ZENSHIN 2005/09/12(No2213
p08)
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週刊『前進』(2213号1面1)(2005/09/12)
革共同の9月アピール
労働者の反転攻勢の秋が来た
自治労・国労大会での反撃広げ4大産別決戦の勝利へ進もう
小泉打倒し11月1万人結集を
労働者の反転攻勢の秋(とき)が来た。8・8衆院解散―9・11総選挙という小泉のファシスト的クーデターの大反革命と真っ向から対決し、4大産別決戦を軸に、11月労働者集会への1万人結集の大運動を巻き起こそう。小泉は参院で郵政民営化法案が否決された時点で、政権の「死に体」化か総辞職を突きつけられた。それを居直って逆に解散・総選挙に訴えた。小泉の延命を許すことは戦争と民営化(労組破壊)の大攻撃をもたらす。絶対に打倒しよう!
第1章 党と階級の存亡をかけ小泉反革命と闘いぬく
帝国主義の出口なき危機の中で、全世界で革命的激動が一層深まっている。米帝において、ニューヨーク原油は70jを突破し、住宅バブルの危機は野放図に拡大している。この体制的破綻(はたん)と危機にハリケーンが直撃した。ハリケーンによる大災害は、アメリカ帝国主義自らがつくりだしたものである。また米帝のイラク占領の危機の中で、米国内のイラク反戦闘争は新たな高揚を開始した。労働運動は、AFL−CIOの大分裂をついてノースウエスト航空ストライキ闘争にみられる新たな高揚をつくりだしている。
イラク新憲法草案をめぐって、イラク人民の民族解放・革命戦争の内戦的爆発が引き起こされている。パレスチナ情勢は、イラクの闘いとともに民族解放戦争の新たな展開をとげている。
今こそ国際主義的連帯の革命的発展をかちとり、プロレタリア世界革命への前進をかちとらなければならない。
9・11総選挙に向かう日帝・小泉の歴史的大反動の嵐は、階級決戦の本格的幕開けであり、労働者の総反撃の好機である。帝国主義の危機と激動の中で、労働者の怒りは極点に達している。小泉が帝国主義の存亡をかけるならば、労働者階級は生きるために団結し総決起する。
小泉による今回の解散・総選挙は、事実上のファシスト的クーデターである。小泉は、さらに9・11総選挙の勝利をもって郵政民営化を強行し、戦争と民営化=労組破壊の大攻撃を一挙にエスカレートしようとしている。この攻撃の重大性をはっきりと見据え、断固たる階級的総反撃にうって出なければならない。
小泉は、今次総選挙で郵政民営化を呼号し、”公務員を一掃しろ、公務員の存在を支える労働組合を絶滅しろ、この連中が国家を破綻させる”というおぞましい反動キャンペーンを展開している。小泉は郵政労働者をなぶり殺しにして、その上に、ファシスト的独裁権力を新たに手中にしようとしているのだ。
いったん議会で制度的に否決したものを、執行権力が力ずくで転覆する。今度はそれをファシスト的な「国民投票方式」を利用して、郵政民営化法をねじ伏せるように押し通す。これによって、小泉=奥田らは、4大産別の労働組合絶滅攻撃を一挙に激化させようとしている。さらに「つくる会」教科書を強行し、イラク参戦を継続し、06年教育基本法改悪・憲法改悪などのあらゆる戦争攻撃を貫徹し、公務員制度改悪、社会保障制度解体、大増税など、05年から07年に狙ったあらゆる大反動を、ファシスト権力の猛威のもとで、自己の在職のあと1年間で次々とやりぬくつもりなのだ。
この一大反革命は、戦後の「平和と民主主義」的要素を残存させては貫徹できない。総選挙過程では、「郵政民営化反対」という支配階級内部にある戦後的残存物をすさまじい迫力、執念で一掃しつつ、その勢いで労働者階級への大攻撃を加速させようとしている。労働者階級を国家主義、愛国主義の洪水でのみつくし、その階級意識を解体し、かたや帝国主義がつくりだした一切の破綻と矛盾を労働者に押しつけ、塗炭の苦しみに追いやろうとしているのだ。
革共同は、党と労働者階級の存亡をかけて、この小泉大反動を、断固としてイデオロギー的・政策的・政治的に圧倒し、打倒する闘いに総決起し、11月1万人結集の道を切り開くことを宣言する。革共同はこの歴史的責務を一身に背負い、「つくる会」教科書攻防において体を張って闘いぬいたように、革命的共産主義運動の戦闘精神をみなぎらせ、その真価をかけて総決起する。
この05年、日帝・小泉=奥田、石原らは、国家主義・愛国主義を体内から噴出させ、ファシスト暴力をテコに戦争と民営化攻撃を推し進めている。戦後的階級意識の絶滅とその象徴である労働組合の解体攻撃を激化させている。
小泉反革命は労働者階級を最大の標的にしている。それは戦争と民営化攻撃を、「つくる会」教科書・靖国神社の反革命と一体のものとして、4大産別への労組破壊―改憲勢力化攻撃として強行しようとするものである。
だが、05年〜07年決戦は、恐るべき反動の一方的な激化のみが進むわけではない。敵の攻撃が激化すればするほど、労働者階級のやむにやまれぬ抵抗・反乱・決起が引き起こされる。動と反動の激突から革命的激動のダイナミックなうねりが、分岐・流動・再編・高揚の階級情勢が生まれてくるのだ。
第2章 自治労の改憲勢力化を打ち破った大会攻防
8・23〜26自治労大会で、戦争と民営化に対決する自治労労働者の一大決起、総反撃が闘われた。それは一昨年の「21世紀宣言拒否」以上の重大情勢の到来を意味している。今大会は、100万自治労の改憲勢力化―翼賛化と立ち向かい、さらに郵政を突破口とする全公務員への大民営化―首切り・リストラ、労組破壊と全面対決する決戦であった。さらには、自治労大会を正面突破し、10月連合大会での7・14連合「改憲見解」の正式決定をもって連合傘下700万労働者を戦争協力=翼賛化に総動員しようという連合中央・笹森らとの決戦であった。
8月自治労大会は、小泉反革命によってその階級的位置がさらに決定的になった。この大会は、9条改憲=「平和基本法」制定の運動方針決定を許すか否かの、日本労働運動の命運をかけた攻防であった。これを許すなら、新たな小泉反革命に拍車をかけ、労働者階級にとって恐るべき事態が現出する。だがこの断崖(だんがい)絶壁の危機から、「平和基本法」制定―改憲を拒否する戦争協力拒否の総反撃の火の手が上がった。
事実上の自衛権を認める「平和基本法」制定方針によって改憲勢力化にかじをきる裏切り方針に対して、沖縄、宮城、新潟、富山の4県本部から「平和基本法削除」の修正案が出され、沖縄県本部の烈々たるアピールを突破口に発言者の大半がこれに反対したのだ。労働組合が帝国主義国家の「自衛権」という戦争推進の論理を法律として要求するとんでもない裏切りへの怒りが、会場を覆い尽くした。本部答弁には激しいヤジと弾劾が浴びせられた。
「平和基本法」が「最小限防御力」をもって「自衛権」を主張するものである以上、それは連合や民主党、いや自民党すら言っている安保基本法(緊急事態基本法)と寸分たがわない。7・14連合見解での「両論併記」で9条改憲を明確に打ち出す際の基本的論理も「自衛権容認」である。この連合見解をくし刺しにする総決起が闘われた。
自治労大会では、確かに本部案は採決されたものの、本部の改憲勢力化方針を決定的に打ち破った。
第一に、何よりも、取り下げられたものの「平和基本法制定」への「反対修正案」が出され、反対派が発言者の多数を占めたことは決定的事態である。ここで「最小限防御力」や「自衛権」が焦点となったことは、9条改憲策動への根底的反撃である。
第二に、沖縄県本部の総反乱である。沖縄県本は「平和基本法は戦争推進法だ」と本部を激しく弾劾し、「退路なき決起」を行った。大反動に対して、たとえ少数でも真に根底的な決起があれば、それは一挙に階級の魂をとらえ、巨大な広がりとなる。「基地撤去、9条改憲阻止―戦争協力拒否」の沖縄県本部の命懸けの叫びは、自治労全体を感動的に揺さぶった。さらに沖縄労働運動の階級的戦闘的発展と、自治労を突破口に、本土―沖縄を結ぶ新たな階級的労働運動を再生させる決定的出発点となった。
第三に、修正案が取り下げられたことは、激しい反乱・決起、分岐・流動が深まってはいるが、それが再編にまで至らず、新たな全国的司令塔がいまだに形成されていないことを示している。しかし本部答弁をとおして、9条改憲―自衛権容認の「平和基本法」制定策動をそのまま貫徹することはできなくなった。自治労の改憲勢力化はいまだ決着がつかないままに、分岐・流動情勢がより大きく切り開かれたのである。
第四に、新たな分岐・流動から再編に至る力がいまだ形成されていない中で、11月労働者集会のみが分岐・流動を再編・高揚へと発展させ、真の自治労の戦闘的・階級的再生を可能とすることが一層鮮明になった。一切の回答は、「11月1万人結集」にある。
公務員切り捨て叫ぶ郵政民営化粉砕へ
05年決戦は、戦時下での戦争と民営化(労組破壊)という階級性絶滅・一掃攻撃との決戦である。そこでは最も激しい攻撃にさらされている産別、労組、職場にこそ、実は闘う条件が満ちている。攻撃が激しければ激しいほど、労働者の怒りはそれだけ大きく存在するからだ。それだけ団結は強化され、拡大していくのだ。このような闘い方を貫くことが、1万人結集運動である。11月1万人結集は、労働組合を防衛し、資本への反撃を全力で闘うことなしにありえない。
戦争と民営化攻撃の最も激しい先端こそ4大産別にほかならない。この4大産別の大結集こそ、05年11月集会をかちとる環である。
敵の攻撃は、一点、郵政民営化を突破口にしている。郵政民営化は、「27万人の公務員を一掃せずに改革はあるのか」という恫喝で、全公務員の徹底した首切りを強行するものだ。小泉の「特権にあぐらをかく公務員労働者が国家財政を危機に陥れている」という郵政労働者、公務員労働者への恐るべきデマゴギーと攻撃を絶対に許すな。これほど労働者の誇りを踏みにじる理不尽で非人間的な言動があろうか。
財政危機は、日帝が資本と銀行の救済に湯水のように財政投入したことによるものだ。いったい公務員(郵政)労働者のどこに責任があるというのだ。そればかりか、「小さな政府」の名のもとで、地獄のような労働強化を押しつけ、人間性をずたずたに破壊するような労働現場を強制し、「お前たちの存在があるから財政は赤字になる。これから公務員の身分をとりあげて、首切りも自由にする、賃金も切り下げる、いやだったらやめろ」というのが郵政民営化攻撃なのだ。そして郵政を民営化することで、全公務員への首切り、リストラを1年もたたずに広げようとしているのだ。
80年代の国鉄分割・民営化攻撃の時、これとまったく同様の極悪キャンペーンが吹き荒れた。これに怒りをもって立ち向かい、労働者の誇りをかけてストライキに決起した動労千葉の闘いを教訓化し、この闘いに続こう。小泉=奥田の「上からの反革命」である戦争と民営化攻撃に、11月労働者集会で、1万の怒りの団結をたたきつけよう。
さらに小泉の反革命に立ち向かうには、体制を根底から転覆する「革命」を対置することだ。反革命攻撃から革命を生み出すには、帝国主義を打ち倒すプロレタリア革命の根底的な呼びかけが必要である。
11月に至る過程こそ、労働者階級をめぐる本格的な決戦的攻防、分岐・流動・再編の激烈な内乱的な死闘過程となる。それが自治労大会で示されたのだ。
第3章 動労千葉と連帯共闘し国鉄闘争の勝利開こう
国鉄闘争は、小泉反革命のもとで8・30〜31国労大会から9月15日の鉄建公団訴訟判決を迎え、戦争と民営化・労組破壊への労働者の総反撃と一体となって胸突き八丁の最大の正念場を迎えている。
郵政民営化攻撃との対決には、同時に国鉄分割・民営化をめぐる闘いの決着がかかっている。また国鉄決戦そのものをも新たな激突へと押し上げている。
民営化攻撃とは何か。尼崎事故の根本原因は、民営化攻撃と労働組合破壊にある。JR尼崎事故の107人の犠牲者は、国鉄分割・民営化政策とJR資本、国土交通省によって殺されたのだ。同時に資本と闘わない労働組合幹部の裏切りの結果でもある。労働組合が闘わなくなった時、安全は崩壊する。「闘いなくして安全なし」である。動労千葉は、分割・民営化がもたらす安全破壊に、安全運転闘争を対置し、処分攻撃を恐れず、ついにレール交換を始め「安全運転確保」の重大な勝利をかちとっている。
国労大会では、酒田委員長があいさつで、絶対に分割・民営化を尼崎事故の原因とはしないと言明し、JR資本の居直りに全面屈服した。恐るべき裏切りである。この裏切りは、1047名闘争という分割・民営化反対闘争への全面的敵対である。国労大会での佐藤勝雄委員長・吉田進書記長の新人事は、国鉄1047名闘争と国労を最後的に解体することを目的としている。この人事と直ちに真っ向から対決しなかったら、1047名闘争の勝利も国労の再生もない。
このように尼崎事故弾劾と1047名解雇撤回、分割・民営化反対闘争は完全に一体の闘いであり、9・15鉄建公団訴訟判決も、そのような立場で闘うことが求められている。上村革同のペテン的懐柔策動を粉砕し、資本と闘い、裏切り幹部打倒を推し進めながら9・15勝利判決をかちとることである。9・15判決は、国鉄闘争を超えて日本労働運動にとって巨大な歴史的位置をもつものだ。
5・27臨大闘争弾圧粉砕闘争は、新たな国鉄決戦の発展の基軸にすわる闘いである。5・27弾圧は、国鉄分割・民営化反対、1047名闘争への弾圧であり、国労幹部が直接に加担した弾圧である。これとの闘いは尼崎事故弾劾と一体の闘いである。郵政民営化攻撃の嵐の中で、尼崎事故弾劾と国鉄1047名闘争を全労働者の反転攻勢の火柱としてぶちぬこう。今こそ動労千葉の闘いに続き、動労千葉と連帯・共闘して闘おう。
「つくる会」教科書の採択を白紙撤回せよ
8・12を頂点とする「つくる会」教科書採択阻止の杉並攻防は、都議選決戦と一体の内乱的な死闘だった。無法な歴史教科書の採択強行にもかかわらず、「つくる会」のファシストどもの策動は根底的に破綻し(全国で0・5%以下の採択率)、逆に教育労働者の本格的な決起とともに、闘いは「日の丸・君が代」攻防と一体となって完全に永続化した。
「つくる会」教科書との激突は、激しく続いている。杉並の8・24教育委員会、25文教委員会では、「白紙撤回」への新たな決起が、教育労働者を先頭にして圧倒的に巻き起こっている。「つくる会」教科書決戦は、まさに継続・激化・発展しているのだ。
この攻防にかちぬいてきたイデオロギー的・階級的力(労働者自己解放=マルクス主義の思想と実践)こそ、都議選闘争を闘いとった地平の上に05〜07年階級決戦に突入し勝利することを可能にする力である。9月の激闘をとおして、11月1万人結集を革命的に牽引(けんいん)する力である。それはまた、帝国主義の戦争攻撃の大重圧と真正面からぶつかって「連帯し侵略を内乱へ」を貫き、帝国主義を打倒する力なのである。
労働者の国際連帯の思想と闘い広めよう
11月労働者集会へ向けて、今こそ国際連帯の闘いを強化・発展させよう。
反スターリン主義・革命的共産主義運動は、労働者国際主義の思想であり、実践である。国際連帯の闘いは、今や21世紀革命に向けた時代の要請であり、絶対的な責務である。AFL−CIOの大分裂は、国際階級闘争における新たな分岐・流動・再編・高揚への突入である。まさに国際連帯こそ、帝国主義打倒と階級的労働運動―ランク&ファイル運動の日々の死闘なのだ。動労千葉が切り開いた日米韓の3国連帯の闘いを発展させよう。11月労働者集会1万人結集へ、3組合共闘の強化・発展をかちとろう。
9月決戦から11月総決起へ、都議選闘争の地平を発展させ、労働者党員を主軸とした全党総決起をかちとろう。労働者党の壮大な建設に向けて、地区党強化の闘いとマル青労同建設に全身全霊をかたむけて決起しよう。4大産別を先頭に産別委員会の強化をかちとろう。
宣伝・扇動の最大の環は、機関紙である。機関紙拡大ぬきに1万人結集はありえない。職場から地域から、労働者階級の根底的な怒りの決起を爆発させよう。ひたむきなオルグを積み重ねよう。
米軍再編攻撃の最前線である沖縄の辺野古新基地建設阻止、普天間基地即時撤去、都市型訓練施設撤去・訓練阻止などの闘いとの結合をかちとろう。座間、横須賀などの反基地闘争を強めよう。
9・1明け渡し判決で東北大有朋寮をめぐる決戦に突入した。全国から支援・激励を集中しともに勝利しよう。全学連大会を成功させ、労働者階級と連帯する全国学生運動の前進をかちとろう。
三里塚暫定滑走路北延伸阻止、現闘本部裁判勝利へ闘いを強化しよう。北富士での自衛隊サマワ模擬施設演習を粉砕しよう。戦時下の治安弾圧との闘いを強め、公安警察との闘いに勝ち抜こう。
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週刊『前進』(2213号1面2)(2005/09/12)
東北大 有朋寮明け渡し判決弾劾 強制執行実力阻止決戦へ
9月1日、仙台地裁は東北大学当局が提訴していた有朋寮明け渡し裁判で、「仮執行」つきの明け渡し命令という不当判決を行った。学生運動の圧殺と、東北大の戦争大学化を狙う攻撃である。闘いは強制執行実力阻止の決戦に突入した。全国から支援・激励を集中し、ともに闘おう。(関連記事7面)
裁判やり直せ!法廷に怒号響く
「被告らは原告に対し、建物を明け渡せ」。裁判長のか細い声が聞こえた瞬間、法廷は怒号に包まれ、徹底弾劾のシュプレヒコールが鳴り響いた。裁判長は判決主文だけ急いで読み上げ、そそくさと逃げ帰る。「結果ありきの反動判決を許さないぞ!」「今すぐ裁判をやり直せ!」、廊下からも多くの労働者・学生がなだれ込み、法廷を占拠。法廷は怒りに包まれる。この反動判決をもって、有朋寮廃寮阻止闘争は新たな段階へと突入した。全国の力で、機動隊導入による強制執行をぶっ止めよう!
老朽化の調査もしないデタラメ
午後1時からの裁判には100人をこえる傍聴希望者が集まった。廊下まで人があふれている。しかし開廷するやいなや、ただちに異常事態が明らかになった。何と原告であるはずの大学当局はおろか代理人弁護士すら法廷を欠席していたのだ! すべてを国家権力に丸投げし、自らは逃亡を決め込む、この東北大学当局のあまりにも卑劣な正体がさらけ出されたのだ!
判決自体も、まさに白を黒と言いくるめる超反動的なものだ。「大学の決定に学生が従うのは当然」という姿勢を貫き、「寮の老朽化」についてはまともな科学的調査を行うことすら拒否し、「廃寮決定の理由として適当」と論断している。そもそも、現在の寮生がいったい何人いるのかも誤認しているほどのまったくずさんな判決だ。
このような判決を有朋寮生は認めるはずもなければ、従うつもりもない。直後の総括集会では織田陽介有朋寮委員長から「自分の生き方にかけてもこの判決を許すことはできない!」という激しい怒りが語られた。
裁判に先立って行われた仙台市内集会・デモには、全国から続々と闘う学生が結集した。デモ解散点の東北大片平キャンパスでは、吉本学長室のある本部棟を包囲し、「吉本学長は今すぐ出てこい!」「無期停学処分を今すぐ撤回しろ!」と徹底的に弾劾の声がたたきつけられた。
抗議集会で寮生が感動的な決意
デモと裁判闘争を打ち抜き、怒りに燃える全国学生、および労働者・市民は、夕方から裁判報告を兼ねた総決起集会を開催した。この不当判決にどう立ち向かい、強制執行粉砕に向けた闘いをつくり出すのか。それに回答を与えたのが、緊急声明「有朋寮の戦闘宣言」(抜粋7面)であり、有朋寮生からの感動的なアピールだった。
「どうしても学生を踏みにじってきた大学当局にだけは屈服することはできない」、「古郡君を寮内で全力で議論の末に受け入れることを決断した。原則を曲げなかったからこそ今の闘いはある」、「小泉と吉本のやっていることは同じだ。戦争大学化を止める」、「逮捕や弾圧も引き受け、自分は人生をかけて強制執行攻撃と対決する!」、口々に語られる権力や当局への怒り、有朋寮闘争への思いを全体で圧倒的に共有し、強制執行攻撃に一歩も引かず激突していく決意を固めた。
そして全金本山労組を始め多くの支援からもその闘いを断固支えていく発言がなされ、日就寮や学生自治会などが有朋寮とともに断固闘い抜く決意表明を行った。
有朋寮闘争は、小泉の「構造改革」の名による戦争国家化と民営化=労組破壊の攻撃、教育反動化攻撃との最先端の攻防点だ。全国の学生、労働者は、闘う東北大生、有朋寮生と心から思いを共有し、ともに闘おう。不当判決に怒りを燃え立たせ、全国の力を集中し何としても勝利しよう! 寮生の決意にこたえ、有朋寮に駆けつけよう!
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週刊『前進』(2213号1面3)(2005/09/12)
国労の再生かけて決起 記事2面
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大会会場前では、鉄建公団訴訟原告団などが、9・15判決に向け国労全体がともに闘おうと訴えた(8月30日 熱海) |
闘う国労組合員が立候補し役員選出は投票に持ち込まれた。3分の1の代議員が新執行部を不信任(8月31日 熱海) |
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週刊『前進』(2213号2面1)(2005/09/12)
小泉打倒・郵政民営化阻止の最先頭で闘う
「郵政選挙」に怒りの反撃を 非公務員化攻撃を許すな
革共同全逓委員会
8月8日、参院での郵政分割・民営化法案否決を突きつけられた小泉は、衆院解散・9月11日総選挙という大反革命攻撃に打って出てきた。「郵政民営化選挙」を呼号し、何がなんでも郵政27万労働者(非正規を含めると40万)を非公務員化しようとしている。危機にあえぐ日本帝国主義の延命をかけて、戦後の「平和と民主主義」的なものを一掃し、改憲と戦争、民営化と大量首切りを完遂する攻撃に打って出てきたのだ。日帝・小泉=奥田のこのファシスト的攻撃に対して、全逓労働者はもとよりすべての労働者は、郵政民営化絶対阻止・改憲阻止・小泉打倒の闘いに打って出ようではないか。「日の丸・君が代」強制をめぐる卒・入学式闘争と「つくる会」教科書採択阻止の闘いに立ち上がった教育労働者に続いて、8月23日からの自治労大会で「平和基本法」制定=9条改憲に対する自治体労働者の大反撃が開始された。既成政党の枠を越え、改憲反対、「公務員制度改革」反対の闘いが現場から大きく巻き起こってきたのだ。今こそ国鉄、全逓、自治体、教育労働者が、小泉=奥田を先頭とする日帝ブルジョアジーの戦争と民営化(労組破壊)攻撃に全力で反撃する時が来たのだ。団結こそ労働者の力だ。産別を超え、国境を越える団結こそ勝利のカギだ。全日建運輸連帯労組関西地区生コン支部、全国金属機械労組港合同、動労千葉の3労組が呼びかける11・6全国労働者集会の1万人結集を全力で実現しよう。
首切りと労組破壊が民営化の最大の狙い
「公務員は無駄だ。いなくていい」「なぜ郵便局員が国家公務員でなくてはならないのか」「わずか数十万人の公務員の既得権益を守るために、1億2千万人の利益を損なってはいけない」「27万人の公務員を一掃せずに改革はあるのか」
小泉首相や竹中経済財政・郵政民営化担当相らのこんな発言が許せるか。24時間365日、悪労働条件のもとで働き、多くの労働者が過労死、自死に追い込まれているわれわれ労働者に向かってなんという言いぐさだ。今まで郵政事業を動かしていたのは誰だ。われわれ現場労働者じゃないか。
脱税のために日本と米国を行き来した竹中に、「公務員は楽だ」なんて言う資格があるのか。これらの発言は、(公務員)労働者は愚図だ、ゴミくずだというものだ。こんな発言は絶対に許せない。今こそ労働者の力をたたきつけなければならない。
小泉や竹中は、「公務員がいるから国家財政が危機になる」「これからは国家公務員じゃなくして、いつでも首切りできるようにするし、給料も下げる。いやなら自分から辞めろ」と言っている。郵政民営化攻撃の目的は27万人の郵政労働者を非公務員化する、このことに尽きるのだ。そして、それを突破口に、公務員制度改革として公務員・自治体労働者に対する大攻撃に打って出ようというのだ。民間とイコールとして、徹底的な賃下げ、合理化、首切り、労働条件切り捨てを行おうとしている。公務員の中から労働運動・労働組合を排除し、「国家に忠誠を誓う公務員」にすることを狙っているのだ。まさに労働者を奴隷としてしか扱わないこの攻撃と全力で闘おう。
労働者の決起が情勢決める
8月8日の参議院本会議での民営化法案否決は、けっして小泉と自民党反対派との利権争いの結果などではない。根底的には、小泉政権4年間で戦後最悪にまで落とし込められた労働者の生活破壊と弱肉強食の政治、戦争と規制緩和・民営化(労組破壊)に対する労働者の怒りがあるのだ。5・15の有明コロシアム1万人集会から8・2、8・4の日比谷野音5千人集会と、全逓労働者は怒りの決起を開始した。「内なる力をひとつに」と企業主義的運動に押し込めようとする連合全逓=JPU(日本郵政公社労組)中央らの思惑をのりこえ、「郵政民営化粉砕、小泉打倒」へ立ち上がり始めたのだ。
われわれ労働者が先頭に立って、団結を打ち固めて闘えば、必ず郵政民営化は阻止できる。核心は、労働者・労働組合が前面に立ち、小泉=奥田の戦争と民営化・改憲攻撃と職場から実力で闘うことだ。今こそ「小泉政権打倒、郵政民営化粉砕」のプラカードを掲げ、職場闘争、街頭デモに立ち上がることだ。労働者・労働組合が本当に前面に立ち、全力で闘うならば、独裁者=小泉の息の根を止めることはまったく可能だ。
日帝の「財政危機」を公務員労働者に転嫁
小泉が、これほどまでに郵政民営化に政治生命をかける理由は何か。それは、戦後的な日本社会のあり方をぶっ壊して、徹底した労働者への強搾取と侵略戦争のできる国家を造ろうとしているからだ。そのために、自民党反対派を徹底的にたたきつぶし、資本家のボス・奥田(日本経団連会長)と一体になって、小泉=奥田路線を推し進めようとしている。国内的には「戦後的な労働者の諸権利や護憲・平和の思想」を解体し、教育基本法改悪から憲法改悪へと突き進もうとしている。そして、外に向かっては、軍事力をもって「国益を守れ」と称して「日本のアジア経済圏を守れ」という侵略戦争に打って出ようとしているのだ。
改憲勢力化をも狙った攻撃
「官から民へ」「なんで公務員でなければ郵政事業ができないのか」「小さな政府のためには公務員削減だ」「だから郵政民営化は構造改革の柱だ」と言う、小泉の主張の裏を返せば、郵政民営化で27万人の国家公務員身分を剥奪(はくだつ)し、大量の首切りと活動家パージをとおして、戦後の労働運動を担ってきた階級的な全逓労働運動を解体するということなのだ。そして、この郵政民営化を突破口にして、自治体労働者や教育労働者への攻撃を強め、公務員労働運動を解体して、労働組合運動全体を改憲推進勢力に変えようとしているのだ。
郵政分割・民営化とは、それを突破口にして公務員大量首切りによる労組破壊と改憲攻撃に突き進む、戦争と民営化(労組破壊)攻撃である。
87年4月の国鉄分割・民営化の時には、40万人いた労働者のうち実に20万人が首を切られ、職場からたたき出されたのだ。郵政民営化攻撃も同じように進もうとしている。経営形態の変更をとおして国家公務員身分を剥奪し、民間企業のように大量首切り・リストラが自由にできるようにしようというのだ。民営化によって《いったん全員解雇・選別再雇用》を強行するものである。
だからこそ小泉は自民党分裂選挙も辞さず、何がなんでも郵政民営化―戦争と民営化(労組破壊)攻撃を貫くために、がむしゃらに解散・総選挙に打って出たのだ。この大攻撃に対して今こそ労働者階級の一大反撃をたたきつける時だ。
小泉は「財政危機」「日本の危機」を叫び「構造改革」を掲げて登場した。しかし、今日の1千兆円にも及ぶ「国の借金(国債など、地方自治体の借金も含む)」は、小泉自身と自民党政治がつくってきたものだ。労働者にはまったく責任はない。
この間、小泉・自民党政治のもとで何が行われてきたのか。労働者への徹底した搾取の強化だ。定率減税の廃止に伴う増税、年金・医療・雇用保険制度の改悪、そして、労働法制の改悪によるリストラや非常勤化・賃下げ攻撃だ。その一方で、金持ち優遇の「累進税率の緩和」や大企業のための「法人税の引き下げ」を行ってきたのだ(累進税率はこの10年間で13%引き下げられた)。この小泉政治のもとで、05年3月末現在の「国の借金」の合計は、04年3月よりさらに78兆円も増加し、総額で1千兆円に達している。わずか1年間で78兆円もの借金を小泉政治は増やしたのだ。
1千兆円もの借金、国民1人あたり約1千万円、4人家族なら約4千万円、こんな額が返せるわけがない。日本の歴史上、膨大な国家財政の赤字を帳消しにしたのは、戦争の時だけだ。戦争への突入とそのもとでの激しいインフレーションで国債(国の借金)は紙くずになったのだ。
小泉政権は、07年に消費税の10%化、将来は18%化の政策を決定しようとしている。それは、日本経団連・奥田の要求だ。小泉は、大増税、首切り・リストラ、社会保障給付削減とあらゆる保険料の大幅引き上げなど、一切の犠牲を労働者に強制し、そのあげくには戦争に突き進もうとしているのだ。その突破口に郵政民営化攻撃が位置づけられているのだ。
今や「戦争か、革命か」の時代に突入しているのだ。全労働者の未来をかけて、郵政民営化を粉砕し、小泉を打倒しよう!
郵政公社の大合理化に物ダメ・スト闘おう
今、現場では民営化を目指した郵政公社による攻撃が激化している。郵政公社・生田総裁は、法案審議の過程で、完全に民営化賛成派としての正体を明らかにした。そして、JPU中央の全面的協力のもと、アクションプラン・フェーズ2合理化を強行しようとしてきている。
JR尼崎事故が示すように、民営化とは労働者にとって死の地獄でしかない。すでに生田総裁のもとで、民営化攻撃そのものと言うべきアクションプランが進められ、深夜勤による現職死亡をはじめ多くの仲間が殺されているではないか。
JPU中央は、この生田を「パートナー」としている。6月の全国大会では、アクションプラン・フェーズ2を完全に受け入れた。1日10時間労働の1ネット、2ネットは試行の名のもとにさらに拡大され、内務事務のアウトソーシングも試行を容認した。8時間労働制を破壊する、郵便内務の原則10時間労働・2交代制をも容認しようとしている。
JPU中央の打倒と一体で
郵政民営化反対の闘いは、JPU中央打倒の闘いと一体だ。現場労働者の怒りを抑えつけ、民営化攻撃を強要するJPU中央を打倒し、公社経営に対する現場労働者の生存をかけた闘いを推し進めよう。
民営化の先取りであるアクションプラン・フェーズ2=1万人削減合理化攻撃と全力で闘おう。全逓労働者の本来の闘いである物ダメ・ストライキを復権させて闘おう。78越年反マル生実力闘争を引き継ぐ闘いを実現しよう。
JPS(郵政版トヨタ方式)をはじめ職場で強化されている合理化攻撃と闘おう。サービス超勤、強制超勤を拒否しよう。深夜勤の廃止をかちとろう。労働者の尊厳を取り戻そう。何よりも、職場組合機関を組合員の手に取り戻し、民営化賛成のJPU中央を打倒しよう。
今、闘わずして、いつ闘うのか。今こそ、全逓労働者が総力をあげて決起する時だ。労働者の実力闘争こそが、本当に自民党・小泉政権と民営化攻撃を葬り去る力なのだ。労働者の立場から郵政分割・民営化絶対反対を鮮明に、職場から闘いに立ち上がろう。その闘いで全逓労働運動の階級的再生に向けて大きな展望を切り開き、労働者階級の一大反転攻勢を切り開こう。その力で、今こそ小泉政権にとどめを刺そう。
労働組合をわれわれ労働者の手に取り戻し、行きづまった資本主義=帝国主義の危機の時代に通用する闘う全逓労働運動をつくりあげよう。
国鉄分割・民営化にストライキで闘いぬいた動労千葉は、JR尼崎事故を眼前にして、今、強力に運転保安闘争を闘いぬいている。ここに労働者の進むべき道が示されているのだ。動労千葉の闘いと連帯し、戦争と民営化(労組破壊)を打ち破る11月労働者集会に職場から総決起しよう。
11月6日(日)、日比谷野外音楽堂で開かれる「全国のたたかう労働組合とアメリカ・韓国の労働者をはじめとする国際連帯」を掲げた1万人労働者総決起集会に結集し、戦争と民営化(労組破壊)=憲法9条改悪を阻止しよう。
革共同全逓委員会に結集し、ともに闘おう。青年労働者はマル青労同に結集しよう。
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週刊『前進』(2213号2面2)(2005/09/12)
国労大会 9・15判決を機に闘争圧殺を狙う
チャレンジ佐藤委員長就任を弾劾 役員選立候補で闘いの意志
8月30、31日、熱海ニューフジヤホテルで国労第73回定期全国大会が開かれ、新委員長に佐藤勝雄(東日本エリア本部委員長)が選出された。これは、9月15日の鉄建公団訴訟判決を機に1047名闘争を圧殺し、すべての国労組合員を分割・民営化体制=JR体制に屈服させようとする、国労史上最悪の執行体制だ。だが、国労共闘に結集する闘う組合員は、断固として役員選挙に打って出て、極悪執行部のもと、国労と国鉄1047名闘争の解体に向けた総翼賛体制を形成しようとしたチャレンジ・革同・酒田一派への根底的反撃をたたきつけた。その決起が、ぎりぎりのところで国労の危機を救い、国労の階級的再生に向けた突撃路をこじ開けたのだ。
大会では、新委員長に佐藤勝雄・東日本エリア本部委員長、副委員長に田中博文・西日本エリア本部書記長がおさまり、書記長には吉田進がとどまった。執行委員も全員が留任した。
佐藤は、国労を分裂させてJR連合に逃亡した今井伸や新井修一、寺内寿夫らとともに、国鉄闘争の解体と国労の連合化を最先頭で推進してきたチャレンジ一派の頭目だ。田中は、西日本エリア本部の上村隆志委員長のもとで、尼崎事故以来、JR西日本救済運動を書記長として進めてきた人物だ。吉田もチャレンジそのものであり、公安警察と結託して5・27臨大闘争弾圧に手を染めた階級的大罪を犯している。
こんな人事体制を、投票もなく「満場一致」で拍手承認させてなるものか。闘争団とその家族、組合員はもとより、国鉄闘争を支えてきたすべての労働者にとって、こんな人事は絶対に認められない。
その思いに突き動かされ、国労共闘は意を決して委員長、副委員長、書記長に候補を立てた。役員選出は選挙に持ち込まれた。その結果、代議員定数90人中、佐藤委員長には23票、田中副委員長には22票、吉田書記長には24票の白票が投じられた。3分の1の代議員が、佐藤・田中・吉田に三役を占められたチャレンジ・革同の新執行部に不信任をたたきつけたのだ。この闘いによって、「総団結・総決起」の名で全組合員を総翼賛体制に組み込もうとしたチャレンジ・革同・酒田一派の思惑は、根底から粉砕された。
だが、国労の階級的再生に向けての闘いは、始まったばかりである。チャレンジ・革同執行部打倒へ、すべての国労組合員の総決起が求められている。
分割・民営化を認めた大裏切り
今大会は、尼崎事故後、初めての大会だった。本来ならばこの大会は、尼崎事故を徹底的に弾劾し、事故を必然的に引き起こした分割・民営化体制=JR体制を打倒する国労組合員の総決起体制を確立すべき場だったのだ。
折しも小泉は、「郵政民営化の是非を問う」と叫び、120項目もの「自民党マニフェスト」を引っさげて総選挙に打って出た。その直接の狙いは、労働組合と労働運動の破壊にある。
戦争と民営化(労組破壊)の攻撃がますます強まる中で出される9・15判決は、その結果がどうであれ、国鉄闘争をなんとしてもたたき伏せるという支配階級の意志を体現するものとなることは明らかだ。
だからこの大会には、9・15判決を突き抜けて国鉄1047名闘争をあくまで貫き、尼崎事故を徹底弾劾して国鉄分割・民営化体制=JR体制と対決しぬく闘う方針を確立することが求められていた。
動労千葉は、処分に屈せず安全運転行動を貫いている。この闘いにより、JR東日本は20`に及ぶレールの交換に着手せざるをえなくなった。安全運転行動のただ中で、「平成採」の青年労働者が動労千葉に結集している。
これに続く闘いの方針を打ち立てることが、今大会の重要な課題だったのだ。
だが、チャレンジ・革同・酒田一派は、尼崎事故が突き出した分割・民営化体制と闘うことを完全に投げ捨てた。そして、9・15の敗訴判決を望みつつ、判決を機に1047名闘争を一挙にたたき伏せるために、チャレンジ佐藤を先頭とする新執行部を形成したのである。
大会では、国労弁護団の福田護弁護士も「9・15判決は冷静に受け止めるべき。勝っても負けても国労方針は不変」と国労本部の「政治解決」路線を擁護した。そして、「勝っても追加訴訟はすべきでない。負けても本部のせいだと言うべきではない」と述べて、鉄建公団訴訟への敵対姿勢をあらわにした。
本来、大会であいさつすべき宮里邦夫弁護士は、仙台闘争団などの本州採用差別事件での「上告手続き忘れ」の責任を追及されることを恐れ、姿を見せることさえしなかった。
経過をめぐる討論では、高崎地本や東京地本中央支部から、闘争団員22人への統制処分の撤回を求める意見や、9・15判決に向けて国労全体が闘いを組むべきだという意見が噴出した。これを受けて吉田書記長は、「統制処分の問題は中央執行委員会で議論して結論を出す」と中間答弁せざるを得なくなった。
大会前には、上村革同を先頭とする新たな1047名闘争圧殺策動が明らかになっていた。上村の名前で出された「不採用問題・解決の歩み(パートU)」なる文書は、「鉄建公団訴訟判決の国鉄闘争に及ぼす影響は決定的」としつつ、「判決または事前の裁判長和解提示があればそれに基づいて、国鉄闘争を解決する」「このためにすべての訴訟原告団と提訴していない闘争団も上記に基づく解決の同意を図る」と書かれていた。
上村−田中=革同は、鉄建公団訴訟原告団に一定の「譲歩」をするかのようなペテンを弄(ろう)してその懐柔を図りつつ、9・15判決を機に1047名闘争の全体をたたき伏せようと必死になって策動した。
他方、鉄建公団訴訟原告への統制処分に対する組合員の怒りは、9・15を前にあらためて高まっていた。
国労本部は、その圧力に押される一方、判決を機とする新たな1047名闘争解体策動の一環として、大会2日目朝の中央執行委員会で次の4項目を提案した。その内容は、@統制処分はやむを得なかった、Aしかし早期解決に向けた総団結のため、統制処分は解除する、B追加訴訟を提訴した闘争団員への査問委員会の設置はしない、C全組合員は本部のもとに一致団結を――というものだ。「処分の撤回」ではなく「解除」としたのは、“今まで続けてきた処分はあくまで正しい”という居直りにほかならない。
2日目の議事は、吉田書記長による中央執行委員会提案の報告から始まった。北海道闘争団の代議員は「処分の撤回を」と主張した。他方、革同やチャレンジは、不承不承「本部の4項目提案を受け入れる」と言いながら、「闘う闘争団は解散せよ」「9・15判決の影響は最小限にくい止めよ」「訴訟をすれば永久闘争になる。なんとしても政治解決を」と叫び立てた。
書記長集約で吉田は、「政治解決は無理という意見もあるが、それは第三者的な評論だ」と居直った上、「統制処分の解除は政治解決に向けて総団結を図るため」と答弁した。本部にとって処分の解除は、全闘争団員を敗北必至の「政治解決」路線に引き入れるための手段にすぎない。
だが、国労本部の策略にそって1047名闘争をねじ曲げることなど、容易にまかり通るはずがない。
大会には鉄建公団訴訟原告団や、国労に人権と民主主義を取り戻す会の国労組合員がビラ入れを行い、9・15判決に向け国労全体がともに闘うことを訴えた。こうした闘いと、役員選挙に打って出た国労共闘の決起があいまって、大会で1047名闘争圧殺の体制を築こうとしたチャレンジ・革同・酒田一派の策動は打ち破られたのだ。
尼崎事故と闘わない国労本部
国労本部の最後的な屈服と転向は、大会冒頭の酒田委員長のあいさつに鋭く表れていた。
酒田は、尼崎事故の原因が分割・民営化にあることをかたくなに認めず、「安全は労使共通の課題」とうそぶきながら、事故後にJR西日本が策定した「安全性向上計画」を「国労の意見、要求を多く反映させ」たと絶賛した。これこそJRへの全面屈服の表明だ。
さらには、「上村委員長を先頭に奮闘されました西日本本部の皆さんに敬意を表したい」として上村革同によるJR救済運動・企業防衛運動を天まで持ち上げた。だが、上村こそ「日勤教育は必要だ」と叫んでJRに迎合し、高見運転士を除く「106人の犠牲者」への「慰霊碑カンパ」なるものを会社と一体となって組合員に強制している張本人ではないか。
酒田はまた、全面破産が明らかな「不採用問題の政治解決」についても、「闘いは足踏みしているのではなく……マイナスからの前進の芽と足掛かりはできたと言えます」と居直った。
さらに許しがたいのは、総選挙で「民主党をはじめ野党の前進を期すために各々の地域で奮闘しよう」と言い切ったことだ。国労は今まで「民主党支持」を決めたことなど一度もない。改憲を唱える民主党(その背後にはJR連合がいる)を支持することで、国労総体を改憲勢力に転向させようとしたのである。
このあいさつは、闘う代議員・傍聴者の怒りをかき立てた。酒田が今大会で退任すると表明した部分に限って、傍聴席からの拍手が起きた。
また、新委員長に就任した佐藤勝雄は、あいさつで「健全な会社の発展に寄与する。資本の責任追及ばかりするのではなく、対案を出すことが労組の役割だ」と言い放った。
佐藤を委員長に据えた国労本部は、全面的に連合路線にかじを切ったのだ。
だが、国労の現場組合員はぎりぎりのところから決起し、闘争圧殺体制に風穴を開けた。突撃路は切り開かれた。9・15判決に向けて攻勢を強めよう。いかなる判決が出ようとも、7・15集会で築き上げた1047名闘争の本格的・全面的発展の道を突き進もう。盤石の態勢を固めて、判決を迎えよう。
9・15判決の勝利へ全力で闘い、そのすべての力を11・6労働者集会へ集中しよう。国労組合員は11・6日比谷野音に結集しよう。
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週刊『前進』(2213号3面1)(2005/09/12)
自治労大会 現場の怒りの決起が本部追いつめる
「平和基本法」=自治労の改憲勢力化に一大反撃
革共同自治体労働者委員会
自治労第76回定期大会(8月23〜26日、鹿児島市)は、自治労本部の「平和基本法」制定方針による自治労の戦争協力・改憲勢力化の動きに対する現場の労働者の一大反撃の場となった。自治労本部のもくろみは破綻(はたん)した。現場労働者のこの怒りと力を小泉政権打倒の闘いに向け、その高揚の中から帝国主義の戦争と民営化、労組破壊と対決する労働者の万余の結集で11・6労働者集会を成功させよう。
沖縄を先頭に代議員が次々と反対意見
大会は、本部のもくろみを打ち砕いて、改憲問題=「平和基本法」制定方針を一大焦点に中央本部vs反対派県本部の激突、論戦となった。実に、発言した30県本部代議員の内、19県本部が「平和基本法」反対の立場から意見を述べた。「平和基本法」反対の代議員の意見が完全に圧倒し、本部は防戦一方となったのだ。「平和基本法」賛成の立場から意見を述べた県本部は皆無だった。
決定的なことは沖縄県本部の独自決起である。独自の県本部ビラを配り、2日目には独自に会場前決起集会を行い、本部の「平和基本法」制定方針に反対する闘いの先頭に立った。沖縄県本部と多くの戦闘的自治労組合員が連帯し、労組交流センター自治体労働者部会の暴露・宣伝が全体情勢を牽引(けんいん)した。
「今、非常に重大な情勢のもとで全国で反戦闘争の先頭に立っているのは自治労の組合員だ。本部はそのことを百も承知で『平和基本法』を提案し、これまでの自治労の闘いを裏切ろうとしている。闘う仲間に対して後ろから弓を引く自治労本部を徹底糾弾する!」
この沖縄県本部の代議員の火の出るようなアピール(発言抜粋別掲)は、全国の反対派代議員を奮い立たせた。100万自治労組合員の反転攻勢の火柱が上がった。そして宮城・新潟・富山・沖縄の4県本部が運動方針案の「平和基本法」制定方針を見直すことを要求する修正案を提出した。
苦し紛れに本部が「9条は死守」
反対派は第一に、「最小限防御力」の名による戦力保持の承認を徹底的に追及した。「『最小限防御力』は憲法違反であり、9条解体だ」「最小限防御力の中身を具体的に定義せよ」と鋭く迫った。
第二に、「自衛権の承認」についても、修正案提出4県本部の代表は「国の自衛権を認めることは、国家による戦争の容認だ」と強く反対を表明した。
第三に、「平和基本法」とは何か?と追及した。「『平和基本法』は自衛隊の存在の容認、海外派兵の容認」「平和基本法の内容はどのようなものか明示せよ」「自民党、連合の『安全保障基本法』とどこが違うのか」と。そして「平和基本法」は改憲への水路であることを暴露し、反戦闘争の強化、改憲阻止闘争の強化を訴えた。沖縄県本部は「平和基本法」制定方針の記述を運動方針案から削除するよう要求した。
第四に、自治労方針の「連合への意見反映」を自治労本部に求める厳しい意見・追及が続出した。沖縄県本部は「最小限防御力と自衛隊とは違う」と本部が言っていることと自衛隊容認の7・14連合見解案に自治労委員長・書記長が賛成したこととの「整合性」について「明確な説明を求める」と追及した。
さらに加えるならば、多くの代議員が「平和基本法」や憲法の問題のみならず、2005年度人事院勧告(05人勧)の重大な内容、賃下げ・査定給・地域給への反撃、自治労としての全国闘争の配置やストライキの配置、スト基金の発動、規制改革・民営化攻撃・市場万能主義との対決、指定管理者制度・市場化テストとの対決の方針と指導、小泉政権打倒の闘いなどを取り上げ、「自治労の闘うスタンスの確立」「全国闘争」「連合の自治労でなく組合員の自治労を」と闘いを求める発言を行った。
窮地に追い込まれた本部は、2日目の議事終了以降、巻き返しに転じ、反対派4県本部の修正案を取り下げさせた。しかし、「憲法9条1項2項の死守」を再三表明し、「現在の自衛隊の違憲状態は明らか」と認め、「『平和基本法』の論議はスタートライン」と言わざるを得なかった。
「平和基本法」制定方針で自治労を丸ごと改憲・戦争協力への道に引きずり込もうとした本部の裏切り策動は根底的に破綻したのである。
連合と本部が狙った戦争協力路線は破綻
自治労大会は何を示したか。第一に、現場の組合員の怒りの激しさを示し、激しい攻撃を突き抜ける労働組合の闘う方針、闘う姿勢への希求の強さを示した。今日、戦争と民営化、公務員攻撃、「官から民へ」を掲げた攻撃が今や労組解体・根絶攻撃としての本性をあらわにしている。大阪市労連に対する「ヤミ・カラ」キャンペーンを始めとする攻撃は、労働組合運動そのものを「悪」とし、労働者の団結権をも否認・否定し去り、労働者からすべてを奪う攻撃である。国鉄分割・民営化攻撃以来の、否、それをも上回る攻撃の始まりだ。労働組合が今闘わずしていつ闘うのか!
第二に、自治労本部が決定的に追いつめられたことを示した。確かに本部方針は形の上では通った。しかし「自衛権」も「戦力」も「平和基本法」も事実上何ひとつ信認されていない。本部は「9条死守」「『平和基本法』論議はスタートライン」と述べた。これは完全な矛盾である。連合と自治労本部、自治労本部と現場とのギャップはますます拡大する。「平和基本法」は本部の抱える最大の弱点に転化した。改憲方針=「平和基本」制定方針をめぐる闘いの第2ラウンドが開始されたのである。
第三に、闘う自治労の現場組合員の闘い、その存在を自治労本部は抑えることができないことがはっきりと示された。沖縄県本部の存在に最も明確に示されるように、組合としての日常的な闘い、その積み上げによる階級的路線・方針は、本部のいかなる圧力をもってしても抑えられない。
自治労本部の戦争推進方針への転換策動にもかかわらず、「反戦平和運動の先頭に立っているのは自治労組合員自身だ」(沖縄県本部代議員の発言)
戦争協力拒否か否かを焦点に自治労の組合権力をめぐる死闘が始まったのだ。今こそ闘う自治労組合員に、闘う単組・県本部への大結集を呼びかけよう!
自治労丸ごとの改憲・戦争推進勢力への転向を意味する「平和基本法」制定の運動・闘争方針を推進する自治労本部、小泉=奥田による郵政民営化を基軸にすえた8・8衆院解散―9・11総選挙という一大反動に対して、労働者の大反撃が開始された。労働者・労働組合に対する小泉=奥田の攻撃と蹂躙(じゅうりん)、既成労組指導部の度を超した圧殺と裏切りに対して、現場の労働者の怒りと闘いが火を噴いたのだ。
「民営化とは精神革命」と称してマルクス主義を根絶し労働者階級の階級性を奪いつくす「つくる会」派のイデオロギーが小泉=奥田路線として具体化・前面化していることに対して渦巻いていた労働者の怒りが噴出したのだ。
闘う現場組合員の力結集し11月総決起へ
自治労本部は連合とともに自治労丸ごとの改憲・戦争勢力化を図ってきた。
2005年は日本の労働運動にとって決定的な年だ。日本経団連の1・18改憲提言、4・19公務員制度改革―新行革提言のもと、郵政民営化攻撃を突破口に、自治体を始めとする官公部門の民営化攻撃が加速され、自治労・日教組・全逓(現JPU)・国鉄など官公・公務員労働運動の全面的解体の攻撃がエスカレートしている。同時に、労働組合を現実に戦争に協力させることをてことする改憲攻撃が激化している。
連合は、日本経団連の改憲提言、自民党の改憲草案に呼応する形で7月14日に「国の基本政策に関する連合の見解(案)」を発表した。「国の自衛権の承認」を前面に押し出し、「自衛」の名による「国権の発動たる戦争」への支持を打ち出した。第2次世界大戦後初めて日本の労働組合が「政府の行為による戦争」への支持に踏み込んだ。
小泉=奥田の戦争と民営化路線の根底にあるのは、帝国主義としての死活をかけた「東アジア自由経済圏」の構築(軍事力を使った)であり、そのための日米枢軸路線である。2月日米安保協(2プラス2)が「共通戦略目標」とした北朝鮮・中国を完全に射程に入れた侵略戦争の発動を現実にたくらんでいるのだ。
改憲攻撃の高まりは、このようなアジア―世界戦争情勢と日帝支配階級自身の戦争への決断を背景としている。この攻撃は、戦後的な〈反戦〉〈平和〉の考え方・思想・方針を粉砕することなしには貫徹しえない。労働組合の改憲勢力化=戦争翼賛勢力化こそその最大の鍵(かぎ)であり、核心的前提であり、ここに攻防の最大の軸があるのだ。このような、日本の労働運動にとって未曽有(みぞう)の事態のもとで、旧総評系の大単産にして連合傘下最大単産の自治労の大会が大きな焦点となった。
この中で自治労本部は、5月中央委員会に「国の基本政策検討委員会」最終報告を出し、それに基づき、憲法9条それ自体には手をつけず「自衛権の承認」を盛り込む「平和基本法」の制定方針を打ち立て、そのもとで改憲派への転換を図るというレールを敷いていた。単組や職場での組合員討議を経ることなく、そのいとまも与えず、大会の運動方針案に「平和基本法」制定・推進方針を潜り込ませ、大会決定を取り付けて10月連合大会に臨もうとしていたのだ。符節を合わせて連合が9条改憲と安保基本法制定をうたう7・14見解案を出した。これに対して現場労働者が怒りの大反撃をたたきつけたのだ。
自治労大会は、日本労働運動がついに歴史的な大流動―分岐の過程に突入したことを示した。この情勢は、帝国主義の戦争と民営化の攻撃に対する労働組合のあり方、闘う結集軸、その指導部の問題を突きつけている。自治労組合員―全労働者が希求する、日帝・小泉=奥田路線と真っ向から対決しこれを打ち破る路線・組織はないのか?
「それはある!」とはっきり言おう。小泉=奥田による戦争と民営化、労組破壊の攻撃、公務員制度改悪・首切り・人員削減・賃下げの攻撃、市場万能主義、極右翼の台頭と国家主義・排外主義、それをてことする戦争国家体制、強権独裁国家への転換の攻撃と真正面から対決し、根底から打ち破る唯一・最大の水路こそ、11月6日の全国労働者総決起集会(日比谷野音)である。
11・6集会への万余の労働者の大結集、日・米・韓労働者の国際連帯、「小泉打倒!」の大デモ行進の中にこそ、労働組合の階級的再生の道、労働者が団結を取り戻す道がある。労働者の万余の結集、その塊(かたまり)の力で小泉=奥田、帝国主義を打倒しよう。
11・6労働者集会への公務員労働者の決起、大結集こそ小泉=奥田を打倒し、政治―社会の流れを根底から変える最大の力だ。自治労の階級的再生をかちとり、連合に根底からの大流動―分岐をつくりだすために、11・6集会に自治労の大隊列を登場させよう。
■沖縄県本部代議員の発言
今、非常に困難な時代にさしかかっていると言わねばなりません。そのような状況で、一体だれが全国の各地で展開されている反戦平和運動の先頭に立っているのでしょうか。明らかに、北海道で、東京で、神奈川で、山口で、長崎で、そして沖縄で、その先頭に立っているのは自治労の組合員自身ではありませんか(大拍手)。そのことを十分承知の上で中央執行部は今回の方針を提起しています。組合員に背を向け、後ろから弓を引く行為として、厳しく糾弾しなければなりません。
合理化の嵐、右傾化の中で、毅然(きぜん)として反戦平和、憲法改悪反対の声をあげ続けている全国の仲間たちの先頭に立って、闘いの声をあげてゆくことが自治労に今、求められていることだというふうに思えてなりません。
よって自治労が改めて憲法改悪に反対し、戦争に反対する立場を鮮明にすべきだということを求めます。
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週刊『前進』(2213号3面2)(2005/09/12)
労働者を戦争に動員する連合「改憲見解」粉砕を
7・14「国の基本政策に関する連合の見解(案)」は、組合員700万人の日本最大のナショナルセンターが海外派兵と侵略戦争のための9条改憲に踏み切る重大な攻撃である。
これに対して、自治労大会で、7・14連合見解案とそれに直結する自治労中央の「平和基本法」制定の運動方針案に対して、現場組合員の激しい怒りが噴出した。この決起は、連合中央と自治労中央に大打撃を与えている。自治労大会の闘いの地平を引き継ぎ、10月連合大会での「連合見解」の正式決定粉砕、自治労の「平和基本法」制定方針粉砕へ突き進もう。
自治労、日教組中央の屈服
7・14連合見解案は、安保・防衛問題で二つの方策を提案している。
それは、@憲法9条を改正し、その上でさらに詳細を規定するために「安全保障基本法(仮称)」のような法律を制定する、A憲法9条の改正はあえて行わないが、「安全保障基本法」のような法律を制定する――というものである。
重大なことは、連合がついに9条改憲を公然と言い始めたことだ。これは、日本の労働者階級を再び侵略戦争の泥沼に引き込もうとするものである。この連合中央の動きに合わせて、自治労中央や日教組中央も改憲容認に向かって動き出しているのだ。そもそも7・14連合見解を討議した連合3役会議には、自治労の人見委員長や植本書記長が加わっていたのだ。
自治労中央の唱える「平和基本法」(内容的には連合の「安全保障基本法」と変わらない)の中身は、国家の自衛権承認と軍事力保持、「国際貢献」=海外派兵の容認であり、実質的に憲法9条の解体である。
また、日教組は、森越委員長が雑誌で右翼と対談し、「憲法は不磨の大典ではない」と改憲容認につながる言辞を繰り返している(『論座』6月号)。
こうした動きの背後では連合の笹森会長、草野事務局長らが、自治労・日教組など旧総評系労組に対し、「時代の変化を受け、4団体時代のしがらみを捨てて、基本政策を連合方針に沿って一本化し、すべての運動を連合に収れんしてほしい」(草野、昨年5月)と、圧力をかけている。
これは、小泉政権の公務員労働運動解体攻撃に連合の内側から呼応するものだ。戦後労働運動の戦闘的な質を現場組合員の中に依然として保持している自治労や日教組に対して、「反戦・反基地闘争などをもうやめろ」「時代の変化を受けて、お国のために働け」と圧力をかけ、「産業報国会」運動に総転向させようとしているのだ。
連合見解案は、「解釈改憲は民主主義国家のあり方として望ましいものではない」と言い、憲法9条の条文と、自衛隊の現実の行動展開との乖離(かいり)を解消することが改憲の目的であるかのように言っているが、日帝・自民党の狙いは、そんなレベルの攻撃ではない。日帝は帝国主義間争闘戦の激化の中で体制存亡の危機を深めている。その危機突破のために9条改憲をもって海外派兵、海外侵略戦争をいつでも、どこでもやれるような帝国主義国家体制、戦争国家に脱皮しようとしているのだ。そのために現憲法の第9条(と前文)を破棄して集団的自衛権を合憲・合法化しようとしているのである。
連合も自治労も、集団的自衛権には反対であるかのようなポーズを取っている。だが、「自衛権は独立国家の固有の権利だ」といったん認めてしまえば、「個別的自衛権」の当然の延長として「集団的自衛権」も正当化されることになってしまうのである。
改憲と闘争破壊の先兵・笹森
昨年8月の自治労大会で連合会長・笹森は「『護憲・平和』とほえていて本当に平和が守れるのか」と反戦闘争、改憲阻止闘争への敵対をあらわにした。そして9条2項の改憲に初めて言及した。自治労の「国の基本政策検討委員会」最終報告も、笹森と同じように「これまでの平和運動が、憲法の空洞化の歯止めとなりえなかった」と、闘いへの悪意に満ちた敵対と切り捨てを行った。
笹森は、昨年9月の自動車総連大会ではさらに踏み込んで、9条に第3項を新設して「国際貢献に寄与するとの扱い方にするのがいい」とまで述べた。
まるで笹森の要望にこたえるかのように、自民党の新憲法草案は9条2項(戦力不保持)を削除し、3項に「国際貢献」の項目を新設した。連合・笹森は、自民党とも気脈を通じて、労働者を9条改憲に屈服させようとしているのである。
連合、自治労の改憲勢力化は、自治労、日教組などの現場労働者の反基地・反自衛隊闘争、有事立法反対の闘い、沖縄県民の基地撤去闘争などに真っ向から敵対するものである。だが、現場の組合員にはこれへの怒りが渦巻いている。7・14連合見解案を労働者の総決起で粉砕しよう。
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週刊『前進』(2213号3面3)(2005/09/12)
新城区議の議会報告
“戦争教科書撤回せよ” 杉並 文教委で教育長を追及
8月25日、12日の扶桑社歴史教科書採択後、初めての文教委員会が行われ、傍聴席には杉並・親の会を始め区民が注視しました。
私は、発言の冒頭に、23日に世田谷区が「つくる会」教科書不採択をしたことに触れて、23区で採択が行われたのは杉並区だけであり、杉並区教育委員会が歴史に汚名を残したと弾劾しました。採択審議中に、「つくる会」の歴史や公民の執筆者である藤岡信勝氏・八木秀次氏が、「つくる会」教科書に厳しく反対した保護者代表の教育委員に対し、脅迫ともいえる「公開質問状」を送りつけた問題をとりあげました。区教育委員会は、これを知りながら「つくる会」に対して撤回を求める指導など何の処置もとらなかったことを問いただしました。
これに対し区教委は、「脅迫とは言えない」として逃げるばかりです。その上、脅迫を行った藤岡本人が採択日当日、傍聴席に入り圧力を加えることを許したのです。本来、「不当な圧力を排して、教育委員の自由な意見交換ができる条件を整備する」ことが教育委員会の役割です。その統括者である教育長が、審議の中で藤岡らの「公開質問状」と同じ論で保護者代表委員に質問し、「つくる会」系教育委員の保護者代表委員への詰問を許したことは不当な支配介入だと言わなければなりません。
教育長は下をうつむき黙したままで答弁に立とうとしませんでした。「正々堂々と答弁に立つべき」と追及したところでやっと腰をあげ、「(保護者代表委員に対しては)質問をしていない。意見を言ったまで」と弁解しました。保護者代表委員の発言は、「つくる会」教科書に対する多くの保護者や区民が感じる危惧(きぐ)を表現したものであり、教育長に非難されるいわれのないことです。
公明党の文教委員長は、当日の審議を1時までと制限し、しかも時間を残しながら私の追及から教育長を守るために突然審議を打ち切りました。これには傍聴席と一体となった強い抗議で再審議を約束させました。採択後も保護者・区民は、度重なる面会を要請してきましたが、教育長はまったく会おうともせず逃げまわり、教育委員会窓口は厚い防御壁で囲まれるという異常さです。この点をとっただけでも「つくる会」教科書採択の自信のなさが現れています。
区教育委員会が「つくる会」教科書採択をするために改悪した要綱に基づく調査委員会報告書は、「つくる会」教科書についての総合所見では「物事に対して一面的な記述が多く、多面的なものの見方を育てることにつながらない」と指摘していることもわかりました。これをみても明らかなように、現場教員の意見を無視し、区長の意を受けた教育長の一声で採択が強行されたことは明らかです。
不当・違法のもとで採択された「つくる会」教科書採択の撤回を求めて、今後も粘り強く取り組んでいきたいと思います。
(杉並区議・新城節子)
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週刊『前進』(2213号3面4)(2005/09/12)
採択率は0.5%以下に 「つくる会」教科書 全国で拒否が圧倒
「新しい歴史教科書をつくる会」が執筆した扶桑社版の中学校歴史・公民の教科書は、全国的に不採択を決定する教育委員会が続き、8月末の段階で0・5%以下にとどまる見通しとなった。杉並を頂点とする採択阻止の闘いが広がり、戦争動員を図る「つくる会」教科書は、完全に敗退したのである。
教科書採択は全国583の採択地区で行われた。扶桑社の歴史教科書が採択されたのは栃木県大田原市、東京都杉並区だけ。公民は大田原市だけだ。このほか東京都教委、愛媛県教委が中高一貫校と「障害児」学校でそれぞれ扶桑社版の歴史と公民教科書を採択した。8月31日、滋賀県教委が歴史で扶桑社を採択、県立校1校で使用する。
愛媛県内の地区では、松山市を始め軒並み不採択となった。市長が扶桑社を推した大津市でも不採択。「つくる会」元副会長で公民教科書の監修者の高橋史朗が教育委員になっている埼玉県教委では、公民・歴史の採択時に高橋が退席し、3対2で大阪書籍版が扶桑社版を破って採択された。埼玉県内の10地区はすべて不採択となった。
こうして、「つくる会」が4年前の0・03%から「リベンジ」を叫び、10%を目標としてあらゆる手段を使って策動したにもかかわらず、結果は歴史で0・4%台、公民で約0・2%という惨めな結果となった。これは逆に言うと、普通では絶対に採択されないものが一部で採択されたのは、そこに不正があったからだ。大田原市では、反対派の委員の海外旅行中を選んで採択が強行された。杉並区では、ファシスト山田区長が教育委員に「つくる会」支持者を意識的に選び、現場教員の調査報告書を書き換えさせ、採択時には藤岡信勝が傍聴に乗り込んで現場指揮までして、強引に採択を強行したのだ。
杉並がいかに突出しているかが浮き彫りになった。こんな採択は絶対に認められない。撤回あるのみだ。さらに闘いを強めよう。
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週刊『前進』(2213号4面1)(2005/09/12)
「公務員労働者は悪」と叫ぶ小泉許すな
非公務員化と大量首切りと労組破壊が民営化の狙いだ
小泉演説に怒りたたきつけよ
第44回衆院選が8月30日、公示され、9月11日の投開票に向かって選挙戦がスタートした。小泉は、自公両党で過半数を維持できなければ退陣と明言し、退路を断って解散・総選挙のファシスト的クーデターに出た。今度の選挙の核心は、郵政労働者38万人の首切りを認めるかどうかだ。小泉は郵政民営化一本に焦点を絞り、これを突破口に〈戦争と民営化(労組破壊)〉攻撃を押し通そうとしている。日本経団連の奥田会長は今度の選挙で小泉・自民党を支持することを正式に表明した。労働者階級の怒りを公然たる闘いとして爆発させ、小泉=奥田体制との大激突を闘おう。8月20日の神戸での小泉演説を批判する。
野党も首切りに反対せず
「国家公務員26万数千人と短期間公務員の12万人を合わせると38万人の公務員が郵便局の仕事をしている。民間人に任せれば、今よりももっと良い商品・サービスを郵便局は国民に提供してくれると思う。38万人の国家公務員が民間のサラリーマンになる」
「なぜ郵便局の仕事だけ26万以上の公務員がやらなければいけないのですか」
小泉首相は「郵政が公務員であるのはおかしい。公務員は切り捨てて当然。公務員労働者が存在するから国家財政が危機になるのだ」と言っているのだ。竹中・郵政民営化担当相も「楽だから国家公務員でいたい。民営化から逃げようとしている」と憎しみを込めて現場で働く労働者に悪罵を投げつけている。
公務員を悪の元凶のように言い、民間と同じく汗水たらし過酷な労働条件で働いている労働者の誇りを踏みにじり、非人間的に見下す小泉や竹中の言動は本当に許せない。
小泉は、郵政民営化の論点を非常勤を含め郵政労働者38万人の非公務員化一本に絞り焦点化させている。87年の国鉄分割・民営化と同じように郵政労働者をいったん全員解雇し、差別・選別して、活動家をパージし、資本に服従を誓った労働者だけを採用する大解雇を狙っているのだ。それは労組解体の攻撃そのものでもある。
この問題について、民主党をはじめ社民党・共産党も新聞も誰もまったく反論も反対もしない。民主党は「8年間で100兆円の資金を(民間金融機関などに回して)表に出し、8万人の人員のリストラをする」と具体的数字を出した対案を掲げた。このことも本当に許せない。革共同は、声を限りに「38万郵政労働者の解雇絶対反対」を訴えて闘う。
労働者の貧困化進めた小泉
そもそも、小泉や奥田らが民営化が必要な理由とする財政危機は、歴代の自民党政権が資本の救済と私腹を肥やすために財政を湯水のごとく使ってきたからだ。郵政労働者になんの責任があるというのか。しかも郵政事業に税金は1円も使われていない。デマ、インチキ宣伝以外の何ものでもない。
郵政の次には、すぐ自治体労働者、教育労働者にも同じ攻撃がかかる。小泉は、数百万の公務員労働者の非公務員化を強行して、大量解雇し、非正規雇用に置き換え、大幅に賃下げしようとしているのだ。郵政民営化を突破口に国家丸ごとの民営化を強行しようとしている。
小泉政権の4年余で、労働者の生活は一体どうなったのか。OECD(経済協力開発機構)による貧困に関する調査で、日本の貧困率は15・3%となった。OECD諸国平均の10・2%を大きく上回る。全国民の平均的所得の50%以下の所得しか稼いでいない家計が貧困者だ。10年前の8%台から倍増している。
同じく生活保護受給者の数は、10年前の60万世帯が現在では100万世帯を超えている。小泉政権のわずか4年余で労働者家庭の貧困化は倍増したのだ。
こうした労働者家庭の貧困化の大きな要因が非正規雇用化だ。契約や派遣などの非正規雇用はこの10年間でほぼ1・5倍の1500万人に増えた。3人に1人の労働者が非正規雇用だ。内閣府の調査によると15〜34歳のフリーター人口は01年に417万人。10年で2倍強に増えた。
小泉や竹中は「失業率が下がった」とさかんに宣伝しているが、実際には、リストラや倒産で失業した労働者の多くは、パートなどの非正規雇用で働いているのが実態だ。厚生労働省の調査では、非正社員の4割は月給(税込み)が10万円以下だ。年間給与が200万円以下の労働者もこの10年間で150万人増えている。
小泉政権下で、すでにここまで不安定雇用化と労働者の貧困化が進んでいるのだ。今回の総選挙で小泉の主張していることは、郵政民営化を突破口に数百万人の公務員労働者の首を切り、非正規雇用化することだ、それをとおして全社会的に資本攻勢をさらに激しく貫徹しようというのだ。
“24時間働け”というのか!
「夜間サービスを最初にやるようになったのはどっちなんですか? 役所じゃない。民間ですよ。こういうさまざまなサービスを最初にやりだしたのは民間の業者じゃないですか」
ここで小泉が言っているのは、労働者に向かって、資本の都合、サービスの都合に合わせて、24時間・365日、夜も寝ないで働けということだ。人間の生理的条件や人間的営為は資本の都合には関係ないと主張している。
本当に資本の効率と利潤が最優先で、労働者の人間性と誇りを無視し、足蹴にする言動だ。これは「(労働者階級は)労働(仕事)があるかぎりで生きることができ、その労働が資本を増殖させるかぎりで労働にありつける。自分自身を切り売りしなければならない労働者とは、他の商品と同じ」(『新訳・共産党宣言』)ということのあからさまな表明だ。
このように労働者が生きている人間であることを無視して、他の商品を扱うのとまったく同じ感覚で、自分(資本)の買った商品はどう使おうと勝手だと言わんばかりの小泉だ。
こういう支配階級たちのふざけきった言動と闘わなくては、労働者は奴隷として地にはいつくばって生きていくしかない。労働者のもう我慢ならないという怒りを解き放ち、自ら闘う以外に誰も救ってくれない。
小泉は、次のように公務員労働者に悪罵を投げつけている。
「こういう当たり前の改革が、どうしても国会の根強い抵抗で否決された。なぜか。それは郵便局に来ている公務員が全部選挙の応援をするからなんです」
このように小泉は郵政労働者と民主党を一緒にして非難するが、いったい労働者が民営化による首切りと労組破壊に反対して何が悪いのだ。労働者は自らの階級的利害を守るために、生活と権利と誇りを守るために労働組合に団結して闘うのだ。まったく当然のことである。むしろ、民主党が民営化に本質的に賛成し、全逓(JPU)や全郵政が闘いを放棄していることが大問題なのだ。
労働者の日々の労働や生活の中には、小泉政権の「戦争と民営化(労組破壊)」の攻撃と抑圧に対して怒りがマグマのように存在している。今の日本社会は、権力と資本による徹底的な抑圧、労働者階級への矛盾の転嫁の上に初めてぎりぎり維持されているだけなのだ。
今こそ公務員労働者の怒りを爆発させよう。
335兆円は資本の餌食
「資金の流れを官から民へ変える」「郵貯・簡保の資金が民間に回ることで経済が活性化する」
小泉や竹中のこうした主張もまったく反労働者的であり、ペテンである。
この間、日本経済は、銀行の膨大な不良債権、また企業の過剰資金状態のもとで長期のゼロ金利政策が継続されてきた。東証一部上場企業だけでも82兆円が投資先がなく現金預金として眠り、今年度も16兆円が増える見込みだ。その中で労働者人民の生活防衛的な資金が、多少は利子が高く、あくどい手数料もとられない郵貯に集中してきた。
郵政民営化によって、この人民大衆の「なけなしの金」である郵貯と簡保の335兆円を日本とアメリカの大銀行や生命保険会社などの独占的金融資本に開放し、その食い物にするのである。民営化は大ブルジョアジーの金儲け手段なのである。
小泉はこの間の構造改革で景気回復が進んできたように宣伝している。しかしその実態はまったく逆のことを示している。確かに東証1部上場企業の経常利益は03年に前年比で72%と大幅に増えた。04年も27%の増だ。だが売上高は03年はわずか1・2%しか増えず、04年度も1・9%しか増えていない。
なぜ、売上高は増えないのに利益だけ増えるのか。その理由は労働者のリストラ、首切りと不安定雇用化、賃下げにある。実際、雇用者報酬は前年度比(名目)を見ると01年度は1・2%減、02年度は2・3%減、03年度は1・0%減、04年度は0・1%減。つまりこの5年で5%近く下がっているのだ。
この間の景気回復は「一方における富の蓄積に対して、労働者の貧困の蓄積」の典型的な例である。労働者階級の賃金の減少した分がそのまま資本家階級の儲けになっているのだ。小泉の言う「景気回復」は労働者の賃下げ・貧困化しか意味しない。
他方で、小泉政権の4年余で、国債と借入金の残高はなんと約540兆円(01年3月末)から約780兆円(05年3月末)に大膨張した。国と地方の借金はGDPの約1・5倍で、第2次世界大戦中の規模に匹敵する。もはや日本帝国主義にはこうした体制的破局を解決できない。
労働者階級が直面しているのはまさに戦争か革命かの情勢である。民営化による大リストラと労組破壊、消費税の大増税、超インフレと戦争、これが帝国主義の延命の道だ。帝国主義を打倒し、プロレタリア革命に勝利することが、労働者に求められている。戦争と民営化の小泉政権を絶対に打倒しよう。11・6は労働者の怒りを体現する日だ。
(片瀬涼)
自民党マニフェストの一部
●郵政
民営化関連6法案を次期国会で成立させる
●自治体
民間委託などの推進、定数管理や給与・手当の適正化
地方公務員総定数の純減を実現、総人件費を大幅削減
●憲法
11月までに自民党憲法草案を策定・公表
●軍事
防衛省設置法案を成立させ、自衛官に敬意と感謝の念を持つようにする
自衛隊の海外派兵は今後も国際協調と国益を考えて推進する
●教育
教員免許更新制、新たな教員評価制度確立
●財政
消費税を含む税体系の抜本的改革を実現
●社会保障
「障害者自立支援法案」の早期成立を期す
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週刊『前進』(2213号4面2)(2005/09/12)
奥田経団連が自民党を支持
大ブルジョアジーと結託し労働者を攻撃する小泉改革
郵政民営化法案の参議院での大差での否決という事態に追いつめられた日帝・小泉は、8・8衆議院解散−9・11総選挙の一大反革命攻撃に打って出てきた。
いったん議会で否決されたものを、解散権を振りかざしてクーデター的に議会を解散し、ファシスト的な「国民投票」でひっくりかえそうとする小泉の暴挙を絶対に許してはならない。
選挙戦で小泉は労働組合に攻撃を集中している。戦後革命期に闘いとられた戦闘的労働組合の存在こそ自民党を含め、日帝の階級支配のあり方を根本で規定してきた。だがこれ以上闘う労働組合の存在を許しては日帝の戦争国家化攻撃は破産するところに支配階級は追いつめられているのだ。
衆院解散後まず奥田に会う
このすさまじい小泉反革命の最大の支持者は日帝・金融独占ブルジョアジーであり、その代表たる日本経団連会長の奥田だ。
8月8日の衆議院解散後、小泉が最初に会った人物こそ奥田だった。
小泉は午後7時過ぎに解散を強行するや、7時半にホテルに駆けつけ、奥田とそのブレーンである田中直毅らと会食をしている。その後、官邸に戻り、臨時閣議と記者会見を行った。ぐらぐらの小泉は奥田に相談し、励まされることで初めて解散・総選挙攻撃に打って出ることができたのだ。
奥田は8月29日の記者会見で衆院選において「自民党を支持する」と明言した。経団連が衆院選に際し自民党支持を公式表明するのは、1993年7月の衆院選で「55年体制」が崩壊して以来初めてだという。
この間の奥田発言(別掲参照)を見よ。全力で小泉を支援し、激励している。まさに小泉=奥田体制そのものではないか。
財界のための小泉構造改革
奥田こそ01年1月、森内閣の時に発足した経済財政諮問会議の一貫した構成メンバーである。この諮問会議は、01年4月の小泉内閣発足と、02年5月に日経連と経団連が統合し初代の会長に奥田が就任して以降、権限が飛躍的に拡大し、毎年「骨太方針」を決定するなど、事実上議会や内閣を超えた権力機関になっている。毎回の会議で、小泉・竹中と奥田や御用学者どもが郵政民営化を始めとした公務員労働者への攻撃と、社会保障解体を含む全労働者階級への攻撃の謀議をこらしてきたのだ。
小泉内閣発足から4年間でいったい何が行われたのか。経済財政諮問会議の「骨太方針」のもと、オリックス会長の宮内が議長を務める規制改革・民間開放推進会議など、選挙で選ばれない首相直属の各種会議で論議された規制改革案が、司法制度改悪、金融緩和、教育制度改悪、医療制度改悪、社会福祉制度改悪、労働法制改悪、環境規制の撤廃などとして実施に移されてきた。戦後の諸規制を全面的に撤廃し、資本の野放図な搾取と収奪を満展開させてきたのだ。
さらに、有事法制への労働者総動員、共謀罪を始めとした治安弾圧立法策動と治安弾圧攻撃の激化、「日の丸・君が代」強制などの労働運動・反戦運動解体攻撃を激化させてきた。
実際、この4年間で労働者階級の賃金は下がり続け、社会保障は解体され労働者負担は増え続けてきた。その一方で「不良債権処理」と称して金融機関には野放図に資金を注入し続け、国の借金はこの4年間で240兆円も増加した。その結果、奥田が会長を務めるトヨタ自動車は2年連続で1兆円以上の経常利益を上げているほどだ。
だが、これほど理不尽な小泉構造改革に対して、4大産別を先頭にした労働者階級の不屈の抵抗が続いており、日米枢軸のもとでのイラク派兵もイラク人民の武装抵抗闘争で泥沼の危機にたたき込まれている。この現実にあせった日本経団連は、1月18日に公然と改憲提言を行い、夏の経団連夏季フォーラムでは、靖国問題を論議しているのだ。
郵政民営化攻撃も、労組破壊と同時に大資本の利益のためだ。「官から民へ」という民とは民間の大資本のことだ。全国銀行協会と生命保険協会は2月28日に全国紙に全面広告を出して郵政民営化を主張、政府の郵政民営化準備室にも職員を送り込み、民営化法案の作成に直接関与している。
日本経団連の郵政民営化のためのフォーラムでは経済界からエールが相次ぎ、小泉は「心強い限り。民間の皆さんが支持してくれる声を、政界の皆さんも認識していただきたい」と応じているのだ。
ナチス台頭と小泉反革命
凶暴な小泉反革命も、このような日帝・ブルジョアジーの全面支持があって初めて成り立っている。
世界大恐慌下の30年代のドイツにおいて、ドイツ・プロレタリアートの内乱的決起を恐れた資本家(特に金融資本家と重工業資本家)とユンカー(大地主)がナチスを支持したことがそれまでは弱小右翼にすぎなかったナチスの権力掌握にとって決定的だった。
それと似た過程が今、眼前で進行している。もともと自民党内の基盤は弱かった小泉を、奥田を始めとした日帝・ブルジョアジー主流が全面的に支持し、小泉を使ってファシスト的なやり方でこれまでの支配のあり方を根本的にぶちこわし、「戦争のできる国家」「戦争のできる国民」をつくろうとしているのだ。
この小泉反革命に対して郵政労働者を先頭に労働者階級の総決起をたたきつけよう。階級的労働運動の復権・創造をかちとり、11月労働者集会の1万人結集でうち破ろう。
(湯村宏則)
奥田の小泉支持発言
・「構造改革を旗印に掲げる小泉内閣を支持する。全閣僚には、総理の掲げる方針を共有し、スピード感を持って改革に取り組むよう」(05年年頭所感)
・「(郵政民営化は)さまざまなサービスを提供でき、経済界にとってもビジネスチャンスが増える。国家公務員も大幅に減らせる」(1月17日「官邸コンファレンス」)
・「今、改革をやらないと日本の将来は見渡せない可能性がある。小泉構造改革を一段と進めたい」(5月23日、記者会見)
・「なんとしても(郵政民営化法案の)成立が望まれる。最大限の力で支援したい」(7月20日、郵政民営化に関するシンポジウム)
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週刊『前進』(2213号4面3)(2005/09/12)
コミューン 10月号
小泉反革命の全貌
小泉反革命の背後には、@米帝のイラク侵略戦争と米英日枢軸の形成、A帝国主義間争闘戦の激化、それへの日帝ブルジョアジーの絶望的危機が深まる中での小泉・奥田路線の確立、B全逓、自治労、日教組を柱に公務員労働運動が依然として強固に存在していること、C連合の改憲への転向方針にもかかわらず自治労、日教組などを柱に反戦・反基地闘争を闘い抜いている現実がある。
第1章では、小泉が日米枢軸を形成し、米帝のイラク侵略戦争と北朝鮮・中国侵略戦争、さらには第3次世界大戦に至る戦争政策に踏み切ったことを弾劾している。第2章では、「骨太方針X」批判。この柱は@郵政民営化と公務員労働者への首切りとリストラA社会保障制度の解体と大増税、Bインフレ政策と徹底的な民営化の推進である。これを全面的に批判。
第3章は、日本経団連「4・19提言」批判。これは公務員労働運動の全面的な解体を宣言する反動文書である。第4章は、連合「7・14改憲見解」批判。これは日教組と自治労を改憲勢力に引きずり込み、公務員労働運動を内側から解体する攻撃だ。結論として11月労働者集会への大結集を呼びかけている。
翻訳資料1は、チェイニー副大統領が経営者であったハリバートン社の強引、露骨、大規模な戦時利得の強奪を暴露。翻訳資料2は、イラク侵略戦争が米社会に与えている「帝国の代償」を論じている。
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週刊『前進』(2213号5面1)(2005/09/12)
日米韓労働者の団結で未来開こう
労働組合結成し初のスト
非正規労働者が働かなければ自動車は1台も生産できない
民主労総・金属産業連盟11万人余が、8月26日、不法派遣労働者の正規職化と非正規職労働基本権保障などを要求する政治ストライキに立ち上がった。ノムヒョン(盧武鉉)政権は、8月10日、「空の安全」を掲げてスト25日目に突入していたアシアナ航空操縦士労組に、史上3度目となる緊急調整権を発動してストを圧殺。さらに8・15光復節の大統領祝辞では「大企業労組は既得権を放棄する決断をせよ」とぶちあげた。“ストが国益を損なう”と労働弾圧を全面化するノムヒョン政権・資本と真っ向から対決する闘いが、非正規職労働者を先頭に労働現場から巻き起こっている。9月国会を前に激突情勢に突入した韓国労働運動を追った。
現場労働者の共同闘争こそ
26日午前10時を期して、金属産業連盟11万人余が、6時間の第1次政治ストライキに突入した。現代自動車労組を始め、起亜自動車労組、双龍自動車労組、金属労組など10万人余の正規職労組と、現代ハイスコ、ハイニックス・マグナチップ、現代自動車、起亜自動車などの非正規職労組1万人余が参加する、歴史的な元・下請け共同ストライキが実現したのである。
26日にはソウル、順天(スンチョン)、蔚山(ウルサン)など全国11地域で同時多発労働部糾弾集会を開き、31日の蔚山での現代自動車糾弾集会に向かう。
26日記者会見した金属産業連盟のチョンジェファン委員長は、「非正規職労働者たちが労組を結成したという理由で元請けが下請けとの契約を解消し、労働者が路頭に追い出されることはあってはならない」と主張し、「正規職と非正規職が一緒に闘わなければ問題の根本的解決はないと判断し、元・下請け共闘を準備した」と明らかにした。
同席した民主労総のイスホ委員長も、「1500万労働者の労組組織率は9・6%にすぎない。90%の労働者たちが労働圏の死角地帯に放置されている」と指摘し、「非正規職労働者の権利を守るための制度的改革のために下半期総力闘争を行う」と明らかにした。民主労総は9月の代議員大会を通じて11月12〜13日に10万人を結集する労働者大会をかちとり、非正規職保護立法の11月国会通過を目標にゼネスト体制に移行するという方針を打ち出しているが、ノムヒョン政権が9月定期国会で懸案の非正規職法改悪案や労使関係先進化ロードマップの強行を公言している中、決戦を9月に構えるべきだという現場労働者からの突き上げによって、方針をめぐる激論が続いている。
この攻防の渦中で8・26政治ストをかちとった意義は大きい。ファソン(華城)起亜自動車非正規職支会の闘いを紹介しよう。
同支会は、今年6月4日、430人で創立総会をかちとり、現在、組合員は874人に拡大している。投票率93%、90・5%の賛成でスト権を確立し、初めてのストライキに臨んだ。元・下請け共同ストを構えたが、19日には正規職労組の内部事情で共同ストが難しいと告げられ、困難に直面したが非正規職労組独自でもストに入ることを決断した。この決断に、正規職現場組織がともに「先鋒(せんぽう)隊」を構成してストライキを死守した。
26日午前10時半、6時間ストに突入、非正規職支会は車出庫前最終点検ラインと組み立てライン、物流ラインを全部止め、先鋒隊が代替要員投入を阻んだ。資本側は夜明けから代替要員の投入を計画したが、組合員らが体当たりでこれを阻止した。
下請け会社別に組合員決意大会を持った組合員が民主広場に集まる。400人ほどになった非正規職支会は核心工場である組み立て工場を現場巡回して代替要員阻止の意志を示した。堂々と巡回する非正規職支会を多くの正規職労働者たちが拍手で迎え、掛け声で呼応した。
巡回闘争を闘ってパクジョンハン事務局長は、「抑えつけられてひもじく、悲しみにくれた非正規職労働者だったが、団結した闘いで工場を止めることができた。非正規職労働者が働かなければ1台の自動車も生産することができないことを起亜自動車や下請け社長たちに見せつけることができた」と喜びを語った。
現場巡回後、午後1時半から「起亜自動車非正規職ストライキ宣布式」が開かれ、組合員と支援の労働者、学生ら500人が非正規職撤廃を叫んだ。6時間共同ストはできなかった正規職労組も、2時間の総会を開いてストに合流した。
空の安全守る25日間のスト
8月10日午後6時、キムデファン労働部長官はアシアナ航空操縦士労組のストライキに対する緊急調整権の発動を公表した。これによりアシアナ航空操縦士労組は30日間にわたって争議行為を禁止され、15日間の労使再交渉で妥結しなければ、政府の強制的仲裁案を押しつけられる。
この「緊急調整」は、労働3権凍結という強権的な争議圧殺であり、「戒厳令」の発動とも並び称される悪法だ。そのため韓国でも1963年制定以来、69年に韓進重工業の前身である大韓造船公社と、93年に現代自動車ストライキに発動されただけだ。
複数労組禁止条項に阻まれ非合法状態だったアシアナ航空操縦士労組は昨年11月に合法化をかちとって、今回が初のストライキだった。6月20日に全組合員527人中433人が賛成、82%の賛成率でスト権を確立した後、7月4日から大韓航空操縦士労組とともに争議行為に入った。両労組は共同要求として「海外滞在地での30時間の休み時間の確保と年間飛行時間1000時間制限」を掲げ、「これらの要求は操縦士たちの生存権と健康権を守ることであると同時に乗客の安全に直結するものだ」と、真っ向から「空の安全を守る」ことを宣言しての闘いだった。
さらにアシアナ操縦士労組は、▼現行定年55歳の61歳への引き上げ▼飛行任務のために移動する時間も飛行時間に含ませること▼機長に客室乗務員の入れ替え権を付与すること▼月次休暇をなくす代わりに2日から7日の調整休暇を付与し、生理休暇を有給化することなどを要求していた。
スト突入直後からマスコミはこぞって「航空大乱」「高額年俸の労働貴族」などと悪質なキャンペーンを繰り広げる中、アシアナ航空を握る錦湖(クムホ)グループは交渉を拒否し続けた。政権による緊急調整発動まで時間を稼いで待っていたのである。
キムヨングン委員長は、「私たちは専門家集団として、航空事故の悲劇を防ぐために安全運航を要求している。世論が恐いと言って命を捨てられないでしょう。譲歩するとしても、命がかかっていることに絶対屈服できません」と語る。
緊急調整後の手続きが進められたが、労組は中労委の調停案を「使用側に偏ったもの」として断罪して拒否、8月25日に職権仲裁に回付された。過去2例は再交渉で妥結しており、今回のアシアナ航空操縦士労組への強制仲裁は史上初だ。 25日、アシアナ操縦士労組が所属する民主労総・公共連盟は、国会前で決意大会を開いた。土砂降りの中、アシアナ労組を先頭に2000人余が集まり、中労委までデモ行進を行って、キムデファン労働部長官の退陣を叫んだ。
8・15祝辞で労働組合攻撃
解放60年を迎えた8月15日、ノムヒョン大統領は、祝辞で「非正規職が増えて所得が減り、その結果、生産性が低下し、再び雇用が悪循環のメカニズムになってはだめだ」「整理解雇が難しい制度のもとでは、非正規職と大半の労働者がむしろ被害を受けている」と主張し、「強大な組織力で雇用保護を受けている大企業労組があえて既得権を放棄する決断をし、大妥協を実現すべきだ」と労組攻撃を繰り広げた。ノムヒョン政権と労働者階級の激突は不可避だ。
組合員4万強の現代自動車労組は8月23日、70・86%でスト権を確立、25日から部分ストに入り、26日の金属連盟政治ストを闘った後、9月2日までのストライキを続行中だ。29日から起亜自動車労組も部分ストに入るなど、賃金団体協約交渉の大詰めを迎え、大企業労組のストライトが韓国経済を揺るがしている。
9月総力闘争へと進む韓国労働者と熱く連帯し、11・6労働者集会の1万人結集に闘いを進めよう。
(室田順子)
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週刊『前進』(2213号5面2)(2005/09/12)
8・15集会の発言から
「8・15労働者市民の集い」での韓国民主労総のコジョンファン氏と米運輸労働者連帯委員会のスティーブ・ゼルツァー氏の発言(抜粋)を主催者の了解を得て紹介します。(編集局)
労働者の階級的団結と国際主義的連帯を 民主労総ソウル地域本部 コジョンファン本部長
韓国の労働者を代表し連帯のあいさつを送ります。
新自由主義の世界化と激化する二つの戦争
現在、全世界は、非常に激しい荒波の中にあります。アメリカに対する9・11攻撃、アメリカのイラク侵略戦争およびこれによって引き起こされた一連の事態により、こうした事実は、もはやこれ以上引き返すことのできない状況に突き進んでいます。
こうした状況の根本には、超国籍資本によって推し進められている新自由主義世界化があります。新自由主義世界化は、全世界の民衆を対象とする二つの戦争を進めていると考えます。一つは、帝国主義国家による周辺部国家に対する戦争(侵略と搾取の強化)であり、もう一つは、自国の労働者民衆に対する戦争(搾取、民営化、労働弾圧)です。
東アジア及び各国で展開されている状況
こうした新自由主義世界化の中で進められている資本の攻撃は、東アジアの各国においても似たような様相を呈しています。特に日本の動きが重要だと思います。日本の資本と右翼勢力は、最近、帝国主義的政策を強化しており、これによって東アジア全体の軍事的緊張が高まりつつあります。もちろんこれは、アメリカ帝国主義の世界覇権戦略とも絡み合うものです。
一方、日本の労働者民衆に対する攻撃を強化することにより労働者階級の抵抗を無力化し、階級ではなく国民と呼ぶことにより支配階級の利益を貫徹しようとしています。これは「日の丸・君が代」の強制、「つくる会」による教科書歪曲、公共部門の民営化攻撃、労働組合弾圧に現れています。さらには、教育基本法を改悪し、憲法9条に象徴される平和憲法を改悪する方向に進んでいます。これは戦争に向かってさらに一歩近づく行為です。
韓国のノムヒョン政府においても同様です。アメリカの軍事的覇権戦略に徹底的に服従し、韓半島内の軍事力をピョンテク(平澤)に再配置しています。一方、労働者に対する攻撃をさらに強化する中、非正規職労働者が労働者全体の60%に達しており、最近のアシアナ操縦士労組に対する緊急調停発動に見られるように、労働基本権を深刻に侵害しています。
戦争に反対し、労働搾取を粉砕しよう
こうした状況にあって、労働者がとるべき態度は明らかです。戦争に反対し、資本による搾取を粉砕することに、あらゆる知恵と力を集中しなければなりません。「日の丸・君が代」強制、歴史教科書歪曲、靖国参拝、民営化攻撃、労組弾圧に対し、断固闘わなければなりません。
唯一の道は団結と連帯
こうした闘いを展開する際、なによりも優先すべきことは階級的団結だと思います。階級意識で武装し団結しなければいつでも政府のぎまん的術策の前にくずれてしまうでしょう。国の利益という国家主義に傾倒し、戦争に賛同し、労働者の苦痛に目をそむけることになることでしょう。こうしたあやまちは、歴史の中に無数に見ることができます。こうしたあやまちをくり返さない唯一の道は、階級意識で武装した労働者の団結だけだと考えます。また、国際主義に立脚した労働者の連帯だと考えます。
ここに集まられた同志たちは、こうした闘いの最先頭に立っている。そのことを私たちはよく知っています。深い同志的連帯を感じつつ、韓国の労働者に代わってあらためて連帯のあいさつをお伝えします。
力いっぱい闘いましょう。民主労総ソウル本部もともに闘います。
第2次大戦の終戦60周年と今日的教訓 運輸労働者連帯委員会 スティーブ・ゼルツァーさん
兄弟姉妹の皆さん。
第2次大戦の終戦60周年を記念する今、私たちの眼前では、第2次大戦をひき起こしたのと同じ権力が、人類社会に対し今一度の破局的惨禍をもたらそうと活動しているのが見えてきます。世界の人民に対する破壊と大量虐殺は、市場の獲得と石油を含む世界経済の支配と独占に基礎を置く体制にとっては、まさに必然的な帰結でした。
まずなによりも、戦争における民衆に降りかかった犠牲の事実が、長期間にわたり隠蔽(いんぺい)されていることに注目せねばなりません。アメリカ政府は50年以上にわたり、ヒロシマ・ナガサキでの核爆発で何が起こったのか、その資料や情報の公開を拒み続けてきました。
第二にアメリカは、日本をうち破ることのみを意図したのではなく、東アジアに自分自身のヘゲモニーを確立し、ソビエトの拡大を阻止しようとしたのです。アメリカは原爆の使用をもって、その支配に敵対するすべてのものを破壊する力を所持していること、そして数十万の人間がこの冷酷な代償で報いられるということを示そうとしました。
日本の資本家と企業統制下のメディアは、軍事拡張主義というアメリカの政策の忠実な同盟者となっています。北朝鮮に誘拐された日本人が03年に帰還するや、日本のメディアは、北朝鮮政府に対して1日24時間プロパガンダの弾幕を張って叫び続けました。
同じ時に、「軍隊慰安婦」などの日本の帝国主義戦争によるアジアの被害者や、「医学」実験や化学物質汚染にさらされた中国人被害者の声は肩で押しのけられています。戦争と帝国主義の信奉者たちは、彼らの犯罪的役割をエスカレートさせるために、彼ら自身の犯罪の歴史の真実を抹殺せねばならないのです。
今日本では、教育の再軍事化すなわち、日本資本主義の将来の軍事的冒険に、「大砲のえじき」として生徒たちを動員するために、教育労働者に沈黙を強いる攻撃が吹き荒れています。そしてこの攻撃に反対している数百人の教育労働者に処分攻撃がかけられています。残念ながら、主な全国的労働組合連合や教職員組合は、これらの攻撃に対して沈黙を守っています。
しかしながら今日、アメリカとその同盟者は、国際場裏において守勢に回っています。アメリカはイラクで、独立組合を破壊できず、占領反対勢力をうち破ることができていません。多くの国で増大する労働者の運動を転覆することはできていません。
アメリカでは、労働者階級を守るという点で、AFL―CIO(米労働総同盟・産別会議)官僚は政治的に破産し、抑圧の拡大をともなった規制緩和、民営化と労組破壊へ向けたむき出しの衝動は、AFL―CIOの歴史的分裂に発展しました。この事態は、労働者階級にとっては前向きの展開ととらえるべきです。AFL―CIOは、アメリカでも国際的にも、労働者階級にのしかかる制約以外の何物でもありません。
アメリカの労働者階級と世界中の労働者階級は、自分たちの利益を守るための行動で、階級的団結と連帯のための新たな計画表を必要としています。デモクラシー(民主主義)という論点こそがキーポイントです。世界中の労働者との民主的討論と論争なしに、労働運動を再建していくことはできません。
世界の労働者の再組織化は、私たちの経済的利害を守っていくためだけではなく、今一度の世界戦争を阻止していくためにも、きわめて重要になっています。
アメリカの資本家どもは、彼らの権力と支配が脅かされるなら、さらなる原爆の使用の準備を完全に整えています。彼らはこのことを公言してはばかりません。労働者階級にとって唯一の解決の道は、彼らから権力をもぎ取ることです。
労働者階級による権力奪取を可能にする国際的な労働者階級の新たな建設は、ここ日本において、アメリカで、世界中のすべての国において、今や私たちの責任となっています。私たちは、社会の富とみずからの職場をみずからが民主的に支配し、思想の自由を基礎とした世界を、わが手に獲得するために闘います。私たちの国際的な協力と連帯行動のみが、この危機を解決し私たちの未来を守ることができるのです。
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週刊『前進』(2213号5面3)(2005/09/12)
“私に会って息子の死の理由を言え”
シーハンさんのブッシュ追及に全米で反戦闘争が再高揚
アメリカのイラク反戦闘争が再び大高揚を開始している。イラクでの米兵の死者が1900人に近くなる中で、8月6日、イラク戦争で息子を失った母親のシンディ・シーハンさんが、ブッシュが5週間の夏期休暇を取っているテキサス州クロフォードのブッシュの牧場の前にテントを設置して座り込んだ。彼女はブッシュに対して、会いに来てなぜ自分の息子が死んだのか説明するよう要求した。
この知らせを聞いた人たちが「私も行かなければ」と感じ、イラク戦争で子どもを亡くした母親、子どもがイラク戦争に派兵されている母親、反戦イラク戦争退役軍人会の会員、平和退役軍人会の会員などを始め、全米から反戦活動家がテキサスの田舎町に駆けつけた。友人がイラクに派兵されている人、学生、失業労働者、オーストラリアやトルコ、南朝鮮など外国からも駆けつけた。
シーハンさんらが立てた十字架の墓標を地元の一部の戦争支持者が車で引き倒すなどの妨害を行った。だが、それをはねのけ、さらに多くの人びとが駆けつけ、座り込みをする人は数百人に増え、激励に訪れる人も数千人に上った。地元の農民がキャンプ場所を提供して、シンディさんの息子のケーシーさんの名前にちなんでつけられた「キャンプ・ケーシー」は2カ所に拡大した。教会も駐車場に場所を提供し、世界中から物資や資金カンパが寄せられた。炊き出しをする人、防衛に立つ反戦イラク退役軍人、交通整理をする人。毎日行われる集会は感動にあふれている。
こうした中で8月16日には「シンディ・シーハン連帯デー」として全米で5万人の支援集会が開かれた。
そして9月24日に行われるワシントンDCでの集会・デモが二つの反戦団体ANSWERとUFPJ(平和と正義のための連合)の統一行動として行われることになった。実に画期的なことだ。イラク人民の抵抗闘争の権利は認められないとしてANSWERとの統一行動を拒否していたUFPJがイラク反戦闘争の高揚の中でついに統一行動に合意したのである。開戦前のイラク反戦闘争の高揚が、開戦後一定の沈滞を迎えていたが、その分断が打ち破られたのである。
シーハンさんの息子ケーシー・シーハンさんは、04年4月4日、バグダッドのサドルシティーでゲリラ戦士によるロケット弾攻撃を受け亡くなった。シンディさんはこれについて、インタビューの中で「彼はテロリストに殺されたのではない。彼がイラクから出ていくように要求しているシーア派の義勇兵によって殺された。ケーシーは解放者としてチョコレートと花束で歓迎されると教えられたが、イラクの人びとはまったく違う見方をしていた。彼を占領者の一人として見ていた」と語っている。
シーハンさんは、座り込みに入る前日の集会で「私は、ブッシュにケーシーが死んだ崇高な任務とはなんなのか答えさせようと思った。息子は石油のために死んだと言え。息子はお前の仲間をより金持ちにするために死んだと言え。アメリカの帝国主義を中東に拡大するために死んだのだと言えと言うつもりだ」と語っている。シーハンさんが不退転の闘いを決意したとき、その主張はもっとも鋭く核心を突いたのである。
彼女は「私はこの国に希望を見る。58%のアメリカの人びとが私たちに賛成している。もし58%の人たちが決起すれば、この戦争は終わるだろう」と言っており、その展望のもとに今回の座り込みを開始した。そして「ブッシュが休暇をやめてワシントンに戻れば、私もテントを引き揚げてワシントンに行き、ホワイトハウスの芝生にテントを張り、9月24日にみなさんが結集するのを待つつもりです」と訴えている。
ブッシュは、シーハンさんと会おうとせず、ただただ逃げ回っている。まともにシーハンさんに答えることなどできないからだ。シーハンさんの決起によってブッシュの犯罪は全世界に暴かれている。
アメリカの闘う労働者人民と連帯し、イラク反戦闘争に決起しよう。自衛隊をイラクから撤退させよう。11・6労働者集会に総決起しよう。
(秋原義明)
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週刊『前進』(2213号6面1)(2005/09/12)
米軍再編強化を阻む沖縄の闘い
辺野古の完全勝利をかちとり11月労働者集会へ進撃しよう
革共同沖縄県委員会
日帝・小泉は、どん詰まりの危機を居直り、解散・総選挙のファシスト的クーデターをもって“戦争国家化・戦争への突入以外にこの国が生き残る道はない”“そこに向かっての入り口である郵政民営化を妨害する者はたたきつぶす”と宣言し、労働者階級をその「激しさ」の前にはいつくばらせようとしている。情勢の核心はそこにある。労働者を虫けらのごとくに扱い、侵略戦争をしなければ生き延びられない帝国主義を今こそ打倒せよ――このスローガン以外に小泉の反革命攻撃に勝利する道はない。その攻防の主軸は階級的労働運動の成否にある。労働者の階級性=国際連帯の立場を貫くことが、国家主義、愛国主義、排外主義の大洪水で総屈服を強いる帝国主義を打ち破る唯一の道である。11・6全国労働者集会は、こうした内外の革命的激動と総対決する05年最大最高の政治闘争だ。米軍トランスフォーメーションと対決する最先端に立ち、「マグマ爆発の臨界点」に日々近づいている沖縄の闘いとの結合をかちとることが、11・6集会の大成功のための重要課題である。そのために、沖縄の情勢と闘いの課題を明らかにしたい。
「負担軽減」のうそと基地再編攻撃の破綻
トランスフォーメーション−米軍基地再編問題は、この秋沖縄を軸に激突情勢を迎える。
今日、全世界の情勢を規定しているのは、米(英日)帝によるイラク侵略戦争とその泥沼的敗北情勢である。米帝ブッシュ政権は、イラクの決定的敗勢にもかかわらず、いや、それゆえにこそ、1月ブッシュ就任演説やライス証言などで言う「自由の拡大」と銘打った世界大的侵略戦争の拡大にのめり込むしかない。そのための米軍の世界的再編―トランスフォーメーションは、北朝鮮の転覆から中国スターリン主義体制の転覆・打倒を究極目標にしている。日帝・小泉は日米枢軸を形成しこの米帝戦略の中で生き延びる歴史的決断をした。
2月の日米安保協(2+2)は、そのことを「日米共通戦略目標」の合意として確認した。そこに向かって日米安保同盟は決定的変質(むしろ新しい軍事同盟を結ぶに等しい)をとげようとしている。
だが日帝は、この戦略的合意を実現していくための階級的力関係の再編をいまだなしえていない。ここに立ちはだかっているのが辺野古の海上基地建設実力阻止を先頭とする沖縄の労働者人民の闘いである。7月中間報告発表、12月日米正式合意のプランは1カ月ごとに延期され、米軍基地の日米再編協議は完全にデッドロックにぶち当たっている。それは新たな日米対立をも引き起こしている。
日帝・小泉は、再編協議で「沖縄負担軽減」も日米で話し合うかのようなペテンを押し出して、沖縄県民の基地に対する怒りをかわそうとしてきた。これに対し米帝は、米連邦議会海外基地見直し委員会が「沖縄の海兵隊海外移転拒否」を表明する(8・15)など、2月日米安保協での「日米共通戦略目標」(対中国戦争にむけた沖縄基地の再編強化)のストレートな実施を日帝に迫っている。
最大のテーマである普天間基地の県内移設問題は、全国的な支持と共感、支援のもとに闘い続けられている辺野古現地の実力阻止闘争によって完全に行きづまっている。その中で、米帝は嘉手納基地統合プラス「もう一本の滑走路」(その最大のターゲットは宮古・下地島空港)を要求している。日帝は「沖縄負担軽減」が日米間で話し合われるかのようなペテンを続けていくことができなくなっている。
日帝・小泉は、この日米関係の基本点(基本的国家政策)において、完全に行きづまっていたのだ。それは改憲問題とも表裏一体である。だからこそ、小泉は一切の突破をかけて「郵政民営化」一本での解散という起死回生の奇策に打ってでたのである。
基本的に沖縄の米軍基地(再編)をめぐって、沖縄人民対日帝の対立構造はますます鋭角的に、かつ激しくなる。1995年10・21の原点に完全に回帰し、秋に向かっての情勢は、重大なものとなる。このことが米軍再編全体の帰趨(きすう)を決する構図がますます明白になってくる。
辺野古と金武町の闘い爆発
沖縄の米軍基地をめぐって05年は激しく動いてきた。辺野古における新基地建設阻止の海陸での闘い、キャンプ・ハンセン(金武町伊芸区)での都市型ゲリラ(対テロ)戦闘訓練施設建設と訓練開始を阻止する闘いは車の両輪として、昨年から05年にいたる沖縄における日米帝の基地再編強化の攻撃を真っ向から阻んできた。さらに本年3月、突如として引き起こされた宮古・伊良部町議会の下地島空港への「自衛隊誘致決議」(それは「入り口」であり「出口」は米軍・普天間基地の移設)とこれに対する町民総決起による議会の誘致決議撤回は、日米帝の基本プランを根底から瓦解(がかい)させる巨大な意義をもっている。05年5・15闘争―普天間基地包囲大行動は、ここ数年来最大の結集となり日帝を痛撃した。その後もくり返し引き起こされる米軍基地に関連する事件・事故の続発に対する県民の怒りは沸点に達しようとしている。
米帝は、日米安保の「義務」、日米安保協の確認を沖縄人民に強制することを一向に貫徹できない日帝にいらだち、沖縄での傍若無人な態度を露骨にしている。この間、さまざまな訓練に伴う事件・事故が続発し、いよいよ県民の怒りが高まっているが、その中には明らかな挑発、挑戦、イヤガラセの目的で意図的に行われているものもある。
8月24日、嘉手納空軍基地において米軍は、ミサイル攻撃を受けた事態に対する対処訓練なるものを行った。朝の出勤時、フェンス越しに基地に隣接する町役場のすぐ近くで、突如として30発のミサイル着弾音を模した大音響をスピーカーで流し、爆発の煙を発生させた。煙が役場を含む地域一帯に流れ出し大騒動となった。同訓練は前回も、授業中の嘉手納高校に煙を流し込み、一部の生徒が気分が悪くなるという事態を引き起こしている。司令官は「訓練の場所を間違えた」などと人をくったことを言って「謝罪」した。この間、米軍は、6・23、8・15、また沖縄の旧盆などの特別な日に意図的にぶつけた訓練を行っている。
これらに対し政府は「米軍に問題なし」「法律上許される」と、県民の気持ちを一顧だにしない態度を露骨にとってきた。「ここは日本ではないのか、沖縄県民は日本国民ではないのか」(都市型訓練施設反対行動に決起した伊芸区民の言葉)という怒りに対し、政府は沖縄に対する日帝の差別的な支配の地金をむき出しにしてきている。
こうした情勢の中で稲嶺県政は、日・米帝と沖縄県民の怒りに挟撃され、SACO・振興策の破綻(はたん)の中で、立ち往生している。
7月19日金武町で開かれた県民集会は、都市型訓練施設完成→訓練強行という事態への全県的怒りの高まりを恐れた稲嶺知事らによって、自己保身的な意図から、ガス抜きのために設定されたものだった。その分、「できるだけ人数が集まらない」よう日時を決めるなど、きわめて陰険な政治が働いたが、集会は予想を上回る1万人の大結集となった。集まったのは、総結集した金武町住民と全島から駆けつけた労働組合員だった。稲嶺は赤ハチマキをしめ、復帰後大衆的デモの先頭に立った初めての知事となった。
7・19集会は、今日の沖縄情勢を鮮明に示している。稲嶺県政は路線的に破綻し身動きがとれない。同時に、ある意味でそれ以上に既成左翼政治指導部は破綻と崩壊の縁にある。だが連合的制動にもかかわらず、沖縄の怒りと戦闘性を体現する労組の存在を基礎とした全県民的な怒りの下からの高まりとランク&ファイル的気運がある。沖縄情勢は、まさに「分岐・流動・再編・高揚」の激動を開始している。
「つくる会」派による歴史歪曲を粉砕せよ
「つくる会」派の沖縄(沖縄戦)への新たな攻撃が始まっている。「つくる会」教科書は、日帝・小泉、小泉=奥田路線に位置づけられた日帝の綱領そのものである。その核心は、戦後の労働者階級人民の中に形成されてきた反戦平和、基本的人権などの価値観、国民的意識を「犯罪的」とし、暴力をもって絶滅しようとするところにある。そして、労働者階級人民を再び絶望的なアジア侵略戦争に動員し駆り立てようと言うのだ。そのため、彼らにとって、「15年戦争」全体の絶望的破滅の表現である沖縄戦の歴史的真実は抹殺しなければならないものだ。そういう意図と戦略のもとに沖縄をそのターゲットとした。そのことの重大性を認識する必要がある。
すでに彼らは「従軍慰安婦問題は教科書から抹殺した。次は沖縄戦だ」と居丈高に公言し、昨年から今年にかけて具体的な行動に着手している。5月、「つくる会」の藤岡信勝らが、座間味・渡嘉敷「集団自決」に「指揮官の自決命令はなかった」ことの「証拠」探し調査(キャンペーン)に来沖。6・23沖縄戦終結・「慰霊の日」に、在沖自衛隊が摩文仁・牛島自決の場所で慰霊行動。7月、特攻隊賛美の東京都杉並区・山田区長が、琉球新報フォーラム講演(渡嘉敷奈緒美「沖縄タウン」宣伝)。小林よしのりの『沖縄論』出版と8・14講演会(「小林よしのりを沖縄に呼ぶ会」主催)。座間味・渡嘉敷「集団自決」をめぐって、指揮官・梅沢と赤松の遺族が「自決命令を出した、とウソを書かれて軍人としての名誉を傷つけられた」と岩波書店と大江健三郎氏を相手取って、慰謝料と出版禁止を求め提訴、などの動きが一挙に噴出してきた。
どれもこれも、これまでの沖縄の常識から言えばアッと驚くような、はらわたが煮えくりかえるような動きである。これらは一部の極右連中の跳ね上がりなどではない。日帝そのものが体重をかけて沖縄に対する新たな攻撃に突っ込んできているのである。
これらは中国領・釣魚台(尖閣諸島)を日本領土と強弁し、その「防衛」を叫ぶなど「領土問題」「国境問題」「資源問題」での本物の排外主義攻撃と結びついている。“宮古、八重山など先島があぶない”“中国軍が上陸してきたらひとたまりもない”“日本最西端、国境の島・与那国は警官の拳銃2丁しか武器がない”などのキャンペーンが、マスコミを動員して意図的、計画的に行われている。日帝・防衛庁は、先島への陸上自衛隊数百人配備を計画している。下地島空港への自衛隊誘致はいったん頓挫したとはいえ、けっしてあきらめたわけではなく執拗(しつよう)に動き続けている。その際に主要に言われている理由はこの「中国軍上陸」論なのだ。
これらの攻撃は労働者階級に対し右から左にやすやすと貫徹していくようなものではないが、しかし、帝国主義に屈服した既成指導部ではまったく闘えないのである。
社民党などは、「釣魚台油田開発で沖縄経済の自立的発展」を掲げるところまで来ている。だが、まさに自国帝国主義との階級的対決こそが必要なのである。日帝はこれまで沖縄戦と戦後米軍支配、日米安保体制下の米軍(基地)の下での県民の苦しみをあからさまに足蹴にはできなかった。表では犠牲の集中には同情するふりをしながら、実際には差別抑圧的政治をやってきた。要するにペテン的な使い分けでやってきたが、現在のブルジョアジー本体の考えを体現する「つくる会」派の主張はまったく違う。国のために命をささげるのは当たり前、「沖縄の犠牲」などは当然、個人の命や尊厳を国家に対置するような考え(命どぅ宝)は根本から間違っており犯罪的、とする彼らの思想・綱領を正面から押し出している。「戦後的平和主義」ではこれに太刀打ちできない。
「つくる会」派の沖縄に対する攻撃は、米軍基地再編問題での日帝の行き詰まりと危機の打開と表裏一体である。日米帝の意図する米軍基地再編の内容を沖縄県民に押しつけていくには、「国のために進んで崇高な犠牲を引き受けることこそ沖縄の最高の栄誉」というところまで沖縄人民の意識を解体、変質させることが不可欠だ。そして、日帝は「お前らも日本人ではないのか」「もしそうならもう一度命を投げ出せ」という恫喝を仕掛けてきているのである。
今日までの日帝の沖縄政策は基本的には、沖縄振興開発計画を軸とする「買収政治」だった。しかし、それによっては「沖縄問題解決」などできないことを人民の側から突きつけたのが95年10・21「10万人決起」だった。さらにそのペテンの二番せんじとしてのSACO・振興策と対決し、これをうち破ったのが辺野古の闘いだ。
今問われているのは、辺野古の闘いを完全に勝利させ、その地平から日帝との全面的階級的対決に踏み込んでいくことである。階級的立場、帝国主義打倒の立場に立った闘いを貫くことである。「沖縄奪還、安保粉砕・日帝打倒」の戦略的な闘いを労働者階級の闘いとして発展させよう。
沖縄県民の体験に基づく「命どぅ宝」の思想(沖縄戦・戦争の絶対的否定)も、帝国主義に対する階級的批判と結びついた時初めて力をもつ。沖縄戦の現実をうそとデマで書き換え、塗り替え、「もう一度沖縄戦をやろう。県民は、また同じことをやれ。沖縄戦時のように天皇と国家に命をささげよ」と主張するような連中を許してはならない。沖縄で「つくる会」を返り討ちにせよ。
労働者の階級的国際的隊列との大合流を
今、何をなすべきか。
第一に、11月労働者集会1万人結集を実現し、新たな階級的な、国際連帯の労働運動の全国潮流をつくり上げていくことである。帝国主義と対決し、沖縄ヘの攻撃をわがこととして(日本労働者階級の課題として)とらえることのできる巨万の日本労働者階級の階級的隊列と結合することなくして沖縄への攻撃は打ち破れない。さらに言えば、アメリカの労働者階級、そしてイラクを始め世界の、とりわけ韓国・民主労総を始めとするアジアの闘いと結合していくことである。それは夢でもなければ、将来のことでもなく、日・米・韓3国の労組による国際連帯の世界的潮流運動として現に存在している。
第二に、トランスフォーメーション―米軍基地再編強化攻撃に対する沖縄全県で総反乱の様相を強めつつある反基地の闘い、その中心軸にある辺野古海上基地建設阻止闘争を断固として闘いぬき、最後的破産にたたき込むことである。辺野古では約1年半、何度かの実力的激突をくり返しながら、勝利の二文字を指呼の間に引き寄せてきている。いや、500日にわたって毎日実力闘争が闘われている。この海上ヤグラをめぐる攻防戦が米軍再編を最前線で阻んでいるのである。これは歴史的に見ても画期的な、かけがえのない日本労働者階級の財産である。これと一体となって、米軍再編粉砕、普天間基地即時閉鎖・実力撤去の闘いを発展させよう。米軍再編粉砕の中でこそ普天間の解決ができるのである。
第三に、「つくる会」反革命攻撃を粉々に粉砕することである。杉並における「つくる会」教科書採択攻撃との闘いは、中国、韓国、そして沖縄にも鳴り響いた画期的闘いだった。この闘いは、帝国主義の戦争と排外主義、階級性絶滅(労組破壊)攻撃に対する闘いの主軸をなす。沖縄でこそ「つくる会」の息の根をとめるような闘いを巻き起こさなければならない。
第四に、労働運動の階級的再生と労働者党建設が待ったなしで問われている。労働運動の階級的発展の中でこそ「島ぐるみ闘争」のエネルギーが 爆発的に解放されていくのだ。自治労、沖教組・高教組、全駐労などで起きつつある階級的胎動としっかりとかみ合わなければならない。労働者階級の勝利のためには沖縄を日帝打倒・日本革命の階級的砦(とりで)にしていくことが必要である。マルクス主義・革命的共産主義だけがそれをなしとげることができるのである。
日帝・小泉のファシスト的クーデターと真っ向から対決し、イラク−北朝鮮・中国侵略戦争のための米軍再編=沖縄基地強化の攻撃を労働者の総決起で粉砕しよう。
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週刊『前進』(2213号6面2)(2005/09/12)
座間で連月デモ 「指令部移転阻止」掲げ
8月27日午後、神奈川県相模原市の相武台1丁目公園で、「第1軍団は来るな!違法爆音はごめんだ!! 在日米軍基地の再編強化は許さない市民行動 座間・相模原」の集会とデモが意気高く闘いとられた。主催は「原子力空母の母港化に反対し基地のない神奈川をめざす県央共闘会議」。厳しい残暑の中、30団体200人が結集し、沖縄の三線に合わせた歌が流され集会が始まった。
米本土ワシントン州にある陸軍第1軍団司令部の座間基地移転計画は、米軍再編(トランスフォーメーション)の中心的攻撃である。それは実戦部隊司令部の前線配備であり、米日帝国主義による北朝鮮・中国侵略戦争のための臨戦態勢づくりである。絶対に許してはならない。
県央共闘会議の大波修二代表は「日本政府はまだまだアメリカの言いなりになっている。われわれは力をつけたい。われわれは毎月行動をやっている。必ず成果を生むでしょう」と連月闘争を継続して闘っていることへの誇りと勝利への確信を明らかにした。
平和センター事務局長は「県央共闘会議が毎月第1軍団移転反対闘争をやっていることに敬意を表したい。必ず国民に通じ、政府に達する。県内で全面的に私たちの運動を展開し、全国に発信していかなければなりません」と訴えた。
県央共闘会議事務局長は行動提起の中で、「県央共闘会議は韓国の反基地闘争と連帯してきており、先日4回目の訪韓をした。こうした中で8月12日、梅香里(メヒャンニ)の空軍射撃場の閉鎖をかちとりました。闘いの成果です」と、不屈の闘いが勝利を呼び込み、国際連帯闘争が重要であることを訴えた。
集会後、厚木基地爆音防止期成同盟を先頭にして、百万人署名運動湘北連絡会、婦人民主クラブ全国協議会、教組、自治労などの隊列がデモにうってでた。旗・のぼりを林立させて進むデモ隊に沿道から「がんばれ!」と声援が飛んだ。
座間基地正面ゲート前に到着し、基地への申し入れを行った。代表団が「座間では6万人、相模原では21万人にも上る反対署名が寄せられた。司令部の受け入れはできない」とする司令官あての申入書を基地職員に手渡し、その間デモ隊は力強くシュプレヒコールをたたきつけた。
この間の基地撤去への執念と闘いの継続が、勝利への展望と確信を作り出している。既成野党や連合が総屈服している中で、この闘いの炎は必ずや多くの労働者人民をとらえるだろう。
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週刊『前進』(2213号6面3)(2005/09/12)
8月24日〜30日
ブッシュが対日戦60年演説
陸自に海外情報の専門部隊
●ブッシュ、イラク即時撤退否定 ブッシュ米大統領はイラク駐留米軍について「私が大統領である限り、われわれは踏みとどまり、戦い、テロとの戦いに勝利する」と語り、即時撤退論を退けた。(24日)
●米軍、イラクに1500人増派へ 米国防総省は、イラクで10月に予定される新憲法承認のための国民投票とその後の議会選挙に備え、イラク駐留米軍を一時的に1500人増強する方針を発表した。(24日)
●沖ノ鳥島、灯台設置へ 海上保安庁は、沖ノ鳥島に灯台を設置することを決めた。同島を「岩」と主張し、島の周囲の日本の排他的経済水域(EEZ)を認めない中国に対し、島としての存在を明確にする目的。(24日)
●嘉手納で爆発音、有事想定訓練 嘉手納町役場駐車場とフェンス1枚を隔てた嘉手納基地内の道路で、閃光(せんこう)とともに30発近くの爆発音が鳴り、大量の白煙が駐車場内に流れ込んだ。爆発音は同基地が21日から開始した有事を想定した即応訓練の一環。駐車場に居合わせた職員や町民の中には体調不良や耳鳴りなどを訴える人もいた。(24日)
●通知なく海上移動 在沖縄米海兵隊の水陸両用車が地元自治体への事前通知なしで海上移動訓練を行った。同車両は6月上旬に宜野座村の民間地への乗り上げと辺野古の沖のリーフ上への沈没事故が相次いで発生している。(24日)
●自動車道訓練、11年前から 米海兵隊報道部は、沖縄自動車道での大型トラックによる車両訓練を、11年前の1994年から続けていることを明らかにした。この間、日本政府や沖縄県、日本道路公団は訓練を把握していなかった。23日に自動車道で米軍車両がUターンし一般車と衝突した。(24日)
●陸自ヘリ、民間グラウンドに離着陸 名護市宮里の21世紀の森公園内のグラウンドで、陸上自衛隊のCH47JA輸送ヘリコプターが沖縄県総合防災訓練に向けた検証訓練として離着陸を行った。ほかに3カ所で同様の離着陸を行った。(24日)
●陸自に海外情報専門隊 防衛庁は、自衛隊の海外派兵に際しての情報収集力を強化するため、陸上自衛隊に「中央情報隊」(約600人)を新設する方針を決定した。直接海外の要人にあって聞き取り調査をする専門隊員を初めてつくる。また、陸自の海外派兵待機要員を常時2600人指名する制度も新設する方針。(25日)
●イラク憲法草案確定 イラクの新憲法草案が正式に確定した。これによって憲法草案は10月に予定されている国民投票にかけられる。スンニ派は草案に合意しなかった。国民投票の規定で3州で反対が3分の2以上を占めれば草案は否決される。(28日)
●自衛隊宿営地近くに砲弾 陸上自衛隊が駐留するイラク南部サマワで、自衛隊宿営地の南東約500b付近に迫撃砲が着弾した。警察などが着弾地点を確認したところ、不発の砲弾がみつかった。(28日)
●総選挙公示 第44回総選挙が公示され、9・11投票へ選挙戦が始まった。(30日)
●米空爆で45人死亡 イラク駐留米軍は、イラク西部のシリア国境に近いカイム周辺の3カ所を爆撃したと発表した。米軍は「アルカイダのアジトを爆撃し、幹部のアブ・イスラムと仲間を殺害した」としている。カタールの衛星テレビ局アルジャジーラは、カイム病院の院長の話として、攻撃で少なくとも45人が死亡したと伝えた。(30日)
●ブッシュが対日戦60年で演説 ブッシュ米大統領が、カリフォルニア州の海軍基地で対日戦勝60周年記念の演説を行い、敗戦後の日本の民主化を引き合いにイラクの民主化も必ず成功し、米国の国益になると強調した。イラク戦争への支持率低下の中で、派兵正当化に躍起の姿を表した。(30日)
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週刊『前進』(2213号7面1)(2005/09/12)
小泉反革命粉砕、全学連大会成功へ
日米韓労働者とともに闘う 11月学生1千人の大隊列を
革共同中央学生組織委員会
はじめに
すべての労働者人民のみなさん! 全国の学友諸君! 小泉の8・8解散−9・11総選挙の反革命クーデターを粉砕しよう! 11・6労働者集会に1万人の大結集を実現しよう!
階級闘争はまったく新たな段階に突入した。小泉は帝国主義世界戦争の時代への突入に突き動かされ、自民党−支配階級内の戦後的あり方をも一掃し、世界戦争参戦と民営化(労組破壊)に容赦なく突き進んでいる。この帝国主義の全体重をかけた攻撃の激しさの前に、既成の勢力、労働運動指導部は屈服し、改憲・戦争協力への道を転がり落ちている。しかし他方で、既成の枠を突き破る労働運動の新たな潮流が登場を始め、労働運動の大流動・大再編が起きている。
9・11総選挙の中に労働者階級の選択肢(せんたくし)などない。戦後の「平和と民主主義」では一切通用しない。帝国主義打倒の立場以外に反戦運動も労働運動も成立しない。11・6労働者集会は、「小泉改革をぶっとめろ!」「戦争と首切りの小泉内閣を打倒しよう!」「郵政民営化絶対阻止!」「イラク侵略戦争阻止、自衛隊撤退! 北朝鮮・中国侵略戦争阻止!」「『つくる会』教科書採択を撤回せよ!」「闘う労働運動の再生を!」などを鮮明に掲げ、全国から万余の労働者が労働組合の旗をなびかせて首都に集結し、首都を揺るがす大デモンストレーションを敢行する闘いだ。さらにアメリカの労働者、韓国の労働者との国際連帯の力で世界戦争を強行する国際帝国主義を打倒する闘いだ。11・6に労働者人民の1万人大結集をなんとしても実現しよう。
この大激動の中で、9月全学連大会を歴史的大会としてかちとろう。今次全学連大会を、何よりも第一に、11・6全国学生1000人結集に向けた総決起集会としてかちとろう。第二に、小泉反革命に怒りを爆発させ、それと真っ向から闘う方針を確立しよう。第三に、労働者階級とともに闘う全学連運動の新時代を切り開いていこう。その闘いのための新たな体制を今大会でつくりだしていこう。
戦争と民営化攻撃の小泉打倒へ総決起せよ
11月大結集に向かって第一に訴えたいことは、何よりも8・8衆院解散−9・11総選挙の巨大な反革命に対し、小泉打倒を鮮明に掲げ、11・6労働者集会への1万人−学生1000人結集をなんとしても実現しようということである。
一つに、9・11総選挙で誰を選ぶかといったことの中に労働者階級の選択肢などない。小泉打倒・小泉構造改革・民営化粉砕こそ唯一の回答だ。
小泉は衆院解散後の記者会見や選挙のビラ・ポスターで「郵政民営化に再挑戦」「郵政事業を担うのがなぜ27万公務員でなければならないのか」と叫び、「改革を止めるな」「官から民へ」と繰り返し呼号している。公務員、教育労働者の労働組合への敵視をむき出しにしている。絶対に許すことができない。
@自民党は「改革を止めるな」というスローガンを掲げているが、小泉構造改革・民営化など粉砕以外にない。それは侵略戦争−世界戦争への突進と首切り・増税・民営化=労働組合つぶしにほかならない。
国際帝国主義は、いまや世界戦争の時代に突入している。
帝国主義は帝国主義である限り、世界大恐慌過程への突入と分裂化・ブロック化を激化させ、勢力圏と資源の独占的支配・再支配をめぐり、アフガニスタン・イラクから北朝鮮・中国侵略戦争−世界戦争にのめり込むしかない。アメリカ帝国主義を先頭にその道が始まっている。
日本帝国主義は帝国主義間争闘戦での敗勢的現実と、憲法9条などの制約をまったく突破できないことに追いつめられ、焦っている。だから小泉は、自民党内反対派をも一掃することを通して戦後的制約の一切をぶちこわし、日米枢軸形成から北朝鮮・中国侵略戦争−世界戦争参戦に向かって突進しているのだ。
そのために民営化を強行し、労働者の抵抗拠点である労働組合を徹底的に破壊しようとしている。労働者は団結を破壊されてバラバラに分断された時、資本によってとことん非人間的に扱われる。他人を蹴落として生きることを強いられ、挙げ句の果てには帝国主義のために戦場に送り込まれることになるのだ。これが小泉の構造改革・民営化の正体だ。
この攻撃の中心軸になっているのが「つくる会」教科書のイデオロギーだ。ナショナリズムを徹底的にあおり、「帝国主義の危機の時代には侵略戦争も正しい。そこに命を差し出せ」という思想、「つくる会」会長の八木秀次に見られるような、階級闘争そのものを敵視し、絶滅する思想だ。
A「官から民へ」「小さな政府」「規制や許認可」から「ルールと秩序を守る」「番人型の政府へ」などと叫び立てているが、これは資本家の利害を百パーセント貫徹する政府ということだ。労働者を徹底的に犠牲にし、抵抗する者は徹底的に弾圧するということだ。絶対に許せない。
「官から民」の「民」とは民衆のことではない。日本経団連・奥田を始めとする一握りの資本家階級のことだ。小泉の構造改革・民営化とは、この資本家階級の延命のために、労働者人民に負担・犠牲を際限なく強制するものだ。
「小さな政府」「官が民の邪魔をしない」とは資本家階級が労働者階級の首を切る、賃金を切り下げることを「邪魔=規制しない」ということであり、労働者の救済も一切しない、地方も切り捨てるということだ。戦後革命敗北の副産物として、また労働者の闘いの成果でもある戦後的な社会福祉・社会保障政策や地方自治も投げ捨てるということだ。
さらに「ルールと秩序を守る」「番人型の政府」とは、治安弾圧をがんがんやるということだ。共謀罪などどんどん成立させる。労働者が資本に対して要求することはどんなに小さなことでも許さない、まして団結して闘うことなど絶対に許さないということだ。同時に排外主義の扇動と一体で、侵略戦争の論理でもある。「小さな政府」というが、その実態は巨大な警察国家、軍事国家だ。
つまり小泉構造改革・民営化とは、支配階級自身がつくりだした危機をすべて居直り、資本家階級の「自由と繁栄」こそすべて、労働者はどんなに犠牲を強制されようと黙って従え、一切の抵抗は許さない、労働組合などはすべてたたきつぶす、そして戦争に動員し、命も差し出せということなのだ。
B小泉・自民党は自治労や教職員組合に対し、「不正や腐敗は、目に余る」「あきれるばかりの福利厚生」「公務員天国」「無駄遣い」などとあらん限りの悪罵(あくば)を投げつけている。構造改革・民営化の最大の狙いは労働組合の解体なのだ。絶対に許せない。
そもそも1000兆円にも及ぶ国の借金は誰がつくったのか。小泉が言うように公務員なのか。ふざけるな! 日帝・金融独占ブルジョアジーが戦後一貫して国家財政を食い物にしてきた結果なのだ。その連中が居直って「痛みに耐えよ」と犠牲を強要しているのだ。
現在の腐敗した幹部を打倒し、労働組合が持つ本来の力をよみがえらせよう。労働組合とは、労働者が団結して資本の搾取・圧迫に対抗し、生活と権利を守るための組織だ。労働者は労働組合に結集して団結する以外に、資本の攻撃から身を守ることはできないのだ。
小泉は民間資本で働く労働者と公務員労働者とを分断しようとしているが、これも労働者の階級的団結を解体する許しがたい攻撃だ。
確かに民間資本のもとで働く労働者は賃下げ・リストラ・非正規雇用化などあらん限りの資本攻勢を受け、非人間的扱いを受けている。しかしそれは民間資本の労働組合が御用組合化し、労働者の団結と抵抗の力が弱まってしまっているからだ。その上、公務員労働運動が解体された時に民間資本ではもっと激しく労働者が攻撃されることになる。今こそ公務員・民間を問わず、すべての職場で資本・当局に対する怒りを集め、自らの生活と権利を守るため、労働組合のもとで団結し、資本と闘う時なのだ。
C小泉の4年間で景気が良くなったというが、大ウソだ。この間の日帝経済は、野放図な国債発行(借金の累積)と超金融緩和政策のとめどもない続行、さらには対中輸出によって支えられてきたに過ぎない。国と地方の借金は1000兆円に達し、この瞬間にも増え続けている。もはや財政再建など不可能だ。
一方でこの4年間で労働者階級人民の生活はどうなったのか。生活保護世帯が100万世帯、143万人に及び、自殺者は年間3万2000人以上に達している。4年間では実に十数万人。これだけの労働者階級人民の生活、命を奪い続けているのだ。こうした現実を「民間(ブルジョアジーのことだ!)の力を引き出す改革」などと言っているのだ。絶対許せない! 小泉構造改革で人民は殺されるのだ。
つまり、帝国主義が自ら生み出した矛盾をまったく解決できず、そのすべてを労働者階級に転嫁して生き延びようとしているのだ。これが構造改革・民営化であり、これに対する労働者階級の回答は、帝国主義打倒以外にないのだ。
労働者階級の階級的団結の解体を許すな
二つに、05年前半決戦の中で、階級闘争がまったく新しい局面に突入している。労働者階級の階級的団結が解体され、戦争にまでかり出されてしまうのか、それとも労働者が階級的団結と国際連帯を回復・再生し、労働者の社会をつくっていくのか。その二つの道をめぐって、今われわれは本当に分水嶺(ぶんすいれい)に立っている。そして階級的団結と国際連帯を回復・再生させる決定的闘いが11・6労働者集会なのだ。
郵政民営化法案の否決で戦後的自民党の限界を突きつけられた小泉は、総選挙過程で戦後の自民党をたたき壊し、帝国主義的ナショナリズムの扇動をもって、戦争と民営化(労組破壊)の大攻撃に突き進んでいる。内外情勢の危機の中で、支配階級の側がこれまでのやり方ではやっていけなくなり、支配のあり方の大転換を決断しているのだ。資本主義体制そのものの存亡をかけ、「帝国主義と運命を一体化せよ」と階級的なもののかけらすらも絶滅・一掃する大攻撃だ。
そして労働運動においては、このような帝国主義的ナショナリズムのあらしに対し、連合の「7・14改憲見解」、自治労中央の「平和基本法」提言など既成指導部が屈服と後退を重ね、ついに明示な改憲勢力、戦争翼賛勢力に踏み出そうとしている。戦後の平和と民主主義では小泉反革命とまったく闘えず、むしろ労働者階級全体を転向と戦争協力の道に引きずり込もうとしているのだ。
しかし他方で、このようなあらしに抗して、「日の丸・君が代」強制拒否の教育労働者の決起、「つくる会」教科書採択阻止の労働者人民の決起、7・15国鉄集会に示された国鉄陣形の決起、自治労大会での「平和基本法提言」反対を表明した自治体労働者の決起など、動労千葉を先頭とする労働運動の新しい潮流が姿を現しつつある。
特に杉並では、杉並の労働者人民や全国の学生によって、既成勢力の屈服・闘争放棄をのりこえて「つくる会」教科書採択阻止の闘いが闘われた。その結果、「つくる会」が「東京50%、全国10%」と豪語していた採択率を0・5%以下にたたき込み、「つくる会」の狙いをずたずたにする大勝利を切り開いた。さらにこの闘いが杉並区教職員組合(杉教組)の「つくる会」教科書採択撤回宣言という偉大な決起を引き出したことは、きわめて重大な地平だ。小泉の構造改革・民営化攻撃を粉砕する端緒を切り開いているのだ。
このような情勢は、支配階級の側も被支配階級の側も含め全政治勢力を、「帝国主義的ナショナリズムによる労働者階級の階級性・団結の解体か、労働者階級の階級的団結と国際連帯の回復・再生−帝国主義打倒か」という二者択一の巨大な分岐と大流動にたたき込んでいる。この点、われわれも例外ではない。
問われているのは、ナショナリズムのあらしの中に真っ向から飛び込み、切り結び、階級的団結と国際連帯を突き出して、労働者階級との結合・獲得・決起を実現することだ。
05年前半、「日の丸・君が代」闘争、「つくる会」教科書闘争=都議選闘争、動労千葉の反合・運転保安確立闘争など、諸闘争を死力を尽くして闘ってきた地平は、労働者階級の階級的団結を回復していく、その展望を一歩一歩切り開いてきているのだ。11・6は、既成政党、労働運動の転向と翼賛を突き破って、労働者階級の階級的団結と国際連帯の旗を掲げ、闘う労働運動の新しい潮流をつくりだす闘いだ。資本との闘いを非妥協に闘いぬいている日本の3労組、日米韓の労働組合によって呼びかけられている11・6は小泉反革命を打ち破る唯一の結集軸・対抗軸だ。
帝国主義打倒と階級的団結再生こそ勝利の道
11・6大結集に向かって第二に、小泉反革命と真っ向から対決し、国家主義・排外主義の扇動をうち破り、労働者階級の階級的団結・労働組合的団結を軸に、戦争と民営化攻撃と闘おう。
小泉構造改革・民営化に対し労働者・学生はどう闘うか。
@何よりも、小泉反革命を真っ向から見すえ、怒りを爆発させ、職場やキャンパス、街頭で小泉構造改革・民営化攻撃の暴露・批判・粉砕の闘いをやりぬこう。小泉反革命とは、労働者階級の階級性・階級的団結を解体する攻撃であり、これと対決することなしに反戦闘争も闘えないし、労働組合的団結も守れないからだ。小泉反革命を帝国主義打倒の立場から徹底批判する中で階級的団結の回復・再生をかちとろう。11・6こそ小泉反革命粉砕の唯一最大の結集軸であり、対抗軸だということをはっきりさせて闘いぬこう。
A労働者にとっては、労働組合が本来持つ力をとり戻すことが必要だ。労働組合とは、労働者の生活・権利を守るために団結して資本・当局と闘う組織だ。現在、小泉反革命の帝国主義的ナショナリズムの扇動の中で、大部分の労組幹部が資本・当局に屈服し、改憲・戦争協力勢力への転向を深めている。しかし、だからこそ現場・職場の怒りを集め、腐敗した幹部をたたき出して労働組合を労働者・組合員の手に取り戻すのだ。
B学生は小泉反革命粉砕の闘いの先頭に立とう。そして労働者の階級的団結の中にこそ自らの未来もあることを見い出し、労働者階級の階級的団結、労働運動の前進のために闘おう。キャンパスに労働者階級の闘いを真正面から持ち込み、11・6への決起をかちとろう。
一つに、郵政労働者の怒り、決起と連帯し、郵政民営化を絶対に阻止しよう。小泉が”本丸”と位置づけている郵政民営化にも小泉構造改革・民営化の本質が百パーセント貫かれている。
小泉は郵政職場で働く38万人を民営化によっていったん全員解雇し、再雇用の際に差別・選別雇用を行って組合の活動家だけを再雇用せず、労働組合を破壊しようとしている。国鉄の分割・民営化でやったのとまったく同じことだ。その結果起こったのがJRの尼崎事故だ。労働組合が組合らしく闘わなかったら資本に殺されるのだ。この現実を郵政労働者から自治体労働者、教育労働者、さらに全社会に拡大しようとしているのだ。
小泉は、郵政民営化のもう一つの狙いが労働者人民の細々とした蓄えである郵貯を「民間に開放することである」と言っている。民間とは労働者人民のことではない。資本家の食い物にすると言っているのだ。特にIT技術を使った投機的経営という、帝国主義の末期的危機のえじきに郵貯を明け渡せというのだ。こんなことを絶対に許してはならない。このことを真正面から訴えよう。
二つに、「つくる会」教科書の杉並での採択を絶対に撤回させよう。無法に無法を重ねて強行された杉並での「つくる会」歴史教科書採択は本当に許すことのできない暴挙だ。白紙撤回あるのみだ。
だがそれは同時に、「つくる会」派の不正義性、反人民性を満天下に暴き、その大破産を刻印するものとなった。杉並・親の会の呼びかけにこたえ、山田区長と区教委の不正・不法を徹底的に暴き弾劾し、歴史教科書の採択撤回まで闘いぬこう。徹底抗戦を宣言した杉教組の闘う教育労働者とともに、「つくる会」教科書の使用を許さない闘いをつくりだそう。
三つに、自衛隊のイラク即時撤兵を掲げ、イラク反戦闘争に立ち上がろう。米英日帝のイラク侵略戦争はいよいよ泥沼の危機を深めている。イラク人民の激しい民族解放・革命戦争を鎮圧することができないばかりか、逆に米帝の方こそ占領支配体制が崩壊しかねない危機に突入している。このイラク戦争の現実が、今日の世界情勢全体を規定している。イラク戦争の継続・激化、世界戦争への拡大が、帝国主義の基本方向となっている。
こうした中で、あくまでイラク派兵を継続する日帝・小泉に対してイラク人民の怒りが高まっている。自衛隊撤退を求めるデモが起こり、自衛隊に対するゲリラ戦闘が本格的に開始されている。イラク・ムスリム人民と連帯して自衛隊を即時撤退させるために闘おう。
四つに、米軍のトランスフォーメーション(米軍再編)と対決し、安保・沖縄決戦に立ち上がろう。さらに三里塚、北富士を始めとする全国反基地闘争に立ち上がろう。
トランスフォーメーションの基本的内容は、世界的な米軍の態勢をイラク戦タイプの戦争を効果的に推進する態勢に転換していこうとするものである。その焦点のひとつが日本を中国・北朝鮮侵略戦争の作戦指揮の一大拠点とすることだ。日帝も、防衛白書などで中国への排外主義をあおりつつ、トランスフォーメーションに対応した北朝鮮・中国侵略戦争体制を構築しようとしている。
この中で、辺野古への新基地建設を撤回させることを始めとした沖縄闘争、全国基地闘争の重要性は05年、06年とますます強まる。基地再編と一体の形で周辺事態法、武力攻撃事態法、有事法制が発動される情勢へ突入する。これに対する闘いを全力で展開しよう。
五つに、教基法改悪阻止−改憲阻止の闘いに立ち上がろう。今秋過程は、11月自民党改憲案提出が大きな節目となる。帝国主義的ナショナリズムのあらしの中で、改憲への動きは一気に強まる。このことを見すえ、粉砕する闘いに立ち上がろう。教育労働者とともに教基法改悪阻止の闘いに立とう。
有朋寮決戦と法大決戦柱に大学闘争を闘おう
11・6大結集に向かって訴えたいことの第三は、学生こそ小泉反革命粉砕−11・6大結集に向かって、その先頭で闘おうということだ。その決定的一環として、法政大決戦、東北大有朋寮決戦への総決起を柱に、小泉=奥田の「大学改革」攻撃と対決する大学闘争に決起しよう。そしてこの決戦の中で、闘う学生自治会の建設・発展を全国でなしとげていこう。
05年前半の闘いの中で学生は決定的役割を果たした。05年前半戦において全国学生は「日の丸・君が代」闘争、「つくる会」教科書阻止闘争など、階級闘争の先端で全力で闘いぬいてきた。そのことが多くの労働者を激励し、階級的決起と団結、労働運動の前進に貢献した。同時に重要なことは、闘いに決起した学生自身が労働者階級の現場からの決起・闘いに学び、生きた交流の中で労働者階級というものをつかむ重要な契機になったことである。こうして労働者階級と連帯・結合・呼吸しながら、階級闘争の先端で闘ってきたことは実に決定的だ。とりわけ8・15靖国神社の「終戦60年国民の集い」に対する決死の実力糾弾の闘いは、靖国を押しだし、帝国主義的ナショナリズムを扇動する攻撃に一歩も引かず、真っ向から対決する闘いであり、闘う労働者の喝采(かっさい)を受けた。
さらに、小泉反革命との闘いの中でキャンパスの闘いが果たす役割は決定的だ。キャンパスにおいて、帝国主義的ナショナリズムの扇動と制圧の中に真っ向から飛び込み、切り結んで、帝国主義打倒、労働者階級、共産主義ということを堂々と叫んで勝利することだ。このことが労働者階級の闘い、労働運動の前進にとってものすごい貢献を果たすのだ。
その闘いの決定的一環として大学闘争を闘おう。とりわけ東北大有朋寮決戦が9・1明け渡し裁判の判決を受けて決定的な決戦局面を迎えている。有朋寮廃寮阻止の闘いは、学生が団結すること、主体的に考えることを許さず、大学丸ごと侵略戦争−世界戦争に動員しようとする攻撃との闘いだ。まさに小泉反革命、戦争と民営化、帝国主義的ナショナリズムとの決戦であり、その先端の闘いなのだ。階級闘争全体の前進−11・6の爆発をかけて有朋寮決戦に総力で立ち上がろう。
学生自治会建設の核心は「帝国主義世界戦争への道か、帝国主義打倒か」をめぐるキャンパスでの大衆的な分岐に勝利することだ。この分岐に勝利して11・6集会1000人結集をかちとろう。
労働者階級自己解放の思想であるマルクス主義を武器に、ともにマルクス主義学生同盟・中核派に結集して未来を切り開こう。なによりも11・6大結集に向かって闘おう。
全学連第65回定期全国大会
・日時 9月23日(金)〜25日(日)
23日(金)午前=議案提起 午後=大学報告
24日(土)午前=大学報告 午後=分科会
25日(日)午前・午後=討論・新役員選出など
・会場 9月23、24日 文京区民センター
(東京都文京区本郷4―15、地下鉄「春日駅」下車)
9月25日 月島区民館
(中央区月島2―8―11、地下鉄「月島駅」下車)
・主催 全日本学生自治会総連合(委員長 大山尚行)
ホームページ=http://www.zengakuren.jp/
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週刊『前進』(2213号7面2)(2005/09/12)
有朋寮の戦闘宣言(抜粋)
9・1反動判決弾劾!強制執行粉砕決戦に突入する
本日9月1日、仙台地裁(小野洋一裁判長)は有朋寮明け渡し裁判において、「仮執行」付の明け渡し命令という不当判決を下した。この判決は、機動隊導入による暴力的廃寮宣言であり、われわれは絶対にこれを認めない。唯々諾々と従うつもりはない。有朋寮は強制執行との徹底対決を宣言する! われわれは逮捕・流血を恐れない。一歩もひかず実力で阻止するのみだ。
すべての学生・労働者・市民のみなさん! 強制執行粉砕の歴史的決戦へともに立ち上がろう!
廃寮ありきの裁判など認めない! 判決への屈従を断固拒否する!
本判決は、寮生の生活権と教育の機会均等を破壊する不当判決である。そして、この明け渡し裁判で明らかになったことは、まさに目的のためには手段を選ばぬ大学当局・仙台地裁の卑劣な姿であり、有朋寮の闘いの正当性だ。
●逮捕・流血辞さず、人生かけた大決戦を決意する!
われわれ有朋寮生は、強制執行に一歩も引くつもりはない。なぜか? その理由は4年間の激闘に凝縮されている。
第一に、学生の主体性を踏みにじる東北大学当局にだけは絶対に屈することができないからだ。結果ありきの「廃寮決定」、白を黒と言いくるめるデマ宣伝、卑劣極まる叩き出し、話し合いや署名の受け取り拒否、…、これらすべてを許せないからだ。
第二に、古郡陸君(02年度入学、理学部)への「無期停学」処分に腹の底から怒っているからだ。われわれは古郡君を絶対に守り抜く!
「廃寮決定」後に新入寮生を受け入れるかどうか、全寮的な論議が巻き起こった。そしてわれわれは古郡君を受け入れ、どれだけの攻撃があろうとも防衛することを決断した。これこそ自治寮としての根本的立場であり、有朋寮闘争の原点中の原点である。
第三に、全学生の敵=吉本執行部とは絶対に非和解だからだ。これからが、吉本執行部を追い詰めてきた4年間の闘いの総決算である。
第四に、われわれの闘いは、全大学・全社会的な教育反動への反撃と一体だからだ。
第五に、01年「廃寮決定」以来の過程とは、アフガニスタン派兵〜有事立法〜イラク派兵と続く日本の侵略戦争国家化攻撃と完全に同時並行であり、われわれは大学人としての矜持(きょうじ)にかけてこの戦争を絶対に止めなければならないからだ。
第六に、労働運動との連帯がわれわれに力と展望を与えてくれたからだ。
第七に、われわれの闘いは小泉「構造改革」攻撃との闘いであるからだ。
小泉は大学法人化で、そして郵政民営化を始めとした「改革」なるもので、社会を戦争と弱肉強食に叩き込もうとしている。こうした構造を、われわれは労働者との連帯から、そして11月労働者(日米韓国際連帯)集会に参加する中から学んできた。そこにこそ社会を変革できる息吹と展望があった!
最後に、有朋寮生の闘志は今回の反動判決を受けてもまったく揺らいでいない。むしろ、この大激動の時代に自らの生き方をかけて闘えることに喜びを感じる。
●ただちに有朋寮へすべての力の結集を!
すべての学生のみなさん! 労働者のみなさん! 敵は国家暴力による強制執行を狙っており、一刻の猶予もない。今すぐ、すべての力を有朋寮へ集中しよう! 強制執行実力粉砕決戦に突入しよう!
何よりも、万難を排して有朋寮へ馳せ参じてほしい! すでに全国から続々と闘う学友の結集が始まっている。圧倒的な学生の迫力で敵をはね返し、実力で寮を防衛しよう!
さらに、激励、アピール賛同、カンパ、ありとあらゆるかたちでわれわれの闘いを支えてほしい! このアピールを一人でも多くの人に広めてほしい! 学生が立ち上がった時、その闘う姿が多くの労働者市民の心を揺り動かしてきた。全国の学友は有朋寮へ! ともに闘おう!
2005年9月1日
東北大学有朋寮
仙台市太白区鹿野2−19−5
電話 022―247―4669
メール ufo-ryou@hotmail.com
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週刊『前進』(2213号8面1)(2005/09/12)
原爆で消失した街が帝国主義を告発する 東京 西田雅人
先日、TBSの番組「涙そうそう」プロジェクトでドラマ「広島・昭和20年8月6日」が放映された。主人公の3姉妹の弟で一人生き残った老人(西田敏行)が語り部となり、「あんなもの(原爆)人間の上に落としちゃいかん」と訴える姿が強烈に印象に残った。
ドラマはフィクションであるが舞台となった街は実在した。旧「天神町北組」である。
天神町北組は、現在の平和公園内の東側・元安川に面する一角にあった。街並みは東西約80b、南北約280b。通りには産婦人科、内科、眼科や酒卸、京染、紋屋などの商店が看板を掲げ、広島有数の旅館もあった。132世帯380人が暮らし「日常品は何でもそろい、人情豊かなとても住みよい町」だった。それが45年8月6日午前8時15分、原爆の閃光(せんこう)のもとに消えた。
母親を捜して、7日に天神町に戻った女性は、旧住民たちが寄せた原爆体験記『あの日に』(75年刊)で被爆の実態をこうつづっている。「家の焼け跡付近には頭蓋(ずがい)骨、四肢骨、骨盤等が全体で約十体余りころがっていた。脊髄(せきずい)骨などはつまむとはらはらと灰のようにくずれ散った」
米戦略爆撃調査団が46年6月に作成した報告書は、爆発直下である「地上ゼロ地点(爆心地)に近い地域では熱は死体を原形もとどめぬほどに炭化させた」と表している。
今の平和公園は「8・6」の時まで公園ではなかった。原爆ドームを含めた12・2fに天神町以外にも猿楽町・中島本町・材木町などの街があり、商店や住宅700軒余り3779人の生活があった。たった1発の原爆がその営みを一瞬で消滅させたのだ。
核と人類は絶対に共存できない。世界核戦争を不可避とする帝国主義を打倒することだけが「無言の告発」を続ける被爆死者への回答ではないだろうか。
8・6ヒロシマ大行動で韓国代表と話す 宮本絵美
私は、戦後間もなくのころ小料理屋で働いたことがあります。そこでたくさんのことを学びました。
お店で働き始めてしばらくしたころ、一緒にレッドパージになった仲間だった男性が飲みに来ました。私が「こんなところに飲みに来ていたの?」と声をかけました。聞きとがめた女将(おかみ)さんに「こんなところとはどういうことか? 自分の働いているところをこんなところと言うのは、卑下する言葉ではないのか」と詰問されました。また、お客の中には警察関係の人もいて、私が危険人物にマークされている、と女将さんに告げた人がいたそうです。女将さんは「うちの店には関係ないことだ」と答えたと言っていました。
役所、教師、その他勤労者の常連も多く、労組の役員の人たちもよく来ていました。総評議長の太田薫が飲みに来たこともありました。お酒が入ると坊主も教師も国会議員も、大方の男性は本性がむき出しになるものです。太田薫も同じで、肩書きがあるだけ鼻持ちならないものでした。小料理屋の女と見くびったものの言い方に「それでも労働者の親玉か」と啖呵(たんか)を切ったことを、つい昨日のことのように思い出しています。
さて先日は、私も夫と共に8・6ヒロシマ行動に参加しました。会場の空気は大気の熱に負けないほどの熱い思いにあふれていました。韓国からこられた代表の方とお話しする機会に恵まれて良かったと思っています。
「無知ゆえに、あなた方に非道なことをした日本を支えるようなことをしましたが、戦後いろいろなことを知って、二度と再びくり返すことのないようにとの思いで教科書問題にも取り組んでいます」と話し、「すみませんでした」とお詫(わ)びしました。「つくる会」教科書の採択阻止に向けて、さらに奮闘していきたいと思っています。
「人らしくフェスティバル」に参加して 東京 糸川幹夫
8月28日、東京・墨田区のすみだリバーサイドホールで「リストラ時代に人らしくフェスティバル」が行われた。主催は同実行委員会、協賛に鉄建公団訴訟原告団、国鉄闘争共闘会議。会場には軽食やビールの店が出て、和やかな中に盛りだくさんの歌やトークで、4時間の長さを感じさせない充実した午後だった。
国鉄闘争共闘会議の二瓶久勝議長と星野良明副議長が、それぞれ1047名闘争を闘いぬく強い決意を語った。
「浪速の唄う巨人」と異名をとる趙博(チョウバク)さんの「ソウルからピョンヤンまで」など、インパクトの強い歌が続いた。趙さんは司会も兼ね、国鉄闘争応援の強い意志を感じさせた。「私は国家がダイッキライ」という中山千夏さんの「こーら、国家」という歌は軽快なメッセージソングだった。
その中山さんと鎌田慧さん、立山学さんのトークでは、JR尼崎事故について、国鉄分割・民営化の結果であること、三池炭鉱事故が三池闘争で労働組合が敗北した結果起こったように、「抵抗なくして安全なし」であることなど、労働組合の闘いの重要性が語られたことは重要だと思った。現に、立山さんが言及したとおり、動労千葉は、尼崎事故1カ月を期して安全運転行動に入り、当局の処分攻撃と闘っている。闘う国鉄労働者が団結し、階級的に原則的に闘いぬけば、必ず道は開かれる。
7・15集会の大成功にも示されたように、国鉄1047名闘争の勝利をわがことと考えている労働者はたくさんいる。9・15鉄建公団訴訟の結果がどうなろうと、労働者の団結を基礎に、不屈に闘いぬく必要があると思った。
母の「遺言」を実践し「つくる会」と闘う 東京 越智ちか
「戦争は心の中で始まり平和も亦(また)、人の心の中で始まるのですから」
この言葉は2年前に死去した母が残した、いわば「遺言」である。大正14年生まれの母は「私の青春は戦争の中にあった」と言っていた。更に母は3人の兄、すなわち私の伯父を3人とも戦争で亡くしている。もちろん遺骨は戻ってこなかった。
「命日」とされた日付は3人共8月15日だった。母はいつも昭和天皇ヒロヒトを映像や写真で見るたびに「この野郎のために!」と怒りをあらわにしていた。兄を「お国のため、天皇のため」として殺されたものとして、当たり前のことだと思った。母は決して靖国神社には行かなかった。母は兄達が靖国の「神」になったのではなく「仏」になったのだと思っていたのだと思う。
杉並区で「つくる会」の歴史教科書が採択されたという一報をフジテレビのニュースで知った。私は強い怒りと憤りがこみあげてきた。これは杉並での闘いがあまりにも高揚したことに対して、山田区長、教育委があせって暴挙に出てきたものであると直感した。過去の、そして現在の未来の戦争を賛美するこの教科書をまだまだ純粋な中学生達に渡してはならない。
「お国のために戦場に行き、殺し、そして死ねる人間」を生み出そうとするこの教科書を絶対に許してはならない。私達はこの「採択」に対し断固として「撤回」を何度でも何度でもつきつけ、たたきつけ、かちとってゆこう。
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週刊『前進』(2213号8面2)(2005/09/12)
迎賓館・横田爆取デッチあげ弾圧裁判
福嶋同志の無罪かちとれ
9・20最終弁論へ大傍聴団を
9月20日、東京地裁刑事第3部(服部悟裁判長)で迎賓館・横田爆取デッチあげ弾圧裁判(福嶋裁判)の最終弁論公判が行われる。無実の福嶋昌男同志と弁護団は、12年間にも及ぶ裁判闘争に最終的に決着をつけ、必ずや無罪判決をかちとる決意でこの公判に臨もうとしている。福嶋同志と一体となって、全力で傍聴行動に立とう。法廷を圧する結集で最終弁論公判を闘い抜こう。
1986年5月、昭和天皇在位60年式典と東京サミットを粉砕するため、サミット式典会場である迎賓館と米軍横田基地に対してロケット弾戦闘が闘われた。首都厳戒態勢を打ち破ってかちとられた戦闘は当時の中曽根内閣を直撃し震撼(しんかん)させた。「どんなことをしてでも犯人を捕まえよ」との中曽根の号令のもと、87年すでに「岩手爆取弾圧」で不当逮捕・起訴されて東京拘置所に拘禁されていた須賀武敏同志・十亀弘史同志・板垣宏同志がデッチあげ再逮捕され、福嶋同志も同時にデッチあげ指名手配された。
須賀・十亀・板垣の3同志は16年にも及ぶ超長期の未決勾留をものともせず、獄中闘争・裁判闘争を闘い抜き、昨04年3月デッチあげ弾圧を粉砕して1審無罪判決をかちとった。
福嶋同志は93年3月にデッチあげ逮捕された。以来11年と8カ月、不屈非転向で超長期の未決勾留と闘い抜き、04年11月、獄中闘争に勝利して保釈をかちとった。いよいよ今度は3同志に引き続いて福嶋同志の無罪判決をかちとる番だ。
福嶋同志は百パーセント無実だ。福嶋同志は94年の第1回公判から今日まで192回の公判を毎回無実を訴え続け、デッチあげを弾劾して闘い続けてきた。検察側は12年にも及ぶ公判をとおして、結局、福嶋同志と二つの戦闘を結びつけるいかなる「証拠」も示すことができなかった。
検察側は今年4月、まったく不当にも懲役12年の求刑を行った。しかしまったく確信が持てず、2カ月後に論告補充書を出すというまったく許し難い卑劣な策動を行った。
福嶋同志をデッチあげた唯一の「口実」は、メモの筆跡鑑定である。福嶋同志とまったく関係ない、須賀・十亀・板垣の3同志が住居としていた岩手県にあった借家から権力が押収したとされているメモの筆跡が福嶋同志の筆跡と同一だというのだ。しかも、検察官は、そのメモは「飛距離3倍化計画を立案」し、「迎賓館と横田基地に飛んだロケット弾の飛距離計算をしたもので、発射地点の選定に寄与したものだ」と荒唐無稽(こうとうむけい)なストーリーをねつ造したのだ。
しかし、4年近くにわたる筆跡鑑定をめぐる攻防をとおして、警視庁科学捜査研究所・小島直樹と民間の馬路充英(まじあつひで)による鑑定は、初めにデッチあげありきのおよそ科学とは無縁の恣意(しい)的で、単なる似たもの選びの鑑定ならざる「鑑定」であることが暴露された。この攻防をふまえ、弁護側立証において、書家として著名な石川九楊氏によって、当のメモの筆跡は福嶋同志のものではないという決定的な異筆鑑定がなされた。
メモの内容については、物理学者で元全共闘議長の山本義隆氏が証言台に立ち、「飛距離計算をした」とされる数式は物理学的にはまったく無意味な式で、およそロケット弾の飛距離の計算式とは言えない、と検察側のデッチあげストーリーを完全に打ち砕いた。
さらに、そもそもこれらのメモは岩手借家に対する権力の暴力的襲撃によって違法に捜索収集されたものであり、しかも押収経過がまったくはっきりせず、本当に岩手借家から押収したものなのか否かも判然としていない代物なのである。
そもそも、福嶋同志を被告席に立たせ続けてきた爆発物取締罰則(爆取)なる「法律」は明治憲法成立以前に緊急勅令として布告された「天皇のお触れ」に過ぎず、違憲・違法の法ならざる「法」であり、それで人を裁くことはできないのだ。
この4月に行われた論告求刑で検察側は、こうした福嶋同志と弁護団の無実・無罪の主張、爆取デッチあげの証明に対して居直り、無視して懲役12年の求刑を行った。無実の福嶋同志を判決も出さないで12年も獄に閉じ込め続け、なお12年も獄に閉じ込めよと裁判所に要求してきたのだ。断じて許すことはできない。
戦時下の治安弾圧が吹き荒れている。迎賓館・横田爆取デッチあげ弾圧は国家権力による報復弾圧であると同時に革命党に対する予防弾圧でもある。16年と12年、須賀・十亀・板垣・福嶋の4同志は、最高刑死刑を規定する爆取1条と不屈非転向で闘い抜くことをとおして、戦時下の階級闘争の最先頭を担っている。日帝・国家権力によるデッチあげ弾圧への怒りを燃え立たせ、4同志とともに完全無罪をかちとろう。9・20最終弁論公判に結集しよう。
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週刊『前進』(2213号8面3)(2005/09/12)
寄稿 排外主義扇動の右翼マンガ 『嫌韓流』をたたきつぶせ!
田宮龍一
『嫌韓流(けんかんりゅう)』というマンガ本(山野車輪作、晋遊舎刊)が今書店で大々的に売られている。単なる「ベストセラーの一つ」として、この『嫌韓流』を見過ごすことはできない。タイトルからも明らかなように、このマンガはひたすら「韓国」「韓国人」に対する嫌悪感、差別、偏見、蔑視(べっし)をぶちまけ、あおっている。その主張の根幹は、「つくる会」教科書同様、日帝の朝鮮植民地支配の居直り、正当化である。
「日本は朝鮮に独立と近代化を求めたが、それに応じなかったので保護国化し併合した」「併合は韓国人自身が望んだ」「日本は朝鮮統治でインフラを整備し社会制度を整えた。だが韓国はそれに感謝するどころか今も日本に謝罪と補償を要求し続けている」など。
とうに使い古されたこれらの恥知らずな歴史の偽造を、このマンガはさも新たな画期的見解であるかのごとく大仰に叫びたてる。実際には日本は、朝鮮の自立をめざす民衆運動、農民戦争をことごとく軍事力で粉砕しながら暴力的な内政干渉を進め、1905年に「保護条約」を強要し、1910年の「韓国併合」で朝鮮半島を植民地にした。そして、民族独立運動に過酷な弾圧を加えながら、朝鮮の土地、資源、農産物を収奪し、戦争では人びとを軍人、労働力、軍隊慰安婦として強制動員した。これが厳然たる事実だ。
このマンガの犯罪性は歴史の偽造にとどまらない。在日朝鮮人が存在し生活し権利を主張していること自体に、憎悪といらだちを募らせ、おぞましいデマをちりばめながら、在日を「身勝手」で「被害者意識」に凝り固まった者として描き出すのだ。そこから漂ってくるのは、ナチスのユダヤ人に対する社会的排除と抹殺の衝動と同じものだ。
しかもこれは、マンガ作品としてもあまりに出来が悪い。ストーリーは、主人公の青年が大学で歴史研究サークルに入り「韓国の真実」を知るにつけ、いちいちわざとらしく驚いてみせるという、その単調な繰り返しで何の起伏もない。登場人物にもまったく陰影や深みがない。画力は同人誌レベルで、それを補う個性的な画風があるわけでもなく、誇張された表現技法が空回りしている。石原都知事やヒトラーの似顔も驚くほど似てない。
ところがそんなマンガが大々的に売られている。なぜか。
今インターネット世界の一部は、その匿名性と発言の無責任性に依存した読むに堪えない差別的侮蔑的な殺伐とした言葉の応酬によって占拠されている。そうした中で、自分のパソコンを持っている比較的若い層の中に、「つくる会」が垂れ流すようなナショナリズム的言説をうのみにし、中国、北朝鮮、韓国の「反日」的動向へのいらだちと嫌悪を「2ちゃんねる」などの「掲示板」や自分の「日記」に書き殴る、「ネット右翼」と呼ばれる存在が増殖しているのである。
8月12日の杉並区教育委員会の教科書採択の当日に区役所前に奇妙な風体で現れ、親の会を中傷し「つくる会」の別動隊としてうごめき回った連中こそ、このネット右翼の一部である。もともとはネット上で公開されていたこのマンガ『嫌韓流』は、そうした閉ざされた世界の同類によって支持され、出版の運びとなった。彼らの「歴史認識」がおよそ批判に堪え得ないインチキであるように、このマンガも「作品」としてもまともな批評に値しないものでありながら、「身内」による買い支えが旧来の右翼・反動保守層にまで拡大されることでブームにまで高まったのだ。
帝国主義の危機の時代、未来への絶望から排外主義に走り、インターネット世界の一部に吹きだまり、なれあっていた連中が、今や『嫌韓流』や8・12杉並という形で「おもての世界」にもあふれ出してきた。彼らは今日の日帝の戦争国家化攻撃を下支えする土壌をつくっている。この現実を直視し、闘うアジア人民と連帯してネット右翼の存在ともども『嫌韓流』を徹底的に粉砕しよう。
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週刊『前進』(2213号8面4)(2005/09/12)
婦民全国協 戦時下に闘う女性の団結を 被災地・神戸で総会
8月20、21日、婦人民主クラブ全国協議会の第22回全国総会が「とめよう戦争! 阻もう改憲! 全国で婦民全国協の拡大を」のスローガンのもと兵庫県神戸市で開かれ、全国から102人が集まった。
関西協代表の小林巳鶴子さんが「1年間の思いのたけを語り合おう」と開会あいさつ。議事に先立って95年1月17日の阪神大震災から10年におよぶ被災地の闘いのビデオが上映され、被災と闘い続けている街、神戸での開催の意義を確認した。会場には、その闘いの中で結成された被災地雇用と生活要求者組合、被災地労働者企業組合の女性労働者たちが駆けつけていた。
議長団が選出され、主催者あいさつに立った西村綾子代表は、戦時下にあるという認識のもと、「けっしてくじけない私たちの確信をここで確かめ合い、次なる闘いに進んでいこう」と呼びかけた。
来賓として北富士忍草母の会の天野美恵事務局長、部落解放同盟全国連合会婦人部、関西労組交流センター女性部、国賀祥司泉佐野市議会議員があいさつした。天野さんは、杉並での「つくる会」教科書との闘いをたたえ、「皆さんのような強い人が好き。闘って闘って闘いぬきましょう」と檄(げき)を飛ばした。沖縄の桑江テル子さんのメッセージが読み上げられた。
議案提起は、戦時下という時代認識のもと、「戦時下にはすべての勢力がふるいにかけられます。ずるずると後退を重ねる既成の勢力に代わって、帝国主義の危機を見据えしっかりと大地に根を下ろした活動を展開していくことが今こそ必要」と強調した。
情勢提起では、女性労働者の置かれている身近な現実から視点を広げ、小泉政権の「構造改革」すなわち戦争と民営化の攻撃が解き明かされた。
総括提起では、「戦争に労働者人民を動員する大攻撃の中、『日の丸・君が代』強制や『つくる会』教科書と本格的なぶつかりあいに入ったが、かなり重要な攻防で負けていないのが重要」と確認された。方針提起では、「天の半分を担う女性が立ち上がった時の底力は社会全体を揺るがし、すべての労働者民衆を鼓舞激励します」「女性の自覚的・自主的な立ち上がりを生み出し、切磋琢磨(せっさたくま)し、堂々と権力や反動と立ち向かっていきましょう」と戦争と改憲を阻む闘いと、それを担う婦民全国協の組織拡大が鮮明に打ち出された。
特別報告として、「つくる会」の教科書採択に反対する杉並・親の会が横断幕を広げて並び、8月12日の歴史教科書採択への怒りを語り、「採択撤回まで闘います」ときっぱり。会場は大きな拍手に包まれた。続いて、西村代表が訪韓報告。米軍再編のもとで基地拡張と闘うピョンテク(平沢)の闘いを写真を掲げて紹介した西村さんは、韓国、沖縄、相模原を始めとする連帯闘争の重要性を訴えた。
その後、教科書闘争を軸に活発な討論が交わされた。2日目の分散会、全体会でさらに討論が深められ、「私たち自身が未来をつくる。今からが勝負。教科書闘争から教育基本法改悪・改憲への反対を始め戦争と民営化に反対する闘いに勝利していくためにも、11月日・米・韓国際連帯闘争に全国から集まろう」と力強く確認された。神戸の地から女性たちの新たな闘いが始まった。
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