ZENSHIN 2005/07/18(No2206
p06)
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週刊『前進』(2206号1面1)(2005/07/18)
11月労働者総決起へ前進を
都議選決戦の地平を突破口に「つくる会」教科書絶対阻止せよ
7月杉並大行動−8月広島・長崎へ
最後まで奮戦 選挙戦最終日の2日、荻窪駅北口ルミネ前広場に集まった支持者と区民
第1章 新指導路線下で新たに革命的議会主義に挑戦
革共同は、帝国主義の世界戦争、世界恐慌への突入と革命的情勢の急速な接近のもとで、新たな革命的議会主義の挑戦を開始した。その歴史的出発点としての今次都議選を、長谷川英憲氏を押し立て総決起し闘い抜いた。
革共同は、選挙闘争をプロレタリア革命を現実的に引き寄せる新指導路線の全面的実践として闘い抜いた。新指導路線とは、共産主義運動が労働者階級の自己解放闘争であることを踏まえて、党を労働者党として建設する路線である。革共同はこの路線のもとに、階級的労働運動の前進を貫きつつ、労働者階級の実体的獲得をめざした大衆運動の爆発をかちとり、その発展の中で、選挙闘争に勝利していくというまったく新たな闘いに挑戦したのである。
この闘いにおいて、「つくる会」教科書の杉並区での採択絶対阻止が、今春の「日の丸・君が代」決戦の継続・発展として、05年決戦の成否をかけた絶対的課題として押し上げられた。
「つくる会」教科書絶対阻止は、今日の日帝・小泉=奥田、ファシスト石原の戦争と民営化・労組解体攻撃と最も鋭く対決する白熱的な階級決戦的課題となった。当面の4大産別の決戦的攻防の帰趨(きすう)もそこにかかった。
この都議選決戦を、「つくる会」教科書阻止の大衆闘争の爆発と一体的にかちとっていく画期的闘いは、全党の一丸となった総決起を実現した。
同時に6・2教科書集会、6・12沖縄集会の高揚から、6・22教育委員会闘争での杉並区役所を包囲する偉大な大衆的決起が、都議選決戦のど真ん中で、圧倒的に実現された。党の決起と大衆的決起が結合して、「つくる会」教科書阻止の巨大なうねりが開始されたのである。
これらの闘いの土台と基礎には、宣伝・扇動の革命があった。「つくる会」教科書阻止を、ファシスト石原打倒・帝国主義打倒として貫き、その闘いが杉並区全体の時間と空間を圧倒的に獲得するという革命的な宣伝・扇動戦が、力の限り闘い抜かれたのだ。
それは戦時下の選挙闘争の様相を徹底的に浮き彫りにさせた。それは直接的には、政党間党派闘争の空前の激化として現れた。街頭などでの「つくる会」派、右翼勢力との激突、石原一派や石原与党の全既成政党の妨害、日本共産党スターリン主義のむきだしの敵対、右翼社民=「市民派」による大衆決起の制動などの大反動が立ち現れた。これらのあらゆる場において、全党はもてる力をふりしぼり、不屈の闘いを貫いた。杉並全区で、区民、支持者と固く連帯して、悔いのない闘いをやりぬいたのである。
結果は、当選をかちとることができず、7977票(10位)の厳しい敗北となった。だが7977票こそ、「つくる会」教科書絶対阻止と、介護・福祉切り捨てへの怒りの決起である。このかけがえのない一票一票を投じ、決起した区民のみなさんの、絶対勝利への希求にこたえることができなかった。この痛苦な現実を真っ向から見据え、この敗北をそそぐために、なんとしても、今次都議選で掲げた「つくる会」教科書の杉並での採択を絶対阻止し、さらに介護・福祉の切り捨てを進めるファシスト石原知事を追いつめ、その力をもって、05年決戦後半戦の勝利へ向かって総決起することを、革共同は固く決意したい。
第2章 「つくる会」教科書阻止を訴えた闘いの正しさ
第一に、厳しい敗北を見据えれば見据えるほど、にもかかわらずわれわれが今次都議選の基本方針に、「つくる会」教科書との全面的根底的対決を据えて闘った決断は、圧倒的に正しかった。
「つくる会」教科書採択の攻撃は、日帝が世界戦争へ突入するために、帝国主義ブルジョアジーと政治委員会、日帝・小泉と日本経団連・奥田、そしてその先兵としての都知事石原らが、階級意志を反動的に密集させて襲いかかってきた恐るべき大反革命である。
この存亡をかけた大攻撃を、国政選挙なみの都議選という政治決戦の場で、暴露し、対決することは、労働者階級人民の戦争絶対反対の階級意志と生命・生活を守るあまりにも当然な闘いであった。
したがって、「つくる会」教科書に対する大衆的反撃も、4年前とは比較にならない根底的決起となったのである。怒りは地の底からわき起こった。中学生、高校生、青年のみずみずしい決起、保護者や女性の切々とした叫び、教育労働者を始めとした労働者階級のやむにやまれぬ怒りのこぶし、高齢者の体をふるわせた訴えなどの感動的決起が、澎湃(ほうはい)として巻き起こった。
だが、この大衆運動の広範で急速な拡大を、さらに急速に集票に転ずる未曽有(みぞう)の挑戦において、同じことだが、大衆運動の拡大を急速に党派選択―候補者への投票行動に発展させるという課題において、党と階級の関係における本質的な飛躍が問われた。
さらに日帝支配階級は、「つくる会」教科書への大反撃が、都議選での長谷川勝利へと発展していくことに死ぬほど恐怖した。それゆえ長谷川氏に対して、全党派が襲いかかるという1対12の空前の激突構造となった。
「つくる会」派は、長谷川つぶしのために「雇われ右翼」を差し向けた。終盤戦においては、既成支配党派が、その基盤的な組織力と支配階級の地域的制圧力を一点、長谷川落としに総動員した。この政党間党派闘争におけるすさまじい切り合いを懸命に闘い抜き、必死の反撃を行ったが、これを打ち返す大衆運動の組織化が追いつくまでには至らなかった。
日帝権力・警視庁は、この戦時下の選挙闘争の前進に恐怖し、デッチあげ逮捕や不当捜索などかつてない戦前型の大弾圧を加えてきた。われわれは、この攻撃を完全に粉砕した。
第二に、このように戦時型選挙において、もてる力を出しきり、支配階級や既成政党に伍(ご)して、全反動がすべて襲いかかってもなおそれをはね返し、選挙という戦場で勝利することは、われわれにはとうてい不可能なのか。断じて否である。
ひとつは、選挙闘争こそ巨大な大衆運動であり、それは党派選択という一段とレベルアップした大衆運動である、ということである。したがって、もし大衆運動の発展が選挙の勝利に結びつかないとすれば、それは大衆運動の爆発がまだ不十分である、ということなのである。
いまひとつは、われわれの新たに開始した選挙闘争は、あくまでも未完だということだ。それは始めたばかりの闘いの壁であり、そこでの不十分さ、未熟さ、甘さである。だからこそわれわれは、この点について、厳格に痛苦にえぐりだす必要がある。しかし同時に、階級闘争の鉄火で、いくらでも鍛え上げることのできる課題だ、ということである。
特に福士派との闘いについて、われわれは今回の闘いで、この「市民派」という存在の反動的役割を、正確に階級的につかむことができた。そしてその「壁」こそ、階級的労働運動の発展にとっての阻害物であり、この突破の中に、新指導路線の歴史的発展の道があるのだ。
日共スターリン主義は、大々的な過激派キャンペーンを、「つくる会」派や警察権力と見間違うばかりに行った。これもまたいったんは大きな逆風になった。しかしこの「過激派キャンペーン」は、「この時代において、過激派で何が悪い」という一言で、圧倒的にはね返すことができるのである。いやむしろ「つくる会」教科書の攻撃や危機にある帝国主義に対しては「現代の過激派」しか闘えないのである。
第三に、結論的には、このように新指導路線のもとで、まったく新たな選挙闘争に挑戦したことは、それ以外に選択のない闘いであった。
都議選を労働者階級の実体的獲得による大衆運動の爆発をあくまでも徹底的に貫いて闘うことは、唯一無二の闘い方であった、ということだ。それは都議選という巨大な選挙を、現状の党の力量を踏まえて勝ち抜こうとするならば、労働者が大衆運動の担い手となって、自己解放的運動を爆発的に発展させる以外にない。一言で言えば、労働者階級の広範な自己解放的決起に徹底的に立脚した選挙闘争をやろう、ということだ。それは、従来の名簿選挙からの大転換であり、並大抵の闘いではなかった。それは、これまでの名簿対象を守り抜き大事にしつつも、新たに労働者層を大きく獲得しようとする闘いである。そしてこの闘いは、実にめざましい成果を獲得した。
戦時下階級闘争への突入のもとで、日帝の階級闘争絶滅攻撃を打ち破る闘いと力は、労働者階級の獲得をとおした大衆闘争の爆発であり、都議選を徹底した大衆運動で勝ち抜く以外にないということであった。
しかも、「つくる会」教科書こそ、最も激しい階級闘争絶滅攻撃である。05年決戦の核心的課題は、帝国主義のこの攻撃に対して、党と階級が生き残ることである。われわれは、都議選の地平から、11月労働者総決起へ勇躍突き進まなければならない。
第3章 戦争と階級闘争絶滅の大反革命を押し返した
「つくる会」教科書と対決する大衆運動と都議選決戦の一体的闘いは、今日、画期的地平を切り開いている。
「つくる会」教科書攻撃は、この反革命が貫徹されるならば、戦後階級闘争はたちどころに灰燼(かいじん)に帰し、労働組合や階級的な存在が絶滅され、それによって、改憲以降の情勢、すなわちただちに戦争突入が可能となっていく情勢を迎える。改憲が巨大な反革命であるならば、改憲を前にして、ある意味では改憲を一気に可能とする改憲以上の反革命攻撃なのだ。これに対して、都議選の場を大衆運動の爆発のテコにした杉並における「つくる会」教科書絶対阻止の闘いは、この巨大な反革命を、決定的に押し返す闘いとなったのだ。
ひとつは大衆運動の爆発にとって不可欠な自主的・自己解放的決起とその運動体が、大きく生まれている。全国的な教科書闘争の司令塔の登場だ。
いまひとつは、「つくる会」教科書攻撃の激しさを、都議選という絶好の戦場で迎え撃って闘ったことである。この攻撃を、都議選決戦というスケールの蜂起性と集中性をもった闘いで迎え撃ったことは、実に決定的な意義がある。
この大衆の自主的決起の圧倒的高まりと、都議選という政治的加熱化と闘いの旋風が、「つくる会」教科書への一大反撃を高揚させたと言えるのだ。
このような地平を踏まえて、勝負は、まさにこれからである。
「つくる会」教科書の大反革命での敵の狙いは、杉並で正面突破し、恐るべき勢いで首都・東京を席巻することであった。だが、この杉並で強力な阻止闘争を闘っていることが、このファシスト運動の全面的制圧をぎりぎりで阻んでいる。
日帝権力中枢が「つくる会」教科書採択強行のシフトを敷き、敵の側から一個の「階級決戦」を挑んできている。これに対して、杉並を頂点に全国、全産別、全戦線に「つくる会」教科書阻止の大運動を巻き起こさなければならない。
その際、「つくる会」会長の八木秀次の『国民の思想』や、ファシスト石原の言動、行動を徹底的に批判・弾劾することである。特に八木は、「靖国参拝」と民営化は一体であると言って、サッチャーを学べと言っている。サッチャーは、民営化をもって国家主義、国家至上の精神革命を行い、民営化とさらに「教育改革」の中で左翼勢力を撲滅した、とほめそやしている。そのサッチャーが行ったことは何か。「ビクトリア時代(1837〜1901年)に帰れ」をスローガンにして、鉄道などあらゆる産業の民営化を行い、首相の独裁権力を強め、炭鉱ストライキを徹底的に弾圧し、福祉を切り捨て、核武装を行い、「領土を守る自衛戦争」と称してアルゼンチンに侵略戦争(フォークランド戦争)をしかけた。さらに労働者は「ガン細胞」だと悪罵(あくば)を投げつけて、教育の民営化を進め労働組合を鎮圧したのだ。
そして重大なのは、今日、サッチャーをもち上げる八木ら「つくる会」派、さらにファシスト石原に限りなく一体化しているのが、日帝中枢の小泉・奥田らであるということである。
今日、小泉は、執拗(しつよう)に靖国参拝攻撃を仕掛けている。靖国神社とは歴史的にも日帝の侵略戦争で天皇のために死ぬことを「喜び」とさせる戦争動員の神社である。「つくる会」教科書もこれと一体だ。
そしてついに小泉は、支配階級内部の分裂も辞さず郵政民営化の衆院採決を強行した。これは支配階級や自民党内にもある戦後的な一切のものを解体・一掃しようというものであり、戦争と民営化攻撃の本格的激化である。
日本経団連は、4・19提言などで、郵政民営化を始めとする民営化=労組破壊、社会保障制度解体、首相への権力の集中などを叫んでいる。実際に「骨太方針X」(6・21閣議決定)は、「ここ1〜2年の構造改革が成否を決める」と公言している。
まさにこの1〜2年で、民営化(労組破壊)と「つくる会」教科書を一体化した階級闘争絶滅攻撃をもって、戦争突入への国家・社会をつくろうというのだ。
第4章 階級闘争の分岐・流動と開かれた11月への道
都議選の結果は、一方では「つくる会」教科書攻撃を先端とする密集した反動を激化させ、他方では階級闘争の危機と分岐・流動を推し進めている。
投票率の低下は、ブルジョア議会制度とその腐敗への絶望・失望と怒りが深まっていることを示している。それは階級的危機感が労働者階級の中に充満しつつ、今なおその怒りが解き放たれずに渦巻いていることを示している。プロレタリア革命か、ファシスト反革命かの分岐と激突が、これから本格的に始まり、激化していくのだ。
「つくる会」教科書をめぐる決戦はこれからである。それは完全に、11月労働者総決起へ向かった闘いに引き継がれ、大きく発展しようとしている。都議選決戦が、「つくる会」教科書阻止決戦という大きさ、激しさをもって闘われたことによって、大きく11月への血路が切り開かれたのだ。
それはまず第一に、「つくる会」教科書阻止・石原打倒の闘いこそ、戦争と民営化(労組破壊)と対決する階級的労働運動の再生の闘いそのものである、ということである。
「つくる会」教科書阻止決戦は、「日の丸・君が代」決戦を完全に継続・発展させ、教労を中軸とする4大産別決戦の発展をさらに押し開いている。「つくる会」教科書にいかに対決するかに、4大産別と全産別で勝ち抜く道があるということである。
第二に、今次都議選によって十分に突破できなかった大きな「壁」は、同時に11月への万余の結集を阻む「壁」でもある、ということである。逆に言えば、「つくる会」教科書阻止を徹底的に闘うことで、その壁の突破も可能である。特に日共の反動を打ち破り、福士派の労働運動への絶望と逃亡をのりこえる道がそこにある。これは特に東京都の労働運動にとって死活的である。
第三に、杉並の「つくる会」教科書阻止闘争は、国際連帯の闘いを大きく発展させている。昨年11月以来の国際連帯は、「つくる会」教科書と対決していく闘いの中で、特に日韓労働者の連帯で、さらに大きく育まれつつある。
第四に、新指導路線のもとに全国の党が団結し、一丸となって「つくる会」教科書絶対阻止の大衆運動を創造したことによって、新指導路線の無限の発展の闘いが緒についたことを確認したい。
第五に、7月決戦の重大性である。「つくる会」教科書阻止の7・24杉並大集会から、7・27→8・3の人間の鎖大行動へ総決起しよう。開始された差し止め訴訟は歴史的大裁判闘争である。
4大産別決戦が、7・18日教組大会を先頭にいよいよ大決戦に突入している。
さらに7月国鉄決戦が重大である。特に7・15の日比谷野音全国集会は、1047名闘争の不抜の陣形を確立する重大な闘いである。また動労千葉は運転安全行動と組織拡大の闘いをめぐって大決戦に突入している。
さらに8・6ヒロシマ−8・9ナガサキ大行動と戦後60年の8・15集会は、11月への決定的橋頭保をなす闘いである。
共謀罪攻防は、いよいよ正念場である。三里塚闘争も決戦に突入している。
夏期一時金カンパ決戦に勝ち抜こう。さらに機関紙拡大闘争を推進しよう。
7・31東西革共同集会に総結集し大成功させよう。
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週刊『前進』(2206号2面1)(2005/07/18)
戦争教科書 採択絶対阻止へ 大衆闘争の高揚を切り開いた都議選決戦
新しい次元の闘いを貫き「教科書」訴え悔いはない
お礼と決意表明 長谷川英憲
長谷川英憲氏は、密集した反動と真っ向から激突し、「つくる会」教科書採択阻止へ向けて都議選を全力を尽くして闘いぬいた。長谷川氏に都議選を闘っての感想と今後の決意を語ってもらった。(編集局)
今度の選挙戦は本当に全力を尽くして闘いぬいた選挙戦でした。私は「石原知事に挑戦状」を掲げ、「つくる会」教科書採択阻止を最大の公約として、持てる力を振り絞って闘いぬきました。支持者、全国の仲間のみなさんには、本当に力強いご支援をいただきありがとうございました。結果は健闘及ばず、当選にはいたりませんでした。みなさんの期待にこたえられなかったことは残念でならず、申し訳ありません。しかし、「つくる会」教科書採択策動との闘いを始め、重大な課題が差し迫っており、この結果をはねのけてあらためて決意を固めて闘いぬいていきます。
今回の選挙を闘って私自身が何より痛感しているのは支持者、全国の仲間のみなさんが一丸となって闘いぬいて、まったく新しい次元で選挙戦が闘いぬけたということです。特に区民の人たちの中から、新しい自主的・主体的決起がまき起こってきたことは今後に向かって大きな展望を指し示しています。こうした支持者、区民の決起が私自身の力を存分に引き出してくれ、思う存分闘うことができました。
結果はまったく残念でしたが、今回の選挙戦で「つくる会」教科書絶対阻止を訴えて最後まで闘いぬいたことはまったく正しかったと確信しています。「つくる会」教科書は、戦争の歴史的事実をねじ曲げてかつての戦争を正しかったと教え込み、子どもたちを戦場へ送るものです。日本の戦争によって2000万人を超えるアジアの人びとが殺されました。日本人民も310万人以上が命を落としたのです。この戦争の悲惨な歴史を塗り隠し、国を守るために必要な戦争だったのだ、正しい戦争だったのだと教え込み、子どもたちにそうした考え方を植え付けようとするものです。
この教科書が教室で使われるようになったら、教育労働者は毎日、処分の恫喝のもとで戦争教育を強制され、教育労働者の労働運動は完全に解体されてしまいます。日帝・小泉政権や石原都知事はそうした労働運動の解体をとおして戦争へと突き進もうとしているのです。この攻撃を絶対に許すことはできません。子どもたちに「つくる会」教科書を使わせるわけにはいきません。この闘いは教育労働者を始めすべての労働者人民の未来がかかった闘いなのです。「つくる会」教科書採択阻止の闘いは、11月労働者集会への道も開きます。
「つくる会」教科書の採択に反対する杉並・親の会が進める反対署名はすでに1万6000筆を超えてさらに続々と集まっています。また親の会は、「つくる会」教科書の採択差し止め訴訟を東京地方裁判所に起こしました。「つくる会」教科書採択阻止の闘いはこれからが最大の勝負の時です。どんなことがあっても戦争のための教科書は止めなければなりません。選挙戦をとおして「つくる会」教科書採択阻止を全力で訴えてきた以上、それこそが7977票の貴重な1票1票に本当にこたえることだと思います。
選挙翌日に荻窪駅北口に立って出勤する区民にあいさつを行った時に激励してくれる人が何人もいました。遠くから会釈をしてくれたり、「がんばれよ」と声をかけてくれる人もいました。これは私が「つくる会」教科書を始めとする戦争への攻撃に対して怒りに燃え、絶対阻止することを期待しているということです。その闘いで今回の敗北をのりこえていく私たちの力を見たいと期待しているのだと思います。その期待になんとしてもこたえたい。
投票日の7月3日にも親の会の人たちは阿佐ケ谷で街宣を行い「つくる会」教科書採択反対の街頭署名を集めたと聞きました。親の会の人たちは闘って勝つ中にしか自分たちの進む道はないし、自分たちの未来はないと闘っているのです。韓国の民主労総も「つくる会」教科書反対の闘いにメッセージを寄せ、ともに闘うことを表明してくれています。
私は、8月3日の教育委員会に向けてこの人たちとともに全力あげて闘い、絶対に「つくる会」教科書の採択を阻止する決意です。この闘いに勝利することで今度の敗北をのりこえる道も切り開くことができます。この闘いを日本の4大産別の労働者や地域住民も見ているし、私が先頭に立って7977票を基礎に勝利の方向に向かって進んでいるということに確信を持ってもらえた時に、労働者階級の獲得、住民の獲得に大きく手を付けることができます。
そういう意味で「つくる会」教科書採択阻止のためのこの1カ月間の闘いに、私たちが革命党としての矜持(きょうじ)を持ち、路線に確信を持って都議選の敗北をのりこえていくかどうかの一切がかかっていると決意しています。
戦争の時代に真っ先に切り捨てられる介護・福祉の問題についても、私は介護と福祉を要求する杉並住民の会のみなさんとともに、今後も全力をあげて取り組んでいきます。6月22日に介護保険法改悪案が強行成立しましたが、日帝・小泉政権と奥田・経団連は、福祉を全面的に切り捨て、とりわけ高齢者の介護を切り捨てて国家財政を戦争のために振り向けようとしています。こんな攻撃を絶対に許すわけにはいきません。今後の住民の会の運動、介護保険に異議あり全国ネットワークの運動を全力で担い抜き、介護と福祉を奪い返していきます。
こうした闘いを全力を振り絞って闘うことによって必ず労働者階級のもっと大きな前進につながるということを私自身確信して、みなさんの先頭に立って闘うことを決意表明してごあいさつといたします。
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週刊『前進』(2206号2面2)(2005/07/18)
“戦争の教科書を絶対阻もう” 長谷川氏、連日渾身の奮闘
選挙戦最終日 熱気あふれる駅頭街宣
都政を革新する会の長谷川英憲氏は、子どもたちを戦場に送る「つくる会」教科書採択阻止を訴えて全力を振り絞って都議選を闘いぬき、7977票の貴重な支持を獲得した。当選には及ばない厳しい結果だったとはいえ、日帝・小泉、ファシスト石原都知事、山田杉並区長、「つくる会」派らの反動と全面的に対決し闘いぬいた。この都議選によって「つくる会」教科書採択阻止に向かって重大な地平を切り開いたのである。
選挙戦最終日の7月2日、長谷川候補は方南町から阿佐ケ谷、高円寺、荻窪と夕方から夜の駅頭街宣を展開した。多くの区民・支持者が集まり、熱気あふれる街頭宣伝となった。
長谷川氏は、「石原都知事がきょう阿佐ケ谷駅前に来ることになっているが、私は面と向かって浜渦問題の責任をとるべきは石原さんあなただと言ってやりたい。この6年間、日本を戦争のできる国に変えようという実に許しがたい都政をやってきた石原都知事は即時退陣せよ。労働者のみなさん、石原都政を打倒しよう」と呼びかけた。
「つくる会」教科書については、「杉並の子どもたち、日本の子どもたちを戦争を担える子どもたちに作りかえようとする戦争教育だ。子どもたちに銃を担え、他の国の人たちを殺せ、国のために命を投げ出せという教育をやろうとしている」と弾劾した。そして「日本は今イラクに自衛隊を派兵しており、このイラクへの侵略戦争の上に中国への侵略戦争の準備に踏み込んでいます」と現実に進んでいる戦争への突入と一体の「つくる会」教科書攻撃であることを暴いた。
また「つくる会」教科書採択に反対する杉並区民が山田区長を相手取って採択差し止めを求めた提訴に踏み切ったことを伝え、親の世代から中学生まで「つくる会」教科書採択阻止の運動が広がっていることを訴えた。
長谷川氏はさらに介護が必要な高齢者からヘルパー派遣を奪おうとする介護保険法改悪案が成立したことを弾劾し、介護と福祉を要求する杉並住民の会の事務局長として、高齢者の生活と権利を守るために全力で闘うことを表明した。
長谷川氏の街頭宣伝には多くの応援のメッセージが寄せられた。特に全国から160人を超える弁護士が長谷川氏を推薦する中で、鈴木達夫弁護士が応援の訴えを行った。鈴木弁護士は、石原知事の中国に戦争を仕掛けろとか分断して支配しろという戦争挑発発言や女性差別、「障害者」差別の発言を厳しく弾劾した。さらに「つくる会」教科書の採択差し止めが提訴されたことを報告し、「つくる会」教科書が賛美する明治憲法の時代には、女性に参政権すらなかったことなどを暴露し、その反動的策動を弾劾して、長谷川氏への支持を訴えた。
動労千葉の田中康宏委員長も長谷川氏を応援する労働組合としてマイクをとり、「なぜ戦争になったのか、いつなら戦争を止められたのか、考え続けてきた。教育の果たした役割は大きい。『つくる会』教科書がどれほど危ないものか。これは戦争するための教科書です」と述べ、「私たち労働者にとって、議会の中で労働者のために命をかけて闘う議員が必要です。それは長谷川さんしかいません」と長谷川氏への支持を訴えた。
介護と福祉を要求する杉並住民の会代表の八木ケ谷妙子さんは、「戦争に持っていくなどというのはとんでもありません」と小泉政権、石原都政を弾劾し、「一人ひとり大事な命を受けて生きているんです。その命の尊厳にかけて許しません。長谷川さん頑張ってください」と激励した。
「つくる会」教科書採択に反対する女性は、「この教科書を見た時にこんなのは教科書ではないと思いました。子どもを戦場に送る教科書であることが読めば読むほどよくわかります。こんな教科書を子どもに渡したいと思う親がどこにいますか。戦争にはすべての人が巻き込まれます。それは私たちが止めなければなりません」と訴え、それを議会で実現する人が長谷川氏であるとアピールした。
若い女性が立って「私の友だちや後輩たちの世代が戦争につながれていくのは許せません。また介護と福祉が必要になった時にそれが受けられないということはあってはならないと思います」と語り、長谷川氏への期待を表明した。
結柴誠一区議は、「区民のみなさん、長谷川英憲を勝たせて下さい。今度の選挙は長谷川の勝利によって戦争が正しいと教える教科書をストップする闘いです」と訴えた。沖縄戦の生存者である上江田千代さんは、「ひめゆり学徒は戦争のために一所懸命働いた。それは皇民化教育を受けたからです。終戦後それが間違いであったことがわかった。教育の力の恐ろしさを身にしみて体験しているから、『つくる会』教科書は絶対反対です」と訴えた。
こうした応援演説だけでなく、長谷川氏の街頭宣伝には多くの区民・支持者が詰めかけ熱烈に声援と拍手を送った。その熱気は長谷川氏の主張の圧倒的な正義性を一点の曇りもなく示していた。阿佐ケ谷駅での街宣は、直後に行われた石原都知事を迎えた自民党・大泉の街頭宣伝を圧倒する熱気で打ち抜かれた。
高円寺駅南口での街宣は「つくる会」派そのものである渡嘉敷との激突となったが、渡嘉敷陣営を圧倒してその反動性、うそとペテンを暴ききった。とりわけ新城節子区議が、「つくる会」が沖縄戦での日本軍による集団死の強制や住民虐殺の事実を抹殺しようとしていることを激しく弾劾して、「沖縄」を掲げて沖縄を裏切る渡嘉敷候補を厳しく糾弾し、ペテン的に環境問題を掲げていた渡嘉敷陣営を圧倒した。
最後の街頭宣伝の場となった荻窪駅北口では、さらに多くの支持者が集まり、駅前全体が熱気に包まれた。帰宅途中の労働者やバスを待つ人たちが長谷川氏の演説に聴き入った。演説を終えた長谷川氏は、支持者に駆け寄り握手し、「頑張ってください」と熱烈な激励を受けた。
長谷川氏はこうした声援にこたえて8時を過ぎてからも荻窪駅前に立ち続け、帰宅する区民に支持を訴えた。
都議選(杉並区)の確定得票
長谷川英憲 革元 7、977
当 松葉多美子 公新 29、799
当 田中 良 民現 22、928
当 早坂 義弘 自新 22、283
当 吉田 信夫 共現 18、924
当 門脇 文良 民新 17、425
当 福士 敬子 無現 17、337
大泉 時男 自新 15、600
堀之内敏恵 ネ新 10、732
木梨 盛祥 無新 8、285
渡嘉敷奈緒美 無新 6、249
千葉 昇 無新 4、738
中川 修 無新 588
(革=都政を革新する会 ネ=生活者ネットワーク)
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週刊『前進』(2206号2面3)(2005/07/18)
石原に「やめろ」ボード 安倍は「教科書問題」に終始
長谷川氏の「つくる会」教科書採択阻止を真っ向から掲げた選挙戦が杉並区内全域に大旋風を巻き起こしたことに圧倒され、日帝・小泉政権、ファシスト石原が杉並に引きずり出され、戦争教科書採択のための反動的な巻き返しを図った。だが、そのもくろみは、長谷川氏の断固たる闘いでうち砕かれた。
都議選告示日の6月24日自民党幹事長代理の安倍晋三が自民・早坂の応援として杉並に乗り込み荻窪駅北口で演説をした。安倍は「日本の前途と歴史教育を考える若手議員の会」(代表・中川昭一)の事務局長として「つくる会」と連携し、「つくる会」教科書採択の運動を進めてきた中心人物である。安倍は、若手議員の会としてNHKの女性国際戦犯法廷番組の事前検閲を行い、番組を改ざんさせた張本人だ。
安倍の演説内容は、早坂の応援はほんのわずかで、「つくる会」教科書推進の話が主軸だった。その中で「家庭崩壊」が重大問題だと主張し、家庭の中心は天皇であるとして天皇制イデオロギーを叫び、杉並で使っている他社の公民教科書を攻撃した。今日の「家庭崩壊」が日帝の首切り・リストラ、賃下げ、自公政権による福祉・社会保障解体の結果であることを塗り隠し、自らの責任を居直って、杉並での「つくる会」教科書採択への焦りに満ちた発言を繰り返したのだ。
さらに自民党は、厳しい状況にある大泉の応援のため最終日にファシスト石原を投入した。しかし、石原の登場は闘う労働者人民のプラカードによる弾劾に迎え撃たれた。石原がマイクを握ったとき、一斉にプラカードがあがった。石原は打ちのめされて「ぼそぼそ」と話すことしかできなかった。大泉を応援する内容はまったく展開できず、週に2回しか登庁しないことの言い訳に終始した。そして東京の「治安悪化」にこと寄せて、中国への実に許せない排外主義宣伝を繰り返した。
「つくる会」教科書採択阻止を掲げた長谷川氏の選挙戦が「つくる会」派を圧倒したのだ。
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週刊『前進』(2206号2面4)(2005/07/18)
労働者人民の未来開く絶大なカンパ訴えます
労働者のみなさん。読者のみなさん。
私たちは、今、大きな歴史の分岐点にいます。20世紀、矛盾を爆発させた帝国主義は、世界中のすべての労働者、農民、民衆を世界戦争の惨禍にたたき込む中でかろうじて延命してきました。そしていま再び、帝国主義は全世界で戦争を繰り返すことで延命を図ろうとしています。イラク・中東侵略戦争、中国・朝鮮侵略戦争、帝国主義間争闘戦です。外への侵略戦争とともに、国内においても労働者に対する大量首切り、賃下げ、殺人的強労働、さらに福祉の徹底した切り捨てを始め生活破壊の攻撃、もはや労働者人民は生きていくことができません。
そして世界経済は長期不況から世界恐慌への道を進み、アメリカを始め財政、貿易の天文学的赤字にあえぎ、日本においても700兆円もの債務を抱え国家財政は完全に破綻(はたん)しています。「戦争と民営化(労組破壊)」攻撃、「つくる会」教科書採択の攻撃は、歴史的生命力を喪失した資本主義社会の最後の絶望的あがきです。私たちは、命脈の尽きた帝国主義を打ち倒し、共産主義社会の建設に向かってのプロレタリア革命勝利の大道を進撃します。
都議選は、長谷川英憲氏を押し立てて「つくる会」教科書採択阻止を真っ向から掲げ、杉並区民とともに革共同の持てる力のすべてを出しきって闘いぬきました。再びの戦争の道、労働運動解体を始め戦後的あり方の大転換、一挙に改憲後情勢に突入する攻撃、だからこそ「つくる会」教科書採択阻止の闘いは、かつて杉並のお母さんたちが開始した原水禁運動をはるかに超える大運動に発展しようとしています。
それだけに、都議選における敗北は残念です。しかし悔しさをバネに、長谷川英憲氏に投票してくれた7977人の労働者、杉並区民のみなさんとともに7月総決起で「つくる会」教科書の採択を絶対に阻止します。階級的労働運動の大潮流を創造します。
革共同は、1〜3月「日の丸・君が代」決戦に続いて、「つくる会」教科書採択阻止を掲げて、労働者人民、杉並区民とともに都議選決戦を闘い、それをとおして新たな労働者党へと生まれ変わりました。
革共同はこれまで多くの労働者人民の献身的な財政的援助=カンパによって支えられてきました。この貴重な援助に感謝し闘志を奮いたたせて革命運動の前進を必死に闘いとってきました。今、大きな歴史の分岐点をプロレタリア革命=共産主義社会建設へと勝利の関門を切り開いていくためには、膨大な資金が必要です。
労働者のみなさん! 読者のみなさん! 労働者階級の未来を革共同とともに切り開きましょう。勝利のためにさらに多くのカンパを寄せられるようお願いします。
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週刊『前進』(2206号3面1)(2005/07/18)
戦争教科書 採択絶対阻止へ 大衆闘争の高揚を切り開いた都議選決戦
“本物の政治家を議会へ” 区民が続々選挙応援 戦争体験者も若者も訴え
杉並区で長谷川英憲候補の勝利をめざした都議選闘争は、最後の最後まで激烈な蜂起戦として闘われた。その闘いの中で、多くの区民が自主的・自己解放的に決起し、長谷川勝利をめざして闘った。また、全国から多くの人びとが長谷川候補の応援に駆けつけた。
地域で開いた学習会が力に
各地域で住民が集まって学習会を開いた。そこで「つくる会」教科書の内容やその採択に向けた都や区の反動的動きをつかんだ区民が、“こんな教科書を絶対に使わせるわけにはいかない”と自ら友人、知人に長谷川氏への支持を訴えて回った。地域に回ってきた長谷川氏の宣伝カーに駆けつけ声援を送り、またある商店主は「つくる会」教科書反対を訴えるビラを知人宅に配布して回った。ある人は、友人・知人に長谷川さんのビデオ『石原都知事に挑戦状』を回覧し、支持を訴えた。
この中で元音楽教員は、「60年前のいやな戦争をまた起こさせないためにも、今度こそ正しい信念を持った人物を都議会に送りましょう。本物の指導者を都民から見つけて、大いに働いてもらいましょう。教科書には良い夢を持たせるようなことを載せるように周りからも積極的に応援しましょう」と訴えた。また別の女性は、「もし夫や子どもが戦地に駆り出されたら……。これはけっして過去のことではなく、このままだとこれから先にあるのは悲惨な思いを戦後派の私たちも体験させられるかも知れないのです。だから、どんなに残酷なことでも、……というより残酷なことだからこそ、事実をありのままに次の世代に引き継がなければならないのです」と訴えた。
戦争体験者の男性は、「山田区長、石原知事は、あの戦争の悲惨さを隠して教えない教科書で、われわれのような『軍国少年』を育てようとしています。沖縄戦、東京大空襲、ヒロシマ、ナガサキでどんな思いで死んでいったか。戦争の挑発、歴史のねじ曲げを許してはならない。お孫さん、お子さんのことを考えて投票してください」と訴えた。
介護保険改悪に怒りの決起
こうした中でこれまでの支持者であった人の息子や娘の世代が長谷川氏の闘いを知り、また日帝・小泉政権が自分の子どもたちを戦場へと駆り立てようとしていることを知って決起した。20歳を過ぎたばかりの女性は宣伝カーに乗ってマイクを握った。
住民自らの決起の中心には介護と福祉を要求する杉並住民の会や「つくる会」教科書に反対する住民などがいた。介護と福祉を要求する杉並住民の会は、会員が知人に長谷川氏への支持を訴え、さらに連日の街宣に駆けつけ、たすきがけで長谷川氏の横に並んで、マイクをとって訴えた。長谷川氏自身が5年前の介護保険制度強行に反対して杉並住民の会の一員として闘い、事務局長を担っている中で、住民の会の人びとは長谷川氏を自分たちの代表として押し立てて選挙戦を戦った。選挙戦真っ最中の6月22日に介護保険法改悪案の成立が強行されたことに示されるように、日帝の戦争政治が介護と福祉を奪うものであることに怒りに燃えて決起した。
何よりも、「つくる会」教科書採択に反対する住民が長谷川氏の勝利に向けて決起した。6月22日の杉並区役所を包囲した800人の決起を始めとして「つくる会」教科書採択阻止へ闘い、街頭宣伝で採択反対署名を集めながら、その一方で長谷川氏の街頭宣伝に駆けつけ、マイクを握り、「『つくる会』教科書採択を阻むためにも長谷川候補の当選を」と訴えた。
全国から闘う議員ら支援に
長谷川氏の応援には全国各地の闘う人びとや革新議員が駆けつけた。
動労千葉の田中康宏委員長、ス労自主の入江史郎委員長、部落解放同盟全国連合会の中田潔書記長、三里塚芝山連合空港反対同盟の鈴木幸司さん、市東孝雄さん、北富士忍草母の会事務局長の天野美恵さんが駆けつけた。介護保険に異議あり全国ネットワークの会員は、連日応援に来てビラまきなどを担った。
革新議員では大阪から高槻市の小西弘泰市議、森田充二市議、門真市の戸田ひさよし市議、泉佐野市の国賀祥司市議、神奈川から相模原市の西村綾子市議が応援演説で訴えた。
小西さんは「長谷川さんを当選させることが、戦争への道を止め、医療と介護を奪い返す道だ」と訴えた。
戸田さんは、「東京に来て驚いた。共産党まで含め、市民派と言われる人たちも誰も石原にノーが言えない。ただひとり長谷川さんだけが石原知事に挑戦状をたたきつけ、真っ向から対決している」と怒りをこめて訴えた。
西村さんは「石原都政に未来があるでしょうか。浜渦副知事の横暴が暴露されているのに都議会では石原知事が“自分には責任がない”と居直っているのに一矢も報いていない。都議会を働く人たちのためのものにするために長谷川さんを都議会に送りだして下さい」と訴えた。
「障害者自立支援法案」に反対する「障害者」も応援演説に駆けつけた。
全国からの闘う人びとの熱烈な応援を受け、自民党・「つくる会」派を始めとする密集した反動との対決を貫き、街頭を制圧して宣伝戦を展開し、長谷川氏は死力を尽くして闘いぬいた。
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週刊『前進』(2206号3面2)(2005/07/18)
都革新の躍進を恐れて 警視庁が選挙を弾圧
警視庁は、都革新の躍進を恐れて、選挙妨害を繰り返した。5月31日に、まったく正当なアパートの賃貸借契約を「詐欺」罪にデッチあげ、全学連の学生ら2人を不当逮捕した。これを口実にして6月2日から17日にかけて、全国の大学の学生自治会室やボックス、学生の下宿、前進社本社や杉並区民宅など、全国十数カ所に及ぶ家宅捜索を強行した。杉並区の都革新の事務所では、寝室の壁をハンマーで破壊するなどの暴挙を行った。権力は闘う学生が続々と長谷川候補の応援に決起し、それが戦闘的学生運動の爆発につながることを恐れたのだ。
さらに告示日前日の6月23日、入院していた反戦活動家Gさんを、「免状不実記載」をデッチあげて、病院の前で不当逮捕した。これを口実に、再び前進社本社(6月31日)と都革新の事務所(7月4日)に不当捜索を強行した。
また、多数の警視庁公安部の私服刑事が杉並区内をうろつき回り、街宣妨害や区民への脅しなど、卑劣な選挙妨害を繰り返した。
長谷川候補の当選を阻止するために日帝権力は全力を挙げたのだ。このような戦時下の許しがたい治安弾圧をうち破って、選挙戦は闘いぬかれた。Gさんは4日、奪還された。
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週刊『前進』(2206号3面3)(2005/07/18)
“「つくる会」教科書は違憲” 杉並 区民が差し止めの提訴
「『つくる会』の教科書採択に反対する杉並・親の会」が7月1日、杉並区教育委員会が扶桑社版の中学校「歴史」「公民」教科書を採択しないことを求める差し止め訴訟を東京地裁に起こした。
原告10人はいずれも杉並区民で、今回「つくる会」教科書が採択された場合、直接その教科書を教えられる子どもを持つ親が4人含まれている。被告は杉並区、代表は山田宏区長だ。
提訴後、親の会は弁護団とともに司法記者クラブで記者会見を行った。テレビカメラ4台が入り、14社の記者が集まった。翌2日の朝刊では朝日、毎日、東京のほか、共同通信配信で四国新聞を始め全国の地方新聞で報道された。「つくる会」教科書採択阻止の運動が全国的大運動になっている中で、最も採択の危険が高い杉並の動向に注目が集まっている。
記者会見では冒頭、親の会と弁護団から差し止め訴訟の概要が語られた。
訴状では、「つくる会」の歴史教科書が太平洋戦争を「自存自衛」のための戦争と教え、「東南アジアやインドの人々に独立への夢と勇気を育んだ」と美化、肯定していること、また「つくる会」公民教科書では「国防の義務」が「国民の崇高な義務」と書かれていることなどを指摘し、「この教科書を公教育において使用することは、教科書としての適切・不適切の判断を超えて、憲法・教育基本法そのものに違反する」と主張。このような違憲・違法な教科書が採択され、中学校で使用されることは、「杉並区民の基本的人権・法的権利が侵害される」と断じている。
この人権侵害は、杉並区内の中学生、中学生の保護者、中学社会科教師、杉並区民、さらに区内在住の朝鮮人・中国人に及ぶとしている。「つくる会」教科書によって歪曲された歴史認識が流布されることは、在日朝鮮人・中国人の「民族としての誇りと名誉を著しく傷つけ」「耐えがたい精神的苦痛をもたらす」と警鐘を乱打している。
さらに訴状は、杉並区教委による教科書採択の手続きの違法性を明らかにしている。教科書は本来、現場教員によって選ばれるべきものだが、東京都では2000年度に教科書採択事務が各区教委に移管され、各区教委の独断と偏見による採択へと制度が改悪されてきた。しかも杉並区では昨年5月、区議会文教委員会を無視し、当の区教委でさえ論議されることなく、一層の改悪が強行されたと指摘している。
また訴状は、山田杉並区長が成人式で特攻隊の遺書を読み上げて「感謝しなさい」と述べたり、区議会で「大東亜戦争は自衛戦争」などと発言していることから、山田区長が「つくる会」と同一の歴史観の持ち主であるとして、この「山田区長の下で、杉並区教育委員会は、『不当な支配』に屈し、教育行政の政治的中立性を逸脱して、つくる会・扶桑社の広告塔の役割を担わされている」と断じて、採択差し止めの必要性を主張している。
記者会見に臨んだ原告は口々に採択反対を訴えた。中学生と小学生の子をもつ父親は、「これは教科書とは呼べない。アジアの人たちも反対しており、子どもたちに使わせたくない。採択も密室で行われようとしている。なんとしても止めたい」と力を込めた。
高校生の子をもつ母親は、山田区長が主導し「杉並師範塾」を開いて特攻隊を賛美する教師を養成しようとしていること、「つくる会」の宣伝機関である衛星放送「日本文化チャンネル桜」に出演していることなどを指摘し、「この4年間、教育の私物化に拍車がかかっている。被告が山田区長になって喜んでいます」ときっぱり。3月まで高校教員だった男性も、「日本の侵略戦争を美化する教科書を教えることは教師にとって屈辱的なことだ。教えなければ教師が処分される」と危機感を語った。
24日に杉並大集会
親の会の署名は7月4日現在、1万6086筆となっている。この中には、中学生たちがクラスで討論して、集めた署名も多数含まれている。
親の会は、区役所前昼休み行動や駅前街頭宣伝を続けながら、「7月27日までに3万の署名を集めよう」と呼びかけている。署名運動を広げ、27日(水)の教育委員会と、採択が予想される8月3日(水)の教育委員会に対して、「密室採択許さない! とりまこう区役所を」と「人間の鎖」行動を呼びかけている。
また、7月24日(日)午後1時から、セシオン杉並で「絶対使わせない!『つくる会』教科書7・24杉並集会」(主催・同実行委員会)が開催される。沖縄の反戦地主・読谷村議で「日の丸」焼き捨て裁判元被告の知花昌一さんらが講演の予定。実行委員会は大結集を呼びかけている。
「石原・横山都教委の暴走を止めよう!都教委包囲首都圏ネットワーク」が主催する7・29都教委包囲デモとも一体の闘いだ。
杉並で、全国で「つくる会」教科書をとめるために全力で行動しよう。
(本紙・室田順子)
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週刊『前進』(2206号3面4)(2005/07/18)
戦中の教科書と酷似 「つくる会」教科書 新たな戦争動員狙う
軍報さながらに戦意発揚
「つくる会」教科書は、日本帝国主義が労働者階級人民を北朝鮮・中国−アジア侵略戦争に動員するための重大攻撃である。同時にそれは、戦前(戦中)の日本がそうだったように、労働運動、学生運動、反戦闘争など労働者人民の自主的闘いを恐れ、憎悪し、一掃するための攻撃である。なんとしても今この時点で粉砕しなければならない。今が歴史の分かれ道だ。
「つくる会」教科書は、かつて日本が行った侵略戦争に対する反省と戦争絶対反対の立場を「自虐史観」などと言って否定し、戦争肯定の立場に転換させようとしている。労働者階級の中にいまだ根強く存在する反戦意識を一掃し、国家のための戦争、侵略戦争に命をかけられるような転倒した価値観に塗り替えなければ、帝国主義の争闘戦−国家間戦争に勝ちぬいていくことができないからだ。
この狙いから「つくる会」教科書は、日清・日露戦争以来の日帝の侵略戦争、帝国主義戦争のすべてを「自存自衛の戦争」「アジア解放のための戦争」と美化している。
それゆえ、その内容は、日帝が中国侵略戦争から対米英のアジア・太平洋戦争(第2次世界大戦)につき進んでいったときの国定教科書と酷似している。どちらも大本営発表の軍報さながらに国民に向かって戦意をあおっている。具体的に比べてみよう。
■「つくる会」歴史教科書(05年版)
1941(昭和16)年12月8日、日本海軍はアメリカのハワイにある真珠湾基地を空襲し、アメリカ太平洋艦隊に全滅に近い打撃をあたえた。これは、太平洋の制海権を獲得し、将来、東南アジアから日本へ石油などの物資を輸送する船の安全を確保するのが目的だった。同日、日本陸軍はマレー半島に上陸し、イギリス軍を撃破しつつシンガポールをめざして進んだ。
日本は米英に宣戦布告し、この戦争は「自存自衛」のための戦争であると宣言した。日本政府は、この戦争を大東亜戦争と命名した。……
日本の緒戦の勝利はめざましかった。マレー半島に上陸した日本軍は、わずか70日で半島南端のシンガポールにある英軍の要塞(ようさい)を陥落させた。連合国側の準備が整わなかったこともあり、たちまちのうちに日本は広大な東南アジアの全域を占領した。
……日本軍はとぼしい武器・弾薬で苦しい戦いを強いられたが、日本の将兵は敢闘精神を発揮してよく戦った。
……このような困難の中、多くの国民はよく働き、よく戦った。それは戦争の勝利を願っての行動であった。
■戦争中の国定教科書『初等科国史』下(1943年3月発行)
昭和十六年十二月八日、しのびにしのんで来たわが国は、決然としてたちあがりました。忠誠無比の皇軍は、陸海ともどもに、ハワイ・マライ・フィリピンをめざして、一せいに進攻を開始しました。勇ましい海の荒鷲(あらわし)が、御国の命を翼にかけて、やにはに真珠湾をおそひました。水づく屍(かばね)と覚悟をきめた特別攻撃隊も、敵艦めがけてせまりました。空と海からする、わが猛烈な攻撃は、米国太平洋艦隊の主力を、もののみごとに撃滅しました。この日、米・英に対する宣戦の大詔がくだり、一億の心は、打つて一丸となりました。
……ほとんど同時に、英国の東洋艦隊は、マライ沖のもくづと消え、続いて、かれが、百年の間、東亜侵略の出城とした香港も、草むす屍とふるひたつわが皇軍の精鋭によつて、たちまち攻略されました。
治安維持法下の大弾圧隠す
このように比べてみれば、「つくる会」教科書が再び人民を侵略戦争に動員するためのものであることは明らかだ。天皇と天皇制を全面賛美し、忠義、愛国心などを子どもたちに刷り込み、さらに「強い日本の国民」、新「皇国民」として日帝の侵略戦争と新「大東亜共栄圏」づくりの積極的担い手とすることを狙っているのである。
そこには、侵略され虐殺されたアジア人民や、侵略戦争に動員され自らも悲惨な体験をした日本労働者階級の立場から、侵略戦争を厳しく批判し反省し否定する立場など、かけらもない。「多くの国民はよく働き、よく戦った」などと言って、実は治安維持法下で思想弾圧や言論弾圧が吹き荒れ、労働運動、学生運動、反戦運動などが徹底的に弾圧されたことをひた隠しにしているのだ。
政府、自民党・小泉政権は「つくる会」教科書を戦前・戦中の「国定教科書」のような位置に押し上げ、他社の教科書を駆逐し、さらには小学校から高校まで教科書攻撃を拡大していくことを狙っている。その先兵が石原都知事と山田区長だ。杉並を先頭に全国で採択を絶対に阻止しよう。
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週刊『前進』(2206号3面5)(2005/07/18)
米兵のわいせつ事件弾劾 沖縄 基地が元凶だ、撤去せよ
沖縄本島中部で、また許しがたい米軍犯罪が発生した。7月3日朝、米軍嘉手納基地所属の二等軍曹が、小学5年生の女児を民家の駐車場に誘い込んで胸を触るなどの強制わいせつ行為を犯し、逮捕された。友達と日曜日の教会に行こうとしているところを襲われたこの少女は、「怖かった。殺されるかと思った」と語っており、その衝撃と恐怖は想像にあまりある。
沖縄中で事件に対する怒りが沸騰している。誰もが10年前の95年9月4日の少女暴行事件を想起した。あの事件が全県的な基地撤去の反乱の火を付け、激烈な闘いが展開されてきたが、10年たって基地撤去の願いはなんら果たされないどころか、さらに米軍再編で強化されようとしており、昨年8月の普天間基地のヘリ墜落事件のような事故が起こり、また米兵の犯罪が繰り返されている。いったいいつになったら、こうした恐怖と隣り合わせの生活から解放されるのか、という憤激が爆発しつつある。
沖縄県議会と、嘉手納基地を抱える沖縄市、嘉手納町、北谷町の3市町議会がそれぞれ全会一致の抗議決議を上げた。
この事件について米大使館のケビン・メア安全保障課長が「(事件は)どこでも起こりうる。個人的な問題だ」と発言、沖縄中の怒りの火に油を注いでいる。「米軍の犯罪を一般社会の犯罪と混同すべきではない。事件は米軍が駐留する結果で、沖縄の過重な基地負担を表す一つの証しだ」(伊波洋一宜野湾市長)というのが一致した見方だ。
米軍基地ある限り、このような事件、犯罪は後を絶たない。これまで事件・事故の度に米軍当局は「綱紀粛正」とか「再発防止」とかを口先で繰り返してきたが、米軍基地というあり方そのものが、事件・事故を不可避としているのだ。沖縄米軍は、世界中で侵略戦争を繰り広げるための実戦部隊だ。イラク人民虐殺を現にやってきた部隊だ。侵略戦争という人権じゅうりんの極致を任務とする帝国主義軍隊だからこそ、このような住民、女性、子どもに対する人権じゅうりんの犯罪に走るのである。
復帰後33年間で在沖米軍と家族による事件・事故は4万2千件に上っている。それは全国での米軍による事件・事故の59・5%に上るという。米軍基地による被害はそれほど沖縄に集中している。基地と住民生活が相入れないということが、沖縄では極限的に示されている。基地こそがすべての元凶だ。もう一刻も基地と共存することはできない。
9年以上前に「普天間基地撤去」を約束しながら、ペテン的に「県内移設」を打ち出し、名護新基地建設を強行しようと図り、それがうまくいかなくなると、なんとしても沖縄県内のどこかに押しつけようと画策する、日米帝国主義権力の攻撃は絶対に許されない。
米帝は、中国・朝鮮侵略戦争のために、沖縄基地の重要性が高いとして、米軍再編(トランスフォーメーション)の中で、さらに沖縄基地を強化しようとしている。日帝・小泉も「沖縄の負担軽減」などと言いながら、実際には、すべての犠牲をますます沖縄に差別的に集中しようとしているのだ。これがあの悲惨な地上戦を強いられた沖縄の、60年後の現実なのだ。
辺野古の不屈の闘いを始めとする沖縄人民の怒りの決起と連帯し、全国で沖縄基地撤去、名護新基地建設阻止の闘いを起こそう。
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週刊『前進』(2206号3面6)(2005/07/18)
訂正
前号3面、6・23東京集会の記事で沖縄平和運動センターの「大城博治さん」は「山城博治さん」の誤りです。おわびし、訂正します。
同4面、早乙女論文で「陸自第4師団(司令部・福岡県春日市)を中心とした第6次派兵」は「第7次派兵」の誤りです。
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週刊『前進』(2206号4面1)(2005/07/18)
日教組の改憲勢力化阻め 日教組第93回全国大会の課題
「日の丸・君が代」−「つくる会」教科書阻止闘争に総決起を
革共同教育労働者委員会
7月18日から東京で開催される日教組第93回定期全国大会は、日教組の改憲勢力化か階級的再生かをかけた歴史的な大会となった。教育労働者は、今春「日の丸・君が代」闘争、都議選闘争を全力で闘いぬいたその力で、日教組本部の改憲勢力への大転落を絶対に阻止しよう。東京・杉並を先頭に全国で「つくる会」教科書採択を阻むため、先頭に立って闘おう。
「日の丸・君が代」で大転向し論憲=改憲方針への転換狙う
日教組本部は当初、自治労本部と歩調を合わせ、本大会で「論憲=改憲」路線への転換を決定することを画策していた。3月中央委員会の森越委員長あいさつでは、「改憲賛成派が必ずしも9条改憲賛成ではない。9条改憲派でも集団自衛権明記では意見が分かれる」などと述べ、連合・笹森の9条改憲論にすり寄る意向を露骨に表明していた。中央委は議案で、第92回臨大にあった「護憲」の文言を削除し、その復活を求める修正案の受け入れを拒否して少数否決とした。『論座』6月号の憲法特集で森越委員長は新右翼の鈴木邦男と対談し、「君が代は平和な歌」「憲法は不磨の大典ではない」「自衛隊でないとできない支援活動もある」などと放言している。日教組運動への憎悪と解体の意志をむき出しにした1・18経団連提言に震え上がり、支配階級に転向と恭順の意を売り込んでいるのである。
しかし、こうした日教組本部の動きに組合員の危機感と怒りが巻き起こる中で、5月に発表した憲法論議対策委員会の「中間報告その1」では、「国民の多数派形成にむけた取り組み」「憲法論議をリードしていく」としつつ、「9条と前文は遵守」と言うにとどめ、自治労本部のように「平和基本法制定による自衛権承認」とまでは打ち出せていない。第93回大会の運動方針案でも、「護憲運動の組織的強化」「違憲の自衛隊の海外派兵を許さず」と、「論憲」論をペテン的に取り繕うことに躍起となっている。
だが、憲法問題での転換を先送りする一方で、今大会で重大な反動的転換が策されている。それは、「日の丸・君が代」問題をめぐってである。
大会議案の総括部分では、東京の教育労働者に対する「日の丸・君が代」大量不起立処分に触れながら、処分が不当だとも言わず、撤回も求めていない。司法でさえ「減給処分は裁量権乱用」との判断を示している(4・26福岡地裁判決)のに、今年の卒・入学式で出された再度、再々度の不起立者への減給・停職処分について、6月に出した「処分に対する日教組書記長談話」は、ひとごとのように「異例である」とのたまうだけであった。教育労働者の良心と日教組魂を体現して抵抗を続ける組合員を見殺しにするものである。
「政府見解をもとに取り組む」の裏切り方針
重大なのは、方針部分で「卒業式・入学式などでの国旗・国歌の取り扱いについては、99年『国旗・国歌』法制定時の政府見解をもとに取り組む」としていることである。
運動方針から消えて久しい「日の丸・君が代」問題に言及させたのは、言うまでもなく東京の教育労働者の大量不起立闘争の威力である。しかしここに述べられているのは、「日の丸・君が代」強制を容認し不起立闘争を制動・解体する実に許しがたい方針なのだ。
「国旗・国歌」法案審議の中で示された99年政府見解は、法制化の意義、「君が代」の解釈、歴史認識、子どもへの指導、教職員への指導、学習指導要領の扱いなど、その内容は多岐にわたる。この政府見解は、「君が代」の「君」は天皇であり「君が代」とは「天皇を国民統合の象徴とする我が国」のことだと明確にした。教職員の「内心の自由」は、「内心にとどまる限りは保障されるが、外部的行為は制約を受ける」とし、子どもを指導しない場合は「職務上の義務違反」となり、「学習指導要領違反・職務命令違反として懲戒処分を行うこともある」とした。子どもへの指導については「口をこじあけてまで歌わすことは許されない」とは言うものの、「教育指導上の課題」であって強制ではないと強弁した。
東京都教委の03年「10・23通達」と、それに基づく「日の丸・君が代」強制の実態は、政府見解すら踏み越えている部分がある。このことは、この通達が「強制ではないという政府見解が間違っている」という教育委員会の議論から始まったことにも示されている。しかし政府見解は、強制への歯止めとなるものではおよそない。ましてや、教育労働者がそれに依拠して闘えるようなものではまったくない。
森越委員長は、『論座』6月号で「『君が代』というのは非常に平和な内容の歌」「日本という国は『八百万(やおろず)の神』なんです」「『歌うな』とか『掲げるな』と言うのは、その人たちの思想信条を害することになる」などと暴言を吐いている。「政府見解をもとに取り組む」とは、「日の丸・君が代」強制を容認し、「天皇中心の日本万歳」を日教組自身の立場にするというとんでもない転向路線なのだ。
「政府見解をもとに取り組む」という方針は、日教組の75年度大会決定である「『日の丸』『君が代』にたいする日教組の統一見解」(75年見解)を明示に破棄することを意味している。
75年見解とは、「『君が代』は歌詞内容と果たしてきた役割からして、憲法・教育基本法を否定するものであり、強く反対する」「『日の丸』が明治憲法下の天皇制国家主義のシンボルとして取り扱われてきた歴史的事実にてらして、この思想を復活する意図には反対する」というものだ。95年の日教組路線転換以来、運動方針に掲げられることはなかったが、本部は大会の度に、「日の丸・君が代」闘争の再構築を求める修正案の取り下げを求めるにあたって「75年見解は不変」と表明してきた。
それは、限界はあれ、今日的には「日の丸・君が代」強制に対する組織的抵抗闘争のよりどころとなる立場である。東京の不起立闘争の爆発と不起立闘争の全国的拡大に驚愕(きょうがく)した日教組本部は、だからこそ、日教組75年見解を99年政府見解に置き換え、「起立・斉唱の職務命令に従う」という都高教本部の屈服方針を全国方針化しようというのだ。
日教組本部は、「生徒の不起立・不斉唱の指導責任を問うことは、憲法・子どもの権利条約違反だ」と言う。しかし、「学習指導要領に決められた事項を指導しないことは、職務上の義務違反」とする「政府見解をもとに取り組む」ことは、“子どもへの指導も行え”ということなのだ。「平和教育」の項では、「国旗・国歌のもつ意義や今日的課題を正しく指導する」とも言っている。
冗談ではない。教育労働者への強制と闘わずして、どうして子どもの「内心の自由」が守れるのだ。教職員が命令に屈して起立すること、不起立した教育労働者を見せしめ的に処分することは、子どもへの強制圧力以外の何物でもない。職務命令に屈することが起立・斉唱の率先垂範となり、命令への服従を教育することになってしまうからこそ、処分を辞さずに多くの教育労働者が不起立を貫いたのだ。
東京では昨年、生徒の不起立を理由として教育労働者に厳重注意などの処分が強行された。今年は、職務命令に「生徒への指導」が盛り込まれ、生徒の不起立にかかわりなく「内心の自由」の説明をしたことを理由に厳重注意が出された。生徒指導をめぐる懲戒処分が阻止されているのは、不起立闘争が断固継続されたからである。教育労働者の抵抗闘争が一掃されれば、攻撃はただちに生徒への強制に及ぶことは明らかではないか。
「日の丸・君が代」問題は、日教組大会の一大焦点に押し上げられた。日教組本部は、改憲路線に踏み込むために不起立闘争の圧殺に乗り出してきたのだ。このことは、階級的教育労働運動の再生と改憲阻止決戦にとっての「日の丸・君が代」闘争の戦略的位置をあらためて示している。東京の不起立闘争はまさに、95年の日教組の路線転換以来の後退に次ぐ後退のがけっぷちで巻き起こった起死回生の大反撃であった。
不起立闘争の爆発こそ路線転換を阻む力
第一に、この闘いは、職場抵抗闘争を復権し、再生する道を切り開いた。法廷闘争の中で「学習指導要領の法的拘束力」批判がよみがえり、再発防止研修との闘いは「官制研修反対」の大衆的抗議闘争を復権した。業績評価による被処分者への昇給延伸が人事考課制度への怒りを新たに拡大している。不起立闘争は、95年の路線転換以来放棄されてきた「5項目」の職場闘争全体を再構築する切り口ともなり、日教組が闘わずして導入を許してきた人事考課制度や主幹制度との闘いを永続化させていく水路ともなっているのだ。
第二に、組合執行部の屈服方針をのりこえた現場組合員の自主的決起が、組織的抵抗闘争の再構築の展望を切り開いていることである。
「組織防衛最優先」の名で「職務命令には従う」とした指示をのりこえて打ちぬかれた不起立闘争は、処分・解雇撤回闘争への都高教本部の支持・支援を力ずくでとりつけて闘われている。今年の卒・入学式闘争では、被処分者が闘争本部を設置し、厳戒体制の重圧を突き破って不起立闘争が貫徹された。闘いは法廷闘争に収斂(しゅうれん)していくどころかますます激化・拡大していく勢いを示している。「東京を孤立させるな」を合言葉に全国で不起立宣言運動・不起立闘争が闘われ、現場組合員による「日の丸・君が代」全国統一闘争がつくり出されたのだ。
第三に、この闘いは、職場生産点からの戦争協力拒否闘争として、広範な支援と共闘をつくり出し、「日の丸・君が代」闘争を教基法改悪・改憲阻止の一大焦点をなす全人民的政治課題へと押し上げている。朝日新聞の都議選世論調査が示した〈不起立処分反対=61%、賛成=28%>という数字は、まさに教育労働者の処分覚悟の実力闘争が切り開いた情勢である。
「日の丸・君が代」闘争を中心にすえた教育基本法改悪反対運動は、陸・海・空・港湾労組20団体の「有事法制を発動させない・従わない」闘い、3闘争団・争議団の国鉄1047名解雇撤回闘争とともに、戦争と民営化攻撃に対決する新潮流運動として、改憲阻止決戦の階級的推進軸となっている。
被処分者を先頭に「日の丸・君が代」闘争を闘う全国の組合員は大会に総結集し、強制を容認し不起立闘争を制動する日教組本部の反動的もくろみを粉砕しよう。森越発言を徹底追及し、撤回と謝罪をさせよう。
本部の闘争放棄を打ち破り戦争教科書採択阻止しよう
「日の丸・君が代」闘争の地平をさらに発展させるとともに、この闘いを拡大・深化させる闘いとして、「つくる会」教科書採択阻止闘争に総決起しなければならない。
教科書採択をめぐる攻防のただ中で開催される大会にもかかわらず、第93回大会のスローガンには教科書闘争はなく、日教組本部は「つくる会」を名指しした批判も避けている。方針案には「採択制度の改善」はあっても、「採択阻止」はない。これは、「日の丸・君が代」強制容認と並んで、日教組本部の転向と屈服を示す今ひとつの決定的メルクマールである。
「つくる会」教科書の採択は、教育労働者への「日の丸・君が代」強制以上にストレートな侵略教育の強制攻撃である。学校教育法21条1項の検定教科書の使用を義務づける規定は、戦前の国定教科書使用義務を改め、2項の補助教材についての規定とあわせて、教師の自主的創造的教育活動を奨励するのが立法趣旨であった。しかし、伝習館事件最高裁判決は、教科書使用義務違反を理由とする懲戒免職処分を容認している。運動方針案は、「史実にもとづく近現代史教育を推進する」と言うが、「つくる会」教科書を使用せず、自作のプリントなどで授業を行った教育労働者が懲戒処分の対象とされかねないのだ。
東京では授業で使用する副教材の検閲制が敷かれている。使用するプリントの事前提出、あるいはその使用禁止が職務命令でなされていく場合、職務命令違反による懲戒処分が授業の度に累積し、ついには免職に至ることもありうるのである。「つくる会」教科書の採択は、教育基本法の掲げる「平和と真理を希求する人間の育成」という教育目的に忠実に教育を行おうとする教育労働者を追放していく攻撃である。この大攻撃と闘わずして、教育基本法改悪反対も改憲反対も空語である。
4年前の採択では「つくる会」教科書はゼロに近い採択率に終わったとはいえ、「つくる会」教科書の登場によって、最も良心的な教科書会社が倒産し、すべての教科書から「慰安婦」という言葉が一掃された。「つくる会」教科書の大量採択の衝撃は、他社の記述の大転換を引き起こすことは必至だ。中学社会科だけの問題ではない。「つくる会」は、すでに小学校社会、中学地理・国語・英語の教科書づくりもプラン化している。
今や非常の決意で戦時下の教科書闘争に総決起しなければならない。この闘いは、「日の丸・君が代」闘争に続く教育労働者の戦争協力拒否闘争なのだ。
都議選決戦を引き継ぎ杉並7月大行動へ
都教委が作成した「中学校用教科書調査研究資料」は、「拉致」「領土」「神話」「性差」などの調査項目を設定して、扶桑社版=「つくる会」教科書の評価を上げるだけでなく、「内容」の「概括的調査」でも「つくる会」教科書を歴史・公民とも総合点で第1位としている(2004号既報)。都教委は、本気で東京における「5割採択」を実現しようと動いている。
来年4月に開校する中高一貫校3校の教科書採択は、都教委による直接採択となる。「各学校の教育理念や教育課程を踏まえた調査・研究を行って学校ごとに採択する」としているが、昨年9月に打ち出された都教委の報告書では、どの学校も「日本人のアィデンティティ育成」を学校像や教育理念に掲げ、教育課程にも「日本文化論」など、「つくる会」教科書採択の布石を打っている。
都教委は、7月中にも都立中高一貫校3校の「つくる会」教科書採択を強行し、一般公立中学校では全国初となる採択を8月上旬に杉並で強行し、他区市町村のなだれ的追随を引き出そうとしているのである。
6月22日に行われた杉並区教育委員会行動は、800人を超す区民や労働者が駆けつけ、1万筆を超える署名とともに、「つくる会教科書を採択するな!」と教育委員会に突きつける大きな力となった。7月1日には、杉並区内の中学生の保護者らが「つくる会」教科書の採択差し止めを求める訴訟を提訴した。都議選において長谷川英憲氏の当選を果たせなかったことは無念ではあるが、教科書問題を真っ向から争点に掲げた都議選闘争は、8千人の「つくる会」教科書採択絶対反対派と教科書闘争の主体を生み出したのだ。
この力をさらに発展させて、7月大行動に決起し、杉並における「つくる会」教科書採択をなんとしても阻止しよう。闘う保護者・区民への中傷とデマ攻撃に明け暮れる日本共産党・カクマルの敵対を打ち破り、教育労働者の合流をかちとろう。
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週刊『前進』(2206号4面2)(2005/07/18)
「被爆60周年“戦争をとめよう!”8・6ヒロシマ大行動」へ
実行委が呼びかけ
「戦争・核と改憲―うち砕け!今この力で/被爆60周年 戦争をとめよう!8・6ヒロシマ大行動」の呼びかけが実行委員会から発せられた。これにこたえて全国から広島に大結集しよう。(編集局)
被爆60周年の本年、ブッシュ政権によるイラク侵略戦争は「泥沼」化し、小泉内閣が自衛隊派兵を継続する中、まさに「戦時下の8・6」とも言える状況となっています。
小泉内閣は教育基本法・憲法改悪にしゃにむに突き進み、歴史歪曲と戦争賛美の「つくる会」教科書を検定合格させ、領土問題においても再び「大東亜共栄圏」づくりを狙っています。朝鮮民主主義人民共和国に対する経済制裁が呼号されるなど、中国・朝鮮への排外主義の攻撃は一線を越えた様相を呈しています。
ブッシュ政権はイラクの地において、占領反対の抵抗闘争により「敗勢」を強いられながらも侵略戦争をなおも継続し、「自由の拡大」「圧制からの解放」などと称して、沖縄の米軍基地強化など大規模な軍事的再編(トランスフォーメーション)をもって世界に戦争を拡大しています。さらに、劣化ウラン弾使用、小型核兵器の開発などの核戦略をもって戦争の拡大を続けています。絶対に阻止しなければなりません。
そうした今、「労働者・市民が立ちあがれば戦争をとめることができる」「戦争のない世界をつくるのは我々自身だ」との声が世界で共通のものとなってきました。世界の人々の反戦のたたかいと連帯し世界から戦争をなくすために全力をあげましょう!
被爆者、労働者、市民が力をあわせて、今年の「8・6ヒロシマ大行動」で、戦争をとめる大きなうねりを作り出していきましょう。全国のみなさん、8月6日、広島に集まって下さい。ともに戦争・核、改憲の攻撃をうち破りましょう!
《呼びかけ人》北西允/広島大学名誉教授 内海隆男/広島の強制連行を調査する会 宇野昌樹/広島市立大学教員 大江厚子/セイブ・ザ・イラクチルドレン広島代表 太田弘/広島沖縄県人会会員 岡本三夫/第九条の会ヒロシマ代表
小武正教/僧侶 栗原君子/前参議院議員 下田礼子/反戦被爆者の会 原田豊己/カトリック広島司教区司祭 平岡誠/三次市市議
湯浅一郎/ピースリンク広島・呉・岩国世話人 由木栄司/広島県日本中国友好協会青年委員会委員長
吉田良順/医師 吉村慎太郎/広島大学教員 李実根/広島県朝鮮人被爆者協議会会長 大内裕和/松山大学助教授 鎌仲ひとみ/映画「ヒバクシャ」監督 桑江テル子/うないネットコザ主宰 佐久川政一/元沖縄大学教授、普天間基地・那覇軍港の県内移設に反対する県民会議共同代表 関千枝子/ジャーナリスト
高橋哲哉/東京大学教授
知花昌一/沖縄読谷村村議
西川重則/平和遺族会全国連絡会事務局長・とめよう戦争への道!百万人署名運動事務局長 藤田祐幸/慶応大学助教授 三宅晶子/千葉大学教授(5月15日現在)
《スローガン》
戦争・核と改憲―うち砕け!今この力で/被爆60周年 戦争をとめよう!
▼世界への戦争拡大・核戦略の米ブッシュ政権と戦争・改憲の小泉政権をたおそう!
▼イラク占領反対・自衛隊は撤退せよ! 沖縄米軍基地撤去!
▼教育基本法・憲法改悪阻止、朝鮮・アジアへの侵略戦争を阻もう!
▼戦争賛美・歴史歪曲の「つくる会」教科書採択阻止、「日の丸・君が代」強制反対!
▼世界の人々と連帯して戦争と核、差別のない社会をつくろう!
《集会内容》
◎8月6日
▼ヒロシマの被爆者は訴える
▼労働者は戦争動員を許さない 憲法・教育基本法の改悪を阻止しよう!
「日の丸・君が代」処分とたたかう東京・広島の教育労働者
解雇撤回、安全運転闘争を闘う国鉄労働者
有事法と戦争動員を拒否する労働者の決意 他
▼被爆地からの派兵、軍都再来をとめよう
▼世界の反戦・反核運動との連帯
韓国・中国・イラク・アメリカからの代表団
▼米軍再編と基地撤去をたたかう沖縄から
▼ヒロシマから世界へ―若者のアピール
◎8月7日 国際連帯集会
▼韓国/日本軍「慰安婦」ハルモニとともにする市民の会 他
▼中国/重慶大爆撃幸存者と研究者
▼イラク/フサーム・マフムード・サリッヒ医師
▼アメリカ/アサフ・ドラコビッチ博士(劣化ウラン弾を告発する元米陸軍医師)
《関連行事》
◎労働者交流集会(教育、国鉄、自治体、郵政、民間・合同労組、医療・福祉)
主催/各実行委員会
8月6日(土)17時開場
アステールプラザ 他
◎資料館見学と碑めぐり
8月7日(日)9〜12時
原爆資料館下集合
◎沖縄と広島をむすぶ全国青年労働者交流集会 HIROSHIMA
8月7日(日)13時〜
主催/実行委員会
広島工業大学広島校舎(平和公園から歩いて5分)
戦争・核と改憲―うち砕け!今この力で
―被爆60周年―戦争をとめよう!
8・6ヒロシマ大行動
8月6日(土)12時30分〜
広島県立総合体育館小アリーナ(広島市中区基町4―1)
15時〜 デモ行進(平和公園解散)
8月7日(日)国際連帯集会
13〜17時 ロードビル(国労会館)(広島市東区光町2―9―21)
主催 8・6ヒロシマ大行動実行委員会
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週刊『前進』(2206号4面3)(2005/07/18)
6月28日〜7月5日
サマワ陸自宿営地に砲撃
米兵が少女に強制わいせつ
●米・イラク混成部隊創設へ ブッシュ米大統領は、イラク「主権移譲」から1周年にあたってノースカロライナ州の米軍基地で演説し、「イラクでの作業は困難で危険だ」としつつ、イラク撤退期限を示すことを拒否した。この中でイラク治安部隊に米軍部隊を組み込む事実上の米・イラク混成部隊を創設することを明らかにした。(28日)
●アフガンで米ヘリ撃墜、17人死亡か アフガニスタン東部のクナル州アサダバード近郊で、米軍ヘリが墜落し米兵17人が行方不明となった。旧タリバン政権のスポークスマンは衛星電話で「ロケット砲で撃墜させた」との声明を発表した。アフガニスタンでは3月以降だけで米軍29人が死亡している。(28日)
●イラク派兵再延長を検討 政府は、イラク復興支援特別措置法に基づく自衛隊のイラク派兵を、12月14日の期限切れ後も継続することを想定し、イラク派遣基本計画を再延長する検討に入った。小泉首相は、イラク南部サマワで活動している陸上自衛隊について、「イラク人自身が『帰らないでくれ』と要請しており、各国が結束して支援している。自衛隊の活動地域が非戦闘地域だという状況が変わらない限りは、できるだけ支援していきたい」と、再延長に前向きな姿勢。(29日)
●沖縄海兵隊、戦闘部隊は移転困難 米政府が在日米軍基地再編協議などで、「在沖縄海兵隊の戦闘部隊は、中台有事の抑止力として不可欠であり、削減や本土移転は困難だ」と伝えていたことが明らかになった。(29日)
●大量破壊兵器協力企業の米資産凍結 ブッシュ米大統領は、大量破壊兵器の拡散疑惑がある北朝鮮、イラン、シリアの計8企業・政府機関と取引している企業が米国に保有する資産を凍結する大統領令を出した。(29日)
●「つくる会」教科書不採択求め提訴 東京・杉並区の小中学生の保護者ら10人が区を相手取り、「新しい歴史教科書をつくる会」の教科書を採択しないよう求める訴訟を東京地裁に起こした。(1日)
●米軍事件・事故、復帰後4万2千件 米軍(軍属・家族を含む)の事件・事故数が、沖縄「復帰」後の1972年度から04年度までの33年間で4万2416件に上ることが防衛施設庁の資料でわかった。全国の米軍の事件・事故件数の59・5%を沖縄で占める。(1日)
●治安出動で実動訓練 防衛庁と警察庁は、武装工作員によるゲリラ攻撃を受けた際の治安出動を想定した陸上自衛隊と警察による初の実動訓練を、今年秋以降に順次、全国の都道府県で実施することを決めた。(1日)
●米兵、小学5年生に強制わいせつ 沖縄県警沖縄署は、小学5年生の女児の胸を触ったとして強制わいせつの疑いで米軍嘉手納基地所属の2等軍曹アルマンド・バルデス容疑者を逮捕した。(3日)
●サマワ陸自宿営地に砲撃 イラク南部サマワの陸自宿営地の周辺で数回爆発音が聞こえた。防衛庁によると、砲弾1発の着弾の痕跡が宿営地内で見つかり、宿営地外にも4発の着弾痕があった。隊員や陸自施設に被害はなかった。陸自宿営地を狙ったと見られる砲撃は10回目。(4日)
●英がイラク駐留軍半数削減へ 英紙フィナンシャル・タイムズは、英国防省が来年4月までに現在8500人のイラク駐留部隊を4千〜5千人に削減する草案を作成したと報じた。英軍が来年末にアフガニスタンに3千人規模の部隊を展開させる必要があるため、としている。(4日)
●中央アジアから米軍撤退を ロシアと中国、中央アジア4カ国で構成する上海協力機構(SCO)の首脳会議がカザフスタンの首都アスタナで開かれ、中央アジア駐留米軍に対し撤退期限を求める共同宣言を採択した。(5日)
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週刊『前進』(2206号5面1)(2005/07/18)
1047名の団結固めよう 7・15全国集会に大結集を
安全破壊の民営化攻撃と対決し解雇撤回かちとれ
「国鉄労働者1047名の解雇撤回! 原告団・闘争団・争議団を励ます7・15全国集会」は、国鉄闘争解体の攻撃を打ち破るきわめて重大な闘いだ。集会を呼びかけた21人の学者・文化人と、国労闘争団・全動労争議団・動労千葉争議団の3者は、今日の大反動に抗し、集会への1万人結集をめざして連日闘いぬいている。これにこたえ7・15日比谷野音に総結集しよう。
階級闘争絶滅の攻撃阻む橋頭保
国鉄分割・民営化以来、18年の闘いを貫いてきた国鉄闘争は、今日さらに激化する階級闘争絶滅の攻撃に抗し、労働者階級の最も奥深いところから反撃をたたきつける闘いだ。陸・海・空・港湾労組20団体や教育基本法改悪阻止を闘う統一戦線と並び、これらを牽引(けんいん)するものとして、国鉄闘争支援の一大統一戦線は巨大な意義を持っている。
小泉政権は郵政民営化法案の衆院採決を強行した。これに先立ち閣議決定された「骨太方針X」は、公務員労働者の大量首切りと、「市場化テスト」による公共部門の民営化の全面推進を打ち出した。
同時に小泉政権は、ますます激化するイラク人民の民族解放戦争を前に、「自衛隊は撤退させない」と絶叫し、米帝との反動枢軸を強化して、一層の侵略戦争にのめり込んでいる。
これら戦争と民営化攻撃の一大焦点にあるのが「つくる会」教科書採択の攻撃だ。都議選決戦の地平を発展させ、戦争教科書を絶対に阻止する7月闘争に決起しなければならない。
日帝・小泉=奥田と「つくる会」は、アジア侵略戦争への国民総動員と民営化攻撃(労組破壊・左翼一掃)を一体のものとして攻撃を強めている。その照準は、労働者階級の階級性を解体し、階級闘争を絶滅することに定められている。
今や日本経団連・奥田ら日帝ブルジョアジーの主流が改憲を決断し、「つくる会」一派を公然と後押ししつつある。小泉は、中国や韓国との外交的決裂も辞さず、敗戦60年の8・15に靖国公式参拝を強行しようと策している。日帝は明白に北朝鮮・中国への侵略戦争を構え始めたのだ。
今夏のNTT労組大会、日教組大会、自治労大会は、改憲路線を許すのか否かをかけた一大攻防だ。連合中央は、これら旧総評中軸組合を改憲勢力に転向させて、10月連合大会で改憲方針を強行し、労働者階級総体を侵略戦争体制に組み伏せようと狙っている。
労働者階級は、こうした攻撃との生死をかけた激戦の渦中にある。7・15集会を成功させてこそ、この攻撃に立ち向かう力を手にすることができるのだ。
1047名闘争は4党合意以来の闘争解体攻撃を打ち破って生き残った。この中で、鉄建公団訴訟を軸に国労闘争団・全動労争議団・動労千葉争議団の1047名陣形を形成する新たな地平が切り開かれた。またその先端には、国労5・27臨大闘争弾圧をめぐる攻防があった。それらすべての集約点に位置する7・15集会は、戦争と民営化の攻撃と苦闘する全労働者を糾合し、階級的団結をよみがえらせ、反転攻勢の突破口を開く闘いなのである。
安全運転行動がJR体制を痛撃
JR尼崎事故は、民営化の帰結を衝撃的に突き出した。小泉=奥田は、107人の命を奪った大惨事を突きつけられてなお、民営化路線にしがみついている。
この凶暴きわまる攻撃と全面対決しなければ、労働者の命は守れない。
動労千葉は、処分の恫喝に屈せず安全運転行動を果敢に闘いぬいている。そのただ中で、「平成採」の青年労働者が動労千葉に結集した。資本=カクマル結託体制を突き崩し、JR総連とJR体制を打倒するチャンスが到来したのである。
動労千葉に続き、JR本隊からの総決起をつくり出そう。被解雇者とJR本隊の労働者が固く団結し、JR体制を内外から打ち破る闘いを貫けば、1047名の解雇撤回をかちとる道は必ず切り開かれるのだ。
第一陣の鉄建公団訴訟の9・15勝利判決戦取へ闘おう。1047名の統一戦線をさらに強固に打ち固め、民営化と大事故への社会的怒りを巻き起こし、9・15に至る過程を総力で闘いぬいて、全労働者をあらためて国鉄闘争に組織しよう。
妨害を打ち破り1万人総決起へ
全労連中央の一部指導部は、7・15を「黙殺する」と言い放ち、敵対をあらわにしている。その背後には日本共産党中央の反革命的意志がある。国労本部=酒田・革同執行部もまた、集会妨害を強めている。
この策動を根底的に粉砕し、7・15大結集のうねりをつくり出そう。敵と通じた闘争破壊者に最後的な断を下し、国労再生の血路をこじ開けよう。
そこには、労働者階級が階級性を堅持し、戦時下の階級闘争を貫けるのか否かがかかっている。裏切りをまかり通らせた時、「つくる会」を先兵とする階級闘争絶滅の攻撃は、恐るべき力を持ってしまうのだ。
7・15に総結集し、8月広島・長崎反戦反核闘争から11月労働者総決起への壮大な展望を切り開こう。
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週刊『前進』(2206号5面2)(2005/07/18)
郵政法案の衆院可決弾劾 参院で絶対に否決・廃案に
郵政民営化関連法案が7月5日の衆院本会議で可決された。採決は、賛成233票、反対228票のわずか5票差だった。野党の反対に加え、与党の自民党から反対(37人)、欠席・棄権(14人)の計51人という大量の造反者が出たためだが、小泉政権は、あえて採決を強行したのだ。
ここには、何がなんでも今国会で郵政民営化法案を成立させ、07年郵政分割・民営化を強行しようという小泉政権の激しい国家意志がある。それは、郵政民営化を突破口に、公務員制度改悪などを強行し、さらに07年にも憲法改悪を強行するということだ。だが同時に、予想を上回る造反者が出たことは、小泉政権の危機が一挙に激化していることをも示している。
法案は参院に送られ、小泉政権は、延長された会期末の8月13日までに成立させようとしているが、参院での審議は衆院以上に難航することが予想される。小泉は、衆院での造反をくい止めるために、「解散・総選挙」を脅しに使ったが、参院で否決された場合でも衆院の解散・総選挙を行う意志を明らかにした。
参院での審議は、小泉がイギリスでのG8サミットから帰国した後の11日以降に始まるが、会期末までは1カ月余りしかなく、与党から18人が反対に回れば法案は否決されるという危機に小泉は立たされている。
郵政民営化法案もろとも小泉政権を打倒する好機が到来しているのだ。今こそ闘う全逓労働者が郵政分割・民営化絶対阻止を鮮明に掲げて総決起すべき時だ。JPU(旧全逓)中央の「民営化反対」のペテンを暴き、彼らを打倒し、職場からの大反撃を組織しなければならない。そのために、労働者としての郵政分割・民営化絶対反対論を鮮明に掲げよう。
郵政民営化法案は、07年4月から現在の郵政公社を分割・民営化し、持ち株会社のもとに、窓口会社、郵便会社、貯金会社、保険会社を置くというもので、職員の国家公務員資格を剥奪(はくだつ)するものだ。
衆院での「修正」により、郵便局はあまねく全国に配置することが義務付けられ、総務省令で過疎地のネットワークを維持する設置基準を設けることになった。そのために、社会・地域貢献資金を1兆円から2兆円まで積み立てることが法案に明記された。また、郵便局の統廃合についても、政府・自民党が都市部を含め利便性に支障が出ないよう「配慮」することで合意した。
さらに、持ち株会社が民営化から10年以内に貯金、保険の金融2社株を完全処分するとしたが、その後に買い戻す際に「議決権の連続的保有」を可能にする条文が修正法案に持ち込まれるなど、「3事業の一体性」が強まった。
これらは、自民党の郵政族の要求にこたえる形で「修正」されたものだが、いったん民営化されれば、ネットワークの維持も3事業一体も定かではない。いずれは、郵便局の統廃合も貯金、保険の縮小も不可避なのだ。
問題は、国会での議論では、労働者の雇用については、まったく問題にもなっていないことだ。職員の非公務員化は当然のこととされている。
しかも、07年の民営化に伴い、〈いったん全員解雇・選別再採用>が強行されることだ。マスコミ報道などでは、公社職員の雇用は継続されるかのように言われているが、それはウソだ。郵政民営化法案の第165条「職員の引継ぎ」の項では、「公社の解散の際現に公社の職員である者は、別に辞令を発せられない限り、この法律の施行の時において、承継計画において定めるところに従い、承継会社のいずれかの職員となるものとする」となっている。「別に辞令を発せられない限り」というただし書きがあるのだ。「別に辞令」があれば、雇用を継続しなくてもよいことになっている。どこに飛ばそうが、解雇しようが自由であり、国鉄分割・民営化の際の清算事業団送りのような活動家パージもあり得るということだ。
しかも、現行の労働協約はすべて破棄され、新たに協約を締結することになり、その際、「公社の職員の給与、勤務時間その他の労働条件に配慮するものとする」(第171条)となっている。「配慮」とは、労働条件の一切は承継しないで、まったく別の労働条件を定めるということだ。
現在の郵政公社でも、JPU中央が公社のアクションプラン・フェーズ2を丸飲みする方針を6月の第60回定期大会で決定したことにより、今後2年間で少なくとも1万人の人員削減や郵便内務の10時間2交代制の導入など、極限的に労働条件が悪化しようとしているのだ。
全逓労働者は、郵政民営化法案を否決・廃案に追い込むとともに、公社の民営化そのものの攻撃に対して、今こそ物ダメ・ストライキで総反撃に立とう。
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週刊『前進』(2206号5面3)(2005/07/18)
骨太方針Xを批判する
社会保障給付費と公務員の削減が攻撃の最大焦点
日帝・小泉政権は、6月21日の経済財政諮問会議と閣議で「経済財政運営と構造改革に関する基本方針2005(骨太方針X)」を決定した。これは「骨太方針W」までの「構造改革」路線を引き継ぎ、05〜07年の労働者への階級戦争を宣言し、戦争と民営化(労組破壊)、社会保障解体の攻撃を強めようとする攻撃だ。特に、公務員労働者の首切りと賃下げ、国家機構内の労働組合破壊、そして社会保障給付費の削減を宣言している。「骨太方針X」は、自治労や日教組などを改憲勢力化する攻撃と軌を一にしており、また「つくる会」教科書が狙う戦争国家化の攻撃とも連動している。教労、自治体、全逓、国鉄の4大産別を先頭に徹底対決しよう。
「小さく効率的な政府」口実に労働者に攻撃
「骨太方針X」は、経済財政諮問会議に日本経団連の奥田会長が参加していることからも、この間の経団連の主張が色濃く反映されている。今年1月の日本経団連の改憲提言と教育改革提言や規制改革などの諸提言、そして、4月19日の「さらなる行政改革の推進に向けて―国家公務員制度改革を中心に―」と題する提言などが、「骨太方針X」の基底にある。改憲や教基法改悪には触れていないが、それと一体のものとしての国家改造の基本方針を打ち出しているのだ。
「骨太方針X」は、冒頭で、日本の経済社会について、「ここ1、2年の構造改革の進展が成否を決める」と、05年から07年に日帝国家の存亡と命運をかけることを宣言している。これは、07年に向けて憲法改悪を強行しようとしていることと完全に重なるのだ。
04年度までの構造改革の進展によって、民需主導の経済成長が実現しつつあるとして、不良債権処理や企業の「過剰雇用・過剰設備・過剰債務」の解消が進み、収益力向上が実現していると言うが、これは労働者に対する大リストラを強行し、正規雇用労働者を削減し、低賃金で無権利の非正規雇用の労働者を増大させた結果である。だが、日帝経済の危機は本質的にはなんら解決されていない。
その上で、日本経団連の奥田が05年版の「経営労働政策委員会報告」で打ち出した「攻めのリストラ」を国家政策とすることを宣言し、「いよいよ『攻めの改革』に踏み出すときを迎えている」と言うのである。
この2年間を「重点強化期間」とし、その課題を次の3点だとしている。
@「小さくて効率的な政府」をつくること。
A少子高齢化とグローバル化を乗り切る基盤をつくること。
Bデフレを克服するとともに、経済の活性化により、民需主導の経済成長を確実なものとすること。
結論的に言えば、@は公務員労働者に対する首切りと大リストラであり、Aは社会保障制度の解体と大増税、そして帝国主義間争闘戦に勝ち抜き「東アジア自由経済圏」をつくることであり、Bはインフレ政策を追求し、日帝資本がより労働者階級から搾取し利潤を上げることである。
この背景には、帝国主義間争闘戦の激化と日帝資本・国家の激しい危機がある。また、郵政民営化法案をめぐる自民党内の対立に示されるように、支配階級内部の分裂もある。だが、日帝にとって、小泉=奥田路線による戦争と民営化(労組破壊)、社会保障制度解体に突き進む以外に生き残りの方策はないのだ。
「小さくて効率的な政府」が「骨太方針X」の第一のキーワードとして押し出されている。そこでは、「“官から民へ”“国から地方へ”の改革を徹底し、次の三つの流れを変える取組を行う」としている。
郵政民営化と市場化テストで大量首切り
「第一は、資金の流れを変えること」であるとして、何よりも郵政民営化を強行することを挙げ、「07年度からの郵政民営化を実現するため、国会に提出した郵政民営化関連法案の成立を期す」としている。
「第二は、仕事の流れを変えること」であるとして、「(地方財政の)三位一体の改革を進めて国から地方に仕事を移す。また市場化テストの本格的導入により、政府の業務を最小化して民間に開放する」としている。
「市場化テスト」については、「『公共サービス効率化法(市場化テスト法)案』(仮称)を05年度中に国会に提出するべく、速やかに準備する」と言う。さらに「地方公共団体における導入を円滑化するため、導入を阻害している法令の改正等、所要の措置を講ずる」「独立行政法人の業務についても……導入を適切に進める」としている。
市場化テストとは、あらゆる公共サービス(官業)を官民競争入札にかけて、
民間に次々と明け渡していくためのものである。「規制改革・民間開放推進3か年計画(改定)」(05年3月)では、公共職業安定所、社会保険庁、刑務所などをモデル事業として挙げている。これらの事業を官民競争入札で民間事業者がより安い価格で落札した場合、そこで働く労働者はいったいどうなるのか。「スムーズな公務員等の配置転換・移転」などと言うが、大量首切りを狙っていることは明らかだ。そのために、4・19提言では、国家公務員の身分保障の解体を打ち出しているのだ。
「第三は、人と組織を変えることである。国・地方の行政改革を徹底し、公務員の総人件費を削減する。また……公務員の体質強化を進める」としている。
ここでは、「国・地方の双方について、行政改革をこれまで以上に徹底して進めることが必要であり、公務員制度改革を含め、『今後の行政改革の方針』『新地方行革指針』の着実な実施に向け、国と地方は歩調を合わせて強力に取り組む」としている。
さらに、公務員の総人件費について、これまでの「抑制」という表現から、初めて「削減」という言葉を盛り込み、「国・地方ともに定員の『純減目標』などの明確な目標を掲げて強力に取り組む」とし、「総人件費改革のための基本指針を05年秋までに策定」することを打ち出した。
また、「人事院において、民間企業における賃金体系の改革の動向を踏まえ、公務員の給与体系の見直しを進めるよう、要請する」ことなど、公務員の賃下げに踏み込んでいる。実際、今夏の人事院勧告では、国家公務員賃金の5%下げや地域給与などが打ち出されようとしている。
日帝の延命をかけたアジアへの勢力圏化
「少子高齢化とグローバル化を乗り切る」ということでは、まず、「財政構造改革の強力な推進―歳出・歳入一体改革―」をうたった上で、「国民の安全・安心の確保」として、「『世界一安全な国、日本』の復活をはかるための強力な治安対策を推進」するとしている。ここでは、別表1の冒頭で「大規模災害、テロ、有事等に対する全国的見地からの対応の体制整備」などを挙げている。経済・財政政策の中に、テロ、有事などへの対応を紛れ込ませているのである。経済と戦争体制づくりは一体のものであることは、帝国主義としての本質を示すものである。
さらに、「社会保障の一体的見直し」をうたい、社会保障給付をいかに削減するかが焦点となり、特に「医療費適正化の実質的な成果を目指す政策目標を設定し、……達成のための必要な措置を講ずる」としている。
医療費については、経済財政諮問会議の場で、医療費給付の総額を経済成長率並みに抑える総額管理も議論に上ったが、導入は見送られた。財務省は、この総額管理を導入しても、消費税率を12%に引き上げる必要があるとの試算を出している。結局、医療費適正化の目標については、「05年中に結論を得る。その上で、06年度医療制度改革を断行する」とされた。
年金制度とあわせ、医療制度についても、日帝はもはや労働者人民の生活を保障することができないことを示しているのだ。
また、「骨太方針X」は、「少子化対策」や「教育改革」「人間力の育成」などについて触れている。内容は略すが、「人」についての対策を、すべて国家の生き残りのために打ち出しているということを指摘し弾劾しておきたい。
その上で、「経済外交、国内構造改革、地域経営、国際分業等を通じて、グローバル化への総合的かつ戦略的な取組を行うため、経済財政諮問会議において06年春を目途に『グローバル戦略〜我が国の世界戦略』(仮称)を取りまとめる」と言う。
これは、紛れもなく経団連が「奥田ビジョン」から打ち出した「東アジア自由経済圏」構想に対応したものとなる。
最後の「民需主導の経済成長を確実なものに」でも「国内対策からグローバル競争へ―世界市場を獲得する競争力をつくる」と言っていることは重大だ。
今回の「骨太方針X」は「内への階級戦争、外への侵略戦争」の一体性を国家政策として打ち出したものである。
4大産別を先頭に7〜8月「つくる会」教科書阻止の闘いと一体のものとして「骨太方針X」を粉砕する労働運動をつくり出そう。
骨太方針Xのポイント
▽ここ1、2年の構造改革の進展が(経済社会の)成否を決める
・いよいよ「攻めの改革」に踏み出す
▽「小さくて効率的な政府」の実現
・郵政民営化関連法案の成立を期す
・06年度までに三位一体改革確実に
・市場化テスト法案を05年度に提出
・公務員の総人件費削減
・国・地方の総人件費の削減
▽少子高齢化とグローバル化を乗り切る
・社会保障の一体的見直し
・06年春目途に「我が国の世界戦略」
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週刊『前進』(2206号5面4)(2005/07/18)
6・21〜7・1
日本経団連 8時間労働制解体へ提言
政府税調が大増税案/新聞労連が自衛隊撤退要求
●骨太方針Xを閣議決定 政府は「経済財政運営と構造改革に関する基本方針(骨太の方針)2005」を閣議決定した。(6月21日)
●政府税調報告 首相の諮問機関の政府税制調査会が、労働者への増税を柱とする個人所得税の見直しに関する報告書を公表。給与所得控除の縮小、配偶者控除の廃止、扶養控除の見直し、定率減税の全廃などを盛り込んでいる。年収500万円の労働者世帯では年42万円の増税との試算も。(21日)
●日本経団連が規制改革要望 日本経団連は、一層の規制改革・民間開放の推進を求める「2005年度日本経団連規制改革要望」を公表した。(21日)=要旨別掲
●日本経団連が労働時間規制撤廃の要求 日本経団連は、前記の要望書とは別に「ホワイトカラーエグゼンプションに関する提言」を同日に発表。いわゆるホワイトカラーについて、労働時間や休日などの規制の適用を除外する「ホワイトカラーエグゼンプション制度」の新設を要求。年収400万円以上の労働者を対象にするなど、広範囲の労働者を適用対象にしている。(21日)
●サービス・流通連合が組織統合を正式決議 サービス・流通連合は22日まで定期大会を開催。民間最大産別のUIゼンセン同盟との組織統合を正式に決議。両者の統合が実現すれば、全国最大の産別組織となる。(21日)
●改悪介護保険法が成立 改悪介護保険法が参院本会議で与党と民主党の賛成多数で成立。(22日)
●日本郵政公社労組が定期大会 日本郵政公社労組(JPU)は24日まで定期大会を開いた。初めて全国特定郵便局長会(全特)の高橋会長があいさつした。(22日)
●指定地方公共機関につき京都放送が労組と確認書 京都放送は、有事法制に基づく指定地方公共機関について、組合に無断で指定を受諾しないとの確認書を京都放送労働組合と交わした。放送局が労組と文書で約束したのは、これが初めて。(23日)
●JAM、労働時間規制の撤廃に反対 JAMは28日まで政策・制度要求中央討論集会を開催。労働契約法制とホワイトカラーエグゼンプション制について討論。エグゼンプションは「来年度運動方針で反対を明記」とした。(27日)
●新聞労連が自衛隊即時撤退要求 イラク・サマワで陸上自衛隊の車両に道路わきから爆弾が爆発した事件について、新聞労連はイラクからの自衛隊の即時撤退を求めるアピールを発表。(30日)
●完全失業率、5月も4.4% 総務省が発表した労働力調査によると、5月の完全失業率は前月と同じ4.4%。厚労省によると、5月の有効求人倍率は0.94倍で4月と同水準だった。(7月1日)
日本経団連「2005年度規制改革要望」(雇用・労働分野)の要旨
●重点項目
・派遣期間終了前の派遣労働者に対する雇用契約申し込み義務の廃止
・派遣労働者を特定することを目的とする行為(事前面接)の禁止の撤廃
・労働者派遣が自由化された業種における派遣労働者の受け入れ期間制限の撤廃
・解雇にかかわる金銭解決制度の導入
・ホワイトカラーエグゼンプション制度の早期導入
・管理監督者が時間外・休日労働をした場合の割増賃金支払い義務の見直し
・労働時間に関する規定の適用除外者の範囲拡大
・企画業務型裁量労働制に関する対象業務の拡大および手続きの簡素化
・女性の坑内労働禁止規定の見直し
・外国人研修・技能実習制度の見直し
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週刊『前進』(2206号6面1)(2005/07/18)
戦争教科書阻む闘いはこれからが正念場 東京 桜葉由季子
「あきらめていませんから、きょうの選挙はだめでもこれからです!」
開票速報に注目していた荻窪事務所。敗勢が決すると、集まっていた支持者から次々と檄(げき)が飛んだ。誰もが勝利のために全力で闘いぬいたのだ。そして、最大の公約として掲げた「つくる会」教科書の採択阻止の闘いはまさにこれからが正念場だ。
長谷川さんが毅然(きぜん)と語った。「子どもたちを戦場に送るための『つくる会』教科書。この戦争教科書阻止を都議選の対決点として闘った。このことは絶対に間違っていない。杉並区内から大きな大衆的な運動が巻き起こっている。この杉並での『つくる会』教科書採択を阻止する闘いは待ったなしの闘いだ。だからこそ勝利できなかったことは申し訳ないが、立ち止まってはいられない。再度決意を固め直して闘っていく」と。そして翌朝から長谷川さんは再び街頭に飛び出した。
この長谷川さんと対極にあるのが石原都知事だ。投票日前夜、7月2日の阿佐ケ谷駅南口、長谷川さんの街頭宣伝の後、自民党候補の応援に石原慎太郎が現れた。ぼそぼそと何を言っているのかも聞き取れない。
石原がめげたのには理由がある。聴衆の中から多数の石原弾劾メッセージボードが突きつけられていたからだ。「戦争あおる石原知事は子どもたちの敵」「石原知事の女性差別暴言弾劾!」「最も悪しき有害なもの! それは石原さんあなたです!」「石原やめろ!」などなど、石原知事はこの文字をいやでも見るしかなかった。記者会見の時のような横柄な姿は影もない。石原は心底、労働者民衆の怒りを恐れているのだ。労働者が団結して石原ノーと立ち上がれば、石原は悲鳴をあげるだろう。ファシストの弱点をつかんだ気がした。
都議選の中で広がった「つくる会」教科書採択反対の運動はこれからが本番だ。絶対にとめてやる。
区民が作成のビラで若い母親の支持拡大 東京 関谷澄夫
私は、オルグ団として闘い、大きな手ごたえを感じながら終盤から最終日、そして投開票日を迎えたのですが、最後は、「巨大な村選挙」とか「政党間の組織的激突戦」とか言われる都議選の地肌がむきだしになった形で、敗北を喫してしまいました。
しかし、今回の都議選は、今後につながる重大な成果、重大な地平を築くことに成功しています。私の担当地域でも、これまでは「自分だけの一票です」と言ってきた人が、票の拡大のために何人も動いてくれました。
推薦人として名前を公表して応援してくれる区民が、全区で4年前の2・5倍の150人を超えました。そして、いくつかの拠点的地域では、区民が思い思いに長谷川支持の言葉を連ねたビラや地域ニュースを発行し、都革新のビラと合わせて数枚〜数十枚の単位で身近な友人・知人・職場の同僚に配るという実に主体的で自己解放的な闘いが生まれました。杉並選挙戦のなかではまったく初めての画期的なことです。
何よりも若い区民、とりわけお母さん方に支持が広がったのが、今回のひとつの特徴です。「いつもは別のところに入れているのですが、今回は、子どもたちが使う教科書のことを考えて、ひでのりさんに入れます」といった声がいろいろなところで聞かれました。「つくる会」教科書反対の署名を集めて事務所に持ち寄ってくれたり、人生で初めて公選はがきを書いてくれた方も多く出ました。
この間、「介護と福祉」をテーマにしてきた関係で、高齢の支持者がけっこう多かったのですが、今回はそれが大きく様変わりしていく重要な一歩が切り開かれたように思います。
都革新は今回、日本共産党や福士候補の裏切りに対して積極的な批判を果敢に繰り広げました。これに勝ちきること、それが今後の大きな課題です。
選挙は終わりましたが、シメはまだ終わっていません。一緒に闘った区民にあいさつ回りを行って悔しさと次への展望を共有することが締めくくりです。それが次に向かっての第一歩です。「つくる会」教科書採択絶対阻止とともに、この一見地味な、そしてつらい、しかし大切な闘いをやりぬきましょう。
共謀罪に危機感拡大運動燃え広がる兆し 東京 草加 亮
共謀罪の本格審議策動に関する記事が、「現代の治安維持法」「監視社会到来」といった見出しで連日、新聞・雑誌で報じられています。この法案にはほかにも、事実上無令状でのメール履歴差し押さえや、LANなどで接続された全パソコンのデータ押収などのサイバー弾圧法案を始めとした重大な諸悪法が一括されています。ネット上でも「いつの間に、こんなとんでもない法律が出てたんだ!」「破防法を上回る悪法に違いない」といった危機感が拡大しています。運動が一挙に燃え広がる兆しです。法案審議で衆院法務委が開かれる火・金曜日が国会闘争日で、7月12日からはハンストも行います。
政府・法務省は姑息(こそく)にも、組対法に条文をたった一つ加えるだけで、実行行為処罰の近代法原則を転覆する共謀罪を614も新設し、実質的に憲法・刑法を全面転換する歴史的暴挙を強行しようとしています。
6月24日の審議入り強行を労働者・人民の決起への合図としなければなりません。資本主義の開始以来、労働者・人民は膨大な血と犠牲を払って共謀罪を廃止し、団結権をかちとってきました。この歴史的地平をなきものにしようというこの一大治安攻撃は、日本労働運動と国際連帯の未来がかかった問題として、幅広く訴えていかなければならないと思います。
前進社発行のパンフレット『共謀罪を廃案に』のほかに、足立昌勝さん(関東学院大学教授)監修の『共謀罪と治安管理社会』(社会評論社)、さらに斎藤貴男さんらが審議入り強行に合わせて発行した『「治安国家」拒否宣言/「共謀罪」がやってくる』(晶文社)などの本も活用して、学習会や共謀罪反対の共同声明運動を広げ、国会闘争に結集しよう。
“レーニンさん”に60年ぶりに再会し感激 尋常高等小学校卒・91歳 南野修吾
時々『前進』を自宅に届けてくれるAさんとは、かれこれ30年余の交際になります。ところが、私の方からは今まで一度も彼女の家を訪れたことはありませんでした。
その彼女から、東京・杉並で激しく闘われた都議会選挙で長谷川さんの選挙応援に行ってきたとの手紙をもらったので、私たち老夫婦は、彼女の労をねぎらうために出かけました。
彼女の部屋の本棚には書籍や雑誌がぎっしりと並べられていました。その本棚の一番下に大月書店版の『レーニン全集』の背表紙を目にしたとき、私は思わず「ああ」と小さな叫び声をあげました。60年も前のある日ある時、『帝国主義論』などを、尋常高等小学校卒のお粗末な頭と目で、それでも必死の思いで読み続けた……、そのレーニンの一冊が、いま自分の娘と同年の、この部屋の住人Aさんにしっかり確保されている……。
選挙戦の様子を聞き、その労をねぎらうつもりで訪れた部屋で60年ぶりに再会したレーニンさん! Aさん、ありがとうね。
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週刊『前進』(2206号6面2)(2005/07/18)
共謀罪反対集会 審議強行に怒り噴出 絶対廃案へハンスト宣言
7月7日の夕方、東京・星陵会館で「撃て! 警察管理社会/共謀罪を廃案へ7・7集会」が行われ、205人が参加した。主催は同集会実行委員会で、足立昌勝さん(関東学院大学教授・刑法)、斎藤貴男さん(ジャーナリスト)、海渡雄一さん(弁護士)、小田原紀雄さん(日本基督教団牧師)らの呼びかけで結成された。
会場には、国会議員、ジャーナリスト、弁護士、宗教者、学者、労働者人民が続々と結集した。集会は6月24日の共謀罪法案の衆院審議入り強行を弾劾し、絶対に廃案に追い込む決意がみなぎる場となった。
共謀罪法案に反対する4人の国会議員が壇上からアピールした。佐々木秀典衆議院議員(民主党・法務委員)は、「共謀罪を阻止できなくて何のための議員か。体を張ってでも廃案にする」決意を表明した。
斎藤貴男さんは「いよいよ来る時がきた。人の心を支配する共謀罪は絶対に許せない」と語り、急きょ発言に立った山岡俊介さん(フリーライター)は「共謀罪は当たり前のことを当たり前に言えない状況を生みだす」と危機感を訴えた。山際永三さん(人権と報道・連絡会)は「共謀罪で『冤罪』が増大し、裁判も処罰だけが先行する」と警鐘乱打した。
長谷川直彦弁護士は共謀罪法案の修正案論議を徹底的に批判し、山下幸夫弁護士は衆院での可決を許さず廃案にたたきこむことを呼びかけた。
小樽の柴田作治郎牧師は、「イヤなものはイヤと言い、弾圧をはねのけて闘おう」と訴えた。
各地で闘う仲間からの共謀罪反対の取り組みの報告やミニライブは、参加者を大いに元気づけた。
最後に行動方針として、毎週(火・金)の法務委員会闘争と7月12日から14日にかけてのハンスト闘争が提起された。
7月12日から本格審議に入り、「7月中にも衆院強行採決か」という情勢に突入する中で、共謀罪法案に対する怒りの声が各方面から噴出している。
「相談だけで訴追、範囲は?」「弁護士ら、乱用懸念」(7月2日付朝日新聞)、「『なんでも逮捕、すぐ逮捕』は本当なのか?」「成立目前!世紀の悪法」(7月18日付週刊大衆)、「『話し合い』処罰に波紋」「学者ら『現代の治安維持法』」(7月5日付毎日新聞)、「成立すれば拡大解釈当然」「街中に盗聴器が…」(7月5日付東京新聞)などの見出しで、共謀罪の特集記事が続々と掲載されている。まさに現代の治安維持法だ。
共謀罪法案を廃案に追い込もう。破防法・組対法に反対する共同行動は、7月12日から3日間、国会前(衆院第2議員会館前)でハンストに決起する。支援連帯しよう。
(投稿・A)
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週刊『前進』(2206号6面3)(2005/07/18)
“JRに事故責任あり” 尼崎で集会 現場労働者が原因究明
JR尼崎事故から2カ月目の6月26日、尼崎市総合文化センター・アルカイックホールミニで、国労組合員有志、鉄建公団訴訟原告の主催による「闘いなくして安全なし!1047名解雇撤回!JRに事故責任あり6・26尼崎集会」が開かれた。JRの現場労働者はもとより、全国金属機械港合同や全日本建設運輸連帯労組関西地区生コン支部を始め地域の労働組合、市民ら192人が結集した。
この集会は、JR現場から尼崎事故問題を追及する集会として、準備段階から注目を集めた。事故以来、関西では学者・文化人などを招いて事故問題を論じる集会は幾つか開かれてきたが、現場労働者自身が何度も事故現場を調査し、論点を練り上げて主催した集会は、これが初めてだ。
主催者あいさつをした国労兵庫保線分会の労働者は「私たちは事故直後から国鉄分割・民営化の帰結、起こるべくして起きた事故と組合内で議論してきた。『闘いなくして安全なし』の原則に立って闘うことが必要だ」と呼びかけた。
また、国労西日本本部が「当面、利用者の気持ちを配慮して制限速度を落とし、後で制限速度を上げてもいい」と会社に申し出ている事実を弾劾し、「私たち現場組合員は、安全なき福知山線再開に反対すると西日本本部に申し入れてきた」「今日は、現場から事故原因を明らかにすると同時に、1047名の解雇撤回を訴える集会として開催する」と発言した。
基調報告を国労奈良電車区分会の労働者が行い、1047名闘争と結合し、JRとの非和解的な職場闘争に突入すると宣言した。
マスコミなどの論調は、結局は「事故の責任は労働者にある」というものであり、「労働組合は頼りにならないからJRを外から包囲する」という「市民運動主義」に流れている。だがこの集会の基調報告は、処分を恐れずJR現場から運転保安闘争に立つことを鮮明に提起した。
さらに「国労独自の事故調査委員会を立ち上げよ」という現場の声を圧殺し、JR西労組(連合)と一緒に「労使安全会議」にのめり込み、JR西日本の「安全性向上計画」に「国労の要求を盛り込んだ」と自賛する国労西日本本部と闘って、国労を再生させる決意を明らかにした。
事故現場の調査ビデオが上映された。「魔のカーブ」と言われる事故現場のカーブのきつさや、いまだに脱線防止ガードも設置されていない実態、カーブ手前の緩和曲線も実際にはもっと取れるはずだという計測結果などが示された。
職種系統別に現場のJR労働者が報告に立った。
@国労兵庫保線分会の有志は、緩和曲線が短い線路構造の問題を挙げ、カーブで車両は3点のみで支えられることとなり、速度超過すれば脱線するのは必至だと指摘した。
A国労大阪貨物分会の有志は、ATS(列車自動停止装置)を設置しても、それを解除して運転しなければ間に合わないようなダイヤ自体が問題だと訴えた。
B動労西日本の乗務員は、動力車乗務員勤務制度の度重なる改悪で、運転士が休む時間もとれない過酷な長時間勤務を強いられている実態を明らかにした。
C国労豊岡分会の有志は、JRの「日勤教育」の実態を自身の体験に基づいて報告した。
オーバーヘッドプロジェクターで地図やグラフを示し、車両の模型を使った各報告は、現場労働者らしく分かりやすいものだった。
また、鉄建公団訴訟の原告が「1047名闘争と安全闘争は一体。必ずJRに戻って安全闘争を闘う」と力強く発言した。
集会には動労千葉の田中康宏委員長からもメッセージが寄せられた。
全逓・自治労・日教組などの組合員がそれぞれ民営化との闘いを訴えた。
ハンドルとハンマーを握るJRの現場労働者の団結にこそ、運転保安闘争を闘う力がある。戦争と民営化の攻撃と闘う労働者の固い決意が示された。
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週刊『前進』(2206号6面4)(2005/07/18)
3大闘争の実践へ 解同全国連茨城県連大会 斎藤貴男氏が講演
7月3日、部落解放同盟全国連合会茨城県連合会の第14回定期大会が茨城県総和町で開かれ、茨城県連を始め関東各支部の全国連同盟員、東日本解放共闘の労働者・学生、茨城の自治体関係者ら350人が結集、成功裏にかちとられた。
初めに茨城県連の石川辰衛委員長が主催者あいさつを行った。「『法』のない時代のこれからが本物の時代。部落差別徹底糾弾で闘う。司法権力といえども差別は許さない。権力がつくりだした部落差別は今日もある。『部落問題の解決は国の責任である』と述べた同和対策審議会答申は今も生きている。『法が切れたから部落問題もない』というのは誤りだ。憲法第14条に差別は絶対にいけないと書いてある。人権尊重、部落問題解決は自治体の当然の仕事。勇気を奮い起こし、挑戦する姿勢をもとう。大会を勝利の飛躍台に」と格調高く宣言した。
来賓として、茨城県知事(代理)、茨城県教育長、総和町教育長、東日本部落解放共闘会議の山川博康事務局長、朝鮮総連茨城県本部の代表があいさつした(古河市長が紹介された)。山川事務局長は、労働者は全国連とともに狭山第3次再審闘争、戦争・差別・民営化との闘いに取り組む決意を表明した。
記念講演が二つ行われた。午前は全国連中央本部の中田潔書記長が「これからの解放運動と同和行政」と題して、午後はジャーナリストの斎藤貴男さんが「今の日本の政治と人権」と題して、講演した。
中田書記長は、全国連・寝屋川支部弾圧との闘いに完全勝利したことを報告。部落差別の激化の現実、行政による全国連支部つぶしの狙いを暴露・弾劾した。また「同和対策の人権教育・啓発への解消は、実際には部落問題の否定」と批判、「部落民の生活に貫かれている部落差別をとらえ返し、差別糾弾闘争として部落解放運動のうねりを起こそう」と力強く訴えた。
斎藤さんは「戦後60年、日本には未解決の問題が山ほどある。人権がますます侵害され、戦争と差別が日常化してきた。日米軍事一体化のもと朝鮮、中国、イラン―中東全体へ侵略戦争が広がる危機にある。資本の世界展開が侵略戦争を引き起こし、国内での差別・人権侵害を激化させている」と現状を分析し、「このような社会を止めたい」と自らの決意を語った。
次に大会議案の提案に移り、04年度経過報告を茨城県連の井橋昌夫事務局長が提案した。「3・16狭山再審棄却に直ちに反撃した。石川さんとともに第3次再審闘争を闘う。必ず勝てる」と確信を述べた。また「昨年の大会直後、『法律も3年の経過措置も終わった。差別もない。同和対策をやめる。交渉には応じない』と言ってきた県に対して8時間の追及・座り込みで対決し、謝罪、交渉、同和対策の一部延長をかちとった」と報告、差別行政糾弾闘争の意義を確認した。
05年度運動方針を高橋昭一書記長が提案した。「小泉内閣が戦争と民営化、侵略と搾取を強め、生活を破壊している。解放運動がなくなれば差別が吹き荒れる。3大闘争(差別糾弾、生活要求、労働者との共同闘争)を実践する。狭山闘争に全力で取り組む。『寝た子を起こすな』意識を突破し組織建設を」と明快に提起した。
中田支部が同住連による住宅闘争の地平を報告した。自由討論で婦人部が8月の茨城県婦人部研修会への結集、婦人部建設を訴え、杉並支部、動労水戸などが連帯を表明した。最後に、新役員を代表して石川委員長が「前進なくしては後退だ。団結して闘おう」と述べ、締めくくった。
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週刊『前進』(2206号6面5)(2005/07/18)
6・23沖縄 自衛隊の暴挙許すな
沖縄戦の司令官をたたえ 「皇軍に続く」ことを宣言
沖縄戦「慰霊の日」の6月23日早朝、陸上自衛隊那覇駐屯地の幹部や隊員ら約百人が、沖縄戦の第32軍司令官の牛島満中将らをまつった糸満市摩文仁の「黎明(れいめい)之塔」前で「慰霊祭」を行った。
同駐屯地は、「有志を募って開いた個人的な行事」としているが、君塚栄治第1混成団長を先頭に制服姿で参加し、「鎮魂のラッパ」を鳴らし、全員で黙祷をささげるという公的な行事である。早朝に行われたのは、牛島らが自決した60年前の午前5時に合わせたものだという。
この行動は、沖縄県民の4分の1にあたる15万人を虐殺し、軍民合わせて二十数万人もの命を奪った沖縄戦の現地における総責任者をたたえることで、沖縄戦と第32軍を賛美し、住民を虐殺し、集団死を強制した日本軍(皇軍)を免罪するものである。そして、今日の自衛隊が第32軍を引き継いで、再び侵略戦争に突入していくことを宣言する、断じて許すことのできない暴挙である。牛島と長勇参謀長ら第32軍の指導部は、極東軍事裁判のA級戦犯に匹敵する戦争犯罪人なのだ。
君塚は、この行事の中で「意義ある日に、意義ある時間、意義ある場所で哀悼の御霊をささげることは大切なこと」と述べ、第32軍が沖縄の防衛任務に死力を尽くしたと強調し、「いざとなれば県民のために命をささげる、同じ任務を担うわれわれが、将兵を追悼することは意義あることだ」とあいさつしたという。
●「県民防衛」のウソ
とんでもないことである。君塚ら自衛隊幹部にとっては、沖縄戦において皇軍が行ったことは、繰り返してはならない犯罪ではなく、「いざとなれば同じ任務を担う」のだと積極的に継承すべきものとされているのだ。しかも、天皇に命を「ささげた」沖縄戦の史実をゆがめて、32軍は「県民のために命をささげる」素晴らしい軍隊だったとたたえられているのだ。
沖縄戦は、天皇(天皇制)の延命のために住民を「皆殺し」にすることを作戦計画にした戦争だった。日本軍はあらゆる形で住民を総動員し、行動をともにすることを強制した。住民は米軍への肉弾突撃を強要され、方言を使うとスパイとして殺され、住居を奪われ、壕(ごう)を追い出され、食料を奪われた。
首里の司令部が陥落した時、軍は住民を道連れにして南部に撤退した。住民は軍にとって守るべき対象ではなく、米軍への盾であり、邪魔になると切り捨てられた。住民にとって無差別攻撃をしてくる米軍は恐怖だったが、それに勝るとも劣らないほど、「友軍」である日本軍を恐れた。
米軍に追いつめられた牛島は、なおも戦闘を長引かせるために、6月23日に長とともに自決した。牛島は降伏するのではなく、「各部隊は各地における生存者中の上級者これを指揮し、最後まで敢闘し悠久の大義に生くべし」との軍命を出した。降伏は許されず、米軍の捕虜になることも許されず、「玉砕」=全員死ぬことが求められたのだ。したがって、それ以後も日本軍の散発的な戦闘は続き、住民虐殺や集団死の強制も続いた。
沖縄戦の最大の教訓は、「軍隊は住民を守らない」ということ、もっと正確に言えば「帝国主義軍隊は最後は自国民をも殺す」ということである。
●小泉靖国参拝と一体
今回の事態は、第一に、小泉の靖国神社参拝の居直り、天皇のサイパン訪問、そして戦争を賛美する「つくる会」教科書検定合格など、歴史認識を根底から覆し、戦争犯罪者を免罪し称賛する動きと完全に一体の攻撃である。
第二に、自衛隊のイラク派兵が強行され、有事法制がつくられ、自衛隊の侵略軍隊化が進む中で、沖縄駐屯の自衛隊が、第32軍を引き継ぐ軍隊として登場することを宣言する実践的な意味を持っている。沖縄に関しては、米軍再編の中で、「米軍基地負担の軽減」というそれ自体ペテン的なかけ声のもとで、自衛隊の強化が図られているのである。
日帝軍隊と住民の関係は、歴史的にも今日的にも非和解的に対立している。日帝は、徹底的に沖縄に差別的犠牲を押しつけ続けるのだ。そうでなくてどうして、あの沖縄戦の悲劇を押しつけた第32軍をたたえ、継承するような言動が出てくるのか。
自衛隊慰霊祭を徹底弾劾し、自衛隊を沖縄からたたき出そう。
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