ZENSHIN 2005/06/27(No2203
p06)
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週刊『前進』(2203号1面1)(2005/06/27)
6月教科書決戦に全力を
戦争賛美と国家への忠誠要求の「つくる会」教科書採択絶対阻止へ
都議選勝利で石原打倒開こう
長谷川氏の演説に区民が駆け寄って固い握手(6月15日 杉並区役所前)
都議会議員選挙は24日の告示まであと4日、7月3日の投票まで2週間を切った。この決戦は、のるかそるかの史上最大の決戦である。ここで勝つことができるかどうかが今後の歴史を決する。全国のすべての同志諸君、すべての闘う労働者人民のみなさんが、都政を革新する会代表・長谷川英憲氏の当選のために、持てるすべての力を発揮して立ち上がること、杉並に駆けつけることを心から訴える。6・22杉並区教育委員会包囲闘争に全力で決起し、「つくる会」教科書採択を大衆的な力で阻止しよう。
第1章 3大政策を掲げて奮闘する長谷川氏
いよいよ選挙戦は激烈な最終盤戦に突入した。都政を革新する会の長谷川英憲氏の必勝のためにあらゆることをやり抜こう。
長谷川氏は鮮明な3大政策を掲げている。「とめよう『つくる会』教科書」、「うばうな介護と福祉」、「石原知事に挑戦状」である。この3点で勝負し、支持を拡大し、勝利しよう。
第一に、「つくる会」教科書の採択を絶対させない闘いの先頭に立っている。
今、採択が狙われている「新しい歴史教科書をつくる会」の扶桑社版歴史・公民教科書は、靖国神社の思想、歴史観を教室に直接持ち込もうとする恐るべき攻撃である。各地で検定合格教科書の展示が始まっているが、「つくる会」教科書は、他の7社の教科書とは画然と違う。それは、(1)日本帝国主義の侵略と戦争の歴史をねじ曲げ、肯定・賛美し、再び「お国のために命をささげる」ことを求めている。(2)万世一系の天皇中心史観で日本史を描き上げている。(3)さらに改憲攻撃を誘導する教科書だ。
こんな教科書が採択されたら、現場の教育労働者にはその内容で教えることが義務づけられ、従わなければ「指導力不足」などで処分されることになる。まさに「戦争は教室から」だ。教育労働者が再び教え子を戦場に送ることになってしまうのだ。これは日教組運動の原点を破壊する攻撃である。労働運動、学生運動、反戦運動なども一切成立しなくなる。革命党も階級闘争も圧殺される。腹の底から怒りと危機感を持たなければならない。
長谷川氏の当選をもって杉並と全都で「つくる会」教科書採択をなんとしても阻止しよう。「杉並・親の会」が呼びかける採択反対署名を集め、6月22日の杉並区教育委員会への大衆的包囲の闘いを大高揚させ、採択阻止へ前進しよう。
第二に、長谷川氏は「介護の長谷川」であり、高齢者の命を守る闘いをともに闘う唯一の候補だ。「必要な人に必要な介護を」「介護は全額公費負担で」を掲げ、介護保険制度に真っ向から反対して闘ってきた唯一の候補だ。介護と福祉を要求する杉並住民の会の高齢者とともに、杉並区交渉や厚生労働省交渉の先頭に立って奮闘している。その実績は他の追随を許さないものがある。今日介護保険法がさらに改悪されようとしており、必要な介護が奪われ、利用者の負担増で生活がさらに苦しくなろうとしている。これに真っ向から対決して闘っているのは、長谷川氏だけである。
第三に、石原ファシズム都政に対する徹底的な批判者として登場し、石原打倒を掲げて闘っている。
石原が6年前に都政に登場して以来、そのファシスト的本性は、ますます露骨になってきている。靖国神社参拝、排外主義の扇動、女性や「障害者」への差別暴言、福祉切り捨て、都労連労働者へのリストラ攻撃など、あらゆる場面であらわになっている。
石原は中国との戦争をあおり立て、福祉を無慈悲に切り捨てている一方で、自らの私腹を肥やし「海外視察」と称して税金を湯水のごとく使いまくっている。2001年には、南米ガラパゴス諸島への旅行に1600万円も使っている。
石原は副知事浜渦問題で大きな失点を残したが、都議会の総翼賛状況に助けられて延命したばかりか、いったん教育長から外した横山を、今度は筆頭副知事に起用するという人事を強行した。横山は、都庁内で「ヒトラー」と呼ばれる人物で、10・23通達を出したのも横山だ。これは石原がさらにファシズム独裁支配を貫くと同時に、石原「教育改革」をさらに推進する布陣である。「つくる会」教科書の東京都での採択を拡大し、さらに全国に広げようとしているのだ。
結局、浜渦問題は、石原=浜渦体制から石原=横山体制への転換として結果した。石原=横山との「つくる会」教科書決戦がより鮮明に焦点化したのである。
石原は、日帝・小泉=奥田路線として進められている戦争と民営化(労組破壊)の攻撃の最も突出した先兵である。石原の打倒は、小泉政権打倒に直結する情勢を切り開くのだ。
長谷川氏の3大政策は、今の労働者階級人民のきわめて切実な要求と課題についての、鮮明な階級的立場を表している。本当に長谷川氏しかいない。なんとし
ても勝利しよう。
第2章 靖国参拝居直りと教科書攻撃は同根
日帝・小泉は、靖国神社参拝を取りやめることはけっして表明せず、なお居直り続けている。韓国でも中国でもこれに対する怒りの声が高まっている。靖国神社は、過去の日帝の侵略戦争と植民地支配を丸ごと正当化し、戦死者を神としてたたえるところである。
日本の植民地支配下で徴兵され戦死した台湾の原住民族の遺族ら約60人が6月14日、靖国神社に合祀されていることに抗議し、霊を持ち帰る儀式を行おうとしたが、日帝権力と右翼に阻止された。台湾の住民2万7800人もが日本軍の軍人軍属として命を落とした。その死者たちが靖国神社によって死んだ後も辱められ続けていることに抗議して立ち上がったのだ。この決起は、小泉の靖国参拝居直りに対する危機感から発した闘いである。こうした怒りの何百倍も何千倍もの怒りが今アジア全域を覆っているのだ。
小泉が靖国神社参拝に固執するのは、過去の戦死者を追悼するためではない。まさにこれからの戦死者のために靖国神社が必要になってきているのである。
日米枢軸のもとでの自衛隊のイラク派兵としてすでに日帝が侵略戦争に参戦し、いつ戦死者を生みだすか知れないところまできている。さらに米日帝の北朝鮮・中国侵略戦争に向かっての新ガイドライン以来の攻撃が強められ、沖縄基地強化などの米軍トランスフォーメーション(大再編)が進んでいる。こうした新たな15年戦争のための戦争体制づくり、戦争国家づくりと一体の攻撃として、「戦争のできる国民づくり」の攻撃が本格的に始まったのだ。それが、10・23都教委通達に基づく「日の丸・君が代」強制の攻撃であり、小泉の靖国参拝とその居直りであり、「つくる会」教科書の採択攻撃である。
韓国や中国からの度重なる抗議にもかかわらず、靖国神社参拝をやめると言わないのは、それ自身が対中国、対朝鮮の宣戦を布告するに等しい行為だ。
中山文科相は「もともと従軍慰安婦という言葉はなかった」と「つくる会」と同じ思想で暴言を吐き、またも侵略を開き直った。
また、「6・23慰霊の日」を前に、沖縄戦の歴史を「軍による強制はなかった」ものに塗り替えようとする藤岡信勝らの策動が表面化した。
これらはすべて、「つくる会」教科書採択と一体の動きであり、憲法改悪、教育基本法改悪に向かう攻撃である。戦争に向かってのこうしたすべての攻撃と対決する絶対不可欠の、かつ最先端の闘いとして「つくる会」教科書採択阻止の闘いがあり、そのための都議会議員選挙決戦がある。
第3章 日共や「市民派」ではなく“闘う長谷川”を
今日、都議会は石原都政のもとで総翼賛議会の惨状を呈している。自民党、公明党と民主党は、今回の浜渦問題の中で、完全にその腐敗を露呈してしまった。生活者ネットも、石原与党として、石原都政を支えてきた。
こうした腐敗しきった都議会の中で、日本共産党は「オール与党に対する唯一の野党」などと称して、2000年以来の国政選挙・都議選での連続敗退を巻き返そうとしている。しかし、その政策は、今日の小泉=奥田路線の最凶悪の先兵であるファシスト石原と対決するものとはおよそかけ離れた内容だ。
日本共産党は、都議選で「税金のムダづかいをやめさせよう」を中心政策としているが、これは実質的に行革推進のスローガンなのだ。しかも石原の戦争に向かっての都政、ファシスト独裁都政を打倒すると言わない。議員の海外旅行がぜいたくだと言いながら、それよりももっとひどい石原の超豪華海外クルーズをなぜ問題にしないのか。
特に「つくる会」教科書反対は今回の都議選政策に入ってもいない。「30人学級」を実施しても、そこで教える内容が「つくる会」教科書によるものなら、戦争教育がより密度の濃い授業で推進されるのだ。
また、日本共産党は介護保険が導入された時に反対しなかったばかりか、その一層の大改悪をもくろむ介護保険法改悪法案にも反対していない。
杉並区選出の日本共産党・吉田信夫都議は、現在の都議15人の中心人物である。それだけに杉並を最重要視しており、長谷川英憲氏と都政を革新する会に対する危機感と敵意をむき出しにしている。何よりも、「つくる会教科書反対の運動は中核派=暴力集団」とののしって、杉並区民の署名運動に真っ向から敵対している。杉並は教科書採択問題の最激戦地である。「杉並が危ない」ことは、韓国や中国でも知られており、国際的に注目されているのだ。その杉並で、署名運動を妨害するとはなんということか。これは石原・横山、そして山田杉並区長の軍門に下って、「つくる会」教科書採択に協力するものだ。絶対に許すことはできない。このことをはっきりさせて、長谷川氏の勝利のために闘おう。
「自治市民の会」の福士敬子議員は、本紙前号で詳しく批判したように、「私は反石原ではない」「面白いところもある石原都政」と言って石原を擁護し、また、今春卒入学式に出席して「日の丸・君が代」で起立したことを「私は冠婚葬祭では式次第に従う」と開き直った。
福士議員は、こういう居直りによって、事実上「式次第に従わなかった」教育労働者の決起に反対しているのであり、10・23都教委通達にくみしているのだ。
福士議員は、「つくる会」教科書採択に反対する署名運動にも取り組もうとせず、闘いに背を向けている。こんな議員に労働者・住民の思いを託すことができるか。都高教を始めとするすべての教育労働者、すべての都労連の労働者、すべての杉並区民のみなさんに、福士議員は、労働者の立場に立って闘う議員ではないことをしっかり見抜き、長谷川氏を支持することを心から訴える。
全国からすべての同志と闘う労働者・学生が杉並に結集し、長谷川氏への支持を広げ、ともに勝利をかちとることを訴えたい。6・22杉並区教委包囲闘争の大高揚をかちとろう。勝利まで頑張り抜こう。
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週刊『前進』(2203号1面2)(2005/06/27)
「従軍慰安婦という言葉はない」 中山文科相発言を弾劾する
教科書から削除
「新しい歴史教科書をつくる会」が作成した歴史と公民の教科書の採択阻止をめぐる激突が、東京・杉並を最先端に、全国各地で闘われている。
このただ中で、中山成彬文部科学相のとんでもない発言がまたも飛び出した。6月11日、静岡市で開催された「教育改革」のタウンミーティングに出席した中山は、今春の教科書検定で中学校の歴史教科書から日本軍軍隊慰安婦についての記述を完全に消し去ったことを“成果”として誇り、次のように述べたのだ。
「そもそも従軍慰安婦という言葉はその当時なかった。なかった言葉が教科書に出ていた。間違ったことが教科書からなくなったことはよかったと評価した」
さらに13日には、この発言への内外からの激しい抗議に対し、「そういう実態があったことは知っているが、(その当時)そういう用語はなかった」と言い、教科書から消したことは正しく、韓国や中国への謝罪もする気はないとあらためて開き直った。そして小泉首相も中山発言を「何の問題もない」と支持した。
この中山の発言は断じて許すことができない。中山はここで、彼自身が「つくる会」と一緒になって全教科書からの慰安婦記述の抹殺を指示した張本人であることを公然と認め、居直った。日帝が15年戦争の過程で多くの朝鮮人女性や中国人女性を人さらい同然に連行し、日本軍の「性奴隷」とすることを国策として遂行したのは、南京大虐殺などと同様に、歴史の中に血で刻印された事実である。その事実を教科書に書くことを拒否したことは、この国家的犯罪を居直り、新たな罪を重ねるものだ。
日帝は今日、北朝鮮・中国侵略戦争に突き進むために、日帝が過去に行った侵略戦争と植民地支配の歴史をすべて美化し正当化しようとしている。だが慰安婦政策のような極悪非道の戦争犯罪の事実を少しでも認めたら、この正当化は成り立たないのだ。だからこそ事実そのものを徹底して抹殺しようとしている。
今回の中山の言辞は、歴史を学ぶことは「過去のできごと」を知ることではなく、「過去の人」(=支配階級)が何を考えたかを学ぶことだとして戦争を正当化する「つくる会」の主張と同じものである。
つくる会の先兵
そもそも中山は、文科相に就任する直前まで、自民党内の「日本の前途と歴史教育を考える会」議員連盟の座長をつとめていた人物である。この会は、教科書からの「自虐史観の一掃」を掲げて「つくる会」とともに活動し、「つくる会」教科書の採択を全国の自治体に強力に働きかけてきた中心団体だ。
この中山が文科相という教育行政のトップに立ち、「つくる会」教科書を全国の公立中学校に持ち込もうと策動しているのだ。その攻撃の最先端が東京であり、ファシスト石原=石原・横山体制との闘いだ。
杉並の山田区長と納冨教育長はその最先兵だ。闘う杉並区民と長谷川英憲氏を先頭に、こんな教科書の採択を絶対に阻止しよう。
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週刊『前進』(2203号1面3)(2005/06/27)
長谷川必勝のため杉並へ駆けつけよう
東京都議会議員選挙は、7月3日投票に向け、あと2週間の激戦に突入しました。杉並は6議席を12人の有力候補が争う大激戦になっています。
「とめよう『つくる会』教科書」「うばうな介護と福祉」「石原知事に挑戦状」を掲げて闘う、都政を革新する会・長谷川英憲氏の当選を何がなんでも勝ちとろう。
●ホームページに連日1000から2000のアクセス
今杉並では、3月ころには100前後だった都政を革新する会ホームページ(HP)へのアクセスが連日1000を超え、時には2000にも達するという大変な情勢がつくり出されています。メールで応援を約束する区民が次々と現れ、またそこから支援の輪が広がっています。
6月7日から13日で見ると、アクセスランキングのダントツ第1位は「教科書まんがビラ」。第2位は教科書リーフと続き、都革新とはどのような政党なのかという関心が高まっています。
●爆発的に拡大する区民自身の自主的な決起
また、杉並の各地域の区民自身が、自分自身の応援の言葉を載せた自分自身のビラをつくり、それを数枚〜100枚の単位で身近な友人・知人・職場の同僚に配り支持を拡大する画期的な闘いが起こっています。これまでにない規模で自主的・自発的な区民の決起が広がり、支持の声が寄せられています。爆発的と言っていいほどです。いくつか紹介すると――
「教育自身がだんだん戦前に戻っていくような気がする。二度と戦争はしたくない。本当に人間らしい生活をやっていきたい。長谷川さんがそれを代弁している」
「高齢者のために全力投球で闘ってくれる人です」
「ひでのりさんは、やさしさときびしさをあわせもった人。誠実で人間性がすばらしい」
「乱れに乱れている都議会になんとしても必要な方です。私の生きている間の最後の一大事と考えます。全身全霊を込めて皆様に推薦いたします」
じつに感動的な決起です。これは、まさに都革新の選挙戦と住民大衆自身の選挙戦が両輪となって勝利に向けて驀進(ばくしん)する本格的な選挙戦の姿です。
●勝利的情勢を現実の勝利へ、職場と地域でのオルグを
しかし、これを現実の勝利にまでもっていくには、まだまだ膨大な活動を展開しなければなりません。私たちは、この間何回も選挙戦を闘ってきて、既成大政党の厚い壁を打ち破るのはどれほど大変なことかよく知っています。
そのために必要なことは何か。
(1)同志・支持者・読者の皆さんが、全国から杉並に駆けつけ、ともに選挙戦を担ってください。今杉並では、ファシスト「つくる会」教科書派ばかりか日本共産党との食うか食われるかの激突情勢になっています。なすべき仕事は山ほどあります。一刻も早く杉並に駆けつけてください。特に駅頭での宣伝戦に加わって下さい。街頭が今、燃えています。
(2)毎日、都革新のHPを見て、杉並情勢にキャッチアップしてください。都革新HPは今や革命派の日刊紙であり革命的放送局です。行動方針も次々と打ち出されています。
(3)杉並区在住の友人・知人・親類に都革新HPを見るように勧めてください。会って話をし、電話をかけ、手紙を書き、長谷川氏への支持を訴えてください。つながりのある人からの働きかけは非常に有効です。支持を約束してくれた方にはさらに支持の拡大を訴えてください。
(4)職場の仲間にも話してください。選挙区に居住する人でなくても、その友人、知人に選挙区の人はいます。職場の中には無限の力があります。闘う候補の勝利の重要性を訴えて、その人に声をかけてもらってください。
これから投票日までの闘いに一切がかかっています。悔いを残さず、やれることはなんでもやりきろう。
そして必ず勝利しよう。
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週刊『前進』(2203号2面1)(2005/06/27)
ファシスト都政打倒へ つくる会教科書導入の先兵
石原の独裁と腐敗を暴く
浜渦問題をきっかけに、ファシスト石原と浜渦が続けてきた都庁の「恐怖独裁支配」、石原の公私混同、週2〜3日しか出勤せずに高給を懐にしている実態がさらけ出されている。同時に、石原―浜渦のファシスト的専横と闘わず、屈服し続けてきた都議会の無力・腐敗・反動性も突き出されている。都議選で「ファシスト石原に挑戦状」を掲げて闘う長谷川英憲氏(都政を革新する会)の勝利こそ求められている。長谷川氏の当選で「つくる会」教科書の採択を絶対に阻止しよう。石原打倒の展望を開こう。
浜渦問題の元凶は石原だ
この間の浜渦問題で、石原という人物のファシストとしての超反動性、凶暴性、差別主義や排外主義、そして俗物性、卑劣さ、腐敗と公私混同ぶりが、一挙にさらけ出された。
社会福祉総合学院をめぐる問題で、石原はしぶしぶ浜渦副知事を辞任させざるを得なかった。だが、これはペテンだ。浜渦問題は、百パーセント石原問題であり、石原こそ全責任を負って即刻辞めるべきである。
しかも、石原は石原に従順な大塚俊郎副知事を留任させ、「都庁のヒトラー」=横山洋吉教育長を新たに筆頭副知事にすえた。これは「つくる会」教科書を都内の中学校で一挙に採択させようとする超重大な攻撃だ。絶対に許せない。採択阻止へ全力で闘おう。
石原と浜渦は一心同体でやってきた。浜渦は石原の忠実な子分だった。
問題となった都議会予算特別委での「やらせ質問」も、働きかけを指示したのは石原だ。6月3日の記者会見で「せっかく予算委員会が開かれるのだから、最大責任政党の自民党にでも(質問を)やってもらったらどうだと言った。なぜか自民党も動きそうもないので、民主党ということになった」と、知事自身が浜渦に働きかけを指示したことを明らかにした。
石原がぬけぬけと「仕掛けたのは自分だ」と言っているのに、都議会各政党が浜渦辞任で矛を収めてしまうのはどうしたことか。
浜渦は都庁に週2〜3日しか来ない石原に代わり、職員ににらみを利かす「番犬」(都職員の言)だった。浜渦が00年に副知事になってしばらくした頃、石原は庁内放送で「ハンコは浜渦副知事に預けてある。決済は浜渦副知事を通すように」と公言した。都の幹部が石原に報告をするときには必ず浜渦が同席した。こうした中で、石原に批判的な幹部や、地味な仕事を大事にする良心的幹部職員は追放され、石原に卑屈に迎合し石原が喜びそうな提案をする幹部が出世していったのだ。「日の丸・君が代」を強制する03年「10・23都教委通達」も、こうした石原―浜渦―横山教育長の恐怖独裁政治の一環として出された。
こんな話がある。日経新聞の都庁担当記者が、ある有力政治家に石原の評価を問われて「彼はヒトラーだ」と答えたところ、その話が石原本人に伝わった。その後、浜渦が日経新聞社に執拗(しつよう)に圧力をかけ、その結果、記者は都庁担当からはずされ九州の支局に配転されてしまった。後日、石原は庁内で「気にくわない野郎を追い出してやった」と触れ回っていたという。
一事が万事こんな調子で都庁職員に対しても人事権をフルに使った専制支配が敷かれていった。浜渦の独裁的なやり方を、ある都幹部が「やりすぎではないか」と石原に進言したところ、石原はこう答えた。「浜渦は『あいつを殺せ』と言えばやってくる。おまえにはできないだろう」。
事実、国会議員時代に石原は、石原から離れて他陣営に回った元秘書を、浜渦を使って抹殺しようとした。1974年、この元秘書は、石原と同じ選挙区の別の候補者を応援していたところ、浜渦からある日お茶に誘われた。都内のホテルで落ち合ってエレベーターに乗ると、一緒に乗ってきた男と浜渦が突然「この野郎!」とむちゃくちゃに殴ってきた。エレベーターが地下駐車場に着くと「袋のねずみだ」「トランクあけとけ」と声が聞こえたが、元秘書は必死に逃げて助かったという。この浜渦の「殺人未遂」的テロもすべて石原の指示で行われたのである。元秘書は浜渦を告訴したが、警視庁はまったく動かなかった。
このような、どんな汚い、卑劣な、反人民的な暴力も平気で行うからこそ、石原にとって浜渦は「余人をもって代え難い」(6・3記者会見)子分なのだ。
都民の血税で飲食と豪遊
これだけではない。石原の公私混同と多額の公金支出、都庁にろくろく出勤もせずに高給を得ている事実も、絶対に許せない。
本来自分で支出すべき飲み食いの費用を公金から支出したり、豪華な海外旅行を公費で行うなど、石原知事の日常的な公私混同ぶりは甚だしい。
まず都の「知事交際費」は、他の道府県と比べて、飲食への支出が異常に多い。石原知事が旧知の友人やブレーンと、高級レストランや高級料亭で飲み食いして、その費用を公金から支出しているからだ。1回数人で30万円、40万円というものもある。公務員の接待を禁じた都の基準にも違反している。公用車を選挙応援に使った疑いもある。
また、「視察」と称して国内・海外で豪遊している。01年6月には南米ガラパゴス諸島に「視察」と称して4泊5日の豪華クルーズ(ヨットの旅)を行い、計8人で1590万円もの公費を使った。02年7月の小笠原でも、石原は同行記者団が船で到着する前々日に飛行艇で来島し、ダイビングで遊びまくった。
いま数百万数千万人の労働者人民がリストラ、賃下げ、労働強化、生活苦にあえいでいる。その中から税金を搾り取られている。加えて石原は「財政が厳しいから」と言って福祉予算などを大幅に削減し、都職員の賃金を4%カットしてきた。それなのに、石原本人は湯水のように公金を使いまくり、高級料亭・レストランでうまいものを飲み食いし、ろくに都庁にも来ないで都民の血税でヨットやダイビングで遊んでいるのである。こんな腐りきった都知事をどうして許すことができようか。
高給を取って福祉を破壊
さらに石原の勤務実態はどうか。出勤は週に2〜3日。5月に登庁したのは、わずか7日間。4月も9日間だった。登庁しても、3時間程度で帰ってしまう。
知事は年間2800万円もの給料を得ている。多くの労働者は毎日毎日、朝から夜遅くまで働いても月10〜30万円の低賃金で、それでかつかつ暮らしていくのが精一杯だ。過労死や健康を壊す労働者もたくさん出ている。それほどまでして働かなければ生活できない。ところが石原は、週に延べ8時間程度在庁しただけで月額230万円の給料を懐にしているのだ!
しかもやっていることは戦争と民営化の政策と福祉破壊である。都の福祉改革は弱者切り捨てそのものである。シルバーパスの全面有料化、老人医療費助成の廃止、心身障害者医療費助成への本人負担の導入、公立保育所の民営化、入所型福祉施設の統廃合や民間委譲、都立病院の半減計画など、きりがない。さらに浜渦や横山を手先にして、教育労働者へのしめつけと戦争教育への転換、戦争体制づくりを進めてきたのだ。
長谷川先頭に都議会刷新を
こんな石原を一日も早く都知事の座から引きずり下ろさなければならない。周囲が屈服していることが石原―浜渦の恐怖支配をはびこらせてきた。ファシストと体を張って闘う勢力がいなければ、戦争と暴力支配が通用してしまう。
都議会は、自公民を先頭にまったく石原に屈服してきた。日本共産党は15人の都議会議員を擁しながら、石原―浜渦の恐怖支配に屈服し容認してきた。今度の都議選でも石原との激突から逃げている。
また、杉並選出の「市民派」を名乗る福士敬子議員は、都職員の憎しみと苦しみの元凶である石原を「石原さんにもいいところがある」などと持ち上げ、「私は反石原ではない」と宣言した。これはすなわち、「私は労働者の味方ではない」と宣言したに等しい。
都政を革新する会の長谷川英憲氏こそ労働者の代表だ。長谷川さんを都議会に送り、労働者の力で都議会を刷新しよう。ファシスト石原を追放・打倒しよう。(本稿は、昨年1〜3月のサンデー毎日の「石原慎太郎研究」シリーズと斎藤貴男著『空疎な小皇帝』を参考にしました)
こんな石原は許せない!
▼浜渦・横山を使って都庁を恐怖支配。気にくわない職員を追放
▼石原を批判する新聞記者を都庁から追放し言論弾圧
▼友人やブレーンとの飲食代を公費支出。1回30〜40万円の時も
▼「視察」と称し公費で豪華旅行。ガラパゴス諸島を4泊1600万円のクルーズ
▼出勤は週2〜3日。在庁3時間ですぐ帰る。それで年額2800万円を懐に
▼「つくる会」教科書の採択を積極推進
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週刊『前進』(2203号2面2)(2005/06/27)
“署名運動は過激派”と中傷し 教科書闘争敵対の日本共産党
15人いて都議会で全く闘わず
警察と一体の反過激派宣伝
「つくる会」教科書の採択を阻止する杉並区民の闘いが大きく発展し始めている中で、この闘いに合流しようとはせず、自ら積極的な反対運動を組織しようともしないできたのが日本共産党である。杉並から都議会に選出されている日本共産党の吉田信夫議員や、共産党の杉並区議団は、「つくる会」教科書採択反対の署名運動にも加わらず、都議選の争点に取り上げることも、街頭でこの問題を訴えることも一切してこなかった。教科書問題は、共産党の党としての闘争課題から完全に抜け落ちており、何の重要視もされていなかったのである。
ところが、6月に入って都議会議員選挙の告示が近づいてくると、彼らは突然態度を変えて、ビラや街頭演説で教科書問題に言及し始めた。しかしその内容は「つくる会」教科書採択反対を全力で訴えるというものではまったくない。逆に実に許せないことに、杉並区民が推し進めている「つくる会」教科書反対の署名運動へのとんでもない誹謗(ひぼう)と中傷を行うものとなっている。
例えば、吉田議員はそのビラに「ご用心 都政を革新する会は中核派=暴力集団」の見出しを掲げ、「駅頭などで、『つくる会教科書阻止しよう』等と署名運動を繰り広げる『都政を革新する会』。実は、中核派=暴力集団です」などと書いている。警察権力が流すのとまったく同様の反「過激派」宣伝を行い、“「つくる会」教科書採択阻止の署名運動は過激派の運動だから参加するな”と呼びかけているのだ。
また共産党の原田あきら杉並区議はそのホームページで、長谷川氏が「つくる会」教科書絶対反対を街頭で必死に訴えていることに、教科書問題を「選挙に利用」するものだとの悪罵(あくば)を投げている。
これらは、日本共産党とその議員団が教科書攻撃と正面から闘わずに逃げてきたことを開き直り、逆に自己の党派的利益のために闘いの発展を公然と妨害する、許しがたい行為だと言わなくてはならない。
長谷川氏と都革新は、当初から「つくる会」教科書への警鐘を乱打し、杉並区民が開始した署名運動にも率先して加わり、区民と協力してその拡大のために猛奮闘してきた。長谷川氏のこの奮闘は、その対極で、署名運動に協力もせず教科書攻撃と真剣に闘わない日本共産党議員団の姿を、当然にも全区民の前にさらけだす結果となった。だがこのことに危機感を持った共産党は、自らの闘争放棄を自己批判して闘いに合流するどころか、選挙で自党が不利にならないためには教科書闘争の発展を阻むことが逆に利益だとして、このような卑劣な妨害に走っている。公党としてなんと腐り切った態度であろうか。
教科書で一言の質問もせず
そもそも日本共産党はこの間、都議会や区議会の中で、「つくる会」教科書の採択を阻止するためにいったい何をしてきたのか。まったく何もやっていない。6月上旬に開かれた都議会で、日本共産党を代表して質問に立った吉田議員は教科書問題にただの一言もふれていない。反対の声すら上げないのだ。他の共産党議員もまったく同じだ。
この6月都議会は、実に重大な情勢のもとで開かれた。「つくる会」は杉並区を突破口に東京都で50%の採択を狙っていることがすでに明らかになっていた。そして横山教育長と都教委が、「日の丸・君が代」の強制に続いてこの「つくる会」教科書採択に全体重をかけているのも周知の事実であった。しかも石原は、浜渦問題として爆発したファシスト独裁崩壊の危機に追いつめられながらも必死に居直り、なんと横山教育長をいったん辞任させた後で筆頭副知事にすると宣言した。「つくる会」教科書採択強行に向けた体制をむしろ一層強化しようとしてきたのだ。
この真っただ中で開かれた都議会は、石原の独裁政治の腐敗した正体をとことん暴くとともに、この「つくる会」教科書攻撃と徹底的に闘い、粉砕し、石原・横山らを打倒する決定的なチャンスを迎えていた。だが吉田議員を始めとする日本共産党は、都議会に15人もの議員がいながら「つくる会」教科書採択反対を一言も言わず、横山教育長が今春の卒・入学式に関して教育労働者への新たな処分を出したことへの弾劾もしなかった。石原の辞任を正面から要求して闘うこともせず、問責決議案の提出をアリバイ的にやって自公民に阻止されるや、すごすごと引き下がったのだ。
このていたらくは、石原・横山のファシスト的な攻撃と闘ってきた都の教育労働者を始めすべての闘う都民にとって、ほとんど裏切りに等しいことだ。「つくる会」教科書攻撃への完全な屈服と容認だ。
こうした裏切り的な闘争放棄をしておいて、他方では長谷川氏の「つくる会」教科書絶対阻止の街頭での訴えに、悪罵を投げかけ敵対している。恥知らずとはこのことだ。吉田議員と日本共産党は口先では「つくる会」教科書反対と言いながら、実際には長谷川氏の訴えや杉並区民の署名運動の妨害に全力を上げることで、「つくる会」教科書の採択に協力しているのだ。
大衆行動の発展妨害狙う
吉田議員は、長谷川氏と都革新=「過激派・暴力集団」という、警察権力が使うのと同じレッテル張りを行うことで実際には何をやっているのか。杉並区民の「つくる会」教科書採択絶対反対の大衆運動の拡大と発展を妨害することにほかならない。
実際に今、山田区長と杉並の教育委員会は「つくる会」と結託し、石原・横山の指導のもとで密室での採択強行を狙っている。そのために採択要綱をこっそり変え、さらに審議の非公開さえも策動するという、民主主義を公然と踏みにじるやり方さえしている。だが吉田議員と日本共産党は、区民がこの暴挙を阻止するために実力行動に立ち上がることそのものに反対する。なんと議会で山田区長の暴言に怒った傍聴者が傍聴席からヤジを飛ばすことさえも、「暴力」だからやめよと主張しているのだ。
こんなふざけた話があるか。敵の側が暴力性をむきだしにして襲いかかってきている時に、大衆的な一大決起を巻き起こし、その力でこれと闘わないでどうするのだ! 「つくる会」教科書とは戦争と改憲に直結する、労働者人民の死活にかかわる大攻撃だ。この攻撃を体を張ってでも絶対に阻止する闘いなしに、9条改憲を阻む闘いなどありえない。ところが吉田議員らは、この期におよんでそうした大衆行動に正面から敵対し、その口実として「暴力反対」を叫んでいる。
このことは、吉田議員らが「憲法9条を守る」と口先では言いながら、実際には改憲攻撃を実力で阻止する意思などまったく持っていないことを示している。
「日の丸・君が代」強制との闘いにしても、共産党の議員は全員、卒・入学式の現場では、福士敬子議員と同様に起立しているではないか。「市民派」を名乗る福士議員も、日本共産党の吉田議員も、言うことと実際にやることが百八十度違うという点ではまったく同じだ。そもそも99年に「国旗・国歌の法制化が必要」だと提唱した日本共産党の大裏切りこそが、石原・横山による03年10・23通達の暴走を引き出し、今日の攻撃の引き金を引いたのだ。だが共産党はそのことをいまだに反省すらしていない。
今次都議選は何よりも、「つくる会」教科書をめぐる一個の住民投票の場となっている。ここで「つくる会」教科書絶対反対の議員を登場させることこそが、区民の決起とともに「つくる会」教科書の採択を最終的に阻む力になる。本気で闘う気のない議員が何人いても何の力にもならないことは、6月都議会ですでに明白だ。杉並区民に今必要なのは、絶対反対を貫く長谷川氏だ。長谷川氏を必ず都議会に送り込もう。
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週刊『前進』(2203号2面3)(2005/06/27)
杉並区議会文教委員会 新城区議、議会無視を弾劾 教科書問題の封殺を許さず
6月13日、杉並区議会の文教委員会が開かれ、都政を革新する会の新城節子区議が、住民を無視して「つくる会」教科書採択を強行しようとする山田区長や納冨教育長の策動を暴き、徹底的に弾劾した。
この日の文教委員会で区当局・納冨教育長は、教育委員会で教科書採択の事務日程などを決めながら、それを文教委員会には報告せず、議会での議論の機会を奪った。区議会での一切の議論を封じて「つくる会」教科書を採択しようとする悪らつな狙いである。質問に立った新城節子区議は、教科書採択に関して何も報告がない議会無視を厳しく追及した。
区当局の回答は、“教科書採択が終わってから報告します”というものだ。報告がなかったのは議会で論議させずに「つくる会」教科書採択を強行するためであることが鮮明になった。
新城区議は、前回4年前の教科書採択時に4月から9月にかけて7回にわたって文教委員会にその都度報告されて質問が行われた事実を突きつけ、今回のやり方がけっして許されないものであることを鮮明にさせた。区当局は、「教科書採択の規則、要綱に基づいてやっている」と答えたが、それが議会に報告しなくてもよい理由にはならないことは明らかだ。さらに「昨年と同様に行われている」とも逃げ口上を図ったが、新城区議は、それが議会を無視したやり方であることを弾劾した。
新城区議は、山田区長と教育委員会が「つくる会」系のテレビ「チャンネル桜」を後援したことについて、「教育委員会が教科書採択において公正・公平を欠いている」と追及した。区当局は「教育委員会で適正に処理された」と弁明したが、「つくる会」の広報機関とも言うべき「チャンネル桜」の活動を杉並区教育委員会が後援することが「適正である」などということは絶対にありえない。新城区議はこの点をさらに「公平・公正を欠いている」「問題がある」と厳しく追及した。
区当局が答えに窮する中で、曽山委員長が「今日出された報告に関係のない質問なので、やめるように他の委員に図りたい」と新城区議の質問を強権的にやめさせようとした。これに対して新城区議が「教育委員会のチェック機関である議会がこの教育委員会の姿勢を許すとしたら、議会の自殺行為だ」と抗議すると、日本共産党がクレーム。新城区議は「共産党もこの問題を追及すべきではないのか」と厳しく弾劾した。
強権的に新城区議の質問をやめさせることによってしかこの問題の追及を乗り切れないところに、山田区長と教育委員会が「つくる会」教科書採択を強行しようとしていることの不正義が示されている。しかも自民、公明、民主だけでなく、共産党がその策動に手を貸したことは、絶対に許せない犯罪である。
戦争教育狙う「杉並師範塾」
この日、新城議員は「杉並師範塾」の設立準備についても厳しく追及した。杉並師範塾は、山田区長の発意で杉並の小学校教員になる人材に戦前教育の精神を植え付け、それによって小学生の段階から国家主義的な戦争イデオロギーをたたき込んでいこうとするものにほかならない。杉並区が杉並師範塾の設立趣旨として当初ホームページに掲載していた文章には「戦前教育を今の教育に生かす」と記されていた。これはあまりにも露骨だということで現在は設立趣意書の文章は変えられているが、その基本的な内容はまったく同じである。
「日本は今、新たな国家存亡の危機に直面している」「連綿と独自の光輝ある伝統精神文化を保有」「教育とは固有の伝統性に基づき……実施されるべきもの」などと「つくる会」教科書で子どもたちにすり込もうとしていることがうたわれている。
新城区議はこうした具体的な点を示しながら、戦前教育を復活させようとする狙いを暴き、「誰の指示か。憲法、教育基本法に反する」とただした。新城区議の追及に打撃を受けた納冨教育長は、たまりかねて答弁に立ったが、「区長の指示ではない。設立趣意書はみんなの論議で決められたと聞いている。復古趣味ではない」などと馬脚を現す内容だ。新城区議は、まさにこの杉並師範塾が、杉並区の教育をこれからの戦争に向けた戦争教育へと変えていこうとするものであることを弾劾した。
この日の新城区議の追及によって、区教委が「つくる会」教科書を何がなんでも採択しようとしていることがますます明白になった。「つくる会」教科書採択を阻止するために、労働者人民の大運動が必要だ。とりわけ6月22日の区教委包囲闘争が、決定的な闘いになった。日帝・小泉政権の朝鮮・中国侵略戦争、帝国主義戦争に向けた攻撃を粉砕するために、すべての人民が6月22日、杉並区役所に結集し、教育委員会を包囲し、「つくる会」教科書採択を阻止しよう。
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週刊『前進』(2203号3面1)(2005/06/27)
沖縄戦60周年 辺野古と結び杉並集会 つくる会教科書阻止へ熱気
二度と殺りく戦争起こすな ひめゆり学徒が証言
6月12日午後、杉並区阿佐谷南の産業商工会館で、「歴史の事実を語り、沖縄のいまを問う/沖縄戦60周年6・12杉並集会」が行われた。大田昌秀参議院議員、糸数慶子参議院議員を始めとする11人のウチナーンチュが呼びかけ人となって開かれたもので、会場をあふれる410人が杉並区内外から駆けつけた。
集会の第T部は、呼びかけ人が登壇して始まった。呼びかけ人の代表は「政府は辺野古で苦境に立っているが、『基地建設をあきらめます』とはけっして言わない。『もうやりません』と言うまで、頑張りましょう」と訴えた。
新基地建設を阻む辺野古現地の闘いのビデオを上映し、命を守る会の金城祐治さん、牧師の平良修さんのメッセージを紹介。平和市民連絡会代表で、闘いの先頭に立つ牧師の平良夏芽さんが現地からテレフォンレポートを寄せ、6月9日に米軍水陸両用戦車が辺野古沖で沈没し、辺野古漁港にまでオイルが届いている現状を報告し、「辺野古は戦場です。完全白紙撤回をかちとるまでつながっていきましょう」と訴えた。
沖縄戦のビデオ上映に続き、元ひめゆり学徒の上江田千代さんが「ひめゆり学徒の沖縄戦」と題して証言した。徹底した皇民化教育により「軍国少女」として育ち、看護学徒として「ひめゆり部隊」に編入され、豊見城村の壕(ごう)で負傷兵の看護にあたった。壕の移動命令が出て負傷兵に手榴弾(しゅりゅうだん)が配られた時、「私にもください。死に方を教えて」と懸命に頼み込んで手榴弾を分けてもらったと話し、「『自決しろ』と軍が命令したかどうかという話ではない。当時の私たちに捕虜になる選択肢はなく、国の教えで死を決意していた」と述べた。「二度と沖縄戦のような殺りく戦争を起こしてはならない。『つくる会』教科書を絶対に阻止したい。世界の恒久平和のために一緒に頑張っていきましょう」と締めくくった。
続いて、琉球大学教授の高嶋伸欣(のぶよし)さんが「沖縄と今年の歴史教科書」と題して講演した。高嶋さんは、藤岡信勝ら自由主義史観研究会の「集団自決は軍命ではなかった」とする「沖縄プロジェクト」について、「すでに第3次家永教科書訴訟で決着がついたことを持ち出したもの」と弾劾した。
80年代、「集団自決を強いられた」という教科書の記述に、文部省が検定意見をつけたのに対して家永三郎さんが訴訟で争い、沖縄の出張法廷の争点になった。高嶋さんは「『一木一草を使っても最大限抵抗せよ』として、住民は最後は自決するしかない状況がつくられる中、集団死が起きた」と述べた。
第U部では高嶋さん、上江田さんと質疑応答が行われ、青山学院高等部入試で元ひめゆり学徒の証言を「退屈であきてしまった」とする問題が出題されたことについて、上江田さんが「『つくる会』と同じ考えにもとづくもの。本当に許せない」と強く弾劾した。
次に「『つくる会』教科書の採択に反対しよう」と題して発言が続いた。まず新城節子・杉並区議が区議会内での奮闘を報告。「杉並では山田区長が採択制度も改悪して『つくる会』教科書の採択を狙っているが、区内の反対運動も広がっています。区民の力で採択を阻もう」と訴えた。採択反対運動に取り組む保護者は「すでに5600筆を超える署名が集まっています。22日の区教委には1万筆を超える署名を提出したい。ぜひ22日に集まってください」と呼びかけた。
沖縄民権の会の座覇光子さんは「辺野古の闘いを支えるため、1時間でも交代に駆けつけてほしい」と訴えた。辺野古で海上阻止行動を担ってきた若者、教育労働者の発言が続いた。
都政を革新する会の長谷川英憲さんは「『つくる会』教科書推進の張本人は石原。石原と教科書を争点とせずに、何のための選挙か。都議選で勝利し、『つくる会』教科書を阻むため全力で闘う」と訴えた。
「『沖縄戦の真相抹殺運動』を弾劾し、『つくる会』教科書の採択に反対する決議」「辺野古新基地建設の白紙撤回、普天間基地の即時無条件返還を求める決議」が採択され、最後に呼びかけ人の高田普次夫さん(那覇出身)が閉会のあいさつを行った。「この国の主権者は私たち。血のにおいのする強盗のような連中ではない。この国を平和にするため、団結して闘いましょう」という訴えが、大きな拍手に包まれた。
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週刊『前進』(2203号3面2)(2005/06/27)
沖縄戦の真実抹殺狙う藤岡(上)
「集団自決」強制と住民虐殺は天皇国家と軍による犯罪
沖縄戦60年目の県主催の慰霊祭が行われる6月。それに狙いを定めたかのように、自由主義史観研究会の代表で「新しい歴史教科書をつくる会」副会長の藤岡信勝らが、「沖縄プロジェクト」と銘打った沖縄戦真相抹殺運動をぶつけてきた。彼らは、「すべての教科書から慰安婦問題を消したのは運動の成果」とうそぶき、「今度は沖縄戦」だと言っている。
杉並区を軸にした、戦争賛美の「つくる会」教科書採択をめぐる首都攻防のまっただ中、「つくる会」勢力が沖縄に焦点をあわせた新たなファシスト的挑戦を開始したことは、戦争国家化へ向かう攻撃の重大な質的エスカレートである。沖縄に襲いかかる形で、日本人民の戦後的「常識」、戦後的反戦・平和意識の基層にあるものを徹底的に踏みにじり、労働者階級の階級的団結を解体し、労働組合を丸ごと改憲勢力化・戦争支持勢力化していこうとする重大な挑戦なのだ。
この挑戦を正面から迎え撃ち、教科書闘争を思い切って爆発させよう。闘うアジア人民と連帯し、沖縄の闘いと結合し、日帝の戦争国家化・改憲、「戦争と民営化」をめぐる歴史的階級決戦の大陣形を形成していこう。何よりも都議選決戦勝利に全力をあげよう。
「皇軍の名誉を救う模擬授業」
彼らは、沖縄戦の「集団自決」に関して、「日本軍による命令はなかった」と騒ぎ立て、「集団自決は軍による強制ではなかったことが証明された」「沖縄戦集団自決強要事件の虚構をいっさいの教科書・教材から削除することを求める」と息巻いている。5月20〜22日には、沖縄の座間味島、渡嘉敷島に乗り込み、6月4日には東京で「沖縄戦集団自決事件の真相を知ろう」集会を開催し、そのような決議を上げた。
藤岡は、この集会を呼びかける文書で、「過去の日本を糾弾したり」「生徒に自国の先人に対する失望感(や絶望感)を抱かせたり」する事例の一つとして、「沖縄戦で、民間人が軍の命令で集団自決させられたというものがあります」と述べている。
また、この6・4集会で、「沖縄戦模擬授業」を行った横浜市の中学校教諭・服部剛は、「軍の命令による集団自決」という「間違った記述」は、「我が国の歴史を歪曲するばかりでなく、日本軍の名誉に関わるものであり、児童生徒の健全な歴史認識及び国防意識の育成にとって見過ごすことができない」と述べている。さらにこの服部は、「私の勤務する地区の日教組は、沖縄戦の集団自決事件を引き合いに出して、『軍は国民を守らない』とのスローガンを立てて有事立法反対の主張を行っている」が、「これは犯罪に等しい」「真実を探求する学問の徒として放置できない」とわめいている。
彼らは、@日本軍=皇軍の名誉を救い、A再び、子どもたちに「お国のために喜んで命をささげる」教育を行い、B労働者階級人民の反戦・平和意識、階級的意識を解体するために、B今こそ沖縄戦の歴史的真実の否定にチャレンジすることが絶対不可欠、と考えているのである。
だが、服部がこの授業の冒頭で「歴史を歪曲する教科書」として取り上げている各教科書には、「軍による命令」とは書いてない。服部は、「各社とも……追いつめられた日本軍が島の一般住民を足手まといと判断し、『集団自決』を『命令』したことになっているのである」と述べているが、彼が引用している「各種教科書」(3社)では、そうはなっていない。たとえば、「日本軍は、……県民を集団自決させたり、スパイと疑って殺害するなど、多くの犠牲を強いた」(教育出版)、「日本軍にスパイ容疑で殺されたり、『集団自決』を強制されたりした人もあった」(日本書籍新社)などとなっているのである。
ここで取り上げられている教科書の記述は、〈軍が住民に向かって直接、集団自決命令を出したかどうかにかかわらず、沖縄戦における住民の集団自決は日本軍による強制であった〉という趣旨であることは明白である。これらの教科書に「軍の命令によって」と書いてあるかのように言う服部は、まず授業の冒頭のところでウソをついている。デマ的手法に訴えて、「沖縄戦の住民集団自決は軍の強制ではないことが判明した」かのように騒いでいるだけなのだ。まず、この虚構を指摘しておこう。
軍による住民の虐殺を抹殺
ところで、藤岡や服部らは、これらの教科書が、軍による住民虐殺にも言及していることに関して何も述べていない。軍による集団自決の強制と軍による直接の住民虐殺行為は、沖縄戦全体を貫く本質的特徴である。両者は、表裏一体の関係にある。この問題について彼らはこの模擬授業でまったく取り上げようとしない。彼らは、ただメダルの片側だけを一面的に問題にしている。軍による住民虐殺が事実であるとしたら、それは軍の名誉なのかどうか? 実は、彼らは、日本軍がスパイとして沖縄県民を虐殺したことについて、「法(陸軍刑法)的に見て当時の状況下での措置として妥当である」(曾野綾子)という立場に立っている。スパイであったかどうかは問題であるが、しかしスパイ容疑で殺害したのだから戦時下という状況において法的問題はない、軍人のモラルとしても問題はない、というのが『神話の背景』(曾野)以来のこの連中の主張なのである。
日本軍は、一応事実として確定されているものだけでも、40件百数十人以上の住民をスパイ容疑などで殺害している。中には、米軍の捕虜になった後の住民を襲い、一夜にして数十人を殺害した事例もある(北部の渡野喜家)。それは、どんな意味でも「妥当な措置」たりえない。戦争犯罪法廷で裁かれるべき次元の完全な犯罪行為(いくつものソンミ事件)である。これが現在まで放置されていることが異様なのである。彼らがこのことに言及しないのは、曾野綾子同様に、「戦時下における妥当な措置」として全面的に肯定しているからである。「当然ではないか」と彼らは叫びたくてたまらないのである。しかしそれでは、日本軍の名誉を救うことにはならない。この矛盾から逃れるためには、住民虐殺をも教科書から抹殺する以外にない。彼らが次にはこれを言い出すことは確実だ。
藤岡らは、45年3月26日の座間味島での住民の「集団自決」に関して、当時の島の日本軍(海上特攻隊)隊長の梅澤裕少佐がその前夜、村の幹部5人に対して「軍の命令」を出した事実はないということを取り上げている。だが、このことから、いきなり「したがって、座間味島(や渡嘉敷島)の集団自決は日本軍による強制ではなかった」(α)という結論にはならない。彼らがせいぜい言えることは、「座間味において隊長の梅澤は、『事件』前夜、直接の命令を下さなかった」(β)ということだけなのである。αはβから引き出せる結論ではない。たとえβが事実であっても、αは否定されない。また、βが事実であったとしても、「日本軍(皇軍)の名誉を救う」ことはできないし、梅澤という「軍人の名誉を救う」こともできない。どうあがいても梅澤少佐が立派な行動をしたことにはならないのである。
梅澤が当時、島で絶対的な権限をもつ日本軍部隊長として全住民の生殺与奪の権限を握り、「軍に招集された住民」である防衛隊などをつうじて、軍命(軍の意志)の貫徹として島の住民を「集団自決」に追いやったこと、そうすることによって実質上の集団的住民虐殺を行った事実を歴史から抹殺することはできないのである。
防衛隊の介在は“軍の意志”
座間味島の「集団自決」は、米軍がいよいよ島に上陸したときに起きた。島の住民は軍の命令として、役場の職員が触れ回った伝達にしたがって、忠魂碑前に集合しようとしたが、米軍の攻撃が激しかったためそれができなかったので、大きくは二つの壕において集団自決を遂げた。合計171人が犠牲となった。軍と村の幹部との間に前夜どのようなやりとりがあったかにかかわらず、住民にとって集団自決は客観的に軍(梅澤隊長)の命令としてあったのである。「これから米軍との戦闘に入るから足手まといのものは自決(玉砕)せよ」という伝えられた内容は、それまで住民が軍からたたき込まれてきたことそのものである。またその実行においても村の幹部と軍の一部である防衛隊が手榴弾などの武器をもって介在しているのだから、それが軍の命令であることに疑問を持つ人はいない。実際それこそが“軍の意志”であったのだ。
渡嘉敷島では、集団自決は28日に起きた。ここでは、米軍の上陸後、住民が軍とともに陣地で戦うために集合したが、赤松嘉次大尉によって陣地に入ることを拒否された。そののち島の警察官によって「軍による自決命令」が伝えられ、陣地の下で実行されたと言われている。ここでも、実行には、自決用として普段よりも多い手榴弾をもった防衛隊が介在している。赤松隊が住民とともに長期戦を戦おうとしたのでなく、食糧やスパイ問題の観点から住民を足手まとい視したことは間違いない。赤松が、「この場で自決せよ」と命令したかどうかはここでも本質的問題ではない。曾野綾子風に言えば、その状況下では住民にとって、それが完全に赤松の意志であり命令であったのである。渡嘉敷島の犠牲は329人。慶良間列島では、ほかに屋嘉比島でも「集団自決」で10人が犠牲になっている。
藤岡や服部は、「沖縄戦における住民の集団自決は座間味島と渡嘉敷島の二つである」と述べている。これはほとんど信じられないような「誤り」であるが、この誤りの中に、直接的な軍命令があったか無かったかだけが彼らの関心事項であることが示されている。しかし、沖縄戦の集団自決は、沖縄戦とは何か、その本質はどこにあるかという根本問題と深くかかわっている。次にその点をみていこう。 (石川栄一)
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週刊『前進』(2203号3面3)(2005/06/27)
辺野古沖 水陸両用車が沈没 相次ぐ米軍事故に怒り
名護市辺野古沖で6月9日、米海兵隊の水陸両用車1台が演習中に水没事故を起こした。同型車両は6日にも、米軍キャンプ・シュワブからキャンプ・ハンセンに海上移動していた14台のうち5台が訓練水域を外れて名護市の南隣の宜野座村の民間地の海岸に上陸し、モズク漁場を荒らし、高架橋を破壊するなどの事故を起こしたばかりである。相次ぐ事故に沖縄人民の怒りが高まっている。
この日、辺野古新基地建設の阻止行動を行っていた人びとは、早朝から同演習に対する抗議行動に決起していた。事故は抗議行動の目の前で起こった。彼らの話では、通常の訓練では、沖に出る車両は航路を一列になって進むが、この日は航路から外れる車両やうまく直進できない車両があったという。
平和市民連絡会共同代表の平良夏芽牧師は「技術が未熟な新兵の訓練ではないか。米軍は『人の財産があるところで訓練させていただいている』のではなく、何をやってもいいと思っている。この差別を許している日米両政府も許せない」と弾劾した。
現場は辺野古漁港から沖に出る港航路に近いリーフ上で、水深は干潮時で3bほど。リーフ内にはジュゴンが食べる海草藻場が広がっている。
米軍は同日、沈没車両から危険物を示す「赤い箱」を引き揚げるなどしたが、車両の引き揚げや軽油の流出を防ぐオイルフェンスを張るなどの対策はとっていない。車両は海底の岩場に挟まる形で沈んでおり、波で車両が揺れるたびに海底のさんご礁が破壊されている。11日には軽油が300b四方の海域にまで広がっていることが確認され、周辺海域の環境汚染が深刻になっている。
在沖海兵隊は同日、事故原因は調査中とし、乗組員4人のうち2人が軽傷を負ったことを明らかにした。
沈没事故を起こした同型車両はこれまでも演習中の事故を度々起こしていた。今回は辺野古新基地建設阻止を闘う人びとが、事故が起きたことをいち早く発見し、海底に沈んだ車両の撮影も含めて詳しい事故の情報を発信し、大きな問題となった。しかも6日の事故に対する怒りの声が高まっている矢先の事故であった。米軍は沖縄で事故を起こすことなど何とも思っていないのだ。
ファルージャ大虐殺の部隊
在沖海兵隊は第1海兵師団の傘下に入ってファルージャ大虐殺を凶行し、何千人ものイラク人民を無差別に殺りくした。その中心はキャンプ・シュワブとキャンプ・ハンセン駐留の部隊だ。在沖海兵隊員の側も50人の戦死と221人の負傷が公式に確認されている。海兵隊は新兵を交えて部隊を再編成し、この地で訓練し、再びイラク人民の虐殺戦争に送り込もうとしているのである。
そうしたイラク人民虐殺の部隊が沖縄人民の生活や命をも脅かしているのだ。在沖海兵隊は直ちに訓練を中止し、沖縄から撤退せよ。防衛施設庁はボーリング工事を中止し、単管やぐらを撤去せよ。普天間基地即時撤去・辺野古新基地建設阻止へ、沖縄人民と連帯し闘おう。
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週刊『前進』(2203号3面4)(2005/06/27)
石原打倒・都議選勝利へ闘う革共同にカンパを
『前進』読者の皆さん。闘うすべての皆さん。夏期一時金の支給に当たり、革共同への圧倒的なカンパを寄せて下さるよう強く訴えます。
石原都知事と浜渦副知事のファシスト独裁の腐敗と自民・公明との利権争いが表面化し、石原都政は大きく揺らいでいます。にもかかわらず、石原と真に対決する野党が不在のため、石原は副知事など特別職の辞任だけで逃げきろうとしています。こんなことを許してはなりません。
石原は小泉政権の「戦争と民営化」攻撃のファシスト的先兵です。福祉切り捨ての民営化を国にさきがけて大々的に推進してきました。「日の丸・君が代」を強制し、ことあるごとに中国への戦争を扇動してきました。
この石原の強権的・暴力的都政がほころびを見せているにもかかわらず、自民・公明党から始まって、共産党や市民派までも含むオール与党の都議会は、石原の「恐怖独裁」を徹底的に追及できないでいます。
石原都政を打倒していくには、7月の都議選で、「石原知事に挑戦状」を掲げて闘ってきた「都政を革新する会」の長谷川英憲氏を、労働者人民の力で、都議会に送り込むことが絶対に必要です。それが小泉政権に打撃を与え、労働者階級の闘いを前進させる道になると確信します。
日帝・小泉政権は、帝国主義としての生き残りをかけて、自衛隊イラク派兵と郵政民営化、公務員制度改革などの戦争と民営化=労働組合解体攻撃を激しく展開してきています。この民営化攻撃の行き着いた先が、JR尼崎事故です。
今日戦争への動員と労働組合解体攻撃を打ち破っていく最大の焦点が、東京都議選で長谷川英憲氏の当選をかちとり、杉並区を先頭に「つくる会」教科書の採択を阻止する闘いにあります。
「つくる会」教科書の狙いは、イラク参戦を始め、日帝が世界戦争を積極的に推進するために「国家・民族の生存のためには戦争が必要なときもある」と主張し、明治以来の日帝の侵略戦争の歴史を肯定・礼賛していくことです。労働者階級の反戦意識を解体し、子どもたちを戦場に送っていく攻撃そのものです。こんな攻撃を許しておいたら、教育基本法改悪阻止も憲法改悪阻止も闘うことはできません。再び侵略戦争にうって出ることなしに延命できない帝国主義は、労働者階級の力で打倒する以外にありません。
長谷川氏の当選をかちとり、杉並で「つくる会」教科書採択を阻止し、今夏の4大産別大会での労働組合の改憲勢力化を阻み、11月労働者集会へ進撃しましょう。
この闘いの勝利のために、まとまった一時金を手にできる方は10万円を単位とするカンパを、一時金が困難な方も周りに訴えて、ぜひ革共同へカンパを寄せて下さるよう訴えます。
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週刊『前進』(2203号4面1)(2005/06/27)
“対象物件明らかにせよ” 三里塚現闘本部裁判 地上権で同盟が攻勢
木造建物の存在示す写真
天神峰現闘本部裁判(注1)の第6回口頭弁論が6月9日、千葉地裁民事第5部で行われた。この裁判は、成田空港暫定滑走路の延伸攻撃と闘う重要裁判であり、三里塚現地攻防と連動して闘われている。裁判は、最大の争点である「地上権」(注2)をめぐる激しい攻防に入った。この日の公判で反対同盟と弁護団は、前回に引き続き成田国際空港株式会社に釈明を要求。原告の空港会社の代理人は、原告として自ら請求している明け渡し対象物も特定できず、釈明に窮して法廷で立ち往生する醜態をさらした。
木造存在せずの矛盾を追及
この裁判で、反対同盟が土地を使用することを正当とする「地上権」の要件は、@現闘本部建物が登記されているA登記された建物が現存している――の2点である。
現在の現闘本部建物は、1966年に建築され登記された旧現闘本部の建物に鉄骨造り3階建ての建物を増築(88年)したもの。外観上は鉄骨造りの建物だが、その中には登記された木造建物が存在する二重構造になっている。
空港会社にとって、誘導路を「への字」に曲げる現闘本部の撤去は至上命令であり、この木造建物の存在を認めることはできない。
前回裁判(3月24日)の直後、反対同盟と弁護団は空港会社に対して、この二重構造の事実に関して釈明を要求した。
空港会社側は、4月25日に送達してきた書面(原告準備書面6)で次のように釈明した。木造建物は「その一部が解体され、これを吸収する形で鉄骨造り建物が建築されたため、本件鉄骨造建物の一部となり、独立した建物としては現在は存在していない」。さらに「木造建物は、独立した建物として現存しておらず、本件鉄骨建物の一部として、当然に明け渡し対象物件に含まれる」と主張した。つまり登記された旧現闘本部は存在しないとする一方で、これも明け渡し対象だと主張したのである。
法廷で弁護団は、この釈明の矛盾を徹底追及した。
「@『その一部が解体』とあるが『その一部』とは具体的にどの部分か。A『吸収』とは具体的にどのような状態を言うか。B『独立した建物としては現在は存在していない』とあるが木造建物が独立して存在していたのはいつまでか。C建物としての『独立性』を喪失したとする根拠を示せ。D『木造建物は、本件鉄骨造り建物の一部として、当然に明け渡し対象物件に含まれる』と主張するが木造建物が『独立して存在しない』のであれば、木造建物は『明け渡し対象物件』ではなく、あくまで鉄骨造り3階建て建築物が明け渡し対象物件になるという理解でよいか」
これはこの裁判の核心点だ。反対同盟が今回提出した書面には、詳細な証拠説明書とともに88年に鉄骨建物を増築した時の建築作業を撮影した19枚の写真がある。写真には、登記されている木造建物をそっくりそのまま残すために慎重に鉄骨を組み立てる様子が撮影されている。空港会社の言う「一部が解体され、吸収され、存在しない」という主張のデタラメさは一目瞭然(りょうぜん)だ。
空港会社は「木造建物が独立して存在しない」と主張している以上、明け渡しの対象物件は、外観としてある鉄骨造り3階建て建物だけのはずである。しかしこれを認めてしまえば、木造建物が撤去の対象から外れてしまう。建物を撤去して誘導路を直線化したい空港会社にとって、裁判の意味がなくなるのだ。
遠藤憲一弁護士は「明け渡し対象物件の特定は本件進行にとって大前提。ただちにこの場で回答せよ」と鋭く追及。空港会社側代理人は「追って書面で提出します」と繰り返した。裁判官もあきれ、傍聴席から抗議の声が上がる中、一瀬敬一郎弁護士が「事実関係の主張がいまだあいまいのまま被告の立場に置かれているのは遺憾」と弾劾した。
空港会社側は、進むことも退くこともできない決定的窮地に追い込まれている。今回の法廷で、さらにその矛盾が拡大した。
現実認めない裁判は無効だ
公判後に弁護士会館で記者会見と裁判闘争を支援する会の例会が行われた。
葉山弁護士が裁判の現局面を解説した。反対同盟事務局長の北原鉱治さんは「現実を認めないまま裁判を進めることはできない。この裁判は権利を守る闘いだ」と発言した。
代表世話人の戸村義弘さんは「6回に及んでなお、訴えの対象物を特定できない以上、却下すべき」と発言。裁判を勝利させるためには広範な人民戦線の連帯が必須(ひっす)と支援する会の拡大を訴えた。また関東地区の世話人の青柳晃玄さんが裁判をテーマに月一回の例会を持っていると報告。
事務局の萩原進さんが04年度の運動報告。寄せられた基金は458口、カンパを含めて総計139万7138円に達したと報告し、お礼を述べ、これを上回る2期目の取り組みを呼びかけた。
天神峰現闘本部裁判は、現地攻防とともに現在の三里塚闘争の中心的闘いとなっている。現闘本部は暫定滑走路の延伸を阻止する実体的な拠点だ。裁判はいよいよ、その帰趨(きすう)を決める論戦に突入した。法廷を圧倒する傍聴と支援運動の拡大に決起しよう。
■注1 天神峰現闘本部裁判
この裁判は、成田空港暫定滑走路の象徴的欠陥である「への字」誘導路の直線化のために、空港公団(現在は成田空港株式会社)が反対同盟を被告として起こした裁判。03年11月、旧地主の石橋政次の相続者から底地を買収したとして、その上に建つ天神峰現闘本部の建物の撤去を要求している。
しかし土地は、当時、反対同盟の副委員長だった石橋政次が反対同盟に提供したものであり、本部建物は反対同盟の所有物として建築時に登記されている。反対同盟にはこの土地を使い続ける正当な権利(地上権)を持ち、提訴には法的根拠がない。
現闘本部は、成田治安法(新東京国際空港の安全確保に関する緊急措置法=1978年法律42号)によって封鎖状態にある。このため撤去はそもそも不可能。訴権の乱用である。
■注2 地上権
他人の土地において工作物または竹木を所有するために、その土地を使用する物権。地上権は賃貸借と異なり物権であるから、設定者の承認なしにこれを他に譲渡することができ、設定者は地上権の登記に協力する義務を負う。地上権は賃借権や永小作権と異なり、地代支払い義務となっていることは要件となっていない。
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週刊『前進』(2203号4面2)(2005/06/27)
天神峰現闘本部裁判闘争を支援する会 会員拡大の訴え
昨年倍する取り組みを
天神峰現闘本部裁判闘争を支援する会が05年度の年会費納入と会員拡大を呼びかけている。この裁判は現地攻防と直に連動する重要裁判だ。支援する会は、この裁判を三里塚闘争の帰趨を決する重要裁判と位置づけ、1年間、運動を精力的に展開し、裁判闘争の費用の基礎をつくった。事務局の報告では、458口、139万7138円を集め、闘争に大きく貢献している。しかし、なお45万円が不足し、さらなる取り組みの強化が求められている。三里塚闘争は、労農連帯の実践として歴史に輝く勝利的地平を切り開いてきた。都議選で長谷川英憲氏の勝利をかちとり、反対同盟と支援する会の呼びかけにこたえ、昨年度を倍する会員拡大に取り組もう。
天神峰現闘本部裁判闘争を支援する会会員の皆さま。日頃のご支援に心からお礼申し上げます。
本会は昨年6月17日の第1回口頭弁論後に設立され、このたび二期目に入りました。今年度の会費納入と会員拡大にご尽力を賜りたくお願い申し上げます。
裁判闘争は、現在6回目の弁論を数え、地上権をめぐる激しい攻防の渦中にあります。すでに会報で明らかにしましたように、現闘本部建物は外観の鉄骨造りの建物の中に木造の旧現闘本部建物が存在する二重構造となっています。この木造建物は建築直後に建物登記されており、反対同盟には土地を使用できる正当な権利としての地上権があります。
空港会社は木造平屋建ての旧現闘本部建物が登記されている事実を認めたものの、「現在は解体され、これを吸収する形で鉄骨造り建物が建築された」と強弁、事実に反するデタラメな主張で建物全体の明け渡し請求を押し通そうとしています。
この裁判は、反対同盟農民の三里塚現地攻防とともに、不当な空港建設を阻止する要の闘いです。本部建物は暫定滑走路の欠陥の象徴である「へ」の字誘導路の直線化を阻止し、市東孝雄さんの耕作地を守り続けています。裁判闘争には、三里塚闘争の勝利がかかっていると言って過言ではありません。
本裁判を始めとする三里塚裁判闘争の費用はひとえに会員の皆さまの会費によってまかなわれています。ここにあらためてお礼申し上げますとともに、二期目の会費納入と会員拡大に是非ともご協力いただきますようお願い申し上げます。
2005年6月
天神峰現闘本部裁判闘争を支援する会事務局(成田市三里塚115 北原鉱治気付)
* * *
年会費は1口3千円。団体の場合はできるだけ複数口を。
▼郵便振替の場合
口座番号 00100−8−297055
加入者名 天神峰現闘本部裁判闘争を支援する会
▼銀行口座の場合
三井住友銀行成田出張所
店番号・口座番号 548−6592903
口座名義 伊藤信晴
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週刊『前進』(2203号4面3)(2005/06/27)
卒・入学式闘争 被処分者に思想改造迫る 再発防止研修粉砕を
東京都教育委員会は6月8日、今年3〜4月の卒・入学式で「日の丸・君が代」不起立などを理由に不当処分された63人の教育労働者に対して、「服務事故再発防止研修」を行うことを発令した。被処分者に「思想改造」を迫ることを目的としたまったく不当な研修を絶対に許してはならない。
都教委は再発防止研修を、7月21日、水道橋駅前の東京都総合技術教育センターにおいて実施しようとしている。被処分者全員に「基本研修」を実施した上で、減給処分以上の処分を受けた者には後日、さらに「専門研修」を実施する。
また被処分者のいる学校長は「研修終了後から10月21日までの研修受講対象者の3カ月の勤務状況報告書を作成」して提出することが義務づけられている。
「服務事故再発防止研修」とは、飲酒運転やわいせつ行為などのいわゆる「服務事故」を起こした教育労働者に対する「再発防止」のためと称して設置された研修制度である。それを、「10・23通達」による「日の丸・君が代」強制に抗議して自らの信念を貫いて起立や伴奏を拒否した教育労働者に適用するというのである。被処分者に「再発防止」のための「報告書」を書かせる行為は、“自らの行為を反省して二度と繰り返さないことを誓約せよ”とする転向強要にほかならない。
04年の卒・入学式の被処分者は、再発防止研修が発令されると、直ちに東京地裁に処分取消請求および執行停止を申し立てた。東京地裁は昨年7月、執行停止申し立てを不当にも却下したが、その一方で「何度も繰り返し研修を受けさせるなど……著しい精神的苦痛を与えれば、違憲違法の可能性がある」との判断を示した。被処分者の闘いの広がりの中で、裁判所ですらこのように言わざるをえなかったのである。
さらに同裁判は現在も係争中であり、都教委が今年度の再発防止研修の日とした7月21日は第5回口頭弁論(午後3時、東京地裁)と重なっている。意図的な裁判闘争つぶし・抗議行動つぶしである。
そもそも昨年来、大半の被処分者が処分取り消しを求めて人事委員会審理を申し立てているが、その審理は、一昨年秋の周年行事被処分者の公開口頭審理がようやく5月に始まったばかりである。昨春卒・入学式の被処分者の審理も始まっていない。このような段階で、被処分者に命令研修を強制し、「反省」を迫ろうとしていることはまったく不当である。
昨年8月の再発防止研修は、多くの教育労働者が会場を包囲し、被処分者が都教委職員を徹底追及する“大衆団交”の場と化し、敵のもくろみを完全に打ち砕いた。再発防止研修粉砕へ、被処分者とともに闘おう。「日の丸・君が代」強制と一対の攻撃である「つくる会」教科書の採択を全都・全国で絶対に阻もう。
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週刊『前進』(2203号4面4)(2005/06/27)
国民保護法 秋に福井で実働演習 北朝鮮侵略戦争を想定
政府は6月14日、国民保護法に基づく初の実働訓練を11月末に福井県で行うと発表した。同県内の原発がゲリラ攻撃を受けたという想定で、国や県、周辺市町村、警察、自衛隊、指定公共機関など1500人が参加する。住民の避難や放射能漏れに対応する医療訓練、交通規制訓練などを行う。また、10月には全都道府県に参加を呼びかけて、図上訓練を行う。
これは、これまで「防災訓練」の名で隠れて行ってきた戦争訓練を、いよいよ露骨に本格的に行うものであり、北朝鮮・中国侵略戦争のための訓練である。
「国民保護基本計画」と称する戦争動員計画を全都道府県が今年度中に作成するよう求められている。
東京都は5月25日に都国民保護協議会の初会合を開いた。さまざまな機関の代表70人が参加した。国、自治体、自衛隊、警察、学校や病院、放送局や運送会社など、文字どおり全社会を網羅する国家総動員体制がつくられようとしている。戦時にはこの協議会が都の戦争動員本部になる。
今回の都の特別職人事で新たに教育長になる中村正彦は、03年から都の初代の危機管理監である。中村はこの間、警察や自衛隊と連携し、東京の戦争体制づくりを率先して進めてきた。この中村が新たに教育長になることは、学校の戦争動員の重大攻撃だ。
米軍核攻撃で50万人が即死
米日帝国主義の北朝鮮侵略戦争の策動がきわめて切迫した段階に入った。6月4日にシンガポールで行われた日米防衛首脳会談で「朝鮮半島有事の際の役割・任務分担」に関する計画案が基本的に合意された。今後、成田・関西など有事に米軍に提供する民間空港・港湾、病院施設なども具体的に明記され、7月日米安保協議委員会で最終的な合意文書が作られる。
6月初め、米軍はF117型ステルス爆撃機15機を韓国・群山基地に配備した。同機はレーダーに映らない(映りにくい)爆撃機で、レーザー誘導爆弾、空対地誘導ミサイルを搭載し、パナマ侵攻作戦、コソボ作戦およびイラク戦争で使用された。4カ月間の配備予定と発表されたが、先制攻撃、奇襲攻撃の臨戦態勢に入ったと言える。
もしも米軍機が38度線を越えて北朝鮮の核関連施設に対する爆撃を強行すれば、朝鮮人民に与える被害は甚大なものになる。到底許されない。
韓国軍の試算では、稼働している寧辺(ニョンビョン)の核施設への限定攻撃でも、半径50`以内で2カ月以内に80〜100%が死亡するなどの大被害が予想されるという(6月7日付の韓国紙・朝鮮日報、8日付朝日新聞)。
またアメリカのNGO「社会責任を求める医師団(PSR)」の予測では、米軍がもしも地下貫通型核兵器で寧辺を攻撃した場合には「50万人以上が即死、約200万人の負傷者が生じる」としている。
このように北朝鮮人民に対する米日帝国主義の恐るべき侵略戦争が準備されている。「国民保護」なるものは、その侵略戦争の凶暴な正体を塗り隠し、人民を戦争体制に組み入れるためのものである。
朝鮮侵略戦争の先兵がファシスト石原だ。「日本は北朝鮮にリベンジ(復讐)すべきだ」(03年3月、米ワシントンポスト紙との会見)などと公言する石原知事を許すな。都議選に勝利し石原を打倒しよう。
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週刊『前進』(2203号4面5)(2005/06/27)
解同全国連 長野県連が大会 新支部建設・県連強化誓う
部落解放同盟全国連合会長野県連合会が6月5日、第4回定期大会を開催し、86人の参加で大成功した。
05年の運動方針として、@狭山第3次再審闘争で石川一雄さんの無罪・勝利をかちとるA差別糾弾闘争を3大闘争(差別糾弾闘争、生活要求闘争、階級的共同闘争)に貫くB本部派解同長野県連と「部落解放推進の会長野県本部」の統合方針を弾劾し、全国連の支部を建設・拡大する――ことを打ち出した。
大会第1部は、最高裁の狭山再審棄却決定を糾弾する全国闘争の当日の3月20日に亡くなった木藤シズ子長野県連副委員長の追悼セレモニー。スクリーンに生前の木藤さんのスナップ写真を次々映し出し、小林あや子書記長がナレーション。木藤さんは、79年の生涯を部落解放運動に懸け、全国連結成時から中央本部の婦人部副部長を12年間務めた。81年に長野県連本部が処分した青年の側に立ち、全国連長野県連結成のために闘い、県連副委員長を務めた指導者だ。
長野県連の小森勝重委員長は、追悼の辞で「死してなお闘いの中にある木藤さんとともにどこまでも闘う」と誓った。木藤さんの家族があいさつし、シズ子さんの遺志を継いで闘う決意を述べた。県連青年部はソーラン節の踊りを披露、木藤さんにささげた。
第2部は長野県連定期大会。小森委員長が主催者あいさつを行った。
「02年3月に同和対策事業が打ち切られ、激変緩和措置も今年3月末終了。大失業時代の到来が重なり、部落大衆は困窮している。これは、直接には小泉政権の戦争と民営化の攻撃によるものだが、人権擁護法案と引き換えに同和対策事業打ち切りを受け入れた解同本部派の屈服・転向が大きく関係している。
人権擁護法案は、部落民の差別糾弾闘争を取り締まり、差別を容認するとんでもない法案だ。狭山再審棄却は、差別をしてもよいという国家のお墨付きだ。こうしてあからさまな差別事件が頻繁に起こっている。
こうした部落差別の激化、既成部落解放運動の屈服という現実に対して、全国連長野県連は差別糾弾闘争の実践で抗していかなければならない。完全無罪をかちとった全国連寝屋川支部に続き、差別糾弾を貫く闘いを実践しよう」
来賓として全国連中央本部の楠木吉秀事務局長があいさつ。狭山第3次再審闘争を訴えた上で、5月25日に大阪の全国連寝屋川支部の4人全員への無罪判決(6月8日無罪確定)と大阪のある地区の差別事件糾弾集会の高揚と支部結成への前進を報告した。
楠木事務局長は、これらが全国連第14回全国大会での確認(@戦争の時代への突入A3大闘争のすべてを糾弾闘争として闘う)の実践によると確認、長野県連もこの道を進もうと励ました。茨城県連の井橋昌夫事務局長、狭山支部、婦民全国協の鶴田ひさ子事務局長も来賓あいさつした。
共闘団体の東日本解放共闘の山川博康事務局長が「労働運動の力を強め、解放運動の強化につなげる」と決意表明した。また長野労組交流センター電通分会の労働者が闘う教育労働者のメッセージ――「私も卒業式を不起立で闘った。全国連に学びともに闘う」――を代読した。
議案の提案に移り、高橋憲一事務局長が活動報告、小林書記長が運動方針を提起した。活動報告では、3大闘争、東信(上田)地方での支部結成への闘い、青年部・婦人部建設の前進が確認された。運動方針では、特に本部派解同長野県連と「推進の会」との統合は侵略翼賛の融和運動であることを弾劾、弾圧をはねのけ、差別されているという自覚を掘り起こして、資本家階級とその国家権力に対する差別糾弾闘争を3大闘争に貫く全国連路線で闘うことが強調された。
議案提起を受けて各支部、婦人部、青年部に労組交流センターの労働者も加わり、活発に討論した。最後に新役員が登壇、小森委員長があいさつし、団結ガンバローの音頭をとった。
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週刊『前進』(2203号4面6)(2005/06/27)
6月8日〜14日
辺野古で水陸両用車が沈没
国民投票法案、今国会見送り
●厚木基地NLP「条件付き誘致へ」 米海兵隊岩国航空基地(山口県岩国市)の地元の岩国商工会議所は、基地沖合に建設中の滑走路とは別の「3本目の滑走路」建設を条件に、米海軍厚木基地(神奈川県)の空母艦載機部隊と夜間発着訓練(NLP)を誘致することを決めた。(8日)
●改憲の国民投票法案、今国会見送り 中山衆院憲法調査会長と保岡自民党憲法調査会長が記者会見し、改憲の具体的な手続きを定める国民投票法案の今国会提出を断念し、今秋に想定される次期臨時国会以降に先送りする与党としての方針を明らかにした。(8日)
●海兵隊が新ビジョン 米海兵隊トップのマイケル・ヘイギー総司令官が、2015〜20年までの間に、1万5千人の兵員を10〜12日間で世界のいかなる地域への派遣も可能にする新たなビジョンを明らかにした。事前集積船や強襲揚陸艦などから直接、紛争地域へ出撃する体制を整備する方針。飛行航続距離が倍以上となるMV22オスプレイの活用を念頭に置いた発言。(9日)
●強制使用手続き着手 那覇防衛施設局は、米軍牧港補給地区の土地の一部の強制使用手続きに着手した。来年8月12日に使用期限切れを迎える。施設局は、土地所有者に意見照会文書を送付、駐留軍用地特措法に基づく強制使用の最初の手続きを実施した。(9日)
●緊急事態法案の協議再開 自民、民主、公明の3党は、有事やテロ、大規模災害への対処指針となる「緊急事態基本法案」に関する協議を再開した。与党側は民主党側が求める、消防庁などの再編による「危機管理庁」の新設など政府組織の改編に難色を示しており、今国会中の合意は困難。(9日)
●水陸両用車が沈没 在沖米海兵隊の水陸両用車1台が名護市の辺野古漁港から約1・5`のリーフ上のくぼみに沈没した。米海兵隊のダイバーらが搭載部品の回収作業をしたが、車両は引き揚げなかった。翌日、約30b四方にわたって油が浮いているのが確認された。6日には移動中の水陸両用車が宜野座村内の海岸に上陸し、沖縄自動車道の高架橋を壊したばかり。(10日)
●靖国参拝で遺族会が見解 日本遺族会(古賀誠会長)が幹事会を開き、小泉首相の靖国神社参拝について、「近隣諸国にも気配りと配慮が必要」とする見解をまとめた。14日、同遺族会事務局は「正式見解ではない」と答えた。(11日)
●中山文科相「従軍慰安婦はなかった言葉」
中山文部科学相は、静岡市で開かれたタウンミーティングで、歴史教科書に関連して、「そもそも従軍慰安婦という言葉は、その当時はなかった。なかった言葉が教科書に出ていた。間違ったことが教科書からなくなったことはよかったと評価した」と述べた。従軍慰安婦や強制連行の記述が「減って良かった」とした昨年11月の自らの発言の真意を説明する中で言及した。(11日)
●MD法案が衆院を通過 弾道ミサイルをミサイル防衛(MD)システムで迎撃する手続きを簡素化する自衛隊法改正案が衆院を通過した。緊急の場合には、首相があらかじめ承認した「緊急対処要綱」に沿って、現場指揮官が迎撃を判断できる内容。要綱の詳細は「政令で定める」とされ、細部は明らかにされていない。(14日)
●11月に国民保護法で初の実働訓練 政府は、国民保護法に基づく初めての実働訓練を11月末に福井県で行うと発表した。同県内の原発がゲリラの攻撃を受けたという想定。訓練は、国や県、周辺市町村の職員のほか、放送局や医療機関、運送業者らの指定公共機関、警察、自衛隊など1500人規模で行う。周辺住民にも参加を呼びかけるという。10月には全都道府県に参加を呼びかけて、図上訓練も行う。(14日)
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週刊『前進』(2203号5面1)(2005/06/27)
自治労中央「改憲方針」粉砕を 都議選の勝利かちとり8月自治労大会決戦へ
公務員制度改革=首切りと闘おう
革共同自治体労働者委員会
闘う労働者の皆さん。全国の自治体労働者の皆さん。戦後60年の夏を、侵略戦争に突き進む帝国主義とファシストへの怒りで「最も熱い夏」にしよう。東京・杉並で「つくる会」教科書の採択を労働者階級の怒りで阻止し、長谷川英憲氏を推し立てて都議選に勝利し、石原ファシスト体制を打倒しよう。勝利をもぎりとった勢いで8月23〜26日の自治労鹿児島大会決戦になだれ込み、今秋、全国の労働者の空前の総決起をかちとろう。自治体労働者委員会は05年決戦の最先頭で決起する決意を明らかにする。
「つくる会」の思想は戦争・民営・労組破壊
帝国主義の破局的な危機が深まる中、労働者階級の闘いと組織・階級的団結を破壊し、革命党と革命勢力をたたきつぶそうと、ファシストともども反動が「総決起」している。しかし、戦争と生活破壊に対する積もりに積もった労働者階級の怒りは堰(せき)を切ったようにほとばしり、帝国主義打倒の闘いが始まっている。革命的情勢が日々熟し、労働者階級が決起して国家権力やファシストと激突する激動情勢が到来しつつあるのだ。
全世界で労働者階級の反撃が始まっている。日帝の国連常任理事国入りをめぐる帝国主義国家間の対立と争闘の激化、EU憲法批准をめぐるヨーロッパ帝国主義−英仏独の対立の露呈、日帝の新たな侵略戦争への踏み込みと中国・韓国の労働者階級の怒りの抗日(反日帝)決起、イラク侵略戦争に対するムスリム人民の民族解放戦争と泥沼的内戦の激化。内外情勢は革命的な激動に突き進んでいる。
日帝は生き残りをかけて絶望的に侵略戦争に踏み込んでいる。戦争と民営化の攻撃の最先兵として、石原や「つくる会」らファシスト勢力が、小泉・安倍・町村・中川ら政権中枢ともども、戦争国家づくりに向けて、戦争推進教科書を全国の中学校に持ち込もうと、勝負に打って出てきているのだ。
帝国主義を打倒するのか、また再びの侵略戦争を許すのかをかけた05年決戦が火を噴いている。決戦の火点は首都・杉並での「つくる会」教科書採択をめぐる攻防であり、都知事石原ファシスト体制打倒の都議選決戦だ。ここに05年決戦の勝負がかかっている。日本の労働者階級は、アジア人民虐殺の侵略戦争を二度と繰り返さない決意を固め、中国・韓国労働者の怒りの決起にこたえ、戦後60年目の夏を「階級闘争の最も熱い夏」にしよう。労働者の腹の底からの怒りで「つくる会」教科書を採択ゼロに追い込もう。杉並での勝利がすべてを決する。全国の自治体労働者は05年夏決戦の先頭で闘おう。
05年決戦を闘う上で、戦争と民営化攻撃の本質をはっきりさせることがきわめて重要だ。日本経団連は、1月18日の「国の基本問題検討委員会」による「憲法」に関する提言と同日の「教育」に関する提言で、憲法改悪と無制限の侵略戦争、教育基本法改悪と戦後教育の全面破壊=教組つぶしを打ち出した。これに続き4月19日、「さらなる行政改革の推進に向けて−国家公務員制度改革を中心に―」を発表した。
経団連提言とまったく同じ
5月26日の日本経団連総会は、1・18の二つの提言と4・19提言を確認し、公務員労働運動の解体・絶滅を宣言している。
4・19提言は、帝国主義ブルジョアジーの立場から“これまでの政府の取り組みでは生ぬるい”“もっと徹底的にやれ”と叫んでいる。日帝の危機の深さを自覚する彼らは、公務員労働運動を徹底破壊して戦争遂行の権力機構とその担い手をつくると宣言したのだ。
「つくる会」会長・八木秀次は民営化について次のように語る。「市場原理の導入という経済政策は精神革命を起こすための手段であるといっても過言ではなかった。単なる経済効率のための民営化ではない」。特にサッチャーを「教育界から左翼色を一掃した」「教育の正常化、家族の強化、国民道徳の再生という三つのこと……によって国民の『精神の構え』を作った」と持ち上げる。つまり、民営化は国家主義・愛国主義鼓吹の手段であり、戦争動員そのものだと言うのだ。したがって、構造改革=民営化と靖国参拝はひとつのことであると主張する。また“伝統的家族の復権”“女性は専業主婦にさせる”“男女平等は左翼思想”と叫び、大日本帝国憲法を理想に掲げるのだ。
日本経団連の三つの提言と「つくる会」八木の思想は、本質的にはまったく同じだ。要するに、帝国主義が危機だから、国家のために戦争と民営化を進める、これに反対する左翼・労働組合は全部ぶっ壊せと言っているのだ。「つくる会」やファシスト石原と日本経団連提言の本質を見抜き、戦争と民営化攻撃に立ち向かっていこう。
地方行革―賃下げと民営化攻撃に反撃を
05年3月末、総務省は「新たな地方行革指針」を全国自治体に通達した。
人事院は5月18日、日本経団連の4・19提言に呼応し、05人事院勧告における国家公務員給与の大幅削減と地域給与、能力主義の導入の方針を明らかにした。
6月20日には経済財政諮問会議が「骨太方針X」を打ち出し、直ちに閣議決定=実行しようとしている。ここでは、自治体労働者の大幅賃下げと徹底した人員削減、「市場化テスト」の実施など、全面的な民営化推進が打ち出される。敵も民営化攻防を05年決戦の正面課題に据えてきたのだ。
さらに、自治体労働者の闘いを全面的に禁圧するために「地方公務員法改悪案」を国会に提出しようとしている。この法案は、自治体労働者の運動を選挙闘争から集会での発言や署名運動に至るまで全面的に禁圧するものだ。「共謀罪法案」や「国民投票法案」と併せて、労働者と労働組合の闘いを弾圧する新たな治安立法だ。戦争を実際に遂行するために労働者階級のあらゆる運動を弾圧することがその狙いだ。
また、有事法制に基づく「国民保護基本計画」は、06年に向けて全国のすべての自治体で作られる。戦争動員の仕組み作りは、自治体労働者をその担い手にし、反対する闘いと労働組合をつぶす攻撃だ。陸・海・空・港湾労組20団体や動労千葉とともに戦争協力拒否の闘いで反撃しよう。
今、自治体労働運動破壊のために国家権力はその総力を挙げて、自治体労働者の「厚遇」「ヤミ・カラ」なるものをキャンペーンし、労働組合つぶしの激しい攻撃をかけている。小泉構造改革で、「勝ち組」「負け組」(何が勝ち負けだ!)などと言って、労働者に不安定雇用、低賃金、劣悪な労働条件を押しつけながら、返す刀で「厚遇公務員」をわめき立てた揚げ句、「仕事をさぼって労働組合」と組合活動を非難する。マスコミを総動員して組合役員を24時間つけまわして隠し撮りし、組合書記局に連日居座り、マイクを突きつけカメラを回している。国税を動かし、福利厚生事業に追徴課税し、「悪徳公務員」をキャンペーンしている。
思い起こしてみよ! 国鉄分割・民営化攻撃が何から始まったのかを! 1982年、全国の国鉄職場に自民党議員が押しかけ、「国鉄赤字の原因は労働者・労働組合だ」とうそ八百を並べ立て、国鉄労働運動破壊に乗り出したのだ。戦時下で、それと同じ攻撃が全公務員労働者にかけられている。国鉄分割・民営化=国鉄労働運動破壊の結果はJR尼崎事故だ。
日帝・小泉の戦争と民営化=労働組合破壊の攻撃と全面的に闘う路線・方針と具体的な反撃の闘いが必要なのだ。自治体労働者は、戦争と民営化攻撃と全力で闘おう。
自治体労働者の決起が要に
今、自治体職場では、機械的な人員削減が数値目標で進み、不安定雇用・低賃金で劣悪な労働条件の臨時労働者が急増している。PFI(民間資金の活用)や「指定管理者制度」で、自治体業務を次々と民間に明け渡している。福祉・教育など住民サービスは次々と削られている。全国の自治体窓口からは、「どうやって生活していくのだ」という住民の怒りの声が毎日聞こえてくる。
また、心と体を壊して働き続けられない仲間が増えている。自殺者は年間3万人を超え、増え続けている。介護保険の改悪で、お年寄りの不安は募るばかりだ。力ずくの「市町村合併」は、自治体を解体し、借金を付け回し、住民の暮らしと共同体を破壊している。「障害者自立支援」(大うそだ!)などと言って、地域で生きる「障害者」の暮らしと未来を奪おうとしている。毎日のニュースは怒りなしには聞けないものばかりではないか! 帝国主義は労働者人民の命を奪って生き残ろうとしているのだ。
全国で労働者が怒りをたぎらせている。「世の中おかしいぞ! 一日も早くこんな社会を変えなければ」と。4月25日のJR尼崎事故は、帝国主義の行き着く先をはっきりと見せつけた。107人の命を奪い、数百人を傷つけた。「利益だ。コスト削減だ」と分割・民営化を強行した結果が、この大事故だ。民営化で労働者を殺し、揚げ句の果てに人殺しの侵略戦争を始めようというのだ。
今こそ、階級的労働運動が労働者人民のすべての怒りを階級的団結と力につくり上げ、帝国主義を打ち倒す闘いに打って出る時だ。重要なことは、自治体労働者はこの闘いのかなめにいるということだ。自治体労働者は、労働者階級の一員として階級闘争を担うことで、国家権力機構の末端で「役人」として立ち現れる自己を否定し変革し、ソビエト権力の樹立に向かう階級的任務と役割を担うのだ。ここに、帝国主義が戦争と民営化=労働組合破壊をひとつのものとして自治体労働運動に攻撃をかけてくる根拠がある。
革共同の新指導路線と「労働組合の革命論的意義の確立」は、帝国主義の危機の時代における労働者階級の実践の路線だ。労働者を労働組合に組織し、地域で労働者階級の共同闘争を闘い、帝国主義を打倒する労働運動を全面的に登場させよう。動労千葉の闘いに学び、全国の労働者がこの闘いに続こう。
「自衛権承認」唱える中央本部打倒しよう
8月自治労大会は05年決戦の重大な闘いとなった。自治労結成以来の最大の正念場だ。
自治労本部は、5月の中央委員会で「国の基本政策検討委員会」の最終報告を行い、これを大会運動方針に盛り込むとした。その核心は「国家の自衛権を認める」ことにある。だが、あらゆる侵略戦争は「国を守るため」を口実に行われた。イラク侵略戦争もしかりである。日帝が新たな侵略戦争に向けて突き進んでいるこの時、「自衛権承認」の意味は明らかだ。「自治労は戦争に反対しません」と言っているのだ。明文改憲にはくみしないかのようなペテンを弄(ろう)しているが、「平和基本法」の本質は憲法9条の解体=侵略戦争推進法だ。
将来、「戦後60周年の自治労大会から戦争体制が一挙に進んだ」と言わなければならないような事態が、われわれの目の前で進んでいる。事態の決戦性をけっしてあいまいにしてはならない。
しかし、自治労本部は大会前からぐらぐらだ。そもそも反主流派も巻き込んだ検討委員会を設置し、報告を出し、それを運動方針に盛り込む、というやり方にそのことがはっきり見てとれる。全国の組合員には何も説明せず、「反戦の方針は堅持」とたぶらかして押し通そうとしているのだ。この間、機関会議のたびに、全国から「地域給与・民営化反対の全国的闘いを!」の声が集中しているが、本部は何ひとつ闘いを提起しない。戦争と民営化攻撃への屈服は本部の「一貫した」方針なのだ。
すべての皆さん。戦後60年の今夏、「つくる会」教科書採択阻止・都議選決戦に勝利し、被爆60年のヒロシマ−ナガサキ反戦反核闘争に結集し、自治労鹿児島大会に攻め上ろう。05年決戦夏の陣を勝ち抜いて、今秋、全国の闘う労働者の総決起に向けて前進しよう。
帝国主義の侵略戦争を二度と許さない、自治体労働者の総決起をかちとろう。
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週刊『前進』(2203号5面2)(2005/06/27)
尼崎事故の元凶=分割・民営化を居直り労働者の責任に転嫁
JR西「安全計画」の欺まん
JR西日本は福知山線(宝塚線)の宝塚−尼崎間の運行を6月19日にも再開しようとしている。だが、107人の死によって衝撃的に突き出された国鉄分割・民営化体制=JR体制の矛盾は、何ひとつ解決されてはいない。安全運転行動を貫く動労千葉に学んで、JR資本と対決し闘ってこそ安全は守られる。
JR西日本は5月31日、「安全性向上計画」を国土交通省に提出し、同省はこれを承認した。JR西日本と国土交通省は、福知山線へのATS(列車自動停止装置)−Pの設置とわずかなスピードダウンで安全対策は取られたとして、運行再開に突き進んでいる。
JR西日本の「安全性向上計画」は、「安全を最優先する企業風土の構築に取り組」む、とうたっているが、それは国鉄分割・民営化体制を何としても護持するための居直りの文書だ。
衆院国土交通委員会に参考人として招致されたJR西日本社長の垣内剛は、過密ダイヤ、安全投資の削減、利益至上主義、日勤教育などは「事故と直接関係ない」と開き直った。元会長の井手正敬も、「効率を上げるのは当たり前」「ダイヤが過密というが、東京に比べたら宝塚線ははるかに余裕度がある」「ミスを起こした人にきちんとした再教育をすることは当たり前だ」「かつての国鉄が持っていたあしきものが復活した」とうそぶいた。これがJR西日本の本音だ。
規制緩和を強行して事故原因を生み出した国土交通省も、批判が自らに向かうことを恐れ、JR西日本を恫喝して「安全性向上計画」を作成させた。彼らは分割・民営化の破産を認めまいと必死なのだ。
「安全性向上計画」には、「過去の事故の反省にたって、安全を優先するという意識の徹底に努めてきた」と書かれている。ならばどうしてJR西日本は、信楽高原鉄道事故や東海道本線での救急隊員死亡事故などの重大事故を繰り返した揚げ句、史上最悪の尼崎事故まで引き起こしたのか。これでは、“悪いのはすべて現場労働者”ということではないか。
「安全性向上計画」は、「職制が行き届かなかった国鉄時代の反省を踏まえ……信賞必罰に留意した職場管理を基本としてきた」と述べる。分割・民営化以来の労組解体政策はすべて正しかったというのだ。
だが、この事故は、私鉄との競争のために設定された無謀なダイヤと、屈辱的な「日勤教育」で運転士を速度超過に追い詰めてきた強権的労務支配が引き起こしたのだ。それはまさに分割・民営化によって生み出された。20万人の労働者を削減し、1047名の首を切り、不当労働行為を恒常化したJR体制こそが、事故の最大の元凶だ。
ところが国労西日本本部=上村革同は、資本の手先そのもののJR連合・西労組と一緒になって、「安全性向上計画」を了承した。何ということだ! 仲間が殺されたことへの怒りもなく、「事故の原因は運転士のミス」を前提に「労使一体」で「安全対策」を論議しても、事故は絶対に防げない。まして分割・民営化攻撃を容認して、どうして資本の事故責任を追及できるのか。酒田=革同執行部を打倒し、国労を再生させることは緊急の課題だ。
どれほど重大事故を繰り返そうと、資本は利潤追求を優先し安全解体に走るのだ。民営化とは労組破壊と同時に安全破壊である。労組が団結して闘い、労働者が誇り高く資本と対決して初めて、安全は守られる。
傘下組合員を守ることもできないJR総連・西労やカクマルが、分割・民営化を率先推進した自らの大罪を棚に上げて、「大企業病を克服しろ」などと問題をすり替えているペテンもまた、断じて許しがたい。
運転士非難する極悪の石原暴言
小泉は衆院予算委員会で尼崎事故に触れ、「民営化したから、効率性を優先してきたからこの事故が起こったんだと一面的にとらえるべき問題じゃない」と放言した。あくまで郵政民営化を始めとした民営化を押し貫くというのである。
尼崎事故は民営化政策の破産を突き出した。窮地に立った支配階級は、ブルジョア・マスコミを使って、事故列車を運転していた高見運転士に聞くに堪えない非難を投げつけ始めた。
その最たるものこそ、東京都知事・ファシスト石原の「運転士の資質の問題だと思いますよ。電車の運転というのを体験させてもらったけど、そんなに難しいものじゃない」という暴言だ。だが石原自身に、運輸大臣として分割・民営化を強行した責任があるのだ。
この石原が、都営交通や都の医療・福祉事業の民営化を推し進めている。
彼らが民営化をあくまで強行しているのは、いみじくも「新しい歴史教科書をつくる会」会長の八木秀次が明言しているように、民営化(労組破壊)による「精神革命」「左翼排除」と靖国神社参拝=侵略戦争・戦争国家形成は一体をなす攻撃だからだ。
事故責任を労働者に転嫁し居直りを決め込むJR体制と、民営化路線にしがみつく小泉=奥田=石原を打倒しよう。動労千葉に続き、戦争と民営化に対決する階級的労働運動をつくり出そう。その展望をかけて都議選決戦に勝利しよう。
事故の責任を居直るJR西「安全性向上計画」
○当社は、経営基盤の確立を図るべく、発足当初から安全を前提とした収益の確保と効率化に取り組み、その結果、安定した経営実績を継続してきた。
○過去の事故の反省にたって、安全を優先するという意識の徹底に努めてきたが、この取り組みが形式的となり、かつ「支社に任せきり」となったため、安全最優先の意識が組織の隅々にまで浸透するには至らなかった。
○会社発足時から、「規律正しい、明るい職場づくり」を目指してきたが、とりわけ、職制が行き届かなかった国鉄時代の反省を踏まえ、「定められたことを定められた通りに実施する」ことを重視し、業務指示と信賞必罰に留意した職場管理を基本としてきた。
○信賞必罰を基本とした職場管理の徹底が、事故対策の検討に際しては、個人の責任追及を重視する風潮を醸し出していた。
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週刊『前進』(2203号5面3)(2005/06/27)
動労千葉 レールの交換実現させる
安全運転行動を一部集約し継続 処分策動を許すな
動労千葉は5月25日から開始した安全運転行動で大きな成果をかちとっている。04年からレール破断が相次いでいる総武快速線のレールを6月7日から7月27日にかけて交換することを、6月6日の団体交渉で確認した。
7日に津田沼〜幕張間の最も損傷の激しい個所についてレール交換工事が行われたことをもって、津田沼〜幕張間の最高速度を90`に制限することについては7日終電をもって集約することを確認した。ただし、運転中危険と認めた場合は、直ちに速度を下げること、回復運転はしないなど、その他の項目については、引き続き安全運転行動を継続することとした。
安全運転行動は、JR西日本の尼崎事故のような大惨事を絶対に繰り返させないための最低限の行動である。にもかかわらず、当局は乗務前の点呼時に「あなたの組合がやっていることは違法な行為だ。厳正に対処する」という処分恫喝を行い、乗務中は2人の管理者が運転台に乗り込んで監視・現認を行ってきた。そのために東京支社や本社の管理者も動員した。その数は数千人に上っている。
国土交通省の調査によれば、脱線の危険性のあるカーブは全国の鉄道事業者の中でJR東日本が最も多く、1259カ所もある。だがJR東日本は、具体的に公表することを拒んでいる。その一方で、このような処分恫喝を行っているのだ。断じて許せない。
レールの交換によってあらためて明らかになったのは、写真のように、レール表面の無数の傷が数百bも続く状態だったということだ。こうした傷からレール破断に至ることは明らかだ。さらに、動労千葉が調査したところ、総武快速線下りの幕張本郷駅付近では、レールの内側が大きく(最大11_)削りとられていることが分かった。車輪がカーブの外側に向けて激しくレールにたたきつけられている状態だ。このままでは、せり上がり脱線などの可能性もある。動労千葉は、この個所について緊急に申し入れを行い、9日の団交で14日にレール交換工事を行うことを確認した。しかし、千葉支社は、「予測しうる状態」「基準値内」などと主張し、事態の深刻さを否定する発言に終始したという。
動労千葉は、レール交換によっても万全の安全対策がとられたとは言えないとして、JR東日本の安全無視の経営姿勢を問い、「闘いなくして安全なし」の原点を貫き闘い続けている。
千葉運転区の懲戒解雇弾劾
こうした中で、6月7日、千葉運転区で、平成採用の若い労働者が懲戒解雇された。懲戒解雇されたA君は、乗務中の携帯電話使用をとがめられて乗務停止処分を受け、日勤勤務中だった。JR東日本は、尼崎事故問題を職場と一人ひとりの労働者への徹底的な締め付けにすり替えている。その見せしめとして懲戒解雇が強行された。A君が所属するJR東労組は、「仕方ない」と、この解雇を容認しているのだ。動労千葉は、「安全」にかかわる問題と「解雇」だけは絶対に妥協できないとして、この懲戒解雇を徹底弾劾している。
事故を許さず、労働者が安心して働ける職場をつくるためには、今こそ動労千葉のように闘うことが必要なのだ。
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週刊『前進』(2203号6面1)(2005/06/27)
民衆の歴史消し去る「つくる会」教科書 東京 寺田輝子
教科書展示会に行ってきました。中学の歴史教科書は8冊が検定に合格しています。すべてを比較するのは大変なので、外国特派員を招いての記者会見で話題となったテーマを中心に見てきました。
南京大虐殺について、「つくる会」教科書が際立って違っている点は「中国の軍民に多数の死傷者がでた」という記述。他社は、最低でも「女性や子どもなど、多くの住民が」と書かれてありました。沖縄戦での記述でもこだわったように、「戦争で一番苦しむのは、立場の弱い人であり、軍隊は民衆を守らない」という事実を言われるのが一番怖いんだな、とあらためて気付かされました。この南京大虐殺に関する部分は、〈注>に書いてあるので見落としがちです。
軍隊慰安婦については、すべての教科書で排除されていました。
公民の教科書について、「つくる会」教科書以外は日本国憲法を中心に書いてありました。「つくる会」教科書は、見開きで大日本帝国憲法と日本国憲法が並べて書かれていました。「自分たちで作ったのは大日本帝国憲法で優れている」という印象を与えようとしています。
「つくる会」教科書では、民衆の歴史が消されています。一人ひとりの命が、人生が消し去られています。他の教科書を読むと、人権や憲法9条はたんにGHQによって押し付けられたものではなく、百姓一揆や米騒動からさかのぼって、戦前から脈々と受け継がれた権利への闘いがあり、未来へ託した熱い思いと多くの自己犠牲の歴史があり、流れがあるんだと伝わってきます。歴史を学ぶとは、そうした多数の犠牲を真剣に受け止めて前に進むことだと思いました。
アンケート用紙には、「扶桑社の教科書が注目されていたので読みました。アジア侵略への反省が感じられず、アジアの人たちが怒ったのも当然だと感じました」と記しました。
ファシスト石原には絶対に負けられない 関西 水木優子
東京都議選の選挙運動を闘ってきました。「障害者」なので財政的に苦しく、交通費も、国会議員が1往復にかける費用で4往復はできる位の安い安い交通手段で行きました。夕食も1回抜きました。すべてが厳しかったため、帰って来てからつい昨日まで、ずっと寝込みました。
「障害者」でもこれだけの工夫と努力ができます。「健常者」の方も、どうか工夫して都議選勝利のために尽力してください。この選挙は、石原ファシストの東京右翼都市化を許すのか、侵略小泉内閣に塩を送るのか、そういう国家との闘いを本質的に含んだ選挙です。絶対負けるわけにはいきません。石原に勝たずして、革命など語ることができるのでしょうか。
杉並区政は、『前進』のとおり、区長を先頭に極右化しています。その事実を知らない区民がものすごく多い。平和な杉並区、と思っている人がほとんどです。でも、区長の化けの皮をはがす暴露をしたら、皆さんたいへん驚かれます。「環境派だと思ってたのに」「市民派だと思っていた」などの声が返ってきます。まず、事実を知らせることの重要さを実感しました。そのためには、より多くの長谷川支援者が、より多くの区民に語りかけることです。早くからの全国からの選挙運動への参加が重要と思いました。「戦争は嫌だけど石原の潔さは好き」という人も多いですが、そういうあいまいさを粉砕できるのは長谷川当選しかありません。
体力的にも経済的にも本当に大変な日々でしたが、とても重要な経験ができ、中身の濃いものとなりました。地域日常闘争の重要さ、新指導路線の正しい理解と実践がどれほど大切かを、あらためて認識できる機会ともなりました。
「つくる会」採択阻止へ広島長崎実が街宣 千葉 小西信夫
6月16日夕方、8・6広島−8・9長崎反戦反核闘争全国統一実行委員会は、杉並のJR高円寺駅南口で「つくる会」教科書の採択に反対する街宣(写真)を行いました。三角忠中央事務局長や北島邦彦都革新事務局長がマイクを握り、侵略戦争を賛美する「つくる会」教科書の採択を阻止する決意を訴え、ともに闘うことを杉並区民に呼びかけました。
全国統一実の掲げるメインスローガンは「くり返すなアジア侵略!ヒロシマ・ナガサキ、オキナワ、ビキニを!」です。この主張を真っ向から否定する「つくる会」教科書の採択を阻止することは、全国統一実自身の闘いです。
杉並は原水禁運動の発祥の地。全国統一実は、8月広島・長崎反核闘争に向けた最初の集会を毎年7月に杉並で開催してきました。今年も7月18日に杉並産業商工会館でパネルディスカッションを行います。
6月都議選で長谷川英憲氏の当選をかちとり、その力で「つくる会」教科書採択を阻止しましょう。全国統一実もともに闘います。
「私も署名集めます」区民の決起が始まる 東京 小林幸雄
私は今、「つくる会」教科書の採択を阻むために杉並区の駅頭でビラまきを行っています。「つくる会」の歴史教科書は、天皇の軍隊が中国で行った、文字どおり焼き尽くし・奪い尽くし・殺し尽くした残虐な事実も、また広島、長崎への原爆投下がもたらした地獄のような惨状も一言も記載されていません。戦争を美化し、子どもたちを戦場に駆り立てるこのような教科書の採択を、どうして許すことができるでしょうか。
ビラをまいている私に、ひとりのおばあちゃんが、すごい剣幕で話し掛けて来ました。「この辺も空襲で大変な目に遭ったんだ、どうして若い者は(「つくる会教科書採択の動きや、今の戦争に向かう政治に)怒らないのか」と言うのです。別のおばあちゃんは「あんたは良いことを言っているんだ。もっとゆっくりしゃべりなさい」と注意してくれました。
駅頭でいつも、お店の割安券を配っている店長さんが、「皆さんの主張は正しい。他の政治家も来て演説をするが、内容が無い」と言って、狭い駅頭での競合にもかかわらず「頑張ってください」と応援してくれます。
先日は、暫く立ち止まって私たちの演説を聞いていた50代の男性が、「ビラをまかせて下さいと」、小一時間、一緒にまいてくれました。
ビラを受け取ってくれた女性に「つくる会」教科書の内容について話をして、採択に反対する署名をお願いしたら快く応じてくれました。女性は、「私の子どもも間もなく中学生になります。子どもにこのような教科書を渡すことはできません、私も署名を集めます」と言って用紙を10枚持ち帰ってくれました。
ビラを受け取ってくれる人の中で、向こうから手を出してくる人が増えています。危機感に燃えて、情報を欲する区民が増えている現れと思います。底流でマグマが動き出した確かな手ごたえを感じます。
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週刊『前進』(2203号6面2)(2005/06/27)
共謀罪は労働組合弾圧法だ
警察官の恣意的判断で適用 会議も活動もできなくなる
日帝・小泉政権は、今週にも共謀罪法案の衆院審議入りを強行し、与党単独での審議と強行採決も辞さないことを決断した。警察が「何々の犯罪の共謀」を行っていると判断するだけで逮捕できるという共謀罪の恐るべき反人民性を訴えて、労働者人民は2年余りにわたって審議入りを阻止してきた。審議入り情勢の緊迫化の中で、今こそ共謀罪を廃案に追い込む闘いに猛然と決起することを訴える。
条約の目的からもかけ離れた治安法
共謀罪は、00年11月に国連で採択され日本政府も署名した「国際的(越境)組織犯罪条約」を批准・実施する上で、条約が「要請している」国内法の整備を名目に出されてきた。この条約は、もともとマフィア弾圧と反米ゲリラ戦争弾圧を口実に、「21世紀の犯罪対策の国際基準」(警察庁)として、米帝の主導で各国の法務・治安担当者によって立案された。
条約は03年の通常国会で衆参あわせて1時間32分の審議時間で承認された。しかし、条約で義務づけられている「組織犯罪集団への参加」を処罰する国内法の整備ができていないため、いまだに批准されていない。そこで日本政府は、条約の批准・実施と称して、条約の目的からも大きくかけ離れた思想処罰・団結禁止法として、共謀罪法案を成立させようとしている。
共謀罪法案は次の@〜Cの骨格からなっている。
(1)現在、刑法・特別刑法に規定されている557の罪(最高4年以上の懲役・禁固刑にあたる罪のすべて)を対象とする。死刑または無期もしくは長期10年を超える罪の共謀は、5年以下の懲役・禁固とする。長期4年以上10年以下の罪の共謀は、2年以下の懲役・禁固とする。
現行刑法体系に一つ二つ罪を加えるというのではない。557の罪を新設するのである。これは今ひとつの刑法、現刑法とは別の刑罰体系を作るに等しい。戦時下への突入に対応した労働者人民への重罰化の攻撃である。
(2)実行行為を必要としない。
法務省は法制審での説明で、これから作ろうとする日本の共謀罪は一切の準備行為も要らない、純粋に話だけで成立する「日本独特なものだ」と言っている。警察官が@の犯罪について、「暗黙のうちに意思の連結(共謀)をした」とみなすだけで「犯罪」が成立するのだ。
警察権力が決断すれば何でも誰でも弾圧できる、しかも一網打尽に! ここが共謀罪の重大なポイントである。破防法の適用に公安審査委員会の処分手続きが必要なのに比べて、警察が無制限の権力を行使できる法である。盗聴法や監視カメラ、Nシステム、そして国民総背番号制とともにがんじがらめの警察社会に根本的に変質させようとするものだ。
(3)2人以上が集まる場所はすべて捜査対象となる。
組対法の規定によると、「組織犯罪」の「組織」は団体とは違い「2人以上」としている。実際に夫婦が競馬のノミ行為に場所を貸したというだけで組対法が適用され逮捕・起訴されている。共謀はひとりで成り立つものではない。話し合い・暗黙の了解である以上必ず2人以上で成立する。条文に「組織」を入れても何の縛りにもならないが、その「組織」という規定ですら要件にしないというのである。人が群れる、団結することに注目して弾圧の対象にしている。
相談や話し合い、「意思の連結」をどうやって警察は立証しようとするのか。これまでの捜査方法では到底不可能だから「新たな捜査手法」の導入を不可避とする。すなわち、「おとり捜査・潜入捜査・泳がせ捜査」の公然たる全面的導入、盗聴法の大エスカレーション――電話盗聴の適用範囲の拡大とドイツなどで大問題になっている住宅盗聴(住宅内で容疑者の発言を盗聴する)――だ。
(4)自首してきたものには罪を減刑・免除する。
共謀罪には、実行着手前に警察に自首した場合は刑を減免するという刑事免責の項目がある。話し合いに参加したある者が警察に密告すれば、共謀罪で他の者は逮捕され、密告した者は刑を減免されるというものだ。従来できなかったスパイ活動の合法化である。
警察権力がスパイとなって労働組合に潜入し、警察が違法とみなす行為(例えばストライキを組織的な威力業務妨害とする)を提案し、組合の闘争委員会や大会で合意を取り付けた後、スト突入以前に警察に「自首」し、司法取引で罪を逃れ、組合員は何も行為に着手していないのに組織的な威力業務妨害の共謀罪で全員逮捕される、という恐るべき事態が現実のものとなる。
戦前の治安維持法超える思想処罰法
この共謀罪は、戦前の治安維持法にも匹敵する、否、それ以上の思想処罰法である。
1925年に成立し、「国体変革」と「私有財産制否定」の目的を持った結社を組織しそれに従事するものを最高死刑に処した治安維持法の弾圧体系の根幹は、天皇制国家に対立する思想への徹底的な弾圧であった。1933年2月20日に逮捕され東京・築地警察署で拷問を受けて死亡した小林多喜二を始め多くの人びとが虐殺された。
1928年の改悪で導入された目的遂行罪は最大限に拡大解釈され、社会民主主義者・自由主義者・あらゆる反政府運動とその思想そのものを弾圧するために適用された。
1942年9月の横浜事件では、1枚の慰安旅行の写真を「共産党再建大会」にデッチあげることで弾圧を拡大し、評論家や出版社社員ら約60人を逮捕した。拷問のため4人が獄中で虐殺され、傷害を負った者は32人を数えた。
「当局のいうことを否認すると裸にして五、六回投げ飛ばして置いてから太さ指三本位のロープで打ったり、椅子をこわして作った木刀で頭、背中を殴り足腰を蹴る――用意して置いた筋書きどおりの調書や手記を目の前に突き付けて承認しろという」(中央公論社員木村亨氏の証言=1945年10月9日付朝日新聞)
治安維持法により1928年以来検挙された人は6万人、起訴された人は6千人と敗戦直後に発表されている。
治安維持法は思想を処罰する悪法であるが、それでも目的規定があった。共謀罪は治安維持法のような拡大解釈を必要としない。最初からいかなる目的にも縛られないで適用できるからだ。まさに治安維持法以上の思想処罰法である。
さらに、共謀罪は破防法以上の内容を持っている。「共謀した者がそときにかかわる犯罪の実行のための資金として使用する財産」を没収する。組対法では不正収益の没収がすでに決められているが、共謀罪では「将来の犯罪活動に用いられる可能性が高いから」(法務省)と「将来のおそれ」までを問題にする。「将来のおそれ」を口実に、置いてある場所次第でいつでも警察が金を没収することが可能とされるのである。刑事弾圧と財産没収などの民事弾圧を合体させたところが、破防法も治安維持法も上回る希代の治安法といえるのだ。
世界にも例のない「共謀」概念の拡大
最大の問題は「共謀」である。現行の「共犯」(刑法60条)の拡大解釈である「共謀共同正犯」とはまったく違う。「共謀共同正犯」は実行行為を前提にしているが、「共謀罪」は実行行為を必要としない。
話も必要としないのが共謀罪法案の「共謀」概念である。
共謀とは「数人相互の間に共同犯行の意志があることを言う」、明示的になされなくとも「暗黙に意志の連結があれば足りる」とした最高裁判決(1949年2月8日)が出されている。5・27国労臨大闘争弾圧裁判で検察が立証しようとしている共謀共同正犯も、そこにいただけの「黙示の共謀」である。
しかし、労働者人民はいくつもの治安弾圧裁判でこの最高裁判決の適用を粉砕し勝利をかちとってきた。そこで挑戦的に法務省はこうした「共謀」を条文に入れた。このことで、共謀罪は「世界に例が無い」ものとなった。言論・思想レベルの処罰法が共謀罪である。日帝国家権力は「暴力的破壊の思想」を持っている者と一緒にいるだけで罪が成立する共謀罪を手に入れようとしているのだ。
労働組合員たちが「社長の譲歩が得られるまで徹夜してでも団交しよう」と合意すれば、組織的強要の共謀罪。争議だけでなく通常の労働組合活動をも話しただけで罪に問える。したがって、通常の組合活動・争議の戦術会議などはほとんど成立しなくなるのだ。だが会議・話し合いこそが組合活動の基本だ。共謀罪は労働組合、労働者の団結権への決定的な挑戦である。
また、パレスチナの病院にカンパを出そうと話し合っただけでテロ資金供与の共謀罪が成立する。共謀罪は、労働運動・学生運動・農民運動、反戦闘争・経済闘争とその組織、革命党を根こそぎにし、しかも国際主義的連帯を切断することができる大がかりな団結禁止法となるのである。
共謀罪は、〈戦争と革命の時代>〈新たな15年戦争の時代>に登場した治安法である。統治の危機に直面した日帝の改憲攻撃と軌を一にした予防反革命であり、人民の戦争反対の声を抑圧し戦争動員を図ろうとする攻撃だ。「外に向かっての侵略戦争、内に向かっての階級戦争」の大きな軸としてある戦時型治安攻撃(治安弾圧と治安立法)の核心が共謀罪法案である。
都議選の勝利を必ず実現するとともに、共謀罪粉砕の闘いに絶対勝利しなければならない。05−07年決戦の渦中で共謀罪法案を労働者の渾身(こんしん)の力で廃案に追い込もう。
共謀罪法案は、03年3月に提出されて以来一度も審議されていない。04年衆院解散・総選挙に伴って廃案となったのを受けて、「犯罪の国際化及び組織化並びに情報処理の高度化に対応するための刑法等の一部を改正する法律案」という名で、国家によるインターネットの管理と弾圧を狙うサイバー犯罪条約の国内法(サイバー弾圧法)、強制執行妨害罪の拡大・重罰化、証人買収罪と抱き合わせで提出されている。どれをとっても大変な悪法群であるが、共謀罪に限ってみてみる。
この法は、警察権力が決断すれば何でも誰でも弾圧できる、しかも一網打尽に!ここが共謀罪のもうひとつのポイントである。
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週刊『前進』(2203号6面3)(2005/06/27)
共謀罪廃案を訴え 国会前 審議入り阻止へ闘争
6月14日、破防法・組対法に反対する共同行動は、「共謀罪法案が今日にも衆院法務委員会で審議入りか」という状況下で、共謀罪廃案を掲げて緊急の国会前行動に立ち上がった。
多くの労働者人民が衆院第2議員会館前で座り込みを行う中で、正午から国会前集会がかちとられた。
最初に共同行動の事務局が共謀罪法案の審議入りをめぐる攻防の現状を報告し、「与党は共謀罪法案の審議入りを決断した。本日の審議入りは微妙な状況だが、共謀罪廃案まで全力で闘おう」と訴えた。
連帯のあいさつに立った森川文人弁護士は「考えること、想像すること、これが自由の本質。共謀罪はこのことを否定する。共謀罪は私たち民衆に向けられていることをもっと広めよう」と呼びかけた。
解雇撤回を闘う連帯労組の労働者、とめよう戦争への道!百万人署名運動の事務局が連帯のアピールを行った。
憲法と人権の日弁連をめざす会の鈴木達夫弁護士が集会の最後に発言し、「共謀罪法案の本質は労働組合弾圧法である。こんな悪法を必要とするところに帝国主義の危機があり、弱点がある。共謀罪に人民が黙っているわけがない。廃案へ追い込もう」と訴えた。
集会終了後、午後の衆院法務委員会は流会との情報が入った。この日の審議入りはなくなった。
衆院法務委員会が審議予定の法案で、残るのは少年法改悪案と共謀罪法案だけである。今国会での共謀罪法案の審議入りは不可避だ。次の山場は6月21日の衆院法務委員会だ。全力で国会前に結集しよう。
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週刊『前進』(2203号6面4)(2005/06/27)
寝屋川弾圧 4人の無罪が確定
解同全国連寝屋川支部に対するデッチあげ弾圧粉砕の闘いは、無罪判決(2201号既報)に続き、期限の6月8日までに検察は控訴できず、全員の無罪が確定。完全勝利した。
12日、勝利集会に元被告4人と家族、国守と関西の部落のきょうだい、共闘、弁護士が駆けつけ、2年間におよぶ国家権力との闘いに完全勝利したことに沸き返った。
今回の勝利は、@4人がやったことは、正当な権利に基づく要求と交渉であることA「被害届」は、警察官が作ったものに会社が署名させられたものであるなど、警察、検察一体のデッチあげであったことB警察の「捜査」が寝屋川市行政がビラを警察に届けたことから始まった、行政の差別攻撃でもあること――など、デッチあげと差別の全貌(ぜんぼう)を暴き、糾弾して闘った大勝利だ。
さらに連帯を強め、戦争と弾圧の時代を差別糾弾闘争で闘い、勝利しよう。
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週刊『前進』(2203号6面5)(2005/06/27)
『賃金・価格・利潤』 −学習の感想−
資本家はいかに搾り取るか R・A
マルクス主義基本文献学習シリーズ5の『賃金・価格・利潤』の序章においては、『賃金・価格・利潤』が書かれた背景と、その位置を再確認することができた。
また、1章においては、『賃金・価格・利潤』を以前読んだ時は、ウェストンの主張を賃金基金説にまでは踏み込んで考えなかった。
2章では、労働量=労働時間であり、そこから資本家がいかに搾り取るのかという問題であるということが分かった。裁量労働制、みなし労働は、その関係をさらにねじれたものにしたということも、つかむことができた。
労働者はますます奪われる M・H
利潤率や搾取率のところで、搾取率はマルクスの時代よりものすごく巨大になっているのに、利潤率はあまり変わらないというのはすごい話だと思う。資本家が、マルクスの時代から一定の利潤率を得るためには搾取率をどんどん拡大していかなければ成り立たないというのは、何ということか!と思う。
つまり、資本主義社会を成り立たせるために、このまま行ったら労働者は、たとえマルクスの時代よりも物はいっぱいあっても、もっともっと資本家に奪われなくてはならないということだ。ここのところをもっと深く考えていきたいと思います。(マルクスの時代よりも物はいっぱいある、という点からも、それへの批判という観点で考える必要があるかな、と思っています)
現実の闘争に自己解放の道 N・B
マルクス主義基本文献学習シリーズ5の『賃金・価格・利潤』は、「労働組合は資本主義を徹底的に是認します」とマルクス主義の根本的否定をするに至った94〜95年当時のカクマルに対して、またそこまで深まった帝国主義の危機に対決するものとして書かれたということでした。このことは今ますます当てはまってきていると思います。
新指導路線のもとで、私たちは労働運動の荒波に飛び込んでいる。その実践にあたって、どのような理論と路線をもって労働組合運動を闘うのか。プロレタリア階級闘争の基本問題として労働組合論をとらえるべきなのだと理解しました。
労働者の基礎的団結形態である労働組合の闘いを、現実の労働者階級の権力奪取に至る闘いこそ唯一の解放の道であるという立場で推進するのか、それともウェストンのように「平等な賃金制度」のための“根本的社会改良”の路線をとるのか、リアルな路線論議として書かれている。
一見、「賃上げ闘争などやらずもっと根本的な改革を」と言われたら、そちらの方がよりラディカルかと思えてしまうけれど、そうではない。現実の労働者は資本家との間で賃金と利潤の分割をめぐって、非和解的に激突する。労働者は自らの取り分のために闘う。このような、労働者の生きるための現実の闘いの中に労働者階級自己解放の道がある。このことを資本主義の生産関係、経済学として明らかにする必要がある。
マルクスは、商品の価値とは何か、というひもときから始め、賃金という形態によって階級的搾取が覆い隠されていることを暴いた。私は、労働者を食わせられなくなった資本主義を打倒すべきことまで見通した、断固とした階級的労働運動の理論として身につけていきたい。
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週刊『前進』(2203号6面6)(2005/06/27)
訂正
2202号(6月20日付)6面の戦時型弾圧粉砕への記事で、「7日に前進社」とあるのは「6日に前進社」の誤りでした。
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