ZENSHIN 2005/09/19(No2214 p06)

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第2214号の目次
 
1面の画像
(1面)
小泉打倒の新たな決戦へ
総選挙結果への革共同の戦闘宣言
大量首切りと労働組合破壊の郵政民営化を絶対阻止しよう
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(2面)
鉄建公団訴訟の勝利へ全力を  1047名の団結固め決戦へ
解雇撤回させる不動の構えが国鉄闘争の勝利を引き寄せる
記事を読む  
平和基本法=改憲方針への反対が圧倒した自治労大会
岡部体制打倒する新潮流を(8月23〜26日)
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9・19三里塚闘争へ招請状  反対同盟北延伸攻撃阻止へ攻勢 記事を読む  
資本攻勢&日誌 2005 8・21〜8・30
小泉・竹中が労組に敵意あらわ
原油高で賃金切り下げ/労働契約法制へ最終報告
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(3面)
つくる会教科書 採択反対運動が大勝利
全国で歴史0.39%、公民0.20%  杉並を先頭に撤回へ
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杉並区教職員組合執行委員会声明(8月12日) 記事を読む  
杉並文教委 新城区議怒りの追及  “教育長は辞任すべきだ”(9月7日) 記事を読む  
再発防止研修
怒鳴る都教委に反撃  “思想・信条変えない”(9月7日)
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東北大有朋寮“強制執行阻止へ闘う”  全国学生は9・17に結集を 記事を読む  
全学連第65回大会に結集しよう
全日本学生自治会総連合中央執行委員会
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(4面)
アメリカ階級闘争が総反撃へ
ノースウエスト整備士スト 指導部の裏切り許さず貫徹  村上和幸
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史上最悪の米ハリケーン被害
戦争と民営化が元凶  ブッシュ政権に怒り高まる
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日誌'05 8月30日〜9月6日
概算要求、MDに1500億円  バクダッドで1千人が死亡
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(5面)
小泉「構造改革」路線が激成した日帝経済危機と国家財政の破綻
体制的に破産した日帝の打倒へ
島崎光晴
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イラク スンニ派排除し憲法草案  「連邦制」で分断を狙う米帝(秋原義明) 記事を読む  
(6面)
団結ひろば 投稿コーナー
『靖国問題』の著者を迎え平和記念日集会 静岡 千葉亮
新大型イージス艦に「やまと」と命名策す 長崎 五島ひろ美
鉄建公団訴訟勝利へ3争議団と地域集会 東京・東部 沢口明
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海上ヤグラついに撤去
座り込み500日集会 名護市役所  “工事断念まで闘う”(9月2日)
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700人が防衛庁封鎖  沖縄から代表迎え“東京で闘い拡大を” 記事を読む  
辺野古からの報告  全国から集まる若者たちおばあの分身として海へ(大津五郎) 記事を読む  

週刊『前進』(2214号1面1)(2005/09/19)

 小泉打倒の新たな決戦へ

 総選挙結果への革共同の戦闘宣言

 大量首切りと労働組合破壊の郵政民営化を絶対阻止しよう

 衆院総選挙は、小泉・自民党の「歴史的大勝」という結果に終わった。8・8解散―9・11総選挙という小泉の仕掛けた巨大な反革命が、反人民的な小選挙区制度のもとで自民党の「圧勝」に帰結した。小泉のファシスト的政治的クーデターが生んだ恐るべき情勢である。しかし、これによって日本帝国主義の体制的危機が何一つ解消するものではなく、また、小泉=奥田路線の戦争と民営化(労組破壊)の攻撃によって労働者階級の怒りと闘いが制圧されたわけでもまったくない。われわれはすべての闘う労働者人民に対し、この事態に対する激しい怒りと危機感と反発心をもって、労働者階級の階級的な闘う団結と反転攻勢に打って出ることを訴える。小泉反革命と闘う11・6全国労働者総決起集会の歴史的位置と1万人結集の死活的な意義がいよいよ明らかになったのだ。

 第1章 「自民圧勝」に労働者の巨大な怒りの反撃を

 総選挙での小泉の勝利は8・8以降の日本の政治過程がファシスト的反動化への坂を転げ始めたことを意味する。小泉は総選挙で勝利しても1年間で自民党総裁を辞めると言ってきた。むしろこれを最大限の武器にして、05年秋から06年秋へ、行動的なファシスト的政治家としてあらゆる手段で反革命的に突進することを狙っているのだ。
 総選挙の結果、自民党は、小選挙区300議席のうち219議席、比例区は77議席で計296議席を獲得、公明党の31議席と合わせて327議席、絶対安定多数を占めるに至った。
 一方、民主党は、小泉・自民党の大攻勢に終始守勢のまま大敗し、113議席に大幅に議席を減らした。岡田の代表辞任にとどまらず、民主党そのものの瓦解(がかい)に発展せざるをえない敗北だ。民主党は改憲勢力であり、そもそも郵政民営化そのものに反対ではなく、「マニフェスト」にも「国家公務員人件費2割削減」を真っ先に掲げるなど、自民党と「民営化」を競い合う政党でしかなかった。民主党が小泉反革命に手を貸す反労働者的な政党であることが完全に暴かれ、その破産をさらけ出したのだ。
 また、日本共産党は、現有9議席をかろうじて維持したが、彼らが掲げた「たしかな野党が必要です」というスローガンは、労働者階級の団結の力で小泉を打倒する闘いとは無縁であり、まったく反労働者的で無力である。社民党は、2議席増の7議席となった。
 こうして、小泉・自民党の民営化攻撃に対して、真っ向から階級的に反撃する労働者政党がない中で、自民党の「大勝」という結果がもたらされたのである。

 ヒトラー的なデマゴギー

 いったん議会で否決されたものを解散・総選挙という形でもう一度貫徹しようとする小泉の手法は、戦後政治の中でもかつてないファシスト的クーデターであった。小泉は、「郵政解散」と称し、総選挙を郵政民営化をめぐる国民投票と位置づけたが、日本の政治史上このような「国民投票」は初めてである。しかも、自民党内の「造反勢力」をたたきつぶすという「内ゲバ」の反動的エネルギーをもって、旧来の自民党のあり方をファシスト的に破壊し、侵略戦争と国内階級戦争を激しく遂行できる支配政党につくり変えようとしている。
 小泉は従来の自民党の利益誘導的な選挙のあり方を排し、郵政民営化一本に絞った。それさえ突破したら財政危機も景気回復も何もかも解決するかのようにデマ宣伝した。しかも「改革を止めるな」「官から民へ」などと単純化したフレーズを連呼し、民営化に反対するものは人間ではないかのような宣伝をマスコミも一緒になって展開し、人びとをあおった。それら全体がまさにヒトラー的、ファシスト的デマゴギーの手法であった。
 しかしこれは、日帝の強さの現れではなく、帝国主義としての危機のあまりの深さに規定されている。戦争と民営化(労組破壊)の攻撃になりふり構わず突進する以外に延命できなくなっているからこそ、このようなクーデターの挙に出たのである。まさに戦争か革命かが問われる、それ以外に中間的解決がないことを、選挙結果は示した。つまり本質的に今回の事態は真に革命的情勢の接近を告げ知らせているのだ。
 総選挙の結果は、真の労働者政党がいまだ決定的に登場しきれていない中で、労働者人民の中に巨大なやり場のない怒り、閉塞(へいそく)感があることの現れである。それ自体が過渡的、流動的であり、階級的な分岐・流動はこれからますます激しくなっていく。日帝の体制的危機と階級的矛盾も爆発していくのだ。

 第2章 尼崎事故とハリケーン大災害が民営化の帰結

 総選挙に勝利した小泉は「議会制的承認」の形式を経たことをいいことに、日本のファシスト的国家改造にむかって驀進(ばくしん)するだろう。すなわち、戦争のできるファシスト国家の構築の攻撃であり、そのための民営化という手段を駆使しての戦後日本労働(組合)運動の全面的解体・一掃の攻撃である。
 小泉がその第一の突破口にすえているのが、特別国会での郵政民営化攻撃の完遂である。総選挙の結果をテコに、これを小泉は野党的反対派の粉砕と労働者階級への反革命的襲撃として強烈に実行してくることは間違いない。これは戦争と民営化の大攻撃、すなわち日本のファシスト的侵略的国家改造への一大突破口である。したがって、11・6集会に向かって革共同と労働者階級は、小泉の郵政民営化反革命(=小泉反革命の全体)に全面的に激突する階級的覚悟をうち固め、決戦に打って出なければならない。

 大資本の利益のための改革

 郵政民営化攻撃自体については、小泉の「官から民へ」「郵政はなぜ公務員でなければならないのか、民間のサラリーマンではなぜいけないのか」というイデオロギーと全面的に対決し、真っ向から粉砕しぬくことが核心である。
 「民」と言えばあたかも民衆の民のように聞こえるが、それは百パーセント違う。民とは金融独占ブルジョアジーのことだ。金融資本・大企業のことだ。また、この「民」というのは、今日の民間の独占的大企業で行われている首切り・リストラ自由、非正規労働者の拡大、すさまじい殺人的労働強化のことだ。小泉が公務員を目の敵にして、民間サラリーマンをそれに対置するのはなぜか。それは自由に首切り・リストラ・労働強化などをやりたいためだ。
 さらに、戦後からこれまで、「公務員」ということでスト権を奪って公務員労働者を支配し搾取してきたくせに、今や日帝が危機に陥り、財政が危機になったからと言って、今度は公務員労働者を好き勝手に首切り・リストラしたいということだ。そしてそのために、公務員労働者を組織している全逓(JPU)・自治労・日教組などの労働組合を解体・一掃したいからにほかならない。
 小泉のこの思想は、労働者(階級)を人間として扱わず、日帝ブルジョアジーの都合で、煮ても焼いてもいいような存在として、好き勝手に扱う思想である。このことに怒りを爆発させなければならない。
 帝国主義が危機に陥り財政危機になれば、戦争してもいいし、労働者をどう扱ってもいいというのか。そんなあり方しかできない帝国主義=資本主義こそおかしいのだ! 「帝国主義が成り立っていくためにはこの改革が必要だ。そのために労働者がどのように扱われてもしかたがない」――こんな思想・考え方・政策を断固拒否することだ。いま小泉と真っ向から対決するためには、その階級的怒りを、小泉など吹っ飛ばすすさまじい形相と行動力・ファイトで、小泉にたたきつけてやることだ。
 われわれは郵政民営化攻撃を、全逓労働者にとどまらず全労働者階級の一大政治闘争の課題として、絶対に粉砕することをあらためて宣言する。総選挙過程でも明らかになったように、郵政民営化は大量首切りと労働組合つぶしの攻撃そのものだ。小泉や武部幹事長は、労組を「改革を阻む抵抗勢力」として攻撃を集中し、公務員の労働組合を総屈服させ、解体すると宣言しているのだ。
 さらに日本経団連・奥田が「郵政民営化は経済界にとってビジネスチャンスが増える」と言って小泉を後押ししたように、銀行や生保など一部の金融独占ブルジョアジーが郵貯・簡保の335兆円を食い物にするためのものだ。労働者階級にとっては百害あって一利なしなのだ。
 民営化がどれほど悪いものかは、4月のJR尼崎事故を見れば明白だ。国鉄分割・民営化に労働組合が屈服し、利益第一主義で安全がないがしろにされた結果、107人もの命を奪う大事故が起こったのだ。動労千葉の安全運転闘争は、これと真っ向から対決する偉大な闘いである。
 また、米ハリケーン大災害は、文字どおり米帝の戦争と民営化攻撃がもたらした人災だ。運河が民営化され、ブッシュがイラク侵略戦争を強行し、治水予算が徹底的に削られた結果として、史上最悪の災害が起こった。今やアメリカ労働者階級は、黒人労働者を先頭に、イラク反戦と結合して、ハリケーン災害問題でブッシュに対する怒りを爆発させ、巨大な革命的激動を開始している。
 小泉は郵政民営化を突破口に戦争と民営化のあらゆる攻撃を遂行しようとしている。何よりも小泉が狙っているのは、日本を戦争のできるファシスト国家に改造すること、そのための労働組合(運動)の絶滅・一掃である。

 第3章 11月労働者集会こそが小泉への革命的回答だ

 実際、小泉は、郵政民営化法案を特別国会で成立させるなら、さらに次のような反革命をこの秋から来年の秋にかけて一挙に実行してくる。これに全力で対決しよう。
 (1)イラク侵略戦争への自衛隊の参戦の継続。日帝はイラク侵略戦争を米帝とともに継続・激化させようとしている。11月が期限の対テロ特措法(インド洋への自衛艦派兵)を延長するとともに、イラク特措法を延長して12月以降の派兵を継続しようとしている。
 (2)「靖国」「教科書」「拉致」などの問題で、中国・朝鮮への排外主義と対決政策をさらに進める。
 (3)解散・総選挙で遅れている日米安保協(2+2)を再開して、米軍大再編(トランスフォーメーション)を一気に確定・推進しようとしている。
 とりわけ、「沖縄の負担軽減」という触れ込みとは逆に、普天間基地の県内移設へ、嘉手納基地統合や下地島空港の米軍使用などの形で、沖縄に一層の差別的な犠牲が強要されようとしている。
 (4)革命党と労働組合の破壊を狙った現代の治安維持法である共謀罪を秋の国会にも再度提出して、可決を狙っている。
 (5)三里塚における成田空港暫定滑走路の北延伸攻撃は、日米帝の北朝鮮・中国侵略戦争のための攻撃だ。反対同盟と地権者を追い立てるために、敷地内農地をさらに封鎖・包囲する農民圧殺攻撃に大反撃しよう。
 さらに来年に向かって次のような攻撃が続々と狙われている。
 @教育基本法改悪の06年通常国会提出、A来年にかけて「日の丸・君が代」強制攻撃、「つくる会」教科書攻撃の強化、B公務員制度改悪の攻撃の一層の強化(通常国会)、C労働法制の大改悪、D改憲攻撃(11月に改憲の条文案発表、国民投票法を来年通常国会で成立)、E社会保障制度解体(年金・介護・「障害者」への攻撃)の強化、Fサラリーマン大増税から消費税の大幅アップ。
 小泉のこれらの反革命の特質は、ファシスト的性格をいよいよ強め、「つくる会」教科書の思想・あり方を、政治・社会・経済の全体に貫こうとする大攻撃と言える。

 連合大会で改憲路線阻止へ

総選挙の勝利に基づく小泉の反革命攻撃に、「労働組合運動」の側から屈服的に呼応するものが、連合の改憲方針への踏み切り(7月14日連合中執決定)とその10月定期大会での決定の動きである。これは戦後階級関係の根幹を激変させる大変な問題である。こうした中で、日教組大会はこの間の闘いの圧力の中で、なんとか現段階での改憲路線への踏み切りを阻止した。また8月自治労大会では「平和基本法」路線に対する沖縄県本部を始めとする強烈な弾劾がたたきつけられ、自治労の改憲勢力化を大きく阻んだ。
 小泉反革命が郵政民営化攻撃の再度の貫徹として吹き荒れるただ中で、連合の10月定期大会がもたれる。小泉反革命との激突を闘いぬく上で、この連合大会攻防―改憲方針の確立を阻止する闘いにかちぬくことは決定的意義をもっている。
 11・6労働者集会は、まさにこのような小泉反革命や、それと呼応する連合10月大会の改憲路線への踏みきり攻撃が真っ向から襲いかかってくる中でもたれるのだ。逆に、ここで闘う労働者、労働者階級は11・6集会をもって、真っ向からこの小泉反革命の前に立ちはだかり、小泉反革命と恐れず闘う強力な階級的勢力として登場しなければならない。そのためにこれまでの限界をなんとしてもつき破るような自己変革的決起をかちとり、労働組合の闘う決起の波を全力でつくりだしていこう。
 小泉のすさまじいファシスト的気迫をはね返すためには、必死に闘って11・6集会で1万人の大結集を小泉・自民党にたたきつける必要がある。このことを激しい危機感と反発力をもって、全身で確認しよう。
 また、小泉反革命との全面的対決の闘いの強力な一環として、「日の丸・君が代」強制反対闘争、「つくる会」教科書闘争の継続・強化の闘いを圧倒的に繰り広げていくことが必要だ。
 11・6集会は、労働者の国際連帯闘争だ。昨年以上に韓国・民主労総とアメリカの労働者との大合流をかちとろう。小泉=奥田の戦争と民営化、ブッシュの侵略戦争と国内階級戦争に反対するすべての労働者人民は11・6労働者集会に総結集しよう。
 11・6労働者集会の成否に、05年決戦および05〜07年決戦の一切がかかっている。全党と全労働者階級の奮起を心から訴える。

小泉を痛撃した8月の闘い

「8・6ヒロシマ大行動」に3千人(8月6日 広島) 「つくる会」教科書採択に怒り(8月12日 杉並区役所)
靖国神社に肉薄し参拝に猛抗議(8月15日 千鳥ケ淵) 自治労大会で“改憲勢力化阻止!”(8月24日 鹿児島)

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週刊『前進』(2214号2面1)(2005/09/19)

 鉄建公団訴訟の勝利へ全力を

 1047名の団結固め決戦へ

 解雇撤回させる不動の構えが国鉄闘争の勝利を引き寄せる

 9月15日の鉄建公団訴訟判決は、国鉄闘争と日本の労働運動にとって重大な意味を持っている。いかなる判決が出ようとも、9月15日を反転攻勢の転機にしなければならない。1047名闘争は、国鉄分割・民営化に対して19年にわたる不屈の抵抗を貫いてきた闘いだ。総選挙を経てますます激化しつつある小泉=奥田の戦争と民営化(労組破壊)の攻撃に、国鉄闘争は真っ向から立ち向かわなければならない。9・15を闘う姿勢で迎え撃ち、国鉄闘争の勝利をかけて11・6全国労働者総決起集会に結集しよう。

 尼崎事故の大惨事こそ民営化の帰結

 鉄建公団訴訟判決は、総選挙の直後に下される。1047名と労働者階級が9・15判決をどう迎え、判決後、いかなる闘いを貫くのかに、今後の日本の労働運動の命運がかかっている。判決の結果がどうあれ、国鉄闘争の行方を左右するものは、闘う主体の構えと団結なのである。
 総選挙の過程で小泉は、「なぜ郵便局の仕事だけ26万人以上の公務員がやらなければならないのか」「国民の利益をおろそかにして、一部の数十万人の役人の身分を守るため政界全体がふりまわされている現状を打破したい」とわめき立てた。許しがたいことに小泉は、公務員労働者の存在を悪の元凶であるかのように描き出し、公務員への憎悪をあおり立てることをほとんど唯一の「戦略」にして総選挙に臨んだ。帝国主義が自らつくりだした危機と閉塞(へいそく)を公務員の首切りによってのみ打開できるかのように言いなし、あらん限りの悪罵(あくば)を公務員労働者に投げつける理不尽きわまるやり方が許せるか! まさにそれは、公務員労働者が労働組合に結集し団結していることそのものに矛先を向けるファシスト的な攻撃にほかならない。
 だがこれは、労働者階級の怒りを激しくかき立てている。自治労大会では、「平和基本法」制定−改憲賛成を打ち出した本部方針に対する現場組合員の激しい批判が噴き出した。民営化攻撃への労働者階級の反撃が、音を立てて始まろうとしているのだ。
 民営化が労働者にもたらすものは何か。それを衝撃的に突き出したのが尼崎事故だった。尼崎事故による107人の犠牲者は、市場原理を全面的に解き放った国鉄分割・民営化政策と、そのもとでひたすら営利優先に走ったJR資本、規制緩和を強行した国土交通省によって殺されたのだ。同時にそれは、民営化による労組破壊の結果だった。労働組合が裏切りを深め、資本との闘いを放棄した時、安全は全面的に崩壊する。労働者が階級的に団結し資本と闘わない限り、安全を守ることはできないのだ。
 イラク侵略戦争下、日帝は戦争国家体制を本格的に形成するために、権力機構内にある労組を絶滅しようと全力を挙げている。中曽根が「総評解体を目的に国鉄分割・民営化を行った」とあけすけに表明したように、民営化とは何よりも労組解体の攻撃だ。郵政民営化を軸とした一大民営化に突き進む小泉は、尼崎事故のような大惨事を何度繰り返そうと、労働者階級の団結を破壊することに日帝の延命の道を求めている。
 9月15日の鉄建公団訴訟判決は、その内容がどうあろうと、こうした支配階級の意志を鋭く体現するものとなる。問題は、判決の結果をとおして、労働者の団結がいかに強化されたかにある。解雇撤回・地元JR復帰へ主体的に闘いを貫く構えと団結を打ち固めてこそ、いかなる判決が出されようとも、それを反転攻勢のテコにすることができるのだ。

 動労千葉と連帯しJR体制と闘おう

 動労千葉は、尼崎事故に対し敢然と安全運転行動に立ち上がった。それは、事故を必然化させた分割・民営化体制=JR体制への労働者階級の鮮明な回答だ。JR東日本はこれに対し「運行管理権を奪うもの」と称して不当な処分をかけてきた。だが、その一方で20`に及ぶレールの交換を行わざるを得なくなった。
 利潤追求に走る資本は、常に安全を犠牲にして合理化・効率化に突き進む。安全と資本の利益は相いれない。だから、安全をめぐる闘いは、労働者階級に最も深く根ざしたものになる。動労千葉は、労働組合としての存立をかけて安全運転行動を貫いた。この闘いは労働者の空前の注目と共感を呼び、闘いの渦中で「平成採」の青年労働者が動労千葉に結集した。それは、どんなに厳しい闘いになろうとも、労働者階級の利害を真に貫く労働組合こそ、労働者を糾合できることを示している。
 尼崎事故を弾劾し、JR体制を食い破る闘いは、1047名闘争と一体のものだ。日比谷野音に5800人を結集した7・15集会は、1047名闘争の勝利と尼崎事故弾劾を2大スローガンに掲げてかちとられた。そこには国鉄闘争勝利の方向が鮮やかに示されていた。だからこそ7・15は、国鉄闘争勝利にとって最大の障害物になっていた日共中央=全労連中央らによる「動労千葉排除」の策動を打ち破り、国労闘争団・全動労争議団・動労千葉争議団の1047名闘争陣形を整える歴史的集会になったのだ。この地平を一層発展させ、9・15を突き抜けて国鉄闘争の本格的な決戦段階を押し開こう。
 国鉄闘争は、国鉄分割・民営化と対決し、1047名の解雇撤回・地元JR復帰を求める闘いだ。鉄建公団訴訟は、4党合意以降あからさまとなった国労本部の闘争圧殺策動を打ち破り、国鉄闘争の原点を守りぬくものとして闘いぬかれてきた。9・15を前にして、国鉄闘争を敗北のうちに収束させようとする大反動との攻防は、今再び激しく火を噴き始めた。

 チャレンジ・革同の闘争圧殺うち破れ

 8月30、31日の国労全国大会は、その重大な激突点となった。
 チャレンジ佐藤勝雄を委員長に据えた国労本部の新執行部は、9・15判決を機に1047名闘争を押しつぶすために形づくられた体制だ。彼らは、9・15の敗訴判決を心の底から願っている。そして、大会で決定された鉄建公団訴訟原告への統制処分の解除を恩に着せ、厚かましくも鉄建公団訴訟に介入しようと策している。その最先兵こそ、「判決または事前の裁判長和解提示があればそれに基づいて、国鉄闘争を解決する」と唱える上村革同だ。
 はっきりさせなければならないのは、鉄建公団訴訟に全面敵対してきたチャレンジや革同に、訴訟への敵対を絶対に許してはならないということだ。彼らの狙いは一点、1047名陣形と原告団の解体にある。国鉄闘争の主導権は7・15勢力の団結が握りしめなければならない。国労本部の敵対策動を許せば、1047名闘争は敗北必至の「政治解決」の泥沼に引き込まれてしまうのだ。
 佐藤勝雄は国労大会で、「健全な会社の発展と社員・家族の幸せを求めることは労使共通の課題」「組合も単なる責任追及にとどまってはならず、JRを社会に貢献できる会社にしていかなければならない」「JR及び政府との和解に全力を挙げる」と言い放った。一方、上村革同も「尼崎事故の原因は民営化ではない」と叫びたて、「日勤教育は必要だ」とJRに迎合し、高見運転士を除く「106人の犠牲者」への「慰霊碑カンパ」なるものを会社と一体となって国労組合員に強いている。
 チャレンジと革同の国労本部は、もはや完全に連合路線にかじを切った。彼らはJRとの「労使関係正常化」を夢想して、1047名を平然と敵に売り渡そうとしているのだ。
 闘う国労組合員は、国労大会で本部役員に対立候補を立ててチャレンジ佐藤の新執行部を弾劾した。だが、国労再生の闘いは始まったばかりである。9・15を前後して、国労本部を手先とした1047名闘争圧殺の策動は一段と激化する。これに対し、反対派総体が団結を固め、なんとしても国労再生の突撃路を切り開かなければならない。
 国労5・27臨大闘争弾圧粉砕の闘いは、その基軸に座る位置にある。分割・民営化反対、1047名の解雇撤回をあくまで貫くことを訴え、鉄建公団訴訟原告への統制処分に反対した国労組合員を、酒田・吉田・革同らは公安警察と結託して権力に差し出したのだ。こうした階級的大罪に手を染めたやからを役員から引き下ろしてこそ、国鉄闘争の勝利は切り開かれる。
 郵政民営化を頂点とする戦争と民営化(労組破壊)の攻撃は、総選挙を経てますます激しくなるだろう。だがそれは、支配階級が絶望的危機に追い詰められているからにほかならない。敵の攻撃が凶暴であればあるほど、労働者階級の総反撃も不可避である。こうした時代にあっては、闘う姿勢と団結を堅持することこそが最も確実に勝利をたぐり寄せるのだ。1047名の解雇撤回・地元JR復帰をあくまで掲げて闘いぬこう。民営化に怒りを燃やす労働者の闘いを国鉄闘争が牽引(けんいん)しよう。
 攻勢的に9・15判決を迎え、これを反転攻勢の日としよう。国鉄闘争と全労働者の未来をかけて11・6全国労働者総決起集会に結集しよう。

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週刊『前進』(2214号2面2)(2005/09/19)

 平和基本法=改憲方針への反対が圧倒した自治労大会

 岡部体制打倒する新潮流を

 沖縄県本部を先頭に大反撃

 自治労第76回定期大会(8月23〜26日、鹿児島市)は、本紙前号で既報のように、日帝・小泉=奥田の戦争と民営化(労組破壊)の攻撃、衆院解散・総選挙の反革命、郵政民営化・公務員制度改革―公務員攻撃・大量首切りの大攻撃、連合―自治労本部による100万自治労を改憲・戦争勢力化させようとする裏切り策動と対決する一大決戦となった。大会は05年の4大産別決戦の最大の攻防にせり上がった。この中で沖縄県本部を先頭とする闘う勢力、現場労働者がぎりぎりの地点から怒りの決起をもって歴史的な反転攻勢を開始した。
 自治労本部は、5月の中央委員会に自治労「国の基本政策検討委員会」が提出した最終報告に基づいて、「『平和基本法』の制定を求め、取り組みを進める」とする運動方針案を大会で可決しようとした。他方、連合は7月14日に発表した「国の基本政策に関する見解案」――9条改憲と安全保障基本法制定を進める――を10月の連合大会で正式決定しようとしている。自治労本部は平和基本法制定の運動方針化で自治労を改憲勢力化させて連合大会に臨もうとしたのだ。だがこの大裏切り方針に、闘う県本部、代議員からの総反撃が巻き起こったのだ。
 23日朝、労組交流センター自治体労働者部会は会場前で「本部の『平和基本法』制定方針は改憲と戦争協力への道だ」と批判するアジテーションを行い、ビラ・リーフレットを配布した。沖縄県本部も独自のビラを配った。4県本部が「平和基本法制定方針の削除」「自衛軍・自衛戦争の否認」を求める修正案を提出した。また、茨城、静岡、兵庫、高知、鹿児島の5県本部が「国の基本政策検討委員会報告に関する申し入れ」を人見委員長に提出し、「憲法前文と9条の堅持、平和基本法構想の慎重かつ十分な検討」を求めた。
 24日朝、会場前で沖縄県本部が独自集会を開き、500人を前に山城代議員が1時間にわたり火を吐くような大演説を行った。
 質疑・討論では、沖縄県本部の意見を始め平和基本法制定方針反対、改憲反対の意見が議場を圧倒した。「平和基本法は戦争基本法だ」「自衛権の承認は戦争の容認だ」「最小限防御力は戦力の容認だ」「7・14連合見解を認めるとは自治労への裏切り」「安全保障基本法とは何か」と鋭く本部を追及した。平和基本法制定方針賛成、改憲賛成と発言する代議員はひとりもいない。本部は決定的に追いつめられた。
 25日、本部は巻き返しを図った。中間答弁に立った君島副委員長は「9条死守」「平和基本法論議はスタートライン」「自衛隊の縮小・再編・改組が出口。最小限防御力は戦力に値しない」「連合に意見反映する」などの見解を並べ、4県本部に修正案取り下げを願った。人見委員長が辞意を表明した。宮城県本部が修正案取り下げを表明し、本部提出の運動方針案、闘争方針案が可決された。
 26日、本部役員選挙が行われた。新執行部として岡部謙治副委員長(福岡)が新委員長になった。植本眞砂子書記長(大阪)が新副委員長になり、君島一宇副委員長(長野)、笠見猛副委員長(鳥取)が留任した。金田文夫書記次長(北海道)が新書記長だ。人見前体制を「暫定」体制とすれば、この岡部新体制は改憲への「本格」体制だ。
 岡部新委員長は、連合「国の基本政策検討委員会」や「21世紀臨調」のメンバーを務めてきた極悪の連合派である。自治労の改憲勢力化、戦争翼賛組合化の先兵だ。昨年、自治体と自治労とが協力して国民保護計画を作成しようと提唱し戦争協力に踏み出した。

 闘う反対派は11・6集会へ

 大会で本部提案が可決されたことは確かだが、本部の改憲勢力化策動を決定的に打ち破り、押し返した歴史的な大会となった。
 第一に、平和基本法制定方針へ「反対修正案」が出され、反対意見が発言の圧倒的多数を占めたことは決定的な事態である。「最小限防御力」「自衛権」を焦点に9条改憲策動に根底的に反撃した。より決定的なことは、連合(=民主党)の「安保基本法」制定方針、社民党の「平和基本法」制定方針(マニフェスト)への激しい怒りがたたきつけられたということだ。自治労における民主・社民による支配と制動は解体し、党派的分岐・流動過程が始まったのだ。
 第二に、沖縄県本部の総反乱・総決起である。沖縄県本部は「平和基本法は沖縄の運動に冷や水を浴びせるもの。戦争基本法だ」と本部を激しく弾劾した。この決起は自治労全体を感動的に揺さぶり、沖縄労働運動の階級的戦闘的発展と、自治労を突破口とする本土―沖縄を結ぶ階級的労働運動の再生への決定的出発点となる闘いだった。
 第三に、ひとまず修正案が取り下げられたことは、激しい反乱・決起の中での流動の現れであり、全国的司令部の登場が待たれていることを示している。しかし、君島答弁は、運動方針の9条改憲――自衛権承認、自衛隊=戦力容認の平和基本法制定の方針をそのまま貫徹できなくなったことを意味している。自治労の改憲勢力化をめぐる攻防はいまだ決着がついていない。分岐・流動情勢が大きく切り開かれ、小泉の9・11反革命への反撃ののろしが上がったのだ。
 第四に、労組交流センター自治体労働者部会の帝国主義打倒、「平和基本法」制定方針反対の主張が決定的なインパクトをもって大会に打ち込まれた。この新潮流を、新たな分岐・流動情勢の再編を推し進め、指導部となる力を持った勢力に飛躍させよう。
 11月労働者集会の成功のみがこの分岐・流動情勢を再編・高揚情勢へと発展させ、自治労の真の戦闘的階級的再生を可能とする唯一のステップだ。自治労大会で本部を追いつめた闘う自治労組合員に11月労働者集会への総結集を訴えよう。
 11月労働者集会は、戦争と民営化、労組破壊の攻撃に正面から対決する強力な労働組合のネットワークをつくり出す闘いだ。日帝・小泉=奥田、そして国際帝国主義を打倒する労働者階級の団結の力、国際的連帯の力を示す集会だ。
 この新潮流運動、ランク&ファイル運動の発展の中に自治労の階級的再生、改憲勢力化・戦争翼賛組合化阻止の道がある。昨年を3倍する自治体労働者の隊列を先頭に万余の闘う労働者の大隊列を11・6東京・日比谷野音に登場させよう。

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週刊『前進』(2214号2面3)(2005/09/19)

 9・19三里塚闘争へ招請状

 反対同盟北延伸攻撃阻止へ攻勢

 三里塚芝山連合空港反対同盟は、成田空港の暫定滑走路北延伸阻止へ9・19三里塚現地闘争を呼びかけている。北延伸は、民家の上空40bにジャンボ機を飛ばし、農地を強奪して反対同盟農民のたたき出しを狙う許しがたい攻撃だ。反対同盟の訴えにこたえ、9・19三里塚現地闘争に総決起しよう。(編集局)

 9・19三里塚現地闘争に総決起を! 三里塚芝山連合空港反対同盟 

地図 9・19三里塚現地闘争 全国の闘う仲間のみなさん。
 政府・国交省と成田空港会社(NAA)は8月4日、地元住民の猛反対を押し切って暫定滑走路の北延伸を決定しました。この暴挙に対して反対同盟は、ただちに北延伸阻止・空港廃港の闘争を宣言し、新たな決起を誓いました。その第一弾として9月19日に三里塚現地闘争に決起します。多くのみなさんの決起を訴えます。
 北延伸の暴挙は、民家の上空40メートルでジャンボ機を飛ばすという、常軌を逸した一事に明らかです。国交省とNAAは、北に延伸するとして実は南の未買収地の強奪を策動しています。完全にゆきづまった暫定滑走路は、こうした暴力的な農地強奪によるしかないのです。
 しかしわれわれは微動だにすることなく、この攻撃を迎え撃ち、逆に空港廃港へ前進しようと意気軒昂(けんこう)として闘っています。
 実際、計画はズサンそのものです。4年後の羽田国際化に遅れを取らないために工期を「6年強」から「4年」に短縮しました。そのために騒音補償のためのコンターを見直さず、環境アセス法も踏み破る方針です。飛行直下住民(成田市久住地区と下総町)に怒りが沸騰しています。
 ターミナルと滑走路を結ぶ連絡誘導路はジャンボ機が通れず、新たに造るとされる誘導路は滑走路の南端ぎりぎりを横断する計画で、大事故の危険が指摘されています。また東関東自動車道が危険区域を横断する問題については未だ口を閉ざしたままなのです。
 しかもこうして北延伸しても発着便数を増やすことはできません。NAAは現行の年間20万回を22万回にするとしていますが、絶対に不可能です。「工期4年」も、国道51号のトンネル工事は深夜しかできない難工事です。北延伸は逆に成田空港の破たんをたぐり寄せるものとなるでしょう。
 三里塚への攻撃は「郵政民営化」で総選挙に踏み込み、戦争と労働運動つぶしにひた走る小泉内閣の攻撃そのものです。イラク参戦から朝鮮有事を想定した成田空港の軍事化を阻止しなければなりません。10・6天神峰現闘本部裁判闘争に決起し、10・9三里塚全国集会の大結集へ。9・19現地闘争をその突破口としたいと思います。
 2005年8月29日
(連絡先)事務局長・北原鉱治 成田市三里塚115
TEL 0476(35)0062

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暫定滑走路北延伸阻止・空港廃港

9・19三里塚現地闘争

日時 9月19日(月)午後1時30分
会場 成田市東峰・開拓組合道路(東峰十字路北)

《主催》 三里塚芝山連合空港反対同盟

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週刊『前進』(2214号2面4)(2005/09/19)

資本攻勢&日誌 2005 8・21〜8・30

 小泉・竹中が労組に敵意あらわ

 原油高で賃金切り下げ/労働契約法制へ最終報告

小泉が「労組の支援がほしいだけ」と民主党を批判 小泉首相は、民主党について「本音は自分たちを応援してくれた郵政公社の国家公務員の労働組合の支援がほしいから反対しているだけだ」などと発言した。(21日)
「公務員は楽だから」と竹中が暴言 竹中郵政民営化担当相は、郵政民営化反対の労組について「楽だから国家公務員でいたい。民営化から逃げよう逃げようとしている」などと発言。(22日)
自治労大会 自治労は26日まで4日間にわたり鹿児島で定期大会を開催、平和基本法制定方針に反対意見が続出した。(23日)
●05年春闘ベアゼロが53.5% 日本経団連が発表した05年春季労使交渉アンケートによると、「ベアを実施せずに定期昇給のみ実施」した企業が53.5%にのぼり、3年連続で5割を超えた。(23日)
JPU、自民党反対派の推薦方針 日本郵政公社労働組合(JPU)は、郵政民営化法案に反対した自民前職から推薦要請があった場合、これに応じる方針を明らかにした。(24日)
経団連会員の政治献金22.6%増 日本経団連の会員企業・団体が04年に政党の政治資金団体に対して実施した寄付の総額は22億8千万円に。自民党向けが22億2千万円と全体の97.3%、民主党向けは6千万円。(24日)
三菱製紙が賃金5%カット 三菱製紙は、原油価格高騰を理由に全労働者の賃金を当面5%程度カットする方針を明らかに。大手企業が今回の原油高を理由に賃下げに踏み切るのは異例。他企業に波及する可能性も。(25日)
民主党も公務員労働者に敵対 小泉の公務員攻撃に屈した民主党は、公務員に敵対する発言を繰り返している。(26日)=要旨別掲
アスベストによる粉じん発生・労災事業所を公表 アスベスト(石綿)問題に関連し、厚労省は労災認定関係事業所、環境省は取扱事業所(特定粉じん発生施設)の計565カ所を公表。(26日)
労働契約法制で最終報告案 労働契約法の制定を議論している厚労省の労働契約法制研究会が最終報告書案を発表した。(26日)
日本経団連が自民党支持方針 日本経団連の奥田会長は、今回の衆院選で日本経団連は「自民党を支持する」と表明した。(29日)
7月の完全失業率4.4% 総務省が発表した7月の完全失業率は4.4%で、前月に比べ0.2ポイント上昇した。厚労省が発表した7月の有効求人倍率は前月より0.1ポイント上昇の0.97倍で、92年10月(0.99倍)以来の水準に。(30日)
国労大会 国鉄労働組合は31日まで定期大会を開き、チャレンジ一派の佐藤勝雄委員長を選出した。(30日)

 民主党による公務員労働者への敵対発言

公務員採用3分の1に抑制 民主党の岡田代表は、今後3年間で新規採用を3分の1に抑制するなどの具体策を盛り込んだ「国家公務員人件費削減の考え方」を発表した。(26日)
郵政改革−民営化か廃止の提案 民主党の岡田代表は郵政改革について「民主党が政権をとれば、……民営化か、廃止のシナリオを」と述べた。(28日)
公務員人件費の削減を強調 民主党の岡田代表は国家公務員人件費の2割削減で「国家公務員に徹底的にメスを入れるのが本当の改革だ」と述べた。(30日)
郵政公社8万人削減を言明 民主党の枝野幸男幹事長代理は「今(定年退職者の)自然減と勧奨退職で毎年1万人減っている。8万人のリストラをやるというのが約束だ」と明言。(31日)

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週刊『前進』(2214号3面1)(2005/09/19)

 つくる会教科書 採択反対運動が大勝利

 全国で歴史0.39%、公民0.20%

 杉並を先頭に撤回へ

 来春から使われる中学校教科書の採択が8月末で終わった。現時点で判明している限りで、「つくる会」教科書の採択率は歴史教科書が0・39%、公民教科書が0・20%(表参照)。東京・杉並を先頭に全国で「つくる会」教科書に反対した労働者人民の大勝利であり、「10%の採択を実現する」と公言していた「つくる会」の大敗北である。

 杉並の闘いが情勢を決した

 この勝利をかちとったのは、何よりも杉並の闘いの力である。「つくる会」との対決の天王山は、まぎれもなく杉並区であった。保護者・地域住民と教育労働者が「つくる会」採択阻止へ立ち上がり、3万筆を超える署名を集め、数度の区役所包囲行動やデモを行い、区教委交渉・申し入れ行動などを積み重ね、あらゆる力を尽くして闘った。
 その力が、8月4日の区教委における「つくる会」教科書採択を阻んだ。継続審議となった12日の区教委には、「つくる会」副会長・藤岡信勝を先頭に数百人の「つくる会」派右翼が大結集する中で、山田区長と納冨教育長が「つくる会」と結託して扶桑社版歴史教科書の採択を強行した(公民教科書は阻止)。
 しかし杉並の巨大な反対運動は、杉並に続き全国各地で「つくる会」教科書採択の流れをつくり出そうとしていた「つくる会」に大打撃を与え、以降、全国の採択地区で一つも採択できない状態を強いたのだ。

 採択強行した教委に反撃を

 「つくる会」教科書採択を強行した杉並・大田原と東京・滋賀・愛媛の教育委員会の暴挙は、絶対に許せない。
 大田原市では7月13日、密室審議の中で、しかも「つくる会」教科書に反対する教育委員が海外出張中で「教科書採択は帰国後に」と求めたにもかかわらず、残る4人の全会一致で「つくる会」の歴史・公民教科書の採択を強行した。
 東京都教委は7月28日、中高一貫校と「障害児」学校で「つくる会」教科書採択を強行した。ほかの科目では協議により採択が行われたが、歴史と公民だけは全員一致で何も議論なし。石原が都知事に就任して以降6人の教育委員全員を「つくる会」派に入れ替えた結果である。
 杉並では4年前に5人の教育委員が3対2に割れて「つくる会」教科書を採択しなかったことを受け、山田区長が教育長を納冨にすげ替えた。さらに04年に、現場の教育労働者の意向をまったく無視して教科書採択が強行できるように教科書採択制度を改悪し、「ファシスト」を全国動員して今回の採択を強行した。
 どの地区でも、猛然たる反対運動が巻き起こる中で、まったく卑劣極まりない手法で「つくる会」教科書を押し通したのである。

 杉教組が声明新たな闘いへ 

 「新しい歴史教科書をつくる会」は9月2日に記者会見を行い、「目標とする10%にははるかにおよばない結果」と惨敗を自認しつつ、「4年後の教科書採択に三たび挑戦する。地理、家庭科、国語など他の教科にも進出することなども検討する」と発表した。
 教科書攻撃は日帝・小泉と奥田、資本家階級の総力を結集した、戦争と民営化のための攻撃であり、労働者の階級意識の根絶を狙うものなのだ。「つくる会」教科書との対決は、永続的な闘いである。
 「つくる会」の教科書採択に反対する杉並・親の会は、区役所行動や街頭宣伝に立ち上がり、採択撤回へ闘いを進めている。杉並区教職員組合執行委員会は烈々たる決意を込めて抗議声明を発表した(別掲)。教組と教育労働者自身が決定撤回を求めて新たな闘いに突入したのだ。
 この必死の訴えにこたえ、「つくる会」歴史教科書の全国採択冊数の半分近くを占める杉並でさらに大きな運動を巻き起こし、採択撤回を実現しよう。

 表 2006〜09年度使用「つくる会」教科書(扶桑社版)採択一覧

◆公立中学校採択地区
栃木県大田原市 歴史と公民 使用生徒数 730人(公民は750人)
東京都杉並区 歴史 使用生徒数 2,000人
◆都道府県立学校
東京都中高一貫校 4校 歴史 使用生徒数 計600人
東京都立ろう・養護学校 21校 歴史と公民 使用生徒数 計 50人
滋賀県立中高一貫校 1校 歴史 使用生徒数 80人
愛媛県立中高一貫校 3校 歴史 使用生徒数 計480人
愛媛県立ろう・養護学校 7校   使用生徒数 計 10人
  都道府県立学校・公立学校 小計 歴史 3,950冊 公民 800冊
◆私立中学校
歴史と公民両方の採択校 10校     計870人
歴史のみの採択校 1校     40人
公民のみの採択校 3校     計680人
  私立中学校        小計 歴史 910冊 公民1,550冊
◆総使用冊数(推計) 歴史 4,860冊(0・39%)  公民 2,390冊(0・20%)

(9月6日午前までの判明分)

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週刊『前進』(2214号3面2)(2005/09/19)

 杉並区教職員組合執行委員会声明

 8月12日に以下のような杉並区教職員組合執行委員会の声明が発表されました。(編集局)
 杉並区の「つくる会」歴史教科書採択に満身の怒りをもって抗議し、決定の白紙撤回と採択のやり直しを要求する!
 杉並区教育委員会は、継続審議になっていた社会科の中学校教科書について審議し、「つくる会」(扶桑社版)歴史教科書の採択を決定した。この決定に対し、杉並区教職員組合執行委員会は満身の怒りをもって抗議し、その決定の白紙撤回と採択のやり直しを強く要求する。我々は今後、扶桑社版歴史教科書の採択の不当性を徹底的に糾弾するとともに、いかなる弾圧・強制にも屈せず教育者の良心にかけて歴史の真実を子どもたちに伝え続けることを宣言する。
 今回の杉並区の決定は、「つくる会」教科書を強力にバックアップしてきた山田杉並区長の強い政治的圧力のもとでの決定であったことは間違いない。韓国ソウル市ソチョ区に交流訪問している杉並区の中学生が帰るその日まで、決定を延期するという姑息な手段を使ったことは、山田区長の思惑が強く反映されたものに他ならない。その圧力に負けて「戦争は残念ながらなくならない。大阪書籍、帝国書院は理念的で、扶桑社が現実に即している。強いて順位をつけるなら、1位扶桑社、2位大阪書籍、3位帝国書院。」という発言をし、決定に導いた納冨教育長の責任は極めて重大である。「扶桑社の歴史教科書は、戦争を賛美しているとは思わない。」として扶桑社を推したことは、私たち教育現場の統括責任者である教育長として、到底許されるものではない。
 そもそも教科書採択は、現場教職員の意見が正当に反映されるべきものである。今回は、調査報告書の表現にまで書き換えを指示した事実が判明した。教育現場で働くものにとってはもちろんのこと、子を持つ親にとっても、戦争を賛美し、歴史的真実をねじ曲げて、日本にとって都合のいいように解釈する扶桑社版歴史・公民教科書を支持するものはほとんどいない。中学校社会科教員として、不適切な教科書を、「不適切」と表現してなぜいけないのであろうか。このようなやり方で現場の意見を封殺し、歴史教科書を採択した杉並区教育委員会に強く抗議するものである。
 さらに扶桑社は、数度にわたる文部科学省の指導を無視して、検定申請書(白表紙本)を教科書選定関係者に配布するという悪質なルール違反を行っている。扶桑社版歴史教科書の代表執筆者である藤岡信勝「つくる会」副会長は、8月4日の杉並区教育委員会の安本教育委員の発言を取り上げて「公開質問状」を出し、脅迫まがいの圧力をかけるという暴挙を行った。さらに藤岡氏は8月12日の教育委員会を傍聴し、扶桑社に反対する委員に直接圧力をかけたのである。執筆者自らが採択に圧力をかけるこれらの行為は、採択の中立性を確保する「採択規則」違反である。区内学校の玄関等に「教科書関係者お断り」といった貼り紙を貼らせている杉並区教育委員会が、このような不法行為をなぜ黙認したのであろうか。このようなルール無視の採択は、断じて許されるものではない。
 市区町村で大田原市に続いて2番目、都内では最初となる扶桑社版歴史教科書の採択は、杉並区の犯した歴史の汚点として深く刻まれるであろう。「つくる会」歴史教科書は、アジアに対する侵略の歴史を「大東亜戦争」としてアジア解放の正義の戦争であったかのように描き出し、韓国併合を正当化するなど、日本の加害責任を覆い隠すだけではない。広島・長崎の原爆や東京大空襲についてほとんど取り上げていないことに端的現れているように、戦争の被害の事実もほとんど伝えていない。例え「反面教師」としても、このような歴史教科書を使うことは、教育者の良心が許さない。
 今後は「教科書通り教えているか」という指導チェックが、東京都及び杉並区教育委員会によって開始されることが想定される。杉並区教職員組合は、勇気ある行動に立ち上がった仲間を守り、杉教組に加えられるであろう不当な弾圧に断固屈せず、組織をあげて闘い抜くことを、ここに宣言する。
 2005年8月12日

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週刊『前進』(2214号3面3)(2005/09/19)

 杉並文教委 新城区議怒りの追及 “教育長は辞任すべきだ”

 9月7日午後、杉並区議会文教委員会が開かれた。前回8月25日の文教委では新城節子区議(都政を革新する会)が「つくる会」教科書採択手続きの不当性を追及、納冨教育長に採択の撤回を迫った。この鋭い追及と、何よりも杉並全域に広がる「白紙撤回せよ」「審議やり直せ」の怒りと行動に追いつめられた納冨教育長を守ろうと、7日、「つくる会」派は40人を動員し、午前中から傍聴券を求めて並び、先着15人の傍聴券を独占する暴挙に及んだ。山田区長はこれに呼応し、25日の文教委員会で使った大きな委員会室を選挙を口実に押さえ、15人しか傍聴できない委員会室で区民の傍聴を締め出したのだった。
 開会冒頭、新城委員はこのような「つくる会」の傍聴席占拠を怒りを込めて弾劾し、「全国で扶桑社の教科書は杉並と大田原(栃木県)でしか採択されなかった。中高一貫校での採択を決めた都教委とともに杉並区が買い支える構図となった。こんなものを子どもたちに使わせられない。恥ずかしいと思いませんか」と追及を始めた。採択方法を密室で改悪した上、現場の調査報告書を書き換えさせ、さらに「つくる会」教科書反対の教育委員を公開質問状で脅迫、その張本人である筆頭執筆者・藤岡信勝の傍聴を容認したのだ。「これが公正な手続きと言えますか! 合議制の教育委員会で多数決を強行。しかもその最後の1票は納冨教育長が投じたのですよ」
 教育長は直接答えようとせず、総務課長らが「自由な審議、適正な採択が行われた」と繰り返した。
 新城議員が「戦争はなくならない、仕方ないと言い、大日本帝国憲法を礼賛するような教科書を選択したのは教育長ですよ!」と迫る。いたたまれなくなった納冨は、「大日本帝国憲法を容認する気なんてない。団体の合意形成の結果でしかない」などと苦しい言い訳をする。
 新城議員は、「採択は不当な圧力のもとで行われたのであり、審議をやり直すべきだ。戦争を正しいと教える『つくる会』教科書は小泉政権の戦争への動きと通じるものであり、絶対に許せない。撤回まで運動を進める」と突きつけ、「確信的にこの教科書を選んだ教育長、あなたは辞任すべきだ」と言い切って、45分間の追及を終わった。
 「つくる会」は採択率0・4%にも満たないという全国の惨状と、杉並での撤回運動の高まりに恐怖しているのだ。戦争賛美の「つくる会」教科書を杉並で絶対に撤回させよう。

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週刊『前進』(2214号3面4)(2005/09/19)

 再発防止研修 怒鳴る都教委に反撃 “思想・信条変えない”

 9月7日、東京都教育委員会は、今春の卒・入学式で「日の丸・君が代」強制に反対して闘い、減給・停職処分となった3人の女性教育労働者に対する「専門研修」を強行した。目黒の東京都教職員研修センター前で被処分者支援・都教委抗議行動が「日の丸・君が代」不当処分撤回を求める被処分者の会を先頭に取り組まれた。
 「専門研修」の対象とされた15人は、すでに7月21日に「再発防止研修・基本研修」を強制された上、今回の専門研修では都教委と在職校の校長を含む4〜5人を相手にたった1人で対決するのだ。
 5日には、研修対象者14人が提訴していた専門研修執行停止請求が、不当にも三つの民事部で一斉に却下された。しかし裁判所は決定の中で「その方法、内容、態様において、当該教職員の思想・信条に反する見解に踏み込み、当該教職員に著しい精神的苦痛を与えるようなものであるときには……効力等が停止されるべき『処分』に当たる」(民事11部)などと判断、都教委の暴走に歯止めをかけるものだった。
 午前9時、3人をシュプレヒコールで送り出した。研修は2時間40分もの長時間だ。支援者は門前で数度「○○さん、ガンバレ!」と激励行動を行った。
 正午前、出てきた3人を拍手で迎え、報告を聞く。Aさんは地下2階のかび臭い部屋に入れられ、都教委に「すごい剣幕で怒鳴りつけられ、まるで警察の取り調べ」と語り、「質問に対して『憲法は関係ない』とまで言った。これから問題にしていく」と怒りを込めた。Bさんも「拷問のような時間だった。でも思想・信条を変えるわけにはいかない」と断言。Cさんは「質問したら『質問は想定していない』と言われ、隣にいた校長も『質問を受け付けない研修ってなんだ』と言ってくれた」と報告した。3人の奮闘に大きな拍手が送られた。
 さらに12人の教育労働者に対する専門研修が9、13、14日と続けられる。午前8時半、目黒の都教職員研修センターに集合し、支援・抗議行動に立とう。

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週刊『前進』(2214号3面5)(2005/09/19)

 東北大有朋寮“強制執行阻止へ闘う” 全国学生は9・17に結集を

東北大有朋寮から強制執行阻止へ向けた闘いのアピールが発せられたので要旨を紹介します。(編集局)
 全国の学生のみなさん! 私たちが住んでいる有朋寮は、9月1日に出された判決によって、強制執行が明日にも狙われているような状況です。全国からたくさんの学生が駆けつけてくれています。有朋寮生と支援の学生は、暴力的たたき出しの脅しにも負けず、真っ向勝負で迎え撃つ決意です。その決意と団結した行動で、権力・暴力をはねのけて日一日と有朋寮を守り抜いています!
 有朋寮は訴えます。全国から、すべてを投げ打って有朋寮に駆けつけて欲しい。ともに闘いに立ち上がって欲しい!
●「構造改革」「大学改革」の先に学生の未来はない!
 「大学改革」、国立大の法人化を巡って何が起きているか? それらは青年・学生の未来を切り開くものとなっているだろうか?
 今の社会で働く者、とりわけ青年労働者は、仕事もなく自信を失って悩み、または朝から夜中まで徹底的に働かされ疲れ果てているような状況です。他方で戦争が始まって、自衛隊は戦地へ。小泉「構造改革」でこうした「痛み」に耐えれば矛盾が解決されるように言われているが、本当にそうだろうか? 僕が訴えたいことは、小泉や東北大の吉本執行部は「構造改革」「大学改革」で一層こうした矛盾を拡大し、戦争と弱肉強食の暗黒の社会を青年・学生の未来に用意しようとしているということです。
 有朋寮をつぶして学生が団結して要求することすら許さない、無期停学処分を大学に従うまで続けていく、吉本執行部はまさに大学で「学生を飼い馴(な)らす」ために有朋寮の廃寮を進めてきたのです。「学生を飼い馴らす」が「大学改革」の核心です。日本経団連の奥田は「労働者の賃金は発展途上国並みでいい」「逆らわないような労働者を学校で作れ」と主張しているではありませんか! 東北大では「教育が評価される、研究が評価される、あなたは生き残れるか」と題したパンフレットが研究室に配布され、企業からの評価を巡って競争しろ、隣の仲間を蹴落とせと激しくあおられています。その中で工学部の教員が過労とプレッシャーで命を奪われました。ここまでの過酷な労働を強制したのは、声も上げられない大学の独裁的支配、教授会自治が「飼い馴らされた」現状です。
 教育を巡っては「国のために命を投げ出す日本人を作れ」などと言われ、「日の丸・君が代」強制・処分、または戦争を賛美する「つくる会」教科書まで登場しています。吉本執行部は今年の入学式から「つくる会」教科書を賛美し「愛国心」をあおる発言を繰り返しています。若者の戦争動員、9条改憲の攻撃が学校から始まっているのではないでしょうか? 「大学改革」「教育改革」とは教育から社会全体を弱肉強食と戦争の社会へひっくり返す攻撃なのです。
●屈伏か、それとも団結か
 こうした中で最も許してはならないこと、それは人間同士の絆(きずな)・団結の破壊です。「勝ち組・負け組」などと言われて競争させられ、「隣にいる仲間を裏切り蹴落とせ、そうしないと生き残れないぞ」というような教育の在り方、社会の在り方は全く間違っている! 団結して闘い、こうした在り方を変えていくことができると教えてくれたのが有朋寮だと思います。有朋寮の4年間におよぶ闘いは、こうした団結・共同性の砦(とりで)としての自治寮をつぶすこととの闘いでした。実際激しい団結破壊、無慈悲な寮生の絆を引きちぎる攻撃が加えられてきました。
 ある仲間は、「有朋寮に住んでいては奨学金の推薦が出せない」と脅され寮から出て行きました。「有朋寮は一番笑顔でいられる場所」と語り、最も献身的に寮運営にかかわってきた寮生でした。貧乏人の弱みに付け込んで人間同士の絆・団結を引きちぎっていく、こんな非人間的な大学当局・吉本執行部を絶対に許すことができない。
 何より、最大の攻撃は、02年度入寮生・古郡陸君に対する無期停学処分です。大学当局はたった一人に攻撃を集中し、「寮生の運動のために一年生の人生を台無しにするのか」と何度も罵声(ばせい)を浴びせました。しかし、「人生を台無しにしよう」としているのは処分を下す大学当局ではないか? 一人への攻撃を寮生全員の闘いで跳ね返す決意で闘いに立ち上がり、私たち有朋寮は団結を守り抜いてきたのです。
●有朋寮は小泉・吉本学長に宣戦を布告する
 有朋寮の廃寮の理由である「老朽化」とは数値改ざんに基づく全くのデマであることがはっきりしています。嘘(うそ)まで付いての廃寮を大学当局は「寮生の身体・生命の安全のため」と廃寮を強行してきたのです。そして今、暴力的な廃寮に手を染めようとしている。どこが「寮生のため」か!? 人間として、こんな廃寮にどうして従うことができるのだろうか!
 「君は生き残れるか」に対して、はっきりと答えよう。なんとしても生き残ってやろう! しかしそれは他人を蹴落として生き残ったり、他国の人を戦争で殺して生き残っていくということではない。仲間とともに団結し、隣の国の民衆と手をつなぎ、小泉を倒す、腐りきった社会をひっくり返す、そして人間らしく生きていく。有朋寮は、すべてのみなさんに、特に未来を担う若者、学生に訴える。今こそ立ち上がるときだ! こんな「改革」は粉々に打ち砕くときだ! 有朋寮は「構造改革」を打ち破ることこそ人間らしい生き方であることを、闘いによって明らかにする。都立高校の教育労働者が「日の丸・君が代」の強制に対して人生をかけて闘い、私たち青年・学生を感動させた。有朋寮の闘いも、労働者・学生の巨大な闘いの突破口として、歴史を動かすものになると確信する。
 全国の学生のみなさん! あなたの力がどうしても必要だ。全国から有朋寮に駆けつけ、歴史を動かすような闘いをしよう! 有朋寮の廃寮を止めよう!
2005年9月9日
有朋寮委員長 織田陽介
  *   *
強制執行阻止! 有朋寮廃寮を許すな!
9・17全国集会
9月17日(土)13時30分
東北大学有朋寮(仙台市太白区鹿野2−19−5)
022−247−4669
【メール】
ufo-ryou090@hotmail.com
【ホームページ】
http://uforyou.exblog.jp

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週刊『前進』(2214号3面6)(2005/09/19)

 全学連第65回大会に結集しよう

 全日本学生自治会総連合中央執行委員会

 

全学連が第65回定期全国大会(要項1面)の招請状を発したので紹介します。(編集局)
 全国の学友のみなさん! 全学連はきたる9月23日〜25日、東京都内において第65回定期全国大会を開催します。全国のすべての学友が全学連大会に結集されんことを訴えます。
 今回の全学連大会は、第1に、11月6日に開催される日米韓国際連帯の全国労働者総決起集会1万人の大結集―全国学生1000人の大結集に向けた総決起大会だ。小泉の解散・総選挙の大反動、国家主義・ナショナリズムの煽動、戦争と民営化・労組破壊の大攻撃に危機感と怒りを抱くすべての学友は、ぜひとも全学連大会に結集してほしい。そして、小泉「改革」と真っ向から対決して、11・6労働者集会への全国学生1000人結集に向けて大学キャンパスを激しく揺るがす闘いをやっていこう。
 小泉は解散・総選挙で自民党をつくりかえ、戦争と民営化・労組破壊の大攻撃を一気に強行しようとしている。「改革を止めるな」「郵政がなぜ公務員でなければならないのか」「改革を阻んでいるのは教員や公務員の労働組合だ」といった小泉・自民党のキャンペーンは絶対に許せない。小泉は郵政民営化による全逓労働運動の破壊・解体を突破口に自治労・日教組などの公務員労働運動のすべてを破壊して、労働者の階級意識・階級的団結を一掃しようとしているのだ。これは「日の丸・君が代」強制、「つくる会」教科書、靖国神社参拝と一体であり、帝国主義的国家主義・ナショナリズムで労働者・学生・人民を制圧し、国家・資本の奴隷として徹底的にこき使い、北朝鮮・中国侵略戦争に総動員していく大攻撃なのだ。
 今われわれ以外のあらゆる勢力が、この日帝・小泉の大攻撃の激しさの前に屈服し、闘いを放棄し、いっそうの転向を深めている。しかし問題は、一握りの支配階級=資本家階級による絶望的な侵略戦争・世界戦争への突入に屈服し加担するのか、それとも労働者階級の階級的=国際主義的団結で帝国主義を打倒し、労働者を主人公とする新たな社会の建設へと突き進むのかということだ。今やすべての労働者が学生が、11・6労働者集会に結集し、小泉打倒・帝国主義打倒の闘いに立つ以外に生きていけない時代に突入しているのだ。
 05年前半の「日の丸・君が代」強制拒否の教育労働者の闘い、「つくる会」教科書採択阻止の杉並決戦=7月都議会議員選挙決戦、動労千葉の安全運動行動への総決起は、階級闘争の分岐・再編をつくり出し、小泉=奥田の戦争と民営化攻撃に怒り、連合・全労連の支配に怒る労働者階級の新たな結集軸をつくり出している。全学連大会を突破口に、この開始された階級闘争の分岐・再編を職場・地域・街頭・大学キャンパスでさらに激しく促進し、11・6労働者集会への1万人結集―全国学生1000人結集を何としても実現していこう。
 第2に、11・6労働者集会1万人大結集に向かって、米日帝国主義の北朝鮮・中国侵略戦争の切迫、国家主義・ナショナリズムの煽動と真っ向から対決し、小泉打倒・帝国主義打倒の反戦闘争・政治闘争の大爆発をかちとっていこう。
 まず小泉の解散・総選挙の大反動と真っ向から対決し、特別国会・臨時国会の冒頭に小泉打倒の国会デモをたたきつけよう。05年前半戦の地平を引き継いで、東京・杉並での「つくる会」歴史教科書採択を撤回させる大闘争を爆発させよう。米軍トランスフォーメーションと対決し、沖縄・名護新基地建設阻止、沖縄米軍基地撤去の闘いに立ちあがろう。さらに成田空港暫定滑走路の北側延伸を三里塚現地闘争への大結集でうち破ろう。北富士闘争はじめ全国の反戦・反基地闘争に決起しよう。自民党新憲法案攻撃、「憲法改正国民投票法案」攻撃と対決し、陸・海・空・港湾20労組を中心とした教基法改悪阻止・憲法改悪阻止の大統一戦線の発展をかちとろう。労働運動・学生運動などへの治安弾圧攻撃と対決し、現代の治安維持法=共謀罪新設攻撃を粉砕しよう。闘う被抑圧民族人民、被差別人民と連帯し、入管闘争・部落解放闘争・「障害者」解放闘争・女性解放闘争など排外主義・差別主義との闘いに立ちあがろう。
 第3に、11・6労働者集会への全国学生1000人結集を切り開く決定的闘いとして、東北大有朋寮決戦・法政大決戦に全力で勝ちぬき、小泉=奥田の「大学改革」攻撃と真っ向から対決する大学闘争を大爆発させていこう。
 何よりも闘う有朋寮生・東北大生とともに、有朋寮つぶしの仙台地裁判決を粉砕し、有朋寮死守の大闘争に総決起することだ。有朋寮廃寮化阻止の決戦は、小泉の「戦争と民営化」攻撃、大学「改革」・大学の侵略拠点化攻撃との最先端の激突だ。全国学生運動の存亡をかけた大決戦だ。全国から有朋寮にかけつけ、有朋寮を守りぬこう。法政大学生運動の大爆発をかちとり、法政大の反動理事を打倒し、全サークルへの部室完全保障の実現をかちとろう。ファシスト石原による都立4大学廃止=首都大学東京開校、富山大学の統廃合、九州大のキャンパス移転など全国で吹き荒れる大学「改革」攻撃と対決し、11・6労働者集会への全国学生の大結集をかちとろう。
 第4に、全国のすべての学生自治会・寮自治会・サークル団体に11・6労働者集会への賛同・結集を呼びかけ、戦争と民営化攻撃と闘う学生自治会の発展・建設をかちとっていこう。社研運動を中心にマルクス主義=労働者階級自己解放の思想を全国大学に拡げていこう。
 第5に、11・6に向かってその最先頭で闘う全学連の新たな執行部を今大会でつくりだしていこう。
 何より全国大学の闘う1年生・2年生の全学連大会への参加・結集を心より訴えます。ともに全学連大会の成功をかちとり、11・6全国学生1000人の大結集を実現し、学生運動の新時代を切り開いていこう。

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全学連第65回定期全国大会

 ・期日 9月23日(金)〜25日(日)
   23日(金)午前=議案提起 午後=大学報告
   24日(土)午前=大学報告 午後=分科会
   25日(日)午前・午後=討論・新役員選出など
 ・会場 9月23、24日 文京区民センター
      (東京都文京区本郷4―15、地下鉄「春日駅」下車)
     9月25日 月島区民館
      (中央区月島2―8―11、地下鉄「月島駅」下車)
 ・主催 全日本学生自治会総連合(委員長 大山尚行)
         ホームページ=http://www.zengakuren.jp/

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週刊『前進』(2214号4面1)(2005/09/19)

 アメリカ階級闘争が総反撃へ

 ノースウエスト整備士スト 指導部の裏切り許さず貫徹

 村上和幸

 9月24日、アメリカの反戦運動諸団体が分裂と対立をのりこえて大同団結し、全米大結集闘争を行う。03年の闘いを上回る巨大で戦闘的な労働者階級人民の闘いが始まろうとしている。ハリケーンをめぐる労働者人民の支配階級への怒りが沸騰している。この被災をもたらした戦争と民営化・規制緩和との闘いの結集軸は、全米でもっとも戦闘的階級的な労働組合ILWUローカル10(国際港湾倉庫労組第10支部)であり、それが全力で連帯しているノースウェスト航空ストだ。

 80年代レーガン以来の大反動が破産した

 9・24に全米大結集で反戦闘争

 イラクで戦死した米兵の母、シンディー・シーハンさんのブッシュに面会を求める闘いは、「一日たりとも、戦争・占領を続けることは許せない」という切実な思いを共有する闘いの渦を作り出している。シーハンさんから逃げ回るブッシュの姿は、この戦争の不正義性と米支配階級の危機をあらためて全アメリカ国民に突きつけた。9・24全米結集闘争は、反戦運動の歴史を画する闘争となろうとしている。
 そして今、80年代のレーガン政権以来の民営化・規制緩和攻撃が決定的に行き詰まった。民営化・規制緩和攻撃の破産が満天下にさらけ出されている。
 ハリケーンの甚大な被害は、いわゆる「市場原理」主義がもたらした社会的インフラストラクチャーの荒廃と労働者人民の貧困化、そしてイラク侵略戦争への極限的な社会資源の集中の結果を突きつけた。80年代以来の民営化・規制緩和への全人民的規模での怒りが爆発し、本格的な階級意識の覚醒(かくせい)が始まっている。
 すでにそれ以前に、生活破壊を強制され続けてきたアメリカ労働者階級人民の怒りは限界をはるかに超えていた。7月のAFL−CIOの分裂も、現場労働者の決起を労組官僚たちがもう抑えきれなくなってきていることの結果だ。
 この戦時下で労働者階級の反転攻勢の時代がついに始まった。帝国主義世界体制の基軸国で世界史的な転換が切り開かれつつある。

 “ピケを越えろ”とスト破り指令

 ノースウェスト航空は、航空整備士組合(AMFA)に対し、4400人の労働者のうち半数の解雇、26%の賃下げ、医療費労働者負担の大幅引上げ、年金の確定給付型から確定拠出型(不確定給付型)への移行などを突きつけてきた。
 すでに98年に半数の解雇が強行された。さらに半数を解雇することなど、組合として受け入れられるはずがない。だが経営側は、受け入れなければロックアウトだと通告した。
 経営側は予め1000人以上のスト破り用の代替要員を雇い入れ、1年以上も航空機整備の技術訓練を行うなどの準備をしてきた。
 これらは、単に労働者に譲歩を強いて搾取を強化する攻撃ではない。労働組合の存在そのものを絶滅し、組合なしの会社を作ることが狙いだ。
 AMFAは、ストで反撃することを決定した。だが、他の航空関連諸労組は、AMFAのストに対して、「ピケットラインを越えろ」という指令を出した。AMFAのストを無視して飛行機の平常運行をやれと、パイロットや客室乗務員に指令したのだ。
 機械工労組(IAM)に至っては、平常業務をするだけでなく、今までAMFAの労働者が行っていた仕事をも引き受けろという指令を出した。スト破りそのものであり、労働組合にあるまじき犯罪だ。
 AMFAへの攻撃は、1981年にレーガン政権がPATCO(航空管制官組合)を破壊した時以来の大攻撃だ。その時の経験からも、この大攻撃には全労働者が団結して反撃することが不可欠であることは明らかだ。AMFAの破壊を許すなら、他の労組も次々に同様の手法で破壊されていってしまう。
 しかし、AFL−CIOと7月にそこから分裂した「勝利のための変革連合」は、AMFAの闘いを支持しないとわざわざ表明している。この労働運動の生死をかけた激突の中で、AFL−CIOも「連合」も労働者を裏切る組織であることが暴露されたのだ。

 現場が既成労組の枠を越えて団結し反乱

 だが、現場の組合員たちは、組合の枠を越え、こうした指導部の統制をうち破って決起しだした。
 「8月21日のデトロイトのピケットラインは多くの乗客と他の航空会社職員に激励された。他社の整備士が100j小切手をカンパした。ノースウェスト社の職員も、客室乗務員たちがピケ隊にピザを差し入れた」(地元商業紙『デトロイト・ニュース』、8月22日号)
 決定的なことは、22日、客室乗務員労組(PFAA)の組合員、ペギー・ルビンスキさんがピケットラインを越えることを拒否し、ピケットラインにともに立ったことだ。彼女は、そのために解雇攻撃を受けたが、首をかけて決断した。
 「これは労働者の連帯の問題です。そして、安全問題でもあります。私たちは、一夜漬けで整備士の資格をとった人たちの整備で飛行機に乗れと言われています。これで飛ぶのは怖い。私は、彼らの整備では搭乗しません」
 彼女の決起に一般組合員が圧倒的な共感を寄せたため、PFAAは解雇撤回要求を掲げざるをえなくなった。そして、8月27日にミネアポリス空港で開かれたスト支援集会には、多くのPFAA組合員の参加がかちとられた。
 「客室乗務員には、ピケットラインを越えないよう呼びかけます。PFAAは、ピケを越えろなどと言うことはできないはずです。アジア太平洋地域から客室乗務員を数千人も導入しようとしています。みんなピケに立つべきです。私たちもAMFAへの攻撃とまったく同じことをやられようとしています」(ペギー・ルビンスキ)
 集会には、PFAA、IAM、チームスターズ(陸運などの労組)、全米自動車労組(UAW)、サービス従業員国際労組(SEIU)などから多くの組合員が参加した。すべて労組本部の統制をけやぶっての結集だ。AFL−CIOが敵対する中で、ミネソタ州のAFL−CIO組織の重要な一角を占める鉄鋼労組第11地区協のフォスター議長が結集して発言したことは、このストライキの影響力の大きさを示している。
 ミネアポリス空港の荷物係の組合(IAM所属)の元支部長は、「AMFAの闘いは、労働運動のゲティスバーグ〔南北戦争の決戦場〕だ。私の支部では50人がピケを越えることを拒否している」と発言した。
 地元AMFAローカル33のテッド・ルードビック委員長は、1934年のミネアポリスのゼネストについてのファーレル・ドブスの言葉の引用から語り始めた。
 「怒りの薪は積み上げられている。どんな火花でも火が着く。炎は急速に広がっていく」
 ドブスは、34年のゼネストを指導したトロツキストだ。現在、現場の指導者が30年代の闘いの教訓を意識した発言をしているのだ。
 大恐慌下の30年代、アメリカ労働者階級は大激闘の中で労使協調的なAFL(アメリカ労働総同盟)をのりこえる戦闘的な労働組合組織、CIO(産業別労働組合会議)を形成し、疾風怒涛(どとう)の勢いで自動車、鉄鋼などの基幹産業に巨大な労働組合を建設していった。だが、米共産党スターリン主義の裏切りによって、民主党ルーズベルトへの協力、第2次大戦への協力に運動がねじまげられていった。
 大戦後は、戦後革命的な高揚にもかかわらず、レッドパージへの米共産党の屈服によって、労働組合から共産党員、トロツキストが追放され、CIOからILWU(国際港湾倉庫労組)などが除名された。そして1955年にCIOはAFLに吸収合併されてAFL−CIOが形成されていった。こうしてAFL−CIOの資本主義護持・反共の帝国主義労働運動がアメリカ労働運動の主流を圧倒的に制圧したことによって、戦後アメリカ帝国主義の国内支配も戦争に次ぐ戦争を展開した世界支配も成立しえた。
 現在、アメリカの労働運動は、この歴史的敗北をのりこえようとしている。

 ILWUローカル10が支援の軸

 AFL−CIO中央、「勝利のための変革連合」と両者の傘下のあらゆる既成勢力が連帯を拒否し、闘争から逃亡している中で、AMFAの闘いを自分自身の闘いとして真っ先に決起したのがILWUローカル10(第10支部、サンフランシスコ)であった。
 8月18日のILWUローカル10組合員総会には、AMFAローカル9(AMFAサンフランシスコ空港支部)の執行部と組合員多数が招かれた。
 「最近のAFL−CIOの分裂で、アメリカ労働組合運動は決定的な分岐点に立っている。労働運動が自分たちの誤りから学んで、それを行動で示さない限り、誤りは繰り返される。今、われわれはPATCOに酷似したストに直面している。……AMFAはAFL−CIOにも勝利のための変革連合にも入っていないが、問題は労働者が経営側に対して自分たちの権利のために立ち上がっていることだ。すべての組織労働者が彼らとともに立つのか、それとも再びPATCOように闘いが歪曲され敗北させられ、それがもたらす悲惨な結果に直面するのかということだ。1人への攻撃は、皆への攻撃だ」(トレント・ウィリス委員長)
 これを受けてILWU本部のスピノザ委員長もAMFAに連帯声明を送った。ILWUの全支部、組合員に対しては、「ブッシュ政権が2002年に仕掛けてきたILWU破壊攻撃と同じ攻撃であるから、ILWU自身の闘いであるように闘おう。この闘いをしている労働者を全力で支援せよ」と指令した。
 ILWUは全米、全世界の労働者階級に団結を呼びかける働きかけを行った。こうしてサンフランシスコ近くのアラメダ郡労組評議会(AFL−CIOの地区連合組織)の支持決議がかちとられた。
 UAW(全米自動車労組)ローカル2244の組合員総会でも支持決議が上げられ、組合員が空港のピケットラインに参加している。この組合は、NUMMI(GMとトヨタの合弁企業)の労組破壊的な譲歩要求に対する反撃闘争に8月初旬に勝利した組合だ。
 国際的連帯も広がっている。動労千葉はAMFAへ支援声明を送りともに闘うことを誓った。オランダに本部を置く航空整備士インターナショナルも支援している。

 民営化・規制緩和の原点を覆す大闘争へ

 もともと航空業界は、民営化・規制緩和攻撃の最先端に位置付けられてきた。
 【日本で1985年から本格的に開始された「規制緩和・競争促進政策」も、アメリカとの対抗のために、その政策をモデルに作られた。労組破壊攻撃が激化し、飛行間点検の1名化、定例整備の海外委託など多くの改悪が行われた】
 1981年のPATCOへのレーガン政権の攻撃こそ、民営化・規制緩和とは何なのかを示している。
 PATCOは、レーガンとカーターの選挙戦の時には共和党レーガンを支持していた右派組合だった。だが、カーター政権下ですでに始まっていた航空規制緩和による労働強化で、命にかかわる緊張をしいられる航空管制職場では、病気になる労働者、過労死する労働者が続出した。そこでやむにやまれずに決起した労働者を、レーガンは「違法なスト」を理由に大量逮捕した。スト参加者を全員解雇し、他の職場への再就職さえ徹底的に妨害した。食料を買う金もなくなった被解雇者は、食料キップ(貧困者が無料で食料を配布される制度)さえ受給することを妨害された。
 この極悪非道な労組破壊、生活破壊が、その後のアメリカ階級闘争の力関係を決めた。以後、アメリカの資本家は不当労働行為をしても裁判に持ち込めば必ず裁判官が守ってくれるとして、野放図な組合破壊を強行するようになった。ユニオン・バスター(労組つぶし屋)という労組破壊・労組結成妨害専門のコンサルタント会社が空前の繁栄を誇るようになった。
 既成労組官僚は、「闘えばPATCOのようになる」を合言葉にして大幅賃下げ、大量解雇を次々に受け入れていった。労組が率先して労働条件切り下げを受け入れるコンセッションバーゲニング(譲歩交渉)が横行していった。
 こうした状況の中で、ランク・アンド・ファイル(現場、一般組合員)の労働者は必死の抵抗を組織していった。【前進社刊『国際労働運動の新時代』241n以下参照】
 このような資本攻勢に対する既成労働運動の無力さの露呈とランク・アンド・ファイルの闘いの広がりによって、AFL−CIO指導部は従来のあり方のままではやっていけなくなった。そこで登場したのがスウィーニー執行部だ。
 スウィーニーは、既成大労組の委員長で、労組官僚の一員だ。だが、彼の組合SEIUは、アメリカ経済のサービス産業化の中で新たに拡大してきたいわば新興勢力であり、新移民などの労働者階級の下層を多く組織している。そうしたことから、スウィーニーは非白人や女性の要求を取り入れ社会的差別と対決し、ランク・アンド・ファイルの労働運動改革の要求を代表する装いをとって登場したのだ。
 現実には、SEIUの中でランク・アンド・ファイルの闘いの高揚を激しく抑圧してきたのがスウィーニーだった。「トラスティーシップ」(支部役員からの支部執行権のはく奪、本部による支部の接収と直轄管理)などで強権的に支配してきたのだ。またスウィーニーは、アメリカ帝国主義の侵略を常に支持してきた根っからの帝国主義労働運動派なのだ。
 だがスウィーニーは、従来のむき出しの右派労働運動とは違う斬新な改革派であるかのように装わねばならなかった。だから、スウィーニー執行部の登場は、AFL−CIOの反動的統制力を弱め、ランク・アンド・ファイル活動家を勢いづかせる結果になった。
 1997年には、チームスターズの既成指導部から執行部を奪った新潮流がUPS(世界最大の小荷物会社)での大ストライキ闘争に勝利した。1999年には、シアトルでWTO(世界貿易機関)会議が、多数の労働組合員と左翼活動家のデモによって事実上粉砕された。AFL−CIO執行部は、労働者の怒りを保護貿易主義、排外主義にねじ曲げる狙いで組合員をWTO闘争に動員したが、組合員はその思惑をのりこえて左翼活動家の闘いと合流し、戦闘化していったのだ。
 そして、2001年9・11以後、AFL−CIO執行部の「反テロ戦争」支持をのりこえて反戦闘争が爆発していった。AFL−CIO執行部は、侵略戦争支持を続けながらも、大きな声で戦争支持を言うことができないという力関係が形成されていった。
 今年7月のAFL−CIOの分裂は、スウィーニー執行部のやり方では、ランク・アンド・ファイルの決起を抑えつけることができなくなった現実から発生したものだ。
 この分裂から1カ月もたたずに両派ともAMFAのストに敵対したことで、両派労組官僚の反動的な本質が労働者階級の前に暴露された。
 既成指導部を打倒して階級的労働運動を形成するために奮闘しているアメリカの新潮流運動は、かつてないチャンスを手にした。
 9・24反戦闘争、ハリケーン被災者闘争、ノースウェスト闘争は、生きるための必死の闘いであり、労働者自身が主役となる新しい運動、新しい社会を切り開く闘いだ。
 闘うアメリカ、韓国、全世界の労働者人民と連帯し、11月6日の労働者国際連帯集会への1万人結集をかちとろう。

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週刊『前進』(2214号4面2)(2005/09/19)

 史上最悪の米ハリケーン被害 戦争と民営化が元凶

 ブッシュ政権に怒り高まる

 8月29日に米南部に上陸したハリケーン「カトリーナ」は、米国史上最大の被害をもたらした。被災地域は9万平方マイル(約23万3000平方`)で日本の本州に匹敵する。犠牲者数は、米史上最大のハリケーン被害を出した1900年のガルベストン(死者数6千〜1万2千人)に匹敵する恐れがある。ルイジアナ州ニューオーリンズ市のネーギン市長は5日、同市の死者数だけで「1万人というのもありえない数字ではない」と述べた。

 貧困と人種差別と大災害

 これはアメリカ帝国主義の戦争と民営化攻撃がもたらした大災害だ。イラク侵略戦争で5万人ものイラク人民を虐殺してきた米帝ブッシュが、今度は1万人とも想定されるアメリカの労働者人民を殺したのだ。
 民営化・規制緩和が黒人に対する人種差別と結合して、労働者階級の貧困化と大災害による死をもたらした。
 ルイジアナ州最大の都市であるニューオーリンズは運河の堤防の決壊で、市の8割が水没し、90%の市民が被災した。市民の命綱である運河の管理も民営化され、堤防の決壊が予想されていたにもかかわらず、治水関連予算が削られていた。交通手段もすべて民営化され、8月28日に避難命令が出されても、車を持たない人びとはとり残された。民営化の行きつく先は、JR尼崎事故であり、アメリカのハリケーン大災害なのだ。
 これは自然災害ではなく階級的な災害である。”ハリケーンで生き残った者と死んだ者との違いは、貧しさと肌の色だ”との抗議がわき起こっている。
 ニューオーリンズはメキシコ湾に通じる河川交通の要衝として栄え、19世紀には米国最大の奴隷市場があった。ニューオーリンズの人口約48万人の3分の2を黒人が占め、その28%は法定貧困レベル以下の生活をしているといわれる。
 ルイジアナを始め南部など23州には「働く権利法」という州法がある。労働組合は”組合外で働く権利を奪う”ものという同法のイデオロギーによって労組の破壊が強行され、地域の生活水準が下げられている。さらに、この間の民営化攻撃が貧富の差を拡大した。車や宿泊代を持たない貧困層の人びとが、災害に見舞われるとわかっていながら逃げ出せずに被災し、犠牲となったのだ。
 今回のようなハリケーン災害について、米連邦政府や州政府は少なくとも5年前から想定していた。堤防が決壊し100万人に被害が及ぶ可能性も、車を持たない貧困層や高齢者など約10万人は事前勧告しても避難が難しいことも指摘されていた。ニューオーリンズの地元紙は3年前、数千人規模が犠牲となる大災害が起きるのは「まさに時間の問題だ」と警告していた。

 イラク戦費で治水予算削減

 ところがブッシュ政権は、「対テロ政策」やイラク戦争の資金をねん出するために南部湾岸地域のハリケーン対策予算を削減した。現地では2001年以降、堤防強化のため4億9600万jの予算を求めたが、ブッシュ政権は1億6600万jにまで圧縮した。ブッシュ政権下での5年分の堤防強化予算が、イラクを軍事占領する米軍経費のわずか1日分にも満たない! アメリカの軍事費は2005年度だけで約5000億jだ。被災したニューオーリンズの男性は「イラクの戦争に使っているお金のほんの一部でも治水対策に回していれば、こんな惨事は回避できたのではないか」と述べているが、まさにそのとおりなのだ。
 しかも、その多くが地元の警察官や消防士でもあるルイジアナの州兵は、その3分の1にあたる約3千人がイラク侵略戦争に駆り出されていた。ブッシュ政権の労働者人民の命や人権の軽視、黒人に対する差別意識に加えて、州兵までを総動員したイラク侵略戦争が災害救助活動の遅れをもたらしたのだ。
 今回ブッシュ政権が災害救助を始めるのに4、5日間も要したことに、人民の怒りが高まっている。何万人もの人びとが自宅の屋根などにとり残されたまま放置された。救助を待ちながら亡くなった人びともいた。避難場所に指定され、2万5千人が集まってきたコンベンションセンターにさえ水や食料が一切なく、多くの高齢者、幼児が脱水症などで次々と死亡した。「貧しい黒人は死んでもいいのか」という声が、メディアに殺到している。
 マスコミが、被災した黒人を「略奪者」扱いし、政府が黒人を弾圧の対象として扱っていることにも怒りが高まっている。略奪者は誰か。ブッシュ政権と結びついて民営化で大災害の原因をつくり、戦争と災害でボロ儲けを企んでいるハリバートンや石油会社の資本家どもではないのか!
 人民のごうごうたる批判の中で、ブッシュ政権はその後、5万8千人の軍隊を投入した。ブッシュ政権は”違法行為を行う者は直ちに射殺しろ”と兵士に命じ、「災害救助」と称して治安対策を優先した「軍事作戦」を行っている。
 この大災害は、ブッシュ政権に対するアメリカの労働者階級人民の根底的な怒りを解き放った。アメリカの階級情勢は大流動化し、イラク侵略戦争の泥沼化で政治的経済的な危機にあえぐブッシュ政権はさらに決定的な危機を深めている。
 郵政民営化を始めとする日帝・小泉の戦争と民営化(労組破壊)攻撃と対決し、米韓の労働者階級と連帯し、11・6労働者国際連帯集会を大成功させよう。

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週刊『前進』(2214号4面3)(2005/09/19)

日誌'05 8月30日〜9月6日

 概算要求、MDに1500億円

 バクダッドで1千人が死亡

●「北朝鮮に核兵器」明記 米国務省は、核不拡散条約(NPT)に関する議会への報告書を約2年ぶりに発表し、北朝鮮の核問題について「核兵器を保有、製造し、この分野で(外国からの)支援を受けている」と初めて明記した。イランについてもNPTが定めた義務に違反していると指摘した。それぞれ兵器の保有や開発を裏付ける「決定的な証拠」は示していない。(30日)
●バグダッドで約1千人死亡 イラクのバグダッド北部で、祭礼に集まっていたイスラム教シーア派の巡礼者の間で「自爆テロが起きる」との警官の発言でパニックとなり、圧死や川に落ちるなどして多数の死者が出た。死者は1千人以上に上った。(31日)
●06年度予算概算要求 財務省は06年度予算の概算要求を締め切り、予算編成へ向けた査定作業をスタートさせた。今年度比約3兆円増の85兆2700億円。防衛庁の概算要求は、今年度比1・2%増の4兆8857億円。ミサイル防衛(MD)の整備には過去最高の1500億円計上した。(31日)
●国民保護法、鉄道・ダム対策通知 政府は国民保護法に関し、電気や鉄道、ダムなど「生活関連等施設」の管理者が、武力攻撃事態などに備えて取り組むべき事項をまとめ、全国の都道府県に通知した。各自治体はこの通知を踏まえ、指導する。水道事業者に水源の監視強化を、鉄道や空港施設には利用者の避難経路の確保を求めた。(31日)
●嘉手納騒音100デシベル超が月49回 米軍嘉手納基地の滑走路に最も近い嘉手納町屋良地区の8月の月間騒音で、100デシベル(電車通過時の線路脇の音に相当)を超える騒音が前月比2・5倍の49回に達していることが分かった。町は「記録的な多さ」とし、米国から一時移駐しているF15戦闘機などが主な発生源と分析している。(1日)
●女川原発で最大想定を上回る揺れ 東北電力は、8月16日の宮城県沖地震で自動停止した女川原発(同県女川町、石巻市)で、耐震設計上の最大想定を上回る揺れが一部にあったと発表した。(2日)
●施設局が辺野古のやぐらを撤去 名護市辺野古のボーリング調査で、那覇防衛施設局は、掘削ポイントとなる単管やぐら4基全部を台風対策のため、撤去する作業に入った。施設局は「再設置は、台風シーズンであることを考慮し、状況を見極めながら適切に判断する」とコメントしている。(2日)
●米軍16機が未明に離陸 8月下旬から1カ月間、米軍嘉手納基地に移駐していた米アイダホ州マウンテンホーム空軍基地のF15E戦闘機やKC10空中給油機など計16機が帰還のため、午前4時から約1時間かけて同基地を離陸、民間地域に激しい騒音をとどろかせた。(3日)
●米ハリケーン災害で自衛隊派兵の用意 防衛庁の守屋事務次官が、米国のハリケーン災害に関し、国際緊急援助隊派遣法に基づき自衛隊を派遣する用意があると米側に伝えたことを明らかにした。(5日)
●韓国、イラク派兵縮小検討 韓国政府が、イラクに派遣している韓国軍部隊約3200人のうち1千人を撤退させ、規模を縮小することを検討していると韓国の通信社の聯合ニュースが伝えた。韓国は米国、英国に次ぐ大規模な部隊を派遣している。(6日)
●イラク派兵、延長なら東部方面隊 防衛庁は12月に期限切れを迎える自衛隊のイラク派兵が延長された場合、来年1月に送り出す部隊を陸上自衛隊東部方面隊(東京都練馬区)とする方針を固め、要員選定などの準備を始めた。東部方面隊は首都防衛を理由に海外派兵の対象外とされてきたが、派兵の長期化に備え、陸自全体で対応する必要があると判断したという。(6日)

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週刊『前進』(2214号5面1)(2005/09/19)

 小泉「構造改革」路線が激成した日帝経済危機と国家財政の破綻

 体制的に破産した日帝の打倒へ

 島崎光晴

 小泉は”構造改革の結果、景気はよくなった”などと言ってきたが、まったく違う。日本の経済危機は一段と深まり、労働者人民は大変な生活苦にあえいでいる。日本経済は、97年秋に恐慌に突入して以降、一定の上昇と下降をへつつも本格的な拡大にはいたっていない。対米・対中輸出が崩れると、たちまち恐慌が再激化せざるをえない。銀行の不良債権も、莫大(ばくだい)な公的資金の投入、家計の金利収入の収奪によって縮小してはいるが、米・中の経済バブルが崩壊すれば再び悪化する。さらに、巨額の恐慌対策の結果、国債価格の暴落で大銀行・中央銀行・国家財政のすべてが吹っ飛んでしまう構図になった。以下は『現代帝国主義論U』の第T部第4章第2節の続編にあたるので、ぜひ参照してほしい。

 工業生産は91年以下の水準 輸出崩れると恐慌が再激化

 小泉政権は景気回復と称してきたが、実態は全然違う。まず、02年以降の経済浮揚の実体を名目成長率でみよう。デフレ下なので実質成長率ではなく名目成長率が実態を表す。02年度はマイナス0・7%、03年度と04年度はプラスになったもののともに0・8%で1%にも満たない。
 では、この若干の浮揚の要因は何か。
 第一に、98年以降の大銀行救済策、国債増発による景気てこ入れ策、ゼロ金利政策と金融の量的緩和政策など、史上空前の恐慌対策がベースにある。(金融については後述)

 輸出増加の8割が対中輸出分

 第二に、対米・対中輸出に牽引(けんいん)された浮揚である。03年には日本の輸出増加分の8割までが、中国向け(香港含む)輸出の増加によるものとなった。この対米・対中輸出には三つのルートがある。
 @対米輸出それ自体。米国の04年の対日貿易赤字は約752億j(8兆円強)となったが、自動車・同部品が赤字全体の62%までを占めた。トヨタなど大手5社の自動車メーカー合計で、04年には海外生産が国内生産を初めて上回ったが、その現地生産に加えて国内生産の約1000万台のうち47・2%もが輸出された。トヨタの利益は実質7割が北米市場とされる。
 A中国の日系工場で生産し対米輸出する、という迂回(うかい)輸出。日本から中国の生産拠点に部品・原材料を輸出し、中国で組み立て、最終製品を対米輸出する構図だ。ファックス機、複写機、デジカメなど電機製品が主だ。白物家電もブランド名は中国企業であっても、中核部品は日本製ということが多い。「日本の対中輸出の伸びのうち50%は米市場の拡大が寄与している」(内閣府)との試算もある。
 B中国市場自体への輸出・販売。建築用および自動車用の鋼材、家電用の化学樹脂、建設機械・工作機械・繊維機械、さらには鉄スクラップや古紙までも対中輸出が03〜04年に急増した。これがいわゆる「中国特需」だ。鉄鋼などは対中輸出の増加によって、日本国内の価格が上がるまでになった。
 第三に、03年から04年前半にかけて、デジタル家電(デジタルカメラ、薄型テレビ、DVDプレーヤー)の設備投資と国内販売の増加が、経済浮揚の一因となった。しかし、もともと市場規模が大きくないため、04年半ばにはたちまち過剰状態を迎えてしまった。04年秋にはコンパクトデジカメだけで在庫が600万台! 過剰生産されたデジタル家電の在庫調整は今も続いている。
 第四に、労働者の大リストラ・合理化・賃下げが、過去最高の企業収益をもたらしている。製造業は03年度までの10年間で、「人件費」が大部分を占める「固定費」を約1割、5兆円も削減してきた。05年3月期(04年度)決算では、全国の上場企業の連結純利益が初めて10兆円を超えた。利益が10兆円、削減した「固定費」が5兆円だから、ものすごい「人件費」の削減だ。特に連結純利益が1000億円を超えた企業は3月期に22社にのぼり(左下図参照)、その純利益合計6兆7000億円は上場企業全体の純利益の5割強を占めた。大企業は労働者を徹底搾取して最高益をあげる。これこそ小泉「構造改革」がもたらしたものだ。

 稼働率は70%台半ばにとどまる

グラフ 日本鉱工業生産指数 以上、一定の浮揚の実体と要因をみてきたが、日本経済の基底にある過剰資本状態に変わりはない。たしかに既存設備の一定の廃棄によって、製造業の生産能力はピークだった97年末に比べて約10%縮小した。しかし、製造業の稼働率は75〜76%まで上昇はしているが、80年代平均の80%超には及ばない。鉱工業生産指数(2000年=100)は、91年5月につけた103・5の山を一度も上回れないままである(左上グラフ参照。グラフは年度の指数)。バブル崩壊から15年をへて設備が一定廃棄されながらも、設備=資本の過剰状態がえんえんと続いているのだ。
 設備投資をみても、04年度の設備投資計画は昨年調査では2ケタ増だったが、下期に電機の投資が抑えられ3%増に落ちこんだ。05年度の設備投資計画も、自動車、デジタル関連素材、半導体など輸出依存部門で伸びるにとどまっている。しかも能力増強投資ではなく、設備の維持・補修・合理化が目的の投資である。
 このような状態のところに、米・中のバブル崩壊が襲いかかろうとしている。米・中バブルが崩壊すれば、日本の恐慌は再激化せざるをえない。
 まず、米経済バブルの本格的崩壊は避けられない。自動車では、大幅値引き、社員割引価格の一般消費者への適用などによって無理やり販売を増やしてきたが、ほとんど限界に近い。住宅市場も画然と投機的になっており、米銀100行の住宅担保融資残高は3154億j(約34・7兆円)と自己資本の1・5倍に達している(6月末)。一方、原油高によるインフレ懸念から政策金利が引き上げられつづけているが、国外からの資金流入によって市場金利は低位に保たれている。今後、自動車と住宅のバブルの崩壊、ドル信認の失墜と金利上昇は避けられない。この両者が相互に促進しあいながら米経済の本格的恐慌とドル暴落−世界恐慌を引き起こしていくことになる。
 中国のバブルも崩壊必至だ。インフラ、素材、不動産などで、将来の需要増を見込んだ大規模な投資が行われてきたが、今や過剰になりつつある。03年から04年にかけて、実際の需要がないにもかかわらず先行き期待から素材・半製品を前倒しして輸入する動きが広がった。仮需と言う。04年の中国の輸入額に占める仮需の割合は42%にも上ったとの試算がある。実需の2倍近くもの輸入をしていたということだ。
 現在、その反動が現れている。しかも中央政府の投資抑制策にもかかわらず、地方が投資と成長を競い合うという構図に変わりはない。7月の人民元切り上げも小幅にとどまったため、投機的マネーがさらに流入してバブルがますます膨張する可能性がある。逆に人民元を本格的に切り上げていけば、事実上の金融引き締めとなってバブルを破裂させてしまう。いずれにしろバブルは崩壊せざるをえない。

 公的資金36兆円で銀行救済 家計を収奪し不良債権半減

 この間の日本経済の最大焦点、銀行の不良債権問題はどうなったか。大銀行はバブル期に、土地を担保にして建設・不動産・流通への貸し出しを無制限に拡大した。バブル崩壊でその貸し出しが不良化し、90年代には実質100兆円もの不良債権が発生した。97年秋以降、大手銀行が次々に経営破綻(はたん)し、毎年3月決算期には株価が急落する3月危機が恒常化するまでになった。そこで02年秋、”05年3月末までに不良債権比率(貸出残高に占める不良債権の比率)を半減させる”目標を課した「金融再生プログラム」が登場した。
 この「竹中プラン」にそって不良債権処理が加速されてきた。大銀行7グループは3月末(04年度)決算で不良債権比率を2・95%にまで下げ、半減目標を達成した。7グループの不良債権合計は7兆6000億円にまで減った。また、不良債権処理とは企業債務の償却であるから、不良債権と対をなしていた企業の過剰債務も減少した。上場企業の純有利子負債は3月末に100兆円を割り、直近のピークだった98年3月期から24%減った。

 家計の利子収入2兆円台に減る

 このような不良債権比率の低下は、何よりも第一に、公的資金の投入という国家による銀行救済によって可能となった。バブル崩壊後の金融危機に対して投入された公的資金は35兆8000億円、うち銀行の資本増強に12兆円が注入された。35・8兆円のうち10・4兆円は返済されず、すでに損失が確定している。先述したように全上場企業の利益は10兆円。銀行救済に実に莫大な公的資金が使われたのだ。日本経済の根幹をなす金融資本を救済するために国家が全面的に関与した、つまり「民」の中心を「官」が総力で支えたということだ。欧米マスコミがこれを「金融社会主義」と揶揄(やゆ)するほどである。
 第二に、ゼロ金利、金融の量的緩和によって、本来なら家計の利子収入であるべき所得が企業の債務を削減するために移し替えられた。低金利によって、家計に占める利子収入は91年の38・5兆円、家計所得の10・7%から02年には4・7兆円、家計所得の1・4%にまで落ちた。04年には2兆円台まで落ちたとみられる。一方、銀行は貸出金利を下げ渋り、低金利で調達して高金利で貸し出して利ざやを稼いできた。92〜03年度の利ざやの累計は96兆円に上る。同時期の全国銀行の不良債権処理額の累計102兆円にほぼ相当する。銀行の利ざやは不良債権処理に使われたのだ。
 不良債権処理とは、企業が返済不能な債務を銀行が償却すること。つまり、本来なら家計の利子収入となるべきものを、銀行が奪って不良債権を処理し、企業は債務を免除してもらった、ということだ。銀行を仲介して家計部門から企業部門に所得が大規模に移転されたのである。小泉「構造改革」のもとで、大銀行・大企業による空前の大衆収奪が行われたのだ。
 第三に、不良債権を減らすため、中小企業から融資を無理やり回収し、取引を打ち切っている。中小企業の7割が依然として赤字のままで、「倒産予備軍」と言われる。このような中小企業を犠牲にして初めて、不良債権比率を低下させてきたのだ。

 不動産融資急増でミニバブル化

 しかし、大銀行は不良債権問題から脱出できたわけではない。@04年度の大手銀行の不動産業向けの新規融資額は前年度比15%増の8兆円強。新規融資全体に占める不動産業向けの比率は20%弱で、これはバブル期よりも比率が高い。不動産業向け貸出残高は04年末で約48兆円と、5年半ぶりに拡大に転じた。日銀には「バブル前夜の光景を見ているようだ」との声がある。このかん大都市圏で地価が下げ止まっているが、すでに新たなミニバブルが起きている。
 Aしかも、米・中のバブル崩壊となれば恐慌が再激化し、再び不良債権が大量に発生せざるをえない。
 B一方、この間の不良債権処理で大銀行は体力を消耗しきっている。架空の計算上の資本である繰り延べ税金資産が自己資本に占める比率は、三井住友とUFJで50%近くに上る。再び不良債権が発生しはじめると、対処できる力は残っていない。
 C銀行に資本注入された公的資金は3割しか返済されておらず、残高は約8・9兆円にも上る(3月末)。不良債権がまたしても増加に転じる場合、公的資金を返済できていない銀行に再び公的資金を投入できるのか。
 さらに、大銀行は国債という時限爆弾を抱えこんでいる。これは項をあらためて検討しよう。

 98年以降に国債残高が倍増 国債暴落すればすべて瓦解

 まず、98年以降の恐慌対策によって日本の国債発行残高は破滅的なまでに膨れ上がっている。04年9月の国債発行残高は587兆円。国家税収の14年分に相当する。第2次大戦末期ですら発行残高は税収の12年分だった。もはやどうあがいても、これほどの借金は返済しようがない。ここまで国債残高が膨らんだのは、98年以降の恐慌対策の結果だ。97年度末の発行残高はまだ258兆円であり、これ以降、実に2倍以上に膨らんでいる。歴代政権および小泉「構造改革」のもとで、大銀行・大企業の救済策を野放図に発動した結果、国家財政が破綻したということだ。

 実質上の日銀の引き受け96兆円

 これほどの国債大量発行は、日本の金融を一変させるものとなった。
 @銀行が企業への貸し出しを減らす一方で、国債を買いまくった。国内民間銀行の国債保有額は前年比20・7%増の77兆円(04年9月末)。銀行の資産運用残高に占める国債の割合は、98年までは5〜6%で安定していたが、04年には20%弱にまで達している。国債発行残高の約19%が銀行保有だ(04年6月末)。
 A銀行だけでなく、郵貯・簡保が国債の最大の買い手となった。郵貯の金融市場における資金運用残高は115兆円、うち国債が95兆円にも上る(同)。郵貯・簡保を合わせると国債発行残高の25・8%を占め、民間銀行を上回る。郵貯・簡保の預貯金総額に占める国債保有は55・6%(03年度末)で、半分以上が国債に運用されている。
 B銀行と郵貯・簡保だけでは大量国債は処理しきれず、実質上の日銀引き受けが行われてきた。日銀の国債保有額は96兆円で、日銀資産の3分の2を占める(04年9月末)。日銀は金融の量的緩和策を導入して以降、市場に資金を供給する手段として長期国債の買い入れを増やしてきた。年間14・4兆円もの長期国債を市場から吸収している。新規発行国債の約4割を日銀が買い上げている計算だ。さらに日銀が購入した国債が満期を迎えた場合、短期国債を発行して満期を延期している。「乗り換え」と言われる。05年度の乗り換え額は6・8兆円で、05年度の国債発行増加分の4割に当たる。実質的な日銀引き受けにほかならない。

 金利1%上昇で銀行損失10兆円 

 こうした国債大量発行は今や、二つの面で日本経済を破壊しかねないまでになっている。
 一つは、国債の償還期を迎えて、国債が市場で消化しきれない危機だ。90年代後半に大量発行された10年物国債が満期を迎え、とくに05年度、08年度の償還はケタ外れに多い。満期を迎えた国債は、借換債の発行でまかなわれる。”借金を返すための借金”だ。借換債は05年度に100兆円超、08年度は130兆円超にもなる。05年度は新規国債を加えると市中消化額が120兆円と、過去最高になる。一般会計予算の1・5倍もの額だ。
 この国債消化のために政府はなりふりかまわぬ方策をとろうとしている。郵政民営化法案では、公社時代の定額貯金を管理する「旧勘定」と民営化後の「新勘定」を分離することになっている。しかし、旧勘定については国債で運用することを優先すると規定している。また、旧勘定の満期が来た貯金を払い戻すために、保有する国債を売って原資をまかなう恐れがある。そこで、原資をひねり出すために運用は新旧勘定一括で行うこととして、大量売却を防止しようとしている。民営化後も民間資金を国債に固定しつづけることが想定されているのだ。郵政民営化の狙いの一つは郵貯・簡保の資金を民間大資本のえじきにすることにあるが、その具体化は矛盾をはらんだものにならざるをえない。しかし、それでも消化に支障が出れば、全面的な日銀引き受けという破滅的な選択しかない。
 もう一つは、金利が少しでも上昇すると国債価格が暴落し、民間銀行・日銀・国家財政のすべてが崩壊してしまいかねない。国債金利(=長期金利)が1%ほど上昇すると、国債価格は10%下落すると想定されている。金利が1%上昇するとどうなるか。銀行の損失は約10兆円。総資本の40%に相当する規模だから、銀行経営は崩壊する。日銀も1・4兆円の損失となり、中央銀行としての信用を失う。さらに1%の金利上昇で政府の国債費(国債元利返済費)は1・2兆円増え、相続税の1年分を吹き飛ばしてしまう。
 すでに03年半ばに、”デフレ解消→金融緩和打ち切り→金利上昇”の観測が出ただけで、国債価格が急落した。この時、財務省から「デフレが続いてくれないと持たない」との話が漏れている。原油価格の動向次第では消費者物価が下落から上昇に転じる可能性もあるが、そのとたんに金融緩和打ち止め観測から金利上昇・国債価格急落となる。また、日銀は量的緩和策の解除を模索しはじめているが、解除の思惑が市場で強まるとたちまち金利が上昇するというジレンマに直面している。
 このように、小泉「構造改革」のもとで、経済危機の震源が「民」だけでなく「民」プラス「官」に拡大・深化してしまったのだ。日帝はそうした危機、体制としての破産も戦争と民営化によって突破しようと、ますます凶暴化する。破産した体制は吹っ飛ばさなければならない。日本共産党のように現体制の維持を要求するなら、結局は日帝の戦争と民営化の攻撃を容認し翼賛化せざるをえない。今こそ日帝の打倒、革命以外にないのだ。4大産別を先頭に労働者の階級的団結を前進させ、日帝の攻撃を一つひとつはね返すなら、日帝打倒への展望を切り開くことはまったく可能だ。11・6労働者集会への1万人結集をかちとり、その跳躍台としよう。

 表 連結純利益1000億円超の企業

(04年度、単位億円、カッコ内は前年度比増減率%、▲は減、−は比較できず)
順位 社名 純利益
1 トヨタ    11,712( 1)
2 NTTドコモ 7,475( 15)
3 NTT    7,101( 10)
4 日産     5,122( 2)
5 ホンダ    4,861( 5)
6 キヤノン   3,433( 25)
7 カネボウ   3,149( −)
8 武田     2,774(▲3)
9 東京電力   2,261( 51)
10 新日鉄    2,206(431)
11 KDDI   2,005( 71)
12 三菱商事   1,823( 57)
13 ソニー    1,638( 85)
14 ボーダフォン 1,620( −)
15 JFE    1,600( 50)
16 デンソー   1,326( 21)
17 新日石    1,315( −)
18 三井物産   1,211( 77)
19 クボタ    1,179(908)
20 ブリヂストン 1,144( 29)
21 JR東日本  1,115(▲7)
22 住友金属   1,108(260)

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週刊『前進』(2214号5面2)(2005/09/19)

 イラク スンニ派排除し憲法草案

 「連邦制」で分断を狙う米帝

 8月28日、イラク・カイライ移行政権が起草を進めていた憲法草案がスンニ派との合意が得られないまま最終決定され、10月15日の国民投票に付されることになった。憲法草案は3度の交渉延期の後に22日に交渉がまとまらないまま一旦議会に提出された。その後修正協議が行われたが、結局まとまらず、28日にスンニ派代表の署名がないまま議会に送られた。
 イラク憲法草案は、連邦制によってイラクをクルド人自治区、シーア派南部自治区、スンニ派自治区に分割することを規定している。イラク社会を宗派・民族によって分断し、対立をあおろうとしているのである。その決定的テコとして石油、天然ガス資源の収入をクルド人自治区とシーア派自治区に優先的に分配しようとする策動がある。憲法草案は「収入は人口分布に基づき公平に分配される」となっているが、注釈でフセイン政権下で抑圧された者に対して配慮するということが口実として付け加えられており、石油収入の分配をテコに支配・抑圧を強めようとしている。
 しかも憲法草案は、イスラム教を「法の根幹的な基礎」と規定して「これに反する法律は認めない」としており、民主主義や基本的人権、法のもとの平等の文言は、単なる飾りになっている。労働者人民や女性、少数民族の権利は完全に踏みにじられることになる。
 この憲法草案は、イラク人民を分断して相互の敵対をあおることによって占領支配を確保しようと図る米帝と、陰でイラン政権と結びつきながらこの米帝の策動に乗り民族解放闘争勢力を封じ込めて権力を握ろうとする一部のシーア派宗教指導者の共謀として成り立っている。
 この一見奇妙な共謀がなぜ成り立っているのか。それは、イラク人民の民族解放・革命戦争が激しく戦われ、米帝の占領支配が抜き差しならない泥沼に陥っているからにほかならない。だから一方で米帝ブッシュ政権は、民族解放闘争の圧殺のためにシーア派の策動を利用しつつ、他方ではイランに対する戦争準備を進め、イラン政権に激しく戦争恫喝を加えている。
 しかし憲法草案を決定したからといって、国民投票がすんなりと実現できる保障はどこにもない。何よりもイラク人民のゲリラ戦争はますます激しく燃え広がり、国民投票が実施できるかどうかがまず問題である。しかも三つの州で否決されれば憲法草案は承認されないことになっており、スンニ派が多数を占める州で反対が3分の2を上回れば承認されないことになる。
 憲法草案決定以降、イラク全土で抗議のデモがまき起こっており、これに対してシーア派は、憲法草案を支持するデモを行い、分裂が深まっている。

 将棋倒しの真相

 こうした中で8月31日にバグダッドのカズミヤ地区でシーア派の祭礼に集まろうとした巡礼者たちが橋の上で将棋倒しになり、1136人が死亡、800人が負傷するという大事件が起こった。これに対して主要なマスコミは、「スンニ派過激派が関与」とか「ロケット弾が撃ち込まれた」などと意図的にデマ宣伝を行った。イラク人民の内戦をあおることによって米英日帝のイラク植民地支配に手を貸そうとする思惑以外の何ものでもない。
 実際は何が起きたのか。2年半ほど前から老朽化で閉鎖され修理もせず放置されていたアインマ橋を政府が祭礼のために開放し、大勢の巡礼者が狭い橋を渡り混乱が始まった。何人かが助けを求めて叫び出し、そばにいた警官が巡礼者を急がせようとして「急いでくれ。自動車爆弾があるぞ」と叫び、空に向けて発砲した。そこから群集がパニックになって逃げ惑い、橋の上で将棋倒しになり、橋の鉄柵が崩壊し、次々とチグリス川に転落した。しかも米軍が道路を封鎖し、救急車や潜水士、医療チームが現場に行くのを阻止したために犠牲者が増えたのだ。
 現場付近はスンニ派住民も住んでおり、彼らはおぼれている人の救助を行った。また、事故後ファルージャでは住民300人が輸血用の血液を提供するために病院に行き、1350ボトルの献血が届けられ、ファルージャからの献血がもっとも多かった。
 このようにイラク人民はお互いに血縁関係にあるスンニ派とシーア派で抗争しようとしているわけではない。イラクを分断し、内戦に引き込もうとしているのは、米帝とその手先になったシーア派指導者なのだ。

 米軍兵士「反乱」

 こうした中で、米占領軍の中で決定的な事態が起こった。ハリケーン被災地のルイジアナ州とミシシッピ州の兵士が、災害救援のために帰国させてくれと要求したのだ。要求したのは州兵、陸軍、海兵隊予備役、正規軍などの兵士である。バグダッドのアメリカ大使館はこれを「反乱」として調査したが、あまりに多くの兵士が要求したので結局帰国させることにせざるを得なかった。戦場のイラクで米軍兵士が「反乱」したことは米占領軍の崩壊への決定的な契機となることは間違いない。
 イラク情勢は、憲法草案の決定強行によってさらに泥沼を深めた。10月15日の国民投票がたとえ行われたとしても、イラク人民のゲリラ戦争はますます激しく爆発していく。
 今こそ自衛隊のイラク撤退、派兵延長阻止のために決起しよう。日帝はすでに延長後の派兵部隊を東部方面隊にすることを決定した。日帝は戦争のできる帝国主義への転換をかけてあくまでも侵略派兵を継続し、イラク人民を抑圧し、虐殺しようとしているのだ。今こそ戦争と民営化攻撃と対決し、11・6労働者集会の大高揚をかちとろう。(秋原義明)

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週刊『前進』(2214号6面1)(2005/09/19)

団結ひろば 投稿コーナー

 『靖国問題』の著者を迎え平和記念日集会 静岡 千葉亮

 静岡靖国問題連絡協議会主催の「第38回平和記念日集会」が、静岡市内の静岡県労政会館で8月15日午後6時から開かれた。講師は『靖国問題』(ちくま新書)の著者、高橋哲哉氏である。240人の出席をえて盛会であった。高橋氏の低くて太い声が会場内に心地よく響いた。
 話は、100年前の内村鑑三不敬事件からはじまった。旧制一高嘱託教員であった内村が、勅語拝礼の式で深々とは頭を下げなかったことから、一高を追われ、さらに妻を結核で失う。傷心の彼を世間はなお「非国民」として追い立てる。この国で自由に生き、信仰を守ることの何と難しいことかと友人に手紙を書く。内村鑑三全集からこの文を引用し、100年過ぎた今日も状況はまったく変わっていないのではないかと締めくくった。
 靖国神社は、戦争で死没した天皇の兵士を天皇の勅言によって祀(まつ)っている。戦災による死没者、空襲による死没者は誰一人祀られてはいない。いわんや敵軍の兵士は無である。会津軍兵士は朝敵であった。西郷隆盛も、そして当然、中国軍もである。「死ねば仏、敵味方はない」という考え方ではない。敵は死者といえども敵という思想に貫かれている。
 祀られて「祭神」にされた霊は「英霊」として顕彰の対象となる。皇軍の兵士は、死ねば天皇が手厚くお祭りしてくれる「英霊」となる。そこで、遺族は悲しみの淵(ふち)から「ありがたい」思いにさせられ、「感情の錬金術」がおこる。まさしく戦争の再生産のための施設なのだ。今もこれに変わりはない。彼らは、日常の生活から引き剥(は)がされ、家族からも離されて兵士にされ、命を取られた犠牲者なのだ。英霊などでは決してない。だが今も遺族はこの「錬金術のしばり」から抜け出せないでいる。
 これを破るのは政教分離をきちんと進める以外にはないと高橋氏は説く。国家神道だったのだから、国家と神道を切り離すために努力する。そこに内村の苦悩が再び浮かび上がってくる。内村の苦悩を自分も担う覚悟がどれだけあるかが問われた講演会であった。
 質問の時間に、神社祭典費が町内会で徴収されているが、まずここから始めようという貴重な意見があった。ちなみに浜松市では、どの町内からも神社祭典費は出ていない。内村鑑三に続く人がいたからだとつくづく思わされた。

 新大型イージス艦に「やまと」と命名策す 長崎 五島ひろ美

 長崎から驚くべき報告をします!
 8月24日、三菱重工長崎造船所で新型イージス艦(7700d)が進水しました。「あたご」と命名された同艦は従来の「こんごう」型イージス艦(7250d)と違い、ヘリコプター1機の格納庫を新たに装備。従来型より大型化され、全長165b、幅21b、深さ12b。速力は30ノットで乗組員約300人。同造船所で艤装(ぎそう)工事を進め、2007年春、京都府の海上自衛隊舞鶴基地に配備する予定といわれています。
 長崎新聞8月20日付朝刊は同イージス艦の名称について、「海自の内部募集でほぼ決定していた当初案が白紙撤回されていたことが19日分かった」と報道しました。当初案とは、旧帝国海軍を象徴する戦艦「大和」もしくは「長門」だったと紹介しています。
 日帝・小泉政権は米帝と枢軸を組んで、中国・朝鮮・アジア、そして世界への侵略戦争をやる気なんですね。驚きと同時にあらためて腹の底からの怒りがわいてきました。
 考えてもみてください。中国の上海港や韓国の釜山港にイージス艦「やまと」が入港する状況を! 中国人民、朝鮮人民は日本大使館・領事館などに連日連夜の抗議デモをかけるでしょう。3〜4月の抗日闘争を数倍する怒りの総決起は火を見るよりも明らかではないでしょうか。
 日帝・小泉を倒せ! 1万人総決起で11月労働者集会を成功させよう!

 鉄建公団訴訟勝利へ3争議団と地域集会 東京・東部 沢口明

 9月2日、江東区総合区民センターで、「JR福知山線事故糾弾! 勝つぞ鉄建公団訴訟! 9・2東部地区総決起集会」が国鉄闘争東部支援共闘の主催で開かれました。東京東部地域の労働組合を中心に300人近い労働者・市民が集まり、熱気あふれる集会となりました。
 初めに4党合意の受け入れをめぐって開かれた7・1国労臨大ビデオのハイライト部分が上映されました。
 主催者あいさつに続いて、「私たちの人生を勝手に決めないでください」と臨大で壇上から切々と訴えた音威子府闘争団家族会の藤保美年子さんが登壇しました。闘争団家族として、さまざまな困難をのりこえて、自活体制をとりながら闘い続ける藤保さんの訴えに、会場から大きな拍手が送られました。
 次にルポライターの鎌田慧さんの講演が行われました。鎌田さんは、三井三池闘争で言われた「抵抗なくして安全なし」の言葉を引用して、JR福知山線事故は国鉄分割・民営化が生み出したものであり、労働組合の闘いが重要であると訴えました。
 続いて、壇上に国労闘争団鉄建公団訴訟原告団の酒井さん、国労鉄道運輸機構訴訟原告団の川端さん、動労千葉闘争団の高石さん、全動労争議団家族会の渡部さんが勢ぞろいして、1047名闘争勝利、9月15日の鉄建公団訴訟判決を迎え撃つ決意が訴えられました。とりわけ高石さんから動労千葉の安全運転行動の闘いが報告されると、会場の熱気は一挙に盛り上がりました。
 最後に行動提起と団結ガンバローで闘いの決意を参加者全員で共有しました。
 東京東部地域は、総評時代から動労千葉新小岩支部とともに地域運動を進めてきました。動労千葉のジェット燃料輸送阻止の闘い、分割・民営化阻止のストライキなどをつうじて地域の労働組合の共闘をつくってきています。今回の動労千葉の安全闘争は、地域の労働者の生活に密着した問題だけに大きな反響を巻き起こしています。
 集会後の懇親会で、高石さんが「尼崎事故は自分にとってひとごとではない」と、船橋事故で解雇攻撃を受け一審有罪にもかかわらず動労千葉総力の闘いで復職をかちとった経験を語りました。動労千葉の闘いの神髄と言える話を初めて聞いた人たちも多く、労働組合の闘いと団結がどんなに大事かを強く確信する場になりました。
 今ほど動労千葉への共感が広がっている時はありません。11・6集会へ闘う地域労働者の総結集を実現したいと思います。

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週刊『前進』(2214号6面2)(2005/09/19)

 海上ヤグラついに撤去 座り込み500日集会 名護市役所

 “工事断念まで闘う”

地図 新基地建設予定地 昨年4月19日の座り込みから502日目の9月2日、ついに防衛施設局は、海上に建設したボーリング調査用のヤグラ4基を解体し、撤去した。
 超大型台風14号が沖縄本島に接近している。その台風に腐朽したヤグラが耐え切れないためと防衛施設局は判断したのだ。だが500日以上に及ぶ陸上での座り込みと海上での闘いで、1カ所のボーリングもさせないままヤグラを撤去させたのは大きな勝利だ。
 昨年9月9日以来、海上で反対派はカヌーと船でヤグラの建設と闘ってきた。この抗議の中で、11月に防衛施設局はやっとのことで4基だけボーリング調査用のヤグラを建設した。そして、反対派に暴力をふるって多くの負傷者を出してまで、ボーリング調査を強行しようとしてきたのだ。
 それから延々9カ月、反対派は寒い冬も暑い夏も不屈に闘い続けた。辺野古のおじいやおばあ、連日海で闘っている若者たちは、9月2日のヤグラ撤去に歓声をあげ、これからも続く闘いの勝利を確信している。
 これに先立つ8月31日夕、活気に満ちた座り込み500日集会が名護市役所中庭で開催された。主催はヘリ基地反対協議会と基地の県内移設に反対する県民会議。集会時で400人が集まり、その後のデモ時点でも続々と結集してきた。
 主催者あいさつに立ったヘリ基地反対協の安次富浩共同代表は、「500日目を新たな闘いの出発点にしていく」と力強く宣言し、「(辺野古見直しなどの)いろいろな報道に惑わされず、工事断念を政府が正式に表明するまで、私たちは断固闘っていきたい」と決意を語った。
 県民会議の山内徳信さんが、「権力に打撃を与える権利が私たちにはある。弱いはずの民衆が力を発揮した時、権力は手を出せないことを500日の闘いは示した」と訴えた。伊波洋一宜野湾市長からのメッセージも紹介された。
 命を守る会の金城祐治代表は、「本日で500日目、当初からは10年に入ろうとしている。米軍が至る所で演習し、私たちの尊い海まで埋め立てられようとしています。県道で訓練し、伊芸で都市型訓練施設の訓練をしている。今やらなければもう機会はありません。白紙撤回まで頑張ろう!」と力強く訴えた。
 さらに反対協議会を構成する各団体が1分間スピーチを次々とした。
 最後に「@辺野古沖ボーリング調査を即刻中止し、海上基地建設を断念すること、A普天間基地の即時閉鎖、日米政府は無条件早期返還を行うこと、B米軍再編成による基地の沖縄県内移設をやめること、C金武町伊芸区の都市型訓練の即時中止と無条件撤去を求める」との集会決議が採択された。この決議文は9月4日の東京での防衛庁包囲「人間の鎖」行動の時に防衛庁に手渡すものだ。

 これからが本番辺野古に行こう

 ヤグラは撤去され、辺野古の海からボーリング施設は一掃された。しかし重要なことは、闘いは何も終わっていない、これからが本番だ、ということだ。
 総選挙情勢と対決し、辺野古移設を白紙撤回に追い込む闘いを今まで以上に闘わなければならない。辺野古の闘いは、SACOを破産させるとともに、米軍再編協議を危機に追い込んでいる。この地平を踏まえ、来年1月とも言われる日米安保協(2プラス2)までの過程を全力で闘い、辺野古全面勝利をかちとろう。
 今こそ現地に駆けつけよう! ヘリ基地反対協と命を守る会にカンパを集中しよう。全国各地で始まっている青年労働者と学生の若々しい辺野古連帯の運動を一層発展させよう!
 11月労働者集会の1万人結集を実現しよう。日米韓国際連帯の力で辺野古移設を阻止し、米軍再編を大破産させよう!

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週刊『前進』(2214号6面3)(2005/09/19)

 700人が防衛庁封鎖 沖縄から代表迎え“東京で闘い拡大を”

 95年の米軍による少女暴行事件から10年目の9月4日、東京で「今こそ沖縄から米軍基地をなくそう! 9・4防衛庁『人間の鎖』行動」が取り組まれ、700人が手をつないだ。沖縄・辺野古で新基地建設を阻止しているヘリ基地反対協議会と命を守る会、東京で防衛庁行動を続けている「辺野古への海上基地建設・ボーリング調査を許さない実行委員会」(辺野古実)の3者が共催した。
 午後3時、豪雨が通り抜けた東京・市ケ谷の防衛庁前には続々と参加者が結集してきた。座間、厚木、横田など米軍基地と闘う住民団体ののぼりや横断幕、労働組合旗、百万人署名運動ののぼりも翻っている。
 沖縄からは台風の中、命を守る会の金城祐治代表、宮城保事務局長、宮城節子さん、ヘリ基地反対協の大西照雄代表委員が駆けつけた。9月2日のヤグラ撤去まで海上阻止行動の先頭で闘った若者たちも多数参加していた。真っ黒に日焼けした姿が500日を超えた激闘を物語っている。
 辺野古実の上原成信さんが「きょう防衛庁は封鎖されました!(白紙撤回まで)10回でも100回でもやりましょう!」と主催者あいさつ。沖縄からの訴えが続く中、「人間の鎖」が広がった。午後3時45分と4時に全員が手をつなぎ、防衛庁を封鎖する。2回目の4時に防衛庁完全封鎖に成功した!
 普天間基地の即時閉鎖、辺野古への基地建設計画の白紙撤回などを求めた500日集会決議や各団体からの要請書などを読み上げて防衛庁・防衛施設庁に手渡し、行動を終えた。
 その後、文京区民センターで「沖縄からの参加者との交流集会」が開催され、250人が沖縄からの報告に熱心に聞き入った。
 最初に大西照雄さんが、「きょうは首都圏での共同行動の第一歩。9月2日に単管ヤグラが全部撤去されたが、小泉が閣議で中止を決めるまで闘い続ける」。
 金城祐治さんは「踏まれても蹴られてもがんばったことがきょうにつながった」と勝利を確認し、「今こそ沖縄から米軍基地をなくしたい。国鉄の解体、NTTの解体、政府は組織労働者が駆けつけて闘うことを恐れている。それを郵政民営化でやり遂げようとしている。労働組合がなくなったらどうやって権力と闘うのか。民衆がひとつになって運動をつくることが大事だ」と強調した。「でも辺野古には若い人たちがはせ参じて来る。国を動かすのは若い者だ。特に女性は強いね」とうれしそうに語った。
 宮城節子さんは「海を守るのは当たり前、戦争中も戦後も生きてこれたのは海があったからだと自慢している」と闘いの中に生きるおばあたちを紹介、「沖縄に来て闘い方を学んでほしい。700人で満足しないで、ぜひ東京で力をつけてほしい」と喝を入れた。
 宮城保さんも「辺野古の闘いは実力で阻止してきたというのが実態、自然も私たちに味方している」「沖縄でどんなに頑張っても火の粉の元は消えない。火の粉の元の東京を変えてください」と訴えた。首都東京で政府中枢と直接闘う民衆の輪をもっと広げなければ、と全体で確認した。
 韓国のピョンテク基地闘争の報告、横田基地の再編・強化と闘う住民や平和フォーラム、全労協などの連帯アピールが続いた。
 閉会のあいさつに立った青年が「今まで沖縄に押しつけてきた米軍基地をなくすという運動をヤマトの人間が自分の問題としてやっていくことだ。東京で反対の声を強くあげていきたい」と決意表明。最後に「団結ガンバロー!」が響いた。(本紙・室田順子)

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週刊『前進』(2214号6面4)(2005/09/19)

辺野古からの報告 全国から集まる若者たちおばあの分身として海へ

 本土-沖縄結ぶ

 辺野古の海上阻止行動が開始されて以後、全国から20代の若者や学生が後を絶たずに参加している。時には中学生や高校生もダイバースーツを着て阻止船に乗り込み、単管ヤグラに出ていく。
 若者たちの辺野古に駆けつける動機はさまざまだ。極端な例では沖縄旅行中に偶然、辺野古のテント前を通りかかり、テントで話し込み、辺野古の闘いに感動し、そのまま3カ月も居すわって海上行動に参加することになったバックパッカーの男性もいた。
 もう一つはリピーターが多いということだ。だから辺野古の「テント村」では「常連さん」を「久しぶり」ではなく「お帰りなさい」と迎える。それだけ辺野古の闘いが若者たちに忘れがたい大きなインパクトと感動を与えている証(あかし)と言えよう。
 過酷な海上阻止行動を身を挺(てい)して闘いぬいている原動力は、このような全国の若者の闘争への献身性に依拠している。
 青年・学生は、辺野古闘争における日帝=防衛施設局との激しい激突や地元の闘う住民たちとの交流の中で、国家権力の非情さや沖縄問題の深刻さを肌で知る。単管ヤグラやテント村では政治問題から人生相談まで生き生きと語られる。団体や党派の枠を越えて「辺野古闘争をともに闘う仲間」として友情と連帯を深めていく貴重な場である。
 辺野古でずっと闘ってきた20代の阻止船長、A君は語る。「命を守る会のおばあたちは海上阻止行動が緊張状態に入ると『わしらが人柱になるから船に乗せてくれ。海に連れて行っておくれ』と頼まれるんです。そういう時には周りにいる若者を指さして『おばあよ、僕も彼らも、海に出たいけど出れないおばあたちの気持ちは知っているよ。だからみんな全国からおばあたちの分身だと思って辺野古に駆けつけて海に出ているんだよ』と言うと、涙を流してうなずいて納得してくれます」
 海に出ない日、テントでは地元のおばあたちと若者たちが気負うことなく交流し、話が弾んでいく。

 生活の場で

 辺野古で闘う本土出身の若者は、帰る日が近づくにつれて悩むことがある。「このまま帰ってしまうことは辺野古を見殺しにすることではないだろうか? 自分はここに残るべきではないだろうか?」と。実際に仕事を辞め、カンパを募って常駐している青年たちもいるが、大部分の若者たちの辺野古滞在には期限がある。
 彼らが出した結論は、「辺野古現地でしか辺野古闘争や沖縄の問題をやれないのか? 本土に帰ったら沖縄問題は何もやらないということなら自分が辺野古でやってきたことは意味がない。単なる思い出だ。そんなふうにはしたくない。自分の生活の場で周りの人に辺野古闘争を呼びかけていくことが大事なんだ。自分の周りを少しずつでもいいから変えていく、それが辺野古の状況を変え、沖縄から基地をなくす力になる」というものだった。
 今、辺野古闘争から戻った青年たちが呼びかけて結成された辺野古支援の運動体は、大阪・京都・東京・名古屋へと広がり、粘り強く取り組まれている。
 これらの地域で生まれた新しい担い手たちを定期的に辺野古現地に派遣し、辺野古闘争を体験し、状況をつかみ、帰ってから報告会などを精力的にこなす。このような辺野古現地と本土の青年運動体との生き生きとした交流のサイクルが確立されている。
  (大津五郎)

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