ZENSHIN 2005/06/13(No2201
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週刊『前進』(2201号1面1)(2005/06/13)
革共同の6月アピール
長谷川氏を必ず都議会へ
崩壊を開始した石原ファシスト 独裁を労働者の力で打倒しよう
杉並で「つくる会」教科書阻止を
革共同と労働者階級にとって、死活のかかった重大な決戦が始まった。プロレタリア党の建設とプロレタリア世界革命の達成へ向け、巨大な飛躍を実現する決定的な情勢が今まさに訪れている。この6月、「つくる会」教科書の東京・杉並での採択を絶対に阻止し、長谷川英憲氏の都議会議員選挙での必勝を同時にかちとる決戦は、世界史的意義と大きさをもった闘いである。一切の成否は、この6月にかかっている。6月決戦こそ最大最高の正念場だ。この6月決戦を、党と労働者階級の掛け値なしの総蜂起戦として闘おう。何よりも革共同は、この歴史的瞬間に党結成以来のすべてをかけて総決起する。あらゆる力をふりしぼって闘い、必ず勝利を切り開こう。
第1章 オール石原与党体制に風穴をあける長谷川氏
石原打倒情勢が急速に煮詰まっている。石原都知事は、5月30日に都議会与党の自民党と公明党の幹部に会い、側近の副知事・浜渦を辞任させる意向を伝えた。また浜渦とともに福永、大塚らの副知事および横山教育長、桜井出納長の2人の特別職も辞任する。ついに石原のファシスト独裁が崩壊を開始したのだ。
だが石原は、あくまでも悪逆無道のファシストだ。6月1日都議会の所信表明演説で、自己の責任に一切言及せず、事実上の開き直りを行い、傍聴席から怒りのヤジと弾劾を受けた。石原は卑劣にも、この期に及んで自分だけは生き残ろうとしている。この腐り切ったファシスト独裁支配のすべての責任は石原にある。
石原はどこまでも開き直るばかりか浜渦の辞任を7月22日まで引き延ばし、都議選以降、次回都議会まで今の位置に置こうとしている。さらに石原・浜渦と一体の罪状をもつ横山を、なんと副知事に横すべりさせようとしている。石原・浜渦・横山によって成り立つ腐敗し切った独裁政治をあくまでも守ろうという必死の悪あがきを行っているのだ。
この実におぞましい延命策動は、自民党・公明党との密室の取引で決めている。民主党は石原と百パーセント同罪で、ともに自己保身を図っている。しかもこのとんでもない石原の延命に事実上、手を貸しているのが、日本共産党と市民派である。なんたることか。
石原・浜渦・横山こそ、実は日本を戦争国家・戦争社会に塗り替えようとする「つくる会」教科書攻撃を推進してきたファシスト枢軸そのものだ。「つくる会」教科書採択とは、こんな腐り切ったファシスト独裁者が推し進めているものなのだ。
石原の教育改革も、横山・都教委と浜渦が一体となって進めてきたと言える。今回の介護・福祉の切り捨てと民営化攻撃も、そこでの利権の奪い合いのとんでもない腐敗も、すべてこの連中がもたらしたものだ。今や都庁内の労働者を始め全都の労働者人民の中から、石原・浜渦・横山への積もりに積もった怒りが一斉に解き放たれようとしてきている。
この情勢のもとで、都議選の勝利とともに、「つくる会」教科書の杉並での採択を絶対に阻止しなくてはならない。石原・浜渦・横山の打倒を、杉並区の山田区長・納富教育長の打倒につなげ、徹底的に爆発させていくことである。「つくる会」一派が「横山教育長の尽力で東京50%採択のメドが立った」と内部で確認しているように、杉並区での採択制度改悪は横山の指示を受けて強行されたのだ。石原・浜渦・横山による都議会と都政のファシスト支配とまったく同じことが、杉並区で山田・納富によって行われている。
ファシスト反革命は、どんなに腐敗と崩壊を深めても「自滅」はしない。労働者階級の力で打倒する以外にはない。それは、「つくる会」教科書採択を杉並で実際に阻止することなのだ。この闘い抜きに、教育労働者を始めとする全労働者と、さらにすべての日本人民に未来はない。何がなんでも採択を阻止しよう。
同時に、革共同は、今こそすべての労働者階級人民のみなさんに心の底から訴えたい。石原を打倒し「つくる会」教科書採択を阻止するためには、都政を革新する会の長谷川英憲氏を絶対に都議会に送り込むことである。都議会はオール石原与党と言ってよい。真の野党などひとつもない。この都議会に風穴を開けるのは、長谷川さんしかいない。ファシストにこのまま都議会、都庁、都政をじゅうりんさせてはならない。
長谷川さんは、「石原知事に挑戦状」を真っ向から掲げ、「つくる会」教科書絶対阻止の先頭に立って闘っている。この長谷川さんが都議選で当選を果たし、都議会にのりこむならば、そのこと自身が石原と「つくる会」を直撃し、採択攻撃を完全粉砕する突破口を開くのだ。
特に都労連労働者のみなさん! 労働者こそ社会変革の主体だ。ファシストは労働者の団結に最も弱い。ともに団結して長谷川さんを都議会に送り出そう。
第2章 帝国主義の破局的危機と革命的激動への突入
「つくる会」教科書採択阻止と都議選勝利の6月蜂起戦をめぐる内外情勢は、激動の一途をたどっている。帝国主義の破局と危機が深まり、戦争と民営化の攻撃が激化している。帝国主義への怒りが全世界で高まり、労働者階級と被抑圧民族人民の、帝国主義打倒の決起が至る所で開始されている。
フランスとオランダでのEU憲法の否決は、帝国主義間争闘戦とブロック化の一層の激化をもたらすものだ。それが意味するものは第一に、中・東欧の低賃金労働の徹底的な搾取・収奪と、それがもたらすフランスの労働者の失業とリストラの激化、排外主義の激化である。EUの対米対抗的なブロック化の中に、中・東欧の危機が内在化していくのだ。第二に、ドイツにとってEU憲法=EUの形成は絶対的に有利であり、ドイツの突出がフランスの後退と危機を促進させる。この帝国主義間の矛盾の激化が、EUの分裂もありうる情勢となる。フランスとドイツの連合によって隠蔽(いんぺい)されてきた欧州帝国主義の矛盾が露呈し、帝国主義間の分裂が本質的に進行し、米欧対立をも一層激化させていくということだ。
イラク情勢は、ますます泥沼的内戦化を深めている。米帝は首都バグダッドでの大規模掃討作戦に打って出た。今やスンニ派全体が「武装勢力」となり、米軍およびイラク新政権(移行政権)との激しい戦闘に入っている。新政権はスンニ派とまったく非和解であり、スンニ派を踏みにじる以外にない。内戦の危機がすさまじく激化し、もはや憲法制定のプログラムも実現不可能となっている。
こうした中で日帝は、帝国主義としての生き残りをかけて、郵政民営化を先端とする戦争と民営化攻撃=労働組合解体攻撃を激しく展開している。公務員制度改革の攻撃、日本経団連が4月19日に発表した「さらなる行政改革の推進に向けて」の提言と日本経団連の総会、2005年「骨太の方針X」(6月下旬閣議決定予定)は、きわめて重要だ。
これらは、日帝がイラク参戦としてすでに新たな侵略戦争を開始した中での、戦時下の党と階級の絶滅・一掃攻撃そのものであり、ここに05年の階級決戦の最大の核心がある。この戦時下の攻防に勝ち抜くことが、「つくる会」教科書採択阻止=都議選決戦の革命論的意義であるとともに、革命的情勢の成熟のもとで、プロレタリア革命勝利への展望を切り開くものとなるのだ。
「つくる会」教科書の杉並での採択阻止に、ますます党と階級の生死がかかってきている。今こそ非常の決意を打ち固めよう。石原・横山の反革命のもとで、「つくる会」一派はこの6月を反革命の総蜂起の時として、東京の各区や市で次々と議会要請行動を行い、最大の決戦を構えている。クーデター的な一斉蜂起で6月決着にかけているのだ。その突破口が杉並区である。
「つくる会」教科書攻撃は、マルクス主義と革命派の一掃を狙うものであり、労働者の階級性を抹殺する攻撃である。「つくる会」一派は今日、沖縄「調査」として、「集団自決は住民の意思」とする新たなデマをデッチあげ、軍隊慰安婦問題抹殺の次には沖縄戦を教科書から抹殺しようと動き出している。このことも、戦後階級闘争の中で一貫してその革命的切っ先であり続けた沖縄人民の闘いを、なんとしてもたたきつぶそうとしているからなのだ。
「つくる会」教科書の採択をめぐる攻防はまさに、戦後史を画す決戦であり、戦時下における階級決戦そのものだ。すさまじい革命的危機感をもって立ち上がろう。
採択期限の8月上旬を待たず、この6月決戦で「つくる会」教科書を葬るために、6日からの杉並区議会闘争の空前の爆発をかちとろう。杉並区教委包囲の大闘争に立ち上がろう。闘いの波状的うねりを実現し、その爆発の渦の中で、長谷川英憲氏の都議選必勝をかちとろう。
動労千葉は、4・25尼崎事故を徹底弾劾し、事故から1カ月の5月25日を起点に安全運転行動に突入している。5月24日の総決起集会で、制限速度順守=回復運転拒否を軸として「安全運転行動」を実施することを宣言し、25日始発より、JRや国に抜本的な安全対策を求めて運転士200人が断固とした行動に決起している。
これに対して当局は処分をわめいている。現在進行している事態は、再び運転士一人に事故の全責任を転嫁しようとするどす黒い策動である。動労千葉の決起はあまりにも当然な闘いであるにもかかわらず、この闘いによって大事故をもたらした分割・民営化の破綻(はたん)が徹底的に暴かれることに、JR資本は心底から恐怖しているのだ。
この動労千葉の闘いは、戦争と民営化の攻撃と真っ向から対決する闘いであり、それゆえに杉並での「つくる会」教科書採択阻止と石原都政打倒・都議選勝利の決戦に、固く連帯し結合する闘いとして展開されているのだ。
第3章 戦争・民営化・福祉破壊と対決する6月蜂起戦
「つくる会」教科書を阻止する闘いは、まさに石原都政の打倒と一体であり、同時に小泉=奥田の戦争と民営化攻撃との対決そのものである。このことをファシスト反動の側から明らかにしているのが、「つくる会」の会長で公民教科書の執筆者でもある八木秀次である。
八木は「つくる会」教科書を形成している反革命的思想の核心を、「国家再生の哲学としての保守主義」と表現している。そしてこのイデオロギーが、石原のファシストイデオロギーと完全にひとつであることを披瀝(ひれき)している。八木や石原のこの思想は、危機に立つ帝国主義がその破綻の末に行き着いた新たなファシズム思想である。
特に決定的なのは、構造改革=民営化と靖国参拝は一体だ、と言っていることである。国家のために、「構造改革の痛み」すなわち民営化によるリストラ・首切りと労組解体を受け入れよと言っているのだ。これは奥田・日本経団連の1・18の二つの提言や、4・19提言と本質的にはまったく同じであり、新たな「戦争と民営化」攻撃の論理なのである。
八木は、“靖国の英霊に恥ずかしくない日本を築くために痛みを伴ってでも改革(民営化)をやるべきだ”と言う。同時に、国を守るために個人の命をささげるのは当然だと宣言する。一握りの帝国主義ブルジョアジーのための国家を至上のものとして、その国家の危機を叫び立て、労働者階級人民の命を徹底的に踏みにじって、戦争と民営化攻撃をどしどし強行せよというのである。
八木はまた、本年3月に出版した『国民の思想』という本の中で、「保守主義とは〈縦軸の哲学>である」と言っている。これは石原の言う「垂直の情念」と同じで、この思想が「国家を再生」させると言う。この「縦軸の哲学」とは「生命の連続性を自覚する哲学」であり、「祖先の名を汚さず、その遺産を継承し、子孫に負の遺産を残さない」ことだと言う。言い換えるならば、祖先のやったことは全部正しい、明治政府や大日本帝国憲法は素晴らしい、日帝が行った帝国主義戦争・侵略戦争と植民地支配は日清・日露戦争を始めとしてすべて正しい、ということである。
八木はさらに、サッチャー、レーガンのやった民営化攻撃の核心は、「単なる経済効率ではなく……『精神革命』の一環であり、『精神革命』を起こすための手段」であったと言う。この「精神革命」とは、具体的には労働組合の破壊と「社会主義者やリベラル勢力の駆逐」を意味する。特にサッチャーは「教育界から左翼色を一掃した」ことで、教育の中央集権を推進したと賛美しているのだ。
すなわち、「つくる会」=八木の主張は、民営化は国家主義・愛国主義の鼓吹の手段であり、戦争動員=戦争攻撃そのものだということだ。そして民営化とはまさに「左翼の一掃」であり、労働組合の解体と活動家パージであり、階級絶滅攻撃であるということだ。今日の「日の丸・君が代」強制攻撃、「つくる会」教科書攻撃が教育労働運動解体の攻撃であること、4大産別決戦が労働組合解体攻撃との闘いであることを、ファシストの側から暴露しているのだ。
「つくる会」も石原も日帝ブルジョアジー、小泉=奥田の最先兵である。石原は一方で、民営化(労組破壊)と福祉の切り捨てを無慈悲に進めながら、他方で中国と戦争しろ、「尖閣諸島(中国領である釣魚台のこと)に自衛隊を派兵せよ」と叫んでいる。「日の丸・君が代」強制や「つくる会」教科書採択で戦争動員の攻撃を強めている。こんな極悪のファシストを、もはや一日たりとも知事の座にとどまらせてはならない。
「つくる会」教科書採択絶対阻止と都議選勝利をかちとる6月決戦においてこそ、「つくる会」と石原を打倒しよう。ファシスト勢力を粉砕し、強大な労働者党建設を推し進めよう。労働者党は、労働者自身の力でかちとらなければならない課題だ。
沖縄では、6・23沖縄戦60年の日の闘いを前に、藤岡信勝ら「つくる会」派の策動との闘いが焦点化している。辺野古の海上闘争が日帝・小泉を追い詰め、6月1日には、4月26日に夜間作業で設置された金網を完全撤去させるに至っている。米軍トランスフォーメーション(再編)に対する最前線の激突として辺野古の闘いはいよいよ重大である。
戦後階級闘争史上最大の6月決戦へ、総力を挙げて猛然と突入しよう。7・3都議選投票日へ、いざ進撃しよう。
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週刊『前進』(2201号1面2)(2005/06/13)
6・2杉並 石原に怒り430人集う 「つくる会」教科書採択 “絶対ストップを”
最先頭で闘う労働者の連帯あいさつは会場を埋め尽くした参加者を勇気づけ、「つくる会」教科書採択を絶対阻止するぞという熱気をつくりだした(6月2日 杉並)
6月2日夕、杉並・阿佐谷の産業商工会館で「『つくる会』教科書採択とめよう6・2杉並大集会」(主催・同集会実行委員会)が開かれた。開会前から大勢の人たちが詰めかけ、通路や演壇にも座り、それでも会場からあふれる430人の大結集だ。各発言者の訴えがしっかりと参加者の心をとらえ、「絶対に『つくる会』教科書を阻止するぞ」という熱気に満ちた集会だった。
反戦の思いを込めた歌がオープニング。実行委員会から「6月が一番大事な時期」と開会が宣言された。
連帯のあいさつとして最初に「日の丸・君が代」強制に不起立で闘った被処分者の会の教育労働者が発言。まず一人が、東京都の浜渦問題での横山教育長辞任についてふれ、「闘って引きずり降ろしてやろう」と訴えた。もう一人の労働者は、「『つくる会』教科書は中国でも韓国でもあれだけ大問題になっている。みんなの力で雰囲気を変えていこう。日本全国でこの教科書を阻止することができれば『つくる会』はつぶれる」と提起した。
都内の私立高校教職員組合の労働者は、一人の不当解雇、その撤回を求めて闘う組合員と生徒との接触すら禁止する校外排除の不当処分を怒りを込めて報告、「校長は生徒まで含めて自分の指揮系統に置こうとしている」と語り、この闘いが「つくる会」教科書採択阻止と一体だと訴えた。
動労千葉の田中康宏委員長は、JR西日本尼崎事故について「分割・民営化という犯罪的政策がもたらした事故」「労働組合がつぶされるとこういうことが起きる」と語り、安全運転行動に突入し、JR資本の「違法争議だ」という攻撃に処分を恐れず闘いぬいていることを報告した。民営化と戦争の攻撃は一つだと訴え、「労働組合の責任を果たす」と鮮明な決意。労働者の闘う決意に会場が共感し、熱気に包まれた。
講演はジャーナリストの斎藤貴男さん。戦後の教育について90年代に日帝の加害者としての戦争が教えられるようになり、それが再び攻撃され、「アジア解放の正しい戦争」だったとされていく歴史的経過を説いた。その背後に「新しい歴史教科書をつくる会」と自民党の「歴史・検討委員会」「日本の前途と歴史教育を考える若手議員の会」があると提起した。彼らの目的が「これから再び戦争をやるためだ」と鋭く暴いた。改憲の動きが強まっていることを訴え、「覚悟を決めて運動に励んでいただきたい」と結んだ。
杉並区議会文教委員会の報告を新城節子区議が行った。新城さんは、山田区長が教科書採択の規則を変え教科書採択審議会を調査委員会に変え、それを文教委員会にも隠していたことを5月17日の文教委で暴いた報告をした。「石原を追い込んで打倒できる状況である」と、「つくる会」教科書採択阻止を訴えて都議選を闘う長谷川英憲氏を紹介した。
教育現場からの報告では杉並の中学校の教育労働者が授業で使ったプリントを回収しなければ危ないような現場締め付けの状況を報告、「つくる会」教科書採択阻止を訴えた。
リレートークは10代から90代まで。3人の子を持つ母親は「『つくる会』教科書には普通の人が書かれていない」。部落解放同盟全国連杉並支部は「つくる会」教科書が差別問題を抹殺していることを激しく弾劾。沖縄出身で戦争体験者の男性は、「つくる会」派の渡嘉敷区議が沖縄を裏切っていることを批判。「一つひとつの命は大きな存在。それを小さく、こそくにするものを断固はねのける」と92歳の女性。高校2年生が「歴史のテストで太平洋戦争はアジアの解放のための戦争だったと書かないと×をもらう。恐ろしいことだ」と述べ、元教師の女性は「生きてきた民衆を冒涜(ぼうとく)する教科書」と「つくる会」教科書を弾劾した。
最後に実行委員会が署名運動の推進や区役所前での座り込み、区議会傍聴など「できることはなんでもやろう。絶対阻止しよう」と行動方針を提起した。
(本紙・永松隆治)
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週刊『前進』(2201号2面1)(2005/06/13)
石原、お前の責任だ 浜渦問題 議場を圧する怒りのヤジ
都議会第1日 長谷川氏、議会前で訴え
東京都の浜渦副知事問題として爆発した石原都政の内部矛盾と危機は、石原が副知事3人と教育長、出納長の5人の特別職をしぶしぶ辞職させることで自民・公明との合意がなされ、問題の本質は隠されたままに決着させられようとしている。6月1日に始まった都議会定例会の所信表明でも、石原はこの問題について明確な説明をすることをまったく避け、ごまかしてのりきろうとした。これに対し、傍聴席から「石原は責任をとれ。辞任せよ」の追及とヤジがたたきつけられた。石原都政の崩壊が始まった。都議選に勝利し、石原ファシスト都政を打倒しよう。
沈黙・加担する全政党を弾劾
都社会福祉総合学院をめぐる浜渦副知事の偽証問題を発端に、石原都知事とその側近の浜渦によるファシスト独裁に対し、自民、公明との利権・人事をめぐる内紛が表面化、都政が大混乱に陥る中、浜渦副知事らが総辞職に追い込まれた。
都議会定例会初日の6月1日、元東京都議会議員で都政を革新する会代表の長谷川英憲氏は、昼休みに合わせて都議会前に立ち、マイクを握って都庁などで働く労働者や都民に訴えた。
「この問題の最大の責任者は石原都知事その人です。浜渦副知事の所業は、すべて石原知事の指示によって行われてきた。石原知事の命令で、福祉を始め東京都の仕事はどんどん民営化されてきました。都社会福祉総合学院は民営化された学校です。この補助金や土地貸付の利権をめぐって石原知事サイドと自民党の間で対立が起きた。しかし、そもそも戦争と民営化路線を突き進んできたのは石原知事です。その石原政治が大きな破綻(はたん)を迎えたのです」
1日の都議会での石原の所信表明は、終始うつむき原稿を読み上げるだけ。問題の都社会福祉総合学院の部分に差しかかると、さらに早口の棒読みになった。しかし、浜渦の偽証や辞任の経過、自らの責任にはまったく言及しない。説明責任すら果たさず完全に居直るつもりだ。
演説が結びに入っても、議席からはヤジの一つもない。「浜渦追及」を叫びたててきたはずの自民や公明の議員も石原を追及する気はない。日本共産党も「市民派」を自称する福士敬子都議(杉並)もまったく沈黙。多数の都民がつめかけた傍聴席は、不信と怒りが混じった空気が充満した。
このまま石原の居直りを許すのか。突然、たまりかねた傍聴席から「ちょっと待って下さい。石原さん、浜渦副知事の任命責任はどうなんだ」と声が響いた。傍聴していた長谷川英憲氏らが次々と「石原知事、あなたが責任をとって辞任すべきだ」などの批判の声を上げた。石原が一瞬、立ちすくんだ。さらに一人の青年が「ファシスト石原お前がやめろ」と書かれた紙を広げた。傍聴席からは激しいヤジと怒声が飛び交う中で、この日の議事は打ち切られた。
議事終了後も、他の傍聴者から「浜渦問題にまったく触れないのはおかしいですよね」という声が寄せられた。
民営化と福祉破壊を強行し中国への戦争叫ぶ石原倒せ
浜渦問題が起きた2月以来、石原は全力で浜渦を擁護し防衛しようとしてきた。だが、5月26日になって福永と大塚の2人の副知事と横山教育長が「進退伺」を出し、議会では刑事告発の動きが表面化して、石原はついに浜渦と出納長桜井の更迭に追いつめられた。しかし、石原は浜渦の辞任時期を7月22日まで延ばした。与党との関係で、浜渦は人事には関与しないと認めさせられたが、あわよくば巻き返しを図り浜渦の居座りを狙っている。
副知事の刑事告発、特別職3人の辞職願い、それに対する特別職総辞職というような事態は、都政史上かつてなかった混乱であり、石原都政の崩壊を意味する超重大事である。
にもかかわらず最高責任者である石原は、辞めるとは言わず居直っている。そして浜渦を追及したはずの自民、公明は、石原の責任は問おうとしない。オール与党の都議会も腐りきっているのだ。
問題の発端は、福祉切り捨ての民営化によって、石原が都政にからむ膨大な利権を自民党・公明党勢力から分捕ろうとしたことにあった。利権に手を突っ込まれた自民党が浜渦を百条委員会にかけることで反撃に出た。
小泉=奥田路線の先兵として石原が強行した民営化・福祉破壊が引き起こした醜悪な利権争いと、それが石原自身に波及しそうになるや妥協して問題の隠ぺいに躍起となる都議会。石原を追及しない日本共産党も含めた議会のオール与党体制こそ、石原の「恐怖独裁」=ファシスト支配を許してきた元凶だ。
“石原知事に挑戦状”を真っ向から掲げる長谷川英憲氏を、闘う議員として都議会に送り込むことが今こそ必要なのだ。
石原は、「東京から日本を変える」と称して、都知事の地位を利用し、教育改革をテコに戦争政治を進め、その一方で浜渦を使って都政を強権的・暴力的に支配してきた。石原は週に1、2日しか都庁に姿を見せず、登庁してもわずか3時間でいなくなる状態だ。そんな状態で都政を支配するために、浜渦の「恐怖独裁」「専横」が必要だったのだ。浜渦の行動はすべて石原がやらせてきたことなのである。浜渦の問題は、石原自身の問題なのだ。
都庁に行かず石原がやってきたことは何か。一方で民営化(労組破壊)と福祉切り捨てをどんどん推進することであり、他方で侵略戦争をあおり、小泉=奥田の先兵として戦争国家化を推進する策動だ。
石原は『週刊文春』の5月5・12日特大号などで「今こそ尖閣諸島に自衛隊を派兵せよ」「アメリカを日本の対中国戦略に巻き込」んで中国に戦争を仕掛けよ、と叫んでいる。そして「三峡ダムも北京も破壊される」と扇動し、さらに中国を分裂させて「分裂した各地域に狙いを定めて進出」しろと叫んでいる。石原はかねてから、こうした戦争挑発策動を繰り返してきた。石原こそ米日帝の北朝鮮・中国侵略戦争の最先兵なのだ。
浜渦問題が決定的な局面に突入していた5月20日に沖ノ鳥島に上陸し視察したのも、領土問題をたきつけて中国への戦争をあおるためだったのだ。
石原を倒すために最も必要で最も有効な道は、長谷川英憲氏を都議会議員選挙で勝利させ、“石原知事に挑戦状”をたたきつけることである。都議会に本当に闘う議員を送り込むことである。
今や石原の都政支配は崩壊を開始した。
石原ファシスト都政の切っ先は横山教育長を使った「日の丸・君が代」強制だった。しかし、都高教を始めとする教育労働者の闘いは、これと真正面から対決し打ち破っている。「つくる会」教科書採択阻止の闘いの高揚が、石原をさらに追いつめている。
また、民営化によるリストラと労組破壊に対し、多くの労働者が怒りに燃えて闘いを開始している。これこそが、浜渦問題として支配階級内の矛盾の爆発をつくり出したのである。
ファシスト石原を打倒するために決定的なのは、「つくる会」教科書採択阻止の闘いを爆発させることである。「つくる会」と石原のファシスト先兵である山田区長が攻撃の焦点としている杉並区において、これと真っ向から対決する闘いが鋭く、力強く闘いぬかれている。杉並区で「つくる会」教科書採択阻止の闘いを大爆発させ、長谷川英憲氏を都議選で勝利させることこそ、ファシスト石原を打倒する決定的な闘いだ。都議選に勝ち抜き、労働者人民の力でファシスト石原を打倒しよう。
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週刊『前進』(2201号2面2)(2005/06/13)
「つくる会」八木の思想を暴く
石原を「救国の指導者」と仰ぎ 労組と左翼勢力の排除を要求
サッチャーの「民営化」攻撃が手本
「亡国の危機」を叫び独裁者の登場を熱望
「新しい歴史教科書をつくる会」はこの05年、「つくる会」の歴史と公民教科書の採択率を全国の公立中学校の10%まで押し上げることを狙っている。そのためにもまず東京都で50%の採択を実現すると豪語している。そのよりどころとなっているのはファシスト石原都知事であり、石原都政下での都教委による反人民的な教育支配の体制だ。
だが「つくる会」と石原との関係は、単にこの教科書採択問題にとどまるものではない。石原自身が「つくる会」の設立に深くかかわった人物であり、石原の思想と「つくる会」の思想は完全に同じなのである。
「つくる会」は、日本の政治・経済・社会が今日、その資本主義・帝国主義の本質ゆえに完全に行き詰まり、あらゆる矛盾と腐敗を一斉にさらけだしていることに対して「亡国の危機」を叫んでいる。そしてその突破を労働者階級の闘いの撲滅と新たな侵略戦争・世界戦争に求め、そのリーダーとして、旧来の自民党政治家に代わるファシスト的な独裁者の登場を求めている。その筆頭に挙げられているのが石原だ。
「つくる会」の会長である八木秀次は、02年に「なぜ石原慎太郎首相は待望されるのか」と題する論文を雑誌『正論』に発表した。「国家の危機」を救うためには「真性の保守主義のリーダー」が必要であり、それは石原以外にない、首都の権力を握って「東京から日本を変える」と叫んできた石原が、次には全国家権力を掌握し、戦争への国家大改造を文字どおり実行すべきだ、と言うのだ。
八木が執筆し、「つくる会」が編集して本年3月に産経新聞社が刊行した『国民の思想』という本は、彼らのイデオロギーの今日的な集大成だが、そこで彼らは「新しい保守主義」を打ち出している。その内容は一言で言えば、第2次大戦後の平和主義・民主主義の価値観を一掃して、帝国主義の危機の時代に挙国一致で侵略戦争に突き進むことのできる新たな「日本人としての生き方」を、一個の「国民精神」として確立せよというものである。
すなわち“再びかつての15年戦争をも上回る侵略戦争・世界戦争を戦える帝国主義になるためには、憲法や制度を変えるだけでなく、市場原理の導入や民営化を推進すると同時に、戦後的価値観そのものを解体・転覆する「精神革命」が不可欠だ。この「革命」を遂行するにはこれまでの政治支配の延長ではダメだ。強大な権力をふるって国家と社会を大改造し、抵抗する左翼勢力や労組を排除することが必要だ”というわけだ。そして、それができるのは石原だけだと言うのである。
「精神革命」とは戦後的価値観の解体・一掃
『国民の思想』はまず、小泉政権による構造改革攻撃がなぜ遅々として進まないのか、戦争のできる国への転換がなぜ貫徹できないのか、との問いを発する。その原因は、政治改革、行財政改革、教育改革、社会保障制度改革、司法改革などの一連の攻撃が「間違った理念」に基づいて行われているからだと言う。すなわち、基本的人権や労働者人民の生存権といった、国家と個人の関係についての戦後の価値観を真っ向からたたきつぶそうとせず、そのことを脇に置いて進められる「改革」では成功しないのだと主張する。
そして、1980年代の英国のサッチャー政権や米国のレーガン政権による規制緩和と民営化の大攻撃を引き合いに出し、彼らが行ったのは「文字通りの『精神革命』であった。市場原理の導入という経済政策は精神革命を起こすための手段であるといっても過言ではなかった。単なる経済効率のための民営化ではない」と言い切るのだ。
とりわけサッチャーの政策を称賛し、次のように断言する。
「彼女は国民の『品質』を保証するために、まず『品質』を低下させている原因を明らかにした。その病巣は国内の左翼勢力であることを確認し、徹底した左翼排除を行った」
ここで排除の対象とされた「左翼」とは、まず国営企業とそこに働く労働者、次にあらゆる労働組合と教育界のすべて、最後に「ゆりかごから墓場まで」の手厚い福祉政策に「甘えてきた」一般の国民であるとされている。そして、「これらはいずれも国家を内側から食い破るシロアリのようなものであった。サッチャー女史はこれら勢力を一掃し、彼らに精神的な覚醒(かくせい)を求めた。そのために国営企業を民営化し、福祉をカットして大きな政府を小さくし、教育の中央集権化を行った」と述べ、この左翼撲滅=労組解体こそがイギリス帝国主義の国家的再生のかぎであったとしているのだ。
これは恐るべき主張である。サッチャー政権下の英国が陥っていた経済の低迷や社会的諸矛盾の爆発は、イギリス帝国主義の危機と腐敗が必然的に生み出したものである。だがサッチャーはその一切を労働者階級の責任にすりかえ、国営企業の大民営化攻撃を基軸に国家的大リストラと大量首切り、福祉切り捨て、労組破壊の一大資本攻勢を激烈に推進した。しかし、労働者階級の徹底的な犠牲の上に資本家階級の延命を図ろうとしたその攻撃は、英帝の危機を一層絶望的に促進した。鉄道も、医療も、教育も、サッチャーの改革によって徹底的に破産し、荒廃しているのがイギリスの現実である。
八木を始めとした「つくる会」のファシストたちは、すでにその破産が明らかなこのサッチャー改革を限りなく美化し、日本も同じことをもっと徹底的にやれと叫んでいる。
国のために死ぬことを強いる「国民道徳」
ここで彼らが主張していることの核心は、何よりもまず労働者階級の階級的な思想を破壊し、その階級的団結を解体せよということである。そして労働組合と労働運動を始め、労働者人民のあらゆる階級的な組織と運動を暴力的に根絶・一掃することが、絶対不可欠だと宣言してきている。
「つくる会」にとって、学校を戦争教育一色に染め上げることと、民営化・労組解体の攻撃は、一体のものなのである。その両者を強行し、少しでも抵抗する者を容赦なくたたきつぶさなければ、労働者を帝国主義ブルジョアジーとその国家のために一言の不平も言わず働かせ、いざとなれば戦争ですすんで命をささげる存在に転落させることはできないからだ。
しかも「つくる会」が撲滅の対象としている「左翼思想」とは、必ずしもマルクス主義・共産主義だけではない。リベラルな人権思想なども含めて、ヒトラーがそうしたように一切の労働者的な思想と組織が攻撃と破壊の対象なのだ。
『国民の思想』は、彼らが求める「精神革命」のかなめは「教育の正常化、家族の強化、国民道徳の再生」という3点にあると書いている。「教育の正常化」とは教職員組合を解体し、子ども中心の教育を否定して、戦前のように戦争教育によって子どもたちの頭と心を「洗脳」する場に学校を変えてしまうことだ。「家族の強化」とは、両親がそろい母親が育児に専念する家父長的で「伝統的な家族」を国家と社会の秩序維持の決定的な柱と位置づけ、その復活を公然と叫ぶことだ。そしてこの学校と家庭の「正常化」の上に、「国のために死ぬ」ことを最高の価値とする「国民道徳の再生」を実現するというわけである。
これは、労働者階級の階級的な思想はもとより、戦後民主主義のもとでのこれまでの社会観・国家観や歴史観などのすべてを根本から破壊することなしには達成されない。「つくる会」の歴史と公民の教科書はまさにそのためにこそ作成され、学校現場に持ち込まれようとしているのだ。
「つくる会」と石原都政が一体となって推進するこの「つくる会」教科書採択の攻撃は、それ自身が労働者階級に対するファシスト的クーデターそのものだ。いわば内戦の火ぶたを、彼らの側からすでに切ってきているのだ。これと全力で闘うことなしに、民営化攻撃の粉砕も、改憲阻止の闘いもない。杉並はその最大焦点となった。ここで絶対に勝利し、「つくる会」粉砕・石原打倒への巨大な突破口を切り開こう。
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週刊『前進』(2201号2面3)(2005/06/13)
“戦争教科書使わせない” 杉並親の会 区教委に申し入れ
「つくる会」の教科書採択に反対する杉並・親の会は、採択反対の署名運動に取り組んでいる。5月25日に行われた杉並区教育委員会への申し入れ行動に、私も参加した。
申し入れの内容は、@「つくる会」教科書を採択しないこと、A教員や保護者、区民の意見を取り入れ、独断で採択せず、審議を公開すること、B改悪された教科書採択の規則と調査事務処理要綱を白紙撤回すること――の3点。親の会は2283筆の署名を提出、百万人署名運動杉並連絡会もこの行動に合流して署名620筆を提出した。
この日の教育委員会を傍聴した参加者は、審議らしい審議もせずに「つくる会」教科書採択の策動が進んでいることを目の当たりにし、怒りに燃えて申し入れに臨んだ。対応した教育委員会の佐藤事務局次長に対して参加者は、「『つくる会』教科書は歴史の真実を教えない教科書。私も沖縄戦の生き残りです。昔、私たちが受けたような教育をされたら困ります」「中学に娘が通っている親の立場として、調査事務処理要綱が変えられたことについてPTAになんの知らせもない。きちんと説明してほしい」と意見を述べた。
その後、親の会は区役所内で記者会見を行い、「つくる会」教科書採択阻止へ署名運動を推進することを表明した。
記者の質問に答え、「正しい歴史を伝えたい。あったことをなかったことのようにし、戦争はアジアの解放にも役立ったと言う。子どもたちは戦争に駆り立てられていく。どうしてもこの教科書は使わせることはできない」「4年前やって署名は力があることを知った。とっても大切だと思う」などと訴えた。
署名運動をさらに発展させ、「つくる会」教科書の採択を絶対に阻止しようと決意を固めた一日だった。
(投稿/杉並 B)
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週刊『前進』(2201号2面4)(2005/06/13)
(5)露骨な戦前回帰
●現憲法と主権在民の否定
「大日本帝国憲法」を礼賛
両憲法対比させ
「つくる会」の公民教科書の最大の特徴は、現在の日本国憲法を徹底的に否定する立場から書かれていることだ。憲法についての説明を、「大日本帝国憲法と日本国憲法」と題し、「二つの憲法の成り立ちとその内容を比べてみよう」という書き出しで始めている。そしてまず1889年制定の明治憲法について、あたかも近代的で素晴らしい憲法であったかのような歴史歪曲に満ちた、度外れた礼賛の言葉を書き連ねる。
「発布された憲法はそれまで政府攻撃をくり返してきた新聞にも『聞きしにまさる良憲法』とたたえられるもの」「これにより、日本はアジアで初めての立憲国家となった」「大日本帝国憲法の下で、近代的な民主国家づくりは進められていった」
対照的に現在の憲法については、憲法草案が米占領軍によって作成されたと強調し、まるで価値がないもののように取り扱う。検定前の申請本では、「戦争に勝った国が負けた国の法を変えさせ」た、「日本国民が自分の意見を自由に表明できない占領中に」制定されたと、「押し付け憲法」論を露骨に展開している。これは、現憲法の制定が日帝支配階級の打倒=根本的な体制変革を求める戦後革命期の労働者階級の激しい闘いの真っただ中で行われた事実を抹殺するものだ。そこに日本人民の意思は何も反映されていないかのようなウソが書かれている。
これらはすべて、現在の憲法を否定し改憲が必要という方向に導くための、とんでもないデマゴギーである。
「天皇は不可侵」
とりわけ明治憲法の美化は、「つくる会」の歴史と公民の教科書がともに最も強調する点だ。しかしそれは、事実を極端にねじ曲げた百パーセントのデッチあげに基づいている。
まず、日本が「アジアで最初の立憲国家」というのは大ウソだ。アジアで最初に近代的憲法を制定したのはトルコである。また明治憲法は、当時の自由民権運動に対して血の弾圧を加え人民の自由な意見の表明をとことん圧殺する中で初めて成立したものだった。
その本質は、明治憲法第3条の「天皇は神聖にして侵すべからず」の規定に示される。つまり天皇を「神の子孫」として他のどんな力も及ばない絶対的な権力を天皇のもとに集中し、それへの一切の批判を許さない体制をつくりだすことにあった。そこでは人民の権利や自由もあくまで「臣民の権利」として、天皇とその国家権力の許す範囲内で恩恵的に与えられるものでしかなく、権力の都合でいつでも奪うことのできるものとされていた。
ところが「つくる会」の公民教科書は、この明治憲法を「近代的」で「民主的」だったと百八十度歪曲して描き出す。「この憲法は、当時のきびしい国際情勢を反映し、さらに強い力で国をたばねていく必要から、政府の権限が強いものであった。しかし、できるだけ国民の権利や自由をもりこみ、同時に伝統文化を反映させようとする努力が注がれた憲法でもあった」と、天皇制絶対主義の専制的な国家体制を全面的に肯定し、美化している。
さらに歴史教科書では、「実際の政治は、各大臣の輔弼(ほひつ=助言)にもとづいて行うものとし、天皇に政治的責任を負わせないこともうたわれた」と書き、それを示すのが第3条だと書いている。天皇の「神聖不可侵」の規定が、西欧の立憲君主制と同じで議会制民主主義と矛盾するものではないなど、デタラメもいいところだ。
そもそも第3条が実際に労働者人民にもたらしたのは、「天皇の命令」をふりかざした警察と軍隊のむきだしのテロルによる支配ではないか。明治以来の天皇制絶対主義→天皇制ボナパルティズム国家の暴力的な国内支配こそ、日帝の侵略戦争・世界戦争への突進を支えた最大の支柱だった。だからこそ戦後の憲法は、天皇に政治・外交・軍事の絶対的な権限を与えた明治憲法を明確に否定し、明治憲法の原理そのものを解体して、主権在民と基本的人権の尊重、民主主義、平和主義という新たな原理に置き換えたのである。
「つくる会」教科書による明治憲法の異様な礼賛は、まさに現在の憲法を否定して、逆に戦前のような憲法と国家・社会に戻せと主張するものだ。
主権概念の改変
そのことを明白に示すものが、「国民主権」についての「つくる会」公民教科書の説明である。
そこでは「主権とは外国からの干渉を受けず、その国のあり方を最終的に決定する力のこと」と、主権を国家と人民の関係の問題ではなく国家の対外主権にすりかえて説明する。そしてまた「その中には憲法自体を改変する権限も含まれている」とした上で、「国民主権は主権在民ともいわれる。なお、この場合の国民とは、私たち一人ひとりのことではなく、国民全体をさすものとされている」と説明する。
これは、国民の一人ひとりがこの国の主権者であり主人公であるという、現憲法の主権在民の規定を真っ向から否定するものだ。ここでは統治権の主体が「国民全体」=国家に置き換えられている。しかもこれに続くページでは天皇こそ国の中心であり、「国民の気持ちをまとめ上げる大きなよりどころ」と述べている。主権は天皇にあると主張しているに等しい。
このように「つくる会」教科書は歴史も公民も、まさに新たな軍国少年・軍国少女を生み出すための教科書だ。都議選に勝利し、全労働者人民の力で採択を絶対阻止しよう。
(シリーズおわり)
(検定合格した05年版「つくる会」公民教科書より)
▼「発布された憲法はそれまで政府攻撃をくり返してきた新聞にも『聞きしにまさる良憲法』とたたえられるもの」「これにより、日本はアジアで初めての立憲国家となった」「大日本帝国憲法の下で、近代的な民主国家づくりは進められていった」
▼「(「国民主権」の)国民とは、私たち一人ひとりのことではなく、国民全体をさすもの」
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週刊『前進』(2201号3面1)(2005/06/13)
長谷川さん必勝へ決意 都革新後援会 「励ます会」に区民集う
都議会議員選挙の告示まであと1カ月を切った中で、5月29日午後、杉並区内で都政を革新する会後援会の「長谷川英憲さんを励ます会」が行われ、多くの区民が参加して、なんとしても長谷川氏を都議会に送り込もうという気迫のこもった決起集会となった。 集会に先立って、長谷川氏の政策と人となりを分かりやすく紹介するプロモーションビデオ「石原知事に挑戦状(講談師による長谷川ひでのりのたたかいの紹介)」を上映した。
後援会長の「あと1カ月がんばり抜きましょう」という開会のあいさつに続いて、選挙情勢について、結柴誠一区議が説明した。2年間国政選挙がない中で今度の都議選が、07年までに改憲をめざしている政府との闘いを決する場であることを明らかにし、そこで長谷川さんが唯一の反石原の候補であること、石原体制がほころんできている今日、勝機はあることを鮮明にさせた。
参加した後援会の区民から長谷川さんへの期待や決意が語られた。「長谷川さんは介護の問題で私たちの気持ちを代弁している。実際の行いと言葉が違う人を選んで良いのか」「戦前の総右へならえの道に行こうとしている。たったひとりの力で、この国を変えることができる」と長谷川氏の勝利で突破口を開くことを訴える意見。「戦争への道に反対するためのデモが必要ではないか」という提案。「長谷川さんの誠実を感ずる。演説の時は人柄をたたきつけるように話してほしい」という注文。「混迷の世界に道をつくるのが長谷川さん」と希望を語る高齢者。10人の区民が次々と期待と決意を語り、盛り上がった。
これを受けて長谷川氏が発言に立ち、まず、副知事辞任問題という重大事態が起こっていることについて、戦争と民営化の攻撃が根本問題であることを明らかにした。「東京都でも民営化の攻撃は、都立病院を半分にするなどの攻撃として進められており、医療ミスが増える結果を生みだしている。JR尼崎事故は国鉄分割・民営化の結果であった。労働者の団結があればこのような悲惨な事故は起こらなかった。動労千葉は安全のためにストライキで闘い、5月25日から安全運転行動を開始した。こういう闘いがあれば住民の命を守ることができる」と語り、「石原と自民党の対立は、闘う人びとがいるから矛盾が噴き出したのだ」と断言。「私が都議会に乗り込むことが石原に大きな打撃を与えることができる」と力強く宣言し、「挑戦状」を掲げて闘ってきたことの正しさを強調した。
自民党、公明党、民主党、生活クラブが皆、石原与党であり、日本共産党や福士敬子氏が「つくる会」教科書を取り上げず、反石原を掲げていない、と痛烈に批判した。「ぜひ一緒に都議会議員選挙の勝利まで闘いましょう」という確信をもった訴えに、満場の決意を込めた大きな拍手がこたえた。
まとめと行動方針を新城節子杉並区議が行い、6・2集会大成功などのあらゆる行動を積み上げて勝利をつかみとることを訴えた。
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週刊『前進』(2201号3面2)(2005/06/13)
全国学生は杉並に結集しファシズム打倒の先頭に
「つくる会」と闘い長谷川氏当選を
東京・杉並では、街頭において「つくる会」派との大党派闘争が開始されている。街頭はまさに決戦場となっている。「署名用紙をくれ」「何をすればいいのか」と区民が行動を求めている。しかし、「つくる会」は「横山教育長のご尽力で東京では5割を固めた」と豪語している。すべての労働者階級人民、そして学生にとってファシストと真正面から対決する時がきた。学生共産主義者は、「つくる会」の主張を日本帝国主義の断末魔の叫びとして敢然と迎え撃ち、全国から杉並へ闘う学生を組織して駆けつけよう。
「つくる会」派の策動と激突
「つくる会」は、4年前の教科書採択で採択率わずか0・03%にとどまった。彼らはこの大敗北を総括し今年度の「リベンジ」を宣言している。そして今、「東京で5割を固めた」と言うまでに台頭している。
その戦略は、採択制度の改悪に狙いを定めている。「つくる会」が突破口にしようとしている杉並では、「つくる会」派の区長・山田の指示で、採択要綱から「区民の意見を可能な限り参考にすること」という一文が削られた。しかも議会への報告すらせず、教育委員にすら内容をごまかしてである。議会制民主主義という、支配階級が階級支配の現実を覆い隠すための仮面すら脱ぎ捨てたのだ。まさにファシストの独裁だ! この方式が、「つくる会」派の首長や推進派議員により全国で採用されようとしている。
「つくる会」派はまた、系列の人物を教育委員会や首長へ送り込むことでの採択も狙っている。埼玉県教委の高橋、千葉県知事選の森田は記憶に新しい。東京では3月以来、七つの区市議会、五つの教育委員会で「つくる会」派による「請願運動」が開始されている。その主張は「学習指導要領にそった歴史教科書を選んでいるか」というもので、都教委の通達とあわせてファシスト大衆運動を意図して行われている。
戦争のためのイデオロギー
今、起きていることは、体制的危機にのたうつ日本帝国主義ブルジョアジーが戦争をやって延命するためのイデオロギーとして「つくる会」教科書のイデオロギーを採用したということである。日帝は、敗戦からの延命と戦後革命の圧殺のために戦後憲法体制(と日米安保体制)を必要とした。そのもとで「平和と民主主義」なるイデオロギー上の仮面を階級的力関係の結果として、支配階級はかぶらざるを得なかった。
しかし、基軸帝国主義・米帝の没落を基底とした戦後世界体制の全面的崩壊が今や始まっている。その最弱の環である日帝にとって戦後憲法と「平和と民主主義」のイデオロギーが完全に桎梏(しっこく)と化している。新たな帝国主義間争闘戦において実際に戦争をやって勝つために、日帝ブルジョアジーは「つくる会」教科書に示される天皇制賛美・国家主義・侵略翼賛のイデオロギーを必要としているのだ。
すでに、日本経団連は今年1月に「わが国の基本問題を考える」を発表、改憲を主張している。労働者人民の反対がいかに高まろうと、日帝・小泉は日米枢軸のもとでイラク派兵を継続強化している。それどころか中国・朝鮮への資源・領土略奪の侵略戦争的攻撃さえ始まっている。まさに、ワイマール体制によってかろうじて延命したドイツ帝国主義が、「ベルサイユ体制打破」を掲げたナチスの荒唐無稽(こうとうむけい)なイデオロギーと完全に結合していった過程と類似の過程が始まっているのだ。その突破口が教育だ。
かつてナチスが、権力を握る過程で、突撃隊や親衛隊の暴力で一切の批判・反対を封じ、権力掌握後はヒトラーユーゲントを育成することでナチスイデオロギーによる支配を「完成」させ、資本の要請にこたえて第2次世界大戦に突き進んだように、日帝ブルジョアジーは「つくる会」教科書攻撃で戦後教育と戦後教育労働運動の一掃・粉砕を狙っているのである。
決戦の杉並では「つくる会」イデオロギーがどのように噴出しているか。
石原と一体となって「つくる会」教科書の採択を狙うファシスト山田区長は、「日本海大海戦100周年記念上映会」と銘打った企画を区の教育委員会に後援させ、自らも出席して日露戦争を賞賛する演説をぶった。「日本は東京裁判史観の呪縛が少しずつとけてきた」と主張し、「侵略戦争とは何かという定義をはっきりさせずに日本の戦争を侵略と決めつけることはできない」などと侵略戦争肯定のためにする論をまくし立てた。その一言一句がうそとデマにまみれている。
なぜ、「つくる会」勢力は日露戦争や明治国家を賛美するのか? その核心は「国のために命を差し出せ」と言いたいからだ。そのためには「日本はすばらしい国だ」と労働者階級人民に刷り込まなければならない。国家体制の根幹として天皇を押し出し、天皇の「正当性」を主張・強制するためには荒唐無稽な神話まで持ち出す。そして天皇制国家体制の近代的確立であった明治維新とそれ以後の明治時代を持ち上げる。その明治国家が軍事的に勝利した日露戦争はすごい、と言いたいのだ。だが、日露戦争こそは、世界史上最初の帝国主義間戦争であり、朝鮮併合とその後の中国侵略戦争、太平洋戦争の出発点そのものなのだ。
このような自国の侵略戦争を徹頭徹尾肯定し、賛美するイデオロギーを暴力無しに労働者階級に植え付けることはできない。労働者階級は日々資本に搾取され、収奪されている。持たざる者が持たざる者としての意識を持った時に、持てる者の国家=ブルジョア国家のために進んで身をささげることはありえない。
総元締め石原を打倒しよう
資本家の国家を打倒し、プロレタリア独裁・共産主義革命以外に労働者階級の利益はない。白色テロルに対して革命的武装自衛闘争を貫徹し、労働者階級の総決起をかちとっていくことが勝利の道だ。日本においてもすでに教育労働者や動労千葉を先頭に戦時下における戦争協力拒否闘争が開始されている。それは帝国主義を打倒する闘いそのものである。
「つくる会」教科書採択の総元締めが石原だ。都知事という権力を握り、差別・排外主義の扇動と警察政治で突破しようとしている点に石原の独特の性格があるが、それは石原がナチスのような擬似革命的大衆運動を有していないことをも示している。ここが石原の根底的弱点だ。もちろん300万票をけっして過小評価してはならない。しかし、この都知事権力−警察権力は、革命的共産主義運動が労働者階級人民を組織していくことに成功する度合いに応じて粉砕されるのだ。
石原都政はこれまで、教育長・横山がファシスト教育改革を行い、副知事・浜渦が社会保障制度の解体に手を染め、同・竹花が治安体制の強化に走ってきた。このファシストどもを打倒していくのは帝国主義を打倒する労働運動しかない。既成指導部の屈服を打ち破り、労働者階級の荒々しい決起をかちとろう。
スペイン内戦の義勇兵だ!
どうすれば「つくる会」教科書の採択を阻止することができるか?
「日の丸・君が代」強制同様、強行したことが逆に教育労働者を始めとした労働者・学生・市民の憤激と燃え上がる決起を見せつけることである。中国の青年を見よ! スターリン主義権力の制動をも突き破り、日帝の再びの侵略に対して英雄的決起を開始しているではないか! イラクのムスリム人民を見よ! 世界最強の米軍をイラクからたたき出すまで、やむことのないゲリラ闘争を闘っているではないか! 日本の学生もこれに続くのだ。
さらに重要なことは、「つくる会」は教科書という合法的領域において反革命クーデターを狙うファシストだということだ。であれば、われわれに問われているのは、合法的領域=ブルジョア議会の中において、この反革命クーデターと真っ向から対決する議員を持つことだ。
今、「日の丸・君が代」強制攻撃に身をていして闘ってきた教育労働者を始めとして、「つくる会」教科書への危機感が渦巻いている。しかし、どの既成政党も教科書問題を都議選の焦点にすることを避けている。唯一絶対阻止を掲げているのが長谷川英憲氏である。しかも、かつてない規模の闘いに広げているのが都政を革新する会と長谷川氏なのだ。「つくる会」教科書の採択阻止と、長谷川氏の当選は一体だ。
かつてスペイン内戦において、国際旅団が組まれ、全世界から義勇兵がファシストとの戦いに勇躍決起していったように、全国学生は杉並に駆けつけよう。30年代階級闘争がファシズムの暴力と、スターリン主義の「社会ファシズム論」と「人民戦線戦術」という二つの誤った戦術により血の海に沈められていった歴史を繰り返してはならない。すべての闘う学友諸君は決戦の地−杉並に駆けつけよ! ファシストどもに階級的怒りをたたきつけ、「つくる会」教科書採択阻止、都議選決戦勝利、石原打倒をかちとろう!
〔マル学同中核派〕
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週刊『前進』(2201号3面3)(2005/06/13)
「日の丸・君が代」入学式闘争 都教委が不当処分
初の停職1ヵ月に反撃
東京都教育委員会は5月26日、「日の丸・君が代」強制に抗議して4月入学式で不起立した教育労働者10人に対する懲戒処分を決定した。内訳は、不起立などが4回目となる中学校の教育労働者1人に対して停職1カ月、不起立2回目の3人(都立高)に減給10分の1・1カ月、不起立1回目の5人と「君が代」伴奏拒否の1人(いずれも都立高)に対して戒告処分というものである。
とりわけ今回、「10・23通達」以降初の停職1カ月の処分を強行したことは重大である。「君が代」斉唱時に40秒間、静かに着席して抵抗の意を表明した行為が、教育労働者を教壇から引きはがす処分とされたのだ。福岡地裁は今年4月、「九州ココロ裁判」で「減給処分は裁量権の逸脱」「校長を拘束する市教委の指導は教育基本法10条の『不当な支配』にあたる」として、「君が代」不起立を理由とした減給処分を取り消す判決を下した。都教委はこのことも十分自覚した上で、減給処分だけでなく停職処分まで強行したのである。
さらに「不適切な指導」に対する「厳重注意」「指導」も強行された。卒業生の担任がホームルームで生徒に「内心の自由」を説明したことで2人が厳重注意、前任校卒業式で来賓として「自分で判断し行動できる力を」と述べたことなどで3人が指導とされた。
合わせて今春卒・入学式で処分されたのべ63人の教育労働者に対する「服務事故再発防止研修」として、研修センターにおける「基本研修」「専門研修」、学校における校内研修を実施することも決定した。
被処分者の会や停職処分を受けた教育労働者はただちに抗議声明を発し、反撃に立ち上がっている。
処分の乱発や再発防止研修、ビラまき逮捕など、どんな重圧をかけようと、教育労働者の抵抗を封じることはできない。意気高く闘いぬく被処分者とともに、石原と都教委の横暴を許さず闘いぬこう。
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週刊『前進』(2201号3面4)(2005/06/13)
戦争の真実語らない「つくる会」 南京大虐殺の否定は許されない
「中国のつくり話」とうそぶく石原
「つくる会」教科書採択阻止の闘いが東京・杉並を最前線に激烈に展開されている。ここに紹介する文章は、杉並の闘いを担っている同志が、杉並区内での街頭演説を想定して、特に南京大虐殺についての「つくる会」歴史教科書のウソを暴露するために執筆、投稿したものです。(編集局)
杉並で大虐殺がもし行われたら
1937年12月、日本軍が南京を武力占領しました。そこで日本軍は、虐殺、略奪、放火、強姦(ごうかん)、それこそ暴虐の限りをつくしました。20万人以上、30万にもなる中国人の虐殺を行ったのです。
この時、南京の人口は55万人以上はいたと言われています。135万いた南京市民は日本軍の侵攻を恐れ、70万余の人びとが南京から逃れました。今の杉並区の人口が52万。37年12月の南京の人口は杉並区とほぼ同じでした。南京ではそのうち、実に20万から30万の人びとが言語に絶するやり方で殺されたのです。
杉並の20万から30万の人びとが、お年寄りから子どもまで、だれ構うことなく虐殺された――と、そう考えてみてください。気絶するような大変な事態です。それを37年12月、日本軍は南京で凶行したのです。
だのに、そのことを反省せず靖国神社に参拝する、アジアへの侵略戦争を賛美する教科書を使用しようとする、そのことに対して、中国や韓国の人びとが怒ってデモに立ったのは、当然ではありませんか。この怒りのデモに対して、破壊の賠償をしろとか、中国の得にはならないからやめろとか、とんでもない敵対のキャンペーンが行われています。損得で闘っているのではないのです。これら反日帝デモに対するキャンペーンは、かつて中国で朝鮮で何を行ってきたのか、そして今何を行っているのかを隠そうとする憎むべき排外主義の扇動です。
歴史的に実証された虐殺の事実
教科書検定違憲訴訟を闘っておられた家永三郎さんは、その著書『太平洋戦争』の中で、南京大虐殺にふれ、次のように言っています。
「日本軍が南京市内外で、投降捕虜、武器をすてて市民の間に逃げ込んだ敗残兵ばかりでなく、一般市民老幼男女をふくめ、中国人数十万人を虐殺した事実は否定することができない。女は片はしから強姦され、商店と家屋は軒なみ略奪され、放火された。東京朝日特派員今井正剛の実見談によれば、軍司令官松井石根の入城式を挙行するため、南京市内から敗残兵を一掃すべしという命令が発せられ、便衣に着がえた敗残兵と目せられた多数の市民が下関桟橋に並べられて機銃で一斉掃射され、『碼頭(まとう=波止場)一面はまっ黒く折り重なった屍体(したい)の山』で埋められ、これを苦力(クーリー)たちに河中に投入させた後、その苦力たちもまた河岸に並べ、機銃で次々に河中に落としていった、ある将校は『約二万名ぐらい』と語ったという……」
この実見録も南京大虐殺のほんの一部にすぎません。『南京大虐殺否定論13のウソ』(南京事件調査委員会・柏書房)では、さらに詳しく記されています。
書かれた情景をよく想像してください。大変な、まさに言語に絶する惨劇です。その上、この南京で起こったことは、なんら例外ではなかったのです。中国全土で朝鮮全土で、日本軍が占領した全アジア地域でこうした残虐な行為が行われていたのです。この日本帝国主義の侵略戦争に対し、被害をこうむった人びとが、いつまでも、今も憎しみを込めた記憶として、けっして忘れまいとして思い続けていることは、あまりにも当然です。私たちはこのことを忘れてはいけないと思います。
血で書かれた事実は隠せない
石原都知事はこの南京大虐殺に対して、とんでもないデマ、ウソを繰り返しています。「つくる会」教科書の人たちも同じです。
石原は、1990年の米誌「プレイボーイ」11月号のインタビューで、記者に日本軍も虐殺行為をやったではないかと問われて、「どこで日本人は虐殺をしましたか」と気色ばみ、「たとえば37年の南京大虐殺です」と記者に指摘されるや、「日本軍が南京で虐殺をおこなったと言われていますが、これは事実ではない。中国の作り話です。これによって日本のイメージはひどくよごされましたが、それはウソです」と、とんでもないウソ、デマを並べ立てています。
石原という人間は、一度も1945年以前、つまり敗戦以前の歴史をまともに勉強したことがないらしい。「中国の作り話」だ、と言うところに石原の卑劣な本性が表されています。本当に「中国の作り話」だと思っているのか!
南京大虐殺がなかった、などという話が歴史家らによってコテンパンに粉砕されるや、最近では、2万余は殺している論にしている(田原総一朗との対談本05年3月刊)。少ない数にしてごまかそうとしている。なんといい加減で卑劣な性根の持ち主か。
南京で殺された人びとを紅卍字会と崇善堂という宗教団体が埋葬したことを記録に残している。あわせて15万5千人余を埋葬したと記している。この埋葬作業に日本軍が作業費の一部を出している。だから埋葬者数は日帝公認の記録とも言えるのです。先述のように、長江(揚子江)に流された死体も数知れません。広大な長江が、血で赤く染まったという手記もある。魯迅が言うように、「墨で書かれた虚言は血で書かれた事実を隠すことはできない」のです。
だのに、この真実をあくまで否定しようとする石原と「つくる会」教科書は、本当に許せません。
日帝の侵略軍と八路軍との違い
私の記憶に鮮明なことがあります。
それは俳優・森繁久弥さんの『森繁故郷に帰る』という手記です。森繁さんは、中国東北部(旧満州)で敗戦を迎え、大変な思いをして故郷に帰った体験を書いていますが、その中に、こんなくだりがあります。ソ連軍、国民党軍にかわって、激しい戦闘をへて中国共産党軍の制圧下になった。そんな時、森繁さんら日本人が隠し持っていた白米をひそかに炊いているところを中国人に発見されてしまう。その時中国人の隊長は「あなた方日本人は白米が常食ですから、遠慮なく食べてください。私たちは高梁(こうりゃん)が常食なんですから」と、なんら見とがめることをしなかったという。森繁さんはテレビの対談で、「ああ、中国の人たちはなんという大きな心を持った人たちなんだろう。その中国で私たち(日本人)は一体、何をしてきたのだろう」と深く慨嘆し、涙を流しました。
中国人民を敵視することの愚かさ、およそ他国の人民を蔑視することの愚かさを、この話は鋭く提示しています。この時の軍隊は、第八路正規軍であったという。借りたものは針1本でも必ず返す、女性をからかってはいけないなどの軍律を厳しく守っていたと言います。
戦争の根源は帝国主義にある
さて、私たちは、これまでの話から次の結論を導くことができます。
第一は、かつての1931年柳条湖事件から45年敗戦に至る、いわゆる15年戦争は、まぎれもない日本帝国主義の朝鮮、中国、アジア侵略戦争であり、アジアをめぐる米・英帝国主義などとの帝国主義間強盗戦争であったということです。
「つくる会」教科書が、なぜ加害事実も被害事実も、押し隠そうとしているのでしょうか。それは、アジアを解放する戦争であったのなら、けっしてやらないこと、やってはならないこと、考えもつかないこと(言語に絶する残虐行為)をやってきたことが暴露されてしまうからです。徹底的に帝国主義の植民地支配をめざした侵略戦争であったことが再確認されてしまうからです。八路軍と比べるなら、日本軍が帝国主義侵略軍隊であったことはあまりにも明らかです。解放とはまさに正反対の残虐行為をもっぱらにしていたことを隠したいからです。
第二は、戦争の真実を暴くことを、自虐史観だなどとけっして言わせないことです。誤りを誤りとして認めないということは、またやるということです。
15年戦争で日本軍は、2千万人を超すアジアの人びとを虐殺しました。この事実ひとつとってみても、解放戦争であったなどとはけっして言えない戦争だったのです。これらの事実をおし隠し、知らないで、いったいアジアの人びとと連帯するなどということがどうしてできるでしょうか。
日本はアジアの解放のためにやった、解放してやるのだ、日本だけが優れた民族なのだ。こう教え込まれる子どもたちは、いったいどういう人間になっていくのでしょうか。自国が困れば他国を痛めつけてもいいという人間です。まさに子どもを戦争に駆りたてる教科書です。
第三は、石原のあの朝鮮、中国敵視、蔑視(べっし)は何なのかということです。最近も釣魚台に自衛隊を派兵せよとか、アメリカを巻き込んで中国と戦争しろと国家対立をあおり、戦争をあおっています。
石原にしろ、中国、朝鮮、アジアを蔑視する人たちほど、かつての侵略戦争を解放戦争だったと強弁しています。このことこそ「アジア解放戦争」論が偽りであったことの自己暴露です。
いったい、国家対立をあおることで、何が生み出され、誰が利益をこうむるのかに注目する必要があります。一言で言って、国際主義、労働者階級の国際連帯をたたきつぶすということです。
戦争の根源は帝国主義です。この戦争の根源は戦後もなんら除去されていません。そして、帝国主義の危機が再び世の中を戦争にたたき込もうとしているのです。その表れが自衛隊のイラク派兵であり、「日の丸・君が代」強制であり、教育基本法改悪・改憲攻撃、「つくる会」教科書を使わせようとする攻撃なのです。
「つくる会」教科書採択とめよう
南京大虐殺こそは、三光作戦や731部隊などとともに、かつての15年戦争がまぎれもない日本帝国主義の侵略戦争であったことを突き出しています。「つくる会」教科書を採択することは、その侵略戦争を賛美することによって朝鮮、中国、アジアの人びとを二度殺すことを意味しています。そして再び侵略の銃を持たせることにつながって行きます。そんなことを断じて許してはなりません。今、怒りを込めて、何がなんでも杉並で「つくる会」教科書の採択を阻止しましょう。ファシスト石原を打倒するために、長谷川英憲さんの都議選勝利をかちとりましょう。
長谷川さんの当選は、「日の丸・君が代」強制拒否の闘いを引き継ぎ、必ずや教育基本法改悪・改憲阻止の流れを大きく生み出すターニングポイントとなるでしょう。ひとり杉並だけの闘いではありません。全国から総決起して全力を尽くして勝ちましょう。
(投稿/三船大吾)
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週刊『前進』(2201号4面1)(2005/06/13)
“9条改憲阻止へ共闘発展を” 5・27日比谷 20労組を軸に闘う熱気
5月27日夕、東京・日比谷野外音楽堂で、陸・海・空・港湾労組20団体などで構成する5・27集会実行委員会の呼びかけで「有事法を発動させない!憲法9条改悪に反対する5・27集会」が開催された。
「つくる会」教科書採択攻撃と小泉の靖国神社参拝発言など、9条改憲と戦争国家化攻撃が切迫する中で、労働組合を中心に、怒りと危機感にあふれた労働者人民2400人が結集。各地の百万人署名運動も参加した。
集会は医労連の女性労働者の司会で始まり、「平和をつくりだす宗教者ネット」の石川勇吉さんが開会のあいさつを行った。9条の会の小森陽一事務局長の「体を張って運動をつくっていこう」という提起に続いて、国会から社民党の福島瑞穂党首、日本共産党の小池晃参議院議員が発言。
各界からのあいさつとして、マスコミ9条の会、日本民主法律家協会、日本民間放送労働組合連合会(民放労連)の代表が発言を行った。法律家協会の森川文人事務局次長は、「政府の魂胆は憲法の破壊、われわれに対するクーデターだ」と指摘し、改憲攻撃を断罪した。
民放労連の井戸秀明書記長は有事法制によって放送局を指定公共機関に指定する動きについて報告。「全国の都道府県で放送局が戦争体制へ組み込まれようとしている。春闘や夏闘の最優先課題に『放送局を指定公共機関にするな』『指定公共機関の返上・辞退』を掲げ、統一ストライキ権を確立して取り組んでいる。国民保護法の国民保護とは名ばかり。実態は国民を戦争体制に巻きこむためのものだ。30年代のように労働組合が産業報国会になるのか分岐点に立っている」と発言し、「有事法制を発動させない、従わない」という闘いが、マスコミ・出版産別にも広がっていることを明らかにした。
実行委員会の参加各団体の発言が行われた後、参加した多くの労組代表がそれぞれの組合旗やのぼり旗をもって壇上にずらりと並んだ。労働者が闘いの中軸を担っていることに、会場から大きな拍手が起こった。
代表して全日本海員組合の藤沢洋二副組合長が決意表明を行い、「憲法を変えたい人びとの究極の目的は第9条を変えること以外にない。第9条のしばりを解くことで、米国とともに戦争を行えるような国にするための改憲だ。戦争ができる国になれば、社会や経済も根底から変わらざるをえない。私たちの生き方も変えられてしまう」「『戦火の海に船員は二度と行かない』と誓って結成した全日本海員組合も、陸・海・空・港湾労組20団体のすべての労働組合とともにナショナルセンターの違いを超えて9条改悪反対の一点で結集して市民団体などと共同して闘う」と熱烈に訴えた。出版労連の労働者が「憲法9条の改悪を許さないため、さらに活動を強めることを宣言します」との集会宣言を読み上げ、全体の拍手で確認した。
航空安全会議の大野則行議長が閉会のあいさつを行い、「ぜひ、この力をこの後に続けていきたい」とまとめた。
最後に、「有事法制の発動反対」「憲法9条改悪反対」「日本を戦争する国にするな」「命と安全を守ろう」と全体で大きな声でシュプレヒコールを行った。
集会後、「憲法改悪反対、国民投票法反対」「有事法は発動させないぞ」「アメリカのイラク占領反対、自衛隊は即時撤退せよ」と叫びながら、銀座デモを行い、沿道の労働者・市民の注目と共感を集めた。
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週刊『前進』(2201号4面2)(2005/06/13)
北富士で緊急抗議 サマワ模擬施設 陸自がイラク戦訓練
5月29日、北富士忍草母の会と忍草国有入会地守る会は、翌日から予定されている北富士演習場サマワ模擬施設でのゲリラ対策訓練の強行に対して、怒りを込めて現地抗議集会を開き、自衛隊への申し入れ行動を闘った。
この日午前11時、忍草農民の緊急の呼びかけに首都圏から50人近くの労働者・学生が演習場入口脇の空き地に結集した。司会者として最初にあいさつした母の会の天野美恵事務局長は、会場のすぐ下を指しながら「そこの松に昔、第15の小屋の半鐘がかけてあった。自衛隊は訓練施設に使うと言って放送塔に仮処分をかけて小屋を取った。小屋は取られたけど忍草はつぶれたわけではない。私たちは入会地を米軍にも自衛隊にも貸した覚えはないし、これからもずっと闘う」と決意を明らかにした。
主催者を代表して国有入会地守る会の天野豊徳さんが、「明日から6日間、サマワの訓練施設で西部方面隊の約600名の部隊の訓練が行われる。施設の建設以来、抗議を続けてきたが、なんの回答もない。北富士の半永久的使用はわれわれへの無視だ。怒りを持って抗議していかなければならない」と訴えた。
三里塚芝山連合空港反対同盟から婦人行動隊の宮本麻子さんが駆けつけ、「再び日本が戦争のできる国へと向かっている中で、私たちの闘いの大切さ、かけがえのなさはあまりにも明らかです。今後もともに力を合わせて前進することを望みます」という北原鉱治事務局長のメッセージを読み上げた。婦人民主クラブ全国協議会の西村綾子代表 (相模原市議)は、「北富士の美しい大地で人殺しの訓練が行われることに怒りでいっぱいです。今こそ闘わなければならない時」と訴え、前日の座間基地闘争で自衛隊が米軍の前面に立って抗議行動に立ちはだかったことを弾劾した。
反戦共同行動委員会、全学連も決意を表明し、直ちに申し入れ行動に入った。
自衛隊梨ケ原廠舎(しょうしゃ)正門での申し入れではまず、国有入会地守る会と忍草母の会の申入書を天野豊徳さんが読み上げた。申し入れは@サマワ模擬施設演習の即時中止、A自衛隊のイラクからの撤退、B北富士への米海兵隊の移転を含む一切の在日米軍基地強化・再編反対の3点。続いて、婦人民主クラブ全国協や反戦共同行動委、全学連、山梨県内の六つの住民団体の共同申し入れを百万人署名運動山梨県連絡会が行い、さらに百万人署名運動郡内地区連絡会などが申し入れをした。
北富士のサマワ模擬施設を使った対ゲリラ戦訓練は今回、従来よりさらに大規模になった。北富士での侵略戦争演習を許さず、自衛隊をイラクから撤兵させよう。
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週刊『前進』(2201号4面3)(2005/06/13)
座間・厚木結びデモ “戦争にも爆音にもノー”
5月28日、「第1軍団は来るな! 第3次厚木爆音訴訟に勝利しよう! キャンプ座間と厚木基地を結ぶ5・28市民行動」の集会とデモが、13団体400人の結集で闘われた。主催は「原子力空母の母港化に反対し基地のない神奈川をめざす県央共闘会議」。
座間公園で出発式が行われた。県央共闘会議の司会者は「今日は6`以上のデモをしよう」と力強く訴えた。県平和運動センターの代表は、「手を緩めれば攻勢がかけられる。移転反対運動や爆音訴訟運動を強化しよう。戦争を美化する扶桑社の教科書に採択反対の運動を」と発言した。
その後デモに出発し、座間基地ゲートで在日米陸軍司令官あてに抗議文をたたきつけた。
厚木基地近くの東柏が谷近隣公園で爆音防止期成同盟の大部隊と合流し、交流集会を行った。県央共闘会議代表の大波さんは、「アメリカは地球の反対側まで軍を展開し戦争をしようとしている。爆音訴訟は7月26日結審で年内にも判決が出されようとしている」と運動の強化を訴えた。大和市の市議会議員は、「綾瀬市議会で防衛連盟が組織され、大和でも動きがある。市民の運動とは反対の動きだ。戦争にもノー、爆音にもノーでいこう」と発言し、デモを再開した。
厚木基地前で基地司令官あてに「爆音被害はむごい。訓練を中止しろ」の抗議文をたたきつけた。
教組、自治労、私鉄、国労の労組隊列が過半を占め全体を牽引(けんいん)し、百万人署名運動の隊列や婦人民主クラブ全国協の隊列が存在感を示した。
5・28闘争の意義は、二つの基地を結ぶ集会とデモをとおして、厚木と座間の両基地闘争が結合したことだ。県央共闘会議は、学習会などを粘り強く開きながら節目節目に大闘争をやっている。この闘いを発展させ、米帝と日帝の世界戦争策動を打ち破ろう。
(投稿/神奈川・N)
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週刊『前進』(2201号4面4)(2005/06/13)
教科書・都議選勝利へ 先行的に夏期カンパを
石原打倒の正念場に訴えます
戦争に反対し民営化や福祉破壊の攻撃と闘うすべての労働者人民の皆さん。同志・友人の皆さん。
05年は、帝国主義の矛盾があらゆるところで噴出する中で、07年に向けて日帝・小泉=奥田の教育基本法改悪・改憲、戦争国家化攻撃と対決する壮大な階級決戦の爆発をかちとっていく上で、決定的な闘いの年となりました。
この戦後最大の決戦に勝利するために、すべての力を革共同に集中して下さい。私たちの人生をここにかけ、夏期一時金の過半をカンパする考え方に一度立ち、さらに職場・地域で声をからしてカンパを訴え、組織化して下さることを、心からお願いします。
石原独裁都政の崩壊が始まった
今日、浜渦副知事ら特別職5人の総辞職問題として石原都政の内部矛盾がついに爆発しました。これは本質的には、「日の丸・君が代」攻防を始め、革共同の党的な総決起と、都高教の教育労働者らの不屈の自己解放的な決起が合流し始めたことで、石原ファシズム都政の恐怖独裁支配の崩壊が始まったことを示しています。
石原は真性のファシストです。ファシズムの原動力は労働者階級とプロレタリア革命への恐怖と憎悪です。だからこそ、国際連帯と労働組合的団結を基礎に全人民の怒りを解き放ち、労働者階級の側に獲得することによって、ファシストを孤立させ打倒することができるのです。
実際に石原は、99年に都労連がストライキを構えて秋期年末闘争を闘った時に、「これはゴジラ対アンギラスの闘いだ!」と、最大級の表現で労働組合運動の底力への認識と恐怖をあらわにしました。このことを踏まえ、私たちは「日の丸・君が代」決戦によって切り開いた都議選・教科書決戦を、労働者階級の根底的な決起としてかちとり、必ず勝利する決意です。
東京都の予算は総額12兆6千億円です。まさに国家的規模です。都議会は定数127議席(自民51、民主21、公明21、共産15、ネット6、無所属5、欠員8)ですが、浜渦問題で明らかなように、日本共産党や生活者ネットも含め、全会派が石原を支えるオール与党体制です。石原を打倒できるのは、日帝打倒を訴え、石原に真っ向から「挑戦状」をたたきつけている私たちだけです。
都議選は7月3日投票です。すべてを投げ打ち、1カ月決戦に決起し絶対に勝利しましょう!
中国・北朝鮮への戦争準備許すな
アメリカのFRB(連邦準備制度理事会=日本の日銀にあたる)の議長・グリーンスパンの事実上の辞任表明に象徴されるように、今日の世界経済をかろうじて支えてきたアメリカ経済の強引な景気浮揚の引き伸ばしも、ついに万策が尽きて、世界大恐慌過程への突入が始まろうとしています。
アメリカの財政赤字と経常赤字は天文学的に巨大化し、対外純債務(借金)も約284兆円にまで膨れ上がっています。ドル不信の進行は止まらず、今やIMF(国際通貨基金)がその報告書でドル暴落の危険を警告するという末期的な情勢になっています。
EU経済も、ドイツの失業者が500万人を超えたように、危機を激化させています。
こうした中で帝国主義の最弱の環、日本帝国主義が絶望的な危機にあえいでいます。この間の日本経済の若干の「景気回復」なるものも、中高齢者を中心とした労働者のリストラ、青年労働者の低賃金フリーター化など、「乾いたタオルを絞って企業が得た利益」と、対中国輸出の大展開、さらにゼロ金利での家計収奪などによってもたらされた一時的なものでしかありません。
日本経済は、現代帝国主義史上にもほかに例のない巨額のデタラメな国債発行と、超金融緩和政策による「自転車操業」でかろうじて支えられているものでしかありません。すでに長期債務(国の借金)はGDPの約1年半分にのぼっています。これは戦前の日本でさえ、戦争末期までなかった恐るべき事態です。
小泉と奥田(日本経団連会長)が改憲と戦争体制づくりを急ぐのは、「戦前のように、戦争で借金を国民に押しつけ、踏みつぶしたい」という衝動が、彼らを突き動かしているからでもあるのです。
さらに加えて中国経済の激変です。中国は今日、日本を抜いてアジア最大の貿易国となる一方、その輸出の半分は、日本を始め帝国主義的に侵略を強めている外国企業によるものです。日帝は特に奥田の「東アジア自由経済圏」構想のもとで中国への経済侵略を激化させ、今日それは一定の限界を超える水準に達しています。
5月27日に防衛庁が、沖縄混成団の旅団への格上げと、C130輸送機への空中給油機能の付加に続いて、「F15戦闘機24機を沖縄に配転」と発表しました。ここに明らかなように、日帝は北朝鮮・中国の領土・資源略奪を視野に入れて侵略戦争の準備を急いでおり、イラク情勢の激化は事態をいよいよ加速させています。
そして、実際に「戦争を決断した」この日帝が総力をあげて準備し、改憲に先んじて日本を戦争国家化するためにかけてきたのが、「新しい歴史教科書をつくる会」の歴史・公民教科書であり、それを全国で採択させる攻撃です。
「つくる会」派の野望打ち砕こう
この戦争を全面賛美し肯定する教科書の採択は、きわめて現代的な戦争教育の攻撃そのものです。それは子どもたちだけでなく、社会全体を戦争体制に塗り替える攻撃であり、労働者階級と革共同に直接的に突きつけられた刃(やいば)でもあります。
すべての皆さん。05年の教科書採択をめぐる攻防で、「つくる会」は「石原都知事下の東京では採択率5割、全国で1〜2割」などと言っています。この恐るべき危機を直視し、全身から噴き上がる怒りと渾身(こんしん)の決起でこの攻撃を打ち砕きましょう。
「つくる会」教科書をめぐる攻防には、今夏、4大産別(教労、自治体、全逓、国鉄)を始めとした労働組合が雪崩を打って改憲勢力へ転落するのか、それともこれを阻止するのかの一大階級攻防の命運がかかっています。
この「つくる会」教科書採択の攻撃が今、杉並区を全国の最大焦点としてかけられています。山田杉並区長は、マスコミも「石原都知事の後継者」と報じている存在で、すでに区の教育委員を「つくる会」会員や勝共連合幹部と入れ替え、採択規則の再改悪を議会もだまして強行しました。さらに杉並区の今夏の採択スケジュールは全国と比べても早く、全国情勢を決する位置にあります。
昨年の11月労働者集会をともに闘った韓国の民主労総や、中国の抗日デモ・ストライキに立った労働者人民も、歴史教科書問題を大きく掲げて闘っています。まさにこの闘いは、今年の11月労働者集会に向かっての国際連帯をかけた歴史的な闘いでもあります。
夏期一時金に先行したカンパを
革共同がここまで情勢を切り開いてこられたのは、皆さんからの絶大なカンパに支えられてでした。心から感謝いたします。
すべての皆さん。その上で今、これまでの闘いの集大成たる都議選・教科書決戦でビラを隅々にまでまき、嵐のような闘いを巻き起こすために、今すぐカンパを集中していただくよう心からお願いします。「二度と戦争は許さない!」という思いを、職場で、地域で訴えて下さい。革共同は「10万円を単位とするカンパ」を心から訴えると同時に、その責任を都議選の勝利で必ず果たします。
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週刊『前進』(2201号4面5)(2005/06/13)
コミューン 7月号 中央アジアの反乱
今号の特集は、民族解放闘争と階級闘争が内乱的に爆発を開始した中央アジアを分析する。05年に入って、2〜3月のキルギスでのアカエフ政権打倒の蜂起の勝利、5月のウズベキスタンのアンディジャンでのカリモフ独裁政権打倒の闘いの爆発を始め、中央アジア諸国でボナパルティズム的長期独裁政権を打倒する闘いが開始された。スターリン主義の歴史的破産を独裁体制のもとでの資本主義化強行によって乗り切ろうとする中央アジア諸国の政権に対する民衆の怒りが、ムスリム人民の武装決起としてついに堰(せき)を切って始まったのだ。
第1章は、ウズベキスタンのカリモフ政権打倒直前情勢を切り開いた人民蜂起と流血の弾圧の実態を詳細に明らかにするとともに、全国に拡大する人民蜂起の歴史的背景を分析した。
第2章は、ロシア革命後の中央アジア諸国の形成史・政治史を概観した。ここでは中央アジア諸国のスターリン主義体制のボナパルティズム的独裁体制への変容過程を解明した。また中央アジア諸国の危機の構造の分析と資源をめぐる帝国主義間の争闘戦の現状についても概説している。
翻訳資料は、AFL−CIOの大流動過程への突入情勢を分析した『AFL−CIOの再建をめぐる論戦』というアメリカ通信労組のボストン地域オルグの論文と、『ロサンゼルス教組執行部選、左派圧勝』というロサンゼルス・タイムズ紙掲載の記事の翻訳。
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週刊『前進』(2201号5面1)(2005/06/13)
郵政民営化粉砕! 物ダメ・ストを
JPU60回大会に向けて訴える
首切りと極限的労働強化を推進する菰田執行部打倒へ
革共同全逓委員会
4月25日、死者107人を出したJR西日本「尼崎事故」の大惨事は、資本の利益優先と合理化がもたらした民営化の現実をまざまざと示した。この大惨事は、郵政分割・民営化が何をもたらすのかを明らかにしている。この事故の2日後、4月27日に郵政分割・民営化関連法案が今国会に提出され、小泉は5月27日に審議入りを強行した。07年4月に4分社化し民営化する、この法案を全逓労働者の力で粉砕しなければならない。そのためにも、6月22〜23日、JPU(日本郵政公社労組、旧全逓)の奈良全国大会で、中央本部を打倒し、闘う全逓の旗を打ち立てよう。都議選決戦と一体の闘いとして総決起しよう。
尼崎事故は民営化がもたらした帰結
「尼崎事故」の責任は、JR西日本資本と、資本の横暴を許してきた御用組合=JR連合・JR総連の労働組合にある。運転士と乗客は、国鉄分割・民営化を強行した日帝と、民営化と規制緩和を進めてきた小泉=奥田(日本経団連会長)に殺されたのだ。
こうした大惨事をもたらす民営化攻撃が、われわれ郵政で働く労働者にも襲いかかろうとしている。すでに民営化を先取りした攻撃の中で、実際に労働者が殺されているのだ。連続深夜勤の導入以来、相次ぐ現職死亡は、全国で「尼崎事故」の死者に匹敵するほどの数になっている。輸送部門を始めとして、むちゃな運行ダイヤを強制された結果、事故が相次いでいる(写真参照)。
大量首切りと労組破壊狙う
郵政分割・民営化の核心は、国家公務員資格を剥奪(はくだつ)することにある。そして現場で苦闘し全逓運動を担っている数千・数万の活動家をパージし、職場に脈々と生き続けている闘う全逓労働運動をたたきつぶし、侵略戦争に協力した戦前の逓信報国団=産業報国会に変質させることを最大の目的にしている。
それは、100万自治労と30万日教組を改憲勢力化し、侵略戦争を担う労働運動に引きずり込む攻撃と軌を一にしている。ファシスト石原都知事による、都立高校の卒業式・入学式での「日の丸・君が代」処分は、「教え子を再び戦場に送るな」のスローガンを掲げる日教組を一掃しようというものである。自治体労働者への民営化攻撃も現場の自治体労働運動破壊を狙った攻撃である。日本経団連は4・19提言「さらなる行政改革の推進に向けて−国家公務員制度改革を中心に」で、「身分保障の見直し」や「非公務員化の推進」を打ち出した。この小泉=奥田路線を郵政民営化を突破口に貫徹しようとしているのだ。
郵政民営化攻撃の狙いは明白だ。憲法を改悪し、中国を始めとした「東アジア自由経済圏」を暴力的につくり、その権益を軍事力で制圧しようという小泉=奥田とその先兵・石原の戦争と民営化(労働組合解体)攻撃である。
05〜07年は、こうした攻撃との歴史的な階級決戦の年である。不屈に民族解放戦争に立ち上がるイラク人民や、反日帝闘争に決起する中国・韓国の労働者人民と連帯して闘い抜こう。当面する最大の決戦が、「つくる会」教科書の採択を杉並区で阻止し、都議選に勝利することである。この決戦と一体のものとして、郵政民営化法案粉砕へ決起しよう。
「雇用継続」はウソ 協約は破棄される
今国会に提出された郵政民営化法案によれば、民営化に際して自分がどの会社の職員になるのか、第168条では、なんと「施行日の2週間前までに」通知すればいいとしている。まったくふざけきった内容だ。
郵政民営化法案の第165条「職員の引継ぎ」の項で、こう書かれている。
「公社の解散の際現に公社の職員である者は、別に辞令を発せられない限り、この法律の施行の時において、承継計画において定めるところに従い、承継会社のいずれかの職員となるものとする」
第6条第4項では「公社の職員の雇用は、承継会社において確保するものとする」とある。だが、それぞれの新会社の定員すなわち何人の「雇用」が確保されるのか、その人数は法案のどこにも書かれていない。07年新会社スタートまでに、「公社の職員」をどしどし首切り・削減していくということなのだ。
1月17日、政府が郵政民営化について聞く「官邸コンファレンス」で、規制改革・民間開放推進会議座長の宮内(オリックス会長)は、「07年の民営化前に、できる限り規模を小さくする必要がある」と言い放っている。JPU中央本部委員長の菰田にいたっては、04年11月6日の読売新聞のインタビューで「郵政も3分の1は削減される」と言っているのだ。「現に公社の職員である者」が、その時いったい何人になっているのかが問題なのだ。
同時に「別に辞令を発せられない限り」というただし書きが問題である。「別に辞令」があれば新会社に雇用を継続しなくてもよいということである。どこに飛ばそうが、解雇しようが、自由勝手だと言っているに等しい。
法案の第169条で「日本郵便株式会社は、承継職員の労働条件その他に関する労働協約を締結するための交渉をし、及び承継労働協約を締結することができる」とある。その際、第171条で「公社の職員の給与、勤務時間その他の勤務条件に配慮するものとする」となっている。「配慮する」とはどういう意味か。労働協約・労働条件などは一切「承継」しないで、いったん全部廃棄する、その上でまったく別ものとして労働条件を決めるということである。
郵政においても、国鉄分割・民営化型の攻撃が貫かれることを意味している。
非公務員化とは、すなわち大量首切りを強行するためのものである。経営形態の変更をとおして、国家公務員法の「本人の意思に反して降任・免職されない」という身分保障を奪うことである。こうして民間企業のように首切り・リストラをしようというものだ。重大なことは、「選別再採用」があり、再採用後も有期雇用関係にしてしまう、すなわち、いつでも首切り自由の状態にすることである。「去るも地獄、残るも地獄」の状況にたたき込もうというのだ。
郵政民営化攻撃は、国鉄分割・民営化やNTT大合理化などを集大成した大攻撃であり、〈いったん全員解雇・選別再採用〉をとおした活動家パージ、労働組合破壊が最大の狙いだ。絶対に許してはならない。
議案書に民営化法案阻止の方針なし
こうした中でJPU全国大会が開かれる。だが本部が示した議案は、郵政民営化阻止の闘いを完全に放棄し、さらには民営化攻撃そのものであるアクションプラン・フェーズ2に全面的に承認を与えている。
中間大会として、例年は3日間の大会が2日間に縮められ、討論の場を奪ったまま、民営化問題とアクションプラン2を二本柱とする本部の裏切り方針を強引に押し通そうとしている。
本部議案には、労働者・労働組合としての視点がひとかけらもない。完全に経営の側に立って、ものを言っている。許せないことは、一切が自民党郵政族と民主党まかせになっていることだ。「V主要課題のとりくみ」の「1郵政民営化問題に対するとりくみ」では、事実上、そこにJPUがまったく登場しない、労働者・労働組合が、まったく主体とはなっていないことが特徴である。ただただ自民党郵政族の動きに期待しているだけである。
では民主党はどうか。議案にもある民主党の「見解」なるものは、「現時点では公社化に伴う経営改革の成果を見極めるべき」とするもので、民営化そのものには反対ではない。「将来的なあり方については、あらゆる選択肢を否定するものではない」「職員の身分については公務員制度改革全体の中で検討していく」としているように、本質的に日帝・小泉=奥田路線の上にあり、4・19経団連提言と同じ立場に立っているのだ。
「具体的対応」では「考え方が一致する政党並びに国会議員と協力し、本通常国会での廃案・否決をめざしたたかいます」とあるように、自民党郵政族との「協力」が含まれている。せいぜい「『労組政策協議会』を軸にしつつ、『郵便局ファンの会』や『全国特定郵便局長会』など広範な人々と連携」と、全郵政・全特頼みである。
こうして国会にすべてをゆだねている。それなのに国会行動の方針すらない。要するに、すべてを民主党と自民党郵政族に下駄を預け、JPUは何もしない、と言っているのである。
アクションプラン2を推進
アクションプラン・フェーズ2については、「3事業の維持発展と雇用を守るとりくみ」だとして「増収増益を柱とした拡大再生産をめざす」「そのための効率化や生産性の向上は避けて通れない」、したがって「フェーズ2は本部の考え方と概ね一致する」とあらためて言いきっている。その上で「フェーズ2以降に増収増益への転換をはかり、拡大再生産のもとで明るい将来展望をめざすためには」「フェーズ2について、積極的・能動的に対応していく」と言う。「雇用の確保・安定と創出」を言いながら、それは「将来」のことだから、そのためにこそ今は首切りと人員削減のフェーズ2を「積極的・能動的」に推進するのだと言うのである。
さらに公社からの提案として「事業ニーズに対応した人材流動化を促進するため、内務職・外務職区分の見直しを行い柔軟に異動できる仕組みを導入したい」と提示している。
アクションプラン・フェーズ2で示された新規施策、とくに郵便事業においては、(a)郵便内務事務のアウトソーシング、(b)郵便内務の10時間2交代制勤務、(c)配達デポ方式、(d)都市部における集中処理局と配達専門局の機能分離の試行、(e)2ネット方式、(f)物数減等に伴う要員配置の見直しなどについて、「慎重に検討・判断」「現実的にやむを得ないと判断」「公社提案を受ける」などと、要するにすべてに賛成し承認を与えている。
内務のアウトソーシングによって内務労働者を外務に回し、玉突き的に「過員」をつくりだし、「人材活用センター」に送り込む攻撃だ。深夜勤導入の上に、さらに2交代制を導入することによって、まさに殺人的な労働を強制するものだ。まさに「死ね」「嫌なら辞めろ」という攻撃であり、選別採用と首切り・人員削減のための攻撃なのである。
輸送部門に大合理化集中
さらに第1号議案付属方針として、「輸送部門のとりくみ」を出している。輸送部門では、耐えがたいまでの賃下げと人員削減の上に、さらに深刻な事態が次々と起きている。
議案では「競争契約の導入と8年間連続にわたる運賃引き下げ」「多くの組合員が希望退職等で職場を去る状況を余儀なくされてきました」と言いつつ、結局は「労働条件の低下を雇用の代償として受け入れ」たのは「余儀」なかったと居直っている。
そればかりか、公社は「マナー面にも行き届いた高い輸送品質を同時に求めており」「ここで私たちの労働力が劣化すれば敗者への道を歩む」と言い、新規参入業者との競争に負けるな、黙って死ぬまで働けと恫喝しているのだ。
そもそも、日逓などの輸送部門の労働者が全逓と組合合同したのは、全逓として一緒になって闘おうということからだった。それを完全に裏切り、切り捨て・矛盾のしわ寄せの対象としてきたのが本部だ。「何のための組合か。もうJPUにいたって意味がない」という声が圧倒的にあふれている。非正規雇用の組織化と正規雇用化の要求とあわせて、われわれこそが、輸送部門労働者の闘いをともに闘いぬこうではないか。
反マル生闘争復権し物ダメを闘おう
JPU(連合全逓)中央は、1978〜79年反マル生越年闘争から26年、企業防衛主義にからめとられ、労働貴族としての保身にひた走ってきた。民営化攻撃に直面する今日の菰田委員長―難波書記長体制こそ、その最たる者だ。「政治対応」と称して、これまで郵政事業を食い物にしてきた自民党郵政族議員らを唯一の頼みとし、労働組合としての闘う路線・方針を投げ捨て、闘争を放棄してきた。今こそ、この中央本部を打倒し、闘う全逓をよみがえらせる時である。
1987年の国鉄分割・民営化攻撃=中曽根の「戦後政治の総決算」攻撃に対して、唯一ストライキで真っ向から立ち向かった動労千葉の闘いに徹底的に学ぶことが重要である。動労千葉は、国鉄1047名闘争の防衛と勝利に向けて意気軒高と闘い、国鉄分割・民営化の完成を阻んでいる。
全逓労働者が怒りと誇りをもって闘った、あの78越年反マル生闘争の復権をかちとることが勝利の道である。4・28被免職者の懲戒免職処分取り消し裁判は、昨年6月30日、逆転勝利判決をかちとった。25年目にしてかちとったこの勝利は、全逓労働者を大いに勇気づけると同時に、中央本部の反合・反マル生・反処分闘争の放棄と、奥田―生田(公社総裁)の手先として、現場労働者を売り渡す労使運命共同体路線を鋭く断罪するものである。
さらに、全金本山労組も、34年の闘いの末に2名の解雇撤回と組合員の原職就労という画期的な勝利をかちとっている。この二つの闘いの勝利、そして動労千葉の闘いが示していることは、厳しくとも労働者が団結し闘い続ければ必ず勝利できるということだ。団結こそ労働者の最高の闘いである。この確信のもと、被免職者を先頭に郵政民営化絶対阻止とJPU中央打倒の闘う陣形を大きく発展させよう。
小泉=奥田―生田の7万人大量首切り攻撃は、これから職場での攻防として本格化していくのだ。民営化攻撃に打ち勝つための路線と方針は、「郵政民営化絶対阻止」のもとに、民営化に屈服しているJPU中央の支配を現場から打ち破り、職場からの物ダメ・ストライキの実力闘争で、公社当局の合理化・首切り攻撃と闘うことである。
6月全国大会で全逓本部のアクションプラン・フェーズ2受け入れを粉砕し、現場から反撃の闘いに立ち上がろう。5・15有明コロシアム1万人大集会で示されたのは、現場労働者は郵政民営化に絶対反対であるということだ。その力で職場からの反撃をつくり出し、郵政民営化関連法案を廃案に追い込もう。
労働者学習センター発行の『郵政民営化を撃つ!』を全国の全逓労働者に広めよう。
闘う全逓労働者は、JPU大会に向かう決戦と一体のものとして、東京都議選で長谷川英憲氏の当選をかちとるために総決起しよう。この闘いは、ファシスト石原打倒の闘いであると同時に、小泉=奥田と真っ向から対決する闘いである。郵政民営化法案の国会攻防と完全に重なる決戦なのだ。全力で闘おう。
闘う全逓労働者は、革共同に結集しよう。
〔われわれの職場要求〕
◆郵政3事業の分割・民営化絶対阻止! 小泉政権を打倒しよう!
◆国家公務員身分の剥奪を許さないぞ!
◆殺人的深夜勤を即時廃止しろ! 10時間2交代制導入反対!
◆郵便内務の増員を実現しろ!
◆集配外務の欠員を直ちに埋めろ!
◆短時間職員・ゆうメイトを本務化させよう!
◆4・28被免職者を直ちに職場復帰させろ! 公社は最高裁への上告を取り下げろ!
◆自衛隊のイラクからの即時撤兵をかちとろう!
◆憲法第9条の改悪を阻止しよう!
◆「日の丸・君が代」不起立=戦争拒否宣言で闘った都立高校教育労働者を支援・連帯しよう!
◆「つ<る会」教科書採択反対! ファシスト石原都知事を打倒しよう! 都議選に勝利しよう!
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週刊『前進』(2201号5面2)(2005/06/13)
動労千葉 JR東の処分策動はね返し 安全運転行動を継続 “労働組合の当然の闘い”
動労千葉は、JR西日本福知山線(宝塚線)の尼崎での脱線・転覆事故から1カ月を期して、5月25日から安全運転・危険個所確認行動に立ち上がっている。
(前号既報)
千葉支社管内では、動労千葉が04春闘から05春闘の過程で明らかにしたように、レール破断が相次ぎ、幕張電車区構内ではボルトの緩みにより、レールの継ぎ目部分でレールの頭面がずれるという事態も発生している。03年12月には、国土交通省からJR東日本に対し「このままでは……重大な事故が発生する恐れが懸念される」という事業改善命令まで出されている。
尼崎事故を受けた国土交通省の調査によれば、大幅に速度超過すると脱線の危険があるカーブが最も多いのはJR東日本で1259カ所に及ぶ(全国の鉄道会社で2555カ所)という。いったい、JR東日本は、尼崎事故をどのように教訓化しているのか。大塚社長は、安全確立に向けた「社長声明」ひとつ出さず、尼崎事故をひとごとととしている。現場に指示したのは「基本動作の徹底」のみである。
尼崎事故ではATS―P(自動列車停止装置)が導入されていなかったことが原因と言われているが、千葉支社管内でも、カーブの速度制限に対するATS―Pは設置されていない。そもそも、保安装置を万能視することはできないのだ。
JR東日本での安全運転行動は、まさに緊要な課題なのである。
動労千葉の闘いは、あの大惨事を二度と繰り返させないための、運転保安確立に向けた労働組合としての当然で最低限の責任を果たすための行動である。国鉄時代の「安全綱領」の精神を実践しようということに過ぎない。
だが、JR東日本千葉支社当局は、動労千葉の安全運転行動に対して、24日、書面で「就業規則、運転取扱実施基準及び運転作業要領に違反する行為であり、運行管理権を奪う違法な行為である」と通告してきた。「回復運転はしない」「無線通告は、例外なく、停車中に受ける」「津田沼〜幕張間の安全運転」「東浪見駅構内の安全運転」の4点が違法だというのだ。
千葉支社が「違法な行為」と通告してきたことに対して、動労千葉は自らの身を守るために、安全運転行動を「争議」として行うことを、あらためて通知した。
動労千葉は、これらの行動で列車を意図的に遅らせることは考えていない。回復運転については、「余裕時分があり、所定の運転をしていれば自然に回復する場合まで回復させるなという趣旨ではない」と千葉支社に伝えている。尼崎事故を起こしたJR西日本は「運転士に回復運転をしないよう指導し、心理的な重圧を和らげる」と言っている。だが、千葉支社は、「回復するのは当然」「現状でも運行の安全に問題はない」と言い放っているのだ。
速度制限も、せいぜい総武快速線・津田沼〜幕張間を最高120`(特急は130`)から90`に制限することで、最大1分遅れる程度で、ギリギリ安全を守れる速度で走ろうという趣旨であることを伝えている。東浪見駅での45`制限も当然のことである。
また、「無線通告は例外なく停車中に受ける」ということは、この間の千葉支社との団体交渉においても「停車して受領することが基本」との回答が行われており、そのとおりの指示文書が出されている。
にもかかわらず、千葉支社は、24日夜、「会社の運行管理権を奪う違法な争議行為」であるとして、「就業規則等に基づき厳正に対処せざるを得ない」と「中止」を申し入れてきたのだ。「厳正に対処」とは、処分するということである。
動労千葉は、これに対して、怒りをもって25日から安全運転行動に突入した。当局は、管理者2人を運転席に添乗させ、背面監視を行っているが、動労千葉はこれに屈することなく、整然と安全運転行動を貫徹している。いかなる処分策動があろうが、当分の間、この行動を貫徹する構えだ。
安全確立への努力を処分するというのは、JR東日本がJR西日本以上に安全軽視の企業であるということだ。営利優先と安全軽視の資本の横暴、それを許している国土交通省による規制緩和、そして、それらと闘わないJR総連・JR連合などの御用組合の屈服・加担を許さず、労働組合としての存在意義をかけて闘う動労千葉を断固支持し、ともに闘おう。
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週刊『前進』(2201号5面3)(2005/06/13)
自治労中央委 「平和基本法」は実質改憲 検討委最終報告に怒り
5月26〜27日、自治労第131回中央委員会が名古屋市・愛知県勤労会館で行われ、戦争翼賛と憲法改悪にかじを切った自治労本部に対する激しい批判が噴出し、改憲阻止、反戦、国民保護法との闘いの方針を出せとの意見が相次いだ。また全国一般との産別統合への疑問、民営化(指定管理者制度、市場化テスト)攻撃、8月人事院勧告への地域給(5%賃下げ)・能力給導入策動、公務員制度改革などとの対決の訴えなど、闘わない本部への厳しい批判が続出した。
労組交流センター自治体労働者部会は、カクマルの反革命的敵対をはねのけ、「自治労の改憲勢力化を阻止しよう」と訴えるリーフレットを中央委員、傍聴者に配布し、定期大会(8月23〜26日、鹿児島)での自治労改憲案採択阻止へ向け、闘いをリードした。
冒頭のあいさつで人見委員長が「平和基本法の制定」を訴えた。そして岡部副委員長が自治労「国の基本政策検討委員会(検討委)」報告(最終報告)を提起、また「平和基本法を制定し、憲法空洞化の実態を解消するというのが検討委の『到達点』」と答弁した。平和基本法制定で実質改憲を行うということだ。
これに対して「最終報告は中間報告に比べて後退している。護憲、反戦の立場を明らかにせよ」という批判が一斉に噴き出した。
3月の中間報告は「はじめに」で@日本国憲法の前文および第9条を堅持するA国際平和と人間の安全保障の実現へ平和的手段による国際貢献B現状の自衛隊は違憲。段階的縮小と分割・再編に取り組む。集団的自衛権を認めないC日本の国際貢献は国連主導の非軍事面に限定し、自衛隊とは別組織でD米国追随から国連およびアジアの安全保障体制の構築へ――の5項目を個条書きで示していた。これ自体が改憲案提出へのステップであり、「前文・9条堅持」は改憲反対派を武装解除するための飾りでしかない。
ところが最終報告は改憲案に向かってさらに進んでいる。5項目の個条書きを無くし、前文・9条堅持などの文言を本文中に埋没させ、「憲法は個別的自衛権を認めている」との解釈を打ち出し、平和基本法制定方針を前面に押し出しているのである。平和基本法とは「個別的自衛権」を前提に自衛隊を「最小限防御力」として認めるというものである。その上で「自衛隊の縮小、分割・再編」「集団的自衛権の不行使」を付け足している。
自衛権の承認とは個別的および集団的自衛権の承認である。それは「自衛」の名による侵略戦争の容認であり、自衛隊を戦力として保有することの容認である。いったん「自衛権」「戦力」を認めたら帝国主義は無限の戦争と軍拡に突き進む。最終報告は実質改憲論にほかならない。
岡部副委員長は、最終報告は検討委内や各県本部のさまざまな意見を聴いた上での「到達点」だとして最終報告を押し通した。
全国で「自治労の改憲勢力化許すな」の議論を巻き起こし、8月大会で本部の改憲案強行を阻止しよう。
改憲、戦争、民営化(労組破壊)の攻撃との闘いの最大の戦場は、6月東京都議選と「つくる会」教科書採択阻止の闘いである。闘う自治労組合員は杉並に総結集して勝利し、8月自治労大会決戦に攻め上ろう。
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週刊『前進』(2201号6面1)(2005/06/13)
反戦・反権力の砦=三里塚守り成田の米軍基地化阻止しよう
北延伸計画を粉砕し廃港へ
日帝・小泉政権は、侵略戦争体制の確立に向けて重大な攻撃の数々を強行している。イラク侵略戦争への自衛隊参戦、憲法改悪による個別的=集団的自衛権の確立の策動、教育基本法改悪による「愛国兵士の創出」、靖国神社参拝の継続など。中でもそのファシスト的先兵・都知事石原慎太郎による都立校での「日の丸・君が代」の強制、「つくる会教科書」の大規模採択の動き、杉並区長・山田宏による同教科書採択の策動は、戦争国家体制づくりを許すのか否かの決定的焦点となっている。東京都議選の勝利で「つくる会教科書」の採択を阻止しなければならない。世界戦争の時代に向かって情勢は激動している。戦後60年の闘いの一切が問われる局面が到来したのだ。この戦争と改憲をめぐる激突の中で、反戦闘争の砦(とりで)、反権力の中軸を担ってきた三里塚に対して暫定滑走路の「北延伸」計画を使った闘争破壊攻撃が強まっている。成田空港を米軍に提供する具体的攻撃が強まっている。三里塚闘争破壊の攻撃を跳ね返し、成田空港の米軍基地化を阻止するために、6〜7月三里塚闘争、10・9全国総決起集会への取り組みを訴えたい。
三里塚破壊を狙う暫定滑走路北延伸
2月に行われた日米安保協議委員会(2プラス2)は、共通戦略目標の中に北朝鮮を名指しして盛り込むとともに、台湾海峡問題を明記した。日米同盟の軍事同盟への転換を進め、朝鮮・中国侵略戦争の発動に向けた歯車をまた一つ回転させたのだ。この中で三里塚闘争の位置がますます大きくなっている。
三里塚闘争は帝国主義の戦争政策の前に立ちはだかる反戦と抵抗の砦である。1966年以来40年間、ベトナム反戦闘争との連帯を糧に発展し、80年代反動に対しても10・20三里塚十字路闘争や収用委員会解体戦闘で闘争陣形を保持し、武装闘争の発展を実現してきた戦後最大の反権力の砦である。
国民の総動員が不可欠である侵略戦争体制の構築において三里塚のような抵抗闘争を許すことは帝国主義にとって「城内平和」の破綻(はたん)を意味する。三里塚闘争は戦争体制づくりと根本から衝突する。そこで今、憲法改悪、「日の丸・君が代」強制などの攻撃とともに三里塚闘争破壊が強まっているのだ。
昨秋の北側一雄国土交通大臣の就任を契機に一気に浮上してきた闘争破壊が暫定滑走路の「北延伸」攻撃である。
「北延伸」攻撃とは、本来計画である南側への延伸が天神峰・東峰部落の強固な存在で不可能なため、計画を変更し、現在2180bの暫定路を北へ320b延ばして2500bにしようというものである。
特に、「今度はジャンボ機を飛ばして住めなくする」という暴力の発動そのものと言えるような脅しにその本質がある。2002年の暫定滑走路開業時、政府・空港公団の最大の狙いは「飛ばして屈服させる」というものだったが、農民たちは「頭上40bのジェット機飛行」や「庭先でのジェットブラスト(噴射)」という殺人的な人権侵害に耐え、この暴挙を告発しぬいた。その結果,暫定滑走路の開港−2500b化のプランを根底から粉砕し、暫定路の欠陥性を満天下に暴き、浮き彫りにした。政府・空港会社は社会的・国際的な批判にさらされることとなった。
この同じ手法をもっと暴力的にやろうというのが「北延伸」攻撃なのだ。この攻撃に加担しているのが東峰区内一部脱落派である。かつてシンポ・円卓会議(91〜94年)に参加した彼らは、「北延伸を止めるために空港会社との話し合いを始める」との口実で、今回の空港会社・黒野社長の「謝罪」を「評価する」として受け入れた。徹底的に弾劾しなくてはならない。
シンポ・円卓会議の政治的結論は、結局、平行滑走路建設の承認だった。彼らは、よってたかって地権者の反対意志を絞め殺そうとする政治談合に加担した。このシンポ・円卓会議の惨敗を直視すべきだ。「話し合い」で国の攻撃を止められたためしは、ただの一度もない。
だが、反対同盟と三里塚闘争の陣形は揺るぎない。5月15日の反対同盟緊急集会で萩原進事務局次長は「われわれは元熱田派の動揺にもかかわらず、黒野の話し合い策動を一蹴した」と東峰部落集会の様子を報告し、「北延伸は暫定路閉鎖、空港廃港への一里塚だ」ときっぱり断言した。
「北延伸」計画は実際は破綻的だ。「ジャンボ機を飛ばして住めなくする」と公言するそのジャンボ機が飛べないのだ。北に延伸しても連絡誘導路の狭さと湾曲状態は解決できず、ジャンボ機は滑走路に入ることすらできない。また同じ理由で便数も増えない。しかもこの無駄な計画のためにかかる費用は本体だけで330億円。国道51号線、東関東自動車道のトンネル化など付帯工事を含めればその3倍以上にもなる。
それでも、政府・空港会社に攻撃をやめるという選択肢はない。強硬姿勢の理由のもう一つが07年度に迫った空港会社の株式上場を実現することだ。
暫定滑走路が現状の欠陥滑走路のままでは上場自体が破綻(額面割れ)しかねず、意味のない「北延伸」であっても「2500b化の完成」という体裁が必要なのである。
株式の売却益は全額国庫(空港整備特別会計)に入る。額面で1500億円といわれる空港会社の株式上場で、4000〜5000億の売却益を生むか額面割れかの差は大きい。NAAの全株式を保有している国交省の死活問題だ。
また現在の空港整備特別会計の支出先の中心が経営破綻状態の関西新空港の救済(二期工事を含む)にあることも公然の秘密だ。公明党で堺市出身の北側国交相は関空利権に群がる議員の一人である。扇前国交相、塩川前財務相も関空利権議員で、これを北側に引き継いだ。株式上場のための北延伸の形作り。これが北延伸攻撃を異常なまでに硬直化させている理由だ。
さらに、成田空港建設の致命的な遅れによって、日本の空港は韓国・仁川空港、中国・上海(浦東)空港、香港空港などとの空港間競争に敗退する危機に陥っている。日帝・国土交通省は三里塚闘争を破壊することによって成田空港問題に決着をつけ、羽田空港の新滑走路(09年開港=国際線用)に成田のアジア便の大半を移管させる方針だ。
以上の理由から三里塚闘争を破壊するために、政府・空港会社は「北延伸」による攻撃を激化させようとしている。三里塚闘争に結集する労農学は反対同盟の呼びかけにこたえ、6〜7月の闘いに決起しよう。
現闘本部裁判支援の拡大を
三里塚闘争のもう一つの重要な柱として、天神峰現闘本部裁判が山場を迎えている。現闘本部裁判は3月24日の第5回口頭弁論をもって、地上権をめぐる論戦の核心に入り、空港会社側を決定的に追いつめる局面を開いている。
空港会社側は「木造平屋の旧現闘本部が鉄骨造り建物の中に今も存在している」という事実について誤認していた。「旧現闘本部は解体されている」という前提で訴状を組み立てていたのだ。そのため、第5回の口頭弁論で旧本部が包み込まれている写真を突きつけられて絶句してしまった。
かと言って旧本部の存在を認めることもできない。旧本部が存在するということは、登記されている事実と合わさって反対同盟に地上権があることを証明することになってしまう。それは絶対にできない。本部の存在を認めると敗訴が確定し、否認しても主張が破綻するという、まさににっちもさっちもいかない窮地に陥っている。
6月9日の第6回口頭弁論は、「旧本部は消滅した」と言い張る空港会社側に対して、1988年の本部増築作業過程の記録写真をさらに突きつけ、追いつめる論戦となる。裁判所に対しては現場検証を要求していくことになる。暫定滑走路の誘導路を「へ」の字に曲げている現闘本部を守る闘いは、暫定滑走路に対する闘いの一つの柱である。
「現闘本部裁判を支援する会」は6月から第2期運動に入る。現在65団体、240個人、447口の加入を達成した。さらに一層の拡大を実現しよう。
「周辺事態」発生で米軍に成田を提供
もう一つの重大な攻撃が、成田空港を米軍の戦略的空輸・兵站(へいたん)基地として指定し、動員しようとする動きの強まりである。小泉政権は4月8日、米国ホノルルで開催した外務・防衛当局の審議官級協議で、「日本有事や周辺事態」の際、米軍に優先的に提供する空港や港湾を具体的に定める指針について協議した。成田空港を始めとした民間空港を「周辺事態」の際に米軍に提供することが決まったとされている。
周辺事態法では、米軍に対して民間空港や港湾の提供が可能とされているが、有事法制(特定公共施設利用法)と違って強制力がなく、具体的な場所について地方自治体との調整が進んでいない。そのため、政府は「優先利用させる空港などを事前に定めておく必要がある」と判断し、今回の指針作成になった。これは、今回の協議に先立って行われた制服組を含む課長級の作業部会で、米軍が「優先的に空港や港湾を利用できるという確約がなければ、特定の空港・港湾の使用を前提とした作戦計画は立てられない」として、具体的な空港や港湾の優先使用確約を求めたことに対応したものだ。
空港名や港湾名は秘匿されているが、1997年の日米ガイドライン(日米防衛協力の指針)改定の際に米軍が求めた11空港、7港湾を含む施設であることは公然の秘密とされている。
すなわち成田を先頭として関西、新千歳、福岡、長崎、宮崎、鹿児島、那覇などの11空港と名古屋、大阪、神戸、水島、松山、福岡などの7港湾だ。成田空港が「朝鮮半島有事」の際に真っ先に米軍に徴発される危機が具体化したのだ。
しかも防衛庁内部からは「有事法制には強制力があるが周辺事態法には強制力がない。強制力を持たせる法改正を行うべきだ」という強硬論まで出てきているという。
これを受けて6月4、5日にシンガポールで予定されている日米防衛首脳会談で承認し、同月中の外交・防衛担当閣僚による日米安全保障協議委員会(2プラス2)の共同文書で決定されようとしている。
1997年の日米安保ガイドラインでは@平素から行う協力A日本有事における対処行動B周辺有事の協力――が定められていたが、今回の共同文書にはAとBが盛り込まれる。
1994年の朝鮮危機で米クリントン政権が軍事行動に踏み切れなかった理由が、日本列島を軍事的に動員する体制の不備、中でも航空戦力の動員に不可欠な民間空港の徴発体制の未整備にあったことは、今日常識に属することがらとなっている。1997年日米安保ガイドライン以来、日米はこうした朝鮮侵略戦争体制の整備に力を入れてきた。それが、今回の空港、港湾の明記できわめて具体的な計画の策定という形で現実化しようとしている。「成田空港を中心とする日本列島の基幹空港に50万から70万の来援米軍が飛来する」という現実が目の前に迫っているのだ。
1950−53年の朝鮮戦争で、日本列島は文字どおり出撃・兵站基地と化し、200万人とも言われた朝鮮人民殺戮(さつりく)に深々と加担した。今、それをはるかに上回る規模で同じ過ちを繰り返そうとしている。日本の労働者人民の矜持(きょうじ)にかけてそのような現実を阻止しなければならない。戦争をしなければ維持できない帝国主義そのものの打倒に向かって闘わなければならない。イラクへ派兵される自衛隊の離発着空港として成田を使用する攻撃も常態化している。「成田空港を軍事使用させるな」「成田軍事空港を廃港に」という闘いを強めよう。反戦闘争のデモ隊で成田空港を包囲しよう。
6〜7月攻防闘い10・9全国集会へ
任務・方針を確認する。小泉政権の戦争政策と対決する闘いの最大の焦点は、長谷川英憲氏を推し立てた東京都議選に何がなんでも勝利し、「つくる会」教科書の杉並区における採択を阻止する闘いである。総決起しよう。JR尼崎事故、郵政法案など民営化攻撃と闘う労働運動を前進させなければならない。
こうした闘いの一環として、三里塚闘争の任務と方針を確認する。
第一に「北延伸」をめぐる現地攻防に勝ち抜くことである。「北延伸」のデタラメさとデマ宣伝を暴き、反対同盟、東峰区農民を支えよう。
第二に、天神峰現闘本部裁判を全力で支援し、6・9口頭弁論の傍聴に決起することである。支援する会の第2期運動を支えよう。
第三に農民切り捨て政策への反撃を三里塚闘争の一環として行うことである。労働者に対する資本攻勢とともに、農業破壊・農民切り捨て政策が激化している。農水省による食料・農業・農村基本計画の見直し(05年)に合わせて、日本経団連や経済同友会が「自由貿易」「グローバル化」時代における競争力強化の名のもとに、農業資源を集積させる農業構造改革を提言している。それが意味することは日本農民切り捨てである。
労働者への過酷な資本攻勢と農民切り捨て政策は一体である。今こそ労農連帯の力で資本攻勢を打ち破り、戦争を阻止しよう。
第四に現地攻防に勝ち抜くことである。国交省や黒野社長による農民切り崩し攻撃が今後も激化する。こうした動きに逐一反撃し農民を防衛しよう。援農闘争で営農を支えよう。
第五に、10・9全国集会への取り組みを頂点に6〜7月の三里塚攻防に決起しよう。
〔斉田 猛〕
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週刊『前進』(2201号6面2)(2005/06/13)
もんじゅ最高裁判決 請求棄却に住民が強い怒り “悔しい! 廃炉まで闘う”
5月30日、最高裁第1小法廷(泉徳治裁判長)は核燃料サイクル開発機構の高速増殖炉「もんじゅ」をめぐり、周辺住民32人が国による原子炉設置許可処分の無効確認を求めた行政訴訟で、住民の訴えを認めた2審・名古屋高裁金沢支部判決(03年1月)を破棄し、住民側の請求を棄却する超反動判決を下した。徹底的に弾劾する。
この裁判は85年9月に提訴された。当初は原告適格が争われたが、92年9月に最高裁が全員に原告適格を認め、審理が福井地裁に差し戻された。
1審の福井地裁は請求を棄却するが、95年12月にもんじゅはナトリウム漏れ・火災の大事故を起こし運転停止となり、住民の主張する「危険性」が現実化した。2審の名古屋高裁金沢支部は「安全審査にミスがある以上、放射性物質が放出される具体的危険性を否定できず、重大な違法がある」として許可を無効と認めた。
最高裁では、@冷却用のナトリウム漏れA蒸気発生器の伝熱管の破損B炉心崩壊――という3通りの事故の危険性が審査で十分に考慮されたかどうかが争点となった。
判決は、2審判決の内容を具体的に検証することなく、「重大な結果を招く三つの事故の危険性を安全審査が見過ごしたとした2審の判断は誤りだった」と一方的に結論づけた。
行政の判断の尊重を最優先した国策判決である。その背景には、戦時下に突入し、独自の核武装のための核燃サイクルの確立を絶対に必要とする日帝・小泉政権の焦りがある。
夕方から東京・神田駿河台の総評会館で最高裁判決弾劾の集会が開催された。会場には「もんじゅを廃炉に」の字幕とともに、「最高(低)裁の最低判決」「吹き飛ばせ不当判決」の垂れ幕がかかっていた。
原告団を代表して発言に立った小木曽美和子事務局長は、「20年間闘い続けてきた。今後も闘い続ける」と不退転の決意を表明した。もう一人発言に立った男性は、「小泉内閣に追随し、国家の軍門に下った最低の判決」と弾劾し、「もんじゅは核燃サイクルの中心。私は80歳近いがこれからも闘い続ける」と元気あふれる決意を表明した。
反動判決への怒りをバネにして、「もんじゅ廃炉」への決意がみなぎる集会であった。
(投稿・N)
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週刊『前進』(2201号6面3)(2005/06/13)
5月25日〜30日
森岡、森、安倍が「靖国」発言
サマワ市で陸自車両に投石
●日米審議官級協議 在日米軍再編で日米両政府の外務・防衛当局審議官級協議が米国防総省で開かれ、米軍と自衛隊の役割・任務分担や米軍基地再編の仕上げに向け意見調整を行った。普天間飛行場移設と厚木基地の空母艦載機部隊移転が焦点。(25日)
●陸自車両に投石 自衛隊が展開するイラク南部サマワ市街地で、移動中の陸自の車両に地元住民が投げた石が当たった。「日本に死を」「JAPAN」「占領にノー、ノー」などの落書きも見つかっている。(25日)
●「A級戦犯、罪人ではない」 森岡正宏厚生労働政務官が自民党代議士会で、小泉首相の靖国神社参拝を「大変良いことだ」と支持する考えを示した上で、「極東国際軍事裁判は、平和や人道に対する罪を勝手に占領軍が作った一方的な裁判だ。A級戦犯の遺族には年金をもらっていただいており、日本国内ではその人たち(A級戦犯)はもう罪人ではない」と述べた。(26日)
●森前首相「いちゃもんだ」と反発 自民党の森喜朗前首相が中韓両国に対して「『歴史を美化している』とか『政府の反省がない』とか、まさにいちゃもんもいいところだ」と激しく反発した。(26日)
●楚辺通信所、国が暫定使用手続き 防衛施設庁は、5月末で使用期限が切れる沖縄県読谷村の米軍楚辺通信所(象のオリ)の一部土地を6月以降も暫定使用するため、那覇防衛施設局が那覇地方法務局沖縄支局に担保金を供託したと発表した。97年改定の米軍用地特措法に基づく措置で、担保金の供託による暫定使用は3回目。(26日)
●不起立など10人を都教委が処分へ 東京都教育委員会は公立の小中学校、高校の今春入学式で「君が代」斉唱で起立しなかった教職員9人、ピアノ伴奏を拒否した教職員1人を停職や減給、戒告の懲戒処分にした。(27日)
●NPT会議が事実上決裂 国連本部で開かれていた核不拡散条約(NPT)再検討会議は、最終文書や決議など実質的な成果を残せないまま閉幕した。包括的核実験禁止条約(CTBT)に米国が強硬に反対したことなどによる。(27日)
●在韓米軍基地にステルス機を派遣 米国防総省は、ニューメキシコ州のホロマン空軍基地からF117ステルス戦闘機15機を在韓米軍基地に派遣した、と発表した。東アジア地域における米軍の「抑止力」を維持するためとしている。(27日)
●安倍「靖国参拝は首相の責務」 自民党の安倍晋三幹事長代理が札幌市内で講演し、小泉首相の靖国神社参拝について「命をささげた人のためにお参りするのは当然のことであり、責務だと思う。次の首相もその次の首相も当然お参りしてほしい」とあらためて強調した。(28日)
●バグダッドで掃討作戦 イラク移行政府は、4万人を投入し、バグダッドから武装勢力を一掃するとして「稲妻作戦」を始めた。イラクの治安組織単独での作戦としては過去最大規模とみられる。(29日)
●「もんじゅ」住民逆転敗訴 高速増殖原型炉「もんじゅ」の設置を国が許可する際、災害防止上の安全審査がきちんと行われたかが争われた行政訴訟の上告審判決が最高裁第1法廷であり、同小法廷は全員一致で「見過ごすことのできないミスや欠落はなく、許可は違法ではない」と判断。許可の無効確認を求めた住民側の敗訴が確定した。安全審査を違法・無効と認めて住民側勝訴とした2審・名古屋高裁金沢支部判決を破棄した。(30日)
●9月に日米首脳会談 政府は、在日米軍再編問題に絡み、9月に米国で小泉純一郎首相とブッシュ米大統領による首脳会談を開き、沖縄の負担軽減策について一定の合意を目指す方針を固めた。町村外相が陳情に訪れた沖縄県議団に明らかにした。(30日)
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週刊『前進』(2201号7面1)(2005/06/13)
5・15沖縄闘争が開いた地平
県内移設に絶対反対を確認 米軍再編めぐる大攻防開始
戦後60年=沖縄戦60年の今年の5・15沖縄闘争は、日帝が戦争する帝国主義へと完全にカジを切った情勢下で闘われた(本紙2199号参照)。万を超える人民の下からの決起の中で、日帝の沖縄政策の完全な破綻(はたん)が鋭く突き出された。それは、日帝の米日枢軸化政策、戦争国家化の政策と労働者階級人民との全面的激突情勢の始まりを告げ知らせた。05年5・15闘争は日本階級闘争の「次」を切り開くさまざまな展望を作り出した。数千の青年労働者が全国から毎年5・15沖縄にやってくるのは、沖縄が「帝国主義の伸びすぎた爪」とのストレートな攻防の戦場だからである。そこに、帝国主義労働運動を下から切り裂いていく「熱い何か」があるからなのである。切り開かれた可能性を大胆に、そして確実に現実のものにしていこう。6月都議選決戦に総決起しよう。
帝国主義の国益と人民の命は非和解
05年5・闘争では、「辺野古基地建設をやめろ=普天間基地を閉鎖・撤去せよ」「一切の県内移設方式反対」ということが連合沖縄をも引き込みつつ、全県民的な最低限の一致点として確認された。明らかに、これまでとは質的に違う情勢が生み出されつつある。これに動揺して自民党沖縄県連(稲嶺の与党4会派)も、5月末、おずおずと「新たな県内移設反対」という態度をとるに至った。小泉は、この事態に直面して立ち往生している。日帝支配階級は、身構え直して、米軍再編貫徹と沖縄基地強化のために強引な正面突破策に出るしかない。彼らの総括は、〈これまであまりにも沖縄からの要求に譲歩しすぎた。やる以上はもっと強引に力で押し通すしかない>ということだ。県内移設反対派であるかのような態度をとりだした自民党県連に対しても、町村外相は、政府の責任を棚に上げて「アメリカは(代替施設が不可能なら)普天間基地は現状のままが一番いいと言っている」と恫喝している。(5月末)
日帝は追いつめられ、焦り、凶暴化している。したがって、事態はけっして甘くない。しかし、辺野古の「非暴力実力闘争」を軸に、闘う人民はここまで勝ち抜いてきた。辺野古への支持と共感は大きく広がりつつある。帝国主義の国策をぶっ止め、いまだに1本のボーリングも打たせていない素晴らしい闘いが、全国の若者、青年労働者の心をつかみつつあるのだ。辺野古の闘いは、確かに困難な闘いではあるが、これからさらに拡大し発展していく力をもっている。それは同時に、普天間基地を即時無条件に撤去せよという闘いの発展でもある。
沖縄闘争の戦略的な位置の大きさがあらためて、05年5・15闘争において鮮明に示された。時あたかも、中国人民と朝鮮人民が巨大なスケールで反日帝の闘いに立ち上がっている。帝国主義国の労働者階級として、青年労働者・学生としてこれに連帯し、正面からこたえる闘いをほかならぬ沖縄で今この時闘いとったことの意味はけっして小さくない。
帝国主義の国益と「人民の命」は非和解的に対立している。「命(ぬち)どぅ宝」、死すべきは帝国主義、生きるべきは人民一人ひとりなのだ。そしてそれを実践的に貫徹できるのは労働者階級の闘いである。
かつて、ベトナム侵略戦争下の沖縄の基地労働者は、「労働者は死んではならない。死すべきは基地だ」と宣言して基地機能を止めるストライキをぶち抜いた。これは貴重な日本労働者階級の「戦時下の闘い」の経験である。このような階級的経験の総体からわれわれは勝利のための教訓を引き出していかなければならない。
05年5・15闘争は、普天間基地撤去(大包囲行動)と辺野古支援・連帯の二つの具体的な焦点をもって闘われた。われわれは、米軍再編との関連で、また日帝の沖縄政策との関連で、このテーマの戦略的死活性をはっきりさせなければならない。
普天間=辺野古問題の戦略的な大きさ
日帝は、96年に、沖縄県内に代替施設を建設することを条件に、米帝との間で普天間基地の返還を合意した。それは、日米安保の再定義(再確立)を成立させる前提的土台的条件として沖縄基地の安定化を確保しようとするものであった。
日帝は、反戦地主を押さえ込む軍用地特措法改悪を強行し(97年)、名護の住民投票(97年)の結果を踏みにじり、大田知事を物量作戦で引き倒して(98年)、普天間代替として辺野古新基地建設に踏み切った。たしかに日帝の物量の前に闘争は一筋縄ではいかなかった。しかし、沖縄サミットをめぐる攻防(00年)などの経過を経て、名護・辺野古の地元を先頭に連綿と闘いは継続し、ついに敵を完全に土俵際にまで追いつめる現在の地平に到達したのである。とりわけ、昨年4月以降1年間のボーリング調査攻防、9月以後の「海上戦争」は画期的な闘いである。
米帝ブッシュ政権は、最初はこの新基地建設の約束を果たせと日帝政府に迫っていた。しかし米軍再編(トランスフォーメーション)の全体構想の中で、また、9・11後の情勢、とりわけイラク侵略戦争の展開と「泥沼」化の中で、あらためて沖縄基地の戦略的重要性を確認した米帝は、新しい世界戦争計画のもとに在日米軍基地・在韓米軍基地の全体を再編し、その中で沖縄基地の役割・機能を位置づけ直した。ラムズフェルド米国防長官らは、「SACOを前提にしない普天間基地返還」という発言を沖縄基地削減へのシグナルであるかのように打ち出した。
だが、昨年から今年の前半の過程で、米帝はさらにエスカレートし、「沖縄基地の負担軽減」などという文句を日本政府が口にすることそのものに不快感を示し、沖縄基地の戦略的重要性を露骨に強調し始めた。そして、普天間基地に関しても、代替ヘリ基地だけでなく、長距離輸送機の離発着が可能な2500b滑走路を持つ飛行場を沖縄県内に要求すると言い出したのである。
こうした米帝の態度は、2月の日米安保協の前後からはっきりと打ち出された。米帝にとって、沖縄基地の強化は権利である。問題は、沖縄基地の強化を前提として、座間基地への陸軍第1軍団司令部の移転を軸に在日米軍全体の質的大強化を実現していくことなのである。日帝は、04年の秋に、座間への第1軍団司令部の移転を即座に受け入れるのは政治的に困難、安保の枠組みに関する前提的な戦略協議がまず必要と対応した。また、沖縄に関しても、SACOにこだわらず沖縄基地の戦略的強化の絵を描く米帝に対して、日帝は及び腰の態度をとった。こうした中で、2月の日米安保協が開催された。
2月安保協では、米軍再編の前提となる日米の共通戦略目標として、中国を軍事的に押さえ込むことが共同声明の中ではっきりと確認された。イラクで米帝と心中する決断をした以上、対中国・対北朝鮮においても、日帝は米帝と肩を並べて自ら戦争することを「共通戦略」として確認しなければならないのである。05年の冒頭において、日帝支配階級はこれを日本の進路として選択・決断した。これは、日帝支配階級の歴史的決断である。
第1軍団司令部を座間に受け入れるという「態度変更」を政府はその直後にこっそりと米に伝えている。政府は、第1軍団司令部を太平洋軍司令部のもとに組み込むという米軍の指揮系統の変更によって、従来の日米安保の枠は維持されると説明している。もちろんとんでもないペテンだ。朝鮮戦争レベルから対中国戦争レベル、そしてインド洋・中東まで日米が共同で作戦できる体制、そして米軍が日本から直接世界規模の戦争を展開できる体制がこれによってつくられていくのである。従来の安保の枠は完全に踏み破られる。
日帝は、この戦略的決断を、外交戦略的には国連安保理常任理事国入りと一体で、また憲法9条の改悪と一体で実現していこうとしている。このあがきの中に、日帝の決断が単なる米帝への従属でないことが示されている。敗戦帝国主義の制約を脱して、戦争できる帝国主義軍事大国として全面的に自己脱皮し、中国を押さえ込んで東アジア経済共同体を日帝のヘゲモニーで建設していくことを追求しようとしているのだ。対米的にも矛盾に満ちた絶望的な大東亜共栄圏の道(帝国主義的アジア勢力圏化)への突進である。
だからこそ、中国と韓国の人民は激しい危機感をもって日帝糾弾の闘いに立ち上がった。それは、小泉政権を大きく揺さぶっている。「つくる会」教科書採択阻止の決戦は、これと結合した大決戦となっている。それは、闘うアジア人民と連帯し、日帝のアジア侵略を内乱に転化する闘いそのものである。
「米軍再編」全体の死命を制する沖縄
米軍再編問題と沖縄闘争の階級闘争上の戦略的位置を、あらためてはっきりさせなければならない。
日帝は2月の安保協共同声明で確認した日程表に基づいて沖縄基地問題の「もつれ」を解き、米軍再編全体の国内における貫徹を待ったなしで進めなければならない。
実際、6月冒頭にも第2回目の日米安保協が開催され、米軍再編協議第2段目の日米合意文書が発表されようとしている。その内容は、有事における日米協力、自衛隊と米軍の役割分担などの全面的な具体化である。日本有事の際の共同作戦計画や「周辺事態」における日米の相互協力を全面的に発動する計画・作戦の策定に進むのである。97年のガイドラインの具体化というだけでなく、それがさらにエスカレートされようとしている。
その上で、第3段目として、沖縄基地問題、座間と横田を中心とする米軍再編の個別具体的問題の確定に入る。これについては、9月までに「中間報告」を打ち出すとしている。9月には、小泉は国連総会で訪米し、日米首脳会談を行う。その時に、日米防衛協力のエスカレーションと米軍再編の具体的問題における決断を米側に伝え、日米安保共同宣言を打ち出そうとしている。
この動向に対して、5・15の県民大会決議に示されるように、沖縄からの全面的なノーが突きつけられたのである。これをすり抜けて、米軍再編全体を成り立たせることは不可能だ。
小泉が言う「地元負担軽減」は、最低限、普天間基地問題の解決を意味するのでなければまったく無意味である。だが、米帝は、普天間基地の代替として、沖縄県内にもう一つの飛行場を要求している。
米帝は、具体的な基地機能問題と同時に、沖縄に対する米帝の権利そのものを問題にしている。米議会海外基地調査委員会が5月冒頭に出した報告書では、「海兵隊の沖縄からの撤退(削減)は米国の国益に反する」とはっきり確認された。海兵隊基地としての強化を含む沖縄基地の全面的な強化を米帝は要求しているのである。
県内移設強行決断した小泉
こうした中で、実際に、日本政府は何をどうしようとしているのか。今、政府が追求しているのは、ずばり新たな沖縄県内移設である。一部本土移転を含む機能分散の形式で普天間問題を解決することはできないということが結局ははっきりしたのだ。日帝は、米帝の要求に応じて2500b滑走路をもつ新たな飛行場の提供を含む沖縄県内移設を強行する以外にないと腹をくくっている。具体的には、嘉手納基地に普天間ヘリ部隊の移駐を行い、それで時間を稼ぎつつ、本格的滑走路をもつ飛行場の提供を沖縄県内に準備するということである。その候補地、候補案を日帝はいろいろとあげている。だが、そのどれも限りなく不可能である。宮古・下地島空港に関しても、日帝・自衛隊がクーデター的に管理権奪取に向かって動いたが、地元住民3500人と空港施設労の総決起で、町議会の誘致決議を土壇場でひっくり返した(3月)。嘉手納統合案に関しても、嘉手納町を始め中部の市町村は受け入れることはできない。
一方で日帝は、辺野古に代わる新代替施設案を示せない限り、辺野古を断念することはできない。その意味で、今進行しているのは、まさにギリギリの攻防である。日米の帝国主義のそれぞれの死活的な利害からするぶつかり合いが沖縄に犠牲を強要することに対して、人民の側の死活的利害が「非暴力実力闘争」として対置されているのである。「命どぅ宝」という沖縄の心はまさにここでこそ生きている。帝国主義の軍事的必要に対して、生きるための人民の必要を断固として対置して闘うということだ。新基地建設が国策であり、国益であるというなら、そのような国家は倒してしまおうということだ。また、代替施設が決まらないという口実で、世界一危険な普天間基地に米軍を居座らせ続けるというならば、実力でこれを撤去する大闘争に移っていくしかないということだ。
05年5・15闘争は、日帝小泉と沖縄を先頭とする日本労働者階級人民の、米軍再編と沖縄基地をめぐるギリギリの激突、力勝負の開始を告げ知らせている。
小泉は、6月沖縄戦60周年の慰霊祭(6・23)で何を言うのか。小泉にはどんな言葉もない。日帝・小泉のこれからのすべての言動は沖縄の怒りと絶望をかき立てていく。さらに、8・13普天間基地のヘリ墜落1周年目をどのように迎えるのか。日帝は、普天間基地返還の道を示せず、できもしない辺野古の調査工事をダラダラ進めるしかない。日帝はそれにどんな「答え」を出すこともできない。それでいて、小泉は自衛隊と米軍の日米防衛協力や新ガイドラインの締結などはどんどん先行させ、新安保共同宣言に向かっていく。この中で、人民の怒りのマグマは加速度的に蓄積する。米軍再編と日米関係の根幹のところで、日帝小泉が完全に破綻に追い込まれていくのは確実である。
こうした情勢下、日帝支配階級と、ファシスト石原や石原的ファシスト勢力は「沖縄戦で日本軍が住民を虐殺したというのはウソ」という「沖縄プロジェクト」を展開し始めている。
つくる会の「沖縄プロジェクト」粉砕の闘いを猛然と巻き起こさなくてはならない。辺野古新基地建設阻止=普天間基地撤去、米軍再編粉砕の闘いと同時に、沖縄戦の厳然たる事実を否定する「つくる会」教科書粉砕に立ち上がろう。杉並を決戦場とする「つくる会」教科書採択阻止の決戦を闘おう。長谷川英憲氏の都議選当選へ総決起し、ファシスト石原を倒そう。
辺野古の海上攻防戦に全国から駆けつけよう。米軍再編と日米同盟枢軸化に立ちふさがる沖縄闘争=安保・沖縄闘争を戦略的に発展させよう。
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週刊『前進』(2201号7面2)(2005/06/13)
軍事的敗勢深める米帝
イラク移行政権の発足で民族解放闘争が一層激化
カイライ政権の脆弱な本質
4月28日、新憲法制定などを行うイラク移行政権が発足した。1月30日の国民議会選挙から3カ月もの混迷の末、副首相2人や国防相、石油相などが空席のままの見切り発車となった。
移行政権は、国民議会選挙で第1、第2党となったイラク統一同盟(275議席中140議席)とクルド連盟(75議席)による連立政権である。実権を持つ首相にはイラク統一同盟(ダアワ党)のジャファリが就任した。また大統領にはクルド連盟のタラバニPUK(クルディスタン愛国同盟)議長が選ばれた。親米派の暫定政府首相アラウィとその派閥は、内相または国防相のポストを要求したが、容れられなかったとして政権から離脱した。
移行政権の主力勢力の多くは、独自の民兵組織を維持し、それを母体に将来の治安体制を構築しようとしている。またイラク統一同盟とクルド連盟は、これまでイラクの権力を握ってきたスンニ派勢力を米軍の力を借りて追い落とすために連合しているが、米帝も含めた3者の利害は根底的なところで対立している。
イラク統一同盟はシーア派イスラム法学の最高権威であるシスターニ師を後見として成立した政党連合であり、主にダアワ党とイラク・イスラム革命最高評議会(SCIRI)というイスラム政党から成り立つ。彼らシーア派宗教権力者は新憲法にできる限りイスラム的要素を盛り込み、イスラム国家を建設しようとしている。だが、彼らはイラク人民の民族解放闘争を裏切っており、シーア派人民の多数を代表してはいない。クルド人勢力は、北部最大の油田地域キルクークのクルド自治区への編入とクルド人自治を前提とした連邦国家化を目指している。
米帝はスンニ派人民を主軸としたイラクの民族解放闘争を圧殺するために移行政権を利用していくしかないが、両者の主張とは鋭い対立をはらんでいる。
今後、この移行政権のもとで、8月15日までに新憲法草案を策定し、10月15日までに憲法承認のための国民投票が行われ、憲法が承認されれば12月15日までに正式政権のための国民議会選挙が行われるとされる。しかし、米軍事占領下で、スンニ派人民とすべての民族解放勢力を排除して進められるイラク新政権づくりに何の正当性もないことは明らかである。
移行政権は、反占領軍=民族自決を求めるイラク人民の意思とかけ離れており、米帝のカイライ政権としても脆弱で、これからの過程が混迷につぐ混迷となることは必至である。
スンニ派人民を軸とする民族解放闘争を軍事力で押さえ込むことが不可能である中で、米帝はスンニ派の「取り込み」に全力をあげざるをえない。しかし、たとえ一部のスンニ派有力者を取り込んだとしても、スンニ派人民を軸とする民族解放闘争はその爆発力を失わないであろう。
イラク人民にとって、スンニ派とシーア派という宗派的違いをのりこえて団結し、クルド人の民族自決権を踏まえて反帝国主義の民族解放闘争を貫くことこそが解放の道である。
半数以上が1月選挙拒否
そもそも移行政権の基盤をつくった1月30日の国民選挙自体が、2度にわたるファルージャ大虐殺の血の河の上に強行されたデタラメで不当なものであった。
米軍は昨年11月、「ザルカウイなどの外国人武装勢力の掃討作戦」などと称し、2度目のファルージャ虐殺作戦を強行した。だが実際には、ファルージャの住民が武装自治を形成し、米占領軍が立ち入れない解放区を築いていることへの見せしめに、人口30万人の都市全体を壊滅し尽くす大攻撃をしかけたのだ。米軍がまっさきに行ったのは、病院・医療施設のすべてを破壊し、占領することであった。民間人の犠牲者数を隠蔽するためだ。米軍は1000〜2000人の「武装ゲリラ」を殺したと宣伝したが、発見された遺体の多くが女性と子どもであった。約6000人の人民が虐殺されたといわれる。しかしそれほどの破壊と虐殺を行っても、米軍はファルージャ全体を制圧することができなかった。
この大虐殺の上に強行された1・30選挙は、米軍の占領支配のもとでのカイライ政権づくりのための不正選挙であった。選挙規約には、「投票するものはアメリカの決めたことを守らなければならない」と書かれていた。
スンニ派のムスリム・ウラマー機構は、「ファルージャなどでイラク人の遺体や流血の上に行われようとしている選挙をボイコットするよう呼びかける」と表明した。シーア派のサドル師派も「この選挙の狙いはイラク人をその宗派に分離することだ」と非難して、シーア派の統一会派に加わらないことを宣言した。スンニ派の中で唯一暫定政権に加わっていたイラク・イスラム党も、ファルージャ大虐殺に抗議し国民議会選挙参加をボイコットした。
これらに反し、シーア派のシスターニ師が米軍のファルージャ虐殺を黙認し、イラク人民の民族解放闘争を裏切って、米軍占領下での選挙による権力獲得を追求することで、米帝はなんとか国民議会選挙を強行することが可能となった。
イラク人民は誰が立候補しているかも公表されないまま、「投票しないと月々の食糧配給を止める」との恫喝で投票することを強要された。イラク選挙管理委員会によると、総投票数855万票で投票率は58%とされる。これは有権者登録を行った約1466万人をもとにした数字で、実際は全有権者の半数以上が選挙をボイコットした。
米軍はカイム作戦でも敗北
ファルージャ大虐殺とスンニ派を排除した国民議会選挙の強行は、イラク人民の怒りと闘いに火を着けた。マイヤーズ米統合参謀本部議長は4月26日、この1年間の掃討作戦が何の効果も上げていないことを認め、「武装勢力の攻撃は過去数カ月の40〜50件から今月は60件に上昇している」と敗北感を吐露した。4月末のイラク移行政府の発足以降、イラク人民の武装解放闘争はさらに激化し、5月末までの1カ月間で少なくとも78人以上の米兵を含む750人が死亡した。
追いつめられた米軍は5月8日から1週間、11万人が住むイラク西部のカイムで大規模な掃討作戦「マタドール」を展開した。昨年のファルージャと同様、米軍は病院を襲撃し、空爆と掃討作戦で無差別虐殺を行った。米軍は「125人の武装勢力を殺害した」と発表したが、非政府組織(NGO)やイラク人医師などは、多くの女性や子どもが犠牲になったと報告している。米軍は多数の死傷者を出し、カイムを制圧できないまま撃退された。
8日、マタドール作戦に参加していた斉藤という日本人傭兵が武装勢力に拘束された(後に死亡)。斉藤は、英国軍の特殊部隊SASの元将校らが設立した民営軍事請負会社(PMF)に雇われ、イラク人民虐殺の先兵となっていた。
現在、2万人ものPMF社員がイラク戦争に従軍している。彼らは国際法にも縛られず、米軍もためらうような残虐行為、無法行為まで進んで請け負うということで、イラク人民の憎しみの対象となっている。アブグレイブ刑務所で拷問・虐待に関わった半数以上の人間もPMF社員であったが、何の罪も問われていない。他方で、PMF社員が殺されるや、占領軍としては扱われず、「民間人」が殺されたというキャンペーンが張られるのである。
「武装勢力に勝てぬ」とライス
今日のイラク情勢の核心は、イラク侵略戦争の泥沼化によって米帝が政治的経済的な危機を深めているばかりでなく、軍事面でも極めて困難な局面に突入し、米帝の敗北が避けられなくなっていることである。
ライス米国務長官は5月15日、クルド人自治区を訪れ、「武装勢力の攻撃は非常に激しく、軍事力だけでは打ち負かせない。強力な政治的方策が有効だ」と発言した。米帝の軍事力ではイラク人民の武装闘争を押さえ込むことができないことを公式に認めたのだ。
4月2日には武装勢力がアブグレイブ刑務所を大部隊で攻撃し、1〜2時間にわたる銃撃戦で米兵44人を負傷させた。米軍基地などへの迫撃弾や爆弾攻撃で、毎日のように米兵がせん滅されている。米軍はすでに面としての制圧はおろか、米軍基地間の線の支配もおぼつかなくなっていたが、もはや点の防御さえも困難になりつつある。
そうした中で、かいらいイラク軍4万人と米軍1万人が5月29日、「稲妻作戦」と称する最大規模の掃討作戦を開始した。米軍は、イラク軍を前面に押し立てて、首都バグダッドを包囲し、掃討作戦を行い、イラク人民同士を殺し合わせようとしているのだ。
この間のイラク人民の武装闘争は、米軍との戦闘以上に、イラク軍、イラク警察を始めとする米帝の手先となった連中との闘いとして激しく展開されている。これらの裏切り者と闘わずしては反米武装解放闘争を進められないからだ。
イラク人民と連帯し闘おう
米帝のイラク侵略戦争は陸軍戦闘能力という決定的な面で行き詰まっている。
米陸軍と海兵隊の現役師団の多くが、今年中頃からのローテーションで2度目のイラク派兵を経験する。米兵にとっては過酷すぎる負担だ。米軍は州兵や予備役の投入や任務期間の強制延長でごまかしてきたが、それも限界にきている。4月の陸軍の新兵募集もマイナス42%の未達成で深刻な危機に直面している。
5月8日、イラク戦争での米軍死者が1600人を超えた(米CNNテレビ)。国防総省は5月6日、米軍負傷者が1万2200人を超えたと発表したが、実数はその数倍といわれる。脱走兵も昨年12月には5500人に達した。通常軍隊は2割の兵士が損耗すると壊滅状態になるといわれるが、イラクに投入されている米軍兵士の損耗率(戦死、負傷、逃亡で部隊を離脱する兵士の割合)は10%を超えている。さらに、イラクからの帰還兵の15〜20%はPTSD(心的外傷後ストレス障害)を発症しているといわれる。
イラク人民は恐るべき規模の犠牲を払いながら、米英日占領軍に真正面から立ち向かっている。米軍はイラク人民の不屈強靱な武装解放闘争の前に、ボロボロとなり疲弊しきっている。イラク戦争は米帝(帝国主義)の歴史的没落を新たな決定的段階に突入させた。
闘うイラク人民と連帯し、自衛隊即時撤退、日帝打倒へ! 「つくる会」教科書採択阻止、都議選での長谷川氏当選へ果敢に闘い抜こう。
(早乙女優)
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週刊『前進』(2201号7面3)(2005/06/13)
沖縄代表団 “辺野古撤回を” 政府・防衛庁に申し入れ
5・15普天間基地包囲と県民大会を成功させた「晋天間基地撤去・基地の県内移設に反対する県民大行動」の代表団8人が、5月30、31日に県民大会決議文を携えて政府、防衛庁・防衛施設庁などに普天間基地即時閉鎖・撤去と辺野古移設撤回を申し入れた。
30日夕、辺野古への海上基地建設・ボーリング調査を許さない実行委員会が毎週続けている防衛施設庁抗議行動に参加した山内徳信県民会議代表は、「アジアに銃口を向ける野蛮な海上基地建設計画は破たんしている」と断言。(写真)
その後開かれた辺野古緊急報告集会で、ヘリ基地反対協の安次富浩共同代表は「座り込みは昨日で405日。辺野古現地の闘いが県民の心を動かした。座間や岩国など全国の反基地運動にもつながっている。絶対に勝利する」と発言した。
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週刊『前進』(2201号8面1)(2005/06/13)
ビラをまき続ければ化学変化期待できる 東京 鶴川十三
「つくる会」教科書が杉並を突破口に採択されようとしているというので、これをなんとしても阻まなければならないと思い、杉並の私鉄駅での都政を革新する会のビラまき活動にたびたび出かけている。
最初のころは「杉並が危ない!」というゼッケンを着けてビラをまいていたので、そのキャッチコピーにびっくりして足を止め、ビラを受け取る人が多かった。ビラの中身は次々更新されるが、やはり「つくる会」教科書がどれほど「戦争のできる国民」をつくるためのものかをていねいに暴いたものが評判がいいようだ。
連続して何回もまいているので、「つくる会」教科書が大変重大な問題だということは、かなり多くの人びとの間で常識になってきているように思う。「子どもたちを戦場に駆り立てる教科書に反対です」と声をかけると、立ち止まって受け取ってくれる子連れの若いお母さん。「ごくろうさん」と声をかけてくれて、署名を呼びかけるとすぐ応じてくれる中年の労働者。ビラの中身について質問してくる人もいる。
やはり「つくる会」教科書が過去の戦争の総括の問題にとどまらず、現在の、およびこれからの戦争のために帝国主義が必要としているのだということの暴露が大切だ。靖国神社参拝をめぐる閣僚らのとんでもない発言は、まさに新しい戦争のためのものだ。
採択を阻止する杉並区民の大きな運動を呼びかけているので、少しでも反応があるとうれしい。もちろん、敵対的な反応も当然ある。「つくる会に賛成だから」と受け取りを拒否する人。「ちゃんと読んで反対しているのか」という「つくる会」系の団体とおぼしい人。「(長谷川)エイケンは嫌いだから」と受け取ったビラをわざわざ返しに来るのは共産党のようだ。だが、いちいちめげているわけにはいかない。敵がたくさんいるのは最初から分かっている。だからこそそれをこじ開けていくのだ。
うまずたゆまずビラをまき続けることが大きな化学変化を起こすことを期待してまく。あくまでもさわやかに、笑顔を忘れずに、頑張りたい。
区民の手応えあり!あしたも街頭に立つ 東京 片桐健次
杉並区内で「つくる会」教科書の採択に反対してビラをまいています。区民のいろいろな手ごたえがあり、楽しいです。
先日、地下鉄駅の入り口で、初老の男性にビラを渡そうとしたところ、興奮気味に「あの教科書は戦争賛美なんかじゃない!」と突っかかってきました。
私は「アジア人民を2000万人も殺したあの太平洋戦争を『大東亜戦争、自存自衛の戦争、アジア解放の戦争』と書いているのですよ。これは戦争賛美ではないのですか」と言うと、「うるさい!」と、どなり返してきましたが、まともな反論はしてきませんでした。
その男性は歩き去りながら、「誰も戦争がいいと思っているわけがない」と言いました。だから私は、「あの教科書にはそのことが書いてないんですよ!」とその人の背中にたたみかけて言いました。今度会えたら、もう少し話ができるのでは、と思います。
しかし、「つくる会」の八木会長や藤岡副会長はファシストそのものです。先日の特派員協会の記者会見では、中国や韓国の記者を前にして、持論である「大東亜戦争はアジアを解放する戦争だった」ということは言わずに、「つくる会教科書は戦争の悲惨さを書いている」などとうそを並べていたようです。うそ、デマ、二枚舌が彼ら「つくる会」のファシスト連中の本性なのです。こんな連中が、真実を押し隠し、うそを並べて作った戦争教科書を、絶対に使わせてはならないと思います。
次の日の夕方、私鉄の駅でまいていたときには、制服姿の中学生が寄ってきて、「ビラ下さい。これ(つくる会教科書)って本当に危ないっすよねえ」と言うので、私は答えました。「本当にそうだよ。こんな教科書が学校で使われるようになったら、君たちがみんな戦争にとられちゃうよ」
このことはけっして誇張ではないのです。「つくる会」の「公民」教科書は「国防の義務」を強調し、石原都知事は新しくつくった「首都大学東京」で学生の自衛隊体験入隊を構想しているのです。今ここで闘わなければ、本当に青年が軍隊に、そして戦場に送られる時代になってしまう。
私は、「友達や両親にも渡して」とビラを10枚近く、まとめて渡しました。
私たちの思いは、区民の思いだ。このことに確信をもって、明日も街頭に立とう。そして採択を区民の力で絶対に阻もう。
連帯広げ「つくる会」教科書の採択阻もう 愛媛 労働者 山下 徹
「まだまだ広げよう! もっともっと伝えよう! 新しい連帯の輪を全国につなげよう! 教育基本法改悪法案の通常国会への上程を絶対にさせない! 『つくる会』教科書の採択を阻止する!」。主催者のアピールにこたえる会場の拍手は鳴りやまない!
「教育基本法・憲法の改悪をとめよう! 5・21えひめ大集会」に集まった350人の決意が、松山市民会館中ホールを埋めました。実行委員会(教育基本法の改悪をとめよう! 愛媛連絡会)が組まれ、取り組みが始まって、今回で4回目の大きな集会です。
今回は「『心のノート』と教育基本法改悪に抗して 自由を求める」と題した三宅晶子さん(千葉大学教授)の講演と、三宅さんと大内裕和さん(松山大学助教授)のトークセッションの2部構成。
会場ロビーに設けた「交流の広場」では、それぞれの団体が、写真展示や資料の配布を行い、「心のノート」の実物も紹介され、署名の呼びかけやチラシの配布、沖縄・辺野古の座り込みに連帯する檄布(げきふ)を広げたりと、にぎやかで活気のある集会になりました。講演の前にミニコントも披露され、喝采(かっさい)を生みました。
集会に参加して感じたことは、今「教育改革」で起こっていることは、教育の場での「戦争と民営化」だということです。「戦争と民営化」が、学校を、教師を子どもたちを襲っている。今まで教育は資本の介入を排していたのが、その聖域を壊され、資本攻勢に荒らされている。今年1月に発表された日本経団連の「これからの教育の方向性に関する提言」は、さらなる資本攻勢の強い要求であり、宣言です。
「自己責任と差別・選別の正当化は、自分自身をかけがえのない存在であり、肯定するという感覚を奪い、破壊する。JR尼崎事故は労働者の誇り、人権、存在をも奪う民営化の結果」(三宅さん)
国と資本が求める労働者の予備軍としての子どもたちのあるべき姿が「心のノート」です。JRの「日勤教育」と「心のノート」を使った授業が重なって見えました。
「(『個人の尊厳』をうたう)教育基本法は、国益に従わなくていいと言っている。10・23通達は国益に従えと言っている。5・7集会での被処分者の会を始めとした闘いは、戦争拒否宣言であり、教育基本法改悪を阻む運動に大きな励みになった」(大内さん)
今、本当に立ち上がる時です。そして、全国各地で立ち上がっています。
目に見える闘いを。アジアに届く結果を。まだまだ! もっともっと! 松山市内の繁華街をデモパレードしながら、「つくる会」教科書の採択阻止を強く決意しました。
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週刊『前進』(2201号8面2)(2005/06/13)
寝屋川弾圧 4被告の無罪かちとる 全国連つぶし打ち砕く勝利
5月25日、部落解放同盟全国連合会寝屋川支部に対するデッチあげ弾圧の判決公判が大阪地裁で開かれた。「被告人4人は無罪」。滝口敏明支部長を始め4人の被告、大法廷を埋めた傍聴者は一斉に歓呼の声を上げた。
2003年5月22日の逮捕から2年の歳月を経て、ついにデッチあげを打ち砕いたのだ。「社会の寄生虫」「ダニ」などと部落差別を扇動してA社に被害届を出させ、島田洋司さんが正当な解雇予告手当の支給を受けたことを恐喝事件としてデッチあげてきた権力犯罪に対して断が下されたのだ。寝屋川支部の壊滅を目的とした政治弾圧が打ち砕かれたのだ。
判決は、島田さんには解雇予告手当を受け取る権利があり、A社の対応は「理不尽」であって被告人らの行動は正当であると認定した。そして、判決は、捜査機関が島田さんを診察した医師からの聞き取りをやっていないこと、島田さんがけがした現場の実況検分を行っていないこと、島田さんが相談した労基局に対する捜査を行っていないこと、また労働法に関する事情聴取も検討も行っていないことなどを具体的に指摘し、この事件が捜査機関によるデッチあげ事件であることを明らかにした。
この事件は、勤め始めて間もない島田さんが勤務中にけがをしてしまい、それを機にA社が島田さんに解雇を言い渡したことから始まった。しかもA社の総務課長は「誰も見ていないと労災は認められない」などという虚言を吐いて労災を拒否した。島田さんはせめて労災でも認めてもらおうと4人で会社におもむいた。ところが、総務課長はそこでも拒否してきたため、若干の言い争いになった。結局会社側は労災と解雇予告手当を認めたが、これは労働者の正当な権利であり、違法性などまったくない。ところが大阪府警公安3課は、A社が違法にも島田さんに2カ月間の臨時雇いの書類を押しつけていたことを奇貨として、「解雇予告手当恐喝事件」としてデッチあげたのだ。
島田さんの雇用は「2カ月間の臨時雇用」ではなく、「正社員の試用期間」である。判決は会社側証人の証言をもとにそう認定した。会社が「2カ月間」を設けた趣旨は「試用」であり、会社内部でも「試用」と称していた。そして、島田さんが退職に同意したなどとする総務課長の主張を「独善的で一方的」と批判し、島田さんは解雇されたと認定した。島田さんがA社を相手どって起こした「従業員等地位確認等」請求訴訟(民事裁判)では、会社側が「解雇していない」と主張したため「同意」のみが争点となったが、「同意はなかった」と認定し、島田さんの社員としての地位を確認した。1審も2審も勝訴し、現在会社側が上告中である。
しかも今回の判決はさらに進んで、この解雇は違法であると断定した。就業規則の解雇要件に該当せず、しかも労災中の解雇でもある。労働者の権利など一顧だにせず、労働者を使い捨ての道具でもあるかのように扱ってきたA社のやり方に断が下されたのだ。
さらに判決は、労災認定を拒否した会社の態度を「理不尽」と強い語調で批判した。労基局は島田さんに「会社の主張はおかしいからその理由を聞いてきてください」と指示した。交渉が難航したのは総務課長が理由もなく労災書類作成を拒否したからだ。労災を判断するのは労基局であり、誰でも労災申請の権利がある。それを会社が妨害する権利はない。
この勝利は狭山再審闘争の闘いへの号砲となった。国家権力による部落差別攻撃を暴き打ち砕いたのだ。この勝利は、狭山闘争を始め差別糾弾闘争の闘いの道程を照らし出している。
またこの勝利は、全日建運輸連帯労組関西地区生コン支部に対する弾圧や、国労5・27臨大闘争弾圧、全国金属機械・港合同弾圧に対する闘いとともにあった。この勝利を労働者階級全体の勝利として共有し、さらにこうした労働運動弾圧を打ち砕く闘いを推し進めよう。
寝屋川弾圧とは
2003年3月、アルバイトで生活していた部落解放同盟全国連合会寝屋川支部の島田洋司青年部長が、A社に就職。島田さんは仕事に励んでいたが、仕事中に段差でつまずき、はずみで腰を痛めてしまった。痛みをがまんして働いていたが、痛みがひどくなり会社に連絡して、2日間仕事を休んだ。
すると、会社の課長がわざわざ島田さん宅を訪問し、「明日から来なくていい」とクビを通告。さらに、労災を訴える島田さんに対して「誰も見ていないから、労災は認められない」という不当労働行為を行った。
島田さんは労基署に相談、その指導を受け、さらに寝屋川支部に相談。滝口支部長ら支部役員とともに4人で会社へ交渉に行った。会社は当然にも労災を認め、補償を出すことで円満に解決した。
ところが、この円満解決から1カ月以上もたってから、大阪府警公安3課の刑事が会社に押しかけ、会社にウソの「被害届」を出させ、「4人に恐喝された」などという話をデッチあげて、5月22日に4人を不当逮捕した。
当時、寝屋川国守地区で同和住宅の改修要求をめぐって住民の闘いが始まり、差別行政を糾弾する闘いが大きく発展していたこと、その中心に4人と全国連寝屋川支部がいたこと。警察と検察がこれに憎しみをあらわにして不当弾圧してきた、部落解放運動つぶしのデッチあげ弾圧である。
7カ月の不当勾留をはね返し、4人を先頭に寝屋川のきょうだい、全国連、ともに闘う労組が闘ってきた。
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週刊『前進』(2201号8面3)(2005/06/13)
侵略戦争のための治安弾圧法 共謀罪法案ぶっ飛ばせ
都議選勝利の力で廃案へ
5月27日、足立昌勝さん(関東学院大学教授)を始め7氏の呼びかけで共謀罪法案の衆院審議入り強行を阻止するための国会前行動が取り組まれ、座り込み行動と昼・夜2回の集会が行われた。
昼集会で発言に立った足立さんは、「国際的組織犯罪条約では、対象を『犯罪組織』と明記しているが、共謀罪法案の対象は『2人以上が集まり4年以上の懲役か禁固の罪種を共謀すること』であればよい。犯罪組織だけではなくすべての人びとが処罰の対象となる。公職選挙法の多数人買収罪で国会議員も対象となる」と暴露し、共謀罪法案の廃案を強く訴えた。
共謀罪法案は、郵政民営化法案による国会空転により会期末が延長されるため、6月10日ごろに審議入りとなる可能性が高い。審議入りの日は緊急の国会前行動に立ち上がろう。
法務省の本音
どうして今、共謀罪が新設されようとしているのかについて、法務省のホームページでの主張を批判する中で明確にしたい。
法務省は第一に、「国際的組織犯罪条約加入の条件」だがら新設すると主張している。
法務省は、02年9月に「国際的組織犯罪条約締結に伴う国内法整備」を法制審に諮問した時の説明で、「国内的には立法事実がない」と答えている。「立法事実がない」とは、「共謀罪でしか取り締まれない犯罪は発生していない」ということだ。また条約審議過程(99年春)時の日本政府見解は、「(共謀罪は)我が国の法原則と両立しない」である。この二つの事実は、そもそも「共謀罪は立法する必要がない。できない」ことを示している。
ところが、02年12月に法制審は早々と共謀罪新設を答申し、03年3月には共謀罪法案が国会に提出された。そこではっきりしたことは「条約のため」は建前にすぎず、本音は「とにかく共謀罪を制定したい」ということなのだ。
第二に、「個人的に同僚や友人と犯罪実行を合意しても本罪は成立しません」「単に漠然とした相談や居酒屋で意気投合した程度では本罪は成立しません」と主張している。
「個人的に」「漠然とした相談」「居酒屋で意気投合」などの言葉に惑わされてはいけない。これらは、共謀罪の適用を1ミリも制限しない。
共謀罪が適用される条件は、「約560の罪(刑法、地方自治法、公職選挙法、政党助成法など広範囲にわたる)について、2人以上が共謀すること」、この一点だけだ。
例えばAさんとBさんが同席している時に、Aさんが「石原都知事に石でも投げてやりたい」と言ったことに対してBさんが同意(うなずくだけでもいい)したら、そこが職場であろうが居酒屋であろうがBさんの自宅であろうが「傷害の共謀罪」が成立する。
2人以上が集まる場(労働組合の会議、反戦団体の勉強会、職場の飲み会、趣味のサークル、政党の会合、宗教団体の儀式など)での会話・相談などの内容がすべて捜査対象となる。
第三に、「共謀罪の新設に際して、新たな捜査手法を導入するものではありません」と主張している。
ところが、今、法務省・警察庁・自民党は、共謀罪を立証できる「新しい捜査手法」について本格的に検討している。
@インターネットを規制できて、対象者が使用するすべての電話や室内会話を盗聴できるように盗聴法を改悪することA警察官が民衆を誘惑し犯罪を行わせること(おとり捜査)や警察官が自ら犯罪を行い民衆を共犯者に引き込むこと(潜入捜査)――などだ。
実際に、人と人との会話や相談、合意のすべてを捜査の対象とすることは、到底不可能なことだ。
したがって捜査のやり方は、警察官のきわめて恣意(しい)的なものとなる。警察官が「何々の共謀罪だ」と認定すれば共謀罪が成立するという状況が生まれてくるのは間違いない。警察官はフリーハンドの弾圧法を手に入れ、膨大な冤罪が生み出される。
警察官は、労働者人民の思想・信条の内容を捜査の対象とすることが可能となる。「人の心の中」にまで踏み込み、その内容が国家に協力的か非協力的かを判断し、非協力的な労働者人民を国家暴力の発動(監獄)で屈服させ翼賛化させる。共謀罪は戦後憲法の「思想信条の自由」を根幹から破壊する攻撃であり、改憲攻撃の先兵である。
このような共謀罪は、労働者人民の怒りの炎に油を注ぎ、必ず巨大な反体制的決起を生み出す。それでも共謀罪法案を実現しなければならないほど国家権力の側は追いつめられている。
戦争国家作り
日帝は、戦争と民営化の小泉=奥田路線を推進することで、イラク侵略戦争参戦を突破口に北朝鮮・中国侵略戦争推進を決断した。にもかかわらず、そのための戦争国家体制づくりがまったく不十分である現実に追いつめられている。
革命党(革共同)の存在と動労千葉を先頭とする階級的労働運動の力がこの現状を小泉と奥田に強制している。
日帝にとって最大の問題は、労働者人民をまるごと侵略戦争に動員する体制が構築できていないことだ。その突破をかけて、改憲攻撃を軸に「日の丸・君が代」の強制や「つくる会」教科書の採択の攻撃に出てきている。この攻撃を推進するための治安弾圧強化の武器として、現代版治安維持法である共謀罪の新設が狙われている。
6月都議選の勝利でファシスト石原都知事をぶっ飛ばそう。その力が共謀罪法案を廃案に追い込む。
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週刊『前進』(2201号8面4)(2005/06/13)
学生ら2人を不当逮捕 「詐欺罪」をデッチあげ 印刷機・コピー機も押収
5月31日朝、警視庁公安部は東京・中野区内のマンションなど都内3カ所を不当捜索し、「詐欺」容疑をデッチあげて全学連の学生ら2人を不当逮捕した。6月2日には山形大学のサークルボックスと京都大学熊野寮など全国3カ所、さらに3日には富山大学自治会室を同容疑で捜索した。日帝権力は、なんの違法性もないマンションの賃貸借契約を、使用目的が違うという口実で「詐欺」にデッチあげたのだ。その本質は、戦闘的学生運動に対する大弾圧であり、戦時下の治安維持法的な弾圧そのものである。徹底弾劾する。
中野区内のマンションでは、警視庁は午前7時から7時間にわたって長時間の捜索・検証を強行した。そしてマンションの賃貸借契約書や、廃棄パソコンのハードディスク、さらには印刷機やコピー機までも押収していった。これは一切の政治的宣伝を許さないということだ。
この弾圧は直接には、今闘われている「つくる会」教科書採択阻止闘争と都議選闘争の破壊を狙ったものだ。警視庁はなんとしても「つくる会」教科書を杉並区と全国で採択させ、都議選で長谷川英憲氏の当選を妨害しようと、不当弾圧に乗り出してきたのだ。
警視庁は、昨年11月2日にも、だましの手口を使ってマンションを急襲し、東京と沖縄で3人の闘う学生をデッチあげ容疑で逮捕した。だが、弾圧は逆に労働者人民の怒りと反発力を引き出し、11・7全国労働者集会は大高揚した。このように国家権力の理不尽な弾圧を打ち破り、逆に闘いの一層の爆発に転化することは必ずできるのだ。
警視庁のデッチあげ弾圧に対する革命党と労働者階級の回答は、「つくる会」教科書の採択を絶対阻止し、7月都議選の勝利をなんとしてもかちとることだ。2人の闘う仲間を直ちに奪還し、弾圧を怒りに転化して6―7月蜂起戦に勝利しよう。
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週刊『前進』(2201号8面5)(2005/06/13)
訂正
2200号(6月6日付)1面のアピールで、釣魚台略奪が「1985年」とあるのは、「1895年」の誤りでした。
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