ZENSHIN 2005/10/03(No2216 p06)

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第2216号の目次

東北大学有朋寮の前で全国集会後、参加者全員で強制執行絶対阻止を誓った(9月17日 仙台)

1面の画像
(1面)
郵政民営化絶対阻止・小泉独裁政権打倒
労働者の怒り叩きつけよう
前原民主党・連合中央と対決し11・6日比谷野音1万人結集へ
動労千葉の安全運転行動に連帯を
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東北大有朋寮 地裁が執行停止を決定
寮を砦に実力で勝利開く(9月21日)
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(2面)
1047名の分断狙う反動判決弾劾する
鉄建公団訴訟 控訴審へさらに団結を
民営化反対の闘いを憎悪し国鉄闘争解体を策す大反動  革共同国鉄委員会
記事を読む  
資本攻勢&労働日誌 2005 9・1〜9・15
UIゼンセン同盟 憲法9条2項削除を提起
厚労省「労働契約法」提言/鉄建公団訴訟反動判決
記事を読む  
国労5・27臨大闘争弾圧公判日程 記事を読む  
(3面)
大阪市労連破壊に反撃を
11・6怒りの大隊列登場させ「公務員=悪」宣伝打ち砕こう〔川上憲一〕
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改憲と公務員削減で突出し「第2小泉自民党」の道進む
前原民主党の反労働者性暴く
記事を読む  
郵政民営化攻撃と闘わないカクマル 記事を読む  
(4面)
小泉と対決、北延伸阻止へ
10・9現地大集会に結集を  反戦の砦=三里塚は訴える(上)
記事を読む  
北延伸阻止の第1弾
9・19三里塚現地に180人  米航空労働者ストに連帯(9月19日)
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「つくる会」教科書撤回せよ 杉並区議会(9月15、16日) 記事を読む  
日誌'05 9月14日〜20日
陸自武装部隊が商店街行進  対テロ特措法1年延長表明
記事を読む  
(5面)
沖縄・座間先頭に反戦闘争の爆発を
米軍再編=日米安保の実質的大改定との闘いが決戦局面に
小泉の戦争攻撃と闘い11・6へ〔早乙女優〕
記事を読む  
6者協議共同声明
北朝鮮を完全武装解除し侵略戦争発動を狙う米日帝(9月19日)
「北の核放棄」が一切の前提
記事を読む  
“武装パレード弾劾”  佐世保 労働者住民が阻止行動(9月17日) 記事を読む  
(6面)
団結ひろば 投稿コーナー
「納得いく解決」まで鉄建公団訴訟闘おう 東京・労働者 二ノ宮仁美
ファシスト的国家大改造のための共謀罪 東京 小林啓三>
奥田路線の「障害者」抹殺攻撃と対決を 関西 吉村隆生
記事を読む  
迎賓館・横田爆取裁判最終弁論
“私に無罪判決を!”  福嶋同志、検察官・裁判官を圧倒(9月20日)
記事を読む  
新刊紹介 『改憲攻撃と労働者階級』 坂本千秋/野沢道夫/小谷一夫 共著 前進社刊2200円
護憲論の限界のりこえる 画期的な改憲阻止闘争論
記事を読む  
党学校 『ゴータ綱領批判』 −学習の感想− 記事を読む  

週刊『前進』(2216号1面1)(2005/10/03)

 郵政民営化絶対阻止・小泉独裁政権打倒 労働者の怒り叩きつけよう

 前原民主党・連合中央と対決し11・6日比谷野音1万人結集へ

  動労千葉の安全運転行動に連帯を

 9月21日、特別国会が開会、小泉が首相に指名され、超独裁の第3次小泉内閣が発足した。小泉は記者会見で郵政民営化法案の成立を期すとあらためて宣言した。与党は、10月4日に衆院で審議入りし6日か7日に衆院本会議で可決、12日か14日かに参院本会議で可決、成立というスピード採決を強行しようとしている。「郵政民営化絶対反対」を断固鮮明にして、全逓労働者を先頭に、10月郵政民営化法案阻止へ全力で闘いぬこう。さらに与党は改憲のための国民投票法案を特別国会に提出する方針も打ち出した。総選挙結果をテコとした改憲とファシスト的国家改造への攻撃であり、断じて許せない。労働者人民の怒りの大反撃を組織しよう。すべての力を注いで、闘う3労組の呼びかける11・6労働者集会(正午・日比谷野音)への1万人の大結集を実現するために闘いぬこう。

 第1章 小泉のファシスト的国家改造を打ち砕け

 総選挙において自民党が単独過半数を確保し、与党で3分の2以上の議席を獲得したことは実に恐るべき情勢である。これをもって日帝・小泉政権はかさにかかって戦争と民営化(労組破壊)、戦後的階級関係の反革命的転覆、ファシスト的国家改造に向かって加速度的に進んでいく。
 総選挙に圧勝した小泉は、「郵政民営化」について「議会制的承認」の形式を得たことをいいことに、日本のファシスト的国家改造に向かって突進しようとしている。これは戦争のできるファシスト国家の構築の攻撃であり、そのために民営化という手段を駆使して戦後日本労働運動・労働組合運動を全面的に解体・一掃する攻撃である。
 その攻撃の突破口が郵政民営化である。11月労働者集会に向かう労働者人民にとってこれと全面的に激突する小泉打倒の階級的決起が求められている。
 総選挙で大敗した民主党の新体制が前原代表−鳩山幹事長となったのも、小泉反革命が生み出したただならぬ重大情勢である。
 それは、連合をも基盤とする民主党が、動揺を深めつつも結局のところ、自民党以上の反労働者的「改革」派として、徹底的な戦争と民営化の路線をとって延命しようとすることだ。
 そもそも前原は、自衛隊必要論を唱え「憲法9条2項は削除すべき」とするゴリゴリの改憲論者であり、日米安保のための集団的自衛権を行使すべきとする超タカ派であり、「自民党以上に右」の人物だ。
 前原の主張する「効率のよい政府」論は、小泉の「小さな政府」路線のさらに上を行く新自由主義的な反労働者的政策である。
 前原は、「既得権益にメスを入れる」「労組のしがらみを断ち切る」「特に官公労の組合とは決別もありうる」などと公言し、民営化と大量首切りと労組破壊の路線を推進しようとしている。それに郵貯・簡保については「民営化推進」どころか、銀行協会や生保協会と同じく「廃止」論者でもある。
 前原民主党は「第2小泉自民党」として一層純化する。そして民主党も国会もどんどん新たな大政翼賛会と化していく。
 しかし、それは民主党の危機を激化させると同時に、連合との亀裂や連合自身の危機を促進するものである。前原民主党、連合指導部と徹底対決し、打倒して、4大産別を軸に階級的労働運動の発展をかちとること、11月労働者集会への1万人結集をかちとることこそが労働者の勝利する道である。

 第2章 民営化絶対反対訴え4大産別で大前進を

 小泉は、総選挙の中で「郵政38万人の公務員の既得権益を大事にすることで、残る大多数の国民の利益が損なわれていいのか」とアジった。
 冗談ではない。戦後、官公労の労働者は、「公務員だから」という理由でスト権を剥奪(はくだつ)されたのだ。今までは公務員だからと言ってスト権を奪い、今度は公務員は民間より既得権益を持っているから公務員身分を剥奪するという。デタラメの限りだ。そこに一貫しているのは官公労労働運動への階級的な憎悪だ。
 民間企業では、95年の日経連労働問題研究委員会報告路線のもと、終身雇用、年功序列賃金が解体され、高齢者が無慈悲にリストラされ、賃金も成果主義賃金に変えられ、その結果、最近ではある損保会社の労働者の月給が2万円にされたことが問題になった。成果主義を盾に資本は生活賃金をはるかに下回る賃金を出して平然としている。
 民間労働者の「既得権益」は削りに削られ、サービス残業は当たり前の過酷な労働を強制されている。
 小泉・奥田は民間ですさまじい攻撃をしておいて、その攻撃が貫徹されていない公務員に「既得権益を放棄しろ」と迫っているのだ。「既得権益」というが、これは労働者が労働組合に結集し闘って血と汗でかちとった権利である。
 郵政を始めとする公務員労働運動も、実質的な民営化攻撃、賃下げ、退職強要、強制配転、労働条件の悪化、サービス残業の常態化、連続深夜勤などの攻撃にさらされているが、依然として労働組合としての階級的心棒を奪われていない。現場には闘いが息づいている。これが支配階級にはじゃまなのだ。
 しかも国家機構や地方自治体の機構を内部で支える公務員が労働組合をつくり、階級意識を堅持し、反戦・平和の労働運動を展開していては、帝国主義は改憲も戦争も遂行できない。
 イラク侵略戦争が始まり、世界戦争情勢が急迫する中で、日帝・小泉=奥田にとって、この公務員労働運動、4大産別を解体・一掃することがファシスト的国家改造の核心問題になっているのだ。公務員労働運動を破壊し、戦前のような「天皇の官吏」に育成することがファシスト的戦争国家への絶対条件だからだ。そのために民営化による官公労の破壊に全面的に出てきているのである。
 「新しい歴史教科書をつくる会」会長の八木秀次は「民営化とは精神革命であり左翼の一掃である」と言っている。つまり公務員労働者からマルクス主義、階級意識を一掃し、階級闘争を根絶することだと言っているのだ。
 民営化は労働組合破壊の決定的な手段なのだ。民営化で非公務員化し、いったん全員解雇、再雇用する際に組合活動家をパージする。それで労働組合に選別的な打撃を加えることができる。民営化後は首切り・賃下げ・労働条件改悪も思うがままでさらに労働組合にとどめを刺すことができると踏んでいるのだ。
 1933年1月、ヒトラーが首相になった時、権力を使い全力で行ったことが労働組合の破壊であった。
 「ファシズムは、単なる弾圧や暴力、警察テロなどの制度ではない。それはブルジョア社会にあるすべてのプロレタリア民主主義の制度の要素を根絶することによって成立する、特殊な国家的制度なのである。……その上、社会民主主義と労働組合の、4分の3世紀にわたる仕事の成果を粉砕してしまわなくてはならない」(トロツキー『次は何か?』)

 民営化は安全破壊の攻撃だ

 小泉の民営化は何をもらすのか。米を襲ったハリケーン災害である。これは世界政治・米国内政治に巨大な影響を与えている。戦争と民営化によって数千から数万人もの労働者人民がブッシュの手で見殺しにされている。運河の管理や交通手段の民営化、養護ホームの民営化、さらにイラク戦費優先でインフラを削減した戦争政治がこれをもたらした。さらに帝国主義が抱える激しい人種差別、民族差別があり、これが米帝への階級的怒りとなって爆発し国内階級闘争が新たな胎動を開始している。
 民営化とは何よりも、安全破壊である。これはJR尼崎事故が象徴している。
 国鉄分割・民営化の最大の狙いは国労を破壊し総評を崩壊させ、労働運動を帝国主義に屈服させることにあった。しかし国鉄分割・民営化との20年の闘いは不屈の闘う隊列を残した。分割・民営化に率先協力したカクマルJR総連を危機にたたき込んだ。
 民営化によって利益優先・安全軽視が進み、労働組合が闘わなくなった結果、尼崎事故が起きた。
 この重大事故に対して動労千葉は、反合・運転保安闘争に決起し、尼崎事故の本質を暴いてきた。JR資本との命懸けの闘いを連日展開し、勝利の地平を獲得してきた。動労千葉が安全運転行動を処分も恐れず闘い続けていることが、動労千葉と労働者階級人民を結びつけている。安全のために動労千葉とともに闘う、頑張ってくれという声が熱烈に上がっている。動労千葉と連帯し11・6労働者集会に総決起していこう。
 日帝は、国鉄に続き20年かけて郵政民営化攻撃に突き進んできている。しかし労働運動の現実は、階級的に闘う労働運動の指導部を求めている。05年の4大産別の闘いが示したものはすさまじい労働者の怒りであり、戦争と民営化攻撃への既成指導部の雪崩うつ屈服に対する反撃であった。
 労働者階級は、生活破壊、安全破壊、団結破壊と階級性の解体の攻撃にすさまじい危機感を抱いている。分岐・流動・再編過程にドラスティックに突入している。このことに確信をもって、11月労働者集会の1万人結集へ闘おう。

 第3章 11月日米韓国際連帯に勝利の展望がある

 小泉は郵政民営化を突破口に、次のような攻撃を今秋から来年にかけて一挙に強行しようとしている。
 小泉はアフガニスタン・インド洋への海上自衛隊の派遣1年間延長を決定した。イラク派兵についても延長は必至だ。日帝の最大の危機点はイラクだ。サマワからの英豪軍の撤退も検討されている。イラクでは憲法制定をめぐって内戦的激突が始まっている。サマワの自衛隊は米軍と一体の侵略軍隊として存在している。イラク人民の怒りが自衛隊に向かうことは避けられない。自衛隊のイラク派兵延長阻止、即時撤退へ全力で闘おう。イラク反戦闘争、国際連帯は戦争と民営化攻撃粉砕の重大な基軸である。アメリカで新たに高揚するイラク反戦闘争と連帯し闘おう。
 米軍大再編の攻撃が急ピッチで進められている。米軍座間基地などの強化とともに、沖縄・普天間基地の県内移設攻撃がキャンプ・シュワブ陸上案の浮上など大詰めを迎えている。海上基地建設を実力で阻止する辺野古の闘いと連帯して闘おう。
 特別国会に共謀罪法案を提出して成立を狙う策動を粉砕しよう。「障害者自立支援法案」を阻止しよう。
 改憲攻撃(国民投票法案)、教育基本法改悪、「日の丸・君が代」強制攻撃、「つくる会」教科書攻撃と闘おう。
 さらに公務員制度改悪、社会保障制度解体、年金・介護・「障害者」への攻撃、大増税攻撃(サラリーマン増税、消費税増税)。そして労働契約法制定の攻撃が続々とたくらまれている。断固粉砕しよう。
 小泉反革命に「労働組合運動」の側からの屈服的に対応する動きとして、連合が10月定期大会で改憲方針を決定しようとしている。これは戦後階級関係の根幹を激変させる重大事態である。闘う教育労働者の「日の丸・君が代」強制拒否や「つくる会」教科書粉砕の闘いの偉大な地平、日教組大会での改憲方針を阻んだ闘い、そして自治労大会での改憲勢力化粉砕の闘いを引き継ぎ、連合大会決戦を闘いぬこう。
 9・15鉄建公団訴訟反動判決を徹底弾劾し、団結を打ち固め、1047名闘争を前進させよう。
 10・9三里塚全国集会に全力で結集しよう。
 何よりもそれらすべてを11・6労働者集会1万人大結集に結実させるために必死に闘いぬこう。
 小泉反革命と闘い、11・6集会に組織する最も優れた武器は『前進』だ。ビラ、署名用紙とともに、あらゆる職場・学園・街頭に持ち込み、拡大しよう。

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週刊『前進』(2216号1面2)(2005/10/03)

 東北大有朋寮 地裁が執行停止を決定 寮を砦に実力で勝利開く

東北大学有朋寮の前で全国集会後、参加者全員で強制執行絶対阻止を誓った(9月17日 仙台)

 仙台において胸のすくような勝利がかちとられました! 9月21日、東北大学有朋寮の廃寮阻止闘争において、仙台地裁の強制執行停止決定をかちとったのです!
 東北大学当局は9・1反動判決(有朋寮明け渡し命令)から、9月中の強制執行・機動隊導入の暴力的たたき出しを狙っていました。しかし、大学当局からの「退去通告」をはねのけて実力闘争を宣言する有朋寮生を先頭とした東北大生・全国学生の闘い、学内、街頭、全国からの支援・応援の前に踏み切ることができなかった。そして、仙台地裁・小野洋一裁判長は、自ら下した判決のあまりの不当性、それへの広範な怒りの前に、執行停止を決定せざるを得なかった。有朋寮廃寮阻止闘争の第1ラウンドは、文字どおりの有朋寮廃寮阻止、強制執行阻止をかちとる完全勝利を飾ったのです!

 百人が集まり9・17有朋寮全国集会開く

 9月17日の全国集会には全国の学生や全金本山労組を始め100人が有朋寮に集まりました。織田陽介有朋寮委員長は基調報告で、「不当な判決を一言一句認めず、2週間をこえて寮を実力で守りぬいている」と勝利を宣言しました。全金本山の中野七郎書記次長、教育労働者などが有朋寮勝利への決意を次々と語り、「熱く語られて胸を打たれた」と近所の青年労働者も発言しました。
 集会後、「有朋寮への強制執行粉砕! 暴力的たたき出しを実力で阻止するぞ!」の横断幕を先頭に市内をデモ行進しました。
 この20日間は、まさに東北大当局・警察権力との力勝負の闘いでした。9・1判決を受けて有朋寮は、「『学生は大学に従って出て行け』という判決には従えない」「当局の攻撃で退寮を余儀なくされた仲間のためにも一歩もひかず闘う」「正義は行動によって実現される」として逮捕・流血を辞さない実力闘争を宣言、寮に実力で住み抜いてきました。バリケードを構築して寮を砦(とりで)とし、「強制執行いつでも来い!」と迎え撃ったのです。こうした迫力に東北大当局は敗北を喫したのです。
 街頭では、暴力的廃寮、無期停学処分での寮つぶしこそ小泉の「構造改革」の本質だと訴えて闘いました。郵政の青年労働者や自治体労働者など、小泉に苦しめられ怒りを燃やす労働者・学生は、自分のことのように怒り、有朋寮生の人生をかけた闘いに元気づけられ、連帯・支援を寄せてきました。近所の住民や隣の中学校からも毎日のように声援が送られました。
 有朋寮は、小泉とその先兵である東北大・吉本執行部の強制執行・暴力的廃寮攻撃に対して、一歩もひかずに真っ向勝負で闘いました。連合執行部などのように妥協したり、「嵐が過ぎ去るまで闘いを回避しよう」というのではなく、真っ向から闘うことが勝利の道であることを闘いによって示したのです。
 「闘えば勝てる!」このことが有朋寮闘争を担った学生・労働者の中に確信としてわき上がっています。

 大カンパ訴え吉本打倒の学内闘争へ

 仙台地裁は仮執行停止の際の保証金として200万円を提示しました。これ自体が「金がなければ強制執行」というまったく不当なものであり、借金漬けで控訴審闘争を闘えという許しがたい攻撃です。
 有朋寮生は保証金200万円を集める大カンパ闘争でむしろ運動をさらに拡大し、控訴審闘争勝利に向かおうと、決意も新たに第2ラウンドの闘いに突入しました。何より、この闘いで「大学改革」を最先頭で進めてきた吉本執行部を完全に追い詰め、「大学改革」をぶっとめる展望を切り開いています。廃寮決定と無期停学の撤回、吉本執行部打倒の学内闘争へ!
 有朋寮生は、小泉を打倒する労働者・学生の闘いの爆発の突破口として自らの闘いを位置付けて闘い、勝利を切り開きました。動労千葉など3労組が呼びかける11・6労働者集会に有朋寮も賛同し、総決起を決定して立ち上がっています。この勝利を糧に労働者集会1万人結集を!

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週刊『前進』(2216号2面1)(2005/10/03)

 1047名の分断狙う反動判決弾劾する

 鉄建公団訴訟 控訴審へさらに団結を

 民営化反対の闘いを憎悪し国鉄闘争解体を策す大反動

  革共同国鉄委員会

 東京地裁が9月15日に下した鉄建公団訴訟判決は、国鉄1047名闘争の解体を狙う政治的反動判決だ。不当労働行為を認定したかのような言辞を用いながら解雇を有効とした判決は、不当労働行為による首切りを全面容認したに等しい。それは労組法と団結権を根本的に否定するものだ。この攻撃を貫く手法として、判決は国鉄分割・民営化にいささかでも抵抗した労働者に憎悪を集中し、一切の救済を与えない姿勢をむき出しにした。総選挙を制した小泉=自民党は、日本経団連=奥田との一体化を深め、郵政民営化を始めとする一大民営化攻撃に乗り出している。小泉によるファシスト的国家改造の核心には、革命党や労働組合など闘う勢力を根絶する攻撃が貫かれている。団結権を否定した9・15判決は、小泉反動と呼応し、戦争と民営化(労組破壊)の攻撃を一挙に促進させるものになる。9・15判決を覆す闘いは、小泉=奥田とのきわめて重要な攻防点になったのだ。1047名の分断を許さず、さらなる団結を固めよう。戦争・民営化と対決する11・6全国労働者総決起集会に結集し、国鉄闘争と労働運動の未来を切り開こう。

 小泉=奥田路線の貫徹狙い団結し闘う権利を全面否定

 小泉=自民党が総選挙で「圧勝」し、郵政民営化を始め「公務員制度改革」など一大民営化攻撃に突き進んでいる今、9・15判決との闘いは重大な階級的意義を持っている。
 小泉による一大民営化攻撃は、公務員労働者を非公務員化し、大量首切りを強行するということだ。それをとおして、全労働者階級を一層の無権利状態、低賃金にたたき込もうとする攻撃だ。その矢先に、不当労働行為による解雇を容認し奨励する9・15判決が出されたのである。
 小泉の背後に立ち、小泉政権を全力で支えているのは、奥田・日本経団連、すなわち日帝ブルジョアジーの主流だ。彼らは総選挙で小泉=自民党の勝利に総力を挙げ、小泉が大勝を収めるや「一刻も早く郵政民営化法案を成立させ、これを突破口に社会保障制度改革や行財政改革、教育改革などの構造改革をスピード感をもって断行せよ」と叫び立てた。
 小泉と奥田は、03年「奥田ビジョン」の貫徹についに本格的に乗り出してきた。そのためには、連合中央支配下の労働組合といえどもたたき伏せなければならないとして、公務員労組・公務員労働者へのバッシングに踏み切り、公然と労働組合を敵に回すに至ったのだ。全逓(JPU)や自治労、日教組への攻撃は今後さらに激化する。
 また小泉政権は、労働法制の全面改悪に向けて労働契約法制を制定し、その中に「解雇の金銭解決制度」を盛り込もうとしている。これは、違法な解雇でもわずかな金銭を支払えば許されるというものだ。資本による解雇は自由とされ、団結権も労組法も不当労働行為救済制度も実質的になきものにされるのだ。
 この中で下された9・15判決は、”民営化に反対し抵抗する者には、いかなる不当労働行為、いかなる仕打ちを加えても構わない”という支配階級の宣言だ。それは、小泉反動と軌を一にし、郵政民営化を頂点とする一大民営化への反動的突破口をこじ開けようとするものにほかならない。
 この判決を打ち破る闘いは、首切り・リストラ・民営化の一大攻撃と対決し、小泉=奥田を打倒する重大な攻防点なのである。

 国家的不当労働行為許すな

 9・15判決の階級的意味を鮮明にするためには、国鉄分割・民営化がまさに不当労働行為の集積だったことを見なければならない。
 1987年の国鉄分割・民営化は、国鉄労働運動の破壊を目的とした一大反動だった。分割・民営化の過程で、80年代初頭に40万人だった国鉄職員は20万人にまで減らされた。国労や動労千葉の組合員に対しては、本務から排除し人材活用センターに収容するなどの組織破壊攻撃が吹き荒れた。「組合を抜けなければJRに採用されない」という脱退工作が国鉄当局によって組織的に強行され、動労カクマル松崎一派は、そのファシスト先兵の役割を買って出た。こうした攻撃の中で自殺を強いられた労働者は200人に上る。
 その頂点で強行されたのが、国労や動労千葉組合員に対する採用差別=JRからの排除である。
 87年、国鉄のJR移行に際し組合の所属により差別されJR採用を拒まれた労働者約7600人が、「再就職を要する職員」として国鉄清算事業団に収容された。そして、3年の「再就職促進期間」を経た90年4月、1047人が国鉄清算事業団からも解雇された。
 国鉄分割・民営化の基本構図を規定した国鉄改革法は、JR職員の採用について、国鉄がJR採用候補者名簿を作成し、JR設立委員がその名簿の中から採用を決定するという手続きを定めていた。それは、「国鉄とJRは別法人」という奇弁によって、国鉄による採用候補者名簿の作成に不当労働行為があっても、その責任をJRに負わせないための悪らつな仕組みだった。国家がこうした悪法を制定し、白昼公然と不当労働行為を貫徹したことを指して、国鉄分割・民営化は「国家的不当労働行為」と呼ばれている。
 JR採用を拒まれた国労闘争団員らは、不採用を不当労働行為として労働委員会に救済を求め、各地労委は「(不採用者を)87年4月にJRに採用されたものとして扱え」とする命令を出し、中労委は「公正に選考をやり直せ」とJR各社に命じた。中労委命令はJRの責任を認めながらも、各地労委命令を後退させたものだ。だがJR各社はこの中労委命令の取り消しを求めて裁判に訴え、その言い分を認めて中労委命令の取り消しを最終的に確定させたのが03年12月の最高裁反動判決である。この判決で最高裁は、「不当労働行為があったとしても、その責任は国鉄(清算事業団)が負う」と強弁し、JRの責任を免罪した。
 鉄建公団訴訟は、こうした不当労働行為全体の責任を追及するため、国労闘争団員とその遺族297人が、国鉄清算事業団を引き継ぐ鉄道建設・運輸施設整備支援機構(旧鉄建公団)を相手に争ってきた訴訟である。原告は、@雇用関係存在確認(90年解雇の撤回)、A雇用関係があることを前提とした賃金支払い、B慰謝料、C謝罪文の交付・掲示、D鉄道運輸機構によるJR各社への採用要請――を求めてきた。これは、国鉄清算事業団による90年解雇を撤回させることにより、原告の本来の目的であるJR復帰への足掛かりを得るための闘いだ。

 解雇撤回なしには不当労働行為を認定したと言えない

 9・15判決は、国鉄改革関連法を盾に「90年解雇は有効」と強弁し、解雇撤回の訴えと賃金支払い要求を全面的に退けた。その一方で、国鉄が作成したJR採用候補者名簿に原告らが記載されずJR採用の可能性が断たれたことを国労差別の不利益取り扱いと認め、鉄道運輸機構に1人当たり500万円の慰謝料支払いを命じた。ただし、原告のうち5人は、慰謝料の対象から除外されている。
 これは、解雇撤回を断じて認めず、5人の原告を慰謝料支払いからも排除することによって原告団と1047名陣形の分断と団結破壊を狙う、きわめて悪らつな反動判決である。
 原告団は直ちに、「判決は到底18年間の償いになるものではない」「原告団の目標は、あくまでも鉄道員として地元JRに復帰することである」という声明を出し、控訴して闘う意志を表明した。
 80年代初頭の「ヤミ・カラ・ポカ」キャンペーンに始まり、今日もJR体制下で執拗(しつよう)に続いている組合破壊攻撃に至るまで、その一切は国労や動労千葉の解体を目的とした一連の不当労働行為にほかならない。

 一連の行為を恣意的に切断

 だが判決は、原告らに対して行われた不当労働行為を次の5段階に恣意的に切り分けた。@国鉄が原告らをJR採用候補者名簿に記載せず、国鉄清算事業団に振り分けたこと、A国鉄が82年から87年の分割・民営化までの間に行った国労組合員への処分や人材活用センターへの配属、国労所属ではJRに採用されないという脅迫、国労からの脱退工作やその他の団結権侵害など、B清算事業団で原告らを劣悪な環境に押し込め、再就職を妨害したこと、C90年4月の清算事業団からの解雇、D原告らをJRに再就職させる義務を履行せずにいること。
 その上で判決は、@についてのみ慰謝料支払いの対象とし、A以下は時効などを口実に切り捨てた。
 具体的には、@に関しては、国鉄が作成したJR採用候補者名簿に原告らが記載されなかったことを「国労に所属していることないし国労の指示に従って組合活動を行っていることを嫌悪して、国労組合員に対する能力、勤労意欲、勤務態度等の評価を恣意的に低く行い、不利益に取り扱った」として、鉄道運輸機構に慰謝料支払いを命じている。ただし、そこには後述するように重大な攻撃がはらまれている。
 A、Bに関しては、時効を盾に損害賠償を認めず、Cについては「本件解雇は、合理的な理由があり、有効である」として解雇撤回の訴えを全面的に退けた。Dについても、JRに原告らを採用する義務はなく、清算事業団にも原告らをJRに採用させる義務はないとして、原告の訴えを切り捨てている。

 国鉄改革法を盾に解雇容認

 この判決の反動性の第一は、不当労働行為を一部認定したかのような言辞を用いながら、その実、解雇撤回の訴えを否定し去ったことにある。
 判決の一部に不当労働行為を認めたかのような文言があることは、この判決の反動性を薄めるものではない。むしろ、不当労働行為を認めた形をとりながら解雇撤回を拒みとおしていることにこそ、この判決の反動性は端的に表れている。
 労組法の基本原則からすれば、不当労働行為を認定しながら原状回復としての解雇撤回を認めないことなどありえない。「不当労働行為による解雇は無効」が原則だ。だが判決は、その原則を平然と踏みにじった。この判決が、真の意味で「不当労働行為を認定した」とはとうてい言えない。判決は労働者の団結権を否定したのだ。
 解雇撤回を全面否定する論拠として、判決は国鉄改革関連法のひとつである再就職促進法を持ち出している。同法は、JR採用を拒まれ清算事業団に送られた職員に、事業団が3年間の再就職促進措置をとることを定めていた。判決は、この法律が90年4月までの時限立法だったことを口実に、「(90年4月の再就職促進法)失効時には、事業団の再就職促進業務ひいては事業団と事業団職員との間の雇用関係も当然に終了することが予定されていた」と強弁している。
 だが、3年の「再就職促進期間」が過ぎたからといって、清算事業団が当然のように原告を解雇できるわけではない。再就職促進法にも、”3年たったら解雇する”などという条文はどこにもない。
 そもそも原告たちが清算事業団に送られたのは、国鉄が原告をJR採用候補者名簿から排除した不当労働行為の結果だった。だから、国鉄を引き継ぐ清算事業団には、その責任をとって原告たちを地元JRに採用させる義務があったのだ。その義務も果たさずに、清算事業団は90年4月、1047名を路頭に放り出した。この90年解雇自体が不当労働行為であり撤回されるべきだという主張が、原告の訴えのひとつの核心をなしている。
 ところが判決は、「JR各社は……いかなる者を雇い入れるか、いかなる条件でこれを雇うかについて……原則として自由にこれを決定することができる」としてJRを免罪し、他方で「事業団も……組合差別を行ったか否かにかかわらず、原告らに対し、地元JRに採用させる義務を負っていたと解することはできない」として清算事業団の責任も免除した。
 こうして判決は国鉄改革関連法を絶対化し、1047名のJR復帰は断じて認めないという支配階級の意思をあらためてむき出しにしたのである。

 賃金実損額の賠償も認めず

 判決の反動性の第二は、JR不採用による賃金の損失についても絶対に賠償を認めないとしたことだ。
 判決は、「(採用候補者名簿への不記載という)不当労働行為が行われなかったと仮定しても、同原告ら全員が希望する地元JRに採用されたはずであるとの証明はいまだされていない」「JRに採用されたであろうことを前提とする賃金相当額等の請求は、いずれも理由がない」として原告の訴えを退けている。
 先に述べたように国鉄改革法は、JR職員の採用手続きを、国鉄による採用候補者名簿の作成と、JR設立委員による名簿の中からの採用決定という2段階に分けていた。これを盾に判決は、”仮に原告がJR採用候補者名簿に載せられていたとしても、JR設立委員による「再選別」で振り落とされていた可能性がある。必ずしもJRに採用されていたとは限らない”と言いたいのだ。
 事実としては、国鉄による採用候補者名簿作成の段階で徹底的な組合差別が貫かれたため、JR設立委員には名簿登載者をさらに振り分ける必要が生じなかった。だが判決は、JR設立委員による「再選別」の可能性を頭の中でデッチあげ、JR採用との間に越えがたい壁を築いて、賃金実損額の回復を拒んでいる。それは、原告に”自分はJRに必ず採用されていたはずだ”という証明不可能なことを証明してみろ、と言うに等しい。ここでも国鉄改革法は絶対化され、「不当労働行為に対する救済は原状回復」という労組法の原則は否定されている。
 1人当たり500万円の慰謝料支払いも、こうした反動的理屈の中から出てきたものだ。判決は、賃金相当分の損害賠償を徹頭徹尾拒んだ上で、「採用候補者名簿を作成するに際し、国鉄から違法に不利益取扱いを受けたことで、正当な評価を受けるという期待権(正当な評価の結果、JR各社の採用候補者名簿に記載される可能性があったとの期待、更にはJR各社に採用される可能性があったとの期待も含む)を、それぞれ侵害されたこと、また、国労に加入していることによりかかる差別を受け、精神的損害を被ったことが認められる」と言う。 だが、採用候補者名簿への不記載によって原告に強いられたのは、JRからの排除=首切りであり、18年間の苦難に満ちた生活だった。不当労働行為によって奪われたのは、「JRに採用されるかもしれない期待」などではなく、雇用であり、労働者として誇りをもって働き当たり前の生活を送る権利、団結する権利そのものだ。原告に対し、わずか500万円の慰謝料しか認めないということ自体、断じて許しがたい暴挙である。

 闘い貫き処分された仲間を切り捨てろと恫喝する判決

 判決の反動性の第三は、慰謝料支払いの対象から5人の原告を排除したことだ。ここには、この判決の超反動的な狙いが最も鋭く示されている。そこに、9・15判決の核心がある。
 5人の原告は、国鉄時代の83年から87年にかけて、6カ月以上の停職処分または2回以上の停職処分を受けていることなどを理由に除外された。
 判決は、「国鉄は……非違行為により停職6か月以上の処分又は2回以上の停職処分を受けた者は明らかに承継法人の業務にふさわしくない者として採用候補者名簿に記載しないこととしたところ、その基準自体は明確なものであり、同基準を適正かつ公平に適用する限りではなお合理性を有する」とうそぶいている。
 「非違行為による停職処分」などと言うが、排除された原告は国鉄分割・民営化攻撃の嵐の中で、屈服を拒否し、当たり前の労働運動を組合員の先頭で実践したからこそ、重処分を受けたのだ。処分自体が不当労働行為であり、除外された原告は最も激しい不当労働行為にさらされたのだ。
 判決は、被告=鉄道運輸機構の次のような居直りの主張をことさらに引用する。「国労組合員は、改革を進めようとする国鉄の諸施策に対し、反対運動、非協力、上司に対する反抗、就業規則違反等の非違行為等正当な組合活動とは程遠い行為を繰り返し、さらには公労法で禁止されていたストライキを行うなどしていたのであって、このような勤務の実態が反映された勤務成績に基づいて作成されたJR採用候補者名簿において、原告ら国労組合員が相対的に勤務成績が劣位と判断され、結果的に採用候補者名簿に記載されない者の比率が高くなったとしても、それは組合差別によるものではない」。こんなでたらめは怒りなしに聞くことができない。ところが判決は、結論的に5人については被告の言い分を全面的に認めている。
 判決は、5人に対して”首を切られて当然、救済を受ける資格など一切ない”と言い放ったのだ。”闘う者には、どんな不当労働行為も許される”と資本をけしかけているのだ。それは、労働者が団結して反撃に立つこと自体を憎悪を込めて否定した超反動判決である。

 動労千葉との分断が目的だ

 しかも、被告の主張を引用する形であえて「公労法で禁止されていたストライキ」に言及している点は重大だ。国鉄分割・民営化にストライキで反撃したのは動労千葉である。公労法による28人の解雇にひるまず、動労千葉は国鉄分割・民営化に立ち向かった。9・15判決は、昨年12月に鉄建公団を相手に訴訟を起こした動労千葉の9人の組合員に対しても、”ストをした者には一切の救済はしない”という刃(やいば)を突きつけている。動労千葉の9人の組合員はいずれも、「6カ月以上の停職処分」「2回以上の停職処分」でJR採用を拒まれたのだ。
 JR体制下でも、動労千葉はJRの大合理化や安全破壊にストライキで対抗し続けてきた。今年4月の尼崎事故に対する安全運転行動は、事故を必然化した国鉄分割・民営化体制=JR体制への真正面からの反撃だ。この闘いは、JR東日本による処分をはねのけ、JRに22`に及ぶレールの交換をさせる大きな成果を上げている。
 動労千葉はこうした闘いを貫徹しつつ、それを1047名の解雇撤回闘争と一体のものとして闘ってきた。国鉄闘争は、1047名の解雇撤回・JR復帰を求める闘いだ。その勝利は、JR体制を内部から食い破る闘いと結びついてこそ実現することができる。

 1047名の統一陣形守れ

 国鉄闘争は、7・15日比谷野音集会を経て、国労闘争団・全動労争議団・動労千葉争議団の1047名の統一陣形を生み出している。国鉄闘争にとって最大の障害物になっていた日共中央=全労連中央らの「動労千葉排除」の策動を打ち破り、1047名の団結を固めてこそ、勝利の道は切り開かれる。この闘いは確実に支配階級を追い詰めた。だからこそ敵は、原告団と1047名陣形の団結破壊を狙って9・15判決を振り下ろしたのである。
 9・15判決は、原告団と1047名陣形に分断を持ち込み、5人の仲間を500万円と引き換えに切り捨てろという許しがたい攻撃だ。この分断策動を打ち破れるかどうかに、国鉄闘争の命運はかかっている。この判決を反動判決として徹底弾劾する立場に立ちきることこそ、1047名の団結を図る唯一の道なのだ。誰一人として排除を許さず、控訴審へ1047名の団結を一層固めて闘おう。

 またも敵対を策す国労本部

 判決直後、国労本部は「判決が、国鉄の損害賠償責任を認めた点は評価しうる」「この判決を機に……JR採用差別問題の国労基本要求に基づく全体解決をすみやかに実現するため、組織の統一と団結を一層強化し、引き続き奮闘する」などという声明を出した。鉄建公団訴訟原告を統制処分にかけ、訴訟への敵対を繰り返した国労本部が、この期に及んで鉄建公団訴訟に言及すること自体、恥を知らない卑劣な行為だ。国労本部に、訴訟に口をはさむ資格はない。
 彼らの狙いは明白だ。国労本部は反動判決で自身の裏切りが免罪されると思い込み、1047名陣形の分断という反動判決の意図に完全に乗って、判決をベースにした「政治解決」の泥沼にすべての闘争団を引き入れようとしているのだ。
 今回の判決は、国労本部による闘争解体策動の跳梁(ちょうりょう)も一挙に引き出した。だが鉄建公団訴訟は、敵に屈した国労本部の敵対をはねのけて貫かれてきた闘いだ。攻防の核心は、団結し闘うことを根底的に否定した反動判決を打ち破れるか否かにある。団結破壊の手先と化した国労本部と決別しなければ、勝てる闘いも敗北する。何よりも、チャレンジと革同の国労本部は、5・27臨大闘争弾圧で、鉄建公団訴訟原告への統制処分に反対した組合員を警察権力に売り渡したやからなのだ。
 あくまで闘う姿勢と団結を堅持し、1047名の解雇撤回・地元JR復帰へ闘いぬこう。それが、最も確実に勝利をたぐり寄せる闘い方だ。
 民営化攻撃との闘いの先頭に国鉄闘争が立とう。11・6全国労働者総決起集会は、小泉反動と全面対決し、戦争と民営化(労組破壊)の攻撃を打ち破る労働者階級の橋頭保を築く闘いだ。敵階級の攻撃はますます激しくなっている。だがそれは、帝国主義が危機に追い詰められているからにほかならない。労働者が反撃に立てば、必ずそれは破産する。労働者階級の未来をかけて11・6日比谷野音に結集し、小泉政権を打倒しよう。

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週刊『前進』(2216号2面2)(2005/10/03)

資本攻勢&労働日誌 2005 9・1〜9・15

 UIゼンセン同盟 憲法9条2項削除を提起

 厚労省「労働契約法」提言/鉄建公団訴訟反動判決

日航トラブルで労組が声明 日本航空の安全問題について、日本航空内JJ労組連絡会議は、整備部門での人員削減や経営側による労組分断政策を改めるべきだと指摘する声明を発表した。(1日)
自民党・武部が「官公労はがん」発言 自民党の武部幹事長は甲府市内で街頭演説し、「公務員の労働組合、自治労とか官公労が、がんだ」と述べた。(5日)
最低賃金、4年ぶりに全県で引き上げ 厚労省発表の05年度地域別最低賃金改訂状況によると、全都道府県が最低賃金を引き上げ。全都道府県での引き上げは4年ぶり。最低賃金が最も高かったのは東京で714円。最も低かったのは青森、鹿児島など東北や九州・沖縄の8県で608円。(7日)
金属労協定期大会、共闘軸を上げ幅から絶対額に 金属労協(IMF・JC)の定期大会で、春闘での共闘軸を「賃上げによる相場形成」(上げ幅)から「大くくりの職種別賃金水準の形成」(絶対額)に変更すると決定。郵政の民営化も求めるとした。(7日)
連合、国の基本政策問題の中執見解を延期 連合は10月の定期大会で報告する予定だった国の基本政策に関する「中央執行委員会見解」の取りまとめ作業の延期を中央執行委員会で決めた。各単産の意見を大会で紹介する。(13日)
UIゼンセン同盟大会、憲法9条2項の削除提起 UIゼンセン同盟は15日まで大会を開き、「国の基本問題検討委員会」の中間報告を行った。憲法第9条2項から「戦力不保持」「交戦権否認」の規定を削除して自衛戦力の保持を付記、来年の大会で最終報告する。高木会長は連合会長選挙への立候補を表明した。(14日)
石綿製品事業所の半数でマスク未使用などの規則違反 厚労省はアスベスト(石綿)の含有製品を取り扱う124事業所を監督指導した結果、約半数の57事業所で、保護用のマスクを使わないなどの石綿障害予防規則違反が見つかったと発表した。(14日)
厚労省、「労働契約法」の制定を提起 厚労省は「今後の労働契約法制の在り方に関する研究会」が12日にまとめた報告書を発表した。「労働契約法」の制定を提起している。連合、全労連とも反対している。(15日)=別掲参照
鉄建公団訴訟で反動判決 国鉄分割・民営化による国労組合員への採用差別を一部認めながら、解雇撤回を否定する反動判決が出された。原告団は控訴して地元JR復帰を求めて闘う方針。(15日)
大阪市労連が35億円の返還拒否 大阪市の年金廃止問題で、市職員互助組合連合会(互助連)の解約返戻金約35億円の返還を市労働組合連合会(市労連)が拒否していたことが分かった。(15日)

「今後の労働契約法制の在り方に関する研究会」最終報告のポイント

常設の労使委員会の設置
 労働組合の力が弱くなったことを口実に、労組との交渉に代わる労使協議の場として常設の「労使委員会」を認める。
「解雇の金銭解決制度」創設
 ある解雇が裁判などで不当とされ、無効となった時、使用者の申し出で金銭解決も認める。不当解雇であっても使用者は、金さえ払えば職場復帰を拒める。
雇用継続型契約変更制度の創設
 使用者にとって困難だった雇用契約の改悪を、「雇用継続」を条件に一方的な変更権を与える。
試用雇用契約の創設
 新卒者の使い捨てにつながる。
ホワイトカラー・エグゼンプションの導入
 労働時間規制撤廃と一体で推進。

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週刊『前進』(2216号2面3)(2005/10/03)

 国労5・27臨大闘争弾圧公判日程

第46回 9月28日(水)/第47回 10月19日(水)
第48回 11月8日(火)/第49回 11月30日(水)
※いずれも午後1時15分から、東京地裁

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週刊『前進』(2216号3面1)(2005/10/03)

 大阪市労連破壊に反撃を

 11・6怒りの大隊列登場させ「公務員=悪」宣伝打ち砕こう

 大阪市労連(大阪市職、大阪市従、大交、水労など大阪市の職員労組連合=4万人)への破壊攻撃が全面的に激化している。「ヤミ・カラ」「公務員=悪」キャンペーンは80年代国鉄分割・民営化攻撃、現在の郵政民営化攻撃と並ぶ公務員労働運動破壊・一掃を狙う大攻撃だ。11・6労働者集会に4大産別―自治体労働者の大隊列を登場させ、小泉=奥田打倒の怒りの火柱を上げ、反撃しよう。

 「ながら条例」改悪など3つの大攻撃

 9月13日、大阪市人事委員会は、月額マイナス3・84%という大幅賃下げを勧告した。この間の2〜6%の賃金カット=大幅賃下げでもまだ下げ足りないという「勧告」だ。さらに、特殊勤務手当の見直しや人事給与制度の抜本改革も求めた。当局は「人勧制度は労働基本権剥奪(はくだつ)の代償措置」などと称しているが、労働者が賃下げ、手当カット、能力実績主義の人事給与制度などを要求してストライキをやることなどありえない。今こそ人勧体制打破・スト権奪還の大旗を掲げて闘おう。
 9月21日の大阪市議会に「ながら条例」改悪案が提出され、可決した。「勤務時間内にできるのは団体交渉だけで、交渉のための一切の準備活動を認めない」というものだ。団結権の否定・解体だ。交渉の瞬間以外、資料の整理も、機関での協議も、組合員への周知も、役員間の意思一致も、一切認めないというのだ。
 管理職は「業務」として組合対策を行い、組合は当局に対抗するための一切の準備を認められないというのだから、「労使対等」の破壊も甚だしい。すでにある国家公務員職場では、組合役員が仕事中に電話に出ただけで「○○さん、○時○分、職場離脱」なる現認行動が行われている。
 しかし、そもそも「ながら条例」は、1950年代の地方財政危機を突きぬけ、60年安保闘争に続く公労協のILO提訴やILO87号条約(結社の権利)批准闘争など、公務員労働運動が不死鳥のように復活・高揚したことに対し、政府・当局が「ヤミ専従防止のため」に作ったものだ。
 65年に批准されたILO87号条約の実施や公務員のストライキ権をめぐってILOドライヤー調査団(日本問題実情調査委員会)が来日、報告書を出し、争議行為一律禁止などを批判した。ところが、政府は労働法制を改悪し、その一環として勤務時間内組合活動を制限する「ながら条例」を制定したのだ。
 66年に自治省がモデル条例をつくり、社会党や日本共産党が反対し、自民党や民社党が賛成する中、各自治体で「ながら条例」が制定された。それでも「準備活動も認めないと労使の無用な混乱がある」として「準備活動」条項や付帯決議が追加された。「ながら条例」で規制を強化しなければならないほど、自治体労働運動は勤務時間内であれ時間外であれ、怒濤(どとう)の進撃で政府・当局を追いつめていたのだ。
 「ながら条例」改悪は確かに従来の組合活動に困難をもたらす。だがこの過程の闘いは、自分自身のために、職場の仲間のために、労働組合の大義とすべての労働者のための活動に邁進(まいしん)する新たな活動家たちを生み出すだろう。条例改悪で労働組合をどうこうしようとする者どもに労使関係の何たるかを体で教えてやろう。

 「抵抗勢力を強力に抑える」

 大阪市政改革本部の民間本部員・上山信一(慶応大教授)は9月29日までに「改革マニフェスト」を出す。「政府における内閣府のような、庁内外の抵抗勢力を強力に抑え込む」機関を置き、市全体だけでなく、部局や区ごとにマニフェスト(人員削減や財政削減の数値目標)を出させるとしている(「数値目標」は、97年の自治省事務次官通知で強調され始め、今やNPM改革〈注〉など合理化強行のために不可欠のツールとされる)。
 住民も労働組合も議会も世論もおかまいなしにトップダウンで施策を強行する――これは総務省の4・15「自治体経営刷新戦略」や3・29「新地方行革指針」)でも強調されている。このような、80年代や90年代を超える本格的全面的な自治体行革を大阪市のような大自治体――大阪市は天下りを受け入れず地元だけで官僚機構を成立させてきた――で実施すれば、それを突破口に全国の自治体に波及させることができると小泉、奥田らは考えている。
 もともと小泉構造改革の内容の大半は自治体行革にかかわる。大阪市政改革に小泉構造改革の成否がかかっているのだ。
 07年は、団塊世代の大量退職に伴う退職金確保や業務継承が重なり、「07年危機」と言われている。しかし、日本経団連や経済財政諮問会議は「07年からの大量退職期に退職不補充を貫けば劇的な人員削減ができる。危機ではなく07年好機だ」と言っている。この機をとらえて05〜07年に公務員労働運動をたたきつぶすことが狙われているのだ。05〜07年の秋季闘争、人員確保・退職補充の闘いは、日帝国家・自治体当局の危機を決定的に激化させる。日帝打倒の立場、革命的祖国敗北主義の思想なくしては闘いぬけない。

 自治労大阪府本部右翼幹部の打倒へ

 8月の自治労定期大会の中央執行部選挙で、副委員長に立候補した大阪府本部出身の植本眞砂子書記長に全国の自治労組合員の怒りが集中し、不信任票が3分の1を超えた。これは自治労中央―大阪府本部とその右翼路線への批判である。
 大阪府本部は「参加、提言、参画」などと言って自治労を屈服の泥沼に引きずり込み、右翼的に転落させようとしてきた。連合路線に浸り、闘う姿勢を見せない植本書記長を名指しで批判する意見が大会で出た。多くの自治労組合員が怒りと警戒と不信の厳しい目で大阪府本部を見ている。
 大会のみならず各機関の総会でも、本部の「平和基本法制定」方針とともに「民主党支持」路線への怒りと疑問が噴出した。
 現業評議会総会では「政治方針について討議しない」という不文律は吹っ飛び、「公務員首切り政党」=民主党への怒りと疑問が全体を覆った。佐藤稔中執(現業局次長、大阪市従出
身)や高嶋良充参議院議員(大阪枚方水労出身)は、「民主党のマニフェストは国家公務員2割削減であって、分権自治推進の立場だから、地方公務員の削減はない。むしろ拡充される」などと誰も信じないようなでたらめな答弁・発言で会場の怒りを買った。
 現業労働者が十数万人も減らされているのに、現評総会で恥ずかしげもなくこういうことを言えるのが大阪府本部の幹部連中だ。彼らは、十数年前に現業活性化を打ち出し、「合理化されるのは活性化の努力をしないからだ」などと全国の組合員を恫喝し、自治労本来の職場闘争や官民連帯の地域闘争などをことごとく「参加、提言、参画」路線に押し込め、武装解除し、必死に闘う単組に冷や水を浴びせてきた。
 その揚げ句、9・11総選挙では小泉・自民党の「労働組合の利害を代表する民主党」という攻撃に屈し、まともに民主党選挙への動員すらできず、民主党の惨敗を自ら引き寄せた。自民党と公務員の「首切り合戦」を交えるような民主党を労働者が見放すのは当たり前だ。「脱労組」を掲げ、改憲と戦争に突き進む前原・民主党など、労働者の側から願い下げだ。
 公務員への攻撃は公務員労働組合への攻撃であり、すべての労働者、労働組合への攻撃だ。労働者階級全体に低賃金・不安定雇用・未組織・無権利・重労働を強制する攻撃だ。公務員労働者と民間労働者の階級的団結、共同の力で戦争と民営化の攻撃を打ち破ろう。

 大阪市職の闘う伝統を守れ

 大阪市労連への不当な攻撃を日々受けている大阪市職、大阪市従を始めとする現場の組合員には、「大阪が自治労の最右翼として批判されている」という実感はない。大阪市職は自治労最大最強の都市単組としてさまざまな闘いをやってきた。45支部の現場には労働者魂が根付いている。大阪港軍港化阻止闘争の主力も大阪市職・大阪市従だ。69年佐藤訪米阻止闘争のために人生をかけて立ち上がった市職の青年労働者たちが打ち振った「反戦」旗は、風雪に耐え色あせながら、今でも大阪港闘争を始め反戦闘争の現場に翻っている。
 日帝・小泉=奥田は、現場で職制とやり合い、職場を制圧し、組合活動を展開し、必要とあらばどこへでも反戦闘争に駆けつける、そういう労働組合、現場の労働者の団結の力を恐れている。公務員職場に労働組合が根付いていること、要求し行動する労働組合そのものを恐れ、マスコミを使ってたたきつぶしにかかっているのだ。

 団結し要求し交渉するのが労働組合

 昨秋、大阪市職は1800人の大集会や総務局前座り込み闘争で要員闘争に勝利した。「ヤミ・カラ」攻撃のもとでも、赤鉢巻きで中之島中央公会堂を埋め尽くした市従総決起集会、西成区民センターを埋め尽くした市職団結集会など、現場の組合員は怒りと逆襲心に燃えて決起している。
 当たり前だ。自治体労働者は賃金労働者だ。団結し、要求し、交渉し、行動するのが自治体労働組合だ。労働者は労働力を売って生きている。賃金の出所が「税金・公金」だろうが「会社の金庫」だろうが、そんなことは労働力を買う側の問題だ。労働力を買って消費しておきながら、後から「その金を返せ」とはなんだ。服を貸与しておいて、後から「あれは収入だから税金を払え」とはなんだ。たこ部屋のピンハネと同じではないか。さんざん不払い超勤を強制しておいて、「カラ残業」とはなんだ。「人も金もない」と言っては合理化・業務見直しの提案を次々ぶつけ、組合に協力を押し付けておいて、何が今さら「ヤミ専」だ、何が「金を返せ」だ。ふざけるのもいい加減にしろ。
 時間内組合活動を妨害するならそれもよいだろう。業務が混乱したり執行できなくなることは不可避だ。
 公務員労働者の無権利状態への逆戻りは戦後革命の原野に立ち返ることを意味する。地方公務員法があって初めて諸権利が守られるわけではない。「ながら条例」に守られて組合活動をしているわけでもない。公務員労働者は戦後、焼け跡からはい上がり、合法だろうが非合法だろうが、公務員労働組合を結成し、団結し、闘ってきた。力と力が激突する本当の労使関係を今、現実に示してやろう。
 なお、税財政とは、どの階級が、どの階級から、どう収奪し、どう分配するかというせめぎあい、階級闘争のテーマそのものだ。あたかも自治体労働者と住民の利害が対立しているかのようなデマが横行しているが、ブルジョアジーは、人民から収奪し、自らにのみ手厚く分配しようとあがいているにすぎない。強度の累進課税でブルジョアジーから収奪し、住民にも自治体労働者にも十分な分配と生活水準の向上をめざすのが労働者の立場だ。税財政はブルジョア独裁かプロレタリア独裁かという問題に直結するテーマなのだ。

 05年勝利かけ11・6総結集を

 05年階級決戦の勝利をかけ、11・6労働者国際連帯集会の成功をかちとろう。
 大阪市労連攻撃は、昨年4月の本間正明(経済財政諮問会議議員、大阪大教授)の大阪市長諮問機関・都市経営諮問会議座長就任、同年6月の「骨太方針W」、秋から年末に相次いだ「05年は地方公務員攻撃をやる」という自民党・政府・日本経団連の方針などの中で準備され、発動された。81年暮れの「ヤミ・カラ」キャンペーンから87年4月の分割・民営化に至る国鉄決戦の修羅場が自治体産別でも始まったのだ。東京ではファシスト石原慎太郎知事が都労連―都高教に、大阪では小泉=奥田が大阪市労連―自治労大阪に襲いかかった。
 05年度に都道府県の国民保護計画が、06年度には市町村の国民保護計画が、それぞれ策定される。自治体労働者が戦争に動員されるかどうか、自治体労働者が住民を戦争に動員するかどうかが問われている。「二度と赤紙を配らない」闘いの正念場だ。自治体労働運動への攻撃は、この国民保護計画に逆らう自治体労働者の意思と力をそぎ落とし、戦争国家をつくるための攻撃だ。小泉=奥田は、賃金強奪と労働強化、組合破壊と首切り・民営化の上に、残った自治体労働者を住民の戦争動員の先兵に仕向けようとしている。戦争と民営化、労組破壊は小泉のファシスト的国家改造として全一体をなしている。
 だが、社会を現実に動かしているのは労働者だ。労働者は怒るべき時に怒り、立つべき時に立つ。労働組合、団結権は労働者の生きる寄る辺だ。小泉=奥田路線、大阪市労連攻撃との鉄火の攻防は青年労働者を鍛え、次代の階級的自治体労働運動の担い手を大量に養成するだろう。
 自治労本部を窮地に追い込んだ8月自治労大会は反転攻勢ののろしだ。小泉=奥田の総選挙クーデター、戦争と民営化(労組破壊)、郵政民営化―公務員制度改革、ファシスト的国家改造の大攻撃に11・6労働者集会への1万人大結集で反撃しよう。
 〔川上憲一〕

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週刊『前進』(2216号3面2)(2005/10/03)

 改憲と公務員削減で突出し「第2小泉自民党」の道進む

 前原民主党の反労働者性暴く

 9・11衆院総選挙で惨敗した民主党は、9月17日に両院議員総会による代表選挙を行い、辞任した岡田克也の後任として前原誠司を新代表に選出した。菅直人を2票差で破った。翌日には鳩山由紀夫幹事長らの執行部を選出した。前原・民主党は9条改憲を掲げ、「脱労組」「官公労とたもとを分かつ」と公言し、戦争と民営化=労組破壊を進める「第2小泉自民党」としての一層の純化の道を歩もうとしている。9・11小泉反革命が生み出した、もう一つの許しがたい重大情勢である。「民主党支持」を掲げ、改憲勢力化を進める連合指導部を打倒し、闘う労働運動の新潮流を今こそ登場させなければならない。11・6労働者集会への大結集で総反撃を開始しよう。

 憲法9条2項の削除と自衛権明記を主張

 そもそも前原誠司は、松下政経塾の出身であり、日本新党で衆院議員となり、民主党幹事長代理などを経て04年9月から「次の内閣」防衛庁長官を務めている。安保・防衛政策における超タカ派、ゴリゴリの改憲論者であり、「自民党以上に右寄り」(民主党若手議員)という人物だ。
 今回の代表選後の記者会見では、「憲法改正は、9条も含めて必要だというのがわれわれの従来の立場だ。私の意見は(戦争放棄の)9条1項はいいが、(戦力不保持の)2項は削除し自衛権を明記することだ。党憲法調査会の議論をスピードアップし、対案を持って対応できるようにしたい。憲法改正が必要だという他党と議論をする中で、まとめていくべきだ。(与党と)闘う姿勢は持ち続けるが、何でも反対の野党にはならない。大事なことには賛成し、建設的な提案をする」と述べている。
 9条2項の削除と自衛権の明記は、自民党が打ち出そうとしている改憲草案とまったく同じである。そもそも自衛権を認めることは、「自衛」の名のもとに行う侵略戦争をどこまでも認めていくことにほかならない。実際、前原は、集団的自衛権の行使も容認し、国連決議を前提とした海外での武力行使の容認を持論としてきた。
 民主党は、総選挙のマニフェストで、「イラクからの自衛隊撤退」を掲げているが、「主体的な構想力を持って国際社会の平和と豊かさに貢献し、その中で日本の国益を追求していきます」と、「国益」論を強く押し出し、「東アジア共同体」構想を打ち出している。「日本の国連安全保障理事会常任理事国入り」をめざすとしており、「国際平和協力隊」の創設などをうたっている。また、北朝鮮拉致問題については、「『改正外為法』『特定船舶入港禁止特別措置法』に基づく措置の発動も視野に入れ、積極的に取り組む」として、北朝鮮への経済制裁=侵略戦争発動をうたっているのだ。
 朝日新聞(9・18付)は、前原と同じ43歳で英国の首相に就いたブレアになぞらえ、「めざせ『日本のブレア』」などという社説を掲載している。冗談ではない。ブレアはニューレイバー路線を掲げて、民営化を推進、戦闘的労組を排除し、ついには米帝ブッシュとともに、イラク侵略戦争の先頭に立ってきた人物ではないか。前原・民主党も、この路線をさらに進め、自衛隊の侵略軍隊化を推し進めようとしているのだ。
 前原は、19日の朝日新聞のインタビューでは、憲法改正の手続きを定める国民投票法の制定について「前向きに取り組む」と語った。自民党が11月に新憲法の草案を公表することについては「(自民党より)後から(改憲草案を)出したから後れを取るというのではない。われわれも責任を持たないと(憲法改正の発議は)通らない。イメージとしては大連立的な考えを持たないとやれない」と述べた。
 憲法改正の発議は衆参各院の3分の2以上の賛成が必要であり、衆院選で自民・公明の与党が3分の2を占めたとはいえ、参院では民主の合意が不可欠だ。前原は、与党との改憲に向けた翼賛体制をつくる意図を隠そうともしていない。
 われわれはこの情勢と戦慄(せんりつ)を持って対決しなければならない。前原の任期は、もともと岡田の任期である06年9月までで、自民党・小泉とほぼ同時期であるが、この間にも、改憲の発議があり得るような情勢なのだ。
 民主党内の旧社会党系議員らとの矛盾・あつれきをはらみながらも、民主党は、改憲政党へと純化していこうとしているのだ。

 郵貯と簡保の廃止と公務員人件費の削減

 前原・民主党はさらに、小泉・自民党と「構造改革」路線を競い合う体制である。前原は、「効率のよい政府」を掲げているが、それは、小泉の「小さな政府」路線のさらに上を行く新自由主義的な反労働者的政策である。民営化と大量首切りと労組破壊の路線を推進しようとしている。
 民主党は、そもそも総選挙のマニフェストで「国家公務員人件費の2割削減」を掲げた。これは、自民党以上に具体的な公務員首切り策である。
 郵政民営化をめぐっては前原は、総選挙惨敗の理由の一つは「労組」だと明言した。投票前の演説で「(郵政民営化法案に)労働組合の意向で対案が出せなかったのではないか」「民主党の原点は既得権益、しがらみにとらわれないことだ。郵政法案の対応を見ても、労働組合の意向に大きく影響を受けた」と述べている。つまり、JPU(全逓)などを標的にして、その切り捨ての意図をむき出しにしているのだ。
 前原は、特別国会で、与党の郵政民営化法案への対案として郵貯の預入限度額を1000万円から700万円(さらに500万円)に引き下げる法案を提出するとしている。この民主党案は、総選挙の過程で民主党幹部が明言したように郵政労働者の「8万人削減」をもたらすものなのだ(郵政民営化論者の松原聡東洋大教授によれば、10万人以上の削減となるという)。
 しかも前原は郵貯・簡保に関しては「民営化推進」どころか、「(郵貯と簡保は)規模縮小後、個人的には将来廃止した方がいい」と公言するなど、銀行協会や生保協会の要求と同じ「廃止」論者なのである。
 また、公務員に労働3権を認める代わりに身分保障をなくす国家公務員法の改正案を来年の通常国会に提出したいとの考えすら示している。

 「官公労とはたもと分かつ覚悟」と公言

 さらには、「官公労との関係は見直さざるを得ない。考えが合わない時には、たもとを分かつ覚悟が必要だ」(9・18NHK番組)と述べている。
 前原は20日、連合の笹森清会長と会談し、労組との関係について「郵政民営化の対案づくりや公務員制度改革にしっかり取り組みたい。意見の合わない組合、産別とは(一致できなくても)仕方がないというスタンスを貫きたい」と述べ、特に官公労との関係悪化も辞さない考えを伝えた。そして公務員制度改革について「絶対に後手に回らない。あらざる批判を受けないように、われわれが先に案を出すくらいの気持ちでやっていきたい」と表明。自治労などとの見解の相違はやむを得ないとの認識を示した。
 同時に「働く方々の視点に立った政党でありたい。民間労組は生き馬の目を抜く経営環境で労使が一体になってさまざまな改革をしている。そういう流れを止めてはいけない」と述べ、連合内の右翼的民間産別・労組との関係は重視していく意向を明らかにした。
 笹森も、「われわれも改革志向なのに、いつの間にか守旧派に追いやられている。これは本意ではない」と述べ、前原の主張に理解を示したという。
 10月5、6日の連合大会で、連合は、改憲そのものの「安保基本法」制定要求を方針化するとともに、あらためて「民主党支持」を掲げようとしている。そして、笹森の後継としてUIゼンセン同盟の高木剛を会長に選出しようとしている。連合の改憲勢力化阻止へ総決起しよう。
 前原・民主党の路線は、民主党の危機の激化と同時に、連合との亀裂と分裂、連合自身の解体の危機を促進する。8月の自治労大会では、自治労中央による連合の「安保基本法」とほとんど同じの「平和基本法」制定方針に対して、大反撃が巻き起こった。
 さらに、連合内の民間大産別と自治労、日教組などの旧官公労系の労組との分岐も不可避である。
 4大産別決戦は前原・民主党、連合指導部との大激突になっていく。4大産別を軸に階級的労働運動の発展をかちとり、11月集会への1万人大結集を実現することこそが、労働者の進むべき道なのである。

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週刊『前進』(2216号3面3)(2005/10/03)

 郵政民営化攻撃と闘わないカクマル

 「民主党の勝利」に期待したが…

 ファシスト・カクマルは、小泉の解散・総選挙の過程で、ますます路線的破産をさらけ出した。
 カクマルは、日帝・小泉の解散・総選挙の大反革命の恐るべき重大性を見すえず、解散直後には、「自民党分裂下の総選挙は、”漁夫の利”として岡田・小沢の民主党の勝利や、この民主党と自民党造反議員との結託などの可能性をも、浮上させつつある」(『解放』8月15日付)と民主党政権を願望さえしていた。
 しかも、その民主党のマニフェストを「“対米自立”の意向をあえておしだした」ものとし、「小泉式の対中国強硬策の修正を要求している奥田・日本経団連会長ら日本独占ブルジョアジー主流の階級意志を体している」(同8・29付)などと意義付与していた。
 これは単に選挙情勢の読みにおいてトンチンカンで的外れだということにとどまらない。日帝が帝国主義として生き残るための超反動的な延命策として日米枢軸があり、小泉「構造改革」路線があることをまったく見ていないのである。
 カクマルはこの間、一貫して「小泉をたしなめる奥田」という形で(例えば靖国神社参拝をやめさせようとしているなどと)小泉と奥田の関係を描き出すことに腐心してきた。
 だが、03年「奥田ビジョン」以来、日本経団連・奥田は、日帝の「戦争と民営化・労組破壊」路線を主導してきた。今年の1・18の二つの提言を見よ。そこでは憲法改悪と教育基本法改悪がブルジョアジーの利益をかけてゴリゴリと強調されているではないか。
 今回の総選挙に際しても解散の日に小泉と奥田は意志一致しているし、日本経団連として自民党を支持することを決定した。日本経団連・奥田にとって郵政民営化は、なんとしても実現すべき、ブルジョアジーとしての要求なのだ。総選挙の結果について、奥田は「小泉首相の圧倒的なリーダーシップ」をたたえ、「その主張にぶれがなかったことが勝利の要因」と談話を発表した。小泉と対立しているどころか、小泉=奥田路線なのだ。
 カクマルはなぜこんな事実を歪曲したことを言うのか。それは、”民主党や日本経団連はブッシュ言いなりの小泉よりまし”と描きたいからだ。だがそれは、日帝ブルジョアジーの美化であり、屈服である。

 “ブッシュおしつけ”論に固執

 カクマルは、郵政民営化に対するとらえ方自体が、まったくゆがんでいる。
 「郵政民営化法案は小泉・竹中式『構造改革』政策の柱であり、アメリカ政府・支配階級の要求を受けて郵貯・保険市場を”開放”する……”ブッシュおしつけ”という政治的性格」(同8・15付)のものだというのだ。
 したがってカクマルから見れば、「郵政民営化法案をめぐる対立じたいが、対米追従一辺倒の小泉と、これへの反発から”対米自立”を多少なりとも志向する部分との対立を根底としている」(同)というものになってしまう。
 しかし、郵政民営化をめぐる対立の軸は、「官から民へ」と言って公務員労働者を目の敵にし、労働者の階級的団結と労働組合を破壊する攻撃を許すかどうかにある。この点では小泉自民党も民主党も同じだ。
 カクマルは、この間、郵政民営化を正面課題として闘争を呼びかけるということをまったく行っていない。スローガンとして掲げることはあるが、アリバイ的なものでしかない。現に今年の8・7「国際反戦集会」の報道を見ても、「郵政民営化反対」はどの発言者の口からも提起されていない。
 また総選挙後の9・19付号では、「小ヒトラー小泉政権を打倒せよ」などと一見左翼的に見える見出しを掲げているが、その中には「郵政民営化反対」はまったくない。民営化攻撃に対する職場からの階級的反撃など思いも及ばないのだ。

 国鉄民営化への率先協力が原点

 それもそのはず、カクマルとは、1980年代の中曽根による国鉄分割・民営化に対して、当時の動労カクマル組織を守るために、進んで分割・民営化に協力し、その先兵となることで延命を図った反革命党派なのである。カクマルの協力なしには国鉄分割・民営化は成立しなかった、そういう役割を果たしたのだ。そのカクマルが左翼の仮面をかぶって存在すること自体が許されないことなのだ。だから、カクマルの掲げる「民営化反対」などアリバイで、まったく口先だけでしかないのだ。
 民営化攻撃と闘う労働者の敵=カクマルを放逐・打倒しよう。

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週刊『前進』(2216号4面1)(2005/10/03)

 小泉と対決、北延伸阻止へ 10・9現地大集会に結集を

 反戦の砦=三里塚は訴える(上)

 10・9全国総決起集会に向けた三里塚芝山連合空港反対同盟の思いを語っていただいた。全国から三里塚に結集しよう。(編集局)

 三里塚にかけた40年 反対同盟事務局長 北原鉱治さん

 今回の選挙で自民党が圧勝したが、小泉が言っている「改革」はけっして国民のための改革ではない。労働者・農民のための世の中に変えようというのがわれわれの改革であって、誰かがそれをやらない限り、今の政治に歯止めをかけることはできない。1億2千万人の「国民」にしっかりしてくれと言いたい。
 60年前の第2次世界大戦では、天皇のもとで2千万の人びとが死んでいった。その痛苦の念をアジアの人びとは忘れてはいない。今の小泉はそれを繰り返そうとしている。人間の生きる権利が一切通用しない時代になる。
 ここで三里塚が勝てなかったら日本の未来はない。三里塚闘争は農地死守・軍事空港反対を貫いて体を張って闘ってきた。反対同盟の闘いが代償を求める闘いであるならばとっくに消えていただろう。ここが原点だと私は思う。
 私も40年闘って83歳になった。避けて通れば通れたかもしれないが、いつのまにか三里塚闘争を背負うことになり、40年にわたって正義を貫いて闘ってきた。この自分の生きざまに誇りを持っている。人間それぞれの生きざまがあるだろうけれど、たった一つの真実を貫いて闘うことが人間として心に豊かさを持てることではないだろうか。
 多くの犠牲を出した。権力に命を奪われていった。また4千人に及ぶ逮捕者を出した。いまだに獄中で闘っている人たちもいる。私たちはその痛みを分け合い、連帯して闘ってきた。
 今回の衆院選挙を見ても、自衛隊がイラクに派兵されていることについて取り上げた政党がまったくなかった。全部、小泉の欺瞞(ぎまん)性、ペテン性にひっかかってしまった。
 私は絶えず言っている。一人ひとりが、声ある者は声を出し、勇気ある者は勇気をもって立ち上がらなければならないと。われわれの闘いが小泉を追い詰めていることは事実だ。しかし彼らは国民をいかにだますか、あらゆる卑劣な手段、手練手管を使ってきた。だから今ほど真っ向から反対を掲げて闘う勢力が求められている時はない。
 三里塚と車の両輪として闘ってきた動労千葉が、今年の11月に1万人の労働者集会を呼びかけている。労働者や労働組合の今の動きと三里塚闘争がいかに結びつくことができるかが問われている。三里塚に心を寄せる人びと、労働者や農民、学生たちをどのようにして三里塚に結集させるのかということも闘いの一環として考えていかなければいけないと、私は決意を固めている。
 暫定滑走路の北延伸が決定された。敷地内には住居があり、耕作地がある。そこに住んでいる農民のことをどう考えているのか。私たちが何をやったというのか。“お金はいらない。とにかくこの地に住み、生きていきたい”と、誰も奪うことのできない当然の権利を主張しているだけだ。
 しかも、日本はイラクに自衛隊を派兵し、有事立法では成田空港を軍事空港として使うというわけだ。三里塚は当初から農民から土地を奪って造る空港は軍事空港だと見抜いて反対してきた。まさに先見の明だ。
 今年1月8日付の千葉日報で私のインタビューが掲載された。「同じ道進ませない」「若者に重ねる戦時の記憶」という見出しで、戦争に動員された私の青春と三里塚闘争への思いが記事になった。それを読んで地域の人たちが「ああ北原はこういう気持ちで闘争をやっているのか」「正しい」と言ってくれた。
 多くの人たちが青春をかけた三里塚。これを勝利しなければいけない。闘いは人間としての楽しいドラマだ。自分の心の中に豊かさを持つということ。そうすれば状況も変えることができる。10月9日の全国集会はこれからの時代を決める重要な闘いになる。三里塚に心を寄せてきた人たち、初めて三里塚を知る人たち、すべての人たちの結集を呼びかける。

 農民と労働者の力で 反対同盟敷地内農民 市東孝雄さん

 暫定滑走路の北側延伸決定、「またか」ですよね。「謝罪」したって、結局はやることはやるということでしょ。三里塚では、それが40年だ。今さらびっくりはしないけど、この計画はひどい。空港の敷地をはみ出した東側に迂回する誘導路を造るというが、そこには先祖以来住み続けて農業をやっている人間がいるんだよ。誘導路にしろ、廃棄物処理場の移転問題にしろ、いかにいいかげんな計画で北延伸を考えているのかが分かる。今回の誘導路計画は、本当に机上の計画ですよ。管制塔からの死角部分が増えるという安全無視だ。実際に怖くて飛べないというパイロットの声も聞こえてきている。
 そこまでやってジャンボ機を飛ばすのか。無理をして誘導路を通すことになる。滑走路の先を誘導路が横切るなんて聞いたことがない。安全上も大問題だ。大惨事が起こる。結局、暫定開港と同じで、狙いは反対同盟の追い出しだ。農民無視は今に始まったことじゃない。逆にこっちはますますファイトがわいてくる。“こんなでたらめを許しちゃならない”という気持ちだ。
 親父が99年1月に亡くなって、その年の暮れに三里塚に帰ってきた。その時にちょうど工事が始まった。それから2年ぐらいして暫定開港だった。農業をやって6年かな。完全無農薬でやっていると暇がない。どこに行ってもみなさんに「大変だったでしょう」「大変でしょう」と聞かれるが、全然大変だったということはない。農業は全然苦にならないし、奥が深い。親父が生きていたころも、時々帰ってきて支援の人たちとも話をしたり、おれが親父の背中を押していた。反対運動は親父の生き甲斐だったからね。
 最近、北原さんがよく「君たちの青春をかけた闘いが三里塚だ」と言うでしょ。反対同盟は40年、支援もともに闘ってきた。ここまで来たらやっぱり勝たないとね。
 総選挙で小泉が勝って、今度の国会ではなんでもありだ。昨日はニュースで国交省が「災害に強い国土づくり」と言って住宅の耐震改修をやると、改修しなければペナルティーを与えると言っていた。ほかにも共謀罪とか、改憲までやる気でしょう。自民党を選んだ結果がどうなるのかを考えたのだろうか。マスコミにあおられ、小泉にだまされている。
 2年ぐらいになるか、インターネットを通じてあらためて三里塚闘争を発信している。それまでは三里塚はまだ闘っているのかという声があったというものね。
 この暫定滑走路を使っている韓国のアシアナ航空のパイロットが、空の安全を守ろうとストライキで闘った。アメリカでもノースウエスト航空の組合がストライキをやっていると聞いた。三里塚の農民も労働者も敵は一つ。軍事空港に一貫して反対してきた三里塚闘争を世界に知らせたい。
 それでなくても権力は闘う農民や労働者をつぶしたくて仕方ないんだから。今の資本主義は貧富の差をどんどん広げようとしている。アメリカもそうでしょ。日本でも同じだ。小泉政権と真っ向から対抗できるのは三里塚を先頭とした農民と労働者の力だ。これからどうなるか楽しみだ。
 10・9全国総決起集会は三里塚闘争の新たな出発の日です。大結集をお願いします。

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週刊『前進』(2216号4面2)(2005/10/03)

 北延伸阻止の第1弾 9・19三里塚現地に180人

 米航空労働者ストに連帯

三里塚で暫定滑走路北延伸阻止の緊急闘争。動労千葉は「空の安全を守れ!ノースウエストは組合つぶしをやめろ!」のボードを掲げ、ストライキ中の航空整備士組合(AMFA)への連帯を込めてデモ行進した(9月19日 成田市東峰)

 成田市東峰の開拓組合道路上で9月19日、三里塚芝山連合空港反対同盟の主催で三里塚現地闘争が闘われた。反対同盟の呼びかけにこたえ首都圏から180人が結集した。政府・国土交通省と成田空港会社の暫定滑走路の北延伸の暴挙に対する第1弾の闘いだ。
 「北延伸は敵の危機に駆られた攻撃だ。反対同盟は新たな農民追い出し攻撃を粉砕する」と伊藤信晴さんが宣言し集会が始まった。
 事務局長の北原鉱治さんは「総選挙で圧勝した小泉は、逆らう者はいないとばかりに強硬姿勢の政治を進めようとしている」と総選挙後の情勢を弾劾、イラク派兵継続の動きについて、戦争体験者として、成田空港の軍事使用を許さないと語った。そして「三里塚闘争は勝利に向かって前進している。われわれには正当な抵抗権がある。40年の闘いの実績を踏まえ、成田空港を廃港に追い込むまで闘う」と決意を示した。
 続いて動労千葉の滝口誠特別執行委員が北延伸の攻撃と闘うとの決意を語り、動労千葉の安全運転闘争を報告、11・6労働者集会への結集を呼びかけた。またこの闘争をノースウエスト航空の労働者のストライキに連帯して闘おうと訴え、英語で「AMFAの闘いを支援しよう!整備の外注化をやめろ」と書かれたボードを掲げデモ行進した。
 都政を革新する会の長谷川英憲さんは、杉並の「つくる会」教科書採択撤回へ闘う決意を語った。婦人民主クラブ全国協は「負けずに闘えば北延伸の野望はうち砕ける」と訴えた。全学連の大山尚行委員長は「暫定滑走路の北延伸阻止へ10・9三里塚に全国学生は総決起する。小泉打倒を掲げて、一歩も引かない勢力が現れれば、情勢は一変する」と決意表明。
 最後に事務局次長の萩原進さんが暫定滑走路の北延伸について「怒りよりあきれる。常識から言ってどうしようもない。形を取り繕うだけ。より危険な空港になる。工事は一切許さない。ここから人民の戦争を始める」と今後の闘いの展望を提起した。
 開拓道路から東峰十字路に向かってデモ。東峰地区を周回し、団結街道を進み、天神峰現闘本部の横を通り抜けた。デモ後、北延伸をめぐる現地調査を行った。東峰地区の敷地はみ出し誘導路新設計画が仮に完成した場合、第2ターミナルから滑走路までは最大5`を超える長距離になるという無謀なものであり、東峰地区は四方を空港に完全に取り囲まれることが明らかに。驚きと怒りの声があがった。

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週刊『前進』(2216号4面3)(2005/10/03)

 「つくる会」教科書撤回せよ 杉並区議会

 「つくる会」歴史教科書の採択を撤回させよう。都政を革新する会のけしば誠一、新城せつこ両区議が9月15、16日の杉並区議会で山田区長や納冨教育長を徹底追及し、撤回を強く要求した。2人から以下の議会報告が寄せられました。(編集局)

 山田区長の委員人選追及 9月15日 けしば誠一区議

 杉並区議会定例会で9月15日、一般質問に立ち、「つくる会」歴史教科書を採択した山田区長と納冨教育長を厳しく追及した。
 「チャンネル桜」の発起人で「つくる会」賛同者の松浦区議が「採択実現のカギは、ひとつは区長、教育長が不当な圧力に屈せず正しい意見が言える人であったこと、もうひとつは『つくる会』が公開質問状を即座に出したこと」と総括するように、「つくる会」歴史教科書の採択は、山田区長の全面的支持と「つくる会」の脅迫に屈した納冨教育長による教育委員会の違法な手続きだった。 
 山田区長が任命した宮坂委員は「戦争は国と国のけんかだと思っています。けんかというのはそれぞれ言い分がある。日本は戦争をやらざるを得なかった」と発言し、大蔵委員は「めくら(ママ)を盲人と言い換えても差別はなくならない」と発言、視覚「障害者」からの批判を「言葉狩り」だと居直りながら、「目の不自由な人」とこっそり言い換える破廉恥さ。このような委員を選んだ区長は答弁できず、区長室長に「立派な識見を持った人物で議会が選んだ」と居直りの答弁をさせた。 
 8月4日の審議では教育長が「3社どれでもよい」と表明しながら、12日には賛否の分かれる「つくる会」教科書をあえて第1位に選んだのは区長の指示ではなかったのか。扶桑社版を支持した教育長は、憲法順守義務に反して選択した責任をとり、辞任しろと突きつけた。教育長は「議事録を読めば分かる」とのみ答え、扶桑社を採択した理由も言えず「やめる気はない」と気色ばむだけ。
 さらに、採択要綱を規則に変え、現場教員の調査研究報告を無視し、「チャンネル桜」を後援し、調査報告書の書き換えを指導、区民の声や要望、アンケートの無視など、区長と教育長の結託による「つくる会」採択のための具体的手口を一つひとつ暴き追及した。
 「大東亜戦争は正しかった」という教科書で授業をする学校に就学義務を課すのか、在日の子どもたちにもこの教科書を渡すのかとただしたが、答えられない。「つくる会」は安本委員を名指しした中傷ビラで、帝国書院や大阪書籍を攻撃し、教科書編集者が他社を批判することを禁じている公正取引委員会告示に違反しており、扶桑社を除外した上で採択をやり直すべきであると迫った。 
 「つくる会」は、撤回運動の爆発と来年4月に向かう教育現場での闘いに恐怖している。採択後に扶桑社版の欠陥を補完するガイドラインの必要性を訴えた丸田教育委員長に対し、公開質問状で辞職を迫る挙に出た。さらに「つくる会」教科書を実際に使うかどうか学校に調査に入ると露骨な介入を宣言している。
 その結果、「委員長コメント」と正反対の「補足コメント」が出されたことを見ても、杉並区の教育行政は、教員や教育委員の「つくる会」教科書を批判する意見を変えさせるという異常な状態になっている。
 私は、「つくる会」による不当な介入や圧力のもとでの採択は無効であり、必ず撤回させると宣言した。 

 納冨教育長の罷免要求 9月16日 新城せつこ区議

 9月16日、私は前日のけしば区議の質問への区答弁を受け、納冨教育長の姿勢を再度追及しました。
 9月7日の文教委員会で明らかになった丸田教育委員長に対する公開質問状は、8月15日付で、「つくる会」公民教科書執筆者・八木会長名で出され、8月12日の委員長コメントに対し「越権行為」「罷免されるのが相当」と、最大級の悪罵(あくば)をなげかけ辞任をせまる正真正銘の脅迫状であることが判明しました。
 8月25日の文教委員会で、区教委が8月12日の委員長コメントや補足コメントの変化を報告しながら、公開質問状の存在を明らかにしなかった問題を指摘し、8月16日の補足コメントが「つくる会」の公開質問状=脅迫によって書き変えさせられたことを明らかにしました。
 委員長コメントは、現場から「一揆や市民革命など、社会を動かそうとした大衆のエネルギーに関する記述が弱い」「一面的な記述が多いので、多面的なものの見方を育てることにつながらない」と厳しい指摘がなされた扶桑社を採択するにあたり、「教科書の内容を補完する立場から補完ガイドライン」「教師用指導書概要」などの対策の必要性を求めたものでした。
 「つくる会」は、委員長コメントが「教育委員会の正式見解であるかのように発表したのは越権行為」だと非難し、脅迫に出たのです。その証拠に、保護者委員に対しても、採択終了後の9月2日、「再質問」として採択審議での発言を撤回しなければ「法的手段に訴える」と脅迫していることも分かりました。
 しかも、この公開質問状を、「適正かつ公正な採択が行われますよう、お願いします」と都教育委員会、山田区長や教育委員会事務局に送り、協力を求めていたのです。扶桑社版の採択がこうした脅迫や政治的圧力によって進められたことは許せません。
 さらに問題は納冨教育長の姿勢です。教育長が1票を投じて「つくる会」教科書を採択したのです。教育長は「採択審議は教育委員の一人としてやった。私見を述べた。議事録を読めば分かる」と何度も答弁しました。私は、8月4日と12日の教育長の発言をじっくり読み返してみましたが、他の教育委員が態度を変えていないのに比べて、態度が一変しているのです。
 教育長は、4日の審議の中で、国語、器楽合奏、英語など他の教科書採択では、「教育長という立場を持つ教育委員であること」をくり返し述べ、「現場からどの程度活用できるか疑問だと言われてしまうと、その教科書でいいのか素朴に感じる」として現場の意見を尊重する立場に立ち、歴史についても現場の批判をとりあげ扶桑社の採択を渋っているのです。
 ところが、12日の歴史の審議では、態度を一変し、現場の意見を否定するために「つくる会」派委員に助け舟を求めているのです。これは教育長がなんらかの圧力のもとで態度を変えたことを示す証拠です。私の再質問に教育長は自ら答弁に立たず、次長に「すべてをうのみにするものでない」と答えさせたのです。
 私は、教育長に自分で答えるよう迫り、教育委員への脅迫や中傷に対してなんの措置もとらず、「つくる会」のやりたい放題の攻撃にさらし、しかもその尻馬にのって保護者委員の発言を問いただした教育長こそ、「職務上の義務違反」によって罷免されるべきだと厳しく弾劾しました。
 「つくる会」は、来年4月からの教科書の使用に対して「教科書が使われているか、どのようなプリントを出しているか、資料を請求してチェックする」という方針です。「つくる会」の脅迫と圧力で杉並の教育が進められることをこれ以上許してはなりません。教科書採択の撤回へ全力を尽くしたいと思います。

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週刊『前進』(2216号4面4)(2005/10/03)

日誌'05  9月14日〜20日

 陸自武装部隊が商店街行進

 対テロ特措法1年延長表明

●「対外情報機関設置を」 町村外相の私的懇談会「対外情報機能強化に関する懇談会」が報告書をまとめ、外相に提出した。英国の秘密情報機関SIS(MI6)を念頭に「特殊な対外情報機関」を外相の下に設置するよう求めている。(14日)
●衆院「憲法委員会」 自民、民主、公明の3党は、国会で開かれた衆院各派協議会で、憲法改正の手続きを定める国民投票法案を審議するため、常任の「憲法調査委員会」(仮称)を新たに設置することで合意した。15日、公明党内の異論が表面化し、当初予定していた常任委員会ではなく特別委員会とすることになった。(14日)
●原発を抜き打ち検査 トラブルが続く原子力発電所の「安全性向上」のため、経済産業省と電力業界は06年に検査体制を大幅に見直す方針を固めた。事前通告や電力会社の社員の同行を伴わない「抜き打ち検査」のほか、第三者機関による原発の監視システムを導入する。(15日)
●テロ特措法再延長を表明 細田官房長官は会見で、11月1日で期限が切れるテロ対策特別措置法について「基本的には再延長する方向で検討を進めている。総理が決断された」と述べ、再延長する考えを正式に表明した。延長幅は前回延長幅の2年ではなく、1年間とする方針。(15日)
●小泉が国連演説 小泉首相が国連総会で演説し、安全保障理事会を改革する必要性を訴えたうえで「改革された安保理において、常任理事国としてより大きな役割を果たす用意がある」とあらためて常任理事国入りの意欲を表明。日本やドイツなど第2次世界大戦敗戦国を対象にした旧敵国条項を国連憲章から削除するよう求めた。(15日)
●都市型、既存レンジに統合 日米両政府は日米合同委員会で、金武町の米軍キャンプ・ハンセン「レンジ4」都市型戦闘訓練施設を同基地内の「レンジ16」の数百b北側に近接する既存レンジに、射撃訓練場や訓練塔などレンジ4の機能を追加する形で統合・整備して移設することで合意した。(15日)
●空自機パンクで滑走路閉鎖 宮崎県新田原基地所属の航空自衛隊F4戦闘機が那覇空港に着陸後、車輪がパンクし停止した。民間と自衛隊が共用している滑走路は1時間近く閉鎖された。20便5千人に影響が出た。(16日)
●民主新代表に前原 民主党が両院議員総会による代表選挙を行い、前原誠司を新代表に選出した。(17日)
●武装陸自が商店街を行進 長崎県佐世保市の中心部にあるアーケード街で、陸上自衛隊員約240人が銃を携えてパレードした。同市にある相浦駐屯地の創立記念行事の一環。パレードは4回目だが、商店街に入っての武装行進は初めて。(17日)
●日米外相会談「米軍再編協議を加速」 町村外相とライス米国務長官が会談し、日本の総選挙の影響で止まっていた在日米軍の再編協議を加速させることで合意した。(17日)
●6者協議、初の共同声明 北朝鮮の核問題をめぐる第4回6者協議が初の共同声明を採択した。北朝鮮はすべての核兵器と今ある核計画を放棄し、核不拡散条約(NPT)への復帰と、国際原子力機関(IAEA)の査察を受け入れることを約束した。北朝鮮が求めている軽水炉型原発の提供は、「適当な時期に議論する」ことで合意した。(19日)
●岸本市長「リーフ内縮小」容認 名護市の岸本市長は、米軍普天間飛行場の名護市辺野古沖への移設をめぐり、現行の規模を縮小して陸側のリーフ内浅瀬を埋め立て軍専用飛行場として建設する案について「SACO(日米特別行動委員会)最終合意の海上案の縮小案なら受け入れの余地はある」と述べ、容認する考えを明らかにした。(19日)

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週刊『前進』(2216号5面1)(2005/10/03)

 沖縄・座間先頭に反戦闘争の爆発を

 米軍再編=日米安保の実質的大改定との闘いが決戦局面に

 小泉の戦争攻撃と闘い11・6へ

 日米両政府が進めている在日米軍再編に関する中間報告が10月中にも出される。これを受けて、座間や沖縄を始めとする米軍再編との闘いが、決定的な激突局面に入る。これはイラク侵略戦争と対決し、北朝鮮・中国侵略戦争に向けた戦争態勢づくりを阻止していく直接の大攻防である。また新たな安保・沖縄闘争(安保の実質的大改定との闘い)であり、日帝の軍事大国化=改憲阻止の闘いである。9・11小泉反革命を受けていよいよ重大情勢を迎える米軍再編の攻撃を暴露し、11・6労働者集会への1万人結集を訴える。

 在日米軍再編中間報告 日本が“不安定の弧”にらむ戦略展開拠点

 現在ブッシュ政権が進めている地球規模での米軍再編(GPR=グローバル・ポスチャー・レビュー)は、「世界の圧制の打破」を掲げた世界戦争路線を進める軍事プランの具体化としてある。
 それは何よりもまず、泥沼にあえぐイラク侵略戦争・軍事占領を絶対的に継続するための戦力を生みだすためのものである。また中国侵略戦争(北朝鮮侵略戦争を含む)に身構えることを重視し、中東から東アジアにかけての“不安定の弧”でいつでも新たな侵略戦争を行える態勢をつくろうとするものである。
 ブッシュの世界戦争路線の全面的発動として行われたイラク侵略戦争は、〈米英日〉対〈独仏〉という形で帝国主義の2大陣営への分裂を引き起こし、それまでの同盟関係の再編をもたらした。
 その後のイラク侵略戦争の泥沼化は、米帝の軍事・経済・政治の全面的な危機を促進した。しかし、だからこそブッシュは、1月20日の2期目の就任演説で「世界の圧制の打破」を叫んだように、イラク侵略戦争を継続し、世界戦争への道にますますのめり込んで行かざるをえない。
 ブッシュ政権は、そうした世界戦争路線をおし貫くための変革を、米軍だけでなく同盟関係と同盟軍の変革を含めて徹底的に進めようとしている。そのことをとおして、世界戦争へ向かっての新たな同盟関係を再構築することを目指している。
 ブッシュ政権の「同盟変革」の最大のテーマは日米同盟の変革である。ブッシュ政権はそのために日米安全保障協議会(2プラス2)などをとおした日本政府との戦略対話に取り組んできた。その本質は「血を流してこそ未来につながる」というラムズフェルドの言葉に示されている。日本が米軍に出撃基地を提供し、自衛隊が米軍の後方支援を受け持つというこれまでの日米安保の枠を完全に突破し、日米同盟を米英同盟のような完全な軍事同盟に引き上げようというのだ。狙われているのは、単なる在日米軍基地の再編ではない。自衛隊の変革・再編も含んだ日米安保の実質的な大改定である。

 “圧制の打破”を共通目標に

 2月19日に行われた日米安保協は、「世界の圧制の打破」を掲げたブッシュの世界戦争路線を日米枢軸をもって進めていくことを日米の「共通戦略目標」と定めた。とくに北朝鮮の金正日政権の体制転覆と台湾海峡有事への軍事介入の意志を明確にするなど、北朝鮮と中国に対する戦争政策を戦略目標に据えた。
 日米政府は「共通戦略目標」で一致したことを踏まえて、さらに「自衛隊と米軍の役割・任務・能力の見直し」と「個別の米軍基地の見直し」を進めてきた。
 それらの審議は遅れているが、第3次小泉政権の発足を受けて、日米政府は「自衛隊と米軍の役割・任務・能力の見直し」を取りまとめた「中間報告」を10月中に発表しようとしている。この中間報告の中で、米側がとくに早期決着を求めている@米軍横田飛行場(東京都福生市など)の航空自衛隊との共用化A米陸軍第1軍団司令部(米ワシントン州)のキャンプ座間(神奈川県座間市など)への移転B普天間基地(沖縄県宜野湾市)の名護市沖への移設見直し―などの方針も明記される。
 C厚木基地(神奈川県大和市など)の艦載機の岩国基地(山口県岩国市)への移転については、山口県側の反対が強く、中間報告に盛り込むかどうかは不透明とされる。また有事の際に米軍に日本国内の空港や港湾の優先利用を認める「共同対処計画」の策定に着手する方針を明記する。
 これらの米軍再編は、日帝・自衛隊を米軍と一体化させて、日本を北朝鮮・中国侵略戦争の前線司令部、出撃・兵站補給基地とし、日帝・自衛隊を徹底的に動員しようとする大攻撃だ。また沖縄を始めとする日本を、太平洋の向こう側にある“不安定の弧”をにらんだアメリカの戦略展開拠点(PPH=パワー・プロジェクション・ハブ)にしようとするものである。
 PPHとは米軍を海外展開する際の前進指揮司令部・兵站補給基地となる最重要拠点のことであり、そうした位置づけが与えられているのは日本以外ではイギリス、グアム(米領)、ディエゴ・ガルシア(英領)だけである。米帝は今回の米軍再編=日米安保の実質的大改定をもって、日本をグアムやディエゴ・ガルシア以上の米軍の戦略展開拠点にしようとしているのだ。

 米第1軍団が座間に 北朝鮮・中国侵略戦争指揮する前線指令部

 座間への米陸軍第1軍団司令部の移転は、北朝鮮、中国などに対する東アジアでの侵略戦争を強行するための前線司令部を設置しようとするものだ。
 軍団とは2個以上の師団により編成される米軍の組織である。師団は戦闘部隊で最も大きな単位であり、1つの師団には3〜4個前後の旅団とそれ以下の部隊が組み込まれる。現在米陸軍には4個(第1、第3、第5、第18空挺)の軍団があるが、恒久的な部隊編成ではなく、ある作戦において2個以上の師団をまとめて投入する必要が生じた場合に、それらの師団を統合指揮する目的から軍団司令部が機能する。軍団が編成された場合、軍団司令部はその軍団の作戦地域か、それに近い場所に移動する。
 太平洋方面の大規模陸軍部隊編成に備えた軍団司令部が第1軍団で、現在は米ワシントン州フォート・ルイスに置かれている。同基地に配備されている第2歩兵師団第3旅団を始めとして、韓国に配備されている残りの第2歩兵師団、ハワイとワシントン州に配備されている第25歩兵師団、さらに必要に応じて予備役や州兵の師団が一緒に作戦行動を行う場合に司令部としての機能が発動される。
 ところで米軍トランスフォーメーションの中で、これまでの師団を基本単位とする陸軍の部隊編成は廃止され、UA(ユニット・オブ・アクション)と呼ばれる軽量で機動性に優れた新しい旅団を基本単位とする方向が打ち出された。これに伴って軍−軍団−師団という3段階の指揮系統は廃止され、広域司令部(UEY)と作戦運用司令部(UEX)の2段階の指揮系統に再編される。現在の第1軍団司令部はUEXとなり、UEYに改編された現在の太平洋陸軍司令部(ハワイ)のもとに置かれる。
 座間への第1軍団司令部の移転は、北朝鮮・中国侵略戦争の前線司令部、兵站補給・出撃基地となる日本にあらかじめその司令部機能を構築しておこうとするものである。第1軍団(UEX)司令部を先に座間に立ち上げておけば、軽量化されたUA部隊を空輸し、短期間で北朝鮮や中国などへの侵略戦争を開始できる態勢をとれるということである。第1軍団の場合とくに、北朝鮮・中国侵略戦争に向けた自衛隊と米軍との指揮統合を行い、それを訓練しておくためにも、今から司令部として機能させることが決定的なのである。

 中央即応集団司令部も来る

 来年3月から、統合幕僚長(新設)が防衛庁長官を補佐し陸・海・空自衛隊を一元的に指揮・運用することになった。これは日米共同作戦態勢の一層の強化を目指した変革である。
 座間に06年に新設される陸上自衛隊の「中央即応集団」(CRF)の司令部を置くことも狙われている。
 この中央即応集団は、新防衛大綱で打ち出された「新たな脅威や事態などに対処する」「海外派兵を本来任務とする」ための自衛隊の中核組織としてつくられる防衛庁長官直轄の約3200人の部隊である。中央即応集団は、@ゲリラや特殊部隊による攻撃などの事態に真っ先に対処する、A自衛隊の海外派兵の計画、教育、訓練、指揮を一元的に行うのを主な任務とする。指揮官には陸将を当て、陸自で初めて「司令官」の名称を用いる。これによって第1空挺団や特殊作戦群、第1ヘリ団、101化学防護隊を改編した特殊武器防護隊などの各種専門部隊がCRF司令官の指揮下で一元的に運用される。
 「海外派兵の本来任務化」に伴って、陸上自衛隊の5方面隊のうち2つの方面隊からそれぞれ1300人の隊員を出させて海外展開待機部隊をつくる。同時に世界の2カ所に海外派兵できる態勢をとるということだ。この2600人の部隊の派兵計画の作成、同部隊の教育や訓練、指揮をCRFの国際活動教育隊(約80人)が受け持つ。
 CRF司令部を座間に置くというのは、これら@、Aの任務が米帝ブッシュの世界戦争路線と連携して行われることを示すものだ。
 ところで座間への米陸軍第1軍団の移転の見返りとして、相模総合補給廠(しょう)の一部を日本側に返還することで日米政府が大筋合意したと報道されている。政府はこの返還区域に首都圏をにらんだ「防災・危機管理センター」を新設し、木更津駐屯地の陸自ヘリ部隊などを常駐させる計画を立てようとしているといわれる。相模原や座間などの地域一帯を住民をも巻き込んで侵略戦争態勢に組み込もうとする攻撃だ。

 基地の県内たらい回し キャンプ・シュワブへの代替基地移設粉砕を

 海上ヘリ基地建設のためのボーリング調査阻止の名護市・辺野古での実力闘争は、ついに海上やぐらを撤去させ、米・日帝国主義を海上ヘリ基地断念の瀬戸際に追い込んだ。だが、日米政府はあくまでも代替施設を沖縄に押しつけようと新たな攻撃をしかけてきた。
 9月14日付『読売』は、沖縄県の米海兵隊普天間飛行場(宜野湾市)の移設先について、米軍キャンプ・シュワブ(名護市など)の陸上部分に代替へリポートを建設する方向で最終調整に入ったと報じた。そもそもキャンプ・シュワブへの移設案は、沖縄に関する日米特別行動委員会(SACO)でも検討されたが、海上ヘリ基地案に比べて、騒音や事故の危険性など周辺住民への影響が大きいとして見送られた経緯がある。そんなものをまたも持ち出し、基地の沖縄県内たらい回しを強要することは絶対に許せない。
 在外米軍の再編計画について検証する米議会の「海外基地見直し委員会」は8月15日、沖縄を東アジアの「戦略上の要衝」と位置づけて、「沖縄での戦闘能力削減は、この地域での国益を重大な危機にさらす」と結論づけた最終報告を出した。在沖海兵隊は“不安定の弧”を対象地域とした緊急即応展開部隊である。これを削減することは、ブッシュの世界戦争路線を重大な危機に追い込むものとなるのだ。
 他方、日帝は沖縄の反戦・反基地闘争を力ずくで圧殺しなかったら、改憲と北朝鮮・中国侵略戦争を強行できない。そこで出されてきたのがキャンプ・シュワブへの移設案である。小泉政権が言う沖縄の負担軽減など真っ赤なウソなのだ。日帝の沖縄差別政策と沖縄基地の再編・強化に怒りを燃やして、辺野古海上基地建設を阻止しぬき、キャンプ・シュワブの基地建設案も粉砕しよう。

 横田に航空総隊司令部移設

 在日米空軍司令部が置かれた米軍横田基地に空自航空総隊司令部(府中市)を同居させる案は、空自と米空軍の一体化を進めるためのものである。
 7月22日の自衛隊法の改悪によって、航空総隊司令官の現場判断でミサイル防衛システム(MD)での迎撃が可能となった。MDは何よりもまず在日米軍基地と司令部を守るためのものであり、航空総隊司令官は実際には米軍司令官の指示で迎撃ミサイルを発射するのである。したがって、航空総隊司令部を横田基地に移転させるのは米軍の絶対的な要求としてある。
 米軍はアジア・太平洋地域で指揮系統の大規模な再編や新たな戦力の配置をどんどん進めている。空軍においては、グアムのアンダーセン空軍基地の第13空軍司令部をハワイのヒッカム空軍基地に移し、そこに新しく設置される「航空作戦センター」(AOC)から、第7空軍が担当する朝鮮半島を除くアジア・太平洋全域での指揮をとるようにする方針が打ち出された。この新司令部は、第13空軍と横田基地の第5空軍から一部司令部要員を移して編成されるが、第5空軍からの移転は20人程度で、第5空軍司令部は横田に残される見通しである。グアムのアンダーセン空軍基地には04年2月からB52H爆撃機6機がローテーション配備されている。

 厚木の空母艦載機が岩国へ

 厚木基地の空母艦載機の夜間離発着訓練(NLP)移転が狙われている岩国基地(山口県岩国市)は現在、海上自衛隊と米海兵隊航空部隊が共同使用している。米軍は厚木基地が人口密集地のど真ん中にあり、NLPで使えないことから、厚木から1250`も離れた硫黄島で暫定的に訓練を行ってきた。
 日米政府は岩国飛行場の滑走路を1`沖合に移動させる工事の完成(08年度予定)を見越して、岩国をNLP基地として使おうとしている。これは米軍トランスフォーメーションが目指す「米軍の統合運用」「自衛隊と米軍の一体化」の観点からも合致している。
 また米海軍は西太平洋に2つの空母打撃群(CSG)を展開させる方針を打ち出している。母港はハワイになる予定だが、佐世保基地を準母港として頻繁に利用すると思われる。岩国が使えれば、米軍にとっては横須賀と佐世保の両方の空母艦載機が使用することができる利便性を狙っているのだ。
 また、たとえ岩国でNLPが実施されるようになった場合でも、厚木基地が返還されて空母艦載機がいなくなるわけではない。
 沖縄闘争と固く連帯し、座間闘争、三里塚闘争を始め全国で反戦反基地闘争を闘おう。11月対テロ特措法に基づく海自のインド洋派兵延長を阻止しよう。12月イラク派兵延長を阻止しよう。小泉の戦争と民営化攻撃に全面対決し、一切の力を11・6労働者集会の1万人結集のために投入して闘おう。
 〔早乙女優〕

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週刊『前進』(2216号5面2)(2005/10/03)

 6者協議共同声明

 北朝鮮を完全武装解除し侵略戦争発動を狙う米日帝

 「北の核放棄」が一切の前提

 9月19日、中国・北京の釣魚台国賓館で開かれていた北朝鮮の核問題をめぐる第4回6者協議(アメリカ、北朝鮮、韓国、中国、日本、ロシア)が共同声明を採択して終了した。共同声明は、北朝鮮が核兵器と現存の核計画を放棄することを約束し、一方で「適当な時期に、北朝鮮への軽水炉提供問題について議論を行う」ことで合意した。今回の合意は、米帝が「悪の枢軸」として名指しした北朝鮮に対して、核放棄を強烈かつ執拗に迫りながら北朝鮮(中国)侵略戦争に突入していくための道具を与えるものとなった。
 共同声明は、「北朝鮮は、すべての核兵器および現存する核計画を廃棄し、核拡散防止条約(NPT)に復帰するとともに、国際原子力機関(IAEA)の保障措置に戻ると確約」するとした上で、米帝も「朝鮮半島に核兵器をもっておらず、核兵器や通常兵器によって北朝鮮を攻撃または侵略する意図はない」とし、さらに軽水炉提供問題について「適当な時期に議論する」としている。
 交渉ではこの軽水炉問題が最大の焦点になり、米帝が最後に「譲歩」したと言われているが、それは譲歩でもなんでもない。米帝がいつでも好きな時に北朝鮮侵略戦争に突入する道具立てに過ぎない。北朝鮮に対して、「核計画を破棄していない」という口実のもとに査察などで北朝鮮を丸裸にしながら、いつでも侵略戦争に突入するのである。
 また米帝が、攻撃する意図を持っていないと確認したことも現実にはなんの意味もない。米帝は強大な核戦力を保持しており、たとえ朝鮮半島に配備しなくてもいつでもどこからでも攻撃できるのだ。現に米軍再編によって北朝鮮・中国侵略戦争体制の構築を強力に進めているではないか。
 しかも軽水炉建設は、「論議する」というだけのもので、米帝にとって「誰も提供する意思のない軽水炉や将来の理論上の平和利用」というものに過ぎない。そもそも94年の米朝枠組み合意で北朝鮮は黒鉛減速炉を凍結したが、米帝はその見返りとしてあった朝鮮半島エネルギー開発機構(KEDO)の軽水炉建設を「軽水炉事業は未来がない」と宣言して一方的に停止し、北朝鮮を追いつめる手段として使った経過がある。米ライス国務長官が「北朝鮮は1994年の米朝枠組み合意に郷愁があるが効力はない」と言い切っているように、米帝は北朝鮮に軽水炉原発を建設する気などさらさらないのだ。
 共同声明発表の翌20日、北朝鮮外務省のスポークスマンが談話を発表し、「米国が軽水炉を提供すれば、すぐに核拡散防止条約に復帰し、国際原子力機関との保障措置協定を締結して履行する」と表明した。これは、ライス国務長官が19日に北朝鮮が核計画を放棄し、NPTに復帰し、IAEAの査察を受け入れた後に軽水炉問題を論議すると表明したことに答えたものである。もともと共同声明自身に含まれているあいまいさが露呈したものであるが、米帝にとってはそれ自身がこれから北朝鮮を締め上げていくためのテコとして位置づけられている。
 米帝は、イラク侵略戦争が泥沼に陥っている中で、次の目標である北朝鮮(中国)侵略戦争に突入するタイミングを図るために自らの手に事態進行のヘゲモニーを握るために北朝鮮を共同声明に引きずり込んだ。イラク侵略戦争突入で戦争による世界支配の再編に乗り出した米帝は、もはやこの道をとことん突き進む以外にないのである。ハリケーンによる大災害は、米帝の危機を一層深めさせたが、それによって米帝はさらに凶暴に戦争を拡大していくしかないのである。
 北朝鮮スターリン主義・金正日政権は、共同声明合意で米帝の戦争を回避する道を探ろうとした。共同声明の中に米帝が「北朝鮮を攻撃または侵略する意図はない」とし、米朝2国間協議が確約され、軽水炉が盛り込まれたことを「成果」としているが、それらは北朝鮮に核放棄を認めさせるための空文句に過ぎず、逆にその策動の中に深々と引きずり込まれたのである。
 共同声明では、日朝関係について「日朝平壌宣言に基づき、不幸な過去を清算し、懸案事項を適切に解決することを基礎として、国交正常化のための措置を取る」ことを盛り込んだ。日帝は、北朝鮮スターリン主義の反人民的な拉致政策を徹底的に突くことによって過去の侵略を居直るとともに、米帝と共同して侵略戦争に突入していくことを狙っているのである。
 さらに、6者協議の議長国という形で中国が関わったことによって、中国は北朝鮮の対応に責任を負う立場に立たされた。中国スターリン主義は、米帝からの戦争重圧を避けるために北朝鮮・金正日政権に譲歩を迫ったが、それによって米帝が侵略戦争政策を転換したわけではなく、逆にますます強められるのだ。
 今こそ、自衛隊イラク撤退、派兵延長阻止の闘いを強め、小泉政権を打倒しよう。米帝のイラク侵略戦争をストップさせよう。米日帝の北朝鮮・中国侵略戦争を阻止しよう。

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週刊『前進』(2216号5面3)(2005/10/03)

 “武装パレード弾劾” 佐世保 労働者住民が阻止行動

 9月17日、基地の街佐世保で自衛隊の武装パレードに労働者市民の怒りがついに爆発した。反戦共同行動・長崎は婦人民主クラブ全国協議会とともに、陸上自衛隊相浦駐屯地(長崎県佐世保市)の西部方面普通科連隊240人が銃で武装し、佐世保の繁華街四カ町アーケードを武装パレードすることは絶対に許せないと決起した。
 02年3月に発足した西部方面普通科連隊は、全国の部隊から隊員を抽出した「特殊部隊」と言われ、今年7月下旬の第7次イラク派兵に約40人が派兵された。
 午前11時30分、佐世保地区労はじめ長崎県下の労組、市民団体は「自衛隊の市中パレード反対」の横断幕を広げ、島の瀬公園横のアーケードに布陣した。11時35分、西部方面普通科連隊の武装パレードが5列縦隊で軍靴の音高くガッガッガッと近づいてきた。迷彩服に迷彩帽の隊員の手には自動小銃や軽機関銃が握られている。
 「武装軍事パレード反対」「銃は人を殺す道具だ」と拳を突き上げ、シュプレヒコールが一斉に上がる。週末の買い物客でにぎわうアーケード街に怒りが走った。瞬く間に市民が自衛隊の進路をさえぎり、道路を封鎖した。「市中パレードはやめろ」とシュプレヒコールはますます大きくなり、アーケード街は反対の労働者市民で埋まり騒然たる状態。自衛隊は立ち往生し、武装パレードはストップしてしまった。隊員たちは目をつむる者、天を仰ぐ者が続出した。慌てたのは陸上自衛隊と長崎県警で、頭を下げて「お願いします、お願いします」と言って回った。それは時間にして5分間に及んだ。武装パレードは小旗を振る市民も少なく、あっと言う間に通り過ぎてしまった。
 抗議行動に先立ち、佐世保地区労主催の「自衛隊の市中パレードに反対する佐世保地区集会」が午前10時、浜田公園で開かれた。長崎県下から長崎県平和運動センター、長崎地区労、大村地区労、諫早地区労などが参加。地元佐世保から県教組、国労、佐世保市職、全港湾、佐世保交通、全国一般、退教協、さらに19日佐世保市民の会など会場は熱気にあふれた。
 佐世保地区労の志方忠雄副議長は主催者を代表して「武装パレードは、市民を自衛隊の迷彩服や銃器に慣れさせ、市民を威圧し軍事行動を誇示するものであり到底容認することはできない。特に、小泉内閣による自衛隊の海外派兵の恒常化、有事法制から憲法改悪への流れが加速する中で『行動する自衛隊』を誇示するものである。この種の行動が日常的な風景となることに強い危機感を持つ」とあいさつした。
 連帯のあいさつに立った今川正美元衆議院議員は「小泉政権の暴走をなんとしても止めなければならない。海外で武力行使も辞さない風潮に強い危機感を持つ。30年前、戦車パレードを体を張って阻止した先輩たちの闘いに学び、戦争に向かう動きを止めよう」と訴えた。
 最後に集会宣言を採択し、四カ町アーケードを力強くデモ行進した。
 小泉の戦争と民営化と対決する11・6労働者集会がいよいよ重要な闘いとなった。11・6に向け総決起しよう。

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週刊『前進』(2216号6面1)(2005/10/03)

団結ひろば 投稿コーナー

 「納得いく解決」まで鉄建公団訴訟闘おう 東京・労働者 二ノ宮仁美

 9月15日、鉄建公団訴訟の判決日、公判に行けなかったので、職場の端末からニュースをチェックし続け、16時になってやっと、「採用差別はあった」「解雇撤回は認めず」「1人500万円計14億円」という記事を見つけました。一体これはどういう意味? たくさんの「?」を抱えて報告集会にかけつけました。
 開始間際に入ると会場は満杯で、床に座っての参加となりました。弁護団の話を聞いて、「期待権」なるもので500万円の支払い命令、ということがわかりました。原告団家族が「期待を裏切られたから許せないのではない、首切りが許せないんです」と、この判決を弾劾していました。解雇撤回はあくまで認めない、という判決を許すことはできません。
 国労本部は、原告になった闘争団員への生活援助金の停止や処分など、この裁判をつぶすことに全力をあげてきました。それなのに、判決を受けて声明を出して、団結を訴えたとか。とんでもないことです。
 佐藤昭夫弁護団長は、この裁判と並行して行われている5・27臨大闘争弾圧に触れて発言されました。鉄建公団訴訟に立ち上がった闘争団への処分をやめてくれ、と訴えてビラをまいた組合員をビデオにとって権力に売った、被害届を出せと指示した、そういう人たちが国労本部を握っている。こういう状態を変えることと鉄建公団訴訟の勝利は一体だ、との鋭い指摘に同感しました。
 最後に原告団長の酒井直昭さんの「この判決は受け入れられない。これを新たな出発点に、納得いく解決まで闘う」との熱い決意表明に、支援の側もさらにがんばらねばと感じました。
 2000年の「4党合意」から5年。全国的な「民営化」の嵐に抗して、国鉄闘争は1047名闘争として発展してきました。「14億円」で闘いをやめろと、この陣形を切り崩すのがこの判決の目的だったのかもしれません。原告団・家族の納得いく解決まで闘いぬくことに、すべての労働者の未来もかかっているのだ、と改めて思いました。

 ファシスト的国家大改造のための共謀罪 東京 小林啓三

 南野法相は9月20日の記者会見で、共謀罪法案を21日開会の特別国会に再提出する意向を示した。法案の内容は、8月8日の衆議院解散とともに廃案となったものと同じである。
 共謀罪の新設は、戦時下で推進され始めた小泉のファシスト的国家大改造攻撃の重要な一角を占めている。民衆を北朝鮮・中国侵略戦争に動員するためには、強力な治安立法の制定が死活的に求められているのだ。
 小泉・奥田は、戦争と民営化攻撃を「労働組合=抵抗勢力」「公務員=悪」などのデマゴギーをふりまきながら推進している。同時に、現実に生み出されている民衆の生活苦や将来への不安などの時代的閉塞(へいそく)感を、「安全・安心な社会をつくる」「改革の推進」などのキャンペーンによって、国家権力に翼賛する方向へ組織しようとしている。
 本来ならば、戦争と民営化を推進する小泉・奥田らを打倒するために発揮されるべき民衆のエネルギーが帝国主義の延命のためにかすめ取られている。これこそが小泉のファシスト的やり方なのだ。
 小泉は、このやり方で労働組合の解体と革命党の根絶を成し遂げ、侵略戦争のための国家総動員体制を完成させようとしている。そのための極悪の治安立法が共謀罪なのだ。
 共謀罪は、2人以上が集まった場所で行われた会話や相談の内容を「犯罪」の対象とし、最高で懲役5年の刑罰を科すという、恐るべき治安立法だ。その適用には具体的な実行行為をまったく必要としない。
 誰でも自分の考えや思ったことを自由に「表明する」ことができる権利。それが思想・表現の自由だ。ところが共謀罪は民衆の「思想や表現」を処罰する。警察官が、2人以上が集まった場を「何々の共謀」と判断すれば、そこにいた全員を逮捕できるのだ。こんな悪法は民衆の総力を挙げて3度廃案に追い込もう。

 奥田路線の「障害者」抹殺攻撃と対決を 関西 吉村隆生

 この数年、障害者自立支援法案や医療観察法という激しい福祉切り捨て、保安処分法が国会提出されたり制定されたりしています。自立支援法案では、1割の自己負担が新設され、今24時間介護を受けている「障害者」に対しても4時間が支給上限にされます。医療観察法では、法を犯して「厄介者」とされた人たちを国公立精神病院の24カ所に集中します。民間精神病院が自由に金もうけしやすい環境を作ってほしいという民間経営者の要求に政府がこたえようとするものです。なぜこれほどの激しい転換がなされようとしているのでしょうか。
 日本経団連・奥田路線は、2003年1月に発表された「活力と魅力溢れる日本をめざして」の中で明確に打ち出しています。それは、年金・医療が現在年約70兆円だが、2025年には140兆円になるという怪しげな試算から始めています。そして結論は支給削減と消費税の16%化です。ここで二重の収奪が狙われています。給付水準の見直しといって医療と介護の費用の個人負担化を狙っています。負担が払えなくて野垂れ死ぬのも自己責任ということです。
 彼らにとって資本の役に立つかどうかが人間の基準です。医療費・社会保障費の削減のためには、「寝たきり」や「障害者」に公費は一切投入せず、自分の金で生きることができなければ安楽死させろという意味です。
 2005年6月13日の奥田記者会見はさらに露骨です。来年度税制改革について述べて、「社会保障支出や公務員人件費の削減など、国の歳出の大幅削減が必要だと考える」と言い切っています。奥田路線はいわゆる「小さな政府」を求め、規制緩和による自由な搾取と収奪に任せよと要求するものです。民営化推進も、資本の好き勝手にさせろという目的です。19世紀的な「工場法」以前の状態の資本のやりたい放題にさせろと求めています。労働市場に導入されえない「重度の障害者」や「重度の精神障害者」である法を犯した「精神障害者」は福祉の対象からはずし、自己責任で自己負担させろ、保安処分に処せ、最後は安楽死させろというのが奥田路線です。
 ナチスがゲルマン民族にとって負担が大きいとして「障害者」殺害をしたのとまったく同じ論理です。ナチスは「障害者」は「生きる価値なき生命」だとして27万人を虐殺しました。日本経団連・奥田という帝国主義の本流がファシズム的支配への転換を図り、その目的のために「障害者」を抹殺しようとしているのです。障害者自立支援法案の再提出を阻止し、医療観察法改悪を阻止しよう。
 今回の総選挙では自民党と公明党は衆院の3分の2を上回る大勝をしました。小泉は、郵政が国家財政の赤字の原因であるかのような百パーセントのデマゴギーで民衆を操作しました。郵政には税金は一円も使われていないのです。デマで民衆を操るのはファシズムの典型的手口です。しかし、「障害者」大衆を屈服させることはできていません。郵政の労働運動ひとつをとってもつぶされてはいません。自民党政治からファシズムへの転換はそう簡単にいきません。どこかで危機にあいます。その危機を「障害者」差別・抹殺攻撃との対決の中から作り出そう。ともに闘いましょう。

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週刊『前進』(2216号6面2)(2005/10/03)

 迎賓館・横田爆取裁判最終弁論

 “私に無罪判決を!” 福嶋同志、検察官・裁判官を圧倒

 9月20日、東京地裁刑事第3部(服部悟裁判長)において、迎賓館・横田爆取デッチあげ弾圧裁判(福嶋裁判)の最終弁論が行われた。福嶋昌男同志と弁護団を先頭に、家族、友人、「迎賓館・横田裁判の完全無罪をかちとる会」の会員、会報『無罪!』の読者、さらに昨年3月に同じ事件で無罪判決をかちとった須賀武敏、十亀弘史、板垣宏の3同志らが傍聴席を埋めつくし、法廷外の廊下で見守る人たちもいた。
 いよいよ福嶋裁判闘争12年の集大成である。デッチあげを粉砕して必ずや無罪判決をかちとるぞという気迫と熱気が法廷を一気に包み込んだ。福嶋同志は検察官と対峙してピンと背筋を伸ばして不動の姿勢だ。
 まず、弁護団による最終弁論の陳述が始まった。658nにおよぶ大弁論は、懲役12年を求刑した検事論告を全面的、根底的に批判した。
 最初に立った弁護人がきっぱりと宣言した。「被告人は無実である。被告人が本件両事件に関与したという証拠はなんら存在しない。被告人が本件に関与したと検察官が主張する唯一の根拠は、岩手借家において押収されたとする証拠物のメモである。それらについて、被告人はそのメモを作成したものではないことを含め、一切関与していない。さらにそのメモは本件両事件との関連性を有しないものである」
 検察側は「福嶋メモ」と称する約100枚のメモを得手勝手に解釈して、福嶋同志が「ロケット弾の飛距離3倍化計画を立案した」「大型発射薬室を設計・開発した」「発射薬を製造した」「迎賓館と横田基地に飛んだロケット弾の飛距離計算をしたもので、発射地点の選定に寄与した」などとまったくデタラメなストーリーをねつ造したが、弁論はこうした虚構を一つひとつ論理をつくして解体していった。さらに、メモの筆跡は福嶋同志のものと強弁する検察側筆跡鑑定を論破した。

 “この責任は必ずとらせる”

 続いて福嶋同志の最終意見陳述である。保釈から10カ月、日焼けしてたくましさを取り戻した福嶋同志は服部裁判長をしっかりと見据え、堂々と意見陳述を行った。「私は無実・無罪である。私はメモなど書いていない。私は、岩手借家に一切出入りしていない。岩手借家の存在自体を知らない」との言葉は、力強く法廷を圧した。また、12年の超長期未決勾留を弾劾して「独房での拷問的拘禁と拘束は、私から運動することすら奪い去り、肉体面・精神面で私を苦しめ、私の健康を破壊し、病気になっても満足な治療を受けられず、保釈をかちとった今なおその苦しみは癒えることなく続いている。しかもこの苦しみは、私一人のみのものではない。家族の受けた苦しみはある意味で私以上に大きい。無実・無罪の私がなぜこのような理不尽な取り扱いを受けなければならないのか。検察官と裁判官を徹底的に弾劾し、この責任は必ずとらせることを表明する」と宣言して、1時間近くにわたってデッチあげを弾劾した。
 最後に、権力による弾圧や嫌がらせに負けず、福嶋同志を支え続けた家族に対する感謝と多くの支援者に対するお礼を述べた上で、「裁判官は私に無罪判決を出せ!」と鋭く迫った。3人の裁判官は全員、身じろぎもせずこの福嶋同志の陳述に聞き入っていた。
 傍聴席から大きな拍手が沸き起こった。「裁判長! 聞いたとおりだ。ただちに無罪判決を出せ」という声が飛んだ。福嶋同志の気迫に圧倒された服部裁判長は、いつもの居丈高な言葉もなく無言のままだった。
 11月9日に弁論の補充公判が行われる。いよいよ来年3月3日が判決公判となった。戦時下の治安弾圧が吹き荒れる今日、迎賓館・横田爆取デッチあげ弾圧裁判は歴史的裁判闘争として闘われている。福嶋裁判での1審無罪判決なくして、4同志の完全無罪獲得はない。全党・全人民の総力で無罪をもぎりとろう。

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週刊『前進』(2216号6面3)(2005/10/03)

新刊紹介 『改憲攻撃と労働者階級』 坂本千秋/野沢道夫/小谷一夫 共著 前進社刊2200円

 護憲論の限界のりこえる 画期的な改憲阻止闘争論

 理論的にも新境地を開く

 小泉=奥田路線のもとで今、憲法9条破棄を中心にした改憲の動きが急速に進んでいる。04〜05年をとおした教育現場での「日の丸・君が代」強制、「つくる会」教科書採択を実体とする教基法改悪攻撃は、まさに改憲を先取りするものである。とりわけ小泉の郵政民営化解散―自民党圧勝の反革命クーデターは、この激流を一気に加速させるものだ。
 全国の書店には、「つくる会」派勢力による改憲推進論や現行憲法否定論の類がわがもの顔にのさばっている。戦後の”平和と民主主義”が改憲論に対して有効に反撃できない現状、自治労・連合の改憲派への転向の動きの中で労働者の真に立脚すべき改憲阻止闘争論が提起されていない現状に、人民の中から怒りと危機感が噴出している。
 本書は、まさにこうした状況を打ち破り、歴史的な改憲阻止決戦を本格的に切り開くために出版された。本書は、世間にありふれた憲法解説本やいわゆる「護憲論」の書ではない。それらに多くを学びながらも、同時にそれらの限界を決定的に突き抜けることをめざした実践的で本格的な憲法闘争論=改憲阻止闘争論である。革共同の理論的地平にとっても、さまざまな点で新境地を開いている。
 本書は、3人の執筆者が討議を重ね、各1部ずつを担当した3部構成の共著である。それぞれ独立した論考であるが、総論にあたる第T部(坂本千秋)でとりあげた諸論点・諸領域のうち、民営化・「構造改革」攻撃と改憲の関係を第U部(野沢道夫)でより詳細に考察し、戦後の憲法制定過程とプロレタリア階級闘争(戦後革命)の関係を第V部(大谷一夫)で深く追究するという形をとっている。
 本書の特徴と魅力はどこにあるか。

 改憲論の全体像えぐり出す

 まず第一に、今日の改憲攻撃を帝国主義(日帝)の危機と帝国主義戦争の切迫の問題、戦争と民営化(労組破壊)の攻撃の集約点として徹底的に明らかにし全面対決するという階級的立場の鮮明さにある。「おわりに」の言葉を借りれば、「二〇世紀の歴史がやり残した課題に労働者階級の側から革命的決着をつける(帝国主義打倒―プロレタリア革命)」という壮大な目的のために「一九四五年の敗戦時の原点に立ち返る」こと、「帝国主義そのものの打倒」を問題にすること――この二つがしっかりと基調テーマにすえられている。
 今日の改憲攻撃は従来の改憲論の単なる延長線上にはない。日帝支配階級自身が自己の延命をかけ、政財界一体となり、民間ファシスト勢力とも結合して必死に戦後的制度・価値観の転覆にのりだした一種の反革命クーデターである。改憲の主戦論者は日帝ブルジョアジー本体なのだ(だからこそ小泉の解散クーデターのようなことが可能となる)。このことを明らかにし、労働者階級の存亡をかけた歴史的な決起を力強く呼びかけている。
 何よりもまず、第T部の内容豊かな迫力ある改憲論批判が読者をぐいぐいと本書に引き込んで離さない。最初に現在の改憲攻撃の背景を論述した上で、日本経団連の改憲提言や自民党の改憲草案などの主要な論点に対し余すところなく詳細な逐条的批判を展開、その基本思想・全体像を見事にえぐり出している。
 中心的な問題は、9条改憲(自衛権・集団的自衛権)と天皇制問題の二つである。同時に、基本的人権の解体問題、さらに労働者人民にとって国家とは何か、憲法とは何かという最も基本的な問題についても突っ込んだ追究がなされている。これらの踏み込みが本書に一層の鋭さと厚みを加えている。
 第U部では、日帝・小泉=奥田の「構造改革」攻撃そのものをとりあげ、それが現行憲法解体の攻撃とどのような関係にあるかを幅広く実証的に探求。
 とりわけ、「新自由主義改革」とも呼ばれる小泉「構造改革」が現行憲法の保障する生存権と社会権、あるいは地方自治の規定を真っ向から否定し解体していることが究明される。この点も本書の新たな意欲的踏み込みである。「東アジア自由経済圏構想」の絶望的破綻(はたん)性や「教育改革」攻撃にも鋭いメスが入れられている。

 労働者階級の闘いが根底に

 第二に、全編をつうじて、いわゆる「護憲論」では闘えないこと、憲法闘争とは国家・社会のあり方をめぐる全面的な闘いであり、労働者階級が帝国主義支配階級を倒すのか、それとも帝国主義の延命のための〈上からの内乱〉に屈するのかという階級決戦そのものであることが明らかにされる。
 なぜ「護憲論」ではだめなのか。それは、労働者階級の立場で戦後憲法問題すなわち日本帝国主義の戦後の延命・再建・発展の問題を解明したものではないからだ。戦争の原因が帝国主義にあり、憲法9条を「護(まも)る」ためにも帝国主義との対決が不可避であることを見すえられないからである。核心にあるのは、まさしく〈国家と革命〉の問題なのだ。
 第T部と第V部で、「護憲論」が依拠する1928年パリ不戦条約や国連憲章の反動的本質(「戦争放棄・違法化」の名で帝国主義戦争を合理化)などが鋭く暴かれている。むろん「護憲論」批判は、「護憲論」の立場で闘いに立ち上がる人びとの否定を意味しない。改憲阻止を歴史的な階級決戦として闘うためには、広範な労働者人民の統一戦線的大運動が絶対に必要であるという実践的立場からの批判である。
 第三に、本書の最大の特徴・魅力と言っていいのは、労働者階級の階級的闘いこそが現行憲法とその解体をめぐる一切の事態を根底的に規定しているという事実をあらためて歴史的に掘り起こしたことである。
 第V部での生き生きとした描写が圧巻である。戦後革命期の闘いの高揚とその敗北の総括をつうじて、労働者階級人民の革命的エネルギーのすばらしさとともに、あの時点で現実に問われていたものが帝国主義打倒のプロレタリア革命そのものであり、朝鮮革命・中国革命との国際主義的連帯であったことが、まさに今日につうじる形で浮き彫りにされている。日本共産党スターリン主義や労働運動指導部の過ちがどこにあったかもよくわかる。
 日帝支配階級が改憲に手をつけたということは、国家と社会をめぐる全面的な階級攻防=帝国主義打倒のプロレタリア革命の現実性の時代がいよいよ本格的に到来したことを意味する。60年前の「未完の課題」を日本の労働者階級と革命党が今度こそ達成するために、本書を学習し、教基法改悪・改憲阻止闘争の武器として大いに活用しよう。

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週刊『前進』(2216号6面4)(2005/10/03)

党学校 『ゴータ綱領批判』 −学習の感想−

 労働者の団結の意義に確信 F・I

 94年にマルクス主義基本文献学習シリーズの第1弾として『マルクス「ゴータ綱領批判」』が出されたころ、自分自身、共産主義革命に展望がもてず、運動を続けていく意欲が失われていた時期にあった。つまり、スターリン主義をどう克服するのか、それは可能なのか、ということについての絶望だった。
 ちょうどその折に出されたこの本を読んで、圧倒的に確信をもつに至ったことを今でも覚えている。キーワード的に言うと、「労働者階級の自己解放性への信頼」「結合した労働者による社会的総生産の意識的・計画的実現」「政治的過渡期としての規定」「労働者階級の主体性」など。まさにスターリン主義批判の中身であり、われわれの目指す共産主義の中身だった。(それと、わが党がこうした深い内容の著作を出したことにも大いに空気が入った)
 今回、あらためて読んでますます確信を深めたことは、「結合した労働者」ということが、現実に動労千葉のような労働組合の中で、今現在的に実現されていることだ。この「結合した」と「団結」という言葉は、同義的な意味をもっているのではないかと思う。もちろん「結合した」という場合、「社会的総生産において」だとは思うが、その人間的基礎になければならないのが、共同性の回復(団結)ではないかと思う。

 労働組合論深めた過渡期論 S・O

 今回の講義で、過渡期と共産主義社会に高い障壁を設けてはならないこと、帝国主義権力を打倒したときから即、共産主義社会(低次、高次)に移行していく意識性が重要であることが強調された。これに対して、日本共産党やカクマルは現実に革命をやろうというつもりがないから、過渡期と共産主義社会の間に万里の長城を築いている。このような「過渡期社会段階」などを設けてはならないことは、重要な視点だと感じた。
 また、「自由の国」の項では、今までは単純に労働そのものが喜びになるという理解をしていたが、そうではなくて、労働日の短縮の中で「自由の国」が始まると言われていることが分かった。
 さらに、認識を深めたことは、プロレタリアート人民が社会の主人公として登場することが分業と疎外を革命的に打破することになると言われた点だ。労働組合の革命論的意義づけに関係する問題で、労働組合が過渡期における国家的業務の組織化、生産の管理にかかわっていくためにも、今日的に労働組合の拠点形成をかちとることが重要であることが分かった。

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