ZENSHIN 2005/09/26(No2215
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週刊『前進』(2215号1面1)(2005/09/26)
首切り・労組破壊と戦争の道 郵政民営化絶対阻止へ全労働者は総決起を
ファシスト的国家改造へと突進する小泉独裁政権を打倒しよう
自衛隊はイラクから即時撤兵を
衆院総選挙での小泉・自民党の「圧勝」は実に恐るべき重大情勢の到来だ。小泉は、与党が327議席という衆院の3分の2を超える絶対多数を確保したことをテコに、ファシスト的な国家大改造の攻撃に全面的にうって出ようとしている。ナチス・ヒトラーばりのデマゴギー政治と独裁政治を満展開させ、戦争と民営化・労組破壊の大攻撃の上に、大増税と改憲、新たな侵略戦争へとしゃにむに突き進もうというのだ。郵政民営化はそれら一切の突破口だ。この現状に黙っていられるか! 小泉のペテンと反革命の正体を徹底的に暴き、労働者の怒りを爆発させ、真っ向からの反撃を組織して立ち上がらなければならない。闘う3労組の呼びかける11・6労働者集会を今こそ、小泉政権打倒への全労働者階級の総決起の場としよう。1万人の大結集を必ず実現し、反転攻勢へ断固突き進もう。
第1章 「選挙圧勝」でかさにかかった小泉大反動
衆院解散・総選挙は、まさに小泉によるファシスト的政治クーデターであった。小泉はここで、「自民党をぶっ壊す」と称して自民党内の「造反派」をもたたきつぶし、その反革命的エネルギーをもって全野党つぶしに突進した。選挙の争点を「郵政民営化」一本にしぼり、民営化さえすれば財政危機も何もかも解決するなどというファシスト的なデマ宣伝で大衆をあざむき票をかすめとった。そして低い得票率でも圧倒的多数の議席を制圧できる小選挙区制の反民主主義的性格をフルに使って、民主党の1・3倍の得票で4倍の議席を獲得し、戦後の歴史でかつてない独裁政治への基盤をつくりだしたのだ。
与党が衆院の3分の2を制圧したことは、参院で法案が否決されても衆院で再議決すれば成立するということだ。どんな反動法案も力で押し通せる、改憲の発議もできるということだ。戦りつするような情勢だ。
すでに総選挙直後から小泉は、この勢いをかって新たな攻撃に次つぎと出ている。9月21日召集の特別国会に郵政民営化法案を再提出して超スピードで成立させ、それを突破口に戦争と民営化攻撃の全面展開に一気に突き進もうとしている。廃案となった共謀罪や「障害者」自立支援法案の再提出も策動されている。郵政の次には公務員制度改革(自治労、日教組などの解体)、社会保障制度の解体、労働契約法による労働法制の解体へ進むと公言し、さらに大増税への本格的準備に入っている。
他方では、対テロ特措法(インド洋への自衛艦派兵)とイラク占領軍派兵のためのイラク特措法を延長し、米軍と一体となってますますイラク侵略戦争にのめり込もうとしている。靖国・教科書・拉致・領土問題で中国・朝鮮への敵意と排外主義をあおり、米軍再編に伴う日米安保の大強化をテコに沖縄闘争を圧殺し、三里塚など全国の反戦・反基地闘争をも解体して、新たなアジア侵略戦争突入を狙っている。さらにそれらの頂点である教育基本法改悪と憲法9条撤廃=改憲攻撃に着手し始めた。
総選挙後の与野党協議では、改憲手続きを定める国民投票法案を審議する国会の特別委員会を、民主党の合意のもとで直ちに設置すると決定した。小泉・自民党はこの特別委員会をさらに常任委に格上げし、改憲案を審議する機関にしようと狙っている。
この小泉反革命の背後にいるのは、奥田・日本経団連会長に体現される日帝の金融独占ブルジョアジーだ。彼らの狙いは、日本をアメリカ型の徹底した弱肉強食の社会につくりかえることにある。そして彼ら大ブルジョアジー自身の責任である今日の帝国主義の危機と矛盾の一切を、労働者階級への極限的な犠牲転嫁と、国を挙げての対外侵略戦争に再び突き進むことで突破しようとしている。
日帝の体制的危機と没落の深まりに焦りをつのらせる小泉や奥田は、この攻撃を押し通すために、ついにクーデター的非常手段によるファシスト的な国家大改造の道へと突き進んだのだ。その核心は、労働者階級の一切の組織的抵抗の圧殺、とりわけ労働組合・労働運動の絶滅・一掃だ。
だが小泉の今回の「圧勝」は、既成の野党や組合指導部が労働者階級の怒りを逆に封じ込めてきたことを前提に、ファシスト的なデマとペテンで大衆をあざむき、かろうじて可能になっているにすぎない。その正体が暴かれ、怒りが解き放たれ団結が拡大するならば、全情勢は革命的にひっくり返せるのだ。
時代はまさに、1930年代的な戦争か革命か、ファシズムか革命かの激突情勢に入った。これに勝利する道は、戦争と民営化・労組破壊の嵐に真っ向から立ち向かう労働者階級の団結にある。労働運動の現状を変革するという一点で、これまでの枠や制約を踏み越えた闘う労働組合の新たな戦闘的・統一戦線的大結集がつくり出されることにある。そして何よりも絶滅の対象とされた全逓(JPU)を始めとする4大産別の現場から、一人ひとりの労働者が死活をかけ、全人生をかけて歴史的大反乱を開始することにあるのだ。今秋11月をその決定的な分岐点としようではないか。
第2章 公務員をターゲットに「民営化」強行狙う
小泉の郵政民営化攻撃とその反人民的・ファシスト的なデマ宣伝は断じて許すことができない。これは、38万郵政労働者、公務員労働者のみならず、全労働者にしかけられている労組破壊と階級圧殺の大攻撃だ。これへの天をも突く怒りをたたきつけることが今、何にもまして必要だ。
小泉は郵政を民営化すれば財政危機も解決するかのように詐欺師まがいに宣伝し、最大の妨害物は労組だとして全逓労働者に集中的な攻撃を浴びせている。これは一から十まで実に恥知らずなペテンだ。国家財政破綻の全責任はあげて小泉自身と、自己の延命のために国家財政を食い物にしてきた金融独占ブルジョアジーにある。公務員労働者には何の責任もなく、まして郵政事業には1円の税金も使われていない。
しかも今日、国債の最大の引き受け手となっている郵貯・簡保の335兆円の資金は民営化してもそのまま民間には回らない。また国と地方合わせて1000兆円を超える巨額の債務は、どうあがいても解決の可能性はまったくない。結局は大増税に踏み切り、さらには戦争をやってチャラにしようとしているのだ。
したがって小泉が郵政民営化を突破口にして実際にやろうとしていることは、公務員労働者の非公務員化と大量首切りを強行し、労組を解体しつつ、社会保障制度を全面解体して労働者人民から医療・年金・介護・福祉をすべて奪い、路頭に放り出すことだ。これが小泉の言う「小さな政府」なるものの本当の姿だ。さらに消費税率を一挙に2けたにアップする大増税と、大軍拡・改憲・戦争へと突き進むことだ。小泉・自民党はすでにマニフェストでそのことをはっきり宣言している。そのために邪魔になる労働組合とその抵抗を事前にたたきつぶすことに一切があるということだ。
そもそも小泉の言う「官から民へ」の「民」とは何か。日帝の金融資本や大企業のことだ。民間企業で横行する問答無用の大首切りと賃下げ、不安定雇用化、殺人的な労働強化を公務職場に全面的に持ち込もうということだ。また郵貯・簡保に預けられた人民の「虎の子」の資金を銀行や生保のえじきにしようとするものだ。現在でも郵政労働者は人員削減に伴う連続深夜勤などの労働強化によって次つぎと過労死させられているではないか。それでも「公務員はまだ楽をしている、もっと働け」と叫んでいるのが小泉だ。そこには労働者を人間として扱う思想などまったくない。
民営化攻撃は、この資本の弱肉強食の論理を、公務員労働者を突破口に全社会に徹底的に貫くことである。それがどんな地獄に行き着くかをまざまざと示したものが、今年4月のJRの尼崎事故や、8月に発生した米のハリケーン大災害だ。国鉄分割・民営化で安全無視の利益第一主義が横行し、それに労働組合が屈服した結果が107人もの命を一瞬にして奪った大事故だ。米のハリケーン大災害では、イラク戦争のために治水予算などが徹底的に削られ、運河の管理も交通機関もすべて民営化されていた中で、堤防がたやすく決壊し、10万人もの人びとが移動手段も水も食糧もなしに取り残されて大量の犠牲者を出したのだ。
小泉の郵政民営化攻撃は、まさにこのような地獄絵を、日本国内のいたるところにつくり出していく突破口である。資本の利益こそが一切で、労働者階級は煮るも焼くも資本の自由だ、貧しいものは野垂れ死にして当然、という攻撃なのだ。最後は帝国主義が行う戦争で国のために進んで犠牲になれ、命を差し出せということだ。
第3章 4大産別を先頭に11月へと驀進しよう
これに対して、郵政民営化絶対反対の非妥協的な不屈の闘いを、闘う全逓労働者を先頭に、全産別・全国の労働者の死活をかけた共同の闘いとして今こそ爆発させなければならない。
すでに動労千葉は、尼崎事故に対して「闘いなくして安全なし」を合言葉に、反合運転保安闘争をJR資本との日々の死闘として貫き、勝利の地平を戦時下で実力で切り開いている。
さらに、闘う教育労働者の「日の丸・君が代」強制拒否や「つくる会」教科書粉砕の闘い、自治労大会で沖縄県本部を先頭に闘われた改憲勢力化粉砕の闘い。これらを10月連合大会決戦に向かってさらに前進させていこう。9・15鉄建公団訴訟の反動判決をも突き破る、国鉄1047名闘争の一層の前進を切り開こう。
イラク反戦闘争、国際連帯の闘いは、戦争と民営化攻撃粉砕のいま一つの基軸だ。米の反戦運動諸団体は9月24日、ブッシュと対決して巨大な全米大結集闘争に立とうとしている。これと連帯し、日本での自衛隊イラク即時撤兵闘争の新たな高揚をかちとろう。その一環として、10・9三里塚現地闘争に総決起しよう。沖縄闘争の永続的発展をかちとろう。東北大有朋寮への強制執行実力阻止の決戦にかちぬこう。
それら一切を11月労働者集会1万人の大結集に結びつけ、小泉独裁政権打倒へ総決起しよう。
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週刊『前進』(2215号1面2)(2005/09/26)
鉄建公団訴訟 反動判決弾劾する
1047名分断を狙う 解雇撤回認めず団結権否定
「不当判決糾弾」と700人が怒りのシュプレヒコール(9月15日 東京地裁前)
9月15日、東京地裁民事36部(難波孝一裁判長)は、国労闘争団員と遺族297人が鉄道建設・運輸施設整備支援機構(旧鉄建公団−国鉄清算事業団)を相手に解雇の撤回を求めていた訴訟(鉄建公団訴訟)で、解雇撤回の訴えを退ける反動判決を下した。
87年の国鉄分割・民営化に際し、国労・全動労・動労千葉所属の組合員は、組合差別によりJR採用を拒まれ、国鉄清算事業団に送られた。そして90年4月1日には、1047人が清算事業団からも解雇された。こうした国家的不当労働行為に対し、90年解雇の撤回などを求めて争われてきたのが鉄建公団訴訟である。
判決は、国鉄改革関連法を盾に90年解雇は有効と強弁し、解雇撤回の訴えを全面的に否定した。これは、不当労働行為によって解雇された労働者への救済を、その根本において拒否した極悪の反動判決だ。
他方で判決は、国鉄が作成したJR採用候補者名簿に原告らが搭載されずJR不採用とされたことを、国労差別の不当労働行為と認定し、鉄道運輸機構に1人当たり500万円の慰謝料支払いを命じた。
だが、原告のうち5人については、国鉄時代に停職6カ月以上または2回以上の停職処分を受けたことなどを理由に採用候補者から外されたことは「合理性を有する」と言い放った。
不当労働行為による首切りで18年間の苦難に満ちた生活を強いられた原告に、わずか500万円の慰謝料しか認めないこと自体、許しがたい暴挙である。しかも5人の原告は、そこからも排除されたのだ。
これは、“組合員の先頭に立って闘い最も重い処分を受けた労働者は、首を切られても当然、救済を受ける資格など一切ない”と言うに等しい。原告団と1047名陣形に分断を持ち込み、5人の仲間を500万円と引き換えに切り捨てろという許しがたい攻撃だ。
総選挙に圧勝した小泉政権は、郵政民営化を頂点に一大民営化攻撃を仕掛けている。今回の判決をとおして敵階級は、こうした攻撃に敢然と立ち向かう労働者に対しては、いかなる仕打ちも許されると表明した。判決は、労働者の団結権を根底的に否認したのだ。
解雇撤回へ団結固め闘いぬこう
判決後、原告団は「本日の判決は到底18年間の償いになるものではない」「原告団の目標は、あくまでも鉄道員として地元JRに復帰することである」という声明を発し、控訴して闘う意志を表明した。
鉄建公団訴訟は、敵階級に屈服した国労本部の敵対、とりわけ原告22人への統制処分をはねのけて闘いぬかれてきた。その不屈の闘いは、7・15日比谷野音集会に示される国労闘争団・全動労争議団・動労千葉争議団の1047名の統一陣形を生み、国鉄闘争勝利の大道を押し開いてきた。これは支配階級を確実に追い詰めている。だからこそ敵は、原告団と1047名陣形の団結破壊に狙いを絞ってこの反動判決を振り下ろしてきたのである。
総選挙を経て、民営化を軸とする階級的団結破壊の攻撃はさらに激しく吹き荒れている。11・6全国労働者総決起集会は、これと真正面から立ち向かう闘いだ。国鉄闘争と日本労働運動の命運をかけて11・6に結集しよう。あくまで解雇撤回へ、1047名の団結を一層固めて闘いぬこう。
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週刊『前進』(2215号1面3)(2005/09/26)
10・9三里塚現地へ 反対同盟が全国に呼びかけ
三里塚芝山連合空港反対同盟は、10・9全国総決起集会への招請状を発した。反対同盟の呼びかけにこたえ、全国から集まろう。 (編集局)
■招請状
全国の闘う仲間のみなさん。衆院解散・総選挙で小泉内閣の反動が強まるなか、三里塚では暫定滑走路北延伸との新たな闘いが始まりました。反対同盟は十月九日に敷地内東峰で全国総決起集会を開催しこの反動と断固闘う決意です。全国のみなさんの総結集を訴えます。
政府・国交省と成田国際空港会社(NAA)は、八月四日、ついに暫定滑走路北延伸を決定しました。同月末には、狭くてジャンボ機が走行できない現在の誘導路とは別に、新たな誘導路を建設する計画を東峰地区に提示しました。ルートは白紙撤回されたC滑走路の先端から空港敷地を東側に大きくはみだし、暫定滑走路の南端につなげるというものです(地図参照)。第二ターミナルビルからの距離は三キロに及び、騒音の緩衝地帯として残すことを地区に約束した県有林を伐採します。これは新たな軒先工事であり、民家の上空でジャンボ機を飛ばすという脅迫で移転を迫る攻撃です。
平行滑走路の当初計画が破産するなか、未買収地を残して長さを切り縮め、欠陥のまま開港を強行したのが暫定滑走路でした。民家上空四〇メートル飛行の騒音で追い出そうとした攻撃が粉砕され、ならば「ジャンボを飛ばす」と脅迫し、移転を迫るのが北延伸計画です。
それゆえ北延伸計画は場当たり的でズサンです。新誘導路にも同盟員の耕作地(十・九集会場)が立ちはだかっています。これを迂回したルートは耕作地と一坪共有地に挟まれ、その間を縫うように湾曲して走る異常構造。しかも滑走路南端の過走帯(オーバーラン帯)や飛行直下を航空機が横切ることから、大惨事を引き起こす危険すら指摘されています。北端では航空保安区域(危険地帯)を東関東自動車道が横断したり、管制塔から滑走路が目視できないなど、その欠陥は枚挙にいとまがありません。
工期を短縮させるために、環境アセス法を踏み破り、騒音補償のためのコンターもまともに引き直そうとしません。しかも北延伸を強行しても、発着便数を増やすことはできません。
まさに北延伸は、積もりつもった農民殺しのツケでたち行かなくなった空港の象徴です。不屈に闘えば北延伸は阻止できます。反対同盟は、この闘いを空港廃港への突破口とする決意です。
小泉内閣は、解散・総選挙をもって労働運動つぶしの郵政民営化を強行し、いっきに反動への道を突き進もうとしています。「つくる会」教科書を水路に教育基本法と憲法改悪をねらい、大増税、年金・社会保障制度の解体で収奪し、労働組合の解体と一体の農業つぶしの攻撃を激化させています。イラク参戦を続ける一方、日米安保を変質させ、成田空港を沖縄や関西新空港とともに有事の拠点とする計画を進めています。労働運動と反戦闘争、人民の権利を守る闘いの一掃です。静岡空港をめぐっては、住民の反対を押し切って土地収用法の発動に動き出しました。
しかしこうした反動に、沖縄・辺野古では新基地建設阻止の闘いが前進し、「つくる会」教科書は全国的に不採択。三里塚は天神峰現闘本部裁判闘争を力に軍事空港粉砕へと新たな前進を始めました。
十・九全国集会は暫定滑走路北延伸を阻止し、小泉反動を打ち破る総決起集会です。いまこそ労農連帯の力で反動をうち破り戦争への道を阻止しよう。十・六天神峰現闘本部裁判闘争に決起し、十・九三里塚に全国から総決起されるよう訴えます。
二〇〇五年九月七日
暫定滑走路北延伸阻止・軍事空港建設粉砕
現闘本部裁判支援運動の拡大を
10・9全国総決起集会
【日時】10月9日(日)正午
【会場】成田市東峰 反対同盟所有地
【主催】三里塚芝山連合空港反対同盟
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週刊『前進』(2215号2面1)(2005/09/26)
JR尼崎事故 国交省の中間報告弾劾する
運転士の責任にするな 国鉄分割・民営化こそ元凶
総選挙を制した小泉=自民党は、郵政民営化を始めとした大民営化攻撃に突き進もうとしている。だが、民営化がもたらしたものはJR尼崎事故である。総選挙に先立ち、国土交通省の航空・鉄道事故調査委員会は9月6日、尼崎事故の原因調査の中間報告と、再発防止を求める建議を国交相に提出した。それは、国鉄分割・民営化こそが事故の原因であったことを押し隠し、すべての責任を高見隆二郎運転士になすりつける許しがたい文書である。安全は、労働組合の闘いと団結なくして守れない。小泉政権の推し進める戦争と民営化(労組破壊)の攻撃と対決し、労働者階級の未来をかけて11・6全国労働者総決起集会に結集しよう。
「異常な運転」に一切の原因があると強弁
事故調査委員会の中間報告は、尼崎事故の本質的な原因には何ひとつ触れていない。報告は、ブレーキ扱いに関するモニター解析をことさらに押し出すことによって、高見運転士個人の「異常な運転」に一切の事故原因があったかのように言いなす、きわめて意図的な文書である。
事故調査委員会の建議が言う「講ずべき施策」も、ATS(自動列車停止装置)や記録モニターの設置、防護無線の取り扱いに関する教育、速度計の精度向上に触れるだけだ。これが、107人の命を奪った大惨事に対する安全対策なのか! 4カ月もかけて行った調査の結果なのか!
要するに事故調査委員会は、運転士を「回復運転」に駆り立てた、私鉄との競争のための無謀な過密ダイヤの設定や、ボルスタレス台車(枕ばりのない台車)などを使った軽量車両、「日勤教育」に象徴される強権的労務管理などをすべて是認した上で、ATSなどの設備さえ設置されていれば事故は防げた、と強弁しているのだ。それは、一大民営化に突き進む小泉政権と呼応して、国鉄分割・民営化が事故の真因であったことを必死に押し隠そうとするものなのである。
あまりにもひどい内容の中間報告に、尼崎事故で家族を殺された遺族からは、「この内容では(亡くなった)息子に報告できない」「原因究明とはほど遠い内容」「もっとJR西日本の体質に迫ってほしい」と怒りの声が上がっている。
国交省の幹部でさえ、「ミスは高見運転士だけの問題ではない。運転操作に悪影響を与えたとすれば、組織の体質の方こそ異常」と指摘し、「事故を現場だけの責任にしてはならない」と強調しているという。だが、国交省の中間報告と建議は、そのことに反する代物でしかない。
この建議を受けて国交省は、10月中旬までに技術的な基準を定めるよう検討したり、「運転士の資質の維持管理を充実させるための新たな制度の創設」に向けた法案を次期通常国会に提出するとしている。
政府・国交省は、民営化―規制緩和、市場原理による安全の切り捨てという本質に責任が及ぶことを徹底して抑え込もうとしている。またJRは経営責任に問題が及ぶことを必死で覆い隠そうとしている。JR―国交省はまさに共犯者なのだ。本質的な問題はすべて隠ぺいされ、これまで以上に徹底した職場管理、締めつけだけが強化されることになるのは間違いない。これでは再び尼崎事故が繰り返される。そんなことを絶対に許してはならない。「闘いなくして安全なし」こそ、安全の原点なのだ。
民営化・規制緩和と闘わない労組も問題
尼崎事故はまさに分割・民営化の帰結だった。犠牲となった107人は、国鉄分割・民営化という犯罪的政策によって、営利追求と安全無視をほしいままにするJRによって、規制緩和を強行してきた国土交通省によって殺されたのだ。同時にそれは、資本との闘いを投げ捨て、労働者の抑圧者に転じたJR西労組(JR連合)を始め労組幹部の裏切りの結果だった。
民営化攻撃との闘いは、労働者階級にとっての正面課題である。総選挙に圧勝した小泉=自民党は、郵政民営化を頂点とする一大民営化攻撃に乗り出してきた。攻撃の照準は、民間労働者を含む全労働者階級に据えられている。官民労働者を分断し敵対させる攻撃は、すべての労働者から団結を奪い、あくなき搾取を貫こうとするものなのだ。
だが、総選挙の結果によって、労働者階級の闘いが制圧されてしまったわけではない。自民党圧勝に終わった選挙結果は、労働者のすさまじい怒りを呼び起こしている。労働者階級の根底的な決起は必ず起こる。自治労大会における改憲方針反対の現場組合員の決起は、その予兆だ。
だからこそ支配階級は、民営化攻撃の原点としてある国鉄分割・民営化への巨大な怒りが、尼崎事故をきっかけに噴出することを恐れているのだ。事故調査委員会の中間報告には、そうした支配階級の狙いが貫かれている。
動労千葉の安全運転行動こそ原則的闘い
動労千葉の安全運転行動は、尼崎事故とそれを引き起こした国鉄分割・民営化を根底的に撃つ闘いだ。JR東日本による不当な処分をはねのけて、動労千葉はこの闘いを貫いている。この闘いはJR当局を決定的に追いつめ、当局は千葉支社管内で22`に及ぶレールを交換せざるをえなくなった。また、外房線の東浪見(とらみ)駅上り線の危険個所にATS地上子を設置することも決まった。
動労千葉の闘いは、労働者の空前の注目と共感を呼んでいる。今日、あらゆる産別で労災事故が多発し、労働者の命が虫けらのように奪われている現実がある。これへの怒りは渦巻いている。
動労千葉の闘いは、今のように資本攻勢が吹き荒れる時代でも、また動労千葉のように約500人の組合でも、労働者が団結して階級的に闘いぬけば、勝利の道を切り開くことはまったく可能であることを示しているではないか。
労働者が安全と命を守るためには、階級的労働運動をよみがえらせ、資本と闘う以外にない。利潤追求に走る資本は、常に安全を犠牲にして合理化・効率化に突き進む。これに階級的利害をかけて対決しない限り、安全を守ることはできないのだ。
11・6全国労働者総決起集会は、小泉=奥田の一大民営化攻撃と真正面から対決する闘いだ。11・6集会の1万人結集に、全労働者の命運がかかっている。
尼崎事故に対する国労本部の対応は、労働者の命をJRに差し出すものと言って過言でない。
国労本部の新委員長に就任したチャレンジの佐藤勝雄は、新任あいさつで「健全な会社の発展と社員・家族の幸せを求めることは労使共通の課題」「組合も単なる責任追及にとどまってはならず、JRを社会に貢献できる会社にしていかなければならない」と放言した。それは、国労本部のJR体制への最後的屈服の表明だ。
革同上村派もまた、「尼崎事故の原因は民営化ではない」「日勤教育は必要だ」と叫んでJR資本に屈服している。副委員長に就任した田中博文は「安全は(労資の)対立からは生まれない」と公言し、事故原因の解明を全面的に事故調査委員会にゆだね、事故を居直るJR西日本の「安全性向上計画」を「国労要求を反映させた」と賛美しているありさまだ。
「慰霊碑」から高見運転士排除
彼らはなんと高見運転士を除く「106人の犠牲者」への「慰霊碑カンパ」なるものを会社と一体となって国労組合員に強いている。どうして高見運転士を除くのか! 高見運転士は事故の犠牲者ではないのか! 革同上村派の策動は、断じて許すことができない。
小泉政権が一大民営化に突き進んでいる今、こうした裏切り者を打倒して、階級的労働運動を再生させることは緊急の課題だ。国鉄1047名闘争の解体を策する攻撃を許さず、闘いを貫こう。
尼崎事故を徹底弾劾し、民営化と全面対決する闘う労働運動の復権をかけて、11・6全国労働者総決起集会に結集しよう。
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週刊『前進』(2215号2面2)(2005/09/26)
航空機事故はなぜ続くか 原因は民営化と労組破壊 安全掲げ労組が反撃開始
安全破壊して延命図る国際航空資本
日帝・小泉による民営化・規制緩和と労組破壊の攻撃は、JR尼崎事故を引き起こしたが、航空業界でもまったく同じ原因で大事故が相次いでいる。
今年の8月以降、航空機の大事故が4件連続している。8月14日、キプロスのヘリオス航空機が墜落、乗員乗客全員121人が死亡。16日、コロンビアのウエスト・カリビアン航空機が墜落、乗客全員160人死亡。23日、ペルーの国営タンス航空機が墜落し、40人が死亡。さらに9月5日にはインドネシアのマンダラ航空機が墜落炎上、137遺体が収容されている。
日本でも航空機事故が文字どおり労組破壊と一体で続発している。
その典型例として日本航空を見てみよう。下の表を見てほしい。今年になってからの日本航空関係の故障や操縦ミスなどをまとめたものだが、まさに異常なほど事故が連続している。3月22日などは1日に4件も立て続けにトラブルが発生しているほどだ。
トラブルの内容も危機的だ。国土交通省が「重大インシデント(事故につながりかねない事態)」とする重大事態が今年になってから、4月29日、5月8日、6月15日、と3回も立て続けに発生している。5月30日シドニーの件は、オーストラリア運輸省が重大インシデントに指定した。あまりのことに国交省は日航に異例の事業改善命令と、警告を発したほどだ。
全世界で頻発している航空機事故は、争闘戦激化の中で、米帝を先頭に推し進められている民営化・規制緩和と資本の合併・再編、それに伴うリストラ・首切り、不安定雇用化と労働強化が原因だ。
実際、航空業界の競争は熾烈(しれつ)を極めている。9月14日には、米航空業界3位のデルタ航空と同4位のノースウエスト航空の2社が米連邦破産法11条に基づく会社更生手続き適用を破産裁判所に申請した。アメリカの航空資本の上位7社の内、4社が経営破綻(はたん)するという異常事態になっている。
それと同時に、この規制緩和とリストラ攻撃を貫徹するためにも闘う労働組合の解体攻撃が焦点になっている。ノースウエストの場合、1000人のスト破り要員を1億jを使って雇い入れ、あげくの果てに破産申請をした。これは、たとえ会社を倒産させてでも組合をつぶすという、日本の民間でも見られる凶暴な労組破壊攻撃そのものだ。
日本でも、帝国主義間の争闘戦の激化の中、危機にあえぐ航空資本の要望を入れて、日帝・小泉による民営化・規制緩和の攻撃が次々にかけられている。
出発時には半官半民だった日本航空は85年以降に民営化され、その過程で株主への配当を確保するためと称して、すさまじい首切り・リストラが行われた。
さらに92年には、様々の規制緩和が行われ、長距離路線の乗員数の削減や乗務時間の延長、運行業務のアウトソーシング化が認められるようになった。94年の航空法の改悪で定例整備の海外への委託を容認し、自社整備の原則を破壊した。95年の改悪では国による航空機の検査を民営化した。
国際航空資本は整備部門のコスト削減を大々的に行っているが、これが重大事故多発の背景にある。ノースウエストの場合、整備業務をアウトソーシング化し、数年間で整備士を4分の1にまで減らそうとしているのだ。
日航では御巣鷹山事故(85年に群馬県御巣鷹山にジャンボ機が墜落し、520人が死亡)の反省から、「機付整備士制度」を発足させ運用してきた。これは約10人のチームで2機から3機を専門に受け持つことで安全に責任をとる態勢だが、日航資本はこの制度を03年11月に廃止した。さらに出発前点検をこれまでの二人から一人の整備士で行う「一人ハンドリング体制」が導入されている。
その他、労組が強く弾劾しているものをあげる。
@「検査部門の独立」の廃止。修理する人間が検査までやるのではミスを発見できない。A契約制客室乗務員の採用の容認。客室乗務員の不安定雇用化の促進は、保安要員としての客室乗務員の役割を否定するもの。B運賃の認可制から事前届出制への変更。運賃競争とコスト削減競争の激化をもたらす――などだ。これらはまさに安全規制の撤廃と言うべき攻撃だ。
その上で、資本間の競争激化の中で定時運航を現場に要求する圧力がインシデントの原因の一位にあげられている。これはJR尼崎事故で高見運転士に「回復運転」を強制したのとまったく同じ構図だ。
「二組」攻撃で労組分裂狙う日航資本
アメリカのノースウエスト航空のAMFA(航空整備士組合)の労働者は、航空安全確保をも要求に掲げて8月20日以降ストライキを続けている。韓国のアシアナ航空操縦士労組も「海外滞在地での30時間の休み時間の確保」などを掲げてストライキを打ち抜いた。全世界での航空機事故の続発に対して、闘う労働組合がストライキでもって反撃の闘いを開始したのだ。この闘う両労組へ、ILWU(国際港湾倉庫労働組合)ローカル10や動労千葉が支援連帯を表明、支援の闘いは大きく広がりつつある。
日本でも9月1日、日本航空の八つの労働組合でつくる日本航空内JJ労組連絡会議は緊急安全対策を求める声明を発表、整備部門での人員削減や、経営側による労組分断政策を改めるべきだと要求している。
連絡会議には日航機長組合、日航客室乗務員組合などの旧日航5労組と、日航ジャパン労働組合、日航ジャパンキャビンクルーユニオンなどの旧日本エアシステム(JAS)3労組が参加している。これらの組合は陸・海・空・港湾労組20団体の中心である航空労組連絡会の構成団体だ。
旧日本航空内には第二組合である連合傘下の全日本航空労働組合(JALFIO)が存在してきた。このJALFIOが、今年の2月1日、旧JASの労働者を対象に分裂新労組を結成したことが明らかになった。約300人の組合員が新労組に移ったという。このことを声明は強く弾劾している。
日航資本は51年の会社発足以降、繰り返し第二組合の結成を助長し、闘う労組破壊の不当労働行為を繰り返してきた。旧日航内に六つの労働組合が存在するのも、この日航資本のすさまじい労組分裂工作との壮絶な闘いの結果である。
日本航空と日本エアシステムは02年に純粋持株会社を発足させ、06年には完全統合を狙っている。そのために8千人の労働者首切りを含む大規模なリストラ・合理化計画を発表、それと同時に旧JAS内の労働組合への分裂工作を開始し、闘う労組の絶滅攻撃に踏み出したのだ。絶対に許してはならない。
声明が指摘するように、さまざまのトラブル続出は、まさにあの御巣鷹山事故直前の状況だ。日航の労働組合は、「御巣鷹山事故を二度と繰り返さない」という日本の航空労働者の闘いの原点に立ち返って資本の労組破壊攻撃を許さない闘いに立ち上がろうとしている。
世界の運輸労働者と共に11月集会へ
以上を見た時、航空産業における民営化・規制緩和が文字通り安全規制撤廃ともいうべきすさまじい安全崩壊をもたらしていることが分かる。それは労組破壊攻撃と一体であり、まさにJR尼崎事故の原因とまったく同じ構造なのだ。
動労千葉の安全問題を真正面から掲げた3月ストライキと、安全運転行動は乗客・労働者の圧倒的支持を受け、資本の処分恫喝を跳ね返して闘われ、レール交換を実現するなどの大成果をあげている。
11月労働者集会を全世界の運輸労働者の安全運転闘争連帯の一大集会としよう。安全問題を掲げた労働運動の反転攻勢を開始しよう。
(湯村宏典)
05年以降、日本航空のトラブル一覧
(太字は「重大インシデント」)
1月22日 新千歳で無許可離陸試み、緊急停止
2月2日 油圧システム異常で羽田に引き返し
3月11日 ソウル・仁川で滑走路に誤進入
16日 非常用脱出装置セットせずに運航
17日 「水平儀」異常で新千歳に引き返す
17日 「防氷装置」に異常で福岡に着陸
22日 広島発羽田行き、煙感知で緊急着陸
22日 伊丹発福島行きが尻もち着陸
22日 成田到着機、点検用パネルが脱落
22日 徳島で駐機中機体に整備作業車接触
27日 ローマ行き異常表示で成田引き返す
27日 成田着機で左翼部品脱落
31日 ホノルル空港でボルト脱落発見
4月5日 尾翼カバー欠損で欠航
7日 着陸後点検でボルト欠落発見
11日 速度計異常で、那覇に臨時着陸
14日 成田到着機で、左翼部品欠損
17日 油漏れで離陸中止、成田一時閉鎖
24日 トラブルで7時間半遅れ離陸
29日 閉鎖中の羽田空港滑走路に着陸
30日 油圧装置故障で滑走路に油まく
5月1日 エアコン故障で成田に臨時着陸
2日 ゴム製部品なくなる、点検で判明
8日 室内気圧急低下で新千歳に緊急着陸
8日 高度計異常、マニラ行きが関空着陸
21日 エンジン異常燃焼、伊丹に緊急着陸
30日 ジャンボ主脚、離陸直前に部品破損
6月1日 ハワイ行き、格納庫異常で引き返す
15日 羽田着陸時に前輪外れる、3人けが
16日 部品欠損、成田着陸後に判明
19日 回送便、油圧系統異常で引き返す
21日 那覇行き、エンジン故障で関空着陸
25日 釜山着機がプラスチック部品欠落
30日 成田着機が飛行中に放電棒を紛失
7月10日 函館行きで窓にひび、中部空港着陸
13日 秋田発大阪行き、ゴミ箱でボヤ
23日 客室気圧下がり、5000b緊急降下
29日 機器故障表示、広州行き引き返す
8月5日 社内資格ない整備士が最終確認
10日 関空行きエンジン油が客室に流入
11日 日航機欠落部品踏み、他機がパンク
12日 福岡空港近くでエンジン部品落下
16日 新潟空港で許可なし離陸
20日 ロス空港で搭乗ブリッジと接触
22日 燃料キャップ紛失で成田一時閉鎖
29日 警告灯誤表示 福岡行き引き返す
30日 警告灯異常でホノルル行き関空着陸
30日 計器異常表示で宇部行き伊丹着陸
9月3日 計器誤表示で中国行きが引き返す
7日 警告表示で青森行きが引き返す
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週刊『前進』(2215号2面3)(2005/09/26)
国労弾圧公判 目撃証言の虚構暴く 「共謀」のねつ造は大破産
9月7日、国労5・27臨大闘争弾圧裁判の第45回公判が東京地裁刑事第10部(青柳勤裁判長)で開かれ、国労長野地本中南信支部組合員の浅川初幸証人への弁護側反対尋問が、前回に続いて行われた。
浅川証人は、02年5月27日の国労臨時大会に会場警備として参加し、大会当日の朝、宿泊先のホテル前で被告によって「暴行」されたとして警察に被害届を出している。だが5・27臨大は、国労本部が闘争団員への統制処分を狙って強行開催した大会であり、これに対し抗議のビラまき・説得活動をした被告の行為は正当な組合活動だ。
浅川証人は、検察側「共謀立証」のカギを握る証人でもある。検察側は、長野地本から動員された会場係の責任者だった池田久幸・長野地本東北信支部元委員長に対し被告の一部が暴行を加え、他の被告がそれを「目撃−了知」したことで全被告の間に「現場共謀」が成立したと主張している。これに沿って浅川証人は、「松崎博己被告が池田さんにひざ蹴りをしているところを見た」と主尋問で述べていた。今回の公判は、浅川証人の「目撃証言」の虚構を徹底的に暴き出すものになった。
冒頭、先日の国労大会に傍聴参加した橘日出夫被告が意見を述べ、「大会で闘争団員への統制処分の解除が決定された。これは本部の誤りを認めない許しがたいものだが、解除せざるを得なかったことは、私たちのビラまき・説得活動の正当性を明らかにした」と断言した。
弁護団の追及に前回証言を翻す
河村健夫弁護人が尋問に立ち、前回公判からこの日までに証人は検事と何回打ち合わせをしたかと質問した。証人は「昨日、5時間ほど」と返答した。「共謀立証」の崩壊を恐れる検察側は、証人をわざわざ東京に1泊させて「目撃証言」を維持するよう言い含めたことは想像に難くない。
弁護団は、検察側が証拠提出した事件現場のビデオを示して問いただした。再生された画像は、池田とその前に立つ被告たちの姿をとらえている。その画像について証人は、検察側主尋問で「松崎被告が池田さんにひざ蹴りした直後の場面」と述べ、前回公判では「ひざ蹴りの時とこの画面の時の人物配置は同じくらい」と答えていた。だが、その画像の人物配置からすれば、浅川証人の位置からは被告たちの人垣にさえぎられて「ひざ蹴り」なるものが見えたとは思えない。
弁護団から「人物配置は同じくらい」という前回証言の確認を求められた証人は、「同じ配置ということはありえない。もっとばらけていた」と前言を翻した。”人にさえぎられずにひざ蹴りは見えた”と言いたいのだ。そこで弁護団は「周りの人はどう動いたのか」と問いつめた。証人は「ひざ蹴りを注視していたから、周りの人の動きは分からない」と返答した。「それならなぜ、人の配置が変わったと言えるのか」とたたみかける弁護団に、証人は「ひざ蹴りを見たのは事実」としか答えない。
弁護団は、もう一度、問題の画面を再生して質問を重ねた。そこには松崎被告の姿は映っていない。その事実を指摘された証人は、答えに窮して「橘被告の陰になっている」と言いつくろった。そして、陰になり見えない松崎被告が池田にひざ蹴りを加えているとまで言い出した。
裁判長もあきれて、「証言が矛盾している。この画面はひざ蹴りの後なのか、ひざ蹴りがまだ続いているのか」と口をはさんだ。証人は「ひざ蹴りの終わりごろ」と返答した。
“ひざ蹴り”場面は見えたのか?
そこで弁護団は、問題の画面の前後をスローで再生して証人を追及した。そこには、座っていた松崎被告が立ち上がってくる様子が映っている。およそひざ蹴りをしている動作ではない。それを見せられても証人は、「ひざ蹴りを見たのは事実」と言い張った。
一瀬敬一郎主任弁護人が「ビデオの画像に基づいて被告・弁護団が現場の状況を再現した写真を示したい」と裁判長の許可を求めた。被告・弁護団は、ビデオ画像と同じになるように事件現場に人を配置し、浅川証人の位置から池田の姿が見えたか否かを検証する作業を進めてきた。その結果を突きつければ、証人の偽証は決定的に暴かれる。検察側は、「厳密な再現性はない。証人に不当な影響を与える」とむきになって反論した。だが裁判長は、検察側の異議を退けた。
弁護団が示した写真は、事件当時の浅川証人の位置から池田のいた方向を撮影したものだ。写真からは、黒執(くろとり)光久・長野地本組合員や被告たちに完全にさえぎられ、証人が「ひざ蹴り」なるものを目撃できなかったことは客観的に明らかだ。証人は「カメラと人の目は違う」と言い張ったが、論破された。
さらに弁護団は、証人が捜査段階では「ひざ蹴りをしたのは松崎被告」と一度も供述していないのに、公判で初めてそう証言したことの理由を問いただした。証人は「捜査段階では聞かれなかったから答えなかった」と言い逃れた。
弁護団の鋭い尋問は証人を徹底的に追い詰めた。いたたまれなくなった証人は、「トイレに行きたい」と言って追及から逃れるほかなくなった。尋問は次回に持ち越された。
浅川証人は「ひざ蹴りを目撃した」と言い張るが、そもそも松崎被告による池田への「ひざ蹴り」はなかったのではないかという疑問は深まるばかりである。国労本部の吉田進書記長に命じられ、被告を有罪に陥れるためのデッチあげ証言を重ねる証人に、法廷は強い怒りに包まれた。
公判闘争は、検察側「共謀立証」を粉砕する重大な攻防の渦中にある。闘いは正念場を迎えている。「許さない会」の運動を広げ、8被告の無罪と国労再生へさらに闘いを強めよう。
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週刊『前進』(2215号3面1)(2005/09/26)
郵政民営化絶対阻止を
全逓労働者の現場の決起で小泉打倒する新たな決戦へ
革共同全逓委員会
革共同全逓委員会は、非常の決意をもって日帝・小泉政権に対する郵政民営化絶対阻止の決戦を宣言する。すべての全逓労働者、公務員労働者、全労働者に、ともに郵政分割・民営化絶対反対の闘いに立ち上がることを熱烈に訴える。小泉・自民党は、衆院総選挙の「大勝」をもって、いったん廃案になった郵政分割・民営化関連法案を再提出し、成立させようとしている。断じて許すことはできない。この法案を葬り去り、戦争と民営化=労組破壊に国際的団結で立ち向かう11・6全国労働者集会に結集しよう。
公務員労働者への悪罵を絶対許すな
総選挙における小泉・自民党の「大勝」に貫かれているものは、徹頭徹尾ファシスト的デマ政治だ。小泉は、まるで全逓労働者を諸悪の根源のように描き上げ、27万人の正規雇用(非正規雇用を合わせて40万人)の郵政労働者に対して「既得権益にしがみつく」などと悪罵(あくば)を投げかけ、「郵政民営化に賛成か反対か」「改革を止めるな」「官から民へ」と、ただそれだけをヒトラーばりに強引に繰り返し叫んだのだ。
「既得権益」だと。ふざけるんじゃない! 労働者のささやかな権利に対して何という言いぐさか。全逓労働運動が先人たちの血のにじむような闘いによってかちとってきた権利だ。それすら、郵政公社化とそのもとでのアクションプランを始めとした実質的な民営化攻撃の中で次々と破壊されてきた。賃下げ、退職強要、強制配転、むちゃくちゃな労働時間と労働条件の悪化、そしてサービス残業の常態化だ。連続深夜勤の導入などによって現職死亡や自殺に追い込まれた労働者は数えきれない。
何が「財政再建」か。今日1千兆円にも上る国・地方の借金がまるで郵政労働者に責任があるかのように言うことは、絶対に許せない。銀行救済に税金を際限なく投入し、ゼネコンをもうけさせる公共事業に湯水のように資金を投入してきたのは誰か。赤字国債を次々と発行し、ついに国家的破産状態にしたのは誰か。小泉ではないか。
郵政事業は黒字であり、そもそも独立採算であって国の財政=税金は一切使われていない。しかもそれは、相次ぐ全逓労働者に対する首切りと賃下げの結果である。それなのに郵政労働者を「悪玉」に仕立て上げる小泉のやり口に、現場労働者の怒りは頂点に達している。
物ダメ・ストライキで闘おう
これまで郵政事業を実際に動かしてきたのは誰だと思っているのか。でたらめな経済財政政策のもと、過酷な労務政策のもと、そして郵政族議員と官僚らが郵政利権を食い物にしてきたにもかかわらず、現場の労働者は必死に働いてきたのだ。その労働者の大半は、超低賃金で何の身分保障もない、短時間労働者や非常勤・アルバイトであり、日本郵便逓送などの関連民営企業の労働者だ。
この郵政事業を身を削って支えてきた労働者をやり玉に挙げ、血祭りにすることで、小泉は総選挙に「大勝」した。この小泉に、現場を動かしているのが誰であり、誰が社会の主人公であるのか、思い知らせてやらなければならない。
郵政民営化法案が参議院で否決に至る過程で、連合主催の8・2日比谷野音集会、郵便局ファンの会(JPU、全郵政、全国特定局長会)の8・4日比谷野音集会を始め、全国各地で取り組まれた街頭宣伝・集会・デモに、全逓労働者は怒りに燃えて結集した。連合全逓(JPU)中央が、もう何十年も闘いらしい闘いを放棄する中で、久々の怒りの総決起集会や街頭デモが闘われた。
しかし、それは「郵便局を守ろう」をスローガンにし、企業内主義的枠に押し込められたものであった。連合全逓本部派の裏切りと屈服により、一切は自民党郵政族頼み、民主党頼みのものでしかなかった。労働者の闘い、労働組合の闘いと呼べるものがないような状態のままであった。ここを突破し、今こそ労働者としての誇りにかけて、すべての労働者の先頭に立って全逓労働者が階級的闘いを巻き起こそうではないか。民主党は総崩れ、社民党、日本共産党も無力な中で、労働者自身が実力で闘いに立ち上がる時である。
今やどこの局でも郵政の現場は、サービス残業や超勤を拒否しただけで、たちまち郵便物が溜(た)まる状態になっている。労働者が現場から闘いを巻き起こすなら、ものすごい反撃の闘いはまったく可能なのだ。戦後一貫して、全逓労働者の最大の武器は、物ダメ・ストライキの闘いであった。今こそ78年越年物ダメ闘争を闘い抜いた全逓労働者の戦闘性と階級性を復権させ、体を張った闘いに立ち上がる時だ。
民営化は首切りと労働組合の破壊だ
小泉は、9月21日に特別国会を召集し、そこで一挙に郵政民営化関連法案を押し通そうとしている。衆議院で与党が3分の2以上の議席を確保したことにより、改憲すら日程に上らせ、イラク派兵を無際限に継続し、米帝ブッシュとともに世界戦争の道を突っ走ろうとしている。いよいよ日帝・小泉と全逓労働者、そして全労働者階級との本格的な激突の時が来た。
小泉のファシスト的な凶暴性は、日帝の底なしの危機の現れである。巨額の赤字国債を郵貯・簡保資金が買い支えている事実ひとつをとっても、実は小泉・自民党は、絶対解決不能の危機に立っているのである。全逓労働者が先頭に立つならば、戦争と民営化=労組破壊の攻撃との闘いを小泉打倒の巨大な階級決戦に押し上げることは、まったく可能である。
「民」とは民間大企業のこと
小泉の「官から民へ」「なぜ郵政は公務員でなければならないか」というイデオロギーを粉砕しなければならない。「民」と言うと、何か「民衆」「国民」などを連想させるが、ここにごまかしがある。「公私」というように、「公」の反対は「私」である。たとえば学校など「公立」でなければ「私立」である。それをいつのころからか「民営化」などと「民」を使い始めたのだ。
「民」とはブルジョアジーのこと、金融資本・大企業のことだ。そこにあるのは、むき出しの資本主義の論理だ。労働者を人間として扱わず、ただただ資本の利潤を生み出すための道具や機械のように搾取し使いつぶすものである。
民営化とは、この「私」の金融独占ブルジョアジーに郵政利権を投げ与えるものだ。全逓労働者から公務員身分を奪い、今日、民間大企業で行われている首切り・リストラ・非正規雇用化、そして殺人的労働強化を強制することである。公務員労働者からスト権を奪って支配し搾取してきた上に、今度は公務員身分を奪って好き勝手に首切り・リストラするということだ。
公務員は本当に「不必要」なのか。とんでもない。公務員でなければできない事業だから国営・公営でこれまでやってきたのだ。消防署が消防活動に値段のランク付けをし、貧乏人の家は火事になっても消さないというのか。金が払えなければ救急車に乗せてもらえないのか。民営化とは、そして郵政民営化も、そういうことをやろうということである。
JR尼崎事故が示したように、民営化は労働者に死をもたらす。もうけ優先で、労働者と乗客の命を犠牲にしたのだ。アメリカのハリケーン大災害は、まさに戦争と民営化がもたらしたものだ。イラク侵略戦争に予算と兵士を際限なく投入し、治水を始めとした社会的インフラ予算を削って、なんでもかんでも民営化した結果である。
全労働者の課題に押し上げて11・6へ
郵政民営化攻撃との闘いを全労働者階級の一大政治闘争の課題としなければならない。自民党・小泉らが総選挙の過程で労組を「改革を阻む抵抗勢力」として口をきわめて攻撃を集中したように、郵政民営化を突破口とする「小泉改革」は、公務員労働組合を屈服・解体させることに狙いがある。郵政民営化による全逓労働運動の破壊を突破口に、公務員労働者を組織する日教組や自治労などの労働組合を解体・一掃し、連合をまるごと改憲と戦争協力の勢力へと変質させようという攻撃である。
これに対して、労働者階級の闘いの武器は団結である。尼崎事故を目の当たりにして、動労千葉は職場の団結を打ち固め、処分恫喝を跳ね返し、安全運転行動を強力に闘い抜いている。その動労千葉が全日建運輸連帯労組関西地区生コン支部、全国金属機械労組港合同とともに11・6労働者集会を呼びかけている。11月労働者集会は、闘う労働者の総結集の場であり、韓国・民主労総やアメリカの労働者と大合流する世界の労働者との国際連帯集会である。小泉反革命と恐れず闘う強力な階級的勢力を登場させる闘いである。
闘う全逓労働者は、郵政分割・民営化を絶対に許さない。郵政民営化関連法案の成立に絶対反対する。たとえ衆院3分の2を確保した小泉が法案を通し、07年民営化を強行しようとしても、そんなものは絶対に認めない。現場が勝負だ。
05〜07年決戦として徹底的に闘おう。すでに民営化の先取り、民営化攻撃そのものと言うべきアクションプラン・フェーズ2との闘いが始まっている。1万人削減、深夜勤、2交代10時間労働制の導入、郵便内務のアウトソーシング、JPS(郵政版トヨタ方式)などに対して、現場から不屈の闘いを巻き起こそう。
現場の闘う団結を打ち固め、組合機関を組合員の手に取り戻すことだ。JPU中央本部を打倒して、闘う全逓労働運動を復権させよう。今こそ労働者が体を張った闘いに立つ時だ。実力闘争を復権させ、物ダメ闘争、ストライキで闘おう。そうした闘いを総結集し、11・6労働者集会をかちとろう。
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週刊『前進』(2215号3面2)(2005/09/26)
小泉を支える経団連 トヨタ先頭に会員を動員
小泉・自民党の勝利のために日帝金融独占ブルジョアジーは総力を挙げた。
帝国主義間争闘戦での立ち遅れに焦りを深める日本経団連(奥田碩会長)にとって、通常国会で郵政民営化法案が自民党内部からの「反乱」で不成立に追い込まれたことは容認しがたい事態だった。日帝支配階級が死活をかける戦争と民営化攻撃、すなわちファシスト的侵略的な国家改造の攻撃が決定的に立ち遅れてしまう危機にたたき込まれたのだ。
追い詰められた小泉と奥田は、クーデター的に衆議院を解散し、総選挙に打って出た。
奥田は、公示日直前の8月29日に記者会見を行い、「日本経団連は自民党を支持する」と表明した。公示日の30日には「改革を断行する政党が政権を担うべき」と、自民党を「改革の党」として押し出すペテンに一役買った。
選挙期間中、日本経団連本部の呼びかけで、会員企業が全国で社員を動員して自民党勝利のための選挙運動を展開した。下請け企業や孫請け、取引先企業をも動員するために、脅しや利益誘導などの実に汚い手が使われた。日本経団連会員企業の関係者は、「(経団連本部から)こうした力のこもった要請が末端会員まで届くのは、ここ10年間なかったんじゃないですか」と述べている。(9月13日付「日刊ゲンダイ」)
奥田が会長を務めるトヨタ自動車の地元、愛知県では、トヨタの役員クラスが手分けして全15小選挙区の自民党陣営に肩入れした。下請け企業や系列の自動車販売店にも支援を強制、会社ぐるみの選挙運動を展開した。その結果、議席配分は民主10、自民5から民主6、自民9に逆転した。
また「日経」「朝日」を始めブルジョア・マスコミも「構造改革を失速させるな」(8月9日付日経社説)と小泉を全面支援した。
奥田は総選挙翌日の12日、「小泉総理の圧倒的なリーダーシップ」「主張がぶれなかったことが勝利の要因」と語った。小泉の「官よりも民が優れている」「公務員は特権にあぐらをかいている」という公務員労働者へのファシスト的な憎悪と攻撃の集中、労組破壊の扇動を称賛し、「もっとやれ」とあおりたてたのである。さらに奥田はかさにかかって、「郵政民営化法案を早く成立させ、社会保障制度改革や行財政改革、教育改革などの構造改革をスピード感をもって実施してほしい」と述べた。
これを受けて小泉は、直ちに年金・医療保険制度の改悪、大増税、公務員の賃下げ・リストラ、労組破壊、教育基本法改悪・日教組解体などに全面的に打って出ようとしている。
どうしてこんなことが許せるだろうか。郵政民営化を絶対阻止し、11・6労働者集会を大成功させ、小泉=奥田体制を打倒しよう。
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週刊『前進』(2215号3面3)(2005/09/26)
7・14連合見解案 日帝の「自衛権」を承認
改憲路線の大会阻め
小泉の国家改造に呼応する大会
10月5―6日の連合大会は、連合が改憲と戦争協力へ決定的に踏み出すのか、それを阻止するのかのかかった重大な大会となる。小泉政権が9・11総選挙での自民党「圧勝」の物質力を背景にして郵政民営化を突破口に戦争と民営化(労組破壊)の攻撃を一挙にエスカレートさせ、ファシスト的国家改造へと突進しようとしている中で、連合指導部は7・14「国の基本政策に関する連合の見解(案)」を大会で正式決定することによって連合700万労働者とその家族を小泉の大攻撃に屈服・協力させようとしているのだ。
労働組合、労働者階級は、今こそ日帝・小泉政権の大反動と真っ向から対決し、小泉政権と日本帝国主義を打倒する闘いに総決起しなければならない。そうしなければ労働者階級は自らの生活も権利も生命も労働組合組織も小泉によって奪われ、一掃されかねない情勢にある。ところが連合中央は、闘いとはまったく逆の方向に向かっている。
大会で会長選が行われる。笹森清・現連合会長(電力総連顧問)に代わる新会長に高木剛(UIゼンセン同盟会長)が座ろうが、草野忠義(連合事務局長、自動車総連常任顧問)が座ろうが、新連合会長が帝国主義的労働運動の頭目として日帝・小泉の大攻撃への全面屈服・協力を約束し、連合を新たな産業報国会の道、改憲と戦争協力の道に引きずり込もうとすることは明らかである。このような連合中央を必ず打倒しなければならない。
大会ではまた、7・14連合見解案を正式の連合見解として決定しようとしている。7・14見解案は、日米安保を肯定し、日本の自衛権と自衛隊を認め、9条改憲と安全保障基本法制定を要求し、東アジア安保を提唱している。日帝の戦争国家化、侵略戦争と勢力圏構築のための改憲案である。
7・14連合見解案の大会承認は、日帝・小泉の郵政民営化はもとよりあらゆる民営化を促進し、公務員制度改革(大幅賃下げ、大量首切り・リストラ)、教基法改悪、憲法改悪、日米枢軸下の米軍再編(トランスフォーメーション)、沖縄基地強化、自衛隊の侵略軍隊化を推進し、北朝鮮―中国侵略戦争を発動させる決定的なてことなる。戦後日本労働運動史における最大の汚点となる。連合は労組としての役割を終え、戦争動員機関となるのだ。7・14連合見解案の大会決定を絶対に許してはならない。
集団的自衛権と「東アジア安保」
7・14連合見解案とは何か? その核心は、@憲法9条を改定し、その内容の詳細を規定する安全保障基本法を制定する、あるいはA9条をあえて改定しないで安全保障基本法を制定する、と記されている。この本質は9条改憲である。
では、この9条改定と安保基本法の中身は何か?
日帝国家の自衛権と自衛隊(=戦力)の承認である。7・14見解案は「独立国家の固有の権利としての自衛権を日本は保有し、その意味で、自衛隊が設けられていることに対する異論はない」と述べている。
自衛権・自衛隊の承認は9条改定そのものだ。戦争放棄、武力行使禁止、戦力不保持、交戦権否認を定める9条の破棄・解体だ。
次に、自衛権・自衛隊の承認の上に7・14見解案は集団的自衛権と海外派兵を認めている。
(1)「日本の防衛、自衛権のあり方」として、日本への攻撃があった場合、「日米安保条約に基づき米軍とともに行動する」と規定している。また(2)「国際社会と世界平和の構築」として、「国連による集団安全保障活動への参画については、憲法において明確に禁止された『国権の発動たる戦争』には、基本的に抵触しないことを確認する」と規定している。
(1)は「集団的自衛権とその行使」の承認である。「米軍とともに行動する」という言葉は、日米が集団で(共同して)戦争をやる、すなわち集団的自衛権を行使・発動するという意味である。
なお7・14見解案は、日本の領域外においてアメリカが攻撃され、日本が直接攻撃されていない場合、「日本はアメリカとの同盟関係を理由に共同した武力行使は行わない」と規定している。これはごまかしにすぎない。アメリカへの攻撃も日本への攻撃であるという口実のもとに日帝は全面参戦するのである。しかも、この規定はすでに周辺事態法、武力攻撃事態法で法律的に破られ、テロ対策特措法、イラク特措法で実践的に破られている。これが無限に拡大するのだ。
7・14見解案は、イラク、アフガニスタンに続いて北朝鮮、中国に対して日帝が単独であるいは米帝と共同して侵略戦争を行うことを認める見解であり、今後日帝が行うあらゆる侵略戦争を認める見解なのだ。
次に(2)は「国連の集団安全保障活動」の形式をとった自衛隊の海外派兵、国際帝国主義の国連を使った侵略戦争への日帝の参戦の承認と推進である。
総じて7・14見解案は、自衛権と自衛隊を憲法と安全保障基本法に規定することによって、今後日帝の行うあらゆる侵略戦争を合憲化・合法化する(自治労の「平和基本法」もこの安保基本法と本質的に同じ)。
さらに7・14見解案は「東アジア地域の安全保障の構築のための努力」を規定している。「東アジア地域安全保障」とは、日帝を軸とする東アジア集団安保体制である。そして奥田・日本経団連が提唱する「東アジア自由経済圏」を軍事的に支える機構である。7・14見解案は、日米安保体制を「そのもとで戦後の経済的発展がもたらされてきた」として評価するだけでは飽き足らず、「東アジア地域安保」を基礎に日帝が東アジアの盟主の地位に上る新・大東亜共栄圏を構築すべきだと提唱しているのだ。絶対認められない。
全逓、教労、自治体、国鉄の4大産別の労働者を先頭に7・14連合見解案の大会決定阻止・連合中央打倒へ決起し、11・6集会1万人結集を実現しよう。
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週刊『前進』(2215号3面4)(2005/09/26)
中野代表、11・6へ訴え 反戦共同 全国活動者会議開く
9月11日午後1時から千葉のDC会館で反戦共同行動委員会の05年後期全国活動者会議が開かれた。11・6労働者集会まであと2カ月と切迫した中で、反戦共同行動委員会が集会の成功をどう担っていくのかをめぐって活発な討論が行われた。
まとめを提起した中野洋代表は、今回の衆院選について民主党が「郵政民営化だけが争点じゃない」「民営化より年金」などと言っていることに対して厳しく批判した。まさに民営化攻撃が労働運動を解体して排外主義、国家主義の嵐で戦争国家化に向かって突き進もうとしていることを明らかにし、「正念場が来ている」「国家主義、排外主義と闘うには国際連帯しかない」と、米韓労働者との国際連帯として開かれる11・6労働者集会の意義を提起した。
さらに中野代表は、11・6の成功のためにそれぞれの戦線が戦線の課題と11・6の課題を結びつけてビラを出すように求めた。「自分の戦線の中で11月労働者集会をどう位置づけるのか。それを明確にしないと1万人結集は簡単ではない。みんながその気になったときに初めて可能なのだ」と訴えた。
会議では、事務局長の滝口誠さんが基調報告を提起した。小泉によるクーデターとも言うべき解散・総選挙の暴挙を弾劾し、それと対決するものとして11・6労働者集会がかつてない重要な集会となっており、その成功に向けて一致をかちとることが会議の任務であることを訴えた。
討論では、決戦に向けて各戦線から活発な意見が出された。決戦の最火点にある全逓労働者は、郵政民営化絶対阻止の決意を表明した。都政を革新する会の長谷川英憲代表は、「つくる会」教科書採択阻止の闘いの大高揚を報告し、採択撤回の闘いを全力で闘い、それを11・6労働者集会の大結集に結びつけると決意を表明した。また三里塚現闘から10・9集会への特別アピールが行われた。
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週刊『前進』(2215号3面5)(2005/09/26)
再発防止研修 “機械じゃないでしょ” 何も答えない都教委を追及
被処分者の会を先頭に
9月14日、目黒の都教職員研修センター前にはこの日も教育労働者や支援者など30人以上が詰めかけ、不当な「再発防止研修」強要への抗議の声を上げた。
この春の東京の卒・入学式で「日の丸・君が代」強制に不起立で闘い、減給・停職処分を受けた教育労働者に対し、都教委は「再発防止研修・専門研修」の受講を強制してきた。この日は15人に対し4日間に分けて行われてきた「研修」の最後の日で、都立校の4人の教育労働者が呼び出された。これに対し「日の丸・君が代」不当処分撤回を求める被処分者の会を始め闘う仲間や弁護士が早朝から結集し、怒りを込めて門前に詰め寄った。
「内心の自由を踏みにじるこの研修は明らかな憲法違反ではないのか」「こんな研修は認められないぞ」
午前9時、4人が拍手、声援、シュプレヒコールに送り出され、堂々と胸を張り建物の中に入った。
正午前、「研修」を終了し出てきた4人は支援者の圧倒的拍手に迎えられ、中での様子を口々に語った。
Aさんは「いろいろ聞かれたが、こちらが質問することには一切答えない。『機械じゃないでしょ』と言ったらムッとされた」と語った。Bさんは「同じようなことを聞かれるばかり…」と語った。Cさんは「『名前や所属を言え』とまず言われたが、そっちで勝手に呼び出しておいて何だ、と言ってやった。新聞のアンケート調査によれば7割の都民がこの不起立処分に反対している。この結果をどう思うのか、ちゃんと答えろと強く迫った」と追及した。担当者は「時間がない」とかわすのが精いっぱいだったという。
どちらに理があり、どちらに正義があるのか、誰の目にも明らかだ。抗議に集まった人びとは、4日間の「研修」の不当な狙いを完全に打ち破ったことを実感をもって確認しあった。
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週刊『前進』(2215号3面6)(2005/09/26)
共同闘争NEWS発行 3労組、11・6の武器に
11・6全国労働者総決起集会を呼びかけている全日建運輸連帯労働組合関西地区生コン支部、全国金属機械労働組合港合同、国鉄千葉動力車労働組合の3組合が『たたかう労働組合の全国ネットワークをつくろう!/共同闘争NEWS』第1号(写真)を発行した。
港合同田中機械支部・大和田幸治委員長の発刊の辞、関生支部の弾圧粉砕の訴えと武建一委員長の獄中アピール、全金本山労働組合の争議勝利報告、動労千葉の11・6集会への呼びかけなどが掲載されている。
3労組の闘いに学び、職場・地域で11・6労働者集会に参加を呼びかける武器として活用しよう。
◆A4判12n 1部50円◆申し込み先 動労千葉〒260-0017 千葉市中央区要町2-8DC会館内/рO43-222-7207/ 043-224-7197/E-mail doro-chiba@doro-chiba.org
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週刊『前進』(2215号4面1)(2005/09/26)
10・9三里塚の新たな高揚を
闘う反対同盟農民と連帯して暫定滑走路「北延伸」を阻もう
大攻防の正念場にあたって訴える
赤坂 潤
総選挙の結果を受け小泉反革命との階級的激突が本格的に始まる中で、三里塚闘争は暫定滑走路「北延伸」攻撃との大攻防戦に突入した。反戦の砦(とりで)として幾多の試練をのりこえ、労働者人民の闘いの生命線を守り抜いてきた三里塚闘争が正念場に入ったことを革共同は声を大にして訴える。10・9三里塚全国集会(反対同盟主催、三里塚現地)は、11・6労働者集会を頂点とする労働者人民の総決起と一体の闘いだ。反対同盟農民との40年来の血盟にかけ、わが革共同は新たな決戦に突入した三里塚闘争を勝利に導くことを固く誓う。天神峰現闘本部裁判闘争を支援する会運動への取り組みの強化をかちとり、10・9三里塚に集まろう。
戦争と民営化の小泉反革命に立ちはだかる反戦の砦
「官から民への構造改革」「小さな政府」を掲げる小泉反革命の行き先は、〈戦争と民営化〉すなわちアメリカ帝国主義を典型とする、むき出しの資本の論理が支配する社会である。
「構造改革」路線とは、第2次大戦前後から帝国主義各国が体制延命策、予防反革命政策として採用したいわゆる国独資的政策が不可能化し、労働者を路頭に投げ出してでも大資本の営利活動の自由を優先する「民営化」や「規制撤廃」政策に転換したことの総称である。帝国主義の危機が末期段階に入った表現でもある。国家は社会保障の責任を負えなくなり、生存権の保護は「自己責任」とされ、労働者が無権利状態に押し込まれることを許容する。「小さな政府」とはそういう意味だ。
「官から民へ」の「民」は民衆ではない。巨大銀行(外資を含む)やトヨタに代表される民間大資本だ。労働者人民の虎の子の預金(郵貯・簡保)を民間資本に売り渡すという意味だ。彼らは世界市場で勝ち残ることがすべてであって、そのために労働者の社会保障や働く権利を奪う。政府は、大資本が最大利潤を追求できる社会環境を保障する。独禁法や業際規制、労働法制など様々な規制を緩和・撤廃し、労働者の団結や抵抗手段を徹底的に破壊する。「小さな政府」の裏の顔は、自由を窒息させる警察国家なのである。こうして一部の富裕階級と圧倒的多数の貧困層に無慈悲に分解していく社会こそ、小泉反革命の行き着く先だ。
小泉政権は「郵政民営化」をテコに、旧来の自民党政治(いわゆる談合型土建政治)への人びとの怒りを逆手にとって、その残存物の一掃を掲げ、これを「小泉改革」と称して衆院解散を強行した。これはファシズム的な手法であって、攻撃の矛先は実は労働者人民の階級的利益そのものに向かっているのだ。国鉄分割・民営化を突破口に、中曽根政権時代(80年代)から本格化した日帝支配階級の戦時体制への転換が、小泉政権によるファシスト的攻撃として全面開花しているのである。
この小泉反革命のただ中で、三里塚暫定滑走路の「北延伸」攻撃が始まったのは、小泉反革命の反革命たるゆえんだ。日帝権力は、40年の歳月をかけて制圧できなかった労働者・農民の革命的反乱の砦に対し、全階級を巻き込んだ階級決戦に先立って新たな攻撃を開始したのである。
(左図 NAAは北延伸計画に加え新誘導路計画を出してきた。東峰地区の畑、農家を新誘導路で絞め殺すように包囲し、闘う農民の追放を狙う攻撃だ。絶対に許すな)
狙いは反対農家たたき出し
政府・国交省とNAA(成田空港会社)は8月、02年暫定滑走路(2180b)開港以来の反対同盟破壊攻撃に失敗し、同滑走路の「北延伸」による2500b化を決定した。うたい文句は「ジャンボ機を飛ばす」。暫定開港で”上空40b飛行”を強制された反対農家と敷地内地権者に対する最後通告的な脅迫だ。
「北延伸」計画は、暫定開港前後から地権者への脅迫材料としてくり返し持ち出されてきた。狙いは東峰・天神峰地区の反対農家をたたきだし、南側の本来計画による2500b化(暫定開港の北ずらし分を加え3300b)を実現することだ。誘導路の欠陥ゆえに北延伸では肝心のジャンボ機は飛べず、便数も増やせないからだ。
また2年後に迫る成田空港会社の株式上場前に、何としても「2500b化」を確定したい事情もある。上場で数千億の売却益を得るか額面割れかの差は、破綻(はたん)した国家財政の死活問題でもある。
こうしてNAAは開港後、同盟一坪共有地への強奪提訴(02年12月)、市東孝雄さんへの耕作権解約要求(03年12月)、野戦病院と岩山団結小屋への退去要求(同)、天神峰現闘本部の撤去・明け渡し提訴(04年3月)など強攻策を次々と繰り出した。そしてこの”力の政策”を背景に、敷地内の反対農家に対する猛烈な切り崩し工作を進めた。NAA・黒野社長らは破廉恥にも暫定開港を「謝罪」する文書をばらまいて「話し合い」の糸口を探りつつ、恫喝文句として「特別立法による収用」などのうわさを一部のマスコミにリークしたりもした(02年4月)。収用の脅しや営農環境をわざと破壊して用地交渉の糸口とする。これは公団時代からの常套(じょうとう)手段である。
昨年末から北延伸攻撃が一気に具体化したのは、この数年がかりの農家への屈服強要と反対同盟破壊攻撃が破綻した結果でもある。
小泉構造改革の不可欠の環
そして「北延伸」にはもうひとつの決定的な動機がある。小泉反革命の一環としての三里塚闘争破壊である。前述のように小泉「構造改革」の特徴は、大資本の活動に完全な自由を与えるために、労働者人民の権利や抵抗手段を物理的にもイデオロギー的にも奪うことにある。猛烈な勢いで始まっている「つくる会」教科書の採択運動や治安弾圧立法の制定攻撃(共謀罪など)にみられる国家的統制の強化は、小泉構造改革路線の不可欠の一環だ。
そして小泉反革命はその核心部で、イラク派兵を突破口とする帝国主義国家としての軍事力行使に決定的に踏み込んだ。日帝・支配階級の長年のタブーであった軍事問題への言及は解禁となり、政府・自民党の9条改憲路線はついに既定の政治スケジュールに組み込まれた。
しかしこの小泉反革命の最大の弱点は、圧倒的多数の労働者人民の階級的利益を根こそぎ破壊する攻撃そのものの中にある。小泉はさしあたりデマゴギーの組織化で反動を「改革」と言いくるめ、かろうじて政権を維持している。しかしどの道をとっても小泉反革命の本質として労働者人民との正面激突は早晩避けられない。〈戦争と民営化〉が一線を超えて圧倒的多数の労働者の生活権を根こそぎ破壊しようとする以上、もはや60年安保闘争や70安保・沖縄闘争を上回る一大階級激突は避けられない。小泉政権が労働組合運動の存在そのものに異常な敵意を示す理由もここにある。
この中で、三里塚闘争のような「法」的枠組みをも超えた人民の抵抗拠点が、日帝国家権力との40年に及ぶ死闘に勝ち抜き、なおかつ階級闘争の一角に存在することの意義は明らかだ。小泉反革命にとって三里塚闘争の存在は、それ自体が致命傷に転化する問題なのである。
〈01年9・11〉反米ゲリラ戦以来の航空需要の低迷と、羽田空港新滑走路の供用(09年)が確定する中で、成田暫定滑走路の「北延伸」は航空運輸政策としてはほとんど必要性を失っている。にもかかわらず政府・国交省がしつこく三里塚の攻撃を続ける背景は以上のようなものだ。
米軍の成田使用に直結する在日米軍再編攻撃の切迫
現在、日米政府間でトランスフォーメーション=米軍再編の協議が進行中だが、すでに問題は朝鮮侵略戦争の実戦準備段階に入った。焦点は攻撃と兵站(後方支援)の両面にわたる日米の軍事作戦全般を一体化し、統合運用する諸体制だ。その中心課題の一つが、米本土からの増援部隊を受け入れる空港施設の確定である。
米国防総省の作戦では、朝鮮半島に米本土から直接空路で投入される初動部隊を除き、大半の部隊はいったん日本国内に空輸され、部隊編成と演習を経て前線に送られる。イラク戦争でクウェートの空港が第一次的受け入れ基地となっているのと同じだ。ポイントは大規模な人と物資の処理能力を持った空港の確保につきる。日米新安保ガイドライン締結時(97年)に成田空港の使用を米軍側が強く要求した理由はこれだ。
クリントン政権時代の94年朝鮮危機(北朝鮮核問題)では、開戦寸前まで事態が切迫しながら、日本の空港・港湾の使用が不可能だったことから、作戦そのものが中止に追い込まれた。これが決定的な契機となり、95年に米側から朝鮮有事の「対日要求1059項目」(成田空港の米軍基地化など)が出され、日米安保共同宣言(96年)〜新安保ガイドライン締結(97年)〜周辺事態法制定(99年)〜有事法制制定(03年)〜米軍再編協議(04年〜)に至る一連の日米安保の強化が図られてきた。
千葉県収用委の崩壊で頓挫していた成田2期工事が、96年日米安保共同宣言で一気に動き出し(平行滑走路「2000年完成」攻撃)、周辺事態法の成立と同時に「暫定滑走路」方針が確定(99年5月)したのは、成田問題が日米安保協議の重要テーマだったからだ。
しかし成田空港は、40年に及ぶ空港反対闘争と最も戦闘的な反戦運動に包囲された場所である。米軍の成田空港使用は、法律で決めたからといって無条件にできる問題ではない。この間の自衛隊イラク派兵で、自衛隊が成田空港を使用するたびに「制服を脱ぐ」という屈辱を強いられている。政府も自治体もいまだに「軍事使用は行わない」との公式の立場を変更できないのだ。政府はPKO(国連の平和維持活動)などで何度も成田軍事使用の既成事実化を図ったが、いまだ三里塚闘争の壁に阻まれているのが現状だ。
イラク戦争をとおして帝国主義に対する国際的反乱が火を噴く中、成田の米軍使用問題が反戦闘争の嵐にさらされ焦点化することに日帝権力はとうてい耐えられない。これは日米同盟の根幹を揺るがす問題である。成田空港問題は、米軍再編協議で日本政府が解決できない大問題なのだ。
三里塚闘争が成田空港の軍事化に制約を加え続けている現実は、朝鮮侵略戦争と対決する闘いの大きな橋頭保だ。10・9三里塚全国集会を、闘う朝鮮・中国人民と連帯し、軍事空港=成田を包囲・粉砕する新たな闘いとして取り組もう。
三里塚を包む広範な労働者人民の陣形で勝利しよう!
三里塚農民はかつて、北総台地を揺るがした代執行阻止闘争(71年)で「日本農民の名において代執行を阻む」との檄(げき)を発して権力と激突し、全国の労働者農民・人民の広範な支持を集めてきた。三里塚闘争は一方で、高度成長の中で切り捨てられてきた農民たちの怒りを代弁する闘いでもあった。
小泉政権下で激しく進行する労働者階級への資本攻勢は、他方での徹底的な農民切り捨て(輸入自由化と流通規制緩和による農産物価格の下落など)を要件にして可能になっている。奥田・日本経団連が「(コストの高い)日本農業は全部捨てても良い」と公言するのは、「労働者家族の年収を200万円程度まで下げるべき」(同)という資本攻勢と表裏一体だ。
革共同は、日帝の農業政策(農産物の輸入自由化と農業の放棄)に断固として反対する。社会主義を目指す労働者階級の党として、三里塚農民がこの戦争と大失業時代にあって、労働者と農民が連帯して闘う意義を訴えていることを受けとめ、これを強く支持する。三里塚闘争の新たな発展は、労農連帯の新たな深化の中にあることを確認しよう。
支援する会の強化拡大を
NAAによる現闘本部撤去・明け渡しの提訴(04年3月)は、隣接する市東孝雄さんの畑に対する「耕作権解約要求」と一対の攻撃としてかけられた。つまり、それは天神峰・東峰の反対農家を圧殺することだけを目的にした攻撃である。
裁判は現在第7回口頭弁論を終え、地上権を法廷で確定させる正念場を迎えている。これまでに被告・反対同盟側の厳しい求釈明で、NAA側が本部建物の二重構造を認識していなかったなど、決定的とも言える事実誤認が明らかになってきた。裁判はこれから現場検証を含む核心部に突入する。
この裁判は反対同盟を守り、暫定滑走路に突き刺さった本部と市東さんの畑を死守し、北延伸攻撃に反撃する上で死活的な位置を占めている。求められているのは大衆闘争面からの強力な支援だ。今日の司法反動がまっとうな法律論を非論理的な国益論で切り捨てる傾向を強めている中で、大衆闘争的支援が何よりも必要なのだ。「勝利のカギは裁判を取り巻く広範な人民戦線の連帯です」(戸村義弘・天神峰現闘本部裁判闘争を支援する会代表世話人)との訴えにこたえよう! 支援する会運動のさらなる拡大のため、各戦線での問題提起と取り組み強化をかちとろう!
すべての皆さん! 反対同盟との血盟を打ち固め、「北延伸」粉砕の闘いを猛然と開始しよう。何よりも現地闘争への結集の人員がこの攻撃を阻む具体的な力となることを肝に銘じ、新たな気持ちで三里塚に駆けつけよう。戦闘的デモで三里塚現地を席巻しよう。10・9三里塚に全国から総結集しよう!
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週刊『前進』(2215号4面2)(2005/09/26)
10・6現闘本部裁判口頭弁論へ 反対同盟の地上権は明白
天神峰現闘本部裁判の第8回口頭弁論が、10月6日午前10時30分から千葉地裁501号法定で開かれる。弁論は現在、地上権をめぐる攻防の重要段階にある。次回の公判では、反対同盟弁護団側がこの権利の存在を積極的に主張する。三里塚闘争は暫定滑走路北延伸計画との闘いに突入しており、この裁判はこの現地攻防と連動する重要裁判である。
墓穴を掘った会社側の釈明
この裁判は成田空港暫定滑走路の象徴的欠陥のひとつである「へ」の字誘導路の直線化のために空港公団(現・成田国際空港株式会社)が反対同盟を相手に起こしたもの。旧地主の底地を買収したとして、その上に建つ現闘本部建物の撤去を要求している。しかし土地は、当時、反対同盟副委員長の石橋政次が反対同盟に提供したものであり、本部建物は反対同盟の所有物として建築後に登記されている。反対同盟には地上権があり、提訴には法的根拠がない。
したがってこの裁判の最大の争点は、反対同盟が土地を占有する正当な権利としての地上権が反対同盟によって保持されているか否かであり、具体的には登記した木造建物(1966年建築)が現存しているか否かにある。
これまでの弁論で明らかになった空港会社側の主張は、「木造建物はその一部が解体され、これを吸収する形で鉄骨建物が建築されたため、鉄骨造り建物の一部となり、独立した建物としては現存しない」というもの。つまり反対同盟が地上権の根拠とする木造建物は、1988年に鉄骨造り3階建て建物を増築した際に、解体されて現存しないというのである。
しかし、鉄骨造りの建物の中には登記された木造建物が現存する。この事実を写真によって明らかにし、「一部解体」とはどの部分なのか特定するよう要求された空港会社は、「木造建物のうち東側部分の土間を囲む三方の周壁」と釈明した。また「吸収」という言葉の意味は「木造建物が独立性を失い、鉄骨建物の一部分にとりこまれた」と釈明した。
この空港会社の釈明は自ら墓穴を掘るものである。「三方の周壁」のみが「解体」されたということは、逆に、屋根、柱、礎石のすべてと西側部分の周壁は現存していることを認めたのである。しかも「三方の周壁」は実は壁ではなく、「窓」や「引き戸」であり、その木柱が現存しているのだから、取り外したにすぎない。鉄骨造建物は木造建物を増築して建築されたのだから、もちろん木造建物自体が現存し、90年1月の成田治安法による封鎖まで反対同盟本部としての機能を果たしており、「吸収」などという意味不明の言いがかりなど論外なのである。
延伸阻止する法廷闘争の力
10月6日の弁論は、反対同盟側から地上権の存在の積極主張が展開される。建物登記の事実など地上権設定に至った経過、鉄骨造り3階建て建物の増築と構造などである。これまでの弁論は、空港会社の主張の誤りを釈明要求をとおして崩してきた。次回から地上権の存在を積極的に主張する段階に入るのである。
また、登記された木造建物が現存する事実は、裁判所が実地に立ち入り検証すれば一目瞭然(りょうぜん)である。しかし建物は成田治安法によって封鎖され立ち入ることが法的に禁止されている。裁判所の検証要求を国交相が受け入れるか否か。司法と行政の権限をめぐってもきわめて興味深い攻防が展開される。
三里塚闘争は、暫定滑走路北延伸との攻防に入った。07年株式上場と09年羽田国際化など他空港間との競争激化の中で、強行した暫定滑走路が今や桎梏(しっこく)となっている。計画決定−工事過程−開港から現在に至る約5年間の切り崩し攻防に敗北した空港会社・国交省は、最終手段として北延伸を決定した。今度は民家上空40bでジャンボを飛ばすという脅迫と、新誘導路で東峰地区を空港敷地に囲い込む計画の提示で、闘争を解体しなんとか平行滑走路の当初計画につなげたいのである。実際、北延伸は欠陥を増幅させ大事故を招きかねない計画なのである。
反対同盟はこの攻撃に闘争を宣言し、北延伸阻止を空港廃港の突破口とするよう呼びかけている。本裁判闘争は、暫定滑走路の延伸を阻止する法廷闘争である。法廷を圧倒する傍聴闘争に決起しよう。裁判闘争を支援する会の会費納入と会員拡大を全力で推進しよう。10・6裁判で千葉地裁法廷の傍聴席を埋め尽くし、10・9三里塚全国集会に全国から総結集しよう。
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週刊『前進』(2215号4面3)(2005/09/26)
9月7日〜13日
英豪軍がサマワ撤収を検討
武力攻撃時対処マニュアル
●サマワ宿営地近く迫撃弾5発 イラク南部サマワの陸上自衛隊宿営地近くの運河沿いで迫撃砲弾5発が見つかった。うち2発は信管が付いていた。住民からの通報で警察が砲弾を押収した。旧イラク軍の砲弾とみられる。陸自宿営地への攻撃が計画されていた可能性もある。(7日)
●嘉手納移駐F16が初飛行 米軍嘉手納基地に移駐している米インディアナ州航空軍のF16戦闘機が初めて飛行訓練を展開した。同基地を相次いで離陸し、周辺地域に100デシベル(電車通過時の線路脇の音に相当)を超える激しい騒音を響かせた。(9日)
●武力攻撃時の対処法公表 政府は外国からの武力攻撃やテロの際、国民一人ひとりが身を守るために、どのように行動すればよいかをまとめたマニュアルを公表した。武力攻撃については、@ゲリラや特殊部隊による攻撃、A弾道ミサイルによる攻撃、B着上陸侵攻、C航空攻撃――の4類型に応じて留意点を説明している。(9日)
●米国防総省が核先制使用の運用策案 米国防総省は、大量破壊兵器による攻撃を阻止するため、核兵器の先制使用を認めるよう核兵器使用の基本政策を見直す報告書草案をまとめた。米ワシントン・ポスト紙(電子版)やロイター通信が報じた。(10日)
●衆院選、自民圧勝 第44回衆院選の投開票が行われ、自民党が単独で絶対安定多数(269議席)を上回る296議席を獲得した。公明党の31議席を加えた与党は327議席で、衆院の3分の2を超えた。(11日)
●ガザ地区、イスラエル軍撤退完了 イスラエル軍がガザ地区からの撤退を完了、1967年の第3次中東戦争以来、約38年間にわたり続いたイスラエルによるガザの軍事占領が終結した。(12日)
●米軍再編中間報告は来月中 大野功統防衛庁長官が記者会見で「10月中にはなんとか具体的な基地名を書いた中間報告を作っていきたい」と述べ、在日米軍再編の原案となる中間報告を10月中に提示する考えを示した。(13日)
●普天間に嘉手納から11機 嘉手納基地の滑走路が一時的に封鎖されたことに伴い、着陸できなくなった戦闘機計11機が普天間飛行場に飛来した問題で、宜野湾市が海兵隊外交政策部に対し厳重抗議した。(13日)
●中国軍艦の動静把握に努めると海幕長 防衛庁の斎藤海上幕僚長が記者会見で、中国海軍のミサイル駆逐艦など5隻が日中中間線付近で中国が開発を進めている「春暁」ガス田の周囲を航行したことについて「P3C哨戒機には広域で継続的に哨戒できる能力があり動静把握に努めたい。(中国軍艦の)大体の動きは掌握している」と述べた。(13日)
●英・豪軍、サマワ撤収を検討 自衛隊が駐屯しているイラク・サマワの治安維持を担当するイギリス軍とオーストラリア軍が、サマワからの撤収を検討していることが明らかになった。すでに日本政府に打診している。(13日)
●共同文書採択へ6者協議再開 北朝鮮核問題をめぐる第4回6者協議が北京で首席代表協議を開き再開した。8月7日の休会から約5週間ぶり。各国の合意に基づく初の共同文書採択を目指す。(13日)
●韓国軍18万人削減案 韓国国防省が15年後の2020年度をめどに、現在68万人の兵力を50万人に削減する内容の韓国軍改革案を発表した。(13日)
●中国が靖国参拝に「断固反対」 中国外務省の秦剛・副報道局長が、衆院選で自民党が圧勝したことについて「どの政党、どの指導者でも日中関係の改善と発展に積極的に努力する」とする一方、小泉首相の靖国神社参拝に関しては「断固として反対する」と強調した。(13日)
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週刊『前進』(2215号5面1)(2005/09/26)
11・6集会へ何を訴えて闘うか
小泉の「戦争と民営化」に全面対決する労働者隊列の登場を
革共同中央労働者組織委員会
小泉の「圧勝」で激化する労組破壊の攻撃
9・11総選挙において、小泉・自民党と公明党は、定数の3分の2(320議席)を超える327議席という「歴史的圧勝」を収めた。自民党は、単独過半数を大きく突破する296議席を占めた。与党が3分の2を確保したことにより、参議院の動向に関係なく、あらゆる法案の成立が強行できる事態に突入した。
この与党の3分の2確保という事態に、われわれは戦慄(せんりつ)しなければならない。階級情勢が一変するこの恐るべき情勢に革命的危機感を持って真っ向から対決しなければ、革命党は絶滅されてしまう。9・11をもって、戦争と民営化=労組破壊攻撃はこれまでの比ではなくエスカレートする。憲法改悪の発議までもが、衆議院でただちにできる情勢に入ったのだ。
小泉・自民党はこの「圧勝」をもって、今秋特別国会における郵政民営化法案強行を突破口に、民営化という手段を使った日本労働運動の解体、とりわけ日教組、全逓、自治労、国鉄の4大産別の解体に全面的に打って出てくる。これまでとは比較にならないむき出しの解体攻撃である。民営化攻撃―労働運動解体攻撃と一体となって、戦争国家への大改造攻撃も転換的に激化する。
さらに小泉が「奥田ビジョン」の全面的な具体化にどんどん踏み込んでくるのは間違いない。むき出しの弱肉強食の論理で、労働者には首切り・リストラがこれまでのレベルを超えて恐るべきスピードで襲いかかってくる。貧富の差が拡大し、治安弾圧や労働組合の団結破壊の攻撃がエスカレートする。労働者にとって、まさに「闘わなければ生きられない」現実が突きつけられるのである。
郵政民営化阻止はすべての労働者の課題
全日本建設運輸連帯労働組合関西地区生コン支部、全国金属機械労働組合港合同、国鉄千葉動力車労働組合の3労組が呼びかける11・6全国労働者総決起集会は、この小泉・自民党の9・11反革命と真っ向から対決する集会となった。11・6集会の1万人決起を実現することこそ、日本労働運動―4大産別の絶滅・一掃攻撃をうち破り、階級的労働運動の前進をかちとる道である。
3組合の呼びかけにこたえて、革命党であるわれわれがその先頭に立って闘いぬくことが問われている。小泉・自民党は8・8衆院解散―9・11総選挙をもって明らかに生まれ変わったのだ。わが革共同も、新指導路線のもと生まれ変わり、11月1万人決起の先頭に立とう。
11・6集会を小泉反革命と対決する1万人の総決起集会として実現するために、職場で組合で、地域・街頭で、労働者に何を訴えて闘うべきか。
第一に、郵政民営化を絶対阻止するために立ち上がろうということである。
小泉は総選挙の過程で、「国家公務員27万人(郵政職員)をなぜ民間に移せないのか」「郵政民営化反対派は既得権益を守ろうとしている。そんなことで改革ができるか」と言い放ち、郵政民営化攻撃の狙いを27万人の首切り・非公務員化にあることを明らかにした。
この攻撃に怒りを煮えたぎらせなければならない。なぜ「官」が悪いのだ。郵政労働者は今、夜も寝ないでくたくたになって働いている。そのため自殺者も増え、最近、東京で郵便局の2階から抗議自殺した労働者もいる。職場に「このままでは殺される」という声があふれるほど、殺人的な労働強化に追い込まれている。この郵政労働者を「働かない」と言うのか。「悪」と言うのか。まさに小泉は、労働者を人間扱いしていないのだ。
小泉の言う「民」とは、金融独占ブルジョアジー、民間的大独占企業のことであり、今日の民間企業で行われている首切り・リストラ、非正規雇用労働者の拡大、すさまじい殺人的労働強化のことだ。小泉が「民」と対置して「公務員は悪」と目の敵にするのは、公務員労働者をこの攻撃に追い込むためだ。
公務員労働者は戦後これまでスト権を奪われ搾取されてきた。今日、国家財政が危機に陥ったからといって、今度はすべてを労働者に転嫁することなど、どうして許せるか。そんなあり方でしか延命できない帝国主義・資本主義こそおかしいのだ。「帝国主義が生きていくためには小泉改革が必要だ。そのために労働者はどう扱っても構わない」――こんな攻撃を労働者は真っ向から拒否しよう。
小泉政権の4年4カ月で日本はどうなったか。国と地方の借金は1000兆円という天文学的数字にのぼった。首切り・リストラ、非正規労働者の拡大によって、労働者は極限的な生活破壊に追い込まれ、膨大な「貧困者」が生み出された。日本は世界第5位(15・3%)の高い「貧困率」(平均所得の半分以下の世帯比率)になり、年収200万円以下の世帯が20%に迫っている。10年前に60万世帯だった生活保護世帯は、今や100万世帯を超えた。自殺者が年間3万人を超え、1日88人、18分に1人の割合で自殺が起きている。その多くは首切り・リストラによる。そして生活破壊ゆえ、04年の出生率が1・29で過去最低となった。これが小泉「改革」の現実の姿だ。
小泉の戦争と民営化攻撃は、労働者の団結を破壊し、「貧困者」を増大させ、殺してもかまわないという攻撃であり、その行き着く先は戦争である。
民営化の行き着く先示したJR尼崎事故
11・6集会に向かって第二に、4月25日、107人もの生命を一瞬にして奪い去ったJR福知山線・尼崎事故を弾劾し、民営化攻撃と真っ向から対決して闘いぬく動労千葉の安全運転行動―反合・運転保安闘争を全力で訴えよう。
尼崎事故は、民営化攻撃とは何かを最も象徴的に明らかにした。国鉄分割・民営化攻撃は、40万人の国鉄労働者のうち20万人の首を切り、200人を超える労働者を自殺に追い込んだ。当時の首相・中曽根康弘が「国鉄労働運動―総評労働運動を解体し、その上で、憲法を改正する」と言ったように、それは、戦争と民営化攻撃そのものだった。国鉄分割・民営化強行後、民営化―規制緩和―競争原理の導入によって、利益優先・安全無視の攻撃を一貫してかけてきた。「安全は、輸送業務の最大の使命である」とうたわれた国鉄時代の安全綱領は破棄され、安全無視の政策がとられてきた。
尼崎事故の具体的な最大要因は、「私鉄との競争に勝つため」と称して、無理なスピードアップが強行され、過密ダイヤが組まれてきたことによるものだ。民営化によって、競争原理を全面的に貫いた結果である。かつてJR東日本が「1分の時間短縮は1億円の宣伝効果がある」と言い放っていたとおりである。
同時に、JR労働者に対するあの異様な「日勤教育」である。「私鉄に負けるな」「1秒でも遅れるな」とJR労働者を激烈な競争にたたき込み、バラバラにし、労働者の団結を解体してきたのだ。
また今回の事故を大惨事にいたらしめた「軽量化車両」の導入も、経費削減とスピードアップを目的としたものだ。
さらに拍車をかけたのが、安全分野にまで及ぶ規制緩和だ。政府は運輸省令(国土交通省令)を抜本的に改悪し、規制(安全基準)を全面的に撤廃し、すべてを鉄道会社の裁量に任せるとした。
尼崎事故こそ、小泉が推し進める郵政民営化を突破口とする戦争と民営化攻撃の現実である。
安全運転行動を闘う動労千葉に連帯を
動労千葉は尼崎事故から1カ月の5月25日を期して、「闘いなくして安全なし」を掲げて安全運転行動―反合・運転保安闘争に突入した。@回復運転はしない、A制限速度を絶対に順守する。B運転中に危険と認めた時は必ず列車を止め、あるいは速度を落とす、C無線通告は必ず停車中に受ける、D総武快速線・津田沼駅―幕張駅間は最高速度を90`とする、E外房線・東浪見駅(上り)は45`に減速して進入する、という闘いだ。
動労千葉が安全運転行動を開始すると、JR当局はただちに「運行管理権を奪うものであり、処分する」と発表した。同時に、安全運転行動に立ち上がった動労千葉の運転士に対して、運転席に2人の職制が乗り込み、監視・現認体制をとった。組合員はこの処分策動、監視・現認体制と対決して闘いぬいた。
JR当局は7月19日、本部執行部8人に対して、不当処分(厳重注意)を発令した。動労千葉は7月21日に総決起集会を開催し、不当処分を許さず断固闘いを継続することを宣言した。
闘いの継続に対してJR当局は、各職場に「自己の本分を守り、会社の命令に服せ」という、異常きわまりない内容の『警告書』を掲示し、安全運転行動へのさらなる処分を宣言した。全面戦争への突入である。動労千葉は自らの命である反合・運転保安闘争をやめるわけにはいかないと、団結を固め、総決起した。
動労千葉の闘いに連帯して、動労千葉を支援する会は、総武線沿線の大宣伝行動に打って出た。その中で、乗客―労働者のかつてない支持と共感を呼び起こした。多くの乗客―労働者が、国土交通省、JR当局に対して、抗議メール、抗議電話、駅当局への直接の抗議など怒りの抗議・要求行動に立ち上がった。乗客―労働者は、総武線のレールが破断しボロボロになっていることを知るや、「第2の尼崎事故が起きる」と危機感を燃やした。それは同時に、自らの職場における安全無視の現実に対する怒りが結びつき、立ち上がったものでもあった。
動労千葉が不当処分をのりこえて継続した安全運転行動と、乗客―労働者の怒りの決起によって、JR当局は決定的に追い詰められ、千葉支社管内で22`に及ぶレールを交換せざるをえなくなった。動労千葉が9年間にわたって要求し続けてきた外房線・東浪見駅上りへのATS地上子(自動的に速度制限をする装置)を設置することも決定した。動労千葉の要求を全面的に認めた大勝利である。
動労千葉は「尼崎事故は民営化の結果である」と訴えて闘っているが、その主張の核心は、民営化によって労働組合の団結が解体された結果、大惨事が引き起こされたということだ。
動労千葉は、1972年の船橋事故闘争をとおして反合・運転保安闘争の路線を確立した。尼崎事故を契機とした安全運転行動は、この動労千葉の反合・運転保安闘争の新たな発展である。
国労、JR連合、JR総連カクマルなどJRの他のすべての組合は、尼崎事故の原因が国鉄分割・民営化にあることも追及せず、JR西日本に対する企業責任の追及も放棄している。国労西日本本部の革同にいたっては、高見運転士を除く「106人の犠牲者」の「慰霊碑」建立カンパ運動を会社と一体となって組合員に強制する始末である。
こうした中で動労千葉は唯一、「闘いなくして安全なし」を掲げて立ち上がった。この闘いは、1047名解雇撤回闘争と並んで、国鉄分割・民営化と真っ向から対決する闘いだ。同時に、郵政民営化を突破口とする大民営化攻撃、そして戦争と対決する闘いである。
ファシスト的な国家改造に労働者の怒り
11・6集会に向かって第三に、郵政民営化を突破口とする戦争と民営化、戦争ができる国家への大改造攻撃、そして労働組合の根絶・一掃の攻撃の一大エスカレーションに対して、怒りの決起をかちとろう。その攻撃の核心が、「つくる会」教科書の思想とあり方に政治・経済・体制すべてを転換しようとする大攻撃であることを訴えよう。
最大の焦点は10月5〜6日の連合大会における改憲方針への踏み切りとの対決である。攻防の中心は、自治労と日教組である。
7月の日教組大会では、都高教組合員を先頭に全国で現場組合員が闘いぬいた「日の丸・君が代」強制反対・不起立闘争の力が、日教組の改憲勢力化をひとまず阻止した。
8月の自治労大会では、中央本部の「平和基本法」制定方針に対して、沖縄県本部を先頭に25人もの代議員が反対意見をたたきつけた。郵政民営化に続く自治体労働者に対する首切り・大量削減攻撃である大民営化攻撃への怒りと、「平和基本法」制定方針反対の怒りが結びつき、自治体労働運動は分岐・流動・再編・高揚過程に入ったのである。
10月連合大会において、連合の改憲勢力化を阻止することは、小泉=奥田の大反革命攻撃との闘いの最大の焦点である。今こそ、連合の改憲勢力化を阻止する決戦に総決起しよう。
小泉=奥田はこの秋から来年の秋にかけて、戦争と民営化―戦争国家への大改造攻撃を一挙にかけようとしている。まず、イラク侵略戦争への自衛隊の参戦の継続である。そして教育基本法改悪を06年通常国会に提出し、強行しようとしている。同時に05〜06年に「日の丸・君が代」強制攻撃と「つくる会」教科書攻撃が激化する。この秋にも共謀罪の成立が狙われている。憲法改悪に向けて、06年通常国会で国民投票法を制定しようとしている。公務員制度改悪の攻撃、社会保障制度の解体と大増税―消費税税率アップの攻撃も激化する。厚生労働省の「今後の労働契約法制のあり方に関する研究会」は9月12日にまとめた最終報告において労働契約法の制定を打ち出し、「金銭解決」の名で解雇を自由化するとともに、「労使委員会」を常設して労働組合を否定・解体しようとしている。全面的な戦争と民営化攻撃が、衆院選をもって一挙に襲いかかろうとしているのだ。
この大攻撃に対して労働者は屈服し、労働運動は絶滅・一掃されるだろうか。断じて否である。労働者は怒りに燃えて立ち上がっている。「日の丸・君が代」強制に対して、全国の教育労働者が不起立闘争に決起しているではないか。今夏の教科書採択をめぐる攻防において、「つくる会」は「東京5割、全国1割」と豪語したが、杉並を先頭とする全国の闘いによって、歴史教科書は0・39%、公民教科書は0・20%となり、「つくる会」は敗北宣言をせざるをえなかったではないか。7月15日の1047名解雇撤回・尼崎事故弾劾総決起集会は、日比谷野外音楽堂に5800人の結集をかちとり、国鉄分割・民営化反対闘争の新たな発展をかちとったではないか。そして動労千葉の安全運転行動は、JR当局を追い詰め、勝利しているではないか。
衆院選の結果に対して、郵政労働者を先頭に怒りが渦巻いている。この怒りと結合し、小泉=奥田に対する怒りの先頭にわが党が立つことができれば、1万人決起はまったく可能である。小泉反革命を恐れず、強力な階級的勢力として登場することだ。これまでの地平を超える自己変革的決起をかちとり、労働組合の決起の波をなんとしてもつくり出そう。
国家主義をうち破る国際連帯闘争の前進
第四に、11・6集会は、国際連帯闘争として画期的地平を切り開きつつあることを、全力で訴えよう。
米帝ブッシュ政権のイラク侵略戦争、そしてトランスフォーメーション(米軍大再編)は、世界戦争への突入である。その中で日本・アメリカ・韓国を始め世界各国でナショナリズムと排外主義が台頭している。そのナショナリズム・排外主義と闘うために、国際連帯―国際主義が本格的に求められている。歴史的に言えば、1917年のロシア革命が唯一、労働者の力によって戦争を終結・阻止した闘いであった。今こそロシア革命で貫かれたマルクス主義・レーニン主義=国際主義を貫くことが、革命党と階級的労働運動に求められている。
アメリカ・韓国の闘う労働者は、この間の国際連帯を発展させ、自ら11・6集会の主催者となって、大挙して参加することを決意している。今11月集会は明らかにグレードアップした。
アメリカでは、イラク侵略戦争下で新たな闘いが爆発している。ノースウエスト航空は航空整備士組合(AMFA)に対し、4400人の労働者のうち半数の解雇、26%の賃下げなどの攻撃をかけてきた。経営側は「受け入れなければロックアウトだ」と通告したが、AMFAは恫喝に屈することなくストに突入した。
アメリカの最大のナショナルセンターであるAFL―CIOが7月の大会で分裂した。この分裂はブッシュ政権の労働者支配の破綻(はたん)を明らかにした。ランク・アンド・ファイル(現場・一組合員)運動の新たな開始である。
「民営化」の先進国・アメリカのニューオーリンズを襲ったハリケーン被害こそ、戦争と民営化を推進し、なんでも民間資本に任せてきたアメリカ社会の荒廃と矛盾をまざまざと示した。
韓国では民主労総・金属産業連盟11万人が8月26日、不法派遣労働者の正規職化と非正規職労働基本権保障などを要求する政治ストライキに立ち上がった。8月10日には、「空の安全」を掲げてスト25日目に突入したアシアナ航空操縦士労働組合に、ノムヒョン政権は史上3度目の「緊急調整権」を発動してストを圧殺した。さらに8・15光復節の大統領祝辞でノムヒョンは「大企業労組は既得権を放棄する決断をせよ」とぶちあげた。労働弾圧を全面化するノ政権と真っ向から対決した闘いが巻き起こっている。
アメリカと韓国の闘いに連帯し、11・6集会への1万人決起をかちとり、11・13ソウル・民主労総労働者大会―11・18釜山・APEC反対闘争に合流しよう。
全員がビラをつくり仲間を組織しよう
最後に、11・6集会の1万人決起に向かって、労働者の誇りと団結を取り戻すことを、全力で訴えよう。
労働者は首切り・リストラ、非正規雇用の拡大、極限的労働強化の中で、人間扱いされない状況に追い込まれている。尼崎事故のように虐殺され、また自殺に追い込まれている。闘わなければ、労働者の誇りはズタズタにされてしまうのだ。労働者は団結しなければ生きていけない状態に追い込まれている。
11・6集会は、労働者の誇りと闘う団結を取り戻す場である。このことを、闘うすべての労働者に全力で訴えよう。
労働者の団結が解体され、労働組合が変質した時に戦争が始まることは、歴史が証明している。労働者(労働組合)の団結の力で戦争をとめるため、今がまさに正念場である。
11・6集会への大結集を実現するために最も肝心なことは、自らが主体となって闘うということである。あらゆる地区・職場で、あらゆる戦線で、すべての同志が11・6総決起を訴えるビラを自らつくり、訴え、仲間を組織しよう。労働者党への変革をかけて闘いぬこう。
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週刊『前進』(2215号5面2)(2005/09/26)
「つくる会」思想に屈服し闘いに敵対するカクマル
靖国参拝弾劾闘争にも悪罵
ファシスト・カクマルは、今春「日の丸・君が代」強制拒否闘争に対する敵対に始まって、春から夏にかけての闘いで完全に路線的・運動的に大破産した。昨年来の闘う労働者の「日の丸・君が代」不起立闘争に敵対してカクマルは「告訴告発」運動を展開しようとした。これは、国家権力を発動して石原や横山教育長(当時)を罰してもらおうとするもので、労働者階級の組織的反撃を組織する闘いに真っ向から対立するものである。
これに続いて、「つくる会」教科書採択阻止闘争、および靖国神社参拝弾劾闘争に対しても、その闘いを推進するどころか、沈黙を続け、態度表明したと思ったら、その中身はとんでもない反労働者的な敵対言辞である。
カクマルは、『解放』1882号(8月29日付)になって「『つくる会』教科書採択阻止闘争をさらに推進せよ!」なる「アピール」を掲載、あわせて杉並区教委の採択についての記事を掲載した。彼らは、左翼ぶって「採択弾劾」などと言っているが、内実は「つくる会」イデオロギーを何ひとつ批判できない、完全に「つくる会」に屈服したものである。
この「採択弾劾」なる記事の中で、カクマルは「日教組本部・全教本部の闘争放棄を弾劾して闘おう」などと他に転嫁して、自分たち自身が闘争テーマに据えてこなかったことをごまかそうとしている。
そればかりか、杉並の闘いの先頭に立ってきた親の会の闘いを「親の会=中核派」という権力と同じレッテル張りをして、ののしっているのだ。そして中核派は「挑発行為をくりかえした」とか、北島邦彦・都革新事務局長に対する警察の不当逮捕に対して「つくる会の挑発にのって警察権力の弾圧を招きよせた」などと攻撃している。
何が「招きよせた」だ。「つくる会」と一体となって襲いかかる権力を弾劾するのではなく、弾圧を受けたことを攻撃するとは何ごとだ。北島氏は、闘う人びとをビデオ撮影していた右翼に抗議しただけで、警察に突然襲いかかられ連行・逮捕された。裁判所が勾留を却下し、2日後に奪還された。この誰が見てもまったく不当な弾圧をカクマルは擁護しているのだ。
杉並においては、誰が「つくる会」と最も力強く闘う勢力であるかは、鮮明であり、闘いを破壊するためにのみ介入を試みていたカクマルには、付け入る余地がなかった。それをこのように攻撃することを断じて許すことはできない。
それに輪をかけて許せないのが、靖国神社参拝弾劾の闘いに対するあからさまな敵対である。『解放』1883号(9月5日付)で今年の8月15日の靖国神社境内での全学連6戦士の決死的弾劾闘争に対して、決定的な敵対言辞を吐いた。なんとこの闘いに「シンボルづくりのためのミエミエのパフォーマンス」「ノコノコと行ってつまみ出されただけのこと」だなどと最大級の言葉で、敵対した。
カクマルよ、これはお前たちが「左翼」の仮面をかなぐり捨てて、日帝支配階級の側に立っていることの動かぬ証拠だ。
自分たちは靖国神社に賛成なのか反対なのか、どのように闘ったのか。それを抜きにして、何を語るかと思えば靖国闘争に対する敵対言辞。これがカクマルだ。闘う労働者人民の反対勢力であることは明白だ。
そもそも戦後60年の8月15日、日本の労働者階級人民には何が問われていたのか。「つくる会」一派の歴史歪曲の攻撃と連動して、靖国神社参拝の天皇制右翼の攻撃が(中国、韓国からの弾劾に対する排外主義的反発をバネにして)恐るべき勢いで広がろうとしていた。この排外主義と国家主義の嵐の中で、小泉が参拝するかどうか、またこれに対して労働者人民がどのような行動をとるかということが、重大な政治問題になっていたのである。
この全世界の注目の中で、そして天皇制右翼が制圧している中で、敢然と立って「靖国神社弾劾」「参拝阻止」の旗を掲げて登場することは決定的な意味を持っていた。だからこそ、式典の主催者どもはあまりにも大胆不敵な戦士たちの登場に一瞬、何が起こったか分からず、大動転した。そして我に返ってから殴る蹴るの暴行に及んだのだ。
国家権力は、この壮挙に色を失い、大慌てで、6戦士を不当に拘束したばかりか、その報復として千鳥が淵公園から靖国神社に向かった隊列に襲いかかり、2人を逮捕する暴挙に出た。権力は、日本の労働者人民による靖国神社抗議闘争に大打撃を受けたのである。
カクマルもいたく打撃を受けたのだ。だから権力と文字どおり一体となって、この闘いを非難し襲いかかっているのだ。
この間、何回も『解放』紙上で黒田寛一の「歌」の形式で、中国人民の反日帝闘争に敵対言辞(例えば、「いくさ場に散華せし兵思ふべし、『中華』ナショナリズム捨てるべし」という超右翼排外主義)を吐いてきたカクマルは、心情的に日本主義、国粋主義に限りなく接近している。
今や、カクマルという党派は、韓国でもアメリカでも「カクマル=JR総連=国鉄分割・民営化の手先」として広く認識されつつある。「中曽根の手先となって国労や総評をつぶして回った、労働運動史上に特筆すべき反革命」ということが常識になってきている。それに加えて、この靖国闘争に対する敵対や「つくる会」教科書採択阻止闘争に対する敵対を通じて、カクマルが、靖国神社の手先、「つくる会」の手先だという事実が国際労働者階級の共同の認識になるだろう。
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週刊『前進』(2215号6面1)(2005/09/26)
今年こそ11月集会に仲間と参加したい 教育労働者 香田 進
「1学期は忙しかったから、夏休みくらいゆっくりするか」。2学期になって、9月。「ああ、また忙しい。労働者集会は分かるし、なんとか自分も行くけど……」。10月。「もうこんな一月前に、なかまに当たったって無理無理。まあ、来年頑張ろう」てな具合で、結局、毎年、毎年、自分が行くだけの労働者集会だった。
そして毎回、集会に参加したら、なかまの姿が浮かんでくる。「この発言、聞かせたかったな」「彼と一緒に来るようになれば、職場の力関係も変わるのになあ」「来年こそは……」こんな繰り返しだったここ数年の労働者集会。
でも、小泉は自分でこれまでの支配者側の姿をぶちこわしてでも、日本帝国主義の危機を突破した。小泉がどれだけ攻撃を仕掛けてこようと、労働現場は自分のいるところにある。そこになかまがいる。圧倒的多数の虐げられたなかまがいる。日々の労働監獄に苦しめられる同僚がいる。私たちのあり方いかんでは、戦場に送られる子どもたちがいる。
郵政民営化に賛成か反対か。小泉はそう言った。私たちも言わなければならない。対立軸ははっきりしている。戦争を進める小泉か。労働現場からの決起の11・6か。
8月。とにかく人に当たった。組合員にも非組合員にも。選挙で労働者の政治的意識は高揚している。9月。選挙の結果を受けて、労働者集会への結集を呼びかけている。私たちが呼びかけなければ、労働者は選挙の敗北感と自信の喪失で小泉の思うつぼだ。
自分が変わらなければ、人は変わらない。私たちは唯物論者だ。自分自身の行動が、時間の過ごし方が、明らかに変わってこそ、アウフヘーベンだ。
いよいよ、もうすぐ一月前。10月だ。集会参加のツメをおこなうときだ。今年こそ、同僚、なかま、あいつとあの人と参加したい。ともに美酒を飲みたい。
8・6ヒロシマ大行動で高校生が独自集会 東京 関口和弘
8・6ヒロシマ大行動に全国から結集した高校生・中学生が独自の集会をかちとりました。
「8・6ヒロシマと『つくる会』教科書を考える高校生座談会」は、福山竜一氏のライブと自己紹介で開始されました。
東京の高校生が「つくる会」教科書採択反対闘争の報告をした後、討論となりました。
「あれこれ対案を考えているのではなく、社会の根本を変えることが必要」「帝国主義は『話し合い』など通じる相手ではない」「社会を根本から変えるためには、国家権力と闘う以外にない」など、白熱した議論が交わされました。その内容は「つくる会」教科書の中身や天皇制、資本主義、帝国主義などにも及び、時間を大幅にオーバーするほど活発な討論が行われました。
集会の終わりに、「つくる会」教科書採択を阻止すること、11月労働者集会に結集すること、3月「日の丸・君が代」闘争に総決起することが提起されました。最後にインターナショナル斉唱と団結ガンバローで締めくくられました。
高校生にも「日の丸・君が代」強制を始めとする高校生の戦争動員への攻撃がかけられています。それに対し、全国の高校生が戦争協力拒否の決起を開始しています。
闘う青年労働者、学生、高校生を先頭に「若い力」で11・6労働者集会1万人結集を何としても実現しよう。8・6ヒロシマの地平を発展させ、高校生運動の爆発的発展を実現しよう。
関西の公立校初採択県教委に撤回を要求 滋賀 河波和巳
8月31日、滋賀県教育委員会は、県内に三つある中高一貫校の一つである県立河瀬中学への「つくる会」教科書(歴史)の採択を強行しました。関西では公立学校の採択は滋賀県が初めてです。来年1年生80人がこの教科書で「勉強」することになります。絶対に許すことはできません。
県内には六つの採択地区がありますが、中高一貫校と養護学校は県教委の採択に委ねられています。この間、県教組の支部を先頭に市民・宗教関係者・在日をはじめ広範な運動のネットワークを構築して闘ってきました。その結果、六つの採択地区ですべて「つくる会」は不採択でした。
ところが、その闘いの高揚の間隙をぬって県教委は中高一貫校での採択を狙いました。河瀬中学では現場の教師や校長は「東京書籍」を推しましたが、土壇場で県教委は「つくる会」をごり押しし採択しました。
9月1日に私たちは申し入れを行いました。県教委は「河瀬中学の学校の特色に合わせて決めた」と理由を言いますが、「韓国や在日のとの交流をしている河瀬中の特色と『つくる会』 教科書の内容がどう合致するのか?」という追及には明確に答えることができませんでした。県教委の独裁ぶりと密室審議性を追及すると、「色々な意見があるから非公開は自然の流れ」と暴言を吐きました。
都教委同様に県教委は「選定資料」を作成し、「つくる会」教科書採択に向けて策動していました。これからも県教委にガンガンと抗議し、撤回要求を突きつけていきます。
既に採択地区での阻止に向けて良心的な教組が動き始め、闘わない日教組本部の制動を突き崩す核になっています。杉並をはじめ全国の運動と連帯して撤回目指して闘います。
「つくる会」公民教科書は改憲扇動文書 広島・民間 河合典子
「つくる会」歴史・公民教科書の市販本が出たので両方を買って読みました。01年は「歴史」しか読まなかったので、今回は「公民」の問題点を知らなければならないと考えたからです。
「公民」を一読して、これは教科書と言えるものではない、憲法改悪を扇動するための政治文書だと痛感しました。各国の憲法改正の回数を載せたり、「憲法は時代の流れに合わせて改正すべきだという意見もしだいに大きくなっている」と書くなどして、日本国憲法が一度も改正されていないのはおかしいと思わせようとしています。また他社の教科書は、明治憲法のもとでは権利や人権が制限つきでしか認められなかったことや日本国憲法が侵略戦争への反省からつくられたことにふれていますが、「つくる会」教科書は一切ふれず、「大日本帝国憲法の下で近代的な民主国家づくりは進められていった」などと居直っています。
このような大変ひどい記述を批判せずに、問題意識が歴史認識にとどまっていては、採択を阻止できないし、日本政府と財界、右翼勢力による戦争国家化の攻撃も止められません。戦争賛美の歴史観を植え付けることと憲法改悪は一体だからです。
「8・6ヒロシマ大行動」実行委員会や教育基本法改悪反対!ヒロシマ実行委員会が教育委員会への申し入れを重ねて闘っています。私は仕事の都合で申し入れには参加できませんが、広島の仲間とともに「杉並・親の会」のように闘わなければと思っています。
東京都教委、杉並、愛媛県教委、滋賀県教委、栃木県大田原市で「つくる会」教科書が採択されてしまいました。しかし絶対にあきらめず、採択撤回の闘いを続けていきましょう!
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週刊『前進』(2215号6面2)(2005/09/26)
3度目の共謀罪提出阻止へ 小泉大反動に直ちに反撃を
小泉がクーデター的衆議院解散と「公務員=悪」のファシスト的大扇動、小選挙区制の活用によって総選挙の「歴史的大勝利」を得た。郵政民営化や改憲を始め大反動攻勢は必至だ。いよいよ小泉政権と労働者人民の力勝負の開始だ。小泉は、現代の治安維持法である共謀罪の制定に全力を挙げてくる。11・6集会への1万人結集を牽引(けんいん)する闘いとして、共謀罪を永遠に葬る今秋の闘いに立ち上がろう。
共謀罪法案の3度目の提出が9月21日に開会される特別国会で狙われている。衆議院法務委員会を開会する上でネックとなっていた法務副大臣の空席が、法務大臣政務官だった公明党の富田茂之が副大臣に就任することで解消された。これで共謀罪法案が提出されればいつでも審議できる状況がつくられた。
直ちに「3度目の共謀罪法案提出阻止」を掲げて大衆的行動に立ち上がらなければならない。とりわけ、その闘いの中軸を労働者・労働組合が担うことが切実に求められている。
戦時下対応の極悪の治安法
共謀罪阻止の闘いは、極悪の治安立法攻撃を粉砕する闘いである。それは小泉=奥田路線による戦争と民営化攻撃と対決する上できわめて重要である。
治安立法とは、国家権力が国家体制や社会秩序、社会の安全についての法益(ある特定の行為を法で規制することによって保護、実現しようとする利益)を保護するために、すなわちブルジョアジーの階級支配を維持・強化するために、それに反対する思想・表現や結社・集会・デモなどの政治活動と大衆運動の自由を、国家暴力(警察力や軍事力)で弾圧し取り締まるための法律である。
戦後の日帝も各種の治安立法を制定してきたが、破防法や盗聴法に見られるように、労働者人民の反対闘争の高揚と戦後憲法的制約により、それらの本格的運用ができない状況に追い込まれたままとなっている。
日帝・小泉政権は、イラク派兵をもって階級闘争を戦時下へと突入させ、北朝鮮・中国侵略戦争への参戦を決断した。その一方で、階級闘争の根絶、具体的には革命党の絶滅と労働組合の解体を実現できないまま戦時下に突入してしまった。このことが致命的弱点となり日帝を危機に追い込んでいる。
労働者人民の先頭で戦争と民営化攻撃と闘う動労千葉の存在を軸に、国鉄、全逓、教労、自治体の4大産別を始めとして、いまだ闘う労働者と労働組合が広範に存在する。小泉・奥田はこの存在をたたきつぶさない限り、国家総動員の侵略戦争を推進できない。
ここから小泉=奥田路線による戦争と民営化の攻撃の一環として戦時下に対応した本格的な治安立法、かつての治安警察法、行政執行法や治安維持法のような強力な治安立法が死活的に求められることとなった。これらが共謀罪新設攻撃の最大の背景となっている。
労働運動の侵略翼賛化狙う
大日本帝国憲法下で1900年3月に制定された治安警察法は、集会・デモ・結社などの民衆の政治活動を規制すること、労働運動や農民運動を抑圧することを目的とした。
その内容は労働者人民に、政治集会の開催、政治結社の結成の場合の届け出義務を課した上で、警察当局は「安寧秩序ヲ保持スル為(ため)必要ナル」場合は自由にこれら集会や結社を禁止・解散させることができる、という権限規定を設けている。「弁士中止」や「集会解散」などが現場警察官の判断一つで行われた。
その結果、社会主義を標榜(ひょうぼう)する結社などは事実上合法的活動を禁止された。実際、1901年に社会民主党が、1921年には日本社会主義同盟が結社禁止の処分を受け、また3・15事件を契機に1928年には労働農民党や日本労働組合評議会などが結社禁止とされた。当然、当時の日本共産党も禁止され、秘密結社化した。
また、労働運動や農民運動を規制するための第17条は、事実上同盟罷業(ストライキ)の処罰を規定していた(1月以上6月以下の重禁錮)。日清戦争後の産業の発展で日本でも生まれつつあった労働組合運動を芽のうちに摘むためであった。この第17条は、1925年に制定された治安維持法による反体制運動の徹底的な弾圧とひきかえに、1926年に削除された。
1900年6月に制定された行政執行法は、行政上の強制執行の根拠を定めた一般法であるが、デモや政治集会や公安妨害を理由に検束(個人の身体の自由を奪い、留置の処置をとること)を可能とした。これを「予防検束」と呼んでいる。具体的には、警察官が一時的に人の身体を拘束・連行して警察署などの留置場に留置することである。期間は翌日の日没に至らない限度で認められていたが、実際には「留置場のたらい回し」という形で長期にわたる違法な予防検束が行われ、労働運動や大衆運動を弾圧する決定的な武器となった。
1万人決起を牽引する闘い
共謀罪の内容は、治安警察法や行政執行法など戦前の治安立法の内容を踏襲しつつ、さらに強化・拡大したものとなっている。一言で言えば、国家権力の発動に関するあらゆる制限が撤廃され、国家権力(警察官・検察官)の恣意(しい)的判断で革命党や労働組合を始めとしたあらゆる組織・団体と運動が弾圧できるようになっている。
共謀罪阻止はすべての労働者人民の闘争課題だ。共同行動の呼びかける10・1集会に結集しよう。
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共謀罪を永遠に葬り去る総決起集会
10月1日(土)午後6時
シニアワーク東京
JR飯田橋駅南口徒歩7分
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週刊『前進』(2215号6面3)(2005/09/26)
ヤグラのない海戻る 基地押しつけは不変
4基とも撤去
9月2日、辺野古の海は台風14号が接近中とはいえまだ穏やかであった。すでに防衛施設局側から「台風が直撃したら四つの海上ヤグラはもたない危険性がある。撤去させてほしい」と反対協に伝えられていた。
午前10時、防衛施設局・業者の作業船が出てきた。交渉の結果、1日で4基すべての海上ヤグラを撤去することが確認された。監視隊が見守る中、夕方までにすべてのヤグラが解体された。(写真上)
これで辺野古の海にボーリング用資材は跡形もなくなった。防衛施設局は「台風」を撤去理由にしているが、阻止行動によって掘削(事実上の基地建設着手)が絶望的になり、日帝の極悪の沖縄差別政策であるSACO=県内移設路線が完全にデッドロックにぶちあたったことを満天下に示した。辺野古闘争が新たな勝利の地平をかちとったことを今回の海上ヤグラ撤去は意味するのだ。
撤去の翌日、「テント村」で辺野古の水平線を見ながら話をしていた時、Yさんが感慨深げにつぶやいた言葉がしみた。Yさんは60歳。退職後の人生を辺野古闘争にささげ、1日の闘いが終わるとヒージャー(山羊)にエサをやるために2時間かけて沖縄南部に戻る生活を500日間続けてきた。
「今朝、水平線を見たらいつも見えてたヤグラがないから『あれ、ここはどこの海かね』と思ったさ。毎朝ヤグラに作業員が登っていないか、まず見るクセができてしまって。ああ、なくなったんだなあって後からジワジワ思えてきてね。ヤグラのない海、これが普通の辺野古の海の風景だったんですねえ」
辺野古の静かな日常の中に突然現れ、居座り続けた4基のヤグラ。しかし沖縄人民・全国の支援は、「戦争につながるものは認めない。海を壊すものはつくらせない」の闘いを500日にわたって体を張って貫いた。時には防衛施設局・作業員の暴力で負傷者を出しながらもひるまずカヌーでこぎ出し、ヤグラに座り続けた。今、辺野古の海を自らの手に取り戻したのだ。
ヤグラが撤去された日、辺野古の浜には久々に色とりどりのカヌーが並んだ。撤去作業を横目にカヌー練習が始まったのだ。
闘いは続く
防衛施設局側は「必ずヤグラは再設置する」と強調した。海上ヤグラは「海上砦(とりで)」として掘削を阻む「武器」に転化していた面もある。それがなくなったということは、再びカヌーによるヤグラ建設ポイントでの激突が始まる可能性もある。1人でもカヌーの乗り手を増強する必要がある。
沖縄の残暑は厳しい。日陰のないカヌーに乗っている暑さは半端ではない。しかし、みんな黙々と転覆訓練やポイント確保の操縦訓練を続ける。(写真下)
休憩時間には火照った体を冷やすように海に飛び込み、色とりどりの熱帯性海水魚と戯れる。時には白イカの大群もお目見えする。辺野古の海は驚くほど透明で魚たちとも目が合う。こんな美しい”生命のゆりかご”を人殺しのために埋め立てるという発想は絶対に間違っている。
9月14日、本土・沖縄の新聞は一斉に「日本政府が10月、米軍再編中間報告で辺野古見直しを明記」「キャンプ・シュワブ陸上案が軸」「嘉手納統合案も含めて検討」と報道した。シュワブ案にせよ嘉手納統合案にせよ、「米軍基地の中なら反対運動も手が出せまい」という日帝・防衛施設局の思惑が透けて見える。あくまで県内移設・沖縄への基地押しつけであることに変わりはない。
日帝・小泉政権の沖縄差別支配が続く限り、「辺野古闘争」は移設場所がたとえ変更されたとしても終わらない。”沖縄人民の生命より日米安保同盟が大事”とする日帝・小泉政権を打倒する闘いを沖縄人民は本土の労働者人民に熱烈に求めている。この500日間、全国にそのことを辺野古は必死で発信し続けてきた。
辺野古闘争の最終的勝利をつかむために、今秋、辺野古に駆けつけよう! 全国各地でとりわけ東京で辺野古闘争を高揚させよう。
(大津五郎)
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週刊『前進』(2215号6面4)(2005/09/26)
『賃金・価格・利潤』 −学習の感想−
労働者の階級的団結論学ぶ B・T
今回の学習をとおしてあらためてはっきりさせることができたことは、まず、資本と労働の関係の基本は、階級的非和解性であるということ、このことをしっかりと踏まえてすべての問題を考えていくということです。
逆に、賃金論、賃金闘争論の中に何かあるべき「科学的」な賃金論、賃金闘争論があるかのように問題を立てること自体(カクマルのように)は、実は許しがたい資本主義への思想的・実践的屈服だと感じました。このことは、マルクス主義の核心だと思います。
二つ目は、賃金とは、結局、日々汗水を流して働く生身の労働者の存在と闘いにとことん立って初めて考察されうるものであるということです。
講義の中で繰り返し強調されたように、資本は、一人ひとりの労働者(階級)の生活や存在や未来には、本質的に何の関心もなく、注意もせず、ただただ労働市場に繰り返し新鮮な労働力が登場し、補充されればいいのです。資本主義とは、そういう社会であり、そこにおける労働者の自己解放闘争として、この資本主義社会を転覆していく主体としての労働者階級の立場にとことん立って闘うことをはっきりさせることが重要だと思います。
三つ目は、『賃金・価格・利潤』とは、労働者の階級的団結論(労働組合を基礎的団結形態とする)だ、ということです。
イギリスはともかく大陸では、賃上げ闘争、労働組合は、ただちに内乱=騒乱を意味した、とありました。その嵐のような激動・対立をとおして、路線的にも思想的にも、『資本論』完成の作業とあいまってつかみ取った資本主義論を踏まえた『賃金・価格・利潤』と「労働組合、その過去・現在・未来」の決議を、今、われわれ自身が、その復権・継承のために理論的・実践的に全力を挙げていることは、新指導路線の実践に本当に魂を入れていくことにもなると思います。
講義では、労働者の階級的団結ということの本質的とらえ返しを提起されたと思いました。
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