ZENSHIN 2005/05/16(No2197
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週刊『前進』(2197号1面1)(2005/05/16)
分割・民営化がJR事故の元凶
「運転士の資質が問題」と叫ぶ石原 都議選に勝利しファシスト打倒へ
4月25日午前9時18分、兵庫県尼崎市のJR福知山線(宝塚線)で快速電車が脱線・転覆し、107人の死亡、500人以上の重軽傷者を出す大惨事が発生した。JR史上最悪のこの大事故は、国鉄分割・民営化の必然的な帰結にほかならない。一切の責任はJR西日本と分割・民営化を強行した日帝政府にある。「闘いなくして安全なし!」 本当に労働組合が闘わなかったら、乗客の安全も労働者の命も守れないのだ。動労千葉に続き運転保安確立に向け労働者は闘おう。(2面に動労千葉の声明を転載)
第1章 労組が闘わなければ鉄道の安全は守れない
事故によって殺された高見隆二郎運転士と、命を奪われた乗客、その家族の怒りと悲しみを思う時、分割・民営化体制=JR体制を覆す闘いに立つことこそ、労働者階級がとるべき道であることは明らかだ。
そもそもJR西日本は事故直後、置き石があったかのように主張して責任逃れを図った。さすがにそれが通用しなくなると、今度は一切の責任を運転士に転嫁しようと企てている。このJRの卑劣な居直りを断じて許してはならない。
事故原因についてさまざまに議論されているが、そこに欠落しているのは、国鉄分割・民営化がなければこれほどの大惨事は起こらなかったという核心点だ。
分割・民営化が必ず大事故を発生させることは、つとに警告されてきた。
JR体制下で安全の崩壊は激しく進行した。すでに200人もの下請け労働者が殺されている。この事態を前に、多くの労働者が「このままでは大事故が起こる」と要員配置や安全対策を求めて声を上げてきた。にもかかわらず、それを握りつぶしてきたのが、JR資本とその手先となったJR総連カクマルやJR連合ダラ幹だ。事故の責任の一切は、国鉄分割・民営化を強行した日帝権力・JR資本とJR総連・JR連合指導部にある。
今回の事故は、1962年の三河島事故、63年の鶴見事故以来の大惨事である。三河島・鶴見の事故は、国労や当時の動労が、安全確立のために職場支配権を握る闘いに立ち上がる決定的な転機となった。労働組合の闘いがあったからこそ、国鉄時代、労働者は安全を無視した不当な業務指示をきっぱりと拒否することができたのだ。
ところが国家権力や国鉄当局が目の敵にしたのは、労働組合が職場に支配力を持ち、安全確立の立場から労働者の働き方を規制していた事実だった。分割・民営化は、こうした職場のあり方を破壊した。
労組解体と20万人首切りの国家的不当労働行為として強行された分割・民営化こそ、尼崎事故をもたらした最大の元凶なのである。
利潤を求めて無謀なダイヤ
分割・民営化で「民間会社」となったJRは、競争場裏に身を投じた。JR西日本のみならずすべてのJR会社は、安全無視と営利追求にひた走っている。それは、分割・民営化によって必然化したのである。
事故を起こした快速電車は、制限速度をはるかに超える108`のスピードで事故現場のカーブに突入したと言われている。この事故の背景に、阪急と競争し乗客を奪うために設定された無謀きわまる過密ダイヤとスピードアップがあったことは明白である。
JR西日本の中期経営計画「チャレンジ2008」には「列車の遅れはお客様の信頼を裏切るものです」と書かれている。JR西日本は、もともと無理な過密ダイヤを「定時運転」するよう運転士に強いていた。事故の2週間前には、尼崎駅発着の全列車について、1秒単位で遅れを報告させていたという。国鉄時代であれば、スピードアップで「私鉄と競争する」ことなど問題にもならなかったはずだ。
しかもJR西日本は、わずかな遅れを出したり、ささいなミスをした運転士に、「日勤教育」という名の制裁を加えていた。トイレにも行かせず反省文を書かせ、草むしりや窓ふきをさせる。果ては、ホームに立たせて入って来る電車ごとに自分のミスを復唱させることまであったと報じられている。高見運転士にとって、それがもたらす苦悩と精神的重圧はいかばかりだっただろうか。
これはまさに、国鉄分割・民営化を前にして闘う組合員を大量に閉じ込めた人材活用センターで行われたやり口と同じだ。こうした人権じゅうりんの横暴が分割・民営化から今日まで続いてきた。根本的なところで安全を破壊しているJRにとって、労働者を締め付けることだけが「安全」と「定時運転」を担保する唯一の手段だったのだ。
「規制緩和」が被害拡大した
マンションに激突し大破した快速電車は、「く」の字型に曲がり、アルミ缶のように押しつぶされた。それが107人もの死者につながった。高見運転士は、押しつぶされた運転台でブレーキを握ったままの姿勢でいたという。
強度に欠ける軽量車両の導入は、コスト削減を目的とした線路の保守・点検の切り捨てや、検修合理化の結果だった。安全はどこまでもないがしろにされた。
それは、民営化と同時に進められた規制緩和がもたらしたものだ。線路や車両の検査周期の延伸を始め、安全基準を次々と取り払ってきた国土交通省も、重大な責任を負っている。
20万人首切りと「技術断層」
国鉄分割・民営化によって20万人もの国鉄労働者が職場を追われた。新規採用は長期にわたって停止された。国労・動労千葉の解体を意図した不当労働行為により、ベテラン運転士や熟練技術を持つ労働者は解雇され、本務を奪われた。
それが今日、「技術断層」と言われる深刻な問題を生んでいるのだ。運転、保線、検修など全域にわたり、国鉄時代に培われた技術の継承は、JRになって阻害された。それが今回の事故の遠因となっている。
第2章 資本=カクマルの結託体制が安全崩壊させた
しかも国鉄分割・民営化は、JR総連カクマルがそのファシスト先兵となることで初めて可能となった。資本=カクマル結託体制こそ、鉄道の安全を根底から崩壊させた元凶だ。
JR東日本と異なりJR西日本では分割・民営化から数年してJR総連は資本から切り捨てられた。だが、彼らの階級的大罪は断じて消えない。
今日、JR西労カクマルは「安全を軽視するJR西日本の企業体質」の「告発者」のように振る舞っている。だが、JR西日本の今日の現実は、分割・民営化での資本=カクマル結託体制にこそ源流がある。
さらに許しがたいのは、JR総連カクマルが、JR東日本は西日本とは異なり「労使の協力によって安全を築いている」かのように強弁していることだ。
今回の事故は、分割・民営化の必然的帰結であり、それは西も東も異ならない。事実、JR東日本こそメンテナンス部門の外注化を始めとする安全破壊を、どのJR会社にも先んじて強行しているではないか。それを「国労対策の目玉」などと称して率先推進してきたのは、ほかならぬ東労組カクマルではないか。この間、頻発しているレール破断は、メンテナンス外注化こそが原因だ。JR総連カクマルを打倒してこそ、鉄道の安全は守られる。
JRの責任を免罪する革同
JR東海以西で、カクマルに成り代わって資本の手先となってきたJR連合も、JR総連と同罪だ。
国鉄分割・民営化は国労の壊滅を狙って強行された。だから本来ならば国労は、今回の事故を引き起こした分割・民営化体制と徹底対決すべき立場にある。
ところが、酒田=革同執行部も上村革同に牛耳られた西日本本部も、今や完全にJRとの闘いを投げ捨てている。事故直後に国労西日本本部が出した見解に至っては、JR体制にはいつくばり、それを擁護する許しがたいものだ。
そこには、「たとえ一人の労働者によるミスであってもそのミスが原因で重大事故に至ってはなりません」と書かれている。これは“事故の責任は労働者にある”ということだ。JR資本の言い分といったいどこが違うのか。こんなものは、労働組合ならば絶対に認めてはならないのだ。
さらに許しがたいのは、「『日勤教育』について国労は否定しません」と言っていることだ。「日勤教育」とは、国鉄時代とは比べものにならない超過密ダイヤを労働者に強制するための、恐怖支配そのものではないか。上村革同はこれを全面的に肯定した。
それは、上村革同が1047名闘争解体の最先兵に転落したことと一対をなしている。彼らは、JRの首切り責任を免罪しただけでなく、JRの事故責任も免罪した。JR連合とともに「1047名はイラクに行け」と叫ぶ上村革同は、労働者階級の敵にほかならない。安全問題で闘えない労組指導部は、侵略戦争にも平然と協力するのだ。
第3章 動労千葉の運転保安闘争に続いて闘おう!
動労千葉は「闘いなくして安全なし」を掲げ、営々と反合・運転保安闘争を闘いぬいてきた。その歴史的地平の上に、相次ぐレール破断への抜本的対策などを求めて05春闘72時間ストライキを打ちぬいた。こうした闘いこそ、ぎりぎりのところで事故を防ぎ、労働者と乗客の命を守りぬいているのである。
階級的に団結し、誇りを堅持していればこそ、労働者は安全を無視した資本の理不尽な命令・指示を拒むことができる。動労千葉のストライキが巨大な意義をもっているのは、こうした力関係をJR資本に強制しているからだ。
労組が闘わなければ労働者の命は守れない。今こそすべての労働者は動労千葉のように闘おう。労働組合をよみがえらせよう。職場に山積する安全無視や事故要因を摘発・暴露し、改善を求め、闘いに立とう。
国鉄1047名闘争の発展と勝利も、この闘いを貫くことの中にある。
小泉=奥田=石原と対決を
今回の事故は、小泉政権が4年目を迎える中で発生した。小泉=奥田は、労働者を無権利状態に突き落とすとともに、日米枢軸を形成して世界戦争への道を突き進んでいる。
この小泉=奥田の戦争と民営化攻撃の激化こそ、国鉄分割・民営化以来の積もりに積もった安全の崩壊と結合して、尼崎事故の引き金を引いたのだ。事故直後の4月27日、小泉政権は郵政民営化法案の閣議決定を強行し、介護保険制度のさらなる改悪案を衆院厚生労働委員会で押し通した。民営化がどれほどの惨事を引き起こし、どれほどの人命を奪おうとも、あくまでも民営化路線を突き進もうとしているのだ。
ファシスト石原は、小泉=奥田路線の最先兵だ。石原は「公共事業なんてみんな民営化したらいい」と言っている。尼崎事故後の記者会見では、したり顔に「運転士の資質の問題だと思いますよ。私は車庫の中で電車の運転てのを体験させてもらったけど、そんなに難しいもんじゃない」とうそぶいた。この石原が、医療や福祉、都営交通の民営化を強行しているのだ。
民営化による大事故は戦争の惨禍にもつながっている。戦争を賛美し改憲をあおる「つくる会」教科書の杉並での採択絶対阻止へ、この5月、総決起しよう。ファシスト石原打倒へ、6月都議選で長谷川英憲氏の勝利を実現しよう。
今回の事故は、歴史の分岐点において発生した。それが労働者階級に問うていることは、小泉=奥田=石原の民営化攻撃に対し退路を断って反撃に転じよということである。107人の犠牲者を出したこの事故はあまりに痛ましく重い。
だからこそ労働者階級は、これを小泉=奥田路線への巨大な反撃の転機にしなければならない。戦争と民営化攻撃に、階級的団結を固めて大反撃しよう。
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週刊『前進』(2197号1面2)(2005/05/16)
(1)科学の否定
●世界史は基本的に抹殺
万世一系の天皇中心史観
「新しい歴史教科書をつくる会」が作成した中学校用の「歴史」と「公民」の教科書は、侵略戦争を肯定し、子どもたちに“お国のために命を捧げよ”と教える教科書だ。その正体を5回にわたって核心的テーマにしぼって暴いていく。
再び戦争に動員
「つくる会」の歴史教科書は、他の教科書とどこが違うか。この教科書を開いてまず気づくのは、非科学的で特異な歴史観である。
「つくる会」教科書はその冒頭で、歴史を学ぶとは「みなさんと血のつながった先祖の歴史」を学ぶことだと書いている。しかも必要なのは日本の歴史だけであり、「世界で最も安全で豊かな今日の日本」が、「先祖のたゆまぬ努力」によって築き上げられてきた、その歴史を学ぶことだと言うのである。そこには日本の国土が大昔から育んできた固有の文明と伝統があったとして、その「独自の伝統」を学ぶこと、言い換えれば日本がどんなに「優れた国」であるかを教えることが、歴史教育の最大の目的とされている。
したがって、他の中学校用歴史教科書ではその3分の1を占めている世界の歴史が、この教科書にはほとんど何も書かれていない。ギリシャ・ローマの古代文明も、中国文明やイスラム文明の発展も、ルネサンスの美術も出てこない。フランス革命や、アメリカの独立戦争も、イギリスの産業革命についても、ほんの一言ふれているだけだ。
だが世界史をまったく学ばずに、どうして日本の歴史を正しく理解することができるだろうか。そもそも歴史を学ぶとは、人類の歩みを学び、その発展を科学的につかんで、そこから現在の日本と世界をとらえ返すことにあるはずだ。この教科書はしかし、日本の歴史をそうした人類史(世界史)の一環としてとらえることを拒否し、世界と切り離された自国だけのきわめて独善的な「日本国家の歴史」にすり替える。戦前の「国史」と同じである。
その究極的な狙いは戦前の教科書と同様に、日本は天皇中心の「神の国」であり、日本人は「世界の指導者となるよう運命づけられた民族」なのだというファシスト的価値観を教育の場に持ち込むことにある。かつての「皇国史観」と実質的に同じような選民思想を子どもたちの頭と心にたたき込み、新たな侵略戦争・世界戦争に総動員しようとしているのだ。
天皇神話ねつ造
実際に、この教科書で最も強調されているのは、日本は「天皇の国」だということだ。「神武天皇の東征神話」の紹介に始まって、昭和天皇ヒロヒトをたたえる人物コラムで終わっているのがこの教科書だ。そこでは古代から現代に至る日本史の一切を、天皇・皇室が常に国家の中心にいた歴史として描き出す。万世一系の天皇中心史観なのである。01年版と比べてもこの点がより際立っている。
「政治の実力者は時代によってかわったが、天皇にとってかわった者はいなかった。日本では、革命や王朝交代はおこらなかった」「(鎌倉幕府から江戸幕府に至る武家政治の時代にも)全国の武士は、究極的には天皇に仕える立場だった」「天皇の地位は、皇室の血すじにもとづいて、代々受けつがれた」
これは事実としてまったく誤った、非科学的なとんでもない作り話だ。実際には、古代貴族にとって代わった武士のもとで朝廷の権力は粉砕され、天皇は幕府のお情けにすがって細々と生きながらえていたのが中世・近世の歴史の真実ではないか。武士が仕えたのは封建領主であり、天皇ではない。内乱・革命や王朝交代もなかったとか、天皇の地位が代々安定的に受け継がれたと言うのもでたらめだ。それどころか、古代以来、「壬申の乱」や南北朝の対立にもみるように、皇室の歴史自身が皇位継承をめぐる血みどろの抗争の歴史だったのだ。
これらの事実を塗り隠し、天皇が昔から一貫して国家の最高の地位にあり続けたかのように描き出すのは、ひとえに天皇を時代や階級を超越した、神聖不可侵の存在として再び押し出すためである。そして、この天皇のもとにある日本という国は「世界に類例のない特別な国」であるとして、国のために死ぬことを最高の美徳とする価値観を再び子どもたちに植え付けようとしているからだ。
事実を学ばない
こうした天皇中心史観を合理化するために、「つくる会」は、「歴史は科学ではない」と主張する。封建制度や資本主義という科学的な時代規定も追放する。そして過去の出来事を事実として明らかにすることは意味がない、大事なのは、過去に何があったかという事実を知ることにあるのではなくて、その当時「過去の人がどう考え、どう悩み、問題をどう乗り越えてきたのか」を学ぶことこそが重要だ、それが歴史教育だと言うのだ。
ここで「過去の人」とは誰を指すのか。農民や労働者などの人民、民衆ではない。その時代の支配階級、権力者のことを指しているのだ。
彼らにとって、中国侵略戦争から第2次大戦に至る15年戦争の歴史も、この戦争が朝鮮・中国・アジア人民をどれだけ虐殺し苦しめたか、日本の労働者階級人民をどんな地獄にたたき込んだかを教える必要は一切ない。天皇ヒロヒトを始めとする当時の国家指導者が、日本が帝国主義として生き残るために必要な戦争と考え、「アジア解放のための戦争」と強弁し合理化して戦ったことだけを教えればいいのだ。
これが「つくる会」の主張であり、それを百パーセント実践しているのがこの教科書なのである。
(検定合格した05年版「つくる会」歴史教科書より)
▼「(中国では)皇帝は、力のある者が戦争で旧王朝をたおし、前の皇帝を亡きものとする革命によってその地位についた。それに対し、天皇の地位は、皇室の血すじにもとづいて、代々受けつがれた」
▼「政治の実力者は時代によってかわったが、天皇にとってかわった者はいなかった。日本では、革命や王朝交代はおこらなかった」
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週刊『前進』(2197号2面1)(2005/05/16)
二度と繰り返させてはならない
JR尼崎事故 動労千葉が声明
4月25日、JR西日本の福知山線大事故の元凶は、国鉄分割・民営化にほかならない。事故を引き起こしたJR体制を弾劾し、運転保安確立に向けて動労千葉が出した声明を、日刊動労千葉6068号(4月27日付)から転載し紹介します。(編集局)
尼崎事故/闘いなくして安全なし! 二度と繰り返させてはならない
民営化の帰結!
危惧し、警鐘を鳴らし続けてきたことが、JR史上最悪の大惨事というかたちで現実となってしまった。
現時点では、必要な情報の開示があまりにも少なく、事故の真因がどこにあるのかを特定することは難しい。しかし、明らかにされているわずかな事実関係からも、今回の事故の背後には、安全を軽視して効率化と営利のみを追求し続けるJR西日本の経営姿勢があることは明らかである。
これは国鉄民営化そのものの必然的帰結だ。今回の惨事は偶発的なものでもなければ、JR西日本だけの問題でもない。
JR東日本も03年12月、国土交通省から「重大事故の発生が懸念される」とする「事業改善命令」をだされ、JR北海道にも、たび重なる事故に対し、この2月16日に北海道運輸局から指導文書がだされている。
20万人の労働者の首切りと激しい組合潰(つぶ)しによって強行された国鉄分割・民営化は、18年を経て「安全の崩壊」という危機的現実に行き着いたのだ。
責任転嫁を許すな
これだけの重大な事故を引き起こしておきながら、JR西日本の対応は不誠実極まりないものだ。明らかにされているのは「速度オーバー」や「処分歴」など、当該運転士に一切の責任を転嫁しようとするものや、線路上の「粉砕痕」など、事故を不可抗力にすり替えようとするものばかりである。
だが、事故責任をすべて運転士におし着せ、その本質を闇から闇に葬ってしまうことだけは絶対にしてはならないことだ。
東中野駅事故にしろ、大月駅事故にしろ、この間の重大事故のすべてが「運転士の過失」のひと言で処理されてきた。JRのこのような体質そのものが安全の崩壊をもたらしたのだ。
労務支配の現実
制限速度を超えていたことが注目されている。だが、速度超過は直ちに脱線につながるものではないし、置き石が脱線につながるなど、まず例のないことだ。問題はもっと本質的な部分にある。
JR西日本は事故前の二週間、1秒単位で遅延状況を把握するという調査を実施していたと言われている。1秒単位で遅れを報告させるなど、信じられない調査だ。
東日本でも同様だが、日常的にも些細(ささい)なミスで見せしめ的に乗務停止にされ、処分、何度か続けば運転士から降ろされるという労務管理の現実が、精神的負担となって、運転士に重くのしかかっている。
そのようななかで発生したひと駅前のオーバーラン。しかも運転士は未だ11カ月の経験しかもっていなかった。こうしたなかで当該の運転士がどれほどパニックになったかは想像に難くない。指令はどのような対応をしていたのか、会社にとって都合のいい断片だけは伝えられるのに、なぜ無線の交信記録が明らかにされないのかも疑問である。
しかもJR西日本の場合、すでに成果主義賃金制度が導入されており、今、それをさらに改悪するかたちで、昇進試験に受からない限り基本的に一切昇給しないという賃金制度が提案されている。現場の労働者はこうしたなか団結を破壊され、がんじがらめにされている。
こうした現実に加え、組合潰しにだけに腐心するJRの異常な労務支配が職場を支配している。国鉄時代のように「安全は輸送業務の最大の使命である」とする感覚は、JRの職場からは完全に失われてしまっているのが現実である。
競争原理の強制
「私鉄との競争に勝つ」という名目で無理なスピードアップと過密ダイヤが強制されていたことも明らかだ。
JR西日本は、わずか25q余りの宝塚−大阪間で、平行して走る阪急より7分も早いダイヤを設定し、集客していたのである。もともと福知山線はローカル線に過ぎなかった。それが87年の民営化から90年代にかけて、競争原理の名のもとに急速な過密化とスピードアップが図られたのである。
120q/hの直線から70q/hのカーブに一気に減速しなければならないという事故現場の現実そのものが、無理なスピードアップが行なわれていたことを物語っている。
保安設備の強化が置き去りにされてきたことも指摘されているとおりだ。JR東日本の中期経営計画にもうたわれているような「冷徹な優勝劣敗の市場原理」などという軽薄な認識のもとに、安全が無視され、現場の労働者をしめあげることだけが安全を担保する唯一の手段となるという歪(ゆが)んだ現実が今回の事故の背景にあるものだ。
軽量化車両と安全
経費の節減やスピードアップのための車両の軽量化が事故をより悲惨なものとしたことも間違いない。
われわれはかつて列車が無理に踏切に突っ込んだコンクリートミキサー車と激突し、われわれの組合員であった運転士の命が奪われるという忌わしい事故の経験にふまえ、何度となく軽量化車両の強度について会社に質(ただ)してきた。だが、人命のかかった問題であり具体的なデータを示してほしいというわれわれの要求に対し、会社は「充分な強度は確保されている」と無責任に繰り返すだけであった。
車両の軽量化が安全にどのような影響をもたらすのかなど何ひとつ検証しないままひたすらコスト削減につき進んでいるのが現在のJRの姿である。
線路は?車両は?
さらに、線路状態はどうだったのか、車両はどうだったのか、最も重要な要素について、何ひとつ情報が明らかにされていないという重大な疑問が残る。線路の保守・点検の経歴や、車両検修の経歴はコンピューター管理されており、直ちに明らかにできることである。
いま東日本では、民営化とその後の丸投げ的な業務外注化の結果、レールが破断する、枕木がずれるなどの事態が続いている。運転時分を短縮するために急加速、急減速を強いられる運転方法が導入された結果、車両検修職場では、毎日車輪の転削を行なわなければならない現実になっている。
しかも、規制緩和によって、線路や車両の検査周期や安全に関する規程などは、どんどん延伸され、緩和されているのである。
闘いなくして安全なし!
資本による利潤追求はつねに安全を脅かし続けるものである。二度と悲惨な事故を許さないために、「闘いなくして安全なし」のスローガンに込めたわれわれの原点を今一度胸に刻まなければならない。二度とこのようなことを起こさせてはならない。乗客とJRに働く労働者の生命を守るために闘いにたちあがらなければならない。それは労働者としての誇りをかけた責務でもある。
亡くなられた方々のことを思うとき、今回の事故は、警告というにはあまりに重く、とり返しようのないものだ。だが、JRの現実を考えればこれは警告である。黙っていれば、第二第三の尼崎事故が起きる。
われわれは、今春闘でも、レール破断の続発という危機的現実に対し、安全運転闘争−ストライキにたちあがった。だが、闘いはこれからである。JRの経営姿勢、社会的な競争原理の蔓延(まんえん)、安全の分野にまで及ぶ規制緩和を根本的に変えさせるだけの闘いが必要だ。われわれは運転保安確立に向け、新たな決意で闘いを強化する。
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週刊『前進』(2197号2面2)(2005/05/16)
“闘いなくして安全なし!”
戦争・民営化と対決
4・29 4大産別軸に労働者集会
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尼崎事故に怒りのデモ
4月29日、動労千葉が呼びかけた「戦争と民営化に反対する労働者集会」が380人を集めて都内で開かれた。集会後、「闘いなくして安全なし」「尼崎事故の原因は民営化と労働強化だ」のプラカードを掲げた動労千葉を先頭に、中国人民の抗日闘争と連帯し都心をデモした
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4月29日、「戦争と民営化に反対する4・29労働者集会」が東京・文京区民センターで開かれ、380人が結集した。この集会は、動労千葉の呼びかけのもとに実行委員会が主催した。
日帝は「新しい歴史教科書をつくる会」の教科書を検定合格させた。107人の命を奪ったJR西日本の尼崎事故は、国鉄分割・民営化の必然的な結果だった。さらに小泉政権は4月27日、郵政民営化法案の閣議決定を強行した。
こうした情勢下で開かれた集会は、全逓、教労、自治労、国鉄の4大産別を先頭に労働者が階級的団結を固め、戦争と民営化の大攻撃と対決する橋頭保を築くものとなった。
動労千葉の田中康宏委員長が基調報告を行った。まず尼崎事故を弾劾し「小泉=奥田の民営化という犯罪的政策とそれを容認した労組指導部がこの事故をもたらした」と声を強め、「尊厳を守る、命を守るためには闘う以外にない。あらためて反合・運転保安闘争に立ち上がる」と宣言した。
次に、「『日の丸・君が代』強制、独島・釣魚台略奪、靖国参拝、『つくる会』教科書への中国・朝鮮・アジアの労働者の怒りは当然だ。中国の労働者は日系企業でストライキに入っている。これを支持して闘う」「今、一夜にして戦争に転落しかねない状況にある。労働者の階級的団結以外に国益主義・排外主義と闘う道はない」と訴えた。
また、郵政民営化や公務員制度改革との闘い、日教組・自治労を改憲派に転向させる攻撃との闘いを強調した。さらに、当面最大の課題は「つくる会」教科書の採択阻止にあるとし、ファシスト石原打倒へ都議選での長谷川英憲氏の勝利を訴え、「連合、全労連を下から食い破り、戦争と民営化を打ち破ろう。05年後半戦へ」と報告を結んだ。
都高教の教育労働者が連帯のあいさつに立ち、今春の卒入学式で六十数人の教育労働者が「日の丸・君が代」強制に不起立を貫いたことを誇り高く報告した。
関西から駆けつけた全日建運輸連帯労組関西地区生コン支部の高英男副委員長が「どれほど逮捕者が出ても運動を維持し組織を拡大する」と述べ、関生支部にかけられた弾圧と立ち向かう戦闘宣言を発した。
全金本山労組の青柳充書記長は「粘り強く闘い、ついに敵の胸ぐらをつかんで勝利した。地域に打って出、統一戦線で闘えば勝利できる」と、34年の闘いの末、解雇撤回をかちとった闘いの教訓を語った。
憲法と人権の日弁連をめざす会の鈴木達夫弁護士は、共謀罪新設との闘いを訴えた。
都議選に挑戦する都政を革新する会の長谷川英憲氏が発言し、「都議会に乗り込み、石原に労働者の怒りを突きつけるのが私の任務だ」と言い切り、全参加者が拍手で確認した。
特別報告に立った全逓労働者は、郵政民営化法案の閣議決定を徹底弾劾し、「改憲派に転落した全逓本部を打倒し、現場組合員の怒りにこたえる闘いを貫徹する」と宣言した。
自治体労働者は、公務員労働者を襲う激しい攻撃と対決し、自治体民営化を打ち破ろうと力強く訴えた。
国労5・27臨大闘争弾圧被告団の松崎博己団長は、「中国人民の抗日運動と連帯し闘う。尼崎事故を徹底弾劾し、1047名闘争に勝利する」と表明した。
東京交通労組の青年労働者が「尼崎事故に衝撃を受けた。命を守るためには民営化に反対しなければならない」と訴え、東京の教育労働者は排外主義に屈した連合幹部を弾劾した。
動労千葉の長田敏之書記長は、「動労千葉は今春闘で『闘いなくして安全なし』と決起した。闘いはこれからだ。平成採の青年労働者にともに闘おうと訴え、組織拡大闘争に打って出る」と決意を表明した。
集会後、参加者は神保町・錦華公園までのデモに出た。「尼崎事故弾劾・JRは責任をとれ」「中国人民の抗日デモに連帯し闘うぞ」のシュプレヒコールがこだました。
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週刊『前進』(2197号2面3)(2005/05/16)
国労弾圧公判 8被告が意見陳述
活動の正当性明白に
検事の妨害を猛然と一蹴
4月20日、国労5・27臨大闘争弾圧裁判の第39回公判が東京地裁刑事第10部(青柳勤裁判長)で開かれた。左右の陪席裁判官の交代に伴う更新手続きが行われ、8被告が堂々と意見を述べた。
それぞれの意見陳述によって、02年5月27日の国労臨時大会に際して展開されたビラまき・説得活動の正当性と、被告の無罪は全面的に明らかになった。
これまでの公判で、警察権力と国労本部派が結託してこの弾圧を仕組んだ事実はすでに暴露されている。それを踏まえた陳述には迫力と説得力があり、各被告の人生に刻まれた国鉄分割・民営化との闘いの歴史は傍聴者に感動を与えた。
鉄建公団訴訟原告でもある松崎博己被告団長は、闘争団員を統制処分にかけるために強行された5・27臨大を徹底的に弾劾した。東元(あずま・はじめ)被告は、JRの配属差別によって発症したうつ病と闘いながら裁判闘争を貫く苦闘に触れつつ、無罪戦取への決意を述べた。
橘日出夫被告は、4党合意を阻んだ00年7・1臨大における闘争団員らの決起の正義を語った。原田隆司被告は、機動隊を導入して4党合意承認を強行した01年1・27大会の暴挙を弾劾した。闘争団員の羽廣憲被告は、「闘争団の除名」を迫る3与党声明に屈した国労本部が、5・27臨大へと突き進んだ経緯を怒りを込めて暴き出した。小泉伸被告は、これら国労本部の屈服は86年修善寺大会を裏切るものだと声を強めた。
富田益行被告は、公安警察と結託して弾圧を仕組んだ酒田充・現国労本部委員長、鈴木勉・東京地本法対部長、笹原助雄・東京地本書記長らを徹底的に断罪した。国鉄闘争支援者の向山和光被告は、検察側が主張する「向山=リーダー」論が事実無根のねつ造であることを説き明かした。
弁護側が証拠として提出したビデオ『7・1国労臨大ドキュメント』が上映された。裁判官も引き込まれるように画面を見つめた。
次回5・11公判に結集しよう
松崎被告の意見陳述の最中に、宮川博行検事が「もう30分過ぎている」と不当な介入を試みた。一瀬敬一郎主任弁護人がこれに激しく抗議した。猛烈な怒りに検事は押し黙った。劣勢にある検察側は、担当の検事を代えて態勢の立て直しを図ったが、弁護団は痛烈な反撃をたたきつけたのだ。
5・27臨大闘争弾圧との闘いはますます重大な意義を帯びている。1047名闘争を圧殺するために組合員を警察権力に差し出した酒田=革同執行部は、尼崎事故にまで行き着いたJR資本の安全解体をも容認するに至っている。彼らは、現場で苦闘する鉄道労働者の生命さえ資本に売り渡そうとしているのだ。こうした裏切り者を打ち倒し、国労の階級的再生をかちとるカギは、5・27臨大闘争弾圧粉砕の闘いの中にある。
次回公判は弁護団の意見陳述が行われる。次回公判に総結集し、無罪獲得へ闘おう。許さない会運動の一層の発展をかちとろう。
国労5・27臨大闘争弾圧公判日程
第40回 5月11日(水)
第41回 6月1日(水)
第42回 6月22日(水)
第43回 7月13日(水)
*いずれも午後1時15分から、東京地裁
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週刊『前進』(2197号2面4)(2005/05/16)
メーデー 「改憲反対」目立つ
連合中央 小泉=奥田に屈服姿勢
今年のメーデーは、JR西日本の尼崎事故が衝撃的に示したように、労働者は闘わなければ殺されるという切迫した事態の中にあった。また、「つくる会」教科書や戦争・改憲攻撃と対決し、中国労働者階級の抗日闘争と連帯して共通の敵である日帝・小泉=奥田と闘うことが問われていた。
革共同は「尼崎事故の原因は分割・民営化だ」「ファシスト石原打倒」を訴える宣伝戦を展開し、圧倒的な共感を呼んだ。労組交流センターや動労千葉も独自の宣伝行動を貫いた。
世界ではドイツで50万人以上が決起した。アメリカでは、ニューヨークとサンフランシスコでMWM(百万人労働者行進)運動などが呼びかけたメーデー復活の集会とデモが行われた。
●連合系は今年も5月1日のメーデーを放棄し、4月29日に代々木公園で中央メーデーを行った。参加者は3万6千人で、かつての規模から半減した。だが、自治労や私鉄総連の組合員は結集デモを闘いぬいた。
笹森清連合会長は05春闘での統一ベア要求放棄を居直り、改憲には触れもせずに容認した。郵政民営化についても「民営化自体には反対しない」と述べ、「年金制度改革の推進」を叫んで小泉=奥田の先兵としての姿をさらした。
●全労協系は5月1日、日比谷野音に1万1千人が結集。「日の丸・君が代強制反対」「1047名の解雇撤回」などのプラカードを手に労働者は闘う姿勢を堅持した。リストラ・首切り・規制緩和、憲法・教基法改悪、郵政民営化などに反対するアピールを採択し2方向へのデモに出た。
だが、主催者あいさつをした阿部力・国労東京地本委員長は、尼崎事故に言及したがJR資本に対する怒りもなく、国鉄分割・民営化反対を投げ捨てて1047名闘争に敵対する国労本部派の惨状を露呈した。
●東京地公労系の東京メーデーは5月1日、明治公園で行われ、自治労東京傘下の各区職労、都庁職や東交、東水労、東京教組など6千人が結集した。
連合中央メーデーに対抗して行われてきた東京メーデーは今年で終わりにするとの議論もあるが、結集した労働者は、小泉=奥田とその先兵の石原知事と闘う意欲を示した。戦争と民営化、公務員バッシング、賃下げと社会保障解体、改憲・教基法改悪に反対するスローガンが目立った。
●全労連系は5月1日、代々木公園で中央メーデーを行い4万3千人が参加。
熊谷金道全労連議長や日本共産党の志位和夫委員長は、労働者の怒りを議会主義の枠に抑え込もうとする発言に終始した。志位は「憲法までアメリカに売り渡す最悪の売国の政治」と小泉を排外主義的に非難するだけで、労働者階級の闘いを綱領から一掃したスターリン主義の反革命性をむき出しにした。
ファシスト・カクマルのメーデーへの反革命的介入策動はものの見事に破産した。連合メーデーでまいた彼らのビラは尼崎事故に一言も触れない代物で、労働者から相手にもされなかった。
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週刊『前進』(2197号2面5)(2005/05/16)
“民営化反対は現場の声”
全逓4・28反処分集会 共同の決意固める
4月28日、東京・南部労政会館で「4・28反処分総決起集会」が行われました。被処分者を先頭に全国の全逓労働者と地域の仲間が結集し、100人を超える熱気ある集会になりました。今年の集会は、昨年の高裁勝利判決を受けての原職奪還に向けた総決起の場であると同時に、前日の郵政民営化法案の閣議決定を受け、緊迫した情勢の中で持たれました。
司会の全逓労働者の「2年後に郵政の分割・民営化がやられようとしている。分割・民営化は活動家パージであり首切り攻撃。この攻撃と断固闘う」という発言を切り口に、全国の組合員から分割・民営化攻撃への怒りが次々とたたきつけられました。「JRの尼崎事故は民営化の結果。郵政民営化攻撃は全社会的に同様の事態を引き起こす。全労働者の未来をかけて民営化攻撃と闘おう」という決意が続きました。そして、「JPUの2月中央委員会で現場の怒りが噴出した。しかし、中央本部・菰田委員長は民営化に賛成している。民営化反対は現場の声。5・15郵政民営化反対集会を民営化絶対反対の闘いとしてかちとり、6月全国大会に攻め上ろう」と、JPU中央本部打倒の決意が語られました。
今年の集会の特徴は、イラク侵略戦争に自衛隊が派兵されている戦時下において、高裁勝利判決を受けて4・28闘争は郵政民営化攻撃とどう闘うべきかという路線が問われたことです。
全国から参加した全逓労働者から、「全金本山労組は歴史的勝利をかちとり完全勝利した。本山闘争に続いて4・28闘争の勝利を実現しよう」という発言がありました。そして、郵政民営化攻撃と対決し闘う全逓労働運動の復権をかちとることが、4・28反処分闘争を闘いぬいてきた仲間の課題であることが、共同の決意として語られました。
今年の集会の今ひとつの特徴は、長期闘争を貫いて原職奪還を実現した勝利の報告が行われたことです。34年の闘いを貫いて3月に解雇撤回・職場復帰をかちとった全金本山労組の小野東京分会長が歴史的勝利の報告をし、6年9カ月ぶりの職場復帰をかちとった連帯労働者組合・渡辺工業の仲間などから「4・28被免職者とともに原職奪還を実現しよう」という、うれしい発言が続きました。
また連帯あいさつでは、ファシスト石原・横山の戦争教育と闘う「被解雇者の会」の教育労働者が発言しました。この春の都立高校の卒入学式では60人を超える不起立闘争が闘われたことが報告され、「自分たちは職場を奪われたが、闘うことで、教壇では学ぶことができない多くのことを学んだ。自分たちは日本の進路をめぐって闘っている。ともに闘おう」という熱烈な発言がありました。
4・28闘争は歴史的勝利への正念場を迎えています。集会に参加し、私も4・28闘争の力をバネに郵政民営化攻撃と対決し、職場の団結を実現していく決意を新たにしました。
(投稿/全逓労働者T・M)
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週刊『前進』(2197号3面1)(2005/05/16)
長谷川氏先頭に石原打倒へ
「尖閣諸島に自衛隊派兵を」「米巻き込み中国攻撃せよ」
『週刊文春』で石原が大暴言
東京都知事・ファシスト石原が『週刊文春』の5月5・12日特大号で、「いまこそ尖閣諸島に自衛隊を派兵せよ」、「アメリカを日本の対中国戦略に巻き込」んで中国に戦争を仕掛けよ、と叫んでいる。「緊急提言」と銘うち「腰抜け小泉首相を一喝」「中国許すまじ!」などの見出しが躍る石原インタビューは、その一言一句が断じて見過ごすことができない、許しがたい内容だ。現職の都知事が公然と対中戦争を扇動する事態を、東京と全国の労働者階級人民は絶対に放置せず、怒りを爆発させ、ファシスト石原弾劾・打倒闘争に決起しなければならない。石原に真っ向から挑戦状をたたきつける都革新の長谷川英憲氏を都議選で絶対に勝利させよう。
中国へのファシスト的憎悪
石原は日帝・小泉=奥田路線の最先兵であり、労働者階級の力で即刻、打倒しなければならないファシストである。中国やアジア人民を尊大に見下し蔑視(べっし)する、極悪の排外主義者、帝国主義的民族主義者である。この石原が新たに巻き起こった中国人民の抗日闘争の高揚に恐怖し、打撃を受け、中国への敵意と民族的差別をむき出しにしてきたのだ。
石原は、中国人民が日帝と資本の再侵略と、かつての侵略戦争を正当化し美化する「つくる会」教科書や国連安保理常任理事国入りの帝国主義的策動を糾弾して決起しているのだということを棚に上げ、「日本人は中国の本性を思い知った……民度の低さと言ってもいい」と傲慢(ごうまん)にもうそぶいている。
そしてそんな中国に日本を糾弾する「資格」はないと公言し、逆に「こちらも共産党主義史観で塗り固められた中国の国定教科書に文句を言えばいい」などと、小泉政権をより右からけしかけている。
石原は日帝の侵略戦争と植民地支配の歴史を、まったく反省も謝罪もしていない。そして傲然と中国を敵視し、こうした排外主義的暴言を吐くばかりか、今再び「中国と戦争しろ」と扇動し始めたのである。
“北京も三峡ダムも破壊する”
第一に石原は、中国領・釣魚台(ちょうぎょだい、ティアオユイタイ、「尖閣諸島」)に日本の自衛隊を派兵せよと叫んでいる。
「いま日本がなすべきことは、尖閣諸島に自衛隊を常駐させることです。海上保安庁ではなく、武装した自衛隊を駐留させて尖閣諸島の実効支配を進めることが、中国に対する我が国の明確な意思表示になる」「日本の領土、領海なのだから、自衛隊を送ることは国際的に全く問題はない」
だが釣魚台は歴史的にも(日清戦争で略奪)、地理的にも(中国の大陸棚)、中国の領土である。石原はこの釣魚台にこれまでも右翼結社と結託して灯台を建てるなど、日帝の領土略奪攻撃の先兵となってきた。そこに今度は武装した自衛隊を派兵して「実効支配」し、「中国に武力で国家の意志を表示」せよと扇動するにいたったのだ。
第二に石原は、日米帝国主義が一体となって中国と戦争しろと叫んでいる。
「もし中国の艦船が領海内に侵入し、警告しても退去しないならば、撃沈すればいい。それで中国との摩擦が生じて紛争が起きたならば、日米安保に則ってアメリカが出てくるだろう」「日本は〔沖縄基地で〕アメリカに恩を売りつつ、バーターでアメリカを日本の対中国戦略に巻き込むべきでしょう」
「中国がいくら軍事力を増強しているといっても、米軍の誇る最先端技術にかなうわけがない。……〔米原潜の巡航ミサイル「トマホーク」で〕ひとたび撃ち合いになれば中国は防ぎようがなく、三峡ダムも北京も破壊されるだろう」
なんと石原は、まず日本の「独自」の軍事力で「尖閣諸島」を防衛せよ、それで中国が反撃してきたらアメリカを巻き込み、その「最先端技術」の軍事力で中国を攻撃し、北京も三峡ダムも破壊せよと公言しているのだ。今日、米帝ブッシュは米英日枢軸、日米枢軸のもとで世界戦争路線を突き進み、イラクからイラン、シリアや北朝鮮・中国に侵略戦争を拡大しようとしている。石原はまさにこれと対応し、その先を行く形で、米日帝の対中戦争を扇動しているのだ。
“中国分裂させて侵略すべき”
第三に石原は、中国を分裂させ、分裂した各地域に帝国主義が侵略していくべきだと叫んでいる。
「あと十年もすれば中国は分裂国家になるでしょう。……我々はその歩みを早める努力をするべきで、そのためには〔かつて日本がアメリカ西海岸にそうしたように風船爆弾でも飛ばして〕民主主義陣営の情報を流すことです」「そして分裂した各地域に狙いを定めて先進国が進出し、彼らと共に経済効率を上げつつ自らの利益も上げるという形になっていく」
石原はかねてから「中国を分裂させよ」と公言してきた。石原はかつて日帝が第2次世界大戦、アジア・太平洋戦争で中国を始めアジアの民族解放闘争によっても敗北させられたことに恐怖と憎悪を抱いており、中国を分裂させその力を弱体化せよというのは、石原のファシスト的願望そのものとしてあるのだ。
しかし石原のこうした言いたい放題の暴言は、今や浮き上がった極右分子の荒唐無稽(こうとうむけい)な絵空事ではない。帝国主義自身が今や米帝ブッシュを先頭に世界戦争過程に突入し、イラクに続いて北朝鮮・中国侵略戦争をやろうとしているのだ。米軍再編(トランスフォーメーション)は何よりもそのための大攻撃である。
石原はこの米日帝の世界戦争攻撃をファシスト的な最先兵として体現し、それなしに資本主義・帝国主義は延命できないと叫んでいるのだ。そのことによって第2次世界大戦でアジア人民2000万人を虐殺し、日本の労働者人民310万人を犠牲にした破滅の歴史を、再び繰り返そうとしているのだ。
労働者の決起で石原打倒を
ところが現職の都知事が中国と戦争をやれと公言しているのに、『週刊文春』はもとよりマスコミはそれを批判しない。それどころか石原を称揚さえしている。自民、公明、民主は石原に拍手喝采(かっさい)し、日本共産党などの野党勢力もファシストを恐れ、まったく対決できない。それが石原を増長させ、「東京から日本を変える」という戦争国家化の大反革命をやらせているのだ。
ファシストを打倒する最大の力は労働者階級の団結であり労働組合の闘いだ。首都の労働者と労働組合は既成指導部をのりこえ、卒・入学式での「日の丸・君が代」強制拒否の闘いに続いて、今こそ階級的戦闘的に決起する時である。
石原に挑戦状をたたきつけ、ファシスト打倒へ闘う長谷川英憲氏を絶対に都議会に送ろう。「つくる会」教科書採択阻止、都議選勝利へ総決起しよう。
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週刊『前進』(2197号3面2)(2005/05/16)
今、杉並があぶない!
「つくる会」教科書 区長が採択要綱改悪
「新しい歴史教科書をつくる会」の歴史、公民の教科書採択を阻止する闘いの最大の焦点になっているのが東京・杉並区である。
杉並はファシスト石原の手先である山田宏が区長である。山田区長は今年の杉並区の成人式で特攻隊を賛美する発言を行い、アジア・太平洋戦争を「大東亜戦争」と言って全面肯定する超反動的人物である。山田はすでに「つくる会」系の人物を教育委員に選任するなど「つくる会」教科書の採択に向かって準備を進めてきた。杉並で「つくる会」教科書の採択を強行することによって今回は全国で10%の採択を実現しようと策動している(4年前は0・03%)。“いま杉並が危ない”のだ。
(1)4年前、山田は「つくる会」教科書を採択するために霊感商法で悪名高い統一協会(勝共連合)の新聞の主筆である大蔵雄之助と宮坂公夫を教育委員にした。山田は「つくる会」系の3人を選任しようとしたが、佐藤欣子は労働者人民の反対で阻止された。そして、多くの人民の決起で区教委を追いつめ、3対2で「つくる会」教科書採択を阻んだ。そうした中で新たに杉並区教育長になった納富善朗も山田区長の息のかかった人物だ。このままでは3対2で採択されかねない状況にある。
(2)さらに杉並区は今年の教科書採択に当たって、区立中学校教科書の採択手続き(調査事務処理要綱)を改悪し、4月19日の杉並区議会文教委員会で報告した。都政を革新する会の新城節子区議がこの問題を鋭く追及し、暴露した。
要綱改悪のポイントは、旧採択要綱には第2条「採択の基本方針」の第3項に「区民の意見を可能な限り参考にすること」とあったのを削除したことである。区は「規則で同趣旨のことを定めた」と答弁したが、その内容は「区民の意見の把握につとめる」というもので、要するに区民の意見は何も反映されない。
(3)山田区長は4年前の教科書採択に当たって「採択要綱に関する細目」で、各学校が提出する「調査研究報告書」について「特定の教科書を採択すべき教科用図書として表記したり、他の教科用図書との比較をする表記をしたりしてはならない。また、順位も付してはならない」と定めた。現場教員の意見が反映することを排除したのだ。教育現場の声も住民の声も抹殺して「つくる会」教科書を採択しようとしている。
5月17日(火)午後1時から杉並区議会文教委員会が開かれ、新城区議が追及する。傍聴・監視に詰めかけ、要綱の大改悪を阻止しよう。教育労働者や地域住民の大衆的決起が求められている。杉並区議会を包囲する数百、数千の決起で「つくる会」教科書の採択阻止は絶対に可能だ。学校を戦争教育の場に大転換させる「つくる会」教科書の採択を阻止しよう。
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週刊『前進』(2197号3面3)(2005/05/16)
杉並 住民の会が区交渉
“必要な介護保障せよ”
介護と福祉を要求する杉並住民の会は4月20日、介護保険制度改悪を阻むために杉並区交渉を行った。今回の交渉には区内のヘルパーと介護労働者の団体も参加し、総勢60人で介護保険法改悪案に対して怒りを突きつけた。
交渉は午後3時から杉並区役所で行われた。最初に杉並住民の会代表の八木ケ谷妙子さんと、介護保険に異議あり全国ネット共同代表の高田普次夫さんがあいさつし、会員が要望書を読み上げた。
要望に対して区が表明した考え方は、法改悪と政府・厚労省の政令、省令待ちという素っ気ない内容だ。厚労省は、法案が国会で審議されているにもかかわらず、介護保険制度見直しの具体的な中身を区の担当者にも示しておらず、法案を通した後で政令や省令で一切を押しつけようという強引なやり方をとっていることが明らかになった。
参加した住民は、怒りに燃えて区を追及した。糖尿病で目が不自由になり、週に4回ヘルパーに掃除と糖尿病対策の食事作りと洗濯をしてもらっている男性、心臓疾患と脳血管障害によるめまいがあり、週1回の生活援助のヘルパー派遣を受けている女性などが次々と具体的に追及していった。杉並区は「厚労省から具体的にどうなるか連絡を受けていない」と逃げの回答をした。
住民の会会員が「区は上ばかり見ないで現場の状況を見てどうするか考えないと。それが政治だ」「私の場合、週1回1時間ヘルパーが来て掃除してくれることが不可欠で、それがないと何が起こるか分からない」と次々と問いつめた。
住民の会運営委員の長谷川英憲氏が「厚労省は卑怯だ。必要な人が必要な介護が受けられるかどうかを示さないまま法律を通せと言っている」と追及した。これに対し杉並区も「必要な介護サービスは引き続き提供されるべきと考える」と言わざるを得なかった。
ヘルパーの立場からも「ヘルパーの人権も考えていただきたい。長年、献身的に支えていたヘルパーが辞めていっている。頭から湯気が出るほど怒っている」と鋭く追及した。
最後に長谷川氏が「区として区民の生きる権利を守る立場で考えるべきだ。命がかかった区民の現実が一切の土台である。高齢者が生きる権利を守っていただきたい」と訴えた。
ファシスト石原都知事を先兵とした福祉切り捨て政策がいよいよ重大な段階に来ている。4月27日には衆院厚生労働委員会で介護保険法改悪案が可決された。5月10日にも衆院を通過して参議院に送られる情勢になっている。介護保険法改悪案を絶対許さず、介護保険制度廃止に向けて闘おう。
高齢者とヘルパー・介護労働者が団結して日帝・小泉=奥田路線、ファシスト石原都政・山田区政の福祉切り捨てを阻止するために、6月都議選で長谷川英憲氏の当選を絶対にかちとろう。
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週刊『前進』(2197号3面4)(2005/05/16)
板橋高校卒業式弾圧
“起訴納得できない”
初公判で藤田先生が訴え
4月21日午後、板橋高校卒業式「日の丸・君が代」刑事弾圧裁判の初公判が東京地裁で行われた。同裁判は、昨年3月の都立板橋高校卒業式に来賓として出席した元教諭・藤田勝久さんが、開会前に式場で保護者らに週刊誌のコピーを配布して「日の丸・君が代」強制の不当性を訴えたところ、教頭らに退出を命じられ、「威力業務妨害」をデッチあげられ起訴されたもの。全国の「日の丸・君が代」闘争をめぐる裁判の中で唯一の刑事弾圧との闘いである。
東京地裁最大の104号法廷で行われたが、傍聴席をはるかに超えて100人以上が集まり、藤田さんの無罪を求める運動の広がりを示した。
法廷は、検察の起訴状読み上げに対する弁護団の求釈明から始まった。
藤田さんは「開会前の待ち時間に保護者に話しかけただけのことで、なぜ起訴されなければならないのか。今こうして被告人とされ、刑事法廷の場に立っていること自体、今もってまったく納得できない」と強い怒りをたたきつけ、公訴を棄却するよう求めた。弁護団も公訴棄却を求めて本件起訴の不当性を訴え、多数の証拠を提出した。検察が冒頭意見陳述を行った。
公判後、弁護士会館で報告集会が行われた。尾山宏弁護団長は「今、この日本で起きていることは、戒厳令下か軍事独裁政権下でなければあり得ないようなことばかり。そうでなければ、このような件で藤田さんが起訴されることなどあり得ない。この国の民主主義の危機を示している」と警鐘を乱打した。
藤田さんは「検察はきょうの冒頭意見陳述で、私を起訴した理由として『校長などの制止にもかかわらずビラを配布した』と述べた。私が話を終えてから教頭・校長が会場に来たことは、当日現場にいた人がみな知っている。こんなウソはすぐばれるものだ。こんなデッチあげで裁判を起こしていることは許せない」と強く弾劾した。(写真)
東京の「日の丸・君が代」闘争をめぐって、不当処分撤回を求める人事委員会提訴、不当解雇撤回を求める民事裁判、10・23通達の違憲・違法性を問う予防訴訟と並んで、四つめの裁判が始まった。勝利へ向けともに闘おう。
〈今後の公判日程〉
第2回 5月12日(木)13時30分〜
第3回 5月30日(月)10時〜
東京地裁
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週刊『前進』(2197号3面5)(2005/05/16)
関西 不起立闘争に感銘
教基法改悪阻止へ集会
4月16日、大阪の北区民ホールで「みんなでとめよう!教育基本法改悪/4・16全関西の集い」が開催されました。大阪を中心に、兵庫・奈良・滋賀の全関西から、教育労働者をはじめ労働者・市民200人余りが集まりました。
「『日の丸・君が代』処分と闘う教育労働者の会」の労働者から、今春の卒業式・入学式闘争の報告がありました。関西の教育労働者が、今春卒・入学式を前にして「東京を孤立させるな! 東京の教育労働者と連帯する関西からの『日の丸・君が代』強制との闘いを」と「不起立宣言運動」を行ったこと、「不起立宣言」をした仲間たちが、自ら不起立を貫くとともに、職場に積極的に不起立宣言運動を持ちこむことで重圧をはね返し、卒・入学式闘争を牽引(けんいん)したことが報告されました。また不起立運動は、教育労働者の学校現場からの戦争協力拒否闘争であること、この闘いに共感した多くの市民や労働者は、校長への強制反対の申し入れやビラまき行動に立ち上がり、学校の内と外からの闘いが組織されたことなどが感動的に語られました。参加者は教育労働者の闘いに大いに感銘し、勇気を得ました。
続いて、「教育改革」という名で行われている教育基本法改悪を先取りするさまざまな攻撃との闘いの現場から報告がありました。
学校選択制や「教職員評価システム」に反対する闘い、「知的障害者」の教育保障をかちとる闘い、夜間定時制の統廃合に反対する闘い、かつての日本の侵略戦争の実態を暴くことで「つくる会」教科書を批判した発言、在日の立場からの排外主義宣伝への弾劾、元自衛官からのイラク戦争反対アピールなどが行われました。労働者・市民の団結こそ、戦争する国づくりのための攻撃をとめる力であることが宣言され、闘いの意欲に満ちた集会となりました。
最後に、集会決議で「東京都教育委員会の教職員への処分に抗議し、戦争する国づくりの先頭に立つ石原都知事とその追随者・都教委に対して全国の力で闘うこと、朝鮮・中国、アジアの人びとの怒りに連帯し『つくる会』教科書採択を阻止すること、5月に本格的に始まろうとしている伊丹・関西の自衛隊基地からのイラク派兵を止めること、これらを戦争する国づくりのためのひとつながりの攻撃として闘うこと、教育基本法改悪・憲法改悪をとめる大運動を関西からつくりだすこと」が確認されました。そして何よりも、5月7日、「教育基本法の改悪をとめよう!5・7全国集会」へ全力でかけつけることを誓い合いました。
集会後、若者たちの太鼓のリズムで元気よく大阪・梅田までのデモ(写真)を行いました。
(投稿/大阪・H)
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週刊『前進』(2197号3面6)(2005/05/16)
都教委包囲ネット
勝利感に満ちた討議
卒・入学式を語る集会
4月23日、都教委包囲ネットワークの主催する「今回の卒・入学式で何が起こったのか!もはや戦時下/4・23卒・入学式の総括と展望を語る集会」が都内で開かれ、会場をいっぱいにする220人の参加で勝利感にあふれた熱い討議が行われました。
基調提案に続いて被処分者の会から卒・入学式での処分状況が報告され、計62人の決起をどう見るかが提起されました。何よりも都高教の中で本部春闘方針を圧倒的に否決した上に、5・7教基法改悪反対集会には8支部中7支部が参加を表明していることなど、“国と東京を変える闘いになった”ときっぱりと提起されました。
そして4度目の処分と闘う被処分者を先頭に闘いぬいた思いと自信にあふれた発言が続きました。卒業式で校長や都教委を弾劾して闘って圧倒的な共感を呼んだ卒業生や教え子も発言に立ちました。地域からは教科書闘争への発展を訴える声も出されました。
農産高校弾圧で逮捕された仲間が発言した。この弾圧と全力で闘った弁護士の怒りの報告は、配布された「卒業式黒書」とともに警察や都教委を具体的に批判する力強いものでした。
そしてこの日のメインの講演者である大内裕和さんが登場しました。短い時間ながら驚くほど鮮明に総括と展望を提起しました。
「弾圧をうち破ってこれだけの人が不起立を貫いた。これこそこの運動の命です。支援連帯の輪が広がった。高校生にも、広島を始め全国にも。都教委、政治権力者の狙いはうち破られた。校門前の弾圧は強大さを示すものではない。反動が一方的に起こったのではなく、発展が反動を引き出した。自治労、日教組が改憲の障害物になるのかどうか、ここが正念場。何よりもこれを石原打倒、つくる会教科書阻止の闘いに発展させなくてはならない。不起立者を孤立させず個々人の闘いを組合の力にして闘いましょう」
この熱い訴えを全体が受けとめ、5・7集会への大結集が確認されました。
(投稿/東京・TJ)
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週刊『前進』(2197号4面1)(2005/05/16)
共謀罪 今度こそ廃案へ
労働者の団結罰する悪法
5月審議入り阻止の国会行動を
郵政民営化法案攻防の中で、通常国会の8月上旬までという大幅な会期延長が叫ばれ、その中で5月中にも共謀罪新設法案が審議入りしようとしている。廃案か成立かの重大局面にあたり、労働者の団結を罰する悪法、戦前の治安維持法以上の悪法である共謀罪の粉砕へ決起を訴える。
一度も審議なし
共謀罪法案は03年3月に国会に提出されてから2年余り、一度も審議入りすることなく今国会まで継続審議となってきた。すでに本紙で何度も暴露してきたが、あらゆる意味で大変危険な法案である。
共謀罪は、現在の刑法のように実行行為があって初めて罪に問うものではなく、実行行為がなくても何かを考えたり、口にするだけで罪に問えるというものであり、それは思想の自由への極度の侵害をもたらす。戦後にこれだけの大がかりな悪法が準備されたのは破防法の制定時以来のことである。
共謀罪は複数の人間の間で罪を成立させるところに意味を持つ。つまり人のつながりを警察が断ち、連帯や団結そのものを罰することができる法案である。しかも一つや二つの刑罰を新しく作るというのではない。557もの罪を大量に新設する。さらに、刑事免責条項を新設して、スパイ潜入を容易にし、盗聴法の枠を拡大する。社会全体を警察の意のままにさせてしまう法案なのである。
その弾圧の対象は選別的であり、法も階級関係の「生き物」である以上、必ず戦闘的階級的労働組合や革命党に向けられる。共謀罪法案は革共同を最大の対象とし、動労千葉、全日建連帯労組関西地区生コン支部、全国金属機械港合同の3組合を始めとした戦闘的組合運動をターゲットとする超反革命法案である。それは、破防法よりも広範な対象を警察の裁量で逮捕できる、使い勝手のよい弾圧法規として登場しようとしているのである。
次々と治安立法
今国会は、憲法改悪・教育基本法改悪攻撃、郵政民営化法案などの攻防とともに、治安立法をめぐる重要な攻防となっている。
▼人身売買罪新設などを主眼に重罰化を狙う刑法改悪第2弾、▼代用監獄を容認し過酷な刑務所の処遇を法的に追認して改心教育などを盛り込んだ刑事施設処遇法案(監獄法改悪)、▼14歳以下の少年への刑事手続き開始を初めて認める少年法改悪、▼差別糾弾闘争の解体を狙いメディアへの規制を強める人権擁護法案、▼「反テロ包括法」の第1弾として指紋や生体識別のIC化を図る旅券法改悪――などに加えて、共謀罪法案がサイバー弾圧法、証人買収罪新設、強制執行妨害罪改悪とともに提出されている。
「2年以上継続している法案は必要ない」「これは思想処罰だ」「組合破壊だ」という声が澎湃(ほうはい)と巻き起こりつつある。だから、法務省は国会を修正協議の場に持ち込んでなんとか共謀罪法案を通過させようとしている。日帝は司法改悪関連法の破産的事態(裁判員制度反対が世論調査で7割を超える)の強行突破とともに、共謀罪法案の5月中の強行突破を図ろうとしているのである。
今こそ共謀罪法案反対の決起と大衆的反撃を圧倒的本格的に起こし、廃案に追い込まなければならない。
「国民投票法案」
一方、イラク侵略戦争の泥沼的遂行のもとで改憲攻撃が激化している。4月に衆参憲法調査会で採択された最終報告は、同時に国民投票法案の提出権限を憲法調査会に与えることを勧告し、今国会にも国民投票法案の策定を明確にさせた国会法改悪が出されようとしている。
この国民投票法案は、改憲の国民投票時に反対闘争を封じ込める悪辣(あくらつ)なもので、いわば改憲阻止の闘いの外堀を埋める攻撃だ。自治体労働者・教育労働者、外国人、マスコミを狙い撃ちにした禁止事項を設け、最高懲役7年の刑事罰を新設する。これに共謀罪をかぶせると、事前の大量弾圧が可能となる。
5月国会行動へ
日帝は改憲問題を先行的に治安問題化させて、反対派を国家的ゲバルトで押さえつけようとしているのである。改憲は、戦後体制を吹き飛ばす「上からの反革命的クーデター」だ。しかし他方で、改憲攻撃は、イラク侵略戦争の泥沼化・長期化と世界恐慌危機の中で日帝を頂点から吹き飛ばしかねない危機的な状況の中で進行している。
排外主義と国家主義、愛国主義、天皇制を前面に押し出した改憲攻撃は、日本国内の労働者階級の闘いとアジア人民の闘いを激しく爆発させる。国民投票法案は、この階級闘争激化への予防反革命そのものでもある。「外への侵略戦争」「内への階級戦争」を一体的に仕掛けているのである。
立川テント村自衛隊官舎ビラまき逮捕・起訴や卒業式での「日の丸・君が代」反対ビラまき逮捕、関西生コン支部弾圧などに見られるように、治安弾圧の対象を闘う大衆全体に一層拡大し、他方で、破防法をちらつかせつつ、警察力強化と新たな治安立法で弾圧体制を強化しようとしているのである。
イラク侵略戦争の泥沼化の中で改憲を強行する今日の治安立法攻撃・予防反革命攻撃の頂点が共謀罪である。一切の労働運動、大衆運動の弾圧が目的だ。戦前の治安維持法が猛威をふるったように、共謀罪が成立したら、治安弾圧は一気に歯止めなく拡大していくことになるのだ。権力の弾圧をはね返して、共謀罪阻止へ国会行動を始めあらゆる行動に全力で決起しよう。
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共謀罪阻止国会行動
◎5月11日(水)11時30分〜13時
国会議員会館前総決起集
衆院第2議員会館前
◎5月12日(木)12時〜13時
日弁連主催院内集会
衆院第1議員会館1階会議室
◎5月27日(金)11時30分〜13時、18時〜19時
国会議員会館前総決起集会
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週刊『前進』(2197号4面2)(2005/05/16)
5・22〜23狭山中央闘争アピール
棄却決定に怒りを爆発させ第3次再審闘争宣言しよう
全国部落青年戦闘同志会
5月22日、部落解放同盟全国連の呼びかけで狭山中央闘争が闘われる。翌23日には、検察に対する狭山事件の全証拠開示を求める要請行動と「人権擁護法案」の今国会への提出阻止へ向けた国会行動も闘われる。この一連の中央行動は、最高裁による3月16日の狭山第2次再審請求への特別抗告棄却に対する部落大衆と労働者階級の全力の反撃であり、戦時下への突入と小泉=奥田路線のもとで吹き荒れる部落差別に対する部落大衆の怒りの総行動でもある。狭山再審の貫徹・狭山闘争の勝利と部落差別の撤廃は、部落大衆の悲願であるとともに、労働者階級の解放の歴史的課題である。「私の人間としての尊厳を踏みにじった裁判官は断じて許せない」「どんな仕打ちをされようとも立ち上がって闘いぬく」と、特別抗告棄却への怒りをたぎらせ、なお不屈の闘志を燃やす石川一雄さんと固く連帯し、日本帝国主義による部落差別・人民分断支配への階級的怒りを込めて総結集しよう。
石川さんと連帯し国家権力糾弾を
5・22狭山中央闘争とはどのような闘いか。それは第一に、あらゆる敗北主義をのりこえて狭山再審貫徹−第3次再審闘争への熱烈な戦闘宣言を発する闘いである。
最高裁による特別抗告棄却を絶対に許すことができない。石川さんの悔しさはいかばかりだったか。この棄却によって、われわれの狭山再審貫徹の意志を奪うことはできない。狭山闘争の勝利は、ほかに譲ることのできない部落解放運動の基軸であり、三百万部落大衆の人間としての尊厳をかけた要求である。棄却に対するわれわれの回答は、第3次再審闘争に立ち上がる激しい戦闘意志であり、その熱烈な闘争宣言でなければならない。
では、第3次再審闘争はどのように闘われなくてはならないのか。
これまでの再審闘争の考え方は、石川一雄さんの「自白」と客観的事実との矛盾を明らかにするものであった。「疑わしきは罰せず」という裁判原則に基づく重要な論点である。石川さんは「犯人」ではないがゆえに、犯行の詳細については知り得ない。そのため調べれば調べるほど、「自白」と客観的事実との矛盾が出てくる。この矛盾を明らかにするために、多くの弁護人、鑑定人が新証拠の発掘などのために努力を払ってきた。
だが、東京高裁も最高裁も、第1次・第2次の再審請求において、脅迫状の筆跡、死体の状況などについて、明白な事実の食い違いを否定できないにもかかわらず、一度も事実調べを行わないまま、「心理状況」「記憶違い」「ウソ」などの勝手な憶測をデッチあげて確定判決を護持し続けてきた。これ自体がデタラメであり、裁判制度の原則を踏みにじる暴論である。ここにあるのは、真実の究明という姿勢でもなければ、「無辜(むこ)の救済」という法の精神でもない、ただただ確定判決を護持するという暴力的な国家意志のみである。この国家暴力をいかに突き破るのかが、一貫して問題となってきたのである。
では、狭山事件の再審は不可能なのか。国家暴力を打ち破って正義を実現することはけっしてできないのか。断じて否だ。
なぜか。その理由のひとつは、石川一雄さんの不屈の闘いである。仮釈放以降も「私には見えない手錠がついている」として、あえてご両親の墓前に立つことさえ自らに禁じて、無実を晴らすために闘いぬいてきた姿こそ、万人をして石川一雄さんの無実を確信させ、闘いに立ち上がらせる力を持っている。自らの人生をかけ、全精力を傾けた石川一雄さんの闘いの意志は、どんなに凶暴な、卑劣な手段を使おうとも絶対にくじくことはできない。そして、石川一雄さんの不屈の闘志があるかぎり、どのように凶暴な国家権力の牙城(がじょう)であろうとも、どのように狭い門であろうとも、それは必ず突き破ることができるのだ。
今ひとつの理由は、狭山事件の最も核心をなす事実(証拠)が、確定判決審(第2審)でも、第1次・第2次再審請求でも、まだほとんど問題にされていないということである。石川一雄さんが無実であるという証拠は、「自白」と客観的事実との矛盾にあるだけではない。最も重要な証拠は、石川一雄さんに対する捜査と「取り調べ」(「自白」のねつ造)の過程で警察が行った事実である。
狭山事件とは単なる冤罪事件ではない。警察は、石川一雄さんが無実であり、事件とはまったく関係がないことを百も承知の上で、警察(国家権力)の威信を守るために生けにえが必要だという許し難い理由によって、部落大衆に狙いを絞って石川一雄さんを犯人にデッチあげたのである。そのために何が行われたのか。狭山市内の二つの部落に対する集中見込み捜査と警察による部落差別の扇動。石川一雄さんを犯人に仕立てるための拷問、脅迫、取引の持ちかけ、証拠の偽造。裁判においては、石川一雄さんの口をふさぐための拘置所ぐるみのだましうち。これらのすべてが国家権力による極悪の差別犯罪である。
これらのすべてを再審闘争の中で徹底的に暴かなくてはならない。「『自白』が信用できない」のではなく、「自白」が作られていく過程での驚くべき権力犯罪の事実こそが問題なのである。ここにこそ狭山差別裁判の核心があり、そして石川一雄さんの無実を完璧(かんぺき)に明らかにするカギがある。そもそも、石川一雄さんの不屈の闘志の根源こそ、権力の差別犯罪に対する告発であり、自分の手で裁いてやらずにおかないという激しい怒りではないのか。
この闘いは国家権力に対する糾弾闘争そのものである。それゆえに解放同盟本部派によってはほとんど問題にされず、むしろ避けられてきた。「このように闘ったら裁判に勝てない」とされてきたのである。だが、裁判所は、この権力犯罪の事実を隠したいがために事実調べを拒否し続けているのではないのか。やつらが隠したい事実を白日のもとにさらし、これに対する徹底的な糾弾をたたきつけることこそが唯一の勝利の道なのだ。
5・22狭山中央闘争は、全国連を先頭にして、第3次再審闘争へと立ち上がっていく熱烈な戦闘宣言を発する場であり、狭山再審闘争を国家権力による差別犯罪に対する糾弾闘争として、その土台から新たに打ち立てる第一歩となる闘いなのである。
戦時下の部落差別に総反撃する闘い
5・22狭山中央闘争は第二に、吹き荒れる部落差別に対する三百万部落大衆の総反撃の闘いである。
今日、戦時下への突入のもとで部落をめぐる情勢は一変している。注目すべきことの一つ目は、部落差別事件の驚くべき激増である。兵庫県と大阪府の行政書士が興信所の手先となって「部落地名総鑑」に基づいた戸籍調査を行った事件が最近暴露された。八尾市議会では、傍聴に来ていた部落大衆に対して、日本共産党の機関紙『赤旗』を持った傍聴者が「ハイエナ」「サイボシ」「ウジ虫」「エッタ」という差別暴言を吐く事件が起こっている。「差別は当然」「部落民には人間としての権利などない」と公然と主張するような部落差別がきわめて「古典的」ともいえる形で吹き荒れている。断じて許すことができない。
注目すべきことの二つ目は、こうした事態が警察、裁判所などの国家権力や行政権力による差別の扇動のもとで引き起こされていることである。今年3〜4月にかけて、同和住宅家賃値上げ反対闘争の裁判における最高裁判決と広島地裁判決が相次いで出された。いずれも反動判決だが、特に広島判決は、改良住宅に居住し、行政による住宅地区改良法に違反した家賃値上げに反対して供託する住民に対して「不法占拠」呼ばわりして、たたき出そうとする許し難い判決である。
また、寝屋川市行政は、結婚による世帯分離のために住宅入居を申請した国守部落の住民に対して、「国守団地は(もう)同和住宅ではない」「差別の現実がない」「部落差別という言葉はない」などと主張して受理を拒否した。世帯分離のための入居申請は住宅条例や要綱に基づく正当な権利であり、これを拒否すること自体が違法である。それにとどまらず、「部落問題などもうない」「差別だというのはお前らの妄想だ」とでも言わんばかりの暴言を吐き、部落大衆への権利侵害は当然だという態度をとっている。
昨年5月の寝屋川弾圧を始めとして、国家権力や行政権力が部落大衆の権利を否定し、部落差別を公然と開き直るという事態が始まっている。これらは、同和対策事業の打ち切りによる既得権の剥奪(はくだつ)というレベルの問題ではない。「差別されても文句を言うな(差別は当然)」「もう遠慮せずに取るものは取る」というむきだしの収奪の姿勢である。
かつて、日露戦争を前後する時期に、「特殊部落」なる用語が新たに内務省によって使われたり、奈良・洞部落強制移転、別府・的が浜焼き討ち事件など、部落差別が徹底的に強化された時代があった。それは、天皇制の強化を軸にした戦時体制構築、労働運動の解体、戦争のための人民からの徹底的な収奪などの目的のもとに行われた自覚的な差別政策である。これと同じように、小泉=奥田体制による戦争と民営化の攻撃のもとで、塗炭の苦しみの中に三百万部落大衆は投げ込まれているのである。
だが部落大衆は、こういう事態を黙って耐え忍んでいるわけではない。日露戦争を前後する時代の差別政策のもとで、部落大衆は、「博多毎日新聞占拠事件」という自然発生的ではあったが激烈な糾弾闘争から、米騒動を経て、水平社の創立を成し遂げた。差別に対する耐え難い怒りは、ついに、ひとつの糾弾闘争を合図にして歴史的な団結と行動へと結びついていった。そして、水平社という身分的差別と闘う団結を媒介にして、部落大衆は帝国主義の階級支配に立ち向かう労働者階級の闘いへの合流をかちとっていった。
今こそ、この道筋が鮮烈に告げ知らされなくてはならない。全国の部落には耐え難い怒りが渦巻き、部落大衆は行動を求めて動き始めている。国家権力による弾圧と本部派の総転向のもとで差別糾弾闘争が絶滅されかねないという情勢を突き破って、部落大衆は、全国連の苦闘と指導を媒介にして徐々に糾弾闘争に立ち上がり始めている。寝屋川弾圧との闘いを始めとして、いわば差別糾弾闘争の源流の水滴が各地でわき出し始めている。この闘いを一個の巨大な奔流にしていかなければならない。
5・22狭山中央闘争は闘う部落大衆の総結集の場である。戦時下の情勢の中で生きるために、人間としての権利を守るためにこのように闘おうという道筋を鮮烈に告げ知らせ、ともに確認し、闘いを誓い合う場である。そして、力を合わせて、戦争と民営化、差別の元凶である日本帝国主義・国家権力への総反撃をたたきつける場なのである。
階級的共同闘争で狭山闘争の勝利を
5・22狭山中央闘争は第三に、教育基本法改悪阻止・改憲阻止の闘い、「日の丸・君が代」強制と闘う教労を始め、4大産別決戦と熱烈に連帯し、その同盟軍をつくりだしていく闘いである。
「日の丸・君が代」強制反対、教基法改悪阻止の闘いは、教育労働者の階級的魂をかけた闘いであるとともに、部落解放運動(解放教育)の存亡をかけた闘いであり、部落大衆こそ、もう一方の主人公である。また、部落民労働者の大きなかたまりをなす現業労働者は、自治体労働運動の戦闘的中核をなすなど、4大産別決戦の一個の勢力をなしている。
また、03年に廃案となった人権擁護法案の今国会再提出を阻止する闘いを階級的共同闘争として闘わなくてはならない。この法案は、差別問題を国家権力が一元的に管理して差別糾弾闘争を撲滅するとともに、法務省のもとに部落解放同盟を始めとする諸団体を統括しようとする恐るべき法案である。それはまた、マスコミ弾圧、戦時体制づくりの重大な攻撃にほかならない。解放同盟本部派がこの攻撃の手先となっていることに激しい怒りを持ち、マスコミ労働者や差別と闘うすべての人びととともに人権擁護法案提出阻止のために闘おう。
5・22狭山中央闘争は、狭山闘争を基軸とした部落解放運動にとって、その興廃をかけた戦時下での一大決戦である。それは同時に、教基法闘争、4大産別決戦への熱烈な連帯を込めた闘いでもある。何よりも、ファシスト石原打倒、「つくる会」教科書採択阻止の杉並での都議選との熱烈な連帯の闘いである。狭山闘争は、70年代がそうであったように、階級的共同闘争として闘われることによってこそ勝利することができる。狭山闘争の陣形こそ「帝国主義の墓掘り人」の陣形なのである。
全国連の渾身(こんしん)の檄(げき)にこたえて、5月22日、東京・星陵会館に総結集しよう!
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不当逮捕42カ年、第2次再審棄却決定弾劾!
第3次再審勝利! 人権擁護法案粉砕!
5・22狭山中央闘争
5月22日(日)午後1時開場 1時15分開会
星陵会館(東京都千代田区永田町2)
集会後、最高裁糾弾デモ
主催/部落解放同盟全国連
共催/部落解放共闘会議
◎狭山棄却抗議・人権擁護法案提出阻止!国会行動
5月23日(月)午前10時 星陵会館集合
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週刊『前進』(2197号4面3)(2005/05/16)
今夏の派兵阻止へ
福岡・天神で集会とデモ
福岡市天神で4月29日、「アメリカのイラク攻撃を許さない実行委員会」が集会とデモを行いました。
集会の冒頭、実行委員会の青柳行信さんがイラクの現状と現地の闘いについて発言し、今夏に予定されている春日駐屯地を始め九州各地からの500人規模の自衛隊のイラク派兵を阻止することを訴えました。
中国・朝鮮人民の抗日闘争の支持を表明する発言が続き、今日の日帝の侵略行為に対する批判が相次ぎました。教育労働者が「つくる会」教科書の検定合格に対して怒りの発言を行いました。4月29日は昭和天皇の誕生日でもあり、天皇制賛美の歴史教科書を採択させないことを訴えました。
中国・韓国の抗日闘争の爆発は「歴史認識の相違」が問題の本質ではなく、何より日帝のアジア再侵略に対する、民族解放闘争の爆発です。私たちは日帝のアジア侵略と真っ向から対決し、アジア人民と連帯して日帝の息の根を止めるために闘いに立ち上がる決意です。
(投稿/野田 剛)
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週刊『前進』(2197号4面4)(2005/05/16)
4月20日〜5月3日
「反省を行動に」と中国主席
国会議員80人が靖国を参拝
●参院憲法調査会が報告書 参院憲法調査会が5年間の議論をまとめた最終報告書を自民、民主、公明3党の賛成多数で議決し、扇参院議長に提出した。(20日)
●「過去を反省・おわび」表明 ジャカルタで開催されたアジア・アフリカ会議で小泉首相が演説し、植民地支配と侵略によって損害や苦痛を与えたアジア諸国に「痛切な反省と心からのおわび」を表明、95年の村山首相談話に基づく歴史認識を強調した。(22日)
●国会議員80人が靖国参拝 自民、民主などの超党派議員でつくる「みんなで靖国神社に参拝する国会議員の会」(266人)の国会議員80人が、春季例大祭期間中の靖国神社に集団で参拝した。中国外務省が談話を発表し、「強烈な不満」を表明した。(22日)
●日中首脳会談 ジャカルタ市内のホテルで小泉首相と中国の胡錦涛国家主席が会談した。胡主席は小泉の靖国神社参拝や教科書問題に触れ、「歴史を正しく認識し対処してほしい。反省を実際の行動に移してほしい」と求めた。(23日)
●天皇のサイパン訪問を閣議決定 天皇が6月27日から28日まで、戦争犠牲者を慰霊するとして、北マリアナ諸島のサイパン島を訪問することを閣議決定した。「慰霊」のための天皇の海外訪問は初めて。(26日)
●イラク第6次隊に派遣命令 大野防衛庁長官が陸上自衛隊第6次支援群に対しイラク派遣命令を出した。陸自第3師団(伊丹)を中心に近畿、中国、四国の部隊で編成、隊員は500人規模。(26日)
●都市型訓練施設、建設場所を変更 沖縄県金武町の米軍キャンプ・ハンセン「レンジ4」に完成間近の都市型訓練施設について、日米両政府が同演習場内のレンジ16に新たに代替施設を建設することで合意、県も承諾したと政府が発表した。米軍は代替施設建設までレンジ4の施設を使用する方針。(28日)
●イラク新政権発足 新憲法制定などを担うとするイラク移行政府が発足した。石油相、国防相などの重要ポストの一部は首相や副首相が兼務する見切り発車となった。(28日)
●「北朝鮮に核弾頭化能力」 米国防情報局(DIA)のジャコビー局長が上院軍事委員会の公聴会で証言し、北朝鮮が米本土に到達可能な長距離弾道ミサイルの弾道に核兵器を搭載する能力があるとの見方を明らかにした。ブッシュ大統領も記者会見で「(核弾頭化)能力があると想定するのが最善の策だ」と述べた。(28日)
●「東アジア共同体に反対」 アーミテージ米前国務副長官が朝日新聞のインタビューで、日本政府が進める東アジア共同体構想について「米国がアジアで歓迎されていないと主張するのとほとんど変わりない」として、反対する考えを示した。(29日)
●海自、乗船検査参加へ 大野防衛庁長官は、シンガポール主催で8月に予定されている大量破壊兵器拡散防止構想(PSI)の多国間合同訓練に、自衛隊が乗船検査を含め、本格的に参加することを検討していると明らかにした。他国主催のPSI訓練への実動部隊派遣は初めて。(1日)
●米軍、先制核攻撃も選択肢 「ならず者国家」やテロ組織が大量破壊兵器を使い、米国や日本などの同盟国を攻撃する危険が迫った場合に、在日米軍を傘下に置く太平洋軍など各地域統合軍の司令官が、ブッシュ大統領に戦術核兵器の使用許可を要請できるとの方針を統合参謀本部が策定、先制核攻撃の選択肢を温存していることが最新の米軍文書などから明らかになった。(1日)
●日米外相会談 訪米中の町村外相がライス米国務長官と会談した。町村は国連安保理常任理事国入りをめざして活動することに理解を求めた。(2日)
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週刊『前進』(2197号5面1)(2005/05/16)
衆参憲法調査会報告弾劾する
「9条2項の廃止」を提言 改憲へ後継機関設置狙う
衆参両院の憲法調査会はこの4月、相次いで最終報告書を提出した。その内容は、憲法9条の解体を最大の柱とする改憲への全面的な提言である。これを受けていよいよ改憲のための国民投票法案の制定が次の攻撃として浮上した。政府・自民党は民主党を抱き込んで、憲法調査会の後継機関を今国会中に設置し、そこで国民投票法案の策定と審議を始めようとしている。また、自民党の改憲草案作成作業の一角に「つくる会」教科書の監修者が新たに加わることも判明した。教科書攻撃と改憲攻撃は完全に表裏一体だ。「つくる会」教科書採択を阻止する東京・杉並を頂点とした決戦に絶対に勝利し、改憲と教育基本法改悪の阻止へ、闘いをさらに強めよう。
集団的自衛権を容認非常事態規定新設も
衆参両院の憲法調査会による最終報告は、4月15日に衆院で、20日に参院で、それぞれ提出された。両調査会は2000年1月の発足から5年余、「調査」の名目で憲法の全条項について、改憲への道筋をつけることを目的とした審議を積み重ねてきた。その結果の二つの報告書は、与野党間で意見が割れた部分は両論併記をするなど、反対意見にも配慮したと見せかける体裁をとっているものの、中身はあからさまな改憲提言となっている。
とりわけ衆院の報告書は、憲法9条の解体を真っ向から打ち出している。
第一に、「自衛権の行使として武力の行使を認める」ことを、調査会を構成する50人の衆院議員の3分の2を超える多数意見であると宣言した。そのために、「自衛権及び自衛隊について何らかの憲法上の措置をとること」が必要であるとしている。具体的には、9条1項の戦争放棄の規定をペテン的に「維持する」とした上で、一切の戦力を持たず国の交戦権も認めないとしてきた9条2項を廃止し、逆に戦力の保有とその発動を憲法に書き込むということだ。
第二に、集団的自衛権の行使については、@全面的(無制限)に認めるA制限つきで認めるB認めない――という三つの意見に分かれたとしているが、@とAを合わせれば集団的自衛権容認が国会の多数派だと強調している。
第三に、「国際協力」や「国連の集団的安全保障活動への参加」の名で、海外派兵をどしどし推進すべきだと言っている。日本を戦争のできる国につくり変えることを国会の名で公然と提唱したのである。
この憲法9条解体と併せて、国家非常事態に関する規定の新設が打ち出されたことも重大である。非常時には首相が独裁的権限を掌握し、憲法を停止して超法規的措置をとること、すなわち戒厳令の導入に「積極的意見が多く述べられた」と強調しているのだ。このほかにも、憲法前文への「わが国固有の歴史・文化・伝統」の明記や、首相のリーダーシップの強化、道州制導入などが多数意見として打ち出されている。
さらに、国民投票法の制定など改憲に必要な手続きの整備を急ぐべきだとし、そのために憲法調査会を解散せずに改組して存続させる方針をも提起した。
一方、参院憲法調査会の報告書は、参院の構成を反映して、自民・公明・民主3党の一致をそのまま「多数意見」として押し出すことはできていない。
だが、9条改憲については次の一点で衆院以上に決定的に踏み込んでいる。「個別的自衛権の保有」と「自衛のための必要最小限度の組織の必要性」を、自公民だけでなく日本共産党と社民党をも含めた5党全体の「共通認識」としたことだ。自衛権を「国家固有の権利」とし、軍隊の保有を国家に不可欠として承認することを、社・共の屈服をテコに“国会(参院)の総意'と宣言したのである。
日帝が今、現に帝国主義国家として米帝と枢軸を形成してイラク侵略戦争を推進し、さらに北朝鮮・中国侵略戦争に突き進もうとしている中で、この二つの報告書のもつ位置は重大だ。徹底的に弾劾し、粉砕しなければならない。
自民の改憲案作成とも対応
こうした憲法調査会の最終報告の内容は、自民党が現在急ピッチで作成作業を進めている改憲草案の内容とも、多くの点で密接に重なり合っている。自民党の新憲法起草委員会は4月4日、10の小委員会に分かれて行ってきた議論を集約した要綱案を発表した。最も重要な部分は以下の点だ。
@憲法の前文を全面的に書き換え、「日本の歴史・伝統・文化」や「国民とともに歩んできた天皇の存在」を盛り込む。
A9条2項を廃止し、「自衛軍」の保有と集団的自衛権の行使を認める。
B国家非常事態規定の新設。
C「国防の責務」「社会的費用を負担する責務」「家庭を保護する責務」の導入。
D表現の自由と結社の自由について、「公共の秩序」に反するものは認めない。
E政教分離規定を緩和し、靖国神社公式参拝を合法化する。
F首相の権限の飛躍的強化。
F軍事裁判所の設置。
G憲法改正手続きの緩和(国会議員の3分の2の賛成から過半数の賛成で可能に)。
このほか、環境権などいわゆる「新しい権利」の導入や、国会を形骸(けいがい)化し、地方自治を解体する内容が打ち出されている。そのすべてが新たな侵略戦争・世界戦争の遂行へ向け、現憲法を全面的に解体して戦争国家への大転換をめざすものである。
日帝ブルジョアジーは、日本経団連の本年1月の提言に示されるように、今や支配階級の総力を挙げて改憲攻撃に突進している。アジアを日帝の勢力圏として再び軍事力をもって支配することなしに、帝国主義として生き残れないという危機感と焦りに駆り立てられているからだ。憲法調査会の報告は自民党の改憲案とともに、この日帝の危機感を百パーセント体現したものとなっている。
反対運動を圧殺する国民投票法案阻止を
憲法調査会の最終報告書提出をもって、改憲攻撃は新たな段階に入った。小泉政権と自民党は、改憲への具体的なステップとして、今国会中にまず国会法を改正して憲法調査会の後継機関を設置し、そこに国民投票法案を始めとした憲法改正手続きを審議する権限を与えようとしている。そして公明党とともに民主党をも抱き込んで、国民投票法案の早期の国会提出と成立をもくろんでいる。
憲法記念日の5月3日、衆院憲法調査会の中山太郎会長と参院憲法調査会の関谷勝嗣会長は、民間憲法臨調(「21世紀の日本と憲法」有識者懇談会、三浦朱門代表世話人)という極右勢力が主催するシンポジウムにそろって出席した。そこで中山は、今国会中に憲法調査会を改組して新たに「憲法調査委員会」を設けると発言し、その目的は「憲法改正のための国民投票法案を作成し、審議し、成立させること」にあると述べている。
国民投票法案の最大の狙いは、本紙2192号5面で暴露したように、労働者人民の改憲阻止闘争の圧殺にある。公務員・教育者・外国人の運動参加を罰則をもって禁止し、改憲についての言論・表現の自由と報道の自由を根こそぎ奪うことをたくらんでいるのだ。すでに第二東京弁護士会の声明を始め、日弁連やマスコミ労働者の中からも警鐘が乱打されている。
さらに、自民党は新憲法起草委の要綱案を5月中に諮問会議にはかり、未決着の論点を整理した上で具体的な草案作成作業に入ろうとしている。この諮問会議は、歴代の首相と衆参両院議長経験者、財界の代表、労働界代表、憲法学者などで構成される。
特に注目すべきは、「つくる会」の歴史教科書の監修者である元駐タイ大使の岡崎久彦が、その一員に加わっていることだ。これは「つくる会」教科書の作成とその検定合格が、政府・自民党による改憲や教育基本法改悪攻撃と完全に一体のものとして推し進められていることを示している。
「つくる会」教科書の採択を阻止することは、改憲阻止への突破口を開く闘いだ。杉並を先頭に絶対に勝利をもぎとろう。
(坂本千秋)
衆院憲法調査会報告の骨子
▼前文に「わが国固有の歴史・伝統・文化」 を明記する
▼自衛権の行使として武力行使を認める
▼国連の集団安全保障への積極的参加
▼国家非常事態規定の新設
▼改憲のための国民投票法の整備
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週刊『前進』(2197号5面2)(2005/05/16)
辺野古 24時間の海上攻防続く
卑劣な夜間作業に怒り
“新基地阻止の正念場だ”
沖縄・名護市辺野古では大型連休返上で海上基地建設のためのボーリング調査を阻止する激戦が24時間態勢で続いている。5・15平和行進と普天間包囲大行動を前に、辺野古は文字どおりの決戦に入った。米軍再編協議のタイムリミットとの関係でも、日帝・小泉政権は完全に追い詰められている。だからこそ防衛施設庁(那覇防衛施設局)は凶暴化し、夜間作業強行に出たのである。今ここで踏ん張れば絶対に勝てる。
昨年4月19日から丸1年、地元辺野古のおじい、おばあを先頭にした座り込みは、那覇防衛施設局のボーリングを完全に阻んでいる。昨年9月9日に始まった海上での作業によってリーフ内に4基のボーリング用単管ヤグラ(鉄パイプを組んだ4b四方の足場)が建設されたが、すでに半年間も海水に洗われ、さび付き、傾いて、いつ崩壊するかわからない状態だ。反対派は逆にそのヤグラに座り込んで阻止してきた。予定された63カ所のボーリングはまったく進んでいない。
焦りに駆られた日帝・防衛施設庁は、作業日程を1年間延長し、4月21日にボーリングを強行する、妨害者は排除・逮捕すると公言するに至った。この超緊迫下で迎えた4・17一周年集会には辺野古の浜に450人が結集、「今が最大の正念場」(安次富浩ヘリ基地反対協代表)とボーリング絶対阻止を誓い合った。
20日朝、攻防は始まった。米海兵隊基地であるキャンプ・シュワブの浜から作業船に単管ヤグラの資材が運び出されている! 新たなヤグラを建設しようというのだ。
新ヤグラを策動
第3ヤグラと第5ヤグラ(第4ヤグラは昨秋撤去)の間に設置作業を始めた。そのポイントに海上阻止船が直行、行動隊が海に飛び込み、潜って作業を阻止する。国頭、東、宜野座、金武、石川などの海人(ウミンチュ=漁民)が漁船で駆けつけ、その数は19隻に。さらに別のポイントでも阻止行動が続いた。施設局がチャーターした作業船、警戒船、さらに第11管区海上保安本部の船が入り乱れる攻防の末、1カ所で海中に投げ入れた単管もきっちりと回収させ、全作業を完全に阻止した。
翌21日も施設局は13隻の作業船を出し、リーフ内の2カ所に新たな単管ヤグラを設置しようとしたが、すでに前日の攻防を知って県内各地から労働者、学生、市民が夜明け前から構えていた。阻止船19隻、海上の四つのヤグラには過去最多の約百人が登った。
ヘリ基地反対協と基地の県内移設に反対する県民会議は、テント前で記者会見し、「ボーリング調査を阻止し、辺野古での基地建設を断念させ、普天間基地を即時閉鎖・撤去させるまであと一歩です。今が正念場です」と「県民の総立ち上がり」を呼びかけた。
この午後、辺野古沖から北東約10`の名護市嘉陽沖のリーフを泳ぐ1頭のジュゴンが目撃された。
「満月まつり」
施設局の踏み込みを阻止して迎えた24日日曜日、恒例となった「満月まつり」が辺野古ヌ浜で開催された。韓国やアメリカ、オーストラリアなど海外11カ所、国内64カ所で同時開催の国際共同行動だ。
参加したミュージシャンらがそれぞれの思いを歌いあげる中、命を守る会の金城祐治代表が熱い思いを語った。「小さな運動ですが継続することによってこんな大きな闘いになりました。苦しい闘いは日夜続けられることと思いますが、リーダーとなりうる若い人たちが大勢駆けつけ、心強い闘いとなりました」
ヤグラに金網が
26日午前6時、すでにヤグラが20隻以上の作業船によって囲まれ占拠されている! ヤグラに座り込めないように第1、第3、第5ヤグラの周りに金網が張られ、第5ヤグラには機材が運び込まれている。第2ヤグラだけが前日のまま。
抗議船が、辺野古漁港に集まった人をどんどんヤグラに運ぶ。海はまだ薄暗く、波も荒い。その中をヤグラに向かって果敢に飛び込み、金網に取り付き、登れる人は金網をよじ登り、潜れる人は海中からヤグラの中へ突入した。この攻防によって、施設局は作業を中止せざるをえず、作業員をヤグラから撤退させた。
作業は午前2時ころから進められていた。ジュゴンへの影響に配慮し、作業は日の出1時間後から日没1時間前までとする使用協議書さえ踏みにじる暴挙だ。これを那覇防衛施設局は、掘削以外の作業は夜間でも構わない、24時間態勢で作業を進めると居直った。
そして、この日から施設局は、夜間も警戒船でヤグラを張り込み、反対派がヤグラから離れればいつでも作業を強行するという態勢に入った。ダイバーに夜間作業を強制した上、作業船の夜間灯を消すなど、絶対的な海の安全ルールをも踏みにじるありさまだ。
物量にものを言わせ、反対派に極度の疲労を強制しようというのか。怒りは倍加した。こうして26日から夜を徹して海上ヤグラにろう城するという、かつてない闘いに突入した。海上行動隊は一歩も引かず、「辺野古の海に杭(くい)一本打たせやしない!」「新基地建設を止めよう!」と全国に呼びかけている。
海上に座り込んだ島田善次牧師は断言した。「辺野古でこの基地を止めることができたら、沖縄だけでなく全国が変わる。世界が変わる」と。
全国から辺野古に駆けつけよう。5・15普天間基地包囲行動に結集しよう。日帝・小泉政権、防衛施設庁・那覇防衛施設局への抗議を集中しよう。海上攻防を支えるカンパを届けよう。(本紙・永田朋実)
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週刊『前進』(2197号5面3)(2005/05/16)
共謀罪を廃案に 前進社出版部編
「事件」なしでも一網打尽
戦時下の治安弾圧法を暴く
教育基本法改悪・改憲、戦争国家化・戦争動員の大攻撃が激化している。その中で、労働運動・反戦闘争などに対する「戦時下の治安弾圧」が強まってきている。反体制政治組織だけでなく、市民運動を含むあらゆる闘いを壊滅することを目的とした共謀罪法案の今国会成立が狙われている。この危険極まる状況に対し警鐘を打ち鳴らし、共謀罪新設絶対粉砕の闘いを呼びかけたブックレット『共謀罪を廃案に』が緊急出版された。
治安維持法以上の悪法
本書は、第2章の「共謀罪の新設を粉砕しよう」を軸に、第1章「戦時型治安体制への大転換」、第3章「裁判員制度の導入に反対しよう」、第4章「イラク侵略戦争と米愛国者法」、そして第5章「戦時下の治安弾圧激化とたたかおう」から成っている。日帝の治安弾圧攻撃の最頂点に立つ共謀罪の恐るべき本質を論じた第2章を中心に、治安攻撃の全体像を知り、それを打ち破って勝利する道筋を描き出している。
中心の第2章では、共謀罪の核心をずばり、次のように暴く。「事件」が何も発生していなくても、国家権力が「組織的に共謀した」と決めつければそれだけで逮捕・投獄できる。きわめてあいまいな共謀規定によるデッチあげ横行が常態となる。治安維持法以上の悪法であり、思想や言論の段階であらゆる団体や運動の弾圧ができる希代の思想処罰・団結禁止法だ。
刑法など五百数十の罪に共謀罪を新設し、それらの犯罪のための共謀と見なされただけで5年以下または2年以下の懲役・禁固。自首「減免」規定でスパイ分子の潜入を促進。尾行・張り込みの激化、盗聴法の適用拡大、室内盗聴や電子メールの保全・リアルタイム盗聴などの「捜査」手法の拡大、「泳がせ・おとり捜査」「司法取引」の導入……。共謀罪成立を許せば、労働者人民にこうした攻撃が襲いかかってくる。完全な警察国家化だ。
第1章は、このような共謀罪攻撃の重大性を確認する前提として、背景である帝国主義の危機と戦争国家化の必然性を押さえている。そして、この攻撃の歴史的意味を明らかにしている。90年代半ばから一挙にエスカレートした戦時型治安弾圧体制への大転換を暴露している。
@警察法改悪と警察官増員・Nシステム増加、全国自治体での生活安全条例制定と街頭などにおける監視カメラの急増、自治体や学校に対する警察支配の開始。A組織的犯罪対策3法、改悪住民基本台帳法、団体規制法など、一連の治安法の矢継ぎ早の制定。B戦時型司法への大転換としての司法改革攻撃、弁護士への翼賛化・日弁連解体攻撃。C「日の丸・君が代」強制反対のビラまきや全日建運輸連帯労組関西地区生コン支部に対する弾圧など、労働運動・反戦闘争へのかつてない不当弾圧の頻発。
第3章では、戦時司法への転換の軸をなす裁判員制度導入、日弁連解体の国営「日本司法支援センター」設置攻撃の核心を鋭く解説している。
第4章は、戦時型治安弾圧の大転換にかけた日帝の究極的狙いがどこにあるかを暴き出している。日帝・小泉政権は、日本型愛国者法「反テロ包括法」=「テロの未然防止に関する行動計画」を打ち出している。「テロ」対策を名目に、革命党や労働組合などの組織解体と団結権破壊をめざす弾圧の一挙的強化がたくらまれているのだ。
その凶暴性を暴く前提として、米国の「愛国者法」のTとUについて、明快に解説。この章はこのパンフの白眉(はくび)である。
こうした凶暴な攻撃は、イラク侵略戦争に参戦した日帝が労働者人民に対し戦後憲法体制の転覆をかけて開始した総攻撃にほかならないと、本書は指摘する。
団結こそ勝利のかなめ
帝国主義の深刻な危機と侵略戦争への突入の中で、反戦闘争・労働運動の新たな闘いが権力の激しい治安弾圧を打ち破って前進している。戦時下に突入した今、革命党の存在と労働者階級人民の団結した闘いによって打倒されかねない恐怖に取りつかれ、日帝は帝国主義の本性もむきだしに、「上からの内乱」として先制的に治安弾圧攻撃を拡大している。
国家暴力・恫喝・予防反革命。これが治安弾圧・共謀罪の本質だ。「完黙・非転向」を武器に、不退転の意志を固め、労働者階級の団結を強化し、断固として改憲阻止・日帝打倒の階級決戦を闘いぬけば、治安弾圧で労働者階級人民の闘いを崩壊させることはできない。本書は、このことを力を込めて訴えている。
5月中旬にも共謀罪の審議が強行されようとしている。連休明けにも共謀罪審議入りと言われている。本書を一刻も早く読み、学ぼう。そして職場・学園・地域に持ち込み、多くの労働者人民に読んでもらおう。治安弾圧との闘いをすべての闘いと結合し、共謀罪の廃案を絶対にかちとろう。朝鮮・中国人民の決起と固く連帯し、ファシスト石原打倒・都議選勝利、改憲阻止、日帝打倒へ突き進もう。
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週刊『前進』(2197号6面1)(2005/05/16)
すべての全逓労働者に本山勝利の報告を 全逓OB 早川繁雄
闘うすべての諸君! 全金本山の勝利を、連合下で苦しんでいる自分たちの職場、地域、産別のすべての労働者に報告していこう。
34年にわたる長期争議、国家権力と一体となった暴力弾圧に屈せず闘いぬき、ついに勝利した全金本山の闘いは、広範な労働者にものすごい共感と勇気を与えている。とりわけ郵政民営化攻撃の真っただ中にあって、当局の手先になり果てたJPU(全逓)中央本部によって極限的無権利状態にたたき込まれ、苦しみ、悩みながらも歯を食いしばって頑張っているすべての全逓労働者にとって、全金本山の見事な勝利は、反マル生・反処分闘争の4・28高裁勝利判決に続く大きな激励となっている。
ほとんどの全逓労働者は、物資販売活動をとおして全金本山を支援してきた経験を持っている。その陣形は動労千葉の物販網と重なりつつも、もっとより広範囲であった。
私は、この4月で退職9年目を迎えたが、現役時代、カクマルと国家権力の二重の反革命との闘いのもとで、全逓の連合化が現場段階まで飲み込もうとする攻撃と対決する最大の武器は、総分会「日刊紙」発行権の掌握(6400号まで発刊)と反マル生・反処分4・28連絡会の確立、そして全金本山と動労千葉の物販活動であった。
この活動をともに担ってくれる人づくりが活動家形成そのものであった。その陣形で総分会執行権奪取にうって出るところまで上り詰めることができた。
物販活動の開始が遅れると「物販はまだなのか」とハッパをかけられ、あわてて「物販担当者会議」を招集したこともあった。
昼休み、物販カタログを持って職場を回っていた時、「いま、組合らしいのは『いしずえ』(日刊紙)と物販と4・28だけだなー」と組合員からいつも激励された。全逓労働者にとって全金本山、動労千葉の闘いと動向は身近なものであった。
私の全逓調布総分会を担当してくれた全金本山の人は、中野勇也さんだった。年2回、昼休みに組合事務室で会い、在室の運営委員への現状報告と若干の討議を終えてから、局の食堂で昼飯を一緒に食べてもらった。明るく、キビキビしている中野勇也さんはすっかり組合員にとけ込んでいた。
全逓調布における動労千葉と全金本山の物販活動は、私の退職後3年間続いたが、人事交流という名の強制配転攻撃が物販を担った人たちを真っ先に襲ったことと、連合全逓からのプレッシャーで途絶えてしまった。しかし、全逓労働者たちはあちこちに飛ばされようとも、動労千葉と全金本山の闘いを忘れることはない。
郵政民営化攻撃を粉砕し、4・28反マル生・反処分最高裁闘争の勝利、被免職者の原職奪還をめざすわれわれは、もっともっと大きな声で全逓労働者に全金本山の大勝利を告げ知らせよう。そして「全金本山や動労千葉のように闘い、勝利しよう!」と訴え、郵政民営化攻撃と闘う陣形をどんどん広げていこう。
連続10日間を超えた派兵中止の申し入れ 兵庫 上野 俊
5月7日の自衛隊第3師団のイラク派兵が決まった4月23日から、私たちは地元勢力として、伊丹・千僧基地で関西各地の人士・同志の応援を得て、連日の派兵反対の申し入れと、隊員へのビラ配り、周辺民家へのビラ入れなどを続けている。
4月23日は自衛隊がバリケードを造り、私たちの3倍も動員した権力との激突となり、新聞に「付近は一時騒然とした」と報道された。しかし、親子4代の家族ぐるみの一家や、関西合同労組分会に支えられ、少ない日は5人、多い日でも8人程度だが、地元資本を筆頭とする反動勢力の介入を許さず、闘いぬいてきた。
初めはかたくなな態度の自衛隊と隊員たちも、私たちの懸命の申し入れに耳を傾け、ビラを受け取るようになった。
まだ「化学反応」とまではいかないが、ビラを読んだ下士官クラスの隊員が「このビラはいい。私もイラクなど行きたくない。隊内にも行きたいなどと言う隊員はいない。自衛隊で飯を食ってきた者として、命令されれば行かざるを得ないが、隊員だからといってなぜイラクなのか。今の政治家はおかしい」と本音を吐露した。またある隊員は「ビラをもう1枚くれ」と引き返して受け取った。
申し入れ対応の三佐とは軽口も言える関係が成立した。直立不動が基本の複数の警備隊員とも会話ができるようになった。私たちに接する隊員が、次第に生身の人間として対応するようになったのだ。
私たちのビラを快く受け取る隊員の姿は、「自衛隊員は軍服を着た労働者」との確信をより一層強めた。
もちろん、派兵が既成化してきたことも事実だ。伊丹の町に地元資本や商工会議所によって、戦前の出征に似た「黄色いハンカチ」と「イラク派遣の自衛隊員の皆様のご無事をお祈りします」の横断幕が掲げられている。
だが、私たちは権力の「憲法より道交法が大切だ」「憲法や法律、条令など関係ない」などの暴言を許さず、また派兵当日の闘いを放棄した日本共産党を弾劾し、地元責任勢力として「派兵が止められる」まで、さらに連続した行動を継続する決意である。
「障害者自立支援法」反対集会に参加して 関東障解委 長沢真紀
先日、障害者自立支援法反対の院内集会に参加しました。参加者は70人くらい。この法律は「障害者」版の介護保険制度だということで「障害者」の間から強い反対の声があがっています。
この日は、社民党の福島瑞穂さんから「憲法25条の生存権を侵すものだ。障害者自立支援法も改憲の流れの中に位置づけられたものととらえている。廃案を求める」という発言がありました。民主党からは何人も秘書の参加はありましたが、発言はなし。民主党としては見直し要求のようです。
共産党は一応法案には反対しているそうですが、この集会が単に反対というのではなく、廃案を強く求めているせいか、秘書を含めて参加はゼロでした。でも共産党関係の「障害者」団体からも応益負担導入に反対する署名運動が大きくまきおこっています。
地域自立生活をしている「障害者」の団体は、昨年2千人規模の厚生労働省抗議行動を2回行い、介護保険への統合をくい止めてきました。それで厚労省は、今回の介護保険改悪では「障害者」の統合を見送る代わりに障害者自立支援法案を出してきたわけです。
この法案が国会に提出された2月にも、1200人が集まって、車椅子を連ねて抗議のデモを行いました。寒い最中、厚労省前の泊まり込み行動も百人から二百人規模で2回やっています。全面介助が必要な「重度障害者」が、北は北海道から南は沖縄まで、東京に集まるだけでも大変なのに、これらの行動に参加している。このことに私はひたすら感心していました。
でも今回の院内集会で一番印象深かったのは、参加した「障害者」の発言です。「あれだけの闘争をやっても国会に提出されてしまった以上、もっと身体を張った闘いをやらなくては。法案がとおって殺されるくらいなら、ハンストをやっても命がけで行動しよう」と語っていました。これが生存闘争の強さでしょうか。「あれだけやっても……」「だから闘ってもムダ」ではありません。私も頑張らなくては、と気持ちが引き締まりました。
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週刊『前進』(2197号6面2)(2005/05/16)
迎賓館・横田裁判 無実の福嶋同志に12年求刑
検察の暴挙絶対粉砕を
4月26日、東京地裁刑事第3部(服部悟裁判長)において、検察官は無実の福嶋昌男同志に対して懲役12年もの重刑を求刑した。この暴挙を断じて許すことはできない。
福嶋同志は、1986年の天皇在位60年式典と東京サミットを粉砕する迎賓館と米軍横田基地へのロケット弾戦闘に関して、「爆取1条(爆発物の使用)」の「共謀共同正犯」として93年3月にデッチあげ逮捕され、12年にわたって裁判闘争を闘ってきた。昨年11月22日に保釈をかちとったが、12年も判決なしで東京拘置所に勾留されていたのである。この前代未聞の人権侵害を強制してきた検察官が、さらに12年も求刑するなど言語道断である。
検察官の論告は、午前10時から午後3時まで行われた。これまで裁判を担当してきた者とは異なる新たな4人の検察官が、281nにわたる論告を代わる代わる朗読したが、小声で早口である上、省略ばかりしており、自信のなさが誰の目にも明らかだ。
福嶋同志は、終始一貫して検事をにらみすえ、怒りを全身にたぎらせていた。
検察官の論告は、すでに昨年3月25日に一審無罪判決をかちとっている須賀武敏同志、十亀弘史同志、板垣宏同志に対するものと大半同じである。そして、福嶋同志が無実・無罪の3同志と「共謀」したということを骨格にするしかデッチあげられない構造になっており、この点で根本的に大破産しているのだ。
さらに、福嶋同志へのデッチあげは、「岩手借家」から押収したとされる「メモ」がすべてであり、その「メモ」を根拠に「飛距離計算をした」とか「発射薬室を設計した」などと言っているだけである。
だが、「メモ」は両戦闘とまったく関係ない。3同志に対する東京地裁の判決ですら、両戦闘の後に設置された「岩手借家」から押収されたものが両戦闘に関連するものだと言うためには、両戦闘以前の保管・管理が明らかでなければならないと、あまりに当たり前のことを認めているのである。
その上に、「メモ」は福嶋同志が書いたものではない。「福嶋が書いた」というデッチあげ筆跡鑑定を行った小島直樹(警視庁科学捜査研究所)に対し、弁護団は徹底的な反対尋問を闘いとって、その非科学性、恣意(しい)性、デタラメ性を暴きつくした。
さらに弁護側の筆跡鑑定人である石川九楊氏が、「メモ」は福嶋同志の筆跡ではない事実を完璧(かんぺき)に明らかにした。検察官が何万語を費やそうと、福嶋同志の無実・無罪は明らかになっている。
検察官が最後に、「被告人の反社会的性格は顕著で、その改善・更生を期待できないことは明白であって、中核派が依然としてその勢力を温存させて法秩序に対する挑戦を続けている」から重刑を科すと結論づけると、傍聴席から一斉に激しい弾劾の声がたたきつけられた。
弁護団と福嶋同志による最終弁論の公判は9月20日である。検察官の論告求刑を木っ端みじんに粉砕しよう。3同志に続いて、福嶋同志の無罪判決を絶対にかちとろう。
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週刊『前進』(2197号6面3)(2005/05/16)
無罪実現へ新運動体
迎賓館・横田裁判 4同志合流し結成集会
4月29日午後、“不当な長期勾留をやめさせるために!十万人保釈署名運動”の主催で「福嶋さん歓迎/4人の完全無罪へ! 4・29集会」が、東京の渋谷勤労福祉会館で90人が参加して行われました。
昨年11月に11年8カ月ぶりに保釈出獄した福嶋昌男さんが、すでに一審で無罪判決をかちとっている須賀武敏さん、十亀弘史さん、板垣宏さんと合流し、4人が初めて一緒に参加したこの集会は、同時に4人の完全無罪を目指す新運動体の結成集会となりました。
第T部は、昨年11月の出獄時の様子を紹介するスライドから始まり、続いて福嶋さんが弟さんと一緒に登壇しました。いっぱいの花束を手に福嶋さんは獄外の闘いに感謝を述べ、「現在リハビリに取り組み、心身を鍛えています。故森山牧師を始めとする方々に励まされてきたことを胸に、無罪戦取へ頑張ります」とあいさつしました。
続いて弟さんと、古くからの友人が、福嶋さんとともに保釈実現へ闘いぬいてきた万感の思いを語りました。萱野一樹弁護士は、接見の時に将棋を指したエピソードなどを紹介しながら、「懲役12年の求刑に弁護団は怒り心頭に発している。検事論告も、無罪判決をかちとった3人の有罪を前提にしたもろい構造だ」と弾劾しました。
第T部の最後は、ヨッシーとジュゴンの家の熱いライブで締めくくられました。それは、7年に及ぶ十万人保釈署名運動に、勝利をもって決着をつけた瞬間でもありました。
第U部は、発起人である桜井善作さんの「迎賓館・横田裁判の完全無罪をかちとる会は、今からパワーアップしてスタートします。法廷の福嶋さんたちの態度は、過激にして道理にかない、堂々としている。これが今、平和への願いが勝利につながる道です」との発言で始まりました。
救援連絡センターの山中幸男さん、破防法・組対法に反対する共同行動の連帯発言に続き、横浜事件の元被告・木村亨さんの遺族で、再審請求原告団の一員である木村まきさんが、「再審が確定したが簡単に『無罪』としてほしくない。治安維持法の実態、司法の犯罪、戦争責任を問いたい」と話されました。
3被告の弁護人の内山成樹弁護士は「控訴審は、メモを巡る攻防だが、判決を最後に左右するのは運動の力です」と訴えました。
4人の被告からのアピールでは、新運動の目標が鮮明に語られました。板垣さんは、「分離公判の困難を乗り越え、完全無罪への4人の闘いが一緒に開始された歴史的な集会」と発言。十亀さんは、「被告が主導してきた裁判だ。その勝利は治安弾圧を核心で打ち砕き、司法改革を阻む決定的闘いだ」と確認しました。須賀さんは、「国民投票法案と共謀罪は、言論圧殺を狙う国家による組織犯罪そのもの。私たちへのデッチあげとともに打ち砕こう!」と熱く語りました。福嶋さんは12年の求刑を強く弾劾し、「無罪をかちとる」と宣言しました。
最後に西山勲さんが、まとめと行動提起として「戦争への黒い流れを止める歴史的な集会。自信と必勝の気力で闘おう」と締めくくりました。(投稿/T)
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週刊『前進』(2197号6面4)(2005/05/16)
古波津英興さん7回忌で
沖縄民権の会講演の集い
福地砿昭さん迎えて
沖縄民権の会の代表として終生沖縄のために闘い、99年の周辺事態法阻止の闘いの途上で不慮の事故に遭い亡くなった古波津英興さん(享年91)の7回忌にあたる4月24日、「沖縄民権の会講演の集い」が川崎で行われ、会場を満杯にする60人が集まった。(写真)
古波津さんと親しかった人びとが古波津さんをしのび、新たな決意を固めた。沖縄人権協会理事長、沖縄1フィート運動(沖縄戦の映像をアメリカから集める運動)代表の福地曠昭さんが「戦後60年沖縄から人権を問う」と題して講演した。
集会に先立って、亡き古波津さんが1999年の旧正月を祝う会で「最後まで現役で」という抱負を語り、沖縄の歌を歌う場面を収めたビデオを鑑賞した。「青年古波津英興」の明るい笑顔が映し出され、闘い半ばで倒れた古波津さんを惜しむ気持ちがあらためて高まった。高田普次夫さんが開会あいさつを行い、古波津さんの民権思想の偉大な意義を語った。
福地さんは、講演で、小学校卒業時に遭遇した沖縄戦の経験を始め、自身の生い立ちから、右翼テロに遭い足を刺されたことなど復帰運動の体験を語り、今日の基地沖縄の現実について、「どうして沖縄戦から学ぶことができないのか」と、強い危機感を表明した。「つくる会」教科書から、日本軍の住民虐殺が抹殺されていることに対しても強く弾劾した。「祖国復帰運動を全否定することはできない。自分たちの闘いの歴史を踏まえて前進したい」と語ったのが印象的だった。
講演を受けて活発な討論が行われた。さらに、会場から何人かの発言があり、その中で婦人民主クラブ全国協議会の会員が、最近辺野古の海上阻止行動に参加した経験を報告した。杉並区議の新城節子さんが古波津さんの思い出を語り、杉並の中で沖縄を反動の側に取り込もうとする動きがあることに注意を喚起した。そして、都議会議員選挙で長谷川英憲さんを勝たせることが重要だと提起、長谷川さんを紹介した。また、杉並で準備されている「沖縄戦60周年6・12杉並集会」(6月12日午後1時、杉並産業商工会館)への参加を呼びかけた。長谷川さんは、杉並から石原都政を倒す決意を表明した。
沖縄民権の会の代表・座覇光子さんがまとめの発言を行った。座覇さんは、「古波津さんが生きていたら、と思うが、自分で切り開いていかなければ」と語り、「支配する者とされる者との関係を終わらせなければならない。戦争はさせてはならない」と強調した。米軍大再編との闘いの最中の有意義な集会だった。(投稿/T・K)
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週刊『前進』(2197号6面5)(2005/05/16)
『共産党宣言』 −学習の感想−
党と階級の関係に新しい光 M・S
今日の情勢において、『共産党宣言』を全面的に再学習する意義をとらえ直しました。
戦後の一定時期にスターリン主義の影響のもとでマルクス主義が通用させられていた時代と違い、マルクス主義が全面的に否定されているかのような中で、あらためて『宣言』を心棒に据えることは、プロレタリア運動の将来にとって死活的であると思います。
そうした立場から、現在のブルジョアジーの諸政策を批判するために、資本主義社会の解明、その階級的搾取の構造を理論的に分析する力がより一層求められていると自覚します。政治的実践においてこそ、『宣言』の継承・発展を欠かすことができないと思います。
とくに、今回自分のものにできたと思えたところは以下の点です。つまり「私有財産の廃止」とは、「資本」という社会的関係(資本の価値増殖は社会的関係の総体の中で成立する)が、資本家という個人の占有のもとにある現実をひっくり返すこと、つまり、その階級的性格をなくすことである(個人の財産を共同の財産にするということではない)という点でした。「資本」という社会的関係を共同体のもとに取り戻す、ともされています。
ここは、「私的所有」が階級社会の発生によるもの、つまり他人の労働を搾取することによって獲得する力であり、歴史的に変遷するものであるということで、『ドイツ・イデオロギー』から直接つながっているものとして理解しやすかったです。
しかも、「私的所有」の歴史的性格の上に立って、「資本制」という社会的生産関係のもとでは、他人の財産、資本を増殖させなければ自分自身のための「取得」もできない関係、その搾取関係を繰り返し再生産する社会的関係が展開されています。ここも今回、1845〜1848年のマルクスの歩みという観点から読んだことから、マルクス自身の成長の過程=経済学的深化として理解することができました。
そして、今度の『共産党宣言』の学習会をとおして、1848年当時宣言された党というものの意味のとらえ方が変わってきていると感じました。それは、党が階級に基礎をおくものという理解についてです。歴史的に革命的な階級としての労働者階級の自己解放性を主体におくという読み方、問題のつかみ方ということですが、党と階級、党と労働組合の関係の問題に、新しい光をあてていると感じます。
それと矛盾するものではないのですが、それでもやはり、「共産主義者同盟規約」の中で、同盟員の規律、熱意、積極性を掲げていることは、とくに『宣言』全体のガイストとして重要だと思っています。もともと共産主義運動の本質=目的意識性ということに規定され、共産主義の党を構成する党員が、個々に革命的な自己変革を追求する主体として語られているという理解でいます。そこが、他のプロレタリア党、他の反対党などと決定的に違うところとしてあるのではないでしょうか。
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