ZENSHIN 2005/09/05(No2212
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週刊『前進』(2212号1面1)(2005/09/05)
郵政民営化粉砕・小泉打倒
戦争と労組破壊攻撃うち破れ
4大産別決戦の爆発かちとり11月1万人決起に突き進もう
自治労大会で訴え
大会会場前で全国労組交流センター自治体労働者部会が代議員・傍聴者に「平和基本法は改憲と戦争協力の道だ」と訴え、4日間の闘いを開始した(8月23日 鹿児島市)
日帝・小泉は解散・総選挙によって、自民党自体をファシスト的反革命政党に変えて戦争と民営化(労組破壊)攻撃に突き進もうとしている。小泉はイラク侵略戦争参戦を継続・拡大し、郵政民営化による全逓労働運動の破壊・解体を突破口に自治労・日教組などの公務員労働運動のすべてを破壊して、戦争体制を形成しようと踏み込んできたのだ。05年前半の「日の丸・君が代」闘争、「つくる会」教科書採択阻止闘争、都議選決戦、靖国闘争が切り開いた地平の上に、小泉の大反動と全力で対決しよう。全日本建設運輸連帯労働組合関西地区生コン支部、全国金属機械労働組合港合同、国鉄千葉動力車労働組合の3労組が「11・6全国労働者総決起集会」の呼びかけを発した(3面参照)。この熱い呼びかけにこたえて立ち上がり、11・6集会に1万人結集をかちとろう。
第1章 公務員労働者への許しがたい大反動
小泉が今回の解散・総選挙でたくらんでいるものは、戦争と民営化の道にトコトン突き進む自民党への反革命的脱皮ということだ。それは労働者階級への階級性絶滅攻撃でもある。
小泉は「古い自民党をぶっ壊す。改革を進める新生自民党をつくる」と称して党内権力闘争を激化させ、衆院で反対した37人全員の選挙区で、対立候補を立てた。さらにマスコミが郵政民営化推進のキャンペーンを張り、民営化賛成でなければ人ではないかのような宣伝が行われている。
この根底にあるのは、日本帝国主義のどんづまりの危機である。この危機を民営化の強行、市場原理、弱肉強食、国益優先、戦争賛美の「つくる会」教科書と靖国思想で突破しようとしているのだ。
小泉政権は01年4月の発足以来4年余で何をやってきたのか。まず何よりも自衛隊イラク派兵を強行し、北朝鮮・中国侵略戦争のために、周辺事態法に続いて、対テロ特措法、武力攻撃事態法、国民保護法などを制定した。同時に01年6月の「骨太方針T」以来、毎年の「骨太方針」で、財政改革・三位一体改革の名のもとに、郵政民営化攻撃、道路公団民営化、医療制度改悪、年金制度改悪、介護保険改悪、福祉破壊と「障害者自立支援法」制定策動、公務員人件費削減、財政制度改悪などの攻撃を推進してきた。さらに共謀罪新設を図る治安弾圧などの攻撃を加えてきた。
これらの攻撃の核心にあるのが民営化・労働組合解体の攻撃である。
郵政民営化は、何よりも郵政労働者27万人(非常勤含めて40万人)を非公務員化し、民営化後の「雇用継続は保証しない」という国鉄分割・民営化型のリストラ・大量首切り、全逓労働運動破壊の攻撃だ。
小泉は街頭演説で「郵政はなぜ公務員でなければならないのか、民間のサラリーマンではなぜいけないのか」と叫んでいる。
小泉は、40万人全員を民営化された郵政会社のサラリーマンに移すつもりなど毛頭ない。基本的にいったん全員解雇され、再雇用されるが、その時に差別・選別採用が行われ、組合活動家はパージされる大量首切りを行う。公務員のままでは「公務員の身分保障」があるからこれができない。だから民営化なのだ。
すでに大量の人員削減が始まっており、「深夜勤」に象徴される極限的な強労働・強搾取が蔓延(まんえん)しており、さらに過剰人員とされた労働者を「人活センター」に送り込むことが計画されている。小泉は、郵政労働者を「去るも地獄、残るも地獄」という事態に突き落とそうとしているのだ。
全逓労働運動は今日的には連合派指導部のもとで非常な困難を強いられているが、最大の国家公務員労働者を基盤に、戦後革命の頂点となった1947年2・1ゼネストへの闘いの先頭に立った輝ける歴史をもっている。以来、国鉄労働運動とともに官公労労働運動の両軸として戦後労働運動の中核を担い、帝国主義ブルジョアジーの支配を脅かしてきた労働者部隊である。そして78年には全社会を揺るがす越年物ダメ闘争を闘いぬいた。それは今も全逓4・28処分粉砕闘争に脈々と息づいている。全逓労働者の階級的な心棒はけっしてへし折られていない。
このことに今も小泉=日帝ブルジョアジーは心底から恐怖している。だから今回の郵政民営化攻撃をなりふり構わずごり押しし、全逓労働運動の息の根を止めようとしているのだ。
小泉の郵政民営化は、戦争と民営化攻撃の最大の中心軸であり、国家主義・排外主義の攻撃でもある。
「つくる会」会長の八木秀次は「民営化とは精神革命」だと言っているが、これは国家の中軸を担う公務員労働運動からマルクス主義と階級意識・階級闘争を一掃する攻撃だ。平和・民主主義・基本的人権を一掃し、学校、職場、地域で戦争賛美・天皇賛美の皇国史観を注入する攻撃だ。
この「上からの内乱」に対して闘って勝利する道は、「下からの内乱」の組織化である。「ランク・アンド・ファイル運動」を促進し、物ダメ・ストライキで闘うことである。
そして郵政民営化と真っ向から対決し、4大産別決戦を闘うことである。
その最大の攻防点が「連合7・14改憲見解」との闘いであり、10月連合大会での「7・14見解」を阻止する闘いである。そこに向けての自治労大会で「平和基本法」制定による改憲方針への転向を絶対阻止すること、さらに8・30、31国労大会がきわめて重大な決戦になっている。
第2章 反戦・反基地闘争を担う労組つぶし
ブッシュ政権は、米帝の危機の打開を帝国主義間争闘戦で突破することに全力をあげている。その核心が米軍再編(トランスフォーメーション)である。
米軍はすでにアジア・太平洋地域で、指揮統制組織の大規模な再編や新たな戦力の配置を進めている。これは直接的にも北朝鮮・中国侵略戦争突入体制の向上・強化を目指している。
背景にはいわゆる「不安定の弧」への対応という規定を超えて、中国の軍事大国化の動きなど戦略環境が悪化しているという認識に立っていることがある。日米安保協議の内容は、したがってきわめて具体的に、地球規模での日米枢軸の形成、座間・沖縄を始めとするすべての在日米軍基地の指揮系統と戦闘態勢の再編を狙ったものである。
こうした米軍再編の攻撃に対して、沖縄を先頭に米軍基地との闘争が激しく闘われている。沖縄の辺野古での海上ヘリ基地建設阻止の闘いや金武町の米軍都市型戦闘訓練施設阻止闘争、本土における座間、横田、横須賀、岩国、佐世保での基地闘争がある。
そしてこれらの基地闘争を担っているのが自治労や日教組などの公務員労働運動である。総評以来の反基地闘争の労働運動の伝統がここに存在している。
こうした現実を粉砕しようとしているのが、小泉の郵政民営化の攻撃であり、連合の「7・14改憲見解」をもってする戦争翼賛の路線である。自治労が8月大会で改憲の方向にかじを切ろうとしていることは、とんでもない裏切りで絶対に認められない。それは反戦闘争・反基地闘争の担い手から、戦争翼賛勢力への180度の転向である。
自治労大会の初日、8月23日に沖縄の代議員が「平和基本法制定の方針は沖縄の反戦反基地運動に冷水を浴びせるとともに、最小限防御力を認め海外派兵を容認するものであり、戦争基本法である。撤回すべきだ」と発言した。基地を抱える沖縄における労働運動が、自治労の改憲勢力化に立ちふさがっているのだ。
こうした反戦・反基地闘争を闘う自治労や日教組などの公務員労働運動を守り抜くためにも、郵政民営化阻止は重大な攻防である。
第3章 日米韓国際連帯に勝利の展望がある
日帝・小泉の郵政民営化攻撃に対して、徹底的に反撃すると同時に、一切の闘いを11・6労働者集会への1万人大結集に集約することで、戦争と民営化攻撃を粉砕する展望を切り開かなければならない。
そのためには、なんと言っても4大産別での闘いの前進を切り開くことだ。04年春の卒・入学式における都高教の教育労働者を先頭とする「日の丸・君が代」強制拒否の闘いは決定的であった。この闘いが「不当処分撤回」を柱にさまざな形で発展していること、全国化したことが、教労産別を揺り動かしている。
7月の日教組大会では、本部は当初、自治労本部と歩調を合わせ「論憲=改憲」への転換を画策していた。この動きは「日の丸・君が代」被処分者を先頭とする教育労働者の怒りの反撃にあって先送りにされた。闘いが本部の「改憲方針」への転換を粉砕した。
「つくる会」教科書採択阻止闘争では、杉並区丸ごと巨大な分岐・流動の渦を巻き起こした。左右の分岐が極点に達し、ファシスト「つくる会」派との激突をやりぬいた。撤回に向かってさらに徹底的に闘おう。
8・30、31の国労大会は、9・15鉄建公団訴訟判決を前に、国労再生と国鉄1047名闘争の命運を決する大会だ。酒田・革同体制打倒を掲げ、裏切り者を執行部からたたき出す組合員総決起の大会にしよう。
11・6労働者集会に向かって、こうした闘いを自分の職場で組合で一人でも開始しよう。小泉反革命と闘うということは実践的にはこのことだ。動労千葉に学ぶということも実践的にはこのことである。
情勢は革命的情勢への急接近というべきものである。小泉の8・8解散はこの情勢をさらに加速した。
帝国主義は今や体制的に破産している。この時、労働者階級が労働組合に基盤を持たなければ帝国主義を打倒することができない。11・6に1万人を集めることが一切の土台である。
11・6集会には韓国・民主労総、アメリカの労働者が大挙参加しようとしている。戦争と民営化に反対する点で一致し日本の労働者との熱い連帯を求めている。国際連帯の旗のもとに大結集しよう。
1万人結集を実現するためにも機関紙拡大を意識的計画的に進めよう。世界情勢を語り、日本の情勢を語り、階級闘争と労働運動を生き生きと語る『前進』を労働者人民に販売しよう。ここに最も先進的な闘いがあり、最も実践的な闘いの方針が打ち出され、労働者階級の自己解放の道が鮮明に提起されている。
11・6集会への最大の武器として活用しよう。
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週刊『前進』(2212号1面2)(2005/09/05)
酒田・革同体制打倒へ闘おう
8・30−31国労大会決戦アピール
小泉との対決貫く最前線に
8月30、31日の国労第73回定期全国大会は、国鉄労働組合の再生と国鉄1047名闘争の命運を決める大決戦だ。国鉄闘争は9月11日の総選挙と9月15日の鉄建公団訴訟判決を前に、かつてない重大な攻防に突入した。なんとしても国労を組合員の手に取り戻さなければならない。この大会を現場組合員の総決起の場としなければならない。
国鉄1047名闘争は、7・15日比谷野音集会を経て、ついに国労闘争団、全動労争議団、動労千葉争議団の3組合による統一闘争陣形を整えた。尼崎事故への労働者階級の根底的な怒りの噴出が、小泉政権による一大民営化攻撃との対決軸として、国鉄1047名闘争を新たな本格的決戦段階に押し上げたのだ。
一方、小泉政権は「郵政民営化の是非を問う」と叫び、120項目もの反動的「自民党マニフェスト」を引っさげて総選挙に打って出た。自民党分裂の危機を逆手に取り、造反派をたたき伏せて進む小泉の攻撃は、何よりも労働者階級とその団結破壊に矛先を向けている。それは、労働組合と労働運動の破壊を直接に狙う「小泉反動」とも言うべき大攻撃だ。
国鉄分割・民営化は尼崎事故に行き着いた。小泉は、尼崎事故のような事態を何度繰り返そうが、郵政民営化=公務員削減を突破口に一大民営化を押し貫こうと策している。それは侵略戦争とも一体だ。日本帝国主義はイラク侵略戦争を激化させ、北朝鮮―中国への侵略戦争さえ決断している。「新しい歴史教科書をつくる会」のファシスト勢力を手先とし、戦争国家の形成に向かっている。
国鉄闘争は、全労働者階級の最先頭でこの攻撃と立ち向かう位置にある。小泉がそれを座視し、放置するはずがない。国鉄闘争の存否をかけた攻防は今後さらに激化する。だがそれは、小泉が絶望的危機に追い詰められているからだ。国鉄闘争の真価が今ほど問われている時はほかにない。
本部への返り咲き狙う上村
この情勢下で、小泉の手先となって国労と国鉄闘争の自己解体にのめり込んでいるのが、国労本部=酒田・革同(上村)体制だ。7・15集会は、国労本部の無方針・無展望と凋落(ちょうらく)ぶりを刻印した。だからこそ彼らは、その巻き返しをかけて今大会に臨んでいる。その策動をけっして甘く見てはならない。その最先頭でうごめいているのは、やはり西日本エリア委員長の上村だ。
上村は、「鉄建公団訴訟判決の国鉄闘争に及ぼす影響は決定的」(不採用問題・解決の歩みパートU)とか、「判決または事前の裁判長和解提示があればそれに基づいて、国鉄闘争を解決する」「このためにすべての訴訟原告団と提訴していない闘争団も上記に基づく解決の同意を図る」(同)と叫んでいる。上村自身があれほど必死になって敵対・妨害を重ねた鉄建公団訴訟に今さらながら口を出し、当然のようにしゃしゃり出るとはどういうことだ! 上村は9・15の敗訴判決を心の底からこいねがい、それを機に1047名闘争をたたき伏せようとしているのだ。1047名全体を敗北必至の「政治解決」に引き入れて、闘争団とその家族の人生を踏みにじろうとしているのだ。
そのために上村は、今大会で22人の闘争団員への統制処分を解除すると触れ回っている。だが、「3年間の権利停止」は今年10月で期限が切れる。こんなものは「譲歩」にもならない。
さらに許しがたいのは、上村が本部副委員長への返り咲きを狙っていることだ。何という恥知らずだ!こんなことを許したら、国労は完全に企業防衛運動・会社翼賛運動に転落する。
尼崎事故に対して上村がとった態度を見よ。誰よりも先に「民営化は事故の原因ではない」「日勤教育は必要だ」とわめき立て、JR西日本の井手の辞任に異議を唱えて満天下に恥をさらし、福知山線の運行再開を率先して提案したのが上村だ。今また彼は、「労働者にも事故の責任はある」と言い張り、JRと結託して「慰霊碑カンパ」を組合員に強いている。
尼崎事故の107人の犠牲者は、国鉄分割・民営化政策とJR資本、国土交通省によって殺された。だが、何よりもそれは、資本との闘いを投げ捨てた労働組合幹部の裏切りの結果だった。上村が率先推進した4党合意路線こそ、JRの極限的な合理化を促進し、強権的労務管理を勢いづかせ、尼崎事故に至る最後の引き金を引いたのだ。
断じて忘れてならないことは、この上村ら革同と酒田こそ、5・27臨大闘争弾圧で国労組合員を警察権力に売り渡した張本人だということだ。
労組絶滅の攻撃に全力を傾ける小泉政権のもと、全日建運輸連帯労組関西地区生コン支部への大弾圧に示されるように、労働運動への弾圧が吹き荒れている。その時代に、酒田と上村は労組幹部の座にありながら、警察権力を進んで組合内に引き入れた。その階級的大罪は絶対に消えない。
今大会で酒田の処遇がどうなろうと、また上村の野望が実ろうが実るまいが、彼らを地獄の底まで追い詰めなければならないのだ。
107人を殺した尼崎事故に対し、動労千葉は安全運転行動に立ち上がった。JR東日本による処分に屈せず、今もこの闘いは貫かれている。その渦中で「平成採」の青年労働者が動労千葉に結集した。
攻勢的に闘い9・15判決へ
逆風に立ち向かい、敵の矛盾に食らいつき、攻勢的に闘うことのみが、味方の団結を守り勝利の道をこじ開ける。9・15判決を待ちの姿勢で迎えてはならない。1047名の命運を決するのは1047名自身の闘いだ。総選挙と判決日に至る過程を攻勢的に闘いぬいてこそ、9・15判決がいかなるものになろうとも、それを反撃の転機とすることができるのだ。
その最大の決戦が、今次国労大会だ。国労大会を酒田・革同体制打倒の組合員総決起の場としよう。国労を誇りある階級的労働組合として再生させよう。決戦は今この時である。
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週刊『前進』(2212号2面1)(2005/09/05)
杉並 「つくる会」教科書採択撤回を
闘う教育労働者・杉並区民とともに新たな闘いへ進もう
05年教科書闘争の意義と地平
東京・杉並を最大の激突点として闘いぬかれた「つくる会」教科書採択阻止の闘いは、真に歴史的な大闘争へと発展した。杉並の山田区長による「つくる会」歴史教科書の力ずくでの採択強行は、「つくる会」として組織された新たなファシスト勢力の追いつめられた姿とその不正義性をはっきりと示した。怒りと白紙撤回を求める声は今や区内に渦巻き、恐怖した山田はその後も区庁舎をバリケード封鎖して抗議の声を必死に封じ込めようとしている。決着は何ひとつついていない。さらに猛然と決起し、採択撤回を絶対にかちとろう。8・12に至る激突が切り開いた地平を確認し、戦争と民営化攻撃粉砕の11月労働者総決起へと進撃しよう。
全国動員のファシストと激突し圧倒した闘い
戦後60年の節目に当たるこの夏、杉並を先頭に全国で闘われた「つくる会」教科書採択阻止の闘いは、8・15靖国闘争とともに、日本の階級闘争をまったく新たな段階に押し上げるものとなった。
日帝・小泉政権はこの05年、新たなアジア侵略と戦争、改憲への扉をこじ開けるために、戦後史を画する攻撃に出てきた。「戦争のできる国民」をつくりだすために、戦後の「平和と民主主義」の価値観をたたきこわし、帝国主義的ナショナリズムと排外主義・愛国主義に全社会を染め上げていこうとする攻撃である。その決定的な推進軸が「教科書」であり「靖国」であった。ファシスト分子を全国動員してしかけられたこの攻撃に、闘う労働者階級人民の渾身(こんしん)の決起がついに爆発し、大反動への流れを実力で押し返す闘いが本格的に始まったのである。
とりわけ杉並での「つくる会」教科書粉砕の闘いは、「つくる会」派との最先端での決戦を真正面からぶちぬくものに発展してきている。
そもそも杉並は、日帝と「つくる会」の側から、05年の教科書採択のかぎを握る最大の戦略的拠点と位置づけられていた。「つくる会」は今年、「全国で10%の採択」を目標に掲げ、そのために東京都で50%の採択を狙っていた。ファシスト石原都知事―横山都教委体制のもとでなら暴力的突破は可能とみていたのだ。その突破口とされていたのが「改革派」を装うファシストたる山田区長が権力を握る杉並であった。
実際に山田は、自分の腹心である元区長室長の納冨を区の教育長にすえ、教育委員の多数を「つくる会」派で制圧し、教科書採択要綱をもこっそりと変えて、「つくる会」教科書採択へのいわば“万全の体制”をしいて臨んでいた。まさにこの杉並での攻防が全都・全国の情勢を決める位置にあった。事実、本年4月から8・12に至る闘いはそのことをまざまざと示し、歴史教科書の採択を許したとはいえ、敵の戦略を大破産に追い込んだのである。
既成政党の屈服のりこえた決起
4月に文科省が「つくる会」の作成した扶桑社の歴史と公民の教科書を検定合格させた後、直ちに怒りの行動に立ち上がったのは中国・韓国を始めとするアジア人民であった。小泉政権はこれに敵意をむきだしにし、この教科書攻撃が一部の極右勢力にとどまらず、日帝中枢の意思であることをあからさまに示した。だが日本共産党や社民党などの既成の野党や「市民派」を名のる勢力は、議会内でも街頭でもまったく動かず闘争を放棄し続けた。逆に中国人民の抗日デモを帝国主義者と一緒になって非難するなど、許しがたい屈服をさらけだしていた。
共産党にいたっては、教科書攻撃と闘うことは「過激派」だという犯罪的なキャンペーンをも展開した。
この重大情勢の中で、あらゆる困難を突き破って立ち上がったのは、「つくる会」の教科書採択に反対する杉並・親の会に代表される闘う杉並区民であった。その牽引(けんいん)車となったのは、「日の丸・君が代」強制拒否を闘いぬいてきた都の教育労働者であり、またファシスト石原都政と山田区政の打倒を一貫して訴えてきた都政を革新する会の闘いであった。
革共同は、1〜3月の「日の丸・君が代」決戦を継続・激化・発展させる闘いとして、闘う杉並区民とともに、教科書攻撃粉砕へ党の総力を挙げて闘った。この真っただ中で闘われた都議選に都政を革新する会の長谷川英憲氏を推し立て、「つくる会」教科書採択絶対阻止、石原・横山―山田体制打倒を真正面から訴えて、教科書決戦を同時に都議選決戦として、また都議選決戦を教科書決戦そのものとして闘った。このことは全情勢を一変させた。杉並の区内全域で、闘う区民と「つくる会」派との対峙・対決が生み出され、教科書問題が最大の政治焦点となり、ついには全党派を引きずり込んでの大激突となっていった。
日帝政府・自民党や石原、山田らと「つくる会」はこれに危機感をもち、巻き返しに全力を挙げた。自民党の安倍幹事長代理や都知事石原が自ら杉並に乗り込んで長谷川候補つぶしと教科書闘争圧殺に動いた。とくに石原は、この渦中で明るみに出た都政の危機と腐敗を、浜渦副知事の辞任と引き換えに横山教育長を筆頭副知事に引き上げることでのりきり、石原・横山体制をよりファシスト的に強化して教科書攻撃をあくまで押し通そうとした。都教委は、扶桑社の教科書採択を有利にするよう仕組んだ資料を市区町村教委に配布。さらに杉並区教委は、扶桑社に否定的な意見を記した現場教員の調査報告書を書き換えさせるという不正にまで走った。
しかし、こうした大反動が教育労働者の命がけの告発と決起を生み出し、怒りの決起は一挙に拡大した。採択反対署名の拡大につぐ拡大。区役所包囲の「人間の鎖」行動への全都の闘う労働者の決起と、闘いの全国への波及。杉並区教職員組合を始め区内の労組・諸団体の決起と区役所前の闘いへの合流。――こうした動と反動の激しいぶつかりあいの中で、8・4―8・12の決戦を迎えたのだ。
破産の瀬戸際で無法な採択強行
8月4日、杉並・親の会を先頭に区役所を包囲した区内外のべ1千人の労働者人民の決起は、この日の採択をもくろんでいた山田区長と区教委を断念に追い込んだ。「戦争教科書絶対反対」の圧倒的な声の前に採択強行はできず、かろうじて継続審議に持ち込むのが精いっぱいというところに追いつめた。
大打撃を受けた「つくる会」派は、全国のファシスト勢力に「非常事態」を訴えて必死の反撃に出た。阿佐ケ谷駅頭の制圧をたくらみ、また警察権力と結託して、権力による闘う杉並区民への弾圧と襲撃を策動した。さらに卑劣にも、「つくる会」教科書に反対の意見を述べた教育委員への露骨な個人攻撃と脅迫を行い、再審議の8月12日には、全国からかき集めた部隊数百人を徹夜で区役所前に動員した。その先頭で指揮をとったのは、「つくる会」副会長であり扶桑社の歴史教科書の代表執筆者である藤岡信勝であった。
だが闘う区民と労働者人民、とくに「つくる会」との攻防の先端にいる学生や青年労働者が、これに一歩も引かず真っ向から対決しぬいて闘った。その怒りと気迫は「つくる会」派を圧倒した。署名はついに3万に達した。追いつめられた山田区長と納冨教育長ら「つくる会」派の3人の教育委員が、藤岡らと事前に謀議を行い、公民はあきらめるが歴史教科書だけは扶桑社版を何がなんでも押し通すと決めたことは明白である。そして12日、1千人の傍聴希望者がつめかける中、藤岡自身が法を破ってわずか20人の傍聴席に公然と乗り込み、最後の恫喝を加えて、3対2で歴史教科書の採択を最終的に強行させたのだ。
無法に無法を重ねて強行されたこの杉並での「つくる会」歴史教科書採択は、本当に怒りに堪えない暴挙である。断じて認めることはできない。直ちに白紙撤回あるのみだ。
だがそれは同時に、「つくる会」派の不正義性と反人民性を満天下に暴き、その大破産を刻印するものとなった。杉並の闘いが全国を揺るがし、各地に飛び火する中で、公立中学校で今回採択を決定したのは、杉並以外ではわずかに栃木県大田原市と、都教委直轄の都の中高一貫校や「障害児」学校だけである(8月25日現在)。杉並を突破口に全国10%の採択率をめざすと豪語していた「つくる会」と日帝のもくろみは、実際には1%にも満たずに完全破産したのである。
国家主義・排外主義との全面対決が始まった
「つくる会」教科書粉砕の闘いが戦時下のあらゆる困難と重圧をはねのけ、既成の政党や諸団体の闘争放棄をものりこえた労働者人民自身の下からの大衆的決起をもって、日本の政治闘争・階級闘争の重い扉をついに革命的にこじ開け始めたことの階級的意義はきわめて大きい。
何よりも、闘いは完全に永続化した。杉並・親の会は直ちに「採択撤回」を呼びかけて新たな闘いを開始した。杉教組は「白紙撤回」「教科書は使わない、使わせない」闘いを総力で呼びかけている。攻防の決着は何ひとつついてはいない。否、8・4―8・12をもって逆に「つくる会」教科書粉砕の闘いは一挙に大闘争化した。教科書闘争が「日の丸・君が代」強制拒否の闘いと並ぶ、それと一体化した恒常的・永続的な闘いとして、日本階級闘争の中心軸にすわったのだ。それも教育労働者を先頭とした労働者階級のかつてない分岐・流動・再編・高揚を生み出す革命的な大衆闘争として、一層の拡大と発展を遂げていく過程に入ったのである。
「つくる会」の歴史と公民の教科書の核心は何か。それは、「平和と人権」を柱にしてきた戦後の教育を根本からひっくり返し、戦争肯定・戦争賛美に転換させるために作成された教科書である。日本が再び国家を挙げた侵略戦争・世界戦争に突入するために、戦争のできる国とその「国民」をつくりだすための教科書なのである。
その特徴は第一に、歴史を民族間・国家間の弱肉強食の歴史として描き、その中で明治以来の日本の侵略と戦争を日本が生き残るための「自衛戦争」であった、「アジア解放戦争」であったと、すべて正当化し美化するものだ。第二に、戦後の民主主義や基本的人権の考え方を否定し、逆に明治憲法と戦前の天皇制国家を限りなく美化し、「日本は天皇の国」とする天皇制イデオロギーを再び全面展開するものだ。第三に、階級対立の存在を徹底的に否定し、一切の階級闘争の圧殺を狙うものである。第四に、現憲法を否定して改憲を公然とあおり、中国や北朝鮮への排外主義と新たな侵略戦争を露骨にあおるものである。
それらを貫く最大の核心は、マルクス主義の絶滅、一切の左翼思想の根絶と労働者階級の階級的解体だ。そのためにはブルジョア民主主義をも一掃して、天皇と国家のもとに再び全人民がひれ伏す社会をつくりだそうとしているのだ。
日帝は今日、自衛隊のイラク派兵と有事立法制定を強行し、さらに米軍再編に伴う日米安保の大改定と、憲法9条破棄=改憲に全面的に突き進もうとしている。日本を完全に戦争のできる国に転換させ、世界大恐慌と世界戦争の時代に、帝国主義としての生き残りをかけて新たな15年戦争に乗り出そうとしている。
だがそのためには、法制度や国家のシステムを変えるだけでは済まない。労働者階級を実際に戦争に動員し、国家のため(実はこの国を支配する帝国主義ブルジョアジーのため)に進んで一切を犠牲にするように仕向けることが不可欠である。労働者階級の階級的団結を徹底的に破壊して抵抗の基盤を物理的に奪うだけでなく、その意識をも根幹から解体・変質させて国家主義・排外主義に丸ごとからめとることが絶対不可欠となっている。
「つくる会」教科書の学校現場への大量持ち込みの攻撃は、こうした観点から小泉=奥田路線の全体重をかけた攻撃として、とりわけこの05年、一個の反革命的決断をもってしかけられてきたものだ。単に「つくる会」という新たなファシスト勢力の策動にとどまるものでは断じてない。杉並での決戦は、日帝の総力を挙げたこの攻撃を真っ向から迎え撃ち、実力で押し返すものとなったのだ。
さらに、8・15靖国闘争がこの教科書闘争と完全に一体となった闘いとして爆発したことも重要である。天皇制右翼がこの日全国から組織し、小泉政権の閣僚や石原らも参加した靖国神社大参拝運動は、全学連の学生の決死の実力糾弾の闘いと、キリスト者らの呼びかけのもとに国際連帯を貫いて闘われた大衆的抗議行動によって粉砕された。朝鮮・中国・アジア人民の激しい怒りと糾弾の声を正面から受け止め、連帯し、靖国粉砕を日本の労働者階級の基本課題に位置づける第一歩が踏み出されたのだ。
戦争教科書粉砕を貫き11月労働者総決起へ!
教科書と靖国をめぐって開始された極右勢力、ファシスト勢力とのこの激突は、今日の日本階級闘争を、これまでとは次元を異にする巨大な分岐と大流動の渦中にたたき込んでいる。今始まったこの1930年代的な左右の分岐と激突を、闘う労働者階級の側からさらに促進し、拡大して闘っていくことが求められている。その大激動のただ中で、労働組合と労働運動のもつ本来の階級的で戦闘的な力を圧倒的によみがえらせていくべき時が来ているのだ。
またとりわけ、青年・学生の中で、「つくる会」派と正面対決して大学キャンパスを二分する決戦を展開し、戦闘的学生運動を今こそよみがえらせて闘おう。
帝国主義の危機が絶望的に深まる中で、日帝はますます国家主義・天皇主義・排外主義・愛国主義をあおりたて、それをテコにして戦争と民営化(労組破壊)の攻撃に突っ走っている。「つくる会」に代表されるファシスト勢力が新たにその先兵として台頭し、政権政党との結託による社会的制圧への動きを強めている。連合中央、自治労や日教組の指導部は、その重圧のもとで改憲勢力への総転向を開始した。日本共産党中央のスターリン主義の本質をむきだしにした排外主義・祖国防衛主義への転落も深まっている。
だがこれらは、事の半面にすぎない。他方では、労働者大衆の中にはこのままでは生きられないというせっぱつまった思いと、言葉にならない激しい怒りが渦巻いている。右翼のばっこと支配層全体の雪崩打つような戦争への傾斜、それへの総翼賛状況の進展に、非常な危機感と歯ぎしりする思いが満ち満ちているのだ。この思いに具体的・現実的で大衆的な闘いの水路が与えられるならば、全情勢を根底から揺るがし、覆していく労働者階級の闘う力が生き生きとよみがえってくるのは間違いない。杉並の教科書決戦とその中での区民大衆、学生や労働者の決起の爆発的な拡大は、その一端をはっきりと示したのである。
「つくる会」教科書粉砕の闘いは今や第2ラウンドに突入した。杉並・親の会の呼びかけにこたえ、山田区長と区教委の不正・不法を徹底的に暴き弾劾し、歴史教科書の採択撤回を求める闘いを断固として推進しよう。区内外の闘う力をいま一度結集すれば、白紙撤回は絶対に可能だ。徹底抗戦を宣言した杉教組の闘う労働者とともに、「つくる会」教科書の使用を許さない闘いをつくりだそう。この教科書決戦を「日の丸・君が代」決戦の発展と一体の闘いとして、さらなる爆発をかちとろう。
衆院解散・総選挙をバネに一層の凶暴化と反革命的な純化を深める小泉政権を、怒りを込めて打倒しよう。それらの一切を11・6労働者集会1万人の大結集に集約し、日韓米労働者の国際連帯の飛躍的強化と、日本労働運動の階級的再生への一大突破口を切り開こう。
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週刊『前進』(2212号2面2)(2005/09/05)
杉並区教委 「歴史」採択に怒り
審議のやり直しを要求
8月12日に「つくる会」歴史教科書の採択を強行して以降、初めての杉並区教育委員会が8月24日午後から開催された。「つくる会」教科書採択の撤回を求める労働者・市民が駆けつけて、断固闘いぬいた。
「つくる会」の教科書採択に反対する杉並・親の会は、昼前から区役所前に登場してアピールした。「納冨教育長が『戦争はなくならないという立場だから、扶桑社が一番いい』と言って採択を決定したのは、本当に許せません」「4年前から教育委員を入れ替え、採択制度も改悪して『つくる会』教科書採択へ向かってきた山田区長。現場教員が提出した調査報告書まで書き換えさせて強行した採択は、まったく不当です。採択のやり直しを求めます」。職場から駆けつけた女性も「8月12日の採択は違法です。これまで数々の違法行為をはたらいてきた扶桑社と『つくる会』ですが、ここ杉並では『つくる会』教科書に反対した安本教育委員に個人攻撃を加えて誹謗(ひぼう)・中傷し、最後は教科書執筆者の藤岡信勝さんが傍聴までして圧力をかけて、採択を強行しました。こんな違法行為は許せない。採択をやり直すべきです」と訴えた。
また並行して教育労働者を中心とする区役所前集会も行われ、「白紙撤回しかない」「こんな教科書は現場では使えない」「ともに闘おう」と訴えられた。
区民から逃げ回る納冨教育長
この日も20の傍聴席に対して109人の傍聴希望者が抽選に並んだ。ほとんどが「つくる会」教科書に反対している人である。
午後2時過ぎに開会。教科書採択で「つくる会」教科書をごり押しした大蔵委員は欠席。教科書採択をめぐる問題には何ひとつ触れないまま、1時間もたたずに議事が終わった。
閉会と同時に、傍聴者は一斉に教育委員に「審議をやり直してください」「不当な採択は認められません」と訴えた。とりわけ納冨教育長には「あなたの一言で扶桑社の教科書採択が決まった」「教育長は自分のしたことに責任をとってください」「あなたには区民に説明する義務があるはず」などと抗議の声が殺到したが、職員に守られるようにして退室していった。
傍聴者が面会を求めても納冨教育長は出てこず、しばらくたつと職員が「教育長は出張した」と言い出す始末。揚げ句の果てに納冨の伝言として「教科書採択については公開の場で行われた審議で話している。会って話すことはない」と伝えてきた。「こんな横暴は許せない」と5時近くまで抗議が続けられた。
杉並区当局は教育委員会のフロア数個所にいまだに防火扉や机でバリケードをつくり、ガードマンを配置している。山田区長―納冨教育長は、自らの大罪に恐れおののいているのだ。
全国の採択区で「つくる会」教科書の不採択が続々決定されている。杉並の「つくる会」歴史教科書採択撤回へ、さらに力を強めて闘いぬこう。
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週刊『前進』(2212号2面3)(2005/09/05)
8・5〜8・19
連合が自民反対派支援を検討
連合、原水禁運動統一へ/大阪市で大量処分攻撃
●「石綿条約」批准を閣議決定 府は閣議で「石綿の使用における安全に関する条約(第162号)」の批准を決定した。(5日)
●連合、原水禁運動の統一検討 連合の笹森会長、原水禁の福山事務局長、核禁会議の水木事務局長は、長崎市内で記者会見し、3団体で原水禁運動の統一へ検討を進める考えを明らかに。(7日)
●小泉、解散直後に奥田日本経団連会長と会食 小泉首相は衆議院解散直後の午後7時半、都内のホテルで奥田日本経団連会長らと会食を行った。(8日)
●連合が自民反対派支援、民主は異なる姿勢表明 連合は中央執行委員会で、郵政民営化法案に反対した自民党前職支援の検討を決めた。民主党は12日に「自民党造反組と組むことは考えていない」と、連合の対応とは一線を画す姿勢を明らかにした。(10日)
●総務省研究会が地方公務員の給与改革を提言 総務省の「地方公務員の給与のあり方に関する研究会」が「地方公務員の給与構造の見直しに関する基本的方向性」をまとめた。成果主義導入とともに、各地域の民間給与の反映を、などとしている。(11日)
●民主、政権公約に独自郵政改革案 民主党は郵政事業改革をめぐり、@郵便貯金の預入限度額を500万円まで段階的に引き下げるA今後2年間は日本郵政公社の経営形態を維持する などを衆院選のマニフェストに盛り込む方針を明らかにした。(13日)
●竹中が民主の郵政改革案を批判 竹中郵政民営化担当相は、民主党が示した郵政改革案を「(郵政公社職員の)8万人の首切りプランだ」などと批判。(14日)
●人事院勧告、地域給与で最大7%賃下げ、2年ぶりマイナス人勧 人事院は、非現業国家公務員を対象とする給与勧告を行った。(15日)=要旨別掲
●USEN、労組の反発で日活買収を断念 有線放送大手のUSENが、映画会社日活の経営権取得の白紙撤回を正式に発表。理由として労働組合など従業員の反対を挙げている。(15日)
●民主党「人員削減避けられず」と反論 民主党の岡田代表は竹中批判に対し「(政府は)人を減らさず民営化しようと考えているのか。一定程度の人員削減は避けられない」などと反論。(16日)
●連合が民主、社民245人を推薦 連合は、民主党公認の241人と社民党公認4人の計245候補の推薦を決めた。郵政民営化法案反対の自民非公認組の支援も検討しているが、この日は推薦などの決定はしなかった。(18日)
●大阪市で労組幹部に大量処分攻撃 大阪市は「ヤミ専従」だとして労組10団体の役員らと市の幹部の計254人を処分した。(19日)
人事院勧告の概要
●通常の官民比較に基づく勧告
公務員のほうが民間より0.36%高いとして、月額0.3%の引き下げと、配偶者扶養控除500円下げ、一時金は0.05カ月引き上げだが、凍結も検討。その結果、年平均4千円のマイナスとなる。
賃金引き下げは2年ぶりで3度目。
●給与構造の見直し勧告
一律4.8%の引き下げを来年度から行う予定。全国を7地域に分け、民間水準に基づき、5段階の地域手当てを支給するという内容。中高年層には引き下げ率が上積みされ、最大で7%のマイナスになる。
さらに査定昇給の導入を提起。5段階評価で昇給幅に差をつけるもので、一般職員への適用は再来年4月から。
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週刊『前進』(2212号3面1)(2005/09/05)
日米韓国際連帯の旗高く
11・6全国労働者総決起集会
3労組が呼びかけ
全日本建設運輸連帯労働組合関西地区生コン支部、全国金属機械労働組合港合同、国鉄千葉動力車労働組合の3労組が呼びかける11・6全国労働者総決起集会に向けて、同集会の第1回実行委員会が8月21日、東京都内で開かれた。集会名称、日程が確認され、主催者は同集会実行委員会とすること、集会の成功に向けて賛同署名とチケット販売運動を重視することなどが決定された。呼びかけ3労組が発した「11・6全国労働者総決起集会への賛同と参加のお願い」を紹介します。(編集局)
11・6全国労働者総決起集会への賛同と参加のお願い
全日本建設運輸連帯労働組合関西地区生コン支部
全国金属機械労働組合港合同
国鉄千葉動力車労働組合
全国のたたかう労働者のみなさん!
歴史は大きな曲り角にたち、日本の労働者はいま暴風雨のなかにいます。全日建運輸連帯労組関西地区生コン支部への大弾圧をはじめとした労働運動への相次ぐ刑事弾圧や民事仮処分、損害賠償請求、「日の丸・君が代」に忠誠を誓わなければ処分という石原都知事による戦前と寸分違わぬ教育労働者への攻撃、郵政や東京・大阪での自治体労働者への攻撃など、労働者の団結権の行使、行政機構のなかに労働組合が存在することそのものを許さない攻撃がエスカレートしています。
JR尼崎事故は、労働組合が団結を破壊され、市場原理が暴走したときに何がもたらされるのかを衝撃的に示しました。動労千葉は、JR東日本による処分攻撃と対決し、安全運転行動を闘いぬいています。
今、何よりも求められているのは、小泉政権による激しい労働組合破壊攻撃と対決し、労働運動の現状を変革することです。団結をとり戻し、労働組合を甦らせることです。不一致点は留保し、一致点を拡大して真の闘う統一戦線を創りだそう。闘う労働組合の全国ネットワークを創りあげよう。
教育基本法―憲法改悪攻撃の切迫、自民党・財界ぐるみの「つくる会」教科書採択に向けた反動的運動の組織化、国家主義の急速な台頭、日米安保の飛躍的強化、共謀罪新設策動をはじめ矢継ぎ早に進む治安弾圧立法の制定など、小泉政権は、ブッシュ政権と一体となって戦争につき進もうとしています。
これと一体で、郵政をはじめ、国や地方自治体業務の全面的な民営化攻撃が開始されようとしています。民営化とは、社会の隅々まで弱肉強食の市場原理を貫いて、「9割の労働者を非正規雇用化する」という奥田ビジョンを貫徹しようという攻撃であり、何よりも激しい労働組合破壊攻撃です。
現にあらゆる産業の現場の中心は非正規雇用労働者になっています。非正規雇用労働者の闘いの組織化は、労働運動にとって避けて通ることのできない課題です。
日本経団連は「労働基準法は工場法時代の遺物だ」といって、労働時間法制や労働契約法制の抜本改悪を要求しています。また、社会保障制度の解体や大増税攻撃が激しく進められています。
とくにこの間の際立った特徴は財界の反動的な突出です。日本経団連は、膨大な意見書を乱発し、「憲法9条2項を廃止せよ」「教育基本法を改正せよ」「東アジア自由経済圏の形成と日米安保の強化を外交政策の軸とせよ」「徹底した規制緩和と民営化を断行せよ」と政府に迫っています。
差し迫る憲法改悪攻撃との闘いの焦点は、労働組合をめぐる攻防戦です。この夏〜秋にかけて開催される大会で、日教組や自治労までが、激しい攻撃に膝を屈して「護憲」方針を投げ捨て、連合が改憲勢力に転落しようとしています。現場からの怒りの声を結集し、労働運動のこの危機的現状を打破しなければなりません。
政治反動と平和の危機―生活の全てをのみ尽くすような攻撃への怒りの声は満ち、労働運動の再生を求める声は、いたるところで響き始めています。
昨年の11月労働者集会は、韓国・民主労総の闘いやアメリカにおけるミリオン・ワーカー・マーチと固く連帯し、日・米・韓労働者の国際連帯集会として大成功をかちとり、石原都知事の恫喝や組合本部の制動をはね返して「日の丸・君が代」不起立・不斉唱の闘いが全国に大きな波紋を広げ、教育基本法改悪反対の闘いや陸・海・空・港湾20労組の闘いがナショナルセンターの枠をこえた統一行動を実現し、全金本山闘争は34年の闘いを貫いて、解雇撤回−職場復帰の歴史的な勝利をかちとりました。また、国鉄1047名の解雇撤回闘争も画期的な統一行動を実現しています。
今、労働者は全世界で、団結し、連帯して新しい時代を見いだす力をとり戻そうとしています。今こそ、戦争と民営化−労組破壊の大攻撃に抗し、労働運動の再生を実現しよう。
私たちは、表記集会に全国の地域・職場で奮闘する多くの仲間たちのご参加をいただき、怒りの声をたぎらせて、支配の厚い壁を突き破る、闘う労働組合の全国ネットワークをつくりあげたいと考えております。
志を同じくするすべての皆さんの賛同と参加を心よりお願い申し上げます。
2005年7月
11・6全国労働者総決起集会
たたかう労働組合の全国ネットワークをつくろう!
戦争と民営化―労組破壊にたち向かう労働者の国際的団結を!
と き 11月6日(日)正午開会
ところ 東京・日比谷野外音楽堂
主催 11・6集会実行委員会
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週刊『前進』(2212号3面2)(2005/09/05)
大結集実現へ決意
集会成功へ第1回実行委
8月21日の11・6集会第1回実行委員会では、呼びかけ組合の全日本建設運輸連帯労働組合関西地区生コン支部、全国金属機械労働組合港合同、国鉄千葉動力車労働組合からそれぞれに提起が行われた。
関西地区生コン支部の高英男(コヨンナム)副委員長は、武建一委員長を始め6人の執行委員がいまだに勾留されている大弾圧との闘いについて報告し、「関西生コン支部だけが狙われているのではない。これは戦争国家体制づくりの準備だ。他の組合のことと見過ごしていると自分に降りかかってくる。その共通認識をつくりたい」「今度は反撃に打って出る。それを11月労働者集会と連動させたい」と語った。
全国金属機械港合同から南労会支部の大野ひろ子さんが、大阪市労連への攻撃やJR尼崎事故に触れ、「団結権を復権させる闘いが必要だ」と強調した。
動労千葉の田中康宏委員長は、解散・総選挙に打って出た小泉政権が戦争と民営化の攻撃を一挙に強めていることを指摘して、「現場で本気になって仲間を組織しよう」と訴えた。
また、アメリカから運輸労働者連帯委員会のスティーブ・ゼルツァーさんが参加し、大幅人員削減と賃金引き下げ提案に抗して闘うノースウエスト航空労働者への支援を呼びかけるとともに、「全世界の労働者階級の闘いの柱を打ち立てよう」と11・6集会をともに闘うアピールを発した。
参加者の討論を経て、動労千葉の中野洋前委員長が11・6集会1万人結集へ全参加者の奮起を促した。
呼びかけ3労組と実行委員会の訴えを支持し、その決意にこたえて11・6集会の成功へ全力で闘おう。
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週刊『前進』(2212号3面3)(2005/09/05)
国労弾圧公判 暴行場面は見えたのか
ビデオを示し証人を追及
8月23日、国労5・27臨大闘争弾圧裁判の第44回公判が東京地裁刑事第10部(青柳勤裁判長)で開かれた。前回に続き国労長野地本中南信支部組合員の浅川初幸証人への弁護側反対尋問が行われた。
浅川証人は02年5月27日の国労臨時大会に会場警備として参加し、大会当日の朝、宿泊先のホテル前で被告らに「暴行」されたとして「被害届」を警察に出している。だが、5・27臨大当日の被告たちの行動は、闘争団を統制処分にかけようとした国労本部に抗議する正当なビラまき・説得活動にほかならない。
法廷には平山芳夫・長野地本副委員長らも姿を見せた。平山は、吉田進書記長の指示のもとに率先して「被害届」を提出し、検察側証人の役割を買って出た人物だ。彼は、浅川証人に真実を語らせないため、傍聴席から証人に圧力を加えようとしたのである。
原田隆司被告が意見陳述に立ち、国鉄1047名闘争が7・15日比谷野音集会を経て大きく発展している事実こそ、被告のビラまき・説得活動の正当性を指し示していると断言した。原田被告はさらに、この7月、自身にかけられた「免状不実記載」弾圧(記事別掲)に言及しようとした。ところが青柳裁判長は血相を変えて、「その件は陳述を許しません」とさえぎった。原田被告は、裁判所が保釈条件として定めた制限住所に住んでいたことを理由に不当逮捕されたのだ。これを告発・弾劾することがなぜ禁圧されるのか。法廷は強い怒りに包まれた。
西村正治弁護人が証人への尋問に立った。浅川証人は5・27当日の朝、会場係本隊がホテルを出発する前に付近のコンビニに買い物に行き、ホテル前で被告たちからビラを渡されたという。「その時、敵対的雰囲気を感じたか」という質問に、証人は「まったく感じませんでした」と返答した。検察側は「被告らは、大会参加者が会場に向かうバスに乗るのを妨害するためホテル前に集まった」としているが、その主張は成り立たないのだ。
ところが証人は、検察側主尋問では、買い物を終えホテル前に戻ると、「原田被告からにらみつけられ、異様な雰囲気を感じた」と証言していた。河村健夫弁護人が、検察側提出のビデオを示して尋問した。そこには、原田被告が浅川証人のいる方向を見ている場面はない。この矛盾を突かれた証人は、ちぐはぐな答えを繰り返し、検事も頻繁に異議を出して証人を救済しようと躍起になった。
証人はまた、主尋問に答えて、長野地本の会場係の責任者だった池田久幸・東北信支部元委員長が、被告の一人からひざ蹴りされるのを見たと述べていた。河村弁護人は、「池田さんが暴行された直後の場面」と証人が言うビデオ画像を示して問いつめた。そこには証人自身の姿も映っている。その位置からは、被告たちの人垣に視界をさえぎられ、「ひざ蹴り」なるものが見えたとは思えない。だが証人は「体を前に倒せば十分見える」と言い張った。弁護団が「この場で思いついての証言では」とたたみかけた。証人はしどろもどろになり押し黙った。
検察側は、数人の被告による池田への暴行を「目撃−了知」したことで被告の間に「現場共謀」が成立したと主張している。公判は「共謀立証」をめぐる緊迫した攻防に入ったのだ。
次回公判に結集し、8被告の無罪獲得へ闘いを強めよう。被告を警察に売り渡した国労本部=酒田・革同体制打倒へ、国労大会決戦を闘おう。闘う体制を堅持し鉄建公団訴訟判決を迎えよう。「許さない会」の拡大も死活的な課題だ。とりわけ国労の中に運動を広げよう。その力で11・6労働者集会に攻め上ろう。
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週刊『前進』(2212号3面4)(2005/09/05)
原田被告を不当逮捕
連日の抗議で3日後保釈
7月26日早朝、兵庫県警伊丹警察署は、国労5・27臨大闘争弾圧被告の原田隆司さんを不当にも逮捕した。直ちに伊丹警察署、神戸地裁、神戸地検への抗議行動が連日たたきつけられた(写真)。検察は勾留請求を断念し、原田さんは完全黙秘・非転向を貫いて28日に釈放をかちとった。
警察権力は、原田さんが今年2月に運転免許証の更新をした際、実際に住んでいる場所とは違う住所を記載したとして「免状不実記載」容疑をデッチあげた。だが、原田さんはJR西日本に勤めるかたわら高齢の両親を支えて家業の農業もしており、生まれ育った実家の住所で免許証を取得し、長年更新してきている。また、家族とともに住んでいる住居もある。だから03年12月に保釈をかちとった時、東京地裁も、住民票は実家に置き、保釈条件の制限住所は家族とともに住む住居に置くことを認めているのだ。
警察権力は、国労の各級代議員選挙期間中に、原田さんを職場で見せしめ的に逮捕した。また、郵送された裁判資料の封筒を強制的に開封し押収していった。その狙いは、5・27臨大闘争弾圧粉砕の闘いの圧殺と国労の団結破壊にある。原田さんは、被告として全力で闘いを貫きながら、4月の尼崎事故以来、職場でJRの安全問題を追及し、また1047名闘争を支える闘いの先頭に立ってきた。
JRでは、広域出向を命じられ、岡山や米子などから京阪神に来ている労働者も多い。たいてい住民票は地元に置いたままだ。「出向者も逮捕するのか」と弾劾の声が上がっている。
今回の弾圧は断じて許せない。「許さない会」運動を拡大し、激化する労働運動弾圧を打ち破ろう。
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週刊『前進』(2212号3面5)(2005/09/05)
小包配達労働者に「契約打ち切り」
労組結成即解雇の暴挙
郵政労働者は連帯し闘う
私は、8月5日、「強制配転に反対する近畿郵政労働者の会」の一員として関西合同労組関西トランスポート分会の闘いに連帯するため、現地闘争を闘いました。その様子を伝えたいと思います。
関西トランスポート会社というのは、兵庫県南西部地域で郵政公社の下請けとして小包配達を請け負っている業者です。その労働条件は過酷なものです。拘束は朝8時から早くとも夜8時までの12時間以上です。しかも、「請負契約」を偽装することで労働基準法の適用をまぬがれ、最低賃金以下で酷使しています。
賃金は小包1個を完配して105円(車持ち込みの人は120円)というものです。もし配達先が不在で持ち帰ればただ働きです。一日の賃金が2000円以下ということも珍しくありません。会社は小包1個169円で請け負っており、その差額はピンはねです。
あくどい偽装「請負」に労組結成で対抗
3月に関西トランスポート会社の1人の労働者が関西合同労組に加盟し、せめて月給制にして欲しいと要求して、会社との団交を行いました。そのことを聞いた他の労働者も続々と労組に加盟し、9人の社員のうち8人が組合に結集したのです。
関西トランスポート分会は「請負契約」という偽装「請負」の資本の攻撃を打ち破り、「自分たちは労働者だ」と声を上げたのです。その闘いが「請負労働者」は言うに及ばず、JPU組合員全体に波及し、民営化攻撃が破綻(はたん)することを恐れた郵政公社は、関西トランスポート会社と工作し、「局との契約打ち切り」でもって全員を解雇するというむき出しの不当労働行為を行いました。許しがたいのは関西トランスポート会社ですが、その裏にいて操っているのは郵政公社です。
それに対して、関西トランスポート分会は6月11日と19日の2波の全日ストライキを闘い、6月30日で契約を打ち切られた後も、団結した4人の組合員で県労委闘争、仮処分裁判を始め、毎週の現場就労要求闘争を闘っています。
局門前で就労要求闘争貫く
8月5日、正午に局前に登場し、前半は局の表側で関西合同労組主催で、後半は局の労働者の多い通用門側に移動して、反対する会主催で就労要求闘争を行いました。前半では、「郵政民営化阻止は国会ではなくここで闘われている」「労働者の最低の権利は労働組合の結成だ」「月給制は最低限の要求だ」などの発言がありました。私も、「私は『精神障害者』差別免職を1991年に受けて14年間、解雇撤回闘争を闘っている。毎月の職場門前闘争を闘い組合員から応援されている。闘争が長引いても最後まで頑張ってください」と発言しました。
反対する会を代表した郵政労働者の発言は「謝罪しないといけない。今まで下請けの労働者との連帯の観点が抜けていた。関西トランスポート分会を今後支援していくことは非正規雇用労働者の課題を闘う第一歩だ」と明快でした。
関西トランスポート分会の労働者は、「解雇理由の説明もされずに解雇された。加古川局は経営悪化が原因だと言っていた。ところが仮処分裁判では会社は『物量が増える時期に当社では対応できず、局に迷惑がかかるから撤退した』と言っている。解雇理由が変更されている。労働者には迷惑をかけても構わないと言うのか。民営化とは労働組合つぶしだ」と発言。もう一人の同分会の労働者も簡潔に決意を述べました。
後半の集会では、兵庫各局を始め、京都からも郵政労働者が発言に立ちました。「昨日は京都で郵政民営化反対のデモをした。配達中にクロネコヤマトの労働者と出会ったらあいさつしている。企業の枠を超えた連帯が必要だ」「仕事中にトイレに行ったからと3カ月間も一室に閉じ込められた」「これが民営化だ」などの発言が続きました。
当該の全逓加古川の闘い
もう一つの当該である全逓(JPU=日本郵政公社労組)加古川分会総分会長が発言しました。「解雇は組合つぶしであることは明らかだ。先日、JPU東播支部大会があった。地本の圧力があったが、圧力に屈していては民営化と闘えない。支部での論争をとおして闘って行く」と決意が表明されました。
聞くところによると、全逓(JPU)近畿地本は「関西合同労組はJPU打倒と言っているから支援できない」と言っているそうです。関西合同労組がそんなことを言ったというのは聞いたことがないし、言うはずもありません。なにかの勘違いではないでしょうか。
続いて、関西トランスポート分会が「県労委、仮処分裁判で闘っている。解雇撤回・職場復帰まで闘います」と決意を表明しました。そのあと、関西合同労組からも簡潔な決意が表明され、最後に檄布が江渡績総分会長に渡されました。
この日、当局側はなんと東京の本社から4人が来て、計20人以上で門前に立ちはだかっていました。しかし、仕事から帰って来る加古川分会組合員は次々にビラを受け取り、窓からも多数の組合員が注目し発言に聞き入っていました。
全国の注目を浴びる闘いに
私たちは反対する会を始め、全国金属機械労組港合同、ス労自主、関西合同労組、その他の支援など40人で闘いました。炎天下でしたが、反対する会として、関西トランスポート分会ととことん連帯していく第一歩を闘い抜きました。
関西トランスポート分会の闘いは、いま横行している偽装「請負」に対する正面からの反撃として大きな注目を浴びています。偽装「請負」とは、本当は労働者として雇用しているにもかかわらず、「請負」形式にしたり、「請負契約」を強制的に結び労働基準法の適用対象外にしてしまい、すさまじい搾取と収奪を行うものです。団交の席で会社側は、「あなたたちは何時に出勤してもいいし、何時に帰ってもいい契約だから、労働者ではなく請け負い業者です」と言ったそうです。しかし、小包配達は朝8時ごろから始めなければならないし、夜は8時までは局に居なければなりません。決まった時間を拘束されている場合は「賃金労働者」として認められるのが当然です。
この偽装「請負」問題は、韓国の民主労総は大きな課題として取り組んでいます。ところが日本では労働運動の正面課題とはなっていません。当該であるはずの全逓(JPU)近畿地本は、闘争を妨害している始末です。その中で、当該局の全逓加古川分会が分会をあげての支援に取り組んでいます。私たちはこの日を第一波闘争として、息長く、解雇撤回をかちとるまで闘います。本務者、非常勤、委託労働者の分断を許さない闘いです。全国からの支援・連帯をよろしくお願いします。
(投稿/兵庫県芦屋郵便局被免職者 高見元博)
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週刊『前進』(2212号3面6)(2005/09/05)
イギリス
空港労働者が連帯スト
解雇に反撃、700便止める
英国航空(BA)の機内食を一手に引き受けるゲートグルメ社のリストラ・解雇計画に怒った670人の従業員が8月10日に抗議ストライキに決起した。これに連帯してBAの荷物運搬、空港内バスなど地上勤務者千人が11、12日にストライキを決行した。このストライキでBA機の荷物の運搬や乗客・乗員のバス移動ができなくなり、BAは約700便が欠航に追い込まれ、7000万ポンド(約14億円)を失った。
ストを行った670人はゲートグルメから解雇され、収入・保険を失い苦しい生活を余儀なくされている。運輸一般労働組合(T&G)は670人の解雇撤回・職場復帰を求めてゲートグルメ、BAと交渉しているが、23日現在なんら合意・解決に至っていない。
分社化された機内食部門
スイスに本社を置くゲートグルメは世界有数の機内食会社である。ヒースロー空港の同社工場はもともとBAの一部門だった。97年末にBAから切り離され、2002年に米ベンチャー企業テキサスパシフィックに買い取られた。BAのほかアメリカン、コンチネンタル、デルタ、カンタスなどの航空会社に機内食を納入している。全世界で2万2千人の従業員を抱え、29カ国で1日53万4千食を供給する大会社だ。
ところがイギリス工場は2000年以来赤字となり、破産の危機にある。9・11反米ゲリラが拍車をかけた航空不況と航空会社の生存競争の影響を受け、35%もの減収となった。
航空会社は機内食サービスを縮小してコストを削減したため、4年間に機内食市場は約30%縮小した。米国の市場は40%の縮小だ。ゲートグルメ社は今年初め英バージンアトランティック航空との契約を失った。
ゲートグルメ社は起死回生策として、より低価格の機内食を供給する契約をBAと結ぼうとした。そのためのコスト削減策として従業員を大量解雇し、パートタイマーに置き換えようとしたのだ。
大量解雇計画を知った労働者は8月10日、スト投票なしでストライキに入った。会社はストに加わった労働者670人を解雇した。また11日、ヒースロー空港で働くBAの地上部門の労働者は同情ストライキに入った。山猫ストだったが、T&Gの本部は「合法」と認め、支持した。
連帯ストが起こったのはなぜか。BA地上勤務者とゲートグルメ労働者は97年12月まで同じBA社員だったからだ。空港で協働作業をしている。労働者たちは互いに夫婦、家族、友人であり、同じ家、同じ地区に住んでいる(インド系英国人が多い)。
解雇撤回求め門前抗議行動
現在、670人全員の解雇撤回・職場復帰を要求する労組(T&G)と、全員の職場復帰は認めないとする会社(ゲートグルメとBA)側とが対立している。被解雇者は12日以来、毎日、会社門前で抗議行動を展開している。
ゲートグルメ社は「『トラブルメーカー』の200人の復職は認めない。『よく働きよく尽くす』1400人の利益は保障する」と言っている。同社のシーゲル社長は「強硬派と組合闘士は絶対に戻さない」と主張している。組合側は、このような不当な要求を受け入れるわけにはいかない。
BAが労資交渉に加わっているのは、労組側の要求による。BAはゲートグルメの主要顧客であり、争議が解決しなければ機内食の供給を受けることができない関係にある。BAはゲートグルメの労働者に責任を負っているのだ。
争議が解決しなければゲートグルメ社は管財人管理下に入り、新たな買い手を見つけなければならない。労働者側に不利な結末に至った場合、BAの地上労働者は再び同情ストに入る構えだ。イギリス労働者は、BAの民営化・分社化による分断と労組破壊の攻撃に対し、労組の団結を強化し、共同して反撃している。(藤沢明彦)
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週刊『前進』(2212号4面1)(2005/09/05)
大破綻のカクマル「改憲闘争」
「ブッシュおしつけ改憲」論は日帝免罪する反動的主張
「左翼」の仮面をかぶった反革命勢力であるカクマルは、今年前半の過程で完全に運動的路線的破産を深め、党派の体をなさない惨状をさらしている。本紙2205号工藤論文で、@イラクのカイライ政権を支持する「イラク反戦闘争」の破産、A中国人民の反日帝のデモを「中国政府による官製闘争」と非難する民族排外主義、B「ブッシュおしつけの改憲」論という3点にわたって、徹底的に批判した。カクマルはいまだにこの批判に一言半句も反論することができない。これを踏まえて、追撃の第2弾を撃ち込みたい。
「つくる会」教科書闘争から逃亡し運動的路線的に破産
この間のカクマルの破産を示す大きな出来事は、「8・7国際反戦集会」である。この集会は、毎年8月にカクマルが開いている重要集会だが、今年は、海外からのあいさつもなく、まったくゲストのいない寒々とした集会だった。
そこで基調報告した滝川某は、イラク「移行」政権を支持してしまっているために「イラク反戦闘争」方針を何も打ち出せず、ただただ7・7ロンドン爆破ゲリラ戦闘に対し「ブッシュ政権による謀略」というでたらめな反革命デマゴギーを繰り返すことしかできなかった。「G8諸国権力者を対テロ戦争の継続で一致結束させるための謀略」などと言うが、笑止千万である。カクマルの「謀略論」は、ムスリム人民の特殊的極限的な決起としてのゲリラ戦争に対する許しがたい冒涜(ぼうとく)であり、反人民的な敵対である。実のところ、「テロ根絶」を叫ぶ日本共産党の主張となんら変わらないのだ。
また、許しがたいことに、滝川は米日帝の中国・朝鮮侵略戦争策動については何も言及せずに、「スターリニスト中国の反労働者的な対応こそが現代世界の戦争的危機の深まりをいっそう加速している」ことを強調した。これは、中国の動きが戦争の起動力とする、帝国主義の中国脅威論となんら変わらない。
これは今春、カクマル学生組織で中国人民の反日帝デモをどう評価するかで大動揺が起き、それを「あれは官製デモだ」「スターリン主義との対決の問題だ」と抑えつけてのりきってきたことを表している。ここにおいてカクマルは、完全に日帝・自民党や右翼の反中国キャンペーンと歩調を合わせているのだ。
労働運動について「特別報告」を行った福留某は、「JR西日本の事故は、日本の諸企業で働くすべての労働者が突き落とされている過酷きわまりない現実の縮図である」などと利いたふうなことを言いながら、自分たち、つまりカクマルこそが黒田を筆頭に国鉄分割・民営化の最先兵としての役割を果たしてきた張本人であることには無責任にも口をぬぐっている。したがって、郵政民営化攻撃についてもまったく闘う方針を示せないのだ。
また、JR総連を失った後の最後の産別である教労カクマル分子の発言は、日教組本部をさも「批判」しているように見せながら、実際に自分たち自身がどのように闘ったのかがまったくないという破産ぶりをさらした。何よりも今春の「日の丸・君が代」強制拒否の闘い、「つくる会」教科書採択阻止の闘い、教育基本法改悪阻止の闘いについて、まったく一言もないのだ。それもそのはず、何も闘っていないのだから。
彼らが「フキリツ、フキリツというのは挑発」と言って、強制拒否の闘いに敵対するためにデッチあげた「(石原知事や横山教育長を)告訴・告発する」運動についてさえも、一言も語ることができなかったのは、この運動が教育労働者の不起立闘争に対する妨害のためのみの運動であり、しかも今春過程で見事に破産してしまったことを告白するものだ。
このように、カクマル「国際反戦集会」は、カクマルの今日的破産を集約的に表現している。特に、彼らの「反戦・反改憲」の中身は、帝国主義との闘いなどまったくなくて、ただ単に日本共産党などへのインチキな「批判」をもって代えているものに過ぎず、まったく無内容である。重要なことは、日帝・小泉の改憲への攻撃の今日的な最大の突破口である「つくる会」教科書の攻撃について、まったく何ひとつ闘ってこなかったことだ。
言うまでもなく、「つくる会」教科書は、戦争国家づくりのために、帝国主義ブルジョア階級が階級関係そのものの転換をかけて仕掛けてきた攻撃である。それは小泉=奥田のイデオロギー、路線であり、改憲の内容の先取り、改憲攻撃そのものである。まさに、それは、単に中学生や教育労働者だけの問題ではなく、「戦争は教室から」と言われるとおり、全人民的な最重要の政治課題なのである。
ここで逃亡したことは、カクマルの「改憲粉砕」などというかけ声がまったくインチキなものであることの証明である。戦時下の階級闘争の中で、カクマルがかくも重大な課題から逃げ回ったことは、彼らの政治的死を意味するものである。
今春闘争過程で重要な意義をもっていた5・7教育基本法改悪反対の代々木公園の闘いで、カクマルは集会途中で解散するというぶざまな対応をしたが、この事件とともに、「つくる会」教科書との闘いからのカクマルの脱落は特記すべき事態である。
改憲は日帝の体内から噴出する要求であることを否定
さて、この間、カクマルは、「日の丸・君が代」強制拒否の闘いや「つくる会」教科書採択阻止の闘いから逃げ回り、またイラク問題での破産をごまかすために、機関紙上で改憲問題を押し出している。もちろんこれは、改憲攻勢の激化への対応を迫られたカクマルのあがきである。同時にこの間の情勢との関係で見る限り、カクマルはこの「日の丸・君が代」闘争や「つくる会」教科書闘争が階級決戦となっていることから逃亡するために、「他の大きなテーマを押し出す」ことでごまかしているのだ。これは自分自身をも欺く意味も持っている。
カクマルの政治路線的破産は、この間一貫して深まっているが、最近目立つことは、カクマルが日帝・小泉の改憲攻撃について、これを米帝によって強制され、おしつけられてそうなっているという考え方を大々的に押し出してきていることである。
このことを端的に示しているのが反革命通信『解放』1874号(6・27付)トップ論文である。そこには「ブッシュ帝国おしつけの憲法改悪」ということが紙面の大きな見出しとして踊っている。このトップ論文では、次のような論じ方をしている。
@「小泉政権はブッシュ帝国おしつけの『共通戦略目標』を尻尾をふってうけ入れた」
A「この『共通戦略目標』にもとづいて"忠犬ポチ公”政権は『中国のライバル化阻止』をかかげるブッシュ帝国による日米軍事同盟の対中国攻守同盟としての強化のたくらみに積極的にこたえつつ、日米両国共同作戦体制構築のための策動に具体的に踏みだしつつある」
B「小泉ネオ・ファシズム政権は、日本帝国主義国家の戦略を、ブッシュ帝国の世界制覇戦略に全面的に従属させた内実のそれにもとづいて、ブッシュ帝国と共同して侵略戦争を遂行するための体制の構築に突進している」
C「そのためにこそ、現行憲法第九条の全面的改定を中心とする憲法の改定(大改悪)を一気呵成(かせい)になしとげようとたくらんでいる」
いかにもカクマルらしいものの言い方である。まるで小泉を階級的に批判しているかのようである。だが、カクマルという連中はこういう形で、革命の皮を着た反革命として、凶暴な白色反革命=ファシストとしての役割を演じるのだ。Bなどでは、"ブッシュ帝国と共同して侵略戦争を遂行するための体制の構築”などといった、いかにもの体で労働者人民をだまそうとしている。しかし、この@〜Cをしっかりとみれば、カクマルの反革命性ははっきりする。
「米帝の世界戦争計画」もなし
第一。「ブッシュ帝国のおしつけ」という時、そもそもの「ブッシュ帝国」なるものについて、帝国主義の根底的批判の立場とはまったく無縁な立場で論じている。「世界制覇戦略」などと、革共同の規定に似せて、いかにもカクマルだってファシストではなくて"左”だよとごまかしたがっている。
だがその内実は、米帝や帝国主義世界体制の危機論、帝国主義の世界戦争論とは無縁である。つまり、米帝が基軸国としての崩壊的危機からの延命のために石油資源などを独占しようとして、とてつもない世界戦争計画を推進しているという視点がまったくない。
それどころか、Aの「共通戦略目標」のところをみればわかるが、これが米帝の対中国侵略戦争を基軸にすえたものであるという階級的なとらえ方がまったくない。「中国のライバル化阻止」などというものにすりかえられている。これでは米帝も中国も、ともに大国としては同格の存在ということになってしまう。
ブッシュの戦略がイラク侵略戦争から対北朝鮮侵略戦争へ、そして中台問題への介入から対中国侵略戦争へと発展させられようとしていること、これは残存スターリン主義の転覆と米帝勢力圏への組み入れというとてつもない帝国主義侵略戦争のプランとしてあることが、まったくとらえられていない。
今日の日米枢軸の形成による対中国侵略戦争の体制づくりの問題が、台頭する中国に対抗する攻守同盟の問題などとされてしまっている。つまり、実質的には帝国主義の中国脅威論と同じ主張しかしていない。帝国主義としての侵略性など消し去ってしまっている。ここには、米帝が帝国主義として延命するためには対中国の侵略戦争に向かって突き進むしかない、そしてそういう動きはすでに始まっている、こういった侵略戦争―世界戦争の切迫性への認識はゼロである。
「平和な日本」空論的に夢想
第二。そしてこのトップ論文の一番の反革命性を示すものが、米帝による日帝への改憲のおしつけ論である。この@〜Cのどこを読んでも、日帝が帝国主義としてどう延命しようとしているのか、日帝は帝国主義間争闘戦の中で今どんな状況にあるのか――という問題と日帝の戦争政策の関係は何ひとつ触れられない。帝国主義の危機が根底的なものとして体制を揺るがす時、帝国主義的な反動がどのように帝国主義の体内から噴き出てくるのか、それと闘うためには何が必要か――という観点・考え方がまるでないのだ。
したがってカクマルは、米帝のおしつけなどに従わないで"平和な日本をつくろう”と言っているにすぎないのだ。帝国主義の現実のもとで、そんなことは超空論でしかない。この点ではカクマルは、日本共産党とも連合とも自治労中央や日教組中央ともまったくなんら変わらない。
『解放』1872号の「侵略戦争遂行のための改憲案」なる烏丸猛史署名の論文では、「史上初の『自主憲法』の制定を、などという触れこみは、実のところ、この自民党『新憲法案』の政治的本質が"ブッシュ帝国おしつけ”のそれであることをおしかくすための煙幕以外のなにものでもない」とか、「なによりも、アメリカの『対テロ戦争』への日本国家の全面的参戦と・そのための根幹をなす日米軍事同盟そのものの飛躍的強化とを小泉政府に迫っているブッシュ帝国の強硬な要求、これに呼応するためにこの『改憲案』が策定されたことは明々白々としている」と日本共産党以上の対米従属論を満展開している。
カクマルのこの@〜Cは日本を帝国主義国ともなんとも規定していない。しかし、こんな「おしつけ」論で、日帝・小泉の批判ができるとでも思っているのか。帝国主義として激化する争闘戦・相互絶滅戦に勝ちぬいていくためには、戦争のできる国にならなければならない、他に方法などないではないか、と必死で迫ってくる日本の帝国主義者に"いや、おまえたちはアメリカに踊らされているにすぎない”"他に戦争なしにやる方法があるよ”などと言っても、一撃で粉砕されるだろう。
今や帝国主義の危機と延命のために戦争しかない、だから改憲だという日帝に対して、そんな帝国主義こそ今や寿命が尽きたのだ、そんな帝国主義は打倒してプロレタリア国家をつくるべきなのだということを根底的に対置して闘えなかったら、改憲阻止の階級的実力闘争などまともに組織できるわけがないのだ。
結局、カクマルは帝国主義の危機と戦争化に対してまさにプロレタリア革命をぶつけて闘うべき時がきているのに、そのように闘うことを「挑発」だと言って非難し、日本共産党と一体化して白色反革命として襲いかかる――こういう立場にのめり込んでいるのだ。
「改憲は米帝のおしつけ」論は、帝国主義に屈服した、おぞましいほどに反革命的な主張なのだ。「日の丸・君が代」強制拒否の不起立は「挑発」といってあらゆる妨害を策したのは、まさにこうしたカクマルの日米関係論の反革命性を基礎としているのだ。また、危機にあえぐ帝国主義は自らの延命のためならどんなことでもやろうとする。帝国主義の体内から噴き出してくるすさまじい反革命を粉砕するためには、プロレタリアートの革命の立場とそれに基づく実力闘争しかないのだ。
カクマルが「つくる会」教科書との闘いから逃げ回るのは、この革命の立場とそこからくる実力闘争の精神で、敵階級と激突していくということに恐怖し逃亡して生き延びようとするからだ。改憲が日帝の体内から噴き出す爆発的要求だということから逃げまくる――これこそ「米帝による改憲のおしつけ」論と「小泉=忠犬ポチ公」論の本質である。
「経団連奥田が戦争に反対」とブルジョアジーを美化
第三。カクマルはこの論文の他の所で、日本経団連=奥田は小泉の対中・対朝鮮政策に反対しているなどというとんでもない分析をしている。一体全体カクマルは日本経団連の1・18の二つの提言(憲法改悪と教育基本法改悪)をどう読んでいるのか! 今や日帝の主流が腹の底から9条改憲による集団自衛権の確保と行使を要求してきているのが、何を意味していると思っているのか。カクマルのこういう考え方は、「おしつけ」論・ポチ公論と思想的には同根である。
いずれにせよ、「改憲は米帝のおしつけ」によるものという主張をここまで言いきったことは、カクマルが「革命的左翼」の皮を着た反革命として、ついに完全に破産し、崩壊しさったことを示すメルクマールである。これではカクマルは改憲反革命にポーズとしても対応できないし、革共同の階級的な本格的な改憲阻止闘争に百パーセント吹き飛ばされるしかないのである。
「左翼」の仮面着けた反革命
ここまで見てきたとおり、今やカクマルは、「改憲」を闘争課題に掲げてはいるが、その内実は日共以下の対米従属論であり、日帝・小泉のとてつもない反革命的突出性を見ず、それを免罪しているのである。むしろカクマルが小泉を「忠犬ポチ公」などとやゆするのは、「日本のためにしっかりせよ」としりをたたくものだ。最近、黒田寛一がしきりに歌に託しているように、彼らは日本主義、靖国思想に限りなく接近している。日帝が危機を深め、国家主義、排外主義を前面化してきている時、カクマルもこれに同調しているのだ。今こそ、左翼の仮面を引きはがし、カクマルを追放・一掃する時だ。
〔工藤俊夫〕
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週刊『前進』(2212号4面2)(2005/09/05)
ガザ全体と西岸4カ所から イスラエルが入植地撤去
米帝とシャロンは何を狙うか
8月15日から開始されたイスラエルのパレスチナ自治区ガザからのユダヤ人入植地の強制撤去は22日に完了した。1967年の第3次中東戦争以来38年間にわたってイスラエルが占領しているガザ地区からイスラエルが基本的に撤退したのである。まだイスラエルの軍事支配下にあるとはいえ、イスラエルがガザ地区にある入植地を維持できず、撤去せざるを得なかったことの持っている意味はきわめて大きい。パレスチナ人民の闘いによってイスラエルが国家存立の基礎そのものが問題になるところまで追いつめられていることを露呈させたのである。
イスラエルの入植地撤去は、ガザ地区全体の21の入植地(8500人)とヨルダン川西岸北部の四つの入植地で行われた。一部の入植地で外から入り込んだ者も含めて入植者がユダヤ教寺院に立てこもって抵抗したが、大半の入植者は自主的に退去し、撤退は当初予想されたほどの混乱もなく行われた。
パレスチナ人民は、この撤退を歴史的な勝利として女性や子どもを含めた住民が町に繰り出し、パレスチナ国旗を掲げて祝い、武装勢力が武器を掲げてデモ行進した。17日にはヨルダン川西岸のユダヤ人入植地で入植者がパレスチナ人労働者に発砲し4人を虐殺する事件が発生したが、ハマスなどの武装勢力は、パレスチナ自治政府との入植地撤退が完了するまで武装闘争を控えるという合意に従い直接的な報復を控えた。
人民の歴史的な勝利への一階梯
今回の事態が意味するものは何か。第一にパレスチナ人民の歴史的な勝利の一階梯(かいてい)だということである。パレスチナ人民は、米帝に支えられた強大なイスラエルの軍事力に対して決死の武装闘争を頑強に展開してきた。とりわけ、00年秋の第3次インティファーダ開始以来、イスラエル領内に対しても自爆戦闘や銃撃戦闘を果敢に実行し、イスラエルを決定的に追いつめてきた。
どんなに強大な軍事力をもって抑えつけようとしてもけっしてパレスチナ人民の民族解放闘争への決起を抑えつけることはできないことをイスラエルに突きつけたのである。
こうしたイスラエルの治安上の危機は、直接的なイスラエル軍の崩壊的危機だけでなく、イスラエル経済の深刻な危機と高失業率、移民の減少と出国者の増加という形で国家存立上の深刻な危機となって現れてきたのである。インティファーダの爆発の中でイスラエル経済は01年、02年とマイナス成長に転落した。失業率も10%を超える中で、イスラエルへの移民が急激に減少し、03年にはイスラエルの移民史上初めて、イスラエルからロシアに帰還したユダヤ人の数がイスラエルへの移住者数を上回った。これは、イスラエルからアメリカやヨーロッパに移住する者が一定数必ず存在し、それをロシア、東欧からの移民で補ってきたイスラエルにとって深刻な危機を意味している。
こうした中でイスラエル・シャロン政権は、ガザの入植地撤去という形で軍事占領の限界を自認せざるを得なくなったのである。8千人の入植者を守るために2万人の軍を張り付けてもなおパレスチナ人民の武装闘争を抑えることができず、その重圧に耐えられないということである。
一方で壁建設し隔離政策進める
第二に、しかし他方でこれはシャロンによる分離政策としてもあり、「アパルトヘイトの壁」建設と一体の、パレスチナ人をごくわずかの土地に隔離し、押し込めようとする政策の一環だということである。
イスラエルが進めている巨大な壁建設は、パレスチナ人民の武装闘争を封殺するためにはパレスチナ自治区とイスラエルを物理的に隔絶する以外にないところまでイスラエルが追いつめられたことを示す。しかし、シャロン政権はそれをパレスチナ自治区を大きく削り取る形で行おうとしている。ヨルダン川西岸については58%の土地をイスラエルに併合し、もともとのパレスチナのわずか12%の土地にパレスチナ人民を押し込め、水資源を奪い、豊かな土地を奪い、陸・海・空の交通を制限することで、生きていけない状態に押し込めようとしているのだ。
第三に、米帝ブッシュが入植地撤去を背後で推し進めた背景に、米帝のイラク侵略戦争の泥沼化と中東支配の危機があるということだ。米帝は、中東・ムスリム人民の激しい怒りの中で中東支配の深刻な危機に直面しており、それを抑えつけることを狙ったイラク侵略戦争が泥沼にはまることで、逆に中東支配の危機を一層深刻化させている。
米帝は、今年4月にブッシュがシャロンと首脳会談を行ったのに続いて、ライス国務長官が6月19日、7月22日とイスラエルを訪問してシャロンと会談し、ガザの入植地撤去を実行するように要求した。米帝は、ガザの入植地撤去でロードマップ(行程表)による中東和平が進展しているかのように見せたいのだ。その根底には、イラク侵略戦争で泥沼に陥った米帝が、イラクでの武装解放闘争を制圧するためにも、これ以上のアラブ・中東人民の米帝に対する怒りの高まりを避けたいという願望がある。中東・ムスリム人民の怒りの爆発に追いつめられているのだ。
実際に米帝は、イラク人民の民族解放・革命戦争の爆発をどうしたら制圧できるのか、戦略的展望を完全に失っている。今はカイライ政権のデッチあげでイラク人民が武装闘争をやめるのではないかという願望に唯一すがりついている。しかし、それは昨年6月の主権移譲で武装闘争が終結するどころかますます激化したようにまったくの幻想でしかない。さらに、ガザの入植地撤去によってもパレスチナ人民の解放闘争は、より一層激しく燃え上がることは不可避であり、米帝の中東支配の危機はますます深まっていくのである。
ガザのユダヤ人入植地撤去は、パレスチナ解放闘争にとって決定的な勝利の一里塚である。パレスチナ人民の解放闘争はこれによってさらに激しく高揚するであろう。シャロンによる壁建設と分離政策によっても、また、ロードマップによる和平策動のペテンによってもけっしてパレスチナ人民の解放闘争を圧殺することはできない。パレスチナ人民の民族解放闘争は、イラク人民の米英日占領軍撃退の闘いと一体となり、米帝の中東支配を根幹から打ち砕く闘いとして爆発しているのである。
今こそパレスチナ人民、イラク人民、中東・ムスリム人民の不屈の決起と連帯し、自衛隊をイラクから撤退させよう。小泉政権を打倒し、11月労働者集会の大結集をかちとろう。
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週刊『前進』(2212号4面3)(2005/09/05)
8月16日〜23日
中ロと米韓が同時軍事演習
新施設庁長官が訓練を容認
●普天間で騒音激増 普天間飛行場で行われた「2005フライトラインフェア」のため嘉手納基地所属のF15戦闘機や米海兵隊のハリアー垂直離着陸機が相次ぎ飛来した。昨年8月に沖縄国際大学に墜落したヘリと同型のCH53DやCH46などのヘリも離着陸をくり返し、住宅地上空での旋回飛行訓練をくり返した。このため周辺地区では騒音発生回数が150回を超え、7月の1日平均発生回数61回の約2・5倍に上った。18日まで続いた。(16日)
●施設庁長官、訓練塔射撃の中止求めず 北原防衛施設庁長官は、沖縄県金武町キャンプ・ハンセン内「レンジ4」の都市型戦闘訓練施設の訓練塔からの実弾射撃訓練について「(中止を米側に働きかけることは)大変厳しい」と述べた。訓練塔からの射撃訓練には、地元住民が「最も民間地域への流弾の可能性が高い」と不安を強めている。(17日)
●水陸両用車訓練を再開 在沖米海兵隊は、6月9日に名護市辺野古沖に沈没して以来中断していた水陸両用車の海上移動訓練を再開した。(17日)
●中ロが軍事演習 「平和の使命2005」と名付けられた中国とロシアの初めての合同軍事演習が8日間、ロシア極東のウラジオストク周辺や中国の山東半島沿岸、黄海地域などで実施された。22日からは米韓合同軍事演習「ウルチフォーカスレンズ」が9月2日までの予定で始まった。(18日)
●ロンドン男性射殺「警察が調査に抵抗」
ロンドン同時ゲリラに関連して7月22日にブラジル人のデメネゼスさんが英警察に射殺された事件で、独立調査委員会は「警察は当初、われわれの調査に抵抗した」との異例の声明を発表した。警察は、男性が警察に追われて地下鉄の改札口を飛び越えて逃走し、厚手のジャケットを着ていたなど「不審な行動と服装」に基づき誤って射殺したと釈明していたが、男性は薄手のデニムを着て、改札口を歩いて通り、電車の座席に座ったことも、写真や警察官の証言により判明した。(18日)
●4年後まで10万人 シューメーカー米陸軍参謀総長は、イラク駐留米軍について、「最悪のケース」として10万人規模の陸軍部隊を4年後の09年まで継続駐留させることも含めた計画の検討に入る方針を明らかにした。(20日)
●イラク憲法草案、議会提出 イラク新憲法の草案が国民議会に提出された。草案は2度目の期限ぎりぎりで成立した形だが、ハサニ議長は「なお一部の項目で全政治勢力の合意が得られていない」として、3日間の修正協議期間を設けると表明した。(22日)
●「百人斬(ぎ)り」記述、元将校遺族の請求を棄却 日本軍の元将校2人が1937年に中国で「百人斬り競争」をしたとする当時の新聞報道や、のちにこの問題を扱った書籍をめぐり、遺族が「虚偽の事実を書かれ、名誉を傷つけられた」などとして、朝日、毎日両新聞社と本多勝一・元朝日新聞記者らを相手に出版差し止めや謝罪広告の掲載、損害賠償を求めた訴訟で、東京地裁の土肥裁判長は請求をすべて棄却した。(23日)
●自動車道で米軍、一般車と衝突 沖縄自動車道那覇料金所付近で米海兵隊の大型トラックがUターンを試み、一般の自家用車と衝突した。トラック4台で那覇―許田間の往復を繰り返す訓練をしていたという。(23日)
●F15戦闘機を08年度新配備 防衛庁は08年度から、航空自衛隊那覇基地(那覇市)に、現行のF4戦闘機に代えて初めてF15戦闘機1個飛行隊(約220機)を配備する方針を決めた。航続距離の長いF15の新配備で、南西諸島上空の防空能力を高める狙いがあるという。F15はF4より数倍長く空中で哨戒できる。(23日)
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週刊『前進』(2212号5面1)(2005/09/05)
05年防衛白書批判
敗戦国の制約突破を狙う小泉
帝国主義強盗の論理むき出し
05年版防衛白書が8月2日の閣議で大野防衛庁長官から報告され、了承された。昨年12月に新防衛大綱が策定されてから初めての防衛白書だ。今年の防衛白書の特徴は、@朝鮮戦争を契機に創設された自衛隊がついに「専守防衛」を投げ捨て、その軍事政策を大転換したこと、A「中国脅威」論を強調し、米軍再編に対応して中国・北朝鮮侵略戦争の態勢へ決定的に踏み込んだことだ。(片瀬涼)
「専守防衛」を原理的に転換 「抑止効果」重視から「対処能力」重視の軍隊に
今年の防衛白書の特徴は第一に、新防衛大綱を踏まえて、小泉政権が自衛隊のあり方と日帝の軍事政策を原理的に大転換させていることを示している。
9・11反米ゲリラ直前の01年4月に発足した小泉政権はこの4年余りの中で、武力攻撃事態法や国民保護法制などの有事法制を制定し、米帝のアフガニスタン侵略戦争、イラク侵略戦争を支持し、戦後初めて戦地であるイラクに自衛隊を派兵し、日米英枢軸のもとでイラク戦争に参戦した。
こうした反動的飛躍を踏まえて、小泉政権は、敗戦帝国主義の特殊戦後的な制約を突破して、自衛隊を帝国主義軍隊として再確立しようとしているのだ。
白書は新防衛大綱の解説で、9・11からイラク戦争という国際情勢の中で軍事力の役割は変化したと指摘し、従来の「わが国に直接脅威が及ぶことを防止・排除する」ことと並んで「国際安全保障環境を改善し、わが国に脅威が及ばないようにする」ことが日本の安全保障の目標だと強調している。自衛隊が半世紀、基調としてきた「専守防衛」をくつがえして、対外戦争を積極的に主張している。
そして新たな防衛力の考え方として、「抑止効果」重視から「対処能力」を重視した防衛力への転換を打ち出した。これは、戦争放棄と戦力不保持を規定する戦後憲法との整合性を配慮する「姿勢」を最終的に投げ捨て、露骨に帝国主義的な国益と軍事の論理で自衛隊をつくりかえ、軍事政策を展開するということだ。
白書はまた、自衛隊の海外派兵について「国際平和のための取り組みを国際社会に対して明確なメッセージとして伝える」ために自衛隊法を改正し本来任務に格上げすべきとしている。
自衛隊のイラク派兵については、陸自が駐留するサマワの住民や隊員の声を盛り込み、「人道復興支援活動」の成果を演出してイラク派兵・駐留の正当化をはかっている。
白書は、自衛隊の世界認識として第1章「わが国を取り巻く安全保障環境」で以下のように書いている。
「国際社会においては、脅威の芽を事前につむため、予防・防止に関する国際的な枠組み作りやそれに基づく活動などの様々な努力が行われている。また……独裁政権や国際テロ組織などに蝕(むしば)まれた国家が崩壊した場合には、それを責任ある国家へと再生し……」
このように米帝ブッシュの侵略戦争−世界戦争路線を全面的に肯定・賛美し、米帝とまったく同じ立場に立って、民族解放戦争を闘うイラク人民をテロリストと呼び、侵略戦争の実態を逆に描いて日帝のイラク参戦を正当化している。そして中国・北朝鮮侵略戦争を自ら遂行していく決意を示している。
■有志連合
自衛隊のこの大転換は、01年の9・11反米ゲリラ戦争の爆発とその後の米帝によるアフガニスタン侵略戦争とイラク侵略戦争の開始に対応したものだ。
9・11以後、侵略戦争の満展開で暴力的な世界再編にうって出た米帝は、国連的なロジックさえ考慮せず、「将来の脅威」「潜在的な脅威」を口実にした自衛権の行使と称して先制攻撃でアフガニスタンやイラクに軍事侵攻した。国連決議に基づく国連軍や多国籍軍という枠組みをことごとく無視、「有志連合」で侵略戦争を行った。これは、それぞれの侵略戦争ごとに帝国主義各国の国益や利害関係を軸にそれぞれ連合を組んで侵略戦争を行うということだ。
ラムズフェルド米国防長官は有志連合について「使命(戦争目的)が有志連合を決める」と説明する。これこそが、アフガニスタン侵略戦争に参戦した独・仏帝国主義がイラク侵略戦争では反対に回った理由だ。戦争目的をめぐって帝国主義がある時は一緒に戦争を行い、ある時は敵味方として争うのだ。
世界を戦乱に巻き込んだ2度の世界大戦の経験を踏まえて国際帝国主義は、形式的ではあるが自衛戦争以外を非合法とし、国連という全世界的、一般的集団安全保障制度を確立した。もちろん帝国主義はその後も自衛戦争と称して侵略戦争を続けてきた。また国連が「帝国主義ギャングの集会場」(国際連盟を評したレーニンの言葉)であることは指摘するまでもない。
しかし9・11以後の帝国主義は、こうした「戦争の正当性」や国連などの「仮象」や「形式」さえも取り繕う余裕もなく、石油強奪や世界再編の手段として公然と軍事力を行使している。帝国主義強盗の論理が赤裸々にむき出しとなり、それがただちに戦争となる時代に入ったのだ。現代帝国主義は、互いの利害をかけて、敵味方に離合集散しつつ、全世界で侵略戦争をくり広げ、みたびの世界戦争に突き進んでいる。
今年の防衛白書は、日本帝国主義がこうした情勢認識に立って、自衛隊のあり方を反動的に転換し、改憲と集団的自衛権行使に突き進み、帝国主義的生き残りをかけて戦争にその命運をかけることを決断したことを示している。
米軍再編に対応し戦争態勢 中国・北朝鮮侵略戦争に向け「脅威」あおる
今年の防衛白書の特徴は第二に、米帝による中国・北朝鮮侵略戦争の切迫をにらみ、「中国の脅威」を強調し、領土や資源問題などで中国への排外主義をあおって、日帝の軍事政策を中国・北朝鮮侵略戦争モードへ転換させることを狙っている。
中国については、多くのページを割き、中国の原子力潜水艦の動向をくり返し取り上げ、海底ガス田や釣魚島(尖閣諸島)などをめぐる中国の海洋活動の活発化に強い警戒感を示している。さらに「中国海軍が近海で防御作戦空間を拡大し総合的作戦能力増強を目指している」と指摘するなど「中国脅威」論をあおり、中国に対抗する日帝独自の軍事政策を追求している。
北朝鮮については、「弾道ミサイル開発、配備、拡散などの動向が強く懸念される」と指摘し、「核兵器開発が相当進んでいる可能性も排除できない」と強調している。
■米軍再編
米軍トランスフォーメーション(変革・再編・再配置)の焦点の一つは、日本を中国・北朝鮮侵略戦争の作戦指揮の一大拠点とすることだ。今回の世界的な米軍再編にともなう在日米軍基地・部隊の再編・再配置は、中国・北朝鮮侵略戦争の戦争態勢構築へ、米軍戦力を再確立し、指揮系統を強化する。
在日米軍基地と部隊の再編・再配置の全体像はおよそ次のようになる。
【陸軍】
米陸軍第1軍団(ワシントン州)を改編して、キャンプ座間(神奈川県)に移転する。最近の日米協議で、キャンプ座間には第1軍団ではなく、従来の軍団司令部よりさらに即応性の高いUEX(前方展開司令部)を置き、直接指揮する戦争は朝鮮半島(もしくは極東)に限定する方針に固まりつつある。キャンプ座間がある神奈川県には、世界最大級の補給・修理施設である相模総合補給廠(しょう)と千bの長大なふ頭と多数の倉庫群を持つ横浜のノースドックがある。イラク戦争の司令部が近隣国のカタールに置かれたように、東京・神奈川―首都圏が中国・北朝鮮侵略戦争の司令部と兵站(へいたん)補給の最大拠点となる。
【空軍】
米空軍は、ハワイに「戦闘司令部」(WFHQ)と言われる新しいタイプの司令部を置き、日本を担当する第5空軍、北太平洋を担当する第11空軍、南太平洋からインド洋までを受け持つ第13空軍を指揮下に置く。グアムのアンダーセン基地には戦闘機48機、最新鋭無人偵察機3機など約70機を常駐させる。これは、優勢な攻撃能力を地球規模で展開する「グローバル・ストライク・タスクフォース」構想の一環で、朝鮮半島や台湾海峡への緊急派遣も可能となる。
横田基地の第5空軍司令部については当初、ハワイへの統合が提案されたが、3300bの滑走路を持つ横田基地を大規模な給油・空輸中継拠点として使うため引き続き第5空軍司令部を存続する方向だ。そして、ここに空自総隊司令部を移転させることで米軍と空自の航空作戦の連携を緊密化させる。
【海軍】
横須賀(神奈川県)は、米空母では唯一の海外母港(整備・修理・補給)だ。ほかにハワイ以西からインド洋で空母の母港化が可能なのはグアムと佐世保だけだ。米海軍は横須賀の空母キティホークに加え、もう1隻をハワイかグアムに配備する予定だ。そのために佐世保の空母母港化の動きが強まっている。
【海兵隊】
海兵隊は緊急即応・展開部隊として敵前上陸作戦で橋頭堡を築くのが主任務の部隊だ。イラクでもゲリラの強い地域を担当している。沖縄には、米本土以外では唯一となる第3海兵遠征軍の主力と司令部が配備されている。
■抑止力維持
沖縄海兵隊の一部移転も議論されているが、名護市辺野古での新基地の建設がとん挫する中、米側は最近、抑止力維持のために沖縄からの一部移転に難色を示している。
以上のように在日米軍の再編・再配置で北朝鮮・中国侵略戦争態勢は決定的に強化される。米軍再編協議の中ではすでに、朝鮮半島や台湾海峡で周辺事態が起きた時に米軍に優先的に利用させる日本の民間空港・港湾の具体名や使用内容を策定することで合意し、米軍が使用する弾薬を自衛隊が備蓄することも話し合われている。
このような軍事的実態を踏まえて防衛白書は、@日米の協力関係の進展、A新たな脅威や多様な事態への実効的な対応、B武力攻撃事態などへの対処にかかわる取り組み、C国際的な安全保障環境の改善のための主体的・積極的な取り組み――などを強調し、日米枢軸路線のもとで、中国・北朝鮮侵略戦争に参戦する野望をのぞかせている。
新大綱達成へ自衛隊を再編 陸・海・空自の統合運用と中央即応集団新設
小泉政権は、新防衛大綱に示された軍事力を達成するために新中期防も同時に閣議決定した。
新大綱では陸海空自衛隊の一体的な統合運用が重要な柱になっている。バラバラになっていた指揮命令系統を一本化することが狙いだ。従来の統合幕僚会議を廃止して、統合幕僚監部を新設、統合幕僚長が一元的に防衛庁長官を補佐(事実上指揮)する。7月22日に自衛隊法が改悪された。
これは、中国・北朝鮮侵略戦争の作戦指揮を実施するために陸海空自衛隊を統合して運用することが現実的に問題になっているということだ。米軍が提唱する米4軍(陸海空海兵隊)の統合運用に対応して、米軍と共同作戦を実施するために必要なのだ。
また有事法制との関連で統合幕僚長に強い権限が集中する。有事になれば中央省庁や地方自治体、指定公共機関などとの「統合運用」も問題になる。
また統合運用体制への移行にともない、統合幕僚会議の下に設置されていた情報本部が防衛庁長官直轄となり、統合情報部(仮称)が新設される。また防衛庁は、海外派兵に際しての情報収集力を強化するため陸上自衛隊に「中央情報隊」(約600人)を新設する方針を固めた。他の帝国主義のような本格的情報機関の確立を狙っているのだ。
また陸上自衛隊は「中央即応集団」(仮称)という新しい組織を作る。約4800人規模で防衛庁長官が直轄し、直接の指揮は事実上、統合幕僚長となる。ヘリコプターなどの機動力を持つ「緊急即応連隊」を新設し、現在ある第1空挺団やテロ対処専門の「特殊作戦群」などの専門部隊と組み合わせ、何か事態が起きれば現場へ即座に戦力を投入する。大きく分けてテロ・ゲリラ対処部隊と国際任務待機部隊に分けられる。今後の対外戦争の中軸を担う部隊だ。
海上自衛隊は恒常的な海外派兵に対応するため、2地方隊を廃止し、機動運用している護衛艦部隊に編入して護衛艦の効率的運用を図る。外洋型海軍への転換を狙っている。
また、空中給油・輸送機の新たな配備にあわせ、空中給油・輸送部隊が新設される。これによって海外への輸送・展開能力が抜本的に強化される
空中給油・輸送機は、大量の燃料を積み、空中で他の航空機に提供する。これは航空機の航続距離を伸ばし、滞空時間を大幅に増やす。戦闘機はミサイルを積むとその分の燃料を減らすために遠くに行けないが、空中給油機があれば、ミサイルを大量に積んでも、離陸後に空中で給油して遠くまで攻撃できる。
これまで空自は「専守防衛」を建前としていたため空中給油機を持っていなかった。空中給油機の保持は、自衛隊が他国に航空作戦で先制攻撃を行う能力を持つことを意味する。中国・北朝鮮への渡洋攻撃も可能になるのだ。
小泉政権は03年12月に弾道ミサイル防衛(MD)システムの導入を閣議決定したが、その手続きを盛り込んだ自衛隊改悪法が7月22日に成立した。
MDシステムは、イージス艦搭載ミサイル(SM3)が大気圏外を通過する弾道ミサイルを迎撃。さらに、撃ち漏らしたミサイルを地上配備のパトリオット(PAC3)が撃ち落とす2段構え構想のシステムだ。その実用性は疑問視されているが、来年度末から配備が始まる。MD導入にともなって武器輸出3原則も緩和された。
白書が強調する「新たな脅威や多様な事態への実効的な対応」については、弾道ミサイル攻撃に加えて▼ゲリラや特殊部隊による攻撃▼島嶼(とうしょ)部に対する侵略▼周辺海空域の警戒監視及び領空侵犯対処や武装工作船――などへの対処を重視している。
「島嶼部に対する侵略」は今年新しく加わった項目だ。釣魚台(尖閣諸島)や独島(竹島)、沖ノ鳥島などをめぐる日帝の領土略奪の野望を反映している。
また原潜の領海侵犯や東中国海での頻繁な海洋調査を繰り返し指摘している。大陸棚の資源開発をめぐり日中間の駆け引きが激化している。東中国海の大陸棚には金、銀、コバルト、天然ガスなど数十兆円の資源が眠るといわれる。この海域の資源をめぐる争奪戦で自衛隊は情報収集や警戒監視を強めている。
■有事法制
有事法制については、法的基盤が整ったとして、今後は運用面の態勢整備が重要だとしている。特に国民保護法制について、今年度中をめどに、指定行政機関及び都道府県が国民保護計画を、指定公共機関が国民保護業務計画を作成することを要求している。また市町村と指定地方公共機関は来年度までに作成せよと言っている。
さらに国民保護法に基づいた国、地方自治体、その他関係機関と地域住民が参加する初の実働訓練を11月末ごろに福井県で行う。実在の原発である関西電力美浜発電所への攻撃を想定して実施し、事態認定や避難指示などの情報伝達が国、地方自治体、住民の間で的確に行えるかを確認するのが狙いだ。
訓練はまず、政府が対策本部を設置し、武力攻撃事態法の「武力攻撃事態」「武力攻撃予測事態」「緊急対処事態」の3つの事態のいずれかを認定。県の対策本部と連動し、政府が警報を発令し、県が住民に避難指示を行う。この一連の流れを地域住民も参加して訓練するという。この中軸に自衛隊が座り、全体を指揮する形で行われるのである。
小泉政権は9・11総選挙を突破口に〈戦争と民営化>の大攻勢に出ようとしている。改憲と戦争に突き進む小泉―奥田体制を打倒しよう。
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週刊『前進』(2212号5面2)(2005/09/05)
8・25北富士 サマワ訓練の中止を要求
“無断使用傍観しない”
8月25日、忍草国有入会地守る会と北富士忍草母の会の主催で自衛隊イラク派兵演習に反対する抗議行動が闘われた。北富士のサマワ宿営地模擬施設を使った訓練は6回目であり、6日間にわたって行われる。イラク人民虐殺の訓練を許すものか。台風で激しく雨が降る中、緊急の呼びかけにこたえて50人が結集した。
正午前、母の会事務局長の天野美恵さんが「先祖伝来の入会地を無断で使わせるわけにいかない。誰にも貸したおぼえはない。裁判でも入会権があると認められている」と入会地を強奪して強行される自衛隊の演習を激しく弾劾した。続いて忍草国有入会地守る会の天野豊徳会長があいさつし、「昨年5月に訓練施設が建設されて以来、ずっと抗議闘争を続けてきた。これが入会闘争、入会権なんです。無断使用を傍観しているわけにはいかない」と闘いの意義を語った。
直ちに申し入れ行動に入り、天野豊徳会長が内閣総理大臣と防衛庁長官への申入書を読み上げた。「私たちは『富士をイラクにつなぐな』『富士を平和の山に』と闘ってきました。入会住民を無視した演習の常態化、施設の恒常化を徹底弾劾します」と怒りを表明し、北富士サマワ宿営地模擬施設演習即時中止、施設の完全撤去、自衛隊のイラクからの撤退、北富士への米軍海兵隊の移転を含む一切の在日米軍基地強化・再編反対を申し入れた。
続いて婦人民主クラブ全国協議会が「12月が自衛隊イラク派兵の期限ですが、本日からの訓練は、その延長をも想定しているというのでしょうか? 撤退なら必要のない訓練ではありませんか」と弾劾し、訓練の中止と即時撤退を要求した。百万人署名・郡内地区連絡会は、「米軍や自衛隊の駐留は『イラク復興のため』でも『民主化のため』でもありません。目的はカイライ政権をつくり、石油を支配することです」と厳しく弾劾した。そして「イラク派兵を拒否してください」と呼びかけた。
都政を革新する会、百万人署名・杉並連絡会、全学連など次々と抗議の申し入れを行い、最後に訓練が行われている演習場に向かった怒りのシュプレヒコールをたたきつけた。
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週刊『前進』(2212号5面3)(2005/09/05)
“イラク派兵中止を”
大村駐屯地に申し入れ
8月8日、私たちは関西から元自衛隊員を含む2人と福岡からの3人で、陸上自衛隊大村駐屯地へ、自衛隊のイラク派兵中止と無条件即時撤退を求め、申し入れ行動をしました。
はじめ、上官の2人が門の前へ出てきて「拡声機での呼びかけは近所迷惑だからやめて下さい」などと言い、私たちをうらめしそうに見ています。そこで「私たちは1人でも多くの隊員に想いを伝えに来た」と交渉を重ね、どうにか許可を得ました。
3団体それぞれの代表が拡声機をとおして申入書を読み上げるうち、上官の1人は表情を変え、真剣な眼差しで耳を傾けるようになり、その時双方の距離はぐっと縮まったように思えました。途中、若い隊員が何人も出入りし、こちらを振り返りながら通り過ぎ、門で警備している隊員もちらちらと様子を見ています。きっと私たちの想いも少しは届き、このことを他の隊員にも伝えてくれることでしょう。この結びつきが爆発的に広がっていくきっかけになると思える1日でした。
自衛隊員も私たち労働者の仲間で、イラクへ行って、罪のない人びとを殺し、自ら劣化ウランをあび、命を落とす必要はないのです。私たち労働者と隊員、その家族が手を結ぶため、このような行動はとても大切で、継続しなければならないと思います。
(投稿/T・G)
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週刊『前進』(2212号6面1)(2005/09/05)
日教組再生に向けて教労運動が大前進 広島 R・W
8月19日、広島県教育委員会は「つくる会」教科書を採択しないことを発表しました。都教委と並ぶ大反動広島県教委の採択を阻止したことは、8・6ヒロシマ大行動と杉並選挙闘争を軸とした「つくる会」教科書採択阻止の全党総決起がもぎとった勝利です。
今年の8・6全国教育労働者交流集会は、昨年の成功を経て被爆60周年の今年、昨年を倍する呼びかけ人と数倍する全国の賛同を得て開催されました。
「日の丸・君が代」強制反対を闘う広教組被処分者の開会あいさつと広教組に結集する被爆2世の「『過ちをくり返さない』=戦争を止める力は、日教組を動かす力にある」とのアピールで集会は始まりました。
「1カ月」の停職処分、「1カ月」「6カ月」の減給処分と闘う東京の被処分者から、都高教大会において「被処分者を守れ」「被処分者とともに闘おう」を始め、多数の闘う修正案可決がかちとられた報告がなされました。
参加者は、この1年間の「日の丸・君が代」強制反対闘争が日教組再生をダイナミックに前進させていることを実感しました。
今年は全国の青年部の仲間の参加が目立ち、続く青年たちの発言、全国各地からの闘いの報告、退職教職員協議会(仮称)結成の提案などは、この1年の闘いの広がりを確信させるに十分なものでした。
集会のクライマックスは、松山大学助教授の大内裕和さんの講演でした。
大内さんは、教育基本法反対全国集会の今年中の開催が決定されたことを報告し、「この集会と運動の発展こそ『つくる会』教科書、『日の丸・君が代』、憲法改悪を止める力になる」と全国からの総結集を呼びかけました。
最後に、司会から、当面の闘争として11・6全国労働者集会への総結集などの方針が提起されました。
闘う国鉄労働者の大合流が実現した 広島 許さない会・会員
全国から3千人が結集した8・6ヒロシマ大行動の中軸を担って闘いぬいた国鉄労働者は、動労千葉18人を先頭に独自の産別交流集会をかちとりました。
交流集会では、司会を動労西日本、主催者あいさつを国労広島、閉会あいさつを国労米子という形でそれぞれ中国地方の仲間が担当しました。予定の席はすぐ埋まり、予備のいすを別会場から運び入れる盛況ぶりでした。ぎっしり埋まった会場は、広島の暑さ以上に熱気に包まれていました。
集会は、鉄建公団訴訟原告団九州連絡会事務局次長の田島さん(博多闘争団)、5・27国労臨大闘争弾圧被告の橘さん(国労近畿)、動労千葉委員長の田中さんの3人の報告が中心でした。加えて、国労千葉、動労水戸などからの元気な報告もされました。
報告の詳細を述べる余裕はありませんが、国鉄闘争の一体性、最前線性が非常に明確にされたのではないかと思います。1047名闘争も、5・27臨大闘争弾圧との闘いも、動労千葉の闘いも、そして、今日の国鉄職場での「闘いなくして安全なし」を始めとした闘いも、あげて日本帝国主義の必死の延命策、戦争と民営化(労組破壊)との対決の最前線を担うものです。それも、19年前の国鉄分割・民営化以来の不屈の闘いをとおして、チャレンジ一派による「四党合意」を始めとする屈服・和解路線、一貫した日共・革同による分断と敵対、そうした妨害を打ち破り、ついに闘う労働者の革命的大合流が実現されてきたのです。
本当に労働者階級の立場に立ちきり、労働者の団結に基づいて闘いぬいた者のみが分かち合う一体感、連帯感、同志的きずなが充満する集会でした。
最後に11月労働者集会への大結集を誓い合い、交流集会を終えました。
郵政民営化絶対阻止へ気迫みなぎる集会 広島 K・I
「8・6ヒロシマ大行動」に全国から結集した全逓労働者が一堂に会して交流集会がもたれました。
8月5日に郵政分・民法案が参院特別委員会で可決された直後で、全体に「絶対阻止」の気迫がみなぎっていました。参加者の3分の1が青年労働者という活気の中で、各地の参加者からアクションプラン2のもとで進められる実質民営化攻撃に反撃する創意工夫した取り組みについての報告もなされました。
司会と現地あいさつは広島の全逓労働者が行い、基調報告は愛媛の仲間が行いました。8・6に初めてこうした集会を開催した意義を確認し、分・民法案絶対廃案と「つくる会」教科書採択阻止を訴え、その力で11・6労働者集会1万人結集を実現させようとの提起でした。
4・28原告の仲間は、高裁勝利判決を受けて、「必ず原職復帰できると確信しているので引き続いての支援を!」と訴えて拍手で確認されました。
不当解雇撤回闘争を闘う小包の請負労働者は、「闘いをつうじて分・民攻撃の本質を実感した。本務者・ゆうメイト・請負労働者一体となった階級的団結を作り出そう」と訴えました。全逓青年部の仲間は、「これは組合の立場が問われる闘いだ。連帯を作り出すために闘う」と力強く発言しました。
各職場の報告によって、「現場労働者の階級性は健在なんだ」との実感がもてました。小泉の進める「戦争国家化=分・民攻撃」に対して「一大反撃の出発点にしよう」と、全体で一致がかちとられ、「団結ガンバロー」で11月労働者集会に全力で取り組むことが確認されました。
学生運動の新展開と日韓学生の国際連帯 広島大学 西条雄人
8・6ヒロシマ全国学生交流集会が、ヒロシマ大行動に参加した韓国の学生たちも合流し、約100人の参加で行われました。
冒頭、反戦被爆者の会の大槻泰生さんが講演を行い「若い皆さんが未来を握っている。ともに闘ってほしい」と訴えられました。被爆の影響によるガンと闘いながらの渾身(こんしん)の訴えにすべての参加者が熱心に耳を傾けました。
続いて、広島大学の学生から集会の基調提起が行われ、原水禁が連合のもとで核禁会議と合同しついに改憲勢力へと転落する中で、本当にヒロシマ・ナガサキを繰り返させないための闘いが必要であることが訴えられました。
参加した韓国の学生から「日本のデモはおとなしいのではないか」「行動に若者が少ないのはなぜか」という質問が出され、それをめぐって討論になりました。「日本の学生もやるときはやる」「韓国の闘いからも学びたい」などの意見が出され集会は盛り上がりました。
特別アピールとして東北大学有朋寮から、9月1日の明け渡し裁判(判決日)への結集が訴えられました。東京の学生は「つくる会」教科書採択阻止の8・12杉並行動と8・15靖国闘争への結集を呼びかけました。
最後に大山全学連委員長から全学連大会への大結集が訴えられ、集会を終わりました。
被爆60年の8・6にあらためて「戦争を繰り返させない」決意を新たにし、学生運動の新たな発展と国際連帯の広がりを実感させる集会として大成功しました。
「救う会」1万人集会と対決し街宣に決起 新潟 中村 厚
新潟中央ふ頭では万景峰号の着岸時に「救う会」の「抗議行動」が行われています。「お前らと民族の質が違うんだ」「金正日を打倒しなかったら帰ってくるな」などと、乗降する在日朝鮮人や朝鮮学校の生徒にマイクを使って罵声(ばせい)を浴びせています。
排外主義と北朝鮮侵略戦争をあおることが彼らの狙いです。まさに「救う会」運動は右翼ファシストの運動です。彼らはこの「抗議行動」を反動的なプロパガンダの絶好の機会として位置づけているのです。
私はこの状態を何とかしなければと思い、日朝友好を願う人士と入港時の監視活動を7月中旬より開始しました。8月10日、「救う会」が万景峰号入港に合わせて「北朝鮮に経済制裁を求める1万人国民大集会」を開催しました。この集会を新潟県や新潟市だけでなく、自民党、民主党、公明党も後援しました。JR総連出身の県議も後援しています。さらに連合新潟まで集会への取り組みを役員会で要請するという、恐るべき総翼賛体制です。
私たちは、この日も監視活動を行った後、夕方新潟駅前で街宣を行いました。ビラは圧倒的注目を受けました。「主張が一方的」という反発や「明日、船に乗るんです。ありがとう」「がんばってください」と在日朝鮮人や心ある人びとからの共感など、反応はさまざまです。経済制裁が声高に叫ばれる中ですが、労働者は必ずしも排外主義に染まりきっていません。
この間在日朝鮮人がおかれた現状の厳しさに接し、早くこの行動を開始すべきだったと反省しています。ファシスト運動を軽視せず、排外主義の嵐(あらし)を打ち破る行動を継続していきたいと思います。
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週刊『前進』(2212号6面2)(2005/09/05)
戦時下の弾圧うち砕こう
相次ぐ不当逮捕に反撃を 完全黙秘こそ勝利の武器
闘う労組と革命党への弾圧激化
日帝・政治警察による革命党と大衆運動、労働組合・労働運動に対する、許すことのできない違法不当な弾圧が一段と激化している。
警察は「公務執行妨害」「建造物侵入」「免状不実記載」や「詐欺」など、あらゆる卑劣なデッチあげをもって労働者人民を逮捕し、それを口実に革命党本部(前進社)や大衆運動の事務所、活動拠点への不当な家宅捜索を繰り返している。東京の前進社本社には、今年すでに4回もの不当な捜索が行われた。
権力による不当逮捕は、被逮捕者の完全黙秘の闘いと大衆的反撃・救援の闘いによってことごとく粉砕されている。だが、日本帝国主義は日米枢軸のもと、イラク侵略戦争に参戦し、さらに北朝鮮・中国侵略戦争の策動を一層強めており、戦時下の治安弾圧、労組破壊、革命党破壊を狙う弾圧をますます強めてくるだろう。闘う労働者人民は「戦時下の階級闘争に突入した」ことをあいまいさなく確認し、弾圧への革命的警戒心と怒りを燃え立たせて日帝の治安弾圧と対決し、勝利しよう。通常国会での「共謀罪」廃案の地平を踏まえて、現代の治安維持法、思想・言論弾圧の悪法=共謀罪を完全に葬り去るまで闘おう。
理不尽きわまるデッチあげ弾圧
イラク侵略戦争に突入した米英日などの各国帝国主義支配階級は、中東・ムスリム人民の民族解放・革命戦争が帝国主義国内にも波及・拡大したことに恐怖し、また自国の労働者階級の闘いの高揚に危機感を強め、「テロ対策」の名のもとに不当きわまる治安弾圧を強めている。
今年に入ってからの中核派および闘う人民に対する主な弾圧(逮捕)を列挙すると以下のとおりである。
△1月に関西で「免状不実記載」で1人逮捕
△2月に宅配便をペンネームで送ったら「私文書偽造」で1人逮捕
△3月に都立高卒業式で「日の丸・君が代」反対闘争のビラまきで「建造物侵入」で3人逮捕
△5月に東京で「詐欺」罪デッチあげで学生ら2人逮捕
△6月に「免状不実記載」で1人逮捕
△7月に江戸川区役所ビラまきで「公務執行妨害」で2人逮捕、静岡で「公正証書原本不実記録」で1人逮捕、兵庫で「免状不実記載」で1人逮捕
△8月に教科書闘争で杉並区役所前で1人逮捕、京都で「免状不実記載」で1人逮捕、靖国神社闘争で2人逮捕
このように不当な逮捕が連続している。いずれもビラまきや抗議行動など合法的な大衆運動に対する不当弾圧であり、また住居の賃貸借契約を「詐欺」罪にデッチあげたり、運転免許証や住民登録や宅配便を口実にして、まったく問題にもならないことを「犯罪」にデッチあげる手口で、闘う労働者・学生を逮捕しているのだ。実に怒りに堪えない。
さらに、全日建運輸連帯労組関西地区生コン支部や、解同全国連寝屋川支部へのデッチあげ弾圧(無罪判決確定)など、闘う労働組合、大衆団体の壊滅を狙う攻撃も一挙にエスカレートしている。活動家に対する尾行や盗聴、スパイ化工作も激化している。
弾圧と闘う原則をわがものに
こうした中で労働者階級人民は、権力との闘いにおける階級的原則をしっかりと堅持し、自己と組織と運動、労働者階級の隊列を守り抜くことが一層重要になっている。
日帝・国家権力は、労働者人民の闘いを恐れているのであり、戦争と革命の時代に労働者人民が闘いの中で弾圧を受け、逮捕されることは、だれでも、いつでも、どこでも、ありうることである。そのような時代に突入したのだ。
だが、この権力の弾圧、脅しにおじ気づいて、闘うことをやめてしまえば、それは敵権力=公安警察の思うつぼであり、労働者人民は再び「もの言えぬ時代」を再来させ、権力の奴隷になるしかなくなってしまうのである。
そうではなくて、公安警察による不当な逮捕は、敵権力のどうしようもない体制危機の現れであることを見抜き、弾圧への怒りと闘いの正義性への不動の確信をもって、逮捕されても堂々と闘い続けることが重要である。
警察の不当弾圧と闘い、自らを守り、組織を守り、運動を守るために、幾つかの基本的な原則を確認しよう。
(1)集会やデモに参加する時は、不当弾圧との闘いをはっきりと自覚して、不要な持ち物を闘争現場に持ち込まない。
(2)救援連絡センターの電話番号を覚えよう。東京03―3591―1301である。「ゴクイリイミオオイ=獄入り意味多い」というゴロで覚えよう。逮捕された時の弁護人選任や弾圧に関するさまざまな相談に応じてくれる。
(3)逮捕された時には、どんな口実、デッチあげ罪名によるものであれ、最後まで闘い抜こう。逮捕された瞬間から、自分にかけられた弾圧と闘うことが自分の唯一の役割・使命であると考えよう。
(4)逮捕されたら直ちに黙秘に入る。弁護士を選任することは被疑者の権利なので、「電話03―3591―1301救援連絡センターの指定する弁護士を選任する。代表弁護士は保持清(やすもち・きよし)である」とのみ伝え、後は一切黙秘する。黙秘は憲法・法律で保障された権利だ。
(5)取り調べに対する対応は、唯一、完全黙秘(完黙)である。黙秘とは権力と一切口をきかないこと、雑談もしないことである。取り調べの際に出された茶も飲まない。刑事の取り調べはもちろんのこと、検事の取り調べにも黙秘する。完全黙秘こそ自分を守り、組織を守り、運動を守る唯一の武器である。
不当弾圧と闘う階級的原則で武装し、逮捕・投獄を恐れず、今秋闘争を意気高く闘おう。戦争と民営化(労組破壊)、治安弾圧を強行する小泉政権を打倒し、11月労働者1万人決起へ進撃しよう。
救援連絡センター発行の『救援ノート−逮捕される前に読んどく本』(*)は、警察の不当弾圧とのさまざまな場面での原則的闘い方をわかりやすく説いており、闘う人民必携のハンドブックである。ぜひ買って読もう。
*500円。救援連絡センターの住所は東京都港区新橋2−8−16石田ビル4F。電話03−3591−1301。
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週刊『前進』(2212号6面3)(2005/09/05)
ロンドン警視庁による 無実青年射殺に怒り
真相究明とイラク撤兵へ ブレア打倒掲げ連日デモ
“2人のブレアは辞任せよ”
英ロンドン警視庁は7月22日、ブラジル人青年ジェアン・シャルレス・デメネゼス氏を爆弾テロリストと決めつけて地下鉄車内で射殺した。武装警官は、無実と知りながら8発の銃弾を頭に撃ち込み、殺害した。
英ブレア政権は、こうした恐るべき権力犯罪とブレア警視総監らの権力犯罪隠蔽(いんぺい)工作を公然と容認・擁護し、治安弾圧政策を一層強め、イラク侵略戦争を継続している。
当然にもイギリスの労働者階級と被抑圧民族人民は警察による無実のブラジル人青年の射殺とブレアの戦争政策に怒りを爆発させている。”2人のブレア”(首相と警視総監)の辞任と真相究明を求める抗議行動に連日決起している。
闘いは7月24日に始まった。デメネゼス青年のいとこを先頭に、数百人が首相官邸、ロンドン警視庁、国会議事堂など最重要権力機関に向けてデモを行っている。座り込みで道路を制圧する実力行動や警官との衝突も辞さない。RMT(地下鉄・バス労働組合)の労働者も参加している。
ブラジルにいるデメネゼス氏の家族は8月初め、ロンドン警視庁が提示した1万j(約110万円)の補償金を拒否し、闘う姿勢を明らかにした。連日の射殺弾劾行動は確実に2人のブレアを追いつめている。
調査委を妨害した警視総監
8月17日、警察の内部資料に基づき、「デメネゼス氏は当初言われた不審な行動・服装をしていなかった」と報道された。
射殺事件当初、警察は、デメネゼス氏が捜査官の追跡に気づいてストックウェル駅の改札を飛び越えて構内に逃走したと主張した。そのような目撃証言も多数報道された。また警察は、デメネゼス氏が厚手のジャケットを着ていたため自爆の恐れがあると見て頭部に銃弾を撃ち込んだと発表した。これらはまったく虚偽だったのだ。
警察は自らの犯罪を隠蔽するためにうそを発表した。ブレア警視総監は、射殺の21時間後に無関係の人間を射殺したと知らされたが、最初の報道を訂正しなかった。そしてテロ捜査を優先させる方針をとり、警察官の行動への苦情に関する独立調査委員会(IPPC)の活動開始を5日も遅らせた。しかもその間に監視カメラ映像記録の一部(射殺前後)を隠すか廃棄した疑いが濃厚である(遺族弁護団の主張)。
ブレア政府は7・7爆破戦闘を機に治安弾圧体制を飛躍的に強化しつつある。
クラーク内相は7月18日、▽テロを間接的に扇動しても罪に問う▽国内外でテロ訓練を提供したり、訓練に参加したりすることをテロの「予備行為」として処罰する▽現行では2週間となっている起訴前の容疑者拘束期限をテロ容疑者に限ってさらに延長できる――という弾圧強化策を含む新「反テロ法」の年内成立に向け、野党に趣旨を説明し、基本合意を得た。
別個に英国全土のイスラム・コミュニティーを情報機関によって監視するプランも構想されている。
実際、ブレア首相は8月5日、テロを扇動する思想を広げたとして二つのイスラム組織の英国での活動を禁止した。またクラーク内相は8月11日、国家安全保障上、危険と判断した英国内の外国人10人を拘束、国外追放すると発表した。移民関連法に基づく措置だ。
国外追放の新基準定め弾圧
さらに8月24日、ブレア首相は「外国人追放の新基準」を発表した。内相の判断と裁量で▽テロを扇動、正当化・賛美する外国人▽英国内で民族間、宗教間の対立をあおる内容を著作物、説教、ウエブサイトで公表する外国人――を入国禁止・国外追放できることになった。イスラム指導者3人がリストに載った。
英米日のイラク侵略戦争と国内治安弾圧の強化、思想・表現・信教の自由の圧殺、排外主義的・差別主義的な外国人抑圧・監視・追放政策を労働者階級・被抑圧民族人民の国際的な団結と反撃で粉砕しよう。11月労働者総決起で国際連帯の力を示そう。
(藤沢明彦)
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週刊『前進』(2212号6面4)(2005/09/05)
書評 『砂川闘争の記録』 宮岡政雄〔著〕 再刊(新装版)
土地収用法と対決し勝利した流血の闘い
砂川闘争とは、1955年に東京・砂川町(現・立川市)にあった米軍立川基地の拡張計画に反対して地元農民が実力闘争で立ち上がり、1968年12月に米軍当局に拡張を断念させ勝利した闘いである。
砂川町基地拡張反対同盟の副行動隊長であった故宮岡政雄氏(82年逝去)は、70年に砂川の闘いを後世に残すため、『砂川闘争の記録』を出版された。このたび新しい写真・資料を併載して、新装版として御茶の水書房から出版された(本体価格1700円)。一人でも多くの皆さんが本書を手に取られることを願ってやまない。
55〜57年の闘い
55年5月、朝鮮戦争で狭くなった米軍立川基地の拡張計画が発表される。
地元の砂川農民の受けたショックは、尋常ではなかった。51年には、F80ジェット戦闘機がオーバーランし、近隣の農家の納屋に突っ込む事故が発生している。生命の危険にさらされるばかりか、農地という生活の基盤が奪われるのだ。
「まず私自身としては、他人がどんな意見を持たれても、自分はこの計画に反対をする」(49〜50n)。
55年9月に強制測量との攻防が闘われ、宮岡さんを始め、12人の反対同盟員と支援の労働者14人が逮捕される事態となる。56年10月、第2次強制測量との闘いでは、「労働者、学生に警棒が乱れ飛び負傷者が相次いだが、排除されても排除されても、また新たなピケが張られ、ほとんど後退しない」(129n)「警官隊は報道陣や救護の人達にまで、まるで見さかいのない暴力をふるった。倒れても倒れても新手の支援部隊は限りなく栗原さん宅の付近に結集し続け、測量させない」(130n)。
この、「流血の砂川」として後々にまで語り継がれることになった闘いによって、予定地内での測量は完全に阻止された。この闘いが東京地裁をして「安保に基づく米軍駐留は憲法に違反する」という、いわゆる「伊達判決」を出させ、ひいては砂川闘争の勝利を規定したのである。
「宮岡精神」とは
砂川闘争を勝利に導いた「宮岡精神」とは、第一に、「土地収用阻止」の一点で反対同盟を結束させ、徹底・非妥協の闘いを貫徹したことにある。これは、権力との激突の闘いばかりでなく、「条件派」との闘いでも貫徹された。宮岡さんは、「条件派」の動きを「反対運動を腐敗させ、潰(つぶ)すもの」と断じ、だれよりも憎んだ。
「宮岡精神」は第二に、「議会制民主主義」の欺瞞(ぎまん)性を突破して、大衆が大衆自身の力によって「民主主義を闘い取る」ことを実践したことにある。「国の政策は……決まったことだからそれに従わなければならないと考えたらここまで闘ってこれただろうか」(212n)。
日本共産党は、全学連や反戦青年委員会の闘争参加に反対し、砂川闘争を裏切った。実際に生活権が奪われようとしていた砂川農民にとって、闘争を議会主義的に利用することしか考えない共産党は許せなかった。強制収用阻止のための行動なら、「いわゆる国民感情から遊離しても、ためらわずにそれを手にして闘っていく」(215n)と述べている。
第三に、日米安保体制との闘いについて宮岡氏は提起している。「平和憲法」がありながら、安保条約が締結され、そのもとで在日米軍の駐留があり、自衛隊の存在がある。こういう憲法の「空文化、骨抜きに対して、憲法以下の条文を武器にして闘うと同時に、実体として基地の機能を麻痺(まひ)させ、ひいては体制そのものに打撃を与えていく、直接的大衆行動が志向されなければならない」(216n)と訴えている。
日帝は、有事法制を成立させ憲法改悪を公然と主張し、米帝とともに世界戦争を遂行していく道に基本的に舵(かじ)を切った。
これに対する労働者の闘いは、職場で戦争協力拒否の闘いを展開することであり、反戦反基地闘争を帝国主義打倒の闘争として闘うことだ。砂川闘争を勝利に導いたものは、最後まで徹底的に闘った23戸の農家だった。「徹底的に、非妥協的に闘うことが勝利を必ずもたらす」――これが宮岡精神の核心だ。私も学んでいきたい。
(三多摩・中原一朗)
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