッチあげには何一つ関与していない。
検察官論告の主張は証拠と証明を欠いており、立証になっていない。
第五、「爆発物取締罰則(爆取)」は、天皇専制時代における天皇の命令であり、法律ではない。よって爆取による起訴はもともと憲法違反であり、無効である。従って、本件に爆取を適用することはできない。
私は1994年3月16日の第1回公判より全公判にわたってこの私は無実であることを訴え続けてきた。
最終意見陳述の終わりにあたって、感謝の気持ちを表明したい。弁護団・革共同救対は私の逮捕から今日まで、第1回公判から全公判にわたって、惜しみない弁護活動―救援をしてくれました。ここに全公判をとおして、私の無実は明らかになったのです。
無実の私の奪還に尽力し、今も私を支えてくれている弟には、公的なこの場をかりて、改めて感謝を表したい。そして、私の保釈闘争にご尽力された十万人保釈署名運動の事務局を始め、友人、知人、多くの支援者の方々の激励と支援運動、その闘いに厚く御礼を申し上げたい。
私は迎賓館・横田基地事件に一切関与していない。私は無実である。裁判官は私に無罪判決をせよ!
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週刊『前進』(2217号8面1)(2005/10/11)
区役所退勤時の署名集めにすごい反応 東京・東部 工藤江里
「この情勢、労働者が1万人ぐらい集まって対抗する力をつけないとだめだ」と、動労千葉の中野さんは言いました。「労働者の首が切られる、その一点で郵政民営化反対だ。そうしなけれは労働運動じゃない」とも。そうだ、と力を得てJR総武線の駅前で「小泉を打倒しよう!」と11・6集会への参加を呼びかけ、賛同署名を訴えています。
亀戸駅で会ったビルメンテナンスの労働者は「小泉は打倒したい」と賛同署名に応じ、「小泉打倒」とメッセージを書いてくれました。ホテル清掃で働く女性労働者も「私たちの声なんかどこにも届かない。これは私の意志表示だ」と言って賛同し「小泉打倒」と書きました。怒りはあふれています。これが1万人になったら、そこから新たな力が生まれると思います。
区役所や郵便局の前で通勤する労働者へのビラ入れもやっています。きょうは朝ビラをまいた区役所に退勤時間にまた行って、動労千葉支援の署名を集めました。「総武線の運転士が尼崎事故を繰り返すなと安全運転行動をしていて処分されました。処分撤回の署名をお願いします」と呼びかけて、1時間でビラを受け取った60人のうち11人が署名してくれました。
「動労千葉知ってるよ」「順法闘争ってなつかしいな。昔はよくやっていたね」「子どもたちがJR使っているから署名するよ」などの反応でした。
闘う動労千葉を一人でも多くの人に知ってもらいたいし、動労千葉が呼びかける11・6労働者集会にこぞって参加してほしいものです。1万人結集への夢がふくらんでいます。
「東峰の森」に行って計画の無謀さを実感 関東 高梁良介
9月19日の三里塚現地闘争のデモの後で、反対同盟と現闘本部の案内で、現地調査が行われた。これまで何度も三里塚闘争に参加しているが、いつも集会場とデモコースしか歩いていないので、自分の目で敵の攻撃がどうなっているかを見て考える、またとない機会だった。
いつもの集会が行われる東峰の萩原進さんの畑の東側に新しい誘導路を造る計画があるというので、その地点に行った。市東孝雄さんの家の側の誘導路は、現闘本部に阻まれて「へ」の字に曲がっており、北延伸してもジャンボは通れない。そこで東側に、萩原さんの畑を迂回し、しかも「東峰の森」を削り取り、北原さんの一坪共有地との間を通る誘導路を造るというのだが、一見して乱暴で無謀な計画だ。
萩原さんの説明では、この計画は、もともとの空港敷地の外側にはみ出してつくるもので、こんなことが許されたら、「事業計画」など無意味になってしまう。県有林の東峰の森は、保安林として必ず残すと公団が約束していた森なのに、都合が悪くなると破壊するというのだ。遠回りになるので、滑走路に行くまでに5`も自走しなければならないなど、まったく実用的でない。結局、この計画自体、東峰に暮らし営農する地権者を包囲し、重圧を加えて追い出すためのものだということがはっきりする。予定になかった森の破壊までして、農民圧殺に乗り出してくる国交省と空港会社に怒りがわいてきた。
その後うかがった市東さん宅の見張り台から空港内を見ると、本当にすぐ側の誘導路をジェット機が走り、操縦席のパイロットの顔が見えるほど。こんな騒音の中で生活し闘う市東さんの思いをしっかりと自分のものとし、三里塚闘争の勝利へ闘おうと決意を新たにした。三里塚は闘う人民の砦(とりで)だ。10・9三里塚に集まろう。
シーハンさん逮捕がブッシュの答えか 東京 牧 由香里
シンディー・シーハンさんが9月26日、約370人の人びととともに逮捕された。この日もブッシュは、面会を求めたシーハンさんを門前で追い払った。ホワイトハウス前は武装した警官が配置された。その後の出来事だった。
これが「息子が死んだ理由を聞かせて下さい」というシーハンさんの問いに対するブッシュの答え。わき上がる反戦の声にはもはやなりふり構わず口をふさごうというのか。
大量破壊兵器はなかった。刑務所ではイラク人が拷問されていた。フセインはいないというのに長期駐留して占領することが正しいのか。こうした疑問は全米で広がり、戦争の口実はもろくも暴かれつつある。
兵士たちも気づき始めている。いったい僕らの存在は何? イラクの人びとは逆に苦しんでいる。僕らといえば、帰郷しても仕事がない。ハリケーンが来ても男手は戦場に取られて家族も不安の日々を送っている。帰った仲間は生活の保障もなく、次々に自殺しているではないか……。
8月6日からの炎天下での座り込みは、テント村からホワイトハウスへと舞台を移し、シーハンさんは「9・24にはワシントンDCへ。もう一人の犠牲者もいらない! 大統領に聞こえるように大きな声で」と呼びかけた。ブッシュがシーハンさんを追い返す姿が全世界に流れたこの1カ月半。一人でブッシュに挑んだ母は、手に十字架と赤いバラ、そして熱いまなざしと日に焼けた笑顔だった。物言えぬ息苦しい戦時下のアメリカで、数十万人の人びとは、もはやモニターの前で悲しんで見ているだけではなかった。道にあふれる人・人・人。「たった一人の座り込み」が全世界に轟(とどろ)く大きな声となって。
ブッシュの再選から1年。戦時下の反戦は生半可ではない。しかし、バッシングを乗り越え、兵士とその家族が市民と合流していく様に希望を見た。今やブッシュを支持しない人が58%。大逆転である。私たちもそんなたたかいを創(つく)っていこう。
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週刊『前進』(2217号8面2)(2005/10/11)
韓国の反戦反基地闘争と交流 西村綾子相模原市議に聞く
闘いの中で強くなる民衆 米軍再編阻止は共同の課題
西村綾子相模原市議(婦人民主クラブ全国協議会代表)が今夏、韓国を訪問し、反戦反基地闘争を闘っている住民、農民との国際連帯を深めた。その訪韓報告と、座間基地をめぐる現状について語っていただいた。(編集局)
7月28日から31日、県央共闘会議(横須賀の原子力空母の母港化に反対し、基地のない神奈川をめざす県央共闘会議)の第5次訪韓団(11人)の一員として韓国を訪問しました。米軍再編で基地拡張が計画されている平沢(ピョンテク)を中心に在韓米軍基地の状況を見聞し、現地の住民や農民、労働者の闘いに触れ、反戦反基地闘争の連帯を深めることができました。
敗戦後、中国東北部から38度線を越えて引き揚げた時、私は5歳でした。戦争責任を自国政府に取らせることなしに訪問はできないと自戒してきた私でしたが、イラク侵略戦争に自衛隊が派遣されており、米軍再編の中で米陸軍第1軍団司令部の座間移転が浮上、なんとしてもこれを止めるためには朝鮮の民衆とともに闘う必要があると思い決断した韓国訪問でした。
梅香里(メヒャンニ) 基地返還求め「闘って勝利」
仁川(インチョン)空港から梅香里(メヒャンニ)に直行しました。何度も厚木の闘いに来られている「梅香里米空軍国際爆撃場撤廃のための住民対策委員会」の全晩奎(チョンマンギュ)委員長らが迎えてくれました。
梅香里の浜辺は広大な干潟で、多くの魚介類が生息する豊かな海です。その海から陸に爆撃場は広がっています。訓練がある日には基地内に赤い旗が1本たなびくんです。旗はごうまんにもフェンスからほんの数bの所に立っています。基地の中には農民の畑もあります。沖縄にも黙認耕作地がありますが、梅香里ではその畑に入るのに証明書がいるし、耕作料を米軍に払わなければならないのです。人権侵害そのもの。米軍は農民を虫けらのようにしか思っていないのです。冗談じゃない、と怒り沸騰でした。
梅香里での実力闘争の過程などもビデオで見ていましたが、現実の海を見て、不発弾の山を見て、いかに傍若無人な訓練なのかがわかりました。山羊や牛がいて、人が働いている。そこをめがけて米軍は撃つわけです。そういう場所で撃てなければ戦場で撃てないと、そういう演習をやってきました。海辺で妊婦が射殺されるとか悲惨な事件も次々に起きる。そこで一人の青年がやむにやまれず柵を乗り越えて旗をもぎ取ったのです。それが全晩奎さんです。
チョンさんたちは、厚木基地の爆音訴訟に学んで1998年に爆音訴訟を14人の原告で起こしました。これが韓国初の米軍基地の騒音被害に対する損害賠償請求です。今では第4次まで爆音訴訟をやって勝利しています。
米軍から韓国軍に管理権が移管される8月12日、住民たちは「基地閉鎖、土地の返還」などを求める大イベントをやって祝うとのことです。村長さんは「勝利するまでともに、きょうだいの愛をもって連帯しよう」と話されました。「米軍は本当に返還するだろうか」と心配する私たちをよそに「闘って勝利したんだ。返還が当然」と笑顔で確信に満ちて語るチョンさんです。その上で「全面返還を要求する」ということ、だめならまた闘うという決意がとても明確で、この感覚、あり方に、私はすごく学ぶことができたと思います。
平沢(ピョンテク) 基地拡張阻止 労働者の決起
2日目の29日朝、在韓米軍返還運動のリーダーである金容漢(キムヨンハン)さんとともに平沢市庁舎に向かい、「平沢−神奈川 日韓市民団体合同記者会見」を行いました。米軍基地拡張反対平沢対策委員会とペンソン対策委員会、県央共闘会議の3者の共同要求として「日米韓政府は、アジアの戦争を進める米軍再配置計画を直ちに中断せよ!」「私たちはより強い国際連帯を広げ、両地域での米軍基地拡張を必ず阻止することを強く要求する!」などを突きつけました。
平沢市にはK−55烏山(オサン)空軍基地、陸軍K−6キャンプ・ハンフリーズを始め五つの米軍基地があります。キャンプ・ハンフリーズを通称彭城(ペンソン)基地と言い、地元では松炭(ソンタン)地域にあるから松炭基地と呼んでいます。ここは1939年に日本軍が農民を追い出して基地をつくった所です。そこを米軍が接収し、現在150万坪の基地を、さらに248万坪拡張するというのです。
西海(ソヘ)に面した平沢基地拡大は、明らかに中国が狙いです。38度線の兵力を韓国軍に押しつけ、朝鮮人同士を戦わせ、米軍は後方からの空爆中心にして人的被害を少なくする。それが作戦計画5027−5030なのだということを実感しました。米軍を前線から後退させるとともに、対中国拠点として考えているのです。
南北の朝鮮民衆は、分断されていながらも私が思っていた以上に行き来もしているし、当然にも同胞であって、南北統一は当たり前の要求なんです。もちろん朝鮮半島が戦場になることはなんとしても阻止しなければならないと考えています。その民族的要求と、米軍基地反対が切実につながっているのだと強く感じました。
昼には、現地の農家での大昼食会に招かれました。反対運動をやっている農民たちが百人ぐらいもいたでしょうか。サムゲタン(鶏料理)の大鍋が二つ、その量にびっくりしました。
昼食後、拡張予定地内にある統廃合で廃校になった小学校で集会が開かれました。教育長が切り崩されて拡張用地として国に売ってしまったそうです。そこに起亜自動車の労働者が約150人、畑の中を組合旗を立てて、「在韓米軍撤去のうた」を流しながらデモをしてやってきました。壮観でした。さらに折り鶴を染め抜いたTシャツを着た学生たちが30人ほどが参加。彼らとは8・6ヒロシマ大行動で再会をすることができました。
集会後、県央共闘の集会に来たことのある申鐘遠(シンジョンウォン)さんたちが基地周辺を案内してくれました。基地西側に立っていた大看板には昔の地図が描かれていました。「ここが私の家だった」「ここは昔日本軍が農民を追い出して基地を造った所なんだ」と話してくれました。
本当に見渡す限り田んぼです。日本軍に土地を追い出された人たちが海を埋め立てて農地にし、今では韓国有数の穀倉地帯となったわけです。そこを全部盗って基地にするというのですからひどい話です。ここに7月10日には1万2千人が集まって基地拡張反対集会を開いたそうで、その時フェンスを引き倒した場所も見てきました。田んぼのあちこちに反対運動のモニュメントが立っていて、デモの時に立てた「農地死守」などの旗が立っています。
その夜、シンさんの畑のビニールハウスで毎晩開かれている332日目のロウソク集会に参加しました。昨年9月、住民が反対運動で逮捕された時、警察に大勢で抗議に押しかけて釈放させたのだけれど、もう夜になっていてロウソクを持って迎えたそうです。それを記念してロウソク集会が始まったのです。
闘争報告が行われ、歌あり踊りありのロウソク集会でした。私も発言させてもらいました。「ロウソク集会に参加できてうれしい。ここに来て米軍再編計画との闘いが日韓共通の課題だと確信しました」とあいさつし、沖縄では辺野古や金武町などで基地反対の座り込みが続いていること、座間への第1軍団司令部移転との闘いなどを報告し、「米軍が本気で朝鮮侵略戦争を準備していると実感しました。朝鮮を戦場にしないため、日本の私たちの責任を痛感しました」と話しました。
神奈川・座間 司令部移転を打ち破る決意
百聞は一見にしかず、行って見て本当によかったと思っています。長い苦難の歴史の上で、さらに重なる基地被害、新たな基地拡張などにこれは許せないという思いで立ち上がっていった民衆、農民、労働者たち。その人たちが闘いの中でどんどん強くなり解放されていく姿は、三里塚や北富士、沖縄など日本でも同じです。
けれど特に韓国では長い日帝の植民地政策と、それに続く軍事政権下で在韓米軍に対して闘おうなんてことはできなかったわけです。そこを突き破って今日があるのだと思います。そして今、米軍の世界再編との闘い、世界戦争を阻む闘いは、労働者民衆の国際連帯の闘いによってしか打ち破ることはできません。
第1軍団司令部問題では、相模原では相模原市基地対策協議会の移転反対署名が21万を超えて集まり、防衛庁と米軍に提出しました。市議会も反対決議を上げました。座間市では市長自ら市民にビラをまいています。市民、住民、労働者の闘いが市長をも突き動かしています。
しかし、小泉「圧勝」を受けて事態は風雲急を告げています。第1軍団司令部は、北朝鮮・中国に向かう前線司令部であり、すでに相模総合補給廠(しょう)には橋梁(きょうりょう)セットや戦略物資が次々と搬入されてきています。
さらに対テロ部隊として06年度に新設される陸自中央即応集団の司令部を米軍座間基地に置くことが、突然報じられました。10月の日米安保協、11月のブッシュ来日と日米首脳会談で一気に日米の軍事一体化を強化することが決められようとしています。まさに正念場です。
敵は一つ、労働者民衆も一つになって闘う時です。日韓米の共同闘争が求められています。動労千葉など3組合が呼びかけている11・6労働者集会にこぞって結集し、国際連帯の力を発揮しましょう。
★梅香里/メヒャンニ
ソウルから南西約60`、肥沃な大地、広大な干潟に恵まれた梅香里は、朝鮮戦争中の1951年、突然米軍の実弾射撃場にされた。沖合1・6`の農島を標的に陸と海に広がる728万坪の国際爆撃場は米軍には「アジア最高の射爆場」、住民には誤爆や不発弾、爆音被害など最も危険な演習場だった。88年12月住民700人が基地占拠。以来激しい実力闘争が続く。00年8月に陸上爆撃中止。米軍は今年8月代替地を条件に管理権を韓国軍に移管。
★平沢/ピョンテク
平沢市には、米空軍太平洋司令部の重要基地K−55烏山基地と、米陸軍のK−6キャンプ・ハンフリーズなど5基地・約455万坪がある。先に90年3月ソウル・龍山(ヨンサン)基地の移転先に決定されたが反対運動で「移転計画全面留保」に。昨年1月、米韓政府が再び移転・拡張計画に合意。住民対策委は一坪の土地も渡さないと決議し全面対決に入った。今年7・10平沢平和大行進には1万2千人が参加、拡張用地の買収は進んでいない。
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週刊『前進』(2217号8面3)(2005/10/11)
狭山要請行動 全国連、東京高検に全証拠開示を迫る
第3次再審闘争へ第一歩
部落解放同盟全国連と解放共闘は9月26日、第3次狭山再審闘争の一環として東京高検に全証拠開示を要求する行動に立ち上がった。3月16日の最高裁による第2次再審請求(特別抗告)棄却以降、初めての対高検要請行動だ。部落大衆や労働者、学生ら30人の要請団は、30分の制限を打ち破り1時間半にわたって東京高検を追及・糾弾した。
前段の集会で全国連中央本部の北浦裕樹久中央青対部長が基調報告を提起した。「第3次再審闘争を差別糾弾闘争として闘おう。『自白』と客観的証拠の矛盾を突くだけではなく、石川一雄さんが強制された『自白』が権力によるデッチあげであること、狭山事件が権力犯罪、差別犯罪であることを暴き、糾弾しよう」と提起した。また「検察が持つ未開示証拠はことごとく差別捜査や石川さんへの自白強要を暴くものだ」と証拠開示の重要性を強調、狭山事件の証拠を管理する東京高検に証拠開示を要求しようと訴えた。
茨城県連の井橋事務局長は9月21日の茨城・布川事件の再審開始決定について解説し、権力のデッチあげを糾弾、証拠開示、事実調べが決定的だと述べた。
対高検要請行動では、全国連中央本部や茨城県連など参加各団体が要請文で、「石川さんは取調室で何度も脅迫状の筆跡に似せて字を書く練習をさせられた。脅迫状の書き写しを強制された。石川さんが書いた物があるはずだ。その証拠を開示せよ」と迫り、要請文を山口検察事務官に手渡し、狭山担当予定の菊川秀子検事に届けるよう強く要請した。
山口事務官は「証拠(書類)が2〜3bというのは事実ではない。自分で確かめた」「証拠開示の要請があり、その項目があれば開示するはず」と、証拠隠しをしていないと主張した。要請団は「検察は証拠のリストさえ隠しているではないか。請求されなくても検察は自ら全証拠を開示すべきだ」と追及した。
また山口事務官は「狭山関係の本は1冊薄いのをぱらぱらとながめただけ」とぬけぬけと言い、部落差別、狭山差別裁判について何も知らず、何も分かっていないことを自己暴露した。「狭山事件を担当し、部落民を相手に交渉する以上、部落差別や狭山差別裁判について学習・研究すべきだ。最低限、石川一雄さんの控訴審での上申書(公式文書)を読むべきだ」と要求、山口事務官に上申書を読むことを約束させた。
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