ZENSHIN 2005/07/04(No2204
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週刊『前進』(2204号1面1)(2005/07/04)
長谷川氏を都議会へ
「つくる会」教科書を絶対阻止しよう
日本共産党や市民派候補では戦争・戦争教育と全く闘えない
第一声を終え、次々に駆け寄る区民と固く手を結ぶ長谷川候補
全党の同志諸君! すべての闘う労働者のみなさん! 闘う杉並区民のみなさん! 6月24日、東京都議会議員選挙が告示された。この選挙は、「つくる会」教科書を実際に阻止できるか否かがかかった決戦である。「つくる会」教科書とは戦争攻撃である。アジアへの戦争が始まろうとしている。しかし始まってからでは遅いのだ。今闘わなかったら闘えなくなる。絶対に負けられない決戦なのだ。一切は、杉並で、戦争教科書絶対阻止を唯一掲げて闘う、都政を革新する会の長谷川ひでのり候補の当選をかちとることにかかっている。7月3日の投票日まで、他のすべてを投げうって東京・杉並に総決起しよう。6・22杉並区教育委員会包囲闘争の大高揚を引き継ぎ、発展させ、都議選の勝利で「つくる会」教科書採択阻止への巨大な展望を押し開こう。
第1章 北朝鮮・中国―アジア侵略戦争への攻撃と全力対決を
今次都議選は、全都・全国の労働者階級人民の死活のかかった決戦である。その焦点は杉並だ。ここで「つくる会」教科書絶対阻止を掲げる長谷川候補が自公民など推進派の候補を圧倒し、さらに教科書攻撃と闘わない日本共産党や「市民派」の候補をのりこえて当選をかちとるか否かに、日本の労働者階級の明日の命運がかかっている。
6月22日、ついに杉並区民の戦争教科書への激しい危機感と怒りが、せきを切って噴出し始めた。この日、「つくる会」の教科書採択に反対する杉並・親の会からの呼びかけにこたえて区役所前に駆けつけた人びとは800人に達した。右翼の暴力的な街宣車や公安警察の徘徊(はいかい)と毅然(きぜん)として対峙し、あらゆる妨害を打ち破って、戦争教育を杉並の区民・労働者人民自身の力で実際に止める闘いが開始されたのだ。杉並・親の会が呼びかけた署名はわずか1カ月半で1万1千筆を大きく超え、さらに拡大の一途をたどっている。
だが、事態は依然として激烈な攻防の真っただ中にある。ファシスト都知事・石原と教育長から筆頭副知事に昇格した横山は、都の教育を戦争教育へと全面転換させることを狙い、「つくる会」教科書の採択にかけている。都教委は「東京5割」の採択を狙って区市町村への露骨な圧力をかけ、とりわけ山田区長のいる杉並区をその最大の突破口と位置づけている。山田区長と杉並区の教育委員会は、「公正・中立」の建前をも踏みにじって「つくる会」教科書の推進団体が主催する集会を後援し、採択審議の非公開=密室採択さえほのめかしている。
区民の怒りの爆発に追いつめられながらも、なお採択強行を狙ってあがきにあがく石原・横山、山田・区教育長の納冨らに、決定的な痛打を浴びせるものは何か。それが都議選での長谷川候補の勝利である。ここが勝敗の分かれ目だ。「つくる会」教科書に反対するすべての区民がその思いを長谷川氏への投票の一点に集中し、長谷川氏を都議会に送れば、採択阻止の大展望が開かれる。長谷川氏を絶対に勝たせよう!
戦争を賛美する「つくる会」教科書を阻止する闘いは、今後の日本の階級闘争を左右する大決戦だ。教育基本法改悪阻止・改憲阻止の闘いの成否も、労働者階級への一大資本攻勢を跳ね返す闘いの成否も、その一切はこの教科書決戦にかかっている。
戦争に突入した後では遅い
今、なぜ「つくる会」の教科書がここまで焦点化したのか。それは、日本の帝国主義ブルジョアジーが世界戦争と世界大恐慌の本格的爆発を前にして、新たな15年侵略戦争の道に再び突き進むことを決め、その攻撃を実際に開始したからだ。米帝ブッシュ政権とともにイラクで開始した侵略戦争を、次には北朝鮮・中国−アジアへと拡大し、さらに世界戦争へと拡大しようとしているからだ。そのために第2次大戦後の「平和と民主主義」の諸制度と価値観を丸ごと圧殺・転覆して、侵略戦争体制をつくろうとしているからだ。
今やこの教科書攻撃は、単に「つくる会」という一部の極右勢力がしかけた攻撃ではない。中山文科相や自民党の安倍幹事長代理や日本経団連会長の奥田を筆頭に、小泉政権と日帝の中枢がこぞってしかけてきた攻撃である。その最先兵が、首都の権力を握るファシスト石原と横山であり、杉並の山田区長なのだ。
彼らは、この教科書攻撃をアジア侵略戦争と教基法改悪・改憲への最重要の突破口としている。その核心は、労働者階級の反戦意識と階級性の徹底的な解体にある。日帝は今、イラク派兵に始まる現実の侵略戦争に突入する一方、民営化と社会保障制度解体、大増税の攻撃に打って出、戦争遂行に伴うあらゆる矛盾と犠牲をすべて労働者人民に押し付けようとしている。だがそのためには、労働者の階級的意識と団結の全面解体、とりわけ左翼勢力の一掃と労働組合と労働運動の根絶・一掃が不可欠だ。
また青年を実際に戦場に動員するためにも、「戦争はよくない」「人権は大事だ」としてきた従来の価値観を根底から破壊して、侵略と戦争を逆に国家発展の原動力と描き出すファシスト思想に全社会を染め上げようとしているのだ。
まさに、この「つくる会」教科書を許すなら、学校教育は丸ごと戦争教育に塗り替えられる。そして学校が帝国主義的排外主義・愛国主義と軍国主義の最大の宣伝・扇動の場に変わる。全社会が戦争一色に塗りつぶされる。そして北朝鮮・中国−アジアへの侵略戦争が開始されるのだ。それは、労働者人民のあらゆる権利の剥奪(はくだつ)、福祉切り捨てや生活破壊とも完全に表裏一体であり、労働者階級の階級性を絶滅する攻撃そのものだ。今、全力で闘わなければもう遅い。しかし、今ここで闘えば粉砕できる。
第2章 「つくる会」教科書と真正面から闘うのは長谷川氏だけ
すでに、杉並での選挙戦は「つくる会」勢力との大激突の場となっている。6議席を12人が争う最大の激戦区であり、しかもその大多数が「つくる会」教科書推進派だ。自民党の大泉候補と早坂候補、公明党の松葉候補、民主党の田中候補と門脇候補、無所属で出馬する渡嘉敷(とかしき)、千葉、木梨の各候補は、すべて「つくる会」教科書賛成を公言するか、実際に採択推進に動いている。
中でも、渡嘉敷候補は「つくる会」が山田区長の直接の後押しを受けて立候補させた人物だ。そのほかにも、「つくる会」から巨額の選挙資金が流れている候補がいると言われている。彼らは、選挙の政策では教科書問題を背後に隠し、環境問題などをペテン的に打ち出して票をだましとろうとするファシスト特有の卑劣な手法をとっている。こんな戦争推進派の連中を断じて許すな。徹底的にたたきのめそう。
日本共産党の吉田候補、生活者ネットの堀之内候補、自治市民の福士候補は、「つくる会」教科書には反対だと言うが、都議選の場で採択阻止を本気で訴えて闘おうとはしていない。生活者ネットはそもそも石原与党であり、「つくる会」教科書を推進する都議会民主党と政策協定を結んでいる。また日本共産党と福士候補は、「つくる会」派との対決から完全に逃亡してしまっている。
日本共産党は、都議会に15人もの議員がいながら議会内で「つくる会」教科書採択阻止をまったく闘わずにいた。そのことを批判されるや、逆に杉並区民の進める署名運動への「暴力集団」といった口汚い誹謗(ひぼう)中傷を行い、警察権力と一体となってその妨害に動いている。しかも同党の不破議長は、日帝の侵略戦争を語る時に「過去と現在を区別」すべきだと言い、現在の日帝が開始しようとしている中国や北朝鮮への新たな侵略戦争を「侵略」とは認めず、公然と擁護しているのだ。安保・自衛隊を容認し、「日の丸・君が代」と天皇制を容認し、ついにはその口先とは裏腹に「戦争反対」の旗をも事実上投げ捨てようとし始めているのだ。
さらに福士候補は、今春の「日の丸・君が代」強制拒否の闘いに際して、教育労働者の人生をかけた決起に連帯しようとはせず、逆に「式次第に従うのは当然」と居直る度しがたい姿をさらけ出した。都労連傘下の教育労働者や自治体労働者の支援を受けて都議に選出されながら、労働者を苦しめる石原知事について「私は反石原ではない」などと言い、労働者階級の現実の血と汗の闘いとはまったく無縁なところに立っているのだ。そして日本共産党同様に、杉並区民の教科書闘争の署名運動への協力すら拒否している。
こうした日本共産党や福士候補の態度は、単なる闘争放棄にとどまらず、結果として「つくる会」教科書の採択に加担するものだ。日帝が新たな侵略戦争のためにファシスト勢力を総動員して襲いかかってきている時に、労働者階級の反ファシズムの巨大な統一戦線をつくりだして真っ向からの反撃に立ち上がることこそ、すべての闘う労働者の切実な要求だ。これにこたえず、自らの狭い党派的利害を守ることのみに腐心する日本共産党や福士候補に、石原・横山との対決などできるわけがない。
第3章 都議選必勝で石原・横山と山田の採択策動粉砕しよう
今回の都議選は、国政選挙に匹敵する位置をもった重大な選挙だ。ここで長谷川候補が勝利することは、全階級情勢を一変させる巨大な波及力をもつ。
小泉政権は国会の会期を8月13日まで大幅に延長し、郵政民営化法案や共謀罪導入法案を今国会でなんとしても押し通そうとしている。また「骨太方針X」を決定し、社会保障制度の全面解体と公務員労働者の大量首切りにいよいよ本格的に乗り出した。さらに6月20日の日韓首脳会談で小泉は、靖国参拝をあくまで貫くと宣言し、新たなアジア侵略戦争に日帝自身の延命をかけて突き進む意思をむきだしにしている。そして都知事・石原は、自らの独裁支配の崩壊の危機に直面してぐらぐらになりながらも、戦争攻撃の最先兵となっている。
これら一切の攻撃と対決し、切迫するアジア侵略戦争への道を阻止するものこそ、都議選での長谷川勝利だ。長谷川候補が掲げる、@「とめよう『つくる会』教科書」、A「うばうな介護と福祉」、B「石原知事に挑戦状」の訴えを、すべての闘う杉並区民と全都の労働者階級の共同の闘いに押し上げ、当選を絶対にかちとろう。
「つくる会」教科書採択絶対阻止、都議選勝利へ死力を尽くして蜂起しよう。
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週刊『前進』(2204号1面2)(2005/07/04)
都議選 “戦争教科書を阻む” 長谷川候補 必勝へ第一声
「私を当選させ、『つくる会』教科書の採択を阻みましょう」と訴える長谷川候補(6月24日 荻窪)
6月24日、都議会議員選挙が告示され、都政を革新する会の長谷川ひでのり候補は第一番で受付を済ませ、荻窪駅北口の事務所前で出陣式を行った後、荻窪駅北口で元気に第一声を上げた。「つくる会」教科書採択阻止、石原打倒をかけた重大な決戦の10日間の選挙戦が火ぶたを切ったのである。
荻窪駅前を埋めた区民を前に長谷川候補はまず、「二つの大きな約束をします」と街頭演説を始めた。「石原知事は『つくる会』教科書を全国の中学生の子どもたちに使わせようとしています。その焦点が杉並区です。『つくる会』教科書の持ち込みを打ち破っていくために、この選挙戦でなんとしても勝利したい」と訴えた。
二つ目に、「石原都政はこの6年間、民営化、福祉の切り捨てをしゃにむに進めてきた。長谷川は石原知事の福祉切り捨てを絶対に許しません」と誓った。
「石原知事は中国との戦争を唱え、中国の船を撃沈しろとか、巡航ミサイルで北京を攻撃しろとあおっている。この石原知事の考え方を教科書にしたものが『つくる会』教科書なんです。石原知事が進める最大最悪の政策を問題にしない都議会議員選挙はありえない。私を除く11人の候補は失格だ」と弾劾した。
特に日本共産党の吉田候補が都革新や杉並・親の会を誹謗(ひぼう)中傷していることに対して、「本当につくる会教科書に反対しようと思っているのか」とその裏切りを暴いた。
さらに、「つくる会教科書反対」を一言も言わない福士候補についても厳しく批判し、「『つくる会』教科書を阻止するためにも、今度の都議選でぜひ勝利させて下さい」と支持を熱く訴えた。
これに先立って、荻窪駅北口の事務所前には朝早くから支持者が詰めかけ、選挙戦のスタートを待った。三里塚芝山連合空港反対同盟の鈴木幸司さんと市東孝雄さん、北富士忍草母の会の天野美恵事務局長が駆けつけた。動労千葉の田中康宏委員長、関西から部落解放同盟全国連合会の中田潔書記長も姿を見せた。
9時前から事務所前で出陣式が行われ、最初に都政を革新する会後援会長の実方精一さんが「いよいよ始まります。10日間ですが、皆さんの心に勝利を誓って1分1秒も休まず、勝利をかちとるために頑張っていきたい」とあいさつした。
三里塚の鈴木幸司さんは、「都議会議員選挙はどんなことをしても私たちの代表である長谷川さんを当選させていただきたい」と語った。天野さんは、「長谷川さんは、北富士の演習場を撤去して杉並の子どもたちの遊び場にしようと訴えてくれた。なんとしても長谷川さんを勝たせたい」と奮起を呼びかけた。
動労千葉の田中委員長は、「歴史を振り返って、なんであんな戦争に入ったのかと考えてきた。今止めなかったら戦争になってしまう。あんな教科書を通してしまったら、石原をのさばらせていたら戦争になってしまう。長谷川さんが勝つということは私たち全員の未来をつかみ取るということです」と語った。
解同全国連の中田書記長は、「石原知事の言いたい放題の暴言は本当に許せない。人権感覚を持たない本当にひどい知事だ。なんとしても長谷川さんに勝っていただいて、戦争の流れをくい止めていく力を杉並からつくり出していただきたい」と呼びかけた。
介護と福祉を要求する杉並住民の会代表の八木ケ谷妙子さんは、「国会には政治がありません。住民を安心させるのが政治。私は高齢者として強い責任を感じます。長谷川さんも強い責任を感じ、その責任において断固主張します。私たち住民の会は長谷川さんを全面的に支持します」と語った。また住民の会会員の女性は、「石原都政はほころびている。辞めさせなければならない人を副知事にするなんて常識では考えられない。みんなで応援して長谷川さんを都議会に送りましょう」と訴えた。
万雷の拍手を受けて出陣のあいさつに立った長谷川候補は、「今度の都議選の最大の争点は、『つくる会』教科書の採択をこの杉並で阻止し、戦争への道を阻むことです。それから高齢者自身の力で介護と福祉を守り、奪い返していくこと。皆さんの力でこの長谷川を都議会に送り出して下さい。その力で『つくる会』教科書を阻みましょう」と熱烈に訴えた。
7月3日の投票日までの10日間、長谷川氏の当選を何としてもかちとるために全力を振り絞って闘おう。
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週刊『前進』(2204号2面1)(2005/07/04)
「つくる会」教科書 杉並から採択阻止のうねり
6・22 “戦争教科書は使わせない” 保護者ら800人区教委に迫る
区役所前で大集会
「『つくる会』教科書を採択するな!」。杉並区教育委員会が開催された6月22日、延べ800人の労働者・市民が杉並区役所前に駆けつけた。この日までに集まった「つくる会」教科書採択に反対する署名は1万1594筆。「つくる会」の野望を打ち砕く大きなうねりが始まった。(本紙・上原祐希)
朝から降り続く強い雨にも負けず、正午前には区役所前の広場が人垣で埋めつくされた。区役所前にはなんと右翼の街宣車が陣取ってがなり立てていた。それを口実に警察車両も介入を狙って陣取っていた。だが、そんなものに負ける人は誰もいない。子どもを持つ親たち、戦争を体験した高齢者、教育労働者を始めさまざまな産別の労働者、沖縄出身者、「障害者」、あらゆる人びとが集まった。この日のために遠く東北地方や近畿地方から駆けつけた人もいる。これほど多くの人びとが「つくる会」教科書採択に心の底から危機意識を燃やし、思いをひとつにして集まったのだ。職場や地域で集めた署名を持って駆けつけた人も多く、現場で署名数がさらに増えていく。
正午、沖縄の三線(サンシン)の演奏が始まった。「つくる会」教科書反対を訴える歌を歌う青年たち。区役所前集会が始まり、区内で署名を集めてきた区民が「『つくる会』教科書の採択に反対する署名が昨日までに1万1000筆を超えました」と報告すると、大きな拍手がわいた。
区役所前では、次から次へとマイクを持って「つくる会」教科書絶対反対の思いを訴える真剣な発言が続いた(別掲)。都内各地や他県で「つくる会」教科書に反対する運動体も駆けつけて発言した。韓国・民主労総ソウル地域本部からは「日本の良心的市民や親たちが右翼の歴史教科書歪曲策動を阻止しようと努力していることは、希望のメッセージです」という連帯メッセージが寄せられた。
8月上旬の教科書採択まで、これから1カ月が正念場である。「つくる会」教科書採択阻止へ、さらに大きな力をつくり出そう。
教科書問題に触れず 区教委
午後2時から開催された区教委には教科書問題に注目する区民が多数駆けつけ、傍聴は抽選になった。「傍聴席が20席だけとは少なすぎる」という声が区教委に多く寄せられている。にもかかわらず区教委は傍聴席を増やすことをかたくなに拒んでいる。
この日の区教委では、教科書採択をめぐる論議は何ひとつされなかった。すでに杉並区では教科書調査委員会・種目別調査部会の調査が進められているが、調査委員の名前すら明らかにせず、秘密裏に教科書採択を進めようとする区教委に、ますます怒りが高まった。
次回教育委員会は7月13日(水)、次々回は7月27日(水)、いずれも14時より。駆けつけよう。
子どもを戦場に送るな 発言から
◇区内で署名活動を行う女性 区教委は「つくる会」教科書を採択させるための「チャンネル桜」の集会を後援しています。こんなことを許さないためにも今日、区教委に申し入れをします。憲法も教育基本法も無視してつくられた「つくる会」教科書を採択させるわけにはいきません。
◇女性 原水爆禁止運動の発祥の地・杉並で「つくる会」教科書を採択させるわけにはいきません。
◇沖縄出身のおばあ 沖縄戦を経験した私は、なんとしても「つくる会」教科書を許せない。13歳・14歳のあどけない顔をした少年までが、米軍に体当たりして命を捨てていったんです。絶対に戦争は起こしてはいけません。
◇元高校教員 教育現場では今、教育委員会が授業内容まで点検しにきて、教員が教科書を教えなければ大変なことになる。この教科書は、侵略することに違和感も感じない子どもたちをつくるもの。山田区長は戦争を体験した人たちの痛みを知るべきです。
◇女性 「21世紀こそ戦争のない世紀に」と願っていたが、杉並で「つくる会」教科書が採択されようとしていると知って、夢を打ち砕かれた気持ちだった。しかしこれだけ多くの人が「つくる会」教科書に反対しているのを見て、希望をつなぐことができました。
◇杉並区議・新城節子さん
山田区長と区教委は議会にも何ひとつ報告せずに教科書採択制度を改悪した。日本軍軍隊慰安婦問題に続いて、次は沖縄戦の集団自死の歴史を抹殺しようとしている。明日は沖縄の慰霊の日。採択を阻むため、頑張りましょう。
◇高齢者 敗戦時、「民主主義」という言葉も知らなかった私たちが、日本国憲法を得て「平和国家をつくっていこう」と希望を持ちました。その憲法9条が今、危ない。歴史の曲がり角です。ヒロシマもナガサキもオキナワも消し去った教科書は認められません。
◇動労千葉特別執行委員・滝口誠さん 労働組合として、「つくる会」教科書を阻むために頑張りたい。JR尼崎事故をくり返させないため、動労千葉は安全運転行動を闘っています。
◇大学生 この建物の中の小さな部屋で勝手に決めた教科書で教えられるなんておかしい。山田区長は「マイバッグ」で環境派を装っているが、戦争こそ最大の環境破壊です。
◇中学生の母親 この運動に出合って、自分もこの教科書を止める力になれると思いました。私は子どもに恥じない行動をとりたい。みんなが「つくる会」の教科書を読んで、反対の声をあげてほしい。
◇沖縄出身の青年 沖縄では教育によって、親が子どもののど元を切り裂く事態まで行き着いた。「つくる会」教科書が使われるようなことになったら、沖縄戦がくり返されてしまう。
◇神奈川の女性 私は教育によって、「日本は神の国だから、神風が吹いて必ず勝つ」と信じて疑わない「皇国少女」に育った。一生のうち二度も侵略戦争をやるわけにはいきません。
◇「日の丸・君が代」被処分者 学校現場の声を一切反映しない教科書を使わせるわけにはいかない。体を張ってでも「つくる会」教科書を阻止しなければ、生徒・子どもが戦争に送られてしまう。闘う者、労働者こそが多数派。歴史の逆コースを阻止しよう。
◇動労水戸書記長・木村郁夫さん 労働者に今かけられている攻撃は、「つくる会」教科書攻撃と根がひとつ。労働者を戦争に動員するためであり、次世代の労働者である子どもたちに「戦争は正しい」と教育するため。絶対に阻みたい。
◇赤ちゃんを抱いた母親
昨日、展示会で教科書を見比べてきた。この教科書を子どもが見たら「戦争は悪いことだ」と思わない。
◇部落解放同盟全国連合会杉並支部 戦争と差別をあおる「つくる会」教科書は許せません。杉並区民のみなさんに訴えて、多くの署名をいただきました。ともに頑張りましょう。
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週刊『前進』(2204号2面2)(2005/07/04)
1万1千超の反対署名提出 区教委申し入れ
区教委の終了後、「つくる会」の教科書採択に反対する杉並・親の会が、区教委に第2次署名提出行動を行った。この日提出したのは、5月25日の第1次提出行動以降1カ月足らずで集まった9311筆分で、合わせて1万1594筆となった。手弁当で1筆1筆集めた署名が1万を突破したことで、「杉並で『つくる会』の教科書を採択させない!」という気運が確実に高まっていることを区教委に示した。親の会は、採択までにさらに2万、3万の署名を呼びかけている。
同会は「区教委はチャンネル桜集会の後援の撤回を」「違法行為をくり返す教科書を採択するな」「区教委審議の傍聴枠の拡大」「改悪された採択要綱の撤回」なども申し入れた。
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週刊『前進』(2204号2面3)(2005/07/04)
阿佐ヶ谷駅前で訴え 長谷川氏が戦争教育弾劾
杉並区役所前で大行動が行われた22日の夕刻、JR阿佐ケ谷駅前で都政を革新する会が駅頭宣伝を行った。大高揚した区役所前行動の様子を伝える、刷り上がったばかりのニュース速報版をまき、区民に闘いの息吹を伝えた。また、「つくる会」教科書の採択に反対する署名活動を行った。
マイクを握った都革新の長谷川英憲代表は、区役所前行動が大高揚したことを報告し、採択絶対阻止まで区民とともに闘う決意を表明した。そして戦争教育を進めるファシスト石原都政と山田杉並区政・区教委を弾劾し、これとの対決を区民に呼びかけた。
長谷川氏はさらに、日本共産党などが区民の自主的自己解放的決起を恐れ、警察とまったく同じ「反過激派」デマ・キャンペーンを流して教科書闘争を妨害していることを怒りを込めて弾劾した。そして、「都議選で『つくる会』教科書絶対阻止の意志を示そう」と呼びかけた。
長谷川氏の支持者もたくさん通りかかる。演説に聴き入っていた男性が長谷川氏とがっちり握手し、「都議選で頑張ってください」と激励した。
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週刊『前進』(2204号2面4)(2005/07/04)
都教委の策動許すな 教科書調査研究資料 扶桑社版採択へ誘導
東京都教育委員会は、今夏の中学校教科書採択で使う「調査研究資料」を6月9日の都教委で了承し、各市区町村に送付した。
これは教科ごとに各社の教科書の内容を学習指導要領と「都教委の教育目標」(2001年改定、これ自体が反動的なもの)に沿って比較したものだ。
これに基づいて昨年度の小学校用教科書採択から「北朝鮮による拉致問題の扱い」「神話や伝承を知り、日本の文化や伝統に関心を持たせる資料」「性差に関する表現」を調査項目に加え、今回さらに「わが国の領域をめぐる問題の扱い」を加えて比較した。
一見して明らかなように、これは戦争賛美の「つくる会教科書」(扶桑社版)の歴史・公民教科書の採択を、市区町村教育委に迫る強い圧力だ。たとえば、「歴史」教科書の調査結果では、都教委は次のようにコメントしている。
「『歴史上の人物を取り上げている個所数』については、扶桑社が447と最も多く、日新(日本書籍新社)が294、教出(教育出版)が283と続いている」
「『文化遺産を取り上げている個所数』については、扶桑社が484と最も多く、東書(東京書籍)が423、帝国(帝国書院)が392と続いている」
このように、露骨に扶桑社版を「バランスのとれた優れた教科書」として印象づけるようなコメントがつけられているのだ。
では扶桑社版が取り上げている「歴史上の人物」とはどんな人物かと見れば、驚くべきことに「日本武尊、イザナギ命、イザナミ命、天照大神、スサノオノ命……」など神話上の人物が「国家社会の発展に尽くした人物」として数えられ、扶桑社版のポイントにされているのだ。
また、「公民」教科書の調査結果では「自由・権利について記述してある個所数」を比較しているが、扶桑社版がなんと8社中の2番目にランクされている。これには、他社の教科書にはなく扶桑社版のみに登場する「統治権」や「集団的自衛権」「法律範囲内の権利・自由」「遵法(じゅんぽう)」なども含まれる。これは詐欺的な手口である。一事が万事この調子だ。このどこが「厳正かつ客観的な調査研究」か!
「つくる会」派は、「横山教育長の働きにより、東京都では、約半分は採択可能」などと公言している。教育委員会の独断と偏見による採択を可能にした杉並区の動きとあわせて、事態は重大である。一切は大衆的闘いの爆発にかかっている。都議選に勝利し、その力で、教科書決戦の天王山=杉並区での採択を阻止しよう。
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週刊『前進』(2204号2面5)(2005/07/04)
長谷川さんを応援します 全国・杉並の支持の声
「石原知事に挑戦状」を真っ向から掲げて東京都議選に立候補し、全力で闘う長谷川英憲氏に全都全国から激励と支持の声が寄せられています。都政を革新する会のホームページから抜粋して紹介します。(編集局)
●人間性がすばらしい
ひでのりさんは、やさしさときびしさをあわせもった人。誠実で人間性がすばらしい。世の中を良くしてくれるなら何党でもいい。ひでのりさんを信じたいし、信じられる方だと思う。だから応援したい。
(60代女性)
●都議会に必要な人
生まれて81年、東京の真ん中で恐ろしい空襲を経験したのに、いつの間にかその恐ろしさも忘れ、戦争のこと、政治のこと等、ほとんど考えない年月を過ごして来てしまった。
介護保険というものができることになり、その勉強をしようと思ったのは、自分がその年齢になったのと、母親の介護で色々な事にぶつかったことがあります。その時に私を導いて下さったのが住民の会であり、長谷川さんでした。皆様にまじって、お話を聞いて居りますうちに私の老いた頭の中に新しい風が吹いて来ました。
乱れに乱れている都議会になんとしても必要な方です。(80代女性)
●「人間交際の最高の奥の手は誠実」
私の好きな言葉に「人間交際の最高の奥の手は誠実である」という言葉があります。
私は政治のことはよくわかりませんが、長谷川さんを支持しているのは、長谷川さんに誠実を感じるからです。けしばさんからも、新城さんからも、北島さんからも、同じことを感じます。だから私は都革新を支持している。
恩師の家永三郎先生から言われたことですが、「勝ち負けは、さもあらばあれ。魂の自由を求め、われは闘う」と。魂の自由は敗れたことはありません。表面の選挙のことはわかりませんが、戦争中でも魂の自由を守りぬいた人はたくさんいます。私はその一人として生きぬきたいと思っています。(80代男性 元都立高校教育労働者)
●中学生にできることは?
現役の中学生です。今日チラシをもらいました。祖父は戦争経験者で、僕も戦争はいけないものだと思い、これでは中国の人がデモをするのもわかるような気がします。
何か僕たち中学生にできる事はありませんか?
●中国人ですが、応援しています
私は東京在住の中国人です、4月9日の北京の大デモの時、ちょうど帰省で出くわしました。日本車や日系の看板をこわしているのを見て、正直やりすぎだなと思いました。さっそく東京の妻に電話し、中国人としてわびの意を伝えました。(妻は日本人)
日本に帰ってきてから、テレビの番組を拝見していると、もう中国バッシング一色です。中国の反日教育のせいだとか、共産党政権の基盤固めだとか、そういう評論ばかり目にします。
たしかに当たっているところもありますが、根本的なところに全然ふれません。私は昔、中国にいた時、中国人民も日本国民もみな被害者で、悪いのは旧日本軍部の軍国主義だと教えられてきた。今の日本、日本人を敵視する教育はまったく行っていません。むしろ変わったのは、日本政府の右翼化だと思います。近年の日本の右翼政治家たちのたび重なる蠢(うごめ)きによって、中国民衆の日本を見る目が変わったのです。
このかん東高円寺駅前で一枚のビラをもらい、読んでビックリしました。まさかこの日本にこんな考えがあるとは思いませんでした。共産党や社民党のような政治団体が衰退している中、れっきとした新風がまた出てきたのに慰めを感じたのです。皆さん、がんばってください!
●杉並が焦点になっているとは!
長谷川さんて、あの『石原知事に挑戦状』の人ですね。石原知事が戦争とか差別とかとんでもないことを言いたい放題言っているのに、反対派の人でも「石原都政には面白いところもある」とか「是々非々」なんて言っているので、久しぶりにスカッとしました。
つくる会教科書なんか通ったら大変。でも杉並が焦点になっていることは知りませんでした。長谷川さんの主張をもっと聞いてみたいと思います。(報道カメラマン、30代男性)
●東京大空襲で空が真っ赤
戦争中、私は千葉に住んでいたんですけど、東京大空襲(1945年3月10日)のとき東京の空が真っ赤になったのを覚えています。
小泉さんは靖国神社なんかに行っちゃいけません。戦争は絶対にするべきじゃありません。
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週刊『前進』(2204号2面6)(2005/07/04)
杉並区の知人・友人に長谷川支持を訴えよう
都議会議員選挙は6月24日に告示され、7月3日投票に向け、あと1週間足らずの激戦に突入しました。杉並区は6議席を12人の有力候補が争う、都内でも有数の大激戦区となっています。子どもたちを戦争に駆り立てる「つくる会」教科書の採択を阻止できるかどうかは、この都議選にかかっています。「つくる会」教科書と真っ向から闘う「都政を革新する会」代表・長谷川英憲氏の当選をなんとしてもかちとろう。
●ホームページに連日1000から2000のアクセス
都政を革新する会ホームページ(HP)へのアクセスが連日1000を超え、時には2000にも達するという大変な情勢がつくり出されています。メールで応援を約束する区民が次々と現れ、またそこから支援の輪が広がっています。
6月7日から13日で見ると、アクセスランキングのダントツ第1位は「教科書まんがビラ」。第2位は教科書リーフと続き、「つくる会」教科書採択の攻撃と闘う都革新に関心と期待が高まっています。
●爆発的に拡大する区民自身の自主的な決起
また、杉並の各地域の区民が、自分自身の応援の言葉を載せた自分自身のビラをつくり、それを数枚〜100枚の単位で身近な友人・知人・職場の同僚に配り、支持を拡大する画期的な闘いが起こっています。これまでにない規模で自主的・自発的な区民の決起が広がり、支持の声が寄せられています。爆発的と言っていいほどです。
いくつか紹介すると――
「教育自身がだんだん戦前に戻っていくような気がする。二度と戦争はしたくない。本当に人間らしい生活をやっていきたい。長谷川さんがそれを代弁している」「高齢者のために全力投球で闘ってくれる人です」「ひでのりさんは、やさしさときびしさをあわせもった人。誠実で人間性がすばらしい」「乱れに乱れている都議会になんとしても必要な方です。私の生きている間の最後の一大事と考えます。全身全霊を込めて皆様に推薦いたします」
実に感動的です。これは、まさに都革新の選挙戦と住民大衆自身の選挙戦が両輪となって勝利に向けて驀進(ばくしん)する本格的な選挙戦の姿です。
●勝利的情勢を現実の勝利へ、職場と地域でのオルグを
しかし、これを現実の勝利にまでもっていくには、まだまだ膨大な活動を展開しなければなりません。既成大政党の厚い壁を打ち破るのはきわめて大変なことなのです。そのために必要なことは何か。
(1)同志・支持者・読者の皆さんが全国から杉並に駆けつけ、ともに選挙戦を担ってください。今、ファシスト「つくる会」教科書派ばかりか、日本共産党の大反動との激突情勢になっています。なすべき仕事は山ほどあります。一刻も早く杉並に駆けつけ、特に駅頭での宣伝戦に加わってください。
(2)毎日、都革新のHPを見て、杉並情勢にキャッチアップしてください。都革新HPは今や革命派の日刊紙であり革命的放送局です。行動方針も次々と打ち出されています。
(3)杉並在住の友人・知人・親類に都革新HPを見るように勧めてください。会って話をし、電話をかけ、手紙を書き、長谷川氏への支持を訴えてください。つながりのある人からの働きかけは非常に有効です。支持を約束してくれた方には、支持の拡大を訴えてください。
(4)職場の仲間にも話してください。選挙区に居住する人でなくても、その友人、知人に選挙区の人はいます。職場の中には無限の力があります。闘う候補の勝利の重要性を訴えて、その人に声をかけてもらってください。
これから投票日までの闘いに一切がかかっています。やれることはなんでもやりきろう。そして必ず勝利しよう。
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週刊『前進』(2204号3面1)(2005/07/04)
アジア侵略戦争が始まる。今 闘おう
戦争賛美と「皇国史観」の「つくる会」教科書阻止を
侵略戦争体制づくりの大攻撃
「つくる会」教科書は労働者階級人民と革共同に突きつけられた反革命の刃(やいば)である。北朝鮮・中国―アジアへの侵略戦争、侵略戦争体制づくりのために、教育と社会全体を一変させ、労働運動、学生運動、反戦運動など一切の階級闘争を一掃する攻撃である。これは今や「つくる会」という一部ファシスト勢力のみの動きではなく、日帝ブルジョアジーと政府・文科省の全体制をかけた攻撃としてある。この事態の「恐ろしさ」に腹の底から戦慄(せんりつ)しなければならない。都議選決戦の圧倒的な軸に据えきり、杉並を先頭に「つくる会」教科書採択を絶対阻止しよう。
起きてからでは遅い
東京・杉並を始め全国の中学校で「つくる会」の歴史・公民教科書が来年から使われかねないという情勢がもう目の前に来ている。この教科書が採択されれば、実際の改憲攻撃を飛び越えて、一気に「改憲後」の情勢に突入するのだ。
「つくる会」教科書が戦争を賛美・肯定するのは、ガイドライン―有事法制(国民保護法)―イラク参戦に続いて、日帝が日米枢軸のもと本格的に北朝鮮・中国―アジアへの侵略戦争を開始しようとしているからだ。米帝と共同してすでにイラクで始めていることを、北朝鮮・中国に対してやろうとしているからだ。「つくる会」教科書とは侵略戦争であり、再び「侵略戦争のできる国家」「侵略戦争のできる国民」をつくる攻撃なのだ。
現実に日帝が北朝鮮・中国―アジア侵略戦争を開始してからでは、決定的に遅い。今ここで闘って「つくる会」教科書の採択を阻止しなければ、もう闘えなくなる。戦争賛美のこんな教科書で教育が行われたら、労働運動も学生運動も反戦闘争も、一切の階級闘争が一掃されてしまう。かつて日本の労働者階級人民は、このことを嫌というほど体験した。本当に戦争が始まってからでは決定的に遅いのだ。
今ここで、都議選決戦の最大テーマとして全力で闘おう。採択を絶対阻止し、戦争教育にストップをかけよう。子どもたちを再び戦場に送り出す攻撃をくい止めよう。この闘いのために、「つくる会」教科書とは何か、あらためて総括的に暴露してみたい。
戦争肯定へ転換狙う
「つくる会」教科書は第一に、何よりも戦争賛美・戦争肯定の教科書である。かつての戦争の歴史を反省し「二度と過ちは繰り返さない」とする立場を「自虐史観」と攻撃し、戦争肯定に全面的に転換させようとする教科書である。
そのために日清・日露戦争以来の侵略戦争、帝国主義戦争をすべて「自存自衛」の戦争と正当化し、「アジア解放」「独立」のための戦争だったと美化するのだ。
例えば、日露戦争は、双方が朝鮮と中国東北部の支配をめぐって激突した史上初の帝国主義間戦争である。それを「日本の生き残りをかけた戦争だった。……有色人種の国日本が、当時、世界最大の陸軍大国だった白人帝国ロシアに勝ったことは、植民地にされていた民族に、独立への希望をあたえた」と美化する。しかし日本がその5年後には韓国を併合し、植民地化したことへの一片の反省もない。また日本海海戦を「世界の海戦史に残る驚異的な勝利」と絶賛し、日本の「砲撃の命中率」や「高性能火薬」の威力がいかに素晴らしかったかを手放しで称賛する。
さらに2000万人のアジア人民虐殺へと帰結した太平洋戦争について、それを「大東亜戦争」と肯定し、「日本の緒戦の勝利はめざましかった」「日本軍はとぼしい武器・弾薬で苦しい戦いを強いられたが、日本の将兵は敢闘精神を発揮してよく戦った」、日本の行動は「アジアの人々を奮い立たせた」「日本を解放軍としてむかえた」などと美化し、正当化する。居直り強盗よりもひどい歴史の歪曲だ。
しかし他方で、南京大虐殺や日本軍軍隊慰安婦などとてつもない戦争犯罪の史実は、徹底的に抹殺される。また日帝の敗北・破滅の史実にかかわる沖縄戦、広島・長崎の原爆、東京大空襲などについても、ほとんど消し去っている。
歴史から科学的規定を追放
「つくる会」教科書は第二に、「万世一系」の天皇中心史観の教科書である。事実上「皇国史観」の教科書の復活ということだ。
この教科書では歴史は科学ではなく、「過去のできごと」を知ることでもない。「過去の人がどう考え、どう悩み、問題をどう乗り越えてきたか」、その「先祖が生きた歴史」を学ぶことである。しかし、この「過去の人」とは労働者や農民、つまり民衆ではなく、その時代の支配階級のことだ。支配階級がどう考え、行動し、自己を合理化したか、それを学ぶことが「歴史」とされるのだ。
今回の05年版からは、01年版にはあった「封建制度」「資本主義」という時代規定も追放された。それに替わり「天皇の地位は皇室の血すじにもとづいて、代々受けつがれた」「政治の実力者は時代によってかわったが、天皇にとってかわった者はいなかった。日本では、革命や王朝交代はおこらなかった」という記述が登場した。
歴史から科学的規定を追放し、「過去のできごと」=史実も抹殺し、「つくる会」以外の教科書にはあるアジア史・世界史との結合を排除して、「日本の歴史」に特化した揚げ句、残るのは何か。戦前の「皇国史観」に等しい「万世一系」のデマゴギーに基づく天皇中心史観である。あるいは社会や国家を階級対立・階級闘争とは無縁の生命有機体のようにとらえ、「戦争こそは社会の原理」(石原)とする社会ダーウィニズムの世界である。
「つくる会」会長で公民教科書の執筆者である八木秀次の「生命の連続性を自覚」し「時間の縦軸を理解する哲学」なるものも、石原の「不滅な先祖の喜びなり満足」が「私を経て子孫たちに及」ぶ「垂直の情念」なるものも、その本質は「先祖の歴史を学ぶ」という「つくる会」のイデオロギーだ。究極的には「万世一系」の天皇中心史観にほかならない。
階級闘争の歴史抹殺
「つくる会」教科書は第三に、階級対立と階級闘争の存在を否定し抹殺する教科書である。「封建制度」と「資本主義」という社会科学的規定を追放したのも、それを認めたら領主と農奴、資本家と労働者という根本的な階級対立の社会を想定しなければならなくなるからだ。
「つくる会」教科書には労働者や農民、民衆というものが基本的に登場しない。存在するのは支配階級と歴史上の英雄であり、彼らがどう考え、行動したかだけである。
そして例えば、後期の再編的封建制社会である徳川幕藩体制(江戸時代)について、「平和で安定した社会」と、理想郷ででもあったかのように描き上げる。しかし実際は、領主と農奴という基本的階級関係の上に、農民や町人への過酷な身分制度・差別制度と搾取・収奪が行われ、不断に農民一揆や都市での打ち壊しが激発した階級社会であったのだ。
さらに、第2次大戦後の戦後革命期は、労働者階級のかつてない闘いが爆発し、2・1ゼネストへとデモやストや生産管理闘争が高揚した階級的激動の一時期だった。しかしそれに関する記述は1行もない。あるのはなんと、日本国憲法がGHQによって押しつけられ、日本政府はそれを拒否したら天皇の地位が脅かされる恐れがあるので「やむをえず受け入れた」ということだけなのだ。
この「つくる会」教科書に貫かれているのは階級対立・階級闘争の存在の否定と抹殺であり、マルクス主義・共産主義への憎悪、プロレタリア革命の現実性への恐怖である。
「公」への忠誠と献身
「つくる会」教科書は第四に、「公」(おおやけ)=天皇や国家への忠誠と献身を要求する教科書だ。これは歴史・公民両分野を貫く形でとりわけ強調されている。
歴史教科書に新設された「武士道と忠義の観念」なるコラムでは、「公の利益のために働く」「忠義の観念」がいかに日本史において重要かを強調する。「全国の武士は、究極的には天皇に仕える立場だった」などという非科学的なデマゴギーで、天皇への「忠義」と献身を要求している。伊藤博文の「人物コラム」では「国家を思う心」が伊藤の活躍を支えたと賛美している。しかしこの国家とは天皇制絶対主義と天皇制ボナパルティズムの強権的階級国家そのものだったのである。
要するに「つくる会」教科書が狙っているのは、「公」のために献身する人間づくり、「お国のために命を投げ出しても構わない日本人を生み出す。……これに尽きる」(西村真悟)ということである。これはまさに究極の戦争動員の攻撃だ。
改憲のための教科書
「つくる会」教科書は第五に、教育基本法改悪・改憲のための教科書だ。
歴史では「大日本帝国は万世一系の天皇これを統治す」(第1条)、「天皇は神聖にして侵すべからず」(第3条)で始まる大日本帝国憲法を、「聞きしにまさる良憲法」「実に称賛すべき憲法」と絶賛する一方、現行の日本国憲法は改正が必要な“押しつけ憲法”としてしか位置づけられていない。
公民では「憲法改正」の項を新たに設け、各国の憲法改正の回数表を掲載し、「憲法は時代の流れに合わせて改正すべきだという意見もしだいに大きくなっている」と露骨に改憲を誘導。各国憲法に記された「国防の義務」の規定を強調する。「世界中で活躍する日本人」と称してグラビアで自衛隊PKO派兵の写真を3枚も使い、日本周辺での「緊張関係」なるものとして領土問題、拉致問題、北朝鮮の「テポドン」や「工作船」の問題などを、グラビアその他で繰り返し強調し、排外主義と戦争を扇動している。
さらに教基法改悪に盛り込もうとしている日本の「伝統文化」に対応して、「わが国のこころと伝統」と銘うち多数のグラビア写真を掲載し、課題学習を設けている。まさに「つくる会」教科書こそ、子どもたちを教基法改悪と改憲に誘導する教科書なのだ。
来年からこんな教科書で中学生が教育されたら、数年後にはどんな社会、政治状況が生み出されるのか。「戦争のできる国家」「戦争のできる国民」へと情勢が一変し、すべての階級闘争は圧殺・一掃されてしまう。北朝鮮・中国―アジアへの戦争が始まるのだ。この事態に心から怒り、戦慄しなければならない。
残る1週間、「つくる会」教科書採択絶対阻止・都議選決戦勝利・長谷川氏当選へ、全党・全人民は死力を尽くして闘おう。
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週刊『前進』(2204号3面2)(2005/07/04)
採択阻止へ闘わぬ日共と福士派
「つくる会」教科書採択阻止は今次都議選の最大の争点だ。都政を革新する会の長谷川ひでのり候補は、「つくる会」教科書への絶対反対を当初から一貫して掲げて猛然とこの選挙戦を闘いぬいてきた。だが日本共産党の吉田信夫候補や「自治市民93」の福士敬子候補は、この闘いに合流するどころか、逆に杉並区民の「つくる会」教科書反対署名運動の妨害に終始している。そもそも彼らは戦争と改憲に本気で反対しているのか。あらためてその問題点を検証してみよう。
「過去と現在は違う」と日帝の侵略を擁護する不破議長
日本共産党は本紙前号で批判したように、都議会に15人もの議員がいながら教科書攻撃との闘いをまったく放棄してきた。石原・横山によるファシズム都政のもとで東京が「つくる会」教科書との最大の激突点となり、とりわけ杉並区がその焦点となっている中で、共産党が教科書問題に言及し始めたのはやっと6月中旬になってからである。
だがその中身は、杉並区民がやむにやまれぬ思いで開始した「つくる会」教科書採択反対の署名運動を「暴力集団」などと中傷し、その妨害を露骨に叫ぶものだった。これにはさすがに多くの区民から、「これでは『つくる会』が喜ぶだけではないか。共産党はいったいどっちの側に立っているのだ!」という怒りと弾劾の声が上がった。
これに対して日本共産党・吉田信夫候補は、告示直前になってようやく「つくる会」教科書に反対するビラを初めて出してきた。しかしそこに取り上げられているのは歴史教科書だけで、公民教科書への批判は一言もない。採択阻止への具体的方針はひとつもなく、逆に署名運動への敵対と都革新への悪罵(あくば)をますます声高に叫んでいる。
「採択阻止」をなぜ言わない
しかも、そこで吉田候補と日本共産党が述べているのは、多くの労働者人民の「つくる会」教科書絶対阻止の思いとはおよそ似て非なるものだ。
吉田候補のビラは、歴史教科書問題についての日本共産党の見解として、5月12日に行われた不破哲三議長の講演を「ぜひお読みください」と書いている。この不破講演は、「日本外交のゆきづまりをどう打開するか――戦争終結60周年 アジア諸国との最近の関係をめぐって」と題して行われた。そこで不破は、日帝の侵略戦争と植民地支配の歴史を振り返り、小泉首相の靖国参拝や「つくる会」の歴史教科書がこれを居直り、美化していると批判している。だがよく見ると、それは今の日帝が進めようとしている北朝鮮・中国への新たな侵略戦争に正面から反対するものではない。
第一に、不破は「つくる会」の歴史教科書を批判しながら、その採択を阻止しようとは一言も言わない。不破と日本共産党中央は、小泉や石原や「つくる会」の思想を「靖国史観」として問題にするが、それはあくまで過去の歴史認識の話でしかない。
だが、なぜ小泉が靖国参拝に固執するのか。石原や都教委がなぜ「日の丸・君が代」を強制し、次には戦争賛美の教科書を学校に持ち込もうとしているのか。すべては、まさに新たな15年侵略戦争の道に日帝がすでにのめり込んでいるためだ。だからこそ、新たな戦死者を「英霊」としてたたえるための靖国神社の全面的な復活や、教育の戦争教育への転換が帝国主義者にとって不可欠となっている。この攻撃と全力で闘い、「つくる会」教科書を阻止することなしに、戦争反対も改憲阻止もありえないのは明白だ。
だが不破は、その闘いを何ひとつ提起しない。靖国と歴史教科書が「日本外交ゆきづまりの原因」だから是正しろと言うだけだ。これは、“中国や韓国との関係をこれ以上悪化させると国連常任理事国入りにマイナスだから、外交上もっとうまくやれ”という、自民党内の議論と同じ次元の話でしかない。労働者階級の立場とはまったく無縁な、実に許しがたい発想だ。
第二に、不破は講演で、「過去に日本がおこなった侵略戦争と、現在中国で日本の民間がおこなっている経済活動をキチンと区別」せよと言い、現在の日帝資本の活動は侵略ではないとして公然と擁護さえしている。日本の企業が中国の労働者を日本の25分の1という低賃金と「女工哀史」さながらの劣悪な労働条件で働かせて搾取・収奪し、絶大な利益を上げていることに中国人民は抗議などするなと帝国主義者と一緒になって要求しているのだ!
現に今、日帝はファシスト石原を先頭に、「尖閣諸島に自衛隊を派兵せよ」と叫んで領土略奪をあおり、抗日デモを「暴徒」と呼んで新たな中国侵略戦争に突き進もうとしている。この重大な時に、日帝を支持して逆に中国人民非難の排外主義的大合唱に加わっているのが日本共産党だ。不破は、1930年代の日帝の中国侵略戦争がどんな卑劣な手口で開始されたかをしたり顔で論じているが、今まさにその同じ歴史が繰り返されようとしているのではないか。この現実を否定する不破は、いったい歴史から何を学んだのだ。
国旗・国歌法制定にも協力
第三に、そもそも石原や「つくる会」のようなファシスト勢力がなぜここまでのさばるに至ったのか。その原因をつくりだした一つに、この間の日本共産党中央の、安保・自衛隊問題、「日の丸・君が代」問題、天皇問題での日帝へのとどまるところを知らない屈服と転向がある。それを根底的に自己批判し態度を改めることを抜きに、靖国問題や教科書問題を語る資格は不破にはない。
とりわけ99年の「国旗・国歌法」制定時に日本共産党がその推進役を買って出た大裏切りは、今なお絶対にあいまいにできない問題だ。99年2月16日付『赤旗』で「日の丸・君が代」について、「法律によってその根拠を定める措置をとることが、最小限必要なことです」と提案したことが、法制化への直接の引き金を引いたのだ。当時の野中官房長官が「日本共産党の提言がヒントになった」と言っているように、日帝はこれにすぐさまとびつき、同年8月には「国旗・国歌法」制定を強行したのである。
このような日本共産党に「つくる会」教科書の採択を本気で阻止する決意などないことは明白だ。現に彼らが実際にやっているのは、反対運動の全力を挙げた組織化ではなく、逆に杉並区民が呼びかける闘いへの公然たる敵対と妨害だ。そこには、自己の狭い党派的利害の立場からしか物事を見ず、労働者階級の大衆的で自己解放的な闘いの発展をむしろ脅威と感じてしまう、日本共産党のスターリン主義としての根深い体質がある。
小泉=奥田とそのファシスト先兵である石原が、改憲と戦争国家化のためには労働者階級の闘いの根絶・一掃が必要だと叫び、労働組合と労働運動の解体、労働者の階級的団結の破壊を狙って襲いかかっている時に、求められているのはいったい何か。あらゆる力を結集し、巨大な階級的大統一戦線をつくりだして反撃に立ち上がることではないか。これに真っ向から敵対しているのが今日の日本共産党だ。この腐り切った態度に怒りをたたきつけ、粉砕し、のりこえて闘わなくてはならない。
福士候補の署名協力拒否は都労連の労働者への裏切り
「市民派」を掲げる自治市民の福士敬子候補や生活者ネットの堀之内敏恵候補も、戦争教科書攻撃を阻止する闘いを本気で展開しようとはしない。そもそも「つくる会」教科書を当初はまったく問題にしてこなかった点では、日本共産党とまったく同じである。
とりわけ許しがたいのは福士候補だ。福士候補はこれまで、選挙のたびに都労連を始めとする都の自治体労働者や教育労働者の支援を受けて、都議の座を維持してきた。にもかかわらず、今春の卒・入学式での都教委による「日の丸・君が代」の強制攻撃に、闘う教育労働者への連帯を貫いて闘おうとはせずに起立した。しかもそのことを「式次第に従うのは当然」と居直ったのである。
それだけではない。この言行不一致を批判された福士候補は自らの過ちを認めるのではなく、批判を逆恨みして、日本共産党と一緒になって長谷川候補と都革新の闘いへの悪質な敵対に走っている。さらには、闘う杉並区民による6・22杉並教育委員会包囲闘争への合流の呼びかけをも公然と拒否し、「つくる会」教科書反対の署名運動への協力もしないと明言した。
このことは、「私は反石原ではない」と公言してきた福士候補が、石原・横山による戦争教育攻撃と都の労働運動解体の攻撃に、何ひとつ闘わないと宣言したにも等しい。ファシスト石原は、浜渦副知事問題で陥った危機を、逆に石原・横山体制の再編強化と「つくる会」教科書の採択に一切をかけて突破しようとしている。それは、子どもたちを再び戦場に駆り立てる攻撃であるとともに、何よりも都の教育労働者・自治体労働者への圧殺攻撃であり、都労連解体の攻撃だ。福士候補がこれと正面から闘わないということは、彼女を支持してきた都の労働者階級に対する大裏切りだ。断じて許されない。
日帝がイラクへの侵略派兵を強行し、自民党・安倍や石原や「つくる会」などが北朝鮮や中国に戦争をしかけろと猛然とあおっている中で、この戦争攻撃との命がけの対決なしに、どうして労働者人民の生活や権利が守れるのか。1930年代的なファシスト勢力と労働者階級との大激突がすでに始まっている時に、全階級・全人民の総力を結集してファシストを打ち倒す闘いを抜きにして、他のどんな闘いの勝利もありえない。その最大の激突点こそ、「つくる会」教科書の採択阻止をめぐる決戦だ。
ところがこの決定的な闘争を放棄し、その結果として敵の攻撃を支える側に回っているのが、福士候補や日本共産党である。労働者階級と全人民の命と未来をかけ非妥協的に闘っているのは、都政を革新する会の長谷川ひでのり候補ただ一人だ。杉並の闘う区民と全都の闘う労働者の力を総結集し、長谷川候補の勝利を必ずやかちとろう。
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週刊『前進』(2204号3面3)(2005/07/04)
都議選決戦勝利のため圧倒的な夏期カンパを
05年〜07年階級決戦は今日ただ今闘われている東京都議会議員選挙での長谷川ひでのり候補(都政を革新する会)の勝利にかけられています。
とめよう「つくる会」教科書! うばうな介護と福祉! リストラ・組合つぶしの民営化反対! 石原知事に挑戦状! 杉並区では労働者人民が一斉に立ち上がり、長谷川候補は風を巻いて全力疾走しています。
「つくる会」教科書反対の大衆運動は、山田杉並区長−納冨教育長による密室採択の陰謀と彼らの「つくる会」派としての正体を暴き出し、「公正・中立を踏みにじる区教委に採択権限も資格もない」と真っ向から拒否と弾劾をたたきつけました。また、領土略奪や北朝鮮・中国侵略戦争をあおり、横山教育長を筆頭副知事に据えて「つくる会」教科書の都内50%採択を狙う腐敗と独裁の石原都知事のどす黒い野望を暴き出しました。
戦争教科書を阻止するために、多くの人びとが都議選を生かそうと、「長谷川コール」を日増しに広げ強めています。一方、日本共産党や自称「市民派」候補は、この教科書問題を都議選の争点からはずし、この大運動に合流するどころか、「過激派」と悪罵(あくば)を投げつけ妨害する始末です。「石原・山田−教育委員会を刺激するな」という主張は、天皇制・軍部やヒトラー、ムッソリーニの暴力的台頭に恐れをなして身を屈し、ついには第2次大戦の地獄の道に手を貸したのとまったく同じです。
都議選の勝利が「つくる会」教科書採択阻止と石原都政打倒の展望を切り開きます。全国の闘う仲間が、そして朝鮮・中国−アジアの労働者民衆が、熱く注目し連帯を表明しています。
「つくる会」教科書攻撃は、日帝・小泉のイラク参戦、靖国神社参拝、改憲−教基法改悪と完全にひとつであり、また小泉=奥田の民営化攻撃と一体です。日帝の国家的破産は小泉「構造改革」でどうにかなるものでもなく、支配階級は、どれほど絶望的でもアジア再侵略戦争に突き進む以外にないと決断しています。民営化の真の狙いは、労働組合、特に国家機構内の公務員労働運動の根絶であり、戦争国家に労働者を組み敷くことです。
『前進』読者の皆さん。闘うすべての皆さん。働く仲間の皆さん。
都議選にともに勝利しよう! 最大限の勢いをもって激戦に勝ちぬくために、知恵と行動、そして資金を与えてください。支給が始まっている夏期一時金からのカンパを、さしあたり都議選必勝のために思い切って投入していただくことを強く訴えます。
そして都議選からさらに「つくる会」教科書採択絶対阻止、郵政民営化阻止、自治労・日教組などの今夏大会での改憲勢力化を阻止し、国際連帯を貫く階級的労働運動の不屈の前進のために、革共同への圧倒的なカンパを訴えます。
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週刊『前進』(2204号4面1)(2005/07/04)
沖縄戦の真実抹殺狙う藤岡(下)
天皇制国家護持するため住民の犠牲を自己目的化
自由主義史観研究会の藤岡らは「沖縄戦で日本軍の強制によって住民が集団自決したというのは虚構である」と主張し、そのような記述を教科書やあらゆる出版物から削除しないと、「皇軍の名誉を救い、再び、喜んで国のために命をささげる教育ができない」と言っている。
このような策動を打ち砕き、沖縄戦問題をあいまいさなくはっきりさせることは、労働者階級人民にとっても、避けて通れない問題である。沖縄戦とはいったい何であったのか、その歴史的真実はどこにあるのかを積極的に解明(研究者の成果を学び)していくことが必要である。
そうでないと、再び、日帝支配階級が戦争に向かって突進し始めている中で、彼らファシスト勢力のデマ的な手法が「通用」していきかねない。問題は、沖縄戦のある部分でひどいことが行われたかどうかということではない。
「友軍」と住民の絶対的対立
第2次世界大戦末期の沖縄戦は、日帝の15年戦争全体の最終局面において、敗北し破綻(はたん)しつつある日本帝国主義支配階級の延命、具体的には天皇制の戦後の延命のために強行された戦争であった。
そのために、沖縄県民をできるだけ多く「軍民共生共死」の中に引きずり込み、すでに負けている戦争をできるだけ長引かせ、できるだけ多くの住民を犠牲にすることを自己目的として行われた戦争だった。だからこそ特攻や玉砕を全住民にも強制する戦争を行ったのだ。その結果、20万を超える犠牲を出した。沖縄県民は沖縄戦開始直前の60万人の人口の4分の1、15万人が殺された。
その意味で、沖縄戦を行った天皇(国家)と政府そして日本軍そのものが、戦争の目的や戦争のやり方および戦争の決断そのものにおいて、国際戦犯法廷で裁かれるべきレベルの一個の大犯罪行為をなしたのである。集団強制死(「集団自決」)の多発や、日本軍による住民虐殺はその中で、起きるべくして起きたものであった。だから、至る所でそれは起きた。それはまさに、沖縄戦の本質をなすのである。
藤岡らは、沖縄戦そのものは、何のためのどんな戦争であったと教えようとしているのか。彼らは、ただ、沖縄戦において軍は非難されるようなことはやっていないということ(歴史的真実の否定)だけを主張しているように見える。だがそれをとおして結局、彼らは、軍は天皇とお国のために名誉ある戦争をやった、住民も少しは巻き込んだが、それらがどんな犠牲であったにせよお国のための「崇高な犠牲」であったからいいではないかと教えたいのである。
彼らの狙いは、「天皇と軍隊(軍人)の名誉」を救う立場から沖縄戦の真実をゆがめ、住民の犠牲などお構いなしにそれを素晴らしい戦争として美化することにある。だが、これ自体が根本的に誤算である。このような形で沖縄戦を美化し、聖化することは不可能なのである。沖縄戦では、戦争への動員と戦争の貫徹、そしてその破綻と惨めな敗北の中で、友軍と住民、国軍(皇軍)と国民(沖縄県民)の間に、はっきりした対立と殺し殺される関係が生じた。また、実は最終的には軍そのものが崩壊し、敗残の姿をさらした。そういうものとして帝国主義戦争の本質、その「最後の言葉」が突き出されている。
住民すべてを「スパイ」扱い
沖縄の立場から沖縄戦を総括する「命どぅ宝」という言葉は、単に米軍によって多くの犠牲が生じたという意味ではない。沖縄県民(人民)にとって、沖縄戦とは、実は最初から最後まで、日帝および日帝軍隊による死の強制との闘いであったという教訓がそこに込められているのである。
沖縄戦は、直接には、日帝がアジア・太平洋戦争において設定した絶対国防圏が撃ち破られ、米軍の本土侵攻が確定的となった時に問題になった。沖縄で決戦するということが早くから決まっていたわけではない。44年3月に沖縄守備軍第32軍を創設するまでは、沖縄には軍隊らしい軍隊は配備されていなかった。むしろ、軍事的に沖縄の防衛が問題になった時には日本はすでに敗北であると言われていたのである。
サイパンの陥落(44年7月)の後、主として中国戦線から第32軍の増強が始まるが、その段階でも沖縄で決戦するという構想が確定していたわけではない。10月から11月にかけて、台湾沖航空戦、レイテ戦などで日本軍は致命的な敗北を喫した。制空権、制海権は完全に米軍のものとなった。この過程で、大本営は沖縄防衛の主力を台湾に移すなどの混乱を引き起こしつつ、次第に沖縄での決戦が避けられないという判断に傾く。第32軍司令部は「軍民共生共死」「一億玉砕」方針を沖縄で文字どおり実行するとして半ば自暴自棄的に動き始める。
この段階でも、沖縄で米軍戦力を撃滅するという決戦方針と沖縄で時間稼ぎの持久戦をやるという方針ははっきり整理されていない。45年1月に、天皇裁可で、時間稼ぎの持久戦の方針が決定される。全住民を含むすべてを犠牲にしても時間を稼ぐということが大方針=戦争目的にされたのは最終的にはこの時である。天皇裕仁の意志、決断が決定的に大きい。
なお作戦的に言えば、米軍に無血上陸をさせたこと(3月末から)自体が住民を大量に巻き込み犠牲を最大限にするために行われたものであった。また、5月22日に首里の司令部が陥落した後、第32軍は南部に撤退する方針をとった。これは全住民を道連れにする、絶対に許されない大量虐殺方針である。この結果、少なくとも15万人の住民が3万の軍とともに南部に移動することを強制され10万人近い犠牲が出た。こうしたことすべてが文字どおりの戦争犯罪行為(人道に対する罪)である。
沖縄戦は、中国やアジアにおいて日本軍がありとあらゆる非人道的な侵略行為を行ってきたことの延長で、その最後のあがきとしてあった。そのことが沖縄における戦争のやり方の残虐性を増幅した。軍は、実際には沖縄戦を「外地戦」の延長、その一部としてやったのである。したがって、軍にとって沖縄県民は必ずしも信頼できる味方ではなかった。だが沖縄県民は当初、「友軍」として日本軍を受け入れた。これ自体、15年戦争・帝国主義侵略戦争の全過程に沖縄もまた動員されてきたこと、侵略者の側に立ってきたことの結果だ。だが「防諜(ぼうちょう)」の異様な強調に見られるように、軍はいざ沖縄戦となった時、沖縄県民全体を敵と通じるスパイとして扱ったのである。
戦争方針貫徹の結果の惨禍
大本営は沖縄で敵に出血を強制し、撃滅すると豪語したが、実際は、そのための戦力もなくただ住民を巻き込むことしかできなかった(沖縄戦に出動した特攻隊などは完全な犬死に)。「現地自給」と「軍民一人残らずの玉砕」ということだけが方針らしい方針だった。
したがって、沖縄からの住民の疎開も中途半端なものに終わった。疎開を始めた時には時すでに遅しという面もあったが、それだけでなく、軍は戦力として動けるものはすべて動員するという方針から、住民の疎開方針を積極的に推進せず、むしろ妨害したのである。
また、44年10・10空襲によって、那覇市はほとんど灰燼(かいじん)に帰した。こうした状況下、当時の沖縄県知事(中央の任命制)は行政責任を放棄して本土に逃げ帰った。これは、軍の一方的で横暴な要求に行政として対応できないための「無責任な逃亡」だった。この時、政府中枢は、新しい知事を派遣して軍の要求にこたえる行政の建て直し方針をとった。実際には、新知事の赴任後一週間で米軍の上陸作戦が開始される。とにかく一人でも多く住民を動員し協力させるために行政を稼働させることが問題になっていたのだ。県や市町村の行政組織あるいは警察組織などもこの段階では、完全に軍に従属していた。行政は軍の動員機関として、防衛隊員として人を駆り集め、食糧を軍に供出するための組織になっていた。
この過程で、第32軍は、“沖縄県民はスパイ”という態度を露骨に打ち出していった。その理由として、もともと沖縄県民は天皇への忠誠心が薄い、沖縄の言葉は本土の軍人には理解できない、外国移民が多い。その上、陣地構築や部隊配備などの重要機密を知っている、捕虜になったらこれらの機密が敵に伝わる、として、当初から「防諜」を重大方針として打ち出していた。実際に、かなり早い段階から、裁判も手続きも一切なしで、スパイ容疑という口実で、食糧の徴発に抗議した住民を見せしめ的に殺害している(知念村で村会議員を含む3人が軍に文句を付けたとして殺された事件など)。
このような緊張関係は、米軍との戦闘開始前から相当なレベルに達していた。ほとんどの家庭が移民に関係があった。方言を使う者はスパイという軍の態度は、その当時、すべての沖縄県民をスパイ視することに等しかった。絶対に捕虜にならずに最後には「集団自決」せよという方針は、このような沖縄県民総スパイ視と表裏一体である。
軍と住民の緊張関係という意味では、44年から45年の冒頭にかけて、すでに、住民の食糧を軍が奪い取る関係が生まれていた。防衛隊の招集は完全に限界に達していた。また日本軍による住民に対する強姦(ごうかん)事件が多発していた。軍司令部として「厳重に処罰する」という通達が出されているが、すでに上から恫喝しても通用しないレベルに達していたのだ。
こうした中で、44年10月に、軍隊慰安婦と軍夫として多数の朝鮮人を沖縄に強制連行し、各部隊ごとに配分している。これは、沖縄戦が日帝にとって中国やアジアにおける侵略戦争の直接の延長としてあったことを示している。少なくとも数千人の朝鮮人が沖縄で犠牲になったことは確実だが、今でも実態はつかめていない。この事実は、沖縄戦の本質的構成部分をなすものとして位置付けられなければならない。
以上のように、軍による「集団自決」強制は、できるだけ全住民を巻き込んで最後まで戦争させるという沖縄戦全体の中の本質的一部分であった。それは、日帝による皇民化教育を前提としつつ、軍と住民(沖縄県民)の間のギリギリの緊張の中で、戦時下の軍事的強制として貫徹されていったのである。
(石川栄一)
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週刊『前進』(2204号4面2)(2005/07/04)
改憲阻止こそ組合員の総意 7月NTT労組大会へ訴えます
「働き方・処遇見直し」 団結破壊と賃下げの攻撃
改憲支持に向かうNTT労組ダラ幹
全国のNTT労組の組合員のみなさん。
戦争と民営化=労働組合破壊の攻撃がこれまでになかった激しさで労働者に襲いかかっています。小泉政権は、強い反対の声を押し切って戦地イラクに自衛隊派兵を強行し、教育労働者と子どもたちに「日の丸・君が代」を強制し、侵略戦争を全面肯定する「つくる会」教科書を無理やり押しつけ、戦争放棄を誓った現憲法の改悪に着手しています。
他方で、私たちの先輩たちが闘いかちとってきた労働者の諸権利が、民営化と労組破壊攻撃の中で次々に奪い取られ、労働者の労働組合的な団結が解体され、労働者にとって文字どおり「闘いに立ち上がることなしに生きていけない」時代が来ています。JR西日本が引き起こした「尼崎事故」は、民営化攻撃の帰結以外の何ものでもなく、同じく民営化攻撃にさらされてきたNTT労働者にとっての現実でもあります。
このような時代の到来の中で、労働組合もまた、職場の組合員大衆に階級的に依拠し、戦争に反対し、資本、会社と闘って労働者の利益を守りぬくという労働組合運動の原点・原則に立って闘う必要があります。NTT労働者大衆に依拠した階級的労働運動が切実に求められています。
7月12日に沖縄で行われる第8回NTT労組定期大会は、「働き方・処遇の見直し」「中期経営計画」と対決して闘う方針を確立し、戦争反対、改憲反対をNTT労組の立場として決定する大会としてかちとらなければなりません。小泉政権の「日本を戦争をやれる国に変える」改憲攻撃に対して、戦争反対、改憲反対というNTT労働者の立場を鮮明にし、闘う方針を確立する大会としてかちとられなければなりません。
ところが配布された議案には「憲法改正論議の動向」が数行述べられていますが、まず確認すべき「改憲に反対である」というNTT労組としての態度の表明がまったくなく、一言半句の批判の言葉もありません。これはいったいどういうことか。
森嶋委員長は「NTT労組としても一定の見解を出したい」と発言しているそうですが、森嶋委員長らNTT労組中央のこの間の動きを見ると、現実には「改憲反対」の立場と逆行する方向で大会が準備されていると言わざるをえません。こんな重大な問題が、何ひとつ職場に討論として下ろされないまま、NTT労組としての「一定の見解」を出すということは、手続き的にも許されないことです。
ところが、全国大会を準備するものと位置づけられている5月24日の「2005政策セミナー」では、改憲派の自民党の保岡興治衆議院議員と民主党の枝野幸男衆議院議員が講師として招かれ、「憲法問題についての考え方」という講演が行われています。「改憲支持」の方向を出そうとしていることは明らかです。森嶋委員長はNTT労組の公式の会議の席上で「現憲法を一字一句変えないと言うわけではない」と言っています。憲法の「一字一句」を変えることが改憲なのです。森嶋委員長の発言は改憲宣言です。
戦争で常に最大級の犠牲を受けてきた通信労働者として、NTT労組が改憲を容認する方針を決定することを絶対に認めるわけにはいきません。ましてや沖縄の地で開かれる大会で「改憲」方針を決定することなど絶対に許せません。
会社と一体で成果業績主義導入策す
昨年12月に会社からの提起を受け、NTT労組はこの間、職場討議資料として、「未来志向で挑戦と創造へ」(NTT労組)、「『働き方・処遇の見直し』について」(NTT労組西日本本部)、「東日本本部における『情報通信の発展と働き甲斐をより一層高める取り組み』について」(NTT労組東日本本部)を組合員に配布し、全国大会に向けて意見集約を図っています。全国の職場で激しい反対と不安、怒りの声が渦巻いています。これだけでも、NTT労組は「働き方・処遇の見直し」絶対反対の立場を明らかにするべきです。
われわれは、「成果・業績重視の処遇体系の見直し」(会社の提案)に絶対反対です。ところが、NTT労組中央は「働き方・処遇などの課題に積極的に対応していくこととしました」(職場討議資料)と、すでに基本的には受け入れる立場を前提にしています。これは組合員の反対の意志を踏みにじるものです。ただちに全面的に撤回し、反対の立場をはっきりさせるべきです。
NTT労組の職場討議資料は「組合員のみなさんが、現行人事・賃金制度の納得性・公正性の向上が十分ではないと感じている」と、組合員がこぞって反対していることを認めながら、その「大きな理由は、評価制度の運用自体がきちんとおこなわれていないケースによるものと受けとめています」(同)と、あたかも運用をきちんとすれば組合員の支持を得られるのだと言いくるめ、会社と一体になって強引に導入に踏み切ろうとしているのです。こんな言い方にだまされてはなりません。NTT労働者は、「成果・業績重視の処遇体系の見直し」そのものに絶対に反対なのです。
この攻撃は、職場の団結を徹底的に解体し、NTT労働者に大幅賃下げと労働強化をもたらすものであり、そこには組合員に何ひとつ利益となるものはありません。
会社がやろうとしていることは、現行基準内賃金の約25%を占める年齢賃金と約15%を占める職責手当などその他の手当、合わせて40%の額を、成果加算(4分の1)と成果手当(4分の3)という「成果・業績重視」にシフトするもので、職場の中にすさまじい分断=団結破壊と、全体としては大幅な賃下げをもたらすことは確実です。
NTT労組の討議資料自身が「年齢賃金の組み替え、最長在級年数の廃止により、理論上は、入社以降、まったく賃金が昇給しない状況が生じる可能性もあることから、入社後の一定期間については、D評価となった場合のセーフティネットの仕組みを検討します」と言わざるを得ないものなのです。こんなことを言いながら「D評価者が生じた場合の降給は、これを受けとめる」(中央本部・吉沢事務局長)と「D評価者の降給」に組合は了承を与えているのです。
闘う以外に労働者の生活は守れない
NTT労組中央がこの「働き方・処遇の見直し」提案を基本的に受け入れている背後には、NTT労組の「激しい市場競争に打ち勝つためには『NTTグループ中期経営戦略』の実現に向けた具体的方針の確立が必要不可欠です」(職場討議資料)という会社の「中期経営戦略」に、NTT労組が完全に屈服し、積極的に受け入れていることがあります。
「NTTグループ中期経営戦略」とは「@3千万加入の光アクセス・IP電話化、Aノントラヒックビジネスで5千億の増収、BNTTグループ総体のサービス・商品の組み合わせによるソリュージョンの提供」(職場討議資料)などを内容としており、NTT労組は、この会社の大合理化計画=「中期経営戦略」を、それ以外にNTTが生き残れる道はないとして、会社と一体になって推進する立場にまで行っていることがあります。
「情報通信市場をとりまく情勢が厳しい」と、会社もNTT労組も一緒になって言い続けています。そしてまた「中期経営戦略」でこれまで以上に激しく「情報通信市場をとりまく情勢」の厳しさを叫んでいます。しかし会社と一体となり、会社の大合理化計画を率先して推進してきた結果、NTT労働者の状態は少しでも改善されたでしょうか? 逆です。今日の厳しいNTT労働者の現実を結果しているのです。それが、尼崎事故にまで行き着いたJR西日本の労働者の現実でもあります。
「情報通信市場の動向」が厳しければ厳しいほど、NTT労働者は会社、資本と闘って、NTT労働者の生活と権利を守っていく以外ないのです。全国の職場に、もうこれ以上我慢できない、という怒りの声がわき起こっています。
戦争と民営化に反対する闘いが、今、国鉄労働者の中から動労千葉、闘う国労の仲間の闘いとして、教育労働者からは「日の丸・君が代」強制に反対する闘いとして、力強く始まっています。郵政民営化の大攻撃と闘う全逓労働者の闘いや公務員制度改革を始めとする自治体の大民営化と闘う自治体労働者の闘いが始まっています。NTT労働者は、国鉄・教労・自治体・全逓労働者とともに「戦争と民営化、労組破壊」の攻撃と対決し、階級的労働組合の復権へ闘おう。
通信労働者は、戦争に反対し、合理化に反対して闘い抜いてきた歴史を持っています。有事法制のもとで、指定公共機関にされたNTT各社の労働者への戦争動員の攻撃と対決して闘おう。
「国家・民族が生き残るために戦争は必要だ」「国民は国家に命をささげろ」と教える「新しい歴史教科書をつくる会」教科書の採択阻止へ闘おう。最大の焦点である東京・杉並に駆けつけよう。この闘いは、階級的労働運動を守り抜き、「戦争への国民動員」を阻止する決定的な闘いです。長谷川英憲氏の当選へNTT労働者もともに闘おう。階級的労働運動の前進に向
けて闘おう。
(加藤武彦)
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週刊『前進』(2204号4面3)(2005/07/04)
対角線 JR事故の元凶の「歌」
近ごろ、これほどおぞましく、腹立たしいものはない。カクマル反革命通信『解放』6月20日付に仰々しく掲載された「脱線転覆」と題する短歌。なんと4、5面全ページを割いて150首余の歌を並べている。作者は「松笠出雄」となっている(「国鉄改革三人組」と言われた松田、葛西、井手の名からとったらしい)。これほどぜいたくに紙面を独占できるのは、黒田寛一しかいない。いわゆる「尊師御製」というやつだ。
そもそもJR尼崎事故という重大事件に対し、党の頭目としてまともに向き合い論ずるのではなく、隠居老人のざれごとのような歌を粗製乱造していられるというセンスが、人びとの理解を絶している。いろいろ並べているが、要するに黒田が言いたいことは、事故の責任はJR西日本およびJR連合・JR西労組にあり、JR総連およびJR東日本会社に問題はないということである。
それにしても次の句にはあきれてしまう。
「恐るべし儲(もう)け第一/安全第二。〈民営化〉の弊爆発したり」
ひとごとみたいに言うが、国鉄の分割・民営化とは、カクマル黒田と松崎明が日帝・中曽根の軍門に下って、「国労をつぶし総評をつぶす」攻撃の先兵になる決断をして、動労と鉄労が合体することで初めて現実化したものだったのだ。そしてこの民営化のもとで、労資一体の合理化が進められてきた結果がJR尼崎事故となったのだ。分割・民営化こそがJR事故の元凶であり、カクマルとJR総連はその最悪の下手人である。この「原罪」を忘れたふりをして、したり顔でのたまうことは許されない。
「急カーブ猛速度もて通過せし列車 建物にホールインワン」
「一号車に乗り上げつ壁に腹つぶされし二号車げに煎餅(せんべい)」
なんともはや。怒りは本欄に収まらない。労働者階級はカクマル黒田のファシスト的感性をけっして受け入れない。あらためて追撃する。(来)
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週刊『前進』(2204号4面4)(2005/07/04)
6月15日〜21日
日韓首脳会談「靖国」で決裂
小泉が「硫黄島追悼式」出席
●水陸両用車の運用停止 名護市辺野古沖に水陸両用車が水没した事故で在沖米海兵隊は、事故原因が判明するまで関係部隊のすべての水陸両用車の運用を停止したことを明らかにした。(15日)
●日商が改憲報告 日本商工会議所が「憲法改正についての意見」の最終報告をまとめた。「戦争の放棄」を定めた第9条第1項を残した上で、第2項で自衛のための「戦力の保持」を明記し、第3項を新設して国際協力活動への自衛隊派遣を憲法上認めるとしている。集団的自衛権については憲法上明記しないが「自衛権を保持することを明記する以上、集団的自衛権を当然保有していると考えるべきである」との考えを示した。(16日)
●米が4カ国提案に反対 米政府は、安全保障理事会の拡大を含む国連改革に関する包括提案を発表し、安保理の新常任理事国について「日本を含む2カ国程度」とし、拒否権は与えないとの新方針を明らかにした。日本、ドイツ、ブラジル、インドの4カ国(G4)が進める安保理拡大の「枠組み提案」について「安保理の効率性を損なう懸念がある」として支持しない方針を明確に示した。17日、日本政府は米案に同調せず、G4案の採択をめざすとの方針を表明した。(16日)
●嘉手納基地、海軍駐機場の移設着手 日米特別行動委員会(SACO)最終報告に盛り込まれた嘉手納基地内の嘉手納町部分にある海軍駐機場(約23f)の沖縄市側への移設に向け、那覇防衛施設局が移設予定地の試掘調査を実施する業者を選定、移設作業に着手した。(16日)
●小泉「靖国に代わりない」 小泉首相は、戦没者に対する新たな追悼施設の建設について「いかなる施設をつくっても靖国に代わる施設はありませんよ」と述べた。(17日)
●日本遺族会が首相の靖国参拝継続求める 日本遺族会(会長・古賀元自民党幹事長)は小泉首相の靖国神社参拝継続を求める考えに変わりないとの方針を確認した。古賀会長が「近隣諸国に配慮は私の信念」として会長辞任を示唆したが、「首相の靖国神社参拝定着を求める遺族会の方針は変わらず、そのために近隣諸国との友好改善に努力する」ことで合意した。(17日)
●55日間の国会会期延長 6月19日で会期が切れる通常国会を8月13日まで55日間延長する議決案が衆院本会議で、自民、公明両党の賛成多数で議決された。(17日)
●石垣市長の釣魚台上陸決議 石垣市議会が6月定例会最終本会議で、国に対し市長と市議の釣魚台(尖閣諸島)視察を求める決議を賛成10、反対9の賛成多数で可決した。上陸のための船舶チャーター費用など160万円の予算も計上、可決した。(17日)
●小泉、硫黄島を訪問 小泉首相が小笠原諸島の硫黄島を訪れ、「硫黄島戦没者追悼式」に出席した。現職首相の訪問は戦後60年で初めて。(19日)
●相模補給廠、米が返還に難色 在日米軍再編をめぐる日米政府間協議で、日本側が求めている米陸軍の相模総合補給廠(しょう=神奈川県相模原市)の返還に米側が難色を示していることが分かった。同補給廠は米軍の物資保管、修理などの後方支援部門を担う。米側は有事や緊急時に使用する必要性などを挙げて返還を拒んでいるという。(19日)
●日韓首脳会談 小泉首相と韓国の盧武鉉(ノムヒョン)大統領がソウルで会談した。大半を歴史認識をめぐる問題での意見交換に終始し、盧武鉉大統領は小泉首相の靖国神社参拝について「この問題が日韓の歴史問題の核心だ」と述べて再考を促し、新たな追悼施設建設の検討を進めるよう要請した。小泉は「戦争の美化や正当化ではない」と従来の主張をくり返した。(20日)
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週刊『前進』(2204号5面1)(2005/07/04)
長谷川候補の勝利突破口に
ファシスト石原−横山体制と対決し
「つくる会」教科書採択阻止へ 教育労働者の総決起かちとれ
革共同教育労働者委員会
6月22日、東京・杉並区役所前は、「つくる会」教科書の採択に反対する800人の杉並区民、保護者、労働者人民で埋め尽くされた。ファシスト石原都知事と山田杉並区長による「つくる会」教科書採択の動きに対して、怒りと危機感あふれる反撃が猛然と開始されたのである。そして、都議選決戦と教科書決戦は、二つにして一つの階級決戦となった。石原のファシスト政治と真っ向から対決する革命的議員の登場と、「日の丸・君が代」闘争に続く戦争協力拒否闘争としての教科書闘争の爆発は、新潮流運動の死活のかかった課題である。教科書闘争の破壊者として登場した日本共産党スターリン主義の反動を打ち破り、闘う教育労働者に真っ向から党派選択・路線選択を問わなければならない。長谷川英憲候補当選を、「つくる会」教科書採択阻止の巨大な突破口としてかちとろう。7〜8月の「つくる会」教科書採択阻止の闘いの大高揚をかちとろう。
教科書採択問題こそ都議選の最大の争点
東京での5割採択狙う石原
「つくる会」教科書採択阻止をめぐる闘いは、いよいよ白熱的な攻防に突入している。「つくる会」は、内部の会合で「横山教育長の働きで東京は半分は採択可能」と確認している。石原支配下の首都東京でのぶちぬきに、全国10%目標の達成を賭けているのだ。横山教育長を副知事に昇格させたのも、石原の「つくる会」教科書採択にかけた執念の現れだ。
東京都教育委員会は、選定審議会の作成した教科書調査研究資料を各市区町村教育委員会に送付した。歴史では「神話・伝承」、公民では「拉致」問題と「領土」問題を独自の調査項目に設定して、「つくる会」教科書の評価を上げている。都教委は「つくる会」を推すという露骨なメッセージである。昨年の都立白鴎高校付属中での「つくる会」教科書の採択に続いて、06年度に開校される中高一貫校3校での採択を強行しようとしていることも明らかである。
杉並では、「つくる会」の別働隊、広報機関ともいうべき「チャンネル桜」の集会を区と区教委が堂々と後援し、山田区長が出席して「つくる会」とうり二つの「大東亜戦争肯定論」をぶち上げている。教科書調査研究は「単なる参考資料、教育委員会の判断を拘束しない」とする採択制度の改悪を強行し、採択審議の非公開=密室での採択を画策している。山田区長と区教委は、「つくる会」勢力の広告塔としての役割を買って出ているのだ。
8月初旬の都教委による中高一貫校の採択と杉並区での採択が「東京5割」の突破口として設定されている。杉並の闘いが全都全国の天王山であることはいよいよ明らかだ。
共産党などの反動うち破り
疑いもなく、教科書問題は、今次都議選の最大の争点の一つである。「東京5割」採択が策動されている以上、杉並はもちろん、全選挙区でそうなのだ。
戦争扇動と戦争教育こそ石原が突出して推し進めてきたファシスト政治であり、「つくる会」教科書の採択は石原の知事就任以来の宿願であった。都教委は、自ら採択権を持つ学校での採択を強行し、これを全都に拡大して教育現場を制圧しようとしているのだ。
戦争と改憲を扇動する政治文書が公教育に持ち込まれようとしている。これを許しておいて改憲阻止も空語である。「つくる会」教科書採択阻止は、教育基本法改悪・改憲攻撃との闘いの当面する最大の焦点であることは明らかだ。
ところが、都政を革新する会の長谷川英憲候補を除く一切の政党、候補が、教科書問題を都議選の争点にしようとはしていない。日本共産党、生活ネット、市民派もおしなべてそうであり、教組の組織内候補すらしかりである。自民党は「歴史教育の問題は、憲法改正、教基法改正と表裏一体の重要課題」として、05年度運動方針の重点課題に教科書問題をあげ、採択過程への介入に総力をあげているにもかかわらずである。「教科書問題を選挙に利用」などという都革新への非難は、教科書闘争からの逃亡を押し隠すための転倒した主張である。
共産党が都議選の主要な争点にしているのは、議員の海外視察問題であり、教育政策では30人学級がメインである。『赤旗』でも教科書問題は客観報道しかなく、「つくる会」教科書の採択に対する党としての公式見解すらいまだ表明していない。
共産党は、自らは採択反対でまともに闘うこともなく、採択阻止を訴える都革新への「暴力集団」キャンペーンや区民の運動に対する誹謗(ひぼう)中傷に全力をあげはじめた。教科書闘争の妨害者・破壊者としての姿をむき出しにしてきているのだ。
共産党の教科書問題への沈黙の核心は、排外主義攻撃への屈服であり、それが一定程度労働者をとらえていることへの迎合である。排外主義との闘いこそ、戦時下階級闘争の試金石であり、共産党の沈黙は、戦争翼賛勢力への転向のメルクマールなのだ。
長谷川候補への投票こそ、「つくる会」教科書反対の一票投票である。長谷川候補当選こそ、石原・山田への鉄鎚(てっつい)となり採択阻止の一大突破口となるのだ。
浜渦問題とその収拾劇は、石原のファシスト政治にひれ伏す全政党の屈服した姿を突き出した。浜渦問題は、直接的には、民主党を取り込み石原体制をよりファシスト的に再編することへの自民党の抵抗・反発が生み出した石原体制内部の権力抗争・利権抗争である。福祉学院問題でのやらせ質問には石原自身が関与し、石原の政治責任は明白であった。それは、執行機関をチェックすべき議会が、ファシスト政治のお先棒を担いできた現実を突き出すものでもあった。「日の丸・君が代」強制攻撃や性教育攻撃も、石原直々の指示で、民主党・土屋ら三人組を先兵に進められてきたのである。
浜渦問題に一切触れない石原の所信表明に議場から野次ひとつ飛ばず、「オール与党」を批判する共産党の代表質問も、30人学級や福祉政策を石原に哀願する代物であった。石原の週2日登庁には言及しても、石原ファシスト政治の核心には触れようともしないのだ。ここには、労働者階級の力に依拠して石原と闘おうとせず、労働者を選挙の票としてしか見ない共産党の議会主義的な腐敗がある。
浜渦問題として石原体制の内部矛盾が噴出したのは、教育労働者の「日の丸・君が代」闘争が、石原・横山の攻撃を破綻(はたん)させたからだ。この事態が、横山の筆頭副知事昇格・中村教育長就任として収拾されるなど、闘う教育労働者にとって我慢ならないことである。
ファシスト打倒闘争の爆発のために議会の演壇を利用する革命的議員が今こそ必要だ。「石原に挑戦状」を掲げ、ファシスト政治と真っ向から闘う長谷川候補を都議会に送り込まなければならない。
卒・入学式闘争に続く戦争協力拒否の闘い
都革新の教科書問題での大量宣伝は、杉並の状況を塗り替えている。区民の自主的な運動が、保護者・市民のかってない決起をつくり出し、山田・区教委を包囲する大衆行動へと発展しつつある。今こそ教育労働者が闘いの前面に登場しなければならない。
10・23通達による「日の丸・君が代」強制を一大社会問題に押し上げたのは、教育労働者の体を張った闘いだった。処分を辞さない不起立闘争こそが、広範な労働者市民の共感と支持を生み出し、強制反対の世論をつくり出したのだ。都教委の凶暴なやり方が世論の同情を買ったのではない。
教科書闘争を全労働者階級人民の課題へと名実ともに押し上げていくのは、何よりも教育労働者の闘いによってである。戒厳令下の卒・入学式闘争の教訓に学んで、戦時下の教科書闘争を創造していくことだ。
今春の卒・入学式闘争では、「戦時下」の時代認識をはっきりさせ戦争のための攻撃として「日の丸・君が代」強制攻撃を直視することが、「今立たずしていつ立つのか」「ここで不起立を闘えなくてどうして戦争に反対できるのか」という不退転の構えを生み出した。
教科書闘争も「戦時下」の時代認識がまずもって重要である。反対運動内部の楽観主義や待機主義的傾向は克服されなければならない。文科相が公然と「つくる会」教科書を「バランスがとれた教科書」と言い、中国の教科書を逆に「反日教育」と攻撃し、軍隊慰安婦抹殺を居直る発言を繰り返している。9条改憲と集団的自衛権即刻解禁を叫ぶ財界が、「日本の伝統・文化」を教育内容の中心にすえよ、日教組を解体せよと叫んでいる。
今回の採択攻防は、単に「つくる会」との4年前のリベンジ戦ではない。武力攻撃事態法などで侵略戦争突入と国家総動員の仕組みを整えてきた支配階級が、ついに「国のために命を投げ出す」青少年づくりにのりだしてきたのが「つくる会」教科書なのだ。政府・文科省、自民党、財界という支配体制そのものとの激突、戦争突入攻撃との闘いなのだ。
だからこそ、教科書闘争は、「日の丸・君が代」闘争を引き継ぐ教育労働者の戦争協力拒否闘争そのものなのである。
2年目の不起立闘争は、「思想・良心の自由」論による組織的抵抗闘争の否定や、労働者としての闘いを放棄し「内心の自由の説明」へと後退する傾向と対決して貫徹された。都教委は職務命令に生徒への指導を盛り込み、「内心の自由の説明」自体を処分の対象としてきている。不起立闘争の継続・拡大こそ、侵略教育の強制を阻止する道であることは明らかである。
教科書闘争では「採択されても教育実践で抵抗できる」論や、教職員組合が反対運動の前面に立たず、取り組みを教科書の調査研究に押しとどめる傾向が存在する。しかし、副教材の事前検閲制が敷かれ、職務命令によるその禁止さえ想定されるもとでは、歴史の真実を教える教育実践さえ処分の対象となる。処分覚悟の拒否闘争を構えてこそ、採択絶対阻止への総決起もかちとられるのだ。
現場教員から採択権を奪い、「教育の専門性」も無視するというのなら、労働者としての団結権を行使して闘うべきだ。教科書ならざる改憲扇動文書の押しつけに対しては、採択阻止の大衆行動を政治闘争としてたたきつけるべきだ。
6・22の高揚ひき継ぎ大衆的行動の発展を
今春の卒・入学式闘争は、警察の弾圧と「過激派」攻撃を打ち破って闘われた戒厳令下の闘いであった。カクマルは、「不起立宣言=挑発」論、「校門ビラ=弾圧引き出し」論を叫んで闘争圧殺の先兵となり、共産党は不起立闘争から召還した。しかし、弾圧は教育労働者の怒りの火に油を注ぎ、不起立闘争が断固貫徹され、門前で教育労働者が警察を徹底弾劾した。警察政治は、都教委の墓穴に転化したのだ。
文科省や都教委は、「静ひつな採択環境の確保」の名のもと「警察との連携」を指示しており、反対運動への弾圧を画策している。これに震え上がった共産党は、「騒ぐと敵の思うつぼ」「人間の鎖は逆効果」と叫んで大衆行動に敵対し始めた。「自民党や民主党とつながることが重要」などと言い、労働者の階級的決起に敵対している。
だが、「政治的中立性」も「採択の公平・公正性」もかなぐり捨て、「つくる会」勢力と公然と結託する杉並区教委に採択をゆだねるわけにはいかない。6・22を引き継ぎ、さらに数倍する結集で7月教育委員会を包囲しよう。この闘いは、本来、教職員組合がストライキを構えて闘うべき課題なのだ。
戦争と民営化の攻撃の象徴とも言うべきJR尼崎大事故と教科書攻撃に対して、動労千葉の安全運転行動と杉並の教科書闘争は、真っ向から勝負を挑んでいる。動労千葉は、処分恫喝をはねのけた安全運転行動でレールを補修させる成果をかちとっている。長谷川候補当選を突破口に、杉並教科書決戦になんとしても勝利しよう。
この闘いは、戦後労働運動の経済主義、改良主義、議会主義をのりこえ労働者階級の実力闘争を復権していく闘いだ。「日の丸・君が代」闘争に続く教科書闘争への教育労働者の決起をつくり出し、社・共に代わる労働者党への飛躍の巨大な一歩を踏み出そう。
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週刊『前進』(2204号5面2)(2005/07/04)
JPU大会 民営化・改憲推進に怒り 全逓労働者が会場前集会
6月22〜23日、JPU(日本郵政公社労働組合、旧全逓)の第60回定期全国大会が奈良市の「なら100年会館」で開かれた。
郵政民営化関連法案が国会で審議されている中で開催された今大会は、JPU中央本部の裏切りに抗し、郵政分割・民営化絶対反対の路線・方針と、JPU中央が改憲推進勢力となることを許さない方針の確立が求められた。今こそ、職場から物ダメ・ストライキの実力決起が必要なのだ。
闘う全逓労働者は、都議選決戦―「つくる会」教科書採択阻止の決戦と一体の闘いとして、JPU大会闘争を闘い抜いた。
大会初日、50人以上の全逓労働者らが会場前に登場し、カクマルの敵対を一蹴し、代議員・傍聴者への宣伝活動を行った。全国労組交流センター全逓労働者部会、人事交流=強制配転に反対する近畿郵政労働者の会、全逓4・28連絡会などが、それぞれのビラを配布し、次々とマイクを握ってリレートークを行った。
革共同全逓委員会は、改憲と大量首切りを推進するJPU菰田・難波体制打倒を訴えるリーフを配った。
昼休みには、会場前闘争に結集した全逓労働者らが勢ぞろいし、「戦争反対!民営化反対! つかもう職場復帰! 4・28支援なら集会」を開催した。多くの組合員が例年以上に注目する中での集会となった。
「日の丸・君が代」処分と闘う大阪教育労働者の会の教育労働者からの連帯のあいさつを受け、会場に向けてシュプレヒコールを上げ、全国の全逓労働者が次々に発言した。
「本部は1万人削減のアクションプラン・フェーズ2に賛成して、何が民営化反対か。自民党の『反対派』や民主党、特定局長会、全郵政と一緒にやるだけで、JPUとしての民営化阻止の方針は議案にはまったくない。改憲について議案で触れている。戦争と民営化を阻止しよう」
「民営化の現実はJR尼崎事故が示している。動労千葉のように安全のために闘う労働組合があれば、あんなことは起こらない」
「東京高裁で昨年6月30日に4・28裁判の逆転勝利判決をかちとったが、JPUとして、この判決にコメントもしないのは許しがたい」
本部の高橋組織部長は、被免職者の申し入れに「コメントする立場にない」と言い放ったのだ。
集会では、兵庫・加古川郵便局で小包を配達している関西トランスポートの労働者が、1個105円の完全歩合給で最低賃金にも満たない労働条件で働いていること、それに対して組合(関西合同労組トランスポート分会)を結成したところ、全員を解雇すると通告したことに対して、2波のストを闘ったことを報告し、支援を訴えた。
最後に、3人の4・28被免職者が「一刻も早く職場に戻り、職場の仲間と運動をつくりたい」などと、不屈の決意を表明した。
大会では、菰田委員長が冒頭のあいさつで、「憲法」について「アジアにおける国際情勢等を見極めつつ、連合の中でしっかりと運動を進めていきたい」と発言した。これは、連合中央による9条改憲の策動を推進することを表明したに等しい。民営化攻撃への屈服とともに、徹底弾劾しなければならない。
郵政民営化関連法案粉砕へ全力で闘おう。
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週刊『前進』(2204号5面3)(2005/07/04)
6・2〜6・18
連合が改憲へ初の政治研修会
私鉄総連が「つくる会」反対/笹森連合会長退任へ
●連合が改憲へ向け初の政治研修会 連合の初の政治研修会で笹森会長は結成以来の懸案である憲法などについての論議を呼びかけ、「(構成組織の考え方の)違いはかなり縮まってきた。残っているのは憲法や外交、平和、エネルギー問題」と語った。(2日)=要旨別掲
●研修医「労働者」と最高裁初判断 過労死が認定された関西医大病院の研修医の未払い賃金をめぐり、遺族が病院側を訴えた上告審判決で、最高裁は「研修医は労働基準法上の『労働者』に当たる」との初判断を示した。(3日)
●国家公務員の退職金、能力主義へ 政府は国家公務員の退職金の算定方式を見直す方針を固めた。公務員制度改革全体の年功重視から能力・実績主義への移行の方針にあわせるもの。(6日)
●米GM、大規模リストラ策を発表 米ゼネラル・モーターズ(GM)は工場閉鎖や大規模な人員削減を柱とした経営再建策を発表。今後数年間で米国内の工場数カ所を閉鎖、人員も08年までに同社の国内工場労働者の約4分の1に当たる2万5000人を削減。同時に従業員向け医療費の削減を図る。この点で労使の攻防が激化。経営陣が今月末までの合意を迫っているが、組合は「削減を強行すればストを打つ」と強く反発。(7日)
●企業の約4割、中国の抗日デモの影響を懸念 日本貿易振興機構(ジェトロ)は、日本企業の対中国展開に関する緊急アンケート調査の結果を発表。抗日デモにより中国での事業活動に影響が出ている企業は9.7%で、05年度中に影響が出ることを懸念している企業は36.5%となっている。(7日)
●連合、労働契約法制に意見 連合は厚労省「今後の労働契約法制の在り方に関する研究会」の中間とりまとめに対する意見を公表。「雇用継続型契約変更制度」と「解雇の金銭解決」の新設は、使用者に労働条件変更や解雇の「フリーハンド」を与えることになると批判した。(8日)
●私鉄総連中央委で「つくる会」教科書反対 私鉄総連の中央委員会が開かれ、設楽委員長は歴史教科書問題について「『つくる会』の教科書が文科省の検定に合格したが、戦争が美化されている。こうした教科書が教室に入り教えられることに危機感を持たなければならない」と述べた。(9日)
●大阪市が給与4千万返還請求へ 大阪市は市職員労働組合(市職)など8組合の役員ら129人を「ヤミ専従」だとして、支払った給与約4400万円の返還を求め、処分すると発表。(9日)
●笹森連合会長が退任表明 連合の笹森会長は記者会見し、今年10月の大会で今期限りで退任することを表明した。(17日)
連合政治研修会での笹森発言(要旨)
「組織内に国家像や国家理念、信念などの違いがあるのは事実」
「今でも懸案事項は残っており、連合として一本にまとめるのは難しいが……論議もできない連合ではだめだ」
(アメリカのナショナルセンター、AFL−CIO〔労働総同盟・産別会議〕の危機について)「民主党政権のみに肩入れしてきたことの反動だ」「連合はいかなる政権にも是々非々で対応する」
●解説 連合は93年に制定し、99年に改定(01年に部分的見直し)した政治方針において、@憲法9条1項(平和主義)は維持、A自衛隊を容認の上、専守防衛と国連指揮下での活動を明記、B平和基本法を制定する――としているが、「憲法改正を俎上(そじょう)に乗せることは、時期尚早と判断」としてきた。
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週刊『前進』(2204号6面1)(2005/07/04)
反動派が区民の剣幕に圧倒され謝り退散 東京 松岡一郎
私は連日、杉並区内の私鉄の駅で「つくる会」教科書採択阻止のビラまきをしています。先々週の金曜日の夜、酒に酔った反動派がからんできましたが、高齢の男性が割って入ってきて、その反動派を言い負かして退散させるという出来事がありました。
私が「お仕事、お疲れさまです」とビラを渡そうとしたら、私の顔をにらみながら「おまえはばかか」と二度三度と言って通り過ぎた50歳代の男性がいました。私が「侵略戦争を賛美する『つくる会』教科書に反対しましょう」と言ったら、その男は戻ってきてまた「ばか」と言ってからんできました。明らかに酔っていました。すると70歳前後の男性が来て「いま様子を見ていたが、人のことをばか、ばかと言うのはおかしい」と酔っぱらいに説教しはじめたのです。
その男性が言ったことは、「戦争中は世田谷区にいて米軍の空襲を経験した。あんな戦争は繰り返してはいけない。日本はポツダム宣言を受諾して、二度と戦争をやらないと誓ったんだ」「この人の言っていることに反対意見があるのだったら、あんたもビラを作ってまいたらいい。それをしないで人のことをばかだと言うのはおかしい」「酔っぱらって、しらふの人にからむのはけしからん」ということでした。
酔っぱらいは、最初はいろいろ言い訳をしていましたが、その男性の剣幕に終始圧倒され、最後は「自分が悪かった」と謝ることになりました。
今回のようなことは初めての経験です。4月以来のビラまきの積み重ねが区民の意識と行動に大きな変化をつくりだしてきた結果だと実感しました。
6・22区役所前行動の成功を受けて、燃え上がるような7月行動をかちとり、採択を絶対阻止しましょう。その中で都議選を闘い、長谷川英憲さんの当選をかちとりましょう。
右翼男の妨害を一喝 共感した区民が署名 東京 林原和久
私はこの間「つくる会」教科書の杉並区教育委員会での採択に反対してビラをまいてきました。つい先日の私鉄沿線の駅頭での出来事です。一人でビラをまいていたら、サラリーマン風の男が「この教科書のどこがいけないんだ」と妨害してきました。「かつての侵略戦争を美化しているからです」と当然にも応じましたが、すると男は「侵略ではない。自衛戦争だ」と言いながら私の体を二度ほど突き飛ばしてきました。「謝れ」と一喝すると、男は「お前こそ英霊に謝れ」と捨てぜりふを吐いて退散していきました。
男が立ち去った後しばらくして、近所の買い物風の男の人が話しかけて来ました。「先ほどの様子を見ていました。あなたが正しい。毅然(きぜん)としていた。私は怖くてああはできない」と言って親しげに激励してくださいました。立ち話は、教科書問題から裕仁の戦争責任のこと、さらに戦後史の真の歴史決着の闘いなどへと及び、大変有意義でした。その話の中で、「右翼は最後はこれですから、気を付けてください」とドスを突きつける格好をして気遣ってくれました。そして採択反対の署名要請に快く「それならできます」と応じ、自らも署名用紙を持ち帰ってくださいました。この一場の経験に私は大変勇気付けられ、思うところも本当に大でした。
こうした人びとが右翼や権力の暴力に怒りと同時に恐れを抱いて生きているのです。この押さえつけられてきた力が解き放たれる時、それは社会変革のとてつもない力になるでしょう。この間の杉並での闘いは、確実に大衆が決起する情勢をつくりだしてきています。それが爆発的に実現された時に、「つくる会」教科書採択阻止を掲げた長谷川氏を都議会に送り出せると確信しました。
「朕のため死ね」とは二度と言わせない 千葉 漠有人
「右を向いても。左を見ても、いまの世の中真っ暗闇じゃございませんか?」歌の文句じゃないけれど、戦後最悪最凶の小泉内閣の悪政はとどまるところを知りません。
それどころか、歴史の歯車を逆回転させようと「改憲」「教育基本法改悪」を振りかざして「つくる会」の反動教科書の採択強要から、「北朝鮮」や中国への露骨な敵視政策などなど、ますますエスカレートするばかり――。
つまるところ、彼らの真の狙いは「いつでも戦争のできる国」、いざ戦争となった時「億兆心ヲ一ニシテ――皇運を扶翼シ奉ル」国民の育成にあります。
先の第2次世界大戦で戦死した幾千万の兵士の平均年令は18・9歳と言われています。
戦争は、前途ある若者の生命を奪います。
戦争は、母なる大地を破壊します。
戦争は、一人でも多く相手を殺した方が勝者となるのです。
戦争は、人と人との殺し合いです。
戦争に「良い戦争」も「悪い戦争」もありません。戦争を命令する者は、けっして戦死しません。戦争は絶対悪です。
こんなことを企(たくら)んでいる連中を野放しにしておいて、明るい未来はありません。
今こそ小泉内閣とそれを取り巻く石原都知事らのようなゴロツキ反動どもに鉄槌(てっつい)を下すべき時です。
闘いの先頭に立って、絶えず労働者階級と人民大衆を励まし、勇気を与え続けてくれる『前進』に敬意と連帯の拍手を送ります。
『前進』を読み共謀罪廃案への闘いに参加 東京 尾沢 基
『前進』を久しぶりに買いました。きっかけは中国での抗日・反日の大きなデモンストレーションと闘う民衆のイカリの暴発に対して革共同がどの様な論評をしているのかに関心があったからです。
よく読むとそれはテキカクで正しくまったく異議の無いものでありました。更に革共同が日本帝国主義のイラクへの自衛隊=日本軍の侵略をもって戦時下であるとの見解を真正面から述べ記しているところに共感するものがありました。
革共同の戦略的スローガン「闘うイラク人民、ムスリム人民、中国、朝鮮、アジア人民と連帯し――侵略戦争を内乱に転化せよ」という闘う方針を保ちつつ活動を続けている所にたくましさを感じました。
私は本紙を読み、6月14日に国会前で共謀罪新設に反対し、廃案に持ち込むべく闘いをするとのことを知って実際に参加しました。
共謀罪は治安維持法よりも破防法よりも更に悪法であり、絶対に廃案としなければならない重大な法律であります。権力にとって都合の悪い思想、信条、言論を持つ者、運動をしている者は逮捕が安易にできるのだというまさに第2次世界大戦前夜の様子となっている、この事態を突破するべく活動し、闘っているのです。
6月14日には700枚以上のビラを衆議院議員などに手渡した。立ち止まって私たちと会話をしてゆく議員もいました。
6月25日には有楽町マリオン前で街頭宣伝もあります。7月7日には「撃て!警察管理社会――共謀罪を廃案へ7・7集会」があります。わたしはこれらの行動・集会にすべて参加しようと思っています。共謀罪絶対廃案に向けて全力で結集し闘いましょう。
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週刊『前進』(2204号6面2)(2005/07/04)
共謀罪 行為なしで思想を弾圧 審議入りに反撃を
6月24日、日帝・小泉政権は、共謀罪法案の衆院法務委員会での審議入りを強行した。徹底的に弾劾し延長国会で必ず廃案に追い込むことを宣言する。
破防法・組対法に反対する共同行動は、6月中の審議入り阻止を掲げて6月14日、21日と連続して緊急の国会前行動に立ち上がった。追いつめられた日帝・小泉政権は、共謀罪法案が廃案に追い込まれる危機感に駆られ、審議入りを強行したのだ。
政府・与党は6月20日からの延長国会(会期末は8月13日)でなんとしても共謀罪を成立させる腹を固めている。闘いはこれからが正念場だ。
絶対に廃案へ
共謀罪の第一の特徴は、実行行為を必要としないために、2人以上が同席した場で思想や信条として吐露したり表明した内容が「犯罪」とされることだ。
居酒屋で友人と「ファシスト石原を一発殴ってやりたい」と語り合えば「傷害の共謀罪」が成立する。
第二の特徴は、557もの罪について共謀罪が新設され、労働者人民を支配する(監獄という国家暴力で弾圧する)ための新たな刑罰体系が作られることだ。
第三の特徴は、警察権力が「何々の共謀罪」が成立したと勝手に判断した段階で労働者人民を逮捕できることだ。
第四の特徴は、「犯罪摘発」のためと称して、盗聴の拡大、おとり捜査、警察官のスパイとしての潜入捜査などが実行されるようになることだ。
共謀罪は、国家権力(警察・検察)が労働者人民の思想・信条の内容を「翼賛的であるかどうか」によって振り分け、反体制的な思想・信条を刑罰をもって取り締まるための、現代版治安維持法だ。それは同時に労働者人民の団結(革命党や労働組合など)を徹底的に破壊するものだ。
この共謀罪の狙いを鮮明に受け止めた時、労働者人民は必ず決起する。共謀罪廃案に向けての闘いの高揚は必ず実現できる。
マスコミも共謀罪の危険性について自覚する中で、新聞や雑誌に批判的な記事を掲載し始めた。
6月14日付北海道新聞には、「『共謀罪』に法曹界反発、広い適用対象『市民が標的に』」という特集記事が掲載された。その中で「会話や電話、メールの内容そのものが犯罪となる」と指摘されている。
6月26日付サンデー毎日には、「この法案の悪質さにもっと早く気づき、反対の声を上げるべきだった」という書き出しで始まる「共謀罪が成立していたら私も逮捕されていた」というショッキングなレポートをジャーナリストの山岡俊介さんが執筆している。
6月都議選での長谷川ひでのり氏の当選をかちとり、その力で「つくる会」教科書採択を阻止しよう。延長国会で共謀罪法案を廃案に追い込もう。
斎藤貴男さん(ジャーナリスト)や海渡雄一さん(弁護士)らが呼びかける「撃て!警察管理社会、共謀罪を廃案へ7・7集会」(7月7日〈木〉午後6時、東京・永田町の星陵会館)への大結集を実現しよう。
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週刊『前進』(2204号6面3)(2005/07/04)
「詐欺」容疑デッチあげ 学生ら2人を奪還 戦時型弾圧を打ち砕く
アパートの賃貸借契約をめぐり、「詐欺」容疑をデッチあげられて5月31日に逮捕された全学連の学生ら2人が6月21日、不起訴・釈放をかちとり、奪還された。2人の完全黙秘・非転向の闘いと救援運動の一体となった闘いで権力の憎むべき大弾圧を打ち破った。
今回の弾圧は、反戦・反権力の思想・言論・運動を許さない、どんなデッチあげをやってもつぶすという戦時下の治安維持法型弾圧であり、共謀罪の先取りである。絶対に許せない。
2人に対して警視庁公安部は1日5〜8時間の取り調べを行い、「人殺し集団」「バカ(ママ)集団」「運動をやめろ」などと繰り返しののしり、転向を迫った。
それだけではない。警視庁公安部は、この「詐欺」容疑を口実にして、6月2日から17日にかけて、山形大、東北大、富山大、京都大の学生自治会室やボックス、学生の下宿、前進社本社や杉並区民宅など、全国14カ所に及ぶ不当な家宅捜索を行った。中野区のアパートではコピー機や印刷機まで押収し、都政を革新する会事務所では、寝室の壁をハンマーで破壊するなどの暴挙を行った。
これらの経緯や警察の言動のどれをとっても、「詐欺」容疑がまったくのデタラメであり、真の狙いは反戦を闘う学生・団体への治安弾圧にあることは明らかである。「つくる会」教科書採択阻止の闘いつぶし、都議選闘争つぶしであると同時に、戦闘的な学生運動の圧殺を狙うものである。
しかし、どんな弾圧も、闘う労働者・学生の闘う意志をつぶすことなど絶対にできない。5・31弾圧粉砕の勝利をバネに、都議選・「つくる会」教科書採択阻止決戦に勝利しよう。
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週刊『前進』(2204号6面4)(2005/07/04)
入管法改悪弾劾する 指紋押捺制度復活阻止へ
参院先議で4月に参院で可決されていた改定入管・難民法と刑法一部改悪が6月16日、衆院での全会一致で可決した。戦時下での在日・滞日外国人への植民地主義的抑圧のための入管・難民法の相次ぐ改変を徹底弾劾する。排外主義と愛国主義・国家主義で覆われた戦争翼賛国会となり果てたことを示す全会一致だ。
今次入管法の改定は、刑法に「人身売買罪」を新設し懲役10年など厳罰化したことに対応する入管法の改定(被害者に在留資格=在留特別許可を出して保護するとする)と、旅券の偽造とその所持に対する「不正受交付罪」の新設とその重罰化(3年以下の懲役または300万円以下の罰金)である。また、「テロの未然防止に向け」入管当局が持つ密入国情報を外国の入管当局に提供する改定、航空・船舶会社に乗客の旅券の有効確認の義務付けを行ったものだ。そして旅券には指紋押捺を導入しているのだ。入管法は新入管法として今後数次の改悪を行い、日帝の戦争国家への突進に対応して新たな全面的改変を行おうとしているのだ。
第一に、植民地主義的な民族抑圧を「テロの未然防止」として排外主義をあおり、戦時下の治安攻撃の最先端に位置づけた大攻撃である。外国当局との相互の情報提供は、難民条約などで禁止されている昨年のトルコへの難民申請者の情報提供(クルド人への大弾圧)を法制化するものであり、外国人の指紋も含む全情報をオンライン化し、その情報を交換するものなのだ。この先にあるのは住民基本台帳と同じく、自治体の情報ともオンライン化させて完全に掌握して弾圧する治安攻撃である。外登法撤廃闘争で闘いとった指紋押捺制度の廃止を入管法で旅券情報として復活させ、在日・滞日外国人への民族抑圧を強め、難民対策をテロ防止として徹底した治安攻撃としていこうとするものであり、イラク侵略戦争の参戦に踏み切り、対北朝鮮・中国侵略戦争への衝動を強める日帝の入管体制再編攻撃である。在日・滞日外国人の生活のすべてを日常的に管理し、監視して摘発(犯罪者として扱う)・強制収容・強制送還しようとするものである。
第二に、「人身売買罪」新設を人道主義と喧伝(けんでん)しているが、それは外国人労働力の大量の導入とその治安管理を目的とする新入管法=入管体制のための法整備である。日帝小泉=奥田らのアジア共同体、東アジア経済圏構想のためのFTA締結と一体となって、日本経団連の「外国人庁」「多民族共生庁」設置政策に対応する、奴隷的な管理下での外国人労働力の導入に道を開くためのものだ。日本経団連・奥田路線との一体化である。
在日・滞日外国人労働者への攻撃との闘いを支援し、国際連帯の一環として入管闘争を強めよう。国際連帯闘争として杉並での「つくる会」教科書採択を阻止しよう。都議選で長谷川氏の選をかちとろう。
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週刊『前進』(2204号6面5)(2005/07/04)
台湾原住民族が決起 靖国合祀取り下げを要求 小泉の参拝に痛烈な批判
小泉が靖国神社参拝を繰り返し、今年もそれを強行する構えを崩していないこと、日韓首脳会談の決裂など、戦後60年の節目にあたって、靖国問題は、日本と朝鮮・中国・アジアをめぐる最大の階級的激突点になっている。これと符節を合わせて「つくる会」教科書の採択が各地で策動されている。どちらも、過去の侵略戦争と植民地支配の歴史を正当化し、新たな戦争に向かっての国民動員の攻撃を許すかどうかの、切迫した問題になっているのである。
靖国神社は、日帝の行った戦争を「アジア解放のための聖戦」として全面的に開き直っているだけではない。かつて日本が植民地とした台湾、朝鮮で「日本軍の軍人」として侵略戦争に動員した人びとを合祀(ごうし)することで、死後も辱め続けているのである。
靖国神社には、台湾出身の合祀者2万8千余人、朝鮮出身の合祀者2万1千余人が「護国の神」としてまつられている。日本の植民地支配に抵抗した何万、何十万の人びとが日本の軍隊に殺され、民族丸ごとじゅうりんされ、民族的尊厳を奪われた。その上、日本軍に徴兵・徴用され、命を奪われた。そうした戦死者たちが、日本政府からなんら補償されないにもかかわらず、一方的に「英霊」として靖国神社にまつられ、いわば「霊」を奪い取られているのである。
これに抗議し、合祀を取り下げろと要求する闘いが、これまで韓国と台湾の双方から行われてきたが、最近の小泉の靖国神社参拝居直りに対する怒りの高まりの中で、再び一挙に高まっている。
6月14日、靖国神社に対し、民族衣装を着た台湾原住民族のグループが、「台湾原住民族は日本人ではない」として第2次世界大戦中に日帝によって強制徴兵され、戦死した先祖の合祀を取り下げることを要求した。この「霊魂返還運動」の先頭に立ったのは、台湾立法院議員で泰雅(タイヤル)族の高金素梅(民族名はチワス・アリ)さん。
日本に「高砂義勇隊(台湾原住民族からなる日本軍部隊)」として組織された人びとは、2万人が南方作戦に動員され、日本兵の弾よけとして最前線に立たされた。靖国神社は「日本人として立派に戦って死んだのだから、合祀されるのは当然」と言い、遺族たちの合祀取り消しの要求をかたくなに拒否している。
この日、高金さんらが靖国神社に行くことを察知した右翼は、大挙して神社の内外を固め、代表団に対して排外主義的な悪罵(あくば)を投げかけて、行動を妨害した。右翼勢力と国家権力の阻止によって靖国神社に入れなかった一行は、霞が関の弁護士会館に移動して、怒りを表明した。
17日には、小泉首相の靖国神社参拝をめぐって国などを相手取った訴訟の控訴審(大阪高裁)公判を傍聴した後、近くの広場で伝統的な祈りの歌を歌い、先祖の霊を取り戻す儀式を行った。高金さんは、「私たちの要求は先祖の霊を返し、靖国神社の名簿から削除すること。こんなささいなことが認められないとは思えない」と語った。
靖国神社が「A級戦犯は分祀できない」とかたくななまでに拒否していることと、台湾と朝鮮の戦死者を名簿から削除できないと拒否し続けていることは、表裏一体の問題である。そこで要求に応じることは、過去の植民地支配が誤りであり、謝罪と賠償をしなければならないことを認めることになってしまうからだ。また、帝国主義戦争に「日本人」として動員し、最前線に立たせて殺したことを誤りであったと認めることになるからだ。あくまで「聖戦」としてすべてを正当化する以外に靖国神社は存立できないのだ。
今回の台湾原住民族の決起は、きわめて鋭く靖国神社の正体を暴き、小泉の靖国参拝の反人民性と戦争挑発性を突きだした。闘う中国・朝鮮人民と連帯し、小泉の靖国神社参拝策動を弾劾し、中国・朝鮮侵略戦争策動を粉砕しよう。
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週刊『前進』(2204号6面6)(2005/07/04)
『賃金・価格・利潤』 −学習の感想−
プロレタリア革命の立場で M・N
今日の賃金闘争を闘うにあたり、資本家とやり合う場合の論理(交渉術のようなもの)を『賃金・価格・利潤』から学ぶ、教訓化するというような読み方ではいけない、と思いました。
私の最初の質問は、「日本の高賃金が国際競争力のネックになっている」というブルジョアジーの主張に対して、マルクスがウェストンに反論しているように「賃上げが商品の価格を押し上げるのではない」と反論することを考えたことに発しています。
考えてみたら、それでは資本家の土俵です。重要なことは、資本家階級と労働者階級の利害は絶対的に対立しているということ。それゆえ、労働者階級が労働組合を結成して賃上げ闘争を闘うことは、本質的に“内乱=革命”をはらんだものであるということだと思います。
労働運動の指導部は、資本家階級との本質的非和解性をしっかりと確認して、労働者の権利を何がなんでも守り抜き、階級的団結を強化して、プロレタリア革命(賃金制度の廃絶)に向かって前進していくという戦略的立場に立つことが今こそ求められていると思います。そうでなければ、この帝国主義の危機の時代に「国際競争力」論に打ち勝って、賃金闘争を闘っていくことはできないと思います。
『賃金・価格・利潤』は、そのような問題を提起しているものとして理解することが必要だと思う。講師の提起を反芻(はんすう)して、あらためて本書の内容の深みをつかみとりたいと思います。
賃金闘争は開始即戦闘だ W・F
マルクスにおける『賃金・価格・利潤』の位置について、理論としての『資本論』と実践論としての『賃金・価格・利潤』という関係にあると理解していたが、そうではなく、それらは一体であること、すなわち、賃金闘争、労働組合、党の意義をトータルにとらえるべきであること、そのために全体系的理解が大切であることがよく分かりました。
また、『哲学の貧困』では、価値論的領域が展開されていて、それが『共産党宣言』につながっていく関係にあるというとらえ方は、少し驚きであった。しかし、経済学に入っていくことで(内在的批判をすることで)、プロレタリア革命を主張することに力を得ていく構造が理解できた。
さらに、労働組合、賃金闘争は、開始即戦闘であるという激しさをもつものとして、理解しなければならないと思った。
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